(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020277
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
F16L 1/12 20060101AFI20240206BHJP
F16L 37/23 20060101ALI20240206BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20240206BHJP
H02G 1/10 20060101ALI20240206BHJP
H02G 9/02 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F16L1/12 T
F16L37/23
F03D13/25
H02G1/10
H02G9/02
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187755
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2021084991の分割
【原出願日】2016-10-19
(31)【優先権主張番号】1518829.5
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1601087.8
(32)【優先日】2016-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】518142096
【氏名又は名称】バルテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ジョナサン スコット
(72)【発明者】
【氏名】パリー,ウィリアム デイヴィッド ロットン
(72)【発明者】
【氏名】オコーナー,ダニエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ダイバーを使用することなく、または、装置の破壊なしに、接続解除することができるコネクタを提供する。
【解決手段】風力発電装置にケーブル等を水中接続するための細長いコネクタ201は、コネクタ上の複数のケージ213a、213b内に保持され且つ複数のランプ216面上に配置された複数のロック・エレメントを備えている。複数のケージは、係合位置と非係合位置の間で、複数のランプ面に沿って、複数のロック・エレメントを移動させるように移動可能であり、複数のケージは、互いに対して独立して移動するようになっている。複数のケージはそれぞれ独立して弾性バイアスがかけられている。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いコネクタであって、
前記コネクタ上の複数のケージ内に保持され且つ複数のランプ面上に配置された複数のロック・エレメントを有しており、
前記複数のケージは、係合位置と非係合位置の間で、前記複数のランプ面に沿って、前記複数のロック・エレメントを移動させるように移動可能であり、
前記複数のケージは、互いに対して独立して移動するようになっており、且つ前記複数のケージはそれぞれ独立して弾性バイアスがかけられているコネクタ。
【請求項2】
前記複数のランプ面は、前記複数のロック・エレメントが前記非係合位置に位置する下部領域から、前記複数のロック・エレメントが前記係合位置に位置する上部領域への移行面を有している請求項1に記載の細長いコネクタ。
【請求項3】
前記上部領域及び/または前記下部領域は、傾斜している、または、前記複数のケージに対して平行な平面になっている、または、凹部として形成されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数のランプ面は、前記下部領域が前記コネクタの後方に向かい、且つ、前記上部領域が前記コネクタの前方に向かうように、軸方向に傾斜している請求項2または3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数のケージは、軸方向に移動可能である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタの周りに周方向に延びる単一のランプ部によって複数のランプ面が提供されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数のロック・エレメントは、複数のボールであり、
前記複数のロック・エレメントは、前記非係合位置から前記係合位置に向かって、径方向外側へ移動し、径方向へ移動するにつれて、軸方向に前記ランプ面を上がるように配置されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
使用時に、孔部の形態の雌部材に挿入され、前記孔部の縁部に前記複数のロック・エレメントが係合する雄部材である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ケージの1つまたはそれぞれは、前記係合位置に向かって弾性バイアスがかけられている請求項1乃至23のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記弾性バイアスは、バネまたはガス・ストラットによって提供されている請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記複数のロック・エレメントは、少なくとも3つのロック・エレメントであり、
前記少なくとも1つのケージは、少なくとも3つのケージであり、
前記ケージのうち少なくとも2つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも1つの前記ケージとは、独立して動作するようになっている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記複数のロック・エレメントは、少なくとも4つのロック・エレメントであり、
前記少なくとも1つのケージは、少なくとも4つのケージであり、
前記ケージのうち少なくとも2つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも2つの前記ケージとは、独立して動作するようになっており、
前記他の少なくとも2つのケージは、互いに対して、且つ、前記動作可能に接続された前記ケージに対して、独立して動作可能になっていてもよい請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記複数のロック・エレメントは、少なくとも6つのロック・エレメントであり、
前記少なくとも1つのケージは、少なくとも6つのケージであり、
前記ケージのうち少なくとも3つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも3つの前記ケージとは、独立して動作するようになっており、
前記他の少なくとも3つのケージは、互いに対して、且つ、前記動作可能に接続された前記ケージに対して、独立して動作可能になっていてもよい請求項1乃至12のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記複数のロック・エレメントは、少なくとも8つのロック・エレメントであり、
前記少なくとも1つのケージは、少なくとも8つのケージであり、
前記ケージのうち少なくとも4つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも4つの前記ケージとは、独立して動作するようになっており、
前記他の少なくとも4つのケージは、互いに対して、且つ、前記動作可能に接続された前記ケージに対して、独立して動作可能になっていてもよい請求項1乃至13のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記複数のロック・エレメントのうちいくつかは、1以上のケージによって動作可能に接続され、他の前記複数のロック・エレメントは、独立して移動するように配置されており、
前記独立したロック・エレメントと、前記動作可能に接続されたロック・エレメントは、前記コネクタの周りに交互に存在する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記複数のロック・エレメントは、前記コネクタの周りに周方向に間隔を空けた少なくとも1つの列に配置されており、
前記コネクタは、前方及び後方を有しており、
