(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020253
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】フィラメント切断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20240206BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61B17/32
A61B17/94
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023185485
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2022514761の分割
【原出願日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/923,042
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/011,388
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ガルシア、フアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ガンボア、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カルボ、イェイソン
(72)【発明者】
【氏名】カストロ、フリアン フエンテス
(72)【発明者】
【氏名】ペレス、ローサ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スラティ、アン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス サラザール、フアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、ジョン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ワイツナー、バリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】テザートラクションシステム及び処置の一部として、テザー装置のフィラメントを切断するための使用法に関する。
【解決手段】フィラメント切断装置はアウターシース308を含み得る。ブッシングはアウターシースの遠位端に連結され得る。ブッシングの内径はブッシングの遠位先端における刃先であり得る。作動ワイヤ310はアウターシース及びブッシング内で摺動可能に延長可能であり得る。係合体300は作動ワイヤの遠位端に連結され得る。空洞は、空洞内にてフィラメント330の一部を捕捉するように構成された係合体の長さに沿って規定され得る。フィラメントが空洞内で捕捉された状態での作動ワイヤ及び係合体の運動により、刃先にフィラメントを切断させ得る。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターシースと、
前記アウターシースの遠位端に連結されたブッシングであって、そのブッシングの内径が刃先を含む前記ブッシングと、
前記アウターシース及びブッシング内で摺動可能に延長可能にした作動ワイヤと、
前記作動ワイヤの遠位端に連結された係合体とを含み、その係合体は空洞を備え、前記空洞はその内部にてフィラメントの一部を捕捉するように構成された前記係合体の長さに沿って規定されるとともに、
前記フィラメントが前記空洞内にて捕捉された状態での前記作動ワイヤ及び係合体の運動により、前記刃先にフィラメントを切断させるフィラメント切断装置。
【請求項2】
前記空洞の近位部分は角度付きの傾斜面を含むとともに、前記空洞の遠位部分は鉤形を規定する前記空洞の最も奥の湾曲部を含む、請求項1に記載のフィラメント切断装置。
【請求項3】
前記空洞の最も奥の湾曲部は、前記係合体の直径の50%より大きい長さにわたって前記係合体内にて放射方向に延びる、請求項2に記載のフィラメント切断装置。
【請求項4】
前記刃先は前記ブッシングの遠位先端にある、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項5】
前記ブッシングの長さに沿って規定された切断空洞をさらに含み、前記刃先はその切断空洞に沿うものである、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項6】
前記アウターシースは巻かれたコイルを含むとともに、前記アウターシースの遠位先端は前記ブッシングを前記アウターシースに連結する研削された外面を含む、請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項7】
前記アウターシースの近位部分は、前記アウターシースの残りの部分より小さい内径を備えるとともに、前記アウターシースの近位部分は前記アウターシースの残りの部分より小さい外径を備える、請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項8】
前記係合体は前記係合体の長手軸線の周りの第一の空洞と実質的に反対側の第二の空洞をさらに含む、請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項9】
前記係合体は前記ブッシングの内周に実質的に合致する実質的に四角形の外周を含む、請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項10】
アウターシースと、
前記アウターシースの遠位端に連結されたブッシングと、
内部にてフィラメントの一部を捕捉するように構成されるとともに、前記ブッシングの長さに沿って規定された空洞と、
前記アウターシース及び前記ブッシング内で摺動可能に延長可能として作動ワイヤと、
前記作動ワイヤの遠位端に連結された係合体であって、その遠位先端に刃先を有する、前記係合体とを備え、
フィラメントが前記空洞内にて捕捉された状態での前記作動ワイヤ及び前記係合体の運動により、前記刃先に前記フィラメントを切断させるフィラメント切断装置。
【請求項11】
前記刃先は前記係合体の外径である、請求項10に記載のフィラメント切断装置。
【請求項12】
前記係合体の遠位先端は前記係合体の長手軸線から前記刃先まで延びる角度を有する表面を含む、請求項11に記載のフィラメント切断装置。
【請求項13】
前記係合体の遠位方向の移動を防止するように構成された前記ブッシングの遠位端内に配置される接触体をさらに含む、請求項10から請求項12のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項14】
前記接触体は幅を減少しながら近位方向に先細になる先細の近位部分を含む、請求項10から請求項13のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【請求項15】
前記係合体は幅を減少しながら遠位方向に先細になる先細の遠位部分を含む、請求項10から請求項14のうちいずれか一項に記載のフィラメント切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的にはフィラメントを切断するための装置及び処置の分野に関し、具体的にはテザートラクションシステム及び処置の一部として、テザー装置のフィラメントを切断するための使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば組織切開処置においてテザーとして使用されるフィラメントのような、医療処置中の一つ以上のフィラメントへの接近及び切断は、フィラメントへの遠隔アクセス、可視化、蛇行する生体構造、十分な剪断力を確立すること等を理由として、医療従事者によって実施されることが困難であり得る。
【0003】
様々な有利な医療成果が本開示の実施形態によって実現し得る。
【発明の概要】
【0004】
