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特開2024-20312流体環境中の標的ガス濃度を求めるための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020312
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】流体環境中の標的ガス濃度を求めるための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G01N27/04 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190322
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2021560198の分割
【原出願日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】62/830,182
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514087108
【氏名又は名称】エイチツースキャン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ディラン
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,ティム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガスセンサの測定値の効率および精度を改善するガスセンサを使用し、流動性環境における対象ガスの濃度を求めるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】前記改善は、様々な温度においてガスセンサの電気的な特性の測定値を取得すること、第1の温度および第2の温度との間の遷移中に測定値を取得すること、より頻繁に測定値を取得すること、ガスセンサが平衡に達するときに検出すること、複数のセンサを使用すること、オフセットとドリフトを考慮に入れること、センサがライブでない時間を削減すること、様々なアルゴリズムを使用すること、または、それらの任意の組み合わせによる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体環境中の標的ガスの標的ガス濃度を求める方法であって、前記方法は、
(a)ガスセンサを流体環境に晒す工程であって、ガスセンサは標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する工程、
(b)工程(a)中にガスセンサの温度を調節する工程であって、調節は、電気的特性において振幅周波数応答を誘発する反復熱波形の形である工程、
(c)工程(b)中に電気的特性を監視する工程、および、
(d)ガスセンサの電気的特性の振幅周波数応答の関数として標的ガス濃度を算出する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
振幅周波数応答に基づいて校正表を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
校正表は、標的ガス濃度を、短時間フーリエ変換を使用して測定された振幅周波数応答と関連させることによって生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
標的ガスの既知の分圧をセンサに適用し、センサが第2の振幅周波数応答を生成することを可能にし、第2の振幅周波数応答に基づいて修正を校正表に適用することによって、振幅周波数応答におけるシフトを修正する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
修正を校正表に適用する工程をさらに含み、前記適用する工程は、
(a)センサが第2の振幅周波数応答を生成することを可能にすること、
(b)2つの温度で動作するためにガスセンサの動作モードを変えること、
(c)ガスセンサがガスに晒されている間、第1の温度と第2の温度との間でガスセンサの温度を交互に制御することであって、ガスセンサの温度は第1の期間にわたって第1の温度のままであり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度へと遷移し、第3の期間にわたって第2の温度のままで制御すること、
(d)第2および第4の期間中にガスセンサの電気的特性を監視すること、
(e)電気的特性の関数として標的ガス濃度を算出すること、および、
(f)第2の振幅周波数応答および算出された標的ガス濃度に基づいて修正を算出すること、
によって行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
反復熱波形は複数の正弦波の重ね合わせによって生成され、各正弦波は対応する振幅周波数応答の校正表を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の正弦波は、第1の周波数のセットを有する第1の正弦波のセット、および第2の周波数のセットを有する第2の正弦波のセットを含み、第1の周波数のセットは第2の周波数のセットよりも低く、標的ガス濃度の算出は、第1の周波数のセットまたは第2の周波数のセットのうちの1つの振幅周波数応答に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
流体環境中の標的ガスの標的ガス濃度を求める方法であって、前記方法は、
(a)ガスセンサを流体環境に晒す工程であって、ガスセンサは標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する工程、
(b)工程(a)中にガスセンサの温度を調節する工程であって、調節は、電気的特性において位相周波数応答を誘発する反復熱波形の形である工程、
(c)工程(b)中に電気的特性を監視する工程、および、
(d)ガスセンサの電気的特性の位相周波数応答の関数として標的ガス濃度を算出する工程、
を含む、方法。
【請求項9】
位相周波数応答に基づいて校正表を生成する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
校正表は、標的ガス濃度を、短時間フーリエ変換を使用して測定された位相周波数応答と関連させることによって生成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
標的ガスの既知の分圧をセンサに適用すること、センサが第2の位相周波数応答を生成することを可能にすること、修正を第2の位相周波数応答に基づいて校正表に適用することによって、位相周波数応答におけるシフトを修正する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
修正を校正表に適用する工程をさらに含み、前記適用する工程は、
(a)センサが第2の位相周波数応答を生成することを可能にすること、
(b)2つの温度で動作するためにガスセンサの動作モードを変えること、
(c)ガスセンサがガスに晒されている間、第1の温度と第2の温度との間でガスセンサの温度を交互に制御することであって、ガスセンサの温度は第1の期間にわたって第1の温度のままであり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度へと遷移し、第3の期間にわたって第2の温度のままであること、
(d)第2および第4の期間中にガスセンサの電気的特性を監視すること、
(e)電気的特性の関数として標的ガス濃度を算出すること、および、
(f)第2の位相周波数応答および算出された標的ガス濃度に基づいて修正を算出すること、
によって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
反復熱波形は複数の正弦波の重ね合わせによって生成され、各正弦波は対応する振幅周波数応答の校正表を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
複数の正弦波は、第1の周波数のセットを有する第1の正弦波のセット、および第2の周波数のセットを有する第2の正弦波のセットを含み、第1の周波数のセットは第2の周波数のセットよりも低く、標的ガス濃度の算出は、第1の周波数のセットまたは第2の周波数のセットのうちの1つの位相周波数応答に基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流体環境中の標的ガスの標的ガス濃度を求める方法であって、前記方法は、
(a)ガスセンサを流体環境に晒す工程であって、ガスセンサは標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する工程、
(b)工程(a)中にガスセンサの温度を調節する工程であって、調節は、電気的特性において周波数応答を誘発する反復熱波形の形である工程、
(c)工程(b)中の電気的特性を監視する工程、および、
(e)ガスセンサの電気的特性の周波数応答の関数として標的ガス濃度を算出する工程、
を含む、方法。
【請求項16】
周波数応答に基づいて校正表を生成する工程をさらに含み、校正表は、標的ガス濃度を短時間フーリエ変換を使用して測定された周波数応答と関連させることによって生成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
標的ガスの既知の分圧をセンサに適用すること、センサが第2の周波数応答を生成することを可能にすること、修正を第2の周波数応答に基づいて校正表に適用することによって、周波数応答におけるシフトを修正する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
修正を校正表に適用する工程をさらに含み、前記適用する工程は、
(a)センサが第2の周波数応答を生成することを可能にすること、
(b)2つの温度で動作するためにガスセンサの動作モードを変えること、
