(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020100
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】洗浄用具又は清掃用具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/20 20060101AFI20240206BHJP
A47L 13/08 20060101ALI20240206BHJP
A47L 17/00 20060101ALI20240206BHJP
A47L 17/08 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A47L13/20 B
A47L13/08
A47L17/00 A
A47L17/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123010
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】315016941
【氏名又は名称】田川 佳代
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】田川 佳代
【テーマコード(参考)】
3B074
3B082
【Fターム(参考)】
3B074AA01
3B074AA02
3B074AA05
3B074AA07
3B074AB02
3B074AB04
3B074EE01
3B074EE02
3B082HH03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】食器類等に付着した汚れや、コーナー、隅及び隙間等に蓄積した塵埃、カビ及び水垢等の汚れを良好に除去することが可能な洗浄用具又は清掃用具を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄用具又は清掃用具は、一方端に略円形状湾曲部11aが設けられた、硬質素材からなる長尺の本体部11と、略円形状湾曲部11aに、密着した状態で着脱可能に装着された略円形状の被覆部12と、を備え、略円形状湾曲部11aは、本体部11が任意の屈曲位置11cで屈曲し、本体部11の一方の端部が屈曲位置11cに回帰するように略円形状に湾曲してなり、被覆部12は、繊維束を織物又は編み物により製織されたものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端に略円形状湾曲部が設けられた、硬質素材からなる長尺の本体部と、
前記略円形状湾曲部に密着した状態で、着脱可能に装着された略円形状の被覆部と、
を備え、
前記略円形状湾曲部は、前記本体部が任意の屈曲位置で屈曲し、前記本体部の一方の端部が屈曲位置に回帰するように略円形状に湾曲してなり、
前記被覆部は、繊維束を織物又は編み物により製織されたものである洗浄用具又は清掃用具。
【請求項2】
前記本体部の他方端には、扁平状の薄板部が設けられており、
さらに、前記薄板部を着脱可能に内部に収容して装着されたヘラ状の弾性体部を備え、
前記弾性体部は、その幅方向に於いて扁平であり、かつ、先方に向かうに従い厚さが薄くなる先端形状を有している請求項1に記載の洗浄用具又は清掃用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿やコップ等の食器類等の洗浄、又は洗面台や台所等の室内、及び家具等に於ける比較的狭い場所を清掃するための洗浄用具又は清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食器類用の洗浄用具や、洗面台及び台所等の室内等に用いる清掃用具としては、例えば、たわし及びスポンジの他、これらの洗浄部材が柄の先端に設けられたもの、並びに雑巾等が知られている。
【0003】
例えば、食器類用の洗浄用具としては、特許文献1に記載の食器用洗浄具が挙げられる。この食器用洗浄具は、ヘッドを構成する一対の挟持部片の基端部同士が相互に接続されて、先端部だけが開閉するようになっているため、これらの挟持部片に開度を規制されて柄が必要以上に大きく開くことがない。そのため、その取り扱いが容易で、ヘッドにシートを巻き付けたり挟持させたりする作業を簡単且つ迅速に行うことができるとされている。
【0004】
また、従来の清掃用具としては、例えば、特許文献2に記載のハンディモップが挙げられる。このハンディモップであると、優れた払拭効果を有すると共に、使用しない場合には、ハンディモップの把手を折り曲げることにより収納を容易にし、占有する空間を減少させることができるとされている。
【0005】
さらに、特許文献3に記載されているような清掃具も挙げられる。当該清掃具は、芯部と可撓性張出し部とからなる清掃具本体を備えており、可撓性張出し部を突出させて当該可撓性張出し部が撓み易くなった状態でも、清掃部材を清掃具本体から外れないように安定して保持することが可能とされている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の食器用洗浄具であると、コップ等の内側部分等に固くこびり付いた汚れや茶渋等を、充分に力を入れて洗浄し除去することが困難である。また、特許文献2に記載のハンディモップにおいても、固くこびり付いた汚れに対しては、充分に力を入れて除去することが困難である。さらに、コーナーや隅、隙間に蓄積した汚れに、モップや拭布を十分に当接させて除去することも困難である。また、特許文献3に記載の清掃具であると、可撓性張り出し部は可撓性を有するため、特許文献2のハンディモップの場合と同様、固くこびり付いた汚れに対して充分に力を入れて除去することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-041934号公報
【特許文献2】特開2005-161051号公報
