(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020195
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】位相雑音低減のためのインダクタトポロジー
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240206BHJP
H03B 5/08 20060101ALI20240206BHJP
H03H 5/02 20060101ALI20240206BHJP
H01F 27/33 20060101ALI20240206BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240206BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H03B5/08 Z
H03H5/02
H01F27/33
H01F27/00 160
H01F27/28 K
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174158
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2022088208の分割
【原出願日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】17/479,774
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】イ-アン リ
(72)【発明者】
【氏名】アフメド アイ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】イ ザオ
(57)【要約】
【課題】位相雑音低減のためのインダクタトポロジーの技術を提供する。
【解決手段】電圧制御発振器がインダクタを含んでもよい。インダクタは、電子部品に連結された第1のコイルを含んでもよい。インダクタは、第1の回路構成要素に連結された第1のコイルと、接合部を介して第1の回路構成要素に連結されており、第1のコイルと並列である第2のコイルと、第2の回路構成要素、第1のコイル、及び第2のコイルに連結された共有回路経路と、を含んでもよく、共有回路経路は、接合部に重なっている。インダクタは、電子部品によって生成された位相雑音を低減するように構成されていてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と、
第2の端子と、
前記第2の端子に連結された共有分岐と、
前記第1の端子から前記共有分岐まで反時計回り方向に延在している、前記第1の端子に連結された第1のコイルと、
前記第1の端子から前記共有分岐まで時計回り方向に延在している、前記第1の端子に連結された第2のコイルであって、前記第1のコイルが前記第2のコイルと前記共有分岐について対称である、第2のコイルと、
を備える、インダクタ。
【請求項2】
前記第1の端子が前記第2の端子に重なっている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記第1の端子が前記第1のコイル及び前記第2のコイルへと分かれている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記共有分岐が、前記第1のコイル及び前記第2のコイルと接合している、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記第1のコイルと前記第2のコイルとが同じ直径を有する、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記第1のコイルが第1の入力分岐を介して前記第1の端子に連結されており、前記第2のコイルが第2の入力分岐を介して前記第1の端子に連結されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記第1の入力分岐及び前記第2の入力分岐が前記共有分岐と同一の広がりを有する、請求項6に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記第1の入力分岐を前記第2の入力分岐に連結するカプラーを備え、前記カプラーの横軸が前記共有分岐の横軸と交差している、請求項6に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記共有分岐が前記カプラーに重なっている、請求項8に記載のインダクタ。
【請求項10】
1つ以上のアンテナと、
前記1つ以上のアンテナに連結された送受信器と、を備え、前記送受信器が第1の回路、第2の回路、及びインダクタを含み、前記インダクタが、前記第1の回路に連結された第1のコイル及び第2のコイルと、前記第1のコイル及び前記第2のコイルに連結されており、前記インダクタを二分しており、前記第2の回路に連結された共有分岐とを有し、前記第1のコイルが前記第2のコイルと並列である、
電子デバイス。
【請求項11】
前記インダクタが、前記第1の回路によって生成された位相雑音を低減するように構成されている、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
電流が前記インダクタに与えられたときに、前記第1のコイルが第1の磁場を生成し、前記第2のコイルが第2の磁場を生成し、前記第1の磁場が前記第2の磁場と大きさがほぼ等しく、かつ前記第2の磁場とは反対方向である、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記第1のコイル及び前記第2のコイルが各々、少なくとも部分的に8角形の形状である、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記第1のコイル及び前記第2のコイルが各々、7つの辺を備える、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記7つの辺の各々が、前記7つの辺のうち別のものと135度の角度を形成する、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記7つの辺のうち1つが前記共有分岐を備える、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項17】
第1の回路構成要素と、
第2の回路構成要素と、
インダクタと、を備える電圧制御発振器であって、
前記インダクタが、前記第1の回路構成要素に連結された第1のコイルと、前記第1の回路構成要素に接合部を介して連結されており、前記第1のコイルと並列である第2のコイルと、前記第2の回路構成要素、前記第1のコイル、及び、前記第2のコイルに連結された共有回路経路と、を含み、前記共有回路経路が前記接合部に重なっている、電圧制御発振器。
【請求項18】
前記インダクタが、前記第1の回路構成要素のうち前記1つから第1の信号を受信し、前記第1の信号よりも少ない位相雑音を有する第2の信号を生成するように構成されている、請求項17に記載の電圧制御発振器。
【請求項19】
前記インダクタが、前記第2の信号を前記第2の回路構成要素に出力するように構成されている、請求項18に記載の電圧制御発振器。
【請求項20】
前記第1のコイルが、第1の入力を介して前記第1の回路構成要素に連結されており、前記第1の入力が、前記第2のコイルを前記第1の回路構成要素に連結している前記接合部に重なっている、請求項17に記載の電圧制御発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は一般にインダクタに関し、より具体的には電圧制御発振器(VCO)のインダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信デバイスでは、送受信器が無線信号を送信及び受信することがある。送受信器は、送信信号又は受信信号の周波数を変更する電圧制御発振器(VCO)を含むことがある。ところが、VCOは、送受信器の性能及び送信信号又は受信信号の品質に影響を及ぼし得る位相雑音(例えば、完全な周期性からの時間領域での逸脱に対応する、送信信号又は受信信号の位相におけるランダムな変動の周波数領域表現)を生成することがある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示される特定の実施形態の要約を以下に示す。これらの態様が、これらの特定の実施形態の概要を読者に提供するためだけに提示され、これらの態様が、この開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。実際に、本開示は、以下に記載されない種々の態様を包含し得る。
【0004】
一実施形態では、インダクタが、第1の端子と、第2の端子と、第2の端子に連結された共有分岐と、を含んでもよい。このインダクタは、第1の端子から共有分岐まで反時計回り方向に延在している、第1の端子に連結された第1のコイルを更に含んでもよい。このインダクタは、第1の端子から共有分岐まで時計回り方向に延在している、第1の端子に連結された第2のコイルを更に含んでもよく、第1のコイルは第2のコイルと共有分岐について対称である。
