(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020169
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】分岐管形成装置及び切片回収器の取付方法
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20240206BHJP
F16L 41/04 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123228
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2022122930
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】堀川 剛
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 大介
(57)【要約】
【課題】カッター軸芯を既設管側に寄せた場合でもカッターによる穿孔の位置精度を高めることが可能な分岐管形成装置及び切片回収器の取付方法を構成する。
【解決手段】分岐管形成装置100は、カッター30を駆動回転する状態で穿孔方向に作動させ、カッター30によって既設管Wに穿孔口を形成する穿孔作動を行う穿孔機Eを備えている。穿孔機Eは、円筒状のカッター30と、カッター30を駆動回転させる駆動シャフト31と、カッター軸芯Zを中心とする円筒状でカッター30を収容するガイド筒32と、カッター30と一体的に回転するガイドプレート37とを備えている。カッター30による穿孔作動において、カッター30の刃部30aが既設管Wに最初に食い込むとき、ガイドプレート37がガイド筒32の内周面に対して当接する位置にガイドプレート37が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不断流状態の既設管の外面に装着されるケース部と、前記既設管の一部に穿孔口を形成する穿孔機とを備え、前記ケース部が前記穿孔口に連通可能な分岐部を有している分岐管形成装置であって、
前記穿孔機は、円筒状のカッターと、カッター軸芯を中心に前記カッターを駆動回転させると共に前記カッター軸芯に沿う方向に前記カッターを往復移動させる駆動シャフトと、前記カッター軸芯を中心とする円筒状で前記カッターを収容可能なガイド筒と、前記カッターの刃部と反対側に配置され、径方向の外端が前記カッターの外周より外方に突出したガイドプレートとを備え、
前記穿孔機は、前記カッターによって前記既設管に前記穿孔口を形成する穿孔作動において、前記刃部が前記既設管に最初に食い込むとき、前記ガイドプレートが前記ガイド筒の内周面に対して当接する位置に前記ガイドプレートが設けられている分岐管形成装置。
【請求項2】
前記カッター軸芯に沿う方向視において、前記カッター軸芯が、前記既設管の管軸芯から外れた位置で、前記既設管と重複する位置に配置されている請求項1に記載の分岐管形成装置。
【請求項3】
前記ケース部は、前記穿孔作動によって前記既設管から分離した切断部分を前記カッターの内部空間に収容し、前記切断部分を前記カッターの戻り作動と共に前記カッターに収容した状態で取り出す取出機構を有している請求項1又は2に記載の分岐管形成装置。
【請求項4】
前記取出機構が、前記ケース部の内部において、前記穿孔作動の方向の上流位置に配置される第一支持体と、前記穿孔作動の方向の下流位置に配置される第二支持体との少なくとも2つの支持体と、これらの上下方向の位置関係を保持する位置保持体とを、前記カッターの内部に配置しており、
前記第一支持体は、前記カッター軸芯と同軸芯の貫通孔が形成され、
前記カッターは、当該カッターが前記穿孔作動の終端位置に到達する以前に前記貫通孔に入り込むセンタ支軸を、前記カッター軸芯と同軸芯で該カッターの内部空間に備え、
前記取出機構は、前記穿孔作動の後に前記戻り作動を行う際に、前記貫通孔から前記センタ支軸の抜け出しを阻止する係合機構を備えている請求項3に記載の分岐管形成装置。
【請求項5】
前記係合機構が、前記センタ支軸の外周面より内方に格納される格納姿勢と、前記センタ支軸の外周面から径方向外方に張り出す係止姿勢とに切り換え自在な係止体を前記センタ支軸に備え、前記カッター軸芯に沿う方向にスライドすることにより、前記係止体を前記格納姿勢に拘束する拘束位置と、前記係止体の前記係止姿勢への移行を許す解除位置とに切り換え自在なスリーブを前記センタ支軸の外周に備えており、
前記係合機構は、前記スリーブを前記拘束位置にセットした状態で前記穿孔作動を開始し、前記センタ支軸が前記貫通孔に挿入された状態で、前記カッターが前記穿孔作動の前記終端位置に到達する以前に前記第一支持体の一部が前記スリーブに接触して前記解除位置に移動させることで前記係止体の前記係止姿勢への切り換えを許し、前記カッターの前記戻り作動時に前記係止体が前記第一支持体に係合することにより、前記センタ支軸と、少なくとも2つの前記支持体とを一体的に前記戻り作動を行わせる請求項4に記載の分岐管形成装置。
【請求項6】
前記取出機構の前記第一支持体と前記第二支持体との少なくとも一方が、前記既設管の外面に対して面で接触可能な接触面を有する、あるいは、複数の位置で接触する複数の接触点を有している請求項5に記載の分岐管形成装置。
【請求項7】
前記ケース部が、前記穿孔機の前記カッターの挿抜を可能にする円形の開口を有し、前記穿孔機の撤去後に前記開口を閉栓体によって閉塞可能な構造を有しており、
前記開口が内周に複数の第一爪体を備え、前記閉栓体が前記開口の中心にした回転により複数の前記第一爪体に係合し抜け止め状態に達する第二爪体を備えている請求項1又は2に記載の分岐管形成装置。
【請求項8】
不断流状態の既設管の外面に装着されるケース部を備え、当該ケース部が穿孔機により形成される穿孔口に連通可能な分岐部を有している分岐管形成装置に切片回収器を取り付ける切片回収器の取付方法であって、
前記切片回収器を前記ケース部の内部に配置する配置工程と、
前記穿孔機のカッター軸芯が前記切片回収器に形成された貫通孔と同軸芯になるように、芯出治具により前記切片回収器の前記既設管に対する相対位置を固定する芯出工程と、を含む切片回収器の取付方法。
【請求項9】
前記切片回収器は、前記穿孔機の穿孔作動の方向の上流位置に配置される第一支持体と、前記穿孔作動の方向の下流位置に配置され前記貫通孔が形成された第二支持体との少なくとも2つの支持体と、これらの上下方向の位置関係を保持する位置保持体とを有しており、
前記配置工程は、前記ケース部の底部に載置された前記第二支持体に前記第一支持体及び前記位置保持体を接続した後、前記位置保持体を操作することにより前記第一支持体及び前記第二支持体を近接移動させて前記既設管に当接させる請求項8に記載の切片回収器の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐管形成装置及び切片回収器の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、不断流状態の既設管の外面に装着した状態で既設管に穿孔口を形成し、このように形成された穿孔口からの流体を分岐管に送り出すことが可能な分岐管形成装置の技術が特許文献1及び特許文献2に示されている。
【0003】
特許文献1には、既設管(文献では、流体輸送管)の外周に、分岐部(文献では、接続口部)を有する接続ケースに装着し、この接続ケースに備えた作業ケースに収容した円筒状の回転カッターで既設管に穿孔口を形成する技術が示されている。この特許文献1では、接続ケースと作業ケースとを合わせて分岐管形成装置が構成されている。
【0004】
特許文献1の分岐管形成装置は、カッターの回転軸芯が既設管の外面より外側に設定され、カッターが駆動回転する状態で回転軸芯に沿う方向に移動させ、既設管の一部を切り取るように穿孔が行われる。また、カッターは回転軸芯と同軸芯でセンタードリルを備えており、接続ケースの内部には、穿孔が行われる以前に、回転軸芯と同軸芯でセンタードリルの挿入が可能な筒状部材が配置されている。
【0005】
この筒状部材には、既設管の外面が入り込む凹部が形成されており、穿孔のためにカッターが移動する際に、センタードリルが筒状部材に挿入され、係合手段によりセンタードリルと筒状部材とを係合させる。そして、カッターによる穿孔が終了した後に、カッターを戻す作動により、円筒状のカッターの内部に既設管から切り取られた切断部分が収容され、カッターと共に取り出せる。
【0006】
特許文献2の分岐管形成装置は、特許文献1と同様の構造を有するカッターの構造、カッターによって既設管から切り取られた切断部分とを取り出せる構成であるが、取り出しの構成が特許文献1と一部異なっている。
【0007】
特許文献2の分岐管形成装置は、円筒状カッターの回転軸芯と同軸芯でセンタードリルを備え、ケース(第一分割部材と第二分割部材)の内部に、回転軸芯と同軸芯で案内筒と、この下端部に平板部材とが、カッターにより穿孔が行われる以前に配置される。
【0008】
案内筒は、既設管の外面に近接する位置に配置され、平板部材は、カッターの穿孔作動の終端位置に配置され、一部が既設管と接近した位置に配置されている。案内筒は、既設管の下方向から当接する軸芯保持ボルトが螺合されている。このような構成から、穿孔のためにカッターが移動する際にセンタードリルが案内筒に挿入され、センタードリルと案内筒とが係合状態に達し、平板部材までカッターの先端が到達する。そして、カッターによる穿孔が終了した後にカッターを戻す作動を行うことにより、軸芯保持ボルトまで保持された切断部分が円筒状のカッターの内部に収容された状態で、カッターと共に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭60-201808号公報
