(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020198
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20240206BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K5/5419
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174973
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2021553040の分割
【原出願日】2019-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ・シャイム
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・プラッセ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シェーレー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造が容易であり、非常に高い保存安定性を有する架橋性組成物、その製造方法及び使用を提供する。
【解決手段】(A)以下の式のオルガノポリシロキサン(R
7O)
3-aSiR
3
aO(SiR
4
2O)
nSiR
3
a(OR
7)
3-a、及び(B)式(II)のシロキサンを含む有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物。
(A) 以下の式のオルガノポリシロキサン
- (R
7O)
3-aSiR
3
aO(SiR
4
2O)
nSiR
3
a(OR
7)
3-a (I)、
(式中、
R
4は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R
7は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R
3は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
aは、同一でも異なっていてもよく、0又は1であり、
nは30~2000の整数である)、及び
(B) 式(II)のシロキサン
【化1】
(式中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R
1は、同一でも異なっていてもよく、2~16個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、-CH
2-NR
6R
5基又は-CH
2NR
11基(ここで、R
5は1~12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R
6は水素原子又は基R
5であり、R
11はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい二価の炭化水素基である)であり、
R
2は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
xは、同一でも異なっていてもよく、0又は1~9の整数であり、
zは1又は2であり、
ただし、式(II)の全てのxの和は0より大きいものとする。)
【請求項2】
基R1が、2~16個の炭化水素原子を有する脂肪族炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R3が、-CH2-NR6’R5’基又は-CH2NR11’基(ここで、R5’は1~12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R6’は水素原子又は基R5’であり、R11’はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい二価の炭化水素基である)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、成分(A)100重量部に基づいて、1~20重量部の量の成分(B)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、以下の式のシランからなる成分(C)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
(R8O)4-bSiR9
b (III)
及び/又はその部分加水分解物
(式中、
bは0、1又は2であり、
R8は、同じでも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R9は一価の置換されていてもよい炭化水素基である。)
【請求項6】
以下を含む組成物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
(A)式(I)のオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)のシロキサン、
任意に(C)式(III)のシラン及び/又はその部分加水分解物、
任意に(D)硬化促進剤、
任意に(E)可塑剤、
任意に(F)充填剤、及び
任意に(G)添加剤。
【請求項7】
以下を含み、(E)可塑剤を含まない組成物であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
(A)式(I)のオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)のシロキサン、
(C)式(III)のシラン及び/又はその部分加水分解物、
(D)硬化促進剤、
(F)充填剤及び
任意に(G)添加剤。
【請求項8】
個々の構成成分を混合することにより、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物又は請求項8に記載のように製造された組成物を架橋することにより製造された成形品。
