(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002015
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】走行システム、走行方法、及び走行プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20231228BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100948
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 幸治
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DE02
3B057DE06
5H301AA02
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD02
5H301DD06
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
(57)【要約】
【課題】所定エリアの混雑状況に応じて走行装置を目標経路に従って適切に走行させることが可能な走行システム、走行方法、及び走行プログラムを提供する。
【解決手段】走行装置10は、所定エリアの混雑度を示す混雑情報53を取得する取得処理部413と、取得処理部413により取得される混雑情報53に基づいて、走行装置10の走行スケジュールを設定する設定処理部414と、設定処理部414により設定される前記走行スケジュールに基づいて、走行装置10を目標経路に従って走行させる走行処理部411と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させる走行システムであって、
前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる走行処理部と、
を備える走行システム。
【請求項2】
前記設定処理部は、前記所定エリアの過去の混雑状態を示す混雑履歴情報に基づいて、前記走行スケジュールを設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項3】
前記設定処理部は、前記所定エリアの現在の混雑状態を示す現混雑情報に基づいて、前記走行スケジュールを設定する、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項4】
前記設定処理部は、前記混雑状態を表す混雑度が閾値未満となる時間帯に前記走行装置を走行させる前記走行スケジュールを設定する、
請求項1~3のいずれかに記載の走行システム。
【請求項5】
前記設定処理部は、前記混雑状態を表す混雑度が閾値以上となる時間帯の直後に前記走行装置を走行させる前記走行スケジュールを設定する、
請求項1~3のいずれかに記載の走行システム。
【請求項6】
前記設定処理部は、前記所定エリアの過去の混雑状態を表す混雑度が閾値未満となる複数の時間帯のそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて前記走行スケジュールを設定する、
請求項1~3のいずれかに記載の走行システム。
【請求項7】
前記取得処理部は、前記所定エリア内又は前記所定エリアから所定範囲内で開催されるイベントに応じた前記混雑情報を取得する、
請求項1~3のいずれかに記載の走行システム。
【請求項8】
前記設定処理部は、ユーザーにより入力された日時に基づいて設定された走行スケジュールを、前記混雑情報に基づいて変更する、
請求項1~3のいずれかに記載の走行システム。
【請求項9】
所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させる走行方法であって、
一又は複数のプロセッサーが、
前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる走行ステップと、
を実行する走行方法。
【請求項10】
所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させる走行プログラムであって、
前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる走行ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置を走行させる走行システム、走行方法、及び走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定エリアに設定された目標経路に従って自律走行する走行装置(移動ロボット)が知られている。例えば、前記走行装置は、予め設定された走行スケジュールに従って前記所定エリアを自律走行する。従来、所定エリア内の混雑状況を特定して、混雑エリアを避けて前記走行装置を走行させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、所定エリアの混雑状況に応じて走行装置が走行する経路が変化してしまう。このため、例えば、前記走行装置が前記所定エリアを清掃する清掃ロボットの場合、前記走行装置の走行経路が予め設定した清掃経路(目標経路)から逸脱してしまい、前記所定エリアを適切に清掃できない事態が生じ得る。このように、従来の技術では、所定エリアが混雑している場合に、走行装置を目標経路に従って適切に走行させることが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、所定エリアの混雑状況に応じて走行装置を目標経路に従って適切に走行させることが可能な走行システム、走行方法、及び走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る走行システムは、所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させるシステムである。前記走行システムは、取得処理部と設定処理部と走行処理部とを備える。前記取得処理部は、前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する。前記設定処理部は、前記取得処理部により取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する。前記走行処理部は、前記設定処理部により設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる。
