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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020126
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
H01R9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061622
(22)【出願日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2022122714
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康弘
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智貴
(72)【発明者】
【氏名】辻井 芳朋
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC46
5E086CC47
5E086DD36
5E086HH20
5E086JJ03
5E086JJ14
5E086LL06
5E086LL10
5E086LL12
5E086LL20
(57)【要約】
【課題】耐サージ性を向上できる端子台を提供する。
【解決手段】端子台1は、1つまたは複数のバスバー3、台本体4、および磁性部材28を備える。バスバー3は、両端の一端3aに負荷が接続される。台本体4は、バスバー3を支持するとともに、取付け先7に対して嵌合によって取付けられる。磁性部材28は、負荷の駆動によって発生するサージ電圧に起因する部分放電を抑えるために、バスバー3を周囲から囲むように台本体4に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端の一端に負荷が接続される1つまたは複数のバスバーと、
前記バスバーを支持するとともに、取付け先に取付けられる台本体と、
前記負荷の駆動によって発生するサージ電圧に起因する部分放電を抑えるために、前記バスバーを周囲から囲むように前記台本体に設けられた磁性部材と
を備えた端子台。
【請求項2】
前記磁性部材は、前記複数のバスバーを取付け可能な形状に形成されている
請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記磁性部材は、前記バスバーを挿し込むための孔を前記バスバーごとに有する
請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記磁性部材は、前記複数のバスバーをまとめて挿し込み可能な1つの孔を有する
請求項2に記載の端子台。
【請求項5】
前記台本体は、樹脂モールドによって前記バスバーおよび前記磁性部材と一体に形成されている
請求項1に記載の端子台。
【請求項6】
前記台本体は、前記バスバーおよび前記磁性部材の間に樹脂が入り込むことにより形成された絶縁部を有する
請求項5に記載の端子台。
【請求項7】
前記バスバーおよび前記台本体は、1つの部品として構成された一体品であり、
前記磁性部材は、前記一体品を周囲から囲むように形成されている
請求項1に記載の端子台。
【請求項8】
前記磁性部材は、前記一体品の周囲に複数周巻かれた帯状の磁性箔である
請求項7に記載の端子台。
【請求項9】
前記台本体は、前記バスバーを絶縁する絶縁樹脂であり、
前記磁性部材は、前記絶縁樹脂を囲む形状に形成されるとともに、磁性粉を含有した磁性樹脂である
請求項7に記載の端子台。
【請求項10】
前記バスバーは、表面に絶縁層を有し、
前記台本体は、前記バスバーを囲む形状に形成されるとともに、前記磁性部材としての磁性粉が含有された磁性樹脂である
請求項1に記載の端子台。
【請求項11】
前記絶縁層は、エナメル膜である
請求項10に記載の端子台。
【請求項12】
前記バスバーと前記台本体との間を封止する封止部を備える
請求項1に記載の端子台。
【請求項13】
前記台本体は、
前記取付け先に対して留め具によって固定される取付部と、
前記取付部から前記負荷に向かって延びる第1部位と、
前記取付部から前記負荷とは反対の方向に延びる第2部位と、を有する
請求項1に記載の端子台。
【請求項14】
前記磁性部材は、前記第1部位に配置されている
請求項13に記載の端子台。
【請求項15】
前記磁性部材は、前記第2部位に配置されている
請求項13に記載の端子台。
【請求項16】
前記バスバーと前記台本体との間を封止する封止部を備え、
前記封止部は、前記第2部位に配置されている
請求項13に記載の端子台。
【請求項17】
前記バスバーは、U相、V相、およびW相の3本設けられ、
前記バスバーには、位相が互いに120度異なる三相交流の信号が流される
請求項1に記載の端子台。
【請求項18】
前記バスバーは、
少なくとも一部が前記台本体に挿し込まれる棒状部と、
前記棒状部の両端に設けられ、接続箇所として平板状に加工された平板部と、を有し、
前記磁性部材は、前記棒状部を周囲から囲むように設けられている
請求項1に記載の端子台。
【請求項19】
前記複数のバスバーの少なくとも1本は、前記磁性部材に囲まれた部位において、隣に位置する前記バスバーに近づくように曲げ形成された屈曲部を有する