【0005】
別の実施形態では、電子デバイスが1つ以上のアンテナを含んでもよい。この電子デバイスはまた、その1つ以上のアンテナに連結された送受信器を含んでもよい。この送受信器は、第1の回路と、第2の回路と、インダクタと、を含んでもよい。このインダクタは、第1の回路に連結された第1のコイル及び第2のコイルと、第1のコイル及び第2のコイルに連結されており、インダクタを二分しており、第2の回路に連結された共有分岐とを有してもよく、第1のコイルは第2のコイルと並列である。
【0006】
更に別の実施形態では、電圧制御発振器は、第1の回路構成要素と、第2の回路構成要素と、インダクタと、を含んでもよい。このインダクタは、第1の回路構成要素に連結された第1のコイルと、接合部を介して第1の回路構成要素に連結されており、第1のコイルと並列である第2のコイルと、第2の回路構成要素、第1のコイル、及び第2のコイルに連結された共有回路経路と、を含んでもよく、共有回路経路は接合部に重なっている。
【0007】
本開示の様々な態様に関連して、上述の特徴部の様々な改良が存在し得る。更なる特徴部もまた、これらの様々な態様に、同様に組み込むことができる。これらの改良及び追加的特徴部は、個別に、又は任意の組み合わせで存在し得る。例えば、例示される実施形態のうちの1つ以上に関連して以下で論じられる様々な特徴部は、本開示の上述の態様のうちのいずれにも、単独で、又は任意の組み合わせで、組み込むことができる。前述の概要は、請求内容を限定することなく読者に本開示の実施形態のある態様及び文脈を理解させるためだけのものである。
【0008】
以下の「発明を実施するための形態」を読了し、かつ以下の図面を参照することにより、本開示の様々な態様を、より良好に理解することができる。以下の図面では、同様の番号は同様の部品を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による、電子デバイスのブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の電子デバイスの機能図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図1の電子デバイスの送信器の概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、
図1の電子デバイスの受信器の概略図である
【
図5】2つのコイルを8の字構成で直列に有するインダクタを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態による、2つのコイルを8の字構成で並列に有するインダクタを示す図である。
【
図7A】本開示の実施形態による、
図6のインダクタを3次元的に示す図である。
【
図7B】本開示の実施形態による、
図6のインダクタを3次元的に示す図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図5のインダクタのインダクタンス及び
図6のインダクタのインダクタンスを示すプロットである。
【
図9】本開示の実施形態による、
図5のインダクタの品質係数及び
図6のインダクタの品質係数を示すプロットである。
【
図10】本開示の実施形態による、8の字並列インダクタの代替構成を示す図である。
【
図11A】本開示の実施形態による、
図10のインダクタを3次元的に示す図である。
【
図11B】本開示の実施形態による、
図10のインダクタを3次元的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、1つ以上の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、本明細書には実際の実施態様の全ての特徴は示されていない。どのような工学プロジェクト又は設計プロジェクトの場合とも同様に、そのような実際的な実施態様の開発のいずれに際しても、実施態様ごとに異なり得る、システム関連及びビジネス関連の制約への準拠などの開発者の具体的な目的を達成するために、実施態様に固有の多数の決定を行わなければならないことが理解されるべきである。更には、そのような開発努力は、複雑で時間を要する場合もあるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の慣例的な仕事であることを理解するべきである。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介するときに、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、1つ以上の要素があることを意味する。用語「を備える、を含む(comprising)」、「を含む(including)」、及び「を有する(having)」は、包括的であることを意図し、列挙した要素以外の付加的な要素がある可能性があることを意味する。更に、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」の参照は、列挙した特徴を組み込む追加の実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図したものではないことを理解されたい。更に、特定の特徴、構造、又は特性が、1つ以上の実施形態において適切に組み合わせられてもよい。「およそ」、「近い」、「約」、「近接する」、及び/又は「実質的に」という用語の使用は、適切又は予想可能ないずれの誤差の許容範囲内(例えば、目標の0.1%以内、目標の1%以内、目標の5%以内、目標の10%以内、目標の25%以内など)なども、目標(例えば、設計、値、量)の近くを含むことを意味すると理解されるべきである。更に、理解すべきこととして、本明細書で提供される正確な値、数、測定などはいずれも、正確な値、数、測定などの近似値(例えば、適切又は予想可能な誤差の許容範囲内)を含むと意図される。
【0012】
本開示は、電圧制御発振器(VCO)における位相雑音を低減すること、より具体的には、VCO内に位置するインダクタを使用して低減することに向けられている。特に、インダクタの電力消費及び/又は品質係数を増加させると、位相雑音が低下し得る。インダクタの品質係数は、所与の周波数における抵抗に対するインダクタの誘導リアクタンスの比率であり、インダクタの効率のメジャである。すなわち、インダクタの品質係数が高いほど、そのインダクタは理想的なインダクタとして挙動し得る。
【0013】
インダクタの電力消費が増加するように設計することにより、VCO位相雑音の低減を達成し得る。インダクタの電力消費を増加させるには、インダクタ内の1つ以上のコイルの内径を減少させることによって、インダクタのインダクタンスを低減するべきである。ところが、内径が小さくなるにつれてインダクタの品質係数は低減し、このことは、相雑音を増加させてインダクタンスを減少させることの利点を打ち消すことがある。更に、インダクタが1次磁束相殺を提供するために直列8の字(又は8形)のトポロジーを有すると仮定すると、8の字コイルの内径を両方とも減少させると、更に低い品質係数につながることがある。例として、直列8の字インダクタの2つのコイルが同じインダクタンスを有する場合、インダクタの総インダクタンスは、2つのコイルのインダクタンスの合計となる。
【0014】
本開示の実施形態は、磁束相殺を維持しながら、(例えば、直列8の字構成と比較して)インダクタンスの減少及び品質係数の増加を達成して位相雑音を低減する、インダクタトポロジーを提供する。本開示の並列8の字インダクタ構成では、コイルは並列に配置されており、各コイルのインダクタンス(各コイルが同じインダクタンスを有すると仮定する)の半分にほぼ等しい総インダクタンスを有するインダクタを形成している。これは、2つのコイルが直列に配置されており、インダクタの総インダクタンスが各コイルのインダクタンスの合計となるインダクタを形成している、直列8の字構成とは対照的である。本提案のインダクタの各コイルは、並列8の字インダクタ構成によって、(例えば、直列8の字構成と比較して)より大きなインダクタンス及び内径を有し得るので、インダクタの品質係数の増大が実現される。このインダクタンスの減少及び品質係数の増加によって、位相雑音の減少がもたらされ得る。
【0015】
図1は、本開示の態様による電子デバイス10のブロック図である。電子デバイス10は、とりわけ、1つ以上のプロセッサ12(本明細書では便宜上、集合的に単一のプロセッサと呼ばれ、どのような適切な形で処理回路内に実装されてもよい)、メモリ14、不揮発性記憶装置16、ディスプレイ18、入力構造体22、入出力(I/O)インタフェース24、ネットワークインタフェース26、及び電源29を含んでもよい。
図1に示される様々な機能ブロックは、ハードウェア要素(回路を含む)、ソフトウェア要素(機械実行可能命令を含む)、又はハードウェア要素とソフトウェア要素の両方の組み合わせ(ロジックと称され得る)を含んでもよい。プロセッサ12、メモリ14、不揮発性記憶装置16、ディスプレイ18、入力構造体22、入出力(I/O)インタフェース24、ネットワークインタフェース26、及び/又は電源29は各々、互いの間でデータを送信及び/又は受信するために、直接的に、又は間接的に(例えば、別の構成要素、通信バス、ネットワークを介して)、互いに通信可能に連結されていてもよい。
