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特開2024-20305ガスを気道に供給するためのユーザインタフェース及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020305
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ガスを気道に供給するためのユーザインタフェース及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20240206BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61M16/06 C
A61M16/00 328
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189425
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2022113710の分割
【原出願日】2016-03-31
(31)【優先権主張番号】62/140,593
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/140,613
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/140,625
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/140,650
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/193,213
(32)【優先日】2015-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/196,248
(32)【優先日】2015-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/196,256
(32)【優先日】2015-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ホリオーク ブルース ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】チョン デクスター チー ルン
(72)【発明者】
【氏名】パテル アニル
(72)【発明者】
【氏名】ヌーライ セイイェド アハマド レザ
(72)【発明者】
【氏名】アッシ ミランジョット シング
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ トマス ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ アリシア ジェラム ハンター
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト クレイグ カール
(72)【発明者】
【氏名】ペイトン マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】エルメス ライス アディーブ
(72)【発明者】
【氏名】クリンク ゲルマン
(72)【発明者】
【氏名】オールドフィールド サマンサ デール
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ テイラー ジャマー
(72)【発明者】
【氏名】バージェス エイダン ロバート
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガスを使用者に及び/又は使用者から搬送するためのユーザインタフェース及びユーザインタフェースを含む呼吸療法システムに関する。
【解決手段】患者に第1のガスフローを送達するための第1の患者インタフェース、患者に第2のガスフローを送達するための第2の患者インタフェース、並びに患者に第2の患者インタフェースが存在しないとき装置が第1の患者インタフェースの出口への第1のガスフローの送達を可能にする第1の呼吸モードと、第2の患者インタフェースが第1の患者インタフェースと共に患者上に位置しているとき、装置が第1の患者インタフェースの出口への第1のガスフローの送達を減少又は停止させる第2の呼吸モードとの間でのシステムの切り換えを促進するように構成された装置及び/又は検知機構を含む呼吸システムに関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸補助を提供するための呼吸器具であって、
鼻インタフェース及び前記鼻インタフェースの出口にガスフローを送達するためのガス導管、並びに前記出口に第1のレベルの前記ガスフローを提供するための第1の構成と前記出口に第2のレベルの前記ガスフローを提供するための第2の構成との間で前記器具を構成するように適合された装置及び/又は検知機構、を含み、前記第2のレベルは前記第1のレベル未満であり、前記装置及び/又は前記センサ機構が前記鼻インタフェースに位置するか、又は前記導管の患者端若しくはその近傍に位置する、器具。
【請求項2】
患者に呼吸補助を提供するための呼吸器具であって、
鼻インタフェース及び前記鼻インタフェースの出口にガスフローを送達するためのガス導管、並びに前記出口に第1のレベルの前記ガスフローを提供するための第1の構成と前記出口に第2のレベルの前記ガスフローを提供するための第2の構成との間で前記ガス導管を構成するように適合された装置であって、前記第2のレベルは前記第1のレベル未満である、装置、
前記装置の下流に位置する第1の圧力センサと、前記装置の上流に位置する第2の圧力センサとを含む検知機構、を含み、前記導管の前記第1又は第2の構成が、前記第1及び第2のセンサから生成された信号又は出力に基づき決定され得る、器具。
【請求項3】
前記第1の構成が開放構成であり、且つ前記第2の構成が部分的に又は実質的に閉鎖した構成であり、前記ガスフローの前記第2のレベルが実質的に前記第1のレベル未満であるか、又は実質的にゼロ流量の前記ガスフローである、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
前記装置が、前記第1の構成と前記第2の構成との間を移行するように構成された前記ガス導管の押し潰し可能部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記ガス導管が、前記押し潰し可能部分内に隔壁又は1対の隔壁を含み、
前記第1の構成では、前記導管が前記隔壁と前記導管の側壁との間又は前記1対の隔壁の間に間隙を含むことにより前記第1のレベルの前記ガスフローが実現し、及び
前記第2の構成では、前記隔壁が前記導管の前記側壁に向かって動くか、又は前記隔壁が互いに向かって動くことにより前記第2のレベルの前記ガスフローが実現する、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記押し潰し可能部分が、(i)第2の患者インタフェースが前記押し潰し可能部分の上に位置するとき、又は(ii)使用者が前記押し潰し可能部分を押圧したとき、前記第1の構成から前記第2の構成に移行するように適合される、請求項4又は5に記載の器具。
【請求項7】
前記装置が、前記第1及び第2の構成間を構成可能なバルブを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記第2の構成において、前記バルブが前記器具からの前記ガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させる、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記装置が圧力逃がし装置を含み、前記第1の構成では閉鎖又は非ベント構成にあり、前記第2の構成では開放又はベント構成にあって、前記器具からの前記ガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させる、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項10】
前記バルブが前記ガスフローの前記一部を前記患者から離れる方向にベントし又は分流させる、請求項8又は9に記載の器具。
【請求項11】
前記バルブが、(i)第2の患者インタフェースが前記バルブの少なくともある構成要素上に位置するとき、又は(ii)使用者が前記バルブの少なくともある構成要素を押圧したとき、前記第1の構成から前記第2の構成に切り換わるように適合される、請求項7~10のいずれか一項に記載の器具。
【請求項12】
前記鼻インタフェースが前記装置を含み、又は前記ガス導管が前記鼻インタフェースに接続されているか又は接続可能であり、且つ前記装置を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の器具。
【請求項13】
患者に呼吸補助を提供するためのシステムであって、
前記患者に第1のガスフローを提供するための第1の患者インタフェースを含む第1の呼吸補助システム、を含み、
前記第1の患者インタフェースは独立して前記患者上に位置付け可能であり、
ここで前記システムは装置及び/又は検知機構を含み、前記第1の患者インタフェースが前記患者上に位置したままで、前記装置及び/又は検知機構は前記システムの異なる呼吸モード間の切り換えを促進するように構成され:
-第1の呼吸モードでは、第2の患者インタフェースが存在しないか又は前記患者から取り外されているとき、及び/又は第2のガスフローが前記第2の患者インタフェースによる前記患者への送達を止められているとき、前記装置は前記第1のガスフローを前記第1の患者インタフェースの出口に送達することが可能であり、
-第2の呼吸モードでは、前記第2の患者インタフェースが前記第1の患者インタフェースと共に前記患者上に位置しているとき、及び/又は前記第2のガスフローが前記第2の患者インタフェースによって前記患者に送達されているとき、前記装置は前記第1の患者インタフェースの前記出口への前記第1のガスフローの送達を減少又は停止させる、システム。
【請求項14】
前記患者に前記第2のガスフローを提供するための前記第2の患者インタフェースを含む第2の呼吸補助システム、を含み、
前記第1及び第2のインタフェースは各々が独立して前記患者上に位置付け可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
患者に呼吸補助を提供するためのシステムであって、
前記患者に第1のガスフローを提供するための第1の患者インタフェースを含む第1の呼吸補助システム、
前記患者に第2のガスフローを提供するための第2の患者インタフェースを含む第2の呼吸補助システム、を含み、
前記第1及び第2のインタフェースは各々が独立して前記患者上に位置付け可能であり、
ここで前記第1の呼吸補助システムは装置及び/又は検知機構を含み、前記第1の患者インタフェースが前記患者上に位置したままで、前記装置及び/又は検知機構は前記システムの異なる呼吸モード間の切り換えを促進するように構成され:
-第1の呼吸モードでは、第2の患者インタフェースが存在しないか又は前記患者から取り外されているとき、及び/又は第2のガスフローが前記第2の患者インタフェースによる前記患者への送達を止められているとき、前記装置は前記第1のガスフローを前記第1の患者インタフェースの出口に送達することが可能であり、
-第2の呼吸モードでは、前記第2の患者インタフェースが前記第1の患者インタフェースと共に前記患者上に位置しているとき、及び/又は前記第2のガスフローが第2の患者インタフェースによって前記患者に送達されるとき、前記装置は前記第1の患者インタフェースの前記出口への前記第1のガスフローの送達を減少又は停止させる、システム。
【請求項16】
前記第1の患者インタフェースが鼻カニューレなどの鼻インタフェースであり、且つ前記第2の患者インタフェースがフェイスマスク又は口マスクである、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記装置又は検知機構が、前記第1のガスフローを前記第1の患者インタフェースの前記出口に提供するガス導管の閉鎖又は部分的閉鎖によって前記システムを前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えるように適合される、請求項13~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記装置又は検知機構が、ガス導管を開放することによるか、又はガス導管が前記第1のガスフローを前記第1の患者インタフェースの前記出口に提供するのを可能にすることによって前記システムを前記第2のモードから前記第1のモードに切り換えるように適合される、請求項13~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の呼吸補助システムが第1のガス導管及び前記装置を含み、前記装置が、前記出口に第1のレベルの前記第1のガスフローを提供するための第1の構成と前記出口に第2のレベルの前記第1のガスフローを提供するための第2の構成との間を移行するように構成された前記第1のガス導管の押し潰し可能部分を含み、前記第2のレベルは前記第1のレベル未満であり、且つ
前記押し潰し可能部分が前記第1の構成から前記第2の構成に移行することにより、前記システムが前記第1の呼吸モードから前記第2の呼吸モードに切り換わる、
前記押し潰し可能部分が前記第2の構成から前記第1の構成に移行することにより、前記システムが前記第2の呼吸モードから前記第1の呼吸モードに切り換わる、のうちの一方又は両方である、請求項13~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の構成が開放構成であり、且つ前記第2の構成が部分的に又は実質的に閉鎖した構成であり、前記第1のガスフローの前記第2のレベルが実質的に前記第1のレベル未満であるか、又は実質的にゼロ流量の前記第1のガスフローである、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の患者インタフェースが前記押し潰し可能部分の上に位置するとき前記押し潰し可能部分が前記第1の構成から前記第2の構成に移行するように適合される、請求項19又は20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2の患者インタフェースがフェイスマスクであり、前記押し潰し可能部分が前記フェイスマスクのマスクシールによって前記第2の構成に押し潰されるように適合される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記押し潰し可能部分が前記第2の構成にあるとき前記マスクシールとシールを形成するように適合され、及び/又は前記押し潰し可能部分が押し潰れると、前記マスクシールが前記患者の顔面とシールを形成することが可能になるように適合される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記押し潰し可能部分が、前記押し潰し可能部分に作用する力又は荷重が加わっているとき前記押し潰し可能部分が前記第1の構成から前記第2の構成に押し潰されることを可能にするヒンジ式若しくは関節式又は蛇腹型若しくはベローズ型導管壁機構を含む断面を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の患者インタフェースが前記第1の導管の前記押し潰し可能部分を含むか、又は前記第1のガス導管が前記第1の患者インタフェースに接続されているか若しくは接続可能であり、且つ前記第1の導管の前記押し潰し可能部分を含む、請求項19~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の呼吸補助システムが前記装置を含み、前記装置が、前記第1の患者インタフェースの前記出口への前記第1のガスフローの送達を制御するためのバルブを含み、及び前記システムが、前記出口に第1のレベルの前記第1のガスフローを提供するための第1の構成と前記出口に第2のレベルの前記第1のガスフローを提供するための第2の構成との間で前記バルブを切り換えることにより前記第1の呼吸モードから前記第2の呼吸モードに切り換わり、前記第2のレベルは前記第1のレベル未満である、請求項13~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の患者インタフェースが前記バルブを含むか、又は前記第1の呼吸補助システムが、前記第1の患者インタフェースに前記第1のガスフローを提供するための第1のガス導管を含んで、前記第1のガス導管が前記バルブを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の構成が開放構成であり、且つ前記第2の構成が部分的に又は実質的に閉鎖した構成であり、前記第1のガスフローの前記第2のレベルが実質的に前記第1のレベル未満であるか又は実質的にゼロ流量の前記第1のガスフローである、請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第2の構成において、前記バルブが前記第1の呼吸補助システムから前記第1のガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記バルブが圧力逃がし装置であり、前記第1の構成では閉鎖又は非ベント構成にあり、且つ前記第2の構成では開放又はベント構成であって、前記第1の呼吸補助システムから前記第1のガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させる、請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項31】
前記バルブが前記第1のガスフローの前記一部を前記患者から離れる方向にベントし又は分流させる、請求項29又は30に記載のシステム。
【請求項32】
前記バルブが、前記第2の患者インタフェースの一部分を前記バルブの少なくともある構成要素に当てることにより前記第1の構成と前記第2の構成との間を切り換わるように適合される、請求項26~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2の患者インタフェースがフェイスマスクであり、前記一部分が前記フェイスマスクのマスクシールである、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記検知機構を含み、前記検知機構が信号又は出力を生成して前記装置の前記第1及び第2の構成間の切り換えを促進する、請求項1~12又は26~33のいずれか一項に記載のシステム又は器具。
【請求項35】
前記検知機構を含み、前記検知機構が信号又は出力を生成して、検知された状態に応答した前記システム又は器具の前記第1及び第2の呼吸モード間又は構成間の切り換えを促進する、請求項1~12又は13~34のいずれか一項に記載のシステム又は器具。
【請求項36】
前記検知機構の1つ又は複数のセンサが、
i.前記第1の患者インタフェース又は前記鼻インタフェース、
ii.前記第2の患者インタフェース、
iii.前記第1及び第2の患者インタフェースの両方、
iv.前記第1の患者インタフェースと連係したアイテム、
v.前記第2の患者インタフェースと連係したアイテム、
vi.前記第1及び第2の患者インタフェースの両方と連係したアイテム、
vii.前記患者と連係することになるアイテム、
のうちの1つ以上と連係する、請求項34又は35に記載のシステム又は器具。
【請求項37】
前記1つ又は複数のセンサが、前記ガス導管内の状態の変化を検知すると前記信号又は出力を生成するか、又は前記第1の呼吸補助システムが第1のガス導管を含み、且つ前記1つ又は複数のセンサが前記第1のガス導管内の状態の変化を検知すると前記信号又は出力を生成する、請求項36に記載のシステム又は器具。
【請求項38】
前記センサが前記ガス導管又は第1のガス導管内の圧力の変化及び/又は前記ガス導管又は第1のガス導管の閉塞を検知する、請求項37に記載のシステム又は器具。
【請求項39】
前記第1の呼吸補助システムが前記装置を含み、前記センサ機構が、前記装置の下流に位置する第1の圧力センサと、前記装置の上流に位置する第2の圧力センサと、前記第1及び第2のセンサからの生成された信号又は出力に基づき、前記システムが前記第1及び第2の呼吸モード間を切り換える又は切り換えるべきタイミングを決定するように構成された制御器とを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記センサが、前記又はある第2の患者インタフェースと前記第1の患者インタフェース又は前記鼻インタフェースとのインサイチュー併用を検知する、請求項36に記載のシステム又は器具。
【請求項41】
前記センサが、前記第1の患者インタフェース又は前記鼻インタフェースと前記第2のインタフェースとがインサイチュー併用されているとき、前記第1の患者インタフェース又は鼻インタフェースの外部且つ前記又はある第2の患者インタフェースの内部の圧力を検知するように配設される、請求項36に記載のシステム又は器具。
【請求項42】
前記信号又は出力を受け取り、それに応答して以下のシステムアウトカム:
視覚的な、又は可聴性の、又は触覚的な、又は触知性のアラーム又は警告であって、
-前記第1及び第2の呼吸モードのいずれか一方を示すものであるか、又は
-前記第1及び第2の呼吸モード間の切り換えを示すものであるか、又は
-前記第1及び第2の呼吸モード間の切り換えを使用者に通知するための、アラーム又は警告のうちの1つ以上、又は
前記第1の患者インタフェースの前記出口への前記第1のガスフローを制御するための、バルブ又はフロージェネレータ又は圧力逃がし装置を含めたフロー制御装置、のうちの1つ以上を作動させ又は制御するように適合された制御器を含む、請求項34~41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記システムがブロック又はマウントとしてのスペーサー構成要素を含み、前記スペーサー構成要素が、前記ガス導管の一部分を受け入れるためのチャネル又は溝又は通路と、前記第2の患者インタフェースのシールが患者の顔面と一緒になってその上にシールを形成するシール面とを含む、請求項13~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記スペーサー構成要素が請求項36に記載の前記アイテムである、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記第2の患者インタフェースが、
本体であって、前記本体は、ガスのガス供給部又はガス源への連通及び/又はそこから前記第2の患者インタフェースの内部容積への連通を可能にする開口部又はポートを含み、前記内部容積は前記本体の内側及び前記使用者の前記顔面によって画成される、本体
前記内部容積が密閉された内部容積となるよう前記本体と前記患者の顔との間にシールを作り出し又は形成するために提供されるシール、を含み、及び
前記シールが前記本体と前記患者の顔面との間に前記シールを作り出し又は形成するのに適応し、且つガス導管又は前記第1の患者インタフェースが前記本体と前記患者の顔面との間を前記密閉内部容積内へと延在するのを促進するように適合又は構成される、請求項13~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の呼吸補助システムが、前記第1の呼吸補助システムから前記第1のガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させるため前記装置の上流に位置する圧力逃がし装置を含む、請求項13~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1の呼吸補助システムが、前記第1の呼吸補助システムにおける前記第2の呼吸補助システムからの逆流を防止又は低減するため一方向弁を含む、請求項13~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記第2の患者インタフェースが手持ち式患者インタフェースである、請求項13~47のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスを使用者に及び/又は使用者から搬送するためのユーザインタフェース及びユーザインタフェースを含む呼吸療法システムに関し、詳細には、限定はされないが、使用者に複数種の呼吸療法を提供するように適合された呼吸システム、並びにかかるシステム用の患者インタフェース及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
麻酔中、又は鎮静中、又はより一般的にはある種の医療手技中、患者は呼吸機能を失うことがある。医療手技前に医療専門家が患者を前酸素化して酸素飽和度の予備を提供することができ、この前酸素化は、概してバッグ及びフェイスマスクを用いて行われる。全身麻酔下に入った後には、患者に挿管して患者を換気しなければならない。ある場合には、挿管は30~60秒間で完了するが、別の場合には、特に患者の気道が(例えば、癌、重度の外傷、肥満又は頸筋のスパスムに起因して)挿通困難である場合、挿管にかかる時間は大幅に長くなる。前酸素化は酸素飽和度の低下を和らげるが、長時間の挿管手技については、挿管プロセスを中断し、再度フェイスマスクを付け直して患者の酸素飽和度を十分なレベルまで上昇させる必要がある。困難な挿管プロセスでは、挿管プロセスの中断は数回起こることもあり、これは時間のかかる、且つ患者を重大な健康上のリスクにさらすものである。約3回の挿管試行後、その医療手技は中止されることになる。
【0003】
複数の呼吸補助システムが必要な手技では、補助システムの併用が過剰な圧力の送達を引き起こし得るという懸念があり得る(例えば患者にカニューレが留置されていて、麻酔医がカニューレの上に被せたマスクを介して補助を送達しようとするとき)。
【0004】
更に、異なる補助システムの間の切り換えは時間がかかり、又は困難なこともある。従って、呼吸補助間、例えば高流量による補助とフェイスマスク及びバッグによる呼吸補助との間を容易に取り替えることが可能な構成を有するのが望ましいとも言える。また、ガスフローを素早く且つ容易に遮断し又は減少させることが可能であれば望ましいとも言える。
【0005】
本明細書において、特許明細書及び他の文献を含む外部情報源が参照されている場合、それは概して、本発明の特徴を考察するための文脈を提供することを目的としている。特に明記しない限り、かかる情報源の参照は、いかなる法域においても、かかる情報源が先行技術である又は当該分野の技術常識の一部をなすことを認めるものとして解釈されてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、呼吸療法システム、又はそのための装置若しくは患者インタフェースを提供することであり、これは、代替手段を提供するのに又は産業/公衆に有用な選択肢を提供するのに少なくとも幾らかの助けになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本開示は、患者に呼吸補助を提供するための呼吸器具に関し、この器具は、
鼻インタフェース及び鼻インタフェースの出口にガスフローを送達するためのガス導管、並びに出口に第1のレベルのガスフローを提供するための第1の構成と出口に第2のレベルのガスフローを提供するための第2の構成(第2のレベルは第1のレベル未満である)との間で器具を構成するように適合された装置及び/又は検知機構、を含み、ここで装置及び/又はセンサ機構は鼻インタフェースに位置するか、又は導管の患者端若しくはその近傍に位置する。
【0008】
更なる態様において、本開示は、患者に呼吸補助を提供するための呼吸器具に関し、この器具は、
鼻インタフェース及び鼻インタフェースの出口にガスフローを送達するためのガス導管、並びに出口に第1のレベルのガスフローを提供するための第1の構成と出口に第2のレベルのガスフローを提供するための第2の構成(第2のレベルは第1のレベル未満である)との間でガス導管を構成するように適合された装置、
装置の下流に位置する第1の圧力センサと、装置の上流に位置する第2の圧力センサとを含む検知機構、を含み、導管の第1又は第2の構成は、第1及び第2のセンサからの生成された信号又は出力に基づき決定され得る。
【0009】
第1の構成が開放構成であってもよく、且つ第2の構成が部分的に又は実質的に閉鎖した構成であってもよく、ガスフローの第2のレベルは実質的に第1のレベル未満であるか、又は実質的にゼロ流量のガスフローである。
【0010】
本装置は、第1の構成と第2の構成との間を移行するように構成されたガス導管の押し潰し可能部分を含み得る。
【0011】
ガス導管は、押し潰し可能部分内に隔壁又は1対の隔壁を含むことができ、
第1の構成では、導管が隔壁と導管の側壁との間又は1対の隔壁の間に間隙を含むことにより第1のレベルのガスフローが実現し、及び
第2の構成では、隔壁が導管の側壁に向かって動くか、又は隔壁が互いに向かって動くことにより第2のレベルのガスフローが実現する。
【0012】
押し潰し可能部分は、(i)第2の患者インタフェースが押し潰し可能部分の上に位置するとき、又は(ii)使用者が押し潰し可能部分を押圧したとき、第1の構成から第2の構成に移行するように適合され得る。
【0013】
本装置は、第1及び第2の構成間を構成可能なバルブを含み得る。
【0014】
第2の構成では、バルブは器具からのガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させ得る。
【0015】
本装置は圧力逃がし装置を含むことができ、第1の構成では閉鎖又は非ベント構成にあり、且つ第2の構成では開放又はベント構成にあって、器具からのガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させ得る。
【0016】
バルブはガスフローの一部を患者から離れる方向にベントし又は分流させ得る。
【0017】
バルブは、(i)第2の患者インタフェースがバルブの少なくともある構成要素上に位置するとき、又は(ii)使用者がバルブの少なくともある構成要素を押圧したとき、第1の構成から第2の構成に切り換わるように適合され得る。
【0018】
鼻インタフェースが装置を含むことができ、又はガス導管が鼻インタフェースに接続されているか又は接続可能であってもよく、且つ装置を含む。
【0019】
更なる態様において、本開示は、患者に呼吸補助を提供するためのシステムに関し、これは、
患者に第1のガスフローを提供するための第1の患者インタフェースを含む第1の呼吸補助システム、を含み、
第1の患者インタフェースは独立して患者上に位置付け可能であり、
ここで本システムは装置及び/又は検知機構を含み、第1の患者インタフェースが患者上に位置したままで、装置及び/又は検知機構はシステムの異なる呼吸モード間の切り換えを促進するように構成され:
-第1の呼吸モードでは、第2の患者インタフェースが存在しないか又は患者から取り外されているとき、及び/又は第2のガスフローが第2の患者インタフェースによる患者への送達を止められているとき、装置は第1のガスフローを第1の患者インタフェースの出口に送達することが可能であり、
-第2の呼吸モードでは、第2の患者インタフェースが第1の患者インタフェースと共に患者上に位置しているとき、及び/又は第2のガスフローが第2の患者インタフェースによって患者に送達されるとき、装置は第1の患者インタフェースの出口への第1のガスフローの送達を減少又は停止させる。
【0020】
本システムは、
患者に第2のガスフローを提供するための第2の患者インタフェースを含む第2の呼吸補助システム、を含むことができ、
前記第1及び第2のインタフェースは各々が独立して患者上に位置付け可能である。
【0021】
更なる態様において、本開示は、患者に呼吸補助を提供するためのシステムに関し、これは、
患者に第1のガスフローを提供するための第1の患者インタフェースを含む第1の呼吸補助システム、
患者に第2のガスフローを提供するための第2の患者インタフェースを含む第2の呼吸補助システム、を含み、
前記第1及び第2のインタフェースは各々が独立して患者上に位置付け可能であり、
ここで第1の呼吸補助システムは装置及び/又は検知機構を含み、第1の患者インタフェースが患者上に位置したままで、装置及び/又は検知機構はシステムの異なる呼吸モード間の切り換えを促進するように構成され:
-第1の呼吸モードでは、第2の患者インタフェースが存在しないか又は患者から取り外されているとき、及び/又は第2のガスフローが第2の患者インタフェースによる患者への送達を止められているとき、装置は第1のガスフローを第1の患者インタフェースの出口に送達することが可能であり、
-第2の呼吸モードでは、第2の患者インタフェースが第1の患者インタフェースと共に患者上に位置しているとき、及び/又は第2のガスフローが第2の患者インタフェースによって患者に送達されるとき、装置は第1の患者インタフェースの出口への第1のガスフローの送達を減少又は停止させる。
【0022】
第1の患者インタフェースは鼻カニューレなどの鼻インタフェースであってもよく、第2の患者インタフェースはフェイスマスク又は口マスクであってもよい。
【0023】
装置又は検知機構は、第1のガスフローを第1の患者インタフェースの出口に提供するガス導管の閉鎖又は部分的閉鎖によってシステムを第1のモードから第2のモードに切り換えるように適合され得る。
【0024】
装置又は検知機構は、ガス導管を開放することによるか、又はガス導管が第1のガスフローを第1の患者インタフェースの出口に提供するのを可能にすることによってシステムを第2のモードから第1のモードに切り換えるように適合され得る。
【0025】
第1の呼吸補助システムは第1のガス導管及び装置を含むことができ、この装置は、出口に第1のレベルの第1のガスフローを提供するための第1の構成と出口に第2のレベルの第1のガスフローを提供するための第2の構成(第2のレベルは第1のレベル未満である)との間を移行するように構成された第1のガス導管の押し潰し可能部分を含み、
ここで押し潰し可能部分が第1の構成から第2の構成に移行することにより、システムは第1の呼吸モードから第2の呼吸モードに切り換わる、
ここで押し潰し可能部分が第2の構成から第1の構成に移行することにより、システムは第2の呼吸モードから第1の呼吸モードに切り換わる、の一方又は両方である。
【0026】
第1の構成が開放構成であってもよく、且つ第2の構成が部分的に又は実質的に閉鎖した構成であってもよく、第1のガスフローの第2のレベルは実質的に第1のレベル未満であるか、又は実質的にゼロ流量の第1のガスフローである。
【0027】
押し潰し可能部分は、第2の患者インタフェースが押し潰し可能部分上に位置するとき、第1の構成から第2の構成に移行するように適合され得る。
【0028】
第2の患者インタフェースはフェイスマスクであってもよく、押し潰し可能部分はフェイスマスクのマスクシールによって第2の構成に押し潰されるように適合される。
【0029】
押し潰し可能部分は、第2の構成にあるときマスクシールとシールを形成するように適合されてもよく、及び/又は押し潰し可能部分は、マスクシールが患者の顔面とシールを形成することを可能にするため押し潰れるように適合される。
【0030】
押し潰し可能部分は、押し潰し可能部分に作用する力又は荷重が加わっているとき押し潰し可能部分が第1の構成から第2の構成に押し潰されることを可能にするヒンジ式若しくは関節式又は蛇腹型若しくはベローズ型導管壁機構を含む断面を含み得る。
【0031】
第1の患者インタフェースが第1の導管の押し潰し可能部分を含むことができ、又は第1のガス導管が第1の患者インタフェースに接続されているか又は接続可能であってもよく、且つ第1の導管の押し潰し可能部分を含む。
【0032】
第1の呼吸補助システムは装置を含むことができ、この装置は、第1の患者インタフェースの出口への第1のガスフローの送達を制御するためのバルブを含むことができ、ここで本システムは、出口に第1のレベルの第1のガスフローを提供するための第1の構成と出口に第2のレベルの第1のガスフローを提供するための第2の構成(第2のレベルは第1のレベル未満である)との間でバルブを切り換えることにより第1の呼吸モードから第2の呼吸モードに切り換わる。
【0033】
第1の患者インタフェースがバルブを含むことができ、又は第1の呼吸補助システムが、第1の患者インタフェースに第1のガスフローを提供するための第1のガス導管を含んで、第1のガス導管が前記バルブを含むことができる。
【0034】
第1の構成が開放構成であってもよく、且つ第2の構成が部分的に又は実質的に閉鎖した構成であってもよく、第1のガスフローの第2のレベルは実質的に第1のレベル未満であるか、又は実質的にゼロ流量の第1のガスフローである。
【0035】
第2の構成では、バルブは第1の呼吸補助システムから第1のガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させ得る。
【0036】
バルブは圧力逃がし装置であってもよく、第1の構成では閉鎖又は非ベント構成であることができ、且つ第2の構成では開放又はベント構成であって、第1の呼吸補助システムから第1のガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させ得る。
【0037】
バルブは第1のガスフローの一部を患者から離れる方向にベントし又は分流させ得る。
【0038】
バルブは、第2の患者インタフェースの一部分をバルブの少なくともある構成要素に当てることにより第1の構成と第2の構成との間を切り換わるように適合され得る。
【0039】
第2の患者インタフェースはフェイスマスクであってもよく、且つ当該の一部分はフェイスマスクのマスクシールである。
【0040】
本システム又は器具は検知機構を含むことができ、検知機構は信号又は出力を生成して装置の第1及び第2の構成間の切り換えを促進する。
【0041】
本システム又は器具は検知機構を含むことができ、検知機構は信号又は出力を生成して、検知された状態に応答したシステム又は器具の第1及び第2の呼吸モード間又は構成間の切り換えを促進する。
【0042】
検知機構の1つ又は複数のセンサは以下の1つ以上に連係され得る:
i.第1の患者インタフェース又は鼻インタフェース、
ii.第2の患者インタフェース、
iii.第1及び第2の患者インタフェースの両方、
iv.第1の患者インタフェースと連係したアイテム、
v.第2の患者インタフェースと連係したアイテム、
vi.第1及び第2の患者インタフェースの両方と連係したアイテム、
vii.患者と連係することになるアイテム。
【0043】
1つ又は複数のセンサはガス導管内の状態の変化を検知すると信号又は出力を生成してもよく、又は第1の呼吸補助システムが第1のガス導管を含み、且つ1つ又は複数のセンサが第1のガス導管内の状態の変化を検知すると信号又は出力を生成する。
【0044】
センサはガス導管若しくは第1のガス導管内の圧力の変化及び/又はガス導管若しくは第1のガス導管の閉塞を検知し得る。
【0045】
第1の呼吸補助システムは装置を含むことができ、センサ機構は、装置の下流に位置する第1の圧力センサと、装置の上流に位置する第2の圧力センサと、第1及び第2のセンサからの生成された信号又は出力に基づき、システムが第1及び第2の呼吸モード間を切り換える又は切り換えるべきタイミングを決定するように構成された制御器とを含む。
【0046】
センサは、当該の又はある第2の患者インタフェースと第1の患者インタフェース又は鼻インタフェースとのインサイチュー併用を検知し得る。
【0047】
センサは、第1の患者インタフェース又は鼻インタフェースと第2のインタフェースとがインサイチュー併用されているとき、第1の患者インタフェース又は鼻インタフェースの外部且つ当該の又はある第2の患者インタフェースの内部の圧力を検知するように配設され得る。
【0048】
本システムは、前記信号又は出力を受け取り、それに応答して以下のシステムアウトカム:
視覚的な、又は可聴性の、又は触覚的な、又は触知性のアラーム又は警告であって、
-第1及び第2の呼吸モードのいずれか一方を示すものであるか、又は
-第1及び第2の呼吸モード間の切り換えを示すものであるか、又は
-第1及び第2の呼吸モード間の切り換えを使用者に通知するための、アラーム又は警告のうちの1つ以上、又は
第1の患者インタフェースの出口への第1のガスフローを制御するための、バルブ又はフロージェネレータ又は圧力逃がし装置を含めたフロー制御装置、のうちの1つ以上を作動させ又は制御するように適合された制御器を含むことができる。
【0049】
本システムはブロック又はマウントとしてのスペーサー構成要素を含むことができ、このスペーサー構成要素は、ガス導管の一部分を受け入れるためのチャネル又は溝又は通路と、第2の患者インタフェースのシールが患者の顔面と一緒になってその上にシールを形成するシール面とを含み得る。
【0050】
スペーサー構成要素は、第1の患者インタフェース、第2の患者インタフェース、第1及び第2の患者インタフェースの両方、又は患者と連係するアイテムであり得る。
【0051】
第2の患者インタフェースは、
本体(前記本体は、ガスのガス供給部又はガス源への連通及び/又はそこから第2の患者インタフェースの内部容積への連通を可能にする開口部又はポートを含み、内部容積は本体の内側及び使用者の顔面によって画成される)、
内部容積が密閉された内部容積となるように本体と患者の顔面との間にシールを作り出し又は形成するために提供されるシール、を含むことができ、及び
シールは、本体と患者の顔面との間にシールを作り出し又は形成するのに適応し、且つガス導管又は第1の患者インタフェースが本体と患者の顔面との間を密閉内部容積内へと延在するのを促進するように適合又は構成され得る。
【0052】
第1の呼吸補助システムは、第1の呼吸補助システムから第1のガスフローの少なくとも一部をベントし又は分流させるため装置の上流に位置する圧力逃がし装置を含み得る。
【0053】
第1の呼吸補助システムは、第1の呼吸補助システムにおける第2の呼吸補助システムからの逆流を防止又は低減するための一方向弁を含み得る。
【0054】
第2の患者インタフェースは手持ち式患者インタフェースであってもよい。
【0055】
更なる態様において、本開示は、
ガス源からガスを受け取るように適合された第1のガスルーメン、
を含む患者インタフェースに関し、
ここで第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のレベルのガスが第1のガスルーメンの第1の部分を通過することが可能な第1の構成から、第2のレベルのガスが第1のガスルーメンの第1の部分を通過することが可能な第2の構成へと移行するように構成される。
【0056】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの第1の部分の外壁に加わる力、又はその内壁が受ける力の相対レベルに基づき第1及び第2の構成間を移行又は展開し得る。
【0057】
第1のガスルーメンの第1の部分は、ガスルーメンの第1の部分を通過するガスの圧力レベルに基づき第1及び第2の構成間を移行又は展開し得る。
【0058】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1の所定の圧力レベルを上回る圧力を有するガスが第1のガスルーメンを通過しているとき第1の構成であってもよく、及び第1のガスルーメンの第1の部分は、第1の所定の圧力レベルを下回る圧力を有するガスが第1のガスルーメンを通過しているとき第2の構成であってもよい。
【0059】
第1の構成が実質的に開放した構成であってもよく、且つ第2の構成が実質的に閉鎖した構成である。
【0060】
第1のガスレベルは第2のガスレベルよりも高くてよい。
【0061】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの他の部分の1つ以上の壁よりも薄い壁を含み得る。
【0062】
患者インタフェースは、第1のガスルーメンの第1の部分の壁と第1のガスルーメンの他の部分の1つ以上の壁との間の厚さの実質的に滑らかな移行、又は実質的に線形的な移行を更に含み得る。
【0063】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの他の部分の壁よりも可撓性の高い壁を含むことができ、好ましくはその(可撓性の高い)壁は、少なくとも一部が第1のガスルーメンの他の部分の1つ又は複数の壁よりも可撓性の高い材料で形成されている。
【0064】
第1のガスルーメンの第1の部分の壁は、第2の構成にあるとき実質的に押し潰れるか若しくは押し潰し可能であるように構成されてもよく、又はガス若しくは流体の通路を保持せず、又は実質的に自己支持性を有しない。
【0065】
第1のガスルーメンの長さに沿って見たときの第1のガスルーメンの第1の部分の断面積は第2の構成にあるとき実質的に減少してもよく(例えばゼロまで減少してもよく)、場合により、第2の構成にあるとき実質的に平らな又は扁平な形状をとってもよい。
【0066】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの第1の部分の壁の周囲、又はその内部又はその下に、第1のガスルーメンの第1の部分の圧縮を制限するように適合された要素を含み得る。
【0067】
この要素は、第1のガスルーメンの第1の部分の構成に関わらず第1のガスルーメンの第1の部分に最小限レベルのガスフローが通過することを促進するように構成され得る。場合により、かかる要素は補強要素であってもよい。
