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特開2024-2016投影システム、投影方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002016
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】投影システム、投影方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/36 20060101AFI20231228BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20231228BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20231228BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G09G5/36 520K
G03B21/14 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100949
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 淳
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 浩
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA04
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA62
2K203FB05
2K203GC25
2K203GC26
2K203KA56
2K203KA83
5C058BA20
5C058BA29
5C058BA35
5C058BB25
5C058EA02
5C058EA27
5C058EA31
5C182AA04
5C182AC02
5C182BA14
5C182BA27
5C182BA46
5C182BA54
5C182BC01
5C182BC22
5C182BC25
5C182CA01
5C182CA21
5C182CB12
5C182CB32
5C182CB33
5C182CB34
5C182CB42
5C182CC26
5C182CC27
5C182DA02
(57)【要約】
【課題】対象の位置に応じた投影装置の状態の切り替えをより簡易に行うことができる投影システム、投影方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】投影システムは、検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、対象が、第2投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、対象が第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を第1投影面に投影させ、対象が第2範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を第1投影面に投影させる処理部を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合には、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる、
処理部を備える投影システム。
【請求項2】
前記検出装置は、
前記対象が前記第1範囲に位置している場合に前記対象を検出する第1センサと、
前記対象が前記第2範囲に位置している場合に前記対象を検出する第2センサと、
を有する、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記鏡に映したときに正常な形状と認識されるように形状が補正された前記第1画像を、前記投影装置により前記第1投影面に投影させる、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第1範囲に前記対象が位置していると判別された場合において、前記第2範囲にも前記対象が位置していると判別された場合には、前記投影装置により、前記第1範囲に位置している対象及び前記第2範囲に位置している対象により直接視認可能な第2投影面に、直接視認したときに正常な向きであると認識される第3画像を投影させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項5】
前記処理部は、
前記第1範囲に前記対象が位置していると判別された場合において、前記第2範囲にも前記対象が位置していると判別された場合には、
前記第1範囲に位置している対象の数と、前記第2範囲に位置している対象の数とを計数し、
前記第1範囲に位置している対象の数が、前記第2範囲に位置している対象の数よりも多い場合には、前記投影装置により、前記第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記第2範囲に位置している対象の数が、前記第1範囲に位置している対象の数よりも多い場合には、前記投影装置により、前記第2画像を前記第1投影面に投影させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記第1投影面は、前記第1範囲に位置している前記対象により直接視認されない位置にある、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項7】
投影システムのコンピュータが実行する投影方法であって、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合には、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる、
投影方法。
【請求項8】
投影システムのコンピュータに、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別する処理、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合に、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させる処理、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合に、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システム、投影方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサ等の検出装置により検出された対象(例えば、人)の位置に応じて、プロジェクタ等の投影装置による画像の投影位置を調整する技術が知られている。例えば、特許文献1には、検出された対象の位置から対象の進行方向前方に所定距離だけ離れた位置に画像を投影することで、対象が画像を容易に視認できるようにする技術が開示されている。投影位置の調整は、モータなどの駆動部を動作させて投影装置の向きを都度変更することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検出された対象の位置が大きく変わった場合(例えば、対象の位置が投影装置を挟んで反対側へと変わった場合)には、適切な投影位置に投影するために投影装置の状態(上記の従来技術では、向き)を大きく変更する必要があり、適切な投影位置への投影が開始されるまでに長時間を要してしまう。
このように、上記の従来技術には、対象の位置に応じた投影装置の状態の切り替えが容易でないという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、対象の位置に応じた投影装置の状態の切り替えをより簡易に行うことができる投影システム、投影方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る投影システムは、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合には、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる、
処理部を備える。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る投影方法は、
投影システムのコンピュータが実行する投影方法であって、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合には、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
投影システムのコンピュータに、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別する処理、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合に、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させる処理、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合に、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる処理、
