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特開2024-20260血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020260
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/34 20060101AFI20240206BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61M1/34
A61M1/36 107
A61M1/36 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186480
(22)【出願日】2023-10-31
(62)【分割の表示】P 2022512663の分割
【原出願日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2020063723
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】大石 輝彦
(57)【要約】
【課題】血液の浄化をより適切に実施することが可能な血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法を提供する。
【解決手段】血液の浄化をより適切に実施することが可能な血液浄化システム等を提供する。血液浄化システムは、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、検出された血液情報を入力し、学習モデルから出力された制御パラメータを取得するパラメータ取得部と、取得した制御パラメータに基づいて、液体制御機構を制御する制御部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、
前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、
前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、
前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、
制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、
所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記検出部により検出された血液情報を入力し、前記学習モデルから出力された制御パラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記パラメータ取得部が取得した制御パラメータに基づいて、前記液体制御機構を制御する制御部と、を有し、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする血液浄化システム。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記血液情報を状態とし、前記制御パラメータに基づく制御を行動とする行動価値関数を有し、
前記行動価値関数は、前記血液情報の変化が小さいほど大きくなるように設定された報酬に基づいて更新されている、請求項1に記載の血液浄化システム。
【請求項3】
前記液体制御機構は、血液に対して所定の方向に磁界を印加する磁力調整器、前記ライン内の液体の流れを制御するポンプ、又は、前記ラインに抵抗を印加する抵抗付与部材を含み、
前記制御パラメータは、前記磁力調整器が印加する磁界の強度、前記ポンプの駆動量、及び、前記抵抗付与部材が印加する抵抗の大きさの内の少なくとも一つを含む、請求項1または2に記載の血液浄化システム。
【請求項4】
前記学習モデルを、前記血漿分離デバイスの製品データ、前記ラインに流れる血液に関するデータ、前記血液浄化システムによるクリアランスデータ、原因物質除去量、又は、抗血栓性と関連付けて記憶する記憶部をさらに有する、請求項1~3の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項5】
学習装置から前記学習モデルを受信する通信部をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項6】
特定の制御パラメータに基づいて前記液体制御機構を制御する前後に前記検出部により検出された血液情報と、前記特定の制御パラメータとに基づいて、前記学習モデルを生成する生成部をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項7】
前記血液浄化システムは、体外循環血液浄化システムである、請求項1~6の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項8】
前記血液浄化システムは、二重慮過血漿交換法によるアフェレーシスを実施する、請求項7に記載の血液浄化システム。
【請求項9】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムの制御方法であって、
所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記検出部により検出された血液情報を入力し、前記学習モデルから出力された制御パラメータを取得し、
前記取得した制御パラメータに基づいて、前記液体制御機構を制御することを含み、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムに含まれるコンピュータの制御プログラムであって、
所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記検出部により検出された血液情報を入力し、前記学習モデルから出力された制御パラメータを取得し、
前記取得した制御パラメータに基づいて、前記液体制御機構を制御する、ことを前記コンピュータに実行させ、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項11】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、前記血液情報と前記制御パラメータの複数の組合せを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成する生成部と、
前記学習モデルに関する情報を出力する出力制御部と、を有し、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする学習装置。
【請求項12】
複数の前記血液浄化システムと通信するための通信部をさらに有し、
前記データ取得部は、前記組合せを、前記通信部を介して前記複数の血液浄化システムから受信することにより取得する、請求項11に記載の学習装置。
【請求項13】
前記データ取得部は、特定の制御パラメータに基づいて前記液体制御機構を制御し、前記特定の制御パラメータに基づいて前記液体制御機構を制御する前後に前記検出部により検出された血液情報を取得することにより、前記組合せを取得する、請求項11に記載の学習装置。
【請求項14】
コンピュータが、
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、前記血液情報と前記制御パラメータの複数の組合せを取得し、
前記取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成し、
前記学習モデルに関する情報を出力する、ことを含み、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする学習方法。
【請求項15】
コンピュータの制御プログラムであって、
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、前記血液情報と前記制御パラメータの複数の組合せを取得し、
前記取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成し、
前記学習モデルに関する情報を出力する、ことを前記コンピュータに実行させ、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透析などで用いられる血液浄化システムは、病院等の医療施設内に設けられた透析室に複数設置され、その透析室内で多数の患者に対する血液浄化が施されるように構成されている。かかる透析室内には、血液浄化に関係する患者の管理データ(患者の体重、血圧等)を記憶するサーバ(中央管理手段)が設置され、その管理データを個々の血液浄化システムに送信して表示させる。
【0003】
例えば、患者が透析を行う際、先ず体重計や血圧計にて透析前の体重及び血圧等が測定され、中央管理手段に送信されて患者の固有情報として記憶される。中央管理手段は、かかる患者の固有情報に基づいて、その患者の条件を所定の演算式による演算により求め、求められた条件を血液浄化システムに送信することで、患者毎に最適な血液浄化を行う。
【0004】
例えば、特許文献1には、病院等医療現場における透析室に複数の監視装置が設置された血液浄化システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-249748号公報
【発明の概要】
【0006】
血液浄化システムでは、血液の浄化をより適切に実施することが求められている。
【0007】
血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法の目的は、血液の浄化をより適切に実施することを可能とすることにある。
【0008】
実施形態に係る血液浄化システムは、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、検出部により検出された血液情報を入力し、学習モデルから出力された制御パラメータを取得するパラメータ取得部と、パラメータ取得部が取得した制御パラメータに基づいて、液体制御機構を制御する制御部と、を有し、血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイスのファウリング、因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む。
【0009】
実施形態に係る血液浄化システムにおいて、学習モデルは、血液情報を状態とし、制御パラメータに基づく制御を行動とする行動価値関数を有し、行動価値関数は、血液情報の変化が小さいほど大きくなるように設定された報酬に基づいて更新されていることが好ましい。
【0010】
実施形態に係る血液浄化システムにおいて、液体制御機構は、血液に対して所定の方向に磁界を印加する磁力調整器、ライン内の液体の流れを制御するポンプ、又は、ラインに抵抗を印加する抵抗付与部材を含み、制御パラメータは、磁力調整器が印加する磁界の強度、ポンプの駆動量、及び、抵抗付与部材が印加する抵抗の大きさの内の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0011】
実施形態に係る血液浄化システムにおいて、学習モデルを、血漿分離デバイスの製品データ、ラインに流れる血液に関するデータ、血液浄化システムによるクリアランスデータ、原因物質除去量、又は、抗血栓性と関連付けて記憶する記憶部をさらに有することが好ましい。
【0012】
実施形態に係る血液浄化システムにおいて、特定の制御パラメータに基づいて液体制御機構を制御する前後に検出部により検出された血液情報と、特定の制御パラメータとに基づいて、学習モデルを生成する生成部をさらに有することが好ましい。
【0013】
