(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020153
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】キャパシタ部品特性測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 27/26 20060101AFI20240206BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G01R27/26 C
G01R27/26 L
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116263
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0095485
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、セ ジョー
(72)【発明者】
【氏名】パク、セウン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ヒー スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン フーン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン ジン
【テーマコード(参考)】
2G028
2G036
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BB06
2G028BB07
2G028CG06
2G028CG07
2G028CG13
2G036AA04
2G036BB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャパシタ部品特性の測定性能(効率性、便宜性、正確度、精度、及び汎用性のうち少なくとも一つ)を向上させることができるキャパシタ部品特性測定装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置は、キャパシタ部品に連結されるように構成された測定端子と、測定端子に電気的に連結されたインダクタと、キャパシタ部品及びインダクタのLC共振に基づいてキャパシタ部品の特性情報を生成するように構成されたコントローラと、を含み、コントローラは、LC共振の共振周波数及び振幅のうち少なくとも一つに従属的なインダクタンス及び共振周波数に基づいてキャパシタ部品の静電容量情報を生成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタ部品に連結されるように構成された測定端子と、
前記測定端子に電気的に連結されたインダクタと、
前記キャパシタ部品及び前記インダクタのLC共振に基づいて前記キャパシタ部品の特性情報を生成するように構成されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記LC共振の共振周波数及び振幅のうち少なくとも一つに従属的なインダクタンス及び前記共振周波数に基づいて前記キャパシタ部品の静電容量情報を生成する、キャパシタ部品特性測定装置。
【請求項2】
前記インダクタンスの前記LC共振の共振周波数の変化による変化率は、前記共振周波数に応じて異なる、請求項1に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項3】
前記コントローラは、所定の複数の共振周波数の範囲のうち、前記LC共振の共振周波数が属する共振周波数の範囲に対応するインダクタンス決定方式によるインダクタンス及び前記共振周波数に基づいて前記静電容量情報を生成する、請求項1に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項4】
前記インダクタンス決定方式の共振周波数の敏感度は、前記複数の共振周波数の範囲のうち、前記LC共振の共振周波数が属する共振周波数の範囲に応じて異なる、請求項3に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記複数の共振周波数の範囲のうち、前記LC共振の共振周波数が属する共振周波数の範囲に対応するインダクタンス定数と、前記LC共振の共振周波数とに基づいて前記静電容量情報を生成する、請求項3に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項6】
可変DC電圧を前記測定端子に提供するDC電圧提供器をさらに含む、請求項1に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項7】
前記DC電圧提供器は、
0.1mF以上の静電容量を有し、前記測定端子に電気的に連結される大容量キャパシタを含む、請求項6に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項8】
前記DC電圧提供器は、