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対象の位置に応じた投影装置の状態の切り替えをより簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の投影システムの構成を示す図である。
図2】天井への取り付け及び投影方向の調整のためのプロジェクタの機構を示す図である。
図3】制御装置、プロジェクタ及び検出装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】人が第1範囲にいる場合の第1画像の投影動作を説明する図である。
図5】人が第2範囲にいる場合の第2画像の投影動作を説明する図である。
図6】人が第1範囲及び第2範囲にいる場合の第3画像の投影動作を説明する図である。
図7】投影制御処理の制御手順を説明するフローチャートである。
図8】画像投影処理の制御手順を説明するフローチャートである。
図9】変形例に係る投影制御処理の制御手順を説明するフローチャートである。
図10】第2の実施形態の投影システムの構成を示す図である。
図11】第2の実施形態における部屋を示す図である。
図12】第2の実施形態の投影制御処理の制御手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
<投影システムの概要>
図1は、第1の実施形態の投影システム1の構成を示す図である。
投影システム1は、制御装置10と、プロジェクタ20(投影装置)と、検出装置30とを備える。プロジェクタ20及び検出装置30は、それぞれ無線又は有線により制御装置10と通信接続されており、制御装置10との間でデータの送受信を行うことが可能となっている。本実施形態の投影システム1は、部屋100に設けられている。部屋100は、天井61と、床面62と、壁面63~65と、廊下66と、鏡50などを有し、例えば家屋の玄関である。壁面63~65は、天井61及び床面62に対して垂直であり、壁面64は、壁面63、65に対して垂直である。よって、壁面63は、壁面65と平行であり、壁面65に向かい合っている。廊下66は、壁面63の下端において、壁面63に沿って延在している。鏡50は、壁面63に設けられている。壁面65には、入口67(開口部)が設けられている。入口67には、図示しないドアが開閉可能に取り付けられていてもよい。対象P(図4~6参照)は、入口67から部屋100に入り廊下66を通って別の部屋に移動したり、廊下66から入口67を通って外に出たりする。投影システム1の制御装置10、プロジェクタ20及び検出装置30は、天井61に取り付けられている。ただし、これに限られず、制御装置10、プロジェクタ20及び検出装置30のうちの少なくとも一部が、床面62や壁面63~65に取り付けられていてもよいし、図示略の台座等に載置されていてもよい。また、部屋100は、家屋の一部に限られず、商業施設や公共施設といった各種の施設の一部であってもよい。対象Pは、直接的または間接的な視認機能を有し、本実施形態では、対象Pは、人である。人は、「対象」の一態様である。以下、本明細書では、特に言及しない限り対象Pを人Pとして説明する。例えば、対象Pは、カメラで撮影した映像を介して、人が撮影対象を視認可能とするドローンであってもよく、対象Pは、少なくとも人を含んでいてもよい。例えば、対象Pは、人と、人が乗る乗り物(自動車、自転車、車椅子等)とから構成されてもよい。
【0013】
プロジェクタ20は、画像データ232(図3参照)に応じた強度分布の投影光を高指向性で床面62又は壁面63~65に照射することにより、当該床面62又は壁面63~65に画像を投影(形成)する。床面62及び壁面63~65のうち画像が投影される領域を、以下では投影面と記す。本実施形態では、投影面として、壁面65の第1投影面S1、床面62の第2投影面S2a、及び壁面64の第2投影面S2bが設定されている。これらの各投影面は、本実施形態ではいずれも矩形である。このうち第1投影面S1は、詳しくは後述するが、第1範囲R1に位置している人Pが鏡50越しに視認する第1画像41(図4参照)、及び、第2範囲R2に位置している人Pが直接視認する第2画像42(図5参照)が投影される領域である。以下では、人Pが或る範囲に位置していることを、単に「人Pが或る範囲にいる」と記す。また、第2投影面S2a、S2bは、第1範囲R1及び第2範囲R2に人Pがいる場合においてこれらの人Pが直接視認する第3画像43(図6参照)が投影される領域である。また、第2投影面S2aは、床面62のうち第1範囲R1及び第2範囲R2の間に位置しているものとする。以下では、第2投影面S2a、S2bのうちの任意の一方を指す場合には「第2投影面S2」と記す。
プロジェクタ20によりこれらの第1投影面S1、及び第2投影面S2a、S2bのいずれかに画像を投影することで、プロジェクタ20の照射光を照明として代用しながら、快適な演出を提供することができる。プロジェクタ20は、第1投影面S1、及び第2投影面S2a、S2bに画像を投影できるように、投影方向を調整可能な態様で天井61に取り付けられている。
【0014】
図2は、天井61への取り付け及び投影方向の調整のためのプロジェクタ20の機構を示す図である。
プロジェクタ20は、投影方向調整装置70を介して天井61に取り付けられている。投影方向調整装置70は、プロジェクタ20を保持する保持部材73と、天井61に垂直な第1軸A1の回りで回動可能な状態で保持部材73を天井61に取り付けるための第1調整部71と、第1軸A1に垂直な第2軸A2の回りで回動可能な状態でプロジェクタ20を保持部材73に対して取り付けるための第2調整部72とを有する。
【0015】
第1調整部71は、天井61に固定された第1固定部71aと、図示しないモータの動作により第1固定部71aに対して第1軸A1を中心に回動可能な第1回動部71bとを有する。
保持部材73は、第1調整部71の第1回動部71bに固定される、天井61に略平行な板状の基部731と、基部731の両端から延び基部731に略垂直な板状の側面板732とを有する。基部731は、その中心に設けられた取り付け穴731aに図示しない固定部材を通すことで第1回動部71bに固定される。
第2調整部72は、プロジェクタ20の筐体20aのうち、投影光が射出される投影レンズ20bが設けられた面に対する両側面の少なくとも一方に取り付けられている。第2調整部72は、第2回動部72a及び第2固定部72bを有する。このうち第2固定部72bは、保持部材73の側面板732の取り付け穴732aに通された図示しない固定部材によって側面板732に固定される。また、第2回動部72aは、プロジェクタ20の筐体20aの側面に固定されており、図示しないモータの動作により第2固定部72bに対して第2軸A2を中心に回動する。
【0016】
このように保持部材73を介してプロジェクタ20が天井61に取り付けられた状態で、第1調整部71の第1回動部71bを第1固定部71aに対して回動させることで、保持部材73とともにプロジェクタ20を第1軸A1の回りで回動させることができる。これにより、第1軸A1を中心とした回転方向について、プロジェクタ20による画像の投影方向を調整することができる。
また、第2調整部72の第2回動部72aを第2固定部72bに対して回動させることで、プロジェクタ20を第2軸A2の回りで回動させることができる。これにより、第2軸A2を中心とした回転方向について、プロジェクタ20による画像の投影方向を調整することができる。
第1軸A1の回りの回動と、第2軸A2の回りの回動とを組み合わせることで、各軸回りの回動可能範囲内であれば任意の方向に画像を投影することができる。
なお、図2は、プロジェクタ20の画像の投影方向(プロジェクタ20の向き)を調整するための機構の一例であり、他の機構によりプロジェクタ20の画像の投影方向を調整してもよい。
【0017】
図1に示す検出装置30は、部屋100にいる人Pを検出し、検出結果に係るデータを制御装置10に送信する。検出装置30は、人Pが第1範囲R1にいる場合に当該人Pを検出する第1センサ31と、人Pが第2範囲R2にいる場合に当該人Pを検出する第2センサ32とを有する。第1センサ31は、プロジェクタ20を挟んで第2センサ32とは反対側に設けられている。言い換えれば、第1範囲R1は、第1センサ31で人(対象)Pを検出可能かつ、第2センサ32で人(対象)Pを検出不可能な領域であり、第2範囲R2は、第2センサ32で人Pを検出可能かつ、第1センサ31で人Pを検出不可能な領域である。第1センサ31及び第2センサ32としては、例えば、人Pが発散する赤外線を焦電セラミクスの焦電効果により検出する焦電型赤外線センサを用いることができる。ただし、これに限られず、第1センサ31及び第2センサ32の検出方式は、人(対象)Pを検出可能なものであれば特に限定されない。例えば、第1センサ31及び第2センサ32は、CMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)エリアセンサを用いた対象検知センサであってもよい。
【0018】
本実施形態において、第1範囲R1は、入口67の近傍における略円形(又は略楕円形)の範囲である。第1センサ31は、略円形(又は略楕円形)の第1範囲R1と第1センサ31とを結ぶ略円錐形状(又は略楕円錐形状)の空間内に人Pがいる場合に当該人Pを検出するように向き及び感度が調整されている。
また、本実施形態において、第2範囲R2は、廊下66の近傍における略円形(又は略楕円形)の範囲である。第2センサ32は、略円形(又は略楕円形)の第2範囲R2と第2センサ32とを結ぶ略円錐形状(又は略楕円錐形状)の空間内に人Pがいる場合に当該人Pを検出するように向き及び感度が調整されている。
