(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020317
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】システムオンチップ(SoC)エージェントのリセットおよび電力管理のためのプロトコルレベル制御
(51)【国際特許分類】
G06F 13/42 20060101AFI20240206BHJP
G06F 13/36 20060101ALI20240206BHJP
G06F 15/78 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G06F13/42 320B
G06F13/36 520B
G06F15/78 530
G06F15/78 517
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190712
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2020552287の分割
【原出願日】2019-03-28
(31)【優先権主張番号】62/650,589
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/691,117
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デサイ・シャイレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン・アミト
(72)【発明者】
【氏名】バット・ルトゥル
(72)【発明者】
【氏名】パテル・ジャイミン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カスタマイゼーションの必要性を無くし、複数のシステムオンチップ(SoC)の間の一貫したシステムソフトウェアビューにつながる、SoC上のIPエージェントのリセットおよび電力管理を一貫して実施するためのシステムを提供する。
【解決手段】SoC上のIPエージェントのリセットおよび電力管理を一貫して実施するためのシステムであって、IPエージェントがリセットを受ける時、個々のネゴシエーションが、リンクを介して相互接続と各IPエージェントとの間で行われる。各IPエージェントは、他のIPエージェントのタイミングから独立して、自身のタイムスケジュールでリセットから出ることができる。相互接続は、リセットの前、電力ダウンモードの時、または、動作不良時などに、動作不能である任意のIPエージェントの代理として構成される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムオンチップ(SoC)であって、
相互接続と、
前記SoC上に備えられ、前記相互接続と通信するよう構成されているIPエージェン
トと、
前記IPエージェントのリセットを開始するためのリセットマネージャと、を備え、前
記リセットは、前記IPエージェントがトランザクション準備完了状態になるようにする
前記相互接続と前記IPエージェントとの間のネゴシエーションを含む、SoC。
【請求項2】
請求項1に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、前記相互接続が前記IP
エージェントに対する少なくとも1つの問い合わせを生成することを含み、前記少なくと
も1つの問い合わせは、前記IPエージェントの「アウェイク」状態を求める、SoC。
【請求項3】
請求項1または2に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、前記相互接続が
、前記IPエージェントの「アウェイク」状態を各々求める前記IPエージェントに対す
る複数の問い合わせを生成することを含み、前記複数の問い合わせは、それぞれ、定期的
に送信される、SoC。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、前
記IPエージェントが、前記IPエージェントの「アウェイク」状態を求める前記相互接
続からの問い合わせに応答して肯定応答を生成することを含み、前記肯定応答は、前記I
Pエージェントがアウェイクしてトランザクション準備完了状態になった時に生成される
、SoC。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、前
記相互接続および前記IPエージェントでそれぞれ利用可能なクレジットの交換を含む、
SoC。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、前
記相互接続および前記IPエージェントがセキュリティ情報を共有することを含む、So
C。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、前
記相互接続が、前記相互接続と前記IPエージェントとを接続するリンクに関連付けられ
ている複数の仮想チャネルを共有することを含む、SoC。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションが完了
した後に、前記IPエージェントの利用可能性が、システムコントローラを含む前記相互
接続に接続された要素に知らされる、SoC。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のSoCであって、さらに、前記相互接続と前記
IPエージェントとの間に接続されたリンクを備え、前記ネゴシエーションは、前記リン
クを介して前記相互接続と前記IPエージェントとの間で行われる、SoC。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のSoCであって、複数の仮想チャネルが、前記
リンクに関連付けられている、SoC。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のSoCであって、前記ネゴシエーションは、
前記相互接続と前記IPエージェントとの間のリンクを介して伝送されるリンクレベル情
報を用いて行われる、SoC。
【請求項12】
請求項11に記載のSoCであって、前記リンクレベル情報は、前記相互接続と前記I
Pエージェントとの間の前記リンクを介して伝送される1以上の制御パケットで伝達され
る、SoC。
【請求項13】
請求項12に記載のSoCであって、前記1以上の制御パケットは、前記相互接続と前
記IPエージェントとの間の前記リンクを介して伝送され、別の宛先には転送されない、
SoC。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のSoCであって、前記リセットマネージャは
、リセットトリガイベントに応答して、前記IPエージェントの前記リセットを開始する
、SoC。
【請求項15】
請求項14に記載のSoCであって、前記リセットトリガイベントは、
前記SoCの電力アップ、
前記IPエージェントが動作不良を起こしたこと、または、
前記IPエージェントが低電力モードから出つつあること、
の内の1つを含む、SoC。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のSoCであって、さらに、前記相互接続と前
記IPエージェントとの間のリンクを休止状態にするための休止マネージャを備える、S
oC。
【請求項17】
請求項16に記載のSoCであって、前記休止マネージャは、前記IPエージェントに
よって生成されたすべての未処理のトランザクションが完了した後に、前記リンクを前記
休止状態にするよう構成されている、SoC。
【請求項18】
請求項17に記載のSoCであって、前記休止マネージャは、前記未処理のトランザク
ションが完了するのを待つ間、前記IPエージェントが新しいトランザクションを生成す
るのを防ぐよう構成されている、SoC。
【請求項19】
請求項17に記載のSoCであって、前記休止マネージャは、前記リセットマネージャ
が前記IPエージェントの前記リセットを開始する前に、前記リンクを前記休止状態にす
るよう構成されている、SoC。
【請求項20】
システムオンチップ(SoC)であって、
相互接続と、
複数のIPエージェントと、
前記複数のIPエージェントのリセットを実施するよう構成されているリセットマネー
ジャと、を備え、前記複数のIPエージェントの各々の前記リセットは、前記相互接続と
前記複数のIPエージェントの各々との間の個々のネゴシエーションをそれぞれ含み、前
記個々のネゴシエーションの結果、それぞれ、前記IPエージェントの各々がトランザク
ション準備完了状態になる、SoC。
【請求項21】
請求項20に記載のSoCであって、前記複数のIPエージェントの各々は、自身のリ
セットルーチンを用いる、SoC。
【請求項22】
請求項20または21に記載のSoCであって、前記複数のIPエージェントの各々は
、それぞれ自身のタイムスケジュールでトランザクション準備完了状態になる、SoC。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか一項に記載のSoCであって、前記複数のIPエージェ
ントの各々は、他のIPエージェントから独立して、トランザクション準備完了状態にな
り、すべての前記IPエージェントが、同時にトランザクション準備完了状態になる必要
がない、SoC。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか一項に記載のSoCであって、前記複数のIP機能の各
々のための前記個々のネゴシエーションは、前記IPエージェントが異なるかどうかに関
わらず、同じである、SoC。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか一項に記載のSoCであって、前記相互接続は、さらに
、前記複数のIPエージェントの内の少なくとも1つの代理として、前記少なくとも1つ
のIPエージェントがトランザクション準備完了状態になる前に、動作するよう構成され
ている、SoC。
【請求項26】
請求項25に記載のSoCであって、前記相互接続は、前記少なくとも1つのIPエー
ジェントにトランザクションを送信しようとする送信元への例外メッセージを生成するこ
とにより、トランザクション準備完了状態になる前の前記少なくとも1つのIPエージェ
ントの前記代理として動作する、SoC。
【請求項27】
システムオンチップ(SoC)であって、
複数のIPエージェントと、
前記複数のIPエージェントと通信する相互接続であって、前記複数のIPエージェン
トの内の少なくとも1つの代理として、前記少なくとも1つのIPエージェントがトラン
ザクション準備完了状態ではない時に、動作するよう構成されている、相互接続と、
を備える、SoC。
【請求項28】
請求項27に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、リセ
ットを受けている時、トランザクション準備完了状態ではない、SoC。
【請求項29】
請求項27または28に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェン
トは、電力ダウンモード時には、トランザクション準備完了状態ではない、SoC。
【請求項30】
請求項27から29のいずれか一項に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのI
Pエージェントは、動作不良時には、トランザクション準備完了状態ではない、SoC。
【請求項31】
請求項27から30のいずれか一項に記載のSoCであって、前記相互接続は、
前記少なくとも1つのIP機能がトランザクション準備完了状態ではないことを確認し
、
トランザクション準備完了状態ではない間に前記少なくとも1つのIPエージェントに
送信元がトランザクションを送信したか否かを確認し、
前記送信元に例外メッセージを送信して、前記少なくとも1つのIPエージェントが利
用可能ではないことを前記送信元に通知することによって、前記少なくとも1つのIPエ
ージェントの前記代理として機能する、SoC。
【請求項32】
請求項27から31のいずれか一項に記載のSoCであって、前記送信元は、前記例外
メッセージに応答して、送信されたが宛先に配信されていないトランザクションについて
、自身の応答手順を受ける、SoC。
【請求項33】
請求項27から32のいずれか一項に記載のSoCであって、さらに、前記複数のIP
エージェントのリセットをそれぞれ開始するためのリセットマネージャを備える、SoC
。
【請求項34】
請求項27から33のいずれか一項に記載のSoCであって、前記相互接続は、さらに
、前記複数のIPエージェント各々がそれぞれリセットされる時に、前記複数のIPエー
ジェントの各々との個々のネゴシエーションに関与するよう構成されている、SoC。
【請求項35】
請求項27から34のいずれか一項に記載のSoCであって、前記複数のIPエージェ
ントの内の2以上のリセット後に、前記2以上のIPエージェントの各々は、それぞれ、
個々にリセットし、他のIPエージェントから独立してトランザクション準備完了状態に
なるよう構成されている、SoC。
【請求項36】
請求項35に記載のSoCであって、前記2以上のIPエージェントの各々は、前記2
以上のIPエージェントが同時にトランザクション準備完了状態になる必要なしに、自身
のタイムスケジュールで独立的にトランザクション準備完了状態になる、SoC。
【請求項37】
請求項27から36のいずれか一項に記載のSoCであって、さらに、システムコント
ローラを備え、少なくとも1つのIPエージェントが、トランザクション準備完了状態に
なった時に、前記システムコントローラにとって可視になる、SoC。
【請求項38】
システムオンチップ(SoC)であって、
複数のIPエージェントと、
相互接続と、
前記複数のIPエージェントを前記相互接続と接続する1以上のリンクと、
前記複数のIPエージェントの少なくとも1つを選択的に低電力状態にすることによっ
て、前記SoCによる電力消費を少なくとも部分的に管理するための電力マネージャと、
を備え、
前記相互接続は、(a)前記低電力状態にあり、かつ、(b)トランザクションの処理
に利用できない時に、前記少なくとも1つのIPエージェントの代理として機能し、前記
相互接続は、前記少なくとも1つのIPエージェントに前記トランザクションを送信しよ
うとする送信元へ例外メッセージを提供することによって前記代理として機能する、So
C。
【請求項39】
請求項38に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、前記
低電力状態に入る時に、自身の低電力シーケンスを実施する、SoC。
【請求項40】
請求項38または39のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前
記少なくとも1つのIPエージェントがトランザクション準備完了状態のままである低電
力モードを含む、SoC。
【請求項41】
請求項40に記載のSoCであって、前記相互接続は、前記少なくとも1つのIPエー
ジェントが前記低電力状態にあり、かつ、トランザクション準備完了状態のままである場
