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特開2024-2013避難所開設支援装置、避難所開設支援方法、及び、避難所開設支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002013
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】避難所開設支援装置、避難所開設支援方法、及び、避難所開設支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20231228BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100938
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太
(72)【発明者】
【氏名】水谷 明士
(72)【発明者】
【氏名】大久保 亜美
(72)【発明者】
【氏名】藤森 啓汰
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援する。
【解決手段】避難所開設支援装置60は、災害発生時における避難所の候補となる施設70に設置された測定機器71によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況610を取得する取得部61と、稼働状況610が第1の基準620を満たすか否かを判定する判定部62と、稼働状況610が第1の基準620を満たす場合、施設70が避難所として開設されることを住民に提示する提示部63と、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時における避難所の候補となる施設に設置された測定機器によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得する取得手段と、
前記稼働状況が第1の基準を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記稼働状況が前記第1の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する提示手段と、
を備える避難所開設支援装置。
【請求項2】
前記第1の基準は、前記ライフラインに関する設備が、少なくとも現在までの所定の期間、障害が発生せずに使用された実績があることを表す、
請求項1に記載の避難所開設支援装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記施設に関する破損状態を表す情報を取得し、
前記判定手段は、前記破損状態が第2の基準を満たすか否かを判定し、
前記提示手段は、前記破損状態が前記第2の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する、
請求項1または請求項2に記載の避難所開設支援装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記破損状態を点検する作業員、及び、前記施設の利用者によって入力された前記破損状態を表す情報を取得する、
請求項3に記載の避難所開設支援装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記施設の撮像画像を、前記破損状態を表す情報として取得し、
前記判定手段は、前記撮像画像に対する画像認識処理を行うことによって、前記破損状態を解析する、
請求項3に記載の避難所開設支援装置。
【請求項6】
前記第2の基準は、前記破損状態が表す破損の程度を表す値が閾値以下であることを表す、
請求項3に記載の避難所開設支援装置。
【請求項7】
前記破損状態を表す情報を入力した前記施設の利用者に対して報酬を付与する報酬付与手段をさらに備える、
請求項4に記載の避難所開設支援装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記稼働状況を避難所の開設を担当する職員に提示し、前記職員によって入力された、前記施設を避難所として開設することを許可することを表す情報を、前記稼働状況が前記第1の基準を満たすことを表す情報として受け付ける、
請求項1または請求項2に記載の避難所開設支援装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
災害発生時における避難所の候補となる施設に設置された測定機器によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得し、
前記稼働状況が第1の基準を満たすか否かを判定し、
前記稼働状況が前記第1の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する、
避難所開設支援方法。
【請求項10】
災害発生時における避難所の候補となる施設に設置された測定機器によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得する取得処理と、
前記稼働状況が第1の基準を満たすか否かを判定する判定処理と、
前記稼働状況が前記第1の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する提示処理と、
