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特開2024-20194抗CXCR5抗体、その組成物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020194
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】抗CXCR5抗体、その組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240206BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240206BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240206BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240206BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240206BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C07K16/28
C12P21/08
A61K39/395 G
A61K39/395 U
A61P37/06
A61P35/02
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P17/14
A61P15/00
A61P19/04
A61P7/04
A61P1/16
A61P5/14
A61P9/00
A61P5/00
A61P21/04
A61P7/06
A61P31/06
A61P25/00
A61P17/06
A61P17/00
A61P37/08
A61P21/00
A61P1/04
A61P11/16
A61P27/02
A61P13/12
A61P11/06
A61P29/00
A61P9/10 101
A61P7/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P3/10
G01N33/53 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174060
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2020526382の分割
【原出願日】2018-11-28
(31)【優先権主張番号】62/732,985
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/593,830
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(71)【出願人】
【識別番号】306000186
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル・グロース
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ブライアン・スナイダー
(72)【発明者】
【氏名】シアンジュン・ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジョセフ・ダン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ダル・ポルト
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・カリン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒト対象における、CXCR5によって媒介される免疫疾患、障害又は状態を治療又は予防するための抗CXCR5抗体を提供する。
【解決手段】CXCR5に特異的に結合する抗体及びその抗原結合フラグメントを提供する。抗体は、アフコシル化されていてもよく、フコシル化されていること以外は同一な抗体と比較して増加したADCCを示す。本発明は、使用、及び関連する抗体を使用する方法を含む。
【選択図】図9D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CXCR5と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、
a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び、配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む抗体;
b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む抗体;
c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む抗体;
d)ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVL及びATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVH、を含む抗体;
e)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
f)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
g)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号52のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
h)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
i)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
j)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
k)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
l)配列番号22のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
m)配列番号24のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
n)配列番号26のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
o)配列番号28のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号29のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
p)配列番号95の核酸配列によってコードされたVL、及び配列番号96の核酸配列によってコードされたVHを含む抗体;並びに
q)配列番号97の核酸配列によってコードされたLC、及び配列番号98の核酸配列によってコードされたHCを含む抗体
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
a)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がロイシンではない前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
b)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がスレオニンである前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
c)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではない前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
d)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がアラニンである前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
e)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含み、かつ、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記ロイシンがスレオニンで置換されており、及び/又は前記アスパラギン酸がアラニンで置換されている前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
f)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がロイシンではないhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
g)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がスレオニンであるhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
h)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではないhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
i)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がアラニンであるhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;並びに
j)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含み、かつ、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記ロイシンがスレオニンで置換されており、及び/又は前記アスパラギン酸がアラニンで置換されているhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
a)EC50が約6.60±約2.33(標準偏差)pMの見かけの親和性で、ヒトB細胞に発現するhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
b)EC50が約5.89±約1.40(標準偏差)pMの見かけの親和性で、ヒト循環濾胞性ヘルパーT様細胞に発現するhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
c)EC50が約10.6pMの見かけの親和性で、ヒト濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞に発現するhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
d)EC50が約1.32pMの見かけの親和性で、カニクイザルB細胞に発現するcynoCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
e)EC50が約10.5pMの見かけの親和性で、カニクイザルTfh様細胞に発現するcynoCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
f)cAMPレポーターアッセイにおいて、EC50が約961pMで、CXCR5-CXCL13シグナル伝達に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
g)約2.01±約2.28(標準偏差)pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトB細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
h)約4.28±約2.88(標準偏差)pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトTfh様細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
i)約0.11pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトTfh細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
j)約15.3±約11.7(標準偏差)pMのEC50で、cynoCXCR5を発現するカニクイザルB細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
k)hCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、及びXCR1と検出可能に結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
l)CXCR5のCXCL13への結合を阻害する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
m)EC50が約26pM未満の見かけの親和性でCXCR5+ ヒトB細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット又はウサギのオーソログを発現する細胞と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
n)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13による阻害に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
o)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
p)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、又はXCR1と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
q)末梢血中のB細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
r)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
s)脾臓中の真正Tfh細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;並びに
t)体液性免疫メモリー応答を損なう、抗体又はその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、以下の生物学的活性:
a)EC50が約26pM未満の見かけの親和性でCXCR5+ ヒトB細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット若しくはウサギのオーソログを発現する細胞と結合しないこと;
b)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13による阻害に拮抗すること;
c)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させること;
d)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、若しくはXCR1と結合しないこと;
e)末梢血中のB細胞を枯渇させること;
f)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させること;
g)脾臓中の真正Tfh細胞を枯渇させること;又は
h)体液性免疫メモリー応答を損なうこと
の少なくとも1つを示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、アフコシル化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【請求項7】
CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列番号95の核酸配列、配列番号96の核酸配列又は両者を含む、核酸。
【請求項8】
CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖、軽鎖又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列番号97の核酸配列、配列番号98の核酸配列又は両者を含む、核酸。
【請求項9】
CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列又は両者を含む、核酸。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項11】
請求項10に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項12】
前記宿主細胞が、CHO細胞、COS細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞又はSp2.0細胞からなる群から選択される哺乳類細胞である、請求項11に記載の宿主細胞。
【請求項13】
前記細胞が、機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)を有していない、請求項12に記載の宿主細胞。
【請求項14】
前記細胞が、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞又はLec13CHO細胞である、請求項13に記載の宿主細胞。
【請求項15】
抗体又はその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、請求項14に記載のPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞を、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが前記細胞によって発現され、アフコシル化される条件下で含む、方法。
【請求項16】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントを単離することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15に記載のアフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、フコシル化されていること以外は同一な抗体又はその抗原結合フラグメントと比較して、増加したADCC活性を有する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項18】
請求項1~5、17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
免疫疾患、障害又は状態の治療に使用するのための、請求項1~5、17のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
免疫疾患、障害又は状態の治療のための、請求項1~5、17のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は請求項18に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
必要とするヒト対象における、CXCR5によって媒介される免疫疾患、障害又は状態を治療又は予防する方法であって、前記方法は、前記対象に有効量の請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記疾患、障害又は状態は、炎症性応答、例えば、乾癬及び皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患;皮膚筋炎;全身性強皮症及び硬化症;炎症性腸疾患に関連する応答(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎);呼吸窮迫症候群(成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;胃炎;糸球体腎炎;アレルギー性状態、例えば、湿疹及び喘息、並びにT細胞の浸潤及び慢性炎症性応答を伴う他の状態;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ(RA);全身性エリテマトーデス(SLE);糖尿病(例えば、I型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年型糖尿病;並びに結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎で典型的に見出される、サイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅延型過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(クリオグロブリン血症又はクームス陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性ニューロパシー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本甲状腺炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ブドウ膜網膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連の不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張性、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位、エメリー-ドレフュス型)からなる群から選択され、並びに、膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖を制御することを含む、方法。
【請求項22】
前記疾患が、SLE又は関節リウマチである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
免疫疾患、障害又は状態の治療用医薬品の製造における、請求項1~5、17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項24】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して試料、組織又は細胞中のCXCR5を検出する方法であって、前記試料、組織又は細胞を前記抗体と接触させること、及び前記抗体を検出することを含む、方法。
【請求項25】
必要とする対象においてCXCR5の生物学的活性を低減させる方法であって、前記方法は、治療有効量の請求項1~5、17のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記抗体が、脾臓中のTfh細胞、末梢血中のB細胞及び末梢血中のTfh様細胞からなる群から選択される、少なくとも1つのCXCR5を発現する細胞の枯渇を媒介する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
必要とする対象において体液性免疫応答を阻害する方法であって、前記方法は、治療有効量の請求項1~5、17のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記抗体が、脾臓中のTfh細胞、末梢血中のB細胞及び末梢血中のTfh様細胞からなる群から選択される、少なくとも1つのCXCR5を発現する細胞の枯渇を媒介する、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年12月1日に出願された米国特許出願第62/593830号、及び2018年9月18日に出願された米国特許出願第62/732985号の優先権を主張し、それぞれの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
配列表
本明細書は、2018年11月28日に同時に提出された配列表を参照によりさらに組み入れる。連邦規則集第37巻1.52(e)(5)に従い、配列表のテキストファイルは、PC72320A_Seq_Listing_ST25.txtとして特定され、112,891バイトであり、2018年11月15日に作成された。同時に電子的に出願された配列表は、明細書の範囲を超えず、したがって新規事項を含まない。
共同研究の陳述の当事者
ここで特許請求された発明は、以下に列挙される共同研究契約の当事者によって、又は当事者のためになされた。共同研究契約は、特許請求された発明がなされた日付又はその前に効力を有し、特許請求された発明は、共同研究契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。共同研究契約の当事者は、The Regents of The University of CaliforniaのSan Diego campus及びPfizer Inc.を代表して、The Regents of The University of Californiaである。
技術分野
本発明は、C-X-Cケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する抗体及びその抗原結合フラグメント、並びにそれらの組成物、方法及び使用に関する。この抗体は、フコシル化及び/又はアフコシル化されており、変更されたエフェクター機能を示し得る。
【背景技術】
【0002】
C-X-Cケモカイン受容体5型(CXCR5)は、CD185又はバーキットリンパ腫受容体1(BLR1)としても公知であり、B細胞、真正濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞、及び循環Tfh様細胞(本明細書では同義的に「cTfh」及び「Tfh様」細胞という)によって発現される天然に存在するGタンパク質結合受容体である。CXCR5は、免疫応答において重要な役割を果たし、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患を治療する将来性のある標的である。
【0003】
胚中心(GC)は、体液性免疫応答の重要な成分であり、抗原活性化B細胞が増殖し、分化し、体細胞超突然変異とそれらが産生する抗体の免疫グロブリン(Ig)クラススイッチを受ける部位である。真正Tfh細胞は、このプロセスを補助する有益なシグナルを提供し、最終的には親和性成熟抗体の産生をもたらす。GC反応の体液性「メモリー」は、長生きする形質細胞によって維持されて、抗体レベルを維持し、さらに、メモリーB細胞によって維持されて、抗原で再攻撃されると、より高い親和性の形質細胞の産生をもたらすメモリーTfh細胞からの同族のものの助けにより二次GC反応を開始させる((McHeyzer-Williams et al., 2011, Nature Rev. Immunol. 12(1):24-34)。循環Tfh様細胞(以降、「Tfh様」又は「cTfh」という)は、抗原と再び遭遇すると真正Tfh細胞に分化して、これらのメモリー応答を同様に支持すると考えられる(Crotty et al., 2011, Annu. Rev. Immunol. 29:621-663)。
【0004】
重要なことに、自己反応性B細胞の生成はまた、GC反応にも起因する可能性があるが、その結果は望ましくない。実際に、多数の慢性、全身性自己免疫疾患、例えばSLE、RA、筋炎、シェーグレン症候群、ANCA関連血管炎、及び強皮症が、自己反応性体液性応答の証拠を示す。例えば、これらの疾患の証明である自己抗体の多くは、高い親和性であり、体細胞突然変異しており、Igスイッチしており、これは、それらが自己反応性GC反応によって発生したことを示唆している(Vinuesa et al., 2009, Nature Rev. Immunol. 9(12):845-857)。加えて、これらの自己免疫疾患の多くを有する患者の末梢血で、循環Tfh様細胞の出現頻度の増加が検出されており、そのレベルは、自己抗体力価及び/又は疾患の重症度と相関していることが多い(Tangye et al., 2013, Nature Rev. Immunol. 13(6):412-426)。総合すると、これらのデータは、B細胞、真正Tfh細胞、及び循環Tfh様細胞が、多くの全身性自己免疫疾患のための将来性のある治療標的であることを強調する。
【0005】
CXCR5は、B細胞、真正Tfh細胞、及び循環Tfh様細胞によって発現され、そのGC反応へのトラフィッキングを媒介し、CXCR5リガンドであるCXCL13の勾配に沿ってGC反応に関与する(Vinuesa and Cyster, 2011, Immunity 35(5):671-680;Ansel et al., 1999, J. Exp. Med. 190(8):1123-1134;Ansel et al., 2000, Nature 406(6793):309-314;Cyster et al., 1999, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 246:87-92;Hardtke et al., 2005, Blood 106(6):1924-1931;Haynes et al., 2007, J. Immunol. 179(8):5099-5108)。したがって、CXCR5の標的化は、自己免疫疾患を治療するための治療上の利益を有する可能性がある。
【0006】
加えて、CXCR5の標的化も、CXCR5を発現する細胞の増殖を特徴とするがん、例えば膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞性白血病、及びB細胞白血病において治療上の利益を有する可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本出願は、CXCR5(C-X-Cケモカイン受容体5型)と特異的に結合する単離された抗体及びその抗原結合フラグメントを開示する。特定の態様において、抗体及びその抗原結合フラグメントは、CXCR5と結合し、CXCL13へのCXCR5の結合を減少させる。他の態様において、抗体は、フコシル化されていてもよいが、より好ましくは、それらは、アフコシル化されている。特定の態様において、抗体及びその抗原結合フラグメントは、変更されたエフェクター機能を示す。特定の態様において、抗体及びその抗原結合フラグメントは、アフコシル化されており、フコシル化されていること以外は同一な抗体及びその抗原結合フラグメントと比較して、増加した抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示す。
【0008】
特定の態様において、本発明の開示は、CXCR5と特異的に結合する単離された抗体及びその抗原結合フラグメントであって、配列番号32の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11(L11)にロイシン(Leu;L)を含むエピトープに結合する、抗体及びその抗原結合フラグメントを提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、CXCR5と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、配列番号32の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸(Asp;D)を含むエピトープに結合する、抗体及びその抗原結合フラグメントを提供する。
【0010】
当業者は、慣例的な実験だけを使用して、本明細書に記載される発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識すると予想され、又はそれらを確認することができる。このような均等物は、以下の実施形態(E)に包含されることが意図される。
【0011】
E1.C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒトCXCR5(hCXCR5)又はカニクイザルCXCR5(cynoCXCR5)のNドメイン内のエピトープと結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0012】
E2.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってhCXCR5のアミノ酸残基1~50内のエピトープと結合するか、又は配列番号33の番号付けに従ってcynoCXCR5のアミノ酸残基1~50内のエピトープに結合する、E1に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0013】
E3.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むエピトープと結合する、E1又はE2に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0014】
E4.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むエピトープと結合する、E1~E3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0015】
E5.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号11にロイシンを含み、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むエピトープと結合する、E1~E4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0016】
E6.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むエピトープと結合するが、前記残基がロイシンではない場合、hCXCR5と結合しない、E1~E5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0017】
E7.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むエピトープと結合するが、前記残基がスレオニンである場合、hCXCR5と結合しない、E1~E6のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0018】
E8.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むエピトープと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではない場合、hCXCR5と結合しない、E1~E7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0019】
E9.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むエピトープと結合するが、前記残基がアラニンである場合、hCXCR5と結合しない、E1~E8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0020】
E10.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号11にロイシンを含み、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むエピトープと結合するが、ロイシンがスレオニンで置換されているか、及び/又はアスパラギン酸がアラニンで置換されている場合、前記エピトープと結合しない、E1~E9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0021】
E11.抗体又はその抗原結合フラグメントが、標準偏差がプラス・マイナス約2.33pMである約6.60pMのEC50の見かけの親和性で、ヒトB細胞で発現されるhCXCR5と結合する、E1~E10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0022】
E12.抗体又はその抗原結合フラグメントが、標準偏差がプラス・マイナス約1.40pMである約5.89pMのEC50の見かけの親和性で、ヒト循環濾胞性ヘルパーT様(Tfh様)細胞で発現されるhCXCR5と結合する、E1~E11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0023】
E13.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約10.6pMのEC50の見かけの親和性で、ヒト濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞で発現されるhCXCR5と結合する、E1~E12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0024】
E14.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約1.32pMのEC50の見かけの親和性で、カニクイザルB細胞で発現されるcynoCXCR5と結合する、E1~E13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0025】
E15.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約10.5pMのEC50の見かけの親和性で、カニクイザルTfh様細胞で発現されるcynoCXCR5と結合する、E1~E14のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0026】
E16.抗体又はその抗原結合フラグメントが、cAMPレポーターアッセイにおいて、約961pMのEC50で、CXCR5-CXCL13シグナル伝達に拮抗する、E1~E15のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0027】
E17.抗体又はその抗原結合フラグメントが、標準偏差がプラス・マイナス約2.28pMである約2.01pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトB細胞に対するADCC活性を示す、E1~E16のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0028】
E18.抗体又はその抗原結合フラグメントが、標準偏差がプラス・マイナス約2.88pMである約4.28pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトTfh様細胞に対するADCC活性を示す、E1~E17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0029】
E19.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約0.11pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトTfh細胞に対するADCC活性を示す、E1~E18のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0030】
E20.抗体又はその抗原結合フラグメントが、標準偏差がプラス・マイナス約11.7pMである約15.3pMのEC50で、cynoCXCR5を発現するカニクイザルB細胞に対するADCC活性を示す、E1~E19のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0031】
E21.抗体又はその抗原結合フラグメントが、hCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、及びXCR1と検出可能に結合しない、E1~E20のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0032】
E22.抗体又はその抗原結合フラグメントが、末梢血中のB細胞を枯渇させる、E1~E21のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0033】
E23.末梢血中のB細胞の枯渇が可逆的である、E22に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0034】
E24.抗体又はその抗原結合フラグメントが、末梢血中のTfh様細胞を枯渇させる、E1~E23のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0035】
E25.抗体又はその抗原結合フラグメントが、脾臓中のTfh細胞を枯渇させる、E1~E24のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0036】
E26.抗体又はその抗原結合フラグメントが、体液性免疫メモリー応答を損なう、E1~E24のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0037】
E27.カニクイザルにおいて、損なわれた体液性免疫メモリー応答が、破傷風(tetatus)トキソイドに対するものである、E26に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0038】
E28.抗体又はその抗原結合フラグメントが、CXCR5のCXCL13への結合を阻害する、E1又はE27に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0039】
E29.抗体又はその抗原結合フラグメントが、抗体又はその抗原結合フラグメントの非存在下におけるcAMPレベルと比較して、これ以外の状況でフォルスコリンによって開始されるcAMPレベルの増加をもたらす、細胞におけるcAMP産生のCXCL13阻害を阻害する、E1又はE28に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0040】
E30.抗体又はその抗原結合フラグメントが、cAMP産生のCXCL13阻害を、約961pMのEC50で阻害する、E1又はE29に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0041】
E31.CXCL13阻害の最大阻害が、少なくとも約60%、70%又は80%である、E30に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0042】
E32.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約26pM未満のEC50の見かけの親和性でCXCR5発現ヒトB細胞(例えば、CXCR5+ ヒトB細胞)と結合するが、CXCR5のマウス、ラット又はウサギのオーソログを発現する細胞と結合しない、E1~E31のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0043】
E33.抗体又はその抗原結合フラグメントが、ヒトドナー及びカニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)並びにヒトドナー扁桃単核細胞(tonsillar mononuclear cell:TMC)においてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させる、E1~E32のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0044】
E34.hCXCR5と特異的に結合し、E1~E33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントと競合する、単離された抗体。
【0045】
E35.抗体又はその抗原結合フラグメントが、CXCR5+ ヒトB細胞と、約26pM未満のEC50の見かけの親和性で結合するが、CXCR5オーソログを発現する細胞と実質的に結合しない、E1~E34のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。一部の実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば、本明細書に記載されるアッセイのいずれかに基づいて、CXCR5オーソログを発現する細胞への検出不能な結合を示すか;又はhCXCR5への結合の少なくとも10,000倍大きいEC50の見かけの親和性で、CXCR5オーソログを発現する細胞に結合する。
【0046】
E36.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、E1~E35のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0047】
E37.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、E1~E36のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0048】
E38.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、E1~E37のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0049】
E39.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号1、5、13、35、37、48~51、39及び58~62のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL、並びに配列番号6、10、12、17、18、36、40、53~57及び63のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E38のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0050】
E40.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号1、5、13、35、37、48~51、39及び58~62のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL、並びに配列番号6、10、12、17、18、36、40、53~57及び63のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E39のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0051】
E41.抗体又はその抗原結合フラグメントが、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVL及びATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E40のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0052】
E42.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号13のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E35及びE39~E40のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0053】
E43.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号13のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E35及びE38~E40のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0054】
E44.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号37のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E35及びE38~E40のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0055】
E45.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号35のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E36及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0056】
E46.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号47のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号52のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E36及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0057】
E47.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E36及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0058】
E48.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E36及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0059】
E49.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号1のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E36及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0060】
E50.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号1のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E35、E37及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0061】
E51.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号39のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むVHを含む、E1~E35、E37及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0062】
E52.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号22のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHCを含む、E1~E35、E37及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0063】
E53.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号24のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むHCを含む、E1~E35及びE38~E40のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0064】
E54.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号26のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むHCを含む、E1~E35、E37及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0065】
E55.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号28のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号29のアミノ酸配列を含むHCを含む、E1~E35、E37及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0066】
E56.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号95の核酸配列によってコードされたVL、及び配列番号96の核酸配列によってコードされたVHを含む、E1~E35、E37、及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0067】
E57.抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号97の核酸配列によってコードされたLC、及び配列番号98の核酸配列によってコードされたHCを含む、E1~E35、E37、及びE39~E41のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0068】
E58.抗体又はその抗原結合フラグメントが、VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、VLフレームワーク配列又はVHフレームワーク配列の一方又は両方は、その由来となるヒト生殖細胞系配列の形態に、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であり、VLフレームワーク配列の由来となるヒト生殖細胞系のVL配列は、DPK9、DPK12、DPK18、DPK24、HK102_V1、DPK1、DPK8、DPK3、DPK21、Vg_38K、DPK22、DPK15、DPL16、DPL8、V1-22、Vλコンセンサス、Vλ1コンセンサス、Vλ3コンセンサス、Vκコンセンサス、Vκ1コンセンサス、Vκ2コンセンサス及びVκ3からなる群から選択され、VHフレームワーク配列の由来となるヒト生殖細胞系のVH配列は、DP54、DP47、DP50、DP31、DP46、DP71、DP75、DP10、DP7、DP49、DP51、DP38、DP79、DP78、DP73、VH3、VH5、VH1及びVH4からなる群から選択される、E1~E57のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0069】
E59.抗体又はその抗原結合フラグメントが、アフコシル化されている、E1~E58のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0070】
E60.抗体又はその抗原結合フラグメントが、増強されたADCCを示す、E59に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0071】
E61.配列番号6、7、8、25、17、18、23、27、52、53、54、55、56、57及び63のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHのCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0072】
E62.配列番号1、2、13、22、24、26、47、48、49、50、51、58、59、60、61及び62のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLのCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0073】
E63.配列番号6のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3配列を含む、E1~E62のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0074】
E64.配列番号1のアミノ酸配列のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3配列を含む、E1~E62のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0075】
E65.以下のアミノ酸置換:
ヒト生殖細胞系のVL配列の対応する残基への、CDR-L1における1、2、3、4、5又は6つの置換、
ヒト生殖細胞系のVL配列の対応する残基への、CDR-L2における1、2、3、4又は5つの置換、
ヒト生殖細胞系のVL配列の対応する残基への、CDR-L3における1、2、3、4、5又は6つの置換、
ヒト生殖細胞系のVH配列の対応する残基への、CDR-H1における1、2、3、4、5又は6つの置換、
ヒト生殖細胞系のVH配列の対応する残基への、CDR-H2における1、2、3、4、5、6、7又は8つの置換
の1つ以上を含み、
ヒト生殖細胞系のVL配列は、DPK9、DPK12、DPK18、DPK24、HK102_V1、DPK1、DPK8、DPK3、DPK21、Vg_38K、DPK22、DPK15、DPL16、DPL8、V1-22、Vκ1コンセンサス、Vκ2コンセンサス及びVκ3コンセンサスからなる群から選択され、ヒト生殖細胞系のVHは、DP54、DP47、DP50、DP31、DP46、DP71、DP75、DP10、DP7、DP49、DP51、DP38、DP79、DP78、DP73、VH3、VH5、VH1及びVH4からなる群から選択される、E1~E64のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0076】
E66.DP54、DP47、DP50、DP31、DP46、DP71、DP75、DP10、DP7、DP49、DP51、DP38、DP79、DP78、DP73、VH3、VH5、VH1及びVH4からなる群から選択されるヒト生殖細胞系のVH配列由来のVHフレームワーク配列を含む、E61~E65のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0077】
E67.ヒトVH3生殖細胞系配列由来のフレームワークVH配列を含む、E61~E66のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0078】
E68.DP54、DP47、DP50、DP31、DP46、DP49及びDP51からなる群から選択されるヒト生殖細胞系のVH配列由来のフレームワークVH配列を含む、E61~E67のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0079】
E69.DP54、DP47、DP50及びDP31からなる群から選択されるヒト生殖細胞系のVH配列由来のフレームワークVH配列を含む、E61~E68のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0080】
E70.ヒト生殖細胞系のDP54配列由来のVHフレームワーク配列を含む、E61~E69のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0081】
E71.DPK9、DPK12、DPK18、DPK24、HK102_V1、DPK1、DPK8、DPK3、DPK21、Vg_38K、DPK22、DPK15、DPL16、DPL8、V1-22、Vκコンセンサス、Vκ1コンセンサス、Vκ2コンセンサス及びVκ3コンセンサスからなる群から選択されるヒト生殖細胞系のVL配列由来のVLフレームワーク配列を含む、E61~E70のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0082】
E72.DPK9、DPK12、DPK18、DPK24、HK102_V1、DPK1、DPK8、DPK3、DPK21、Vg_38K、DPK22、DPK15、Vκコンセンサス、Vκ1コンセンサス、Vκ2コンセンサス及びVκ3からなる群から選択されるヒト生殖細胞系のVL配列由来のVLフレームワーク配列を含む、E61~E71のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0083】
E73.ヒト生殖細胞系のVκ1配列由来のVLフレームワーク配列を含む、E61~E72のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0084】
E74.DPK9、HK102_V1、DPK1及びDPK8からなる群から選択されるヒト生殖細胞系のVL配列由来のVLフレームワーク配列を含む、E61~E73のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0085】
E75.ヒト生殖細胞系のDPK9配列由来のVLフレームワーク配列を含む、E61~E74のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0086】
E76.VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、VLフレームワーク配列又はVHフレームワーク配列の一方又は両方は、その由来となるヒト生殖細胞系配列に、少なくとも90%同一である、E61~E75のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0087】
E77.VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、VLフレームワーク配列又はVHフレームワーク配列の一方又は両方は、その由来となるヒト生殖細胞系配列に、少なくとも66%、76%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、E61~E76のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0088】
E78.VLフレームワーク配列及びVHフレームワーク配列を含み、VLフレームワーク配列又はVHフレームワーク配列の一方又は両方は、その由来となるヒト生殖細胞系配列と同一である、E61~E77のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0089】
E79.配列番号6に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHを含む、E61~E78のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0090】
E80.配列番号6に少なくとも92%同一なアミノ酸配列を含むVHを含む、E61~E79のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0091】
E81.配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む、E61~E80のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0092】
E82.配列番号1に少なくとも66%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む、E61~E81のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0093】
E83.配列番号1に少なくとも66%、76%、80%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一なアミノ酸配列を含むVLを含む、E61~E82のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0094】
E84.配列番号1のアミノ酸配列を含むVLを含む、E61~E83のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0095】
E85.Fcドメインを含む、E1~E84のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0096】
E86.Fcドメインが、IgA(例えばIgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgM若しくはIgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFcドメインである、E85に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0097】
E87.Fcドメインが、IgGのFcドメインである、E86に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0098】
E88.IgGが、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4からなる群から選択される、E87に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0099】
E89.IgGが、IgG1である、E88に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0100】
E90.配列番号29に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む、E1~E89のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0101】
E91.配列番号29に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む、E1~E89のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0102】
E92.配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、E1~E89のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0103】
E93.配列番号28に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むLCを含む、E1~E93のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0104】
E94.配列番号28に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一なアミノ酸配列を含むLCを含む、E1~E93のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0105】
E95.配列番号28のアミノ酸配列を含むLCを含む、E1~E94のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0106】
E96.ATCCに寄託されたATCC受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされたVH配列を含む単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0107】
E97.ATCCに寄託されたATCC受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされたVL配列を含む単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0108】
E98.ヒトCXCR5への結合について、マウス11G2、キメラ11G2、h11G2 VH(XC152)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC3484)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC348)、及びh11G2 VH(XC351)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC349)、マウス41A10、キメラ41A10、h41A10 VH(XC147)/VL(XC142)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC143)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC144)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC145)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC146)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC149)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC142)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC143)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC144)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC145)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC146)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC149)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC142)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC143)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC144)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC145)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC146)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC149)、マウス5H7、及びキメラ5H7の1種以上と競合する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0109】
E99.ヒトCXCR5への結合について、CXCL13と、E1~E98のいずれか一項に記載の抗体と競合する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0110】
E100.抗体又はその抗原結合フラグメントが、Fc融合タンパク質、モノボディ、マキシボディ、二価抗体、scFab、scFv、ペプチボディである、E1~E99のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0111】
E101.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約10nM、5nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、250pM、200pM、150pM、100pM、50pM、40pM、30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM及び1pMからなる群から選択されるおよその値のKDか又はそれ未満の値のKDで、ヒトCXCR5と結合する、E1~E100に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0112】
E102.抗体又はその抗原結合フラグメントが、約10nM、5nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、250pM、200pM、150pM、100pM、50pM、40pM、30pM、25pM、20pM、15pM、13pM,10pM、5pM及び1pMからなる群から選択されるおよその値のKDか又はそれ未満の値のKDで、カニクイザルCXCR5と結合する、E1~E101に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0113】
E103.カニクイザルCXCR5への抗体又はその抗原結合フラグメントの結合KDが、ヒトCXCR5への抗体又はその抗原結合フラグメントの結合KDの10倍以内である、E1~E102に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0114】
E104.抗体又はその抗原結合フラグメントのヒトCXCR5への結合KDの、カニクイザルCXCR5への結合と比較した比率が、5:1~1:5である、E1~E103に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0115】
E105.抗体又はその抗原結合フラグメントのヒトCXCR5への結合KDの、カニクイザルCXCR5への結合と比較した比率が、2:1~1:2である、E1~E104に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0116】
E106.抗体又はその抗原結合フラグメントのカニクイザルCXCR5への結合KDの、ヒトCXCR5への結合と比較した比率が、低い方の値が、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7,1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5及び6.2からなる群から選択され、高い方の値が、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、6.2、9、9.2及び10からなる群から選択される範囲内である、E1~E105に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0117】
E107.抗体又はその抗原結合フラグメントの配列番号33のカニクイザルCXCR5への結合KDの、配列番号32のヒトCXCR5への結合と比較した比率が、約1.0~約10.0である、E1~E106に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0118】
E108.ヒトにおける予測された半減期が、約1日~21日である、E1~107のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0119】
E109.ヒトにおける予測された半減期が、約17日である、E1~108のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0120】
E110.マウス11G2 VH、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VH、キメラ11G2 VL、ヒト化11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)、h11G2 VH(XC354)、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)、h11G2 VL(XC349)、マウス41A10 VH、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VH、キメラ41A10 VL、ヒト化41A10 VH(XC147)、h41A10 VH(XC148)、h41A10 VH(XC150)、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)、h41A10 VL(XC149)、マウス5H7 VH、マウス5H7 VL、キメラ5H7 VH、及びキメラ5H7 VLからなる群から選択される抗体又はその抗原結合フラグメントのCDRを含む、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0121】
E111.マウス11G2 VH、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VH、キメラ11G2 VL、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)、h11G2 VH(XC354)、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)、h11G2 VL(XC349)、マウス41A10 VH、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VH、キメラ41A10 VL、ヒト化41A10 VH(XC147)、h41A10 VH(XC148)、h41A10 VH(XC150)、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)、h41A10 VL(XC149)、マウス5H7 VH、マウス5H7 VL、キメラ5H7 VH及びキメラ5H7 VLからなる群から選択される抗体又はその抗原結合フラグメントのVL及びVHを含む、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0122】
E112.
a.マウス11G2 VH及びマウス11G2 VLを含む抗体;
b.キメラ11G2 VH及びキメラ11G2 VLを含む抗体;
c.ヒト化11G2 VH(XC152)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
d.ヒト化11G2 VH(XC155)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
e.ヒト化11G2 VH(XC156)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
f.ヒト化11G2 VH(XC157)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
g.ヒト化11G2 VH(XC350)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
h.h11G2 VH(XC351)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
i.h11G2 VH(XC352)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
j.h11G2 VH(XC353)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
k.h11G2 VH(XC354)と、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VL、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)及びh11G2 VL(XC349)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
l.h11G2 VL(XC151)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
m.h11G2 VL(XC153)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
n.h11G2 VL(XC154)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
o.h11G2 VL(XC346)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
p.h11G2 VL(XC347)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
q.h11G2 VL(XC348)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
r.h11G2 VL(XC349)と、マウス11G2 VH、キメラ11G2 VH、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)及びh11G2 VH(XC354)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
s.マウス41A10VHと、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VL、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)及びh41A10 VL(XC149)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
t.キメラ41A10VHと、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VL、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)及びh41A10 VL(XC149)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
u.ヒト化41A10VH(XC147)と、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VL、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)及びh41A10 VL(XC149)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
v.h41A10VH(XC148)と、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VL、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)及びh41A10 VL(XC149)からなる群から選択されるVLとを含む抗体;
w.h41A10VH(XC150)と、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VL、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)、h41A10 VL(XC149)及びh41A10 VL(XC142)からなる群から選択されるVLと;
x.マウス41A10VLと、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
y.キメラ41A10VLと、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
z.h41A10VL(XC143)と、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
aa.h41A10VL(XC144)と、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
bb.h41A10VL(XC145)と、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
cc.h41A10VL(XC146)と、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
dd.h41A10VL(XC149)と、マウス41A10VH、キメラ41A10VH、h41A10VH(XC147)、h41A10VL(XC148)及びh41A10VH(XC150)からなる群から選択されるVHとを含む抗体;
ee.マウス5H7 VHと、マウス5H7及びキメラ5H7 VLからなる群から選択されるVLを含む抗体;
ff.マウス5H7 VLと、マウス5H7 VH及びキメラ5H7 VHからなる群から選択されるVHと;
gg.h11G2 VH(XC152)及びh11G2 VL(XC151)を含む抗体;
hh.h11G2 VH(XC155)及びh11G2 VL(XC153)を含む抗体;
ii.h11G2 VH(XC155)及びh11G2 VL(XC154)を含む抗体;
jj.h11G2 VH(XC156)及びh11G2 VL(XC153)を含む抗体;
kk.h11G2 VH(XC157)及びh11G2(XC154)を含む抗体;
ll.マウス11G2 VH及びマウス11G2 VLを含む抗体;
mm.キメラ11G2 HC及びキメラ11G2 LCを含む抗体;
nn.h11G2 VH(XC152)及びh11G2 VL(XC151)を含む抗体;
oo.h11G2 VH(XC155)及びh11G2 VL(XC154)を含む抗体;
pp.h11G2 VH(XC156)及びh11G2 VL(XC153)を含む抗体;
qq.h11G2 VH(XC157)及びh11G2 VL(XC154)を含む抗体;
rr.マウス41A10VH及びマウス41A10VLを含む抗体;
ss.キメラ41A10 HC及びキメラ41A10 LCを含む抗体;
tt.h41A10VH(XC147)及びh41A10VL(XC142)を含む抗体;
uu.h41A10VH(XC147)及びh41A10VL(XC143)を含む抗体;
vv.h41A10VH(XC147)及びh41A10VL(XC144)を含む抗体;
ww.h41A10VH(XC147)及びh41A10VL(XC145)を含む抗体;
xx.h41A10VH(XC148)及びh41A10VL(XC142)を含む抗体;
yy.h41A10VH(XC148)及びh41A10VL(XC143)を含む抗体;
zz.h41A10VH(XC148)及びh41A10VL(XC144)を含む抗体;
aaa.マウス5H7 VH及びマウス5H7 VLを含む抗体;並びに
bbb.キメラ5H7 HC及びキメラ5H7 LCを含む抗体
からなる群から選択される、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0123】
E113.
