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特開2024-20158複合材積層構造の高速製造のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020158
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】複合材積層構造の高速製造のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/54 20060101AFI20240206BHJP
   B29C 70/38 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119591
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】17/814,992
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キシュマルトン, マックス ユー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複合材積層構造を形成するために使用されるチャージを高効率で製造するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】マルチプライ複合材チャージが、マルチヘッドラミネータの1回の通過によって積層され、ストリンガなどの複合材積層構造の高速製造を可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な複合材チャージを積層するための装置であって、
直列(87)に配置された複数のテープヘッド(104)であって、支持フレーム(132)に取り付けられた複数のテープヘッド(104)を含むラミネータを備える、装置。
【請求項2】
前記支持フレーム(132)は、前記複数のテープヘッド(104)を基板(114)の上方で支持するように構成され、
前記複数のテープヘッド(104)は、繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを、前記基板(114)の上で一列(115)に互いに重ねて同時に敷設するように配置され、
前記支持フレーム(132)と前記基板(114)とは、共通の軸(130)に沿って互いに対して移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記テープヘッド(104)は、前記支持フレーム(132)に一群として取り付けられている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記テープヘッド(104)は、共通の軸(130)に沿って直列に整列し、前記共通の軸(130)に沿って互いから間隔を空けられ、それによって、前記テープヘッド(104)の各々は、繊維プリプレグテープ(110)が隣接するテープヘッド(104)によって敷設される直前に、繊維プリプレグテープ(110)を敷設する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ラミネータ(102)と前記基板(114)とを互いに対して移動させるためのトランスレータ(108)を更に備え、それによって、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップは、前記基板(114)の上の前記ラミネータ(102)の1回の通過で前記基板(114)上に敷設される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記テープヘッド(104)を個別に制御するように構成されたコントローラ(106)を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラ(106)は、2つの異なる複合材チャージ(80a、80b)のプライ(82)を同時に積層するように、前記テープヘッド(104)を制御するよう構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記テープヘッド(104)の各々は、
繊維プリプレグテープ(110)の供給物(112)、
前記繊維プリプレグテープ(110)を所望の長さにするように切り込むよう構成されたカッター(118)、及び
前記繊維プリプレグテープ(110)を基板(114)の上に圧密するように構成されたコンパクター(126)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記テープヘッド(104)の各々は、前記繊維プリプレグテープ(110)が前記基板(114)の上に圧密される前に、前記繊維プリプレグテープ(110)の裏紙(122)を剥がすように構成された剥がしローラー(120)を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
複合材構造を形成するために使用されるチャージを作製する方法であって、
複数のテープヘッド(104)を使用して、繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを、基板(114)の上に一列(115)に互いに重ねて同時に敷設することによって、繊維プリプレグプライ(82)のスタック(81)を積層することを含む、方法。
【請求項11】
前記繊維プリプレグプライ(82)の全てが、前記基板(114)の上の前記テープヘッド(104)の1回の通過で積層される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、前記繊維プリプレグプライ(82)を直列に圧密することを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップをコンパクター(126)に供給すること、
前記コンパクター(126)を使用して、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを前記基板(114)の上に圧密すること、及び
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップが前記基板(114)の上に圧密される前に、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップの裏紙(122)を除去することを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップの敷設を開始又は停止するために、前記テープヘッド(104)を個別に起動及び起動解除することを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、直線的な経路(84)に沿って前記テープヘッド(104)を前記基板(114)に対して一群として移動させることを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、複合材構造を形成するために使用されるプロセス及び装備に関し、特に、複合材積層構造を形成するために使用されるチャージの高速製造のための方法及び装置を取り扱う。
【背景技術】
【0002】
補強材などの複合材積層構造は、航空機、船舶、及び他の産業を通じて使用されている。例えば、様々な断面形状のいずれかを有する複合材積層ストリンガが、飛行機の胴体や主翼に使用されている。これらのストリンガは、しばしば、その長さ方向に沿って1以上の起伏又は他の面外フィーチャを有する。
【0003】
複合材積層ストリンガは、チャージと呼ばれることがある複合材プライの平坦なスタックを、所望のストリンガ形状に合致する一対のダイの間で圧縮成形することによって作製され得る。この技法は、「パンチ成形」と呼ばれることもあるが、起伏のあるストリンガを製造するときに、成形プロセス中に起伏のあるエリア内のプライに皺や座屈が生じる傾向があるため問題である。平坦なチャージは、ハンドレイアップによるか、又は自動化された装備を使用するかのいずれかで製造され、双方ともチャージをプライごとに積層していく。これらの技法は、両方とも高価であり、比較的時間がかかるため、大量生産には向いていない。
【0004】
したがって、複合材積層構造を形成するために使用されるチャージを製造するための方法及び装置が必要とされている。これらは、高効率であり、したがって、高速製造環境に適している。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、広くは、複合材構造に関し、特に、複合材積層ストリンガを形成するために使用されるチャージの高速製造のための方法及び装置に関する。
