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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002032
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ヒータ、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20231228BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20231228BHJP
   H05B 3/18 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H05B3/20 309
H05B3/06 B
H05B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100977
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】上野 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】玉井 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】青野 伸二郎
(72)【発明者】
【氏名】壷内 暁夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】土居 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】大橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA04
3K034AA15
3K034BA05
3K034BA06
3K034BB02
3K034BB14
3K034JA10
3K092PP18
3K092QA06
3K092QB02
3K092QB31
3K092RA04
3K092RF03
3K092RF09
3K092VV36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板の材料を金属としても、ヒータに反りが発生するのを抑制することができるヒータ、および画像形成装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係るヒータ1は、金属を含み、一方に延びる形状を有する基板10と、前記基板の第1の面に設けられた絶縁層11と、前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の長手方向に延びる発熱体21,22と、前記発熱体を覆う保護部40と、前記基板の、前記第1の面に対向する第2の面の周縁に沿って設けられた少なくとも1つの凸部10cと、を具備している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含み、一方に延びる形状を有する基板と;
前記基板の第1の面に設けられた絶縁層と;
前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の長手方向に延びる発熱体と;
前記発熱体を覆う保護部と;
前記基板の、前記第1の面に対向する第2の面の周縁に沿って設けられた少なくとも1つの凸部と;
を具備したヒータ。
【請求項2】
前記凸部は、前記基板の長手方向に延びている請求項1記載のヒータ。
【請求項3】
前記凸部と、前記第2の面と、の間の傾斜角度をθとした場合、以下の式を満足する請求項1または2に記載のヒータ。
90°<θ≦160°、または、20°≦θ<90°
【請求項4】
前記凸部は、前記基板と一体に形成されている請求項1または2に記載のヒータ。
【請求項5】
請求項1記載のヒータを具備した画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヒータ、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置には、トナーを定着させるためのヒータが設けられている。一般的に、この様なヒータは、長尺状の基板と、基板の一方の面に設けられ、基板の長手方向に延びる発熱体と、発熱体を覆う保護部と、を有している。
【0003】
基板は、耐熱性および絶縁性を有し、熱伝導率の高い材料から形成される。基板は、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスから形成される。また、基板は、例えば、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものとされる場合もある。
保護部は、耐熱性および絶縁性を有し、熱伝導率が高く、化学的安定性の高い材料から形成される。例えば、保護部は、セラミックス、ガラスなどから形成される。
【0004】
ここで、基板の材料を金属とすれば、基板の剛性の向上や、製造コストの低減などを図ることができる。ところが、基板の材料を金属とすれば、基板の材料と、保護部の材料とが異なるものとなるので、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生する。熱応力が発生すると、ヒータに反りが発生し易くなる。またさらに、金属の熱膨張率は、セラミックスなどの熱膨張率に比べて高いので、熱応力が大きくなり易い。熱応力が大きくなると、ヒータの反りが大きくなる。