合には、代理として機能せず、前記少なくとも1つのIPエージェントのためのクロック
周波数および/または電圧の低減に対応するために、前記1以上のリンクの内の1つの設
定を調整する、SoC。
【請求項42】
請求項38から41のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記
少なくとも1つのIPエージェントがもはやトランザクション準備完了状態ではない低電
力モードを含む、SoC。
【請求項43】
請求項42に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、前記
低電力モードにあり、かつ、もはやトランザクション準備完了状態ではない時に、状態情
報を保持する、SoC。
【請求項44】
請求項42に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、前記
低電力モードにあり、かつ、もはやトランザクション準備完了状態ではない時に、状態情
報を保持しない、SoC。
【請求項45】
請求項38から44のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、最小
限の電力が前記少なくとも1つのIPエージェントに供給される電力オフモードを含む、
SoC。
【請求項46】
請求項38から45のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記
少なくとも1つのIPエージェントの動作クロック周波数を下げることによって実施され
る、SoC。
【請求項47】
請求項38から46のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記
少なくとも1つのIPエージェントによって利用される電圧を下げることによって実行さ
れる、SoC。
【請求項48】
請求項38から47のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、
前記少なくとも1つのIPエージェントの動作クロック周波数を下げ、
前記動作クロック周波数を下げた後に、前記少なくとも1つのIPエージェントによっ
て利用される供給電圧を下げることによって実行される、SoC。
【請求項49】
システムオンチップ(SoC)であって、
少なくとも1つのIPエージェントと、
相互接続と、
前記IPエージェントと前記相互接続とを接続するリンクと、
前記IPエージェントを動作不能状態にするよう構成されている電力マネージャと、
休止マネージャと、
を備え、
前記休止マネージャは、
(a)トランザクションの生成を停止するよう前記IPエージェントに命令し、
(b)前記IPエージェントによって生成されたすべてのトランザクションが完了すると
、前記リンクを休止状態にし、
(c)前記動作不能状態に入るためのシーケンスを前記IPエージェントに開始させるこ
とによって、前記リンクを前記休止状態にするよう構成されている、SoC。
【請求項50】
請求項49に記載のSoCであって、さらに、前記動作不能状態にある時に前記IPエ
ージェントの代理として前記相互接続を構成することを含む、SoC。
【請求項51】
請求項50に記載のSoCであって、前記相互接続は、
前記動作不能状態にある前記IPエージェントに送信元がトランザクションを送信した
か否かを確認し、
前記送信元に例外メッセージを送信して、前記IPエージェントが利用可能ではないこ
とを前記送信元に通知することによって、前記IPエージェントの前記代理として機能す
る、SoC。
【請求項52】
請求項49から51のいずれか一項に記載のSoCであって、前記IPエージェントは
、さらに、ウェイクアップトリガイベントに応答して、前記動作不能状態にある時に、「
ウェイクアップ」シーケンスを開始するよう構成されている、SoC。
【請求項53】
請求項52に記載のSoCであって、前記ウェイクアップトリガイベントは、
(a)前記IPエージェントが、前記SoCの外部の送信元から通信を受信すること、
(b)所定の期間が経過したこと、
(c)システムコントローラによって命令された時、または、
(d)有効なトランザクションが、前記動作不能状態の前記IPエージェントを目標にす
ること、の内の1つを含む、SoC。
【請求項54】
請求項52に記載のSoCであって、前記ウェイクアップシーケンスは、前記IPエー
ジェントが、前記ウェイクアップトリガイベントに応答して、前記リンクを介して前記相
互接続にウェイクアップ通信を送信することを含む、SoC。
【請求項55】
請求項54に記載のSoCであって、前記ウェイクアップシーケンスは、前記相互接続
が前記ウェイクアップ通信をシステムコントローラに転送することを含む、SoC。
【請求項56】
請求項55に記載のSoCであって、前記ウェイクアップシーケンスは、さらに、前記
システムコントローラが、前記相互接続によって転送された前記ウェイクアップ通信を受
信したことに応答して、ウェイクアップコマンドを前記IPエージェントに送信すること
を含む、SoC。
【請求項57】
請求項56に記載のSoCであって、前記ウェイクアップシーケンスは、さらに、前記
IPエージェントが、前記ウェイクアップコマンドに応答して、自身のウェイクアッププ
ロトコルを開始することを含む、SoC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,589(PRT
IP001P)号および2018年6月28日出願の米国仮出願第62/691,117
(PRT1P002P)号に基づく優先権を主張する。これら優先権主張基礎出願の各々
は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、システムオンチップ(SoC)に関し、より具体的には、SoC上でリセット
および/または電力管理機能を一貫して実施し、ひいては、特に複数のSoCファミリー
にわたって、SoCのより一様なシステムソフトウェアビューを提供するシステムおよび
方法に関する。
【背景技術】
【0003】
システムオンチップ(「SoC」)は、複数のサブシステムを備える集積回路であり、
しばしば、知的財産(「IP」)エージェントと呼ばれる。IPエージェントは、典型的
には、特定の機能を実装または実行するように設計された回路の「再利用可能な」ブロッ
クである。IPエージェントを用いることにより、複雑なSoCを開発する時間およびコ
ストを大幅に削減できる。
【0004】
SoCは、典型的には、システムコントローラと、相互接続(バスまたはネットワーク
オンチップ(NoC)など)と、を備える。システムコントローラは、システムソフトウ
ェアを実行し、SoCの全体動作を管理するために提供される。様々なIPエージェント
が、1以上のリンクを介して相互接続に接続されており、相互接続を介して互いに通信す
る。
【0005】
SoC開発者は、一般に、しばしば複数のベンダからの異なるIPエージェントを利用
する。各IPエージェントは、通常、リセットのための独自の手順を実装する。SoC上
のシステムコントローラおよび相互接続の観点から、これは、いくつかの理由で問題があ
る。
【0006】
典型的なSoCは、通常、相互接続に接続された複数のIPエージェントを有する。リ
セット後に、IPエージェントの各々は、自身が用いる独自のリセット手順により、異な
る時間にリセット状態から出る可能性がある。各IPエージェントがリセットから出る時
間が異なることで、重大な問題が起こりうる。送信元IPエージェントが、まだリセット
中である宛先IPエージェントへのトランザクションを生成した場合、(1)宛先IPエ
ージェントは、要求を処理することができず、(2)送信元IPエージェントは、応答を
決して受信しない。結果として、システム全体が、ハングアップする場合があり、おそら
くは、システム全体のリセットが必要となる。
【0007】
ハングアップを防止するための1つの周知のアプローチは、相互接続と各IPエージェ
ントとの間の各リンクの中間に回路を設計して配置することである。この回路の目的は、
相互接続に接続された全IPエージェントが同じクロックサイクル中にリセットから出る
のを確実にすることである。しかしながら、このアプローチには、いくつかの理由で欠点
がある。
1.中間回路の設計には、時間および労力を要し、しばしば、SoCの開発を遅らせる。
2.中間回路は、SoCごとに、典型的には、異なる設計チームによって開発される。結
果として、中間回路は、通常は、SoCごとに異なり、または、同じSoC上の異なるサ
ブシステムの間ですら異なる。
3.回路の複雑さは、通常、所与の相互接続へ接続できるIPエージェントの数が制限さ
れることを意味する。この制限の実際的な影響は、所与の数のIPエージェントを収容す
るために必要な相互接続レベルが多くなることである。したがって、SoCの全体の複雑
さが増大する。
【0008】
時々、IPエージェントが正常に機能しない。例えば、IPエージェントは、偽のトラ
ンザクションを相互接続へ投入する、受信したトランザクションへの応答に失敗して、例
外メッセージを生成する、などの場合がある。いくつかの状況において、正常に機能しな
いIPエージェントは、リセットされる必要がありうる。現行のSoC相互接続規格では
、標準IPエージェントリセットメカニズムが存在しない。SoC全体がリセットされな
ければならないか、もしくは、中間回路が、必要な隔離、リセット、および、システムへ
のIPの再導入などを実行するよう設計される必要があるか、のいずれかである。
【0009】
電力管理も、特定の現行のSoC相互接続規格では対処されていない。アドバンスト・
マイクロコントローラ・バス・アーキテクチャ(AMBA)プロトコルは、例えば、電力
管理に対処せず、意図的に電力を落とすかまたはIPエージェントをオフにする方法を提
供していない。この機能を提供するためには、電力管理機能は、典型的に、例えば、電力
管理を扱うためにリンク上のさらなる中間回路を開発することによって、チップごとにS
oCへカスタム設計される必要がある。
【0010】
複数のSoCを提供する多くの企業が、製品化までの時間を短縮するために、類似した
デバイスの間で或る程度のシステムソフトウェアを共有する。しかしながら、類似したS
oCでも、ソフトウェアは、典型的には、IPエージェントが同じでありうる状況であっ
ても、デバイスからデバイスへと簡単には移植できない。リセットおよび/または電力管
理に用いられる任意の中間回路に小さい違いがあれば、システムソフトウェアは、各デバ
イスに向けて修正およびデバッグされる必要がありうる。
【0011】
したがって、多数のSoCを開発する企業の課題は、(1)各デバイスに対してリセッ
トおよびおそらくは電力管理を実施するためのカスタマイズされた回路を開発すること、
ならびに、(2)各デバイスに対してシステムソフトウェアを修正およびデバッグするこ
と、である。複数のデバイスにわたるこの努力は、費用が掛かり、複雑で、時間が掛かる
ため、製品をすみやかに市場に出す能力を低下させる。
【0012】
したがって、カスタマイゼーションの必要性を無くし、複数のSOCの間の一貫したシ
ステムソフトウェアビューにつながる、SoC上のIPエージェントのリセットおよび電
力管理を一貫して実施するためのシステムが求められている。
【発明の概要】
【0013】
カスタマイゼーションの必要性を無くし、複数のSOCの間の一貫したシステムソフト
ウェアビューにつながる、SoC上のIPエージェントのリセットおよび電力管理を一貫
して実施するためのシステムが開示されている。
【0014】
一実施形態において、システムは、1以上のIPエージェントと、相互接続と、それぞ
れIPエージェントおよび相互接続の間の1以上のリンクと、を備える。IPエージェン
トがリセットを受ける時、個々のネゴシエーションが、リンクを介して相互接続と各IP
エージェントとの間で行われる。個々のネゴシエーションでは、各IPエージェントが、
他のIPエージェントのタイミングから独立して、自身のタイムスケジュールでリセット
から出ることができる。リセットから出た後、各IPエージェントは、「トランザクショ
ン準備完了状態」になり、相互接続に導入され、相互接続に接続された他の要素(システ
ムコントローラなど)にとって可視になる。
【0015】
別の実施形態において、相互接続は、動作不能である任意のIPエージェントの代理と
して構成されてよい。この特徴は、(1)トランザクション準備完了状態になる前、(2
)動作不良時、および/または、(3)電力ダウン状態の時の動作不能時に、IPエージ
ェントがトランザクションの目標になった場合に起こりうるシステム全体のハングアップ
を防止するので有利である。相互接続が代理として機能する場合に、トランザクションを
送信した送信元に、例外メッセージが送信されることで、送信元が目標IPエージェント
からの応答を無期限に待つことによって引き起こされるハングアップを防止することがで
きる。
【0016】
さらに別の実施形態において、相互接続がIPエージェントの代理として機能するよう
に構成できることで、(1)IPエージェントを個々にリセットすること、および、(2
)IPエージェントを節電状態にすることが可能になる。様々な実施形態において、節電
状態は、低電力動作可能モード、状態情報の保持または非保持の低電力動作不能モード、
もしくは、電力オフモードなど、いくつかのモードの内の1つを含みうる。
【0017】
したがって、本発明は、多くの課題を解決する。本発明は、同じ時間/クロックサイク
ル中にリセットから出るように各IPエージェントを管理するため、および、(2)IP
エージェントの電力管理のためのカスタム回路を作る必要性を排除する。代わりに、本発
明は、これらの機能両方の一様な実施を有利に提供し、複数のSoCの間の一貫したシス
テムソフトウェアビューをもたらす。この一貫したソフトウェアビューによれば、SoC
のファミリーにわたるカスタム設計およびソフトウェア変更の多くが排除され、開発コス
トの節約、複雑さの低減、および、製品化までの時間短縮が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願およびその利点については、添付の図面に関連して行う以下の説明を参照すること
によって最も良く理解できる。
【0019】
【
図1】非排他的実施形態に従って、システムオンチップ(SoC)のための共有相互接続を示すブロック図。
【0020】
【
図2】非排他的実施形態に従って、トランザクションのパケットの例を示す図。
【0021】
【
図3A】第1非排他的実施形態に従って、アービトレーション要素を示す論理図。
【0022】
【
図3B】第2非排他的実施形態に従って、アービトレーション要素を示す論理図。
【0023】
【
図4】非排他的実施形態に従って、共有相互接続の仮想チャネルを介してトランザクションの部分をアービトレーションして送信するための動作工程を示すフローチャート。
【0024】
【
図5】非排他的実施形態に従って、共有相互接続の仮想チャネルを介して異なるトランザクションの部分の伝送をインターリーブする第1例を示す図。
【0025】
【
図6】非排他的実施形態に従って、共有相互接続の仮想チャネルを介して異なるトランザクションの部分の伝送をインターリーブする第2例を示す図。
【0026】
【