フィラメント切断装置、システム及び方法の様々な実施形態はここで開示される。例えば、内視鏡的粘膜切除術及び/又は内視鏡的粘膜下層剥離術(EMR/ESD)のような医療処置中に組織に牽引力を作用させるために患者の体管腔内に送達及び配置され、処置後、当該フィラメント切断装置でフィラメントを切断することによって回収され得るフィラメントを有するテザー装置を含むシステムにおけるフィラメント切断装置の使用法が説明される。当該システム又は他のシステムにおいて、フィラメント切断装置と共に、単独で、及び/又は組み合わせて使用するための典型的なテザー装置及び/テザー送達装置はまた、ここで説明される。
【0005】
一態様において、フィラメント切断装置はアウターシースを含み得る。ブッシングはアウターシースの遠位端に連結され得る。ブッシングの内径は刃先を含み得る。作動ワイヤはアウターシース及びブッシング内で摺動可能に延長可能であり得る。係合体は作動ワイヤの遠位端に連結され得る。係合体はブッシングの刃先の内径に実質的に合致する直径を有する外面を含み得る。空洞は、空洞内でフィラメントの一部を捕捉するように構成された係合体の長さに沿って規定され得る。空洞内でフィラメントが捕捉された状態での作動ワイヤ及び係合体の運動は、刃先にフィラメントを切断させ得る。
【0006】
様々な説明された、及び他の態様において、空洞の近位部分は角度のある傾斜面を含み得る。空洞の遠位部分は、鉤形を規定している空洞の最も奥の湾曲部を含み得る。空洞の最も奥の湾曲部は係合体の直径の50%より大きい長さを係合体内で放射状に延び得る。刃先はブッシングの遠位先端にあり得る。切断空洞はブッシングの長さに沿って規定されるとともに刃先は切断空洞に沿ってもよい。アウターシースはコイル巻線を備え得るとともにアウターシースの遠位先端は、ブッシングがアウターシースに連結される設置外面を備え得る。アウターシースの近位部分はアウターシースの残りの部分より小さい内径を含み得るとともに、アウターシースの近位部分はアウターシースの残りの部分よりも小さい外径を含み得る。係合体は、係合体の長手軸線に関して第一の空洞と実質的に反対向きの第二の空洞を含み得る。係合体はブッシングの内周に実質的に合致する実質的に四角形の外周を含み得る。
【0007】
一態様において、フィラメント切断装置はアウターシースを含み得る。ブッシングはアウターシースの遠位端に連結され得る。空洞は、ブッシングの長さに沿って規定され得るとともに、空洞内のフィラメントの一部を捕捉するように構成され得る。作動ワイヤはアウターシース及びブッシング内で摺動可能に延長可能であり得る。係合体は作動ワイヤの遠位端に連結され得る。係合体は、係合体の遠位先端に刃先を含み得る。空洞内でフィラメントが捕捉された状態での作動ワイヤ及び係合体の運動は、刃先にフィラメントを切断させ得る。
【0008】
様々な説明された態様及び他の態様では、刃先は係合体の外径であり得る。係合体の遠位先端は係合体の長手軸線から刃先へ延びる角度を有する面を含み得る。接触体は、係合体の遠位方向の移動を防止するように構成されたブッシングの遠位端内に配置され得る。接触体は幅を減少しながら近位方向に先細になる先細の近位部分を含み得る。係合体は、幅をしながら遠位方向に先細になる先細の遠位部分を含み得る。
【0009】
一態様において、フィラメント切断装置はアウターシースを含み得る。ブッシングはアウターシースの遠位端に連結され得る。ブッシングは空洞を含み得る。カッターは空洞を横切って延びるとともに、フィラメントを切断するように構成され得る。空洞はブッシングの長さに沿って規定されるとともに、空洞内でフィラメントの一部を捕捉するように構成され得る。カッターはフィラメント切断装置の長手軸線に実質的に平行に延びるエッジを有する刃であり得る。空洞はブッシングの遠位先端を横切って横方向に規定され得る。カッターはフィラメントを溶融するように構成された活性化可能にしたワイヤであり得る。
【0010】
一態様において、フィラメント切断装置はアウターシースを含み得る。ブッシングはアウターシースの遠位端に連結され得る。ブッシングの内径はブッシングの遠位先端における刃先であり得る。作動ワイヤはアウターシース及びブッシング内で摺動可能に延長可能であり得る。係合体は作動ワイヤの遠位端に連結され得る。係合体はブッシングの刃先の内径に実質的に合致する直径を有する外面を含み得る。空洞は係合体の長さに沿って規定されるとともに空洞内でフィラメントの一部を捕捉するように構成され得る。作動ワイヤ及び係合体の、空洞内でフィラメントを捕捉した状態での運動は、刃先にフィラメントを切断させ得る。フィラメントは、少なくとも部分的に係合体の空洞に配置でき得るため、ブッシング内への係合体の近位方向の運動に応じて、フィラメントはブッシング及び/又は空洞のエッジによって切断可能である。
【0011】
別の態様では、システムは上記及び明細書中の他の場所で説明されたフィラメント切断装置のような、フィラメント切断装置を含み得る。上記システムはテザー装置を含み得る。上記システムはテザー送達装置を含み得る。
【0012】
一態様において、テザー装置は遠位端、近位端、及びそれらの間に延びる伸縮可能にした長尺状本体を有するテザーを含み得る。テザーの近位端は送達カテーテルの遠位端に配置可能にしたクリッピング装置に取り付けられるように構成され得る。テザーの遠位端はネックから延びるループを備えるように構成され得る。ループは、送達カテーテルの遠位端に第二の配置可能にしたクリッピング装置によって係合されるように構成され得る。ループ及びネックは上記及び明細書中の他の場所で説明されるフィラメント切断装置のような、フィラメント切断装置によって切断可能であり得るフィラメントを備え得る。
【0013】
別の態様では、方法はフィラメントに向かってフィラメント切断装置の係合体を延ばすことを含み得る。フィラメントは係合体の空洞内で捕捉され得る。係合体はアウターシース内に回収されることによってフィラメントを切断し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の限定しない実施形態は例として添付の図面を参照して説明されるが、図面は概要であり、縮尺通りに描かれたことを意図するものではない。図面において各々同一に、又は概ね同一に示された構成要素は一般には単一の数字で表される。明瞭さを目的として、全ての構成要素が全ての図において表示されるわけではなく、当業者が本開示を理解するために図解が必ずしも必要でない場合には、各々の実施形態の全ての構成要素が示されるわけではない。図面において、
【
図1】本開示の実施形態に従った、フィラメント切断装置を示す。
【
図2】本開示の実施形態に従った、フィラメント切断装置の作動要素及びインナーシースを示す。
【
図3A】本開示の実施形態に従った、フィラメント切断装置の長手方向の移動を示す。
【
図4A】本開示の実施形態に従った、組み立てられたフィラメント切断装置の近位部分を示す。
【
図5A】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図5B】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図5C】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図5D】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図6】本開示の実施形態に従った、フィラメント切断装置の係合体の空洞の側面を示す。
【
図7】本開示の実施形態に従った、エッジを有するブッシングの断面を示す。
【
図8】本開示の実施形態に従った、フィラメント切断装置のアウターシースを示す。
【
図9】本開示の実施形態に従った、フィラメント切断装置の係合体を示す。
【
図10A】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図10B】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図10C】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図10D】本開示の実施形態に従い、長手方向に移動されてフィラメントに係合し、フィラメントを切断しているフィラメント切断装置の遠位端を示す。
