(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002008
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】電子機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231228BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231228BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231228BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/00 U
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100928
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 明龍
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503EA01
5G503EA08
5H030AA09
5H030AS11
5H030BB09
5H030FF41
(57)【要約】
【課題】バッテリを満充電または満充電未満の充電率とする充電モードの切り替えを簡便に行う。
【解決手段】電子機器は、バッテリと、バッテリに供給する電力を外部から受電するポートと、ポートにACアダプタのコネクタが差し込まれると、バッテリに電力を供給する給電制御部と、バッテリに対する充電モードを切り替える充電モード制御部と、を備え、給電制御部は、ポートにコネクタが差し込まれると、ポートへのコネクタの差し込み態様を検出し、充電モード制御部は、バッテリが満充電となるようバッテリへの電力供給を制御する第1の充電モードと、バッテリが満充電未満の充電率となるようバッテリへの電力供給を制御する第2の充電モードと、の少なくともいずれかを、差し込み態様に応じて選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリに供給する電力を外部から受電するポートと、
前記ポートにACアダプタのコネクタが差し込まれると、前記バッテリに電力を供給する給電制御部と、
前記バッテリに対する充電モードを切り替える充電モード制御部と、を備え、
前記給電制御部は、
前記ポートに前記コネクタが差し込まれると、前記ポートへの前記コネクタの差し込み態様を検出し、
前記充電モード制御部は、
前記バッテリが満充電となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第1の充電モードと、前記バッテリが前記満充電未満の充電率となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第2の充電モードと、の少なくともいずれかを、前記差し込み態様に応じて選択する、
電子機器。
【請求項2】
前記ポートは、
第1及び第2のポートを含み、
前記給電制御部は、
前記コネクタが前記第1及び第2のポートのいずれのポートに差し込まれたかを検出し、
前記充電モード制御部は、
前記コネクタが前記第1のポートに差し込まれると前記第1の充電モードを選択し、
前記コネクタが前記第2のポートに差し込まれると前記第2の充電モードを選択する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ポートは、
前記コネクタの第1の面が第1の方向を向いた第1の差し込み態様と、
前記コネクタの前記第1の面とは反対側の第2の面が前記第1の方向を向いた第2の差し込み態様と、のいずれの差し込み態様であっても前記コネクタを差し込むことが可能に構成され、
前記給電制御部は、
前記コネクタが前記第1の差し込み態様および前記第2の差し込み態様のいずれの差し込み態様で前記ポートに差し込まれたかを検出し、
前記充電モード制御部は、
前記コネクタが前記第1の差し込み態様で前記ポートに差し込まれると前記第1の充電モードを選択し、
前記コネクタが前記第2の差し込み態様で前記ポートに差し込まれると前記第2の充電モードを選択する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器への指令を入力可能な入力機構と、
前記差し込み態様ごとの前記充電モードの設定を表示することが可能な光源と、を備え、
前記充電モード制御部は、
前記電子機器の電源がオフの場合に前記入力機構から第1の入力が行われると、前記差し込み態様ごとの前記充電モードの設定に応じた態様で前記光源を発光させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記充電モード制御部は、