図7】本発明の別の非排他的実施形態に従って、二方向にトラフィックを扱うための2つの共有相互接続を示すブロック図。
【0027】
【
図8】本発明の非排他的実施形態に従って、リセット、電力管理、および、休止機能を有するSoCを示すブロック図。
【0028】
【
図9】本発明の非排他的実施形態に従って、IPエージェントのリセットシーケンスを示すフローチャート。
【0029】
【
図10】本発明の非排他的実施形態に従って、動作不良のIPエージェントのためのリセットシーケンスを示すフローチャート。
【0030】
【
図11】本発明の非排他的実施形態に従って、IPエージェントのための電力ダウン/アップシーケンスを示すフローチャート。
【0031】
【
図12】本発明の非排他的実施形態に従って、IPエージェントのための電力ダウン/アップシーケンスを示すフローチャート。
【0032】
【
図13】本発明のさらに別の非排他的実施形態に従って、IPエージェントのための電力ダウン/アップシーケンスを示すフローチャート。
【0033】
【
図14】リンクを休止状態にするための工程を示すフローチャート。
【0034】
【
図15A】IPエージェントのための「ウェイクアップ」シーケンスを示すフローチャート。
【
図15B】IPエージェントのための「ウェイクアップ」シーケンスを示すフローチャート。
【
図15C】IPエージェントのための「ウェイクアップ」シーケンスを示すフローチャート。
【
図15D】IPエージェントのための「ウェイクアップ」シーケンスを示すフローチャート。
【0035】
図面において、同様の構造要素を指定するために、同様の符号が用いられることがある
。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、添付図面に例示された、いくつかの非排他的な実施形態を参照しつつ、本願
の詳細な説明を行う。以下の説明では、本開示の完全な理解を促すために、数多くの具体
的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本開示は
、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。ま
た、本開示が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造
については、詳細な説明を省略した。
【0037】
現在開発中の集積回路の多くは、非常に複雑である。結果として、多くのチップ設計者
は、システムオンチップすなわち「SoC」アプローチを用いて、単一のシリコン上に複
数のサブシステムまたはIPエージェントを相互接続してきた。消費者デバイス(例えば
、ハンドヘルド、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップおよびデスクトップ
コンピュータ、メデイア処理など)、仮想または拡張現実(例えば、ロボット工学、自律
走行車、航空機など)、医療機器(例えば、イメージングなど)、工業、ホームオートメ
ーション、工業(例えば、スマート家電、家庭用監視機器、など)およびデータセンター
用途(例えば、ネットワークスイッチ、接続型ストレージデバイス、など)など、様々な
用途のためのSoCが、現在利用可能であるかまたは開発されている。
【0038】
本願は、共有リソースへのアクセスをアービトレートするためのアービトレーションシ
ステムおよび方法をおおむね対象にしている。かかる共有リソースは、例えば、バス相互
接続、メモリリソース、処理リソース、または、複数の競争パーティの間で共有されたほ
ぼ任意のその他のリソースでありうる。説明の便宜上、以下で詳述する共有リソースは、
システムオンチップすなわち「SoC」上の複数のサブシステムによって共有される相互
接続であるとする。
【0039】
SoCでは、後に詳述するように、トランザクションの形態で互いにトラフィックをや
り取りする複数のサブシステムがあり、共有リソースは、物理的な相互接続であり、様々
なトランザクションまたはその部分が、共有相互接続に関連する複数の仮想チャネルを介
して伝送され、複数の異なるアービトレーションスキームおよび/または優先度の1つが
、サブファンクションの間のトランザクションの伝送に向けた共有相互接続へのアクセス
をアービトレートするために用いられてよい。
【0040】
トランザクションクラス
SoCに用いられる上述の共有相互接続内には、Posted(P)、Non-pos
ted(NP)、および、Completion(C)を含む少なくとも3つのタイプま
たはクラスのトランザクションが存在する。各々の簡単な定義を以下の表1に提供する。
【表1】
【0041】
Postedトランザクション(書き込みなど)は、応答トランザクションを求めない
。送信元がデータを指定された宛先に書き込むと、トランザクションが終了する。Non
-postedトランザクション(読み出しまたは書き出しのいずれかなど)では、応答
が求められる。しかしながら、応答は、別個のCompletionトランザクションと
して分岐される。換言すると、読み出しでは、最初のトランザクションが読み出し動作の
ために用いられ、別個であるが関連するCompletionトランザクションが読み出
しコンテンツを返すために用いられる。Non-posted書き込みでは、最初のトラ
ンザクションが書き込みのために用いられ、一方、書き込みが完了すると、第2関連Co
mpletionトランザクションが確認のために求められる。
【0042】
トランザクションは、タイプに関わらず、1以上のパケットによって表すことができる
。いくつかの状況では、トランザクションは、単一のパケットによって表されうる。別の
状況においては、複数のパケットが、トランザクション全体を表すために必要とされうる
。
【0043】
ビートは、クロックサイクルあたりに共有相互接続を介して伝送できるデータの量であ
る。例えば、共有相互接続が物理的に128ビット幅である場合、128ビットが、各ビ
ートまたはクロックサイクルに伝送されうる。
【0044】
いくつかの状況において、トランザクションは、伝送のために複数の部分に分割される
必要がありうる。512ビット(64バイト)であるペイロードを有する単一のパケット
を有するトランザクションを考える。共有相互接続が128ビット幅(16バイト)のみ
である場合、トランザクションは、4つの部分(例えば、4×128=512)に分割さ
れ、4つのクロックサイクルまたはビートで伝送される必要がある。一方、トランザクシ
ョンが128ビット幅未満である単一パケットのみである場合、トランザクション全体が
、1つのクロックサイクルまたはビートで送信されうる。同じトランザクションがさらな
るパケットをたまたま含む場合、さらなるクロックサイクルまたはビートが必要とされう
る。
【0045】
したがって、トランザクションの「部分」という用語は、所与のクロックサイクルまた
はビート中に共有相互接続を介して転送できるデータの量である。部分のサイズは、共有
相互接続の物理的な幅に応じて変わりうる。例えば、共有相互接続が物理的に64データ
ビット幅である場合、任意の1サイクルまたはビート中に転送できる最大ビット数は64
ビットである。所与のトランザクションが64ビット以下のペイロードを有する場合、ト
ランザクション全体が、単一部分で共有相互接続を介して送信されうる。一方、ペイロー
ドがより大きい場合、パケットは、複数の部分で共有相互接続を介して送信されなければ
ならない。128、256、または、512ビットのペイロードを有するトランザクショ
ンは、それぞれ、2、4、および、8の部分を必要とする。このように、「部分」という
用語は、任意の所与のクロックサイクルまたはビート中に共有相互接続を介して送信され
うるトランザクションの一部または全体のいずれかを意味すると広く解釈されるべきであ
る。
【0046】
ストリーム
ストリームは、仮想チャネルおよびトランザクションクラスのペアリングとして定義さ
れる。例えば、4つの仮想チャネル(例えば、VC0、VC1、VC2、および、VC3
)、ならびに、3つのトランザクションクラス(P、NP、C)があった場合、最大で1
2の異なる可能なストリームがある。仮想チャネルおよびトランザクションクラスの様々
な組み合わせを、以下の表2で詳述する。
【表2】
【0047】
上述したトランザクションクラスの数は、単に例示であり、限定として解釈すべきでは
ないことに注意されたい。逆に、任意の数の仮想チャネルおよび/またはトランザクショ
ンクラスが用いられてよい。
【0048】
共有相互接続の仮想チャネルでのアービトレーション
図1を参照すると、アービトレーションシステム10のブロック図が示されている。非
排他的実施形態において、アービトレーションシステムは、アップストリームサブファン
クション14(すなわち、IP4、IP5、および、IP6)へトランザクションを送信
しようと試みる複数のサブファンクション14(すなわち、IP1、IP2、および、I
P3)による共有相互接続12へのアクセスをアービトレートするために用いられる。
【0049】
共有相互接続12は、Nデータビット幅でありM個の制御ビットを含む物理的な相互接
続である。また、共有相互接続12は一方向性であり、これは、送信元(すなわち、IP
1、IP2、および、IP3)から宛先(すなわち、IP4、IP5、および、IP6)
への方向にのみトラフィックを扱うことを意味する。
【0050】
様々な代替例において、Nデータビットの数は、任意の整数であってよいが、典型的に
は、それぞれ、2のべき乗のビット幅である(例えば、21、22、23、24、25、
26、27、28、29など)または(2、4、6、8、16、32、64、128、2
56など)。最も現実的な応用例では、Nビットの数は、32、64、128、256、
または、512のいずれかである。ただし、これらの幅は、単に例示であり、どのように
も限定するものとして解釈すべきではないことを理解されたい。
【0051】
制御ビットの数Mも、様々であり、任意の数であってよい。
【0052】
1以上の論理チャネル(図示せず)(以降、「仮想チャネル」すなわち「VC」と呼ぶ
)が、共有相互接続12に関連付けられている。各仮想チャネルは、独立している。各仮
想チャネルは、複数の独立ストリームに関連付けられてよい。仮想チャネルの数は、広く
変化してよい。例えば、32以上の数までの仮想チャネルが、規定されるか、または、共
有相互接続12に関連付けられてよい。
【0053】
様々な代替実施形態において、各仮想チャネルは、異なる優先度を割り当てられてよい
。1以上の仮想チャネルに、より高い優先度が割り当てられてよく、一方、1以上のその
他の仮想チャネルに、より低い優先度が割り当てられてよい。高い優先度のチャネルは、
低い優先度の仮想チャネルよりも高い共有相互接続12へのアクセス権を与えられるまた
はアービトレートされる。別の実施形態では、仮想チャネルの各々に、同じ優先度が与え
られてもよく、その場合、共有相互接続12へのアクセス権を与えるまたはアービトレー
トする時に、或る仮想チャネルを別の仮想チャネルより優先することがない。さらに別の
実施形態において、仮想チャネルの内の1以上に割り当てられた優先度は、動的に変化し
てもよい。例えば、第1セットの状況において、仮想チャネルすべてに、同じ優先度が割
り当てられてよいが、第2セットの状況において、特定の仮想チャネルに、その他の仮想
チャネルよりも高い優先度が割り当てられてもよい。したがって、状況が変化するにつれ
て、仮想チャネルの間で用いられる優先度スキームは、現在の動作条件に最もよく合うよ
うに変更されうる。
【0054】
サブシステム14の各々は、典型的には、「再利用可能な」回路またはロジックのブロ
ックであり、一般に、IPコアまたはエージェントと呼ばれる。 ほとんどのIPエージ
ェントは、特定の機能を実行するよう設計され、例えば、イーサネットポート、ディスプ
レイドライバ、SDRAMインターフェース、USBポートなどの周辺デバイスのための
コントローラである。かかるIPエージェントは、一般に、特定用途向け集積回路(AS
IC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの集積回路(IC
)上に提供された複雑なシステムの設計全体の中で必要なサブシステム機能を提供する「
ビルディングブロック(構成要素)」として用いられる。利用可能なIPエージェントの
ライブラリを用いることにより、チップ設計者は、より複雑な集積回路の設計において様
々なロジック機能を容易に「ボルト締め」することができるので、設計時間を削減すると
共に開発コストを節約することができる。サブシステムエージェント14は、専用IPコ
アに関して上述したが、これは、必要条件ではないことを理解されたい。逆に、サブシス
テム14は、単一のポート20に接続されたまたはそれを共有するIP機能のコレクショ
ンであってもよい。したがって、「エージェント」という用語は、サブシステムが単一の
機能を実行するか、複数の機能を実行するかに関わらず、ポート20に接続された任意の
タイプのサブシステムとして広く解釈されるべきである。
【0055】
一対のスイッチ16および18が、それぞれ、専用アクセスポート20を介してサブシ
ステムエージェント14の各々と共有相互接続12との間のアクセスを提供する。図の例
示的実施形態では、
(1)サブシステムエージェントIP1、IP2、および、IP3は、それぞれ、アクセ
スPort0、Port1、および、Port2を介してスイッチ16と接続する。
(2)サブシステムエージェントIP4、IP5、および、IP6は、それぞれ、Por
t3、Port4、および、Port5を介してスイッチ18と接続する。
(3)さらに、アクセスポート22が、相互接続12を介して、全体としてスイッチ16
へのサブシステムエージェントIP4、IP5、および、IP6のアクセスを提供する。
【0056】
スイッチ16および18は、多重化および逆多重化機能を実行する。スイッチ16は、
サブシステムエージェントIP1、IP2、および/または、IP3によって生成された
アップストリームトラフィックを選択し、共有相互接続12を介してトラフィックをダウ
ンストリームに送信する。スイッチ18では、逆多重化動作が実行され、トラフィックは
、目標サブシステムエージェント(すなわち、IP4、IP5、または、IP6のいずれ
か)へ提供される。
【0057】
各アクセスポート20は、一意ポート識別子(ID)を有しており、各サブシステムエ
ージェント14の専用アクセスをスイッチ16または18のいずれかへ提供する。例えば
、サブシステムエージェントIP1、IP2、および、IP3は、それぞれ、アクセスポ
ートPort0、Port1、および、Port2に割り当てられる。同様に、サブシス
テムエージェントIP4、IP5、および、IP6は、それぞれ、アクセスポートPor
t3、Port4、および、Port5に割り当てられる。
【0058】
スイッチ16、18への/からの入口ポイントおよび出口ポイントを提供するのに加え
て、一意ポートID20は、サブシステムエージェント14の間のトラフィックをアドレ
ッシングするために用いられる。各ポート20は、システムメモリ24内に、特定の量の
割り当てられたアドレス可能空間を有する。
【0059】
いくつかの非排他的な実施形態において、アクセスポート20の全部または一部に、一