(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号35のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;
(b)配列番号7の配列を含むCDR-H1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号4の配列を含むCDR-L3を含む抗体;
(c)配列番号7の配列を含むCDR-H1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号4の配列を含むCDR-L3を含む抗体;
(d)配列番号19の配列を含むCDR-H1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び配列番号16の配列を含むCDR-L3を含む抗体;
(e)配列番号6のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、並びに配列番号1のアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む抗体;
(f)ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされた、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、並びにATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされた、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む抗体;
(g)配列番号52のアミノ酸配列を含むVH(XC152)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(h)配列番号6のアミノ酸配列を含むVH(XC155)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(i)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH(XC156)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(j)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH(XC157)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(k)配列番号53のアミノ酸配列を含むVH(XC350)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(l)配列番号54のアミノ酸配列を含むVH(XC351)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(m)配列番号55のアミノ酸配列を含むVH(XC352)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(n)配列番号56のアミノ酸配列を含むVH(XC353)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(o)配列番号55のアミノ酸配列を含むVH(XC354)と、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(p)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL(XC151)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(q)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL(XC153)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(r)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL(XC154)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(s)配列番号48のアミノ酸配列を含むVL(XC346)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(t)配列番号49のアミノ酸配列を含むVL(XC347)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(u)配列番号50のアミノ酸配列を含むVL(XC348)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(v)配列番号51のアミノ酸配列を含むVL(XC349)と、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(w)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH(m41A10 VH)と、配列番号13、37、58、59、60、61及び62からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(x)配列番号17のアミノ酸配列を含むVH(XC148)と、配列番号13、37、58、59、60、61及び62からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(y)配列番号18のアミノ酸配列を含むVH(XC147)と、配列番号13、37、58、59、60、61及び62からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(z)配列番号63のアミノ酸配列を含むVH(XC150)と、配列番号13、37、58、59、60、61及び62からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVLとを含む抗体;
(aa)配列番号37のアミノ酸配列を含むVL(マウスh41A10 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(bb)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL(h41A10 XC142 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(cc)配列番号58のアミノ酸配列を含むVL(h41A10 XC143 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(dd)配列番号59のアミノ酸配列を含むVL(h41A10 XC144 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(ee)配列番号60のアミノ酸配列を含むVL(h41A10 XC145 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(ff)配列番号61のアミノ酸配列を含むVL(h41A10 XC1446 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(gg)配列番号62のアミノ酸配列を含むVL(h41A10 XC149 VL)と、配列番号17、18、38及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHとを含む抗体;
(hh)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH(マウス5H7 VH)及び配列番号39のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号47のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;
(jj)配列番号6のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;
(kk)配列番号6のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号1のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;
(ll)(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;
(mm)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号5のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体;並びに
(nn)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号1のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体
からなる群から選択される、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0124】
E114.ヒトCXCR5への結合について、E1~E113のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントと競合する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0125】
E115.E1~E114のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【0126】
E116.E1~E109のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0127】
E117.配列番号95、96、97及び98に記載の配列からなる群から選択される核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0128】
E118.配列番号95に記載の核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0129】
E119.配列番号96に記載の核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0130】
E120.配列番号95に記載の核酸配列及び配列番号96に記載の核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0131】
E121.配列番号97に記載の核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0132】
E122.配列番号98に記載の核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0133】
E123.配列番号97に記載の核酸配列及び配列番号98に記載の核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0134】
E124.ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0135】
E125.ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含む単離された核酸分子。
【0136】
E126.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸が、配列番号95の核酸配列、配列番号107の核酸配列又は両者を含む、核酸。
【0137】
E127.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖、軽鎖又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸が、配列番号97の核酸配列、配列番号98の核酸配列又は両者を含む、核酸。
【0138】
E128.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVHをコードする単離された核酸であって、前記核酸が、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含む、核酸。
【0139】
E129.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVLをコードする単離された核酸であって、前記核酸が、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含む、核酸。
【0140】
E130.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVL及びVHをコードする単離された核酸であって、前記核酸が、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列及びATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含む、核酸。
【0141】
E131.E115~E130のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
【0142】
E132.E115~E130のいずれか一項に記載の核酸分子、又はE131に記載のベクターを含む宿主細胞。
【0143】
E133.前記細胞が、哺乳類細胞である、E132に記載の宿主細胞。
【0144】
E134.前記宿主細胞が、CHO細胞、COS細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞又はSp2.0細胞である、E133に記載の宿主細胞。
【0145】
E135.前記宿主細胞が、機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)を有していない、E132~134のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【0146】
E136.前記細胞が、機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素を発現しない、E132~135のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【0147】
E137.前記細胞が、機能的な酵素をコードするFUT8遺伝子を欠く、E132~136のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【0148】
E138.前記細胞が、機能的なFUT8遺伝子をコードする遺伝子を欠く、E132~137のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【0149】
E139.前記細胞が、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞又はLec13 CHO細胞である、E132~139のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【0150】
E140.前記細胞が、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞である、E139に記載の宿主細胞。
【0151】
E141.抗体又はその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントがE1~E114のいずれか一項に記載の宿主細胞によって発現される条件下で、前記宿主細胞を培養することを含む、方法。
【0152】
E142.前記抗体又はその抗原結合フラグメントを単離することをさらに含む、E141に記載の方法。
【0153】
E143.アフコシル化された抗CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、前記方法は、E115~E130のいずれか一項に記載の核酸分子、又はE131に記載のベクターを含む宿主細胞を培養することを含み、前記宿主細胞は機能的なFUT8を有していない、方法。
【0154】
E144.宿主細胞が、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞である、E143に記載の方法。
【0155】
E145.E141~E114のいずれか一項に記載の方法を使用して産生された、単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0156】
E146.前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、アフコシル化されている、E1~E114のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0157】
E147.前記アフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメントが、フコシル化されていること以外は同一な抗体又はその抗原結合フラグメントと比較して増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示す、E146に記載のアフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0158】
E148.前記アフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメントが、フコシル化されていること以外は同一な抗体又はその抗原結合フラグメントと比較して、約2倍、約5倍、約7倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約110倍、約120倍、約130倍、約140倍及び約143倍大きいADCCを示す、E146に記載のアフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0159】
E149.E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、並びに薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【0160】
E150.前記抗体又はその抗原結合フラグメントがアフコシル化されている、E149に記載の医薬組成物。
【0161】
E151.CXCR5の活性を低減する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0162】
E152.炎症性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149~E150のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0163】
E153.免疫抑制を必要とする対象を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0164】
E154.自己免疫疾患、障害又は状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0165】
E155.それを必要とする対象におけるCXCR5を発現する細胞の数を減少させる方法であって、前記方法は、対象に、治療有効量のE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0166】
E156.細胞が、その表面上にCXCR5を発現する、E155に記載の方法。
【0167】
E157.細胞が、B細胞及びTfh様細胞である、E156に記載の方法。
【0168】
E158.前記対象がヒトである、E151~E157のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
E159.前記抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は医薬組成物を静脈内投与することを含む、E151~E158のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
E160.前記抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は医薬組成物を皮下投与することを含む、E151~E158のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
E161.前記抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は医薬組成物が、およそ、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、7週に1回、8週に1回、9週に1回、10週に1回、1か月に2回、1か月に1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、5か月に1回、6か月に1回、7か月に1回、8か月に1回、9か月に1回、10か月に1回、11か月に1回、又は12か月に1回投与される、E151~E160のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
E162.サンプル中のCXCR5+細胞の数を減少させる方法であって、前記方法は、前記細胞を、E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物と接触させることを含む、方法。
【0173】
E163.医薬品としての使用のための、E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0174】
E164.対象におけるCXCR5の活性を低減する際における使用のための、E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0175】
E165.免疫抑制を必要とする対象の治療に使用するのための、E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0176】
E166.対象における自己免疫疾患、障害又は状態の治療に使用するのための、E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0177】
E167.免疫疾患、障害又は状態の治療用医薬品の製造におけるE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【0178】
E168.免疫疾患、障害又は状態の治療用医薬品の製造における、E149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【0179】
E169.医学的状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のE1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0180】
E170.状態が、炎症性応答、例えば、乾癬及び皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患;皮膚筋炎;全身性強皮症及び硬化症など;炎症性腸疾患に関連する応答(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎);呼吸窮迫症候群(例えば成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;胃炎;糸球体腎炎;アレルギー性状態、例えば、湿疹及び喘息、並びにT細胞の浸潤及び慢性炎症性応答を伴う他の状態;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ;全身性エリテマトーデス(SLE);糖尿病(例えば、I型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年型糖尿病;結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎で典型的に見出される、サイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅延型過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(これらに限定されるものではないが、クリオグロブリン血症(cryoglobinemia)又はクームス陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット(Bechet)病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性ニューロパシー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本甲状腺炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ブドウ膜網膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連の不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張性、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位、エメリー-ドレフュス型)からなる群から選択され、膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞性白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖を制御する、E169に記載の方法。
【0181】
E171.E1~E114及びE145~E148のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、又はE149及びE150のいずれか一項に記載の医薬組成物を使用してサンプル、組織、又は細胞中のCXCR5を検出する方法であって、サンプル、組織又は細胞を抗体と接触させること、及び抗体を検出することを含む、方法。
【0182】
E172.CXCR5と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、抗体は、
a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む抗体;
b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む抗体;
c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む抗体;
d)ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVL及びATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
e)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
f)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
g)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号52のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
h)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
i)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
j)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
k)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
l)配列番号22のアミノ酸配列を含むLC及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
m)配列番号24のアミノ酸配列を含むLC及び配列番号25のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
n)配列番号26のアミノ酸配列を含むLC及び配列番号27のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
o)配列番号28のアミノ酸配列を含むLC及び配列番号29のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
p)配列番号95の核酸配列によってコードされたVL及び配列番号96の核酸配列によってコードされたVHを含む抗体;並びに
q)配列番号97の核酸配列によってコードされたLC及び配列番号98の核酸配列によってコードされたHCを含む抗体
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0183】
E173.C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、抗体又はその抗原結合フラグメントが、
a)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がロイシンではない前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
b)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がスレオニンである前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
c)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではない前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
d)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がアラニンである前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
e)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含み、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記ロイシンがスレオニンで置換されており、及び/又は前記アスパラギン酸がアラニンで置換されている前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
f)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がロイシンではないhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
g)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がスレオニンであるhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
h)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではないhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
i)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がアラニンであるhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;並びに
j)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含み、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記ロイシンがスレオニンで置換されており、及び/又は前記アスパラギン酸がアラニンで置換されているhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0184】
E174.C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、抗体又はその抗原結合フラグメントが、
a)標準偏差がプラス・マイナス約2.33pMである約6.60pMのEC50の見かけの親和性で、ヒトB細胞で発現されるhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
b)標準偏差がプラス・マイナス約1.40pMである約5.89pMのEC50の見かけの親和性で、ヒト循環濾胞性ヘルパーT様細胞で発現されるhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
c)約10.6pMのEC50の見かけの親和性で、ヒト濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞で発現されるhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
d)約1.32pMのEC50の見かけの親和性で、カニクイザルB細胞で発現されるcynoCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
e)約10.5pMのEC50の見かけの親和性で、カニクイザルTfh様細胞で発現されるcynoCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
f)cAMPレポーターアッセイにおいて、約961pMのEC50で、CXCR5-CXCL13シグナル伝達に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
g)標準偏差がプラス・マイナス約2.28pMである約2.01pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトB細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
h)標準偏差がプラス・マイナス約2.88pMである約4.28pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトTfh様細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
i)約0.11pMのEC50で、hCXCR5を発現するヒトTfh細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
j)標準偏差がプラス・マイナス約11.7pMである約15.3pMのEC50で、cynoCXCR5を発現するカニクイザルB細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
k)hCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7及びXCR1と検出可能に結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
l)CXCR5のCXCL13への結合を阻害する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
m)約26pM未満のEC50の見かけの親和性でCXCR5+ ヒトB細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット又はウサギのオーソログを発現する細胞と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
n)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13阻害に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
o)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
p)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、又はXCR1と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント; q)末梢血中のB細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
r)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
s)脾臓中の真正Tfh細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;並びに
t)体液性免疫メモリー応答を損なう、抗体又はその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0185】
E175.前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、以下の生物学的活性:
a)約26pM未満のEC50の見かけの親和性でCXCR5+ ヒトB細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット若しくはウサギのオーソログを発現する細胞と結合しないこと;
b)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13阻害に拮抗すること;
c)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させること;
d)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、若しくはXCR1と結合しないこと;
e)末梢血中のB細胞を枯渇させること;
f)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させること;
g)脾臓中の真正Tfh細胞を枯渇させること;又は
h)体液性免疫メモリー応答を損なうこと
の少なくとも1つを示す、E172~E174のいずれか一項に記載の抗体。
【0186】
E176.前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、アフコシル化されている、E172~E175のいずれか一項に記載の抗体。
【0187】
E177.E172~E176のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【0188】
E178.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列番号95の核酸配列、配列番号96の核酸配列又は両者を含む、核酸。
【0189】
E179.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖、軽鎖又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列番号97の核酸配列、配列番号98の核酸配列又は両者を含む、核酸。
【0190】
E180.CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列又は両者を含む、核酸。
【0191】
E181.E177~E180のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター。
【0192】
E182.E181に記載のベクターを含む宿主細胞。
【0193】
E183.前記宿主細胞が、CHO細胞、COS細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞又はSp2.0細胞からなる群から選択される哺乳類細胞である、E182に記載の宿主細胞。
【0194】
E184.前記細胞が、機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)を有していない、E183に記載の宿主細胞。
【0195】
E185.前記細胞が、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞又はLec13 CHO細胞である、E184に記載の宿主細胞。
【0196】
E186.抗体又はその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、E185に記載のPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞を、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが前記宿主細胞によって発現され、アフコシル化される条件下で含む、方法。
【0197】
E187.前記抗体又はその抗原結合フラグメントを単離することをさらに含む、E186に記載の方法。
【0198】
E188.E186に記載のアフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、フコシル化されていること以外は同一な抗体又はその抗原結合フラグメントと比較して、増加したADCC活性を有する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
【0199】
E189.E172~E176及びE188のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、並びに薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【0200】
E190.免疫疾患、障害又は状態の治療に使用するのための、E172~E176、E188のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及びE189に記載の医薬組成物。
【0201】
E191.免疫疾患、障害又は状態の治療のための、E172~E176、E188のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はE189に記載の医薬組成物の使用。
【0202】
E192.それを必要とするヒト対象における、CXCR5によって媒介される免疫疾患、障害又は状態を治療又は予防するための方法であって、前記方法は、対象に、有効量のE189に記載の医薬組成物を投与することであって、前記疾患、障害又は状態は、炎症性応答、例えば、乾癬及び皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患;皮膚筋炎;全身性強皮症及び硬化症など;炎症性腸疾患に関連する応答(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎);呼吸窮迫症候群(例えば成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;胃炎;糸球体腎炎;アレルギー性状態、例えば、湿疹及び喘息、並びにT細胞の浸潤及び慢性炎症性応答を伴う他の状態;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ(RA);全身性エリテマトーデス(SLE);糖尿病(例えば、I型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年型糖尿病;結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎で典型的に見出される、サイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅延型過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(これらに限定されるものではないが、クリオグロブリン血症又はクームス陽性貧血を伴う);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性ニューロパシー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本甲状腺炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ブドウ膜網膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連の不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張性、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位、エメリー-ドレフュス型)からなる群から選択される、投与すること、並びに膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞性白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖を制御することを含む、方法。
【0203】
E193.前記疾患が、SLE又は関節リウマチである、E192に記載の方法。
【0204】
E194.免疫疾患、障害又は状態の治療用医薬品の製造における、E172~E176又はE188のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【0205】
E195.E172~E176のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを使用してサンプル、組織又は細胞中のCXCR5を検出する方法であって、サンプル、組織又は細胞を抗体と接触させること、及び抗体を検出することを含む、方法。
【0206】
E196.それを必要とする対象においてCXCR5の生物学的活性を低減させる方法であって、前記方法は、治療有効量のE172~E176若しくはE188のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント又はE189に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0207】
E197.抗体が、脾臓中のTfh細胞、末梢血中のB細胞及び末梢血中のTfh様細胞からなる群から選択される、CXCR5を発現する少なくとも1つの細胞の枯渇を媒介する、E196に記載の方法。
【0208】
E198.それを必要とする対象において体液性免疫応答を阻害する方法であって、方法は、治療有効量のE172~E176又はE188のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント又はE189に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0209】
E199.抗体が、脾臓中のTfh細胞、末梢血中のB細胞及び末梢血中のTfh様細胞からなる群から選択される、CXCR5を発現する少なくとも1つの細胞の枯渇を媒介する、E198に記載の方法。
【0210】
前述の要約、加えて以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と共に読めばよりよく理解されると予想される。本発明を例示する目的で、図面において実施形態を示す。しかしながら、本発明は示される正確な配置及び手段に限定されないことが理解されると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0211】
図1図1は、免疫グロブリン重鎖定常領域中に特徴的に存在する標準的な2分岐型グリコフォームを示す図である。この図は、Kabat et al., 1991に記載されるように、Edelman et al., 1969, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 63(1):78-85のEu番号付けに従って、アミノ酸残基番号297(アスパラギン297;Asn297)におけるIgG定常ドメイン上のアスパラギン結合型(N-結合型)グリコフォームを示す。
図2図2A~2Gは、免疫グロブリン重鎖定常領域中に特徴的に存在する代表的な2分岐型グリコフォームを描写する図である。「G0」は、末端シアル酸(NeuAc)又はGalが存在しない2分岐型構造を指し、「G1」は、1つのGalを有し、NeuAcを有さない2分岐型構造を指し、「G2」は、2つの末端Galを有し、NeuAcを有さない2分岐型構造を指す。各グリコフォームにおいて、フコースは、通常、哺乳類細胞、例えばCHO細胞で産生された抗体中に存在する。図2AはG2S2を示し、図2BはG2S1を示し、図2CはG2を示し、図2DはG1を示し、図2EはG0を示し、図2FはG-1を示し、図2GはG-2を示す。
図3図3は、ヒトCXCR5を発現するHEK293細胞(hCXCR5 293)(薄い方のバー)及び/又はカニクイザルCXCR5を発現するHEK293細胞(cynoCXCR5 293)(濃い方のバー)に対する様々なモノクローナル抗体(x軸上に示される)の結合を示す棒グラフである。図3に示されるモノクローナル抗体は、左から右へ、11B9、18C7、21A3、23F1、30C3、31F3、39H4、47D11、51D11、52E7、56A9、56G2、57H5、58C12、59F3、4F1、6E9、12E11、16D10、18G4、19D9、19F8、20G4、26E2、41A10、48A10、13F4、17D5、18H9、23C6、1A11、1D10、1C11、3A1、5H3、6D6、9G11、10G2、12C1、12C3、15A11、15C10、15D5、18A11、19C11、20D10、21B2、21G3、25D4、25E1、5H7、11G2、18B11、23D5、23F7、31E5、19G2及び31G7である。
図4A図4Aは、CXCR1を発現する細胞への様々な抗CXCR5抗体の検出可能な結合の欠如を示す図を描写する。
図4B図4Bは、CXCR2を発現する細胞への様々な抗CXCR5抗体の結合の欠如を示す図を描写する。
図4C図4Cは、CXCR3を発現する細胞への様々な抗CXCR5抗体の結合の欠如を示す図を描写する。
図4D図4Dは、CXCR4を天然に発現するJurkat細胞への様々な抗CXCR5抗体の結合を示す図を描写する。
図5図5は、抗体(アフコシル化されたh11G2 XC154/XC155(白丸)、フコシル化されたh11G2 XC154/XC155(黒丸)、2C9(黒三角)、16D7(黒四角)及び11A7(黒楕円))の、CXCR5を発現する細胞への結合親和性を示すグラフを示す。
図6図6は、ヒト及びマウスCXCR5アミノ酸配列のアライメントを示す。この図は、CXCR5の様々な細胞外ドメインも示し、それらは下線を引いた「N」、「L1」、「L2」、及び「L3」で示される。
図7図7は、特定のアミノ酸残基がhCXCR5への抗体結合にとって重要であることを示す棒グラフである。すなわち、D10G置換又はヒト配列へのSIの挿入は、抗体2C9による結合を壊滅させたが、他の3種の抗体による結合に影響を与えなかった。より重要なことに、L11T又はD22Aの置換は、11G2による結合を壊滅させたが、2C9、16D7又は11A7の結合に影響を与えなかった。アミノ酸残基番号19におけるWからKへの変更(W19K)は、抗体16D7及び11A7による結合を壊滅させたが、11G2及び2C9による結合に影響を与えなかった。これらの4種の抗体は、hCXCR5上の同じエピトープを共有しないことをこれらのデータは示す。
図8図8Aは、雄カニクイザルにおける末梢血B細胞の枯渇及び再構成を示すグラフである。雄における血液1μl当たりの末梢血B細胞数を、探索的毒性試験の352日目まで示す。B細胞を、CD3-CD20+と定義した。個々の動物のデータを示す。雄サルにおけるB細胞の過去の範囲(272~2503細胞/μL)を、点線で表示する。 図8Bは、雌カニクイザルにおける末梢血B細胞の枯渇及び再構成を示すグラフである。雌における血液1μl当たりの末梢血B細胞数を、探索的毒性試験の352日目まで示す。B細胞を、CD3-CD20+と定義した。個々の動物のデータを示す。雌サルにおけるB細胞の過去の範囲(233~1700細胞/μL)を、点線で表示する。 図8Cは、雄カニクイザルにおけるTfh様細胞(「cTfh」又は「循環Tfh」細胞ともいう)の枯渇及び再構成を示すグラフである。雄における血液1μl当たりの末梢血Tfh様細胞数を、探索的毒性試験の352日目まで示す。試験品は免疫表現型検査に使用されるCXCR5抗体に干渉するため、Tfh様細胞を、CD3+CD4+CD95+CXCR5+細胞及びCD3+CD4+CD95+hIgG+細胞の合計と定義した。個々の動物のデータを示す。 図8Dは、雌カニクイザルにおけるTfh様細胞(「cTfh」又は「循環Tfh」細胞ともいう)の枯渇及び再構成を示すグラフである。雌における血液1μl当たりの末梢血Tfh様細胞数を、探索的毒性試験の352日目まで示す。試験品は免疫表現型検査に使用されるCXCR5抗体に干渉するため、Tfh様細胞を、CD3+CD4+CD95+CXCR5+細胞及びCD3+CD4+CD95+hIgG+細胞の合計と定義した。個々の動物のデータを示す。
図9A図9Aは、カニクイザルにおける末梢血B細胞の枯渇及び再構成を示すグラフである。サルにおける血液1μl当たりの末梢血B細胞数を、ピボタルGLP毒性試験の393日目まで示す。B細胞を、CD3-CD20+HLA-DR+細胞と定義した。グループ平均データ(雄と雌を組み合わせた)±標準偏差を示す。
図9B図9Bは、カニクイザルにおける末梢血CXCR5+ B細胞の枯渇及び再構成を示すグラフである。サルにおける血液1μl当たりの末梢血CXCR5+ B細胞数を、ピボタルGLP毒性試験の393日目まで示す。B細胞を、CD3-CD20+HLA-DR+細胞と定義した。グループ平均データ(雄と雌を組み合わせた)±標準偏差を示す。
図9C図9Cは、カニクイザルにおける末梢血循環濾胞性ヘルパーT細胞(cTfh;「Tfh様細胞」ともいう)の枯渇及び再構成を示すグラフである。サルにおける血液1μl当たりの末梢血cTfh細胞数を、ピボタルGLP毒性試験の393日目まで示す。cTfh細胞を、CD3+CD4+CD95+細胞と定義した。グループ平均データ(雄と雌を組み合わせた)±標準偏差を示す。
図9D図9Dは、カニクイザルにおける検出可能な表面CXCR5を有する末梢血CXCR5+ cTfh細胞(「Tfh様細胞」ともいう)の枯渇及び再構成を示すグラフである。サルにおける血液1μl当たりの末梢血CXCR5+ cTfh細胞数を、ピボタルGLP毒性試験の393日目まで示す。cTfh細胞を、CD3+CD4+CD95+細胞と定義した。グループ平均データ(雄と雌を組み合わせた)±標準偏差を示す。
【発明の詳細な説明】
【0212】
CXCR5に特異的に結合する抗体、さらに、CXCR5活性又はそのCXCL13との相互作用に拮抗する抗体が本明細書で開示される。CXCR5抗体を作製する方法、これらの抗体を含む組成物、及びこれらの抗体を使用する方法が提供される。
【0213】
フコシル化及びアフコシル化されたCXCR5と結合する抗体が提供される。一部の実施形態において、CXCR5と結合する抗体を形成することが可能なアフコシル化された抗体の重鎖及び軽鎖も提供される。一部の実施形態において、1つ以上の特定の相補性決定領域(CDR)を含むアフコシル化された抗体の重鎖及び軽鎖が提供される。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、変更されたエフェクター機能を有する。一部の実施形態において、本発明の抗体は、本発明のフコシル化されていること以外は同一な抗CXCR5抗体と比べて、増強されたADCC活性を有する。
【0214】
CXCR5と結合する抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドが提供される。抗体の重鎖又は軽鎖をコードするポリヌクレオチドも提供される。フコシル化及び/又はアフコシル化された抗CXCR5抗体を発現する宿主細胞が提供される。CXCR5に対するアフコシル化及びフコシル化された抗体を使用する治療方法が提供される。このような方法は、これらの疾患に限定されるものではないが、炎症性疾患及び免疫疾患を含む、CXCR5発現及び/又はCXCL13への結合に関連するか又はそれによって媒介される疾患を治療する方法を含むが、これらの方法に限定されるものではない。
【0215】
本明細書において使用される章の見出しは、単に系統化する目的のためであり、記載された主題を制限するものとして解釈されないものとする。
【0216】
特許出願、特許公報及びGenbank受託番号を含む本明細書において引用された全ての参考文献は、それぞれ個々の参考文献が、参照によりその全体が組み入れられると具体的に個別に示されたかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0217】
本明細書に記載又は参照される技術及び手順は、当業者に全般的によく理解されており、一般的に、従来の方法を使用して、例えば、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd. edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, et al. eds., (2003)); the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.): PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M. J. MacPherson, B. D. Hames and G. R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL, and ANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, ed. (1987)); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellis, ed., 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R. I. Freshney), ed., 1987); Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P. E. Roberts, 1998) Plenum Press; Cell and Tissue Culture Laboratory Procedures (A. Doyle, J. B. Griffiths, and D. G. Newell, eds., 1993-8) J. Wiley and Sons; Handbook of Experimental Immunology (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. M. Miller and M. P. Calos, eds., 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al, eds., 1994); Current Protocols in Immunology (J. E. Coligan et al, eds., 1991); Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999); Immunobiology (C. A. Janeway and P. Travers, 1997); Antibodies (P. Finch, 1997); Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989); Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000); Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999)); The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995);及びCancer: Principles and Practice of Oncology (V. T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 1993);並びにそれらのアップデートされたバージョンに記載される広く利用される手法などを使用して利用される。
【0218】
CXCR5抗体は、フコシル化されたか又はアフコシル化されたかにかかわらず、CXCR5活性によって引き起こされる、及び/又はそれに関連する疾患、障害又は状態の予防、治療、及び/又は緩和に使用することができる。本明細書で開示された教示を用いれば当業者により理解されると予想されるとおり、このような疾患、障害又は状態としては、これらに限定されるものではないが、炎症性応答、例えば全身性エリテマトーデス(SLE);慢性炎症性応答;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ;糖尿病(例えばI型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年型糖尿病;結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎で典型的に見出される、サイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅延型過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(これらに限定されるものではないが、クリオグロブリン血症又はクームス陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット(Bechet)病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性ニューロパシー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本甲状腺炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ブドウ膜網膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連の不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張性、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位、エメリー-ドレフュス型)が挙げられ、膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞性白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖が制御される。
【0219】
I.定義
本発明は、以下の本発明の例示的な実施形態の詳細な説明及びそこに含まれる例を参照することによって、より容易に理解することができる。
【0220】
別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語や科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含め本明細書を優先させる。
【0221】
さらに、文脈上別段の要求がなされない限り、又は明示的に示されない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0222】
本明細書に記載される発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことが理解される。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、別段の指定がない限り、複数形の指示物を含む。
【0223】
本出願において、「又は」の使用は、明示的に述べられているか、又は当業者が認識している場合を除き、「及び/又は」を意味する。多数の従属請求項の文脈において、「又は」の使用は、1つより多くの先行する独立又は従属請求項に戻って参照する。
【0224】
「約」又は「およそ」は、測定可能な数の可変値と共に使用される場合、可変値の示された値を指し、さらに、示された値の実験誤差(例えば平均に関して95%信頼区間)又は示された値の10パーセントのうちどちらか大きい方の値以内の可変値の全ての値を指す。数値範囲は、範囲を定める数も含む。
【0225】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体的な例に記載の数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、本来的に、それらそれぞれの試験測定で見出される標準偏差から必然的に生じる一定のエラーを含む。さらに、本明細書で開示される全ての範囲は、そこに含まれるありとあらゆる部分範囲を包含することが理解されるものとする。例えば、「1~10」と記述された範囲は、最小値1と最大値10との間(それらの値を含む)のありとあらゆる部分範囲、すなわち、最小値1又はそれより大きい値、例えば1から6.1から始まり、最大値10又はそれより小さい値、例えば5.5から10で終わる全ての部分範囲を含むとみなされるべきである。
【0226】
明細書及び特許請求の範囲にわたり、「含む(comprise)」という語又は「含む(comprises)」若しくは「含むこと(comprising)」などの変化形は、述べられている整数又は整数の群の包含を意味するが、他のいずれの整数又は整数の群も排除されないことが理解されるものとする。文脈上別段の要求がなされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。用語「例えば」に続くいずれの例も、網羅的又は限定であることを意図されない。
【0227】
本明細書において実施形態が「含む」という言語で記載される場合はいつでも、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語で記載されること以外は類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0228】