請求項1に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、回転電機を内蔵するケースに取付けられる端子台が周知である。この端子台は、回転電機に電力を中継する電力用コネクタを有する。電力用コネクタは、端子台の台座部を横断するように3つの電力端子板を有する。車載用の場合、ケース内の回転電機は、端子台を通じて、車載バッテリの電力を制御するインバータに電気接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-160619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インバータは、高速で波形制御をするため、回転電機を駆動する際にはサージ電圧が発生し易い。このとき、サージ電圧によって部分放電が発生することがあるため、回転電機の巻線の絶縁劣化を引き起す懸念があった。
【0005】
本開示の目的は、耐サージ性を向上できる端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する端子台は、両端の一端に負荷が接続される1つまたは複数のバスバーと、前記バスバーを支持するとともに、取付け先に取付けられる台本体と、前記負荷の駆動によって発生するサージ電圧に起因する部分放電を抑えるために、前記バスバーを周囲から囲むように前記台本体に設けられた磁性部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、端子台において耐サージ性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態において、正面から見た端子台の斜視図である。
図2図2は、背面から見た端子台の斜視図である。
図3図3は、図4に示すIII-III線断面図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線断面図である。
図5図5は、磁性部材が取付けられたバスバーの斜視図である。
図6図6は、バスバーへの磁性部材の取付け方を示す斜視図である。
図7図7は、図4に示すVII-VII線断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る端子台の断面図である。
図9図9は、図8に示すIX-IX線断面図である。
図10図10(a)~図10(d)は、端子台の組立ての説明図である。
図11図11は、第3実施形態に係る端子台の断面図である。
図12図12(a)~図12(c)は、端子台の組立ての説明図である。
図13図13は、第4実施形態に係る端子台の断面図である。
図14図14(a)、図14(b)は、端子台の組立ての説明図である。
図15図15は、別例における端子台の正面図である。
図16図16は、他の別例において、磁性部材が取付けられたバスバーの斜視図である。
図17図17は、他の別例において、磁性部材が取付けられたバスバーの概略図である。
図18図18は、他の別例に係る従来形状の欠点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の端子台は、両端の一端に負荷が接続される1つまたは複数のバスバーと、前記バスバーを支持するとともに、取付け先に取付けられる台本体と、前記負荷の駆動によって発生するサージ電圧に起因する部分放電を抑えるために、前記バスバーを周囲から囲むように前記台本体に設けられた磁性部材と、を備えた。
【0010】
本構成によれば、バスバーの周囲に磁性部材を配置したので、負荷駆動時のサージ電圧に起因するノイズ電流を、磁性部材によって吸収することが可能となる。このため、サージ電圧に起因する部分放電の発生を、磁性部材によって抑制可能となる。よって、耐サージ性の向上が可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記磁性部材は、前記複数のバスバーを取付け可能な形状に形成されている。この構成によれば、1つの磁性部材に複数のバスバーを取付けるため、各バスバーに生じ得るノイズ電流を、磁性部材によって互いに相殺することが可能となる。よって、耐サージ性の向上に一層寄与する。
【0012】
[3]上記[2]において、前記磁性部材は、前記バスバーを挿し込むための孔を前記バスバーごとに有する。この構成によれば、バスバーを磁性部材のどの孔にセットすればよいのかが分かり易い。
【0013】
[4]上記[2]において、前記磁性部材は、前記複数のバスバーをまとめて挿し込み可能な1つの孔を有する。この構成によれば、磁性部材の孔に複数のバスバーをまとめて入れることが可能となるので、バスバーを孔にセットし易くなる。また、磁性部材を分割構造ではなく1部品構造とすることも可能となる。
【0014】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記台本体は、樹脂モールドによって前記バスバーおよび前記磁性部材と一体に形成されている。この構成によれば、バスバー、台本体、および磁性部材を、1つの一体部品(アセンブリ)として構成することが可能となる。
【0015】
[6]上記[5]において、前記台本体は、前記バスバーおよび前記磁性部材の間に樹脂が入り込むことにより形成された絶縁部を有する。この構成によれば、バスバーと磁性部材との間の絶縁を、絶縁部によって確保可能になる。
【0016】
[7]上記[1]において、前記バスバーおよび前記台本体は、1つの部品として構成された一体品であり、前記磁性部材は、前記一体品を周囲から囲むように形成されている。この構成によれば、磁性部材の形状がバスバーの周囲を囲む形状である場合に、磁性部材の内径を最小限に抑えることが可能となるので、磁性部材のインピーダンスを大きく設定することが可能となる。よって、磁性部材のノイズ除去性能を高めることが可能となる。