前記複数のロック・エレメントは、前方列及び後方列に配置されている請求項1乃至15のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項17】
前記コネクタは、前方及び後方を有しており、
前方列に含まれる複数のロック・エレメントが、動作可能に接続されて同時に移動し、後方列に含まれる複数のロック・エレメントが、独立して動作可能であるように、前記複数のロック・エレメントが配置されおり、
前記複数のケージに動作可能に接続され、且つ、前記複数のケージを、前記係合位置から前記非係合位置に移動させるようになっている解放手段を備え、
前記解放手段は、リリース・カラーであり、
前記リリース・カラーは、前記複数のケージの後方に備えられており、且つ、複数のピンによって接続されており、
前記複数のピンは、前記リリース・カラーの後方を貫通し、且つ、延長部を備えており、前記リリース・カラーが後方へ動くことによって、前記複数のピンが後方に動き、前記ケージが後方に動き、このことにより、前記複数のロック・エレメントが前記非係合位置に移動するが、前記ケージの後方への動きは、前記リリース・カラーを動かすことなく、前記リリース・カラー内を通って動くように単純に前記複数のピンを動かすようになっている請求項1乃至16のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項18】
支持ピラーに当接するように配置された円錐台状の停止面を有するハウジングを備えている請求項1乃至17のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項19】
海中ケーブルを風力発電装置に接続するための海中コネクタである請求項1乃至18のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものであり、具体的には、海中コネクタ、特に、洋上風力タービンのような発電装置にケーブルを接続するための海中コネクタに関するものである。本発明はまた、このようなコネクタの接続及び取り外し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力は、電気ケーブルによって洋上風力タービン発電装置から収集される。ケーブルは、一端が発電装置の支持ピラー(support pillar)に接続され、支持ピラーの壁の開口部または"パイル(pile)"を通過して海底に到達するように構成されている。ケーブルは、斜めの角度で、パイルの(実質的に垂直な)壁を通過する傾向がある。国際公開第2010/038056号(特許文献1)には、ケーブルを風力タービンに接続するための例示的なコネクタが開示されている。この例では、支持ピラーを貫通して孔部(aperture)の斜め内側縁部に係止する、一連の楔形ラッチ(wedge-shaped latches)を有している。国際公開第2010/038056号(特許文献1)の構成では、ラッチは、係合位置に向かって、外側に弾性バイアスがかけられている(resiliently biased)。ラッチは楔形であり、適切に配向されているので、コネクタが孔部を通って押されたり引っ張られたりすると、ラッチは内側に回動し(pivot)、その後、各ラッチ全体が孔部を通過すると、弾性バイアスによって、係合位置に向かって外側に回動する。これにより、強い結合が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際公開第2010/038056号(特許文献1)に記載のデバイスの取り付けは容易であるが、分解やメンテナンスの際に必要とされる、接続デバイスを取り除く機構が存在しない。接続解除する際には、(関連するコスト及びリスクを伴う)ダイバーを必要とし、また、装置の破壊を必要とする。
【0005】
本発明は、国際公開第2010/038056号(特許文献1)に記載のデバイスの改良を目的とする。しかしながら、本発明のコネクタは、特に、ただし、限定されるものではないが、接続が斜角(oblique angle)を有している、アンビリカル(umbilicals)やライザー(risers)等の他の海中エレメントの接続にも適していることが理解されるであろう。本発明は、海中環境以外にも適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によれば、長手方向軸を有する細長いコネクタであって、複数のランプ面(ramp surfaces)上に配置され、コネクタ上の複数のケージ(cages)内に保持され且つ複数のランプ面上に配置された複数のロック・エレメント(locking elements)を有しており、複数のケージは、係合位置(engaged position)と非係合位置(disengaged position)の間で、複数のランプ面に沿って、複数のロック・エレメントを移動させるように移動可能であり、複数のケージは、互いに対して独立して移動するようになっているコネクタを提供する。
【0007】
ケージの動きに基づいて係合位置と非係合位置の間を移動するロック・エレメントを設けることにより、ケージを操作して、ロック・エレメントを、ロック位置と非ロック位置の間で移動させることができる。したがって、ケージを後退させることにより、ロック・エレメントを非係合位置に移動させることができ、これにより、ダイバーを使用することなく、または、装置の破壊なしに、コネクタを接続解除することができる。
【0008】
ランプ面は、複数のロック・エレメントが非係合位置に位置する下部領域から、複数のロック・エレメントが係合位置に位置する上部領域への移行面(transition surface)を有していてもよい。上部領域及び/または下部領域は、傾斜していてもよい。上部領域及び/または下部領域は、複数のケージに対して平行な平面になっていてもよい。さらに、上部領域及び/または下部領域は、凹部(depressions)として形成されていてもよい。上部領域を、特に平らな表面として、または特に凹部として形成することで、係合位置から非係合位置へと偶発的に移動してしまう可能性を低減する。
【0009】
複数のケージは、軸方向に移動可能であってもよい。
【0010】
ランプ面は、後方が前方よりも深くなるように、軸方向に傾斜していてもよい。
【0011】
複数のランプ面は、コネクタの周りに周方向に延びる単一のランプ部によって提供されていてもよい。
【0012】
複数のロック・エレメントは、ボールのような、転がるエレメントであってもよい。代わりに、例えば、転がるエレメントとしてローラーを使用してもよい。
【0013】
複数のロック・エレメントは、非係合位置から係合位置に向かって、径方向外側へ移動してもよい。複数のロック・エレメントは、径方向へ移動するにつれて、軸方向にランプ面を上がってもよい。コネクタは、使用時に、雌部材(female member)に挿入される、雄部材(male member)であってもよい。雌部材は、孔部の縁部に複数のロック・エレメントが係合する孔部の形態であってもよい。
【0014】
代わりに、コネクタは、雌部材であってもよく、複数のロック・エレメントは、非係合位置から係合位置に向かって内側に移動してもよい。
【0015】
複数のケージは、係合位置に向かって弾性バイアスがかけられていてもよい(resiliently biased)。
【0016】
弾性バイアスは、螺旋バネやゴムバネのようなバネ、または、窒素ガス・ストラットのようなガス・ストラットによって提供されていてもよい。
【0017】
複数のケージは、それぞれ独立して弾性バイアスがかけられていてもよい。
【0018】
複数のロック・エレメントは、少なくとも3つのロック・エレメントであり、少なくとも1つのケージは、少なくとも3つのケージであり、ケージのうち少なくとも2つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも1つのケージとは、独立して動作するようになっていてもよい。
【0019】
複数のロック・エレメントは、少なくとも4つのロック・エレメントであり、少なくとも1つのケージは、少なくとも4つのケージであり、ケージのうち少なくとも2つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも2つのケージとは、独立して動作するようになっており、他の少なくとも2つのケージは、互いに対して、且つ、動作可能に接続されたケージに対して、独立して動作可能になっていてもよい。
【0020】
