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特開2024-20086マージングユニット、電子装置、及びプロセスバスシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020086
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】マージングユニット、電子装置、及びプロセスバスシステム
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/02 20060101AFI20240206BHJP
   H02H 3/05 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H02H3/02 J
H02H3/05 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122991
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡井 誠
(72)【発明者】
【氏名】山守 渉
(72)【発明者】
【氏名】金田 啓一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 信吾
(72)【発明者】
【氏名】能勢 陽太郎
【テーマコード(参考)】
5G142
【Fターム(参考)】
5G142BC02
5G142BD03
5G142EE03
5G142EE06
(57)【要約】
【課題】遅延時間を最小限とすることができるマージングユニット、電子装置、及びプロセスバスシステムを提供することである。
【解決手段】実施形態のマージングユニットは、同期処理部と、アナログ入力部と、入力処理部と、データ出力部とを持つ。同期処理部は、同期元の信号を元に同期して動作し、基本動作周期を示す信号を出力する。アナログ入力部は、前記変電所自動化システムに設置された電流測定器及び電圧測定器から電気量を示すアナログ信号を取得する。入力処理部は、前記アナログ信号をアナログデジタル変換し、IEC 61850規格に準拠したサンプリングバリューデータを生成する。データ出力部は、前記サンプリングバリューデータを送信する。マージングユニットにおいては、前記基本動作周期に対するアナログデジタル変換処理及び前記サンプリングバリューデータの送信動作タイミングを調整可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所自動化システムに設置されるマージングユニットであって、
同期元の信号を元に同期して動作し、基本動作周期を示す信号を出力する同期処理部と、
前記変電所自動化システムに設置された電流測定器及び電圧測定器から電気量を示すアナログ信号を取得するアナログ入力部と、
前記アナログ信号をアナログデジタル変換し、IEC 61850規格に準拠したサンプリングバリューデータを生成する入力処理部と、
前記サンプリングバリューデータを送信するデータ出力部と、
を備え、
前記基本動作周期に対するアナログデジタル変換処理及び前記サンプリングバリューデータの送信動作タイミングを調整可能である、
マージングユニット。
【請求項2】
変電所自動化システムに設置されるマージングユニットであって、
同期元の信号を元に同期して動作し、基本動作周期を示す信号を出力する同期処理部と、
電子装置から送信されたIEC 61850規格に準拠した動作信号であるGOOSEフレームを受信するGOOSEフレーム入力部と、
前記GOOSEフレームから動作信号を取得する受信処理部と、
変電所機器に対する動作信号を出力する動作信号出力部と、
を備え、
前記基本動作周期に対する受信した前記GOOSEフレームの処理タイミング及び変電所機器に対する信号出力タイミングを調整可能である、
マージングユニット。
【請求項3】
変電所自動化システムに設置されるマージングユニットであって、
同期元の信号を元に同期して動作し、基本動作周期を示す信号を出力する同期処理部と、
前記変電所自動化システムに設置された電流測定器及び電圧測定器から電気量を示すアナログ信号を取得するアナログ入力部と、
前記アナログ信号をアナログデジタル変換し、IEC 61850規格に準拠したサンプリングバリューデータを生成する入力処理部と、
前記サンプリングバリューデータを送信するデータ出力部と、
電子装置から送信されたIEC 61850規格に準拠した動作信号であるGOOSEフレームを受信するGOOSEフレーム入力部と、
前記GOOSEフレームから動作信号を取得する受信処理部と、
変電所機器に対する動作信号を出力する動作信号出力部と、
を備え、
前記基本動作周期に対するアナログデジタル変換処理及び前記サンプリングバリューデータの送信動作タイミングを調整可能であり、
前記基本動作周期に対する受信した前記GOOSEフレームの処理タイミング及び変電所機器に対する信号出力タイミングを調整可能である、
マージングユニット。
【請求項4】
変電所自動化システムに設置される電子装置であって、
同期元の信号を元に同期して動作し、基本動作周期を示す信号を出力する同期処理部と、
マージングユニットから送信されたサンプリングバリューデータを受信するデータ入力部と、
前記サンプリングバリューデータから電気量を取得して保護リレー演算を実施する演算処理部と、
保護リレー演算結果に準じた動作信号をGOOSEフレームとして送信するGOOSEフレーム出力部と、
を備え、
前記基本動作周期に対する受信した前記GOOSEフレームの処理タイミング及び変電所機器に対する信号出力タイミングを調整可能である、