実施形態に係る血液浄化システムにおいて、血液浄化システムは、体外循環血液浄化システムであることが好ましい。
【0014】
実施形態に係る血液浄化システムにおいて、血液浄化システムは、二重慮過血漿交換法によるアフェレーシスを実施することが好ましい。
【0015】
実施形態に係る制御方法は、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムの制御方法であって、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、検出部により検出された血液情報を入力し、学習モデルから出力された制御パラメータを取得し、取得した制御パラメータに基づいて、液体制御機構を制御することを含み、血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイスのファウリング、因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む。
【0016】
実施形態に係る制御プログラムは、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムに含まれるコンピュータの制御プログラムであって、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、検出部により検出された血液情報を入力し、学習モデルから出力された制御パラメータを取得し、取得した制御パラメータに基づいて、液体制御機構を制御する、ことをコンピュータに実行させ、血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイスのファウリング、因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む。
【0017】
実施形態に係る学習装置は、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、血液情報と制御パラメータの複数の組合せを取得するデータ取得部と、データ取得部が取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成する生成部と、学習モデルに関する情報を出力する出力制御部と、を有し、血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイスのファウリング、因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む。
【0018】
実施形態に係る学習装置において、複数の血液浄化システムと通信するための通信部をさらに有し、データ取得部は、組合せを、通信部を介して複数の血液浄化システムから受信することにより取得することが好ましい。
【0019】
実施形態に係る学習装置において、データ取得部は、特定の制御パラメータに基づいて液体制御機構を制御し、特定の制御パラメータに基づいて液体制御機構を制御する前後に検出部により検出された血液情報を取得することにより、組合せを取得することが好ましい。
【0020】
実施形態に係る学習方法は、コンピュータが、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、血液情報と制御パラメータの複数の組合せを取得し、取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成し、学習モデルに関する情報を出力する、ことを含み、血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイスのファウリング、因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む。
【0021】
実施形態に係る制御プログラムは、コンピュータの制御プログラムであって、血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいてライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、血液情報と制御パラメータの複数の組合せを取得し、取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成し、学習モデルに関する情報を出力する、ことをコンピュータに実行させ、血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイスのファウリング、因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含む。
【0022】
血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法は、血液の浄化をより適切に実施することができる。
【0023】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る管理システム100の概略構成を示す図である。
図2】血液浄化ユニット14を示す模式図である。
図3】血液浄化システム40の概略構成を示す図である。
図4】結果テーブル553のデータ構造の一例を示す模式図である。
図5】サーバ80の概略構成を示す図である。
図6】制御装置50の学習処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】制御装置50の制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】サーバ80の学習処理の動作の例を示すフローチャートである。
図9】他の血液浄化ユニット14-2を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態の一側面に係る血液浄化システム、制御方法、制御プログラム、学習装置及び学習方法について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0026】
図1は、実施形態に係る管理システム100の概略構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、管理システム100は、一又は複数の血液浄化システム40及びサーバ80等を有する。各血液浄化システム40と、サーバ80とは、ネットワーク70を介して相互に通信可能に接続される。各血液浄化システム40は、体外循環血液浄化システムである。各血液浄化システム40は、二重慮過血漿交換法(DFPP:Double Filtration Plasmapheresis)によるアフェレーシスを実施する。各血液浄化システム40は、血液浄化ユニット14及び制御装置50等を有する。ネットワーク70は、インターネット又はイントラネット等の有線ネットワークである。ネットワーク70は、無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークでもよい。
【0028】
図2は、血液浄化システム40に含まれる血液浄化ユニット14を示す模式図である。
【0029】
図2に示すように、血液浄化ユニット14は、血漿分離デバイス1、送血ライン3、返血ライン4、血液ポンプ5、因子分離デバイス7、血漿ライン8、血漿送液ポンプ9、濾液ライン10、濾液ポンプ11、磁力調整器16、血流検出器17、ヘマトクリット値検出器18、アルブミン濃度検出器19、第1圧力計21~23、第2圧力計25、第3圧力計26、第1流量計28、29、第2流量計30、第3流量計31、配管系33、33’、(三方)弁34、34’、配管系35、35’及びクランプ36等を有する。血液浄化ユニット14は、臨床環境において、血漿分離デバイス1を利用するために用いられる。血液浄化ユニット14は、分子量の大きい病因又は病因関連物質の除去を目的とした二重慮過血漿交換法を実施する。
【0030】
送血ライン3、返血ライン4、血漿ライン8、濾液ライン10及び配管系33、33’は、血液又は濾液を含む液体が流れるラインの一例であり、血液回路である。送血ライン3、返血ライン4、血漿ライン8、濾液ライン10及び配管系33、33’として、例えばポリ塩化ビニル製のチューブが利用される。送血ライン3及び返血ライン4として、例えば内部に収容される液体の合計容量が約150mlとなる長さ及び径を有するチューブが利用される。送血ライン3、返血ライン4、血漿ライン8、濾液ライン10及び配管系33、33’として、他の部材が利用されてもよい。
【0031】
配管系33は、血液回路であり、患者(動物又はヒト)からの採血部33aを有する。配管系33’は、血液回路であり、患者への返血部33bを有する。送血ライン3は、採血部33aから脱血した血液を、血液ポンプ5を介して血漿分離デバイス1へ送る。返血ライン4は、血漿分離デバイス1から流出した血液を返血部33bへ送る。血漿ライン8は、血漿分離デバイス1の血漿出口側ポート1bに接続され、血漿出口側ポート1bから流出した濾液(血漿成分を含む液体)を、血漿送液ポンプ9を介して因子分離デバイス7へ送る。濾液ライン10は、因子分離デバイス7に接続され、因子分離デバイス7から流出した濾液を、濾液ポンプ11を介して返血ライン4へ送る。
【0032】
血漿分離デバイス1は、各ラインに流れる血液から血漿成分と細胞成分とを分離する。血漿分離デバイス1は、血漿出口側ポート1a、血漿出口側ポート1b、血液入口側ポート1c、血液出口側ポート1d及び中空膜体1e等を有する。血液入口側ポート1cは、患者から脱血された血液の流入口である。中空膜体1eは、血液入口側ポート1cから流入した血液が通過する多数の中空糸膜を束ねて構成される。血液出口側ポート1dは、中空膜体1eを通過した血液の器外への流出口である。血漿出口側ポート1a、1bは、中空膜体1eによって濾過されて、中空膜体1eの外側に透過した濾液の器外への流出口である。血漿出口側ポート1aは、予備用のポートである。中空膜体1eによって濾過分離された血漿成分は、血漿出口側ポート1a又は1bから排出され、細胞成分が濃厚な血液は、血液出口側ポート1dから排出される。血漿分離デバイス1として、公称孔径0.3μm、内径350μm、膜厚50μm、膜面積0.5m2 のポリエチレン中空糸膜の血漿分離デバイス(「プラズマフローOP-05」旭化成メディカル株式会社製)が利用可能である。
【0033】
因子分離デバイス7は、分離した血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する。因子分離デバイス7は、濾液出口側ポート7a、濾液出口側ポート7b、血漿出口側ポート7c、血漿入口側ポート7d及び中空膜体7e等を有する。血漿入口側ポート7dは、血漿分離デバイス1の血漿出口側ポート1bから流出した濾液の流入口である。中空膜体7eは、血漿入口側ポート7dから流入した濾液が通過する多数の中空糸膜を束ねて構成される。中空膜体7eとして、吸着ビーズが用いられてもよい。血漿出口側ポート7cは、中空膜体7eを通過した病気の原因となる因子成分の器外への流出口である。濾液出口側ポート7a、7bは、中空膜体7eによって濾過された濾液の器外への流出口である。濾液出口側ポート7bは、予備用のポートである。図2では、濾液ライン10が濾液出口側ポート7aに接続されているが、因子分離デバイス7内に含まれる中空膜体又は吸着ビーズを有効利用するには濾液出口側ポート7bに接続することがより好ましい。因子分離デバイス7として、例えばFresenius Medical Care社製 MONET(登録商標)が利用可能である。
【0034】