バッテリや外部から提供される電圧を昇圧するブーストDC-DCコンバータと、
前記ブーストDC-DCコンバータの出力端に電気的に連結される可変抵抗と、を含む、請求項6に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記測定端子に連結可能な部品のインピーダンスのうち、静電容量情報のみを生成するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項10】
前記キャパシタ部品に結合可能に構成された治具をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項11】
前記LC共振の振幅が目標振幅に近づくように、前記LC共振に対してフィードバックするように構成されたレギュレータをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項12】
キャパシタ部品に連結されるように構成された測定端子と、
前記測定端子に電気的に連結されたインダクタと、
前記キャパシタ部品及び前記インダクタのLC共振に基づいて前記キャパシタ部品の特性情報を生成するように構成されたコントローラと、
前記LC共振の振幅が目標振幅に近づくように、前記LC共振に対してフィードバックするように構成されたレギュレータと、を含む、キャパシタ部品特性測定装置。
【請求項13】
前記インダクタと前記コントローラとの間に電気的に連結され、前記LC共振の波形を変換する波形変換器をさらに含み、
前記レギュレータは、前記波形変換器の出力を前記LC共振に対するフィードバックに利用する、請求項12に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項14】
前記レギュレータは、前記LC共振の振幅及び前記目標振幅に基づいて決定される利得に応じて前記波形変換器の出力の振幅を調節し、振幅が調節された波形変換器の出力を前記測定端子及び前記インダクタのうち少なくとも一つに伝達するように構成された共振電圧振幅変換器を含む、請求項13に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項15】
前記レギュレータは、
前記測定端子及び前記インダクタのうち少なくとも一つに電気的に連結される入力端を有し、入力される信号を整流するように構成された共振電圧測定器と、
前記目標振幅に対応する目標電圧を提供するように構成された目標電圧提供器と、
前記共振電圧測定器の出力端の電圧と前記目標電圧との間の差電圧を増幅するように構成された誤差増幅器と、を含み、
前記レギュレータは、前記差電圧に基づいて前記LC共振に対してフィードバックする、請求項12に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項16】
可変DC電圧を前記測定端子に提供するDC電圧提供器をさらに含む、請求項12に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項17】
前記DC電圧提供器は、
0.1mF以上の静電容量を有し、前記測定端子に電気的に連結される大容量キャパシタを含む、請求項16に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項18】
前記DC電圧提供器は、
バッテリや外部から提供される電圧を昇圧するブーストDC-DCコンバータと、
前記ブーストDC-DCコンバータの出力端に電気的に連結される可変抵抗と、を含む、請求項16に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記測定端子に連結可能な部品のインピーダンスのうち、静電容量情報のみを生成するように構成された、請求項12から18のいずれか一項に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【請求項20】
前記キャパシタ部品に結合可能に構成された治具をさらに含む、請求項12から18のいずれか一項に記載のキャパシタ部品特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器と電気機器(車両を含む)の需要が第4次産業革命に伴って急増しており、電子機器/電気機器に使用されるキャパシタ部品の需要も急増している。
【0003】
したがって、電子機器/電気機器の製造者とキャパシタ部品の製造者間のキャパシタ部品の取引も急激に多くなり、キャパシタ部品の取引過程における重要な情報であるキャパシタ部品特性を測定する上での効率性及び便宜性もますます重要となっている。
【0004】
また、電子機器/電気機器が提供するサービスがますます複雑になっているため、電子機器/電気機器に要求される性能は次第に高まっており、キャパシタ部品の特性に対してもますます高い正確度/精度が要求されており、互いに異なる特性を有する様々な機種のキャパシタ部品が製造されている。キャパシタ部品の機種が多様であるほど、キャパシタ部品特性の測定時に正確度/精度を確保する難易度(汎用性)は高くなり得る。