電子装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマージングユニットと、
サンプリングバリューデータの送信先であり、前記基本動作周期で動作する電子装置と、
を備え、
前記マージングユニットの処理時間と前記変電所自動化システムにおけるプロセスバスネットワークの通信処理遅延時間を踏まえて、処理タイミング設定が調整されている、
プロセスバスシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の電子装置と、
前記マージングユニットと、
を備え、
前記マージングユニットの処理時間と前記変電所自動化システムにおけるプロセスバスネットワークの通信処理遅延時間を踏まえて、処理タイミング設定が調整されている、
プロセスバスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、マージングユニット、電子装置、及びプロセスバスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統において、変電所は電力の供給、品質、効率的運用に重用な役割を担っている。近年、デジタル技術の発展に伴い、変電所の保護・監視制御を実施する変電所自動化システムもデジタル化が進んでいる。これに伴って、変電所の各種情報をネットワーク経由で送受信する構成が採用されたシステムが提案されている。このシステムにおいては、変電所機器のインターフェースを司るIEC61850規格に準拠したMU(Merging Unit;マージングユニット)が採用されている。MUは、IED(Intelligent Electronic Device;電子装置)とプロセスバスネットワークを介して接続されている。
【0003】
IEDは、電力系統における電気量(電流値、電圧値)を常時取得している。電力系統における事故発生時の電気量の変化に基づき、保護リレー演算によって系統事故を検出し、変電所機器に対して動作信号を出力して電力系統における事故区間の除去を行う。発生した電力系統の事故波及を防ぐために、事故発生から変電所機器の動作までの一連の処理を高速で行うことが求められている。プロセスバスネットワークを採用した変電所自動化システムおいても同様である。
【0004】
変電所自動化システムにおいてMU及びプロセスバスを採用した場合においては、プロセスバスを介してMUの端末とIEDの端末が設置されている。IEDの端末とMUの端末とが個別に処理を実施し、IEDとMUとの間でSVフレーム・GOOSEフレームの送受信処理が実施されている。
既存のMUを採用しないハードワイヤーを使用したシステムと比較すると、MU及びIEDがプロセスバスに接続されている構成では、事故発生から変電所機器の動作までの動作時間が遅くなることが懸念される。また、既存の端末において、保護リレー演算・動作信号の出力処理などには処理を高速化するための様々な技術が適用されており、適用電力系統によっては許容できる動作遅延のマージンが無いケースが考えられる。MU及びIEDがプロセスバスに接続されている構成において、事故発生から変電所機器の動作までの動作時間の遅延を最小限として高速動作を可能とするシステムを構築することが必要である。
【0005】
一般的なMU及びIEDは、プロセスバスネットワークに設置された同期元(PTPマスター装置等)の信号に対して同期(時刻同期及びサンプリング同期)して動作している。MU及びIEDの動作に関し、MU及びIEDにおける内部処理の都合上から、保護リレー演算周期(600Hz又は720Hz)及びサンプリング周期(4800Hz又は5760Hz)に基づいて動作が行われている場合が多い。MUの端末及びIEDの端末は、個別に処理を実施するため、また、MUの端末及びIEDの端末を中継するプロセスバスネットワークにおける遅延時間は、システムの構成に依存する。このため、各端末の処理タイミングによっては各フレームを受信してから処理開始までに処理待ち時間が生じる可能性がある。その結果、プロセスバスシステム全体としては、事故発生から変電所機器の動作までの動作時間が遅延する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-70769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、遅延時間を最小限とすることができるマージングユニット、電子装置、及びプロセスバスシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のマージングユニットは、変電所自動化システムに設置される。マージングユニットは、同期処理部と、アナログ入力部と、入力処理部と、データ出力部とを持つ。同期処理部は、同期元の信号を元に同期して動作し、基本動作周期を示す信号を出力する。アナログ入力部は、前記変電所自動化システムに設置された電流測定器及び電圧測定器から電気量を示すアナログ信号を取得する。入力処理部は、前記アナログ信号をアナログデジタル変換し、IEC 61850規格に準拠したサンプリングバリューデータを生成する。データ出力部は、前記サンプリングバリューデータを送信する。マージングユニットにおいては、前記基本動作周期に対するアナログデジタル変換処理及び前記サンプリングバリューデータの送信動作タイミングを調整可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のプロセスバスシステムの機能構成の例を示すブロック図。
