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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020181
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】粒子およびその利用
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20240206BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240206BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240206BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240206BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K9/50
A61K47/38
A61K31/5383
A61P31/04
A61K8/73
A61Q19/00
A23L33/10
A23L5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125762
(22)【出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2022122887
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591040753
【氏名又は名称】東和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】弓樹 佳曜
(72)【発明者】
【氏名】横山 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 勇
(72)【発明者】
【氏名】奥田 豊
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE02
4B018MD01
4B018MD03
4B018MD32
4B018MD34
4B018MD35
4B018ME14
4B018MF08
4B035LC06
4B035LC16
4B035LE01
4B035LE07
4B035LG01
4B035LG02
4B035LG19
4B035LG21
4B035LG26
4B035LK14
4B035LP26
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC32
4C076DD29
4C076DD41C
4C076DD67
4C076EE12H
4C076EE16
4C076EE31H
4C076EE32A
4C076EE38
4C076GG16
4C083AB172
4C083AC242
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD202
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD282
4C083CC01
4C083DD16
4C083EE01
4C083FF01
4C086AA02
4C086CB22
4C086NA03
4C086ZB35
(57)【要約】
【課題】コア粒子がコーティング層で被覆された粒子において、その強度が確保された粒子を提供する。
【解決手段】コア粒子がコーティング層で被覆され、前記コーティング層が、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする、粒子。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子がコーティング層で被覆され、
前記コーティング層が、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする、粒子。
【請求項2】
前記コア粒子と前記コーティング層との間に、中間層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記コーティング層に、前記セルロースナノファイバー以外の添加剤を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が、1μm未満である、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の粒子を含む、組成物。
【請求項6】
前記組成物の用途が、医薬、食品、および化粧品からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の製造方法であって、
前記コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆する工程を含む、方法。
【請求項8】
コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法であって、
