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特開2024-20231抗原提示合成表面、共有結合官能化表面、活性化T細胞及びそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020231
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】抗原提示合成表面、共有結合官能化表面、活性化T細胞及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023181879
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2020502582の分割
【原出願日】2018-07-20
(31)【優先権主張番号】62/535,742
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/660,779
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/664,279
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514304762
【氏名又は名称】バークレー ライツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビーミラー,ピーター ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】マストロヤンニ,アレクサンダー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ペイ,シャオ,ニン
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ジュニア,ランドール ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モッチャーロ,アンナマリア
(72)【発明者】
【氏名】ルーサーバック,ケビン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ブロネヴェツキー,エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】スタッドラー,グイド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】マクファーランド,アンドリュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン,ケヴィン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,デュアン
(72)【発明者】
【氏名】マークス,ナタリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】グッドセル,アマンダ エル.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Tリンパ球を活性化するするように構成された修飾表面を提供する。
【解決手段】Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面であって、a.複数の一次活性化分子リガンドであって、それぞれの一次活性化分子リガンドが、T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子を含む、複数の一次活性化分子リガンド、及び、b.TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含み、前記複数の一次活性化分子リガンド及び前記複数の共活性化分子リガンドのそれぞれが、前記抗原提示表面に特異的に結合される、抗原提示表面とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面であって、
a.複数の一次活性化分子リガンドであって、それぞれの一次活性化分子リガンドが、T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子を含む、複数の一次活性化分子リガンド、及び
b.TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンド
を含み、前記複数の一次活性化分子リガンド及び前記複数の共活性化分子リガンドのそれぞれが、前記抗原提示表面に特異的に結合される、抗原提示表面。
【請求項2】
前記TCR共活性化分子と前記補助TCR活性化分子との比率が、約20:1~約1:20である、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項3】
前記複数の一次活性化分子リガンドが、1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10分子の密度で前記抗原提示表面の表面の少なくとも一部上に配置される、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項4】
複数の表面遮断分子リガンドをさらに含む、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項5】
前記複数の共活性化分子リガンドが、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子の密度で前記抗原提示表面の表面の少なくとも一部上に配置される、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項6】
前記抗原提示表面上に存在する前記一次活性化分子リガンドと前記共活性化分子リガンドとの比率が、約1:10~約2:1、約1:5~約2:1、約1:2~約2:1、約1:10~約1:1、約1:5~約1:1、約1:1~約2:1又は約1:2~約1:1である、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項7】
(i)ガラス、金属、セラミック及び/又は金属酸化物を含むか、又は
(ii)ポリマー表面を含む、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項8】
前記複数の一次活性化分子リガンドのそれぞれが、結合部分に非共有結合され、さらに、前記結合部分が、(i)前記抗原提示表面に共有結合されるか、又は(ii)前記表面に共有結合される第2の結合部分に非共有結合される、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項9】
前記MHC分子が、MHCタンパク質配列及びβミクログロブリンを含む、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項10】
前記MHC分子が、腫瘍関連抗原をさらに含む、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項11】
前記腫瘍関連抗原が、SLC45A2、TCL1、VCX3A、MART1又はNYESO1である、請求項10に記載の抗原提示表面。
【請求項12】
(i)前記TCR共活性化タンパク質分子が、CD28結合タンパク質又はCD28との結合能力を保持するその断片を含むか、又は
(ii)前記第1のTCR共活性化分子が、抗CD28抗体又はその断片であって、CD28との結合活性を保持するその断片を含む、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項13】
(i)前記補助刺激性分子が、CD2結合タンパク質又はその断片であって、CD2との結合活性を保持するその断片を含むか、又は
(ii)前記補助刺激性分子が、抗CD2抗体又はその断片であって、CD2との結合活性を保持するその断片を含む、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項14】
前記複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれが、ポリエチレン(PEG)部分、カルボン酸部分又はそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の抗原提示表面。
【請求項15】
前記複数の共活性化分子リガンドの前記TCR共活性化分子と前記補助TCR活性化分子との比率が、約3:1~約1:3である、請求項1に記載の抗原提示表面。
【請求項16】
ビーズの表面である、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗原提示表面。
【請求項17】
T細胞(T細胞)を活性化するための抗原提示表面を調製する方法であって、
前記T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子を、共有結合官能化表面の第1の複数の結合部分であって、前記第1の複数の結合部分のそれぞれが、前記一次活性化分子に結合するように構成される、第1の複数の結合部分と反応させることと、
T細胞受容体(TCR)共活性化分子、又は
補助TCR活性化分子
をそれぞれ含む複数の共活性化分子を、前記共活性化分子に結合するように構成された前記共有結合官能化表面の第2の複数の結合部分と反応させ、それにより、前記抗原提示表面上において、複数の特異的に結合された一次活性化分子リガンド及び複数の特異的に結合された共活性化分子リガンドを提供することと
を含む方法。
【請求項18】
前記TCR共活性化分子と前記補助TCR活性化分子との比率が、約20:1~約1:20である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の表面遮断分子を前記共有結合官能化表面の第3の複数の結合部分と反応させることをさらに含み、前記第3の複数の前記結合部分のそれぞれが、前記表面遮断分子に結合するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記MHC分子が、タンパク質配列及びβミクログロブリンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
MHC分子を含む前記複数の一次活性化分子のそれぞれが、腫瘍関連抗原をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍関連抗原が、SLC45A2、TCL1、VCX3A、MART1又はNYESO1である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記共有結合官能化表面の前記第1の複数の結合部分のそれぞれが、ストレプトアビジン又はビオチン部分を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
中間反応性表面の反応性部分の少なくとも第1のサブセットを、結合部分をそれぞれ含む第1の連結試薬と反応させることにより、前記第1の複数の結合部分を含む前記共有結合官能化表面を生成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記結合部分が、ストレプトアビジン又はビオチンであり、任意選択的に、前記結合部分がビオチンである場合、前記方法が、前記ビオチンをストレプトアビジンに非共有結合させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の複数の結合部分が、前記少なくとも第1の複数の結合部分の第2のサブセットである、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記表面遮断分子に結合するように構成された前記第3の複数の結合部分が、前記中間反応性表面の前記反応性部分のさらなるサブセットである、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記抗原提示表面が、ビーズの表面である、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
Tリンパ球(T細胞)を活性化する方法であって、
複数のT細胞を、
前記T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド、及び
T細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンド
を含む抗原提示合成表面と接触させることと、
前記抗原提示合成表面と接触させて前記複数のT細胞を培養し、それにより、前記複数のT細胞の少なくとも一部を活性化T細胞に変換することと
を含む方法。
【請求項30】
Tリンパ球(T細胞)を活性化する方法であって、
複数のT細胞を、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗原提示合成表面と接触させることと、
前記抗原提示合成表面と接触させて前記複数のT細胞を培養し、それにより、前記複数のT細胞の少なくとも一部を活性化T細胞に変換することと
を含む方法。
【請求項31】
前記T細胞が、CD8+T細胞を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のT細胞を複数の成長刺激性分子リガンドと接触させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記成長刺激性分子リガンドのそれぞれが、成長因子受容体リガンドを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記成長因子受容体リガンドが、IL-21又はその断片を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗原提示合成表面と接触させての前記培養が、約4日間~約7日間の期間にわたって実施される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記抗原提示合成表面と接触させての活性化の第1の期間を完了させることであって、前記抗原提示合成表面が、第1の抗原提示合成表面である、完了させることと、
前記複数の活性化T細胞を、MHC分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む第2の抗原提示合成表面と接触させることと、
前記複数の活性化T細胞を第2の培養期間にわたって前記第2の抗原提示合成表面と接触させて培養し、それにより、増殖された複数の活性化T細胞を提供することと
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の抗原提示表面が、複数のビーズの表面であり、及び前記方法が、1:1の比率で前記第2の複数の抗原提示ビーズを前記複数の活性化T細胞に添加することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記活性化T細胞が、CD45RO+である、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記活性化T細胞が、CD28陽性である、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記抗原提示表面が、ビーズの表面である、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記複数のT細胞が、約1:1の抗原提示ビーズ対細胞の比率で抗原提示ビーズに接触される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項30に記載の方法によって生成された生成物T細胞を含む活性化T細胞の集団。
【請求項43】
がんの治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象から複数のTリンパ球(T細胞)を取得することと、
前記複数のT細胞を、前記複数のT細胞のそれぞれのT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む抗原提示合成表面と接触させることであって、前記MHC分子が、前記対象の前記がんに特異的な抗原を含み、前記抗原提示合成表面が、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗原提示表面である、接触させることと、
複数の活性化T細胞を生成することであって、前記活性化が、前記対象の前記がんに特異的であるように構成される、生成することと、
前記複数の特異的活性化T細胞を非活性化細胞から分離することと、
前記複数の抗原特異的活性化T細胞を前記対象に導入することと
を含む方法。
【請求項44】
前記複数の抗原特異的活性化T細胞の前記分離が、前記抗原特異的活性化T細胞の表面バイオマーカーを検出することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記表面バイオマーカーが、CD45RO+又はCD28+である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記抗原特異的活性化T細胞を急速に増殖させて、抗原特異的活性化T細胞の増殖された集団を提供することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記急速な増殖が、前記特異的活性化T細胞を前記非活性化T細胞から分離した後に実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象における前記がんの進行を遅延又は停止させる、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記抗原提示表面が、ビーズの表面である、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
Tリンパ球(T細胞)の抗原特異的活性化のために共有結合修飾合成表面を調製するためのキットであって、
a.少なくとも1つの複数のストレプトアビジン官能基と、少なくとも1つの複数の表面遮断分子リガンドであって、前記複数の表面遮断分子リガンドが、共有結合官能化合成表面に共有結合される、少なくとも1つの複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化合成表面であって、前記ストレプトアビジン官能基が、(i)前記共有結合官能化合成表面に共有結合されるか、又は(ii)前記共有結合官能化合成表面に共有結合されたビオチン部分を通して前記共有結合官能化合成表面に非共有結合される、共有結合官能化合成表面、及び
b.前記T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む第1の修飾試薬であって、さらに、前記MHC分子が、前記共有結合官能化合成表面の前記複数のストレプトアビジン官能基の第1のサブセットの1つに結合するように構成される、第1の修飾試薬
を含むキット。
【請求項51】
前記複数のMHC分子のそれぞれが、少なくとも1つのビオチン官能基をさらに含む、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
前記共有結合官能化合成表面の前記複数のストレプトアビジン官能基の第2のサブセットの1つに結合するようにそれぞれ構成される複数の共活性化分子を含む試薬をさらに含み、前記共活性化分子のそれぞれが、T細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子を含む、請求項50に記載のキット。
【請求項53】
前記複数の共活性化分子が、T細胞受容体(TCR)共活性化分子の第1のサブセット及び補助TCR活性化分子の第2のサブセットを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項54】
複数の共活性化分子を含む前記試薬を含有する容器が、約20:1~約1:20の比率の、前記複数の共活性化分子リガンドの前記TCR共活性化分子及び前記補助TCR活性化分子を含有する、請求項49に記載のキット。
【請求項55】
成長刺激性分子を含む試薬をさらに含み、各成長刺激性分子が、成長因子受容体リガンドを含む、請求項50に記載のキット。
【請求項56】
サイトカインが、IL-21又はその断片を含む、請求項50に記載のキット。
【請求項57】
前記共有結合官能化合成表面が、ビーズの表面である、請求項50~56のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
複数のストレプトアビジン官能基又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化表面を調製する方法であって、
中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第1のサブセットを複数の連結試薬と反応させることであって、前記複数のそれぞれの連結試薬が、ストレプトアビジン又はビオチンを含む、反応させることと、
前記中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第2のサブセットを、複数の表面遮断分子と反応させ、それにより、少なくとも1つの複数のストレプトアビジン又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む前記共有結合官能化合成表面を提供することと
を含み、前記連結試薬がビオチンを含む場合、任意選択的に、ストレプトアビジンを前記ビオチン官能基と非共有結合させることをさらに含む、方法。
【請求項59】
マイクロ流体装置内で抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法であって、前記マイクロ流体装置が、
第1の液体媒体を含有する流動領域、及び
単離領域と接続領域とを含む隔離ペン
を含み、前記接続領域が、前記流動領域への近位開口部と前記単離領域への遠位開口部とを有し、及び前記単離領域が、前記接続領域に開口しており、前記第1の隔離ペンの前記単離領域が、前記流動領域の非掃引領域であり、前記方法が、
前記マイクロ流体装置の隔離ペン内に1つ又は複数の標的細胞を負荷することと、
1つ又は複数のT細胞が前記1つ又は複数の標的細胞と接触し得るように、前記1つ又は複数のT細胞を前記隔離ペンに負荷することと、
前記標的細胞を、アポトーシス細胞を標識する検出可能なマーカーと接触させることと、
前記標的細胞がアポトーシスになるかどうかを検出することと
を含む、方法。
【請求項60】
抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキットであって、
マイクロ流体装置、及び
アポトーシス細胞を検出するための試薬
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
[0001] 免疫療法は、がんを成功裏に治療するための潜在的に強力なアプローチを提供する。抗原提示樹状細胞によるTリンパ球活性化は、免疫療法で使用される腫瘍標的化細胞傷害性Tリンパ球を調製する1つの態様である。樹状細胞による活性化は、より再現性が高く、より特徴付け可能な技術を使用することによって改善され得る。本発明のいくつかの実施形態は、Tリンパ球を活性化するように構成された修飾表面と、このような修飾表面を使用してTリンパ球を活性化する関連方法と、このような活性化Tリンパ球を含有する組成物とを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の概要
[0002] 第1の態様では、Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面であって、複数の一次活性化分子リガンドであって、それぞれの一次活性化分子リガンドは、T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子を含む、複数の一次活性化分子リガンド、及びTCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含み、複数の一次活性化分子リガンド及び複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、抗原提示表面に特異的に結合される、抗原提示表面が提供される。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドは、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含む。いくつかの実施形態では、TCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約10:1~約1:20であり得る。いくつかの実施形態では、複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置され得る。他の実施形態では、複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子の密度で抗原提示表面の表面の少なくとも一部上に配置される。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、ビーズの表面であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、ウエハの表面であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、マイクロ流体装置の少なくとも1つの内表面であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、管の内表面であり得る。
【0003】
[0003] 別の態様では、Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面を調製する方法であって、T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子を、共有結合官能化表面の第1の複数の結合部分であって、第1の複数の結合部分のそれぞれは、一次活性化分子に結合するように構成される、第1の複数の結合部分と反応させることと、T細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子を、共活性化分子に結合するように構成された共有結合官能化表面の第2の複数の結合部分と反応させ、それにより、抗原提示表面上において、複数の特異的に結合された一次活性化分子リガンド及び複数の特異的に結合された共活性化分子リガンドを提供することとを含む方法が提供される。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、ビーズの表面であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、ウエハの表面であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、マイクロ流体装置の少なくとも1つの内表面であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗原提示表面は、管の内表面であり得る。
【0004】
[0004] 別の態様では、Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示合成表面を調製するためのキットであって、a.複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤を含む、本明細書に記載の任意の共有結合官能化合成表面、及びT細胞のT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む第1の修飾試薬であって、さらに、MHC分子は、共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤の第1のサブセットの1つに結合するように構成される、第1の修飾試薬を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、第1のカップリング剤は、ビオチン結合剤であり得る。ビオチン結合剤は、ストレプトアビジンであり得る。いくつかの実施形態では、複数のMHC分子のそれぞれは、少なくとも1つのビオチン官能基をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、共有結合官能化合成表面の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤の第2のサブセットの1つに結合するようにそれぞれ構成された複数の共活性化分子を含む試薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、共活性化分子は、T細胞受容体(TCR)共活性化分子、補助TCR活性化分子又はそれらの任意の組み合わせであり得る。共活性化分子は、少なくとも1つのビオチン官能基をさらに含み得る。
【0005】
[0005] さらに別の態様では、複数のストレプトアビジン官能基又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化表面を調製する方法であって、中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第1のサブセットを複数の連結試薬と反応させることであって、複数のそれぞれの連結試薬は、ストレプトアビジン又はビオチンを含む、反応させることと、中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第2のサブセットを、複数の表面遮断分子と反応させ、それにより、少なくとも1つの複数のストレプトアビジン官能基又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化合成表面を提供することとを含む方法である。いくつかの実施形態では、連結試薬がビオチンを含む場合、方法は、任意選択的に、ストレプトアビジン官能基をビオチン官能基と非共有結合させることをさらに含む。
【0006】
[0006] 別の態様では、Tリンパ球(T細胞)を活性化させる方法であって、複数のT細胞を、T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド、及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む抗原提示合成表面と接触させることと、抗原提示合成表面と接触させて複数のT細胞を培養し、それにより、複数のT細胞の少なくとも一部を活性化T細胞に変換することとを含む方法が提供される。抗原提示合成表面は、例えば、本明細書に記載の抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、抗原提示管若しくは抗原提示マイクロ流体装置又は本明細書に記載の方法のいずれか1つの生成物などの本明細書に記載の任意の抗原提示合成表面であり得る。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数のT細胞を複数の成長刺激性分子リガンドと接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、成長刺激性分子リガンドのそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含む。いくつかの実施形態では、成長因子受容体リガンドは、IL-21又はその断片を含む。
【0007】
[0007] 別の態様では、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法であって、マイクロ流体装置の隔離ペンに1つ又は複数の標的細胞を負荷することと、1つ又は複数のT細胞が1つ又は複数の標的細胞と接触し得るように、1つ又は複数のT細胞を隔離ペンに負荷することと、標的細胞を、アポトーシス細胞を標識する検出可能なマーカーと接触させることと、標的細胞がアポトーシスになるかどうかを検出することとを含む方法が提供される。特定の実施形態では、マイクロ流体装置は、マイクロ流体チャネルをさらに含み、及び隔離ペンは、隔離ペンがマイクロ流体チャネルに流体接続するように、マイクロ流体チャネルに開口している開口部を含む。特定の実施形態では、複数の標的細胞が隔離ペンに負荷される。他の実施形態では、単一の標的細胞が隔離ペンに負荷される。特定の実施形態では、単一のT細胞が隔離ペンに負荷される。他の実施形態では、複数のT細胞が隔離ペンに負荷される。特定の実施形態では、標的細胞及び/又はT細胞は、それらをマイクロ流体チャネルに流し込み、次にマイクロ流体チップを傾け、且つ標的細胞及び/又はT細胞が重力によって隔離ペンに引き込まれることを可能にすることにより、隔離ペンに負荷される。特定の実施形態では、マイクロ流体装置は、DEP構成を含み、DEP力を用いて標的細胞及び/又は細胞が隔離ペンに負荷される。特定の実施形態では、DEP力は、構造化された光によって活性化される。特定の実施形態では、検出可能なマーカーは、マイクロ流体チャネルを通して流れる溶液中に提供され、そこで、検出可能なマーカーは、マイクロ流体チャネルから隔離ペンに拡散し、且つ標的細胞と接触し得る。特定の実施形態では、検出可能なマーカーは、カスパーゼ3基質などの酵素基質である。他の実施形態では、検出可能なマーカーは、アポトーシス細胞及び/又はアポトーシス小体に特異的に結合する標識抗体である。特定の実施形態では、標的細胞がアポトーシスになるかどうかの検出は、標的細胞を検出可能なマーカーと接触させた2時間以上(例えば、3、4、5、6、7時間以上)後に判定される。特定の実施形態では、標的細胞は、がん細胞株由来の細胞などのがん細胞である。特定の実施形態では、標的細胞は、がん関連抗原又はがん特異的抗原を発現する細胞株由来の細胞である。特定の実施形態では、標的細胞は、黒色腫、乳がん又は肺がんに関連する抗原を発現する。特定の実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する。例えば、T細胞は、CAR T細胞であり得る。他の実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体を発現しない。例えば、T細胞は、治療的内因性T細胞(ETC)であり得る。
【0008】
[0008] 別の態様では、がんの治療を必要とする対象を治療する方法であって、対象から複数のTリンパ球(T細胞)を取得することと、複数のT細胞を、複数のT細胞のそれぞれのT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む抗原提示合成表面と接触させることであって、MHC分子は、対象のがんに特異的な抗原を含み、抗原提示合成表面は、本明細書に記載されるか又は本明細書に記載の方法によって生成される抗原提示表面である、接触させることと、複数の活性化T細胞を生成することであって、活性化は、対象のがんに特異的であるように構成される、生成することと、複数の特異的活性化T細胞を非活性化細胞から分離することと、複数の抗原特異的活性化T細胞を対象に導入することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗原提示表面は、本明細書に記載の抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、抗原提示管又は抗原提示マイクロ流体装置である。
【0009】
[0009] 別の態様では、Tリンパ球(T細胞)を活性化するためのキットであって、本明細書に記載される抗原提示表面を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、抗原提示表面は、本明細書に記載の抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、抗原提示管又は抗原提示マイクロ流体装置である。
【0010】
[0010] 別の態様では、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキットであって、マイクロ流体装置(例えば、マイクロ流体チャネルと隔離ペンとを有するマイクロ流体装置)、及びアポトーシスを検出するための試薬を含むキットが提供される。特定の実施形態では、マイクロ流体装置は、抗原提示マイクロ流体装置である。マイクロ流体装置又は抗原提示マイクロ流体装置は、本明細書に記載の任意のマイクロ流体装置又は抗原提示マイクロ流体装置であり得る。特定の実施形態では、アポトーシスを検出するための試薬は、カスパーゼ3などのカスパーゼ酵素の基質である。特定の実施形態では、アポトーシスを検出するための試薬は、アポトーシス特異的抗体などのアポトーシス細胞に特異的に結合する。
【0011】
[0011] さらなる態様では、少なくとも1つの複数のストレプトアビジン官能基と、少なくとも1つの複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化合成表面であって、複数の表面遮断分子リガンドは、共有結合官能化合成表面に共有結合され、及びストレプトアビジン官能基は、(i)共有結合官能化合成表面に共有結合されるか、又は(ii)共有結合官能化合成表面に共有結合されたビオチン部分を通して共有結合官能化合成表面に非共有結合される、共有結合官能化合成表面が提供される。いくつかの実施形態では、共有結合官能化合成表面は、本明細書に記載の共有結合官能化ビーズ、共有結合官能化ウエハ又は共有結合官能化マイクロ流体装置であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
図1】[0012] 図1Aは、本開示のある実施形態に係るマイクロ流体デバイス及び関連する制御機器とともに使用するためのシステムの例を示す。[0013] 図1B及び図1Cは、本開示のある実施形態に係るマイクロ流体デバイスを示す。
図2】[0014] 図2A及び図2Bは、本開示のある実施形態に係る隔離ペンを示す。[0015] 図2Cは、本開示のある実施形態に係る詳細な隔離ペンを示す。[0016] 図2D-Fは、本開示のある他の実施形態に係る隔離ペンを示す。[0017] 図2Gは、本開示の一実施形態に係るマイクロ流体デバイスを示す。[0018] 図2Hは、本開示の一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの被覆表面を示す。
図3】[0019] 図3Aは、本開示のある実施形態に係るマイクロ流体デバイス及び関連する制御機器とともに使用するためのシステムの具体例を示す。[0020] 図3Bは、本開示のある実施形態に係るイメージングデバイスを示す。
図4】[0021]本開示の一実施形態によるT細胞活性化経路のグラフ表示である。
図5A】[0022]本開示の様々な実施形態による抗原提示表面の調製の概略図である。
図5B】[0022]本開示の様々な実施形態による抗原提示表面の調製の概略図である。
図6】[0023]本開示の一実施形態による、抗原提示表面を調製するプロセスの概略図である。
図7A】[0024]本開示のいくつかの実施形態によるパターン化抗原提示表面の走査型電子顕微鏡写真である。
図7B】[0024]本開示のいくつかの実施形態によるパターン化抗原提示表面の走査型電子顕微鏡写真である。
図8A】[0025]本開示のいくつかの実施形態による、培養7日目におけるTリンパ球の活性化に関する様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図8B】[0025]本開示のいくつかの実施形態による、培養7日目におけるTリンパ球の活性化に関する様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図8C】[0025]本開示のいくつかの実施形態による、培養7日目におけるTリンパ球の活性化に関する様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図8D】[0025]本開示のいくつかの実施形態による、培養7日目におけるTリンパ球の活性化に関する様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図9】[0026]本開示のいくつかの実施形態による活性化Tリンパ球の特性の分布のグラフ表示である。
図10】[0027]本開示の一実施形態による、抗原提示ビーズ活性化の使用と樹状細胞活性化とを比較した、刺激及び培養の第1の期間後における活性化Tリンパ球の分布のグラフ表示である。
図11】[0028]本開示の一実施形態による、抗原提示ビーズ活性化の使用と樹状細胞活性化とを比較した、刺激及び培養の第2の期間後における活性化Tリンパ球の分布のグラフ表示である。
図12】[0029]樹状細胞の活性化と比較した、7日目及び14日目におけるTリンパ球の活性化に関する様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図13】[0030]選択された官能化ステップにおける共有結合官能化ポリスチレンビーズのフーリエ変換赤外線スペクトルのグラフ表示である。
図14A】[0031]本開示の実施形態によるT細胞の活性化のための様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図14B】[0031]本開示の実施形態によるT細胞の活性化のための様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図14C】[0031]本開示の実施形態によるT細胞の活性化のための様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図14D】[0031]本開示の実施形態によるT細胞の活性化のための様々な特性評価パラメーターのグラフ表示である。
図15A】[0032]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図15B】[0032]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図15C】[0032]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図15D】[0032]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図15E】[0032]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図16】[0033]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図17】[0034]本開示の一実施形態による細胞傷害性実験のグラフ表示である。
図18A】[0035]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図18B】[0035]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図18C】[0035]本開示の一実施形態による細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図19A】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図19B】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図19C】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図19D】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図19E】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図19F】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20A】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20B】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20C】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20D】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20E】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20F】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20G】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20H】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図20I】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図21A】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図21B】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図21C】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図21D】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図21E】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図21F】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、抗原提示表面を使用した活性化の特性評価のグラフ表示である。
図22A】[0039]本開示のいくつかの実施形態による抗原特異的細胞傷害性アッセイにおいて、Tリンパ球及びカスパーゼ3基質と接触させた後の選択された時点で撮影された標的細胞の画像である。
図22B】[0039]本開示のいくつかの実施形態による抗原特異的細胞傷害性アッセイにおいて、Tリンパ球及びカスパーゼ3基質と接触させた後の選択された時点で撮影された標的細胞の画像である。
図22C】[0040]本開示のいくつかの実施形態による抗原特異的細胞傷害性アッセイの経過のグラフ表示である。
図23A】[0041]本開示のいくつかの実施形態による抗原提示表面を使用して得られた細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図23B】[0041]本開示のいくつかの実施形態による抗原提示表面を使用して得られた細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図23C】[0041]本開示のいくつかの実施形態による抗原提示表面を使用して得られた細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図23D】[0041]本開示のいくつかの実施形態による抗原提示表面を使用して得られた細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
図23E】[0041]本開示のいくつかの実施形態による抗原提示表面を使用して得られた細胞産物の特性評価のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
[0042] 本明細書は、本開示の例示的な実施形態及び用途を記載する。しかし、本開示は、これらの例示的な実施形態及び用途若しくは例示的な実施形態及び用途が動作する様式又は本明細書に記載される様式に限定されない。さらに、図は、簡略化された図又は部分図を示し得、図中の要素の寸法は、誇張され得るか、又はさもなければ比例しなくてもよい。さらに、「上」、「付着する」、「接続する」、「共役する」又は同様の語が本明細書で使用される場合、1つの要素が他の要素上に直接あるか、それに付着するか、それに接続するか若しくはそれに共役するか、又は1つの要素と他の要素との間に1つ又は複数の介在要素があるかどうかにかかわりなく、1つの要素(例えば、材料、層、基板など)が別の要素「上」にあるか、それに「付着」されるか、それに「接続」されるか、又はそれに「共役」され得る。また、文脈で特に指示がない限り、方向(例えば、上方、下方、上部、底部、横、上に、下に、下方に、上方に、上部、下部、水平、垂直、「x」、「y」、「z」など)は、提供される場合、相対的であり、限定としてでなく例として且つ図解及び考察を容易にするためにのみ提供される。さらに、要素の一覧(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、このような参照は、列挙される要素のいずれか1つのみ、列挙された全ての要素に満たない任意の組み合わせ及び/又は列挙された全ての要素の組み合わせを含むことが意図される。「又は」という用語は、文脈で特に指示がない限り、包括的な意味において、すなわち「及び/又は」と均等に使用される。本明細書及び添付の特許請求範囲の用法では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」並びに任意の語の任意の単数形の使用は、明示的且つ明確に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。本明細書の用法では、「含む」、「包含する」及びそれらの文法上の変形は、非限定的であることが意図され、一覧内の項目の列挙は、列挙された項目に置換又は追加され得る他の同様の項目を除外しない。本明細書のセクションの分割は、閲覧を容易にするためのみのものであり、考察される要素のいかなる組み合わせも限定しない。参照により援用される資料と、本明細書で提供される明示的に記載された内容との間に不合理又は矛盾がある場合、明示的に記載された内容が優先する。
【0014】
[0043] マイクロ流体特徴の寸法がある幅又は面積を有するものとして記載される場合、寸法は、典型的に、x軸及び/又はy軸寸法(両方ともマイクロ流体デバイスの基板及び/又はカバーに平行な面内にある)に対して記載される。マイクロ流体特徴の高さは、マイクロ流体デバイスの基板及び/又はカバーに平行な面と垂直なz軸方向に対して記載され得る。場合により、チャネル又は通路などのマイクロ流体特徴の断面積は、x軸/z軸、y軸/z軸又はx軸/y軸の面積に関連したものであり得る。
【0015】
[0044] 本明細書及び特許請求の範囲の目的では、別段の指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される量、百分率又は比率及び他の数値を表す全ての数字は、全ての場合において、依然としてそれほど修飾されていない程度に「約」という用語によって修飾されているものと理解される。「約」は、例えば、10%、5%、2%又は1%以内など、記載された主題の特性に実質的に影響を及ぼさない。したがって、別段の指示がある場合を除いて、以下の本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、得ようとする所望の特性次第で変動し得る近似値である。最低限でも且つ均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め手法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0016】
[0045] 定義
本明細書において使用される際、「実質的に」は、意図される目的のために機能するのに十分であることを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、当業者によって予測され得るが、全体的な性能にそれほど影響しないような、絶対的又は完全な状態、寸法、測定、結果などからの小さいわずかな変動を許容する。数値として表され得る数値又はパラメータ又は特徴に関して使用される場合、「実質的に」は、10パーセント以内を意味する。
【0017】
[0046] 「1つ」という用語は、2つ以上を意味する。本明細書において使用される際、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超えるものであり得る。
【0018】
[0047] 本明細書において使用される際、「アルキル」は、1から6個の炭素原子を有する(例えば、C~Cアルキル)、不飽和を含まない、炭素及び水素原子のみからなる直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖ラジカルを指す。アルキルが本明細書に出現するときには常に、「1から6」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1から6個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの最大で6個の(6個を含む)炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が示されていない「アルキル」という用語の出現も包含する。ある実施形態において、アルキルは、C~Cアルキル基である。典型的なアルキル基としては、決して限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルイソブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。アルキルは、単結合、例えばメチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、ヘキシルなどにより、分子の残りの部分に結合される。
【0019】
[0048] 本明細書において特に別段の記載がない限り、アルキル基は、独立して、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR’、-SR’、-OC(O)-R’、-N(R’)、-C(O)R’、-C(O)OR’、-OC(O)N(R’)、-C(O)N(R’)、-N(R’)C(O)OR’、-N(R’)C(O)R’、-N(R’)C(O)N(R’)、N(R’)C(NR’)N(R’)、-N(R’)S(O)R’(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)OR’(ここで、tは、1又は2である)、-S(O)N(R’)2(ここで、tは、1又は2である)又はPO(R’)である1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換され得、ここで、各R’は、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールである。
【0020】
[0049] 本明細書において言及される際、フッ素化アルキル部分は、アルキル部分の1つ又は複数の水素がフルオロ置換基で置換されたアルキル部分である。過フッ素化アルキル部分は、アルキル部分に結合された全ての水素がフルオロ置換基で置換されている。
【0021】
[0050] 本明細書において言及される際、「ハロ」部分は、ブロモ、クロロ又はフルオロ部分である。
【0022】
[0051] 本明細書において言及される際、「オレフィン性」化合物は、「アルケン」部分を含有する有機分子である。アルケン部分は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる基を指す。分子の非アルケン部分は、任意の種類の有機分子であり得、ある実施形態において、アルキル又はフッ素化(限定はされないが、過フッ素化を含む)アルキル部分を含み得、そのいずれかがさらに置換され得る。
【0023】
[0052] 本明細書において使用される際、「空気」は、地球の大気中で優勢なガスの組成物を指す。4つの最も豊富なガスは、窒素(典型的に、約78体積%、例えば約70~80%の範囲の濃度で存在する)、酸素(典型的に、海面位で約20.95体積%、例えば約10%から約25%の範囲で存在する)、アルゴン(典型的に、約1.0体積%、例えば約0.1%から約3%の範囲で存在する)及び二酸化炭素(典型的に、約0.04%、例えば約0.01%から約0.07%の範囲で存在する)である。空気は、メタン、亜酸化窒素又はオゾンなどの他の微量ガス、花粉、ディーゼル微粒子などの微量汚染物質及び有機材料を有し得る。空気は、水蒸気(典型的に、約0.25%で存在するか、又は約10ppmから約5体積%の範囲で存在し得る)を含み得る。空気は、ろ過され、制御された組成物として培養実験において使用するために提供され得、本明細書に記載されるように調整され得る。
【0024】
[0053] 本明細書において使用される際、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超えるものであり得る。
【0025】
[0054] 本明細書において使用される際、「配置される」という用語は、その意味内に「位置する」を包含する。
【0026】
[0055] 本明細書において使用される際、「マイクロ流体デバイス」又は「マイクロ流体装置」は、流体を保持するように構成された1つ又は複数の個別のマイクロ流体回路を含むデバイスであり、各マイクロ流体回路は、限定はされないが、領域、流路、チャネル、チャンバ及び/又はペンを含む、互いに流体接続された回路素子、並びに流体(及び任意選択的に流体中で懸濁された微小物体)をマイクロ流体デバイス内及び/又は外に流すように構成された少なくとも1つのポートから構成される。典型的に、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネル及び少なくとも1つのチャンバを含み得るフロー領域を含み、約1mL未満、例えば約750、500、250、200、150、100、75、50、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3又は2μL未満の体積の流体を保持する。特定の実施形態において、マイクロ流体回路は、約1~2、1~3、1~4、1~5、2~5、2~8、2~10、2~12、2~15、2~20、5~20、5~30、5~40、5~50、10~50、10~75、10~100、20~100、20~150、20~200、50~200、50~250又は50~300μLを保持する。マイクロ流体回路は、マイクロ流体デバイスにおいて第1のポート(例えば、入口)と流体接続される第1の端部、及びマイクロ流体デバイスにおいて第2のポート(例えば、出口)と流体接続される第2の端部を有するように構成され得る。
【0027】
[0056] 本明細書において使用される際、「ナノ流体デバイス」又は「ナノ流体装置」は、約1μL未満、例えば約750、500、250、200、150、100、75、50、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1nL未満又はそれを下回る体積の流体を保持するように構成された少なくとも1つの回路素子を含むマイクロ流体回路を有するタイプのマイクロ流体デバイスである。ナノ流体デバイスは、複数の回路素子(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、6000、7000、8000、9000、10,000個又はそれを超える)を含み得る。特定の実施形態において、少なくとも1つの回路素子の1つ又は複数(例えば、全て)は、約100pLから1nL、100pLから2nL、100pLから5nL、250pLから2nL、250pLから5nL、250pLから10nL、500pLから5nL、500pLから10nL、500pLから15nL、750pLから10nL、750pLから15nL、750pLから20nL、1から10nL、1から15nL、1から20nL、1から25nL又は1から50nLの体積の流体を保持するように構成される。他の実施形態において、少なくとも1つの回路素子の1つ又は複数(例えば、全て)は、約20nLから200nL、100から200nL、100から300nL、100から400nL、100から500nL、200から300nL、200から400nL、200から500nL、200から600nL、200から700nL、250から400nL、250から500nL、250から600nL又は250から750nLの体積の流体を保持するように構成される。
【0028】
[0057] マイクロ流体デバイス又はナノ流体デバイスは、本明細書において「マイクロ流体チップ」若しくは「チップ」又は「ナノ流体チップ」若しくは「チップ」と呼ばれ得る。
【0029】
[0058] 本明細書において使用される際の「マイクロ流体チャネル」又は「フローチャネル」は、水平及び垂直寸法の両方より著しく長い長さを有するマイクロ流体デバイスのフロー領域を指す。例えば、フローチャネルは、水平又は垂直寸法のいずれかの長さの少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍の長さ、少なくとも25倍の長さ、少なくとも100倍の長さ、少なくとも200倍の長さ、少なくとも500倍の長さ、少なくとも1,000倍の長さ、少なくとも5,000倍の長さ又はそれを超える長さであり得る。ある実施形態において、フローチャネルの長さは、約100,000μmから約500,000μm(その間の任意の値を含む)である。ある実施形態において、水平寸法は、約100μmから約1000μm(例えば、約150から約500μm)であり、垂直寸法は、約25μmから約200μm、(例えば、約40から約150μm)である。フローチャネルは、マイクロ流体デバイスにおいて様々な異なる空間形状を有し得、したがって完全に線形の要素に限定されないことが留意される。例えば、フローチャネルは、以下の形状:曲線、湾曲、らせん形、傾斜、下降、フォーク形(例えば、複数の異なる流路)及びそれらの任意の組合せを有する1つ又は複数の部分であり得るか、又はそれを含み得る。さらに、フローチャネルは、その経路に沿って異なる断面積を有し、拡大及び収縮して、所望の流体フローを中に提供し得る。フローチャネルは、弁を含み得、弁は、マイクロ流体工学の技術分野において公知の任意のタイプのものであり得る。弁を含むマイクロ流体チャネルの例が米国特許第6,408,878号及び同第9,227,200号に開示されており、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に援用される。
【0030】
[0059] 本明細書において使用される際、「障害物」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイスにおける2つの異なる領域又は回路素子間の標的微小物体の移動を部分的に(完全にではなく)妨げるのに十分に大きい凹凸(bump)又は同様のタイプの構造を指す。2つの異なる領域/回路素子は、例えば、マイクロ流体隔離ペン及びマイクロ流体チャネル、又はマイクロ流体隔離ペンの接続領域及び分離領域であり得る。
【0031】
[0060] 本明細書において使用される際、「狭窄」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイスにおける回路素子(又は2つの回路素子間の境界面)の幅の狭窄を指す。狭窄は、例えば、マイクロ流体隔離ペンとマイクロ流体チャネルとの間の境界面又はマイクロ流体隔離ペンの分離領域と接続領域との間の境界面に位置し得る。
【0032】
[0061] 本明細書において使用される際、「透明」という用語は、可視光が透過する際に光を実質的に変更せずに可視光を透過させる材料を指す。
【0033】
[0062] 本明細書において使用される際、「微小物体」という用語は、一般に、本開示に従って分離及び/又は操作され得る任意の微視的物体を指す。微小物体の非限定的な例としては、微粒子;マイクロビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、Luminex(商標)ビーズなど);電磁ビーズ;微小ロッド;微小ワイヤ;量子ドットなどの無生物微小物体;細胞;生体細胞小器官;小胞若しくは複合体;合成小胞;リポソーム(例えば、合成であるか又は膜標本に由来する);脂質ナノラフト(nanoraft)などの生体微小物体;又は無生物微小物体及び生体微小物体の組合せ(例えば、細胞に付着したマイクロビーズ、リポソーム被覆マイクロビーズ、リポソーム被覆電磁ビーズなど)が挙げられる。ビーズは、蛍光標識、タンパク質、炭水化物、抗原、小分子シグナル伝達部分又はアッセイに使用可能な他の化学/生物種などの共有若しくは非共有結合された部分/分子を含み得る。脂質ナノラフトは、例えば、Ritchie et al.(2009)“Reconstitution of Membrane Proteins in Phospholipid Bilayer Nanodiscs”, Methods Enzymol., 464:211-231に記載されている。
【0034】
[0063] 本明細書において使用される際、「細胞」という用語は、「生体細胞」という用語と同義的に使用される。生体細胞の非限定的な例としては、真核細胞、植物細胞、動物細胞、例えば哺乳動物細胞、爬虫類細胞、鳥類細胞、魚類細胞など、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、原生動物細胞など、組織、例えば筋肉、軟骨、脂肪、皮膚、肝臓、肺、神経組織などから解離された細胞、免疫細胞、例えばT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージなど、胚(例えば、接合子)、卵母細胞、卵子、精子細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株からの細胞、癌細胞、感染細胞、トランスフェクト及び/又は形質転換細胞、レポーター細胞などが挙げられる。哺乳動物細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、霊長類などに由来し得る。
【0035】
[0064] 生体細胞のコロニーは、生殖可能なコロニー内の生細胞の全てが単一の親細胞に由来する娘細胞である場合、「クローン」である。特定の実施形態において、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、10以下の分割によって単一の親細胞に由来する。他の実施形態において、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、14以下の分割によって単一の親細胞に由来する。他の実施形態において、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、17以下の分割によって単一の親細胞に由来する。他の実施形態において、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、20以下の分割によって単一の親細胞に由来する。「クローン細胞」という用語は、同じクローンコロニーの細胞を指す。
【0036】
[0065] 本明細書において使用される際、生体細胞の「コロニー」は、2つ以上の細胞(例えば、約2から約20、約4から約40、約6から約60、約8から約80、約10から約100、約20から約200、約40から約400、約60から約600、約80から約800、約100から約1000個又は1000個を超える細胞)を指す。
【0037】
[0066] 本明細書において使用される際、「細胞を維持する」という用語は、流体成分及び気体成分の両方を含み、任意選択的に、細胞の生存及び/又は増殖を保持するのに必要な条件を提供する表面を含む環境を提供することを指す。
【0038】
[0067] 本明細書において使用される際、「増殖」という用語は、細胞に言及する場合、細胞数の増加を指す。
【0039】
[0068] 本明細書において言及される際、「ガス透過性」は、材料又は構造が酸素、二酸化炭素又は窒素の少なくとも1つに透過性であることを意味する。ある実施形態において、ガス透過性材料又は構造は、酸素、二酸化炭素及び窒素の2つ以上に透過性であり、さらにこれらのガスの3つ全てに透過性であり得る。
