(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020204
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】アルコール化合物からなる、(メタ)アクリレート原料、ポリエステル原料、ポリウレタン原料、ポリカーボネート原料、界面活性剤、洗浄剤及び化粧品添加剤
(51)【国際特許分類】
C07C 233/18 20060101AFI20240206BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20240206BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240206BHJP
C08F 20/36 20060101ALI20240206BHJP
C08G 63/685 20060101ALI20240206BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20240206BHJP
C08G 64/00 20060101ALI20240206BHJP
G03F 7/004 20060101ALN20240206BHJP
【FI】
C07C233/18
C11D7/26
C11D3/20
C08F20/36
C08G63/685
C08G18/32 071
C08G64/00
G03F7/004 504
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176472
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2020557820の分割
【原出願日】2019-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2018223424
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019112666
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平佐田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】服部 隼人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅久
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分岐鎖アルキル基を含有するアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料等を提供する。
【解決手段】例えば、式[A]で表されるアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[A]で表されるアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
【化1】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項2】
式[A]で表されるアルコール化合物からなるポリエステル原料。
【化2】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項3】
式[A]で表されるアルコール化合物からなるポリウレタン原料。
【化3】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項4】
式[A]で表されるアルコール化合物からなるポリカーボネート原料。
【化4】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項5】
式[A]で表されるアルコール化合物からなる界面活性剤。
【化5】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項6】
式[A]で表されるアルコール化合物からなる洗浄剤。
【化6】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項7】
式[A]で表されるアルコール化合物からなる化粧品添加剤。
【化7】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
【請求項8】
前記L3及びL4が、それぞれ独立して、エチレン基、3-オキシペンタン-1,5-ジイル基、3,6-ジオキシオクタン-1,8-ジイル基、及び3,6,9-トリオキシウンデカン-1,11-ジイル基からなる群から選ばれるいずれかの基である請求項1記載のアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
【請求項9】
前記L3及びL4が、エチレン基である請求項8記載のアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
【請求項10】
前記L1が、単結合を表し、前記-CR43R44R45基が、ペンタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-9-イル基、3,13-ジメチルペンタデカン-7-イル基、2,2,4,8,10,10-ヘキサメチルウンデカン-5-イル基、2,3,13,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、及びペンタコサン-12-イル基からなる群から選ばれるいずれかの基である請求項1、8または9記載のアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐鎖アルキル基を含有するアルコール化合物からなる、(メタ)アクリレート原料、ポリエステル原料、ポリウレタン原料、ポリカーボネート原料、界面活性剤、洗浄剤及び化粧品添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の絶縁材料、及び半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等には、優れた耐熱性、電気特性及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂の中でも、感光性ポリイミド前駆体の形態で供されるものは、該前駆体の塗布、露光、現像、及びキュアによる熱イミド化処理によって、耐熱性のレリーフパターン被膜を容易に形成することができる。このような感光性ポリイミド前駆体は、従来の非感光型ポリイミド樹脂と比較して、大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有している。