【0007】
本発明の他の局面に係る走行方法は、所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させる走行方法であって、一又は複数のプロセッサーが、前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する設定ステップと、前記設定ステップにおいて設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる走行ステップと、を実行する。
【0008】
本発明の他の局面に係る走行プログラムは、所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させる走行プログラムであって、前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する設定ステップと、前記設定ステップにおいて設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる走行ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定エリアの混雑状況に応じて走行装置を目標経路に従って適切に走行させることが可能な走行システム、走行方法、及び走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る清掃装置の前方側の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る走行装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される地図情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される地図情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される地図情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される経路情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る所定エリアに設定される目標経路の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る所定エリアに設定される目標経路の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る所定エリアに設定される目標経路の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される混雑情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶されるスケジュール情報の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る混雑履歴情報及び清掃スケジュールの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る混雑履歴情報及び清掃スケジュールの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る混雑履歴情報及び清掃スケジュールの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る混雑履歴情報及び清掃スケジュールの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る混雑履歴情報及び清掃スケジュールの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る走行装置で実行される走行処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[走行装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る自律走行型の走行装置10の外観を示す斜視図であり、
図2は、走行装置10の構成を示す機能ブロック図である。以下の説明では、
図1に示される上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を用いる。走行装置10は、本発明の走行装置の一例である。なお、走行装置10は、
図1に示す構成に限定されない。
【0013】
走行装置10は、ショッピングモール、商業ビル、空港、駅などの各種施設内を自律的に走行することによって移動可能な装置であり、移動ロボットとも称されている。走行装置10は、自律走行によって移動しつつ、施設内の清掃を行ったり、施設内の利用者に各種情報(広告、案内情報など)を提示したり、施設内で荷物を運搬したり、施設内の警備を行ったりすることが可能である。また、走行装置10は、施設内の所定エリアを、予め設定された目標経路に従って自律走行する。以下では、走行装置10が清掃機能を備える清掃ロボットの場合を例に挙げて説明する。例えば走行装置10は、目標経路に従って自律走行しながら、床面を清掃する清掃機能を備えている。
【0014】
図1及び
図2に示すように、走行装置10は、装置本体11と、装置本体11に設けられた各機能部とを備えている。具体的には、装置本体11には、走行部12、モータ(不図示)、バッテリ(不図示)、清掃部(不図示)、操作部20、表示パネル21、カメラ30、及び制御部40(制御装置)などが設けられている。
【0015】
前記清掃部は、床面のゴミなどを吸引する機能、床面をブラシで磨く機能などを備えてもよい。例えば、前記清掃部は、目標経路(清掃経路)に基づく制御部40の指示に応じて清掃処理を実行する。
【0016】
図1に示すように、装置本体11は、その外装を構成する外装カバー11Aを有し、その下部にシャーシ11Bを有する。シャーシ11Bは、床面に対して概ね平行に設けられている。また、装置本体11の内部には、上述の各機能部を支持するための支持フレームが適宜設けられている。前記清掃部は、装置本体11の背面側に設けられている。
【0017】