また、本実施形態において、第1範囲R1は、プロジェクタ20を挟んで鏡50とは反対側の領域(すなわち、第1投影面S1側の領域)であり、第2範囲R2は、プロジェクタ20を挟んで第1投影面S1とは反対側の領域である。なお、図1に示した第1範囲R1及び第2範囲R2は例示であり、第1範囲R1及び第2範囲R2の形状及び大きさは適宜変更可能である。
【0019】
制御装置10は、検出装置30による人Pの検出結果に基づいて、人Pが第1範囲R1にいるか否か、及び、人Pが第2範囲R2にいるか否かを判別する。また、制御装置10は、この判別結果に基づいて、第1投影面S1、第2投影面S2a、S2bのうち画像を投影する対象の投影面、及び画像の投影態様(画像の左右反転の有無、及び画像の形状の幾何学補正(台形補正)の内容等)を決定する。また、制御装置10は、プロジェクタ20に対して投影制御信号を送信することで、プロジェクタ20の動作を制御する。詳しくは、上述のように決定した投影面に、決定した投影態様で画像を投影させるための投影制御信号をプロジェクタ20に対して送信する。投影制御信号を受信したプロジェクタ20は、制御装置10が決定した投影態様となるように画像データ232に対して画像処理を行う。また、プロジェクタ20は、制御装置10が決定した投影面に画像が投影されるように投影方向調整装置70を制御して自身の向きを変更し、補正後の画像データ232に基づいて画像を投影する。制御装置10によるプロジェクタ20の動作の制御については、後に詳述する。
【0020】
<投影システムの構成>
図3は、制御装置10、プロジェクタ20及び検出装置30の機能構成を示すブロック図である。
制御装置10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、通信部14などを備え、これらの各部はバス15により接続されている。
【0021】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、制御装置10の各部の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU11が「処理部」及び「コンピュータ」に相当する。なお、処理部は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、CPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが「処理部」に相当する。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0022】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0023】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。
【0024】
通信部14は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部14は、この通信動作により、プロジェクタ20及び検出装置30との間で無線又は有線によるデータの送受信を行う。また、通信部14は、プロジェクタ20及び検出装置30以外の外部機器との間でデータの送受信を行うことが可能であってもよい。
【0025】
プロジェクタ20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、投影部24と、通信部25などを備え、これらの各部はバス26により接続されている。
【0026】
CPU21は、記憶部23に記憶されているプログラム231を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、プロジェクタ20の各部の動作を制御するプロセッサである。プロジェクタ20は、複数のプロセッサ(例えば複数のCPU)を有していてもよく、CPU21が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0027】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0028】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム231及び各種データを記憶する。記憶部23は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。プログラム231は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部23に格納されている。記憶部23に記憶されるデータとしては、投影に用いる画像データ232などがある。
【0029】
投影部24は、光源部241、表示素子242、及び光学系駆動部243などを備える。投影部24は、光源部241から出力された光の強度分布を、画像データ232に応じて表示素子242により調整し、図示しない投影レンズ群を通してプロジェクタ20の外部に出射することで画像を投影する。
【0030】
光源部241は、青色の波長帯域の光(青色光)、緑色の波長帯域の光(緑色光)、及び赤色の波長帯域の光(赤色光)を発する。本実施形態の光源部241は、レーザーダイオードが発生させた青色光と、LEDが発生させた赤色光と、所定の蛍光体に対して上記の青色光を入射させることにより発生させた緑色の蛍光(緑色光)とを出力する。ただし、光源部241における各色の光の生成方法は、上記に限られない。本実施形態の光源部241は、赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ別個の期間に出力する。
【0031】
表示素子242は、空間的光変調素子(SOM:Spatial Optical Modulator)であり、例えば、デジタルマイクロミラー素子(DMD)である。DMDは、アレイ状に配列された複数の微小ミラーの各傾斜角度を、画像データ232の画素値に応じて個々に高速で切り替えて、各画素単位各画像フレーム単位で投影レンズ群への光反射の有無を定めることで、その反射光により、光像を形成する。また、上述のとおり、光源部241からは、赤色光、緑色光及び青色光が時分割で表示素子242に入射され、表示素子242は、赤色光、緑色光及び青色光の入射期間においてそれぞれ赤色画像、緑色画像及び青色画像を生成する。プロジェクタ20は、これらの赤色画像、緑色画像及び青色画像の投影を高速で繰り返すフィールドシーケンシャル方式により、カラー画像を投影する。
【0032】
表示素子242で反射した光(画像を形成する光)が入射する投影レンズ群は、複数のレンズの位置関係を変更することにより、出力画像の拡大率(ズーム倍率、焦点距離)の調整が可能なズームレンズとなっている。光学系駆動部243は、CPU11から送信される制御信号に応じて、投影レンズ群を構成する複数のレンズを移動させて、投影レンズ群のズーム倍率を調整したり、フォーカスを調整したりする。光学系駆動部243は、複数のレンズの各々を光軸方向に移動させるアクチュエータを備える。光学系駆動部243は、CPU21から送信される制御信号に従って動作する。
【0033】
通信部25は、予め定められた通信規格に従った通信動作を行う。通信部25は、この通信動作により、制御装置10との間で無線又は有線によるデータの送受信を行う。
【0034】
投影方向調整装置70は、上述のとおり、第1調整部71及び第2調整部72などを備える。投影方向調整装置70は、プロジェクタ20との通信動作を行う通信部と、プロジェクタ20から受信した制御信号に従って第1調整部71及び第2調整部72のモータを動作させる制御部などを備える。制御部が第1調整部71及び第2調整部72のモータを動作させることで、プロジェクタ20の向きが、図2に示す第1軸A1及び第2軸A2を中心にそれぞれ独立に回転する。
【0035】
検出装置30は、上述のとおり、第1センサ31及び第2センサ32を備える。第1センサ31及び第2センサ32は、それぞれ、制御装置10との通信動作を行う通信部と、焦電セラミクスを有し赤外線による温度変化に応じて電圧信号を発生させる検出素子と、検出素子からの電圧信号に応じて、人Pの検出結果に係る検出データを生成して制御装置10に送信するマイコン等の制御部などを備える。
【0036】
<投影システムの動作>
次に、投影システム1の動作について説明する。
投影システム1は、部屋100における人Pの位置に応じて、画像を投影する投影面、及び画像の投影態様を決定して画像を投影する。
より詳しくは、制御装置10のCPU11は、検出装置30による人Pの検出結果に基づいて、人Pが、鏡50に映った第1投影面S1を視認可能な第1範囲R1にいるか否か、及び、人Pが、第1投影面S1を直接視認可能な第2範囲R2にいるか否か、を判別する。
ここで、第1範囲R1又は第2範囲R2にいる人Pが画像を視認可能とは、各範囲にいる人Pが、当該範囲における通常の体勢で画像の全体を視認できることをいう。例えば、第1範囲R1にいる人Pの通常の体勢は、壁面63、64又は床面62に視線を向けている体勢である。よって、第1範囲R1にいる通常の体勢の人Pは、壁面63の鏡50に映った第1投影面S1を視認することが可能である一方、第1投影面S1を直接視認することはできないものとする。第1範囲R1からは、自身の直上の壁面65を仰ぎ見るといった通常と異なる体勢でなければ第1投影面S1を視認できないためである。また、第2範囲R2にいる人Pの通常の体勢は、壁面63~65又は床面62に視線を向けている体勢である。よって、第2範囲R2にいる通常の体勢の人Pは、壁面65の第1投影面S1を直接視認することが可能である。一方、第2範囲R2にいる通常の体勢の人Pが壁面63の鏡50を見たときには、鏡50に大きく自身が映るため、当該人Pは、鏡50に映った第1投影面S1の全体を視認することはできないものとする。なお、鏡50は、第2範囲R2にいる通常の体勢の人Pが鏡50越しに第1投影面S1を視認できない位置に設けられていてもよい。