前記電子機器の電源がオフの場合に前記入力機構から第2の入力が行われると、前記差し込み態様ごとの前記充電モードの設定を変更する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
バッテリと、
前記バッテリに供給する電力を外部から受電するポートと、を備えるコンピュータに、
前記ポートにACアダプタのコネクタが差し込まれると、前記ポートへの前記コネクタの差し込み態様を検出させ、
前記バッテリが満充電となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第1の充電モードと、前記バッテリが前記満充電未満の充電率となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第2の充電モードと、の少なくともいずれかを、前記差し込み態様に応じて選択させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータのような電子機器にはバッテリが搭載されており、電力供給が無い状態でも電子機器を稼働させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-013145号公報
【特許文献2】特開2022-031315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電力を供給された状態で電子機器を使用するなど、バッテリが満充電となっている時間が長くなると、バッテリを劣化させてしまう。例えばバッテリユーティリティ等のアプリケーションを使用すれば、ACアダプタ挿入時にはバッテリの充電率を80%等に制限することが可能であるが、小まめに充電率の設定を変更することはユーザにとって負担となる。
【0005】
本開示の課題の1つは、バッテリを満充電または満充電未満の充電率とする充電モードの切り替えを簡便に行うことを可能とする電子機器およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様にかかる電子機器は、バッテリと、前記バッテリに供給する電力を外部から受電するポートと、前記ポートにACアダプタのコネクタが差し込まれると、前記バッテリに電力を供給する給電制御部と、前記バッテリに対する充電モードを切り替える充電モード制御部と、を備え、前記給電制御部は、前記ポートに前記コネクタが差し込まれると、前記ポートへの前記コネクタの差し込み態様を検出し、前記充電モード制御部は、前記バッテリが満充電となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第1の充電モードと、前記バッテリが前記満充電未満の充電率となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第2の充電モードと、の少なくともいずれかを、前記差し込み態様に応じて選択する。
【0007】
本開示の第2の態様にかかるプログラムは、バッテリと、前記バッテリに供給する電力を外部から受電するポートと、を備えるコンピュータに、前記ポートにACアダプタのコネクタが差し込まれると、前記ポートへの前記コネクタの差し込み態様を検出させ、前記バッテリが満充電となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第1の充電モードと、前記バッテリが前記満充電未満の充電率となるよう前記バッテリへの電力供給を制御する第2の充電モードと、の少なくともいずれかを、前記差し込み態様に応じて選択させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電子機器およびプログラムによれば、バッテリを満充電または満充電未満の充電率とする充電モードの切り替えを簡便に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるノート型パーソナルコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるノート型パーソナルコンピュータにおける充電処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、実施形態の変形例1にかかるノート型パーソナルコンピュータにおける機能の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態の変形例2にかかるノート型パーソナルコンピュータにおける差し込み態様ごとの充電モードの初期設定の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の変形例3にかかる携帯情報端末における差し込み態様ごとの充電モードの初期設定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態にかかる構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0011】