【請求項10】
100%の伸びにおいて好ましくは0.4MPa未満の応力を有することを特徴とする、請求項9に記載の成形品。
【請求項11】
式(II)のシロキサン。
ここで、
Rは、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R1は、-CH2-NR6R5基又は-CH2NR11基(ここで、R5は1~12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R6は水素原子又は基R5であり、R11はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい二価の炭化水素基である)であり、
R2は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
xは、同一でも異なっていてもよく、0又は1~9の整数であり、
zは1又は2であり、
ただし、式(II)の全てのxの和は0より大きいものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物、その製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水を排除していれば貯蔵することができ、水に暴露すると室温で硬化してアルコールを放出し、エラストマーを与える一成分シーラント組成物は既に知られている。これらの製品は、例えば、建設業で大量に使用されている。これらの混合物は、OH基のような反応性置換基又はアルコキシ基のような加水分解可能な基を有するシリル基を末端に持つポリマーをベースとしている。これらのシーラントはまた、充填剤、可塑剤、架橋剤、触媒及び種々の添加剤を含むことができる。シーラントとして使用できるようにするためには、硬化した成形品は低い弾性率を持たなければならない。例えば、DE-A1 102004014216号には、メチルトリメトキシシラン又はメチルトリエトキシシランから製造されたオリゴマーシロキサンが記載されている。しかし、それから製造される混合物の弾性率を低下させるという点での効率は低いことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004014216号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、以下を含む有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物に関する。
【0005】
(A) 以下の式のオルガノポリシロキサン、
- (R7O)3-aSiR3
aO(SiR4
2O)nSiR3
a(OR7)3-a (I)、
(式中、
R4は同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R7は同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R3は同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
aは同一でも異なっていてもよく、0又は1、好ましくは1であり、
nは30~2000の整数である)、及び
(B) 式(II)のシロキサン
【0006】
【化1】
(式中、
Rは、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
R
1は、同一でも異なっていてもよく、2~16個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、-CH
2-NR
6R
5基又は-CH
2NR
11基(ここで、R
5は1~12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R
6は水素原子又は基R
5であり、R
11はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい二価の炭化水素基である)であり、
R
2は、同一でも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であり、
xは、同一でも異なっていてもよく、0又は1~9の整数であり、
zは1又は2であり、
ただし、式(II)の全てのxの和は0より大きいものとする。)
【発明を実施するための形態】
【0007】
基R及びR4の例は、それぞれ独立にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオ-ペンチル、及びtert-ペンチル基などのアルキル基;n-ヘキシル基などのヘキシル基;n-ヘプチル基などのヘプチル基;n-オクチル基及び2,2,4-トリメチルペンチル基などのイソ-オクチル基などのオクチル基;n-ノニル基などのノニル基;n-デシル基などのデシル基;n-ドデシル基などのドデシル基;n-オクタデシル基などのオクタデシル基;シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル、1-プロペニル及び2-プロペニル基などのアルケニル基;フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基などのアリール基;o-、m-、p-トリル基などのアルカリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;ベンジル基又はα-及びβ-フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0008】
基R及びR4は、それぞれ独立して、好ましくは1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、特に好ましくはメチル、ビニル又はフェニル基であり、特にメチル基である。
【0009】