【特許文献2】特開2021-173383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1,2の分岐管形成装置では、長尺の駆動シャフト(文献2では回転軸)の端部にカッターを支持しているため、例えば、穿孔時にカッターの刃部が既設管の外面に接触した場合には、カッターに対し円筒状の既設管の外面に沿って滑る方向に力が作用し、駆動シャフトを僅かに撓ませ、カッターが適正な軸芯から外れる方向に変位することも考えられ、穿孔位置の精度を低下させることも懸念された。
【0011】
また、特許文献1,2の分岐管形成装置では、夫々ともカッター軸芯を既設管の外面より外側に配置しているため、必要とする流量を得る開口面積の穿孔口を形成する場合には大きい半径のカッターを用いなければならず、結果として、カッターの大型化を招き、分岐管形成装置の大型化を招くことが懸念されている。
【0012】
このような理由から、カッター軸芯を既設管側に寄せた場合でもカッターによる穿孔の位置精度を高めることが可能な分岐管形成装置及び切片回収器の取付方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る分岐管形成装置の特徴構成は、不断流状態の既設管の外面に装着されるケース部と、前記既設管の一部に穿孔口を形成する穿孔機とを備え、前記ケース部が前記穿孔口に連通可能な分岐部を有している分岐管形成装置であって、前記穿孔機は、円筒状のカッターと、カッター軸芯を中心に前記カッターを駆動回転させると共に前記カッター軸芯に沿う方向に前記カッターを往復移動させる駆動シャフトと、前記カッター軸芯を中心とする円筒状で前記カッターを収容可能なガイド筒と、前記カッターの刃部と反対側に配置され、径方向の外端が前記カッターの外周より外方に突出したガイドプレートとを備え、前記穿孔機は、前記カッターによって前記既設管に前記穿孔口を形成する穿孔作動において、前記刃部が前記既設管に最初に食い込むとき、前記ガイドプレートが前記ガイド筒の内周面に対して当接する位置に前記ガイドプレートが設けられている点にある。
【0014】
この特徴構成によると、穿孔作動においてカッターの刃部が既設管に最初に食い込むときに、カッターに対し、円筒状の既設管の外面に沿って滑る方向に力が作用する。これにより、カッターは、本来のカッター軸芯から外れる方向に変位しようとするものの、ガイドプレートが円筒状のガイド筒の内面に接触することで変位が規制され、カッターが適正な位置から外れる不都合を招くことがない。このため、カッターの刃部が既設管に最初に食い込むときにカッター軸芯を案内する部材を別途設ける必要が無く、カッター軸芯を既設管側に寄せることが可能となる。従って、カッター軸芯を既設管側に寄せた場合でもカッターによる穿孔の位置精度を高める分岐管形成装置が構成された。
【0015】
上記構成に加えた構成として、前記カッター軸芯に沿う方向視において、前記カッター軸芯が、前記既設管の管軸芯から外れた位置で、前記既設管と重複する位置に配置されても良い。
【0016】
これによると、カッター軸芯に沿う方向視において、カッター軸芯が既設管の軸芯から外れた位置で、既設管と重複する位置に配置されているため、カッター軸芯に沿う方向視において、カッター軸芯を既設管の外面より外側に配置したものと比較してカッターの半径を小さくすることが可能となる。従って、この構成の分岐管形成装置では、カッターの大径を抑制しつつ必要とする開口面積の穿孔口を既設管に形成し得る。
【0017】
上記構成に加えた構成として、前記ケース部は、前記穿孔作動によって前記既設管から分離した切断部分を前記カッターの内部空間に収容し、前記切断部分を前記カッターの戻り作動と共に前記カッターに収容した状態で取り出す取出機構を有しても良い。
【0018】
これによると、カッターが穿孔作動の終端に達した場合には、既設管に穿孔口が形成されており、既設管から分離した切断部分はカッターの内部空間に収容される。次に、カッターが戻り作動を行う際にはカッターの内部空間に収容した切断部分を、カッターとともに取り出すことが可能となる。
【0019】
上記構成に加えた構成として、前記取出機構が、前記ケース部の内部において、前記穿孔作動の方向の上流位置に配置される第一支持体と、前記穿孔作動の方向の下流位置に配置される第二支持体との少なくとも2つの支持体と、これらの上下方向の位置関係を保持する位置保持体とを、前記カッターの内部に配置しており、前記第一支持体は、前記カッター軸芯と同軸芯の貫通孔が形成され、前記カッターは、当該カッターが前記穿孔作動の終端位置に到達する以前に前記貫通孔に入り込むセンタ支軸を、前記カッター軸芯と同軸芯で該カッターの内部空間に備え、前記取出機構は、前記穿孔作動の後に前記戻り作動を行う際に、前記貫通孔から前記センタ支軸の抜け出しを阻止する係合機構を備えても良い。
【0020】
これによると、カッターで穿孔作動を行うことにより、既設管から分離した切断部分が少なくとも2つの支持体とともにカッターの内部空間に収容され、カッターが穿孔作動の終端に到達した時点で第一支持体の貫通孔にセンタ支軸が入り込むことになる。この後に、カッターが戻り作動を行う際には係合機構が貫通孔からセンタ支軸の抜け出しを阻止するため、切断部分をカッターの内部空間に収容した状態で取り出せる。
【0021】
上記構成に加えた構成として、前記係合機構が、前記センタ支軸の外周面より内方に格納される格納姿勢と、前記センタ支軸の外周面から径方向外方に張り出す係止姿勢とに切り換え自在な係止体を前記センタ支軸に備え、前記カッター軸芯に沿う方向にスライドすることにより、前記係止体を前記格納姿勢に拘束する拘束位置と、前記係止体の前記係止姿勢への移行を許す解除位置とに切り換え自在なスリーブを前記センタ支軸の外周に備えており、前記係合機構は、前記スリーブを前記拘束位置にセットした状態で前記穿孔作動を開始し、前記センタ支軸が前記貫通孔に挿入された状態で、前記カッターが前記穿孔作動の前記終端位置に到達する以前に前記第一支持体の一部が前記スリーブに接触して前記解除位置に移動させることで前記係止体の前記係止姿勢への切り換えを許し、前記カッターの前記戻り作動時に前記係止体が前記第一支持体に係合することにより、前記センタ支軸と、少なくとも2つの前記支持体とを一体的に前記戻り作動を行わせても良い。
【0022】
これによると、カッターが穿孔作動の終端位置に到達する以前にセンタ支軸が貫通孔に入り込み、カッターが穿孔作動の終端位置に到達した時点でスリーブが解除位置に移動するため、係止体を係止姿勢に切り換えることが可能となる。つまり、この構成では、スリーブが解除位置に移動した後に、例えば、センタ支軸の回転に伴う遠心力によって係止体を係止姿勢に切り換えることや、係止体の自重の作用により係止体を係止姿勢への切り換えを行わせ、カッターが戻り作動する際に、カッターとともに第一支持体、第二支持体が移動し、既設管から分離した切断部分を確実に取り出すことが可能となる。
【0023】
上記構成に加えた構成として、前記取出機構の前記第一支持体と前記第二支持体との少なくとも一方が、既設管の外面に対して面で接触可能な接触面を有する、あるいは、複数の位置で接触する複数の接触点を有しても良い。
【0024】
これによると、第一支持体と第二支持体との少なくとも一方が接触面を介して既設管の外面に接触する、あるいは、複数の接触点を介して接触することにより、既設管に対する第一支持体あるいは第二支持体の姿勢が安定する。その結果、第一支持体あるいは第二支持体がカッターの内面に接触する不都合を招くことがなく、既設管から分離した切断部分の取り出しも確実に行える。
【0025】
上記構成に加えた構成として、前記ケース部が、前記穿孔機の前記カッターの挿抜を可能にする円形の開口を有し、前記穿孔機の撤去後に前記開口を閉栓体によって閉塞可能な構造を有しており、前記開口が内周に複数の第一爪体を備え、前記閉栓体が前記開口の中心にした回転により複数の前記第一爪体に係合し抜け止め状態に達する第二爪体を備えても良い。
【0026】
これによると、ケース部から穿孔機を撤去した後に、開口に嵌め込む位置に閉栓体を配置し、この閉栓体を回転させることにより複数の第一爪体に対応する第二爪体が係合し、閉栓体が抜け止め状態にセットできる。
【0027】
本発明に係る切片回収器の取付方法の特徴は、不断流状態の既設管の外面に装着されるケース部を備え、当該ケース部が穿孔機により形成される穿孔口に連通可能な分岐部を有している分岐管形成装置に切片回収器を取り付ける切片回収器の取付方法であって、前記切片回収器を前記ケース部の内部に配置する配置工程と、前記穿孔機のカッター軸芯が前記切片回収器に形成された貫通孔と同軸芯になるように、芯出治具により前記切片回収器の前記既設管に対する相対位置を固定する芯出工程と、を含む点にある。
【0028】
この特徴によると、配置工程において切片回収器をケース部の内部に配置し、芯出工程において芯出治具により穿孔機のカッター軸芯が切片回収器に形成された貫通孔と同軸芯になるように切片回収器に対する相対位置を固定する。この切片回収器の取付方法では、カッター軸芯と同軸芯で切片回収器を配置するため、例えば、円筒状のカッターを有する穿孔機を下降させる穿孔時に、カッターの内部に切片回収器を収容する構成であっても、カッターと切片回収器との位置関係を最適な位置に保持し、切片(既設管の切断部分)の回収を確実に行える。しかも、穿孔機のカッター軸芯が切片回収器に形成された貫通孔と同軸芯となるので、カッターの穿孔作動において芯ずれを防止できる。
【0029】
他の方法として、前記切片回収器は、前記穿孔機の穿孔作動の方向の上流位置に配置される第一支持体と、前記穿孔作動の方向の下流位置に配置される第二支持体との少なくとも2つの支持体と、これらの上下方向の位置関係を保持する位置保持体とを有しており、前記配置工程は、前記ケース部の底部に載置された前記第二支持体に前記第一支持体及び前記位置保持体を接続した後、前記位置保持体を操作することにより前記第一支持体及び前記第二支持体を近接移動させて前記既設管に当接させても良い。
【0030】