複数のロック・エレメントは、少なくとも6つのロック・エレメントであり、少なくとも1つのケージは、少なくとも6つのケージであり、ケージのうち少なくとも3つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも3つのケージとは、独立して動作するようになっており、他の少なくとも3つのケージは、互いに対して、且つ、動作可能に接続されたケージに対して、独立して動作可能になっていてもよい。
【0021】
複数のロック・エレメントは、少なくとも8つのロック・エレメントであり、少なくとも1つのケージは、少なくとも8つのケージであり、ケージのうち少なくとも4つは、同時に移動するように動作可能に接続されているが、他の少なくとも4つのケージとは、独立して動作するようになっており、他の少なくとも4つのケージは、互いに対して、且つ、動作可能に接続されたケージに対して、独立して動作可能になっていてもよい。
【0022】
動作可能に接続されたケージと、独立したケージは、コネクタの周りに交互に存在してもよい。
【0023】
複数のロック・エレメントは、コネクタの周りに周方向に間隔を空けた少なくとも1つの列に配置されていてもよい。
【0024】
コネクタは、前方(front)及び後方(rear)を有していてもよい。複数のロック・エレメントは、前方列(forward row)及び後方列(rearward row)に配置されていてもよい。複数のケージは、前方及び後方に延び、軸方向に移動可能であってもよい。
【0025】
列に含まれる複数のロック・エレメントは、周方向にオフセットされていてもよい。周方向のオフセットは、前方列に含まれるロック・エレメントと、同じ列に含まれる次のロック・エレメントの間のそれぞれに、後方列に含まれるロック・エレメントが存在するようになっていてもよい。
【0026】
弾性バイアスは、複数のケージを前方向に付勢していてもよい。
【0027】
動作可能に接続された複数のケージに保持されている複数のロック・エレメントが前方列を形成し、独立した複数のケージに保持されている複数のロック・エレメントが後方列を形成するように、動作可能に接続された複数のケージと、独立した複数のケージは、コネクタの周りに交互に存在してもよい。
【0028】
斜角で孔部に進入する際、後方列に含まれる1以上のロック・エレメントが、孔部の内面と当接するように(すなわち、外縁の外や、内縁を越えてではなく)、配置される可能性がある。孔部の内面に対して捕捉されたロック・エレメントは、ランプ面に沿って動いて係合位置に到達することなく、非係合位置に残る。したがって、内面と当接して固定される可能性が高い後方列に関して、ロック・エレメントを保持するケージの独立性が最も重要である。
【0029】
コネクタは、複数のケージに動作可能に接続され、且つ、複数のケージを、係合位置から非係合位置に移動させるようになっている解放手段(release means)を備えていてもよい。
【0030】
解放手段は、リリース・カラーであってもよい。リリース・カラーは、複数のケージに対して、複数のピンによって接続されていてもよい。リリース・カラーは、ケージの後方に備えられていてもよく、複数のピンは、リリース・カラーの後方から貫通していてもよい。複数のピンは、リリース・カラーが後方へ動くことによって、複数のピンが後方に動き、ケージが後方に動き、このことにより、複数のロック・エレメントが非係合位置に移動するが、ケージの後方への動きが、リリース・カラーを動かすことなく、リリース・カラー内を通って動くように単純に複数のピンを動かすように、フランジのような延長部を備えていてもよい。
【0031】
解放手段は、ROV(遠隔操作の潜水機)によって操作させるようになっていてもよい。代わりに、コネクタは、液圧作動ラム(hydraulically operated ram)、馬蹄形クランプ(horseshoe clamp)、(ROVやダイバーによって回転されることで)カラーを後方に動かすことが可能なネジとネジ山のようなアクチュエータ等、解放手段を遠隔から操作する機構を備えていてもよい。
【0032】
動作可能に接続された複数のケージは、解放手段に対して、固定手段(fixed attachment)によって動作可能に接続されていてもよい。結果として、動作可能に接続された複数のケージの動きの視覚的な表示(visual indication)は、解放手段の動きを観察することで、コネクタの外から判定することができてもよい。動作可能に接続された複数のケージの複数のピンには、追加の複数のフランジが備えられていてもよい。追加の複数のフランジは、動作可能に接続されたケージと同時に解放手段を動かすように、解放手段の前方と相互に作用する(interact)。
【0033】
解放手段に接続されることで互いに動作可能に接続された複数のケージの代わりに、少なくとも1つが、解放手段に固定して接続され、他のケージが、独立して動いてもよい。これにより、特定のケージが前後に動くことで、同じ視覚的な表示を示すことができる。
【0034】
コネクタは、複数のケージ及び複数のロック・エレメントが取り付けられた中空体(hollow body)を備えていてもよい。カラー、ピン、及び/または、弾性バイアス手段も、中空体に取り付けられていてもよい。複数のランプ面は、中空体に形成されていてもよい。
【0035】
コネクタは、中空体内を通って中空体から延び出るケーブルの過度な曲げを避けるための曲げ補強部材(bend stiffener)や曲げ制限部材(bend restrictor)等の細長い部材に接続する手段を備えたノーズ部(nose section)を備えていてもよい。
【0036】
コネクタは、ノーズ部に接続された曲げ補強部材や曲げ制限部材等の細長い部材を備えていてもよい。
【0037】
コネクタは、中空体の後方から入って中空体内を通るケーブルの過度な曲げを避けるための曲げ補強部材に接続する手段を有したテール部(tail section)を備えていてもよい。
【0038】
コネクタは、支持ピラーに当接するように配置された円錐台状の停止面(frustoconical stop face)を有するハウジングを備えていてもよい。ハウジングは、弾性バイアス手段を収容してもよい。ケージは、ハウジングに入ったり、ハウジングから出たりするように、スライド可能であってもよい。複数のピンは、ハウジングの後方を通って延びてもよい。
【0039】
コネクタは、海中コネクタであってもよい。
【0040】
コネクタは、海中ケーブルを風力発電装置等の発電装置に接続するための海中コネクタであってもよい。
【0041】
本発明の第2の側面によれば、細長いコネクタであって、コネクタ上の少なくとも1つのケージ内に保持され且つ複数のランプ面上に配置された複数のロック・エレメントを有しており、少なくとも1つのケージは、係合位置と非係合位置の間で、複数のランプ面に沿って、複数のロック・エレメントを移動させるように移動可能であり、ケージの径方向に配置され、内部に複数のスロットを有したスリーブ(sleeve)を有しており、複数のロック・エレメントは、非係合位置から係合位置に向かって、複数のスロットを通って径方向に移動することを特徴とする細長いコネクタを提供する。
【0042】
移動可能なケージを覆うスリーブを備えるようにすることで、ケージと、コネクタが係合する孔部等の間の抵抗が、係合位置に移動するケージの動きに作用することを防ぐ。
【0043】
複数のスロットは、軸方向に延び、また、複数のロック・エレメントは、複数のスロット内を径方向に移動するにつれて軸方向に移動してもよい。
【0044】
複数のスロットは、コネクタ内に複数のロック・エレメントを保持するように形成されていてもよい。
【0045】
複数のスロットの少なくとも一部(例:径方向外側領域)の幅寸法(width)は、複数のロック・エレメントの幅寸法よりも小さくてもよい。この配置により、ロック・エレメントの軸方向の動きを決定する際に、径方向の動きを制限する機能を、ケージの機能から分離する。
【0046】
本発明の第3の側面によれば、細長いコネクタであって、コネクタ上の少なくとも1つのケージ内に保持され且つ複数のランプ面上に配置された複数のロック・エレメントを有しており、少なくとも1つのケージは、非係合位置から係合位置に向かって、複数のランプ面に沿って、複数のロック・エレメントを移動させるように移動可能であり、複数のロック・エレメントは、少なくとも1つのケージ内で、さらに別の、切離位置(detach position)に移動可能であることを特徴とする細長いコネクタを提供する。
【0047】
追加的な"切離(detach)"位置を設けるようにすることで、非係合位置への後方への動き無しに、恒久的に切り離すことが可能になる。例えば、ROVではなく、引き込み及び/または後退ヘッド(pull-in and/or retraction head)を使用することで、容易に達成することができる。