【0003】
一方、半導体装置の微細化が進むことで、配線遅延の問題が顕在化している。半導体装置の配線抵抗を改善する手段として、これまで使用されてきた金又はアルミニウム配線から、より抵抗の低い銅又は銅合金の配線への変更が行われている。さらに、配線間の絶縁性を高めることで配線遅延を防ぐ方法も採用されている。近年、この絶縁性の高い材料として低誘電率材料が半導体装置を構成することが多いが、一方で低誘電率材料は脆く、壊れ易い傾向にあり、例えば半田リフロー工程を経て半導体チップとともに基板上に実装されたときには、温度変化による収縮で低誘電率材料部分が破壊されるという問題が存在している。
【0004】
この問題を解決する手段として、特許文献1には、ポリイミド前駆体における側鎖の一部にエチレングリコール構造を有する炭素数5~30の脂肪族基を導入することにより、ポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物を形成したときの透明性が向上し、さらに熱硬化後に硬化膜のヤング率が向上する感光性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のポリイミド前駆体からなる感光性樹脂組成物は、透明性が高く、かつ熱硬化後にはヤング率の高い硬化体を与えるものの、上記の用途に使用される場合、誘電率や誘電正接のさらなる低減化が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、誘電率や誘電正接のさらなる低減化された硬化体を与える感光性樹脂組成物に使用できる特定のアルコール化合物からなる(メタ)アクリル化合物の原料等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の分岐鎖アルキル基を含有するアルコール化合物が、感光性樹脂組成物に用いる(メタ)アクリル化合物の原料等として有用であり、特に当該アルコール化合物から合成された(メタ)アクリル化合物を配合した感光性樹脂組成物が、電気特性に優れる硬化膜を与えるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記のアルコール化合物からなる、(メタ)アクリレート原料、ポリエステル原料、ポリウレタン原料、ポリカーボネート原料、界面活性剤、洗浄剤及び化粧品添加剤を提供する。
1. 式[A]で表されるアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
【化1】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
2. 式[A]で表されるアルコール化合物からなるポリエステル原料。
【化2】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
3. 式[A]で表されるアルコール化合物からなるポリウレタン原料。
【化3】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
4. 式[A]で表されるアルコール化合物からなるポリカーボネート原料。
【化4】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
5. 式[A]で表されるアルコール化合物からなる界面活性剤。
【化5】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
6. 式[A]で表されるアルコール化合物からなる洗浄剤。
【化6】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
7. 式[A]で表されるアルコール化合物からなる化粧品添加剤。
【化7】
(式[A]中、R
43及びR
44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R
45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR
43R
44R
45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L
1は、単結合又は*-CH
2O-を表し(ここで*は、-CR
43R
44R
45基に結合する端を示す。)、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。)
8. 前記L
3及びL
4が、それぞれ独立して、エチレン基、3-オキシペンタン-1,5-ジイル基、3,6-ジオキシオクタン-1,8-ジイル基、及び3,6,9-トリオキシウンデカン-1,11-ジイル基からなる群から選ばれるいずれかの基である1のアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
9. 前記L
3及びL
4が、エチレン基である8のアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
10. 前記L
1が、単結合を表し、前記-CR
43R
44R
45基が、ペンタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-9-イル基、3,13-ジメチルペンタデカン-7-イル基、2,2,4,8,10,10-ヘキサメチルウンデカン-5-イル基、2,3,13,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、及びペンタコサン-12-イル基からなる群から選ばれるいずれかの基である1、8または9のアルコール化合物からなる(メタ)アクリレート原料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特にネガ型感光性樹脂組成物に用いる(メタ)アクリル化合物の原料等を提供することができる。当該アルコール化合物から合成された(メタ)アクリル化合物を配合した感光性樹脂組成物は、電気特性に優れる硬化膜を与えるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の分岐鎖アルキル基を含有するアルコール化合物は、下記式[A]で表される構造を有する。