【0006】
一態様によれば、平坦な複合材チャージを積層するための装置が提供される。該装置は、直列に配置された複数のテープヘッドであって、支持フレームに取り付けられた複数のテープヘッドを含むラミネータを備える。
【0007】
別の一態様によれば、複合材構造を形成するために使用されるチャージを作製する方法が提供される。該方法は、複数のテープヘッドを使用して、繊維プリプレグテープの複数のストリップを基板の上に一列に互いに重ねて同時に敷設することによって、繊維プリプレグプライのスタックを積層することを含む。
【0008】
更なる一態様によれば、複合材積層構造を形成するために使用される複合材チャージを作製する方法が提供される。該方法は、繊維プリプレグプレイの少なくとも第1のスタックと第2のスタックとを同時に積層することを含む。該方法は、テープヘッドの一群を第1の基板と第2の基板の上に移動させることによって、繊維プリプレグテープの複数のストリップを一列に互いに重ねて積層することを含む。その場合、テープヘッドの一群は、プライの第1のスタックの積層を完了すると同時に、プライの第2のスタックの積層を開始する。
【0009】
別の一態様によれば、起伏のある複合材積層構造を作製する方法が提供される。該方法は、その長さに沿って複合材構造にかかる荷重を予測すること、及びその予測された荷重に基づいてプライスケジュールを生成することを含む。プライスケジュールは、異なる繊維配向を有するプライを含む。該プライスケジュールを生成することは、荷重を満たすために必要とされるプライスケジュール内のプライの各々の寄与を決定することを含む。該方法はまた、プライの皺なしにプライを所望の構造形状に成形するために必要な、プライスケジュール内のプライの各々の延伸量を決定することも含む。該方法は、構造強度と成形性との最適な組み合わせを表す、各プライ内の繊維の長さを選択することを更に含む。該方法はまた、プライスケジュールに従ってプライの平坦なスタックを積層すること、及びプライの平坦なスタックを所望の構造形状に成形することも含む。
【0010】
更なる一態様によれば、複合材構造を形成するために使用される複合材チャージを作製する方法が提供される。該方法は、繊維プリプレグテープの複数のストリップを基板上に互いに重ねて敷設することによって、繊維プリプレグプライのスタックを積層すること、及び、繊維プリプレグテープの複数のストリップが敷設されているときに、繊維プリプレグテープの複数のストリップを直列に圧密することを含む。
【0011】
開示される方法及び装置の利点の1つは、マルチプライの複合材チャージが、より迅速に積層され得ることである。もうひとつの利点は、平坦な複合材チャージを積層する人件費が低減され得ることである。更なる1つの利点は、局所的な荷重要求や他の要件を満たすようにそれらの長さに沿って調整された、高度な起伏を有する複合材積層補強材を形成するのに適した、平坦な複合材チャージが製造され得ることである。更なる1つの利点は、皺が最小限の又は皺がない起伏のある積層ストリンガに成形され得る、平坦な複合材チャージが製造され得ることである。また更に別の1つの利点は、平坦な複合材チャージを分割して製造し、後で繋ぎ合わせることができることである。
【0012】
本開示の一態様によれば、平坦な複合材チャージを積層するための装置が、直列に配置された複数のテープヘッドであって、支持フレームに取り付けられた複数のテープヘッドを含むラミネータを備える。
【0013】
有利なことに、該装置では、
支持フレームが、複数のテープヘッドを基板の上方で支持するように構成され、
複数のテープヘッドは、繊維プリプレグテープの複数のストリップを、基板の上に一列に互いに重ねて同時に敷設するように配置され、
支持フレームと基板とは、共通の軸に沿って互いに対して移動可能である。
【0014】
好適には、該装置では、テープヘッドが、支持フレームに一群として取り付けられている。
【0015】
好適には、該装置では、テープヘッドが、共通の軸に沿って直列に整列し、共通の軸に沿って互いから間隔を空けられている。それによって、隣接するテープヘッドによって、繊維プリプレグテープが敷設される直前に、テープヘッドの各々が、繊維プリプレグテープを敷設する。
【0016】
好適には、該装置が、ラミネータと基板とを互いに対して移動させるためのトランスレータを更に備える。それによって、繊維プリプレグテープの複数のストリップが、基板の上のラミネータの1回の通過で基板上に敷設される。
【0017】
好適には、該装置が、テープヘッドを個別に制御するように構成されたコントローラを更に備える。
【0018】
好適には、該装置では、コントローラが、2つの異なる複合材チャージのプライを同時に積層するように、テープヘッドを制御するよう構成されている。
【0019】
好適には、該装置では、テープヘッドの各々が、以下のものを含む。すなわち、
繊維プリプレグテープの供給物(サプライ:supply)、
繊維プリプレグテープを所望の長さにするように切り込むよう構成されたカッター、及び
繊維プリプレグテープを基板の上に圧密するように構成されたコンパクターである。
【0020】
好適には、該装置では、テープヘッドの各々が、繊維プリプレグテープが基板の上に圧密される前に、繊維プリプレグテープの裏紙を剥がすように構成された剥がしローラーを含む。
【0021】
上述された装置を使用して組み立てられた航空機の一部分。
【0022】
本開示の別の一態様によれば、複合材構造を形成するために使用されるチャージを作製する方法が、複数のテープヘッドを使用して、繊維プリプレグテープの複数のストリップを基板の上に一列に互いに重ねて同時に敷設することによって、繊維プリプレグプライのスタックを積層することを含む。
【0023】
有利なことに、該装置では、繊維プリプレグプライの全てが、基板の上のテープヘッドの1回の通過で積層される。
【0024】
好適には、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップを敷設することが、繊維プリプレグプライを直列に圧密することを含む。
【0025】
好適には、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップを敷設することが、以下のことを含む。すなわち、
繊維プリプレグテープの複数のストリップをコンパクターに供給すること、
コンパクターを使用して、繊維プリプレグテープの複数のストリップを基板の上に圧密すること、及び
繊維プリプレグテープの複数のストリップが基板の上に圧密される前に、繊維プリプレグテープの複数のストリップの裏紙を除去することである。
【0026】
好適には、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップの敷設を開始又は停止するために、テープヘッドを個別に起動及び起動解除することを含む。
【0027】
好適には、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップを敷設することが、直線的な経路に沿ってテープヘッドを基板に対して一群として移動させることを含む。
【0028】
上述された方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
【0029】
本開示の更に別の一態様によれば、複合材積層構造を形成するために使用される複合材チャージを作製する方法が、繊維プリプレグプライの少なくとも第1のスタックと第2のスタックとを同時に積層することを含む。それは、テープヘッドの一群を第1の基板と第2の基板の上に移動させることによって、繊維プリプレグテープの複数のストリップを一列に互いに重ねて敷設することを含む。その場合、テープヘッドの一群は、プライの第1のスタックの積層を完了しつつ、プライの第2のスタックの積層を開始する。
【0030】
有利なことに、該装置では、第1のスタックと第2のスタックのプライの全てが、第1の基板と第2の基板の上のテープヘッドの一群の1回の通過で敷設される。
【0031】
本開示の更に別の一態様によれば、起伏のある複合材積層構造を作製する方法が、その長さに沿って起伏のある複合材積層構造にかかる荷重を予測することと、その荷重を予測したことに基づいて平坦なチャージ用のプライスケジュールを生成することとを含む。その場合、プライスケジュールは、異なる繊維配向を有するプライを含む。該プライスケジュールを生成することは、荷重を満たすために必要とされるプライスケジュール内のプライの各々の寄与を決定することを含む。該方法は、更に、プライの皺なしに平坦なチャージを所望の構造形状に成形するために必要な、平坦なチャージ内のプライの各々の延伸量を決定すること、構造強度と成形性との最適な組み合わせを表す、各プライ内の繊維の長さを選択すること、プライスケジュールに従ってプライの平坦なスタックを積層すること、及び平坦なチャージを所望の構造形状に成形することを含む。