基R1の例は、Rに特定された2~16個の炭素原子を有する炭化水素基、-CH2-NHCH3、-CH2NHCH2CH3、-CH2NH(CH2)2CH3、-CH2NH(CH2)3CH3、-CH2NH-シクロC6H11、-CH2-N(CH3)2、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2N((CH2)2CH3)2、-CH2N((CH2)3CH3)2、-CH2-N[CH2-CH2]2O、-CH2-N[CH2-CH2]2NH及び-CH2-N[CH2-CH2]2CH2である。
【0010】
基R1は、好ましくは、直鎖、分枝又は環状であることができる2~16個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、特に好ましくは2~8個の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環状の脂肪族飽和炭化水素基、特に2,2,4-トリメチルペンチル基である。
【0011】
基R2及びR7の例は、それぞれ独立にRに特定された一価の基である。
【0012】
基R2及びR7は、それぞれ独立に好ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキル基であり、特に好ましくはメチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピル基であり、特にメチル基又はエチル基である。
【0013】
基R3の例は、Rに特定された一価の炭化水素基及びアミノ基で置換された炭化水素基である。
【0014】
基R3は、好ましくはアミノ基で置換されていてもよい1~12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、特に好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基、-CH2-NR6’R5’基又は-CH2NR11’基であり、ここで、R5’は1~12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R6’は水素原子又は基R5’であり、R11’はヘテロ原子により割り込まれていてもよい二価の炭化水素基である。
【0015】
基R3は、特に好ましくは、-CH2-NR6’R5’基又は-CH2NR11’基であり、ここで、R5’、R6’及びR11’は、上で特定された定義を有し、特に-CH2-N[(CH2)2]2O、-CH2-N(Bu)2又はCH2-NH(cHex)であり、ここで、Buはn-ブチル基であり、cHexはシクロヘキシル基である。
【0016】
基R5及びR5’の例は、それぞれ独立にRに特定された炭化水素基である。
【0017】
基R5及びR5’は、それぞれ独立して、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、シクロヘキシル又はフェニル基であり、特に好ましくはn-ブチル基である。
【0018】
炭化水素基R6及びR6’の例は、それぞれ独立して、Rに特定された炭化水素基である。
【0019】
基R6及びR6’は、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、メチル、エチル、イソプロピル基、n-プロピル基、n-ブチル又はシクロヘキシル基であり、特に好ましくはn-ブチル基である。
【0020】
二価の基R11及びR11’の例は、それぞれ独立して、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ペンタン-1,4-ジイル、2-メチルブタン-1,4-ジイル、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル、ヘキサン-1,6-ジイル、ヘプタン-1,7-ジイル、オクタン-1,8-ジイル及び2-メチルヘプタン-1,7-ジイル及び2,2,4-トリメチルペンタン-1,5-ジイル基などのアルキレン基、プロペン基-1,3-ジイル基などのアルケニレン基、並びに基-CH2-CH2-O-CH2-CH2-及びCH2-CH2-NH-CH2-CH2-である。
【0021】
基R11及びR11’は、それぞれ独立して、好ましくは4~6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、これはヘテロ原子、好ましくは酸素-O-又は窒素-NH-によって割り込まれていてもよく、特に好ましくは-CH2-CH2-O-CH2-CH2-である。
【0022】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、好ましくは、
(MeO)2Si(Ox)O(SiMe2O)30-2000Si(Ox)(OMe)2、
(MeO)2Si(DBA)O(SiMe2O)30-2000Si(DBA)(OMe)2、
(MeO)2Si(cHx)O(SiMe2O)30-2000Si(cHx)(OMe)2、
(MeO)2Si(R3)O(SiMe2O)700Si(R3)(OMe)2、
(EtO)2Si(Ox)O(SiMe2O)30-2000Si(Ox)(OEt)2、
(EtO)2Si(DBA)O(SiMe2O)30-2000Si(DBA)(OEt)2、
(EtO)2Si(cHx)O(SiMe2O)30-2000Si(cHx)(OEt)2又は
(EtO)2Si(R3)O(SiMe2O)700Si(R3)(OEt)2であり、
特に好ましくは、
(EtO)2Si(Ox)O(SiMe2O)30-2000Si(Ox)(OEt)2、
(EtO)2Si(DBA)O(SiMe2O)30-2000Si(DBA)(OEt)2又は
(EtO)2Si(cHx)O(SiMe2O)30-2000Si(cHx)(OEt)2であり、
特に(EtO)2Si(Ox)O(SiMe2O)30-2000Si(Ox)(OEt)2であり、