(ノート型PCの構成例)
図1は、実施形態にかかるノート型パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)10の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すノート型PC10は、持ち運びが可能な電子機器の一例である。ただし、電子機器が、ラップトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ウェアラブル機器等であってもよい。
【0013】
図1に示すように、ノート型PC10は、CPU(Central Processing Unit)11、組み込みコントローラ12、給電コントローラ13、電源回路15、バッテリ16、及びポート131,132を備える。
【0014】
CPU11は、メモリ111を有しており、ノート型PC10の全体を制御する。メモリ111は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、補助記憶装置等である。
【0015】
ROMは、ノート型PC10における保存領域として機能し、CPU11の動作に必要な各種制御パラメータ及び制御プログラム等を記憶する。RAMは、一次記憶装置として機能し、CPUの作業領域となる。補助記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0016】
CPU11が、例えばROM等のメモリ111に格納される制御プログラム等をRAMに展開して実行することで、ノート型PC10の機能が実現される。
【0017】
CPU11は、また、ノート型PC10が備えるモニタ112に様々な表示を行わせる。モニタ112は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。
【0018】
第1及び第2のポートとしてのポート131,132は、ノート型PC10の躯体に設けられ、外部からの電力を受電する受電口として機能する。ポート131,132は、例えばUSB(Universal Serial Bus) Type-C等のように、上下左右が対称の端子形状を有する。また、ポート131,132は、USB PD(Power Delivery)規格を有すること等により、大容量の電力供給に対応可能な仕様となっていることが好ましい。
【0019】
ノート型PC10に電力を供給するときは、例えばUSB Type-C等のポート131,132の端子形状に適合するコネクタ21を有する交流電流(AC:Alternating Current)アダプタ20を繋ぎ込み、商用電源等の交流電圧を直流電圧に変換してノート型PC10に供給することができる。
【0020】
ACアダプタ20は、商用電源等の供給口に接続されるケーブル212と、商用電源等の交流電圧を、ACアダプタ20を介してコネクタ21へと伝送するケーブル211とを備えている。ACアダプタ20のコネクタ21は、ポート131,132のいずれかに接続される。
【0021】
給電制御部としての給電コントローラ13は、例えばノート型PC10に供給される電力を制御するPDC(Power Delivery Controller)等として構成されている。
【0022】
したがって、給電コントローラ13は、商用電源等からポート131,132を介して供給される電力、またはバッテリ16からの電力をノート型PC10各部へと振り分けるスイッチング制御等を行う。
【0023】
より詳細には、給電コントローラ13は、ポート131,132またはバッテリ16からの電力を、例えば充電器133及び電源回路15を介してCPU11に供給する。これにより、ノート型PC10を稼働させることができる。
【0024】
また例えば、給電コントローラ13は、いずれかのポート131,132にACアダプタ20のコネクタ21が差し込まれると、充電器133を介してバッテリ16に電力を供給する。これにより、商用電源等からの電力がノート型PC10に供給されている間、バッテリ16を充電することができる。バッテリ16が充電されることで、ノート型PC10は、商用電源等から切り離された電力供給の無い状態でも稼働させることができる。
【0025】
また、給電コントローラ13は、いずれかのポート131,132にACアダプタ20のコネクタ21が差し込まれると、コネクタ21の差し込み態様を検出する。コネクタ21の差し込み態様には、例えばコネクタ21が一方のポート131に差し込まれた状態である第1の差し込み態様と、コネクタ21が他方のポート132に差し込まれた状態である第2の差し込み態様とがある。
【0026】