(c)ガスセンサがガスに晒されている間、第1の温度と第2の温度との間でガスセンサの温度を交互に制御することであって、ガスセンサの温度は第1の期間にわたって第1の温度のままであり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度へと遷移し、第3の期間にわたって第2の温度のままであること、
(d)第2および第4の期間中にガスセンサの電気的特性を監視すること、
(e)電気的特性の関数として標的ガス濃度を算出すること、および、
(f)第2の周波数応答および算出された標的ガス濃度に基づいて修正を算出すること、
によって行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
反復熱波形は複数の正弦波の重ね合わせによって生成され、各正弦波は対応する振幅周波数応答の校正表を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
複数の正弦波は、第1の周波数のセットを有する第1の正弦波のセット、および第2の周波数のセットを有する第2の正弦波のセットを含み、第1の周波数のセットは第2の周波数のセットよりも低く、標的ガス濃度の算出は、第1の周波数のセットまたは第2の周波数のセットのうちの1つの周波数応答に基づく、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
流体環境中の標的ガスの標的ガス濃度を求める方法であって、前記方法は、
(a)第1のガスセンサを流体環境に晒す工程であって、第1のガスセンサは標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する工程、
(b)第2のガスセンサを流体環境に晒す工程であって、第2のガスセンサは標的ガス濃度の関数として変化する電気特性を有する工程、
(c)第2のガスセンサが流体環境に晒されている間、第1の温度と第2の温度との間で第2のガスセンサの温度を交互に制御する工程であって、第2のガスセンサの温度は第1の期間にわたって第1の温度のままであり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度へと遷移し、第3の期間にわたって第2の温度のままであり、第4の期間にわたって第2の温度から第3の温度へと遷移する工程、
(d)第2および第4の期間中に第2のガスセンサの電気的特性を監視する工程、および、
(e)第1のガスセンサの電気的特性の関数として標的ガス濃度を算出する工程であって、第2のガスセンサからのデータは第1のガスセンサのベースラインセンサドリフトを修正するために使用される工程、
を含む、方法。
【請求項22】
第1のガスセンサは単一の温度で動作する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
第2のガスセンサは反復熱波形に対して一定のシステム応答状態にある、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
第1のガスセンサが第1のガスセンサで検出された標的ガスの分圧の変化を第2のガスセンサに報告することをさらに含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
第1のガスセンサは2つの温度で動作し、第1のガスセンサが流体環境に晒されている間、第1の温度と第2の温度との間で第1のガスセンサの温度を交互に制御する工程をさらに含み、第1のガスセンサの温度は第1の期間にわたって第1の温度のままであり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度へと遷移し、第3の期間にわたって第2の温度のままであり、第4の期間にわたって第2の温度から第3の温度へと遷移し、第1のガスセンサおよび第2のガスセンサの温度はずらされており、第1のガスセンサが第1のガスセンサの第1の期間または第3の期間にあるとき、第2のガスセンサが第2のガスセンサの第2の期間または第4の期間にある、請求項21に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体環境中のガス濃度を求めるためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数のガスセンサが当該技術分野で知られている。ガス濃度は、センサの電気的特性(電流、電圧、静電容量、抵抗など)の変化を観察することによって測定することができる。従って、抵抗性センサ、容量性センサ、およびトランジスタ、またはダイオードセンサなどの半導体センサが、当該技術分野で知られている。
【0003】
特定の例として、薄膜PdNi合金抵抗器が水素などのガスを検出し、濃度を測定するのに使用されていた。水素はPdNiに可溶性であり,薄膜pdni合金の抵抗性は水素に晒されると増加し、増加量は水素分圧の平方根に比例する。PdNi格子を有するものなどいくつかのガスセンサは、Hの濃度が高くなると抵抗が増加したり、容量あるいは半導体の特性が変化したりすることがある。例えば、抵抗は、PdNi格子中の水素の平方根に比例して直線的に増加する可能性があり、これはシーベルトの法則によって説明されるようなガス状のHの圧力に関連する。
【0004】
ある特定の適用のために、ガスセンサシステムは標的ガス、例えばHの圧力を検出するように設計することができる。しかしながら、標的ガス圧力に加えて、ガスセンサの測定に影響を与える要因がある可能性がある。例えば、ガスセンサの温度が測定に影響を与えることがある。この問題に対処するために、ガスセンサを所望の温度範囲内に維持するためにヒータを使用することができる。温度に加えて、ガスセンサに適用されるバイアス電圧または流体環境の全体的な圧力など、他の要因がガスセンサ測定に影響を与える可能性がある。これらの測定はまた、経年劣化や不要なガスの存在、センサ特性のシフトに関連するベースラインドリフトが原因でエラーが発生する傾向もある。例えば、水素の分圧とセンサの抵抗を関連付ける表が作成された場合(抵抗が同じセンサ温度に関連付けられていると仮定する)、前述の例により、時間の経過とともにこれらの関連付けは正確ではなくなる。従って、この表に基づいて測定するとエラーが生じる。この問題に対する1つの解決策は、校正を実行し、2つの異なる温度でガス測定を実行するシステムを採用することである。
【0005】
などの非標的ガスはまた、ガスセンサの測定に影響を与える可能性がある。非標的ガスの存在は、少なくとも2つの方法で標的ガス測定に影響を及ぼすかまたは妨害する可能性がある。第1に、センサが標的ガスと非標的ガスの両方に応答しているため、センサの読み取り値が高すぎるか、または低すぎる可能性がある。この点で、非標的ガスの影響は、標的ガスの読み取り値に対するオフセットと考えることができる。第2に、非標的ガスの存在は、センサが標的ガスを測定する方法を変える可能性がある。例えば、非標的ガスは、格子の内部または表面上の受容体部位を占有することができる。これにより、利用可能な受容体部位が少なくなり、標的ガスに対するセンサの感度が低下する。別の例として、PdNiガスセンサでは、格子中の酸素の存在がセンサの抵抗性または容量特性に影響を与える可能性がある。従って、酸素透過格子は、格子が酸素を透過しなかった場合とは異なる方法で水素の存在に応答する可能性がある。酸素が格子を透過するとき、水素が吸着してHOやOHなどの分子が生成される。これらの分子は、それ自体で、ガスセンサの抵抗性または容量特性に影響を与える可能性がある。
【0006】
非標的ガスの影響を低減するための1つの試みられた解決策は、そのような非標的ガスを濾過するためにガスセンサ上のブロッキングコーティングを使用することであり得る。しかしながら、このようなフィルタは、ガスセンサの感度または応答時間を低減させる可能性がある。別の試みられた解決策は、複数のガスセンサを使用して非標的ガスを特異的に検出し、非標的ガスの濃度情報を決定し、考慮することが考えられ得る。しかしながら、そのような解決策は高価であり、および/またはシステムの複雑さが増す可能性がある。さらに別の試みられた解決策は、干渉するガスを含まないものにガスセンシングアプリケーションの適用を単純に限定することである。ドリフト問題の解決策は、ドリフトしているセンサを手動で繰り返し再校正することである。
【0007】
上記の理由から、ガス濃度を正確かつ効率的に測定するための方法とシステムが必要とされており、継続的または最小限の中断での読み取りを提供する一方で、基準ガスを必要とする校正の必要性を低減または排除すると同様に、水素測定および水素監視アプリケーションための要件の正確性、応答時間、および精度を維持または上回ることができるなどの利点があるが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、流体環境中のガス濃度またはガス含有量を効率的かつ正確に測定することができる方法およびシステムに関する。この方法とシステムは、異なる温度で測定を行い、第1の温度と第2の温度との間の遷移中に測定を行い、より頻繁な測定を行い、ガスセンサが平衡に達したときを検出し、複数のセンサを使用し、オフセットとドリフトを考慮し、センサがライブでない時間を低減し、アルゴリズムまたはそれらの組み合わせを使用する装置および技術の使用を含む。その結果,本出願のシステムおよび方法は,いくつかの水素測定および水素モニタリングアプリケーションにおける定期的な校正の必要性を低減または排除し,現在の水素測定およびモニタリング製品の正確性,応答時間および精度を物理的に達成し,水素レポートのギャップを低減または排除する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態である。
図2】データ中の安定点にフラグを立てる平衡検出器を示す。
図3A】2つのガスセンサを使用する場合の動作原理を示しており、マルチ温度(MT)センサ(2つの温度で使用されるセンサ)がシングル温度(ST)センサ(1つの温度で使用されるセンサ)に向けて修正を送り、STセンサが安定性情報をMTセンサに送り返すことができる。
図3B】2つのガスセンサシステムを使用してガス濃度を測定する方法のフロー図を示しており、第1のガスセンサを単一の温度で使用し、第2のガスセンサを2つの温度で使用する。