前記コーティング層に、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバーを含むコーティング層を有する粒子に関する。本発明はまた、前記粒子を含む組成物、および前記粒子の製造方法に関する。さらに、本発明は、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コア粒子は、そこに含まれる有効成分の種類により苦みが生じたり、それ単体では十分な安定性が得られない場合がある、等の問題がある。そこで、有効成分の苦味や安定性の改善を目的として、コア粒子をコーティングする機能性コーティング技術の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、薬効成分を含む球状核部と、この球状核部を被覆し、かつ放出制御層およびマンニトールを含む最外層を含むコート部とで形成されている薬効粒子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-024336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された薬効粒子では、粒子の強度の観点で改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子において、その強度が確保された粒子を提供することを目的とする。また、本発明の一態様は、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆することにより、粒子の強度を確保できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一態様は、以下の構成を包含する。
<1>コア粒子がコーティング層で被覆され、
前記コーティング層が、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする、粒子。
<2>前記コア粒子と前記コーティング層との間に、中間層を含むことを特徴とする、<1>に記載の粒子。
<3>前記コーティング層に、前記セルロースナノファイバー以外の添加剤を含まないことを特徴とする、<1>または<2>に記載の粒子。
<4>前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が、1μm未満である、<1>~<3>のいずれかに記載の粒子。
<5><1>~<4>のいずれかに記載の粒子を含む、組成物。
<6>前記組成物の用途が、医薬、食品、および化粧品からなる群より選択される少なくとも1つである、<5>に記載の組成物。
<7>コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の製造方法であって、
前記コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆する工程を含む、方法。
<8>コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法であって、
前記コーティング層に、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする、方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、強度が確保された、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る粒子を示す概略図である。
図2】実施例1~3および比較例1~3における粒子および錠剤を用いた溶出試験の結果を示す図である。
図3】実施例4および比較例4~7における粒子を用いた粒子強度の測定結果を示す図である。
図4】実施例5および比較例8における粒子を用いた粒子強度の測定結果を示す図である。
図5】実施例6および比較例9における粒子および錠剤を用いた溶出試験の結果を示す図である。
図6】実施例6および比較例9における粒子を用いた粒子強度の測定結果を示す図である。
図7】実施例7および比較例10における粒子および錠剤を用いた溶出試験の結果を示す図である。
図8】実施例7および比較例10における粒子を用いた粒子強度の測定結果を示す図である。
図9】実施例8および比較例11における粒子および錠剤を用いた溶出試験の結果を示す図である。
図10】実施例8および比較例11における粒子を用いた粒子強度の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0011】
〔1.本発明の概要〕
本発明の一実施形態に係る粒子(以下、「本粒子」と称する。)は、コア粒子がコーティング層で被覆され、前記コーティング層が、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る組成物(以下、「本組成物」と称する。)は、本粒子を含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態に係るコア粒子がコーティング層で被覆された粒子の製造方法(以下、「本製造方法」と称する。)は、前記コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
加えて、本発明の一実施形態に係るコア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法(以下、「本方法」と称する。)は、前記コーティング層に、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする。
【0015】
特許文献1に記載されているような機能性コーティングが施された粒子については、従来より、打錠ストレスによる機能性コーティング層の膜割れ、およびそれに伴い、コア粒子に含まれる有効成分(例えば、薬物)が漏出するとの課題があった。また、コア粒子をコーティング層で被覆した従来の粒子では、その強度の観点でも、改善の余地があった。
【0016】
そこで、本発明者らは、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度の確保の観点から鋭意検討を行った結果、以下の知見を得ることに成功した。
・コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆することにより、粒子の強度を向上できる。
・コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含ませることにより、粒子の強度を向上できると共に、打錠時における中間層の割れを防止できる。
【0017】