【0048】
複数のロック・エレメントは、係合位置から非係合位置に向かって、且つ、係合位置から切離位置に向かって、同じ径方向の向きに移動してもよい。
【0049】
複数のロック・エレメントは、係合位置から非係合位置に向かって、且つ、係合位置から切離位置に向かって、径方向内側へ移動してもよい。
【0050】
複数のロック・エレメントは、係合位置から非係合位置に向かって、且つ、係合位置から切離位置に向かって、同じ軸方向の向きに移動してもよい。
【0051】
少なくとも1つのケージは、係合位置及び非係合位置への複数のロック・エレメントの動きを制限するように、コネクタの一部に動作可能に接続されて、動作可能な接続を形成しており、動作可能な接続は、切離位置への移動を許容するように、破断可能であってもよい。
【0052】
少なくとも1つのケージは、リリース・カラーに対して動作可能に接続されていてもよい。
【0053】
動作可能な接続は、壊すことができるもの(frangible)であってもよい。動作可能な接続を破断するには、所定の力を要してもよい。所定の力は、少なくとも50,000N、または、100,000Nであってもよい。
【0054】
テンション・ボルト(tension bolt)、テンション・ピン(tension pin)、シア・ボルト(shear bolt)、または、シア・ピン(shear pin)によって動作可能な接続が提供されていてもよい。
【0055】
実施の形態は、任意の特徴の任意の組合せを含む、本発明の第1及び第2、第1及び第3、第2及び第3、または、第1乃至第3の態様の特徴を含むことができることは明らかである。
【0056】
本発明の第4の側面によれば、海中ケーブルを発電装置に接続する接続方法であって、本発明の第1の側面によるコネクタにケーブルを取り付け、ケーブルを、支持ピラー内の孔部を通して引っ張る、または、複数のケージ内の複数のロック・エレメントが非係合位置から係合位置に移動するように、リッジ部の後ろに複数のロック・エレメントが係合可能なリッジ部(ridge)を有する雌コネクタ内に引っ張り込むことを含む接続方法を提供する。
【0057】
本接続方法では、雌コネクタは、少なくとも1つの内部フランジを備えた縁部を有するJチューブ(J-tube)内のガイド・コーン(guide cone)であってもよい。このフランジは、孔部の縁部と同等の"偽の縁部(false edge)"を提供し、その後ろにロック・エレメントが係合する。
【0058】
この方法では、孔部は、斜角を有していてもよい。
【0059】
複数のロック・エレメントは、前方列に含まれる少なくとも1つのロック・エレメントと、後方列に含まれる少なくとも1つのロック・エレメントとが、支持ピラー内の斜角で、孔部の縁部と係合するように配置されていてもよい。
【0060】
複数のロック・エレメントは、前方列に含まれるいずれか2つのロック・エレメントと、後方列に含まれる1つのロック・エレメントとが孔部の縁部と係合するように、または、後方列に含まれるいずれか2つのロック・エレメントと、前方列に含まれる1つのロック・エレメントとが孔部の縁部と係合するように配置されていてもよい。孔部の内側縁部に常に3つの接触点が存在するこの構成は、安定した接続を形成する。
【0061】
本発明の第5の側面によれば、本発明の第1の側面によるコネクタで発電装置に接続された水中ケーブルを接続解除する方法であって、複数のロック・エレメントを係合位置から非係合位置に移動させるように1以上のケージを移動することを含む接続解除方法を提供する。
【0062】
コネクタは、リリース・カラーを含み、接続解除方法は、ケージを動かすために、複数のロック・エレメントを係合位置から非係合位置に動かすために、リリース・カラーを動かすことを含むことが好ましい。
【0063】
本発明の第6の側面によれば、本発明の第3の側面のコネクタで発電装置に接続された水中ケーブルを接続解除する方法であって、孔部からコネクタを押し出すために所定の力を加え、そのことにより、複数のロック・エレメントを係合位置から非係合位置に動かす接続解除方法を提供する。
【0064】
本発明をはっきりと理解するために、本発明の実施の態様を、例として、添付の図を参照して示す:
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるコネクタの横断面図である。
【
図4】支持ピラーの孔部に挿入された
図1乃至
図3に示したコネクタの背面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図5】支持ピラーの孔部に挿入された
図1乃至
図3に示したコネクタの正面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図6】前方に曲げ制限部材を取り付け、後方に曲げ補強部材を取り付け、支持ピラーの孔部に挿入された
図1乃至
図3に示したコネクタの正面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図7】前方に曲げ制限部材を取り付け、後方に曲げ補強部材を取り付け、支持ピラーの孔部に挿入された
図1乃至
図3に示したコネクタの背面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図8】いくつかのロック・エレメントが非係合位置にある
図1乃至
図3に示したコネクタの背面斜視図である。
【
図9】いくつかのロック・エレメントが非係合位置にある
図1乃至
図3に示したコネクタの正面斜視図である。
【
図10】全てのロック・エレメントが非係合位置にある
図1乃至
図3に示したコネクタの背面斜視図である。
【
図11】全てのロック・エレメントが非係合位置にある
図1乃至
図3に示したコネクタの正面斜視図である。
【
図12】
図1のコネクタの異なる角度での横断面図である。
【
図13】図の上半分が、図の下半分に対して、45°ずれた角度に沿うように
図17のA-A線に沿った本発明の第2の実施の形態のコネクタの断面図である。
【
図14】同じ角度に沿った
図13に示したコネクタの断面図であり、ロック・エレメントが非係合位置にある図である。
【
図15】同じ角度に沿った
図13及び
図14に示したコネクタの断面図であり、いくつかのロック・エレメントが係合位置にあり、他のロック・エレメントが非係合位置にある図である。
【
図16】同じ角度に沿った
図13乃至
図15に示したコネクタの断面図であり、ロック・エレメントが切離位置にある図である。
【
図17】
図13乃至
図16に示したコネクタの背面斜視図であり、ロック・エレメントが係合位置にある図である。
【
図18】
図13乃至
図16に示したコネクタの正面斜視図であり、ロック・エレメントが係合位置にある図である。
【
図19】支持ピラーの孔部に挿入された
図13乃至
図16のコネクタの背面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図20】支持ピラーの孔部に挿入された
図13乃至
図16のコネクタの正面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図21】前方に曲げ制限部材を取り付け、後方に曲げ補強部材を取り付け、支持ピラーの孔部に挿入された
図13乃至
図16に示したコネクタの正面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図22】前方に曲げ制限部材を取り付け、後方に曲げ補強部材を取り付け、支持ピラーの孔部に挿入された
図13乃至
図16に示したコネクタの背面斜視図であり、支持ピラーを部分的に切り欠いた状態で示した図である。
【
図23】全てのロック・エレメントが非係合位置にある
図13乃至
図16に示したコネクタの背面斜視図である。
【
図24】
図13乃至
図16に示したコネクタの背面斜視図であり、いくつかのロック・エレメントが非係合位置にあり、他のロック・エレメントが係合位置にある図である。
【
図25】ロック・エレメントが切離位置にある
図13乃至
図16に示したコネクタの背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1乃至
図12には、第1の実施の形態の海中コネクタ(subsea connector)1を示してある。海中コネクタ1は、図示しないケーブルと、(
図4乃至
