(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020111
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】太陽光発電・太陽熱集熱モジュール
(51)【国際特許分類】
F24S 10/95 20180101AFI20240206BHJP
F24S 10/20 20180101ALI20240206BHJP
F24S 80/60 20180101ALI20240206BHJP
H02S 40/44 20140101ALI20240206BHJP
H02S 40/42 20140101ALI20240206BHJP
【FI】
F24S10/95
F24S10/20
F24S80/60
H02S40/44
H02S40/42
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022130803
(22)【出願日】2022-08-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】515186781
【氏名又は名称】中村 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 郁夫
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151JA29
5F251JA29
(57)【要約】
【課題】太陽エネルギーを電気と熱の両方を効率的に利用出来る一体型の太陽光発電・太陽熱集熱モジュールの提供。
【解決手段】太陽光面に断熱透明ガラス、裏面に薄型断熱パネル、周辺を断熱枠で構成した断熱筐体の中に薄型太陽光発電パネルを組込み、太陽光による発電と断熱筐体内に主に赤外線により発生する未利用の熱を熱伝導率の高いヒートパイプによる集熱および薄型太陽光発電パネルの表面に発生する熱を気体の対流作用により集熱し、熱交換パイプで熱媒体と熱交換を行う太陽エネルギーを電気と熱として高効率で利用できる一体型の太陽光発電・太陽熱集熱モジュールを構築。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光側に断熱透明ガラス、裏側に薄型断熱パネル、外周を断熱枠で構成した断熱筐体の中に薄型太陽光発電パネルとヒートパイプとが組み込まれ、前記薄型太陽光パネルは前記断熱透明ガラスに接触しない状態で配置されており、前記ヒートパイプは前記薄型太陽光パネルと前記薄型断熱パネルとの間に形成される空間において、前記薄型太陽光パネルおよび前記断熱パネルに接触しない状態で配置されており、太陽光による発電と断熱筐体内に太陽光の主に赤外線により発生する未利用の熱を熱伝導率の高いヒートパイプによる集熱および気体の対流作用により集熱し熱交換パイプで熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを電気と熱として高効率で利用出来る太陽光発電・太陽熱集熱モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載した前記熱交換パイプはパイプの外面にリング状のフィンを多列設け、内面にフィンを数条設けた高効率で熱交換を行なうことが出来る熱交換パイプで熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを電気と熱として高効率で利用出来る太陽光発電・太陽熱集熱モジュール。
【請求項3】
太陽光側に断熱透明ガラス、裏側に薄型断熱パネル、外周を断熱枠で構成した断熱筐体の中に薄型太陽熱集熱パネルとヒートパイプとが組み込まれ、前記太陽熱集熱パネルは前記断熱ガラスに接触しない状態で配置されており、前記ヒートパイプは前記薄型太陽熱集熱パネルと前記断熱パネルとの間に形成される空間において、前記太陽熱集熱パネルおよび前記薄型断熱パネルに接触しない状態で配置されており、断熱筐体内に太陽光の主に赤外線により発生する熱を熱伝導率の高いヒートパイプによる集熱および気体の対流作用により集熱し、熱交換パイプで熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを熱として高効率で利用出来る太陽熱集熱モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載した前記熱交換パイプはパイプの外面にリング状のフィンを多列設け、内面にフィンを数条設けた高効率で熱交換を行なうことが出来る熱交換パイプで熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを熱として高効率で利用出来る太陽熱集熱モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽エネルギーを電気と熱として高効率で利用する太陽光発電・太陽熱集熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーは主に太陽光発電パネルによる電気と、太陽熱集熱器による熱として利用している。一般的に使用されている太陽光発電パネルは太陽光の主に赤外線による熱が有効に利用されていない。
太陽エネルギーはほとんどの場合、電気および熱して両方使われ、別々の設備の設置は設置場所・設備費・工事費・管理等の問題点が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