図2】第1実施形態のプロセスバスシステムを構成するIED及びMUの機能構成の例を示すブロック図。
図3】第1実施形態のプロセスバスシステムの動作を説明するタイムチャートを示す図。
図4】第2実施形態のプロセスバスシステムを構成するIED及びMUの機能構成の例を示すブロック図。
図5】第2実施形態のプロセスバスシステムの動作を説明するタイムチャートを示す図。
図6】第3実施形態のプロセスバスシステムの機能構成の例を示すブロック図。
図7】第3実施形態のプロセスバスシステムを構成するIED及びMUの機能構成の例を示すブロック図。
図8】第4実施形態のプロセスバスシステムを構成するIED及びMUの機能構成の例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るマージングユニット、電子装置、及びプロセスバスシステムを、図面を参照して説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1図3を参照し、第1実施形態に係るプロセスバスシステムを説明する。
図1は、第1実施形態に係るプロセスバスシステムの機能構成の例を示すブロック図である。
図2は、第1実施形態のプロセスバスシステムを構成するIED101及びMU102の機能構成の例を示すブロック図である。
図3は、第1実施形態のプロセスバスシステムの動作を説明するタイムチャートを示す図である。
【0012】
図1に示すプロセスバスシステムは、変電所自動化システムに用いられている。プロセスバスシステムは、IED101と、MU102と、PTP(Precision Time Protocol)マスター103と、伝送路201とを含む。IED101は、「電子装置」の一例である。IED101を、保護制御装置と称してもよい。MU102は、「マージングユニット」の一例である。PTPマスター103は、「同期元」の一例である。
【0013】
<MU102>
図1及び図2に示すように、MU102は、変電所における母線VT又は送電線CTと、変電所機器と、伝送路201とに接続されている。MU102は、アナログ入力部401と、演算処理部402、408と、SVフレーム出力部403と、GOOSEフレーム入力部407と、動作信号出力部409と、処理タイミング設定機構501、502と、同期処理部504とを有する。第1実施形態において、変電所機器は、遮断器である。MU102は、変電所自動化システムに設置される。
【0014】
<アナログ入力部401>
アナログ入力部401は、母線VT又は送電線CTに接続されている。アナログ入力部401には、母線VT又は送電線CTから出力されるアナログ電圧が入力される。アナログ電圧は、電力系統の情報である。アナログ電圧は、「アナログ信号」の一例である。アナログ入力部401は、変電所自動化システムに設置された電流測定器及び電圧測定器から電気量を示すアナログ信号を取得する。
【0015】
<演算処理部402>
演算処理部402は、アナログ入力部401に接続されている。演算処理部402は、アナログ入力部401に入力されたアナログ電圧をデジタルデータに変換する。言い換えると、演算処理部402は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換処理を行う。演算処理部402は、IEC 61850規格に準拠したSV(サンプリングバリュー)フレームを生成する。演算処理部402は、「入力処理部」の一例である。SVフレームは、デジタルデータであり、「サンプリングバリューデータ」の一例である。
【0016】
<SVフレーム出力部403>
SVフレーム出力部403は、演算処理部402と伝送路201とに接続されている。SVフレーム出力部403は、SVフレーム301を、伝送路201を介して、IED101に送信する。SVフレーム301は、電気量に関するデータである。SVフレーム出力部403は、「データ出力部」の一例である。
【0017】
<処理タイミング設定機構501>
処理タイミング設定機構501は、演算処理部402に接続されている。処理タイミング設定機構501は、演算処理部402において実施される処理のタイミングを調整し、設定することが可能である。具体的に、処理タイミング設定機構501は、サンプリング周期に対するアナログデジタル変換処理、及び、SVフレームをSVフレーム出力部403に送信する動作のタイミングを調整可能である。ここで、処理タイミング設定機構501は、例えば、位相遅延回路を含む。処理タイミング設定機構501は、演算処理部402において実施される処理のタイミングをずらすこと、すなわち、演算処理部402において実施される処理のタイミングの位相を変えることによって、演算処理部402の動作のタイミングを調整する。
【0018】
特に、処理タイミング設定機構501においては、伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値が設定されている。処理タイミング設定機構501は、このように設定された値に基づき、演算処理部402における処理を実施させる。これにより、図3におけるタイムチャートの処理タイミング設定601が最適化されている。処理タイミング設定601は、MU102における処理時間と変電所自動化システムにおけるプロセスバスネットワークの通信処理遅延時間を踏まえて調整されている。処理タイミング設定機構501を、第1処理タイミング設定機構と称してもよい。
【0019】
<GOOSEフレーム入力部407>
GOOSEフレーム入力部407は、伝送路201に接続されている。GOOSEフレーム入力部407には、IED101から出力されるGOOSEフレーム302が入力される。GOOSEフレーム302は、変電所機器を動作させるための動作信号である。
