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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020177
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】締結装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/00 20060101AFI20240206BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20240206BHJP
   A43C 11/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B65B67/00 Z
A44B99/00 611N
A44B99/00 611M
A43C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125012
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】111128829
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517340149
【氏名又は名称】蔡 志信
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】蔡 志信
【テーマコード(参考)】
3E057
4F050
【Fターム(参考)】
3E057AD06
4F050GA30
4F050MA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】紐を緩め、締め付けるための締結装置を提供する。
【解決手段】ケース1200と、ケース内に配置され、レースが巻き付けられるように構成されたスプールと、ケース内の複数のラチェット歯と、ケースに配置され、ラチェット歯の一方側に位置するラチェット要素と、ケースに配置されたノブ1700とを備える。ラチェット要素は、ラチェット歯の少なくとも1つと選択的に係合するラチェットアームを有する。ラチェットアームがラチェット歯の少なくとも1つと係合すると、スプールは解除方向への回転が禁止され、ノブが締め付け方向に回転されると、ラチェットアームはラチェット歯の少なくとも1つから外れ、スプールが紐を締め付けることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、
前記ケース内に位置する複数のラチェット歯と、
前記ケースに配置され、前記ラチェット歯の一方側に位置し、前記ラチェット歯の少なくとも1つと選択的に係合するラチェットアームを有するラチェット要素と、
前記ケースに配置されたノブと、を備え、
前記ラチェットアームが前記ラチェット歯の少なくとも1つと係合すると、前記スプールは緩め方向への回転が禁止され、前記ノブが締め付け方向に回転されると、前記ラチェットアームは前記ラチェット歯の少なくとも1つから外れ、前記スプールが紐を締め付けることを可能にする、締結装置。
【請求項2】
前記締結装置は、前記ケースから少なくとも部分的に露出しているスイングアームをさらに備え、
前記ラチェット要素がリンク部をさらに有し、
前記スイングアームが前記リンク部に対して当接し、
前記スイングアームが操作されると、前記ラチェットアームが前記ラチェット歯の少なくとも1つから外れることにより、紐を段階的に緩めることができる、請求項1記載の締結装置。
【請求項3】
前記締結装置は、前記ノブに連結された複数のノブ歯をさらに備え、
前記ラチェット要素が、前記ラチェットアームの上方に位置し、前記ノブ歯の少なくとも1つに対応する摺動部をさらに有し、
前記ノブが緩め方向に回転されると、前記ノブ歯の少なくとも1つが前記摺動部を押して前記ラチェット要素を回転させ、前記ラチェット要素が前記ラチェット歯の少なくとも1つから外れることにより、紐を段階的に緩めることができる、請求項1記載の締結装置。
【請求項4】
前記ケースは、主空間と、前記主空間と連通する副空間と、を有し、
前記スプールは前記主空間に位置し、前記ラチェット要素は前記副空間に位置し、前記ラチェットアームは、前記主空間にまで延びている、請求項1記載の締結装置。
【請求項5】
前記締結装置はさらに、前記主空間内に配置され、前記スプールに選択的に結合されたホイールを備え、前記ラチェット歯が前記ホイールに位置しており、
前記ホイールを駆動するために前記ノブが操作されると、前記ラチェット歯は持ち上げられ、紐を完全に緩めるために前記スプールが緩め方向に回転することが可能になる、請求項4記載の締結装置。
【請求項6】
前記ホイールが少なくとも一つの案内部を有し、
前記ノブが前記少なくとも一つの案内部に対応する少なくとも一つの案内軌道を有し、
前記ノブが緩め方向に回転されて前記少なくとも一つの案内部が前記案内軌道によって案内されるようにすると、前記ホイールが軸方向に沿って移動し、紐を完全に緩めるために前記スプールが緩め方向に回転することが可能になる、請求項5記載の締結装置。
【請求項7】
前記ノブは、前記主空間に向かって突出する突出リングを有し、
前記ラチェット歯は、前記突出リングの外周面に位置し、
前記ノブを操作することにより、前記ラチェット歯が上方に移動し、前記スプールが緩め方向に回転することが可能になる、請求項4記載の締結装置。
【請求項8】
前記締結装置は、前記スプールを貫通し、前記ノブに結合された結合セットをさらに備え、
前記スプールは位置決め部を有し、前記結合セットは前記位置決め部を貫通し、前記位置決め部に結合され、
前記ノブを上方に引くことにより、前記ラチェット歯と前記結合セットとが軸方向に沿って移動し、それにより、前記スプールが紐を完全に緩めるために緩め方向に回転することが可能になり、前記結合セットは前記位置決め部により位置決めされる、請求項5記載の締結装置。
【請求項9】
前記ケースは、主空間を囲む環状壁と、前記環状壁から内側に突出する仕切りと、前記主空間と連通する上部開口と、を有し、
前記スプールは上側リング部を有し、前記仕切りは前記上側リング部を軸方向に制限して、前記スプールが前記上部開口を通じて主前記空間から出るのを禁止する、請求項1記載の締結装置。
【請求項10】
前記ケースは、主空間を取り囲む環状壁と、前記環状壁に位置し、前記主空間と連通する内側リング溝と、前記主空間と連通する上部開口と、を有し、
前記スプールは下側リング部を有し、前記下側リング部は前記内側リング溝に受け入れられて、前記スプールが前記上部開口を通じて主空間から出るのを禁止する、請求項1記載の締結装置。
【請求項11】
前記ケースは、主空間を取り囲む環状壁と、前記環状壁の外面に配置された少なくとも1つの傾斜案内ブロックと、を有し、
前記ノブは、前記少なくとも1つの傾斜案内ブロックに対応する複数の案内歯を備え、