そして、CPU11は、人Pが第1範囲R1にいると判別された場合には、プロジェクタ20に投影制御信号を送信して、プロジェクタ20により、鏡50に映したときに正常な向きであると認識される第1画像41を第1投影面S1に投影させる。また、CPU11は、人Pが第2範囲R2にいると判別された場合には、プロジェクタ20に投影制御信号を送信して、プロジェクタ20により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像42を第1投影面S1に投影させる。
【0037】
図4は、人Pが第1範囲R1にいる場合の第1画像41の投影動作を説明する図である。
人Pが第1範囲R1にいる場合には、検出装置30の第1センサ31が人Pを検出し、第2センサ32は、人Pを検出しない。検出装置30によるこの検出結果に基づいて、制御装置10のCPU11は、人Pが第1範囲R1にいると判別することができる。
【0038】
第1投影面S1は、壁面65のうち入口67の上部にあるため、第1範囲R1にいる通常の体勢の人Pにより直接視認されないが、第1範囲R1にいる人Pは、鏡50に映った第1投影面S1を視認することができる(言い換えると、鏡50越しに第1投影面S1を視認することができる)。このため、人Pが第1範囲R1にいると判別された場合には、制御装置10のCPU11は、プロジェクタ20の投影レンズ20bが第1投影面S1に向くようにプロジェクタ20の向きを調整させた上で、プロジェクタ20により、第1投影面S1に第1画像41を投影させる。上述のとおり、プロジェクタ20の向きの調整は、制御装置10から投影制御信号を受信したプロジェクタ20のCPU21が、投影制御信号に従って投影方向調整装置70を制御することにより行われる。ただし、これに限られず、制御装置10が投影方向調整装置70を直接制御してもよい。ここで、第1画像41は、鏡50に映したときに正常な向きであると認識される画像であり、通常の向きの画像(直接視認したときに正常な向きであると認識される画像)を左右反転させた画像である。図4に示す例では、左右反転させた「Welcome」の文字を含む第1画像41が、第1投影面S1に投影されている。人Pは、鏡50に映ったこの第1画像41の鏡像41rを視認する。鏡像41rでは、「Welcome」の文字は正常な向きに認識される。なお、第1画像41の鏡像41rは、実際には鏡50の面に対して面対象となる位置にあるように視認されるが、図4では便宜上、鏡50の位置に鏡像41rを描いている(後述する図10の鏡像41rについても同様)。
【0039】
また、制御装置10のCPU11は、鏡50に映したときに正常な形状と認識されるように形状が補正された第1画像41を、プロジェクタ20により第1投影面S1に投影させる。例えば、プロジェクタ20による投影光の照射方向が壁面65に対して垂直からずれており、矩形として投影された第1画像41が第1投影面S1上で矩形とは異なる形状(例えば台形)となる場合に、第1投影面S1上で第1画像41が矩形となるように画像データ232に対して幾何学補正を行わせた上で投影させる。すなわち、制御装置10のCPU11は、幾何学補正のパラメータを含む投影制御信号をプロジェクタ20に送信し、プロジェクタ20のCPU21は、受信した投影制御信号のパラメータに基づいて画像データ232に対して幾何学補正を行った上で第1画像41を投影する。ここで、幾何学補正処理は、投影面上で画像が所望の形状(例えば矩形)となるように画像データ232の一部を間引く処理であり、いわゆる台形補正を含む。幾何学補正のパラメータは、プロジェクタ20と壁面65との位置関係に基づいて予め設定されていてもよいし、投影時のプロジェクタ20の向きと壁面65とがなす角度をカメラなどのセンサを用いて特定し、その特定結果に基づいてCPU11が都度導出してもよい。
第1投影面S1上で第1画像41が矩形となっていれば、通常、人Pは、第1画像41を鏡50に映した鏡像41rについても正常な形状であると認識する。
なお、さらに、第1画像41を鏡50に映した鏡像41rが人Pから見て矩形となるように、第1投影面S1上における第1画像41の形状を補正してもよい。この場合には、第1画像41は、必ずしも第1投影面S1上において矩形とならなくてもよい。
【0040】
図5は、人Pが第2範囲R2にいる場合の第2画像42の投影動作を説明する図である。
人Pが第2画像42にいる場合には、検出装置30の第1センサ31は人Pを検出せず、第2センサ32が人Pを検出する。検出装置30によるこの検出結果に基づいて、制御装置10のCPU11は、人Pが第2範囲R2にいると判別することができる。
【0041】
第2範囲R2にいる人Pは、壁面65のうち入口67の上部にある第1投影面S1を直接視認することができる。このため、制御装置10のCPU11は、人Pが第2範囲R2にいると判別された場合には、プロジェクタ20の投影レンズ20bが第1投影面S1に向いた状態で、プロジェクタ20により、第1投影面S1に第2画像42を投影させる。ここで、第2画像42は、直接視認したときに正常な向きであると認識される、通常の向きの画像(左右を反転させない画像)である。図5に示す例では、「Thank you」の文字を含む第2画像42が、第1投影面S1に投影されている。図4及び図5を比較すると分かるように、第1範囲R1に人Pがいるときに第1投影面S1に第1画像41を投影する場合と、第2範囲R2に人Pがいるときに第1投影面S1に第2画像42を投影する場合とで、プロジェクタ20の向きは変化せず、画像の投影態様(左右反転の有無)が切り替えられているのみである。よって、人Pの位置が、プロジェクタ20を挟んで反対側に変化するような場合であっても、人Pの位置に応じたプロジェクタ20の状態の切り替えをより簡易に行うことができる。
【0042】
第2画像42を投影する場合にも、制御装置10のCPU11は、第1投影面S1上で第2画像42が矩形となるように、プロジェクタ20により、画像データ232に対して幾何学補正を行わせた上で第2画像42を投影させる。幾何学補正のパラメータは、プロジェクタ20と、壁面65との位置関係に基づいて予め設定されていてもよいし、投影時のプロジェクタ20の向きと、壁面65とがなす角度をカメラなどのセンサを用いて特定し、その特定結果に基づいてCPU11が都度導出してもよい。
【0043】
次に、第1範囲R1及び第2範囲R2のいずれにも人Pがいる場合の投影動作について説明する。
制御装置10のCPU11は、第1範囲R1に人がいると判別された場合において、第2範囲R2にも人がいると判別された場合には、プロジェクタ20により、第1範囲R1にいる人P及び第2範囲R2にいる人Pにより直接視認可能な第2投影面S2a、S2bのいずれかに、直接視認したときに正常な向きであると認識される第3画像43を投影させる。
【0044】
図6は、人Pが第1範囲R1及び第2範囲R2にいる場合の第3画像43の投影動作を説明する図である。
人Pが第1範囲R1及び第2画像42にいる場合には、検出装置30の第1センサ31及び第2センサ32が人Pを検出する。検出装置30によるこの検出結果に基づいて、制御装置10のCPU11は、人Pが第1範囲R1及び第2範囲R2にいると判別することができる。
【0045】
第1範囲R1にいる人P及び第2画像42にいる人Pは、いずれも、床面62の第2投影面S2a及び壁面64の第2投影面S2bを直接視認することができる。このため、制御装置10のCPU11は、第1範囲R1及び第2範囲R2に人Pがいると判別された場合には、プロジェクタ20の投影レンズ20bが第2投影面S2a、S2bのいずれか一方に向くようにプロジェクタ20の向きを調整させた上で、プロジェクタ20により、第2投影面S2a、S2bのうち上記一方に第3画像43を投影させる。ここで、第3画像43は、第2画像42と同様、直接視認したときに正常な向きであると認識される、通常の向きの画像である。図6に示す例では、「Good Day」の文字を含む第3画像43が、第2投影面S2aに投影されている。床面62の第2投影面S2aに第3画像43を投影する場合には、第1範囲R1にいる人P及び第2範囲R2にいる人Pのいずれからも第3画像43が上下反対に見えないように(すなわち、第3画像43の2つの側端がそれぞれ第1範囲R1にいる人P側、及び第2範囲R2にいる人P側に位置するように)、第3画像43を回転させた上で投影してもよい。
【0046】
第3画像43を投影する場合にも、制御装置10のCPU11は、第3投影面S2a、S2b上で第3画像43が矩形となるように、プロジェクタ20により、画像データ232に対して幾何学補正を行わせた上で第3画像43を投影させる。
【0047】
第1画像41、第2画像42又は第3画像43が投影される場合には、投影レンズ20bから第1投影面S1、第2投影面S2a、S2bまでの距離に応じて、光学系駆動部243の動作によりフォーカスが調整される。また、上記距離に応じて、投影される画像が所定の大きさとなるように、光学系駆動部243の動作によりズーム倍率の調整(ズームイン又はズームアウト)がなされてもよい。フォーカス及びズーム倍率の調整内容は、投影制御信号により制御装置10からプロジェクタ20に指示されてもよいし、投影制御信号により指示された投影面に応じてプロジェクタ20のCPU21が決定してもよい。また、フォーカス及びズーム倍率の調整量は、投影面ごとに予め導出しておいてもよいし、プロジェクタ20と投影面との距離をカメラなどのセンサを用いて特定し、その特定結果に基づいて都度導出してもよい。