【0032】
有利なことに、該装置では、成形することが、平坦なチャージを引張成形することを含む。
好適には、該装置では、引張成形することが以下のことを含む。すなわち、
平坦なチャージに張力をかけること、及び
平坦なチャージを成形型の上に引き延ばしながら下ろすことである。
【0033】
好適には、該装置では、プライの少なくとも一部において繊維内に角度の付いた切り込みを入れることを更に含む。その場合、角度の付いた切り込みは、平坦なチャージが成形されているときに、プライが延伸することを可能にするように構成されている。
【0034】
好適には、該装置では、繊維内の角度の付いた切り込みが、プライ内の繊維の方向に対して約10°から約30°の角度で切り込まれる。
【0035】
上述されたような方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
【0036】
本開示の更に再び別の一態様によれば、複合材構造を形成するために使用される複合材チャージを作製する方法が、繊維プリプレグテープの複数のストリップを基板上に互いに重ねて敷設し、繊維プリプレグテープの複数のストリップが敷設されているときに、繊維プリプレグテープの複数のストリップを直列に圧密することによって、繊維プリプレグプライのスタックを積層することを含む。
【0037】
有利なことに、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップを敷設することが、繊維プリプレグテープの複数のストリップを一列に同時に敷設することを含み、繊維プリプレグテープの複数のストリップを圧密することが、繊維プリプレグテープの複数のストリップを同時に圧密することを含む。
【0038】
好適には、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップが圧密される前に、繊維プリプレグテープの裏紙を除去することを更に含む。
【0039】
好適には、該装置では、繊維プリプレグテープの複数のストリップを敷設することが、基板の上のテープヘッドの一群の通過を含む。その場合、繊維プリプレグプライの全てが、基板の上のテープヘッドの一群の1回の通過で基板上に敷設される。
【0040】
上述された方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
【0041】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施例で単独で実現してもよいし、更に別の実施例において組み合わせてもよい。以下の説明及び図面を参照して、これらの実施例の更なる詳細を理解することができる。
【0042】
例示的な実施例の特性と考えられる新規の特徴が、添付の特許請求の範囲に記載される。しかし、例示的な実施例、並びに好ましい使用モード、更なる目的、及びそれらの説明は、添付図面を参照して、本開示の例示的な実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】ストリンガの位置が破線で示されている航空機の斜視図である。
図2図1で示されている飛行機の断片からなる正面図である。
図3】湾曲したブレードストリンガの斜視図である。
図4】ランプセクションとジョグルセクションとを有するハットストリンガの斜視図である。
図5】平坦なマルチプライの非常に成形し易い複合材チャージの斜視図である。
図6図5の線6‐6に沿って切り取られた断面図である。
図7図5において「図7」として指定されているエリア内の複合材チャージのプライの幾つかを示す断片からなる平面図である。
図8】互い違いにされた角度の付いた切り込みを有する0°プライの平面図である。
図9図8において「図9」として指定されているエリアの図である。
図10図9に類似するが、45°のプライのセクションを示す図である。
図11図8に類似するが、隣接する列における角度の付いた切り込みが反対の角度で配置されている図である。
図12】平坦な複合材チャージの高速製造のための装置の機能ブロック図である。
図13図12の装置の一部を形成するラミネータの斜視図である。
図14】ラミネータの一部を形成するテープヘッドの図式的な側面図である。
図15】ラミネータがチャージのマルチプライを基板上に同時に敷設するやり方を示す図式的な側面図である。
図16】基板の上のラミネータの移動の直線的な経路を示す図式的な上面図である。
図17図15に類似するが、ラミネータが2つのチャージの部分を同時に積層し得るやり方を示す図である。
図18】共に接合される前の4つの個々のチャージセグメントの平面図である。
図19】完全なチャージに共に接合された図18のチャージセグメントを示す平面図である。
図20図19の線20‐20に沿って切り取られた断面図である。
図21】平坦な複合材チャージを所望のストリンガ形状に引張成形するために使用されるマッチドダイの断面図である。
図22】プライの皺を低減させるために複合材チャージが引張成形されるやり方を示す図式的な図である。
図23】複合材積層構造を形成するために使用されるチャージを作製する方法のフロー図である。
図24】起伏のある複合材積層構造を作製する方法のフロー図である。
図25】起伏のある複合材積層構造を作製する方法のフロー図である。
図26】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
図27】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
先ず図1を参照すると、飛行機40が、機体構成要素38を有する。機体構成要素38は、胴体42と、主翼44と、垂直安定板50及び水平安定板52を備える尾部48とを含む。エンジン46が、パイロン56によって主翼44から吊り下げられている。機体構成要素38の各々は、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)などの複合材積層体を備えるストリンガ54などの補強材によって補強され、安定化された外板53を含む。ストリンガ54の各々は、非限定的に、I、J、Y、Z、及びハット形状などの様々な断面形状のいずれかを有してよい。ストリンガ54は、典型的には共硬化によって又は共接合によって、外板53のIML(内側モールドライン)に接合される。
【0045】
ストリンガ54によって担持される荷重の性質は、外板53や、床梁及び操縦翼面(両方とも図示されていない)などの他の構成要素によって担持されるものとは異なり、ストリンガ54はその設計と製造において独特なものとなっている。飛行機で使用されるストリンガ54の設計及び製造は、特に困難であり得る。というのも、それらは、直線的であることがほとんどなく、むしろ局所的な条件及び/又は構造的形状寸法に合わせて起伏を付けられ、調整された、異なるセクションを備えるからである。例えば、図2を参照すると、主翼44のインボードセクション74は湾曲しており、このセクションのストリンガ54も同様に湾曲している必要がある。パイロン56とエンジン46との重量を支持する主翼44の中間セクション76は、追加された荷重を支えるために、ストリンガ54内にランプ、パッドアップ、又は他の面外フィーチャを必要とすることがある。主翼44のアウトボードセクション78は、このセクションにおけるストリンガ54が、ジョグル又は特有のフィーチャを有することを必要とする、内部構成要素(図示せず)を含むことがある。主翼44のインボードセクション74、ならびに中間セクション76、またアウトボードセクション78において、ストリンガ54が反作用することが必要とされる荷重は、かなり異なり得る。結局、インボードセクション74、中間セクション76、及びアウトボードセクション78における局所的な荷重条件を満たすために、その長さに沿ってストリンガ54を調整することが、しばしば必要となる。
【0046】
上で示されたように、ストリンガ54は、その長さに沿った異なるセクションにおいて様々な面外フィーチャのいずれかを有してよい。本明細書で使用されるときに、「起伏のある」及び「起伏のあるストリンガ」は、非限定的に、ランプ、パッドアップ、湾曲、及び/又はジョグルを含む、1以上の面外フィーチャ又はセクションを有するストリンガを指す。図3及び図4は、起伏が付けられた、典型的な面外フィーチャを有するストリンガ54を示している。例えば、図3を参照すると、図1及び図2で示されている飛行機40の主翼44において使用されるものなどのストリンガ54が、ブレード58(ウェブと呼ばれることがある)及びフランジ又はキャップ60を備える。フランジ又はキャップ60は、キャップ60が取り付けられる外板53の起伏に一致するように構成されている。この実施例では、ストリンガ54が、61で図示されている座標系においてXZ平面内でその全体の長さに沿って湾曲70を有するが、他の実施例では、ストリンガ54が、その長さに沿って直線的なセクションならびに他の局所的な起伏又は面外フィーチャを有してよい。