太陽エネルギーを高効率で電気と熱の両方が利用出来る一体型の太陽光発電・太陽熱集熱モジュールの構築が課題。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目標を達成するために、本発明は、太陽光側に断熱透明ガラス、裏側に薄型断熱パネル、外周を断熱枠で構成した断熱筐体の中に薄型太陽光発電パネルを組込み、太陽光による発電と断熱筐体内に太陽光の主に赤外線により発生する未利用の熱を熱伝導率の高いヒートパイプによる集熱および気体の対流作用により集熱し、熱交換パイプで熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを電気と熱として高効率で利用できる太陽光発電・太陽熱集熱モジュールを構築する。
【発明の効果】
【0005】
太陽光による発電と集熱が一体型なので電気と熱が高効率で有効に利用でき、設置場所・設備費・工事費・管理等の問題も少なくて済む。
断熱筐体内での集熱なので外部への放熱や寒気などの外気の影響が少なく高い集熱効率を維持する。また集熱により薄型太陽光発電パネルの温度上昇が抑えられ発電効率および寿命の向上が計れる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】太陽熱集熱・太陽光発電モジュールの正面図。
【
図2】太陽熱集熱・太陽光発電モジュールのA-A/A’-A’断面図。
【
図3】太陽熱集熱・太陽光発電モジュールのB-B/B’-B’断面図。
【
図4】太陽熱集熱・太陽光発電モジュールのC-C断面図。
【
図5】太陽熱集熱・太陽光発電モジュールのD-D断面図。
【
図10】太陽熱集熱・太陽光発電モジュールのB-B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の正面、
図2~5は断面を示す。太陽光側に
図6に示す断熱透明ガラス1、例えば2枚の厚さ3mmの耐熱強化透明ガラスの間に外径0.5mm厚さ0.2mmのチップを約20mmピッチで全面に配置して0.2mmの極小隙間を設け、外周を封着材で封止した真空断熱透明ガラス。裏側に
図7に示す薄型断熱パネル2、例えば2枚の厚さ1mmのアルミニウム薄板の間に外径0.5mm厚さ0.2mmのチップを約20mmピッチで全面に配置して0.2mmの極小隙間を設け、外周を封着材で封止した真空薄型断熱パネルを配置する。
【0008】
図1に示すように外周に断熱枠3、例えば剛性と断熱性を備えたアルミ・樹脂複合の断熱枠。防水のため断熱枠3と断熱透明ガラス1および薄型断熱パネル2の間にゴムパッキン3bを入れ断熱筐体を構成する。
【0009】
図2~5に示すように断熱筐体の中に
図8に示す薄型太陽光発電パネル4を組込み、薄型太陽光発電パネル4の太陽光側と断熱透明ガラス1との間に対流隙間を設ける。薄型太陽光発電パネル4は断熱透明ガラス1に接触しない状態で配置されている。薄型太陽光発電パネル4の上下端部と断熱枠3との間にスペーサ3aを入れ対流隙間を設けている。薄型太陽光発電パネルは例えば結晶シリコン薄型太陽光発電パネル厚さ3mmを使用。
【0010】
図2~5に示すように薄型太陽光発電パネル4の裏側と薄型断熱パネル2の間に対流空間を設けその中にヒートパイプ5を組込む。ヒートパイプ5は薄型太陽光パネル4と薄型断熱パネル2との間に形成される対流空間において、前記薄型太陽光パネルおよび前記薄型断熱パネルに接触しない状態で配置されていてヒ―トパイプ5の組込みも容易に行える。ヒートパイプ5の先端部を
図2に示す断熱枠3のヒートパイプ位置決め用穴に挿入して位置決めを行なう。
【0011】
図1、9に示すように太さ約8mmのヒートパイプ5を断熱筐体の全面に約150mmピッチで8本前後を配置、集熱効率を上げるためヒートパイプ5の上端領域を除いて薄板幅狭フィン5a付としている。
図4に示すように薄板幅狭フィン5a付ヒートパイプ5と隣接する前記ヒートパイプの間は広く開いているため対流は自由に行える。
【0012】
図9に示すようにヒートパイプ5の上端領域は薄板幅広フィン5b付としている。薄板幅広フィン5bはヒートパイプ5と熱交換パイプ6との伝熱効率を上げるためと、
図3,5に示すように熱交換により交換パイプ6前後の対流の上昇と下降の温度差のある気体の混合を防ぐための隔壁として機能させるため、薄板幅広フィン5bと隣接する薄板幅広フィンとは組込みのため最小の約1mmの隙間とし、
図10に示すように薄板幅広フィン5bの下端は薄型太陽光発電パネル4側に折り曲げ隙間を狭くしている。
【0013】
図11に示す熱交換パイプ6は熱交換効率を上げるため、外面フィン6a、内面フィン6b付とする。例えば銅製の内面フィン付パイプに3Dプリンターにより外面にリング状のフィンを多列に成形する。3Dプリンターは多様な造形ができ伝熱表面積を増やすことも可能。
【0014】
図1~5示すようにヒートパイプ5は薄型太陽光発電パネル4の裏側と薄型断熱パネル2との間に設けた対流空間に組込み、前記熱交換パイプは断熱枠3の上部に組込む。防水のため断熱枠3と前記熱交換パイプ6の両端にゴムブッシュ3cを入れる。薄型太陽光電パネル4のケーブル出口に防水ケーブルコネクタ3dを使用している。
【0015】
太陽熱集熱専用として使用する場合は
図2、3に示すように薄型太陽光発電パネル4の組込み部に