【
図11A】本開示の実施形態に従った、係合体及びブッシングを示す。
【
図11B】本開示の実施形態に従った、係合体及びブッシングを示す。
【
図12】本開示の実施形態に従った、係合体を示す。
【
図13A】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図13B】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図13C】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図13D】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図14】本開示の実施形態に従った、係合体及びブッシングを示す。
【
図15】本開示の実施形態に従った、係合体及びブッシングを示す。
【
図16A】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図16B】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図16C】本開示の実施形態に従った、フィラメントに係合し、フィラメントを切断するためのブッシングに対して様々な位置にある係合体を示す。
【
図17】本開示の実施形態に従った、刃であるカッターを有するブッシングを示す。
【
図18】本開示の実施形態に従った、活性化可能にしたワイヤであるカッターを有するブッシングを示す。
【
図19】本開示の実施形態に従った、テザー装置及びクリップ送達装置を示す。
【
図20】本開示の実施形態に従った、体管腔に配置されるテザー装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は特定のここで説明される特定の実施形態に限定されない。ここで使用される専門用語は特定の実施形態を説明するのみの目的のためであり、添付の特許請求の範囲を超えて制限する意図があるものではない。別段の規定がない限り、ここで使用される全ての技術用語は当事者によって共通して理解される意味と同じである。
【0016】
ここでの使用において、文脈で別段の明確な表示がない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は同様に複数形を含むことを意図している。「からなる」及び/又は「からなっている」、又は、「含む」及び/又は「含んでいる」という用語はここで使用される場合、規定された特徴、領域、工程要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、領域、完全体、工程、操作、要素、構成要素及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外しない。ここでの使用において、文脈で別段の明確な表示がない限り、接続詞「及び」は結ばれた各々の構造、構成要素、特徴等を含む。また、文脈で別段の明確な表示がない限り、接続詞「又は」は結ばれた構造、構成要素、特徴等のうち一つ又は他を、単独、及び任意の組み合わせ及び数で含む。「又は」という用語は、文脈で別段の明確な表示がない限り、一般的にその意味において、「及び/又は」を含んで使用される。
【0017】
本開示の実施形態に従う様々な実施形態は以下で説明される。ここでの使用において、「近位端」は装置を患者に導入する際に装置に沿って医療従事者に対して最も近くにある装置の端を指す。「遠位端」は移植、配置または送達の間、装置に沿って医療従事者から最も離れている装置又は物体の端を指す。
【0018】
全ての数値は、明示的に示すか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されることをここでは前提としている。「約」という用語は数値の文脈において、一般的に、当業者が記載値と均等(すなわち、同じ機能又は結果を有する)であるとみなし得る数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は最も近い有意な数字に丸められる数を含み得る。「約」という用語の他の使用法(すなわち、数値以外の文脈において)は、別段の明確な表示がない限り、明細書の文脈から理解され、かつ明細書の文脈に一致するような、通常の、及び慣習的な定義を有することを前提とする。終点による数値範囲の記述は、終点を含む範囲内の全ての数字を含む(例えば1から5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、及び5を含む)。
【0019】
明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等の言及は、説明された実施形態には特定の特徴、構造、又は特性を含んでもよいが、全ての実施形態に特定の特徴、構造、及び特性を必ずしも含まなくてもよいことを示すことに注意する。さらに、このような表現は必ずしも同様の実施形態への言及ではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明するか否かにかかわらず、明確に反対の記載がない限りは、他の実施形態の関連する特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であり得る。すなわち、以下で説明される様々な個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていない場合においても、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態を形成するため、又は説明された実施形態を補完及び/又は強化するために互いに組み合わせ可能又は配置可能であると期待される。
【0020】
本開示を通して、フィラメント切断装置、テザー装置、及び/又はテザー送達装置の実施形態は消化系内の医療装置及びシステム及び処置に具体的に言及して説明され得るが、そのような医療装置及び方法は腹腔、胃腸系、胸腔、尿及び生殖管等の組織に関連して使用され得る。さらに様々な医療処置は、本開示の例えば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、経口内視鏡的筋層切開術(POEM)、胆嚢摘出術及びビデオ胸腔鏡化手術(VATS)を含む医療装置又は処置から利益を受け得る。構造及び形態、及び配置の方法は、鮮明な視野を安定化、操作、及び提供するために、解剖を超えた実用性を発見し得る。
【0021】
図1に関して、フィラメント切断装置の実施形態は患者の体管腔内に延びるためのアウターシース108を含むように示される。フィラメントは医療処置(
図19及び
図20参照)を実施するための他の要素を共に連結する構成要素であり得る。又は、フィラメントは組織の縫合又は他のクロージングのために使用される縫合糸であり得る。医療処置を実施した後、フィラメントは処置を完了し、かつ、患者から構成要素を取り除くために切断される必要があり得る。
【0022】
装置のアウターシース108の遠位端はアウターシース108の外へ遠位方向に延びた係合体100と共に示される。係合体100はアウターシース108を通って遠位方向及び近位方向に延長可能である。アウターシース108は、例えば蛇行する生体構造内で増加した屈曲運動を可能にするためにコイルのように形成され得る。装置の近位端は、アウターシース108に関わる装置及び係合体100を操作するためのハンドル140を含む。ハンドル140は、アウターシース108に関わる装置の長手軸線に沿って係合体100を移動するためのフィンガースライド120、及び長手軸線の周りで係合体100を回転するための回転ノブ122と共に示される。
【0023】