図1は特定の実施態様の一例に過ぎず、電子デバイス10内にあってもよい構成要素のタイプを示すものであることに留意されたい。
【0016】
例として、電子デバイス10は、どのような適切なコンピューティングデバイスを含んでもよく、それには、デスクトップ又はノートブックコンピュータ(例えば、Apple Inc.(Cupertino,California)から入手可能なMacBook(登録商標)、MacBook(登録商標) Pro、MacBook Air(登録商標)、iMac(登録商標)、Mac(登録商標) mini、又はMac Pro(登録商標)の形で)、無線電子デバイス又はスマートフォン(例えば、Apple Inc.(Cupertino,California)から入手可能なiPhone(登録商標)のモデルの形で)などのポータブル電子装置又はハンドヘルド電子デバイス、タブレット(Apple Inc.(Cupertino,California)から入手可能なiPad(登録商標)のモデルの形で)、ウェアラブル電子デバイス(例えば、Apple Inc.(Cupertino,California)から入手可能なApple Watch(登録商標)の形で)が含まれる。本明細書では
図1内のプロセッサ12及び/又は他の関連する項目が全体的に「データ処理回路」と称され得ることに、留意されたい。そのようなデータ処理回路は、全体として、又は部分的に、ソフトウェアとして、ハードウェアとして、又はその両方として実施されてもよい。更に、
図1内のプロセッサ12及び/又は他の関連する項目は、単一に収容された処理モジュールであってもよいし、又は、電子デバイス10内の他の要素のいずれかの中に、全体として、若しくは部分的に組み込まれていてもよい。プロセッサ12は、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、コントローラ、状態マシン、ゲートロジック、別個の複数ハードウェア構成要素、専用のハードウェア有限状態マシン、又は情報の計算若しくは他の操作を実行し得るどのような適切なエンティティのどのような組み合わせで実装されてもよい。プロセッサ12は、1つ以上のアプリケーションプロセッサ、1つ以上のベースバンドプロセッサ、又はその両方を含んでもよく、本明細書に記載の様々な機能を実行する。
【0017】
図1の電子デバイス10では、プロセッサ12は、メモリ14及び不揮発性メモリ16と動作可能に連結されており、様々なアルゴリズムを実行してもよい。プロセッサ12によって実行されるそのようなプログラム又は命令は、1つ以上の有形のコンピュータ可読媒体を含む、どのような適切な製造品に記憶されていてもよい。有形のコンピュータ可読媒体は、命令又はルーチンを格納するために、個別に、又は集合的に、メモリ14及び/又は不揮発性記憶装置16を含んでもよい。メモリ14及び不揮発性記憶装置16は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、書き換え可能フラッシュメモリ、ハードディスク、及び光ディスクなどの、データ及び実行可能命令を記憶するためのどのような適切な製造品を含んでもよい。また、そのようなコンピュータプログラム製品上に符号化されたプログラム(例えば、オペレーティングシステム)はまた、電子デバイス10が様々な機能を提供できるようにするためにプロセッサ12によって実行され得る命令を含んでもよい。
【0018】
ある特定の実施形態では、ディスプレイ18は、電子デバイス10上で生成された画像をユーザが容易に見られるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ18はタッチスクリーンを含んでもよく、タッチスクリーンは、ユーザが電子デバイス10のユーザインタフェースと容易に相互作用できるようにしてもよい。更に、理解すべきこととして、いくつかの実施形態では、ディスプレイ18は、1つ以上の、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイ、又はこれら及び/若しくは他のディスプレイ技術のいくつかの組み合わせを含んでもよい。
【0019】
電子デバイス10の入力構造22は、ユーザが電子デバイス10と相互作用(例えば、ボタンを押して音量レベルを増減する)できるようにしてもよい。I/Oインタフェース24は、電子デバイス10がネットワークインタフェース26などの様々な他の電子デバイスとインタフェースできるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース24は、AppleInc.(Cupertino,California)が提供するLightningコネクタ、ユニバーサルシリアルバス(USB)、又は他の類似したコネクタ及びプロトコルなどの標準的なコネクタ及びプロトコルを使用した充電及び/又はコンテンツ操作のための有線接続用のI/Oポートを含んでもよい。ネットワークインタフェース26は、例えば、超広帯域(UWB)又はBluetooth(登録商標)などのパーソナルエリアネットワーク(PAN)用、IEEE802.11xプロトコルファミリの1つ(例えば、WI-FI(登録商標))を用いるローカルエリアネットワーク(LAN)又は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)用、並びに/又は、例えば第3世代(3G)セルラーネットワーク、ユニバーサルモバイル通信システム(UMTS)、第4世代(4G)セルラーネットワーク、ロングタームエボリューション(LTE(登録商標))、ロングタームエボリューションライセンス補助アクセス(LTE-LAA)セルラーネットワーク、第5世代(5G)セルラーネットワーク、及び/若しくは、ニューレディオ(NR)セルラーネットワーク、衛星ネットワークなどを含む、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)に関連するいずれかの標準などの広域ネットワーク(WAN)用の、1つ以上のインタフェースを含んでもよい。特に、ネットワークインタフェース26は、ミリメートル波(mm波)周波数範囲(例えば、24.25~300ギガヘルツ(GHz))を含む5G仕様のリリース15セルラー通信規格、及び/又は、無線通信に使用される周波数範囲を規定かつ/又は有効化する他のいずれかのセルラー通信標準リリース(例えば、リリース16、リリース17、それ以降のいずれかのリリース)を使用するための1つ以上のインタフェースを含んでもよい。電子デバイス10のネットワークインタフェース26は、前述のネットワーク(例えば、5G、Wi-Fi、LTE-LAAなど)を介した通信を可能にしてもよい。
【0020】
ネットワークインタフェース26は、例えば、広帯域固定無線アクセスネットワーク(例えば、WIMAX(登録商標))、モバイル広帯域無線ネットワーク(モバイルWIMAX(登録商標))、非同期デジタル加入者回線(ADSL、VDSLなど)、デジタルビデオ地上波放送(DVB-T)及びその拡張DVBハンドヘルド(DVB-H(登録商標))ネットワーク、超広帯域(UWB)ネットワーク、交流(AC)電力線などのための1つ以上のインタフェースもまた含んでもよい。
【0021】
図示するように、ネットワークインタフェース26は、送受信器30を含んでもよい。いくつかの実施形態では、送受信器30の全て又は一部が、プロセッサ12内に配置されてもよい。送受信器30は、1つ以上のアンテナを介して様々な無線信号の送信及び受信をサポートしてもよく、よって、送信器及び受信器を含んでもよい。送受信器30は、インダクタを更に含んでもよく、インダクタは、回路の位相雑音を低減するために、送受信器30のどのような適切な回路に連結されていてもよい。電子デバイス10の電源29は、充電式リチウムポリマー(Li-poly)バッテリ及び/又は交流(AC)電力変換装置などの、どのような適切な電源であってもよい。ある特定の実施形態では、電子デバイス10は、コンピュータ、ポータブル電子デバイス、ウェアラブル電子デバイス、又は他の種類の電子デバイスの形を取ってもよい。
【0022】
図2は、本開示の実施形態による、
図1の電子デバイスの機能図である。図示するように、プロセッサ12、メモリ14、送受信器30、送信器52、受信器54、及び/又はアンテナ55(55A~55Nとして示され、集合的にアンテナ55と呼ばれる)は、互いの間でデータを送信及び/又は受信するために、直接的に、又は間接的に(例えば、別の構成要素、通信バス、ネットワークを介して)、互いに通信可能に連結されていてもよい。
【0023】