図12に示す薄型太陽熱集熱パネル7、例えば太陽光選択吸収塗料をアルミニウム板に焼付塗装を施した薄型太陽熱集熱パネル7を薄型太陽光発電パネル4に置換えて組込む。
【0016】
図2、3に示すように薄型太陽光発電パネル4の裏側と薄型断熱パネル2との間に設けた対流空間に太陽光の主に赤外線により発生する未利用の熱を熱伝導率の高いヒートパイプ5により集熱し、熱交換パイプ6へ伝熱する。ヒートパイプ5による集熱により降温した気体は薄型太陽光発電パネル4の下端部のスペーサ3aにより設けた対流隙間を通り薄型太陽光発電パネル4の太陽光側と断熱透明ガラス1との間の対流隙間に流入する。
【0017】
図2、3に示すように薄型太陽光発電パネル4の太陽光側に発生する熱は薄型太陽光発電パネル4と断熱透明ガラス1との間の対流隙間を前記対流空間より流入しる降温した気体で集熱・昇温しながら上昇、薄型太陽光発電パネルの上端部のスペーサ3aにより設けた対流隙間を通り、対流隙間を上昇、外面フィン6a付熱交換パイプ6の外周を回り伝熱する。降温した気体は対流隙間を経由し対流空間を下降、対流を繰返す。外面フィン6a付熱交換パイプ6で集熱した熱は内面フィン6b熱交換パイプ6の中を通る熱媒体と高効率で熱交換を行なう。
【0018】
断熱筐体内での集熱なので外部への放熱や寒気などの外気の影響が少なく高い集熱効率を維持する。また集熱により前記薄型太陽光発電パネルの温度上昇が抑えられ発電効率および寿命の向上が計れる。
平板式なので、設置方法、設置場所の自由度が高く、例えば太陽光自動追尾式架台に搭載すると太陽光の入斜角が垂直となり、発電および集熱の効率がさらに上がる。
【0019】
発電した電気は二次電池に蓄えることができ、必要な時に電気機器の動力源として利用。集熱した熱は温水や熱空気などとして断熱タンクに蓄える事が出来、必要な時に給湯、空調などに利用出来る。
太陽光発電・太陽熱集熱モジュールは戸建・集合住宅、福祉施設、宿泊施設、公衆浴場、温水プール、植物工場、養殖場など幅広く利用出来る。
【符号の説明】
【0020】
1・・・断熱透明ガラス
2・・・薄型断熱パネル
3・・・断熱枠
3a・・スペーサ
3b・・ゴムパッキン
3c・・ゴムブッシュ
3d・・防水ケーブルコネクタ
4・・・薄型太陽光発電パネル
5・・・ヒートパイプ
5a・・薄板幅狭フィン
5b・・薄板幅広フィン
6・・・熱交換パイプ
6a・・外面フィン
6b・・内面フィン
7・・・薄型太陽熱集熱パネル
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電・太陽熱集熱モジュールは太陽光側に断熱透明ガラス、裏側に薄型断熱パネル、外周を断熱枠で構成した断熱筐体の中に薄型太陽光発電パネルとヒートパイプとが組み込まれ、前記薄型太陽光発電パネルは前記断熱透明ガラスに接触しない状態で配置されており、前記ヒートパイプは前記薄型太陽光発電パネルと前記薄型断熱パネルとの間に形成される空間において、前記薄型太陽光発電パネルおよび前記薄型断熱パネルに接触しない状態で配置されており、太陽光による発電と断熱筐体内に太陽光の主に赤外線により発生する未利用の熱を熱伝導率の高いヒートパイプによる集熱および気体の対流作用により集熱、熱交換パイプで熱媒体と熱交換を可能とし、前記熱交換パイプはリング状の外面フィンを多列設け、内面フィンを数条設けた高効率で集熱と熱交換を行なうことが出来る熱交換パイプで、前記ヒートパイプの放熱部を前記熱交換パイプの外周より貫通配置され、前記ヒ
ートパイプの薄板幅広フィンは前記熱交換パイプに接合されており、前記ヒートパイプから前記熱交換パイプへ効率よく集熱とともに、対流作用により集熱・昇温した気体は前記外面フィンを多列設けた前記熱交換パイプの外周を回り効率よく集熱を可能とされ、内面フィンを数条設けた前記熱交換パイプにより熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを電気と熱として高効率で利用出来る太陽光発電・太陽熱集熱モジュール。
【請求項2】
太陽熱集熱モジュールは太陽光側に断熱透明ガラス、裏側に薄型断熱パネル、外周を断熱枠で構成した断熱筐体の中に薄型太陽熱集熱パネルとヒートパイプとが組み込まれ、前記薄型太陽熱集熱パネルは前記断熱透明ガラスに接触しない状態で配置されており、前記ヒートパイプは前記薄型太陽熱集熱パネルと前記薄型断熱パネルとの間に形成される空間において、前記薄型太陽熱集熱パネルおよび前記薄型断熱パネルに接触しない状態で配置されており、断熱筐体内に太陽光の主に赤外線により発生する未利用の熱を熱伝導率の高いヒートパイプによる集熱および気体の対流作用により集熱、熱交換パイプで熱媒体と熱交換を可能とし、前記熱交換パイプはリング状の外面フィンを多列設け、内面フィンを数条設けた高効率で集熱と熱交換を行なうことが出来る熱交換パイプで、前記ヒートパイプの放熱部を前記熱交換パイプの外周より貫通配置され、前記ヒートパイプの薄板幅広フィンは前記熱交換パイプに接合されており、前記ヒートパイプから前記熱交換パイプへ効率よく集熱とともに、対流作用により集熱・昇温した気体は前記外面フィンを多列設けた前記熱交換パイプの外周を回り効率よく集熱を可能とされ、内面フィンを数条設けた前記熱交換パイプにより熱媒体と熱交換を行う、太陽エネルギーを熱として高効率で利用出来る太陽熱集熱モジュール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】