前記ノブが軸方向に沿って下方に移動すると、前記案内歯の少なくとも1つが前記少なくとも1つの傾斜案内ブロックによって案内される、請求項記載の締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結装置に関する。より詳しくは、本発明は、紐を緩め、締め付けるための締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、紐や糸のようなコードは、通常、物品を締め付けるために使用される。最も一般的な締め付け方法は、靴のコード穴のような物品の穴にコードを交互に通し、結び目を作って物品を固定する方法である。しかし、このような締め方付け法では、外力によって結び目が緩みやすい。結び直しが必要になるだけでなく、物品が不安定になって多くの不都合が生じる。
【0003】
このような問題を解決するために、当業者は、ケース、駆動部及びバネを含む簡単な締め付け機構を開発した。ケースには、紐を通すための穴が設けられている。バネと駆動部の反発力により、紐は駆動部とケースの間に挟み込まれ、固定される。バネを押して駆動部の位置を変えることで、紐の長さを変えることができる。しかし、このような締結機構では、バネの復元力が固定力となっているため、振動や外力によって紐が緩みやすい。また、締め付け機構には紐を受けるスペースがないため、紐が露出して危険を招くおそれがある。
【0004】
そのため、コードを締めるために回転させることができる別の種類のバックルを開発した当業者もいる。このバックルでは、バックル内部でコードが受け止められ、バックル内部の部品の干渉によって、コードの長さや締め付け具合を調整することができる。しかし、バックルの構造が複雑であるため、製造コストが高くなるとともに、内部の部品が外部の材料の影響を受けやすく、使用できなくなるという問題がある。そのため、使用環境が限定されるだけでなく、製品寿命も短くなる。
【0005】
上述した問題点を踏まえ、耐久性を向上させるために締結装置の構造をどのように改良するかということが、産業界の課題となっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、締結装置は、ケースと、ケース内に配置され、紐がその周囲に巻かれるように構成されたスプールと、ケース内の複数のラチェット歯と、ケースに配置され、ラチェット歯の一方側に位置するラチェット要素と、ケースに配置されたノブとを備える。ラチェット要素は、ラチェット歯の少なくとも1つと選択的に係合するラチェットアームを有しる。ラチェットアームがラチェット歯の少なくとも1つと係合すると、スプールの緩め方向への回転が禁止され、ノブが締め付け方向に回転されると、ラチェットアームはラチェット歯の少なくとも1つから外れ、スプールが紐を締め付けることができる。
【0007】
本発明は、以下の添付図面を参照しながら、以下の実施形態の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による締結装置を示す三次元概略図である。
図2図2は、図1の第1の実施形態の締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図3図3は、図1の第1の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図4図4は、図1の第1の実施形態の締結装置を示す縦断面図である。
図5図5は、図1の第1の実施形態の締結装置のノブ、複数のラチェット歯及びラチェット要素を示す立体概略図である。
図6図6は、図1の第1の実施形態の締結装置を示す1つの上から見た横断面図である。
図7図7は、図1の第1の実施形態の締結装置を示す別の上から見た横断面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態による締結装置を示す三次元概略図である。
図9図9は、図8の第2の実施形態の締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図10図10は、図8の第2の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図11図11は、図8の第2の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図12図12は、図8の第2の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図13図13は、本発明の第3の実施形態による締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図14図14は、図13の第3の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図15図15は、図13の第3の実施形態の締結装置を示す1つの底から見た横断面図である。
図16図16は、図13の第3の実施形態の締結装置を示す別の底から見た横断面図である。
図17図17は、図13の第3の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図18図18は、図13の第3の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図19図19は、本発明の第4の実施形態による締結装置を示す三次元概略図である。
図20図20は、図19の第4の実施形態の締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図21図21は、図19の第4の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図22図22は、図19の第4の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図23図23は、図19の第4の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図24図24は、本発明の第5の実施形態による締結装置を示す三次元概略図である。
図25図25は、図24の第5の実施形態の締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図26図26は、図24の第5の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図27図27は、図24の第5の実施形態の締結装置を示す1つの上から見た横断面図である。
図28図28は、図24の第5の実施形態の締結装置を示す別の上から見た横断面図である。
図29図29は、図24の第5の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図30図30は、図24の第5の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図31図31は、本発明の第6の実施形態による締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図32図32は、図31の第6の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図33図33は、図31の第6の実施形態の締結装置を示す1つの上から見た横断面図である。
図34図34は、図31の第6の実施形態の締結装置を示す別の上から見た横断面図である。