意ポートIDだけでなく、「グローバル」ポート識別子が割り当てられてもよい。トラン
ザクションおよびその他のトラフィックが、グローバルポート識別子に割り当てられたア
クセスポートの全部または一部に送信されうる。したがって、グローバル識別子を用いれ
ば、トランザクションおよびその他のトラフィックが、アクセスポート20の全部または
一部へ広く発信またはブロードキャストすることができ、一意識別子を用いて各アクセス
ポート20へ個別にアドレッシングする必要性を排除できる。
【0060】
スイッチ16は、さらに、アービトレーション要素26、アドレス解決ロジック(AR
L)28、および、アドレス解決ルックアップテーブル(LUT)30を備える。
【0061】
動作中、サブシステムエージェントIP1、IP2、および、IP3は、トランザクシ
ョンを生成する。各トランザクションが生成されると、送信側サブシステム14によって
パケット化され、次いで、パケット化されたトランザクションは、対応するポート20を
介してローカルスイッチ16へ投入される。例えば、IP1、IP2、および、IP3に
よって生成されたトランザクションの部分は、それぞれ、Port0、Port1、およ
び、Port2を介してスイッチ16に提供される。
【0062】
ポート20は各々、相互接続チャネル12に関連付けられている仮想チャネルの各々に
対して、複数の先入れ先出しバッファ(図示せず)を備える。非排他的実施形態において
、4つの仮想チャネルが存在する。その場合、各仮想チャネルに対して1つで、各ポート
20は、4つのバッファを備える。再び、ポート20に含まれる仮想チャネルおよびバッ
ファの数は、様々であってよく、4に限定されないことを理解されたい。逆に、仮想チャ
ネルおよびバッファの数は、4より多くても少なくてもよい。
【0063】
所与のトランザクションが2つ(以上)の部分で表される場合、それらの部分は、同じ
バッファ内に維持される。例えば、相互接続12が128データビット幅であり、トラン
ザクションが512ビットのペイロードを含むパケットによって表される場合、トランザ
クションは、4クロックサイクルまたはビートで伝送される4つの部分に分割される必要
がある。一方、トランザクションが64ビットのペイロードを有する単一パケットによっ
て表されうる場合、単一の部分は、1クロックサイクルまたはビートで伝送されうる。所
与のトランザクションのすべての部分を同じバッファ内に維持することにより、仮想チャ
ネルは、論理的に独立したままになる。換言すると、所与のトランザクションに関連する
トラフィックすべてが、常に、ストリームと同じ仮想チャネルで送信され、複数の仮想チ
ャネルを介して分岐されることがない。
【0064】
アービトレーション要素26は、様々なアクセスポート20によって維持されたトラン
ザクションの競合するバッファされた部分の間でアービトレートすることを担う。非排他
的実施形態において、複数の競合トランザクションが利用可能であれば、アービトレーシ
ョン要素26は、クロックサイクルごとにアービトレーションを実行する。サイクルごと
のアービトレーション勝者は、相互接続12へのアクセスが認められて相互接続12を介
して伝送されるトランザクションの部分を、サブシステムIP1、IP2、および、IP
3の内の1つから生成する。
【0065】
トランザクションを生成する時、送信元サブシステムIP1、IP2、および、IP3
は、通常、可能な宛先サブシステムエージェントIP4、IP5、および、IP6につい
てアドレス空間内のアドレスを知っているが、宛先にトランザクションをルーティングす
るために必要な情報(例えば、ポートID20および/または22)を知らない。一実施
形態において、ローカルアドレス解決ロジック(ARL)28は、既知の宛先アドレスを
必要なルーティング情報に解決するために用いられる。換言すると、送信元サブエージェ
ント14は、システムメモリ24内の所与のアドレスにアクセスしたいことを単に知りう
る。したがって、ARL28は、LUT30へアクセスするタスクを課せられ、指定され
たアドレスに対応する最終的な宛先への配信パスに沿ってポート20/22のアドレスル
ックアップを実行する。ポート20/22が知られると、この情報は、トランザクション
のパケット内の宛先フィールドに挿入される。結果として、パケットは、配信パスに沿っ
てポート20/22へ配信される。原則として、要求された配信情報がすでに知られてお
り、パケットの宛先フィールドに含まれているので、配信パスに沿ったダウンストリーム
ノードが、さらなるルックアップを実行する必要はない。後に詳述するようにソースベー
スルーティング(SBR)と呼ばれる他のタイプのトランザクションで、送信元Pエージ
ェントは、宛先ポートアドレスを知る。結果として、ARL28によって実行されるルッ
クアップは、典型的には、実行される必要がない。
【0066】
代替実施形態において、相互接続内のすべてのノードがARL28およびLUT30を
必要とするわけではない。これらの要素を持たないノードについては、必要なルーティン
グ情報のないトランザクションが、デフォルトノードへ転送されうる。デフォルトノード
では、ARL28およびLUT30がアクセスされ、次いで、必要なルーティング情報が
、トランザクションのパケットのヘッダに挿入されうる。デフォルトノードは、典型的に
は、ARL28およびLUT30を持たないノードよりアップストリームにある。ただし
、これは、決して必須ではない。1または複数のデフォルトノードは、SoC上のどこに
配置されてもよい。ARL28およびLUT30をいくつかのノードから排除することに
より、ノードの複雑さを低減できる。
【0067】
ARL28は、トランザクションの勝利部分のための転送先のデコードに加えて、各仮
想チャネル内のトランザクションの勝利部分のための順序を規定するので、「順序付けポ
イント」と呼ばれてもよい。各アービトレーションが解決されると、ARL28がアドレ
スポートルックアップを実行するために用いられるか否かに関わらず、トランザクション
の勝利部分が各仮想チャネルに提供される先入れ先出しキューに挿入される。次いで、ト
ランザクションの勝利部分は、バッファ内で相互接続12を介した伝送の順番を待つ。
【0068】
また、ARL28は、「アップストリーム」および「ダウンストリーム」トラフィック
を規定するために用いられる。換言すると、スイッチ16に関連付けられているIPエー
ジェント14(すなわち、IP1、IP2、および、IP3)によって生成された任意の
トランザクションは、ARL28に対してアップストリームにあると見なされる。ARL
28後の(すなわち、IP4、IP5、および、IP6に伝送される)すべてのトランザ
クションが、ダウンストリームトラフィックと見なされる。
【0069】
スイッチ16に関連付けられているIPエージェント14(すなわち、IP1、IP2
、および、IP3)は、直接的または間接的のいずれかで、互いに通信してトランザクシ
ョンを互いに送信してよい。直接的な通信(しばしば、ソースベースルーティング(SB
R)と呼ばれる)により、IPエージェント14は、ピアツーピアモデルで互いにトラン
ザクションを送信できる。このモデルでは、送信元IPエージェトは、そのピアIPエー
ジェント14の一意ポートIDが知っており、LUT30にアクセスするためにARL2
8を用いる必要性を無くす。あるいは、スイッチ16に関連付けられているIPエージェ
ントの間のトランザクションは、ARL28を用いてルーティングされてもよい。このモ
デルでは、上述したのと同様に、送信元IPエージェントは、宛先IPエージェント14
のアドレスのみを知り、ルーティングに必要な情報は知らない。次いで、ARL28は、
LUT30にアクセスし、対応するポートIDを見つけるために用いられ、その後、ポー
トIDは、トランザクションのパケットの宛先フィールドに挿入される。
【0070】
パケットフォーマット
IPエージェント14は、トランザクションを生成して、相互接続12に関連付けられ
ている仮想チャネルを通じて処理する。各トランザクションは、典型的には、1以上のパ
ケットで構成される。各パケットは、典型的には、固定ヘッダサイズおよびフォーマット
を有する。いくつかの例において、各パケットは、固定サイズペイロードを有してよい。
別の例において、パケットペイロードは、大から小まで様々なサイズであってよく、また
は、ペイロードが全く無くてもよい。
【0071】
図2を参照すると、パケットの例32が示されている。パケット32は、ヘッダ34お
よびペイロード36を備える。この特定の実施形態において、ヘッダ34は、16バイト
のサイズである。このサイズは例示であり、より大きいサイズ(例えば、より多いバイト
数)または小さいサイズ(例えば、より少ないバイト数)のパケットが用いられてもよい
ことを理解されたい。パケット32のヘッダ34は、必ずしもすべてが同じサイズである
必要がないことも理解されたい。代替実施形態において、SoCにおけるパケットヘッダ
のサイズは、可変であってもよい。
【0072】
ヘッダ34は、宛先識別子(DST_ID)、送信元識別子(SRC_ID)、ペイロ
ードサイズインジケータ(PLD_SZ)、予備フィールド(RSVD)、コマンドフィ
ールド(CMD)、TAGフィールド、ステータス(STS)、トランザクションIDフ
ィールド(TAG)、アドレスすなわちADDRフィールド、USDR/コンパクトペイ
ロードフィールド、トランザクションクラスすなわちTCフィールド、フォーマットFM
Tフィールド、および、バイトイネーブル(BE)フィールドなど、複数のフィールドを
含む。ヘッダ34の様々なフィールドについて、以下の表3で簡単に説明する。
【表3】
【0073】
ペイロード36は、パケットのコンテンツを含む。ペイロードのサイズは、様々であっ
てよい。いくつかの例において、ペイロードは大きくてよい。その他の例において、ペイ
ロードは小さくてもよい。さらに別の例において、コンテンツが非常に小さいすなわち「
コンパクト」である場合、ヘッダ34のUSRDフィールド内で運ぶことができる。
【0074】
トランザクションのタイプは、しばしば、トランザクションを表すために用いられる1
以上のパケットがペイロードを持つか否かを示す。例えば、PostedまたはNon-
posted読み出しのどちらでも、パケットは、アクセスされるロケーションアドレス
を指定するが、典型的には、ペイロードを持たない。しかしながら、関連するCompl
etionトランザクションのパケットは、読み出しコンテンツを含むペイロードを含む
。PostedおよびNon-posted書き込みトランザクションの両方で、パケッ
トは、宛先に書き込まれるデータを含むペイロードを含む。Non-postedバージ
ョンの書き込みでは、Completionトランザクションのパケットは、通常、ペイ
ロードを定義しない。しかしながら、一部の状況では、Completionトランザク
ションが、ペイロードを規定する。
【0075】
パケットの例および上述の説明は、パケットに含まれうる基本的なフィールドの多くを
網羅している。さらなるフィールドが削除または追加されてもよいことを理解されたい。
例えば、送信元および宛先がプライベートメッセージを共有できるように、プライベート
シグナリングフィールドが用いられてもよい。
【0076】
アービトレーション
図3Aを参照すると、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)順位付
けでアービトレーション要素26によって実行されるアービトレーションロジックを示す
論理図が示されている。
【0077】
PCI順位付けでは、各ポート20は、各仮想チャネルおよびトランザクションクラス
(P、NP、および、C)の組み合わせのための別個のバッファを備える。例えば、4つ
の仮想チャネル(VC0、VC01、VC2、および、VC3)がある場合、Port0
、Port1、および、Port2は各々、12の先入れ先出しバッファを有する。換言
すると、各ポート20について、バッファが、各トランザクションクラス(P、NP、お
よび、C)ならびに仮想チャネル(VC0、VC1、VC2、および、VC30)の組み
合わせに対して提供される。
【0078】
各IPエージェント14(例えば、IP1、IP2、および、IP3)がトランザクシ
ョンを生成すると、結果として得られるパケットが、それぞれ、対応するポート(例えば
、ポート0、ポート1、および、ポート2)内で、トランザクションタイプに基づいて、
適切なバッファに配置される。例えば、IP1によって生成されたPosted(P)、
Non-posted(NP)、および、Completion(C)トランザクション
が、それぞれ、ポート0内で、割り当てられた仮想チャネルのためのPosted、No
n-posted、および、Completionバッファに配置される。IP2および
IP3によって生成されたトランザクションは、同様の方法でポート1およびポート2内
で、割り当てられた仮想チャネルのためのPosted、Non-posted、および
、Completionバッファに同様に配置される。
【0079】
所与のトランザクションが複数のパケットによって表される場合、そのトランザクショ
ンのパケットすべてが、同じバッファ内に挿入される。結果として、トランザクションの
パケットすべてが、最終的に同じ仮想チャネルで伝送される。このポリシーでは、仮想チ
ャネルは独立したままであり、これは、同じトランザクションに関連する複数のパケット
の伝送には、異なる仮想チャネルが用いられないことを意味する。
【0080】
各ポート20内で、多くの異なる方法で所与の仮想チャネルにパケットを割り当てるこ
とができる。例えば、割り当ては、無作為であってよい。あるいは、割り当ては、各仮想
チャネルに対する作業負荷と未処理のトラフィックの量とに基づいてもよい。あるチャネ
ルが非常にビジーであり、その他のチャネルがビジーではない場合、ポート20は、しば
しば、負荷のバランスを取ろうと試み、新たに生成されたトランザクショントラフィック
を利用率の低い仮想チャネルに割り当てる。結果として、ルーティング効率が改善される
。さらに別の代替例において、トランザクショントラフィックは、緊急性、セキュリティ
、または、それら両方の組み合わせに基づいて、特定の仮想チャネルに割り当てられても
よい。特定の仮想チャネルが、他の仮想チャネルよりも高い優先度および/またはセキュ
リティを与えられた場合、高い優先度および/または安全なトラフィックが、より高い優
先度の仮想チャネルに割り当てられる。さらに別の実施形態において、ポート20は、ハ
ードコードされてもよく、これは、ポート20が、1つだけの仮想チャネルを有し、ポー
ト20によって生成されたすべてのトラフィックが、その1つの仮想チャネルを介して伝
送されることを意味する。さらに別の実施形態において、割り当ては、宛先ポート20に
到達するように選択されたルートに基づきうる。
【0081】
さらに別の実施形態において、仮想チャネルの割り当ては、送信元IPエージェント1
4によって、単独で、または、それに対応するポート20と連携して、実施されてもよい
。例えば、送信元IPエージェント14が、対応するポート20への制御信号を生成して
、所与のトランザクションのパケットが特定の仮想チャネルに割り当てられることを要求
することができる。IPエージェント14も、上述のように、無作為である、ハードコー