【0012】
【0013】
式中、R43及びR44は、それぞれ独立して、炭素原子数1~27のアルキル基を表し、R45は、水素原子又は炭素原子数1~25のアルキル基を表し、ただし、-CR43R44R45基の炭素原子数の合計は10~31であり、L1は、単結合又は*-CH2O-を表し(ここで*は、-CR43R44R45基に結合する端を示す。)、L3及びL4は、それぞれ独立して、エーテル結合を含んでいてもよい炭素原子数2~8のアルキレン基を表す。
【0014】
炭素原子数1~27のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基(アミル基)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、sec-イソアミル基、イソヘキシル基、ネオへキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、4,5-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-エチルペンチル基、ヘプタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、4-メチルヘキサン-2-イル基、3-メチルヘキサン-3-イル基、2,3-ジメチルペンタン-2-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、4,4-ジメチルペンタン-2-イル基、6-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクタン-2-イル基、6-メチルヘプタン-2-イル基、6-メチルオクチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、ノナン-4-イル基、2,6-ジメチルヘプタン-3-イル基、3,6-ジメチルヘプタン-3-イル基、3-エチルヘプタン-3-イル基、3,7-ジメチルオクチル基、6,7-ジメチルオクチル基、8-メチルノニル基、3-メチルノナン-3-イル基、4-エチルオクタン-4-イル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、1,6-ジメチルシクロヘキシル基、メンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、ボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-4-イル基、及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
【0015】
炭素原子数2~8のアルキレン基としては、例えば、置換又は無置換のエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。また、エーテル結合を含む炭素原子数2~8のアルキレン基としては、例えば、-CH2-O-CH2-、-C2H4-O-CH2-、-CH2-O-C2H4-、3-オキシペンタン-1,5-ジイル基、3,6-ジオキシオクタン-1,8-ジイル基、及び3,6,9-トリオキシウンデカン-1,11-ジイル基等が挙げられる。
【0016】
L1としては、単結合が好ましい。
【0017】
L3及びL4としては、それぞれ独立して、エチレン基、3-オキシペンタン-1,5-ジイル基、3,6-ジオキシオクタン-1,8-ジイル基、及び3,6,9-トリオキシウンデカン-1,11-ジイル基からなる群から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。また、L3及びL4は、同一の基であることが好ましく、本発明では、L3及びL4のいずれもがエチレン基であることが最も好ましい。
【0018】
R43及びR44としては、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~15のアルキル基がより好ましい。また、R43及びR44は、直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0019】
R45としては、水素原子又は炭素原子数1~15のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基がより好ましく、水素原子がより一層好ましい。
【0020】
前記R43、R44及びR45を有する基:-CR43R44R45基は、その炭素原子数の合計が10~31であり、好ましくは炭素原子数14~26の基であり、特に好ましくは炭素原子数14~20の基である。
【0021】
前記-CR43R44R45基の具体例としては、3-メチルノナン-3-イル基、4-エチルオクタン-4-イル基、ウンデカン-5-イル基、3-エチルノナン-3-イル基、5-エチルノナン-5-イル基、2,2,4,5,5-ペンタメチルヘキサン-4-イル基、トリデカン-6-イル基、トリデカン-7-イル基、7-エチルウンデカン-2-イル基、3-エチルウンデカン-3-イル基、5-エチルウンデカン-5-イル基、ペンタデカン-7-イル基、ペンタデカン-8-イル基、ヘプタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-8-イル基、ヘプタデカン-9-イル基、3,13-ジメチルペンタデカン-7-イル基、2,2,4,8,10,10-ヘキサメチルウンデカン-5-イル基、ノナデカン-9-イル基、ノナデカン-10-イル基、2,3,13,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、ヘンイコサン-10-イル基、トリコサン-11-イル基、ペンタコサン-12-イル基、ペンタコサン-13-イル基、2,22-ジメチルトリコサン-11-イル基、3,21-ジメチルトリコサン-11-イル基、9,15-ジメチルトリコサン-11-イル基、ヘプタコサン-13-イル基、及びノナコサン-14-イル基等が挙げられる。
【0022】