【0068】
第1のガスルーメンは、第1のガスルーメンの壁又はその近傍に、第1のガスルーメンの圧縮を制限するように適合された要素を含むことができ、この要素の強度、厚さ及び/又は幅は第1のガスルーメンの第1の部分又はその近傍で低下する。
【0069】
患者インタフェースは、要素のうち第1のガスルーメンの第1の部分又はその近傍にある部分から、当該の又は別の要素のうち第1のガスルーメンの第1の部分より遠位にある1つ以上の部分への要素の強度、厚さ及び/又は幅の実質的に滑らかな移行、又は実質的に線形的な移行を含み得る。
【0070】
患者インタフェースは、第1のガスルーメンの第1の部分を通る、そこにある又はその近傍にある、第1のガスルーメンの少なくとも内部領域に沿って延在する第2のガスルーメンを更に含み得る。
【0071】
第2のガスルーメンは第1のガスルーメンの第1の部分と比べて圧縮性が低くてもよく、又は圧縮に対してより高い抵抗性があってもよい。一部のかかる構成では、第2のガスルーメンの壁は、少なくとも一部が第1のガスルーメンの第1の部分の壁よりも剛性の高い又は可撓性の低い材料で形成されている。場合により、1つ又は複数の要素が一体にされるとき、第2のガスルーメンは当該の1つ又は複数の要素(補強要素など)によって形成されてもよい。例えば、補強要素は第1のガスルーメンの壁と相互作用して第2のガスルーメンを提供するような形状又は構成にされ、又は他の形でそのように適合されてもよく、或いは補強要素は、第2のガスルーメンを形成する、及び場合により第1のガスルーメンを閉鎖する構成で一体にされてもよい。
【0072】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの他の部分よりも幅が広くてもよく、又はそれと比べて大きいか、又は幅が広い若しくは大きい断面表面積を呈するか、又はベローズ型の若しくは拡大した局所領域であってもよい。
【0073】
患者インタフェースは、第1のガスルーメンの第1の部分から第1のガスルーメンのうち第1のガスルーメンの第1の部分より遠位の部分への幅又は断面積又は側部の実質的に滑らかな移行、又は実質的に線形的な移行を更に含み得る。
【0074】
患者インタフェースは、第1のガスルーメンの第1の部分が第2の構成にあるとき第1のガスルーメン内のガスの圧力を減少させるように適合された圧力逃がし機構を更に含み得る。
【0075】
更なる態様において、本開示は鼻カニューレに関する。本鼻カニューレは第1のチューブ状セクションと;第1のチューブ状セクションと流体(例えば空気圧)連通している少なくとも1つの経鼻送達要素(例えば少なくとも1つの鼻プロング)とを含むことができ、少なくとも1つの経鼻送達要素のうちの1つ以上は使用者の1つ以上の鼻孔に置かれるように適合され;ここで第1のチューブ状セクションは、ガス源からガスを受け取るように適合された第1のガスルーメンを含み;及び第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のレベルのガスが第1のガスルーメンの第1の部分を通過することが可能な第1の構成から、第2のレベルのガスが第1のガスルーメンの第1の部分を通過することが可能な第2の構成へと展開する傾向が第1のガスルーメンの他の部分よりも高い。
【0076】
少なくとも1つの経鼻送達要素は、密閉しない形で使用者の1つ以上の鼻孔に置かれ又はその内部に位置するように適合され得る。
【0077】
第1のチューブ状セクションと少なくとも1つの経鼻送達要素との間には、フローマニホルドが間置されてもよい。
【0078】
少なくとも1つの経鼻送達要素はフローマニホルドから延在し得る。
【0079】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの第1の部分の外壁又は内壁に加わる(例えば内壁が受けるとおりの)力のレベルに基づき第1及び第2の構成間を展開し得る。
【0080】
第1のガスルーメンの第1の部分は、少なくとも一部には、ガスルーメンの第1の部分を通過するガスの圧力レベルに基づき第1及び第2の構成間を展開し得る。
【0081】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1の所定の圧力レベルを上回る圧力を有するガスが第1のガスルーメンを通過しているとき第1の構成であってもよく、及び第1のガスルーメンの第1の部分は、第1の所定の圧力レベルを下回る圧力を有するガスが第1のガスルーメンを通過しているとき第2の構成であってもよい。
【0082】
第1の構成が実質的に開放した構成であってもよく、且つ第2の構成が実質的に閉鎖した構成である。
【0083】
第1のガスレベルは第2のガスレベルよりも高くてよい。
【0084】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの他の部分の1つ以上の壁よりも薄い壁を含み得る。
【0085】
鼻カニューレは、第1のガスルーメンの第1の部分の壁と第1のガスルーメンの他の部分の1つ以上の壁との間の厚さの実質的に滑らかな移行を更に含み得る。
【0086】
第1のガスルーメンの第1の部分は、少なくとも一部が第1のガスルーメンの他の部分の壁よりも可撓性の高い材料で形成されている壁を含み得る。
【0087】
第1のガスルーメンの第1の部分の壁は、第2の構成では実質的に押し潰れるか又は非自己支持性であるように構成され得る。
【0088】
第1のガスルーメンの長さに沿って見たときの第1のガスルーメンの第1の部分の断面積は第2の構成にあるとき実質的に減少してもよく(例えばゼロまで減少してもよく)、場合により、第2の構成にあるとき実質的に平らな又は扁平な形状又は構成をとってもよい。
【0089】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの第1の部分の壁の周囲、その内部又はその下に、第1のガスルーメンの第1の部分の圧縮を制限するように適合された補強要素を含み得る。
【0090】
この補強要素は、第1のガスルーメンの第1の部分の構成に関わらず第1のガスルーメンの第1の部分に最小限レベルのガスフローが通過することを促進するように構成され得る。
【0091】
第1のガスルーメンは、第1のガスルーメンの壁又はその近傍に、第1のガスルーメンの圧縮を制限するように適合された補強要素を含むことができ、この補強要素の強度、厚さ及び/又は幅は第1のガスルーメンの第1の部分又はその近傍で低下する。
【0092】
鼻カニューレは、補強要素のうち第1のガスルーメンの第1の部分又はその近傍にある部分から、補強要素のうち第1のガスルーメンの第1の部分より遠位の又はそれに隣接した1つ以上の部分への補強要素の強度、厚さ及び/又は幅の実質的に滑らかな移行、又は実質的に線形的な移行を含み得る。
【0093】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のレベルのガスが第1のガスルーメンの第1の部分を通過することが可能な第1の構成から、第2のレベルのガスが第1のガスルーメンの第1の部分を通過することが可能な第2の構成に移行する傾向が第1のガスルーメンの他の部分よりも高くてよい。
【0094】
鼻カニューレは、第1のガスルーメンの第1の部分又はその近傍に、第1のガスルーメンの少なくとも内部領域に沿って延在する第2のガスルーメンを更に含み得る。
【0095】
第2のガスルーメンは第1のガスルーメンの第1の部分よりも圧縮性が低くてよい。
【0096】
第2のガスルーメンの壁は、少なくとも一部が第1のガスルーメンの第1の部分の壁よりも剛性の高い又は可撓性の低い材料で形成されていてもよい。
【0097】
第1のガスルーメンの第1の部分は、第1のガスルーメンの他の部分よりも幅が広くてもよく、又はそれと比べて大きいか、又は幅が広い若しくは大きい断面表面積を呈するか、又はベローズ型の若しくは拡大した局所領域であってもよい。
【0098】
鼻カニューレは、第1のガスルーメンの第1の部分から第1のガスルーメンのうち第1のガスルーメンの第1の部分より遠位の部分への幅の実質的に滑らかな、又は実質的に線形的な移行を更に含み得る。
【0099】
鼻カニューレは、第1のガスルーメンの第1の部分が第2の構成にあるとき第1のガスルーメン内のガスの圧力を減少させ又は緩和するように適合された圧力逃がし弁、装置又は機構を更に含み得る。
【0100】
鼻カニューレは、鼻カニューレの使用者と対面する1つ以上の部分に固定され又は取り付けられ又は接続される1つ以上のアタッチメント構造を更に含むことができ、この1つ以上のアタッチメント構造は、鼻カニューレを使用者の顔に(場合により着脱可能な形で)留め付け又は取り付け又は接続するように適合される。
【0101】
1つ以上のアタッチメント構造は、鼻カニューレを顔に例えば着脱可能な形で留め付けるため顔に固定される1つ以上の固定化構造と接合をなすように適合され得る。
【0102】
少なくとも1つの経鼻送達要素は、使用者の中隔に向かって内向きに延在するような形状又は角度を有し得る。
【0103】
少なくとも1つの経鼻送達要素は、少なくとも1つの経鼻送達要素の先端が使用時に使用者の後頭部の方を向くような形状又は角度を有してもよく、又は供給されるガスのフローを使用者の1つ又は複数の鼻孔の裏側又はより内側の領域に向かって誘導するような角度を有する。
【0104】
呼吸補助システムが開示され、本呼吸システムは第1の呼吸補助サブシステムと第2の呼吸補助サブシステムとを含むことができ、ここで第1の呼吸補助サブシステムは記載されるとおりの患者インタフェースを含み、及び本システムは、患者インタフェースの第1のガスルーメンの前記第1の部分が前記第1の構成から前記第2の構成に移行すると、患者への呼吸補助の送達を第1のサブシステムから第2のサブシステムに切り換えるように構成される。
【0105】
第1の呼吸補助サブシステムはハイフローシステムであってもよい。
【0106】
第1の呼吸補助サブシステムは、記載される鼻カニューレを更に含み得る。
【0107】
第2の呼吸補助サブシステムはフェイスマスクを含み得る。
【0108】
第1のガスルーメンの第1の部分は、フェイスマスクのシールによって圧縮されたとき第1の構成から第2の構成に移行し得る。
【0109】
2つの呼吸補助モード間の切り換え方法が開示され、ここでは第1の呼吸補助モードが記載される患者インタフェースを用いて患者に呼吸補助を送達し、及び第1のガスルーメンの前記第1の部分を、第1の呼吸補助モードが患者に呼吸補助を送達する前記第1の構成から、第2の呼吸補助モードが患者に呼吸補助を送達する前記第2の構成へと移行させるステップを含む。
【0110】
第1のモードはハイフロー療法モードであってもよい。
【0111】
更なる態様において、本開示は、押し潰し可能部分を含む導管に関し、この押し潰し可能部分は、押し潰し可能部分に作用する力又は荷重が加わっているとき押し潰し可能部分が第1の状態から第2の状態に押し潰されることを可能にするヒンジ式若しくは関節式又は蛇腹型若しくはベローズ型導管壁機構を含む断面を含む。
【0112】
この断面は、導管の外側と導管の内側(使用時に導管の内側は患者の顔面と接触する)との間に延在する押し潰し可能部分のサイドに一つ折り部分を含むことができ、及び
折り畳み部分は1対のサイド部分を含み、第1の状態にあるときサイド部分は折り畳み点から広がって外に向く鋭角又は鈍角を呈し、及び第2の位置では断面は折り畳み点で変形し、1対のサイド部分がくっついて押し潰し可能部分を第2の状態に押し潰す。
【0113】
この断面は、押し潰し可能部分の第1のサイドにある第1の前記一つ折り部分と、押し潰し可能部分の第2のサイドにある第2の前記一つ折り部分とを含むことができ、第2のサイドは第1のサイドの反対側にあり、第1及び第2の折り畳み部分は導管の外側と導管の内側との間に延在する。
【0114】
この断面は、押し潰し可能部分の第1のサイドにある一つ折り部分と押し潰し可能部分の第2のサイドにある第2の折り畳み点とを含むことができ、第2のサイドは第1のサイドの反対側にあり、導管の外側及び導管の内側は第2の折り畳み点から広がっている。
【0115】
導管の内側及び外側は第1の構成から第2の構成に移行するとき第2の折り畳み点で共に折り畳まれ得る。
【0116】
角度は鋭角であってもよい。
【0117】
角度は、60度、又は55度、又は50度、又は45度、又は40度、又は35度未満であってもよい。
【0118】
第2の状態では、押し潰し可能部分は、サイド部分の外表面同士が接触するように押し潰れ得る。
【0119】
第2の状態では、サイド部分の内表面が導管の内側及び外側の内表面に接触する。
【0120】
別の態様において、本開示によれば、呼吸療法送達システムの一部として使用される導管、又は導管の少なくとも部分的長さが提供され、この導管又は導管の部分的長さは、以下を含む:
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイが導管壁の支持となるか、又はその一部を形成し、前記導管壁の内表面が導管のルーメン又はガス流路を形成し、
この少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイはルーメン又はガス流路を第1の状態に優先的に維持するように付勢されており、第1の状態は、実質的に開放した又は実質的に押し潰されていない導管壁状態であり、
及び少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイを含む導管又は導管の部分的長さは、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイを含む導管壁の外表面に加わる力又は荷重に応答して第1の状態から第2の状態へと歪曲可能であるか又は座屈するように構成され、
第2の状態は、実質的に閉鎖した若しくは実質的に押し潰されている導管壁状態又はルーメン若しくはガス流路がそこを通るガスフローに関して実質的に閉塞若しくは妨害されている場合である。
【0121】
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイは、力又は荷重が加わることに応答して実質的に無制限に歪曲可能であるか又は座屈し得る。
【0122】
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイの第1の状態から第2の状態への歪曲又は座屈は、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイの所定の歪曲又は座屈した配置又は配列又は構成になることであり得る。
【0123】
導管の外表面に加えられる力又は荷重は、使用時、付勢に打ち勝つのに十分であり得る。
【0124】
導管の外表面に加えられる力又は荷重は、使用時、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイの歪曲又は座屈を生じさせるのに十分であり得る。
【0125】
第2の状態は、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイの優先的な所定の再構成(又は再配列又は再配置)であり得る。
【0126】
第2の状態では、導管壁の内表面は、互いに接触した状態になるのか、それとも互いに実質的に隣接することになるのかに関わらず、重なり合って一体となり、又は少なくとも部分的に重なり合って一体となり、実質的に閉鎖された又は実質的に押し潰された導管壁状態又はルーメン若しくはガス流路がそこを通るガスフローに関して実質的に閉塞若しくは妨害されている場合が提供され得る。
【0127】
フォーム又はフォームのアレイは第1の状態に向かって付勢されていてもよい。
【0128】
フォームのアレイのフォームは、力又は荷重が加わると第1の状態から第2の状態に向かって歪曲又は座屈する能力を有し得るが、力又は荷重を低下させ又は除去すると、フォーム又はフォームのアレイは導管を第1の状態に戻し又は回復することが可能となる。
【0129】
フォーム又はフォームのアレイは導管壁又は内壁表面と独立していてもよい。即ち、1つ又は複数のフォームは導管壁又はその内表面に取り付けられず又は接続されない。
【0130】
フォームは、導管又はフォーム若しくはフォームのアレイを含む導管の少なくとも一部に沿って延在する水平方向長手軸から約20°~約70°、又は約25°~約65°、又は約35°~約55°、又は約45°のピッチ角の(ピッチ角は部材の各巻線間又はコイル間の角度である)、又は導管壁に対する角度の、らせん状又はヘリカル巻線状若しくはコイル状の部材であってもよい。
【0131】
フォームは、導管の内径の約4分の1超~導管の内径の約10倍、又は導管の内径の約2分の1~約8倍、又は導管の内径の約3分の2~約6倍、又は導管の内径の約1倍~約4倍のピッチを有するらせん状又はヘリカル巻線状若しくはコイル状の部材であってもよく、又はピッチは実質的に導管の内径のとおりの長さであり、ピッチは部材の隣接するらせん又はヘリカル巻線若しくはコイルの中心から中心までの距離である。
【0132】
フォームは、あるピッチ角又はあるピッチ(又は両方)のらせん状又はヘリカル巻線状若しくはコイル状の部材であってもよく、従って導管の外表面に荷重又は力が加わると、第2の状態にあるときフォームが実質的に平らな配置となるようにフォームが折り重なり又は配置し直されることが可能になる。
【0133】
フォームは一連のリングであってもよく、この一連のうちの各リングは少なくとも1つの他のリングとのヒンジ式相互接続を含む。
【0134】
ヒンジ式相互接続はフォームの歪曲又は座屈を促進し得る。
【0135】
フォームは、フォームを含む導管の少なくとも部分的長さにおいて導管壁の少なくとも実質的に連続的な支持を提供するように配設された、一連のヒンジ式に接続された構成要素であってもよい。
【0136】
導管壁は、導管壁に沿って略長手方向に、又は少なくともフォームを含む導管壁の部分的長さに沿って略長手方向に延在する少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイを含み得る。
【0137】
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイは、導管壁の一部として形成されるか又は導管壁に若しくはその内部に提供されたフラップ又はヒンジであってもよい。
【0138】
フラップ又はヒンジは導管壁の折り畳みを可能にし得る。
【0139】
フォーム又はフォームのアレイは蛇腹型機構又はベローズ型機構であってもよく、前記機構は、力又は荷重が加えられると導管を第1の状態から第2の状態へと歪曲又は座屈させる。
【0140】
フォームは、導管壁の一部として形成され若しくは一体化されるか又は導管壁に若しくはその内部に提供されたヒンジであってもよい。
【0141】
複数のヒンジが導管壁の一部として形成されてもよい。
【0142】
これらのヒンジは導管壁に沿って略長手方向に、又は少なくともヒンジを含む導管壁の部分的長さに沿って略長手方向に延在し得る。
【0143】
更なる態様において、本開示は、呼吸回路の一部として提供されるか又は呼吸療法送達システムにおいて使用される導管に関し、この導管は、本来導管をガス流動可能状態に維持する支持構造を欠いており、導管の壁がそこを通じるルーメンを画成し、壁は非自己支持性であるのに十分な可撓性を有する。
【0144】
導管は、導管のルーメンに提供されるガスの陽圧によってガス流動構成に維持され得る。
【0145】
更なる態様において、本開示は、患者インタフェースにガスを供給又は送達するための導管に関し、この導管は、
一方向弁、を含み、及び
インタフェースに送達されるガスフローに対して、及び一方向弁の上流に、プリセットされた又は所定の圧力レベルを上回って導管のルーメン内に蓄積した圧力をベント又は解放するためのベント又は圧力逃がし弁があり(例えばベント又は圧力逃がし弁は、導管内のプリセット圧力又は所定の圧力に達すると「開放」し又は圧力を解放するように構成され得る)
及び一方向弁は患者インタフェースから上流へのガスフローを防ぐ。
【0146】
圧力の蓄積は、限定はされないが、ベント又は圧力逃がし装置及び一方向弁を含む導管内の圧力が圧力P1であるときに圧力P2の呼吸療法を患者に送達するフルフェイスマスクの適用(ここでP1はP2未満である)を含め、続いて患者に投与される呼吸療法を適用するときに起こり得る。
【0147】
一方向弁は、本来患者に供給されるガスが患者インタフェース又は後続の患者インタフェースのいずれかから逆流することを実質的に防ぐ働きをし得る。
【0148】
更なる態様において、本開示は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する導管と共に使用される圧力逃がし装置に関し、この圧力逃がし装置は、
第1の壁と略反対側の第2の壁とを含み、ここで通常の使用時には第1の壁が導管の隣接する壁と実質的に面一であるため前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過し、第1の壁に力が加わると、第1の壁が第2の壁の方に向かって又はそれから離れる方に動くことにより、ガスが導管内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。
【0149】
第1の壁は比較的剛性が高くてもよく、且つ第2の壁は比較的可撓性が高い。
【0150】
圧力逃がし装置は、導管の隣接する壁に重なるように第1の壁から延在するタングを更に含み得る。
【0151】
第1の壁は比較的可撓性が高く、且つ第2の壁は比較的剛性が高い。
【0152】
力は、アイテムが第1の壁に押し付けられることに起因し得る。
【0153】
力は、閾値圧力に達した導管内のガスの圧力であり得る。
【0154】
更なる態様において、本開示は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する呼吸補助システムの構成要素であって、開口部を有する呼吸補助システムの構成要素と共に使用される圧力逃がし装置に関し、この圧力逃がし装置は、開口部と係合可能な付勢された構成要素を含み、ここで通常の使用時には付勢された構成要素は呼吸補助システムの構成要素の開口部に向かって付勢されて開口部を実質的に密閉するためガス源からの実質的に全てのガスが導管を通過し、導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、付勢された部材が呼吸補助システムの構成要素の開口部から離れる方に動くことにより、ガスが呼吸補助システムの構成要素内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。
【0155】
呼吸補助システムの構成要素はフィルタを含み得る。
【0156】
呼吸補助システムの構成要素は導管を含み得る。
【0157】
呼吸補助システムの構成要素はチャンバを含み得る。
【0158】
更なる態様において、本開示は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する導管であって、開口部を有する導管と共に使用される圧力逃がし装置に関し、この圧力逃がし装置は、
導管内に装着されたレバーを含み、このレバーは、ピボットと、動作部分と、前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過するように導管の開口部を実質的に密閉する密閉部分とを備え、
ここで動作部分が動かされると、レバーがピボットを中心とした枢動を生じて密閉部分が開口部から離れる方に動くことにより、ガスが導管内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。
【0159】
動作部分がピボットの一方の側にあってもよく、且つ密閉部分がピボットの他方の側にある。
【0160】
動作部分がピボットの一方の側にあってもよく、且つ密閉部分がピボットの同じ側にある。
【0161】
更なる態様において、本開示は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する導管と共に使用される流量制限装置に関し、この流量制限装置は、前記ガス源からの実質的に第1のレベルのガスが前記導管を通過する第1の位置から、第2のレベルのガスが通る第2の位置へと導管を横断方向に移動可能なゲートを含む。
【0162】
第1の位置は実質的に開放した構成であってもよく、且つ第2の位置は実質的に閉鎖した構成である。一部の構成では、第1のガスレベルは第2のガスレベルよりも高い。
【0163】
第2の位置は、完全に閉鎖又は閉塞又は遮断されたガス流路であってもよく、又は限定はされないが、制限された又は絞りのあるガス流路であることを含め、部分的に閉鎖又は閉塞又は遮断されたガス流路であってもよい。
【0164】
流量制限装置は、相補的な係合可能特徴を有する2つのゲートを含み得る。
【0165】
更なる態様において、本開示は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する呼吸補助システムの構成要素であって、開口部を有する呼吸補助システムの構成要素と共に使用される圧力逃がし装置に関し、この圧力逃がし装置は、開口部と係合可能な可動部品を含み、ここで通常の使用時には可動部品は呼吸補助システムの構成要素の開口部を密閉する方に付勢されるためガス源からの実質的に全てのガスが導管を通過し、導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、可動部材が呼吸補助システムの構成要素の開口部を空けることにより、ガスが呼吸補助システムの構成要素内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。
【0166】
更なる態様において、本開示は、本明細書に開示されるとおりの圧力逃がし装置を導管と併せた併用に関する。
【0167】
圧力逃がし装置は導管と一体に形成され得る。
【0168】
更なる態様において、本開示は、マニホルドから延在する1つ又は2つのサイドアームと、マニホルドにある又はそこから延在する1つ又は2つの出口(鼻プロングなど)とを含む患者インタフェースに関し、一方又は両方のサイドアームが、呼吸チューブからマニホルドにガスフローを供給するためのルーメンと、ルーメンからガスをベントして使用者の気道又は患者インタフェースにおける最大圧力を決定するベント機構とを含む。
【0169】
サイドアームは、フェイスマスクのシールが使用者の顔面との密接と共に上から密接することができる密閉部分を含むことができ、ベントはサイドアーム上におけるフェイスマスクの密閉範囲の外側に位置決めされる。
【0170】
密閉部分は、フェイスマスクのシールが使用者の顔面と共にその部分に密接することを可能にする外形を含み得る。
【0171】
サイドアームは、使用時に圧縮されたり又は押し潰されたりすることのないよう外力に耐えるように構成され得る。
【0172】
サイドアームは、比較的剛性の高い材料で形成され得る。
【0173】
更なる態様において、本開示は、患者インタフェースと共に使用されるブロック又はマウントなどのアイテムであって、患者の顔面と接触した、又はそれと接触して置かれることになるアイテムに関し、このアイテムは、それを貫通する少なくとも1つのルーメンであって、ガス供給導管を挿通させるための、又はルーメンの各端部にガス供給導管の接続を設けるためのルーメンと(ここで供給されるガスは患者インタフェースと流体接続している)、ルーメンからガスをベントして使用者の気道又は患者インタフェースにおける最大圧力を決定するベント機構とを含む。
【0174】
このアイテムは、フェイスマスクのシールが使用者の顔面との密接と共に上から密接することができる密閉部分を含むことができ、ここでベントはアイテム上におけるフェイスマスクの密閉範囲の外側に位置決めされる。
【0175】
密閉部分は、フェイスマスクのシールが使用者の顔面と共にその部分に密接することを可能にする外形を含み得る。
【0176】
アイテムは、使用時に圧縮されたり又は押し潰されたりすることのないよう外力に耐えるように構成され得る。
【0177】
アイテムは、比較的剛性の高い材料で形成され得る。
【0178】
アイテムは、カニューレなどの患者インタフェースのサイドアームと一体に形成されてもよい。
【0179】
患者インタフェース又はアイテムは、アイテム又はインタフェースにガスフローを提供する呼吸回路の汚染を防ぐフィルタ装置を含むことができ、このフィルタ装置はベント機構を含む。
【0180】
更なる態様において、本開示は、チューブの壁にある窓と、使用者の顔面に密接するように構成された窓の外周部分とを含む、患者インタフェースと共に使用される呼吸チューブに関する。
【0181】
チューブは、使用者の顔面に密接させるため窓の外周を囲むシールを含み得る。
【0182】
チューブは、従来の円形断面と比べて比較的平らな断面を有し得る。
【0183】
チューブは、チューブのうち窓が形成される部分において弾性材料で形成されてもよい。
【0184】
患者インタフェースは鼻カニューレであってもよい。
【0185】
チューブは、窓を覆う膜を含み得る。
【0186】
更なる態様において、本開示は、使用者に呼吸ガスフローを提供するように適合された呼吸システムに関し、これは、呼吸ガスチューブのルーメンと流体連通しているブラダーを含み、ブラダーは、チューブのルーメン内の圧力変動を減少させ、及び/又は使用者に提供されるガスの圧力上昇を減少させるように構成される。
【0187】
ブラダーはチューブのルーメンの一部分を形成又は提供してもよい。
【0188】
ブラダーはチューブのうち壁厚が低下したセクションであってもよく、及び/又はチューブの残りの部分よりも弾性の高い材料で形成されてもよい。
【0189】
ブラダーは、チューブのうちブラダーの各端部から延在する部分と一体に形成されてもよく、又は呼吸チューブに解除可能に取り付け可能であってもよい。
【0190】
ブラダーは呼吸チューブに解除可能に取り付け可能であってもよく、ブラダーの各端部は、チューブに取り付けられることにより、ブラダーの一方の端部に取り付けられた第1の長さのチューブと、ブラダーと、ブラダーの他方の端部に取り付けられた第2の長さのチューブとを含む呼吸チューブアセンブリを形成するように構成される。
【0191】
ブラダーは、チューブのルーメン内の圧力上昇の指標を提供し得る。
【0192】
システムはベント機構を含むことができ、上昇した圧力に達すると、ベント機構が呼吸ガスをチューブのルーメンからブラダー中へとベントするように動作する。
【0193】
ブラダーは、所定の流速及び圧力に達するガスの所定の容積及び圧力に適応するように構成され得る。
【0194】
ブラダーは、送達しようとする所望の療法に典型的な動作圧力で3~5分間にわたる70L/分の流速に等しい容積のガスを貯蔵するように構成され得る。
【0195】
本システムは、ブラダーが所定のベント圧力に達するとブラダーを大気にベントする逃がし弁又はベントを含み得る。
【0196】
更なる態様において、本開示は、使用者に呼吸ガスフローを提供するように構成された呼吸チューブに関し、これは、チューブのルーメン内の圧力変動を減少させ、及び/又は使用者に提供されるガスの圧力上昇を減少させるように構成されたブラダーを含む。
【0197】
ブラダーはチューブのルーメンの一部分を形成又は提供してもよい。
【0198】
ブラダーはチューブのうち壁厚が低下したセクションであってもよく、及び/又はチューブの残りの部分よりも弾性の高い材料で形成されてもよい。
【0199】
ブラダーは、チューブのうちブラダーの各端部から延在する部分と一体に形成されてもよく、又は呼吸チューブに解除可能に取り付け可能であってもよい。
【0200】
呼吸チューブは呼吸チューブアセンブリであってもよく、ブラダーの各端部は、チューブに取り付けらることにより、ブラダーの一方の端部に取り付けられた第1の長さのチューブと、ブラダーと、ブラダーの他方の端部に取り付けられた第2の長さのチューブとを含む呼吸チューブアセンブリを形成するように構成される。
【0201】
ブラダーは、チューブのルーメン内の圧力上昇の指標を提供し得る。
【0202】
呼吸チューブはベント機構を含むことができ、上昇した圧力に達すると、ベント機構が呼吸ガスをチューブのルーメンからブラダー中へとベントするように動作する。
【0203】
ブラダーは、所定の流速及び圧力に達するガスの所定の容積及び圧力に適応するように構成され得る。
【0204】
ブラダーは、送達しようとする所望の療法に典型的な動作圧力で3~5分間にわたる70L/分の流速に等しい容積のガスを貯蔵するように構成され得る。
【0205】
システムは患者インタフェース、バルブ、及びベントを含み得る。
【0206】
更なる態様において、本開示は、ガスフローを受け取るための入口とガスフローを患者に送達するための出口との間のフローを遮断するための装置、及び/又は検知機構を含む患者インタフェースに関する。この装置は、入口と出口との間の導管の押し潰し可能部分、又は入口と出口との間のバルブであってもよい。検知機構は、装置の上流の第1のセンサと装置の下流のセンサとを含み得る。患者インタフェースは、装置の上流に圧力逃がし弁を含み得る。この装置は圧力解放装置であってもよい。
【0207】
インタフェースは鼻カニューレであってもよい。
【0208】
呼吸チューブは、ブラダーが所定のベント圧力に達するとブラダーを大気にベントする逃がし弁又はベントを含み得る。
【0209】
バルブは、スイッチ、導管の押し潰し可能部分、又は一方向弁であってもよい。
【0210】
ベントは圧力逃がし弁であってもよい。
【0211】
呼吸療法送達システムは上記のうちの任意の1つ以上を含み得る。
【0212】
患者インタフェースがガス供給導管又はチューブと流体連通して提供されてもよく、前記導管又はチューブは上記のうちの任意の1つ以上を含む。
【0213】
患者インタフェースにガスを供給するための呼吸療法送達システムの一部として導管又はチューブが提供されてもよく、前記導管又はチューブは上記のうちの任意の1つ以上を含む。
【0214】
システムが上記のうちの任意の1つ以上を含むことができ、前記システムは、医療手技を受けている患者用の呼吸送達療法システムの一部として提供される。
【0215】
一実施形態において、患者に呼吸補助を提供するためのシステムが提供され、これは、 患者の顔面上に動作位置で位置付け可能な本体部分と、本体部分から延在する少なくとも1つの鼻プロングであって、本体部分が動作位置にあるとき患者の鼻の鼻孔内にガスフローを誘導するように適合された鼻プロングとを有する鼻カニューレ、及び
鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを選択的に制御するためのフロー制御器であって、システムの圧力が所定の値を上回るとき、鼻プロングから患者の鼻孔内に入るガスフローを制限し又は阻止するよう動作するように適合されたフロー制御器、を含む。
【0216】
システムは、
システム内の圧力を計測又はサンプリングするための圧力センサ又は圧力センシング又はサンプリング導管、及び
計測又はサンプリングされた圧力が所定の値を上回るとき、計測又はサンプリングされた圧力に応答して動作するように適合されたフロー制御器、を含み得る。
【0217】
圧力センサは、鼻カニューレ若しくはその近傍に、又は鼻プロング若しくはその近傍に、又は鼻カニューレにガスを送達するように適合された導管上に、又はガスフローを加湿するように適合された加湿器に、又はフロー制御器に位置することができ、又は圧力サンプリングラインがこれらの位置のうちのいずれか1つにおける圧力をサンプリングする。
【0218】
圧力センサは、少なくとも1つの鼻プロング又はその近傍に位置し得る。
【0219】
圧力センサは、鼻カニューレにガスを送達するように適合された導管上に位置し得る。
【0220】
フロー制御器は機械的バルブを含み得る。
【0221】
機械的バルブは圧力逃がし装置であってもよい。
【0222】
本システムは、圧力センサによって検知された圧力に基づきフロー制御器を制御する少なくとも1つのプロセッサを含み得る。
【0223】
圧力逃がし装置はバルブ部材を含むことができ、バルブ部材に圧力が作用すると、圧力逃がし装置が鼻プロングから患者の鼻孔内に入るガスフローを制限し又は阻止するように動作する。
【0224】
圧力逃がし装置は、システムのガスルーメンの外側にバルブ部材を収容するキャップ又はハウジングを含み得る。
【0225】
バルブ部材は、鼻プロングから患者の鼻孔内にガスフローが提供されるように閉鎖位置に付勢されていてもよい。
【0226】
バルブ部材はピストン又はシャトルであってもよく、又はそれを含むことができ、ピストン又はシャトルに圧力が作用すると、圧力解放装置が鼻プロングから患者の鼻孔内に入るガスフローを制限し又は阻止するように動作する。
【0227】
所定の値は最大圧力であってもよい。所定の値は可変値であってもよい。
【0228】
フロー制御器は、圧力を所定の値未満に維持しながら最大流量を送達するように動作させることができる。
【0229】
設定圧力を超過しない限り常に設定した流量が送達されてもよく、超過した時点で、システムは流量を可能な限りで最大にすることにより当該の圧力未満に留まる。
【0230】
フロー制御器は鼻カニューレから遠隔に位置し得る。
【0231】
システムは、使用時に鼻カニューレと共にインサイチューにあるマスクを更に含み得る。
【0232】
鼻カニューレは非密閉型患者インタフェースであってもよい。
【0233】
機械的バルブは、バルブ部材、バルブ部材を開放位置に付勢してガスフローが患者に送達されることを可能にするばねを含み得る。
【0234】
バルブ部材は、患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力がばねの力よりも大きいときにバルブ部材がフロー圧力によって閉鎖位置に押され、且つ患者にガスフローが送達されないように適合され得る。
【0235】
機械的バルブは過流出口を有し得る。
【0236】
ばねの張力は固定ばね張力であってもよい。他の実施形態において、ばねの張力は可変ばね張力であってもよい。
【0237】
フロー制御器は少なくとも1つのプロセッサとユーザインタフェースとを含み得る。
【0238】
所定の値は固定値であってもよい。
【0239】
所定の値は可変値であってもよい。
【0240】
本システムは更に、麻酔マスクを含み得る。
【0241】
鼻カニューレは、非密閉型患者インタフェースであってもよい。
【0242】
本システムは更に、患者の気道内にガスフローを誘導するための第2の呼吸補助システムを含み得る。このガスフローは呼吸ガス又は別のガスであってもよい。二次呼吸補助システムはマスクを含み得る。
【0243】
フロー制御器は、1つ以上のガス源からのガスフローを制御し得る。
【0244】
一実施形態において、患者に呼吸補助を提供する方法が提供され、この方法は、
鼻カニューレを患者の顔に動作位置で置くステップであって、鼻カニューレが本体部分と本体部分から延在する少なくとも1つの鼻プロングとを有する、ステップと、
鼻プロングを介して患者の鼻の鼻孔内にガスフローを誘導するステップと、
システムの圧力を計測又はサンプリングするステップと、
計測又はサンプリングされた圧力が所定の値を上回るとき、鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを制限又は阻止するステップと、
患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力が所定の値を下回るとき、鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを許容するステップと、を含む。
【0245】
一部の実施形態において、ステップiv)は、鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを阻止するステップを含む。
【0246】
計測された圧力が限界値を上回るとき、フローがシステムに入ることが阻止され得る。
【0247】
本方法は、第2の呼吸補助システムを使用してガスフローを患者の気道内に誘導するステップを更に含み得る。ガスフローは呼吸ガス又は別のガスであってもよい。ガスはマスクを介して患者に送達され得る。
【0248】
本システムは、全体の圧力を考慮し且つ1つ以上のフロージェネレータ又は1つ以上のガス源(これは、時にフロージェネレータがないこともあり、ガス源のみが存在し得るためである)を制御することのできる全圧力逃がしシステムを含み得る。
【0249】
圧力センサは、鼻カニューレ若しくはその近傍に、又は鼻プロング若しくはその近傍に、又は鼻カニューレにガスを送達するように適合された導管上に、又はガスフローを加湿するように適合された加湿器に、又はフロー制御器に位置することができ、又は圧力サンプリングラインがこれらの位置のうちのいずれか1つにおける圧力をサンプリングする。
【0250】
圧力センサは加湿器上に位置し得る。
【0251】
圧力センサはフロー制御バルブに位置し得る。
【0252】
機械的バルブは圧力逃がし装置であってもよい。
【0253】
本システムは、圧力センサによって検知された圧力に基づきフロー制御器を制御する少なくとも1つのプロセッサによって制御されるフロー制御器とユーザインタフェースとを含み得る。
【0254】
圧力逃がし装置はバルブ部材を含むことができ、バルブ部材に圧力が作用すると、圧力逃がし装置が鼻プロングから患者の鼻孔内に入るガスフローを制限し又は阻止するように動作する。
【0255】
圧力逃がし装置は、システムのガスルーメンの外側にバルブ部材を収容するキャップ又はハウジングを含み得る。
【0256】
バルブ部材は、鼻プロングから患者の鼻孔内にガスフローが提供されるように閉鎖位置に付勢されていてもよい。
【0257】
バルブ部材はピストン又はシャトルであってもよく、又はそれを含むことができ、ピストン又はシャトルに圧力が作用すると、圧力解放装置が鼻プロングから患者の鼻孔内に入るガスフローを制限し又は阻止するように動作する。
【0258】
フロー制御器は、圧力を所定の値未満に維持しながら最大流量を送達するように動作させることができ、送達される流量を最大にすることにより設定圧力が維持される。
【0259】
設定圧力を超過しない限り常に設定した流量が送達されてもよく、超過した時点で、システムは流量を可能な限りで最大にすることにより当該の圧力未満に留まる。
【0260】
フロー制御器は鼻カニューレから遠隔に位置し得る。
【0261】
更なる態様において、患者にハイフローガスを送達するための呼吸療法システムにおいて使用者がガスフローを制御することを可能にするユーザインタフェース装置が開示され、本開示はそれに関し、このユーザインタフェース装置は、患者インタフェースを通る2つのガスの流速及び/又は濃度を制御するための、及び患者インタフェースを通るそれらのガスのうちの少なくとも一方の流速を実質的に遮断し又は減少させるための、使用者によって作動可能な少なくとも1つの制御器を含む。
【0262】
このガスはハイフローガスである。一部の構成では、前記ガスのもう一方は麻酔ガスである。
【0263】
一部の構成では、前記患者インタフェースは鼻カニューレであり、ここでは使用者が作動させる制御器が、カニューレ上に位置決めされたスイッチを含む。
【0264】
更なる態様において、本開示は、患者にハイフローガスを送達するためのカニューレと;患者にガスを送達するためのマスクと;カニューレと連係する圧力センサとを含む呼吸療法システムに関し、本システムは、センサによって検知される少なくとも1種類の圧力変化に応答してカニューレを通るハイフローガスのフローを調整するように構成される。
【0265】
圧力センサは、カニューレの外表面又はカニューレと流体連通しているチューブの外表面に提供され得る。
【0266】
本システムは、圧力センサが圧力上昇を検出したときにハイフローガスのフローを減少させ又は実質的に停止させるように構成され得る。
【0267】
圧力センサは、患者にマスクが置かれたこと、患者の呼気、又は麻酔バッグの作動に応答した圧力上昇を検出するように構成され得る。
【0268】
本システムは、検出された圧力上昇に応答してカニューレを通る高流速ガスのフローを部分的に又は実質的に遮断するバルブを更に含み得る。
【0269】
更なる態様において、本開示は、カニューレを通じて患者にハイフローガスを送達するためのカニューレ回路と;使用者がバッグを作動させることにより患者にガスを用手的に送達することを可能にするバッグ回路と;バッグ回路をカニューレ回路に接続するコネクタであって、ハイフローガスがバッグ回路に進入するのを実質的に阻止する隔離体を含むコネクタと、を含む呼吸療法システムに関する。
【0270】
コネクタは、ハイフローガス及びバッグ回路からのガスの両方がカニューレを通じて患者に送達されることを可能にするように構成され得る。
【0271】
コネクタは、バッグ回路がカニューレ回路に接続されているときハイフローガスがカニューレに送達されるのを実質的に阻止するように構成され得る。
【0272】
隔離体は、コネクタの1つ以上の壁を含み得る。
【0273】
カニューレは、患者の鼻孔に受け入れられる少なくとも1つのプロングを有する鼻カニューレであってもよく、このカニューレは、患者の1つ又は複数の鼻孔にシールを作り出す助けとなる、1つ又は複数のプロングと連係する1つ又は複数の可膨張性カフを含む。
【0274】
本システムは、バッグの作動に応答して1つ又は複数のカフを膨張させるように構成され得る。
【0275】
更なる態様において、本開示は、カニューレを通じて患者にハイフローガスを送達するためのカニューレ回路と;使用者がバッグを作動させることにより患者にガスを用手的に送達することを可能にするバッグ回路であって、カニューレ回路と流体連通しているバッグ回路と;バッグが作動していないときカニューレへのハイフローガスの送達を可能にし、且つバッグが作動しているときカニューレへのバッグ回路からのガスの送達を可能にするように配設されたバルブと、に関する。