【0048】
<投影制御処理及び画像投影処理>
次に、プロジェクタ20による画像の投影動作を制御するために制御装置10のCPU11が実行する投影制御処理、及び、画像を投影するためにプロジェクタ20のCPU21が実行する画像投影処理について説明する。
【0049】
図7は、投影制御処理の制御手順を説明するフローチャートである。
投影制御処理は、例えば、投影システム1が立ち上げられ、画像の投影を許可するユーザ操作が制御装置10又はプロジェクタ20に対してなされた場合に開始される。
【0050】
投影制御処理が開始されると、制御装置10のCPU11は、検出装置30から受信した人Pの検出結果に係るデータに基づいて、第1センサ31が人Pを検出したか否かの判別(ステップS101)、及び、第2センサ32が人Pを検出したか否かの判別(ステップS102又はステップS113)を行う。
第1センサ31及び第2センサ32がいずれも人Pを検出していないと判別された場合には(ステップS101で“NO”、かつステップS113で“NO”)、CPU11は、処理をステップS101に戻す。
【0051】
第1センサ31及び第2センサ32が人Pを検出したと判別された場合には(ステップS101で“YES”、かつステップS102で“YES”)、CPU11は、第1範囲R1及び第2範囲R2に人Pがいると判別し、第1範囲R1及び第2範囲R2から直接視認できる1つの第2投影面S2を投影対象に決定する(ステップS103)。複数の第2投影面S2から1つの第2投影面S2を決定する方法は、特には限られないが、例えば予めユーザにより設定された1つを選択する方法としてもよいし、まず所定の1つの第2投影面S2を選択し、図示しないセンサにより当該第2投影面S2への投影光の照射経路に障害物が検出された場合に他の第2投影面S2を選択する方法などとしてもよい。
【0052】
CPU11は、決定した第2投影面S2に画像を投影可能となるようにプロジェクタ20の向きを決定する(ステップS104)。各第2投影面S2に対応するプロジェクタ20の向きは、予め導出されて記憶部13に記憶されている。
【0053】
CPU11は、第1範囲R1及び第2範囲R2から見るのに適した第3画像43の内容及び向きを決定する(ステップS105)。ここで、画像の内容の決定は、例えば、予め用意されている複数の画像データ232のうちの1つを選択することにより行われる(後述するステップS109、S116における画像の内容の決定についても同様)。また、ステップS104で決定したプロジェクタ20の向きで投影した場合に、第1範囲R1にいる人P及び第2範囲R2にいる人Pのいずれかから見て第3画像43が上下反対となる場合に、第3画像43の向きが90°回転するように、第3画像43の画像データ232に対して90°回転させる回転処理を実行することを決定する。なお、上記のステップS104において、この回転処理が不要となるようにプロジェクタ20の向きを決定してもよい。
【0054】
CPU11は、第2投影面S2上で第3画像43が矩形となるように、第3画像43の画像データ232に対する幾何学補正の内容を決定する(ステップS106)。
【0055】
CPU11は、ステップS103~S106における決定内容を含む、第3画像43を投影させるための投影制御信号を生成してプロジェクタ20に送信する(ステップS107)。
【0056】
一方、第1センサ31が人Pを検出し、第2センサ32が人Pを検出していないと判別された場合には(ステップS101で“YES”、かつステップS102で“NO”)、CPU11は、第1範囲R1及び第2範囲R2のうち第1範囲R1に人Pがいると判別し、第1投影面S1に画像を投影可能となるようにプロジェクタ20の向きを決定する(ステップS108)。第1投影面S1に対応するプロジェクタ20の向きは、予め導出されて記憶部13に記憶されている。また、CPU11は、第1範囲R1から見るのに適した画像の内容を決定する(ステップS109)。
【0057】
CPU11は、鏡50に映したときに正常な向きであると認識されるように、ステップS109で決定した画像の画像データ232に対する左右反転処理の実行を決定する(ステップS110)。ステップS109で決定した画像を左右反転させた画像が、第1画像41に相当する。
【0058】
CPU11は、第1画像41を鏡50に映したときに正常な形状と認識されるように(例えば、第1投影面S1上で第1画像41が矩形となるように、あるいは、第1画像41を鏡50に映した鏡像41rが人Pから見て矩形となるように)、第1画像41の画像データ232に対する幾何学補正の内容を決定する(ステップS111)。
【0059】
CPU11は、ステップS108~S111における決定内容を含む、第1画像41を投影させるための投影制御信号を生成してプロジェクタ20に送信する(ステップS112)。
【0060】
他方で、第1センサ31が人Pを検出しておらず、第2センサ32が人Pを検出したと判別された場合には(ステップS101で“NO”、かつステップS113で“YES”)、CPU11は、第1範囲R1及び第2範囲R2のうち第2範囲R2に人Pがいると判別し、第2範囲R2から直接視認できる第1投影面S1を投影対象に決定する(ステップS114)。
【0061】
CPU11は、第1投影面S1に画像を投影可能となるようにプロジェクタ20の向きを決定する(ステップS115)。第1投影面S1に対応するプロジェクタ20の向きは、予め導出されて記憶部13に記憶されている。
【0062】
CPU11は、第2範囲R2から見るのに適した第2画像42の内容を決定する(ステップS116)。
【0063】
CPU11は、第2投影面S2上で第2画像42が矩形となるように、第2画像42の画像データ232に対する幾何学補正の内容を決定する(ステップS117)。
【0064】
CPU11は、ステップS114~S117における決定内容を含む、第2画像42を投影させるための投影制御信号を生成してプロジェクタ20に送信する(ステップS118)。
ステップS107、S112又はS118において投影制御信号をプロジェクタ20に送信すると、CPU11は、投影制御処理を終了させる。
【0065】
図8は、画像投影処理の制御手順を説明するフローチャートである。
画像投影処理は、例えば、上記の投影制御処理が開始された場合に開始される。
画像投影処理が開始されると、プロジェクタ20のCPU21は、制御装置10から投影制御信号を受信したか否かを判別し(ステップS201)、投影制御信号を受信していないと判別された場合には(ステップS201で“NO”)、再度ステップS201を実行する。
【0066】
投影制御信号を受信したと判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU21は、投影方向調整装置70に制御信号を送信して投影方向調整装置70を動作させて、プロジェクタ20の向きが、投影制御信号において指示されている向きとなるように調整する(ステップS202)。ステップS202の開始時点においてプロジェクタ20が既に画像を投影している(投影光を照射している)場合には、プロジェクタ20の向きの調整が完了するまで、投影光の光量を低減するか、投影光の照射を一時中止してもよい。これにより、プロジェクタ20の向きの変更時に投影光が人Pに向けられて眩しさを感じる不具合の発生を抑制することができる。
【0067】
CPU21は、投影制御信号において指定された画像の画像データ232を取得する(ステップS203)。ここでは、CPU21は、記憶部23に予め記憶されている画像データの中から指定された画像の画像データ232を取得してもよいし、記憶部23に当該画像データ232が記憶されていない場合等において、通信部25を介して外部装置から当該画像データ232を取得してもよい。
【0068】
CPU21は、投影制御信号に、画像データ232に対する左右反転処理の実行指示が含まれているか否かを判別する(ステップS204)。左右反転処理の実行指示が含まれていると判別された場合には(ステップS204で“YES”)、CPU21は、ステップS203で取得した画像データ232に対して左右反転処理を実行する(ステップS205)。
【0069】
ステップS205が終了した場合、又は、ステップS204において左右反転処理の実行指示が含まれていないと判別された場合には(ステップS204で“NO”)、CPU21は、投影制御信号に、画像データ232に対する回転処理の実行指示が含まれているか否かを判別する(ステップS206)。回転処理の実行指示が含まれていると判別された場合には(ステップS206で“YES”)、CPU21は、ステップS203で取得した画像データ232に対して、指定された角度の回転処理を実行する(ステップS207)。
【0070】
ステップS207が終了した場合、又は、ステップS206において回転処理の実行指示が含まれていないと判別された場合には(ステップS206で“NO”)、CPU21は、投影制御信号に、画像データ232に対する幾何学補正処理の実行指示が含まれているか否かを判別する(ステップS208)。幾何学補正処理の実行指示が含まれていると判別された場合には(ステップS208で“YES”)、CPU21は、ステップS203で取得した画像データ232に対して、指定された内容の幾何学補正処理を実行する(ステップS209)。
【0071】