【0040】
[0069] 流体培地の「成分」は、溶媒分子、イオン、小分子、抗生物質、ヌクレオチド及びヌクレオシド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、脂肪酸、コレステロール、代謝産物などを含む、培地中に存在する任意の化学又は生化学分子である。
【0041】
[0070] 流体培地に関して本明細書において使用される際、「拡散する」及び「拡散」は、濃度勾配の低い方への流体培地の成分の熱力学的移動を指す。
【0042】
[0071] 「培地のフロー」という語句は、拡散以外の任意の機構に主に起因する流体培地のバルク移動を意味する。例えば、培地のフローは、地点間の圧力差に起因するある地点から別の地点への流体培地の移動を含み得る。このようなフローは、液体の連続、パルス状、周期的、ランダム、断続的若しくは往復フロー又はそれらの任意の組合せを含み得る。1つの流体培地が別の流体培地に流入する場合、培地の乱流及び混合が生じ得る。
【0043】
[0072] 「実質的にフローがない」という語句は、経時的に平均される場合、流体培地内への又は流体培地内の材料(例えば、対象とする分析物)の成分の拡散速度未満である流体培地の流量を指す。このような材料の成分の拡散速度は、例えば、温度、成分のサイズ及び成分と流体培地との間の相互作用の強度に左右され得る。
【0044】
[0073] マイクロ流体デバイス内の異なる領域に関して本明細書において使用される際、「流体接続される」という語句は、異なる領域に流体培地などの流体が実質的に充填される場合、領域のそれぞれの中の流体が単一の流体を形成するように接続されることを意味する。これは、異なる領域内の流体(又は流体培地)が必ずしも同一の組成であることを意味しない。むしろ、溶質がそれらのそれぞれの濃度勾配を低下させ、及び/又は流体がデバイスを通って流れるため、マイクロ流体デバイスの異なる流体接続される領域内の流体は、流束内で異なる組成(例えば、タンパク質、炭水化物、イオン又は他の分子などの異なる濃度の溶質)を有し得る。
【0045】
[0074] 本明細書において使用される際、「流路」は、培地のフローの軌道を画定し、それに曝される1つ又は複数の流体接続された回路素子(例えば、チャネル、領域、チャンバなど)を指す。したがって、流路は、マイクロ流体デバイスの掃引領域の例である。他の回路素子(例えば、非掃引領域)は、流路の培地のフローに曝されずに、流路を含む回路素子と流体接続され得る。
【0046】
[0075] 本明細書において使用される際、「微小物体を分離する」は、マイクロ流体デバイス内の画定された領域に微小物体を閉じ込める。
【0047】
[0076] マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスは、「掃引」領域及び「非掃引」領域を含み得る。本明細書において使用される際、「掃引」領域は、マイクロ流体回路の1つ又は複数の互いに流体接続された回路素子から構成され、これらの回路素子のそれぞれは、流体がマイクロ流体回路を通って流れるとき、培地のフローを受ける。掃引領域の回路素子は、例えば、領域、チャネル及びチャンバの全て又は部分を含み得る。本明細書において使用される際、「非掃引」領域は、マイクロ流体回路の1つ又は複数の互いに流体接続された回路素子から構成され、これらの回路素子のそれぞれは、流体がマイクロ流体回路を通って流れるとき、流体の流束を実質的に受けない。流体接続が、拡散を可能にするが、掃引領域と非掃引領域との間の培地のフローを実質的に可能にしないように構造化される場合、非掃引領域は、掃引領域に流体接続され得る。したがって、マイクロ流体デバイスは、掃引領域と非掃引領域との間の拡散的流体連通のみを実質的に可能にしながら、掃引領域内の培地のフローから非掃引領域を実質的に分離するように構造化され得る。例えば、マイクロ流体デバイスのフローチャネルが掃引領域の例である一方、マイクロ流体デバイスの分離領域(以下にさらに詳細に説明される)が非掃引領域の例である。
【0048】
[0077] 本明細書の用法では、流体媒体の流れの「非掃引」速度は、隔離ペンの単離領域内の第2の流体媒体の構成要素が流動領域内の第1の流体媒体に拡散すること、及び/又は第1の流体媒体の構成要素が単離領域の第2の流体媒体に拡散することを可能にするのに十分である、マイクロ流体チャネルなどの流動領域内の流れの速度を意味し、さらに、第1の媒体は、単離領域に実質的に流れ込まない。
【0049】
[0078] 本明細書の用法では、「合成表面」は、非生物学的プロセスによって合成表面が調製される、支持構造と気体/液体媒体との間の界面を指す。合成表面は、合成表面が生物有機体によって発現されない限り、例えば本明細書に記載の一次及び共活性化分子などのそれに接続する生物由来材料を有して、抗原提示合成表面を提供し得る。典型的には、支持構造は、ビーズ、ウエハ又は基板の非表面露出部分、マイクロ流体装置のカバー又は回路材料などの固体であり、生体の核又は細胞小器官を含まない。
【0050】
[0079] 本明細書の用法では、「共活性化」は、T細胞の活性化を生じさせる生産的免疫応答を亢進する一次T細胞受容体/抗原:MHC結合相互作用を除く、生体高分子、その断片又はその合成又は修飾バージョンとT細胞との結合相互作用を指す。共活性化相互作用は、例えば、CD28、CD2、ICOSなどの細胞内シグナル伝達に関与できるT細胞表面タンパク質とその作動薬との抗原非特異的相互作用である。「共活性化」及び「共活性化する」は、本明細書の用法では、それぞれ共刺激及び共刺激するという用語と均等である。
【0051】
[0080] 本明細書の用法では、「TCR共活性化分子」は、TCRの抗原特異的結合によって引き起こされる応答を増幅及び/又は完了させる遠位シグナル伝達分子を活性化する、T細胞上の1つ又は複数の共受容体に結合する生体高分子、その断片又はその合成又は修飾バージョンである。一例では、転写因子核因子κB(NF kB)及び活性化T細胞の核因子(NFAT)などのシグナル伝達分子は、TCR共活性化分子によって活性化される。TCR共活性化分子は、例えば、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)/Akt経路を通してシグナル伝達するCD28受容体の作動薬であり得る。図4を参照されたい。
【0052】
[0081] 本明細書の用法では、「CD28high」は、T細胞中の高いCD28表面発現の表現型を指す。当業者は、CD28high表現型及びCD28high T細胞を同定する適切な方法に精通している。別段の指示がない限り、CD28high T細胞には、以下の基準のいずれかを満たすT細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、CD28high T細胞は、休止期CD8+T細胞よりも高いレベルのCD28を発現するT細胞である。CD28high T細胞は、無関係の非抗原特異的T細胞よりも高いレベルのCD28を発現し得る。いくつかの実施形態では、CD28high T細胞は、FACSによって測定され得る表面CD28のレベルが、FACSによって測定され得る循環記憶T細胞上に存在する表面CD28のレベル以上である集団である。いくつかの実施形態では、CD28high T細胞は、同一サンプル又は個体由来の循環記憶T細胞上に存在する表面CD28のレベル以上の表面CD28のレベルを有する。表面CD28の発現は、FACSによって判定され得、循環記憶T細胞上に存在する表面CD28の平均(例えば、幾何平均)又は中央値レベルを用いて所与のT細胞がCD28highであるかどうかが判定され得る。いくつかの実施形態では、CD28high T細胞は、例えば、ナイーブT細胞の75%、80%、85%、87.5%、90%、92.5%又は95%を超えるなど、同一サンプル又は個体由来のナイーブCD8 T細胞に典型的な発現よりも有意に高いレベルでCD28を発現するT細胞である。CD8+細胞は、検出可能なCD28を発現し、CD45ROの発現は、最小限又は皆無であることから、ナイーブCD8T細胞は、例えば、フローサイトメトリーなどの既知の方法によって同定され特性評価され得る。
【0053】
[0082] 本明細書の用法では、「TCR補助活性化分子」は、抗原特異的TCR相互作用を増幅し、TCR共活性化分子と異なるシグナル分子のクラスを刺激する。例えば、TCR近位シグナル伝達複合体のリン酸化によるTCR近位シグナル伝達は、それによってTCR補助活性化分子が作用し得る1つの経路である。TCR補助活性化分子は、例えば、CD2受容体の作動薬であり得る。図4を参照されたい。
【0054】
[0083] 本明細書の用法では、「活性化T細胞」は、抗原(又はその子孫)を経験しており、その抗原に対する抗原特異的応答を開始できるT細胞である。活性化T細胞は、一般に、CD28、CD45RO、CD127及びCD197の少なくとも1つについて陽性である。
【0055】
概要。
[0084] がんの免疫療法は、有望な開発であるが、治療の対象に適合する特異的に活性化されたTリンパ球が必要である。しかし、Tリンパ球を活性化するための抗原提示樹状細胞の現在の使用には、いくつかの不利な側面がある。樹状細胞は、ドナーから入手しなければならず、処理量が限定される。樹状細胞は、Tリンパ球活性化の各順序で成熟させる必要があり、約7日間のリードタイムが必要である。樹状細胞の照射も必要であり、このような処理が実施され得る場所が限定される。
【0056】
[0085] Tリンパ球の活性化のために、自己由来抗原提示樹状細胞の使用を抗原提示合成表面で置き換えることで、治療的に適切な集団についてTリンパ球を刺激し且つ増殖させるより大きい再現性がもたらされ得る。抗原提示合成表面は、Tリンパ球の抗原特異的活性化のために操作されて、がんの治療に望ましい表現型を有する活性化Tリンパ球の集団のより制御可能であり、より特徴付け可能であり、より再現可能であり及び/又はより迅速な開発が提供され得る。抗原提示合成表面は、例えば、特定形態の記憶T細胞の濃縮など、活性化に続く所望のT細胞表現型のより正確な標的化をはじめとする、T細胞活性化に対するさらなる制御及び選択性も可能にし得る。さらに、抗原提示合成表面はまた、規模の経済性を活用し得、及び/又は自己由来抗原提示樹状細胞を使用するよりも高い再現性を提供し得る。したがって、この技術は、それを必要とする患者により多くの及び/又はより短い時間での細胞療法を利用可能にし得る。細胞療法に有用なT細胞をより迅速に提供することは、進行疾患の患者にとって特に重要であり得る。このような抗原提示合成表面の構造及びそれらの調製法及び使用法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面は、一緒になってT細胞を活性化する役割を果たす、TCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子と組み合わされた一次活性化リガンドを含む。有効性をさらに改善し得るこれらの構成要素の表面密度範囲及び互いの比率も本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面及びそれらの調製法及び使用法は、前述の利点の1つ又は複数を提供するか、又は少なくとも有用な選択肢を公共に提供する。
【0057】
T細胞活性化のための抗原提示合成表面。
[0086] Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示合成表面であって、複数の一次活性化分子リガンド、及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む抗原提示合成表面が本明細書で提供され、複数の一次活性化分子リガンド及び複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、抗原提示合成表面に特異的に結合する。各一次活性化分子リガンドは、T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)分子を含み得る。いくつかの実施形態では、MHC分子は、MHCクラス1分子である。いくつかの実施形態では、MHC分子は、MHCクラスII分子である。いくつかの実施形態では、一次活性化分子リガンドは、抗原性ペプチド(例えば、共有又は非共有結合MHC分子)を含む。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドは、複数のT細胞受容体(TCR)共活性化分子及び複数の補助TCR活性化分子を含む。いくつかの実施形態では、T細胞受容体(TCR)共活性化分子及び補助TCR活性化分子は、例えば、約20:1~約1:20又は約10:1~約1:20などの約1:100~約100:1の比率で存在する。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドの1つ又は複数は、活性化T細胞(NFAT)の転写因子核因子κB(NF kB)及び核因子などのシグナル伝達分子を活性化し得るTCR共活性化分子である。いくつかの態様では、TCR共活性化分子は、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)/Akt経路を通してシグナル伝達するCD28受容体の作動薬である。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドの1つ又は複数は、例えば、TCR近位シグナル伝達複合体のリン酸化により、TCR近位シグナル伝達を活性化するTCR補助活性化分子である。TCR補助活性化分子は、例えば、CD2受容体の作動薬であり得る。CD28及びCD2受容体を通して活性化され得る例示的な経路(及び追加的な詳細)は、図4に示される。この抗原提示合成表面によって活性化されるT細胞は、ナイーブT細胞であり得る。抗原提示合成表面は、抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、管(例えば、ガラス管又はポリマー管)の抗原提示内表面又はマイクロ流体装置の抗原提示内表面であり得る。抗原提示マイクロ流体装置は、本明細書に記載の任意のマイクロ流体装置であり得、本明細書に記載の特徴の任意の組み合わせを有し得る。
【0058】
[0087] 様々な実施形態において、抗原提示合成表面は、生体外でTリンパ球を活性化するように構成される。一次活性化分子リガンドは、アミノ酸配列を有するMHC分子を含み得、C末端接続を介して抗原提示合成表面の表面に共有結合され得る。MHC分子は、表面から遠ざかる配向のMHC分子のN末端部分を提示し得、それにより、表面上に配置されたTリンパ球のTCRとのMHC分子の特異的結合を促進し得る。MHC分子は、MHCペプチドを含み得る。表面が水性環境に曝露された際にMHC四量体が形成され得るように、少なくとも4つのMHC分子のクラスターが抗原提示合成表面上の位置に配置され得る。
【0059】
[0088] いくつかの実施形態では、複数の一次活性化分子リガンドのそれぞれは、リンカーを介して抗原提示合成表面に共有結合され得る。いくつかの実施形態では、一次活性化分子リガンドのMHC分子は、共有結合を介して抗原提示合成表面に接続され得る。共有結合は、例えば、クリックケミストリー及び適切なクリック試薬対を使用して形成され得る。同様に、共活性化分子リガンド(TCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を含む)、成長刺激性分子リガンド及び追加的な刺激性分子リガンドなどの本明細書に記載される他のリガンドは、リンカーを介して抗原提示合成表面の表面に共有結合され得、結合は、クリックケミストリー及び適切なクリック試薬対を使用して形成され得る。
【0060】
[0089] 他の実施形態では、MHC分子は、ビオチン/ストレプトアビジン結合対相互作用などのカップリング基(CG)を介して抗原提示合成表面に非共有結合され得る。いくつかの実施形態では、カップリング基の1つのメンバーは、表面に共有結合される(例えば、ストレプトアビジン)。カップリング基のさらなる例としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ニュートラアビジン及びジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニンが挙げられるが、これに限定されるものではない。ストレプトアビジン、アビジン及びニュートラアビジンは、ビオチン結合剤の例に相当する。同様に、共活性化分子リガンド(TCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を含む)、成長刺激性分子リガンド及び追加的な刺激性分子リガンドなどの本明細書に記載の他のリガンドは、抗原提示合成表面に非共有結合され得、カップリング基は、ビオチン又はジゴキシゲニンを含み得る。
【0061】
[0090] いくつかの実施形態では、CG結合対の1つのメンバー自体が例えば1つ又は複数のリンカーを介して表面に共有結合され得る。表面への共有結合は、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介し得る。いくつかの実施形態では、表面に共有結合されるCG結合対のメンバーは、クリック試薬対を介して結合する。これは、本明細書に記載の他のリガンド(共活性化分子リガンド、TCR共活性化分子、補助TCR活性化分子、成長刺激性分子及び追加的な刺激性分子など)と表面との結合に関与するCG結合対メンバーにも当てはまり得る。さらに、ストレプトアビジンなどのいくつかの結合対メンバーは、複数の結合部位(例えば、ストレプトアビジン中の4つ)を有するため、一次活性化分子リガンドは、ビオチン/ストレプトアビジン/ビオチン結合によって抗原提示合成表面に共役され得る。これも、本明細書に記載の他のリガンド(共活性化分子リガンド、TCR共活性化分子、補助TCR活性化分子、成長刺激性分子及び追加的な刺激性分子など)と表面との結合に関与するCG結合対メンバーに当てはまり得る。
【0062】
[0091] いくつかの実施形態では、CG結合対の第1のメンバーは、一次活性化分子リガンドに共有結合され、CG結合対の第2のメンバーは、表面に非共有結合される。例えば、CG結合対の第1のメンバーは、一次活性化分子リガンドとビオチン共有結合され得;CG結合対の第2のメンバーは、表面にストレプトアビジン非共有結合され得る(例えば、表面に共有結合される追加的なビオチンを介して)。いくつかの実施形態では、表面に共有結合されるビオチンは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介して表面に連結される。例えば、表面に共有結合されるビオチンは、記載されるような全長を有する一連の1つ又は複数のリンカーを介して表面に連結され得る。これも、本明細書に記載の他のリガンド(共活性化分子リガンド、TCR共活性化分子、補助TCR活性化分子、成長刺激性分子及び追加的な刺激性分子など)と表面との結合に関与するCG結合対メンバーに当てはまり得る。ストレプトアビジンなどのCG結合対の第2のメンバーを表面に非共有結合させることは、CG結合対の第2のメンバーが表面に共有結合されている場合よりも高密度で一次活性化分子リガンド、共活性化分子リガンド、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子などのリガンドを負荷することを容易にし得る。
【0063】
[0092] 一次活性化分子リガンド(例えば、MHC分子を含む)は、腫瘍関連抗原を含む抗原性ペプチドをさらに含み得る。腫瘍関連抗原は、一次活性化分子リガンド(例えば、MHC分子)に非共有結合され得る。腫瘍関連抗原は、Tリンパ球の活性化を開始し得る向きで一次活性化分子リガンド(例えば、MHC分子)によって提示され得る。腫瘍関連抗原は、ペプチドであり得る。腫瘍関連抗原のいくつかの非限定的な例としては、黒色腫ではMART1(ペプチド配列ELAGIGILTV)、黒色腫及びいくつかのがん腫に関与するNYESO1(ペプチド配列SLLMWITQV)、SLC45A2、TCL1及びVCX3Aが挙げられるが、本開示は、それらに限定されない。腫瘍抗原の追加的な例としては、CD19、CD20、CLL-1、TRP-2、LAGE-1、HER2、EphA2、FOLR1、MAGE-A1、メソテリン、SOX2、PSM、CA125、T抗原などの腫瘍細胞の表面上で発現されるタンパク質由来のアミノ酸配列のセグメントを含むペプチドが挙げられる。ペプチドは、腫瘍関連抗原の細胞外ドメインに由来し得る。抗原は、腫瘍細胞が由来するタイプの健常細胞よりも腫瘍細胞上でより高いレベルで発現される場合、腫瘍関連と見なされる。この腫瘍関連抗原を認識するT細胞は、抗原特異的T細胞である。本明細書に記載の抗原提示表面では、任意の腫瘍関連抗原が利用され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍関連抗原は、例えば、腫瘍細胞の変異遺伝子によってコードされる新抗原性ペプチドである。新抗原性ペプチドの詳細な考察については、例えば、米国特許出願公開第2011/0293637号を参照されたい。
【0064】
[0093] 抗原提示合成表面は、TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドは、複数のTCR共活性化分子を含む。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドは、複数の補助TCE活性化分子を含む。他の実施形態では、複数の共活性化分子リガンドは、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含み得る。TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子は、互いに100:1~1:100、10:1~1:20、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2などの比率で存在し得、前述の各値は、「約」で修飾され得る。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドは、約3:1~約1:3の範囲の比率でTCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含み得る。
【0065】
[0094] TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子は、例えば、抗体又はその断片などのタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、TCR共活性化分子は、CD28結合分子(例えば、CD80分子をはじめとする)であるか、又はCD28との結合能力を保持するその断片であり得る。いくつかの実施形態では、TCR共活性化分子は、CD28結合分子(例えば、CD80分子をはじめとする)であるか、又はCD28に特異的に結合するその断片であり得る。いくつかの実施形態では、TCR共活性化分子は、CD28結合分子(例えば、CD80分子をはじめとする)であるか、又はそのCD28結合断片であり得る。いくつかの実施形態では、TCR共活性化分子は、抗CD28抗体又はその断片(例えば、CD28結合断片)を含み得る。
【0066】
[0095] いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、リンカーを介して抗原提示合成表面に共有結合され得る。他の実施形態では、複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、抗原提示合成表面に共有結合されるリンカーに非共有結合され得る。TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子は、ビオチン/ストレプトアビジン結合対相互作用などのCGを介して共有結合修飾表面に非共有結合され得る。例えば、TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子は、本明細書に記載の表面に共有又は非共有結合され得る、ストレプトアビジンと相互作用する部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含み得る。部位特異的C末端ビオチン部分は、既知の方法を使用して、例えばBirA酵素などのビオチンリガーゼを使用して、TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子に追加され得る。例えば、Fairhead et al., Methods Mol Biol 1266:171-184, 2015を参照されたい。カップリング基のさらなる例としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ニュートラアビジン及びジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、CG結合対の一方は、それ自体が例えば上述のようにリンカーを介して表面に共有結合され得る。例示的TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子の実施例を参照されたい。
【0067】
[0096] いくつかの他の実施形態では、抗原提示合成表面の共活性化分子リガンドは、例えば、本明細書に記載のTCR共活性化分子に加えて又はその代わりに、複数の補助TCR活性化分子を含み得る。いくつかのさらなる実施形態では、追加的な共活性化分子リガンドがあり得る。いくつかの実施形態では、補助TCR活性化分子又は追加的な共活性化分子リガンドは、CD2作動薬、CD27作動薬又はCD137作動薬の1つ又は複数を含む。例えば、補助TCR活性化分子は、CD2結合タンパク質であるか、又はCD2との結合能力を保持するその断片であり得る。いくつかの実施形態では、補助TCR活性化分子は、CD58であるか、又はCD2との結合能力を保持するその断片であり得る。補助TCR活性化分子は、CD2結合タンパク質(例えば、CD58)であるか、又はCD2に特異的に結合するその断片であり得る。補助TCR活性化分子は、CD2結合タンパク質(例えば、CD58)であるか、又はそのCD2結合断片であり得る。補助TCR活性化分子又は追加的な共活性化分子リガンドは、それぞれCD2、CD27又はCD137に対する抗体であり得るか、又はこのような抗体の任意の組み合わせがあり得る。補助TCR活性化分子又は追加的な共活性化分子リガンドは、代わりに、それぞれCD2、CD27若しくはCD137又はそれらの任意の組み合わせに対する抗体の断片であり得る。バリルマブ(CDX-1127)は、例示的な抗CD27抗体である。ウトミルマブ(PF-05082566)は、例示的抗CD137抗体である。CD70又はその細胞外部分もCD27作動薬として使用され得る。CD137Lとしても知られるTNFSF9又はその細胞外部分は、CD137作動薬として使用され得る。いくつかの実施形態では、補助TCR活性化分子は、抗CD2抗体などのCD2の作動薬を含む。いくつかの実施形態では、補助TCR活性化分子のそれぞれがリンカーを介して表面に共有結合され得る。他の実施形態では、補助TCR活性化分子のそれぞれは、例えば、ビオチン/ストレプトアビジン結合対相互作用などのCGを介して、表面に共有結合されるリンカーに非共有結合され得る。例えば、補助TCR活性化分子は、ストレプトアビジンと相互作用する上で考察される部位特異的C末端ビオチン部分を含み得、ストレプトアビジンは、本明細書に記載の表面に共有又は非共有結合され得る。カップリング基のさらなる例としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ニュートラアビジン及びジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、CG結合対の一方は、それ自体が例えばリンカーを介して表面に共有結合され得る。
【0068】
[0097] 抗原提示合成表面は、少なくとも1つの成長刺激性分子リガンドをさらに含み得る。成長刺激性分子リガンドは、タンパク質又はペプチドであり得る。成長刺激性タンパク質又はペプチドは、サイトカイン又はその断片であり得る。成長刺激性タンパク質又はペプチドは、成長因子受容体リガンドであり得る。成長刺激性分子リガンドは、IL-21又はその断片を含み得る。いくつかの実施形態では、成長刺激性分子リガンドは、共有リンカーを介して抗原提示合成表面に接続され得る。他の実施形態では、成長刺激性分子リガンドは、ビオチン/ストレプトアビジン結合対相互作用などのCGを介して抗原提示合成表面に接続され得る。カップリング基のさらなる例としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ニュートラアビジン及びジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、CG結合対の一方は、それ自体が例えばリンカーを介して表面に共有結合され得る。他の実施形態では、成長刺激性分子リガンドは、共有結合又はビオチン/ストレプトアビジン結合相互作用のいずれかを介して表面に付着し得、表面は、それに接続するMHC分子を有する抗原提示合成表面と同じ表面ではない。例えば、成長刺激性分子リガンドが付着する表面は、第1の抗原提示合成表面も含むマイクロ流体装置の第2の表面であり得る。
【0069】
[0098] なおも他の実施形態では、追加的な成長刺激性分子リガンドがあり得、それは、1つ又は複数のサイトカイン又はその断片であり得る。いくつかの実施形態では、IL-2又はIL-7をはじめとするが、これに限定されるものではない追加的な刺激性分子リガンドは、成長刺激性分子リガンドに関して上で考察される、抗原提示合成表面に又は抗原提示合成表面でない別の表面に接続され得る。
【0070】
[0099] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面は、ICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドである接着刺激性分子リガンドを含む。
【0071】
[00100] 追加的な刺激性分子リガンド及び/又は接着刺激性分子リガンドは、表面に共有結合されるか、又はビオチン/ストレプトアビジン結合対相互作用などのCGを介して表面に非共有結合され得る。カップリング基のさらなる例としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ニュートラアビジン及びジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、CG結合対の一方は、それ自体が例えばビオチン/ストレプトアビジン結合相互作用によるリンカーを介して表面に共有結合され得る。
【0072】
[00101] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面は、リンカーと末端表面遮断基とを含み得る複数の表面遮断分子リガンドを含む。リンカーは、一緒に共有結合される6個以上の原子(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100個以上の原子)の直鎖を含み得る。任意選択的に、リンカーは、線形構造を有する。末端表面遮断基は、親水性部分、両親媒性部分、両性イオン性部分又は負荷電部分であり得る。いくつかの実施形態では、末端遮断基は、末端ヒドロキシル基を含む。いくつかの実施形態では、末端遮断基は、末端カルボキシル基を含む。いくつかの実施形態では、末端遮断基は、末端両性イオン性基を含む。複数の表面遮断分子リガンドは、全て同じ末端表面遮断基を有し得るか、又は末端表面遮断基の混合物を有し得る。理論により束縛されることなく、末端表面遮断基並びに表面遮断分子リガンドの親水性リンカーは、抗原提示合成表面周囲の水性媒体中の水分子と相互作用し、全体としてより親水性の表面を作り出し得る。この強化された親水性の性質は、抗原提示合成表面と細胞との接触が生体内でのより自然な細胞間相互作用及び/又は細胞-細胞外流体環境により適合し、より類似するようにし得る。リンカーは、例えば、ポリマーを含み得る。ポリマーは、アルキレンエーテル部分を含むポリマーを含み得る。多様なアルキレンエーテル含有ポリマーが本明細書に記載の表面上での使用に適し得る。ポリマーを含有する1つのクラスのアルキレンエーテルは、生体適合性であることが当該技術分野で公知であるポリエチレングリコール(PEG M<100,000Da)である。いくつかの実施形態では、PEGは、約88Da、100Da、132Da、176Da、200Da、220Da、264Da、308Da、352Da、396Da、440Da、500Da、600Da、700Da、800Da、900Da、1000Da、1500Da、2000Da、5000Da、10,000Da又は20,000DaのMを有し得るか、又は前述の値の任意の2つによって定義される範囲内に収まるMを有し得る。いくつかの実施形態では、PEGポリマーは、約3、4、5、10、15、25単位又はそれらの間の任意の値のポリエチレン部分反復を有する。いくつかの実施形態では、PEGは、カルボキシル置換PEG部分である。いくつかの実施形態では、PEGは、ヒドロキシル置換PEG部分である。いくつかの実施形態では、複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、複数の他のリガンドのリンカーと同じ長さを有するリンカーを有し得る。他の実施形態では、複数の表面遮断分子リガンドのリンカーは、様々な長さを有し得る。いくつかの実施形態では、表面遮断基及びリンカーの長さは、複数の各表面遮断分子リガンドで同じであり得る。代わりに、表面遮断基及びリンカーの長さは、複数の表面遮断分子リガンド内で変動し得、任意の組み合わせで選択された2、3又は4つの異なる表面遮断基及び/又は2、3、4つ以上の異なる長さを含み得る。一般に、表面遮断分子リガンドは、一次活性化分子リガンド及び共活性化分子リガンドの結合及び/又は機能を立体的に妨げないように十分に短い長さ及び/又は構造を有する。例えば、いくつかの実施形態では、表面遮断分子リガンドの長さは、表面に結合した他のリンカー(例えば、カップリング基を接続するリンカー、一次活性化分子リガンド、共刺激分子リガンド又は他のリガンド)の長さ以下である。いくつかの実施形態では、表面遮断分子リガンドの長さは、表面に結合した他のリンカー(例えば、カップリング基を接続するリンカー、一次活性化分子リガンド、共刺激分子リガンド又は他のリガンド)の長さよりも約1Å以上(例えば、約2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100Å以上)短い。いくつかの実施形態では、表面遮断分子リガンドの長さは、表面に結合した他のリンカーの長さよりも約1~約100Å(例えば、約2~約75、約3~約50、約4~約40又は約5~約30Å)短い。表面遮断分子リガンドが、表面に結合した他のリンカーの長さと同じ又はいくらか短い長さを有する場合、結果として生じる表面は、細胞とのカップリング及び/又は相互作用に容易に利用できる様式で、他のリンカーに付着するリガンドを効果的に提示する。抗原提示ビーズに関して、例えばPEG又はPEOポリマー及び/又は末端ヒドロキシル若しくはカルボキシル基を含むリガンドのような親水性ポリマーなどの表面遮断分子リガンドを含めることで、疎水性相互作用を通してビーズの凝集を有益に低減し得ることが分かった。表面遮断分子リガンドは、本明細書で開示される任意の実施形態に記載されたように、上で考察される一次及び他の(例えば、共活性化、補助剤など)リガンドの後に表面に付着され得るか、又は活性化種又は共活性化種のいずれかが表面に付着する前に導入され得る。
【0073】
[00102] 抗原提示合成表面は、ガラス、金属、ポリマー又は金属酸化物を含み得る。いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面は、任意の種類の構成を有するウエハの表面、ビーズの表面、複数の細胞を含有するように構成された装置(例えば、マイクロ流体装置)を含有する流体回路の少なくとも1つの内表面又は管(例えば、ガラス管又はポリマー管)の内表面である。いくつかの実施形態では、Tリンパ球を活性化するように構成された抗原提示合成表面を有するウエハは、標準の48、96又は384ウェルプレートのウェル内に収まるサイズであり得る。様々な実施形態において、Tリンパ球を活性化するように構成された抗原提示合成表面を有するビーズは、ウェルプレート内で使用するために又は装置を含有する流体回路内で使用するために配置され得る。いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面上の(又はそれが付着する各部分又はサブ領域の)複数の一次活性化分子リガンドの密度は、1平方ミクロン当たり約50~約500分子;1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子;1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子;1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子;1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10分子;1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子;1平方ミクロン当たり約2×10~約5×10分子;1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子;1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子;又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子であり得る。
【0074】
[00103] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面上の(又はそれが付着する各部分又はサブ領域の)複数の共活性化分子リガンドの密度は、1平方ミクロン当たり約20~約250の分子;1平方ミクロン当たり約2×10~約1×10分子;1平方ミクロン当たり約500~約5×10分子;1平方ミクロン当たり約1×10~約1×10分子;1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子;1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子;1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子;1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10;1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10;1平方ミクロン当たり約1×10~約1.5×10;約1.25×10~約1.75×10又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.5×10分子である。
【0075】
[00104] 特定の理論による拘束を望むものではないが、特定の実験は、T細胞活性化のための表面積対体積比が比較的画定されたビーズを提供して使用することが有利であり得ることを示唆した。このようなビーズは、活性化中にT細胞とより効率的に相互作用するように、よりアクセスしやすい様式で妥当なリガンドを提示し得る。このようなビーズは、表面積対体積比がより高いビーズで必要なものよりも少ないリガンドで望ましい程度のT細胞活性化を提供し得、及び/又は表面積対体積比がより高いビーズよりも高い程度のT細胞活性化又は所望の特徴を備えたより多くのT細胞(例えば、本明細書に記載の抗原特異性及び/又はマーカー表現型)を提供し得る。理想的な球形固体は、表面積対体積比が可能な限り低い。したがって、いくつかの実施形態では、ビーズ表面積は、等しいサイズ(体積又は直径)の球体の表面積の10%以内であり、本明細書では「実質的に球形」と称される。例えば、直径2.8μm(半径1.4μm)のビーズでは、対応する理想的な球体の表面積は、4πr=24.63μmになる。したがって、体積又は直径が等しい理想的な球体の表面積の10%以内の表面積がある直径2.8μmの実質的に球形のビーズは、27.093μm以下の表面積を有する。特定の市販のビーズは、より大きい表面積を有すると報告されており;例えば、Dynabeads M-270 Epoxyは、2~5m/gの比表面積及び2.8μmの直径を有すると製品資料に記載されており、資料は、1mgのビーズが6~7×10のビーズであることも示唆することに留意されたい。比表面積に1mg/6~7×10のビーズを乗じると、1ビーズ当たりの表面積は、1ビーズ当たり28~83μmになり、これは、直径2.8μmの理想的な球体の表面積よりも10%を超えて大きい。理想的な球の表面積よりも10%を超えて大きい表面積を有するポリマービーズは、本明細書で「回旋状ビーズ」と称される。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、実質的に球形又は回旋状のいずれでもあり得る。いくつかの実施形態では、ポリマービーズは、回旋状ではなく、実質的に球形である。
【0076】
[00105] 非パターン化表面。様々な実施形態において、抗原提示合成表面は、その上に均等に分布する複数の一次活性化分子リガンドを有する非パターン化表面であり得る。一次活性化分子リガンドは、そのそれぞれが腫瘍関連抗原を含み得るMHC分子を含み得る。非パターン化表面は、その上に均等に分布する複数の共活性化分子リガンド(例えば、TCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子)をさらに含み得る。共活性化分子リガンドは、任意の組み合わせにおいて、抗原提示表面について上述されたとおりであり得る。一次活性化分子リガンド及び共活性化分子リガンドの密度は、抗原提示表面について上述されたのと同一の範囲であり得る。非パターン化抗原提示合成表面は、抗原提示表面について上述されたように、追加的な成長刺激性リガンド、接着性リガンド及び/又は表面遮断分子リガンドをさらに含み得、そのそれぞれは、(存在する場合)非パターン化表面に均等に分布し得る。例えば、非パターン化表面は、表面に接続するIL-21などの補助刺激性分子を含み得る。一次活性化分子リガンド、共活性化分子リガンド及び/又は追加的なリガンドは、抗原提示表面について上述されたように表面に連結され得る。本明細書の用法では、その上に「均等に分布する」リガンドを有する表面は、総表面積の10%以上のサイズを有する表面の部分が、表面の総表面積の平均リガンド濃度と比較して統計学的に有意に高いリガンド濃度を有しないことを特徴とする。
【0077】
[00106] パターン化表面。様々な実施形態において、抗原提示合成表面は、パターン化され得、各領域は、MHC分子を含む複数の一次活性化分子リガンドを含む複数の領域を有し得、複数の領域は、一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された領域によって隔てられる。抗原提示合成表面は、平面であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも複数の一次活性化分子リガンドを含む複数の領域のそれぞれは、例えば、TCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子などの複数の共活性化分子リガンドをさらに含み得る。共活性化分子リガンドは、上述のように共活性化分子リガンドのいずれかの任意の組み合わせであり得る。一次活性化分子リガンド及び/又は共活性化分子リガンドは、抗原提示表面について上述されたように表面に連結され得る。一次活性化分子リガンド及び/又は共活性化分子リガンドを含有するそれぞれの領域における一次活性化分子リガンド及び/又は共活性化分子リガンドの密度は、抗原提示表面について上述された密度と同一の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも複数の一次活性化分子リガンドを含む複数の領域のそれぞれは、約0.10平方ミクロン~約4.0平方ミクロンの面積を有する。他の実施形態では、複数の領域のそれぞれの面積は、約0.20平方ミクロン~約0.8平方ミクロンであり得る。複数の領域は、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン又は約5ミクロン互いに離れ得る。複数の各領域とその隣接領域との間のピッチは、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン又は約6ミクロンであり得る。パターン化表面の2つの実施形態を示す図7A及び7Bを参照されたい。
【0078】
[00107] 様々な実施形態において、MHC分子を含む一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された領域は、TCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を実質的に除外するようにも構成され得る。
【0079】
[00108] いくつかの実施形態では、一次活性化分子リガンド及び任意選択的にTCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を実質的に除外するように構成された領域は、表面遮断分子リガンド、成長刺激性分子、追加的な刺激性分子及び接着刺激性分子リガンドの1つ又は複数を含むようにも構成され得る。いくつかの実施形態では、成長刺激性分子及び/又は追加的な刺激性分子は、サイトカイン又はその断片を含み、IL-21又はその断片をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、一次活性化分子リガンド及び任意選択的にTCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を実質的に除外するように構成された領域は、1つ又は複数の支持部分を含むようにさらに構成され得る。支持部分は、Tリンパ球の成長を支持する接着性モチーフを提供し得るか、又は細胞成長のための一般に支持的な環境を提供する親水性部分を提供し得る。接着性支持体を提供する部分は、RGDモチーフを含むペプチド配列を含み得る。他の実施形態では、接着性支持体を提供する部分は、ICAM配列であり得る。親水性を提供する部分は、PEG部分又はカルボン酸置換PEG部分などの部分であり得る。
【0080】
[00109] マイクロ流体装置。いくつかの実施形態では、マイクロ流体装置は、前述の実施形態のいずれかに記載の複数の領域を有するパターン化抗原提示合成表面を含む。マイクロ流体装置の抗原提示表面は、本明細書に記載されるような任意のマイクロ流体(又はナノ流体)装置であり得るが、本開示は、それらに限定されない。国際公開第2014/153651号、国際公開第2016/115337号又は国際公開第2017/124101号に記載されるようなマイクロウェル又はマイクロチャンバーを含む、マイクロ流体装置をはじめとするが、これに限定されるものではない他のクラスのマイクロ流体装置は、このセクションに記載されるような抗原提示表面を組み込むように改変され得るか、又は本開示に記載の方法において本明細書に記載の抗原提示ビーズ又は抗原提示ウエハと組み合わせて使用され得る。
【0081】
[00110] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面は、1つ又は複数の隔離ペン及びチャネルを含むマイクロ流体装置の内表面である。1つ又は複数のこのような隔離ペン内の表面の少なくとも一部は、複数の一次活性化分子リガンドと、例えばTCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を含む複数の共活性化分子リガンドとを含み得る。一次活性化分子リガンド及び共活性化分子リガンドは、抗原提示表面について上述されたようなものであり得、上に記載された任意の密度又は組み合わせで存在し得る。マイクロ流体装置の表面へのリガンド付着の性質は、抗原提示表面に関して上述されたようなもののいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のこのような隔離ペン内の表面は、表面遮断分子リガンド、成長刺激性分子リガンド、追加的な刺激性分子リガンド及び接着刺激性分子リガンドの1つ又は複数をさらに含み得る。チャネルの表面の少なくとも一部は、例えば、本明細書に記載の一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された領域のいずれかなどの表面遮断分子リガンドを含み得る。いくつかの実施形態では、チャネルの表面は、表面遮断分子リガンド及び任意選択的に他の非刺激リガンドを含むが、例えば、一次活性化分子リガンド及び共活性化分子リガンドなどの隔離ペンの表面上に存在する他のリガンドを実質的に含まない。
【0082】
[00111] ある実施形態において、細胞がマイクロ流体デバイス内の表面と接着する能力を調節することが有用であり得る。実質的に親水性の性質を有する表面は、適切に成長及び増殖するために接着の機械的応力を必要とする細胞のための固定点を提供しないことがある。過剰なこのような固定部分を示す表面は、問題なく成長している接着細胞が隔離ペン内から及びマイクロ流体デバイスから取り出されることを防ぎ得る。ある実施形態において、共有結合表面修飾は、接着細胞を固定するのに役立つ表面接触部分を含む。本明細書に記載される表面の構造及びそれらを作製する方法は、特定の使用に望ましいであろう固定部分の量を選択する能力を提供する。ごく少ないパーセンテージの接着型モチーフが、十分な接着強化環境を提供するのに必要とされ得る。ある実施形態において、接着強化部分は、細胞がマイクロ流体デバイスに導入される前に作製される。代替的に、接着強化修飾表面は、細胞を導入する前に提供され得、別の接着強化部分のさらなる添加が行われ得、これは、第1の修飾表面を共有結合的に又は非共有結合的に(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン結合の基部のように)結合するように設計される。
【0083】
[00112] ある実施形態において、接着強化表面修飾は、表面修飾リガンドの個々の分子のランダムなパターンで表面を修飾し得る。ある他の実施形態において、より集中したパターンの接着強化表面修飾は、接着強化を調節するために親水性表面修飾を有し得る、表面の残りの部分によって囲まれた表面修飾の小さい領域を生成し得る、正荷電リジン側鎖などの複数の接着強化モチーフを含有するポリマーを用いることによって導入され得る。これは、複数の接着強化リガンドを有する樹枝状ポリマーの使用によってさらに精緻化され得る。樹枝状ポリマー型の表面修飾化合物又は試薬は、接着強化をなお提供しながら、親水性表面接触部分のみを有する第2の表面修飾と比べてごく少ない割合で存在し得る。さらに、樹枝状ポリマー型の表面修飾化合物又は試薬自体は、表面全体の挙動をさらに調節し得る最終的な機能性の混合した組合せを有し得る。
【0084】
[00113] いくつかの実施形態では、表面の位置選択的導入を提供することが望ましいことがあり得る。例えば、マイクロ流体チャネルと隔離ペンとを含むマイクロ流体装置に関連して、マイクロ流体チャネル内に第1のタイプの表面を提供する一方、隔離ペン内の表面に、接着型細胞を培養する能力並びに必要に応じて容易に(例えば、誘電泳動又は他の力を使用して)搬出する能力の両方を提供するチャネルの開口部を提供することが望ましいことがあり得る。いくつかの実施形態では、接着増強修飾は、切断可能部分を含み得る。切断可能部分は、任意の所望の時点で切断可能部分が切断され、表面の性質が変化して接着の増強が少なくなるように、内部で培養される細胞と適合する条件下で切断可能であり得る。下層の切断表面は、その時点で搬出が強化されるように実用的に非汚染性であり得る。本明細書で考察される実施例は、接着及び運動性の調節に重点を置いている一方、これらの位置選択的に修飾された表面の使用は、それらに限定されない。その中で培養される細胞に対する、あらゆる種類の利益のための異なる表面修飾は、本開示による第1及び第2の表面修飾を有する表面に組み込まれ得る。
【0085】
[00114] 使用され得る例示的な接着性モチーフとしては、ポリ-L-リジン、アミンなど、及びビオチン化試薬として利用可能であり、本明細書に記載の方法に容易に適応可能なトリペプチド配列RGDが挙げられる。使用され得る他のより大型の生体分子としては、とりわけフィブロネクチン、ラミニン又はコラーゲンが挙げられる。ポリグルタミン酸表面接触部分を含む、国際公開第2017/205830号に定義される式XXVIの構造を有する表面修飾は、接着性細胞を付着させ、生存可能に成長させ得る。接着性部位の提供を促進する別のモチーフは、エラスチン様ペプチド(ELP)であり、これは、VPGXGの反復配列を含み、Xは、モチーフの効果を調節し得る可変アミノ酸である。
【0086】
[00115] いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルと隔離ペンとを含むマイクロ流体装置に関連して、流動領域の表面(例えば、マイクロ流体チャネル)は、第1の共有結合表面修飾で修飾され得、少なくとも1つの隔離ペンの表面は、第2の共有結合表面修飾で修飾され得、第1及び第2の共有結合表面修飾は、異なる表面接触部分、異なる反応性部分又はそれらの組み合わせを有する。第1及び第2の共有結合表面修飾は、全て国際公開第2017/205830号で定義されるとおりである、式XXX、式V、式VII、式XXXI、式VIII及び/又は式IXのいずれかから選択され得る。第1及び第2の共有結合表面修飾の両方が、国際公開第2017/205830号で定義される式XXX、式V又は式VIIの官能化表面を含む場合、第1の反応性部分及び第2の反応性部分の選択のために直交反応化学が選択される。様々な実施形態において、流動領域の全ての表面が第1の共有結合表面修飾で修飾され得、少なくとも1つの隔離ペンの全ての表面が第2の共有結合修飾で修飾され得る。
【0087】
抗原提示合成表面;共有結合官能化表面を調製する方法
[00116] 図5A及び5Bは、非修飾表面から構築され、活性化、共活性化及び表面遮断分子リガンドが1つ又は複数のステップで付加される、抗原提示合成表面の構造を示す。図5Aは、単一領域を有する抗原提示合成表面のプロセス及び構造を示す一方、図5Bは、2つの領域を有する抗原提示合成表面について各中間生成物及び最終生成物のプロセス及び構造を示す。
【0088】
[00117] 図5Aを参照すると、概略図は、複数の表面露出部分(SEM)を含む合成反応性表面から出発して、抗原提示表面を調製するための例示的手順を図示する。調製のこの時点で添加された場合、反応性部分RM及び表面遮断分子リガンドSBは、SEMを適切な調製試薬と反応させることによって導入され、中間反応性表面を提供する。中間反応性表面に導入される反応性部分RMは、本明細書に記載の任意の反応性部分であり得、本明細書に記載の任意のリンカーによって中間反応性表面に連結され得る。中間反応性表面は、少なくとも反応性部分RMを含み、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の表面遮断分子リガンドであり得る表面遮断分子リガンドSBを含み得る。
【0089】
[00118] 次に、中間反応性表面は、結合部分BMを含む官能化試薬で処理され、官能化試薬は、反応性部分RMと反応して、結合部分BMリガンドを導入する。このように導入された結合部分は、本明細書に記載の任意の結合部分BMであり得る。結合部分BMは、ストレプトアビジン又はビオチンであり得る。いくつかの実施形態では、結合部分BMは、反応性部分RMとの反応を通して、リンカーを介して共有結合官能化表面に共有結合されるストレプトアビジンである。いくつかの他の実施形態では、共有結合官能化表面は、ストレプトアビジン結合部分を二部構造で非共有結合的に導入し得る。この二部構造は、中間反応性表面を第1の官能化試薬に接触させ、反応性部分RMとの反応を通して、リンカーを介して共有結合されるビオチン部分を導入することで導入される。第2の官能化試薬としてのストレプトアビジンの引き続く導入は、結合部分BMであるストレプトアビジンが、表面にそれ自体が共有結合されるビオチン部分に非共有結合される共有結合官能化表面を提供する。表面遮断分子リガンドSB’は、結合部分の導入と同時に導入され得るか、又は結合部分の導入後に共有結合官能化表面に導入され得る。表面遮断分子リガンドSB’は、本明細書に記載の任意の表面遮断分子リガンドであり得、表面遮断分子リガンドSBが存在する場合、表面遮断分子リガンドSBと同一であるか又は異なり得る。いくつかの実施形態では、表面遮断分子リガンドSBが存在し得、表面遮断分子リガンドSB’が存在しなくてもよい。代わりに、表面遮断分子リガンドSB’が存在するが、表面遮断分子リガンドSBが存在しなくてもよい。いくつかの実施形態では、表面遮断分子リガンドSB及びSB’の両方が存在する。理論により束縛されることなく、共有結合官能化表面上に反応性部分RMが未反応のまま残され得るが、生成物抗原提示合成表面が機能するのを防ぐには不十分な数の反応性部分RMが存在する。一次活性化リガンドMHC及び共活性化リガンドCo-A及びCo-Aは、共有結合官能化表面の結合部分BMを適切な活性化リガンド試薬と反応させることによって導入され、抗原提示合成表面を提供する。Co-A及びCo-Aは、同一又は異なる共活性化リガンドであり得る。例えば、Co-A及びCo-Aは、TCR共活性化分子及びTCR補助活性化分子の一方、他方又は集合的に両方を含み得る。Co-A及び/又はCo-Aは、本明細書に記載のTCR共活性化分子及びTCR補助活性化分子の任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、一次活性化リガンドMHCは、共有結合官能化表面を共活性化リガンドCo-A及び/又はCo-Aと接触させる前に共有結合官能化表面に導入され得る。他の実施形態では、一次活性化リガンドMHCは、共活性化リガンドCo-A及びCo-Aの導入に併行して又はそれに引き続いて共有結合官能化表面に導入され得る。図5Aに示されないいくつかの実施形態では、一次活性化リガンドMHC及び共活性化リガンドCo-A及び/又はCo-Aの導入後、表面遮断分子を、抗原提示合成表面上になおも存在する残りの反応性部分RMと反応させることにより、表面遮断分子リガンドSBが抗原提示合成表面に導入され得る。これも含まれるが、図5Aに示されないのは、1つ又は複数の成長刺激性分子リガンド及び/又は接着刺激性分子リガンドであり得る二次リガンドSLの導入である。二次リガンドSLは、これらのクラスのリガンドのいずれかであり得る。
【0090】
[00119] 図5Bは、複数の表面露出部分(SEM)を含む合成反応性表面から出発する、第1及び第2の領域を含む抗原提示表面を調製するための例示的手順の概略図を提供する。領域1の表面露出部分SEMは、図6に示されるように、領域2の表面露出部分SEMと異なり得、異なる物質が合成反応表面の表面に存在し得る。SEM及びSEMのそれぞれに直交化学が使用されることから、反応性部分RMは、領域1に導入され、領域2に実質的に導入されない一方、反応性部分RMは、領域2に導入され、領域1に実質的に導入されない。例えば、図6に示されるように、領域1のSEMは、アジ化物RMを含むアルコキシシロキサン試薬と反応され得る一方、領域2のSEM2は、アルキニルRMを含むホスホン酸試薬と反応され得る。表面遮断分子リガンドSBは、SEMを適切な調製試薬(例えば、図6の領域1のような表面では、試薬は、表面遮断基SBを含むアルコキシシロキサン試薬になる)と反応させることにより、領域1に導入され、領域2に実質的に導入されない。分化した反応性部分を有する中間反応性表面は、このプロセスから生じる。分化した反応性部分RM及びRMに基づき、さらなる直交化学により、結合部分BM及び表面遮断分子リガンドSB’は、領域1に導入され、領域2に実質的に導入され得ず、表面遮断分子リガンドSBは、領域2に導入され、領域1に実質的に導入されない。したがって、2つの異なる領域を有する共有結合官能化表面が提供される。SB’は、SBと同一であるか又は異なり得;SB’は、SBと同一であるか又は異なり得;SBは、SBと同一であるか又は異なり得る。一次活性化リガンドMHC及び共活性化リガンドCo-A及びCo-Aは、結合部分BMを適切な活性化リガンド試薬と反応させることによって領域1に導入され、二次リガンドSLは、RMを適切な試薬と反応させることによって領域2で形成され、抗原提示合成表面が提供される。二次リガンドSLは、図5Aに記載されるような分子リガンドのクラスのいずれかであり得る。一次活性化リガンドMHCは、図5Aについて記載されたプロセスと同様に、共活性化リガンドを導入する前に導入され得る。Co-A及びCo-Aは、同一又は異なる共活性化リガンドであり得る。例えば、Co-A及びCo-Aは、TCR共活性化分子及びTCR補助活性化分子の一方、他方又は集合的に両方を含み得る。SEM、RM、SB、一次活性化リガンドMHC、共活性化リガンドCo-A及びCo-A及び二次リガンドSLのそれぞれは、本明細書に記載の任意のSEM、RM、SB、一次活性化リガンドMHC、共活性化リガンドCo-A及びCo-A及び二次リガンドSLであり得る。
【0091】
抗原提示合成表面を調製する方法
[00120] Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示合成表面を調製する方法であって、複数の一次活性化分子を、結合部分を含む共有結合官能化合成表面の第1の複数の結合部分(例えば、ストレプトアビジンなどのビオチン結合剤又はストレプトアビジンなどのビオチン結合剤に非共有結合されるビオチン部分)と反応させることであって、第1の複数の結合部分のそれぞれは、一次活性化分子に結合するように構成される、反応させることと、T細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子を、共有結合官能化合成表面の第2の複数の結合部分と反応させ、それにより、抗原提示合成表面上において、複数の特異的に結合した一次活性化分子リガンド及び複数の特異的に結合した共活性化分子リガンドを提供することであって、第2の複数の結合部分のそれぞれは、共活性化分子に結合するように構成される、提供することとを含む方法が提供される。
【0092】
[00121] 結合部分(例えば、ストレプトアビジンなどのビオチン結合剤又はストレプトアビジンなどのビオチン結合剤に非共有結合されるビオチン部分)と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化合成表面も提供される。以下の考察が共有結合官能化合成表面の特徴を説明する限りで、それは、共有結合官能化合成表面の実施形態と、その中で共有結合官能化合成表面が使用される、抗原提示表面を調製する方法の実施形態との両方に適用される。
【0093】
[00122] 共有結合官能化合成表面は、例えば、ビーズ、ウエハ、マイクロ流体装置の内表面又は管(例えば、ガラス管又はポリマー管)などの本明細書に記載の表面タイプのいずれかであり得る。表面材料は、例えば、金属、ガラス、セラミック、ポリマー又は金属酸化物を含み得る。マイクロ流体装置は、本明細書に記載の任意のマイクロ流体装置であり得、特徴の任意の組み合わせを有し得る。ビーズは、本明細書で抗原提示合成表面に関するセクションで考察されるように、等体積又は等直径の球体の10%以内の表面積を有するビーズであり得る。いくつかの実施形態では、ビーズは、抗原提示表面について本明細書で考察されるように、等体積又は等直径の球体の表面積の10%を超える表面積を有するビーズであり得る。いくつかの実施形態では、ビーズは、抗原提示表面について本明細書で考察されるように、等体積又は等直径の球体の表面積の10%を超える表面積を有するビーズでない。
【0094】
[00123] 一次活性化分子及び共活性化分子は、それぞれ本明細書に記載されるような任意の分子であり得、それらの任意の組み合わせが使用され得る。したがって、一次活性化分子は、MHC分子及び任意選択的に抗原性ペプチドを含み得、共活性化分子は、本明細書に記載のTCR共活性化分子のいずれか又は本明細書に記載の補助TCR活性化分子のいずれかを含み得る。
【0095】
[00124] いくつかの実施形態では、複数の一次活性化分子を、結合部分を含む共有結合官能化合成表面の第1の複数の結合部分と反応させることは、一次活性化分子と結合部分との間に非共有結合を形成させることを含む。例えば、一次活性化分子は、ビオチンを含み得、結合部分は、ストレプトアビジンなどのビオチン結合剤を含み得る(例えば、それは、表面に共有結合され得るか、又はそれは、それ自体が表面に共有結合される第2のビオチンに非共有結合され得る)。いくつかの実施形態では、ストレプトアビジンなどのビオチン結合剤は、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介して表面に連結される。例えば、ビオチン結合剤は、記載されるような選択された長さを有する一連の1つ又は複数のリンカーを介して表面に連結され得る。別の例では、結合部分及び一次活性化分子のいずれもビオチンを含み得、ストレプトアビジンなどの遊離多価ビオチン結合剤が非共有連結剤として使用され得る。本明細書の他の箇所に記載されるものなど、任意の他の適切な非共有結合対も使用され得る。
【0096】
[00125] 代わりに、複数の一次活性化分子を、結合部分を含む共有結合官能化合成表面の第1の複数の結合部分と反応させることは、共有結合を形成することを含み得る。例えば、アジ化物-アルキン反応(本明細書の他の箇所に記載されるもののいずれかなど)を使用して共有結合が形成され得、そこでは、一次活性化分子及び結合部分は、それぞれアジ化物及びアルキン又はアルキン及びアジ化物を含む。マレイミド及び硫化物をはじめとするが、これに限定されるものではない、当該技術分野で公知の他の反応対が使用され得る。より一般的には、共有結合を形成するのに有用な例示的官能基としては、アジ化物、カルボン酸及びその活性エステル、スクシンイミドエステル、マレイミド、ケト、スルホニルハロゲン化物、スルホン酸、ジベンゾシクロオクチン、アルケン、アルキンなどが挙げられる。当業者は、このような部分を使用して、共有結合を形成するための適切な組み合わせ及び反応条件に精通している。
【0097】
[00126] 共有結合官能化合成表面が、共有結合されたビオチンを含む場合、表面を、一次活性化分子及びビオチン部分を含む共活性化分子と反応させ得るように、表面は、非共有結合されたビオチン結合剤(例えば、ストレプトアビジン)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面を調製する方法は、共有結合されたビオチンを含む共有結合官能化合成表面を、ビオチン結合剤(例えば、ストレプトアビジン)と反応させ、次に一次活性化分子及びビオチン部分を含む共活性化分子と反応させることを含む。いくつかの実施形態では、共有結合官能化表面のビオチンは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介して表面に連結される。
【0098】
[00127] いくつかの実施形態では、反応は、1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10、4×10~約2×10、約5×10~約3×10、約5×10~約2×10又は約1×10~約2×10分子などの本明細書に記載の表面上の一次活性化分子リガンドの密度のいずれかを提供する。
【0099】
[00128] いくつかの実施形態では、T細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子を共有結合官能化合成表面の第2の複数の結合部分と反応させることは、共活性化分子及び結合部分間に非共有結合を形成することを含む。ビオチンなどの非共有結合対とストレプトアビジンなどのビオチン結合剤とを伴う、一次活性化分子に関して上述された又は本明細書で開示される任意の実施形態に記載された実施形態のいずれかが使用され得る。
【0100】
[00129] 代わりに、複数の共活性化分子を共有結合官能化合成表面の第2の複数の結合部分と反応させることは、共有結合を形成することを含み得る。例えば、アジ化物-アルキン反応(本明細書の他の箇所に記載されるもののいずれかなど)を使用して共有結合が形成され得、そこでは、一次活性化分子及び結合部分は、それぞれアジ化物及びアルキン又はアルキン及びアジ化物を含む。