走行部12は、装置本体11の走行姿勢を維持しつつ進行方向の搬送力を床面に伝達するものであり、シャーシ11Bに取り付けられている。走行部12は、走行用の一対の車輪121と、4個のキャスタ122とを有する。
【0018】
車輪121は、シャーシ11Bの前後方向D2の中央であって、左右方向D3(幅方向)の両端部それぞれに回転可能に支持されている。4個のキャスタ122は、装置本体11の走行姿勢を維持するためのものであり、シャーシ11Bの前方端の両端部、及びシャーシ11Bの後方端の両端部に回転可能に支持されている。走行装置10が床面に置かれた状態で、車輪121及びキャスタ122の各外周面は床面によって支持される。これにより、装置本体11が、
図1に示される走行姿勢に維持される。
【0019】
車輪121の回転軸には、減速ギヤなどの伝達機構を介して、モータの出力軸が連結されている。このため、モータが駆動されて、その回転駆動力が前記出力軸から出力されると、モータの回転駆動力が車輪121に伝達される。本実施形態では、一対の車輪121のそれぞれに対して、個別にモータが設けられている。したがって、各モータが個別に駆動制御されることによって、各車輪121の回転速度が制御される。例えば、各車輪121の回転速度が等速に制御されると、走行装置10は真っ直ぐに進行し、各車輪121の回転速度が異なる速度に制御されると、回転速度の遅い車輪121側に走行装置10が旋回する。
【0020】
前記バッテリは、装置本体11の中心部に設けられている。前記バッテリは、前記モータに駆動用の電力を供給する。
【0021】
また
図1に示すように、走行装置10の正面には、フロントレーザセンサ41と、ソナーセンサ42と、カメラ30とが設けられている。
【0022】
フロントレーザセンサ41は、装置本体11の正面の下部に形成された幅方向に延びる溝部175に設けられている。フロントレーザセンサ41は、溝部175の内部の中央に配置されている。フロントレーザセンサ41は、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。フロントレーザセンサ41は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。フロントレーザセンサ41は、前方へ向けて幅方向(水平方向)へ所定の走査角(例えば120度)の範囲内でレーザ光を走査する。フロントレーザセンサ41が、照射された物体(障害物など)で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部40は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部40は、走行装置10の正面側(進行方向側)に存在する物体までの距離や位置、その物体の幅方向における形状やサイズを把握することができる。
【0023】
ソナーセンサ42は、表示パネル21の下側に設けられている。ソナーセンサ42は、装置本体11の正面における幅方向の両端部それぞれに設けられている。ソナーセンサ42は、制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。ソナーセンサ42は、音波を用いて物体(障害物など)を検知するものであり、その音波が物体に反射して戻ってくるまでの時間に基づいて、その物体との距離を測定する。
【0024】
カメラ30は、被写体の画像を撮像してデジタル画像データとして出力するデジタルカメラである。カメラ30は、装置本体11の正面かつ表示パネル21の上側に設けられており、走行装置10の正面方向又は全方位(360度)を撮像する。カメラ30により撮像された撮像画像の画像データは、制御部40に送信される。
【0025】
装置本体11の両側面それぞれには、サイドレーザセンサ45が設けられている。サイドレーザセンサ45は、フロントレーザセンサ41と概ね同様に構成されており、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。サイドレーザセンサ45は、制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。サイドレーザセンサ45は、前方から下方そして後方へ向けて所定の走査角(例えば180度)の範囲内でレーザ光を走査する。サイドレーザセンサ45が、照射された物体で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部40は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部40は、走行装置10の正面側(進行方向側)に存在する障害物や、床面に存在する段差や障害物までの距離や位置、それらの走査方向における形状やサイズを把握することができる。
【0026】
操作部20(
図2参照)は、装置本体11の背面の上部に設けられている。操作部20は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作部20は、走行装置10のユーザーよって操作される装置であり、例えば、タッチ操作が可能なタッチパネルを有する装置である。操作部20には、ユーザーが各種操作(ティーチング操作、登録操作、設定操作、走行指示操作など)を行うための操作画面が表示される。操作部20に対する操作情報は、制御部40に転送され、制御部40による走行制御に用いられる。なお、操作部20は、装置本体11の上面(天板)に設けられてもよい。
【0027】
表示パネル21は、装置本体11の前面に設けられている。表示パネル21は、例えば液晶パネルである。表示パネル21には、各種の案内情報が制御部40によって表示される。前記案内情報は、例えば、施設内の商品の広告情報、施設内の店舗情報、施設内の利用者への警告情報などである。
【0028】
操作ハンドル22は、装置本体11の背面の最上部に設けられている。操作ハンドル22は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作ハンドル22は、ユーザーが走行装置10に目標経路を教示させるためのティーチング操作(教示操作)を行う場合に、ユーザーが把持する操作部材である。操作ハンドル22には、ユーザーから運転操作を受け付ける各種操作ボタン(走行ボタン、後退ボタン、左旋回ボタン、右旋回ボタンなど)が設けられている。前記操作ボタンに対する操作情報は、制御部40に転送され、制御部40による走行制御に用いられる。