図7に示す)風力タービン発電装置の支持ピラー(support pillar)3を接続するのに使用される。
【0067】
コネクタ1は、支持ピラー3内を斜角で延びる、孔部4の形態の雌部材に挿入するようにアレンジされた雄部材である。代わりに、コネクタは、孔部として機能する、特別に適合された、ガイド・コーンの後ろ(内側)にフランジが形成された、Jチューブ内に延び入ってもよい。
【0068】
コネクタ1は、空洞の耐荷重マンドレル(load-bearing mandrel)5を備えている。マンドレル5内には、コネクタ1の第1の(長手方向)軸Xに沿って、軸方向に延びる円筒状ボア(cylindrical bore)6が延びている。ボア6は、コネクタ1が図示しないケーブルを支持ピラー3に接続できるように、図示しないケーブルを受けるように意図されている。当業者であれば、ボア6の大きさを変えることで、同じタイプのコネクタ1を用いて、ライザーやアンビリカルのような他の海中エレメントを接続できることを理解するであろう。
【0069】
マンドレル5は、前方及び後方を有している。後方には、曲げ補強部材12等に接続するための接続手段11が備えられている。マンドレル6の前方には、ノーズ・コーン7が取り付けられている。ノーズ・コーン7は、ボア6と連続してマンドレル5の前方に延び、使用時には、図示しないケーブルが内部を通って延びる。この前方に延びるノーズ・コーンの部分の外側には、一対のスロット8が形成されている。一対のスロット8には、支持ピラー3内のケーブルをガイドする、前方に延びる、(
図6及び
図7に示す)曲げ制限部材9が取り付けられている。
【0070】
ノーズ・コーン7の後方は、同心の、前方に向かう、マンドレル5の径方向外側に間隔をあけた、スリーブ10を含んでいる。これにより、ノーズ・コーン7のスリーブ10と、マンドレル5の外側円筒面との間には、環状の間隙が設けられている。この環状間隙は、ケージ(またはボール・ケージ部分)13の前方端が延び入るガイドを提供する。ケージ13は、マンドレル5の周りに並んで配置され、それぞれが長手方向軸に沿って延びる円筒管(cylindrical tube)の一部として形成されている。
【0071】
ケージ13の前方端は、段状になっており、突出部2が形成されている。突出部2は、環状間隙内に延び入り、全体として、ケージ13のアレイ(array)は、マンドレルの外径と対応する内径を有し、ケージ13のアレイの外径は、ノーズ・コーン7のスリーブ10の外径と対応するように、ケージの本体部に比べて厚みが薄い。他方、ケージの前方端の突出部2は、本体部と内径と同じ内径を有しているが、外径は、スリーブの内径と対応している。これにより、ケージ13のアレイは、スリーブ10に制限されて、前後方向に自由にスライド可能である。本実施の形態では、ケージ13は8つ備えられており、それぞれ1つの孔部14を有している。各孔部14は、ボール15の一部が孔部14から径方向外側に延びるが、孔部14から完全には出てしまわないようにして、ロック・ボール15の形態のロック・エレメントを捕らえるような大きさ及び形状を有している。これは、その径方向外側の領域における孔部14の径寸法のわずかな減少によって達成されている。
【0072】
ケージ13は、2つのタイプに分けられる。第1のタイプ13a(
図12に示す)は、ケージ13aの前方に孔部14を有している。第2のタイプ13b(
図1に示す)は、ケージ13bの後方に孔部14を有している。ケージ13aの前方の孔部14に1つのボール15が入っている場合、その隣は、ケージ13bの後方の孔部14に入っている、というように、ケージ13aのタイプと、ケージ13bのタイプは、コネクタ1の周りに交互に並んでいる。これにより、複数のボール15による2つの円周状の列、すなわち、前方の複数のボール15aによる列と、後方の複数のボール15bによる列が形成されている。
【0073】
ボール15aによる列と、ボール15bによる列が間隔をあけて長手方向に並ぶことに加えて、ケージ13aのタイプと、ケージ13bのタイプが交互に並ぶため、前方列のボール15aは、後方列のボール15bに対して長手方向にオフセットされている。
【0074】
ボール15a及びボール15bが、孔部14から径方向に突出する係合位置/展開位置(engaged/deployed position)に延び、また、孔部から突出しない非係合位置/収容位置(disengaged/stowed position)に引っ込むため、ケージ13が取り付けられているマンドレルには、マンドレルの外表面の溝部17に形成された複数のランプ部(ramps)16が備えられている。ランプ部16は、軸方向に傾斜した面を有しており、このランプ面に沿ってボール15が転がる。本実施の形態では、各ボール15に対して、個々の溝部17が設けられている。しかしながら、代わりに、マンドレル5の全周に沿って、一方の溝が、後方のボール15bのセットに対応し、他方の溝が、前方のボール15aのセットに対応する、周方向に延びる一対の溝部17が形成されていてもよい。
【0075】
溝部17には、ロック・エレメントが非係合位置にある(小径の)下部領域18から、ロック・エレメントが係合位置にある(大径の)上部領域19までの移行面の形態のランプ部16が形成されている。溝部17の上部領域19は、ケージ13と平行な、平面として形成されているが、配置されたボール15を係合位置に維持することを助けるために、凹部(depressions)の形態をとってもよい。
【0076】
ケージ13の後方は、円錐台状前方端(frustoconical forward end)、または、“ストップ(stop)”32を有する管状ハウジング20内に保持されている。コネクタ1の周りの、管状ハウジング20とマンドレル5との間に、1つの空洞部21が各ケージ15と並ぶように、一連の空洞部(series of cavities)21が、形成されている。複数の空洞部21は、管状ハウジング20内の凹部(recess)と、マンドレル5の対応する凹部/溝部によって形成されている。各ケージは、対応する空洞部21内に入るように、後方にスライド可能である。各空洞部21の後方には、対応する各ケージ15の後方と接続されたロッド/ピン23が延びる孔部22が形成されている。ロッド23の周りには、前方端の近くに、螺旋状圧縮バネ24の形態のバネ・エレメントが接続されている。マンドレル5に形成された、径方向外側に延び、空洞部21の後方壁部の一部を形成しているフランジ26によって、係止面25が提供されている。螺旋バネ24は、管状ハウジング20に対する接続によって、その後方で、所定の位置に保持されている。
【0077】
各バネ・エレメント24は、対応するロッド23を(ゆえに、対応するケージ13も)前方に、弾性的に付勢している。そのため、ボール15は、バイアスによって、溝部17の上部領域19にある係合位置までランプ面16上を押し上げられる。フランジ26の後方には、リリース・カラー27の形態の解放手段が、マンドレル5に対して、スライド可能に取り付けられている。リリース・カラー27には、ロッド23が貫通する孔部22と対応する孔部/ボア(bores)28が設けられている。リリース・カラー27を貫通する孔部28は、後方がカウンターボア加工(counterbore・座ぐり加工)/カウンターシンク加工(countersunk・皿モミ加工)されており、ロッド23は、後方に、カウンターシンク/カウンターボア30に延び入るフレアの形態の延長部を備えている。本実施の形態では、後方のフレアは、ロッド23にカウンターシンクネジ/ボルト29を取り付けることで提供されている。
【0078】
この配置は、バネ・エレメント24の弾性バイアスを超え、各ケージ13が他に対して独立して後方に移動できる場合、また、実際にそのようになると、移動したケージ13のロッド23がリリース・カラー27の後方からスライドして出てくることを意味している。
【0079】
図12に示すように、第1のタイプのケージ13aの後方におけるロッド/ピン23aの接続は、少し異なっている。同様にして、バネ・エレメント24が、対応するロッド23aに備えられ、前方にバイアスをかけており、また、ロッド23aが貫通する孔部22に対応する孔部/ボア28がリリース・カラーを貫通して設けられている。同様に、リリース・カラーの後方への動きによってロッド23aが(ゆえに、ケージ13aも)後方に動くように、リリース・カラー27を貫通する孔部28は、後方がカウンターボア加工されており、ロッド23aには、カウンターシンクネジ/ボルト29が取り付けられている。しかしながら、リリース・カラー27を通る孔部28の前方端にもカウンターボア34が設けられ、且つ、ロッド23aにもカウンターボア34と係合する一体型のフランジ35が設けられている。したがって、リリース・カラー27は、リリース・カラー27とケージ13aが同時に動くように、フランジ35とカウンターシンク/カウンターボアネジ/ボルト29のフレアの間に効果的に挟持されている。ケージ13aの後方への動きがリリース・カラーを後方へ動かし、同様に、リリース・カラーの後方への動きが、ケージ13a,13bを後方へ動かす。