電子デバイス10は、例えば、ネットワーク(例えば、基地局を含む)又は直接接続を介して、電子デバイス10と外部デバイスとの間でデータの送信及び受信をそれぞれ可能にする送信器52及び/又は受信器54を含んでもよい。図示するように、送信器52及び受信器54は、結合されて送受信器30となってもよい。電子デバイス10はまた、送受信器30に電気的に連結された1つ以上のアンテナ55A~55Nを有してもよい。アンテナ55A~55Nは、シングルビーム、デュアルビーム、又はマルチビーム配列などで、無指向性又は指向性の構成に構成されてもよい。各アンテナ55は、1つ以上のビーム及び様々な構成に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、あるアンテナグループ又はモジュールのアンテナ55A~55Nのうち複数のアンテナが、それぞれの送受信器30に通信可能に連結されていてもよく、建設的及び/又は破壊的に結合してビームを形成し得る無線周波数信号を各々が発信してもよい。電子デバイス10は、様々な通信規格に適した複数の送信器、複数の受信器、複数の送受信器、及び/又は複数のアンテナを含んでもよい。いくつかの実施形態では、送信器52及び受信器54は、有線又は電信線の他のシステム又は手段を介して情報を送信及び受信してもよい。
【0024】
図示するように、電子デバイス10の様々な構成要素は共に、バスシステム56によって連結されていてもよい。バスシステム56は、データバスを含んでもよく、データバスに加えて、例えば、電力バス、制御信号バス、及びステータス信号バスもまた含んでもよい。電子デバイス10の構成要素は、共に連結されてもよいし、又は、なんらかの他の機構を使用して、互いに入力を受信若しくは提供してもよい。
【0025】
上述したように、電子デバイス10の送受信器30は、電子デバイス10が無線信号を送信及び受信できるようにするために、少なくとも1つのアンテナに連結された送信器及び受信器を含んでもよい。
図3は、本開示の実施形態による、送受信器30の一部であってもよい送信器52(例えば、送信回路)のブロック図である。図示するように、送信器52は、発信データ60を、1つ以上のアンテナ55を介して送信されるデジタル信号の形で受信してもよい。このデジタル信号を、送信器52のデジタル-アナログ変換器(DAC)62がアナログ信号に変換してもよく、変換されたアナログ信号を変調器63がキャリア信号と結合してもよい。ミキサー64が、電圧制御発振器66(VCO)を介してキャリア信号の周波数を変更してもよい。VCO66は、発振周波数が電圧によって制御される発振器である。VCO66は、1つ以上の抵抗器、コンデンサ、インダクタ(VCO66によって受信された入力信号内の位相雑音を低減して出力信号を出力する、本明細書に記載のインダクタを含む)、トランジスタ、ダイオードなどの1つ以上の回路構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、VCO66は、デジタル制御発振器(DCO)を含んでもよい。DCOは、DAC62によって提供されるキャリア信号によって駆動されるVCO66を指してもよい。
【0026】
電力増幅器(PA)67が、ミキサー64から無線周波数信号を受信し、変調された信号を、1つ以上のアンテナ55を介した信号の送信を駆動するために適切なレベルにまで増幅してもよい。次いで、送信器52のフィルタ68(例えば、フィルタ回路及び/又はソフトウェア)が、増幅信号から望ましくない雑音を除去して、1つ以上のアンテナ55を介して送信される送信データ70を生成してもよい。フィルタ68は、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、及び/又はデシメーションフィルタなどの、増幅信号から望ましくない雑音を除去する、単数又は複数の、どのような適切なフィルタを含んでもよい。加えて、送信器52は、送信器52が発信データ60を1つ以上のアンテナ55を介して送信できるように、図示されていない、どのような適切な追加の構成要素を含んでもよいし、又は、示された構成要素のうち、ある特定のものを含まなくてもよい。例えば、送信器52は、追加のミキサー及び/又は(例えば、ベースバンド周波数から中間周波数に入力信号を変換するための)デジタルアップコンバータを含んでもよい。別の例として、(増幅信号のフィルタリングが不要になり得るように)電力増幅器67が増幅信号を所望の周波数範囲で出力する場合、送信器52はフィルタ68を含まなくてもよい。
【0027】
図4は、本開示の実施形態による、送受信器30の一部であってもよい受信器54(例えば、受信回路)の概略図である。図示するように、受信器54は、1つ以上のアンテナ55から受信データ80をアナログ信号の形で受信してもよい。低雑音増幅器(LNA)81が、受信したアナログ信号を、受信器54が処理するための適切なレベルに増幅してもよい。ミキサー82が、増幅信号の周波数を電圧制御発振器84(VCO)を介して変更してもよい。VCO84は、上述した送信器52のVCO66と同じであるか、類似していてもよい。フィルタ85(例えば、フィルタ回路及び/又はソフトウェア)が、交差チャネル干渉などの望ましくない雑音を信号から除去してもよい。フィルタ85はまた、1つ以上のアンテナ55によって受信された、所望の信号以外の周波数の追加の信号を除去してもよい。フィルタ85は、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、及び/又はデシメーションフィルタなどの、受信信号から望ましくない雑音又は信号を除去する、単数又は複数のどのような適切なフィルタを含んでもよい。復調器86が、無線周波数エンベロープを除去し、かつ/又は、フィルタリングされた信号から、処理するための復調信号を抽出してもよい。アナログ-デジタル変換器(ADC)88が、復調アナログ信号を受信し、この信号を、電子デバイス10によって更に処理される着信データ90のデジタル信号に変換してもよい。加えて、受信器54は、受信器54が1つ以上のアンテナ55を介して受信データ80を受信できるように、図示されていない、どのような適切な追加の構成要素を含んでもよいし、又は示された構成要素のうち、ある特定のものを含まなくてもよい。例えば、受信器54は、追加のミキサー及び/又は(例えば、入力信号を中間周波数からベースバンド周波数に変換するための)デジタルダウンコンバータを含んでもよい。
【0028】
本明細書の実施形態は、位相雑音を低減するインダクタトポロジーを提供する。本開示の並列8の字インダクタ構成では1つのインダクタの2つのコイルが並列に配置されており、インダクタの総インダクタンスは、(各コイルが等価なインダクタンスを有するときは)各コイルのインダクタンスの約半分となる。並列8の字インダクタ構成によって、各コイルのインダクタンス及び内径は、(例えば、直列8の字インダクタ構成と比較した場合)より大きくなり得るので、インダクタの品質係数が改善され得る。すなわち、直列8の字インダクタ構成は、直列に配置された2つのコイルを有してもよく、したがって、直列8の字インダクタの総インダクタンスは、各コイルのインダクタンスの合計となり得る。したがって、並列8の字インダクタ構成は、インダクタンスの減少及び品質係数の増加によって、より低い位相雑音を生成し得る。
【0029】
上記を念頭に置いて、また、比較のために、
図5は、2つのコイルが直列に8の字構成になっているインダクタ100を示す。第1の直列コイル102は、内径104を有してもよい。内径104は、5マイクロメートル~80マイクロメートル、30マイクロメートル~70マイクロメートル、40マイクロメートル~60マイクロメートル、45マイクロメートル、及び/又は55マイクロメートルなど、1マイクロメートルより大きくてもよい。第1の直列コイル102の内径104は、第1の直列コイル102のインダクタンスLを画定し得る。第1の直列コイル102は、電流が(例えば、反時計回り方向105で)第1の直列コイル102に与えられると、磁束106を(例えば、z軸に沿った正の方向、つまり、
図5のページ又は紙面から「出る」方向に)生成し得る。第1の直列コイル102が第2の直列コイル108と直列で、第2の直列コイル108が、第1の接合部109及び第2の接合部111を介して第1の直列コイル102に連結されていてもよい。第2の直列コイル108は、第1の直列コイル102から第1の接合部109を介して電流を受信し、更に第2の接合部111を介して回路を完成してもよい。更に、第2の接合部111は、第1の接合部109に重なっていてもよい(例えば、z軸に関して第1の接合部109とは異なるx-y平面の上方又はその平面上に配置される)が、代替の実施形態では、第1の接合部109が第2の接合部111に重なっていてもよい。第2の接合部111は、接続部115Aを介して第1の直列コイル102に連結されていてもよい。すなわち、接続部115Aは、第1の直列コイル102が配置されたx-y平面と、第2の接合部111が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。同様に、第2の接合部111は、接続部115Bを介して第2の直列コイル108に連結されていてもよい。すなわち、第2の接続部115Bは、第2の直列コイル108が配置されたx-y平面と、第2の接合部111が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。
【0030】