【0047】
次に図5図9を参照すると、上述されたストリンガ54などの複合材積層構造は、本明細書でプライスタックと呼ばれることがあるチャージ80を、所望の形状に成形することによって製造され得る。チャージ80は、複合材で形成され、平坦であってよい。面外フィーチャの存在に起因して成形プロセス中に皺ができる又は座屈する複合材チャージの傾向は、以下で説明されるやり方でチャージのプライを最適化することによって低減させ又は消去することができる。最適化されたプライを備える非常に成形し易い平坦なチャージは、本説明で後に説明される方法及び装置を使用して、迅速且つ効率的に積層され得る。チャージの積層中に、プライは、主翼のインボードセクション74、中間セクション76、及びアウトボードセクション78、又は飛行機40の他のエリアにおける、局所的な荷重要求及び他の要件を満たすために、チャージの長さに沿って調整され得る。
【0048】
チャージ80は、最適化されたプライ82のスタックを備える。プライ82の各々は、一方向の補強を提供するポリマーマトリックス内に保持された繊維92を備える。繊維92は、炭素、繊維ガラス、Kevlar(登録商標)、又は他の適切な繊維を含んでよい。一方で、ポリマーマトリクスは、用途に応じて、適切な熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との両方を含むハイブリッド材料系を含んでよい。プライ82は、チャージ80を使用して成形されるストリンガ54の長手軸84(図4)などの基準方向86に対して様々な繊維配向を有してよい。幾つかの実施例では、プライ82の各々が、チャージ80(図5)の幅Wに等しい幅、及び用途に適した厚さTを有する、繊維プリプレグテープを備える。チャージ80のプライ82は、後に説明される自動化されたテープ敷設ラミネータを使用して積層される。テープ敷設ラミネータは、チャージ80のプライ82の全てを互いに重ねて実質的に同時に積層し、それにより、製造効率に寄与する。チャージ80は、幾つかを挙げると、圧縮「パンチ」成形、LASH成形、又は引張成形を含む、幾つかの技法のいずれかによって、所望の形状に成形され得る。
【0049】
チャージ80のプライ82は、所定のプライスケジュールに従って平坦なスタックとして積層される。所定のプライスケジュールは、プライ82の数及びプライ82の各々の繊維配向を決定する。例えば、図7で示されているように、チャージ80は、いずれかの数の0°、+45°、-45°、及び90°のプライ(チャージの4つのプライのみが図示されている)で形成されてよい。0°、+45°、-45°のプライ82の各々には、内部に角度の付いた切り込み94のパターンが設けられている。角度の付いた切り込み94は、それらのプライ82内の繊維92を切断し、各々が長さL1を有するプライセグメント96(図9)を形成する。角度の付いた切り込み94の間隔は、プライセグメント96内の繊維92の長さを決定する。以下でより詳細に説明されることとなるように、繊維92の長さ及び繊維方向88に対する角度の付いた切り込み94の角度は、その強度を含むストリンガ54の性能を実質的に低減させることなしに、チャージ80の成形性を最適化するやり方で選択される。図示されている一実施例では、90°のプライが、角度の付いた切り込み94を含まない。というのも、それらは、チャージ80の成形中に、基準方向86において容易に長手方向に延伸することができるからである。しかし、幾つかの実施例では、90°のプライが、他の理由で角度の付いた切り込み94を含んでよい。この説明で使用されるチャージ80の繊維角度(0°、±45°、90°)は、単なる例示であることに留意されたい。用途に応じて、他の繊維角度の範囲が使用されてよい。例えば、軽量化が重視される用途では、異なる繊維角度が必要となる場合がある。
【0050】
図8及び図9は、角度の付いた切り込み94の1つの適切なパターンを有する0°のプライを示している。角度の付いた切り込み94は、互いに対して適切な距離95(図8)だけずらして列90内に配置されている。0°の繊維92は、基準方向86に整列し、各列90内の角度の付いた切り込み94は、プライセグメント96と呼ばれることになる繊維92の群を形成するように、それぞれから間隔を空けられている。各プライセグメント96は、角度の付いた切り込み94の間の長手方向の間隔によって決定される長さL1を有する繊維92を含む。一般に、荷重は主としてX軸(図3及び図4)、すなわち基準方向86に沿ってストリンガ54を介して伝達されるため、所望の成形性が実現されるのであれば、長さL1は可能な限り長いことが望ましい。しかし、XZ面内の曲率に沿うような、よりきつい起伏を有するストリンガ54のセクションでは、0°のプライがより大きな程度だけ延伸し、それにより、0°のプライがよりよく起伏に適合することを可能とするために、繊維の長さL1は、より短くする必要があるだろう。
【0051】
図9で最もよく見られるように、角度の付いた切り込み94の各々は、繊維92の方向に対して角度θを形成する。長さL1は、角度の付いた切り込み94の間隔によって決まり、θは、その用途、より詳細には、ストリンガ54の長さに沿った異なる位置における荷重条件、形状寸法、面外フィーチャに応じることになる。ストリンガの一実施例では、L1が、約10インチと約20インチとの間であり、一方、θは、約10°から約30°の範囲である。別の一実施例では、L1が、約20インチであり、角度θが、約15°である。一般に、15°の角度θで切り込むと、補強繊維は切断されるものの、繊維92が切り込まれたエリアにおいて、強度の「ノックダウン」と呼ばれることがある、ストリンガ64の強度の何らかの低下を最小限に抑えることが分かっている。更に、本明細書で開示される角度の付いた切り込み94のパターンと組み合わせて15°の角度の付いた切り込み94を使用することにより、プライ82が自動化されたラミネータによって積層されるときに、特にプライ82の縁部98に沿って、繊維プリプレグテープの裏紙(図示せず)を除去することにおける任意の潜在的な課題が低減される。
【0052】
図10を参照すると、+45°のプライの繊維92は、基準方向86に対して45°の角度で配向され、角度の付いた切り込み94によって形成されるプライセグメント96内の繊維92は、長さL2を有する。角度の付いた切り込み94は、+45°のプライの繊維方向88に対して角度θを形成する。長さLと角度θとの両方は、その用途、より詳細には、ストリンガ54の長さに沿った異なる位置における荷重条件、寸法形状、及び面外フィーチャに応じる。一実施例では、L2が、約2インチと約4インチとの間であり、θが、約10°から約30°の範囲である。別の一実施例では、L2が、約2インチであり、θが、約15°である。-45°のプライでの長さL2と角度θは、+45°のプライでのものと実質的に同じである。一般に、ストリンガ54がYZ平面内で高度な起伏を有するエリアでは、L2が、上述された範囲の下限である必要があるかもしれない。というのも、45°のプライは、このエリアでより大きい量だけ横方向に延伸する必要があるからである。ランプを有するストリンガ54の場合では、+45°と-45°の繊維が、より短い、典型的には2から4インチの長さの範囲である必要がある。というのも、ランプにおいてより大きな量のプライの延伸を必要とするが、主としてX軸に沿って荷重を支える0°のプライと比較して強度の必要性が低減されるからである。
【0053】
繊維の長さL1、L2及び切り込み角度θは、プライの皺が最小限の又は全くない状態で、ストリンガ54の長さに沿った様々なセクションにおいて、チャージ80を所望の起伏に成形することを可能にするように、各ストリンガ構成について最適化される。成形中に延伸する能力をチャージ80に与える必要性は、ランプなどの複合曲率を有するストリンガ54のセクションにおいて特に重要である。繊維長さL1とL2の最適化には、各プライ方向(0°、+45°、-45°)における強度と成形性との間のバランスを表す選択プロセスが含まれる。
【0054】