ステップS209が終了した場合、又は、ステップS208において幾何学補正処理の実行指示が含まれていないと判別された場合には(ステップS208で“NO”)、CPU21は、画像データ232に基づいて投影部24を動作させて画像を投影させる(ステップS210)。
ステップS210が終了すると、CPU21は、画像投影処理を終了させる。
【0072】
<変形例>
上記実施形態では、第1範囲R1及び第2範囲R2に人Pがいる場合には、第2投影面S2a、S2bのいずれかに第3画像43を投影したが、これに代えて、第1投影面S1に第1画像41又は第2画像42を投影することで、プロジェクタ20の向きの調整量を低減してもよい。この場合において、第1範囲R1に位置している人Pの数と、第2範囲R2に位置している人Pの数とを計数し、第1範囲R1に位置している人Pの数が、第2範囲R2に位置している人Pの数よりも多い場合には、プロジェクタ20により、第1画像41を第1投影面S1に投影させ、第2範囲R2に位置している人Pの数が、第1範囲R1に位置している人Pの数よりも多い場合には、プロジェクタ20により、第2画像42を第1投影面S1に投影させてもよい。第1範囲R1に位置している人Pの数と、第2範囲R2に位置している人Pの数とが等しい場合には、第1画像41を第1投影面S1に投影させてもよいし、第2画像42を第1投影面S1に投影させてもよい。
【0073】
図9は、変形例に係る投影制御処理の制御手順を説明するフローチャートである。
図9の投影制御処理は、図7の投影制御処理の一部を変更したものに相当する。以下では、図7の投影制御処理のフローチャートとの相違点について説明し、共通する点については説明を省略する。
図9の投影制御処理では、第1センサ31及び第2センサ32が人Pを検出したと判別された場合には(ステップS101で“YES”、かつステップS102で“YES”)、CPU11は、第1範囲R1にいる人Pの数が、第2範囲R2にいる人Pの数よりも多いか否かを判別する(ステップS119)。第1範囲R1にいる人Pの数が、第2範囲R2にいる人Pの数よりも多いと判別された場合には(ステップS119で“YES”)、CPU11は、処理を図7のステップS108に移行させ、ステップS108~S112を実行して第1画像41を第1投影面S1に投影させる。第2範囲R2にいる人Pの数が、第1範囲R1にいる人Pの数以上であると判別された場合には(ステップS119で“NO”)、CPU11は、処理を図7のステップS114に移行させ、ステップS114~S118を実行して第2画像42を第1投影面S1に投影させる。なお、図9では、第1範囲R1にいる人Pの数と、第2範囲R2にいる人Pの数とが同一である場合にステップS114に移行させているが、これに代えて、ステップS108に移行させてもよい。
【0074】
<効果>
以上のように、第1の実施形態に係る投影システム1は、CPU11(処理部)を備え、CPU11は、検出装置30による人Pの検出結果に基づいて、人Pが、鏡50に映った第1投影面S1を視認可能な第1範囲R1にいるか否か、及び、人Pが、第2投影面S2を直接視認可能な第2範囲R2にいるか否か、を判別し、人Pが第1範囲R1にいると判別された場合には、プロジェクタ20により、鏡50に映したときに正常な向きであると認識される第1画像41を第1投影面S1に投影させ、人Pが第2範囲R2にいると判別された場合には、プロジェクタ20により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像42を第1投影面S1に投影させる。このように、鏡50越しに視認される第1投影面S1を第1画像41の投影対象として選択可能とすることで、人Pの位置に応じたプロジェクタ20の向きの調整量を低減することができる。例えば、第1範囲R1に人Pがいる状況と、第2範囲R2に人Pがいる状況との間で状況が切り替わった場合に、プロジェクタ20の向きを調整することなく、画像の投影態様(左右反転の有無)を切り替えるのみで、各人Pが視認可能な画像を投影することができる。よって、人Pの位置に応じたプロジェクタ20の状態の切り替えをより簡易に行うことができる。
【0075】
また、検出装置30は、人Pが第1範囲R1にいる場合に人Pを検出する第1センサ31と、人Pが第2範囲R2にいる場合に人Pを検出する第2センサ32と、を有する。これにより、簡易な構成で精度よく、第1範囲R1及び第2範囲R2に人Pがいるか否かを検出することができる。
【0076】
また、CPU11は、鏡50に映したときに正常な形状と認識されるように形状が補正された第1画像41を、プロジェクタ20により第1投影面S1に投影させる。鏡50に映った第1画像41を人Pが視認する場合には、プロジェクタ20から照射された投影光が人Pに到達するまでの経路が複雑かつ長くなることで、第1画像41の鏡50による鏡像41rの形状が歪んだ状態で視認されやすいところ、上記のように第1画像41の形状を補正することで、視認される鏡像41rをより自然な形状とすることができる。
【0077】
また、CPU11は、第1範囲R1に人Pがいると判別された場合において、第2範囲R2にも人Pがいると判別された場合には、プロジェクタ20により、第1範囲R1にいる人P及び第2範囲R2にいる人Pにより直接視認可能な第2投影面S2に、直接視認したときに正常な向きであると認識される第3画像43を投影させる。これにより、第1範囲R1にいる人P及び第2範囲R2にいる人Pにより視認可能な第3画像43を投影することができる。
【0078】
また、変形例に係るCPU11は、第1範囲R1に人Pがいると判別された場合において、第2範囲R2にも人Pがいると判別された場合には、第1範囲R1にいる人Pの数と、第2範囲R2にいる人Pの数とを計数し、第1範囲R1にいる人Pの数が、第2範囲R2にいる人Pの数よりも多い場合には、プロジェクタ20により、第1画像41を第1投影面S1に投影させ、第2範囲R2にいる人Pの数が、第1範囲R1にいる人Pの数よりも多い場合には、プロジェクタ20により、第2画像42を第1投影面S1に投影させる。これによれば、プロジェクタ20の向きの調整量を小さく抑えつつ、より多くの人Pが画像を視認できるようにすることができる。
【0079】
また、第1投影面S1は、第1範囲R1にいる人Pにより直接視認されない位置にある。これにより、鏡50に映る前の、左右が反転した第1画像41を人Pが直接視認しないようにすることができる。
【0080】
また、第1の実施形態に係る投影システム1のコンピュータとしてのCPU11が実行する投影方法は、検出装置30による人Pの検出結果に基づいて、人Pが、鏡50に映った第1投影面S1を視認可能な第1範囲R1にいるか否か、及び、人Pが、第2投影面S2を直接視認可能な第2範囲R2にいるか否か、を判別し、人Pが第1範囲R1にいると判別された場合には、プロジェクタ20により、鏡50に映したときに正常な向きであると認識される第1画像41を第1投影面S1に投影させ、人Pが第2範囲R2にいると判別された場合には、プロジェクタ20により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像42を第1投影面S1に投影させる。これにより、人Pの位置に応じたプロジェクタ20の状態の切り替えをより簡易に行うことができる。
【0081】
また、第1の実施形態に係るプログラム131は、投影システム1のコンピュータとしてのCPU11に、検出装置30による人Pの検出結果に基づいて、人Pが、鏡50に映った第1投影面S1を視認可能な第1範囲R1にいるか否か、及び、人Pが、第2投影面S2を直接視認可能な第2範囲R2にいるか否か、を判別する処理、人Pが第1範囲R1にいると判別された場合に、プロジェクタ20により、鏡50に映したときに正常な向きであると認識される第1画像41を第1投影面S1に投影させる処理、人Pが第2範囲R2にいると判別された場合に、プロジェクタ20により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像42を第1投影面S1に投影させる処理、を実行させる。これにより、人Pの位置に応じたプロジェクタ20の状態の切り替えをより簡易に行うことができる。
【0082】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と共通する構成については、共通する符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と相違する点について説明する。
【0083】
<投影システムの構成及び動作>
図10は、第2の実施形態の投影システム1の構成を示す図である。
図10に示すように、第2の実施形態の投影システム1は、部屋100と、入口67を挟んで部屋100に隣接する通路200と、にわたって投影システム1が設けられている。
【0084】