【0101】
[00130] いくつかの実施形態では、反応は、1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10、4×10~約2×10、約5×10~約3×10、約5×10~約2×10又は約1×10~約2×10分子などの本明細書に記載の表面上の共活性化分子リガンド密度のいずれかを提供する。
【0102】
[00131] いくつかの実施形態では、反応は、本明細書に記載の比率のいずれにおいても、100:1~1:100、10:1~1:20、5:1~1:5又は3:1~1:3などの表面上のTCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を提供し、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾され得る。
【0103】
[00132] いくつかの実施形態では、上述の又は本明細書で開示される任意の実施形態に記載された反応は、本明細書に記載の約1:1~約2:1;約1:1;又は約3:1~約1:3などの比率のいずれかにおいて、表面上の一次活性化分子リガンド及び共活性化分子リガンドを提供する。
【0104】
[00133] いくつかの実施形態では、抗原提示表面を調製する方法は、複数の表面遮断分子を共有結合官能化表面の第3の複数の結合部分と反応させることをさらに含み、そこでは、第3の複数の結合部分のそれぞれは、表面遮断分子に結合するように構成される。本明細書の他の箇所に記載される任意の表面遮断分子が使用され得る。非共有又は共有結合を形成するための本明細書に記載の反応アプローチのいずれかが使用され得る。
【0105】
[00134] いくつかの実施形態では、抗原提示表面を調製する方法は、複数の接着刺激性分子リガンドを共有結合官能化ビーズの第4の複数の結合部分と反応させることをさらに含み、それぞれの接着刺激性分子リガンドは、ICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含み、第4の複数の結合部分のそれぞれは、細胞接着受容体リガンド分子に結合するように構成される。非共有又は共有結合を形成するための本明細書に記載の反応アプローチのいずれかが使用され得る。
【0106】
[00135] いくつかの実施形態では、抗原提示表面を調製する方法は、中間反応性表面を生成することをさらに含む。これは、例えば、合成反応性表面の表面に配置された表面露出部分の少なくとも第1の部分を、反応性部分を含む複数の中間調製物分子と反応させ、それによって中間反応性表面を生成させることを含み得る。中間反応性表面として使用され得る共有結合官能化表面を調製する方法は、本明細書の他の箇所で詳述される。中間反応性表面を生成することは、共有結合官能化表面を調製する方法に関して本明細書に記載の特徴のいずれかを含み得る。
【0107】
[00136] いくつかの実施形態では、方法は、例えば、適切に成長し増殖するために接着の機械的応力を必要とする細胞に固着点を提供することにより、細胞がマイクロ流体装置内の表面に接着する能力を調節することをさらに含む。これは、表面接触部分を含む共有結合表面修飾を導入して、付着細胞を固定することを促進することによって達成され得る。これは、本明細書の他の箇所に記載される表面接触部分のいずれでも使用され得る。
【0108】
[00137] 共有結合官能化合成表面は、本明細書に記載の反応のいずれかで使用するのに適した部分を含み得る。
【0109】
共有結合官能化表面を調製する方法
[00138] 複数のストレプトアビジン官能基又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化表面を調製する方法も提供され、方法は、中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第1のサブセットを、ストレプトアビジン又はビオチンをそれぞれ含む複数の連結試薬と反応させることと、中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第2のサブセットを複数の表面遮断分子と反応させ、それにより、少なくとも1つの複数のストレプトアビジン官能基又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化合成表面を提供することとを含む。一般に、ストレプトアビジンを含む連結試薬又はビオチンを含む連結試薬の一方又は他方のみが使用される。中間反応性合成表面は、例えば、ビーズ、ウエハ、マイクロ流体装置の内表面又は管(例えば、ガラス管又はポリマー管)などの本明細書に記載の表面タイプのいずれかであり得る。表面材料は、例えば、金属、ガラス、セラミック、ポリマー又は金属酸化物を含み得る。抗原提示マイクロ流体装置は、本明細書に記載の任意のマイクロ流体装置であり得、特徴の任意の組み合わせを有し得る。ビーズは、本明細書で抗原提示合成表面に関するセクションで考察されるように、等体積又は等直径の球体の10%以内の表面積を有するビーズであり得る。
【0110】
[00139] 連結試薬がビオチンを含む実施形態では、方法は、ストレプトアビジンをビオチンに非共有結合させることをさらに含み得る。このような実施形態では、図5Aを参照して、反応性部分RMの結合部分BMへの変換は、RMとの反応を通してビオチン(上記の追加的なビオチンに対応する)を共有結合させることと、次にストレプトアビジンを共有結合されたビオチンに非共有結合させることとを含み得る。
【0111】
[00140] いくつかの実施形態では、中間反応性合成表面の反応性部分は、一連の5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20の結合又はいくつかの実施形態ではより多くの結合を介して表面に連結される。例えば、反応性部分は、例えば、(11-(X)ウンデシル)トリメトキシシランを使用して、一連の15の結合を介して連結され得、式中、Xは、反応性部分である(例えば、Xは、アジドであり得る)。ビオチンを含む連結試薬に関して、次に、ビオチンは、一般構造DBCO-PEG-ビオチンを有するものなどの連結試薬(BroadPharmから市販されている)を使用して共有結合され得る。いくつかの実施形態では、ビオチンは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介して表面に連結される。ストレプトアビジンを含む連結試薬に関して、次に、ストレプトアビジンは、一般構造DBCO-PEG13-スクシンイミドを有するものなどの連結試薬を使用して共有結合され得、ストレプトアビジンとスクシンイミドとの反応がそれに続く。いくつかの実施形態では、ストレプトアビジンは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介して表面に連結される。それを通して部分が表面に連結される結合の数は、例えば、上記のものと同様であるが、異なる長さのアルキレン及び/又はPEG鎖を有する試薬を使用することによって変動させ得る。
【0112】
[00141] いくつかの実施形態では、中間反応性合成表面の少なくとも第1の領域の反応性部分は、アジ化物部分を含む。いくつかの実施形態では、共有結合は、本明細書の他の箇所に記載される任意のアジ化物-アルキン反応などのアジ化物-アルキン反応を通して形成される。
【0113】
[00142] いくつかの実施形態では、共有結合官能化合成表面は、複数のストレプトアビジン官能基が除外される第2の領域を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドは、共有結合官能化合成表面の第2の領域に配置される。
【0114】
[00143] いくつかの実施形態では、方法は、中間反応性合成表面の少なくとも第1の領域内で第2の複数の表面遮断分子を反応性部分の第2のサブセットと反応させることをさらに含む。
【0115】
[00144] いくつかの実施形態では、複数のストレプトアビジン官能基を反応させること及び少なくとも第1の複数の表面遮断分子を反応させることは、反応性部分を含む共有結合調製合成表面の少なくとも第1の領域の複数のサブ領域で実施される。
【0116】
[00145] いくつかの実施形態では、反応性合成表面の第2の部分は、複数の一次活性化及び共活性化分子と実質的に反応しないように構成された表面曝露部分を含む。
【0117】
[00146] いくつかの実施形態では、方法は、アジ化物反応性部分を含む少なくとも第1の表面調製試薬を、反応性合成表面の少なくとも第1の領域に配置された表面露出部分と反応させることを含む、中間反応性合成表面を調製することをさらに含む。
【0118】
[00147] いくつかの実施形態では、表面露出部分は、求核部分である。いくつかの実施形態では、表面の求核部分は、水酸化物、アミノ又はチオールである。いくつかの他の実施形態では、表面の求核部分は、水酸化物であり得る。
【0119】
[00148] いくつかの実施形態では、表面露出部分は、置換可能な部分である。
【0120】
[00149] 2つの修飾試薬が使用されるいくつかの実施形態では、第1の修飾試薬の反応及び表面との第2の修飾試薬の反応は、表面上のランダムな位置で起こり得る。他の実施形態では、第1の修飾試薬の反応は、表面の第1の領域内で起こり得、第2の修飾試薬の反応は、第1の領域に隣接する表面の第2の領域内で起こり得る。例えば、マイクロ流体装置のチャネル内の表面は、第1の表面修飾により選択的に修飾され得、チャネル内の表面に隣接する隔離ペン内の表面は、第2の異なる表面修飾により選択的に修飾され得る。
【0121】
[00150] なおも他の実施形態では、第1の修飾試薬の反応は、少なくとも1つの表面上で互いに隔てられた複数の第1の領域内で起こり得、第2の修飾反応の反応は、互いに隔てられた複数の第1の領域の周囲の第2の領域で起こり得る。
【0122】
[00151] 様々な実施形態において、第1の表面修飾と第2の表面修飾との組み合わせを導入するためのマイクロ流体装置の1つ又は複数の表面の修飾は、マイクロ流体装置が組み立てられた後に実施され得る。非限定的な一例では、第1及び第2の表面修飾は、マイクロ流体装置の組み立て後、化学蒸着によって導入され得る。別の非限定的な例では、第1の反応性部分を有する第1の表面修飾と、第2の直交反応性部分を有する第2の表面修飾とを有する官能化表面が導入され得る。2つの異なる表面接触部分を有する2つの異なる表面修飾リガンドへの示差的な変換が続き得る。
【0123】
[00152] いくつかの実施形態では、第1及び第2の表面修飾の組み合わせのうちの少なくとも1つは、マイクロ流体装置の組み立ての前に実施され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの表面を修飾することは、マイクロ流体装置の組み立て後に実施され得る。
【0124】
[00153] いくつかの実施形態では、結合剤を含む共有結合官能化表面が調製される。いくつかの実施形態では、共有結合官能化合成表面上の複数の結合剤(例えば、共有結合ビオチンに共有又は非共有結合され得るストレプトアビジン官能基のような四価結合剤などの複数の多価結合剤)の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約6×10~約5×10分子である。いくつかの実施形態では、複数の結合剤(例えば、三価結合剤などの複数の多価結合剤)の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約1.5×10~約1×10、約1.5×10~約7.5×10又は約3×10~約7.5×10分子である。いくつかの実施形態では、複数の結合剤(例えば、二価結合剤などの複数の多価結合剤)の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約2.5×10~約1.5×10、約2.5×10~約1×10又は約5×10~約1×10分子である。いくつかの実施形態では、複数の結合剤(例えば、複数の一価の結合剤)の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10、約5×10~約2×10又は約1×10~約2×10分子である。
【0125】
[00154] いくつかの実施形態では、結合剤を含む共有結合官能化表面が調製され、共有結合官能化合成表面上の複数の結合剤(例えば、共有結合ビオチンに共有又は非共有結合され得るストレプトアビジン官能基)の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約1×10~約1×10分子である。
【0126】
[00155] いくつかの実施形態では、共有結合官能化表面を調製し、次に抗原提示合成表面を調製することを含む組み合わせ方法が提供される。したがって、共有結合官能化表面を調製するためのステップと、抗原提示合成表面を調製するためのステップとの任意の適切な組み合わせが使用され得る。
【0127】
表面調製及び共有結合官能化表面の追加的な態様。
[00156] 抗原提示合成表面を調製する方法及び共有結合官能化表面を調製する方法をはじめとする、本明細書に記載の表面を調製する任意の方法は、以下の態様の1つ又は複数をさらに含み得る。共有結合官能化表面は、反応性基などのこのような表面に適用可能な以下の態様の1つ又は複数をさらに含み得る。
【0128】
[00157] アジ化物-アルキン反応。いくつかの実施形態では、共有結合は、非環式アルキンなどのアルキンをアジ化物と反応させることによって形成される。例えば、銅(I)塩によって触媒される「クリック」環化反応が実施され得る。銅(I)塩を使用して反応が触媒される場合、反応混合物は、反応の速度又は程度を高め得る他の試薬を任意選択的に含み得る。例えば、表面修飾試薬又は官能化表面のアルキンがシクロオクチンである場合、対応する官能化表面又は表面修飾試薬のアジ化物との「クリック」環化反応は、銅を含まなくてもよい。その結果、「クリック」環化反応を使用して、表面修飾リガンドを官能化表面に共役させ、共有結合修飾表面が形成され得る。
【0129】
[00158] 銅触媒。任意の適切な銅(I)触媒が使用され得る。いくつかの実施形態では、銅(I)ヨウ化物、銅(I)塩化物、銅(I)臭化物又は別の銅(I)塩である。他の実施形態では、銅(II)塩をアスコルビン酸塩などの還元剤と組み合わせて使用して、インサイチューで銅(I)種が生成され得る。硫酸銅又は酢酸銅は、適切な銅(II)塩の非限定的な例である。他の実施形態では、アスコルビン酸塩などの還元剤が銅(I)塩と組み合わされて存在し、反応の過程で十分な銅(I)種が確保され得る。銅金属を使用して、酸化還元反応でCu(I)種が提供され、Cu(II)種も生成され得る。[CuBr(PPh]、銅のケイタングステン酸塩錯体、[Cu(CHCN)]PF又は(Eto)P CuIなどの銅の配位錯体が使用され得る。なおも他の実施形態では、シリカ担持銅触媒、銅ナノクラスター又は銅/酸化第一銅ナノ粒子が触媒として使用され得る。
【0130】
[00159] 他の反応促進剤。上述のように、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤を使用して、酸素が反応から厳密に除外されていなくても、銅(I)種が反応全体を通して維持され得る。他の補助リガンドが反応混合物に含まれて、銅(I)種が安定化され得る。トリス(ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチルアミン(TBTA)又は3[トリス(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THPTA)をはじめとするが、これに限定されるものではないトリアゾリル含有リガンドが使用され得る。反応を促進するために使用され得る別のクラスの補助リガンドは、スルホン化バソフェナントロリンであり、これは、水溶性でもあり、酸素が除外され得る場合に使用され得る。当該技術分野で公知の他の化学共役を使用して、表面修飾試薬が官能化表面に共役され得る。
【0131】
[00160] 表面の洗浄。修飾される表面は、修飾前に洗浄し、例えば油又は接着剤で覆われないようにするなど、表面の求核部分が反応に自由に利用できることを確実にし得る。洗浄は、アルコール又はアセトンを含む溶媒による処理、超音波処理、蒸気洗浄などをはじめとする任意の適切な方法によって達成され得る。代わりに又は加えて、このような前洗浄は、様々な不純物を除去し得る、酸素プラズマクリーナー内での洗浄(例えば、カバー、マイクロ流体回路材料及び/又はマイクロ流体装置の構成要素に関連して基板)の一方、酸化表面(例えば、本明細書に記載されるように共有結合修飾され得る表面の酸化物)を同時に導入することを含み得る。代わりに、塩酸と過酸化水素の混合物又は硫酸と過酸化水素との混合物(例えば、硫酸と過酸化水素との比率が約3:1~約7:1であるピラニア溶液)などの液相処理が酸素プラズマクリーナーの代わりに使用され得る。これは、表面上により多くの修飾部位を有利に提供し得、その結果、より密に詰まった修飾表面層が提供される。
【0132】
[00161] マイクロ流体装置の構成要素。マイクロ流体装置の構成要素として使用され得る材料の表面は、その組み立て前に修飾され得る。代わりに、部分的に又は完全に構築されたマイクロ流体装置は、生体分子及び/又は微小物体(生体微小物体を含み得る)を含む生体材料に接触する全ての表面が同時に修飾されるように修飾され得る。いくつかの実施形態では、装置及び/又は器具内の異なる表面に異なる材料がある場合でも、装置及び/又は器具の内部全体が修飾され得る。この考察は、本明細書に記載の抗原提示合成表面を調製する方法にも当てはまる。
【0133】
[00162] マイクロ流体装置の内表面が表面修飾試薬と反応する場合、反応は、表面修飾試薬の溶液を、マイクロ流体装置に且つそれを通して流し込むことによって実施され得る。
【0134】
[00163] 表面修飾試薬溶液及び反応条件。様々な実施形態において、表面修飾試薬は、液相表面修飾反応で使用され得、例えば、表面修飾試薬は、水溶液などの溶液で提供される。他の有用な溶剤としては、水性ジメチルスルホキシド(DMSO)、DMF、アセトニトリルが挙げられるか、又はアルコールが使用され得る。例えば、トシル基で活性化された表面又はエポキシ基で標識された表面は、液相反応で修飾され得る。ビオチン又は抗体、MHC又はストレプトアビジンなどのタンパク質を結合部分に共役させる反応も液相反応として実施され得る。
【0135】
[00164] 反応は、室温又は高温で行われ得る。ある実施形態において、反応は、約15℃から約60℃;約15℃から約55℃;約15℃から約50℃;約20℃から約45℃の範囲の温度で行われる。ある実施形態において、マイクロ流体デバイスの機能化表面を、共有結合的に修飾された表面に転化するための反応は、約15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃又は約60℃の温度で行われる。
【0136】
[00165] 代わりに、表面修飾試薬は、気相表面修飾反応で使用され得る。例えば、シリカ表面及びヒドロキシル基を含む他の表面は、気相反応で修飾され得る。いくつかの実施形態では、表面(例えば、シリコン表面)は、プラズマで処理される(例えば、酸素プラズマクリーナーを使用して;例示的な処理条件については実施例を参照されたい)。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面及び/又はシリコン表面などの表面は、真空下において、例えば(11-アジドウンデシル)トリメトキシシランなどのメトキシシラン及びアジ化物を含む調製試薬と反応される。調製試薬は、最初に、表面とは別の容器に液体形態で提供され得、気化して表面との反応に利用できるようにされ得る。例えば、硫酸マグネシウム七水和物などの水和塩などの供給源も例えばさらに別の容器で提供され得る。例えば、真空反応器の底部にあるホイルボートは、別の容器として使用され得る。例示的な反応条件及び手順は、真空ポンプを使用して約750mTorrまでチャンバーを排気し、次にチャンバーを密閉することを含む。次に、真空反応器は、例えば、110℃に加熱したオーブン内に24~48時間入れることにより、適切な時間にわたり、周囲温度よりも高い温度でインキュベートされ得る。反応期間に続いて、チャンバーは、冷却され、アルゴンなどの不活性ガスが真空チャンバーに導入され得る。アセトン及び/又はイソプロパノールなどの1つ又は複数の適切な液体で表面が洗浄され、次に窒素などの不活性ガスの流れ下で乾燥され得る。修飾表面の導入の確認は、偏光解析法及び接触角測定法などの技術を使用して得られ得る。
【0137】
[00166] 本開示に従って用いられ得る追加的な修飾表面、表面修飾試薬及び関連方法は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される、2017年11月30日に公開された国際公開第2017/205830号に記載される。
【0138】
Tリンパ球を活性化する方法。
[00167] Tリンパ球を活性化する方法であって、複数のT細胞を、Tリンパ球のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性(MHC)分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む抗原提示合成表面と接触させることと、抗原提示合成表面と接触させて複数のTリンパ球を培養し、それにより、複数のTリンパ球の少なくとも一部を活性化Tリンパ球に変換することとを含む方法が提供される。抗原提示表面は、本明細書に記載の任意の抗原提示表面であり得る。いくつかの実施形態では、MHC分子は、MHCクラス1分子である。本明細書に記載の抗原提示合成表面のいずれでも使用され得る。様々な実施形態において、複数のMHC分子は、それぞれアミノ酸配列を含み得、さらにアミノ酸配列のC末端接続を介して抗原提示合成表面に接続され得る。代わりに、MHC分子は、非共有結合を介して抗原提示合成表面に接続され得る。例えば、MHCのビオチン化及び表面上のストレプトアビジンへの結合などの任意の非共有結合が使用され得る。様々な実施形態において、MHC分子は、例えば、本明細書に記載の腫瘍関連抗原のいずれかなどの腫瘍関連抗原などの抗原分子をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗原分子は、MART1、NYESO1、SLC45A2、TCL1又はVCX3Aであり得る。
【0139】
[00168] いくつかの実施形態では、共活性化分子は、本明細書に記載の抗原提示合成表面に接続され得る。T細胞受容体(TCR)共活性化分子又は複数の共活性化分子の補助TCR活性化分子は、本明細書に記載の任意のTCR共活性化分子又は任意の補助TCR活性化分子であり得、本明細書に記載の任意の比率で提供され得る。
【0140】
[00169] 様々な実施形態において、方法は、複数のTリンパ球を複数の成長刺激性分子リガンドに接触させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、成長刺激性分子リガンドのそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のTリンパ球を複数の成長刺激性分子リガンドと接触させることは、少なくとも1日間の第1の培養期間後に実施され得る。いくつかの実施形態では、複数の成長刺激性分子リガンドは、IL-21又はその断片を含み得る。様々な実施形態において、複数の成長刺激性分子リガンドは、抗原提示合成表面に接続され得る。いくつかの実施形態では、複数の成長刺激性分子リガンドは、MHC分子を含む生体分子を含む抗原提示合成表面と異なる表面である(例えば、ビーズの)表面に接続され得る。いくつかの実施形態では、複数の成長刺激性分子リガンドは、MHC分子を含む抗原提示合成表面に接続され得る。
【0141】
[00170] 様々な実施形態において、方法は、ビーズ上の抗原提示表面を使用することを含み得る。抗原提示表面を有するビーズが使用される場合、ビーズとTリンパ球との比率は、約1:1;約3:1;約5:1;約7:1又は約10:1であり得る。ビーズは、本明細書に記載の任意の方法でそれに付着する抗原提示MHC分子及び抗CD28抗体を有し得る。いくつかの実施形態では、IL-21もビーズの抗原提示表面に付着し得る。他の実施形態では、IL-21は、活性化に寄与する唯一の生体分子としてIL-21を有する第2のビーズに付着し得る。
【0142】
[00171] 他の実施形態では、方法は、パターン化又は非パターン化であり得る平面を使用して実施され得る。
【0143】
[00172] 様々な実施形態において、第1の培養期間は、4、5、6、7又は8日間実施され得る。第1の培養期間中、IL-21、IL-2及び/又はIL-7などの成長刺激分子が溶液に添加され得るか、又はビーズ上に添加されてTリンパ球に供給され得る。
【0144】
[00173] 第1の培養期間の終了時、細胞の集団は、非活性化Tリンパ球と活性化Tリンパ球との混合物を含み得る。分析される細胞の活性化の程度及び表現型は、複数の細胞表面マーカーを使用したフローサイトメトリーを実施して判定され得る。
【0145】
[00174] 第2の培養期間が実施され得る。抗原提示表面がビーズである場合、例えばウェルプレート、装置を含有する流体回路のチャンバー又は本明細書に記載の隔離ペンを有するマイクロ流体装置への添加により、腫瘍関連抗原及び共活性化分子(例えば、それぞれ抗CD28抗体及び/又は抗CD2抗体などのTCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子)を含むMHC分子を含む一次活性化分子リガンドを含有するビーズの第2のアリコートがTリンパ球に提供され得る。抗原提示ビーズは、例えば、それに接続されたIL-21などの追加的な成長刺激性分子をさらに含み得る。抗原提示ビーズは、細胞に対して約1:1;約3:1、約5:1;又は約10:1の比率において、培養される細胞に添加され得る。いくつかの実施形態では、IL-21の第2のアリコートは、IL-21がそれに接続されたビーズの第2のセットとして添加され得るか、又はさらに溶液として添加され得る。IL-2及びIL-7も第2の培養期間中に添加されて、追加的な数のTリンパ球が活性化され得る。
【0146】
[00175] パターン化又は非パターン化ウエハ、装置を含有する流体回路の内表面、管の内表面又は隔離ペンを有するマイクロ流体装置の内表面が使用される場合、同一抗原提示表面と接触させる培養を継続することにより、培養の第2の期間が達成され得る。代わりに、新規抗原提示表面は、第1の培養期間から得られたTリンパ球と接触され得る。他の実施形態では、上述の又は本明細書で開示されるいずれかの実施形態に記載されたような抗原提示ビーズは、ウェル又は装置を含有する流体回路の内部チャンバー又はマイクロ流体の隔離ペンに添加され得る。IL-21、IL-2、IL-7又はそれらの組み合わせなどの成長刺激分子が溶液又はビーズに添加され得る。いくつかの実施形態では、IL-2及びIL-7が添加される。
【0147】
[00176] 第2の培養期間の終了時、フローサイトメトリー分析を実施して、活性化の程度が判定され得、その時点で存在するさらに活性化されたTリンパ球の表現型が判定される。
【0148】
[00177] いくつかの実施形態では、第3の培養期間が含まれ得る。第3の期間は、第2の期間に関して本明細書に記載される特徴のいずれかを有し得る。いくつかの実施形態では、第3の期間は、第2の期間と同じように実施される。例えば、第2の培養期間中に用いられる全ての措置が繰り返されて、ウェルプレートのウェル内において、管内又は隔離ペンを有する装置又はマイクロ流体装置を含有する流体回路のチャンバー内でTリンパ球がさらに活性化され得る。
【0149】
[00178] いくつかの実施形態では、活性化されるTリンパ球は、ナイーブCD8+Tリンパ球などのCD8+Tリンパ球を含む。いくつかの実施形態では、活性化されるTリンパ球は、ナイーブCD8+Tリンパ球などのCD8+Tリンパ球について濃縮される。代わりに、いくつかの実施形態では、活性化されるTリンパ球は、ナイーブCD4+Tリンパ球などのCD4+Tリンパ球を含む。いくつかの実施形態では、活性化されるTリンパ球は、ナイーブCD4+Tリンパ球などのCD4+Tリンパ球について濃縮される。例えば、クラスII拘束性抗原に特異的なT細胞が望ましい場合、CD4+Tリンパ球が使用され得る。
【0150】
[00179] いくつかの実施形態では、方法は、CD45RO+である活性化Tリンパ球を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、CD28+である活性化Tリンパ球を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、CD28+CD45RO+である活性化Tリンパ球を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、CD197+である活性化Tリンパ球を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、CD127+である活性化Tリンパ球を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、CD28、CD45RO、CD127及びCD197について、又は前述のマーカーの少なくとも3つの任意の組み合わせについて、又は前述のマーカーの少なくとも2つの任意の組み合わせについて陽性の活性化Tリンパ球を生成する。前述の表現型のいずれかを有する活性化Tリンパ球は、さらにCD8+であり得る。いくつかの実施形態では、CD28+である前述の表現型のいずれかは、CD28high表現型を含む。
【0151】
[00180] いくつかの実施形態では、方法は、抗原特異的T細胞を含むT細胞の集団を生成し、抗原特異的T細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%又は98%は、CD45RO+/CD28High細胞であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾され得る。代わりに又は加えて、いくつかの実施形態では、方法は、T細胞の集団を生成し、T細胞の少なくとも1%、1.5%、2%、3,%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%は、抗原特異的T細胞であり;又はT細胞の1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~11%又は11%~12%は、抗原特異的T細胞であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾され得る。T細胞の集団の含有量は、抗原提示表面との接触及び任意選択的にさらなる増殖ステップに続いて、すなわち特定の表現型を有する生成物T細胞を濃縮又は分離する前に/することなしに、方法の「粗」生成物上で判定され得る。抗原特異性及び/又はT細胞マーカー表現型の判定により、死細胞が除外され得る。
【0152】
[00181] いくつかの実施形態では、方法は、抗原特異的であるT細胞の割合が出発集団と比較して増加している、T細胞の集団を提供する。
【0153】
細胞及び組成物。
[00182] 本明細書に記載の任意の方法によって生成する活性化Tリンパ球が提供される。
【0154】
[00183] いくつかの実施形態では、活性化Tリンパ球は、CD45RO+である。いくつかの実施形態では、活性化Tリンパ球は、CD28+である。いくつかの実施形態では、活性化Tリンパ球は、CD28+CD45RO+である。いくつかの実施形態では、活性化Tリンパ球は、CD197+である。いくつかの実施形態では、活性化Tリンパ球は、CD127+である。いくつかの実施形態では、活性化Tリンパ球は、CD28、CD45RO、CD127及びCD197について、前述のマーカーの少なくとも3つの任意の組み合わせについて又は前述のマーカーの少なくとも2つの任意の組み合わせについて陽性である。前述の表現型のいずれかを有する活性化Tリンパ球は、さらにCD8+であり得る。いくつかの実施形態では、CD28+である前述の表現型のいずれかは、CD28high表現型を含む。
【0155】
[00184] いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の方法によって生成された活性化T細胞を含むT細胞の集団が提供される。集団は、T細胞集団について上述された特徴のいずれかを有し得る。
【0156】
[00185] いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるT細胞の集団を含むマイクロ流体装置が提供される。マイクロ流体装置は、本明細書に記載される抗原提示マイクロ流体装置又は他のマイクロ流体装置(例えば、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するための)のいずれかであり得る。
【0157】
[00186] いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるT細胞の集団を含む医薬組成物が提供される。医薬組成物は、例えば、生理食塩水、グルコース及び/又はヒト血清アルブミンをさらに含み得る。組成物は、水性組成物であり得、冷凍又は液体形態で提供され得る。医薬組成物は、例えば、シリンジ内の単回用量として提供され得、1000万、1億、10億又は100億の細胞を含み得る。投与される細胞の数は、適応症特異的、患者(例えば、患者のサイズ)特異的であり、投与される細胞の純度と表現型によっても変動する。
【0158】
抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法。
[00187] 本明細書で提供されるのは、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法であって、
マイクロ流体装置の隔離ペンに1つ又は複数の標的細胞を負荷することと、
1つ又は複数のT細胞が1つ又は複数の標的細胞に接触し得るように、1つ又は複数のT細胞を隔離ペンに負荷することと、
標的細胞を、アポトーシス細胞を標識する検出可能なマーカーと接触させることと、
標的細胞がアポトーシスになるかどうかを検出することと
を含む方法である。
【0159】
[00188] マイクロ流体装置は、本明細書に記載の任意の装置であり得る。抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキットに含まれるマイクロ流体装置は、抗原提示合成表面を含む必要はない。1つ又は複数のT細胞は、このような細胞を生成又は活性化するための本明細書に記載の任意の方法に従って生成又は活性化され得る。本明細書に記載の任意のタイプのCD8+T細胞が使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のT細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のT細胞は、CARを発現しない。
【0160】
[00189] 標的細胞は、本明細書に記載の腫瘍抗原のいずれかなどの腫瘍抗原を発現し得る。いくつかの実施形態では、T細胞は、標的細胞によって発現される抗原に特異的である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、不死細胞株に由来し、及び/又は黒色腫、乳がん又は肺がんなどのがんに由来する。
【0161】
[00190] いくつかの実施形態では、単一の標的細胞及び/又は単一のT細胞が隔離ペンに負荷される。いくつかの実施形態では、複数の標的細胞及び/又は複数のT細胞が隔離ペンに負荷される。いくつかの実施形態では、複数のT細胞がクローン集団である。いくつかの実施形態では、単一のT細胞及び複数の標的細胞が隔離ペンに負荷される。
【0162】
[00191] 隔離ペン内への細胞の負荷は、重力を使用して、例えば細胞がペン内に重力で引き込まれるようにマイクロ流体装置を傾けることによって実施され得る。代わりに、誘電泳動(DEP)構成を有するマイクロ流体装置では、DEP力を用いて細胞が負荷され得る。いくつかの実施形態では、DEP力は、構造化された光によって活性化される。
【0163】
[00192] アポトーシス細胞を標識する任意の適切なマーカーが使用され得る。アポトーシス細胞を標識するマーカーとしては、例えば、生細胞膜を通過しないが、損傷した死細胞膜を通過する色素などの死細胞を生細胞と区別できるように標識するマーカー及び標識のためのアポトーシス関連タンパク質又は酵素活性(例えば、アポトーシス関連プロテアーゼ)に依存する標識が挙げられる。いくつかの実施形態では、マーカーは、核酸結合部分を含む。いくつかの実施形態では、マーカーは、例えば、カスパーゼ-3のなどのカスパーゼのようなアポトーシス関連プロテアーゼなどのプロテアーゼによる切断によって活性化される蛍光発生又は切断可能マーカーである。いくつかの実施形態では、マーカーは、アポトーシス細胞及び/又はアポトーシス小体に特異的に結合する結合剤(例えば、抗体)を含み、結合剤は、フルオロフォアなどの検出可能な部分をさらに含み得る。
【0164】
[00193] 方法は、標的細胞がアポトーシスになったかどうかを1回又は例えば2回、3回若しくはそれを超えて定期的に検出することを含み得る。この方法は、細胞をマーカー及び/又はT細胞と接触させてから2時間以上後、標的細胞がアポトーシスになったかどうかを検出することを含み得る。
【0165】
抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキット。
[00194] 本明細書では、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキットも提供される。いくつかの実施形態では、キットは、マイクロ流体装置を含む。マイクロ流体装置は、本明細書に記載のマイクロ流体装置のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロ流体装置は、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法に関するセクションで上述されたとおりであるか、又は本明細書で開示される任意の実施形態に記載されたとおりである。抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキットに含まれるマイクロ流体装置は、抗原提示合成表面を含む必要はない。いくつかの実施形態では、キットは、アポトーシス細胞を検出するための試薬を含む。いくつかの実施形態では、アポトーシス細胞を検出するための試薬は、抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法に関するセクションで上述されたような又は本明細書で開示される任意の実施形態に記載されたような、アポトーシス細胞を標識する検出可能なマーカーである。
【0166】
治療方法。
[00195] 本明細書で提供されるのは、がんの治療を必要とする対象を治療する方法であって、対象からTリンパ球を含むサンプルを得ることと、サンプル中でTリンパ球を他の細胞から分離することと、本明細書に記載の任意の方法に従い、Tリンパ球を、対象のがんに特異的な抗原を含むMHC分子を含む抗原提示合成表面と接触させることと、対象のがんに特異的であるように活性化された複数のTリンパ球を生成することと、複数の特異的な活性化Tリンパ球を非活性化Tリンパ球から分離することと、複数の特異的活性化Tリンパ球を対象に導入することとを含む方法である。本明細書では、がんの治療で使用するための複数の特異的活性化Tリンパ球も提供され、複数ものは、対象からTリンパ球を含むサンプルを得ることと、サンプル中でTリンパ球を他の細胞から分離することと、本明細書に記載の任意の方法に従い、Tリンパ球を、対象のがんに特異的な抗原を含むMHC分子を含む抗原提示合成表面と接触させることと、対象のがんに特異的であるように活性化された複数のTリンパ球を生成することと、複数の特異的活性化Tリンパ球を非活性化Tリンパ球から分離することとを含む方法によって調製される。本明細書では、がんを治療するための薬剤の製造のための複数の特異的活性化Tリンパ球の使用も提供され、複数のものは、対象からTリンパ球を含むサンプルを得ることと、サンプル中でTリンパ球を他の細胞から分離することと、本明細書に記載の任意の方法に従い、Tリンパ球を、対象のがんに特異的な抗原を含むMHC分子を含む抗原提示合成表面と接触させることと、対象のがんに特異的であるように活性化された複数のTリンパ球を生成することと、複数の特異的活性化Tリンパ球を非活性化Tリンパ球から分離することとを含む方法によって調製される。
【0167】
[00196] 本明細書に記載の方法によって生成された複数の特異的活性化Tリンパ球を対象に導入することを含む、がんの治療を必要とする対象を治療する方法も提供される。本明細書に記載の特異的活性化Tリンパ球の集団を対象に導入することを含む、がんを治療する必要がある対象を治療する方法も提供される。このような方法は、非活性化Tリンパ球から活性化Tリンパ球を分離することをさらに含み得る。複数の特異的活性化Tリンパ球が、本明細書に記載される方法によって生成される、がんの治療を必要とする対象の治療で使用するための複数の特異的活性化Tリンパ球も提供される。がんの治療を必要とする対象の治療で使用するための、本明細書に記載の特異的活性化Tリンパ球の集団も提供される。複数の特異的活性化Tリンパ球が、本明細書に記載される方法によって生成される、がんの治療を必要とする対象を治療するための薬剤の製造のための複数の特異的活性化Tリンパ球の使用も提供される。がんの治療を必要とする対象を治療するための薬剤の製造のための、本明細書に記載の特異的活性化Tリンパ球の集団の使用も提供される。特異的活性化Tリンパ球のこのような複数又は集団は、非活性化Tリンパ球から活性化Tリンパ球を分離することによってさらに調製され得る。
【0168】
[00197] いくつかの実施形態では、複数の特異的活性化Tリンパ球の分離は、特異的活性化Tリンパ球の表面バイオマーカーを検出することをさらに含み得る。
【0169】
[00198] いくつかの実施形態では、特異的活性化Tリンパ球は、自己由来(すなわちそれらが投与された対象由来)である。
【0170】
[00199] 様々な実施形態において、特異的活性化Tリンパ球の複数又は集団の方法又は調製は、活性化Tリンパ球を急速に増殖させ、活性化Tリンパ球の増殖集団を提供することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、急速な増殖は、非活性化Tリンパ球から特異的活性化Tリンパ球を分離した後に実施され得る。十分なレベルのTリンパ球の生成は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野で公知の迅速な増殖方法を使用して達成され得る。例えば、以下の例を参照されたい;Riddellの米国特許第5,827,642号;Riddellらの米国特許第6,040,177号並びにYee及びLiのPCT特許出願国際公開第2009/045308A2号。
【0171】
[0200] (例えば、養子細胞療法のための)ヒト対象の治療におけるT細胞の使用は、当該技術分野で公知である。本明細書に記載の方法に従って調製されたT細胞は、そのような方法で使用され得る。例えば、MART-1抗原特異的T細胞を含む腫瘍浸潤リンパ球を使用した養子細胞療法が診療所で試験されている(Powell et al., Blood 105:241-250, 2005)。また、抗CD3モノクローナル抗体とIL-2で共活性化されたT細胞の投与がChang et al., J. Clinical Oncology 21:884-890, 2003に記載されている。がん治療のためのT細胞投与の追加的な実施例及び/又は考察は、Dudley et al., Science 298:850-854, 2002;Roszkowski et al., Cancer Res 65(4): 1570-76, 2005;Cooper et al., Blood 101: 1637-44, 2003;Yeeの米国特許出願公開第2006/0269973号;Yee及びLiのPCT特許出願国際公開第2009/045308A2号;Gruenbergらの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;並びにAlajez et al., Blood 105:4583-89, 2005で提供される。
【0172】
[0201] いくつかの実施形態では、細胞は、最初にそれらの培養培地からそれらを採取し、次に治療有効量で投与に適した媒体に及び容器システム(「薬学的に許容可能な」担体)中で細胞を洗浄し濃縮することによって配合される。適切な注入媒体は、典型的には生理食塩水、Normosol R(Abbott)又はPlasma-Lyte A(Baxter)である任意の等張性媒体調合物であるが、水又は乳酸リンゲル液中の5%デキストロースも利用され得る。注入媒体にはヒト血清アルブミンも添加され得る。
【0173】
[0202] いくつかの実施形態では、組成物中の細胞の数は、少なくとも10又は少なくとも1010細胞である。いくつかの実施形態では、単回投与は、少なくとも1000万、1億、10億又は100億の細胞を含み得る。投与される細胞の数は、適応症特異的、患者(例えば、患者のサイズ)特異的であり、投与される細胞の純度及び表現型によっても変動する。細胞の数は、その中に含まれる細胞のタイプと同様に、組成物が意図される最終的な用途に依存するであろう。例えば、特定の抗原に特異的な細胞が望ましい場合、集団は、このような細胞を、70%を超えて、一般に80%、85%及び90~95%を超えて含むであろう。本明細書で提供される使用に関して、細胞は、一般に1リットル以下の容積であり、500ml以下、さらに250ml又は100ml以下であり得る。したがって、所望の細胞の密度は、10細胞/mlより大きいか、10細胞/mlより大きいか、又は10細胞/ml以上であり得る。臨床的に重要な数の免疫細胞は、10、1010又は1011細胞に累積的に等しいか又はそれを超える複数の注入に割り当て得る。
【0174】
[0203] いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるか又は本発明の本明細書に記載の方法に従って調製される、Tリンパ球を使用して、腫瘍又はがん細胞に対する免疫が個人に付与され得る。「免疫」は、それに対してリンパ球が活性化された抗原に対する、がん細胞又は腫瘍に関連する1つ又は複数の身体的症状の軽減を意味する。細胞は、注入によって投与され得、各注入は、例えば、少なくとも10~10細胞/mの範囲など、少なくとも10~1010細胞/mの範囲である。クローンは、1回の注入によって投与され得るか、又は一定期間にわたる複数回の注入によって投与され得る。しかし、異なる個人は、応答性が変動することが予想されるため、注入される細胞の種類及び量並びに注入の回数及び複数回の注入が与えられる時間範囲は、主治医によって決定され、検査によって決定され得る。
【0175】
[0204] 細胞を患者に戻し入れた後、患者を、IL-21及びIL-2を含み得るサイトカインで治療することにより、患者の生存率を維持する方法が用いられ得る(Bear et al., Cancer Immunol. Immunother.50:269-74, 2001;及びSchultze et al., Br. J. Haematol. 113:455-60, 2001)。別の実施形態では、細胞は、患者への投与前にIL-21の存在下で培養される。例えば、Yeeの米国特許出願公開第2006/0269973号を参照されたい。IL-21は、抗原特異的T細胞をさらに濃縮することなく、増殖及び養子免疫伝達に十分に高いレベルまで、活性化T細胞を含む集団中のT細胞頻度を増加し得る。したがって、このようなステップは、治療までの時間をさらに短縮し、及び/又はさらなる選択及び/又はクローニングを不要にし得る。
【0176】
抗原提示合成表面を調製するためのキット。
[0205] Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示合成表面を調製するためのキットであって、a.複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤を含む、本明細書に記載の任意の共有結合官能化合成表面、及びT細胞のT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む第1の修飾試薬であって、さらに、MHC分子は、共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤の第1のサブセットの1つに結合するように構成される、第1の修飾試薬を含むキットも提供される。いくつかの実施形態では、第1のカップリング剤は、ビオチン結合剤であり得る。ビオチン結合剤は、ストレプトアビジンであり得る。いくつかの実施形態では、複数のMHC分子のそれぞれは、少なくとも1つのビオチン官能基をさらに含み得る。当該技術分野で公知のように他の共役化学が使用され得、他の部位特異的タンパク質タグは、ビーズに付着した認識タンパク質ベースの化学種に共有結合されるように構成されたMHCタンパク質に付着され得る。これらの共役ストラテジーは、MHC分子のC末端ビオチン化によって提供されるように、MHC分子の同等の部位特異的且つ特異的配向付着を提供し得る。共有結合官能化合成表面は、ウエハ、ビーズ、マイクロ流体装置又は管の少なくとも1つの内表面であり得る。
【0177】
[0206] キットは、共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合されたビオチン結合剤の第2のサブセットの1つに結合するようにそれぞれ構成された複数の共活性化分子を含む試薬をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子のそれぞれは、ビオチン官能基を含み得る。共活性化分子のそれぞれは、T細胞受容体(TCR)共活性化分子、補助TCR活性化分子又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、試薬は、T細胞受容体(TCR)共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を含有する個々の容器内に提供される。代わりに、複数の共活性化分子を含む試薬は、約100:1~1:100の比率で複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を含有する1つの容器内に提供され得る。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子を含む試薬は、100:1~90:1、90:1~80:1、80:1~70:1、70:1~60:1、60:1~50:1、50:1~40:1、40:1~30:1、30:1~20:1、20:1~10:1、10:1~1:1、1:1~1:10、1:10~1:20、1:20~1:30、1:30~1:40、1:40~1:50、1:50~1:60、1:60~1:70、1:70~1:80、1:80~1:90又は1:90~1:100の、複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率でTCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子の混合物を含み、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される。いくつかの実施形態では、複数の共活性化分子を含む試薬は、約20:1~約1:20の比率で複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含有する。
【0178】
[0207] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面を調製するためのキットは、接着刺激性分子を含む試薬をさらに含み得、各接着刺激性分子は、共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合されたビオチン結合剤官能基の第3のサブセットと反応するように構成されたICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含む。いくつかの実施形態では、接着刺激性分子は、ビオチン官能基を含み得る。
【0179】
[0208] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面を調製するためのキットは、成長刺激分子を含む試薬をさらに含み得、各成長刺激分子は、成長因子受容体リガンドを含み得る。いくつかの実施形態では、成長因子受容体リガンドは、サイトカイン又はその断片を含み得る。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-21又はその断片を含み得る。いくつかの実施形態では、成長刺激性分子は、共有結合修飾ビーズに付着し得る。
【0180】
[0209] いくつかの実施形態では、抗原提示合成表面を調製するためのキットは、1つ又は複数の追加的な成長刺激性分子を含む試薬をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の追加的な成長刺激性分子は、IL2及び/又はIL7又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、成長刺激性分子は、共有結合修飾ビーズに付着し得る。
【0181】
Tリンパ球を活性化するためのキット。
[0210] 本明細書に記載の抗原提示合成表面を含む、Tリンパ球を活性化するためのキットも提供される。キットは、成長刺激性分子をさらに含み得、各成長刺激性分子は、成長因子受容体リガンドを含み得る。成長刺激分子は、抗原提示合成表面に付着する(一次活性化分子リガンドと同じ又は異なる領域で)か、又は異なる共有結合修飾合成表面に付着する遊離分子として提供され得る。例えば、キットは、補助刺激性分子を含む複数の共有結合修飾ビーズをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、成長因子受容体リガンド分子は、サイトカイン又はその断片を含み得る。いくつかの実施形態では、成長因子受容体リガンドは、IL-21を含み得る。他の実施形態では、キットは、1つ又は複数の追加的な(例えば、第2の又は第2の及び第3の)成長刺激性分子)を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の追加的な成長刺激性分子は、IL-2及び/又はIL-7又はその断片を含み得る。追加的な成長刺激分子は、抗原提示合成表面に付着する(一次活性化分子リガンドと同じ又は異なる領域で)か、又はビーズなどの異なる共有結合修飾合成表面に付着する遊離分子として提供され得る。
【0182】
マイクロ流体装置構造、負荷及び操作の追加的な態様;関連システム
[0211] 本明細書に記載されるマイクロ流体装置及びその使用は、以下の特徴のいずれかを有し得、以下に記載されるシステムと併用され得る。
【0183】
[0212] 充填方法。
生物学的微小物体又は微小物体(限定はされないが、ビーズなど)の充填は、本明細書に記載されるように、流量、重力、誘電泳動(DEP)力、エレクトロウェッティング、磁力又はそれらの任意の組合せの使用を含み得る。DEP力は、光電子ピンセット(OET)構成などによって光学的に、及び/又は時間的/空間的パターンで1つ又は複数の電極領域の活性化などによって電気的に生成され得る。同様に、エレクトロウェッティング力は、光エレクトロウェッティング(OEW)構成などによって光学的に、及び/又は時間的空間的パターンで1つ又は複数の電極領域の活性化などによって電気的に提供され得る。
【0184】
[0213] このようなデバイスを操作及び観察するためのマイクロ流体デバイス及びシステム。
図1Aは、マイクロ流体デバイス100及びシステム150の例を示し、これは、生物学的微小物体を維持し、単離し、アッセイし、又は培養するのに使用され得る。マイクロ流体デバイス100の部分図を提供するためにそのカバー110の部分切り欠き図を有するマイクロ流体デバイス100の斜視図が示される。マイクロ流体デバイス100は、一般に、流体培地180が流れ得る流路106を含むマイクロ流体回路120を含み、流路106は、任意選択的に、1つ又は複数の微小物体(図示せず)をマイクロ流体回路120内に及び/又はマイクロ流体回路120に通して搬送する。単一のマイクロ流体回路120が図1Aに示されるが、好適なマイクロ流体デバイスは、複数(例えば、2つ又は3つ)のこのようなマイクロ流体回路を含み得る。それにもかかわらず、マイクロ流体デバイス100は、ナノ流体デバイスであるように構成され得る。図1Aに示されるように、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離ペン124、126、128及び130を含み得、各隔離ペンは、流路106と流体連通する1つ又は複数の開口部を有し得る。図1Aのデバイスのある実施形態において、隔離ペンは、流路106と流体連通する1つのみの開口部を有し得る。以下にさらに説明されるように、マイクロ流体隔離ペンは、培地180が流路106を通って流れているときでも、微小物体をマイクロ流体デバイス100などのマイクロ流体デバイス内に保持するように最適化された様々な特徴及び構造を含む。しかしながら、これに移る前に、マイクロ流体デバイス100及びシステム150の簡単な説明が提供される。
【0185】
[0214] 図1Aに概して示されるように、マイクロ流体回路120はエンクロージャ102により画定される。エンクロージャ102は異なる構成で物理的に構造化することができるが、図1Aに示される例では、エンクロージャ102は、支持構造体104(例えば、基部)、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110を含むものとして示されている。支持構造体104、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110は、互いに取り付けることができる。例えば、マイクロ流体回路構造108は、支持構造体104の内面109に配置することができ、カバー110は、マイクロ流体回路構造108を覆って配置することができる。支持構造体104及びカバー110と一緒に、マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の要素を画定することができる。
【0186】
[0215] 図1Aに示されるように、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の下部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の上部にあり得る。代替的に、支持構造体104及びカバー110は、他の向きで構成され得る。例えば、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の上部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の下部にあり得る。それに関係なく、それぞれがエンクロージャ102内又は外への通路を含む1つ又は複数のポート107があり得る。通路の例としては、弁、ゲート、貫通孔等が挙げられる。示されるように、ポート107は、マイクロ流体回路構造108のギャップにより作られる貫通孔である。しかし、ポート107は、カバー110等のエンクロージャ102の他の構成要素に配置することができる。1つのみのポート107が図1Aに示されているが、マイクロ流体回路120は2つ以上のポート107を有することができる。例えば、流体がマイクロ流体回路120に入るための流入口として機能する第1のポート107があり得、流体がマイクロ流体回路120を出るための流出口として機能する第2のポート107があり得る。ポート107が流入口として機能するか、それとも流出口として機能するかは、流体が流路106を通って流れる方向に依存し得る。
【0187】
[0216] 支持構造体104は、1つ又は複数の電極(図示せず)と、基板又は複数の相互接続された基板を含むことができる。例えば、支持構造体104は、1つ又は複数の半導体基板を含むことができ、各半導体基板は電極に電気的に接続される(例えば、半導体基板の全て又はサブセットは、1つの電極に電気的に接続することができる)。支持構造体104は、プリント回路基板組立体(「PCBA」)を更に含むことができる。例えば、半導体基板はPCBA上に搭載することができる。
【0188】
[0217] マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の回路要素を画定することができる。そのような回路要素は、マイクロ流体回路120に流体が充填される場合、流体的に相互接続することができる、フロー領域(1つ又は複数のフローチャネルを含み得る)、チャンバ、ペン、トラップ等の空間又は領域を含むことができる。図1Aに示されるマイクロ流体回路120では、マイクロ流体回路108は、枠114及びマイクロ流体回路材料116を含む。枠114は、マイクロ流体回路材料116を部分的又は完全に囲むことができる。枠114は、例えば、マイクロ流体回路材料116を実質的に囲む比較的剛性の構造であり得る。例えば、枠114は金属材料を含むことができる。
【0189】
[0218] マイクロ流体回路材料116には、キャビティ等をパターニングして、マイクロ流体回路120の回路要素及び相互接続を画定することができる。マイクロ流体回路材料116は、ガス透過可能であり得る可撓性ポリマー(例えば、ゴム、プラスチック、エラストマー、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)等)等の可撓性材料を含むことができる。マイクロ流体回路材料116を構成することができる材料の他の例としては、成形ガラス、シリコーン(フォトパターニング可能シリコーン又は「PPS」)等のエッチング可能材料、フォトレジスト(例えば、SU8)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、そのような材料 - したがって、マイクロ流体回路材料116 - は、剛性及び/又はガスを実質的に不透過であり得る。それに関係なく、マイクロ流体回路材料116は、支持構造体104上及び枠114内部に配置することができる。
【0190】
[0219] カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116の一体部分であり得る。代替的に、カバー110は、図1Aに示されるように、構造的に別個の要素であり得る。カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116と同じ又は異なる材料を含むことができる。同様に、支持構造体104は、示されるように枠114若しくはマイクロ流体回路材料116とは別個の構造であってもよく、又は枠114若しくはマイクロ流体回路材料116の一体部分であってもよい。同様に、枠114及びマイクロ流体回路材料116は、図1Aに示されるように別個の構造であってもよく、又は同じ構造の一体部分であってもよい。
【0191】
[0220] 幾つかの実施形態では、カバー110は剛性材料を含むことができる。剛性材料は、ガラス又は同様との特性を有する材料であり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は変形可能材料を含むことができる。変形可能材料は、PDMS等のポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は、剛性材料及び変形可能材料の両方を含むことができる。例えば、カバー110の1つ又は複数の部分(例えば、隔離ペン124、126、128、130上に位置する1つ又は複数の部分)は、カバー110の剛性材料と界面を接する変形可能材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、カバー110は1つ又は複数の電極を更に含むことができる。1つ又は複数の電極は、ガラス又は同様の絶縁材料でコーティングし得る、インジウム-錫-酸化物(ITO)等の導電性酸化物を含むことができる。代替的に、1つ又は複数の電極は、ポリマー(例えば、PDMS)等の変形可能ポリマーに埋め込まれた単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノワイヤ、導電性ナノ粒子のクラスタ、又はそれらの組合せ等の可撓性電極であり得る。マイクロ流体デバイスで使用することができる可撓性電極は、例えば、米国特許出願公開第2012/0325665号(Chiouら)に記載されており、この内容は参照により本明細書に援用される。幾つかの実施形態では、カバー110は、細胞の接着、生存、及び/又は成長を支持するように変更することができる(例えば、マイクロ流体回路120に向かって内側に面する表面の全て又は部分を調整することにより)。変更は、合成ポリマー又は天然ポリマーのコーティングを含み得る。幾つかの実施形態では、カバー110及び/又は支持構造体104は、光を透過することができる。カバー110は、ガス透過可能な少なくとも1つの材料(例えば、PDMS又はPPS)を含むこともできる。
【0192】
[0221] 図1Aは、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスを動作させ制御するシステム150も示す。システム150は、電源192、撮像デバイス(撮像モジュール164内に組み込まれ、図1Aに明示的に示されていない)、及び傾斜デバイス190(傾斜モジュール166の部分であり、図1Aに明示的に示されていない)を含む。
【0193】
[0222] 電源192は、電力をマイクロ流体デバイス100及び/又は傾斜デバイス190に提供し、バイアス電圧又は電流を必要に応じて提供することができる。電源192は、例えば、1つ又は複数の交流(AC)及び/又は直流(DC)電圧源又は電流源を含むことができる。撮像デバイス194(以下で述べられる撮像モジュール164の一部)は、マイクロ流体回路120内部の画像を捕捉する、デジタルカメラ等のデバイスを含むことができる。幾つかの場合、撮像デバイス194は、高速フレームレート及び/又は高感度(例えば、低光用途用)を有する検出器を更に含む。撮像デバイス194は、刺激放射線及び/又は光線をマイクロ流体回路120内に向け、マイクロ流体回路120(又はマイクロ流体回路120内に含まれる微小物体)から反射されるか、又は発せられる放射線及び/又は光線を収集する機構を含むこともできる。発せられる光線は可視スペクトル内であり得、例えば、蛍光放射を含み得る。反射光線は、LED又は水銀灯(例えば、高圧水銀灯)若しくはキセノンアーク灯等の広域スペクトル灯から発せられた反射放射を含み得る。図3Bに関して考察するように、撮像デバイス194は顕微鏡(又は光学縦列)を更に含み得、これは接眼レンズを含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0194】