これによると、配置工程において第一支持体と第二支持体と、これらに接続する位置保持体をケース部の内部に配置し、位置保持体の操作により第一支持体と第二支持体とを近接移動させ既設管に当接させることが可能となる。その結果、切片回収器の取付が簡便であり、穿孔機による穿孔作動によって切片(既設管の切断部分)の位置を安定させ、切片回収器の内部に収容できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】カッターが初期位置にある分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図2】ケース部と筒状突出部と弁ケースとの位置関係を示す断面図である。
【
図3】カッターが穿孔作動する際の分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図4】カッターが穿孔終端位置にある分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図5】水道管に形成された穿孔口の形状等を示す横断面図である。
【
図6】カッターが取出位置に戻った分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図7】第一支持体、第二支持体、位置保持体等を示す側面図である。
【
図8】第一支持体、第二支持体、位置保持体等を示す正面図である。
【
図9】貫通孔にセンタ支軸が入り込む以前の係止体を示す断面図である。
【
図10】貫通孔にセンタ支軸が入り込んだ後の係止体を示す断面図である。
【
図11】閉塞ユニットを備えた状態の縦断面図である。
【
図12】栓プレートを筒状突出部に嵌め込んだ状態の縦断面図である。
【
図13】可動側爪体と固定側爪体とを示す斜視図である。
【
図14】閉栓ディスクを筒状突出部に嵌め込んだ状態の平面図である。
【
図15】回転により抜け止め状態にある閉栓ディスクを示す平面図である。
【
図16】閉栓ディスクが抜け止め状態を示す縦断面図である。
【
図17】別実施形態(a)のスイープ機構を示す縦断面図である。
【
図18】別実施形態(a)のスイープチューブ、ボール継手等を示す断面図である。
【
図19】別実施形態(a)のスイープ作業を示す縦断面図である。
【
図20】別実施形態(a)の閉栓ディスクの挿通孔に螺合する栓部材を示す断面図である。
【
図21】別実施形態(a)の閉栓ディスクの挿通孔に螺合する固定部材を示す断面図である。
【
図22】別実施形態(b)の底部プレートと第二支持体とを配置した状態の断面図である。
【
図23】別実施形態(b)の主位置保持体の装着状態を示す断面図である。
【
図24】別実施形態(b)の第一支持体、第二支持体、位置保持体等を示す側面図である。
【
図25】別実施形態(b)の第一支持体、第二支持体、位置保持体等を示す正面図である。
【
図26】別実施形態(b)の芯出治具の構成を示す図である。
【
図27】別実施形態(b)の主位置保持体の操作形態を示す図である。
【
図28】別実施形態(b)のカッターが初期位置にある分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図29】別実施形態(b)のカッターが穿孔作動する際の分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図30】別実施形態(b)のカッターが穿孔終端位置にある分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【
図31】別実施形態(b)のカッターが取出位置に戻った分岐管形成装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1~
図6に示すように、既設管としての水道管Wの外面に装着され、挿口管3(分岐部の一例)から水を送り出すT字管に構成されたケース部Cを備え、ケース部Cの筒状突出部4の上端に弁ユニットDを備え、この弁ユニットDの上面に穿孔機Eを備えて分岐管形成装置100が構成されている。
【0033】
分岐管形成装置100は、水道管W(既設管)に水が流れる不断流状態において、穿孔機Eで水道管Wの一部を切り取るように穿孔口Wa(
図5、
図6を参照)を形成し、水道管Wに流れる水を挿口管3に送り出す施工を可能にする。この施工後には、ケース部Cから穿孔機Eを撤去し、
図11に示すように閉塞ユニットFを用いて筒状突出部4の開口4Sを閉栓ディスク10(閉栓体の一例)で閉塞する閉塞作業(閉塞作業の詳細は後述する)が行われる。
【0034】
穿孔機Eは、
図1、
図3、
図4に示す円筒状のカッター30の穿孔作動により
図5、
図6に示すように水道管Wに穿孔口Waを形成し、この穿孔作動の後のカッター30の戻り作動に伴い
図6に示すように取出機構40(切片回収器の一例)が、水道管Wの切断部分Wbをカッター30の内部空間30Sに収容する状態で取り出す。取出機構40は、穿孔機Eに備えられ、カッター30の一部を利用する構成であり、この取出機構40によって水道管Wの切断部分Wb(切片)がケース部Cの外部に取り出される。尚、カッター30は円筒状部分に多数の貫通孔が形成されている。
【0035】
カッター30は、ホールソーとして機能するものであり、下端に超硬チップを有する刃部30aを有する円筒状のカッター本体30bで構成されている。この穿孔機Eの構成の詳細、作動形態の詳細は後述する。
【0036】
図1、
図3、
図4には、水道管Wに装着した状態の分岐管形成装置100の縦断面を示している。これらの図に示すように、水道管Wの中心を管軸芯Xと称し、挿口管3の中心を分岐軸芯Yと称している。また、水道管Wに対し
図5、
図6に示す穿孔口Waを形成するカッター30の回転中心をカッター軸芯Zと称している。分岐軸芯Yは、管軸芯Xに対して直交し、カッター軸芯Zは管軸芯Xと分岐軸芯Yとの夫々に直交するように互いの相対的な姿勢が設定されている。
【0037】
この分岐管形成装置100は、任意の姿勢で使用することが可能であるが、
図1に示すように水道管Wが水平姿勢にあり、カッター軸芯Zが上下方向に沿う縦姿勢にある状態で上下関係を説明する。
【0038】
〔ケース部〕
図1~
図6に示すようにケース部Cは、水道管Wの上側に配置される第一分割部材1と、水道管Wの下側に配置される第二分割部材2とを有すると共に、第一分割部材1と第二分割部材2とに挟み込まれる形態で保持される挿口管3を有している。これら第一分割部材1と、第二分割部材2と、挿口管3とは、ダクタイル鋳鉄等の鋳造物である。
【0039】
挿口管3は筒状の筒状本体3aを有し、筒状本体3aの分岐軸芯Yに沿う中間部位に分岐フランジ3bが外方に突出する形態で一体形成されている。本実施形態では、フランジ付き挿口管3を示しているが、挿口管3として、押輪により外周にフランジ部を、管の外周に固定する構成のものを用いても良い。
【0040】
第一分割部材1及び第二分割部材2は、水道管Wの管軸芯X、及び挿口管3の分岐軸芯Yが含まれる平面に沿った割面を有し、これらが互いに密封状態で連結される。ここで、水道管Wの管軸芯X、及び挿口管3の分岐軸芯Yが含まれる平面に沿った割面とは、水道管Wの管軸芯Xと挿口管3の分岐軸芯Yが含まれる平面上又は該平面と略平行な面上にある割面を意味する。本実施形態における水道管W、第一分割部材1及び第二分割部材2、挿口管3は、鋳鉄等で構成される同種の材料が用いられる。なお、水道管W、第一分割部材1及び第二分割部材2、挿口管3に異なる材料を用いても良い。
【0041】
図5に示すように、第一分割部材1は、水道管Wの外周の上部を覆う半円状領域で、管軸芯Xに沿う方向での両外端位置に水道管Wの上部を覆う半円状の第一端部開口部1aを形成している。第一分割部材1は、挿口管3の上部を覆う半円状領域の外端位置に第一分岐開口部1bを形成している。
図1に示すように、第一分割部材1の上面にカッター軸芯Zと同軸芯で筒状突出部4を形成している。
【0042】
これと同様に、第二分割部材2は、水道管Wの外周の下部を覆う半円状領域で、管軸芯Xに沿う方向での両外端位置に水道管Wの下部を覆う半円状の第二端部開口部2aを形成している。第二分割部材2は、挿口管3の下部を覆う半円状領域の外端位置に第二分岐開口部2bを形成している。
【0043】
第一分割部材1と第二分割部材2とは、夫々の割面を合わせる形態で、水道管Wの全周を覆う状態で一体化できるように、第一分割部材1は割面に沿って第一フランジ部1fが形成され、第二分割部材2は割面に沿って第二フランジ部2fが形成されている。
【0044】
このような構成から、ケース部Cは、水道管Wを挟み込む位置に第一分割部材1と、第二分割部材2とを配置し、第一分岐開口部1bと第二分岐開口部2bとに挟み込まれる位置に挿口管3の筒状本体3aを配置し、夫々の割面を合わせ、
図5に示すように第一フランジ部1fと第二フランジ部2fとが複数の締結ボルト6と、複数の締結ナット(図示せず)との締結により水道管Wに装着される。
【0045】
このようにケース部Cを水道管Wに装着する際には、止水シールSが、第一フランジ部1fと第二フランジ部2fとが対向する面に配置される。また、止水シールSは、
図5に示すように第一分割部材1の第一端部開口部1aの内周と、第二分割部材2の第二端部開口部2aの内周と、これらに対向する水道管Wの外面全周との間に挟み込まれる位置に配置される。
【0046】
なお、分岐管形成装置100を水道管Wに装着する際には、分岐フランジ3bに連結するように、挿口管3に分岐流路管5が接続する施工が予め行われても良い。分岐流路管5は、流路の下流側に開閉弁を備えることも可能である。
【0047】
この分岐管形成装置100は、
図1、
図2に示すように、筒状突出部4に形成された突出側フランジ部4aの上面に弁ユニットDを固定し、この弁ユニットDの上面に穿孔機Eが固定される。
【0048】
〔弁ユニット〕
弁ユニットDは、
図1、