【0005】
ヒータの反りが大きくなると、ヒータと加熱対象物との間の距離がばらついて、加熱対象物に加熱ムラが生じるおそれがある。
そこで、基板の材料を金属としても、ヒータに反りが発生するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-240606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、基板の材料を金属としても、ヒータに反りが発生するのを抑制することができるヒータ、および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るヒータは、金属を含み、一方に延びる形状を有する基板と;前記基板の第1の面に設けられた絶縁層と;前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の長手方向に延びる発熱体と;前記発熱体を覆う保護部と;前記基板の、前記第1の面に対向する第2の面の周縁に沿って設けられた少なくとも1つの凸部と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、基板の材料を金属としても、ヒータに反りが発生するのを抑制することができるヒータ、および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係るヒータを例示するための模式正面図である。
図2】ヒータを例示するための模式背面図である。
図3図1におけるヒータのA-A線方向の模式断面図である。
図4図1におけるヒータのB-B線方向の模式側面図である。
図5】他の実施形態に係る基板を例示するための模式背面図である。
図6】他の実施形態に係る凸部を例示するための模式断面図である。
図7図6におけるC部の模式拡大図である。
図8】本実施の形態に係る画像形成装置を例示するための模式図である。
図9】定着部を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、各図面中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を表している。例えば、基板の長手方向をX方向、基板の短手方向(幅方向)をY方向、基板の面に垂直な方向をZ方向としている。
【0012】
(ヒータ)
図1は、本実施の形態に係るヒータ1を例示するための模式正面図である。
なお、図1は、発熱部20が設けられた側からヒータ1を見た図である。
図2は、ヒータ1を例示するための模式背面図である。
なお、図2は、発熱部20が設けられた側とは反対側からヒータ1を見た図である。
図3は、図1におけるヒータ1のA-A線方向の模式断面図である。
図4は、図1におけるヒータ1のB-B線方向の模式側面図である。
【0013】
図1図4に示すように、ヒータ1は、例えば、基板10、絶縁層11、発熱部20、配線部30、および保護部40を有する。
【0014】
基板10は、板状を呈し、面10a(第1の面の一例に相当する)と、面10aに対向する面10b(第2の面の一例に相当する)とを有する。基板10は、X方向に延びる形状を有している。Z方向から見た基板10の形状は、例えば、長尺状の長方形である。基板10の厚みは、例えば、0.5mm~1.0mm程度である。X方向における基板10の寸法、およびY方向における基板10の寸法は、加熱対象物(例えば、紙)の大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0015】
基板10は、耐熱性を有し、熱伝導率の高い材料から形成される。基板10は、例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0016】
金属の熱伝導率は、セラミックスなどの無機材料の熱伝導率よりも高い。そのため、基板10が金属から形成されていれば、ヒータ1の温度に面内分布が生じるのを抑制することができる。また、基板10の剛性の向上や、製造コストの低減などを図ることができる。
【0017】
絶縁層11は、基板10の、発熱部20が設けられる側の面10aに設けられている。絶縁層11は、基板10の面10aの、発熱部20が設けられる領域を覆っている。絶縁層11は、耐熱性と絶縁性を有する材料から形成される。絶縁層11は、例えば、セラミックスなどの無機材料から形成することができる。
【0018】
発熱部20は、印加された電力を熱(ジュール熱)に変換する。発熱部20は、絶縁層11の上に設けられている。発熱部20と基板10は、絶縁層11により絶縁されている。
発熱部20は、例えば、発熱体21、および発熱体22を有する。なお、一例として、発熱体21、および発熱体22が設けられる場合を例示したが、発熱体の数や大きさは、基板10の大きさや加熱対象物の大きさなどに応じて適宜変更することができる。また、長さ、幅、形状などが異なる複数種類の発熱体を設けることもできる。すなわち、発熱体は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0019】