図2を参照すると、作動要素230の実施形態は、インナーシース232の中に示される。作動要素230は係合体に連結される。そのため作動要素230及び/又はインナーシース232は、装置のアウターシースに対して係合体を操作するために、近位方向又は遠位方向に移動され得、あるいは、装置の長手軸線の周りに回転させられ得る。作動要素230はインナーシース232に関して摺動可能であり得る。又は、作動要素230及びインナーシース232は共に軸線方向に延長し得る。インナーシース232及び作動要素230は装置のアウターシース内に配置され得る。作動要素230はインナーシースの材料よりも剛性のある材料(例えばニチノール等)を含み得る。それによって、作動要素230はインナーシース232及び/又は装置を通って軸線方向に移動し得る。インナーシース232は作動要素230よりも剛性の少ない材料(例えばPTFE等)を含み得る。それによって、より剛性のある作動要素230のアウターシースとの接触が減少する。作動要素230はインナーシース232の中でアウターシースと実質的に接触なく軸線方向に移動するため、作動要素230及びアウターシースの実質的な軸線方向の移動の間の摩擦力が減少し得る。作動要素230及び/又はインナーシース232は、摩擦を減少するために例えばシリコーン等でコーティングされ得る。作動要素230は、例えばワイヤ、ロッド等であり得る。作動ワイヤのような、本開示の範囲内のここで説明された又はその他のあらゆる実施形態における作動要素230はインナーシース232を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0024】
図3Aを参照すると、フィラメント切断装置の実施形態は装置の近位端から装置の遠位端へ延びるアウターシース308を含むように示される。摺動可能体320(例えばフィンガースライド)は、アウターシース308及び切断されるフィラメント330に対して作動ワイヤ310及び係合体300を軸線方向に移動させるために、医療従事者の手(例えば人差し指及び中指)によって装置の近位端でハンドル340の長手軸線に沿って軸線方向(例えば矢印327の方向)に移動され得る。いくつかの実施形態において、ハンドル340は作動ワイヤ310及び係合体300に対するアウターシース308の軸線方向の運動を転換し、それにより、作動ワイヤ310及び係合体300が静止したままの状態で、アウターシース308が格納可能及び前進可能であると理解される。
【0025】
図3Bを参照すると、
図3Aのフィラメント切断装置はアウターシース308及び切断されるフィラメント330に対して、作動ワイヤ310及び係合体300を回転させるために、医療従事者の手(例えば親指及び手の指)によって装置の近位端の長手軸線の周り(例えば矢印325の方向)に回転させられ得る回転可能体322をハンドル340に含むように示される。
【0026】
図3C及び
図3Dを参照すると、
図3A及び
図3Bのフィラメント切断装置のハンドル340の近位端の断面図が、装置の近位端を通って延びる作動ワイヤ310と共に示される。作動ワイヤ310の近位端は、摺動可能体320に回転可能に連結された軸321に連結される。摺動可能体320の軸線方向の移動により、軸321及び作動ワイヤ310が軸線方向に移動される。作動ワイヤ310は管状部材323に連結されている。管状部材323は回転可能部材322を通って延び、それによって回転可能部材322の回転が管状部材323及び作動ワイヤ310に回転に転換される。様々な実施形態において、管状部材323はカニューレ、ハイポチューブ等であり得、また、回転可能部材322と作動ワイヤ310との間の回転の転換のために、円形、楕円形、四角形、長方形、それらの組み合わせ等である断面形を有し得る。管状部材323はフィラメント切断装置の近位端の内部でのみ延び得るか(例えば、ハンドル340内で延びるのみ)、あるいは、管状部材323はまた、作動ワイヤ310に沿ってフィラメント切断装置の遠位端に向かって遠位方向に延び得る。様々な実施形態において、作動ワイヤ310はインナーシース(例えば
図2のインナーシース232)を含み得る。インナーシースはまた、軸321に連結され得る。様々な実施形態において、管状部材はインナーシース(例えば
図2のインナーシース232)であり得る。
【0027】
図4Aを参照すると、本開示の実施形態に従う組み立てられたフィラメント切断装置の近位部分がハンドル440を含むように示される。ハンドル440は、装置を軸線方向に操作するための摺動可能体420、及び装置を回転方向に操作するための回転可能体420を含む。軸線方向及び回転方向の動作のための機構は、
図1~3Dの実施形態に対して上述されたものと全く一致、又はほぼ類似して構成され得る。アウターシース408の近位部分は、熱収縮管411によってアウターシース408の外面に連結された張力緩和管409を含む。張力緩和管409はポロプロピレン等のような材料からなり得る。
図4Bは
図4Aの組み立てられていない装置を示すことによって管409の残りの部分より大きい外径及び内径を有するフレアを含む張力緩和管409の近位端409pを明らかにしている。管409の近位端409pは、近位端409pをねじ付き突起444に固定することによって、ハンドル440に連結される。作動ワイヤ410はハンドル440からねじ付き突起444を通り、また、アウターシース408を通って延びる。近位端409pのフレアは装置を組み立てるために作動ワイヤ410に沿って突起444の上及び/又は隣接して配置され得る。張力緩和管409はねじ付き突起444に接続するキャップ442によってハンドル440に連結されることにより、管409の近位端409pのフレアがキャップ442とねじ付き突起444との間で保持(例えば、圧縮、拘束等)される。熱収縮管411は溶融した時、張力緩和管409をアウターシースに連結し、それにより、熱収縮管の近位端411pが張力緩和管409に固着するとともに、熱収縮管411の遠位端411dがアウターシース408に固着する。
【0028】
図5Aを参照すると、フィラメント切断装置の実施形態の遠位端が、アウターシース508の遠位端に連結したブッシング502の外へ遠位方向に延長可能にした係合体500を含むように示される。係合体500は、係合体500に連結した作動ワイヤ510のアウターシース508に対する移動によって切断するためのフィラメント530に対して、遠位方向に延長可能である。
【0029】
様々な実施形態において、係合体の外径はブッシングの内径と実質的に一致し得る。ブッシングは実質的に円筒状であり得る係合部材を受け入れるための円筒状の管であり得る。係合体及びブッシングのうち一方又は両方は、係合体及び/又はブッシングの長手軸線に沿って実質的に直線状であり得る。係合体及び/又はブッシングは、一方又は両方が係合体のための作動ワイヤ及び/又はブッシングに接続された外側部材の軸よりも硬くなるように(例えば、作動ワイヤより幅広い又は厚い係合体)構築され得る。係合体及び/又はブッシングのより硬い構造は、組み合わせて作用するフィラメントを切断するための強度を提供し得る。一方、より硬くない作動ワイヤ及びブッシングのための外側部材軸は、蛇行する生体構造を移動するための可撓性を提供するとともに、生体構造の通路に沿って曲がることを可能にする。ブッシングと比較した係合体の相対的な硬さ及び幅広さはまた、外側部材を通る係合体の押し出し性を改善する。滑らかな流体又はコーティングがブッシング及び/又は係合体のうち一方又は両方に塗布され得るため、それらは互いに対して摺動可能である。様々な実施形態において、係合体又はブッシングはステンレス鋼、304ステンレス鋼、ニチノール、ポリマー等を含み得る。
【0030】
図5Bを参照すると、