血液ポンプ5は、送血ライン3に設けられ、送血ライン3内の血液の流れを制御する。血漿送液ポンプ9は、血漿ライン8に設けられ、血漿ライン8内の血漿の流れを制御する。濾液ポンプ11は、濾液ライン10に設けられ、濾液ライン10内の濾液の流れを制御する。血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11は、それぞれ、制御装置50による制御に従って、駆動量(出力量)を変更可能に設けられる。血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11として、例えばローラポンプが利用される。血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11として、他の公知のポンプが利用されてもよい。
【0035】
磁力調整器16は、血漿分離デバイス1の所定位置を取り囲むように設けられ、血漿分離デバイス1内の血液に対して所定の方向に磁界を印加する。なお、磁力調整器16は、送血ライン3、返血ライン4又は血液浄化ユニット14に接続される患者の身体の所定位置を取り囲むように設けられ、送血ライン3、返血ライン4又は患者の体内の血液に対して所定の方向に磁界を印加してもよい。磁力調整器16は、環状磁石を有し、環状磁石内部の領域内で、血流の方向に対して平行に又は逆向きに一方向磁界を印加する。磁力調整器16は、制御装置50による制御に従って、印加する磁界の強度を変更可能に設けられる。磁界の強度は、磁界を印加する位置において、血液の粘度を所定量だけ低減させ且つ/又は血流中の乱流を所定量だけ抑制するのに充分な強度に設定される。磁力調整器16として、例えば電磁石、永久磁石又は超電導磁石等が利用される。
【0036】
磁力調整器16は、血漿分離デバイス1における血球成分の詰まりを抑制し、血漿分離デバイス1の圧上昇を抑制するとともに、血流の粘度及び血液の乱流を低減させることが可能である。これにより、血液浄化ユニット14は、患者の血圧を低下させ、高血圧症を改善させ、心雑音の発生を軽減させることが可能である。磁力調整器16の一方向磁界の強度が0.01テスラ未満では赤血球に対する磁力効果が低い。一方、100テスラを超える磁力調整器16は取り扱いが難しく、高価になる傾向がある。そのため、磁力調整器16の一方向磁界の強度は、0.01テスラ以上且つ100テスラ以下であることが好ましく、1テスラ以上10テスラ以下であることがより好ましい。
【0037】
血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9、濾液ポンプ11及び磁力調整器16は、血液浄化ユニット14の各ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構の一例である。
【0038】
血流検出器17は、血漿分離デバイス1の所定位置に設けられ、血漿分離デバイス1内の血流の方向、速度及び/又は速度分布を検出する。なお、血流検出器17は、送血ライン3、返血ライン4又は血液浄化ユニット14に接続される患者の身体の所定位置に設けられ、送血ライン3、返血ライン4又は患者の体内の血流の方向、速度及び/又は速度分布を検出してもよい。血流検出器17として、例えばSuperSonic Imagine社製の超音波画像診断装置Aixplorer等が利用可能である。血液浄化ユニット14は、血流検出器17により、血流異常を短時間に且つ高精度に検出することができる。
【0039】
ヘマトクリット値検出器18は、返血ライン4に設けられ、返血ライン4内の血液中のヘマトクリット値を測定する。ヘマトクリット値とは、血液の濃度を示す指標であり、全血に占める赤血球の容積率で示される。なお、血漿分離デバイス1からの血漿の透過量に異常があるか否かを確認するためには、ヘマトクリット値検出器18は、血液出口側ポート1dの近傍に設けられることが好ましい。一方、血液浄化ユニット14に流入する血液中のヘマトクリット値と、血液浄化ユニット14から流出する血液中のヘマトクリット値との差を確認するためには、ヘマトクリット値検出器18は、送血ライン3の採血部33aと第1圧力計23の間と、返血ライン4の第1流量計29と返血部33bの間とにそれぞれ設けられることが好ましい。ヘマトクリット値検出器18として、例えばノバ・バイオメディカル(NOVA(登録商標) BIOMEDICAL)社製 StatStrip(登録商標) Hb/Hctが利用可能である。
【0040】
アルブミン濃度検出器19は、濾液ライン10に設けられ、濾液ライン10内の濾液中のアルブミン濃度を測定する。アルブミン濃度検出器19として、例えば生化学分析装置(富士フィルム社製 DRI-CHEM NX700)が利用可能である。
【0041】
第1圧力計23は、送血ライン3において採血部33aと血液ポンプ5の間に設けられ、送血ライン3内の血液圧力を測定する。第1圧力計21は、送血ライン3において血液ポンプ5と血漿分離デバイス1の間に設けられ、送血ライン3内の血液圧力を測定する。第1圧力計22は、返血ライン4において血漿分離デバイス1と返血部33bの間に設けられ、返血ライン4内の血液圧力を測定する。第1圧力計21及び第1圧力計22は、血漿分離デバイス1の入圧及び出圧を常時測定可能であり、第1圧力計21及び第1圧力計22により、血漿分離デバイス1による血液圧力の圧力損失が測定可能である。第2圧力計25は、血漿ライン8に設けられ、血漿ライン8内の血漿圧力を測定する。第3圧力計26は、濾液ライン10に設けられ、濾液ライン10内の濾液圧力を測定する。第1圧力計21~23、第2圧力計25及び第3圧力計26として、例えば半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサ等の公知の水圧計が利用可能である。
【0042】
第1流量計28は、送血ライン3に設けられ、送血ライン3内の血液流量を測定する。第1流量計29は、返血ライン4に設けられ、返血ライン4内の血液流量を測定する。第2流量計30は、血漿ライン8に設けられ、血漿ライン8内の血漿流量を測定する。第3流量計31は、濾液ライン10に設けられ、濾液ライン10内の濾液流量を測定する。第1流量計28、29、第2流量計30、第3流量計31により、各ライン内のポンプ等によって制御される各ライン内の流量が、設定範囲内の流量であるか否かが判定可能である。第1流量計28、29、第2流量計30、第3流量計31として、例えばコリオリ質量流量計、電磁質量流量計、超音波質量流量計等の公知の流量計が利用可能である。
【0043】
血流検出器17、ヘマトクリット値検出器18、アルブミン濃度検出器19、第1圧力計21~23、第2圧力計25、第3圧力計26、第1流量計28、29、第2流量計30及び第3流量計31は、血液浄化ユニット14の各ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部の一例である。
【0044】
臨床環境における血液浄化ユニット14には、抗凝固薬注入器、気泡探知機、警報機能等が含まれてもよい。また、血液浄化システム40は、安全に使用するために、災害又は停電発生時にも作動できるように発電装置やバッテリーを備えることが好ましい。
【0045】
採血部33aを介して患者から脱血した血液は、送血ライン3を通って、血液ポンプ5により血漿分離デバイス1へ送られる。血漿分離デバイス1へ送られた血液は、血液入口側ポート1cから中空膜体1eに流入し、血液出口側ポート1dから返血ライン4に流出される。一方、中空膜体1eによって濾過された濾液は、血漿出口側ポート1bから流出され、血漿ライン8を通って、血漿送液ポンプ9により因子分離デバイス7へ送られる。因子分離デバイス7へ送られた濾液は、血漿入口側ポート7dから中空膜体7eに流入し、病気の原因となる因子成分が分離されて、血漿出口側ポート7cから器外へ流出される。一方、中空膜体7eによって濾過された濾液は、濾液出口側ポート7aから流出され、濾液ライン10を通って、血漿送液ポンプ9により返血ライン4に送られる。血液出口側ポート1dから返血ライン4に流出された血液、及び、濾液出口側ポート7aから返血ライン4に送られた濾液は、返血部33bを介して患者に戻される。
【0046】
図3は、血液浄化システム40の概略構成を示す図である。
【0047】
血液浄化システム40の血液浄化ユニット14は、上記した構成に加えて、駆動装置15、心電図測定器41、溶血測定器42、脈拍計43、血圧計44及び血流計45等を有する。
【0048】
駆動装置15は、一又は複数のモータを含み、制御装置50からの制御信号に従って血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11を駆動させて、血液浄化ユニット14の各ライン内の液体の流れを制御する。
【0049】
心電図測定器41は、血液浄化ユニット14に接続された患者に装着され、その患者の心電図(心拍波形)を測定し、測定した心電図を出力する。心電図測定器41として、例えばApple Watch(Series 4、5、6)等の装着型心電図測定機器が利用可能である。Apple Watch(Series 4、5、6)は、クリスタル及び電極を有し、心電図アプリケーションと連係して第I誘導心電図に類似した心電図を記録する。心電図測定器41は、心拍リズムを常時検出し、心房細動(AFib)の兆候がある不規則な心拍リズムが検出された場合に、その旨を通知してもよい。
【0050】
溶血測定器42は、血液浄化ユニット14に接続された患者に接続され、その患者の溶血の度合いを測定する。溶血とは、血液細胞の破壊を意味しており、特に赤血球の破壊を意味する。溶血測定器42として、市販されている全ての透析用監視装置(例えば、東レ社製 TR-3300M)に組み込まれている漏血検出器が利用可能である。
【0051】
脈拍計43及び血圧計44は、それぞれ血液浄化ユニット14に接続された患者に装着され、その患者の脈拍及び血圧を測定する。血流計45は、血液浄化ユニット14に接続された患者に接続され、その患者の循環血流量を測定する。脈拍計43、血圧計44及び血流計45として、公知の測定器が利用可能である。
【0052】
制御装置50は、学習装置の一例であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。制御装置50は、入力装置51、表示装置52、第1通信装置53、インタフェース装置54、第1記憶装置55及び第1処理装置56等を有する。入力装置51、表示装置52、第1通信装置53、インタフェース装置54、第1記憶装置55及び第1処理装置56は、CPU(Central Processing Unit)バス等を介して相互に接続される。
【0053】
入力装置51は、タッチパネル式の入力デバイス又はキーボード、マウス等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。
【0054】
表示装置52は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0055】
第1通信装置53は、通信部の一例である。第1通信装置53は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第1通信装置53は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に従って、ネットワーク70と通信接続する。第1通信装置53は、ネットワーク70を介してサーバ80から受信したデータを第1処理装置56に送り、第1処理装置56から受け取ったデータを、ネットワーク70を介してサーバ80に送信する。なお、第1通信装置53は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路とを有し、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワーク70と通信接続してもよい。
【0056】