【0029】
通信部25(
図2参照)は、走行装置10を有線又は無線でネットワークに接続し、当該ネットワークを介してサーバ(不図示)などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0030】
記憶部50(
図2参照)は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部50には、地図情報51、経路情報52、混雑情報53、スケジュール情報54などのデータが記憶される。
図3~
図5は地図情報51の一例を示す図である。
図6は経路情報52の一例を示す図である。
図10は混雑情報53の一例を示す図である。
図11はスケジュール情報54の一例を示す図である。
【0031】
図3~
図5に示すように、地図情報51には、走行装置10が走行する走行エリア(本発明の所定エリアに相当)に対応する環境地図の情報が登録される。地図情報51には、1又は複数の環境地図が登録される。例えば、施設のフロアごとに環境地図が生成される場合、地図情報51には、施設のフロアのそれぞれに対応する複数の環境地図が登録される。具体的には、地図情報51に、施設のフロア1F(1階)の環境地
図M1(
図3参照)と、フロア2F(2階)の環境地
図M2(
図4参照)と、フロア3F(3階)の環境地
図M3(
図5参照)とが登録される。前記環境地図は、外部機器において予め生成されたものであってもよいし、走行装置10が走行しながら各センサー(フロントレーザセンサ41と、ソナーセンサ42など)により検出される障害物までの距離及び位置に基づいて生成されたものであってもよい。すなわち、制御部40は、走行装置10を走行させることによって走行エリアの環境地図を生成してもよい。
【0032】
図6に示すように、経路情報52には、ユーザーによる前記ティーチング操作に基づいて生成される目標経路(例えば清掃経路)の情報が登録される。具体的には、経路情報52には、目標経路ごとに、「経路ID」、「経路名」、「エリア名」、「位置情報」などの情報が登録される。制御部40は、ユーザーによる前記ティーチング操作に基づいて目標経路を生成し、生成した目標経路の情報を経路情報52に登録する。「経路ID」は、目標経路の識別情報であり、「経路名」は、目標経路の名称である。「エリア名」は、前記走行エリアの名称である。「位置情報」は、目標経路の位置(座標)を示す情報である。例えば一つの目標経路の走行開始位置から走行終了位置までの座標情報が、当該目標経路の前記位置情報に登録される。
【0033】
図7~
図9には、目標経路の一例を示している。
図7に示す目標経路R1は、施設のフロア1Fに設定される、走行開始位置S1から走行終了位置G1までの走行経路(清掃経路)である。なお、目標経路R1は、経路情報52の経路ID「0001」に対応する(
図6参照)。
図8に示す目標経路R2は、施設のフロア2Fに設定される、走行開始位置S2から走行終了位置G2までの走行経路(清掃経路)である。なお、目標経路R2は、経路情報52の経路ID「0002」に対応する(
図6参照)。
図9に示す目標経路R3は、施設のフロア3Fに設定される、走行開始位置S3から走行終了位置G3までの走行経路(清掃経路)である。なお、目標経路R3は、経路情報52の経路ID「0003」に対応する(
図6参照)。
【0034】
図10に示すように、混雑情報53には、前記走行エリアごとに、過去の混雑状態を示す混雑履歴情報と、現在の混雑状態を示す現混雑情報とが登録される。具体的には、前記混雑履歴情報には、過去の日ごとの時間帯別(例えば1時間ごと)の混雑度の情報が含まれる。また、前記現混雑情報には、現在の混雑度の情報(混雑状況)が含まれる。前記混雑度は、0~5の5段階(段階が上がるほど混雑の度合いが高くなる)で表されてもよいし、0~100%(割合が高くなるほど混雑の度合いが高くなる)で表されてもよいし、前記走行エリア内の人数又は人口密度で表されてもよい。例えば、
図12のグラフはフロア1Fの混雑度(混雑履歴情報)の変化の一例を示し、
図13のグラフはフロア2Fの混雑度(混雑履歴情報)の変化の一例を示し、
図14のグラフはフロア3Fの混雑度(混雑履歴情報)の変化の一例を示している。
図12~
図14に示す各混雑度は、例えば、過去の所定期間の混雑度の平均値を表している。前記混雑履歴情報は、日にちが変わるごとに更新される。
【0035】
図11に示すように、スケジュール情報54には、前記走行エリアごとに、走行装置10を目標経路に従って走行させる走行スケジュールに関する情報が登録される。例えば、走行装置10がフロア1F、2F、3Fのそれぞれにおいて1日に2回清掃作業を行う場合には、スケジュール情報54に、フロアごとに、1回目の清掃時間帯(清掃開始時刻及び清掃終了時刻)と、2回目の清掃時間帯(清掃開始時刻及び清掃終了時刻)とを含む清掃スケジュールが登録される。なお、ここでは、1台の走行装置10がフロア1F、2F、3Fを移動して各フロアを1日2回ずつ清掃する例を示している。例えば
図11に示すスケジュール情報54によれば、走行装置10は、7:00~7:30にフロア1Fの1回目の清掃を行い、8:00~8:30にフロア2Fの1回目の清掃を行い、9:00~9:30にフロア3Fの1回目の清掃を行い、13:00~13:30にフロア1Fの2回目の清掃を行い、17:00~17:30にフロア3Fの2回目の清掃を行い、18:30~19:00にフロア2Fの2回目の清掃を行う。この場合、走行装置10は、フロア1F→フロア2F→フロア3F→フロア1F→フロア3F→フロア2Fの順に移動して清掃作業を行う。スケジュール情報54は、制御部40により設定されて記憶部50に記憶される。
【0036】
他の実施形態として、地図情報51、経路情報52、混雑情報53、スケジュール情報54などの情報の一部又は全部が、走行装置10からネットワークを介してアクセス可能なサーバーに記憶されてもよい。
【0037】
さらに、記憶部50には、制御部40に後述の走行処理(
図17参照)を実行させるための走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、走行装置10が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部50に記憶される。
【0038】