[0223] システム150は、1つ又は複数の回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100を回転させるように構成される傾斜デバイス190(以下で述べられる傾斜モジュール166の一部)を更に含む。幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、マイクロ流体デバイス100(したがって、マイクロ流体回路120)を水平向き(すなわち、x軸及びy軸に相対して0°)、垂直向き(すなわち、x軸及び/又はy軸に相対して90°)、又はそれらの間の任意の向きで保持することができるように、少なくとも1つの軸の周りでマイクロ流体回路120を含むエンクロージャ102を支持及び/又は保持するように構成される。軸に相対するマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の向きは、本明細書では、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の「傾斜」と呼ばれる。例えば、傾斜デバイス190は、x軸に相対して0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6°、0.7°、0.8°、0.9°、1°、2°、3°、4°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、90°、又はそれらの間の任意の度数でマイクロ流体デバイス100を傾斜させることができる。水平向き(したがって、x軸及びy軸)は、重力により定義される垂直軸に垂直なものとして定義される。傾斜デバイスは、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸及び/又はy軸に相対して90°よりも大きい任意の角度に傾斜させるか、又はマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸若しくはy軸に相対して180°に傾斜させて、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を真逆にすることもできる。同様に、幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、流路106又はマイクロ流体回路120の何らかの他の部分により定義される回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を傾斜させる。
【0195】
[0224] 幾つかの場合、マイクロ流体デバイス100は、流路106が1つ又は複数の隔離ペンの上方又は下方に位置するように、垂直向きに傾斜する。「上方」という用語は、本明細書で使用される場合、マイクロ流体デバイスの文脈において、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離ペンよりも高く位置する(すなわち、流路106の上方の隔離ペン内の物体が流路内の物体よりも高い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。「下方」という用語は、本明細書で使用される場合、、マイクロ流体デバイスの文脈において、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離ペンよりも下に位置する(すなわち、流路106の下方の隔離ペン内の物体が流路内の物体よりも低い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。
【0196】
[0225] 幾つかの場合、傾斜デバイス190は、流路106と平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に、マイクロ流体デバイス100は、流路106が、隔離ペンの真上又は真下に配置されずに、1つ又は複数の隔離ペンの上方又は下方に配置されるように、90°未満の角度に傾斜することができる。他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に直交する軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に平行でもなく直交もしない軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。
【0197】
[0226] システム150は培地源178を更に含むことができる。培地源178(例えば、容器、リザーバ等)は、それぞれが異なる流体培地180を保持する複数のセクション又は容器を含むことができる。したがって、培地源178は、図1Aに示されるように、マイクロ流体デバイス100の外部にある、マイクロ流体デバイス100とは別個のデバイスであり得る。代替的に、培地源178は、全体的又は部分的に、マイクロ流体デバイス100のエンクロージャ102内部に配置することができる。例えば、培地源178は、マイクロ流体デバイス100の部分であるリザーバを含むことができる。
【0198】
[0227] 図1Aは、システム150の一部を構成し、マイクロ流体デバイス100と併せて利用することができる制御及び監視機器152の例の簡易ブロック図表現も示す。示されるように、そのような制御及び監視機器152の例は、培地源178を制御する培地モジュール160と、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)及び/又は培地(例えば、培地の液滴)の移動及び/又は選択を制御する原動モジュール162と、画像(例えば、デジタル画像)を捕捉する撮像デバイス194(例えば、カメラ、顕微鏡、光源、又はそれらの任意の組合せ)を制御する撮像モジュール164と、傾斜デバイス190を制御する傾斜モジュール166とを含むマスタコントローラ154を含む。制御機器152は、マイクロ流体デバイス100に関する他の機能を制御、監視、又は実行する他のモジュール168を含むこともできる。示されるように、機器152は、表示デバイス170及び入/出力デバイス172を更に含むことができる。
【0199】
[0228] マスタコントローラ154は、制御モジュール156及びデジタルメモリ158を含むことができる。制御モジュール156は、例えば、メモリ158内に非一時的データ又は信号として記憶される機械実行可能命令(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、ソースコード等)に従って動作するように構成されるデジタルプロセッサを含むことができる。代替的に又は追加として、制御モジュール156は、ハードワイヤードデジタル回路及び/又はアナログ回路を含むことができる。培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、同様に構成され得る。したがって、マイクロ流体デバイス100又は任意の他のマイクロ流体装置に関して実行されるものとして本明細書で考察される機能、プロセス、行動、動作、又はプロセスのステップは、上述したように構成されるマスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168の任意の1つ又は複数により実行され得る。同様に、マスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、通信可能に結合されて、本明細書において考察される任意の機能、プロセス、行動、動作、又はステップで使用されるデータを送受信し得る。
【0200】
[0229] 培地モジュール160は培地源178を制御する。例えば、培地モジュール160は、培地源178を制御して、選択された流体培地180をエンクロージャ102に入れる(例えば、流入口107を介して)ことができる。培地モジュール160は、エンクロージャ102からの培地の取り出し(例えば、流出口(図示せず)を通して)を制御することもできる。したがって、1つ又は複数の培地を選択的にマイクロ流体回路120に入れ、マイクロ流体回路120から搬出することができる。培地モジュール160は、マイクロ流体回路120内部の流路106での流体培地180のフローを制御することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、培地モジュール160は、傾斜モジュール166が傾斜デバイス190に所望の傾斜角までマイクロ流体デバイス100を傾斜させる前に、流路106内及びエンクロージャ102を通る培地180のフローを停止させる。
【0201】
[0230] 原動モジュール162は、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)の選択、捕捉、及び移動を制御するように構成され得る。図1B及び図1Cに関して後述するように、エンクロージャ102は、誘電泳動(DEP)構成、光電子ピンセット(OET)構成、及び/又は光電子ウェッティング(OEW)構成(図1Aに示されず)を含むことができ、原動モジュール162は、電極及び/又はトランジスタ(例えば、フォトトランジスタ)のアクティブ化を制御して、流路106及び/又は隔離ペン124、126、128、130で微小物体(図示せず)及び/又は培地の液滴(図示せず)を選択し移動させることができる。
【0202】
[0231] 撮像モジュール164は撮像デバイス194を制御することができる。例えば、撮像モジュール164は、撮像デバイス194から画像データを受信し、処理することができる。撮像デバイス194からの画像データは、撮像デバイス194により捕捉された任意のタイプの情報を含むことができる(例えば、微小物体、培地の液滴、蛍光標識等の標識の蓄積の有無等)。撮像デバイス194により捕捉された情報を使用して、撮像モジュール164は、物体(例えば、微小物体、培地の液滴)の位置及び/又はマイクロ流体デバイス100内のそのような物体の移動速度を更に計算することができる。
【0203】
[0232] 傾斜モジュール166は、傾斜デバイス190の傾斜移動を制御することができる。代替的に又は追加として、傾斜モジュール166は、重力を介して1つ又は複数の隔離ペンへの微小物体の移送を最適化するように、傾斜率及びタイミングを制御することができる。傾斜モジュール166は、撮像モジュール164と通信可能に結合されて、マイクロ流体回路120での微小物体及び/又は培地の液滴の移動を記述するデータを受信する。このデータを使用して、傾斜モジュール166は、マイクロ流体回路120の傾斜を調整して、マイクロ流体回路120内で微小物体及び/又は培地の液滴が移動する率を調整し得る。傾斜モジュール166は、このデータを使用して、マイクロ流体回路120内での微小物体及び/又は培地の液滴の位置を繰り返し調整することもできる。
【0204】
[0233] 図1Aに示される例では、マイクロ流体回路120は、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン124、126、128、130を含むものとして示されている。各ペンは、チャネル122への開口部を含むが、ペンがペン内部の微小物体を流体培地180及び/又はチャネル122の流路106又は他のペン内の微小物体から実質的に分離することができるように、その他では閉じられている。隔離ペンの壁は、ベースの内面109からカバー110の内面まで延び、エンクロージャを提供する。マイクロ流体チャネル122へのペンの開口部は、フロー106がペン内に向けられないように、フロー106に対して傾斜して向けられる。フローは、ペンの開口部の平面に対して接線方向にあり得るか又は直交し得る。幾つかの場合、ペン124、126、128、130は、1つ又は複数の微小物体をマイクロ流体回路120内に物理的に囲い入れるように構成される。本開示による隔離ペンは、以下に詳細に考察し示すように、DEP、OET、OEW、流体フロー、及び/又は重力との併用に最適化された様々な形状、表面、及び特徴を含むことができる。
【0205】
[0234] マイクロ流体回路120は、任意の数のマイクロ流体隔離ペンを含み得る。5つの隔離ペンが示されているが、マイクロ流体回路120は、より少数又はより多数の隔離ペンを有し得る。示されるように、マイクロ流体回路120のマイクロ流体隔離ペン124、126、128、及び130は、生物学的微小物体の維持、分離、アッセイ又は培養に有用な1つ又は複数の利点を提供し得る異なる特徴及び形状をそれぞれ含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数の同一のマイクロ流体隔離ペンを含む。
【0206】
[0235] 図1Aに示される実施形態では、1つのチャネル122及び流路106が示される。しかし、他の実施形態は、それぞれが流路106を含むように構成される複数のチャネル122を含み得る。マイクロ流体回路120は、流路106及び流体培地180と流体連通する流入弁又はポート107を更に含み、それにより、流体培地180は、流入口107を介してチャネル122にアクセスすることができる。幾つかの場合、流路106は1つの経路を含む。幾つかの場合、1つの経路はジグザグパターンで配置され、それにより、流路106は、交互になった方向で2回以上にわたってマイクロ流体デバイス100にわたり移動する。
【0207】
[0236] 幾つかの場合、マイクロ流体回路120は、複数の平行チャネル122及び流路106を含み、各流路106内の流体培地180は同じ方向に流れる。幾つかの場合、各流路106内の流体培地は、順方向又は逆方向の少なくとも一方で流れる。幾つかの場合、複数の隔離ペンは、隔離ペンが標的微小物体と並列に配置されることができるように構成される(例えば、チャネル122に相対して)。
【0208】
[0237] 幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、1つ又は複数の微小物体トラップ132を更に含む。トラップ132は、一般に、チャネル122の境界を形成する壁に形成され、マイクロ流体隔離ペン124、126、128、130の1つ又は複数の開口部の逆に位置し得る。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から1つの微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から複数の微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の容積に概ね等しい容積を含む。
【0209】
[0238] トラップ132は、標的微小物体のトラップ132へのフローを支援するように構成される開口部を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の寸法に概ね等しい高さ及び幅を有する開口部を含み、それにより、より大きい微小物体が微小物体トラップに入らないようにされる。トラップ132は、トラップ132内への標的微小物体の保持を支援するように構成される他の特徴を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、微小流体隔離ペンの開口部と位置合わせされ、微小流体隔離ペンの開口部に関してチャネル122の逆側に配置され、それにより、マイクロ流体チャネル122に平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜されると、捕捉された微小物体は、微小物体を隔離ペンの開口部に落とす軌道でトラップ132を出る。幾つかの場合、トラップ132は、標的微小物体よりも小さく、トラップ132を通るフローを促進し、それによりトラップ132内への微小物体の捕捉確率を増大させるサイド通路134を含む。
【0210】
[0239] 幾つかの実施形態では、誘電泳動(DEP)力は、1つ又は複数の電極(図示せず)を介して流体培地180にわたり適用されて(例えば、流路及び/又は隔離ペンにおいて)、内部に配置された微小物体の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、DEP力は、マイクロ流体回路120の1つ又は複数の部分に適用されて、1つの微小物体を流路106から所望のマイクロ流体隔離ペンに輸送する。幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、隔離ペン(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の微小物体が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、本開示の形態により前に収集された微小物体を隔離ペンから選択的に取り出す。幾つかの実施形態では、DEP力は、光電子ピンセット(OET)力を含む。
【0211】
[0240] 他の実施形態では、光電子ウェッティング(OEW)力が、1つ又は複数の電極(図示せず)を介してマイクロ流体デバイス100の支持構造体104(及び/又はカバー110)での1つ又は複数の位置(例えば、流路及び/又は隔離ペンの画定に役立つ位置)に適用されて、マイクロ流体回路120に配置された液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、OEW力は支持構造体104(及び/又はカバー110)の1つ又は複数の位置に適用されて、1つの液滴を流路106から所望のマイクロ流体隔離ペンに輸送する。幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、隔離ペン(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の液滴が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、本開示の形態により前に収集された液滴を隔離ペンから選択的に取り出す。
【0212】
[0241] 幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、フロー及び/又は重力等の他の力と組み合わせられて、マイクロ流体回路120内の微小物体及び/又は液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、エンクロージャ102は傾斜して(例えば、傾斜デバイス190により)、流路106及び流路106内に配置された微小物体をマイクロ流体隔離ペンの上に位置決めすることができ、重力は、微小物体及び/又は液滴をペン内に輸送することができる。幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の前に適用することができる。他の実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の後に適用することができる。更に他の場合、DEP力及び/又はOEW力は、他の力と同時に又は他の力と交互に適用することができる。
【0213】
[0242] 図1B図1C及び図2A図2Hは、本開示の形態に使用することができるマイクロ流体デバイスの様々な実施形態を示す。図1Bは、マイクロ流体デバイス200が光学作動動電学的デバイスとして構成される実施形態を示す。光電子ピンセット(OET)構成を有するデバイス及び光電子ウェッティング(OEW)構成を有するデバイスを含め、様々な光学作動動電学的デバイスが当技術分野で既知である。適するOET構成の例は、以下の米国特許文献に示されており、各文献は全体的に参照により本明細書に援用される:米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された);及び米国特許第7,956,339号(Ohtaら)。OEW構成の例は、米国特許第6,958,132号(Chiouら)及び米国特許出願公開第2012/0024708号(Chiouら)に示されており、これらは両方とも全体的に参照により本明細書に援用される。光学作動動電的デバイスの更に別の例は、OET/OEW結合構成を含み、その例は、米国特許出願公開第20150306598号(Khandrosら)及び同第20150306599号(Khandrosら)並びにそれらの対応するPCT公報である国際公開第2015/164846号及び国際公開第2015/164847号に示されており、これらは全て全体的に参照により本明細書に援用される。
【0214】
[0243] 生物学的微小物体を配置し、培養し、及び/又は監視することができる隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号(出願番号14/060,117、2013年10月22日出願)、米国特許出願公開第2015/0151298号(出願番号14/520,568、2014年10月22日出願)、及び米国特許出願公開第2015/0165436号(出願番号14/521,447、2014年10月22日出願)に記載されており、これらはそれぞれ全体的に参照により援用される。米国特許出願公開第14/520,568号及び同第14/521,447号は、マイクロ流体デバイスで培養された細胞の分泌物を分析する例示的な方法についても記載している。上記の各出願は、光電子ツイーザ(OET)等の誘電泳動(DEP)力を生成するように構成されるか、又は光電子ウェッティング(OEW)を提供するように構成されるマイクロ流体デバイスを更に記載している。例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号の図2に示される光電子ツイーザデバイスは、本開示の実施形態で利用して、個々の生物学的微小物体又は生物学的微小物体のグループを選択し移動させることができるデバイスの例である。
【0215】
[0244] 原動マイクロ流体デバイス構成。
上述したように、システムの制御及び監視機器は、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路において微小物体又は液滴等の物体を選択し移動させる原動モジュールを含むことができる。マイクロ流体デバイスは、移動される物体のタイプ及び他の考慮事項に応じて様々な原動構成を有することができる。例えば、誘電泳動(DEP)構成を利用して、マイクロ流体回路において微小物体を選択し移動させることができる。したがって、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の微小物体に対してDEP力を選択的に誘導し、それにより個々の微小物体又は微小物体群の選択、捕捉、及び/又は移動を行うDEP構成を含むことができる。代替的に、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の液滴に対して電子ウェッティング(EW)力を選択的に誘導し、それにより個々の液滴又は液滴群の選択、捕捉、及び/又は移動を行う電子ウェッティング(EW)構成を含むことができる。
【0216】
[0245] DEP構成を含むマイクロ流体デバイス200の一例を図21B及び図1Cに示す。簡潔にするために、図1B及び図1Cは、領域/チャンバ202を有するマイクロ流体デバイス200のエンクロージャ102の部分の側面断面図及び上面断面図をそれぞれ示すが、領域/チャンバ202が、成長チャンバ、隔離ペン、フロー領域、又はフローチャネル等のより詳細な構造を有する流体回路要素の部分であり得ることを理解されたい。更に、マイクロ流体デバイス200は他の流体回路要素を含み得る。例えば、マイクロ流体デバイス200は、マイクロ流体デバイス100に関して本明細書に記載される等の複数の成長チャンバ、或いは隔離ペン及び/又は1つ若しくは複数のフロー領域又はフローチャネルを含むことができる。DEP構成は、マイクロ流体デバイス200の任意のそのような流体回路要素に組み込み得るか、又はその部分を選択し得る。上記又は下記の任意のマイクロ流体デバイス構成要素及びシステム構成要素がマイクロ流体デバイス200内に組みこまれ得、及び/又はマイクロ流体デバイス200と組み合わせて使用し得ることを更に理解されたい。例えば、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び他のモジュール168の1つ又は複数を含む上述した制御及び監視機器152を含むシステム150は、マイクロ流体デバイス200と併用し得る。
【0217】
[0246] 図1Bにおいて見られるように、マイクロ流体デバイス200は、下部電極204及び下部電極204に重なる電極活性化基板206を有する支持構造体104と、上部電極210を有するカバー110とを含み、上部電極210は下部電極204から離間される。上部電極210及び電極活性化基板206は、領域/チャンバ202の両面を画定する。したがって、領域/チャンバ202に含まれる培地180は、上部電極210と電極活性化基板206との間に抵抗接続を提供する。下部電極204と上部電極210との間に接続され、領域/チャンバ202でのDEP力の生成のために必要に応じて電極間にバイアス電圧を生成するように構成される電源212も示されている。電源212は、例えば、交流(AC)電源であり得る。
【0218】
[0247] 特定の実施形態では、図1B及び図1Cに示されるマイクロ流体デバイス200は、光学作動DEP構成を有することができる。したがって、原動モジュール162により制御し得る光源216からの光218の変更パターンは、電極活性化基板206の内面208の領域214においてDEP電極の変更パターンを選択的に活性化又は非活性化することができる。(以下ではDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの領域214を「DEP電極領域」と呼ぶ)。図1Cに示されるように、電極活性化基板206の内面208に向けられる光パターン218は、正方形等のパターンで、選択されたDEP電極領域214a(白色で示される)を照明することができる。照明されないDEP電極領域214(斜線が付される)を以下では「暗」DEP電極領域214と呼ぶ。DEP電極活性化基板206を通る相対電気インピーダンス(すなわち、下部電極204から、フロー領域106において培地180と界面を接する電極活性化基板206の内面208まで)は、各暗DEP電極領域214での領域/チャンバ202において培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対電気インピーダンスよりも大きい。しかし、照明DEP電極領域214aは、各照明DEP電極領域214aでの領域/チャンバ202での培地180を通る相対インピーダンス未満である電極活性化基板206を通る相対インピーダンスの低減を示す。
【0219】
[0248] 電源212が活性化されている場合、上記のDEP構成は、照明DEP電極領域214aと隣接する暗DEP電極領域214との間に流体培地180内で電場勾配を生じさせ、次に、電場勾配は、流体培地180内の付近の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥する局所DEP力を生成する。したがって、流体培地180内の微小物体を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光源216からマイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218を変更することにより、領域/チャンバ202の内面208での多くの異なるそのようなDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。DEP力が付近の微小物体を引き寄せるか、それとも排斥するかは、電源212の周波数並びに培地180及び/又は微小物体(図示せず)の誘電特性等のパラメータに依存し得る。
【0220】
[0249] 図1Cに示される照明DEP電極領域214aの正方形パターン220は単なる例である。マイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218により、任意のパターンのDEP電極領域214を照明する(それにより活性化する)ことができ、照明/活性化されるDEP電極領域214のパターンは、光パターン218を変更又は移動させることにより繰り返し変更することができる。
【0221】
[0250] 幾つかの実施形態では、電極活性化基板206は、光伝導性材料を含むか、又は光導電性材料からなることができる。そのような実施形態では、電極活性化基板206の内面208は、特徴を有さないことができる。例えば、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a-Si:H)の層を含むか、又はa-Si:Hの層からなることができる。a-Si:Hは、例えば、約8%~40%の水素を含むことができる(水素原子の数/水素及びケイ素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a-Si:Hの層は厚さ約500nm~約2.0μmを有することができる。そのような実施形態では、DEP電極領域214は、光パターン218により、電極活性化基板206の内面208上の任意の場所に任意のパターンで作成することができる。したがって、DEP電極領域214の数及びパターンは、固定される必要がなく、光パターン218に対応することができる。上述したような光伝導層を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0222】
[0251] 他の実施形態では、電極活性化基板206は、半導体分野で既知等の半導体集積回路を形成する複数のドープ層、絶縁層(又は領域)、及び導電層を含む基板を含むことができる。例えば、電極活性化基板206は、例えば、横型バイポーラフォトトランジスタを含む複数のフォトトランジスタを含むことができ、各フォトトランジスタはDEP電極領域214に対応する。代替的に、電極活性化基板206は、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができ、そのような各電極はDEP電極領域214に対応する。電極活性化基板206は、パターンになったそのようなフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等、行列に配置された実質的に正方形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する実質的に六角形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、電気回路素子は、電極活性化基板206の内面208におけるDEP電極領域214と下部電極210との間に電気接続を形成することができ、それらの電気接続(すなわち、フォトトランジスタ又は電極)は、光パターン218により選択的に活性化又は非活性化することができる。活性化されない場合、各電気接続は、電極活性化基板206を通る(すなわち、下部電極204から、領域/チャンバ202内の培地180と界面を接する電極活性化電極206の内面208まで)相対インピーダンスが、対応するDEP電極領域214における培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対インピーダンスよりも大きいような高いインピーダンスを有することができる。しかし、光パターン218内の光により活性化される場合、電極活性化基板206を通る相対インピーダンスは、各照明DEP電極領域214での培地180を通る相対インピーダンス未満であり、それにより、上述したように、対応するDEP電極領域214でのDEP電極を活性化する。したがって、培地180内の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光パターン218により決まるように、領域/チャンバ202での電極活性化基板206の内面208での多くの異なるDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。
【0223】
[0252] フォトトランジスタを含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第7,956,339号(Ohtaら)に記載されており(例えば、図21及び図22に示されるデバイス300並びにその説明を参照されたい)、この内容全体は参照により本明細書に援用される。フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)に記載されており(例えば、図面全体を通して示されるデバイス200、400、500、600、及び900並びにその説明を参照されたい)、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0224】
[0253] DEP構成のマイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態では、上部電極210はエンクロージャ102の第1の壁(又はカバー110)の一部であり、電極活性化基板206及び下部電極204は、エンクロージャ102の第2の壁(又は支持構造体104)の一部である。領域/チャンバ202は、第1の壁と第2の壁との間にあり得る。他の実施形態では、電極210は第2の壁(又は支持構造体104)の一部であり、電極活性化基板206及び/又は電極210の一方又は両方は、第1の壁(又はカバー110)の一部である。更に、光源216は代替的に、下からエンクロージャ102を照明するのに使用することができる。
【0225】
[0254] DEP構成を有する図1B及び図1Cのマイクロ流体デバイス200を用いて、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に投射して、微小物体を囲み捕捉するパターン(例えば、正方形パターン220)で電極活性化基板206の内面208のDEP電極領域214aでの第1の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、領域/チャンバ202での培地180内の微小物体(図示せず)を選択することができる。次に、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に相対して移動させて、DEP電極領域214での第2の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、インサイチューで生成され捕捉された微小物体を移動させることができる。代替的に、マイクロ流体デバイス200を光パターン218に相対して移動させることができる。
【0226】
[0255] 他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、電極活性化基板206の内面208でのDEP電極の光活性化に依存しないDEP構成を有することができる。例えば、電極活性化基板206は、少なくとも1つの電極を含む表面(例えば、カバー110)とは逆に位置する、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)を選択的に開閉して、DEP電極領域214でのDEP電極を活性化又は非活性化し得、それにより、活性化されたDEP電極の近傍での領域/チャンバ202内の微小物体(図示せず)に対する正味DEP力を生成する。電源212の周波数及び培地(図示せず)及び/又は領域/チャンバ202内の微小物体の誘電特性等の特徴に応じて、DEP力は、付近の微小物体を引き寄せるか、又は排斥することができる。DEP電極の組(例えば、正方形パターン220を形成するDEP電極領域214の組における)を選択的に活性化又は非活性化することにより、領域/チャンバ202における1つ又は複数の微小物体を捕捉し、領域/チャンバ202内で移動させることができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御し、したがって、DEP電極の個々の電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲の特定の微小物体(図示せず)を選択、捕捉、及び移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第6,294,063号(Beckerら)及び同第6,942,776号(Medoro)に記載されており、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0227】
[0256] 更なる別例として、マイクロ流体デバイス200は電子ウェッティング(EW)構成を有することができ、EW構成は、DEP構成の代わりであってもよく、又はDEP構成を有する部分とは別個のマイクロ流体デバイス200の部分に配置されてもよい。EW構成は、光電子ウェッティング構成又は誘電体上の電子ウェッティング(EWOD)構成であり得、これらは両方とも当技術分野で既知である。幾つかのEW構成では、支持構造体104は、以下に記載するように、誘電層(図示せず)と下部電極204との間に挟まれた電極活性化基板206を有する。誘電層は、疎水性材料を含むことができ、及び/又は疎水性材料でコーティングすることができる。EW構成を有するマイクロ流体デバイス200の場合、支持構造体104の内面208は、誘電層の内面又はその疎水性コーティングである。
【0228】
[0257] 誘電層(図示せず)は、1つ又は複数の酸化物層を含むことができ、厚さ約50nm~約250nm(例えば、約125nm~約175nm)を有することができる。特定の実施形態では、誘電層は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム)等の酸化物の層を含むことができる。特定の実施形態では、誘電層は、酸化ケイ素又は窒化物等の金属酸化物以外の誘電材料を含むことができる。厳密な組成及び厚さに関係なく、誘電層は約10kオーム~約50kオームのインピーダンスを有することができる。
【0229】
[0258] 幾つかの実施形態では、領域/チャンバ202に向かって内側に面した誘電層の表面は、疎水性材料でコーティングされる。疎水性材料は、例えば、フッ素化炭素分子を含むことができる。フッ素化炭素分子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標)又はポリ(2,3-ジフルオロメチレニル-ペルフルオロテトラヒドロフラン)(例えば、CYTOP(商標))などのパーフルオロポリマーが挙げられる。疎水性材料を構成する分子は、誘電層の表面に共有結合され得る。例えば、疎水性材料の分子は、シロキサン基、ホスホン酸基、又はチオール基等のリンカーにより、誘電層の表面に共有結合され得る。したがって、幾つかの実施形態では、疎水性材料は、アルキル末端シロキサン、アルキル末端ホスホン酸、又はアルキル末端チオールを含むことができる。アルキル基は長鎖炭化水素(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも16個、18個、20個、22個、若しくはそれを超える個数の炭素の鎖を有する)であり得る。代替的に、フッ素化(又はパーフルオロ化)炭素鎖をアルキル基の代わりに使用することができる。したがって、例えば、疎水性材料は、フルオロアルキル末端シロキサン、フルオロアルキル末端ホスホン酸、又はフルオロアルキル末端チオールを含むことができる。幾つかの実施形態では、疎水性コーティングは約10nm~約50nmの厚さを有する。他の実施形態では、疎水性コーティングは厚さ10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5~3.0nm)を有する。
【0230】
[0259] 幾つかの実施形態では、電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイス200のカバー110も同様に疎水性材料(図示せず)でコーティングされる。疎水性材料は、支持構造体104の誘電層のコーティングに使用されるものと同じ疎水性材料であり得、疎水性コーティングは、支持構造体104の誘電層の疎水性コーティングの厚さと略同じである厚さを有することができる。更に、カバー110は、支持構造体104の様式で、誘電層と上部電極210との間に挟まれた電極活性化基板206を含むことができる。電極活性化基板206及びカバー110の誘電層は、電極活性化基板206及び支持構造体104の誘電層と同じ組成及び/又は寸法を有することができる。したがって、マイクロ流体デバイス200は2つの電子ウェッティング表面を有することができる。
【0231】
[0260] 幾つかの実施形態では、電子活性化基板206は、上述した光伝導性材料等の光伝導性材料を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a-Si:H)の層を含むか、又はa-Si:Hの層からなることができる。a-Si:Hは、例えば、約8%~40%の水素を含むことができる(水素原子の総数及びケイ素原子の総数/水素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a-Si:Hの層は厚さ約500nm~約2.0μmを有することができる。代替的に、電子活性化基板206は、上述したように、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができる。光電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイスは当技術分野で既知であり、及び/又は当技術分野で既知の電極活性化基板を用いて構築することができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,958,132号(Chiouら)には、a-Si:H等の光伝導性材料を有する光電子ウェッティング構成が開示されており、一方、上記で引用した米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)には、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を有する電極活性化基板が開示されている。
【0232】
[0261] したがって、マイクロ流体デバイス200は光電子ウェッティング構成を有することができ、光パターン218を使用して、電極活性化基板206での光応答性EW領域又は光応答性EW電極を活性化することができる。電極活性化基板206のそのような活性化されたEW領域又はEW電極は、支持構造体104の内面208(すなわち、重なった誘電層の内面又はその疎水性コーティング)において電子ウェッティング力を生成することができる。電子活性化基板206に入射する光パターン218を変更する(又は光源216に相対してマイクロ流体デバイス200を移動させる)ことにより、支持構造体104の内面208に接触する液滴(例えば、水性培地、水溶液又は水性溶媒を含む)は、領域/チャンバ202内に存在する不混和流体(例えば、油媒体)を通って移動することができる。
【0233】
[0262] 他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、EWOD構成を有することができ、電極活性化基板206は、活性化のために光に依存しない、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。したがって、電極活性化基板206は、パターンになったそのような電子ウェッティング(EW)電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等の行列に配置された略正方形のEW電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する略六角形のEW電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、EW電極は、電気スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)により選択的に活性化(又は非活性化)することができる。電極活性化基板206でのEW電極を選択的に活性化及び非活性化することにより、重なった誘電層の内面208又はその疎水性コーティングに接触する液滴(図示せず)は、領域/チャンバ202内で移動することができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御することができ、したがって、個々のEW電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲で特定の液滴を選択し移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を有するEWOD構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,685,344号(Sundarsanら)に記載されており、この内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0234】
[0263] マイクロ流体デバイス200の構成に関係なく、電源212を使用して、マイクロ流体デバイス200の電気回路に給電する電位(例えば、AC電源電位)を提供することができる。電源212は、図1で参照される電源192と同じ又は電源192の構成要素であり得る。電源212は、上部電極210及び下部電極204にAC電圧及び/又は電流を提供するように構成され得る。AC電圧の場合、電源212は、上述したように、領域/チャンバ202内の個々の微小物体(図示せず)を捕捉して移動させ、及び/又はこれらも上述したように、領域/チャンバ202内の支持構造体104の内面208(すなわち、誘電層及び/又は誘電層上の疎水性コーティング)のウェッティング特性を変更するのに十分に強い正味DEP力(又は電子ウェッティング力)を生成するのに十分な周波数範囲及び平均又はピーク電力(例えば、電圧又は電流)を提供することができる。そのような周波数範囲及び平均又はピーク電力範囲は、当技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,958,132号(Chiouら)、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)、並びに米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)、同第2015/0306598号(Khandrosら)、及び同第2015/0306599号(Khandrosら)を参照されたい。
【0235】
[0264] 隔離ペン。
一般的な隔離ペン224、226、及び228の非限定的な例は、図2A図2Cに示されるマイクロ流体デバイス230内に示されている。各隔離ペン224、226、及び228は、分離領域240と、分離領域240をチャネル122に流体接続する接続領域236とを画定する分離構造体232を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122への基端開口部234及び分離領域240への先端開口部238を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122から隔離ペン224、226、228内に流れる流体培地(図示せず)のフローの最大侵入深さが分離領域240内に及ばないように構成され得る。したがって、接続領域236に起因して、隔離ペン224、226、228の分離領域240内に配置された微小物体(図示せず)又は他の材料(図示せず)は、チャネル122内の培地180のフローから分離され、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフローにより実質的に影響されないことができる。
【0236】
[0265] 図2A図2Cの隔離ペン224、226、及び228は、マイクロ流体チャネル122に対して直接開く単一の開口部をそれぞれ有する。隔離ペンの開口部は、マイクロ流体チャネル122から横に開く。電極活性化基板206がマイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、及び228の両方の下にある。隔離ペンのフロアを形成する、隔離ペンのエンクロージャ内の電極活性化基板206の上面は、マイクロ流体デバイスのフローチャネル(又はそれぞれフロー領域)のフロアを形成する、マイクロ流体チャネル122(又はチャネルが存在しない場合、フロー領域)内の電極活性化基板206の上面と同じ高さ又は略同じ高さに配置される。電極活性化基板206は、特徴を有さなくてもよく、又は約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、約0.9μm未満、約0.5μm未満、約0.4μm未満、約0.2μm未満、約0.1μm未満、又はそれを下回って最高隆起部から最低陥没部まで変化する不規則又はパターン化表面を有してもよい。マイクロ流体チャネル122(又はフロー領域)及び隔離ペンの両方にわたる基板の上面の隆起の変動は、隔離ペンの壁の高さ又はマイクロ流体デバイスの壁の高さの約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、又は約0.1%未満であり得る。マイクロ流体デバイス200について詳細に説明したが、これは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイス100、230、250、280、290にも当てはまる。
【0237】
[0266] したがって、マイクロ流体チャネル122は掃引領域の例であり得、隔離ペン224、226、228の分離領域240は非掃引領域の例であり得る。述べたように、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228は、1つ又は複数の流体培地180を含むように構成され得る。図2A図2Bに示される例では、ポート222はマイクロ流体チャネル122に接続され、流体培地180がマイクロ流体デバイス230内に導入又は外に取り出せるようにすることができる。流体培地180を導入する前に、マイクロ流体デバイスは、二酸化炭素ガス等のガスでプライミングし得る。マイクロ流体デバイス230が流体培地180を含むと、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は選択的に生成及び停止させることができる。例えば、示されるように、ポート222はマイクロ流体チャネル122の異なる位置(例えば、両端部)に配置することができ、流入口として機能するあるポート222から流出口として機能する別のポート222への培地のフロー242を生成することができる。
【0238】
[0267] 図2Cは、本開示による隔離ペン224の例の詳細図を示す。微小物体246の例も示されている。
【0239】
[0268] 既知のように、隔離ペン224の基端開口部234を越えたマイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、隔離ペン224内及び/又は外への培地180の2次フロー244を生じさせることができる。隔離ペン224の分離領域240内の微小物体246を2次フロー244から分離するために、隔離ペン224の接続領域236の長さLcon(すなわち、基端開口部234から先端開口部238まで)は、接続領域236への2次フロー244の侵入深さDよりも大きい値であるはずである。2次フロー244の侵入深さDは、マイクロ流体チャネル122内を流れる流体培地180の速度並びにマイクロ流体チャネル122及びマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234の構成に関連する様々なパラメータに依存する。所与のマイクロ流体デバイスでは、マイクロ流体チャネル122及び開口部234の構成は固定され、一方、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度は可変である。したがって、隔離ペン224毎に、2次フロー244の侵入深さDが接続領域236の長さLconを超えないことを保証するチャネル122内の流体培地180のフロー242の最高速度Vmaxを識別することができる。マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の流量が最大速度Vmaxを超えない限り、結果として生成される、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236への2次フロー244を制限することができ、分離領域240に入らないようにすることができる。したがって、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242は、微小物体246を分離領域240外に引き込まない。むしろ、分離領域240内に配置された微小物体246は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242に関係なく、分離領域240内に留まる。
【0240】
[0269] 更に、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242の流量がVmaxを超えない限り、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、様々な粒子(例えば、微粒子及び/又はナノ粒子)をマイクロ流体チャネル122から隔離ペン224の分離領域240内に移動させない。したがって、接続領域236の長さLconを2次フロー244の最大侵入深さDよりも大きくすることで、ある隔離ペン224の、マイクロ流体チャネル122又は別の隔離ペン(例えば、図2Dの隔離ペン226、228)からの様々な粒子による汚染を回避することができる。
【0241】
[0270] マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228の接続領域236は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242により影響を及ぼすことができるため、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236は、マイクロ流体デバイス230の掃引(又はフロー)領域と見なすことができる。他方、隔離ペン224、226、228の分離領域240は、非掃引(又は非フロー)領域と見なすことができる。例えば、マイクロ流体チャネル122内の第1の流体培地180中の成分(図示せず)は、実質的に、マイクロ流体チャネル122から接続領域236を通り分離領域240内の第2の流体培地248への第1の培地180の成分の拡散によってのみ、分離領域240内の第2の流体培地248と混合することができる。同様に、分離領域240内の第2の培地248の成分(図示せず)は、実質的に、分離領域240から接続領域236を通り、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180への第2の培地248の成分の拡散によってのみ、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180と混合することができる。幾つかの実施形態では、拡散による隔離ペンの分離領域とフロー領域との間での流体媒体交換の程度は、流体交換の約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%よりも高い割合である。第1の培地180は、第2の培地248と同じ培地であってもよく、又は異なる培地であってもよい。更に、第1の培地180及び第2の培地248は、同じ培地として開始され、異なるようになることができる(例えば、分離領域240内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル122を通って流れる培地180を変更することにより、第2の培地248を調整することを通して)。
【0242】
[0271] マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242により生じる2次フロー244の最大侵入深さDは、上述したように、幾つかのパラメータに依存し得る。そのようなパラメータの例としては、マイクロ流体チャネル122の形状(例えば、チャネルは、培地を接続領域236に向けることができ、接続領域236から培地を逸らすことができ、又はマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234に実質的に直交する方向に培地を向けることができる)、基端開口部234でのマイクロ流体チャネル122の幅Wch(又は断面積)及び基端開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度V、第1の培地180及び/又は第2の培地248の粘度等が挙げられる。
【0243】
[0272] 幾つかの実施形態では、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228の寸法は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242のベクトルに対して以下のように向けることができる:マイクロ流体チャネル幅Wch(又はマイクロ流体チャネル122の断面積)は、培地180のフロー242に略直交することができ、開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略平行であり得、及び/又は接続領域の長さLconは、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略直交することができる。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228の相対位置は、互いに対して他の向きであり得る。
【0244】
[0273] 図2Cに示されるように、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234から先端開口部238まで均一であり得る。したがって、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の値であり得る。代替的に、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きい値であり得る。
【0245】
[0274] 図2Cに示されるように、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での基端領域236の幅Wconと略同じであり得る。したがって、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の値であり得る。代替的に、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。更に、先端開口部238は基端開口部234よりも小さくてよく、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234と先端開口部238との間で狭め得る。例えば、接続領域236は、様々な異なるジオメトリ(例えば、接続領域を面取りする、接続領域に勾配を付ける)を使用して基端開口部と先端開口部との間で狭め得る。更に、接続領域236の任意の部分又はサブ部分を狭め得る(例えば、基端開口部234に隣接する接続領域の部分)。
【0246】
[0275] 図2D図2Fは、図1Aの各マイクロ流体デバイス100、回路132、及びチャネル134の変形形態であるマイクロ流体回路262及びフローチャネル264を含むマイクロ流体デバイス250の別の例示的な実施形態を示す。マイクロ流体デバイス250は、上述した隔離ペン124、126、128、130、224、226、又は228の追加の変形形態である複数の隔離ペン266も有する。特に、図2D図2Fに示されるデバイス250の隔離ペン266をデバイス100、200、230、280、290での上述した隔離ペン124、126、128、130、224、226、又は228のいずれかで置換可能なことを理解されたい。同様に、マイクロ流体デバイス250は、マイクロ流体デバイス100の別の変形形態であり、上述したマイクロ流体デバイス100、200、230、280、290と同じ又は異なるDEP構成及び本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体システム構成要素を有することもできる。
【0247】
[0276] 図2D図2Fのマイクロ流体デバイス250は、支持構造体(図2D図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100の支持構造体104と同じ又は概して同様であり得る)、マイクロ流体回路構造256、及びカバー(図2F図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100のカバー122と同じ又は概して同様であり得る)を含む。マイクロ流体回路構造256は枠252及びマイクロ流体回路材料260を含み、これらは図1Aに示されるデバイス100の枠114及びマイクロ流体回路材料116と同じ又は概して同様であり得る。図2Dに示されるように、マイクロ流体回路材料260により画定されるマイクロ流体回路262は複数のチャネル264(2つが示されるが、より多くのチャネルがあり得る)を含むことができ、チャネル264に複数の隔離ペン266が流体接続される。
【0248】
[0277] 各隔離ペン266は、分離構造272、分離構造272内の分離領域270、及び接続領域268を含むことができる。マイクロ流体チャネル264の基端開口部274から分離構造272での先端開口部276まで、接続領域268はマイクロ流体チャネル264を分離領域270に流体接続する。一般に、図2B及び図2Cの上記考察によれば、チャネル264内の第1の流体培地254のフロー278は、マイクロ流体チャネル264から隔離ペン266の各接続領域268内及び/又は外への第1の培地254の2次フロー282をもたらすことができる。
【0249】
[0278] 図2Eに示されるように、各隔離ペン266の接続領域268は、一般に、チャネル264の基端開口部274と分離構造272の先端開口部276との間に延びるエリアを含む。接続領域268の長さLconは、2次フロー282の最大侵入深さDよりも大きい値であり得、その場合、2次フロー282は、分離領域270に向かってリダイレクトされずに接続領域268内に延びる(図2Dに示されるように)。代替的に、図2Fに示されるように、接続領域268は、最大侵入深さDよりも小さい長さLconを有することができ、その場合、2次フロー282は、接続領域268を通って延び、分離領域270に向かってリダイレクトされる。この後者の状況では、接続領域268の長さLc1及びLc2との和は最大侵入深さDよりも大きく、したがって、2次フロー282は分離領域270内に延びない。接続領域268の長さLconが侵入深さDよりも大きいか否か又は接続領域268の長さLc1及びLc2の和が侵入深さDよりも大きいか否かに関係なく、最大速度Vmaxを超えないチャネル264内の第1の培地254のフロー278は、侵入深さDを有する2次フローをもたらし、隔離ペン266の分離領域270内の微小物体(示されていないが、図2Cに示される微小物体246と同じ又は概して同様であり得る)は、チャネル264内の第1の培地254のフロー278により分離領域270外に引き出されない。チャネル264内のフロー278は、様々な材料(図示せず)もチャネル264から隔離ペン266の分離領域270内に引き込まない。したがって、マイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内の成分をマイクロ流体チャネル264から隔離ペン266の分離領域270内の第2の培地258内に移動させることができる唯一の機構は、拡散である。同様に、隔離ペン266の分離領域270内の第2の培地258内の成分を分離領域270からマイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内に移動させることができる唯一の機構も拡散である。第1の培地254は、第2の培地258と同じ培地であり得、又は第1の培地254は、第2の培地258と異なる培地であり得る。代替的に、第1の培地254及び第2の培地258は、同じ培地から始まり、例えば、分離領域270内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル264を通って流れる培地を変更することにより、第2の培地を調整することを通して異なるようになることができる。
【0250】
[0279] 図2Eに示されるように、マイクロ流体チャネル264内のマイクロ流体チャネル264の幅Wch(すなわち、図2Dにおいて矢印278で示されるマイクロ流体チャネルを通る流体培地フローの方向を横断してとられる)は、基端開口部274の幅Wcon1に略直交することができ、したがって、先端開口部276の幅Wcon2に略平行であり得る。しかし、基端開口部274の幅con1及び先端開口部276の幅Wcon2は、互いに略直交する必要はない。例えば、基端開口部274の幅Wcon1が向けられる軸(図示せず)と、先端開口部276の幅Wcon2が向けられる別の軸との間の角度は、直交以外であり得、したがって、90°以外であり得る。代替的に向けられる角度の例としては、以下の角度を含む:約30°から約90°、約45°から約90°、約60°から約90°等。
【0251】
[0280] 隔離ペンの様々な実施形態(例えば、124、126、128、130、224、226、228、又は266)では、分離領域(例えば、240又は270)は、複数の微小物体を含むように構成される。他の実施形態では、分離領域は、1つのみ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は同様の相対的に少数の微小物体を含むように構成され得る。したがって、分離領域の容積は、例えば、少なくとも1×10立方μm、少なくとも2×10立方μm、少なくとも4×10立方μm、少なくとも6×10立方μm、又はこれを超える大きさであり得る。
【0252】
[0281] 隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)でのマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、約50~1000μm、約50~500μm、約50~400μm、約50~300μm、約50~250μm、約50~200μm、約50~150μm、約50~100μm、約70~500μm、約70~400μm、約70~300μm、約70~250μm、約70~200μm、約70~150μm、約90~400μm、90~300μm、約90~250μm、約90~200μm、約90~150μm、約100~300μm、約100~250μm、約100~200μm、約100~150μm、又は約100~120μmであり得る。幾つかの他の実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、約200~800μm、約200~700μm、又は約200~600μmであり得る。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、上記列挙された任意の端点内の任意の幅であってもよい。更に、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、隔離ペンの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域において、これらの任意の幅であるように選択することができる。
【0253】
[0282] 幾つかの実施形態では、隔離ペンは、約30~約200μm又は約50~約150μmの高さを有する。幾つかの実施形態では、隔離ペンは、約1×10~約3×10平方μm、約2×10~約2×10平方μm、約4×10~約1×10平方μm、約2×10~約5×10平方μm、約2×10~約1×10平方μm、又は約2×10~約2×10平方μmの断面積を有する。
【0254】
[0283] 隔離ペンの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、以下の任意の高さ内の高さであり得る:20~100μm、20~90μm、20~80μm、20~70μm、20~60μm、20~50μm、30~100μm、30~90μm、30~80μm、30~70μm、30~60μm、30~50μm、40~100μm、40~90μm、40~80μm、40~70μm、40~60μm、又は40~50μm。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、上記列挙された任意の端点内の高さであってもよい。マイクロ流体チャネル122の高さHchは、隔離ペンの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。
【0255】