好ましい-CR43R44R45基としては、ペンタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-7-イル基、ヘプタデカン-9-イル基、3,13-ジメチルペンタデカン-7-イル基、2,2,4,8,10,10-ヘキサメチルウンデカン-5-イル基、2,3,13,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン-7-イル基、及びペンタコサン-12-イル基等が挙げられる。
【0023】
式[A]で表されるアルコール化合物は、その製造方法は特に制限されないが、例えば、カルボン酸類又はアルコール、及びアミノアルコール類を出発原料として、従来公知の合成方法によって製造可能である。
【0024】
式[A]においてL1が単結合である場合、そのアルコール化合物は、例えば、R43R44R45C-COOHで表されるカルボン酸又はその活性化体(酸ハロゲン化物、酸無水物、酸アジド及び活性エステルなど)と、ジアルカノールアミンとを反応させて得ることができる。
【0025】
【0026】
式[I]において、R43、R44、R45、L3及びL4は、前記と同じ意味を表す。また、Xとしては、アミド結合を生成できる基であれば特に制限されないが、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;アセトキシ基等のアシルオキシ基;アジド基;2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ基などが挙げられる。
【0027】
R43R44R45C-COOHで表されるカルボン酸又はその活性化体としては、市販のカルボン酸又はその活性化体を使用できる。例えば、日産化学(株)製 ファインオキソコール(登録商標)イソパルミチン酸、同イソパルミチン酸KS、同イソステアリン酸、同イソステアリン酸N、同イソステアリン酸T、同イソアラキン酸、及び同イソアラキン酸EC等の多分岐型高級カルボン酸、又は該カルボン酸の誘導体が挙げられる。
【0028】
また、式[A]においてL1が*-CH2O-である場合、そのアルコール化合物は、例えば、R43R44R45C-CH2OHで表されるアルコールと、ヒドロキシ基を有するカルバミン酸又はその活性化体(酸ハロゲン化物、酸無水物、酸アジド及び活性エステルなど)とを反応させて得ることができる。
【0029】
【0030】
式[II]において、R43、R44、R45、L3、L4及びXは、前記と同じ意味を表す。
【0031】
R43R44R45C-CH2OHで表されるアルコールとしては、脂肪族アルコールを二量化して分岐アルコールとする従来公知の方法(例えば、国際公開第2016/194800号及び特開2009-167183号公報等に記載されている方法)で製造できる。また、市販のアルコールを使用することもでき、そのような市販品としては、例えば、日産化学(株)製 ファインオキソコール(登録商標)1600、同1600K、同180、同180N、同180T、及び同2000等の多分岐型高級アルコールが挙げられる。
【0032】
本発明の分岐鎖アルキル基を含有するアルコール化合物は、(メタ)アクリレート原料としての用途以外にも、ポリエステル原料、ポリウレタン原料、ポリカーボネート原料、ジカルボン酸原料、ジエステル原料、界面活性剤、洗浄剤、化粧品添加剤、乳化剤、消泡剤、増粘剤、皮膚外用組成物、潤滑油添加剤、インキ、トナー及び防腐殺菌剤等として好適に使用できる。
【実施例0033】
本明細書の下記参考合成例に示す重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、本明細書ではGPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置(HLC-8320GPC)を用いた。測定条件等は、次のとおりである。
GPCカラム:Shodex(登録商標)GPC KD-803,同KD-805(昭和電工(株)製)
カラム温度:50℃
溶媒:N,N-ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製,特級),臭化リチウム一水和物(関東化学(株)製,鹿特級)(30mM)/リン酸(Aldrich社製)(30mM)/テトラヒドロフラン(関東化学(株)製,特級)(1%)
流量:1.0mL/分
標準試料:ポリスチレン(ジーエルサイエンス(株)製)
【0034】
[実施例1]
2-(4,4-ジメチルペンタン-2-イル)-5,7,7-トリメチルオクタン酸[日産化学(株)製 ファインオキソコール(登録商標)イソステアリン酸]200g(702mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド1.5g(20mmol)、及びジクロロメタン800gを混合し、0℃に冷却した。この溶液へ、塩化チオニル[純正化学(株)製]100g(844mmol)を5℃以下で滴下した後、室温(およそ23℃)で16時間撹拌した。この反応混合物から揮発分をエバポレーターで留去し、残渣にジクロロメタン800gを加えることで、カルボン酸クロリド溶液を得た。
ジエタノールアミン[東京化成工業(株)製]294g(2.8mol)、及びジクロロメタン1,200gを混合し、0℃に冷却した。この溶液へ、上述のカルボン酸クロリド溶液全量を5℃以下で滴下した後、室温(およそ23℃)で15時間撹拌した。この反応混合物を静置し、分離したジエタノールアミン(上層)を分液し除去した。残った有機層を水1Lで3回洗浄し、溶媒を留去することで、下記式で表されるイソステアリン酸ジエタノールアミン234g(得率90%、純度98%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ=3.9~3.5(m,10H),2.4~2.3(m,1H),1.7~0.9(m,34H)(ppm)
【0035】
【0036】
<参考合成例1>