本発明の態様又は実施形態が、マーカッシュグループ又は選択肢の他のグループ分けの形態で記載される場合、本発明は、総じて列挙されたグループ全体を包含するだけでなく、グループの各メンバーを個々に、さらに、主要なグループのあらゆる可能なサブグループに加えて、グループのメンバーの1つ以上が欠けた主要なグループも包含する。本発明はまた、特許請求された発明におけるグループのメンバーのいずれかの1つ以上の明示的な排除も想定する。
【0229】
本明細書において使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、限定を意図しないことが理解されると予想される。本明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義される多数の用語について述べるものとする。
【0230】
用語「単離された分子」(ここで分子は、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は抗体若しくはそのフラグメントである)は、その起源又は由来に基づき、(1)その自然の状態でそれと共に存在する天然に付随する成分と付随していない分子、(2)同じ種由来の他の分子を実質的に含まない分子、(3)異なる種由来の細胞によって発現される分子、又は(4)天然に存在しない分子である。したがって、化学的に合成された分子、又はその天然の由来となる細胞と異なる細胞系で発現された分子は、その天然に付随する成分から「単離された」ということになる。分子はまた、当業界において周知の精製技術を使用する単離によって、天然に付随する成分を実質的に含まないようにすることもできる。分子の純度又は均一性は、当業界において周知の多数の手段によってアッセイすることができる。例えば、ポリペプチドサンプルの純度は、当業界において周知の技術を使用してポリアクリルアミドゲル電気泳動及びポリペプチドを可視化するためのゲルの染色を使用してアッセイすることができる。特定の目的のために、HPLC又は精製分野において周知の他の手段を使用することによって、より高度な分解能を提供することができる。
【0231】
「実質的に純粋な」は、本明細書で使用される場合、目的の種が、存在する優勢種である(すなわち、モル単位で、それが組成物中で他のいずれの個々の種より豊富である)ことを意味し、好ましくは、実質的に精製した画分は、目的の種(例えば、抗体又は受容体を含む糖タンパク質)が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50パーセント(モル単位で)を構成する組成物であることを意味する。一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80パーセントより多く、より好ましくは、約85%、90%、95%及び99%より多くを構成すると予想される。最も好ましくは、目的の種は、組成物が単一の高分子種から本質的になる必須の均一性(従来の検出方法では組成物中に汚染種を検出できない)に精製される。特定の実施形態において、実質的に純粋な材料は、少なくとも50%純粋であり(すなわち、汚染物質を含まない)、より好ましくは、少なくとも90%純粋であり、より好ましくは、少なくとも95%純粋であり、さらにその上より好ましくは、少なくとも98%純粋であり、最も好ましくは、少なくとも99%純粋である。
【0232】
用語「同一性」は、当業界で公知のように、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。当業界において、「同一性」はまた、場合によっては、ヌクレオチド又はアミノ酸配列のストリング間の一致する対によって決定される、ポリペプチド又は核酸分子配列間における配列の関連の程度も意味する。「同一性」は、ギャップアライメントがコンピュータープログラムの特定の数学モデル(すなわち「アルゴリズム」)によって割り当てられた2つ以上の配列間の同一な一致する対のパーセントを測定する。
【0233】
用語「類似性」は、関連する概念であるが、「同一性」とは対照的に、同一な一致する対と保存的置換の一致する対の両方を含む類似性の尺度を指す。保存的置換はポリペプチドに適用され、核酸分子に適用されないため、類似性は、ポリペプチド配列比較でのみ論じられる。2つのポリペプチド配列が、例えば、20個のうち10個の同一なアミノ酸を有し、残りが全て非保存的置換である場合、同一性及び類似性パーセントは、両方とも50%になる。同じ例において、保存的置換が存在する位置がさらに5個ある場合、同一性パーセントは50%のままであるが、類似性パーセントは75%(20個のうち15個)になる。それゆえに、保存的置換が存在する場合において、2つのポリペプチド配列間の類似性の程度は、それら2つの配列間の同一性パーセントより高くなる。
【0234】
本発明によるポリペプチド又は抗体の「フラグメント」又は「部分」は、短縮化によって、例えばポリペプチドのN及び/又はC末端の終端から1つ以上のアミノ酸を除去することによって作製することができる。この方法で、10個まで、20個まで、30個まで、40個まで、又はそれより多くのアミノ酸を、N及び/又はC末端から除去してもよい。またフラグメント又は部分は、1つ以上の内部欠失によって生成することもできる。
【0235】
バリアント抗体は、上記で論じられた特定の配列及びフラグメントからの、1、2、3、4、5、10個まで、20個まで、30個まで、又はそれより多くのアミノ酸置換及び/又は欠失及び/又は挿入を含んでいてもよい。「欠失」バリアントは、個々のアミノ酸の欠失、2、3、4又は5アミノ酸などのアミノ酸の小さいグループの欠失、又はそれより大きいアミノ酸領域の欠失、例えば特定のアミノ酸ドメイン又は他の特徴の欠失を含んでいてもよい。「挿入」バリアントは、個々のアミノ酸の挿入、2、3、4又は5アミノ酸などのアミノ酸の小さいグループの挿入、又はそれより大きいアミノ酸領域の挿入、例えば特定のアミノ酸ドメイン又は他の特徴の挿入を含んでいてもよい。「置換」バリアントは、好ましくは、1つ以上のアミノ酸の同じ数のアミノ酸で置き換えること、及び保存的アミノ酸置換を作製することを含む。例えば、アミノ酸は、類似の特性を有する代替アミノ酸、例えば、別の塩基性アミノ酸、別の酸性アミノ酸、別の中性アミノ酸、別の荷電アミノ酸、別の親水性アミノ酸、別の疎水性アミノ酸、別の極性アミノ酸、別の芳香族アミノ酸又は別の脂肪族アミノ酸で置換されていてもよい。好適な置換基を選択するのに使用できる20種の主要アミノ酸の一部の特性は、以下のとおりである。
【0236】
置換バリアントは、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されたものである。置換変異誘発のための最も関心の高い部位としては、高度可変領域が挙げられるが、フレームワークの変更も企図される。表1の「保存的置換」の項目の下に、保存的置換を示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、以下に示される、又はアミノ酸クラスへの言及でさらに後述されるような、「代表的置換」と称されるより実質的な変化が導入されてもよく、生成物をスクリーニングしてもよい。
【0237】
【表1】
【0238】
抗体の生物学的な特性における実質的な改変は、(a)例えばβシート若しくはヘリックスのコンフォメーションとしての、置換のエリアにおけるポリペプチドバックボーンの構造、(b)標的部位における分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持することに対するそれらの作用が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づく以下のグループに分けられる:
i.非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
ii.極性、電荷なし:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
iii.酸性(負電荷を有する):Asp、Glu;
iv.塩基性(正電荷を有する):Lys、Arg;
v.鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;及び
vi.芳香族:Trp、Tyr、Phe、His。
【0239】
非保存的置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーを別のクラスで交換することによってなされる。
【0240】
例えば、作製が可能な置換の1つのタイプは、例えば、これらに限定されるものではないがアラニン又はセリンなどの別の残基に化学的に反応性を有し得る、抗体中の1つ以上のシステインを変化させることである。例えば、標準的ではないシステインの置換が存在していてもよい。置換は、可変ドメインのCDR若しくはフレームワーク領域、又は抗体の定常領域中に作製することができる。一部の実施形態において、システインは、標準的である。また、抗体の適正なコンフォメーションの維持に関与しないあらゆるシステイン残基が、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を予防するために、一般的にセリンで置換されていてもよい。逆に言えば、特に抗体がFvフラグメントなどの抗体フラグメントである場合、その安定性を改善するために、システイン結合が抗体に追加されてもよい。
【0241】
「抗体」は、免疫グロブリン分子であって、免疫グロブリン分子の可変領域に配置された少なくとも1つの抗原認識部位を介して、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的への特異的な結合が可能なものである。この用語は、本明細書で使用される場合、無傷のポリクローナル又はモノクローナル抗体だけでなく、別段の規定がない限り、特異的な結合について無傷抗体と競合するそのあらゆる抗原結合フラグメント、抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のあらゆる改変された立体配置も包含する。抗原結合フラグメントとしては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメ及びラクダ抗体)、相補性決定領域(CDR)を含むフラグメント、単鎖可変フラグメント抗体(scFv)、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びビス-scFv、及び少なくとも、ポリペプチドに特異的な抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンのフラグメントを含有するポリペプチドが挙げられる。抗体は、IgG、IgA又はIgM(又はそれらのサブクラス)などのあらゆるクラスの抗体を含み、抗体は、必ずしもいずれの特定のクラスに属しているとは限らない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列によっては、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り振られる場合もある。免疫グロブリンには、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのうちいくつかはさらに、サブクラス(アイソタイプ)に、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA及びIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの様々なクラスのサブユニット構造及び3次元立体配置は周知である。
【0242】
抗体の「抗原結合部位」又は「抗原結合フラグメント」という用語(又は単に「抗体部分」)は、本明細書で同義的に使用される場合、抗原(例えば、CXCR5)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。全長抗体のフラグメントによって、抗体の抗原結合機能が実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる1価フラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む2価フラグメントである、F(ab’)2フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);並びに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド結合したFv(dsFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体及びイントラボディが挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VL及びVHは別の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え方法を使用して、それらをVL及びVH領域が対になって1価分子を形成する単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知)にすることを可能にする合成リンカーによって接合することができる;例えば、Bird et al. Science 242:423-426 (1988)及びHuston et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883 (1988)を参照されたい)。またこのような単鎖抗体も、抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含されることが意図される。単鎖抗体の他の形態、例えばダイアボディも包含される。ダイアボディは、2価の二重特異性抗体であって、VH及びVLドメインが、単一のポリペプチド鎖上に発現されるが、同じ鎖上での2つのドメイン間で対を形成するには短すぎるリンカーが使用されており、それによりドメインを別の鎖の相補的ドメインと対を形成させ、2つの抗原結合部位が作り出されるものである(例えば、Holliger et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993);Poljak et al., 1994, Structure 2:1121-1123を参照)。
【0243】
抗体は、例えば、これらに限定されるものではないが、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウスなどのあらゆる哺乳動物由来であってもよいし、又は鳥類(例えばニワトリ)、魚類(例えば、サメ)及びラクダ科動物(例えば、ラマ)などの他の動物由来であってもよい。
【0244】
抗体の「可変領域」は、抗体の軽鎖(VL)の可変領域又は抗体の重鎖(VH)の可変領域のいずれか単独、又は組合せを指す。当業界で公知のように、重鎖及び軽鎖の可変領域はそれぞれ、高度可変領域(HVR)としても公知の3つの「相補性決定領域(CDR)」によって接続される4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。特にCDR領域の外側の(すなわち、フレームワーク領域中の)アミノ酸残基中に置換を有する対象の可変領域のバリアントが望ましい場合、適切なアミノ酸置換、好ましくは保存的アミノ酸置換は、対象の可変領域を、対象の可変領域と同じ標準的なクラス内のCDR1及びCDR2配列を含有する他の抗体の可変領域と比較することによって同定することができる(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196(4): 901-917, 1987)。
【0245】
特定の実施形態において、CDRの決定的な区画及び抗体の結合部位を含む残基の同定は、抗体の構造解析及び/又は抗体-リガンド複合体の構造解析によって達成される。特定の実施形態において、これはX線結晶学などの当業者公知の様々な技術のいずれかによって達成することができる。特定の実施形態において、CDR領域を同定又は推定するために、様々な分析方法を利用することができる。特定の実施形態において、CDR領域を同定又は推定するために、様々な分析方法を利用することができる。このような方法の例としては、これらに限定されるものではないが、Kabatの定義、Chothiaの定義、AbMの定義、接触の定義、及びコンフォメーションの定義が挙げられる。
【0246】
Kabatの定義は、抗体における残基の番号付けの標準であり、典型的にはCDR領域を同定するのに使用される。例えば、Johnson & Wu, 2000, Nucleic Acids Res., 28: 214-8を参照されたい。Chothiaの定義は、Kabatの定義に類似しているが、Chothiaの定義は、特定の構造的なループ領域の位置を考慮に入れる。例えば、Chothia et al., 1986, J. Mol. Biol., 196: 901-17;Chothia et al., 1989, Nature, 342: 877-83を参照されたい。AbMの定義は、抗体構造をモデル化するOxford Molecular Groupによって生産された統合された一組のコンピュータープログラムを使用する。例えば、Martin et al., 1989, Proc Natl Acad Sci (USA), 86:9268-9272; “AbM(商標), A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies,” Oxford, UK; Oxford Molecular, Ltdを参照されたい。AbMの定義は、知識データベースの組合せ及び非経験的方法、例えばSamudrala et al., 1999, “Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach,” in PROTEINS, Structure, Function and Genetics Suppl., 3:194-198によって記載されたものを使用して、一次配列から抗体の三次構造をモデル化する。
【0247】
接触の定義は、入手可能な複合体結晶構造の分析に基づく。例えば、MacCallum et al., 1996, J. Mol. Biol., 5:732-45を参照されたい。本明細書でCDRの「コンフォメーションの定義」として言及された別のアプローチにおいて、CDRの位置は、抗原結合へのエンタルピー的な寄与をもたらす残基として同定することができる。例えば、Makabe et al., 2008, Journal of Biological Chemistry, 283:1156-1166を参照されたい。さらに他のCDR境界の定義は、厳密には上記のアプローチの1つに従っていない場合もあるが、それでもKabatのCDRの少なくとも一部とオーバーラップすると予想され、ただしそれらは、特定の残基又は残基のグループが顕著に抗原結合に影響を与えないという予測又は実験的発見の観点で短くされる場合もあれば、又は長くされる場合もある。CDRは、本明細書で使用される場合、アプローチの組合せも含め当業界において公知のいずれかのアプローチによって定義されるCDRを指す場合もある。本明細書で使用される方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。1つより多くのCDRを含有するあらゆる所与の実施形態に関して、CDRは、Kabat、Chothia、拡張(extended)、AbM、接触、及び/又はコンフォメーションの定義のいずれかに従って定義することができる。
【0248】
「接触残基」は、本明細書においてそれにより特異的に結合した抗体又は抗原に関して使用される場合、同族の抗体/抗原上に存在するアミノ酸残基の重原子の4Å以下の範囲内である少なくとも1つの重原子(すなわち、水素ではない)を含む抗体/抗原上に存在するアミノ酸残基を指す。
【0249】
「フレームワーク」(FR)残基は、CDR残基以外の抗体可変ドメイン残基である。VH又はVLドメインフレームワークは、4つのフレームワーク下位領域、FR1、FR2、FR3及びFR4を含み、以下の構造:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4で、CDRが散在する。
【0250】
本明細書においてこれまでに述べたように、可変ドメイン中の残基は、典型的に、抗体の編集(compilation)の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムであるKabatに従って番号付けされる。Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.を参照されたい。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはCDRの短縮化、又はそれへの挿入に対応するより少ない若しくは追加のアミノ酸を含有する場合がある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸インサート(Kabatに従って残基52a)を含んでいてもよく、重鎖FR残基82の後に残基(例えばKabatに従って残基82a、82b及び82c)が挿入されていてもよい。残基のKabatの番号付けは、所与の抗体の配列の相同性を有する領域で「標準」のKabatで番号付けされた配列とアライメントすることによって、その抗体に対して決定することができる。Kabatの番号付けを割り当てる様々なアルゴリズムが利用可能である。Abysisのバージョン2.3.3リリース(www.abysis.org)でインプリメントされるアルゴリズムは、可変領域CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H2及びCDR-H3にKabatの番号付けを割り当てるのに使用でき、次いでAbMの定義は、CDR-H1に使用できる。
【0251】
「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在する可能性がある存在し得る天然に存在する突然変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原性部位に向けられることから、高度に特異的である。さらに、典型的に異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られたという抗体の特徴を示し、いずれの特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されないものとする。例えば、本発明に従って使用され得るモノクローナル抗体は、最初にKohler and Milstein, 1975, Nature 256:495によって記載されたハイブリドーマ方法によって作製してもよいし、又は例えばUS4816567に記載されるような組換えDNA方法によって作製してもよい。またモノクローナル抗体は、例えば、McCafferty et al., 1990, Nature 348:552-554に記載される技術を使用して生成したファージライブラリーから単離することもできる。「ヒト化」抗体は、本明細書で使用される場合、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はそれらのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)又は抗体の他の抗原結合部分配列)である非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントのCDRからの残基が、望ましい特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ヒト化抗体は、レシピエント抗体でも移入したCDR又はフレームワーク配列でも見出されないが、さらに抗体の性能を洗練及び最適化するために含まれる残基を含んでいてもよい。
【0252】
本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、親和性成熟であり得る。例えば、親和性成熟抗体は、当業界において公知の手順によって産生することができる(Marks et al., 1992, Bio/Technology, 10:779-783;Barbas et al., 1994, Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813;Schier et al., 1995, Gene, 169:147-155;Yelton et al., 1995, J. Immunol., 155:1994-2004;Jackson et al., 1995, J. Immunol., 154(7):3310-9;Hawkins et al., 1992, J. Mol. Biol., 226:889-896及びWO2004/058184)。
【0253】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/又は本明細書で開示されるようにヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製されたものである。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に排除する。
【0254】
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来である抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体、又はその逆の抗体を指すことが意図される。この用語はまた、1つの種からの1つの個体(例えば、第1のマウス)由来のV領域及び同じ種からの別の個体(例えば、第2のマウス)由来の定常領域を含む抗体も包含する。
【0255】
用語「抗原(Ag)」は、Agを認識する抗体(Ab)を産生するための、又は発現ライブラリー(例えば、とりわけ、ファージ、酵母若しくはリボソームディスプレイライブラリー)をスクリーニングするための、免疫応答性を有する脊椎動物の免疫化に使用される分子実体を指す。本明細書において、Agは、広い範囲で名付けられ、一般的に、Abによって特異的に認識される標的分子を含むことが意図されており、したがって、Abを発生させる免疫化プロセスで、又はAbを選択するためのライブラリーのスクリーニングで使用される分子のフラグメント又は模擬体を含む。したがって、本発明のCXCR5に結合する抗体に関して、それらの単量体及び多量体、例えば二量体、三量体などを含む哺乳類種(例えば、ヒト、サル、マウス及びラットCXCR5)由来の全長CXCR5、加えて、CXCR5の短縮化及び他のバリアントが、抗原と称される。
【0256】
一般的に、用語「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物又は脂質など)のエリア又は領域、すなわち、抗体と物理的に接触するエリア又は領域を指す。したがって、用語「エピトープ」は、抗体の抗原結合領域の1つ以上において抗体によって認識され抗体と結合することが可能な分子の一部を指す。典型的に、エピトープは、「抗体又はその抗原結合フラグメント」(Ab)と、その対応する抗原との分子相互作用との関連で定義される。エピトープはしばしば、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の表面集団からなり、特異的な3次元の構造的特徴に加えて特異的な電荷の特徴を有する。一部の実施形態において、エピトープは、タンパク質エピトープであり得る。タンパク質エピトープは、リニアであってもよいし、又はコンフォメーションであってもよい。リニアエピトープにおいて、タンパク質と相互作用する分子(例えば抗体)との相互作用点の全てが、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線的に存在する。「非リニアエピトープ」又は「コンフォメーショナルエピトープ」は、エピトープに特異的な抗体が結合する抗原性タンパク質内に非連続のポリペプチド(又はアミノ酸)を含む。用語「抗原エピトープ」は、本明細書で使用される場合、当業界において周知のあらゆる方法によって、例えば従来のイムノアッセイによって決定される場合、抗体が特異的に結合できる抗原の部分と定義される。あるいは、発見プロセス中、抗体の生成及び特徴付けは、望ましいエピトープに関する情報を明瞭にすることができる。この情報から、同じエピトープへの結合について抗体を競合的にスクリーニングすることが可能になる。これを達成するためのアプローチは、競合及び交差競合研究を実行して、CXCR5への結合について競合又は互いに交差競合する抗体、例えば、抗原への結合について競合する抗体を発見することである。
【0257】
エピトープと「優先的に結合する」又は「特異的に結合する」抗体(本明細書で同義的に使用される)は、当業界でよく理解されている用語であり、このような特異的又は優先的な結合を決定する方法も当業界において周知である。分子が、代替の細胞又は物質との反応又は会合と比べて、特定の細胞又は物質と、より高頻度で、より迅速に、より長い期間にわたり、及び/又はより大きい親和性で反応又は会合する場合、その分子は、「特異的な結合」又は「優先的な結合」を示すと言われる。抗体が、他の物質に結合する場合と比べて、より大きい親和性、結合活性で、より容易に、及び/又はより長い期間にわたり結合する場合、その抗体は、標的と「特異的に結合する」又は「優先的に結合する」。また、抗体がサンプル中に存在する他の物質に結合する場合と比べて、抗体が、サンプル中の標的に、より大きい親和性、結合活性で、より容易に、及び/又はより長い期間にわたり結合する場合も、その抗体は、その標的と「特異的に結合する」又は「優先的に結合する」。例えば、CXCR5エピトープに特異的又は優先的に結合する抗体は、抗体が他のCXCR5エピトープ又は非CXCR5エピトープに結合する場合と比べて、より大きい親和性、結合活性で、より容易に、及び/又はより長い期間にわたりこのエピトープと結合する抗体である。またこの定義を読めば、例えば、第1の標的に特異的又は優先的に結合する抗体(又は部分又はエピトープ)は、第2の標的に特異的又は優先的に結合する場合もあるし、又はそうではない場合もあることも理解される。そのようなものとして、「特異的な結合」又は「優先的な結合」は、必ずしも独占的な結合を必要とするとは限らない(しかしながらそれを含む場合もある)。一般的に、ただし必ずしもその限りではないが、結合への言及は、優先的な結合を意味する。「特異的な結合」又は「優先的な結合」は、特異的な分子を認識し、それと結合するが、実質的にサンプル中の他の分子を認識したり又はそれと結合したりしない、化合物、例えば、タンパク質、核酸、抗体などを含む。例えば、サンプル中の同族のリガンド又は結合パートナーを認識し、それと結合するが、実質的にサンプル中の他の分子を認識したり、又はそれと結合したりしない抗体又はペプチド受容体(例えば、CXCR5と結合する抗CXCR5抗体)は、その同族のリガンド又は結合パートナーに特異的に結合する。したがって、指示されたアッセイ条件下で、特定された結合部分(例えば、抗体若しくはその抗原結合フラグメント又はそれらの受容体若しくはリガンド結合フラグメント)は、特定の標的分子と優先的に結合し、試験サンプル中に存在する他の成分と有意な量で結合しない。
【0258】
目的の分子と特異的に結合する抗体又はペプチドを選択するために、様々なアッセイ様式を使用することができる。同族のリガンド又は結合パートナーと特異的に結合する、抗原又は受容体と特異的に反応する抗体又はそれらのリガンド結合フラグメントを同定するのに使用できる多くのアッセイのなかでも、例えば、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降、Biacore(商標)(GE Healthcare, Piscataway, NJ)、KinExA、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、Octet(商標)(ForteBio, Inc., Menlo Park, CA)及びウェスタンブロット分析が挙げられる。特異的又は選択的な反応は、典型的には、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍、より典型的には、それより10倍大きいバックグラウンド、さらにより典型的には、それより50倍大きいバックグラウンド、より典型的には、それより100倍大きいバックグラウンド、さらにより典型的には、それより500倍大きいバックグラウンド、さらにより典型的には、それより1000倍大きいバックグラウンド、及びさらにより典型的には、それより10,000倍大きいバックグラウンドと予想される。加えて、抗体は、平衡解離定数(K)が、≦1μM、好ましくは、≦100nM、より好ましくは、≦10nM、さらにより好ましくは、≦100pM、さらにその上より好ましくは、≦10pM、さらにより好ましくは、≦1pMである場合、抗原と「特異的に結合する」と言われる。一部の実施形態において、抗体は、平衡解離定数(K)が≦7nMである場合、抗原と「特異的に結合する」と言われる。
【0259】
用語「結合親和性」は、本明細書において、2つの分子間、例えば抗体又はそのフラグメントと抗原との非共有結合相互作用の強度の尺度として使用される。用語「結合親和性」は、1価相互作用(固有の活性)を記載するために使用される。
【0260】
加えて、CXCR5を発現する細胞へのCXCR5抗体の結合親和性を決定するために、細胞結合実験を実行して、見かけの親和性を決定することができる。標的を発現する細胞への抗体結合の見かけの親和性は、フローサイトメトリーによって抗原結合集団の幾何平均蛍光強度(gMFI)を定量化する平衡結合滴定曲線のEC50として計算することができる。
【0261】
1価相互作用を介した、2つの分子間の、例えば抗体又はそのフラグメントと、抗原との間の、結合親和性は、解離定数(K)の決定によって定量化することができる。順に、Kは、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)方法(Biacore)を使用して、複合体の形成及び解離の反応速度の測定によって決定することができる。1価複合体の会合及び解離に対応する速度定数は、それぞれ、会合速度定数k(又はkon)及び解離速度定数k(又はkoff)と称される。Kは、式 K=k/kにより、k及びkと関連する。解離定数の値は、周知の方法によって直接決定でき、例えば、Caceciら(1984, Byte 9: 340-362)に記載の方法などの方法によれば、複合体混合物であってもコンピューターで計算することができる。例えば、Kは、二重フィルターニトロセルロースフィルター結合アッセイ、例えばWong & Lohman (1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5428-5432)によって開示されたものを使用して確立することができる。標的抗原に対する抗体などのリガンドの結合能力を評価するための他の標準的なアッセイは、当業界において公知であり、例えば、ELISA、ウェスタンブロット、RIA、及びフローサイトメトリー分析、及び本明細書で例示される他のアッセイなどが挙げられる。抗体の結合速度論及び結合親和性はまた、当業界において公知の標準的なアッセイ、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)によって、例えばBiacore(商標)システム、又はKinExAを使用することによっても査定することができる。
【0262】
競合結合アッセイを実行することができ、それにおいて、抗原への抗体の結合は、標的の別のリガンド、例えば他の状況において標的と結合する別の抗体又は可溶性受容体によるその標的の結合と比較される。50%阻害が起こる濃度は、Kとして公知である。理想的な条件下で、Kは、Kに等しい。K値は、決してKより低くはならないため、Kの測定値を都合よく置き換えて、Kの上限を提供することができる。
【0263】
上記の定義に従って、異なる分子の相互作用に関連する結合親和性、例えば、所与の抗原に対する異なる抗体の結合親和性の比較は、個々の抗体/抗原複合体ごとのK値の比較によって比較することができる。抗体又は他の結合パートナーのK値は、当業界において十分に確立されている方法を使用して決定することができる。Kを決定するための1つの方法は、表面プラズモン共鳴を使用することによるものであり、典型的にはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムが使用される。
【0264】
同様に、相互作用の特異性は、目的の相互作用、例えば抗体と抗原との特異的な相互作用に関するK値を決定し、それを目的ではない相互作用、例えばCXCR5と結合しないことがわかっている対照抗体のK値と比較することによって査定することができる。
【0265】
その標的と特異的に結合する抗体は、高い親和性で、すなわち、上記で論じられたように低いKを示す親和性でその標的と結合することができ、それより低い親和性で他の非標的分子に結合することができる。例えば、抗体は、非標的分子に、1×10-6M以上、より好ましくは1×10-5M以上、より好ましくは1×10-4M以上、より好ましくは1×10-3M以上、さらにより好ましくは1×10-2M以上のKで結合することができる。本発明の抗体は、その標的に、好ましくは、その別の非CXCR5分子への結合の親和性の、少なくとも2倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍若しくは10,000倍又はそれより大きい倍率の親和性で結合することができる。
【0266】
用語「競合する」は、本明細書で抗体に関して使用される場合、第1の抗体又はその抗原結合フラグメントが、第2の抗体又はその抗原結合フラグメントの結合と十分に類似する方式でエピトープに結合し、その結果、第1の抗体とその同族のエピトープとの結合の結果が、第2の抗体の非存在下における第1の抗体の結合と比較して第2の抗体の存在下で検出可能に減少することを意味する。しかしながら、第2抗体とそのエピトープとの結合も第1の抗体の存在下で検出可能に減少する他方の例は、必ずしもそれに当てはまらない可能性がある。すなわち、第1の抗体は、第2の抗体のそのエピトープへの結合を阻害することができ、その第2の抗体は、第1の抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害しない。しかしながら、各抗体が、他の抗体のその同族のエピトープ又はリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合、同程度か、より大きい、又はより小さい程度かにかかわらず、その抗体は、それらそれぞれのエピトープの結合について互いに「交差競合する」と言われる。競合及び交差競合する抗体のどちらも本発明に包含される。このような競合又は交差競合が起こるメカニズム(例えば、立体障害、コンフォメーション変化、又は共通のエピトープ又はその一部への結合)に関係なく、当業者は、本明細書で提供される教示に基づき、このような競合及び/又は交差競合する抗体が包含され、本明細書で開示される方法にとって有用な可能性があることを理解していると予想される。
【0267】
標準的な競合アッセイを使用して、2つの抗体が互いに競合するかどうかを決定することができる。抗体競合に関する1つの好適なアッセイは、Biacore技術の使用を含み、これは、典型的にはバイオセンサーシステム(例えばBIACORE(登録商標)システム)を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用して、相互作用の程度を測定することができる。例えば、SPRをインビトロの競合結合阻害アッセイで使用して、ある抗体の第2の抗体の結合を阻害する能力を決定することができる。抗体競合を測定するための別のアッセイは、ELISAベースのアプローチを使用する。
【0268】
さらに、「ビニング」抗体のための、それらの競合に基づくハイスループットプロセスが、WO2003/048731に記載されている。ある抗体(又はフラグメント)が別の抗体(又はフラグメント)のCXCR5への結合を低減させる場合、競合が存在する。例えば、異なる抗体を逐次的に添加する逐次的な結合競合アッセイを使用することができる。第1の抗体は、飽和に近い結合に到達するまで添加することができる。次いで、第2の抗体が添加される。第2の抗体のCXCR5への結合が検出されないか、又は第1の抗体の非存在下における平行アッセイ(その値を100%と設定することができる)と比較して有意に低減されている(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%の低減)場合、2つの抗体は、互いに競合するとみなされる。
【0269】
加えて、例8に、いくつかの抗体のなかでも可能性のあるエピトープを査定するための、ヒト及びマウスCXCR5タンパク質間のドメインスワッピングを使用する例示的な抗体エピトープビニングアッセイを提供する。当業者は、本明細書で提供される教示を利用した、互いに関連する少なくとも2つの抗体の標的への結合を決定するのに使用できる当業界において公知の多種多様のアッセイがあることを理解していると予想され、このようなアッセイは本明細書に包含される。
【0270】
CXCR5抗体は、当業界において周知の方法を使用して特徴付けることができる。例えば、1つの方法は、それが結合するエピトープの同定、又は「エピトープマッピング」である。タンパク質上のエピトープの配置のマッピング及び特徴付けに関する当業界で公知の多くの方法があり、その例としては、抗体-抗原複合体の結晶構造解析、競合アッセイ、遺伝子フラグメント発現アッセイ、及び、例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1999の第11章に記載されるような、合成ペプチドベースのアッセイが挙げられる。追加の例において、エピトープマッピングを使用して、CXCR5抗体が結合する配列を決定することができる。エピトープマッピングは、様々な供給元から市販されており、例えば、Pepscan Systems (Edelhertweg 15, 8219 PH Lelystad, The Netherlands)から市販されている。エピトープは、リニアエピトープ、すなわち単一のアミノ酸ストレッチに含有されるエピトープであってもよく、又は必ずしも単一のストレッチに含有されていなくてもよいアミノ酸の3次元相互作用によって形成されるコンフォメーショナルエピトープであってもよい。様々な長さ(例えば、少なくとも4~6アミノ酸の長さ)のペプチドを単離又は合成することができ(例えば、組換えによって)、CXCR5抗体との結合アッセイに使用することができる。
【0271】
加えて、CXCR5抗体が結合するエピトープは、CXCR5配列由来のオーバーラップするペプチドを使用し、抗体による結合を決定することによる系統的なスクリーニングで決定することができる。遺伝子フラグメント発現アッセイによれば、CXCR5をコードするオープンリーディングフレームは、ランダムに、又は特定の遺伝学的構築のいずれかによって断片化でき、CXCR5の発現されたフラグメントの試験される抗体との反応性が決定される。遺伝子フラグメントは、例えばPCRによって産生でき、次いでインビトロにおいて転写され、放射性アミノ酸の存在下でタンパク質に翻訳できる。次いで抗体の放射標識されたCXCR5フラグメントへの結合は、免疫沈降及びゲル電気泳動によって決定される。
【0272】
特定のエピトープはまた、ファージ粒子(ファージライブラリー)又は酵母(酵母ディスプレイ)の表面上にディスプレイされたランダムペプチド配列の大規模なライブラリーを使用することによっても同定することができる。あるいは、オーバーラップするペプチドフラグメントの規定のライブラリーを、単純な結合アッセイで試験抗体への結合について試験してもよい。追加の例において、抗原の変異誘発、ドメインスワッピング実験及びアラニンスキャニング変異を実行して、エピトープ結合に必要な、十分な、及び/又は必須の残基を同定してもよい。例えば、アラニンスキャニング変異実験は、CXCR5ポリペプチドの様々な残基がアラニンで置き換えられた突然変異CXCR5を使用して実行することができる。突然変異CXCR5への抗体の結合を査定することによって、抗体結合への特定のCXCR5残基の重要性を査定することができる。
【0273】
CXCR5抗体を特徴付けるのに使用できるさらに別の方法は、同じ抗原に結合することがわかっている他の抗体、すなわちCXCR5上の様々なフラグメントとの競合アッセイを使用して、CXCR5抗体が、他の抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定することである。競合アッセイは当業者に周知である。
【0274】
さらに、所与の抗体/抗原結合対のエピトープは、様々な実験及びコンピューターによるエピトープマッピング方法を使用して、様々なレベルで詳細に定義及び特徴付けを行うことができる。実験的方法としては、変異誘発、X線結晶学、核磁気共鳴(NMR)分光法、水素/重水素交換質量分析(H/D-MS)及び当業界において周知の様々な競合結合方法が挙げられる。それぞれの方法が固有の原理に頼っているため、エピトープの説明は、それが決定された方法と密接に関連する。したがって、所与の抗体/抗原対のエピトープは、利用されるエピトープマッピング方法に応じて異なって定義されることになる。
【0275】
その最も詳細なレベルで、AgとAbとの相互作用に関するエピトープは、Ag-Ab相互作用に存在する原子の接触を定義する空間座標、加えてそれらの相対的な結合の熱力学への寄与に関する情報によって定義することができる。それほど詳細ではないレベルで、エピトープは、AgとAbとの原子の接触を定義する空間座標によって特徴付けることができる。さらにそれほど詳細ではないレベルで、特定の基準によって、例えばAb及びAg中の原子(例えば、重原子、すなわち非水素原子)間の距離によって定義されるようなエピトープが含むアミノ酸残基によって、エピトープを特徴付けてもよい。さらにそれほど詳細ではないレベルで、機能によって、例えば他のAbとの競合結合によってエピトープを特徴付けてもよい。エピトープはまた、より一般的には、別のアミノ酸による置換がAbとAgとの相互作用の特徴を変更すると予想されるアミノ酸残基を含むものとして定義することもできる(例えばアラニンスキャニングを使用して)。
【0276】
エピトープの説明及び定義は、使用されるエピトープマッピング方法に依存して異なるレベルの詳細で得られるという事実から、同じAgに対する異なるAbのエピトープの比較は、同様に異なるレベルの詳細で実行できるということになる。
【0277】
アミノ酸レベルで記載された、例えばX線構造から決定されたエピトープは、それらが同じアミノ酸残基のセットを含有する場合、同一であると言われる。少なくとも1つのアミノ酸がエピトープで共有されている場合、そのエピトープはオーバーラップしていると言われる。アミノ酸残基がエピトープで共有されていない場合、そのエピトープは別個である(固有である)と言われる。
【0278】
競合結合によって特徴付けられるエピトープは、対応する抗体の結合が相互排他的である、すなわち1つの抗体の結合が他の抗体の同時の又は連続的な結合を排除する場合、オーバーラップすると言われる。このようなエピトープは、抗原が両方の対応する抗体の結合を同時に受け入れることができる場合、別個である(固有である)と言われる。
【0279】
用語「パラトープ」の定義は、上記の「エピトープ」の定義から、視点を逆転させることによって得られる。したがって、用語「パラトープ」は、抗原と特異的に結合する抗体上のエリア又は領域、すなわち抗原(CXCR5)と接触する抗体上のアミノ酸残基を指し、「接触」は、本明細書で定義されたとおりである。
【0280】
所与の抗体/抗原対のエピトープ及びパラトープは、慣例的な方法によって同定することができる。例えば、エピトープの一般的な配置は、異なるフラグメント又はバリアントCXCR5ポリペプチドに結合する抗体の能力を査定することによって決定することができる。また、抗体と接触するCXCR5内の特異的なアミノ酸(エピトープ)及びCXCR5と接触する抗体中の特異的なアミノ酸(パラトープ)も、例に記載される方法などの慣例的な方法を使用して決定することができる。例えば、抗体及び標的分子は、組み合わせることができ、抗体/抗原複合体は、結晶化することができる。複合体の結晶構造を決定し、これを使用して、抗体とその標的との相互作用の特異的な部位を同定することができる。
【0281】
本発明による抗体は、本明細書で具体的に開示される本発明の抗体と同じCXCR5のエピトープ又はドメインに結合することができる。このような同定の目的に使用可能な分析及びアッセイとしては、例1~10に記載されるような生物学的活性アッセイ、及び抗体の結晶構造の分析における、CXCR5の結合についての目的の抗体とCXCR5受容体との競合を査定するアッセイが挙げられる。
【0282】
本発明の抗体は、本明細書に記載されるCXCR5への結合について本発明の別の抗体と競合又は交差競合する能力を有していてもよい。例えば、本発明の抗体は、CXCR5への、又は本明細書で開示された抗体と結合するCXCR5の好適なフラグメント又はバリアントへの結合について、本明細書に記載される抗体と競合又は交差競合し得る。
【0283】
すなわち、第1の抗体が、CXCR5への結合について第2の抗体と競合するが、第2の抗体が最初にCXCR5に結合すると競合しない場合、これは、第2の抗体と「競合する」とみなされる(一方向の競合ともいわれる)。どの抗体が最初にCXCR5に結合しているかに関係なく、抗体が別の抗体と競合する場合、その抗体は、CXCR5への結合について他の抗体と「交差競合する」。このような競合又は交差競合する抗体は、標準的な結合アッセイで、本発明の公知の抗体と競合/交差競合するそれらの能力に基づき同定することができる。例えば、SPR、例えばBiacore(商標)システムを使用することによるSPR、ELISAアッセイ又はフローサイトメトリーを使用して、競合/交差競合を実証することができる。このような競合/交差競合は、2つの抗体が同一な、オーバーラップする、又は類似するエピトープに結合することを示唆する可能性がある。
【0284】
それゆえに、本発明の抗体は、試験抗体が、標的分子上の結合部位について参照抗体と競合/交差競合できるかどうかを査定する結合アッセイを含む方法によって同定することができる。競合結合アッセイを行うための方法は、本明細書で開示され、及び/又は当業界において周知である。例えばそれらは、本発明の参照抗体を、抗体が標的分子に結合できる条件を使用して標的分子に結合させることを含んでいてもよい。次いで抗体/標的複合体を、試験抗体/第2の抗体に曝露させてもよく、試験抗体が、どれだけ抗体/標的複合体から本発明の参照抗体を置き換えることができるかの程度を査定してもよい。代替の方法は、抗体結合を可能にする条件下で、試験抗体を標的分子と接触させること、次いでその標的分子との結合が可能な本発明の参照抗体を添加すること、及び本発明の参照抗体が、どれだけ抗体/標的複合体から試験抗体を置き換えることができるのかの程度、又は標的に同時に結合できるのかの程度(すなわち、非競合抗体)を査定することを含んでいてもよい。
【0285】
本発明の参照抗体の標的への結合を阻害する試験抗体の能力は、試験抗体が、標的への結合について本発明の参照抗体と競合できること、したがって試験抗体が、本発明の参照抗体と同じ、又は実質的に同じ、CXCR5タンパク質上のエピトープ又は領域に結合することを実証する。このような方法で本発明の参照抗体と競合すると同定される試験抗体も、本発明の抗体である。試験抗体は、本発明の参照抗体と同じ領域でCXCR5と結合でき、さらに、本発明の参照抗体と競合できるという事実は、試験抗体が、本発明の抗体と同じ結合部位でリガンドとして作用し得ること、それゆえに試験抗体が、参照抗体の作用を模擬する可能性があり、したがって本発明の抗体であることを示唆する。これは、本明細書でより詳細に説明されるアッセイを使用して、試験抗体の存在下におけるCXCR5の活性を、参照抗体の存在下におけるCXCR5の活性と、それ以外の点で同一な条件下で比較することによって確認することができる。
【0286】
本発明の参照抗体は、本明細書に記載される抗体、例えば11G2、41A10、5H7、及びCXCR5に結合する能力を保持する本明細書に記載されるそれらのあらゆるバリアント又は部分であり得る。本発明の抗体は、本明細書に記載される参照抗体、又はCXCR5に結合する能力を保持する本明細書に記載されるそれらのあらゆるバリアント若しくは部分と同じエピトープに結合し得る。
【0287】
これまで本明細書で述べたように、特異的な結合は、標的ではない分子への抗体結合を参照して査定することができる。この比較は、標的に結合する抗体の能力と、別の分子に結合する抗体の能力とを比較することによってなされ得る。この比較は、K又はKの査定で上述したようになされ得る。このような比較で使用される他の分子は、標的分子ではないあらゆる分子であり得る。好ましくは、他の分子は、標的分子と同一ではない。好ましくは、標的分子は、標的分子のフラグメントではない。
【0288】
特異的な結合を決定するのに使用される他の分子は、構造又は機能の点で標的と関連していなくてもよい。例えば、他の分子は、関連していない材料又は環境中で添付する物質であり得る。
【0289】
特異的な結合を決定するのに使用される他の分子は、標的分子、すなわちCXCR5と同じインビボの経路に関与する別の分子であってもよい。本発明の抗体が、別のこのような分子よりCXCR5に対して特異性を有することを確実にすることによって、不要なインビボでの交差反応性を回避することができる。
【0290】
本発明の抗体は、標的分子に関連する一部の分子に結合する能力を保持し得る。
【0291】
あるいは、本発明の抗体は、特定の標的分子への特異性を有していてもよい。例えば、本発明の抗体は、本明細書に記載される1つの標的分子に結合できるが、本明細書に記載される異なる標的分子と結合しない場合があるか、又は顕著に低減された親和性でそれと結合する場合がある。例えば、全長成熟ヒトCXCR5は、標的として使用できるが、その標的に結合する抗体は、例えば他の種由来の他のCXCR5タンパク質、例えば他の哺乳類CXCR5に結合できない場合があるか、又はより低い親和性でそれと結合する場合がある。一部の実施形態において、抗体は、ヒト及びマウスCXCR5の両方に結合する。
【0292】
「Fc融合」タンパク質は、1つ以上のポリペプチドがFcポリペプチドに作動可能に連結されているタンパク質である。Fc融合体は、免疫グロブリンのFc領域を融合パートナーと組み合わせる。
【0293】
「天然配列のFc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を含む。「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって天然配列のFc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含むが、それでもなお天然配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持する。バリアントFc領域は、好ましくは、天然配列のFc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、例えば、天然配列のFc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、好ましくは、天然配列のFc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と、少なくとも約80%の配列同一性を有し、最も好ましくは、それと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは、それと、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有すると予想される。
【0294】
当業界で公知のように、抗体の「定常領域」は、抗体の軽鎖の定常領域又は抗体の重鎖の定常領域のいずれか単独、又は組合せを指す。
【0295】
用語「IgG Fc領域」、「Fc領域」、「Fcドメイン」及び「Fc」は、本明細書において同義的に使用される場合、IgG分子のパパイン消化により得られた結晶化可能なフラグメントと相関するIgG分子の部分を指す。この用語は、本明細書で使用される場合、第1の定常領域の免疫グロブリンドメインを排除した抗体の定常領域に関し、さらに、その領域の一部に関する。したがって、Fcは、IgA、IgD及びIgGの最後の2つの定常領域の免疫グロブリンドメイン、IgE及びIgMの最後の3つの定常領域の免疫グロブリンドメイン、並びにこれらのドメイン又はその一部へのフレキシブルなヒンジN末端を指す。IgA及びIgMの場合、Fcは、J鎖を含む場合がある。IgGの場合、Fcは、免疫グロブリンドメインのCγ2及びCγ3、並びにCγ1とCγ2との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、残基C226又はP230からそのカルボキシル末端までを含むと定義され、ここで番号付けは、Kabat et al., 1991に記載されるように、Edelman et al., 1969, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 63(1):78-85のEUインデックスに従う。典型的に、Fcドメインは、ヒトIgG1定常ドメインの約236~約447個のアミノ酸残基を含む。例示的なヒト野生型IgG1のFcドメインアミノ酸配列は、配列番号31に記載される。Fcポリペプチドは、この領域を単独で、又はこの領域を抗体又はその抗原結合フラグメントの状態で、又はFc融合タンパク質を指す場合もある。
【0296】
重鎖定常ドメインは、Fc領域を含み、CH1ドメイン及びヒンジ、加えて、IgG重鎖のCH2及びCH3(任意にIgA及びIgEのCH4)ドメインをさらに含む。
【0297】
「機能的なFc領域」は、天然配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害;貪食;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節などが挙げられる。このようなエフェクター機能は、一般的に、Fc領域を結合ドメイン(例えば抗体可変ドメイン又はその抗原結合フラグメント)と組み合わせることを必要とし、このような抗体エフェクター機能を評価するための当業界において公知の様々なアッセイを使用して査定することができる。
【0298】
「天然配列のFc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を含む。天然配列のヒトFc領域は、天然配列のヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);天然配列のヒトIgG2 Fc領域;天然配列のヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列のヒトIgG4 Fc領域、加えてそれらの天然に存在するバリアントを含む。
【0299】
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって天然配列のFc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。
【0300】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。一部の実施形態において、FcyRは、天然ヒトFcRである。一部の実施形態において、FcRは、IgG抗体(γ受容体)と結合するものであり、その例としては、FcyRI、FcyRII及びFcyRIIIサブクラスの受容体、加えて、それらの受容体の対立遺伝子バリアント及びオルタナティブスプライシングされた形態などが挙げられる。FcyRII受容体としては、FcyRIIA(「活性化受容体」)及びFcyRIIB(「阻害受容体」)が挙げられ、これらは主としてそれらの細胞質内ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcyRIIAは、その細胞質内ドメイン中に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有し、阻害受容体FcyRIIBは、その細胞質内ドメイン中に免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含有する(例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel et ah, Immunomethods 4:25-34 (1994)及びde Haas et ah, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)で総論されている。他のFcRも、将来的に同定されるものも含め、本明細書において用語「FcR」に包含される。
【0301】
用語「Fc受容体」又は「FcR」はまた、新生児受容体、FcRnも包含し、これは、母体IgGの胎児への移行(Guyer et ah, J. Immunol. 117:587 (1976) Ghetie and Ward., Immunol. Today 18(12):592-598 (1997);Ghetie et ah, Nature Biotechnology, 15(7):637- 640 (1997);Hinton et ah, J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004);WO2004/092219(Hinton et al)を参照)。
【0302】
「エフェクター機能」は、抗体アイソタイプに応じて異なる抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例としては、Clq結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節;及びB細胞活性化が挙げられる。
【0303】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。特定の実施形態において、この細胞は、少なくともFcyRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、細胞傷害性T細胞及び好中球が挙げられる。エフェクター細胞は、自然のソースから、例えば血液から単離することもできる。
【0304】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えばNK細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌型Igにより、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が、抗原が結合している標的細胞に特異的に結合し、続いて標的細胞を細胞毒素で致死させることが可能になる、細胞傷害性の一形態を指す。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞は、FcyRIIIのみを発現するが、それに対して単球は、FcyRI、FcyRII及びFcyRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)の464頁の表3に要約される。目的の分子のADCC活性を査定するために、インビトロのADCCアッセイ、例えばUS5500362若しくはUS5821337又はUS6737056(Presta)に記載されるものを実行することができる。このようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、PBMC及びNK細胞が挙げられる。あるいは、又は加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al. Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 95:652-656 (1998)で開示されたものなどの動物モデルで査定することができる。変更されたFc領域のアミノ酸配列及び増加又は減少したADCC活性を有する追加の抗体は、例えば、US7923538及びUS7994290に記載される。
【0305】
「増強されたADCC活性」を有する抗体は、インビトロ又はインビボでADCCを媒介するときに、さらに、アッセイで使用されるこのような抗体及び親抗体の量が本質的に同じ場合、親抗体と比較してより有効である抗体を指し、ここで抗体と親抗体は、少なくとも1つの構造的な態様の点で異なっている。一部の実施形態において、抗体及び親抗体は、同じアミノ酸配列を有するが、抗体はアフコシル化されており、一方で親抗体はフコシル化されている。一部の実施形態において、ADCC活性は、本明細書で開示されたようなインビトロのADCCアッセイを使用して決定されることになるが、例えば動物モデルなどでADCC活性を決定するための他のアッセイ又は方法も企図される。一部の実施形態において、増強されたADCC活性を有する抗体は、FcγRIIIAへの増強された親和性を有する。一部の実施形態において、増強されたADCC活性を有する抗体は、FcγRIIIA(V158)への増強された親和性を有する。一部の実施形態において、増強されたADCC活性を有する抗体は、FcγRIIIA(F158)への増強された親和性を有する。
【0306】
「変更された」FcR結合親和性又はADCC活性を有する抗体は、親抗体と比較して増強又は低減されたFcR結合活性及び/又はADCC活性のいずれかを有するものであり、ここで抗体及び親抗体は、少なくとも1つの構造的な態様の点で異なっている。FcRへの「増加した結合を示す」抗体は、親抗体より優れた親和性で、少なくとも1つのFcRと結合する。FcRへの「減少した結合を示す」抗体は、親抗体より低い親和性で、少なくとも1つのFcRと結合する。このようなFcRへの減少した結合を示す抗体は、FcRへの明らかな結合をわずかしか示さないかほとんど示さない可能性があり、例えば、天然配列のIgG Fc領域と比較して、FcRへの結合が0~20パーセントである。
【0307】
「FcγRIIIAへの増強された親和性」は、抗体が、親抗体より大きいFcγRIIIA(一部の場合において、CD16aともいう)への親和性を有することを指し、ここで抗体及び親抗体は、少なくとも1つの構造的な態様の点で異なっている。一部の実施形態において、抗体及び親抗体は、同じアミノ酸配列を有するが、抗体はアフコシル化されており、一方で親抗体はフコシル化されている。FcγRIIIAへの親和性を決定するためのあらゆる好適な方法を使用することができる。一部の実施形態において、FcγRIIIAへの親和性は、本明細書に記載される方法によって決定される。一部の実施形態において、FcγRIIIAへの増強された親和性を有する抗体は、増強されたADCC活性を有する。一部の実施形態において、FcγRIIIAへの増強された親和性を有する抗体は、FcγRIIIA(V158)への増強された親和性を有する。一部の実施形態において、FcγRIIIAへの増強された親和性を有する抗体は、FcγRIIIA(F158)への増強された親和性を有する。