つまり、GOOSEフレーム入力部407は、IED101から送信されたIEC 61850規格に準拠した動作信号であるGOOSEフレーム302を受信する。
【0020】
<演算処理部408>
演算処理部408は、GOOSEフレーム入力部407に接続されている。演算処理部408は、GOOSEフレーム入力部407に入力されたGOOSEフレーム302に対して演算処理を行い、GOOSEフレーム302から動作信号を取得する。演算処理部408は、「受信処理部」の一例である。
【0021】
<動作信号出力部409>
動作信号出力部409は、変電所機器に接続されている。動作信号出力部409は、変電所機器を動作させるための動作信号を変電所機器に出力する。
【0022】
<同期処理部504>
同期処理部504は、伝送路201を介して、PTPマスター103に接続されている。同期処理部504は、PTPマスター103から出力される同期フレーム303を受信する。同期処理部504は、PTPマスター103の信号を元に同期して動作する。同期処理部504は、サンプリング周期を示す信号を出力する。同期処理部504を、第1同期処理部又はMU同期処理部と称してもよい。
【0023】
<処理タイミング設定機構502>
処理タイミング設定機構502は、演算処理部408に接続されている。処理タイミング設定機構502は、演算処理部408において実施される処理のタイミングを調整し、設定することが可能である。具体的に、処理タイミング設定機構502は、サンプリング周期に対する受信したGOOSEフレーム302を演算処理部408によって処理する処理タイミング、及び、変電所機器に対する信号出力タイミングを調整可能である。ここで、処理タイミング設定機構502は、例えば、位相遅延回路を含む。処理タイミング設定機構502は、演算処理部408において実施される処理のタイミングをずらすこと、すなわち、演算処理部408において実施される処理のタイミングの位相を変えることによって、演算処理部408の動作のタイミングを調整する。
【0024】
特に、処理タイミング設定機構502においては、伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値が設定されている。処理タイミング設定機構502は、このように設定された値に基づき、演算処理部408における処理を実施させる。これにより、図3におけるタイムチャートの処理タイミング設定602が最適化されている。処理タイミング設定606は、MU102における処理時間と変電所自動化システムにおけるプロセスバスネットワークの通信処理遅延時間を踏まえて調整されている。処理タイミング設定機構502を、第2処理タイミング設定機構と称してもよい。
【0025】
<IED101>
図1及び図2に示すように、IED101は、伝送路201に接続されている。IED101は、SVフレーム入力部404と、演算処理部405と、GOOSEフレーム出力部406と、同期処理部505とを有する。IED101は、変電所自動化システムに設置される。IED101は、SVフレーム301の送信先であり、保護リレー演算周期で動作する。
【0026】
<SVフレーム入力部404>
SVフレーム入力部404は、伝送路201に接続されている。SVフレーム入力部404は、MU102から送信されたSVフレーム301が伝送路201を介して受信する。
【0027】
<演算処理部405>
演算処理部405は、SVフレーム入力部404に接続されている。演算処理部405は、SVフレーム入力部404に入力されたSVフレーム301から電気量を取得して保護リレー演算を実施する。これにより、演算処理部405は、GOOSEフレーム302に生成する。
【0028】
<GOOSEフレーム出力部406>
GOOSEフレーム出力部406は、伝送路201に接続されている。GOOSEフレーム出力部406は、伝送路201を介して、GOOSEフレーム302をGOOSEフレーム入力部407に出力する。GOOSEフレーム302は、保護リレー演算結果に準じた動作信号である。
【0029】
<同期処理部505>
同期処理部505は、伝送路201を介して、PTPマスター103に接続されている。同期処理部505は、PTPマスター103から出力される同期フレーム303を受信する。同期処理部505は、PTPマスター103の信号を元に同期して動作する。同期処理部505は、サンプリング周期を示す信号を出力する。ここで、同期処理部505を、第2同期処理部又はIED同期処理部と称してもよい。
【0030】
<伝送路201>
図1及び図2に示すように、伝送路201は、IED101、MU102、及びPTPマスター103に接続されている。伝送路201は、SVフレーム出力部403から出力されたSVフレーム301をSVフレーム入力部404に伝送する。伝送路201は、GOOSEフレーム出力部406から出力されたGOOSEフレーム302をGOOSEフレーム入力部407に伝送する。伝送路201は、プロセスバスネットワークを構成している。
【0031】
<PTPマスター103>
図1に示すように、PTPマスター103は、伝送路201に接続されている。PTPマスター103は、同期フレーム303をMU102の同期処理部504とIED101の同期処理部505とに送信する。図2においてはPTPマスター103が示されていないが、図2に示す符号303は、PTPマスター103から送信される同期フレーム303が同期処理部504及び同期処理部505に供給されることを示している。PTPマスター103は、同期フレーム303に基づき、互いに同期するようにMU102及びIED101を動作させる。同期フレーム303は、「同期元の信号」の一例である。