ここで、Meはメチル基であり、Etはエチル基であり、Oxは-CH2-N[(CH2)2]2Oであり、DBAは-CH2-N(nBu)2であり、cHxは-CH2-NH(cHex)、Buはn-ブチル基であり、及びcHexはシクロヘキシル基であり、R3は、Me、Et、ビニル基、フェニル基、DBA、Ox又はcHxであり、基R3は個々の化合物内で同一の定義を持つ。
【0023】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、いずれの場合も25℃において、好ましくは6000~350000mPas、特に好ましくは20000~120000mPasの粘度を有する。
【0024】
オルガノポリシロキサン(A)は市販生成物であるか、ケイ素化学において一般的な方法によって製造することができる。
【0025】
本発明に従って使用されるシロキサン(B)は、好ましくは、式中、
RはMeであり、R2はMe又はEtであり、xの和は1~9であり、zは1又は2であり、及びR1は同一でも異なっていてもよく、2~16個の炭素原子を有する一価の水炭素基である式(II)のものであり、
特に好ましくは、式中、RはMeであり、R2はMeであり、xの和は1~9であり、zは1又は2であり、及びR1は2~16個の炭素原子を有する一価の水炭素基である式(II)のものであり、
特には、式中、RはMeであり、R2はMeであり、xの和は1~9であり、zは1又は2であり、及びR1は2,2,4-トリメチルペンチル基である式(II)のものであり、ここで、Meはメチル基であり、Etはエチル基である。
【0026】
式(II)の化合物の例は、
EtO(SiMe2O)3SiR1(OEt)2、
(EtO(SiMe2O)3)2SiR1(OEt)、
MeO(SiMe2O)3SiR1(OMe)2、
(MeO(SiMe2O)3)2SiR1OMe)、
EtO(SiMe2O)3SiR1(OEt)O(SiMe2O)3SiR1(OEt)2、
MeO(SiMe2O)3SiR1(OMe)O(SiMe2O)3SiR1(OMe)2、
EtO(SiMe2O)xSi(iOct)(OEt)2、
(EtO(SiMe2O)x)2Si(iOct)(OEt)、
MeO(SiMe2O)xSi(iOct)(OMe)2、
(MeO(SiMe2O)x)2Si(iOct)(OMe)、
EtO(SiMe2O)xSi(iOct)(OEt)O(SiMe2O)3Si(IOct)(OEt)2又は
MeO(SiMe2O)xSi(iOct)(OMe)O(SiMe2O)3Si(IOct)(OMe)2であり、
ここで、Meはメチル基であり、Etはエチル基であり、iOctは2,2,4-トリメチルペンチル基であり、x=1~9、及びR1は2~8個の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環状の脂肪族炭化水素基であり、ここで、基R1は個々の化合物内で同一の定義を有する。
【0027】
特に、本発明に従って使用されるシロキサン(B)は
MeO(SiMe2O)xSi(iOct)(OMe)2、
(MeO(SiMe2O)x)2Si(iOct)(OMe)又は
MeO(SiMe2O)xSi(iOct)(OMe)O(SiMe2O)3Si(iOct)(OMe)2であり、
ここで、Meはメチル基であり、iOctは2,2,4-トリメチルペンチル基であり、x=1~9である。
【0028】
本発明に従って使用されるシロキサン(B)は、25℃で好ましくは5~15mPasの粘度を有する。
【0029】
シロキサン(B)は好ましくは以下の平均組成を有する。
【0030】
[R1(OMe)2O1/2]a[R1Si(OMe)O2/2]b[R1SiO3/2]c[Me2SiO2/2]d[Me2Si(OMe)O1/2]e(ここで、a=0.05~0.15、b=0.10~0.20、c=0.00~0.10、d=0.40~0.65及びe=0.10~0.30、ここで、a+b+c<d+e及びa+b+c+d+e=1であり、ここで、Meはメチル基であり、R1は上で特定した定義を持つ。)
【0031】
シロキサン(B)は、例えば、塩基性触媒下でポリジメチルシロキサンをトリアルコキシシランと平衡化することなどによる、ケイ素化学において一般的な方法によって製造することができる。
【0032】
本発明による組成物は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは1~20重量部、特に好ましくは1~10重量部、特に2~6重量部の量の成分(B)を含む。
【0033】
本発明はさらに、Rは同じでも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であることができ、
R1は-CH2-NR6R5基又は-CH2NR11基であって、R5は1~12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R6は水素原子又は基R5であり、R11はヘテロ原子によって割り込まれていてもよい二価の炭化水素基であり、
R2は、同じでも異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基であることができ、
xは、同じでも異なっていてもよく、0又は1~9の整数であり、
zは1又は2であり、
ただし、式(II)の全てのxの和が0より大きい式(II)のシロキサンに関する。
【0034】
シロキサン(A)及び(B)に加えて、本発明による組成物は、以下の式のシラン及び/又はその部分加水分解物からなる成分(C)を含むことができる。
【0035】
(R8O)4-bSiR9
b (III)
式中、
bは0、1又は2、好ましくは0又は1であり、
R8は同じでも異なっていてもよく、一価の、任意に置換されていてもよい炭化水素基であり、
R9は一価の、任意に置換されていてもよい炭化水素基である。
【0036】
基R8は好ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピル基、特にメチル又はエチル基である。
【0037】