【0308】
L-フコースは、6-デオキシ-L-ガラクトースとも称され、動物において一部のN-及びO-結合型グリカン及びグリコリピドの成分である単糖である。Becker and Lowe, Glycobiology 13:41R-51R (2003)を参照されたい。フコースは、典型的にはグリカンへの末端修飾として付加され、その例としては、血液型抗原、セレクチン及び抗体に結合したグリカンなどが挙げられる。フコースは、特異的なフコシルトランスフェラーゼにより、α(1,2)-、α(1,3)-、α(1,4)-及びα(1,6)-結合を介してグリカンに結合させることができる。α(1,2)-フコース結合は、典型的には、H血液型抗原に付随する。α(1,3)-及びα(1,4)-フコース結合は、ルイスX抗原の修飾に付随する。α(1,6)-フコース結合は、N-結合型GlcNAc分子、例えば抗体上のN-結合型GlcNAc分子に付随する。
【0309】
本発明の炭水化物部分は、オリゴ糖の記載に一般的に使用される学術名を参照して記載されるものとする。この学術名を使用する炭水化物化学の総論は、Hubbard and Ivatt (1981) Ann. Rev. Biochem. 50:555-583に見出される。この学術名には、例えば、マンノースを表すMan、;2-N-アセチルグルコサミンを表すGlcNAc;ガラクトースを表すGal;フコースに対応するFuc;及びグルコースを表すGlcが含まれる。シアル酸は、略式の表記法によって記載され、NeuNAcは5-N-アセチルノイラミン酸であり、NeuNGcは5-グリコリルノイラミン酸である(IUB-IUPAC Joint Commission on Biochemical Nomenclature, 1982, J. Biol. Chem. 257: 3347-3351; (1982) J. Biol. Chem. 257: 3352)。
【0310】
本発明の炭水化物構造は、N-結合型オリゴ糖として発現されたタンパク質上に存在する。「N-結合型グリコシル化」は、ポリペプチド鎖中のアスパラギン残基へのGlcNAcを介した炭水化物部分の結合を指す。N-結合型炭水化物は全て、共通のMan1-6(Man1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAcβ-Rコア構造を含有する。それゆえに、記載されたコア構造において、Rは、産生された糖タンパク質のアスパラギン残基を表す。産生されたタンパク質の配列は、アスパラギン-X-セリン、アスパラギン-X-スレオニン及びアスパラギン-X-システインを含有すると予想され、ここでXは、プロリンを除くあらゆるアミノ酸である(Asn-Xaa-Ser/Thr)。それに対して「O-結合型」炭水化物は、スレオニン又はセリンのヒドロキシル基に結合したGalNAcである共通のコア構造を特徴とするが、コンセンサス配列は必要ではない。N-結合型炭水化物のなかでも最も重要なものは、本明細書に記載される「2分岐型」構造などの「複合」N-結合型炭水化物である。
【0311】
糖タンパク質である免疫グロブリンG(IgG)は、一般的にG0、G1及びG2として知られる、それぞれ、0、1又は2個のガラクトース残基を含有する3つのタイプの複合2分岐型構造と結合すると当業者は認識するであろう(Wormland et al., 1997, Biochemistry 36:1370-1380)。IgGクラスのヒト抗体分子は、それぞれ、Fc領域のCH2ドメインの内面のβ-4ベンドのAsn297のアミド側鎖に結合したN-結合型オリゴ糖を有する(Beale and Feinstein, 1976, Q. Rev. Biophys. 9:253-259;Jefferis et al., 1995, Immunol. Letts. 44:111-117)。IgG CH2ドメインのAsn297に結合したオリゴ糖は、同定された六糖コア構造及び可変外部糖残基を有する複合2分岐型である(Jefferis et al., 1997, 上記;Wyss and Wagner, 1996, Current Opinions in Biotech. 7:409-416を参照)。コア構造(GlcNAc2Man3GlcNAc)は、2分岐オリゴ糖の特徴であり、図1に表される。
【0312】
各コア構造は、バイセクティングN-アセチルグルコサミン、コアフコース及びガラクトース又はシアル酸である外部の糖のいずれかを有し得るため、Asn297部位を占有する可能性がある構造的に固有なオリゴ糖が合計で36個存在する(Jefferis and Lund、上記)。また、特定のCH2ドメイン内で、2つの鎖のFcドメイン内のAsn297残基のいずれかに結合した異なるオリゴ糖鎖のために、Asn297でのグリコシル化は非対称であり得ることも認識されていると予想される。例えば、単一抗体を分泌する細胞内で合成された重鎖は、そのアミノ酸配列において均一であり得るが、一般的に、差次的にグリコシル化され、結果として多数の構造的に固有なIgグリコフォームが生じる。
【0313】
複合オリゴ糖構造の主要なタイプは、IgGのCH2ドメイン中に見出される「グリコフォーム」とも称され、WO99/22764の7頁に描写されている。
【0314】
本発明によれば、G0は、末端シアル酸(NeuAc)又はGalが存在しない2分岐型構造を指し、G1は、1つのGalを有し、NeuAcを有さない2分岐型構造を指し、G2は、2つの末端Galを有し、NeuAcを有さない2分岐型構造を指す。例えば、G0、G1、G-1及びG2の例示的な構造を描写する図2A~2Gを参照されたい。
【0315】
「アフコシル化される」抗体又は「フコースを有さない」抗体は、その定常領域のグリコシル化においてフコースを有さないIgG1又はIgG3アイソタイプ抗体を指す。ヒトIgG1又はIgG3のグリコシル化は、2個までのGal残基で終結した、コアがフコシル化された2分岐複合オリゴ糖グリコシル化として、Asn297で起こる。一部の実施形態において、アフコシル化された抗体は、Asn297においてフコースを有さない。これらの構造は、末端Gal残基の量に応じてG0、G1(α1,6又はα1,3)又はG2グリカン残基と名付けられる。例えば、Raju, T. S., BioProcess Int. 1: 44-53 (2003)を参照されたい。抗体FcのCHO型グリコシル化は、例えば、Routier, F. FL, Glycoconjugate J. 14: 201-207 (1997)に記載されている。図2A~2Gに様々な抗体グリコフォームを示す。
【0316】
一部の実施形態において、「フコシル」又は「アフコシル化された」抗体は、本明細書で同義的に使用される場合、コアのフコースを有さないように糖鎖が操作された抗体を指す。グリカン部分のフコース含量が低減された抗体は、FcγRIIIa(CD16)への増加した親和性を有し、結果として、増強された活性依存性細胞傷害(ADCC)活性を有する。アフコシル抗体は、フコース付加に関与する遺伝子の対立遺伝子の両方を欠くPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞株(Lonza Biologics)を使用して産生することができる。アフコシル又はフコース(fusose)が低減された抗体はまた、様々な方法でオリゴ糖生合成活性を改変することによっても生成できる。例えば、産生細胞株のゴルジ装置におけるN-アセチルグルコサミン-トランスフェラーゼIII(GnTIII)の過剰発現は、抗体のFc定常領域に結合する2分岐したオリゴ糖構造を生成し、フコシル化を抑制する。このような発現系において、GnTIII発現のレベルは、は、アフコシル化されたIgG1グリコフォームの生成とその結果得られた増強されたADCC活性と相関する。フコシル化はまた、例えば、これに限定されるものではないが、WO2012/019165に記載されるようなフコース類似体などの糖類似体の使用によって、細胞培養中に減少させることもできる。したがって、アフコシル化された、又はフコースが低減された抗体は、当業界において周知の様々な方法を使用して産生することができる。
【0317】
一部の実施形態において、アフコシル化された抗体は、FcγRIIIAへの増強された親和性を有する。一部の実施形態において、アフコシル化された抗体は、FcγRIIIA(V158)への増強された親和性を有する。一部の実施形態において、アフコシル化された抗体は、FcγRIIIA(F158)への増強された親和性を有する。
【0318】
「グリコフォーム」は、様々な炭水化物単位の連結を含む複合オリゴ糖構造を指す。このような構造は、例えば、Essentials of Glycobiology Varki et al., eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1999)に記載されており、これはまた、標準的な糖鎖生物学の学術名の総論も提供する。このようなグリコフォームとしては、これらに限定されるものではないが、G2、G1、G0、G-1及びG-2が挙げられる(例えば、WO99/22764を参照)。
【0319】
「グリコシル化パターン」は、タンパク質(例えば、グリコフォーム)に、同様に、グリコフォームがタンパク質のペプチドバックボーンに共有結合で結合する部位に、より具体的には免疫グロブリンタンパク質に、共有結合で結合した炭水化物単位のパターンと定義される。
【0320】
一部の実施形態において、糖鎖修飾されていないCHO宿主細胞で組換え発現された抗体のバッチの少なくとも85パーセントが、Asn297でフコシル化されている。複数の抗体を含む組成物に言及する場合、少なくとも1つのAsn297にフコースを含む抗体が組成物中約5パーセント未満である場合、抗体はアフコシル化されているとみなされる。さらにより好ましくは、アフコシル化のレベルは約100%であり、すなわちフコースは、標準的な抗体のフコシル化を測定するための方法を使用して重鎖Asn297グリコフォームのいずれにおいても検出されない。フコースを測定する方法としては、本明細書に記載される方法を含む当業界において公知のあらゆる方法が挙げられる。一部の実施形態において、複数のアフコシル化された抗体を含む組成物中で、フコースは検出不能である。一部の実施形態において、アフコシル化された抗体は、増強されたADCC活性を有する。
【0321】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1成分(Clq)が、それらの同族抗原に結合する抗体(適切なサブクラスの)に結合することによって開始される。補体活性化を査定するために、CDCアッセイ、例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202: 163 (1996)に記載されるアッセイを実行してもよい。変更されたFc領域アミノ酸配列及び増加又は減少したClq結合能力を有する抗体は、例えば、US6194551、US7923538、US7994290及びWO99/51642に記載されている。例えば、Idusogie et al, Jも参照されたい。
【0322】
用語「野生型アミノ酸」、「野生型IgG」、「野生型抗体」、又は「野生型mAb」は、本明細書で使用される場合、特定の集団(例えば、ヒト、マウス、ラット、細胞など)中で天然に存在するアミノ又は核酸の配列を指す。
【0323】
本明細書で同義的に使用される「C-X-Cケモカイン受容体5型」又は「CXCR5」は、当業界では「CD185」及び「バーキットリンパ腫受容体1(BLR1)」とも称され、特定の細胞で発現されるGタンパク質結合受容体である。CXCR5という用語は、CXCR5のホモログ及びオーソログを含み、なかでもヒト、カニクイザル、ラット、ウサギ及びマウスのものが挙げられる。「CXCR5」は、本明細書で使用される場合、哺乳類CXCR5、例えばヒト、ラット又はマウス、加えて非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、又はブタCXCR5を指す。CXCR5の非限定的な例示的な例としては、ヒト(例えば、Genbank受託番号P60568、配列番号32を参照)、カニクイザル(例えば、Genbank受託番号Q29615、配列番号33を参照)及びマウス(配列番号34)のCXCR5が挙げられる。用語「CXCR5」はまた、このようなCXCR5分子の、フラグメント、バリアント、アイソフォーム及び他のホモログも包含する。バリアントCXCR5分子は、一般的に、天然に存在するCXCR5と同じタイプの活性、例えばCXCR5受容体と結合する能力、受容体が媒介する活性を誘導する能力、及び本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントと結合する又は結合しない能力を有することを特徴とすると予想される。
【0324】
CXCR5は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上、又は15個以上の、CXCR5の表面の接触可能な残基を含んでいてもよい。図6は、代表的な表面の接触可能な残基を下線で示した野生型マウス及びヒトCXCR5のアミノ酸配列を示す。CXCR5がCXCR5のホモ多量体の形態を含む場合、標的は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上又は15個以上の、CXCR5の第1のサブユニットの表面の接触可能な残基、及び、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上又は15個以上の、CXCR5の第2のサブユニットの表面の接触可能な残基を含んでいてもよい。標的分子は、CXCR5由来の公知のエピトープを含んでいてもよい。
【0325】
図6に、これまでに述べた野生型ヒトCXCR5(hCXCR5)及びマウスCXCR5(mCXCR5)のアミノ酸配列のアライメントを、代表的な細胞外領域(「N」、「L1」、「L2」及び「3」)と共に、図6に示す。
【0326】
本明細書で概説したように、抗体分子の特定の位置は、変更されてもよい。「位置」は、本明細書で使用される場合、タンパク質配列中の配置を意味する。位置は、逐次的に、又は確立された様式に従って番号付けることができ、例えばEUインデックス及びKabatインデックスを使用して、抗体のアミノ酸残基を番号付けることができる。例えば、297位は、ヒト抗体IgG1における位置である。対応する位置は、上記で概説したように、一般的に他の親配列とのアライメントを介して決定される。
【0327】
「残基」は、本明細書で使用される場合、タンパク質及びその関連するアミノ酸同一性における位置を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297ともいい、またN297ともいう)は、ヒト抗体IgG1中の残基である。
【0328】
用語「Tfh細胞」又は「Tfh」又は「真正Tfh」又は「胚中心Tfh細胞」又は「GCのTfh細胞」は、本明細書で同義的に使用される場合、胚中心(GC)内に見出される濾胞性ヘルパーT細胞を指し、これは、GCのTfh細胞、GCのB細胞、濾胞性樹状細胞(FDC)、マクロファージ及び間質からなる構造である。Crotty, 2014, Immunity 41(4):529-542参照。Tfh細胞は、B細胞濾胞ホーミング受容体CXCR5の構成的発現によって同定される。機能的に、Tfh細胞は、アイソタイプスイッチ、体細胞超突然変異、及び迅速な細胞分裂をガイドして胚中心にシーディングするためのB細胞への有益なシグナルを提供する。
【0329】
本明細書で同義的に使用される用語「Tfh様細胞」、「循環Tfh細胞」及び「cTfh」は、胚中心から出たTfh細胞を指す。GCから出ると、細胞は、より活性が低く、より極性が低い表現型を獲得し、これは「循環濾胞性ヘルパーT細胞」(cTfh)又は「Tfh様細胞」と呼ばれる。Crotty, 2014, Immunity 41(4):529-542参照。これらの細胞は、CXCR5を発現する。胚中心のTfh細胞(すなわち、「真正Tfh細胞」又は「GCのTfh細胞」又は「Tfh」)と比較して、cTfh細胞(すなわち、Tfh様細胞)は、低減したレベルのICOS、Bcl-6、並びに、CD69及びHLA-DRなどの細胞活性化マーカーを発現するが、インビトロで、同族抗原で再活性化されると、B細胞においてAb産生及びIgクラススイッチを刺激する能力を維持する。
【0330】
当業界で公知のように、「ポリヌクレオチド」、又は「核酸」は、本明細書で同義的に使用される場合、あらゆる長さを有するヌクレオチド鎖を指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド若しくは塩基、及び/若しくはそれらの類似体、又はDNA又はRNAポリメラーゼによって鎖に取り込むことができるあらゆる基質であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びその類似体を含んでいてもよい。ヌクレオチド構造への修飾は、存在する場合、鎖が組み立てられる前又はその後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分が途中に存在していてもよい。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識成分とのコンジュゲーションによって、さらに修飾されていてもよい。他のタイプの修飾としては、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つ以上の類似体での置換、ヌクレオチド間の修飾、例えば、非荷電性連結(例えば、メチルホスホン酸エステル、リン酸トリエステル、ホスホルアミデート(phosphoamidate)、カルバミン酸エステルなど)を有するもの、及び電荷を有する連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなど、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシンなど)などを含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結(例えば、αアノマー核酸など)を有するもの、加えて、ポリヌクレオチドの修飾されていない形態が挙げられる。さらに、通常は糖に存在するヒドロキシル基のいずれかが、例えばホスホン酸基、リン酸基によって置き換えられていてもよいし、標準的な保護基によって保護されていてもよいし、又は追加のヌクレオチドに追加の連結が生じるように活性化されていてもよいし、又は固体支持体にコンジュゲートされていてもよい。5’及び3’末端のOHは、リン酸化されていてもよいし、又はアミン又は1~20個の炭素原子を有する有機キャッピング基部分で置換されていてもよい。また他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘導体化されていてもよい。またポリヌクレオチドは、一般的に当業界において公知のリボース又はデオキシリボース糖の類似の形態、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-又は2’-アジド-リボース、炭素環糖類似体、α又はβアノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体及び脱塩基ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドなどを含有していてもよい。1つ以上のホスホジエステル結合が、代替の結合基で置き換えられていてもよい。これらの代替の結合基としては、これらに限定されるものではないが、リン酸が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH(「ホルムアセタール」)で置き換えている実施形態が挙げられ、ここで各R又はR’は、独立して、Hであるか、又は任意にエーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)を含有していてもよい置換若しくは非置換のアルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチド中の全ての連結が必ずしも同一でなくてもよい。前記の説明は、RNA及びDNAを含む本明細書で言及された全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0331】
「ベクター」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の目的の遺伝子又は配列を宿主細胞に送達すること、好ましくはそれを宿主細胞中で発現することが可能なコンストラクトを意味する。ベクターの例としては、これらに限定されるものではないが、ウイルスベクター、裸のDNA又はRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド又はファージベクター、カチオン性縮合剤と結合するDNA又はRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNA又はRNA発現ベクター、及び特定の真核細胞、例えばプロデューサー細胞が挙げられる。
【0332】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートの取込みのためのベクターのためのレシピエントになり得る個々の細胞又は細胞培養物、又はそのようなレシピエントであった個々の細胞又は細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含み、後代は、天然の、偶発的な、又は計画的な突然変異のために、必ずしも元の親細胞と完全に同一でなくてもよい(形態又はゲノムDNA相補体の点で)。宿主細胞としては、インビボで本発明のポリヌクレオチドでトランスフェクト及び/又は形質転換された細胞が挙げられる。
【0333】
宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。例示的な真核細胞としては、哺乳類細胞、例えば霊長類又は非霊長類動物細胞;真菌細胞、例えば酵母;植物細胞;及び昆虫細胞が挙げられる。
【0334】
細胞培養、及びタンパク質又はポリペプチドの発現の影響を受けやすいあらゆる宿主細胞が、本発明に従って利用することができる。特定の実施形態において、宿主細胞は、哺乳類細胞である。発現用の宿主として利用可能な哺乳類細胞株は当業界において周知であり、その例としては、American Type Culture Collection(ATCC)より入手可能な多くの不死化細胞株が挙げられる。非限定的な例示的な哺乳類細胞としては、これらに限定されるものではないが、NS0細胞、HEK293及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びにそれらの誘導体、例えば293-6E、CHO DG44細胞、CHO DXB11及びPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞(BioWa/Lonza, Allendale, NJ)が挙げられる。また哺乳類宿主細胞としては、これらに限定されるものではないが、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL2)、ベビーハムスター腎臓(BHK、ATCC CCL10)細胞、サル腎臓細胞(COS)及びヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)も挙げられる。本発明に従って使用可能な哺乳類細胞の他の非限定的な例としては、ヒト網膜芽細胞(PER.C6(登録商標);CruCell, Leiden, The Netherlands);SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL1651);ヒト胎児腎臓株293(HEK293)又は懸濁培養での成長に関してサブクローニングした293細胞(Graham et al., 1977, J. Gen Virol. 36:59);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980, Biol. Reprod. 23:243-251);サル腎臓細胞(CV1、ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝臓細胞(BRL3A、ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB8065);マウス乳がん(MMT060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Mather et al., 1982, Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68);MRC5細胞;FS4細胞;ヒト肝癌株(Hep G2);並びに、これらに限定されるものではないが、BALB/cマウス骨髄腫株(NS0/1、ECACC番号85110503)、NS0細胞及びSp2/0細胞などの多数の骨髄腫細胞株が挙げられる。
【0335】
加えて、あらゆる数の市販の及び市販されていないポリペプチド又はタンパク質を発現する細胞株が、本発明に従って利用できる。当業者は、異なる細胞株が、異なる栄養要求を有する場合があり、及び/又は最適な成長及びポリペプチド又はタンパク質発現に応じて異なる培養条件を必要とする場合があり、必要に応じて条件の改変が可能であることを理解しているものと予想される。
【0336】
本発明は、目的のタンパク質の産生のための、例えば、昆虫細胞系、酵母発現系、又は哺乳類細胞系、例えば、これに限定されるものではないが、CHO細胞における発現のための、当業界において公知の、又は本明細書で開示されたあらゆる真核細胞発現系を含む。
【0337】
「発現制御配列」は、本明細書で使用される場合、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば構成的又は誘導性プロモーター、又はエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に作動可能に連結されている。
【0338】
「治療」は、本明細書で使用される場合、有益な、又は望ましい臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的に関して、有益な、又は望ましい臨床結果としては、これらに限定されるものではないが、以下:生存率の改善(死亡率の低減)、疾患に対する炎症性応答の低減、組織線維化の量の低減、疾患の病変の出現における改善、病理学的な病変の病巣部位への限定、疾患によるダメージの程度の減少、疾患の期間の減少、及び/又は疾患に関する症状の数、程度、又は期間の低減の1種以上が挙げられる。この用語は、本発明の化合物又は薬剤を投与して、疾患の症状、合併症、又は生化学的な発現の発症を予防するか又は遅延させて、症状を軽減したり、又は疾患、状態、又は障害のさらなる発生を停止又は阻害したりすることを含む。治療は、予防的であってもよいし(疾患の発症を予防するか若しくは遅延させる、又はそれらの臨床的又は不顕性症状の発現を予防する)、又は疾患の発現後の症状の治療的な抑制若しくは軽減であってもよい。
【0339】
「緩和する」は、CXCR5抗体を投与しない場合と比較した、1つ以上の症状を減らすこと、又は改善することを意味する。「緩和する」はまた、症状の期間を短縮すること、又は低減することも含む。
【0340】
薬物、化合物、又は医薬組成物の「有効投薬量」又は「有効量」は、本明細書で使用される場合、いずれか1つ以上の有益な、又は望ましい結果をもたらすのに十分な量である。より具体的な態様において、有効量は、疾患又は感染の症状を予防する、軽減する、又は緩和する、及び/又は治療されている対象の生存を延長する。予防的使用の場合、有益な、又は望ましい結果としては、疾患の生化学的、組織学的及び/又は行動上の症状、疾患の進行中に現れるその合併症及び中間的な病理学的表現型を含む疾患の、リスクをなくす、若しくは低減すること、その重症度を低くすること、又はその発病を遅らせることが挙げられる。治療的使用の場合、有益な、又は望ましい結果としては、CXCR5によって媒介される疾患、障害又は状態の1つ以上の症状を低減させること、疾患を治療するのに必要な他の薬物療法剤の用量を減少させること、別の薬物療法剤の作用を増強すること、及び/又は患者の疾患の進行を遅らせることなどの臨床結果が挙げられる。有効投薬量は、1回以上の投与で投与することができる。本発明の目的のために、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効投薬量は、直接的又は間接的のいずれかで予防的又は治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床的な状況で理解されるように、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物、又は医薬組成物を併用して達成される場合もあれば、又はそうでない場合もある。したがって、「有効投薬量」は、1種以上の治療剤を投与する状況で考えることができ、単剤は、1種以上の他の薬剤と併用して、望ましい結果が達成され得るか、又は達成される場合、有効量で与えられていると考えることができる。
【0341】
「個体」又は「対象」は、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。哺乳動物としてはまた、これらに限定されるものではないが、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリなど)、競技用動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス及びラットも挙げられる。一部の実施形態において、個体は、CXCR5のその受容体への結合及びそれによって媒介されるシグナル伝達によって媒介されるか又はそれと関連する疾患、障害又は状態のリスクがあるとみなされる。特定の実施形態において、対象は、自己免疫疾患、障害又は状態を有し、例えば1型糖尿病を有する。特定の実施形態において、対象は、免疫抑制療法を必要とする。
【0342】
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書で使用される場合、活性成分と組み合わせると、その成分が生物学的活性を保持できるようにし、対象の免疫系と反応性を有さないあらゆる材料を含む。例としては、これらに限定されるものではないが、標準的な製剤用担体、例えばリン酸緩衝塩類溶液、水、エマルジョン、例えば油/水エマルジョン、及び様々な種類の湿潤剤のいずれかが挙げられる。エアロゾル又は非経口投与のための好ましい希釈剤は、リン酸緩衝食塩水(PBS)又は規定(0.9%)食塩水である。このような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990及びRemington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing, 2000を参照されたい)。
【0343】
例示的な方法及び材料がここに記載されるが、本明細書に記載されたものに類似した、又はそれと同等な方法及び材料も、本発明の実施又は試験において使用することができる。材料、方法及び例は単なる例示にすぎず、限定することを意図しない。
【0344】
II.抗CXCR5抗体
本発明は、CXCR5に結合する抗体に関する。好ましくは、抗体は、CXCR5に特異的に結合し、すなわち抗体は、CXCR5に結合するが、他の分子と検出可能に結合しないか、又はより低い親和性で他の分子と結合する。本発明はさらに、変更されたエフェクター機能を示す抗CXCR5抗体に関する。一部の実施形態において、変更されたエフェクター機能は、増加したADCCである。一部の実施形態において、抗体は、フコースを有さないか、又は検出可能に減少したレベルのフコースを含有する(すなわち、それらはアフコシル化されている)。本発明はまた、このような抗体を含む組成物、加えて治療的及び医薬的使用などのこのような抗体に関する使用にも関する。
【0345】
一実施形態において、本開示は、以下の抗体:11G2、41A10及び5H7のいずれか由来の、軽鎖配列又はそのフラグメント、及び重鎖又はそのフラグメントを有する抗体を含む、以下のいずれか、又は組成物(医薬組成物を含む)を提供する。
【0346】
本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、それらの突然変異体、抗体フラグメント(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、及び必要な特異性を有する抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のあらゆる改変された立体配置、例えば、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、及び共有結合で改変された抗体などを包含し得る。抗体は、マウス、ラット、ヒト、又は他のあらゆる起源のものであり得る(キメラ又はヒト化抗体を含む)。一部の実施形態において、CXCR5抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態において、抗体は、ヒト又はヒト化抗体である。
【0347】
本発明のCXCR5抗体は、当業界において公知のあらゆる方法によって作製することができる。ヒト及びマウス抗体産生のための一般的な技術は、当業界において公知であり、及び/又は本明細書に記載される。
【0348】
最初の同定の後、候補CXCR5抗体の活性は、標的化された生物学的活性を試験することで知られるバイオアッセイによって、さらに確認し、精査することができる。一部の実施形態において、候補CXCR5抗体をさらに特徴付けるために、インビトロの細胞アッセイが使用される。例えば、バイオアッセイは、候補を直接スクリーニングするのに使用することができる。例において、CXCR5抗体を同定及び特徴付けるための方法の一部を詳細に記載する。
【0349】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、マウス11G2 VH、マウス11G2 VL、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)、h11G2 VH(XC354)、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)、h11G2 VL(XC349)、マウス41A10 VH、マウス41A10 VL、h41A10 VH(XC147)、h41A10 VH(XC148)、h41A10 VH(XC150)、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)、h41A10 VL(XC149)、マウス5H7 VH、及びマウス5H7 VLの配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。
【0350】
部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、CXCR5への結合について、上記抗体のいずれかと競合する。
【0351】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下の組合せ:
ヒトCXCR5への結合について、マウス11G2、キメラ11G2、h11G2 VH(XC152)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC152)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC3484)、h11G2 VH(XC155)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC156)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC157)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC350)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC351)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC352)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC353)/VL(XC349)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC151)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC153)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC154)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC346)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC347)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC348)、h11G2 VH(XC354)/VL(XC349)、マウス41A10、キメラ41A10、h41A10 VH(XC147)/VL(XC142)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC143)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC144)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC145)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC146)、h41A10 VH(XC147)/VL(XC149)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC142)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC143)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC144)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC145)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC146)、h41A10 VH(XC148)/VL(XC149)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC142)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC143)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC144)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC145)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC146)、h41A10 VH(XC150)/VL(XC149)、マウス5H7、及びキメラ5H7の1種以上と競合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含むVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含む。
【0352】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、CXCR5への結合について、上記抗体のいずれかと競合する。
【0353】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51の少なくとも1つのアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む。
【0354】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56、57の少なくとも1つのアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3をさらに含む。
【0355】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、並びに配列番号6のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む。
【0356】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、並びに配列番号10のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む。
【0357】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、並びに配列番号12のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む。
【0358】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、並びに配列番号52のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む。
【0359】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号6のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3、並びに配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51の少なくとも1つのアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3をさらに含む。
【0360】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号10のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3、並びに配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51の少なくとも1つのアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3をさらに含む。
【0361】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号12のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3、並びに配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51の少なくとも1つのアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3をさらに含む。
【0362】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号52のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3、並びに配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51の少なくとも1つのアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3をさらに含む。
【0363】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号27のアミノ酸配列に記載のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3、並びに配列番号26のアミノ酸配列に記載のCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3をさらに含む。
【0364】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列に記載の、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む。
【0365】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列に記載の、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む。
【0366】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされた、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列、並びにATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされた、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3アミノ酸配列を含む。
【0367】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、CXCR5への結合について、上記抗体のいずれかと競合する。
【0368】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2及び配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0369】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2及び配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0370】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2及び配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0371】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2及び配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0372】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2及び配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0373】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2及び配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0374】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号6、10、12、36、52、53、54、55、56及び57の配列の少なくとも1つに記載の、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3のアミノ酸配列を含む。
【0375】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1、5、35、47、48、49、50及び51の配列の少なくとも1つに記載の、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3アミノ酸配列を含む。
【0376】
一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号5に記載の、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3のアミノ酸配列を含む。
【0377】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号6のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHを含んでいてもよい。VHは、配列番号6のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VHは、配列番号6のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0378】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHを含んでいてもよい。VHは、配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VHは、配列番号10のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0379】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号12のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHを含んでいてもよい。VHは、配列番号12のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VHは、配列番号12のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0380】
抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLを含んでいてもよい。VLは、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VLは、配列番号1のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0381】
抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号5のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLを含んでいてもよい。VLは、配列番号5のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VLは、配列番号5のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0382】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号17のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHを含んでいてもよい。VHは、配列番号17のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VHは、配列番号17のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0383】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号18のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHを含んでいてもよい。VHは、配列番号18のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VHは、配列番号18のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0384】
抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLを含んでいてもよい。VLは、配列番号13のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VLは、配列番号13のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0385】
抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号58のアミノ酸配列に少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLを含んでいてもよい。VLは、配列番号58のアミノ酸配列に少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含んでいてもよい。VLは、配列番号58のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0386】
一態様において、アフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号10、配列番号12、配列番号36、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、又は配列番号57のアミノ酸配列を含むVHから選択されるVHを含み、IgG1定常ドメイン(配列番号31)をさらに含む重鎖を含んでいてもよい。一態様において、前記抗体バリアントは、全長重鎖に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の保存的若しくは非保存的置換、並びに/又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の付加及び/若しくは欠失を含む。さらなる態様において、前記バリアントは、全長重鎖と、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を共有し、ここで前記抗体又は抗原結合フラグメントは、CXCR5と特異的に結合する。
【0387】
本開示のアフコシル化された抗体は、配列番号1、配列番号5、配列番号35、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、又は配列番号51のアミノ酸配列を含むVLを含む軽鎖を含んでいてもよく、ここで抗体は、軽鎖定常ドメインをさらに含む。本明細書でより詳細に記載されるように、アフコシル化された抗体の軽鎖の定常ドメインは、Cκ又はCλ定常領域、例えば配列番号30のCκ定常領域から選択することができる。一態様において、前記抗体バリアントは、全長軽鎖に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の保存的若しくは非保存的置換、並びに/又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の付加及び/若しくは欠失を含む。さらなる態様において、前記バリアントは、全長軽鎖と、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を共有し、ここで前記抗体又は抗原結合フラグメントは、CXCR5と特異的に結合する。
【0388】
抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号29のアミノ酸配列に、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含むHCを含んでいてもよい。HCは、配列番号29のアミノ酸配列を含んでいてもよい。好ましくは、抗体は、アフコシル化されている。
【0389】
抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号28に、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を含むLCを含んでいてもよい。LCは、配列番号28のアミノ酸配列を含んでいてもよい。好ましくは、抗体は、アフコシル化されている。
【0390】
好ましくは、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、アフコシル化されている。さらにより好ましくは、抗体又はその抗原結合フラグメントは、アフコシル化されており、フコシル化されていること以外は同一な抗体と比較して増加したADCCエフェクター機能を示す。
【0391】
生殖細胞系置換
特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下の重鎖CDR配列:(i)配列番号7を含むCDR-H1、配列番号8を含むCDR-H2及び配列番号9又は11を含むCDR-H3;並びに/又は(ii)以下の軽鎖CDR配列:配列番号2を含むCDR-L1、配列番号3を含むCDR-L2及び配列番号4を含むCDR-L3を含む。これらは、マウスCDRであり、好ましくは、ヒトVH及びVLドメインのコンテクストにグラフト化されているか、又はそれ以外の方法で付加されている。多種多様のアクセプターヒト生殖細胞系配列が利用可能であり、ヒトで使用するために非ヒト種抗体を「ヒト化」するためのプロセスは、当業界において周知であり、本明細書の他所でも論じられる。それゆえに、当業者は、上記のマウスCDR配列を、ヒトVドメインのアミノ酸配列のコンテクストに配置できることを理解していると予想される。そうすることによって、アクセプターヒト生殖細胞系配列への変化は、一般的に、元の親(すなわちドナー)抗体の抗体結合及び他の望ましい特徴が保存されるようになされる。CDR及びフレームワーク領域(FW)の両方は、以下のように操作されていてもよい。
【0392】
特定の実施形態において、CDR-L1中に、配列番号2のアミノ酸配列に対して、11個以下、又は10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換がなされる。特定の実施形態において、CDR-L2中に、配列番号3のアミノ酸配列に対して、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換がなされる。特定の実施形態において、CDR-L3中に、配列番号4のアミノ酸配列に対して、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換が、なされる。一部の実施形態において、CDR-H1中に、配列番号7のアミノ酸配列に対して、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換がなされる。一部の実施形態において、CDR-H2中に、配列番号8のアミノ酸配列に対して、17個以下、16個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、又は10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換がなされる。一部の実施形態において、CDR-H3中に、配列番号9のアミノ酸配列に対して、又は配列番号11のアミノ酸配列に対して、12個以下、11個以下、又は10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換がなされる。特定の実施形態において、置換は、結合親和性(K)値を、1000倍より大きく、100倍又は10倍より大きく変化させない。特定の実施形態において、置換は、表1による保存的置換である。
【0393】
特定の実施形態において、置換は、(ドナー)CDR残基が対応するヒト生殖細胞系(アクセプター)残基で置き換えられているヒト生殖細胞系置換であり、それにより、例えば、US2017/0073395及びTownsend et al., 2015, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 112(50):15354-15359)に記載されるように、ヒトアミノ酸含量が増加し、抗体の免疫原性を低減させる可能性がある。例えば、ヒト生殖細胞系DPK9フレームワークが使用され、例示的な抗体であるマウス又はヒト化(XC154)11G2 VLを比較すると、11G2 VL(マウス及びヒト化XC154)抗体(配列番号2)及びヒト生殖細胞系DPK9のCDR-L1のアライメントは、以下のとおりである:
【0394】
【化1】
【0395】
アミノ酸位置番号28(イタリック)に関して、ヒト生殖細胞系残基(アクセプター)及び対応する11G2 VL(XC154)残基(ドナー)は同じであり、生殖細胞系置換は起こり得ない。27、29、30、31、32、33、34及び35位(太字及び下線で示した)に関して、ヒト生殖細胞系(アクセプター)残基及び対応する11G2 VL(XC154)(ドナー)残基は異なっている。これらの位置における11G2 VL(XC154)の残基は、対応するヒト生殖細胞系DPK9残基で置き換えられていてもよく、ヒト残基含量をさらに増加させることができる。各重鎖及び軽鎖CDRでも同じプロセスに従ってもよく、結合特徴、例えば、エピトープ結合、親和性などを保存しながらもヒトアミノ酸残基の含量を増加させることができ、同時に、マウス残基の含量を最小化することによって、あらゆる起こり得る免疫原性、例えば、ヒトにおける抗体に対するヒト抗マウス抗体(HAMA)免疫応答を減少させる。
【0396】
抗体CDRにヒト生殖細胞系残基を導入するための方法及びライブラリーは、US2017/0073395及びTownsend et al., 2015, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 112(50):15354-15359で詳細に記載されており、どちらも参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。
【0397】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト生殖細胞系のVHフレームワーク配列を含むVHフレームワークを含んでいてもよい。VHフレームワーク配列は、ヒトVH3生殖細胞系、VH1生殖細胞系、VH5生殖細胞系、又はVH4生殖細胞系由来であってもよい。好ましいヒト生殖細胞系重鎖フレームワークは、VH1、VH3、又はVH5生殖細胞系由来のフレームワークである。例えば、以下の生殖細胞系由来のVHフレームワーク:IGHV3-23、IGHV3-7、又はIGHV1-69(生殖細胞系の名称はIMGTの生殖細胞系の定義に基づく)が使用される可能性がある。好ましいヒト生殖細胞系軽鎖フレームワークは、VΚ又はVλ生殖細胞系由来のフレームワークである。例えば、以下の生殖細胞系由来のVLフレームワーク:IGKV1-39又はIGKV3-20(生殖細胞系の名称はIMGTの生殖細胞系の定義に基づく)が使用される可能性がある。あるいは、又は加えて、フレームワーク配列は、ヒト生殖細胞系コンセンサスフレームワーク配列、例えば、ヒトVλ1コンセンサス配列、VΚ1コンセンサス配列、VΚ2コンセンサス配列、VΚ3コンセンサス配列、VH3生殖細胞系コンセンサス配列、VH1生殖細胞系コンセンサス配列、VH5生殖細胞系コンセンサス配列、又はVH4生殖細胞系コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系フレームワークの配列は、様々な公開データベース、例えばV-base、IMGT、NCBI、又はAbysisから入手可能である。
【0398】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト生殖細胞系のVLフレームワーク配列を含むVLフレームワークを含んでいてもよい。VLフレームワークは、その由来となる生殖細胞系と機能的及び構造的な類似性を保持しながら、1つ以上のアミノ酸置換、付加、又は欠失を含んでいてもよい。一部の態様において、VLフレームワークは、ヒト生殖細胞系のVLフレームワーク配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一である。一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト生殖細胞系のVLフレームワーク配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のアミノ酸置換、付加又は欠失を含むVLフレームワークを含む。一部の態様において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸置換、付加又は欠失は、フレームワーク領域中にのみ存在する。一部の態様において、%同一性は、本明細書においてCDRと定義されるフラグメントを除いたVLとの類似性に基づく。
【0399】
ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK9(IMGT名:IGKV1-39)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK12(IMGT名:IGKV2D-29)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK18(IMGT名:IGKV2-30)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK24(IMGT名:IGKV4-1)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、HK102_V1(IMGT名:IGKV1-5)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK1(IMGT名:IGKV1-33)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK8(IMGT名:IGKV1-9)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK3(IMGT名:IGKV1-6)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK21(IMGT名:IGKV3-15)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、Vg_38K(IMGT名:IGKV3-11)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK22(IMGT名:IGKV3-20)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPK15(IMGT名:IGKV2-28)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPL16(IMGT名:IGLV3-19)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、DPL8(IMGT名:IGLV1-40)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、V1-22(IMGT名:IGLV6-57)のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVλコンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVλ1コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVλ3コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVκコンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVκ1コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVκ2コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVLフレームワークは、ヒトVΚ3コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。