第2の直列コイル108は、内径104とほぼ同一の内径を有してもよい。したがって、第2の直列コイル108の内径104は、第1の直列コイル102と同じインダクタンスLを画定し得る。第2の直列コイル108は、電流が(例えば、時計回り方向107で)第2の直列コイル108に与えられると、磁束106に対して大きさは等しいが、方向が反対の(例えば、z軸に沿った負の方向、つまり、
図5のページ又は紙面に「入る」方向の)磁束113を生成し得る。第1の直列コイル102の磁束106は、第2の直列コイル108の磁束113と大きさが等しく、方向が反対であり得る。このことにより、各コイルを通って進む電流によって生成される磁束106、113の磁束相殺がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、第1の直列コイル102及び第2の直列コイル108のz軸に沿った磁束106、113の方向は切り換えられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の直列コイル102及び第2の直列コイル108は、送信器52のVCO66の1つ以上の回路構成要素(例えば、抵抗器、コンデンサ、追加のインダクタ、トランジスタ、ダイオードなど)に連結されていてもよいが、追加又は代替の実施形態では、第1の直列コイル102及び第2の直列コイル108は、位相雑音を低減するために他のどのような適切な構成要素に連結されていてもよい。例えば、インダクタ100が直列に連結されているとき、第1の回路構成要素は、正極トレース110(例えば、正のピン又は端子)を介してインダクタ100に電流を提供又は出力してもよく、その電流が、負極トレース112(例えば、負のピン又は端子)を介して第2の回路構成要素に送信されてもよい。インダクタ100が並列に連結されている場合、第1の回路構成要素及び第2の構成要素は、単一の構成要素であってもよい。第1の直列コイル102は正極トレース110及び負極トレース112に直接(例えば、第1の直列コイル102と電子構成要素との間に一切の中間回路又は構成要素なしで)連結されていてもよく、一方で、第2の直列コイル108は正極トレース110及び負極トレース112に直接連結されていなくてもよい。すなわち、第1の直列コイル102の入力114は正極トレース110に連結されていてもよく、出力116は負極トレース112に連結されていてもよい。
【0032】
上述したように、VCO66及び/又はVCO84の相雑音を低減することが所望される。ヘルツ(Hz)当たりのキャリアに対する相対デシベル(dBc)で表した位相雑音は、dBc/Hzとして以下の式1を使用して決定し得る。
【数1】
【0033】
式1は、クーロン定数(K)、温度(T)、品質係数(Qt又はQ)、電力消費の値(PDC)、電流及び電圧の効率(それぞれαI及びαV)、トランジスタ(γ)の雑音係数、中心周波数(ω0)、オフセット周波数(Δω)を含み得る。これらの係数の多くは静的であるか、環境に依存するので、これらの係数のうち、品質係数(Q)及びPDCは、位相雑音を低減するために合理的に変更され得る。したがって、品質係数(Q)を増加させて、PDCを減少させると、全体的に位相雑音を低下させ得る。
【0034】
PDCを増加させると、インダクタ100のインダクタンスLが低減され得る。インダクタ100のインダクタンスは、インダクタ100の内径104と直接的に相関する。すなわち、内径104が小さくなるにつれて、インダクタンスが低減する。インダクタ100の直列トポロジーに起因して、インダクタ100の総インダクタンスは、第1の直列コイル102のインダクタンスと第2の直列コイル108のインダクタンスの合計となる。したがって、(例えば、一方又は両方のコイルの)内径104を縮小させると、インダクタ100の総インダクタンスを低下させて、PDCを増加させ、それにより、位相雑音を低減し得る。ところが、内径104が縮小するにつれて、インダクタ100の品質係数(Q)も減少する。これにより、全体的に位相雑音が高くなり得る。
【0035】
上記を念頭に置いて、
図6は、本開示の実施形態による、2つのコイルを8の字構成で並列に有するインダクタ120を示す。第1のコイル122は、内径124を有してもよい。第1のコイル122の内径124は、第1のコイル122のインダクタンスLを画定し得る。内径124は、5マイクロメートル~150マイクロメートル、30マイクロメートル~120マイクロメートル、50マイクロメートル~100マイクロメートル、60マイクロメートル~90マイクロメートル、及び/又は70マイクロメートル~85マイクロメートルなど、1マイクロメートルより大きくてもよい。例えば、内径124は、約100マイクロメートルであってもよい。正極トレース110によって電流が与えられると、電流は、第1のコイル122を通って(例えば、反時計回り方向123に)進み、(例えば、インダクタ120を二分している)回路経路又は共有分岐129を通って戻り、(例えば、z軸に沿った正の方向、つまり
図6の紙面又はページから「出る」方向の)磁束125を生成し得る。第1のコイル122は、共有分岐129に対して第2のコイル128の反対側に対称に配置されてもよい。
【0036】
第2のコイル128は、内径124とほぼ同一の内径を有してもよい。したがって、第2のコイル128の内径124は、第1のコイル122と同じインダクタンスLを提供し得る。電流が正極トレース110によって与えられると、電流はまた、第2のコイル128を通って(例えば、時計回り方向126に、かつ、第1のコイル122を通って進行する電流にほぼ同時又は同時に)進み、共有分岐129を通って戻り、電流が第1のコイル122に与えられたときの磁束125と同じ大きさを有するが反対方向の(例えば、z軸に沿った負の方向、つまり、
図6のページ又は紙面に「入る」方向の)磁束127を生成し得る。このことにより、各コイル122、128を通って進む電流によってそれぞれ生成される磁束125、127の磁束相殺がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、電流の方向、よって、第1のコイル122及び第2のコイル128のz軸に沿った磁束125、127の方向は交換されてもよい。代替の実施形態では、第2のコイル128は、内径124とは異なる内径を有してもよい。これによって、第2のコイル128は、電流が与えられたときに磁束127とは異なる大きさを有する磁束を生成することになるが、追加の回路又は構成要素によって、各コイル122、128の生成する磁束の差を補償する磁束を作り出してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1のコイル122及び第2のコイル128は、正極トレース110及び負極トレース112に直接的に(一切の中間回路又は構成要素なしで)連結されてもいてもよい。インダクタ120が直列に連結されているとき、正極トレース110は第1の回路構成要素に連結されていてもよく、負極トレース112は第2の回路構成要素に連結されていてもよい。特に、第1の回路構成要素は、電流を有する入力信号を正極トレース110を介してインダクタ120に提供してもよく、インダクタ120は、入力信号の位相雑音を低減して、負極トレース112において第2の回路構成要素への出力信号を生成してもよい。インダクタ120が並列に連結されている場合、第1の回路構成要素及び第2の構成要素は、単一の構成要素であってもよい。
【0038】
第1のコイル122及び第2のコイル128は、共有入力130において正極トレース110に連結されていてもよく、第1のコイル122及び第2のコイル128は、共有出力132において負極トレース112に更に連結されていてもよい。第1のコイル122及び第2のコイル128の共有入力130は、第1のコイル122及び第2のコイル128に連結する接続部138Aを含んでもよい。すなわち、接続部138Aは、第1のコイル122が配置されたx-y平面と、第2のコイル128が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。共有出力入力132は、第1のコイル122及び第2のコイル128に連結する接続部138Bを含んでもよい。すなわち、接続部138Bは、第1のコイル122が配置されたx-y平面と、第2のコイル128が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。すなわち、入力130及び出力132は、第1のコイル122と第2のコイル128の間で共有される。共有入力130から、電流が各コイル122、128に分岐又は分割されてもよい。電流は、共有分岐129を介して共有出力132で再合流して、負極トレース112に連結し得る。第2のコイル128は、共有分岐129を負極トレース112に結合する接合部136の下に(例えば、接合部136より大きいz値を有するx-y平面上に)配置された接合部134を介して、入力130から電流を受信してもよいが、いくつかの実施形態では、第2のコイル128は、接合部136の上方に(例えば、接合部136より大きいz値を有するx-y平面上に)配置されてもよい。接合部134は、接続部138Cを介して第2のコイル128に連結されていてもよい。すなわち、接続部138Cは、第2のコイル128が配置されたx-y平面と、接合部134が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。電流は正極トレース110からコイル122、128に入り、コイル122、128を通って進行し、共有分岐129及び負極トレース112からほぼ同時刻に(例えば、ほぼ同時に)コイル122、128から出るので、第1のコイル122は第2のコイル128に対して「並列」であると記述されてもよい。