図35図35は、図31の第6の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図36図36は、図31の第6の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図37図37は、本発明の第7の実施形態による締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図38図38は、図37の第7の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図39図39は、図37の第7の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図40図40は、図37の第7の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図41図41は、本発明の第8の実施形態による締結装置を示す三次元概略図である。
図42図42は、図41の第8の実施形態の締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図43図43は、図41の第8の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図44図44は、図41の第8の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図45図45は、図41の第8の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
図46図46は、本発明の第9の実施形態による締結装置を示す1つの分解斜視図である。
図47図47は、図46の第9の実施形態の締結装置を示す別の分解斜視図である。
図48図48は、図46の第9の実施形態の締結装置を示す1つの縦断面図である。
図49図49は、図46の第9の実施形態の締結装置を示す別の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある要素(または機構あるいはモジュール)が、他の要素上に「配置される」、「接続される」、または「結合される」と称される場合、それは、他の要素上に直接配置され、接続され、または結合されていてもよく、また、介在要素も存在してもよいと理解されるものである。対照的に、要素が他の要素に「直接配置される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と呼ばれる場合、介在要素は存在しない。
【0010】
さらに、本明細書では、第1、第2、第3などの用語は、様々な要素または構成を説明するために使用されるが、これらの要素または構成は、これらの用語によって限定されるべきではない。その結果、後述する第1要素又は構成は、第2要素又は構成と呼ばれ得る。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態による締結装置1000を示す三次元概略図である。図2は、図1の第1の実施形態の締結装置1000を示す1つの分解斜視図である。図3は、図1の第1の実施形態の締結装置1000を示す別の分解斜視図である。締結装置1000は、ケース1200、ケース1200内に配置され紐が巻き付けられるように構成されたスプール130、ケース1200内に位置する複数のラチェット歯1410、ケース1200に配置され、ラチェット歯1410の一方側に位置するラチェット要素1600、及びケース1200に配置されたノブ1700を備えている。ラチェット要素1600は、ラチェット歯1410の少なくとも1つと選択的に係合するラチェットアーム1610を備える。ラチェットアーム1610がラチェット歯1410の少なくとも1つと係合すると、スプール1300は緩め方向A1への回転が禁止され、ノブ1700が締め付け方向A2に回転されると、ラチェットアーム1610がラチェット歯1410の少なくとも1つから外れて、スプール1300が紐を締め付けることができる。
【0012】
したがって、ラチェット要素1600は、ホイール1400の一方側に位置し、ラチェット歯1410と係合しているので、動作は、埃などの外部物質の影響を受け難く、締結装置1000の耐久性を高めることができる。以下、締結装置1000の詳細について述べる。
【0013】
図2及び図3に示すように、ケース1200は、主空間S1、及び主空間S1の一方側に位置し、主空間S1と連通する副空間S2を備える。スプール1300は主空間S1内に位置し、ラチェット要素1600は副空間S2内に位置し、ラチェットアーム1610は主空間S1にまで延びている。正確には、ケース1200は、主空間S1を取り囲む環状壁1220と、環状壁1220から半径方向内側に突出する仕切り1260、環状壁1220に位置し、主空間S1と連通する内側リング溝1270、及び主空間S1と連通する上部開口をさらに備える。ケース1200は、カバー1240、及び回転軸ベース1230をさらに備える。カバー1240は、環状壁1220から外側かつ半径方向に突出し、環状壁1220の外面に一体的に連結される。回転軸ベース1230は、カバー1240を連結して副空間S2を形成する。環状壁1220は側部開口1221を備え、側部開口1221は環状壁1220の本体を貫通して、主空間S1が副空間S2と連通させる。
【0014】
第1の実施形態では、締結装置1000は、ケース1200から少なくとも部分的に露出するスイングアーム1100をさらに備える。スイングアーム1100が操作されると、ラチェットアーム1610がラチェット歯1410の少なくとも1つから外れることにより、紐を段階的に緩めることができる。ラチェットアーム1610及びスイングアーム1100は、回転軸ベース1230の異なる位置で回転してもよく、少なくとも部分的に副空間S2に位置してもよい。ラチェットアーム1610は、ラチェットアーム1610がラチェット歯1410の少なくとも1つと係合できるように、側部開口1221から主空間S1までに延びている。スイングアーム1100は、副空間S2から少なくとも部分的に露出し、すなわち、回転軸ベース1230を覆うカバー1240は、スイングアーム1100を完全に隠さない一方でラチェット要素1600を隠すようにする。カバー1240はスイングアーム1100がそこから延びて露出するように構成された穴を備え、それによって、スイングアーム1100のトリガー部1120がケース1200から露出する。
【0015】
ケース1200は、3つの回転軸バー1251、1252、1253及びベース1210をさらに備える。回転軸バー1251は、回転軸ベース1230から上方に突出しており、ラチェット要素1600がその上で回転するように構成されている。回転軸バー1252、1253は、カバー1240から下方に突出している。回転軸バー1252はスイングアーム1100がその上に配置されるように構成され、ベース1210は環状壁1220及び回転軸ベース1230がこれに接して配置されるように構成される。
【0016】