【0400】
一部の態様において、VLフレームワークは、DPK9である。他の類似のフレームワーク領域も、配列番号2、3、4、7、8、9、11、14、15、16のCDR;及び以下のVLアミノ酸配列:1、5、13、28、35、37、39、47、48、48、50、51、58、59、60、61、62、97、98によって特定されるCDRを含む本発明の有利な抗体を送達することが予測され、そのようなフレームワーク領域としては、DPK-9のFW領域と、それぞれ99、97、97、96、80、76、66、97、97、96、76及び74%の同一性を有し、共通の構造的特徴(Kabatの番号付け)である(A)CDRの直下の残基(バーニアゾーン)、L2、L4、L35、L36、L46、L47、L48、L49、L64、L66、L68、L69、L71、(B)VH/VL鎖をパッキングする残基:L36、L38、L44、L46、L87、並びに(C)標準的なCDR構造支持残基L2、L48、L64、L71において1つ以下のアミノ酸の差を有する、DPK5、DPK4、DPK1、IGKV1-501、DPK24、DPK21、DPK15、IGKV1-1302、IGKV1-1701、DPK8、IGKV3-1101及びDPK22が挙げられる(Lo, “Antibody Humanization by CDR Grafting”, (2004) Antibody Engineering, Vol. 248, Methods in Molecular Biology pp 135-159及びO’Brien and Jones, “Humanization of Monoclonal Antibodies by CDR Grafting”, (2003) Recombinant Antibodies for Cancer Therapy, Vol. 207, Methods in Molecular Biology pp 81-100を参照)。特に好ましくは、DPK9と、それぞれ99、97、97、96、80、76、66%の同一性を共有し、これらの共通の構造的特徴においてアミノ酸の差がない、DPK5、DPK4、DPK1、IGKV1-501、DPK24、DPK21、及びDPK15のフレームワーク領域である。一部の態様において、%同一性は、本明細書においてCDRと定義されるフラグメントを除いたVLとの類似性に基づく。
【0401】
抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト生殖細胞系のVHフレームワーク配列を含むVHフレームワークを含んでいてもよい。VHフレームワークは、1つ以上のアミノ酸置換、付加、又は欠失を含んでいてもよく、それでもなおその由来となる生殖細胞系と機能的及び構造的な類似性を保持する。一部の態様において、VHフレームワークは、ヒト生殖細胞系のVHフレームワーク配列と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一である。一部の態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト生殖細胞系のVHフレームワーク配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のアミノ酸置換、付加又は欠失を含むVHフレームワークを含む。一部の態様において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸置換、付加又は欠失は、フレームワーク領域中にのみ存在する。一部の態様において、%同一性は、本明細書においてCDRと定義されるフラグメントを除いたVHとの類似性に基づく。
【0402】
ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP54又はIGHV3-7のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP47又はIGHV3-23のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP71又はIGHV4-59のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP75又はIGHV1-2_02のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP10又はIGHV1-69のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP7又はIGHV1-46のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP49又はIGHV3-30のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP51又はIGHV3-48のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP38又はIGHV3-15のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP79又はIGHV4-39のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP78又はIGHV4-30-4のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP73又はIGHV5-51のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP50又はIGHV3-33のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP46又はIGHV3-30-3のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、DP31又はIGHV3-9のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、ヒトVH生殖細胞系コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、ヒトVH3生殖細胞系コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、ヒトVH5生殖細胞系コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、ヒトVH1生殖細胞系コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。ヒト生殖細胞系のVHフレームワークは、ヒトVH4生殖細胞系コンセンサス配列のフレームワークであってもよい。
【0403】
一部の態様において、VHフレームワークは、DP-54である。他の類似のフレームワーク領域も、配列番号7、8、9、11,19、20、21のCDR、及び以下のVHアミノ酸配列:6、10、12、17、18、36、38、40、52、53、54、55、56、57、63、96によって特定されるCDRを含む本発明の有利な抗体を送達することが予測され、そのようなフレームワーク領域としては、DP-54のFW領域と、それぞれ93、92、92、99、97、97、96、96、94、94、93、92%の同一性を有し、共通の構造的特徴(Kabatの番号付け)である(A)CDRの直下の残基(バーニアゾーン)、H2、H47、H48、及びH49、H67、H69、H71、H73、H93、H94、(B)VH/VL鎖をパッキングする残基:H37、H39、H45、H47、H91、H93、並びに(C)標準的なCDR構造支持残基H24、H71、H94において1つ以下のアミノ酸の差を有する、DP-50、IGHV3-3009、IGHV3-3015、IGHV3-4801、DP-77、DP-51、IGHV3-6601、DP-53、DP-48、IGHV3-5301、IGHV3-3002、及びDP-49が挙げられる(Lo 2004及びO’Brien and Jones 2003を参照)。特に好ましくは、DP-54と、それぞれ93、92及び92%の同一性を有し、これらの共通の構造的特徴においてアミノ酸の差がない、DP-50、IGHV3-3009、IGHV3-3015のフレームワーク領域である。一部の態様において、%同一性は、本明細書においてCDRと定義されるフラグメントを除いたVHとの類似性に基づく。
【0404】
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合フラグメントは、(i)配列番号8のアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH、及び/又は(ii)配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。これらのVL及びVH配列のいずれの組合せも本発明に包含される。
【0405】
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合フラグメントは、(i)配列番号29のアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むHC;及び/又は(ii)配列番号28のアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むLCを含む。これらのHC及びLC配列のいずれの組合せも本発明に包含される。
【0406】
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合フラグメントは、Fcドメインを含む。Fcドメインは、IgA由来であってもよいし(例えば、IgA又はIgA)、IgG、IgE、又はIgG由来であってもよい(例えば、IgG1、IgG、IgG、又はIgG)。
【0407】
本発明はまた、ヒトCXCR5への結合について、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合フラグメント、例えば本明細書で提供される抗体(又はその抗原結合フラグメント)のいずれか1つのいずれかと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントも提供する。例えば、抗体又はその抗原結合フラグメントのヒトCXCR5への結合が、それに続くCXCL13によるヒトCXCR5への結合を妨害する場合、その抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒトCXCR5結合について、CXCL13と競合する。
【0408】
本発明によって提供される抗体及び抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、それらの突然変異体、抗体の一部を含む融合タンパク質、ドメイン抗体(dAb)、ヒト化抗体、及び必要な特異性を有する抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のあらゆる改変された立体配置、例えば、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、及び共有結合で改変された抗体を含む。抗体及び抗原結合フラグメントは、マウス、ラット、ヒト、又は他のあらゆる起源のものであり得る(キメラ又はヒト化抗体を含む)。一部の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態において、抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体である。特定の実施形態において、抗体は、ヒト抗体である。特定の実施形態において、抗体は、ヒト化抗体である。
【0409】
エピトープマッピング
本発明はまた、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合フラグメントと同じヒトCXCR5エピトープに結合する抗体又はその抗原結合フラグメントも提供する。例えば、抗体競合アッセイ(及びオーバーラップエピトープ分析)は、SPR、フローサイトメトリー、及び当業界において公知の他のあらゆるアッセイによって査定することができる。
【0410】
一態様において、本発明は、ヒトCXCR5及びカニクイザルCXCR5と結合するが、マウスCXCR5と結合しない抗体又はその抗原結合フラグメントを包含する。
【0411】
本発明はまた、ヒトCXCR5のN末端領域(「N」)と結合する抗体又はその抗原結合フラグメントも含む。CXCR5のN末端は、配列番号31のアミノ酸配列の番号付けに基づいて、アミノ酸残基番号1~51を含む。
【0412】
本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基位置番号11にロイシン(L)を含むエピトープにおいて、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0413】
一態様において、本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基位置番号22にアスパラギン酸(D)を含むエピトープにおいて、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0414】
一態様において、本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基位置番号11にロイシンを含み、アミノ酸残基位置番号22にアスパラギン酸を含むエピトープにおいて、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0415】
本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号11におけるアミノ酸残基がロイシンである、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0416】
本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号11におけるアミノ酸残基がロイシンであるCXCR5と特異的に結合するが、位置番号11におけるアミノ酸残基がスレオニンであるCXCR5と結合しない抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0417】
一態様において、本発明は、野生型ヒトCXCR5と特異的に結合するが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基位置番号11がロイシンではない場合、結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0418】
本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号22におけるアミノ酸残基がアスパラギン酸である、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0419】
一態様において、本発明は、野生型ヒトCXCR5と特異的に結合するが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号22におけるアミノ酸残基がアスパラギン酸ではない場合、結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0420】
一態様において、本発明は、野生型ヒトCXCR5と特異的に結合するが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基位置番号22がアラニンである場合、結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0421】
本発明は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号11におけるアミノ酸残基がロイシンであり、位置番号22におけるアミノ酸残基がアスパラギン酸である、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0422】
一態様において、本発明は、ヒトCXCR5と特異的に結合するが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号11におけるアミノ酸残基がロイシンではなく、位置番号22におけるアミノ酸残基がアスパラギン酸ではない場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0423】
一態様において、本発明は、ヒトCXCR5と特異的に結合するが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号11におけるアミノ酸残基がスレオニンであり、位置番号22におけるアミノ酸残基がアラニンである場合、結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0424】
当業者は、本発明の教示を利用して、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、位置番号11及び/又は位置番号22におけるアミノ酸残基が、本発明の抗体の結合にとって重要であることを理解すると予想される。より具体的には、これらのアミノ酸残基は、抗体11G2又はその抗原結合フラグメントによるCXCR5への結合にとって重要である。したがって、当業者であれば、本発明は、11位におけるアミノ酸残基がロイシンであり、22位におけるアミノ酸残基がアスパラギン酸である、CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含むことを理解していると予想される。これらのアミノ酸残基の置換又は欠失は、CXCR5への結合の損失を引き起こす可能性がある。11位におけるアミノ酸残基の特定の置換は、結合を保存するが、その(ロイシン)アミノ酸残基のスレオニンでの置換はそうではない。同様に、22位におけるアミノ酸残基の特定の置換又は欠失は、結合を保存することができるが、そのアミノ酸残基番号におけるアスパラギン酸のアラニンでの置換はそうではない。それゆえに、11G2抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又はそれと結合について競合する抗体の特徴は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、ロイシン11及びアスパラギン酸22が存在する場合、抗体はヒトCXCR5と結合するが、ロイシン11がスレオニン又は別のアミノ酸残基で置き換えられている場合、抗体は結合せず、アスパラギン酸22がアラニン又は別のアミノ酸残基で置き換えられている場合、抗体は結合しないことである。アミノ酸残基位置番号11及び/又は番号22でのアミノ酸置換後における結合の損失に関する試験は、当業界において周知の多種多様の方法、例えば、本明細書で例示された方法によって点変異ポリペプチドを使用する結合分析などを使用して、実行することができる。
【0425】
本明細書で提供される教示に基づき、当業者は、本発明の抗体は、例えば11G2と競合することができるが、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号11にロイシンを含み、及び/又はアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むエピトープを含まないことを理解していると予想される。すなわち、アミノ酸残基番号11におけるロイシン又はアミノ酸残基番号22におけるアスパラギン酸が異なるアミノ酸で置換されている(例えば、ロイシンの代わりにスレオニン、及び/又はアスパラギン酸の代わりにアラニン)、例えば、2C9、11A7及び16D7である場合、抗体は、CXCR5への結合について本発明の抗体と競合することができるが、競合抗体結合は影響されない。したがって、本発明の抗体は、CXCR5への結合について競合し、さらに、アミノ酸残基番号11がロイシンではない場合、より具体的にはスレオニンである場合、及び/又はアミノ酸残基番号22がアスパラギン酸ではない場合、より具体的にはアラニンである場合も、CXCR5と結合しない。これまで本明細書で述べたように、突然変異CXCR5タンパク質の産生及び抗体競合結合を査定するためのアッセイは、本明細書に記載される方法も含め当業界において周知である。したがって、本明細書で提供される教示に基づき、当業者は、CXCR5と結合し、本発明の抗体と結合について競合し、特定のアミノ酸が置換されると、例えば、全ての配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、ロイシン11、アスパラギン酸22又は両者が置換されると、CXCR5突然変異タンパク質と結合する能力を失う抗体を同定することを容易に行うことができると予想される。
【0426】
別の態様において、本発明は、結合について抗体11G2又はその抗原結合フラグメントと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11がロイシンではない場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0427】
別の態様において、本発明は、結合について抗体11G2又はその抗原結合フラグメントと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号22がアスパラギン酸ではない場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0428】
別の態様において、本発明は、結合について抗体11G2又はその抗原結合フラグメントと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11がロイシンではなく、アミノ酸残基番号22がアスパラギン酸ではない場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0429】
別の態様において、本発明は、結合について抗体11G2又はその抗原結合フラグメントと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号11がスレオニンである場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0430】
別の態様において、本発明は、結合について抗体11G2又はその抗原結合フラグメントと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号22がアラニンである場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0431】
別の態様において、本発明は、結合について抗体11G2又はその抗原結合フラグメントと競合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って、アミノ酸残基番号11がスレオニンである場合、及びアミノ酸残基番号22がアラニンである場合、CXCR5と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0432】
抗CXCR5抗体の生物学的活性
CXCR5におけるエピトープの結合に加えて、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、生物学的活性を媒介することができる。すなわち、本発明は、CXCR5と特異的に結合し、以下:(a)高い見かけの親和性でCXCR5+細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット又はウサギのオーソログを発現する細胞と結合しないこと;(b)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13阻害に拮抗すること;(c)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させること;(d)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、又はXCR1と結合しないこと;(e)末梢血中のB細胞及び/又は二次リンパ器官(すなわち、リンパ節、脾臓、パイエル板及び粘膜関連リンパ組織)を枯渇させること;(f)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させること;(g)二次リンパ器官において真正Tfh細胞を枯渇させること;並びに(h)体液性免疫メモリー応答を損なうことから選択される少なくとも1つの検出可能な活性を媒介する、単離された抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0433】
一態様において、本発明は、抗体を含み、又は高い見かけの親和性でCXCR5+細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット又はウサギのオーソログを発現する細胞と結合しない。見かけの親和性の結合を、フローサイトメトリーを使用して査定して、標的タンパク質(例えば、CXCR5)を発現する細胞への抗体結合を検出することができる。細胞は、CXCR5をコードする核酸で一時的又は安定にトランスフェクトされていてもよい。あるいは、細胞は、その表面上にCXCR5を天然に発現する細胞であってもよい。CXCR5+細胞の由来に関係なく、細胞への抗体の結合は、当業界で認識されている様々な方法を使用して容易に査定することができる。抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒトCXCR5又はcynoCXCR5と結合するが、マウス、ラット又はウサギCXCR5と検出可能に結合しないか又はかなり低い程度で結合する。
【0434】
本発明は、CXCR5と特異的に結合し、CXCR5へのCXCL13の結合によって媒介される活性に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。CXCR5-CXCL13シグナル伝達によって媒介される活性の阻害を決定するための当業界において公知の多くのアッセイがある。1つのこのようなアッセイは、cAMPレポーターアッセイである。このようなアッセイにおいて、フォルスコリンは、CXCR5を安定して発現する細胞においてCXCR5-CXCL13シグナル伝達によって阻害されるcAMP産生を誘導する。したがって、CXCR5と結合し、CXCR5-CXCL13シグナル伝達の作用に拮抗する抗CXCR5抗体の能力は、抗体の存在又は非存在下で産生されたcAMPのレベルを測定することによって査定される。好ましくは、抗体は、用量依存性のcAMPレベルの増加を、約50pM、約100pM、約200pM、約400pM、約600pM、約700pM、約750pM、約790pM、約800pM、約850pM、約900pM、約950pM、約960pM、約970pM、約980pM、約990pm、又は約1000pMのEC50で媒介することができる。より好ましくは、抗体又はその抗原結合フラグメントは、フォルスコリンによって開始されるcAMPのCXCL13阻害を、約961pMのEC50で阻害する。
【0435】
本発明は、CXCR5と特異的に結合し、ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナー扁桃単核細胞(TMC)においてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させる、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。多くのADCCアッセイは、抗体のADCC活性を査定するのに使用することができる。このような例示的なアッセイが本明細書の例6及び7に記載されているが、本発明は、この特定のADCCアッセイに限定されるものではない。本発明は、ヒトB細胞、ヒトTfh様細胞、ヒトTfh細胞及びカニクイザルB細胞において、約0.11pM、0.2pM、0.5pM、1pM、1.5pM、2.0pM、2.5pM、3.0pM、4.5pM、4.8pM、5.0pM、6.0pM、7.0pM、8.0pM、9.0pM、10pM、11pM、12pM、15pM、20pM、25pM、30pM、35pM、又は40pMのEC50でADCC活性を示す抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。より好ましくは、抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒトB細胞に対して約2.01±2.28pM、ヒトTfh様細胞に対して約4.82±2.88pM、ヒトThf細胞に対して約0.11pM、及びcynoB細胞に対して約15.3±11.7pMのEC50でADCC活性を示す。さらにより好ましくは、抗体又はその抗原結合フラグメントは、アフコシル化されている。
【0436】
本発明は、ヒトCXCR5と結合するが、ヒトタンパク質CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、又はXCR1と検出可能に結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを包含する。
【0437】
本発明は、CXCR5と特異的に結合し、末梢血中のB細胞の用量依存性の枯渇を示す、抗体又はその抗原結合フラグメントを包含する。枯渇は、永続的であってもよく、又はより好ましくは、枯渇は、一時的及び/又は可逆的である。一態様において、B細胞枯渇を媒介するのに十分な抗体用量は、0.001~約0.2mgであってもよく、この場合、0.0001mg/kgは、抗体が投与されていない場合の末梢血におけるB細胞又はTfh様細胞のパーセンテージと比較して約50%のカニクイザルの末梢血中のB細胞及びTfh様細胞の枯渇を媒介することができる。加えて、抗体は、5mg/kg未満の用量で静脈内(IV)投与されたカニクイザルの末梢血中の最大のB細胞及びTfh様細胞の枯渇を媒介することができる。好ましくは、抗体の投与後、B細胞、Tfh様及びTfh細胞の部分的から完全な回復が起こる。
【0438】
本発明は、CXCR5と特異的に結合し、体液性免疫メモリー応答を損なう、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。一態様において、体液性メモリー応答は、ワクチンリコールアッセイを使用して査定される。すなわち、事前に抗原、例えば破傷風トキソイド(TT)が接種された対象に、抗体を投与する。対象に2回目の抗原投与がなされ、免疫応答、例えばIgM及びIgG力価を、抗体が投与されないこと以外は同一な対象における免疫応答と比較する。当業者は、本明細書で開示された教示が提供されれば、体液性メモリー応答を決定するための多くのアッセイは、抗体又はその抗原結合フラグメントの体液性メモリー応答を損なう能力を査定するのに使用できることを理解していると予想される。さらに、当業者は、体液性メモリー応答を損なう能力は、抗体又はその抗原結合フラグメントを、それを必要とする対象において免疫疾患を治療又は予防するための治療剤として使用するために望ましい特徴であることを理解していると予想される。
【0439】
本発明は、上記で論じられた生物学的活性の、少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらにより好ましくは3つ、さらにより好ましくは4つ、さらにその上より好ましくは5つ、さらにより好ましくは6つ、より好ましくは7つ、さらにより好ましくは全てを示す抗体又はその抗原結合フラグメントを包含する。
【0440】
III.アフコシル化された抗CXCR5抗体
一実施形態において、Fc領域に(直接的又は間接的に)結合した、フコースを有さない炭水化物構造を有する抗体(すなわち、アフコシル化された抗体)が提供される。例えば、複数のこのような抗体を含む組成物中のフコースの量は、0パーセント~約30パーセント、0パーセント~約20パーセント、0パーセント~約15パーセント、0パーセント~約10パーセント、より好ましくは、0パーセント~約5パーセントであり得る。一部の実施形態において、複数のこのような抗体を含む組成物は、少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも85パーセント、さらにその上より好ましくは少なくとも90パーセント、さらにより好ましくは少なくとも95パーセントのアフコシル化された抗体、さらにその上より好ましくは少なくとも99パーセント、最も好ましくは少なくとも99.5パーセントのアフコシル化された抗体を含む。一部の実施形態において、抗体は、100パーセントアフコシル化されており、すなわち、フコースは、抗体中のフコースを検出するための当業界で認識されている方法を使用して、Asn297で検出されない。フコースの量は、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)の合計に対するAsn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。
【0441】
一部の実施形態において、フコシル化のレベルは、0.5%以下であり、これは試験方法の定量限界(LOQ)に基づく。したがって、一部の実施形態において、アフコシル化のレベルは、99.5%より大きいか又はそれに等しい。N-結合型オリゴ糖プロファイル方法を使用して、サンプル中のフコシル化、シアル化、マンノシル化及び末端ガラクトシル化(glactosylation)のレベルを決定することができる。N-結合型オリゴ糖方法を使用して、N-結合型グリカンを評価することができる。手短に説明すると、ペプチド-N-グリコシダーゼFを用いて、N-結合型グリカンを、タンパク質から酵素的に放出させる。次いでグリカンを、蛍光物質によって誘導体化し、親水性相互作用液体クロマトグラフィー及び蛍光検出を使用して分析する。次いでクロマトグラフプロファイルを参照物質のクロマトグラフプロファイルと比較する。この方法及び他の多くの方法は、抗体のフコシル化を査定することに関する分野において公知であり、本発明の抗体中に存在するフコシル化のレベルを決定するのに使用することができる。
【0442】
非限定的な例示的な抗体中のフコースを検出する方法としては、MALDI-TOF質量分析(例えば、WO2008/077546を参照)、放出された蛍光標識オリゴ糖のHPLC測定(例えば、Schneider et al, "N-Glycan analysis of monoclonal antibodies and other glycoproteins using UHPLC with fluorescence detection," Agilent Technologies, Inc. (2012); Lines, J. Pharm. Biomed. Analysis, 14: 601-608 (1996); Takahasi, J. Chrom., 720: 217-225 (1996)を参照)、放出された蛍光標識オリゴ糖のキャピラリー電気泳動測定(例えば、Ma et al., Anal. Chem., 71: 5185-5192 (1999)を参照)、及び単糖組成を測定するためのパルス電流滴定検出を用いたHPLC(例えば、Hardy, et al, Analytical Biochem., 170: 54-62 (1988)を参照)が挙げられる。Asn297は、Fc領域中の約297位(Fc領域残基のEU番号付け)に配置されたアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体におけるわずかな配列の変動により、297位のプラス・マイナス約3個のアミノ酸の上流又は下流に、すなわち294位と300位との間に配置されている場合もある。本明細書に記載されるCXCR5抗体において、Asn297は、配列QYNSTに見出され、表16で太字及び下線で示される(例えば、野生型ヒトIgG1のFcドメインの配列番号31)。
【0443】
フコシル化バリアントは、改善したADCC機能を有していてもよい。例えば、US2003/0157108(Presta, L.);US2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd)を参照されたい。「アフコシル化された」又は「フコース欠乏」抗体に関する出版物の例としては、US2003/0157108;WO2000/61739;WO2001/29246;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336: 1239-1249 (2004);Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が挙げられる。アフコシル化された抗体を産生することが可能な細胞株の例としては、タンパク質のフコシル化が欠乏したLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);US2003/0157108、Presta, L;WO2004/056312、Adams et al.、特に例11)、及びノックアウト細胞株、例えば、機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8を欠く細胞株、例えば、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng, 94(4):680-688 (2006);WO2003/085107を参照)が挙げられる。
【0444】
2分岐オリゴ糖を有する抗体、例えば、抗体のFc領域に結合した2分岐オリゴ糖がGlcNAcで2つに分岐している抗体がさらに提供される。このような抗体は、低減したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。このような抗体の例は、例えば、WO2003/011878(Jean-Mairet et al.);US6602684(Umana et al.);及びUS2005/0123546(Umana et al.)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体も提供される。このような抗体は、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体は、例えば、WO97/30087(Patel et al.);WO98/58964(Raju, S.)及びWO99/22764(Raju, S.)に記載されている。
【0445】
本発明の一部の実施形態において、アフコシル化された抗体は、ヒトエフェクター細胞の存在下で、フコースを含む親抗体より効果的にADCCを媒介する。一般的に、ADCC活性は、本明細書で開示されるようなインビトロのADCCアッセイを使用して決定することができるが、ADCC活性を決定するための他のアッセイ又は方法、例えば動物モデルにおけるものなどが企図される。
【0446】
一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、インビトロ及び/又はインビボで増強されたADCC活性を有する。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、インビトロで増強されたADCC活性を有する。一部の実施形態において、インビトロでのADCC活性は、本明細書に記載される方法によって決定される。手短に説明すると、抗CXCR5抗体又はアイソタイプ対照の連続希釈物を、健康なヒトドナー又はカニクイザルからの末梢血単核細胞(PBMC)と共にインキュベートする。このアッセイにおいて、PBMCは、ナチュラルキラー(NK)エフェクター細胞、標的CXCR5+ B及びTfh様細胞のソースである。フローサイトメトリーを使用して、およそ20時間後に残存するB及びTfh様細胞の数を定量化する。PF-06835375抗体濃度の対数に対して、抗原結合集団の細胞傷害性のパーセンテージをプロットすることによって細胞傷害性滴定曲線を作成した。EC50値を、GraphPad Prism(登録商標)(バージョン6.0、GraphPad Software, Inc, San Diego, CA)非線形回帰曲線フィッティング及び以下の方程式に従うアゴニスト用量応答モデルのシグモイドログを使用して決定した:
Log(アゴニスト)対応答-変数の傾き(4パラメーター)
Y=最小+(最大-最小/(1+10^((LogEC50-X)×ヒルスロープ)) 式中、Yは、細胞傷害性のパーセンテージであり、Xは、抗体濃度であり、最大は、シグモイド曲線の上のプラトーに対応する最大のY-値であり、最小は、シグモイド曲線の下のプラトーに対応する最小のY-値であり(0に拘束される)、LogEC50は、曲線の屈曲点における抗体濃度の対数である。
【0447】
平均値及び標準偏差(STDEV)で実験全体のEC50値をまとめた。一部の実施形態において、ヒト扁桃由来の真正Tfh細胞のADCCを誘導するヒト化mAbの能力を、同様にPBMCから単離されたNK細胞を添加して扁桃単核細胞から単離されたCD4+ T細胞を使用して査定した。一部の実施形態において、CXCR5を発現するBa/F3細胞を、標的細胞として使用した。一部の実施形態において、細胞傷害性は、CytoTox Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega, Madison, WI)を使用してLDH放出を定量化することによって決定される。
【0448】
一部の実施形態において、最大の溶解は、5パーセントのTriton X-100を使用して決定され、自発的な放出は、抗体の非存在下で決定される。一部の実施形態において、特異的な溶解のパーセンテージは、式:(実験-自発的な放出)/(最大-自発的な放出)×100=特異的な溶解のパーセントを使用して決定することができる。一部の実施形態において、増強されたADCC活性を有するアフコシル化された抗CXCR5抗体は、試験された抗体の少なくとも1つの濃度において、同じ量のフコシル化された抗体での特異的な溶解より、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、又は少なくとも75パーセントポイント大きい特異的な溶解をもたらす。一部の実施形態において、増強されたADCC活性を有するアフコシル化された抗CXCR5抗体は、フコシル化された抗体での特異的な溶解より、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、又は少なくとも75パーセントポイント大きい特異的な溶解をもたらし、この場合、各抗体は、0.01~1マイクロg/mlの濃度であり、標的細胞は、CXCR5を発現するBa/F3細胞である。一部の実施形態において、抗体は、0.000005マイクロg/ml~5マイクロg/mlの濃度で試験される。
【0449】
一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、FcγRIIIAへの増強された親和性を有する。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、FcγRIIIA(V158)への増強された親和性を有する。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、FcγRIIIA(F158)への増強された親和性を有する。一部の実施形態において、FcγRIIIAへの抗体の親和性は、表面プラズモン共鳴を使用して、及び/又は以下のようにして決定され、これは、FcγRIIIA(V158)を参照しながら記載されるが、FcγRIIIA(F158)への親和性の決定にも好適である。手短に説明すると、一部の実施形態において、フコシル化又はアフコシル化された抗CXCR5抗体を、プロテインAでコーティングされたデキストランチップ上に捕獲する。FcγRIIIA(V158)(例えば、R and D Systemsから入手可能)を様々な濃度で注入する。フコシル化及びアフコシル化された抗CXCR5抗体のFcγRIIIA(V158)への会合定数、解離定数及び親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴システムと共に提供されるソフトウェア(例えば、Biacore T200 Evaluationソフトウェア1:1結合モデル)を使用して決定することができる。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、FcγRIIIA(例えばFcγRIIIA(V158)又はFcγRIIIA(F158))への増強された親和性を有する可能性があり、フコシル化された抗CXCR5抗体より、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも17倍、20倍、30倍、50倍、100倍、500倍、又は少なくとも1000倍大きい親和性で、FcγRIIIAに結合することができる。
【0450】
IV.抗CXCR5抗体の発現及び産生
抗CXCR5抗体をコードする核酸
本発明はまた、本明細書に記載される抗体フラグメント及び改変された抗体を含む抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドも提供する。本発明はまた、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを作製する方法も提供する。ポリヌクレオチドは、当業界において公知の手順によって作製し、発現させることができる。
【0451】
望ましい抗体、定義された抗体フラグメント、又はその抗原結合フラグメント、及びこのような抗体又はそれらのフラグメントをコードする核酸の配列は、標準的なシーケンシング技術を使用して決定することができる。望ましい抗体、定義された抗体フラグメント、又はその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列は、組換え産生及び特徴付けのために様々なベクター(例えばクローニング及び発現ベクター)に挿入させることができる。重鎖、定義された抗体フラグメント、又は重鎖の抗原結合フラグメントをコードする核酸と、軽鎖をコードする核酸、定義された抗体フラグメント、又は軽鎖の抗原結合フラグメントをコードする核酸とは、同じベクター、又は異なるベクターにクローニングすることができる。
【0452】
一態様において、本発明は、以下のCXCR5抗体及びその抗原結合フラグメント:マウス11G2 VH、マウス11G2 VL、キメラ11G2 VH、キメラ11G2 VL、h11G2 VH(XC152)、h11G2 VH(XC155)、h11G2 VH(XC156)、h11G2 VH(XC157)、h11G2 VH(XC350)、h11G2 VH(XC351)、h11G2 VH(XC352)、h11G2 VH(XC353)、h11G2 VH(XC354)、h11G2 VL(XC151)、h11G2 VL(XC153)、h11G2 VL(XC154)、h11G2 VL(XC346)、h11G2 VL(XC347)、h11G2 VL(XC348)、h11G2 VL(XC349)、マウス41A10 VH、マウス41A10 VL、キメラ41A10 VH、キメラ41A10 VL、ヒト化41A10 VH(XC147)、h41A10 VH(XC148)、h41A10 VH(XC150)、h41A10 VL(XC142)、h41A10 VL(XC143)、h41A10 VL(XC144)、h41A10 VL(XC145)、h41A10 VL(XC146)、h41A10 VL(XC149)、マウス5H7 VH、マウス5H7 VL、キメラ5H7 VH、及びキメラ5H7 VLのいずれかのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。上記のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、本明細書で開示される本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントのアミノ酸配列と、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一な、より好ましくは同一なアミノ酸配列をコードする。
【0453】
本発明は、キメラ41A10、ヒト化41A10(142/147)、ヒト化41A10(142/148)、キメラ11G2、アフコシルキメラ11G2、ヒト化11G2(151/152)、ヒト化11G2(153/155)、ヒト化11G2(153/156)、ヒト化11G2(154/155)、ヒト化11G2(154/157)及びアフコシル化されたヒト化11G2(154/155)からなる群から選択される、抗体と実質的に同じエピトープと結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0454】
本発明は、キメラ41A10、ヒト化41A10(142/147)、ヒト化41A10(142/148)、キメラ11G2、アフコシルキメラ11G2、ヒト化11G2(151/152)、ヒト化11G2(153/155)、ヒト化11G2(153/156)、ヒト化11G2(154/155)、ヒト化11G2(154/157)及びアフコシルヒト化11G2(154/155)からなる群から選択される抗体と、CXCR5への結合について競合する抗体又はその抗原結合フラグメントのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0455】
本発明は、配列番号1~29、配列番号35~40及び配列番号47~63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0456】
本発明は、配列番号106、107、108及び109の1種以上に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明は、配列番号95に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明は、配列番号96に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明は、配列番号97に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明は、配列番号98に記載の核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0457】
本発明は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323及び受託番号PTA-124324を有するプラスミドのDNAインサートの核酸配列の一方又は両方を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0458】
本発明は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミド中のインサートの核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0459】
本発明は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミド中のインサートの核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0460】
本発明は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323及び受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0461】
本発明は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0462】
本発明は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0463】
本発明は、配列番号106、107、108及び109の1種以上に記載の1つ以上の核酸分子を含む細胞を提供する。本発明は、配列番号106及び107に記載の1つ以上の核酸分子を含む細胞を提供する。本発明は、配列番号108及び109に記載の1つ以上の核酸分子を含む細胞を提供する。
【0464】
別の態様において、本発明は、抗CXCR5抗体をコードするポリヌクレオチド及びそのバリアントであって、このようなバリアントポリヌクレオチドは、本明細書で開示された具体的な核酸配列のいずれかと、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を共有する、ポリヌクレオチド及びそのバリアントを提供する。これらの量は、限定を意味せず、列挙されたパーセンテージ間の漸増値が本開示の一部として具体的に想定される。
【0465】
本発明は、本明細書に記載される核酸分子によってコードされたポリペプチドを提供する。
【0466】
一実施形態において、VH及びVLドメイン、又はその抗原結合フラグメント、又は全長HC若しくはLCは、別のポリヌクレオチドによってコードされる。あるいは、VHとVLの両方、又はその抗原結合フラグメント、又はHC及びLCは、単一のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0467】
いずれのこのような配列に相補的なポリヌクレオチドも本発明の開示に包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コード又はアンチセンス)又は二本鎖であってもよいし、DNA(ゲノム、cDNA又は合成)又はRNA分子であってもよい。RNA分子としては、イントロンを含有し、1対1の方式でDNA分子に対応するHnRNA分子、及びイントロンを含有しないmRNA分子が挙げられる。追加のコード又は非コード配列は、必ずしもそうとは限らないが、本発明の開示のポリヌクレオチド内に存在していてもよく、並びにポリヌクレオチドは、必ずしもそうとは限らないが、他の分子及び/又は支持材料に連結されていてもよい。
【0468】
ポリヌクレオチドは、天然配列(すなわち、抗体又はその部分をコードする内因性配列)を含んでいてもよいし、又はこのような配列のバリアントを含んでいてもよい。ポリヌクレオチドバリアントは、コードされたポリペプチドの免疫反応性が天然の免疫反応性の分子と比べて低減されないように、1つ以上の置換、付加、欠失及び/又は挿入を含有する。コードされたポリペプチドの免疫反応性への作用は、一般的に、本明細書に記載されるように査定することができる。一部の実施形態において、バリアントは、天然抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチド配列と、少なくとも約70%の同一性、一部の実施形態において、少なくとも約80%の同一性、一部の実施形態において、少なくとも約90%の同一性、一部の実施形態において、少なくとも約95%の同一性を示す。これらの量は、限定を意味せず、列挙されたパーセンテージ間の漸増値が本開示の一部として具体的に想定される。
【0469】
2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列は、2つの配列のヌクレオチド又はアミノ酸の配列が、後述するように最大限一致するようにアライメントされたときに同じである場合、「同一である」と言われる。2つの配列間の比較は、典型的に、比較ウィンドウにわたり配列を比較して、配列類似を有する局所領域を同定及び比較することによって実行される。「比較ウィンドウ」は、本明細書で使用される場合、2つの配列を最適にアライメントした後、同じの数の連続する位置を有する参照配列と配列を比較できる、少なくとも約20個、通常30~約75、又は40~約50個の連続する位置のセグメントを指す。
【0470】
比較のための配列の最適なアライメントは、バイオインフォマティクスソフトウェア(DNASTAR(登録商標),Inc.、Madison、WI)のLasergene(登録商標)スイートにおけるMegAlign(登録商標)プログラムを使用して、デフォルトパラメーターを使用して実行することができる。このプログラムは、以下の参考文献に記載される数々のアライメントスキームを含む:Dayhoff, M.O., 1978, A model of evolutionary change in proteins - Matrices for detecting distant relationships. In Dayhoff, M.O. (ed.) Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, Washington DC Vol. 5, Suppl. 3, pp. 345-358; Hein J., 1990, Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp. 626-645 Methods in Enzymology vol. 183, Academic Press, Inc., San Diego, CA; Higgins, D.G. and Sharp, P.M., 1989, CABIOS 5:151-153; Myers, E.W. and Muller W., 1988, CABIOS 4:11-17; Robinson, E.D., 1971, Comb. Theor. 11:105; Santou, N., Nes, M., 1987, Mol. Biol. Evol. 4:406-425; Sneath, P.H.A. and Sokal, R.R., 1973, Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy, Freeman Press, San Francisco, CA; Wilbur, W.J. and Lipman, D.J., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726-730。
【0471】
一部の実施形態において、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20個の位置の比較ウィンドウにわたり2つの最適にアライメントされた配列を比較することによって決定され、ここで比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適なアライメントのための参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、20パーセント以下、通常5~15パーセント、又は10~12パーセントの付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいてもよい。パーセンテージは、配列の両方に同一な核酸塩基又はアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して、一致する位置の数を得ること、参照配列中の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で一致する位置の数を割ること、及び結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0472】
またバリアントは、天然遺伝子、又はその一部又は相補体に実質的に相同であってもよいし、またあるいはそれらに実質的に相同であってもよい。このようなポリヌクレオチドバリアントは、中程度にストリンジェントな条件下で、天然抗体(又は相補的配列)をコードする天然に存在するDNA配列にハイブリダイズすることが可能である。
【0473】
好適な「中程度にストリンジェントな条件」は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液中で事前に洗浄すること;50℃~65℃、5×SSCで、一晩ハイブリダイズすること;それに続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×及び0.2×SSCのそれぞれで、65℃で20分、2回洗浄することを含む。
【0474】
「高度にストリンジェントな条件」又は「高いストリンジェンシー条件」は、本明細書で使用される場合、(1)洗浄のための低いイオン強度及び高温、例えば、50℃で、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを利用するか;(2)ハイブリダイゼーション中に、変性剤、例えばホルムアミド、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/42℃で750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを含むpH6.5での50mMリン酸ナトリウム緩衝液を含む50%(v/v)ホルムアミドを利用するか;又は(3)42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波破砕したサケ精子DNA(50μg/mL)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランを利用し、42℃で、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中で、及び55℃で、50%ホルムアミド中で洗浄し、それに続いて55℃でのEDTAを含有する0.1×SSCからなる高いストリンジェンシーの洗浄を行う条件である。当業者は、温度、イオン強度などを、必要に応じて例えばプローブ長さなどの因子を適応させてどのように調整するかを認識していると予想される。
【0475】
遺伝子コードの縮重の結果として、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列があることが当業者に認識されているものと予想される。これらのポリヌクレオチドの一部は、いずれかの天然遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドン使用頻度の差のために異なるポリヌクレオチドが、本発明の開示によって具体的に企図される。さらに、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の開示の範囲内である。対立遺伝子は、1つ以上の突然変異、例えばヌクレオチドの欠失、付加及び/又は置換の結果として変更されている内因性遺伝子である。得られたmRNA及びタンパク質は、必ずしもそうとは限らないが、変更された構造又は機能を有する可能性がある。対立遺伝子は、標準的な技術(例えばハイブリダイゼーション、増幅及び/又はデータベース配列比較)を使用して同定することができる。
【0476】
本開示のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え方法、又はPCRを使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は当業界において周知であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列及び市販のDNAシンセサイザーを使用して、望ましいDNA配列を産生することができる。
【0477】
組換え方法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、望ましい配列を含むポリヌクレオチドは、好適なベクターに挿入することができ、ベクターは順に、本明細書でさらに論じられるように、複製及び増幅のための好適な宿主細胞に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当業界において公知のあらゆる手段によって宿主細胞に挿入することができる。細胞は、直接の取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F交配(F-mating)又はエレクトロポレーションによって、外因性ポリヌクレオチドを導入することにより形質転換される。外因性ポリヌクレオチドは、一旦導入されると、非統合型ベクター(例えばプラスミド)として細胞内に維持される場合もあり、又は宿主細胞のゲノムに統合される場合もある。このようにして増幅したポリヌクレオチドは、当業界周知の方法によって宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrook et al., 1989を参照されたい。
【0478】
あるいは、PCRは、DNA配列の再生産を可能にする。PCR技術は当業界において周知であり、US4683195、US4800159、US4754065及びUS4683202、加えてPCR: The Polymerase Chain Reaction, Mullis et al. eds., Birkauswer Press, Boston, 1994に記載されている。
【0479】
RNAは、適切なベクター中の単離されたDNAを使用し、それを好適な宿主細胞に挿入することにより得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAに転写される場合、RNAは、例えばSambrook et al., 1989に記載のように、当業者周知の方法を使用して単離することができる。