図3C】デュアル温度センサ動作のステートマシンを示しており、LTは 「低温状態」、ELTは 「低温状態の終わり」、HTは 「高温状態」、EHTは 「高温状態の終わり」である。
図3D】デュアルセンサ動作の例を示す。
図4A】複数の水素ガス濃度に晒されたガスセンサの抵抗測定を示しており、抵抗センシング素子の温度は試験全体を通して正弦波によって調節される。
図4B図4Aの抵抗測定に関連する振幅周波数応答を示す。
図4C図4Bからの振幅周波数応答の関数としての水素を示す。
図4D図4Cの校正表を使用して図4Bからのデータで算出された水素濃度を示す。
図4E図4Aおよび図4Bに示す熱正弦波の動作方法を使用した水素濃度全体の測定精度を示す。
図5】2つのセンサ動作の原理を示しており、各センサがMTモードで動作し、1つのセンサが常にライブであることができるように温度遷移がずらされる。
図6A】2つの温度で動作するガスセンサに関連する2つの等温線を示しており、各等温線は区分的校正によって画定される。
図6B図6Aに示す2つの等温線の違いと、デルタ-R測定値を調べて水素の読み取り値を生成する方法を示す。
図6C】同じデータセット上の水素測定性能の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付された図面に関して以下に記された詳細な記載は、本発明の現在好ましい実施形態の記載であると意図され、本発明が構築あるいは利用されることもある唯一の形態を表すことを意図するものではない。本記載は、例証された実施形態に関して本発明を構築および操作するための工程の機能と順序を示す。しかしながら、同じあるいは等価な機能および順序は、本発明の精神と範囲内に包含されるように意図される様々な実施形態によって達成され得ることを理解されたい。
【0011】
本発明は、2019年4月5日に出願された米国仮出願第62/830,182号に開示されているように、少なくとも2つの異なる温度でガスセンサの電気的特性における変化を測定することにより、流体環境中の水素濃度などの流体環境中の標的ガス濃度を求めるためのシステムおよび方法を対象としており、この出願は、この参照によりその全体が本明細書に援用される。2つの異なる温度でのガスセンサの電気的特性の測定は、ガス濃度を算出するために使用することも、単一の温度でのガスセンサの電気的特性の測定を校正または修正するために使用することもできる。好ましくは、システムおよび方法は、精度を損なうことなく連続的にガス濃度を求めることができる。一例としてのみ、システムは、2015年2月17日に出願された米国特許出願第14/624,400号に記載されているようなガスセンサを含み得、この出願は、この参照によりその全体が本明細書に援用される。図1を参照すると、いくつかの実施形態では、センサチューブは、ガスセンサを含み、これは、ガス抵抗、温度抵抗、およびヒータを有するダイを含み、2つのガスセンサが各電子機器セットに接続されている。ガス抵抗は水素抵抗であり得る。ガス濃度を測定するための方法は、流体環境中のガス濃度を測定する精度を改善するために、単独で、またはそれらの任意の組み合わせで使用することができる以下に記載されるような様々な技術を含む。
【0012】
2つの温度の過渡のガスを算出する機能
流体環境中のガス濃度の測定を改善する方法の1つは、ガスセンサが2つの異なる温度の間で変化している間に、ガスセンサの電気的特性(電流、電圧、静電容量、抵抗など)を動的に測定することにより、システム応答(センサ(出力)の電気的特性がセンサ温度と環境条件(入力)の機能としてどのように変化するか)を監視することである。この2つの温度動作は、ガスセンサが第1の期間の第1の温度にあり、第2の期間(第1の遷移期間)の第2の温度に遷移し、第3の期間の第2の温度にあり、第4の期間(第2の遷移期間)の第1の温度に戻って遷移することを含む。
【0013】
あるいは、ガスセンサは、第4の期間(第2の遷移期間)の間、第3の温度に遷移することができる。第3の温度は、第1の温度と同じであることができ、または第3の温度は、第1の温度と異なることができる。好ましくは、第2の温度が、第1の温度からの温度の上昇である場合、第3の温度は温度の低下である。逆に、第2の温度が第1の温度からの温度の低下である場合、第3の温度は第2の温度からの温度の上昇であることがある。従って、温度の変化は波形に従うことができるが、振幅と周期は同じである必要はない。
【0014】
遷移期間中、ガスセンサの電気的特性も過渡状態にあり、過渡電気応答、または単に過渡応答と呼ばれる。例えば、ガスセンサは、変化する温度に対する過渡抵抗応答を有し得、これは、不安定な過渡応答の間であっても、ライブの水素の読み取り値を算出するために分析することができる。これは、応答の振幅および/または位相を分析することによって行うことができる。システム応答は、過渡応答を含むことができ、または過渡を有さない応答であることもあり、例えば、いかなる抵抗でも温度によって抵抗値が変化するように、温度の変化によってPdセンサの抵抗値がすぐに変化するような場合である。これはまた、水素が含まれている場合、Pdセンサに不安定性を引き起こす可能性があり、水素はゆっくりと格子の中または外に移動して新しい平衡状態にならなければならず、時間に依存する二次的な影響がでてくる。
【0015】
過渡の電気応答は、ダイ上のコーティング、特に水素抵抗に大きく依存することがある。パラジウム・ニッケル格子と環境との間など、ダイのさまざまな要素に複数のコーティング/パッシベーション層が使用される。そのため、コーティングは、水素濃度を算出するために過渡応答をより簡単に使用できるように、水素に対する透過性で選択される。コーティングは、測定量からセンサへ、またはセンサから測定量への水素の移動を妨げるため、コーティングによって遅延が発生し(つまり、時定数の追加)、過渡応答に影響を与える。コーティングの厚さ、コーティングの密度、および緩くまたは堅く制御される多くの他のパラメータはその時定数に影響を与える。遷移時間の遅延または変化は、水素の存在または不足を識別することに役に立つ。例えば、水素が存在する場合、ダイ温度の変化を伴う水素センサのステップ応答においてオーバーシュートまたはアンダーシュートが存在する可能性がある。水素平衡のために、センサ素子(例えば、パラジウムニッケルセンサ)と周囲の水素との間のバランスが破壊され、システムが平衡に達するまで(すなわち、測定が安定しているとき)時間がかかることがある。言い換えると、到達可能な格子には平衡抵抗や定常状態の挙動(例えば、水素の分圧とガスセンサの温度が一定のままであると仮定して、ガスセンサが十分な時間を与えられたときに到達する抵抗)があり、それは周囲の環境における水素の分圧の関数である。環境中の水素の分圧の変化は瞬時に格子に変換されず、センサ温度やコーティングの誘電率などに基づいて新しい平衡に達するのに時間がかかるだろう。この時間は数分から数時間になることがある。システムが平衡に達するのにかかる時間は、制御することができ、環境の測定ならびに分類において有利に使用することができる。例えば、センサ内の水素が多いほど、平衡に達するまでの時間が長くなる。既知の水素濃度に対する過渡応答を校正することによって、測定された過渡応答の関数として水素を測定するモデル(本明細書で記載された正弦波モデルなど)を開発することができる。
【0016】
反復熱波形の機能
単にセンサの温度を第1の温度から第2の温度に変化させるのではなく、ガスセンサの温度は一定の変化状態に保たれる。好ましくは、ガスセンサの温度は、反復熱波形と呼ばれるパターンにおいて繰り返し変化させることができる。このように、ガスセンサの電気的特性は、正弦波などの反復熱波形に対して一定のシステム応答の状態になることができる。過渡応答を常時監視し測定することにより,短時間フーリエ変換(STFT)またはウェーブレット解析を用いて過渡応答の振幅および/または位相を測定することができる。水素の濃度は過渡応答に影響するため、周波数応答を使用して水素を測定することができる。この周波数応答は、振幅周波数応答と位相周波数応答とを含む。水素濃度に対する周波数応答の振幅、位相、またはその両方に関連するいくつかの校正点を使用して、内挿または回帰関数を持つ表を作成する。振幅周波数応答は、励起に対する応答の電気的特性に関連する周波数のスペクトルの振幅である。位相周波数応答は、励起に対する応答の電気的特性に関連する周波数のスペクトルの位相である。一例として、スペクトルは、サンプルの総数(ウィンドウの長さ)によって画定される一定の期間にわたって前記データをある速度(サンプル周波数)でサンプリングし、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して離散フーリエ変換(DFT)を生成することによって、応答の電気的特性のデータを記録することによって生成することができる。信号の時間内で短いセグメントにフーリエ変換を実行するプロセスは、短時間フーリエ変換(STFT)と呼ばれる。サンプル周波数とウィンドウの長さは、所望の帯域幅、スペクトルの分解能、処理の遅延などに基づいて選択することができる。
【0017】
従来のマルチ温度センサでは、ある温度から別の温度への遷移は、遷移後の一定期間の水素測定が不正確になるような破壊的な過渡応答を引き起こす。破壊的過渡応答を伴う水素濃度の因子を算出することは非常に困難である。反復熱波形アプローチを使用するシステムでは,システムは常に既知で制御された熱の過渡応答の状態にあり,従って,反復熱波形の性質からシステムを特徴付けることができる。システムは非線形にすることができるが、システムを励起するために反復熱波形で調節すると、過渡応答の振幅と位相遅延は水素の濃度に関連付けられる。
【0018】