これまで、セルロースナノファイバーが粒子の強度に関与することは知られていなかった。したがって、本発明者らが、粒子の強度を確保する目的でセルロースナノファイバーに着目し、それを粒子内のコーティング層に適用することにより、粒子強度の向上、打錠時における中間層の割れを防止できたことは、驚くべきことである。また、本粒子では、コア粒子にセルロースナノファイバーを添加することなく、コア粒子の外層(例えば、コーティング層)にセルロースナノファイバーを含ませることにより、粒子の強度を確保できる。
【0018】
このように、本粒子は、上記の知見に基づく有利な効果を奏することから、コーティング層を含む粒子を原料として用いる種々の分野において、極めて有利に利用できる。
【0019】
〔2.粒子〕
本粒子は、コア粒子がコーティング層で被覆され、前記コーティング層が、セルロースナノファイバーを含む。本粒子は、コーティング層が、セルロースナノファイバーを含むことにより、粒子の強度を確保できるとの効果を奏する。
【0020】
本明細書において、「粒子の強度を確保」とは、「粒子強度の向上」および/または「打錠時における中間層の割れの防止」を意味する。換言すれば、「粒子の強度の確保」は、粒子の強度を高めたり、粒子の強度を維持することを意味する。
【0021】
以下において、本発明の実施形態について、図1を用いて説明する。なお、以下で示す実施形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0022】
また、本粒子は、医薬、食品、化粧品を含む種々の用途に使用できるが、以下では、その一例として、医薬用途に使用する本粒子について説明を行う。なお、本粒子の用途が医薬に限定されないことは言うまでもない。
【0023】
<実施形態1>
実施形態1を図1の上図で示す。実施形態1では、コア粒子1が中間層3で被覆され、当該中間層3がさらにコーティング層2で被覆されている。前記コーティング層2は、セルロースナノファイバーを含む。実施形態1において、コア粒子1が中間層3およびコーティング層2で被覆されていることにより、粒子強度の向上との効果を奏する。また、打錠時における中間層の割れを防止できるとの効果を奏する。
【0024】
コア粒子1は、本粒子の最内部に位置し、有効成分を含む。コア粒子1に含まれる有効成分としては、特に限定されないが、例えば、薬剤、食品成分、栄養素、微量栄養素、風味剤、香料等が挙げられる。
【0025】
コーティング層2は、中間層3の外部に位置する。粒子が中間層3を含まない実施形態においては、コーティング層2は、コア粒子1の外部に位置する。
【0026】
コーティング層2は、セルロースナノファイバーを含む。本明細書において、「セルロースナノファイバー」とは、セルロースに機械的な処理を加えて調製される繊維径がナノサイズのセルロース繊維を意味する。
【0027】
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは、1μm未満であり、より好ましくは、500nm以下であり、さらに好ましくは、300nm以下であり、特に好ましくは、200nm以下であり、殊更好ましくは、100nm以下である。セルロースナノファイバーの平均繊維径が1μm未満であることにより、適切にコーティングを行うことができる。また、コーティング後の粒子の大きさを適度に保つことができる。なお、セルロースナノファイバーの平均繊維径は、走査型プローブ顕微鏡により取得された画像において任意の10本以上のセルロースナノファイバーについて測定した繊維径の平均値を意味する。
【0028】
セルロースナノファイバーの繊維長は、特に限定されないが、例えば、0.001~100μmであり、好ましくは、0.01~50μmであり、より好ましくは、0.05~25μmであり、さらに好ましくは、0.1~10μmである。セルロースナノファイバーの繊維長が0.001~100μmであることにより、適切にコーティングを行うことができる。また、コーティング後の粒子の大きさを適度に保つことができる。なお、セルロースナノファイバーの繊維長は、画像解析により測定される。
【0029】
セルロースナノファイバーの含有量は、コア粒子1と中間層3との総質量に対し、例えば、0.1~10.0質量%であり、好ましくは、0.4~9.0質量%であり、より好ましくは、0.6~8.0質量%であり、さらに好ましくは、0.8~7.0質量%である。セルロースナノファイバーの含有量が、コア粒子1と中間層3との総質量に対し、0.1~10.0質量%であると、本発明の効果(すなわち、粒子強度の確保)を奏し得る。
【0030】
本発明の一実施形態において、コーティング層2は、機能性コーティング層であり得る。機能性コーティング層は、コア粒子1をコーティングすることにより、所望の機能を発揮する層であれば特に限定されないが、例えば、苦みマスキング、腸溶性基剤、徐放性基剤、防湿基剤、耐光基剤、遮蔽基剤等を含む層が挙げられる。
【0031】
本発明の一実施形態において、コーティング層2は、前記セルロースナノファイバー以外の添加剤を含まない。すなわち、本発明の一実施形態において、コーティング層2は、セルロースナノファイバーのみから構成されていてもよい。
【0032】
中間層3は、コア粒子1とコーティング層2との間に位置する。本発明の一実施形態において、中間層3は、機能性コーティング層であり得る。機能性コーティング層としては、(コーティング層)に記載のものが援用される。
【0033】
中間層3は、単層であってもよいし、多層であってもよい。中間層3が多層である場合、層の数は特に限定されないが、例えば、2層、3層、4層、5層等であり得る。中間層3が多層である場合、各層は、同一の機能性コーティング層であってもよいし、異なる機能性コーティング層であってもよい。好ましくは、異なる機能性コーティング層である。
【0034】
本粒子におけるコア粒子1、コーティング層2、および中間層3は、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、界面活性剤、可塑剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0035】