をコンピュータに実行させるための避難所開設支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難所開設支援装置、避難所開設支援方法、及び、避難所開設支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生したときに、人々が適切に避難できるようにすることを支援する技術が期待されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、災害が目前に迫っていることを具体的にイメー ジさせ、住民の危機意識を煽り、避難行動に繋げる避難支援システムが開示されている。このシステムは、災害情報を提供する災害情報システムと連携し、管轄エリア内の登録された 複数の避難対象者及び複数の避難所それぞれの状況情報を管理する情報管理サーバを備える。このシステムは、また、複数の避難所それぞれに設置され、情報管理サーバとの間で通信を行う避難所情報端末と、複数の避難対象者それぞれが携帯し、情報管理サーバとの間で通信を行う支援先端末とを備える。当該情報管理サーバは、複数の避難対象者それぞれの連絡条件及び避難先の要望事項を登録し、避難所情報端末を通じて複数の避難所それぞれの状況に関する避難所情報を登録する。そして当該情報管理サーバは、災害情報に基づいて、避難の呼びかけと避難所情報を、支援先端末に連絡条件及び避難先の要望事項に沿って通知する。
【0004】
また、特許文献2には、災害発生時に避難指示者に避難に関する好適な支援情報を提供する情報処理装置が開示されている。この装置は、複数の避難所の位置情報と、各避難所を中心とした人の移動可能範囲を表す移動可能範囲情報と、移動可能範囲内の各エリアにいる避難予定者の人数を表す避難予定者人数情報と、を記憶している。この装置は、避難所と移動可能範囲とを表示する。また、この装置は、複数の避難所の間で移動可能範囲が重なる場合に、重なる箇所に含まれるエリアの避難予定者人数情報と、それぞれの避難所における避難完了者の位置情報とに基づいて、重なる箇所の避難未完了者の人数を特定し、避難未完了者の人数を表す避難未完了者人数情報を表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-071940号公報
【特許文献2】特開2020-140296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
災害発生時において、公民館あるいは体育館等の公共施設を避難所として開設する際に、その施設が、例えば、電気、ガス、水道等のライフラインの設備に関して問題が無いなど、避難所として使用可能か否かの確認作業が行われ、避難所として使用可能であることを確認できた施設が、正式に避難所として開設される。この確認作業は、限られた数の自治体の職員等によって多数の施設に関して行われるので、施設を避難所として開設できるか否かの確認に時間を要することにより避難所の開設が遅れ、住民の避難生活及び災害ボランティア等の支援団体による支援活動に支障をきたすおそれがある。即ち、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援することが課題である。特許文献1及び2は、このような課題には特に言及していない。
【0007】
本発明の主たる目的は、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る避難所開設支援装置は、災害発生時における避難所の候補となる施設に設置された測定機器によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得する取得手段と、前記稼働状況が第1の基準を満たすか否かを判定する判定手段と、前記稼働状況が前記第1の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する提示手段と、を備える。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る避難所開設支援方法は、災害発生時における避難所の候補となる施設に設置された測定機器によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得し、前記稼働状況が第1の基準を満たすか否かを判定し、前記稼働状況が前記第1の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る避難所開設支援プログラムは、災害発生時における避難所の候補となる施設に設置された測定機器によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得する取得処理と、前記稼働状況が第1の基準を満たすか否かを判定する判定処理と、前記稼働状況が前記第1の基準を満たす場合、前記施設が避難所として開設されることを住民に提示する提示処理と、をコンピュータに実行させる。
【0011】
更に、本発明は、係る避難所開設支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る避難所開設支援システム1の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る避難所開設支援装置10の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態に係る避難所開設支援装置60の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る避難所開設支援装置60の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の各実施形態に係る避難所開設支援装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る避難所開設支援システム1の構成を示すブロック図である。避難所開設支援システム1は、大別して、避難所開設支援装置10、1以上の施設20の個々に設置されているスマートメータ21、1以上の作業員端末装置31、1以上の住民端末装置32、管理端末装置40を有する。避難所開設支援装置10、スマートメータ21、作業員端末装置31、住民端末装置32は、通信ネットワーク50を介して通信可能に接続されている。また、避難所開設支援装置10と管理端末装置40とは、通信可能に接続されている。管理端末装置40は、通信ネットワーク50を介して避難所開設支援装置10と通信可能に接続されてもよい。尚、通信ネットワーク50は、例えばインターネットである。