図5Aの係合体500はブッシング502及びフィラメント530に対して近位方向に移動される。フィラメント530は係合体500の実質的に放射状の空洞512の中に捕捉される。フィラメント530は、フィラメント530が係合体500の外面に沿って摺動する状態での係合体500の近位方向への移動によって捕捉される。フィラメント530は空洞512の外周を規定する係合体500の近位部分の勾配がある傾斜面503に沿って摺動し得る。勾配がある傾斜面503は、鉤部分505を規定する空洞512の最も奥の湾曲部に接触するまでの、フィラメント503のための導入部であり得る。鉤部分505が形成されているため、係合体500がブッシング502と整列するときに、フィラメント530はブッシング502に実質的に直交するようにブッシング502を横切る。例えば、空洞512の最も奥の湾曲部は係合体500の二つの側面に関して規定され得る。各側面はフィラメント530が係合体500及び/又はブッシング520に対して直交し得るように、それぞれに関連して配置され得る。つまり、フィラメントの一側は、係合体500又はブッシング502に対して係合体500及びブッシング502を横切るフィラメントの別の側とは異なる角度で配置され得ない。フィラメント530は、空洞512の外周で近位方向に延びる係合体500の遠位部分501への接触により、空洞512を超えて遠位方向に移動することを防止され得る。空洞512は係合体500の管腔を含む開口部として示されるが、様々な実施形態では係合体500は中実であり、かつ、放射状の空洞512は代わりに中実の係合体400(例えば、
図10A~10Dに示されるような)によって規定され得る。様々な実施形態において、勾配がある傾斜面503は、空洞512の外周の残りの部分と均一であり得るか、又は、面503でより幅広く、かつ空洞512の外周の残りの部分に沿って均一であり得るか、又は、勾配がある傾斜面503でより幅広く、かつ空洞512の外周に沿って先細であり得る。より幅広い面503及び/又は先細の空洞512の外周は空洞512の中でフィラメント530を捕捉するとともに配置する助けとなり得る。
【0031】
図5Cを参照すると、
図5A及び5Bの係合体500は、フィラメント530が空洞512の中で捕捉された状態で、アウターシース508に対して近位に、及びアウターシース508のブッシング502の中に移動され得る。ブッシング502は(例えば、ブッシング502の遠位端の外傷性の鈍いアウターエッジ又は表面と比較して)実質的に鋭利なエッジ504によってブッシング502の遠位端に規定された管腔を含む。係合体500は係合体500の長手軸線に沿って実質的に直線状であるとともに、ブッシング502と整列している。係合体500の外径はエッジ504でのブッシング502の内径と実質的に合致し、すなわち、すべりばめが可能である。そのため、フィラメント530が係合体500の空洞512によってエッジ504まで近位方向に移動されるとき、エッジ504と係合体500の外面又は空洞512の遠位部分を規定するエッジとの間の剪断力がフィラメント530を切断する。様々な実施形態において、空洞512を規定するエッジ(例えば空洞の鉤部分505)は実質的に鋭利であってもよく、及び/又は、ブッシング502のエッジ504は実質的に鋭利であってもよい。様々な実施形態において、ブッシング502及びアウターシース508は係合体500及びフィラメント530に対して遠位方向に移動され得る。
【0032】
図5Dを参照すると、
図5A~5Cの係合体500がブッシング502及びアウターシース508の内側でさらに近位方向に移動され得る。そのため、フィラメント530の切断された部分(示されていない)はブッシング502及び/又はアウターシース508内で取り除くために捕捉される。フィラメント530はブッシング502及び/又は空洞512によって一箇所で切断され得るため、フィラメント530の付加的な部分がブッシング502及び/又はアウターシース508内に捕捉されないことがまた理解される。装置は、切断フィラメント530を患者内に一時的(例えば、補足器具又は他のエンドエフェクタが切断フィラメント530を保護及び取り除き得る)又は恒久的に残した状態で取り除かれ得る。
【0033】
図6に関して、係合体600の実施形態の空洞612の側面図(及び付随する詳細図)が示される。係合体600は、作動ワイヤに連結し得る係合体600の近位部分に向かって係合体600に沿って近位方向に縮小する外径を含む。その直径は、(例えば係合体600及びブッシングのうち一方又は両方の長手軸線に沿って軸線方向に)正確に位置合わせする必要なくブッシング又は/及びアウターシースに対して係合体600を導くために次第に先細になっていてもよい。いくつかの実施形態において、係合体600は、その長さに沿って一定の直径であり得る。空洞612は、係合体600の外径620の50%より大きい係合体600の外面からの深さ622を有し得る。様々な実施形態において、深さ622は外径620の約50%である長さを有し得る。空洞612の外形は、空洞612の最奥部の表面に接触する時にフィラメントの保持を補助し得る鉤のような形状を含む多数の形状を有し得る。空洞612の外形の典型的な大きさは、例えば空洞612の近位部分の導入部の傾斜面が係合体600の外面から約30度の角度であることを含み得る。空洞612の導入部の角度の付いた近位面に対して遠位にある導出部の傾斜面は係合体600の外面から約50度の角度を含み得る。ここでの角度は、例えば、空洞612の導入角度付きの近位面及び/又は導出角度付きの面が係合体600の外面から約0度から約90度であり得るような、与えられた応用例に基づいて所望されるように変更及び選択されることができる。他の大きさが企図されるとともに本開示の範囲内であると認識されるであろう。
【0034】
様々な実施形態において、係合体及び/又はブッシングはここで説明されたような空洞を含み得る。フィラメントは係合体又はブッシングのうち一方又は両方の軸線方向の移動によって捕捉され得る。フィラメントは係合体及び/又はブッシングの外面に沿って摺動し得る。フィラメントは空洞の外周を規定する係合体又はブッシングの近位又は遠位部分の勾配がある傾斜面に沿って摺動し得る。フィラメントは、(例えば、鉤のような形状を形成している)空洞の対向する端に戻る方向に延びる空洞の外周に接触することによって、空洞の外への、及び/又は空洞を超える移動を妨げられ得る。
【0035】
図7に関して、ブッシングの実施形態の断面図が、それを通る管腔704を含むように示される。管腔704は遠位部分704dよりも広い直径を有する近位部分704pを有する。そのため、管腔704の近位部分704pはアウターシースの遠位端の周りに配置され得る。管腔704の遠位部分704dは係合体の外径に実質的に合致し得る直径706を有する。そのため、ブッシングの遠位端の内側のエッジ708は、フィラメントを切断するために十分な剪断力を係合体と共に生み出し得る。ブッシングはアウターシースの遠位端に、例えば溶接、はんだ付け、蝋着、接着剤、接着、メカニカルファスナ等によって固定して連結され得る。いくつかの実施形態において、アウターシース及びブッシングは一体化して形成され得る。そして他の実施形態では、アウターシース及びブッシングは結合され得る。
【0036】
図8を参照すると、アウターシース808の実施形態はコイル体を備えて(それぞれA-A線及びB-B線に沿う断面図を付随して)示される。コイル体は一つ以上のマンドレル上で可変の外径を有するように形成され得る。コイル体を有するアウターシース808は、中実の均一な壁を備えたアウターシースよりも大きな放射方向の可撓性及び軸線方向の堅さを許容し得る。アウターシース808の近位部分808pはアウターシース808の残りの部分よりも小さい内径及び小さい外径を有する。そのことは、装置の残りの部分と比較してより低い外形及び操縦性を保持する助けとなり得る。アウターシース808の近位部分808pはアウターシース808の先細の部分808tに向かって遠位方向に延びる。先細の部分808tは遠位方向に増大する外径及び遠位方向に増大する内径を含む。先細の部分808tは、実質的に均一な外径で示されたアウターシース808の遠位部分808dに向かって延びる。遠位部分808dは、実質的に均一な外径を形成するために研削(例えば、長手方向の研削、研磨等)によって処理され得る。アウターシース808の遠位部分808dの直径は内視鏡のワーキングチャネルの内径(例えば約2.8mm等)内で実質的に合致し、すなわち、すべりばめされ得る。遠位部分808dから延びるアウターシース808の遠位先端809は例えば
