(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020178
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】締結装置
(51)【国際特許分類】
A44B 99/00 20100101AFI20240206BHJP
A44B 11/12 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A44B99/00 611N
A44B11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125017
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】111128831
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112125406
(32)【優先日】2023-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】510299178
【氏名又は名称】陳 金柱
【氏名又は名称原語表記】CHEN,Chin-Chu
【住所又は居所原語表記】No.11-1,Lane 188,Gougye Rd.,Zhonghe Village,Longjing District Taichung,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】陳 金柱
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090BB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】紐を緩め、締め付けるための締結装置を提供する。
【解決手段】複数の係合歯を備えるケースと、ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、ケースを覆うノブと、ケースに配置され、前記スプールに結合された係合ユニットと、を備える締結装置。係合ユニットは係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームと、少なくとも1つの当接部材と、を備える。ノブが締め付け方向に回転されると、係合ユニットが回転され、少なくとも1つの爪アームが係合歯の少なくとも1つから外れ、スプールが紐を締め付けることができる。ノブが緩め方向に回転されると、少なくとも1つの爪アームが前記係合歯の少なくとも1つから外れ、少なくとも1つの当接部材は、紐の締め付けによって歪められて一時的に摩擦が相殺され、これにより紐を段階的に緩めることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の係合歯を備えるケースと、
前記ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、
前記ケースを覆うノブと、
前記ケースに配置され、前記スプールに結合された係合ユニットと、を備え、
前記係合ユニットは、前記係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームと、少なくとも1つの当接部材とを有し、
前記ノブが締め付け方向に回転されると、前記係合ユニットが回転し、前記少なくとも1つの爪アームが前記係合歯の少なくとも1つから外れ、前記スプールが紐を締め付けることができ、
前記ノブが緩め方向に回転されると、前記少なくとも1つの爪アームが前記係合歯の少なくとも1つから外れ、前記少なくとも1つの当接部材は紐の締め付けによって歪められて一時的に摩擦が相殺され、紐を段階的に緩めることができる、締結装置。
【請求項2】
前記係合ユニットは、上側ディスク、下側ディスク及び少なくとも一つの駆動アームを更に有し、
前記上側ディスク及び前記下側ディスクは回転可能に接続され、
前記少なくとも1つの爪アーム及び前記少なくとも一つの当接部材は、下側ディスクに位置し、
前記少なくとも一つの駆動アームは、前記上側ディスクに位置し、且つ、前記ノブに結合されている、請求項1記載の締結装置。
【請求項3】
前記ノブは、少なくとも2つのノブ歯を有し、前記少なくとも2つのノブ歯のうちの1つは、前記少なくとも一つの駆動アームに対応し、前記少なくとも2つのノブ歯の別の1つは、前記少なくとも1つの爪アームに対応し、
前記ノブが締め付け方向に回転されると、前記少なくとも2つのノブ歯のうちの1つは前記少なくとも1つの駆動アームを押し、前記係合ユニットを駆動し、前記スプールを締め付け方向に回転させ、
前記ノブが緩め方向に回転されると、前記少なくとも2つのノブ歯のうちの別の1つは、前記少なくとも1つの爪アームを押し、前記少なくとも1つの爪アームが前記係合歯の少なくとも1つから外れる、請求項2記載の締結装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの爪アームは、係合部と、前記係合部から一体的に外側に延びる下側突起と、を有し、前記下側突起は前記係合歯の少なくとも1つに対応する、請求項3記載の締結装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのノブ歯の数は、複数であり、
前記ノブ歯は、前記ノブの内壁を囲むように円形に配置され、
前記ノブ歯の各々は、第1の傾斜面と、第2の傾斜面と、を有し、
前記第1の傾斜面の各々の傾斜は、前記第2の傾斜面の各々の傾斜と異なり、
隣接する2つの前記ノブ歯の間に間隔が含まれる、請求項3記載の締結装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの当接部材は、爪構造を有し、且つ、前記係合歯の少なくとも1つに対応して係合する、請求項1記載の締結装置。
【請求項7】
前記ケースは、ハウジング及び仕切りを更に有し、
前記仕切りは、前記ハウジングから内部へ延びて上側チャンバ及び下側チャンバが形成され、
前記係合ユニットは、上側チャンバに受け入れられる、請求項1記載の締結装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの当接部材は、前記少なくとも1つの爪アームの下に位置し、且つ、細長い構造を有し、
前記ケースは、前記仕切りから上方へ突出し、前記少なくとも一つの当接部材に対応する複数の停止カーブリブを有する、請求項7記載の締結装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの当接部材は、歯付き構造を有し、且つ、前記少なくとも1つの爪アームの内側に位置し、
前記ケースは、ギアリング及び複数の止め歯を更に有し、