ラチェット要素1600は、被押圧部1620及び連結部1630をさらに備え、被押圧部1620及びラチェットアーム1610は間隔をおいて配置され、スイングアーム1100は連結部1630に当接している。より具体的には、ラチェット要素1600の一端の歯付き構造をラチェットアーム1610と定義し、ラチェット要素1600の他端のレバー構造を被押圧部1620と定義し、ラチェット要素1600の別のフック構造を連結部1630と定義することができる。連結部1630は、ラチェットアーム1610及び被押圧部1620よりもラチェット歯1410から離れた位置にある。スイングアーム1100は、回転軸部1110、フック部1130、阻止歯1140、及び押しブロック1150をさらに備え、トリガー部1120は回転軸部1110から延び、フック部1130はトリガー部1120から連結部1630に向かって延び、連結部1630を引っ掛ける。阻止歯1140は回転軸部1110の近くにあり、ラチェット歯1410と選択的に係合するように構成されている。押しブロック1150は、被押圧部1620を押すように構成されている。さらに、締結装置1000は弾性要素1900をさらに備え、弾性要素1900は、ラチェットアーム1610がラチェット歯1410の少なくとも1つから外れるときのエネルギーを蓄積する。弾性要素1900はねじりばね構造を有し、弾性要素1900は回転軸バー1253上に設置される。弾性要素1900の一端は、ラチェットアーム1610によって動かされ、ラチェットアーム1610のスイングが弾性要素1900を回転させ、エネルギーを回復するように駆動してもよい。その結果、弾性要素1900は、スイングアーム1100に及ぼされた力が取り除かれた後、ラチェットアーム1610及びスイングアーム1100を押して戻ることができる。
【0017】
締結装置1000は、主空間S1内に配置されたホイール1400をさらに備え、ラチェット歯1410はホイール1400に配置され、且つ、主空間S1内に配置される。ホイール1400は、ホイール本体1430、2つの耳1440、及び複数の第1結合歯1420を備える。ラチェット歯1410は、ホイール本体1430の一端に接続される。2つの耳1440は、ホイール本体1430に配置され、ノブ1700によって制限され、ノブ1700とともに回転する。
【0018】
ノブ1700は実質的にカバー形状であり、環状壁1220をカバーする。ノブ1700は、カバー部1740、駆動部1750、係合穴、2つの係合溝1730、及び複数のノブ歯1710を備える。駆動部1750は、カバー部1740の内側上部に一体的に連結され、カバー部1740の内側上部から下方に突出している。係合穴は駆動部1750に位置し、ホイール本体1430を受け入れるように構成されている。2つの係合溝1730は、駆動部1750の内壁に対称に配置され、2つの耳1440がそれぞれ係合するように構成され、これによりノブ1700の回転がホイール1400を回転駆動する。ノブ歯1710は駆動部1750の下端に位置し、カバー部1740から露出している。さらに、ホイール1400が係合穴に配置された後、ラチェット歯1410はノブ1700から露出し、且つ、ノブ歯1710の下方に位置する。ノブ歯1710は、第1表面1711(図6に記載)及び第2表面1712(図6に記載)を備え、第1表面1711の傾きは第2表面1712の傾きより小さく、第1表面1711と第2表面1712との間に角度があり、この角度はホイール1400のラチェット歯1410に対応している。
【0019】
図4は、図1の第1の実施形態の締結装置1000を示す縦断面図である。図1?図3を参照して図4を参照すると、締結装置1000は、スプール1300を貫通してノブ1700に結合された結合セット1800をさらに備える。正確には、結合セット1800は、中央シャフト1830及びスクリューバー1810を備え、中央シャフト1830はスプール1300を貫通し、スクリューバー1810はノブ1700の下方の中央シャフト1830に固定される。中央シャフト1830は、ノブ1700とホイール1400とに結合され、スプール1300によって制限される。
【0020】
スプール1300は、上側リング部1310、下側リング部1330、巻取りシャフト1360、上側突起1340、及び複数の第2結合歯1320を備える。巻取りシャフト1360は、上側リング部1310と下側リング部1330との間に連結され、それにより紐を受けるための巻取り軌道を形成する。ケース1200の仕切り1260は、スプール1300が上部開口を通じて主空間S1から出るのを防止するために、上側リング部1310を軸方向D1に制限する。下側リング部1330は内側リング溝1270に受容され、それにより、スプール1300が上側開口を通じて主空間S1から出ることも防止される。第1の実施形態において、スプール1300は、ケース1200の下部開口から主空間S1に投入される。このとき、仕切り1260の内径は上側リング部1310の外径よりも小さいため、上側リング部1310が上側開口に向かって移動することが禁止される。さらに、内側リング溝1270の直径は環状壁1220の内面の直径よりも大きいので、スプール1300は上方への移動が禁止される。他の実施形態では、仕切板及び内側リング溝の少なくとも一方が配置されていてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0021】
巻取りシャフト1360は中心穴1361を備える。上側突起1340は、上側リング部1310からノブ1700に向かって突出し、中心穴1361と連通する貫通孔1341を備える。第2結合歯1320は、上側突起1340の外面に位置し、第1結合歯1420に結合するように構成される。中央シャフト1830は、中心穴1361を通って貫通孔1341に入りホイール1400に突き当たる。スクリューバー1810は、ノブ1700側から中央シャフト1830を下向きに固定し、環状壁1220、スプール1300、ホイール1400及びノブ1700を一緒に結合する。
【0022】
図5は、図1の第1の実施形態の締結装置1000のノブ1700、複数のラチェット歯1410及びラチェット要素1600を示す三次元概略図である。図2?図3を参照して図5を参照すると、第1の実施形態の締結装置1000は、緩め方向A1にノブ1700を回転させることにより、紐を段階的に緩めることができる。図2、3、5に示すように、ラチェット要素1600は、ラチェットアーム1610に位置し、ノブ歯1710の少なくとも1つに対応する摺動部1640をさらに備える。摺動部1640は第1摺動面1641及び第2摺動面1642を備え、第1摺動面1641と第2摺動面1642との間の角度は、第1表面1711と第2表面1712との間の角度と等しい。ノブ1700を緩め方向A1に回転させると、ノブ歯1710の少なくとも1つが摺動部1640を押してラチェット要素1600を回転させる。ラチェットアーム1610がラチェット歯1410の少なくとも1つから外れることにより、紐を段階的に緩めることができる。段階的に緩める動作については、後に記載する。
【0023】
図6は、図1の第1の実施形態の締結装置1000を示す1つの上方から見た横断面図である。図7は、図1の第1の実施形態の締結装置1000を示す別の上方から見た横断面図である。使用者が紐を締め付けたい場合、図6に示すように、使用者はノブ1700を締め付け方向A2に回転させる。ノブ1700はホイール1400を回転させ、ラチェット歯1410がラチェット要素1600を変位させる。その結果、ラチェットアーム1610はラチェット歯1410から外れ、スプール1300は紐を締め付けるための締め付け方向A2に回転する。使用者がノブ1700を離すと、ラチェットアーム1610はラチェット歯1410と係合し、スプール1300は緩め方向A1への回転が禁止され、紐は緩まらない。ノブ歯1710の第2表面1712は、摺動部1640の第2摺動面1642も押すことになり、第2摺動面1642は第2表面1712に対して相対的に摺動し、ノブ歯1710から離れることに留意されたい。