基R9は、好ましくは、グリシドキシ、ウレイド、メタクリロキシ又はアミノ基によって任意に置換されていてもよい、1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、特に好ましくはアルキル基、ビニル又はフェニル基、特にメチル基又は2,2,4-トリメチルペンチル基である。
【0038】
好ましい実施形態において、使用される成分(C)は、特に接着促進特性が望まれる場合に、全体又は一部に、官能基を有するシラン及び/又はその部分加水分解物であり、例えば、グリシドキシプロピル、アミノプロピル、アミノエチルアミノプロピル、ウレイドプロピル又はメタクリロキシプロピル基を有するものなどである。
【0039】
任意に用いられる部分加水分解物(C)は、部分ホモ加水分解物、すなわち、式(III)の1種類のシランの部分加水分解物、及び部分共加水分解物、すなわち、式(III)の少なくとも2つの異なる種類のシランの部分加水分解物であることができる。
【0040】
本発明との関連で、「部分加水分解物」という用語は、加水分解及び/又は縮合によって形成される生成物を意味するものと理解される。
【0041】
本発明の組成物に使用される成分(C)が式(III)のシランの部分加水分解物である場合、20個までのケイ素原子を有するものが好ましい。
【0042】
本発明に従って任意に使用される成分(C)の例は、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、2,2,4-トリメチルペンチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、2,2,4-トリメチルペンチルトリエトキシシラン、(2,3,5,6-テトラヒドロ-1,4-オキサジン-4-イル)メチルトリエトキシシラン、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシアミノメチルトリエトキシシラン、(2,3,5,6-テトラヒドロ-1,4-オキサジン-4-イル)メチルトリメトキシシラン、N,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシアミノメチルトリメトキシシランであり、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、2,2,4-トリメチルペンチルトリメトキシシラン、(2,3,5,6-テトラヒドロ-1,4-オキサジン-4-イル)メチルトリエトキシシランが好ましい。
【0043】
成分(C)は市販の生成物であるか、ケイ素化学において一般的な方法で製造することができる。
【0044】
本発明による組成物が成分(C)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.01~5重量部、特に好ましくは0.01~2重量部、特に0.05~2重量部である。本発明による組成物は、好ましくは成分(C)を含み、これらは好ましくは少なくとも部分的に官能基を有するシラン及び/又はその部分加水分解物を含む。
【0045】
成分(A)、(B)及び任意に(C)に加えて、本発明による組成物は、硬化促進剤(D)、可塑剤(E)、充填剤(F)及び添加剤(G)のように、縮合反応により架橋可能な組成物にこれまで使用されてきた全ての物質を含むことができる。
【0046】
使用される硬化促進剤(D)は、これまで縮合反応により架橋可能な組成物に使用されてきた全ての硬化促進剤であることができる。硬化促進剤(D)の例は、テトラブチルチタネート若しくはテトライソプロピルチタネート、又はビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタンなどのチタンキレートのようなチタン化合物、又はジ-n-ブチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズオキシド、ジメチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズオキシド、ジ-n-オクチルスズジアセテート、ジ-n-オクチルスズジジラウレート、ジ-n-オクチルスズオキシド及びこれらの化合物とアルコキシシランとの反応生成物、例えば、ジ-n-オクチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応生成物であり、ジ-n-オクチルスズジアセテート、ジ-n-オクチルスズジラウレート、ジオクチルスズオキシド、ジ-n-オクチルスズオキシドとテトラエトキシシランとの反応生成物、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート又はビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタンが好ましい。
【0047】
本発明の組成物が硬化促進剤(D)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.001~20重量部、特に好ましくは0.001~1重量部である。
【0048】
任意に使用される可塑剤(E)の例は、室温で液体であり、トリメチルシロキシ基によって末端ブロックされており、特に25℃で5~1000mPasの間の範囲の粘度を有するジメチルポリシロキサン、及びナフテン単位及びパラフィン単位からなるパラフィン油又は鉱油などの高沸点炭化水素である。
【0049】
本発明による組成物が成分(E)を含む場合には、関与する量は、いずれの場合もシロキサン(A)100重量部に基づいて、5~30重量部、より好ましくは5~25重量部である。本発明による組成物は、好ましくは可塑剤(E)を全く含まない。
【0050】
本発明による組成物において任意に使用される充填剤(F)は、任意の従来知られた充填剤であることができる。
【0051】