【0276】
バルブは、バッグの作動に応答してカニューレへの高流量ガスのフローが実質的に遮断され又は減少するように配設され得る。
【0277】
カニューレは、患者の鼻孔に受け入れられる少なくとも1つのプロングを有する鼻カニューレであってもよく、カニューレは、患者の1つ又は複数の鼻孔にシールを作り出す助けとなる、1つ又は複数のプロングと連係する1つ又は複数の可膨張性カフを含む。
【0278】
本システムは、バッグの作動に応答して1つ又は複数のカフを膨張させるように構成され得る。
【0279】
更なる態様において、本開示は、患者の鼻孔に受け入れられる少なくとも1つのプロングを含むカニューレに関し、このカニューレは、患者の1つ又は複数の鼻孔にシールを作り出す助けとなる、1つ又は複数のプロングと連係する1つ又は複数の可膨張性カフを含む。
【0280】
更なる態様において、本開示は、患者にガスを送達するための患者インタフェースと;患者インタフェースを通るガスフローを制御することにより、患者が自発呼吸下のとき第1の流速及び/又は圧力で患者にガスを送達するように構成され、且つ患者が自発呼吸下にないとき第2の流速及び/又は圧力で患者にガスを送達するように構成されたプロセッサと、を含む呼吸療法システムに関する。
【0281】
本システムは、無呼吸の存在を検出するように構成され、且つ無呼吸の検出に応答して第2の流速及び/又は圧力でガスを送達するように構成され得る。
【0282】
本システムは、脳信号、横隔膜信号、気道内圧、又はCO2計測値の活性化の停止に基づき無呼吸の存在を検出するように構成され得る。
【0283】
第1の流速及び/又は圧力は比較的低い流速及び/又は圧力を含んでもよく、第2の流速及び/又は圧力は比較的高い流速及び/又は圧力を含んでもよい。
【0284】
プロセッサは遠隔プロセッサであってもよい。
【0285】
更なる態様において、本開示は、患者にガスを送達するための患者インタフェースと;患者インタフェース内又は患者インタフェースと流体連通している導管内の圧力の変動を検知するように配設されたセンサと;気道内圧の低下が検知された場合に患者インタフェースに更に高流速でガスを送達するよう患者インタフェースへのガスフローを調整するように構成されたプロセッサと、を含む呼吸療法システムに関する。
【0286】
プロセッサは、無呼吸中及び/又は無呼吸後に気道内圧の低下が起こっていると判断された場合に患者インタフェースに更に高流速でガスを送達するよう患者インタフェースへのガスフローを調整するように構成され得る。
【0287】
更なる態様において、本開示は、患者にガスを送達するためのカニューレと;カニューレと流体連通しているコネクタ部分であって、カニューレにハイフローガスを送達するための主ガス導管上の相補的なコネクタ部分にカニューレを着脱可能に接続するように構成されたコネクタ部分と;カニューレと流体連通している副導管であって、カニューレと代替ガス源との間に流体連通を提供するように構成された副導管と、を含む患者インタフェースに関する。
【0288】
カニューレと流体連通しているコネクタ部分は、コネクタ部分が主ガス導管上の相補的なコネクタ部分から切り離されているとき密閉されるように構成され得る。
【0289】
別の態様において、患者インタフェースから1つ又は複数の出口へのガスフローを制御する機械的に作動するスイッチ又はバルブを含む患者インタフェースが提供される。
【0290】
機械的に作動するスイッチは使用者によって作動されてもよく、或いは、スイッチを含む患者インタフェースに後続の患者インタフェースを接触させるなど、スイッチに呼吸療法送達システムの構成要素を接触させて置くことにより作動されてもよい。
【0291】
スイッチを含む患者インタフェースは、スイッチの作動及び1つ又は複数の出口へのガスフローが部分的又は完全に停止又は阻止されていることに起因する圧力蓄積を解放するベント又は圧力逃がし装置を備え得る。
【0292】
スイッチは作動時、患者インタフェースを通じるガス流路を部分的に遮断するものであってもよく、又は流路を完全に遮断するものであってもよい。
【0293】
別の態様において、患者インタフェースと共に使用される又は呼吸療法送達システムの一部としての導管が提供され、この導管は、導管を通り且つ導管から出口に(例えば導管に接続されていてもよい患者インタフェースに)供給されるガスフローを制御する機械的に作動するスイッチ又はバルブを含む。
【0294】
機械的に作動するスイッチは使用者によって作動されてもよく、或いは、スイッチを含む導管に後続の患者インタフェースを接触させるなど、スイッチに呼吸送達システムの構成要素を接触させて置くことにより作動されてもよい。
【0295】
スイッチを含む導管は、スイッチの作動及び導管から出口へのガスフローが部分的又は完全に停止又は阻止されていることに起因する圧力蓄積を解放するベント又は圧力逃がし装置を備え得る。
【0296】
スイッチは作動時、導管を通じるガス流路を部分的に遮断するものであってもよく、又は流路を完全に遮断するものであってもよい。
【0297】
導管は自己支持性の導管であってもよい(即ち導管は押し潰し可能な導管ではない)。
【0298】
更なる態様において、本開示は、
患者にガスフローを送達するための第1の患者インタフェースと、
患者にガスフローを送達するための第2の患者インタフェースと、を含む呼吸療法システムに関し、
ここでは以下の1つ以上にセンサが連係される:
第1の患者インタフェース、
第2の患者インタフェース、
第1及び第2の患者インタフェースの両方、
第1の患者インタフェースと連係したアイテム、
第2の患者インタフェースと連係したアイテム、
第1及び第2の患者インタフェースの両方と連係したアイテム、
患者と連係することになるアイテム。
【0299】
第1の患者インタフェースは、患者の鼻にガスフローを誘導するための1つ又は1対の第1の患者インタフェース出口を含み得る。
【0300】
第1の患者インタフェースは非密閉型インタフェースタイプであってもよい。
【0301】
第1の患者インタフェースは患者の鼻の1つ又は複数の鼻孔と実質的に密閉をなさないものであってもよい。
【0302】
第1の患者インタフェースは密閉タイプのインタフェースであってもよい。
【0303】
第1の患者インタフェースは患者の鼻の1つ又は複数の鼻孔と実質的に密閉をなすものであってもよい。
【0304】
第1の患者インタフェースは患者に第1のガスフローを送達し得る。
【0305】
第1のガスフローは第1の流速及び/又は圧力であってもよい。
【0306】
送達される第1のガスフロー中の酸素百分率は、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0307】
第1の患者インタフェースは、患者の鼻の1つ又は複数の鼻孔に前記ガスフローを送達するように構成され得る。
【0308】
第1の患者インタフェースは1つ又は1対の鼻プロングを含み得る。
【0309】
1つ又は複数のプロングは、供給されるガスのフローを患者の鼻の1つ又は複数の鼻孔に送達し及び/又は誘導し得る。
【0310】
第1の患者インタフェースは、顔面装着部と、顔面装着部から延在する少なくとも1つの(好ましくは1対の)サイドアームとを含み得る。
【0311】
1つ又は複数のサイドアームは、患者に対する顔面装着部又は第1の患者インタフェースの位置決めを助けるように構成され得る。
【0312】
サイドアームは、ヘッドギア又は顔面に装着された接続システムと接続される接続システムを含み得る。
【0313】
この接続システムは、解除可能なタイプ又は再利用可能なタイプの接続システムであってもよい。
【0314】
ヘッドギアは少なくとも1つのヘッドストラップを含み得る。
【0315】
少なくとも1つのヘッドストラップは分割可能若しくは二分可能であってもよく、又は前記ヘッドストラップの少なくとも一部分は弱め線又は優先的に分割若しくは分離される範囲に沿って分離可能である。
【0316】
少なくとも1つのヘッドストラップは、当該の少なくとも1つのサイドアーム又はその各々との単一の接続点を含み得る。
【0317】
第1の患者インタフェースは着脱可能なマニホルド部分を含み得る。
【0318】
更なる実施形態において、着脱可能なマニホルド部分は顔面装着部分に取り付けられているとき、1つ又は1対の第1の患者インタフェース出口とガス源との流体接続を提供する。
【0319】
マニホルド部分は、第1の患者インタフェースの左側又は右側のいずれからも顔面装着部分に取り付け可能であるように構成され得る。
【0320】
着脱可能なマニホルド部分は、第1の患者インタフェースにガスフローを供給するためのガス供給導管の第1の患者インタフェースとの下流端コネクタであってもよい。
【0321】
マニホルド部分は、顔面装着部と押込み嵌め式の接続であってもよい。
【0322】
マニホルド部は顔面装着部に着脱可能に取り付けられ、顔面装着部との接続から着脱可能に取り付けられ且つ第1の動作可能に接続された配置から少なくとも1つの他の(好ましくは第2の)動作可能に接続された配置へと顔面装着部に対して旋回又は回転するように構成され得る。
【0323】
第1の動作可能に接続された配置により、着脱可能なマニホルド部分及び連係したガス供給導管が使用時に患者の左側又は右側から延在すること、又はその逆が実現し得る;及び第2の動作可能に接続された配置により、着脱可能なマニホルド部分及び連係したガス供給導管が使用時に患者の右側又は左側から延在すること、又はその逆が実現し得る。
【0324】
第1の患者インタフェースは鼻カニューレであってもよい。
【0325】
第2の患者インタフェースは、患者の呼吸気道にガスフローを誘導するための少なくとも1つの第2の患者インタフェース出口を含み得る。
【0326】
第2の患者インタフェースは患者の鼻、又は口、又は鼻及び口にガスフローを誘導し得る。
【0327】
第2の患者インタフェースは非密閉型インタフェースタイプであってもよい。更なる実施形態において、第2の患者インタフェースは密閉タイプのインタフェースであってもよい。
【0328】
第2の患者インタフェースは、第2の患者インタフェースがインサイチューにあるとき患者の顔面とシールを作り出す略密閉型インタフェースであってもよい。
【0329】
第2の患者インタフェースは患者に第2のガスフローを送達し得る。
【0330】
第2のガスフローは第2の圧力であってもよい。
【0331】
第2のガスフローにおける送達されるガス中の酸素百分率は、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0332】
第2の患者インタフェースは、密閉部分を有する本体を含むことができ、この密閉部分はインサイチューにあるとき患者と実質的に係合又は密閉をなすものである。
【0333】
密閉部分は本体にオーバーモールド成形されてもよく、又は他の方法で本体に取り付けられる。
【0334】
第2の患者インタフェースは、本体を取り付け可能なフレームを含み得る。
【0335】
患者インタフェースは、第2の患者インタフェースにガスフローを供給するためのガス供給導管によってそこに接続される入口を含み得る。
【0336】
第2の患者インタフェースは手持ち式患者インタフェースであってもよい。
【0337】
入口は継手であってもよい。
【0338】
継手は、玉継ぎ型の継手、又はスイベル若しくはピボット型継手、又は関節継手、又は本体に対して可動の継手であってもよい。
【0339】
第2の患者インタフェースは手持ち式インタフェースであってもよい。
【0340】
第2の患者インタフェースは、ヘッドギアを接続するための接続システムを含むことができ、このヘッドギアは、第2の患者インタフェースを患者に対して支持し又は位置決めするためのものである。
【0341】
接続システムは解除可能な接続システムであってもよく、従って使用時、ヘッドギアは第2の患者インタフェースから取り外し可能又は切り離し可能である。
【0342】
第2の患者インタフェースはマスクであってもよい。
【0343】
マスクは、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻ピローマスク、気管内チューブ、又はこれらの組み合わせのうちの1つ、又は患者に第2のガスフローを提供する他の何らかのガス搬送システムであってもよい。
【0344】
アイテムは、患者の顔面と接触した、又はそれと接触して置かれることになるブロック又はマウントであってもよく、このブロック又はマウントは、それを貫通する少なくとも1つのルーメンであって、ガス供給導管を挿通させるための、又はルーメンの各端部にガス供給導管の接続を設けるためのルーメンを含み、ここで供給されるガスは第1の患者インタフェースと流体接続している。
【0345】
アイテムは、第1の患者インタフェースにガスを供給するための少なくとも1つのガス供給導管と共に位置し得る。
【0346】
少なくとも1つのガス供給導管は前記アイテムの本体を通じて延在し又はそこを通過し得る。
【0347】
少なくとも1つのガス供給導管は、前記アイテムを通じて延在する、且つ前記アイテムによって密閉係合される構成要素であってもよい。
【0348】
アイテムに通じるルーメンはガス供給導管を受け入れ可能であり得る。
【0349】
アイテムに通じるルーメンは、第1の患者インタフェースにガスを送達するための流体通路の一部を形成し得る。
【0350】
アイテムは、圧縮可能部分又は及ぼされる力若しくは圧力の下で圧潰若しくは変形が可能な部分を含み得る。
【0351】
少なくとも1つのルーメンの1つ以上は、圧縮可能部分内又は圧潰若しくは変形が可能な部分内に位置し得る。圧縮可能部分は、ポリマー又はシリコーンなどの任意の好適な材料で作られていてもよい。
【0352】
圧縮可能部分内又は圧潰若しくは変形が可能な部分内に位置し得るルーメン及び/又は導管は、ガスフローが第1の患者インタフェースに供給されるのを遮断又は妨害(又は阻止)、又は部分的に妨害するように圧縮又は変形し得る。
【0353】
アイテムは第1の患者インタフェースのサイドアームの一体部分であってもよい。
【0354】
アイテムは、第1の患者インタフェースへの供給導管に着脱可能に取り付け可能であってもよい。
【0355】
アイテムは、第1の患者インタフェースのサイドアームに着脱可能に取り付け可能であってもよい。
【0356】
アイテムは、患者、より詳細には患者の顔面に別途位置決め可能又は位置付け可能な個別の構成要素であってもよい。
【0357】
アイテムは、第1の患者インタフェース、又は第2の患者インタフェースと流体接続しているガス導管、又は第1及び第2の患者インタフェースの各々と流体接続しているガス導管であってもよい。
【0358】
アイテムは、患者にガスを送達する間の患者上における第1の患者インタフェースと第2の患者インタフェースとのインサイチュー併用を検知するための患者に取り付け可能又は位置付け可能なパッチ又はパッド又はウェアラブル装置であってもよく、かかる併用の検知により信号又は出力が生成される。
【0359】
信号又は出力は、以下のシステムアウトカムの1つ以上にフィードされてもよく、又はそれを作動させ又は制御してもよい(又は作動させて且つ制御してもよい):
視覚アラーム又は警告
可聴アラーム又は警告、限定はされないがホイッスルを含む、
ウェアラブル電子装置(限定はされないが:腕時計、電話機、頭部装着型ディスプレイ又はかかる電子装置を組み込んだ他の衣料品を含む)にフィードされ又は送られる触覚又は触知フィードバック、
フローバルブ又はフロージェネレータを含めたフロー制御器、好ましくは第1の患者インタフェースに誘導されるガスフローを制御するためのもの;場合によりそれに加えて、又はそれとは別に、第2の患者インタフェースに誘導されるガスフローを制御するものを含む、
圧力調整器又は圧力絞り装置、好ましくは第1の患者インタフェースに誘導されるガスの圧力を制御するためのもの;場合によりそれに加えて、又はそれとは別に、第2の患者インタフェースに誘導されるガスの圧力を制御するものを含む、
本来制御されるべきガスフローをベントに分流させる分流器、
フロー制御器又は圧力調整器(又は両方)と連係するマイクロプロセッサ、
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)。
【0360】
検知されたインサイチュー併用の信号又は出力により、第1の患者インタフェースに誘導されるガスの流量(又は圧力)の制御がもたらされ得る。
【0361】
センサは、インサイチュー併用の検知において以下のうちの1つ又は任意のものの組み合わせを使用し得る:
光センサ(赤外線、IRを含む)
音響(可聴又は超音波を含む)センサ
第1の患者インタフェース、又は第2の患者インタフェース、又は第1及び第2の患者インタフェースの両方にガスを供給する供給導管のガスの圧力又は流量、又は圧力及び流量の両方の、又は患者の呼吸系又は患者呼吸系の一部に送達されるガスの圧力又は流量(又は両方)の、圧力又は流量センサ、
第1の患者インタフェース、
又は第2の患者インタフェース、
又は第1及び第2のインタフェースの両方、
又は第1又は第2又は第1及び第2の両方の患者インタフェースと連係したアイテム、 又は患者と連係することになるアイテム、の1つ以上の内部に埋設されるか、又はその一部に置かれた導電率又は抵抗電極、
インサイチュー併用を検知する電波又は近接検知センサ、
機械的に作動し又はトリガされるセンサ、限定はされないが:押下されるか又は別の表面と接触して置かれることにより作動し又はトリガされる機械的スイッチ、圧力逃がし弁又は感圧バルブ、ソレノイドバルブ、所定のばね定数(場合により、限定はされないが、バルブ閉鎖時に比較的高く、且つバルブ開放時に比較的低いようなばね定数であってもよい)を有する機械的バルブを含み、場合により圧力逃がし弁は、閉鎖位置から開放位置に動いたときのバルブからのガスの放出によって作動するホイッスルを含んでもよい。
【0362】
センサは、第1の患者インタフェース又は第2の患者インタフェース、又は第1及び第2の両方の患者インタフェース上又はその内部に位置してもよく、センサは、
患者上に、又は患者上で第1の患者インタフェースと併用して、第2の患者インタフェースが存在する又は置かれていること、
患者の顔面上に第1の患者インタフェースが存在する又は置かれていること、及び続いて患者上で併用して第2の患者インタフェースが置かれている又は存在すること、を検知する。
【0363】
センサは、第1の患者インタフェース上又はその内部に位置し得る。
【0364】
センサは、第2の患者インタフェース上又はその内部に位置し得る。
【0365】
センサは第2の患者インタフェースがインサイチューにあるとき又は患者上で「所定位置にある」ときそれを検知し、信号又は出力を生成し得る。
【0366】
センサは、患者上に第2の患者インタフェースが置かれていることを検出し得る。
【0367】
使用されるセンサは、光センサ(IRを含む)、音響センサ(可聴又は超音波)、機械的に作動し又はトリガされるセンサ(例えば別の物体との接触時に作動する機械的スイッチ)のうちの1つ以上であってもよい。
【0368】
音響検知システムは送信機と受信機とを含むことができ、送信機が所定のコード(例えば変調音響信号)を送信し、受信機がそのコードを受信及び検出する。音響信号が送信機によって送られてもよく、第2の患者インタフェースが存在する場合、その信号が、送信機に近接して位置する受信機に向かって反射し返される。例えば、送信機及び受信機は第1の患者インタフェース上又はその内部にあってもよく、信号は第2の患者インタフェースによって反射されてもよい。或いは、送信機及び受信機は第2の患者インタフェース上又はその内部にあってもよく、信号は患者の顔面又は第1の患者インタフェースによって反射されてもよい。
【0369】
光学検知システムは送信機と受信機とを含むことができ、送信機が所定のコード(例えば特定の2進コード)を送信し、受信機がそのコードを受信及び検出する。例えば、送信機及び受信機は第1の患者インタフェース上又はその内部にあってもよく、信号は第2の患者インタフェースによって反射されてもよい。或いは、送信機及び受信機は第2の患者インタフェース上又はその内部にあってもよく、信号は患者の顔面又は第2の患者インタフェースによって反射されてもよい。
【0370】
センサはインサイチュー併用を検知することができ、第1の患者インタフェースへのガスフローが制御される。ここで第1の患者インタフェースへのガスフローの制御は、ガス供給の中止又は停止である。
【0371】
センサは、患者の顔、又は第1の患者インタフェース、又は患者の顔及び第1の患者インタフェースの両方を検知し、センサによって第1の患者インタフェースへのガスフローが制御され、或いは信号又は出力が生成されることにより、第1の患者インタフェースへのガスフローが制御又は調節され、或いはアラーム又は警告が生成される。
【0372】
センサは、第1又は第2の患者インタフェース上に位置するか又はそこに埋設された、又は第1及び第2の患者インタフェースの各々の上に位置するか又はそこに埋設された構成要素を検知するように選択又はチューニングされ得る。
【0373】
センサは、偶発的な偽陽性検知を回避するように選択又はチューニングされ得る。
【0374】
センサはアイテム上に位置するか又はそこに埋設されることができ、このアイテムは、患者の顔面と接触した、又はそれと接触して置かれることになる(又はそれに取り付け可能であるか若しくはその上に装着可能であってもよい)ブロック又はマウントであり、このブロック又はマウントは、それを貫通する少なくとも1つのルーメンであって、ガス供給導管を挿通させるための、又はルーメンの各端部にガス供給導管の接続を設けるためのルーメンを含むことができ、ここで供給されるガスは第1の患者インタフェースと流体接続されている。
【0375】
第2の患者インタフェースはアイテムと接触して置かれてもよく、センサはアイテムに位置するか又はそこに埋設されて、第2の患者インタフェースの存在を検知し、信号又は出力を生成する。
【0376】
センサは、電極間の誘電率の変化又は静電容量の変化に基づき信号又は出力を生成する少なくとも1対の電極であってもよく、この信号又は出力を使用して、上記に定義するとおりのシステムアウトカムのうちの任意の1つ以上がフィードされ、又はそれが作動し若しくは制御される(又は作動して且つ制御される)。
【0377】
センサは、第2の患者インタフェースが前記センサと接触して置かれることにより作動し、信号又は出力を生成する機械的スイッチであってもよい。
【0378】
機械的スイッチは、アイテムから延在する作動可能な突起又はプロングを含むことができ、この突起又はプロングは、第2の患者インタフェースが患者と動作構成で提供されたときに第2の患者インタフェースと接触することになる箇所においてアイテムから延在する。
【0379】
作動可能な突起又はプロングは押下可能なボタンであってもよく、これは押下されると作動して信号又は出力を生成する。
【0380】
機械的スイッチは歪みゲージを含むことができ、前記歪みゲージは、所定の分量の歪みが検知されると信号又は出力を生成し、この所定の分量の歪みは、第2の患者インタフェースが患者と動作構成にあるとき第2の患者インタフェースがアイテムと接触して置かれていることを示すものである。
【0381】
アイテムは光学的透過部分(限定はされないが、光学的に明澄な窓セクションなど)を含むことができ、ここで光センサはこの透過部分内に位置し、光センサは、その部分の少なくとも一部と実質的に接触して置かれたとき第2の患者インタフェースの存在を光学的に検知する。
【0382】
実質的に光学的透過部分上に第2の患者インタフェースが存在する又は置かれる前は、検知システムは全内部反射を検知し得る;及び第2の患者インタフェースが光学的透過部分上に存在している又は置かれているとき、検知システムは減衰内部反射を検知し得る。
【0383】
センサは、第2の患者インタフェースがアイテムと接触して置かれているとき圧力の上昇を検知又は検出する感圧スイッチ又は圧力検知システムであってもよい。
【0384】
感圧スイッチ又は圧力検知システムはアイテム内のガスが充満したチャンバ内に圧力センサを含むことができ、患者と共に使用するために提供されるとき、第2の患者インタフェースに対するバリア又は外表面として提供される柔軟膜又は感圧膜が置かれるべきであり、第2の患者インタフェースがバリア又は外表面上に置かれると、チャンバ内の圧力に変化が生じる。
【0385】
チャンバ内の圧力の変化がセンサによって検知され、第2の患者インタフェースがアイテムと併用して存在することを示す信号又は出力が生成され得る。
【0386】
感圧スイッチ又は圧力検知システムは、第2の患者インタフェースのシール内に圧力センサを含むことができ、第2の患者インタフェースが患者上に置かれると、シール内に圧力の変化が引き起こされ、これがセンサによって検知され、患者上に第2の患者インタフェースが存在することを示す信号又は出力が生成される。
【0387】
センサは第1の患者インタフェース上に位置するか又はそこに埋設されてもよい。
【0388】
センサは、音響(可聴又は超音波)検知システム、光ビーム検知システム(IRを含む)、温度検知システムのうちの1つ以上を使用し得る。
【0389】
センサは、温度の変化を検知する温度検知システムであってもよく、特に、所定の温度又は温度範囲が患者又はその皮膚の温度と関連付けられることにより、第1の患者インタフェースが患者上で所定位置又は動作可能位置にあるときそれを検知する。
【0390】
温度検知システムが作動すると、他のセンサが動作可能状態になることができるようにし得る。これは、第1の患者インタフェースが患者上の所定位置又は動作可能位置にないとき他のセンサが動作するのを防ぎ得る。
【0391】
第1の患者インタフェース、又は第2の患者インタフェース、又は第1及び第2の患者インタフェースの両方と連係するアイテムは、ガス供給導管であってもよい。
【0392】
センサがアイテムと連係し得る。
【0393】
アイテムと連係するセンサは、音響タイプの検知システであってもよい。
【0394】
センサは、アイテム内の又はそこを通る圧力の上昇又はガスフローの減少の指標となるアイテムのパラメータ又は特性の変化を検知し得る。
【0395】
パラメータ又は特性は、導管内の圧力の上昇、導管を通るガスフローの低下、第2の患者インタフェースから導管に及ぼされる力又は圧力からなどの(その力又は圧力が直接加えられるか、それとも間接的に加えられるかに関わらず)、外力又は圧力が加わることに起因する導管の形状の変化、のうちの1つ以上によって生じるガス供給導管の形状の変化であってもよい。
【0396】
センサは音響信号送信機と音響信号受信機とを含むことができ、送信される音響信号が、導管内の又はそこを通る圧力の上昇又はガスフローの減少を示すガス供給導管の形状の変化によって改変され又は変質する。
【0397】
センサは反射信号(例えば導管の閉鎖又は所定の動作範囲を外れる導管の形状の変化若しくは偏差に起因する)を検知してもよく、又は共鳴の変化(例えば導管が閉鎖されたとき導管内に定在波形が形成されること又は所定の動作範囲を外れる導管の形状の変化若しくは偏差に起因する)を検知してもよい。
【0398】
更なる態様において、本開示は、
制御器と、
フロージェネレータと、
センサシステム、例えば、圧力センサシステム、流量センサシステム及び/又はモータ速度センサシステムと、
第1の患者インタフェースと、
第2の患者インタフェースと、を含む呼吸システムに関する。
【0399】
制御器は、圧力の変化、流量の変化、又は機械的ブロワのモータ速度の変化を検出するように適合されてもよく、及び変化の検出に応答して制御器が、上記に定義するとおりの「システムアウトカム」のうちの任意の1つ以上を作動させ又は制御する(又は作動させて且つ制御する)。
【0400】
呼吸システムは、加湿器と、チャンバ入口及びチャンバ出口を備えるチャンバとを含むことができ、圧力センサシステムはチャンバ出口に位置決めされる。
【0401】
本システムは、チャンバ入口及び/又はチャンバ出口に流量センサを含み得る。流量センサは加熱ビーズ型センサであってもよい。或いは、流量センサは、制御器と一体化した超音波流量センサであってもよい。
【0402】
更なる態様において、本開示は、
患者にガスフローを送達するための鼻カニューレと、
患者にガスフローを送達するためのマスクと、を含む呼吸療法システムに関する。
【0403】
センサは以下の1つ以上に連係され得る:
鼻カニューレ、
マスク、
カニューレ及びマスクの両方、
鼻カニューレと連係したアイテム、
マスクと連係したアイテム、
鼻カニューレ及びマスクの両方と連係したアイテム、
患者と連係することになるアイテム。
【0404】
センサは、患者にガスを送達する間の患者上における鼻カニューレとマスクとのインサイチュー併用を検知することができ、併用の検知によって信号が生成され得る。
【0405】
更なる態様において、本開示は、インタフェースと連係したセンサを含む患者インタフェースに関し、前記センサは患者の気道に対する1対の患者インタフェースの二重の動作適用を判断するためのものである。
【0406】
患者インタフェースは鼻カニューレであってもよい。
【0407】
患者インタフェースはマスクであってもよい。
【0408】
マスクは、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻ピローマスク、気管内チューブ、又はこれらの組み合わせのうちの1つ、又は患者に第2のガスフローを提供する他の何らかのガス搬送システムであってもよい。
【0409】
1対のインタフェースの第1の患者インタフェースは鼻カニューレであってもよい。
【0410】
1対のインタフェースの第2の患者インタフェースはマスクであってもよい。
【0411】
センサは、第1又は第2のいずれかの患者インタフェース、又は第1及び第2の患者インタフェースの両方と連係し得る。
【0412】
センサは、第1又は第2のいずれかの患者インタフェース、又は第1及び第2の患者インタフェースの両方と動作可能に併用して提供されることになるアイテムと連係し得る。
【0413】
更なる態様において、本開示は、
本体であって、ガス供給部又はガス源への及び/又はそこからインタフェースの内部容積(内部容積は使用時に本体の内側及び使用者の顔面によって画成される)へのガスの連通を可能にする開口部又はポートを含む本体と、
内部容積が密閉された内部容積となるようにユーザインタフェースと使用者の顔面及び/又は使用者の顔面に提供されるスペーサー構成要素との間にシールを作り出し又は形成するため提供されるフェイスシールと、を含む、使用者の気道にガスを供給するためのユーザインタフェースに関し、
ここで使用者の顔面にこのように提供されるフェイスシール及び/又はスペーサー構成要素は、ユーザインタフェースと使用者の顔面及び/又は前記顔面にこのように提供されるスペーサー構成要素との間にシールを作り出す又は形成するのに適応し、且つ本体と使用者の顔面との間に延在するガス導管の密閉内部容積内への貫入を促進するように適合又は構成される。
【0414】
フェイスシールは、ユーザインタフェースと使用者の顔面との間のシールを維持しながらガス導管の密閉内部容積への貫入を促進するように適合された1つ以上の適応部位又は部分を含む。
【0415】
シールは、実質的に、本体の周縁部又は外周に、又はその周りに、又はそれに隣接して位置し又は提供され得る。
【0416】
1つ以上の適応部位又は部分は、フェイスシール又はフェイスシール及び本体におけるカットアウト又は好適に付形された部分を含む。
【0417】
カットアウト又は好適に付形された部分は、ガス導管又はスペーサー構成要素の外形に適応するように適合され得る。
【0418】
スペーサー構成要素は、ガス導管の一部分を受け入れるためのチャネル又は溝又は通路と、フェイスシールが使用者の顔面と共にその上にシールを形成するシール面とを含み得る。
【0419】
スペーサー構成要素は、ガス導管の一部分を包み込むか又は少なくとも部分的に取り囲むスリーブであってもよい。
【0420】
スペーサー構成要素は、2つの部分の間にガス導管を受け入れ又はクランプし、収容し又は保持するように適合された第1の部分及び第2の部分を含み得る。
【0421】
第1及び第2の部分は、これらの2つの部分の間にガス導管を受け入れ又はクランプし、収容し又は保持するため片側でヒンジ式に又は枢動可能に接合され、且つもう一方の側から開放可能であってもよい。
【0422】
第1及び/又は第2の部分は、導管を第1の部分と第2の部分との間に位置させることに適応した又はその助けとなる溝、チャネル又は通路を含む。
【0423】
インタフェースはまた、スペーサー構成要素をインタフェースに連結させるための連結機構も含み得る。
【0424】
連結機構は突出部と相補的な溝とを含むことができ、突出部がフェイスシール及びスペーサー構成要素のうちの一方に提供され、且つ溝がフェイスシール及びスペーサー構成要素のうちの他方に提供されてもよい。
【0425】
スペーサー構成要素は、使用者がインタフェースを着用したときにガス導管が部分的に押し潰れるのを可能にすることができ、スペーサー構成要素は、使用者の顔面上のフェイスシールによって提供される力を受けて押し潰れるように適合される。
【0426】
更なる態様において、本開示は、上記のうちのいずれか1つのユーザインタフェースを介して使用者に及び/又は使用者から呼吸可能なガスを搬送するガス供給システムで使用されるスペーサー構成要素、及び別個のガス供給システム又はガス源を介して使用者に及び/又は使用者から呼吸可能なガスを送達するためのガス導管に関し、このスペーサー構成要素は、使用者の顔面に位置決めされて、ユーザインタフェースと使用者の顔面との間にシールを作り出し又は形成するのに適応し、且つフェイスシールと使用者の顔面との間に延在するガス導管の密閉内部容積への貫入を促進するように構成及び適合される。
【0427】
スペーサー構成要素は、導管の長さの一部分、好ましくはユーザインタフェースのフェイスシールと係合又は接触する導管の長さに沿って提供されてもよい。
【0428】
スリーブは、2つの部分の間にガス導管を受け入れ又はクランプし、収容し又は保持するように適合された第1の部分及び第2の部分を含み得る。
【0429】
これらの2つの部分は、2つの部分の間に導管を受け入れるため片側に沿って枢動可能に又はヒンジ式に接合され、且つもう一方の側に沿って開放可能であり得る。
【0430】
スペーサー構成要素は、導管に着脱可能にスナップ留め又はクリップ留めされるか、又は他の方法で着脱可能に取り付けられ得る。
【0431】
スペーサー構成要素は、導管を受け入れるためのチャネル又は溝又は通路を含み得る。
【0432】
スペーサー構成要素は、使用者がインタフェースを着用したときにガス導管が部分的に押し潰れることを可能にすることができ、スペーサー構成要素は、使用者の顔面上のフェイスシールによって提供される力を受けて押し潰れるように適合され得る。
【0433】
本明細書に開示される実施形態の少なくとも1つにおいては、患者に呼吸補助を提供するためのシステムであり、前記システムは、
ガス導管を介して患者の鼻孔にガスを送達するための鼻カニューレと、
上記の態様のいずれか一つに係るユーザインタフェースと、を含む。
【0434】
本システムは、ユーザインタフェースを介して使用者に全身麻酔薬を送達し、一方でそれとは別に、又はそれに加えて、鼻カニューレを介して使用者の鼻孔にハイフローの酸素もまた送達するように構成される。
【0435】
更なる態様において、本開示は、口鼻マスクと鼻カニューレアセンブリとの併用を含む患者に呼吸補助を提供するためのシステムに関し、前記マスク及び鼻カニューレアセンブリの各々には1つ以上の供給源から別個のガスフロー供給が提供され、前記鼻カニューレは前記マスクと独立して使用者に位置付け可能である。
【0436】
用語「~を含む(comprising)」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「少なくとも一部には~からなる」を意味する。用語「~を含む(comprising)」を含む本明細書及び特許請求の範囲の各記載を解釈する際には、当該のもの又はこの用語が前置されるもの以外の特徴もまた存在し得る。「~を含む(comprise)」及び「~を含む(comprises)」などの関連用語も同じように解釈されるべきである。
【0437】
本明細書に開示される数値範囲への言及(例えば、1~10)はまた、当該の範囲内にあるあらゆる有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)及びまた当該の範囲内にある任意の有理数範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)への言及も包含し、従って、本明細書に明示的に開示される全ての範囲の部分的範囲全てが本明細書によって明示的に開示されることが意図される。これらは具体的に意図されるものの例に過ぎず、列挙される最小値と最大値との間にある数値の可能な全ての組み合わせが、同様に本願において明示的に記載されているものと見なされるべきである。
【0438】
本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、「及び」又は「又は」、又は両方を意味する。
【0439】
本明細書で使用されるとき、名詞の後の「(s)」は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0440】
本発明が関係する技術分野の当業者には、本発明の構造上の多くの変更並びに幅広く異なる実施形態及び適用が、添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の範囲から逸脱することなく想起されるであろう。本開示及び本明細書の説明は単に例示であり、いかなる意味においても限定することを意図するものではない。
【0441】
本開示は前述にあり、また、以下にあくまでも例として提供するに過ぎないその構成も想定する。
【0442】
以下の図を参照することにより、本明細書の詳細な説明から具体的な実施形態及びそれらの変形例が当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0443】
図1】呼吸療法システムを示す。
図2】患者インタフェースを着用している患者を示す。
図3】患者インタフェース(第1の患者インタフェース)及びフェイスマスク(第2の患者インタフェース)を着用している患者を示す。
図4】患者インタフェース又は導管の一部分の断面を示す。
図5】患者インタフェース又は導管の一部分の断面を示す。
図6】患者インタフェースを示す。
図7】患者インタフェースを示す。
図8】患者インタフェース又は導管の一部分を示す。
図9】患者インタフェース又は導管の一部分の断面を示す。
図10】患者インタフェース又は導管の一部分の断面を示す。
図11】患者の典型的な気道を示す。
図12A図12Aは押し潰し可能な導管の一部分の断面を示す。
図12B図12Bは同じ導管のより「閉鎖した」又は第2の状態を示す。
図13A】押し潰し可能な導管の別の実施形態の一部分の断面を示し、概して第1の「開放した」ルーメン又はガス流路状態で示されている。
図13B】押し潰し可能な導管の別の実施形態の一部分の断面を示し、概して第1の「開放した」ルーメン又はガス流路状態で示されている。
図14A図14A図14Bは、押し潰し可能な導管の別の実施形態の一部分の断面を示す;図14Aは、第1の「開放した」ルーメン又はガス流路状態にあるかかる押し潰し可能な能力を有する導管を示し、一方、図14Bは、同じ導管のより「閉鎖した」ルーメン又はガス流路又は第2の状態を示す。
図14B図14A図14Bは、押し潰し可能な導管の別の実施形態の一部分の断面を示す;図14Aは、第1の「開放した」ルーメン又はガス流路状態にあるかかる押し潰し可能な能力を有する導管を示し、一方、図14Bは、同じ導管のより「閉鎖した」ルーメン又はガス流路又は第2の状態を示す。
図15A図15A図15Bは、押し潰し可能な導管の別の実施形態の一部分の断面を示す;図15Aは、第1の「開放した」ルーメン又はガス流路状態にあるかかる押し潰し可能な能力を有する導管を示し、一方、図15Bは、同じ導管のより「閉鎖した」ルーメン又はガス流路又は第2の状態を示す。
図15B図15A図15Bは、押し潰し可能な導管の別の実施形態の一部分の断面を示す;図15Aは、第1の「開放した」ルーメン又はガス流路状態にあるかかる押し潰し可能な能力を有する導管を示し、一方、図15Bは、同じ導管のより「閉鎖した」ルーメン又はガス流路又は第2の状態を示す。
図16A】チューブのルーメンを閉鎖するゲートを含む押し潰し可能な導管の実施形態を示す。
図16B図16B(i)~図16B(ii)は、例えば患者インタフェースへのフローを停止させるためのバルブ機構の断面を示す。
図16C図16C(i)~図16C(ii)は、例えば患者インタフェースへのフローを停止させるためのバルブ機構の断面を示す。
図17】使用者にガスフローを供給するためのルーメンを提供するサイドアームを含み、且つサイドアームにベントを備えるカニューレの分解図である。
図18】チューブの壁に窓を含み、且つ使用者の顔面に密接するように構成された外周部分を窓の周りに有するチューブを示す。
図19】ガス容積を貯蔵してチューブのルーメン内の圧力上昇を減少させるブラダーを含む、使用者に呼吸ガスフローを提供するためのチューブを示す。
図20】圧力逃がし装置又は圧力ベントと併用した一方向弁(又は流れ方向調整器)を含むチューブの断面を示す)。
図21A】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図21B】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図21C】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図21D】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図21E】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図22A】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図22B】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図23A】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図23B】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図23C】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図23D】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図23E】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図23F】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図23G】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図24A】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図24B】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図25A】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図25B】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図26A】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図26B】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図27A】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図27B】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図27C】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図27D】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図27E-27F】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図27G-27H】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図27I】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図27J】圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図28】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図29】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図30A】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図30B】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図31】圧力逃がし装置の実施形態の断面を示す。
図32】鼻カニューレ及び連係する導管の概略斜視図である。