制御部40は、装置本体11の上部に設けられている。制御部40は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部40は、前記ROM又は記憶部50に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより走行装置10を制御する。
【0039】
具体的に、制御部40は、
図2に示すように、走行処理部411、受付処理部412、取得処理部413、設定処理部414などの各種の処理部を含む。なお、制御部40は、前記CPUで前記走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0040】
走行処理部411は、制御部40において生成される前記目標経路に基づいて走行装置10を自律走行させる。具体的には、走行処理部411は、前記目標経路に応じた駆動信号をモータに出力して走行部12を駆動させることにより走行装置10を前記目標経路に従って自律走行させる。例えば、走行指示画面(不図示)においてユーザーが所望の目標経路を選択すると、走行処理部411は、当該目標経路に従って走行装置10を自律走行させる。また、ユーザーが走行スケジュール(
図11参照)を予め設定していた場合には、走行処理部411は、当該走行スケジュールに基づいて走行装置10を自律走行させる。
【0041】
また、走行処理部411は、自律走行中に前記清掃部に床面などを清掃させる清掃処理を実行する。具体的には、走行処理部411は、前記目標経路に応じた駆動信号をモータに出力して前記清掃部を駆動させることにより走行装置10を前記目標経路に従って清掃させる。
【0042】
受付処理部412は、ユーザーの操作を受け付ける。例えば、受付処理部412は、ユーザーからティーチング操作、登録操作、設定操作、走行指示操作などを受け付ける。例えば、ユーザーは、走行装置10に清掃処理を実行させる場合に、操作部20を操作して清掃条件を入力する。具体的には、ユーザーは、清掃対象の場所(清掃エリア)、清掃経路(目標経路)、清掃回数などを入力する。例えば、ユーザーは、清掃エリアとしてフロア1F(
図3参照)、2F(
図4参照)、3F(
図5参照)を選択し、フロア1Fの清掃経路として目標経路R1(
図7参照)を選択し、フロア2Fの清掃経路として目標経路R2(
図8参照)を選択し、フロア3Fの清掃経路として目標経路R3(
図9参照)を選択する。また、ユーザーは、各フロア1F、2F、3Fの清掃回数として「2回」を設定する。
【0043】
取得処理部413は、前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する。具体的には、取得処理部413は、ユーザーが選択した清掃エリアに対応する混雑情報を取得する。例えば、ユーザーが清掃エリアとしてフロア1F、2F、3Fを選択すると、取得処理部413は、混雑情報53(
図10参照)を参照して、フロア1F、2F、3Fのそれぞれの混雑履歴情報及び現混雑情報を取得する。
【0044】
なお、制御部40は、例えばカメラ30の撮像画像を解析することにより前記混雑度を算出する。また、制御部40は、外部機器から前記混雑度を取得してもよい。前記外部機器は、例えば、施設の入退場者数をカウントするセンサー、監視カメラなどである。
【0045】
設定処理部414は、走行装置10の走行スケジュールを設定する。具体的には、設定処理部414は、取得処理部413により取得される前記混雑情報に基づいて、走行装置10の走行スケジュールを設定する。また、設定処理部414は、清掃エリアの過去の混雑状態を示す混雑履歴情報に基づいて、走行装置10の走行スケジュールを設定する。また、設定処理部414は、受付処理部412により受け付けられた前記清掃条件に基づいて、走行装置10の走行スケジュールを設定する。
【0046】
例えば、設定処理部414は、前記清掃条件と、清掃対象である清掃エリアの混雑履歴情報とに基づいて、走行装置10の清掃スケジュールを設定する。例えば、ユーザーがフロア1Fの清掃回数を「2回」に設定した場合に、設定処理部414は、1回目の清掃時間帯をフロア1Fの利用開始時刻(例えば開店時刻である9時)よりも前の「7:00~7:30」に設定し、2回目の清掃時間帯をフロア1Fの過去の混雑度が閾値未満となる「13:00~13:30」に設定する(
図12参照)。
【0047】
また例えば、ユーザーがフロア2Fの清掃回数を「2回」に設定した場合に、設定処理部414は、1回目の清掃時間帯をフロア2Fの利用開始時刻(例えば9時)よりも前の「8:00~8:30」に設定し、2回目の清掃時間帯をフロア2Fの過去の混雑度が閾値未満となる「18:30~19:00」に設定する(
図13参照)。
【0048】
また例えば、ユーザーがフロア3Fの清掃回数を「2回」に設定した場合に、設定処理部414は、1回目の清掃時間帯をフロア3Fの利用開始時刻(例えば10時)よりも前の「9:00~9:30」に設定し、2回目の清掃時間帯をフロア3Fの過去の混雑度が閾値未満となる「17:00~17:30」に設定する(
図14参照)。
【0049】
このように、設定処理部414は、混雑履歴情報に基づいて清掃エリアの各時間帯の混雑度を予想し、混雑度が低いと予想される時間帯に清掃時間帯を設定する。
【0050】
他の実施形態として、設定処理部414は、前記所定エリアの現在の混雑度を示す現混雑情報に基づいて、前記走行スケジュールを設定してもよい。具体的には、設定処理部414は、清掃対象のフロア1Fの現在の混雑状況を確認して、混雑度が閾値未満の場合に現在時刻を清掃時間帯として設定する。
【0051】
また他の実施形態として、予めユーザーにより入力された日時に基づいて清掃スケジュールが設定されている場合に、設定処理部414は、現在の混雑状況に基づいて前記清掃スケジュールを変更してもよい。例えば
図15に示すように、フロア1Fの2回目の清掃時間帯としてユーザーにより「13:00~13:30」が設定されている場合において、13:00の時点で混雑度が閾値以上の場合に、設定処理部414は清掃時間帯を変更する。例えば、設定処理部414は、混雑履歴情報に基づいて、混雑度が閾値未満となる「15:00~15:30」を清掃時間帯に設定する。また、設定処理部414は、前記清掃時間帯を、現在の混雑度が閾値未満となる時間帯に変更する。例えば、13:00の時点で混雑度が閾値以上であり、15時の時点で混雑度が閾値未満になった場合に、設定処理部414は、清掃時間帯を「13:00~13:30」から「15:00~15:30」に変更する。