ここで、次のことに留意されたい。すなわち、チャージ80の幾つかのセクションは、ストリンガの起伏に起因する必要な成形性を提供するために角度の付いた切り込み94を有するが、ストリンガ54の他のセクション(直線的なセクションなど)における角度の付いた切り込み94は、必要とされないことがある。というのも、それらのセクションは、皺がない形状に成形され得るからである。形成プロセス中に、0°のプライ内の角度の付いた切り込み94は、それらのプライ内の繊維が、わずかに分離し、基準方向86において長手方向に離れるように移動することを可能にし、プライが、皺なしにXZ平面(図3及び図4)内で延伸し、曲がることを可能にする。しかし、繊維長さL1は、その長さに沿った各セクションにおいてストリンガ54にかかる荷重を支えるために必要な強度を維持するのに十分である。同様なやり方で、+45°及び-45°のプライ内の角度の付いた切り込み94は、それらのプライ内の繊維92が、横方向にわずかに離れるように移動することを可能にし、成形プロセス中に皺なしにYZ平面で必要とされるように、+45°及び-45°のプライが、延伸し、曲がることを可能にする。
【0055】
図8で示されている一実施例における角度の付いた切り込み94のパターンは、可能な幅広い範囲の切り込みパターンの単なる例示に過ぎない。選択される角度の付いた切り込み94の特定のパターンは、ストリンガ54の長さに沿ったストリンガ54の様々なセクションの荷重及び他の要件を含む、用途に応じることとなる。幾つかの実施例では、角度の付いた切り込み94が、プライ82の各々のエリアにわたりランダムに分布してよい。図11は、角度の付いた切り込み94のパターンの別の一実施例を有する0°のプライを示している。この実施例では、交互の列100内の角度の付いた切り込み94が、繊維方向88に対して2つの反対の角度+θ、-θで配置されている。言い換えると、角度の付いた切り込み94の角度は、交互の列100では逆になり、互い違いになっている。角度の付いた切り込み94を互い違いにすることで、それらを分散させ、それにより、強度のノックダウンを低減させる。このように角度の付いた切り込み94を交互に配置することで、切り込みによってもたらされる0°のプライの荷重を支える能力の低減を最小化する。角度の付いた切り込み94の角度、ならびに切り込まれた繊維92の長さL1は、図8及び図9で示されている一実施例に関連して上述されたものと同様である。45°のプライ(図示せず)でも、交互の切り込み角度の同様な配置が使用され得る。切り込み角度+θ、-θ、ならびに切り込まれた繊維長さL2は、図10で示された一実施例に関連して上述されたものと同様になる。
【0056】
前述されたように、上記の説明は、ストリンガ54を形成するのに適したチャージ80の使用を示しているが、飛行機40の機体において使用されるものなどの幅広い様々な複合材積層構成要素のいずれかを製造するために、同様な設計原理(以下でより詳細に説明されることとなる)が使用され得る。各用途は、非限定的に、繊維角度、各繊維方向における繊維長さ、切り込みパターン、選択された切り込みパターンの製造性の考慮事項、及びチャージ80を所望の形状に成形するときに遭遇する歪を含む、一連のパラメータの最適化を必要とする。角度の付いた切り込み94は、各繊維配向における繊維長さを決定する。より短いプライセグメント96(繊維長さ)は、より容易に成形されるが、低減された強度を有することがある。一方で、より長いプライセグメント96は、成形しにくいが、強度がより高くなる可能性がある。
【0057】
選択された切り込みパターンは、繊維長さ、ならびに角度の付いた切り込み94の分布も決定する。また、切り込みの分布に対しても、適切な考慮がなされる。例えば、角度の付いた切り込み94の全てが、チャージ80内の単一の特有な場所に位置付けられている場合、構造の強度は、切り込みがチャージ80の体積の全体を通して完全に分散されている場合、及び/又はプライ82の各々のエリアの全体を通して分散されている場合よりも低くなる。したがって、プライ82の各々のエリアにわたり角度の付いた切り込み94を分散させる切り込みパターンが選択されるべきである。
【0058】
上述されたように、選択された切り込みパターンの製造性を考慮しなければならない。裏紙が除去される方向に対する角度の付いた切り込み94の出口角度は、裏紙がプリプレグに引っ掛かったり紙片を残したりすることなく引き剥がされるかどうかに大きく影響する。プリプレグに残った裏紙の任意の紙片は、FOD(異物及びデブリ)となり、除去が必要となるため、製造費用がかさむだけでなく、検査に合格できず不合格となる可能性がある。更に、選択された切り込みパターンはまた、角度の付いた切り込みを行うために使用される装備の種類や設計も決めることがある。装備の設計の幾つかの種類は、特定の用途や生産環境では製造が不可能であったり、法外に高価であったりする場合がある。他の装備の選択は、効果的であるが、高速製造には十分に効率的でない可能性がある。
【0059】
先に示したように、特定の用途のためにチャージを設計するには、チャージを所与の用途に対して特定の形状に成形することによって生じる歪を注意深く考慮する必要がある。飛行機用の外板、ストリンガ、床梁、床板、及び操縦翼面などの各用途は、異なる量の成形を必要とする。それは、チャージを設計するときに考慮される必要がある異なる量の歪を生じさせる。例えば、床板などの幾つかの構成要素は、比較的平坦であり、チャージのプライ内の繊維のいずれかに切り込みを入れる必要がない場合がある。ストリンガなどの他の構成要素は、わずかにのみ起伏を有する可能性があるが、高い強度を持つことが必要とされ、したがって、特有の設計上の配慮が必要となる。主翼のストリンガの場合では、ストリンガの曲率は、主翼の曲率に従う。それは、典型的には、1000インチの半径のオーダーである。したがって、主翼のストリンガの場合、チャージを必要な主翼の曲率に成形しながら、必要なストリンガの強度を維持するために、チャージの0°のプライ内の繊維を約10から20インチの範囲の長さに切り込む必要があることが分かっている。この範囲の上限よりも長い繊維長さは、チャージの成形性を低減させ、強度のノックダウンをもたらすプライの皺の可能性を増大させる。しかし、この範囲の下限よりも短い繊維長さは、ストリンガの強度を許容可能なレベルよりも下に低減させる。
【0060】
上述されたように、0°のプライ82内の繊維は、0°の繊維92が延伸することを可能にし、チャージ80がその長さに沿って主翼44の曲率に成形されることを可能にするために、10インチと20インチとの間の長さに切り込まれる。ストリンガ54が、外板53が厚くなる箇所で外板53上のランプなどの面外フィーチャに適合しなければならない位置では、チャージ80をランプの形状に成形することが、0°の繊維92の場合のようにそれらが延伸するのではなく、むしろ45°の繊維92の剪断によって支配される。結局、45°のプライ82内の繊維92は、主翼の曲率に対応するために0°のプライ82が延伸するよりも、かなり大きく横方向に延伸しなければならない。必要な横方向の延伸を実現するために、45°の繊維は、2から4インチの範囲内でより短い長さに切り込まれるが、ストリンガ54の特定のエリア(例えば、ランプ)においてのみ、プライの皺なしに成形中に高度の横方向の延伸(剪断)が必要とされる。45°の繊維92は、0°の繊維92よりもかなり短い長さに切り込まれるが、ストリンガ54の強度の任意のノックダウンは最小限であり、したがって、許容可能である。というのも、ストリンガ54にかかる主たる荷重は、45°のプライ82よりもむしろ0°のプライ82によって支えられるからである。前述されたように、湾曲していない又は面外フィーチャを有さないストリンガ54のエリアでは、それらのエリア内のチャージ80のプライ82内の繊維92が、切り込まれる必要はない。というのも、それらのプライ82は、チャージ80が所望のストリンガ形状に成形されているときに、延伸する必要がないからである。
【0061】
次に図12図16に注意が向けられる。それらの図面は、図5図11に関連して前述されたように最適化されたチャージ80の高速製造のための装置101を示している。装置101は、ラミネータ102とトランスレータ108を備え、それらの両方は、コントローラ106によって動作される。コントローラ106は、適切なPC、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、又は1以上のデジタルプロセッサを備えてよい。トランスレータ108は、ラミネータ102と基板114とを互いに対して移動させるための任意の適切な機構を備えてよい。一実施例では、基板114が、静止したテーブル又はワークプラットフォームを備え、トランスレータ108が、基板114の上で直線的な経路又は共通の軸130(図16)に沿って支持フレーム132上のラミネータ102を移動させる機構を備える。別の一実施例では、ラミネータ102が、多関節アーム又はガントリ型ロボット(図示せず)に取り付けられたエンドエフェクタであり得る。支持フレーム132を共通の軸130に沿って基板114に対して移動可能にし得る他の配置も可能である。