[0284] 隔離ペンの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、約500~50,000平方μm、500~40,000平方μm、500~30,000平方μm、500~25,000平方μm、500~20,000平方μm、500~15,000平方μm、500~10,000平方μm、500~7,500平方μm、500~5,000平方μm、1,000~25,000平方μm、1,000~20,000平方μm、1,000~15,000平方μm、1,000~10,000平方μm、1,000~7,500平方μm、1,000~5,000平方μm、2,000~20,000平方μm、2,000~15,000平方μm、2,000~10,000平方μm、2,000~7,500平方μm、2,000~6,000平方μm、3,000~20,000平方μm、3,000~15,000平方μm、3,000~10,000平方μm、3,000~7,500平方μm、又は3,000~6,000平方μmであり得る。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、上記列挙された任意の端点内の面積であってもよい。
【0256】
[0285] 隔離ペンの様々な実施形態では、接続領域(例えば、236)の長さLconは、約1~600μm、5~550μm、10~500μm、15~400μm、20~300μm、20~500μm、40~400μm、60~300μm、80~200μm、又は約100~150μmであり得る。上記は単なる例であり、接続領域(例えば、236)の長さLconは、上記列挙される任意の端点内の任意の長さであり得る。
【0257】
[0286] 隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)での接続領域(例えば、236)の幅Wconは、約20~500μm、20~400μm、20~300μm、20~200μm、20~150μm、20~100μm、20~80μm、20~60μm、30~400μm、30~300μm、30~200μm、30~150μm、30~100μm、30~80μm、30~60μm、40~300μm、40~200μm、40~150μm、40~100μm、40~80μm、40~60μm、50~250μm、50~200μm、50~150μm、50~100μm、50~80μm、60~200μm、60~150μm、60~100μm、60~80μm、70~150μm、70~100μm、又は80~100μmであり得る。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)の接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記例と異なることができる(例えば、上記列挙される任意の端点内の任意の値)。
【0258】
[0287] 隔離ペンの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、隔離ペンが対象とする微小物体(例えば、T細胞又はB細胞であり得る生体細胞)の最大寸法と少なくとも同程度に大きくすることができる。上記は、例に過ぎず、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記の例(例えば、上に列挙される端点のいずれかの範囲内の幅)と異なり得る。
【0259】
[0288] 隔離ペンの様々な実施形態において、接続領域の基端開口部の幅Wprは、隔離ペンが意図される微小物体(例えば、細胞等の生物学的微小物体)の最大寸法と少なくとも同じ大きさであり得る。例えば、幅Wprは、約50μm、約60μm、約100μm、約200μm、約300μm、又は約50~300μm、約50~200μm、約50~100μm、約75~150μm、約75~100μm、又は約200~300μmであり得る。
【0260】
[0289] 隔離ペンの様々な実施形態において、接続領域(例えば、236)の長さLconと基端開口部234における接続領域(例えば、236)の幅Wconとの比率は、以下の任意の比率以上であり得る:0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、又はこれを超える比率。上記は単なる例であり、接続領域236の長さLconと基端開口部234における接続領域236の幅Wconとの比率は、上記例と異なってもよい。
【0261】
[0290] マイクロ流体デバイスの様々な実施形態100、200、23、250、280、290において、Vmaxは、約0.2マイクロリッター/秒、約0.5マイクロリッター/秒、約0.7マイクロリッター/秒、約1.0マイクロリッター/秒、約1.3マイクロリッター/秒、約1.5マイクロリッター/秒、約2.0マイクロリッター/秒、約2.5マイクロリッター/秒、約3.0マイクロリッター/秒、約3.5マイクロリッター/秒、約4.0マイクロリッター/秒、約4.5マイクロリッター/秒、約5.0マイクロリッター/秒、約5.5マイクロリッター/秒、約6.0マイクロリッター/秒、約6.7マイクロリッター/秒、約7.0マイクロリッター/秒、約7.5マイクロリッター/秒、約8.0マイクロリッター/秒、約8.5マイクロリッター/秒、約9.0マイクロリッター/秒、約10マイクロリッター/秒、約11マイクロリッター/秒、約12マイクロリッター/秒、約13マイクロリッター/秒、約14マイクロリッター/秒、又は約15マイクロリッター/秒に設定することができる。
【0262】
[0291] 隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態において、隔離ペンの分離領域(例えば、240)の容積は、例えば、少なくとも5×10立方μm、少なくとも8×10立方μm、少なくとも1×10立方μm、少なくとも2×10立方μm、少なくとも4×10立方μm、少なくとも6×10立方μm、少なくとも8×10立方μm、少なくとも1×10立方μm、少なくとも5×10立方μm、少なくとも1×10立方μm、少なくとも5×10立方μm、少なくとも8×10立方μm、又はそれを超える容積であり得る。隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態において、隔離ペンの容積は、約5×10立方μm、約6×10立方μm、約8×10立方μm、約1×10立方μm、約2×10立方μm、約4×10立方μm、約8×10立方μm、約1×10立方μm、約3×10立方μm、約5×10立方μm、又は約8×10立方μm、又はそれを超える容積であり得る。幾つかの他の実施形態では、隔離ペンの容積は、約1ナノリットル~約50ナノリットル、2ナノリットル~約25ナノリットル、2ナノリットル~約20ナノリットル、約2ナノリットル~約15ナノリットル、又は約2ナノリットル~約10ナノリットルであり得る。
【0263】
[0292] 様々な実施形態において、マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意の実施形態でのように構成された隔離ペンを有し、その場合、マイクロ流体デバイスは、約5~約10個の隔離ペン、約10~約50個の隔離ペン、約100~約500個の隔離ペン、約200~約1000個の隔離ペン、約500~約1500個の隔離ペン、約1000~約2000個の隔離ペン、約1000~約3500個の隔離ペン、約3000~約7000個の隔離ペン、約5000~約10,000個の隔離ペン、約9000~約15,000個の隔離ペン、又は約12,000~約20,000個の隔離ペンを有する。隔離ペンは、全て同じサイズである必要はなく、様々な構成(例えば、異なる幅、隔離ペン内の異なる特徴)を含み得る。
【0264】
[0293] 図2Gは、一実施形態によるマイクロ流体デバイス280を示す。図2Gに示されたマイクロ流体デバイス280は、マイクロ流体デバイス100の定型化された図である。実際には、マイクロ流体デバイス280及びその構成回路要素(例えば、チャネル122及び隔離ペン128)は本明細書で考察された寸法を有する。図2Gに示されるマイクロ流体回路120は、2つのポート107、4つの別個のチャネル122、及び4つの別個の流路106を有する。マイクロ流体デバイス280は、各チャネル122に通じる複数の隔離ペンを更に含む。図2Gに示されるマイクロ流体デバイスでは、隔離ペンは、図2Cに示されるペンと同様のジオメトリを有し、したがって、接続領域及び分離領域の両方を有する。したがって、マイクロ流体回路120は、掃引領域(例えば、チャネル122及び2次フロー244の最大侵入深さD内の接続領域236の部分)及び非掃引領域(例えば、分離領域240及び2次フロー244の最大侵入深さD内にない接続領域236の部分)の両方を含む。
【0265】
[0294] 図3A図3Bは、本開示によるマイクロ流体デバイス(例えば、100、200、230、250、280、290)を動作させるため及び観測のために使用することができるシステム150の様々な実施形態を示す。図3Aに示されるように、システム150は、マイクロ流体デバイス100(図示せず)又は本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体デバイスを保持するように構成された構造体(「ネスト」)300を含むことができる。ネスト300は、マイクロ流体デバイス320(例えば、光学的に作動される動電学的デバイス100)と界面を接することができ、電源192からマイクロ流体デバイス320への電気接続を提供することができるソケット302を含むことができる。ネスト300は、一体型電気信号生成サブシステム304を更に含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されているとき、バイアス電圧がマイクロ流体デバイス320内の電極の対にわたり印加されるように、バイアス電圧をソケット302に供給するように構成され得る。したがって、電気信号生成サブシステム304は電源192の部分であり得る。バイアス電圧をマイクロ流体デバイス320に印加する能力は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されている場合には常にバイアス電圧が印加されることを意味しない。むしろ、大半の場合、バイアス電圧は、断続的に、例えば、マイクロ流体デバイス320内での電気泳動又は電子ウェッティング等の動電力の生成を促進するために必要な場合にのみ印加される。
【0266】
[0295] 図3Aに示されるように、ネスト300は、プリント回路基板組立体(PCBA)322を含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、PCBA322に搭載され、PCBA322に電気的に集積することができる。例示的な支持体は、同様にPCBA322に搭載されるソケット302も含む。
【0267】
[0296] 通常、電気信号生成サブシステム304は波形生成器(図示せず)を含む。電気信号生成サブシステム304は、波形生成器から受信される波形を増幅するように構成されたオシロスコープ(図示せず)及び/又は波形増幅回路(図示せず)を更に含むことができる。オシロスコープは、存在する場合、ソケット302により保持されるマイクロ流体デバイス320に供給される波形を測定するように構成され得る。特定の実施形態では、オシロスコープは、マイクロ流体デバイス320の基端位置(及び波形生成器の先端位置)において波形を測定し、それにより、デバイスに実際に印加されている波形を測定するに当たりより大きい精度を保証する。オシロスコープ測定から得られるデータは、例えば、フィードバックとして波形生成器に提供され得、波形生成器は、そのようなフィードバックに基づいて出力を調整するように構成され得る。適する結合された波形生成器及びオシロスコープの例は、Red Pitaya(商標)である。
【0268】
[0297] 特定の実施形態では、ネスト300は、電気信号生成サブシステム304の検知及び/又は制御に使用される、マイクロプロセッサ等のコントローラ308を更に含む。適するマイクロプロセッサの例としては、Arduino Nano(商標)等のArduino(商標)マイクロプロセッサが挙げられる。コントローラ308を使用して機能及び分析を実行し、又は外部マスタコントローラ154(図1Aに示される)と通信して機能及び分析を実行し得る。図3Aに示される実施形態では、コントローラ308は、インタフェース310(例えば、プラグ又はコネクタ)を通してマスタコントローラ154と通信する。
【0269】
[0298] 幾つかの実施形態では、ネスト300は、Red Pitaya(商標)波形生成器/オシロスコープユニット(「Red Pitayaユニット」)を含む電気信号生成サブシステム304と、Red Pitayaユニットにより生成された波形を増幅し、増幅電圧をマイクロ流体デバイス100に渡す波形増幅回路とを含むことができる。幾つかの実施形態では、Red Pitayaユニットは、マイクロ流体デバイス320での増幅電圧を測定し、次に、マイクロ流体デバイス320での測定電圧が所望の値であるように、必要に応じてそれ自体の出力電圧を調整するように構成される。幾つかの実施形態では、波形増幅回路は、PCBA322に搭載されるDC-DCコンバータの対により生成される+6.5V~-6.5V電源を有することができ、その結果、マイクロ流体デバイス100において13Vppまでの信号が生成される。
【0270】
[0299] 図3Aに示されるように、支持構造体300(例えば、ネスト)は、熱制御サブシステム306を更に含むことができる。熱制御サブシステム306は、支持構造体300により保持されるマイクロ流体デバイス320の温度を調整するように構成され得る。例えば、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイス(図示せず)及び冷却ユニット(図示せず)を含むことができる。ペルチェ熱電デバイスは、マイクロ流体デバイス320の少なくとも1つの表面と界面を接するように構成された第1の表面を有することができる。冷却ユニットは、例えば、液冷アルミニウムブロック等の冷却ブロック(図示せず)であり得る。ペルチェ熱電デバイスの第2の表面(例えば、第1の表面とは逆の表面)は、そのような冷却ブロックの表面と界面を接するように構成され得る。冷却ブロックは、冷却ブロックを通して冷却流体を循環させるように構成された流体路314に接続することができる。図3Aに示される実施形態では、支持構造体300は、流入口316及び流出口318を含む、外部リザーバ(図示せず)から冷却された流体を受け取り、冷却された流体を流体路314に導入し、冷却ブロックを通し、次に、冷却された流体を外部リザーバに戻す。幾つかの実施形態では、ペルチェ熱電デバイス、冷却ユニット、及び/又は流体路314は、支持構造体300のケース312に搭載することができる。幾つかの実施形態では、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイスの温度を調整して、マイクロ流体デバイス320の標的温度を達成するように構成される。ペルチェ熱電デバイスの温度調整は、例えば、Pololu(商標)熱電電源(Pololu Robotics and Electronics Corp.)等の熱電電源により達成することができる。熱制御サブシステム306は、アナログ回路により提供される温度値等のフィードバック回路を含むことができる。代替的に、フィードバック回路はデジタル回路により提供され得る。
【0271】
[0300] 幾つかの実施形態では、ネスト300は、抵抗(例えば、抵抗1kオーム+/-0.1%、温度係数+/-0.02ppm/C0)及びNTCサーミスタ(例えば、公称抵抗1kオーム+/-0.01%を有する)を含むアナログ分圧回路(図示せず)であるフィードバック回路を有する熱制御サブシステム306を含むことができる。幾つかの場合、熱制御サブシステム306は、フィードバック回路からの電圧を測定し、次に、計算された温度値をオンボードPID制御ループアルゴリズムへの入力として使用する。PID制御ループアルゴリズムからの出力は、例えば、Pololu(商標)モーター駆動デバイス(図示せず)上の方向信号及びパルス幅変調信号ピンの両方を駆動して熱電電源を作動させることができ、それにより、ペルチェ熱電デバイスを制御する。
【0272】
[0301] ネスト300はシリアルポート350を含むことができ、シリアルポート324により、コントローラ308のマイクロプロセッサは、インタフェース310(図示せず)を介して外部マスタコントローラ154と通信することができる。加えて、コントローラ308のマイクロプロセッサは、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306と通信することができる(例えば、Plinkツール(図示せず)を介して)。したがって、コントローラ308、インタフェース310、及びシリアルポート324の組合せを介して、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306は、外部マスタコントローラ154と通信することができる。このようにして、マスタコントローラ154は、特に、出力電圧調整のためにスケーリング計算を実行することにより電気信号生成サブシステム304を支援することができる。外部マスタコントローラ154に結合された表示デバイス170を介して提供されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)(図示せず)は、熱制御サブシステム306及び電気信号生成サブシステム304からそれぞれ得られる温度データ及び波形データをプロットするように構成され得る。代替的に又は追加として、GUIは、コントローラ308、熱制御サブシステム306、及び電気信号生成サブシステム304への更新を可能にすることができる。
【0273】
[0302] 上述したように、システム150は撮像デバイス194を含むことができる。幾つかの実施形態では、撮像デバイス194は光変調サブシステム330(図3B参照)を含む。光変調サブシステム330は、デジタルミラーデバイス(DMD)又はマイクロシャッタアレイシステム(MSA)を含むことができ、これらのいずれかは、光源332から光を受け取り、受け取った光のサブセットを顕微鏡350の光学縦列に送るように構成され得る。代替的に、光変調サブシステム330は、有機発行ダイオードディスプレイ(OLED)、液晶オンシリコン(LCOS)デバイス、強誘電性液晶オンシリコンデバイス(FLCOS)、又は透過型液晶ディスプレイ(LCD)等のそれ自体の光を生成する(したがって、光源332の必要性をなくす)デバイスを含むことができる。光変調サブシステム330は、例えば、プロジェクタであり得る。したがって、光変調サブシステム330は、構造化光及び非構造化光の両方を発することが可能であり得る。特定の実施形態では、システム150の撮像モジュール164及び/又は原動モジュール162は、光変調サブシステム330を制御することができる。
【0274】
[0303] 特定の実施形態では、撮像デバイス194は顕微鏡350を更に含む。そのような実施形態では、ネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350に搭載されるように個々に構成され得る。顕微鏡350は、例えば、標準の研究等級の光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡であるように構成され得る。したがって、ネスト300は、顕微鏡350のステージ344に搭載するように構成され得、及び/又は光変調サブシステム330は、顕微鏡350のポートに搭載されるように構成され得る。他の実施形態では、本明細書に記載されるネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350の一体構成要素であり得る。
【0275】
[0304] 特定の実施形態では、顕微鏡350は1つ又は複数の検出器348を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、検出器348は撮像モジュール164により制御される。検出器348は、接眼レンズ、電荷結合素子(CCD)、カメラ(例えば、デジタルカメラ)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。少なくとも2つの検出器348が存在する場合、1つの検出器は、例えば、高速フレームレートカメラであり得、一方、他の検出器は高感度カメラであり得る。更に、顕微鏡350は、マイクロ流体デバイス320から反射された光及び/又は発せられた光を受け取り、反射光及び/又は放射光の少なくとも部分を1つ又は複数の検出器348に結像するように構成された光学縦列を含むことができる。顕微鏡の光学縦列は、各検出器での最終倍率が異なることができるように、異なる検出器で異なるチューブレンズ(図示せず)を含むこともできる。
【0276】
[0305] 特定の実施形態において、イメージングデバイス194は、少なくとも2つの光源を使用するように構成される。例えば、第1の光源332を用いて構造化光(例えば、光変調サブシステム330を介して)を生成することができ、第2の光源334を用いて非構造化光を提供することができる。第1の光源332は、光学的に作動されるエレクトロキネシス及び/又は蛍光励起のための構造化光を生成することができ、第2の光源334を用いて明視野照明を提供することができる。これらの実施形態において、原動力モジュール(motive module)164を用いて第1の光源332を制御することができ、イメージングモジュール164を用いて第2の光源334を制御することができる。顕微鏡350の光学列は、(1)光変調サブシステム330からの構造化光を受け、デバイスがネスト300によって保持されている場合、構造化光の焦点を、光学的に作動される動電学的デバイスなどのマイクロ流体デバイス内の少なくとも第1の領域に合わせ、(2)マイクロ流体デバイスから反射された及び/又は放出された光を受け、このような反射された及び/又は放出された光の少なくとも一部の焦点を検出器348に合わせるように構成され得る。光学列は、第2の光源からの非構造化光を受け、デバイスがネスト300によって保持される場合、非構造化光の焦点をマイクロ流体デバイスの少なくとも第2の領域に合わせるようにさらに構成され得る。特定の実施形態において、マイクロ流体デバイスの第1及び第2の領域は、重なっている領域であり得る。例えば、第1の領域は、第2の領域のサブセットであり得る。他の実施形態において、第2の光源334は、加えて又は代替的に、光の任意の好適な波長を有し得るレーザーを含み得る。図3Bに示される光学系の図は、概略図に過ぎず、光学系は、さらなるフィルタ、ノッチフィルタ、レンズなどを含み得る。第2の光源334が明視野及び/又は蛍光励起並びにレーザー照射のための1つ又は複数の光源を含む場合、光源の物理的配置は、図3Bに示されるものから変化することがあり、レーザー照射は、光学系内の任意の好適な物理的位置で導入され得る。光源334及び光源332/光変調サブシステム330の概略的な位置も入れ替えられ得る。
【0277】
[0306] 図3Bでは、光を光変調サブシステム330に供給している第1の光源332が示されており、光変調サブシステム330は構造化光をシステム355(図示せず)の顕微鏡350の光学縦列に提供する。ビームスプリッタ336を介して非構造化光を光学縦列に提供している第2の光源334が示される。光変調サブシステム330からの構造化光及びに示されるように、第2の光源334からの非構造化光は、ビームスプリッタ336から光学縦列を通って一緒に移動して、第2のビームスプリッタ(又は光変調サブシステム330によって提供される光に応じて、ダイクロイックフィルタ338)に到達し、ここで、光は反射し、対物レンズ336を通して試料面342まで下がる。次に、試料面342からの反射光及び/又は放射光は再び対物レンズ340を通って移動し、ビームスプリッタ及び/又はダイクロイックフィルタ338を通り、ダイクロイックフィルタ346に到達する。ダイクロイックフィルタ346に達する光の一部のみが透過され、検出器348に到達する。
【0278】
[0307] 幾つかの実施形態では、第2の光源334は青色光を発する。適切なダイクロイックフィルタ346を用いて、試料面342から反射された青色光は、ダイクロイックフィルタ346を透過し、検出器348に到達することが可能である。これとは対照的に、光変調サブシステム330から来る構造化光は、試料面342で反射されるが、ダイクロイックフィルタ346を透過しない。この例では、ダイクロイックフィルタ346は、495nmよりも長い波長を有する可視光を濾波して除外する。光変調サブシステム330からの光のそのような濾波は、光変調サブシステムから発せられる光が495nmよりも短いいかなる波長も含まない場合にのみ完了する(示されるように)。実際には、光変調サブシステム330から来る光が495nmよりも短い波長(例えば、青色波長)を含む場合、光変調サブシステムからの光の幾らかがフィルタ346を透過して検出器348に到達する。そのような実施形態では、フィルタ346は、第1の光源332から検出器348に到達する光の量と第2の光源334から検出器348に到達する光の量とのバランスを変更する役割を果たす。これは、第1の光源332が第2の光源334よりもはるかに強力な場合、有益であり得る。他の実施形態では、第2の光源334は、赤色光を発することができ、ダイクロイックフィルタ346は、赤色光以外の可視光(例えば、650nmよりも短い波長を有する可視光)を濾波して除外することができる。
【0279】
[0308] 被覆溶液及び被覆剤。
理論による限定を意図せずに、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成及び/又はEW構成マイクロ流体デバイス)内での生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の維持は、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つ又は複数の内面が、マイクロ流体デバイスと内部に維持される生物学的微小物体との間の主な界面を提供する有機分子及び/又は親水性分子の層を提示するように調整又は被覆される場合に促進し得る(すなわち、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイス内で生存率の増大、より大きい増殖、及び/又はより大きい可搬性を示す)。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの内面の1つ又は複数(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイスの電極活性化基板の内面、マイクロ流体のカバー、及び/又は回路材料の表面)は、有機分子及び/又は親水性分子の所望の層を生成するように、被覆溶液及び/又は被覆剤により処理又は修飾し得る。
【0280】
[0309] 被覆は、生物学的微小物体を導入する前又は後に塗布してもよく、又は生物学的微小物体と同時に導入してもよい。幾つかの実施形態では、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の被覆剤を含む流体媒体中に搬入し得る。他の実施形態では、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイス)の内面は、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスに導入する前に、被覆剤を含む被覆溶液を用いて処理又は「プライミング」される。
【0281】
[0310] 幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの表面は、生物学的微小物体の維持及び/又は増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供する(例えば、後述するような調整面を提供する)被覆剤を含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの略全ての内面は被覆材料を含む。被覆された内面は、フロー領域(例えば、チャネル)の表面、チャンバの表面、隔離ペンの表面、又はそれらの組合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。他の実施形態では、複数のフロー領域又はチャネルのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンのそれぞれ及び複数のチャネルのそれぞれの少なくとも1つの内面は、被覆材料で被覆される。
【0282】
[0311] 被覆剤/溶液。
限定ではなく、血清又は血清因子、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリマー、洗剤、酵素、及びそれらの任意の組合わせを含む任意の従来の被覆剤/被覆溶液を使用することができる。
【0283】
[0312] ポリマーベースの被覆材料。
少なくとも1つの内面は、ポリマーを含む被覆材料を含み得る。ポリマーは、少なくとも1つの表面に共有結合又は非共有結合し得る(又は非特異的に付着し得る)。ポリマーは、ブロックポリマー(及びコポリマー)、星型ポリマー(星型コポリマー)、並びにグラフト又は櫛形ポリマー(グラフトコポリマー)に見られる等の多種多様な構造モチーフを有し得、これらは全て本明細書に開示される方法に適し得る。
【0284】
[0313] ポリマーは、アルキレンエーテル部分を含むポリマーを含み得る。広範囲のアルキレンエーテル含有ポリマーが、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスでの使用に適し得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの非限定的で例示的な一クラスは、ポリマー鎖内で異なる比率及び異なる場所にあるポリエチレンオキシド(PEO)サブユニット及びポリプロピレンオキシド(PPO)サブユニットのブロックを含む両親媒性非イオンブロックコポリマーである。Pluronic(登録商標)ポリマー(BASF)は、このタイプのブロックコポリマーであり、生細胞と接触する場合の使用に適することが当技術分野で既知である。ポリマーは、平均分子質量Mで、約2000Da~約20KDaの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、PEO-PPOブロックコポリマーは、約10よりも大きい(例えば、12~18)の親水性親油性バランス(HLB)を有することができる。被覆された表面をもたらすのに有用な特定のPluronic(登録商標)ポリマーは、Pluronic(登録商標)L44、L64、P85、及びF127(F127NFを含む)を含む。別のクラスのアルキレンエーテル含有ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG M<100,000Da)又は代替的にポリエチレンオキシド(PEO、M>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約88Da、100Da、132Da、176Da、200Da、220Da、264Da、308Da、352Da、396Da、440Da、500Da、600Da、700Da、800Da、900Da、1000Da、1500Da、2000Da、5000Da、10,000Da、又は20,000DaのM、又はこれらの値の任意の二つにより定義される範囲内のMを有し得る。
【0285】
[0314] 他の実施形態では、被覆材料は、カルボン酸部分を含むポリマーを含み得る。カルボン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリ乳酸(PLA)である。他の実施形態では、被覆材料は、ポリマー骨格の末端又はポリマー骨格からのペンダントのいずれかにリン酸部分を含むポリマーを含み得る。更に他の実施形態では、被覆材料は、スルホン酸部分を含むポリマーを含み得る。スルホン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリスチレンスルホン酸(PSSA)又はポリアネトールスルホン酸である。更なる実施形態では、被覆材料はアミン部分を含むポリマーを含み得る。ポリアミノポリマーは、天然ポリアミンポリマー又は合成ポリアミンポリマーを含み得る。天然ポリアミンの例としては、スペルミン、スペルミジン、及びプトレッシンが挙げられる。
【0286】
[0315] 他の実施形態では、被覆材料は、糖類部分を含むポリマーを含み得る。非限定的な例では、キサンタンガム又はデキストラン等のポリサッカリドが、マイクロ流体デバイスにおける細胞の突き刺しを低減又は阻止し得る材料を形成するのに適し得る。例えば、約3kDaのサイズを有するデキストランポリマーを使用して、マイクロ流体デバイス内の表面に被覆材料を提供し得る。
【0287】
[0316] 他の実施形態では、被覆材料は、リボヌクレオチド部分又はデオキシリボヌクレオチド部分を有し、高分子電解質表面を提供し得る、ヌクレオチド部分、すなわち、核酸を含むポリマーを含み得る。核酸は、天然ヌクレオチド部分のみを含んでもよく、又は限定ではなく、7-デアザアデニン、ペントース、メチルホスホン酸、又はホスホロチオエート部分等の核酸塩基、リボース、リン酸塩部分類似物を含む非天然ヌクレオチド部分を含んでもよい。
【0288】
[0317] 更に他の実施形態では、被覆材料は、アミノ酸部分を含むポリマーを含み得る。アミノ酸部分を含むポリマーは、天然アミノ酸含有ポリマー又は非天然アミノ酸含有ポリマーを含み得、これらのいずれかはペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を含み得る。非限定的な一例では、被覆剤として、タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)並びに/或いはアルブミン及び/又は1つ又は複数の他の同様のタンパク質を含む血清(又は複数の異なる血清の組合わせ)であり得る。血清は、限定ではなく、ウシ胎仔血清、ヒツジ血清、ヤギ血清、ウマ血清等を含む任意の好都合のソースからのものであり得る。特定の実施形態では、被覆溶液中のBSAは、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約1mg/mLから約100mg/mLの濃度で存在する。特定の実施形態では、被覆溶液中の血清は、25%、30%、35%、40%、45%、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約20%(v/v)から約50%v/vの濃度で存在し得る。幾つかの実施形態では、BSAは、5mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得、一方、他の実施形態では、BSAは、70mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得る。特定の実施形態では、血清は、30%で被覆溶液中に被覆剤として存在する。幾つかの実施形態では、フォスター細胞成長への細胞の付着を最適化するために、細胞外基質(ECM)タンパク質を被覆材料内に提供し得る。被覆材料に包含し得る細胞基質タンパク質としては、限定ではなく、コラーゲン、エラスチン、RGD含有ペプチド(例えば、フィブロネクチン)、又はラミニンを挙げることができる。更に他の実施形態では、成長因子、サイトカイン、ホルモン、又は他の細胞シグナリング種をマイクロ流体デバイスの被覆材料内に提供し得る。
【0289】
[0318] 幾つかの実施形態では、被覆材料は、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、又はアミノ酸部分の2つ以上を含むポリマーを含み得る。他の実施形態では、ポリマーの調整された表面は、被覆材料に独立して又は同時に組み込み得る、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、及び/又はアミノ酸部分をそれぞれ有する2つ以上のポリマーの混合物を含み得る。
【0290】
[0319] さらに、共有結合的に修飾された表面がコーティング剤とともに使用される実施形態において、共有結合的に修飾された表面のアニオン、カチオン及び/又は両性イオンは、エンクロージャにおいて流体培地(例えば、コーティング溶液)中に存在する非共有結合的なコーティング剤(例えば、溶液中のタンパク質)の荷電部分とともにイオン結合を形成し得る。
【0291】
[0320] 適切な被覆処理及び修飾の更なる詳細については、2016年4月22日に出願された米国特許出願公開第15/135,707号において見出し得、この特許出願は全体的に参照により本明細書に援用される。
【0292】
[0321] マイクロ流体デバイスの隔離ペン内の細胞の生存性を維持する追加のシステム構成要素。
細胞集団の成長及び/又は増殖を促進するために、システムの追加の構成要素により、機能的な細胞の維持を促す環境状況を提供し得る。例えば、そのような追加の構成要素は、栄養素、細胞成長シグナリング種、pH調整、ガス交換、温度制御、及び細胞からの老廃物の除去を提供することができる。
【実施例0293】
実施例
一般的な材料及び方法。
[0322] システム及びマイクロ流体デバイス:
Berkeley Lights, Inc.によって製造され、同様にBerkeley Lights, Incによって製造された光学機器によって制御されるOptoSelectチップ、ナノ流体デバイス。機器は、温度コントローラに連結されたチップのための取り付け台;ポンプ及び流体培地調整構成要素;及びカメラ及びチップ内のフォトトランジスタを活性化するのに好適な構造化光源を含む光学列を含んでいた。OptoSelect(商標)チップは、フォトトランジスタにより活性化されるOET力を提供する、OptoElectroPositioning(OEP(商標))技術を用いて構成された基板を含んでいた。チップは、それぞれ複数のNanoPen(商標)チャンバ(又は隔離ペン)が流体接続された複数のマイクロ流体チャネルも含んでいた。各隔離ペンの体積は、約1×10立方μmであった。
【0294】
[0323] プライミング溶液:
0.1%のPluronic(登録商標)F127((Life Technologies(登録商標)カタログ番号P6866)を含有する完全増殖培地。
【0295】
[0324] 培養のための準備:修飾表面を有するマイクロ流体デバイスをシステムに充填し、5分間にわたって15psiにおいて100%の二酸化炭素でパージした。二酸化炭素パージの直後、プライミング溶液を8分間にわたって5マイクロリットル/秒でマイクロ流体デバイスに通してかん流させた。次に、培地を5分間にわたって5マイクロリットル/秒でマイクロ流体デバイスに通して流した。
【0296】
[0325] プライミング計画。
250マイクロリットルの100%の二酸化炭素を12マイクロリットル/秒の速度で流した。この後、0.1%のPluronic(登録商標)F27(Life Technologies(登録商標)カタログ番号P6866)を含有する250マイクロリットルのPBSを12マイクロリットル/秒で流した。プライミングの最終的な工程は、250マイクロリットルのPBSを12マイクロリットル/秒で流すことを含んでいた。培地の導入は、以下のとおりである。
【0297】
[0326] かん流計画。
かん流方法は、以下の2つの方法のいずれかであった。
[0327] 1.2時間にわたって0.01マイクロリットル/秒でかん流させ;64秒間にわたって2マイクロリットル/秒でかん流させ;それを繰り返した。
[0328] 2.100秒間にわたって0.02マイクロリットル/秒でかん流させ;500秒間にわたってフローを停止し;64秒間にわたって2マイクロリットル/秒でかん流させ;それを繰り返した。
【0298】
[0329] 実施例1.非パターン化シリコンウエハの官能化表面の調製。シリコンウエハ(厚さ780ミクロン、1cm×1cm)を100Wの電力、240mTorrの圧力及び440sccmの酸素流量を使用して、酸素プラズマクリーナー(Nordson Asymtek)内で5分間処理した。プラズマ処理シリコンウエハは、真空反応器の底部にあるホイルボート内の(11-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(300マイクロリットル)を使用して、真空反応器の底部にある別のホイルボート内の水反応物源としての硫酸マグネシウム七水和物(0.5g、Acrosカタログ番号10034-99-8)の存在下において、真空反応器内で処理した。次に、真空ポンプを使用して、チャンバーを750mTorrに排気し、次に密閉した。真空反応器を110℃に加熱したオーブン内に24~48時間入れた。これによってウエハに修飾表面が導入され、修飾表面は、式I:
【化1】

の構造を有した。
【0299】
[0330] 室温に冷却し、真空チャンバーにアルゴンを導入した後、ウエハを反応器から取り出した。ウエハをアセトン、イソプロパノールですすぎ、窒素気流下で乾燥させた。偏光解析法及び接触角測定法によって修飾表面の導入を確認した。
【0300】
[0331] 代わりに、式Iの官能化表面を導入する前に、シリコンウエハを平底ウェルプレートの底部に収まるサイズに切断し、複数の整形されたシリコンウエハを同時に官能化した。
【0301】
[0332] 実施例2.ストレプトアビジン官能化表面を有する平面非パターン化シリコンウエハの調製。シリコンウエハを、市販のDBCO-SAVの2マイクロモル濃度溶液を含有する水溶液と接触させることにより、上述されたような式Iの表面を有する実施例1からの生成物シリコンウエハをジベンジルシクロオクチニル(DBCO)ストレプトアビジン(SAV)、Nanocsカタログ番号SV1-DB-1、SAVの各分子に対して2~7のDBCOがある)で処理した。反応を室温で少なくとも1時間進行させた。次に、式II
【化2】

の修飾表面を有する非パターン化シリコンウエハを1×PBSですすいだ。
【0302】
[0333] 実施例3.DBCO標識ストレプトアビジン(SAV)化合物1の合成:5mgの凍結乾燥SAV(ThermoFisher製品番号S888)を1mLの1×PBS(Gibco)及び1×PBS中の1mLの2mMのNaCO(Acros)に溶解した。10mgのニートDBCO-PEG13-NHS(化合物2、Click Chemistry Tools製品番号1015-10)を0.4mLの乾燥DMSOに溶解した。16uLのDBCO-PEG13-NHS溶液をSAV溶液に添加し、エッペンドルフThermoMixer上で25℃、400RPMで4時間混合した。反応混合物をZebaサイズ排除クロマトグラフィースピンカラム(ThermoFisher製品番号89882)に通過させることにより、標識SAV(化合物1)をDBCO-PEG13-NHSから精製し、さらに精製することなく使用した。
【化3】
【0303】
[0334] 実施例4.ストレプトアビジン官能化表面を有する平面非パターン化シリコンウエハの調製。上述されたような式Iの表面を有する実施例1からの生成物シリコンウエハを、2マイクロモル濃度の化合物1を含有する水溶液を接触させることにより、化合物1(DBCO連結ストレプトアビジン(SAV)、実施例3の生成物、PEG13リンカーを有し、各SAV分子について2~7のDBCOがある)で処理した。反応を室温で少なくとも1時間進行させた。次に、PEG13リンカーを含むストレプトアビジン共有結合官能化表面を有する非パターン化シリコンウエハを1×PBSですすいだ。
【0304】
[0335] 実施例5.化合物1を使用した官能化と比較した市販のDBCO連結SAVによるシリコンウエハの官能化の比較。SAV修飾表面の比較は、反応性アジ化物部分の導入(実施例1);それぞれのSAV層の導入;それに続くビオチン化抗CD28の導入の各ステップ後、偏光解析法及び接触角測定法によって行い、試薬の濃度及び反応条件は、同一であった。PEG13部分を含むリンカーを有するDBCO SAV試薬を使用したサンプル2は、サンプル1よりも堅牢なSAVの官能化を明らかに提供し、引き続いてSAV結合部位へのビオチン化抗CD2結合によるより堅牢な官能化を提供した。
【0305】
【表1】
【0306】
[0336] 理論により拘束されることなく、少なくとも5のPEG反復単位から約20のPEG反復単位までの長さを有するリンカー(代わりに、約20Å~約100Åの長さを有するリンカー)は、シリコンウエハのこの反応性表面上の反応性部分への優れたレベルの共役を提供し得ることが示された。これは、より多くのSAV結合部位が利用可能であったことから、サンプルウエハ2に導入された抗CD28の層の追加的な厚さによってさらに実証された。
【0307】
[0337] 実施例6.平面パターン化表面の調製及び活性化官能化を有しない異なる領域によって隔てられた複数の領域内に抗原提示表面を提供するためのさらなる加工。ITO上に非晶質シリコンのパターン化された複数の領域を有するように、酸化スズインジウム(ITO)ウエハを製造した。領域は、a.)互いに3ミクロン離れた直径1ミクロンの円形非晶質シリコン領域、又はb.)互いに2ミクロン離れた2ミクロン角の非晶質シリコン領域であった。図6A及び6Bは、パターン化表面の各タイプの部分のSEM画像を示す。
【0308】
[0338] 官能化前にパターン化ウエハをアセトン中で10分間の超音波処理によって洗浄し、脱イオン水ですすぎ、乾燥させた(図6のステップ1)。次に、パターン化ウエハを100Wの電力、240mTorrの圧力及び440sccmの酸素流量を使用して、酸素プラズマクリーナー(Nordson Asymtek)内で5分間処理した。
【0309】
[0339] 官能化処理の概略図を図6に示す。ITO表面の最初の共有結合修飾。50%N-メチルピロリジン(NMP)/水溶液中の40mMのウンデシニルホスホン酸(Sikemiaカタログ番号SIK7110-10)との反応により、ウエハの酸化インジウムスズ基層を官能化した(図6のステップ2)。洗浄したウエハの表面をバイアル内の溶液に浸して密封した。バイアルを50℃の水浴中で一晩維持しした。翌日、ウエハを取り出し、50%イソプロピルアルコール/水、続いてイソプロピルアルコールで洗浄した。
【0310】
[0340] A.パターン化表面のITO領域のビオチン化。アジド反応性部分に連結された1.5mMのビオチン(アジド-S-S-ビオチン、Broadpharmカタログ番号BP-2877)、0.5mMのアスコルビン酸ナトリウム;及び水中の1mMのCu(II)SO/THPTAとの反応により、アルキン官能化ITO領域をさらに共有結合修飾した(図6のステップ3)。ビオチン試薬を含有するジスルフィドと接触させる前に銅リガンドとアスコルビン酸ナトリウムを予混合するように注意を払った。表面をビオチン試薬溶液と1時間接触させたままにした。次のステップに備えて、次にウエハの表面を水で洗浄し、乾燥させた。
【0311】
[0341] B.パターン化ウエハの複数の非晶質シリコン領域の表面の共有結合修飾。ウエハのITO領域内にビオチン化表面を有するパターン化ウエハは、真空反応器の底部にあるホイルボート内の(11-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(化合物3、300マイクロリットル)を使用して、真空反応器の底部にある別のホイルボート内の水反応物源としての硫酸マグネシウム七水和物(0.5g、Acrosカタログ番号10034-99-8)の存在下において、真空反応器内で処理した(図6のステップ4)。次に、真空ポンプを使用して、チャンバーを750mTorrに排気し、次に密閉した。真空反応器を110℃に加熱したオーブンに一晩入れた。これにより、ウエハ上に複数の非晶質シリコン領域の修飾表面が導入され、修飾表面は、式I:
【化4】

の構造を有した。
【0312】
[0342] 室温に冷却し、真空チャンバーにアルゴンを導入した後、ウエハを反応器から取り出した。ウエハをアセトン、イソプロパノールですすぎ、窒素気流下で乾燥させた。計測により、パターン化ウエハのビオチン化ITO領域には、式Iの官能化リガンドが実質的に混入していないことが示され;10%以下の混入物が見られた。
【0313】
[0343] C.支持部分を提供するためのパターン化ウエハのビオチン修飾ITO領域の共有結合修飾。ビオチン修飾ITO領域によって隔てられた複数のウンデシルアジド修飾非晶質シリコン領域を有するパターン化ウエハを、0.02%アジ化ナトリウムを含有するPBS中のストレプトアビジン(SAV、3.84マイクロモル濃度)の溶液と反応させ、30分間インキュベートした(図6のステップ5)。次に、ウエハをPBSで洗浄して乾燥させた。
【0314】
[0344] 次に、0.02%アジ化ナトリウムを含有するPBS中のビオチン-RGD(Anaspecカタログ番号AS-62347)の200マイクロモル濃度の溶液との反応により、パターン化ウエハのITO領域のストレプトアビジン修飾表面を修飾し、それにより、これらの表面上で培養した際のTリンパ球の生存率を一般的に改善するための接着部分を提供した(図6のステップ6)。45分間インキュベートした後、ウエハをPBSですすぎ、次に乾燥させた。
【0315】
[0345] さらなる一般化。代わりに、ビオチン-PEG-5Kの200マイクロモル溶液(Jenkemカタログ番号M-BIOTIN-5000)との反応により、パターン化ウエハのITO領域のストレプトアビジン修飾表面を修飾し、パターン化表面のこの非活性化領域内に親水性部分を提供し得る。さらに、例えば、1:1、1:10、10:1又はその間の割当などの任意の比率でストレプトアビジン表面をビオチン化部分の200マイクロモル濃度の貯蔵溶液の混合物と反応させることにより、ストレプトアビジン表面を接着性部分と親水性部分との混合物によって修飾し得る。
【0316】
[0346] D.パターン化ウエハの複数のアジド官能化非晶質シリコン領域に二次官能化表面を提供すること。0.02%アジ化ナトリウムを含有するPBS中のDBCO-SAV(Nanocsカタログ番号SV1-DB-1、2マイクロモル濃度)の溶液を、その上に共有結合された支持部分(例えば、RGDなどの接着性モチーフ又はPEG-5Kなどの親水性部分)を有するITOの領域によって隔てられた、複数のアジド官能化非晶質シリコン領域を有するパターン化ウエハと30分間のインキュベーション時間にわたり接触させ、支持的に修飾されたITO表面の領域によって隔てられたストレプトアビジン官能化表面を有する複数の非晶質領域を提供した(図6のステップ7)。パターン化ウエハは、抗原活性化リガンドの最終的な導入までPBS/0.02%アジ化ナトリウム中で維持した。
【0317】
[0347] E.パターン化ウエハの非晶質シリコン領域のストレプトアビジン修飾表面官能化(図6のステップ8)。段階的官能化を実施例12と同様に実施し、最初にパターン化表面を溶液中のビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01MART-1(MBL International Corp.、カタログ番号MR01008、ELAGIGILTV)に曝露し、45分間インキュベートする。複数のMHC修飾非晶質シリコン領域を有するパターン化ウエハを洗浄緩衝液ですすいだ後、次にパターン化ウエハをビオチン化抗CD28(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-100-144)の溶液と接触させ、30~45分間インキュベートして、パターン化ウエハの支持的に修飾されたITO領域によって隔てられた複数のpMHC/抗CD28領域を提供する。
【0318】
[0348] 実施例7.非パターン化表面と比較した、その上に接続された支持部分を有する領域によって隔てられた、その上に接続されたpMHC及び抗CD28を有する複数の領域を含有するパターン化表面を使用したCD8+Tリンパ球の活性化。実施例6の生成物パターン化ウエハは、48ウェルプレートのウェルの底部内に配置するためのサイズにした。1つ目は、図7Aに示されるような1ミクロンの直径を有する円形領域を有し、2つ目は、図7Bに示されるような各辺が2ミクロンの正方形領域を有する、2つの異なるパターン化表面を使用した。同一レベルのMHCペプチド修飾及び抗CD28のランダム分布を有する、パターン化されていない平坦な第3の表面を第3の48ウェルプレートの第3のウェルで使用した。平面表面への1レベルのみの抗CD28抗体負荷を使用した。実施例12(下記)に記載されるようにして得られたナイーブTリンパ球をウェルプレートのウェル内に入れて、パターン化又は非パターン化ウエハと接触させた。刺激プロトコル及び培養プロトコルは、それぞれ実施例12のように1~7日目に実施した。フローサイトメトリー分析は、ナイーブTリンパ球の活性化を示した。図8A~8Dに示されるフローサイトメトリーの結果は、3種類の表面のそれぞれがTリンパ球を活性化し得ることを示す。これらの3つの活性化条件について、図8A~Dに示される図表による特性評価は、表現型特異性が得られることを示す。図8Aは、1ミクロン活性化アイランドパターン、2ミクロン活性化アイランドパターン及び非パターン化ウエハ表面のそれぞれについて、生成物細胞集団に見られる抗原特異的(MART1)T細胞の百分率を示す。図8Bは、各表面タイプについて、結果として得られた細胞集団のそれぞれに見られるMART1抗原特異的T細胞の総数を示す。図8Cは、表面タイプのそれぞれに対するMART1抗原特異的T細胞の倍率増殖を示す。図8Dは、各表面タイプの抗原特異的T細胞集団内のCD28high発現抗原特異的T細胞の百分率を示す。パターン化表面は、より再現性が高く且つ制御可能な増殖量、表現型及び実際の細胞数を実証する。より小さい1ミクロンの領域は、提示抗原、MHC分子及び抗CD28の天然の好ましい配置をより効果的に模倣し得る。図9を参照されたい。
【0319】
[0349] 刺激の第1の期間が完了した後、結果として得られたT細胞をウェルプレートの同一ウェル内で7~14日目、任意選択的に14~21日目に再刺激し、上記のようにサイトカイン添加物を添加する。代わりに、7日目及び/又は14日目に、結果として得られたTリンパ球を新鮮なパターンウエハを有する新しいウェルに移し、実施例12のプロトコルを継続し得る。刺激の所望の繰り返しの終了時、細胞の一部を染色し、フローサイトメトリーによって検査して、活性化の程度を判定し得る。パターン化表面ウエハは、ビーズベースの活性化又は抗原提示樹状細胞による活性化と同じく容易にT細胞の活性化を刺激することが予想される。
【0320】
[0350] 実施例8.式Iの修飾内表面を有するマイクロ流体装置の調製。第1のシリコン電極活性化基板及び反対側の壁の第2のITO基板と、2つの基板を分離する光パターン化シリコーンマイクロ流体回路材料とを有する、上記の一般的な実験セクションに記載されるマイクロ流体装置(Berkeley Lights, Inc.)を100Wの電力、240mTorrの圧力及び440sccmの酸素流量を使用して、酸素プラズマクリーナー(Nordson Asymtek)内で1分間処理した。プラズマ処理マイクロ流体装置は、真空反応器の底部にあるホイルボート内の3-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(300マイクロリットル)を使用して、真空反応器の底部にある別のホイルボート内の水反応物源としての硫酸マグネシウム七水和物(0.5g、Acros)の存在下において、真空反応器内で処理した。次に、真空ポンプを使用して、チャンバーを750mTorrに排気し、次に密閉した。真空反応器を110℃に加熱したオーブン内に24~48時間入れた。これによってマイクロ流体装置に修飾表面が導入され、修飾表面は、式I:
【化5】

の構造を有した。
【0321】
[0351] 室温に冷却し、真空チャンバーにアルゴンを導入した後、マイクロ流体装置を反応器から取り出した。官能化表面を有するマイクロ流体装置を少なくとも250マイクロリットルの脱イオン水ですすぎ、さらなる使用の準備をした。
【0322】
[0352] 実施例9.マイクロ流体装置内のT細胞活性化表面の導入。
[0353] A.実施例8(式I)のようなアジド部分を含むようにOptoSelectマイクロ流体装置の内表面を共有結合修飾した。表面をストレプトアビジンで官能化するために、OptoSelectマイクロ流体装置を最初に100%二酸化炭素で繰り返し洗い流し、次に実施例4で生成されるように、約0.5~約2マイクロモルの濃度を有するDBCO-ストレプトアビジン溶液を充填する。DBCOとアジ化物基とが共役する15~30分間のインキュベーション後、OptoSelectマイクロ流体装置を1×PBSで繰り返し洗浄し、未結合のDBCO修飾ストレプトアビジンを洗い流す。
【0323】
[0354] 次に、このストレプトアビジン表面をビオチン化pMHCと、ビオチン化抗CD28、ビオチン化抗CD2又はそれらの任意の組み合わせの選択とでさらに修飾する。これらの分子を2%ウシ血清アルブミン添加PBSに約2:1~約1:2のpMHC分子:抗CD28/抗CD2の比率において約1~10マイクログラム/mLの濃度で懸濁する。ストレプトアビジン官能化表面を有するOptoSelectマイクロ流体装置を介してこの溶液を灌流させ、表面への結合を促進する。1時間のインキュベーション後、細胞を負荷する前にOptoSelectマイクロ流体装置をPBS又は培地で洗い流す。
【0324】
[0355] B.代わりに、OptoSelectマイクロ流体装置のアジド修飾表面との反応前に生体分子のビオチン修飾を通して、目的の生体分子をストレプトアビジンに結合させる。PBS溶液中において、DBCO-ストレプトアビジン及びビオチン化生体分子を0.5~2マイクロモル濃度範囲の濃度で別々に調製し、次に下述するように任意の所望の比率で混合する。ビオチン化生体分子をストレプトアビジンに少なくとも15分間結合させた後、この複合体を使用して、上述されたようなアジド修飾OptoSelectマイクロ流体装置の表面を修飾する。
【0325】
[0356] 細胞は、少なくとも1つの抗原提示内表面を有するマイクロ流体装置内に移入し、実施例19の抗原提示ビーズによるT細胞の活性化について記載されたのと同様に培養期間中に活性化し得る。
【0326】
[0357] 実施例10.シリカビーズの共有結合修飾及び官能化。
[0358] 10A.ストレプトアビジンに連結された共有結合PEG3ジスルフィドビオチンを有するシリカビーズ。球形シリカビーズ(2.5ミクロン、G biosciencesカタログ番号786-915、実質的に単純な球形体積を有し、例えば、ビーズの表面積は、4πr+/-10%以下の関係で予測される範囲内にある)をイソプロパノールに分散させ、次に乾燥させた。乾燥ビーズを100Wの電力、240mTorrの圧力及び440sccmの酸素流量を使用して、酸素プラズマクリーナー(Nordson Asymtek)内で5分間処理した。洗浄されたビーズは、真空反応器の底部にあるホイルボート内の(11-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(300マイクロリットル)を使用して、真空反応器の底部にある別のホイルボート内の水反応物源としての硫酸マグネシウム七水和物(0.5g、Acrosカタログ番号10034-99-8)の存在下において、真空反応器内で処理した。次に、真空ポンプを使用して、チャンバーを750mTorrに排気し、次に密閉した。真空反応器を110℃に加熱したオーブン内に24~48時間入れた。これにより、共有結合修飾表面がビーズに導入され、修飾表面は、式I:
【化6】

のアジ化物官能化構造を有した。
【0327】
[0359] 室温に冷却し、真空チャンバーにアルゴンを導入した後、共有結合修飾ビーズを反応器から取り出した。アジ化物反応性部分で官能化された共有結合修飾表面を有するビーズをアセトン、イソプロパノールですすぎ、窒素気流下で乾燥させた。共有結合修飾アジ化物官能化ビーズは、ジベンジルシクロオクチニル(DBCO)S-Sビオチン修飾PEG3(Broadpharm、カタログ番号BP-22453)の5.7mMのDMSO溶液に1mg/20マイクロリットルの濃度で分散させ、18時間にわたりサーモミキサー内で90℃/2000RPMでインキュベートした。ビオチン修飾ビーズを過剰のDMSOでそれぞれ3回洗浄し、次にPBSですすいだ。PBS中のビオチン修飾ビーズを、約30マイクロモル/700マイクロリットルの濃度のストレプトアビジンを含有するPBS溶液に分散させた。反応混合物をサーモミキサーで30℃/2000RPMで30分間振盪した。反応期間の完了時、ストレプトアビジンを提示する共有結合修飾ビーズを過剰のPBSで3回洗浄した。FTIR分析により、SAVが表面に付加されたことが判明した(データ未掲載)。表面からの切断が望ましいことがあり得る場合、リンカーを含有するジスルフィドは、特に有用であり得る。ジスルフィドリンカーは、Tリンパ球の生存能力に適合することが分かった濃度でジチオトレイトールによる切断を受けやすい(データ未掲載)。
【0328】
[0360] 10B.PEG5-カルボン酸表面遮断分子リガンドで希釈した、ストレプトアビジンに連結された共有結合PEG4ビオチンを有するシリカビーズ。上記の実施例10Aのように調製した、式1のアジ化物反応性部分で官能化された共有結合修飾表面を有するビーズをアセトン、イソプロパノールですすぎ、窒素気流下で乾燥させた。共有結合修飾アジ化物官能化ビーズは、0.6mMのジベンジルシクロオクチニル(DBCO)-修飾-PEG4-ビオチン(Broadpharm、カタログ番号BP-22295)、5.4mMのジベンジルシクロオクチニル(DBCO)-修飾-PEG5-カルボン酸(Broadpharm、カタログ番号BP-22449)及び100mMのヨウ化ナトリウムのDMSO溶液に1mg/10マイクロリットルの濃度で分散させ、次に18時間にわたり、サーモミキサー内で30℃/1,000RPMでインキュベートした。ビオチン修飾ビーズを過剰のDMSOでそれぞれ3回洗浄し、次にPBSですすいだ。PBS中のビオチン修飾ビーズは、約10ナノモル/1ミリリットルの濃度のストレプトアビジンを含有するPBS溶液に分散させた。反応混合物をサーモミキサーで30℃/1000RPMで30分間振盪した。反応期間の完了時、ストレプトアビジンを提示する共有結合修飾ビーズを過剰のPBSで3回洗浄した。FTIR分析により、SAVが表面に付加されたことが判明した(データ未掲載)。
【0329】
[0361] 実施例11.高分子ビーズの抗原提示表面の調製。1mLの洗浄緩衝液(DPBS(マグネシウム+2なし、カルシウム+2なし、244mL);EDTA(1ml、最終濃度2mM);及びBSA(5mlの5%、最終濃度0.1%)と共に、ストレプトアビジン官能化(共有結合)回旋球形高分子ビーズ(例えば、ビーズの実際の表面積が、表面積=4πr+/-10%以下の関係性を超える、DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液))(15マイクロリットル;1e7のビーズ)を1.5mL微量遠心管に送達し、磁気DynaBeadラックを使用して分離した。1mLの洗浄緩衝液による洗浄/分離を繰り返し、さらに200マイクロリットルの洗浄緩衝液を添加して、引き続きパルス遠心分離した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0330】
[0362] 1.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01MART-1(MBL International Corp.、カタログ番号MR01008、ELAGIGILTV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を微量遠心管内に分注し、ピペットで上下させることによってビーズを再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管をパルス遠心分離して上澄み液を除去し、管を磁気ラック内に入れて、ビーズを除去せずに上澄み液をさらに除去した。
【0331】
[0363] 600マイクロリットルの洗浄緩衝液中のビオチン化抗CD28(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-100-144、22.5マイクロリットル)の溶液を微量遠心管に添加した。ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。ビーズを4℃で30分間インキュベートし、15分後に再度ピペットで上下させることによって再懸濁した。インキュベーション期間の終了時、管を短時間パルス遠心分離した。磁気ラック内に戻して1分間分離させた後、官能化ビーズから緩衝溶液を吸引して除いた。MHCモノマー/抗CD28抗原提示ビーズを100マイクロリットルの緩衝洗浄液に再懸濁し、4℃で保存し、さらに操作することなく使用した。1e7の直径2.80ミクロンの官能化DynaBeadsは、Tリンパ球細胞との接触に利用できる約24e6平方ミクロンの公称表面積(理想的な球体の予測表面積)を有する。しかし、Tリンパ球細胞が必ずしもアクセスできないこのクラスの高分子ビーズの回旋もこの方法によって官能化される。総リガンド数は、Tリンパ球細胞との接触及びその活性化に利用できるものを反映していなくてもよい。
【0332】
[0364] MHCモノマー/抗CD28抗原提示ビーズは、Alexa Fluor 488結合ウサギ抗マウスIgG(H+L)交差吸着二次抗体(Invitrogenカタログ番号A-11059)及びAPC共役抗HLA-A2抗体(Biolegendカタログ番号343307)での染色によって特性評価し、フローサイトメトリーによって特性評価した。
【0333】
[0365] 実施例12.樹状細胞によるCD8+Tリンパ球の活性化と比較した抗原提示ビーズによるCD8+Tリンパ球の活性化。
[0366] 細胞:CD8+Tリンパ球は、ネガティブ選択により、StemCell Technologies Canada Inc.から市販されるキット(カタログ番号17953)であるEasySep(商標)ヒトCD8ポジティブ選択キットIIのための製造業者の指示に従い、RPMIに加えて市販のPBMCからの10%ウシ胎児血清(FBS)を含む培地中で濃縮した。
【0334】
[0367] 樹状細胞は、自己由来PBMCから生成された。10%FBSを含む10mLの予熱RPMI培地中に自己由来PBMC(10~50e6)を解凍した。400×gで5分間遠心分離することによって細胞をペレット化した。細胞をRPMIに再懸濁し、計数した。
【0335】
[0368] 製造業者の使用説明に従い、ネガティブビーズ分離(EasySep(商標)ヒト単球分離キット、StemCell Technologies、カタログ番号19359)を使用して、細胞を単球について濃縮した。結果として得られた単球を数えて約5%の収率を提供し、1ウェル当たり3mL当たり1.5~3e6の細胞で、17ng/mLのIL-4及び53ng/mLのヒト顆粒球マクロファージコロニーStimulating Fact(GM-CSF、ThermoFisherカタログ番号PHC2013))を含有するAIM-V(登録商標)培地(ThermoFisherカタログ番号12055091)中に播種した。細胞を37℃で合計6日間インキュベートした。2日目及び4日目に100マイクロリットルの供給培地(AIM-V(登録商標)培地+IL-4(167U/mL)及びGM-CSF(540ng/mL))を各ウェルに添加し、インキュベーションを継続した。
【0336】
[0369] 6日目に0.5mLの成熟カクテルを各ウェルに添加した。熟成カクテルは、AIM-V(登録商標)培地中に10ng/mLのTNF-α;2ng/mLのIL-1B;1000U/mLのIL-6、1000ng/mLのPGE2;167U/mLのIL-4及び267U/mLのGM-CSFを含んだ。細胞を37℃でさらに24時間インキュベートした。次に、成熟DCを成熟培地から収集して数え、さらなる使用のために調製した。DCは、CD3(BDカタログ番号344828)、DC-SIGN(CD209、Biolegendカタログ番号330104)、CD14(Biolegendカタログ番号325608)、CD86(BDカタログ番号560359)、Fc妨害(BioLegendカタログ番号422302)及び生存度(BDカタログ番号565388)の染色によって特性評価し;FACS緩衝液に懸濁し;FACSフローサイトメトリーによって検査した。
【0337】