図8に示すように、遠位部分808dが研削されるよりもさらに多く研削され得る。そのため、遠位先端809の外径は遠位部分808dの外径よりも小さい。遠位先端809の外径はブッシングの管腔の近位部分の内径に実質的に合致し得る。そのため、ブッシングは遠位先端809の上に配置されて遠位先端809に取り付可能であり、よって、ブッシングの外径はアウターシース808の遠位部分808dの外径に実質的に合致し得る。遠位先端809の内径はアウターシース808の遠位部分808dの内径及びブッシングの遠位部分の内径と合致し得る。そのため、係合体はアウターシース808の遠位部分808d及び遠位先端809の中、および、ブッシングを通って摺動可能に移動し得る。様々な実施形態において、アウターシース808はその長さに沿って実質的に均一な外径を有する。
【0037】
図9に関して、係合体900は、係合体900の長手軸線に沿ってある角度で近位方向に延びる傾斜面901へ推移する横方向の遠位先端900tの面を含むように示される。傾斜面901は係合体900の長さに沿う係合体900の空洞912に対して実質的に遠位である。空洞912は係合体900の中実体の中に形成又は係合体900の中実体によって規定されたように示される。しかしながら、空洞912は係合体900の中に形成された実質的に放射状の開口を含み得る。傾斜面901は、係合体900の外周面903へ近位方向に移行するとともに、空洞912へ延び続ける。傾斜面901は、
図10A~10Dの傾斜面に関して示すとともに説明されたように、係合体の空洞912内でフィラメントを捕捉する助けとなり得る。傾斜面901と外周面903との間、及び外周面903と空洞912との間の移行部は、それぞれフィレット902(例えば円形面、平滑面、非外傷性面等)を含み得る。フィレット902は、フィレットがないエッジと比較して、装置他の部分、別の装置、及び/又は患者の生体構造のとの摩擦を減少させ得る。処置の間の係合体900、係合体900の部分、及び/又は係合体900又は空洞912の配向の軸線方向の観察は、医療従事者にとって識別困難であり得る。フィレット902は、係合体900の他の面と比較して医療従事者が識別可能である面(例えば、係合体900の他の面とは異なる角度で光を反射、又は異なる形状で光を反射する)を提供し得る。
【0038】
図10A~10Dを参照すると、フィラメント切断装置の実施形態の遠位端は、
図5A~5Dに関して説明されたものに実質的に類似して示される。
図10A~10Dにおいて、係合体1000の遠位部分は傾斜面1001を含む。傾斜面1001は、例えば作動ワイヤ1010及び係合体1000が遠位に移動されてフィラメント1030と接触する時に、フィラメント1030に沿って摺動し得る。係合体1000がフィラメント1030と遠位移動して接触する間、フィラメント1030は係合体1000の空洞1012の方へ向かって近位方向に傾斜面1001に沿って摺動し得る。傾斜面1001を含む係合体1000の遠位先端がフィラメント1030と接触することは、フィラメント1030と衝突するとともにフィラメント1030を空洞1012から離れるように導く実質的に横方向の面を有する係合体1000の遠位先端と比較して、空洞1012内でのフィラメント1030の捕捉を容易にしやすくし得る。係合体1000は、フィラメント1030が早期に損傷又は切断されることを防止することを補助するため、遠位先端から空洞1012まで係合体の外側に沿ってフィレット面を有し得る。フィラメント1030は、アウターシース1008に対する係合体1000の近位方向の移動によってアウターシース1008のブッシング1002の中で切断するために、空洞1012内で捕捉されるとともに、近位方向に格納され得る。係合体1000がアウターシース1008の中に受け入れられる時、係合体1000はフィラメント1030を捕捉した後に固定されたままであり得るとともに、ブッシング1002及びアウターシース1008はフィラメント1030を切断するために遠位方向へ延び得る。係合体1000は、フィラメント1030の切断された部分1031を取り出すために、ブッシング1002に対して遠位方向に移動され得る。
【0039】
様々な実施形態において、フィラメントは様々な方法で切断され得る。例えばフィラメントは、機械的、電気的、化学的等のカッターによって実施され得る切断、塑性破壊、張力をかけた破壊によって切断され得る。様々な実施形態では、装置のフィラメントは医療処置中又は医療処置の終了時に切断され得る。フィラメントの切断は、例えば装置の解放、縫合糸のようなフィラメントの除去、装置間、装置と生体構造との間、生体構造間、生体構造の第一部分と生体構造の第二部分との間の張力の解放等を含む様々な理由のために実施され得る。
【0040】
図11A及び
図11Bを参照すると、係合体1100及びブッシング1102の実施形態が示される。ここで説明されたように、係合体1100は作動ワイヤに連結され得るとともに、ブッシング1102はアウターシースに連結され得る。係合体1100はブッシング1102の管腔1104の中で摺動可能である。係合体1100は円形でない管腔1104に実質的に合致する円形でない外周(例えば四角形、長方形、多角形等)を有する。係合体1100の空洞1112は、ブッシング1102への係合体1100の移動及び/又は係合体1100へのブッシング1102の移動によって、空洞1112とブッシング1102との間でフィラメント1130を切断する目的でフィラメント1130を捕捉するために使用され得る。示されるように、実施形態において係合体1100の外周及び空洞1112はいかなる曲面も含まない。いくつかの実施形態において、係合体1100の円形でない外周の形状は製造のために他のものより少ない入力、短い時間及び/又は許容制御を利用し得る点で利点があり得る。
【0041】
図12を参照すると、係合体1200の実施形態は第一の空洞1212及び第二の空洞1213を含むように示される。空洞1212、1213は、係合体1200の長手軸線lに関して互いに実質的に反対向きに配向されている。第二の空洞1213は係合体1200の別の部分においてフィラメントを捕捉することを可能にする。空洞1212、1213の実質的に反対向きの配向はフィラメントを捕捉するための係合体1200の最小限の回転を可能にする(すなわち、第一の空洞1212のみを有する実施形態において必要とされ得るより多くの回転と比較して、係合体1200の長手軸線lの周りのより少ない回転が空洞1212、1213をフィラメントに接触させるために必要とされ得る)。空洞1212及び1213の両方は、それらが長手軸線lを通って延びる(すなわち、係合体1200の外径の50%を超える)深さを有するように配置される。しかしながら様々な実施形態において、空洞は長手軸線lに至るまで、又は放射方向に到達しないように延び得る。例えば、係合体1200の外面に対する空洞1212、1213の導入部の近位角度がより小さいため、空洞1212、1213は長手軸線lを超えて放射方向に延びない。空洞1212、1213は長手軸線lに沿って互いに重なり合うとともに、長手軸線lを通って横向きにも放射状に重なり合う。しかしながら空洞1212、1213は、それらが長手軸線lに沿って互いに重なり合わず、長手軸線lを通って横向きに放射状に重なり合わないように配置され得る。及び/又は、空洞1212、1213は長手軸線lに関して互いに反対向きに配置されなくてもよい。二つの空洞1212、1213が示されたが、例えば0、1、3、4、5、8、10、20等任意の数の空洞が採用され得る。空洞1212、1213は長手軸線lに関して約180度に配置されたように示されるが、例えば約60度、約90度、約120度、約150度等の任意の角度配置が採用され得る。
【0042】
図13Aを参照すると、係合体130及びブッシング1302の実施形態が示される。ここで説明されるように係合体1300は作動ワイヤと連結され得るとともに、ブッシング1302はアウターシースに連結され得る。係合体1300はブッシング1302の管腔1304の中で摺動可能である。係合体1300は、実質的に放射状の第一の空洞1312、及び第一の空洞1312の外周を規定する係合体1300の近位部分の角度付き傾斜面1303を含む。第一の空洞1312の角度付き傾斜面1303は、第一の空洞1312の第二の面1305で鉤部分を規定する第一の空洞1312の最も奥の湾曲部へ延びる。第一の空洞1312は係合体1300の管腔を含む開口として示されるが、様々な実施形態において係合体1300は中実でもよいとともに、空洞1312は代わりに中実の係合体1300によって規定されてもよい(例えば、