【0032】
<動作>
次に、第1実施形態に係るプロセスバスシステムの動作について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、MU102は、母線VT又は送電線CTからアナログ電圧を取り込む。MU102においては、電気量を示すアナログ電圧がアナログ入力部401に常時入力されている。演算処理部402は、入力されたアナログ電圧に対してアナログ入力処理及びSVフレーム生成処理を実施する。SVフレーム生成処理によって、アナログ電圧がSVフレーム301に変換される。SVフレーム出力部403は、SVフレーム送信処理を実施する。これにより、SVフレーム出力部403は、伝送路201に対してSVフレーム301を送信する。このような動作により、MU102は、伝送路201を通じて、SVフレーム301をIED101に送信する。
【0033】
図3に示すように、演算処理部402によるアナログ入力処理及びSVフレーム出力部403によるSVフレーム送信処理は、周期的に実施される。アナログ入力処理及びSVフレーム送信処理は、1つの処理ブロックを構成しており、この処理ブロックを実施する周波数は、4800Hz又は5760Hzである。この周波数に対応する周期をサンプリング周期と称する。なお、周波数4800Hzは、電源周波数地域が50Hz地域である場合のサンプリング周期に対応する。周波数5760Hzは、電源周波数地域が60Hz地域である場合のサンプリング周期に対応する。
【0034】
IED101は、MU102から伝送路201を経由して送信されたSVフレーム301を受信する。伝送路201に接続されたSVフレーム入力部404は、SVフレーム301を受信する。演算処理部405は、入力されたSVフレーム301の受信するSVフレーム受信処理と、保護リレー演算処理とを実施する。これにより、演算処理部405は、SVフレーム301から電気量を取得して保護リレー演算を実施し、GOOSEフレーム302を生成する。GOOSEフレーム出力部406は、伝送路201に対してGOOSEフレーム302を送信するGOOSEフレーム送信処理を実施する。このような動作により、IED101は、伝送路201を通じて、変電所機器に対する動作信号であるGOOSEフレーム302をMU102に送信する。
【0035】
図3に示すように、演算処理部405によるSVフレーム受信処理及び保護リレー演算処理と、GOOSEフレーム出力部406によるGOOSEフレーム送信処理とは、周期的に実施される。SVフレーム受信処理、保護リレー演算処理、及びGOOSEフレーム送信処理は、1つの処理ブロックを構成しており、この処理ブロックを実施する周波数は、600Hz又は720Hzである。この周波数に対応する周期を保護リレー演算周期と称する。なお、周波数600Hzは、電源周波数地域が50Hz地域である場合の保護リレー演算周期に対応する。周波数720Hzは、電源周波数地域が60Hz地域である場合の保護リレー演算周期に対応する。ここで、保護リレー演算周期は、「基本動作周期」の一例である。以下の説明では、一回の保護リレー演算周期に対応する期間を制御サイクルと称する場合がある。
【0036】
MU102は、IED101から伝送路201を経由して送信されたGOOSEフレーム302を受信する。MU102においては、伝送路201に接続されたGOOSEフレーム入力部407がGOOSEフレーム302を受信する。演算処理部408は、受信したGOOSEフレーム302の受信するGOOSEフレーム受信処理を実施する。演算処理部408は、GOOSEフレーム302から動作信号を取得する。動作信号出力部409は、動作信号を変電所機器に出力する動作信号出力処理を実施する。これにより、MU102は、GOOSEフレーム302に基づく動作信号を変電所機器に出力する。
【0037】
図3に示すように、演算処理部408によるGOOSEフレーム受信処理及び動作信号出力部409による動作信号出力処理とは、周期的に実施される。GOOSEフレーム受信処理及び動作信号出力処理は、1つの処理ブロックを構成する。
伝送路201に接続されたPTPマスター103は、同期フレーム303をMU102とIED101に送信する。MU102の同期処理部504とIED101の同期処理部505は、同期フレーム303を受信する。
【0038】
IED101の同期処理部505とMU102の同期処理部504は、受信した同期フレーム303を基づき、演算処理部402、405、408の動作を同期させる。
【0039】
処理タイミング設定機構501、502は、演算処理部402、408に対する処理タイミングを調整し、設定する。処理タイミング設定機構501、502によって調整されかつ設定されたタイミングに基づき、演算処理部402、408において、演算処理が行われる。
【0040】
次に、図3を参照し、第1実施形態に係るプロセスバスシステムの動作をより具体的に説明する。
図3は、時間の経過に伴うIED101とMU102の動作を示している。
図3に示すように、MU102は、4800Hz又は5760Hzのサンプリング周期で、アナログ入力処理及びSVフレーム送信処理を実施する。さらに、MU102は、GOOSEフレーム受信処理及び動作信号出力処理を実施する。IED101は、600Hz又は720Hzの保護リレー演算周期で、SVフレーム受信処理、保護リレー演算処理、及びGOOSEフレーム送信処理を実施する。
【0041】