好ましくは、正弦波励起は単一の周波数を有し、周波数領域でのシステム応答の特性評価を、複数の周波数を含む他の反復波形の特性評価よりも数学的に単純にする。熱正弦波に対するシステム応答は非線形であることが観測されているため、応答には複数の周波数が含まれている。励起に複数の正弦波周波数を使用する方法については後述するが、各正弦波に関連する周波数を慎重に選択する必要がある。単一の周波数励起からの複数の周波数を含むシステム応答を有することは、励起の各周波数成分が出力で複数の周波数応答を生じさせ、応答における周波数の複雑な混合をもたらすため、複数の周波数を有する励起に対するシステム応答よりも好ましい。例えば、温度のステップ変化を誘発する反復波形は、理論的に無限の正弦波を含むシステム応答をもたらし、応答の関数として算出された水素に実装されたモデルを複雑にする。複数の水素濃度において熱正弦波によって励起されるガスセンサの抵抗応答の例を図4Aに示す。この例では、正弦波の周期は8分であり、熱波形の振幅は50℃から150℃の範囲である。図4A-4Dに示した水素濃度は、窒素の背景ガスを使用した1気圧の絶対値での体積濃度である。
【0019】
システム応答に基づいて校正表を利用するモデルは、温度遷移に起因する過渡中に水素を正確に算出することができない(あるいは、少なくともそれが非常に困難である)負のダウンタイムの態様なしに、マルチ温度システムのベースラインドリフト除去の利点を生み出すことができる。例えば、反復熱波形の一周期に含まれるサンプル数に等しいウィンドウの長さの過渡応答のSTFTを用いて、この例では正弦波(8分)を用いることにより、励起の基本周波数に関連する振幅を経時的に測定することができる。図4Bは、過渡応答に基づいてこの算出の一例を示しており、過渡応答は、図4Aから示される抵抗応答である。次に、ガス濃度と周波数応答(振幅周波数応答および/または位相周波数応答など)を関連付ける伝達関数または校正表を作成することができる。図4Cは、図4Bからの振幅周波数応答データに基づいて生成された水素の校正表を示す。このモデル(図4C)を使用して、図4Bからのデータは水素の読み取り値を生成するために使用することができる。これは図4Dに示される。
【0020】
基本的なシステム応答が変化した場合、このモデルの長期的な精度が影響を受けることがある。例えば、センサ上に堆積する異物は、応答時間を遅くし、センサの特性を効果的に変化させる。これを補足する何らかの方法がなければ、水素の読み取り値の精度が低下するだろう。(図4Eに示す複数の水素濃度にわたる精度の低下を参照)。また、温度遷移による水素算出にギャップはないが、励起の基本周波数と周波数成分を共有する水素濃度における変化は、水素算出に影響を与え、読み取り値に不要なスパイクを発生させる。従って、これらの遷移が発生した場合、これらのスパイクを最小化または排除するために環境が安定するまで、水素読み取り値をマスキングするなど、追加のフィルタリングおよび/または他の信号処理技術を追加することが有益であり得る。この効果は図4Dに観察することができ、適用された水素濃度がある値から別の値に遷移するにつれて、水素の読み取り値において大きなスパイクを見ることができる。これらのスパイクを最小化または除去するために、追加のフィルタリングおよび信号処理(マスキングを含む)を使用することができる。
【0021】
このモデルを使用して単一センサアプリケーションのシステム応答における変化(すなわち時定数における変化)を修正するには、いくつかのアプローチがある。1つの方法は、エンドユーザーがガス(例えば、水素)の既知の分圧をセンサに適用し、装置がいくつかの周波数応答を生成することを可能にし、このデータを使って、既存の周波数応答の校正表に数学的に修正を加えるだろう。これは、より正確にするために、追加の既知の水素の分圧で繰り返すことができる。この手動校正は、水素測定性能を維持するために、単一温度センサよりも少ない頻度で実行されることを仮定する。別の方法は、装置が自動的にまたは外部から引き起されて、2つの温度の動作方法に切り替えることを可能にするだろう。この方法では,正確な水素の読み取り値を取り込むことができる。その後、装置は熱反復波形に戻り、新たな周波数応答を取得し、既存の周波数応答の校正表に数学的に修正を加えるだろう。1つの仮定は、センサが晒される水素の分圧がこのプロセス全体を通して一定であることである。別の仮定は、このプロセスが控えめに実行され、いくつかのアプリケーションでは、2つの温度の方法のみを利用するセンサよりも好ましい性能を提供することである。2つの温度の動作方法への切り替え中に、水素の読み取り値にギャップがまだあり得るが、これらのギャップは2つの温度の動作方法に比べてまれであるか、または水素の読み取り値にギャップを有する許容可能な時間があるときに引き起こされる可能性がある。
【0022】
センサ応答において周波数成分を含む水素遷移の影響を低減または除去する方法がいくつかある。前述したように、振幅周波数応答の校正表を使用する場合(図4C)、これらの共有周波数成分は水素算出において大きなエラーを引き起こす(図4Dに示す)。この影響を軽減するための1つのアプローチは、水素算出の大きな変化が検出された場合に最終的な水素算出を単純にマスキングすることであろう。欠点は、特にセンサの周りの水素の分圧がより動的であるときに、読み取り値にギャップがあることである。代わりのアプローチは、特定のターゲット周波数、振幅、および位相で複数の正弦波を使用してセンサの温度を調節することである。最終的な反復熱波形は、各正弦波の重ね合わせで構成され、つまり前記波形は正弦波の合計として画定され、各正弦波はその振幅、周波数、および位相によって記載されることができる。この波形に対するシステム応答は、熱波形(入力)を構成する各正弦波に対するシステム応答(出力)の重ね合わせで構成される。熱波形入力の周波数が十分に分離されている場合(低周波数の波形と高周波数の波形があることを意味する)、各入力周波数に対応する出力は、バンドパスやノッチフィルタリングなどの一般的な信号フィルタリング技術を使用して区別することができる。水素を算出するために、各周波数には対応する周波数応答の校正表がある。より低い周波数の励起は、水素測定においてより良い分解能を有することが実験で見出されたが、水素遷移とより多くの周波数成分を共有しているため、遷移中のエラーが大きくなる。複数の周波数が使用されている場合、装置は、より低い周波数励起の周波数応答の安定性を分析することにより、遷移が検出されたときに、より高い周波数励起からのデータの使用に切り替えることができる。システムが再び安定していると判定されると、装置はより低い周波数励起からのデータを使用するように切り替わるだろう。
【0023】
熱反復波形において複数の励起周波数を使用することの欠点は、システム応答の総エネルギーが保存され、結果として生じるすべての周波数で共有されなければならない。各周波数に対応する結果として生じる周波数応答には、単一周波数(単一正弦波)励起の周波数応答の信号エネルギーのほんの一部が含まれる。これにより、最終的な水素算出の信号対雑音比(SNR)が低減される。信号エネルギーは、熱励起の温度変化(振幅、または最大および最小温度)を増加させることによって増加させることができる。しかしながら、これは物理的要因(材料の最高温度、環境温度など)によって制限される。
【0024】
ほんの一例として、温度変化は、摂氏約30度から摂氏約180度の範囲であってもよい。好ましくは、温度変化は、摂氏35度から摂氏約180度の範囲である。より好ましくは、温度変化は、摂氏40度から摂氏約180度の範囲である。実験により,温度の変化(正弦波振幅)が大きいほど,振幅周波数応答を使用する水素に対する感度が高いことが分かった。これにより、水素の分圧を区別することが容易になり、最終的な算出では雑音が少なくなった。しかしながら、水素に対するセンサ応答は温度の関数であるため(システムの時定数は温度が上昇するにつれて減少する)、システム応答は歪んでしまう。すなわち、センサが熱正弦波を使用して励起されるときに、一定に適用された水素に対する抵抗の位相は一定ではない。位相遅延は正弦波のトラフの間に増加し(温度は最低値にある)、位相遅延は正弦波のピークの間に減少する(温度は最高値にある)。さらに、センサの感度はセンサ温度の関数である。これらの影響の結果は、励起に使用される熱正弦波の歪みであり、抵抗応答における複数の高調波で構成される。
【0025】
システムは、温度サイクルを制御するための制御ループおよびフィードバックループを含み得る。正弦波方法では、制御ループは常に正弦波の形をした時間波を追跡している。温度センサはダイの温度を測定し、温度測定はデジタル制御ループに送り込まれる。ヒータは正しい熱がガスセンサの所望の温度を達成するために出力されるように調節することができる。ヒータはコントローラーで制御して一定の過渡現象を利用できるため、のこぎり波や矩形波、ランダムな波形など、どんな波形でも使用できる。
【0026】
いくつかの実施形態では、波形の周期は固定されないことがある。いくつかのマルチ温度の実施形態では、反復波形は固定の周期を有さない。いくつかのデュアル温度の実施形態では、反復波形は固定の周期を有してもよく、またはそうでなくてもよい。いくつかの実施形態では、振幅、位相、波形、および周期は、時間の経過とともに一貫していなくてもよい。正弦波にはいくつかの用途があるが、システムがヒータから駆動され、水素センサが晒されるガス環境が測定される場合、応答を分析するための異なるツールを使用することができる。
【0027】
線形システムでは、1つの周波数で励起されると、出力には同じ単一の周波数のみが含まれる。本出願のシステムは非線形であるため,1つの周波数が入ると複数の周波数が出てくる(応答)。従って、本発明は、純粋な正弦波を利用して水素センサの応答を誘発し、振幅や位相が異なり、低振幅や低出力の複数の周波数を含むこともあるが、前記の変化は水素濃度の診断となるだろう。しかし、水素センサの基本周波数は、温度変化(システム励起)の周波数に従うことになり、その振幅はその元の波形、駆動波形に関連する必要がある。システムは非線形であるため、より高い周波数での高調波も表示されるが、基本周波数は温度調節の基本周波数(最低周波数成分)と一致するだろう。このようなシステムは、温度による過渡の間にガス濃度を算出できないようなギャップを有さない。このように、従来のガスセンサでは、温度の変化に応答するのに数分かかり、次に別のライブの水素を読み取りが行われる前に1分以上の待機をするが、正弦波システムでは、センサの温度が熱波形によって連続的に調節されるため、ガスの測定はライブで、連続的に行うことができる。従って、連続的に水素を測定することができる。言い換えれば、測定の間に1時間以上のギャップがある定期的な水素測定とは対照的に、数秒単位での測定が行われている。