【0024】
逆に、使用者がノブ1700を緩め方向A1に回転させると、図6に示すように、摺動部1640と係合している1つのノブ歯1710の第1面1711が、摺動部1640の第1摺動面1641を押し、第1摺動面1641が第1面1711に対して相対的に摺動して、摺動部1640が1つのノブ歯1710から離れる。一方、ラチェットアーム1610がスイングし、ラチェットアーム1610が外側にスイングしてラチェット歯1410から離れることにより、スプール1300が紐の張力によって緩め方向A1に回転する。次に、摺動部1640が次の1つのノブ歯1710と係合し、ラチェットアーム1610が再びラチェット歯1410と係合し、スプール1300が緩め方向A1への回転を停止し、これにより紐が1段階緩まる。したがって、ノブ1700を回転させることにより、紐を段階的に緩めるという目的を達成することができる。
【0025】
さらに、使用者はスイングアーム1100を使って紐を段階的に緩めることもできる。正確には、使用者がスイングアーム1100を内側に押すと、スイングアーム1100は回転軸部1110を中心に回転し、押しブロック1150が被押圧部1620を内側に押し、ラチェット要素1600が回動し、ラチェットアーム1610がラチェット歯1410から離れる。一方、スプール1300が解放され、緩め方向A1への回転が許容されると、スイングアーム1100の阻止歯1140が内側にスイングしてラチェット歯1410と係合し、スプール1300は阻止歯1140の制限により緩め方向A1に回転し続けることができなくなる。これにより、ラチェットアーム1610が戻る前にスプール1300の緩め方向A1への回転を止めることが補助され、紐を段階的に緩めることがさらに容易になる。
【0026】
紐を完全に緩めるとき、使用者はスイングアーム1100を操作してフック部1130が連結部1630に引っ掛かるようにし、ラチェット要素1600を回転させてラチェットアーム1610がラチェット歯1410から離れるようにし、それによってスプール1300が自由に回転され、紐を完全に緩めることができる。
【0027】
図8は、本発明の第2の実施形態による締結装置2000を示す三次元概略図である。図9は、図8の第2の実施形態の締結装置2000を示す1つの分解斜視図である。図10は、図8の第2の実施形態の締結装置2000を示す別の分解斜視図である。第2の実施形態の締結装置2000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース2200、スプール2300、ノブ2700及びラチェット要素2600を備える。ケース2200は、環状壁2220、カバー2240及びベース2210を備える。同様の構造の詳細な説明は繰り返さない。相違点は、締結装置2000が締結装置1000のようなスイングアーム1100とホイール1400を備えないこと、カバー2240がカバー1240のような穴を備えないこと、ノブ2700がノブ1700のようなノブ歯1710を備えないこと、及びラチェット要素2600と結合セットの構造が異なることである。さらに、紐を完全に緩めることは、ノブ2700を上方に引き上げることによって達成することができ、締結装置2000は紐を段階的に緩める機能を有していない。
【0028】
第2の実施形態では、ノブ2700はカバー部及び突出リング2760を備える。突出リング2760は、カバー部に一体的に接続され、主空間内に突出している。複数のラチェット歯2761が突出リング2760の外表面に配置されている。複数の第1結合歯2762は、突出リング2760の内周面に配置されている。ノブ2700を操作すると、ラチェット歯2761を上方に移動させることができ、それによって、紐を完全に緩めるためにスプール2300を緩め方向A1に回転させる。さらに、ノブ2700は複数の案内歯2720をさらに備え、案内歯2720は、ノブ2700のカバー部の内壁に配置され、突出リング2760の外面に面している。案内歯2720と突出リング2760との間に形成される隙間は、環状壁2220がそこに挿入される構成としてもよい。ケース2200は、環状壁2220に位置する複数の傾斜案内ブロック2280をさらに備え、傾斜案内ブロック2280は案内歯2720に対応する。よって、ノブ2700が軸方向D1(図11に記載)に沿って下方に動かされると、案内歯2720が傾斜案内ブロック2280によって案内される。
【0029】
スプール2300は位置決め部2350をさらに備え、結合セットは位置決め部2350を貫通してこれに結合されている。ノブ2700を上方に引くことにより、ラチェット歯2761及び結合セットが軸方向D1に沿って移動し、それによってスプール2300の制限が解除され、結合セットが位置決め部2350によって制限される。より具体的には、スプール2300の貫通孔2341は十字形であり、4つの端部開口を備える。位置決め部2350は、円形開口部に位置する4つの突出アームを備える。結合セットは位置決めシャフト2820を備え、位置決めシャフト2820は位置決め突起2821を備える。ノブ2700が上方に引っ張られず、第1位置にあるとき、位置決め突起2821は位置決め部2350の下方に位置する。ノブ2700が軸方向D1に沿って第2位置まで上方に引っ張られると、位置決め突起2821は位置決め部2350を押して、円形開口部を通過するように4つの突出アームを変形させ、位置決め突起2821は位置決め部2350の上方に位置し、位置決め部2350によって制限される。
【0030】
図11は、図8の第2の実施形態の締結装置2000を示す1つの縦断面図である。図12は、図8の第2の実施形態の締結装置2000を示す別の縦断面図である。図11に示すように、ノブ2700が軸方向D1に沿って引き上げられず第1位置にあるとき、第1結合歯2762は第2結合歯2320と係合している。使用者が紐を締め付けたいときには、ノブ2700を締め付け方向A2に回転させ、ラチェット歯2761がラチェット要素2600を変位させる。その結果、ラチェットアーム2610はラチェット歯2761から外れ、スプール2300が締め付け方向A2に回転して紐を締め付けることができる。使用者がノブ2700を離すと、ラチェットアーム2610はラチェット歯2761に係合し、スプール2300は緩め方向A1への回転が禁止され、紐は緩まなくなる。
【0031】
それどころか、図12に示すように、ノブ2700が使用者によって軸方向D1に沿って上方に引かれて第2位置に切り替えられると、第1結合歯2762が第2結合歯2320から外れて、スプール2300が自由に回転されて、紐を完全に緩めることができる。他の実施形態では、ノブが上方に引っ張られると、第1結合歯が第2結合歯に係合したまま、ラチェット歯とラチェットアームとの間の係合が解除されてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0032】