すなわち、給電コントローラ13は、コネクタ21が、ポート131,132のうち、いずれのポート131,132に差し込まれたかを検出する。給電コントローラ13は、ポート131,132へのコネクタ21の差し込み態様を検出すると、検出結果を組み込みコントローラ12に通知する。さらに、給電コントローラ13は、コネクタ21の差し込み態様に基づいて組み込みコントローラ12が選択した充電モードでバッテリ16を充電するよう充電器133を制御する。
【0027】
充電モード制御部としての組み込みコントローラ12は、例えばバッテリ16の充電モードを切り替えるEC(Embedded Controller)等のマイクロコンピュータとして構成されている。
【0028】
組み込みコントローラ12は、図示しないCPU、RAM、及びROM121等を備えている。ROM121は、組み込みコントローラ12の動作に必要なバッテリユーティリティ121u等の各種プログラム及び各種制御パラメータ等を記憶する。組み込みコントローラ12のCPUが、ROM121に格納されるバッテリユーティリティ121uをRAMに展開して実行することで、充電モード制御部としての機能が実現される。
【0029】
すなわち、組み込みコントローラ12は、給電コントローラ13が検出したコネクタ21の差し込み態様に応じてバッテリ16に対する充電モードの切り替えを行う。バッテリ16への充電モードには、例えば100%充電モードと80%充電モードとがある。
【0030】
第1の充電モードとしての100%充電モードでは、バッテリ16が満充電となるようバッテリ16への電力供給が制御される。第2の充電モードとしての80%充電モードでは、バッテリ16が満充電未満の充電率であって、例えば80%の充電率となるようバッテリ16への電力供給が制御される。
【0031】
例えばROM121には、ポート131,132ごとの充電モードの設定情報が格納されている。初期設定において、一方のポート131には例えば100%充電モードが設定されており、他方のポート132には例えば80%充電モードが設定されている。
【0032】
したがって、組み込みコントローラ12は、一方のポート131にコネクタ21が差し込まれると100%充電モードを選択する。また、組み込みコントローラ12は、他方のポート132にコネクタ21が差し込まれると80%充電モードを選択する。
【0033】
なお、ポート131,132ごとの充電モードの初期設定をユーザが変更可能であって良い。この場合、ユーザは、例えば100%及び80%等の充電モードをポート131,132間で入れ替えることができる。
【0034】
また、組み込みコントローラ12は、ノート型PC10が備える光源123を制御して、ポート131,132に対するコネクタ21の差し込み態様ごとの充電モードの設定を表示させる。光源123は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等であり、複数の発光色で発光可能に構成されている。
【0035】
組み込みコントローラ12は、一方のポート131にコネクタ21が差し込まれ、100%充電モードを選択した場合には、光源123を例えばオレンジ色等の所定の色で発光させる。また、組み込みコントローラ12は、他方のポート132にコネクタ21が差し込まれ、80%充電モードを選択した場合には、光源123を例えばグリーン等の他の色で発光させる。
【0036】
このように、発光色を異ならせることで、光源123に差し込み態様ごとの充電モードの設定を表示させることができる。ただし、光源123は、上記以外の発光態様で差し込み態様ごとの充電モードの設定を表示可能であってもよい。この場合、例えば100%充電モード選択時には光源123が点灯し、80%充電モード選択時には光源123が点滅すること等によって、差し込み態様ごとの充電モードの設定の表示が可能である。
【0037】
組み込みコントローラ12は、充電モード制御機能のほか、例えばノート型PC10が備えるキーボード122からの各種入力を受け付ける。
【0038】
上述の給電コントローラ13は、組み込みコントローラ12によって選択された充電モードにしたがって、バッテリ16が100%または80%の充電率で充電されるよう充電器133を制御する。
【0039】
充電器133は、バッテリ16の充放電を制御する。また、充電器133は、商用電源等からの電力、またはバッテリ16からの電力を電源回路15に供給する。
【0040】
バッテリ16への充電を行う際には、充電器133は、給電コントローラ13の制御下で、組み込みコントローラ12が選択した100%または80%の充電モードにしたがってバッテリ16の充電率を制御する。つまり、充電器133は、100%充電モード選択時には、充電率が満充電の100%となるまでバッテリ16の充電を継続し、80%充電モード選択時には、充電率が80%となるまでバッテリ16の充電を継続する。
【0041】
電源回路15は、例えばデジタル-デジタル変換回路(DDC:D/D Converter)等として構成され、充電器133を介して供給された電力がシステム電源として利用可能な電圧となるよう降圧する。電源回路15が降圧した電力は、CPU11及びメモリ111等に供給される。