【0080】
作動位置(operative position)において、リリース・カラー27は、フランジ26の後方と隣接して取り付けられており、バネ24による弾性バイアスによって作動位置に保持されている。しかしながら、上述のように、リリース・カラー27は、マンドレル5に対してスライド可能に取り付けられている。リリース・カラー27には、円周溝の形態のグリップ手段31が設けられており、同様に、管上ハウジング20にも、円周溝の形態のグリップ手段33が設けられている。これにより、ROV(遠隔操作の潜水機)によってグリップ手段に取り付けられた液圧馬蹄形クランプ(hydraulic horseshoe clamp)(図示せず)または類似のアクチュエータが接続できる。これにより、アクチュエータは、弾性バイアスに抗して、解放位置まで、リリース・カラー27を後方に引っ張ることができる。リリース・カラー27を後方に引っ張ることで、(ネジ/ボルト29のフレア端部の結果として)ピン/ロッド23は後方に引っ張られ、ケージ13を後方に引っ張り、ボール15が非係合位置/収容位置に移動することが許容される。
【0081】
使用時には、図示しないケーブルがマンドレル5のボア6に通され、従来の手段によってコネクタ1に取り付けられている。それから、ノーズ・コーンに曲げ制限部材9が取り付けられ、コネクタ1の後方に曲げ補強部材12が接続される。
【0082】
それから、コネクタの前方から延び出るケーブル(図示せず)の前方は、支持ピラー3内を斜角(例:60°)で延びる孔部4を通じて、風力タービン発電装置等の支持ピラー3内に引っ張り込まれる。
図1,
図2,
図3及び
図5に示すように、ケーブルが引っ張り込まれると、弾性バネ・エレメント25がケージ13を前方に押すことになり、これにより、ボール15を係合位置(径方向外側)に押すことになる。いったんノーズ・コーン7が孔部に入り始めると、孔部が斜角を有しているため、前方列に含まれるボール15aの1つまたは2つが、孔部4の外側縁部と接触する。通常、孔部4は、下向きに角度が付けられているため、最も低い位置にあるボール15aが孔部4の外側縁部に最初に接触する。
【0083】
引き続き、図示しないケーブルを支持ピラー3内に引っ張り込み、コネクタ1を内部に引き込むと、縁部と当接するボール15aが後方に押され、ボールが取り付けられているケージ13aを、対応するバネ24の弾性バイアスに抗して、後方に押す。ケージ13aはリリース・カラーによって相互に動作可能に接続されているため、孔部4内を移動するボール15aは、ランプ部16を下って、後方に、且つ、内側に動き、リリース・カラーを後方に動かすには、全てのケージのバネのバイアスを一度に超えなければならない。
【0084】
コネクタ1が孔部を通して移動し続けると、前方列の上部領域にあるボール15aが孔部4の外側縁部と接触するようになり、内側に移動する。前方列の全てのボールが孔部4を通過すると、螺旋バネ24の弾性バイアスが、ケージ13aを前方に押し、
図8及び
図9に示すように、係合位置に向かって、ボール15aを前方に、ランプ部16を上がって、外側に移動させる。全てのケージ13aと前方列のボール15aの前方への動きによって、リリース・カラーも前方に動かされ、第1の列のボール15aが全て孔部の内側縁部を通過したことを支持ピラー3の外側から視覚的に示す。
【0085】
図8及び
図9は、前方列のボール15aの全てが、孔部4を通過して係合位置にあり、後方列のボール15bが非係合位置に見えている状態のコネクタを示している。これは、前方列のボール15aが孔部4の内側縁部を通過した後であるが、孔部4の外側縁部によって後方に(そして内側に)押されながら、後方列のボール15bが孔部を通過してくるケースである。孔部4の角度によっては、コネクタ1が最大限引っ張り込まれても、管状ハウジング20(具体的には、その円錐台状前方面32)が支持ピラー3の壁部と当接し、過度な挿入を防止し、後方列のボール15bのいくつかは孔部4内(内側縁部と外側縁部の間)に残っていてもよい。
【0086】
適切な角度を有し、適切な厚みを有する支持ピラー3と、適切な間隔をあけたボール15の列で、コネクタ1を完全に挿入すると、ボール15は、孔部内に収まり、内側縁部と係合した係合位置にある3つのボール15と、コネクタ内にあり、縁部と係合していないボール15aと、孔部4の外にあり、係合に関与しないボール15bに分かれる。コネクタ1が引っ張られる向きによって、3つのボール15は、前方列のボール15aのうち2つと、後方列のボール15bのうち1つ、または、後方列のボール15bのうち2つと、前方列のボール15aのうち1つとなる。これによって、孔部の内側縁部に3点接触が生じ、
図6及び
図7に示すように、強く安定した接続が提供される。
【0087】
ボール15が孔部4の内側縁部と係合すると、コネクタは、引っ張り出すことができなくなる。なぜなら、コネクタを引っ張ると、ボールを内側縁部に対して引っ張ることになり、ボールに対して、下向き(すなわち、径方向内側)及び長手方向前方に力が生じるためである。しかしながら、ランプ部16の移行面が長手方向後方に進むにつれて径寸法が小さくなるように、溝部17には傾斜が付けられている。したがって、ランプ部16に沿ってボール15を押し下げることはできず、コネクタは、支持ピラー3に対して強固に接続されている。
【0088】
コネクタ1は、例えば、孔部4を再現するフランジを備えるような適切な改造が行われた、上述のJチューブ(図示せず)等、他の雌部材に対して接続されてもよい。コネクタ1は、適切な角度を有さず、その代わりに、ボール15の列に対して直立したフランジを備えたJチューブに対しても接続することができる。ボール15の前方列及び後方列の一方または両方が、フランジの後ろに係合することができる。
【0089】
支持ピラー3(または他の雌部材)の孔部4からコネクタ1を取り除くには、
図10及び
図11に示すように、(馬蹄クランプのようなアクチュエータを用いて)リリース・カラー27を後方に引っ張る。このように後方に引っ張ることで、全てのバネ24の弾性バイアスを超え、全てのロッド23及びケージ13a,13bを後方に引っ張る。これにより、次に、ボール15を、溝部17の下部領域18に向かって、ランプ部16を下って、後方、且つ、径方向内側に押す。ボール15がこの非係合位置/収容位置に移動すると、径方向外側に向かって押されておらず、コネクタ1は、メンテナンスや交換等のために、孔部4との係合から引っ張り出すことができるようになる。リリース・カラーが管状ハウジング20から引き離すように引っ張られなくなると、リリース・カラーは、バネ24の弾性バイアスによってフランジ26に隣接する動作位置に戻る。
【0090】
図13乃至
図25には、第2の実施の形態の海中コネクタ201を示してある。海中コネクタ201は、図示しないケーブルと、(
図19乃至
図22に示す)風力タービン発電装置の支持ピラー203を接続するのに使用される。
【0091】
海中コネクタ201は、支持ピラー203内を斜角で延びる、孔部204の形態の雌部材に挿入するようにアレンジされた雄部材である。代わりに、コネクタは、孔部として機能する、特別に適合された、ガイド・コーンの後ろ(内側)にフランジが形成された、Jチューブ内に延び入ってもよい。
【0092】
コネクタ201は、空洞の耐荷重マンドレル205を備えている。マンドレル205内には、コネクタ201の第1の(長手方向)軸Xに沿って、軸方向に延びる円筒状ボア206が延びている。ボア206は、コネクタ201が図示しないケーブルを支持ピラー203に接続できるように、図示しないケーブルを受けるように意図されている。当業者であれば、ボア206の大きさを変えることで、同じタイプのコネクタ201を用いて、ライザーやアンビリカルのような他の海中エレメントを接続できることを理解するであろう。
【0093】
マンドレル205は、前方及び後方を有している。後方には、曲げ補強部材212等に接続するための接続手段211が備えられている。マンドレル206の前方には、ノーズ・コーン207が取り付けられている。ノーズ・コーン207は、ボア206と連続してマンドレル205の前方に延び、使用時には、図示しないケーブルが内部を通って延びる。この前方に延びるノーズ・コーンの部分の外側には、一対のスロット208が形成されている。一対のスロット208には、支持ピラー203内のケーブルをガイドする、前方に延びる、(
