(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020116
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】金属及び電子装置
(51)【国際特許分類】
C22C 28/00 20060101AFI20240206BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C22C28/00 B
H05K1/09 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182319
(22)【出願日】2022-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2022122466
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 秀太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕
(72)【発明者】
【氏名】大田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】岡田 咲枝
【テーマコード(参考)】
4E351
【Fターム(参考)】
4E351AA03
4E351BB31
4E351CC08
4E351CC11
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD06
4E351DD08
4E351DD10
4E351DD11
4E351DD12
4E351DD13
4E351DD16
4E351DD17
4E351DD18
4E351DD19
4E351EE25
4E351GG04
(57)【要約】
【課題】Gaを含有し、液体金属を含有しつつも、酸化しにくい金属等を提供する。
【解決手段】本発明による金属は、GaとBiとを含有し、35℃において液体金属又は液体金属と固体金属を含有する金属である。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaとBiとを含有し、35℃において液体金属又は液体金属と固体金属を含有する金属。
【請求項2】
Biを0.01質量%以上30質量%以下で含有する、請求項1に記載の金属。
【請求項3】
In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上をさらに含有する、請求項1又は2に記載の金属。
【請求項4】
Ag、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg、Mn、Co、Ge、Ga、Cd、Pb、P、S及びSiのいずれか1つ以上をさらに含有する、請求項1又は2に記載の金属。
【請求項5】
Gaを30質量%以上99.99質量%以下で含有し、
Biを0.01質量%以上30質量%以下で含有する、請求項1又は2に記載の金属。
【請求項6】
Ga及びBi以外の残部が、In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上からなる、請求項1又は2に記載の金属。
【請求項7】
Ga及びBi以外の残部が、In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上と、Ag、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg、Mn、Co、Ge、Ga、Cd、Pb、P、S及びSiのいずれか1つ以上からなる、請求項1又は2に記載の金属。
【請求項8】
放熱材料として用いられる請求項1又は2に記載の金属。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の金属が放熱材料として用いられた電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属及び当該金属を用いた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から液体金属の提供が試みられており、例えば特許文献1では、共晶ガリウム合金と、ガリウム合金内にマイクロ構造として分布する酸化ガリウムシートとを備え、共晶ガリウム合金と酸化ガリウムとの混合物は、重量パーセント(wt%)で約59.9%から約99.9%の共晶ガリウム合金と、wt%で約0.1%から約2.0%の酸化ガリウムとを有する、導電性ずり減粘ゲル組成の提供が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されているようなGaを含有する液体金属を含む金属では、Gaが酸化しやすいという性質のもと、水素を発生しながら酸化物が成長する事により、形状変化や放熱性が低下するという問題がある。特に高温高湿下では、Gaが選択的に酸化する傾向が強くなる。
【0005】
本発明では、Gaを含有し、液体金属を含有しつつも、酸化しにくい金属や当該金属を用いた電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による金属は、
GaとBiとを含有し、35℃において液体金属又は液体金属と固体金属を含有してもよい。
【0007】
[概念2]
概念1による金属は、
Biを0.01質量%以上30質量%以下で含有してもよい。
【0008】
[概念3]
概念1又は2による金属は、
In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上をさらに含有してもよい。
【0009】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる金属は、
Ag、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg、Mn、Co、Ge、Ga、Cd、Pb、P、S及びSiのいずれか1つ以上をさらに含有してもよい。
【0010】
[概念5]
概念1乃至4のいずれか1つによる金属は、
Gaを30質量%以上99.99質量%以下で含有し、
Biを0.01質量%以上30質量%以下で含有してもよい。
【0011】
[概念6]