【0005】
結局、キャパシタ部品特性を測定する装置の性能は、キャパシタ部品特性測定の効率性、便宜性、正確度、精度及び汎用性に基づいて評価することができ、上記装置の性能はますます重要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、キャパシタ部品特性の測定性能(効率性、便宜性、正確度、精度、及び汎用性のうち少なくとも一つ)を向上させることができるキャパシタ部品特性測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置は、キャパシタ部品に連結されるように構成された測定端子と、上記測定端子に電気的に連結されたインダクタと、上記キャパシタ部品及び上記インダクタのLC共振に基づいて上記キャパシタ部品の特性情報を生成するように構成されたコントローラと、を含み、上記コントローラは、上記LC共振の共振周波数及び振幅のうち少なくとも一つに従属的なインダクタンス及び上記共振周波数に基づいて上記キャパシタ部品の静電容量情報を生成することができる。
【0009】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置は、キャパシタ部品に連結されるように構成された測定端子と、上記測定端子に電気的に連結されたインダクタと、上記キャパシタ部品及び上記インダクタのLC共振に基づいて上記キャパシタ部品の特性情報を生成するように構成されたコントローラと、上記LC共振の振幅が目標振幅に近づくように上記LC共振に対してフィードバックするように構成されたレギュレータと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャパシタ部品特性測定装置は、キャパシタ部品特性の測定性能(効率性、便宜性、正確度、精度及び汎用性のうち少なくとも一つ)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置を示す回路図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置を示すブロック図である。
【
図3a】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置のコントローラの動作を示すフローチャートである。
【
図3b】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置のインダクタのインダクタンス特性を示すグラフである。
【
図3c】
図3bのインダクタンス特性のうち一つを複数の共振周波数の範囲に分割することを示すグラフである。
【
図3d】
図3cの複数の共振周波数の範囲毎のインダクタンス特性及びそれを多項式で近似化することを示すグラフである。
【
図3e】
図3cの複数の共振周波数の範囲毎のインダクタンス特性及びそれを多項式で近似化することを示すグラフである。
【
図3f】
図3cの複数の共振周波数の範囲毎のインダクタンス特性及びそれを多項式で近似化することを示すグラフである。
【
図3g】
図3cの複数の共振周波数の範囲毎のインダクタンス特性及びそれを多項式で近似化することを示すグラフである。
【
図3h】
図3cの複数の共振周波数の範囲毎のインダクタンス特性及びそれを多項式で近似化することを示すグラフである。
【
図3i】LC共振の振幅がより低くなるにつれて変化したインダクタンス特性を示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置の可変DC電圧提供器を示す回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置のレギュレータを示す回路図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置の波形変換器を示す回路図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置の携帯性(portable)外形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。本発明の様々な実施形態は互いに異なるが、相互に排他的である必要はないことを理解すべきである。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施形態に関し、本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現することができる。また、開示された各実施形態における個々の構成要素の位置又は配置は、本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲内で変更できることを理解すべきである。よって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取るべきではなく、本発明の範囲は、適切に説明されている限り、当該特許請求の範囲が主張するものと均等な全ての範囲と共に添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。図面における類似の参照符号は、いくつかの側面にわたって同一又は類似の機能を指す。