【0039】
図示するように、第1のコイル122及び第2のコイル128のそれぞれの少なくとも一部分は、8角形の形状を含んでもよい。例えば、第1のコイル122及び第2のコイル128のそれぞれの8角形の形状の部分は、7つの辺の間に135°の角度を6つ有し、その7つの辺のうちの1つ(共有分岐129の部分)が第1の直線を形成しており、7つの辺のうち別の1つ(共有入力130に最も近いもの)は、第1の直線と(例えば、90°の角度で)交差している第2の直線を形成していてもよい。実際は、各コイル122、128は、合計7つの辺を有してもよい。
【0040】
2つのコイルが並列であるインダクタ120のトポロジーを更に説明するために、
図7A及び
図7Bは、本開示の実施形態による、
図6のインダクタ120を3次元的に示す。
図7Aは、インダクタ120の上面図である。図示するように、入力130への第1のコイル122の接続部131は、入力130への第2のコイル128の接合部134の上に配置された(例えば、接合部134より大きなz値を有する)第1のx-y平面上にルーティングされる。特に、入力130への第1のコイル122の接続部131は、共有分岐129を負極トレース112に結合する接合部136と同じ水準又はx-y平面上にあってもよい。追加又は代替の実施形態では、入力130への第2のコイル128の接合部134は、入力130への第1のコイル122の接続部131及び接合部136の下に(例えば、それらよりも小さいz値を有するx-y平面上に)配置されてもよい。更に、共有分岐129は、共有分岐129を負極トレース112に連結する接合部136と同じ水準又はx-y平面に沿って、かつ、第2のコイル128から入力130への接合部134より上(例えば、接合部134よりもz軸に沿って大きな正の値のところ)で、接合点144で各コイル122、128からの電流を出力132に合流させてもよい。したがって、第1のコイル122及び第2のコイル128は、入力130への第1のコイル122の接続部131と、共有分岐129を負極トレース112に結合する接合部136とが重なるように構成されていてもよい。更に、図示するように、共有分岐129は接合部136に重なっている。
【0041】
更に、インダクタ120の金属は、電流を伝達し、かつ、インダクタ120の高さを電子デバイス10内により良好に収まるように低減するのに適した、0.1マイクロメートル~10マイクロメートル、0.5マイクロメートル~5マイクロメートル、1マイクロメートル~4マイクロメートル、2.5マイクロメートル~3.8マイクロメートル、及び/又は3マイクロメートル~3.7マイクロメートルなど、0.1マイクロメートルより大きい厚さを有してもよい。更に、第2のコイル128の入力130の接続部131の金属は、電流を伝達し、かつ、インダクタ120の高さを電子デバイス10内により良好に収まるように低減するのに適した、0.01マイクロメートル~2.5マイクロメートル、0.1マイクロメートル~1.5マイクロメートル、0.25マイクロメートル~1マイクロメートル、及び/又は0.5マイクロメートル~0.8マイクロメートルなど、0.01マイクロメートルより大きい厚さを有してもよい。加えて、接合部134及び136に位置する第2のコイル128の入力部130の接続部の金属は、電流を伝達し、かつインダクタ120の高さを過剰にすることなく接合部134及び136を互いに重ねられるようにするために適した、0.01マイクロメートル~2.5マイクロメートル、0.1マイクロメートル~1.5マイクロメートル、0.25マイクロメートル~1マイクロメートル、及び/又は0.7マイクロメートル~0.9マイクロメートルなど、0.01マイクロメートルより大きい厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、インダクタ120の金属は、どのような適切な導電性材料に置き換えられていてもよい。
【0042】
図5で上述したように、インダクタ100の第1の直列コイル102と第2の直列コイル108とは、互いに直列である。これにより、インダクタ100の総インダクタンスLは両方のコイルのインダクタンスの合計となり得る。対照的に、
図6のインダクタ120のトポロジーでは、第1のコイル122と第2のコイル128とが互いに並列になるように、第1のコイル122及び第2のコイル128のそれぞれの入力及び出力が直接(例えば、介在する構成要素又は回路なしで)正極トレース110及び負極トレース112に連結することが可能で、その結果、インダクタ120のインダクタンスは、以下の式2を使用して決定され得る。
【数2】
【0043】
式2は、インダクタ120の総インダクタンス、第1のコイル122のインダクタンスL1、及び、第2のコイル128のインダクタンスL2を定義し得る。第1のコイル122のインダクタンス(L1)と第2のコイル128のインダクタンス(L2)とが等価であるとき、インダクタ120の層インダクタンスLTOTALは、コイルのうち1つのインダクタンスの約半分であり得る。
【0044】
インダクタ120の並列8の字構成により、2つのコイルを並列に使用しない、インダクタの他の構成例の欠点を回避し得る。例えば、2つのコイルの入力が第1の抵抗器を介して互いに連結されており、2つのコイルの出力が第2の抵抗器を介して互いに連結されている場合は、2つのコイルが互いに遠すぎて、それぞれのコイル内を進む電流によって生成される磁束の磁束相殺が十分に得られない。ただし、1つの高速コンデンサバンクに両方のコイルが連結されており、そこで各コイルの入力及び出力が互いに接続されていてもよい。
【0045】
別の構成例では、2つのコイルは互いに近接して位置しながらも、各コイルの入力及び出力が互いに反対方向に向いていてもよい。したがって、2つのコイルは共に連結されていなくてもよい。2つのコイルが近接していることにより、それぞれのコイル内を進む電流によって生成される磁束の磁束相殺が適切に得られる。ただし、各コイルは、互いに非同期的に、それぞれの高速コンデンサバンクから電力を受信してもよい。インダクタの適切な誘導及び性能のために、高速コンデンサバンクは互いに同期される必要があり得る。比較すると、インダクタ120の並列8の字構成は、そのトポロジーによって、これらの構成例に固有の欠点を回避する。
【0046】
上記を念頭に置いて、
図8は、本開示の実施形態による、
図5のインダクタ100のインダクタンス152及び154、並びに
図6のインダクタ120のインダクタンス156及び158を示すプロット150である。プロット150に示すように、x軸は周波数(GHz)を表し、y軸はインダクタンスをヘンリー(H)で表す。インダクタンス152は125℃(摂氏)でのインダクタ100の総インダクタンスに対応し、インダクタンス154は55℃でのインダクタ100の総インダクタンスに対応し、インダクタンス156は125℃でのインダクタ120の総インダクタンスに対応し、インダクタンス158は125℃でのインダクタ120の総インダクタンスに対応する。図示するように、インダクタンス152、154、156、158は一般に、対応する周波数が増加するにつれて増加する。特に、ある特定の周波数151において、インダクタ100及びインダクタ120のインダクタンスは同程度であり得る。一例では、その特定の周波数151が約25.00GHzにほぼ等しいとき、インダクタンス152及び154はそれぞれ、106.9128ピコヘンリー(pH)及び106.3418pHであり得、インダクタンス156及び158は、それぞれ102.9843pH及び102.5915pHであり得る。
【0047】
図9は、本開示の実施形態による、
図5のインダクタ100の品質係数162及び164、並びに
図6の120のインダクタの品質係数166及び168を示すプロット160である。プロット160に示すように、x軸は周波数(GHz)を表し、y軸は品質係数(Q)を表す。プロット160には、125℃でのインダクタ100の品質係数162、55℃でのインダクタ100の品質係数164、125℃でのインダクタ120の品質係数166、及び55℃でのインダクタ120の品質係数168が更に示され、それぞれが、温度変動および品質係数に影響を及ぼす感度を示す。
【0048】
ある特定の周波数161では、インダクタ120の品質係数166及び168は、インダクタ100の品質係数162及び164よりも大きい。一例では、その特定の周波数161が25.00GHzにほぼ等しいとき、インダクタ120の品質係数166及び168はそれぞれ27.2649及び23.9551であり、インダクタ100の品質係数162及び164はそれぞれ20.0021及び17.5877である。戻って