【0042】
バッテリ16は、高電圧セルバッテリ等として構成され、ノート型PC10に内蔵されている。高電圧セルバッテリは、高密度エネルギを蓄えることが可能である。具体的には、通常のセルバッテリに充電可能な電圧が例えば4.2V程度であるのに対し、高電圧セルバッテリでは4.35V~4.45Vの電圧を充電することができる。
【0043】
持ち運びが可能な電子機器として、商用電源等からの電力供給が無い状態で稼働させることも多いノート型PC10において、例えば高電圧セルバッテリ等のようなバッテリ16を採用することで、ノート型PC10の薄型化、軽量化、稼働時間の長期化を図ることが可能である。
【0044】
(ノート型PCの処理例)
次に、
図2を用いて、実施形態のノート型PC10における処理例について説明する。
図2は、実施形態にかかるノート型PC10における充電処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0045】
図2に示すように、ノート型PC10の給電コントローラ13は、いずれかのポート131,132にACアダプタ20のコネクタ21が差し込まれたことを検出すると(ステップS101)、それが1つ目のポート131であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0046】
コネクタ21が1つ目のポート131に差し込まれたことが検出されると(ステップS102:Yes)、組み込みコントローラ12は、ROM121に格納される充電モードの設定情報を参照する(ステップS103)。また、組み込みコントローラ12は、充電モードの設定情報の設定にしたがって、100%充電モードを選択する(ステップS104)。
【0047】
給電コントローラ13は、100%充電モードの設定にしたがって、バッテリ16の充電率が100%となるよう充電器133を制御する(ステップS105)。
【0048】
一方、コネクタ21が2つ目のポート132に差し込まれたことが検出されると(ステップS102:No)、組み込みコントローラ12は、ROM121に格納される充電モードの設定情報を参照する(ステップS113)。また、組み込みコントローラ12は、充電モードの設定情報の設定にしたがって、80%充電モードを選択する(ステップS114)。
【0049】
給電コントローラ13は、80%充電モードの設定にしたがって、バッテリ16の充電率が80%となるよう充電器133を制御する(ステップS115)。
【0050】
以上により、実施形態のノート型PC10における充電処理が終了する。
【0051】
(比較例)
ノート型PC等のように持ち運び可能な電子機器には、容量密度を向上させるため、高電圧セルバッテリ等が採用されることが多い。一方で、高電圧セルバッテリは、充放電のサイクル特性に優れるものの、満充電保存時の劣化速度が著しく早いという欠点がある。
【0052】
電子機器の出荷時等の初期設定では、電子機器の稼働時間を優先させて100%の充電率に設定されていることが多い。このため、例えば電子機器にACアダプタを差し込んだ状態で長時間使用すると、バッテリが満充電状態を保持し続けて劣化が進行してしまう。
【0053】
上記のようなバッテリの劣化を抑制するためには、例えばACアダプタ挿入時にはバッテリの充電率を80%等に制限するなど、小まめに充電率の設定を変更することが好ましい。バッテリユーティリティ等のアプリケーションを使用すれば、このような設定変更が可能である。
【0054】
しかしながら、充電率の設定変更を行うには、毎回、アプリケーションを起動させなければならず、小まめな設定変更はユーザにとって負担となってしまう。また、80%の充電率設定のまま充電がなされていると、電子機器を持ち運ぶ際などに電子機器の稼働時間が短くなってしまう。
【0055】
実施形態のノート型PC10によれば、ポート131,132へのコネクタ21の差し込み態様に応じてバッテリ16が満充電となるようバッテリ16への電力供給を制御する100%充電モードと、バッテリ16が満充電未満の充電率となるようバッテリ16への電力供給を制御する80%充電モードと、の少なくともいずれかを選択する。コネクタ21の差し込み態様としては、例えばコネクタ21をポート131に差し込む態様と、ポート132に差し込む態様とがある。
【0056】
このように、ポート131,132へのコネクタ21の差し込み態様を変更するだけで、バッテリ16を満充電または満充電未満の充電率とする充電モードの切り替えを簡便に行うことができる。これにより、バッテリ16の劣化を抑制しつつ、ノート型PC10の稼働時間を維持することができる。
【0057】