図2に示すように、筒状突出部4に支持される弁ケース21と、この弁ケース21の内部においてカッター軸芯Zに対して直交する姿勢でスライド移動自在なプレート状の弁体22と、人為操作により弁体22をスライド移動させるハンドル等(図示せず)とを備えている。弁体22は、
図1~
図4、
図6に示す開放位置と、
図11に示す閉塞位置とに切り替えることができる。
【0049】
図2に示すように、弁ケース21は、この弁ケース21の下壁にカッター軸芯Zを中心とする下部開口が形成され、この下部開口の外周から下方に突出する下部筒状部21aが形成されている。下部筒状部21aは、突出側フランジ部4aの外周を取り囲む内径で形成されている。この下部筒状部21aの内周に突出側フランジ部4aの上面に当接する位置規制部21bが形成され、下部筒状部21aのうち位置規制部21bより下側には、半径方向に貫通する複数のネジ孔が形成されている。
【0050】
図2に示すように、弁ケース21は、位置規制部21bを突出側フランジ部4aの外周の上面に当接させるように弁ケース21が配置される。この配置状態において下部筒状部21aの複数のネジ孔に係合ボルト24を螺合させ、係合ボルト24の先端の外周のテーパ面24Tを突出側フランジ部4aの外周の下面に接触させる状態で、弁ケース21が筒状突出部4の上端に固定される。
【0051】
このように弁ケース21が固定された場合には、弁ケース21に対し、この弁ケース21を下方に移動させる力が作用するため、突出側フランジ部4aの上面に下部筒状部21aの位置規制部21bの下面が密着し、角部に設けられたシール材(図示しない)により水密状態での固定を実現している。
【0052】
図1、
図2に示すように、弁ケース21は、その上壁にカッター軸芯Zを中心とする上部開口の外周から上方に突出する上部筒状部21cが形成されている。上部筒状部21cは、上端にケース側フランジ部25を形成しており、このケース側フランジ部25に穿孔機Eが連結固定される。
【0053】
〔穿孔機〕
図1、
図3、
図4、
図6~
図8に示すように、穿孔機Eは、カッター軸芯Zを中心とする円筒状のカッター30と、カッター30を、カッター軸芯Zを中心に駆動回転しつつ、カッター軸芯Zに沿う方向に往復作動可能な駆動シャフト31と、カッター軸芯Zを中心とする円筒状でカッター30を収容するガイド筒32とを備えている。尚、駆動シャフト31は駆動ユニット33からの駆動力により駆動回転される。
【0054】
駆動ユニット33は、駆動シャフト31を回転駆動する電動モータ(図示せず)や、駆動シャフト31をカッター軸芯Zに沿って往復移動させるシフトモータ(図示せず)を有するものであるが、
図1、
図3、
図4等では、駆動ユニット33の下端のケースのみを示している。
【0055】
尚、駆動ユニット33は、穿孔作動時のカッター30の位置を検知するセンサを備え、自動制御により、電動モータと、シフトモータとを制御するものを想定しているが、例えば、電動モータと、シフトモータと駆動と停止を人為的に制御するスイッチを備えることにより自動制御を行わずに穿孔作動を行えるように構成することも可能である。
【0056】
穿孔機Eは、カッター30を駆動回転させる状態で
図1に示す初期位置から、
図3に示すように穿孔方向(同図で下方)に作動させ、カッター30によって水道管W(既設管)に穿孔口Waを形成する穿孔作動を行い、カッター30が
図4に示す穿孔終端位置(穿孔作動の終端位置)に達した後に、カッター30を穿孔作動と逆方向となる戻り作動を行わせる。
【0057】
この穿孔機Eは、戻り作動に伴い水道管Wから分離した切断部分Wbをカッター30の内部空間30Sに収容した状態で取り出す取出機構40を備えている。この取出機構40は、カッター30が
図6に示す戻り作動の終端となる取出位置に達した後に、切断部分Wbと共に穿孔機Eが撤去される。
【0058】
ガイド筒32は、下端に下端フランジ34を備え、ガイド筒32の上端に上端フランジ35を備えている。このガイド筒32は、下端フランジ34を弁ケース21のケース側フランジ部25に複数のボルトで連結され、上端フランジ35が複数のボルトで駆動ユニット33のケース部分に連結されている。
【0059】
図1、
図2、
図9等に示すように、カッター30は、上端(刃部30aの反対側の端部)に、駆動プレート36とガイドプレート37とを重ね合わせ状態で備えている。駆動プレート36は、カッター本体30bの上端に一部嵌め込まれる円板状であり、カッター本体30bに連結している。ガイドプレート37は、カッター本体30bの外形より大径の円板状であり、このガイドプレート37は外周がガイド筒32の内面に対し当接可能に近接するように外径の値が設定されている。
【0060】
図9、
図10に示すように、駆動シャフト31のフランジ状の下端部と、ガイドプレート37と、駆動プレート36とに貫通する複数の連結ボルト31aによりこれらが一体化されている。これにより、駆動シャフト31の回転駆動力により駆動プレート36と、ガイドプレート37と、カッター30とが一体的に回転する。
【0061】
特に、この分岐管形成装置100では、
図1、
図3、
図4に示すように、ガイド筒32の内径をD1とし、ガイドプレート37の外径をD2とし、筒状突出部4の開口4Sの内径をD3とした場合に、D1とD2とが略等しく(D1≒D2)、これらよりD3の値が大きくなるように(D3>D1≒D2)寸法関係が設定されている。
【0062】
この寸法関係から、カッター30を駆動回転する状態でカッター軸芯Zに沿って移動させる穿孔作動時に、
図3に示すように、カッター30の刃部30aが水道管Wに最初に食い込むときに、ガイドプレート37の外周縁がガイド筒32の内周面に当接する状態でカッター30が水道管Wの表面に沿って滑るように外方へ変位する現象を規制し、カッター30がカッター軸芯Zから外れた位置で回転する不都合を抑制する。
【0063】
また、ガイドプレート37の外周縁がガイド筒32の内面に接触することにより、カッター30の刃部30aが、筒状突出部4の開口4Sの内面の固定側爪体4T(第一爪体の一例:
図12、
図13を参照)を傷を付ける不都合を抑制する。
【0064】
穿孔機Eは、カッター軸芯Zに沿う方向視において、カッター軸芯Zが水道管W(既設管)の管軸芯Xから外れた位置で、水道管Wと重複する位置に配置されている。このようなカッター軸芯Zの位置を設定により、
図5に示すように、カッター軸芯Zに沿う方向視で、カッター軸芯Zを既設管の外面より外側に配置したものと比較してカッター30の半径を小さくしてカッター30の大径を抑制しつつ、必要とする開口面積の穿孔口Waの形成を可能にしている。
【0065】
〔取出機構〕
図1、
図3、
図4、
図6~
図8に示すように、取出機構40は、ケース部Cの内部において、穿孔作動の方向の上流位置に配置されるプレート状の第一支持体41と、穿孔作動の方向の下流位置に配置されるプレート状の第二支持体42との2つの支持体と、これらの上下方向の位置関係を保持する複数(3つ)の棒状の位置保持体43と、第二支持体42より下側に配置される底部プレート44とを備えている。これらはカッター軸芯Zに沿う方向視で円筒状のカッター30の内部空間30Sに収容可能な位置に配置される。
【0066】
第一支持体41は、水道管Wの外面に対しプレートの端部のエッジの部位で接触し、第二支持体42は、水道管Wの外面に対しプレートの端部に斜め姿勢の所定面積の接触面42Sで接触する。3つの位置保持体43は、外面の一部が水道管Wの外面に接触するように位置関係が設定される。尚、第一支持体41のうち、水道管Wの外面に近接または所定の面積で接触する領域を形成しても良い。また、接触面42Sに代えて、複数の位置で水道管Wの外面に接触する複数の接触点を形成することも可能である。
【0067】
底部プレート44は、第二支持体42と平行となる姿勢でケース部Cの底部(第二分割部材2の内面)の凹部に嵌め込む状態で配置されている。この底部プレート44に縦向き姿勢のガイド軸45を備え、このガイド軸45に対して上下方向に移動自在に第二支持体42が支持されている。また、底部プレート44は、ケース部Cの底部の凹部に嵌め込む状態で配置される。このため、第一支持体41、第二支持体42、3つの位置保持体43等の姿勢が安定する。
【0068】
第一支持体41と、第二支持体42とにおいて水道管Wと接触しない領域は、カッター軸芯Zを中心とする円形で、カッター30の内周に近接可能な外径に成形されている。また、底部プレート44は、カッター軸芯Zを中心とする円板状であり、外周部分がカッター30の内周に近接可能な外径に成形されている。
【0069】
これにより、カッター30が穿孔作動する際に、第一支持体41と、第二支持体42との外周がカッター30の内周に近接し、カッター30が穿孔終端位置に達した時点で、底部プレート44がカッター30の内部に嵌まり込む。また、
図9、
図10に示すように、第一支持体41は、カッター軸芯Zと同軸芯の貫通孔41aが形成され、この第一支持体41の上面に貫通孔41aと等しい内径の筒状部材41bが固設されている。
【0070】
図7に示すように、3つの位置保持体43は、夫々の長手方向がカッター軸芯Zと平行する姿勢で、夫々が管軸芯Xに沿う方向で設定間隔で配置されている。3つの位置保持体43の中央の主位置保持体43aは、第二支持体42のネジ孔に螺合するネジ部が下端に形成されている。また、主位置保持体43aは、上端のネジ部が第一支持体41に貫通すると共に、このネジ部に保持用ナット46が螺合する。
【0071】
3つの位置保持体43のうち、主位置保持体43aを挟む位置の2つの副位置保持体43bは、上端が第一支持体41に固定され、下端が第二支持体42の貫通孔に挿通する状態で備えられ、ガイド体として機能する。尚、位置保持体43は単一であっても良く、3つ以上の数を備えることも可能である。
【0072】