図10A~10Dに示されるように)。ブッシング1302は、管腔1304の中に延びる実質的に放射状の第二の空洞1313を含む。第二の空洞1313は、第二の空洞1313の湾曲した中央部1316で合流する近位面1314及び遠位面1315を含む。近位面1314及び遠位面1315は面1314、1315の外側部分が面1314、1315の内側部分(すなわち、中央部1316に向かう)と比較して、互いからさらに離れるように角度を付けられている。第二の空洞1313の近位及び遠位面1314、1315のこの配向は、第二の空洞1313の外周を形成する。そのため、第二の空洞1313は係合体1300の外面においてより広い外側部分を有し、かつ、湾曲した中央部1316においてより狭い内側部分を有する。
【0043】
図13Bを参照すると、
図13Aの第一及び第二の空洞1312、1313は、フィラメント1330を受け入れるとともに捕捉するために実質的に整列され得る。ブッシング1302は遠位方向に延び得るため、フィラメント1330は第二の空洞1313の最も幅広い外側部分に入る。フィラメント1330は第二の空洞1313の角度付きの外周に沿って第二の空洞1313の中へ移動され得る。第二の空洞はフィラメント1330を第二の空洞1313の最も狭い内側部分に向かって近位方向に導き得る。空洞1312、1313が整列された時、第二の空洞1313の内側部分でフィラメント1330は第一の空洞1312の遠位面(すなわち
図13Aの遠位面1315)の近位にある。
【0044】
図13Cを参照すると、フィラメント1330が
図13A及び13Bの第一及び第二の空洞1312、1313の中に捕捉された状態で、係合体1300がブッシング1302に対して近位方向に移動され得る。第一及び第二の空洞1312、1313は互いを通り過ぎるように移動するため、フィラメント1330は第一の空洞1312の遠位外周のアウターエッジ1316と第二の空洞1313の外周の近位のインナーエッジとの間の剪断力にさらされる。
【0045】
図13Dを参照すると、
図13A~13Cの第一及び第二の空洞1312、1313はフィラメント1330を横切り、互いを通り過ぎるように移動するため、フィラメント1330は切断される。フィラメント1330の切断された部分1331は管腔1304の中のままか、管腔1304を通って近位方向に引き出されるか、管腔1304を通って遠位方向に追い出されるか、又は第二の空洞1313の外に向かって実質的に放射方向へ追い出され得る。
【0046】
様々な実施形態を参照すると、係合体の空洞及び/又はブッシングは、フィラメント又はフィラメントの一部の係合、受容、捕捉、移動、摺動、停止、誘導、剪断及び/又は保持のための様々な形状、面及び/又はエッジを含み得る。特定の実施形態又は実施形態に関して示されるとともに説明された空洞の形状及び/又は面の様々な部分の組み合わせは、本開示の範囲内で説明された、又はその他の空洞の他の実施形態にわたって使用され得る。
【0047】
図14を参照すると、係合体1400及びブッシング1402の実施形態が示される。ここで説明されるように、係合体1400は作動ワイヤに連結され得るとともにブッシング1402はアウターシースに連結され得る。係合体1400はブッシング1402の管腔1404の中で摺動可能である。ブッシング1402は管腔1404の中に延びる実質的に放射状の空洞1412を含む。空洞1412は空洞1412の湾曲した中央部1416で合流する近位面1414及び遠位面1415を含む。係合体1400は係合体1400の外径において係合体1400の遠位先端に刃先1401を含む。係合体1400の遠位先端は、係合体1400の長手軸線lから刃先1401に向かって延びる角度を有する面1403を含む。面1403は刃先1401から長手軸線lに向かって近位方向と内部方向との両方に延びる。フィラメントが空洞1412の中で捕捉されるとともに、係合体1400は管腔1404の中で空洞1412の中のフィラメントに向かって移動され得る。接触体1408は、係合体1400の遠位方向への移動を防止するブッシング1402の遠位端1402dの中に配置される。フィラメントの完全な切断を確実にするため、接触体1408は、刃先1401が少なくとも部分的に接触体1408の中へフィラメントを超えて遠位方向に延び得るために十分に柔らかい材料を含み得る。例えば接触体1408は、ウレタン、高密度ポリエチレン、可塑化PVC等を含む。ブッシング1402は、遠位方向に狭くなる直径を有する非外傷性の先端1402tを含むため、装置を送達する間に生体構造又は他の機器は損害を受けず、及び/又は非外傷性の先端1402tがない装置と比較して、狭い通路は横断しやすくてよい。
【0048】
図15を参照すると、係合体1500及びブッシング1502の実施形態が示される。ここで説明されるように、係合体1500が作動ワイヤに連結され得るとともに、ブッシング1502はアウターシースに連結され得る。係合体1500はブッシング1502の管腔1504の中で摺動可能である。ブッシング1502は管腔1504の中に延びる実質的に放射状の空洞1512を含む。空洞1512は、空洞1512の湾曲した中央部1516で合流する近位面1514及び遠位面1515を含む。係合体1500は刃先又は鈍い面であり得る係合体1500の遠位先端に切断部分1501を含む。切断部分1501は幅を減少しながら遠位方向に次第に先細になる係合体1500の遠位部分である。フィラメントは空洞1512の中で捕捉され得るとともに、係合体1500は管腔1504の中で空洞1512の中のフィラメントに向かって移動され得る。接触体1508は、係合体1500の遠位方向への移動を防止するブッシング1502の遠位端1502dの中で配置される。接触体1508は幅を減少しながら近位方向に次第に先細になる先細の近位部分1509を含む。フィラメントが空洞1512の中で捕捉された状態で、係合体1500は接触体1508に向かって遠位方向に移動され得る。そのため、フィラメントは切断部分1501と近位部分1509との間で圧縮、及び/又は、切断部分1501と近位部分1509との間で剪断される。それによって、フィラメントは切断される。
【0049】
図16A~16Cを参照すると、係合体1600及びブッシング1602の実施形態が示される。ここで説明されるように、係合体1600が作動ワイヤに連結されるとともに、ブッシング1602はアウターシースに連結される。係合体1600はブッシング1602の管腔1604の中で摺動可能である。ブッシング1602は管腔1604の中に延びる実質的に放射状の空洞1612を含む。空洞1612は、空洞1612の湾曲した中央部1616で合流する近位面1614及び遠位面1615を含む。係合体1600は、係合体1600の外径で係合体1600の遠位先端に刃先1601を含む。係合体1600の遠位先端は係合体1600の長手軸線lを横切って刃先1601に向かって延びる角度を有する面1603を含む。傾斜面1603はフィラメントを捕捉するために使用されるとともに、傾斜面1603の周りの刃先1601は、面の周りのより短い外周を有する放射状の断面と比較して、フィラメントを切断するための剪断応力の必要量を減少し得る。フィラメント1630は空洞1612の中で捕捉され得るとともに、係合体1600は管腔1604の中で空洞1612の中のフィラメント1630に向かって移動され得る。刃先1601は空洞1612を超えて遠位方向に移動されるため、刃先1601及び遠位面1615のインナーエッジがフィラメント1630を剪断する。
【0050】