任意に使用される充填剤(F)の例は、非補強充填剤(F)、すなわち、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、アルミニウム、チタン、鉄若しくは亜鉛酸化物又はそれらの混合酸化物などの金属酸化物粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス及びポリアクリロニトリル粉末などのプラスチック粉末などのBET比表面積が20m2/gまでの充填剤;補強充填剤、すなわち、沈降炭酸石灰及び、ファーネスブラック及びアセチレンブラックなどのカーボンブラックのようなBET表面積が20m2/gを超える充填剤;ヒュームドシリカ及び沈降シリカなどのシリカ;プラスチック繊維などの繊維状充填剤である。
【0052】
任意に使用される充填剤(F)は、好ましくは、炭酸カルシウム又はシリカ、特に好ましくはシリカ又はシリカと炭酸カルシウムとの混合物である。
【0053】
好ましい種類の炭酸カルシウム(F)は、粉砕され、又は沈降され、及びステアリン酸のような脂肪酸又はその塩で任意に表面処理される。好ましいシリカは、好ましくはヒュームドシリカである。
【0054】
本発明による組成物が充填剤(F)を含む場合、関与する量は、いずれの場合もオルガノポリシロキサン(A)100重量部に基づいて、好ましくは10~150重量部、特に好ましくは10~130重量部、特に10~100重量部である。本発明による組成物は、好ましくは充填剤(F)を含む。
【0055】
添加剤(G)の例は、顔料、染料、芳香剤、酸化防止剤、導電性カーボンブラックなどの電気特性に影響を与える薬剤、それらを難燃化させる薬剤、光安定剤、防かび剤、殺菌剤及び殺ダニ剤のような殺生物剤、例えば、アゾジカルボンアミドのようなセル生成剤、熱安定剤、例えば、Si-N含有シラザン又はシリルアミド、例えば、N,N’-ビストリメチルシリル尿素又はヘキサメチルジシラザンのような捕捉剤、例えば、ルイス酸及びブレンステッド酸、例えば、スルホン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルのような共触媒、一方又は両方の側にOH末端を有するポリエチレングリコール又は硬化ヒマシ油のようなチキソトロピー剤、OH末端基を有するポリジメチルシロキサンのような弾性率をさらに調節するための薬剤、並びに成分(A)、(B)及び(C)とは異なる任意のシロキサンである。
【0056】
本発明による組成物が添加剤(G)を含む場合、関与する量は、いずれの場合もオルガノポリシロキサン(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.1~20重量部、特に好ましくは0.1~15重量部、特に0.1~10重量部である。本発明による組成物は、好ましくは成分(G)を含む。
【0057】
本発明による組成物の個々の構成成分は、各々、そのような構成成分の1種類であってもよいし、及びそのような構成成分の少なくとも2つの異なる種類の混合物であってもよい。
【0058】
本発明による組成物は、好ましくは、以下のものを含むものである。
【0059】
(A)式(I)のオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)のシロキサン、
任意に(C)式(III)のシラン及び/又はその部分加水分解物、
任意に(D)硬化促進剤、
任意に(E)可塑剤、
任意に(F)充填剤及び
任意に(G)添加剤。
【0060】
本発明による組成物は、特に好ましくは、以下のものを含むものである。
【0061】
(A)式(I)のオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)のシロキサン、
(C)式(III)のシラン及び/又はその部分加水分解物、
任意に(D)硬化促進剤、
任意に(E)可塑剤、
任意に(F)充填剤及び
任意に(G)添加剤。
【0062】
特に、本発明による組成物は、以下のものを含むものである。
【0063】
(A)式(I)のオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)のシロキサン、
(C)式(III)のシラン及び/又はその部分加水分解物、
(D)硬化促進剤、
任意に(E)可塑剤、
(F)充填剤及び
任意に(G)添加剤。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、本発明による組成物は、以下、すなわち、
(A)式(I)のオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)のシロキサン、
(C)式(III)のシラン及び/又はその部分加水分解物、
(D)硬化促進剤、
(F)充填剤及び
任意に(G)添加剤
を含み、(E)可塑剤を含まないものである。
【0065】
成分(A)から(G)は別として、本発明による組成物は、好ましくは他の構成成分を含まない。
【0066】
本発明による組成物は、好ましくは粘性ないしペースト状の組成物である。
【0067】
本発明による組成物を製造するために、全ての構成成分を任意の順序で互いに混合することができる。この混合は室温及び周囲の雰囲気の圧力、すなわち、約900~1100hPaで行うことができる。しかし、所望ならば、この混合はより高温、例えば、35~135℃の範囲の温度で行うことができる。また、揮発性化合物又は空気を除去するために、減圧下、例えば、30~500hPaの絶対圧で、間欠的又は連続的に混合することもできる。
【0068】
本発明による混合は、可能な限り最大限の水の排除、すなわち、好ましくは10000mg/kg未満、好ましくは5000mg/kg未満、特に1000mg/kg未満の含水量を有する原料を使用して行われることが好ましい。混合工程の間、混合物は、乾燥空気又は窒素などの保護ガスで覆うことが好ましく、関連ガスは好ましくは10000μg/kg未満、好ましくは1000μg/kg未満、特に500μg/kg未満の含水量を有する。製造後、カートリッジ、管状袋、ビン及びドラムなどの市販の防湿容器にペーストを充填する。
【0069】
好ましい手順では、成分(A)、(B)、任意に(C)及び(E)をまず互いに混合し、次いで任意に充填剤(F)を加え、最後に任意にさらなる構成成分(D)及び(G)を加え、混合温度は60℃を超えないものとする。