第2の実施形態の検出装置30は、通路200の天井69に設けられた第1センサ31と、部屋100の天井61に設けられた2つの第2センサ32a、32b(複数の第2センサ)とを備える。第1センサ31は、通路200における第1範囲R1に人Pがいる場合に当該人Pを検出する。部屋100には、2つの第2範囲R2a、R2b(複数の第2範囲)が設定されており、第2センサ32aは、このうち第2範囲R2aに人Pがいる場合に当該人Pを検出し、第2センサ32bは、第2範囲R2bに人Pがいる場合に当該人Pを検出する。言い換えれば、本実施形態の第1範囲R1は、第1センサ31で人(対象)Pを検出可能かつ、第2センサ32a、32bで人(対象)Pを検出不可能な領域であり、第2範囲R2aは、第2センサ32aで人Pを検出可能かつ、第1センサ31および第2センサ32bで人Pを検出不可能な領域であり、第2範囲R2bは、第2センサ32bで人Pを検出可能かつ、第1センサ31および第2センサ32aで人Pを検出不可能な領域である。本実施形態では、第2範囲R2aは、例えば第1の実施形態における第1範囲R1と同一の範囲であり、第2センサ32aは、例えば第1の実施形態の第1センサ31と同一の位置に設けられている。また、第2範囲R2bは、例えば第1の実施形態における第2範囲R2と同一の範囲であり、第2センサ32bは、例えば第1の実施形態の第2センサ32と同一の位置に設けられている。なお、図10及び後述の図11では、第1の実施形態の廊下66の記載が省略されている。また、本実施形態において、第2範囲R2aは、プロジェクタ20を挟んで第1投影面S1とは反対側の領域(すなわち、入口67側の領域(鏡50側の領域))であり、第2範囲R2bは、プロジェクタ20を挟んで第1投影面S1側の領域である。
【0085】
鏡50は、通路200のうち入口67の近傍に設けられている。また、第1投影面S1は、部屋100の壁面63に設定されている。鏡50は、通路200における第1範囲R1にいる人Pが、鏡50に映った第1投影面S1を、入口67の開口部を通して視認可能となる位置及び角度に設けられている。第1範囲R1と第1投影面S1との間には壁面68が延在しており、第1投影面S1は、第1範囲R1にいる人Pにより直接視認されない位置にある。言い換えれば、本実施形態において、第1範囲R1は、壁面68(入口67)を挟んで鏡50側の領域(すなわち、第1投影面S1側とは反対側の領域)であり、第2範囲R2a、2bは、壁面68(入口67)を挟んで鏡50とは反対側の領域である。
【0086】
図10に示すように、第1範囲R1に人Pがいる場合には、第1センサ31が人Pを検出する。制御装置10のCPU11は、この検出結果に基づいて、プロジェクタ20に投影制御信号を送信して、プロジェクタ20により、鏡50に映したときに正常な向きであると認識される第1画像41を壁面63の第1投影面S1に投影させる。これにより、人Pは、鏡50に映った第1画像41の鏡像41rを視認する。また、図10に示す例では、鏡像41rが人Pから見て矩形となるように、第1投影面S1上における第1画像41の形状が、矩形とは異なる形状に幾何学補正されている。
【0087】
図11は、第2の実施形態における部屋100を示す図である。
第2の実施形態では、上述のとおり、壁面63に第1投影面S1が設定されている。一方、通路200の第1範囲R1にいる人Pと、部屋100の第2範囲R2a又はR2bにいる人Pと、が同時に直接視認できる投影面がないため、本実施形態では第2投影面は設定されていない。また、本実施形態では、第2範囲R2a及び第2範囲R2bから直接視認できる第3投影面S3a、S3bが床面62、壁面64にそれぞれ設定されている。例えば、第3投影面S3aは、第1の実施形態における第2投影面S2aと同一の領域であり、第3投影面S3bは、第1の実施形態における第2投影面S2bと同一の領域である。以下では、第3投影面S3a、S3bのうちの任意の一方を指す場合には「第3投影面S3」と記す。第2範囲R2aにいる人Pは、第1投影面S1、第3投影面S3a、S3bを直接視認することができる。また、第2範囲R2bにいる人Pは、第1投影面S1、第3投影面S3b、S3c、及び壁面65に設定された第4投影面S4を直接視認することができる。第2範囲R2bは、第4投影面S4を直接視認可能な第3範囲R3ともいうことができる。
【0088】
本実施形態では、制御装置10のCPU11は、人Pが第1範囲R1にいると判別された場合には、プロジェクタ20により、第1投影面S1に第1画像41を投影させる。この第1画像41は、鏡50越しに人Pに視認される。
制御装置10のCPU11は、第1範囲R1に人Pがいないと判別された場合には、第2範囲R2a、R2bにおける人Pの存否に応じて以下の制御を行う。すなわち、CPU11は、人Pが第2範囲R2aにおり、かつ第2範囲R2bにいないと判別された場合、又は、第2範囲R2a、R2bのいずれにも人Pがいると判別された場合には、第2範囲R2a、R2bから視認可能な第1投影面S1、第3投影面S3a、S3bのいずれかに、プロジェクタ20により第2画像42を投影させる。また、CPU11は、人Pが第2範囲R2b(第3範囲R3)におり、かつ第2範囲R2aにいないと判別された場合には、第2投影面R2b(第3範囲R3)のみから視認可能な第4投影面S4に、プロジェクタ20により第2画像42を投影させる。
【0089】
なお、第2範囲R2の数は2つに限られず、3つ以上設定されてもよい。この場合には、複数の第2範囲R2の各々に対応して第2センサ32を設ければよい。また、複数の第2範囲R2のうち互いに異なる2以上の第2範囲R2にそれぞれ人がいると判別された場合には、検出された全ての人Pが視認可能な1つの投影面(例えば、第1投影面S1、第3投影面S3a、S3bのいずれか)に第2画像42を投影すればよい。
【0090】
<投影制御処理>
次に、第2の実施形態の投影制御処理について説明する。なお、画像投影処理は、第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0091】
図12は、第2の実施形態の投影制御処理の制御手順を説明するフローチャートである。
【0092】
投影制御処理が開始されると、制御装置10のCPU11は、検出装置30から受信した人Pの検出結果に係るデータに基づいて、第1センサ31が人Pを検出したか否かを判別する(ステップS301)。
【0093】
第1センサ31が人Pを検出したと判別された場合には(ステップS301で“YES”)、CPU11は、第1投影面S1に投影可能となるようにプロジェクタ20の向きを決定し(ステップS302)、第1範囲R1から見るのに適した画像の内容を決定し(ステップS303)、左右反転処理の実行を決定し(ステップS304)、鏡50に映したときに正常な形状と認識されるように幾何学補正の内容を決定し(ステップS305)、ステップS302~S305における決定内容を含む、第1画像41を投影させるための投影制御信号を生成してプロジェクタ20に送信する(ステップS306)。ステップS302~S306の処理は、図7のステップS108~S112の処理と同様である。
【0094】
ステップS301において、第1センサ31が人Pを検出していないと判別された場合には(ステップS301で“NO”)、CPU11は、1以上の第2センサ32が人Pを検出したか否かを判別する(ステップS307)。いずれの第2センサ32も人Pを検出していないと判別された場合には(ステップS307で“NO”)、CPU11は、処理をステップS301に戻す。1以上の第2センサ32が人Pを検出したと判別された場合には(ステップS307で“YES”)、CPU11は、第2センサ32bのみが人Pを検出したか否かを判別する(ステップS308)。
【0095】
第2センサ32bのみが人Pを検出したと判別された場合には(ステップS308で“YES”)、CPU11は、第4投影面S4を投影対象に決定し(ステップS309)、第4投影面S4に投影可能となるようにプロジェクタ20の向きを決定し(ステップS310)、第2範囲R2から見るのに適した第2画像42の内容及び向きを決定し(ステップS311)、幾何学補正の内容を決定し(ステップS312)、ステップS309~S312における決定内容を含む、第2画像42を投影させるための投影制御信号を生成してプロジェクタ20に送信する(ステップS313)。ステップS311~S313の処理は、図7のステップS116~S118の処理と同様である。
【0096】
一方、ステップS308において、第2センサ32bのみが人Pを検出したのではないと判別された場合には(ステップS308で“NO”)、CPU11は、第1投影面S1、第3投影面S3a、S3bのいずれかを投影対象に決定し(ステップS314)、決定した投影対象に投影可能となるようにプロジェクタ20の向きを決定し(ステップS315)、処理をステップS311に移行させる。この後のステップS313では、ステップS314、S315、S311、S312における決定内容を含む、第2画像42を投影させるための投影制御信号を生成してプロジェクタ20に送信する(ステップS313)。
ステップS306、又はS313において投影制御信号をプロジェクタ20に送信すると、CPU11は、投影制御処理を終了させる。
【0097】
(その他)
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る投影システム、投影方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の制御装置10が実行していた機能の一部をプロジェクタ20が実行可能な構成としてもよい。例えば、投影する画像の幾何学補正の内容は、指示された投影面に応じてプロジェクタ20のCPU21が決定してもよい。この場合には、制御装置10のCPU11及びプロジェクタ20のCPU21が「処理部」に相当する。
あるいは、上記実施形態の制御装置10が実行していた機能の全部をプロジェクタ20が実行可能な構成とし、制御装置10を省略してもよい。この場合には、プロジェクタ20のCPU21が「処理部」に相当する。
また、検出装置30の構成をプロジェクタ20に含めて、検出装置30を省略してもよい。
【0098】