ドされる、または、すべての仮想チャネルにわたってバランスの取れた利用、セキュリテ
ィ、緊急性などに基づいた割り当て決定をなすことができる。
【0082】
アービトレーション勝者の選択において、アービトレーション要素26は、サイクルご
とに複数のアービトレーション工程を実行する。これらのアービトレーション工程は、以
下を含む。
(1)ポートを選択する工程、
(2)仮想チャネルを選択する工程、および
(3)トランザクションクラスを選択する工程。
【0083】
上述の順序(1)、(2)、および、(3)は、固定ではない。逆に、上述の3つの工
程は、任意の順序で完了されてよい。どの順序が用いられるかに関わらず、単一のアービ
トレーション勝者が各サイクルで選択される。次いで、勝利トランザクションは、相互接
続12に関連付けられている対応する仮想チャネルを介して伝送される。
【0084】
アービトレーション要素26によって実行される各アービトレーション(1)、(2)
、および、(3)のために、複数のアービトレーションスキームまたはルールセットが用
いられてよい。かかるアービトレーションスキームは、厳密または絶対優先度、4つの仮
想チャネルの各々が特定の割合のトランザクショントラフックを割り当てられる重み付き
優先度、もしくは、トランザクションが所定の順序で仮想チャネルに割り当てられるラウ
ンドロビンスキーム、を含みうる。さらなる実施形態において、その他の優先度スキーム
が用いられてもよい。また、アービトレーション要素26は、異なるアービトレーション
スキームの間で時々動的に切り替えを行ってもよい、および/または、(1)、(2)、
および、(3)アービトレーションの各々に対して同じまたは異なるアービトレーション
スキームをそれぞれ用いてもよいことを理解されたい。
【0085】
任意選択的な実施形態において、所与のアービトレーションサイクル中に考慮された未
処理のトランザクションによって定義された宛先ポート20の利用可能性が考慮される。
宛先ポート20に内のバッファが、所与のトランザクションを処理するために利用可能な
リソースを持たない場合、対応する仮想チャネルは利用可能ではない。結果として、当該
トランザクションは、アービトレーションで競合せず、むしろ、目標リソースが利用可能
になる後続のアービトレーションサイクルまで待機する。一方、目標リソースが利用可能
である場合、対応するトランザクションは、アービトレートされ、相互接続12へのアク
セスのために競合する。
【0086】
宛先ポート20の利用可能性は、上述した複数のアービトレーション工程(1)、(2
)、および、(3)に関して、異なる時にチェックされてよい。例えば、利用可能性チェ
ックは、アービトレーションサイクルの前に(すなわち、工程(1)、(2)、および、
(3)のいずれかの完了の前に)実行できる。結果として、利用可能な宛先リソースを規
定するトランザクションのみが、後続のアービトレーション中に考慮される。あるいは、
アービトレーションチェックは、アービトレーション工程が実行される順序に関わらず、
3つのアービトレーション工程(1)、(2)、および、(3)のいずれかの間に実行さ
れてもよい。
【0087】
アービトレーション処理中の早くまたは遅くに、宛先リソース利用可能性チェックを実
行することには利点および不利点がある。早くチェックを実行することにより、トランザ
クションの競合の可能性のある部分は、それらの宛先が利用可能でない場合に競合から潜
在的に排除されうる。しかしながら、利用可能性を早く知ることは、システムリソースへ
のかなりの量のオーバーヘッドを生み出しうる。結果として、状況に応じて、所与のアー
ビトレーションサイクル中に利用可能性チェックをより遅く実行するのが、より実際的で
ありうる。
【0088】
トランザクションクラスの選択を含むアービトレーション工程に対して、複数のルール
が、N、NP、および、Cトランザクションの競合部分の間でアービトレートするために
規定される。これらのルールは、以下を含む。
Posted(P)トランザクションに対して、
-Postedトランザクション部分は、別のPostedトランザクション部分を追い
越しえない。
-Postedトランザクション部分は、デッドロックを避けるためにNon-post
edトランザクション部分を追い越すことができなければならない。
-Postedトランザクション部分は、両方が強順序(strong order)モ
ードにある場合には、Completionを追い越すことができなければならない。換
言すると、強モードでは、トランザクションは、ルールに従って厳密に実行される必要が
あり、ルールは緩めることができない。
-Posted要求は、任意のトランザクション部分がそれの緩和順序(Relaxed
Order:RO)ビットセットを有する場合には、Completionを追い越す
ことを許されるが、追い越しは必須ではない。緩和順序では、一般にルールが守られるが
、例外が認められうる。
Non-posted(NP)トランザクションに対して、
-Non-postedトランザクション部分は、Postedトランザクション部分を
追い越してはならない。
-Non-postedトランザクション部分は、別のNon-postedトランザク
ション部分を追い越してはならない。
-Non-postedトランザクション部分は、両方が強順序モードにある場合には、
Completionを追い越してはならない。
-Non-postedトランザクション部分は、任意のトランザクション部分がそれの
ROビットセットを有する場合には、Completionを追い越すことを許されるが
、必須でない。
Completion(C)トランザクションに対して、
-Completionは、両方が強順序モードにある場合には、Postedトランザ
クション部分を追い越してはならない。
-Completionは、任意のトランザクション部分がそれのROビットセットを有
する場合には、Postedトランザクション部分を追い越すことを許可されるが、必須
ではない。
-Completionは、両方が強順序モードにある場合には、Non-posted
トランザクション部分を追い越してはならない。
-Completionは、任意のトランザクション部分がそれのROビットセットを有
する場合には、Non-postedトランザクション部分を追い越すことを許可される
が、必須ではない。
-Completionは、別のCompletionを追い越すことを許可されない。
【0089】
以下の表4は、PCI順序付けルールの概要を提供する。(a)および(b)の選択肢
のないボックスでは、厳密順序付けルールが従われる必要はない。(a)および(b)の
選択肢を有する表のボックスでは、ROビットがリセットされるか設定されるかに依存し
て、それぞれ、厳密順序(a)ルールまたは緩和順序(b)ルールのいずれかが適用され
てよい。様々な代替実施形態において、ROビットは、グローバルに、または、パケット
レベルで個々に、設定または再設定されうる。
【表4】
【0090】
アービトレーション要素26は、特定の順序なしに、それぞれ、競合ポート20、仮想
チャネル、および、トランザクションクラスのアービトレーションを実行することによっ
て、最終的な勝利トランザクション部分を選択する。サイクルあたりの勝利部分は、共有
相互接続12にアクセスし、対応する仮想チャネルを介して伝送される。
【0091】
図3Bを参照すると、デバイス順位付けでアービトレーション要素26によって実行さ
れるアービトレーションロジックを示す論理図が示されている。アービトレーション処理
、および、おそらくは利用可能な宛先リソースの考慮は、2つの違いを除けは、上述した
のと基本的に同じである。
【0092】
第1に、デバイス順序付けでは、(a)すべての要求に対する応答が求められるNon
-posted読み出しまたは書き込みトランザクションと、(b)要求された応答を規
定したCompletionトランザクションとを含め、2つトランザクションクラスだ
けが定義される。トランザクションクラスが2つだけなので、各ポート20において仮想
チャネルごとに2つのバッファだけがある。例えば、4つの仮想チャネル(VC0、VC
1、VC2、および、VC3)がある場合、各ポート20(例えば、Port0、Por
t1、および、Port2)は、合計で8つのバッファを有する。
【0093】
第2に、デバイス順序付けのトランザクションを選択するためのルールも、PCI順序
付けとは異なる。デバイス順序付けでは、オーバークラスを超える1つのクラスの選択に
適用される厳密なルールは存在しない。逆に、いずれかのトランザクションクラスが任意
に選択されうる。しかしながら、一般的な方法では、典型的には、Completion
トランザクションが解決するまで利用可能になりえないリソースを解放するように、好都
合なCompletionトランザクションに要求する。
【0094】
それ以外の点では、デバイス順序付けのためのアービトレーション処理は、基本的に上
述したものと同じである。換言すると、各アービトレーションサイクルに対して、アービ
トレーション勝者を選択するために、アービトレーション工程(1)、(2)、および、
(3)が、任意の特定の順で実行される。トランザクションクラスアービトレーションが
実行される時、PCI順序ルールよりはむしろデバイス順序が利用される。さらに、宛先
リソースおよび/または仮想チャネルの利用可能性が、アービトレーション工程(1)、
(2)、および、(3)のいずれかの前または間に考慮されてもよい。
【0095】
動作フローチャート
先述したように、上述のアービトレーションスキームは、任意の共有リソースへのアク
セスを共有するために利用されてよく、共有相互接続との利用だけに限定されない。かか
る他の共有リソースは、ARL28、処理リソース、メモリリソース(LUT30など)
、または、アクセスをめぐって競い合う複数のパーティの間で共有されるほぼ任意のその
他のタイプのリソースを含みうる。
【0096】
図4を参照すると、共有リソースへのアクセスをアービトレートするための動作工程を
示すフローチャート40が示されている。
【0097】
工程42において、様々な送信元サブシステムエージェント14が、トランザクション
を生成する。トランザクションは、Posted(P)、Non-posted(NP)
、および、Completion(C)を含む3つのクラスのいずれかでありうる。
【0098】
工程44において、送信元サブシステムエージェント14によって生成されたトランザ
クションの各々は、パケット化される。先述したように、所与のトランザクションのパケ
ット化は、1以上のパケットをもたらしうる。パケットは、サイズが様々であってよく、
一部のパケットは大きいペイロードを持ち、他のパケットは小さいペイロードを持つかま
たは全く持たない。トランザクションが、相互接続12の幅よりも小さいデータペイロー
ド36を有する単一のパケットによって表される状況では、トランザクションは、単一の
部分によって表されうる。トランザクションが、共有リソースのアクセス幅よりも大きい
データペイロード36を備えた複数のパケットまたは単一のパケットによって表される状
況では、複数の部分が、トランザクションを表すために必要とされる。
【0099】
工程46において、サブシステムエージェント14の各々によって生成されたパケット
化トランザクションの部分は、対応するポート20を介してローカルスイッチ16に投入
される。ポート20内で、各トランザクションのパケットは、仮想チャネルに割り当てら
れる。先述したように、割り当ては、無作為であるか、ハードコードされるか、または、
すべての仮想チャネルにわたってバランスの取れた利用、セキュリティ、緊急性などに基
づいてよい。
【0100】
工程48において、サブシステムエージェント14の各々によって生成されたパケット
化トランザクションの部分は、それぞれ、両方のトランザクションクラスによっておよび
それらに割り当てられた仮想チャネル(例えば、VC0、VC1、VC2、および、VC
3)によって、適切な先入れ先出しバッファに格納される。先に述べたように、仮想チャ
ネルは、厳密または絶対優先度、ラウンドロビン、重み付き優先度、最長時間未サービス
(least recently serviced)など、多くの異なる優先度スキー
ムの1つによって割り当てられてよい。所与のトランザクションが複数の部分を有する場
合、各部分は、同じバッファ内に格納される。結果として、所与のトランザクションの複
数の部分は、相互接続12に関連付けられている同じ仮想チャネルで伝送される。トラン
ザクション部分が投入されると、各バッファ内のコンテンツアイテム数を追跡するための
対応するカウンタがデクリメントされる。特定のバッファが満たされた場合、そのカウン
タはゼロにデクリメントされ、これは、バッファがさらなるコンテンツをもはや受け入れ
ることができないことを意味する。
【0101】
工程50、52、および、54において、第1、第2、および、第3レベルアービトレ
ーションが実行される。先述したように、ポート20、仮想チャネル、および、トランザ
クションクラスの選択は、任意の順序で実行されてよい。
【0102】
要素56が、第1、第2、および、第3レベルのアービトレーションの実行に用いられ
るルールを維持するために用いられてよい。各ケースにおいて、要素56は、アービトレ
ーションレベルの各々を解決するのに必要に応じて用いられる。例えば、要素56は、P
CIおよび/またはデバイス順序付けルールを維持してよい。要素56は、いくつかの優
先度スキーム(厳密または絶対優先度、重み付き優先度、ラウンドロビンなど)を実行す
るためのルールと、所与のアービトレーションサイクルでどれを用いるかを決定するため
のロジックまたはインテリジェンスと、を備えてもよい。
【0103】
工程58において、アービトレーションの勝者が決定される。工程60において、勝利
部分は、共有リソースにアクセスするために用いられるバッファ内に配置され、バッファ
に関連付けられているカウンタがデクリメントされる。
【0104】
工程62において、勝利部分に関連するバッファは、勝利部分がもはやバッファ内には
ないのでインクリメントされる。
【0105】
工程64において、勝利部分は、共有リソースへアクセスする。アクセスが完了すると
、共有リソースのためのバッファがインクリメントされる。
【0106】
工程42~64は、それぞれ、連続するクロックサイクル中に連続的に繰り返される。
異なる勝利部分として、各々が共有リソースへアクセスする。
【0107】
インターリービング-例1
トランザクションは、いくつかのモードの内の1つで相互接続12を介して伝送されう
る。
【0108】
「ヘッダインライン(header in-line)」モードと呼ばれる1つのモー
ドでは、トランザクションのパケット32のヘッダ34は、常に、それぞれ、別個の部分
またはビートでペイロード36の前に最初に伝送される。ヘッダインラインモードは、相
互接続12のデータビット数Nに対するヘッダ34および/またはペイロード36の相対
サイズに応じて、相互接続12で利用可能なビットを浪費する場合としない場合がある。
例えば、512ビット幅(N=512)である相互接続12と、128ビットのヘッダお
よび256ビットのペイロードを有するパケットと、を考える。このシナリオでは、12