【0013】
以下では、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が、本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、測定端子100、インダクタ200及びコントローラ300を含むことができ、キャパシタ部品CCの特性(例えば、静電容量、DC電圧に応じた静電容量、AC電圧の振幅に応じた静電容量、AC電圧の周波数に応じた静電容量)を測定することができる。
【0015】
測定端子100は、キャパシタ部品CCに連結されるように構成されることができる。例えば、測定端子100はプローブ(probe)を含むことができ、ケーブル(cable)に連結されることができる。したがって、ユーザは、測定端子100をキャパシタ部品CCの外部電極に接触させることによりキャパシタ部品CCを測定することができる。あるいは、測定端子100は、プリント回路基板に対して固定的に配置され、外部に露出したピンの形態であってもよく、ユーザは、キャパシタ部品CCを上記ピンに配置させることによりキャパシタ部品CCを測定することができる。
【0016】
インダクタ200は測定端子100に電気的に連結されることができる。例えば、インダクタ200はコイル部品であってもよく、プリント回路基板上に予め実装されてもよい。あるいは、インダクタ200は、上記コイル部品ではなく、プリント回路基板の配線がコイル状に形成された構造であってもよい。
【0017】
コントローラ300は、キャパシタ部品CC及びインダクタ200のLC共振に基づいてキャパシタ部品CCの特性情報を生成するように構成されることができる。キャパシタ部品CCとインダクタ200の組み合わせ構造におけるインピーダンスは、周波数によって変わることができ、LC共振の共振周波数における最小値(LC直列共振の場合)又は最大値(LC並列共振の場合)であることができる。回路理論的には、上記共振周波数の二乗は、[1/{(インダクタンス)*(静電容量)*4*(pi)*(pi)}]であり得る。コントローラ300は、上記静電容量を除く残りの情報を全て得ることができ、上記残りの情報に基づいて上記静電容量に対応する特性情報を生成することができる。
【0018】
したがって、LC共振に基づいて静電容量に対応する特性情報を得るのに必要な構造は簡素化することができるため、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、
図7に示すキャパシタ部品特性測定装置50outのように携帯用への実現、並びにキャパシタ部品特性測定性能のうち効率性/便宜性の向上に有利であり得る。
【0019】
上記インピーダンスの最小値及び最大値は、それぞれ0及び無限大に近づくことができるため、上記共振周波数の変化に応じて上記共振周波数付近でのインピーダンスの変化率は大きくなることができる。したがって、RC共振と比較して、LC共振に基づいて静電容量に対応する特性情報を測定する正確度/精度は相対的にさらに高くなることができる。したがって、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、キャパシタ部品特性測定性能のうち正確度/精度の向上に有利であり得る。
【0020】
キャパシタ部品CCは、積層セラミックキャパシタ(Multi Layer Ceramic Capacitor、MLCC)であってもよいが、これに限定されない。キャパシタ部品CCの静電容量は、キャパシタ部品CCの機種によって多様であり得る。例えば、積層セラミックキャパシタの静電容量の範囲は約1nF~47μFであり得るため、広い範囲であり得る。
【0021】
一般に、静電容量を測定する装置の効率性/便宜性及び正確度/精度が高いほど、静電容量の測定範囲は制限的であり得る。たとえ、上記装置が広い静電容量の測定範囲を提供しても、上記広い静電容量の測定範囲のうち一部の範囲における正確度/精度は低くなることができる。
【0022】
インダクタンスが定数であると仮定すると、LC共振の共振周波数は、キャパシタ部品CCの静電容量が変化するにつれて変わることができる。実際のインダクタ200のインダクタンスは、インダクタ200の磁性材料や金属材料の特性により、LC共振の共振周波数や振幅に若干従属的であり得るため、実際の共振周波数はキャパシタ部品CCの静電容量の変化によって一次的に変化するだけでなく、インダクタ200のインダクタンスの変化に応じて二次的に変化することができる。また、LC共振の物理的な特性上、LC共振の振幅もLC共振の共振周波数の変化に応じて変わることができる。
【0023】
コントローラ300は、LC共振の共振周波数及び振幅のうち少なくとも一つに従属的なインダクタンス及び共振周波数に基づいてキャパシタ部品CCの静電容量情報を生成することができる。したがって、コントローラ300は、LC共振の共振周波数や振幅を考慮して、より正確に決定されるインダクタンスを用いて静電容量を演算することができるため、キャパシタ部品CCの静電容量情報をより正確に生成することができる。