取出機構40をケース部Cの内部に備える際には、筒状突出部4の開口4Sから第二支持体42と底部プレート44とガイド軸45とを仮に組み立てた状態で、水道管Wに一部が接触する位置でケース部Cの内部にセットする。そして、2つの副位置保持体43bの下端が第二支持体42の貫通孔に挿通するように第一支持体41をセットし、主位置保持体43aを第二支持体42のネジ孔に螺合させる。このセット状態では、底部プレート44がケース部Cの底部(第二分割部材2)の凹部に嵌め込まれることにより、第一支持体41と、複数の位置保持体43と、第二支持体42とが水道管Wに近接する位置に配置される。
【0073】
この後に、主位置保持体43aを回転操作することにより、第一支持体41と第二支持体42との上下方向の間隔が調整され、第一支持体41の外周近傍を水道管Wの外面の下側に接触させ、第二支持体42の接触面42Sを水道管Wの外面に接触させる。このように間隔を調整した後に保持用ナット46の操作により間隔を固定することになる。
【0074】
カッター30は、カッター30が穿孔作動により
図4に示す穿孔終端位置に到達する以前に貫通孔41aに入り込むセンタ支軸38を備えている。このセンタ支軸38は、
図9、
図10に示すように、カッター軸芯Zと同軸芯でカッター30の内部空間30Sに備えられ、このセンタ支軸38は、穿孔作動の後に戻り作動を行う際に、貫通孔41aからセンタ支軸38の抜け出しを阻止する係合機構Lを備えている。
【0075】
〔取出機構:係合機構〕
図9、
図10に示すように、係合機構Lは、センタ支軸38に対し切換支軸39aを中心として揺動自在に支持されて複数の係止体39を備えている。係止体39は、揺動により、センタ支軸38の外周面より内方に格納される格納姿勢と、センタ支軸38の外周面から径方向外方に張り出す係止姿勢とに切り換え自在に構成されている。
【0076】
また、センタ支軸38には、係止体39を格納姿勢に拘束する拘束位置と、係止体39の係止姿勢への移行を許す解除位置とにスライド移動自在なスリーブ48を外周に備えている。スリーブ48は、穿孔作動の開始時に
図1、
図9に示す拘束位置にセットされる。
【0077】
センタ支軸38は、カッター30の移動に伴い第一支持体41の貫通孔41aに挿入される。この後、カッター30が
図4に示す穿孔終端位置に到達する以前に、
図10に示すように、第一支持体41の筒状部材41bがスリーブ48に接触し、このスリーブ48を解除位置に移動させる。
【0078】
これにより、係止体39の係止姿勢への切り換えが許され、カッター30の戻り作動時に複数の係止体39が第一支持体41の下面に係合可能となる。この後、カッター30の戻り作動に伴い、
図6に示すように水道管Wの切断部分Wbと、センタ支軸38と、第一支持体41と、第二支持体42と、位置保持体43と、底部プレート44とをカッター30の内部空間30Sに収容した状態で取り出される。
【0079】
〔穿孔作動及び戻り作動〕
分岐管形成装置100は、
図1に示すように、ケース部Cにセットアップされる。このセットアップ状態で駆動ユニット33が、カッター30を駆動回転する状態で、このカッター30を、同図に示す初期位置から水道管Wに接触する方向にシフトさせる制御によって穿孔作動が行われる。
【0080】
カッター30が初期位置から穿孔作動を開始することにより、
図3、
図4に示すように、この穿孔作動によってカッター30が穿孔終端位置に達する。この後に、カッター30の戻り作動を行い、カッター30が
図6に示す取出位置に戻る。
【0081】
穿孔機Eは、穿孔作動時にカッター30が芯ブレ状態で回転することも考えられるものの、ガイドプレート37の外周縁がガイド筒32の内面に接触するためカッター30の回転時の軸芯精度を高く維持する。特に、カッター30の刃部30aが水道管Wに最初に食い込むときに、カッター30が水道管Wの表面に沿って滑るように外方へ変位する状況でありながら、ガイドプレート37の外周縁がガイド筒32の内周面に当接することでカッター30の変位を抑制し、高い精度での穿孔を実現する。
【0082】
更に、筒状突出部4の内径D3がガイド筒32の内径D1より大きく設定されているため、カッター30の刃部30aが筒状突出部4の内周の固定側爪体4Tに接触することがなく、カッター30の刃部30aで固定側爪体4Tを傷めることがない。
【0083】
穿孔作動において、カッター30の刃部30aが水道管Wに接触して穿孔が進む際に、第一支持体41、位置保持体43、第二支持体42の夫々が、カッター30の内部空間30Sへの入り込むことになる。
【0084】
図5に示すように、水道管Wの管軸芯Xと、カッター軸芯Zとの位置関係が設定されている。このため、例えば、穿孔作動によって形成される穿孔口Waは、カッター軸芯Zに沿う方向視において、カッター軸芯Zが水道管Wに外部に設定された構成と比較して小径化しており、分岐管形成装置100の小型化が可能となる。しかも、カッター30の穿孔作動により形成された穿孔口Waの開口面積は、挿口管3の流路断面積と同等に形成されるため、流路抵抗のない分岐流路を形成することが可能となる。
【0085】
カッター30が穿孔終端位置に達する直前に、
図10に示すようにセンタ支軸38が第一支持体41の筒状部材41bと貫通孔41aとに挿通する。この挿通により、筒状部材41bにスリーブ48が当接し、スリーブ48が相対的に上方にスライドし、拘束位置から解除位置に移動するため、複数の係止体39の係止姿勢への切り換えが行われる。そして、カッター30が
図4に示す穿孔終端位置に達した時点で、駆動ユニット33がカッター30のシフト作動を停止し、カッター30の回転を停止する。
【0086】
次に、駆動ユニット33は、駆動シャフト31の回転を停止する状態で、駆動シャフト31をカッター軸芯Zに沿って逆方向にシフトさせる戻り作動を行う。
【0087】
この戻り作動では、複数の係止体39が既に係止姿勢に切換られているため、カッター30の戻り作動に伴い、複数の係止体39から第一支持体41に上方へのシフト力が作用する。これにより、水道管Wの切断部分Wbと、第一支持体41と、第二支持体42と、位置保持体43と、底部プレート44とをカッター30の内部空間30Sに収容した状態での取り出しが行われる。
【0088】
この戻り作動により、
図6に示すように、カッター30が取出位置に戻った時点で、カッター30の内部空間30Sに、第一支持体41、第二支持体42等とともに水道管Wの切断部分Wbが収容された状態にある。このように水道管Wの穿孔が終了した後には、弁ユニットDの弁体22を閉塞位置に操作し、穿孔機Eが撤去される。
【0089】
〔閉塞作業〕
閉塞作業は、
図11に示すように、最初に弁ユニットDの弁体22を閉塞位置に維持した状態で閉塞ユニットFを弁ユニットDの上壁の上部筒状部21cに備える。次に、
図12に示すように、弁ユニットDの弁体22を開放し、閉塞ユニットFによって閉栓ディスク10を筒状突出部4の開口4Sに嵌め込み、
図14、
図15に示すように、この開口4Sを閉塞する。これら一連の作業の後に、
図16に示すように弁ユニットDと閉塞ユニットFとが撤去される。この一連の作業を以下に説明する。
【0090】
閉塞ユニットFは、
図11、
図12に示すように、弁ユニットDの上壁の上部筒状部21cのフランジ部に連結固定される主プレート50と、この主プレート50の中央を上下方向に貫通する操作軸51と、操作軸51の上端に支持される上ブラケット52とを備えている。
【0091】
操作軸51の上端に回転操作部51aが形成されている。上ブラケット52は、操作軸51の上方への変位を阻止する状態で操作軸51の回転を許容する。
【0092】
操作軸51は、主プレート50が上部筒状部21cのフランジ部に対し複数のボルトによって連結固定された状態でカッター軸芯Zと同軸芯に配置される。この操作軸51は、主プレート50に固定したブッシュ50aに対してカッター軸芯Zに沿う方向に移動自在、かつ、カッター軸芯Zを中心に回転自在に支持される。尚、ブッシュ50aの内周面と、操作軸51との間に水の漏出を防止するシール部材等が備えられている。
【0093】
主プレート50は、上面に複数の下ホルダ50bを備えている。また、上ブラケット52は下面に複数の上ホルダ52aを備えている。この閉塞ユニットFは、下ホルダ50bの孔部と、上ホルダ52aの孔部とに亘ってワイヤ53を掛け渡し、このワイヤ53の張力をレバーブロック(登録商標)等で構成される操作部材54によって増大させることで操作軸51の下方へのシフトを可能にしている。
【0094】
閉塞ユニットFは、ブッシュ50a上端に形成した下ブラケット55と、上ブラケット52とに上下方向に貫通する一対のネジ軸56を備え、このネジ軸56のうち上端側に螺合する上ナット56aを上ブラケット52の上面に接触状態で備えている。
【0095】
この閉塞ユニットFは、上部筒状部21cに固定される以前に
図11に示すように、操作軸51の下端に閉栓ディスク10が支持される。具体的には、操作軸51の下端の嵌合部51bの雌ネジ部を閉栓ディスク10の操作突起14に螺合させることで、閉栓ディスク10が操作軸51の下端に支持される。
【0096】
図13に示すように、閉栓ディスク10は、開口4Sに嵌まり込む栓本体11と、この栓本体11の上端の栓プレート12と、栓本体11の下端側の小径部の外面に形成した複数(4つ)の可動側爪体11T(第二爪体の一例)とを備えている。また、栓本体11の外周の溝部にシールリング13が嵌め込まれている。
【0097】
また、この閉栓ディスク10は、栓プレート12の上面に上方に突出する操作突起14が形成されている。操作突起14は、回転操作のトルクによって栓プレート12を回転させる嵌合構造を有している。尚、この嵌合構造の具体例として、操作突起14は、雄ネジ部が形成されている(2面カットや、ボルト頭状でも良い)。
【0098】
図13~
図15に示すように、筒状突出部4は、開口4Sの内周面から内方に突出する複数(4つ)の固定側爪体4Tを周方向に沿って設定間隔で備えている。複数の固定側爪体4Tと、複数の可動側爪体11Tとは、カッター軸芯Zに対して直交する仮想平面に平行する姿勢で形成される。