発熱体21および発熱体22は、例えば、Y方向(基板10の短手方向)に所定の間隔をあけて並べて設けることができる。発熱体21および発熱体22は、例えば、X方向(基板10の長手方向)に延びている。
【0020】
発熱体21および発熱体22のX方向の寸法(長さ寸法)は、例えば、略同一とすることができる。この場合、発熱体21および発熱体22のそれぞれの中心が、直線1aの上に位置するようにすることが好ましい。すなわち、発熱体21および発熱体22のそれぞれは、直線1aを対称軸として線対称となる形状を有することが好ましい。
【0021】
ヒータ1を画像形成装置100に取り付ける際には、例えば、直線1aが加熱対象物の搬送経路の中心線に重なるようにする。この様にすれば、加熱対象物の、搬送方向に直交する方向の寸法が変化した場合であっても、加熱対象物を略均一に加熱することができる。
【0022】
発熱体21および発熱体22の電気抵抗値は、略同一とすることもできるし、異なるものとすることもできる。例えば、発熱体21および発熱体22の、X方向の寸法(長さ寸法)、Y方向の寸法(幅寸法)、およびZ方向の寸法(厚み寸法)をそれぞれ略同一とすることで、発熱体21および発熱体22の電気抵抗値が略同一となるようにすることができる。また、これらの寸法の少なくともいずれかを変えることで、発熱体21および発熱体22の電気抵抗値が異なるようにすることができる。また、材料を変えることで、発熱体21および発熱体22の電気抵抗値が異なるようにすることができる。
【0023】
また、発熱体21の、単位長さ当たりの電気抵抗値は、X方向において略均一とすることができる。例えば、発熱体21の、Y方向の寸法(幅寸法)およびZ方向の寸法(厚み寸法)は、略一定とすることができる。Z方向から見た発熱体21の形状は、例えば、X方向に延びる略長方形とすることができる。
【0024】
また、発熱体22の、単位長さ当たりの電気抵抗値は、X方向において略均一とすることができる。例えば、発熱体22の、Y方向の寸法(幅寸法)およびZ方向の寸法(厚み寸法)は、略一定とすることができる。Z方向から見た発熱体22の形状は、例えば、X方向に延びる略長方形とすることができる。
【0025】
発熱体21および発熱体22は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)、銀・パラジウム(Ag-Pd)合金などを用いて形成することができる。発熱体21および発熱体22は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁層11の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0026】
配線部30は、絶縁層11の上に設けられている。
配線部30は、例えば、端子31、端子32、配線33、配線34、および配線35を有する。
【0027】
端子31、32は、例えば、X方向における基板10の一方の端部の近傍に設けられる。端子31、32は、例えば、X方向に並べて設けられる。端子31、32は、コネクタおよび配線などを介して、例えば、電源などと電気的に接続される。
【0028】
配線33は、例えば、X方向において、基板10の、端子31が設けられる側に設けられる。配線33は、X方向に延びている。配線33は、端子31と、発熱体21の端子31側の端部とに電気的に接続されている。
【0029】
配線34は、例えば、X方向において、基板10の、端子31、32が設けられる側とは反対側の端部の近傍に設けられる。配線34には、発熱体21の、配線33側とは反対側の端部、および、発熱体22の、配線35側とは反対側の端部が電気的に接続されている。
【0030】
配線35は、例えば、X方向において、基板10の、端子32が設けられる側に設けられる。配線35は、X方向に延びている。配線35は、端子32と、発熱体22の端子32側の端部とに電気的に接続されている。
【0031】
配線部30(端子31、32および配線33~35)は、例えば、銀や銅などを含む材料を用いて形成される。例えば、端子31、32、配線33~35は、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁層11の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0032】
保護部40は、絶縁層11の上に設けられ、発熱部20(発熱体21、および発熱体22)、および配線部30の一部(配線33、配線34、および配線35)を覆っている。この場合、配線部30の端子31、および端子32は、保護部40から露出している。
【0033】
保護部40は、X方向に延びている。保護部40は、例えば、発熱部20、および配線部30の一部を絶縁する機能、発熱部20において発生した熱を伝える機能、および、外力や腐食性ガスなどから発熱部20や配線部30の一部を保護する機能を有する。保護部40は、耐熱性および絶縁性を有し、化学的安定性および熱伝導率の高い材料から形成される。保護部40は、例えば、セラミックスや、ガラスなどから形成される。この場合、酸化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料を含むフィラーが添加されたガラスを用いて保護部40を形成することもできる。フィラーが添加されたガラスの熱伝導率は、例えば、2[W/(m・K)]以上とすることができる。