8ビットのヘッダが第1部分またはビートで伝送され、相互接続12の残りの384ビッ
トの帯域幅は利用されない。第2部分またはビートでは、256ビットのペイロード36
が伝送され、相互接続12の残りの256ビットは利用されない。この例では、相互接続
の帯域幅のかなりの割合が、2つのビート中に利用されない。一方、トランザクションの
パケットのほとんどが相互接続以上のサイズである場合、浪費される帯域幅の程度は、削
減されるかあるいは解消される。例えば、384または512ビットであるヘッダおよび
/またはペイロードでは、浪費の量は、大幅に削減されるか(例えば、384ビット)ま
たは全く解消される(例えば、512ビット)。
【0109】
「ヘッダオンサイドバンド(header on side-band)」と呼ばれる
別のモードでは、パケットのヘッダ34は、データの「サイドで」伝送され、これは、ペ
イロード36が相互接続12のNデータビットで伝送される間に、制御ビットMを利用す
ることを意味する。ヘッダオンサイドバンドモードでは、パケット32のペイロード36
のビット数またはサイズは、所与の相互接続12でパケットを伝送するのに必要なビート
数を決定する。例えば、64、128、256、または、512ビットのペイロード36
を有するパケット32、ならびに、128データビット(N=128)を有する相互接続
12の場合、パケットは、それぞれ、1、1、2、および、4ビートを必要とする。ビー
トの各々の伝送では、ヘッダ情報は、相互接続12のNデータビットでペイロードのデー
タと共にまたはその「サイドで」制御ビットMで伝送される。
【0110】
さらに別のモードにおいて、パケット32のヘッダ34は、ペイロードと同じように伝
送されるが、ヘッダ34およびペイロード36が別個の部分またはビートで伝送されなけ
ればならない要件はない。パケット32が、128ビットのヘッダ34および128ビッ
トのペイロード36を有する場合、合計サイズは、256ビット(128+128)であ
る。相互接続12のNデータビットが、64、128、256、および、512ビット幅
である場合、256ビットのパケットは、それぞれ、4、2、1、および、1ビートで伝
送される。別の例において、パケット32は、128ビットのヘッダおよび256ビット
のペイロード36、すなわち、384ビット(128+256)の合計パケットサイズを
有する。64、128、256、または、512幅のNデータビットの同じ相互接続12
では、パケットは、それぞれ、6、3、2,または、1ビートで伝送される。このモード
は、常に、上述のヘッダインラインモードと少なくとも同等以上の効率である。
【0111】
図5を参照すると、複数の仮想チャネル上での異なるトランザクションの部分のインタ
ーリービングの第1例が図示されている。この例では、簡単のために、2つのトランザク
ションのみが示されている。2つのトランザクションは、この例では、128データビッ
ト幅(N=128)である共有相互接続12へのアクセスをめぐって競合している。2つ
のトランザクションの詳細は、以下を含む。
(1)トランザクション1(T1):時刻T1に生成され、仮想チャネルVC2に割り当
てられている。T1のサイズは、4ビートであり、それらのビートは、T1A、T1B、
T1C、および、T1Dとして指定されている。
(2)トランザクション2(T2):時刻T2(時刻T1の後)に生成され、仮想チャネ
ルVC0に割り当てられている。T2のサイズは、単一の部分またはビートである。
【0112】
この例では、VCOに絶対または厳密優先度が割り当てられている。複数のサイクルに
わたって、2つのトランザクションT1およびT2の部分が、以下に従って、
図5に示す
ように、共有相互接続で伝送される。
サイクル1:T1のビートT1Aは、唯一の利用可能なトランザクションであるので、V
C2で伝送される。
サイクル2:T1のビートT1BおよびT2の単一部分は、相互接続12へのアクセスを
めぐって競合する。VCOは厳密優先度を有するので、T2が自動的に勝利する。したが
って、T2のビートは、VC0で伝送される。
サイクル3:競合するトランザクションがないので、T1のビートT1BがVC2で伝送
される。
サイクル4:競合するトランザクションがないので、T1のビートT1CがVC2で伝送
される。
サイクル5:競合するトランザクションがないので、T1のビートT1DがVC2で伝送
される。
【0113】
この例は、以下を示す。(1)絶対優先度を有する仮想チャネルでは、他のトラフィッ
クが先に待っていたか否かに関わらず、トラフィックが利用可能になればいつでも、共有
相互接続12へのアクセス権が即座に与えられること、ならびに、(2)異なるトランザ
クションの勝利部分またはビートは、相互接続12に関連付けられている異なる仮想チャ
ネルでインターリーブされて伝送されること。この例において、仮想チャネルVCOは、
絶対優先度を与えられている。絶対または厳密優先度スキームでは、仮想チャネルのいず
れかが、最高優先度を割り当てられてよいことを理解されたい。
【0114】
インターリービング-例2
図6を参照すると、複数の仮想チャネル上での異なるトランザクションの部分のインタ
ーリービングの第2例が図示されている。
【0115】
この例において、相互接続12へのアクセスのための優先度スキームは重み付けされて
おり、これは、VCOが(40%)の確率でアクセス権を与えられ、VC1~VC3が各
々(20%)の確率でアクセス権を与えられることを意味する。また、相互接続は、12
8ビット幅である。
【0116】
さらに、この例においては、4つの競合するトランザクションT1、T2、T3、およ
び、T4が存在する。
-T1は、VC0に割り当てられ、4つの部分またはビートT1A、T1B、T1C、お
よび、T1Dを含む。
-T2は、VC1に割り当てられ、2つの部分またはビートT2AおよびT2Bを含む。
-T3は、VC2に割り当てられ、2つの部分またはビートT3AおよびT3Bを含む。
-T4は、VC3に割り当てられ、2つの部分またはビートT4AおよびT4Bを含む。
【0117】
この例では、優先度スキームは重み付けされる。結果として、各仮想チャネルは、その
重みの比率に従って勝利する。換言すると、10サイクルの間に、VC0は、4回勝利し
、VC1、VC2、および、VC3は各々、2回勝利する。例えば、
図6に示すように、
-T1の4つの部分またはビートT1A、T1B、T1C、および、T1Dは、10サイ
クルのうちの4サイクル(40%)(すなわち、サイクル1、4、7、および、10)で
VCOを介して伝送される。
-T2の2つの部分またはビートT2AおよびT2Bは、10サイクルのうちの2サイク
ル(20%)(すなわち、サイクル2およびサイクル6)でVC1を介して伝送される。
-T3の2つの部分またはビートT3AおよびT3Bは、10サイクルのうちの2サイク
ル(20%)(すなわち、サイクル5およびサイクル9)でVC2を介して伝送される。
-T4の2つの部分またはビートT4AおよびT4Bは、10サイクルのうちの2サイク
ル(20%)(すなわち、サイクル3およびサイクル8)でVC3を介して伝送される。
【0118】
したがって、この例は、以下を示す。(1)各仮想チャネルが所定の比率に基づいて相
互接続12へのアクセス権を与えられる重み付き優先度スキーム、ならびに、(2)異な
るトランザクションの勝利部分が相互接続12に関連付けられている異なる仮想チャネル
でインターリーブされて伝送される別の例。
【0119】
この重み付けの例では、重み付け比率に従って様々な仮想チャネルにトランザクション
の部分を割り当てられるのに十分なトラフィックがあることを理解されたい。その一方で
トラフィックの量が不十分である場合、重み付け比率は、厳密に実施できる場合も厳密に
実施できない場合もある。例えば、仮想チャネルVC3に大きいトラフィックがあり、そ
の他の仮想チャネルVC0、VC1、および、VC2ではトラフィックが限られているか
全くない場合、VC3は、重み付け比率が厳密に実施されれば、トラフィックの全部また
は大部分を運ぶことになる。しかしながら、結果として、すべてのクロックサイクルまた
はビートでトランザクションの部分を送信できるわけではないので、相互接続12は、十
分に利用されえない。一方、重み付け比率が厳密に実施されない場合、相互接続の利用率
をあげるために、トランザクショントラフィックを再割り当てすることが可能である(例
えば、トラフィックが、より多い数のサイクルまたはビートで送信される)。
【0120】
上記の2つの例は、上述した伝送モードのどれが利用されるかに関わらず適用可能であ
る。トランザクションが部分またはビートに分割されると、それらは、本明細書で規定し
たアービトレーションスキームのいずれかを用いて共有相互接続12でインターリーブさ
れて伝送されうる。
【0121】
上述したアービトレーションスキームは、ほんの数例である。その他の例では、低ジッ
タ、重み付け、厳密、ラウンドロビン、または、ほぼ任意のその他のアービトレーション
スキームが用いられてもよい。したがって、本明細書に列挙または記載されたアービトレ
ーションスキームは、例示であり、どのようにも限定と見なされるべきではない。
【0122】
複数の同時アービトレーション
ここまで、簡単のために、単一のアービトレーションのみを記載していた。しかしなが
ら、現実的な応用例(SoC上など)では、複数のアービトレーションが同時に行われう
ることを理解されたい。
【0123】
図7を参照すると、スイッチ16、18の間において2方向でトラフィックを処理する
ための2つの共有相互接続12および12Zのブロック図が示されている。上述したよう
に、スイッチ16は、共有相互接続12を介して送信元サブファンクション14(すなわ
ち、IP1、IP2、および、IP3)から宛先サブファンクション14(すなわち、I
P4、IP5、および、IP6)へトランザクショントラフィックを方向付ける。逆方向
のトランザクショントラフィックを扱うために、スイッチ18は、アービトレーション要
素26Zと、任意選択的にARL28Zと、を備える。動作中、要素26ZおよびARL
28Zは、上述した動作と相補的に動作し、これは、送信元IPエージェント14(すな
わち、IP4、IP5、および、IP6)によって生成されたトランザクショントラフィ
ックがアービトレートされて、共有相互接続12Zを介して宛先IPエージェント(すな
わち、IP1、IP2、および、IP3)へ送信されることを意味する。あるいは、アー
ビトレーションは、ARL28Zなしに実行されてもよく、これは、アービトレーション
が、単に競合ポート20(例えば、Port3、Port3またはPort5)の間で決
定を行い、勝利ポートに関連するトランザクションの部分が、その部分の最終的な宛先に
関わらず、相互接続12で伝送されることを意味する。要素12Z、26Z、および、2
8Zについては、すでに記載したので、簡単のために詳細な説明は、ここでは提供しない
。
【0124】
SoCには、複数レベルのサブファンクション14および複数の共有相互接続12が存
在しうる。各々で、上述のアービトレーションスキームを用いて、様々なサブファンクシ
ョンの間で相互接続12を介して送信されるトランザクションの間のアービトレーション
を同時に行うことができる。
【0125】
IPエージェントのリセットおよび電力管理
図8を参照すると、リセットおよび電力管理機能を有するSoC800のブロック図が
示されている。SoC800は、相互接続802と、複数のIPエージェント14(例え
ば、エージェント1~エージェントN)と、相互接続802にIPエージェント14を接
続または結合する1以上のリンク803と、システムコントローラ804と、を備える。
図示していないが、各IPエージェント14は、リセット入力命令を受信するための1以
上の専用「ハードワイヤ」入力も備えてよい。かかる命令は、複数のソースから(SoC
の外から、システムコントローラ804から、または、別のIPエージェント14から、
など)もたれされてよい。
【0126】
様々な実施形態において、IPエージェント14は、異なっていてよく、様々な異なる
機能を実装してよい。
【0127】
相互接続802は、ネットワークオンチップ(NoC)、バス、スイッチネットワーク
など、様々な異なるタイプの相互接続でありうる。
【0128】
様々な実施形態において、リンク803は各々、各IPエージェント14と相互接続8
02との間の専用リンクまたはバスであってよい。あるいは、相互接続802へのアクセ
スが、1つのリンク803を用いて複数のIPエージェント14の間で共有されてもよく
、アービトレーションスキームが、競合IPエージェント14の間の選択に用いられる。
さらに別の実施形態において、複数の仮想チャネルが、先述したように共有リンクに関連
付けられている仮想チャネルのように、1以上のリンク803に関連付けられてもよい。
【0129】
システムコントローラ804、ならびに、マネージャ806、808、および、809
も、多くの異なる方法で実装されてよい。例えば、CPUまたはマイクロコントローラと
して、プログラマブルロジックとして、SoC800上のすべてまたはほとんどのシステ
ム制御機能を扱うための複雑な状態マシン、いくつかの例外状況を扱うための単純な状態
マシン、または、それらの任意の組みあわせとして。システムコントローラ804は、図
に示すように、SoC800上に存在してもよいし、あるいは、SoC800から離れて
配置されてもよい(図示せず)。状態マシンが用いられる場合、状態と、状態の間の移行
とは、典型的には、SoC800にハードコードされる。
【0130】
さらに別の実施形態において、リセット、電力、および/または、休止のためのマネー
ジャ806、808、および、809の内の1以上は各々、図に示すように、システムコ
ントローラ804内に集中化されてよい。あるいは、各マネージャ806、808、およ
び/または、809は、SoC800上またはSoC外で、様々な位置に分散化および分
配されてもよい。リセットマネージャ806、電力マネージャ808、および、休止マネ
ージャ809の各々は、ソフトウェア、ハードウェア、プログラマブルロジック、状態マ
シン、または、任意のその他の適切な手段で実装されうる。
【0131】
リセットマネージャ806は、組織的に、リセットからSoC800上の様々なIPエ
ージェント14が出る際の管理に関与する。IPエージェント14のリセットが、多くの
状況下で求められるかまたは望まれうる。例えば、SoC800に供給される電力の除去
または断絶、もしくは、SoC800のシステム全体のリセットの後に、「コールドリセ
ット」が起きる。あるいは、IPエージェント14の内の1つ、1グループ、または、全
部(コールドリセットと同様)がリセットされるが、電力がSoC800から除去または
断絶されない場合、「ウォームリセット」が起きる。ウォームリセットは、SoC800
上または外部のいずれかに由来するシグナリングによって実施されうる。リセットが開始
される方法に関わらず、リセットマネージャ806は、組織的に、リセットから1または
複数のIPエージェント14が出る際の管理に関与する。
【0132】
IPエージェント14が何らかの理由で正常に動作しない場合、リセットする必要があ
りうる。IPエージェント14が正常に機能しない例としては、IPエージェント14が