【0052】
また他の実施形態として、設定処理部414は、混雑度が閾値以上となる時間帯の直後に走行装置10を走行させる走行スケジュールを設定してもよい。例えば、特定時間帯にフロア1Fが利用者で混雑する場合、特定時間帯の直後はフロア1Fが汚れている可能性が高くなる。そこで、設定処理部414は、混雑履歴情報に基づいて混雑度が閾値以上となる時間帯を抽出し、当該時間帯の直後に清掃時間帯を設定する。また、設定処理部414は、現混雑情報に基づいて現在の混雑度を算出し、当該混雑度が閾値以上となった場合にその直後の時間帯を清掃時間帯として設定する。
【0053】
また他の実施形態として、設定処理部414は、前記所定エリアの過去の混雑度を示す混雑履歴情報に基づいて候補時間帯を抽出し、優先順位に基づいて走行スケジュールを設定してもよい。具体的には、設定処理部414は、前記所定エリアの混雑履歴情報に基づいて、混雑度が閾値未満となる複数の候補時間帯のそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて、前記走行スケジュールを設定する。
【0054】
例えば、
図16に示すように、設定処理部414は、フロア2Fの混雑履歴情報に基づいて、混雑度が閾値未満となる複数の候補時間帯A1~A7を抽出する。設定処理部414は、フロア2Fの利用開始時刻(例えば9時)より前の候補時間帯A1、A2のうちいずれかを1回目の清掃時間帯に設定し、利用開始時刻以降の候補時間帯A3~A7のうちいずれかを2回目の清掃時間帯に設定する。例えば、設定処理部414は、候補時間帯A3~A7について、混雑度の低い順に優先順位を設定し、混雑度が最も低い優先順位第1位の候補時間帯を2回目の清掃時間帯に設定する。
【0055】
また例えば、設定処理部414は、候補時間帯A3~A7のそれぞれについて、直前の混雑度が高い順に優先順位を設定し、直前の混雑度が最も高い優先順位第1位の候補時間帯を2回目の清掃時間帯に設定してもよい。
図16に示す例では、候補時間帯A3~A7のうち候補時間帯A5の直前の混雑度が最も高いため、候補時間帯A5が優先順位第1となる。この場合、設定処理部414は、候補時間帯A5を2回目の清掃時間帯に設定する。このように、設定処理部414は、混雑度が高いほど清掃エリアの汚れが酷くなるため、混雑度に応じて優先順位を設定して清掃スケジュールを設定してもよい。
【0056】
また例えば、設定処理部414は、現混雑情報に基づいて、候補時間帯のうち清掃時間の対象時間帯を決定してもよい。例えば、優先順位第1位の候補時間帯の現在の混雑度が閾値以上であり清掃作業が困難になる可能性が高い場合には、設定処理部414は、優先順位第2位の候補時間帯を清掃時間帯に設定する。このように、設定処理部414は、過去の履歴に応じた優先順位に基づいて設定した清掃時間帯を、現在の混雑度に応じて優先順位が下位の候補時間帯に変更してもよい。
【0057】
また例えば、前回の清掃からの経過時間が短過ぎると清掃する必要がないにも関わらず2回目の清掃が実行されてしまう一方、前回の清掃からの経過時間が長過ぎると清掃エリアの汚れが酷くなってしまい清掃効率が低下する。そこで、設定処理部414は、例えば、1回目の清掃終了時刻から第1設定時間(例えば5時間)後、かつ前記清掃終了時刻から第2設定時間(例えば8時間)後までの間に、2回目の清掃時間帯を設定してもよい。
【0058】
また他の実施形態として、取得処理部413は、前記所定エリア内又は前記所定エリアから所定範囲内で開催されるイベントに応じた混雑情報を取得してもよい。前記イベントは、例えばコンサートなど人が集まる集会、催し物などである。例えば、清掃エリア内又は清掃エリア近辺においてイベントが開催される場合、清掃エリアの人流が多くなることが予想される。そこで、設定処理部414は、イベントが開催される時間帯(イベント時間帯)を清掃時間帯から除外する。例えば
図16に示すように、イベントが9:00~12:00に開催される場合に、設定処理部414は、イベント時間帯に含まれる候補時間帯A3、A4を清掃時間帯の候補から除外する。
【0059】
また、前記イベントの直後は清掃が必要になる可能性が高くなるため、設定処理部414は、前記イベント時間帯の直後の候補時間帯A5を清掃時間帯に設定してもよい。
【0060】
また他の実施形態として、清掃エリアが複数箇所設定されている場合に、設定処理部414は、走行装置10が複数の清掃エリアを移動する際の移動情報(移動時間、移動距離など)に基づいて、各清掃エリアの清掃スケジュールを設定してもよい。例えば、設定処理部414は、フロア1F、2F、3Fの1回目の清掃において、各フロアの移動時間(清掃所要時間)が最短時間となる時間帯に清掃時間帯を設定して、清掃スケジュールを生成する。
【0061】
以上のようにして、設定処理部414は、走行装置10の走行スケジュールを設定し、走行スケジュールに対応するスケジュール情報54(
図11参照)を記憶部50に記憶する。そして、走行処理部411は、設定処理部414により設定される前記走行スケジュールに基づいて、走行装置10を目標経路に従って走行させる。
【0062】
このように、設定処理部414は、ユーザーが清掃条件(清掃エリア、清掃経路、清掃回数など)を入力することにより、混雑情報に基づいて自動的に走行スケジュールを設定することが可能である。このため、ユーザーは、走行スケジュールを設定しなくてもよい。また、ユーザーが走行スケジュールを設定した場合には、設定処理部414は、混雑情報に基づいて最適な走行スケジュールに変更することも可能である。
【0063】
[走行処理]
以下、
図17を参照しつつ、走行装置10において実行される走行処理について説明する。具体的に、本実施形態では、走行装置10の制御部40によって前記走行処理が実行される。
【0064】
なお、本発明は、前記走行処理に含まれる一又は複数のステップを実行する走行方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記走行処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部40によって前記走行処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーによって当該走行処理における各ステップが分散して実行される走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0065】