【0034】
また、ヒータ1には、発熱部20の温度を検出する検出部をさらに設けることができる。検出部は、例えば、サーミスタなどとすることができる。検出部は、基板10の、発熱部20が設けられる側、および、基板10の、発熱部20が設けられる側とは反対側の少なくともいずれかに設けることができる。
【0035】
検出部が、基板10の、発熱部20が設けられる側(基板10の面10a側)に設けられる場合には、検出部、および検出部に電気的に接続された配線と端子を、絶縁層11の上に設けることができる。検出部に電気的に接続された配線は、保護部40により覆うことができる。検出部に電気的に接続された端子は、保護部40から露出させることができる。
【0036】
検出部が、基板10の、発熱部20が設けられる側とは反対側(基板10の面10b側)に設けられる場合には、面10bの上に絶縁層を設け、検出部、および検出部に電気的に接続された配線と端子を、絶縁層の上に設けることができる。絶縁層は、面10aの上に設けられた絶縁層11と同様とすることができる。また、検出部に電気的に接続された配線は、保護部により覆うことができる。検出部に電気的に接続された端子は、保護部から露出させることができる。保護部は、絶縁層11の上に設けられた保護部40と同様とすることができる。
【0037】
ここで、前述したように、基板10は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属から形成される。一方、保護部40は、例えば、セラミックス、ガラス、フィラーが添加されたガラスなどから形成される。絶縁層11は、例えば、セラミックスなどの無機材料から形成される。
【0038】
そのため、基板10の熱膨張率と、保護部40および絶縁層11の熱膨張率とが異なるものとなる。また、ヒータ1の使用時に、発熱部20(発熱体21、22)を発熱させると、基板10、保護部40、および絶縁層11が加熱される。ヒータ1の製造時に、保護部40や絶縁層11を焼成すると、基板10、保護部40、および絶縁層11が加熱される。そのため、ヒータ1の使用時や製造時に、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生する。熱応力が発生すると、ヒータ1に反りが発生するおそれがある。
【0039】
また、金属の熱膨張率は、セラミックスなどの熱膨張率に比べて高いので、ヒータ1の反りが大きくなり易くなる。また、基板10の短手方向(幅方向:例えば、Y方向)の長さが短かったり、基板10の長手方向(例えば、X方向)の長さが長かったり、基板10の厚みが薄かったりしても、ヒータ1の反りが大きくなり易くなる。
ヒータ1の反りが大きくなると、ヒータ1と加熱対象物との間の距離がばらついて、加熱対象物に加熱ムラが生じるおそれがある。
【0040】
そこで、図2図4に示すように、基板10には、凸部10c、および凸部10dが設けられている。凸部10c、および凸部10dは、基板10の、発熱部20が設けられる側とは反対側に設けられている。凸部10c、および凸部10dは、基板10の面10bから、突出している。凸部10c、および凸部10dは、例えば、基板10と一体に形成することができる。凸部10c、および凸部10dは、例えば、プレス成形や、折り曲げ加工などにより形成することができる。
【0041】
凸部10cは、Y方向における、基板10の面10bの周縁に沿って設けられている。凸部10cは、X方向における、基板10の一方の端部と、他方の端部との間を延びている。凸部10cの頂部と、基板10の面10bとの間の距離H(凸部10cの高さ)は、例えば、0.3mm~5.0mm程度とすることができる。凸部10cの厚みTは、例えば、0.3mm~1.0mm程度とすることができる。
【0042】
凸部10dは、X方向における、基板10の面10bの周縁に沿って設けられている。凸部10dは、Y方向に延びている。図2、および図4に示すように、凸部10dと、凸部10cとの間には隙間を設けることができる。また、凸部10dと、凸部10cとが接触するようにすることもできる。凸部10dの頂部と、基板10の面10bとの間の距離(凸部10dの高さ)は、凸部10cの頂部と、基板10の面10bとの間の距離Hと同じとすることもできるし、異なるものとすることもできる。凸部10dの厚みは、例えば、凸部10cの厚みTと同じとすることもできるし、異なるものとすることもできる。
【0043】
凸部10c、および凸部10dが設けられていれば、基板10の曲げ剛性を大きくすることができる。基板10の曲げ剛性が大きくなれば、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生したとしても、ヒータ1に反りが発生するのを抑制することができる。
【0044】
図2図4において例示をした凸部10cは、Y方向における、基板10の両側の端部に設けられている。しかしながら、発生する熱応力が小さかったり、X方向における基板10の長さが短かったりした場合には、発生する反りが小さくなる。発生する反りが小さい場合には、Y方向における、基板10の一方の端部に凸部10cを設け、基板10の他方の端部には、凸部10cを設けないようにすることもできる。凸部10cが、基板10の一方の端部のみに設けられる様にすれば、ヒータ1の製造コストの低減を図ることができる。