【0017】
[8]上記[7]において、前記磁性部材は、前記一体品の周囲に複数周巻かれた帯状の磁性箔である。この構成によれば、帯状の磁性箔を一体品に巻き付けるという簡易な方法で磁性部材を形成することが可能となる。
【0018】
[9]上記[7]において、前記台本体は、前記バスバーを絶縁する絶縁樹脂であり、前記磁性部材は、前記絶縁樹脂を囲む形状に形成されるとともに、磁性粉を含有した磁性樹脂である。この構成によれば、例えば、樹脂のインサート成型などの簡易な方法で、磁性部材を有するアセンブリを製造することが可能となる。
【0019】
[10]上記[1]において、前記バスバーは、表面に絶縁層を有し、前記台本体は、前記バスバーを囲む形状に形成されるとともに、前記磁性部材としての磁性粉が含有された磁性樹脂である。この構成によれば、台本体自体が磁性粉を含んでいるので、台本体に別部材の磁性部材を取付ける必要がない。よって、台本体を小型化することが可能となる。
【0020】
[11]前記絶縁層は、エナメル膜である。この構成によれば、表面がエナメル膜で被覆された汎用的なバスバーを使用することが可能となる。
[12]上記[1]から[11]のいずれかにおいて、前記バスバーと前記台本体との間を封止する封止部を備える。この構成によれば、バスバーと台本体との間の隙間が封止部によって封止される。よって、バスバーと台本体との間の隙間から流体や異物が侵入してしまう状況を生じ難くすることが可能となる。
【0021】
[13]上記[1]から[12]のいずれかにおいて、前記台本体は、前記取付け先に対して留め具によって固定される取付部と、前記取付部から前記負荷に向かって延びる第1部位と、前記取付部から前記負荷とは反対の方向に延びる第2部位と、を有する。この構成によれば、取付部を留め具で取付け先に固定することにより、台本体を取付け先に取付けることが可能となる。
【0022】
[14]上記[13]において、前記磁性部材は、前記第1部位に配置されている。この構成によれば、端子台の配置スペース上、第2部位のサイズが十分でなく、第2部位に磁性部材を配置することができない場合であっても、第1部位に磁性部材を設けることで対応可能となる。
【0023】
[15]上記[13]において、前記磁性部材は、前記第2部位に配置されている。この構成によれば、端子台の配置スペース上、第1部位のサイズが十分でなく、第1部位に磁性部材を配置することができない場合であっても、第2部位に磁性部材を設けることで対応可能となる。
【0024】
[16]上記[13]において、前記端子台は、前記バスバーと前記台本体との間を封止する封止部を備え、前記封止部は、前記第2部位に配置されている。この構成によれば、封止部を負荷から離れた位置に配置することが可能となるので、負荷と封止部との距離を長くとることが可能となる。よって、負荷から流れ出る流体や異物が封止部に至り難くなるため、封止部から流体や異物が漏れ出す状況を生じ難くするのに一層有利となる。
【0025】
[17]上記[1]から[16]のいずれかにおいて、前記バスバーは、U相、V相、およびW相の3本設けられ、前記バスバーには、位相が互いに120度異なる三相交流の信号が流される。この構成によれば、互いに120度位相がずれた三相交流の信号を3本のバスバーに流すので、仮に3本のバスバーにノイズ電流が発生しても、これらが互いに打ち消し合って「0」になり易い。よって、耐サージ性の向上に一層寄与する。
【0026】
[18]上記[1]から[17]のいずれかにおいて、前記バスバーは、少なくとも一部が前記台本体に挿し込まれる棒状部と、前記棒状部の両端に設けられ、接続箇所として平板状に加工された平板部と、を有し、前記磁性部材は、前記棒状部を周囲から囲むように設けられている。この構成によれば、バスバーの一部を棒状としたので、例えばバスバー全体が板状の場合に比べて、バスバーの小径化が可能となる。よって、端子台のサイズ小型化に寄与する。
【0027】
[19]上記[1]から[18]のいずれかにおいて、前記複数のバスバーの少なくとも1本は、前記磁性部材に囲まれた部位において、隣に位置する前記バスバーに近づくように曲げ形成された屈曲部を有する。この構成によれば、磁性部材に囲まれた部位において、隣同士のバスバーを屈曲部によって極力近づけることが可能となる。よって、磁性部材のサイズを小さくすることが可能となる。ひいては、端子台の小型化に一層寄与する。
【0028】
(本開示の第1実施形態の詳細)
本開示の端子台1の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0029】
(端子台1の概説)
図1に示すように、端子台1は、両端の一端3aに負荷2が接続された1つまたは複数のバスバー3と、バスバー3を支持する台本体4と、を備える。負荷2は、例えば、モータであって、本例の場合、三相交流モータである。バスバー3は、例えば、U相、V相、およびW相の3本設けられている。バスバー3には、位相が互いに120度異なる三相交流の信号が流される。バスバー3の他端3bは、負荷2に供給する電力の周波数を制御するインバータ5に接続される。バスバー3には、三相交流モータに必要な高電圧および大電流が流される。
【0030】