前記ギアリングは、前記仕切りから上方へ延び、前記止め歯は前記ギアリングに位置し、前記係合歯の方を向いており、
前記ノブが緩め方向に回転され、前記少なくとも1つの爪アームが歪められ、前記係合歯の少なくとも1つから離れると、
前記少なくとも1つの当接部材が前記止め歯の少なくとも1つと係合する、請求項7記載の締結装置。
【請求項10】
前記ケースは複数の窪みを更に有し、
前記窪みは、前記仕切りに位置し、
前記少なくとも1つの当接部材が、前記窪みの少なくとも1つに対応する、請求項7記載の締結装置。
【請求項11】
複数の係合歯を備えるケースと、
前記ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、
前記ケースを覆い、複数のノブ歯を備えるノブと、
前記ケースに配置され、前記スプールに結合された係合ユニットと、を備え、
前記係合ユニットは、前記係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームを有し、
前記ノブが締め付け方向に回転されると、前記係合ユニットは回転し、前記スプールが駆動して紐を締め付け、
前記ノブが緩め方向に回転されると、前記少なくとも1つの爪アームは段階的に且つ放射状に歪められ、紐の張力によって前記少なくとも1つの爪アームが前記係合歯の少なくとも1つから完全に外れて一時的に摩擦が相殺され、紐を段階的に緩めることができる、締結装置。
【請求項12】
前記係合ユニットは、上側ディスク、下側ディスク及び少なくとも一つの駆動アームを更に備え、
前記下側ディスクは、前記上側ディスクの下に位置し、
前記少なくとも1つの爪アームは、下側ディスクに位置し、
前記少なくとも一つの駆動アームは、上側ディスクに位置し、
前記少なくとも1つの駆動アームは、前記ノブ歯の少なくとも1つと結合する、請求項11記載の締結装置。
【請求項13】
前記係合ユニットは、少なくとも一つの押圧ブロック、少なくとも一つの回転アーム及び少なくとも一つの押しブロックを更に備え、
前記少なくとも一つの回転アームは、前記上側ディスクに位置し、且つ、前記ノブ歯の少なくとも1つに対応し、
前記少なくとも一つの押しブロックは、上側ディスクに位置し、
前記少なくとも一つの押圧ブロックは、前記下側ディスクに位置し、且つ、前記少なくとも一つの回転アームに対応し、
前記ノブが緩め方向に回転されると、前記少なくとも一つの回転アームは前記少なくとも一つの押圧ブロックにより押圧され、前記上側ディスクは前記下側ディスクと相対的に回転し、前記少なくとも一つの押しブロックは、前記少なくとも1つの爪アームを徐々に且つ放射状に押して歪める、請求項12記載の締結装置。
【請求項14】
複数の係合歯を備えるケースと、
前記ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、
前記ケースを覆うノブと、
前記係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームと、
少なくとも一つの当接部材と、を備え、
前記ノブが締め付け方向に回転されると、前記少なくとも1つの爪アームは前記係合歯の少なくとも1つから外れ、前記スプールが紐を締め付けることができ、
前記ノブが緩め方向に回転されると、前記少なくとも1つの爪アームが前記係合歯の少なくとも1つから外れ、前記少なくとも1つの当接部材は紐の締め付けによって歪められて一時的に摩擦が相殺され、紐を段階的に緩めることができる、締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結装置に関する。より詳しくは、本発明は、紐を緩め、締め付けるための締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、紐や糸のようなコードは、通常、物品を締め付けるために使用される。最も一般的な締め付け方法は、靴のコード穴のような物品の穴にコードを交互に通し、結び目を作って物品を固定する方法である。しかし、このような締め方付け法では、外力によって結び目が緩みやすい。結び直しが必要になるだけでなく、物品が不安定になって多くの不都合が生じる。
【0003】
このような問題を解決するために、当業者は、ケース、駆動部及びバネを含む簡単な締め付け機構を開発した。ケースには、紐を通すための穴が設けられている。バネと駆動部の反発力により、紐は駆動部とケースの間に挟み込まれ、固定される。バネを押して駆動部の位置を変えることで、紐の長さを変えることができる。しかし、このような締結機構では、バネの復元力が固定力となっているため、振動や外力によって紐が緩みやすい。また、締め付け機構には紐を受け入れるスペースがないため、紐が露出して危険を招くおそれがある。
【0004】
それゆえ、当業者はコードを締め付けるために回転することができる他の種類のバックルを開発した、コードはバックル内部で受け取られ、バックル内部の構成要素の間の干渉によって、コードの長さだけでなく締め付けもまた調整される。しかしながら、バックルの構造は複雑であり、製造費用は増加し、バックルは組み立て及び修理が難しいという問題がある。加えて、バックルを緩める場合、完全に緩める機能だけが得られるが、コード(紐)を部分的に(段階的に)緩めることができず、使用上の不便が残る。
【0005】
以上のような問題点から、バックルのような締結装置の構造をいかに改良し、段階的に緩める機能を持たせるかが、業界関係者が求める目標となっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、複数の係合歯を備えるケースと、ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、ケースを覆うノブと、ケースに配置され、スプールに結合された係合ユニットと、を備える締結装置である。係合ユニットは、係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームと、少なくとも1つの当接部材と、を備える。ノブが締め付け方向に回転されると、係合ユニットは回転し、少なくとも1つの爪アームが係合歯の少なくとも1つから外れ、スプールが紐を締め付けることができる。ノブが緩め方向に回転されると、少なくとも1つの爪アームが係合歯の少なくとも1つから外れ、少なくとも1つの当接部材は紐の張力によって歪められて一時的に摩擦が相殺され、これにより紐を段階的に緩めることができる。
【0007】