図14に示すように、複数の固定側爪体4Tの周方向での間隙に対し、複数の可動側爪体11Tの夫々が入り込むように、これらの位置関係が設定されている。
【0099】
具体的には、カッター軸芯Zに沿う方向視で、複数の固定側爪体4Tは、周方向で隣接するもの同士の間隔が、複数の可動側爪体11Tの周方向で長さより大きく設定されている。また、固定側爪体4Tと可動側爪体11Tとが最も広い面で接触する回転角に達した際に回転操作を規制するため固定側爪体4Tの端部位置にストッパ4TSが形成されている。
【0100】
閉塞作業では、
図11に示すように、主プレート50を上部筒状部21cに固定した後に、弁ユニットDの弁体22を開放し、一対のネジ軸56の夫々に螺合する上ナット56aを操作する、あるいは、前述した操作部材54の操作により、ワイヤ53に作用する張力を増大させる。これにより、
図12に示すように、上ブラケット52が下方にシフトし、操作軸51と一体的に閉栓ディスク10が水圧に抗して下方にシフトし閉栓ディスク10が筒状突出部4の開口4Sに嵌め込まれる。
【0101】
この閉栓作業では、操作軸51と一体的に閉栓ディスク10が下方にシフトする際に、閉栓ディスク10より上側の空間の圧力上昇を図ることも必要となる。このような理由から、
図11、
図12に示すように、分岐管形成装置100は、上部筒状部21cに形成されたプラグ21dの部位から加圧した水の供給を可能にしている。また、このプラグ21dの部位からの水の漏出有無により、閉栓状態を確認することができる。
【0102】
閉栓ディスク10は、開口4Sに嵌め込む際に、固定側爪体4Tに可動側爪体11Tが接触しないようにカッター軸芯Zを中心とした回転姿勢が予め設定される。尚、閉栓ディスク10を、開口4Sに嵌め込んだ後に、下方に軽く圧力を作用させる状態で閉栓ディスク10を低速で回転させ、複数の固定側爪体4Tの間の空間で可動側爪体11Tの挿入が可能な位置に到達した時点で、下方に作用する圧力によって可動側爪体11Tを複数の固定側爪体4Tの間の空間に挿入するように作業形態を設定することも可能である。
【0103】
また、上ブラケット52を下方にシフトさせることで、カッター軸芯Zに沿って閉栓ディスク10を嵌め込み、
図14に示すように、固定側爪体4Tと可動側爪体11Tとの位置関係が決まった状態で、操作軸51の上端の回転操作部51aをスパナ等の工具で回転操作する。この回転操作により、
図15に示すように、複数の固定側爪体4Tの下側に複数の可動側爪体11Tが移動し、可動側爪体11Tがストッパ4TSに当接するまで回転させることにより、バヨネット型に閉栓ディスク10が抜け止め状態に設定される。尚、閉栓ディスク10の回転操作角は、
図13に示すように45度程度に設定されている。
【0104】
図16に示すように、開口4Sを閉栓ディスク10で閉塞した後に、弁ユニットDと閉塞ユニットFとが撤去される。
【0105】
〔実施形態の作用効果〕
ガイド筒32の内径D1と、ガイドプレート37の外径D2とが当接可能に近接するように(D1≒D2)寸法関係が設定されている。このようにカッター30と一体回転するガイドプレート37の外周と、ガイド筒32の内面との間隙が非常に小さい値にある。このため、穿孔作動時にカッター30の刃部30aが水道管Wに最初に食い込むときに、ガイドプレート37の外周縁がガイド筒32の内周面に当接することで、カッター30が水道管Wの表面に沿って滑る外方への変位を規制し、カッター30による高い軸芯精度での穿孔が実現する。
【0106】
筒状突出部4の開口4Sの内径D3が、ガイド筒32の内径D1と、ガイドプレート37の外径D2より大きくなるように(D3>D1≒D2)寸法関係が設定されている。この寸法関係から、穿孔作動時にカッター30が多少、芯ブレ状態で回転しても、ガイドプレート37がガイド筒32の内面に接触することがなく、カッター30が開口4Sの内面の固定側爪体4Tを傷つける不都合を招くことがない。
【0107】
取出機構40を構成する第一支持体41と、第二支持体42との上下方向での間隔を位置保持体43の主位置保持体43aによって調整できるように構成されている。また、この取出機構40は、複数の位置保持体43が水道管Wの外面に接触する位置に配置されている。
【0108】
主位置保持体43aを用いて位置調整を行うことにより、第一支持体41と第二支持体42との夫々を水道管Wの外面に確実に接触させる。また、複数の位置保持体43が水道管Wの外面に接触する状態を維持する。これにより、第一支持体41、第二支持体42、及び、位置保持体43の姿勢を安定させる。
【0109】
この取出機構40により、カッター30の戻り作動により水道管Wの切断部分Wbと、第一支持体41と、第二支持体42と、位置保持体43と、底部プレート44とをカッター30の内部空間30Sに収容した状態での確実な取り出しが可能となる。
【0110】
この分岐管形成装置100では、水道管Wに穿孔口Waを形成した後に、閉塞ユニットFを用いて筒状突出部4の開口4Sに閉栓ディスク10(閉栓体の一例)を挿入し、この閉栓ディスク10を回転させる操作によって閉栓可能である。
【0111】
つまり、筒状突出部4の開口4Sの内周に形成された複数の固定側爪体4Tと、閉栓ディスク10の外周に形成された複数の可動側爪体11Tとでバヨネット型の抜け止め機構を構成しており、閉栓ディスク10の回転操作により、小型でありながら確実な抜け止めを実現している。
【0112】
〔別実施形態〕
本別実施形態では、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0113】
(a)
図17に示すように分岐管形成装置100は、カッター30による穿孔時に発生する切粉をケース部Cの外部に排出するスイープ機構Gを備えても良い。スイープ機構Gによってケース部Cの内部の切粉を排出する作業をスイープ作業と称しており、このスイープ作業は、閉塞ユニットFによって筒状突出部4の開口4Sを閉栓ディスク10で閉塞する以前に行われる。
【0114】
図18に示すように、この別実施形態(a)では、スイープ作業を可能にするため、閉栓ディスク10の中央に挿通孔10aを形成しておき、この挿通孔10aにスイープチューブ61を挿入する形態で作業が行われる。スイープ作業は、スイープチューブ61によってケース部Cの底部の広い領域の切粉の排出を可能にするため、挿通孔10aに備えたボール継手60にスイープチューブ61が姿勢変更自在に支持される。
【0115】
図17に示すように、スイープ機構Gは、先に説明したボール継手60と、スイープチューブ61とを備えると共に、主プレート50と、棒状体64と、主プレート50の下ホルダ50bの孔部から棒状体64のホルダ64aの孔部に亘って掛け渡されるワイヤ53と、レバーブロック(登録商標)等の操作部材54とが用いられる。
【0116】
図18に示すように、ボール継手60は、外部スリーブ60aと、この外部スリーブ60aの内部に姿勢変更自在に収容され外面形状が球状の継手本体60bとを有している。
外部スリーブ60aは外周に雄ネジ部が形成され、この雄ネジ部が閉栓ディスク10の挿通孔10aの内面の雌ネジ部の上部側に螺合する。継手本体60bは、スイープチューブ61が水密状態で挿通可能に構成されている。
【0117】
スイープチューブ61は、下端に栓部材62を備え、上端側にレバー63aの人為操作によって内部流路を開閉するコック63を備えている(
図17参照)。栓部材62は、スイープチューブ61の内部流路への水の流路を確保する構造を介してスイープチューブ61の先端にピン(図示せず)によって着脱自在に支持されている。また、このスイープチューブ61は、上端側が前述した棒状体64に支持されている。
【0118】
栓部材62は、円盤状であり外周に雄ネジ部が形成され、閉栓ディスク10の挿通孔10aの内面の雌ネジ部の下部側に螺合可能に構成されている。この別実施形態(a)において、スイープチューブ61の挿入から、スイープチューブ61の撤去までの一連の操作手順を
図17~
図21に示している。尚、この一連の作業は人力によって行われる。
【0119】
(a-1)スイープ作業を行う際には、準備作業として、弁ユニットDの弁体22が閉塞位置に維持された状態で、主プレート50の上面から下面に貫通するビス65によって閉栓ディスク10を主プレート50の下面に固定しておく。また、
図17、
図18に示すように、閉栓ディスク10の挿通孔10aにボール継手60を介してスイープチューブ61を挿入し、主プレート50の下ホルダ50bの孔部から棒状体64のホルダ64aの孔部に亘ってワイヤ53が掛け渡される。
【0120】
(a-2)次に、
図19に示すように弁ユニットDの弁体22を開放し、ワイヤ53の張力を操作部材54によって増大させることで、
図19に示すように、水圧に抗しスイープチューブ61をケース部Cの底部の内面に近接させる。この近接状態でレバー63aの操作によりコック63を開放することで水道管Wに流れる水の一部がスイープチューブ61の内部流路に流れ、この流れ伴い切粉がスイープチューブ61の上端から排出される。また、スイープチューブ61の角度を人為的に変更することによりケース部Cの底部の内面の広い領域の切粉の排出が行われる。
【0121】
(a-3)この後、コック63を閉じ、ワイヤ53の張力を低下させ水圧によりスイープチューブ61を上方にシフトさせ、
図20に示すように、弁体22を閉塞位置に配置した状態で栓部材62を閉栓ディスク10の挿通孔10aに嵌め込む状態で、スイープチューブ61を回転操作する。この回転操作により、挿通孔10aの雌ネジ部の下部側に栓部材62の雄ネジ部を螺合し、栓部材62によって挿通孔10aが閉塞される。
【0122】
前述したように、栓部材62が閉栓ディスク10に螺合した後に、ピンを取り外し、栓部材62からスイープチューブ61を分離する。この後に、ワイヤ53等を撤去することになる。
【0123】
(a-4)これに続いて、