なお、高電圧バッテリ等においては、100%から80%を超える充電率において劣化が顕著であり、充電率が80%以下となると急速に劣化速度が低下する傾向にある。このため、満充電未満の充電モードを80%充電モードとすることで、バッテリ16の劣化抑制の効果が充分に得られると考えられる。
【0058】
しかし、満充電未満の充電モードは80%の充電率に限らず、80%以外の充電率に設定可能であってもよい。
【0059】
上記機能を実現するバッテリユーティリティ121u等のプログラムは、例えば組み込みコントローラ12のCPUが備えるROM121に予め記憶された状態で提供され得るが、これに限定されるものではない。当該プログラムは、例えば、CD-ROM等の適宜な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、インターネット等のコンピュータネットワークを介して提供されてもよい。
【0060】
(変形例1)
次に、
図3を用いて、実施形態の変形例1のノート型PCについて説明する。変形例1のノート型PCは、電源がオフの場合に差し込み態様ごとの充電モードの設定を表示し、また、変更することが可能である点が上述の実施形態とは異なる。
【0061】
なお、以下の説明において、上述の実施形態と対応する構成に同様の符号を用いることがある。ただし、上述の実施形態と同様の符号を付した構成であっても、上述の実施形態とは異なる機能を有する場合がある。
【0062】
図3は、実施形態の変形例1にかかるノート型PCにおける機能の一例を示す説明図である。
【0063】
ノート型PCが備える入力機構としてのキーボード122において、キーボード122が備える複数のキーのうち、特定のキーはそれぞれのポート131,132を表すよう割り当てられている。
【0064】
図3の例では、「X」キーは一方のポート131を表すよう割り当てられている。ノート型PCの電源がオフの場合に、キーボード122の「X」キーを用いた所定の入力がなされると、変形例1の組み込みコントローラは、その入力内容に応じた処理を行う。
【0065】
図3(a)に示すように、第1の入力として「X」キーが1回押下されると、組み込みコントローラは、ポート131に設定された充電モードを表す態様で光源123を発光させる。すなわち、ポート131に100%充電モードが設定されている場合には、組み込みコントローラは、光源123を例えばオレンジ色に発光させる。
【0066】
図3(b)に示すように、第2の入力として「X」キーが2回押下されると、組み込みコントローラは、ポート131における充電モードの設定を変更する。すなわち、ポート131に100%充電モードが設定されていた場合には、組み込みコントローラは、ポート131の設定を80%充電モードに変更する。
【0067】
このとき、組み込みコントローラは、ポート131の設定が100%から80%の充電モードに変更されたことを示すため、オレンジ色からグリーンへと発光色を変更させて光源123を発光させてもよい。
【0068】
図3の例ではまた、「Y」キーは一方のポート132を表すよう割り当てられている。ノート型PCの電源がオフの場合に、キーボード122の「Y」キーを用いた所定の入力がなされると、組み込みコントローラは、その入力内容に応じた処理を行う。
【0069】
図3(c)に示すように、第1の入力として「Y」キーが1回押下されると、組み込みコントローラは、ポート132に設定された充電モードを表す態様で光源123を発光させる。すなわち、ポート132に80%充電モードが設定されている場合には、組み込みコントローラは、光源123を例えばグリーンに発光させる。
【0070】
図3(d)に示すように、第2の入力として「Y」キーが2回押下されると、組み込みコントローラは、ポート132における充電モードの設定を変更する。すなわち、ポート132に80%充電モードが設定されていた場合には、組み込みコントローラは、ポート132の設定を100%充電モードに変更する。
【0071】
このとき、組み込みコントローラは、ポート132の設定が80%から100%の充電モードに変更されたことを示すため、グリーンからオレンジ色へと発光色を変更させて光源123を発光させてもよい。
【0072】
変形例1のノート型PCによれば、ノート型PCの電源がオフの場合にキーボード122からポート131,132を表すキーが1回押下される入力が行われると、差し込み態様ごとの充電モードの設定に応じた色で光源を発光させる。
【0073】
例えば上述の比較例のように、バッテリユーティリティ等のアプリケーションを用いる場合、ノート型PCの充電率の設定を確認するには、ノート型PCが起動した状態でアプリケーションを起動させなければならい。変形例1のノート型PCによれば、ノート型PCの電源がオフの場合であっても簡単なキー操作で各々のポート131,132における充電モードの設定を確認することができる。
【0074】
変形例1のノート型PCによれば、ノート型PCの電源がオフの場合にキーボード122からポート131,132を表すキーが2回押下される入力が行われると、差し込み態様ごとの充電モードの設定を変更する。