まず、ステップS11において、制御部40は、走行装置10のユーザーから清掃条件の設定操作を受け付けたか否かを判定する。具体的には、制御部40は、操作部20において、ユーザーから清掃対象の場所(清掃エリア)、清掃経路(目標経路)、清掃回数を設定する設定操作を受け付けたか否かを判定する。制御部40は、前記清掃条件の設定操作を受け付けたと判定すると(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させる。制御部40は、前記清掃条件の設定操作を受け付けるまで待機する(S11:No)。
【0066】
ここでは、例えば、ユーザーは、清掃エリアとしてフロア1F(
図3参照)、2F(
図4参照)、3F(
図5参照)を選択し、フロア1Fの清掃経路として目標経路R1(
図7参照)を選択し、フロア2Fの清掃経路として目標経路R2(
図8参照)を選択し、フロア3Fの清掃経路として目標経路R3(
図9参照)を選択する。また、ユーザーは、各フロア1F、2F、3Fの清掃回数として「2回」を設定する。
【0067】
ステップS12において、制御部40は、混雑履歴情報を取得する。例えば、制御部40は、混雑情報53(
図10参照)を参照して、フロア1F、2F、3Fのそれぞれの混雑履歴情報を取得する。
【0068】
次にステップS13において、制御部40は、前記混雑履歴情報に基づいて、清掃作業が可能な時間帯(候補時間帯)を抽出する。例えば、制御部40は、フロア1Fについて、混雑履歴情報(
図10及び
図12参照)を参照して、混雑度が閾値未満の2つの候補時間帯(例えば、「7:00~7:30」及び「13:00~13:30」)を抽出する。また、制御部40は、フロア2Fについて、混雑履歴情報(
図10及び
図13参照)を参照して、混雑度が閾値未満の2つの候補時間帯(例えば、「8:00~8:30」及び「18:30~19:00」)を抽出する。また、制御部40は、フロア3Fについて、混雑履歴情報(
図10及び
図14参照)を参照して、混雑度が閾値未満の2つの候補時間帯(例えば、「9:00~9:30」及び「17:00~17:30」)を抽出する。
【0069】
次にステップS14において、制御部40は、清掃スケジュールを設定する。例えば、制御部40は、フロア1Fについて、1回目の清掃時間帯を「7:00~7:30」に設定し、2回目の清掃時間帯を「13:00~13:30」に設定する(
図12参照)。また例えば、制御部40は、フロア2Fについて、1回目の清掃時間帯を「8:00~8:30」に設定し、2回目の清掃時間帯を「18:30~19:00」に設定する(
図13参照)。また例えば、制御部40は、フロア3Fについて、1回目の清掃時間帯を「9:00~9:30」に設定し、2回目の清掃時間帯を「17:00~17:30」に設定する(
図14参照)。制御部40は、清掃スケジュールを設定すると、清掃スケジュールに対応するスケジュール情報54(
図11参照)を記憶部50に記憶する。
【0070】
次にステップS15において、制御部40は、清掃開始時刻になったか否かを判定する。制御部40は、清掃開始時刻になるまで待機し(S15:No)、清掃開始時刻になると(S15:Yes)、処理をステップS16に移行させる。
【0071】
ステップS16において、制御部40は、現在の混雑度が閾値未満であるか否かを判定する。制御部40は、現在の混雑度が閾値未満であると判定すると(S16:Yes)、処理をステップS17に移行させる。一方、制御部40は、現在の混雑度が閾値以上であると判定すると(S16:No)、処理をステップS161に移行させる。
【0072】
ステップS17において、制御部40は、走行装置10の走行処理及び清掃処理を開始させる。例えば、制御部40は、フロア1F(
図7参照)において、1回目の清掃開始時刻(「7:00」)に走行開始位置S1から自律走行を開始させるとともに清掃作業を開始させる。また例えば、制御部40は、フロア1Fにおいて、2回目の清掃開始時刻(「13:00」)に走行開始位置S1から自律走行を開始させるとともに清掃作業を開始させる。
【0073】
一方、ステップS161では、制御部40は、清掃スケジュールを変更する。例えば
図15に示すように、フロア1Fにおいて2回目の清掃開始時刻「13:00」の時点でフロア1Fの混雑度が閾値以上であった場合に、制御部40は清掃時間帯を変更する。例えば、混雑履歴情報に基づいて、次に混雑度が閾値未満となる時間帯(ここでは「15:00~15:30」)を清掃時間帯に設定する。制御部40は、変更した清掃スケジュールを記憶部50に記憶する。制御部40は、ステップS161の後、処理をステップS15に移行させる。
【0074】
このように、制御部40は、現在の混雑度が閾値未満となるまで清掃スケジュールを変更する処理を繰り返し実行する。
【0075】
ステップS18において、制御部40は、清掃処理を終了したか否かを判定する。すなわち、制御部40は、走行装置10が清掃スケジュールに設定された清掃処理を全て完了したか否かを判定する。制御部40は、清掃処理が終了したと判定すると(S18:Yes)、前記走行処理を終了する。上述の例では、制御部40は、走行装置10がフロア1F、2F、3Fのそれぞれの清掃エリアにおいて2回ずつ清掃処理を実行した場合に、前記走行処理を終了する。制御部40は、清掃処理終了すると、走行装置10を所定位置に帰還させる。一方、制御部40は、清掃処理が終了していないと判定すると(S18:No)、処理をステップS15に移行させて上述の処理を繰り返し実行する。
【0076】
なお、清掃スケジュールの設定方法はこれに限定されず、上述した各実施形態に係る設定方法であってもよい。また、制御部40は、上述した各実施形態に係る設定方法のいずれか一つにより清掃スケジュールを設定してもよいし、複数の設定方法を組み合わせて清掃スケジュールを設定してもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る走行装置10は、所定エリアに設定された目標経路に従って自律走行する。また、走行装置10は、前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報53(
図10参照)を取得し、混雑情報53に基づいて走行装置10の走行スケジュールを設定する。そして、走行装置10は、設定した前記走行スケジュールに基づいて、前記目標経路に従って自律走行する。