インタフェース装置54は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有する。インタフェース装置54は、血液浄化ユニット14が有する駆動装置15、磁力調整器16、血流検出器17、ヘマトクリット値検出器18、アルブミン濃度検出器19、第1圧力計21~23、第2圧力計25、第3圧力計26、第1流量計28、29、第2流量計30、第3流量計31、心電図測定器41、溶血測定器42、脈拍計43、血圧計44及び血流計45等と接続され、接続された各装置と通信可能に設けられている。インタフェース装置54は、接続する各装置から受信したデータを第1処理装置56に送り、第1処理装置56から受け取ったデータを、接続する各装置に送信する。なお、インタフェース装置54は、Bluetooth等の近距離無線通信規格に準じたインタフェース回路を有し、無線により、血液浄化ユニット14が有する各部と通信接続されてもよい。
【0057】
第1記憶装置55は、記憶部の一例である。第1記憶装置55は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置55には、制御装置50の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置55にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。コンピュータプログラムは、所定のサーバ等からインストールされてもよい。
【0058】
第1記憶装置55には、データとして、学習モデル551、製品データ552、結果テーブル553等が記憶される。学習モデル551は、血液浄化ユニット14における血液の流れを制御するためのモデルである。学習モデル551は、第1処理装置56により生成され又はサーバ80から受信する。製品データ552は、血液浄化ユニット14に関するデータであり、血漿分離デバイス1による血漿成分、細胞成分の分離性能(濾過性能)、又は、因子分離デバイス7による因子成分の分離性能(濾過性能)等を示す。製品データ552は、入力装置51を用いて利用者により予め設定される。結果テーブル553には、血液浄化システム40による血液浄化毎に、血液浄化の結果が記憶される。結果テーブル553の詳細については後述する。
【0059】
第1処理装置56は、予め第1記憶装置55に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理装置56は、例えばCPUである。第1処理装置56として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。第1処理装置56は、入力装置51、表示装置52、第1通信装置53、インタフェース装置54及び第1記憶装置55等と接続され、各装置を制御する。第1処理装置56は、学習モデル551を生成するとともに、生成した学習モデル551を用いて血液浄化ユニット14における血液の流れを制御する。
【0060】
第1処理装置56は、第1記憶装置55に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作する。これにより、第1処理装置56は、第1データ取得部561、第1生成部562、第1出力制御部563、パラメータ取得部564及び制御部565として機能する。第1データ取得部561、第1生成部562及び第1出力制御部563は、それぞれデータ取得部、生成部及び出力制御部の一例である。
【0061】
図4は、結果テーブル553のデータ構造の一例を示す模式図である。
【0062】
結果テーブル553には、血液浄化システム40による血液浄化毎に、識別番号(測定ID)、学習モデル、患者データ、製品データ、血液データ、クリアランスデータ、原因物質除去量及び抗血栓性等が関連付けて記憶される。学習モデルは、血液浄化において使用された学習モデル551である。学習モデルとして、血液浄化において使用された学習モデル551の識別情報又は格納アドレス等が記憶されてもよい。患者データは、血液浄化が行われた患者の氏名、身長、体重等の患者に関するデータである。製品データは、利用者により予め設定された製品データ552である。
【0063】
血液データは、血液浄化ユニット14の各ラインに流れる血液に関するデータであり、血液浄化前の患者の脈拍、血圧、循環血流量、血液中のヘマトクリット値、又は、溶血の度合い等を含む。クリアランスデータは、血液浄化システム40によって浄化された血液に関するデータであり、血液浄化後の患者の脈拍、血圧、循環血流量、血液中のヘマトクリット値、溶血の度合い等を含む。クリアランスデータは、さらに、血液浄化中に測定された血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、又は、濾液中のアルブミン濃度等を含んでもよい。原因物質除去量は、血液浄化ユニット14によって除去された原因物質の量である。抗血栓性は、血液凝固系活性化抑制能であり、血液浄化ユニット14によって浄化された血液に形成されている血栓の度合いである。
【0064】
図5は、サーバ80の概略構成を示す図である。
【0065】
サーバ80は、制御装置50の上位コンピュータであり、学習装置の一例である。サーバ80は、第2通信装置81、第2記憶装置82及び第2処理装置83等を有する。第2通信装置81、第2記憶装置82及び第2処理装置83は、CPUバス等を介して相互に接続される。
【0066】
第2通信装置81は、複数の血液浄化システム40と通信するための通信部の一例である。第2通信装置81は、TCP/IP等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第2通信装置81は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に従って、ネットワーク70と通信接続する。第2通信装置81は、ネットワーク70を介して制御装置50から受信したデータを第2処理装置83に送り、第2処理装置83から受け取ったデータを、ネットワーク70を介して制御装置50に送信する。なお、第2通信装置81は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路とを有し、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワーク70と通信接続してもよい。
【0067】
第2記憶装置82は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置82には、サーバ80の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置82にインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、所定のサーバ等からインストールされてもよい。
【0068】
第2記憶装置82には、データとして、学習モデル821等が記憶される。学習モデル821は、第2処理装置83により生成され又は制御装置50から受信する。
【0069】
第2処理装置83は、予め第2記憶装置82に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理装置83は、例えばCPUである。第2処理装置83として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。第2処理装置83は、第2通信装置81及び第2記憶装置82等と接続され、各装置を制御する。第2通信装置81は、学習モデル821を生成し、各制御装置50に送信する。
【0070】
第2処理装置83は、第2記憶装置82に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作する。これにより、第2処理装置83は、第2データ取得部831、第2生成部832及び第2出力制御部833として機能する。
【0071】
図6は、制御装置50の学習処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0072】
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、制御装置50の学習処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置55に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理装置56により制御装置50の各要素と協働して実行される。
【0073】
最初に、第1データ取得部561は、血液浄化ユニット14の各ラインに流れる血液に関する血液情報を取得する(ステップS101)。血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、血漿分離デバイス1のファウリング、因子分離デバイス7のファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、又は、患者の溶血の度合い、脈拍、血圧もしくは循環血流量を含む。血液情報は、上記した各パラメータのうちの一つ又は複数を含む。
【0074】
第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介して血流検出器17から血液浄化ユニット14内の血流の方向、速度及び/又は速度分布を取得し、取得した各情報に基づいて血液の乱流の度合い及び血液の渦度を算出する。第1データ取得部561は、例えば、血流検出器17により検出された血流毎にレイノルズ数を算出し、算出したレイノルズ数が所定閾値以上であるか否かにより、各血流が乱流であるか層流であるかを判定する。第1データ取得部561は、血流検出器17により検出された全ての血流の数に対する、乱流である血流の数の割合を乱流の度合いとして算出する。また、第1データ取得部561は、血流検出器17から取得した血流の方向及び速度に基づいて、血流の速度ベクトルを算出し、算出した速度ベクトルのなすベクトル場の回転を渦度として算出する。渦度は、流れの回転するありさまを表現する量である。
【0075】
第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介して心電図測定器41から、血液浄化ユニット14に接続された患者の心電図を取得し、取得した心電図に基づいて心雑音の度合いを算出する。心雑音は、心臓の鼓動と調和せず、音律を乱している心臓の雑音である。心臓の雑音は、血液が心臓弁や心臓近くの血管を流れる時(弁の開閉時)等に発する特徴的な異常音である。異常音は、主に心臓弁の欠陥により発生する。第1データ取得部561は、取得した心電図に示される心拍リズムおいて、心房細動を示唆する不規則な心拍リズムの発生割合を心雑音の度合いとして算出する。例えば、制御装置50は、心房細動の心拍リズムの波形パターンを予め第1記憶装置55に記憶しておく。第1データ取得部561は、公知のパターンマッチング技術を利用して、取得した心電図に示される心拍リズム内で心房細動の心拍リズムと類似する波形を検出する。または、第1データ取得部561は、取得した心電図に示される心拍リズム内で各R波に対応するP波を検出し、P波の消失数に基づいて、心房細動を示唆する心拍リズムの発生を検出する。
【0076】
第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介して第1圧力計21~23から血液圧力を取得する。また、第1データ取得部561は、第1圧力計21から取得した血液圧力から、第1圧力計22から取得した血液圧力を減算した値を血液圧力の圧力損失として算出する。また、第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介して第2圧力計25及び第3圧力計26から、それぞれ血漿圧力及び濾液圧力を取得する。また、第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介して第1流量計28、29、第2流量計30及び第3流量計31から、それぞれ血液流量、血漿流量、濾液流量を取得する。