【0016】
施設20は、災害発生時において避難所の候補となる施設であり、例えば、公民館あるいは体育館等の公共施設である、スマートメータ21は、例えば、電気、ガス、水道等のライフラインに関する設備の稼働状況を測定する測定機器である。スマートメータ21は、その設備の稼働状況の測定結果を、施設20あるいはスマートメータ21を識別可能な情報とともに、避難所開設支援装置10に送信する。スマートメータ21を識別可能な情報は、例えば、スマートメータ21に関するMAC(Media Access Control)アドレスあるいはIP(Internet Protocol)アドレス等である。
【0017】
作業員端末装置31は、施設20が避難所として使用可能か否かの判断材料となる、施設20に関する破損状態等を点検する作業員(例えば自治体の職員等)が使用する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置である。作業員端末装置31は、作業員による点検結果の入力操作を受け付け、入力された施設20の破損状態等の点検結果を、施設20を識別可能な情報とともに、避難所開設支援装置10に送信する。施設20を識別可能な情報は、例えば、施設20の名称、あるいは施設20の所在地(住所)等である。尚、施設20に関する破損状態は、施設20自体の破損状態の他、施設20へ避難生活に必要な物資などを運搬するために使用される、施設20の周辺の道路の破損状態等も含むこととする。作業員端末装置31は、また、具備するカメラによって得られた、施設20に関する破損状態等を表す撮像画像を避難所開設支援装置10に送信してもよい。
【0018】
住民端末装置32は、住民が使用する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置である。住民端末装置32は、施設20を使用した住民による、その施設20に関する破損状態等を表す情報を入力する入力操作を受け付け、入力された施設20に関する破損状態等を表す情報を、施設20を識別可能な情報とともに、避難所開設支援装置10に送信する。住民端末装置32は、入力された施設20に関する破損状態等を表す情報を、例えば、SNS(Social Networking Service)を介して発信してもよい。住民端末装置32から出力される施設20に関する破損状態等を表す情報は、具備するカメラによって得られた撮像画像でもよい。
【0019】
管理端末装置40は、避難所開設支援装置10の利用者(例えば自治体の職員等)が、避難所開設支援装置10に対して情報を入力する際に、あるいは、避難所開設支援装置10から出力された情報を確認する際に使用する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置である。
【0020】
避難所開設支援装置10は、取得部11、判定部12、提示部13、報酬付与部14、記憶部15を備える。取得部11、判定部12、提示部13、報酬付与部14は、順に、取得手段、判定手段、提示手段、報酬付与手段の一例である。
【0021】
記憶部15は、例えば、図5を参照して後述するRAM(Random Access Memory)903あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部15は、ライフライン稼働状況151、破損状態152、第1の基準153、第2の基準154、避難所開設情報155を記憶している。記憶部15に記憶されたこれらの情報に関しては後述する。
【0022】
取得部11は、災害発生時における避難所の候補となる施設20に設置されたスマートメータ21から送信された、ライフラインに関する設備の稼働状況を取得する。取得部11は、スマートメータ21から取得した情報を、ライフライン稼働状況151として記憶部15に格納する。
【0023】
ライフライン稼働状況151は、例えば、施設20におけるライフラインの使用量の推移を表す。
【0024】
取得部11は、作業員端末装置31及び住民端末装置32から送信された、施設20に関する破損状態を表す情報を取得する。取得部11は、また、住民端末装置32からSNSを介して発信された施設20に関する破損状態を表す情報を、SNSを検索することによって取得してよい。取得部11は、作業員端末装置31及び住民端末装置32から取得した情報を、破損状態152として、記憶部15に格納する。破損状態152は、施設20に関する破損状態等を表す文章及び撮像画像の少なくともいずれかを含む。
【0025】
判定部12は、取得部11によって取得されたライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たすか否かを判定する。第1の基準153は、例えば、避難所開設支援装置10の管理者によって与えられてもよいし、避難所開設支援装置10によって、通信ネットワーク50に接続された他の装置(不図示)から取得されてもよい。
【0026】
第1の基準153は、例えば、施設20におけるライフラインに関する設備が、少なくとも現在までの所定の期間、障害が発生せずに使用された実績があることを表す。例えば、ライフライン稼働状況151が下記のような状況を表す場合、施設20におけるライフラインに関する設備に異常がある(障害が発生している)ことを表している。
・ライフラインの使用量が増加していない。(この場合、ライフラインを供給する設備の障害により、ライフラインが使用できない状態にある可能性がある)。