賦形剤としては、特に限定されないが、例えば、D-マンニトール、乳糖(例えば、乳糖水和物)、白糖、コーンスターチ(トウモロコシデンプン)、リン酸カルシウム、ソルビット、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。好ましくは、結晶セルロース、乳糖(例えば、乳糖水和物)が用いられる。
【0036】
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「ヒプロメロース」とも称する。)、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、またはこれらの重合体の組み合わせ、アルファー化デンプン、ゼラチン、カンテン、アラビアゴム等が挙げられる。好ましくは、ヒプロメロースが用いられる。
【0037】
滑沢剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、カオリン、二酸化チタン等の不活性物質、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、細かく粉砕した二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。好ましくは、グリセリン脂肪酸エステルが用いられる。
【0038】
崩壊剤としては、特に限定されないが、例えば、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、バレイショデンプン等が挙げられる。好ましくは、クロスポビドンが用いられる。
【0039】
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、黄色を呈する着色剤(例えば、黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、食用黄色4号アルミニウムレーキ、ベンガラ等)、赤色を呈する着色剤(例えば、三二酸化鉄、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等)、黒色を呈する着色剤(例えば、黒酸化鉄、カーボンブラック、薬用炭等)、青色を呈する着色剤(例えば、青色2号アルミニウムレーキ等)、カラメル等が挙げられる。好ましくは、黄色三二酸化鉄、青色2号アルミニウムレーキが用いられる。
【0040】
前記各添加剤の含有率は、特に限定されることなく、従来公知の技術に基づいて、当業者により適宜設定され得る。
【0041】
本発明の一実施形態において、本粒子は、コア粒子1、遮蔽層(中間層3)、およびセルロースナノファイバーを含む苦みマスキング機能コーティング層(コーティング層2)から構成される。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2を図1の中図で示す。実施形態2では、コア粒子1がコーティング層2で被覆されている。前記コーティング層2は、セルロースナノファイバーを含む。実施形態2において、コア粒子1がコーティング層2で被覆されていることにより、粒子強度の向上との効果を奏する。
【0043】
実施形態2では、粒子内に中間層3を含まない。この場合のセルロースナノファイバーの含有量は、コア粒子1の質量に対し、例えば、0.1~10.0質量%であり、好ましくは、0.4~9.0質量%であり、より好ましくは、0.6~8.0質量%であり、さらに好ましくは、0.8~7.0質量である。セルロースナノファイバーの含有量が、コア粒子1の質量に対し、0.1~10.0質量%であると、本発明の効果(すなわち、粒子強度の確保)を奏し得る。
【0044】
実施形態2において、コーティング層2は、セルロースナノファイバーを含んでいればよく、その他任意の添加剤を含み得る。そのような添加剤としては、例えば、<実施形態1>に記載のものが挙げられる。
【0045】
また、実施形態2において、「コア粒子」は、<実施形態1>に記載のものが援用される。
【0046】
<実施形態3>
実施形態3を図1の下図で示す。実施形態3では、実施形態2と同様に、コア粒子1がコーティング層2で被覆されている。前記コーティング層2は、セルロースナノファイバーのみで構成されている。実施形態3において、コア粒子1がコーティング層2で被覆されていることにより、粒子強度の向上との効果を奏する。
【0047】
実施形態3では、粒子内に中間層3を含まない。この場合のセルロースナノファイバーの含有量は、コア粒子1の質量に対し、例えば、0.1~10.0質量%であり、好ましくは、0.4~9.0質量%であり、より好ましくは、0.6~8.0質量%であり、さらに好ましくは、0.8~7.0質量%である。セルロースナノファイバーの含有量が、コア粒子1の質量に対し、0.1~10.0質量%であると、本発明の効果(すなわち、粒子強度の確保)を奏し得る。
【0048】
実施形態3において、「コア粒子」は、実施形態1に記載のものが援用される。
【0049】
〔3.組成物〕
本組成物は、〔2.粒子〕に記載の粒子(すなわち、本粒子)を含む。本組成物は、強度の確保された粒子を含むため、コア粒子に含まれる有効成分をより効果的に活用することができる。
【0050】
本組成物は、本粒子のコア粒子に含まれる有効成分に基づき、種々の用途に使用できる。本組成物の用途としては、特に限定されないが、例えば、医薬、食品(例えば、機能性食品、サプリメント)、化粧品等であり得る。
【0051】
本組成物は、本粒子の他に、用途に応じて、種々の添加剤を含み得る。用途が医薬の場合は、例えば、<実施形態1>の項に記載した添加剤が使用され得る。
【0052】
〔4.粒子の製造方法〕
本製造方法は、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の製造方法であって、前記コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆する工程を含む。本製造方法は、コア粒子を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆することにより、粒子の強度を確保できる。