【0480】
一部の実施形態において、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、第1のベクターと第2のベクターとは、類似の量で(例えば類似のモル量又は類似の質量で)宿主細胞にトランスフェクトされる。一部の実施形態において、モル又は質量の比が5:1~1:5の第1のベクターと第2のベクターとが、宿主細胞にトランスフェクトされる。一部の実施形態において、1:1~1:5の質量の比の重鎖をコードするベクターと軽鎖をコードするベクターとが使用される。一部の実施形態において、1:2の質量の比の重鎖をコードするベクターと軽鎖をコードするベクターとが使用される。
【0481】
ベクター
一部の実施形態において、CHO若しくはCHO由来細胞、又はNSO細胞におけるポリペプチドの発現に最適化されているベクターが選択される。例示的なこのようなベクターは、例えば、Running Deer et al, Biotechnol. Prog. 20:880-889 (2004)に記載されている。
【0482】
好適なクローニング及び発現ベクターは、様々な成分、例えばプロモーター、エンハンサー、及び他の転写調節配列を含んでいてもよい。またベクターは、それに続く異なるベクターへの抗体可変ドメインのクローニングが可能になるように構築されていてもよい。好適なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築してもよいし、又は当業界で入手可能な多数のクローニングベクターから選択してもよい。選択されたクローニングベクターは、使用されることが意図された宿主細胞によって変更できるが、有用なクローニングベクターは、一般的に、自己複製する能力を有すると予想され、特定の制限エンドヌクレアーゼにとって単一の標的を有する可能性があり、及び/又はベクターを含有するクローンの選択で使用できるマーカーに関する遺伝子を有する可能性がある。好適な例としては、プラスミド、細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、並びにシャトルベクター、例えばpSA3及びpAT28が挙げられる。これらの、及び他の多くのクローニングベクターは、商業的な業者、例えばBioRad、Strategene及びInvitrogenから入手可能である。発現ベクターがさらに提供される。発現ベクターは、一般的に、本開示によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチドコンストラクトである。発現ベクターは、エピソーム又は染色体DNAの統合された部分のいずれかとして、宿主細胞中で複製可能でなければならないことが必然的に含意される。好適な発現ベクターとしては、これらに限定されるものではないが、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスなどのウイルスベクター、コスミド、及びWO87/04462で開示された発現ベクターが挙げられる。ベクター成分としては、一般的に、これらに限定されるものではないが、以下:シグナル配列;複製起点;1つ以上のマーカー遺伝子;好適な転写制御エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー及びターミネーター)の1種以上を挙げることができる。発現(すなわち、翻訳)のために、1つ以上の翻訳制御エレメント、例えばリボソーム結合部位、翻訳開始部位、及び終止コドンも、通常必要である。
【0483】
目的のポリヌクレオチドを含有するベクター及び/又はポリヌクレオチドそれ自体は、エレクトロポレーション、塩化カルシウムを利用するトランスフェクション、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、又は他の物質;マイクロプロジェクタイル衝撃;リポフェクション;及び感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染因子である場合)などの多数の適切な手段のいずれかによって、宿主細胞に導入することができる。導入するベクター又はポリヌクレオチドの選択は、しばしば宿主細胞の特徴に依存することになる。
【0484】
宿主細胞
抗体又はその抗原結合フラグメントは、好適な宿主細胞を使用して組換えにより作製することができる。抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする核酸は、発現ベクターにクローニングすることができ、次いでこれを、他の状況では免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば大腸菌(E. coli)細胞、酵母細胞、昆虫細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞に導入して、組換え宿主細胞で抗体の合成を達成することができる。好ましい宿主細胞としては、当業界において周知の多くの細胞のなかでも、CHO細胞、ヒト胎児腎臓HEK-293細胞、又はSp2.0細胞が挙げられる。抗体フラグメントは、全長抗体のタンパク質分解又は他の分解によって、組換え方法によって、又は化学合成によって産生することができる。抗体のポリペプチドフラグメント、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成によってうまく作製することができる。タンパク質及びペプチドのための化学合成方法は当業界において公知であり、市販されている。
【0485】
様々な実施形態において、抗CXCR5重鎖及び/又は抗CXCR5軽鎖は、原核細胞、例えば細菌細胞;又は真核細胞、例えば真菌細胞(例えば酵母)、植物細胞、昆虫細胞及び哺乳類細胞で発現され得る。このような発現は、例えば、当業界において公知の手順に従って行うことができる。ポリペプチドを発現させるのに使用可能な例示的な真核細胞としては、これらに限定されるものではないが、COS細胞、例えば、COS7細胞;293細胞、例えば、293-6E細胞など;CHO細胞、例えば、CHO-S、DG44、Lecl3 CHO細胞及びFUT8 CHO細胞;PER.C6(登録商標)細胞(Crucell);並びにNSO細胞が挙げられる。一部の実施形態において、抗CXCR5重鎖及び/又は抗CXCR5軽鎖は、酵母で発現され得る。例えば、US2006/0270045を参照されたい。一部の実施形態において、特定の真核宿主細胞は、抗CXCR5重鎖及び/又は抗CXCR5軽鎖に望ましい翻訳後修飾を作製するその能力に基づき選択される。例えば、一部の実施形態において、CHO細胞は、293細胞で産生された同じポリペプチドより高いレベルのシアル化を有するポリペプチドを産生する。
【0486】
望ましい宿主細胞への1つ以上の核酸の導入は、これらに限定されるものではないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染などのあらゆる方法によって達成することができる。非限定的な例示的な方法は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。核酸は、あらゆる好適な方法に従って、望ましい宿主細胞に、一時的に、又は安定してトランスフェクトさせることができる。
【0487】
一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、アフコシル化された抗体を産生することが可能な細胞、例えばタンパク質フコシル化が欠乏したLec3 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);US2003/0157108;及びWO2004/056312、特に例11)、及びノックアウト細胞株、例えば機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8を欠く細胞株、例えば、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda et al, Biotechnol. Bioeng, 94(4):680-688 (2006);及びWO2003/085107を参照)で産生される。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、機能的なFUT8遺伝子を欠くCHO細胞で産生される。一部の実施形態において、アフコシル化された抗CXCR5抗体は、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞(BioWa/Lonza, Allendale, NJ)で産生される。
【0488】
抗CXCR5抗体は、あらゆる好適な方法によって精製することができる。このような方法としては、これらに限定されるものではないが、親和性マトリックス又は疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が挙げられる。好適な親和性リガンドとしては、CXCR5 ECD及び抗体定常領域と結合するリガンドが挙げられる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、又は抗体アフィニティーカラムを使用して、定常領域と結合させ、抗CXCR5抗体を精製することができる。また、疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチル又はフェニルカラムも、一部のポリペプチドを精製するのに好適であり得る。ポリペプチドを精製する多くの方法が当業界において公知である。
【0489】
一部の実施形態において、抗CXCR5抗体は、無細胞系で産生される。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al., Methods Mol. Biol. 498: 229-44 (2009);Spirin, Trends Biotechnol. 22: 538-45 (2004);Endo et al, Biotechnol. Adv. 21: 695-713 (2003)に記載されている。
【0490】
V.使用及び医薬療法
一部の態様において、本発明の開示は、抗CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを使用してCXCR5の活性又はシグナル伝達を除去する、阻害する、又は低減させるための治療方法であって、治療有効量の抗CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を投与することを含む、治療方法を提供する。治療される障害は、CXCR5の活性又はシグナル伝達の除去、阻害又は低減によって、改善される、緩和される、阻害される、又は予防されるあらゆる疾患又は状態である。
【0491】
一部の態様において、本発明の開示は、CXCR5の活性又はシグナル伝達を除去する、阻害する、又は低減させる際における使用のための抗CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、使用は、治療有効量の抗CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を投与することを含んでいてもよい。一部の実施形態において、CXCR5の活性又はシグナル伝達の阻害又は低減は、CXCR5の活性又はシグナル伝達の除去、阻害又は低減によって、改善される、緩和される、阻害される、又は予防されるあらゆる疾患又は状態を治療することができる。
【0492】
本明細書で開示された教示を用いれば当業者により理解されると予想されるとおり、このような疾患、障害又は状態としては、これらに限定されるものではないが、炎症性応答、例えば全身性エリテマトーデス(SLE);慢性炎症性応答;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ;糖尿病(例えばI型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年型糖尿病;結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎で典型的に見出される、サイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅延型過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(これらに限定されるものではないが、クリオグロブリン血症又はクームス陽性貧血など);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性ニューロパシー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本甲状腺炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ブドウ膜網膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連の不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張性、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位、エメリー-ドレフュス型)が挙げられ、膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞性白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖が制御される。
【0493】
本発明の抗CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば診断目的で、サンプル中のCXCR5、又はCXCR5を発現する細胞を検出及び/又は測定することにも使用することができる。例えば、抗CXCR5抗体又はそれらのフラグメントは、CXCR5の異常な発現(例えば、過剰発現、過少発現、発現の欠如など)を特徴とする状態又は疾患を診断するのに使用することができる。CXCR5のための例示的な診断アッセイは、例えば、患者から得られたサンプルを、本発明の抗CXCR5抗体と接触させることを含んでいてもよく、この場合、抗CXCR5抗体は、検出可能な標識又はレポーター分子で標識されている。
【0494】
「薬学的に許容される担体」又は「医薬的な許容される賦形剤」は、本明細書で使用される場合、活性成分と組み合わせると、その成分が生物学的活性を保持できるようにし、対象の免疫系と反応性を有さないあらゆる材料を含む。例としては、これらに限定されるものではないが、標準的な製剤用担体、例えばリン酸緩衝塩類溶液、水、エマルジョン、例えば油/水エマルジョン、及び様々な種類の湿潤剤のいずれかが挙げられる。エアロゾル又は非経口投与のための好ましい希釈剤は、リン酸緩衝食塩水(PBS)又は規定(0.9%)食塩水である。このような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990及びRemington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Mack Publishing, 2000を参照されたい)。
【0495】
VI.組成物
本開示はまた、有効量の本明細書に記載されるCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物も提供する。このような組成物の例に加えて、製剤化する方法も本明細書に記載される。一部の実施形態において、組成物は、1種以上のCXCR5抗体を含む。他の実施形態において、CXCR5抗体は、CXCR5を認識する。他の実施形態において、CXCR5抗体は、ヒト抗体である。他の実施形態において、CXCR5抗体は、ヒト化抗体である。一部の実施形態において、CXCR5抗体は、望ましい免疫応答、例えば抗体媒介性溶解又はADCCを開始させることが可能な定常領域を含む。他の実施形態において、CXCR5抗体は、アフコシル化されており、フコシル化されていること以外は同一な抗体と比較して増強されたADCCを提供する定常領域を含む。他の実施形態において、CXCR5抗体は、抗体の1つ以上のCDR(例えば1、2、3、4、5つの、又は一部の実施形態において6つ全てのCDR)を含む。
【0496】
組成物は、1種より多くのCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含んでいてもよいことが理解される(例えば、CXCR5の異なるエピトープを認識するCXCR5抗体の混合物)。他の例示的な組成物は、同じエピトープを認識する1種より多くのCXCR5抗体、又はCXCR5の異なるエピトープに結合するCXCR5抗体の異なる種を含む。一部の実施形態において、組成物は、CXCR5の異なるバリアントを認識するCXCR5抗体の混合物を含む。
【0497】
本発明の開示において使用される組成物は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(Remington: The Science and practice of Pharmacy 20th Ed., 2000, Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hoover)をさらに含んでいてもよい。許容できる担体、賦形剤、又は安定剤は、所定の投薬量及び濃度でレシピエントにとって非毒性であり、緩衝液、例えばリン酸、クエン酸及び他の有機酸緩衝液;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニンなど;保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース又はデキストランなどの他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩を形成する対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又は非イオン界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)を含んでいてもよい。薬学的に許容される賦形剤はさらに本明細書に記載される。
【0498】
CXCR5抗体、その抗原結合フラグメント及びその組成物はまた、薬剤の有効性を増強する、及び/又は補うのに役立つ他の薬剤と共に使用することができる。
【0499】
特定の実施形態において、CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントは、投与の前に、CXCR5と複合体化されている。特定の実施形態において、CXCR5抗体は、投与の前に、CXCR5と複合体化されていない。
【0500】
本開示はまた、本開示のポリヌクレオチドのいずれかを含む、組成物、例えば医薬組成物も提供する。一部の実施形態において、組成物は、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。他の実施形態において、組成物は、本明細書に記載される抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。さらに他の実施形態において、組成物は、配列番号1及び配列番号6に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号10に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号12に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号5及び配列番号6に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号5及び配列番号10に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号5及び配列番号12に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号13及び配列番号17に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号13及び配列番号18に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号13及び配列番号63に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号52に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号53に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号54に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号55に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号56に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号1及び配列番号57に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号6及び配列番号48に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号6及び配列番号49に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号6及び配列番号50に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号6及び配列番号51に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号17及び配列番号58に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号17及び配列番号59に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号17及び配列番号60に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号17及び配列番号61に示される配列を含むポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号17及び配列番号62に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号1に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号5に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号47に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号48に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号49に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号50に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、配列番号52及び配列番号51に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方、又は配列番号35及び配列番号36に示される配列をコードするポリヌクレオチドのいずれか又は両方を含む。
【0501】
別の態様において、ポリヌクレオチドは、本開示の抗体のVH、VL及び/又はVHとVLの両方をコードしていてもよい。すなわち、組成物は、本開示の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする単一のポリヌクレオチド又は1つより多くのポリヌクレオチドを含む。
【0502】
本開示の医薬組成物はまた、併用療法で投与することもでき、例えば他の薬剤と組み合わせることもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の療法と組み合わせた、本発明の開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含んでいてもよく、このような療法は、外科手術、免疫療法、又は薬物療法であり得る。
【0503】
本開示の医薬化合物は、1つ以上の薬学的に許容される塩を含んでいてもよい。このような塩の例としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、非毒性の無機酸、例えば塩化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など、加えて、非毒性の有機酸、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などから誘導された酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩としては、アルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、加えて、非毒性の有機アミン、例えばN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどから誘導された塩基付加塩が挙げられる。
【0504】
本開示の医薬組成物はまた、薬学的に許容される抗酸化剤を含んでいてもよい。薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなど;及び(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0505】
本開示の医薬組成物で利用できる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物、植物油、例えばオリーブ油、並びに注入可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合、必要な粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0506】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含有していてもよい。微生物の存在の予防は、滅菌手順と、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含むことの両方によって確実にすることができる。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを組成物に含ませることも望ましい場合がある。加えて、注入可能な医薬の形態の持効性吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる物質を含ませることによって達成できる。
【0507】
医薬組成物は、典型的に、滅菌されており、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高い薬物濃度に好適な他の秩序だった構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒であってもよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合、必要な粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物に含ませることが好適であると予想される。注入用組成物の持効性吸収は、吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含ませることによって達成できる。
【0508】
滅菌注入用溶液は、活性な化合物を、必要な量で、上記で列挙された1種の成分又は成分の組合せと共に、適切な溶媒に取り込むこと、必要に応じて、それに続いて滅菌精密ろ過することによって調製することができる。
【0509】
一般的に、分散液は、活性な化合物を、塩基性分散媒及び上記で列挙されたものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに取り込むことによって調製される。滅菌注入用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)であり、それにより、活性成分に加えてあらゆる追加の望ましい成分の粉末が、事前に滅菌ろ過したそれらの溶液から得られる。
【0510】
本発明の開示の医薬組成物は、眼への投与に好適な調合物の形態で、調製し、パッケージングし、又は販売することができる。このような調合物は、例えば、点眼剤の形態であってもよく、例えば、水性又は油性液体担体中の活性成分の0.1%~1.0%(w/w)の溶液又は懸濁液などであってもよい。このような点眼剤は、緩衝剤、塩、又は本明細書に記載される追加成分のそれ以外の1種以上をさらに含んでいてもよい。他の眼に投与可能な有用な調合物としては、微結晶性の形態又はリポソーム製剤の形態の、活性成分を含むものが挙げられる。
【0511】
本明細書で使用される場合、「追加成分」としては、これらに限定されるものではないが、以下:賦形剤;表面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味剤;矯味矯臭剤;着色剤;保存剤;生理学的に分解可能な組成物、例えばゼラチン;水性ビヒクル及び溶媒;油性ビヒクル及び溶媒;懸濁化剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、粘滑薬;緩衝液;塩;増粘剤;増量剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌剤;安定化剤;並びに薬学的に許容されるポリマー又は疎水性材料の1種以上が挙げられる。本開示の医薬組成物に含まれていてもよい他の「追加成分」は当業界において公知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences, Genaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1985)に記載されている。
【0512】
一実施形態において、CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントは、酢酸ナトリウム、ポリソルベート80及び塩化ナトリウムと共に、約5~6のpHで、5mg/mL、又は一部の実施形態において、約10mg/mL、又は一部の実施形態において、約15mg/mL、又は一部の実施形態において、約20mg/mLの抗体、又は一部の実施形態において、約25mg/mL、又は一部の実施形態において、約50mg/mLの抗体を含有する滅菌水溶液としての静脈内調合物で投与される。一部の実施形態において、静脈内調合物は、20mMの酢酸ナトリウム、0.2mg/mLのポリソルベート80、及び140mMの塩化ナトリウムと共に、pH5.5で、5又は10mg/mLの抗体を含有する滅菌水溶液である。さらに、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む溶液は、他の多くの化合物のなかでも、ヒスチジン、マンニトール、スクロース、トレハロース、グリシン、ポリ(エチレン)グリコール、EDTA、メチオニン、及びそれらのあらゆる組合せ、並びに関連分野において公知の他の多くの化合物を含んでいてもよい。
【0513】
一実施形態において、本発明の開示の医薬組成物は、以下の成分:50mg/mLの本発明の開示のCXCR5抗体又は抗原結合フラグメント、20mMのヒスチジン、8.5%のスクロース、及び0.02%のポリソルベート80、pH5.8の0.005%のEDTAを含み;別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、以下の成分:100mg/mLの本発明の開示のCXCR5抗体又は抗原結合フラグメント、10mMのヒスチジン、5%のスクロース、及びpH5.8の0.01%のポリソルベート80を含む。この組成物は、液体調合物として、又は凍結乾燥粉末として提供されてもよい。粉末が完全な体積で再構成される場合、組成物は、同じ調合を保持する。あるいは、粉末は、半分の体積で再構成されてもよく、その場合、組成物は、100mgの本発明の開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメント、20mMのヒスチジン、10%のスクロース、及びpH5.8の0.02%のポリソルベート80を含む。
【0514】
一実施形態において、用量の一部は、静脈内ボーラスによって投与され、残部は抗体調合物の輸注によって投与される。例えば、CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントの0.01mg/kgの静脈注入は、ボーラスとして与えてもよく、抗体用量の残部は、静脈注入によって投与されてもよい。予め決定された用量のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントが、例えば、1時間半から2時間から5時間の期間にわたり投与されてもよい。
【0515】
治療剤に関して、治療剤が例えば小分子である場合、それは、当業界において周知のとおり、生理学的に許容されるエステル又は塩の形態で、例えば、生理学的に許容されるカチオン又はアニオンと組み合わせて、医薬組成物中に存在していてもよい。
【0516】
本明細書に記載される医薬組成物の調合物は、薬理学分野で公知の又は今後開発されるあらゆる方法によって調製することができる。一般的に、このような予備的な方法は、活性成分を担体又は1種以上の他のアクセサリー成分と会合させる工程、次いで、必要に応じて、又は望ましい場合、生成物を望ましい単回又は複数回投与単位に成形又はパッケージングする工程を含む。
【0517】
一実施形態において、本開示の組成物は、実質的に内毒素及び/又は関連する発熱性物質非含有のパイロジェンフリー調合物である。内毒素は、微生物の内部に閉じ込められた毒素を含み、微生物が破壊されたり又は死んだりすると放出される。発熱性物質としてはまた、細菌及び他の微生物の外膜由来の発熱を誘発する熱安定性物質(糖タンパク質)も挙げられる。これらの物質はどちらも、ヒトに投与される場合、発熱、低血圧及びショックを引き起こす可能性がある。可能性のある有害な作用のために、静脈内投与された医薬溶液から、少量であっても内毒素を除去することが有利である。食品医薬品局(「FDA」)は、静脈内薬物適用の単回の1時間の期間で、体重1キログラム当たり1用量当たり5内毒素単位(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention, Pharmacopeial Forum 26 (1):223 (2000))。治療用タンパク質が、体重1キログラム当たり数百又は数千ミリグラムの量で投与される場合、微量であっても内毒素を除去することが有利である。一実施形態において、組成物中の内毒素及び発熱物質レベルは、10EU/mg未満、又は5EU/mg未満、又は1EU/mg未満、又は0.1EU/mg未満、又は0.01EU/mg未満、又は0.001EU/mg未満である。別の実施形態において、組成物中の内毒素及び発熱物質レベルは、約10EU/mg未満、又は約5EU/mg未満、又は約1EU/mg未満、又は約0.1EU/mg未満、又は約0.01EU/mg未満、又は約0.001EU/mg未満である。
【0518】
一実施形態において、本開示は、組成物を投与することを含み、前記投与は、経口、非経口、筋肉内、経鼻、膣、直腸、舌、舌下、口腔、頬内、静脈内、皮膚、皮下又は経皮投与である。
【0519】
別の実施形態において、本開示は、組成物を他の療法、例えば外科手術、化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、免疫療法又は放射線療法と組み合わせて投与することをさらに含む。
【0520】
VII.用量/投与
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬品又は滅菌組成物を調製するために、抗体は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と混合される。治療剤及び診断剤の調合物は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、ローション、又は懸濁液の形態で、生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と混合することによって調製することができる(例えば、Hardman, et al. (2001) Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw-Hill, New York, N.Y.; Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams, and Wilkins, New York, N. Y.; Avis, et al. (eds.) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Marcel Dekker, NY; Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Marcel Dekker, NY; Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Marcel Dekker, NY; Weiner and Kotkoskie (2000) Excipient Toxicity and Safety, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y.を参照)。
【0521】
治療のための投与レジメンを選択することは、実体の血清又は組織代謝率、症状のレベル、実体の免疫原性、及び生体マトリックスにおける標的細胞の影響の受けやすさなど数々の要因に依存する。特定の実施形態において、投与レジメンは、副作用の許容レベルに一致する患者に送達される治療剤の量を最大化する。したがって、送達される生物製剤の量は、治療される特定の実体及び状態の重症度に一部依存する。抗体、サイトカイン及び小分子の適切な用量を選択することにおける指針が利用可能である(例えば、Wawrzynczak, 1996, Antibody Therapy, Bios Scientific Pub. Ltd, Oxfordshire, UK; Kresina (ed.), 1991, Monoclonal Antibodies, Cytokines and Arthritis, Marcel Dekker, New York, N.Y.; Bach (ed.),1993, Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases, Marcel Dekker, New York, N. Y.; Baert, et al., 2003, New Engl. J. Med. 348:601-608; Milgrom, et al., 1999, New Engl. J. Med. 341:1966-1973; Slamon, et al., 2001, New Engl. J. Med. 344:783-792; Beniaminovitz, et al., 2000, New Engl. J. Med. 342:613-619; Ghosh, et al., 2003, New Engl. J. Med. 348:24-32; Lipsky, et al., 2000, New Engl. J. Med. 343:1594-1602を参照)。
【0522】
適切な用量の決定は、例えば、治療に影響を与えることが当業界で公知の、又はそれが疑われる、又は治療に影響を与えることが予測される、パラメーター又は因子を使用して、臨床医によってなされる。一般的に、用量は、最適な用量より少し低い量から始め、その後、いずれかの負の副作用に関連して望ましい又は最適な作用が達成されるまで、小さい漸増量で増加させる。重要な診断の尺度としては、症状、例えば炎症の症状の尺度、又は産生された炎症性サイトカインのレベルが挙げられる。
【0523】
本発明の開示の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって毒性にならずに、特定の患者、組成物及び投与様式にとって望ましい治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量が達成されるように変更することができる。選択された投薬量レベルは、様々な薬物動態学的な因子、例えば、利用される本発明の開示の特定の組成物、又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、利用される特定の化合物の排泄率、治療の期間、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療されている患者の、年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態及びこれまでの病歴、並びに医療分野において周知の類似の因子などに依存すると予想される。
【0524】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物は、連続的な輸注によって、又は例えば、1日、1週間の間隔、又は1週間当たり1~7回での投与によって供給することができる。用量は、静脈内、皮下、局所、経口、経鼻、直腸、筋肉内、大脳内、又は吸入によって供給することができる。具体的な投与プロトコールは、顕著な望ましくない副作用を回避する最大用量又は用量頻度を含むものである。合計の1週間の用量は、体重1kg当たり少なくとも0.05μg、少なくとも0.2μg/kg、少なくとも0.5μg/kg、少なくとも1μg/kg、少なくとも10μg/kg、少なくとも100μg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも2.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、又は少なくとも50mg/kgであり得る(例えば、Yang, et al., 2003, New Engl. J. Med. 349:427-434;Herold, et al., 2002, New Engl. J. Med. 346:1692-1698;Liu, et al., 1999, J. Neurol. Neurosurg. Psych. 67:451-456;Portielji, et al., 2003, Cancer. Immunol. Immunother. 52: 133-144を参照)。上記用量は、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、又は少なくとも100μgであり得る。対象に投与される用量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12回、又はそれより多くであり得る。
【0525】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントに関して、患者に投与される投薬量は、患者の体重に対して、0.0001mg/kg~100mg/kgであり得る。投薬量は、患者の体重に対して、0.0001mg/kg~20mg/kg、0.0001mg/kg~10mg/kg、0.0001mg/kg~5mg/kg、0.0001~2mg/kg、0.0001~1mg/kg、0.0001mg/kg~0.75mg/kg、0.0001mg/kg~0.5mg/kg、0.0001mg/kg~0.25mg/kg、0.0001~0.15mg/kg、0.0001~0.10mg/kg、0.001~0.5mg/kg、0.01~0.25mg/kg、又は0.01~0.10mg/kgであり得る。
【0526】
CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントの投薬量は、患者の体重キログラム(kg)を投与される用量のmg/kgと掛けることを使用して計算することができる。本開示の抗体の投薬量は、患者の体重に対して、150μg/kg以下、125μg/kg以下、100μg/kg以下、95μg/kg以下、90μg/kg以下、85μg/kg以下、80μg/kg以下、75μg/kg以下、70μg/kg以下、65μg/kg以下、60μg/kg以下、55μg/kg以下、50μg/kg以下、45μg/kg以下、40μg/kg以下、35μg/kg以下、30μg/kg以下、25μg/kg以下、20μg/kg以下、15μg/kg以下、10μg/kg以下、5μg/kg以下、2.5μg/kg以下、2μg/kg以下、1.5μg/kg以下、1μg/kg以下、0.5μg/kg以下、又は0.1μg/kg以下であり得る。
【0527】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントの一回量包装は、0.1mg~200mg、0.1mg~175mg、0.1mg~150mg、0.1mg~125mg、0.1mg~100mg、0.1mg~75mg、0.1mg~50mg、0.1mg~30mg、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~12mg、0.1mg~10mg、0.1mg~8mg、0.1mg~7mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25~8mg、0.25mg~7mg、0.25mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~8mg、1mg~7mg、1mg~5mg、又は1mg~2.5mgであり得る。
【0528】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントの投薬量は、対象において、少なくとも0.1μg/mL、少なくとも0.5μg/mL、少なくとも1μg/mL、少なくとも2μg/mL、少なくとも5μg/mL、少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも50μg/mL、少なくとも100μg/mL、少なくとも125μg/mL、少なくとも150μg/mL、少なくとも175μg/mL、少なくとも200μg/mL、少なくとも225μg/mL、少なくとも250μg/mL、少なくとも275μg/mL、少なくとも300μg/mL、少なくとも325μg/mL、少なくとも350μg/mL、少なくとも375μg/mL、又は少なくとも400μg/mLの血清力価を達成することができる。あるいは、本開示の抗体の投薬量は、対象において、少なくとも0.1μg/mL、少なくとも0.5μg/mL、少なくとも1μg/mL、2μg/mL、少なくとも5μg/mL、少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも50μg/mL、少なくとも100μg/mL、少なくとも125μg/mL、少なくとも150μg/mL、少なくとも175μg/mL、少なくとも200μg/mL、少なくとも225μg/mL、少なくとも250μg/mL、少なくとも275μg/mL、少なくとも300μg/mL、少なくとも325μg/mL、少なくとも350μg/mL、少なくとも375μg/mL、又は少なくとも400μg/mLの血清力価を達成することができる。
【0529】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントの用量は、繰り返すことができ、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2か月、75日、3か月、又は少なくとも6か月離れていてもよい。
【0530】
特定の患者の有効量は、治療されている状態、患者の全体的な健康状態、方法の投与経路及び用量、並びに副作用の重症度などの要因に応じて変更することができる(例えば、Maynard, et al., 1996, A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice, Interpharm Press, Boca Raton, FIa.;Dent, 2001, Good Laboratory and Good Clinical Practice, Urch Publ, London, UKを参照)。
【0531】
投与経路は、例えば、局所又は皮膚への適用、静脈内、腹膜内、大脳内、筋肉内、眼球内、動脈内、脳脊髄内、病巣内への注入若しくは輸注、又は持続放出システム若しくはインプラントによるものであり得る(例えば、Sidman et al., 1983, Biopolymers 22:547-556;Langer, et al., 1981, J. Biomed. Mater. Res. 15: 167-277;Langer, 1982, Chem. Tech. 12:98-105;Epstein, et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692;Hwang, et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030-4034;US6350466及びUS6316024を参照)。必要に応じて、組成物はまた、注入部位の痛みを和らげるために、可溶化剤及び局所麻酔剤、例えばリドカインを含んでいてもよい。加えて、肺への投与も、例えば、吸入器又はネブライザーの使用や、エアロゾル化剤との調合によって利用することができる。例えば、それぞれ参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、US6019968、US5985320、US5985309、US5934272、US5874064、US5855913、US5290540、及びUS4880078;並びにWO92/19244、WO97/32572、WO97/44013、WO98/31346及びWO99/66903を参照されたい。一実施形態において、本開示のCXCR5抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は組成物は、Alkermes AIR(商標)肺薬物送達技術(Alkermes, Inc., Cambridge, Mass.)を使用して投与される。
【0532】
本発明の開示の組成物もまた、当業界において公知の様々な方法の1つ以上を使用して1つ以上の投与経路を介して投与されてもよい。当業者であれば理解していると予想されるように、投与の経路及び/又は様式は、望ましい結果に応じて変更されると予想される。本開示の抗体の選択される投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹膜内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路、例えば注入又は輸注による非経口投与経路が挙げられる。非経口投与は、経腸及び局所投与以外の投与様式の代表例であってもよく、これは通常、注入によってなされ、その例としては、これらに限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹膜内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内への、注入及び輸注が挙げられる。あるいは、本開示の組成物は、非経口ではない経路、例えば、局所、表皮又は粘膜への投与経路を介して、例えば、鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下又は局所で投与してもよい。
【0533】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントが制御放出又は持続放出システムで投与される場合、ポンプを使用して、制御又は持続放出を達成することができる(Langer、上記;Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20;Buchwald et al., 1980, Surgery 88:501;Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:514を参照)。
【0534】
高分子材料を使用して、本開示の療法剤の制御又は持続放出を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, FIa. (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984);Ranger and Peppas, 1983, J., Macromol. ScL Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照;また、Levy et al, 1985, Science 11 225:190;During et al., 19Z9, Ann. Neurol. 25:351;Howard et al, 1989, J. Neurosurg. 71: 105);US5679377;US5916597;US5912015;US5989463;US5128326;WO99/15154;及びWO99/20253を参照。持続放出調合物で使用されるポリマーの例としては、これらに限定されるものではないが、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)及びポリオルトエステルが挙げられる。一実施形態において、持続放出調合物で使用されるポリマーは、不活性であり、溶出性の不純物を含まず、貯蔵安定性であり、滅菌されており、生分解性である。制御又は持続放出システムは、予防又は治療上の標的に近接して設置することができ、したがって全身性用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, 上記, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照)。
【0535】
制御放出システムは、Langer, 1990, Science 249:1527-1533によって総論で論じられている。当業者公知のあらゆる技術を使用して、本開示の1種以上の抗体又はそのコンジュゲートを含む持続放出調合物を生産することができる。例えば、それぞれが参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、US4526938、WO91/05548、WO96/20698、Ning et al., 1996, "Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel," Radiotherapy and Oncology 59:179-189, Song et al., 1995, "Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions," PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology 50:372-397, Cleek et ah, 1997, "Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application," Pro. Ml. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854, and Lam et al., 1997, "Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery," Proc. Ml. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-160を参照されたい。
【0536】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントは、局所投与される場合、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、スプレー、エアロゾル、溶液、乳剤の形態で、又は当業者周知の他の形態で製剤化することができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 19th ed., Mack Pub. Co., Easton, Pa. (1995)を参照されたい。スプレー可能ではない局所剤形の場合、典型的には、局所適用に適合し、一部の場合において水より大きい動的粘度を有する、担体又は1種以上の賦形剤を含む粘性から半固体又は固体の形態が利用される。好適な調合物としては、これらに限定されるものではないが、溶液、懸濁液、乳剤、クリーム、軟膏、粉末、糊膏、軟膏などが挙げられ、これらは、必要に応じて、滅菌されているか、又は例えば浸透圧などの様々な特性に影響を与えるために、補助剤(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝液、又は塩)と混合されている。局所剤形に好適な他のものとしては、スプレー可能なエアロゾル調製物が挙げられ、その場合、活性成分は、一部の場合において、固体又は液体不活性担体と組み合わせて、加圧した揮発物質(例えば、ガス状の噴射剤、例えばフレオン)との混合物の形態で、又はスクイーズボトル中にパッケージングされる。またモイスチャライザー又は潤滑剤も、必要に応じて医薬組成物及び剤形に添加することができる。このような追加成分の例は、当業界において周知である。
【0537】
CXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物は、鼻腔内投与される場合、エアロゾル、スプレー、ミストの形態で、又は液滴の形態で製剤化することができる。特に、本発明の開示に従って使用するための予防剤又は治療剤は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガス)を使用した、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー供給の形態でうまく送達することができる。加圧したエアロゾルの場合、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを備えることによって決定することができる。化合物及び好適な粉末ベース、例えばラクトース又はデンプンの粉末混合物を含有する吸入器又は注入器で使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンで構成される)を製剤化することもできる。
【0538】
第2の治療剤、例えば、サイトカイン、ステロイド、化学療法剤、抗生物質、又は放射線との併用投与又は治療の方法は当業界において周知である(例えば、Hardman, et al. (eds.) (2001) Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., McGraw-Hill, New York, N.Y.;Poole and Peterson (eds.) (2001) Pharmacotherapeutics for Advanced Practice: A Practical Approach, Lippincott, Williams and Wilkins, Phila., Pa.;Chabner and Longo (eds.) (2001) Cancer Chemotherapy and Biotherapy, Lippincott, Williams and Wilkins, Phila., Pa.を参照)。有効量の治療剤は、症状を、少なくとも10パーセント;少なくとも20パーセント;少なくとも約30パーセント;少なくとも40パーセント、又は少なくとも50パーセント減少させることができる。
【0539】
本開示のCXCR5抗体又は抗原結合フラグメントと組み合わせて投与できる追加の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)は、本開示の抗体から、5分未満離して、30分未満離して、1時間離して、約1時間離して、約1~約2時間離して、約2時間~約3時間離して、約3時間~約4時間離して、約4時間~約5時間離して、約5時間~約6時間離して、約6時間~約7時間離して、約7時間~約8時間離して、約8時間~約9時間離して、約9時間~約10時間離して、約10時間~約11時間離して、約11時間~約12時間離して、約12時間~18時間離して、18時間~24時間離して、24時間~36時間離して、36時間~48時間離して、48時間~52時間離して、52時間~60時間離して、60時間~72時間離して、72時間~84時間離して、84時間~96時間離して、又は96時間~120時間離して投与することができる。2つ以上の療法剤が、患者の1回の同じ来訪中に投与されてもよい。
【0540】
本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメント、及び他の療法剤は、サイクリング投与することができる。サイクリング療法は、療法の1つに対する耐性の発現を低減する、療法の1つの副作用を回避若しくは低減する、及び/又は療法の効能を改善するために、所定期間にわたる第1の療法剤(例えば、第1の予防剤又は治療剤)の投与、それに続き、所定期間にわたる第2の療法剤(例えば、第2の予防剤又は治療剤)の投与、任意に、それに続き、所定期間にわたる第3の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)の投与など、及びこの逐次的な投与を繰り返すこと、すなわちサイクリングすることを含む。
【0541】
一実施形態において、本開示のCXCR5抗体は、これらに限定されるものではないが、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シトキサン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、6-メルカプトプリン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症性剤、シロリムス(ラパマイシン)及びタクロリムス(FK-506)などの自己免疫疾患及び障害を治療するための組成物と併用投与することができる。代替の実施形態において、免疫調節剤又は免疫抑制剤は、ムロモナブ-CD3、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ムロモナブ(OKT3(登録商標))、リツキシマブ、抗胸腺細胞グロブリン及びIVIg、当業者公知のその他のものからなる群から選択される抗体である。
【0542】
一実施形態において、本開示のCXCR5抗体は、糖尿病を治療するための組成物、例えば、これらに限定されるものではないが、ビグアニド(例えば、ブホルミン、メトホルミン及びフェンホルミン(phenform))、ホルモン及びそれらの類似体(アミリン、インスリン、インスリンアスパルト、インスリンデテミル、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンリスプロ、リラグルチド及びプラムリンチド)、スルホニル尿素誘導体(アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキザミド(glyhexamide)、グリミジン、トラザミド、トルブタミド及びトルシクラミド(tolcyclamide))、チアゾリジンジオン(ピオグリタゾン、ロジグリタゾン及びトログリタゾン)、アカルボース、エキセナチド、ミグリトール、ミチグリニド、ムラグリタザル、ナテグリニド、レパグリニド、シタグリプチン、テサグリタザル、ビルダグリプチン及びボグリボースなどと併用投与することができる。
【0543】
特定の実施形態において、本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントは、インビボにおいて適正な分布を確実にするように製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を排除する。本開示の治療化合物がBBBを確実に通過するように(必要に応じて)、それらは、例えば、リポソームの形態で製剤化することができる。リポソームの製造方法に関して、例えば、US4522811;US5374548;及びUS5399331を参照されたい。リポソームは、特異的な細胞又は臓器に選択的に輸送される1つ以上の部分を含んでいてもよく、したがって薬物送達の標的化を増強する(例えば、V.V. Ranade, 1989, J. Clin. Pharmacol. 29:685を参照)。例示的な標的部分としては、葉酸塩又はビオチン(例えば、US5416016を参照);マンノシド(Umezawa et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 153: 1038);抗体(P. G. Bloeman et al., 1995, FEBS Lett. 357: 140;M. Owais et al., 1995, Antimicrob. Agents Chemother. 39: 180);サーファクタントプロテインA受容体(Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233: 134);pl20(Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090)が挙げられる;K. Keinanen; M.L. Laukkanen, 1994, FEBS Lett. 346:123; Killion; Fidler, 1994; Immunomethods 4:273も参照されたい。
【0544】
本開示は、本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を、単独で、又は他の療法剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与するためのプロトコールを提供する。本発明の開示の併用療法の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)は、同時に、又は逐次的に対象に投与することができる。本発明の開示の併用療法の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)はまた、サイクリング投与することもできる。サイクリング療法は、療法剤(例えば、薬剤)の1つに対する耐性の発現を低減する、療法剤(例えば、薬剤)の1つの副作用を回避若しくは低減する、及び/又は療法の効能を改善するために、所定期間にわたる第1の療法剤(例えば、第1の予防剤又は治療剤)の投与、それに続き、所定期間にわたる第2の療法剤(例えば、第2の予防剤又は治療剤)の投与、及びこの逐次的な投与を繰り返すこと、すなわちサイクリングすることを含む。