図33】患者又は使用者へのガスフローの送達が可能な位置にある機械的バルブ又は圧力逃がし装置の断面である。
図34】患者又は使用者へのガスフローの送達を阻止する位置にある図33の機械的バルブの断面である。
図35】使用者上で動作位置にある患者インタフェース(図2又は図3のものと同様)をグラフィカルユーザインタフェースと共に示す斜視図である。
図36】閉鎖構成にある圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図37】同じ装置をベント又は開放構成で示す。
図38A図38Aは、閉鎖構成にある圧力逃がし装置の実施形態を示す。
図38B図38Bは、同じ装置をベント又は開放構成で示す。
図39】導管を閉鎖するためのバルブの実施形態を示し、このバルブは開放構成で示される。
図40】同じバルブの閉鎖位置を示す。
図41A図41A及び図41Bは、圧力逃がし弁の実施形態を示す。
図41B図41A及び図41Bは、圧力逃がし弁の実施形態を示す。
図42A】呼吸療法システム、例えば図1図3に示されるシステムで使用されるユーザインタフェース装置を示す。
図42B】患者インタフェース、例えばカニューレにハイフローガスを送達するための押し潰し可能なチューブの一部分を示す。
図43A-43C】図43A図43Cは、ユーザインタフェース装置用の代替的なスイッチ構成を示す。
図44A】呼吸療法システムで使用される圧力作動式切り替え構成を示す。
図44B】開放位置にある圧力作動式切り替え構成のバルブを示す。
図44C】閉鎖位置にある圧力作動式切り替え構成のバルブを示す。
図44D】圧力作動式切り替え構成の使用時における時間に対するカニューレ流量及び圧力の例示的プロットを示す。
図45A】呼吸療法システムで使用される接続作動式切り替え構成を示す。
図45B図45Aの接続作動式切り替え構成の一部分を示す。
図45B-i】図45B-iは、図45Aの接続作動式切り替え構成のカフを選択的に収縮させるための圧力逃がし弁及び逆止弁機構を示す。
図45B-ii】図45B-iiは、逃がし弁が開放構成にあり、且つ逆止弁が閉鎖位置にある図45B-iの圧力逃がし弁及び逆止弁機構を示す。
図45B-iii】図45B-iiiは、図45Aの接続作動式切り替え構成用の代替的な圧力逃がし弁及び逆止弁機構を示す。
図45B-iv】図45B-ivは、ベント構成にある圧力逃がし弁及び逆止弁機構を示す。
図45C-i】図45C-iは接続作動式切り替え構成のコネクタを示し、このコネクタはハイフローガスを許容する状態にある。
図45C-ii】図45C-iiは、ハイフローガスを遮断し且つバッグフローガスを許容する状態にあるコネクタを示す。
図45D-i】図45D-iは、接続作動式切り替え構成の使用時における時間に対するカニューレフロー、バッグフロー、高ガスフロー及びプロングカフ状態の例示的プロットを示す。
図45D-ii】図45D-iiは、少なくとも低レベルのハイフローガスが常に維持されているときの、接続作動式切り替え構成の使用時における時間に対するカニューレフロー、バッグフロー、高ガスフロー及びプロングカフ状態の例示的プロットを示す。
図45E】接続作動式切り替え構成の代替的なコネクタを示す。
図45F図8eのコネクタによる接続作動式切り替え構成の使用時における時間に対するハイフロー、バッグフロー、及びカニューレフローの例示的プロットを示す。
図46A】呼吸療法システムで使用されるバッグ作動式切り替え構成を示す。
図46B】バッグ作動式切り替え構成の使用時における時間に対するハイフロー、バッグフロー、カニューレフロー、及びプロングカフ状態の例示的プロットを示す。
図47】フルフェイスマスクと併用した、使用者上で動作位置にある併用鼻カニューレを示す側面図である。
図48】鼻カニューレ患者インタフェースとフルフェイスマスクとの併用の近接図を示し、少なくともあるアイテムに検知システムが組み込まれ、マスクはそのアイテムと近接又は接触して置かれる。
図49】使用者(例えばその顔面)に装着し又は位置させるか、又はそれと接触させて置くことのできるブロック又はパッドの形態のアイテムを示し、これにガス供給導管を通すことにより患者インタフェース(例えば鼻カニューレの形態の第1の患者インタフェース)にガスフローが提供され、このアイテムは少なくとも1つの検知システムを含む。
図50】機械的に作動し又はトリガされるスイッチ又は検知システムが提供されるブロック又はパッドの形態のアイテムの別の実施形態を示し、かかるスイッチ又は検知システムは、マスクの形態の第2の患者インタフェースなど(図示せず)、更なる患者インタフェースによって突起を物理的に係合又は接触させると作動し又はトリガされることになる。
図51】アイテムの一領域に検知システム、例えば感圧検知システムを含むブロック又はパッドの形態のアイテムの別の実施形態を示す。
図52】少なくとも1つの送信機及び少なくとも1つの受信機及びそれらと連係したセンサを利用した音響又は光学検知システムの適用を示し、かかる検知システムを患者インタフェースと併用して利用することにより、患者上におけるインタフェースの位置、又は別の患者インタフェースとの近接性若しくは留置が決定され得る。
図53】患者に装着可能な、又は患者と接触して置かれることになるブロック又はパッドの形態のアイテムの概略的な断面であり、ここではアイテムに埋設された、例えば光学検知システムの形態の検知システムが提供され、かかる光学検知システムを利用してアイテム上に患者インタフェースが置かれている(例えば第2の患者インタフェースが患者上で動作位置にある)ことが決定される。
図54A-54C】図54A図54Cは、ガス供給導管のパラメータ又は特性が、例えばガスが通過するアイテムに圧力又は力が及ぼされたことによる導管の閉鎖に起因して導管内の流量又は圧力が変化する結果として、どのようにかかる導管を変化させ又は改変し得るか、例えば変形し又は形状を変化させ得るかを示す。より詳細には: (図54A)インタフェースにガスフローを提供するガス供給導管を含め、動作位置にある鼻カニューレの形態の第1の患者インタフェースを患者と共に示し、ここではガス源がフローを提供し、及び音響センサなどのセンサを使用して導管のパラメータ又は特性が検知される。 (図54B)次に、第1の患者インタフェースと併用した、患者上で動作位置にあるフルフェイスマスクなどの第2の患者インタフェースを示し、第2の患者インタフェースの一部(例えばシール)がアイテムと接触して接触力又は接触圧を加えており、ひいてはこれが第1の患者インタフェースにガスを供給する導管を閉鎖し、又は少なくとも部分的に閉鎖し、結果として起こる形状の変化(膨らみなど)が現れ、導管と連係した検知システムによって検知される。 (図54C図54Bの更なる繰り返しを示し、しかしここでは導管は、例えば導管が完全な閉鎖された結果、及び/又は導管内に圧力が蓄積することに起因して形状が更に一層変化し、又は膨らんでいる。
図55A図55A図55Bは、接触センサを含むセンサ機構を示す。
図55B図55A図55Bは、接触センサを含むセンサ機構を示す。
図56A-56B】図56A図56Bは、静電容量式センサを含むセンサ機構を示す。
図57】導管のルーメン内に位置する接触センサを含むセンサ機構を示す。
図58A-58B】図58A図58Bは、誘導センサを含むセンサ機構を示す。
図59】圧力センサを含むセンサ機構を示す。
図60】圧力センサを含むセンサ機構を示す。
図61】少なくとも2つの圧力センサを含むセンサ機構を示す。
図62A】本開示の一実施形態に係る使用者に及び/又は使用者からガスを搬送するための使用者の鼻領域及び/又は口領域を覆って置かれるマスクの形態のユーザインタフェース、及びインタフェースを使用者が着用したときにインタフェースの内部と使用者の顔面とによって形成される容積内に延在するガス導管を示す。
図62B】別の実施形態に係るユーザインタフェースを示す。
図63A】パッド付きスリーブとして導管の一部分に提供される構成要素を示す。
図63B図56aの構成要素の別の構成を示し、ここではパッド付きスリーブが上部分と第2の部分とを含み、これらは2つの部分の間に導管を受け入れるため、片側で枢動可能に又はヒンジ式に接合され、且つもう一方の側から開放可能である。
図63C】構成要素の更に別の構成を示し、ここで構成要素は、その長さに沿った導管を受け入れるためのチャネルを含む単体部材であり、この構成要素は導管に望ましい長さ方向位置でスナップ留め又はクリップ留めされ得る。
図64】別の構成を示し、ここでは構成要素をインタフェースに連結する連結機構が提供される。
図65a】呼吸療法システムにおける意識下/無呼吸療法セッティング構成及び方法によって行われ得る例示的ステップのフローチャートを示す。
図65b】意識下/無呼吸療法セッティング構成及び方法で使用されるカニューレへの圧力サンプリングラインの組み込みを示す。
図65c】意識下/無呼吸療法構成及び方法についての時間に対する圧力及びガス流量の例示的プロットを示す。
図65d】意識下/無呼吸療法構成及び方法についての麻酔後の時間に対する圧力及びガス流量の例示的プロットを示す。
図66a】呼吸療法システムにおける吸引代償構成及び方法によって行われ得る例示的ステップのフローチャートを示す。
図66b】吸引代償構成及び方法についての時間に対する圧力及びガス流量の例示的プロットを示す。
図67a】輸送中の療法を促進する患者インタフェース構成を示す。
図67b】接続時の患者インタフェースのコネクタの断面詳細を示す。
図67c】切断時のコネクタの断面詳細を示す。
図67d】患者インタフェース構成の副導管上のコネクタ又は連結部の断面詳細を示す。
図67e】患者インタフェース構成の副導管上の代替的なコネクタ又は連結部の断面詳細を示す。
図67f図67d又は図67eのバルブのうちの1つの代わりに副チューブで使用し得るクロージャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0444】
本明細書における様々な実施形態及び開示の前述の説明は、それらの好ましい形態を含む。それらに対し、本開示の範囲から逸脱することなく変更を加えることができる。
【0445】
図1は呼吸療法システム100を示す。呼吸療法システム100はフロージェネレータ102を含む。フロージェネレータ102は、呼吸療法システム100を通って流れるガスフローを発生させるように構成される。フロージェネレータ102は空気を加湿器104に送る。加湿器104は、フロージェネレータ102によって発生したガスフローを加熱及び加湿するように構成される。一部の構成では、フロージェネレータ102は、呼吸療法システム100の外部環境からガスを受け取り、それを呼吸療法システム100へと推し進めるように適合されたブロワを含む。一部の構成では、フロージェネレータ102は他の何らかのガス発生手段を含み得る。例えば、一部の構成では、フロージェネレータ102は、病院のガス出口から利用可能な供給源(例えば酸素又は空気)、又は圧縮空気及び/又は別のガスの1つ以上の容器並びにガスがその1つ以上の容器を出る速度を制御するように適合された1つ以上のバルブ機構を含み得る。別の例として、一部の構成では、フロージェネレータ102は酸素濃縮器を含み得る。一部の構成では、フロージェネレータ102は、ハイフロー療法を送達するように適合され得る。
【0446】
本明細書に記載される様々な構成及び実施形態によれば、インタフェースへと、又はシステムを介して、例えば流路を通じて供給又は提供されるガスの流速は、限定はされないが、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150L/分、又はそれ以上の流量を含んでもよく、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間で選択され得る(例えば、約40~約80、約50~約80、約60~約80、約70~約100L/分、約70~80L/分)。一部の実施形態では、約15L/分を上回る流速、特に、限定はされないが約60~70L/分の流速が、かかる構成又は実施形態において用いられ得る。「ハイフロー」又は「ハイフロー療法」とは、約5又は10L/分~約100L/分、又は約15L/分~約95L/分、又は約20L/分~約90L/分、又は約25L/分~約85L/分、又は約30L/分~約80L/分、又は約35L/分~約75L/分、又は約40L/分~約70L/分、又は約45L/分~約65L/分、又は約50L/分~約60L/分の流速での患者へのガスの送達を指し得る。
【0447】
送達されるガスは、ある酸素百分率を含み得る。一部の構成では、送達されるガス中の酸素百分率は、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0448】
ハイフロー療法は、患者の正常最大吸気要求量を達成し又はそれを超過して患者の酸素化を増加させ、及び/又は呼吸仕事量を減少させるのに有効であることが分かっている。加えて、ハイフロー療法は鼻咽頭にフラッシュ効果を生じさせることができ、上気道の解剖学的死腔が高量の流入ガスフローによってフラッシュされる。これにより一回一回の呼吸毎に利用可能な新鮮ガスの貯留が生じ、一方で二酸化炭素、窒素等の再呼吸が最小限に抑えられる。
【0449】
本明細書に記載される実施形態又は構成では比較的高いガス送達流速が用いられ得るため、使用者又は患者に供給又は提供されるガスは、使用者又は患者の気道の種々の部分に送達され得る。
【0450】
かかる比較的高い流速のガスは、供給されるガスを使用者の気道、又は使用者の気道の種々の部分に提供するのに役立つことができ、例えばかかる流速は、かかるガスを上気道又は下気道領域に送達することを可能にし得る。上気道領域には典型的には鼻腔、咽頭及び喉頭が含まれ、一方、下気道領域には典型的には気管、一次気管支及び肺が含まれる。
【0451】
図11は人の典型的な気道を示し、人が正常な又は典型的な自己ドライブによる呼吸状態下にあるとき又は患者の呼吸ドライブが低下しているときと比べて供給されるガスを使用者の気道内の更に遠く又は更に深くまで効果的に押し進め又はドライブするため、使用者に供給される比較的高流速のガスをどのように利用し得るかを示す矢印を含む。
【0452】
呼吸療法システム100は、フロージェネレータ102及び加湿器104の両方を少なくとも部分的に収容するハウジング106を含む(例えば呼吸療法システム100は一体化したフロージェネレータ/加湿器具を含み得る)。他の構成では、フロージェネレータ102と加湿器104とが別個のハウジングを有し得る。ハードウェア制御器108がフロージェネレータ102及び加湿器104と電子的に通信していることが示され、しかし一部の構成ではハードウェア制御器108はフロージェネレータ102又は加湿器104とのみ通信していてもよい。ハードウェア制御器108は、限定はされないがフロージェネレータ102及び/又は加湿器104を含めた、呼吸療法システム100の制御可能な構成要素の動作を指図するように構成されたマイクロコントローラ又は他の何らかのアーキテクチャを含み得る。入力/出力モジュール110が制御器108と電子的に通信していることが示される。入力/出力モジュール110は、使用者が制御器108とやり取りして、限定はされないがフロージェネレータ102及び/又は加湿器104を含めた、呼吸療法システム100の制御可能な構成要素の制御を促進し、及び/又は呼吸療法システム100及び/又はその構成要素の動作に関するデータを閲覧することが可能となるように構成され得る。入力/出力モジュール110には、例えば、1つ以上のボタン、ノブ、ダイアル、スイッチ、レバー、タッチスクリーン、スピーカ、ディスプレイ、及び/又は使用者がデータを閲覧し及び/又は呼吸療法システム100の構成要素を制御するコマンドを入力するために使用し得る他の入力若しくは出力周辺機器が含まれ得る。
【0453】
図1に更に示されるとおり、補助ガス源124を使用して、呼吸療法システム100を流れるガスに1つ以上の補助ガスを追加し得る。1つ以上の補助ガスは、フロージェネレータ102によって発生するガスフローに合流する。補助ガス源124は、限定はされないが、空気、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、亜酸化窒素(NO)、及び/又はヘリオックス(ヘリウムと酸素との混合物)を含めた1つ以上の補助ガスを送達するように構成され得る。補助ガス源124は1つ以上の補助ガスを第1の補助ガスルーメン128を通じてフロージェネレータ102の上流の位置に送達してもよく、及び/又は1つ以上の補助ガスを第2の補助ガス導管132を通じてフロージェネレータ102の下流及び/又は加湿器104の上流の位置に送達してもよい。1つ以上の補助フローバルブ126、130を使用して、1つ以上の補助ガスが補助ガス源124から第1及び/又は第2の補助ガス導管128、132を通って流れ得る速度を制御し得る。補助フローバルブ126、130の1つ以上が制御器108と電子的に通信していてもよく、ひいては制御器108が補助フローバルブ126、130の1つ以上の動作及び/又は状態を制御し得る。他の構成では、補助ガス源124は加湿器104の下流に1つ以上の補助ガスを追加するように構成されてもよい。
【0454】
図1に示すとおり、加湿器104から延在する導管112が加湿器104を患者インタフェース200につなぐ。導管112は、導管112を通るガスを加熱するように適合された導管ヒータ114を含み得る。他の構成では、導管ヒータ114は存在しなくてもよい。患者インタフェース200は鼻カニューレであることが示されるが、一部の構成では、他の患者インタフェースが好適であり得ることは理解されなければならない。例えば、一部の構成では、患者インタフェース200は密閉型又は非密閉型インタフェースを含むことができ、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻ピローマスク、鼻カニューレ、気管内チューブ、気管開口術チューブ、上記の組み合わせ又は他の何らかのガス搬送システムを含み得る。好ましい実施形態において、患者インタフェース200は鼻カニューレなどの非密閉型インタフェースであり、これは環境とのガスの交換が可能なものである。例えば、非密閉型カニューレは、患者がシステム100からフロー療法を受けている間に患者の気道から二酸化炭素を除去し及び/又は排出させることが可能である。更に、好ましい実施形態において、患者インタフェース200は鼻インタフェースの形態であり、システムが他の経口気道機器及び/又は装置、例えば挿管手技における気管チューブの妨げとなることがない。従って、患者は挿管手技の間中フロー療法を受け続けることができる。
【0455】
図示されるとおり、一部の構成では、患者インタフェース200はまた、患者インタフェース200を通るガスの特性を計測するように適合されたガス検知モジュール120も含み得る。他の構成では、ガス検知モジュール120は、呼吸療法システム100の他の部分又はその近傍にあるガスの特性を計測するように位置決めされ、適合され得る。ガス検知モジュール120は、限定はされないが、圧力、流速、温度、絶対湿度、相対湿度、エンタルピー、ガス組成、酸素濃度、二酸化炭素濃度、及び/又は窒素濃度を含めたガスの種々の特性を計測するように適合された1つ以上のセンサを含み得る。ガス検知モジュール120によって決定されるガス特性は、限定はされないが、ガスのパラメータの閉ループ制御を含め、幾つもの方法で利用され得る。例えば、一部の構成では、ガス検知モジュール120によって取られた流速データを使用して瞬間流量が決定されてもよく、ひいてはそれを使用して患者の呼吸サイクルが決定され、呼吸サイクルの各部分と同期したフローの送達が促進され得る。ガス検知モジュール120は第1の送信ライン122で制御器108と通信していてもよい。一部の構成では、第1の送信ライン122は、データ信号を送信するように適合されたデータ通信接続を含み得る。データ通信接続には、限定はされないがデータケーブルなどの有線のデータ通信接続、又は限定はされないがWi-Fi又はブルートゥース(登録商標)などの無線のデータ通信接続が含まれ得る。一部の構成では、パワー及びデータの両方が同じ第1の送信ライン122で通信され得る。例えば、ガス検知モジュール120は、データ信号がパワー信号の上に「オーバレイ」されることを可能にし得る変調器を含み得る。データ信号がパワー信号に重畳されてもよく、この結合した信号は、使用前に制御器108によって復調され得る。他の構成では、第1の送信ライン122は、呼吸療法システム100のある一部分における分析用のガスフローを送出するように適合された空気圧連通接続を含み得る。
【0456】
加えて、図示されるとおり、生理センサモジュール121が存在し得る。生理センサモジュール121は、限定はされないが、心拍数、EEG信号、EKG/ECG信号、動きを検出するため患者(例えば:胸部)に取り付けられる慣性センサ、血中酸素濃度(例えばパルスオキシメータによる)、血中CO2濃度、経皮的CO2(TcCO2)及び/又は血中グルコースを含め、患者の、又は患者の健康の種々の特性を検出するように構成され得る。同様に、生理センサモジュール121は第2の送信ライン123で制御器108と通信し得る。第2の送信ライン123は、第1の送信ライン122と同様に有線又は無線のデータ通信接続を含むことができ、パワー及びデータも同様に通信され得る。生理センサモジュール121を使用して、例えば患者の血中酸素飽和度が決定されてもよい。
【0457】
図2は、患者インタフェース200、例えば図1の呼吸システムの患者インタフェース200を着用している患者Pを示す。例示される非限定的な構成では、患者インタフェース200は鼻カニューレである。患者インタフェース200は、管状壁によって画成される第1のガスルーメン202を含む。第1のガスルーメン202は、呼吸療法システム100から(例えば、図1に示される導管112を介して)ガスを受け取り、そのガスを患者Pに運ぶように適合される。例示される第1のガスルーメン202は、少なくとも一部には、その内側でガスが運ばれ得る壁によって画成される。第1のガスルーメン202は、第1のガスルーメンを強化し及び/又はそれに剛性を付加して、第1のガスルーメン202に対して力が加わることによって生じる第1のガスルーメン202の変形又は押し潰しを防ぐように適合された補強要素203を含み得る。補強要素203としては、限定はされないが、第1のガスルーメン202の壁内又は壁上にあるプラスチック又は金属製の補強ビードを含め、幾つもの構造が含まれ得る。
【0458】
第1のガスルーメン202はフローマニホルド206と空気圧連通している。フローマニホルド206は第1のガスルーメン202からガスを受け取り、それを1つ以上の経鼻送達要素208(例えばプロング)に渡す。1つ以上の経鼻送達要素208はフローマニホルド206から外向きに延在する。1つ以上の経鼻送達要素208は、患者Pの1つ以上の鼻孔に密閉しない形で位置決めされるように適合される。図示されるとおり、患者インタフェース200は、患者の鼻孔の各々に1つずつ位置決めされるように適合された2つの経鼻送達要素208を含む。各経鼻送達要素208は、それが患者の鼻の中隔に向かって内向きに延在するような形状又は角度を有し得る。或いは、第1の患者インタフェース200は密閉型の鼻インタフェースであってもよい。
【0459】
加えて、各経鼻送達要素は、各経鼻送達要素の先端が使用時に患者Pの後頭部の方を向くような形状又は角度を有し得る。図2に示す実施形態では、フローマニホルド206はフローマニホルド206の(例えば患者Pの顔を二分する仮想の垂直面に対して)片方の側方サイドからフローを受け取り、フローを経鼻送達要素208の各々に運ぶ。他の構成では、患者インタフェース200は、より多くの(例えば、3つ又は4つの)又はより少ない(例えば、1つの)経鼻送達要素208を含んでもよい。
【0460】
他の構成では、各経鼻送達要素208が異なる特性を有し得る。例えば、1対の経鼻送達要素208のうちの一方が比較的長くてもよく、且つ他方の経鼻送達要素208が比較的短くてもよい。一部の構成では、フローマニホルド206は、フローマニホルド206の2つの側方サイドから(例えば、図2に見られるとおりフローマニホルド206の「左」からだけでなく、フローマニホルド206の「左」及び「右」から)フローを受け取るように構成されてもよい。一部のかかる構成では、複数のガスルーメンを使用してフローマニホルド206と呼吸療法システム100との間の空気圧連通が提供され得る。一部の構成では、フローマニホルド206は、フローマニホルド206の非側方サイドから(例えばフローマニホルド206の「下」又は「上」から)フローを受け取るように構成されてもよい。
【0461】
患者インタフェースは、患者の顔面にガスルーメン202を取り付け及び/又は支持するためのマウント及び/又は支持体、例えば頬部支持体210を更に含み得る。或いは、患者インタフェースは1つ以上のヘッドストラップ又はヘッドギアによって所定位置に保持されてもよい。
【0462】
更に、第1のガスルーメン202は、第1のレベルのガスが第1の部分204を通過することが可能な第1の構成から、第2のレベルのガスが第1の部分204を通過することが可能な第2の構成へと移行するように構成された第1の部分204を含み得る。この特徴について、以下に更に詳細に説明する。
【0463】
図3は、図2に示されるとおりの患者インタフェース200(第1の患者インタフェース)をフェイスマスク300アセンブリ(第2の患者インタフェース)の下に着用している患者Pの非限定的な例示的実施形態を示す。図3は、下側にある患者インタフェース200を図示するため、フェイスマスクを透明の構造体として概略的に示す。
【0464】
システムの有益性は、異なる患者インタフェースを使用して患者に別個の療法を選択的に送達することに見出され得る。記載されるとおりのシステム及び装置は、緊急蘇生、ハイフロー療法の投与を受けている患者の挿管、耳鼻咽喉(ENT)手術、麻酔投与前の術前状態にある患者のコンディショニングの補助、及び抜管後回復期において特定の適用が見出される。
【0465】
フェイスマスクアセンブリ300は、第2の呼吸補助サブシステムとして若しくはそれと共に使用され、及び/又はカニューレ200によって送達される物質以外の1つ以上の物質、例えば麻酔剤又は酸素を患者に送達するか、又は同じ物質だが異なる流量及び/又は圧力レベルで送達するために使用され得る。従って、図3に示す実施形態では、複数の供給源から2つの呼吸補助サブシステムを介してガスを送達することが可能である。加えて、この構成によれば、患者インタフェース200を外科手技の間中及び/又は回復期に入るまで(患者が手技の間中患者インタフェース200を介してフロー療法を受け続けるか否かに関わらず)患者上に残しておくことが可能となり得る。
【0466】
図示される実施形態において、フェイスマスクアセンブリ300は、患者の鼻及び口の両方を覆うように構成されたフルフェイスマスク302を含む。他の構成では、フェイスマスク300は、患者インタフェース200の上に患者の鼻領域のみ又は患者の口のみを覆うように置かれる鼻マスク又は口マスクであってもよい。
【0467】
図示されるとおり、フェイスマスク302は、患者の顔面に密接するように適合されたシール領域304を含む。フェイスマスクアセンブリ300は、例えばフィルタエレメント400を介して第2のガス源に接続され、これはフェイスマスクを介して患者に1つ以上の他のガスを供給する。即ち、第2のガス源は好ましくは、患者インタフェース200へのガス供給源(例えば、補助ガス源124/フロージェネレータ102)と異なる。
【0468】
好ましい実施形態において、フェイスマスクアセンブリ300は別個のガス源又は別個の呼吸補助装置に接続される。例えば、呼吸補助は、人工呼吸器又はCPAP又はハイフロー療法装置又は用手蘇生器(例えばバッグ付きの手持ち式フェイスマスク)であり得る。
【0469】
或いは、マスクアセンブリ300は麻酔装置に接続されてもよく、麻酔ガス、又は空気、又は酸素、又はガスの組み合わせをマスク302を介して送達することができる。
【0470】
図3に示す実施形態では、複数の供給源から少なくとも2つの異なる呼吸補助モードによってガスを送達することが可能であり、更には医師、臨床医又は医療専門家が呼吸補助モードのタイプを迅速且つ容易に変更することが可能である。
【0471】
一つの詳細な適用では、鼻カニューレを介してハイフローの酸素を送達することにより、麻酔準備中の患者を前酸素化することができる。状況によっては、患者の鎮静を管理する麻酔医は、一つの患者インタフェース(例えば鼻カニューレ)からのガスフローの送達と、フェイスマスクを介するなど、別の患者インタフェースからのガスフローの送達との間を切り換えようとする。マスクからのガスと併せて鼻カニューレからガスを送達すると、又は更にはカニューレ上でマスクが密閉されている間にカニューレからガスを送達すると、圧力の上昇が引き起こされることもあり、これにより患者の肺が損傷する可能性がある。麻酔医はまた、バッグ付きのマスクを使用して患者を酸素化し、場合によっては、患者のバイタルサインが低下している場合にはバッグマスクを使用する方がより快適であると感じる。そのような状況では、先述のとおり、カニューレを通じたフロー並びにバッグマスクからのパルス状ガスフローが肺に過圧を引き起こし、肺損傷を生じる可能性もある。ある状況では、医療専門家は異なる呼吸システム間又は補助モード間を切り換えようとする。第1のモードでは、呼吸補助は第1の呼吸補助システムによって(例えば患者インタフェース200を介して)提供されてもよく、及び第2のモードでは、第1のシステムからの補助はスイッチが切られたうえで、第2の呼吸補助システムによって(例えば患者インタフェース300を介して)呼吸補助が提供され得る。例えば、ハイフローからの追加的なフローによって麻酔回路の予想される挙動も変わり得るため、従って第1の呼吸システムからの追加的なフローをオフにできることが有利であり得る。
【0472】
一部の構成では、2つの呼吸補助モード間又はサブシステム間の切り換えは、第1のガスルーメン(第1の導管202)の構造によって促進されてもよく、これは、第1のレベルのガスが第1の部分204を通過することが可能な第1の構成から、第2のレベルのガスが第1の部分204を通過することが可能な第2の構成へと移行するように構成された第1の部分204を有する。
【0473】
好ましくは、第1の部分204は、ルーメン202の他の部分と比べて一層押し潰し易く、又は他の形で第1の部分204を通るガスフローを変化させる(従ってルーメンを通って患者に至るガスフローを減少させる)ことに更に良好に適合するように構成される。
【0474】
他の実施形態において、第1の構成又は第1の状態は実質的に開放した構成であり、且つ第2の構成又は第2の状態は実質的に閉鎖した構成である。即ち、ルーメン202は、ルーメン202の他の部分と比べて一層押し潰し易く、変形し易く、又は他の形で第1の部分204におけるフローの完全な封鎖に適合するように構成される。図4はこの構成の一例を示し、ここでは第1の部分204のルーメン(例えば図3のルーメン202)がフェイスマスク302のシール304によって実質的に閉鎖されている。かかる実施形態において、第1のガスルーメンの第1の部分(即ち一層押し潰し易い又は変形し易いセクション)は、第1のガスルーメンの第1の部分の上に載るフェイスマスクのシールのセクションの幅を上回る長さでなければならない。これにより、フェイスマスクのシールが第1のガスルーメンの押し潰し不可能なセクションの上に載らないことが確実となる。例えば、第1の部分は使用者の鼻の中心から35mm以下~使用者の鼻の中心から少なくとも50mmの距離に延在してもよく、第1の部分は少なくとも15mmの長さを有する。一部の実施形態において、第1の部分の長さは少なくとも15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm又はそれ以上であってもよい。
【0475】
第1の部分204は、第1の部分204の外壁に加わる力、又はその内壁が受ける力の相対レベルに基づき第1及び第2の構成間を展開し得る。例えば、図3に示されるとおり、この力はフェイスマスク302のシール304によって加えられ得る。この例では、第1の部分204は、フェイスマスク302のシール304の下に位置決めされるように構成される。或いは、この力は他の手段、例えばクランプ(図示せず)によって第1の部分204に加えられてもよい。一部の実施形態において、ガスルーメンの第1の部分にフェイスマスクのシールが作用すると、第1の部分によって第1の患者インタフェースとフロージェネレータとの間にシール又は少なくとも部分的なシールが形成される。加えて、フェイスマスクのシールはガスルーメンの第1の部分を覆ってシール又は少なくとも部分的なシールを形成する。従って呼吸補助療法間の切り換えが、単に患者の顔面にマスクを適用することによって達成され、ここではマスクのシールがガスルーメンの第1の部分を(部分的に又は完全に)押し潰すことにより、第1のインタフェースによって供給される療法を「オフにし」又は減少させ、また、フェイスマスクと第1の部分の外表面との間にもシールを提供するため、療法が専ら又は少なくとも主としてマスクによって提供され得ることになる。一部の実施形態において、患者の顔面からマスクを取り外すと、第1のインタフェースによって供給される療法を再開することが可能である。
【0476】
図12A図15Bによれば、以下の開示は、導管の一部としての導管か、それとも導管全体か、又は鼻カニューレ若しくはマスクなどの患者インタフェースと連係する他の導管間若しくは構成要素間の相互接続として提供される導管かに関わらず、導管に関する。これらの図は、導管のルーメン又はガス流路が開放したまま保たれ又はガス流動能力が維持されている第1の構成又は第1の状態にあることができ、しかし力又は荷重が加わると変形又は歪曲又は座屈して、ルーメン又はガス流路が実質的に閉鎖又は閉塞され又はそこを通るガスフローを妨害する第2の構成又は第2の状態になる押し潰し可能なタイプの導管の更なる例示を示す。更に、第2の構成又は状態では、押し潰し可能なタイプの導管は、マスクのシールが患者の顔面と共に導管上にシール又は少なくとも部分的なシールを形成可能であることを確実にする助けとなり得る押し潰されたフォームを提供する。
【0477】
図12A図15Bのフォーム又はフォームのアレイは導管壁又は内壁表面と独立していてもよい。即ち、この1つ又は複数のフォームは導管壁又はその内表面に取り付けられておらず、又は接続されていなくてもよい。或いは、図12A図15Bのフォーム又はフォームのアレイは、導管の内周(側方の周囲)の一部分のみで導管の壁に沿って取り付けられていてもよい。これは、1つ又は複数のフォームが導管壁と独立に動き、又は導管壁に対して動くことを許容し、その歪曲又は座屈又はその他の形状若しくは配置の変化が可能になることにより、第1の状態から第2の状態に向かって再構成することが可能になる。
【0478】
図12A図15Bは、呼吸療法送達システム(限定はされないが図1のシステムなど)の一部として使用される導管400、又は導管400の少なくとも部分的長さの断面側面図(又は導管壁を透明にした図)を提供する。導管又は導管400の部分的長さは、導管壁402を支持するか、又はその一部を形成する少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401を含む。前記導管壁402の内表面403は導管400のルーメン又はガス流路404を形成する。
【0479】
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401は、第1の状態ではルーメン又はガス流路を優先的に維持するように付勢されている(例えば図12A図13A図13B図14A図15Aによって示される)。第1の状態は、実質的に開放した又は実質的に押し潰されていない導管壁状態であり、これは患者インタフェースなどの呼吸療法送達システムと連係する別の構成要素、又は導管の別のセクションへの妨げのないガスフローを実現するものである。
【0480】
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401を含む導管又は導管400の部分的長さは、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401を含む導管壁402の外表面406に加えられる力又は荷重405に応答して第1の状態から第2の状態(例えば図12B図14B図15Bによって示される)へと歪曲可能であるか又は座屈するように構成される。
【0481】
第2の状態は、実質的に閉鎖され又は実質的に押し潰されている導管壁状態がある構成又は状態か、或いはルーメン又はガス流路404が実質的に閉鎖、遮断、閉塞され又は他の形でそこを通るガスフローに関して妨害されている構成又は状態か、或いは部分的に閉鎖され若しくは押し潰されているか、又は部分的に閉鎖若しくは遮断若しくは閉塞若しくは他の形でそこを通るガスフローに関してガスフローを制限するため部分的に妨害されているなど、それらの中間位置があり得る構成又は状態である。第2の状態に言及する場合、或いはガス流路は、上述のとおり、これらの部分的な段階にされてもよいことは理解されるであろう。かかる部分的な段階は、更なる理由で完全な閉鎖が要求される場合を除き、本明細書に開示される様々な実施形態及び構成全てにわたって適用することができる。
【0482】
一部の構成によれば、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401は、力又は荷重405が加わることに応答して実質的に無制限に歪曲可能であり又は座屈し得る。
【0483】
フォームが「制限されない」又はフォームの歪曲又は座屈又は他の形状変化を実質的に「無制限に」可能にすることに関して、これは、「フォーム」が力/荷重を加えられたときにフォームの形状/構成の変化を能動的に阻止しないことを意味する。
【0484】
導管壁402の外表面406に加わる力又は荷重は、例えば、フルフェイスマスクのシールなど、患者インタフェースの一部が導管400と接触して置かれることによって加えられてもよい。例えば、鼻カニューレが患者上で第1の患者インタフェースとして動作位置にあってよく、且つ患者に呼吸療法を送達するためマスクなどの第2の患者インタフェースが更に提供される場合、第2の患者インタフェースが導管400に力又は荷重を提供し得る。
【0485】
荷重又は力は、医療専門家など使用者が用手的に加えることができる。これは、導管を押圧することにより達成し得る。
【0486】
少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401の第1の状態から第2の状態への相対的な歪曲又は座屈は、その少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイの所定の歪曲又は座屈した配置又は配列又は構成になることである。
【0487】
使用時、導管の外表面に加えられる力又は荷重405は、導管400を第1の構成又は状態(即ち「開放した」ルーメン状態)に支持又は維持しているフォーム401によって及ぼされる付勢に打ち勝つのに十分でなければならない。そのため、導管400の外表面406に加えなければならない力又は荷重405は、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401の歪曲又は座屈を生じさせ、且つ導管内のガス圧に対抗して導管を第1の状態から第2の状態へと変化させるのに十分でなければならない。更に力は、導管の内圧に対抗して導管を第2の状態に保持するのに十分でなければならない。
【0488】
第2の状態は、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401の優先的な所定の再構成(又は再配列又は再配置)であり得る。例えば、フォーム401は、第1の状態から第2の状態への移行において、フォーム401が歪曲又は座屈し又は他の形で再構成される能力の点で最終的な第2の状態が考慮されるように設計又は構成することができる。
【0489】
第2の状態では、導管壁402の内表面403は、これらを内側に完全に一つにまとめたものとしてであれ、又は部分的にそうであれ、事実上折り重なるように一体にすることができる。例えば、特に図14B及び図15Bを参照されたく、ここでは導管400が「閉鎖した」構成にある。互いに接触させるか、それとも互いに実質的に隣接させるか、或いは実質的に閉鎖され又は実質的に押し潰されている導管壁402の状態をもたらすかそれともルーメン又はガス流路404が実質的に閉塞されている又はそこを通るガスフローに関して妨害をもたらす場合かに関わらず、内表面403は一体にすることができる。これらの実質的に「閉鎖した」状態の部分的構成もまた実現することができ、それにより例えばガス流路の全面的な妨害又は閉鎖というよりむしろ、ガスフローの縮小又は制限が実現し得る。
【0490】
フォーム401は導管壁402を支持するように構成され、付勢されて導管を第1の状態に向かって又は第1の状態に維持する。
【0491】
フォームのアレイのフォーム401は、力又は荷重405が加わると、第1の状態から第2の状態に向かって歪曲又は座屈する(又は再配列又は再構成される)ことが可能であり、しかし力又は荷重405を低下させ又は除去すると、フォーム又はフォームのアレイ401は導管400を第1の状態になるまで又はそれに向かって戻し又は回復させることが可能である。
【0492】
導管は、第2の状態又は構成に押下可能でありながらも第1の状態又は構成を保持するのに適切な弾性を有する単一の材料で作られていてもよい。或いは、導管は2つの材料で作られていてもよく、第2の材料により、導管が第1の状態を保持又は維持し、次に力又は荷重を受けて第2の状態に動くことを可能にする構造が提供される。かかる実施形態では、導管壁の内部にあるか、そこに埋設されるか、又はそれを取り囲む一連の構造体又はフォームを含むポリマー導管があってもよい。別の実施形態では、例えば導管が単一の材料で作られている場合、材料が第1の状態を維持するのに必要な特性を有するであろうため、構造体又はフォームは不要であり得る。
【0493】
フォーム401は、フォーム又はフォームのアレイを含む導管又は導管の少なくとも一部に沿って延在する水平方向長手軸から約20°~約70°、又は約25°~約65°、又は約35°~約55°、又は約45°よりも大きいピッチ角の(ピッチ角は部材の各巻線間又はコイル間の角度である)、又は導管壁に対する角度の、らせん状又はヘリカル巻線状若しくはコイル状の部材であってもよい。
【0494】
フォーム401は、導管の内径の約4分の1~導管の内径の約10倍、又は導管の内径の約2分の1~約8倍、又は導管の内径の約3分の2~約6倍、又は導管の内径の約1倍~約4倍より大きいピッチを有するらせん状又はヘリカル巻線状若しくはコイル状の部材であってもよく、又はピッチは導管の内径と実質的に同じ長さであってもよい(ピッチは部材の隣接するらせん又はヘリカル巻線若しくはコイルの中心から中心までの距離である)。
【0495】
フォーム401は、導管400の外表面406に荷重又は力405が加わると、第2の状態にあるときフォーム401が実質的に平らな配置になるようにフォーム401が折り畳まれ又は配置し直されることが可能になるような、あるピッチ角又はピッチ(又は両方)の、らせん状又はヘリカル巻線状若しくはコイル状の部材であってもよい。
【0496】
フォーム401は、図13A図13Bに示されるものなどの、一連のリング又はリング部材であってもよい。この一連のうちの各リングが、少なくとも1つの他のリングとのヒンジ式の相互接続を含む。ヒンジ式の相互接続は、フォーム401の歪曲又は座屈(第1の状態の形状からのヒンジ式の歪曲など)を促進することができる。
【0497】
フォームは、フォーム401を含む導管400の少なくとも部分的長さにおいて導管壁402の少なくとも略連続的な支持を提供するように配設された、一連のヒンジ式に接続された構成要素であってもよい。
【0498】
らせん状又はヘリカル状巻線又はコイル部材、又はリング部材は、導管の第1及び第2の構成間で弾性変形可能な比較的剛性の高い材料で形成され得る。好適な材料には、当業者に公知のプラスチック材料、又は同様に当業者に公知の金属材料、例えばスチール若しくはステンレス鋼、又は高張力金属が含まれ得る。
【0499】
更なる構成では、導管壁402は、導管壁402に沿って略長手方向に延在するか、又はフォーム401を含む導管壁402の部分的長さに沿って少なくとも略長手方向に延在する少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401で構成され得る。そのため、少なくとも1つのフォーム又はフォームのアレイ401は、導管壁402の一部として形成されるか、又はそこに若しくはその内部に提供されたフラップ又はヒンジであってもよい。例えば、図14A図15Bを参照されたく、これは外力が加わることによって押し潰れるように適合された導管断面を示す。
【0500】