【0024】
これにより、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、測定性能の効率性/便宜性及び正確度/精度の向上に有利でありながらも、キャパシタ部品CCの広い静電容量の範囲で測定の正確度/精度を安定的に確保することができる。
【0025】
図2及び
図3aを参照すると、コントローラ300の周波数測定部310は、キャパシタ部品とインダクタのLC共振が発生(S124)する場合、LC共振の振幅を測定(S510)するか、共振周波数を測定(S310)することができる。コントローラ300のC値演算部320は、LC共振の共振周波数及び振幅のうち少なくとも一つに基づいてキャパシタ部品CCの静電容量情報(C値)を演算(S320)することができ、コントローラ300のC値出力部330は、演算された静電容量情報(output)を出力(S330)することができる。
【0026】
例えば、コントローラ300は、マイクロコントローラユニット(micro controller unit、MCU)であってもよく、
図3aのフローチャートに対応するアルゴリズムは組み込みシステムとしてコントローラ300に設計されることができる。設計に応じて、コントローラ300は、キャパシタ部品特性測定装置50inの複数のノード(MN)の電圧値情報や電流値情報を収集することができ、収集した情報をキャパシタ部品特性測定装置50inの全体的な制御や管理に使用することができる。
【0027】
図3bの横軸と縦軸はLC共振の共振周波数とインダクタのインダクタンスをそれぞれ示し、
図3bの2つの曲線はLC共振の実効電圧(Vm)がそれぞれ0.5V及び1Vである場合の共振周波数によるインダクタンス特性を示す。
図3bを参照すると、インダクタのインダクタンスは、LC共振の共振周波数や振幅に従属的であることができ、インダクタンスのLC共振の共振周波数の変化による変化率は共振周波数に応じて異なることができる。上記変化率が共振周波数に応じて異なるとは、インダクタンス特性が非線形的であることを意味することができる。
【0028】
例えば、
図3aを参照すると、コントローラは、LC共振の振幅測定値に基づいて発生したLC共振の実効電圧(Vm)が0.4V~0.6Vの第1実効電圧の範囲に属するか、0.9V~1.1Vの第2実効電圧の範囲に属するかを判断(S321)することができる。その後、コントローラは、判断結果に応じて、第1実効電圧の範囲に対応するインダクタンス特性の共振周波数に対応するインダクタンスを決定(S322)するか、又は第2実効電圧の範囲に対応するインダクタンス特性の共振周波数に対応するインダクタンスを決定(S323)することができ、LC共振の実効電圧(Vm)が所定の実効電圧の範囲に属さない場合にはエラー(error)と判断することができる。エラー(error)の場合、コントローラは待機時間を置くことができ、待機時間中にLC共振の実効電圧(Vm)をさらに調節することができる。その後、コントローラは、決定されたインダクタンスを用いて静電容量情報(C値)を演算(S324)することができる。
図3aは、実効電圧範囲の個数が2つであり、幅が一定であることを示しているが、実効電圧の範囲の個数と幅は特に限定されない。
【0029】
設計に応じて、コントローラは、LC共振が発生する前にモード情報(input)の入力(S301)を受けることができ、モード情報に応じて決定された実効電圧の範囲に対応するインダクタンス特性を用いてインダクタンスを決定することもできる。例えば、上記モード情報はユーザの入力によって生成されることができる。
【0030】
例えば、キャパシタ部品CCの静電容量が高いほど、キャパシタ部品CCの特性を測定するためのLC共振の実効電圧(Vm)の最適値は小さくなることができる。例えば、上記最適値は、キャパシタ部品CCの静電容量が10μF以下の場合には1Vであり、キャパシタ部品CCの静電容量が10μFを超える場合には0.5mVであることができる。ユーザは、キャパシタ部品CCの静電容量に応じて上記モード情報を入力することができる。
【0031】
例えば、キャパシタ部品CCが積層セラミックキャパシタ(MLCC)である場合、LC共振の実効電圧(Vm)の最適値は、キャパシタ部品CCの強誘電体材料の特性(例えば、チタン酸バリウム組成物の組成比の差)によって異なり得るため、ユーザはキャパシタ部品CCの強誘電体材料の特性に応じて上記モード情報を入力することもできる。
【0032】
図3cを参照すると、
図3bのインダクタンス特性のうち一つは、複数の共振周波数の範囲に対応する複数のインダクタンス特性に分割することができる。
図3cは、5つの共振周波数の範囲を示しているが、共振周波数の範囲の個数は特に限定されない。
【0033】
図3d~
図3hの実線は、
図3bのインダクタンス特性のうち一つの一部分を示し、
図3d~
図3hの破線は、インダクタンス特性と類似の特性を有する多項式に対応する曲線を示す。多項式においてx及びyは、横軸値及び縦軸値にそれぞれ対応することができる。