【0075】
これにより、例えばバッテリユーティリティ等のアプリケーションを用いる場合と異なり、ノート型PCの電源がオフの場合であっても簡単なキー操作で各々のポート131,132における充電モードの設定を変更することができる。
【0076】
変形例1のノート型PCによれば、その他、上述の実施形態のノート型PC10と同様の効果を奏する。
【0077】
なお、
図3に示すキー操作はあくまでも一例であって、上記以外のキー操作で各々のポート131,132における充電モードの設定を確認または変更可能であってもよい。
【0078】
例えば、各々のポート131,132には、「X」キー及び「Y」キー以外のキーが割り当てられていてもよい。また、特定のキーが、組み込みコントローラに行わせる処理内容に応じて割り当てられていてもよい。
【0079】
つまり、ポート131,132のいずれかに割り当てられたキーが押下された後に、充電モードの設定を確認する処理を表すキーが押下された場合には、組み込みコントローラは、対応するポート131,132に設定された充電モードを表す発光色で光源123を発光させることができる。
【0080】
また、ポート131,132のいずれかに割り当てられたキーが押下された後に、充電モードの設定を変更する処理を表すキーが押下された場合には、組み込みコントローラは、対応するポート131,132の充電モードの設定を変更することができる。
【0081】
(変形例2)
次に、
図4を用いて、実施形態の変形例2のノート型PCについて説明する。変形例2のノート型PCは、ポートに差し込まれたコネクタの向きによっても充電モードの切り替えが可能な点が上述の実施形態とは異なる。
【0082】
なお、以下の説明において、上述の実施形態と対応する構成に同様の符号を用いることがある。ただし、上述の実施形態と同様の符号を付した構成であっても、上述の実施形態とは異なる機能を有する場合がある。
【0083】
図4は、実施形態の変形例2にかかるノート型PCにおける差し込み態様ごとの充電モードの初期設定の一例を示す図である。
【0084】
図4に示すように、変形例2のノート型PCでは、コネクタ21が差し込まれたポート131,132による充電モードの切り替えのみならず、ポート131,132へのコネクタ21の挿入向きによっても充電モードの切り替えが可能である。
【0085】
すなわち、初期設定においては、例えば一方のポート131に、コネクタ21の表面を上に向けて差し込む態様、及び裏面を上に向けて差し込む態様には、100%充電モードが設定されている。また、例えば他方のポート132に、コネクタ21の表面を上に向けて差し込む態様、及び裏面を上に向けて差し込む態様には、80%充電モードが設定されている。
【0086】
変形例2の給電コントローラは、どちらのポート131,132にどちらの面を上に向けてコネクタ21が差し込まれたかを検出する。
【0087】
上述のように、コネクタ21及びポート131,132は、上下左右が対称の端子形状を有する。また、これらの端子においては原則として、同じ役割がアサインされた端子同士がペアとなって点対象に配列されている。しかし、一部の端子のペアにおいて、一方の端子には他方の端子と異なる役割をアサインされている。これにより、コネクタ21の挿入向きを判別することが可能である。
【0088】
変形例2の組み込みコントローラは、ROM121に格納された差し込み態様ごとの充電モードの設定情報を参照し、それぞれの差し込み態様に応じた充電モードを選択する。
【0089】
ユーザは、上記の初期設定を適宜変更可能である。すなわち、一方のポート131に、コネクタ21の表面を上に向けて差し込む態様、及び裏面を上に向けて差し込む態様、並びに他方のポート132に、コネクタ21の表面を上に向けて差し込む態様、及び裏面を上に向けて差し込む態様のそれぞれに、適宜所定の充電モードを割り当てることが可能である。
【0090】
したがって、例えば一方のポート131にコネクタ21の表面を上に向けて差し込んだ場合と、裏面を上に向けて差し込んだ場合とで、充電モードが切り替わるように設定することも可能である。この場合、コネクタ21の表裏面のどちらが上を向いているかは、例えばコネクタ21を差し込んだ時の光源123の発光色によって区別することができる。
【0091】
ここで、上述のように、充電率を80%以下とすることでバッテリ16の劣化抑制の充分な効果が得られるため、通常、充電モードの切り替えを行う際には、100%充電モードと80%充電モードとの2種類の充電モードからいずれかを選択するようになっていることが多い。
【0092】
しかし、ユーザが上記の初期設定を変更する場合において、満充電未満の充電率の充電モードとして、80%充電モードに変えて、あるいは加えて、複数の充電率の充電モードを設定可能であってもよい。