本発明の別の態様は、複数の係合歯を備えるケースと、ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、ケースを覆い、複数のノブ歯を備えるノブと、ケースに配置され、スプールに結合された係合ユニットと、を備える締結装置である。係合ユニットは、係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームを備える。ノブが締め付け方向に回転されると、係合ユニットは回転し、スプールが駆動し、紐を締め付ける。ノブが緩め方向に回転されると、少なくとも1つの爪アームは段階的に且つ放射状に歪められ、紐の張力によって少なくとも1つの爪アームが係合歯の少なくとも1つから完全に外れて一時的に摩擦が相殺され、これにより紐を段階的に緩めることができる。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、複数の係合歯を備えるケースと、ケースに配置され、紐が巻き付けられるように構成されたスプールと、ケースを覆うノブと、係合歯の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アームと、少なくとも一つの当接部材と、を備える締結装置である。ノブが締め付け方向に回転されると、少なくとも1つの爪アームは係合歯の少なくとも1つから外れ、スプールが紐を締め付けることができる。ノブが緩め方向に回転されると、少なくとも1つの爪アームが係合歯の少なくとも1つから外れ、少なくとも1つの当接部材は紐の張力によって歪められて一時的に摩擦が相殺され、これにより紐を段階的に緩めることができる。
【0009】
本発明は、以下の添付図面を参照しながら、以下の実施形態の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による締結装置の3次元模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の第1の実施形態の締結装置の1つの分解図である。
【
図3】
図3は、
図1の第1の実施形態の締結装置の他の分解図である。
【
図4】
図4は、
図1の第1の実施形態の締結装置の上から見た横断面図である。
【
図5】
図5は、動作を説明するための
図1の第1の実施形態の締結装置の部分的な上から見た横断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の第1の実施形態の締結装置の1つの縦断面図である。
【
図7】
図7は、
図1の第1の実施形態の締結装置の他の縦断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態による締結装置の3次元模式図である。
【
図9】
図9は、
図8の第2の実施形態の締結装置の1つの分解図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3の実施形態による締結装置の1つの分解図である。
【
図20】
図20は、本発明の第4の実施形態による締結装置の1つの分解図である。
【
図26】
図26は、本発明の第5の実施形態による締結装置の1つの分解図である。
【
図32】
図32は、本発明の第6の実施形態による締結装置の1つの分解図である。
【
図39】
図39は、本発明の第7の実施形態による締結装置の1つの分解図である。
【
図43】
図43は、本発明の第8の実施形態による締結装置の1つの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある要素(または機構あるいはモジュール)が、他の要素上に「配置される」、「接続される」、または「結合される」と称される場合、それは、他の要素上に直接配置され、接続され、または結合されていてもよく、また、介在要素も存在してもよいと理解されるものである。対照的に、要素が他の要素に「直接配置される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と称される場合、介在要素は存在しない。
【0012】
さらに、本明細書では、第1、第2、第3などの用語は、様々な要素または構成を説明するために使用されるが、これらの要素または構成は、これらの用語によって限定されるべきではない。その結果、後述する第1要素又は構成は、第2要素又は構成と呼ばれ得る。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態による締結装置1000の3次元模式図である。
図2は、
図1の第1の実施形態の締結装置1000の1つの分解図である。
図3は、
図1の第1の実施形態の締結装置1000の他の分解図である。締結装置1000は、複数の係合歯1140を備えるケース1100、ケース1100に配置され、紐がその周囲に巻き取られるように構成されるスプール1200、ケース1100を覆うノブ1400、及びケース1100に配置されて、スプール1200に結合する係合ユニット1300を備える。係合ユニット1300は、係合歯1140の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アーム1340及び少なくとも一つの当接部材1350を備える。ノブ1400が締め付け方向A2に回転されると、係合ユニット1300は回転し、少なくとも1つの爪アーム1340は係合歯1140の少なくとも1つから外れ、スプール1200が紐を締め付けることができる。ノブ1400が緩め方向A1に回転されると、少なくとも1つの爪アーム1340が係合歯1140の少なくとも1つから外れ、少なくとも一つの当接部材1350は紐の張力によって歪められて一時的に摩擦が相殺される。これにより、紐を段階的に緩めることができる。
【0014】
従って、ノブ1400が反時計回りに回転されると、爪アーム1340は係合歯1140から外れ、当接部材1350が摩擦を提供できるので、紐は完全には緩められず、紐の張力は残ったままである。その後張力は摩擦に打ち勝つことができ、摩擦に打ち勝つようになると、当接部材1350は歪められて一時的に摩擦が相殺され、これにより紐が小セグメント分緩まる。締結装置1000の詳細は、以下後述する。
【0015】
ケース1100は、ベース1110、ハウジング1120、仕切り1130、中心穴及び下側リング溝1150を備える。ハウジング1120は、収容空間を囲み、ベース1110に着脱可能に配置される。仕切り1130は、ハウジング1120から半径方向内側に延び、収容空間を上側チャンバS1及び下側チャンバS2に分ける。中心穴は仕切り1130を貫通し、上側チャンバS1は下側チャンバS2と連通する。下側リング溝1150はハウジング1120に位置し、且つ、下側チャンバS2に位置する。
【0016】
スプール1200は、上側リング部1210、下側リング部1220及び複数のスプール歯1230を備える。上側リング部1210と下側リング部1220の間に形成される巻き取り軌道は、紐がその周囲に巻き取られるように構成される。スプール歯1230は上側リング部1210に位置する。スプール1200は下側チャンバS2に受け入れられ、下側リング部1220は下側リング溝1150に対応して受け入れられ、スプール歯1230は中心穴を通じて上側チャンバS1に突出する。