【0545】
本開示の併用療法の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)は、同時に対象に投与することができる。用語「同時に」は、正確に同じ時間に療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)を投与することに限定されるのではなく、本開示のCXCR5抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物が、本開示の抗体又はそのコンジュゲートが他の療法剤と共に作用して、それ以外の方法でそれらを投与した場合より増加した利益を提供できるような順番及び時間間隔内で対象に投与されることを意味する。例えば、各療法剤は、あらゆる順番で、異なる時点で、同時に、又は逐次的に対象に投与することができる;しかしながら、同時に投与されない場合、それらは、望ましい治療又は予防作用がもたらされるように、十分に近い時間で投与されるべきである。各療法剤は、あらゆる適切な形態で、あらゆる好適な経路によって、別々に対象に投与することができる。様々な実施形態において、療法(例えば、予防剤又は治療剤)は、15分未満、30分未満、1時間未満離して、約1時間離して、約1時間~約2時間離して、約2時間~約3時間離して、約3時間~約4時間離して、約4時間~約5時間離して、約5時間~約6時間離して、約6時間~約7時間離して、約7時間~約8時間離して、約8時間~約9時間離して、約9時間~約10時間離して、約10時間~約11時間離して、約11時間~約12時間離して、24時間離して、48時間離して、72時間離して、又は1週間離して、対象に投与される。他の実施形態において、2つ以上の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)は、患者の同じ来訪中に投与される。
【0546】
併用療法の予防剤又は治療剤は、同じ医薬組成物で対象に投与することができる。あるいは、併用療法の予防剤又は治療剤は、別の医薬組成物で同時に対象に投与することができる。予防剤又は治療剤は、同一又は異なる投与経路によって対象に投与されてもよい。
【0547】
VIII.キット
本開示はまた、本明細書に記載される抗体のいずれか又は全てを含むキットも提供する。本開示のキットは、本明細書に記載されるCXCR5抗体を含む1つ以上の容器、及び本明細書に記載される本開示の方法のいずれかに従って使用するための説明書を含む。一般的に、これらの説明書は、上述された治療的処置のための抗体の投与の説明を含む。一部の実施形態において、キットは、単回用量の投与単位を生産するために提供される。特定の実施形態において、キットは、乾燥させたタンパク質を有する第1の容器と水性調合物を有する第2の容器の両方を含有していてもよい。特定の実施形態において、アプリケーター、例えば、シングル及びマルチチャンバーのプレフィルドシリンジ(例えば、液体シリンジ及びリオシリンジ(lyosyringe))を含有するキットが挙げられる。
【0548】
CXCR5抗体の使用に関する説明書は、一般的に、意図した治療のための投薬量、投与スケジュール及び投与経路に関する情報を含む。容器は、一回量包装、バルクのパッケージ(例えば、複数回用量のパッケージ)又は小分けにした一回量包装(sub-unit dose)であり得る。本開示のキットに供給される説明書は、典型的に、ラベル上の書面の説明書又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙のシート)であるが、機械可読な説明書(例えば、磁気又は光学記憶ディスクに記録された説明書)も許容できる。
【0549】
本開示のキットは、好適なパッケージング中にある。好適なパッケージングとしては、これらに限定されるものではないが、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブルなパッケージング(例えば、密封されたMylar又はプラスチックバッグ)などが挙げられる。また、吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)又は輸注デバイス、例えばミニポンプなどの具体的なデバイスと組み合わせて使用するためのパッケージも企図される。キットは、滅菌されたアクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針を突き刺すことが可能なストッパーを有する静注溶液バッグ又はバイアルであり得る)。また容器も、滅菌されたアクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針を突き刺すことが可能なストッパーを有する静注溶液バッグ又はバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1種の活性薬剤は、本開示のCXCR5抗体である。容器は、第2の医薬活性薬剤をさらに含んでいてもよい。
【0550】
キットは、任意に、緩衝液などの追加の成分及び説明的な情報を提供することもできる。通常、キットは、容器及び容器上の、又はそれと関連付けされたラベル又は添付文書を含む。
【0551】
本開示はまた、本明細書に記載される抗体のいずれか又は全てを含む診断キットも提供する。診断キットは、例えば、サンプル中のCXCR5の存在を検出することに有用である。一部の実施形態において、診断キットを使用して、CXCR5によって媒介される疾患、障害若しくは状態又はCXCR5欠乏による疾患、障害若しくは状態を発生させるリスクにさらす可能性がある潜在的な疾病、障害又は状態を有する個体を同定することができる。一部の実施形態において、診断キットを使用して、CXCR5によって媒介される疾患又はCXCR5欠乏による疾患、障害又は状態を有する疑いのある個体におけるCXCR5の存在及び/又はレベルを検出することができる。
【0552】
本開示の診断キットは、本明細書に記載されるCXCR5抗体を含む1つ以上の容器、及び本明細書に記載される本開示の方法のいずれかに従って使用するための説明書を含む。一般的に、これらの説明書は、CXCR5によって媒介される疾患又はCXCR5欠乏による疾患、障害又は状態を有するリスクがあるか又はその疑いのある個体におけるCXCR5の存在を検出するためのCXCR5抗体の使用の説明を含む。一部の実施形態において、例示的な診断キットは、試薬、例えば、CXCR5抗体、陰性対照サンプル、陽性対照サンプルなど、及びキットを使用するための指示を含有するように設計されていてもよい。
【0553】
IX.均等物
前述の説明及び以下の例は、本開示の特定の具体的な実施形態を詳述し、本発明者らによって企図される最良の形態を記載する。しかしながら、どれほど詳述しようとも、前述したものは文書中に見出し得るものであり、本開示は、多くの方法で実施でき、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらのあらゆる均等物に従って解釈されるものとすることが理解されると予想される。
【0554】
開示された教示は、様々な適用、方法、キット及び組成物を参照して記載されているが、本明細書に記載の教示及び以下の特許請求された開示から逸脱することなく様々な変更及び改変をほどこすことができることが理解されると予想される。以下の例は、開示された教示をよりよく例示するために提供され、本明細書で示された教示の範囲の限定を意図していない。本発明の教示は、これらの例示的な実施形態に関して記載されるが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数のバリエーション及び改変が、余計な実験を行うことなく可能であることを容易に理解するものと予想される。全てのこのようなバリエーション及び改変は、本教示の範囲内である。
【0555】
特許、特許出願、論文、教本などを含む本明細書において引用された全ての参考文献、及びそこで引用された文献は、それらがまだそうではない程度に、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。組み入れられた文献及び類似の資料の1つ以上が本出願とは異なるか又は矛盾する場合、これらに限定されないが、定義された用語、用語の使用、記載された技術などを含め本出願が優先される。
【0556】
X.一般的な技術
本発明は、特定の合成製造方法に限定されず、当然ながら様々であってもよいことが理解されると予想される。本明細書において別段の定義がない限り、本発明と関連して使用される科学用語及び専門用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がなされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般的に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質及び核酸化学、並びにハイブリダイゼーションと関連して使用される学術名とそれらの技術は、周知のものであり、当業界において一般的に使用されている。
【0557】
本発明の実施は、別段の指定がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学的特徴及び免疫学の従来の技術を利用することになり、これらは当業界の技術の範囲内である。このような技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook et al., 1989) Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987); Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, 1998) Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., 1993-1998) J. Wiley and Sons; Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.); Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987); Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994); Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991); Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd. ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (2001); Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (2002); Harlow and Lane Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1998); Coligan et al., Short Protocols in Protein Science, John Wiley & Sons, NY (2003); Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999); Immunobiology (C.A. Janeway and P. Travers, 1997); Antibodies (P. Finch, 1997); Antibodies: a practical approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989); Monoclonal antibodies: a practical approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000); Using antibodies: a laboratory manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999); The Antibodies (M. Zanetti and J.D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995)などの文献で十分に説明されている。
【0558】
酵素反応及び精製技術は、当業界において一般的に達成されるように、又は本明細書に記載されるように、製造元の仕様書に従って実行される。本明細書に記載される分析化学、生化学的特徴、免疫学、分子生物学、合成有機化学、並びに医薬及び製薬化学と関連して使用される学術名、並びにそれらの実験手順及び技術は、周知のものであり、当業界において一般的に使用されている。化学合成、化学分析、医薬調製物、調合物、送達、及び患者の治療に関する標準的な技術が使用される。
【0559】
XI.生物の寄託
本発明の代表的な材料を、2017年7月26日に、American Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Va. 20110-2209, USAに寄託した。ベクターh11G2-VH(XC155)は、ATCC受託番号PTA-124323を有し、抗体h11G2(XC155)の重鎖可変領域をコードするDNAインサートを含み、ベクターh11G2-VL(XC154)は、ATCC受託番号PTA-124324を有し、抗体h11G2(XC154)の軽鎖可変領域をコードするDNAインサートを含む。寄託は、特許手続及びこれに基づく規制上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)の規定のもとで行われた。これは、寄託の日付から30年にわたり寄託物の生存可能な培養物の維持を保証する。寄託は、ブダペスト条約の条項に基づきATCCにより利用可能になり、Pfizer Inc.とATCCとの間の同意の対象となり、これは、関連する米国特許が発行されたとき、又はいずれかの米国又は外国特許出願が一般に公開されたときのいずれか早い日に、一般にむけて寄託物の培養物の後代の永続的な非制限的な利用可能性を保証し、合衆国法典第35巻第122条及びそれに準じる長官規則(連邦規則集第37巻第1.14条を含み、特に886OG638を参照)に従ってその資格があると米国特許商標庁長官によって決定された者に後代の利用可能性を保証する。
【0560】
本出願の所有者は、寄託された材料の培養物が、好適な条件下で培養したときに致死するか又は失われるか又は破壊される場合、それらの材料は、届け出の上、別の同じもので迅速に置き換えられることとなることに合意している。寄託された材料の利用可能性は、いずれかの政府当局によりその特許法に従って付与された権利に反する本発明の実施の許諾として解釈されないものとする。
【実施例0561】
以下の実施例を参照することにより、本開示をさらに詳細に説明する。これらの例は、単に例示のために提供され、別段の規定がない限り限定することを意図しない。したがって、本開示は、以下の例に限定されると決して解釈されないものとし、そうではなく、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるあらゆるバリエーションを包含すると解釈されるものとする。
【0562】
実施例1 ヒトCXCR5及びcynoCXCR5に結合するハイブリドーマ
雌BALB/cマウスを、5μgのCPG(ODN1826)(Invivogen)アジュバントと共に、1×10個の、ヒトCXCR5(配列番号32)を過剰発現するBaF3細胞又はヒトCXCR5(配列番号32)を発現する300.19細胞を含有する混合物で、3週間間隔で3回免疫した。最終的なブーストでは、マウスを、MembranePro(商標)機能性タンパク質発現系(Thermo Fisher)を使用してヒトCXCR5(配列番号32)を過剰発現するHEK-293細胞から作製した20μgのウイルス様粒子(VLP)で免疫した。5回の融合を行い、ヒトCXCR5を発現するHEK-293細胞(hCXCR5-293)と結合した88のクローンを得た。これらのモノクローナル抗体をプロテインAで精製し、hCXCR5 HEK-293、及びカニクイザルCXCR5(配列番号33)を発現するHEK-293細胞、すなわちcynoCXCR5-293への結合を試験した。hCXCR5-293又はcynoCXCR5-293細胞を、抗マウスIgG PE(Southern Biotech)で染色する前に、10μg/mlのモノクローナル抗体で染色した。細胞を、FACSVerse分析装置(BD Biosciences)を使用したフローサイトメトリーによって分析した。hCXCR5 HEK-293及びcynoCXCR5 HEK-293細胞への結合についてスクリーニングすることによって、ヒト及びカニクイザルCXCR5の両者に結合した34種の抗体が同定された(図3)。
【0563】
実施例2 Raji細胞に結合する抗CXCR5抗体及びカルシウムフラックスアッセイにおけるアンタゴニスト活性
hCXCR5-293及びcynoCXCR5-293細胞の両者に結合した抗体を、FACSVerse分析装置(BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)を使用したフローサイトメトリーによって、Raji細胞に結合する細胞についてさらに分析した。Raji細胞への抗体結合の見かけの親和性を、抗原結合集団の幾何平均蛍光強度(gMFI)をフローサイトメトリーによって定量化した平衡結合滴定曲線のEC50として算出した。表2にその結果を示す。
【0564】
データは、特定の抗体が、他の抗体より大きい/小さい程度にRaji細胞に結合したことを示す。これらのデータは、抗体が、バーキットリンパ腫患者由来のRaji細胞上の内因性CXCR5を認識することを示し、このことは、抗体がインビボでB細胞と結合できることを示唆している。さらに、抗体11G2のRaji細胞上のCXCR5への親和性は、参照抗CXCR5抗体16D7(WO2009/032661)より高く、このことは、11G2が16D7より有効であり得ることを示唆している。
【0565】
hCXCR5-293及びcynoCXCR5-293の両者に結合した抗体を、カルシウムフラックスアッセイによりアンタゴニスト活性についても試験した。加えて、参照抗CXCR5抗体16D7(WO2009/032661)を対照として含めた。手短に説明すると、hCXCR5 HEK-293細胞をDMEM高グルコース培地中の96ウェルプレートにプレーティングした。一晩インキュベートした後、培地を除去し、100μlの1×Fluo-4NW(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を細胞に添加した。次いで細胞を37℃で1時間インキュベートした。モノクローナル抗体の連続希釈物を細胞に添加し、室温で1時間インキュベートした。111nMの組換えhCXCL13(BPS Bioscience, San Diego, CA)を添加することによって、カルシウムフラックスを、Flexstation(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)で、励起485nM及び放出525nMで測定した。データを1.52秒の間隔で収集した。最大の読み取り値から最小の読み取り値を引くことによってカルシウムフラックスを決定した。リガンドによって誘発されたカルシウムフラックスの阻害に関するIC50値を、GraphPad Prism(登録商標)(バージョン6.0、GraphPad Software, Inc, San Diego, CA)非線形回帰曲線フィッティング及びアゴニスト用量応答モデルのシグモイドログを使用して決定した(表2)。カルシウムフラックスの阻害は、機能的な拮抗作用の証明である。したがって、11G2抗体は、ADCCを介した有力な枯渇因子というだけでなく、第2の作用機序を提供するアンタゴニストでもある。抗体11G2の拮抗作用は、比較抗体、例えば、2C9(参照抗体、例えばWO2012/010582を参照)及び16D7(参照抗体、例えばWO2009/032661を参照)に匹敵する。cAMPレポーターアッセイデータは、機能的な拮抗作用も示す(以下を参照)。
【0566】
【表2】
【0567】
実施例3 抗CXCR5抗体の重鎖及び軽鎖可変領域のクローニング
実施例2でアッセイした抗体を産生するハイブリドーマをRNeasy miniキット(Qiagen, Hilden, Germany)を使用して溶解し、次いでcDNAの第1鎖を、スーパースクリプトIII第1鎖合成システム(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を使用して合成した。軽鎖及び重鎖可変領域(VL及びVH)を、表16に示される配列番号64~88の核酸配列を含むマウス軽鎖及び重鎖の縮重プライマーを使用したPCRによって増幅した。PCR後、VL及びVHをZero blunt TAベクター(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)にクローニングし、次いでそれらをシーケンシングした。表16の配列番号35~40に、11G2、5H7及び41A10抗体のマウスVL及びVHのアミノ酸配列を示す。CDRを下線で示す。
【0568】
実施例4 アフコシル化及びフコシル化されたキメラ抗体の生成
抗体活性へのアフコシル化及びフコシル化の作用を決定するために、フコシル化及びアフコシル化された実施例3の抗体を哺乳類細胞で産生した。
【0569】
目的の抗体のVL及びVHをさらに、それぞれ、ヒトκ定常領域及びヒトIgG1定常領域を含有するベクターにクローニングした。可変重鎖領域を、マウス-ヒトキメラ全長重鎖を産生するヒトIgG1定常領域(配列番号89)を含有するpSMED2哺乳類発現ベクターにクローニングした。可変軽鎖領域を、ヒトκ定常領域(Cκ)(配列番号90)を含有するpSMEN3哺乳類発現ベクターにクローニングして、マウス-ヒトキメラ全長軽鎖を産生した。
【0570】
キメラ抗体遺伝子を含有するベクターをHEK-293F細胞(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)に一時的にトランスフェクトして、フコシル化されたキメラ抗体を産生した。次いでフコシル化されたキメラ抗体を、プロテインAカラムを使用して精製した。Raji細胞へのキメラ抗体結合の見かけの親和性(細胞結合EC50)を、FACSVerse分析装置(BD Bioscience, Franklin Lakes, NJ)を使用したフローサイトメトリーによって決定し、表3に示す。
【0571】
【表3】
【0572】
アフコシル化されたキメラ抗体を、フコース付加に関与する遺伝子(α-1,6-フコシルトランスフェラーゼ、FUT8)の両方の対立遺伝子を欠く、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞株(BioWa/Lonza, Allendale, NJ)を使用して生成した。ヒトκ定常領域を含有するキメラ軽鎖をLonza pEE12.4GSベクター(Lonza Biologics, Basel, Switzerland)にクローニングし、ヒトIgG1定常領域を含有するキメラ重鎖をLonza pEE6.4GSベクター(Lonza Biologics, Basel, Switzerland)にクローニングした。pEE6.4からの重鎖発現カセットを、NotI及びPvuIによる消化で精製し、次いでキメラ軽鎖を含有するpEE12.4中のNotI及びPvuI部位にクローニングした。重鎖及び軽鎖発現カセットの両者を含有する最終的なベクターDGVをPvuIで線形化し、次いでPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞にエレクトロポレーションした。トランスフェクションから24時間後、Potelligent(登録商標)細胞を、1×HT(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)、1mMのウリジン(Sigma, St. Louis, MO)及び50μMのMSX(EMD Millipore, Billerica, MA)が補充されたCDCHO培地(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)中の96ウェルプレートに3~5000細胞/ウェルでプレーティングした。3~4週間のインキュベーションの後、クローンからの上清を、抗体力価をOctet(Pall Fortebio, Fremont, CA)でアッセイした。高発現クローンを抗体産生のためにさらにスケールアップした。次いでアフコシル化されたキメラ抗体をプロテインAカラムで精製した。
【0573】
CXCR5に対する抗体の特異性を確認するために、他のサイトカインを発現する細胞への抗体の結合を決定した。手短に説明すると、CXCR1、CXCR2又はCXCR3を発現するFlowCellectケモカイン受容体細胞株(EMD Millipore, Billerica, MA)、及びCXCR4を発現するJurkat(ATCC, Manassas, VA)を、5μg/ml又は10μg/mlの各抗CXCR5キメラ抗体で染色した。次いで、FACSVerse分析装置(BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)を使用したフローサイトメトリーによる分析の前に、細胞を、PEとコンジュゲートしたヤギ抗ヒト抗体(Southern Biotech, Birmingham, AL)と共にインキュベートした。図4A~4Dで示されるように、全てのキメラ抗体が、陽性対照と比較して、CXCR1を発現する細胞(図4A)、CXCR2(図4B)、CXCR3(図4C)又はCXCR4/Jurkat細胞(図4D)への非常に低い結合を示した。
【0574】
実施例5 マウスモノクローナル抗体のヒト化
潜在的なHAMA(ヒト抗マウス抗体)免疫原性を回避するために、IGKV1-39由来のヒト生殖細胞系フレームワーク配列(DPK9軽鎖可変ドメイン、GenBank受託番号X93627.1、配列番号93)及びIGHV3由来のヒト生殖細胞系フレームワーク配列(DP54重鎖可変、GenBank受託番号AB019440、配列番号91)を使用することによって、41A10(C-41A10)及び11G2(C-11G2)キメラ抗体をヒト化した。
【0575】
キメラ抗体11G2(C-11G2)及びキメラ41A10(C-41A10)のヒト化バージョンを、相補性決定領域(CDR)グラフト化(以降、「CDRグラフト化」という)によって生成した。すなわち、重鎖CDRを、ヒトDP-54フレームワーク領域(VH3サブグループ;配列番号91)上にJH4セグメント(配列番号92)を用いてグラフト化し、一方で軽鎖CDRを、ヒトDPK9フレームワーク(VKIサブグループ;配列番号93)上にJK4セグメント(配列番号94)を用いてグラフト化した。
【0576】
ヒト化VH領域をヒトIgG1定常領域(配列番号89)に接合し、次いで私有の発現ベクターにサブクローニングして、これに限定されるものではないが、配列番号96(11G2 CDRグラフトVH)などのCDRグラフト化重鎖を生成した。ヒト化VL領域をヒトκ定常領域(配列番号90)に融合させ、次いで私有の発現ベクターにサブクローニングして、これに限定されるものではないが、配列番号97(11G2 CDRグラフトVL)などのCDRグラフト化軽鎖を作り出した。
【0577】
実施例6 アフコシル化又はフコシル化された抗CXCR5抗体の結合親和性
キメラ及びヒト化CXCR5フコシル化及びアフコシル化された抗体の細胞表面CXCR5への見かけの親和性を査定した。より具体的には、CXCR5を発現する細胞へのキメラ及びヒト化されたCXCR5抗体の見かけの親和性を決定するために、ヒト及びカニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)並びにヒト扁桃単核細胞(TMC)で細胞結合実験を行った。CXCR5+細胞(B細胞、真正Tfh細胞、及び循環Tfh様細胞)へのCXCR5 mab結合の見かけの親和性を、抗原結合集団の幾何平均蛍光強度(gMFI)をフローサイトメトリーによって定量化した平衡結合滴定曲線のEC50として算出した。
【0578】
Trima(登録商標)によるアフェレーシス採取でPBMCが濃縮された、健康なヒトドナーからのTrima(登録商標)残留物を、Blood Centers of the Pacific(San Francisco, CA)から得た。PBMCを、SepMate(商標)チューブ及びLymphoprep(商標)を使用した密度勾配遠心分離によって、製造元(STEMCELL Technologies, Vancouver, BC, Canada)の説明書に従って単離した。
【0579】
扁桃単核細胞(TMCs)を、BioOptions(Brea, CA)から得たヒト扁桃から単離した。手短に説明すると、扁桃を、滅菌したメスを使用して冷RPMI1640培地中で小さい断片(3~4mm)に刻んだ。次いで扁桃組織を、消化培地(3mLの10×コラゲナーゼ、300μLの100×デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)、6.7mLのRPMI1640)中で、37℃で30分消化した。10%ウシ胎児血清(FBS)が補充されたRPMI1640を添加して、酵素活性を中和し、次いで、組織を逐次的にナイロンフィルターセルストレーナー(70μm及び40μmメッシュサイズのナイロン)を介してろ過した。遠心分離後、塩化アンモニウム溶解緩衝液を使用して、ペレットに対して赤血球溶解を行った。リン酸緩衝食塩水(PBS)/2%FBS/2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)中、10分の低速遠心分離(200×g)で血小板を除去した。EasySep(商標)ヒトCD4+ T細胞濃縮キットを、製造元(STEMCELL Technologies, Vancouver, BC, Canada)の説明書に従って使用して、TMC混合物からCD4+ T細胞を精製した。
【0580】
単離後、96ウェルU底プレート中で、単離緩衝液(1%FBS及び1mMのEDTAを含有するPBS)に、PBMCをウェル1つ当たり細胞1.0×10個の密度でプレーティングし、CD4+ TMCをウェル1つ当たり細胞2.0×10個の密度でプレーティングした。次いで、プレートを1500rpmで、室温で5分遠心分離した。PBMC及びCD4+ TMCを、ヒト結晶化フラグメントFcブロック(2μL/ウェル;Biolegend)及び抗体の4倍連続希釈物(PBMCの場合5000ng/mLから始め、CD4+ TMCの場合312.5ng/mLから始めた、11ポイントの連続希釈)を含有する蛍光活性化セルソーティング(FACS)緩衝液(1%FBSを含有するPBS)に再懸濁し、氷上で2時間インキュベートした。次いでPBMC及びCD4+ TMCをFACS緩衝液で3回洗浄し、リンパ球サブセットを染色するための蛍光コンジュゲート抗体及びヒトIgに対する蛍光コンジュゲート二次抗体を含有する50~100μLのFACs緩衝液に再懸濁して、CXCR5モノクローナル抗体(mAb)を検出した。4℃で30分のインキュベーションの後、PBMC及びCD4+ TMCを、FACS緩衝液で2回洗浄し、PBS中の125μLの0.5%パラホルムアルデヒド(PFA)に再懸濁した。フローサイトメトリーによる分析(BD LSRFortessa(商標)細胞分析装置、BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)まで、プレートを4℃で貯蔵した。
【0581】
CXCR5抗体濃度の対数に対して抗原結合集団のgMFIをプロットすることによって、細胞結合滴定曲線を作成した。EC50値を、GraphPad Prism(登録商標)(バージョン6.0、GraphPad Software, Inc, San Diego, CA)非線形回帰曲線フィッティング及び以下の方程式に従うアゴニスト用量応答モデルのシグモイドログを使用して決定した。
【0582】
Log(アゴニスト) 対 応答-変数の傾き(4パラメーター)
Y=最小+(最大-最小/(1+10^((LogEC50-X)×ヒルスロープ))
【0583】
式中、YはgMFI、Xは抗体濃度、最大はシグモイド曲線の上のプラトーに対応する最大のY-値、最小はシグモイド曲線の下のプラトーに対応する最小のY-値、LogEC50は、曲線の屈曲点における抗体濃度の対数である。
【0584】
複数回の実験の平均値及び標準偏差(STDEV)で実験全体のEC50値をまとめた。結果(すなわち、CXCR5を発現する細胞への、フコシル化又はアフコシル化されたキメラ及びヒト化CXCR5mAbの見かけの親和性の平均値)を表4に示す。結果には、比較のための抗CXCR5対照抗体2C9(WO2012/010582)、16D7(WO2009/032661)及び11A7(WO2016/028573)を使用して得られた親和性結合データも含む。ここで留意すべきことに、様々なVLとVHの組合せを有するフコシル化及びアフコシル化されたキメラ及びヒト化11G2抗体(すなわち、h11G2 XC51/XC152、h11G2 XC153/XC155、h11Gh11G2 XC153/XC156、h11G2 XC154/XC155、及びh11G2 XC154/XC157)は、ほぼ等しいヒトB細胞への見かけの親和性を有する。すなわち、データは、アフコシル化がCXCR5発現細胞に対する抗体の親和性に影響を与えていないようであることを示す。さらに、データは、h11G2 XC154/XC155抗体(フコシル化及びアフコシル化された)の親和性が対照抗CXCR5抗体2C9よりおよそ10倍高く、また11A7より約100倍高いことを示す。対照抗CXC5抗体16D7は、飽和可能な結合を示さなかった。これらのデータは、アフコシル化がCXCR5発現細胞への結合に対する11G2抗体の親和性に影響を与えなかったことを示す。親和性は、エピトープと抗体抗原結合部位(すなわち、パラトープ)との相互作用の強さの尺度であるため、これらのデータは、抗体が類似のエピトープと結合したとしても、それらは11G2と同じ強さでエピトープと結合しないことを示す。
【0585】
【表4】
【0586】
実施例7 フコシル化された参照抗体と比較したアフコシル化又はフコシル化されたヒト化11G2抗体の濃度依存性結合
フコシル化されたヒト化11G2(h11G2 VL XC154/VH XC155、h11G2 154/155又はh11G2 XC154/XC155ともいう)及びアフコシルヒト化11G2CXCR5(アフコシルh11G2 154/155)のヒトPBMC由来のB細胞への濃度依存性結合を、比較mAbである2C9、16D7及び11A7の結合と比較した。CXCR5抗体濃度の対数に対して抗原結合集団のgMFIをプロットすることによって、細胞結合滴定曲線を作成した(図5)。
【0587】
データは、フコシル化及びアフコシル化されたh11G2 154/155は、同一な曲線を有することを示し、これは、抗体定常鎖の少なくとも一方、ただし好ましくはその両方のAsn297に存在するN-結合型グリコフォームにおけるフコースの存在又は非存在は、細胞上に存在するCXCR5への抗体の親和性に影響を与えないことを示す。
【0588】
加えて、データはさらに、フコシル化された(黒丸、9.630×10-12M)及びアフコシル化された(白丸、1.188×10-11M)h11G2 154/155抗体のEC50は、比較抗体:2C9(黒三角、6.24×10-11)、11A7(黒ひし形、9.265×10-10)及び16D7(黒四角、およそ0.004945、これは飽和しなかった)のEC50よりかなり低かったことを示す。これらのデータは、h11G2 154/155抗体が比較抗体と異なる結合特徴を有することを示す。それゆえにこれらのデータは、11G2抗体並びに2C9、11A7及び16D7は、CXCR5上の同じエピトープと結合しないことを示す。
【0589】
実施例8 キメラ及びヒト化CXCR5抗体のADCC活性
キメラ及びヒト化CXCR5抗体が活性依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激する効力及び効能を決定するために、CXCR5抗体又はアイソタイプ対照の連続希釈物を、健康なヒトドナー又はカニクイザルからの末梢血単核細胞(PBMC)と共にインキュベートした。このアッセイにおいて、PBMCは、ナチュラルキラー(NK)エフェクター細胞、並びに標的B及びTfh様細胞のソースである。フローサイトメトリーを使用して、およそ20時間後に残存するB及びTfh様細胞の数を定量化した。同様に、ヒト扁桃由来の真正Tfh細胞のADCCを誘発するヒト化抗体の能力を、PBMCから単離されたNK細胞を添加して扁桃単核細胞から単離されたCD4+ T細胞を使用して査定した。
【0590】
実施例6に記載されるように、Trima(登録商標)アフェレーシス採取でPBMCが濃縮された、健康なヒトドナーからのTrima(登録商標)残留物を、Blood Centers of the Pacific(San Francisco, CA)から得た。PBMCを、SepMate(商標)チューブ及びLymphoprep(商標)を使用した密度勾配遠心分離によって、製造元(STEMCELL Technologies, Vancouver, BC, Canada)の説明書に従って単離した。単離後、PBMCを、U底96ウェルプレートに、完全RPMI培地中、ウェル1つ当たり細胞2.0×10個の密度でプレーティングした。
【0591】
このアッセイにおいて、PBMCは、ナチュラルキラー(NK)エフェクター細胞、並びに標的B及びTfh様細胞のソースである。CXCR5 mAb又はアイソタイプ対照の連続希釈物をウェルに添加し、細胞を37℃、5%COでおよそ20時間インキュベートした。次いでプレートを、1800rpmで、室温(RT)で5分遠心分離した。次いでPBMCを、氷冷したFACS緩衝液で洗浄し、リンパ球サブセットを染色するための蛍光コンジュゲート抗体を含有する50μlの氷冷したFACs緩衝液に再懸濁した。4℃で15~30分インキュベートした後、PBMCを、氷冷したFACS緩衝液で2回洗浄し、PBS中の100μLの0.5%パラホルムアルデヒド(PFA)に再懸濁した。CountBright(商標)絶対計数ビーズ(Thermo Fisher Scientific)を各ウェルに添加した(15μL/ウェル)。フローサイトメトリーによる分析(BD LSRFortessa(登録商標)細胞分析装置)まで、プレートを4℃で貯蔵した。
【0592】
扁桃単核細胞(TMC)も実施例6で上述したようにして単離した。
【0593】
細胞傷害性滴定曲線を、実施例6に関して記載された方法に従って作成した。複数回の実験の平均値及び標準偏差(STDEV)で実験全体のEC50値をまとめた。表5に結果を示す。抗CXCR5参照抗体2C9、16D7及び11A7を使用して得られたデータを比較のために含めた。
【0594】
【表5】
【0595】
ここに示されたデータは、フコシル化されていたとしても、h11G2 154/155抗体は、比較抗体2C9(380.31±757.04)及び16D7(2590.61±6343.88)より大きいADCC活性(253.72±672.14)を有することを説明する。フコシル化された抗体11A7は、試験されたいずれのフコシル化された抗体よりも大きいADCC活性を示した。しかし、データは、アフコシル化されたh11G2 154/155がフコシル化された11A7を含む試験されたいずれの抗体よりも高いADCC活性を有していたことを示す。本明細書で示された特徴付けの研究は、キメラCXCR5mAbである41A10及び11G2が、それぞれ、11.73nM及び0.56nMのEC50でヒトB細胞のADCCを開始させたことを示した。キメラCXCR5mAbである41A10及び11G2のアフコシルバージョンは、ADCC活性を少なくとも約100倍増加させた。ヒト化抗体は、それらの対応するキメラ抗体に匹敵する、又はそれより優れた効力でヒトB細胞のADCCを開始させた。キメラCXCR5mAbの場合とまったく同様に、アフコシルヒト化抗体は、その正常にフコシル化された抗体と比較してADCCを少なくとも約100倍増加させた。アフコシルh11G2は、ADCCにおいて2C9及び16D7のフコシル化抗体より有効で、アフコシルh11G2は、フコシル化された11A7と少なくとも同等であった。
【0596】
実施例9 11G2抗体はCXCL13シグナル伝達に拮抗する
CXCR5抗体がCXCL13シグナル伝達に機能的に拮抗するかどうかを決定するために、環状アデノシン一リン酸(cAMP)レポーターアッセイを、ヒトCXCR5を安定して発現する操作された細胞株で利用した。これらの細胞において、CXCL13は、濃度依存的にフォルスコリンによって開始されるcAMP産生を阻害する。
【0597】
CXCR5抗体がCXCL13シグナル伝達に機能的に拮抗するかどうかを決定するために、Hit Hunter(登録商標)cAMPアッセイ(DiscoveRx Corporation, Fremont, CA)を、ヒトCXCR5を安定して発現するCHO-K1細胞で実行した。このアッセイでは、cAMPが生成すると、EFC(Enzyme Fragment Complementation)によって活性なβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)が形成される。次いでβ-galは、化学発光基質を変換して、標準的なマイクロプレートリーダーで検出可能な出力シグナルを生成することができる。CXCR5のリガンドであるCXCL13は、濃度依存的にフォルスコリン(20μM)によって開始されるcAMP産生を阻害する。CXCL13媒介フォルスコリン誘発cAMP産生を阻害することにおけるCXCR5抗体の効力及び効能を試験するために、各CXCR5抗体の連続希釈物を、フォルスコリン(20μM)及びCXCL13(その600pMのIC80で使用される)の存在下で、CXCR5を発現するCHO-K1細胞に添加した。
【0598】
機能的拮抗作用滴定曲線を、EC50値決定を含む実施例6に関して記載されたものに従って作成した。表6に結果を示す。
【0599】
【表6】
【0600】
別の実験で、アフコシルヒト化11G2 154/155を機能的な拮抗作用に関して試験したところ、フコシル化されたヒト化11G2 154/155と同様の挙動を示した(すなわち、EC50=961.4pM)。
【0601】
データは、h11G2 154/155が、CXCL13シグナル伝達を、少なくとも参照抗体2C9、16D7、11A7と同程度によく阻害したことを示す。実際に、h11G2は、CXCL13シグナル伝達を、16D7(102.4%)及び11A7(105.9%)より大幅に阻害した(120.6%)。これらのデータは、11G2抗体が、CXCR5媒介CXCL13シグナル伝達によって媒介されるか又はそれと関連する疾患、障害又は状態を治療するための有用な新規の治療剤であり得ることを示唆する。
【0602】
実施例10 11G2抗体のhCXCR5における結合部位のマッピング
CXCR5上のアフコシルヒト化11G2 154/155結合部位を、マウスCXCR5の細胞外N末端からのアミノ酸をヒトCXCR5にグラフト化することによって同定した。
【0603】
より具体的には、マッピング戦略は、11G2はヒトCXCR5(配列番号32)と結合するが、マウスCXCR5(配列番号34)と結合しないという事実を利用いた。図6に、ヒトCXCR5(hCXCR5)及びマウスCXCR5(mCXCR5)のアミノ酸配列のアライメントを示し、CXCR5の細胞外ドメインのアミノ酸残基を下線で示す。図6では、マウス及びヒトCXCR5タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)を太字で示し、各領域の配列の下に「N」、「L1」、L2」及び「L3」と示す。これらのECDをマウス及びヒトタンパク質間でスワッピングして、ヒトCXCR5への11G2の特異性及びmCXCR5への結合の欠如に関与する領域を同定した。マウスCXCR5からのこれらの領域のそれぞれを、ヒトCXCR5における同じ領域と交換して、ヒトCXCR5タンパク質が特定された対応するマウスCXCR5ドメインを含有する、XC251、XC252、XC253、XC254、XC255及びXC256と名付けられたキメラタンパク質を産生した。表7に、どのマウス(m)領域がヒトCXCR5にスワッピングされたかを示す。
【0604】
【表7】
【0605】
より具体的には、マウスL3ドメインを、対応するヒトL3ドメインでスワッピングして、ヒトCXCR5タンパク質のコンテクストにマウスL3ドメインを含むキメラタンパク質XC251(hCXCR5-mL3)を産生した。同様に、マウスL2を、対応するヒトドメインでスワッピングして、キメラタンパク質XC252(hCXCR5-mL2)を産生し;マウスNドメインを、対応するヒトNドメインでスワッピングして、キメラタンパク質XC253(hCXCR5-mN)を産生し;マウスL2及びL3ドメインを、対応するヒトドメインでスワッピングして、キメラタンパク質XC254(hCXCR5-mL2-mL3)を産生し;マウスmN及びL3ドメインを、対応するヒトドメインでスワッピングして、キメラタンパク質XC255(hCXCR5-mN-mL3)を産生し;及びマウスmN及びL2ドメインを、対応するヒトドメインでスワッピングして、キメラタンパク質XC255(hCXCR5-mN-mL2)を産生した。
【0606】
マウスCXCR5、ヒトCXCR5、及び様々なECDスワッピングマウス-ヒトキメラCXCR5タンパク質(XC251~XC256)への11G2の結合を求め、様々な抗体、すなわち、ラット抗マウスCXCR5(ラット)(カタログMAB6198, R&D systems, Minneapolis, MN)、ウサギ抗ヒトCXCR5(Rb)(カタログ、ab46218, Abcam, Cambridge, MA)、2C9、16D7の結合と比較した。表8に結果を示す。太字の数字は、タンパク質への抗体結合を示す。
【0607】
【表8】
【0608】
データは、抗体がマウスCXCR5に特異的であれば、キメラがマウスNドメインを含む限り、抗体はECDスワッピングマウス-ヒトキメラCXCR5と結合したことを示す。同様に、ヒトCXCR5(11G2、2C9、16D7、及びRb)と結合した抗体の場合も、抗体は、キメラにヒトNドメインが存在する場合、キメラCXCR5と結合した。したがって、抗体の種特異性は、Nドメイン中の結合によって決まると考えられる。より重要なことに、これらのデータは、ヒトCXCR5のNドメインが抗体11G2、2C9及び16D7の結合に必要であったことを示す。
【0609】
実施例11 hCXCR5への11G2抗体の結合に特有なアミノ酸残基の同定
hCXCR5への抗体結合に重要な特異的なアミノ酸残基をより正確に決定し、抗ヒトCXCR5抗体をさらに区別するために、CXCR5のNドメインのより詳細な研究に取り組んだ。より具体的には、ヒトCXCR5のNドメインフラグメント(配列番号32の番号付けに従ってアミノ酸1~58)中に点変異を行い、それぞれCXCR5の対応するマウスアミノ酸残基を含む点変異タンパク質を産生した。各突然変異タンパク質を発現する安定な形質転換体を作成し、フローサイトメトリーを使用して細胞を抗体結合に関して調査した。すなわち、表9に示されるように、CXCR5のヒト残基を対応するマウス残基で置き換えた、それぞれ単一のアミノ酸置換を含有するXC276~XC294と呼ばれる19種のヒトCXCR5Nドメイン突然変異タンパク質を産生した。ヒトCXCR5突然変異タンパク質は、N末端に、表9において小文字で示されるFLAGエピトープ(DYKDDDDK)をさらに含んでおり、発現レベルに基づく正規化を可能にした;FLAGタグは、突然変異タンパク質への抗体結合に影響を与えなかった。ヒトからマウスへのアミノ酸残基の置換は保存的置換で、これらの残基はイタリックで示されており、そのような残基の置換は、通常行わなかった。
【0610】
表9は、マウスCXCR5のN領域のアミノ酸配列と比較した、hCXCR5のN領域のアミノ酸配列を示す(最初の58アミノ酸が示される)。2つの配列間で異なるアミノ酸は下線で示される。この図はまた、マウスアミノ酸残基がhCXC5における対応するヒトアミノ酸で置換された、産生された様々なコンストラクト(XC276~XC294)も示す。例えば、XC276は、D(ヒト)をG(マウス)に変化させる単一のアミノ酸置換を有するヒトCXCR5である。hCXCR5アミノ酸配列(配列番号32)の残りは、変化がないため示されない。突然変異タンパク質を産生して、試験された抗体はマウスCXCR5と結合しなかったことにより、hCXCR5への抗体結合にどのアミノ酸残基が重要であるかを決定した。
【0611】
【表9】
【0612】
各突然変異ペプチドをコードする核酸をHEK-293T細胞に一時的にトランスフェクトした。トランスフェクションから2日後、細胞を回収し、1μg/mlの抗FLAG PE(Biolegend)又は1μg/ml若しくは3μg/mlのアフコシルヒト化11G2 154/155;2C9;S16D7若しくは11A7、続いて抗ヒトIgG PE(Southern Biotech, Birmingham, AL)で染色した。細胞を、Accuri(BD Biosciences Franklin Lakes, NJ)を使用したフローサイトメトリーによって分析した。幾何平均蛍光強度(gMFI)を決定し、各CXCR5抗体及び抗flagのgMFIの比率を計算した。
【0613】
図7で示されるように、4つ全ての抗体が野生型ヒトCXCR5(XC275;WT)に結合した。さらに、抗体は様々な点変異ペプチドとの結合の異なるパターンを示した。すなわち、2C9は、XC276(突然変異D10Gを含む)又はXC277(ヒトCXCR5のNドメインへのアミノ酸残基S及びIの挿入を含む)と結合しなかったが、11G2、16D7及び11A7はそれらのタンパク質と結合した。これらのデータは、これら2つのアミノ酸のhCXCR5配列への挿入は2C9結合を無効にしたが、3つの他の抗体の結合に影響を与えなかったことを示唆し、これは、2C9のエピトープは、11G2、16D7及び11A7のものとは異なることを示唆している。より重要なことに、アミノ酸残基11位(配列番号32の配列の番号付けに基づく)におけるロイシン(L)からスレオニン(T)への突然変異は、11G2のXC278への結合のみを完全に壊滅させたが、このタンパク質への抗体2C9、16D7又は11A7の結合に影響を与えなかった。したがって、位置番号11(配列番号32に記載のアミノ酸配列に対して)に存在するロイシン残基は、11G2のヒトCXCR5への結合に重要であると考えられるが、2C9、16D7又は11A7のhCXCR5への結合には重要ではない。これらのデータは、11G2のエピトープが、それらの抗体のエピトープと同じではないことを示す。加えて、図7は、4つ全ての抗体がXC279と結合したことを示し、したがって、アミノ酸残基番号12(配列番号32の配列に対して)におけるEからYへの置換がこれらの抗体のいずれかのhCXCR5への結合に重要ではなかった。
【0614】
アミノ酸残基番号19(配列番号32の配列の番号付けに従って)におけるWからリシン(K)への置換を含むこれらの4つの抗体のXC280への結合は、抗体16D7及び11A7によるXC280への結合の損失をもたらすが、抗体11G2及び2C9の突然変異タンパク質への結合に影響を与えなかった(図7)。これらの結果はこれら4つの抗体は、hCXCR5上の同じエピトープと結合しないことをさらに示す。
【0615】
図7はまた、22位(配列番号32の配列の番号付けに従って)におけるDをアラニン(A)に変化させることは、11G2のXC281突然変異タンパク質への結合を完全に無効にするが、抗体2C9、16D7及び11A7の結合に影響を与えないことも示す。これはさらに、11G2のエピトープが、抗体2C9、16D7及び11A7のエピトープと同じではないことを強調する。
【0616】
4つ全ての抗体がXC285~294に等しく結合し、それらの結合は、これらの突然変異タンパク質におけるアミノ酸置換のいずれによっても影響されなかった。これらのデータは、これらの位置(27、28、30、31、33、35、36、37、39及び40;表9参照)におけるアミノ酸残基は、抗体11G2、2C9、11A7及び16D7のCXCR5への抗体結合に関与していないことを示唆する。
【0617】
したがって、これらのデータは、アミノ酸位置番号11におけるロイシン(L)残基及びアミノ酸位置番号22におけるアスパラギン酸(D)残基(両者とも配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに対して)は、それらの位置でこれらの残基のいずれか(又は両者)を対応するマウスアミノ酸残基で置換することが抗体のhCXCR5への結合を無効にしたことから、11G2抗体のhCXCR5への結合にとって重要であることを示す。これらのデータは、抗体11G2は、L11及び/又はW22の変化がこれらの抗体のhCXCR5への結合に影響を与えないことから、抗体2C9、16D7又は11A7と同じエピトープを有さないことも示す。
【0618】
図7は、4つ全ての抗体が、突然変異CXCR5タンパク質XC282~XC284に結合したことも示す。4つ全ての抗体はまた、タンパク質XC285~XC294にも結合した。これらのデータは、抗体11G2、2C9、16D7及び11A7のエピトープは、突然変異タンパク質XC282~XC294によって示されるhCXCR5のNドメインの領域にないことを示唆する。
【0619】
実施例12 11G2はCXCR5に選択的で、他のケモカインGPCRと結合しない ケモカインGPCRファミリーの20種のメンバーに対するアフコシルヒト化11G2 154/155の選択性を、β-アレスチン共役アッセイ(DiscoveRx)を使用して調査した。このアッセイは、各受容体で安定してトランスフェクトされた全細胞を使用し、β-アレスチンと活性化GPCRとの相互作用を検出することによってGPCR活性を直接測定する。アレスチン補充はGタンパク質シグナル伝達から独立しているため、これらのアッセイは、実質的にあらゆるGi、Gs、又はGq共役受容体に使用できる万能なスクリーニング及びプロファイリングプラットフォームを提供し、受容体又は受容体ファミリー(Gタンパク質共役に関係なく)にわたる標準化された効率的な比較が得られる。アッセイを、アゴニスト様式(リガンドの非存在下)及びアンタゴニスト様式(EC90でのリガンドの存在下)で実行した。選択性パネルには、以下のケモカイン受容体:CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、XCR1が含まれていた。
【0620】
アフコシルヒト化11G2 154/155の有意な活性(200nMで試験)は、アゴニスト様式で試験した場合、他のいずれのケモカイン受容体に対しても観察されず、評価された全ての他のケモカイン受容体とアンタゴニスト様式で比較した場合、CXCR5のアンタゴニストとしてのみ有意に活性であり(リガンドによって誘発されたβ-アレスチン共役の92%阻害)、すなわち、有意な阻害は、試験された他のいずれのケモカイン受容体に対しても観察されなかった。
【0621】
実施例13 h11G2は、DNA、インスリン又はLPSに対する多反応性を示さない 多反応性(polyreactivity)アッセイは、抗体が、インビボで様々な関連していない抗原と反応する可能性があるかどうかを決定するために使用される。多反応性の欠如は、11G2がCXCR5特異的抗体であること、及びインビボで非標的に結合しないことを示唆する。
【0622】
黒いDELFIAプレート(Thermoscientific)を10μg/mlの二本鎖DNA(dsDNA;Millipore)、5μg/mlリポ多糖(LPS;Sigma)、10μg/mlインスリン(Sigma, St. Louis, MO)、又はリン酸緩衝食塩水(PBS)で被覆し、4℃で一晩インキュベートした。次いでプレートを、Biotek ELx405マイクロプレートウォッシャー(Biotek, Winooski, VT)を使用して水で洗浄し、次いでプレートを、1×PBS、0.05%Tween20及び1mMのEDTAを含有する200μlのアッセイ緩衝液で、室温で1時間ブロッキングした。追加の洗浄後、プレートを、抗CXCR5抗体(全ての抗体がフコシル化された)の連続希釈物と共に室温で1時間インキュベートした。検出のために、100μlのDELFIA-Eu-N1-抗ヒトIgG(50μg/ml;Perkin Elmer, Waltham, MA)をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。最後に、100μlのDELFIA増強溶液を各ウェルに添加し、プレートを室温で15分振とうし、その後、VictorX4マルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer, Waltham, MA)で、ユーロピウム蛍光下で読み取った。表10にデータを示す。
【0623】
【表10】
【0624】
別の実験で、アフコシル化されたヒト化11G2 154/155を多反応性に関して試験したところ、インスリン、DNA、LPS、又はPBSへの結合を示さなかったが、これは、上記の表10に示されるフコシル化されたヒト化11G2 154/155の結果と一致する。
【0625】
これらのデータは、11G2が、インスリン、DNA又はLPSと反応性を有さず、比較抗体2C9、16D7及び11A7より低い反応性を有することを示す。これらのデータは、11G2が可能性のある有用な新規の治療剤であることを示唆する。多反応性抗体は、定義によれば、様々な生体分子と非特異的な方式で結合する。11G2は、一般的な多反応性アッセイでは反応しないことから、11G2はCXCR5に特異的であることがさらに裏付けられる。またPK、TK及びtoxデータも、11G2がCXCR5に特異性を有することを裏付ける。
【0626】
実施例14 11G2と比較抗体との差の概要
表11に、11G2及び本明細書に記載された様々な比較抗体の特徴をまとめる。NDは、決定しなかったことを意味する。
【0627】
これらのデータは、抗体11G2は、フコシル化されたものとアフコシル化されたもの両者とも、比較抗体2C9、16D7及び11A7とまったく異なっていることを示す。すなわち、11G2の結合は、11及び22位(配列番号32のアミノ酸配列に従って番号付けされる)におけるマウスアミノ酸残基での置換によって無効にされるが、比較抗体の結合は、これらの残基の置換の影響を受けない。さらに、2C9の結合は、hCXCR5への結合のためにアミノ酸残基W19、D22及びR23を必要とするが、11A7のhCXCR5への結合が19位(配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って)におけるWのアラニンによる置換で無効にされるとしても、3つ全てを必要とする抗体はない。他の全ての抗体とは異なり、16D7のhCXCR5への結合は、ヒトCXCR5のD10とL11(配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従って)との間に2つのマウス残基を挿入することによって無効にされる(図7参照)。したがって、本明細書に示すデータは、11G2が、抗体2C9、16D7及び11A7と同じエピトープを有さないこと、並びにこれらの抗体が、同様にそれらの間で異なるエピトープを有することを示唆する。
【0628】
加えて、本明細書に示すデータは、11G2が、hCXCR5に、2C9(65.59pM)より少なくとも10倍大きい親和性(7.08pM)(EC50として表される)を有し、11A7より少なくとも100倍大きい親和性(563.63pM)を有することを示し、16D7とは顕著に異なるが、これは飽和しないため比較できない。
【0629】
【表11】
【0630】
これらのデータは全て、11G2が、比較抗体2C9、16D7及び11A7と実質的に異なること、並びに、限定されるものではないが、CXCR5媒介CXCL13シグナル伝達などのCXCR5の生物学的活性によって媒介されるか又はそれと関連する疾患、障害若しくは状態を治療若しくは予防するための、可能性のある新規の有用な治療剤であることを示唆する。これは特に、大幅に増強されたADCC活性を示した11G2のアフコシル化された抗体に該当し、したがって、例えば、CXCR5の細胞発現によって媒介されるか又はそれと関連する免疫疾患を治療するための治療剤としての実用性を増加させる。
【0631】
実施例15 アフコシル化されたh11G2 XC154/XC155のインビボでの薬力学
アフコシルヒト化11G2 154/155のカニクイザルでの実験で、IV又はSC、1投与当たり0.001~400mg/kgの投与量を調査した。この実験で用いたIV及びSC調合物は、50mg/mLの本発明のCXCR5抗体又は抗原結合フラグメント、20mMのヒスチジン、8.5%のスクロース及び0.02%のポリソルベート80、pH5.8の0.005%のEDTAを含んでいた。表12に、カニクイザルによるアフコシル化された11G2 XC154/XC155の実験計画を示す。
【0632】
【表12】
【0633】
末梢血における用量依存性のB細胞及びTfh様細胞の枯渇を、カニクイザルにおいて、0.001~0.2mg/kgのアフコシル化されたh11G2 VL XC154/VH XC155(アフコシルh11G2 XC154/XC155)の単回用量で観察した;試験された最低用量(0.001mg/kg)は、末梢血中においておよそ50%のB細胞及びTfh様(すなわち、cTfh)細胞の枯渇をもたらした。
【0634】
カニクイザルにおける探索的及びピボタルGLP毒性試験において、≧5mg/kg IVのアフコシルh11G2 XC154/XC155の用量が、末梢血中において著しいB細胞及びTfh様細胞の枯渇を引き起こし、脾臓及び他のリンパ系組織(腋窩及び腸間膜リンパ節並びに消化管関連リンパ系組織)中のリンパ小節の細胞充実性を減少させた;これらの作用は、免疫組織化学的に観察されたB細胞領域の薬理学的に媒介される細胞充実性の低減と相関していた。探索的及びピボタル試験において、B細胞、Tfh様細胞及びTfh細胞の部分的から完全な回復が観察された。枯渇とその後の回復の速度は、アフコシルh11G2 XC154/XC155の濃度に関連していた。
【0635】
アフコシルh11G2 XC154/XC155が体液性メモリー応答を損なうかどうかを決定するために、ワクチンの想起応答試験をカニクイザルで実行した。手短に説明すると、アフコシルh11G2 XC154/XC155を、試験の前にTT(破傷風トキソイド)に対するワクチンを接種したカニクイザル(6匹/グループ)に、1日目及び8日目に、2及び10mg/kg/用量をIVボーラス注入した。アフコシルh11G2 XC154/XC155の投与は十分に忍容され、期待される薬理作用(すなわち、循環B細胞及びTfh様細胞の減少)をもたらした。二次TT免疫化の7日後である22日目に、15日目と比較して増加した免疫グロブリンM(IgM)及びIgGメモリー応答が全ての用量グループ中の全ての動物で観察された。これらの応答は、アフコシルH11G2 XC154/XC155(10mg/kg/用量)が投与された動物において減弱され、ピーク抗TT IgG平均力価は、対照グループの72,000と比較して42,667であり、ピーク抗TT IgM平均力価は、対照グループの3500と比較して1583であった。比較物として使用されるB細胞枯渇抗体であるリツキサン(登録商標)(リツキシマブ)は、抗TT IgGメモリー応答に影響を与えなかった。結論として、これらのデータは、アフコシルh11G2 XC154/XC155は、インビボで体液性メモリー応答を損なうことを示す。
【0636】
安全性薬理学
心電図検査及び心拍数測定をピボタル毒性試験の設計に取り入れた。アフコシルh11G2 XC154/XC155の投与に起因し得る異常な心電図上の所見はなかった。全ての心電図が、定性的及び定量的に正常な範囲内であり、不整脈はなかった。
【0637】
実施例16 アフコシル化されたh11G2 XC154/XC155のインビボにおける薬物動態及び代謝
電気化学発光(ECL)アッセイを検証して、Meso Scale Discovery(登録商標)(MSD)アッセイプラットフォームでカニクイザル血清におけるADAの存在を検出した。陽性対照である抗CXCR5抗イディオタイプ抗体をカニクイザル血清にスパイクし、プールした正常カニクイザル血清からなる陰性対照を各プレートに入れて、アッセイ性能をモニターした。ビオチン標識アフコシルh11G2 XC154/XC155及びルテニウム標識アフコシルh11G2 XC154/XC155を、試験サンプル、陽性対照、及び陰性対照と共にインキュベートした。サンプル中に存在するアフコシルh11G2 XC154/XC155に対する抗体は、このアッセイで検出しようとするアフコシルh11G2 XC154/XC155のビオチン及びルテニウム標識バージョンの両方に結合するはずである。複合体を、ビオチン化アフコシルh11G2 XC154/XC155を介して、ストレプトアビジンでコーティングしたMSD multi-array plateに捕獲し、これをMSD Sector Imagerで読み取った。最終的な検出には、MSD Sector Imager内でECLシグナル(RLU)を生産するために、ルテニウム標識アフコシルh11G2 XC154/XC155及びトリプロピルアミンを使用した。
【0638】
試験サンプルを、段階的な戦略でADAに関して試験した。最初にサンプルをスクリーニングアッセイにおいて75の希釈係数で試験した。アッセイカットポイント未満のRLUを生成したサンプルを陰性(<1.88)と報告した。アッセイカットポイントの、又はそれを超えるRLUを生成したサンプルを全連続希釈物で再分析し、抗体力価を決定した。抗体力価を、カットポイントRLUに等しいRLUを生成すると予想されるサンプルの希釈率の逆数と定義した。その力価の10を底とする対数で記録した。
【0639】
調査1日目の投与の前に収集されたサンプルと投与後のサンプルの結果の比較に基づいて、ADAの誘発に関する結論を作成した。試験された投与前サンプルがADA陰性であり、対応する試験された投与後サンプルが陽性である場合、ADA誘発陽性とみなした。試験された投与前及び投与後サンプルの両方がADA陽性である場合には、投与後のサンプル力価が少なくとも0.48(log3、連続希釈係数)であるか又は投与前サンプルの力価より高い場合に限りADA誘発に関して陽性とみなした。
【0640】
単回用量の薬物動態