フラップ又はヒンジは、導管壁402が事実上重なって折り畳まれることを可能にし得る。かかる機構では、フォーム又はフォームのアレイ401は蛇腹型機構(例えば図14A図14Bを参照)又はベローズ型機構(例えば図15A図15Bを参照)であってもよい。かかる機構は、力又は荷重405が加えられているとき導管400が第1の状態から第2の状態へと歪曲又は座屈することを可能にする。かかる構成では、例えばフォーム401がヒンジである場合、かかるヒンジ又は他の関節は導管壁402の一部として形成されるか、又はそこに若しくはその内部に提供され得る。上述の構成は、導管壁402の一部として形成された複数のかかるヒンジを用いることにより利用し得ることが理解され、ここでこれらのフォームは導管壁に沿って略長手方向に延在し、又はかかるフォームを含む導管壁の部分的長さに沿って少なくとも略長手方向に延在する。かかる実施形態において、導管は、第2の状態又は構成に押下可能でありながらも第1の状態又は構成を保持するのに適切な弾性を有する単一の材料で作られていてもよい。或いは、導管は2つの材料で作られていてもよく、及び第2の材料により、導管が第1の状態を保持又は維持し、次に力又は荷重を受けて第2の状態に動くことを可能にする構造が提供される。かかる実施形態においては、導管壁の内部にあるか、そこに埋設されるか、又はそれを取り囲む一連の構造又はフォームを含むポリマー導管があり得る。別の実施形態においては、例えば導管が単一の材料で作られている場合、構造体又はフォームは不要であってもよく、ここで材料は第1の状態を維持するのに必要な特性を有するが、しかし第2の状態に押し潰すことが可能である。一部の構成では、以下の更なる実施形態に記載するとおり、チューブの押し潰し可能部分とチューブの残りの又は押し潰し不可能な部分との間の押し潰し易さのばらつきを実現するため壁セクションの厚さが変化してもよい。
【0501】
再び図14A図15Bに関連して、一部の実施形態では、導管400の押し潰し可能部分の断面は押し潰し可能部分のサイドに一つ折り部分を含む。この折り畳み部分は導管の外側サイド406aと導管の内側サイド406bとの間に延在する。使用時、導管の内側サイドは患者の顔面と接触する。折り畳み部分は1対のサイド部分407を含む。これらのサイド部分は、第1の状態にあるとき折り畳み点407aから広がって、外に向く鋭角又は鈍角407bを呈する。第2の状態では、断面は折り畳み点407bで変形し、1対のサイド部分407が一緒になって押し潰し可能部分を押し潰し、第2の状態となる。
【0502】
図14Aでは、断面は、押し潰し可能部分の第1のサイドにある第1の前記一つ折り部分と、押し潰し可能部分の第2のサイドであって、第1のサイドの反対側の第2のサイドにある第2の前記一つ折り部分とを含む。第1及び第2の折り畳み部分は導管の外側サイド406aと導管の内側サイド406bとの間に延在する。
【0503】
図15Aでは、断面は、押し潰し可能部分の第1のサイドにある一つ折り部分(サイド部分407を含む)と、押し潰し可能部分の第2のサイドであって、第1のサイドの反対側の第2のサイドにおける第2の折り畳み点408とを含む。導管の外側406a及び導管の内側406bは第2の折り畳み点408から広がっている。導管の内側サイド及び外側サイドは第1の構成から第2の構成に移行するとき第2の折り畳み点で共に折り畳まれる。
【0504】
一部の実施形態において、サイド部分407の間の角度407bは鋭角である。例えばこの角度は、60度、又は55度、又は50度、又は45度、又は40度、又は35度未満であってもよい。
【0505】
第2の状態では、図14B及び図15Bに示されるとおり、押し潰し可能部分は、サイド部分407の外表面が接触し、且つサイド部分407の内表面が導管の内側406a及び外側406bの内表面と接触するように押し潰れる。
【0506】
一部の実施形態における図16A図16Cに関連して、導管にバルブが提供され得る。このバルブは、マスク又は使用者が導管を押し付けることにより提供される外力又はバルブのメカニズムによって動作可能であり得る。例えば図16Aに関連して、更なる代替的実施形態は、導管内のゲートである。このゲートは、互いに向かって動き、且つ好ましくは導管が押圧又は圧迫されると閉まる1対のドア又は隔壁1075を含み得る。一部の実施形態において、ドアは重なり合ってもよく、及び/又は各ドアが相補的な形状を有して重なりなしに一体に嵌合する。ドアは導管内に位置決めされてもよく、導管に取り付けられるか又はそれと一体に形成されてもよく、従って導管が圧迫されるにつれドアが共に動いて導管のルーメンを閉鎖する。或いは、ドアは導管の壁から突出し、導管に対して動いてもよい(摺動してもよい)。ゲートはドアの一方に凹部1077を有し、且つドアの他方に相補的な突出部1079を有し得る。1つ以上のゲートが提供されてもよい。代替的実施形態において、ゲートは、導管を横切って摺動するか、又は導管の一方の側に、ドアと導管の反対側との間に間隙を有して取り付けられ、従って導管が圧迫されるとドアが導管の反対側に当接して閉鎖する単一のドア又は隔壁であってもよい。ドアは開口を有してもよく、閉鎖位置にあるときゲートを越える最小限のフローレベルを提供し得る。ゲートの1つ又は複数のドアは、前記ガス源からの実質的に第1のレベルのガスが前記導管を通過する第1の位置から、第2のレベルのガスが導管を通過する第2の位置へと導管を横断方向に移動可能である。例えば、1つ又は複数のドアは導管/流路の長手方向軸に垂直であってもよく、又は流路に対して角度(例えば45度)をなしてもよい。第1の位置は実質的に開放した構成であってもよく、且つ第2の位置は実質的に閉鎖した構成であってもよい。第1のガスレベルは第2のガスレベルよりも高くてよい。ゲートが密閉する方向はガスフローの方向に対して横断方向であってもよく、又はほぼ横断方向であってもよく、これはフローの力がゲート閉鎖方向に直接対抗しないため、ゲートの閉鎖及びルーメンの閉鎖に要求される力を低減する助けとなり得る。一部の実施形態において、1対のドアが合わさるか、又は一方のドアが導管のサイドに当接して閉まる接触範囲は、シールを作り出すために必要な作動力が小さくなるように比較的狭くてもよい。例えば、ドアが合わさるか又はドアが導管側壁に接触する接触範囲の幅は導管の直径の10~20%であってもよい。
【0507】
ある位置では、ゲートはガスが導管を通過するのを許容し得る。別の位置では、ゲートはガスが導管を通過するのを制限し得る。かかるゲートは導管を完全に閉鎖してもよく、又はガス流路の部分的な閉鎖若しくは縮小をもたらしてもよい。
【0508】
図16Bでは、バルブ549が押下可能なバルブ部材550を含み得る。使用者/医療専門家、又はマスク300が、導管553の側壁を貫通して延在するバルブ部材550を押し付けると、バルブ部材550が導管553の中へと動き得る。バルブ部材550によってダイヤフラム又は他の弾性部材551に作用が及ぼされると、弾性部材551は押されて導管553のルーメンを横切り、導管553を通るフローを遮断し得る。一部の実施形態において、弾性部材551は延伸してフローを遮断し、バルブ部材550を開放位置に付勢する。他の実施形態において、バルブ部材550は導管553内のガスフローの内圧によって開放状態に付勢される。図16B(i)は、バルブ部材550及び弾性部材551が導管553の側壁から延在する開放構成にあるバルブ549を示す。図16B(ii)は、押下されて導管553内に延在し、フローを遮断しているバルブ部材550を示す。図16C(i)及び図16C(ii)は同様の機構を示す。バルブ548はまた、バルブ部材554に対抗して付勢される弁座552も含み、バルブ部材554を閉鎖位置から離すように付勢する。
【0509】
他の実施形態において、本システムは、患者インタフェースへのフローを停止させるための他のバルブ機構を含み得る。例えば、使用者によって開放位置と閉鎖位置との間を手動で(例えば90度)回される弁体を有するバタフライ弁が提供されてもよい。
【0510】
従って、上記に記載したとおりの一部の実施形態において、導管若しくは患者インタフェース200の押し潰し部分、又は導管若しくは患者インタフェースに位置するバルブを含む装置は、呼吸療法を2つのモード間で切り換えるための装置を提供し、ここでは患者インタフェース200が第1の呼吸療法モードを提供し、マスクアセンブリ300が第2の呼吸モードを提供する。これらのモードは、ルーメン202の第1の部分204が第1の構成から第2の構成へと移行すると切り換わり得る。
【0511】
一実施形態において、この移行はフェイスマスク302によってもたらされる。即ち、フェイスマスクが患者上に置かれると、フェイスマスクのシール304が第1の部分204に力を加えることにより第1の部分204がその第1の構成からその第2の構成に移行し、好ましくは第1の療法モードの送達が減少又は停止し、好ましくは更にマスクのシールと共にシールを形成するため、マスクがチューブの第1の部分及び患者の顔面と共に密閉する。従って、患者インタフェース200又は患者インタフェース200にガスフローを提供する導管の構造により、医療専門家は第1の呼吸モードを提供しているインタフェースを取り外す必要なしに患者に送達される呼吸補助のタイプを迅速に交換することが可能となる。
【0512】
第1の呼吸補助モードがハイフロー療法である一部の実施形態では、この患者インタフェース200の構造により、医療専門家は流速を停止させ又は最小限にし、且つ第2の呼吸療法(例えば、人工呼吸器又はCPAP又はハイフロー療法装置又は麻酔装置によるもの)を容易に且つ同時に開始することが可能となる。更にこれにより、第2の患者インタフェースによって送達されるガスが第1の患者インタフェースによって提供されるガスで希釈されないため、患者の鎮静を管理する麻酔医又は医療専門家は患者に送達されるフローに関する正確な情報を得ることが可能となる。
【0513】
一部の実施形態において、第1の部分204は、ガスルーメンの第1の部分を通過するガスの圧力レベルに基づき第1及び第2の構成間を展開し得る。即ち、第1のガスルーメンの第1の部分は、フロー圧力が第1の所定の圧力レベルを上回るとき第1の構成にあってもよく、フロー圧力が第1の所定の圧力レベル未満に下がるか又はそれを上回って増加するとき第2の構成にあってもよい。
【0514】
別の実施形態において、第1の部分204は自然に押し潰れるものであってもよい。即ちこれは、ガスがない又はそこを流れるガスのフローが低い/減少しているとき部分的又は完全に押し潰されることができ(第2の構成)、そこを流れるある程度のガスが存在するとき拡張する(第1の構成)。
【0515】
図6図8は、第1の部分204にわたるルーメンの幾何学的形状、材料特性、構造及び/又は組成の1つ以上の変形例を用いて、第1の部分204をルーメン202に提供するための様々な代替例を示す。
【0516】
一例では、図8に示されるとおり、第1の部分204は、第1のガスルーメンの他の部分の1つ以上の壁207と比べて薄い壁209を含む。8。好ましくは、第1の部分204の壁209と第1のガスルーメン202の他の部分の1つ以上の壁207との間には、厚さの実質的に滑らかな移行、又は実質的に線形的な移行がある。滑らかな移行は、乱流を阻止又は低減し、衛生を向上させ、及び/又はガス導管がキンクを生じる可能性を低減するのに役立ち得る。
【0517】
それに加えて又は代えて、第1の部分204は第1のガスルーメン202の他の部分の壁よりも可撓性の高い壁を含む。一実施形態において、この可撓性の変化は壁の材料に起因する。別の実施形態において、この可撓性の変化は、それに加えて又は代えて、第1の部分204を除く実質的にルーメンの全長に沿って提供される補強要素203に起因し得る(図7に示されるとおり)。好ましくは、第1の部分204の壁209と第1のガスルーメン202の他の部分の1つ以上の壁207との間には、例えば第1の部分204に向かってテーパ状の補強要素を提供することにより、可撓性の実質的に滑らかな移行、又は実質的に線形的な移行がある。
【0518】
図6に示す代替的な構成では、第1の部分204は、ルーメン202の他の部分と比較してより幅の広いセクション(即ち、より大きい断面積)を含み得る。これにより、この部分を変形させ及び/又は押し潰すのに必要な力及び/又は内圧の大きさが低下し得る。
【0519】
図6図8の構成によれば、更なる代替例は、導管の壁を支持する構造又は補強又は他のフォームを欠いている導管を提供することであり得る。かかる構成であれば、導管を比較的容易に圧潰させ又は押し潰すことが可能となり得る。即ち、導管はいかなるらせん状又はヘリカル状ビード又は他の補強も持っていない。チューブは、導管それ自体に提供されるガスの圧力によって「開放した」又は第1の状態又は構成に維持され得る。導管壁に力又は荷重が加わると、力又は荷重が加わっている当該の位置で導管が圧潰し、圧挫し又は他の形で押し潰され得る。かかる導管は、より一般的なガス供給導管の一部を形成してもよく(例えば第1のガス導管202の第1の部分204)、又は呼吸療法送達システム内の他の構成要素間を相互接続するものとして提供される比較的短い長さの導管として提供されてもよい。例えば、押し潰し可能な導管は、導管の他の2つのセクションを接続するか、又は患者インタフェースに接続する短い導管セクションとして提供されてもよい。かかる導管は、患者の顔に近接したかかるシステム又は呼吸回路に提供されてもよく、従って続く患者に対する別のインタフェースの適用で(例えば導管が鼻カニューレにガスを供給していて、且つその上に被せてフルフェイスマスクが適用される場合)、図3に関連して上記に記載したとおり、この別のインタフェースの一部を使用して、かかる構造化されていない又は支持されていない導管に力又は荷重を付与し得る。
【0520】
代替的な構成では、第1のガスルーメン202を画成するチューブ全体が押し潰れ又は他の形で変わることにより、ルーメンを通過するガスのレベルを変化させるように構成され得る。従って、一例において、ルーメンを通るガスフローを減少させるため、第1のガスルーメンのいずれの部分にも力を加えることができる。しかしながら、この構成は、キンク又はルーメンに対する他の外力に起因してルーメンが意図せず押し潰されることにつながり得る点は理解されるであろう。従って、この特性を有するのはルーメンの一部分(即ち、第1の部分204)に限ることが好ましい。
【0521】
1つの第1の部分204のみについて説明されているが、2つ以上の同様の部分が提供され得ることは理解されなければならない。例えば、フローマニホルド206が、フローマニホルド206の両側から2つのガスルーメンを介してフローを受け取るように構成される場合、各ガスルーメンに1つずつ、2つの第1の部分204が提供されてもよく、これらは、フェイスマスク302のシール304によって(部分的に又は完全に)押し潰されるように構成され得る。
【0522】
図5図9及び図10は代替的な構成を示し、ここでは第1の部分204の圧縮を限定するため、第1の部分204にはその壁の周囲、その内部又はその下に要素が提供される。好ましくは、この要素は、第1の部分204の構成に関わらず、ルーメンを通じた最小限レベルのフローの通過を許容するように構成される。例えば、押し潰されていない状態では、最小限レベルよりも高いフローがルーメン(ルーメンの第1の部分)を通って流れ得る。押し潰された状態では、要素は、フロージェネレータによって送達される圧力でルーメンによって送達することのできる最小限のフローレベルを定義付ける。或いは、最小限のフローレベルは、患者から計測された1つ以上の生理学的特性に従い例えば制御器108によって制御されるレベルであってもよい。
【0523】
図9では、要素は、第1の部分204が最大限に圧縮され又は押し潰されたときであっても第1の部分204内に小さい開口又は第2のガスルーメン232を維持して最小限レベルのフローを維持する補強要素220である。図示されるとおり、この補強要素は第1の部分204の壁よりも実質的に圧縮性が低く、前記外力下及び/又はチューブを通じた前記より低いフロー圧力下でその部分に小さい開口を維持する。図示される構成では、補強要素220は、第1の部分204の壁の対抗する内表面上に実質的に剛性の部分を含む。この剛性部分220はこの例では連続的でなく、取り囲む壁が押し潰れて剛性部分の周りを密閉し、小さい開口を形成することが可能である。剛性要素は、第1の部分204の壁と一体に形成されても、オーバーモールド成形されても、又は他の方法で壁に取り付けられてもよい。この構成では、例えばフェイスマスクシール304によって第1の部分を圧縮する間に要素220が一体になると第2のルーメン232が形成される。
【0524】
図10では、要素は、第1の部分204の内部領域を通じて、そこにおいて又はその近傍において第2のガスルーメン232を画成する内部チューブ230である。図示されるとおり、チューブ230は、第1の部分204の壁よりも実質的に剛性が高く、第1の部分204が最大限に圧縮され又は押し潰されたときであってもルーメンを通じる最小限レベルのフローを維持する。内部チューブ230は第1のガスルーメン202と実質的に同軸であってもよく、及び第1のガスルーメン202と同じガス供給部に接続されてもよく、又は異なるガス供給部によって供給されてもよい。
【0525】
図5は別の実施形態を示し、ここでは第1の部分204の壁の一つの内部セクションに要素212が提供される。要素212が壁を離して保持することにより、第1の部分204が最大限に圧縮され又は押し潰されたときであっても第1の部分204内に小さい開口又は第2のガスルーメン232が形成又は維持され、最小限レベルのフローが維持される。要素212は中空の断面積を含んでもよく(図5に示されるとおり)、この場合、ガスはまた要素212も通って流れ得る。或いは、要素212は中実の断面積を有してもよく、第1の部分204の取り囲む壁を離して保持するため、幾らかのガスが要素212の周りを流れ得る。
【0526】
一部の実施形態において、ガス導管又はチューブは、使用時に使用者の顔面に開放する窓部分を含む。例示的実施形態が図18に示される。使用時、チューブ600の窓部分610は使用者の顔面上に位置し、ここではチューブの窓部分の周囲611が使用者の顔面に密接する。チューブは、使用者の顔面に密接させるため窓の周囲を囲むシールを含んでもよく、例えばチューブは、使用者の顔面に密接させるためリップ又はその他の窓の周りに位置するシール機構を含み得る。使用時、窓600の周囲611が使用者の顔面に密接し、従って使用者の顔面が本質的に窓を遮断するチューブの壁を形成し、患者インタフェース620を介した使用者の気道へのガスフロー用の密閉されたルーメンを提供する。使用時、患者インタフェース620はフェイスマスクと共に使用されてもよく、フェイスマスクのシールがチューブ600上のチューブの窓610に対応する位置に延在する。本明細書に記載される他の実施形態と同様に、使用者の顔に対するフェイスマスクのシールによって提供される力がチューブを閉塞させて、患者インタフェースを介した使用者へのガスフローを阻止することができる。チューブの側面に窓を提供することにより、チューブにおいては、使用者の顔に対するフェイスマスクの力によって圧縮される材料がより少なくなる。従ってチューブの窓部分は、チューブを圧縮してチューブによって提供されるルーメンを閉鎖するのに必要な力の大きさを低下させる。チューブ600の外側断面を図18に提供する。図示されるとおり、一部の実施形態においてチューブは比較的平らな断面を含み、従ってチューブを閉塞させるためにチューブが平坦にならなければならない距離が従来の円形断面と比較して小さくなる。一部の実施形態において、チューブは、窓を覆う膜を含み得る。この膜はチューブの壁の厚さよりも薄い。膜が薄いため、チューブルーメンを閉塞させるため圧縮させるべきチューブ壁の材料の量が減少し、チューブの押し潰し圧力が低下する。
【0527】
一部の実施形態において、呼吸ガスチューブ又は導管はバルーン又はアキュムレータ又はブラダー(本明細書ではブラダー)を含み得る。ブラダーは、例えば図19に示すとおり、チューブのルーメンの一部分を形成又は提供してもよい。ブラダー710は、チューブ700のうち、チューブの残りの部分720と比べて壁厚さが減少している及び/又はより弾性の高い材料で形成されているセクションである。一部の実施形態において、ブラダーは、チューブのうちブラダーの各端部から延在する部分と一体に形成されてもよい。一部の実施形態において、ブラダーはチューブに解除可能に取り付け可能であってもよい。例えば、ブラダーの一方の端部に取り付けられた第1の長さのチューブと、ブラダーと、ブラダーの他方の端部に取り付けられた第2の長さのチューブとがチューブに含まれるように、ブラダーの各端部がチューブに取り付けられてもよい。
【0528】
ブラダー710を含むチューブ700を使用して、使用者に患者インタフェースを介してガスフローを提供し得る。ブラダー710はガスアキュムレータとして働くことができ、チューブ内のガス圧の上昇に伴いブラダーが膨張する。膨張していない構成を図19に示し、図19では膨張した構成が破線によって示される。ブラダーは、圧力の上昇に対してブラダーが拡張することによってチューブのルーメン内の圧力スパイクが均されるため、患者インタフェースに見られる圧力変動を低減する働きをし得る。更に、使用者に2つ以上の呼吸ガスフローを提供するため鼻カニューレなどの患者インタフェースがフェイスマスクと共に使用される場合、各インタフェースから使用者に提供されるガスフローの圧力が組み合わさることにより使用者の気道にガス圧の上昇が生じ得るため、使用者に提供されるガス圧が上昇するリスクがあり得る。ブラダーは、増加する圧力下で拡張し、ひいては患者における圧力上昇を低減し得ることにより、患者における圧力上昇の発生を低減し得る。ブラダーは、上記に記載した押し潰し可能な導管と共に使用される場合には、ガスフローを蓄積するために用いられ得る。一部の実施形態において、ブラダーはチューブのルーメン内における圧力上昇の可視表示又はインジケータを提供して、使用者又は介護者などの別の人に使用者に提供される流量又は圧力を減少させる必要があり得ることを知らせる。
【0529】
一部の実施形態において、チューブ700はベント機構を含むことができ、上昇した圧力に達すると、ベント機構が呼吸ガスをチューブのルーメンからブラダー中へとベントするように動作する。例えば、ブラダーは、開放構成又はベント構成にあるときベントを介してルーメンと連通するように構成され得る。ベントは、圧力が閾値に達すると開放して、ブラダー内にガスをベントし得る。従ってブラダーは、呼吸ガスが大気にベントされるのを防ぐアキュムレータとして働く。ブラダーはまた、患者の気道又は患者インタフェースにおける圧力の上昇に対応し得る上昇したルーメン圧力の可視インジケータ又は表示としても働き得る。
【0530】
一部の実施形態において、ブラダーは、特定の流速及び圧力に達するガスの特定の容積及び圧力に適応するように構成され得る。ブラダーが特定のベント圧力に達するとブラダーが大気にベントするように、更なる圧力逃がし弁又はベントが用いられてもよい。
【0531】
上記に記載される装置又は機構のうちの1つ以上を使用して鼻カニューレへのガスフローを低減し又は停止させると、導管内(例えば導管202内)のガスの圧力が上昇し得る。従って、導管内の圧力を解放する1つ以上の圧力逃がし装置を提供することが有利であり得る。以下に更に詳細に記載するとおり、この圧力逃がし装置は、圧力を解放するのみの装置であってもよく、及びフローを遮断又は抑制する別個の装置と共に用いられてもよい。或いは、この装置は、圧力を解放するとともに、フローを制限又は遮断もするものであってもよい。
【0532】
患者インタフェース200又は患者インタフェース200にガスフローを提供する導管は、第1の部分204が押し潰されるか又は部分的に押し潰されたことに起因してルーメン202を通るフローが減少し又は停止した場合に、第1のガスルーメン内のガス圧を減少させ又は緩和するように適合された圧力逃がし弁装置又は機構を含み得る。
【0533】
例えば、図20によって示されるとおり、患者インタフェース1302に(ガスフロー1301の)ガスを供給又は送達するための導管1300が提供され得る。この導管は、(例えばマスクシール1307によって)押し潰されて閉鎖構成になる押し潰し可能部分を含み得る。この導管は一方向弁1304を含み、インタフェース1302に送達されるガスフロー1301の方向に対して一方向弁1304の上流に、導管のルーメン1306内に蓄積した圧力をベント又は解放するためのベント又は圧力逃がし弁1305がある。圧力逃がし弁は、例えば押し潰し部分が閉鎖構成になると、導管内の圧力をベントすることができる。一方向弁1304は、第2の患者インタフェースから患者に投与されるガスが逆流して、患者インタフェース1302の逆流としてベント又は圧力逃がし装置1305から出るのを防ぐことができる。更に、圧力逃がし弁又は装置は、第2の患者インタフェースによって送達される圧力が、チューブの押し潰し可能部分がインタフェース1302をベント弁1305から完全には密閉しないことに起因してインタフェース1302を通じて逆流することがないように確実にするための更なるメカニズムを提供し得る。代替的な機構では、導管が、押し潰し可能部分よりむしろ、導管1308を閉鎖するバルブを含み得る。
【0534】
一方向弁1304は、本明細書に記載される任意のシステムにおいて実現し得る。例えば、第2の患者インタフェースが第1の患者インタフェースと併用され、患者に二重療法が送達されることになる場合、一方向弁により、医療専門家が、第1の患者インタフェース(即ち鼻カニューレ)につながるガス供給導管を通じた逆流なしに第2の患者インタフェースを介してガスを投与することが可能になり得る。一方向弁1304がない場合、圧力逃がし弁1305から出る逆流に起因して、患者上の第2の患者インタフェースで所望の圧力を作り出すことは不可能であり得る。
【0535】
一部の実施形態において、2つ以上の呼吸補助装置(患者インタフェース)、例えば鼻カニューレとフルフェイスマスクとを一緒に使用して使用者に2つ以上の呼吸ガスフローを提供する場合、呼吸補助装置の1つ以上が1つ以上のベントを含み、補助装置によってもたらされる圧力を解放し得る。2つ以上の装置を使用して2つ以上の呼吸ガスフローを提供する場合、使用者に提供される各ガスフローの圧力が組み合わさって使用者の気道に上昇したガス圧がもたらされ得るため、使用者に提供されるガスの圧力が上昇するリスクがあり得る。呼吸補助装置の1つ以上にあるベントは、使用者の気道に過圧がかかるリスクを軽減又は低減するために提供され得る。それに代えて又は加えて、制御器(例えば制御器108)が、システムの圧力上昇が計測されると患者インタフェースへのガスフローを停止又は減少させるように適合され得る。
【0536】
例えば、鼻カニューレが、カニューレによってもたらされる圧力を抑制するように動作するベントを含み得る。一部の実施形態において、1つ又は複数のサイドアームを含むカニューレが、一方又は両方のサイドアームにベント機構を含み得る。例示的実施形態が図17に示される。カニューレ500のサイドアーム505は、使用者の顔面に密接することと併せてフェイスマスクのシールが上から密接する部分516(密閉部分)を含み得る。サイドアーム505は、カニューレのマニホルド506及び1つ以上の出口、例えば鼻プロング508を介して使用者に至るガスフロー用のルーメンを含み、又はそれを提供する。サイドアームの部分516は、フェイスマスクのシールが使用者の顔面と共にその部分に密接することを可能にする外形を備えることができ、例えばその可能な断面が図17に提供される。サイドアーム505は、サイドアームにおいてサイドアームの密閉部分516より外側にある位置にベント510を備え得る。換言すれば、ベントはサイドアーム上において使用者の顔面に対するフェイスマスクの密閉範囲の外側にあるように位置する。フェイスマスク内部の圧力が所望の最大圧力レベルに達する場合、カニューレのサイドアームのルーメン内のガスの圧力が、サイドアームのベントが圧力を解放し又は使用者の気道における圧力を所望の最大圧力に抑制するように動作するときのレベルに対応するレベルまで上昇する。ベント510が開放位置又はベント位置に動作すると、ベントはガスフローをカニューレ及びフェイスマスクの外側に分流させ、且つ閉鎖位置又は非ベント位置では、ガスフローがカニューレに提供される。
【0537】
一部の実施形態において、サイドアームに架かるフェイスマスクのシール304がサイドアームに力を加えると、そのためサイドアームが押し潰され又は圧縮され、サイドアームのルーメンが閉鎖する。例えば、一部の実施形態では、フェイスマスクシールが部分516を押し付けるため、サイドアームのルーメンが閉塞する。サイドアームの部分516はベント510よりインボード側(下流)であり、従ってサイドアームルーメンが閉塞され又は挟み潰されることによって生じるサイドアームにガスフローを提供する呼吸チューブの上昇した圧力が、ベント510からベントされる。例えばカニューレのサイドアームは、本明細書に記載されるとおりの押し潰し可能な導管部分を含み得る。カニューレの押し潰し可能部分は、図14A図15Bに示されるとおりのヒンジ点を有する断面、又は本明細書に記載される任意の他の押し潰し可能な構成を含み得る。
【0538】
一部の実施形態において、患者インタフェースは、フェイスマスクのシールが上から密閉するアイテムを含み得るか、又はそれと共に使用され得る。フェイスマスクのシールが上から密閉するアイテムの幾つもの実施形態が図47図54C及び図63A図63Cに示される。このアイテムは、患者の顔面と接触した、又はそれと接触して置かれることになるブロック又はマウント96であってもよい。このブロック又はマウントは、それを貫通する少なくとも1つのルーメンであって、ガス供給導管を挿通させるための、又はガス供給導管を患者インタフェースに接続するためのルーメンを含み得る。
【0539】
アイテム96はガス供給導管を受け入れることができ、及び/又は患者インタフェースにガスを送達するための流体通路の一部を形成することができる。一部の実施形態において、このアイテムは、圧縮可能部分又は例えばフェイスマスクシールから(図54A図54C)及ぼされる力若しくは圧力の下で圧潰若しくは変形が可能な部分を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのルーメンの1つ以上は圧縮可能部分内又は圧潰若しくは変形が可能な部分内に位置する。圧縮可能部分は、ポリマー又はシリコーンなどの任意の好適な材料で作られていてもよい。圧縮可能部分内又は圧潰若しくは変形が可能な部分内に位置するルーメン及び/又は導管は、ガスフローが患者インタフェース91に供給されるのを遮断又は妨害(又は阻止)し、又は部分的に妨害するように圧縮又は変形し得る。一部の実施形態において、アイテム96は、患者インタフェースのサイドアームの一体部分であるか、又は患者インタフェースへの供給導管に着脱可能に取り付け可能であってもよいか、又は患者インタフェースのサイドアームに着脱可能に取り付け可能である。一部の実施形態において、アイテムは、患者、より詳細には患者の顔面に別途位置決め可能又は位置付け可能な個別の構成要素である。アイテムは、患者にガスを送達する間の患者上における患者インタフェースとフェイスマスクとのインサイチュー併用を検知するための患者に取り付け可能又は位置付け可能なパッチ又はパッド又はウェアラブル装置であってもよく、ここでかかる併用の検知により信号又は出力が生成される。
【0540】
アイテムはベント装置を備えることができ、使用者へのガスフローを阻止し又は減少させる押し潰された構成にあるとき、このアイテムを介して患者インタフェースにガスフローを提供するチューブ内の上昇する圧力をベント装置がベントする。
【0541】
一部の実施形態において、このアイテムは、使用時に圧縮されたり又は押し潰されたりしないように外力に耐える。かかる実施形態において、アイテムは、使用者の気道における圧力が最大の所望圧力を上回って上昇するのを阻止又は低減するか、又は患者の気道に送達されるフローを阻止又は低減するベント装置を含み得る。アイテム又は患者インタフェースのベント装置又はベントは、本明細書に記載されるベント又はベント装置のうちの任意の1つ以上であってよい。
【0542】
一部の実施形態において、患者インタフェース及び/又は患者インタフェースと連係した又はそれと共に使用されるアイテムは、アイテム又はインタフェースにガスフローを提供する呼吸回路の汚染を防ぐフィルタ装置を含み、このフィルタ装置は前記ベント又はベント装置を含む。
【0543】
図47図54C及び図63A図63Cに関連するアイテム96の更なる説明を以下に提供する。
【0544】
図21Aは、圧力を解放し、また導管1001を通るガスフローを制限もする装置1000の一実施形態を示す。フロー制限は、ガスフローを完全に遮断してもよく、ガスフローを実質的に遮断してもよく、又はガスフローを部分的に遮断してもよい。ベント構成又は開放構成では、装置1000は導管からガスフローをベントし又は分流させる。非ベント構成又は閉鎖構成では、装置は患者インタフェース、例えば図2のカニューレ200へのガスフローを許容する。圧力逃がし装置1000のこの実施形態は、ポペット弁1002を備えた押し潰し可能な導管の形態である。詳細には、ポペット弁1002はバルブステム1003とバルブディスク1004とを有する。バルブステム1003及びバルブディスク1004は比較的剛性が高く、取り囲む部分又は構成要素が動き、押し潰れ、又は変形しても押し潰れたり又は変形したりしない。
【0545】
導管1001の部分1005は、押し潰れ又は変形してフローを制限するように構成され得る。押し潰し可能部分の一部は、比較的剛性の高い構成要素1006の形態の第1の壁であってもよい。比較的剛性の高い構成要素1006は、バルブステム1003が貫通する開口部(見えない)を有し得る。
【0546】
導管はまた、略反対側の第2の壁1007も有する。通常の使用時には剛性構成要素1006は導管の隣接する壁1008と実質的に面一であり、前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過する。剛性構成要素1006に力が加わると、剛性構成要素は第2の壁1007の方に動いて、ガスが導管内から大気へと流れ出ることのできる通路1009を提供する。この実施形態において、通路は開口部によって提供される。一部の実施形態において、導管の部分1005は開口部又はベントを含まなくてもよく、ベントすることなしに導管のルーメンを閉塞するように動作し得る。別個のベント又は圧力解放弁が部分1005の上流に別個に位置してもよい。
【0547】
一実施形態において、導管は、マスクシール1010を剛性構成要素1006に押し付けることによって押し潰され得る。或いは、導管はクランプ又はクリップなどの別の好適なメカニズムによって押し潰されてもよく、又は別の代替例では、導管は医療専門家が導管を押圧し又は圧迫することによって押し潰され得る。導管が押し潰されると、剛性部分が押し潰れ、図21Cに示される位置に向かって動く。ひいてはガスが開口部から自由に流れ出ることができ、導管内の圧力が解放される。マスク又は他の装置を導管に押し付けることによってガスフローが完全に制限されてもよく、実質的に制限されてもよく、又は部分的に制限されてもよいことが理解されるであろう。これらの状況のいずれにおいても、ポペット弁1002は開放し、ガスが開口部から流れ出ることを可能にし得る。開口部から流れ出るガスの量は、導管内のガスの圧力、及びガスフローが完全に制限されるか、実質的に制限されるか、それとも部分的に制限されるかに依存し得る。
【0548】
代替的実施形態において、圧力逃がし装置はポペット弁を有しないこともあり得る。圧力逃がし装置は、本明細書の他の実施形態に関連して記載されるもののうちの一つなど、別のタイプのバルブを有してもよい。
【0549】
例えば図21D及び図21Eに示す実施形態はポペット弁を有しない。この実施形態の特徴及び動作は図21B及び図21Cに示す実施形態と同じであるが、但しこれはポペット弁を有しない。
【0550】
図21Dの実施形態は第1の壁1011と略反対側の第2の壁1012とを有する。通常の使用時には、第1の壁は導管の隣接する壁1013と実質的に面一であり、前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過する。第1の壁に力が加わると、第1の壁が第2の壁の方に向かって又はそれから離れる方に動いて、ガスが導管内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。
【0551】
図21Eの実施形態の特徴及び動作は図21Dの実施形態と同様であるが、加えて通常の使用時に隣接する壁に密接するリップ1015がある。リップ1015は弾性材料で形成されてもよく、比較的剛性の高い構成要素1006に取り付けられ、それに対してマスクシール1010が働きかけることによりリップを導管の側壁から離すように動かすと、ベントが開放される。剛性構成要素はL字型であってもよく、L字型構成要素の第1の部分が導管の長手方向軸に対して横方向にあり、且つマスクシールが働きかけるL字型構成要素の第2の部分が導管に対して長手方向に配設される。
【0552】
図22A及び図22Bは、圧力を解放し、且つフローを遮断又は抑制する装置の一実施形態を示す。この実施形態は、押し潰し可能部分1017と押し潰し不能部分1019とを有する導管の形態である。
【0553】
押し潰し可能部分1017は、加えられる圧力下で押し潰れる比較的可撓性の高い又は軟質の材料を含み、又は部分1017は、その開閉を可能にするピボットによって導管の隣接する押し潰し不能部分に接続する剛性部分を有し得る。押し潰し可能部分1017は、好ましくは、マスクを押し潰し可能部分に押し付けるなど、意図的な外力が加えられるまでは押し潰し可能部分が押し潰れるのを防ぐ比較的剛性の高い部分1023を含む。可撓性又は軟質の部分1027が押し潰し可能部分の端部に位置して押し潰し不能部分1021に対するシールを提供する。押し潰し不能部分は剛性部分1025を含んでいてもよい。代替的実施形態では、剛性部分は省略されてもよく、押し潰し可能部分のタング1027は導管の壁に密接する。押し潰し可能部分は、押し潰し可能部分を導管の壁の下側に固定してガスフローからの圧力下で押し潰し可能部分が外側に開くのを防ぐ拡張タング1027を有する。通常の使用時には、押し潰し可能部分は導管の隣接する壁と実質的に面一であり、前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過する。押し潰し部分は、図22Aに示される閉鎖位置と図22Bに示される開放位置又はベント位置との間を動くフラップとして働き得る。
【0554】
押し潰し可能部分は、マスクが患者の顔面上に置かれるなど、外力が加わったときに、押し潰し可能部分が押し潰れるように配設される。押し潰し不能部分は比較的剛性が高く、押し潰し可能部分が動き、押し潰れ、又は変形しても押し潰れたり又は変形したりしない。
【0555】
導管の押し潰し可能部分が押し潰されると、剛性部分1023が図22Bに示される位置に向かって動き、ガスが導管内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。ひいてはガスが、タング1027と押し潰し不能部分1019との間に作り出された開口部から自由に流れ出ることができ、導管内の圧力が解放される。導管にマスク又は他の装置を加えることによってガスフローが完全に制限されてもよく、実質的に制限されてもよく、又は部分的に制限されてもよいことが理解されるであろう。これらの状況のいずれにおいても、押し潰し可能部分が押し潰れ又は変形して、ガスが開口部から流れ出ることを可能にする。通路から流れ出るガスの量は、導管内のガスの圧力、及びガスフローが完全に制限されるか、実質的に制限されるか、それとも部分的に制限されるかに依存し得る。押し潰し可能部分が導管内に押し潰れる量(従って達成されるベント量)は、使用者が押し潰し可能部分上にフェイスマスク300によってもたらされる密閉力を変えることにより制御され得る。
【0556】
図23A図23Cは別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態において、圧力逃がし装置は、導管の開口部1033の上に延在してそれを閉鎖する可撓性部分又はバルブ部材1031を含む。上から見ると、可撓性部分は楕円形状を有する。側面から見ると、可撓性部分は導管の形状に適合するように湾曲している。可撓性部分はまた、端面から見ても湾曲しており、導管の曲線に合致している。或いは、可撓性部分は、導管の曲率に実質的に一致しない曲率を有してもよく、又は実質的に平面状であってもよい。これらの代替的実施形態において、可撓性部分は自然の又は変形していない位置を有し、当該の自然の位置に向かって付勢されて開口部を閉鎖する。可撓性部分が持ち上がって開口部から離れる逃がし圧は、可撓性部分に用いられる材料の特性により、及び/又は可撓性部分のサイズ及び形状により決まり得る。
【0557】
図23bは、可撓性部分1031なしにバルブを示す。可撓性部分は、開口部を横切って延在する部材の穴に嵌入するステム1032を有する。ステム1032上の保持メカニズム(例えば直径が拡大した部分)1032aが可撓性部分を所定位置に保持する。
【0558】
可撓性部分1031は可撓性又は弾性材料、例えばシリコーンであるか、又はそれを含む。標準的な動作ガス圧下では、図23cに示されるとおり、可撓性部分は開口部を被覆し、ガスが開口部を通って導管から流れ出ることを阻止し又は少なくとも実質的に抑制し得る。導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、可撓性部分の縁部が動いて導管から離れ、可撓性部分は図23dに示される形状を有することになる。
【0559】
開口部1033は可撓性部材の形状と同様の形状を有してもよく、即ち形状は、上から見たとき楕円であってもよい。更なる代替的実施形態において、可撓性部材によって閉鎖される2つ以上の開口部があり得る。別の代替的実施形態において、各開口部が可撓性部材によって閉鎖される2つ以上の開口部があってもよい。図23aに示されるとおり、2つ以上の可撓性部材の利点は、表面に載置されない又は閉塞されない、且つ自由に動いて開放することのできる少なくとも1つの可撓性部材が常にあるはずであることである。
【0560】
図23E図23Gは、図23A図23Dに示されるものと同様の圧力逃がし装置を示し、但しこの圧力逃がし装置はチャンバ1035内に位置する。圧力逃がし装置をチャンバに位置決めすることは、圧力逃がし装置が患者近傍でガスをベントしないため有利であり得る。この圧力逃がし装置は、それが可撓性導管上になく、導管が流体連通している別個のチャンバ上に位置するため保護されている。加えて、この圧力逃がし装置は、患者の近傍にあり得る、ベントを遮断又は妨害し得る寝具及び他のアイテムから離れていてもよい。
【0561】
図24A及び図24Bは、圧力を解放し、且つフローを遮断又は抑制する装置の一実施形態を示す。この実施形態において、圧力逃がし装置は、導管内に装着されたレバー1037を有し、このレバーは、ピボット1039と、動作部分1041と、前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過するように導管の開口部1045を実質的に密閉する密閉部分1043とを備えている。この構成では、動作部分1041がピボット1039の片側にあり、且つ密閉部分1043がピボットの同じ側にある。この実施形態において、レバー1037は、導管内部に位置決めされた板ばねである。導管は寸法を有し、且つ軟質又は可撓性であるため導管が他の構成要素の支持なしにはその形状を保持しない1つ以上の材料で形成されてもよい。板ばね1037は、外力が加えられない限り導管が押し潰れ、変形し、又は閉鎖するのを阻止し又は少なくとも実質的に抑制し得る。
【0562】
密閉部分1043は、導管の開口部1045と係合するボス又は隆起部の形態である。ボス又は隆起部が開口部と係合すると、ガスが導管から流れ出ることが阻止され又は少なくとも実質的に抑制される。
【0563】
例えばマスクが動作部分の真上にある導管を押し付けることによって動作部分1041が動かされると、レバー1037にピボット1039を中心とする枢動が生じ、密閉部分1043が動いて開口部1045から離れ、ガスが導管内から大気へと流れ出ることのできる通路がもたらされる。
【0564】
図25A及び図25Bは、圧力を解放する装置の別の実施形態を示す。この実施形態は、押し潰し可能であるか又は押し潰し可能部分を有する導管で使用される。
【0565】
この実施形態において、圧力逃がし装置は、導管内に装着されたレバー1047を有し、このレバーは、ピボット1049と、動作部分1048と、前記ガス源からの実質的に全てのガスが前記導管を通過するように導管の開口部1052を実質的に密閉する密閉部分1050とを含む。この実施形態において、レバー1047は、導管内部に位置決めされた剛性構成要素である。この構成では、動作部分1048がピボット1049の片側にあり、且つ密閉部分1050がピボット1049の他方の側(反対側)にある。マスクシールが導管のサイドに働きかけることにより動作部分に働きかけて、枢動点を中心としたレバーの枢動を生じさせる。レバーが枢動することにより密閉部分が動かされ、導管の反対側にある開口部との係合が外れる。密閉部分1050は、開口部1052を係合するボス又は隆起部を有してもよい。
【0566】
導管の押し潰し可能部分が押し潰されると、レバー1047が図25Bに示される位置に向かって動く。ひいてはガスが開口部1052から自由に流れ出ることができ、導管内の圧力が解放される。導管にマスク又は他の装置を加えることによってガスフローが完全に制限されてもよく、実質的に制限されてもよく、又は部分的に制限されてもよいことが理解されるであろう。これらの状況のいずれにおいても、レバー1047が動き、ガスが開口部1052から流れ出ることを可能にする。開口部から流れ出るガスの量は、導管内のガスの圧力、及びガスフローが完全に制限されるか、実質的に制限されるか、それとも部分的に制限されるかに依存し得る。一部の実施形態において、レバー1047は、開口部が閉鎖している閉鎖位置に向かって付勢される。開口部を開放するためには、この付勢に対抗してレバーを動かす力(例えばフェイスマスクシールを当てることによる)が必要である。図25A及び図25Bに示される機構の一つの利益は、チューブのうちマスクを患者に適用している人から離れる方に向く側でフローがベントされることである。一部の実施形態では、ガスフローを患者及び/又は介護者から離れる方向にベントし又は向けることが好ましい。
【0567】
代替的実施形態では、患者インタフェースの別の構成要素又は部分にレバーが提供される。例えば、カニューレがレバーを有してもよい。