【0077】
また、第1データ取得部561は、第2流量計30から取得した血漿流量から、血液浄化ユニット14の稼働を開始してから現在までの単位時間あたりの血漿分離デバイス1の濾液量を算出する。第1データ取得部561は、現在の、第2圧力計25から取得した血漿圧力と第1圧力計21から取得した血液圧力の圧力差を算出する。第1データ取得部561は、算出した濾液量から、算出した圧力差を除算した値を、単位時間でさらに除算した値を血漿分離デバイス1のファウリングとして算出する。同様に、第1データ取得部561は、第3流量計31から取得した濾液流量から、血液浄化ユニット14の稼働を開始してから現在までの単位時間あたりの因子分離デバイス7の濾液量を算出する。第1データ取得部561は、現在の、第3圧力計26から取得した濾液圧力と第2圧力計25から取得した血漿圧力の圧力差を算出する。第1データ取得部561は、算出した濾液量から、算出した圧力差を除算した値を、単位時間でさらに除算した値を因子分離デバイス7のファウリングとして算出する。
【0078】
第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介してヘマトクリット値検出器18から血液中のヘマトクリット値を取得する。また、第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介してアルブミン濃度検出器19から濾液中のアルブミン濃度を取得する。また、第1データ取得部561は、インタフェース装置54を介して溶血測定器42、脈拍計43、血圧計44及び血流計45から、それぞれ血液浄化ユニット14に接続された患者の溶血の度合い、脈拍、血圧及び循環血流量を取得する。
【0079】
次に、第1データ取得部561は、血液浄化ユニット14における液体の流れに関する制御パラメータを取得する(ステップS102)。制御パラメータは、磁力調整器16により血液に対して所定の方向に印加する磁界の強度、又は、血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9もしくは濾液ポンプ11の駆動量を含む。制御パラメータは、上記した各パラメータのうちの一つ又は複数を含む。
【0080】
例えば、制御装置50は、制御パラメータの種別毎に、使用可能な様々な値を第1記憶装置55に記憶しておき、第1データ取得部561は、第1記憶装置55に記憶された値を順次読み出すことにより制御パラメータを取得する。なお、第1データ取得部561は、制御パラメータの種別毎に、使用可能な値の範囲で乱数値を発生させることにより、制御パラメータを取得してもよい。また、制御装置50は、制御パラメータの種別毎に、各制御パラメータの最適値を第1記憶装置55に記憶しておき、第1データ取得部561は、その最適値に対して微小量だけ変化させることにより、制御パラメータを取得してもよい。
【0081】
次に、第1データ取得部561は、取得した制御パラメータに基づいて、磁力調整器16を制御し、又は、駆動装置15を介して血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9もしくは濾液ポンプ11を制御する(ステップS103)。
【0082】
次に、第1データ取得部561は、ステップS101の処理と同様にして、血液情報を取得する(ステップS104)。このように、第1データ取得部561は、ステップS102で取得した制御パラメータに基づいて血液浄化ユニット14の液体制御機構を制御し、その制御パラメータに基づいて液体制御機構を制御する前後に検出部により検出された血液情報を取得する。これにより、第1データ取得部561は、血液情報と制御パラメータの組合せを取得する。
【0083】
次に、第1生成部562は、第1データ取得部561が取得した血液情報に基づいて、学習モデル551における報酬を設定する(ステップS105)。
【0084】
血液浄化システム40で使用される学習モデル551は、例えば強化学習により学習される。学習モデル551は、強化学習として例えばQ学習により学習される。学習モデル551は、血液浄化ユニット14を環境とし、制御装置50をエージェントとし、血液情報を状態とし、制御パラメータに基づく液体制御機構の制御を行動として、各制御パラメータに基づく制御の価値を定める行動価値関数を有する。上記した各血液情報は、上記した各制御パラメータを変更することによって変化する物理量である。即ち、各血液情報と各制御パラメータの間には相関関係が存在し、第1生成部562は、血液浄化ユニット14の状態に応じた適切な制御パラメータを決定することが可能な学習モデル551を生成することができる。
【0085】
Q学習では、環境の状態sと、その状態sで選択される行動aとを独立変数として、状態sで行動aを選択した場合の行動の価値を表す行動価値関数Q(s,a)が学習される。Q学習では、状態sと行動aとの相関性が未知の状態で学習が開始され、任意の状態sで種々の行動aを選択する試行錯誤を繰り返すことにより、行動価値関数Qが反復して更新される。また、Q学習では、ある状態sである行動aが選択された場合に、報酬rが得られるように構成され、より高い報酬rが得られる行動aが選択されるように、行動価値関数Qが学習される。行動価値関数Qの更新式は、以下の式のように表される。
【数1】
【0086】
上記式において、st及びatはそれぞれ時刻tにおける状態及び行動であり、行動atにより状態はstからst+1に変化する。rt+1は、状態がstからst+1に変化したことで得られる報酬である。maxQの項は、時刻t+1で最大の価値Qになる(と時刻tで考えられている)行動aを行ったときのQを意味する。α及びγはそれぞれ学習係数及び割引率であり、0<α≦1(通常は0.9~0.99)、0<γ≦1(通常は0.1程度)で任意に設定される。
【0087】
この更新式は、ある状態stにおける行動atの評価値Q(st,at)より、次の状態st+1における最良の行動maxat+1の評価値Q(st+1,maxat+1)の方が大きければQ(st,at)を大きくし、小さければQ(st,at)も小さくすることを示している。つまり、この更新式により、ある状態における、ある行動の価値は、それによる次の状態における最良の行動の価値に近づけられる。したがって、行動価値関数は、血液浄化ユニット14を稼働するのに最も適した状態となるような行動(稼働条件)の行動価値が高くなるように、即ち血液浄化ユニット14の最適な行動(稼働条件)の行動価値が高くなるように更新される。
【0088】
各行動価値関数Qの初期値は、任意に設定される。第1生成部562は、ステップS106の実行回数を上記式の時刻として使用する。第1生成部562は、ステップS101で取得された制御前の血液情報を状態stとして特定し、ステップS102で取得された制御パラメータに基づく制御を行動atとして特定し、ステップS104で取得された制御後の血液情報を状態st+1として特定する。
【0089】
第1生成部562は、制御前後の血液情報(状態)の変化に基づいて、報酬rを設定する。第1生成部562は、制御前の血液情報に対する制御後の血液情報の変化(差)が小さいほど報酬rが大きくなり、変化(差)が大きいほど報酬rが小さくなるように、報酬rを設定する。例えば、血液情報毎に一又は複数の閾値が予め設定され、第1生成部562は、各血液情報の変化量を各閾値と比較することにより、報酬rを設定する。変化量が閾値の最大値より大きい場合、第1生成部562は、報酬rを0に設定してもよい。このように、第1生成部562は、特定の制御パラメータに基づいて血液浄化ユニット14を制御したときに、血液浄化ユニット14における血液の状態が安定しているほど報酬rが高くなるように、報酬rを設定する。これにより、第1生成部562は、現在の血液状態に対して、血液浄化ユニット14における血液の状態がより安定するような制御パラメータを選択するように学習された学習モデル551を生成することができる。
【0090】
次に、第1生成部562は、第1データ取得部561が取得した血液情報と制御パラメータの組合せ、及び、設定した報酬に基づいて、行動価値関数を更新する(ステップS106)。第1生成部562は、特定した状態st、行動at、状態st+1及び設定した報酬rに基づいて、上記式に従って、行動価値関数Q(st,at)を更新する。
【0091】
次に、第1生成部562は、学習の終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS107)。学習の終了条件として、例えば行動価値関数の総更新回数が所定回数以上になったこと、又は、各行動価値関数の更新回数の最大値又は最小値が所定回数以上になったこと等が事前に設定される。まだ学習の終了条件が満たされていない場合、第1データ取得部561及び第1生成部562は、ステップS101へ処理を戻し、ステップS101~S107の処理を繰り返す。これにより、第1データ取得部561は、血液情報と制御パラメータの複数の組合せを取得し、第1生成部562は、第1データ取得部561が取得した各組合せを用いて、行動価値関数を更新する。なお、二回目以降の処理では、ステップS101の処理は省略され、第1データ取得部561は、直前のステップS104で取得した制御後の血液情報を、制御前の血液情報として使用してもよい。
【0092】
一方、学習の終了条件が満たされた場合、第1生成部562は、最終的に更新された各Q(s,a)の値(行動価値)の組合せ(行動価値テーブル)を有する学習モデル551を生成し、第1記憶装置55に記憶する(ステップS108)。学習モデル551は、所定の血液情報が状態として入力された場合に、その状態において行動価値が最も高くなる行動に対応する制御パラメータ、即ち血液情報を最も安定させることが可能な制御パラメータを出力するように学習されている。なお、学習モデル551は、所定の血液情報が状態として入力された場合に、その状態における各制御パラメータ(各値)の行動価値を出力するように学習されていてもよい。
【0093】
これにより、血液浄化システム40は、血液浄化ユニット14の稼働を開始してから時間経過毎の最適な稼働条件を自動的に作成することができる。その結果、血液浄化システム40は、例えば、二重慮過血漿交換法によるアフェレーシスでの最適な稼働条件を導き出すことができる。
【0094】
次に、第1出力制御部563は、第1生成部562が生成した学習モデル551を、第1通信装置53を介してサーバ80に送信することにより出力し(ステップS109)、一連のステップを終了する。学習モデル551は、学習モデルに関する情報の一例である。一方、サーバ80は、第2通信装置81を介して制御装置50から学習モデル551を受信した場合、受信した学習モデル551を学習モデル821として第2記憶装置82に記憶するとともに、第2通信装置81を介して他の制御装置50に送信する。他の制御装置50は、第1通信装置53を介してサーバ80から学習モデル821を受信した場合、受信した学習モデル821を学習モデル551として第1記憶装置55に記憶する。これにより、管理システム100は、複数の血液浄化システム40で学習モデルを共有でき、学習モデルの生成効率を向上させることが可能となる。なお、ステップS109の処理は省略され、制御装置50は、自装置で生成した学習モデル551を、自装置でのみ使用してもよい。
【0095】
図7は、制御装置50の制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0096】