【0070】
また、本発明は、個々の成分を混合することにより、本発明による組成物を製造する方法を提供する。
【0071】
本発明による方法は、知られた方法に従い、知られた装置を用いて連続的に、バッチ式で、又は半連続的に実施することができる。
【0072】
本発明による組成物又は本発明により製造された組成物は、湿気がなければ貯蔵することができ、湿気の侵入時に架橋することができる。
【0073】
空気の通常の含水量は、本発明による組成物を架橋するのに十分である。本発明による組成物は、室温で架橋することが好ましい。所望ならば、架橋は、室温よりも高い又は低い温度、例えば-5~15℃又は30~50℃で、及び/又は空気の通常の含水量を超える水の濃度によって実施することもできる。
【0074】
架橋は100~1100hPaの圧力、特に周囲雰囲気の圧力、すなわち、約900~1100hPaで行うことが好ましい。
【0075】
本発明はさらに、本発明による組成物を架橋することによって製造される成形品に関する。
【0076】
本発明による成形品は、好ましくは100%伸びにおいてISO 37に従ってタイプ2試験片で測定される0.4MPa未満の応力を有する。
【0077】
本発明による組成物は、水を排除していれば貯蔵することができ、室温で水の浸入時に架橋してエラストマーを形成する組成物を使用することができる全ての目的に使用することができる。
【0078】
したがって、本発明による組成物は、例えば、縦目地をはじめとする目地の、及び例えば、建築物、陸上車、船及び飛行機の、例えば、10~40mmの正幅の同様の空洞の密封組成物として、又は例えば、窓構造物又は表示ケースの製造における接着剤若しくはセメント形成組成物として、また、例えば、淡水又は海水の一定の作用に曝露された表面をはじめとする保護コーティング、滑りを防止するコーティング、又はエラストマー成形品の製造に非常に適している。
【0079】
本発明による組成物は、製造が容易であり、非常に高い保存安定性によって際立っているという利点を有する。
【0080】
さらに、本発明による組成物は、使用時に取り扱いが非常に容易であり、広範囲の用途において優れた加工特性を有するという利点を有する。
【0081】
本発明による架橋性組成物は、弾性率を特に調整することができるという利点を有する。
【0082】
本発明による架橋性組成物は、広範囲の基材に非常によく接着するという利点を有する。
【0083】
本発明による架橋性組成物は、隣接する基材の縁領域の汚染を全く引き起こさないという利点を有する。特に、これらは理想的には、縁領域を汚染することなく、天然及び人工の石を塗固めるのに適している。
【0084】
本発明による架橋性組成物は、使用される物質に関して非常に経済的であるという利点を有する。
【実施例0085】
以下に述べる実施例では、全ての粘度データは25℃の温度に関係している。特に述べない限り、次の例は周囲雰囲気、すなわち、約1000hPa、及び室温、すなわち、約23℃、又は反応物を追加の加熱又は冷却なしに室温で組み合わせたときに生じる温度、及び相対湿度約50%で行われる。さらに、部及びパーセントについての仕様は、別に規定する場合を除き、全て重量による。
【0086】
引張強さ、破断点伸び及び100%伸びにおける応力は、タイプ2の試験片に対してISO 37に従って決定する。
【0087】
本発明の関連において、動的粘度は、特に断りのない限り、Anton Paarからの「Physica MCR 300」回転レオメータによって、25℃でDIN 53019に従って測定する。200mPa・sを超える値には、コーン-プレート測定システム(測定コーンCP 50-1を含むSearleシステム)を使用する。剪断速度はポリマー粘度に合わせて調整し、62 l/秒で5000~9999mPa・s、50 l/秒で10000~12499mPa・s、38.5 l/秒で12500~15999mPa・s、33 l/秒で16000~19999mPa・s、25L/秒で20000~24999mPa・s、20 l/秒で25000~29999mPa・s、17 l/秒で30000~39999mPa・s、10 l/秒で40000~59999mPa・s、5 l/秒で60000~149999である。
【0088】
測定システムの温度を測定温度に設定した後、ならし運転段階、予備剪断、粘度測定からなる3段階の測定プログラムが適用される。ならし運転段階は、測定が実施されることが意図される予想される粘度に応じて、前記剪断速度まで1分間にわたって剪断速度を段階的に増加させることによって行われる。これに達したら、予備剪断を30秒間一定の剪断速度で行い、次に25回の個々の測定をそれぞれ4.8秒間行い、粘度を測定し、そこから平均値を決定する。平均値はmPa・sで報告される動的粘度に相当する。
【0089】
以下の実施例B1~B3では、核磁気共鳴分光法(用語はASTM E 386:
High-resolution nuclear magnetic resonance(NMR)spectroscopy: Terms and Symbolsを参照)によって分子組成を決定し、ここで、29Si核を測定した。
【0090】
以下に用いる略語は以下のとおりである。
【0091】
メチル基にはMe、
エチル基にはEt、
n-ブチル基にはBu、及び
2,2,4-トリメチルペンチル基にはiOct。
【0092】
<オリゴマー混合物B1の製造>
1000mPasの粘度を有するα,ω-ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン240g(3.25mol)、SILRES(R) BS 1316の名称でWacker Chemie AGから入手可能なトリメトキシ(2,4,4-トリメチルペンチル)シラン(=iOctSi(OMe)3)234g(1.0mol)、及びナトリウムエトキシドのエタノール溶液(21%)0.80gを混合し、110℃に4時間加熱する。溶液を冷却後、ジメチルジクロロシラン(10%)のn-ヘプタン溶液1.60gを加えることにより混合物を中和させる。この混合物を、ロータリーエバポレーターで、120℃で50mbarの減圧で蒸発させた。