実施例1で合成したイソステアリン酸ジエタノールアミン(100g、269mmol)、ヒドロキノン(500mg、5mmol)、トリエチルアミン(60g、592mmol)、ジクロロメタン(400g)を混合し、0℃に冷却した後にアクリル酸クロライド(51g、565mmol)を10℃以下で滴下した。室温で1時間反応した後、5%食塩水(400g)を加えて分液した。有機層を1N塩酸水(400g)で分液洗浄した後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(400g)で分液洗浄した。得られた有機層へ硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、無機塩を濾別した。ろ液をエバポレーターで濃縮することで、下記式で表される((2-(4,4-ジメチルペンタン-2-イル)-5,7,7-トリメチルオクタノイル)アザンジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート(110g、純度98%)を得た。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=0.9~1.7(m,34H),2.3~2.4(m,1H),3.6~3.8(m,4H),4.3~4.4(m,4H),5.8~5.9(m,2H),6.1~6.2(m,2H),6.4~6.5(m,2H)
【0037】
【0038】
<参考製造例1> ジカルボン酸ジエステル(1)の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(東京化成工業(株)製)280.00g(0.903mol)を2リットル容量の四口フラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Aldrich社製)232.50g(0.181mol)とヒドロキノン(東京化成工業(株)製)0.98g(0.009mol)とγ-ブチロラクトン(関東化学(株)製,鹿特級)840gを入れて23℃で攪拌し、ピリジン(関東化学(株)製,脱水)142.78g(1.805mol)を加えた後に50℃まで昇温し、50℃で2時間撹拌することで、下記式(1)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0039】
【0040】
<参考製造例2> ポリイミド前駆体としてのポリマー(2)の合成
参考製造例1で調製した溶液43.68g(0.026mol)とγ-ブチロラクトン34.57gを200ミリリットル容量の四口フラスコに入れ、5℃以下において、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC,東京化成工業(株)製)6.43g(0.053mol)をγ-ブチロラクトン15gに溶解した溶液を攪拌しながら20分かけて反応液に滴下し、続いて4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(セイカ(株)製)8.74g(0.03mol)をN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学(株)製,鹿特級)15gに溶解したものを攪拌しながら20分かけて滴下した。その後、23℃に昇温し、26.5時間攪拌した後、エタノール(関東化学(株)製,特級)2.25gを加えて1時間攪拌した。
【0041】
得られた反応混合物を375gのメタノール(関東化学(株)製,特級)に加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。上澄み液をデカンテーションして粗ポリマーを分離し、テトラヒドロフラン60.0g、N-メチル-2-ピロリジノン15.0gに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を750gの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、メタノール75gで二回洗浄し、真空乾燥して繊維状のポリマー(2)を得た。ポリマー(2)の分子量をGPC(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は12,059であった。収率は74.7%であった。この反応生成物は、下記式(2)で表される繰り返し単位構造を有する。
【0042】
【0043】
<参考製造例3>(ポリイミド前駆体としてのポリマー(3)の合成)
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(東京化成工業(株)製)40.00g(0.129mol)を1リットル容量の四口フラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Aldrich社製)26.43g(0.206mol)とファインオキソコール(登録商標)180(日産化学(株)製)13.67g(0.052mol)とγ-ブチロラクトン(関東化学(株)製,鹿特級)116gを入れて10℃以下に冷却して攪拌し、ピリジン(関東化学(株)製,脱水)20.89g(0.264mol)を加えた後に23℃まで昇温し、24時間撹拌した。
【0044】
次に、5℃以下において、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(東京化成工業(株)製)32.88g(0.258mol)をγ-ブチロラクトン80gに溶解した溶液を撹拌しながら50分かけて反応液に滴下し、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(セイカ(株)製)44.46g(0.122mol)をN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学(株)製,鹿特級)120gに溶解した溶液を80分かけて滴下した。滴下後、23℃に昇温して2時間攪拌した後、エタノール(関東化学(株)製,特級)6.0gを加えて1時間攪拌した。反応液に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応混合物を得た。
【0045】
得られた反応混合物を600gのエタノール(関東化学(株)製,特級)に加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。沈殿物をろ過し、テトラヒドロフラン(THF,関東化学(株)製,特級)340gに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を7.2kgの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥してポリマーを得た。このポリマーの分子量をGPC(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は15,457であった。収率は63.3%であった。このポリマーは、下記式(3)で表される繰り返し単位構造を有する。