・深夜など施設20が無人の状態にある時間帯において、ライフラインの使用量が想定以上である。(この場合、配電ケーブルの劣化等による漏電、ガス管の劣化等によるガス漏れ、水道管の劣化等による水漏れ等が発生している可能性がある)。
【0027】
判定部12は、取得部11によって取得された破損状態152が第2の基準154を満たすか否かを判定する。第2の基準154は、例えば、避難所開設支援装置10の管理者によって与えられてもよいし、避難所開設支援装置10によって、通信ネットワーク50に接続された他の装置(不図示)から取得されてもよい。
【0028】
第2の基準154は、例えば、破損状態152によって表される施設20に関する破損の程度を表す値が閾値以下であることを表す。施設20に関する破損の程度を表す値としては、例えば下記の値が使用できる。
・壁に発生しているひび割れの大きさ(ひび割れが大きいほど、耐震性能が低下していることを表す)、
・窓の破損部分の大きさ(破損部分が大きいほど、避難生活を送る上で不適切であることを表す)、
・雨漏りの発生箇所の数(雨漏りの発生箇所が多いほど、避難生活を送る上で不適切であることを表す)、
・ドアの開閉の不具合(開閉の困難さ等)の度合い(不具合の度合いが大きいほど、避難中の地震によって施設内に閉じ込められる危険性が高いことを表す)、
・施設20の近辺に設置された震度計の値(震度計の値が大きいほど、施設20の破損が大きい可能性があることを表す)、
・現在行われている施設20の修理工事の規模の大きさ(修理工事の規模が大きいほど、避難生活を送る上で不適切であることを表す)、
・施設20の周辺の道路の破損による通行の困難さ(通行の困難さが高いほど、施設20に対する避難生活に必要な物資の供給が困難であることを表す)。
【0029】
判定部12は、例えば、破損状態152を表す文章を既存の文章解析技術を用いて解析することによって、当該文章から上述した施設20に関する破損の程度を表すキーワードを抽出し、当該キーワードによって示される破損の程度を表す値を求めればよい。
【0030】
判定部12は、例えば、破損状態152を表す撮像画像を、既存の画像認識技術を用いた画像認識処理により解析することによって、その解析結果により示される施設20に関する破損の程度を表す値を求めればよい。例えば、上述した、壁に発生しているひび割れの大きさ、及び、窓の破損部分の大きさ等は、当該撮像画像から容易に求めることができる。
【0031】
判定部12は、また、ライフライン稼働状況151及び破損状態152を避難所の開設を担当する職員に提示することによって、施設20が避難所として開設可能であるか否かの最終的な判定を、当該職員に委ねるようにしてもよい。この場合、判定部12は、ライフライン稼働状況151及び破損状態152を、管理端末装置40の表示画面に表示する。当該職員が、ライフライン稼働状況151及び破損状態152に基づいて、施設20が避難所として開設可能であると判定した場合、判定部12は、当該職員によって管理端末装置40を介して入力された、施設20を避難所として開設することを許可することを表す情報を受け付ける。即ち、この場合、判定部12は、当該職員によって入力された施設20を避難所として開設することを許可することを表す情報を、ライフライン稼働状況151及び破損状態152が、第1の基準153及び第2の基準154を満たすことを示す情報として受け付ける。
【0032】
判定部12は、また、ライフライン稼働状況151及び破損状態152に加えて、判定部12による上述した判定結果も当該職員に提示するようにしてもよい。そしてこの場合、判定部12は、第1の基準153及び第2の基準154も合わせて当該職員に提示してもよい。この場合、当該職員は、判定部12による判定結果が正しいか否かを確認する。そして、当該職員によって、判定部12による判定結果が正しいことが確認された場合、判定部12は、当該職員によって入力された施設20を避難所として開設することを許可することを表す情報を、ライフライン稼働状況151及び破損状態152が、第1の基準153及び第2の基準154を満たすことを示す情報として受け付ける。
【0033】
提示部13は、判定部12による上述した判定結果において、ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たし、かつ、破損状態152が第2の基準154を満たす場合、施設20が避難所として開設されること表す避難所開設情報155を生成する。提示部13は、生成した避難所開設情報155を、例えば、住民端末装置32に送信することによって住民に提示する。提示部13は、避難所開設情報155を記憶部15に格納する。
【0034】
報酬付与部14は、破損状態152が表す情報を提供した施設20の利用者に対して、情報提供に対する謝礼としての報酬を付与する。報酬付与部14は、例えば、破損状態152が表す情報を避難所開設支援装置10に送信した住民端末装置32に、報酬を付与することを表す情報を送信する。報酬付与部14は、また、破損状態152が表す情報をSNSに公開した人に対して、報酬を付与することを表す情報を通知してもよい。報酬付与部14は、例えば、通信ネットワーク50に通信可能に接続された、個々の人の財産であるポイント等を管理する装置(不図示)にアクセスすることによって、報酬としてのポイントを付与するようにしてもよい。
【0035】
次に図2のフローチャートを参照して、本実施形態に係る避難所開設支援装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0036】
取得部11は、スマートメータ21から、施設20におけるライフライン稼働状況151を取得する(ステップS101)。取得部11は、作業員端末装置31及び住民端末装置32から、破損状態152を取得する(ステップS102)。報酬付与部14は、破損状態152を提供した住民端末装置32に、報酬を付与することを表す情報を送信し、報酬(ポイント等)を管理する装置にアクセスすることによって、住民端末装置32の利用者に報酬を付与する(ステップS103)。