【0062】
ラミネータ102は、支持フレーム132に一群として取り付けられた複数のテープ敷設ヘッド(本明細書で以後、「テープヘッド」)104を備える。テープヘッド104は、互いに直列に配置され、共通の軸130に沿って整列している(図16)。テープヘッド104の各々は、基板114上に又は繊維プリプレグテープ110(本明細書で以後、「テープ」)の下層上に、テープ110のストリップを敷設するように動作可能である。テープ110のストリップの各々の幅は、プライの幅に等しくてよい。結局、繊維プリプレグテープ110の各ストリップは、チャージ80のプライ82のうちの単一のものを形成し得る。結果として、一実施例では、使用されるテープヘッド104の数が、チャージ80を使用して形成されることとなるストリンガ又は他の構造用の特定のプライスケジュールで指定されたプライ82の数に等しい。テープヘッド104は、直列(87)に配置され、共通の軸130に沿って互いから間隔を空けられる(図16)。それによって、テープヘッド104の各々は、テープ110のストリップが隣接するテープヘッド104によって敷設される直前に、テープ110のストリップを敷設する。テープ110のストリップの各々は、チャージ80のプライ82の1つを形成する一方向繊維プリプレグであり、それらのうちの幾つかは、所定の長さの一連のプライセグメント96(図9)を形成する、角度の付いた切り込み94を内部に有してよい。前述されたように、角度の付いた切り込み94は、チャージ80が所望のストリンガの起伏に成形されるときに、必要に応じて長手方向及び/又は横方向に延伸することを可能にし、それにより、起伏に起因するプライの皺を低減させ又は消去する。
【0063】
テープヘッド104は、共通の支持フレーム132に取り付けられ、したがって、基板114の上を直線的な移動の方向128に一群として共に移動し、同時に、テープ110のストリップを連続的に一列115に次から次へと互いに重ねて敷設し、圧密し、それにより、チャージ80のプライ82の全てを同時に積層する。言い換えると、テープヘッド104の全ては、ラミネータ102が基板114の上を移動するときに、テープ110のストリップを一列115に同時に敷設している。結果として、チャージ80のプライ82の全ては、ラミネータ102の1回の通過又は「ストローク」で積層され得る。
【0064】
以下で説明されることとなるように、テープヘッド104の各々は、テープ110のストリップから裏紙122を除去し、テープのストリップをコンパクター126に供給し、ストリップを圧密し、ストリップを所望の長さにするように切り込むことによって、テープ110のストリップを敷設する。テープヘッド104の各々は、供給リール112に巻かれたテープ110の供給物を含む。各テープヘッド104には、特定の繊維配向(例えば、0°、±45°、90°)を有するテープが装填される。テープ110は、除去可能な裏紙122の層を含む。裏紙122は、テープ110が、プリプレグのタックのためにリール112上で共にくっつくのを防止する。テープ110は、裏紙122と共に1以上のガイド116を通過して、圧密ローラーなどのコンパクター126又は同様な圧密デバイスに供給される。テープヘッド104のコンパクター126は、共通の軸130に沿って互いに整列している。適切なカッター118が、テープ110を所望の長さにするように切り込む。裏紙122は、剥がしローラー120によってテープ110から引き剥がされ、巻き取りリール124に送られ、そこで集積され、定期的に廃棄され得る。上述された配置は、テープ110が、コンパクター126に供給され、基板114又はプライ82の下層の1つの上に圧密される前に、テープ110から裏紙122が除去されることをもたらす。結局、裏紙122は、コンパクター126によってテープ110に対して圧密されない。圧密されると、裏紙122のテープ110に対する接着性が高まり、裏紙122の紙片が、特にテープ110の縁部98(図8)に沿ってFODとしてプライセグメント96上の残ることに繋がり得る。
【0065】
特に図14図16を参照すると、前述されたように、ラミネータ102が、基板114の上のラミネータ102の1回の通過で、チャージ80のプライ82の全てを積層し得る。しかし、特定の用途に必要とされるプライスケジュールと製造効率の程度とに応じて、チャージ80は、基板114の上のラミネータ102の2回以上の通過によって積層され得る。例えば、プライスケジュールが32枚のプライ82を要求し、ラミネータ102が8つのテープヘッド104を備える場合、チャージ80のプライ82の全ては、基板114の上のラミネータ102の4回の通過で積層され得る。代替的に、ラミネータ102が32個のテープヘッド104を備える場合、チャージ80のプライの全ては、ラミネータ102の1回の通過によって積層され得る。図15を参照すると、テープヘッド104は、よりコンパクトなラミネータエンベロープを形成するために、共に入れ子にされ得る。図16で示されているように、テープヘッド104は、次から次へと一列115に配置され、共通の軸130に沿って直列87に整列する。それによって、テープ110の層は、チャージ80を形成するためにそれらが敷設されているときに、同様に互いに整列する。
【0066】
次に図17に注意を向けると、その図面は、2つの異なる基板114a、114b上に2つのチャージ80a、80bの部分を同時に積層するプロセスにおける、10個のテープヘッド104を有するラミネータ102を示している。図17の右側では、テープヘッド104のうちの6つが、チャージ80aのプライの積層を完了しており、同時に、図面の左側では、テープヘッド104のうちの2つが、チャージ80bのプライを敷設し始めている。この実施例では、テープヘッド104のうちの2つが、起動していない(テープを敷設していない)。ラミネータ102が、右から左へその移動を続けているときに、ラミネータ102は、チャージ80aの積層を完了し、起動していないか又はチャージ80aを積層していたテープヘッド104が、それが完了するまでチャージ80bのプライ82を敷設し始める。
【0067】
ラミネータ102は、このやり方で、任意の数の異なるチャージ80を同時に積層し続け得る。チャージ80は、それらのプライスケジュールに関して、互いに同一であるか又は異なってよい。更に、図17で示されているチャージ80a、80bは、単一のチャージ80を形成するために、後で共に接合されるチャージセグメント(以下で説明される)を備えてよい。テープヘッド104の作動は、図12で示されているコントローラ106によって個別に制御される。テープヘッド104は、異なる繊維配向を有するテープが装填されていてよいので、テープヘッド104のいずれかは、基板114の上のラミネータ102の移動における任意のポイントにおいてテープの敷設を開始又は停止するために、起動され又は起動解除され得る。
【0068】
次に図18図20を参照すると、起伏があり、複合材積層体を備えるストリンガ54は、完全なチャージ80を形成するために共に接合される、複数の重なり合ったチャージセグメント134を使用して、製造されてよい。チャージセグメント134の各々は、所定のプライスケジュールに従って積層されたプライ82のスタックを備える。所定のプライスケジュールは、例えば、任意の数の0°、+45°、-45°、及び90°のプライを含んでよいが、多くの他のプライ配向が可能である。各チャージセグメント134内のプライ82は、図7図11に関連して前述された実施例の説明に対応する、角度の付いた切り込み94のパターンを内部に有する。
【0069】
幾つかの実施例では、チャージセグメント134の全てが、同じプライスケジュールに従って配置されたプライを有してよい。言い換えると、チャージセグメント134は、実質的に同一であってよい。一実施例では、より長いストリンガ54を製造するために、チャージ80が、より短いチャージ80を形成することに限定された製造装備によって収容され得る2つ以上のチャージセグメント134を備えてよい。しかし、他の複数の実施例では、チャージセグメント134が、局所的な荷重要求及び/又は他の条件を満たすために、チャージ80の長さに沿ってチャージ80を調整するために、それらのプライスケジュール、繊維長さ、切り込み角度、及び/又は切り込みパターンの点で異なってよい。例えば、チャージセグメント134は、主翼44のインボードセクション74、ならびに中間セクション76、またアウトボードセクション78のセクション74、76、78(図2)で使用されるストリンガ54の局所的な荷重要求及び形状寸法をそれぞれ満たすように調整され、最適化され得る。より短いチャージセグメント134は、高度な起伏を有するストリンガ54のそれらのエリアにおけるチャージ80の成形性を高める。チャージセグメント134は、同じ又は異なる長さを有してよい。