[0370] 抗原を提示する樹状細胞は、1%HSA中の2e6/mL濃度で播種し、抗原(MART1ペプチド、Anaspec、カスタム合成、40マイクログラム/mL)及びβ2-ミクログロブリン(Sigma Aldrichカタログ番号M4890、3マイクログラム/mL)によってパルス処理し、次に撹拌しながら4時間培養することによって調製した。パルス処理DCは、Faxitron CellRad(登録商標)X線細胞照射器内で使用の30分前に50グレーの目標線量で照射した。
【0338】
[0371] 培養培地及び試薬添加用希釈剤:Advanced RPMI(ThermoFisherカタログ番号12633020、500mL);1×GlutaMax(ThermoFisherカタログ番号35050079、5mL);10%ヒトAB血清(zen-bio、カタログ番号HSER-ABP 100mL、50mL);及び50nMβ-メルカプトエタノール(ThermoFisherカタログ番号31350010、50nm貯蔵液、0.5mL、最終濃度50マイクロモル濃度)。
【0339】
[0372] 実験セットアップ:各活性化種に対して、単一の96ウェル組織培養処理プレート(VWRカタログ番号10062-902)を使用した(ウェルプレート1(DC);ウェルプレート2(抗原提示ビーズ))。CD8+Tリンパ球(2e5個)(80~90%の純度)を個々のウェルに添加した。
【0340】
[0373] パルス処理DCをウェルプレート1内の各ウェルに5e3で添加し、1:40のDC:CD8+Tリンパ球の比率を得た。
【0341】
[0374] MART1及び抗CD28抗体を含むpMHCを提示する、実施例11のように調製された抗原提示表面高分子ビーズ(2e5個)をウェルプレート2の各ウェルに添加した。pMHCは、1.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。抗CD28抗体は、0.25マイクログラム/1e7のビーズ;0.75マイクログラム/1e7のビーズ;及び2.25マイクログラム/1e7のビーズの3つ異なるレベルで、ビーズ上に負荷した。
【0342】
[0375] 各ウェルプレートを37℃で培養した。0日目にCTL培地中のIL-21(150ng/ミリリットル)をウェルプレート内1及び2の各ウェルに添加して、各ウェルに30ng/mLの最終濃度を提供した。2日目にIL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を7日目まで継続した。
【0343】
[0376] 7日目。各ウェルプレートからのウェルのサブセットをMHC四量体(四量体PE、MBLカタログ番号T02000、1マイクロリットル/ウェル)、CD4(Biolegendカタログ番号300530、0.5マイクロリットル/ウェル);CD8(Biolegendカタログ番号301048、0.5マイクロリットル/ウェル);CD28(Biolegendカタログ番号302906、0.31マイクロリットル/ウェル);CD45RO(Biolegendカタログ番号304210、0.63マイクロリットル/ウェル);CCR7(CD197、Biolegendカタログ番号353208、0.5マイクロリットル/ウェル);及び生存度(BDカタログ番号565388、0.125マイクロリットル/ウェル)について個別に染色した。各ウェルを150マイクロリットルのFACS緩衝液及び10マイクロリットルのCountbright(商標)ビーズ(ThermoFisherカタログ番号C36950)で再懸濁した。FACS分析をFACSCelesta(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上で実施した。図10は、CD8/MART1表現型のフローサイトメトリー分析のゼブラプロットを示す。ゼブラプロットの各行1010、1020、1030及び1040について、左側のプロットは、代表的な陰性ウェルであり、右側のプロットは、代表的な陽性ウェルである。行1010は、DC刺激ウェルプレートのウェルである。行1020、1030及び1040は、抗原提示ビーズ刺激ウェルプレートの結果を示す。行1020は、0.25マイクログラム/1e7のビーズの抗CD28抗体負荷及び1.5マイクログラム//1e7のビーズのpMHCの結果を示す。行1030は、0.75マイクログラム/1e7のビーズの抗CD28抗体負荷及び1.5マイクログラム/1e7のビーズのpMHCの結果を示す。行1040は、2.25マイクログラム/1e7のビーズの抗CD28抗体負荷及び1.5マイクログラム/1e7のビーズのpMHCの結果を示す。抗原提示ビーズは、抗CD28抗体のレベルを変化させると用量/応答様式で活性化を開始し、MART1負荷MHCペプチドは、抗CD28負荷との組み合わせで、DCのそれと同様にTリンパ球を活性化するのに十分であることが分かり得る。
【0344】
[0377] 7日目。再刺激。パルス処理DC又は抗原提示ビーズの第2のアリコートをそれぞれウェルプレート1及びウェルプレート2の各占有ウェルに送達した。IL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を継続した。
【0345】
[0378] 8日目。50マイクロリットルのIL-2(50IU/mL)及びIL-7(25ng/mL)をウェルプレート1及びウェルプレート2の各ウェルに添加して、それぞれ10IU/mL及び5ng/mLの最終濃度を提供した。培養を継続した。
【0346】
[0379] 9日目。50マイクロリットルのIL-21(150ng/mL)をウェルプレート1及びウェルプレート2の各占有ウェルに添加して、30ng/mLの最終濃度にした。培養を継続した。
【0347】
[0380] 14日目。各ウェルプレートのウェルの第2のサブセットを個別に染色し、7日目の分析について記載されたようにFACSで選別した。フローサイトメトリー結果を図11に示す。各行について、1110、1120、1130、1140は、代表的な陽性度の低いウェル(各列の左側のグラフ)と陽性度の高いウェル(各列の右側のグラフ)とを有する。行1110は、DC活性化の結果生じる活性化の量を示す。行1120、1130及び1140は、7日間の結果について考察されたように、増加量の抗CD28の結果を表す。行1120は、0.25マイクログラム/1e7のビーズの抗CD28抗体負荷及び1.5マイクログラム/1e7のビーズのpMHCの結果を示す。行1130は、0.75マイクログラム/1e7のビーズの抗CD28抗体負荷及び1.5マイクログラム/1e7のビーズのpMHCの結果を示す。行1140は、2.25マイクログラム/1e7のビーズの抗CD28抗体負荷及び1.5マイクログラム/1e7のビーズのpMHCの結果を示す。共刺激リガンドの量が増加している抗原提示ビーズでは、抗原特異的T細胞を有しないウェルがないことに注目すべきである。特に、0.75マイクログラム及び2.25マイクログラムのCD28抗体負荷レベル(行1130及び1140)では、DCパルス処理ウェル(行1110)よりも顕著な数の抗原特異的T細胞がある。
【0348】
[0381] 図12は、これらの実験からの表形式の結果を示す。行1210は、7日目のT細胞活性化特性のグラフ表示を示す。行1220は、14日目のT細胞活性化特性のグラフ表示を示す。各行の左から右へ、y軸は、抗原特異的T細胞百分率;抗原特異的T細胞の総数;抗原特異的T細胞倍率増殖;及び抗原特異的T細胞集団内のCD28の高度発現細胞の%を表す。各グラフのx軸は、DC、0.25マイクログラムのCD28負荷ビーズ、0.75マイクログラムのCD28ビーズ及び2.25マイクログラムのCD28負荷ビーズのそれぞれのデータセットを示す。抗原提示ビーズ刺激活性化は、最初はDC刺激よりも緩慢であるように見えるが、生成は、第2の培養期間の終わりまでに同一レベルに達した。表現型の結果は、抗原提示ビーズを使用した活性化の良好な特異性を示す。図12は、DC刺激例と比較した、抗原提示ビーズ開始例におけるMART1活性化Tリンパ球の同等のレベルを示す。しかし、樹状細胞を活性化種として使用すると、14日後に活性化Tリンパ球のないウェルがある。したがって、抗原提示ビーズの活性化は、樹状細胞よりも制御可能で再現可能な活性化を提供する。
【0349】
[0382] 第3の培養期間。直前の段落に記載されるようにビーズ上の抗原提示表面を使用したが、DCとは比較しなかった別の実験では、第3の刺激及び培養期間を実施した。14日目~21日目。21日目までの培養条件の継続中、上記の7日目~14日目のように再刺激及び供給を実施した。21日目に各ウェルプレートのウェルの最後のサブセットを個別に染色し、7日目の分析について記載されたようにFACSで選別した。拡張された第3の刺激順序について、追加的な活性化が観察さた(データ未掲載)。
【0350】
[0383] 実施例13.共有結合官能化ガラスビーズの調製。シリカビーズ(2.5ミクロン、G biosciencesカタログ番号786-915、実質的に単純な球形表面を有し、例えば、ビーズの表面積は、4πr+/-10%以下の関係で予測される範囲内にある)をイソプロパノールに分散させ、次に乾燥させた。乾燥ビーズを100Wの電力、240mTorrの圧力及び440sccmの酸素流量を使用して、酸素プラズマクリーナー(Nordson Asymtek)内で5分間処理した。洗浄されたビーズは、真空反応器の底部にあるホイルボート内の(11-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(300マイクロリットル)を使用して、真空反応器の底部にある別のホイルボート内の水反応物源としての硫酸マグネシウム七水和物(0.5g、Acrosカタログ番号10034-99-8)の存在下において、真空反応器内で処理した。次に、真空ポンプを使用して、チャンバーを750mTorrに排気し、次に密閉した。真空反応器を110℃に加熱したオーブン内に24~48時間入れた。これは、反応性アジ化物部分を提示する共有結合表面をビーズに導入し、修飾表面は、式Iの構造を有する。
【0351】
[0384] 室温に冷却し、真空チャンバーにアルゴンを導入した後、中間反応性アジ化物を提示するビーズを反応器から取り出し、アセトン、イソプロパノールですすぎ、窒素気流下で乾燥させた。アジ化物を提示する反応性ビーズ(50mg)を激しくボルテックス処理/短時間超音波処理して、500マイクロリットルのDMSOに分散させた。ビーズをペレット化し、450マイクロリットルのDMSOをビーズから吸引除去した。残りの50マイクロリットルのDMSO中のペレットを激しくボルテックスして分散させた。実施例3で合成された、PEG13リンカーを有するDBCO-SAV(52マイクロリットルの10マイクロモル濃度、化合物1)を添加した。ビーズを先端混合によって分散させ、ボルテックス処理がそれに続いた。0.02%アジ化ナトリウム溶液を添加した398マイクロリットルのPBSを添加し、追加的なボルテックス処理がそれに続いた。反応混合物をサーモミキサー上で30℃、1000RPMで一晩インキュベートした。
【0352】
[0385] 16時間後、10マイクロリットルの83.7mM DBCO-PEG酸を各サンプルに添加し、30℃/1,000RPMでさらに30分間インキュベートした。ビーズをPBS/アジ化物中で3回洗浄し、次に500マイクロリットルの同一溶液に懸濁した。
【0353】
[0386] 以下の実施例18に記載されるように、これらの共有結合官能化ビーズを修飾し、一次活性化分子及び共活性化分子を導入する。
【0354】
[0387] 実施例14.共有結合官能化ポリスチレンビーズの調製。ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンビーズ(14~20ミクロン、Cosphericカタログ番号786-915)をイソプロパノールに分散させ、次にガラスペトリ皿内で乾燥させた。乾燥ビーズを100Wの電力、240mTorrの圧力及び440sccmの酸素流量を使用して、酸素プラズマクリーナー(Nordson Asymtek)内で40秒間処理した。洗浄されたビーズは、オーブンの棚の上のホイルボート内の(11-アジドウンデシル)トリメトキシシラン(化合物5、900マイクロリットル)を使用して、オーブンの同じ棚にある別のホイルボート内の水反応物源としての硫酸マグネシウム七水和物(1g、Acrosカタログ番号10034-99-8)の存在下において、真空オーブン内で処理した。次に、真空ポンプを使用してオーブンを250mTorrに排気し、次に密閉した。オーブンを110℃で18~24時間加熱した。これによってビーズに共有結合修飾表面が導入され、修飾表面は、式I:
【化7】

の構造を有した。
【0355】
[0388] オーブンを3回ポンプで排気した後、共有結合修飾ビーズをオーブンから取り出して冷却した。共有結合修飾アジ化物官能化ビーズを15mg/50マイクロリットルの濃度でDMSO中に分散させた。これに450マイクロリットルのDBCO標識ストレプトアビジン(SAV)(化合物1)の溶液を9.9マイクロモルの濃度で添加した。次に、溶液をサーモミキサー内において、30℃/1000RPMで18時間インキュベートした。SAV修飾ビーズをPBS中で3回洗浄した。FTIR分析は、図13に示されるようにSAVが表面に負荷されたと判定した。
【0356】
[0389] 図13は、共有結合官能化表面が構築される際の、能化ビーズの重ね合わせたFTIRトレースを示す。トレース1310は、ポリスチレンビーズの元の未官能化表面を示した。トレース1320は、アジ化物官能化表面(式Iの構造を有する)を導入した後の表面のFTIRを示した。トレース1330は、共有結合されたPEG13-ストレプトアビジン表面をポリスチレンビーズに導入した後の表面のFTIRを示した。トレース1320及び1330は、段階的合成における化学種の各セットの導入と一致する、FTIR吸収バンドの導入を示した。
【0357】
[0390] 実施例15.抗CD28及び抗CD2によるビーズの抗原提示表面の調製。1mlの洗浄緩衝液(DPBS(マグネシウム+2なし、カルシウム+2なし、244mL);EDTA(1ml、最終濃度2mM);及びBSA(5mlの5%、最終濃度0.1%)と共に、ストレプトアビジン官能化(共有結合)DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D)、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液、回旋状(上述されたような)高分子ビーズ)を1.5mLの微量遠心管に送達し(15マイクロリットル;1e7のビーズ)、磁気DynaBeadラックを使用して分離した。1mLの洗浄緩衝液による洗浄/分離を繰り返し、さらに200マイクロリットルの洗浄緩衝液を添加して、引き続きパルス遠心分離した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0358】
[0391] 0.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01MART-1(MBL International Corp.、カタログ番号MR01008、ELAGIGILTV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を微量遠心管内に分注し、ピペットで上下させることによってビーズを再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管をパルス遠心分離して上澄み液を除去し、管を磁気ラック内に入れて、ビーズを除去せずに上澄み液をさらに除去した。
【0359】
[0392] 600マイクロリットルの洗浄緩衝液中のビオチン化抗CD28(Biolegend、カタログ番号302904)及びビオチン化抗CD2(Biolegend、カタログ番号300204)の溶液を微量遠心管に添加した。溶液は、合計3マイクログラムの抗体を含有した。溶液は、3マイクログラムの抗CD28及び0マイクログラムの抗CD2、2.25マイクログラムの抗CD28及び0.75マイクログラムの抗CD2、1.5マイクログラムの抗CD28及び1.5マイクログラムの抗CD2、0.75マイクログラムの抗CD28及び2.25マイクログラムの抗CD2又は0マイクログラムの抗CD28及び3マイクログラムの抗CD2を含有した。ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。ビーズを4℃で30分間インキュベートし、次に15分後に再度ピペットで上下させることによって再懸濁した。インキュベーション期間の終了時、管を短時間パルス遠心分離した。磁気ラック内に戻して1分間分離させた後、官能化ビーズから緩衝溶液を吸引して除いた。MHCモノマー/抗CD28抗原提示ビーズを100マイクロリットルの緩衝洗浄液に再懸濁し、4℃で保存し、さらに操作することなく使用した。1e7の直径2.80ミクロンの官能化DynaBeadsは、Tリンパ球細胞との接触に利用できる約24e6平方ミクロンの公称表面積を有するが、上述のように、これらの回旋状球形ビーズは、公称表面積の10%を超える実用的な表面積を有する。
【0360】
[0393] 実施例16.共有結合官能化高分子ビーズの調製。中間反応性合成表面の調製。製造プロセスの第1のステップでは、M-450エポキシ官能化常磁性回旋高分子ビーズ(DynaBeads(商標)、ThermoFisherカタログ番号14011(上記と同じ意味を有する回旋状))をテトラブチルアンモニウムアジ化物と反応させて、クリックケミストリー適合反応基を有する官能化試薬と反応できるアジ化物反応性部分を提示する高分子ビーズを調製した。
【0361】
[0394] 実施例17.ビーズの共有結合官能化合成表面の調製。次に、実施例16からのアジ化物調製回旋状ビーズをジベンゾシクロオクチニル(DBCO)共役ストレプトアビジンと反応させて、ストレプトアビジンを高分子ビーズに共有結合させた。ストレプトアビジンをアミン反応性DBCO-ポリエチレングリコール(PEG)13-NHSエステルと反応させることにより、DBCO-ストレプトアビジン試薬を生成し、ストレプトアビジン単位当たり2つ以上の付着部位を提供した。
【0362】
[0395] 表面遮断分子とのさらなる反応。実施例17からのストレプトアビジン官能基を提示する、結果として得られた共有結合官能化高分子ビーズを引き続いてDBCO官能化表面遮断分子で処理し、高分子ビーズ上のあらゆる残存するアジ化物反応性部分と反応させ得る。場合により、DBCO官能化表面遮断分子は、PEG分子を含み得る。場合により、DBCOPEG分子は、DBCO PEG5-カルボン酸であり得る。追加的なPEG又はPEG-カルボン酸表面遮断分子を含むストレプトアビジン官能化高分子ビーズは、優れた物理的挙動を提供し、水性環境での改善された分散性を実証する。さらに、残存するアジ化物部分の表面遮断は、この調製ステップ又は後続の調製ステップ又は活性化ステップに存在する他の無関係/望ましくない構成要素が高分子ビーズに共有結合されることを妨げる。最後に、表面遮断分子リガンドの導入は、Tリンパ球上に存在する表面分子が反応性アジ化物官能基と接触するのを防ぎ得る。
【0363】
[0396] さらなる一般化。実施例16のアジ化物官能化表面を、リガンド分子を含むDBCOの混合物で修飾することが望ましい場合がある。例えば、DBCO-ポリエチレングリコール(PEG)13-ストレプトアビジン(化合物1、実施例3のように調製された)と、DBCO-PEG5-COOH(表面遮断分子)とを様々な比率で混合し、アジ化物官能化ビーズと接触させて配置させ得る。場合により、DBCO-ストレプトアビジン分子とDBCO-PEG5-COOHとの比率は、約1:9;約1:6、約1:4又は約1:3であり得る。理論によって制限されることを望むものではないが、表面遮断分子リガンドは、ビーズ表面へのストレプトアビジン分子の過剰な負荷を防ぎ、さらに親水性を高めることで強化された物理化学的挙動を提供する。表面遮断分子は、PEG5-COOHに限定されず、本明細書に記載される任意の適切な表面遮断分子であり得る。
【0364】
[0397] 実施例18.共有結合修飾抗原提示ビーズの調製。ペプチド-HLAとモノクローナル抗体共活性化分子との結合。
[0398] 材料:A.抗原保有主要組織適合性複合体(MHC)I分子。
ビオチン化ペプチド-ヒト白血球抗原複合体(pMHC)は、MBL、Immunitrack又はBiolegendから市販されていた。ビオチン化ペプチド-HLA複合体は、製造業者において生産されHLA複合体に折り畳まれた、クラスIHLA分子のペプチド結合溝に非共有結合された抗原性ペプチドを含んだ。ビオチン化ペプチドHLA複合体は、β2-ミクログロブリンにも非共有結合された。この複合体は、HLAのC末端ペプチド配列上の認識された位置でBirA酵素によって導入された、リジン残基の側鎖アミンで共有結合的にビオチン化され、これも製造業者によって実施された。
【0365】
[0399] B.共活性化分子。ビオチン化抗体は共刺激のために使用され、マウスハイブリドーマ培養物の上清から生成された。抗体は、抗体の表面でランダムに利用可能なリジンの側鎖の複数のアミン官能基を介してビオチンに結合された。ビオチン化抗体は、市販されていた(Biolegend、Miltenyi又はThermoFisher)。
【0366】
[0400] これらの実験で有用なビオチン化抗CD28をクローンCD28.2、15e8又は9.3から生成した。
【0367】
[0401] これらの実験で有用なビオチン化抗CD2をクローンLT2又はRPA-2.10から生成した。これらのポリマービーズなどの合成表面を提示する共有結合修飾抗原提示合成表面の構築では、他のクローンも使用し得る。
【0368】
[0402] 一次活性化分子及び共活性化分子の、ビーズの共有結合官能化表面への結合。MHC分子(抗原分子を含有する)及び共活性化分子を二段階プロセスで生成されたビーズに結合させた。様々な実験において、共活性化分子の比率、この場合、ビオチン化抗CD28とビオチン化抗CD2との比率は、約100:1~約1:100又は約20:1~約1:20の範囲で変化させ得る。他の実験では、共活性化分子の比は、約3:1~約1:3又は約1:1であった。図14A~Dを参照されたい。
【0369】
[0403] pMHC負荷。ストレプトアビジン官能化(共有結合)DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D)、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液、回旋状(上述されたような)高分子ビーズ)を洗浄緩衝液(カルシウム又はマグネシウムを含まないダルベッコの酸緩衝生理食塩水;0.1%のウシ血清アルブミン;2mMのエチレンジアミン四酢酸)で洗浄した。洗浄緩衝液をピペットで管に移し入れ、それにストレプトアビジンビーズを添加した。典型的には、約1e7のビーズを1mLの洗浄緩衝液にピペットで移し入れた。磁石を使用して、ビーズを管の壁に集めた(例えば、DYNAL DynaMag-2、ThermoFisherカタログ番号12-321-D)。ビーズが管の壁に移動した後、ビーズが保持されている壁を避けて、吸引によって洗浄緩衝液を除去した。この洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。3回目の洗浄後、ビーズを洗浄緩衝液に1.67e7のビーズ/mLで再懸濁した。
【0370】
[0404] 次に、ビーズをpMHCと混合した。洗浄緩衝液中のビーズに0.83マイクログラムのpMHC/mLの最終濃度でpMHCを添加した。ビーズとpMHCとをボルテックス処理によって完全に混合し、4℃で15分間インキュベートした。ビーズを再度ボルテックス処理し、次に4℃でさらに15分間インキュベートした。
【0371】
[0405] 共活性化分子負荷。磁石によりpMHC官能化ビーズを再度捕捉し、吸引によってpMHC試薬混合物を除去した。次に、ビーズを洗浄緩衝液で1.67e7個/mLにした。次に、ビオチン化抗CD28及びビオチン化抗CD2(使用される場合)を5マイクログラム/mLの総抗体の最終濃度でビーズに添加した。抗CD28及び抗CD2の両方を使用する場合、各抗体を2.5マイクログラム/mLで添加した。
【0372】
[0406] ビーズとpMHCとをボルテックス処理によって完全に混合し、4℃で15分間インキュベートした。ビーズを再度ボルテックス処理し、次に4℃でさらに15分間インキュベートする。
【0373】
[0407] ビオチン化抗体による修飾後、ビーズを磁石により捕捉し、吸引によって抗体混合物を除去した。ビーズを1e8のビーズ/mLの最終密度で洗浄緩衝液に再懸濁した。さらに洗浄することなく、ビーズを直接使用した。
【0374】
[0408] 特性評価。結果として得られた抗原提示ビーズの負荷の程度及び均一性を評価するために、ビーズ上のpMHC及びCD28/CD2(存在する場合)抗体を共活性化する抗体でビーズを染色した。次に、結果として得られた染色抗体の量をフローサイトメトリーによって定量化した。次に、製造業者の使用説明に従い、分子定量キット(Quantum Simply Cellular、Bangs Labs)を使用して、ビーズ上のpMHC及び共刺激抗体の数を決定した。
【0375】
[0409] ビーズを分析するために、1mLの洗浄緩衝液と共に2e5のビーズを2本の微量遠心管のそれぞれに入れた。pMHC定量化及び共刺激抗体定量化は、別の管内で実施した。個別の各実験では、磁石を使用してビーズを管の壁に集め、洗浄緩衝液を除去した。ビーズをそれぞれの管内で0.1mLの洗浄緩衝液に再懸濁し、各管を短時間ボルテックス処理して、ビーズを管壁から分離した。pMHCを検出するために、APCに共役した0.5マイクロリットルの抗HLA-A(クローンBB7.2、Biolegend)を第1の管に添加した。第1の管を再度短時間ボルテックス処理し、ビーズと検出抗体を混合した。共刺激抗体を検出するために、APCに共役した0.5マイクロリットルの抗マウスIgGを第2の管に添加した。例えば、RMG1-1(Biolegend)を使用してCD28.2(抗CD28)及びRPA-2.10(抗CD2)を検出するなど、使用される共刺激抗体クローン次第で異なる抗マウス抗体を使用する。各管について、室温の暗所で30分間、検出抗体をビーズと共にインキュベートした。
【0376】
[0410] 次に、各管について、磁石によりビーズを管壁に捕捉し、吸引によって染色液を除去した。1mLの洗浄緩衝液を各管に添加し、次に吸引して残留染色抗体を除去した。各管内のビーズを0.2mLの洗浄緩衝液に再懸濁し、次に各管のビーズを5mLポリスチレン管に移し、2セットのビーズを分離したままにした。
【0377】
[0411] 異なる化学種の負荷を定量化するために、フローサイトメーターでビーズを分析した(FACS Aria又はFACS Celesta、BD Biosciences)。最初に、未染色生成物抗原保有ビーズのサンプルを収集する。一重項及び二重項ビーズの周囲にゲートを設ける。二重項ビーズは、それらのより高い前方及び側方散乱振幅に基づいて一重項ビーズと区別される。典型的には、およそ10,000件のビーズ事象が記録された。次に、pMHC及び共刺激抗体で染色されたビーズを別々の実験で分析する。この場合も、それぞれのサンプルについておよそ10,000件のビーズ事象を収集し、一重項ビーズ事象について、APC中央値蛍光強度(MFI)及びAPC MFIの変動係数(100*[MFIの標準偏差]/[MFI])を記録した。
【0378】
[0412] 1ビーズ当たりのpMHC及び共刺激抗体及び数を判定するために、分子定量キットを使用する。キット(Quantum Simply Cellular(Bangs Laboratories))は、規定の抗体結合能(製造業者によって決定される)を備えたビーズのセットを含んだ。これらのビーズは、検出抗体を捕捉するために使用される。簡潔に述べると、定量化ビーズを飽和量の検出結合と共にインキュベートし、次に徹底的に洗浄して過剰な抗体を除去する。異なる結合能を備えたビーズを陰性対照ビーズと混合し、洗浄緩衝液に再懸濁する。次に、混合されたビーズをフローサイトメトリーで分析する。特定の結合能を備えた各ビーズのAPC MFIを記録し、MFI対結合能の線形適合を作成する。次に、aAPCのMFIを使用して、1aAPC当たりの結合した検出抗体の数を判定する。この数は、ビーズ上の(pMHC又は共刺激)抗体の数に等しい。次の表は、以下の結果を示す。
[0413] A.実施例16~17で生成され、上記のこの実験で官能化された抗原提示回旋状高分子ビーズ。
[0414] B.実施例10Bで生成された抗原提示する実質的に球形のシリカビーズ
【0379】
【表2】
【0380】
[0415] 実施例19.抗原提示ビーズによる刺激。
[0416] 入力細胞集団。1ウェル当たりの播種されたCD8T細胞の数を増やすために、市販の試薬を使用して、末梢血単核細胞からCD8+T細胞を最初に単離した。細胞は、例えば、EasySep(商標)ヒトCD8+T細胞単離キット(StemCell Technologies)などのネガティブ選択を使用して又は例えばCliniMACS CD8試薬(Miltenyi Biotec)などのポジティブ選択によって単離し得る。製造業者の推奨プロトコルに従い、CD8T細胞を単離した。代わりに、例えば、ナイーブCD8T細胞のみなどのT細胞の異なるサブセットを単離し得るか、又は例えばCliniMACS CD14試薬(Miltenyi Biotec)による単球の枯渇などのより低ストリンジェントな精製を実施し得る。代わりに、クラスII拘束性抗原に特異的なT細胞が望ましい場合、対応する方法によってCD4T細胞を単離し得る。
【0381】
[0417] 第1のT細胞刺激期間。濃縮されたCD8T細胞は、30ナノグラム/mLのIL-21を含む培地に1e6個/mLで再懸濁した(R&D Systems)。T細胞に使用した培地は、10%ヒトAB血清(Corning CellGro)と、GlutaMax(ThermoFisher)及び50マイクロモルのβ-メルカプトエタノール(ThermoFisher)又はImmunoCult(商標)-XF T細胞増殖培地(StemCell Technologies)を添加したAdvanced RPMI 1640培地(ThermoFisher)であった。
【0382】
[0418] 抗原提示ビーズを実施例18に記載されるように調製し、回旋状高分子ビーズを0.83マイクログラムのpMHC/mLの最終濃度で負荷した。結果として得られたビーズのロットを5つの部分に分割し、次の比率で共刺激リガンドを負荷した。
[0419] セット1:3.00マイクログラム/mLのCD28及びゼロ濃度のCD2。
[0420] セット2:2.25マイクログラム/mLのCD28及び0.75マイクログラム/mLのCD2。
[0421] セット3:1.50マイクログラム/mLのCD28及び2.25マイクログラム/mLのCD2。
[0422] セット4:0.75マイクログラム/mLのCD28及び2.25マイクログラム/mLのCD2。
[0423] セット5:0.00マイクログラム/mLのCD28及び3.00マイクログラム/mLのCD2。
【0383】
[0424] 培地中のT細胞に抗原提示ビーズの各セットのアリコートを添加して、1細胞当たり1個の抗原提示ビーズの最終濃度にし、別々のウェルに添加した。細胞と抗原提示ビーズを混合し、組織培養処理した丸底の96ウェルマイクロプレートに播種した。0.2mL(2e5の細胞)をプレートの各ウェルに添加して、次に標準の5%CO、37℃インキュベーターに入れた。典型的には、1プレート当たり48~96ウェルを使用した。2日後、IL-21を培地で150ナノグラム/mLに希釈した。培地で希釈された50マイクロリットルのIL-21を各ウェルに添加し、プレートをインキュベーターに戻した。
【0384】
[0425] さらに5日間(合計7日間)細胞を培養した後、抗原特異的T細胞増殖について細胞を分析した。代わりに、以下の段落に記載されるように、細胞を第2の刺激期間中に刺激し、抗原特異的T細胞を増殖させ続けた。
【0385】
[0426] 第2のT細胞刺激期間。第1の刺激期間の終わりに、ウェルの底の細胞ペレットを乱さないように注意しながら、上記のウェルプレートの各ウェルから50マイクロリットルの培地を除去した。IL-21を新鮮な培地で150ng/mLに希釈し、上記で生成された抗原提示ビーズを4e6の抗原提示ビーズ/mLの最終密度でIL-21/培地混合物に添加した。50マイクロリットルのこのIL-21/抗原提示ビーズ/培地混合物を各ウェルに添加し、追加的な2e5の抗原提示ビーズを各ウェルに添加した。任意選択的に、ウェルプレートを400×gで5分間遠心分離して、抗原提示ビーズを細胞上でペレット化し得る。ウェルプレートをインキュベーターに戻した。
【0386】
[0427] 翌日(刺激実験の開始から8日目)、ウェルプレートをインキュベーターから取り出して、50マイクロリットルの培地を各ウェルから除去した。IL-2(R&D Systems)を新鮮な培地中で50単位/mLに希釈した。これに、IL-2、IL-7(R&D Systems)を含有する培地を25ng/mLの最終濃度で添加した。50マイクロリットルのこのIL-2/IL-7/培地混合物を各ウェルに添加して、ウェルプレートをインキュベーターに戻した。
【0387】
[0428] 翌日(刺激実験の開始から9日目)、ウェルプレートをインキュベーターから取り出して、再度50マイクロリットルの培地を各ウェルから除去した。IL-21を新鮮な培地中で150ナノグラム/mLに希釈した。50マイクロリットルのこのIL-21/培地混合物を各ウェルに添加して、ウェルプレートをインキュベーターに戻した。
【0388】
[0429] 細胞をさらに5日間(刺激実験の開始から14日間)培養した後、典型的には細胞を抗原特異的T細胞増殖について分析した。しかし、上記のように、細胞をさらなる培養期間中により多くの抗原提示ビーズで再刺激して、抗原特異的T細胞を増殖させ続け得る。
【0389】
[0430] 抗原特異的T細胞刺激及び増殖の分析。所望の数のT細胞刺激を実施したら、抗原提示ビーズの調製に使用されたpMHC複合体に特異的なT細胞の増殖について、細胞を分析した。抗原特異的T細胞は、4つのpMHC複合体に結合したフィコエリトリン(PE)共役ストレプトアビジンを使用して検出する。これらの複合体は、四量体と称される。典型的には、抗原特異的T細胞は、抗原提示ビーズのpMHCで使用されたのと同じペプチドを使用して製造された四量体を使用して検出した。
【0390】
[0431] 抗原特異的T細胞を検出して特性評価するために、PE-四量体(MBL, Intl)及び様々な細胞表面マーカーに特異的な抗体と、例えばFITC共役抗CD28、PerCP-Cy5.5共役抗CD8などの様々なフルオロフォアとの混合物をFACS緩衝液(カルシウム又はマグネシウムを含まないダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水;2%のウシ胎仔血清;5mMのエチレンジアミン四酢酸、10mMのHEPES)中で調製した。使用される抗体の量は、標準細胞サンプルに対する滴定によって決定した。使用される特性評価に典型的に使用される表面マーカーは、CD4、CD8、CD28、CD45RO、CD127及びCD197である。さらに、例えばZombie Near-IR(Biolegend)などの生/死細胞識別色素と、例えばヒトTruStain FcX(商標)(Biolegend)などのFc受容体遮断薬とを添加し、それぞれ生細胞を識別し、培養中の任意のFc-受容体発現細胞の非特異的抗体染色を防止した。
【0391】
[0432] 典型的には、マルチチャンネルマイクロピペッターを使用してウェルを混合し、各ウェルから50マイクロリットルの細胞を新鮮な未処理の丸底96ウェルマイクロプレートに移した。0.2mLのFACS緩衝液を各ウェルに加えることによって細胞を洗浄した。細胞を室温で5分間、400×gで遠心分離し、洗浄液を除去した。各ウェルに25マイクロリットルの四量体、抗体、生/死、Fc遮断薬混合物を添加した。細胞を室温でにおいてホイル下で30分間染色した。次に、細胞を再度洗浄し、最後にCountBright Absolute Counting Beads(ThermoFisher)を含むFACS緩衝液に再懸濁した。次に、細胞をフローサイトメトリー(FACSAria又はFACSCelesta、BD Biosciences)で分析した。抗原特異的T細胞の出現頻度は、最初に単一/生細胞でゲーティングし、次にCD8/四量体細胞でゲーティングすることによって判定した。適切なゲーティング条件は、特異性が不明の陰性対照四量体(MBL, Intl)又は抗体イソタイプ対照などの対照染色から決定した。抗原特異的T細胞集団内において、CD45RO+/CD28High細胞の出現頻度と、CD127を発現する細胞の数とを判定した。CD45ROを発現し、高レベルのCD28及びCD127を発現し続ける活性化T細胞は、記憶前駆エフェクター細胞を含むことが示されている。記憶前駆細胞は、これらのマーカーを発現しない活性化T細胞よりも分化度が低く、複製可能能が高いことが示されている。
【0392】
[0433] 図14A:表示量(マイクログラム単位)の抗CD28及び/又は抗CD2を使用して調製された抗原提示ビーズによる刺激の7日後におけるMART1特異的T細胞(生細胞の百分率)の出現頻度。各点は、96ウェルマイクロプレートのウェルを表す。データは、2つの独立した実験からプールする。
【0393】
[0434] 図14B:表示量(マイクログラム単位)の抗CD28及び/又は抗CD2を使用して調製された抗原提示ビーズによる刺激の7日後におけるMART1特異的T細胞の総数。各点は、96ウェルマイクロプレートのウェルを表す。データは、2つの独立した実験からプールする。
【0394】
[0435] 図14C:示される量(マイクログラム単位)の抗CD28及び/又は抗CD2を使用して調製されたaAPCによる刺激の7日後におけるMART1特異的T細胞の倍数増殖。各点は、96ウェルマイクロプレートのウェルを表す。データは、2つの独立した実験からプールした。倍数増殖は、7日目の各ウェル内のMART1 T細胞の頻度を0日目のサンプルのMART1 T細胞の頻度で除することによって計算する。
【0395】
[0436] 図14D:示される量(マイクログラム単位)の抗CD28及び/又は抗CD2を使用して調製されたaAPCによる刺激の7日後におけるCD45RO陽性で高レベルのCD28を発現するMART1特異的T細胞の割合。各点は、96ウェルマイクロプレートのウェルを表す。データは、2つの独立した実験からプールした。倍数増殖は、7日目の各ウェル内のMART1 T細胞の頻度を0日目のサンプルのMART1 T細胞の頻度で除することによって計算する。
【0396】
[0437] 抗原特異的T細胞の生成は、共刺激リガンドである抗CD28及び抗CD2の広範囲の比率で可能であることが観察された。生成は、2つの共刺激リガンドのうち1つのみを使用して可能であった。しかし、3:1~約1:3の抗CD28:抗CD2の比率を含む抗CD28及び抗CD2の組み合わせは、上記の各特徴の増加した測定値を提供した。
【0397】
[0438] 図15A~15E:上述のように生成された抗原提示ビーズ中のSLC45A2抗原を使用して、上述のように刺激されたT細胞について例示的なフローサイトメトリーのグラフが示される。図15Aは、刺激(「入力」)前のT細胞の結果を示した。代表的な刺激されたウェルは、下のパネルに示される:陰性成長ウェル(図15B);中間成長ウェル(図15C);高度成長ウェル(図15D);及び無関係の四量体染色(図15E)。
【0398】
[0439] 図16:NYESO1抗原を使用して刺激された上述のT細胞について上述されたような単一刺激期間(7日間、左列)及び2つの刺激期間後(14日間、右欄)におけるCD45RO陽性で高レベルのCD28を発現するT細胞の出現頻度がそれぞれ示される。抗原特異的活性化T細胞の出現頻度の増加が観察された。
【0399】
[0440] 細胞傷害性:SLC45A2抗原(DC、黒色バー)によってパルス処理された樹状細胞又は上述のように生成された抗原提示ビーズ(SLC45A2抗原を提示する)(灰色斜線バー)を使用して増殖させた、SLC45A2特異的T細胞による標的腫瘍細胞及び非標的腫瘍細胞の殺滅。図17を参照されたい。殺滅は、標的細胞におけるカスパーゼ-3の活性化によって測定した。MEL526腫瘍細胞はSLC45A2を発現し、DCと抗原提示ビーズの両方を使用して増殖されたT細胞によって死滅した。A375細胞はSLC45A2を発現せず、DC又は抗原提示ビーズを使用して増殖させたT細胞によって死滅しなかった。抗原提示ビーズは、樹状細胞と同様に機能した。
【0400】
[0441] 図18A~18Cは、樹状細胞刺激の細胞産物と、抗原提示ビーズ刺激の細胞産物との比較を示す。図18Aは、抗原特異的(AS)活性化T細胞の百分率が抗原提示ビーズ刺激実験でより高いことを示した。図18Bは、抗原提示ビーズ刺激実験の細胞産物が、樹状細胞刺激細胞産物のそれと比較して所望のCD45RO陽性/高度CD28陽性表現型のより高い百分率を有することを示した。図18Cは、抗原提示ビーズ刺激実験によって生成された細胞産物では、抗原特異的T細胞の実際の数がより多いことを示す。全体として、抗原提示ビーズ刺激は、より望ましい細胞産物を提供し、樹状細胞活性化の使用よりも制御可能で費用効率が高いT細胞活性化方法である。
【0401】
[0442] 実施例20.タンパク質断片共活性化リガンドを有する抗原提示ビーズの調製。
[0443] 20A.リジン-ビオチン化CD80及びCD58を含む抗原提示ビーズの表面の調製。1mlの洗浄緩衝液(DPBS(マグネシウム+2なし、カルシウム+2なし、244mL);EDTA(1ml、最終濃度2mM);及びBSA(5mlの5%、最終濃度0.1%)と共に、ストレプトアビジン官能化(共有結合、回旋状(上述されたとおり)高分子)DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液)を1.5mLの微量遠心管に送達し(15マイクロリットル;1e7のビーズ)、磁気DynaBeadラックを使用して分離した。1mLの洗浄緩衝液による洗浄/分離を繰り返し、さらに200マイクロリットルの洗浄緩衝液を添加して、引き続きパルス遠心分離した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0402】
[0444] 0.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01 SLC45A2(Biolegend、カスタム製品、SLYSYFQKV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を微量遠心管内に分注し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管をパルス遠心分離して上澄み液を除去し、管を磁気ラック内に入れて、ビーズを除去せずに上澄み液をさらに除去した。
【0403】
[0445] 600マイクロリットルの洗浄緩衝液中のビオチン化組換えCD80タンパク質(R&D Systems、カスタム製品)及びビオチン化組換えCD58(R&D Systems、カスタム製品)の溶液を微量遠心管に添加した。製造業者により、CD80がヒトIgG1 FcドメインへのN末端融合物として調製され、ランダムなリジン残基でビオチン化された。CD58は、同一様式でビオチン化された。溶液は、合計4.5マイクログラムのCD80及び1.5マイクログラムのCD58を含有した。ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。ビーズを4℃で30分間インキュベートし、15分後に再度ピペットで上下させることによって再懸濁した。インキュベーション期間の終了時、管を短時間パルス遠心分離した。磁気ラック内に戻して1分間分離させた後、官能化ビーズから緩衝溶液を吸引して除いた。MHCモノマー/CD80/CD58抗原提示ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁し、4℃で保存し、さらに操作することなく使用した。1e7の直径2.80ミクロンの官能化DynaBeadsは、Tリンパ球細胞との接触に利用できる約24e6平方ミクロンの公称表面積を有し、これは、本明細書に記載されるように、pMHC及び共刺激分子リガンドによって占有される全表面を反映しない。
【0404】
[0446] 20B.BirAビオチン化CD80及びCD58を含む抗原提示ビーズの表面の調製。1mlの洗浄緩衝液(DPBS(マグネシウム+2なし、カルシウム+2なし、244mL);EDTA(1ml、最終濃度2mM);及びBSA(5mlの5%、最終濃度0.1%)と共に、ストレプトアビジン官能化(共有結合、回旋状(上述されたとおり)高分子)DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液)を1.5mLの微量遠心管に送達し(15マイクロリットル;1e7のビーズ)、磁気DynaBeadラックを使用して分離した。1mLの洗浄緩衝液による洗浄/分離を繰り返し、さらに200マイクロリットルの洗浄緩衝液を添加して、引き続きパルス遠心分離した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0405】
[0447] 0.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01MART1(Biolegend、カスタム製品、ELAGIGILTV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を微量遠心管内に分注し、ビーズをピペットによって上下させることによって再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管をパルス遠心分離して上澄み液を除去し、管を磁気ラック内に入れて、ビーズを除去せずに上澄み液をさらに除去した。
【0406】
[0448] 600マイクロリットルの洗浄緩衝液中のビオチン化組換えCD80タンパク質(BPS Biosciences、カタログ番号71114)とビオチン化組換えCD58(BPS Biosciences、カタログ番号71269)との溶液を微量遠心管に添加した。製造業者により、組換えタンパク質がヒトIgG1 FcドメインへのN末端融合物として調製され、最終C末端BirAビオチン化部位を備え、ビオチン化された。この溶液は、合計1.5マイクログラムの組換えCD80と、1.5マイクログラムの組換えCD58タンパク質とを含有した。ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。ビーズを4℃で30分間インキュベートし、次に15分後に再度ピペットで上下させることによって再懸濁した。インキュベーション期間の終了時、管を短時間パルス遠心分離した。磁気ラック内に戻して1分間分離させた後、官能化ビーズから緩衝溶液を吸引して除いた。MHCモノマー/CD80/CD58抗原提示ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁し、4℃で保存し、さらに操作することなく使用した。1e7の直径2.80ミクロンの官能化DynaBeadsは、Tリンパ球細胞との接触に利用できる約24e6平方ミクロンの公称表面積を有し、これは、本明細書に記載されるように、pMHC及び共刺激分子リガンドによって占有される全表面を反映しない。
【0407】
[0449] 実施例21.組換えタンパク質共刺激と比較した、抗体共刺激を伴う抗原提示ビーズによるCD8+Tリンパ球の活性化。
[0450] 細胞:CD8+Tリンパ球は、ネガティブ選択により、StemCell Technologies Canada Inc.から市販されるキット(カタログ番号17953)であるEasySep(商標)ヒトCD8+T細胞単離キットのための製造業者の指示に従い、RPMIに加えて市販のPBMCからの10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む培地中で濃縮した。
【0408】
[0451] 培養培地及び試薬添加用希釈剤:Advanced RPMI(ThermoFisherカタログ番号12633020、500mL);1×GlutaMax(ThermoFisherカタログ番号35050079、5mL);10%ヒトAB血清(zen-bio、カタログ番号HSER-ABP 100mL、50mL);及び50nMβ-メルカプトエタノール(ThermoFisherカタログ番号31350010、50nm貯蔵液、0.5mL、最終濃度50マイクロモル濃度)。
【0409】
[0452] 実験セットアップ:各活性化種に対して、単一の96ウェル組織培養処理プレート(VWRカタログ番号10062-902)を使用した。
[0453] ウェルプレート1.抗体共刺激を伴う抗原提示ビーズ)
[0454] ウェルプレート2.ランダムなビオチン化組換えタンパク質共活性化を伴う抗原提示ビーズ。
[0455] ウェルプレート3.BirAビオチン化組換えタンパク質共活性化を伴う抗原提示ビーズ。
【0410】
[0456] CD8+Tリンパ球(2e5個)(80~90%の純度)を個々のウェルに添加した。
【0411】
[0457] 実施例15に記載されたのと同様の調製によって調製された、MART1、抗CD28抗体及び抗CD2抗体を含むpMHCを提示する抗原提示表面ビーズ(2e5個)をウェルプレート1の各ウェルに加えた。pMHCは、0.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。抗CD28抗体は、1.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。抗CD2抗体は、1.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。
【0412】
[0458] 実施例20Aのように調製され、MART1、組換えCD80及び組換えCD58を含む、pMHCを提示する抗原提示表面ビーズ(2e5個)をウェルプレート2の各ウェルに入れた。pMHCは、0.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。組換えCD80は、4.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。組換えCD58は、1.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。
【0413】
[0459] 実施例20Bのように調製され、MART1、BirAビオチン化組換えCD80及び組換えCD58を含む、pMHCを提示する抗原提示表面ビーズ(2e5個)をウェルプレート3の各ウェルに入れた。pMHCは、0.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。組換えCD80は、1.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。組換えCD58は、1.5マイクログラム/1e7のビーズで負荷した。
【0414】
[0460] 各ウェルプレートを37℃で培養した。0日目にCTL培地中のIL-21(150ng/ミリリットル)をウェルプレート内1及び2の各ウェルに添加して、各ウェルに30ng/mLの最終濃度を提供した。2日目にIL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を7日目まで継続した。
【0415】
[0461] 7日目。再刺激。抗体共刺激又は組換えタンパク質共刺激を伴う抗原提示ビーズの第2のアリコートをそれぞれウェルプレート1、ウェルプレート2及びウェルプレート3の各占有ウェルに送達した。IL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を継続した。
【0416】
[0462] 8日目。50マイクロリットルのIL-2(50IU/mL)及びIL-7(25ng/mL)を各ウェルプレートの各ウェルに添加して、それぞれ10IU/mL及び5ng/mLの最終濃度を提供した。培養を継続した。
【0417】
[0463] 9日目。50マイクロリットルのIL-21(150ng/mL)を各ウェルプレートの各占有ウェルに添加して、30ng/mLの最終濃度にした。培養を継続した。
【0418】
[0464] 14日目。各ウェルプレートからのウェルをMHC四量体(四量体PE、MBLカタログ番号T02000、1マイクロリットル/ウェル)、CD4(Biolegendカタログ番号300530、0.5マイクロリットル/ウェル);CD8(Biolegendカタログ番号301048、0.5マイクロリットル/ウェル);CD28(Biolegendカタログ番号302906、0.31マイクロリットル/ウェル);CD45RO(Biolegendカタログ番号304210、0.63マイクロリットル/ウェル);CCR7(CD197、Biolegendカタログ番号353208、0.5マイクロリットル/ウェル);及び生存度(BDカタログ番号565388、0.125マイクロリットル/ウェル)について個別に染色した。各ウェルを150マイクロリットルのFACS緩衝液及び10マイクロリットルのCountbright(商標)ビーズ(ThermoFisherカタログ番号C36950)で再懸濁した。FACS分析をFACSCelesta(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上で実施した。
【0419】
[0465] 図19Aは、抗体又はランダムにビオチン化された組換えタンパク質リガンドを備えた抗原提示ビーズを使用して増殖させた、各ウェル内のMART1特異的T細胞の出現頻度(全ての生細胞の%)を示す。図19Bは、抗体又はランダムにビオチン化された組換えタンパク質リガンドを備えた抗原提示ビーズを使用して増殖させた、各ウェル内のMART1特異的T細胞の数を示す。図19Cは、抗体刺激又はランダムにビオチン化された組換えタンパク質リガンドを比較する、記憶前駆体表現型の指標である、高レベルのCD28を発現するMART1 T細胞の頻度を示す。
【0420】
[0466] 図19Dは、抗体又は組換えタンパク質BirAリガンドを備えた抗原提示ビーズを使用して増殖させた、各ウェル内のMART1特異的T細胞の出現頻度(全ての生細胞の%)を示す。図19Eは、抗体又は組換えタンパク質BirAリガンドを備えた抗原提示ビーズを使用して増殖させた、各ウェル内のMART1特異的T細胞の数を示す。図19Fは、記憶前駆体表現型の指標である、CD28を高レベルで発現する、MART1 T細胞の出現頻度を示す。BirAによってビオチン化された組換えタンパク質リガンドを備えた抗原提示ビーズは、抗原特異的CD8+T細胞を効果的に増殖させ、増殖した細胞の多くは、記憶前駆体表現型をとることが分かり得る。対照的に、ランダムにビオチン化されたタンパク質リガンドの使用は、抗原特異的T細胞の顕著な集団をもたらさず、記憶前駆体表現型を備えた細胞も提供しなかった。
【0421】
[0467] 実施例22.回旋状高分子ビーズ対実質的に球形のシリカビーズの負荷及び活性化の比較。
[0468] 実施例22A.ポリマー及びシリカ抗原提示ビーズ上への活性化種負荷の比較。ポリマー及びシリカビーズに付着させ得るpMHC共刺激抗体の量を測定した。
[0469] 1mLの洗浄緩衝液(DPBS(マグネシウム+2なし、カルシウム+2なし、244mL);EDTA(1ml、最終濃度2mM);及びBSA(5mlの5%、最終濃度0.1%)と共に、ストレプトアビジン官能化(共有結合)DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液)を1.5mLの微量遠心管に送達し(15マイクロリットル;1e7のビーズ)、磁気DynaBeadラックを使用して分離した。1mLの洗浄緩衝液による洗浄/分離を繰り返し、さらに200マイクロリットルの洗浄緩衝液を添加して、引き続きパルス遠心分離した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0422】
[0470] 100マイクロモルのストレプトアビジン中での貯蔵により、最初に、ビオチン官能化(共有結合)滑面シリカビーズをストレプトアビジンで被覆した。およそ5e6のビーズを微量遠心管内の1ミリリットルの洗浄緩衝液中への希釈と、それに続く1,000×gで1分間の遠心分離によって洗浄した。上清を吸引によって注意深く除去し、洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0423】
[0471] 抗原提示ビーズを調製するために、DynaBeads及びシリカビーズと共に、0.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01 SLC45A2(Biolegend、カスタム製品、SLYSYFQKV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を管に分注し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。
【0424】
[0472] 1.5マイクログラムのビオチン化抗CD28と、1.5マイクログラムのビオチン化抗CD2とを含む洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を使用して、各ビーズサンプルを再懸濁し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。抗体を4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。最後に、ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁した。
【0425】
[0473] およそ2e5のポリマー抗原提示ビーズ又は1e5のシリカ抗原提示ビーズの2つのサンプルを洗浄緩衝液(1ミリリットル)で洗浄した。ビーズサンプルを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁し、1マイクロリットルのAPC共役抗-HLA-A(Biolegend、カタログ番号343308)又は1マイクロリットルのAPC共役モノクローナル抗マウス-IgG1(Biolegend、カタログ番号406610)の添加によって染色した。ビーズを抗体と混合し、暗所で30分間染色した。染色後、ビーズを洗浄し、洗浄緩衝液(200マイクロリットル)に再懸濁して、フローサイトメトリーによる分析のために管に移した。
【0426】
[0474] 次に、Quantum Simply Cellular蛍光定量化ビーズ(Bangs Labs、カタログ番号815)のセットを調製して、各抗原提示ビーズサンプルに結合した抗HLA-A抗体及び抗マウスIgG1抗体の数を判定した。定量化ビーズは、製造業者によって決定される抗体結合能を有する。所定の結合能を備えた各ビーズの1滴を、50マイクロリットルの洗浄緩衝液を含む微量遠心管に入れた。管に5マイクロリットルのAPC結合抗HLA-A又はAPC結合抗マウスIgG1を添加し、ボルテックス処理によって混合した。ビーズを暗所で30分間染色し、上記と同じ方法を使用して洗浄した。次に、異なる結合能を備えたビーズを1つのサンプルにプールして、単一管に移した。1滴の空試験ビーズ(抗体結合能力なし)を添加し、ビーズをフローサイトメトリーで分析した。
【0427】
[0475] 定量化ビーズは、5,000件の事象を記録することにより、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、Becton Dickinson and Company)によって分析した。定量化ビーズを前方散乱及び側面散乱によって同定し、各ビーズのAPCチャネルの強度の中央値を記録した。このデータは、製造業者(Bangs)が提供する、抗体結合能と対比してAPC強度の標準曲線を計算する独自仕様のExcelスプレッドシートに記録した。較正が線形であることを確認した後、抗原提示ビーズのサンプルを分析した。ビーズを前方散乱及び側面散乱によって同定し、APCチャネルの強度の中央値をスプレッドシートに記録した。スプレッドシートは、各抗原提示ビーズ上のAPC抗HLA-A抗体又はAPC抗マウスIgG1の数を計算する。1つの抗HLA-A抗体が抗原提示ビーズ上の1つのpMHCに結合すると仮定すると、この値は、各ビーズ上のpMHC分子の数を表す。同様に、共刺激抗体の数を判定し得る。
【0428】
[0476] 各抗原提示ビーズの公称表面積から各化学種の密度(分子数/ビーズ表面の平方ミクロン)を判定し得る。シリカ小球体上のpMHCの総数は、約800,000のpMHC/抗原提示ビーズであると判定された。共刺激抗体の総数は、約850,000の抗体/ビーズであると判定された。抗原提示ビーズの調製に使用される抗CD28クローン及び抗CD2クローンを識別する方法がないため(これらは、同一イソタイプである)、2つの抗体の比率は、1:1であると仮定する。シリカビーズ表面の規則性のために、表面積は、球体から合理的にモデル化し得る。直径4.08ミクロンの微小球では、これは、約52.3平方ミクロンの表面積に対応する。これから、表1に示されるように、ビーズ表面の1平方ミクロン当たり約15,000のpMHC及び15,000の共刺激抗体がシリカ抗原提示ビーズによって提示されると推定し得る。各リガンドクラスの各ビーズ集団全体にわたる分布は、図20Aに示され、各行2010、2020及び2030は、各タイプのビーズについて、左側グラフにpMHCの分布、右側のグラフに共刺激抗体の分布を示す。行2010は、直径2.8ミクロンの回旋状ポリマービーズ(Dynal)のリガンドの分布を示す。行2020は、直径4.5ミクロンの回旋状ポリマービーズ(Dynal)のリガンドの分布を示す。行2030は、実施例10Bで生成される、直径2.5ミクロンの実質的に球形のシリカビーズのリガンドの分布を示す。厳密に制御されたビーズの集団が生成され、実質的に球形のシリカビーズは、集団全体にわたってリガンドのさらにより厳密に制御された分布と、若干より高い中央値分布とを有した。したがって、実質的に球形のシリカビーズの使用は、これらの活性化種のより再現性が高く及び制御可能な生成をもたらし得る。さらに、Tリンパ球は全てのリガンドにアクセスできることから、回旋状ポリマービーズリガンド分布と異なり、抗体などの貴重な生物学的リガンドがより効率的に活用される。
【0429】
[0477]
【表3】
【0430】
[0478] ポリマービーズでは、回旋状の表面は、ビーズの直径と表面積の関係を分かりにくくする。定量化から、M-280 DynaBeadsベースのポリマー抗原提示ビーズの表面は、約480,000のpMHC分子及び425,000の共刺激抗体を有すると判定された。表1に示されるように、半径1.4ミクロンの球体(M-280 DynaBeadsの公称半径に等しい)では、これは、1平方ミクロン当たり約20,000のpMHC及び17,000の共刺激抗体に相当する。しかし、ポリマービーズの回旋状表面のために、実際の表面積は、より大きくなる可能性が高く、実際の密度は、より低い。しかし、図20E、20F及び20Gから、これらのビーズを抗原提示ビーズ基板として使用して、多数の抗原特異的T細胞を増殖させ得ることが分かり得、増殖は実施例22Bと同様の様式で実施された。さらに、図20Hから、これらの抗原提示ビーズは、CD28の高発現を伴う多数の抗原特異的T細胞を生成し、これは、記憶前駆体表現型の指標となる。
【0431】
[0479] 抗原提示ビーズは、ストレプトアビジンで修飾されたM-450エポキシDynaBeadsを使用して、同一様式で調製された。フローサイトメトリーから、M-450ビーズから調製された抗原提示ビーズは、M-280 DynaBeadsを使用して調製された抗原提示ビーズとほぼ同数のpMHC及び共刺激抗体分子を有した。M-450 DynaBeadsは、M-280ビーズよりも大きく、これは、M-450抗原提示ビーズの活性化種の密度は、M-280抗原提示ビーズの約2~3倍低いことを意味する。しかし、図20Fから分かり得るように、SLC45A2 T細胞を増殖させるためにM-450抗原提示ビーズを使用した場合、それは、陽性ウェル(その中でSLC45A2特異的T細胞が増殖してウェル内の生細胞の0.5%以上に相当する)を生じた。図20G及び20Hから、これらのウェルが高頻度でSLC45A2 T細胞を生成し、SLC45A2 T細胞の数がM-280抗原提示ビーズから得られた数に匹敵したことが分かる。さらに、図20Iから、高レベルのCD28を発現するSLC45A2 T細胞の割合は、M-280又はM-450抗原提示ビーズを使用してSLC45A2 T細胞を増殖させた場合に匹敵した。
【0432】
[0480] 実施例22B.ポリマー対シリカビーズによる抗原特異的T細胞の拡大。シリカ抗原提示ビーズを使用した抗原特異的T細胞の増殖を試験して、回旋状高分子ビーズ(ポリスチレン)と比較した。
【0433】
[0481] 1mLの洗浄緩衝液(DPBS(マグネシウム+2なし、カルシウム+2なし、244mL);EDTA(1ml、最終濃度2mM);及びBSA(5mlの5%、最終濃度0.1%)と共に、ストレプトアビジン官能化(共有結合、回旋状)DynaBeads(商標)(ThermoFisherカタログ番号11205D、6.67e8個/mLのビーズ貯蔵液)を1.5mLの微量遠心管に送達し(15マイクロリットル;1e7のビーズ)、磁気DynaBeadラックを使用して分離した。1mLの洗浄緩衝液による洗浄/分離を繰り返し、さらに200マイクロリットルの洗浄緩衝液を添加して、引き続きパルス遠心分離した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0434】
[0482] 100マイクロモル濃度のストレプトアビジン中での貯蔵により、実施例10Bに記載のように調製されたビオチン官能化(共有結合)滑面シリカビーズを最初にストレプトアビジンで被覆した。およそ5e6のビーズを微量遠心管内の1ミリリットルの洗浄緩衝液中への希釈と、それに続く1,000×gで1分間の遠心分離によって洗浄した。上清を吸引によって注意深く除去し、洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。上清洗浄緩衝液を除去した。
【0435】
[0483] 抗原提示ビーズを調製するために、DynaBeads及びシリカビーズと共に、0.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01 SLC45A2(Biolegend、カスタム製品、SLYSYFQKV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を管に分注し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。
【0436】
[0484] 1.5マイクログラムのビオチン化抗CD28と、1.5マイクログラムのビオチン化抗CD2とを含む洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を使用して、各ビーズサンプルを再懸濁し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。抗体を4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。最後に、ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁した。
【0437】
[0485] 細胞:CD8+Tリンパ球は、ネガティブ選択により、StemCell Technologies Canada Inc.から市販されるキット(カタログ番号17953)であるEasySep(商標)ヒトCD8+T細胞単離キットのための製造業者の指示に従い、RPMIに加えて市販のPBMCからの10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む培地中で濃縮した。
【0438】
[0486] 培養培地及び試薬添加用希釈剤:Advanced RPMI(ThermoFisherカタログ番号12633020、500mL);1×GlutaMax(ThermoFisherカタログ番号35050079、5mL);10%ヒトAB血清(zen-bio、カタログ番号HSER-ABP 100mL、50mL);及び50nMβ-メルカプトエタノール(ThermoFisherカタログ番号31350010、50nm貯蔵液、0.5mL、最終濃度50マイクロモル濃度)。