処理タイミング設定機構501によって、演算処理部402に処理タイミング設定601が設定されている。言い換えると、ある制御サイクルにおいてIED101によるSVフレーム受信処理が開始するタイミングが、直近の制御サイクルのなかで最後に行われるSVフレーム送信処理が終了するタイミングよりも後になるように、処理タイミング設定601が設定されている。ここで、時間の経過に伴って連続的に実施される複数の制御サイクルの中で、「直近の制御サイクル」は、「ある制御サイクル」の一つ前に行われる制御サイクルである。「直近の制御サイクル」を第1制御サイクルと称した場合、「ある制御サイクル」を第2制御サイクルと称することができる。
この処理タイミング設定601に基づき、MU102の動作とIED101の動作とが実施される。つまり、処理タイミング設定601により、SVフレーム送信処理が施された直後に、SVフレーム受信処理が開始されている。
【0042】
処理タイミング設定機構502によって、演算処理部408に処理タイミング設定602が設定されている。言い換えると、ある制御サイクルにおいて、GOOSEフレーム受信処理が開始するタイミングが、IED101によるGOOSEフレーム送信処理が終了するタイミングよりも後になるように、処理タイミング設定602が設定されている。処理タイミング設定602の時間は、例えば、ある制御サイクルにおいてSVフレーム受信処理の開始からGOOSEフレーム受信処理の開始までの時間に相当する。
【0043】
<効果>
伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値として、最適化された処理タイミング設定601が処理タイミング設定機構501に設定されている。これにより、SVフレーム送信処理が施された直後にSVフレーム受信処理を開始することができ、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
【0044】
伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値として、最適化された処理タイミング設定602が処理タイミング設定機構502に設定されている。これにより、GOOSEフレーム送信処理が施された直後にGOOSEフレーム受信処理を開始することができ、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
したがって、送信処理の終了から受信処理の開始までの処理待ち時間を最小限にすることができる。その結果、プロセスバスシステム全体として、事故発生から変電所機器の動作までの時間を短縮することができる。
【0045】
なお、第1実施形態に係るMU102では、SVフレーム出力部403、GOOSEフレーム入力部407、及び同期処理部504が個別に構成されている。一般的に、SVフレーム出力部403、GOOSEフレーム入力部407、及び同期処理部504としては、通常のEthernet通信ポートが適用される。同一のEthernet通信ポートを使用した構成が採用されてもよい。
【0046】
<第2実施形態>
図4及び図5を参照し、第2実施形態に係るプロセスバスシステムを説明する。
図4は、第2実施形態に係るプロセスバスシステムを構成するIED101とMU102の機能構成の例を示すブロック図である。
図5は、第2実施形態のプロセスバスシステムの動作を説明するタイムチャートを示す図。
図4及び図5において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
第2実施形態に係るプロセスバスシステムは、第1実施形態で説明した図1と同様の構成を有する。
【0047】
<MU102>
第1実施形態とは異なり、第2実施形態に係るMU102は、処理タイミング設定機構501、502を有していない。MU102におけるその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0048】
<IED101>
図4に示すように、IED101は、図2に示す構成に加えて、処理タイミング設定機構503を有する。IED101におけるその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0049】
<処理タイミング設定機構503>
処理タイミング設定機構503は、演算処理部405に接続されている。処理タイミング設定機構503は、演算処理部405において実施される処理のタイミングを調整し、設定することが可能である。具体的に、処理タイミング設定機構503は、サンプリング周期に対する受信したGOOSEフレーム302を演算処理部405によって処理する処理タイミング、及び、変電所機器に対する信号出力タイミングを調整可能である。ここで、処理タイミング設定機構503は、例えば、位相遅延回路を含む。処理タイミング設定機構503は、演算処理部405において実施される処理のタイミングをずらすこと、すなわち、演算処理部405において実施される処理のタイミングの位相を変えることによって、演算処理部405の動作のタイミングを調整する。
【0050】
特に、処理タイミング設定機構503においては、伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値が設定されている。処理タイミング設定機構503は、このように設定された値に基づき、演算処理部405における処理を実施させる。これにより、図5におけるタイムチャートの処理タイミング設定603が最適化されている。処理タイミング設定603は、MU102における処理時間と変電所自動化システムにおけるプロセスバスネットワークの通信処理遅延時間を踏まえて調整されている。