【0017】
係合ユニット1300は、上側ディスク1310、下側ディスク1320及び少なくとも一つの駆動アーム1330を更に備える。上側ディスク1310及び下側ディスク1320は、回転可能に接続される。少なくとも1つの爪アーム1340及び少なくとも一つの当接部材1350は、下側ディスク1320に位置する。少なくとも一つの駆動アーム1330は上側ディスク1310に位置し、ノブ1400に結合する。より具体的には、上側ディスク1310及び下側ディスク1320はそれぞれ、円形のディスク構造であり、上側チャンバS1に受け入れられる。上側ディスク1310は、上側ディスク本体及び3つのカップリング部1311を備え、3つのカップリング部1311は下方へ突出し、間隔をあけて配置される。下側ディスク1320は、下側ディスク本体、3つの第1放射状タブ1321及び3つの第2放射状タブ1322を備える。3つの第1放射状タブ1321及び3つの第2放射状タブ1322は、下側ディスク本体に交互に配置される。カップリング空間は、第1放射状タブ1321の各々と第2放射状タブ1322の各々の間に形成され、カップリング部1311の各々と結合するように構成され、それによって上側ディスク1310及び下側ディスク1320は、回転可能に接続される。係合ユニット1300は、下側ディスク1320に位置する駆動部1360を更に備え、駆動部1360は、上側チャンバS1にまで延びるスプール歯1230に対応して係合する。
【0018】
少なくとも1つの爪アーム1340の数、及び少なくとも一つの当接部材1350の数は、3である。爪アーム1340の各々は、第2放射状タブ1322の各々から緩め方向A1に沿って延び、当接部材1350の各々は、第1放射状タブ1321の各々から緩め方向A1に沿って延びる。爪アーム1340は係合部1341及び下側突起1342を備え、下側突起1342は係合部1341から一体的に突出して外側に延び、下側突起1342は係合歯1140の少なくとも1つに対応する。正確には、爪アーム1340の係合部1341は、第1の係合面1341a(
図4に符号を記載)及び第2の係合面1341b(
図4に符号を記載)を備える。第1の係合面1341aは、ノブ歯1410及び係合歯1140に対応する。下側突起1342は第2の係合面1341bから外へ延び、係合歯1140に対応する。第2の係合面1341bの残りの部分はノブ歯1410に対応する。当接部材1350は爪構造を備え、当接部材1350は係合歯1140の少なくとも1つと対応して係合する。
【0019】
図4は、
図1の第1の実施形態の締結装置1000の上から見た横断面図である。
図5は、動作を説明するための
図1の第1の実施形態の締結装置の部分的な上から見た横断面図である。ノブ1400は少なくとも2つのノブ歯1410を備え、少なくとも2つのノブ歯1410のうちの1つは少なくとも一つの駆動アーム1330に対応し、少なくとも2つのノブ歯1410の別の1つは爪アーム1340に対応する。
図2~4に示すように、少なくとも一つの駆動アーム1330の数は3であり、少なくとも2つのノブ歯1410は多数であり、ノブ歯1410がノブ1400の内壁を囲むように円形に配列されている。ノブ歯1410の各々は、第1の傾斜面1411及び第2の傾斜面1412を備え、第1の傾斜面1411の各々の傾斜は、第2の傾斜面1412の各々の傾斜と異なり、互いに隣接する2つのノブ歯1410の間には間隔がある。ノブ1400が締め付け方向A2に回転されると、ノブ歯1410は駆動アーム1330を押し、係合装置1300は駆動し、スプール1200は締め付け方向A2に回転する。ノブ1400が緩め方向A1に回転されると、ノブ歯1410は爪アーム1340を押して、爪アーム1340は係合歯1140の少なくとも1つから外れる。
【0020】
図4に示すように、駆動アーム1330の各々は被押圧面1331を備え、被押圧面1331は、1つのノブ歯1410の第2の傾斜面1412に対応する。爪アーム1340の係合部1341の各々は、2つの隣接するノブ歯1410の間の間隔に対応し、係合歯1140に係合する。当接部材1350もまた係合歯1140に係合する。このとき、ユーザが締め付け方向A2にノブ1400を回すと、ノブ歯1410の第2の傾斜面1412は駆動アーム1330の被押圧面1331を押し、それによって上側ディスク1310は回転する。下側ディスク1320が上側ディスク1310に回転可能に接続されているので、下側ディスク1320はこれに影響を受けて締め付け方向A2に回転する。爪アーム1340の第2の係合面1341bと同じ側の下側突起1342は、係合歯1140により押され、爪アーム1340は内側に歪められる。当接部材1350もまた係合歯1140に押されて歪められる。これにより、下側ディスク1320によって、スプール1200は紐を締め付けるための締め付け方向A2に回転する。ユーザが力を入れるのをやめると、紐の張力はスプール1200を緩め方向A1に引っ張り、爪アーム1340は係合歯1140に係合しているので、スプール1200の回転は禁止され、紐は固定される。
【0021】
これに対して、ユーザが緩め方向A1にノブ1400を回すと、ノブ歯1410の第1の傾斜面1411は、係合部1341の第2の係合面1341bを押す。
図5に示すように、当接部材1350がまだ係合歯1140に係合したまま、爪アーム1340は係合歯1140から徐々に外れる。当接部材1350はまだ係合歯1140に係合しているので、摩擦を提供できる。従って、この時点で紐は完全には緩められず、スプール1200を緩め方向A1に引く紐の張力は残ったままである。紐の張力が当接部材1350と係合歯1140間の摩擦より大きくなると、紐はスプール1200を引いて緩め方向A1に回転する。ノブ歯1410に押されて爪アーム1340が係合歯1140から外れているので、爪アーム1340はスプール1200が緩め方向A1に回転するのを阻止できない。それゆえ、紐の張力によってスプール1200は回転し、上側ディスク1310及び下側ディスク1320を緩め方向A1に回転させる。一方、爪アーム1340はノブ歯1410から外れて再び係合歯1140に係合し、スプール1200の回転を止め、当接部材1350は係合歯1140に係合する状態に戻る。従って、紐を1セグメント分緩めることができ、紐を段階的に緩めるという目的は達成される。
【0022】
図6は、
図1の第1の実施形態の締結装置1000の1つの縦断面図である。
図7は、