台本体4は、取付け先7に対して嵌合によって取付けられる。取付け先7は、例えば、負荷2を収容するケースである。台本体4は、取付け先7に対して留め具8によって固定される取付部9と、取付部9から負荷2に向かって延びる第1部位10と、取付部9から負荷2とは反対の方向に延びる第2部位11と、を有する。
【0031】
取付部9は、例えば、つば状に形成されている。取付部9の長手方向両端(図1のY軸方向の両端)には、留め具8を通すための孔12が計2つ設けられている。台本体4は、孔12内に入れたカラー13に留め具8を通しつつ、この留め具8を取付部9の凹部14に固定することにより、取付け先7に取付けられる。留め具8は、例えば、ボルトである。
【0032】
第1部位10は、複数のバスバー3を挿込可能なブロック状(例えば、略長方体形状)に形成されている。第1部位10は、端子台1を取付け先7に取付けるとき、取付け先7に形成された凹部15に嵌合される。第1部位10には、隣同士のバスバー3を絶縁するための壁17が形成されている。第1部位10には、金型で端子台1を形成するときに金型の位置決めのピン(図示略)を挿し込むための孔18が複数(本例は、2つ)形成されている。
【0033】
第2部位11は、1本のバスバー3を挿し込む筒部16をバスバー3ごとに有する。本例の場合、第2部位11は、3つの筒部16を有する。
図2に示すように、端子台1は、台本体4と取付部9との間をシールする弾性部材19を有する。弾性部材19は、例えば、環状をなす。弾性部材19は、例えば、ゴムパッキンであって、アクリル材やシリコン材などが使用される。弾性部材19は、台本体4(第1部位10)を通すための孔20を有する。弾性部材19は、例えば、取付部9の裏面に形成された複数のピン21を4角に係合することによって、取付部9に固定されている。
【0034】
(バスバー3の形状)
図3および図4に示すように、バスバー3は、少なくとも一部が台本体4に挿し込まれる棒状部23と、電線または相手バスバー(ともに図示略)などが接続される箇所として平板状に加工された平板部24と、を有する。棒状部23は、例えば、円柱状に形成されている。平板部24は、棒状部23の両端に設けられるとともに、電線を固定する留め具(図示略)を挿し込むための孔25が形成されている。本例の場合、一方の平板部24に負荷2が電気接続され、他方の平板部24にインバータ5が電気接続される。バスバー3の素材は、例えば、銅やアルミニウムである。
【0035】
(磁性部材28の概説)
図3および図4に示す通り、端子台1は、負荷2の駆動によって発生するサージ電圧に起因する部分放電を抑えるための磁性部材28を備える。磁性部材28は、バスバー3を周囲から囲むように台本体4に設けられている。磁性部材28は、複数のバスバー3を取付け可能な形状に形成されている。磁性部材28は、例えば、フェライトコアである。
【0036】
図3図5に示すように、磁性部材28は、バスバー3を挿し込むための孔29をバスバー3ごとに有する。本例の孔29は、例えば、3つ設けられるとともに、磁性部材28の長手方向(図3等のY軸方向)に等間隔に配置されている。磁性部材28は、バスバー3の棒状部23の一部を周囲から囲むように設けられている。孔29は、例えば、断面丸形状に形成されている。磁性部材28には、金型で端子台1を形成するときに金型の位置決めのピン(図示略)を挿し込むための孔30が複数(本例は、2つ)形成されている。
【0037】
図6に示すように、磁性部材28は、2つのパーツを組み合わせることによって形成される。具体的には、磁性部材28は、第1パーツ33と第2パーツ34とでバスバー3を挟み込むことにより、バスバー3に取付けられる。なお、第1パーツ33および第2パーツ34は、磁性部材28が半分に縦割りされたものであって、同一の形状をなしている。
【0038】
図3および図4に示す通り、台本体4は、樹脂モールドによってバスバー3および磁性部材28と一体に形成されている。具体的には、金型にバスバー3および磁性部材28をセットし、セット後、金型に樹脂を流し込んで固化させることにより、バスバー3、台本体4、および磁性部材28のアセンブリが製造される。このように、バスバー3、台本体4、および磁性部材28が一体となったアセンブリは、樹脂モールド成形によって製造される。
【0039】
(バスバーと磁性部材28との絶縁)
図3および図4に示す通り、台本体4は、バスバー3および磁性部材28の間に樹脂が入り込むことにより形成された絶縁部37を有する。絶縁部37は、バスバー3と磁性部材28との間の電気的な絶縁を確保する。本例の場合、孔29の径をバスバー3(具体的には、棒状部23)の径よりも大きく設定する。これにより、樹脂モールド成形時において、バスバー3と磁性部材28との間に生じる隙間に流れ込んだ樹脂により、絶縁部37が形成される。
【0040】
(封止部39の概説)
図5に示す通り、端子台1は、バスバー3と台本体4との間を封止する封止部39を備える。封止部39は、例えば、接着剤(接着テープ)である。封止部39は、例えば、環状に設けられている。封止部39は、例えば、バスバー3と筒部16との間に設けられている。封止部39は、バスバー3と台本体4との間の止水性と、バスバー3を台本体4にしっかりと固定する密着性と、を確保する。
【0041】
(磁性部材28および封止部39の配置位置)
図3および図4に示す通り、磁性部材28は、例えば、台本体4の第1部位10に配置されている。封止部39は、例えば、台本体4の第2部位11(筒部16)に配置されている。このように、本例の場合、磁性部材28および封止部39は、台本体4の取付部9を基準にして、互いに反対の位置に配置されている。