【0051】
<動作>
次に、図5を参照し、第2実施形態に係るプロセスバスシステムの動作について説明する。
処理タイミング設定機構503によって、演算処理部405に処理タイミング設定603が設定されている。言い換えると、ある制御サイクルにおいてIED101によるSVフレーム受信処理が開始するタイミングが、直近の制御サイクルと当該ある制御サイクルとに跨って行われるSVフレーム送信処理が終了するタイミングよりも後になるように、処理タイミング設定603が設定されている。この処理タイミング設定603に基づき、MU102の動作とIED101の動作とが実施される。つまり、処理タイミング設定603により、SVフレーム送信処理が施された直後に、SVフレーム受信処理が開始されている。
その他の動作は、上述した第1実施形態と同様である。
【0052】
<効果>
伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値として、最適化された処理タイミング設定603が処理タイミング設定機構503に設定されている。これにより、SVフレーム送信処理が施された直後にSVフレーム受信処理を開始することができ、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
したがって、送信処理の終了から受信処理の開始までの処理待ち時間を最小限にすることができる。その結果、プロセスバスシステム全体として、事故発生から変電所機器の動作までの時間を短縮することができる。
【0053】
<第3実施形態>
図6及び図7を参照し、第3実施形態に係るプロセスバスシステムを説明する。
図6は、第3実施形態のプロセスバスシステムの機能構成の例を示すブロック図である。
図7は、第3実施形態のプロセスバスシステムを構成するIED101、MU104、及びMU105の機能構成の例を示すブロック図である。
図6及び図7において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
第3実施形態に係るプロセスバスシステムは、MU102の機能が2つのMU104、105に分割されている点で、第1実施形態とは異なる。
【0054】
<MU104、105>
MU104は、アナログ入力部401と、演算処理部402と、SVフレーム出力部403と、処理タイミング設定機構501と、同期処理部506とを有する。
MU105は、GOOSEフレーム入力部407と、演算処理部408と、動作信号出力部409と、処理タイミング設定機構502と、同期処理部504とを有する。
【0055】
ここで、同期処理部504を、第1同期処理部又は第1MU同期処理部と称してもよい。同期処理部506を、第2同期処理部又は第2MU同期処理部と称してもよい。
【0056】
<IED101>
第3実施形態に係るIED101は、第1実施形態と同様である。IED101が備える同期処理部505を第3同期処理部又はIED同期処理部と称してもよい。
【0057】
<PTPマスター103>
図6に示すように、PTPマスター103は、MU104の同期処理部506、MU105の同期処理部504、及びIED101の同期処理部505に、同期フレーム303を送信する。図7においてはPTPマスター103が示されていないが、図7に示す符号303は、PTPマスター103から送信される同期フレーム303が同期処理部504、505、506に供給されることを示している。PTPマスター103は、同期フレーム303に基づき、互いに同期するようにMU104、MU105、及びIED101を動作させる。
【0058】
第3実施形態においては、伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値がMU104の処理タイミング設定機構501に設定されている。MU104の処理タイミング設定機構501は、このように設定された値に基づき、演算処理部402における処理を実施させる。また、伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値がMU105の処理タイミング設定機構502に設定されている。MU105の処理タイミング設定機構502は、このように設定された値に基づき、演算処理部408における処理を実施させる。
【0059】
<動作>
次に、第3実施形態に係るプロセスバスシステムの動作について説明する。
MU104は、母線VT又は送電線CTからアナログ電圧を取り込む。MU104においては、処理タイミング設定機構501によって、演算処理部402に処理タイミング設定601が設定されている。MU104のSVフレーム出力部403は、SVフレーム送信処理を実施する。これにより、MU104は、伝送路201を通じて、SVフレーム301をIED101のSVフレーム入力部404に送信する。
MU105のGOOSEフレーム入力部407は、IED101から伝送路201を経由して送信されたGOOSEフレーム302を受信する。MU105においては、処理タイミング設定機構502によって、演算処理部408に処理タイミング設定602が設定されている。MU105は、GOOSEフレーム302に基づく動作信号を変電所機器に出力する。
【0060】
<効果>
第3実施形態の構成においては、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、処理タイミング設定機構501によって設定された処理タイミング設定601に基づき、SVフレーム送信処理が施された直後にSVフレーム受信処理を開始することができる。このため、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