【0028】
重要な態様は、ダイに熱波形を強制することと、水素抵抗の応答を観察することの区別である。水素が存在しない場合、水素抵抗の応答は、駆動波形の時間および周波数でスケーリングされたレプリカとすることができる。シフトや歪みがほとんどない。ガスセンサを水素環境に置くと、波形の違いが見られる。それらの違いは、水素がコーティング層を通過する、または水素センサがその環境と平衡に達する時定数に関連している。Pdマトリックスの温度が変化すると、水素が格子の中や外に押し出され、コーティングを通過する。水素がコーティングを通過する速度と、水素抵抗がその環境と平衡に達する速度を利用することができる。これらの物理的なプロセスはすべて時間がかかる。それらのうちのいくつかは非常に高速であるが、他のものは測定に使用される動作周波数内にある。いくつかの水素を適用した場合のセンサの振幅周波数応答と位相周波数応答は、システムの挙動に依存し、これも時定数を決定する。この情報に基づいて校正表を生成することができる。
【0029】
水素濃度測定を行うことができる2つの異なる温度を有することは、ドリフトまたはオフセットを最小限またはこれら無しで算出または測定を可能にする。しかしながら、正弦温度の波形を使用して、前述の環境状況を考慮して、ドリフトを最小限に抑えて、またはドリフト無しで、水素濃度をライブに継続的に読み取ることができる。従って、水素濃度の測定はリアルタイムで決定することができ、測定は温度遷移への応答による最小のギャップまたはギャップなしで決定することができる。従来のセンサでは、システムが平衡に達するまでの時間を与えるように、期間の終わりに信頼性の高い測定値が決定される。そのような場合、センサが平衡に達したかどうかを判定する手段が必要であった。正弦波形を使用すると、ガス濃度測定値が決定される前に、ガスセンサが平衡に達する必要がなくなる。
【0030】
従って、いくつかの実施形態では、流体環境中の標的ガス濃度を求める方法は、ガスセンサを流体環境に晒す工程であって、ガスセンサは標的ガス濃度の関数として変動する電気的特性を有し、ガスセンサの温度を調節し、調節は電気的特性におけるシステム応答を誘導する反復熱波形の形態であり(例えば、過渡応答)、ガスセンサの温度を調節する工程中の電気的特性を監視する工程、およびガスセンサの電気的特性の周波数応答の関数として標的ガス濃度を算出する工程を含む。周波数応答は、電気的特性の振幅周波数応答、電気的特性の位相周波数応答、または電気的特性の振幅周波数応答および位相周波数応答の両方であることがある。
【0031】
好ましくは、反復熱波形は正弦波である。いくつかの実施形態では、反復熱波形は、単一周波数の正弦波励起によって生成される。いくつかの実施形態では、反復熱波形は、複数の重ね合った正弦波周波数によって生成され、各正弦波周波数は、対応する周波数応答の校正表を有する(例えば、振幅周波数応答および/または位相周波数応答)。複数の正弦波は、第1の周波数のセットを有する第1の正弦波のセットと、第2の周波数のセットを有する第2の正弦波のセットを含み(正弦波の各セットは、振幅周波数応答の校正表および/または位相周波数応答の校正表などの周波数応答の校正表を有する)、第1の周波数のセットは第2の周波数のセットよりも低く(すなわち、第1のセットにおける周波数値または周波数値の範囲は、第2のセットの周波数値または周波数値の範囲よりも低い)、標的ガス濃度の算出は、第1の周波数のセットのまたは第2の周波数のセットのうちの1つの周波数応答(例えば、振幅周波数応答および/または位相周波数応答)に基づく。例えば、標的ガス濃度は、周波数応答の第1のセットまたは第2のセットに基づくことができる。言い換えると、1つの周波数のセットに対する周波数応答を除外することができる。低周波と高周波との間のカットオフは、ガス測定または算出の精度を向上させるために決定することができる。
【0032】
システム応答に基づく校正表を生成することができる。好ましくは、校正表は、ガス濃度をシステム応答の短時間フーリエ変換を使用して測定される周波数応答(例えば、振幅周波数応答、位相周波数応答、または両方)と関連させることによって生成される。この表を使用して、特定の環境条件で時間が経っても精度が低下しないような水素の読み取り値を生成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ガスの既知の分圧をセンサに適用し、センサが第2の周波数応答(例えば、振幅周波数応答、位相周波数応答、または両方)を生成することを可能にし、第2の周波数応答に基づいて校正表に修正を適用することによって、システム応答のシフトを修正する。
【0034】
ある実施形態では、校正表は、センサが第2の周波数応答を生成することを可能にすること、ガスセンサの動作モードを2つの温度で動作するために変更すること、ガスセンサが流体環境に晒されている間に第1の温度と第2の温度との間でガスセンサの温度を交互に制御すること、ガスセンサの温度が第1の期間にわたって第1の温度に留まり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度に遷移し、第3の期間にわたって第2の温度に留まり、第2と4の期間中ガスセンサの電子的特性を監視すること、電子的特性の関数としてガス濃度を算出すること、および第2の周波数応答と算出されたガス濃度に基づいた修正を算出することによって、修正することができる。
【0035】
本明細書に記載のシステムおよび方法を利用して、ガス濃度を連続的かつリアルタイムで算出することができる。
【0036】
平衡検出器機能
いくつかの実施形態では、正確なガス濃度読み取り値を達成するために、環境は安定でなければならず、センサシステムは平衡状態でなければならない。しかしながら、一定温度で経過する時間の長さ(上記の第1および第3の期間)は、センサの平衡状態に基づいて可変であり得る。従って、ある温度で経過する時間は、システムと平衡に達する環境に依存しており、これは未知である。従来のシステムは時間ベースであり、自動校正にはマルチ温度動作を使用しており、正確な校正を算出するためには、各センサ温度に対応するセンサ測定値が平衡にある必要があるが、システムと環境が平衡に達したかどうかは把握されない。マルチ温度様式の自動校正が実行され、センサのための潜在的な校正を生成する。環境が平衡状態になかった場合、またはセンサの温度変化に応答してセンサが平衡状態になかった場合、校正は不正確になるだろう。従って、校正の結果が意味をなすかどうかを決定する必要があり、必要に応じて校正が受け入れられるか拒否されるかを決定する必要がある。言い換えると、センサ測定データから算出された校正が正確であるかどうかについて、センサ測定データが取得された後に、一部または全部が判断される。
校正が不正確と考えられる場合は、センサ測定データは使用されず、校正を再試行する必要がある。このアプローチでは、システムが非常に長い間安定していて、マルチ温度方程式の測定が予定よりも早く行われる可能性がある期間がしばしばある。他の時間は、システムはなかなか安定しなかったが、温度遷移は平衡に達する直前に予定されており、測定値を取得する試みを効果的に無駄にしている。平衡検出器を使用すると、ある温度で測定を行い次の温度に移動する前に、システムと環境が平衡に達したかどうかを最初に判定することで、センサ測定後のデータ取得の判定因子が排除され、校正が正確になり、時間を無駄にすることがない。
【0037】
現在、システムが平衡に達したかどうかは時間ベースである。センサの温度変化に応答してシステムが平衡に達するまでの時間は、ほとんどのセンサが平衡に達するのに十分な時間を持つように固定され、設定される。この固定時間は実験データに基づく。しかしながら、環境の変化は読み取り値を不安定にする可能性があり、システムが安定するにはより多くの時間が必要であるが、この情報は現在の実装では厳密に使用されない。
【0038】
ガスセンサの発熱体は温度を駆動し得るが、ダイ温度の調整はダイ上の温度センサから行われ、ダイの一部は特定の温度に維持されるが、動作のすべての部分または位相と同じ温度ではないことがあるが、典型的には特定のシーケンスを通過する。従って、マルチ温度システムの完全なサイクルを得て測定を行うために、センサは第1の期間にわたってある温度にあり、第2の期間にわたって第2の温度に移行し得る間に、不安定性が検出された場合、既存のプログラムは、温度期間の予定を変更し得る。そのような不安定性は、環境温度の大きな変化、またはセンサの測定された電気的特性の大きな変化、実験によって決定された前記パラメータの閾値を含み得る。例えば、システムは、第2の温度条件に関連するセンサ測定データを迅速に取得するために、第1の温度での第1の期間が通常予定されるとき、第2の温度で第3の期間を繰り返し得る。これは、通常予定されているすべての期間を進めるのではなく、より早く自動校正を算出することができるように実行され得る(第1の温度に遷移するための第4の期間、第1の温度にある第1の期間に戻り、第2の温度に遷移する第2の期間、そして最終的に第2の温度にある第3の期間を繰り返すことができる)。従って、これらの制御点は、従来のシステムでは固定されたタイミングである。
【0039】
しかしながら、より適応的な平衡検出器は、いくつかのユニークな特性を提供し、未知のタイミング因子を排除するのに役に立つ。例えば、平衡検出器は、水素抵抗の状態を示すことができる。本発明では、センサの温度を変化させるためにPID型ヒータ制御ループが使用される。平衡検出器は、温度変化に応じてガスセンサが平衡に達したかどうかと同様にセンサが設定された環境が平衡に達したかどうかを判定する。平衡が判定される方法は、温度、抵抗、センサを加熱するための電力などの物理的な測定値と同様に、センサが使用しているモデルを用いて算出された水素の読み取り値やモデル内で前記水素の読み取り値を生成するパラメータなどのより高度な情報に基づいて判定される。これらの特性は、フィルタリングまたは平均化、分散(または関連するメトリックス)の計算などの技術を使用して統計的に分析および処理することができる。これらのメトリックスは、新しいデータが取り込まれると更新することができ、経時変化(1次導関数)、経時変化の変化(2次導関数)などの追加のメトリックスが作成される。これらのメトリックスの閾値は実験的に決定され、所望のアプリケーションの精度要件に依存する。