図13は、本発明の第3の実施形態による締結装置3000を示す1つの分解斜視図である。図14は、図13の第3の実施形態の締結装置3000を示す別の分解斜視図である。第3の実施形態の締結装置3000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース、スプール3300、ホイール3400、ノブ3700及びラチェット要素3600を備える。ケースは、環状壁3220、カバー3240、及びベース3210を備える。同様の構造の詳細な説明は繰り返さない。相違点は、締結装置3000が、締結装置1000のようなスイングアーム1100を備えないこと、カバー3240が、カバー1240のような穴を備えないこと、ラチェット要素3600が、ラチェットアーム3610に加えて、止め歯3650をさらに備え、止め歯3650とラチェットアーム3610とが同時にラチェット歯3410と係合することがない構成であることである。さらに、締結装置3000は、第2実施形態の位置決めシャフト2820と同一の構造を有する位置決めシャフト3820を備えてもよく、ノブ3700を引き上げることにより、紐を完全に緩めることができる。
【0033】
図15は、図13の第3の実施形態の締結装置3000を示す1つの底側から見た横断面図である。図16は、図13の第3の実施形態の締結装置3000を示す別の底側から見た横断面図である。図17は、図13の第3の実施形態の締結装置3000を示す1つの縦断面図である。図18は、図13の第3の実施形態の締結装置3000を示す別の縦断面図である。図15及び図17に示すように、ノブ3700が軸方向D1に沿って引き上げられず、第1位置にあるとき、第1結合歯3420は第2結合歯3320と係合している。使用者が紐を締め付けたい場合、ノブ3700を締め付け方向A2に回転させてホイール3400を回転させ、ラチェット歯3410がラチェット要素3600を変位させる。その結果、ラチェットアーム3610はラチェット歯3410から外れ、スプール3300を締め付け方向A2に回転させて紐を締め付けると、ノブ歯3710の第2表面3712と摺動部3640の第2摺動面3642との間で相対摺動が生じ、紐の締め付けは停止しない。使用者がノブ3700を離すと、ラチェットアーム3610がラチェット歯3410に係合し、スプール3300は緩め方向A1への回転が禁止され、紐が緩まなくなる。
【0034】
逆に、図16に示すように、使用者がノブ3700を緩め方向A1に回転させようとすると、摺動部3640と係合しているノブ歯3710の一方の第1表面3711が摺動部3640の第1摺動面3641を押し、第1摺動面3641が第1表面3711に対して相対的に摺動して、摺動部3640がノブ歯3710の一方から離れることができる。一方、ラチェット要素3600がスイングすると、ラチェットアーム3610が外側にスイングしてラチェット歯3410から離れ、それにより、スプール3300が紐の張力によって緩め方向A1に回転する。しかし、ラチェット要素3600がスイングすると、止め歯3650も内側にスイングしてラチェット歯3410と係合するため、紐が一段階緩まった後に紐が連続的に緩まることが停止される。次に、摺動部3640が次のノブ歯3710に係合し、ラチェットアーム3610が再びラチェット歯3410に係合する。このような構成の下で、ノブ3700の回転は、紐を段階的に緩めるという目的を達成することができる。
【0035】
さらに、図18に示すように、ノブ3700を軸方向D1に沿って上方に引いて第2位置に切り替えると、第1結合歯3420が第2結合歯3320から外れ、スプール3300が自由に回転されて紐を完全に緩めることができる。
【0036】
図19は、本発明の第4の実施形態による締結装置4000を示す三次元概略図である。図20は、図19の第4の実施形態の締結装置4000を示す1つの分解斜視図である。図21は、図19の第4の実施形態の締結装置4000を示す別の分解斜視図である。第4の実施形態の締結装置4000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース4200、スプール4300、ホイール4400、ノブ4700、ラチェット要素4600、及び結合セットを備える。ケース4200は、環状壁4220、カバー4240、及びベース4210を備える。同様の構造の詳細な説明は繰り返さない。相違点は、締結装置4000が締結装置1000のようなスイングアーム1100を備えないこと、カバー4240がカバー1240のような穴を備えないこと、ラチェット要素4600がラチェットアーム4610に加えて止め歯4650をさらに備えることである。さらに、結合セットはスクリューバー4810と中央シャフト4830を備えるが、中央シャフト4830の構造は中央シャフト1830と異なる。
【0037】
締結装置4000は、ノブ4700を回転させることにより、紐を完全に緩めるという目的を達成することができる。したがって、ホイール4400は少なくとも1つの案内部4450を備え、ノブ4700は少なくとも1つの案内部4450に対応する少なくとも1つの案内軌道4750を備える。ノブ4700が緩め方向A1に回転され、少なくとも1つの案内部4450が少なくとも1つの案内軌道4750によって案内されるようになると、ホイール4400が軸方向D1(図22に記載)に沿って移動し、スプール4300が緩め方向A1に回転されて紐を完全に緩めることができる。
【0038】
正確には、案内部4450の数は3つであり、間隔をあけてホイール本体4430の上部に配置されている。案内軌道4750の数も3つであり、案内軌道4750はそれぞれ3つの案内部4450を受け入れるように構成されている。ホイール4400は、各案内部4450からそれぞれ円周方向に延びる3つの係合フック4460をさらに備え、各係合フック4460はノブ4700に結合するように構成されている。
【0039】
図22は、図19の第4の実施形態の締結装置4000を示す1つの縦断面図である。図23は、図19の第4の実施形態の締結装置4000を示す別の縦断面図である。図22に示すように、ホイール4400が下降位置にあるとき、第1結合歯4420は第2結合歯4320と係合している。使用者が紐を締め付けようとして、ノブ4700を締め付け方向A2に回転させると、ラチェット歯4410がラチェット要素4600を変位させる。その結果、ラチェットアーム4610はラチェット歯4410から外れ、スプール4300が締め付け方向A2に回転して紐を締め付けることができる。使用者がノブ4700を離すと、ラチェットアーム4610はラチェット歯4410に係合し、スプール4300は緩め方向A1への回転が禁止され、紐が緩まなくなる。
【0040】
逆に、図23に示すように、ノブ4700が緩め方向A1に回転されると、ホイール4400はラチェット要素4600の制限によってそれに応じて回転することができず、ノブ4700はホイール4400に対して相対的に回転する。案内部4450は案内軌道4750によって案内され、それによってホイール4400は上方位置まで移動する。一方、第1結合歯4420は第2結合歯4320から外れ、スプール4300が自由に回転して紐を完全に緩めることができる。
【0041】