【0439】
[0487] 実験セットアップ:抗原提示ビーズの各タイプ(本実施例で上記のように調製されたシリカ又はポリマー)について、単一の96組織培養処理ウェルプレート(VWRカタログ10062-902)を使用した。シリカ抗原提示ビーズは、CD8+Tリンパ球と約1:2のビーズ:細胞で混合した。CD8+Tリンパ球(2e5個)(80~90%の純度)を約1e5の抗原提示ビーズ(ウェルプレート1)と共に各ウェルに添加した。ポリマー抗原提示ビーズは、CD8+Tリンパ球と約1:1のビーズ:細胞で混合した。CD8+Tリンパ球(2e5個)(80~90%の純度)を約2e5の抗原提示ビーズ(ウェルプレート2)と共に各ウェルに添加した。
【0440】
[0488] 各ウェルプレートを37℃で培養した。0日目にCTL培地中のIL-21(150ng/ミリリットル)をウェルプレート内1及び2の各ウェルに添加して、各ウェルに30ng/mLの最終濃度を提供した。2日目にIL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を7日目まで継続した。
【0441】
[0489] 7日目。再刺激。抗原提示ビーズの第2のアリコートをウェルプレート1及びウェルプレート2の対応するウェルに添加した。シリカビーズでは、約1e5のビーズ(本実施例で上記のように調製されたシリカビーズ)を添加した。ポリマービーズでは、およそ2e5のビーズ(本実施例で上記のように調製された回旋状ポリマービーズ)を添加した。IL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を継続した。
【0442】
[0490] 8日目。50マイクロリットルのIL-2(50IU/mL)及びIL-7(25ng/mL)をウェルプレート1及びウェルプレート2の各ウェルに添加して、それぞれ10IU/mL及び5ng/mLの最終濃度を提供した。培養を継続した。
【0443】
[0491] 9日目。50マイクロリットルのIL-21(150ng/mL)をウェルプレート1及びウェルプレート2の各占有ウェルに添加して、30ng/mLの最終濃度にした。培養を継続した。
【0444】
[0492] 14日目。各ウェルプレートからのウェルをMHC四量体(四量体PE、MBLカタログ番号T02000、1マイクロリットル/ウェル)、CD4(Biolegendカタログ番号300530、0.5マイクロリットル/ウェル);CD8(Biolegendカタログ番号301048、0.5マイクロリットル/ウェル);CD28(Biolegendカタログ番号302906、0.31マイクロリットル/ウェル);CD45RO(Biolegendカタログ番号304210、0.63マイクロリットル/ウェル);CCR7(CD197、Biolegendカタログ番号353208、0.5マイクロリットル/ウェル);及び生存度(BDカタログ番号565388、0.125マイクロリットル/ウェル)について個別に染色した。各ウェルを150マイクロリットルのFACS緩衝液及び10マイクロリットルのCountbright(商標)ビーズ(ThermoFisherカタログ番号C36950)で再懸濁した。FACS分析をFACSCelesta(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上で実施した。
【0445】
[0493] 図20Bは、ポリマー又はシリカ抗原提示ビーズを使用した増殖後における陽性ウェル(SLC45A2特異的T細胞が増殖してウェル内の生細胞の0.5%以上に相当する)の百分率を示す。図20Cは、ポリマー又はシリカ抗原提示ビーズによる増殖後におけるSLC45A2 T細胞出現頻度(各ウェルの生細胞の%)を示す。図20Dは、各ウェル内のSLC454A2 T細胞の総数を示す。図20Eは、高レベルのCD28を発現するウェル内のSLC45A2 T細胞の百分率を示し、記憶T細胞への分化の可能性が示唆される。これらのプロットから、シリカ抗原提示ビーズが陽性ウェルを生じること、及びシリカ抗原提示ビーズがSLC45A2 T細胞をポリマー抗原提示ビーズと同等以上に増殖させることが分かる。さらに、シリカ抗原を提示するビーズは、CD28の高発現を伴う細胞を生成し、それらが細胞産物の望ましい表現型である記憶前駆体T細胞の形成を支持することが示唆される。
【0446】
[0494] ポリマービーズでは、回旋状の表面は、ビーズの直径と表面積の関係を分かりにくくする。定量化から、M-280 DynaBeadsベースのポリマー抗原提示ビーズの表面は、約480,000のpMHC分子及び425,000の共刺激抗体を有すると判定された。半径1.4ミクロンの球体(M-280 DynaBeadsの公称半径に等しい)では、これは、1平方ミクロン当たり約20,000のpMHC及び17,000の共刺激抗体に相当する。しかし、ポリマービーズの回旋状表面のために、実際の表面積は、より大きくなる可能性が高く、実際の密度は、より低い。しかし、図20F、20G及び20Hから、これらのビーズを抗原提示ビーズ基板として使用して、多数の抗原特異的T細胞を増殖させ得ることが分かり得る。さらに、図20Iから、これらの抗原提示ビーズは、CD28の高発現を伴う多数の抗原特異的T細胞を生成し、これは、記憶前駆体表現型の指標となる。
【0447】
[0495] 実施例23A.規定のリガンド密度を備えた抗原提示ビーズの調製。
[0496] 実施例23A.1.ストレプトアビジン提示ビーズの調製。洗浄緩衝液中のpMHC(HLA-A*02:01 SLC45A2(Biolegend、カスタム製品、SLYSYFQKV)の3倍連続希釈液を調製した。各連続希釈を行うために、20マイクロリットルの洗浄緩衝液を微量遠心管に入れた。第1の連続希釈管に10マイクロリットルのpMHCを添加した。希釈されたpMHCをボルテックス処理によって混合した。次に、10uLの希釈されたpMHC混合物を使用して、引き続く合計7回の希釈のために連続希釈液を調製した。
【0448】
pMHCの溶液中の濃度とビーズに付着した密度(分子/単位面積)との関係を判定するために、100マイクロモルのストレプトアビジン中での貯蔵により、実施例10Bのように調製されたビオチン官能化(共有結合)滑面(例えば、上記のように実質的に球形)4ミクロン単分散シリカビーズ(カタログ番号SiO2MS-1.8 4.08um-1g、Cospheric)を最初にストレプトアビジンで被覆した。およそ1e7のビーズを微量遠心管内の1ミリリットルの洗浄緩衝液中への希釈と、それに続く1,000×gで1分間の遠心分離によって洗浄した。上清を吸引によって注意深く除去し、洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。洗浄後、およそ1e6のビーズを8本の微量遠心管に添加し、再度遠心分離して上清を注意深く除去した。
【0449】
[0497] 実施例23A.2.一連のMHC濃度を有するビーズの調製。4.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01 SLC45A2(Biolegend、カスタム製品、SLYSYFQKV)を含有する洗浄緩衝液(120マイクロリットル)を微量遠心管内に分注し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。未希釈pMHC及びpMHCの連続希釈液を洗浄緩衝液(120マイクロリットル)にさらに希釈し、ビーズを再懸濁するために使用して、5e6のビーズ当たり4.5、1.5、0.5、0.167、0.056、0.019、0.006又は0.002マイクログラムのpMHCモノマーを含む溶液に懸濁されたビーズを得た。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を遠心分離して上澄み液を除去し、ビーズをおよそ5e7/ミリリットルに再懸濁した。
【0450】
[0498] 各濃度のpMHCを使用して調製された、およそ1e5のビーズを洗浄緩衝液(1ミリリットル)で洗浄した。ビーズサンプルを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁し、1マイクロリットルのAPC共役抗HLA-A(Biolegend、カタログ番号343308)の添加によって染色した。ビーズを抗体と混合し、暗所で30分間染色した。染色後、ビーズを洗浄し、洗浄緩衝液(200マイクロリットル)に再懸濁して、フローサイトメトリーによる分析のために管に移した。
【0451】
[0499] 次に、Quantum Simply Cellular蛍光定量化ビーズ(Bangs Labs、カタログ番号815)のセットを準備して、各抗原提示ビーズサンプルに結合した抗HLA-A抗体の数を判定した。定量化ビーズは、製造業者によって決定される抗体結合能を有する。所定の結合能を備えた各ビーズの1滴を、50マイクロリットルの洗浄緩衝液を含む微量遠心管に入れた。管に5マイクロリットルのAPC共役抗HLA-Aを添加し、ボルテックス処理によって混合した。ビーズを暗所で30分間染色し、上記と同じ方法を使用して洗浄した。次に、異なる結合能を備えたビーズを1つのサンプルにプールして、単一管に移した。1滴の空試験ビーズ(抗体結合能力なし)を添加し、ビーズをフローサイトメトリーで分析した。
【0452】
[0500] 定量化ビーズは、5,000件の事象を記録することにより、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、Becton Dickinson and Company)によって分析した。定量化ビーズを前方散乱及び側面散乱によって同定し、各ビーズのAPCチャネルの強度の中央値を記録した。定量化は、定量化ビーズ製造業者によって提供される独自仕様の方法論を使用して、実施例22Aに記載されるように計算した。抗原提示ビーズ標準から、次に図21Aで見られるように、例えば1平方ミクロン当たりおよそ10,000、1,000又は100のpMHC分子があるビーズなどのpMHCの標的密度で抗原提示ビーズを生成するビーズがある溶液中のpMHCの濃度を判定することが可能である。
【0453】
[0501] 実施例23A.3.共刺激分子の濃度変動。洗浄緩衝液中でビオチン化抗CD28及び抗CD2の3倍連続希釈液を調製した。微量遠心管内において、20マイクロリットルの抗CD28と20マイクロリットルの抗CD2とを混合した。次に、各連続希釈のために、洗浄緩衝液(20マイクロリットル)を微量遠心管に添加した。次に、抗CD28/抗CD2混合物(10マイクロリットル)を第1の連続希釈管に添加した。vortexerを使用して溶液を混合し、10uLの希釈抗CD28/抗CD2混合物を使用して、引き続く合計7回の希釈のために連続希釈液を調製した。
【0454】
[0502] 溶液中の共刺激抗体とビーズ上に付着した密度(分子/単位面積)の関係を定量化するために、ストレプトアビジン結合部分を有する、実施例23A.1に記載されるように調製されたおよそ1e7の実質的に球形の4ミクロンシリカビーズを最初に微量遠心管内の1ミリリットルの洗浄緩衝液中への希釈と、それに続く1,000×gで1分間の遠心分離によって洗浄した。上清を吸引によって注意深く除去し、洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。洗浄後、およそ1e6のビーズを8本の微量遠心管に添加し、再度遠心分離して上清を注意深く除去した。
【0455】
[0503] ビーズは、洗浄緩衝液中の1.0マイクログラムのpMHC(1,200マイクロリットル)で最初に官能化した。洗浄後、ビーズを洗浄緩衝液(1,000マイクロリットル)に再懸濁した。8本の微量遠心管内で100マイクロリットルのpMHC官能化ビーズを用いた。ビーズを遠心分離し、上清を注意深く除去した。
【0456】
[0504] 未希釈の混合された抗CD28及び抗CD2及び抗CD28/抗CD2の連続希釈液を洗浄緩衝液(120マイクロリットル)にさらに希釈し、ビーズを再懸濁するために使用して、5e6のビーズ当たり4.5、1.5、0.5、0.167、0.056、0.019、0.006又は0.002マイクログラムの混合された共刺激抗体モノマーを含む溶液に懸濁されたビーズを得た。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を遠心分離して上澄み液を除去し、ビーズをおよそ5e7/ミリリットルに再懸濁した。
【0457】
[0505] 各濃度の共刺激抗体を使用して調製されたおよそ1e5のビーズを洗浄緩衝液(1ミリリットル)で洗浄した。ビーズサンプルを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁し、1マイクロリットルのAPC共役モノクローナル抗マウスIgG1(Biolegend、カタログ番号406610)の添加によって染色した。ビーズを抗体と混合し、暗所で30分間染色した。染色後、ビーズを洗浄し、洗浄緩衝液(200マイクロリットル)に再懸濁して、フローサイトメトリーによる分析のために管に移した。
【0458】
[0506] 次に、Quantum Simply Cellular蛍光定量ビーズ(Bangs Labs、カタログ番号815)のセットを準備して、各抗原提示ビーズサンプルに結合したAPC抗マウスIgG1抗体の数を判定した。所定の結合能を備えた各ビーズの1滴を、50マイクロリットルの洗浄緩衝液を含む微量遠心管に入れた。管に5マイクロリットルのAPC共役抗マウスIgG1を添加し、ボルテックス処理によって混合した。ビーズを暗所で30分間染色し、上記と同じ方法を使用して洗浄した。次に、異なる結合能を備えたビーズを1つのサンプルにプールして、単一管に移した。1滴の空試験ビーズ(抗体結合能力なし)を添加し、ビーズをフローサイトメトリーで分析した。
【0459】
[0507] 定量化ビーズは、5,000件の事象を記録することにより、フローサイトメトリー(BD FACSCelesta、Becton Dickinson and Company)によって分析した。定量化ビーズを前方散乱及び側面散乱によって同定し、各ビーズのAPCチャネルの強度の中央値を記録した。定量化は、定量化ビーズ製造業者によって提供される独自仕様の方法を使用して、実施例22Aに記載されるように実施した。この定量法は、各抗原提示ビーズ上のAPC抗マウスIgG1抗体の数を計算する。1つの抗マウスIgG1抗体が抗原提示ビーズ上の1つの共刺激抗体に結合すると仮定すれば、この値は、各ビーズ上の共刺激抗体の数を表す。抗原提示ビーズ標準から、次に図21Bで見られるように、例えば1平方ミクロン当たりおよそ10,000、1,000又は100の共刺激分子があるビーズなどの共刺激抗体の標的密度で抗原提示ビーズを生成するビーズがある溶液中の共刺激抗体の濃度を判定することが可能である。
【0460】
[0508] 実施例23B.異なるリガンド密度がある抗原提示ビーズによる抗原特異的T細胞の増殖。
結果として得られた抗原提示ビーズ上のpMHC及び共刺激抗体濃度対密度のプロット(図21A)を使用して、ビーズ表面の1平方ミクロン当たり約10,000、約1,000又は約100のpMHCがある抗原提示ビーズを調製するために、各pMHCのいずれの濃度を使用すべきかを決定した。このプロセスを繰り返し、ビーズ表面の1平方ミクロン当たり約10,000、約1,000又は約100の共刺激抗体がある抗原提示ビーズを調製するために使用される抗CD28及び抗CD2の濃度を決定した。
【0461】
[0509] 実施例23B.1.100マイクロモル濃度のストレプトアビジン中での貯蔵により、実施例23.A.1に記載のように調製されたビオチン官能化(共有結合)滑面シリカビーズを最初にストレプトアビジンで被覆した。およそ5e7のビーズを微量遠心管内の1ミリリットルの洗浄緩衝液中への希釈と、それに続く1,000×gで1分間の遠心分離によって洗浄した。上清を吸引によって注意深く除去し、洗浄プロセスをさらに2回繰り返した。洗浄後、およそ5e6のビーズを3本の微量遠心管に送達し、再度遠心分離して上清を注意深く除去した。
【0462】
[0510] 実施例23B.2.pMHCが滴定されている抗原提示ビーズを調製するために、0.5、0.056又は0.006マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01MART-1(MBL International Corp.、カタログ番号MR01008、ELAGIGILTV)を含有する洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を3つの遠心管内に分注し、ピペットで上下させることによってビーズを再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。
【0463】
[0511] 1.0マイクログラムの混合されたビオチン化抗CD28及びビオチン化抗CD2を含む洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を使用して、各ビーズサンプルを再懸濁し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。抗体を4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。最後に、ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁した。フローサイトメトリー分析及び定量化ビーズとの比較により、所望の大きさのpMHC及び抗体が、ビーズに負荷されたことを検証した。
【0464】
[0512] 1.0マイクログラムの抗CD28及び抗CD2を含む洗浄緩衝液(600マイクロリットル)を使用して、各ビーズサンプルを再懸濁し、ビーズをピペットで上下させることによって再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。最後に、ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁した。フローサイトメトリー分析及び定量化ビーズとの比較により、所望の大きさのpMHCがビーズに負荷されたことを検証した。
【0465】
[0513] 実施例23B.3.共刺激抗体が滴定されている抗原提示ビーズを調製するために、1.5マイクログラムのビオチン化モノマーMHC(HLA-A*02:01MART-1(MBL International Corp.、カタログ番号MR01008、ELAGIGILTV)を含有する洗浄緩衝液(1,200マイクロリットル)を実施例23.B.1からの1.5e7の洗浄されたビーズを含有する微量遠心管内に分注し、ピペットで上下させることによってビーズを再懸濁した。モノマーを4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。
【0466】
[0514] 次に、ビーズを洗浄緩衝液(900マイクロリットル)に再懸濁し、300マイクロリットルのビーズを3本の微量遠心管に移した。
【0467】
[0515] 1.0マイクログラムの混合抗CD28及び抗CD2、0.111マイクログラムの混合抗CD28及び抗CD2又は0.012マイクログラムの混合抗CD28及び抗CD2を含む洗浄緩衝液(300マイクロリットル)を3つのビーズサンプルに混ぜ込み、ビーズをピペットによって上下させることによって徹底的に混合した。抗体を4℃で30分間結合させた。15分後、混合物を再びピペットで上下させた。管を1,000×gで1分間遠心分離し、上澄み液を除去した。最後に、ビーズを100マイクロリットルの洗浄緩衝液に再懸濁した。フローサイトメトリー分析及び定量化ビーズとの比較により、所望の大きさの共刺激抗体が、ビーズに負荷されたことを検証した。
【0468】
[0516] 実施例23B.4.刺激。細胞:CD8+Tリンパ球は、ネガティブ選択により、StemCell Technologies Canada Inc.から市販されるキット(カタログ番号17953)であるEasySep(商標)ヒトCD8+T細胞単離キットのための製造業者の指示に従い、RPMIに加えて市販のPBMCからの10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む培地中で濃縮した。
【0469】
[0517] 培養培地及び試薬添加用希釈剤:AdvancedRPMI(ThermoFisherカタログ番号12633020、500mL);1×GlutaMax(ThermoFisherカタログ番号35050079、5mL);10%ヒトAB血清(zen-bio、カタログ番号HSER-ABP 100mL、50mL);及び50nMβ-メルカプトエタノール(ThermoFisherカタログ番号31350010、50nm貯蔵液、0.5mL、最終濃度50マイクロモル濃度)。
【0470】
[0518] 実験セットアップ:各活性化種の滴定(pMHC又は共刺激抗体)について、単一の96組織培養処理ウェルプレート(VWRカタログ番号10062-902)を使用した。ビーズ表面の1平方ミクロン当たり約10,000、約1,000又は約100のpMHC及びビーズ表面の1平方ミクロン当たり約10,000の共刺激抗体(実施例23.B.2から)を備えた抗原提示ビーズと、CD8+Tリンパ球とを約1:2のビーズ:細胞で混合した。CD8+Tリンパ球(2e5個)(80~90%の純度)を約1e5の抗原提示ビーズ(ウェルプレート1)と共に各ウェルに添加した。ビーズ表面の1平方ミクロン当たり約10,000のpMHC及びビーズ表面の1平方ミクロン当たり約10,000、約1,000又は約100の共刺激抗体(実施例23.B.3から)を備えた抗原提示ビーズと、CD8+Tリンパ球とを約1:2のビーズ:細胞で混合した。CD8+Tリンパ球(2e5個)(80~90%の純度)を約1e5の抗原提示ビーズ(ウェルプレート2)と共に各ウェルに添加した。
【0471】
[0519] 各ウェルプレートを37℃で培養した。0日目にCTL培地中のIL-21(150ng/ミリリットル)をウェルプレート内1及び2の各ウェルに添加して、各ウェルに30ng/mLの最終濃度を提供した。2日目にIL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を7日目まで継続した。
【0472】
[0520] 7日目。再刺激。pMHC又は共刺激抗体の標的密度を有する抗原提示ビーズの第2のアリコートをウェルプレート1及びウェルプレート2の対応するウェルに入れた。IL21をウェルプレートの各ウェルに30ng/mLの最終濃度で添加した。培養を継続した。
【0473】
[0521] 8日目。50マイクロリットルのIL-2(50IU/mL)及びIL-7(25ng/mL)をウェルプレート1及びウェルプレート2の各ウェルに添加して、それぞれ10IU/mL及び5ng/mLの最終濃度を提供した。培養を継続した。
【0474】
[0522] 9日目。50マイクロリットルのIL-21(150ng/mL)をウェルプレート1及びウェルプレート2の各占有ウェルに添加して、30ng/mLの最終濃度にした。培養を継続した。
【0475】
[0523] 14日目。各ウェルプレートからのウェルをMHC四量体(四量体PE、MBLカタログ番号T02000、1マイクロリットル/ウェル)、CD4(Biolegendカタログ番号300530、0.5マイクロリットル/ウェル);CD8(Biolegendカタログ番号301048、0.5マイクロリットル/ウェル);CD28(Biolegendカタログ番号302906、0.31マイクロリットル/ウェル);CD45RO(Biolegendカタログ番号304210、0.63マイクロリットル/ウェル);CCR7(CD197、Biolegendカタログ番号353208、0.5マイクロリットル/ウェル);及び生存度(BDカタログ番号565388、0.125マイクロリットル/ウェル)について個別に染色した。各ウェルを150マイクロリットルのFACS緩衝液及び10マイクロリットルのCountbright(商標)ビーズ(ThermoFisherカタログ番号C36950)で再懸濁した。FACS分析をFACSCelesta(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)上で実施した。図21Cは、様々な密度のpMHC/平方ミクロンの抗原提示ビーズを使用して増殖させた、各ウェル内のMART1特異的T細胞の数を示す。図21Dは、図21CのMART1特異的T細胞上の記憶前駆体T細胞のマーカーであるCD127の発現レベルを示す。これらのプロットから、密度が約100pMHC/平方ミクロン以上の場合、MART1特異的T細胞の数及びこれらの細胞上のCD127の発現は、pMHC密度の影響を受けないことが分かり得る。
【0476】
[0524] 図21Eは、様々な密度の共刺激抗体/平方ミクロンの抗原提示ビーズを使用して増殖させた、各ウェル内のMART1特異的T細胞の数を示す。図21Fは、図21EのMART1特異的T細胞上の記憶前駆体T細胞のマーカーであるCD127の発現レベルを示す。これらのプロットから、MART1特異的T細胞の数及びこれらの細胞上のCD127の発現は、共刺激抗体密度の影響を受けるとが分かり得る。1平方ミクロン当たり約10,000の共刺激抗体を使用して調製されたビーズは、ビーズのビオチン結合部位をほぼ飽和させ(図21Bを参照されたい)、最多数の抗原特異的T細胞を生成し、これらの細胞は最高レベルのCD127を発現した。共刺激リガンドの数が負荷レジームの下限まで低下すると、pMHCによる一次刺激は効果的に共刺激されず、細胞産物の表現型が影響を受けた。
【0477】
[0525] 実施例24.マイクロ流体装置内の抗原特異的細胞傷害性アッセイの性能
[0526] 実験デザイン:Mel526細胞及びA375細胞を含む黒色腫細胞から得られた腫瘍細胞株をオンチップT細胞殺滅アッセイで試験した。標準的な手順に従って各細胞株を生体外で増殖させ、次に、安定した細胞内標識を提供するCellTrace(商標)Far Red色素(カタログ番号C34572、ThermoFisher Scientific)で標識した。標識された腫瘍細胞の各集団は、Glnと、10uMの蛍光発生カスパーゼ-3基質(DEVD、緑色)(Nucview(登録商標)488、カタログ番号10403、Biotium)で補充された50uMの2-メルカプトエタノール(BME、カタログ番号31350-010、Gibco、ThermoFisher Scientific)とを合わせた、T細胞培地(Adv. RPMI+10%ヒトAB血清(カタログ番号35-060-CI、Corning)中で、個々のマイクロ流体チップ(Berkeley Lights, Inc.)に流し込んだ。標識された腫瘍細胞のグループ(約2~10)は、マイクロ流体チップを傾けて、腫瘍細胞を隔離ペン内に重力で引き込ませることにより、2つの各マイクロ流体チップ(1つは、Mel526細胞用、1つは、A375細胞用)上の複数の隔離ペンのそれぞれに負荷し、各マイクロ流体チップについて、アッセイの時間=0で5uMのカスパーゼ-3基質の最終濃度を提供した。カスパーゼ-3基質は、切断されるまで蛍光シグナルを提供しないため、時間=0では、この試薬による蛍光シグナルがなかった。上述のような内因性T細胞(ETC)プロトコルに従い、SLC45A2抗原に対して増殖したT細胞を2つのマイクロ流体チップのそれぞれに流し込み、それぞれのチップの腫瘍細胞の上部に重力を負荷した。典型的には、腫瘍細胞及びT細胞を負荷した後、各隔離ペンは、1つのT細胞当たり0~5の腫瘍細胞を含有した。SLC45A2特異的T細胞とMel526腫瘍細胞(図22A)及びSLC45A2特異的T細胞とA375細胞(図22B)をそれぞれ含有する、各時点及び各マイクロ流体チップの明視野画像(BF)に示されるように、細胞の集団が存在する。各マイクロ流体チップ上において、5uMのカスパーゼ-3基質(緑色)(BiotiumからのNucview 488)で補充されたT細胞培地(Adv. RPMI+10%ヒトAB血清+Gln+50uMのBME)を、マイクロ流体チャネルを介して灌流させ、隔離ペンの画像を7時間にわたり30分毎(T細胞の負荷の終了から開始する)に撮影した。CellTrace Far Redラベル及び切断されてもはや蛍光性であるカスパーゼ-3ラベルは、異なる蛍光キューブ(それぞれCy5、FITC)を使用して視覚化した。
【0478】
[0527] Mel526黒色腫細胞株は、SLC45A2腫瘍関連抗原を発現し、SLC45A2特異的T細胞によって標的化され、殺滅されることが予想される。A375黒色腫細胞株は、SLC45A2腫瘍関連抗原を発現せず、SLC45A2特異的T細胞によって標的化又は殺滅されるとは予想されなかったため、T細胞傷害性の陰性対照として使用した。
【0479】
[0528] 結果:Mel526腫瘍細胞(図22A)及びA375腫瘍細胞(図22B)は、1時間目の時点でCellTrace Far Redシグナル(Cy5蛍光キューブ)を示したが、カスパーゼ-3基質の切断に関連するシグナル(緑色蛍光シグナル、FITC蛍光キューブ)を示さなかった。時間が経過するにつれて、カスパーゼ-3基質の切断に関連する緑色蛍光シグナルは、Mel526腫瘍細胞で増加したが(図22A、7時間目までの時点を示す)、A375腫瘍細胞で増加しなかった(図22B、7時間目までの時点を示す)。結果は、Mel526腫瘍細胞がSLC45A2特異的T細胞によって効率的に殺滅されたことを示し、図22AのMel526腫瘍細胞を含む8本の隔離ペンのうち6本が高レベルのカスパーゼ-3基質切断を示す。図22Cは、実験の過程にわたる、抗原特異的Mel526腫瘍細胞の細胞殺滅の程度対A375非標的細胞の細胞殺滅の程度の定量化を示した。A375非標的細胞では非常に少量のSLC45A2特異的T細胞の(部分的)死滅が観察された一方、SLC45A2特異的T細胞によるMel526腫瘍細胞の標的抗原特異的細胞殺滅は、同じ7時間の期間にわたり0.25の部分的死滅に近づいた。各蛍光画像の露光時間は、各マイクロ流体チップで及び各時点で同一であった。Cell Trace Far Red染色からのCy5シグナルの経時的な減少は、あらゆる細胞セットで観察されることが多く;各細胞タイプのこのような減少の観察は、予想外ではなかった。
【0480】
[0529] 実施例25.ビーズ刺激後における抗原特異的Tリンパ球の迅速な増殖及び細胞産物の特性評価。先行する実施例に記載されるように、典型的には、実験抗原特異的Tリンパ球活性化の完了後、FACSAria Fusion System (Becton Dickinson、San Jose、CA) 上のFACSにより、抗原特異的濃縮T細胞を選別し、室温で30分間にわたりFACS緩衝液(1×DPBSw/oCa2+Mg2+(カタログ番号4190250、ThermoFisher)、5mMのEDTA(カタログ番号AM9260G、ThermoFisher)、10mMのHEPES(カタログ番号15630080、ThermoFisher)、2%FBS)中で、抗CD8-PerCPCy5.5(クローンRPA-T8、301032,B Biolegend、San Diego、CA)、抗原特異的四量体-PE(MBL International、Woburn、MA)及びZombie NIR(カタログ番号423106、Biolegend、San Diego、CA)で染色した後、死細胞を除外した。所望の細胞は、2mMのHEPESを添加したCTL培地(Advanced RPMI(カタログ番号12633020、ThermoFisher)、1×GlutaMax(カタログ番号35050079、ThermoFisher)、10%ヒト血清(カタログ番号MT35060CI、ThermoFisher)、50uMのb-メルカプトエタノール(カタログ番号31350010、ThermoFisher)中へのサイズ、単一、生存、CD8陽性及び四量体陽性のゲーティングによって純度選別した。
【0481】
[0530] 次に、Riddellの米国特許第5,827,642号に記載されるように、選別された抗原特異的T細胞を少なくとも1ラウンドの急速増殖プロトコル(REP)で増殖させた。X線照射器を使用して、リンパ芽球腫細胞株細胞(LCL、LCL細胞株は、Anderson Cancer CenterのCassian Yee, M.D.からの贈与)を100Gyで照射し、3人のドナーからのPBMCを50Gyで照射した。照射された細胞は、10%FBSを含有するRPMIで洗浄し、1:5の比率で混合した(LCL:PBMC)。これらの照射された細胞は、FACSで選別されたT細胞(REPの第1のサイクル)又は200~500倍過剰のREPの第1のサイクルの産物のいずれかに添加した。培養物は、50U/mLのIL-2(カタログ番号202-IL、R&D Systems)と、30ng/mLの抗CD3抗体(カタログ番号16-0037-85、ThermoFisher)とで補充された、T細胞培地(Advanced RPMI、10%ヒトAB血清、GlutaMax、50uMのb-メルカプトエタノール)中でセットアップした。2、5及び10日目に細胞に新鮮なIL-2を供給し、それらの成長速度に従って増殖させた。
【0482】
[0531] 増殖は、第1のREPサイクル中に典型的には1,000倍である。REP1中の増殖は、高度に変動した(316~7,800倍、データ未掲載)。低い入力細胞数の不正確な定量化がこのばらつきに寄与した可能性がある。ここで、図23Aに示されるのは、第1のサイクル(n=20の実験、11のドナー、12のSTIM)に続く第2のREPプロトコルから得られた倍率増殖である。増殖は、約200倍~約2000倍の範囲であった。しかし、これらの実験では、特定の細胞集団のREP1とREP2の増殖の程度に明確な相関関係はなかった。
【0483】
[0532] 図23Bでは、REPプロトコルの20の実験についてREP集団内の抗原特異的T細胞の百分率が示される。観察されたのは、少なくとも2回のREPサイクル中に抗原特異的T細胞の百分率(%Ag+)が高く、典型的に約90%に維持されていたことである。対照的に、REP1の後の低い%Ag+は、REP2の後の低い%Ag+につながった。
【0484】
[0533] 図23Cでは、REP2の完了後、共刺激受容体CD27及びCD28も発現する抗原特異的T細胞の百分率が示される。図23Dでは、REP2の完了後、生体内持続性を予見し得る中央記憶表現型のマーカーであるCD127も発現する抗原特異的T細胞の百分率が示される。いずれのマーカーの発現の分布も密集しておらず、個々の実験のいくつかは、所望のマーカーを発現する少ない(例えば、数パーセントの)細胞を示した一方、これらの各実験で得られた細胞産物は、全てのカテゴリにわたり十分に陽性の表現型を実証し、それらを生体内導入の候補にする。CD28の発現などの低下した値の一部は、活性化サイクル中に使用されるCD28リガンドを使用した広範な刺激に起因し得、これらの表面マーカーの低下した発現をもたらす。
【0485】
[0534] 図23Eでは、2回のREP後における、3つの個々の細胞集団のそれぞれに対する抗原特異的細胞傷害生アッセイの結果が示される。標的がん細胞株としてMel526細胞、非標的細胞株としてA375細胞を使用して、実施例24に記載されるようにアッセイを実施し、抗原特異的T細胞はSLC45A2特異的T細胞であった。各実験において、標的化Mel526細胞の50%以上がカスパーゼ3始動蛍光シグナルを示した一方、A375非標的化細胞のゼロから数パーセントは、カスパーゼ-3基質の蛍光発生切断産物によって示されるアポトーシス挙動を示さなかった。したがって、活性化T細胞は、全てのラウンドの活性化及び増殖後、抗原特異的な細胞殺滅挙動をなおも示した。
【0486】
[0535] したがって、本明細書に記載の合成表面上の抗原提示を通した活性化のプロセスは、免疫療法での使用に適した十分に制御されて再現可能であり特徴付け可能な細胞産物を提供し得る。本明細書に記載の抗原提示表面は、目下利用可能な実験的プロセスと比較して、これらの個別化療法の製造コストは、より低い。
【0487】
本開示のいくつかの実施形態の列挙。
1.Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面であって、
T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド、及び
TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む複数の共活性化分子リガンド
を含み、複数の一次活性化分子リガンド及び複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、抗原提示表面に特異的に結合する、抗原提示表面。
2.複数の共活性化分子リガンドは、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含む、実施形態1の抗原提示表面。
3.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約100:1~約1:100である、実施形態1又は2に記載の抗原提示表面。
4.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、100:1~90:1、90:1~80:1、80:1~70:1、70:1~60:1、60:1~50:1、50:1~40:1、40:1~30:1、30:1~20:1、20:1~10:1、10:1~1:1、1:1~1:10、1:10~1:20、1:20~1:30、1:30~1:40、1:40~1:50、1:50~1:60、1:60~1:70、1:70~1:80、1:80~1:90又は1:90~1:100であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態1又は2に記載の抗原提示表面。
5.TCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約10:1~約1:20である、実施形態1又は2に記載の抗原提示表面。
6.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約10:1~約1:10である、実施形態1又は2に記載の抗原提示表面。
7.複数の一次活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
8.複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態7に記載の抗原提示表面。
9.複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約2×10~約5×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態7に記載の抗原提示表面。
10.複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子の密度で抗原提示表面の表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態7に記載の抗原提示表面。
11.複数の一次活性化分子リガンドは、記載された密度で抗原提示表面の実質的に全ての上に配置される、実施形態7~10のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
12.複数の表面遮断分子リガンドをさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
13.補助TCR活性化分子は、接着刺激を提供するように構成される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
14.複数の共活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
15.複数の共活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.5×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
16.複数の共活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約2×10~約5×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
17.複数の共活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子の密度で抗原提示表面の表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
18.複数の共活性化分子リガンドは、記載された密度で抗原提示表面の実質的に全ての上に配置される、実施形態14~17のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
19.抗原提示表面上に存在する一次活性化分子リガンドと共活性化分子リガンドとの比率は、約1:10~約2:1、約1:5~約2:1、約1:2~約2:1、約1:10~約1:1、約1:5~約1:1、約1:1~約2:1又は約1:2~約1:1である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
20.抗原提示表面は、ガラス、金属、セラミック及び/又は金属酸化物又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
21.抗原提示表面は、ポリマー表面を含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
22.表面は、磁性材料を含む、実施形態20又は21に記載の抗原提示表面。
23.複数の一次活性化分子リガンドのそれぞれは、結合部分に非共有結合され、さらに、結合部分は、抗原提示表面に共有結合される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
24.複数の一次活性化分子リガンドのそれぞれは、ビオチンを含んでビオチン結合剤に非共有結合され、さらに、ビオチン結合剤は、抗原提示表面に共有結合される、実施形態23に記載の抗原提示表面。
25.複数の一次活性化分子リガンドのそれぞれは、結合部分に非共有結合され、さらに、結合部分は、抗原提示表面に非共有結合される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
26.複数の一次活性化分子リガンドのそれぞれは、ビオチン部分を含み、結合部分は、ビオチン結合剤を含み、ビオチン結合剤は、抗原提示表面に共有結合される第2のビオチン部分に非共有結合される、実施形態25に記載の抗原提示表面。
27.ビオチン結合剤は、ストレプトアビジンである、24又は26に記載の抗原提示表面。
28.MHC分子は、MHCタンパク質配列及びβミクログロブリンを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
29.MHC分子は、腫瘍特異的抗原をさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
30.腫瘍特異的抗原は、MHC分子に非共有結合される、実施形態29に記載の抗原提示表面。
31.抗原は、SLC45A2、TCL1、VCX3A、MART1又はNYESO1である、実施形態29又は30に記載の抗原提示表面。
32.TCR共活性化分子は、タンパク質を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
33.TCR共活性化タンパク質分子は、CD28結合タンパク質又はCD28との結合能力を保持するその断片を含む、実施形態32に記載の抗原提示表面。
34.TCR共活性化分子は、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態32又は33に記載の抗原提示表面。
35.CD28結合タンパク質は、CD80分子又はCD28との結合能力を保持するその断片を含む、実施形態33又は34に記載の抗原提示表面。
36.TCR共活性化分子は、抗CD28抗体又はCD28との結合能力を保持するその断片を含む、実施形態32~35のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
37.補助TCR活性化分子リガンドは、CD2結合タンパク質又はCD2との結合能力を保持するその断片を含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
38.CD2結合タンパク質は、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態37に記載の抗原提示表面
39.補助TCR活性化分子リガンドは、CD58分子又はCD2との結合活性を保持するその断片を含む、実施形態37又は38に記載の抗原提示表面。
40.補助TCR活性化分子は、抗CD2抗体又はCD2との結合活性を保持するその断片を含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
41.複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、ストレプトアビジンに非共有結合され、ストレプトアビジンは、ストレプトアビジン結合分子に非共有結合され、さらに、ストレプトアビジン結合分子は、リンカーを介して抗原提示表面に共有結合され、任意選択的に、ストレプトアビジン結合分子は、ビオチンを含む、実施形態1~40のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
42.複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、リンカーを介して表面に共有結合される、実施形態1~40のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
43.リンカーは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200の結合長又は結合間の任意の数の結合長を介してストレプトアビジン結合分子及び/又は共活性化分子リガンドを表面に連結される、実施形態41又は42に記載の抗原提示表面。
44.複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、ストレプトアビジン部分に非共有結合され、ストレプトアビジン部分は、抗原提示表面に共有結合される、実施形態1~40のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
45.ストレプトアビジン部分は、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介してリンカーによって表面に連結される、実施形態42に記載の抗原提示表面。
46.(i)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、親水性部分、両親媒性部分、両性イオン性部分及び/又は負荷電部分を含み、
(ii)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、リンカー及び末端表面遮断基を含み、任意選択的に、複数の表面遮断分子リガンドのリンカーは、同じ長さ又は異なる長さであるか、又は
(iii)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、リンカー及び末端表面遮断基を含み、末端表面遮断基は、親水性部分、両親媒性部分、両性イオン性部分及び/又は負荷電部分を含み、任意選択的に、複数の表面遮断分子リガンドのリンカーは、同じ長さ又は異なる長さである、実施形態5~45のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
47.(i)複数の表面遮断分子リガンドは、全て同じ末端表面遮断基を有するか、又は
(ii)複数の表面遮断分子リガンドは、末端表面遮断基の混合物を有し、
任意選択的に、複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、ポリエチレングリコール(PEG)部分、カルボン酸部分又はそれらの組み合わせを含み、さらに任意選択的に、表面遮断分子リガンドの各PEG部分は、約10原子~約100原子の主鎖直鎖長を有する、実施形態46に記載の抗原提示表面。
48.(i)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、抗原提示表面に共有結合され、及び/又は
(ii)複数の表面遮断分子リガンド及び任意の組み合わせで選択された2、3又は4つの異なる表面遮断基及び/又は2、3、4つ以上の異なる長さのリンカーを含み得る、実施形態5~47のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
49.複数の接着刺激性分子リガンドをさらに含み、任意選択的に、接着分子リガンドのそれぞれは、ICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
50.接着刺激性分子リガンドは、リンカーを介して抗原提示表面に共有結合される、実施形態49の抗原提示表面。
51.接着刺激性分子リガンドは、ストレプトアビジン部分に非共有結合され、ストレプトアビジン部分は、リンカーを介して抗原提示表面に共有結合される、実施形態50に記載の抗原提示表面。
52.接着刺激性分子リガンドは、ストレプトアビジンに非共有結合され、ストレプトアビジンは、ビオチンに非共有結合され、ビオチンは、リンカーを介して抗原提示表面に共有結合される、実施形態50に記載の抗原提示表面。
53.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約3:1~約1:3である、実施形態1~52のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
54.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約1:2~約2:1である、実施形態1~53のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
55.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約1:1である、実施形態1~54のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
56.複数の成長刺激性分子リガンドをさらに含み、成長刺激性分子リガンドのそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含む、実施形態1~55のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
57.成長因子受容体リガンドは、サイトカイン又は受容体結合能力を保持するその断片を含み、任意選択的に、サイトカインは、IL-21を含む、実施形態56に記載の抗原提示表面。
58.抗原提示ビーズの表面である、実施形態1~57のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
59.ビーズは、等容積又は等直径を有する球体の表面積の10%以内の表面積を有する、実施形態58に記載の抗原提示表面。
60.ビーズは、等容積又は等直径を有する球体の表面積の10%を超える表面積を有する、実施形態58の抗原提示表面。
61.マイクロ流体装置、ウエハ又は管の抗原提示表面である、実施形態1~57のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
62.第1の部分及び第2の部分をさらに含み、複数の一次活性化分子リガンドの分布及び複数の共活性化分子リガンドの分布は、抗原提示表面の第1の部分に位置し、第2の部分は、一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成される、実施形態61に記載の抗原提示表面。
63.少なくとも1つの複数の表面遮断分子リガンドは、抗原提示表面の少なくとも1つの内表面の第2の部分に位置する、実施形態62に記載の抗原提示表面。
64.抗原提示表面の第1の部分は、複数の第1の領域をさらに含み、各第1の領域は、複数の一次活性化分子リガンドの少なくともサブセットを含み、複数の第1の領域のそれぞれは、一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された第2の部分により、別の複数の第1の領域から隔てられる、62又は63に記載の抗原提示表面。
65.複数の一次活性化分子リガンドの少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれは、複数の共活性化分子リガンドのサブセットをさらに含む、実施形態64に記載の抗原提示表面。
66.複数の第1の活性化分子リガンドの少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれは、約0.10平方ミクロン~約4.0平方ミクロンの面積を有する、実施形態64又は65に記載の抗原提示表面。
67.複数の一次活性化分子リガンドの少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれの面積は、約4.0平方ミクロン~約0.8平方ミクロンである、実施形態64~66のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
68.複数の第1の領域のそれぞれは、複数の接着刺激性分子リガンドの少なくともサブセットをさらに含み、任意選択的に、接着刺激性分子リガンドのそれぞれは、ICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含む、実施形態64~67のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
69.一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された第2の部分は、共活性化分子リガンドも実質的に除外するように構成される、実施形態63~68のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
70.一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された第2の部分は、複数の成長刺激性分子リガンドを含むようにさらに構成され、成長刺激性分子リガンドのそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含む、実施形態62~69のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
71.一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された第2の部分は、複数の接着刺激性分子リガンドを含み、接着刺激性分子リガンドのそれぞれは、ICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含む、実施形態62~70のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
72.抗原提示ウエハの表面である、実施形態61~71のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
73.抗原提示管の表面である、実施形態61~71のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
74.抗原提示マイクロ流体装置の表面である、実施形態61~71のいずれか1つに記載の抗原提示表面。
75.複数の一次活性化分子リガンドの少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれは、抗原提示マイクロ流体装置のチャンバー内の少なくとも1つの表面に配置される、実施形態74に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
76.チャンバーは、隔離ペンである、実施形態75に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
77.マイクロ流体装置は、第1の流体媒体の流れを含有するための流動領域をさらに含み、隔離ペンは、第2の流体媒体を含有するための単離領域を含み、単離領域は、単一の開口部を有し、隔離ペンの単離領域は、マイクロ流体装置の非掃引領域であり、接続領域は、単離領域と流動領域とを流体的に接続し、任意選択的に、マイクロ流体装置は、流動領域の少なくとも一部を含むマイクロ流体チャネルを含む、実施形態74~76に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
78.マイクロ流体装置は、流動領域の少なくとも一部を含むマイクロ流体チャネルを含み、接続領域は、約20ミクロン~約100ミクロンの範囲の幅Wconを有するマイクロ流体チャネルへの近位開口部と、単離領域への遠位開口部とを含み、近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、接続領域の近位開口部の幅Wconの少なくとも1.0倍である、実施形態77に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
79.近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、接続領域の近位開口部の幅Wconの少なくとも1.5倍である、実施形態78に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
80.近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、接続領域の近位開口部の幅Wconの少なくとも2.0倍である、実施形態78に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
81.接続領域の近位開口部の幅Wconは、約20ミクロン~約60ミクロンの範囲にわたる、実施形態78~80のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
82.近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、約20ミクロン~約500ミクロンである、実施形態78~81のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
83.接続領域の近位開口部におけるマイクロ流体チャネルの幅は、約50ミクロン~約500ミクロンである、実施形態78~82のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
84.接続領域の近位開口部におけるマイクロ流体チャネルの高さは、20ミクロン~100ミクロンである、実施形態78~83のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
85.単離領域の容積は、約2×10~約2×10立方ミクロンの範囲にわたる、実施形態77~84のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
86.接続領域の近位開口部は、流動領域の第1の媒体の流動方向に平行である、実施形態77~85のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
87.マイクロ流体装置は、ベース含む筐体、ベース上に配置されたマイクロ流体回路構造及びマイクロ流体回路を集合的に画定するカバーを含み、マイクロ流体回路は、流動領域、マイクロ流体チャネル及び隔離ペンを含む、実施形態77~86のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
88.マイクロ流体回路は、それを通して第1の媒体が流動領域に投入され得る1つ又は複数の入口と、それを通して第1の媒体が流動領域から除去され得る1つ又は複数の出口とをさらに含む、実施形態77~87のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
89.カバーは、マイクロ流体回路構造の一体部分である、実施形態87に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
90.マイクロ流体隔離ペンを画定する障壁は、マイクロ流体装置のベースの表面からマイクロ流体装置のカバーの表面に延びる、実施形態87又は88に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
91.カバー及びベースは、微小物体にDEP力を選択的に誘発するための誘電泳動(DEP)機序の一部である、実施形態87~90のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
92.マイクロ流体装置は、第1の電極、電極活性化基板及び第2の電極をさらに含み、第1の電極は、筐体及び電極活性化基板の第1の壁の一部であり、第2の電極は、筐体の第2の壁の一部であり、電極活性化基板は、光伝導材料、半導体集積回路又はフォトトランジスターを含む、実施形態87~91のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
93.マイクロ流体装置の第1の壁は、カバーであり、マイクロ流体装置の第2の壁は、ベースである、実施形態92に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
94.電極活性化基板は、フォトトランジスターを含む、実施形態92又は93に記載の抗原提示マイクロ流体装置。
95.カバー及び/又はベースは、光に対して透過性である、実施形態87~94のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
96.第2の部分は、抗原提示マイクロ流体装置のマイクロ流体チャネルの少なくとも1つの表面に配置される、実施形態61~95のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置。
97.共有結合官能化合成表面であって、ビオチン結合剤又はビオチン官能基のそれぞれと、複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれとは、共有結合官能化合成表面に共有結合される、少なくとも1つの複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基と、少なくとも1つの複数の表面遮断分子リガンドとを含む、共有結合官能化合成表面。
98.表面は、複数のビオチン官能基を含む、実施形態97に記載の共有結合官能化合成表面。
99.表面は、ビオチン官能基を介して表面に非共有結合される複数のビオチン結合剤官能基をさらに含む、実施形態98に記載の共有結合官能化合成表面。
100.複数のビオチン官能基のそれぞれは、共有結合官能化表面にリンカーを介して付着する、実施形態97~99のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
101.ビオチン結合剤は、ストレプトアビジンである、実施形態97~100のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
102.複数のビオチン又はビオチン結合剤官能基のそれぞれは、共有結合官能化表面にリンカーを介して付着する、実施形態97又は101に記載の共有結合官能化合成表面。
103.ビオチン又はビオチン結合剤官能基を連結するリンカーは、約20Å~約100Åの長さを有する、実施形態102に記載の共有結合官能化合成表面。
104.リンカーは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を通してビオチン結合剤官能基を表面に連結する、実施形態102又は103に記載の共有結合官能化合成表面。
105.リンカーは、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を通してビオチンを表面に連結する、実施形態102又は103に記載の共有結合官能化合成表面。
106.各ビオチン又はビオチン結合剤官能基のリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)部分を含む、実施形態102~105のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
107.PEGリンカーは、(PEG)13反復配列を含み、任意選択的に、表面は、複数のビオチン結合剤官能基を含む、実施形態106に記載の共有結合官能化合成表面。
108.PEGリンカーは、(PEG)反復配列を含み、任意選択的に、表面は、複数のビオチン官能基を含む、実施形態106に記載の共有結合官能化合成表面。
109.(i)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、親水性部分、両親媒性部分、両性イオン性部分及び/又は負荷電部分を含むか、
(ii)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、リンカー及び末端表面遮断基を含み、任意選択的に、複数の表面遮断分子リガンドのリンカーは、同じ長さ又は異なる長さであるか、又は
(iii)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、リンカー及び末端表面遮断基を含み、末端表面遮断基は、親水性部分、両親媒性部分、両性イオン性部分及び/又は負荷電部分を含み、任意選択的に、複数の表面遮断分子リガンドのリンカーは、同じ長さ又は異なる長さであり、
(iv)複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、抗原提示表面に共有結合され、及び/又は
(v)複数の表面遮断分子リガンド及び任意の組み合わせで選択された、2、3又は4つの異なる表面遮断基及び/又は2、3、4つ以上の異なる長さのリンカーを含み得る、実施形態97~108のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
110.(i)複数の表面遮断分子リガンドは、全て同じ末端表面遮断基を有するか、又は
(ii)複数の表面遮断分子リガンドは、末端表面遮断基の混合物を有し、
任意選択的に、複数の表面遮断分子リガンドのそれぞれは、ポリエチレングリコール(PEG)部分、カルボン酸部分又はそれらの組み合わせを含む、実施形態109に記載の共有結合官能化合成表面。
111.表面遮断分子リガンドのそれぞれのPEG部分は、約10原子~約100原子の主鎖線形鎖長を有する、実施形態108に記載の共有結合官能化合成表面。
112.少なくとも1つの複数のストレプトアビジン部分は、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10分子の密度で共有結合官能化合成表面上に配置される、実施形態97~111のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
113.少なくとも1つの複数のストレプトアビジン部分は、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子の密度で共有結合官能化合成表面上に配置される、実施形態97~111のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
114.少なくとも1つの複数のストレプトアビジン部分は、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約6×10~約5×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子で、共有結合官能化合成表面の上に配置される、実施形態97~111のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