【特許文献3】特開2007-175144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、食器類等に付着した汚れや、コーナー、隅及び隙間等に蓄積した塵埃、カビ及び水垢等の汚れを良好に除去することが可能な洗浄用具又は清掃用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の洗浄用具又は清掃用具は、前記の課題を解決するために、一方端に略円形状湾曲部が設けられた、硬質素材からなる長尺の本体部と、前記略円形状湾曲部に密着した状態で、着脱可能に装着された略円形状の被覆部と、を備え、前記略円形状湾曲部は、前記本体部が任意の屈曲位置で屈曲し、前記本体部の一方の端部が屈曲位置に回帰するように略円形状に湾曲してなり、前記被覆部は、繊維束を織物又は編み物により製織されたものであることを特徴とする。
【0010】
前記の構成において、前記本体部の他方端には、扁平状の薄板部が設けられており、さらに、前記薄板部を着脱可能に内部に収容して装着されたヘラ状の弾性体部を備え、前記弾性体部は、その幅方向に於いて扁平であり、かつ、先方に向かうに従い厚さが薄くなる先端形状を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、食器類等に付着した汚れや、コーナー、隅及び隙間等に蓄積した塵埃、カビ及び水垢等の汚れを良好に除去することが可能な洗浄用具又は清掃用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る洗浄用具又は清掃用具を模式的に表す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態の洗浄用具等又は清掃用具に於ける本体部を模式的に表す平面図である。
【
図3】
図3(a)は略円形状湾曲部に装着された被覆部を模式的に表す拡大断面図であり、同図(b)は平面図である。
【
図4】
図4(a)は薄板部に装着された弾性体部を模式的に表す拡大断面図であり、同図(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、
図1~
図4を参照しながら以下に説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
図1は、本実施の形態に係る洗浄用具又は清掃用具を模式的に表す斜視図である。
図2は、本実施の形態の洗浄用具又は清掃用具に於ける本体部を模式的に表す平面図である。
図3(a)は略円形状湾曲部に装着された被覆部を模式的に表す拡大断面図であり、同図(b)は平面図である。
図4(a)は薄板部に装着された弾性体部を模式的に表す拡大断面図であり、同図(b)は平面図である。
【0014】
本実施の形態の洗浄用具又は清掃用具(以下、「洗浄用具等」という。)1は、
図1に示すように、本体部11と、被覆部12と、弾性体部13とを少なくとも備える。
【0015】
本体部11は、
図2に示すように、長尺であり、中実の硬質素材からなる。これにより、本体部11の機械的強度を確保することができ、固くこびり付いた汚れに対し、力を加えて被覆部12や弾性体部13を当接させることができる。硬質素材としては特に限定されず、例えば、金属材料、高分子材料等が挙げられる。尚、本発明に於いては、本体部11が中実である場合に限定されない。本体部11は、例えば、その内部が空洞の筒状であってもよい。
【0016】
本体部11の長さは特に限定されず、適宜設定可能である。また本体部11は、その長さを伸縮自在に変更することが可能な公知の伸縮機構を備えていてもよい。
【0017】
本体部11の横断面(本体部11の長手方向Xに対し垂直となる方向の断面)の形状は、略円形状である。但し、本発明は、横断面の形状が略円形状である場合に限定されるものではない。例えば、楕円形状、矩形状、三角形状、又は多角形状等であってもよい。また、本体部11の横断面の形状の半径は特に限定されず、機械的強度や重量、把持のし易さ等を考慮して適宜設定することができる。
【0018】
本体部11の一方端には、
図2に示すように、略円形状湾曲部11aが設けられている。本体部11には、任意の位置で屈曲した屈曲位置11cを1つ有している。略円形状湾曲部11aは、この屈曲位置11cに、本体部11の一方の端部11dが回帰するように略円形状に湾曲して構成される。略円形状湾曲部11aがこのような構造であると、硬質素材からなる略円形状湾曲部11aの弾性変形を可能にする。これにより、略円形状湾曲部11aに装着される被覆部12を汚れに当接させ、摺擦により汚れを除去する際に、略円形状湾曲部11aが弾性変形することにより、被清掃面にキズ等が付くのを低減又は防止することができる。尚、略円形状湾曲部11aの外径は特に限定されず、適宜設定することができる。
【0019】
本体部11の他方端には、
図2に示すように、扁平状の薄板部11bが設けられている。薄板部11bの全体形状は、矩形状となっている。但し、本発明はこの態様に限定されるものではなく、例えば、円形状、三角形状、多角形状等であってもよい。薄板部11bの長さ(本体部11の長尺方向Xと平行な方向の長さ)は、薄板部11bに装着される弾性体部13の大きさに応じて適宜設定することができる。また薄板部11bの幅は、本体部11の横断面形状に於ける直径よりも大きければ特に限定されない。さらに薄板部11bの厚さは特に限定されず、適宜設定することができる。
【0020】
被覆部12は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、略円形状湾曲部11aを内部に収容し、密着した状態で着脱可能に略円形状湾曲部に装着されている。被覆部12は、繊維束を織物又は編み物により製織されて構成されている。繊維束としては、例えば、直毛糸、ループ糸、斜毛糸又は捲縮糸等のパイル糸を用いることができる。また繊維束は、複数の繊維により構成されている。繊維束は、紡績糸(単繊維糸)の束で構成されたものや、フィラメント糸(長繊維糸)の束で構成されたマルチフィラメント糸からなるものが好ましい。