概念1乃至5のいずれか1つによる金属は、
Ga及びBi以外の残部が、In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上からなってもよい。
[概念7]
概念1乃至5のいずれか1つによる金属は、
Ga及びBi以外の残部が、In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上と、Ag、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg、Mn、Co、Ge、Ga、Cd、Pb、P、S及びSiのいずれか1つ以上からなってもよい。
【0012】
[概念8]
概念1乃至7のいずれか1つの金属は、
放熱材料として用いられてもよい。
【0013】
[概念9]
本発明による電子装置は、概念1乃至7のいずれか1つによる金属を放熱材料として用いてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によればGaを含有し、液体金属を含有しつつも、酸化しにくい金属等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】85℃85%RH環境下で48時間処理した後のBiを含有しないランクFであった24.5In-GaBalの写真。
【
図1B】85℃85%RH環境下で48時間処理した後のBiを1.5%で含有するランクAであった24.5In-GaBalの写真。
【
図2】実施例で用いた試験基板であるスルーホール基板。
【
図3A】本実施の形態の金属を充填した後の試験基板をおもて面から見た写真。
【
図3B】本実施の形態の金属を充填した後の試験基板をおもて面から見た拡大写真。
【
図3C】本実施の形態の金属を充填した後の試験基板を裏面からから見た写真。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態の金属は、GaとBiとを含有し、35℃において液体金属であってもよいし、35℃において液体金属及び固体金属を含有する態様であってもよい。液体金属及び固体金属の各々又はその一方は合金であってもよい。液体金属における合金の組成と固体金属における合金の組成とは異なってもよい。但し、このような態様に限られることはなく、液体金属における合金の組成と固体金属における合金の組成とは同じ組成であってもよい。本実施の形態の金属はGa系金属であってもよい。本実施の形態の金属は30℃において液体金属又は液体金属及び固体金属を含有することが好ましい。なお、Gaの融点が約30℃であることから、Gaを母体とすることで、液体金属又は液体金属と固体金属との混合物を含有する金属を提供できる。Gaは30質量%以上100質量%未満で含有されてもよい。Gaは放熱効果の高い金属であり、またGaを含有させることで液体の状態とすることができることから、その下限値は30質量%であることが好ましく、40質量%であることがより好ましく、50質量%であることがさらにより好ましい。
【0017】
金属は、その全体(液体金属からなる場合には当該液体金属の全体であり、液体金属と固体金属の混合物である場合には当該混合物の全体)に対して、Biを0.01質量%以上30質量%以下で含有してもよい。Biの下限値は好ましくは0.03質量%であり、より好ましくは0.05質量%であり、さらにより好ましくは0.1質量%である。なお、Biの含有量が多すぎると放熱性が悪化することから、上限値を30質量%とすることが好ましく、20質量%とすることがより好ましく、15質量%とすることがさらに好ましく、10質量%とすることがさらにより好ましい。
【0018】
本実施の形態の金属は典型的には放熱グリス等の放熱材料として用いられる。本実施の形態では、このような金属を用いた電子装置も提供される。一例として、本実施の形態の電子装置では、液体金属又は液体金属及び固体金属からなる放熱グリスを介して電子部品が回路基板に載置される。本実施の形態の金属は、スキージを用いてプリント配線板のような回路基板に印刷されてもよいし、インクジェット印刷機を用いて印刷されるようにしてもよいし、ディスペンス装置を用いて塗布されるようにしてもよい。
【0019】
本実施の形態の金属は、Ga及びBiだけを含有してもよいし、Ga及びBiの他に、In、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上をさらに含有してもよい。この場合、Ga、Bi及び不可避不純物からなってもよいし、BiとIn、Sn、Zn及びAgのいずれか1つ以上の金属以外は不可避不純物とGaからなってもよい。本願における不可避不純物は、意図的に加えられていない不純物を意味している。本実施の形態の金属は共晶金属合金であってもよいが、共晶金属合金でなくてもよい。
【0020】
本願の発明者らが液体金属を含有する金属におけるGaの酸化物の問題について鋭意研究を行ったところ、Biを含有させることで、Gaの酸化を抑えることができることを見出した。あくまでも推測ではあるが、Biを用いることでGaの酸化を抑えることができるメカニズムは以下のとおりだと考えられる。
Biは酸性酸化物に分類される元素であり、水と反応して酸を生じる性質がある。このため、Biを含有させることで酸が生成され、生成された酸がGaと反応し、合金の表面に水酸化物を生成することになる。このような水酸化物が合金の表面に生成されることで、Gaと水との反応を抑制することができ、Biの酸化物の生成が抑えられると考えられる。
【0021】
Ga及びBi以外の金属の含有量は70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよい。
【0022】
一例として、Ga-In-Sn-Zn-Bi等の五元系の合金からなってもよいし、Ga-In-Sn-BiやGa-Sn-Zn-Bi等の四元系の合金からなってもよいし、Ga-In-Bi等の三元系の合金からなってもよいし、Ga-Biの二元系の合金からなってもよい。
【0023】
一例としては、以下のような組成からなる金属を挙げることができる。なお、液体金属からなる場合には液体金属全体における質量%を以下では示しており、液体金属と固体金属の混合物からなる場合には、当該混合物の全体における質量%を以下では示している。