図7を参照すると、インダクタ100及びインダクタ120の両方は、25.00GHzで同程度のインダクタンスを有する。よって、インダクタ120の並列コイル構成では、インダクタ100の直列コイル構成と比較すると、同程度のインダクタンスを達成しながら、より高い全体的な品質係数が得られ、その結果、(例えば、上記の等式1からも明らかなように)より大きな位相雑音の低減が達成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、並列コイル構成の代替構成が送受信器30内に実装されてもよい。例えば、
図10は、本開示の実施形態による、並列インダクタ170の代替構成を示す図である。インダクタ170の第1のコイル172は、内径174を有してもよい。第1のコイル172の内径174は、第1のコイル172のインダクタンスLを画定し得る。電流が正極トレース110から第1のコイル172に(例えば、反時計回り方向173に)与えられると、第1のコイル172は、(例えば、z軸に沿った正の方向、つまり
図10の紙面又はページから「出る」方向の)磁束175を生成し得る。次いで、電流は、共有分岐179を通って負極トレース112に戻り得る。第1のコイル172は、共有分岐179に対して第2のコイル178の反対側に対称的に配置されてもよい。
【0050】
第2のコイル178は、内径174とほぼ同一の内径を有してもよい。したがって、第2のコイル178の内径174は、第1のコイル172と同じインダクタンスLを画定し得る。電流が正極トレース110から第2のコイル178に(例えば、時計回り方向176)与えられると、第2のコイル178は、(例えば、z軸に沿った負の方向、つまり、
図10のページ又は紙面に「入る」方向の)磁束177を生成し得る。次いで、電流は、共有分岐179を通って戻り得る。第1のコイル172の磁束175は、第2のコイル178の磁束177と大きさが等しく、方向が反対であり得る。これにより、各コイルによって生成された磁束175、177の磁束相殺が生じ得る。いくつかの実施形態では、第1のコイル172及び第2のコイル178のz軸にそれぞれ沿った磁束175、177の方向は交換されてもよい。代替の実施形態では、第2のコイル178は、内径174とは異なる内径を有してもよい。このことによって、第2のコイル178が磁束175とは異なる磁束を生成し得るが、追加の回路又は構成要素によって、各コイルの生成する磁束の差を補償してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1のコイル172及び第2のコイル178は、正極トレース110及び負極トレース112に直接的に(一切の中間回路又は構成要素なしで)連結されていてもよい。インダクタ170が直列に連結されているとき、正極トレース110は第1の回路構成要素に連結されていてもよく、負極トレース112は第2の回路構成要素に連結されてもよい。特に、第1の回路構成要素は、電流を有する入力信号を正極トレース110を介してインダクタ170に提供してもよく、インダクタ170は、入力信号の位相雑音を低減して、負極トレース112において第2の回路構成要素への出力信号を生成してもよい。インダクタ170が並列に連結されている場合、第1の回路構成要素及び第2の構成要素は、単一の構成要素であってもよい。
【0052】
図10に示すように、第1のコイル172の第1の入力分岐180A及び第2のコイル178の第2の入力分岐180Bは各々、正極トレース110に別々に連結されている。すなわち、各コイル172、178は、正極トレース110への直接的で独立した接続部を有する(例えば、介在するか中間的な回路又は構成要素なしで)。これは、
図6の、共有入力130を使用して第1のコイル122及び第2のコイル128を正極トレース110に連結するインダクタ120の構成とは対照的である。各コイル172、178の入力分岐180A、180Bは、共有分岐179と同一の広がりを有するか、整列するか、又は、平行であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、正極トレース110は、入力分岐180A及び180Bの下に(例えば、それらの分岐より小さいz値を有するx-y平面の下又はその平面上に)配置されてもよい。正極トレース110は、それぞれ接続部186A及び接続部186Bを介して入力分岐180A及び180Bに連結されていてもよい。すなわち、接続部186Aは、入力分岐180Aが配置されたx-y平面と、正極トレース110が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。同様に、接続部186Bは、入力分岐180Bが配置されたx-y平面と、正極トレース110が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。
【0054】
各コイル172、178が正極トレース110への直接的で独立した接続部(例えば、入力分岐180A、180B)を有することの結果として、正極トレース110から受信された交流(AC)電圧波の形を有する入力信号が2つのAC電圧波に分割され、その各々がそれぞれの入力分岐180A、180Bを進行し得る。このようにして入力信号を分割すると、例えば、現実的不完全性(例えば、製造の欠陥により、入力分岐180A、180Bが正確に同一の寸法、材料組成、環境条件などをもたないなど)に起因して、入力分岐180A、180Bを横断する分割された2つのAC電圧波の位相が互いにずれることがある。これにより、インダクタ170の出力に連結された回路に、信号変調の問題、信号対雑音比の最大化の問題、又は信号処理に関する他の難題が生じる。この位相のずれを低減又は排除するために、各コイル172、178の入力分岐180A、180Bの各々を共にカプラー184で連結して、各入力分岐180A、180Bの信号(例えば、AC電圧波形)が互いに確実に同相であるようにしてもよい。図示するように、カプラー184は、共有分岐179に直交又は交差していてもよい。すなわち、カプラー184の横軸が、共有分岐179の横軸に直交又は交差していてもよい。カプラー184は、入力180に対する第1のコイル172の接続部181の下に(例えば、接続部181より小さいz値を有するx-y平面の下又はその平面上に)配置されてもよい。カプラー184は、接続部186Cを介して第1のコイル172に接続されてもよい。すなわち、接続部186Cは、カプラー184が配置されたx-y平面と、第1のコイル172が配置されたx-y平面との間に配置されてもよい。同様に、カプラー184は、入力180への第2のコイル178の接続部185の下に(例えば、接続部185より小さいz値を有するx-y平面の下又はその平面上に)配置されてもよい。カプラー184は、接続部186Dを介して第2のコイル178に接続されてもよい。すなわち、接続部186Dは、カプラー184が配置されたx-y平面と、第2のコイル178が配置されたx-y平面との間に配置されてもよい。
【0055】
加えて、第1のコイル172及び第2のコイル178は、共有出力182において負極トレース112に連結されていてもよい。すなわち、出力182は、第1のコイル172と第2のコイル178の間で共有される。いくつかの実施形態では、負極トレース112は、共有出力182の下に(例えば、共有出力182より小さいz値を有するx-y平面の下又はその平面上に)配置されてもよい。負極トレース112は、接続部186Eを介して共有出力182に連結されていてもよい。すなわち、接続部186Eは、共有出力182が配置されたx-y平面と、負極トレース112が配置されたx-y平面との間に配置されてもよいし、かつ/又はそれらの平面を含んでもよい。
【0056】
第1のコイル172及び第2のコイル178の入力180から、電流は、第1のコイル172及び第2のコイル178を通って進み得る。いくつかの実施形態で前述したように、電流は、第1のコイル172又は第2のコイル178のどちらかの1つの入力180のみから、カプラー184を通って反対のコイルに進み得る。いずれの場合も、電流は、共有分岐179を介して共有出力182で再合流して、負極トレース112に移動し得る。電流は、正極トレース110からコイル172、178に入り、コイル172、178を通って進行し、共有分岐179及び負極トレース112を介して共有出力182を通って、ほぼ同時刻に(例えば、ほぼ同時に)コイル172、178から出るので、第1のコイル172は第2のコイル178に対して「並列」であると記述されてもよい。
【0057】
図示するように、第1のコイル172及び第2のコイル178のそれぞれの、少なくとも一部分は、8角形の形状を含んでもよい。例えば、第1のコイル172及び第2のコイル178のそれぞれの8角形の形状の部分は、7つの辺の間に135°の角度を6つ有し、その7つの辺のうちの1つ(共有分岐179の部分)が第1の直線を形成しており、7つの辺のうち別の1つ(入力分岐180A、180Bに最も近いもの)は第1の直線と(例えば、90°の角度で)交差している第2の直線を形成していてもよい。実際は、各コイル172、178は、合計7つの辺を有してもよい。
【0058】
2つのコイルが並列であるインダクタ170の構成を更に説明するために、
図11A及び
図11Bは、本開示の実施形態による、