図21及び
図22に示す)曲げ制限部材209が取り付けられている。
【0094】
ノーズ・コーン207の後方は、径方向外側に延びる環状係止面250によって画定されている。マンドレル205と同心であり、マンドレル205の径方向外側に間隔をあけたスリーブ210が、環状係止面から後方に延びるように備えられている。これにより、スリーブ210と、マンドレル205の外側円筒面との間には、環状の間隙が設けられている。この環状間隙は、ケージ(またはボール・ケージ部分)213の前方端が延び入るガイドを提供する。
図26に示すように、コネクタ201の前方に向かって配置される前方ケージ13aは、円筒管として備えられており、後方ケージ213bは、マンドレル205の周りに並んで配置され、それぞれが長手方向軸に沿って延びる円筒管の一部として形成されている。
【0095】
マンドレル205とスリーブ210の間の環状間隙内でスライド可能なように、ケージのアレイ213は、マンドレルの外径と対応する内径を有し、ケージ213のアレイの外径は、スリーブ210の内径と対応している。この実施の形態では、周方向に間隔をあけて配置された4つの孔部214を含む1つの前方ケージ213aと、4つの後方ケージ213を備えている。後方ケージ213は、それぞれ、貫通する1つの孔部214を有している。孔部は、前方ケージ213aの周りに等間隔で配置されており、後方ケージ213bは、同様に等間隔で配置されているが、孔部214が前方ケージ213aに対して45°ずれた位置に配置されている。結果として、コネクタ201の前方の孔部214に1つのボール215が入っている場合、その両隣は、コネクタ201の後方の孔部214に入っている。したがって、前方のボールの列と、後方のボールの列の2つの周方向に並ぶボール215の列が形成されている。もちろん、当業者であれば、ボールのための他の角度だけでなく、他の角度の追加の列も考えることができるであろう。
【0096】
長手方向に間隔をあけて並ぶボール215a,215bの列に加えて、前方列のボール215aは、後方列のボール215bに対して長手方向にオフセットしている。
【0097】
各孔部214は、ボール215の一部が孔部214から径方向外側に延び、径方向内側と外側に自由に動くが、軸(前後)方向に制限されるように、ロック・ボール215の形態のロック・エレメントを捕らえるような大きさ及び形状を有している。スリーブ210は、ボールが延びる領域の位置に対応する複数のスロット251を備えている。スロット251は、ボールがケージ213a,213bと同時に軸方向(前後)に自由に動くことを許容するように、軸方向に延びている。しかしながら、スロットは、ボール215がスリーブ210から完全には出てしまわないようにして、径方向に動くことを制限する形状及び大きさをしている。これは、その径方向外側の領域におけるスロット251幅寸法のわずかな減少によって達成されている。
【0098】
上述のように、ケージ213は、2つのタイプに分けられる。第1のタイプ213aは、ケージ213aの前方に孔部214を有している。第2のタイプ213bは、ケージ213bの後方に孔部214を有している。複数の第2のタイプのケージ213bは、間隔をあけてコネクタ1の周りに配置され、第1のタイプのケージがそれらの正面に位置する。
【0099】
ボール215の列が間隔をあけて長手方向に並ぶことに加えて、前方列のボール215aは、後方列のボール215bに対して、長手方向にオフセットされている。前方ケージ213aのボールは、同コンポーネントによって軸方向に動きが制限されているため、ケージ213aが前後に動くと、それぞれ、同時に動く。他方、第2のタイプのケージ213bのボールは、独立して動くことができる。
【0100】
ボール215a及びボール215bが、孔部214及びスロット251から径方向に突出する係合位置/展開位置に延び、また、スロット251から突出しない非係合位置/収容位置に引っ込むため、ケージ213が取り付けられているマンドレル205には、マンドレルの外表面の溝部217に形成されたランプ部216が備えられている。ランプ部216は、軸方向に傾斜した面を有しており、このランプ面に沿ってボール215が転がる。本実施の形態では、各ボール215に対して、個々の溝部217が設けられている。しかしながら、代わりに、マンドレル205の全周に沿って、一方の溝が、後方のボール215bのセットに対応し、他方の溝が、前方のボール215aのセットに対応する、周方向に延びる一対の溝部217が形成されていてもよい。
【0101】
溝部217には、ロック・エレメントが非係合位置にある(小径の)下部領域218から、ロック・エレメントが係合位置にある(大径の)上部領域219までの移行面の形態のランプ部216が形成されている。溝部217の上部領域219は、ケージ213と平行な、平面として形成されているが、配置されたボール215を係合位置に維持することを助けるために、凹部の形態をとってもよい。
【0102】
第1の実施の形態とは対照的に、第2の実施の形態の溝部217のそれぞれは、上部領域219よりも小さな直径を有し、且つ、上部領域219の前方に位置した第2の下部領域252を有している。ボール215は、第2の下部領域252に入り込むことで、
図16に示す、"切離"位置に移動することができる。
【0103】
ケージ213の後方は、ロッド/ピン223に取り付けられている。各後方ケージ213bは、1つのロッド/ピン223に接続されており、前方ケージは、それぞれが円錐台状前方端(frustoconical forward end)、または、“ストップ(stop)”32を有する管状ハウジング20内まで延びている一連のロッド/ピン223によって接続されている。
【0104】
図は簡略化してあるが、改めて、コネクタ201の周りの、管状ハウジング220とマンドレル205との間に、1つの空洞部221が各ケージ・ロッド/ピン223と並ぶように、一連の空洞部21が、形成されている。各ロッド/ピン223は、対応する空洞部内に入るように、後方にスライド可能である。各空洞部221の後方には、対応する各ケージ213の後方と接続されたロッド/ピン223が延びる孔部222が形成されている。
【0105】
第1の実施の形態と同様、ロッド223の周りには、前方端の近くに、螺旋状圧縮バネの形態のバネ・エレメント(図示せず)が接続されている。マンドレル205に形成された、径方向外側に延び、空洞部221の後方壁部の一部を形成しているフランジ226によって、係止面(図示せず)が提供されている。螺旋バネ(図示せず)は、管状ハウジング220に対する接続によって、その後方で、所定の位置に保持されている。
【0106】
各バネ・エレメント(図示せず)は、対応するロッド223を(ゆえに、対応するケージ213も)前方に、弾性的に付勢している。そのため、ボール215は、バイアスによって、溝部217の上部領域219にある係合位置までランプ面216上を押し上げられる。フランジ226の後方には、リリース・カラー227の形態の解放手段が、マンドレル205に対して、スライド可能に取り付けられている。リリース・カラー227には、ロッド223が貫通する孔部222と対応する孔部/ボア228が設けられている。リリース・カラー227を貫通する孔部228は、後方がカウンターボア加工(座ぐり加工)/カウンターシンク加工(皿モミ加工)されており、ロッド223は、カウンターシンク/カウンターボア30に延び入る後方のフレアの形態の延長部を有するカウンターシンクネジ/ボルト229によって、リリース・カラー227に対して取り付けられている。
【0107】
前方ケージ213aに接続されたロッド/ピン223は、カウンターシンクネジ/ボルトを介して接続されており、そのうちの1つは、ヘッド部が他のボルトに接続されている。ヘッド部は、リリース・カラー227の前方に設けられたカウンターシンク/カウンターボア253内に備えられている。これにより、前方ケージ213aのボール215が係合位置と非係合位置の間を動くと、通常条件下で、同時に動くように、前方ケージに対して、リリース・カラーを拘束している。
【0108】
他方、後方ケージ213bに接続されたロッド223は、バネ・エレメントの弾性バイアスを超えると、個々のケージ213bが、後方に、個々に動けるようになっており、実際に動くと、動いたケージ213のロッド223がリリース・カラー227の後方からスライドして出てくるようになっている。