【0034】
図3d~
図3hを参照すると、
図3cのインダクタンス特性は、第1共振周波数の範囲(187~331Hz)に対応する第1インダクタンス特性と、第2共振周波数の範囲(331~457Hz)に対応する第2インダクタンス特性と、第3共振周波数の範囲(457~658Hz)に対応する第3インダクタンス特性と、第4共振周波数の範囲(658~1429Hz)に対応する第4インダクタンス特性と、第5共振周波数の範囲(1429~2498Hz)に対応する第5インダクタンス特性とに分割することができる。したがって、コントローラは、所定の複数の共振周波数の範囲のうち、LC共振の共振周波数が属する共振周波数の範囲に対応するインダクタンス決定方式(例えば、所定の多項式)によるインダクタンス及び共振周波数に基づいて静電容量情報を生成することができる。
【0035】
第1、第2、第3、第4及び第5インダクタンス特性に対応する第1、第2、第3、第4及び第5多項式のx変数の係数は互いに異なり得る。したがって、上記インダクタンス決定方式の共振周波数の敏感度は、複数の共振周波数の範囲のうち、LC共振の共振周波数が属する共振周波数の範囲に応じて異なることができる。
【0036】
設計に応じて、第1、第2、第3、第4及び第5インダクタンス特性のそれぞれは、インダクタンス定数として簡素化することができる。したがって、コントローラは、複数の共振周波数の範囲のうち、LC共振の共振周波数が属する共振周波数の範囲に対応するインダクタンス定数と、LC共振の共振周波数とに基づいて静電容量情報を生成することができる。
【0037】
図3iを参照すると、LC共振の実効電圧(Vm)が150mVである場合のインダクタンス特性は、
図3bのインダクタンス特性と異なり得る。
【0038】
一方、
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、LC共振の振幅が目標振幅に近づくように、LC共振に対してフィードバックするように構成されたレギュレータ500をさらに含むことができる。
【0039】
これにより、キャパシタ部品CCの静電容量が変化したり、LC共振の共振周波数が変化したりすることによるLC共振の振幅変化を抑制することができる。したがって、インダクタ200のインダクタンスに影響を及ぼし得る2つの変数(共振周波数と振幅)のうち一つ(振幅)を除去することができるため、インダクタ200のインダクタンスの正確性が効率的に高くなることができる。
【0040】
これにより、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、測定性能の効率性/便宜性及び正確度/精度の向上に有利でありながらも、キャパシタ部品CCの広い静電容量の範囲で測定の正確度/精度を安定的に確保することができる。
【0041】
図1、
図2及び
図5を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inのレギュレータ500は、共振電圧測定器510、目標電圧提供器520、比較器530、誤差増幅器540、及び共振電圧振幅変換器550のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0042】
共振電圧測定器510は、測定端子100及びインダクタ200のうち少なくとも一つに電気的に連結される入力端を有し、入力される信号を整流するように構成されることができる。例えば、共振電圧測定器510は、整流器510-1及び測定値提供器510-2を含むことができる。
【0043】
例えば、整流器510-1は、演算増幅器A51と、複数の抵抗R51、R52と、複数のダイオードD51、D52のうち、少なくとも一部の組み合わせによって構成される半波整流器であってもよい。設計に応じて、電圧追従器515は、整流器510-1の出力端の電圧を比較器及び誤差増幅器530+540に正確に伝達することができ、回路的な方向性及び絶縁性を形成することができ、演算増幅器Bと、抵抗R53とキャパシタC51のうち少なくとも一部の組み合わせによって構成されることができる。例えば、測定値提供器510-2は、整流器510-1や電圧追従器515の出力電圧をコントローラ300に提供することができ、演算増幅器Cを含むことができる。
【0044】
目標電圧提供器520は、目標振幅に対応する目標電圧を比較器及び誤差増幅器530+540に提供するように構成されることができる。設計に応じて、目標電圧提供器520は、コントローラ300から伝達された目標電圧の決定信号に従って決定された目標電圧を提供することができる。上記目標電圧の決定信号は、ユーザが入力できるモード情報に対応することができる。
【0045】
比較器及び誤差増幅器530+540は、共振電圧測定器510の出力端の電圧と目標電圧との間の差電圧を増幅するように構成されることができる。したがって、レギュレータ500は、上記差電圧に基づいてLC共振に対してフィードバックすることができる。例えば、比較器及び誤差増幅器530+540は、演算増幅器A53と、複数の抵抗R54、R55と、複数のキャパシタC52、C53、C54のうち少なくとも一部の組み合わせによって構成されることができる。例えば、電圧追従器545は比較器及び誤差増幅器530+540の出力端に連結され、出力電圧を共振電圧振幅変換器550に正確に伝達することができ、回路的な方向性及び絶縁性を形成することができ、演算増幅器Dを含むことができる。