【0040】
例えば、ガスセンサのダイの温度は変化していてもよく、または環境のガス濃度が変化していてもよい。センサが平衡状態にあるかどうかを把握するために、ファームウェアのルーチンは上記のメトリックを確認し、実験的に決定された閾値に基づいて、センサが平衡状態にあるかどうかを判定する。図2は、水素の変化、並びにセンサ温度の変化の後に、センサが平衡に達するときを判定する平衡検出器の例を示す。
【0041】
従って、いくつかの実施形態では、流体環境中の標的ガス濃度を求めるシステムおよび方法は、ガスセンサを流体環境に晒す工程であって、ガスセンサは標的ガス濃度の関数として変化する電子的特性を有する工程、ガスセンサが流体環境に晒されている間、第1の温度と第2の温度との間でガスセンサの温度を交互に制御する工程であって、ガスセンサの温度は第1の期間にわたって第1の温度のままであり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度へと遷移し、第3の期間にわたって第2の温度のままである、第4の期間にわたって第2の温度から第3の温度へと遷移する工程、第2および第4の期間中にガスセンサの電気的特性を継続的に監視する工程、および温度が第1の温度と第2の温度との間で遷移するとき、第2および4の期間中に測定されたガスセンサの電気的特性におけるシステム応答(例えば、遷移応答)の関数として標的ガス濃度を算出する工程を含む。読み取り値の精度をさらに改善するためには、システムはガスセンサが平衡検知器を用いて平衡に達したかどうかを判定することができる。
【0042】
2センサ機能
いくつかの実施形態では、温度を変更する1つのガスセンサを有するのではなく、2つのガスセンサが並列で使用され得る。いくつかの実施形態では、2温度センサの水素読み取りは、センサが温度を切り替えるごとに中断される。それはマルチ温度方程式を使用するため、その精度は経時的に劣化することはないが、温度遷移への対応のために読取りにおいてギャップが生じる可能性がある。代わりに、単一温度センサー(まったく温度遷移しない)を使用することができ、前記単一温度センサは、ライブの読取り値を有するが(例えば、本発明ではおよそ1サンプル/秒)、あらゆるベースライン・センサドリフトに対する修正のために、第2のセンサが温度サイクルを終えるときに毎回そこから正確な水素読取り値を得るのであり、前記サイクルは、1時間に1回と数日間に1回との間の任意の周期であり得る。想定では、単一温度センサの精度は、2温度/マルチ温度のセンサがそれに修正を送ることができる前に、応用の仕様の範囲を越えて下がることはない。
【0043】
第1のセンサは単一の温度において作動し(単一温度センサ)、その結果、中断なく、常に水素を測定することができる。第2のセンサは、第1の期間にわたって第1の温度にあり、第2の期間にわたって第2の温度に遷移し、第3の期間にわたって第2の温度にあり、および、第4の期間にわたって第3の温度に遷移して戻る形で、2温度の方法(2温度センサー)を使用して、水素を算出する。第3の温度は、第1の温度と同じ温度、または異なる温度になり得る。第2のセンサが時間にわたるドリフト(不安定性、酸化、COまたはHSなどの干渉ガスによる)を考慮に入れることができるが、断続的だが信頼できる水素計測を持つのみであり、第2のセンサは、これらの測定を第1のセンサへ校正として渡すことができる。言いかえれば、各自動校正が完了する都度、情報は、第2のセンサから第1の、「ライブ」センサにフィードフォワードされる。
【0044】
図3Aは、2センサの実施形態からの出力の例を示し、該実施形態は、水素濃度読み取り値を表わす第1のセンサ(下側の曲線)と、2温度方式を採用するガスセンサの結果を表わす第2のセンサ(上側の方形波)とを有し、第2のセンサの結果は、第1のセンサの出力を校正するために使用される。図3Aは、水素が安定していることをSTセンサが表わすところ(1)、およびMTセンサがそれ自体の温度を循環させ始めるところを示す。この温度サイクルが完了する時、STセンサは水素が安定していることを示す(2)。修正がSTセンサの水素読みとり値の中へとブレンドされる(3)。処理が反復するとき、STセンサは水素が安定していることを表わし(4)、および、MTセンサはその温度を再び循環させ始める。STセンサが水素濃度における変動性を示す場合(5)、MTセンサはサイクルを取り消し、ベースラインに戻る。
【0045】
図3Bは、処理を説明するフロー図を示す。処理が始まる時、システムは第1と第2のガスセンサが平衡にあるかどうかを判定する。平衡になければ、システムは待ち、両方のセンサが平衡に到達しているかどうかをチェックし続ける。両ガスセンサが平衡に達する場合、第1のガスセンサ(単一温度センサー)の水素濃度読取り値が記録され、一方、第2のガスセンサ(2温度センサー)の抵抗(または他の何らかの電気的性質)が記録される。次に、ガスセンサが最後に平衡にあった時からの時間が求められ、ガスセンサについて最後の平衡からの時間が予定時間より大きい場合、前のどんな読み取り値も無効にされる。その時、第2のガスセンサは他の動作温度に変わり(つまり、それまで第1の温度において作動する場合、第2の温度に)、および、前記処理は、再び、センサが平衡にあるかどうかを判定する工程を繰り返す。もし全サイクルからの有効な読み取り値があれば(第2のガスセンサが2つの温度の各温度からの読み取り値を記録しており、および、第1のセンサが、第2のガスセンサの2つの温度の各温度に関連付けられる水素読取り値を記録している)、修正の算出が始まり得る。まず、第1のガスセンサのこれまでの読取り値からのガス濃度の変化(例えば、水素濃度のパーセント変化)が算出される。その後、第1のセンサのガス濃度の変化に対応する第2のガスセンサの電気的性質(例えば、抵抗)の変化が算出される。その後、第2のガスセンサは、第2のガスセンサの温度の変化と第1のガスセンサによって記録された水素の変化とに起因する抵抗の変化に基づいて、直近のセンサ温度に関連付けられる水素の濃度を算出することができる。2温度によって算出される水素のこの濃度は、単一温度センサによって算出される水素濃度より正確であると考えられる。単一温度のセンサとこの読取り値との間の差は、もしあれば、単一温度センサにおけるエラーであると考えられる。単一温度センサの読取り値におけるこのエラーを打ち消す修正係数が算出され、およびそれ自体の水素読取り値の中へブレンドされる。第2のガスセンサは、他の動作温度に切り替えられ、そして、前記処理が繰り返される。
【0046】
図3Cに示されるように、第2のガスセンサが平衡検出器の判定によって低温状態の終わり(ELT)に達すると、それは高温状態(HT)に遷移される。高温状態の終わり(EHT)は、再び平衡検出器によって判定され、それは低温状態(LT)に戻して遷移され、そして、処理は繰り返す。
【0047】
図3Dは、この処理の実験データを示す。図3Dは、3セットのデータを包含しており、それらは、2温度センサのライブの水素算出(MTセンサ読取り値)と、マルチ温度方程式を使用する2温度のセンサ(算出された)についての水素算出と、単一温度センサのライブの水素算出と、である。センサは複数の水素濃度に曝された(すべて1気圧の絶対圧力において、5%H/N、2%H/N、5%H/N、その後1%H/N)。2温度センサのライブの水素算出を見ると(MTセンサ読取り値)、読取り値におけるスパイクが時々見られる。これらのスパイクは温度の遷移の結果であり、および、センサの応答時間、温度変化の規模、およびPd格子中の水素に依存して、数分から数時間続く場合がある。2温度のセンサについてマルチ温度方程式からの(算出された)水素算出がライブの読み取り値に比べ非常に少ない頻度で更新されることが見られる。読み取り値の更新は、2温度センサの温度状態の終わりにのみ生じ得、そのことは前述のスパイクをマーカーとして使用して、図中に見ることができる。前述したように、マルチ温度方程式から算出される水素読み取り値におけるこれらのより少ない頻度の更新は、正確であると考えられ、および、時間にわたって劣化しない。このことから利益を得るために、これらの算出が更新される時、それらはライブの単一温度のセンサ読取り値(STセンサ読取り値)にフィードフォワードされる。水素濃度が温度間(2温度センサーに関連付けられる)で変更される時にマルチ温度方程式が使用されることを可能にするために、単一温度センサは、マルチ温度方程式において使用される抵抗測定値に関連付けられる水素の変化を記録しなければならない。これは、後述する「単一温度センサのフィードバック機能」の項においてより詳細に記載されている。
【0048】
従って、いくつかの実施形態では、流動性の環境において標的ガスの濃度を判定するシステムおよび方法は、第1のガスセンサを流動性の環境に曝す工程であって、前記第1のガスセンサは標的ガス濃度の関数として変動する電気的特性を有する、工程と;第2のガスセンサを流動性の環境に曝す工程であって、前記第2のガスセンサは標的ガス濃度の関数として変動する電気的特性を有する、工程と;第2のガスセンサが流動性の環境に曝されている間に第2のガスセンサの温度を第1の温度と第2の温度との間で交互に制御する工程であって、ここで、第2のガスセンサの温度は、第1の期間にわたって第1の温度に留まり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度まで遷移し、第3の期間にわたって第2の温度に留まり、および、第4の期間にわたって第2の温度から第3の温度まで遷移する、工程と;前記第2および前記第4の期間にわたって第2のガスセンサの電気的な特性をモニターする工程と;第1のガスセンサの電気的な特性の関数として標的ガス濃度を算出する工程であって、ここで、第2のガスセンサからのデータは、第1のガスセンサのベースライン・センサドリフトに対する修正のために使用される、工程と、を含む。好ましくは、第1のガスセンサは単一温度において作動する。
【0049】
反復する熱波形を使用する第2のセンサ