図10のインダクタ170を3次元的に示す。
図11Aはインダクタ170の上面図を示し、
図11Aはインダクタ170の底面図を示す。入力180への第1のコイル172の接続部181は、カプラー184に重なっている(例えば、カプラー184より大きいz値を有するx-y平面の上方又はその平面上にある)。特に、入力130への第1のコイル122の接続部181は、第1のコイル172と第2のコイル178とが収束する、入力180及び共有分岐179への第2のコイル178の接続部185と同じ水準又はx-y平面上にあってもよい。カプラー184は、各コイル172、178の入力180を連結し、正極トレース110から入力180に電流を提供してもよい。したがって、第1のコイル172及び第2のコイル178は、第1のコイル172の入力180への接続部181、第2のコイル178の入力180への接続部185、及び共有分岐179がそれぞれカプラー184に重なるように構成されていてもよい。
【0059】
更に、インダクタ170の金属は、電流を伝達し、かつ、インダクタ170の高さを電子デバイス10内により良好に収まるように低減するのに適した、0.1マイクロメートル~10マイクロメートル、0.5マイクロメートル~5マイクロメートル、1マイクロメートル~4マイクロメートル、2.5マイクロメートル~3.8マイクロメートル、及び/又は3マイクロメートル~3.7マイクロメートルなど、0.1マイクロメートルより大きい厚さを有してもよい。カプラー184の金属は、0.01マイクロメートル~2.5マイクロメートル、0.1マイクロメートル~1.5マイクロメートル、0.25マイクロメートル~1マイクロメートル、及び/又は0.5マイクロメートル~0.8マイクロメートルなど、0.01マイクロメートルより大きい厚さを有してもよい。インダクタ170の金属は、どのような適切な導電性材料を含んでもよいし、又はそれに置き換えられていてもよい。
【0060】
上述の具体的な実施形態は、例として示されたものであり、これらの実施形態は、様々な修正形態及び代替形態の影響を受けやすいものであり得ることを理解するべきである。更に、特許請求の範囲が、開示された特定の形態に限定されず、むしろこの開示の趣旨と意図の範囲にある全ての修正物、均等物、及び代替物を対象として含むことを理解されたい。
【0061】
本明細書で提示され特許請求された技術は、本技術分野を明らかに向上する実用的な性質の有形物及び具体例を参照して適用され、そのゆえに、抽象的な、実体のない、又は単なる理論上のものではない。更に、本明細書の最後に添付された特許請求の範囲のいずれかが、「~[機能]を[実行]する手段」又は「~[機能]を[実行]するステップ」として示された1つ以上の要素を含む場合、そのような要素が、米国特許法第112条(f)に従って解釈されることになることを意図している。しかし、任意の他の方法で示された要素を含む特許請求の範囲のいずれかに関して、そのような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されることにならないことを意図している。
【0062】
個人特定可能な情報の使用は、ユーザのプライバシーを維持するための業界又は政府の要件を満たす又は超えるとして一般に認識されているプライバシーポリシー及びプラクティスに従うべきであることに十分に理解されたい。特に、個人特定可能な情報データは、意図されていない、又は許可されていない、アクセス又は使用のリスクを最小限に抑えるように管理され、かつ取り扱われるべきであり、許可された使用の性質は、ユーザに明確に示されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有分岐と、
前記共有分岐に連結された第1のコイルであって、第1の入力分岐から前記共有分岐へ、第1の回転方向に、電流の第1の部分を方向付けるように構成された第1のコイルと、
前記共有分岐に連結された第2のコイルであって、第2の入力分岐から前記共有分岐へ、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に、前記電流の第2の部分を方向付けるように構成された第2のコイルと、
前記第1の入力分岐を前記第2の入力分岐に連結するカプラーと、を備えるインダクタ。
【請求項2】
前記第1の入力分岐に連結され、前記電流の前記第1の部分を受けるように構成された第1の端子と、
前記第1の入力分岐に連結され、前記電流の前記第2の部分を受けるように構成された第2の端子と、を備え、
前記共有分岐は、前記電流の前記第1の部分、及び前記電流の前記第2の部分に基づいて、出力電流を生成するようい構成されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記第1の入力分岐及び前記第2の入力分岐は、両方とも、前記電流を供給するように構成された回路に連結されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記共有分岐は、回路に連結されており、
前記共有分岐は、前記電流の前記第1の部分及び前記電流の前記第2の部分を混合し、混合された前記電流を前記回路に供給するように構成されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記第1の回転方向は、反時計回り方向であり、
前記第2の回転方向は、時計回り方向である、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、同じ直径を有する、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記第1の入力分岐及び前記第2の入力分岐は、前記共有分岐と同一の広がりを有し、
前記共有分岐は、前記カプラーに重なっている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記第1のコイル、前記第2のコイル、及び前記共有分岐は、第1の平面上に配置されており、
前記カプラーは、第2の平面上に配置されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記カプラーは、前記電流の前記第1の部分及び前記電流の前記第2の部分によって生成された位相雑音を低減するように構成されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項10】
1つ以上のアンテナと、
前記1つ以上のアンテナに連結された送受信器と、を備え、
前記送受信器は、第2のコイルに並列に連結された第1のコイルを有するインダクタを備える、電子デバイス。
【請求項11】
前記第1のコイルは、第1のインダクタンスを有し、
前記第2のコイルは、第2のインダクタンスを有し、
前記第1のインダクタンスは、前記第2のインダクタンスと等しい、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記インダクタは、前記第1のインダクタンス又は前記第2のインダクタンスの半分に等しい総合インダクタンスを有する、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記第1のコイル及び前記第2のコイルに電流が印加されたとき、前記第1のコイルは、第1の磁場を生成するように構成され、前記第2のコイルは、第2の磁場を生成するように構成されており、
前記第1の磁場は、前記第2の磁場とは反対方向である、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記第1のコイルは、第1の直径を有し、
前記第2のコイルは、前記第1の直径と等しい第2の直径直径を有する、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、それぞれ、7つの辺を有する、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記7つの辺の1つは、共有分岐を備え、
前記共有分岐は、前記第1のコイル及び前記第2のコイルと接合している、請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
第1のコイルと、
第2のコイルと、
前記第1のコイル及び前記第2のコイルに連結された共有回路経路と、を備える電圧制御発振器であって、
前記第1のコイルは、第1の直径を有し、前記第2のコイルは、前記第1の直径と等しい第2の直径を有する、 電圧制御発振器。
【請求項18】
前記第1の直径及び前記第2の直径は、それぞれ、40μm以上である、請求項17に記載の電圧制御発振器。
【請求項19】
前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、第1の回路構成要素から第1の信号を受けるように構成され、
前記共有回路経路は、前記第1の信号より少ない位相雑音を有する第2の信号を生成するように構成されている、請求項17に記載の電圧制御発振器。
【請求項20】
前記共有回路経路は、前記第2の信号を第2の回路構成要素へ出力するように構成されている、請求項19に記載の電圧制御発振器。
【外国語明細書】