【0046】
共振電圧振幅変換器550は、LC共振の振幅及び目標振幅に基づいて決定される利得に応じて波形変換器600の出力の振幅を調節し、振幅が調節された波形変換器600の出力を測定端子100及びインダクタ200のうち少なくとも一つに伝達するように構成されることができる。
【0047】
例えば、共振電圧振幅変換器550は、演算増幅器A55と、複数の抵抗R56、R57のうち少なくとも一部の組み合わせによって構成されることができる。バイアス電圧V37は、複数の抵抗R56、R57に提供されることができる。複数の抵抗R56、R57の間の電圧は、演算増幅器A55の第1入力端に伝達されることができ、基準電圧として使用されることができる。波形変換器600の出力電圧は、演算増幅器A55の第2入力端に伝達されることができ、比較器及び誤差増幅器530+540の出力電圧は演算増幅器A55の電源として使用されることができる。したがって、演算増幅器A55の出力端の電圧は、比較器及び誤差増幅器530+540の出力電圧に基づく利得に応じて波形変換器600の出力電圧から増幅された電圧であり得る。
【0048】
共振電圧振幅変換器550の出力端は、DCブロックキャパシタCO2又は負荷抵抗R58に連結されることができ、共振電圧振幅変換器550の出力電圧は、キャパシタ部品が連結される測定端子100とインダクタ200のLC共振に対するフィードバックに使用されることができる。したがって、レギュレータ500は、波形変換器600の出力をLC共振に対するフィードバックに利用することができる。
【0049】
図1及び
図6を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、インダクタ200とコントローラ300との間に電気的に連結され、LC共振の波形を変換する波形変換器600をさらに含むことができる。
【0050】
波形変換器600は、複数の演算増幅器A61、A62と、複数の抵抗R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68と、複数のキャパシタC61、C62のうち少なくとも一部の組み合わせによって構成されることができ、電源V38の提供を受けることができ、波形変換器600の入力端がDCブロックキャパシタCO1に連結されることができる。
【0051】
例えば、波形変換器600は、LC共振の正弦波波形をパルス(pulse)波形に変換することができる。パルス波形は、レギュレータ500において、LC共振に対するフィードバックのための振幅調節にさらに効率的であり得る。
【0052】
図1、
図2及び
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、可変DC電圧を測定端子100に提供するDC電圧提供器400をさらに含むことができる。
【0053】
キャパシタ部品CCの静電容量は、印加されるDC電圧に応じて異なり得る。キャパシタ部品特性測定装置50inは、キャパシタ部品CCに印加されるDC電圧を可変しながらキャパシタ部品CCの静電容量を測定することにより、キャパシタ部品CCの印加されるDC電圧に応じた静電容量特性(DC-bias特性)を測定することができる。
【0054】
また、キャパシタ部品特性測定装置50inは、LC共振に基づいて静電容量を測定することができるため、キャパシタ部品CCに印加するDC電圧が静電容量測定の正確度に与える影響は、RC共振方式における影響に比べて小さいことができる。したがって、キャパシタ部品特性測定装置50inは、キャパシタ部品CCのDC-bias特性を正確に測定することができる。
【0055】
例えば、DC電圧提供器400は、可変抵抗器410と、電圧追従器420と、大容量キャパシタ430と負荷抵抗R42のうち少なくとも一部を含むことができ、電源V39の提供を受けることができる。可変抵抗410から電圧追従器420に提供される電圧は、電源V39と可変抵抗410の抵抗値に基づいて決定されることができ、電圧追従器420によって正確にキャパシタ部品CCに印加されることができる。負荷抵抗R42の抵抗値は、測定端子100の負荷抵抗R11、R21に基づいて決定されることができる。
【0056】
大容量キャパシタ430は、0.1mF以上の静電容量を有して測定端子100に電気的に連結されることができる。大容量キャパシタ430の静電容量がキャパシタ部品CCの静電容量よりも遥かに大きいため、キャパシタ部品CCの静電容量の変化において、DC電圧提供器400が提供するDC電圧に与える影響が減少することができる。したがって、キャパシタ部品特性測定装置50inは、キャパシタ部品CCのDC-bias特性をより正確に測定することができる。例えば、大容量キャパシタ430は電解キャパシタであってもよく、2.2mFの静電容量を有してもよく、キャパシタ部品CCに直列に連結されてもよい。