【0053】
本製造方法において、コア粒子を、コーティング層で被覆する方法は、特に限定されず、当該技術分野で公知の任意の方法が使用できる。
【0054】
本発明の一実施形態において、本製造方法は、コア粒子を、中間層で被覆する工程を含む。
【0055】
本発明の別の一実施形態において、本製造方法は、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の製造方法であって、前記コア粒子を、中間層で被覆する工程、および前記中間層を、セルロースナノファイバーを含むコーティング層で被覆する工程を含む方法である。
【0056】
本方法において、「コア粒子」、「コーティング層」、「セルロースナノファイバー」、および「中間層」は、〔2.粒子〕に記載のものが援用される。
【0057】
〔5.粒子の強度を確保する方法〕
本方法は、コア粒子がコーティング層で被覆された粒子の強度を確保する方法であって、前記コーティング層に、セルロースナノファイバーを含むことを特徴とする方法である。本方法は、コーティング層にセルロースナノファイバーを含ませることにより、粒子の強度を確保できる。
【0058】
本方法において、コーティング層にセルロースナノファイバーを含ませる方法は、特に限定されず、当該技術分野で公知の任意の方法が使用できる。
【0059】
本方法において、「コア粒子」、「コーティング層」、および「セルロースナノファイバー」は、〔2.粒子〕に記載のものが援用される。
【0060】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0061】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0062】
〔測定および評価方法〕
実施例および比較例における評価を、以下の方法で行った。
【0063】
(溶出試験)
日本薬局方 溶出試験法 パドル法(回転数75rpm、溶出試験第2液900mL)に準拠して、粒子(オーバーコート粒子、マスキング粒子)、および錠剤の平均溶出率を測定した。粒子の溶出試験については、溶出試験中の粒子同士の付着・凝集を防ぐため、事前に粒子に対して等倍の崩壊性粒子を混合し、試験ベッセルへ投入した。溶出率は、ファイバープローブ型紫外可視分光光度計を用いて、測定波長288nmで測定した。
【0064】
(粒子強度)
微小圧縮試験機 (MCT-210、島津製作所株式会社製)を用いて、粒子強度を測定した。
【0065】
〔実施例1〕
(薬物粒子の調製)
レボフロキサシン水和物(0.5水和物)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L(75μm-106μm)、日本曹達株式会社製)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH-31、信越化学工業株式会社製)を含む混合粉体に、50%(w/w)エタノール溶液を噴霧し、高速撹拌混合機を用いて、造粒した。得られた造粒物を、転動流動層造粒装置を用いて乾燥後、目開き250μmと75μmの篩で分級し、薬物粒子(コア粒子)を調製した。
【0066】
(マスキング粒子の調製)
得られた薬物粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットE、エボニック株式会社製)を90%(w/w)エタノール溶液に溶解させた後、タルク(ミクロエース P-3、日本タルク株式会社製)を分散させた。この溶液を薬物粒子にスプレーし、オイドラギットEとタルクをコーティングし、マスキング粒子(コア粒子がコーティング層で被覆された粒子)を調製した。
【0067】
(オーバーコート粒子の調製)
得られたマスキング粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。セルロースナノファイバー(ビンフィス WFo-100 5%、平均繊維径約10~50nm、繊維長約10μm以下、スギノマシン株式会社製)の5%(w/v)水分散液(5%粘度:40000mPa・s)を、1%(w/v)となるように水を加えて、希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理した。この溶液をスプレーし、マスキング粒子にセルロースナノファイバーをコーティングし、オーバーコート粒子(コア粒子が中間層およびコーティング層で被覆された粒子)を調製した。セルロースナノファイバーのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0068】
(崩壊性粒子の調製)
D-マンニトール71質量部、エチルセルロース2質量部、および軽質無水ケイ酸1質量部を流動層造粒機に投入し、トウモロコシデンプン20質量部、クロスポビドン6質量部を水80質量部に分散させた液をスプレーして造粒した後、乾燥し、整粒して、崩壊性粒子を得た。
【0069】
(打錠)
オーバーコート粒子を、崩壊性粒子およびステアリン酸マグネシウム(植物性、太平化学産業株式会社製)と混合後、ハンドタブを用いて、7kNで打錠した。マスキング粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0070】
なお、各成分の組成を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
〔実施例2〕
マスキング粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0073】
(オーバーコート粒子の調製)