【0046】
【0047】
<参考製造例4> ジカルボン酸ジエステル(4)の合成
4,4’-ビフタル酸二無水物(東京化成工業(株)製)40.00g(0.14mol)を四口フラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Aldrich社製)10.46g(0.082mol)と1-ブタノール(東京化成工業(株)製)10.08g(0.14mol)とイソステアリルアルコール(日産化学(株)製,製品名:ファインオキソコール(登録商標)180,グレード:FO-180)14.42g(0.054mol)とγ-ブチロラクトン(関東化学(株)製,鹿特級)120gを入れて23℃で攪拌し、10℃に冷却した後、ピリジン(関東化学(株)製,脱水)22.05g(0.28mol)を滴下した。25℃に昇温し、88時間撹拌することで、下記式(4)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0048】
【0049】
<参考製造例5> ポリイミド前駆体としてのポリマー(5)の合成
参考製造例4で調製した溶液を5℃に冷却し、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,富士フイルム和光純薬(株)製)57.87g(0.27mol)をγ-ブチロラクトン80gに溶解した溶液を攪拌しながら0.5時間かけて反応液に滴下し、滴下後、0.5時間撹拌した。続いて2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(東京化成工業(株)製)53.02g(0.13mol)をN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学(株)製,鹿特級)80gに溶解したものを攪拌しながら0.5時間かけて滴下した。その後、約25℃に昇温し、2時間攪拌した後、エタノール(関東化学(株)製,特級)6.0gを加えて1時間攪拌した。
【0050】
得られた反応混合物へN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学(株)製,鹿特級)60g、テトラヒドロフラン(東京化成工業(株)製)140gを加え、ろ過した。ろ液を4,000gのイソプロパノールに滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、メタノール1,000gで二回洗浄し、真空乾燥して粉状のポリマー(5)を得た。ポリマー(5)の分子量をGPC(標準ポリエチレングリコール換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は13,749であった。収率は48.0%であった。この反応生成物は、下記式(5)で表される繰り返し単位構造を有する。
【0051】
【0052】
<参考製造例6> ジカルボン酸ジエステル(6)の合成
4,4’-オキシジフタル酸無水物(東京化成工業(株)製)40.00g(0.13mol)を四口フラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Aldrich社製)16.53g(0.13mol)と2-メトキシエタノール(東京化成工業(株)製)5.83g(0.077mol)とイソステアリルアルコール(日産化学(株)製,製品名:ファインオキソコール(登録商標)180,グレード:FO-180)13.67g(0.052mol)とγ-ブチロラクトン(関東化学(株)製,鹿特級)120gを入れて23℃で攪拌し、10℃に冷却した後、ピリジン(関東化学(株)製,脱水)20.91g(0.26mol)を滴下した。25℃に昇温し、15時間撹拌することで、下記式(6)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0053】
【0054】
<参考製造例7> ポリイミド前駆体としてのポリマー(7)の合成
参考製造例6で調製した溶液を5℃に冷却し、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,富士フイルム和光純薬(株)製)54.89g(0.26mol)をγ-ブチロラクトン80gに溶解した溶液を攪拌しながら0.5時間かけて反応液に滴下し、滴下後、0.5時間撹拌した。続いて4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(セイカ(株)製)44.68g(0.12mol)をN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学(株)製,鹿特級)80gに溶解したものを攪拌しながら0.5時間かけて滴下した。その後、約25℃に昇温し、2時間攪拌した後、エタノール(関東化学(株)製,特級)6.0gを加えて1時間攪拌した。
【0055】
得られた反応混合物へN-メチル-2-ピロリジノン(関東化学(株)製,鹿特級)60g、テトラヒドロフラン(東京化成工業(株)製)140gを加え、ろ過した。ろ液を4,000gのイソプロパノールに滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、メタノール1,000gで二回洗浄し、真空乾燥して粉状のポリマー(7)を得た。ポリマー(7)の分子量をGPC(標準ポリエチレングリコール換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は19,690であった。収率は65.1%であった。この反応生成物は、下記式(7)で表される繰り返し単位構造を有する。
【0056】
【0057】
<参考例1>
参考製造例2で得られたポリマー(2)を32.00g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)0.64g、参考合成例1で得られた化合物6.40g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.48g、及びIRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.48gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物1を調製した。