上に記載された2センサ機能は、先に記載されたとおり、第2のセンサが2温度の方法を導入する代わりに、第2のセンサが正弦波などの反復する熱の波形に対して常に一時的に応答している状態にあり得るように、反復する熱波形の機能と組み合わせることができる。第2のガスセンサは、第1のガスセンサを校正された状態に保つために、第1のガスセンサへ修正を渡す。
【0050】
単一温度センサのフィードバック機能
いくつかの実施形態では、単一温度センサ、2温度センサ、または共に動作する自動校正するセンサでは、環境の変化を考慮することができる。例えば、単一の温度センサは、水素の変化が生じる場合、水素の変化を示すことができ(例えば、抵抗測定値と校正表を使用してそれを測定することによって)、およびその変化を把握することと、およびその変化を定量化することとによって、マルチ温度の修正を算出することができる。マルチ温度方程式が有効である場合、2つの温度に関連付けられる抵抗測定値が水素の同じ分圧に対応することが想定される。すなわち、水素の分圧が2つの測定間において変化する場合、前記方程式を使用する水素算出は不正確である。しかしながら、2温度センサが2つのセンサのそれぞれにて抵抗を記録する期間にわたって単一温度センサは、あれば、水素の分圧の変化を追跡することができる。何らかの変化が単一温度センサによって検知された場合、2温度センサは、それ自体の校正情報を使用して、抵抗測定値のうちの1つを調節することができる。「修正された」抵抗値は、水素濃度が変わっていなかった場合にそう成り得た値へと調節された抵抗値である。この値のみが把握できるのは、単一温度センサが変化を追跡できる一方で、2温度センサは温度の遷移に対応しており、変化を追跡することができないからである。従って、センサのうちの1つからのデータは、第1のガスセンサにおいて検出された水素の分圧の変化を第2のガスセンサに報告する第1のガスセンサなどの、他のセンサにおいて使用することができる。
【0051】
言い換えれば、2センサの方法は、これもまた、2温度の方法を使用する第2のセンサと共に使用することができるが、水素の分圧が第2のセンサの第1の期間(温度1)の平衡状態と、第2のセンサの第3の期間(温度2)の平衡状態との間で変化する場合、第1のセンサは、水素の分圧における変化の大きさを第2のセンサへ渡すことができる。この変化は、第2のセンサの2つの温度のうちの1つにおける水素に対する感度の使用を補われる場合があり、このため、ドリフトを取り除くことができるような形で、第2のセンサは自動校正をなお実行することが可能となる(情報は第1の「ライブ」センサから第2のセンサへフィードバックされ、第2のセンサは環境の変化にもかかわらずその自動校正を完遂することが可能となる)。このことは、以下のように数学的に記載される:
【0052】
【数1】
とする。
【0053】
とYはSTセンサの水素の分圧読み取り値であり、それぞれ、実際適用される水素分圧の値XおよびYに関連付けられ、オフセットCoffsetが加えられている。さらに、XはMTセンサが温度T2にあった時の読取り値であり、および、YはMTセンサが温度T1にあった時の読取り値である。
【0054】
【数2】
とする。
【0055】
ここで、mT2とbT2は、T2等温線に関連付けられる感度およびオフセットであり、および、mT1とbT1はT1等温線に関連付けられる感度およびオフセットである。さらに、RT2は、温度T2において水素の分圧Xに関連付けられる測定された抵抗とし、および、RT1は、温度T1において水素の分圧Xに関連付けられる未知の抵抗とする。
【0056】
これらは、Xを解くために以下のマルチ温度方程式と組み合わせることができる。
【0057】
【数3】
【0058】
最後に、
【0059】
【数4】
とする。
【0060】
ここで、R’は、水素濃度Yが適用された時にMTセンサが温度T1において取得した、実際の測定された抵抗値である。
【0061】
STセンサにおける水素読み取り値の分圧の差を得ることは、そのオフセットを取り除き、次の方程式に帰着する:
【0062】
【数5】
【0063】
未知のXは既知の値だけを用いて解かれている。他の等温線もまた、類似する形でそれを解くために使用することができる。従って、オフセットは互いに相殺する。
【0064】
2つの2温度センサ機能
いくつかの実施形態では、上に記載されたような2つのセンサを使用することができるが、両センサは2温度の水素測定方法を使用する。各センサの期間は、ずらされるか、またはオフセットされ、その結果、ライブセンサは、常に第1の期間(温度1)または第3の期間(温度2)にある一方で、他のセンサは、図5に示されるように、遷移期間(第2または第4)にある。ライブセンサは、それらの状態間で遷移が生じるごとに、第1のガスセンサ(上側の方形波)と第2のガスセンサ(下側の方形波)との間で交互に切り替わる。そのため、1つのセンサが過渡応答を経ているとき、そのセンサが変動する水素を算出することはさらに難しいが、他のセンサは平衡にある。2つのガスセンサの読み取り値の結果が組み合わされると、連続のガス濃度読取り値が示される(下側の線)。
【0065】
従って、第1のガスセンサが2つの温度において作動するいくつかの実施形態では、ガス濃度を測定する工程は、第1のガスセンサがガスに曝されている間に、第1のガスセンサの温度を第1の温度と第2の温度との間において交互に制御することをさらに含み、ここで、第1のガスセンサの温度は、第1の期間にわたって第1の温度に留まり、第2の期間にわたって第1の温度から第2の温度まで遷移し、第3の期間にわたって第2の温度に留まり、および第4の期間にわたって第2の温度から第3の温度まで遷移し;ここで、第1のガスセンサおよび第2のガスセンサの温度はずらされ、その結果、第1のガスセンサは、第1のガスセンサの時間の第1の期間または第3の期間にあり、第2のガスセンサは、第2のガスセンサの第2の期間または第4の期間にある。言い換えれば、第1のガスセンサがその第1の期間にある時、第2のガスセンサはその第2の期間(遷移期間)にあり、および、第1のガスセンサがその第2の期間(遷移期間)にある時、第2のガスセンサはその第1の期間(または第3の期間)にある。
【0066】
2次等温線機能
いくつかの実施形態では、2温度の方法を使用することができるが、各等温線における水素の関数として抵抗を記述するために線を使用する代わりに、2次多項式が使用される。下記に数学的に述べられるように、2つの温度(cT1とcT2)からのオフセットは取り除くことができ、一定のセンサ温度TまたはTが与えられたときの水素の分圧√Hの関数としての2つの温度における抵抗(RT1とRT2)は、それぞれの温度について3つの係数aTとaT2、bT1とbT2、およびcTとcT2が与えられた2次関数である。
【0067】
【数6】
とする。
【0068】
次に、等式を線形に減算する。
【0069】
【数7】
【0070】
水素の分圧(√H)について解き、2つの解を得る:
【0071】
【数8】
【0072】
等温線の作動領域に最も近い解を下に示す。(他の解は、等温線のくぼみにかかわらず、負または極端に大きな水素分圧の算出結果をもたらす):
【0073】
【数9】
【0074】
区分的線形等温線機能
システムの感度とは、ガスセンサの抵抗(または他の電気的な特性)が如何に効率よく水素含有量とともに変化するのかを指す。センサの感度は、水素含有量の全領域を通じて必ずしも一定ではない。様々な水素含有量に曝された時、ガスセンサは様々な感度を有し得る。そのため、試験済みの環境の水素含有量に基づいて、変化する感度を考慮に入れることは有益である。
【0075】
ガスセンサの感度に影響する要素は、センサの組成(例えば、パラジウム/ニッケルの比率)およびガスセンサの温度を含む。センサ中のパラジウムがより多くなるほど、水素に関する抵抗変化が大きくなり;それにより、ガスセンサの感度が増す。加えて、温度がより低くなるほど、ガスセンサはより敏感になる。パラジウム含有量と作動温度は、製品用途の性能要件に基づいて決定することができる。
【0076】
2温度の方法は、センサが測定している水素の分圧に基づく、2つの等温線の感度と高度差(所定温度における水素の分圧の関数としての抵抗)の使用によって使用可能となり、利用可能な最良の情報を与えられ得る。すなわち、XとXとの間の濃度について、感度と高度差Aを使用し、XとXとの間の濃度について、感度と高度差Aを使用するなど、水素の全領域にわたる。
【0077】
図6Aから図6Cを参照すると、ΔR(RT―RT)は、領域3中のR’の範囲内にある:
【0078】
【数10】
【0079】
【数11】
【0080】
【数12】
【0081】
上に示された標準的なマルチ温度方程式はなお適用されるが、値G3_T1、G3_T2、Rbase_3T1、およびRbase_3T2はすべて、区分的なテーブル(table)の特定の区分または領域に対応する。ΔR(RT2―RT1)が異なる領域に該当する場合、その領域に関連付けられる前述の変数が使用されることになる。これらの変数は校正において求められる。
【0082】
図6Bにおいて示されるように、ΔR(RT2―RT1)がどの領域の範囲内にあるかを判定するために、等温線の差が取得され得る。
【0083】
図6Cは、等温線を補間する様々な方法の比較、並びに、区分的線形適合を使用する単一温度センサの校正表に対する比較を示す。区分的線形回帰(図6Bにおいて示されるように)または二次回帰(2次多項回帰)を使用することと比較して、等温線に標準線形回帰を使用することは結果的にモデルにおけるはるかに大きなエラーをもたらし得ることが確認される。
【0084】
区分的2次等温線機能
本発明の別の機能は、2次多項式等温線を使用することであるが、区分的線形等温線の項に記載されるとおり、様々な係数のセットが様々な水素の領域について使用される。
【0085】
一般的な非線形校正機能
等温線はn次多項式、べき関数、または同様の非線形関数として記載することができる。これらの等温線の係数は、ベース抵抗または感度の関数としてウェハについて一般的に求めることができる。校正中に、非線形の等温線関数は線形変換を使用して2つの点に適合するように調節される2つの点(既知の水素分圧および抵抗)を使用して校正することができる。
【0086】
マルチ温度制限遷移機能