図1の第1の実施形態の締結装置1000の他の縦断面図である。締結装置1000は、結合ユニット1500を備え、結合ユニット1500は、中央シャフト1510及びネジ部材1520を備える。ノブ1400は接続突起1420を更に備える。スプール1200は、止め部1250及び位置決め部1240を更に備える。止め部1250はスプール1200の軸孔の方へ向かって上側リング部1210の内側縁部から延び、位置決め部1240は止め部1250から下方へ延びる。中央シャフト1510は、スプール1200の軸孔を通過し、ケース1100の中心穴を通過し、係合ユニット1300を通過して、接続突起1420に入る。ネジ部材1520はノブ1400から下方へ通過し、中央シャフト1510に挿入されて中央シャフト1510とねじ止めできる。従って、スプール1200、係合ユニット1300、ノブ1400及びハウジング1120は、一体的に結合される。加えて、中央シャフト1510は、位置決め突起1511を備え、位置決め突起1511は、位置決め部1240により制限される。
【0023】
図6に示すように、ノブ1400は引き上げられずに第1の位置にあり、このとき位置決め突起1511は位置決め部1240の下に位置し、締結装置1000を操作して紐を締め付けたり段階的に紐を緩めたりできる。これに対し、
図7に示すように、完全に紐を緩めるために、ノブ1400は第2の位置まで上方に引き上げられる。中央シャフト1510は上方へ移動し、位置決め突起1511は位置決め部1240より上に位置するようになり、位置決め突起1511はスプール1200の止め部1250により制限され、位置決め突起1511はスプール1200と分離できなくなる。係合ユニット1300は中央シャフト1510の肩に当接されているので、係合ユニット1300は中央シャフト1510によって上方へ移動する。スプール歯1230は駆動部1360から外れ、スプール1200の自由な回転は係合ユニット1300により制限されなくなり、これにより紐が完全に緩められる。
【0024】
図8は、本発明の第2の実施形態による締結装置2000の3次元模式図である。
図9は、
図8の第2の実施形態の締結装置2000の1つの分解図である。
図10は、
図8の第2の実施形態の締結装置2000の他の分解図である。
図11は、
図8の第2の実施形態の締結装置2000の上から見た横断面図である。第2の実施形態の締結装置2000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース(第2の実施形態で符号なし)、スプール2200、係合ユニット2300、ノブ2400及び結合ユニット(第2の実施形態で符号なし)を備える。ケースは、ハウジング2120及び複数の係合歯2140を備える。係合ユニット2300は、上側ディスク2310、下側ディスク2320、駆動アーム2330、爪アーム2340及び当接部材2350を備える。ノブ2400は、複数のノブ歯2410を備える。相違点だけが以下に述べられる。なお、第2の実施形態では、ケースのベースは省略されることに留意されたい。
【0025】
ノブ歯2410はノブ2400の内壁に位置する。爪アーム2340の係合部は下側突起を備えない。上側ディスク2310は3つの係合キャビティ2312を備え、下側ディスク2320は3つの放射状タブ2323を備え、放射状タブ2323の各々は係合キャビティ2312の各々に対応して係合する。爪アーム2340の各々は、各々の放射状タブ2323の一方から緩め方向A1に向かって延び、当接部材2350の各々は、各々の放射状タブ2323の他の側から締め付け方向A2に向かって延びる。
【0026】
図12は、
図8の第2の実施形態の締結装置2000の1つの縦断面図である。
図13は、
図8の第2の実施形態の締結装置2000の他の縦断面図である。
図12に示すように、ノブ2400は引き上げられずに第1の位置にあり、締め付け方向A2にノブ2400を回転させると、スプール2200が紐を締め付けることができる。緩め方向A1にノブ2400を回転させると、爪アーム2340を歪め、段階的に紐を緩めることができる。これに対し、
図13に示すように、ノブ2400を第2の位置まで上方へ引き上げ、紐を完全に緩めてもよい。
【0027】
図14は、本発明の第3の実施形態による締結装置3000の1つの分解図である。
図15は、
図14の第3の実施形態の締結装置3000の他の分解図である。第3の実施形態の締結装置3000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース(第3実施形態で符号なし)、スプール3200、係合ユニット3300、ノブ3400及び結合ユニット(第3実施形態で符号なし)を備える。ケースは、ハウジング3120及び複数の係合歯3140を備える。係合ユニット3300は、上側ディスク3310、下側ディスク3320、駆動アーム3330、爪アーム3340及び当接部材3350を備える。ノブ3400は、複数のノブ歯3410を備える。相違点だけが以下に述べられる。なお、第3の実施形態では、ケースのベースは省略されることに留意されたい。
【0028】
ノブ歯3410はノブ3400の内壁に位置し、ノブ歯3410の各々は第1の傾斜面3411(
図17に符号を記載)、第2の傾斜面3412(
図17に符号を記載)及び第3の傾斜面3413(
図17に符号を記載)を備える。第3の傾斜面3413は、第1の傾斜面3411と第2の傾斜面3412の間に接続され、第1の実施形態に示すようにノブ歯3410の各々の間に間隔は含まれない。
【0029】
図16は、
図14の第3の実施形態の締結装置3000の三次元構造の断面図である。
図17は、
図14の第3の実施形態の締結装置3000の上から見た横断面図である。
図14~15を参照して
図16~17を参照すると、上側ディスク3310は3つの係合キャビティ3312を備え、下側ディスク3320は3つの放射状タブ3323を備え、放射状タブ3323の各々は係合キャビティ3312の各々に対応して係合する。爪アーム3340の各々は、下側アーム部3343及び上側突起3344を備える。下側アーム部3343は、各々の放射状タブ3323の一方から緩め方向A1の方に向かって延び、下側アーム部3343の遠位端は係合歯3140に係合する。上側突起3344は下側アーム部3343の遠位端の上に位置して、ノブ歯3410に対応して係合する。
【0030】
当接部材3350は、爪アーム3340の下に位置し、細長い構造を有する。ケースは、仕切り(第3の実施形態で符号なし)から上方へ突出し、当接部材3350に対応する複数の停止カーブリブ3160を備える。停止カーブリブ3160は、仕切りに円形に配置される。より詳しくは、当接部材3350の延びている方向は、下側アーム部3343の延びている方向に対して垂直である。当接部材3350の延びている方向は、停止カーブリブ3160と平行ではなく、当接部材3350は、通常時においては2つの隣接する停止カーブリブ3160の間に形成される隙間に位置する。
【0031】
図18は、
図14の第3の実施形態の締結装置3000の1つの縦断面図である。