得られたマスキング粒子を転動流動層造粒装置に投入した。セルロースナノファイバー(ビンフィス AFo-100 5%、平均繊維径約10~50nm、繊維長約0.5~1.0μm、スギノマシン株式会社製)の5%(w/v)水分散液(5%粘度:20000mPa・s)を、1%(w/v)となるように水を加えて、希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理した。この溶液をスプレーし、マスキング粒子にセルロースナノファイバーをコーティングし、オーバーコート粒子を調製した。セルロースナノファイバーのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0074】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0075】
〔実施例3〕
マスキング粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った
(オーバーコート粒子の調製)
得られたマスキング粒子を転動流動層造粒装置に投入した。2%(w/v)水分散液で粘度1000mPa・s以上となるようにセルロースナノファイバー化した結晶セルロースを含む液を1%(w/v)となるように水を加えて、希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理した。この溶液をスプレーし、マスキング粒子に前記セルロースナノファイバー化した結晶セルロースをコーティングし、オーバーコート粒子を調製した。前記セルロースナノファイバー化した結晶セルロースのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0076】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0077】
〔比較例1〕
マスキング粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。ここで、オーバーコート粒子の調製は、行わなかった。
【0078】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製を行った。
【0079】
(打錠)
マスキング粒子を、崩壊性粒子およびステアリン酸マグネシウム(植物性、太平化学産業株式会社製)と混合後、ハンドタブを用いて、7kNで打錠した。マスキング粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0080】
〔比較例2〕
マスキング粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0081】
(オーバーコート粒子の調製)
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL、日本曹達株式会社製)を1%(w/v)となるように水に溶解させ、この溶液をスプレーし、マスキング粒子にHPC-SLをコーティングし、オーバーコート粒子を調製した。HPC-SLのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0082】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験(RT-J2000、大日本精機株式会社製)を行った。
【0083】
〔比較例3〕
マスキング粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0084】
(オーバーコート粒子の調製)
エチルセルロース(エトセルスタンダードFP7CPSプレミアム、Daw Chemical株式会社製)を、1%(w/v)となるように90%(w/w)エタノールに溶解させた。この溶液をスプレーし、マスキング粒子にエチルセルロースをコーティングし、オーバーコート粒子を調製した。エチルセルロースのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0085】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0086】
〔結果-1〕
上記実施例1~3および比較例1~3で製造した粒子(オーバーコート粒子およびマスキング粒子)、ならびに錠剤について、溶出試験を行った結果を図2に示す。
【0087】
図2の実施例、比較例を比較すると、実施例1~3では、比較例1~3に比して、粒子および錠剤間の溶出挙動の変化が抑制されているのがわかる。ここで、粒子および錠剤間の溶出挙動の変化が少ないことは、打錠時におけるマスキング層(中間層)の割れが防止できていることを意味する。したがって、コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、打錠時における中間層の割れを防止できること(すなわち、粒子の強度が確保できること)が示された。
【0088】
〔実施例4〕
実施例1と同じ方法により、得られたオーバーコート粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0089】
〔比較例4〕
実施例1と同じ方法により、薬物粒子の調製を行った。得られた薬物粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0090】
〔比較例5〕
比較例1と同じ方法により、得られたマスキング粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0091】
〔比較例6〕
比較例2と同じ方法により、得られたオーバーコート粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0092】
〔比較例7〕
比較例3と同じ方法により、得られたオーバーコート粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0093】
〔実施例5〕
薬物粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0094】
(マスキング粒子の調製)