【0109】
係合位置において、リリース・カラー227は、フランジ226の後方と隣接して取り付けられており、バネによる弾性バイアスによって作動位置に保持されている。しかしながら、上述のように、リリース・カラー227は、マンドレル205に対してスライド可能に取り付けられている。リリース・カラー227には、円周溝の形態のグリップ手段231が設けられており、同様に、管上ハウジング220にも、円周溝の形態のグリップ手段233が設けられている。これによって、ROV(遠隔操作の潜水機)によってグリップ手段に取り付けられた液圧馬蹄クランプ(図示せず)または類似のアクチュエータが接続できる。これにより、アクチュエータは、弾性バイアスに抗して、解放位置まで、リリース・カラー227を後方に引っ張ることができる。リリース・カラー227を後方に引っ張ることで、(ネジ/ボルト229のフレア端部の結果として)ピン/ロッド223は後方に引っ張られ、ケージ213を後方に引っ張り、ボール215が非係合位置/収容位置に移動することが許容される。
【0110】
これにより、非破壊的な取り外しが可能になる。しかしながら、ROVを使用せずに取り外せるようにするために、リリース・カラーにロッドを接続するボルト229は、所定の負荷(例えば、10トン)によって破壊されるテンション・ボルトである。結果として、支持ピラー203からコネクタ201を引っ張り出す/押し出すのに、引き込みヘッド(pull-in head)を使用することができる。ボルトの張力限界を超える十分な力が与えられると、ボール215が前方、且つ、径方向内側に移動し、
図16及び
図25に示した"切離"位置に移動する。
【0111】
使用時には、図示しないケーブルがマンドレル205のボア206に通され、従来の手段によってコネクタ201に取り付けられている。それから、ノーズ・コーンに曲げ制限部材209が取り付けられ、コネクタ201の後方に曲げ補強部材212が接続される。
【0112】
それから、コネクタの前方から延び出るケーブル(図示せず)の前方は、支持ピラー203内を斜角(例:60°)で延びる孔部204を通じて、風力タービン発電装置等の支持ピラー203内に引っ張り込まれる。
図13,
図17,
図18及び
図19に示すように、ケーブルが引っ張り込まれると、弾性バネ・エレメントがケージ213を前方に押すことになり、これにより、ボール15を係合位置(径方向外側)に押すが、係合位置を越えないことになる。いったんノーズ・コーン7が孔部に入り始めると、孔部が斜角を有しているため、前方列に含まれるボール215aの1つまたは2つが、孔部204の外側縁部と接触する。通常、孔部204は、下向きに角度が付けられているため、最も低い位置にあるボール215aが孔部204の外側縁部に最初に接触する。
【0113】
引き続き、図示しないケーブルを支持ピラー203内に引っ張り込み、コネクタ201を内部に引き込むと、縁部と当接するボール215aが後方に押され、孔部204内を移動するボール215aは、ランプ部216を下って、後方に、且つ、内側に動くため、リリース・カラー227を後方に動かすため、ボールが取り付けられているケージ213aを、対応するバネ(図示せず)の弾性バイアスに抗して、後方に押す。
【0114】
コネクタ201が孔部を通して移動し続けると、前方列の上部領域にあるボール215aが孔部204の外側縁部と接触するようになり、内側に移動する。前方列の全てのボール215が孔部204を通過すると、螺旋バネの弾性バイアスが、ケージ213aを前方に押し、係合位置に向かって、ボール215aを前方に、ランプ部216を上がって、外側に移動させる。ケージ213aと前方列のボール215aの前方への動きによって、リリース・カラーも前方に動かされ、第1の列のボール215aが全て孔部の内側縁部を通過したことを支持ピラー3の外側から視覚的に示す。
【0115】
図15は、孔部204を通過し、前方列のボール215aが係合位置にあり、後方列のボール215bが非係合位置に見えている状態のコネクタを示している。これは、前方列のボール215aが孔部204の内側縁部を通過した後であるが、孔部204の外側縁部によって後方に(そして内側に)押されながら、後方列のボール215bが孔部を通過してくるケースである。孔部204の角度によっては、コネクタ201が最大限引っ張り込まれても、管状ハウジング220(具体的には、その円錐台状前方面232)が支持ピラー203の壁部と当接し、過度な挿入を防止し、後方列のボール215bのいくつかは孔部204内(内側縁部と外側縁部の間)に残っていてもよい。
【0116】
適切な角度を有し、適切な厚みを有する支持ピラー203と、適切な間隔をあけたボール215の列で、コネクタ201を完全に挿入すると、ボール215は、孔部内に収まり、内側縁部と係合した係合位置にある3つのボール215と、コネクタ内にあり、縁部と係合していないボール215aと、孔部204の外にあり、係合に関与しないボール215bに分かれる。コネクタ201が引っ張られる向きによって、3つのボール215は、前方列のボール215aのうち2つと、後方列のボール215bのうち1つ、または、後方列のボール215bのうち2つと、前方列のボール215aのうち1つとなる。これによって、孔部の内側縁部に3点接触が生じ、強く安定した接続が提供される。
【0117】
ボール215が孔部204の内側縁部と係合すると、コネクタは、引っ張り出すことができなくなる。なぜなら、コネクタを引っ張ると、ボールを内側縁部に対して引っ張ることになり、ボールに対して、下向き(すなわち、径方向内側)及び長手方向前方に力が生じるためである。しかしながら、ボール215は、平面219に配置されており、ランプ部216の移行面が、長手方向後方に進むにつれて径寸法が小さくなるように傾斜が付けられた溝217に移動することができない。したがって、ランプ部216に沿ってボール15を押し下げることはできず、コネクタは、支持ピラー203に対して強固に接続されている。
【0118】
コネクタ201に対して、相対的に弱い外向きの力が加わっている通常条件下(相対的に極度の海中条件を含む)では、ボール215は、前方に移動して下部領域252(切離位置)に移動することができない。なぜなら、所定の前方位置(ボルト229のフレアがリリース・カラーのカウンターボア/カウンターシンクに当接する位置)を越えて移動できないように、ケージがリリース・カラー227に対して動作可能に接続されているからである。
【0119】
しかしながら、上述のように、コネクタ201を恒久的に取り除きたい場合、図示しない引き込みヘッドをコネクタに接続しておいてもよい。そして、ケージ213とリリース・カラー227の間の接続を破壊し、ボール215a,215bを切離位置に向かって、前方、且つ、径方向内側に移動することを許容するように、コネクタを非常に強い力(例えば、10トンのように、50,000Nより大きな力)で支持ピラーから引っ張り出す/押し出すようにしてもよい。
【0120】
コネクタ201は、例えば、孔部204を再現するフランジを備えるような適切な改造が行われた、上述のJチューブ(図示せず)等、他の雌部材に対して接続されてもよい。コネクタ201は、適切な角度を有さず、その代わりに、ボール215の列に対して直立したフランジを備えたJチューブに対しても接続することができる。ボール215の前方列及び後方列の一方または両方が、フランジの後ろに係合することができる。
【0121】
支持ピラー203(または他の雌部材)の孔部204からコネクタ201を一時的に取り除くには、
図14及び
図23に示すように、(馬蹄クランプのようなアクチュエータを用いて)リリース・カラー27を後方に引っ張る。このように後方に引っ張ることで、全てのバネの弾性バイアスを超え、全てのロッド223及びケージ213a,213bを後方に引っ張る。これにより、次に、ボール215を、溝部217の下部領域218に向かって、ランプ部216を下って、後方、且つ、径方向内側に押す。ボール215がこの非係合位置/収容位置に移動すると、径方向外側に向かって押されておらず、コネクタ201は、メンテナンスや交換等のために、孔部204との係合から引っ張り出すことができるようになる。リリース・カラーが管状ハウジング220から引き離すように引っ張られなくなると、リリース・カラーは、バネ(図示せず)の弾性バイアスによってフランジ226に隣接する動作位置に戻る。
【0122】
上記実施の態様は、例示としてのみ説明されている。添付の請求の範囲に定めたように、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの変形例が可能である。