【0037】
判定部12は、ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たすか否か判定する(ステップS104)。ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たさない場合(ステップS105でNo)、全体の処理は終了する。ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たす場合(ステップS105でYes)、処理はステップS106へ進む。
【0038】
判定部12は、破損状態152が第2の基準154を満たすか否か判定する(ステップS106)。破損状態152が第2の基準154を満たさない場合(ステップS107でNo)、全体の処理は終了する。破損状態152が第2の基準154を満たす場合(ステップS107でYes)、提示部13は、施設20が避難所として開設されることを表す避難所開設情報155を、住民端末装置32を介して住民に提示し(ステップS108)、全体の処理は終了する。
【0039】
本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援することができる。その理由は、避難所開設支援装置10は、スマートメータ21から取得したライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たすことをもって施設20が避難所として開設可能と判定し、施設20が避難所として開設されることを住民に提示するからである。
【0040】
以下に、本実施形態に係る避難所開設支援装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0041】
災害発生時において、公民館あるいは体育館等の公共施設を避難所として開設する際に、その施設が、例えば、電気、ガス、水道等のライフラインの設備に関して問題が無いなど、避難所として使用可能か否かの確認作業が行われ、避難所として使用可能であることを確認できた施設が、正式に避難所として開設される。この確認作業は、限られた数の自治体の職員等によって多数の施設に関して行われるので、施設を避難所として開設できるか否かの確認に時間を要することにより避難所の開設が遅れ、住民の避難生活及び災害ボランティア等の支援団体による支援活動に支障をきたすおそれがある。即ち、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援することが課題である。
【0042】
このような問題に対して、本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、災害発生時における避難所の候補となる施設20に設置されたスマートメータ21によって測定された、ライフライン稼働状況151を取得する。避難所開設支援装置10は、ライフライン稼働状況151が、例えばライフラインに関する設備が少なくとも現在までの所定の期間、障害が発生せずに使用された実績があることを表す第1の基準153を満たすか否かを判定する。そして、避難所開設支援装置10は、ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たす場合、施設20が避難所として開設されることを住民に提示する。これにより、避難所開設支援装置10は、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、施設20に関する破損状態152を取得する。避難所開設支援装置10は、破損状態152が、例えば破損状態152が表す破損の程度を表す値が閾値以下であることを表す第2の基準を満たすか否かを判定する。そして、避難所開設支援装置10は、破損状態152が第2の基準154を満たす場合、施設20が避難所として開設されることを住民に提示する。これにより、避難所開設支援装置10は、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように、より適切に支援することができる。
【0044】
尚、避難所開設支援装置10は、破損状態152が第2の基準154を満たすか否かの判定を省略し、ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たすか否かの判定のみを行う簡易な構成を備えてもよい。
【0045】
また、本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、設備20に関する破損状態を点検する作業員、及び、施設20の利用者によって入力された設備20に関する破損状態152を表す情報を取得する。また、本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、施設20の撮像画像を破損状態152として取得し、当該撮像画像に対する画像認識処理を行うことによって、設備20に関する破損状態を解析する。したがって、避難所開設支援装置10は、設備20に関する破損状態を表す様々な情報に基づいて、その破損状態152をより正確に把握することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、破損状態152を表す情報を入力した施設20の利用者に対して報酬を付与する。即ち、避難所開設支援装置10は、施設20の利用者に対して、破損状態152を提供する動機付けを行うので、破損状態152に関する多くの情報を収集することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る避難所開設支援装置10は、ライフライン稼働状況151を避難所の開設を担当する職員に提示し、当該職員によって入力された、施設20を避難所として開設することを許可することを表す情報を、ライフライン稼働状況151が第1の基準153を満たすことを表す情報として受け付ける。これにより、避難所開設支援装置10は、避難所の開設を担当する職員による判断をふまえた、施設を避難所として開設することに関するより適切な支援を行うことができる。