得られた薬物粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。セルロースナノファイバー(ビンフィス WFo-100 5%、スギノマシン株式会社製)の5%(w/v)水分散液を、1%(w/v)となるように水を加えて、希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理した。この溶液をスプレーし、薬物粒子にセルロースナノファイバーをコーティングし、マスキング粒子(コア粒子がコーティング層で被覆された粒子)を調製した。セルロースナノファイバーのコーティング量は、薬物粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0095】
得られたマスキング粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0096】
〔比較例8〕
実施例1と同じ方法により、薬物粒子の調製を行った。得られた薬物粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0097】
〔結果-2〕
上記実施例4および5、ならびに比較例4~8で製造した粒子(薬物粒子、マスキング粒子、およびオーバーコート粒子)について、粒子強度の測定を行った結果を図3、4に示す。
【0098】
図3より、実施例4では、比較例4~7に比して、粒子強度が高いのがわかる。したがって、コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、粒子強度が向上することが示された。
【0099】
また、図4より、実施例5では、比較例8に比して、粒子強度が高いのがわかる。したがって、コア粒子をセルロースナノファイバーで構成されたコーティング層で被覆した本発明の一実施形態に係る粒子は、粒子強度が向上することが示された。
【0100】
〔実施例6〕
薬物粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0101】
(マスキング粒子の調製)
得られた薬物粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。セルロースナノファイバー(ビンフィス AFo-100 5%、スギノマシン株式会社製)の5%(w/v)水分散液にエタノールを加えて3倍希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理し、セルロースナノファイバー含有溶液とした。次に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットE、エボニック株式会社製)をエタノール溶液に溶解させ、最終的に80%(w/w)エタノール溶液になるようにセルロースナノファイバー含有溶液を添加した。この液を薬物粒子にスプレーし、オイドラギットEおよびセルロースナノファイバーをコーティングし、マスキング粒子を調製した。
【0102】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠を行った。得られたマスキング粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。また、得られたマスキング粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0103】
なお、各成分の組成を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
〔比較例9〕
薬物粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0106】
(マスキング粒子の調製)
得られた薬物粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットE、エボニック株式会社製)を80%(w/w)エタノール溶液に溶解させた後、タルク(ミクロエース P-3、日本タルク株式会社製)を分散させた。この溶液を薬物粒子にスプレーし、オイドラギットEとタルクをコーティングし、マスキング粒子(コア粒子がコーティング層で被覆された粒子)を調製した。
【0107】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠を行った。得られたマスキング粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。また、得られたマスキング粒子を用いて、粒子強度の測定を行った。
【0108】
〔結果-3〕
上記実施例6および比較例9で製造した粒子(マスキング粒子)および錠剤について、溶出率および粒子強度の測定を行った結果を図5、6に示す。
【0109】
図5より、実施例6では、比較例9に比して、粒子および錠剤間の溶出挙動の変化が抑制されているのがわかる。したがって、コア粒子と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、打錠時におけるコーティング層の割れを防止できることが示された。
【0110】
また、図6より、実施例6では、比較例9に比して、粒子強度が高いのがわかる。したがって、コア粒子と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、粒子強度が向上することが示された。
【0111】
〔実施例7〕
薬物粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0112】
(マスキング粒子の調製)
得られた薬物粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。アミノアルキルメタクリレートコポリマーRLおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(オイドラギットRLおよびRS、エボニック株式会社製)を90%(w/w)エタノール溶液に溶解させた後、タルク(ミクロエース P-3、日本タルク株式会社製)を分散させた。この溶液を薬物粒子にスプレーし、マスキング粒子(コア粒子がコーティング層で被覆された粒子)を調製した。