【0042】
(第1実施形態の作用)
次に、本実施形態の端子台1の作用について説明する。
図7に示すように、本例の場合、磁性部材28でバスバー3(具体的には、棒状部23)を囲む構造とした。このため、負荷2の駆動によってサージ電圧が発生しても、サージ電圧に起因して発生するノイズ電流を、磁性部材28によって吸収することが可能となる。このように、サージ電圧に起因して発生し得る部分放電を、磁性部材28の磁気シールド効果によって低く抑えることが可能となる。よって、端子台1の耐サージ性を向上することが可能となる。ひいては、耐サージ性の向上によって、負荷2の巻線に絶縁劣化を生じ難くすることも可能となる。
【0043】
また、本例の場合、3本のバスバー3には、U層、V層、W層の三相交流の信号が流れている。そして、三相交流の信号が流される3本のバスバー3を、1つの磁性部材28でまとめて覆う形状としたので、三相交流のノイズ電流を互いに打ち消し合うことが可能となる。よって、3本のバスバー3に三相交流の信号が流れる場合、本例の磁性部材28によって耐サージ性の対策をとるようにすれば、ノイズ電流の高い吸収効果を実現することが可能となる。
【0044】
図3図4などに示す通り、バスバー3と台本体4との間に、これらの隙間を塞ぐ封止部39を設けた。よって、仮に負荷2から流体や異物が流れ出てきても、これらを封止部39によって堰き止めることが可能となる。よって、負荷2から流れ出る流体や異物がケース外に流出してしまうことを抑制可能となる。また、封止部39を第2部位11に配置したので、封止部39を負荷2から極力遠ざけることが可能となる。よって、負荷2から流れ出る流体や異物を封止部39に至り難くすることが可能となるので、封止部39から流体や異物が漏れ出す状況も生じ難くすることが可能となる。
【0045】
バスバー3は、板状(平板状)ではなく、棒状部23を有する形状に形成されている。このため、バスバー3の大きさを、例えばバスバー全体が板状の場合に比べて、小径化することが可能となる。よって、磁性部材28や端子台1のサイズを小型化することが可能となる。
【0046】
(第1実施形態の効果)
上記実施形態の端子台1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1.1)端子台1は、1つまたは複数のバスバー3、台本体4、および磁性部材28を備える。バスバー3は、両端の一端3aに負荷2が接続される。台本体4は、バスバー3を支持するとともに、取付け先7に取付けられる。磁性部材28は、負荷2の駆動によって発生するサージ電圧に起因する部分放電を抑えるために、バスバー3を周囲から囲むように台本体4に設けられる。
【0047】
本構成によれば、バスバー3の周囲に磁性部材28を配置したので、負荷駆動時のサージ電圧に起因するノイズ電流を、磁性部材28によって吸収することが可能となる。このため、サージ電圧に起因する部分放電の発生を、磁性部材28によって抑制可能となる。よって、耐サージ性を向上できる。
【0048】
(1.2)磁性部材28は、複数のバスバー3を取付け可能な形状に形成されている。この構成によれば、1つの磁性部材28に複数のバスバー3を取付けるため、各バスバー3に生じ得るノイズ電流を、磁性部材28によって互いに相殺することが可能となる。よって、耐サージ性の向上に一層寄与する。
【0049】
(1.3)磁性部材28は、バスバー3を挿し込むための孔29をバスバー3ごとに有する。この構成によれば、バスバー3を磁性部材28のどの孔29にセットすればよいのかが分かり易い。
【0050】
(1.4)台本体4は、樹脂モールドによってバスバー3および磁性部材28と一体に形成されている。この構成によれば、バスバー3、台本体4、および磁性部材28を、1つの一体部品(アセンブリ)として構成することができる。
【0051】
(1.5)台本体4は、バスバー3および磁性部材28の間に樹脂が入り込むことにより形成された絶縁部37を有する。この構成によれば、バスバー3と磁性部材28との間の絶縁を、絶縁部37によって確保できる。
【0052】
(1.6)端子台1は、バスバー3と台本体4との間を封止する封止部39を備える。この構成によれば、バスバー3と台本体4との間の隙間が封止部39によって封止される。よって、バスバー3と台本体4との間の隙間から流体や異物が侵入してしまう状況を生じ難くすることができる。
【0053】
(1.7)台本体4は、取付け先7に対して留め具8によって固定される取付部9と、取付部9から負荷2に向かって延びる第1部位10と、取付部9から負荷2とは反対の方向に延びる第2部位11と、を有する。この構成によれば、取付部9を留め具8で取付け先7に固定することにより、台本体4を取付け先7に取付けることができる。
【0054】
(1.8)磁性部材28は、第1部位10に配置されている。この構成によれば、端子台1の配置スペース上、第2部位11のサイズが十分でなく、第2部位11に磁性部材28を配置することができない場合であっても、第1部位10に磁性部材28を設けることで対応できる。
【0055】
(1.9)封止部39は、第2部位11に配置されている。この構成によれば、封止部39を負荷2から離れた位置に配置することが可能となるので、負荷2と封止部39との距離を長くとることが可能となる。よって、負荷2から流れ出る流体(例えば、モータの油など)や異物が封止部39に至り難くなるため、封止部39から流体や異物が漏れ出す状況を生じ難くするのに一層有利となる。
【0056】