【0057】
設計に応じて、キャパシタ部品特性測定装置50inはDC電圧測定器450をさらに含むことができ、DC電圧測定器450はDC電圧提供器400によってキャパシタ部品CCに提供されるDC電圧を測定し、測定結果V45をコントローラ300に伝達することができる。コントローラ300は、DC電圧の測定結果と測定された静電容量情報とに基づいて、キャパシタ部品CCのDC-bias特性情報を生成することができる。例えば、DC電圧測定器450は複数の抵抗R45、R46を含むことができ、複数の抵抗R45、R46の抵抗値は測定端子100の負荷抵抗R11、R21に基づいて決定されることができる。
【0058】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50inは、バッテリ380や外部連結端子370から提供される電圧を昇圧するブーストDC-DCコンバータ390を含むことができる。例えば、外部連結端子370は他の電子機器のUSB(Universal Serial Bus)であってもよく、バッテリ380は小型の電子機器に使用可能な二次電池や全固体電池であってもよく、キャパシタ部品特性測定装置50inに含まれてもよい。
【0059】
ブーストDC-DCコンバータ390により、バッテリ380や外部連結端子370から提供される電圧は、3.3Vや5Vのように小さい電圧であることができ、DC電圧提供器400のDC電圧の可変範囲(例えば、0V~25V)は広くなることができる。キャパシタ部品特性測定装置50inは、バッテリ380や外部連結端子370から小さい電圧の提供を受けることができるため、携帯用への実現、並びにキャパシタ部品特性測定性能のうち効率性/便宜性の向上に有利であり得る。
【0060】
図7を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品特性測定装置50outは、測定端子100、治具101、第1入力部301、出力部330、外部連結端子370及び第2入力部401のうち少なくとも一つを含むことができ、携帯用測定装置として実現することができる。携帯性を高めるために、キャパシタ部品特性測定装置50outのコントローラは、測定端子100に連結可能な部品のインピーダンスのうち静電容量情報のみを生成するように構成されることができる。
【0061】
測定端子100は、インダクタに連結されるケーブル100aと、ケーブル100aに連結されるプローブ100bとを含むことができ、ユーザは、プローブ100bをキャパシタ部品に接触させることにより、キャパシタ部品の特性を測定することができる。
【0062】
治具101は、キャパシタ部品に結合可能に構成されることができる。これにより、キャパシタ部品特性測定装置50outの携帯性はさらに向上できる。
【0063】
第1入力部301は、ユーザのタッチによってコントローラにモード入力信号を伝達することができる。例えば、コントローラは、モード入力信号が入力される場合に目標振幅を変更することにより、LC共振の実効電圧を1V又は0.5Vに変換することができる。
【0064】
出力部330は、コントローラが出力するキャパシタ部品の特性情報を表すことができ、ディスプレイパネルを含むことができる。例えば、出力部330の左上側領域は共振周波数情報を表すことができ、出力部330の左下側領域は静電容量情報を表すことができ、出力部330の右上側領域はLC共振の実効電圧情報を表すことができ、出力部330の右下側領域はキャパシタ部品に印加されるDC電圧情報を表すことができる。
【0065】
外部連結端子370は、他の電子機器(例えば、コンピュータ、携帯用端末機、家電機器など)から電源の供給を受けるように他の電子機器に接続されてもよい。例えば、外部連結端子370はUSB Type-Cであってもよく、供給された電源はキャパシタ部品特性測定装置50out内のバッテリに格納されてもよく、又はブーストDC-DCコンバータによって昇圧されてもよい。
【0066】
第2入力部401は、ユーザの回転に応じて、コントローラに可変抵抗の抵抗値調節信号を伝達することができる。例えば、コントローラは、可変抵抗の抵抗値調節信号が入力される場合に、DC電圧提供器内の可変抵抗の抵抗値を調節することができる。これにより、キャパシタ部品に印加されるDC電圧を調節することができる。
【0067】
以上のように、本発明を実施形態として説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱せず、当該発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0068】
50in、50out:キャパシタ部品特性測定装置
100:測定端子
200:インダクタ(inductor)
300:コントローラ(controller)
390:ブーストDC-DCコンバータ
400:DC電圧提供器
410:可変抵抗
430:大容量キャパシタ
500:レギュレータ(regulator)
600:波形変換器
CC:キャパシタ部品