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、制御装置50の制御処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置55に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理装置56により制御装置50の各要素と協働して実行される。制御処理は、入力装置51を用いて利用者により血液浄化の開始が指示された場合に実行される。
【0097】
最初に、パラメータ取得部564は、図6のステップS101の処理と同様にして、血液浄化ユニット14から、血液浄化ユニット14の検出部により検出された血液情報を取得し、第1記憶装置55に記憶する(ステップS201)。
【0098】
次に、パラメータ取得部564は、第1記憶装置55に記憶された学習モデル551に、取得した血液情報を入力し、学習モデル551から出力された制御パラメータを取得する(ステップS202)。
【0099】
次に、制御部565は、パラメータ取得部564が取得した制御パラメータに基づいて、磁力調整器16を制御し、又は、駆動装置15を介して血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9もしくは濾液ポンプ11を制御する(ステップS203)。
【0100】
次に、第1データ取得部561は、図6のステップS104の処理と同様にして、血液情報を取得し、第1記憶装置55に記憶する(ステップS204)。
【0101】
次に、第1生成部562は、図6のステップS105の処理と同様にして、学習モデル551における報酬を決定する(ステップS205)。第1生成部562は、ステップS201で取得された血液情報と、ステップS204で取得された血液情報の変化に基づいて報酬を設定する。
【0102】
次に、第1生成部562は、図6のステップS106の処理と同様にして、行動価値関数を更新する(ステップS206)。第1生成部562は、ステップS201で取得された血液情報と、ステップS204で取得された血液情報と、ステップS202で取得された制御パラメータと、ステップS206で設定した報酬とに基づいて、行動価値関数を更新する。なお、ステップS204~S206の処理は省略され、第1生成部562は、制御処理では学習モデル551を更新しなくてもよい、
【0103】
次に、制御部565は、入力装置51を用いて利用者により血液浄化の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS207)。まだ、血液浄化の終了が指示されていない場合、制御部565は、ステップS201へ処理を戻し、ステップS201~S207の処理を繰り返す。
【0104】
一方、血液浄化の終了が指示された場合、制御部565は、制御処理の結果を結果テーブル553に記憶する(ステップS208)。
【0105】
制御部565は、第1記憶装置55から今回の血液浄化において使用された学習モデル551を読み出す。また、制御部565は、入力装置51を用いて利用者による患者データの入力を受け付ける。また、制御部565は、第1記憶装置55から血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7の製品データ552を読み出す。また、制御部565は、第1記憶装置55からステップS201で最初に記憶された血液情報を読み出し、血液浄化ユニット14の各ラインに流れる血液に関する血液データとして取得する。また、制御部565は、第1記憶装置55からステップS204で記憶された各血液情報を読み出し、血液浄化システム40によるクリアランスデータとして取得する。なお、制御部565は、ステップS204で最後に記憶された血液情報のみを血液浄化システム40によるクリアランスデータとして取得してもよい。
【0106】
また、制御部565は、入力装置51を用いて利用者による、患者の原因物質除去量の入力を受け付ける。なお、血液浄化ユニット14に接続された患者に、原因物質除去量を測定するための測定器が接続され、制御部565は、インタフェース50を介して、その測定器から、患者の原因物質除去量を取得してもよい。
【0107】
また、制御部565は、入力装置51を用いて利用者による、患者の抗血栓性の入力を受け付ける。例えば、血液浄化の終了後、血液浄化ユニット14から血液及び血漿成分が排出された上で、中空膜体1eに形成された血栓を固定するためのグルタルアルデヒド等の固定液が、送血ライン3及び返血ライン4内で所定時間循環される。その後、血液浄化ユニット14から血漿分離デバイス1が取り出され、取り出された血漿分離デバイス1について、その入口部分の中空膜体1eが目視で観察されることにより、血栓形成の有無が評価される。また、走査型電子顕微鏡により、所定の部位毎に中空膜体1eの内部の血栓の状態が観測される。例えば、中空膜体1eが、縦方向に濾過側、中央、外側(濾過側の反対側)の3領域に分けられ且つ横方向に入口側、中央、出口側の3領域に分けられ、縦横3×3の領域の各部位について、以下の評価が行われる。
【0108】
例えば、1部位につき15本程度の中空糸膜が無作為に抽出され、それぞれの中空糸膜について、血栓形成部分の断面積が計測され、各部位における血栓形成部分の断面積の中空糸膜1本当たりの平均値が算出される。そして、部位毎に、中空糸膜の平均断面積に対する血栓形成部分の断面積の平均値の割合が血栓形成率として算出される。そして、その血栓形成率を指標として、血漿分離デバイス1の抗血栓性が評価される。例えば、部位毎に、血栓形成率が5段階に区分されて点数化(スコアリング)される。血栓形成率が1%未満の場合は0点とされ、血栓形成率が1%以上25%未満の場合は1点とされ、血栓形成率が25%以上50%未満の場合は2点とされ、血栓形成率が51%以上75%未満の場合は3点とされ、血栓形成率が76%以上の場合は4点とされる。また、縦方向の領域毎に、又は、横方向の領域毎に、点数の平均値が算出されてもよい。これにより、中空膜体1eの血栓形成の傾向が領域毎に把握される。また、全部位での点数の平均値が、血漿分離デバイス1全体の抗血栓性の評価点とされてもよい。評価点が小さい程、抗血栓性が高いと評価される。
【0109】
制御部565は、学習モデル551、患者データ、製品データ552、血液データ、クリアランスデータ、原因物質除去量及び抗血栓性を相互に関連付けて、新たな測定IDを割り当てて、結果テーブル553に記憶する。
【0110】
次に、第1出力制御部563は、血液浄化の結果を表示装置52に表示することにより出力し(ステップS208)、一連のステップを終了する。血液浄化の結果は、学習モデルに関する情報の一例である。これにより、利用者は、学習モデル551による効果を確認でき、高い効果を発揮する学習モデル551を特定して、他の制御装置50で共有することが可能となる。
【0111】
なお、制御装置50は、自装置に記憶された学習モデルを用いる代わりに、サーバ80に記憶された学習モデルを用いて制御パラメータを取得してもよい。その場合、ステップS202において、パラメータ取得部564は、第1通信装置53を介してサーバ80に血液情報を送信する。サーバ80の第2処理装置83は、第2通信装置81を介して制御装置50から血液情報を受信し、第2記憶装置82に記憶された学習モデル821に入力し、学習モデル821から出力された制御パラメータを取得する。第2処理装置83は、取得した制御パラメータを、第2通信装置81を介して制御装置50に送信し、パラメータ取得部564は、制御パラメータを、第1通信装置53を介してサーバ80から受信することにより取得する。
【0112】
制御装置50は、サーバ80に記憶された学習モデル821を利用することにより、サーバ80によって更新されている最新の学習モデル821を用いて血液浄化システム40を適切に制御することができる。一方、制御装置50は、自装置に記憶された学習モデル551を利用することにより、サーバ80との通信接続が切断されている状態でも血液浄化システム40を適切に制御することができる。
【0113】
以上詳述したように、血液浄化システム40は、血液浄化ユニット14に流れる血液に関する血液情報と、血液浄化ユニット14の制御パラメータとに基づいて学習モデル551を生成し、生成した学習モデル551を用いて血液浄化ユニット14を制御する。これにより、血液浄化システム40は、最適な稼働条件を自ら学習し、解明・提供することが可能となる。したがって、血液浄化システム40は、血液浄化ユニット14に流れる血液の状態をより安定化させることが可能となり、血液の浄化をより適切に実施することが可能となる。
【0114】
特に、血液情報は、血液の乱流の度合い又は血液の渦度を含む。発明者は、血液の乱流(動きが不規則に絶えず変動している乱れた状態の流体)、及び、血液の渦度が血小板の生成を促進させることを発見した。血液の乱流の度合い及び血液の渦度の変化が大きいと、血漿分離デバイス1のファウリングが進行し易くなる。血液浄化システム80の稼働は数時間から数日間にわたり、人手による目視作業・操作には限界があるため、血液の乱流の度合い及び血液の渦度について、人手により最適条件を得ることは困難である。血液浄化システム40は、機械学習を用いることにより、血液の乱流の度合い及び血液の渦度について最適条件、特に人が想定し難い最適条件を取得することが可能となり、血漿分離デバイス1のファウリングをより低減させることが可能となる。
【0115】
また、血液情報は、心雑音の度合いを含む。心雑音の度合いが大きいと患者からの脱血効率が悪くなる傾向にある。血漿分離デバイス1等の体外血液処理デバイスを用いる患者について、虚血性心疾患と診断された人のうち、症状がないと答えた人は半数以上存在するという調査結果がある。体外血液処理デバイスを用いてから最初の1年間は、特に心筋梗塞が起こりやすい。血液浄化システム40は、機械学習を用いることにより、心雑音の度合いについて最適条件、特に人が想定し難い最適条件を取得することが可能となり、血漿分離デバイス1を使用する患者が虚血性心疾患を起こす可能性を低減させることが可能となる。また、血液浄化システム80は、心電図測定器41を有するため、虚血性心疾患を患者に自覚させることも可能である。
【0116】
また、制御パラメータは、血液に対して所定の方向に印加する磁界の強度を含む。磁界の強度は、わずかに変化するだけで血液の流れに多大な影響を与えるため、磁界の強度を適切に制御することは困難である。特に、磁界の強度が変化した場合に、血液の流れは即時には変化しないが、しばらくしてから変化するため、磁界の強度を適切に制御することは困難である。磁界の強度については微妙な調整を要するため、人手による目視作業・操作では最適条件を得ることは困難である。血液浄化システム40は、機械学習を用いることにより、磁界の強度について最適条件、特に人が想定し難い最適条件を取得することが可能となる。
【0117】
発明者は、鋭意検討し実験を重ねた結果、血液浄化システム40に自ら学習する機能を設けることにより、最適な稼働条件が得られることを見出した。特に、血液浄化システム40は、二重慮過血漿交換法によるアフェレーシスに用いられる血漿分離デバイス1の抗血栓性を高めること、ライフタイムを延長すること、及び、ファウリングを低減することが可能な稼働条件を解明・提供することが可能となる。また、血液浄化システム40は、因子分離デバイス7のライフタイムを延長すること、及び、ファウリングを低減することが可能な稼働条件を解明・提供することが可能となる。また、血液浄化システム40は、病気の原因物質を低減することが可能な稼働条件を解明・提供することが可能となる。
【0118】
また、一般に、閉鎖系循環試験装置を利用して適切な稼働条件を得るためには3日程度の時間が必要であるが、血液浄化システム40は、機械学習技術を利用することにより、短時間で適切な稼働条件を得ることが可能となる。また、制御装置50は、血液浄化ユニット14において濾液を行いながら血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7の性能を評価することが可能となり、血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7の性能評価を効率良く行うことが可能となる。また、制御装置50は、血液浄化ユニット14における血漿成分量、濾過量等を設定し、複数のポンプの動作をまとめて適切に管理することが可能となる。