【0093】
混合物の組成を29-Si-NMR分光法により決定した。混合物は、1.4重量%のiOctSi(OMe)3、0.4重量%のMe2Si(OMe)2及び98.2重量%の平均組成[iOctSi(OMe)2O1/2]0.08[iOctSi(OMe)O2/2]0.15[iOctSiO3/2]0.05[Me2SiO2/2]0.43[Me2Si(OMe)O1/2]0.29のオリゴマー混合物を含んでいた。
【0094】
ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した分子量は、929g/mol(Mw-重量平均)及び635(Mn-数平均)であった。多分散性(Mw/Mn)は1.46であった。
【0095】
<オリゴマー混合物B2の製造>
トリメトキシ(2,4,4-トリメチルペンチル)シランの代わりに178gのn-ブチルトリメトキシシランを使用するという変更を加えて、オリゴマー混合物B1の調製手順を繰り返した。混合物は、0.7重量%のn-BuSi(OMe)3、0.2重量%のMe2Si(OMe)2、及び99.1重量%の平均組成[n-BuSi(OMe)2O1/2]0.08[n-BuSi(OMe)O2/2]0.15[n-BuSiO3/2]0.07[Me2SiO2/2]0.46[Me2Si(OMe)O1/2]0.24のオリゴマ-混合物を含んでいた。
【0096】
<オリゴマー混合物B3の製造>
トリメトキシ(2,4,4-トリメチルペンチル)シランの代わりに346gのn-ヘキサデシルトリメトキシシランを使用するという変更を加えて、オリゴマー混合物B1の調製手順を繰り返した。混合物は3.6重量%のn-C16H33Si(OMe)3、0.5重量%のMe2Si(OMe)2、及び95.9重量%の平均組成[n-C16H33Si(OMe)2O1/2]0.14[n-C16H33Si(OMe)O2/2]0.13[n-C16H33SiO3/2]0.02[Me2SiO2/2]0.61[Me2Si(OMe)O1/2]0.10のオリゴマー混合物を含んでいた。
【0097】
<シロキサンA1の製造>
80000mPasの粘度を有するα,ωジヒドロキシポリジメチルシロキサン330kg及び20000mPasの粘度を有するα,ωジヒドロキシポリジメチルシロキサン110kgの混合物を、15.2kgの(2,3,5,6-テトラヒドロ-1,4-オキサジン-4-イル)メチルトリエトキシシラン中の0.02kgの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンの溶液15.22kgと共に200分-1で5分間撹拌した。5分の反応時間の後、52000mPasの粘度を有する、98.0重量%のα,ω-ビス(2,3,5,6-テトラヒドロ-1,4-オキサジン-4-イル)メチルジエトキシシリルポリジメチルシロキサン、1.9重量%の(2,3,5,6-テトラヒドロ-1,4-オキサジン-4-イル)メチルトリエトキシシラン、及び0.1%のエタノールの混合物を得た。
【0098】
<RTV1ベース混合物BM1の製造>
455kgのシロキサンA1を、SILIKAT TES 40の名称でWacker Chemie AGから入手可能な、完全加水分解及び縮合時に40%のSiO2含有率を有するテトラエトキシシラン加水分解物オリゴマー10.6kg、1分子当たり平均10個のケイ素原子を有するメチルトリエトキシシラン加水分解物オリゴマー6.3kgと3-アミノプロピルトリエトキシシラン6.3kgとの混合物12.6kgに加え、200回転/分でさらに5分間混合物を撹拌した。その後、HDK(R) V15Aの名称でWacker Chemie AGから入手可能な150m2/gの比表面積を有する親水性フュームドシリカ44kgを加え、ヒュームドシリカが全て湿るまで、この混合物をさらに5分間、最初は200回転/分で撹拌した。次に、混合物を200mbarの減圧において600分-1で10分間撹拌した。最後に、1分子当たり平均10個のケイ素原子を有するメチルトリエトキシシラン加水分解物オリゴマー0.655kgと3-アミノプロピルトリエトキシシラン0.655kgとの混合物1.31kg中のジオクチルスズオキシド0.27kgの溶液1.58kg、メチルトリメトキシシラン中のオクチルホスホン酸の50重量%溶液2kgを加え、混合物をさらに5分間減圧(200mbar)下で撹拌した。このベース混合物BM1は、以下の発明例の製造の基礎となる。
【0099】
[実施例1~9]
表1に規定するオリゴマー混合物B1の量を、いずれの場合も250gのRTV1ベース混合物BM1に加え、Labmax型の遊星ミキサー中で混合した。次に、各場合でこのように得られた混合物を防湿容器に充填した。混合物の製造から24時間後、これらの混合物から2mm厚の板を取り出し、23℃、相対湿度50%で7日間硬化させた後、ISO 37第6版2017-11に従ったタイプ2のダンベル形試験片をそれから作製した。これらの試験片について測定した機械的特性を表1に示す。
【0100】
[比較例1(C1)]
さらなる添加剤なしで250gのRTV1ベース混合物BM1を防湿容器に充填した。ベース混合物の製造の24時間後、2mm厚の板を取り出し、23℃、相対湿度50%で7日間硬化させた後、ISO 37第6版2017-11に従ったタイプ2のダンベル形試験片をそれから作製した。これらの試験片について測定した機械的特性を表1に示す。
【0101】
[実施例10]
オリゴマー混合物B1の代わりに5gのオリゴマー混合物B2を加えたという修正を加えて、実施例1に従った実験を繰り返した。これらの試験片について測定した機械的特性を表1に示す。
【0102】
[実施例11]
オリゴマー混合物B1の代わりに5gのオリゴマー混合物B3を加えたという修正を加えて、実施例1に従った実験を繰り返した。これらの試験片について測定した機械的特性を表1に示す。
【0103】