(1.10)バスバー3は、U相、V相、およびW相の3本設けられている。バスバー3には、位相が互いに120度異なる三相交流の信号が流される。この構成によれば、互いに120度位相がずれた三相交流の信号を3本のバスバー3に流すので、仮に3本のバスバー3にノイズ電流が発生しても、これらが互いに打ち消し合って「0」になり易い。よって、耐サージ性の向上に一層寄与する。
【0057】
(1.11)バスバー3は、棒状部23および平板部24を有する。棒状部23は、少なくとも一部が台本体4に挿し込まれる。平板部24は、棒状部23の両端に設けられ、接続箇所として平板状に加工されている。磁性部材28は、棒状部23を周囲から囲むように設けられている。この構成によれば、バスバー3の一部を棒状としたので、例えばバスバー全体が板状の場合に比べて、バスバー3の小径化が可能となる。よって、端子台1のサイズ小型化に寄与する。
【0058】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の磁性部材28を別の部品に変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0059】
(端子台1の構造)
図8に示すように、バスバー3および台本体4は、1つの部品として構成された一体品44である。本例の場合、一体品44は、例えば、樹脂のインサート成型によって形成されている。具体的には、一体品44は、バスバー3を金型にセットして樹脂を充填するインサート成型によって形成されている。本例の場合、台本体4は、モールド樹脂である。なお、一体品44は、インサート成型以外の方法で形成されてもよい。
【0060】
図9に示すように、磁性部材28は、一体品44を周囲から囲むように形成されている。本例の場合、磁性部材28は、一体品44の周囲に複数周巻かれた帯状の磁性箔45である。このように、磁性部材28は、帯状の磁性箔45を一体品44の周囲に巻き付けることにより形成されている。磁性箔45は、例えば、台本体4の第1部位10の外面に巻き付けられている。巻回された磁性箔45は、略筒状に形成されている。略筒状の磁性箔45は、軸方向から見て扁平楕円形状に形成されている。磁性箔45の材料としては、例えば、パーマロイ、ニッケル、スーパーマロイ、鉄、フェライト、または、これら2つ以上の組み合わせなどが使用される。
【0061】
図8に示す通り、端子台1は、磁性箔45を保護するためのカバー46を備える。カバー46は、磁性箔45を覆うカバー本体47と、カバー本体47と交差する方向に延びるフランジ部48と、を有する。フランジ部48は、カバー本体47の開口49の全周に亘って形成されている。フランジ部48は、カラー13を通すための孔50を複数有する。弾性部材19は、取付け先7とフランジ部48との間に配置されている。
【0062】
(第2実施形態の作用)
次に、本実施形態の端子台1の作用について説明する。
図10(a)に示すように、端子台1を製造する場合、U相、V相、およびW相の各々に用いられる三相のバスバー3を用意する。図10(b)に示すように、これらバスバー3を金型にセットして樹脂を充填するインサート成型により、バスバー3と台本体4とが一体化された一体品44を製造する。3本のバスバー3は、インサート成型によって形成された樹脂製の台本体4によって電気的に絶縁されている。
【0063】
続いて、図10(c)に示すように、一体品44の外面に帯状の磁性箔45を複数周巻き付ける。磁性箔45の厚さ、巻数、材料などの組み合わせは、要求されるノイズ吸収の程度に応じて適宜設定される。また、磁性箔45の表面に接着剤が塗布されていてもよい。この場合、重ね合わされた磁性箔45同士を固定することが可能となるので、磁性箔45の意図しない脱落が抑制される。
【0064】
図10(d)に示すように、磁性箔45が巻き付けられた一体品44にカバー46を取付ける。カバー46は、磁性箔45を周囲から囲むように取付けられる。以上のようにして、端子台1が組立てられる。
【0065】
(第2実施形態の効果)
上記実施形態の端子台1によれば、上記実施形態に記載した効果の他に、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
(2.1)バスバー3および台本体4は、1つの部品として構成された一体品44である。磁性部材28(本例は、磁性箔45)は、一体品44を周囲から囲むように形成されている。この構成によれば、磁性部材28の形状がバスバー3の周囲を囲む形状である場合に、磁性部材28の内径を最小限に抑えることが可能となるので、磁性部材28のインピーダンスを大きく設定することが可能となる。よって、磁性部材28のノイズ除去性能を高めることができる。
【0067】
(2.2)磁性部材28は、一体品44の周囲に複数周巻かれた帯状の磁性箔45である。この構成によれば、帯状の磁性箔45を一体品44に巻き付けるという簡易な方法で磁性部材28を形成することができる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態も、第1実施形態および第2実施形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0069】
(端子台1の構造)
図11に示すように、台本体4は、バスバー3を絶縁する絶縁樹脂53である。バスバー3および絶縁樹脂53は、例えば、樹脂のインサート成型によって形成されている。具体的には、バスバー3および絶縁樹脂53は、例えば、バスバー3を金型にセットして樹脂を充填するインサート成型により、一体品44として形成されている。本例の場合、絶縁樹脂53は、モールド樹脂である。