【0119】
また、血液浄化ユニット14を制御する制御装置50が学習モデル551を生成することにより、血液浄化システム40は、簡易な構成で学習モデル551を生成することが可能となる。
【0120】
図8は、他の実施形態に係るサーバ80の学習処理の動作の例を示すフローチャートである。本実施形態では、サーバ80の第2データ取得部831、第2生成部832及び第2出力制御部833が、それぞれデータ取得部、生成部及び出力制御部の一例である。
【0121】
以下、図8に示したフローチャートを参照しつつ、サーバ80の学習処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置82に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理装置83によりサーバ80の各要素と協働して実行される。
【0122】
最初に、第2データ取得部831は、血液情報と制御パラメータの複数の組合せを、第2通信装置81を介して制御装置50から、即ち血液浄化システム40から受信することにより取得する(ステップS301)。制御装置50の第1データ取得部561は、図6のステップS101~S104の処理を繰り返し実行して血液情報と制御パラメータの複数の組合せを取得し、第1通信装置53を介してサーバ80に送信する。第2データ取得部831は、血液情報と制御パラメータの複数の組合せを、第2通信装置81を介して制御装置50から受信することにより取得する。なお、第2データ取得部831は、血液情報と制御パラメータの組合せを複数の制御装置50から、即ち複数の血液浄化システム40から受信することにより取得してもよい。これにより、第2データ取得部831は、学習モデル821の学習用データを効率良く取得することができる。
【0123】
次に、第2生成部832は、図6のステップS105の処理と同様にして、血液情報と制御パラメータの組合せ毎に、各組合せに対応する報酬を決定する(ステップS302)。
【0124】
次に、第2生成部832は、図6のステップS106の処理と同様にして、血液情報と制御パラメータの組合せ毎に、血液情報と制御パラメータの組合せ、及び、設定した報酬に基づいて、行動価値関数を更新する(ステップS303)。
【0125】
次に、第2生成部832は、図6のステップS108の処理と同様にして、最終的に更新された各Q(s,a)の値(行動価値)の組合せ(行動価値テーブル)を有する学習モデル821を生成し、第2記憶装置82に記憶する(ステップS304)。
【0126】
次に、第2出力制御部833は、第2生成部832が生成した学習モデル821を、第2通信装置81を介して各制御装置50に送信することにより出力し(ステップS305)、一連のステップを終了する。学習モデル821は、学習モデルに関する情報の一例である。一方、各制御装置50は、第1通信装置53を介してサーバ80から学習モデル821を受信した場合、受信した学習モデル821を学習モデル551として第1記憶装置55に記憶する。
【0127】
以上詳述したように、血液浄化システム40は、サーバ80が学習モデル821を生成する場合も、血液の浄化をより適切に実施することが可能となる。
【0128】
特に、管理システム100は、各血液浄化システム40が利用する学習モデルをサーバ80で一元管理することが可能となり、各血液浄化システム40が利用する学習モデルの精度にばらつきが発生することを抑制することが可能となる。
【0129】
なお、図8に示す学習処理は、サーバ80でなく、各制御装置50により実行されてもよい。即ち、各制御装置50は、他の制御装置50から血液情報と制御パラメータの複数の組合せを取得し、取得した組合せを用いて、学習モデル551を生成してもよい。
【0130】
図9は、さらに他の実施形態に係る血液浄化ユニット14-2を示す模式図である。
【0131】
血液浄化ユニット14-2は、血液浄化ユニット14が有する各部を有し、血液浄化ユニット14の代わりに使用される。但し、血液浄化ユニット14-2は、配管系33、33’、(三方)弁34、34’、配管系35、35’を有さず、代わりに血液バッグ2、抵抗付与部材6、37、及び、開閉ポート24、24’、38、39等を有する。血液浄化ユニット14-2は、患者への使用を伴わない非臨床環境において、血流、血圧、血漿量又は濾液量について、実際の使用時とほぼ同一の状況下で血漿分離デバイス1を利用するために用いられる。血液浄化ユニット14-2は、血漿分離デバイス1の補体活性化抑制能、抗血栓性(血液凝固系活性化抑制能)、血漿分離デバイス1のライフタイム等の性能の比較評価、及び、血漿分離デバイス1のファウリング評価を実施可能である。また、血液浄化ユニット14-2は、因子分離デバイス7のアルブミンの喪失を抑え、血漿成分から病気の原因となる因子(成分)を分離する性能、因子分離デバイス7のライフタイム等の比較評価、及び、因子分離デバイス7のファウリング評価を実施可能である。
【0132】
血液浄化ユニット14-2は、大気非接触下において、血漿分離デバイス1を介して試験用液体が循環して流れる閉鎖回路を有する。試験用液体として、ヒト血液(全血)が用いられるが、試験用液体はこれに限定されず、試験用液体として、ヒト血液に類する血液成分を有する動物の血液又は人工血液等の他の液体が用いられてもよい。
【0133】
送血ライン3及び返血ライン4は、血液バッグ2を介して接続される。
【0134】
抵抗付与部材6は、返血ライン4に設けられる。抵抗付与部材6は、返血ライン4に代えて、又は加えて、送血ライン3に設けられてもよい。抵抗付与部材37は、濾液ライン10に設けられる。抵抗付与部材6及び抵抗付与部材37は、各配置位置において、送血ライン3、返血ライン4又は濾液ライン10に抵抗を印加し、試験用液体(血液)の流量又は圧力を実使用環境に合わせるために使用される。特に、抵抗付与部材6は、人体の末梢抵抗を模擬して返血ライン4に絞り抵抗を付与し、人体の静脈を模擬して試験用液体の流れを調整する静脈モデルとして機能する。抵抗付与部材6及び抵抗付与部材37として、例えばモータの駆動によって、各ラインに印加する力(抵抗)の大きさを変更可能なクランプが利用される。抵抗付与部材6及び抵抗付与部材37として、弁等の他の様々な機器が利用可能である。抵抗付与部材6及び抵抗付与部材37は、液体制御機構の一例である。駆動装置15は、抵抗付与部材6及び抵抗付与部材37を駆動するためのモータをさらに有する。
【0135】
開閉ポート24、24’は、送血ライン3に対して試験用液体の供給又は排出を可能にする解放状態と、試験用液体の供給又は排出を不能にする閉塞状態とを切換え可能な活栓等で構成される。開閉ポート24,24’は、試験中の試験用液体のサンプル採取時、又は、試験後の試験用液体の交換時等に解放状態にセットされ、それ以外の場合に閉塞状態にセットされる。開閉ポート24,24’が閉塞状態にセットされると、血液浄化ユニット14-2の回路全体が空気非接触の状態に維持される。同様に、開閉ポート38は、濾液ライン10に対して解放状態と閉塞状態とを切換え可能な活栓等で構成される。開閉ポート39は、血漿ライン8に対して解放状態と閉塞状態とを切換え可能な活栓等で構成される。
【0136】
血液浄化ユニット14-2は、血液浄化ユニット14-2内の各種液体の温度を一定に保つために、血漿分離デバイス1、血液バッグ2、因子分離デバイス7及び血液浄化ユニット14-2全体を温調する恒温手段を備えることが好ましい。恒温手段は、例えば内部に水が貯められた水槽と、水槽内の水温を所定温度に維持するヒータとを有する。血液バッグ2と、送血ライン3の一部とを水槽内に入れることにより、送血ライン3及び返血ライン4を流れる試験用液体を人間の体温(36~37℃程度)と同程度の一定温度に維持することが可能である。同様に、因子分離デバイス7と、血漿ライン8及び濾液ライン10の一部とを水槽内に入れることにより、血漿ライン8及び濾液ライン10内を流れる血漿成分を人間の体温(36~37℃程度)と同程度の一定温度に維持することが可能である。恒温手段は、血液浄化ユニット14-2全体が収容された密閉空間を所定温度に維持するヒータを有してもよい。
【0137】
血液浄化ユニット14-2が有する各部は、実際の血液濾過時に用いられる血液浄化ユニット14における液体回路内に設けられた各機器の高低差による差圧の影響を模擬するために、同様の差圧を発生させる高低差を有するように配置される。また、血液浄化ユニット14-2が有する各部は、その高低差による重力の影響も加味されて配置される。例えば、血液ポンプ5は、最高地点に配置される。血液ポンプ5は、最下点である血液浄化ユニット14-2の装置設置面から、約600mm~700mm程度の高さに配置される。また、血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7は、血液入口側ポート1c及び血漿入口側ポート7dが上側で、血液出口側ポート1d及び血漿出口側ポート7cが下側となる向きで保持される。血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7の上端部分は、装置設置面から約400mm~500mm程度の高さ位置となるように配置される。
【0138】
制御装置50は、血液浄化ユニット14を制御する場合と同様に、血液浄化ユニット14-2を制御する。但し、血液浄化ユニット14-2が使用される場合、血液浄化ユニット14-2の制御パラメータには、抵抗付与部材6及び抵抗付与部材37が付与する抵抗の大きさ(抵抗量)が含まれる。また、血液浄化ユニット14-2が使用される場合、血液情報には、心雑音の度合い、患者の血圧、患者の溶血の度合い、脈拍、血圧及び循環血流量は含まれない。
【0139】
以下、血液浄化ユニット14-2を用いた血漿分離デバイス1の抗血栓性評価とライフタイム評価の試験方法及び因子分離デバイス7のライフタイム評価の試験方法について説明する。
【0140】
試験対象となる血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7が、血液浄化ユニット14-2に設置(セット)された上で、試験用液体として血液が、送血ライン3及び返血ライン4に充填される。血液ポンプ5が駆動され、血漿送液ポンプ9、濾液ポンプ11への血漿成分及び濾液の到達状況に合わせて血漿送液ポンプ9、濾液ポンプ11が順次、適宜駆動される。実際の使用環境と同一の条件で血液ポンプ5により脈動流が付与された血液は、血液バッグ2から血液ポンプ5を通過し、血液入口側ポート1cから血漿分離デバイス1に流入し、中空膜体1eを通過する。中空膜体1e内を通過した血液は、血液出口側ポート1dから返血ライン4に流れ、抵抗付与部材6を通過し、血液バッグ2に戻される。
【0141】
血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11は、実際の使用環境に相当する時間(例えば、3時間~3日間程度)継続して駆動される。この間、第1圧力計21~23、第2圧力計25、第3圧力計26、第1流量計28、29、第2流量計30及び第3流量計31が定期的にモニタリングされ、血漿分離デバイス1の入口圧力、出口圧力又はその差圧等の経時的変化に関するデータが取得される。因子分離デバイス7についても同様に、因子分離デバイス7の入口圧力、濾液圧力等の経時的変化に関するデータが取得される。制御装置50は、取得されたデータから、血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7のライフタイムを求めることが可能である。血漿分離デバイス1及び因子分離デバイス7の入口圧力が初期値(例えば、70mmHg)から、所定値(例えば、150mmHg)まで上昇した場合、前述の駆動時間が経過していなくても、血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11が停止され、試験終了となり、試験開始時からの経過時間(稼働時間)もデータとして取得される。