【0048】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の第2の実施形態に係る避難所開設支援装置60の構成を示すブロック図である。
【0049】
本実施形態に係る避難所開設支援装置60は、取得部61、判定部62、提示部63を備えている。取得部61、判定部62、提示部63は、順に取得手段、判定手段、提示手段の一例である。
【0050】
取得部61は、災害発生時における避難所の候補となる施設70に設置された測定機器71によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況610を取得する。施設70は、例えば、第1の実施形態に係る施設20と同様な施設である。測定機器71は、例えば、第1の実施形態に係るスマートメータ21と同様な機器である。稼働状況610は、例えば、第1の実施形態に係るライフライン稼働状況151と同様な情報である。取得部61は、例えば、第1の実施形態に係る取得部11と同様に動作する。
【0051】
判定部62は、稼働状況610が第1の基準620を満たすか否かを判定する。第1の基準620は、例えば、第1の実施形態に係る第1の基準153と同様な基準である。判定部62は、例えば、第1の実施形態に係る判定部12と同様に動作する。
【0052】
提示部63は、稼働状況610が第1の基準620を満たす場合、施設70が避難所として開設されることを住民に提示する。提示部63は、例えば、第1の実施形態に係る提示部13と同様に動作する。
【0053】
次に図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係る避難所開設支援装置60の動作(処理)について詳細に説明する。
【0054】
取得部61は、施設70に設置された測定機器71によって測定された、ライフラインに関する設備の稼働状況610を取得する(ステップS201)。判定部62は、稼働状況610が第1の基準620を満たすか否かを判定する(ステップS202)。
【0055】
稼働状況610が第1の基準620を満たさない場合(ステップS203でNo)、全体の処理は終了する。稼働状況610が第1の基準620を満たす場合(ステップS203でYes)、提示部63は、施設70が避難所として開設されることを住民に提示し(ステップS204)、全体の処理は終了する。
【0056】
本実施形態に係る避難所開設支援装置60は、災害発生時において、施設を避難所として迅速に開設することができるように支援することができる。その理由は、避難所開設支援装置60は、測定機器71から取得した稼働状況610が第1の基準620を満たすことをもって施設70が避難所として開設可能と判定し、施設70が避難所として開設されることを住民に提示するからである。
【0057】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図3に示した避難所開設支援装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図3において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び61、
・判定部12及び62、
・提示部13及び63、
・報酬付与部14、
・記憶部15における記憶制御機能。
【0058】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図5を参照して説明する。
【0059】
図5は、本発明の各実施形態に係る避難所開設支援装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図5は、図1、及び、図3に示した避難所開設支援装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0060】
図5に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0061】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
【0062】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図5に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図3)における上述した構成、或いはフローチャート(図2及び図4)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0063】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0064】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 避難所開設支援システム
10 避難所開設支援装置
11 取得部
12 判定部
13 提示部
14 報酬付与部
15 記憶部
151 ライフライン稼働状況
152 破損状態
153 第1の基準
154 第2の基準
155 避難所開設情報
20 施設
21 スマートメータ
31 作業員端末装置
32 住民端末装置
40 管理端末装置
50 通信ネットワーク
60 避難所開設支援装置
61 取得部
610 稼働状況
62 判定部
620 第1の基準
63 提示部
70 施設
71 測定機器
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5