【0070】
磁性部材28は、絶縁樹脂53を囲む形状に形成されるとともに、磁性粉54を含有した磁性樹脂55である。磁性樹脂55は、例えば、絶縁樹脂53の主要部、すなわち、第1部位10の外面に形成されている。磁性樹脂55は、例えば、略筒状に形成されている。また、略筒状の磁性樹脂55は、軸方向から見て扁平楕円形状に形成されている。磁性粉54の材料としては、例えば、パーマロイ、ニッケル、スーパーマロイ、鉄、フェライト、または、これら2つ以上の組み合わせなどが使用されている。絶縁樹脂53および磁性樹脂55は、例えば、インサート成型によって形成されてもよいし、それ以外の方法によって形成されてもよい。
【0071】
(第3実施形態の作用)
次に、本実施形態の端子台1の作用について説明する。
図12(a)に示すように、端子台1を製造する場合、U相、V相、およびW相の各々に用いられる三相のバスバー3を用意する。図12(b)に示すように、これらバスバー3を金型にセットして樹脂を充填するインサート成型により、バスバー3と絶縁樹脂53とが一体化された一体品44を製造する。3本のバスバー3は、インサート成型によって形成された絶縁樹脂53によって電気的に絶縁されている。
【0072】
続いて、図12(c)に示すように、バスバー3と絶縁樹脂53とが一体化された一体品44に、磁性樹脂55をインサート成型する。具体的には、一体品44を金型にセットするとともに、磁性粉54が含有された樹脂を金型に充填することにより、磁性樹脂55が一体化されたアセンブリを形成する。これにより、一体品44の周囲が磁性樹脂55によって囲まれたアセンブリが製造される。
【0073】
(第3実施形態の効果)
上記実施形態の端子台1によれば、上記実施形態に記載した効果の他に、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
(3.1)台本体4は、バスバー3を絶縁する絶縁樹脂53である。磁性部材28は、絶縁樹脂53を囲む形状に形成されるとともに、磁性粉54を含有した磁性樹脂55である。この構成によれば、例えば、樹脂のインサート成型などの簡易な方法で、磁性部材28を有するアセンブリを製造することができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を説明する。なお、第4実施形態も、第1実施形態~第3実施形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0076】
(端子台1の構造)
図13に示すように、バスバー3は、表面に絶縁層58を有する。絶縁層58は、例えば、エナメル膜59である。絶縁層58は、例えば、バスバー3の表面全体に形成されることが好ましい。なお、絶縁層58は、エナメル膜59に限らず、例えば、熱収縮チューブ等のチューブや、樹脂製のテープなどを使用してもよい。
【0077】
台本体4は、バスバー3を囲む形状に形成されるとともに、磁性部材28としての磁性粉60が含有された磁性樹脂61である。このように、本例の台本体4は、磁性粉60を含有する磁性樹脂61である。磁性樹脂61の主要部、すなわち、第1部位10は、バスバー3の軸方向から見て、扁平楕円形状に形成されている。磁性粉60の材料としては、例えば、第3実施形態と同様の材料が使用される。磁性樹脂61は、例えば、インサート成型によって形成されてもよいし、それ以外の方法によって形成されてもよい。
【0078】
(第4実施形態の作用)
次に、本実施形態の端子台1の作用について説明する。
図14(a)に示すように、端子台1を製造する場合、表面に絶縁層58が形成された三相(U相、V相、W相)のバスバー3を用意する。図14(b)に示すように、これらバスバー3を金型にセットし、そして、磁性粉60が含有された樹脂を充填するインサート成型により、バスバー3と磁性樹脂61とが一体化されたアセンブリを製造する。3本のバスバー3は、表面の絶縁層58によって磁性樹脂61とは電気的に絶縁されている。
【0079】
(第4実施形態の効果)
上記実施形態の端子台1によれば、上記実施形態に記載した効果の他に、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
(4.1)バスバー3は、表面に絶縁層58を有する。台本体4は、バスバー3を囲む形状に形成されるとともに、磁性部材28としての磁性粉60が含有された磁性樹脂61である。この構成によれば、台本体4自体が磁性粉60を含んでいるので、台本体4に別部材の磁性部材28を取付ける必要がない。よって、台本体4を小型化することができる。
【0081】
(4.2)絶縁層58は、エナメル膜59である。この構成によれば、表面がエナメル膜59で被覆された汎用的なバスバー3を使用することができる。
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0082】
・第1および第2実施形態において、図15に示すように、磁性部材28は、台本体4の第1部位10ではなく、例えば、第2部位11に配置されてもよい。この場合、第2部位11の形状を、ブロック状とするとともに、この第2部位11の内部に磁性部材28を配置する。この構成によれば、端子台1の配置スペース上、第1部位10のサイズが十分でなく、第1部位10に磁性部材28を配置することができない場合であっても、第2部位11に磁性部材28を設けることで対応できる。なお、第2部位11に磁性部材28を配置する場合、第1部位10に封止部39を設けることが好ましい。