また、検出装置30は、第1センサ31及び第2センサ32に代えて、部屋100の内部を撮影するカメラを備え、当該カメラの撮影画像に基づいて人(または対象)Pの位置を検出するものであってもよい。なお、検出装置30のカメラによる撮影画像を受信した制御装置10のCPU11が、撮影画像に基づいて人(または対象)Pの位置を検出してもよい。この場合には、制御装置10のCPU11及び検出装置30により「検出装置」が構成される。
【0099】
また、上記実施形態では、投影する画像に係る画像データの左右反転処理、回転処理、及び幾何学補正処理等の画像処理をプロジェクタ20のCPU21が実行する例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、画像データの画像処理を制御装置10のCPU11が実行し、画像処理後の画像データをプロジェクタ20に送信して投影に用いてもよい。
【0100】
また、鏡50、第1範囲R1、及び第1投影面S1の位置関係は、上記実施形態に例示したものに限られず、第1範囲R1にいる人Pが、鏡50に映った第1投影面S1を視認可能であれば、どのような位置関係であってもよい。
【0101】
また、第1範囲R1が一定以上の大きさを有している場合等において、カメラによる第1範囲R1の撮影画像等に基づいて、第1範囲R1内における人Pのより詳細な位置を検出し、検出された人Pの位置と、鏡50の位置との関係に応じて、第1投影面S1の位置を調整してもよい。例えば、第1範囲R1内における人Pの位置によっては鏡50に映った第1投影面S1の一部が視認できなくなる場合に、鏡50越しに第1投影面S1の全体が視認できるように第1投影面S1の位置を調整してもよい。また、検出された位置にいる人Pから見て鏡50の中心に第1投影面S1が映るように第1投影面S1の位置を調整してもよい。
【0102】
また、1つの鏡50に対して複数の第1範囲R1が設定されていてもよく、これらの複数の第1範囲R1の各々から鏡50越しに視認可能な複数の第1投影面S1が設定されていてもよい。この場合には、複数の第1範囲R1の各々に人Pがいるか否かを検出する複数の第1センサ31を設け、複数の第1範囲R1のうち人Pがいる第1範囲R1から鏡50越しに視認可能な第1投影面S1に第1画像41を投影すればよい。
また、複数の鏡50が設けられていてもよく、1つの第1範囲R1から各鏡50越しに視認可能な複数の第1投影面S1が設定されていてもよい。この場合には、第1範囲R1に人Pがいる場合に、複数の第1投影面S1のいずれかに第1画像41を投影すればよい。
また、複数の鏡50を設けるとともに、複数の第1範囲R1と、当該複数の第1範囲R1に対応する複数の第1センサ31とを設けてもよい。この場合には、例えば、鏡50及び第1範囲R1の組み合わせごとに、当該組み合わせに対応する第1投影面S1を設定し、第1センサ31により人Pが検出された第1範囲R1に対応する第1投影面S1に対して第1画像41を投影すればよい。
【0103】
また、投影システム1に、各種公知の方法により鏡50の位置及び向きを検出する鏡検出装置を設け、鏡検出装置による鏡50の検出結果に基づいて、第1範囲R1にいる人Pが鏡50越しに視認可能な第1投影面S1をCPU11が都度設定してもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、投影方向調整装置70によりプロジェクタ20を第1軸A1及び第2軸A2を中心に回動させることで画像の投影方向を調整する例を用いて説明したが、投影方向の調整方法はこれに限られない。例えば、投影システム1に、プロジェクタ20から投射された光を反射させるミラーを設け、このミラーの角度を変更することにより画像の投影方向を調整してもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、部屋100(又は、部屋100及び通路200)等を有する屋内に投影システム1を設ける例を用いて説明したが、投影システム1は、投影面を有する任意の場所に設けることが可能であり、例えば屋外に投影システム1を設けてもよい。
【0106】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のフラッシュメモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD、SSD、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0107】
また、上記実施形態における投影システム1、制御装置10、プロジェクタ20及び検出装置30の構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0108】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合には、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる、
処理部を備える投影システム。
<請求項2>
前記検出装置は、
前記対象が前記第1範囲に位置している場合に前記対象を検出する第1センサと、
前記対象が前記第2範囲に位置している場合に前記対象を検出する第2センサと、
を有する、請求項1に記載の投影システム。
<請求項3>
前記処理部は、前記鏡に映したときに正常な形状と認識されるように形状が補正された前記第1画像を、前記投影装置により前記第1投影面に投影させる、
請求項1に記載の投影システム。
<請求項4>
前記処理部は、
前記第1範囲に前記対象が位置していると判別された場合において、前記第2範囲にも前記対象が位置していると判別された場合には、前記投影装置により、前記第1範囲に位置している対象及び前記第2範囲に位置している対象により直接視認可能な第2投影面に、直接視認したときに正常な向きであると認識される第3画像を投影させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の投影システム。
<請求項5>
前記処理部は、
前記第1範囲に前記対象が位置していると判別された場合において、前記第2範囲にも前記対象が位置していると判別された場合には、
前記第1範囲に位置している対象の数と、前記第2範囲に位置している対象の数とを計数し、
前記第1範囲に位置している対象の数が、前記第2範囲に位置している対象の数よりも多い場合には、前記投影装置により、前記第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記第2範囲に位置している対象の数が、前記第1範囲に位置している対象の数よりも多い場合には、前記投影装置により、前記第2画像を前記第1投影面に投影させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の投影システム。
<請求項6>
前記第1投影面は、前記第1範囲に位置している前記対象により直接視認されない位置にある、
請求項1に記載の投影システム。
<請求項7>
投影システムのコンピュータが実行する投影方法であって、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別し、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合には、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させ、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合には、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる、
投影方法。
<請求項8>
投影システムのコンピュータに、
検出装置による、視認機能を有する対象の検出結果に基づいて、前記対象が、鏡に映った第1投影面を視認可能な第1範囲に位置しているか否か、及び、前記対象が、前記第1投影面を直接視認可能な第2範囲に位置しているか否か、を判別する処理、
前記対象が前記第1範囲に位置していると判別された場合に、投影装置により、前記鏡に映したときに正常な向きであると認識される第1画像を前記第1投影面に投影させる処理、
前記対象が前記第2範囲に位置していると判別された場合に、前記投影装置により、直接視認したときに正常な向きであると認識される第2画像を前記第1投影面に投影させる処理、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0109】
1 投影システム
10 制御装置
11 CPU(処理部、コンピュータ)
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
14 通信部
15 バス
20 プロジェクタ(投影装置)
20a 筐体
20b 投影レンズ
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
231 プログラム
232 画像データ
24 投影部
25 通信部
26 バス
30 検出装置
31 第1センサ
32、32a、32b 第2センサ
41 第1画像
41r 鏡像
42 第2画像
43 第3画像
50 鏡
61、69 天井
62 床面
63~65、68 壁面
66 廊下
67 入口
70 投影方向調整装置
71 第1調整部
72 第2調整部
73 保持部材
731 基部
731a、732a 取り付け穴
732 側面板
100 部屋
200 通路
P 人
R1 第1範囲
R2、R2a、R2b 第2範囲
R3 第3範囲
S1 第1投影面
S2、S2a、S2b 第2投影面
S3、S3a、S3b 第3投影面
S4 第4投影面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12