また、処理タイミング設定機構502によって設定された処理タイミング設定602に基づき、GOOSEフレーム送信処理が施された直後にGOOSEフレーム受信処理を開始することができる。このため、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
したがって、送信処理の終了から受信処理の開始までの処理待ち時間を最小限にすることができる。その結果、プロセスバスシステム全体として、事故発生から変電所機器の動作までの時間を短縮することができる。
【0061】
<第4実施形態>
図8を参照し、第4実施形態に係るプロセスバスシステムを説明する。
図8は、第4実施形態に係るプロセスバスシステムを構成するIED101、MU104、及びMU105の機能構成の例を示すブロック図である。
図8において、第1実施形態~第3実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0062】
<MU104、105>
第3実施形態とは異なり、第4実施形態に係るMU104は、処理タイミング設定機構501を有しておらず、第4実施形態に係るMU105は、処理タイミング設定機構502を有していない。MU104、105におけるその他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0063】
<IED101>
図8に示すように、IED101は、図2に示す構成に加えて、処理タイミング設定機構503を有する。処理タイミング設定機構503は、演算処理部405に接続されている。処理タイミング設定機構503は、演算処理部405において実施される処理のタイミングを調整し、設定することが可能である。言い換えると、第4実施形態に係るIED101は、第2実施形態で説明したIED101と同様の構成を有する。
【0064】
伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値が処理タイミング設定機構503に設定されている。処理タイミング設定機構503は、このように設定された値に基づき、演算処理部405における処理を実施させる。IED101におけるその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0065】
<動作>
次に、第4実施形態に係るプロセスバスシステムの動作について説明する。
処理タイミング設定機構503によって、演算処理部405に処理タイミング設定603が設定されている。この処理タイミング設定603に基づき、MU104の動作と、MU105の動作と、IED101の動作とが実施される。つまり、処理タイミング設定603により、SVフレーム送信処理が施された直後に、SVフレーム受信処理が開始されている。
【0066】
<効果>
第4実施形態の構成においては、第2実施形態及び第3実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、伝送路201における遅延及びIED101の処理タイミングを考慮した値として、最適化された処理タイミング設定603が処理タイミング設定機構503に設定されている。これにより、SVフレーム送信処理が施された直後にSVフレーム受信処理を開始することができ、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
【0067】
また、処理タイミング設定機構501によって設定された処理タイミング設定601に基づき、SVフレーム送信処理が施された直後にSVフレーム受信処理を開始することができる。このため、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
また、処理タイミング設定機構502によって設定された処理タイミング設定602に基づき、GOOSEフレーム送信処理が施された直後にGOOSEフレーム受信処理を開始することができる。このため、送信タイミングから受信タイミングまでの時間を短縮することができる。
【0068】
したがって、送信処理の終了から受信処理の開始までの処理待ち時間を最小限にすることができる。その結果、プロセスバスシステム全体として、事故発生から変電所機器の動作までの時間を短縮することができる。
【0069】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、マージングユニットが同期処理部、アナログ入力部、入力処理部、及びデータ出力部を持つとともに、基本動作周期に対するアナログデジタル変換処理及びサンプリングバリューデータの送信動作タイミングを調整可能であることから、遅延時間を最小限とすることができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
101…IED(電子装置)、102、104、105…MU(マージングユニット)、103…PTPマスター、201…伝送路、301…SVフレーム、302…GOOSEフレーム、303…同期フレーム、401…アナログ入力部、402、405、408…演算処理部、403…SVフレーム出力部、404…SVフレーム入力部、406…GOOSEフレーム出力部、407…GOOSEフレーム入力部、409…動作信号出力部、501、502、503…処理タイミング設定機構、504、505、506…同期処理部、601、602、603…処理タイミング設定、CT…送電線、VT…母線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8