【0078】
上記構成によれば、走行装置10は、混雑状態に応じた走行スケジュールに基づいて目標経路を走行する。例えば、走行装置10は、混雑している時間帯を避けて目標経路を走行したり、最も空いている時間帯に目標経路を走行したりすることができる。このため、走行装置10は、混雑状況に応じて走行経路が変化したり、自律走行を停止したりすることを回避することができる。また、例えば走行装置10が清掃ロボットの場合に、走行装置10の走行経路が予め設定した清掃経路から逸脱することにより前記所定エリアを適切に清掃できない事態が生じることを防ぐことができる。
【0079】
このように、所定エリアの混雑情報を走行装置10の走行スケジュールに反映することにより、所定エリアの混雑状況に応じて走行装置10を目標経路に従って適切に走行させることが可能となる。
【0080】
上述した実施形態に係る走行装置10は、設定した清掃スケジュールに基づいて、清掃経路(目標経路)に従って走行処理及び清掃処理を実行する構成であるが、本発明の走行装置はこれに限定されない。他の実施形態として、走行装置10は、所定エリアを警備する警備ロボットであってもよい。この場合、制御部40は、前記混雑度が閾値以上となる時間帯に走行装置10を走行させる走行スケジュール(警備スケジュール)を設定してもよい。また、制御部40は、所定エリアの過去の混雑度が閾値以上となる複数の時間帯のそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて警備スケジュールを設定してもよい。また、制御部40は、イベントが開催される時間帯(イベント時間帯)を警備時間に設定してもよい。これにより、施設内を効率よく警備することができる。
【0081】
また、他の実施形態として、走行装置10は、所定エリアで広告を報知する広告ロボットであってもよい。例えば、走行装置10は、施設(店舗)の広告(案内)を表示パネル21に表示させる。この場合、制御部40は、前記混雑度が閾値以上となる時間帯に走行装置10を走行させる走行スケジュール(広告スケジュール)を設定してもよい。また、制御部40は、所定エリアの過去の混雑度が閾値以上となる複数の時間帯のそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて広告スケジュールを設定してもよい。また、制御部40は、イベントが開催される時間帯(イベント時間帯)を広告時間に設定してもよい。また、制御部40は、前記混雑度に応じて表示内容を変更してもよい。これにより、施設内において広告効果を高めることができる。
【0082】
このように、本発明の走行装置10は、混雑度が高い時間帯に走行する走行スケジュールを設定してもよいし、混雑度が低い時間帯に走行する走行スケジュールを設定してもよい。また、走行装置10は、これら走行スケジュールの設定方法を、用途(清掃、警備、広告など)に切り替えてもよい。
【0083】
上述した実施形態では、走行装置10単体が本発明に係る走行システムに相当するが、本発明に係る走行システムは、走行装置10及びサーバ(情報処理装置)のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、走行装置10及びサーバーのうち複数の構成要素が協働して前記走行処理(
図17参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る走行システムとして捉えることが可能である。例えば、前記サーバー単体が本発明に係る走行システムを構成してもよい。具体的には、前記サーバーが、
図2に示す制御部40の各処理部(走行処理部411、受付処理部412、取得処理部413、設定処理部414)を備え、走行装置10を制御してもよい。
【0084】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0085】
<付記1>
所定エリアに設定された目標経路に従って走行装置を走行させる走行システムであって、
前記所定エリアの混雑状態を示す混雑情報を取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得される前記混雑情報に基づいて、前記走行装置の走行スケジュールを設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定される前記走行スケジュールに基づいて、前記走行装置を前記目標経路に従って走行させる走行処理部と、
を備える走行システム。
【0086】
<付記2>
前記設定処理部は、前記所定エリアの過去の混雑状態を示す混雑履歴情報に基づいて、前記走行スケジュールを設定する、
付記1に記載の走行システム。
【0087】
<付記3>
前記設定処理部は、前記所定エリアの現在の混雑状態を示す現混雑情報に基づいて、前記走行スケジュールを設定する、
付記1又は2に記載の走行システム。
【0088】
<付記4>
前記設定処理部は、前記混雑状態を表す混雑度が閾値未満となる時間帯に前記走行装置を走行させる前記走行スケジュールを設定する、
付記1~3のいずれかに記載の走行システム。
【0089】
<付記5>
前記設定処理部は、前記混雑状態を表す混雑度が閾値以上となる時間帯の直後に前記走行装置を走行させる前記走行スケジュールを設定する、
付記1~4のいずれかに記載の走行システム。
【0090】
<付記6>
前記設定処理部は、前記所定エリアの過去の混雑状態を表す混雑度が閾値未満となる複数の時間帯のそれぞれに優先順位を設定し、前記優先順位に基づいて前記走行スケジュールを設定する、
付記1~5のいずれかに記載の走行システム。
【0091】
<付記7>
前記取得処理部は、前記所定エリア内又は前記所定エリアから所定範囲内で開催されるイベントに応じた前記混雑情報を取得する、
付記1~6のいずれかに記載の走行システム。
【0092】
<付記8>
前記設定処理部は、ユーザーにより入力された日時に基づいて設定された走行スケジュールを、前記混雑情報に基づいて変更する、
付記1~7のいずれかに記載の走行システム。
【符号の説明】
【0093】
10 :走行装置
30 :カメラ
40 :制御部
50 :記憶部
51 :地図情報
52 :経路情報
53 :混雑情報
54 :スケジュール情報
411 :走行処理部
412 :受付処理部
413 :取得処理部
414 :設定処理部