図19は、
図14の第3の実施形態の締結装置3000の他の縦断面図である。
図18に示すようにノブ3400は第1の位置にある。ノブ3400が締め付け方向A2に回転されると、係合ユニット3300は回転し、爪アーム3340は係合歯3140から外れ、当接部材3350は2つの隣接する停止カーブリブ3160間の隙間から離れる。これにより、スプール3200が紐を締め付けることができる。これに対して、ノブ3400が緩め方向A1に回転されると、当接部材3350は2つの隣接する停止カーブリブ3160間の隙間にまだ位置しているが、ノブ歯3410は上側突起3344を歪める。この時点では紐は完全には緩められず、緩め方向A1にスプール3200を引く紐の張力は残ったままである。紐の張力が、当接部材3350と停止カーブリブ3160間の摩擦より大きくなると、紐の張力はスプール3200を引いて緩め方向A1に回転させ、当接部材3350は歪められ、スプール3200は緩め方向A1に回転することができる。それから爪アーム3340は再び係合歯3140に係合し、スプール3200が回転するのを止め、当接部材3350が2つの隣接する停止カーブリブ3160の間の隙間に戻ることもできる。従って、紐を1セグメント分緩めることができ、紐を段階的に緩めるという目的は達成される。さらに
図19に示すように、ノブ3400が第2の位置まで上方へ引き上げられると、紐は完全に緩められる。
【0032】
図20は、本発明の第4の実施形態による締結装置4000の1つの分解図である。
図21は、
図20の第4の実施形態の締結装置4000の他の分解図である。締結装置4000は、複数の係合歯4140を備えるケース(第4の実施形態で符号なし)、ケースに位置し、紐がその周囲に巻回されるように構成されるスプール4200、ケースを覆い、複数のノブ歯4410を備えるノブ4400、及びケースに配置され、スプール4200に結合する係合ユニット4300を備える。係合ユニット4300は、係合歯4140の少なくとも1つに選択的に結合する少なくとも1つの爪アーム4340を備える。ノブ4400が締め付け方向A2に回転されると、係合ユニット4300は回転し、スプール4200を駆動して紐を締め付ける。ノブ4400が緩め方向A1に回転されると、少なくとも1つの爪アーム4340は徐々に放射状に歪められ、紐の張力により少なくとも1つの爪アーム4340が係合歯4140の少なくとも1つから完全に外れて一時的に摩擦が相殺される。これにより紐が段階的に緩められる。なお、第4の実施形態ではケースのベースは省略され、第1の実施形態と同様の構造の説明は繰り返されないことに留意されたい。
【0033】
正確には、ケースは係合歯4140が配置されるハウジング4120を更に備える。ノブ歯4410はノブ4400の内壁に位置し、第1の実施形態で示された間隔は、互いに隣接するノブ歯4410の間に含まれない。ノブ歯4410の形状は、結合歯4140の形状と同一である。
【0034】
係合ユニット4300は、上側ディスク4310、下側ディスク4320、及び駆動アーム4330を更に備える。下側ディスク4320は上側ディスク4310の下に位置し、爪アーム4340は下側ディスク4320に位置し、駆動アーム4330は上側ディスク4310に位置し、駆動アーム4330はノブ歯4410に結合する。
【0035】
図22は、
図20の第4の実施形態の締結装置4000の1つの上から見た横断面図である。
図23は、
図20の第4の実施形態の締結装置4000の他の上から見た横断面図である。
図24は、
図20の第4の実施形態の締結装置4000の1つの縦断面図である。
図25は、
図20の第4の実施形態の締結装置4000の他の縦断面図である。
図20~22に示すように、上側ディスク4310は、間隔をあけて配置された3つの収容溝4313を備える。下側ディスク4320は、3つの放射状タブ4323を備え、放射状タブ4323の各々は、収容溝4313の各々に受け入れられる。上側ディスク4310は、収容溝4313の各々の中で範囲の下側ディスク4320と相対的に回転することができる。加えて、係合ユニット4300は、3つの押圧ブロック4360、3つの回転アーム4370及び3つの押しブロック4380を更に備える。3つの回転アーム4370は、上側ディスク4310に間隔をあけて配置され、ノブ歯4410に対応する。3つの押しブロック4380もまた上側ディスク4310に間隔を空けて配置され、下方に延びる。3つの押圧ブロック4360は、下側ディスク4320に間隔をあけて配置され、それぞれが3つの回転アーム4370に対応する。ノブ4400が緩め方向A1に回転されると、回転アーム4370は押圧ブロック4360によって押圧され、上側ディスク4310は下側ディスク4320と相対的に回転することができる。これにより、押しブロック4380が徐々に爪アーム4340を歪めることができる。他の実施形態において、押圧ブロックの数、回転アームの数、押しブロックの数及び爪アームの数は、少なくとも1であるが、本発明はこれに制限されない。
【0036】
したがって、
図22及び24に示すように、ノブ4400は上方へ引き上げられずに第1の位置にある。ノブ4400が締め付け方向A2に回転されると、上側ディスク4310は回転し、収容溝4313の1つの側壁が放射状タブ4323を押し、下側ディスク4320も回転し、スプール4200が駆動して紐が締め付けられる。ノブ4400の回転が止まる時、爪アーム4340と係合歯4140との係合によって紐は緩められない。
【0037】
これに対して、ノブ4400が緩め方向A1に回転されると、ノブ歯4410は回転アーム4370を緩め方向A1に押し、回転アーム4370は押圧ブロック4360によって押圧され、回転アーム4370はノブ歯4410から離れ、これにより上側ディスク4310が下側ディスク4320と相対的に回転することができる。一方、押しブロック4380は爪アーム4340を閉じ、爪アーム4340を徐々に歪ませる。しかし、爪アーム4340が係合歯4140から完全には離れていないので、この時点で紐は完全には緩められず、スプール4200を緩め方向A1に引く紐の張力は残ったままである。紐の張力が爪アーム4340と係合歯4140間の摩擦より大きくなると、爪アーム4340が完全に解放され、紐がスプール4200を緩め方向A1に引き、押しブロック4380が爪アーム4340を歪め、爪アーム4340は再び係合歯4140と係合し、スプール4200は回転を止める。従って、紐を1セグメント分緩めることができ、紐を段階的に緩めるという目的は達成される。なお、爪アーム4340は、爪アーム4340が滑らかに緩められるのを補助するノッチを備えることができるが、本発明はこれに制限されないことに留意されたい。さらに
図25に示すように、ノブ4400を第2の位置まで引き上げ、紐を完全に緩めることができる。
【0038】