【0568】
図26A及び図26Bは別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態では、導管が、導管の隣接部分1053に薄い接合部分又はウェブ1055によって接続されて位置決めされた可動部分1051を有する。この可動部分は1つ以上の開口部1057を有する。ディスク又はバルブ部材1059が導管上に延在し、それを密閉又は少なくとも実質的に密閉する。図26Aに示されるとおり、ディスク1059は導管のうち可動部分に隣接する部分に密接する。ディスク1059は、ディスクを導管の可動部分1051に接続するためのステム1052を有する。
【0569】
薄い接合部分又はウェブ1055は、導管内の圧力が閾値圧力に達するまでは圧力逃がし装置が閉鎖位置に留まるように作成される。導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、可動部分1051が飛び出して第2の構成になり、ここでは接合部分が上向きに撓み、フローを開口部1057からベントすることが可能になる。
【0570】
図27A図27Dは別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態では、圧力逃がし装置は、可撓性アーム1061であるバルブ部材と、導管に部分的又は完全に巻き付く本体部分1062とを含む。可撓性アームと本体部分とは、好ましくは単体部材として一体に形成される。導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、圧力が可撓性アーム1061を、図27Aに破線で示される上方に湾曲した位置に押し曲げる。ひいてはガスが開口部1063から自由に流れ出ることができ、導管内の圧力が解放される。一部の実施形態において、常時又は長時間のベントが所望された場合に、ベント開口部1063が覆われていない状態のままとなるように、使用者がアームを導管上で回転させ/位置決めし直すことができる。アームは、例えば、一片のシリコーン、ばね鋼、他の好適なプラスチック材料又は金属材料で作られていてもよい。
【0571】
図27E及び図27Fは別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態では、圧力逃がし装置は、導管1099の壁に提供された摺動部材1098を含む。部材1098は、図27Fに示されるとおりの、導管の壁にある開口部1097を空ける開放位置と、図27Eに示されるとおりの、開口部1097を覆う閉鎖位置との間を摺動可能である。使用者がマスクを第1の患者インタフェースと共に使用しようとするとき、使用者は部材1098を開放位置に摺動させて、マスクによって押し潰され得る導管から圧力をベントし得る。
【0572】
図27G及び図27Hは別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態では、圧力逃がし装置はスリーブ又はリング要素1095を含み、導管の壁上に提供される。部材1095は、図27Hに示されるとおりの、導管1094の壁にある開口部を空ける開放位置と、図27Eに示されるとおりの、開口部1096を覆う閉鎖位置との間を回転可能であり得る。或いは、スリーブ1095が摺動可能であって、開口部1096を空けたり覆ったりすることができてもよい。スリーブ又はリング要素1095は、導管1094の壁にある開口部1096と整列する開口部を有してもよく、又は図27Hに示されるとおり、導管1094の開口部1096をスリーブ1095の周方向端部の間に位置決めしてスリーブ1095を位置決めし得るように、導管1094の周りで部分的に延在してもよい。
【0573】
図27I及び図27Jは別の圧力逃がし装置を示す。この圧力逃がし装置はシリコーンバルブ部材1092を含む。システム内の過剰な圧力によってシリコーン部材1092のスリットが開放され、システム内の圧力が解放され得る。シリコーン部材は、スリットを含むダイヤフラムであってもよい。
【0574】
図28は別の圧力逃がし装置の断面を示す。この実施形態は、フィルタなどの比較的剛性の高い構成要素に位置決めされ得る。
【0575】
この実施形態において、圧力逃がし装置は、導管の開口部1067の上に延在してそれを閉鎖する可撓性部分又はバルブ部材1065を含む。この可撓性部分は、可撓性又は弾性材料、例えばシリコーンであるか、又はそれを含む。可撓性部分は図28に示される自然の位置を有し、当該の自然の位置に向かって付勢され得る。代替的実施形態において、可撓性部分は、図28に示される位置に戻るように例えばばねで付勢されている比較的剛性の高い部分に置き換えることができる。
【0576】
標準的な動作ガス圧下では、可撓性部分1065は開口部を被覆し、ガスが開口部を介して導管から流れ出るのを阻止し又は少なくとも実質的に抑制し得る。導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、可撓性部分が動いて開口部から離れ、ガスが開口部を通って流れることが可能となり、導管内の圧力が解放される。
【0577】
図28は、可撓性部材によって閉鎖される2つの開口部1067を示す。別の代替的実施形態では、1つ以上の開口部があってもよく、かかる開口部の各々が対応する可撓性部材によって閉鎖される。1つの可撓性部材が2つ以上の開口部を閉鎖してもよい。開口部は、周方向に延在するスロットとして形成されてもよい。
【0578】
図29は別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態は導管に位置決めされて示される。この実施形態は、開口部1071を閉鎖することにより開口部を流れるガスを阻止し又は少なくとも実質的に抑制するバルブ部材1069を有する。この圧力逃がし装置は、導管とバルブ部材1069との間に1対の脚1073を有する。これらの脚は、実線で示される位置に付勢されている。脚の形状及び組成は、バルブが開放する(破線で示される位置)閾値点に圧力が達するまでそれらがバルブ部材を閉鎖位置に保持するように選択及び設計されることになる。圧力が下がり、バルブ部材にかかる力が低下すると、バルブ部材は、実線で示される閉鎖位置に戻し得る。或いは、マスクが取り外されたときに、使用者がバルブを閉鎖位置に手で押し込んでもよい。
【0579】
図30A図30Bは別の圧力逃がし装置を示す。この実施形態はフィルタなどの比較的剛性の高い構成要素に位置決めされ得る。
【0580】
圧力逃がし装置のこの実施形態は、外向きに延在するフラップ1083を備えたバルブ部材1081を有する。これらのフラップが剛性構成要素の開口部1084を閉鎖する。バルブの中心は、ガスが導管へと流れ込むのに通り得る開口部1085を有する。導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、フラップが持ち上がる。フラップは好ましくは可撓性且つ弾性である。
【0581】
圧力逃がし装置のこの実施形態は、例えばフィルタ1087に位置決めすることができる。しかしながら、圧力逃がし装置のこの実施形態は剛性部分内のガス流路のどこにでも位置し得ることが理解されるであろう。
【0582】
図31は、フィルタの端部に位置する(しかしこれは必須ではない)圧力逃がし装置を示す。これはシステムのどこに位置決めされてもよい。
【0583】
圧力逃がし装置のこの実施形態は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する呼吸補助システムの構成要素と共に使用される。呼吸補助システムの構成要素は開口部を有する。この圧力逃がし装置は、ガス源から患者に加圧ガスを送達する導管と係合可能なバルブ本体1091を含む。バルブ本体は呼吸補助システムの構成要素内に位置し、開口部と密接係合可能な部分を有する。通常の使用時にはバルブ本体は、呼吸補助システムの構成要素の開口部を密閉する方に向かって付勢されており、ガス源からの実質的に全てのガスが導管を通過する。導管内のガスの圧力が閾値圧力に達すると、バルブ本体が呼吸補助システムの構成要素の開口部を空け、ガスが呼吸補助システムの構成要素内から大気へと流れ出ることのできる通路が提供される。この実施形態では、導管内のガスの圧力が閾値圧力に達するまで、ばね1089がバルブ本体1091を通常使用位置(閉鎖)位置に保持している。
【0584】
幾つもの上述の圧力逃がし装置が、導管の押し潰し可能部分と共に組み込まれ又はそれを含み若しくは提供し、導管の当該部分が外力の影響下で押し潰れることによって閉鎖又は非ベント構成と開放又はベント構成との間で作動する。外力は、フェイスマスクのシールが導管の押し潰し可能部分の上に置かれることによるか、又は使用者若しくは医療従事者が押し潰し可能部分を押圧することによりもたらされ得る。例えば図21B図22B及び図24A図25Bに関連して記載される例示的実施形態は、押し潰し可能部分にもたらされる外力によって作動する圧力逃がし装置である。かかる実施形態において、ベント装置は第2のインタフェースが装置の構成要素、例えば図25Aの実施形態ではレバー1050を押し付けることにより、ベント位置と非ベント位置との間で動作し得る。或いは使用者又は医療専門家が装置の構成要素を押圧することにより装置を動作させてもよい。
【0585】
幾つもの上述の圧力逃がし装置、例えば図23A図23G及び図26A図30の例示的実施形態が、システム圧力によって閉鎖又は非ベント構成とベント又は開放構成との間で作動する。これらの実施形態は、システム圧力が閾値を上回って上昇すると動作する。これらの装置は、圧力、例えば圧力逃がし装置のバルブ部材に作用する圧力を直接検知し得る。或いはこれらの装置は、システム内に位置するセンサから圧力指示を受け取る制御器によって動作されてもよく、検知された圧力が閾値に達すると、制御器がアクチュエータ(例えばソレノイド)を通電してバルブ部材を非ベント構成とベント構成との間で作動させる。或いは、使用者又は医療専門家が操作してバルブ部材を非ベント構成とベント構成との間で作動させることのできる機械的スイッチ又はアクチュエータが提供されてもよい。
【0586】
別の圧力逃がし装置が図32及び図34に関連して説明される。圧力逃がし装置89が図33及び図34に示され、及びこの圧力逃がし装置と共に使用するように適合された鼻カニューレ81が図32に示される。カニューレ81及び圧力逃がし装置は、呼吸補助システム、例えば図1のシステム100において一緒に用いられ得る。圧力逃がし装置89は、システム圧力、例えばカニューレ81を介して患者に送達される圧力を検知するように適合される。鼻カニューレ81は、患者の顔面上に動作位置で位置付け可能な本体部分83を有する。鼻カニューレ81はまた、本体部分83から延在する少なくとも1つの鼻プロング85も有し、鼻プロング85は、本体部分が動作位置にあるとき患者の鼻の鼻孔内にガスフローを誘導するように適合される。図示される実施形態において、鼻カニューレは2つのプロング85を有する。
【0587】
このシステムはまた、圧力検知又はサンプリングライン又は導管829も有する。例示される実施形態において、検知ライン829は、患者又は使用者の鼻の鼻孔又はその近傍に開口又は入口87を有して当該位置の圧力をサンプリング/検知し、しかしながらこの圧力検知ラインは、システム内の別の位置におけるシステム圧力を検知するために用いられてもよい。圧力逃がし装置89は機械的バルブである。例示される実施形態では、圧力逃がし装置はシャトル又はピストン813を含む。圧力逃がし装置89は、鼻プロング85から患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを選択的に制御する。圧力検知ラインの出口端821はピストン813に開放しているため、ピストン813は圧力検知ラインが検知する圧力を検知し、又はそれの作用を受ける(以下に更に詳細に記載する)。例示される実施形態において、ピストン813は圧力ライン829を介して鼻孔における圧力を検知する。かかる実施形態において、圧力逃がし装置は、患者における許容可能な最大圧力を超えないことを確実にする安全圧力制限装置として使用されてもよい。代替的実施形態では、圧力を計測することにより、第2の補助システムが患者に適用されているという指示を提供してもよい。例えば、フェイスマスクが患者に適用されてもよく、ここでフェイスマスクは導管831の一部分を閉塞し得る。フェイスマスクが適用され又は導管が閉塞されているとき、導管内のシステム圧力は上昇し得る。圧力センサがこの圧力を検知して、マスクが適用されているという指示を提供し得る。圧力の上昇により装置89が動作し、導管831内の圧力をベントし得る。鼻カニューレ81は、第2の呼吸補助システムを同時に使用し得るように構成される。例えば、先に図3に関連して説明したとおり、フェイスマスク(図35で破線及び参照符号8100によって指示されている)が患者の口、鼻及びカニューレ81を覆って置かれてもよい。
【0588】
図32図34の図示される例において、圧力ライン829及びバルブ89は、患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力が所定の値を上回るとき、ピストンに作用する圧力がバルブ89を閉鎖構成又は部分的閉鎖構成に動かして、鼻プロング85から患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを制限するように配設される。患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力が所定の値を下回るとき、バルブ89は開放構成になり、鼻プロング85から患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローが許容される。
【0589】
流速は、システム圧力が所定の値を超えないように制御され得る。所定の値は以下であってもよい:
・初期値
・使用者が設定する「安全」値、
・カニューレ上にフェイスマスクが置かれる前にカニューレフローによって維持されている圧力、又は
・流速に関係するもの、即ち、許容可能な圧力=A×流速^B+C×流速^B-1…(式中、A、B、C等は定数である)。
【0590】
所定の値は固定値又は可変値であってもよい。値が可変である場合、それは使用者、制御器のいずれか又は両方によって調整され得る。
【0591】
図33及び図34に関連して、バルブ89はハウジング811とバルブ部材又はピストン813と圧縮ばね815と回転可能なノブ817とを有する。図33及び図34においてノブの回転が矢印で指示される。
【0592】
ハウジング811は、フロー源入口819と計測後圧力入口821とフロー源出口823と過流出口825とを有する。フロー源入口はフロー源からフロー源導管827を介してフロー(例えば図1のフロージェネレータ102からのハイフロー)を受け取る。計測後圧力入口821は、導管829の検知端87で検知された圧力に応じた圧力を受け取る。フロー源出口823は、カニューレ導管831を介して患者にガスを送達する。例示される実施形態において、カニューレ導管831及び計測後圧力導管829はカニューレ81と圧力逃がし装置89との間に延在する。図示される実施形態において、これらの2つの導管829、831は互いに整列している。
【0593】
ばね815がバルブ部材813を図33に示される位置に向かって付勢し、ばね力に対する患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力の力が、フロー源からのフローを患者に送達するか否かを制御する。図33に関連して、患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力がばね815によってもたらされる対抗する圧力よりも小さい場合、バルブ部材813はばねによって開放位置に向かって押され、ガスフローがフロー源から患者に送達される。図34に関連して、患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力がばね力815による対抗する圧力(及び装置内の摩擦)よりも大きい場合、バルブ部材813は圧力ライン829が検知したフロー圧力によって閉鎖位置に押され、患者にガスフローは送達されない。図示される実施形態において、フロー源からのフローは過流出口825からベントされる。
【0594】
ばね815の張力は固定ばね張力であってもよく、又は図33に示されるとおり可変ばね張力であってもよい。可変ばね張力の例は、可変終末呼気陽圧(PEEP)バルブである。ノブ817を回転させることにより、計測された患者圧力の力に対するばね815の対抗する力をプリロードの調整によって制御することが可能である。調整はリニアアクチュエータなどの他の方法によって実現することもできる。
【0595】
このシステムはオン/オフ方式で動作し得る。即ち、バルブ89は、ガスが妨げられることなくバルブを通って流れる開放位置と、ガスがバルブを通って流れることが阻止される閉鎖位置とを有し得る。代替的実施形態において、このシステムは、フローが部分的に制限される1つ以上の中間位置を備えるバルブ部材を有し得る。この1つ以上の中間位置はフローの可変制御をもたらす。フローがベントされるとき、例えば:ベントにおける制限オリフィスによって、ベントを使用者に知らせる可聴雑音が生成され得る。
【0596】
代替的実施形態において、このシステムは、フローが部分的にベントされる1つ以上の中間位置を備えるバルブ部材を有し得る。この1つ以上の中間位置はフローの可変制御をもたらす。
【0597】
代替的実施形態において、圧力逃がしはまた、電子的スイッチングによって制御されてもよく、ここでは患者へのガスフローを制御するバルブを電気信号が制御する。
【0598】
図35に関連して、圧力逃がしは、ソフトウェアを有するプロセッサによって制御されてもよい。以下で説明がない限り、図35に示す第2の実施形態の特徴及び動作は、図32図34に関連して説明されるものと同じである。この実施形態では、システムは少なくとも1つのプロセッサとユーザインタフェース833とを更に含む。ユーザインタフェース833を介して所定の値が使用者によって設定され、及び/又は使用者に表示される。例えば使用者によって最大圧力(Pターゲット)が設定される。それに加えて又は代えて、このシステムは初期値を有し得る。典型的な初期値は20~40cm H2O、又は一部の構成では約0cm H2Oであってもよい。
【0599】
圧力センサ835は患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力、又はシステム内の何らかのポイントの圧力を検出し、圧力を示すデータを制御器に送信する。計測された圧力を示すデータは制御器によって所定の値、例えば最大圧力(Pターゲット)を示すデータと比較される。鼻カニューレを介して患者に送達されるフロー(Q)がそれに応じて調整され、Pターゲットを超えないことが確実にされる。詳細には、プロセッサは、バルブ(例えば圧力解放弁89)又はフロージェネレータを制御して、患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力が所定の値を上回ったときに鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを制限し、且つ患者の鼻の鼻孔又はその近傍における圧力が所定の値を下回ったときに鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを許容するように適合される。
【0600】
代替的実施形態では、制御器が、間に既知の障害物(即ちオリフィスプレート)を備える2つの圧力センサを有し得る。これらの2つの圧力センサの圧力差を用いて流速を決定することができる。システムはこの流速を用いることにより、圧力が所与の流速に対する許容可能なP最大値を超えない限りこの流速が実現するように制御し得る。これはソフトウェア内の数学的方程式、階段関数又はルックアップテーブルによって記述され得る。
【0601】
バルブ89が閉鎖し、フローがないことを制御器が把握しているとき、圧力センサドリフトを考慮し、それに応じて流量センサのオフセットを調整するため、キャリブレーションが行われ得る。かかるキャリブレーションルーチンは、本明細書に記載される任意の電気制御式圧力逃がし装置について実施され得る。バルブ89が制御器によって制御される場合、バルブ部材813は、サンプリングされたシステム圧力を検知するピストンではなくてもよい。バルブ部材の位置は、センサ835が計測した圧力に応答して制御器により制御されるアクチュエータ(例えばソレノイド)によって作動する。
【0602】
圧力センサ835は種々の異なる位置にあってもよい。例えば、圧力センサ835は、鼻カニューレ又はその近傍に、又はフェイスマスクによって覆われ得る範囲の内側に位置してもよい。一部の構成では、圧力センサ835は、少なくとも1つの鼻プロング85又はその近傍に位置する。例えば鼻プロング上、図35に示されるとおり患者の鼻孔の内側、又は患者インタフェース上。一部の構成では、圧力センサは、鼻カニューレにガスを送達するように適合された導管上に位置する。一部の構成では、圧力センサはフロージェネレータ又は圧力逃がし装置又はその近傍に位置する。一部の構成では、圧力センサは加湿チャンバ、ドライライン(フロージェネレータから加湿器までの導管)又はガスチューブ上に位置する。一部の構成では、圧力センサ835又は圧力ライン829は遠隔に装着され、それらの位置のいずれかから導管を介して圧力が接続される。
【0603】
記載されるシステムは、鼻カニューレ81、患者の鼻、及び/又は患者の口を覆って置かれるフェイスマスク8100(例えば麻酔マスク)を含み得る。マスク8100は、鼻カニューレ81を通じて使用者が受け取るフロー(例えばハイフロー療法)に加え、ガスフロー又は加圧ガスを送達する。従って、患者の気道に送達される圧力が許容可能な圧力を超え得る。これは、密閉型マスクが使用されているときに起こり得る。従って圧力逃がし特徴又はフローの減少を用いて許容可能な圧力の超過を防止し得る。
【0604】
圧力逃がし装置は、患者に送達されるフロー/圧力を制限するようにシステム内に位置決めされたフロー制御器であってもよい。フロー制御器は、圧力センサからの入力又は圧力サンプリングラインを通じて提供/検知されるシステム内の圧力に基づき動作可能であり得る。一部の構成では、フロー制御器はハイフロー療法装置のフローを制御する。或いは、フロー制御器は第2のガス源又はフロージェネレータを制御する。例えば、フロー制御器はフェイスマスクのガスフローを制御し得る。更なる代替例では、フロー制御器はハイフロー療法装置及び第2のガス源又はフロージェネレータのガスフローを制御する。
【0605】
マスクフロー源(図示せず)は、それ自体の可変圧力逃がし弁(図示せず)によって制御され得る。使用者が設定することのできるカニューレ上の独立した圧力逃がしは、使用者が各フロー源からの圧力送達の制御をより多く有することを意味する。
【0606】
本明細書に記載される具体的な圧力逃がし装置の実施形態は、患者に送達される圧力の大きさを抑えることを目的としている。詳細には、記載される具体的な実施形態は、鼻カニューレと麻酔マスクなど、複数の呼吸補助システムが同時に使用されることを伴う状況で使用することができる。
【0607】
本明細書に記載される具体的な実施形態はまた、他の呼吸補助システムなしに使用することもでき、即ち、鼻カニューレが、患者において使用される唯一の呼吸補助システムであってもよい。記載される実施形態は、ハイフロー源から送達される圧力の大きさを抑え得る。
【0608】
ここで患者に呼吸補助を提供する方法を説明する。図35に示されるとおり、鼻カニューレ81が患者の顔面上に動作位置で置かれる。ガスフローが鼻プロング85を介して患者の鼻の鼻孔に送り込まれる。システム内の何らかのポイントで、例えば患者の鼻の鼻孔又はその近傍にあるセンサによるか、又は圧力逃がし弁のバルブ部材によって(例えば圧力ライン829を介して)圧力が計測又は検知される。圧力が所定の値を上回る場合、鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローが制限される。流速が低減されてもよく、又は流れが阻止されてもよい。
【0609】
フローは、圧力の変化(上昇)が検知されると制限され得る。或いは、マスクが患者上に置かれたときにフェイスマスク8100によって被覆されるが、しかし患者の鼻孔内部にはないようにカニューレの外側にセンサが位置決めされる場合、計測された圧力がゼロを超えたときにフローが制限され得る。或いは、センサ/圧力ラインを使用してシステム内部の圧力が検知される場合(システム圧力は、カニューレ上にマスクを適用することにより、マスクがシステムに背圧を引き起こすことで影響を受け得る)、特定の流速に関して決定された所定の閾値圧力をその圧力が超えたときにフローが制限され得る。記載される最後の2つの代替例では、マスク8100が適用されていることを前提としている。
【0610】
圧力が所定の値未満である場合、鼻プロングから患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローが許容される。
【0611】
患者の鼻の鼻孔内に入るガスフローを制御/制限すると、ガス源からの過剰な/望ましくないガスフローが生じ得る。この過剰な/望ましくないガスフローは種々の方法で対処することができる。例えば、それをマスク/鼻カニューレの範囲外にベントしてもよい。或いは、過剰な/望ましくないハイフローガスをフロー源に送り戻してもよい。他の実施形態において、フローを遮断することによりフロー源を止めることができる場合には過剰な/望ましくないハイフローガスをベントする必要はないこともあり、又はブロワなどのフロージェネレータからの供給源の場合、その供給源をオフにしてもよい。代替的実施形態では、患者への全流量が圧力逃がし装置によって制御/制限されてもよい。センサがフローを計測してもよく、流量限界に応じてベントが行われる。
【0612】
図36は、閉鎖状態にある圧力逃がし装置8000の別の実施形態を示す。図37は、開放状態にある同じ圧力逃がし装置8000を示す。この装置はバルブ部材8001を含む。バルブ部材8001は、導管8003の側壁にある開口部8002を覆って密閉する。呼吸導管8003の圧力が所定の圧力を超えると、バルブ部材8001が動いて開口部8002から離れ、図37に示されるとおり開口部8002を介したベントが可能になる。圧力解放装置8000はまた、付勢部材8004(例えばばね)も含むことができ、開口部8002を密閉する閉鎖位置へとバルブ部材8001を付勢し得る。呼吸導管の圧力が所定の圧力を超えると、バルブ部材8001が開口部8002から離れるように付勢部材8004に対抗して動く。圧力解放装置8000は、好ましくはキャップ又はハウジング8005を含み、導管8003の外側にバルブ部材8001を収容する。キャップ又はハウジング8005により、バルブが不注意に遮断されるのを避けることができる。
【0613】
図38A及び図38Bは、主バルブ8011と、主バルブ8011の動作を制御するパイロットバルブ8012とを含む圧力逃がし装置8010を示す。導管8013内の圧力(Pc)が所定の値未満になると、パイロットバルブ8012が閉じる。パイロットバルブ8012が閉じると、Pcが主バルブ8011のピストン8014の両側にかかる。ピストン8014は第1の面積(A)を有する第1のサイドと、第1の面積(A)よりも小さい第2の面積(a)を有する第2のサイドとを有する。パイロットバルブ8012が閉じると圧力Pcは位置8014の第1のサイドに直接作用し、且つ圧力PCはパイロットバルブ8012を介してピストン8014の第2のサイドに作用する。ピストン8014の第1のサイドの面積の方が大きいため、ピストン8014のこのサイドに一層大きい力がかかり、ピストン8014が閉鎖位置に保持される。圧力Pcが所定の値よりも高くなると、パイロットバルブ8012が開き、図38Bに示されるとおり導管8013からのフローがベントされる。このためピストン8014の第2のサイドに対する圧力がピストン8014の第1のサイドに対する圧力よりも小さくなり、その場合ピストンが閉鎖位置から開放位置に動く。これにより、導管8013からのガスを圧力逃がし装置8010の主バルブ8011の主排気ポート8015からベントすることが可能になる。
【0614】
図39は、圧力Pcが所定の値を上回った場合にフローを止めるバルブ8020を示す。圧力はバルブ8020に局所的なものであってもよく、又はシステム内の別の場所で圧力ライン8025、又は図32に関連して説明した同様の圧力ライン829を介してバルブ8020によって検知されるものであってもよい。圧力によってもたらされる力がばね反力未満のとき、プラグ8021は後退位置に着座し、ガスが導管を下って流れ得る。図40は、導管8023に延在してそれを遮断しているプラグ8021を示す。これは、圧力Pcによってもたらされる力がばね反力を上回るときに起こる。プラグ8021は圧力が低下するまでシステムを通じたフローを阻止し、圧力が低下した場合にプラグ8021が後退し、ガスが再び流れ始める。フローが遮断されたとき、フローは本明細書に記載される圧力逃がし装置のいずれか一つによって更に上流でベントされてもよく、又は制御器がフローを停止させてもよい。
【0615】
図41A及び図41Bは圧力逃がし弁8030の別の実施形態を示す。図41Aは、その閉鎖状態にある装置を示す。図41Bは、その開放状態にある同じ装置を示す。呼吸導管8034の圧力が所定の圧力を超えると、プランジャ8031がばねによってもたらされる反力に対抗して上方に動き、呼吸導管8034を下って進むガスがベントされる経路を提供する。
【0616】
いずれの実施形態においても、ばねは必ずしも図示されるとおりのコイルばねの形態をとらなくてもよい。代わりにばねは、限定はされないが、板ばね、ダイヤフラムばね、又はコンプライアンス材料であってもよい。
【0617】
上述の圧力逃がし装置のいずれも、システム内でフロー源とカニューレとの間のどこに位置してもよい。好ましくは圧力逃がし装置は、加湿器の制御器が加湿チャンバ内でのフローの大きい変化に対処する必要がないように、加湿チャンバの下流に位置する。圧力逃がし装置の好適な位置の例としては、フィルタ、加湿チャンバ出口における位置、回路コネクタ内の位置、又はフロー源のアタッチメントとしての位置が挙げられる。圧力逃がし装置はカニューレにあってもよく、又はカニューレの近傍にあってもよい。一部の実施形態では、患者インタフェース又はその近傍に圧力逃がし装置を有することが好ましいこともある。圧力逃がし装置を患者インタフェース又はその近傍に有すると、システムが圧力逃がし装置を更に上流に且つシステム内部に有するのと比べて、患者に送達される圧力をより正確に推定し得る点で有益である。
【0618】
一部の実施形態において、導管の押し潰し可能部分上にマスクを適用する前に圧力解放装置を介して導管をベントすると、マスクを適用したときに導管を押し潰し易くなり得る。
【0619】
患者にガスフローを提供する加圧された導管は、あるレベルのヒステリシスを含み得る。導管のヒステリシスに起因して、圧力逃がし装置が閉鎖する圧力よりも高い圧力で圧力逃がし装置が開放し得る。この特徴により、圧力逃がし装置が開放構成と閉鎖構成との間を絶えずゆらいで動くのを阻止し又は少なくとも実質的に抑制し得る。
【0620】
先述したとおり、例えば図3に関連して記載したように、複数の供給源からの少なくとも2つの異なる呼吸補助モードによるガスの送達を可能にし、更に、医師、臨床医又は医療専門家による呼吸補助モードのタイプの迅速且つ容易な変更を可能にする呼吸システムが提供され得る。システムの種々の機能性及び実施形態の更なる概要を以下に提供し、かかる実施形態の利益を概説する。
【0621】
以下の実施形態は、上記に記載した呼吸療法システム又は任意の他の好適な呼吸療法システムで使用することができ、ハイフロー動作を実現する一方で、呼吸補助モード間の切り換え及び/又は他の機能若しくは利益を容易に実現し得る。これらの実施形態は、本明細書に記載されるとおり患者にガスを高流量で送達するように構成され得る。
【0622】
機能1-療法モード間の切り換え
以下の切り換え構成により、以下の1つ以上を行う能力を伴う、第1の患者インタフェースを介したハイフロー動作が可能となる:
・正確な濃度の揮発性薬剤を第2の患者インタフェースを使用して、可能な最小量の薬剤を用いて麻酔器によって送達する
・第2の患者インタフェースによって必要が生じたとき、患者にバッグを用いて用手呼吸を送達する
・第1の患者インタフェース及び第2の患者インタフェースによって提供される呼吸補助間を迅速且つ容易に切り換える
・バッグ及びマスク(第2の患者インタフェース)による気道開存性を確認する
・必要に応じて臨床医がバッグを用いた用手換気の制御を取り戻すことができる。
【0623】
現在のところ、ハイフローの使用を麻酔実践に統合する容易な方法はない。ハイフローを完全に別個のシステム/フロー源に分けて流すことは可能であり得るが、ハイフローによる呼吸補助と麻酔器による呼吸補助との間の相互切り替えが容易に可能な構成を有するならば望ましいであろう。また、ハイフローを迅速且つ容易にオフにし又は減少させることが可能であれば、それも望ましいであろう。
【0624】
現在の実践では、使用者はハイフローを壁のガス供給部に取り付けられた別個の流量計に分けて流し得る。麻酔実践においてハイフローの使用に関する麻酔器との統合及び特殊設計はない。
【0625】
一部の実施形態において、切り換え構成(切り換え構成1)は、患者にハイフローガスを送達するための呼吸療法システムにおいて使用者がガスフローを制御することを可能にするユーザインタフェース装置を含み、このユーザインタフェース装置は、
患者インタフェースを通る少なくとも1つのガスの流速及び/又は濃度を制御するための、及び流速を実質的に遮断し若しくは減少させ又は患者インタフェースを通る少なくとも1つのガスのフローをオフにするための、使用者によって作動可能な少なくとも1つの制御器又は装置、を含む。
【0626】
ガスはハイフローガスであってもよい。別の前記ガスは麻酔ガス又は補助ガス又は任意の他の好適なガスであってもよい。
【0627】
患者インタフェースは鼻カニューレであってもよい。使用者が作動させる制御器はスイッチを含み得る。一部の実施形態において、このスイッチは患者インタフェース上に位置決めされる。或いは患者インタフェースは別の非密閉型患者インタフェースであってもよい。更なる代替的な構成では、複数の患者インタフェースの併用、例えば非密閉型インタフェースの密閉型インタフェースとの併用、又は2つの密閉型インタフェースが用いられ得る。
【0628】
一部の構成では、ユーザインタフェース装置は、患者インタフェースから遠隔にある別個の装置である。この構成が図42Aに示される。使用者により、ユーザインタフェース装置2500を介してガス流速がプリセットされる。患者に患者インタフェース(例えば図3の200、300)を載せる前に、使用者は、ロータメータ(例えば:40LPM又は70LPMに設定される)に連結され得る使用者によって作動可能な第1の制御器を使用して所望の酸素及び/又は空気流速を設定する。第2の使用者によって作動可能な制御器が、使用者によって作動可能なスイッチ2502を含み、これが1つ又は複数のフロー源2102に対するバルブを制御する。スイッチはトグルスイッチとして図示されるが、任意の好適な形態であってよい。好ましい実施形態において、スイッチは2つの状態を含み、「ワンタッチ」スイッチ、又は他のオン/オフボタン又はレバーであってもよい。スイッチは、フローを徐々に増やしたり減らしたりする時間がかかり得る先行技術の手法よりむしろ、流速をオン/オフにするための、又は流速をプリセット値に急速に増加させるための迅速な方法を提供する。
【0629】
スイッチ2502をオンにするとバルブが開放し、ガス(好ましくは酸素)がプリセットした流速で例えばカニューレ2200を介して患者に送達されることが可能になる。ユーザインタフェース装置2500は、患者にガスを送達するために使用される患者インタフェースに流体接続するためのガス接続2503を有する。スイッチ2502をオフにするとバルブが閉鎖され、患者へのフローが遮断され、又は少なくとも患者への流速が低下する。一つの代替例では、1つの患者インタフェース(例えばハイフローインタフェース)へのフローのみが遮断され又は減少し得る。別の代替例では、2つ以上の患者インタフェースへのフローが遮断され又は減少し得る。バルブは、使用者が麻酔器からの患者の呼吸補助の提供を開始しようと決めたときにオフにされ得る。使用者によって作動可能な制御器2504、2506により、使用者はガス、例えば空気と酸素とをブレンドすることが可能であり、及び/又はそれらの2つのガスのフローを独立して設定することが可能である。或いは、1種類のガス、例えば酸素のみが提供されてもよい。ユーザインタフェース装置は、使用者によって作動可能な制御器をより多く含んでもよく、3種以上のガスを所望の比率でブレンドすることが可能となり得る。或いは、使用者が作動させる制御器2502、2504、2506のうちの2つ以上の機能を組み合わせてもよい。例えば、使用者がガスをブレンドし、且つ患者へのフローを遮断し又は減少させることを可能にするタッチスクリーンなどの単一のユーザインタフェースが提供されてもよい。
【0630】
オン/オフスイッチ2502はまた、湿度発生器2104へのパワーも制御し得る。例えば、チューブ内の電気的エネルギーによって湿度を発生させる場合、電気的接続2508を使用してチューブが通電され得る。スイッチ2502がオフになると、これはまた電気的接続への、ひいてはチューブへのパワーも切断し得る。このようにして湿度及びフローを同時にオン/オフにし得る。
【0631】
スイッチを「オフ」モードに切り換えたとき、完全に「オフ」になるのでなく、代わりにフローは例えば5LPMに減少させることもできる。これは、最小限の「バックアップ」フローとして有益であり得る。例えば、臨床医が患者の抜管直後にハイフローをオンに戻すのを忘れた場合にも、低流速が少なくとも患者の幾らかの酸素化を提供し得る。最小フローは、患者の吸気要求量(例えば:30LPM)を満たすと見込まれる値にプリセットされ得る。最大フローは70LPM以上、例えば100LPM又は150LPMであってもよい。複数のプリセット値、例えば3つ以上のプリセット値、例えば0、30及び70lpmがあってもよい。これらは、異なるプリセット値に対応する3つ以上の位置を備えるスイッチ又はメカニズムで作動させることができ得る。
【0632】
或いは、スイッチ2502’は、図43A図43Cに示されるとおり、アクセスを容易にするためカニューレ2200上にあってもよい。この場合スイッチ2502’は、オン/開放構成のとき(図43B)フローをインタフェースに通過させるか、又はオフ/閉鎖構成のとき(図43C)カニューレへのフローを遮断するかのいずれかのメカニズムであり得る。換言すれば、スイッチ2502’はバルブである;用語のスイッチ及びバルブは、文脈上特に示唆がない限り、バルブを指して同義的に用いられ得る。様々なバルブ機構を、例えば図21A図22Bに関連して上記に記載している。遮断時、送達されるフローは図43Cに示されるとおりガス導管2512に沿って圧力逃がし弁2510からベントされるか、又はガス供給部にベントし戻されてもよく、又はバルブがベント機構を有してもよい。
【0633】
この構成は、作動時にガス導管を通じる流路又は鼻カニューレなどの患者インタフェースを通るガスフローの制限、閉塞又は完全な障害(即ち閉鎖又は遮断)を可能にする機械式スイッチ又はバルブ2502’として提供されてもよい。
【0634】
スイッチ2502’の作動は使用者が手動で行うことができ、或いはスイッチは、第2の患者インタフェースをスイッチ上に置くことによって(即ちマスクなどの患者インタフェースが患者上に置かれることに伴い、又は患者上に置かれている患者インタフェースが、図21A図22Bに関連して先述したとおり鼻カニューレ又は導管などの第1の患者インタフェースの一部として提供され得るスイッチ2502’に接触したとき)作動されてもよい。
【0635】
スイッチ2502’はガス流路を部分的又は完全に遮断して、導管又は患者インタフェース(鼻カニューレなど)を通じるガス流路を通るガスフローを部分的又は全体的に阻止し得る。このように、導管の終端又は第1の患者インタフェースの出口へのガスフローを停止させることができる。スイッチ2502’は導管又は患者インタフェースの一部又は構成要素として提供されてもよい。
【0636】
一部の構成では、スイッチを含む導管又は患者インタフェースは、スイッチの作動及び導管からの出口又は患者インタフェースの1つ又は複数の出口へのガスフローが部分的又は完全に停止又は阻止されることに起因する圧力蓄積を解放するベント又は圧力逃がし装置を備え得る。
【0637】
一部の構成では、スイッチは作動時に導管又は患者インタフェースを通じるガス流路を部分的に遮断するものであってもよく、又は流路を完全に遮断するものであってもよい。スイッチは様々な有用な位置、例えば使用者の足で動作させるためフットペダルに位置し、又はそこに位置決めされてもよく、又はベッド、麻酔フェイスマスク、柱、麻酔医の衣類等に取り付けることのできるリモートスイッチであってもよい。
【0638】
スイッチ2502’は、特に、自己支持性チューブ(即ちこのチューブは自然に押し潰れるチューブ又は押し潰し可能なチューブではない)と併せて使用するために提供され得る。
【0639】
或いは、スイッチ2502’の構成は押し潰れるチューブ2202(図42B、又は本明細書に記載される任意の他の押し潰れる導管の実施形態に係る)と併せて使用され、カニューレにハイフローガスを供給し得る。チューブは、押し潰れて、マスクがチューブ上で密閉することを可能にするように構成される。一例において、チューブは、先述したとおり、チューブ上にマスクを加えることにより押し潰し得る。或いは、チューブは、任意の好適なメカニズム、例えば物理的構造によるか、又はチューブを介して送達されるフロー及び/又は圧力を変化させ又は制御することにより押し潰し得る。かかる実施形態において、押し潰されたチューブはチューブを完全には閉塞せず、スイッチ又はバルブ2502’がチューブを閉塞し得る。
【0640】
切り換え構成1を押し潰し可能なチューブと併用する利点としては、以下の1つ以上が挙げられる:
・カニューレを抜去する必要がない-マスクによってカニューレの上から顔面を密閉して患者をバギングすることが可能である。
・フローが既に停止しているため、カニューレを通るフローの抑制が、押し潰し可能なチューブに対するマスクシールの圧力に依存しない。また、チューブ内に蓄積したガスフローの力に対抗してマスクを押し付ける必要もない。
・臨床医が既存のバッグ/マスク消耗品を使用することができる。
・ハイフローを(ベントするのでなく)ガス供給源にあるスイッチによって停止又は減少させることができ、これは酸素供給を保つ助けとなり得る。
【0641】
一実施形態において、ガスフローの送達時にはカニューレチューブ2202の少なくとも1つのセクションが開存している(開放して妨害されていない)のみである。ハイフローガス源(例えば図1の供給源124)をオフにした場合、又はフローが著しく減少した場合、チューブは押し潰れ易くなる。使用者がマスク換気の使用を望むため、ハイフローがオフにされ/減少し得る。一部の実施形態において、チューブを押し潰すことにより、マスクで顔面をより効果的に密閉することが可能となり得る。
【0642】
チューブ2202の壁厚さは、図42Bに図示し且つ先述した押し潰し可能部分で低下していてもよく、それにより構造的剛性を低下させて押し潰しを可能にすることができ、又は他の特徴を利用してチューブ又はルーメンの縮径、閉鎖又は遮断を可能にしてもよい。
【0643】
一部の実施形態において、切り換え構成(切り換え構成2)は、
患者にハイフローガスを送達するためのカニューレ;
患者にガスを送達するためのマスク;
及びカニューレと連係する圧力センサ、を含む呼吸療法システムを含み、
このシステムは、センサによって検知される少なくとも1つのタイプの圧力変化に応答してカニューレを通るハイフローガスのフローを調整するように構成される。
【0644】
圧力センサは、カニューレの外表面又はカニューレと流体連通しているチューブの外表面に提供され得る。
【0645】
本システムは、圧力センサが圧力上昇を検出したときにハイフローガスのフローを減少させ又は実質的に停止させるように構成され得る。圧力センサは、患者にマスクが置かれたこと、患者の呼気、又は麻酔バッグの作動に応答した圧力上昇を検出するように構成され得る。
【0646】
本システムは、検出された圧力上昇に応答してカニューレを通る高流速ガスのフローを部分的に又は実質的に遮断するバルブを更に含み得る。
【0647】
図44Aに示すとおり、ハイフローガスはカニューレ2200を通じて補助ガス供給部から;例えば流量計2124を介して供給される。マスク2300への換気は好適なルーメン又はチューブ2306を介して麻酔器2404及びバッグ2406によって供給される。チューブ2200/カニューレ2200インタフェースの外表面に圧力センサ2238が提供され、システムの圧力P1を計測する。ハイフローの送達時、圧力センサ2238は通常P1=0と読み、ここでP1=0は周囲圧力である。カニューレ2200の上にマスク2300が適用されると(臨床医を患者のバッグ-マスク換気しようとするときなど)、圧力P1は僅かに増加して、周囲圧力を上回るようになる。この圧力の変化がハイフローガス源に空気圧で又は電気的に伝達し戻され得る。ひいてはそれに応答してプロセッサによりハイフローが調整され、例えばオフにされるか又は低減される。
【0648】