2~35質量%のIn、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
2~30質量%のSn、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
2~30質量%のSn、0.3~10質量%のZn、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
2~40質量%のIn、2~30質量%のSn、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
1~10質量%のZn、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
1~10質量%のAg、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
1~35質量%のIn、5~20質量%のSn、0.1~5質量%のZn、0.01~30質量%のBi及び残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
【0024】
但し、このような態様に限られることはなく、例えば、Ga及びBiと、In、Sn及びZnのいずれか1つ又は2つ以上に加えて、Ag、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg、Mn、Co、Ge、Ga、Cd、Pb、P、S及びSiのいずれか1つ以上を含んでもよい。またIn、Sn及びZnを含まず、Ga及びBiに加えて、Ag、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg、Mn、Co、Ge、Ga、Cd、Pb、P、S及びSiのいずれか1つ以上を含んでもよい。そして、残部はGaと不可避不純物となってもよい。なお、本願においてクローズドクレームで記載されている態様であっても、不可避不純物は含むものである。不可避不純物とは、意識的には含有されていない不純物を意味している。
【0025】
一例としては、以下のような金属を挙げることができる。ここでも、液体金属からなる場合には液体金属全体における質量%を以下では示しており、液体金属と固体金属の混合物からなる場合には、当該混合物の全体における質量%を以下では示している。
5~20質量%のSn、0.1~5質量%のZn、0.01~30質量%のBi、0.01~1質量%のAg、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg及びMnのいずれか1つ以上、並びに残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
2~35質量%のIn、0.01~30質量%のBi、0.01~1質量%のAg、Sb、Cu、Fe、Al、As、Ni、Au、Ti、Cr、La、Mg及びMnのいずれか1つ以上、並びに残部がGaからなる35℃で液体金属又は液体金属及び固体金属を含む金属。
【0026】
本実施の形態の金属を含有する放熱材料は、アミン、樹脂、溶剤等をさらに含んでもよい。この場合には、10~90質量%の本実施の形態による金属(液体金属又は液体金属と固体金属の混合物)、10~90質量%のアミン、10~90質量%の樹脂及び10~90質量%の溶剤が含まれ、全体で100質量%となるようにしてもよい。また、10~90質量%の金属に対して、残部が活性剤、又は活性剤及び溶剤からなる態様となってもよい。
【0027】
アミンとしては、例えば、直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状で飽和又は不飽和の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びイミダゾール類が挙げられる。その脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、1-アミノプロパン、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、n-エチルメチルアミン、アリルアミン、n-ブチルアミン、ジエチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、イソブチルアミン、ピロリジン、3-ピロリン、n-ペンチルアミン、ジメチルアミノプロパン、1-アミノヘキサン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ヘキサメチレンイミン、1-メチルピペリジン、2-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、シクロヘキシルアミン、ジアリルアミン、n-オクチルアミン、アミノメチル、シクロヘキサン、2-エチルヘキシルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、1,1,3,3-テトラメチルブチルアミン、1-シクロヘキシルエチルアミンおよびN,N-ジメチルシクロヘキシルアミンが例示される。芳香族アミンとしては、アニリン、ジエチルアニリン、ピリジン、ジフェニルグアニジンおよびジトリルグアニジンが例示される。イミダゾール類としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、及び1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが例示される。
【0028】
樹脂としては、例えば、例えば、エポキシ樹脂、ロジン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂、ビニルエーテル系樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂等)、テルペンフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂(例えば、水添テルペンフェノール樹脂等)、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂(例えば、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン樹脂等)、キシレン樹脂、変性キシレン樹脂(例えば、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂、フェノール変性レゾール型キシレン樹脂、ポリオール変性キシレン樹脂、ポリオキシエチレン付加キシレン樹脂等)等が挙げられる。