図26は、本発明の第5の実施形態による締結装置5000の1つの分解図である。
図27は、
図26の第5の実施形態の締結装置5000の他の分解図である。第5の実施形態の締結装置5000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様で、ケース(第5の実施形態で符号なし)、スプール5200、係合ユニット5300、ノブ5400及び結合ユニット(第5の実施形態で符号なし)を備える。ケースは、ハウジング5120及び複数の係合歯5140を備える。係合ユニット5300は、上側ディスク5310、下側ディスク5320、駆動アーム5330、爪アーム5340及び当接部材5350を備える。ノブ5400は複数のノブ歯5410を備える。相違点だけが以下に述べられる。なお、第5の実施形態では、ケースのベースは省略されることに留意されたい。
【0039】
ノブ歯5410はノブ5400の内壁に位置する。上側ディスク5310は3つの係合キャビティ5312を備え、下側ディスク5320は3つの放射状タブ5323を備え、放射状タブ5323の各々は係合キャビティ5312の各々に対応して係合する。爪アーム5340の各々は、放射状タブ5323の各々の一方から緩め方向A1に向かって延び、当接部材5350の各々は歯付き構造を有し、且つ、爪アーム5340の各々の内側に位置する。
【0040】
ケースは、ギアリング5170及び複数の止め歯5180を更に備える。ギアリング5170は仕切り5130から上方に延び、止め歯5180はギアリング5170に位置し、係合歯5140の方を向いている。
【0041】
図28は、
図26の第5の実施形態の締結装置5000の1つの上から見た横断面図である。
図29は、
図26の第5の実施形態の締結装置5000の他の上から見た横断面図である。
図30は、
図26の第5の実施形態の締結装置5000の1つの縦断面図である。
図31は、
図26の第5の実施形態の締結装置5000の他の縦断面図である。
図28及び30に示すように、ノブ5400は引き上げられずに第1の位置にあり、下側ディスク5320は仕切り5130より上に位置し、爪アーム5340は係合歯5140に対応し、当接部材5350はギアリング5170を向いているが、止め歯5180と係合していない。ノブ5400を締め付け方向A2に回転すると、係合ユニット5300は回転し、爪アーム5340は係合歯5140から外れ、これによりスプール5200が紐を締め付けることができる。
【0042】
これに対して
図29に示すように、ノブ5400が緩め方向A1に回転されると、ノブ歯5410は爪アーム5340を歪め、爪アーム5340が係合歯5140から外れ、爪アーム5340は内側にスイングし、当接部材5350が止め歯5180に係合する。この時点では紐は完全には緩められず、緩め方向A1にスプール5200を引く紐の張力は残ったままである。紐の張力が当接部材5350と止め歯5180との間の摩擦より大きくなると、紐の張力はスプール5200を引いて緩め方向A1に回転させ、当接部材5350は歪められ、スプール5200は緩め方向A1に回転することができる。それから、爪アーム5340は再び係合歯5140に係合し、スプール5200の回転が停止され、当接部材5350は止め歯5180から外れる。従って、紐を1セグメント分緩めることができ、紐を段階的に緩めるという目的は達成される。さらに
図31に示すように、ノブ5400が第2の位置まで上方へ引き上げられると、紐は完全に緩められる。
【0043】
図32は、本発明の第6の実施形態による締結装置6000の1つの分解図である。
図33は、
図32の第6の実施形態の締結装置6000の他の分解図である。
図34は、
図32の第6の実施形態の締結装置6000の部分的な3次元模式図である。第6の実施形態の締結装置6000は、第1の実施形態の締結装置1000と同様であり、ケース(第6の実施形態で符号なし)、スプール6200、係合ユニット6300、ノブ6400及び結合ユニット(第6の実施形態で符号なし)を備える。ケースは、ハウジング6120及び複数の係合歯6140を備える。係合ユニット6300は、上側ディスク6310、下側ディスク6320、駆動アーム6330、爪アーム6340及び当接部材6350を備える。ノブ6400は、複数のノブ歯6410を備える。相違点だけが以下に述べられる。なお、第6の実施形態では、ケースのベース及び結合ユニットのネジ部材は省略されることに留意されたい。
【0044】
図32及び33に示すように、係合ユニット6300は3つの静止ブロック6390を更に備え、静止ブロック6390の各々は、当接部材6350の遠位端と、当接部材6350に隣接する爪アーム6340の近位端との間に位置し、静止ブロック6390の各々は、上側ディスク6310の駆動アーム6330の各々に対応するように構成される。上側ディスク6310は、そこから放射状に外に延びる3つの止めブロック6314を備える。止めブロック6314の各々は、隣接する2つの駆動アーム6330の間に位置し、下側ディスク6320の各々の爪アーム6340に対応する。爪アーム6340は、下側アーム部6343及び上側突起6344を備え、下側アーム部6343は係合歯6140に係合するように構成され、上側突起6344は軸方向に沿って下側アーム部6343から上方に一体的に延びる。上側突起6344の最も外側の端と下側ディスク6320の中心との間の半径方向距離は、下側アーム部6343の最も外側の端と下側ディスク6320の中心との間の半径方向距離より大きい。それゆえ、上側ディスク6310が下側ディスク6320に係合すると、上側ディスク6310は下側ディスク6320とともに回転可能であり、上側突起6344は駆動アーム6330と止めブロック6314の間の隙間に突出する。上側突起6344の1つの表面は止めブロック6314の1つの表面に対して当接され、駆動アーム6330の1つの表面は静止ブロック6390の1つの表面に対して当接される。
【0045】
ケースは、仕切りに位置する複数の窪み6190を備える。言い換えると、仕切りの上側表面に軸方向の凹凸形状を有することで、仕切りに複数の窪み6190を形成することができる。歯付き構造を有する当接部材6350は、窪み6190の少なくとも1つに対応する。スプール6200は上方へ延びる位置決め部6240を備え、位置決め部6240は中央シャフトの位置決め突起を位置決めするように構成される。
【0046】
さらに
図33に示すように、ノブ6400のノブ歯6410は、ノブ6400の内壁に円形に配置されず、6つのノブ歯6140は間隔をあけて配置される。しかし、本発明はこれに制限されない。
【0047】
図35は、
図32の第6の実施形態の締結装置6000の1つの上から見た横断面図である。
図36は、
図32の第6の実施形態の締結装置6000の他の上から見た横断面図である。