【0070】
チャージセグメント134は、一方又は両方の端部においてプライドロップオフ138(図20)を有するように積層されてよい。積層後に、チャージセグメント134は、接合部136で共硬化させることによって共に接合され得る。図示された一実施例では、チャージセグメント134が、ステップラップジョイントによって接続されているが、その用途に応じて、様々な他の種類のジョイント136が使用されてよい。幾つかの実施例では、チャージセグメント134の各々が、チャージセグメント134の幅に等しい幅を有するプリプレグテープを備えるが、他の複数の実施例では、プライ82の各々が、複数のテープ幅を有してよい。チャージセグメント134のプライ82は、前述されたラミネータ102によって、個別に又は全てが共に実質的に同時にのいずれかで積層されてよい。
【0071】
チャージ80は、様々な技法のいずれかを使用して、所望の形状に成形され得る。例えば、図21及び図22を参照すると、チャージ80が、上側ダイ141と下側ダイ143をそれぞれ備える、ダイセット139内で圧縮成形され得る。チャージ80が、上側ダイ141と下側ダイ143との間で圧縮されているときに、チャージ80と共にダイセット139は、印加された力Fを使用して延伸されてよい。チャージ80が成形されているときのチャージ80の延伸は、形成されている構造の任意の起伏のあるエリア内のプライ82の皺を低減させるの役立つ。同様に、チャージ80は、プライの皺を低減させるために、1以上の成形型の上でLASH成形されてよい。
【0072】
図23は、ストリンガ54などの複合材積層構造を形成するために使用されるチャージ80を作製する方法の全体的なステップを広く示している。140で示されているように、該方法は、スタックのプライ82の全てが同時に積層されるように、複数のテープヘッド104を使用して、繊維プリプレグテープ110の複数のストリップを、基板114の上に互いに重ねて敷設することによって、繊維プリプレグのプライ82のスタックを積層することを含む。
【0073】
図24は、複合材積層構造を形成するために使用されるチャージ80を積層するための別の方法を示している。141で示されているように、該方法は、繊維プリプレグのプライ82の少なくとも第1及び第2のスタックを同時に積層することであって、第1及び第2の基板114の上にテープヘッド104の一群を移動させることによって、テープ110のストリップを一列115に互いに重ねて敷設することを含み、テープヘッド104の一群は、プライの第1のスタックの積層を完了しつつ、プライの第2のスタックの積層を開始する、繊維プリプレグのプライ82の少なくとも第1及び第2のスタックを同時に積層することを含む。
【0074】
次に図25に注意を向けると、その図面は、複合材積層構造を作製する方法を示している。142で開始し、複合材構造にかかる荷重が、その長さに沿って予測される。144では、予測された荷重に基づいて、平坦なチャージ用のプライスケジュールが生成される。プライスケジュールには、異なる繊維配向を有するプライが含まれる。予測された荷重を満たすために必要とされるプライの各々の寄与の決定が行われる。146では、実質的なプライの皺なしにプライを所望の形状に形成するために、平坦なチャージ内の各プライが延伸することが必要とされる量の決定が行われる。148では、構造的な強度と成形性との最適な組み合わせを表す、延伸に必要な各プライ内の繊維の長さが選択される。150では、プライスケジュールに従ってプライの平坦なスタックを積層することによって、平坦なチャージが組み立てられる。最後に、152で、平坦なチャージが、所望の形状に成形される。
【0075】
本開示の複数の実施例は、様々な潜在的用途、特に、輸送産業(例えば、航空宇宙、海洋、及び航空機内で使用される補強材などの複合材積層構造が使用されてよい他の用途を含む)で使用されてよい。したがって、次に図26及び図27を参照すると、本開示の実施例は、図26で示されるような航空機の製造及び保守方法154、及び図27で示されるような航空機156の文脈で使用されてよい。開示された複数の実施例の航空機の用途は、それらの長さに沿った起伏、湾曲、変化する厚さ、又は他の面外フィーチャを有する様々な複合材ストリンガ及び同様な補強材を含んでよい。製造前段階では、例示的な方法154が、航空機156の仕様及び設計158と、材料の調達160とを含んでよい。製造段階では、航空機156の構成要素及びサブアセンブリの製造162と、システムインテグレーション164とが行われる。その後、航空機156は、運航168に供されるために、認可及び納品166を経てよい。顧客により運航される間に、航空機156は、改造、再構成、改修なども含み得る、定期的な整備及び保守170が予定される。
【0076】
方法154の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実施又は実行されてよい。この明細書の解釈上、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含んでよいがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでよいがそれらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0077】
図27で示されているように、例示的な方法154によって製造された航空機156は、複数のシステム174及び内装176を備えた機体172を含んでよい。機体172は、その長さ方向に沿って1以上の起伏、湾曲、又は他の面外フィーチャを有するストリンガ178を含んでよい。高レベルのシステム174の例には、推進システム180、電気システム182、液圧システム184、及び環境システム186のうちの1以上が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてよい。航空宇宙産業の例が示されているが、本開示の原理は、海洋産業及び自動車産業といった他の産業にも適用されてよい。
【0078】
本明細書中で実施される装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法154の段階のうちの任意の1以上の最中に採用されてよい。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造162中に使用される構成要素又はサブアセンブリは、航空機156の運航期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様のやり方で製作又は製造されてよい。また、1以上の装置の実施例、方法の実施例、又はそれらの組み合わせは、例えば、航空機156の組み立てを実質的に効率化するか、又は航空機156のコストを削減することにより、構成要素及びサブアセンブリの製造162及びシステムインテグレーション164の段階で利用することができる。同様に、装置の実施例、方法の実施例、又はそれらの組み合わせのうちの1以上を、航空機156の運航中に、例えば限定しないが、整備及び保守170に利用することができる。
【0079】
条項1.
平坦な複合材チャージを積層するための装置であって、
直列(87)に配置された複数のテープヘッド(104)であって、支持フレーム(132)に取り付けられた複数のテープヘッド(104)を含むラミネータを備える、装置。
【0080】
条項2.
前記支持フレーム(132)は、前記複数のテープヘッド(104)を基板(114)の上方で支持するように構成され、
前記複数のテープヘッド(104)は、繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを、前記基板(114)の上で一列(115)に互いに重ねて同時に敷設するように配置され、
前記支持フレーム(132)と前記基板(114)とは、共通の軸(130)に沿って互いに対して移動可能である、条項1に記載の装置。
【0081】
条項3.
前記テープヘッド(104)は、前記支持フレーム(132)に一群として取り付けられている、条項1又は2に記載の装置。
【0082】
条項4.
前記テープヘッド(104)は、共通の軸(130)に沿って直列に整列し、前記共通の軸(130)に沿って互いから間隔を空けられ、それによって、前記テープヘッド(104)の各々は、繊維プリプレグテープ(110)が隣接するテープヘッド(104)によって敷設される直前に、繊維プリプレグテープ(110)を敷設する、条項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0083】
条項5.