図24は、本発明の第5の実施形態による締結装置5000を示す三次元概略図である。図25は、図24の第5の実施形態の締結装置5000を示す1つの分解斜視図である。図26は、図24の第5の実施形態の締結装置5000を示す別の分解斜視図である。第5実施形態の締結装置5000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース5200、スプール5300、ホイール5400、ノブ5700、ラチェット要素5600、及び結合セットを備える。ケース5200は、環状壁5220、カバー5240、及びベース5210を備える。同様の構造の詳細の説明は繰り返さない。相違点は、締結装置5000は、締結装置1000のようなスイングアーム1100を備えず、ラチェット要素5600は、ラチェットアーム5610に加えて、止め歯5650及び押圧部5660をさらに備えることである。押圧部5660は、カバー5240の穴を介して副空間の外側に延びており、止め歯5650は、止め歯5650とラチェットアーム5610とが同時にラチェット歯5410と係合することがないように構成されている。さらに、結合セットはスクリューバー5810と中央シャフト5830を備えるが、中央シャフト5830の構造は異なる。
【0042】
さらに、締結装置5000は、締結装置4000と同様に、ノブ5700を回転させることにより、紐を完全に緩めるという目的を達成することができる。したがって、ホイール5400は案内部5450を備え、ノブ5700は案内部5450に対応する案内軌道5750を備える。
【0043】
図27は、図24の第5の実施形態の締結装置5000を示す1つの上側から見た横断面図である。図28は、図24の第5の実施形態の締結装置5000を示す別の上側から見た横断面図である。図29は、図24の第5の実施形態の締結装置5000を示す1つの縦断面図である。図30は、図24の第5実施形態の締結装置5000を示す他の縦断面図である。図27及び図29に示すように、ホイール5400が下降位置にあるとき、第1結合歯5420は第2結合歯5320と係合している。使用者が紐を締め付けようと、ノブ5700を締め付け方向A2に回転させると、ラチェット歯5410がラチェット要素5600を変位させる。その結果、ラチェットアーム5610はラチェット歯5410から外れ、スプール5300を締め付け方向A2に回転させて紐を締め付けることができる。使用者がノブ5700を離すと、ラチェットアーム5610はラチェット歯5410に係合し、スプール5300は緩め方向A1への回転が禁止され、紐は緩まなくなる。
【0044】
さらに、締結装置5000は、紐を段階的に緩める機能を有する。図28に示すように、押圧部5660が内側に押圧され、ラチェット要素5600がスイングし、ラチェットアーム5610がラチェット歯5410から離れ、それによって、紐の張力によってスプール5300が緩め方向A1に回転し、止め歯5650が内側にスイングしてラチェット歯5410と係合する。このようにして紐を段階的に緩めることができる。
【0045】
逆に、図30に示すように、ノブ5700が緩め方向A1に回転されると、ホイール5400はラチェット要素5600の制限によってそれに応じて回転することができず、ノブ5700はホイール5400に対して相対的に回転し、ホイール5400は上方位置に移動する。一方、ラチェット歯5410はラチェットアーム5610から外れ、第1結合歯5420は第2結合歯5320から外れ、スプール5300が自由に回転されて紐を完全に緩めることができる。
【0046】
図31は、本発明の第6の実施形態による締結装置6000を示す1つの分解斜視図である。図32は、図31の第6実施形態の締結装置6000を示す別の分解斜視図である。第6実施形態の締結装置6000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース、スプール6300、ノブ6700、ホイール6400、ラチェット要素6600及び結合セットを備える。ケースは、環状壁6220、カバー6240、及びベース6210を備える。同様の構造の詳細の説明は繰り返さない。相違点は、締結装置6000は締結装置1000のようなスイングアーム1100を備えず、カバー6240はカバー1240のような穴を備えず、ノブ6700は、カバー部6740及びリング体6770を備え、リング体6770はカバー部6740に連結され、ノブ歯6710はリング体6770に位置し、ラチェット要素6600はラチェットアーム6610に加えて止め歯6650をさらに備え、止め歯6650とラチェットアーム6610は同時にラチェット歯6410と係合することがない構成であることである。さらに、結合セットはスクリューバー6810と中央シャフト6830を備えるが、中央シャフト6830の構造は中央シャフト1830と異なる。
【0047】
さらに、締結装置6000は、締結装置5000と同様に、ノブ6700を回転させることにより、紐を完全に緩めるという目的を達成することができる。従って、ホイール6400は案内部6450を備え、ノブ6700は案内部6450に対応する案内軌道6750を備える。
【0048】
図33は、図31の第6の実施形態の締結装置6000を示す1つの上側から見た横断面図である。図34は、図31の第6の実施形態の締結装置6000を示す別の上側から見た横断面上面図である。図35は、図31の第6の実施形態の締結装置6000を示す1つの縦断面図である。図36は、図31の第6実施形態の締結装置6000を示す別の縦断面図である。図33及び図35に示すように、ホイール6400が下降位置にあるとき、第1結合歯6420は第2結合歯6320と係合している。使用者が紐を締め付けようと、ノブ6700を締め付け方向A2に回転させると、ラチェット歯6410がラチェット要素6600を変位させることができる。その結果、ラチェットアーム6610がラチェット歯6410から外れ、スプール6300を締め付け方向A2に回転させて紐を締め付けることができる。ノブ歯6710の第2表面6712と摺動部6640の第2摺動面6642との間で相対摺動が生じるが、これは紐の締め付けを止めない。使用者がノブ6700を離すと、ラチェットアーム6610はラチェット歯6410と係合し、スプール6300の緩め方向A1への回転が禁止され、紐は緩まなくなる。
【0049】
さらに、図34に示すように、使用者がノブ6700を緩め方向A1に回転させると、摺動部6640と係合している一つのノブ歯6710の第1表面6711が、摺動部6640の第1摺動面6641を押し、第1摺動面6641が第1表面6711に対して相対的に摺動し、摺動部6640がノブ歯6710の一方から離れる。一方、ラチェット要素6600がスイングし、ラチェットアーム6610が外側にスイングしてラチェット歯6410から離れ、それにより、紐の張力によってスプール6300が緩め方向A1に回転することが可能になる。止め歯6650が内側にスイングしてラチェット歯6410と係合し、それによって、紐を段階的に緩めることができる。
【0050】
逆に、図36に示すように、ノブ6700が緩め方向A1に回転されると、ホイール6400はラチェット要素6600の制限よってそれに応じて回転することができず、ノブ6700はホイール6400に対して相対的に回転し、ホイール6400は上方位置に移動する。一方、ラチェット歯6410はラチェットアーム6610から外れ、第1結合歯6420は第2結合歯6320から外れ、スプール6300が自由に回転して、紐を完全に緩めることができる。
【0051】