【0029】
溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類、炭化水素類、エステル類、水等などが挙げられる。
【実施例0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態を詳述する。なお、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
[試験方法]
1.試験用金属作製方法
ビーカーに、あらかじめ40℃に加温して液状としたGaに対して、添加元素(各表で示されている元素であって、Bi以外の元素)を所定量計量し投入し(投入量は後述する各表で示されている量となる。)、250℃ホットプレート上で1時間加熱して母合金を作製した。
ビーカーに母合金を計量し、所定量のBiを入れ(投入量は後述する各表で示されている量となる。)、250℃ホットプレート上で1時間加熱し、室温まで冷却して、試験用サンプルとした。
【0032】
2.試験片作製方法
図2に示すスルーホール基板に、金属を充填し試験片とした。
スルーホール基板からなる試験基板は以下のとおりのものである。
・ 機材FR4(銅箔、レジスト無)
・ 板厚 0.50mm
・ ホール径 Φ0.525mm
・ ホール数 14×14=196個
・ ホールピッチ 0.90mm
(1)試験基板のスルーホールに試験用サンプルを充填した。
(2)表面及び裏面の余分な金属をIPAで拭き取った。
(3)裏面をカプトンテープで封止し、試験片とした。
(4)作製した試験片を85℃85%RH(相対湿度)環境下で48時間処理し、酸化物の成長状態を測定した。
図3A及び
図3Bが金属を充填した後の試験基板をおもて面から見た写真であり、
図3Cが金属を充填した後の試験基板を裏面からから見た写真である。
【0033】
3.判定方法
各ホールの基板表面からの酸化物の最大高さを測定した。測定機としては、KEYENCE社製のVK-X1000 レーザー顕微鏡を用いた。
判定基準は以下のとおりである。
酸化物の最大高さ
ランクA 250μm未満
ランクB 250μm以上500μm未満
ランクC 500μm以上750μm未満
ランクD 750μm以上1000μm未満
ランクE 1000μm以上1500μm未満
ランクF 1500μm以上1750μm未満
ランクG 2000μm以上
図1Aは、85℃85%RH環境下で48時間処理した後のBiを含有しないランクF
であった24.5In-GaBalの写真であり、
図1Bは、85℃85%RH環境下で48時間処理した後のBiを1.5質量%で含有するランクAであった24.5In-G
aBalの写真である。
図4は測定で得られた画像を一例として示したものである。
【0034】
実施例及び比較例の結果を以下の表で示す。以下の各表及び本件明細書では残部を「Bal」として示している。また、各表において、合金が液体金属からなる場合には液体金属全体における質量%を示しており、液体金属と固体金属の混合物からなる場合には当該混合物の全体における質量%を示している。
【0035】
以下の表で示される実験結果から理解できるように、各組成において、Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。またBiの含有量を増加させることで、酸化物の成長を効果的に抑制できた。
【0036】
より具体的には、表1及び表2はGa及びBiの他にInを含有する合金についての結
果を示している。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表1】
【表2】
【0037】
表3はGa及びBiの他にSnを含有する合金についての結果を示している。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表3】
【0038】
表4及び表5はGa及びBiの他にSn及びZnを含有する合金についての結果を示し
ている。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表4】
【表5】
【0039】
表6及び表7はGa及びBiの他にSn及びInを含有する合金についての結果を示し
ている。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表6】
【表7】
【0040】
表8はGa及びBiの他にZnを含有する合金についての結果を示している。Biを含
有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表8】
【0041】
表9はGa及びBiの他にAgを含有する合金についての結果を示している。Biを含
有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表9】
【0042】
表10はGa及びBiの他にIn、Sn及びZnを含有する合金についての結果を示し
ている。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表10】
【0043】
表11乃至表13はGa及びBiの他にSn及びZnとその他の添加元素を含有する合
金についての結果を示している。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表11】
【表12】
【表13】
【0044】
表14乃至表17はGa及びBiの他にInとその他の添加元素を含有する合金につい
ての結果を示している。Biを含有させることで酸化物の成長を効果的に抑制できた。また、Biの含有量を増加させることで、その効果をより高いものにすることができた。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0045】
上述した実施の形態の記載、実施例の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。