図20に示すようにボール継手60の外部スリーブ60aを回転操作することにより、ボール継手60の外部スリーブ60aを閉栓ディスク10の挿通孔10aの雌ネジ部の上部側から分離する。この分離により外部スリーブ60aと一体的に継手本体60bが分離される。この分離の後に、挿通孔10aの雌ネジ部の上部側に操作突起14を有する固定部材14Mの雄ネジ部を螺合させる作業が行われる。
【0124】
このように、別実施形態(a)では、閉栓ディスク10に挿通孔10aを形成し閉塞ユニットFの構成の一部を利用する形態でスイープチューブ61によってケース部Cの内部の切粉の排出を実現している。
【0125】
そして、
図21に示すように、弁体22を閉塞位置に配置した状態で挿通孔10aの雌ネジ部の上部側に螺合した固定部材14Mが操作突起14を有するため、実施形態の〔閉塞作業〕の項に既において説明したように、主プレート50にカッター軸芯Zと同軸芯でブッシュ50aを固定し、このブッシュ50aに対してカッター軸芯Zに沿う方向に移動自在、かつ、カッター軸芯Zを中心に回転自在に操作軸51を支持する。
【0126】
更に、操作軸51の嵌合部51bを、閉栓ディスク10の操作突起14に螺合させ、ビス65の操作により、主プレート50から閉栓ディスク10を分離して離間し、ビス孔をプラグで閉塞して作業弁を開けることで閉塞作業が可能となり、〔閉塞作業〕の項で説明した手順に従って作業を行うことにより、閉栓ディスク10によって筒状突出部4の開口4Sの閉塞を行える。
【0127】
(b)
図28に示すように、既設管としての水道管Wの外面にケース部Cを備え、ケース部Cの筒状突出部4の上端に弁ユニットDを備え、弁ユニットDの上面に穿孔機Eを備えた分岐管形成装置100において、
図24~
図26に示す取出機構40(切片回収器の一例)の取付方法を設定する。
【0128】
この別実施形態(b)の取付方法における分岐管形成装置100は、上述した実施形態で既に説明したものと基本的に変わるものではなく、取出機構40(切片回収器)の構成の一部が既に説明した構成と異なる。この取付方法では、取出機構40を配置する「配置工程」(
図22~
図26)と、取出機構40の第一支持体41の貫通孔41aをカッター軸芯Zと同軸芯に設定する「芯出工程」(
図26、
図27)とが、この順序で行われる。
【0129】
図28~
図31に示すように、穿孔機Eは、カッター軸芯Zと同軸芯に円筒状のカッター30と、駆動シャフト31と、ガイド筒32とを備えている。カッター30は、上端(刃部30aの反対側の端部)に、駆動プレート36とガイドプレート37とを備えている。駆動プレート36は、カッター本体30bの上端に一部嵌め込まれ、カッター本体30bに連結している。ガイドプレート37は、カッター本体30bの外形より大径の円板状であり、このガイドプレート37は外周がガイド筒32の内面に近接する。
【0130】
また、駆動プレート36の下面からカッター軸芯Zと同軸芯で下方に突出するセンタ支軸38を備えている。このセンタ支軸38は穿孔作動の後に戻り作動を行う際に、取出機構40の貫通孔41aに係合することにより、取出機構40の取り出しを可能にする係合機構Lを備えている。この貫通孔41aは断面形状が円形となる。
【0131】
係合機構Lは、実施形態の
図9、
図10において既に示したように、センタ支軸38に対し切換支軸39aを中心として揺動自在な複数の係止体39を備えている。係止体39は、揺動により、センタ支軸38の外周面より内方に格納される格納姿勢と、センタ支軸38の外周面から径方向外方に張り出す係止姿勢とに切り換え自在に構成されている。
【0132】
また、センタ支軸38には、係止体39を
図9に示す格納姿勢に拘束する拘束位置と、係止体39を
図10に示す係止姿勢への移行を許す解除位置とにスライド移動自在なスリーブ48を外周に備えている。スリーブ48は、穿孔作動の開始時に
図28、
図29に示す拘束位置にセットされる。
【0133】
穿孔機Eは、カッター30を駆動回転する状態で
図28に示す初期位置から、穿孔方向(同図で下方)に移動させる穿孔作動により、水道管W(既設管)に穿孔口Waを形成する。この穿孔作動によりカッター30が
図30に示す穿孔終端位置に達した後に、カッター30を穿孔作動と逆方向となる戻り作動を行う。
【0134】
穿孔機Eは、戻り作動に伴い水道管Wから分離した切断部分Wb(切片)をカッター30の内部空間30Sに収容した状態で取り出す取出機構40を備えている。この取出機構40を備えることにより、カッター30が
図31に示す取出位置に達した状態において、水道管Wから分離した切断部分Wbをカッター30の内部空間30Sに収容した状態で取り出す。
【0135】
取出機構40は、
図22~
図26に示すように、ケース部Cの内部において、穿孔作動の方向の上流位置の第一支持体41と、穿孔作動の方向の下流位置の第二支持体42との2つの支持体を備えている。更に、取出機構40は、第一支持体41と第二支持体42との上下方向の位置関係を保持する複数(3つ)の棒状の位置保持体43と、第二支持体42より下側に配置される底部プレート44とを備えている。
【0136】
第一支持体41と、第二支持体42と、複数(3つ)の棒状の位置保持体43とは、カッター軸芯Zに沿う方向視で円筒状のカッター30の内部空間30Sに収容可能な位置に配置される。
【0137】
図24~
図26に示すように、この別実施形態(b)において、第一支持体41は、上部プレート41Pと、下部プレート41Qと、これらを連結する連結筒41Rとを備えている。上部プレート41Pは、カッター30の内面に近接する半径となる円盤状に成形されている。下部プレート41Qは、上部プレート41Pより径が小さく、水道管Wに近接する側(位置保持体43と反対側)の端部を水道管Wの外面に接触可能なサイズに形成されている。
【0138】
連結筒41Rは、上部プレート41Pと下部プレート41Qとに連結する筒状体であり、連結筒41Rの中心がカッター軸芯Zと同軸芯に配置される。特に、カッター30が
図30に示す穿孔終端位置に到達する以前に、連結筒41Rに形成された貫通孔41aにセンタ支軸38が挿通し、係合機構Lの係止体39(実施形態の
図9、
図10を参照)は、センタ支軸38の外周面から径方向外方に張り出す係止姿勢に達する。このとき、
図29に示すように、上部プレート41Pがカッター30の内面に近接し、ガイドプレート37の外周がガイド筒32の内面に近接するため、穿孔作動に伴うカッター30の芯ずれを防止できる。
【0139】
上部プレート41Pと下部プレート41Qとは互いに平行であり、カッター軸芯Zに平行し、平面視において水道管Wから離間する中央の軸芯を中心とする上部貫通孔が上部プレート41Pに形成され、これより小径の下部貫通孔41Qaが下部プレート41Qに形成されている。
【0140】
図22~
図26に示すように、第二支持体42は、水道管Wの外面に沿う領域が水道管Wの外周に沿う傾斜姿勢の接触面42Sが形成されている。また、第二支持体42は、平面視において水道管Wから離間する外周がカッター30の内面に近接する半径で形成されている。
【0141】
この第二支持体42は、中央部分を上下方向にガイド軸45が貫通する。このガイド軸45は、下端の雌ネジ部にナットが螺合する。また、このガイド軸45の上端の頭部は平面視で円形であり、上面の外周の面取り加工が施されている。
【0142】
図24、
図25に示すように、第二支持体42は、平面視で水道管Wの外周に沿う領域に縦向きのネジ孔で成る螺合部42aが形成され、この螺合部42aを挟む2箇所に上側に延びる保持筒42gが固定されている。これら螺合部42aと、一対の保持筒42gとは、平面視で水道管Wの外周に沿う直線状の領域に配置されている。
【0143】
底部プレート44は、カッター30の外径より僅かに大径となる円盤状に成形されている。この底部プレート44は、ガイド軸45の下端部が嵌まり込む嵌合凹部が中央に形成されている。
【0144】
3つの位置保持体43は、全体的にロッド状であり、夫々の長手方向がカッター軸芯Zと平行する姿勢で、夫々が設定間隔で配置される。つまり、位置保持体43は、単一の主位置保持体43aと、一対の副位置保持体43bとを有する。
【0145】
主位置保持体43aは、単一の主位置保持体43aは本体部分より小径の上部ネジ43atと、本体部分より小径の下部ネジ43abとが形成されている。
図27に示すように、この主位置保持体43aは、上部ネジ43atの上端部には六角穴43acが形成されている。
【0146】
図24、
図27に示すように、主位置保持体43aは、上部ネジ43atが下部貫通孔41Qaに挿通し、この上部ネジ43atに保持用ナット46が螺合する。また、この主位置保持体43aは、下部ネジ43abが第二支持体42の螺合部42aに螺合する。尚、上部貫通孔(上部プレート41Pの貫通孔41a)は保持用ナット46の回転操作を可能にする内径で形成されている。
【0147】
図24、
図25に示すように、第一支持体41は、主位置保持体43aを挟む2箇所で上部プレート41Pと下部プレート41Qとに亘って副位置保持体43bが支持されている。一対の副位置保持体43bは、上端が上部プレート41Pに溶接等の技術により固定され、下端が第二支持体42に備えた保持筒42gに挿通状態で備えられている。
【0148】
上部ネジ43atは、下部プレート41Qの下部貫通孔41Qaに挿通する状態で保持用ナット46の螺合が可能である。また、下部ネジ43abは、第二支持体42の螺合部42aに螺合可能に形成されている。
【0149】
3つの位置保持体43のうち主位置保持体43aを挟む2箇所に副位置保持体43bは、上端が第一支持体41の上部プレート41Pに溶接固定され、下端が第二支持体42の保持筒42gに対して上下方向に相対移動自在に挿通する。
【0150】
〔取出機構の取付方法〕