【0113】
(オーバーコート粒子の調製)
得られたマスキング粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。セルロースナノファイバー(ビンフィス WFo-100 2%、スギノマシン株式会社製)の2%(w/v)水分散液(2%粘度:6000mPa・s)を、1%(w/v)となるように水を加えて、希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理した。この溶液をスプレーし、オーバーコート粒子(コア粒子が中間層およびコーティング層で被覆された粒子)を調製した。セルロースナノファイバーのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0114】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠(打錠圧11kN)を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0115】
なお、各成分の組成を表3に示す。
【0116】
【表3】
【0117】
〔比較例10〕
マスキング粒子の調製までは、実施例7と同じ方法により行った。ここで、オーバーコート粒子の調製は、行わなかった。
【0118】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠(打錠圧11kN)を行った。マスキング粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0119】
〔結果-4〕
上記実施例7および比較例10で製造した粒子(オーバーコート粒子)および錠剤について、溶出率および粒子強度の測定を行った結果を図7、8に示す。
【0120】
図7より、実施例7では、比較例10に比して、粒子および錠剤間の溶出挙動の変化が抑制されているのがわかる。したがって、コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、打錠時におけるコーティング層の割れを防止できることが示された。
【0121】
また、図8より、実施例7では、比較例10に比して、粒子強度が高いのがわかる。したがって、コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、粒子強度が向上することが示された。
【0122】
〔実施例8〕
薬物粒子の調製までは、実施例1と同じ方法により行った。
【0123】
(マスキング粒子の調製)
得られた薬物粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。エチルセルロース(エトセル、スタンダードFP7CPSプレミアム、Daw Chemical株式会社製)を90%(w/w)エタノール溶液に溶解させた後、タルク(ミクロエース P-3、日本タルク株式会社製)および含水二酸化ケイ素(アドソリダー-102、フロイント産業株式会社)を分散させた。この溶液を薬物粒子にスプレーし、マスキング粒子(コア粒子がコーティング層で被覆された粒子)を調製した。
【0124】
(オーバーコート粒子の調製)
得られたマスキング粒子を、転動流動層造粒装置に投入した。セルロースナノファイバー(ビンフィス AFo-100 5%、スギノマシン株式会社製)の5%(w/v)水分散液(5%粘度:20000mPa・s)を、1%(w/v)となるように水を加えて、希釈後、ホモジナイザーを用いて、10000rpmで20分間処理した。この溶液をマスキング粒子にスプレーし、オーバーコート粒子(コア粒子が中間層およびコーティング層で被覆された粒子)を調製した。セルロースナノファイバーのコーティング量は、マスキング粒子の質量に対し、2質量%とした。
【0125】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠(打錠圧7kN)を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0126】
なお、各成分の組成を表4に示す。
【0127】
【表4】
【0128】
〔比較例11〕
マスキング粒子の調製までは、実施例8と同じ方法により行った。ここで、オーバーコート粒子の調製は、行わなかった。
【0129】
続いて、実施例1と同じ方法により、崩壊性粒子の調製、および打錠(打錠圧7kN)を行った。オーバーコート粒子および錠剤を用いて、溶出試験を行った。
【0130】
〔結果-5〕
上記実施例8および比較例11で製造した粒子(オーバーコート粒子)および錠剤について、溶出率および粒子強度の測定を行った結果を図9、10に示す。
【0131】
図9より、実施例8では、比較例11に比して、粒子および錠剤間の溶出挙動の変化が抑制されているのがわかる。したがって、コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、打錠時におけるコーティング層の割れを防止できることが示された。
【0132】
また、図10より、実施例8では、比較例11に比して、粒子強度が高いのがわかる。したがって、コア粒子と、中間層と、コーティング層とを含む粒子において、前記コーティング層にセルロースナノファイバーを含む本発明の一実施形態に係る粒子は、粒子強度が向上することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本粒子は、強度が確保されているため、粒子が使用される種々の分野、例えば、医薬、食品、化粧品等の分野において、好適に利用される。
【符号の説明】
【0134】
1 コア粒子
2 コーティング層
3 中間層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10