【0058】
<参考例2>
参考製造例3で得られたポリマー(3)を29.63g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)0.59g、参考合成例1で得られた化合物5.93g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.44g、IRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.44g、及びVestanat(登録商標)B 1358 A(EVONIK社製)2.96gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物2を調製した。
【0059】
<参考例3>
参考製造例3で得られたポリマー(3)を29.41g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)0.59g、参考合成例1で得られた化合物5.88g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.44g、IRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.44g、Vestanat(登録商標)B 1358 A(EVONIK社製)2.94g、及びフタル酸(東京化成工業(株)製)0.29gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物3を調製した。
【0060】
<参考例4>
参考製造例5で得られたポリマー(5)を25.00g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)1.50g、参考合成例1で得られた化合物7.50g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.38g、IRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.38g、カレンズ(登録商標)AOI-BM(昭和電工(株)製)5.00g、及びフタル酸(東京化成工業(株)製)0.25gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物4を調製した。
【0061】
<参考例5>
参考製造例7で得られたポリマー(7)を26.67g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)1.60g、参考合成例1で得られた化合物5.33g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.40g、IRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.40g、カレンズ(登録商標)AOI-BM(昭和電工(株)製)5.33g、及びフタル酸(東京化成工業(株)製)0.27gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物5を調製した。
【0062】
<参考比較例1>
参考製造例2で得られたポリマー(2)を29.63g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)0.59g、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名:A-DCP,新中村化学工業(株)製)5.93g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.44g、IRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.44g、及びニカラック(登録商標)MX-280((株)三和ケミカル製)2.96gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物6を調製した。
【0063】
【0064】
<参考比較例2>
参考製造例3で得られたポリマー(3)を29.63g、IRGACURE(登録商標)OXE01(BASF社製)0.59g、A-DCP(新中村化学工業(株)製)5.93g、信越シリコーン(登録商標)KBM-5103(信越化学工業(株)製)0.44g、IRGANOX(登録商標)3114(BASF社製)0.44g、及びVestanat(登録商標)B 1358 A(EVONIK社製)2.96gを、シクロヘキサノン48.00g、エチルラクテート12.00gに溶解させ組成物を調製した。その後、孔径5μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いてろ過して、ネガ型感光性樹脂組成物7を調製した。
【0065】
〔電気特性試験〕
参考例及び参考比較例で調製したネガ型感光性樹脂組成物を、アルミニウムを積層させたシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し、100℃でプリベークし、アライナー(PLA-501,キヤノン(株)製)を用い露光(i線、露光量:500mJ/cm2)、さらに115℃でベーク後、さらに230℃でベークし膜厚10μmの膜を形成した。その後6N塩酸中に浸漬させた。アルミニウムが溶解し膜が浮き上がったところを回収し、縦3cm、横9cmにカットし自立膜を得た。この自立膜を用いて摂動方式空洞共振器法(装置:TMR-1A,キーコム(株)製)にて1GHzにおける比誘電率、誘電正接を算出した。測定方法の詳細は以下の通りである。
【0066】
(測定方法)
摂動方式空洞共振器法
(装置構成)
ベクトルネットワークアナライザ : FieldFox N9926A(キーサイト・テクノロジー(株)製)
空洞共振器 : モデル TMR-1A(キーコム(株)製)
キャビティ容積 : 1192822mm3
測定周波数 : 約1GHz(サンプルの共振周波数に依存)
サンプルチューブ : PTFE製 内径;3mm 長さ;約30mm
測定結果を以下の表1に示す。
【0067】
【0068】
本発明に係るアルコール化合物から得られる(メタ)アクリル化合物を用いた参考例1~5は、参考比較例1、2にくらべ、比誘電率は同等でありながら、誘電正接が顕著に低減されている。