【0142】
試験中、所定時間毎に送血ライン3、血漿ライン8、濾液ライン10を流れる血液、血漿成分及び濾液がサンプルとして採取され、その都度、各種成分等が測定され、その各種成分等の経時的変化に関するデータも取得される。試験終了後、血液浄化ユニット14-2から血液、血漿成分が排出された上で、中空膜体1eに形成された血栓を固定するためのグルタルアルデヒド等の固定液が、送血ライン3及び返血ライン4内で所定時間循環される。このときの血液ポンプ5、血漿送液ポンプ9及び濾液ポンプ11のそれぞれの駆動条件は、血液による試験と同一の条件に設定される。そして、血液浄化ユニット14-2から血漿分離デバイス1が取り出され、取り出された血漿分離デバイス1について、血漿分離デバイス1の抗血栓性が評価される。このように、本実施形態では、大気非接触で、流量及び圧力と試験用液体の成分とが所望の状態に維持されながら血漿分離デバイス1の評価試験が実施され、患者を介さない非臨床環境下において、患者を介した実際の使用環境下とほぼ同一の試験が実施される。
【0143】
なお、実施形態は、上記したものに限定されない。例えば、制御装置50と血液浄化ユニット14は、別個の装置でなく、一体の装置で構成されてもよい。その場合、例えば、血液浄化ユニット14の各装置は、制御装置50のCPUバス等に直接接続され、CPUバス等を介して制御装置50の第1処理装置56と情報の送受信を行う。
【0144】
また、学習モデルは、強化学習以外の方式により学習されてもよい。例えば、学習モデルは、ディープラーニング等の教師あり学習により事前学習される。その場合、複数の血液情報と、各血液情報に示される血液の状態を安定させることが可能な制御パラメータとが教師データとして用いられる。学習モデルは、各血液情報が入力された場合に、各血液情報に示される血液の状態を安定させることが可能な制御パラメータを出力するように学習される。なお、学習モデルは、教師なし学習、半教師あり学習、トランスダクション、マルチタスク学習などにより学習されてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 血漿分離デバイス、3 送血ライン、4 返血ライン、5 血液ポンプ、6 抵抗付与部材、7 因子分離デバイス、8 血漿ライン、9 血漿送液ポンプ、10 濾液ライン、11 濾液ポンプ、14、14-2 血液浄化ユニット、21~23 第1圧力計、25 第2圧力計、26 第3圧力計、28、29 第1流量計、30 第2流量計、31 第3流量計、37 抵抗付与部材、40 血液浄化システム、50 制御装置、53 第1通信装置、55 第1記憶装置、551 学習モデル、561 第1データ取得部、562 第1生成部、563 第1出力制御部、564 パラメータ取得部、565 制御部、80 サーバ、81 第2通信装置、821 学習モデル、831 第2データ取得部、832 第2生成部、833 第2出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、
前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、
前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、
前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、
制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、
所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記検出部により検出された血液情報を入力し、前記学習モデルから出力された制御パラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記パラメータ取得部が取得した制御パラメータに基づいて、前記液体制御機構を制御する制御部と、を有し、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含
前記学習モデルは、前記学習モデルから出力される制御パラメータに基づく前記ライン内の液体の流れの制御の前後の前記血液情報の変化が小さくなるように、学習される、
ことを特徴とする血液浄化システム。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記血液情報を状態とし、前記制御パラメータに基づく制御を行動とする行動価値関数を有し、
前記行動価値関数は、前記血液情報の変化が小さいほど大きくなるように設定された報酬に基づいて更新されている、請求項1に記載の血液浄化システム。
【請求項3】
前記液体制御機構は、血液に対して所定の方向に磁界を印加する磁力調整器、前記ライン内の液体の流れを制御するポンプ、又は、前記ラインに抵抗を印加する抵抗付与部材を含み、
前記制御パラメータは、前記磁力調整器が印加する磁界の強度、前記ポンプの駆動量、及び、前記抵抗付与部材が印加する抵抗の大きさの内の少なくとも一つを含む、請求項1または2に記載の血液浄化システム。
【請求項4】
前記学習モデルを、前記血漿分離デバイスの製品データ、前記ラインに流れる血液に関するデータ、前記血液浄化システムによるクリアランスデータ、原因物質除去量、又は、抗血栓性と関連付けて記憶する記憶部をさらに有する、請求項1~3の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項5】
学習装置から前記学習モデルを受信する通信部をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項6】
特定の制御パラメータに基づいて前記液体制御機構を制御する前後に前記検出部により検出された血液情報と、前記特定の制御パラメータとに基づいて、前記学習モデルを生成する生成部をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項7】
前記血液浄化システムは、体外循環血液浄化システムである、請求項1~6の何れか一項に記載の血液浄化システム。
【請求項8】
前記血液浄化システムは、二重慮過血漿交換法によるアフェレーシスを実施する、請求項7に記載の血液浄化システム。
【請求項9】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムの制御方法であって、
所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記検出部により検出された血液情報を入力し、前記学習モデルから出力された制御パラメータを取得し、
前記取得した制御パラメータに基づいて、前記液体制御機構を制御することを含み、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含
前記学習モデルは、前記学習モデルから出力される制御パラメータに基づく前記ライン内の液体の流れの制御の前後の前記血液情報の変化が小さくなるように、学習される、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムに含まれるコンピュータの制御プログラムであって、
所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習された学習モデルに、前記検出部により検出された血液情報を入力し、前記学習モデルから出力された制御パラメータを取得し、
前記取得した制御パラメータに基づいて、前記液体制御機構を制御する、ことを前記コンピュータに実行させ、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含
前記学習モデルは、前記学習モデルから出力される制御パラメータに基づく前記ライン内の液体の流れの制御の前後の前記血液情報の変化が小さくなるように、学習される、
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項11】
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、前記血液情報と前記制御パラメータの複数の組合せを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成する生成部と、
前記学習モデルに関する情報を出力する出力制御部と、を有し、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含
前記学習モデルは、前記学習モデルから出力される制御パラメータに基づく前記ライン内の液体の流れの制御の前後の前記血液情報の変化が小さくなるように、学習される、
ことを特徴とする学習装置。
【請求項12】
複数の前記血液浄化システムと通信するための通信部をさらに有し、
前記データ取得部は、前記組合せを、前記通信部を介して前記複数の血液浄化システムから受信することにより取得する、請求項11に記載の学習装置。
【請求項13】
前記データ取得部は、特定の制御パラメータに基づいて前記液体制御機構を制御し、前記特定の制御パラメータに基づいて前記液体制御機構を制御する前後に前記検出部により検出された血液情報を取得することにより、前記組合せを取得する、請求項11に記載の学習装置。
【請求項14】
コンピュータが、
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、前記血液情報と前記制御パラメータの複数の組合せを取得し、
前記取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成し、
前記学習モデルに関する情報を出力する、ことを含み、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含
前記学習モデルは、前記学習モデルから出力される制御パラメータに基づく前記ライン内の液体の流れの制御の前後の前記血液情報の変化が小さくなるように、学習される、
ことを特徴とする学習方法。
【請求項15】
コンピュータの制御プログラムであって、
血液又は濾液を含む液体が流れるラインと、前記ラインに流れる血液から血漿成分を分離する血漿分離デバイスと、前記血漿成分から病気の原因となる因子成分を分離する因子分離デバイスと、前記ラインに流れる血液に関する血液情報を検出する検出部と、制御パラメータに基づいて前記ライン内の液体の流れを制御する液体制御機構と、を有する血液浄化システムにおける、前記血液情報と前記制御パラメータの複数の組合せを取得し、
前記取得した組合せを用いて、所定の血液情報が入力された場合に所定の制御パラメータを出力するように学習した学習モデルを生成し、
前記学習モデルに関する情報を出力する、ことを前記コンピュータに実行させ、
前記血液情報は、血液の乱流の度合い、血液の渦度、心雑音の度合い、血液圧力、血液圧力の圧力損失、血漿圧力、濾液圧力、血液流量、血漿流量、濾液流量、前記血漿分離デバイスのファウリング、前記因子分離デバイスのファウリング、血液中のヘマトクリット値、濾液中のアルブミン濃度、溶血の度合い、及び、前記ラインに接続される患者の血圧の内の少なくとも一つを含
前記学習モデルは、前記学習モデルから出力される制御パラメータに基づく前記ライン内の液体の流れの制御の前後の前記血液情報の変化が小さくなるように、学習される、
ことを特徴とする制御プログラム。