2温度の動作は、第1の温度と第2の温度との間の有意な温度差を必要とし、結果として、温度状態間の遷移期間が、水素センサの望ましくない過渡応答を誘発し、そのことは典型的には測定能力の低下につながり、また最悪の場合、測定能力は失われる。あるいは、一回に温度の小さな上昇または下降しか起きないように、n数の温度状態を温度Aと温度A+Nとの間で加えることができ、それにより、望ましくない過渡応答の大きさが削減される。すなわち、センサは第1の期間にわたって温度Aにあってもよく、次に、第2の期間にわたって温度A+1まで遷移し、第3の期間にわたって温度A+1に留まり、第4の期間にわたって温度A+2まで遷移し、第n-1の期間にわたって温度A+Nまで遷移し、および、第nの期間にわたって温度A+Nに留まってもよい。センサは逆の順序で温度Aに返り得る。想定では、水素は、最も高い精度で温度状態のそれぞれにおいてライブで算出することができ、および、遷移状態中には、低下し得る可能性がある精度で算出されてもよい。温度AおよびA+Nの状態からの測定値は、オフセットが取り除かれた水素を算出するために、2温度の公式において使用される。
【0087】
望ましくない過渡応答を低減させるために、1つの温度から次の温度へのステップを十分に小さくすることができ、それにより、あらゆる望ましくない過渡応答は、実質的には水素の中断された読みとり値がない程度まで、非常に小さく、かつ、短命になる。
【0088】
ほんの一例として、第1の温度から第2の温度への大きなステップは、約20℃であり得る。ガスセンサが信頼できる測定値を取得するためには、平衡に到達しなければならず、それには30分かかることがある。従って、ガスセンサが再びライブになる前に、30分が経過しなければならない。一方では、20℃の完全な大きなステップをとる代わりに、1℃の小さなステップが使用される場合、平衡に達するために要求される時間はより少なくなり、および、ガスセンサは、30分ではなく、30秒後に再びライブになり得る。そうすると、ガスセンサは、20℃の完全な大きなステップに近づいていくように、複数の間隔を置いた小さなステップで測定を実行することができ、および、マルチ温度方程式を利用して、それぞれの小さなステップで水素濃度を算出する。この技術は、平衡にあるシステムでは計測することができない時間の合計を効率よく削減し、遷移期間中に過渡応答に依存せざるを得ないことがなくなる。
【0089】
ヒータ電力修正機能
干渉ガスのない環境で、水素の分圧とセンサの動作温度が一定であれば、抵抗値は一定になるはずである(不安定性に起因する小さなドリフトを除く)。しかしながら、ダイにおける環境熱負荷が変化すると(環境温度、流量などによる)、センサの抵抗は変化する。この抵抗の変化は、センサのダイ温度を維持するために使用される測定電力を用いて補うことができる。修正は、抵抗の調節がヒータの電力測定値に比例することを前提としている。補われた抵抗値は、後述のように抵抗測定値に調整値を加えたものに等しい。
【0090】
【数13】
【0091】
式中、
【0092】
【数14】
である。
【0093】
ヒータ電力係数αは、測定された抵抗値を補うめに使用されると、抵抗値を無電力時のものに効果的に正規化する。
【0094】
温度依存ヒータ電力修正機能
ヒータ電力係数もまた動作温度の関数である場合の、ヒータ電力の修正。
【0095】
水素依存ヒータ電力修正機能
ヒータ電力修正方法では、ヒータ電力係数はまた水素分圧の関数であり得る。
【0096】
環境温度算出のためのヒータ電力による機能
2温度の方法では、第1の期間(温度1)および第3の期間(温度2)の平衡状態にダイを熱するのに必要な電力は、測定し、記録することができる。環境温度とダイへの熱負荷が一定であるとすると、環境の温度は下に記載される線形関数を使用して算出することができる:
【0097】
a.PT1を温度Tにおけるダイのヒータ電力とする。
b.PT2を温度Tにおけるダイのヒータ電力とする。
c.TenvをTおよびTより低い未知の環境温度とする。
【0098】
そのとき:
【0099】
【数15】
【0100】
の情報を使用して、以下の式を解く。
【0101】
【数16】
【0102】
また、完全な形では、
【0103】
【数17】
【0104】
本発明の好ましい実施形態と特徴の前述の説明は、例示および説明のために提示されたものである。包括的であること、または、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記教示に照らして、多くの改変、変更、および組み合わせが可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲および添付の特許請求の範囲の均等物によって限定されることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体環境中の標的ガスの標的ガス濃度を求める方法であって、前記方法は、
(a)第1のガスセンサを前記流体環境に晒す工程であって、前記第1のガスセンサは前記標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する、工程、
(b)第2のガスセンサを前記流体環境に晒す工程であって、前記第2のガスセンサは前記標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する、工程、
(c)前記第2のガスセンサが前記流体環境に晒されている間、前記第2のガスセンサの温度を第1の温度と第2の温度との間で交互に制御する工程であって、前記第2のガスセンサの温度は、第1の期間にわたって前記第1の温度に維持され、第2の期間にわたって前記第1の温度から前記第2の温度に移行し、第3の期間にわたって前記第2の温度に留まり、第4の期間にわたって前記第2の温度から第3の温度に移行する、工程、
(d)前記第2の期間および前記第4の期間中に前記第2のガスセンサの前記電気的特性を監視する工程、および
(e)前記第1のガスセンサの前記電気的特性の関数として前記標的ガス濃度を計算する工程であって、前記第2のガスセンサからのデータを使用して、前記第1のガスセンサのベースライン・センサドリフトを補正する、工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のガスセンサが単一の温度で作動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のガスセンサが、反復熱波形に対して一定のシステム応答の状態にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のガスセンサで検出された前記標的ガスの分圧の変化を、前記第1のガスセンサが前記第2のガスセンサに報告する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のガスセンサが2つの温度で動作するように構成された、請求項1に記載の方法であって、
前記第1のガスセンサが前記流体環境に晒されている間、前記第1のガスセンサの温度を第1の温度と第2の温度との間で交互に制御する工程をさらに含み、当該工程において、
前記第1のガスセンサの前記温度は、第1の期間にわたって前記第1の温度に維持され、第2の期間にわたって前記第1の温度から前記第2の温度に移行し、第3の期間にわたって前記第2の温度に維持され、そして第4の期間にわたって前記第2の温度から第3の温度に移行し、
前記第1のガスセンサの前記温度と前記第2のガスセンサの前記温度とは、前記第1のガスセンサが前記第1のガスセンサの前記第1の期間または前記第3の期間にあるとき、前記第2のガスセンサが前記第2のガスセンサの前記第2の期間または前記第4の期間にあるようにずらされている、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のガスセンサからの前記データが、前記第2のガスセンサの前記第2の期間中の前記電気的特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のガスセンサからの前記データが、前記第2のガスセンサの前記第4の期間中の前記電気的特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のガスセンサからの前記データは、前記第2のガスセンサの前記第2の期間中および前記第4の期間中の前記電気的特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
流体環境における標的ガスの標的ガス濃度を判定する方法であって、前記方法は、
(a)第1のガスセンサを前記流体環境に晒す工程であって、前記第1のガスセンサは、前記標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する、工程
(b)第2のガスセンサを前記流体環境に晒す工程であって、前記第2のガスセンサは、前記標的ガス濃度の関数として変化する電気的特性を有する、工程
(c)工程(b)中、前記第2のガスセンサの温度を調節する工程であって、当該調節は、前記第2のガスセンサの前記電気的特性における周波数応答を誘導する反復熱波形の形態である、工程
(d)工程(c)中、前記第2のガスセンサの前記電気的特性を監視する工程、
(e)前記第1のガスセンサの前記電気的特性の関数として前記標的ガス濃度を計算する工程、
(f)前記第2のガスセンサを使用して、前記第1のガスセンサによって計算された前記標的ガス濃度を補正する工程であって、前記第2のガスセンサからのデータを使用して、前記第1のガスセンサのベースラインセンサドリフトを補正する工程、
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1のガスセンサが単一の温度で動作する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のガスセンサの温度は調節され、前記調節は、前記第1のガスセンサの前記電気的特性における周波数応答を誘導する反復熱波形の形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記標的ガス濃度を補正するために使用される前記第2のガスセンサからの前記データが、前記第2のガスセンサの前記電気的特性の前記周波数応答の関数である、請求項9に記載の方法。
【外国語明細書】