115.表面は、ガラス、ポリマー、金属、セラミック及び/又は金属酸化物を含む、実施形態97~114のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
116.共有結合官能化合成表面は、共有結合官能化ウエハ、管の共有結合官能化内表面又はマイクロ流体装置の共有結合官能化内表面である、実施形態97~115のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
117.管は、ガラス管又はポリマー管である、実施形態116に記載の共有結合官能化合成表面。
118.共有結合官能化合成表面は、共有結合官能化ビーズである、実施形態97~115のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
119.共有結合官能化ビーズは、磁性材料を含む、実施形態118に記載の共有結合官能化合成表面。
120.ビーズは、等容積又は表面積の球体の表面積の10%以内の表面積を有する、実施形態118又は119に記載の共有結合官能化合成表面。
121.少なくとも1つの複数のストレプトアビジン又はビオチン部分は、共有結合官能化合成表面の実質的に全ての上に配置される、実施形態118~120のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
122.第1の部分及び第2の部分をさらに含み、少なくとも1つの複数のストレプトアビジン又はビオチン官能基の分布は、共有結合修飾合成表面の第1の部分に位置し、少なくとも1つの複数の表面遮断分子リガンドの分布は、第2の部分に位置する、実施形態97~117のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
123.第2の複数の表面遮断分子リガンドは、共有結合官能化合成表面の第1の部分に配置される、実施形態122に記載の共有結合官能化合成表面。
124.第2の複数の表面遮断分子リガンドは、共有結合官能化合成表面から形成される抗原提示合成表面の官能化部分の密度を制限する、実施形態123に記載の共有結合官能化合成表面。
125.共有結合官能化合成表面の第1の部分は、複数の第1の領域をさらに含み、各第1の領域は、複数のストレプトアビジン又はビオチン官能基の少なくともサブセットを含み、複数の第1の領域のそれぞれは、ストレプトアビジン又はビオチン官能基を実質的に除外するように構成された第2の領域によって複数の第1の領域の別の領域から隔てられる、実施形態123又は125に記載の共有結合官能化合成表面。
126.複数のストレプトアビジン又はビオチン官能基の少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれは、約0.10平方ミクロン~約4.0平方ミクロンの面積を有する、実施形態125に記載の共有結合官能化合成表面。
127.複数の一次活性化分子リガンドの少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれの領域は、約4.0平方ミクロン~約0.8平方ミクロンである、実施形態125又は126に記載の共有結合官能化合成表面。
128.共有結合官能化合成表面は、マイクロ流体装置の少なくとも1つの内表面である、実施形態97~116又は122~127のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面。
129.複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基の少なくともサブセットを含む複数の第1の領域のそれぞれは、マイクロ流体装置のチャンバー内の少なくとも1つの表面を含む、実施形態128に記載の共有結合官能化合成表面。
130.チャンバーは、隔離ペンである、実施形態129に記載の共有結合官能化合成表面。
131.Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示合成表面を調製するためのキットであって、a.複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤を含む、実施形態95~28のいずれか1つに記載の共有結合官能化合成表面、及び
b.T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む第1の修飾試薬であって、さらに、MHC分子は、共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤の第1のサブセットの1つに結合するように構成される、第1の修飾試薬
を含み、任意選択的に、第1のカップリング剤は、ビオチン結合剤である、キット。
132.複数のMHC分子のそれぞれは、少なくとも1つのビオチン官能基をさらに含む、実施形態131に記載のキット。
133.それぞれ共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤の第2のサブセットの1つに結合するように構成された複数の共活性化分子を含む試薬をさらに含む、実施形態131又は132に記載のキット。
134.複数の共活性化分子のそれぞれは、ビオチン官能基を含む、実施形態133に記載のキット。
135.複数の共活性化分子のそれぞれは、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態134に記載のキット。
136.共活性化分子のそれぞれは、T細胞受容体(TCR)共活性化分子、補助TCR活性化分子又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態133~135のいずれか1つに記載のキット。
137.複数の共活性化分子リガンドは、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含む、実施形態136のキット。
138.複数の共活性化分子を含む試薬を含有する容器は、約100:1~約1:100の比率又は約3:1~約1:3の比率で複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子及び/又は補助TCR活性化分子を含有する、実施形態136又は137に記載のキット。
139.複数の共活性化分子を含む試薬を含有する容器は、約10:1~約1:10又は約10:1~約1:20の比率で複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子とを含有する、実施形態136~138のいずれか1つに記載のキット。
140.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、100:1~90:1、90:1~80:1、80:1~70:1、70:1~60:1、60:1~50:1、50:1~40:1、40:1~30:1、30:1~20:1、20:1~10:1、10:1~1:1、3:1~1:3;1:1~1:10、1:10~1:20、1:20~1:30、1:30~1:40、1:40~1:50、1:50~1:60、1:60~1:70、1:70~1:80、1:80~1:90又は1:90~1:100であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態136~139のいずれか1つに記載のキット。
141.複数の共活性化分子を含む試薬を含有する容器は、約20:1~約1:20.1の比率で複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子とを含有する、実施形態136~140のいずれか1つに記載のキット。
142.複数の共活性化分子を含む試薬は、2つの容器に含有され、第1の容器は、T細胞受容体(TCR)共活性化分子を含有し、第2の容器は、補助TCR活性化分子を含有する、実施形態136に記載のキット。
143.TCR共活性化分子は、CD28結合タンパク質又はCD28との結合能力を保持するその断片である、実施形態136~142のいずれか1つに記載のキット。
144.補助TCR共活性化分子は、CD2結合タンパク質又はその断片である、実施形態136~143のいずれか1つに記載のキット。
145.接着刺激性分子を含む試薬をさらに含み、接着刺激性分子のそれぞれは、共有結合官能化合成表面の複数の非共有又は共有結合された第1のカップリング剤官能基の第3のサブセットと反応するように構成されたICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含む、実施形態131~144のいずれか1つに記載のキット。
146.接着刺激性分子は、ビオチン官能基を含む、実施形態145に記載のキット。
147.試薬は、成長刺激性分子をさらに含み、成長刺激性分子のそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含む、実施形態131~146のいずれか1つに記載のキット。
148.成長因子受容体リガンドは、サイトカイン又はその断片を含む、実施形態147に記載のキット。
149.サイトカインは、IL-21又はその断片を含む、実施形態148に記載のキット。
150.1つ又は複数の追加的成長刺激性分子をさらに含む、実施形態147~149のいずれか1つに記載のキット。
151.1つ又は複数の追加的成長刺激性分子は、IL2及び/又はIL7又はその断片を含む、実施形態150に記載のキット。
152.成長刺激性分子は、共有結合修飾ビーズに付着する、実施形態148~151のいずれか1つに記載のキット。
153.第1のカップリング剤は、ストレプトアビジンである、実施形態131~152のいずれか1つに記載のキット。
154.複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基及び少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドを含む共有結合官能化表面を調製する方法であって、中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第1のサブセットを、ビオチン結合剤又はビオチンをそれぞれ含む複数の連結試薬と反応させることと、中間反応性合成表面の反応性部分の少なくとも第2のサブセットを複数の表面遮断分子と反応させ、それにより、少なくとも1つの複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとを含む共有結合官能化合成表面を提供することとを含む方法。
155.連結試薬は、ビオチンを含み、方法は、ビオチン結合剤とビオチン官能基とを非共有結合させることをさらに含む、実施形態154に記載の方法。
156.中間反応性合成表面の少なくとも第1の領域の反応性部分は、アジ化物部分を含む、実施形態154又は155に記載の方法。
157.表面遮断分子を反応させることは、ビオチン結合剤又はビオチン官能基を含む連結試薬を反応させた後に実施される、実施形態154~156のいずれか1つに記載の方法。
158.表面遮断分子を反応させることは、複数の連結試薬を反応させるのと同時に実施される、実施形態154~156のいずれか1つに記載の方法。
159.複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基と、少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドとは、共有結合官能化合成表面の少なくとも第1の領域に配置される、実施形態154~158のいずれか1つに記載の方法。
160.共有結合官能化合成表面は、複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基が除外されている第2の領域を含む、実施形態159に記載の方法。
161.少なくとも第1の複数の表面遮断分子リガンドは、共有結合官能化合成表面の第2の領域に配置される、実施形態160に記載の方法。
162.中間反応性合成表面の第2の領域で表面遮断分子を含む試薬を反応させることは、中間反応性合成表面の少なくとも第1の領域において、ビオチン結合剤又はビオチン官能基を含む連結試薬を反応させる前に実施される、実施形態161に記載の方法。
163.中間反応性合成表面の少なくとも第1の領域で第2の複数の表面遮断分子を反応性部分の第2のサブセットと反応させることをさらに含む、実施形態162に記載の方法。
164.複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基の反応及び少なくとも第1の複数の表面遮断分子の反応は、反応性部分を含む共有結合調製合成表面の少なくとも第1の領域の複数のサブ領域で実施される、実施形態159~163のいずれか1つに記載の方法。
165.アジ化物反応性部分を含む少なくとも第1の表面調製試薬を、反応性合成表面の少なくとも第1の領域に配置された表面露出部分と反応させることを含む、中間反応性合成表面を調製することをさらに含む、実施形態154~164のいずれか1つに記載の方法。
166.反応性合成表面の第2の領域に配置された表面露出部分の第2の部分を複数の表面遮断分子と反応させることをさらに含む、実施形態165に記載の方法。
167.反応性合成表面の少なくとも第1の領域の表面露出部分及び反応性合成表面の第2の領域の表面露出部分は、同一表面露出部分でない、実施形態165又は166に記載の方法。
168.反応性合成表面の第2の部分は、複数の一次活性化及び共活性化分子と実質的に反応しないように構成された表面曝露部分を含む、実施形態166又は167に記載の方法。
169.反応性合成表面の第2の部分の表面露出部分を複数の表面遮断分子と反応させることは、合成表面の第1の部分の表面曝露部分を少なくとも第1の表面調製試薬と反応させて、表面の第1の部分に共有結合調製表面を提供する前に実施される、実施形態166~168のいずれか1つに記載の方法。
170.表面露出部分は、求核部分である、実施形態165~169のいずれか1つに記載の方法。
171.表面露出部分は、置換可能な部分である、実施形態165~170のいずれか1つに記載の方法。
172.共有結合官能化合成表面上の複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約6×10~約5×10分子である、実施形態154~171のいずれか1つに記載の方法。
173.共有結合官能化合成表面上の複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約5×10分子~約1×10分子である、実施形態154~171のいずれか1つに記載の方法。
174.共有結合官能化合成表面上の複数のビオチン結合剤又はビオチン官能基の分布は、それが付着する各領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約3×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子である、実施形態154~171のいずれか1つに記載の方法。
175.表面は、金属、ガラス、セラミック、ポリマー又は金属酸化物である、実施形態154~174のいずれか1つに記載の方法。
176.表面は、ビーズの表面、任意の構成のウエハの表面、管の内表面又はマイクロ流体装置の少なくとも1つの内表面である、実施形態154-175のいずれか1つに記載の方法。
177.ビーズは、等容積又は等直径の球体の表面積の10%以内の表面積を有する、実施形態176に記載の方法。
178.管は、ガラス管又はポリマー管である、実施形態176に記載の方法。
179.連結試薬は、ビオチン結合剤を含む、実施形態154又は156~178のいずれか1つに記載の方法。
180.T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子を、一次活性化分子に結合するようにそれぞれ構成された共有結合官能化表面に配置された第1の複数の結合部分と反応させることと、TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子を、共活性化分子に結合するように構成された共有結合官能化表面の第2の複数の結合部分と反応させ、それにより、抗原提示表面上において、複数の特異的に結合した一次活性化分子リガンド及び複数の特異的に結合した共活性化分子リガンドを提供することと
を含む、Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面を調製することをさらに含む、実施形態154~179のいずれか1つに記載の方法。
181.Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面を調製する方法であって、
T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子を、一次活性化分子に結合するようにそれぞれ構成された共有結合官能化表面に配置された第1の複数の結合部分と反応させることと、
TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子を、共活性化分子に結合するように構成された共有結合官能化表面の第2の複数の結合部分と反応させ、それにより、抗原提示表面上において、複数の特異的に結合した一次活性化分子リガンド及び複数の特異的に結合した共活性化分子リガンドを提供することと
を含む方法。
182.複数の共活性化分子リガンドは、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含む、実施形態181に記載の方法。
183.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約100:1~約1:100である、実施形態181又は182に記載の方法。
184.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約10:1~約1:10である、実施形態181~183のいずれか1つに記載の方法。
185.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、100:1~90:1、90:1~80:1、80:1~70:1、70:1~60:1、60:1~50:1、50:1~40:1、40:1~30:1、30:1~20:1、20:1~10:1、10:1~1:1、3:1~1:3;1:1~1:10、1:10~1:20、1:20~1:30、1:30~1:40、1:40~1:50、1:50~1:60、1:60~1:70、1:70~1:80、1:80~1:90又は1:90~1:100であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態181~184のいずれか1つに記載の方法。
186.TCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約20:1~約1:20又は約3:1~約1:3である、実施形態181~185のいずれか1つに記載の方法。
187.複数の表面遮断分子を共有結合官能化表面の第3の複数の結合部分と反応させることをさらに含み、第3の複数の結合部分のそれぞれは、表面遮断分子に結合するように構成される、実施形態181~186のいずれか1つに記載の方法。
188.MHC分子は、タンパク質配列及びβミクログロブリンを含む、実施形態181~187のいずれか1つに記載の方法。
189.複数の一次活性化分子のそれぞれは、腫瘍特異的抗原をさらに含むMHC分子を含む、実施形態181~188のいずれか1つに記載の方法。
190.腫瘍特異的抗原は、SLC45A2、TCL1、VCX3A、MART1又はNYESO1である、実施形態189に記載の方法。
191.複数の接着刺激性分子リガンドを共有結合官能化表面の第4の複数の結合部分と反応させることをさらに含み、それぞれの接着刺激性分子リガンドは、ICAMタンパク質配列を含む細胞接着受容体に対するリガンドを含み、第4の複数の結合部分のそれぞれは、細胞接着受容体リガンド分子に結合するように構成される、実施形態181~190のいずれか1つに記載の方法。
192.共有結合官能化表面の第1の複数の結合部分のそれぞれは、ビオチン結合剤又はビオチン部分を含む、実施形態181~191のいずれか1つに記載の方法。
193.第1の複数の結合部分及び第2の複数の結合部分は、同一結合部分を含む、実施形態181~192のいずれか1つに記載の方法。
194.第2の複数の結合部分と、表面遮断分子に結合するように構成された第3の複数の結合部分とは、同一結合部分を含む、実施形態181~193のいずれか1つに記載の方法。
195.中間反応性表面の反応性部分の少なくとも第1のサブセットを、結合部分をそれぞれ含む第1の連結試薬と反応させることにより、第1の複数の結合部分を含む共有結合官能化表面を生成することをさらに含む、実施形態181~194のいずれか1つに記載の方法。
196.結合部分は、ビオチン結合剤である、実施形態195に記載の方法。
197.第2の複数の結合部分は、少なくとも第1の複数の結合部分の第2のサブセットである、実施形態193~196のいずれか1つに記載の方法。
198.共有結合官能化合成表面の第2の複数の結合部分は、中間反応性表面の反応性部分の第2のサブセットである、実施形態195~197のいずれか1つに記載の方法。
199.表面遮断分子に結合するように構成された第3の複数の結合部分は、少なくとも第1の複数の結合部分の第3のサブセットである、実施形態187~198のいずれか1つに記載の方法。
200.表面遮断分子に結合するように構成された第3の複数の結合部分は、中間反応性ビーズの反応性部分のさらなるサブセットである、実施形態195~198のいずれか1つに記載の方法。
201.共有結合官能化表面は、金属、ガラス、セラミック、ポリマー、金属酸化物又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態181~200のいずれか1つに記載の方法。
202.MHC分子は、MHCタンパク質配列及びβミクログロブリンを含む、実施形態181~201のいずれか1つに記載の方法。
203.MHC分子は、MHCタンパク質配列のC末端接続を介して共有結合修飾表面に接続する、実施形態202に記載の方法。
204.MHC分子は、抗原特異的ペプチド配列をさらに含む、実施形態181~203のいずれか1つに記載の方法。
205.抗原提示表面上の複数の一次活性化分子リガンドの密度は、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子である、実施形態181~204のいずれか1つに記載の方法。
206.抗原提示表面上の複数の一次活性化分子リガンドの密度は、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約2×10~約5×10分子である、実施形態181~204のいずれか1つに記載の方法。
207.抗原提示表面上の複数の一次活性化分子リガンドの密度は、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子である、実施形態181~204のいずれか1つに記載の方法。
208.TCR共活性化分子は、CD28結合タンパク質又はその断片を含む、実施形態181~207のいずれか1つに記載の方法。
209.CD28結合タンパク質又はその断片は、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態209に記載の方法。
210.TCR共活性化分子は、CD80分子又はCD28との結合活性を保持するその断片を含む、実施形態181~209のいずれか1つに記載の方法。
211.TCR共活性化分子は、抗CD28抗体又はその断片を含む、実施形態181~209のいずれか1つに記載の方法。
212.補助TCR活性化分子は、CD2結合タンパク質を含む、実施形態181~211のいずれか1つに記載の方法。
213.CD2結合タンパク質又はその断片は、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態212に記載の方法。
214.補助TCR活性化分子は、CD58分子又はCD2との結合活性を保持するその断片を含む、実施形態181~213のいずれか1つに記載の方法。
215.補助TCR活性化分子は、抗CD2抗体又はその断片を含む、実施形態181~214のいずれか1つに記載の方法。
216.抗原提示表面上の一次活性化分子リガンドと共活性化分子リガンドとの比率は、約1:10~約2:1、約1:5~約2:1、約1:2~約2:1、約1:10~約1:1、約1:5~約1:1、約1:1~約2:1又は約1:2~約1:1である、実施形態181~215のいずれか1つに記載の方法。
217.抗原提示表面上の一次活性化分子リガンドと共活性化分子リガンドとの比率は、約1:1である、実施形態181~216のいずれか1つに記載の方法。
218.実施形態1~96のいずれか1つに記載の抗原提示表面を生成する、実施形態181~217のいずれか1つに記載の方法。
219.共有結合官能化表面は、ビーズの表面である、実施形態181~218のいずれか1つに記載の方法。
220.抗原提示表面は、抗原提示ビーズである、実施形態181~218のいずれか1つに記載の方法。
221.ビーズは、等体積又は等直径の球体の表面積の10%以内の表面積を有する、実施形態219~220のいずれか1つに記載の方法。
222.ビーズは、ガラスを含む、実施形態219~221のいずれか1つに記載の方法。
223.ビーズは、ポリマーを含む、実施形態219~222のいずれか1つに記載の方法。
224.ビーズは、磁性材料を含む、実施形態219~223のいずれか1つに記載の方法。
225.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約3:1~約1:3である、実施形態181~224のいずれか1つに記載の方法。
226.複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約4×10~約3×10分子の密度で抗原提示ビーズの表面の上に配置される、実施形態181~225のいずれか1つに記載の方法。
227.抗原提示ビーズ上の複数の一次活性化分子リガンドの分布は、1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子である、実施形態181~226のいずれか1つに記載の方法。
228.複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約2×10~約3×10分子の密度で抗原提示ビーズの表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態181~226のいずれか1つに記載の方法。
229.複数の一次活性化分子リガンドは、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子の密度で抗原提示ビーズの表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態181~226のいずれか1つに記載の方法。
230.複数の共活性化分子リガンドの分布は、抗原提示ビーズ上で1平方ミクロン当たり約2×10~約1×10分子である、実施形態219~229のいずれか1つに記載の方法。
231.抗原提示ビーズ上の複数の共活性化分子リガンドの分布は、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.5×10分子である、実施形態219~230のいずれか1つに記載の方法。
232.共有結合官能化表面は、マイクロ流体装置の内表面である、実施形態181~218又は225~231のいずれか1つに記載の方法。
233.抗原提示表面は、マイクロ流体装置の抗原提示内表面である、実施形態181~218又は225~229又は232のいずれか1つに記載の方法。
234.抗原提示内表面を含むマイクロ流体装置は、実施形態61~96のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置である、実施形態233に記載の方法。
235.共有結合官能化表面は、ウエハの表面である、実施形態181~218又は224~229のいずれか1つに記載の方法。
236.抗原提示表面は、抗原提示ウエハである、実施形態181~218又は224~229又は235のいずれか1つに記載の方法。
237.共有結合官能化表面は、管の内表面である、実施形態181~218又は224~2231のいずれか1つに記載の方法。
238.抗原提示表面は、管の抗原提示内表面である、実施形態181~218又は224~229又は237のいずれか1つに記載の方法。
239.管は、(i)ガラス管、又は(ii)ポリマー管である、実施形態237又は238のいずれか1つに記載の方法。
240.複数の共活性化分子を第2の複数の結合部分と反応させる前に複数の一次活性化分子を第1の複数の結合部分と反応させる、実施形態181~239のいずれか1つに記載の方法。
241.合成反応性表面の少なくとも第1の部分に配置される少なくとも第1の複数の表面露出部分を、反応性部分を含む複数の中間調製物分子と反応させ、それにより、複数の反応性部分を含む中間反応性表面を生成することを含む、中間反応性表面を生成することをさらに含む、実施形態154~240のいずれか1つに記載の方法。
242.中間反応性表面を生成することは、合成反応性表面の少なくとも第1の部分に配置される少なくとも第2の複数の表面露出部分を複数の表面遮断分子と反応させることをさらに含む、実施形態241に記載の方法。
243.合成反応性表面の第2の部分に配置される第2の複数の表面露出部分を複数の表面遮断分子と反応させ、それにより、中間反応性表面の第2の部分に複数の表面遮断分子リガンドを提供することをさらに含む、実施形態241又は242に記載の方法。
244.各表面遮断分子リガンドは、MHC分子を含む一次活性化分子リガンドを除外するように構成される、実施形態243に記載の方法。
245.表面露出部分は、求核部分である、実施形態241~244のいずれか1つに記載の方法。
246.表面露出部分は、置換可能な部分である、実施形態241~244のいずれか1つに記載の方法。
247.合成反応性表面の少なくとも第1の部分の表面露出部分及び合成反応性表面の第2の部分の表面露出部分は、同一表面露出部分でない、実施形態241~246のいずれか1つに記載の方法。
248.複数の一次活性化分子を反応させること及び複数の共活性化分子を反応させることは、共有結合官能化表面の少なくとも第1の部分の複数のサブ領域で実施され、各サブ領域は、それぞれの第1の結合部分及び第2の結合部分を含む、実施形態241~247のいずれか1つに記載の方法。
249.結合部分を含む共有結合官能化表面の少なくとも第1の部分の複数のサブ領域で複数の表面遮断分子を反応させることをさらに含む、実施形態248に記載の方法。
250.共有結合官能化表面の少なくとも第1の部分の複数のサブ領域で複数の表面遮断分子を反応させることは、複数の一次活性化分子を反応させる前に実施され、複数の共活性化分子を反応させることは、複数のサブ領域で実施される、実施形態249に記載の方法。
251.共有結合官能化表面の少なくとも第1の部分の複数のサブ領域で複数の表面遮断分子を反応させることは、複数の一次活性化分子を反応させた後に実施され、複数の共活性化分子を反応させることは、複数のサブ領域で実施される、実施形態248に記載の方法。
252.共有結合官能化表面の複数の第1のサブ領域のそれぞれは、共有結合官能化表面の第2の部分により、複数の第1のサブ領域の別のものから隔てられる、実施形態241~250のいずれか1つに記載の方法。
253.複数の表面遮断分子を、共有結合官能化表面の第2の部分に位置するそれぞれの複数の結合部分と反応させることをさらに含む、実施形態252に記載の方法。
254.中間反応性表面の第2の部分は、複数の一次活性化及び共活性化分子と実質的に反応しないように構成された表面曝露部分を含む、実施形態252に記載の方法。
255.合成反応性表面の第2の部分の表面露出部分を複数の表面遮断分子と反応させることは、合成反応性表面の第1の部分の表面曝露部分を1つ又は複数の表面調製試薬と反応させ、それにより、中間反応性表面を提供する前に実施される、実施形態253又は254に記載の方法。
256.複数の共活性化分子を反応させることは、MHC分子を含む第1の複数の分子を反応させた後に実施される、実施形態181~255のいずれか1つに記載の方法。
257.MHC分子は、MHCタンパク質配列のC末端接続を介して抗原提示表面に接続する、実施形態227~256のいずれか1つに記載の方法。
258.抗原提示表面上の複数の一次活性化分子リガンドの分布は、共活性化分子リガンドが存在する抗原提示表面の各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子である、実施形態181~257のいずれか1つに記載の方法。
259.抗原提示表面上の複数の一次活性化分子リガンドの分布は、共活性化分子リガンドが存在する抗原提示表面の各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約2×10~約5×10分子である、実施形態181~258のいずれか1つに記載の方法。
260.抗原提示ウエハ上の複数の一次活性化分子リガンドの分布は、共活性化分子リガンドが存在する抗原提示表面の各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子である、実施形態181~258のいずれか1つに記載の方法。
261.抗原提示表面上の複数の共活性化分子リガンドの分布は、共活性化分子リガンドが存在する抗原提示表面の各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約2×10~約1×10分子である、実施形態181~260のいずれか1つに記載の方法。
262.複数の共活性化分子リガンドの分布は、抗原提示表面上において、共活性化分子リガンドが存在する抗原提示表面の各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約1×10~約5×10分子である、実施形態181~260のいずれか1つに記載の方法。
263.抗原提示表面上の複数の共活性化分子リガンドの分布は、共活性化分子リガンドが存在する抗原提示表面の各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10分子又は1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.5×10分子である、実施形態181~260のいずれか1つに記載の方法。
264.ビオチン結合剤は、ストレプトアビジンである、実施形態154~263のいずれか1つに記載の方法。
265.Tリンパ球(T細胞)を活性化する方法であって、複数のT細胞を、T細胞のT細胞受容体に結合するように構成された主要組織適合性(MHC)クラスI分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む抗原提示合成表面と接触させることと、抗原提示合成表面と接触させて複数のT細胞を培養し、それにより、複数のT細胞の少なくとも一部を活性化T細胞に変換することとを含む方法。
266.Tリンパ球(T細胞)を活性化する方法であって、複数のT細胞を、実施形態1~96のいずれか1つに記載の抗原提示合成表面と接触させることと、抗原提示合成表面と接触させて複数のT細胞を培養し、それにより、複数のT細胞の少なくとも一部を活性化T細胞に変換することとを含む方法。
267.T細胞は、CD8+T細胞を含む、実施形態265又は266に記載の方法。
268.複数の共活性化分子リガンドは、TCR共活性化分子及び補助TCR活性化分子を含む、実施形態265~267のいずれか1つに記載の方法。
269.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約100:1~約1:100である、実施形態265~268のいずれか1つに記載の方法。
270.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、100:1~90:1、90:1~80:1、80:1~70:1、70:1~60:1、60:1~50:1、50:1~40:1、40:1~30:1、30:1~20:1、20:1~10:1、10:1~1:1、3:1~1:3;1:1~1:10、1:10~1:20、1:20~1:30、1:30~1:40、1:40~1:50、1:50~1:60、1:60~1:70、1:70~1:80、1:80~1:90又は1:90~1:100であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態265~269のいずれか1つに記載の方法。
271.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約20:1~約1:20又は約3:1~約1:3である、実施形態265~270のいずれか1つに記載の方法。
272.複数のMHC分子は、MHCタンパク質配列及びβミクログロブリンをそれぞれ含む、実施形態265~271のいずれか1つに記載の方法。
273.MHC分子のタンパク質配列は、タンパク質配列のC末端接続を介して抗原提示合成表面に接続する、実施形態272に記載の方法。
274.MHC分子は、ビオチン部分を含み、ビオチン結合剤との非共有結合相互作用を介して抗原提示合成表面に付着する、実施形態265~273のいずれか1つに記載の方法。
275.ビオチン結合剤それ自体は、抗原提示合成表面に共有結合される、実施形態274に記載の方法。
276.ビオチン結合剤は、一連の約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介して表面に結合する、実施形態275に記載の方法。
277.ビオチン結合剤は、抗原提示合成表面に非共有結合される、実施形態274に記載の方法。
278.ビオチン結合剤は、ビオチンに非共有結合され、ビオチンは、抗原提示合成表面に共有結合される、実施形態274に記載の方法。
279.ビオチンは、一連の2、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200結合長又はそれらの間の任意の数の結合長を介してリンカーによって表面に連結される、実施形態278に記載の方法。
280.ビオチン結合剤は、ストレプトアビジンである、実施形態274~279のいずれか1つに記載の方法。
281.MHC分子は、抗原分子をさらに含む、実施形態265~280のいずれか1つに記載の方法。
282.抗原分子は、SLC45A2、TCL1、VCX3A、MART1又はNYESO1である、実施形態281に記載の方法。
283.複数の共活性化分子リガンドのそれぞれは、抗原提示合成表面に接続する、実施形態265~282のいずれか1つに記載の方法。
284.T細胞受容体(TCR)共活性化分子は、CD28結合タンパク質又はCD28との結合能力を保持するその断片を含む、実施形態265~283のいずれか1つに記載の方法。
285.CD28結合タンパク質又はその断片は、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態284に記載の方法。
286.T細胞受容体(TCR)共活性化分子は、CD80分子又はCD28との結合活性を保持するその断片を含む、実施形態265~285のいずれか1つに記載の方法。
287.T細胞受容体(TCR)共活性化分子は、抗CD28抗体又はその断片を含む、実施形態265~286のいずれか1つに記載の方法。
288.補助TCR活性化分子は、CD2結合タンパク質を含む、実施形態265~287のいずれか1つに記載の方法。
289.CD2結合タンパク質又はその断片は、部位特異的C末端ビオチン部分をさらに含む、実施形態288に記載の方法。
290.補助TCR活性化分子は、CD58分子又はCD2との結合活性を保持するその断片を含む、実施形態265~289のいずれか1つに記載の方法。
291.補助TCR活性化分子は、抗CD2抗体又はその断片を含む、実施形態265~290のいずれか1つに記載の方法。
292.複数の一次活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約4×10~約2×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも1つの領域上に存在する、実施形態265~291のいずれか1つに記載の方法。
293.複数の共活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で抗原提示合成表面上の1平方ミクロン当たり約2×10~約1×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態265~292のいずれか1つに記載の方法。
294.複数の一次活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約3×10分子の密度で抗原提示合成表面の表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態265~292のいずれか1つに記載の方法。
295.複数の共活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子又は1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子の密度で抗原提示合成表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態265~292又は294のいずれか1つに記載の方法。
296.複数の一次活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10、約2×10~約5×10、約1×10~約2×10又は約1.25×10~約1.75×10分子の密度で抗原提示表面の少なくとも1つの領域上に存在する、実施形態265~295のいずれか1つに記載の方法。
297.複数の共活性化分子リガンドは、それが付着する各部分又はサブ領域で1平方ミクロン当たり約5×10~約2×10分子、1平方ミクロン当たり約5×10~約1.5×10分子、1平方ミクロン当たり約1×10~約2×10、1平方ミクロン当たり約1×10~約1.5×10、1平方ミクロン当たり約1.25×10~約1.75×10又は約1.25×10~約1.5×10の密度で抗原提示表面の少なくとも一部上に配置される、実施形態265~296のいずれか1つに記載の方法。
298.共有結合修飾表面上の一次活性化分子リガンドと共活性化分子リガンドとの比率は、約1:10~約2:1、約1:5~約2:1、約1:2~約2:1、約1:10~約1:1、約1:5~約1:1、約1:1~約2:1又は約1:2~約1:1である、実施形態265~297のいずれか1つに記載の方法。
299.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約3:1~約1:3である、実施形態265~298のいずれか1つに記載の方法。
300.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約2:1~約1:2である、実施形態265~299のいずれか1つに記載の方法。
301.複数の共活性化分子リガンドのTCR共活性化分子と補助TCR活性化分子との比率は、約1:1である、実施形態265~300のいずれか1つに記載の方法。
302.複数のT細胞を、ICAM分子を含む複数の接着刺激分子リガンドと接触させることをさらに含み、複数の接着刺激分子リガンドのそれぞれは、抗原提示合成表面に付着する、実施形態265~301のいずれか1つに記載の方法。
303.複数の接着刺激分子リガンドは、抗原提示合成表面に共有結合される、実施形態302に記載の方法。
304.抗原提示合成表面は、複数の表面遮断分子リガンドをさらに含む、実施形態265~303のいずれか1つに記載の方法。
305.複数の表面遮断分子リガンドは、一次活性化分子リガンドの密度及び/又は共活性化分子リガンドの密度を制限する、実施形態304に記載の方法。
306.複数の表面遮断分子リガンドは、共有結合修飾合成表面の選択された領域から複数の一次活性化分子リガンドを実質的に除外する、実施形態304又は305に記載の方法。
307.複数の一次活性化分子リガンドを実質的に除外するように構成された抗原提示合成表面の選択された領域は、マイクロ流体装置のマイクロ流体チャネルを含む、実施形態306に記載の方法。
308.複数の一次活性化分子リガンドは、抗原提示合成表面の第1の部分の複数のサブ領域に配置され、複数の表面遮断分子リガンドは、第2の領域に配置され、さらに、抗原提示合成表面の第1の部分の複数のサブ領域のそれぞれは、抗原提示合成表面の第2の領域によって第1の部分の複数のサブ領域の他のものから隔てられる、実施形態306に記載の方法。
309.抗原提示合成表面の第1の部分の複数のサブ領域は、第2の複数の表面遮断分子リガンドをさらに含む、実施形態308に記載の方法。
310.複数の共活性化分子リガンドは、抗原提示合成表面の第1の部分の複数のサブ領域に配置される、実施形態308又は309に記載の方法。
311.複数のT細胞を複数の成長刺激性分子リガンドに接触させることをさらに含む、実施形態265~310のいずれか1つに記載の方法。
312.成長刺激性分子リガンドのそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含む、実施形態311に記載の方法。
313.成長因子受容体リガンドは、IL-21又はその断片を含む、実施形態312に記載の方法。
314.複数の成長刺激性分子リガンドと接触させることは、少なくとも1日間の第1の培養期間後に実施される、実施形態265~313のいずれか1つに記載の方法。
315.成長因子受容体リガンドは、抗原提示合成表面に接続する、実施形態311~314のいずれか1つに記載の方法。
316.複数の成長因子受容体リガンドは、複数の一次活性化分子リガンドを含む抗原提示合成表面と異なる表面である抗原提示合成表面に接続する、実施形態311~315のいずれか1つに記載の方法。
317.抗原提示合成表面は、実施形態181~264のいずれか1つに記載の生成物である、実施形態265~316のいずれか1つに記載の方法。
318.抗原提示合成表面と接触させて培養することは、約4日間~約7日間の期間にわたって実施される、実施形態265~317のいずれか1つに記載の方法。
319.抗原提示合成表面は、ビーズであり、抗原提示ビーズと細胞との比率は、約1:1である、実施形態265~318のいずれか1つに記載の方法。
320.抗原提示合成表面は、ビーズであり、抗原提示ビーズと細胞との比率は、培養開始時に約1:1である、実施形態265~319のいずれか1つに記載の方法。
321.第1の抗原提示合成表面である抗原提示合成表面と接触させての活性化の第1の期間を完了させることと、複数の活性化T細胞を、MHC分子をそれぞれ含む複数の一次活性化分子リガンド及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む第2の抗原提示合成表面と接触させることと、複数の活性化T細胞を第2の培養期間中に第2の抗原提示合成表面と接触させて培養し、それにより、増殖された複数の活性化T細胞を提供することとをさらに含む、実施形態265~320のいずれか1つに記載の方法。
322.第2の抗原提示合成表面は、抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、又は実施形態1~96のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置、又は実施形態181~264のいずれか1つに記載の生成物である、実施形態321に記載の方法。
323.第1の抗原提示合成表面が第1の複数の抗原提示ビーズを含む場合、複数の活性化T細胞を第2の抗原提示合成表面と接触させることは、第2の複数の抗原提示ビーズを複数の活性化T細胞に導入することを含む、実施形態321又は322に記載の方法。
324.第2の複数の抗原提示ビーズを複数の活性化T細胞に1:1の比率で添加することをさらに含む、実施形態323に記載の方法。
325.第1の抗原提示合成表面が抗原提示ウエハ又は抗原提示マイクロ流体装置を含む場合、複数の活性化T細胞を第2の抗原提示合成表面に接触させることは、複数の抗原提示ビーズを複数の活性化T細胞に導入することを含む、実施形態323又は324に記載の方法。
326.第2の複数の成長刺激性分子リガンドを第2の培養期間中に添加することをさらに含む、実施形態321~325のいずれか1つに記載の方法。
327.第2の複数の成長刺激性分子リガンドは、抗原提示ビーズと異なるビーズであるビーズの表面に接続する、実施形態326に記載の方法。
328.複数のIL-2分子及び複数のIL-7分子は、第2の培養期間の残りの間に添加されて、活性化T細胞と接触される、実施形態321~327のいずれか1つに記載の方法。
329.第2の抗原提示合成表面と接触させて培養することは、約4日間~約7日間の期間にわたって実施される、実施形態321~328のいずれか1つに記載の方法。
330.第2の抗原提示合成表面と接触させる第2の活性化期間を完了させることと、増殖した複数の活性化T細胞を、複数の一次活性化分子リガンド及びT細胞受容体(TCR)共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンドを含む第3の抗原提示合成表面と接触させることと、増殖した複数の活性化T細胞を第3の培養期間中に第3の抗原提示合成表面と接触させて培養し、それにより、複数の高度に活性化されたT細胞を提供することとをさらに含む、実施形態321~329のいずれか1つに記載の方法。
331.第3の抗原提示合成表面は、抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、又は実施形態1~96のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置、又は実施形態181~264のいずれか1つに記載の生成物である、実施形態330に記載の方法。
332.第3の複数の成長刺激性分子リガンドを第3の培養期間中に添加することをさらに含む、実施形態330又は331に記載の方法。
333.第3の複数の成長刺激性分子リガンドは、第3の抗原提示ビーズと異なるビーズであるビーズの表面に接続する、実施形態332に記載の方法。
334.複数のIL-2分子及び複数のIL-7分子は、第3の培養期間の残りの間に添加されて、活性化T細胞と接触される、実施形態330~333のいずれか1つに記載の方法。
335.第3の抗原提示合成表面と接触させて培養することは、約4日間~約7日間の期間にわたって実施される、実施形態330~334のいずれか1つに記載の方法。
336.活性化T細胞は、CD45RO+である、実施形態265~335のいずれか1つに記載の方法。
337.活性化T細胞は、CD28陽性である、実施形態265~336のいずれか1つに記載の方法。
338.Tリンパ球(T細胞)を活性化するためのキットであって、実施形態1~96のいずれか1つに記載の抗原提示合成表面を含むキット。
339.抗原提示合成表面は、抗原提示ビーズ、抗原提示ウエハ、抗原提示管又は抗原提示マイクロ流体装置である、実施形態338に記載のキット。
340.複数の成長刺激性分子リガンドを含む複数の共有結合修飾ビーズをさらに含み、成長刺激性分子リガンドのそれぞれは、成長因子受容体リガンドを含む、実施形態338又は339に記載のキット。
341.成長因子受容体リガンドは、サイトカイン又はその断片を含む、実施形態340に記載のキット。
342.サイトカインは、IL-21又はその断片を含む、実施形態341に記載のキット。
343.1つ又は複数の追加的成長刺激性分子をさらに含む、実施形態340~342のいずれか1つに記載のキット。
344.追加的な成長刺激性分子は、IL2及び/又はIL7又はその断片を含む、実施形態343に記載のキット。
345.第2以上の成長刺激性分子は、共有結合修飾ビーズに付着する、実施形態344に記載のキット。
346.抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施する方法であって、
マイクロ流体装置の隔離ペンに1つ又は複数の標的細胞を負荷することと、
1つ又は複数のT細胞が1つ又は複数の標的細胞に接触し得るように、1つ又は複数のT細胞を隔離ペンに負荷することと、
標的細胞を、アポトーシス細胞を標識する検出可能なマーカーと接触させることと、
標的細胞がアポトーシスになるかどうかを検出することと
を含む方法。
347.マイクロ流体装置は、マイクロ流体チャネルをさらに含み、隔離ペンは、マイクロ流体チャネルに開口する開口部を含み、隔離ペンは、マイクロ流体チャネルに流体的に接続する、実施形態346に記載の方法。
348.マイクロ流体装置は、第1の流体媒体の流れを含有するための流動領域をさらに含み、隔離ペンは、第2の流体媒体を含有するための単離領域を含み、単離領域は、単一の開口部を有し、隔離ペンの単離領域は、マイクロ流体装置の非掃引領域であり、接続領域は、単離領域と流動領域とを流体的に接続し、任意選択的に、流動領域は、マイクロ流体チャネルである、実施形態346に記載の方法。
349.複数の標的細胞は、隔離ペンに負荷される、実施形態346~348のいずれか1つに記載の方法。
350.単一の標的細胞は、隔離ペンに負荷される、実施形態346~348のいずれか1つに記載の方法。
351.単一のT細胞は、隔離ペンに負荷される、実施形態346~350のいずれか1つに記載の方法。
352.複数のT細胞は、隔離ペンに負荷される、実施形態346~350のいずれか1つに記載の方法。
353.標的細胞及び/又はT細胞を隔離ペンに負荷することは、標的細胞及び/又はT細胞をマイクロ流体チャネルに流すことと、
重力が標的細胞及び/又はT細胞を隔離ペンに引き込むことができるようにマイクロ流体装置を傾けることと
を含む、実施形態346~352のいずれか1つに記載の方法。
354.マイクロ流体装置は、DEP構成を含み、DEP力を用いて、標的細胞及び/又はT細胞は、隔離ペンに負荷される、実施形態346~353のいずれか1つに記載の方法。
355.DEP力は、構造化された光によって活性化される、実施形態354に記載の方法。
356.検出可能なマーカーは、マイクロ流体チャネルを通して流れる溶液中に提供され、そこで、検出可能なマーカーは、マイクロ流体チャネルから隔離ペン内に拡散し且つ標的細胞と接触し得る、実施形態346~355のいずれか1つに記載の方法。
357.検出可能なマーカーは、酵素基質である、実施形態346~356のいずれか1つに記載の方法。
358.検出可能なマーカーは、カスパーゼ3基質である、実施形態346~357のいずれか1つに記載の方法。
359.検出可能なマーカーは、アポトーシス細胞及び/又はアポトーシス小体に特異的に結合する標識抗体である、実施形態346~356のいずれか1つに記載の方法。
360.標的細胞がアポトーシスになるかどうかを検出することは、定期的に実施される、実施形態346~359のいずれか1つに記載の方法。
361.標的細胞がアポトーシスになるかどうかを検出することは、標的細胞と検出可能なマーカーとの接触の2時間以上後に実施される、実施形態346~360のいずれか1つに記載の方法。
362.標的細胞は、がん細胞である、実施形態346~361のいずれか1つに記載の方法。
363.標的細胞は、がん関連又はがん特異的抗原を発現する細胞株由来の細胞である、実施形態346~362のいずれか1つに記載の方法。
364.標的細胞は、黒色腫、乳がん又は肺がんに関連する抗原を発現する、実施形態346~363のいずれか1つに記載の方法。
365.T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する、実施形態346~364のいずれか1つに記載の方法。
366.T細胞は、キメラ抗原受容体を発現しない、実施形態346~365のいずれか1つに記載の方法。
367.抗原特異的細胞傷害性アッセイを実施するためのキットであって、
マイクロ流体装置、及び
アポトーシス細胞を検出するための試薬
を含むキット。
368.マイクロ流体装置は、実施形態61~96のいずれか1つに記載の抗原提示マイクロ流体装置である、実施形態367に記載のキット。
369.アポトーシス細胞を検出するための試薬は、酵素基質である、実施形態367又は368に記載のキット。
370.酵素基質は、カスパーゼ3基質である、実施形態369に記載のキット。
371.アポトーシス細胞を検出するための試薬は、アポトーシス細胞及び/又はアポトーシス小体に特異的に結合する標識抗体である、実施形態367又は368に記載のキット。
372.表面は、マイクロ流体装置の内表面であり、内表面の少なくとも一部は、マイクロ流体装置の隔離ペン内にある、先行する実施形態のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
373.マイクロ流体装置は、第1の流体媒体の流れを含有するための流動領域をさらに含み、隔離ペンは、第2の流体媒体を含有するための単離領域を含み、単離領域は、単一の開口部を有し、隔離ペンの単離領域は、マイクロ流体装置の非掃引領域であり、接続領域は、単離領域と流動領域とを流体的に接続し、任意選択的に、マイクロ流体装置は、流動領域の少なくとも一部を含むマイクロ流体チャネルを含む、実施形態372に記載の表面、キット若しくは方法又は実施形態346~371のいずれか1つに記載のキット若しくは方法。
374.マイクロ流体装置は、流動領域の少なくとも一部を含むマイクロ流体チャネルを含み、接続領域は、約20ミクロン~約100ミクロンの範囲の幅Wconを有するマイクロ流体チャネルへの近位開口部と、単離領域への遠位開口部とを含み、近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、接続領域の近位開口部の幅Wconの少なくとも1.0倍である、実施形態373に記載の表面、キット又は方法。
375.近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、接続領域の近位開口部の幅Wconの少なくとも1.5倍である、実施形態373に記載の表面、キット又は方法。
376.近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、接続領域の近位開口部の幅Wconの少なくとも2.0倍である、実施形態373に記載の表面、キット又は方法。
377.接続領域の近位開口部の幅Wconは、約20ミクロン~約60ミクロンの範囲にわたる、実施形態373~376のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
378.近位開口部から遠位開口部への接続領域の長さLconは、約20ミクロン~約500ミクロンである、実施形態373~376のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
379.接続領域の近位開口部におけるマイクロ流体チャネルの幅は、約50ミクロン~約500ミクロンである、実施形態373~378のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
380.接続領域の近位開口部におけるマイクロ流体チャネルの高さは、20ミクロン~100ミクロンである、実施形態373~379のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
381.単離領域の容積は、約2×10~約2×10立方ミクロンの範囲である、実施形態373~380のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
382.接続領域の近位開口部は、流動領域の第1の媒体の流動方向に平行である、実施形態373~381のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
383.マイクロ流体装置は、ベース含む筐体、ベース上に配置されたマイクロ流体回路構造及びマイクロ流体回路を集合的に画定するカバーを含み、マイクロ流体回路は、流動領域、マイクロ流体チャネル及び隔離ペンを含む、実施形態363~382のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
384.マイクロ流体回路は、それを通して第1の媒体が流動領域に投入され得る1つ又は複数の入口と、それを通して第1の媒体が流動領域から除去され得る1つ又は複数の出口とをさらに含む、実施形態383に記載の表面、キット又は方法。
385.カバーは、マイクロ流体回路構造の一体部分である、実施形態383又は384に記載の表面、キット又は方法。
386.マイクロ流体隔離ペンを画定する障壁は、マイクロ流体装置のベースの表面からマイクロ流体装置のカバーの表面まで延びる、実施形態383~385のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
387.カバー及びベースは、微小物体にDEP力を選択的に誘発するための誘電泳動(DEP)機序の一部である、実施形態383~386のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
388.マイクロ流体装置は、第1の電極、電極活性化基板及び第2の電極をさらに含み、第1の電極は、筐体及び電極活性化基板の第1の壁の一部であり、第2の電極は、筐体の第2の壁の一部であり、電極活性化基板は、光伝導材料、半導体集積回路又はフォトトランジスターを含む、実施形態383~387のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
389.マイクロ流体装置の第1の壁は、カバーであり、マイクロ流体装置の第2の壁は、ベースである、実施形態388に記載の表面、キット又は方法。
390.電極活性化基板は、フォトトランジスターを含む、実施形態388又は389に記載の表面、キット又は方法。
391.カバー及び/又はベースは、光に対して透過性である、実施形態383~390のいずれか1つに記載の表面、キット又は方法。
392.実施形態265~337のいずれか1つに記載の方法によって生成される1つ又は複数の活性化T細胞。
393.実施形態265~337のいずれか1つに記載の方法によって生成される、活性化T細胞を含むT細胞集団。
394.活性化T細胞は、CD45RO+である、実施形態392又は393に記載の細胞又は集団。
395.活性化T細胞は、CD28+である、実施形態392~394のいずれか1つに記載の細胞又は集団。
396.活性化T細胞は、CD28highである、実施形態265~337又は392~395のいずれか1つに記載の細胞、集団又は方法。
397.活性化T細胞は、CD127+である、実施形態265~337又は392~396のいずれか1つに記載の細胞、集団又は方法。
398.活性化T細胞は、CD197+である、実施形態265~337又は392~397のいずれか1つに記載の細胞、集団又は方法。
399.活性化T細胞は、CD8+である、実施形態265~337又は392~398のいずれか1つに記載の細胞、集団又は方法。
400.実施形態392~399のいずれか1つに記載の細胞又は集団を含むマイクロ流体装置。
401.実施形態392~399のいずれか1つに記載の細胞又は集団を含む、実施形態61~96のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
402.実施形態392~399のいずれか1つに記載の細胞又は集団を含む医薬組成物。
403.T細胞の集団を生成し、T細胞の集団の少なくとも1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%は、抗原特異的T細胞であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態257~327、362~381又は382~389のいずれか1つに記載の方法。
404.T細胞の1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~11%又は11%~12%は、抗原特異的T細胞であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態403に記載の方法。
405.抗原特異的T細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%又は98%は、CD45RO+/CD28High細胞であり、前述の値のそれぞれは、「約」によって修飾される、実施形態403又は404に記載の方法。
406.がんの治療を必要とする対象を治療する方法であって、対象から複数のTリンパ球(T細胞)を取得することと、複数のT細胞を、複数のT細胞のそれぞれのT細胞受容体に結合するように構成された複数の主要組織適合性複合体(MHC)I分子を含む抗原提示合成表面と接触させることであって、MHC分子は、対象のがんに特異的な抗原を含み、抗原提示合成表面は、実施形態1~96のいずれか1つに記載の抗原提示合成表面であるか又は実施形態181~264のいずれか1つに記載の方法によって生成される、接触させることと、複数の活性化T細胞を生成することであって、活性化は、対象のがんに特異的であるように構成される、生成することと、複数の特異的活性化T細胞を非活性化細胞から分離することと、複数の抗原特異的活性化T細胞を対象に導入することとを含む方法。
407.T細胞は、実施形態365~337のいずれか1つに記載の方法を使用して活性化される、実施形態406に記載の方法。
408.Tリンパ球を共有結合修飾合成表面に接触させる前に、Tリンパ球を含むサンプルを濃縮することをさらに含む、実施形態406又は407に記載の方法。
409.複数の抗原特異的活性化T細胞の分離は、抗原特異的活性化T細胞の複数の表面バイオマーカーを検出することをさらに含む、実施形態406~408のいずれか1つに記載の方法。
410.複数の表面バイオマーカーは、CD45RO+を含む、実施形態409に記載の方法。
411.複数の表面バイオマーカーは、CD28+を含む、実施形態409又は410に記載の方法。
412.複数の表面バイオマーカーは、CD28highを含む、実施形態409~411のいずれか1つに記載の方法。
413.複数の表面バイオマーカーは、CD8を含む、実施形態409~412のいずれか1つに記載の方法。
414.複数の表面バイオマーカーは、CD127を含む、実施形態409~413のいずれか1つに記載の方法。
415.複数の表面バイオマーカーは、CD197を含む、実施形態409~414のいずれか1つに記載の方法。
416.抗原特異的活性化T細胞を急速に増殖させて、増殖した抗原特異的活性化T細胞の集団を提供することをさらに含む、実施形態406~415のいずれか1つに記載の方法。
417.急速な増殖は、特異的活性化T細胞を非活性化T細胞から分離させた後に実施される、実施形態416に記載の方法。
418.対象を治療する方法は、対象におけるがんの進行を遅延又は停止させる、実施形態406~417のいずれか1つに記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図20A
図20B-20E】
図20F
図20G
図20H
図20I
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図21F
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tリンパ球(T細胞)を活性化するための抗原提示表面であって、
a.複数の一次活性化分子リガンドであって、それぞれの一次活性化分子リガンドが、T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合するように構成された主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子を含む、複数の一次活性化分子リガンド、及び
b.TCR共活性化分子又は補助TCR活性化分子をそれぞれ含む複数の共活性化分子リガンド
を含み、前記複数の一次活性化分子リガンド及び前記複数の共活性化分子リガンドのそれぞれが、前記抗原提示表面に特異的に結合される、抗原提示表面。
【外国語明細書】