アフコシルh11G2 XC154/XC155のPKを、0.001、0.002、0.005、0.1又は0.2mg/kgのアフコシルh11G2 XC154/XC155の単回のIV投与の後に特徴付けて、雄及び雌カニクイザル(1匹/性別/用量グループ)における末梢血B細胞及び濾胞性ヘルパーT(Tfh)様(Tfh様)細胞の枯渇及び過多を評価した。この実験で用いたIV及びSC調合物は、50mg/mLの本発明のCXCR5抗体又は抗原結合フラグメント、20mMのヒスチジン、8.5%のスクロース及び0.02%のポリソルベート80、pH5.8の0.005%EDTAを含んでいた。
【0641】
単回のIV投与の後、用量を増加させるにつれて全身曝露が増加し、アフコシルh11G2 XC154/XC155のPKは、低いCL及び低いVssによって特徴付けられ、平均値は、用量レベルにわたり、それぞれおよそ0.2~2.6mL/h/kg及び0.03~0.1L/kgであった。用量レベルにわたる平均t1/2値は、およそ1~4日であった。低い用量(0.001~0.005mg/kg)で、より高いCLの証拠が存在した。これは、アフコシルh11G2 XC154/XC155/CXCR5複合体のクリアランスをもたらす可能性もある抗体依存性細胞傷害性(ADCC)媒介細胞枯渇に起因する可能性がある(Kryzanski et al., 2016, J. Pharmacokinet. Pharmacodyn. 43(5):513-527;Wang et al., 2010, AAPS J. 12(4):729-740))。ヒトにおいて、低い用量で、類似のクリアランスメカニズム/非直線性が見られる可能性もある。これまで本明細書で述べたように、用量依存性の末梢血中のB細胞及びTfh様細胞の枯渇が観察され、循環B細胞の枯渇は、Tfh様細胞の枯渇より強力であった。
【0642】
カニクイザルにおける反復投与の毒物動態(TK)
GLP反復投与毒性試験の一部として、雄及び雌カニクイザル(3又は4匹/性別/用量グループ)に、5(IV)、20(SC)、又は200(IV)mg/kg(合計5回の用量につき)でアフコシルh11G2 XC154/XC155の隔週(2週毎)のIV又はSC投与を行った後に、TK及びADA評価を実行した。
【0643】
ビヒクル対照グループから収集され分析したサンプル中に、定量可能な濃度のアフコシルh11G2 XC154/XC155は存在しなかった。用量グループにわたり全身曝露における明らかな性別に関連する差はなかった;したがって、雄及び雌カニクイザルを合わせたデータを使用してグループ平均TKパラメーターを提示する(表13)。
【0644】
5(IV)、20(SC)又は200(IV)mg/kgでの隔週の投与後、全身曝露は反復投与後により高く、累積比率(調査43日目/調査1日目)はおよそ1.4~1.7であった。さらに、全身曝露は、IV投与後、用量に比例して増加した。5mg/kg(IV)用量グループからの回復した動物における最後の定量可能な濃度のアフコシルh11G2 XC154/XC155が、11か月の回復期間の調査148日目~281日目に観察された。SC投与後、アフコシルh11G2 XC154/XC155のバイオアベイラビリティは、少なくとも約50%と推測された。
【0645】
アフコシルh11G2 XC154/XC155に対するADAの発生率は、それぞれ5(IV)、20(SC)又は200(IV)mg/kgでアフコシルh11G2 XC154/XC155を投与した後、19%(16匹中3匹の動物)、17%(動物6匹中1匹)及び0%(動物6匹中0匹)であり、調査43日目における血清濃度は、ADA陰性動物と比較して、全般的にADA陽性動物で低かった。注目すべきことに、アフコシルh11G2 XC154/XC155の循環中の濃度が、ADAの検出に干渉した可能性がある。
【0646】
【表13】
【0647】
分布
タンパク質結合及び組織分布研究は、非臨床的な種におけるアフコシルh11G2 XC154/XC155については実行しなかった。カニクイザルにおけるアフコシルh11G2 XC154/XC155のVssは、単回のIV投与の後、およそ0.03~0.1L/kgであったが、これは、IgGに関して予想される限定された分布と一致する(Lin et al., 1999, J. Pharmacol. Exp. Ther. 288(1):371-378;Mascelli et al., 2007, J. Clin. Pharmacol. 47(5):553-565)。
【0648】
代謝
代謝研究は、アフコシルh11G2 XC154/XC155では実行しなかった。糸球体ろ過のカットオフを超える分子量を有する他の治療用タンパク質と同様に、アフコシルh11G2 XC154/XC155は、主として異化分解によって代謝されると予想される(Lobo et al., 2004, J. Pharm. Sci. 93(11):2645-2668;Mascelli et al., 2007、上記;Vugmeyster et al., 2012, World J. Biol. Chem. 3(4):73-95)。
【0649】
薬物動態学的な薬物相互作用
インビトロ又はインビボにおける薬物動態学的な薬物相互作用研究は、行わなかった。アフコシルh11G2 XC154/XC155は、CXCR5に向けられたヒト化モノクローナル抗体(mAb)であり、インビトロでサイトカイン放出をモジュレートするが、インビボではモジュレートしないことが示されている。サイトカインは、シトクロムP450(CYP)酵素及び輸送体の発現を調節することが示されている(Lee et al., 2010, Clin. Pharmacokinet. 49(5):295-310;Mahmood & Green, 2007, J. Clin. Pharmacol. 47(12):1540-1554)。したがって、アフコシルh11G2 XC154/XC155での治療は、CYP酵素及び輸送体レベルに影響を与える可能性があり、結果として、これらの酵素又は輸送体の基質である付随する薬物療法剤のクリアランスを調節する。しかし、他の薬物に関して診療施設で観察されたサイトカイン媒介薬物相互作用は、それほど大きくなかったため、結果として共投与された小分子薬物の曝露における変化倍数は2未満であった(Huang et al., 2010, Clin. Pharmacol. Ther. 87(4):497-503;Evers et al., 2013, Drug Metab. Dispos. 41(9):1598-1609)。したがって、いかなる特定の理論に縛られることは望まないが、付随する薬物療法剤が標的発現を変更する場合、それがアフコシルh11G2 XC154/XC155のPKに影響を与える可能性がある。
【0650】
ヒト薬物動態の予測
カニクイザルにおけるアフコシルh11G2 XC154/XC155のPKプロファイルは、サルにおけるヒトIgG1mAbに典型的なものであった。それゆえ、ヒトにおける予測された2-コンパートメントPKパラメーターは、典型的な治療的IgG1mAbの値と同じであると予測され、試験される用量範囲にわたり直線状と仮定される。使用されたPKパラメーター値は初期に報告された値と類似していた(Singh et al., 2015, In: Developability of Biotherapeutics: Computational Approaches, S. Kumar, Singh S. Kumar, Eds., CRC Press)。これらのパラメーターは、以下のとおりである:中心体積(central volume:V)は3.2L、末梢体積(peripheral volume:V)は2.2L、中心クリアランス(central clearance:CL)は0.25L/日、分配クリアランス(distributive clearance:Q)は0.45L/日、SC吸収速度定数(k)は0.261/日、及びSCバイオアベイラビリティは60%。本明細書に示されたデータに基づき、アフコシル化されたh11G2 XC154/XC155の予測されたヒト血清中半減期は、約17日である。
【0651】
ヒトの有効用量の予測
モデルベースのアプローチを採用して、カニクイザルの血清中における、用量と、アフコシルh11G2 XC154/XC155濃度と、B及びTfh様細胞のモジュレーションとの間の関係を特徴付けた。その後、リツキシマブのようにB細胞上のCD-20と結合し、B細胞を枯渇させるヒト化小モジュラー免疫薬(SMIP)であるSBI-087の公開されたサル及びヒト薬物動態学/薬力学(PK/PD)データを使用して、アフコシルh11G2 XC154/XC155のB細胞枯渇パラメーターをサルからヒトに変換した(Cohen et al., 2016, Clin. Ther. 38(6):1417-1434;Dunussi-Joannopoulos et al., 2008, Ann. Rheum. Dis. 64(Suppl II):190 (Abstr THU0171))。B細胞とは異なり、Tfh様枯渇に関してヒトデータは入手できなかった;それゆえに、Tfh様細胞枯渇の変換を、B細胞のものに類似していると仮定した。SLE患者におけるベースラインのB及びTfh様細胞数(Belouski et al., 2010, Cytometry B Clin. Cytom. 78(1):49-58)並びに予測されたヒト細胞枯渇パラメーターを使用して、ヒトにおけるアフコシルh11G2 XC154/XC155投与後のB及びTfh様細胞枯渇速度論をシミュレートした。
【0652】
アフコシルh11G2 XC154/XC155の予測されたヒトの有効用量は、およそ10~30mg(IV)であり、これは、臨床上の効能のために、血液中のB細胞をおよそ8週にわたり1μL当たり細胞1個以下に枯渇させる必要があるという仮説に基づく。10~30mg IVの第2の用量後(1日目及び29日目の用量)のアフコシルh11G2 XC154/XC155血清濃度を上述したように推測して、予測されたCmaxはおよそ5~15μg/mLであり、投与間隔tauにわたる予測された濃度時間曲線下面積(AUCtau)はおよそ38~114μg/日/mLであり、予測された平均濃度(Cav;AUCtau/28として計算)は1.36~4.06μg/mLであった。
【0653】
実施例17 アフコシル化されたh11G2 XC154/XC155の毒物学研究
アフコシル化されたh11G2 XC154/XC155を、表14に示した毒性試験研究の概要において、一連の非臨床的な毒性試験で決定した。静脈内(IV)又は皮下(SC)投与経路は、臨床的な投与の意図した経路であるため、それらを選択した。この実験で用いたIV及びSC調合物は、50mg/mLの本発明の開示のCXCR5抗体又は抗原結合フラグメント、20mMのヒスチジン、8.5%のスクロース及び0.02%のポリソルベート80、pH5.8の0.005%EDTAを含んでいた。これまでに本明細書で論じたように、ヒト又はカニクイザル末梢血単核細胞を使用した試験は、アフコシルh11G2 XC154/XC155は、CXCR5を発現する細胞と、ヒト及びサル細胞間で同等の親和性で結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を同様に開始させることを示した。これまで本明細書でも示されたように、アフコシルh11G2 XC154/XC155は、マウス、ラット又はウサギCXCR5のオーソログと結合しない。したがって、非臨床的な毒性試験はカニクイザルでのみ実行した。
【0654】
【表14】
【0655】
表14中の略語は、以下のとおりである:GLP=優良試験所基準;IV=静脈内;OECD=経済協力開発機構;PBMC=末梢血単核細胞;SC=皮下。
【0656】
全てのGLP試験を、データ規格に準拠した加盟国のOECD相互引受けで実行した。全てのインビボの試験を雄及び雌で実行した。特に言及しない限り、全ての用量は、1回投与当たりの体重1kg当たりのタンパク質のmgとして表される。ヒト全血を、1、10、100若しくは1000μg/mL(可溶性相)でアッセイするか、又は、ヒトPBMCを、1、10若しくは100μg/ウェル(固相)でアッセイした。
【0657】
17日間にわたり400mg/kg/用量(IV)までの週1回の投与(合計3回の用量)又は2か月にわたり200mg/kg/用量(IV)までの2週毎の投与(合計5回の用量)でのIV及びSC試験で、アフコシルh11G2 XC154/XC155をサルに投与した。17日間の探索的サル試験は、352日目にわたる回復期間を含んでいた。ピボタル(GLP)の2か月のサル試験は、11か月の回復期間(401日目)を含んでいた。アフコシルh11G2 XC154/XC155は、インビトロのアッセイでサイトカイン放出を誘発した。これらの試験で確認された標的臓器は血管リンパ管系であった。2か月のサル試験における最大無毒性量(NOAEL)は、43日目に、200mg/kg/用量(IV)の試験された最大用量であり、Cmaxは5220μg/mLであり、AUC168は438,000μg・h/mLであった。
【0658】
反復投与毒性
探索的及びピボタル反復投与毒性試験を、カニクイザルでアフコシルh11G2 XC154/XC155を用いて実行した。
【0659】
探索的毒性研究
探索的非GLP試験において、アフコシルh11G2 XC154/XC155を、0(IV、SCビヒクル)、40(IV)、260(SC)又は400(IV)mg/kg/用量で、週1回(合計3回の用量)、サルにIV又はSC注入によって投与し(性別当たり1~2回/用量)、それに続き、352日目までビヒクル、40(IV)及び400(IV)グループ(性別当たり1回/グループ)で回復期間を設けた。全ての動物が、17日目又は352日目のいずれかにおけるそれらの計画的な剖検まで生存した。試験品に関連した臨床徴候はなく、体重、食物消費又は血清サイトカインへの作用もなかった。
【0660】
投与期間中、2又は3日目から始めて、ベースラインと比較した末梢血中の全B細胞、CXCR5+ B細胞及び循環Tfh様細胞の減少があり(それぞれ0.00×~0.02×、0.00×~0.02×及び0.03×~0.09×)、ベースラインからの最大の減少は17日目に観察された。枯渇の規模は全ての用量で類似していた。脾臓において、全ての用量で、対照と比較して著しく少ない数のB細胞、CXCR5+ B細胞及び真正Tfh細胞数が観察された(それぞれ0.018×~0.144×、0.003×~0.033×及び0.037×~0.245×)。末梢血において、2日目に、≧40mg/kg/用量で1匹を除き全ての動物においてリンパ球絶対数の減少(0.33×~0.67×ベースライン)が観察され、免疫グロブリン(Ig)Gにおいて、17日目に、動物において≧40mg/kg/用量で増加(1.11×~1.81×ベースライン)が観察された。ナチュラルキラー(NK)細胞数において、2日目に一時的な減少がみられ(0.05×~0.14×ベースライン)、ほとんどの動物で、6日目までに部分的ないし完全な回復がみられた。脾リンパ小節の細胞充実性において、中程度ないし顕著な減少がみられ;下顎下、腋窩及び鼠径リンパ節において、リンパ小節の細胞充実性の最小の減少がみられ、扁桃において、≧40mg/kg/用量及び260mg/kg/用量(SC)で、注入部位において顕微鏡観察レベルの混合性細胞浸潤がみられた。免疫組織化学から、脾臓においてCD20陽性細胞及びCXCR5陽性細胞の非用量依存性の減少、並びに下顎下及び鼠径リンパ節において、CD20陽性細胞の減少が示された。リンパ系組織への作用は、末梢血中のB細胞及びTfh様細胞に加えてリンパ球総数における減少と相関しており、CXCR5を発現する細胞を標的とする枯渇性抗体であるアフコシルh11G2 XC154/XC155の薬理学的性質と一致する。
【0661】
回復期間中、末梢血中のB細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh様細胞数の減少が199日目までに(ゆっくり)増加し、352日目の回復期間の終わりに、全ての動物がこれらの細胞型を部分的又は完全に回復させた。NK細胞及びIgGは、回復期間中、ベースラインの範囲に戻った(図8A~8D)。試験品関連の顕微鏡観察レベルの所見(脾臓並びに下顎下及び鼠径のリンパ節のCD20及びCXCR5の免疫組織化学評価を含む)はなく、脾臓において、B細胞、CXCR5+ B細胞及び真正Tfh細胞の数が、ビヒクル対照動物の値に類似しているか又はそれより多かったことから、完全な回復が示唆される。
【0662】
いずれの用量でも、血清サイトカインへの、又は、末梢血若しくは脾臓中のT細胞、ヘルパーT細胞若しくは細胞傷害性T細胞への作用は観察されなかった。この研究において明らかな抗薬物抗体(ADA)は検出されなかった。
【0663】
図8A~8Dは、カニクイザルにおける末梢血B細胞及びTfh様細胞の枯渇及び再構成を示すグラフである。雄(図8A及び図8C)及び雌(図8B及び図8D)における血液1μl当たりの末梢血B細胞(図8A及び図8B)及びTfh様細胞(図8C及び図8D)レベルを、探索的毒性試験の352日目まで示す。B細胞をCD3-CD20+と定義した。試験品は免疫表現型検査に使用されるCXCR5抗体に干渉するため、Tfh様細胞を、CD3+CD4+CD95+CXCR5+細胞及びCD3+CD4+CD95+hIgG+細胞の合計と定義した。雄サルにおけるB細胞の過去の範囲(図8A、細胞272~2503個/μL)及び雌サルにおけるB細胞の過去の範囲(図8B、細胞233~1700個/μL)を、点線で示す。
【0664】
ピボタル(GLP)毒性試験
ピボタル試験において、アフコシルh11G2 XC154/XC155を、0(IV、SC)、5(IV)、20(SC)又は200(IV)mg/kg/用量(合計5回の用量)で2週毎にサル(性別当たり3~8匹/グループ)にIV又はSC注入によって投与し、それに続き、11か月の回復期間(401日目)を設けた。22日目(投与期間)及び253日目(回復期間)に、サルにキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)及び破傷風トキソイド(TT)を注射して、それぞれ一次及び二次T細胞依存性抗体応答(TDAR)を決定した。動物をTTで免疫化したが、試験開始前はKLH未感作であった。試験開始前(ベースライン)、22、25、29、36、43、58、253日目(回復期間の免疫化の前)、256、260、267、274及び281日目に血液サンプルを収集し、抗KLH-IgM、抗KLH-IgG、抗TT-IgM及び抗TT-IgGの産生に関して評価した。
【0665】
全ての投与期間の動物が、58日目におけるそれらの計画的な剖検まで生存した。試験品関連の臨床徴候はなく、体重、食物消費、血漿サイトカイン、凝血、臨床化学、TDAR-KLHパラメーター又は心電図パラメーターへの作用もなかった。この試験における全てのアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の所見には、5及び200mg/kg/用量IV並びに20mg/kg/用量SCでの、末梢血中の血液学的、免疫表現型検査パラメーターにおける有害ではない可逆的な変化、TDAR-TT IgG値における用量とは無関係の減少、並びに雄及び雌の脾臓及び/又はリンパ節における顕微鏡観察レベルの所見及び免疫表現型検査の変化が含まれていた。回復期間中、330日目に1匹の対照雌を採血による合併症のために安楽死させた。401日目の剖検まで、全ての残りの回復動物が生存した。
【0666】
アフコシルh11G2 XC154/XC155関連の血液学的変化には、全ての用量で、一般的に用量とは無関係の軽度ないし中度のリンパ球減少(0.34×~0.60×ベースライン)が含まれ、それにおいて、2日目に最大の発生、それに続くタイムポイントでより低い発生がみられ、これは、全ての用量で個々の動物につき総白血球数の減少(0.25×~0.59×ベースライン)に寄与していた。リンパ球は、回復期間の最初の1~2か月以内にベースライン及び/又は対照値に近づいた。2日目に、200mg/kg/用量IVで、及び個々の動物につき、それに続くタイムポイントで、5mg/kg/用量IV及び20mg/kg/用量SCで、穏やかに減少した好塩基球(0.17×~0.50×)もみられ、それに続き、回復期間の最初の1~3か月以内の回復、及び6日目における200mg/kg/用量IVで、雌において一時的な最低限に減少した(0.79×~0.82×)赤血球質量(ヘモグロビン、赤血球数及びヘマトクリット)がみられた。
【0667】
2日目もの早期に、全ての動物及び用量グループにおいて、ベースラインと比べて末梢血中の全B細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh様細胞(0.00×~0.56×)の著しいアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の減少がみられ、これは投与期間の終わり(58日目)まで持続し、393日目までの回復期間中に動物に投与された5mg/kg/用量IVで、ベースラインに戻るか、又はビヒクル対照動物で観察された値の範囲内である各サブセットごとの絶対値を有していた(図9A~9D)。また、2日目に、全ての動物においてベースラインに比べて末梢血中のNK細胞数の著しい減少(0.04×~0.46×)もみられた;しかしながら、ほとんどの動物で6日目までに部分的から完全な回収が観察されたが、1つ以上の後続のタイムポイントでNK細胞がベースラインレベル未満のままであり、一部の動物は回復期間の終わりまでにベースラインに戻った。また一部の動物で、2日目に、全T細胞、ヘルパーT細胞及び細胞傷害性T細胞の一時的な減少もみられたが(0.45×~0.66×);これらの細胞集団は、動物の大部分で6日目までに、全ての動物で36日目までに、ベースラインレベルに戻った。いずれの用量でも、インターロイキン(IL)-2、IL-6、IL-10、IL-13、インターフェロン(IFN)-γ及び腫瘍壊死因子(TNF)-αにおいてアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の変化はみられなかった。
【0668】
脾リンパ小節の、並びに腋窩及び腸間膜リンパ節並びに消化管関連リンパ系組織(GALT)におけるリンパ小節の、アフコシルh11G2XC154/XC155関連の用量とは無関係の減少した細胞充実性が、≧5mg/kg/用量IV及び20mg/kg/用量SCで観察された。これは、免疫組織化学によって決定した脾臓中のCD20+及びCXCR5+細胞のリンパ球の濾胞性細胞充実性の減少と関連していたが、20mg/kg/用量SCでの1匹の雄は例外であった;しかしながら、この動物におけるアフコシルh11G2 XC154/XC155曝露は、15日目以降、ADAの罹患率による影響を受けていた可能性がある。加えて、58日目の剖検で、脾臓中においてビヒクル対照と比較してより少ない数のB細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh細胞がみられた。一部の動物は、脾臓中において対照と比較してより少ないNK細胞数を有していた。401日目の回復の最後に、アフコシルh11G2 XC154/XC155が投与された全ての動物における検査された各サブセットの絶対値は、ビヒクル対照グループにおける動物の値の範囲内であったことから、投与期間中に観察されたアフコシルh11G2 XC154/XC155関連のより少ない数からの回復が示される。
【0669】
脾臓中のより少ない数のB細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh細胞に伴う、脾臓及びリンパ節中のリンパ小節における減少したリンパ系細胞充実性は、≧5mg/kg/用量IV及び20mg/kg/用量SCでの、末梢血中の、全リンパ球並びにB細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh様細胞における減少と相関していた。回復期間の終わりに(401日目)、5mg/kg IV用量グループにおいてアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の顕微鏡観察レベルの所見はみられなかった。これは完全な回復を示す。これらの所見は、CXCR5を発現する細胞を枯渇させると予測されるアフコシルh11G2 XC154/XC155の薬理学と一致する。末梢血及び/又は脾臓におけるより少ない数のNK細胞は、NKエフェクター細胞の致死に起因する可能性があり、これは、抗体依存性細胞傷害性後のNK細胞(Warren et al., 2011, J. Immunol. Meth. 370:86-92)及び/又は組織再分配で説明されている;しかしながら、他のメカニズムも除外できない。
【0670】
キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)に対する一次T細胞依存性抗体応答(TDAR)へのアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の作用はみられなかった。全てのグループで、抗KLH-免疫グロブリン(Ig)M及びIgG応答が観察された。全てのサルが、研究開始前に破傷風トキソイド(TT)に対するワクチンを接種していた。全ての用量グループ中の全ての動物で、増加したIgM及びIgGメモリー応答が観察された。免疫化後7、14、21及び36日で、5IV、20SC及び/又は200IV mg/kg/用量グループ中の雄及び雌動物の両方において、TTに対する二次TDAR(IgG力価中央値)におけるアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の、用量とは無関係の減少が観察された。免疫化後7日で、5及び200mg/kg/用量IVグループにつき、グループ平均の抗TT IgG抗体における統計学的に有意な減少が観察された。
【0671】
回復期間の免疫化後、5mg/kgのアフコシルh11G2 XC154/XC155用量グループ中の全ての動物において、ビヒクル対照グループの範囲内の1つ以上のタイムポイントで、抗KLH IgM及びIgGメモリー応答がみられた。回復期間中の免疫化後7日で、5mg/kg用量グループの動物で観察されたグループの抗TT-IgG力価中央(CPT)値において、アフコシルh11G2 XC154/XC155関連の統計学的に有意な減少がみられた。全ての回復期間の動物のCPT値は、対照グループの範囲内であったが、5mg/kg用量グループ中の8匹の動物のうち2匹が、回復期間中のTT免疫化後の28日までの全ての時点で、対照範囲より低いCPT値を有していた。投与又は回復期間中のアフコシルh11G2 XC154/XC155投与に起因する抗TT IgM値における変化はみられなかった。
【0672】
全てのグループにおいて抗KLH IgM及びIgG一次応答がみられた;5及び200mg/kg/用量グループ中の一部の動物は、一次免疫化後のある時点で、対照の範囲を超えるCPTを有していた。いずれの時点でも、グループのいずれにおいてもグループ平均の抗KLH IgM又はIgG抗体で統計学的に有意な差はみられなかった。個々の動物の変化は散発的であり、用量依存性が欠如し、グループのCPT値が対照動物の範囲内であったため、それらはアフコシルh11G2 XC154/XC155関連とみなさなかった。回復期間中、全ての動物は対照の範囲内であったが、5mg/kg用量グループ中の8匹の動物のうち1匹が、KLH免疫化後14、21、及び28日において対照の範囲をわずかに下回るCPT値を有していた。これらのデータ(用量又は回復期間)は、全てのアフコシルh11G2 XC154/XC155が投与された動物(雄と雌の両者)が、対照動物と類似して、KLH免疫化に対する一次IgM及びIgG応答を起こすことが可能であったことを示す。
【0673】
免疫表現型検査によって検出された、末梢血中の全B細胞、CXCR5+ B細胞、Tfh様細胞及びNK細胞における著しい減少、脾臓中のB細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh細胞の著しく少ない数、リンパ球数の減少、並びに脾臓、リンパ節及びGALTにおける減少したリンパ系細胞充実性にもかかわらず、全ての所見は、関連する臨床徴候の欠如及び一次TDARへの作用がないために不都合ではなかった。全白血球、好塩基球及び赤血球パラメーターにおける減少を含む他の血液学的な所見は、限定的な重症度及び顕微鏡観察レベルの相関の欠如のために有害ではなかった。401日目にアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の顕微鏡観察レベル及び免疫組織化学的な所見は記録されなかった。これは完全な回復を示す。
【0674】
2か月にわたり隔週のSC又はIV投与後のサルにおけるアフコシルh11G2 XC154/XC155のNOAELは、200mg/kg/用量であった。NOAELにおける全身曝露(Cmax及びAUC168)は、それぞれ、5220μg/mL及び438,000μg・h/mLであった。この研究において抗アフコシルh11G2 XC154/XC155抗体が検出された。そのデータは、本明細書の他所に要約される。反復投与毒性プログラムで記された標的臓器毒性のリスク査定は、本明細書の他所に提供される。サルにおける主要な応答に関連するアフコシルh11G2 XC154/XC155の閾値濃度は、本明細書の他所に見出すことができる。
【0675】
生殖及び発達毒性
カニクイザルにおける反復投与毒性研究で評価された雄又は雌の生殖組織における試験品関連の作用はみられなかった。
【0676】
局所忍容性
アフコシルh11G2 XC154/XC155を用いた独立した局所忍容性研究は実行されなかったが、インビボでの毒性研究において、注入部位を肉眼及び顕微鏡で検査した。
【0677】
探索的サル研究において、対照動物のSC注入部位における最小ないし軽度の浸潤と比較して、260mg/kg/用量でのSC注入部位に、中程度の血管周囲の混合性白血球細胞浸潤(単核白血球、好中球及びより少数の好酸球)がみられた。260mg/kg/用量SCの雄において、浸潤は多病巣的に小血管の筋層に拡大した。260mg/kg/用量のSC雌において、数々の多核化された巨細胞が皮下のコラーゲンに浸潤し、これらの細胞において、細胞質内の好塩基性又は好酸球の線維性物質断片がみられた。2か月のピボタルサル試験において、IV及びSC投与部位における顕微鏡観察レベルの所見は、試験品関連とみなさなかった。
【0678】
抗原性
カニクイザルにおける反復投与毒性研究でADAレベルを測定することによって、免疫原性を査定した;これらのデータは、これまでに本明細書に記載される。
【0679】
免疫毒性
インビトロ及びインビボの研究は、免疫系へのアフコシルh11G2 XC154/XC155の作用を特徴付けた。2つの異なるインビトロの様式、すなわち全血を使用した可溶性相アッセイ、並びに固定されたアフコシルh11G2 XC154/XC155及び末梢血単核細胞(PBMC)を使用した固相アッセイを使用したヒトサイトカイン放出アッセイで、アフコシルh11G2 XC154/XC155のサイトカイン(TNF-α、IL-6及びIFN-γ)の放出を誘発する可能性を決定した。8人の健康なヒトドナーからのサンプルを、これらの様式のそれぞれにおいて評価した。両方のサイトカイン放出アッセイ様式において、アフコシルh11G2 XC154/XC155によって誘発されたサイトカイン放出(TNF-α、IL-6、及びIFN-γ)が観察された。インビボで、サルにおける反復投与探索的及びピボタル毒性試験は、インビボでのサイトカイン放出プロファイル、加えて免疫系細胞及び組織へのアフコシルh11G2 XC154/XC155の作用を特徴付けた。アフコシルh11G2 XC154/XC155は、インビボでサイトカインを誘発しなかった。リンパ球、B細胞、CXR5+B細胞及びTfh/Tfh様細胞の枯渇が、アフコシルh11G2 XC154/XC155が投与されたサルの末梢血及び脾臓で観察された。これは、本明細書で記載されたとおりであり、その作用はCXCR5を枯渇させる抗体の予測される作用機序と一致する。探索的及びピボタル毒性試験における回復期間後、脾臓及びリンパ節におけるリンパ球パラメーターは、ビヒクル対照と同等であった。
【0680】
それぞれKLH及びTTに対する一次及び二次TDAR応答を、本明細書で論じられたとおり2か月のピボタル毒性試験で評価した。KLHに対する一次TDARへのアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の作用はみられなかった。投与及び回復期間中に、免疫化後7日で、TTに対する二次TDAR応答を起こしたが、アフコシルh11G2 XC154/XC155関連の減少を起こさなかった全ての動物が、5及び200mg/kg/用量IVグループの力価中央値で観察された。
【0681】
組織交差反応性(TCR)
複数回の試行及び方法を含む大規模な予備的な方法開発作業を、アフコシルh11G2 XC154/XC155を用いた予備的な染色方法研究で実行した。これらのアッセイ条件のうち、予測される細胞及び組織で膜染色を一貫して示したものはなかった。GLPに準拠した組織交差反応性研究において、ビオチン化アフコシルh11G2 XC154/XC155(アフコシルh11G2 XC154/XC155-Bio;1及び5μg/mL)のカニクイザル及びヒト組織の低温切開片への結合を評価した。染色パターンがカニクイザル組織とヒト組織とでオーバーラップした。ヒトとサルの両者に共通する染色が、アフコシルh11G2 XC154/XC155の予測される反応性を代表する、単核細胞、網内皮細胞、様々な上皮、グリア細胞及び/又は下垂体細胞で観察され(Breitfeld et al., 2000, J Exp Med 192(11):1545-1552;Carlsen et al., 2002, Gut 51(3):364-371;Flynn et al., 2003, J. Neuroimmunol. 136(1-2):84-93;Schaerli et al., 2000, J. Exp. Med. 192(11):1553-1562;Schmutz et al., 2005, Arthritis Res. Ther. 7(2):R217-R229)、加えて甲状腺コロイドでも観察された。陽性アフコシルh11G2 XC154/XC155染色は、他のサル又はヒト組織で観察された。ヒト組織について、視神経及び脊髄神経根中のニューロンの神経線維、前立腺の平滑筋細胞、精巣の間質性細胞、並びに目の水晶体線維で染色が観察された。
【0682】
カニクイザルでのみ染色された組織は、骨髄中の造血細胞前駆体細胞、皮膚及び子宮頸の肥満細胞、脳及び脊髄中の神経網、心筋細胞、並びに胎盤及び視神経鞘中の紡錘細胞であった。これは試験品の予想外の交差反応性を表す可能性があるが、染色は本来、細胞質内であり、微細解剖学的な特異性はなく、明確な原形質膜染色を欠如していた。このような細胞質内染色は、CXCR5を発現する細胞及び組織とそれを発現しないものとの区別を不十分にする。細胞質内染色は、インビボで試験品に接触可能ではないと予測され、一般的に、毒物学的な有意性はほとんどないか全くないとみなされる(Hall et al., 2008, In: Preclinical Safety Evaluation of Biopharmaceuticals: A Science-Based Approach to Facilitating Clinical Trials, p. 208-240, Cavagnaro, J.A., ed., Wiley-Interscience; Leach et al., 2010, Toxicol. Pathol. 38(7):1138-1166)。明確な膜染色の欠如は、十分な評価を作成するためのロバストな方法が入手できないことを示唆する。2か月の反復投与毒性研究で不利な所見がなかったことは、エクスビボの組織交差反応性研究で観察された染色がインビボでの作用に変換されないことを裏付ける。ロバストなTCR方法を得るために多数の試みがなされたが、観察された結合は、意図した薬理学に基づき予測されるものを超える安全性の懸念を生じなかった。
【0683】
所見の薬物動態学との関係
2か月にわたり2週毎(合計5回の用量)の5(IV)、20(SC)又は200(IV)mg/kg/用量の用量での雄及び雌サルへのSC又はIV投与の後に、アフコシルh11G2 XC154/XC155の血清濃度を決定した。用量グループにわたり全身曝露における明らかな性別関連の差はみられなかった;それゆえに、グループ平均TKパラメーターは、雄及び雌カニクイザルの組み合わせたデータを使用して提示される。全身曝露は反復投与後により高く、累積比率(試験43日目/試験1日目)はおよそ1.4~1.7であった。さらに、全身曝露は、IV投与後、用量に比例して増加した。SC投与後、アフコシルh11G2 XC154/XC155のバイオアベイラビリティは、>50%と推測された。
【0684】
表15に、主要な応答に関連するアフコシルh11G2 XC154/XC155の血清閾値濃度及びこれらの主要な応答に対して計算された曝露の限界点を提供する。
【0685】
【表15】
【0686】
表15で使用される略語は、以下のとおりである:AUC=濃度-時間曲線下面積;Cav=平均濃度;Cmax=最大(平均)血漿濃度;Tfh様細胞(あるいは、cTfh);CXCR5=ケモカイン受容体5型;GALT=消化管関連リンパ系組織;IgG=免疫グロブリンG;IV=静脈内;NK=ナチュラルキラー;NOAEL=最大無毒性量;SC=皮下;TDAR=T細胞依存性抗体応答;Tfh=濾胞性ヘルパーT細胞;TT=破傷風トキソイド;WBC=白血球。
【0687】
反復投与研究において、Cmax値は平均血漿濃度を示す。Cav値は、AUCをサンプリング間隔(48又は168時間)で割ることによって計算される。報告した値は、投与期間の終わりの近くで得られた。
【0688】
動物毒性試験におけるCav値を、予測されたヒトの有効用量である30mg(IV)における予測されたヒトCavである4.06μg/mLで割ることによって、曝露の限界点を計算した。
【0689】
標的臓器への毒性
実行された非臨床研究に基づき、血管リンパ管系(脾臓、リンパ節、GALT、扁桃、循環性リンパ球、白血球、赤血球パラメーター、インビトロでのサイトカイン放出)を、可能性のある標的臓器/組織として確認した。アフコシルh11G2 XC154/XC155を用いて実行された17日の非ピボタルサル試験において、これらの組織における試験品関連の変化は、2か月のピボタル毒性試験で観察されたものと一致していた。全てのアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の所見は、非ピボタル及びピボタル毒性試験における回復期間中、ベースライン又はビヒクル対照グループ値に完全又は部分的に戻った。いかなる臨床的な所見又は日和見感染もなかったこと、及びTDARアッセイによって測定した免疫機能への影響が最小であったことから、有害とみなされる試験品関連の作用はなかった。それゆえに、アフコシルh11G2 XC154/XC155関連の作用に関するサルにおける200mg/kg/用量IVのNOAELを確立した。
【0690】
血管リンパ管系
カニクイザルにおける反復投与毒性試験において、試験2日目から始めて、≧5mg/kg/用量(IV)及び20mg/kg/用量(SC)の用量で、末梢血リンパ球におけるアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の減少が観察された。これらの減少は、全B細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh様細胞における観察された減少と相関しており、これは57日目まで持続した。これらのリンパ球サブセットにおける減少は、探索的毒性試験における回復期間の終わりまでにベースライン値に完全又は部分的に戻ったことを示した。2日目から始めて、≧5mg/kg/用量でのNK細胞、全T細胞、ヘルパーT細胞、及び細胞傷害性T細胞におけるアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の減少もみられたが、投与期間の終わりまでにベースライン値への部分的から完全な戻りが達成された。末梢血中のリンパ球集団における減少に加えて、6日目に200mg/kg/用量が投与された雌サルでRBC質量における一時的な最小の減少が観察された。
【0691】
末梢血中の減少したリンパ球集団は、≧5mg/kg/用量での脾臓及びリンパ節におけるアフコシルh11G2 XC154/XC155関連のより低いリンパ系細胞充実性と相関していた。より低いリンパ系細胞充実性は、より少ない数の全B細胞、CXCR5+ B細胞、真正Tfh細胞、及びNK細胞、並びに脾臓中のより少ない濾胞性CD20+及びCXCR5+細胞に反映された。より低い濾胞性リンパ系細胞充実性は、≧5mg/kg/用量でのリンパ節及びGALT並びに≧40mg/kg/用量での扁桃で観察された。
【0692】
探索的及びピボタル毒性試験における回復期間後、脾臓及びリンパ節におけるリンパ球パラメーターは、ビヒクル対照と同等であった。
【0693】
全B細胞、CXCR5+ B細胞及びTfh/Tfh様細胞における減少は、CXCR5を発現する細胞を枯渇させることが予測されるアフコシルh11G2 XC154/XC155の予測される作用機序と一致する。末梢血及び脾臓におけるより少ないNK細胞数は、ADCC後にNK細胞で起こることが分かっているエフェクター細胞の致死に起因する可能性がある。
【0694】
リンパ球パラメーターにおける減少がアフコシルh11G2 XC154/XC155が投与されたサルの末梢血及び脾臓で観察されたが、KLHに対する一次TDARへのアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の作用はみられなかった。全ての動物がTTに対する二次TDARを起こしたが、≧5mg/kg/用量の用量で統計学的に有意な減少が観察された。
【0695】
全てのアフコシルh11G2 XC154/XC155関連の所見は、関連する臨床徴候又は日和見感染がないために不都合ではないとみなされた。アフコシルh11G2 XC154/XC155の末梢血リンパ球、全B細胞、CXCR5+ B細胞、Tfh様細胞及びNK細胞への効果、並びに、一次及び二次TDAR応答は、診療施設において、ヒトでモニターすることができる。
【0696】
可溶性及び固体のインビトロのサイトカイン放出アッセイ様式の両方において、アフコシルh11G2 XC154/XC155によって誘発されたサイトカイン放出(TNF-α、IL-6及びIFN-γ)が観察された。アフコシルh11G2 XC154/XC155によって誘発されたインビトロでのサイトカイン放出は、この分子の予測される薬理学に起因することが予想される。アフコシルh11G2 XC154/XC155は、探索的又はピボタルのインビボのサル試験においてサイトカイン放出を誘発しなかった。血清サイトカイン及び全身性サイトカイン放出の臨床的なインジケーターは、診療施設で容易にモニターされる。
【0697】
【表16-1】
【0698】
【表16-2】
【0699】
【表16-3】
【0700】
【表16-4】
【0701】
【表16-5】
【0702】
【表16-6】
【0703】
【表16-7】
【0704】
【表16-8】
【0705】
【表16-9】
【0706】
【表16-10】
【0707】
【表16-11】
【0708】
【表16-12】
【0709】
【表16-13】
【0710】
開示された教示は、様々な適用、方法、キット、及び組成物を参照して記載されているが、本明細書に記載の教示及び以下の特許請求された発明から逸脱することなく様々な変更及び改変をほどこすことができることが理解されると予想される。前述の例は、開示された教示をよりよく例示するために提供され、本明細書で示された教示の範囲の限定を意図していない。本発明の教示は、これらの例示的な実施形態に関して記載されるが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数のバリエーション及び改変が、余計な実験を行うことなく可能であることを容易に理解するものと予想される。全てのこのようなバリエーション及び改変は、本教示の範囲内である。
【0711】
特許、特許出願、論文、教本などを含む本明細書において引用された全ての参考文献、及びそこで引用された文献は、それらがまだそうではない程度に、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。組み入れられた文献及び類似の資料の1つ以上が本出願とは異なるか又は矛盾する場合、これらに限定されないが、定義された用語、用語の使用、記載された技術などを含め本出願が優先される。
【0712】
本発明の範囲又は本質から逸脱することなく本発明において様々な改変及びバリエーションをなすことができることが当業者には明らかであると予想される。本発明の他の実施形態は、本明細書で開示された発明の詳細と実施の考察から当業者には明らかであると予想される。明細書及び例は、単なる例示とみなされることが意図され、本発明の真の範囲及び本質は、以下の特許請求の範囲により示される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載した、単離された抗体又はその抗原結合フラグメント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0712
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0712】
本発明の範囲又は本質から逸脱することなく本発明において様々な改変及びバリエーションをなすことができることが当業者には明らかであると予想される。本発明の他の実施形態は、本明細書で開示された発明の詳細と実施の考察から当業者には明らかであると予想される。明細書及び例は、単なる例示とみなされることが意図され、本発明の真の範囲及び本質は、以下の特許請求の範囲により示される。
以下に、本願の出願時の特許請求の範囲を実施の態様として付記する。
[1] CXCR5と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、
a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び、配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む抗体;
b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む抗体;
c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3;配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む抗体;
d)ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVL及びATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートによってコードされたアミノ酸配列を含むVH、を含む抗体;
e)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
f)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
g)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号52のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
h)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
i)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
j)配列番号13のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
k)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むVHを含む抗体;
l)配列番号22のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
m)配列番号24のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
n)配列番号26のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
o)配列番号28のアミノ酸配列を含むLC、及び配列番号29のアミノ酸配列を含むHCを含む抗体;
p)配列番号95の核酸配列によってコードされたVL、及び配列番号96の核酸配列によってコードされたVHを含む抗体;並びに
q)配列番号97の核酸配列によってコードされたLC、及び配列番号98の核酸配列によってコードされたHCを含む抗体
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
[2] C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
a)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がロイシンではない前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
b)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がスレオニンである前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
c)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではない前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
d)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記残基がアラニンである前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
e)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含み、かつ、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5エピトープと結合するが、前記ロイシンがスレオニンで置換されており、及び/又は前記アスパラギン酸がアラニンで置換されている前記エピトープと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
f)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がロイシンではないhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
g)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がスレオニンであるhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
h)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がアスパラギン酸ではないhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;
i)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記残基がアラニンであるhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント;並びに
j)配列番号32のアミノ酸配列の番号付けに従ってアミノ酸残基番号11にロイシンを含み、かつ、アミノ酸残基番号22にアスパラギン酸を含むhCXCR5又はそのフラグメントと結合するが、前記ロイシンがスレオニンで置換されており、及び/又は前記アスパラギン酸がアラニンで置換されているhCXCR5又はそのフラグメントと結合しない抗体又はその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
[3] C-X-C-ケモカイン受容体5型(CXCR5)と特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、
a)EC 50 が約6.60±約2.33(標準偏差)pMの見かけの親和性で、ヒトB細胞に発現するhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
b)EC 50 が約5.89±約1.40(標準偏差)pMの見かけの親和性で、ヒト循環濾胞性ヘルパーT様細胞に発現するhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
c)EC 50 が約10.6pMの見かけの親和性で、ヒト濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞に発現するhCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
d)EC 50 が約1.32pMの見かけの親和性で、カニクイザルB細胞に発現するcynoCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
e)EC 50 が約10.5pMの見かけの親和性で、カニクイザルTfh様細胞に発現するcynoCXCR5と結合する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
f)cAMPレポーターアッセイにおいて、EC 50 が約961pMで、CXCR5-CXCL13シグナル伝達に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
g)約2.01±約2.28(標準偏差)pMのEC 50 で、hCXCR5を発現するヒトB細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
h)約4.28±約2.88(標準偏差)pMのEC 50 で、hCXCR5を発現するヒトTfh様細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
i)約0.11pMのEC 50 で、hCXCR5を発現するヒトTfh細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
j)約15.3±約11.7(標準偏差)pMのEC 50 で、cynoCXCR5を発現するカニクイザルB細胞に対するADCC活性を示す、抗体又はその抗原結合フラグメント;
k)hCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、及びXCR1と検出可能に結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
l)CXCR5のCXCL13への結合を阻害する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
m)EC 50 が約26pM未満の見かけの親和性でCXCR5 ヒトB細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット又はウサギのオーソログを発現する細胞と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
n)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13による阻害に拮抗する、抗体又はその抗原結合フラグメント;
o)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
p)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、又はXCR1と結合しない、抗体又はその抗原結合フラグメント;
q)末梢血中のB細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
r)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;
s)脾臓中の真正Tfh細胞を枯渇させる、抗体又はその抗原結合フラグメント;並びに
t)体液性免疫メモリー応答を損なう、抗体又はその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、抗体又はその抗原結合フラグメント。
[4] 前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、以下の生物学的活性:
a)EC 50 が約26pM未満の見かけの親和性でCXCR5 ヒトB細胞と結合するが、CXCR5のマウス、ラット若しくはウサギのオーソログを発現する細胞と結合しないこと;
b)フォルスコリンによって開始されるcAMP放出のCXCL13による阻害に拮抗すること;
c)ヒトドナー及びカニクイザルPBMC並びにヒトドナーTMCにおいてCXCR5を発現する細胞のADCCを開始させること;
d)ヒトCXCR5と結合するが、ヒトケモカイン受容体CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CMKLR1、CXCR3R1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CXCR7、若しくはXCR1と結合しないこと;
e)末梢血中のB細胞を枯渇させること;
f)末梢血中のTfh様細胞を枯渇させること;
g)脾臓中の真正Tfh細胞を枯渇させること;又は
h)体液性免疫メモリー応答を損なうこと
の少なくとも1つを示す、[1]~[3]のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
[5] 前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、アフコシル化されている、[1]~[4]のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
[7] CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列番号95の核酸配列、配列番号96の核酸配列又は両者を含む、核酸。
[8] CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖、軽鎖又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列番号97の核酸配列、配列番号98の核酸配列又は両者を含む、核酸。
[9] CXCR5と特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントのVH、VL又は両者をコードする単離された核酸であって、前記核酸は、ATCCに寄託された受託番号PTA-124323を有するプラスミドのインサートの核酸配列、ATCCに寄託された受託番号PTA-124324を有するプラスミドのインサートの核酸配列又は両者を含む、核酸。
[10] [6]~[9]のいずれかに記載の核酸を含むベクター。
[11] [10]に記載のベクターを含む宿主細胞。
[12] 前記宿主細胞が、CHO細胞、COS細胞、HEK-293細胞、NS0細胞、PER.C6(登録商標)細胞又はSp2.0細胞からなる群から選択される哺乳類細胞である、[11]に記載の宿主細胞。
[13] 前記細胞が、機能的なα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)を有していない、[12]に記載の宿主細胞。
[14] 前記細胞が、Potelligent(登録商標)CHOK1SV細胞又はLec13CHO細胞である、[13]に記載の宿主細胞。
[15] 抗体又はその抗原結合フラグメントを作製する方法であって、[14]に記載のPotelligent(登録商標)CHOK1SV細胞を、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが前記細胞によって発現され、アフコシル化される条件下で含む、方法。
[16] 前記抗体又はその抗原結合フラグメントを単離することをさらに含む、[15]に記載の方法。
[17] [15]に記載のアフコシル化された抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、フコシル化されていること以外は同一な抗体又はその抗原結合フラグメントと比較して、増加したADCC活性を有する、抗体又はその抗原結合フラグメント。
[18] [1]~[5]、[17]のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
[19] 免疫疾患、障害又は状態の治療に使用するのための、[1]~[5]、[17]のいずれかに記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は[18に記載の医薬組成物。
[20] 免疫疾患、障害又は状態の治療のための、[1]~[5]、[17]のいずれかに記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント、又は[18]に記載の医薬組成物の使用。
[21] 必要とするヒト対象における、CXCR5によって媒介される免疫疾患、障害又は状態を治療又は予防する方法であって、前記方法は、前記対象に有効量の[18]に記載の医薬組成物を投与することを含み、前記疾患、障害又は状態は、炎症性応答、例えば、乾癬及び皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患;皮膚筋炎;全身性強皮症及び硬化症;炎症性腸疾患に関連する応答(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎);呼吸窮迫症候群(成人呼吸窮迫症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;胃炎;糸球体腎炎;アレルギー性状態、例えば、湿疹及び喘息、並びにT細胞の浸潤及び慢性炎症性応答を伴う他の状態;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ(RA);全身性エリテマトーデス(SLE);糖尿病(例えば、I型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫性甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年型糖尿病;並びに結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎で典型的に見出される、サイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅延型過敏症に関連する免疫応答;ウェゲナー病;悪性貧血(アジソン病);白血球遊出を伴う疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(クリオグロブリン血症又はクームス陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原-抗体複合体によって媒介される疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;グレーブス病;ランバート-イートン筋無力症症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫性多腺性内分泌不全症;白斑;ライター病;全身硬直症候群;ベーチェット病;巨細胞動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性ニューロパシー;免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性溶血性疾患;橋本甲状腺炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性血友病;自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS);自己免疫性ブドウ膜網膜炎;ギラン-バレー症候群;グッドパスチャー症候群;混合性結合組織病;自己免疫関連の不妊症;結節性多発動脈炎;円形脱毛症;特発性粘液水腫;移植片対宿主病;筋ジストロフィー(デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張性、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性、眼咽頭型、遠位、エメリー-ドレフュス型)からなる群から選択され、並びに、膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞白血病、及びB細胞白血病などのCXCR5を発現するがん細胞の増殖を制御することを含む、方法。
[22] 前記疾患が、SLE又は関節リウマチである、[21]に記載の方法。
[23] 免疫疾患、障害又は状態の治療用医薬品の製造における、[1]~[5]、[17]のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
[24] [1]~[5]のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを使用して試料、組織又は細胞中のCXCR5を検出する方法であって、前記試料、組織又は細胞を前記抗体と接触させること、及び前記抗体を検出することを含む、方法。
[25] 必要とする対象においてCXCR5の生物学的活性を低減させる方法であって、前記方法は、治療有効量の[1]~[5]、[17]のいずれかに記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は[18]に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[26] 前記抗体が、脾臓中のTfh細胞、末梢血中のB細胞及び末梢血中のTfh様細胞からなる群から選択される、少なくとも1つのCXCR5を発現する細胞の枯渇を媒介する、[25]に記載の方法。
[27] 必要とする対象において体液性免疫応答を阻害する方法であって、前記方法は、治療有効量の[1]~[5]、[17]のいずれかに記載の抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は[18]に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[28] 前記抗体が、脾臓中のTfh細胞、末梢血中のB細胞及び末梢血中のTfh様細胞からなる群から選択される、少なくとも1つのCXCR5を発現する細胞の枯渇を媒介する、[27]に記載の方法。
【外国語明細書】