図37は、本発明の第7の実施形態による締結装置7000を示す1つの分解斜視図である。図38は、図37の第7の実施形態の締結装置7000を示す別の分解斜視図である。第7の実施形態の締結装置7000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース、スプール7300、ノブ7700及びラチェット要素7600を備える。ケースは、環状壁7220、カバー7240及びベース7210を備える。同様の構造の詳細な説明は繰り返さない。相違点は、締結装置7000が締結装置1000のようなスイングアーム1100を備えず、カバー7240がカバー1240のような穴を備えないことである。さらに、締結装置7000の中央シャフト7830の構造が中央シャフト1830と異なっている。ノブ7700を上方に引き上げることにより、紐を完全に緩めることができる。
【0052】
ノブ7700は、カバー部、突出リング、複数のラチェット歯7761、及び複数の係合爪7780を備える。ラチェット歯7761は突出リングの外面に位置し、係合爪7780はカバー部の内壁に位置し、突出リングの外面に面している。ケースは環状壁7220の上端に位置し、係合爪7780に対応する係合リング7290をさらに備える。
【0053】
図39は、図37の第7の実施形態の締結装置7000を示す1つの縦断面図である。図40は、図37の第7の実施形態の締結装置7000を示す別の縦断面図である。図39に示すように、ノブ7700が軸方向D1に沿って引き上げられず第1位置にあるとき、係合爪7780は係合リング7290の下方に位置する。ノブ7700、ラチェット要素7600のラチェットアーム7610、スプール7300及びラチェット歯7761の動きは、第2の実施形態の締結装置2000の動きと同様であり、ノブ7700を締め付け方向A2に回転させることにより、紐を締め付けることができ、詳細は繰り返さない。
【0054】
さらに、図40に示すように、使用者によってノブ7700が軸方向D1に沿って上方に引かれて第2位置に切り換えられると、係合爪7780が係合リング7290を押して係合リング7290の上方に係合爪7780が位置するように変形して切り替わる。第1結合歯は第2結合歯7320から外れ、スプール7300が自由に回転して紐を完全に緩めることができる。
【0055】
図41は、本発明の第8の実施形態による締結装置8000を示す三次元概略図である。図42は、図41の第8の実施形態の締結装置8000を示す一つの分解斜視図である。図43は、図41の第8の実施形態の締結装置8000を示す別の分解斜視図である。第8実施形態の締結装置8000は、第2実施形態の締結装置2000と同様であり、ケース8200、スプール8300、ノブ8700、ラチェット要素8600、及び位置決めシャフト8820を備える。ラチェット要素8600はラチェットアーム8610を備え、ノブ8700を上方に引くことによって紐を完全に緩めることができる。同様の構造の詳細な説明は繰り返さない。相違点は、ケース8200が第2実施形態のようなカバー2240を備えないこと、環状壁8220がラチェット要素8600を覆うこと、及び、ベース8210が円形状であることである。
【0056】
図44は、図41の第8の実施形態の締結装置8000を示す1つの縦断面図である。図45は、図41の第8の実施形態の締結装置8000を示す別の縦断面図である。図44に示すように、ノブ8700が軸方向D1に沿って引き上げられず、第1位置にあるとき、ノブ8700、ラチェット要素8600、スプール8300及びラチェット歯8761の動きは、第2実施形態の締結装置2000の動きと同様であり、ノブ8700を締め付け方向A2に回転させることにより紐を締め付けることができ、詳細は繰り返さない。
【0057】
さらに、図45に示すように、使用者によってノブ8700が軸方向D1に沿って上方に引かれて第2位置に切り換えられると、第1結合歯が第2結合歯から外れ、スプール8300が自由に回転して紐を完全に緩めることができる。
【0058】
図46は、本発明の第9の実施形態による締結装置9000を示す1つの分解斜視図である。図47は、図46の第9の実施形態の締結装置9000を示す別の分解斜視図である。第9の実施形態の締結装置9000は、第3の実施形態の締結装置3000と同様であり、ケース、スプール9300、ノブ9700、ラチェット要素9600及び位置決めシャフト9820を備える。ラチェット要素9600は、ラチェットアーム9610と止め歯9650とを備え、ノブ9700を上方に引き上げることにより、紐を完全に緩めることができる。同様の構造の詳細な説明については繰り返さないこととし、以下に相違点を明記する。
【0059】
スプール9300は複数の取り付け部9370を備え、ホイール9400はホイール本体の内側に位置する段差部9450(図48参照)をさらに備え、取り付け部9370と段差部9450は、ホイール9400を制限するように調整される。さらに、位置決めシャフト9820は、ホイール9400を通過して、ホイール9400に接触しない状態でノブ9700に当接する。したがって、ノブ9700が上方に引かれても、ホイール9400及びラチェット歯9410は上方に持ち上げられない。ノブ9700は、スプール9300の第2結合歯9320に対応する複数の駆動歯9790をさらに備える。
【0060】
図48は、図46の第9の実施形態の締結装置9000を示す1つの縦断面図である。図49は、図46の第9実施形態の締結装置9000を示す別の縦断面図である。図49は、図46の第9実施形態の締結装置9000を示す別の断面側面図である。図48に示すように、ノブ9700は軸方向D1に沿って引き上げられず第1位置にあるとき、ノブ9700、ラチェット要素9600、スプール9300、ラチェット歯9410及び位置決めシャフト9820の動きは、第3の実施形態の締結装置3000の動きと同様となる。ノブ9700を締め付け方向A2に回転させると、紐を締め付けることができる。ノブ9700を反対方向に回転させると、ノブ歯9710がラチェットアーム9610を変位させることができ、それによって紐を段階的に緩めるという目的を達成することができる。詳細な説明は繰り返さない。
【0061】
さらに、図49に示すように、第2位置に切り替わるように使用者によってノブ9700が軸方向D1に沿って上方に引かれると、駆動歯9790が第2結合歯9320から外れるので、スプール9300が自由に回転して紐を完全に緩めることができる。
【0062】
本発明を、その特定の実施形態を参照して詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。 したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0063】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明の構造に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。 以上のことから、本発明は、添付特許請求の範囲の範囲内に入ることを条件として、本発明の修正及び変形をも備えることが意図される。
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【外国語明細書】