図17を参照すると、フィラメント切断装置の実施形態がアウターシース1708の遠位端に連結されたブッシング1702を含むように示される。ブッシング1702は実質的に放射状の空洞1712を含む。空洞1712は、空洞1712の湾曲した中央部1716で合流する近位面1714及び遠位面1715を含む。カッター1701は空洞1712を横切って延びる。カッター1701はブッシング1702の長手軸線と実質的に平行に延びるが、例えば近位面1714に平行又は垂直に角度がついていてもよい。カッター1701は空洞1712から実質的に放射方向外側に配向されるエッジ含む。フィラメント1730は空洞1712の中に捕捉され得とともに、ブッシング1702はフィラメント1730に対して近位方向及び/又は放射方向に移動され得るため、カッター1701がフィラメント1730を切断する。ブッシング1702の外面と空洞1712の中のカッターのエッジとの間の距離は、例えば約0.25mm等のフィラメント1730の直径に実質的に等しい。そのため遠位面1715は、フィラメント1730の操作のため、及び/又は切断のためにフィラメント1730に対して後支えとして作用するために、フィラメント1730に隣接して配置され得る。
図17の実施形態は互いに対する移動部分を有しないため、操作中にアウターシース1708及び又はフィラメント1730にかかる圧力が減少され得る。
【0051】
図18を参照すると、フィラメント切断装置の実施形態が、アウターシース1808の遠位端に連結されたブッシング1802を含むように示される。ブッシング1802は空洞1812を含む。空洞1812はブッシング1802の遠位先端1802tを横切って実質的に横向きに延びるとともに、空洞1812の湾曲した中央部1816を含む。カッター1801は空洞1812を横断して延びる。カッター1801はブッシング1812の長手軸線を横断して延びるが、角度がついていてもよい。カッター1801はフィラメントを溶融するように構成された作動可能ワイヤである。カッター1801の端1814、1815は、ブッシング1802の中へ延びるとともに、エネルギ源(例えばハンドル内のバッテリ)へ向かってブッシング1802及びアウターシース1808に沿って近位方向へ延びる第一リードワイヤ1851及び第二リードワイヤ1852に連結(例えば溶接)される。カッター1801及びリード1851、1852はブッシング1802の中で外部被覆され得る。カッター1801は導電性の外面を有する一方で、リード1851、1852はブッシング1802及び/又はリード1851、1852に沿う絶縁被膜によって絶縁される。
図18の実施形態は移動部分を備えないため、操作中のアウターシース1808及び/又はフィラメントにかかる圧力を減少させ得る。カッター1801は、ニクロム、鉄-クロム-アルミニウム合金等のような様々な導電性材料を含み得る。
【0052】
図19を参照すると、テザー装置1900の実施形態が、第一端1901及び第二端1902を有する弾性のある伸縮可能体1904を含むように示される。長尺管状の中空体整列部材1908は少なくとも部分的に弾性体1904上に延長可能である。整列部材1908は装置1900の操作中、内視鏡のワーキングチャネル、他の導入シース又はカテーテル内で装置1900を整列及び/又は配向し得る。クリップ1910は弾性体1904の第一端1901に連結される。ネック1912は弾性体1904の第二端1902からループ1914に延びる。クリップ1910は医療従事者によって操作され得るため、テザー装置1900の第一端1901に連結されたクリップ1010は組織に向かって送達される。クリップ1910は、弾性体1904の第一端1901に連結されるのに加えて組織に連結され得る。ループ1914は追加のクリップのような別の装置によって係合され得る。追加のクリップは、ループ1914を追加のクリップの顎内に配置するため、及び追加のクリップを別の生体構造又は組織の別の部分に連結するために移動され得る。そのため、弾性体1904の第二端1902は第一端1901から離れて延びる。この位置でテザー装置1900は、
図19に示されるテザー装置1900の弛緩状態と比較して、より大きな軸線方向の張力がかけられる。
【0053】
様々な実施形態において、クリップ1910はテザー装置1900を回転させるために回転可能であり得る。クリップ1910は処置の前、途中及び/又は後に再配置可能であり得る。クリップ1910は使い捨てクリップであり得る。テザー装置1900及びテザー装置1900に連結された組織に張力がかかった状態で、例えば組織の切除のような医療処置が実施される。処置の途中又は後に、張力は弾性体1904、整列部材1908、ネック1912及び/又はループ1914(例えば
図5A~5D及び10A~10D参照)のようなテザー装置のフィラメントを切断することによって解放され得る。様々な実施形態において、弾性体1904は切断装置によって切断可能であり得る。様々な実施形態において、弾性体1904は、各々がフィラメントに連結し得る弾性体1904の一つ以上の端部1901、1902に、一つ以上の保護体を含み得る。弾性体1904は、弾性体1904が所望の長さを超えて伸縮することを防止し得る内部フィラメントを含み得る。弾性体1904のフィラメントは、様々な形状及び直径であり得る一つ以上のループ(例えばネック1912を有する又は有しないループ1914)を含み、前記ループまで延び、又は前記ループに連結し得る。
【0054】
図20を参照すると、テザー装置の実施形態が、送達されるとともに標的組織2004と別の組織2038との間に張力をかけているように示される。弾性体2014は、弾性体2014の第一端で第一のクリップ2012に連結される。第一のクリップ2012は切除のための標的組織2004に連結される。弾性体2014の第二端は第二のクリップ2011に連結される。第二のクリップ2011は組織2038に連結されるため、弾性体2014は張力がかかった状態である。切除具2020は内視鏡2006を経由して標的組織2004に向かって送達される。標的組織2004が切除されると、弾性体2014は第一のクリップ2012及び標的組織2004を実質的に第二のクリップ2011の方へ引く。そのため、内視鏡2006、切除具2020、および標的組織2004の間の視覚化が維持される。処置の途中又は最後で、フィラメント切断装置の実施形態は弾性体2014を切断することによって弾性体2014にかかる張力を解放するために、弾性体2014へ送達され得る。テザー装置及びクリップ送達装置、又は
図19のテザー装置及びクリップ送達装置のようなテザー装置のための他の送達装置の様々な実施形態は、
図20に示された処置のような組織切開処置で使用され得る。
【0055】
フィラメント切断の方法の実施形態は、アウターシースを有する装置を患者の中に挿入することを含む。装置の係合体及び/又はブッシングはフィラメントに向かって操作され得る。フィラメントは装置の一つ以上の空洞内に捕捉され得る。係合体及び/又はブッシングは装置に沿って軸線方向に移動されることによって、フィラメントを切断し得る。
【0056】
ここで開示及び請求された全ての装置及び/又は方法は、本開示に照らして必要以上の実験を行うことなく作製及び実行できる。本開示の装置及び方法は好ましい実施形態に関して説明されたが、本開示の概念、主旨及び範囲から逸脱することなくここで説明された装置及び/又は方法、及び方法の工程又は一連の工程で変更が適用され得ることが、当業者にとって明らかであり得る。当業者にとって明らかな全てのこのような類似の代用例及び修正例は、添付の特許請求の範囲によって規定された本開示の主旨、範囲及び概念の中にあるとみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターシースと、
前記アウターシースの遠位端に連結されたブッシングであって、そのブッシングの内径が刃先を含む前記ブッシングと、
前記アウターシース及びブッシング内で摺動可能に延長可能にした作動ワイヤと、
前記作動ワイヤの遠位端に連結された係合体とを含み、その係合体は空洞を備え、前記空洞はその内部にてフィラメントの一部を捕捉するように構成された前記係合体の長さに沿って規定されるとともに、
前記フィラメントが前記空洞内にて捕捉された状態での前記作動ワイヤ及び係合体の運動により、前記刃先にフィラメントを切断させるフィラメント切断装置。
【外国語明細書】