【0021】
繊維束を構成する繊維としては特に限定されず、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維等が挙げられる。天然繊維としては特に限定されず、例えば、木綿、カポック繊維、麻、大麻繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、マニラ麻繊維、ケナフ繊維、羊毛繊維、モヘア繊維、カシミヤ繊維、ラクダ繊維、アルパカ繊維、アンゴラ繊維、絹繊維等が挙げられる。再生繊維としては特に限定されず、例えば、再生セルロース繊維、再生コラーゲン繊維、再生タンパク繊維等が挙げられる。合成繊維としては特に限定されず、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリ乳酸繊維、アクリル繊維、ポロオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリクラール繊維、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、アラミド繊維、ベンゾエート繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリベンズアゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維等が挙げられる。これらの繊維のうち、コップ等の食器類の洗浄の観点からは、アクリル繊維等が好ましい。
【0022】
繊維束の織物としては特に限定されず、例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織、ドビー織、ジャガード織等が挙げられる。
【0023】
また、繊維束の編み物としては特に限定されず、例えば、丸編、緯編、経編、パイル編等を含み、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖組織、挿入組織等が挙げられる。
【0024】
繊維束の直径は特に限定されず、適宜設定することができる。また、繊維束を構成する繊維の長さや太さ(直径)も特に限定されず、適宜設定することができる。
【0025】
弾性体部13は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、薄板部11bを内部に収容し、密着した状態で着脱可能に薄板部11bに装着されている。具体的には、弾性体部13は、その一方の端部が開口した収容部13aに薄板部11bを収容するようにして当該薄板部11bに装着される。収容部13aの形状は、
図4(b)に示すように、薄板部11bを密着した状態で収容可能なように、平面視に於いて矩形状となっている。
【0026】
また弾性体部13は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、その幅方向に於いて扁平である。収容部13aは先端部13bまでは形成されていないため、薄板部11bは先端部13bの内部までは到達していない。そのため先端部13bは、弾性体部13を被清掃面に当接させた際に、薄板部11bが収容されている収容部13aと比べ、撓みやすく可撓性を備えた構造となっている。弾性体部13の厚さは、薄板部11bが収容されている収容部13aに於いては均一である。他方、先端部13bは、先方に向かうに従い厚さが薄くなる先端形状を有している。
【0027】
また先端部13bの端面13cは、本体部11の長手方向Xに対し直交せずに斜め方向に交差するように形成されている。これにより、端面13cの被清掃面に対する接触面積を大きくすることができ除去効率の向上を図ることができる。尚、先端部13bの端面13cの形状に関し、本発明はこの態様に限定されるものではい。例えば、先端部13bの端面は、本体部11の長手方向Xに対し直交するように形成されていてもよい。
【0028】
弾性体部13の構成材料としては特に限定されず、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー樹脂等が挙げられる。
【0029】
以上の通り、本実施の形態の洗浄用具等1によれば、硬質素材からなる長尺の本体部11の一方端に略円形状湾曲部11aが設けられており、この略円形状湾曲部11aには繊維束を織物又は編み物により製織された被覆部12が装着されている。そのため、洗浄用具等1を用いた洗浄又は清掃作業の際、汚れが付着した食器類の被洗浄面や、コーナー、隅及び隙間等の被清掃面に被覆部12を当接させ、十分な力を加えて摺擦することができる。その結果、固くこびり付いた汚れを良好に除去することができる。また、略円形状湾曲部11aは、本体部11が屈曲している屈曲位置11cに、本体部11の一方の端部11dが回帰するように略円形状に湾曲した構造となっている。そのため、本体部11自体は硬質素材からなるが、略円形状湾曲部11aに於いて弾性変形が可能なため、被洗浄面又は被清掃面にキズ等が付くのを低減又は防止しながら、汚れを除去することができる。
【0030】
また、本体部11の他方端には扁平状の薄板部11bが設けられており、この薄板部11bにはヘラ状の弾性体部13が装着されている。そして、弾性体部13はその幅方向に於いて扁平であり、かつ、先方に向かうに従い厚さが薄くなる先端形状を有している。そのため、食器類の表面に付着した茶渋等の汚れに対し、弾性体部13の摺擦により良好に除去することができる。また、隅や隙間にも弾性体部13を当接させることができ、当該隅等に蓄積した塵埃やカビ、水垢等の汚れも良好に除去することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 洗浄用具又は清掃用具
11 本体部
11a 略円形状湾曲部
11b 薄板部
11c 屈曲位置
11d 一方の端部
12 被覆部
13 弾性体部
13a 収容部
13b 先端部
13c 端面