図37は、
図32の第6の実施形態の締結装置6000の1つの縦断面図である。
図38は、
図32の第6の実施形態の締結装置6000の他の縦断面図である。
図34、35及び37に示すように、ノブ6400は引き上げられずに第1の位置にある。中央シャフトの位置決め突起は、位置決め部6240(図面の縦断面図においては、見る角度の問題から位置決め部6240は図示されない)の下に位置し、爪アーム6340の下側アーム部6343は、係合歯6140に対応して係合する。ノブ6400が締め付け方向A2に回転されると、ノブ6400のノブ歯6410は駆動アーム6330を押し、下側ディスク6320が回転し、スプール6200が回転して紐が締め付けられる。ノブ6400の回転が止まる時、爪アーム6340と係合歯6140の係合によって紐は緩められない。なお、駆動アーム6330が付勢されて静止ブロック6390上で静止するので、駆動アームの破損を避けることができ、構造強度を高めることができる。
【0048】
図34、46及び37に示すように、ノブ6400が緩め方向A1に回転されると、爪アーム6340の上側突起6344はノブ歯6410によって押されて歪められ、爪アーム6340の下側アーム部6343はノブ歯6140から外れる。当接部材6350は窪み6190に係合しているので、この時点では紐は完全には緩められず、緩め方向A1にスプール6200を引く紐の張力は残ったままである。紐の張力が当接部材6350と窪み6190間の摩擦より大きくなると、紐の張力はスプール6200を引いて緩め方向A1に回転させ、当接部材6350は歪められ、スプール6200は緩め方向A1に回転する。それから、爪アーム6340の下側アーム部6343は再び係合歯6140に係合し、スプール6200の回転が停止する。従って、紐を1セグメント分緩めることができ、紐を段階的に緩めるという目的は達成される。なお、爪アーム6340の上側突起6344は止めブロック6314によって制限されるので、爪アーム6340の破損を避けることができ、構造強度が高まることに留意されたい。さらに、ノブ6400が緩め方向A1に回転され、ノブ歯6140は第1の力を使用して爪アーム6340を歪め、第2の力を使用して駆動アーム6330を歪め、第1の力及び第2の力は当接部材6350と窪み6190の間の摩擦より小さく、これにより当接部材6350が紐の張力を維持できることにも留意されたい。他の実施形態において、ノブが同時に爪アーム及び駆動アームを歪める場合、第1の力及び第2の力の合計は、当接部材から発生する摩擦より小さい。
【0049】
さらに
図38に示すように、ノブ6400が第2の位置まで上方へ引き上げられると、中央シャフトの位置決め突起は位置決め部6240の上に位置し、紐は完全に緩められる。
【0050】
図39は、本発明の第7の実施形態による締結装置7000の1つの分解図である。
図40は、
図39の第7の実施形態の締結装置7000の他の分解図である。第7の実施形態の締結装置7000は、第6の実施形態の締結装置6000と同様で、ケース(第7の実施形態で符号なし)、スプール7200、ノブ7400、少なくとも1つの爪アーム7340及び少なくとも一つの当接部材7260を備える。ケースは、ハウジング7120、複数の係合歯7140及びベース7110を備える。ノブ7400は、複数のノブ歯7410を備える。同様に、ノブ7400が緩め方向A1に回転されると、少なくとも1つの爪アーム7340が係合歯7140の少なくとも1つから外れ、少なくとも一つの当接部材7260は紐の張力によって歪められて一時的に摩擦が相殺され、これにより紐が段階的に緩められる。
【0051】
第7の実施形態において、締結装置7000は係合ユニット7300も備え、係合ユニット7300は、上側ディスク7310(
図41に符号を記載)、下側ディスク7320(
図41に符号を記載)、少なくとも一つの駆動アーム7330及び爪アーム7340を備える。相違点は、係合ユニット7300が、係合ユニット6300のように下側ディスク6320に位置する当接部材6350を備えることはなく、
図39及び40に示すように、スプール7200はその代わりに、下側リング部から下方へ延びている当接部材7260を備えることである。さらに、ケースの複数の窪み7190はベース7110の表面に位置する。
【0052】
図41は、
図39の第7の実施形態の締結装置7000の1つの縦断面図である。
図42は、
図39の第7の実施形態の締結装置7000の他の縦断面図である。
図39及び40を参照して
図41及び42を参照すると、ノブ7400が緩め方向A1に回転されると、ノブ歯7410は爪アーム7340を歪め、爪アーム7340は係合歯7140から外れる。当接部材7260は窪み7190に係合するので、この時点では紐は完全には緩められず、スプール7200を緩め方向A1に引く紐の張力は残ったままである。紐の張力が当接部材7260と窪み7190間の摩擦より大きくなると、紐の張力はスプール7200を引いて緩め方向A1に回転させ、当接部材7260は歪められ、スプール7200は緩め方向A1に回転する。それから、爪アーム7340は再び係合歯7140に係合し、スプール7200の回転が停止する。従って、紐を1セグメント分緩めることができ、紐を段階的に緩めるという目的は達成される。さらに
図42に示すように、ノブ7400が第2の位置まで上方へ引き上げられると、紐は完全に緩められる。
【0053】
図43は、本発明の第8の実施形態による締結装置8000の1つの分解図である。
図44は、
図43の第8の実施形態の締結装置8000の他の分解図である。
図45は、
図43の第8の実施形態の締結装置8000の1つの縦断面図である。
図46は、
図43の第8の実施形態の締結装置8000の他の縦断面図である。第8の実施形態の締結装置8000は、第7の実施形態の締結装置7000と同様であり、ケース(第8の実施形態で符号なし)、スプール8200、ノブ8400及び係合ユニット8300備える。ケースは、ハウジング8120、複数の係合歯8140及び複数の窪み8190を備える。相違点は、窪み8190は仕切りの下に位置し、当接部材8260はスプール8200の上側リング部から上方へ突出することである。他の同様の構造及び動作の説明は繰り返されない。
【0054】
本発明は、その特定の実施形態を参照して詳細に説明されたが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0055】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上述の観点から、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることを条件として、本発明の修正及び変形をカバーすることが意図される。
【外国語明細書】