この別実施形態(b)では、取出機構40(切片回収器)の取付方法として、取出機構40(切片回収器)を筒状突出部4からケース部Cの内部に配置する「配置工程」と、カッター軸芯Zが取出機構40の連結筒41Rに形成された貫通孔41aと同軸芯になるように、芯出治具70により取出機構40の水道管W(既設管)に対する相対位置を固定する「芯出工程」とが行われる。
【0151】
この取付方法による取出機構40の取付は、穿孔機Eによって穿孔口Waが形成される位置の水道管Wの外面にケース部Cを配置する作業の後に行われる。
【0152】
〔取付方法:配置工程〕
配置工程は、まず
図22に示すように、底部プレート44と第二支持体42とにガイド軸45が挿通するように、これらを組み立てておき、人為的な作業により筒状突出部4から底部プレート44をケース部Cの底部(第二分割部材2の内面)の凹部に嵌め込む状態で配置する。この配置により第二支持体42の接触面42Sが水道管Wの外周の下側に入り込む。
【0153】
次に、
図23、
図27に示すように、主位置保持体43aの下部ネジ43abを第二支持体42の螺合部42aに螺合させた状態において、主位置保持体43aの上端の六角穴43acにレンチ等のシフト用工具T1を嵌合させ、回転操作により第二支持体42を上側にシフトさせ接触面42Sを水道管Wの下面に軽く接触させる。この回転操作では、主位置保持体43aが回転することになる。
【0154】
次に、
図24~
図25に示すように、第一支持体41と位置保持体43とを筒状突出部4から挿入し、主位置保持体43aの上端を第一支持体41の下部貫通孔41Qaに挿通させる。これと同時に、一対の副位置保持体43bの下端部分を第二支持体42の保持筒42gのうち対応するものに挿通させる。
【0155】
このように第一支持体41と第二支持体42と位置保持体43とを配置した位置関係において、主位置保持体43aの上部ネジ43atに保持用ナット46を螺合させ、
図27に示すように、この保持用ナット46をレンチ等の締結工具T2による回転操作で、第一支持体41の下部プレート41Qの一部を水道管Wの上面に軽く接触させる(
図26も参照)。
【0156】
〔取付方法:芯出工程〕
芯出工程は、
図26、
図27に示すように、芯出工程は、前述したように、下部プレート41Qの一部を水道管Wの上面に軽く接触させ、第二支持体42の接触面42Sを水道管Wの下面に軽く接触させた状態において、
図26に示す芯出治具70を用いて、取出機構40の第一支持体41の連結筒41Rの中心を、カッター軸芯Zと一致させる。
【0157】
芯出治具70は、第一支持体41の連結筒41Rに密嵌合可能な断面形状が円形のゲージ軸71と、ゲージ軸71を支持するクロスプレート72と、クロスプレート72の両端にされた規制部材73と、規制部材73に複数の位置保持ボルト74とを備えている。ゲージ軸71は、下端側が小径となるテーパ状に成形されている。
【0158】
筒状突出部4はカッター軸芯Zと同軸芯となる円筒状であり、この筒状突出部4は、上下方向に貫通する開口4Sが形成されている。
【0159】
クロスプレート72は、開口4Sの直径方向に沿って配置される。この配置において規制部材73の位置保持ボルト74が筒状突出部4の外周に接触することでゲージ軸71の中心がカッター軸芯Zと同軸芯上に配置される。
【0160】
図26の2点鎖線には、芯出が完了した状態にある第一支持体41を示している。芯出工程は、例えば、芯出治具70を下方へのシフトによりゲージ軸71を徐々に連結筒41Rに挿入し、第一支持体41に対して人為的な外力を加える等の操作により、この第一支持体41の位置調整が行われる。
【0161】
このように芯出治具70を用いることで、取出機構40は、連結筒41Rの中心をカッター軸芯Zと同軸芯に配置できる。この芯出工程では、芯出治具70を取り付けた状態で、取出機構40の、保持用ナット46の締結操作により、ケース部Cに対する第一支持体41の位置が決まり、芯出し状態が固定され、その後芯出治具70を取り外す。この芯出工程を終了することにより、第二支持体42の接触面42Sが水道管Wの外面に確実に当接する状態に達する。
【0162】
次に、取出機構40(切片回収器)が取付られた後に、上述した実施形態に記載されるように、筒状突出部4に形成された突出側フランジ部4aの上面に弁ユニットDを固定し、この弁ユニットDの上面に穿孔機Eが固定される。
【0163】
つまり、穿孔機Eによる穿孔を行う際には、カッター30を、カッター軸芯Zを中心に駆動回転しつつ、
図28に示す初期位置から、穿孔方向(下方)に作動させることにより、カッター30による水道管Wの穿孔が開始される。
【0164】
このように穿孔が開始される際には、第一支持体41の上部プレート41Pが、カッター30の内周に入り込むと共に、
図29に示すように、上部プレート41Pの外周がカッター30の内周に近接し、更にガイドプレート37がガイド筒32に近接することで位置関係が維持されることから、カッター30を適正な位置に維持できる。
【0165】
この後に、カッター30が穿孔終端位置の近傍まで達することにより、センタ支軸38が連結筒41Rに入り込む。これにより、連結筒41Rの上端がスリーブ48に当接し、スリーブ48を解除位置に移動させる。この後、
図30に示すように、カッター30が穿孔終端位置に達した後には、複数の係止体39が係止姿勢に移行する。
【0166】
また、このようにカッター30が穿孔終端位置に達した時点で、カッター30の内部空間30Sに、第一支持体41、第二支持体42等とともに水道管Wの切断部分Wbが収容された状態にある。
【0167】
戻り作動によってカッター30が
図31に示す取出位置に戻ることにより、水道管Wの切断部分Wbと、第一支持体41と、第二支持体42と、位置保持体43と、底部プレート44とをカッター30の内部空間30Sに収容した状態での取り出しが行われる。
【0168】
この別実施形態(b)のように取出機構40を配置する「配置工程」の後に、「芯出工程」を行うことにより、カッター軸芯Zと、第一支持体41の連結筒41Rの貫通孔41aの中心とを高い精度で一致させる。その結果、ケース部Cに対する取出機構40と、穿孔機Eとが予め設定された最適な位置関係に維持される。
【0169】
特に、この構成ではカッター30の内部空間30Sに第一支持体41の上部プレート41Pの収容を可能にするように、上部プレート41Pの外周と、カッター30の内周との位置関係の精度を高めることになる。
【0170】
また、穿孔機Eの穿孔作動において、カッター30の刃部30aが水道管Wに接触した際のように、カッター30を水道管Wから離間する方向に力が作用する状況でも、カッター30の内周に上部プレート41Pの外周が接触することにより、カッター30を、カッター軸芯Zを中心に回転させることが可能となる。穿孔が完了すると切断部分Wbとカッター30は共に回転する 。
【0171】
更に、この別実施形態(b)では、センタ支軸38を貫通孔41aに対して確実に導入できるため、カッター30が穿孔終端位置に達した後に、カッター30の戻り作動を行う際には、水道管Wの切断部分Wbをカッター30の内部空間30Sに収容する状態で取り出すことが可能となる。尚、別実施形態(b)における取出機構40(切片回収器)の取付方法は、上述した実施形態における取出機構40にも採用することが可能である。
【0172】
(c)ガイドプレート37は円板状に限るものではなく、例えば、多角形のプレートを用いることも可能である。このように多角形のプレートでは複数の角部等のようにカッター軸芯Zから半径方向に最も離間した位置と、ガイド筒32の内面とを当接可能に近接する位置関係で配置される。
【0173】
(d)取出機構40の第一支持体41のうち、水道管Wに接触する位置に、第二支持体42の接触面42Sと同様に水道管Wに対して所定の面積で接触する接触用の面を形成する。このように接触用の面を形成することにより第一支持体41の姿勢が安定し良好な位置関係で穿孔を行い、カッター30の内部空間30Sに水道管Wの切断部分Wbと、第一支持体41と、第二支持体42と、位置保持体43と、底部プレート44とを収容した状態で一層確実に取り出すことが可能となる。
【0174】
(e)実施形態に記載した固定側爪体4Tと可動側爪体11Tとは、カッター軸芯Zに対して直交する仮想平面に平行する姿勢で形成したものを想定しているが、回転操作により閉栓ディスク10を開口4Sに嵌め込む方向に力を作用させるように、固定側爪体4Tと可動側爪体11Tとの少なくとも一方を、前述した仮想平面に対して傾斜する姿勢で形成することも考えられる。
【0175】
このように構成することにより、操作軸51をカッター軸芯Zに沿う方向にシフトさせる力を作用させることなく、操作軸51から回転力を作用させるだけで、閉栓ディスク10の嵌め込み方向に変位させ閉栓を確実に行える。
【0176】
(f)上述した実施形態では、カッター軸芯Zが水道管W(既設管)の管軸芯Xから外れた位置で、水道管Wと重複する位置に配置されているハーフカット工法にガイドプレート37を採用した。このガイドプレート37は、カッター軸芯Zが水道管Wの外周面よりも外側のハーフカット工法に用いてもよいし、トップカット工法やフルカット工法、水平穿孔工法等、あらゆる穿孔機Eに採用できる。
【0177】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、分岐管形成装置及び切片回収器の取付方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0179】
3 挿口管(分岐部)
4S 開口
4T 固定側爪体(第一爪体)
10 閉栓体
11T 可動側爪体(第二爪体)
30 カッター
30S 内部空間
31 駆動シャフト
32 ガイド筒
37 ガイドプレート
38 センタ支軸
39 係止体
40 取出機構(切片回収器)
41 第一支持体
41a 貫通孔
42 第二支持体
42S 接触面
43 位置保持体
48 スリーブ
70 芯出治具
100 分岐管形成装置
C ケース部
E 穿孔機
L 係合機構
W 水道管(既設管)
Wa 穿孔口
Wb 切断部
X 管軸芯
Z カッター軸芯