【0083】
・第1実施形態において、図16に示すように、バスバー3を挿し込む孔29は、例えば、複数のバスバー3をまとめて収容できる形状としてもよい。すなわち、磁性部材28は、複数のバスバー3をまとめて挿し込み可能な1つの孔29を有してもよい。この場合の孔29の形状としては、例えば、孔29の軸方向から見て長孔状が挙げられる。この構成によれば、磁性部材28の孔29に複数のバスバー3をまとめて入れることが可能となるので、バスバー3を孔29にセットし易くなる。また、磁性部材28を分割構造ではなく1部品構造とすることもできる。
【0084】
・各実施形態において、図17に示すように、複数のバスバー3の少なくとも1本は、磁性部材28に囲まれた部位において、隣に位置するバスバー3に近づくように曲げ形成された屈曲部41を有していてもよい。図17の例の場合、中央のバスバー3に対し、両側のバスバー3の途中に屈曲部41を設けている。この構成によれば、磁性部材28に囲まれた部位において、隣同士のバスバー3を屈曲部41によって極力近づけることが可能となる。よって、磁性部材28のサイズを小さくすることが可能となる。ひいては、端子台1の小型化に一層寄与する。
【0085】
・第2~第4実施形態において、図18に示すように、屈曲部41を有するバスバー3と、筒状の磁性部材28と、を用いる場合、磁性部材28に高いノイズ除去性能を持たせるために、磁性部材28の内径を最小限に設定すると、磁性部材28を台本体4に挿入するときに磁性部材28がバスバー3の端部に干渉して挿入できない。しかし、磁性部材28が磁性箔45、磁性樹脂55、61である場合には、磁性部材28を台本体4に挿入する作業が不要となるので、磁性部材28の内径を最小限に設定することが可能となる。よって、この点においても効果が高いと言える。
【0086】
・第1実施形態において、磁性部材28は、複数のバスバー3をまとめて覆う形状に限定されない。例えば、バスバー3ごとに磁性部材28を1つずつ設けてもよい。
・各実施形態において、磁性部材28は、フェライトコア(フェライト製)に限定されず、磁性体であればよい。
【0087】
・各実施形態において、バスバー3の個数は、3つに限らず、2つ以下としてもよいし、4つ以上としてもよい。
・各実施形態において、バスバー3を複数設ける場合、これらバスバー3は、全て同一の形状に限定されず、少なくとも1つを異なる形状としてもよい。
【0088】
・第1および第2実施形態において、バスバー3、台本体4、および磁性部材28のアセンブリは、樹脂モールドによって形成されることに限定されない。例えば、バスバー3および台本体4のアセンブリに対し、磁性部材28を手作業で取付ける工法としてもよい。このように、アセンブリは、種々の工法によって形成されてもよい。
【0089】
・各実施形態において、棒状部23は、円柱状に限らず、例えば四角形状などの多角形状としてもよい。
・各実施形態において、絶縁部37は、モールド樹脂の一部を利用することにより形成されたものに限定されず、例えば、台本体4とは別体の専用部品でもよい。
【0090】
・各実施形態において、磁性部材28および封止部39は、両方とも第1部位10(第2部位11でも可)に設けられてもよい。
・各実施形態において、封止部39は、シールリング(ゴムリング)でもよい。
【0091】
・各実施形態において、端子台1は、例えば、取付部9のみを有する形状をしており、そして、この取付部9に磁性部材28が配置されていてもよい。
・各実施形態において、端子台1は、例えば、第1部位10のみを有する形状をしており、そして、この第1部位10が取付け先7に固定される構成でもよい。なお、これは、第2部位11でも同様に言える。
【0092】
・各実施形態において、バスバー3に流す信号は、三相交流の信号に限定されず、これ以外の信号としてもよい。
・各実施形態において、バスバー3の他端3bに接続される機器は、インバータ5に限定されず、例えば、変圧器などの他の機器でもよい。
【0093】
・各実施形態において、負荷2は、モータに限定されず、例えば、抵抗負荷、ソレノイド、ランプなどでもよい。
・各実施形態において、端子台1は、車載用に限定されず、他の分野の機器や装置に使用されてもよい。
【0094】
・各実施形態において、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0095】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0096】
1 端子台
2 負荷
3 バスバー
3a 一端
3b 他端
4 台本体
5 インバータ
7 取付け先
8 留め具
9 取付部
10 第1部位
11 第2部位
12 孔
13 カラー
14 凹部
15 凹部
16 筒部
17 壁
18 孔
19 弾性部材
20 孔
21 ピン
23 棒状部
24 平板部
25 孔
28 磁性部材
29 孔
30 孔
33 第1パーツ
34 第2パーツ
37 絶縁部
39 封止部
41 屈曲部
44 一体品
45 磁性箔
46 カバー
47 カバー本体
48 フランジ部
49 開口
50 孔
53 絶縁樹脂
54 磁性粉
55 磁性樹脂
58 絶縁層
59 エナメル膜
60 磁性粉
61 磁性樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18