圧力が空気圧で伝達される場合、図44Cに示されるとおり、圧力変化によってバルブ2240が作動し、フロー源を遮断し得る。P1=0のとき、図44Bに示されるとおりバルブ2240は開放しており、カニューレ2200へのハイフローガスが許容される。圧力P1が>0に上昇すると、これによってプランジャ2242が流路内に押下され、ハイフローガスが遮断又は部分的に遮断される。フローの遮断により、ハイフローガス導管2202のベント2250が開放されて過剰なフローを逃がすことが可能となり、又はガスフローを提供するフロー源がオフになり得る。バッグ2406が圧迫されて、更なるフローがマスク2300に押し込まれると、また呼気中にも(ここではバッグは圧迫されないが、患者の呼気がマスク内に捕捉され得る)、圧力P1は更に上昇し得る。
【0649】
図44Dは、図44Aの構成によってもたらされる可能なフローパターンを示す。初めにハイフロー/カニューレフロー2426が送達され、P1における圧力=0である。マスク2300が適用され(「マスクオン」)、P1における圧力が上昇し、カニューレ2200のフローが(図44Dの2425で)停止される。使用者が麻酔バッグ2406の圧迫を(図44Dの2426で)開始すると、吸息時にP1の更なる上昇が引き起こされる。マスク2300の圧力上昇がAPL(可変圧力制限)バルブの設定を超えた場合、これにより麻酔器2410上のAPLバルブがベントし、圧力がプラトーになる。使用者がバッグ2406の圧迫を停止すると、P1は初めは患者が受動的に呼息し始める(図44Dの2427で)ことに伴い上昇し、次に患者が呼気の終わりに達することに伴い低下する。
【0650】
或いは、ハイフロー/カニューレフローは「マスクオン」時に減少してもよく、この減少はP1で計測される圧力に応じて変わり得る。例えば、P1で計測される圧力が高いほど、送達フローを大きく減少させることになり得る一方、P1で計測される圧力が低いほど、送達フローの減少は小さくなり得る。
【0651】
圧力変化が代わりに電気的にハイフローガス供給部2102に伝達し戻される場合、これは、比較的低い抵抗のオリフィスを通じてフローを分流させることが可能なバルブの作動、流量制限器又はベントの開放によって流速を遮断し又は減少させ得る。或いは圧力は、例えば圧力センサ2238を終端とする圧力ラインを介して空気圧で伝達されてもよく、しかしフローの低減/遮断の作動は制御器2108又は別のプロセッサによってソフトウェアで実施される。
【0652】
ハイフローガスを一部のみ流量制限することを確実にするため、流量制限器バルブ2240のばね力は、最大40cmH2Oの圧力を受けても圧縮しないように設計され得る。APLバルブは40cmH2O未満に設定される可能性が高い。従って、APLバルブ2410がマスク2300で計測された40cmH2Oを上回る任意の追加の圧力をベントすることになり、ばねは>40cmH2Oを決して受けないことになる。これにより、ハイフローガス供給バルブが開放したままであり、常に幾らかのハイフローが許容されて患者に流れることが確実となる。或いはバルブ2240に比較的軽量のばねを使用して、ハイフローガスを完全に遮断するのに小さい圧力しか要求されないようにしてもよい(例えば:1~2cmH2O、これは、マスク2300をカニューレ上に被せる動作によるだけでかかり得る)。
【0653】
切り換え構成2の利点としては、以下の1つ以上が挙げられる:
・臨床医が既存のバッグ/マスク消耗品を使用することができる。
・カニューレを抜去する必要がない-マスクによってカニューレの上から顔面を密閉して患者をバギングすることが可能である。
・ハイフローがシステムによって自動的に停止される-使用者がハイフローを手動でオン/オフする必要がない。
・ハイフローを(ベントするのでなく)システムによって停止又は減少させることができ、これは酸素供給を保つ助けとなり得る。
・使用者がいつでもハイフロー送達又は圧力の「最小」レベルを設定することが可能になる。
・ハイフローを遮断し/減少させるのにマスクがカニューレへの導管を完全に密閉する必要がない。チューブを完全に押し潰すよりも容易であり得る。
・ハイフローが完全に遮断された場合にも、マスクフローがハイフローガス源からの背圧に打ち勝つ必要がない。
・圧力計測が非常に高感度であり得る-使用者がマスクで良好な密閉を作り出せるかに依存しない。
【0654】
一部の実施形態において、切り換え構成(切り換え構成3)は、
カニューレを通じて患者にハイフローガスを送達するためのカニューレ回路;
使用者がバッグを作動させることにより患者にガスを用手的に送達することを可能にするバッグ回路;
及びバッグ回路をカニューレ回路に接続するコネクタであって、ハイフローガスがバッグ回路に進入するのを実質的に阻止する隔離体を含むコネクタ、を含む呼吸療法システムを含む。
【0655】
コネクタは、ハイフローガス及びバッグ回路からのガスの両方がカニューレを通じて患者に送達されることを可能にするように構成され得る。或いは、コネクタは、バッグ回路がカニューレ回路に接続されているときハイフローガスがカニューレに送達されるのを実質的に阻止するように構成され得る。
【0656】
隔離体は、コネクタにおける1つ以上の壁又はバルブを含み得る。
【0657】
カニューレは、患者の鼻孔に受け入れられる少なくとも1つのプロングを有する鼻カニューレであってもよく、カニューレは、患者の1つ又は複数の鼻孔にシールを作り出す助けとなる、1つ又は複数のプロングと連係する1つ又は複数の可膨張性カフを含む。
【0658】
本システムは、バッグの作動に応答して1つ又は複数のカフを膨張させるように構成され得る。
【0659】
この構成は、それに加えて又は代えて、患者にガスを送達するための鼻カニューレを含み、このカニューレは、患者の鼻孔に受け入れられる少なくとも1つのプロングを含み、カニューレは、患者の1つ又は複数の鼻孔にシールを作り出す助けとなる、1つ又は複数のプロングと連係する1つ又は複数の可膨張性カフを含む。
【0660】
図45Aを参照のこと。例えば前酸素化相において補助ガス供給部/流量計2124から、カニューレ2200を含むカニューレ回路を通じてハイフローが送達される。使用者が患者にガスを用手的に送達しようとする、即ち患者に用手呼吸を提供しようとするとき(例えば:患者が無呼吸になっており、使用者が患者の肺をリクルートした状態に保とうとする場合)、カニューレ回路のハイフローガス供給チューブに(連結領域Cで)バッグ回路2412を取り付ける。ハイフローガス供給チューブはバルブを有し、バッグ回路が取り付けられていないときの漏出を防ぐ。
【0661】
バッグ回路2412はコネクタ2420(図45C-i及び図45C-iiに示される)を含む。上流側は、チューブ2202に沿ってコネクタを通過して患者に至ることのできるハイフローガスの量を限定する制限開口2422を有する(任意の過剰なガスは、ベント2250を介して更に上流でベントされ得る)。コネクタ2420はバルブ2424を有して、ハイフローガスHFGをバッグから流入するガスBFと分離する。これにより患者へのガスの送達をハイフローガス(HFG)からか、又はバッグフロー源(BF)からかにすることが可能になり、ハイフローガスHFGがバッグフローBFに戻りバッグ2406を膨張させることが阻止される。これは、臨床医が麻酔器2404からの新鮮ガス供給のみによってバッグ膨張を制御することを意味する。
【0662】
使用者は、患者の吸気ガスフローをバッグ2406を介して完全に制御し、呼気中はハイフローの送達のみを許容するようにしようとし得る。バッグ2406を圧迫すると、そこからガスが送達され、バッグから押し進められるガスフローによって引き起こされる圧力上昇がハイフローガス供給チューブのバルブを閉じ、吸息時のハイフローガスを完全に遮断し、又はそれを制限し得る。このバルブは、バッグフローが存在しないとき開放することが可能であってもよく、呼息時にハイフローガスが送達されることを可能にし得る。
【0663】
ここで図45Aを参照すると、バッグ2406を麻酔器2404からの新鮮ガスによって膨張させ、次にバッグを圧迫することにより作動させたとき、バッグガスBFはコネクタ2420を通り抜け、患者へと流れ出る。バッグ2406を圧迫するとバルブがハイフローガスを遮断し、又は少なくとも減少させ、HFGが患者に送達されることが阻止される。HFGは、更に上流でベントされ得る。バルブは、HFG圧力に打ち勝つために必要なBFフロー圧力からの力が小さくて済むように設計される。例えば:図45C-i及び45C-iiには、BFフローが作用する大きい表面積があり、且つHFGフローを遮断する方向はHFGフローに(それと一直線状というよりむしろ)垂直である。これは、対抗するHFGフローに対してバルブを閉鎖する必要がないことを意味する。バルブは単にその自重によって(図示されるとおりの下方位置で)開放したまま保たれているのであってもよく、又は上方にばねを有して、閉鎖に必要な力のレベルを増加させることもできる。バッグ2406を圧迫すると、図45Aに示されるとおり、導管2430を介してカニューレプロング2208上の可膨張性カフ2260(これらのカフは共に膨張するように流体連通していてもよい)にガスの副流(SG)もまた送達され得る。プロングへのガスSGによってプロング上のカフ2260が膨張し、鼻孔にシールが作り出される。臨床医が患者の呼吸を制御しようとするとき、それを効果的に実現するにはシールが必要になる(通常の実践では密閉型マスクを使用する)。
【0664】
バッグ2406の圧迫が解除されると、バルブが開放し、HFGが患者に流れることができる(図45C-iを参照)。フローはカフ2260にはもはや供給されず、カフは収縮する。これによりインタフェースシールが解除され、患者は受動的に呼息することができ、ガスフローはプロング2208の周りで発散する。シールの解除は、最小レベルのハイフローガスがなおも継続して(制限オリフィスを通じて)送達されている場合に重要である。シールが解除されていない場合、ガス送達が続くことによって患者の過膨脹が引き起こされ得る。また、インタフェースシールの解除は、呼息中に追加のハイフローガスがプロングを下って押し戻され、臨床医の想定を超えてバッグが膨張し得ることがないということも意味する。このようにして、バッグからのフローが送達されるときはプロングが常に膨張しており、且つバッグが圧迫されておらず、ハイフローが送達されるときは常に収縮している。
【0665】
カフ2260は、極めて低圧で膨張するように設計されてもよく、そのようにして、吸息相のいずれかの端点でバッグフローBFが低かったとしても吸息全体を通じて膨張が保たれ得るか、又はより高度に膨張し得る。この2番目の場合は、バッグ2406をより強く圧迫し/より多くのフローを供給するに従い膨張レベルの高まりが生じ得る。膨張が大きいほど密閉性が高まり、ひいては圧力送達が増大するため、これは臨床医が患者に送達する圧力を調節する助けとなり得る。
【0666】
或いは、カフ2260への導管2430に逆流防止弁を装着して、バッグを使用する間全体を通じて一定の膨張を維持し、ハイフローが開始されない限り収縮を防ぐこともできる。例えば、図45B図45B-i及び図45B-iiに関連して、バッグが圧迫されてSGが流れると、逆流防止弁2261(ボール逆止弁として図示される)が開放し、カフ2260の膨張が可能になる。HFG流の圧力(PHFG)を計測する圧力タップ(ライン)2501を使用することにより、バルブ2340を介したカフへのSGのフローを遮断又は遮断解除し得る。HFG送達がないとき、PHFGは約0である。これによりSGがバルブ2340を通ってカフに流れる(図45B-i)ことが可能になる。バッグの圧迫が止まると、逆止弁261が閉鎖し、プロングの気体が抜けてバッグに戻ることが阻止される。バッグからのフローが止まると、図45Cに示されるバルブ2240が開放し、HFGが流れることが可能になる。HFGフローはPHFGの上昇を引き起こし、圧力ライン2501を介してバルブ2340がベント装置2262の遮断を解除するように動作するため、図45B-iiに示されるとおり、このベントを介してカフが収縮することが可能になる。
【0667】
図45D-iはフローパターンを示す。プロング(カニューレ)2200のフローは患者に送達される。初めはハイフローが送達される。次にコネクタ2420が差し込まれ、バッグ2406が圧迫されて陽圧バッグフローが作り出され、ハイフローが減少する。プロングのフローは、ハイフローとバッグフローとの組み合わせとして患者に送達される全フローである。プロングは完全に膨張するまで膨張し、次に一定レベルの膨張に保たれる(逆流防止弁によって収縮が防止される)。バッグフローが停止すると、ハイフロー送達が再び増加する。バッグフローが停止してハイフローが送達されると、プロングは収縮する。
【0668】
追加例として、可膨張性口腔インサートが鼻プロング2208に連結されてもよい。これは、口呼吸者について、その口が開いている場合に呼吸補助中の圧力損失を防ぐために有用であり得る。
【0669】
患者のバギング時であっても最小限のハイフローガス供給を維持することにより、PEEP(呼吸終末陽圧)の送達が確保される。このようにして、患者が常にあるレベルの陽圧を受け取るよう確実にすることができ、これは無気肺を防止する助けとなり得る。図45D-iiは、少なくとも低レベルのHFGが常に維持されているときの波形を示す(図45CのバルブはHFGを部分的にのみ遮断する)。
【0670】
使用者が揮発性薬剤を患者に投与しようとする場合、ハイフローの送達が濃度に影響を与えることもあり、揮発性薬剤が希釈され、追加の薬剤を加えて正しい濃度を得ることが必要となり得る。これには費用がかかり得る。代替的実施形態において、バッグ回路コネクタ2420が差し込まれたときにハイフローガス供給が完全に遮断されてもよい。この場合、図45Eに示されるとおりコネクタの右側にオリフィスはないこともあり得る。これは、接続時に臨床医が制御するバッグ2406からのみ換気が供給されることを意味し得る。これは臨床医にとって、換気の唯一つの供給源であるバッグがいつ接続され、ハイフローが提供されなくなるかが分かり、より直観的であり得る。
【0671】
プロング2208が全呼吸周期を通じて密閉されない場合、揮発性薬剤はなおも大気中に失われることがあり、これは望ましくないこともある。先行技術のシステムでマスクが用いられるとき、揮発分は閉鎖(密閉)されたシステムを通じて再利用され得る。
【0672】
図45B-iii及び図45B-ivは、ハイフローの開始によっては開放されない逆流防止弁2261がカフガス供給部に含まれる可能な実施形態を示す。ここでは、ガスフローは一度カフ2260に入ると、再び抜け出ることはできない。これにより、バッグ2406が最初に圧迫された後、カフの膨張が維持される。これはハイフローが遮断されるとき、即ち図45Eのコネクタ2420の実施形態が用いられるときに、患者はバッグ2406/麻酔器2404に呼気を戻し得るため、安全である。臨床医はこれを制御することができ、過膨脹のリスクが限定的となる。呼気を機械2404に戻すことは、薬剤を節約し、コストを削減し、及び担当する介護者にとって危険であり得る薬物の室内への投与を防ぐ助けとなる。逆流防止弁2261によれば、例えば逆流防止弁2261の左側に示される使用者によって作動可能なリリース弁2262を介して能動的に収縮させない限り、カフ2260は膨張したままであり得る。この能動的な収縮は、使用者がバルブ2262の一部分を押してカフを膨張させる圧力をベントすることにより作動し得る。或いは、このリリース弁2262は、バッグチューブコネクタ2420に接続されていてもよく、バッグチューブがシステムから切り離されるとバルブが解除される。カフシールを維持することはまた、臨床医が患者の呼吸を全周期にわたって完全に制御することも意味する。
【0673】
図45Fは、これのフローパターンを示す。接続2420が差し込まれてHFGが遮断されると、ハイフローはゼロに下がる。プロングフローが、最終的に患者に送達されるものである。
【0674】
バッグ2406が接続されたときの圧力逃がしを制御するため、なおもAPLバルブが使用者により設定されてもよい。プロングが膨張し/密閉されている場合、過剰な圧力の送達がAPLを介してベントされ得る。バッグ2406が接続されていないためプロングが収縮している場合、圧外傷のリスクは限られている。バッグが接続されているが非密閉型の呼息中にプロングが収縮している場合、麻酔器に伝達される圧力は最小限であり、しかしプロングは収縮しているため、この場合もまた圧外傷のリスクは限られている。
【0675】
切り換え構成3の利点としては、以下の1つ以上が挙げられる:
・マスク無し-カニューレインタフェースのみ:
・患者のインタフェースを取り替える必要がない
・良好なマスクシールを達成する困難がない
・カニューレがより快適である-患者の忍容性の向上
・バッグ使用時にハイフローがシステムによって自動的にベントされる-使用者がハイフローを手動でオン/オフする必要がない
・バッグの使用時に呼吸周期全体を通じてプロングを密閉状態に保持できる。揮発性薬剤が麻酔器に戻るため、薬剤の節約になり、且つ薬剤の室内への漏出が防止される
・可視性、患者の気道へのアクセスが向上し、使用者がマスクを患者上に保持する必要がない。
【0676】
一部の実施形態において、切り換え構成(切り換え構成4)は、
カニューレを通じて患者にハイフローガスを送達するためのカニューレ回路;
使用者がバッグを作動させることにより患者にガスを用手的に送達することを可能にするバッグ回路であって、カニューレ回路と流体連通しているバッグ回路;及び
バッグが作動していないときカニューレへのハイフローガスの送達を可能にし、且つバッグが作動しているときバッグ回路からカニューレへのガスの送達を可能にするように配設されたバルブ、を含む呼吸療法システムを含む。
【0677】
この構成は、それに加えて又は代えて、患者にガスを送達するための鼻カニューレを含み、このカニューレは、患者の鼻孔に受け入れられる少なくとも1つのプロングを含み、このカニューレは、患者の1つ又は複数の鼻孔にシールを作り出す助けとなる、1つ又は複数のプロングと連係した1つ又は複数の可膨張性カフを含む。
【0678】
図46Aを参照のこと。バッグ2406を含むバッグ回路2412はハイフローカニューレ回路2202に恒久的に接続されている。バルブシステム2470が、フローをハイフロー源2124から送達するか、それともバッグ2406/麻酔器2404から送達するかを制御する。補助間の変更は、バッグ2406を圧迫することにより作動させたときのバッグ2406からのフローによって作動する。バッグは主制御器として働く。バッグが作動した場合、バッグ換気が一次呼吸補助である。バッグが使用されていない場合、カニューレ2200にハイフローが送達される。前出の構成における上記の説明の大部分が、この構成にも当てはまる。
【0679】
図46Bを参照すると、通常はハイフローが患者に送達される(バッグ406が圧迫されていないとき)。バッグが圧迫されると、これによってバルブ2470(図45C-i又は図45C-iiに示されるタイプのものであってよい)が閉鎖する。これが患者へのハイフローガス供給を遮断し、又は少なくとも減少させる。これにより、バッグのみ2406から患者にガスを送達することが可能になる(上記のとおり、バッグガスはまたプロングカフも膨張させ得る)。バッグを圧迫することによりまた、図46Aでバルブの下に図示されるガスリザーバ2472にもガスが送達される。
【0680】
リザーバ2472は逆流防止弁2473を有し、従ってバッグフローBFによって底から充填されるが、フローは上部オリフィス2474からしか抜け出ることができない。リザーバは剛性であっても、或いはBFが流れるときより多くの空気を収容して増大する拡張可能な材料であってもよい。オリフィスは制限された開口を有してガスの漏出速度を制御する。バッグ2406が圧迫を解除されると/圧迫されていないとき、バッグからそれ以上フローは送達されず、患者は受動的に呼息することが可能になる。この間にフローリザーバ2472は排出を開始し、リザーバ2472からのフローがバルブ2470を閉鎖したまま保ち続け、ハイフローガス源を遮断する。オリフィス2474は、リザーバ2472が完全に充填されているとき、それを空にするのにほぼ一呼気の時間(例えば:3秒)がかかるようなサイズを有し得る。従ってバルブ2470は呼息全体を通しても閉鎖したまま保たれることになる。或いはバルブ2470を制御器によって通電し、バルブをある期間、例えば呼息時間にわたって保持してもよい。リザーバ2472はまた、プロングカフ2260に接続されてもよく、呼息中にもカフにフローを提供し、全呼吸周期にわたってカフを膨張したまま保ち得る。これは、患者の呼気フローがチューブに戻ってバッグ/麻酔器に至ることを意味する。
【0681】
この時間の後にバッグ2402が圧迫されない場合、これは臨床医が患者のバギングを終えたことを示し得る。リザーバ2472は空であるため、ハイフローガスバルブ2470を開放してプロングカフを収縮させることが可能になり、次にはハイフローガスが再び流れ始める(図46Bの☆を参照)。バギングが再開された場合、このハイフローは再び遮断されることになる。
【0682】
このシステムは、患者がバギングされているとき呼吸全体にわたってハイフローを遮断し、また、インタフェースシールも維持する。従ってこの間、臨床医が患者に送達されるガスを制御し、また揮発性薬剤送達を正確に制御することも可能になる。プロングが呼気の間中密閉されたまま保たれる場合、全ての呼気フローが麻酔器に戻り得る。これは、揮発性薬剤が麻酔器に戻るため、薬剤の節約になり、且つ薬剤の室内への漏出が防止されることを意味する。
【0683】
この場合もまた、使用者がなおもAPLバルブ2410を設定することができ、バッグ2406の使用時に主圧力逃がしを制御し得る。バッグが使用されていない場合、プロングは収縮し、そのため圧外傷のリスクは限られている。
【0684】
切り換え構成4の利点としては、以下が挙げられる:
・一体化設計-高速、システム間の変更に使用者の入力不要(チューブを差し込む必要がない)
・バッグ圧迫時の療法間の自動切り換え
・バッグ使用時にハイフローがシステムによって自動的にベントされる
・使用者がハイフローを手動でオン/オフする必要がない
・バッグの使用時に呼吸周期全体を通じてプロングを密閉状態に保持できる
・揮発性薬剤が麻酔器に戻るため、薬剤の節約になり、且つ薬剤の室内への漏出が防止される
・呼気終了時にプロングカフが自動的に圧力解除される マスク無し-カニューレインタフェースのみ。
【0685】
この切り換え構成の1つ以上の利点としては、以下の1つ以上が挙げられる:
・ハイフローを容易にオン/オフすることが可能である
・オンにしたとき、流速がプリセット値まで直ちに増加し、治療の遅延が(例えば緊急時に)回避される
・スイッチメカニズムにより、閉鎖時のハイフロー流量/圧力の急速な降下が可能になる
・不要時はフロー及び湿度をオフにすることにより、ガス及びパワーの節約になる
・カニューレ/インタフェースを所定位置に置いたままにしておくことが可能である
・ハイフローガス供給を部分的にのみ遮断するということは、患者に最小限の流速がなおも送達され得ることを意味する。これは、呼気の最後の最後までPEEP(呼吸終末陽圧)が提供されることを確実にするのに有用であり得る。現在の麻酔器からの用手バッグ-マスク換気ストラテジーは、終了時点のまさに最後ではPEEPを提供しない。
・呼吸システム間(ハイフローとバッグ-マスク換気との間)の容易な切り換え
・使用者が現在の実践で慣れているとおりの密閉型インタフェースで換気及び薬物送達を制御することが可能になる
・インタフェースの密閉を制御することによりハイフロー送達時に呼息が可能になる
・マスク無し-カニューレインタフェースのみ:
- 単純/容易、患者上のインタフェースを変更する必要がない
- 良好なマスクシールを達成する困難がない
- カニューレはマスクよりも快適-患者の忍容性の向上。
【0686】
機能2-意識下/無呼吸療法セッティング
・臨床医が患者の状態の変化に伴い手動で呼吸補助セッティングを変更する必要がある ・既存のインタフェースは挿管全体を通じて使用することができないため、典型的には挿管試行時の無呼吸期間中に補助のない間が生じる
・抜管後に最小限の換気補助が付与され得る。
【0687】
現在の呼吸補助システムは、自発呼吸又は無呼吸の検出時に補助のタイプを自動的には変更しない。これは、通常臨床医が変更するか、又はいずれにしろこの時点でインタフェースを取り外すためである。
【0688】
患者意識下では、及び次に患者が無呼吸になったら、異なる治療セッティングを提供することが望ましい。
【0689】
意識下/無呼吸療法セッティングに好適な呼吸療法システムは、
患者にガスを送達するための患者インタフェース;及び
患者インタフェースを通るガスフローを制御することにより、患者が自発呼吸下のとき第1の流速及び/又は圧力で患者にガスを送達するように構成され、且つ患者が自発呼吸下にないとき第2の流速及び/又は圧力で患者にガスを送達するように構成されたプロセッサ、を含む。
【0690】
本システムは、無呼吸の存在を検出するように構成され、且つ無呼吸の検出に応答して第2の流速及び/又は圧力でガスを送達するように構成され得る。本システムは、脳信号、横隔膜信号、気道内圧、又はCO2計測値の活性化の低下に基づき無呼吸の存在を検出するように構成され得る。
【0691】
第1の流速及び/又は圧力は比較的低い流速及び/又は圧力を含んでもよく、第2の流速及び/又は圧力は比較的高い流速及び/又は圧力を含んでもよい。
【0692】
プロセッサは制御器108であってもよく、又は任意の他の好適なタイプのプロセッサであってもよい。プロセッサは遠隔プロセッサであってもよい。
【0693】
図65aは、この構成の方法及びシステムを用いて実施し得る例示的なステップを示す。
【0694】
この方法及び構成は、以下の特徴の1つ以上を有し得る:
・患者覚醒時の低流量/低圧セッティングと患者睡眠時の高流量/圧力との間で療法を変更し得る。例えば自発呼吸下にあるとき30~40LPM(又は吸気要求を満たすと思われる流量)を送達し、無呼吸酸素化のため70LPMに増加させる。
・無呼吸の存在は、脳信号(EEG)、横隔膜信号(EMG)、気道内圧又はCO2計測値の活性化の低下に基づき得る:
- EEG:脳幹の延髄は、横隔膜及び外肋間筋に信号を送るニューロンで構成された吸息中枢を含む。頭皮上のEEGセンサが延髄の活動をモニタして、いつ吸気信号が送出され、又はいつ送出が止んだかを検出し得る。或いは周波数分析を用いてある種のEEG周波数の変化を検出することもできる。例えばデルタ波は、20~400μV振幅で0.5~4Hzの周波数帯域を有し、全身麻酔中など、脳の活動が極めて低い状況で見られる。振幅の増加又はデルタ周波数帯域の存在は麻酔が効いていることを示し、ひいてはいつ無呼吸が始まったかを示し得る。
- EMG:呼吸筋EMG信号(例えば:Ediで気道を調べる、又は横隔膜若しくは肋間筋上にEMGセンサを置く)。自発吸気では、吸息のため呼吸筋が動いて負の肺内圧が生じるに従い正の電気信号が生成される。規則的EMG変動は呼吸を示し得る。EMG変動の低下は、いつ麻酔が効いて無呼吸が始まったかを示し得る。
- 気道内圧計測値:例えば患者インタフェース200による。図65bは、どのように圧力ライン280がカニューレ200に組み込まれ得るかの一例を示す。規則的な圧力変動が呼吸を示す。図65cは可能なフローパターンを示す。自発呼吸中に送達されるフローは患者の吸気要求を満たすため変動し、呼気中にちょうど基礎レベルのフローを送達してPEEP、又は他の所望のフロー特性を提供することができ、又は自発呼吸中は、例えば30L/分の一定のフローを送達することができる。麻酔が効くことに伴う変動の低下が無呼吸を示す。この時点でフローは増加する。
- CO2計測値:例えば:呼気終末モニタリングによる。気道内圧法と同様に、変動が呼吸を示し、記録が相対的に安定していることが無呼吸を示す。
図65cに示されるとおり、呼吸の低下が検出された後、療法を変更する前に、好適な「待機期間」又は遅延があってもよい(例えば:5秒)。
・或いは誤嚥のリスクがある患者については、代わりに療法は、無呼吸開始時に送達圧力を低下させて逆流のリスクを軽減し得る(例えば:迅速導入の間)。この場合、無呼吸時にフローを低下させ、又は低いレベルのままにしておき、代わりに酸素濃度を最大にし得る。
【0695】
同様に、麻酔終了時に自発呼吸の回復が検出されたときにもまた、例えば流速又は圧力の増加又は低下など、療法の変更があり得る。無呼吸が終わり、自発呼吸が検出されると、流速及び/又は圧力が第1の流速及び/又は圧力に戻され得るか、又は例えば以下を考慮に入れるため、無呼吸時のものとは異なる別の流速及び/又は圧力に調整され得る:
多くの患者において、手術後の呼吸機能が困難を伴い得ることが知られている。例えば、肥満患者は、術前期間に見られる同じ理由で抜管後にガス交換の急激な増悪を呈し得る。無気肺に起因する含気肺容量の低下、末梢気道の狭小化及び気道分泌物の流動困難が、いわゆる術後肺拘束性症候群につながり、低酸素血症が引き起こされ得る。
【0696】
更に、機械換気期間の後、PaCO2が自発換気の回復を刺激する閾値が上昇し、ひいては自発換気の回復が遅れる。また、アシドーシスに対する換気応答も鈍くなり、患者の代償能力が低下する。麻酔薬もまた、低い揮発性薬物濃度であっても、低酸素に対する正常な防御反応を低下させる。そのため低濃度の揮発性薬物が術後期まで数時間続き得ることに伴い、患者は低酸素血症のリスクが続き得る。
【0697】
自発呼吸の回復が確立された後は、麻酔後に高い流速及び/又は酸素濃度を送達することが、吸気呼吸仕事量を低下させ、動脈血酸素化を増加させ、及び麻酔後に持続し得る呼吸ドライブの低下を代償する助けとなり得る。図65dを参照のこと。
【0698】
フロー/圧力のいかなる変化も、図65dに示されるとおり、階段状の増加よりむしろランプ状の増加に従い得る。
【0699】
意識下/無呼吸療法セッティング機能の利点としては、以下の1つ以上が挙げられる: ・意識下での患者の快適性の向上、療法を継続的に送達することができるため、患者の忍容性が向上し、従って療法の有効性が向上する。患者の呼吸ドライブが正常に機能しているであろうため、更なる圧力補助は不要と思われる
・患者が意識消失後、更なる療法的補助が提供され、無呼吸時には患者の呼吸ドライブが弱まるため有用である。また、挿管試行前に酸素化を増加させる助けにもなる。
・無呼吸時の酸素化増加が、使用者が開始するのを待つのでなく、可能な限り早く自動的に開始される。挿管前の酸素化時間が最大になる。
【0700】
機能3-吸引効果に対する代償
臨床医は多くの場合に、挿管直前に患者の気道内を吸引して分泌物を除去し、視界を向上させ、及び誤嚥のリスクを低減する。患者がある時間にわたる前酸素化を受けたばかりである場合、この吸引が患者の気道から含酸素ガスを除去し、その酸素予備を低下させるように働き得る。現在の呼吸補助システムは、この吸引効果を自動的には代償しない。
【0701】
吸引効果を代償するのに好適な呼吸療法システムは、
患者にガスを送達するための患者インタフェース;
患者インタフェース内又は患者インタフェースと流体連通している導管内の圧力の変動を検知するように配設されたセンサ;及び
気道内圧の低下が検知された場合に患者インタフェースに更に高流速でガスを送達するよう患者インタフェースへのガスフローを調整するように構成されたプロセッサ、を含む。
【0702】
プロセッサは、無呼吸中及び/又は無呼吸後に気道内圧の低下が起こっていると判断された場合に、又は患者の呼吸パターンが自然な呼吸パターンでないと見なされた任意の他の時点で、患者インタフェースに更に高流速でガスを送達するよう患者インタフェースへのガスフローを調整するように構成され得る。
【0703】
プロセッサは制御器108であってもよく、又は任意の他の好適なタイプのプロセッサであってもよい。プロセッサは遠隔プロセッサであってもよい。
【0704】
図66aは、この構成の方法及びシステムを用いて実施し得る例示的なステップを示す。
【0705】
この方法及び構成は、以下の特徴の1つ以上を有し得る:
・カニューレ200などの患者インタフェースがその上に圧力センサ280を有し、圧力センサは、患者インタフェース又は患者インタフェースと流体連通している導管における気道内圧の変動を検知又は検出するように配設される。圧力センサ280は、代わりに、カニューレそれ自体でなく、むしろ導管上に位置決めされてもよい。無呼吸が始まったことが(前節に記載される方法のうちの1つを用いて)検出された後には、気道内圧の低下があれば、それは自発呼吸の吸息か、又は吸引に起因する圧力低下かのいずれかを示している。無呼吸直後にこれが検出された場合、吸引に起因する可能性が高い。この時点で、送達される流速及び/又は酸素濃度が比較的増加し(例えば:70LPM、100%酸素まで)、吸引によって除去されるであろう酸素ガスを代償し得る。図66bは、設定された送達フローで当初自発呼吸している患者を示す。呼吸が抑制されると(無呼吸の開始)、送達されるフローが増加する。P1によって示されるとおり、圧力センサ280がこの増加を記録する。しばらくすると圧力は低下し始める。大きい吸引圧力が用いられる場合には、流速の増加にも関わらず、圧力は負になり得る。これは、吸引が用いられていることを強く示すものである。次にフローが再び増加して代償され、P1はより高レベルに戻る。或いは、送達されるフローは気道内圧の低下に比例して増加してもよい(即ち吸引が増すほど、より大幅な代償が開始される)。或いは吸引装置からの信号を用いて、吸引開始時に高流速の流速を増加させてもよい。
【0706】
吸引代償構成の利点としては、以下が挙げられる:
・患者の酸素予備に対する吸引効果を最小限に抑える。
・酸素化の増加が、使用者による開始を待つのでなく、吸引が検出され次第直ちに自動的に開始される。挿管前に酸素化が最大になる。
【0707】
機能4-搬送中の療法継続を促進するための接続
・現在のハイフローシステムは持ち運びが容易でないことに伴い、搬送中に付与される換気補助は最小限となり得る。代わりに、典型的にはローフロー酸素カニューレが酸素ボンベのタケノコ部に取り付けられて用いられることになる。上記に記載したとおり、麻酔後患者は呼吸窮迫のリスクがあり、ローフロー酸素は補助不足をもたらし得る。
・現在のハイフローシステムは、酸素ボンベ上にあるような流量計に直接接続することはできない。それらは別のチューブ及び加湿器を介して接続することが可能であり得るが、これは煩雑と受け取られることもあり、患者と共に加湿器を搬送する必要があり得る。
・回復期病棟への搬送後、介護者がインタフェースを変更し直そうとしない可能性もあり、且つこれは通常、壁の流量計にタケノコ接続部を介して接続され得るため、引き続きローフローが再び用いられることもある。これもまた、呼吸補助の不足をもたらし得る。
【0708】
搬送中の療法継続を促進するのに好適な構成は、呼吸療法システムで使用するための患者インタフェースを含み、この患者インタフェースは、
患者にガスを送達するためのカニューレ;
カニューレと流体連通しているコネクタ部分であって、カニューレにハイフローガスを送達するための主ガス導管上の相補的なコネクタ部分にカニューレを着脱可能に接続するように構成されたコネクタ部分;
及びカニューレと流体連通している副導管であって、カニューレと代替ガス源との間に流体連通を提供するように構成された副導管、を含む。
【0709】
カニューレと流体連通しているコネクタ部分は、コネクタ部分が主ガス導管上の相補的なコネクタ部分から切り離されているとき密閉されるように構成され得る。
【0710】
この構成は、有利には、ハイフローインタフェースを流量計上のタケノコ部に直接接続することを可能にする。搬送は短時間と見込まれ、従って湿度損失が患者の状態に及ぼす効果は無視できる程度であるため、加湿器は用いられない。
【0711】
図67aを参照のこと。ハイフローガスHFGは通常主ガス導管204を介して送達される。患者を搬送しようとするとき、カニューレチューブ202が主ガス導管204から切り離され、副導管280が搬送ガス供給部に接続される。副導管は例えばチューブであってもよい。図67bは、カニューレ202と主ガス導管204との接続を示す。主ガス導管204及びカニューレに連結された導管202は、相補的なコネクタ部分202a、204aを有する。切り離したとき、両方のコネクタ部分202a、204aは密閉している。ガス供給はベントされてハイフローガス源に戻されてもよく、又は切り離し時にハイフローをオフにする何らかの制御があってもよい。コネクタ部分202a、204aが係合されると、カニューレ接続部202aがガス導管バルブ204bを押し開けて、ガス導管204を通じたガスフローがカニューレ接続部のバルブ202bを開放させる。
【0712】
図67d及び図67eは、副ガスチューブ280の端部のバルブを示す。図67dでは、ガス供給タケノコ部284が接続部に侵入することによって片側バルブ282が押し開けられている。図67eはダックビル型バルブ286を示す。両方ともに、主ガス導管が接続されているときはガス供給によって自然に閉鎖状態に保たれる。
【0713】
或いは、図67fは、副チューブの端部を密閉し、使用者が副チューブを供給ガスに接続しようとしたときに取り外される、使用し得るキャップ288を示す。
【0714】
上記に記載した押し潰れる導管又は他の切り換え方法は、患者インタフェースへのガスフローを停止させ又は阻止するのに有用な選択肢であり得るが(例えば、患者と接触した、若しくはそれと接触して置かれることになる、又は患者に取り付け可能若しくは装着可能であり得る押し潰し可能なブロック又はパッドなどのアイテムを使用する)、押し潰された導管にガスが流れ続け、それが鼻カニューレに入って行く場合、導管内の圧力が上昇し得るとともに、最終的には導管が破裂し得るか、又はガスが導管の押し潰された部分に押し入って鼻カニューレに入り込み得る。これは患者の肺又は気道に望ましくない圧力を引き起こし得る。
【0715】
上記に記載したとおり、本システムは圧力逃がし装置を備えてこうした問題を回避し得る。しかしながら、上述の実施形態に加えて又は代えて、マスク検出機構が特に有用であり得る。例えば、患者インタフェースを使用して患者の気道にガスフローを送達する場合、いつ患者の気道への経路が両方ともに利用されるかに注意を払う必要があり得る。例えば、鼻カニューレを使用して鼻道にガスフローを送達する場合、及びマスクを使用して患者の口及び/又は鼻から患者の気道にガスフローを送達する場合(及びマスクと患者との間にシールを作り出すことによるなど、マスクが密閉型インタフェースである場合の方法でガスフローを提供することであってもよい)、過圧状況が生じる可能性が高まり得る。動作している又は動作可能なインタフェースの二重適用を認識するシステムにより、かかる状況の警告を発することが可能であってもよく、又は両方の患者インタフェースがそのそれぞれのガス供給源を同時に送達することが阻止されるように呼吸システムの一部が作動又は制御されてもよい。このようなシグナルが送られる又は制御されるシステムは、患者の気道が偶発的に過圧される可能性を最小限に抑え又は低減する助けとなり得る。或いはマスク検出機構を使用して呼吸モード間を切り換えてもよい。例えば、第1の患者インタフェースが患者に第1のガスフローを提供してもよく、患者に第2の患者インタフェースが適用されると、その第2のインタフェースが検出されて第1のガスフローのスイッチオフが促され、第2の患者インタフェースによる第2のガスフローの提供が可能になる。
【0716】
一部の実施形態において、センサ機構が提供されてもよく、このセンサ機構は1つ以上のセンサを含む。1つ以上のセンサは、患者へのガスフローの送達に用いられる患者インタフェースの1つ以上の一部、又はかかるインタフェースと連係したアイテムの上に位置してもよく、そこに埋設されてもよく、又はその上に提供されてもよい。
【0717】
一部の実施形態において、呼吸システムは、第1又は第2の患者インタフェース上にいかなるセンサも設置することなく、第2の患者インタフェース(マスクなど)の存在を検知して使用者に通知し、及び/又はそれに従いハイフロー療法を調整するように構成された制御器を含み得る。例えば、この制御器は、マスクを患者上に置いた結果としての圧力の変化、流量の変化、又はフロージェネレータのファンモータ速度の変化を検知し得る。制御器は、圧力の変化、流量の変化、又はモータ速度の変化に応答してハイフロー療法の投与を低減し又は中止し得る。制御器は、それに加えて又は代えて、圧力の変化、流量の変化、又はモータ速度の変化に応答してアラーム(視覚又は可聴アラームなど)で使用者に通知し得る。ある実施形態では、本呼吸システムは加湿器とチャンバ入口及びチャンバ出口を備えたチャンバとを含み、チャンバ出口に圧力センサシステムが位置決めされる。別の実施形態において、本システムはチャンバ入口及び/又はチャンバ出口に流量センサを含む。流量センサは加熱ビーズ型センサであってもよい。或いは、流量センサは、制御器と一体化した超音波流量センサであってもよい。当業者に公知の任意の他の流量センサで代用してもよい。
【0718】
本明細書における開示の様々な形態によれば、及び図47を参照すると、少なくとも1つの特定の形態において、患者93に(ガス源92から)ガスフローを送達するための第1の患者インタフェース91と、患者にガスフローを送達するための第2の患者インタフェース94とを含む呼吸療法システムがある。第2の患者インタフェース94は第1の患者インタフェース91と同じガス源に接続されてもよく、或いは、麻酔器(図示せず)などの第2のガス源に接続されてもよい。好ましくは第2の患者インタフェース94へのガス源は第1の患者インタフェース91へのガス源と異なる。図示されるとおり、第2の患者インタフェース94へのガス供給は接続ポート919を介して供給され得る。次には1つ又は複数のセンサ95が以下の1つ以上と連係するように提供される:
・第1の患者インタフェース91、
・第2の患者インタフェース94、
・第1及び第2の患者インタフェース91、94の両方、
・第1の患者インタフェース91と連係するアイテム96、
・第2の患者インタフェース94と連係するアイテム96、
・第1及び第2の患者インタフェース91、94の両方と連係するアイテム96、
・患者93と連係することになるアイテム96。
【0719】
1つ又は複数のセンサ95は、患者93にガスを送達する間の患者上における第1の患者インタフェース91と第2の患者インタフェース94とのインサイチュー併用を検知する;このようにインタフェースの併用が検知されると、信号又は出力97が生成される。
【0720】
信号又は出力97を用いることにより、第1及び第2の患者インタフェース91、94の一方又は両方、又はより詳細には、限定はされないが鼻カニューレなどの第1の患者インタフェース91に提供されるガスフローを決定する更なるシステム又は装置を直接若しくは間接的に制御し、又は作動させることができる。信号又は出力は有線接続又は無線接続の形態で提供され得る。
【0721】
信号又は出力97は、或いは以下のシステムアウトカムの1つ以上にフィードされるか、又はそれを作動させ若しくは制御してもよい(又は作動させて且つ制御してもよい): ・視覚アラーム又は警告
・可聴アラーム又は警告、限定はされないがホイッスルを含む、
・ウェアラブル電子装置(限定はされないが:腕時計、電話機、頭部装着型ディスプレイ又はかかる電子装置を組み込んだ他の衣料品を含む)にフィードされ又は送られる触覚又は触知フィードバック、
・フローバルブ又はフロージェネレータを含めたフロー制御器、好ましくは第1の患者インタフェース91に誘導されるガスフローを制御するためのもの;場合によりそれに加えて、又はそれとは別に、第2の患者インタフェース94に誘導されるガスフローを制御するものを含む、
・圧力調整器又は圧力絞り装置、好ましくは第1の患者インタフェース91に誘導されるガスの圧力を制御するためのもの;場合によりそれに加えて、又はそれとは別に、第2の患者インタフェース94に誘導されるガスの圧力を制御するものを含む、
・本来制御されるべきガスフローをベントに分流させる分流器、
・フロー制御器又は圧力調整器(又は両方)又はフロー分流器又はベントと連係するマイクロプロセッサ、
・グラフィカルユーザインタフェース(GUI)。
【0722】
有利には、検知されたインサイチュー併用の信号又は出力97により、第1の患者インタフェース91に誘導されるガスの流量(又は圧力)の制御がもたらされる。
【0723】
かかる構成で利用される1つ以上のセンサ95は、インサイチュー併用の検知において以下のうちの1つ又は任意のものの組み合わせを含み得る:
・光センサ(赤外線、IRを含む)
・音響(可聴又は超音波を含む)センサ
・第1の患者インタフェース91、又は第2の患者インタフェース94(にガスを送る別個のガス供給導管)、又は第1及び第2の患者インタフェース91、94の両方にガスを供給する供給導管98内のガスの圧力又は流量、又は圧力及び流量の両方の、又は患者の呼吸系又は患者呼吸系の一部に送達されるガスの圧力又は流量(又は両方)の、圧力又は流量センサ、
・以下の1つ以上の内部に埋設されるか、又はその一部に置かれた導電率又は抵抗電極:
第1の患者インタフェース91、
第2の患者インタフェース94、
第1及び第2のインタフェース91、94の両方、
第1又は第2の、又は第1及び第2の両方の患者インタフェース91、94と連係するアイテム96、
患者と連係することになるアイテム96、
インサイチュー併用を検知する電波又は近接検知センサ、
・機械的に作動し又はトリガされるセンサ、限定はされないが:押下されるか又は別の表面と接触して置かれることにより作動し又はトリガされる機械的スイッチ、圧力逃がし弁又は感圧バルブ、ソレノイドバルブ、所定のばね定数を有する機械的バルブを含み、圧力逃がし弁は、閉鎖位置から開放位置に動いたときのバルブからのガスの放出によって作動するホイッスルを含んでもよい。
【0724】