前記ラミネータ(102)と前記基板(114)とを互いに対して移動させるためのトランスレータ(108)を更に備え、それによって、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップは、前記基板(114)の上の前記ラミネータ(102)の1回の通過で前記基板(114)上に敷設される、条項2に記載の装置。
【0084】
条項6.
前記テープヘッド(104)を個別に制御するように構成されたコントローラ(106)を更に備える、条項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【0085】
条項7.
前記コントローラ(106)は、2つの異なる複合材チャージ(80a、80b)のプライ(82)を同時に積層するように、前記テープヘッド(104)を制御するよう構成されている、条項6に記載の装置。
【0086】
条項8.
前記テープヘッド(104)の各々は、
繊維プリプレグテープ(110)の供給物(112)、
前記繊維プリプレグテープ(110)を所望の長さにするように切り込むよう構成されたカッター(118)、及び
前記繊維プリプレグテープ(110)を基板(114)の上に圧密するように構成されたコンパクター(126)を含む、条項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【0087】
条項9.
前記テープヘッド(104)の各々は、前記繊維プリプレグテープ(110)が前記基板(114)の上に圧密される前に、前記繊維プリプレグテープ(110)の裏紙(122)を剥がすように構成された剥がしローラー(120)を含む、条項8に記載の装置。
【0088】
条項10.
条項1から9のいずれか一項に記載の装置を使用して組み立てられた航空機の一部分。
【0089】
条項11.
複合材構造を形成するために使用されるチャージを作製する方法であって、
複数のテープヘッド(104)を使用して、繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを、基板(114)の上に一列(115)に互いに重ねて同時に敷設することによって、繊維プリプレグプライ(82)のスタック(81)を積層することを含む、方法。
【0090】
条項12.
前記繊維プリプレグプライ(82)の全てが、前記基板(114)の上の前記テープヘッド(104)の1回の通過で積層される、条項11に記載の方法。
【0091】
条項13.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、前記繊維プリプレグプライ(82)を直列に圧密することを含む、条項11又は12に記載の方法。
【0092】
条項14.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップをコンパクター(126)に供給すること、
前記コンパクター(126)を使用して、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを前記基板(114)の上に圧密すること、及び
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップが前記基板(114)の上に圧密される前に、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップの裏紙(122)を除去することを含む、条項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
条項15.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップの敷設を開始又は停止するために、前記テープヘッド(104)を個別に起動及び起動解除することを含む、条項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
条項16.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、直線的な経路(84)に沿って前記テープヘッド(104)を前記基板(114)に対して一群として移動させることを含む、条項12に記載の方法。
【0095】
条項17.
条項11から16のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
【0096】
条項18.
複合材積層構造を形成するために使用される複合材チャージを作製する方法であって、
繊維プリプレグプライ(82)の少なくとも第1のスタック(81)と第2のスタック(81)とを同時に積層することであって、第1の基板(114a)と第2の基板(114b)の上にテープヘッド(104)の一群を移動させることによって、繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを一列(115)に互いに重ねて敷設することを含み、前記テープヘッド(104)の一群は、前記プライ(82)の第1のスタック(81)の積層を完了しつつ、前記プライ(82)の第2のスタック(81)の積層を開始する、繊維プリプレグプライ(82)の少なくとも第1のスタック(81)と第2のスタック(81)とを同時に積層することを含む、方法。
【0097】
条項19.
前記第1のスタック(81)と前記第2のスタック(81)の前記プライ(82)の全てが、前記第1の基板(114a)と前記第2の基板(114b)の上の前記テープヘッド(104)の一群の1回の通過で積層される、条項18に記載の方法。
【0098】
条項20.
起伏のある複合材積層構造を作製する方法であって、
前記起伏のある複合材積層構造の長さに沿って前記起伏のある複合材積層構造にかかる荷重を予測すること、
前記荷重を予測したことに基づいて、平坦なチャージ(80)用のプライスケジュールを生成することを含み、前記プライスケジュールは、異なる繊維配向を有するプライ(82)を含み、前記プライスケジュールを生成することは、前記荷重を満たすために必要とされる前記プライスケジュール内の前記プライ(82)の各々の寄与を決定することを含み、
前記方法は、更に、
プライの皺なしに前記平坦なチャージ(80)を所望の構造に成形するために必要な、前記平坦なチャージ(80)内の前記プライ(82)の各々の延伸量を決定すること、
構造強度と成形性との最適な組み合わせを表す、前記プライ(82)の各々内の繊維(92)の長さ(L)を選択すること、
前記プライスケジュールに従って前記プライ(82)の平坦なスタック(81)を積層することによって、前記平坦なチャージ(80)を組み立てること、及び
前記平坦なチャージ(80)を前記所望の構造形状に成形することを含む、方法。
【0099】
条項21.
前記成形することは、前記平坦なチャージ(80)を引張成形することを含む、条項20に記載の方法。
【0100】
条項22.
前記引張成形は、
前記平坦なチャージ(80)に張力をかけること、及び
前記平坦なチャージ(80)を成形型の上に引き延ばしながら下ろすことを含む、条項21に記載の方法。
【0101】
条項23.
前記プライ(82)の少なくとも一部において繊維(92)内に角度の付いた切り込み(94)を入れることを更に含み、前記角度の付いた切り込み(94)は、前記平坦なチャージ(80)が成形されているときに、前記プライ(82)が延伸することを可能にするように構成されている、条項20から22に記載のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
条項24.
前記繊維(92)内の前記角度の付いた切り込み(94)は、前記プライ内の前記繊維の方向に対して約10°から約30°の角度で切り込まれる、条項23に記載の方法。
【0103】
条項25.
条項20から24のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
【0104】
条項26.
複合材構造を形成するために使用される複合材チャージ(80)を作製する方法であって、
繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを基板(114)上に互いに重ねて敷設することによって、繊維プリプレグプライ(82)のスタック(81)を積層すること、及び
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップが敷設されているときに、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを直列に圧密することを含む、方法。
【0105】
条項27.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを一列(115)に同時に敷設すること、及び
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを圧密することは、前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを同時に圧密することを含む、条項26に記載の方法。
【0106】
条項28.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップが圧密される前に、前記繊維プリプレグテープ(110)の裏紙(122)を除去することを更に含む、条項26又は27に記載の方法。
【0107】
条項29.
前記繊維プリプレグテープ(110)の複数のストリップを敷設することは、前記基板(114)の上のテープヘッド(104)の一群の通過を含み、
前記繊維プリプレグプライ(82)の全てが、前記基板(114)の上の前記テープヘッド(104)の一群の1回の通過で前記基板(114)上に積層される、条項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
条項30.
条項26から29のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
【0109】
本明細書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、且つ列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、非限定的に、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、又はアイテムBを含み得る。この例は、アイテムA、アイテムB、並びにアイテムC、又はアイテムB及びアイテムCも含み得る。アイテムは、特定の物体、物、又はカテゴリーであり得る。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及び幾つかのアイテムが、列挙された中から使用され得ることを意味するが、列挙されたアイテムの全てが必要な訳ではない。
【0110】
種々の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的な説明であること、又は開示された形態の実施例に限定することを、意図しているわけではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、異なる実施例は、他の実施例とは異なる特徴を提供することができる。選択された1以上の実施例は、それらの例の原理と実践的応用を最もよく解説するため、及び、他の当業者が様々な例の開示内容と共に想定される特定の用途に適した様々な修正例について理解することを可能にするために、選ばれ、説明されている。
図1
図2
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【外国語明細書】