【0093】
変形例2のノート型PCによれば、例えばコネクタ21の表面が上方向を向いた差し込み態様でポート131に差し込まれると100%充電モードを選択し、コネクタ21の裏面が上方向を向いた差し込み態様でポート131に差し込まれると80%充電モードを選択する。これにより、4種類の差し込み態様ごとに充電モードを設定することができ、ユーザの好みに応じて、より細かなサポートが可能となる。
【0094】
変形例2のノート型PCによれば、その他、上述の実施形態のノート型PC10と同様の効果を奏する。
【0095】
(変形例3)
次に、
図5を用いて、実施形態の変形例3の携帯情報端末について説明する。変形例3の携帯情報端末は、ポートを1つのみ備えている点が上述の実施形態とは異なる。
【0096】
変形例3の携帯情報端末は、外部からの電力を受電する受電口となるポートを1つのみ備える。変形例3の携帯情報端末が、例えばタブレット型PC、またはスマートフォン等の電子機器であってもよい。
【0097】
図5は、実施形態の変形例3にかかる携帯情報端末における差し込み態様ごとの充電モードの初期設定の一例を示す図である。
図5に示すように、変形例3の携帯情報端末では、1つのポートへのコネクタの挿入向きによって充電モードの切り替えが可能である。
【0098】
すなわち、初期設定においては、例えば1つのポートに、コネクタの表面を上に向けて差し込む態様には100%充電モードが設定されている。また、例えばそのポートに、コネクタの裏面を上に向けて差し込む態様には80%充電モードが設定されている。
【0099】
変形例3の給電コントローラは、1つのポートにどちらの面を上に向けてコネクタが差し込まれたかを検出する。変形例3の組み込みコントローラは、ROMに格納された差し込み態様ごとの充電モードの設定情報を参照し、それぞれの差し込み態様に応じた充電モードを選択する。
【0100】
ユーザは、上記の初期設定を適宜変更可能である。すなわち、1つのポートに、コネクタの表面を上に向けて差し込む態様、及び裏面を上に向けて差し込む態様のそれぞれに、適宜所定の充電モードを割り当てることが可能である。
【0101】
上述のノート型PC及びラップトップ型PC等においては、外部からの電力を受電する受電口となるポートが複数設けられている場合が一般的である。しかし、タブレット型PC、スマートフォン、携帯情報端末などの電子機器においては、外部からの電力を受電する受電口となるポートが1つしか設けられていないものも存在する。
【0102】
変形例3の携帯情報端末によれば、例えばコネクタの表面が上方向を向いた差し込み態様でポートに差し込まれると100%充電モードを選択し、コネクタの裏面が上方向を向いた差し込み態様でポートに差し込まれると80%充電モードを選択する。これにより、ポートを1つしか備えていない電子機器であっても、ポートへのコネクタの挿入向きを変更するだけで、バッテリを満充電または満充電未満の充電率とする充電モードの切り替えを簡便に行うことができる。
【0103】
変形例3の携帯情報端末によれば、その他、上述の実施形態のノート型PC10と同様の効果を奏する。
【0104】
(変形例4)
次に、実施形態の変形例4のノート型PCについて説明する。変形例4のノート型PCは、バッテリの満充電時間の積算カウントに応じて充電モードを切り替える点が上述の実施形態とは異なる。
【0105】
変形例4の組み込みコントローラには、ROMに格納されたバッテリユーティリティを実行することで、バッテリの満充電時間の積算カウントが設けられる。組み込みコントローラは、満充電状態でのバッテリの積算使用時間を積算カウントに記録する。また、組み込みコントローラは、積算カウントにおける積算時間が所定時間を超えると、100%充電モードから80%充電モードへの切り替えを行う。
【0106】
すなわち、ユーザが例えば1週間、ノート型PCの持ち運びをせずに、ACアダプタに接続したまま100%充電モードでノート型PCを使用し続けた場合等には、組み込みコントローラは、充電モードの設定を100%充電モードから80%充電モードに変更する。
【0107】
ユーザは、100%充電モードから80%充電モードへの切り替えを行う積算時間数の設定を変更可能である。
【0108】
変形例4のノート型PCによれば、満充電状態でのバッテリの積算使用時間によっても充電モードの切り替えを行う。これにより、いっそうバッテリの劣化を抑制することができる。
【0109】
変形例4のノート型PCによれば、その他、上述の実施形態のノート型PC10と同様の効果を奏する。
【0110】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0111】
10…ノート型パーソナルコンピュータ、11…CPU、12…組み込みコントローラ、13…給電コントローラ、16…バッテリ、20…ACアダプタ、121…ROM、131,132…ポート、21…コネクタ。