、応答しない、エラー状態である、または、活発にエラートランザクションを生成してい
る状況が含まれる。さらに別の例において、IPエージェント14は、後述するいくつか
の節電モードの1つなど低電力状態から抜けた後に、リセット動作を受ける必要がありう
る。
【0133】
電力マネージャ808は、様々なIPエージェント14を低電力状態(典型的には、い
くつかの節電モードの1つ)にする処理を管理する。モードに応じて、電力マネージャ8
08は、必要であればIPエージェントをリセットするために、リセットマネージャ80
6と連携して動作してよい。
【0134】
休止マネージャ809は、システムコントローラ804、リセットマネージャ806、
電力マネージャ808、および、相互接続802と連携して動作することで、(1)動作
可能または動作不良のIPエージェント14を、IPエージェントが動作不能になるリセ
ットまたは節電モードに移行させ、(2)相互接続とIPエージェント802との間のリ
ンク803を休止状態にし、(3)動作不能の間にIPエージェントの代理として動作す
るように相互接続に指示する。
【0135】
メモリ810は、揮発性および不揮発性タイプのメモリの両方を含みうる。さらに、メ
モリ810は、SoC800上に集中化されてもよいし、システムコントローラ804、
相互接続802、リンク803、ならびに、マネージャ806、808、および/または
、809の内のいずれか、の間に広く分散されてもよい。さらに別の実施形態において、
メモリ810の一部または全部が、SoC800から離れて提供されてもよい。
【0136】
メモリ810の揮発性部分は、典型的には、システムメモリに利用され、そこに、シス
テムコントローラ804、マネージャ806、808、809、相互接続802、IPエ
ージェント14などによって生成された現在のデータが格納される。かかるメモリは、様
々なキャッシュ、SRAM、DRAMなどを含みうる。
【0137】
メモリ810の不揮発性または永続的部分は、典型的には、SoC800のための「ブ
ートアップ」コードを格納するために用いられる。ブートコードは、マネージャ806、
808、809、相互接続802、および、IPエージェント14を含め、システムコン
トローラ804が各々、電源をオンにした後に動作を開始するのに必要な通りに、オペレ
ーティングシステムおよび/またはその他のシステムソフトウェアをロードすることを可
能にする。リブート処理は、典型的には、複数のセルフテストを含み、テストは、完了時
に、IPエージェント14の各々を含むシステム全体が、通常動作を実行することを可能
にする。不揮発性または永続的部分は、NVRAM(不揮発性ランダムアクセスメモリ)
、EEPROM(電気消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ)、ハードドライブ
、CD-ROMなどを用いて実装されてよい。
【0138】
リセットマネージャ806は、組織的に、IPエージェント14のいずれかがリセット
から出るのを調整するのに関与する。本明細書に記載のように、所与のIPエージェント
14のリセットは、(1)SoC800全体が、外部リセット、リスタートコマンド、ま
たは、電源オンイベントの後のリセットから出る時、または、(2)電力ダウンまたはス
リープモードの後の動作不良によるSoC800の動作中の個々のIPエージェント14
のリセットなど、様々な理由で起こりうる。理由に関わらず、所与のIPエージェント1
4は、内部リセットシーケンスが完了すると、相互接続802にいつでも導入できる。リ
セットから出た後に、ネゴシエーションが、リンク803を介して相互接続802上でI
Pエージェント14とそのIPポート20との間で調整される。
【0139】
図9を参照すると、IPエージェント14と相互接続802との間のIPエージェント
リセットネゴシエーションシーケンスの一例を示すフローチャートが示されている。
【0140】
最初の工程902において、IPエージェント14がリセットから出て相互接続802
に導入される準備ができているか否かが判定される。リセットから出ると、相互接続80
2へIPエージェント14を再導入するために、後続の工程904~912が実行される
。
【0141】
工程904において、相互接続802は、定期的にIPエージェント14についての問
い合わせを生成する。各問い合わせで、相互接続802は、基本的に、「アウェイク」状
態であるか否か(すなわち、トランザクション準備完了状態であるか、つまり、受信した
トランザクションを送信または処理できるか否か)をIPエージェント14に尋ねる。
【0142】
判定906において、相互接続は、IPエージェント14から問い合わせへの肯定応答
を受信したか否かを判定する。受信していない場合、相互接続802は、問い合わせを送
信し続ける。受信した場合、それは、IPエージェント14が、そのリセットルーチンを
部分的に完了して、次のネゴシエーション段階の準備が整っていることを、相互接続80
2に対して示す。
【0143】
工程908において、相互接続802およびIPエージェント14は、それぞれ、それ
らのクレジット情報を交換することによってネゴシエーションを続ける。相互接続802
およびIPエージェント14は各々、ビートの利用可能数(すなわち、クロックサイクル
あたりにリンク803で伝送できるデータの量)を交換する。リンク803の両側の各パ
ートナーは、交換後、このネゴシエーションの結果として他方が有するクレジットの利用
可能数を知る。
【0144】
任意選択的な工程910において、相互接続802およびIPエージェント14は、セ
キュリティクレデンシャル、相互接続802およびIPエージェント14を接続するリン
ク803に関連付けることのできる仮想チャネルの合意済みの数など、他の有用な情報を
交換することによって、それらのネゴシエーションを続ける。
【0145】
最後の工程912において、ネゴシエーションが完了すると、IPエージェント14は
、「トランザクション準備完了」を宣言される。換言すると、IPエージェント14は、
相互接続802から受信した受信トランザクションを処理するか、または、別の宛先へ相
互接続802を介して送信トランザクション送信するか、いずれかの準備が整っている。
IPエージェント14がトランザクション準備完了状態になると、IPエージェント14
は、相互接続802、システムコントローラ804、ならびに、直接的に、または、中間
回路、ロジック、または、その他の要素を通して間接的に、相互接続802に接続または
他の方法で結合された任意のその他の要素にとって可視的になる。
【0146】
また、リセットマネージャ806は、動作不良のIPエージェント14のリセットの調
整にも関与する。SoC800の動作中、IPエージェント14は、うまく動作しない場
合がある(例えば、応答しなくなる、エラー状態に入る、トランザクションの生成でエラ
ーを起こす、または、他の動作不良を起こす)。例えば、IPエージェントは、受信した
トランザクションを処理できない場合がある。結果として、トランザクションを送信する
送信元IPエージェントは、応答を待ってハングアップしうる。問題の深刻さによっては
、ハングアップは、送信元IPエージェント14、宛先IPエージェント14だけに限定
されうるが、最悪の場合のシナリオでは、他の部分またはSoC800全体にまで、悪影
響が及びうる。したがって、特定の状況においては、動作不良のIPエージェントは、問
題を修正するためにリセットされる必要がありうる。
【0147】
図10を参照すると、動作不良のIPエージェントのためのリセットシーケンスを示す
フローチャート1000が示されている。
【0148】
工程1002では、SoC800上の様々なIPエージェント14が、送信トランザク
ションを生成するおよび/または受信トランザクションを処理することによって正常に動
作する。
【0149】
判定工程1004において、システムコントローラ804は、IPエージェントの動作
を監視する。問題が検出されなければ、IPエージェント14は、それらの通常動作を継
続する。一方、何らかの理由で、IPエージェント14が正常に動作しない場合、リセッ
トマネージャ806が、動作不良IPエージェント14としてそれにフラグを立てる。
【0150】
工程1005において、システムコントローラ804および相互接続802は、さらに
、さらなる課題も問題もなしにSoC800の残り部分が動作するのを助けるいくつかの
処理を開始するよう協働する。これらのさらなる処理は、以下を含んでよい。
1.システムコントローラ804は、動作不良のIPエージェント14によって任意のさ
らなるトランザクションが生成されることを相互接続802が許可しないように要求する
。
2.動作不良のIPエージェント14を目標とする未処理のトランザクションを追跡する
。
3.相互接続802は、リセットネゴシエーション処理を受ける間に動作不良のIPエー
ジェント14の代理として機能し、そのIPエージェント14を目標とする任意のトラン
ザクションへ応答してよい。例えば、相互接続802は、未処理のトランザクションに応
答して、例外メッセージを生成してよい。代理として機能することにより、トランザクシ
ョンの送信側が動作不良のIPエージェント14からの応答を決して受信しないためにシ
ステム全体がハングアップするなど、潜在的にはるかに大きいシステム全体の問題が回避
される。様々な実施形態において、例外メッセージは、IPエージェント14が利用でき
ない、IPエージェントは、低電力モードである、など、いくつかの異なるタイプであっ
てよい。一般に、様々な異なるタイプの例外メッセージが用いられてよく、各々が、発生
した状態またはエラーを示す。
【0151】
工程1006において、リセットマネージャ806は、動作不良のIPエージェント1
4のためのリセット命令を生成する。
【0152】
工程1007において、リセットされるIPエージェント14と相互接続802との間
のリンク803は、休止状態にされる。この処理については、
図14に関してさらに説明
する。
【0153】
工程1008において、動作不良のIPエージェント14は、相互接続802を介して
受信されるかまたは専用リセットワイヤを介して受信されてもよい命令に応答して、その
リセットルーチンを開始する。この処理は、
図9に関して上述したように、IPエージェ
ント14が、(1)自身のリセットプロトコルまたはルーチンを実行し、(2)相互接続
802とネゴシエートすること、を含む。
【0154】
判定工程1012において、IPエージェント14のリセットネゴシエーションが完了
したか否かが判定される。完了すると、制御は、工程1002に戻り、IPエージェント
14およびSoC800の動作が正常に再開する。上述のように、リセットされたIPエ
ージェント14は、リセットから出た後に、相互接続802およびシステムコントローラ
にとって可視的になり、トランザクション準備完了状態になる。最後に、工程1014に
おいて、現在リセットされたIPエージェント14と相互接続802との間のリンク80
3は、休止モードを出る。この時点で、相互接続802はもはや、IPエージェント14
の代理として機能する必要はない。
【0155】
電力マネージャ808は、IPエージェント14をいくつかの電力ダウンモードの1つ
にすることによって、インテリジェントかつ選択的にIPエージェント14を低電力状態
にすることに関与する。IPエージェント14の電力ダウンまたは電力ダウンモードにす
ることは、様々な理由で実行されうる。
【0156】
例えば、SoC800がバッテリ式のデバイスで利用される場合、電力マネージャ80
8は、限られたバッテリ電力を節約するために、IPエージェントを電力ダウンモードに
してよい。あるいは、非バッテリ式のデバイスでも、電力マネージャ808は、オーバー
ヒートを防ぐために、重要でないIPエージェント14を低電力モードにしてよい。これ
らは、電力管理を実施するための可能性のある理由のいくつかに過ぎない。その他の理由
としては、1以上のIPエージェント14が利用されていない場合に、それらを電力ダウ
ンモードにすることが含まれうる。様々な代替実施形態において、電力ダウンモードは、
以下を含む。
1.
低電力モード、動作可能:一代替例において、IPエージェント14のクロック周波
数が、該当する場合に低速化される。あるいは、供給電圧が、該当する場合に低減されて
もよい。さらに別の実施形態において、クロック周波数および供給電圧の両方が、該当す
る場合に低減されて、さらに電力消費を削減してもよい。クロック周波数および/または
供給電圧の低減は、該当する場合にのみなされるが、これは、すべてのIPエージェント
14が、低減されたクロック周波数、低減された供給電圧、または、それらの両方、のい
ずれかで動作することができるわけではないことを意味することを理解されたい。さらに
別の実施形態において、クロックおよび/または供給電圧を低減するためのコマンドは、
該当する場合、IPエージェント14が低電力動作モードを有することを条件に、システ
ムコントローラ804またはIPエージェント14自体から得られうる。
IPエージェントが機能したままなので、相互接続802は、このモードでは重要な役
割を果たさなくてよく、これは、IPエージェント14が自身で応答を生成できるので、
相互接続802が、IPエージェント14の代理として機能して受信トランザクションの
ための応答を生成しなくてもよいことを意味する。ただし、IPエージェント14の実行
能力が低クロック周波数での動作時には低下しうるので、システムコントローラ804お
よび/または相互接続802は、IPエージェント14のためのリンク803の設定を再
構成してもよい。おそらく変更されうる設定は、IPエージェント14のためのアービト
レーション設定、または、許可された未処理のトランザクションのカウントの可能な削減
を含む。IPエージェントがこの低電力モードを出ると、電圧が(下げられていた場合)
最初に上げられ、その後、(下げられていた場合)クロック周波数が増大され、(再構成
されていた場合)リンク803の設定への任意の変更が通常動作モードに戻される。
2.
低電力、動作不能モード、状態情報維持:このモードでは、クロックが停止され、電
力供給が低減されるが、完全にはオフにされなくてよい。結果として、IPエージェント
14のメモリ内に維持された状態情報が保持される。このモードに入る前に、相互接続8
02は、新しいトランザクションが開始されるのを防ぐと共に未処理のトランザクション
の完了を待つことによって、IPエージェントがすでに発行したトランザクションを「枯
渇させる」。すべてのトランザクションが枯渇されると、相互接続802は、代理として
機能して、動作不良のIPエージェント14の再設定に関して上述したのと同様の処理(
1)、(2)、および、(3)を実行してよい。IPエージェントが通常に戻され、この
モードを出ると、電圧が最初に上げられ、その後、クロック周波数が増大される。
3.
低電力、動作不能モード-状態情報の保持なし:このモードは、IPエージェント内
に維持された状態情報が失われる程度まで電圧が下げられることを除けば、すぐ上で説明
したモード2と同様である。相互接続802は、このモードでは上述したように代理とし
て動作する。電力が戻されると、IPエージェントは、
図9に関して上述したのと同様の
リセットネゴシエーション処理を受ける必要がある。
4.