図47及び図48は、第2の患者インタフェース94と併用した第1の患者インタフェース91を示し、第2の患者インタフェース94は、患者93と接触した、若しくはそれと接触して置かれることになるか、又は患者93に装着可能若しくは取り付け可能であってもよいブロック又はパッドの形態のアイテム96と実質的に接触して置かれている。図48には、アイテム96と実質的に接触しているシール部918が示される。図47では、センサ95が第1の患者インタフェース91上に位置決めされており、このセンサ95が、患者に第2の患者インタフェース94が置かれていることを検出する。センサ95は、例えば、光センサ(赤外線、IRを含む)又は音響(可聴又は超音波を含む)センサ、又は圧力センサであってもよい。図47では、ブロック又はパッド96により、導管98を押し潰すことなく第2の患者インタフェース94を供給導管98上に置くことが可能になっている。ブロック又はパッド96はまた、第2の患者インタフェース94が供給導管98を覆って実質的に密閉することも可能にしている。
【0725】
種々の構成において、1つ以上のセンサ95は、呼吸システムにおける患者インタフェース上又は患者インタフェースと連係するアイテム96上以外の位置に位置してもよく、そこに埋設されてもよく、又はそこに置かれるか若しくは位置決めされてもよい。かかるセンサ95はスタンドアロンのセンサとして利用されてもよく、又は複数のセンサが各々患者93における第1及び第2の患者インタフェース91、94のインサイチュー併用を検知する必要がある場合、装置又はシステムの作動又は制御(又は警告)をもたらすため正の信号又は出力97が提供される。このようにして、偽陽性の検知信号を回避し又は最小限に抑えることができる。
【0726】
また、他のセンサ95からの信号又は出力97が次にはシステム全体で利用されて検知されたインサイチュー併用の信号又は出力97を提供するようにするため、少なくとも1つの副センサ(図示せず)が、患者に第1の患者インタフェースが置かれていることを検知して、第1の患者インタフェースがインサイチューになったとき又は別の検知状況になったときそれを決定する必要があり得ることも企図することができる。例えば、副センサは、鼻カニューレなどの第1の患者インタフェース91上に提供され、かかるインタフェースが実際に動作位置で又は患者93と共に使用時構成で提供されたときそれを検知してもよい。これにより、第1の患者インタフェース91が患者において所定位置又は動作位置にないとき、他のセンサが動作することが防止され得る。好ましくは、初期設定のシステムは、副センサによって第1の患者インタフェース91が使用されていないことが示されたときにセンサ95が動作せず、しかしこれがガスフローの停止を引き起こすことはないようなものであってもよい。
【0727】
かかる副センサの一例は、第1の患者インタフェース91が患者の顔面上の適所に置かれていることを示すものとして用いられ得る患者の体温又は皮膚温度を検知する温度センサであり得る。かかる温度センサ、又は他の副センサ(近接センサ、又は光センサ若しくは音響センサなど)の使用を用いて、第1の患者インタフェース91が患者93上で動作中になったとき及び/又は所定位置になったときそれを決定することができる。
【0728】
この変形例では、かかる副センサが第1の患者インタフェース91が患者93において所定位置にあることを検知及び決定すると、次に他の患者インタフェース又はかかるインタフェースと連係するアイテム96と連係する任意の他のセンサがそれらの信号又は出力97を使用させ得る(即ち、後続のセンサがそれらの後続の又は副次的な信号又は出力を使用させるためには、主要な又は一次的な信号又は出力が必要であり得る)-しかしながらかかる構成の変形例が企図され、これは一形態の例示に過ぎない。
【0729】
更なる構成において、1つ以上のセンサ95は、患者93(例えばその顔面)に装着され又は取り付けられ得るアイテム96の一部として提供され得る。かかるアイテム96は、ガス供給導管98がそのアイテムを通過することを可能にするように構成することができ、その場合、アイテム96は、ガス供給部がアイテムの片側からもう一方の側へと流体接続し得るように構成され、又はそのためのルーメン99を提供してもよく、このもう一方の側からは更なるガス供給導管が延在して、第1の患者インタフェース(例えば鼻カニューレ)に至る流体接続を提供する。かかるアイテム6は、例えば図47図51図53図54Cに示されるものなど、ブロック又はパッドであってもよい。かかるアイテム96は、第1の患者インタフェース91が動作中になったとき及び/又は第2の患者インタフェース94(例えばマスク)がアイテム96の少なくとも一部と係合したとき(例えば第2の患者インタフェース94のシールがアイテムの一部と係合状態となり又は接触したとき)にそれを検知するための1つ以上のセンサ95を含み得る。これらの状況のいずれにおいても、信号又は出力97が生成されてもよく、それを用いてシステムを制御し、又はフィードバック(例えば警告又は上記に記載したとおりの他のかかる「システムアウトカム」)を提供することができる。
【0730】
更なる構成において、1つ以上のセンサ95は、第1の患者インタフェース又は第2の患者インタフェースにガスフローを提供する導管98の一部として又はそれと共に提供されてもよい。センサを備えた導管は、第1の患者インタフェース91が動作中になったとき及び/又は第2の患者インタフェース94(例えばマスク)が導管98の少なくとも一部と係合したとき(例えば第2の患者インタフェース94のシールが導管の一部と係合状態になり又は接触したとき)にそれを検知し得る。これらの状況のいずれにおいても、信号又は出力97が生成されてもよく、それを用いてシステムを制御し、又はフィードバック(例えば警告又は上記に記載したとおりの他のかかる「システムアウトカム」)を提供することができる。一部の実施形態において、導管は、第1の患者インタフェースの一部として一体に形成されてもよい。例えば、第1の患者インタフェース91は、カニューレの1つ又は複数の鼻プロングにガスフローを提供するための導管部分を含む鼻カニューレであってもよい。
【0731】
一構成では、アイテム96又は導管98の一部として提供されるセンサ95の少なくとも1つは、光センサ(赤外線、IRを含む)、無線周波数タグ(RFタグ)、機械的に作動するスイッチ型のセンサ、音響型センサ、電気抵抗装置(例えば歪みゲージ)であってもよく、又は電極対を使用して変化を検知してもよい。
【0732】
例えば、1対の電極間の既知の誘電率に基づき、又は例えば第2の患者インタフェース94がアイテム96と接触して置かれたか、又はセンサ若しくはその近傍に置かれた結果など、誘電体の変化に起因する材料の既知の静電容量の変化に基づき、検知信号又は出力97が生成され得る。
【0733】
例えば図49に示されるとおりの一つの構成において、センサ95は、患者に装着され又は取り付けられるアイテム96、例えばパッド又はブロックの一部として提供された、上記に記載したものなどの1対の電極であってもよい。アイテム96は、ガス供給導管98をアイテム96に通して送り込むことが可能である(又は導管98は、アイテム96を通じるルーメン99の各端部でアイテム96に接続される)。第2の患者インタフェースのシール部分918など(簡単にするため、このインタフェースの残りの部分は図示しない)、インタフェースの一部がアイテム96と接触すると、この構成のセンサ95は静電容量又は誘電体の変化を検知し、信号又は出力97を生成する。
【0734】
別の構成では、センサ95は、アイテム96の一部として提供される光センサであってもよい。かかる変形例では、例えば図53を参照されたく、アイテム96が光学的透過部分910を含んでもよく、又は光学的に明澄な若しくは透明の窓を含んでもよい。第2の患者インタフェース94などの物体が、いずれも全面的に、或いは部分的に、窓と接触して置かれ又は接触状態になるか、又は窓を遮断すると、光センサ内の光学特性が改変され、又は変化し得る。例えば、窓が遮断又は被覆される前は、アイテムのかかる光センサ部分912内にある光源911から光の全内部反射があり得る。第2の患者インタフェース94が窓と接触して置かれると、センサシステムの光学特性が改変され、例えばひいては光が減衰内部反射になり、かかる変化が検知され得る。次には信号又は出力97が生成され得る。
【0735】
ここで図51を参照すると、別の構成において、第1の患者インタフェース91又は第2の患者インタフェース94又はアイテム96(患者と接触して置かれることになるか、又は患者に装着可能若しくは取り付け可能であってもよいブロック又はパッドなど)のうちの任意の1つ以上が感圧検知システムを含み得る。例えば、ブロック又はパッドの形態のアイテム96が、上に圧力柔軟膜914が置かれた、且つチャンバからアイテム96の外表面に至るバリア層を提供する、流体で満たされたチャンバ913(例えばガスであってもよい)の形態の圧力センサを含み得る。チャンバは既知の圧力を有する。患者インタフェース(例えばマスク)などの物体が柔軟膜914に接触して置かれると、チャンバ913の圧力に変化があり得る。かかる変化が検知され、信号又は出力97が生成され得る。かかる構成は、本来は患者93と接触する(それによりインタフェースが患者上で所定位置にあることを検知する)又は別の患者インタフェースの別の一部と接触する(それによりかかる併用された一組の患者インタフェースを検知する)患者インタフェースの一部又は部分にも適用され得ることが理解されるであろう。
【0736】
図50に関連して、別の構成では、アイテム96は、患者93と接触して置かれることになるか、又は患者93に装着可能若しくは取り付け可能であってもよいブロック又はパッドの形態であってもよく、又は第1及び第2の患者インタフェース91、94の一方又は両方が、機械式センサの形態のセンサ95を含んでもよい。例えば、機械センサは、物理的接触によって作動し又はトリガされるスイッチを含み得る。例えば機械センサは、接触があると押下され又は動かされ得る突起915を含み得る。かかるセンサはアイテム96に組み込むことができ、従って例えば第2の患者インタフェース94のシール領域(又は別の一部)から圧力が加わると、ひいては信号又は出力97が生成され得る。或いは、かかる機械センサは第1及び第2の患者インタフェース91、94の一方又は両方に組み込まれ、患者上で動作状態で使用している間にアイテム96又は他の患者インタフェースと接触することになるかかるインタフェースの一部又は領域に位置してもよい。
【0737】
別の構成において、音響センサなどのセンサ95が、患者インタフェースと連係するアイテム96と組み合わせて利用され得る。かかるセンサは、第1の患者インタフェース1と連係するガス供給導管98に適用され得る。音波が導管98に送られ、導管の閉鎖又はその他のパラメータ若しくは特性の変化が検知され得る(導管の形状の変化など、例えば導管の断面が少なくとも部分的に押し潰れ得る)。この機構の利点は、センサシステムを組み込むため既存の患者インタフェースを更にカスタマイズする必要なしに、それらのインタフェースを利用し得ることである。音波は任意の好適なサンプリングレートで送られてもよく、センサ95は反射信号(供給導管の閉鎖又は形状の膨らみに起因する)を検知することもでき、或いは共鳴の変化、即ち導管の閉鎖に起因する導管内に形成される定在波の変化を検知することもでき、例えばブロック又はパッドの形態のアイテム96が押し潰れてガス源92とインタフェース91との間の導管98を閉鎖し得る。例えば図54A図54Cを参照のこと。
【0738】
別の構成において、光センサの形態のセンサ95が、患者、又は第1及び第2の患者インタフェース91、94のいずれか一方又は両方に装着され又は取り付けられることになるアイテム96と組み合わせて利用されてもよい。光センサシステムは送信機916及び受信機917を利用してもよく、送信機が所定のコード(例えば特定の2進コード)を送信し、受信機がそのコードを受信及び検出する。センサ95を使用して信号又は出力97を分析又は決定し、生成することができる。図52を参照のこと。かかる機構では、光センサは、患者上にあるアイテム96、又は患者上にあるインタフェース(例えば第1の患者インタフェース)若しくはアイテム上にあるインタフェース(例えばアイテム96上にある第2の患者インタフェース94)、又は第1の患者インタフェース91と、若しくはアイテム96及び第1の患者インタフェース91の両方と近接した第2の患者インタフェース94の近接性又は留置、又は他のこれらの組み合わせを有効に決定するため用いられる。
【0739】
図54Aは、動作状態で使用している間のインタフェース91を示す。図54Bは、ここで第1のインタフェース91と協働し又は併用して提供されることにより患者に二重療法を提供する第2の患者インタフェース94を示し、更に第2の患者インタフェース94はパッド又はブロックアイテム96に圧力又は力を加え、ひいては導管98(又は少なくとも、第1のインタフェース91に供給されるガスが通過するルーメン99)が(完全に、或いは部分的に)圧挫され、圧迫され、又は押し潰されている。圧力の上昇に起因して(即ちルーメン99の圧迫、圧挫又は押し潰しによって作り出されるフローに対する抵抗に起因して)形状が変化している導管98が示される。図54C図54Bの更なる実施形態を示し、ここでは、例えば、導管98又はルーメン99の完全閉鎖によってインタフェース91へのガスフローが阻止されることに起因するなど、導管内における更なる圧力蓄積又はフローに対する更なる抵抗に起因して導管が一層膨れ上がり又は膨張している。これらの実施形態においては、音響センサ95を使用してかかる部分的又は完全に閉鎖された導管98又はルーメン99が検知され、信号又は出力97が提供される。図54A図54Cは一つの特定の構成を例示するが、アイテム96は任意選択の構成要素であってよく、センサが状態(例えば閉鎖された導管又はルーメンなどの物理的状態、又は導管又はルーメン内のガスフローの状態)の検知に使用されるときには必ずしも必要でないことが理解されるであろう。センサ95は、患者又はインタフェースに直接装着することもでき、又はそれと連係させることもできる。当然ながら、記載されるセンサ機構は、アイテム96のないシステムで実現されてもよく、ここで導管は、或いは導管を覆って及び患者の顔面と共にマスクを密閉することを可能にする押し潰し可能部分を含み得る。
【0740】
別の構成では、感圧バルブの形態のセンサ95を利用して、患者インタフェースに供給されるガスフローを分流させ得る。例えば、かかるバルブは、所定の圧力が検知されると動作可能な圧力逃がし弁であってもよい。閉鎖バルブ位置にあるとき比較的高いばね反力を有し、且つ開放バルブ位置にあるとき(即ちフローベント位置の圧力)比較的低いばね反力を有するソレノイド又は機械的バルブが用いられてもよい。有利には、一部の構成では、バルブは導管内の圧力が閾値未満に降下するまで開放したままであってもよく、次にバルブは自動的に閉鎖し得る。場合により、かかるセンサと併用してホイッスル又は可聴信号が提供されてもよく、放出されたガスフローを使用してホイッスルを動作させ得る。このようにして、検知された圧力がバルブを開放する。ホイッスルは、制御されたベントに加え、更なる信号又は出力として発せられる。場合により、患者インタフェースと連係する供給導管には、望ましくは十分なヒステリシスが提供されてもよく、従ってチューブ内には、圧力逃がし弁が開放したまま保たれるが、しかし部分的又は完全に押し潰され又は圧潰されている導管を他に押し開け得るほどの過剰な圧力はないような圧力が維持される。
【0741】
別の例において、1つ以上のセンサ95は、第1の患者インタフェース91(鼻カニューレなど)の一部として提供され得る。例えば、第1の患者インタフェースは、上記に記載したとおりのアイテム96と共に提供されるセンサ機構のいずれかを含み得る。例えば、図47図54Cに示すとおりのアイテム96は、鼻カニューレの一部分、例えば鼻カニューレのサイドアームの一部分であってもよい。上記に記載したとおり、かかるセンサ95を使用することにより、追加の、即ち第2の患者インタフェース94が第1の患者インタフェース91と併用して患者上に置かれたときにそれを決定することができる。それに代えて又はそれと組み合わせて、かかるセンサ95を使用することにより、第1及び/又は第2の患者インタフェース91、94のいずれもが、第1及び第2の患者インタフェースの各々が提供されている患者に送達されるガスフローを受けているかどうか、即ち患者が二重の患者インタフェースから二重のガスフロー送達を受けているかどうかを決定し得る。
【0742】
文脈上特に示唆されない限り、圧力センサが特定の位置、例えば患者インタフェースにあるものとして記載される場合、これは、センサが当該の位置で圧力を検知するようにシステムが構成されていることを意味すると解釈されるべきである。例えば、一部の実施形態において、センサはその特定の位置に位置してもよく、又はその特定の位置から離れていて、しかし例えば図32のサンプリングライン829のような圧力センシング又はサンプリングラインを介してその特定の位置における圧力を検知するように構成されていてもよい。圧力サンプリングラインは、患者インタフェースにガスフローを提供するガス導管の傍ら又はその内部にあってもよく、又はかかる導管の壁内に形成されてもよい。
【0743】
更なるセンサ機構が図55A及び図55Bに示される。マスクの存在が、第1の患者インタフェース91、アイテム96又は導管98上の接触センサ95によって検出され得る。この接触センサは、図55Bに示されるとおり、センサ上にマスクが置かれると作動し得る。電気接点は、インタフェース、アイテム、又は導管上において、使用時にマスクシールが位置決めされるであろう位置に位置決めされる。マスクが適用されると電気接点が閉鎖され、電気回路が閉じる。電気接点はまた、手動で、例えば医療専門家が接点を押すことにより閉鎖されてもよい。接点は、電気接点を含むスイッチであってもよく、マスクをスイッチ上に適用することによるか、又は人がスイッチを押すことによりスイッチが閉鎖されると、電気接点間が電気的に接続される。或いは、2つの相補的な電気接点があってもよく、第1の接点が患者インタフェース、アイテム又は導管上に装着され、且つ第2の接点がマスクシール上に装着されてもよい。第1及び第2のインタフェースの両方がインサイチューで使用者の顔面上にあれば、第1及び第2の接点が接触して電気回路が閉じ得る。上記に記載したとおり、センサ95は1対の電極を含むことができ、又は1対のセンサ素子を含むことができる。更なる例として、図56A図58Bに関連して、一部の実施形態では、センサ95は1対のセンサ素子95a及び95bを含むことができ、この1対の素子のうち第1のもの95aはガス導管(例えば導管98)の一サイドに位置し、且つこの1対の素子のうち第2のもの95bはガス導管98のもう一つのサイド(例えば反対側のサイド)か、又は第2の患者インタフェース94上に位置する。センサは、導管の押し潰し可能部分が閉鎖したときそれを検知するように適合される。導管の押し潰された状態が検知されると、制御器が、導管を通じて提供されるフローを減少又は停止させることを決定し得る。センサ機構は素子間の相対位置を検知して、押し潰し可能な導管の構成を検知する。これらの2つの素子間の距離の変化が制御器によって検知され、導管の開放又は閉鎖状態が決定される。図56Aに示すとおり、ある構成では導管は開放しており、ここで素子95a及び95bは相隔たっている構成又は遠位構成にある。第2の構成では(図示せず)、導管が押し潰されており、ここで素子95a及び95bはくっついている。押し潰された導管はフローを阻止又は制限することができ、及び/又はフローを停止又は減少させるよう制御器に伝達することができる。図56Bの代替構成では、素子の一方95aが第2の患者インタフェース94上に位置し、且つ素子のもう一方95bが導管上に位置する。第2の患者インタフェース94が導管を押し付けて導管を押し潰し、第1及び第2の素子95aをくっつける。図56Bに示すとおり、一部の実施形態では一方の素子95bが導管のうち第2のインタフェースが接触するサイドと反対側の導管のサイドに位置決めされる。
【0744】
図56A及び図56Bの機構は静電容量式の機構であってもよく、ここでは素子間の距離が変化することによって生じる第1及び第2の素子間の静電容量の変化を検知する制御器が提供される。或いは、図57に示されるとおり、素子は、導管のルーメン内に位置する接触素子であってもよく、従って導管が押し潰されると、これらの素子が接触して電気回路が閉じ、それを制御器が検出し得る。
【0745】
別の実施形態において、第1及び第2の素子は誘導機構を形成し得る。例えば、図58A及び図58Bに示されるとおり、1対の素子のうちの一方がコイル状の導電部材を含むことができ、且つ1対の素子のうちの他方が磁石材料、例えばフェライトを含むことができる。磁性材料によって導電部材に電流が流れ、この電流は磁性材料とコイルとの間の距離に依存する。
【0746】
一部の実施形態において、センサは、導管98又は第1の患者インタフェース91の導管内に位置する圧力センサを含み得る。導管は、先述のとおり、押し潰し可能部分を含み得る。一部の実施形態において、センサ95は押し潰し可能部分の下流、例えば第1の患者インタフェース91の鼻プロングの近傍に位置し得る。一部の実施形態において、圧力センサは、例えば図59に示されるとおり、押し潰し可能部分の上流に位置し得る。第2のインタフェース94の存在が、圧力センサ95によって検知される圧力の変化により検出され得る。一部の実施形態において、導管の押し潰し可能部分の一部が押し潰されると、押し潰し可能部分の上流で圧力変化が生じる(圧力の上昇があり得る)。一部の実施形態では、押し潰し可能な導管があるのでなく、むしろ本システムは導管を開閉するためのバルブを含むことができ、ここでバルブは、マスクを第1の患者インタフェース上に置くことによって動作する。圧力変化が検出されると、制御器が導管内の流量又は圧力を減少又は停止させ得る。一部の実施形態において、本システムは、マスクの取り外しを検出し得るように導管内に少量の/低下した圧力/流量レベルを維持し得る。例えば、流量をゼロにまで低下させた場合、マスクを取り外してもそれ以上の圧力変化は生じず、マスクの取り外しは検出されないであろう。マスクが取り外されると、第1の患者インタフェースへのフローが、例えば制御器によって自動的に再開し得る。
【0747】
図60に関連して、一部の実施形態では、第1の患者インタフェースを介して患者にフローを送達するガス導管は、第2の患者インタフェースを適用しても押し潰されない。例えば、マスク94が導管98上を密閉し、且つ導管98の押し潰しを阻止するようにスペーサー構成要素96(図47に関連して説明したとおり)が提供され得る。圧力検知用のセンシングチューブ920が、スペーサー構成要素96とマスク94との間に位置するように提供され得る。センシングチューブに沿って少量のフローが送達され得る。センシングチューブは患者から離れる方に出てもよい。マスク94が適用されると、センシングチューブがスペーサー96とマスク94との間に押し潰され、スペーサー構成要素96の上流のセンシングチューブの圧力が増加し、それが圧力センサによって検知されると、マスクの存在が指示され得る。次に制御器が、ガス導管を介した第1の患者インタフェースへのフローを減少又は停止させ得る。マスクが取り外されると、センシングチューブはもはや押し潰されず、スペーサーの上流の圧力が低下することが許され、それによりマスク94が取り外されたことが示される。或いはスペーサー構成要素は、センシングチューブに接続された押し潰し可能なルーメンを含んでもよい。
【0748】
図61に関連して、一部の実施形態では、検知機構が2つの圧力センサを含み、患者にガスフローを例えば鼻インタフェース200を介して提供するガス導管202の閉鎖可能なセクションの両側の圧力を計測する。閉鎖可能なセクションは導管の押し潰し可能なセクション又は部分204であってもよく、又は先述のとおり、バルブを含んでもよい。第1の圧力センサP1が閉鎖可能なセクション204の下流の圧力を検知し、第2の圧力センサP2が閉鎖可能なセクション204の上流の圧力を計測する。第1の圧力センサは安全圧力限界を提供し得る。P1によって計測したとき、送達される圧力がインタフェースにおいて許容可能な閾値を超える場合、第1の圧力センサP1が閾値(例えP1閾値)を超えたことを検知し、それに応答して制御器がフローを停止させる。それに加えて又は代えて、第1及び第2の圧力センサを使用すると、閉鎖可能なセクション204を挟んだ圧力差を検出することにより、導管の閉鎖可能なセクションが閉鎖されている又は部分的に閉鎖されていることを検出し得る。導管が閉鎖されている又は部分的に閉鎖されていることを第1及び第2の圧力センサが検出するのを用いて、例えば先述のとおりマスクが押し潰し可能なセクションを押し付けている構成にあるマスクの存在を検出し得る。閉鎖可能な部分が少なくとも部分的に閉鎖されているとき、P2はP1と比べて増加することになり、P2より上流でP1より下流に閉塞が存在することが示される。制御器は、P1とP2との間の圧力差が閾値を超えていると判断することができ、それに応答して導管202へのフローをオフにし得る。P1閾値は様々であってよく、例えば圧力差閾値より高くてもよい。P1は増加するがP2は同じままである場合、これはP1の上流のみの閉塞を示すものである。これは、プロングの閉塞又は鼻孔内の密閉によって引き起こされ得る。この場合、送達されるフローを維持することが望ましいこともある。2つの圧力を計測することにより、本システムが、押し潰された又は閉鎖されたチューブとは対照的に、プロングの閉塞又は鼻孔内の密閉の間を区別することが可能になる。マスクが取り外されたときにそれを検出するため少量のフロー及び/又は圧力を維持する必要があり(上記に記載したとおり)、又は図60の方法を用いてもよい。
【0749】
第2のインタフェースが存在することの指標となる流量又は圧力の変化を決定するセンサを含む記載される様々な実施形態においては、制御器が、第2のインタフェースが存在することに応答して、第1の患者インタフェースへの導管内の流量又は圧力を減少又は停止させ得る。一部の実施形態では、第2のインタフェースが存在することに応答して、ゼロ圧力/流量よりむしろ、第1の患者インタフェースへの導管内に低下した圧力/流量を維持して、使用者の顔から第2の患者インタフェースが取り外されたときに、第2のインタフェースを取り外した結果としての圧力/流量の変化を制御器がセンサを介して検知可能であることが望ましい場合もある。制御器は、第2のインタフェースが取り外されたことに応答して、第1のインタフェースへの動作フロー(例えばハイフロー)を再開させ得る。
【0750】
本明細書に記載される様々な構成は、それらのインタフェースと連係するアイテムの患者インタフェースと共に提供される1つ以上のセンサからの信号又は出力に基づく自動化された又は制御された呼吸療法システムの提供を可能にする。例えば、同じ患者上で鼻カニューレと併用して置かれたときにマスクの存在を検知すること、及びそれらのインタフェースの一方又は両方へのガスフローの自動制御(好ましくは鼻カニューレへのフローを制御する)を可能にすることが有用であり得る。
【0751】
本システムの自動制御により、バルブの制御によってガスフローを減少又は停止させること、又は患者に供給されるガスの圧力を調節し又は絞ること、又は更に他にも、動作可能な第1の患者インタフェース及び動作可能な第2の患者インタフェースの存在を知らせるアラーム又は警告を発することが可能である。
【0752】
加えて、信号又は出力97の作動停止又は作動により、ハイフロー療法を開始し又は再開させることが可能であり得る。
【0753】
更に、上記に記載される実施形態は、単一の患者インタフェースと併せて有用であり得る。例えば、ハイフロー鼻カニューレが、本明細書に記載されるアイテム96と併せて利用されてもよく、及び/又は記載されるセンサ機構を含んでもよく、及びマスクは存在しなくてもよい。フロージェネレータによって提供されるフローの変化は、使用者がアイテム96か又は導管98若しくは患者インタフェース91の押し潰し可能部分を指で押下するか、又は指をセンサ95上に置くことによって用手的に作動させてもよい。これは、カニューレを介して患者にフローを投与している使用者がフローを停止させようとし得る内視鏡検査などの適用において有用であり得る。
【0754】
患者が圧外傷を受ける可能性を防止し又は最小限に抑えようと試みる改善により、極めて望ましいアウトカムがもたらされる。
【0755】
二重送達装置、例えば図3に関連して記載されるとおりの鼻カニューレとフェイスマスクとを含む呼吸療法システムについて、様々な実施形態が記載されている。これらのシステムにおいては、異なる呼吸モード間でのシステムの切り換えを可能にし又は促進する装置が提供され得る。例えばこの装置は圧力解放装置、又はシステムのルーメンを開閉するバルブであってもよい。記載される実施形態の一部において、この装置は、フェイスマスクのシールを押し潰し可能部分に押し付けることによってもたらされる力で押し潰れるように適合された導管の押し潰し可能部分を含む。かかる実施形態において、導管又は患者インタフェースは、押し潰れることにより患者インタフェース(カニューレ)を介した患者へのガスフローを停止又は減少させるように適合され、また、患者の気道の周りにシールを形成するためフェイスマスクを上から密接させ得る表面も提供する。
【0756】
他の実施形態は、押し潰し可能部分を有する導管又は患者インタフェースを含まなくてもよい。例えば、フェイスマスクの存在を検出するためのセンサ機構を含む上記に記載される実施形態は、押し潰し可能な導管/インタフェースを含まなくてもよい。かかる実施形態では、通常の動作構成にあるとき(即ち導管が押し潰されていないとき)、フェイスマスクを第1の患者インタフェース又は導管の上に被せて密閉しなければならない。ここで、フェイスマスクを押し潰し可能部分のない別の患者インタフェース(例えばカニューレ)と共に使用することを可能にする様々な機構を説明する。
【0757】
図62Aは、マスク又はマスクアセンブリの形態のユーザインタフェース151を示す。使用時、インタフェース151は、インタフェース151上に提供される開口部又はポート152を介してガス供給システム(図示せず)からのガスを使用者に及び/又は使用者から搬送するため、使用者の鼻領域及び/又は口領域、好ましくは口及び鼻の両方を覆って置かれることになる。図62Aにはまた、同様に第2のインタフェース(図示せず)を介してガス供給システム(図示せず)からのガスを使用者に及び/又は使用者から供給するための、インタフェース1の内部容積の中まで延在するガス導管154も示される。図示される実施形態において、内部容積は、マスクなどのインタフェース151を使用者が着用したときインタフェース151の内部と使用者の顔面とによって形成される。
【0758】
一部の構成では、それぞれ開口部又はポート152を介してガス導管154及びインタフェース151とガス連通しているガス供給システムは、別個のもので、互いに独立している。一構成では、開口部又はポート152とガス連通しているガス供給システムは、使用者にガスを送達するための麻酔器を含む麻酔システムの一部であり、一方、ガス導管154とガス連通しているガス供給システムは、ハイフロー加湿酸素送達システムである。ガス導管154の端部且つインタフェース151の内部容積内に、例えば酸素又はブレンドガスのハイフローを使用者の鼻孔に直接提供するための鼻カニューレ(図示せず)などの鼻インタフェースが提供されてもよい。
【0759】
図62A及び図62Bに関連して、インタフェース151は、マスク、好ましくは使用者の鼻及び口の両方を覆うフルフェイスマスクの形態で提供され得る。このマスクは、シェルなどの本体155を含む。シェルは、ポリカーボネート、プラスチック及びこれらに類似するものなど、任意の好適な材料で作られていてもよい。本体155の周縁部に、又はそれに隣接して、インタフェース151と使用者の顔面及び/又は前記顔面上にそのように提供された構成要素との間にシールを作り出し又はそれを形成することに適応したシール153が提供される。シール153は、射出成形によるなどしてシェル155と一体に形成されてもよく、又はそれは、任意の好適な方法によって別個の構成要素として形成され、次にシェル155に取り付けられてもよい。シール153は、好ましくは軟質の可撓性材料で作られ、それにより使用者がインタフェースを着用したときに使用者の顔の外形に容易に適合して、使用者の顔面とインタフェース151との間にシールを作り出す。好ましくは、シールは略気密シールであり、そのため使用者は導管154又は内部容積又は両方からのみ息を吸ったり及び/又は吐いたりする。
【0760】
一部の構成では、インタフェース151は、使用時にインタフェースを使用者の顔面に位置させるためのヘッドギアアセンブリを含み得る。
【0761】
或いは、インタフェース151は、ヘッドギアなどの任意の固定手段を含まなくてもよく、医療施術者がインタフェースを使用者の顔面上の好適な位置に置き、次に使用者の顔にインタフェースを優しく押し付けて、インタフェースを使用者の顔面と密接係合させる。
【0762】
本開示によれば、インタフェース151は、インタフェース151と使用者の顔面及び/又は使用者の顔面上に提供された(例えば図63A図64の)スペーサー構成要素との間に略気密シールを維持しながらガス導管154をインタフェース151の内部容積内に貫入させることが可能であるように構成及び適合される。
【0763】
インタフェース151は、インタフェース151と使用者の顔面との間のシールを維持しながらガス導管154を本体の内部容積内に貫入させることが容易となるように適合された1つ以上の適応部位又は部分156を含む。図62A及び図62Bに示されるとおりの例示的実施形態において、1つ以上の適応部位又は部分156はシール153及び/又は本体155の上又はそれに隣接して提供される。図示される実施形態において、適応部位156はシール153のカットアウトとして提供される。このカットアウトは、ガス導管154の断面と寸法が同程度の、又はそれよりも僅かに小さい外形を有する。これは、ひいてはシール153と使用者の顔面との間のシールを損なうことになるシール153と使用者の顔面との間の間隙を残すことなくガス導管154が本体155の内部容積内に延在し又はそこから出ることができるようにするものである。カットアウトの幾何学的形状は、チューブ(例えばコルゲート状)の反転した外形を反映して、チューブとより良好なシールを作り出し得る。カットアウトは、カットアウトの幾何学的形状が維持されるように、シールの残りの部分と異なる材料、例えば比較的硬質の材料で作られてもよく、又はカニューレチューブの周囲への形状適合を促進するため比較的軟質の材料で作られていてもよい。
【0764】
インタフェースの適応部位又は部分156により、インタフェース151を鼻カニューレと共に使用することが可能となり得る。
【0765】
一部の構成では、鼻カニューレは比較的高流量の酸素又は高流量のブレンドガス又は高流量の空気を送達するのに用いられる。インタフェース151は様々な他の呼吸補助又は麻酔薬送達に用いられ得る。上述のとおり、インタフェース151はシール153を含み、使用時に使用者の顔面に密接する。
【0766】
適応部位又は部分156により、インタフェース151と使用者の顔面との間のシールを損なったり又はそれに実質的に影響を及ぼしたり又はそれを妨げたりすることなく鼻カニューレをインタフェース151と共に使用することが可能になる。これにより、例えばハイフロー療法を送達する鼻カニューレを、他の呼吸補助を提供するために用いられるインタフェース151と併用して使用することが可能となり得る。医療施術者は、マスク及び鼻カニューレなどのユーザインタフェースを頻繁に追加したり又は取り外したりすることによって使用者又は医療施術者を苛立たせることなく、使用者に対してどの呼吸補助を使用すべきかを調整又は選択することができる。
【0767】
一部の他の構成において、適応部位又は部分156は、初めに使用者の顔から鼻カニューレを取り外さなくてもインタフェース151を使用者に載せることが可能である。様々な密閉構造を利用して、1つの、一部の又はあらゆる患者インタフェースを変更したり又は取り外したりする必要のない、呼吸補助モード間の切り換えの更なる容易さを促進し得る。
【0768】
適応部位又は部分156は、図62Aに示されるものなど、マスクのシール153及び/又は本体155に直接提供されてもよい。別の実施形態において、適応部位又は部分156はシール153の拡張部分158として提供されてもよく、カットアウトがシール153に直接形成される代わりに拡張部分158に形成される。
【0769】
一部の構成では、使用者の顔面に載置される別個のスペーサー構成要素が提供され、これは導管154を使用者の顔面上に位置付けるのに役立つものである。図63A図63Cは、各々が、かかるスペーサー構成要素157の異なる構成を示す。スペーサー構成要素157は導管154の少なくとも一部分を取り囲み、好ましくは、スペーサー構成要素157は、導管154のうちインタフェース151を使用者が着用したときに適応部位又は部分156を係合する部分に提供される。
【0770】
図63Aに示される実施形態において、スペーサー構成要素157は、導管154のある長さを取り囲むパッド付きスリーブの形態である。上記に説明したとおり、スペーサー構成要素157は、シール153と使用者の顔面との間のシールを維持しながら導管154をインタフェース151の周縁部を横断して延在させることを可能にするものである。使用時、スペーサー構成要素157は適応部位又は部分156と使用者の顔面との間に置かれて気密性を維持する。スリーブは、中に導管154を受容するチャネル159を含む。図示される実施形態において、スリーブは中心領域の厚さが大きく、且つ両方の外側方向に向かって厚さが徐々に低下することにより木の葉形の断面を形成する。他の構成では、スリーブは楕円形又は円形断面など、別の形状の断面を有し得る。好ましい実施形態において、スペーサー構成要素は導管よりも扁平な外形を有するように付形される。扁平な外形は、マスクのシールがその上にのし掛かってシールを形成し得る漸進的曲率を含む表面をもたらす。好ましくは、構成要素157は、導管の挿通を受け入れる厚い部分から、その厚い部分の両側の薄い部分までテーパ状である。構成要素157の形状は勾配の急激な変化を最小限に抑え、漏出の発生を防ぐ。スペーサー構成要素は、導管を受け入れるためのチャネル又は溝(grove)又は通路を含み、導管と共にシール又は少なくとも部分的なシールを提供する。
【0771】
スペーサー構成要素157は、それを取り付ける導管154の一部分と一体に形成されてもよく、又は図63B又は図63Cに示されるものなど、導管154の一部分に着脱可能に取り付けることのできる別個の構成要素として形成されてもよい。この構成要素は導管上で摺動可能であってもよい。一部の構成では、スペーサー構成要素157は、例えば図63Cに示されるもののようにスナップ嵌め作用によるか(又はスナップ嵌め係合なしに導管の上に着座し得る)、又は導管154の端部をスリーブのチャネルに挿入し、次にスリーブを導管154の長さに沿って望ましい位置まで摺動させることにより、導管の一部分に着脱可能に取り付けられる。或いは、構成要素は第1の部分1510と第2の部分1511とを含むことができ、これらの2つの部分は構成要素の片側に沿って枢動可能に又はヒンジ式に接続され、且つもう一方の側から開放可能であって、これらの2つの部分の間に導管154を受け入れ、及び/又は挟み込む。或いはこれらの2つの部分1510及び1511は互いに恒久的に取り付けられていてもよく、導管の周囲に一緒になって嵌合するものであってもよい。第1の部分1510及び第2の部分1511は各々が、スリーブの中心領域又はその近傍に形成された、導管154を受容し、又は導管154をスリーブのこれらの2つの半体の間のどこに位置させるべきかについて使用者に可視表示を提供する溝又はチャネル159を有してもよい。チャネルの内部の幾何学的形状は導管と合致し得る。
【0772】
図63B図63Cに示される構成において、スリーブの外表面、例えば上面及び下面は実質的に滑らかであり、インタフェース151とスペーサー構成要素157との間、及びスペーサー構成要素157と使用者の顔面との間に気密シールを作り出す助けとなる。
【0773】
図64は、適応部位又は部分156及びスペーサー構成要素157の別の構成を示す。この構成では、インタフェース151は、インタフェース151を使用者の顔面に載せたときにスペーサー構成要素157と導管154とが摺動して外れたり、又は位置が変わったりしないようシールを維持しながらスペーサー構成要素157に連結するための連結機構を含む。一形態では、この連結機構は、適応部位又は部分156又はその近傍に、シール153の裏面(使用時に使用者の顔に直に対面するサイド)から延在する突出部156aとして提供される。スペーサー構成要素157の上面の外表面に相補的な溝1512が形成される。この溝1512が突出部156aを受け入れて連結機構を形成し、スペーサー構成要素157をインタフェース151に対して所定位置に固定する。突出部は押し潰し可能であるか、又はマスクが患者の顔面上に直接置かれる場合にはマスク内に後退させることができてもよい(例えば突出部は、スペーサーの溝とのシールによって生じるものよりも大きい力が加わると、圧縮して後退を可能にするばねをそれらの上方に有し得る)。
【0774】
一部の構成では、スペーサー構成要素157は適応部位又は部分156及び使用者の顔面から及ぼされる力に耐えるように構成され、そのためインタフェースが使用者の顔面に置かれた後に導管154内のガスフローを妨げることがない。別の構成では、スペーサー構成要素157は弾性変形するように構成されてもよく、そこに収容される導管154の一部分もまた変形する。この構成では、インタフェースを使用者が着用した後に導管154を介したガス連通が停止し、又は実質的に低下する。かかる実施形態は図54A図54Cに関連して説明している。
【0775】
スペーサー構成要素157は、シリコーン、発泡体、ゴム、プラスチック、織物及び/又はこれらに類似するものなど、任意の変形可能な又は弾性の材料で作られていてもよい。
【0776】
図62A及び図62Bの構成の利点:
-マスクシールを既存のカニューレチューブに適合するように設計することができる。
-マスクのカットアウトがカニューレチューブを位置付ける助けとなり、カニューレが鼻孔に良好に位置決めされたまま維持されることを確実にし得る
-特徴部を位置付けるため、使用者はシールが正しく達成されていることについて確信を持てる。
【0777】
図62Bの構成の利点:
-拡張部分158を既存のマスクに着脱可能であり/装着することができ、カニューレチューブが所定位置にないとき顔面との良好なマスクシールを確実にする必要がないときは取り外すことができる。
【0778】
図63A図63Cの構成の利点:
-既存のマスク及びカニューレを使用することができる(即ち:マスク上に特別な適応部位を有しない場合)
-必要がないときはスペーサーを取り外すことができる
-必要な場合にのみスペーサーを購入し/使用することができる
-スペーサーをマスクに取り付けないため、所望に応じて患者の顔面上でチューブを位置決めし直すことができる(マスク上に特別な適応部位を有しない場合)。
【0779】
図64の構成の利点:
-スペーサー及びマスクの両方が特別な設計であるため、より良好な密閉を確保することができる
-スペーサーを既存のカニューレが適合するように設計することができる
-特徴部を位置付けるため、使用者はシールが正しく達成されていることについて確信を持てる。
【0780】
前述の説明において、その公知の均等物を有する完全体(integer)又は構成要素が参照されている場合、それらの完全体は本明細書において個別に示されたものとして援用される。
【0781】
本開示は特定の実施形態に関して記載されているが、当業者に明らかな他の実施形態もまた、本開示の範囲内にある。従って、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び改良が行われ得る。例えば、種々の構成要素の位置を所望のとおり変えてもよい。更に、本開示の実施に必ずしも全ての特徴、態様及び利点が必要というわけではない。従って、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ定義されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E-27F】
図27G-27H】
図27I
図27J
図28
図29
図30A
図30B
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38A
図38B
図39
図40
図41A
図41B
図42A
図42B
図43A-43C】
図44A
図44B
図44C
図44D
図45A
図45B
図45B-i】
図45B-ii】
図45B-iii】
図45B-iv】
図45C-i】
図45C-ii】
図45D-i】
図45D-ii】
図45E
図45F
図46A
図46B
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54A-54C】
図55A
図55B
図56A-56B】
図57
図58A-58B】
図59
図60
図61
図62A
図62B
図63A
図63B
図63C
図64
図65a
図65b
図65c
図65d
図66a
図66b
図67a
図67b
図67c
図67d
図67e
図67f
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸補助を提供するための呼吸器具であって、
鼻インタフェース及び前記鼻インタフェースの出口にガスフローを送達するためのガス導管、並びに前記出口に第1のレベルの前記ガスフローを提供するための第1の構成と前記出口に第2のレベルの前記ガスフローを提供するための第2の構成との間で前記器具を構成するように適合された装置及び/又は検知機構、を含み、前記第2のレベルは前記第1のレベル未満であり、前記装置及び/又は前記センサ機構が前記鼻インタフェースに位置するか、又は前記導管の患者端若しくはその近傍に位置する、器具。
【外国語明細書】