電力オフモード:このモードでは、クロックがオフにされ、電力は完全に除去される
。相互接続802は、上述のように代理として動作する。電力アップ時に、供給電圧が最
初に上昇され、その後、
図9に関して上述したように、リセットネゴシエーション処理が
実行される。
【0157】
図11は、IPエージェント14を「低電力、動作可能モード」に出入りさせるための
シーケンスを示すフローチャート1100である。
【0158】
最初の工程1102において、SoC800上のIPエージェント14は、通常モード
で動作するが、これは、標準クロック周波数および電圧が利用されることを意味する。
【0159】
決定工程1104において、SoC800内の条件が、システムコントローラ804に
よって監視される。動作条件が比較的正常であるか、または、IPエージェント14の電
力ダウンをトリガするイベントが発生しない場合、SoCおよびIPエージェント14は
、工程1102において通常モードで動作し続ける。しかしながら、トリガ条件が満たさ
れた(例えば、バッテリ供給の低減、オーバーヒートなど)場合、電力マネージャ808
は、IPエージェント14を低電力、動作可能モードにすることを選択してよい。
【0160】
任意選択的な工程1106において、相互接続802は、リンク803を再構成するこ
とを選択してよい。再構成は、IPエージェント14のためのアービトレーション設定を
変更すること、または、低電力モードでの動作時にIPエージェントの低い処理能力を考
慮するために、可能性のある未処理のトランザクションのカウントを削減することを含ん
でよい。
【0161】
工程1108において、IPエージェント14の動作クロック周波数が、該当する場合
に下げられる。クロック周波数を下げれば、IPエージェントの消費電力は低くなる。
【0162】
工程1110において、IPエージェントに供給される電圧が、該当する場合に下げら
れる。電圧を下げることにより、さらなる電力節約が実現されうる。
【0163】
クロック周波数および/または電圧が下げられた状態で、IPエージェント14は、動
作可能のままである。結果として、トラザクションを処理できるが、その標準クロック周
波数および/または供給電圧で動作している時にはおそらく低速である。任意選択的な実
施形態において、相互接続802は、上述したように代理として機能しうるか、もしくは
、低電力モードでのIPエージェント14の低い動作速度を考慮してサポートするように
調整または再構成されうる。これらの代替例は任意選択的であるため、必ずしも実施する
必要はない。
【0164】
決定工程1112において、IPエージェント14は、通常動作を再開することが決定
されるまでは低電力モードで動作する。その場合、IPエージェント14は、通常動作を
再開するためのシーケンスを受ける。
【0165】
任意選択的な工程1114において、電圧は、該当する場合に(すなわち、電圧が以前
に下げられた場合に)、標準動作電圧に上げられる。
【0166】
工程1116において、クロック周波数は、該当する場合に(すなわち、クロックが以
前に下げられた場合に)、上げられる。工程1117において、IPエージェントは、通
常動作に戻る。
【0167】
最後に、任意選択的な工程1118において、相互接続は、任意の再構成されている相
互接続設定を通常に戻す。この時点で、IPエージェントは、工程1102で提供したよ
うに、通常動作を再開する準備が整う。
【0168】
図12を参照すると、「低電圧、動作不能、状態情報維持モード」でIPエージェント
14の電力をダウン/アップさせるためのシーケンスを示すフローチャート1200が示
されている。
【0169】
工程1202において、IPエージェント14は、その通常モードで動作する。
【0170】
工程1204において、低電力、動作不能、状態情報維持モードでIPエージェント1
4を動作させる決定がなされる。
【0171】
工程1206において、リンク803は、休止状態にされ、相互接続802は、IPエ
ージェント14の代理として動作するよう構成される。これは、典型的には、(1)任意
の新しいトランザクションがIPエージェント14によって生成されることを許可せず、
(2)任意の未処理のトランザクションが完了するのを待ち、その後、(3)IPエージ
ェント14を目標とした任意のトランザクションに応答することによって代理として機能
することを含む。例えば、相互接続802は、非処理のトランザクションの送信元に除外
メッセージを送信してよく、おそらく、トランザクションの送信側がIPエージェント1
4から応答を受信することがないことから起きるハングアップ状況を防ぐ。
【0172】
工程1208において、IPエージェント14のクロック周波数が、該当する場合に下
げられる。
【0173】
工程1210において、IPエージェント14の動作電圧が、該当する場合に下げられ
る。しかしながら、電圧は、IPエージェント14のメモリまたはストレージ要素がそれ
らの状態情報を維持するように適切なままである。
【0174】
決定1212において、IPエージェント14は、通常動作を再開すると決定されるま
では低電力状態のままである。システムコントローラ804、SoCの外部のイベント(
例えば、センサから受信した信号、外部ソースから受信した信号など)、タイマー、IP
エージェント自体、または、別のIPエージェントはすべて、ウェイクアップをトリガし
うる。この決定がなされると、IPエージェントは、通常動作を再開するためのシーケン
スを受ける。
【0175】
工程1214および1216において、IPエージェント14に提供される電圧および
クロック周波数の各々が、該当する場合に上げられる。状態情報が保持されているので、
IPエージェント14は、工程1217で通常動作を再開する。
【0176】
工程1218において、リンク803は、休止モードにあり、IPエージェントは、ト
ランザクション準備完了状態になり、相互接続802は、長く代理として機能する必要が
あることを通知される。
【0177】
図13を参照すると「低電圧、動作不能モード」のためのシーケンスを示すフローチャ
ート1300が示されている。このシーケンスでは、工程1202、1206、および、
1212は、
図12に関して上述した工程と同じである。したがって、これらの工程につ
いて、ここでは繰り返し論じない。
【0178】
工程1302において、IPエージェント14を電力ダウンする決定がなされる。その
後、相互接続が代理として構成され(工程1206)、工程1304において、IPエー
ジェント14のためのクロックが(該当する場合)完全にオフにされる、および/または
、電圧が(該当する場合)状態情報の失われる程度まで大幅に下げられる。状態情報がな
ければ、工程1212において通常動作を再開する決定がなされた場合に、工程1306
で、電圧は(該当する場合)上昇され、クロックが(該当する場合)オンにされる。その
後、IPエージェント14は、
図9に関して上述したように、リセット動作を受ける。リ
セットが完了すると、IPエージェント14は、トランザクション準備完了状態になる。
次いで、システムは、リンクが工程1310で休止モードを出るのを待つ。モードを出る
と、IPエージェントは、相互接続802上で可視になる。その後、工程1312で、相
互接続802は、もはやIPエージェント14のための代理として機能しない。
【0179】
最後に、電力オフモードについて、シーケンスは、単に下げられるのと対照的に、電力
が完全にオフにされることを除けば、
図13と同じである。それ以外の点では、電力オフ
モードのシーケンスは同じである。このモードにおいて、IPエージェント14は、実質
的に電力を消費せず、動作不能であり、相互接続802は、IPエージェントのために代
理として機能してよい。
【0180】
図14を参照すると、リンク803を休止状態にするための工程を示すフローチャート
1400が示されている。
【0181】
最初の工程1402において、システムコントローラ804は、IPエージェント14
がリセットされるべきであるかまたは動作不能な節電モードの1つにされるべきである旨
の決定を行う。
【0182】
工程1404において、IPエージェント14は、トランザクションの生成を停止する
よう命令される。
【0183】
判定1406において、システムは、すべての未処理のトランザクションが完了したか
否かを判定する。すべての未処理のNon-postedトランザクションについては、
Completionトランザクションが受信されなければならない(すなわち、読み出
しトランザクションでは、アクセスされたデータが返されなければならず、Non-po
sted書き込みトランザクションでは、確認応答が受信されなければならない)。Po
stedトランザクションでは、応答トランザクションは求められない。したがって、P
ostedトランザクションは、IPエージェントによって送信されると、「完了」と見
なされる。
【0184】
工程1408において、リンク803は、すべての未処理のトランザクションが完了し
た時に、休止状態にされる。その後、相互接続802は、IPエージェント14の代理と
して構成される。
【0185】
工程1410において、IPエージェントは、リセットまたは所望の動作不能低電力モ
ードのいずれかにされる準備ができる。
【0186】
図15A~
図15Dは、IPエージェント「ウェイクアップ」シーケンスのための様々
なフローチャートを示す。
【0187】
図15Aを参照すると、エージェントが開始する「ウェイクアップ」シーケンスを示す
フローチャート1500が示されている。この実施形態において、ウェイクアップシーケ
ンスは、IPエージェントによって開始されるが、システムコントローラ804によって
実施される。
【0188】
工程1502において、動作不能状態のIPエージェント14が、ウェイクアップトリ
ガイベントを検出する。IPエージェントは、電力ダウンまたは「オフ」にされうるが、
ウェイクアップトリガが発生した時に検出する能力を維持する意味では、少なくとも部分
的には機能したままであってよい。ウェイクアップトリガは、多くの異なるタイプのイベ
ントを含みうる。例えば、IPエージェント14を所定の期間の後にウェイクアップさせ
る内部タイマーであってもよいし、IPエージェント14と通信したい別のデバイスなど
、SoC800の外部のイベントであってもよい。工程1504において、IPエージェ
ントは、そのリンク803を介して相互接続802に「ウェイクアップ」通信を送信する
。再び、リンクは、それに対応するIPエージェント14が動作不能状態にある時には休
止状態であるが、ウェイクアップ信号を相互接続802へ送信することができる。
【0189】
工程1506において、相互接続802は、動作不能なIPエージェントからのウェイ
クアップ信号を「リッスンする」よう構成される。信号が検出された場合、相互接続80
2は、システムコントローラ804へ通知する。
【0190】
工程1508において、システムコントローラ804は、IPエージェント14がその
ウェイクアップシーケンスを開始するためのコマンドを相互接続802を介して送信して
よい。
【0191】
工程1510において、IPエージェントは、コマンドに応答して、ウェイクアップシ
ーケンスを開始する。
【0192】
上述の実施形態では、IPエージェント14は、ウェイクアップシーケンスを開始する
ようシステムコントローラに求める。システムコントローラからのウェイクアップコマン
ドに応答して、IPエージェントは、自身のウェイクアップシーケンスを開始する。した
がって、システムコントローラは、IPエージェントが、動作不能状態を脱して、相互接
続802上で可視になると、IPエージェントの状態を知る。
【0193】
図15Bは、システムコントローラ804がIPエージェント14のウェイクアップを
開始する場合のシーケンスを示す。このシーケンスでは、システムコントローラ804が
、工程1508でIPエージェントにウェイクアップコマンドを送信し、それに応答して
、IPエージェントは、工程1510で自身のウェイクアップシーケンスを開始する。こ
の実施形態の変形例(図示せず)において、ウェイクアップは、システムコントローラ8
04を介してSoC800の外から開始されてもよい。システムコントローラ804がコ
マンドを受信すると、上述の処理が開始される。
【0194】
図15Cは、IPエージェント14のためのウェイクアップコマンドが、SoC800
の外に由来し、システムコントローラ804を通して実施される場合のシーケンスを示す
。このシーケンスでは、システムコントローラ804は、工程1512でコマンドを受信
する。それに応答して、システムコントローラは、工程1508でIPエージェントにウ
ェイクアップコマンドを送信し、それに応答して、IPエージェントは、工程1510で
自身のウェイクアップシーケンスを開始する。SoC800の外からの直接ウェイクアッ
プでは、コマンドは、ハードワイヤ入力を介してIPエージェント14に直接提供される
。それに応答して、IPエージェントは、自身のウェイクアップシーケンスを開始する。
【0195】
図15Dを参照すると、IPエージェントが開始して実施するウェイクアップシーケン
スを示すフローチャート1520が示されている。この実施形態では、ウェイクアップ条
件(上述した条件のいずれか、など)が、工程1522で発生する。それに応答して、I
Pエージェントは、工程1524で自身のウェイクアップシーケンスを開始する。工程1
526において、ウェイクアップシーケンスは完了する。その後、工程1528において
、IPエージェントは、そのアウェイク状態を、相互接続802およびシステムコントロ
ーラ804に、直接的にまたは相互接続802を介して通知する。
【0196】
上記の例においては、簡単のために、単一のIPエージェントを上述の低電力モードの
1つに移行させるシーケンスについて説明した。実際の実施形態においては、SoC上の
複数のIPエージェント14が同時に電力ダウンされうる。2以上が同時にまたはほぼ同
時に電力ダウンされる場合、各々が独立して、モードに応じて上述のシーケンスの1つを
受ける。
【0197】
いくつかの実施形態についてのみ詳細に説明したが、ここに提供した本開示の精神や範
囲を逸脱することなしに多くの他の形態で本願を実施できることを理解されたい。したが
って、これらの実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、
本明細書に示した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲および等価物の範囲内で変形
されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムオンチップ(SoC)であって、
複数のIPエージェントと、
前記複数のIPエージェントと通信する相互接続であって、前記複数のIPエージェントの内の少なくとも1つの代理として、前記少なくとも1つのIPエージェントがトランザクション準備完了状態ではない時に、動作するよう構成されている、相互接続と、
を備える、SoC。
【請求項2】
請求項1に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、リセットを受けている時、トランザクション準備完了状態ではない、SoC。
【請求項3】
請求項1または2に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、電力ダウンモード時には、トランザクション準備完了状態ではない、SoC。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、動作不良時には、トランザクション準備完了状態ではない、SoC。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のSoCであって、前記相互接続は、
前記少なくとも1つのIP機能がトランザクション準備完了状態ではないことを確認し、
トランザクション準備完了状態ではない間に前記少なくとも1つのIPエージェントに送信元がトランザクションを送信したか否かを確認し、
前記送信元に例外メッセージを送信して、前記少なくとも1つのIPエージェントが利用可能ではないことを前記送信元に通知することによって、前記少なくとも1つのIPエージェントの前記代理として機能する、SoC。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のSoCであって、前記送信元は、前記例外メッセージに応答して、送信されたが宛先に配信されていないトランザクションについて、自身の応答手順を受ける、SoC。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のSoCであって、さらに、前記複数のIPエージェントのリセットをそれぞれ開始するためのリセットマネージャを備える、SoC。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のSoCであって、前記相互接続は、さらに、前記複数のIPエージェント各々がそれぞれリセットされる時に、前記複数のIPエージェントの各々との個々のネゴシエーションに関与するよう構成されている、SoC。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のSoCであって、前記複数のIPエージェントの内の2以上のリセット後に、前記2以上のIPエージェントの各々は、それぞれ、個々にリセットし、他のIPエージェントから独立してトランザクション準備完了状態になるよう構成されている、SoC。
【請求項10】
請求項9に記載のSoCであって、前記2以上のIPエージェントの各々は、前記2以上のIPエージェントが同時にトランザクション準備完了状態になる必要なしに、自身のタイムスケジュールで独立的にトランザクション準備完了状態になる、SoC。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のSoCであって、さらに、システムコントローラを備え、少なくとも1つのIPエージェントが、トランザクション準備完了状態になった時に、前記システムコントローラにとって可視になる、SoC。
【請求項12】
システムオンチップ(SoC)であって、
複数のIPエージェントと、
相互接続と、
前記複数のIPエージェントを前記相互接続と接続する1以上のリンクと、
前記複数のIPエージェントの少なくとも1つを選択的に低電力状態にすることによって、前記SoCによる電力消費を少なくとも部分的に管理するための電力マネージャと、
を備え、
前記相互接続は、(a)前記低電力状態にあり、かつ、(b)トランザクションの処理に利用できない時に、前記少なくとも1つのIPエージェントの代理として機能し、前記相互接続は、前記少なくとも1つのIPエージェントに前記トランザクションを送信しようとする送信元へ例外メッセージを提供することによって前記代理として機能する、SoC。
【請求項13】
請求項12に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、前記低電力状態に入る時に、自身の低電力シーケンスを実施する、SoC。
【請求項14】
請求項12または13のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記少なくとも1つのIPエージェントがトランザクション準備完了状態のままである低電力モードを含む、SoC。
【請求項15】
請求項14に記載のSoCであって、前記相互接続は、前記少なくとも1つのIPエージェントが前記低電力状態にあり、かつ、トランザクション準備完了状態のままである場合には、代理として機能せず、前記少なくとも1つのIPエージェントのためのクロック周波数および/または電圧の低減に対応するために、前記1以上のリンクの内の1つの設定を調整する、SoC。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記少なくとも1つのIPエージェントがもはやトランザクション準備完了状態ではない低電力モードを含む、SoC。
【請求項17】
請求項16に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、前記低電力モードにあり、かつ、もはやトランザクション準備完了状態ではない時に、状態情報を保持する、SoC。
【請求項18】
請求項16に記載のSoCであって、前記少なくとも1つのIPエージェントは、前記低電力モードにあり、かつ、もはやトランザクション準備完了状態ではない時に、状態情報を保持しない、SoC。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、最小限の電力が前記少なくとも1つのIPエージェントに供給される電力オフモードを含む、SoC。
【請求項20】
請求項12から19のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記少なくとも1つのIPエージェントの動作クロック周波数を下げることによって実施される、SoC。
【請求項21】
請求項12から20のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、前記少なくとも1つのIPエージェントによって利用される電圧を下げることによって実行される、SoC。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか一項に記載のSoCであって、前記低電力状態は、
前記少なくとも1つのIPエージェントの動作クロック周波数を下げ、
前記動作クロック周波数を下げた後に、前記少なくとも1つのIPエージェントによって利用される供給電圧を下げることによって実行される、SoC。
【外国語明細書】