【0045】
また、Y方向における、基板10の端部に、X方向に連続して延びる1つの凸部10cを設ける場合を例示したが、X方向における、基板10の一部の領域に凸部10cを設けたり、X方向に並ぶ複数の凸部10cを設けたりすることもできる。
【0046】
図2図4において例示をした凸部10dは、X方向における、基板10の両側の端部に設けられている。しかしながら、発生する熱応力が小さかったり、Y方向における基板10の長さが短かったりした場合には、発生する反りが小さくなる。発生する反りが小さい場合には、X方向における、基板10の一方の端部に凸部10dを設け、基板10の他方の端部には、凸部10dを設けないようにすることもできる。凸部10dが、基板10の一方の端部のみに設けられる様にすれば、ヒータ1の製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
また、X方向における、基板10の端部に、Y方向に連続して延びる1つの凸部10dを設ける場合を例示したが、Y方向における、基板10の一部の領域に凸部10dを設けたり、Y方向に並ぶ複数の凸部10dを設けたりすることもできる。
【0048】
また、X方向における、基板10の長さは、Y方向における、基板10の長さよりも長い。そのため、X方向における、基板10の反りは、Y方向における、基板10の反りよりも大きくなる。
この場合、凸部10cの高さが、凸部10dの高さよりも高くなるようにすることができる。凸部10cの厚みが、凸部10dの厚みよりも厚くなるようにすることもできる。これらの様にすれば、X方向における、基板10の反りが大きくなるのを抑制することができる。
【0049】
図5は、他の実施形態に係る基板10eを例示するための模式背面図である。
なお、図5は、発熱部20が設けられた側とは反対側から基板10eを見た図である。 Y方向における、基板10eの長さは、X方向における、基板10eの長さよりも短い。そのため、Y方向における、基板10eの反りは、X方向における、基板10eの反りよりも小さくなる。
【0050】
この様な場合には、図5に示すように、Y方向における、基板10eの端部に凸部10cを設け、X方向における、基板10eの端部に凸部10dを設けないようにすることができる。なお、基板10eの反りが小さい場合には、Y方向における、基板10eの一方の端部に凸部10cを設け、基板10eの他方の端部に凸部10cを設けないようにすることもできる。
これらの様にすれば、ヒータ1の製造コストの低減を図ることができる。
【0051】
図6は、他の実施形態に係る凸部10c1を例示するための模式断面図である。
図7は、図6におけるC部の模式拡大図である。
図3、および図4に例示をした凸部10cは、基板10の面10bに対して直交している。
これに対して、図6、および図7に例示をする凸部10c1は、基板10の面10bに対して傾いている。例えば、凸部10c1は、凸部10cを傾斜させたものとすることができる。凸部10c1と基板10の面10bとの間の傾斜角度θは、例えば、「90°<θ≦160°」とすることができる。また、凸部10c1と基板10の面10bとの間の傾斜角度θは、例えば、「20°≦θ<90°」とすることもできる。
【0052】
凸部10c1が基板10の面10bに対して傾斜していれば、基板10の曲げ剛性の向上を図るとともに、Z方向におけるヒータ1の寸法が大きくなるのを抑制することができる。また、「20°≦θ<90°」とすれば、Z方向から見た場合に、凸部10c1の先端が、基板10の面10bの内側に位置するので基板10の曲げ剛性の向上を図るとともに、Z方向およびY方向におけるヒータ1の寸法が大きくなるのを抑制することができる。
【0053】
凸部10c、および凸部10dの配置、数、寸法、傾斜角度θなどは、発生する熱応力や反りの大きさなどに応じて適宜変更することができる。凸部10c、および凸部10dの配置、数、寸法、傾斜角度θなどは、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0054】
(画像形成装置)
本発明の1つの実施形態において、ヒータ1を具備した画像形成装置100を提供することができる。前述したヒータ1に関する説明、およびヒータ1の変形例(例えば、前述した凸部10c、および凸部10dの配置、数、寸法、傾斜角度θなど)は、いずれも画像形成装置100に適用することができる。
【0055】
また、以下においては、一例として、画像形成装置100が複写機である場合を説明する。ただし、画像形成装置100は複写機に限定されるわけではなく、トナーを定着させるためのヒータが設けられるものであればよい。例えば、画像形成装置100は、プリンタなどとすることもできる。
【0056】
図8は、本実施の形態に係る画像形成装置100を例示するための模式図である。
図9は、定着部200を例示するための模式図である。
図8に示すように、画像形成装置100は、例えば、フレーム110、照明部120、結像素子130、感光ドラム140、帯電部150、放電部151、現像部160、クリーナ170、収納部180、搬送部190、定着部200、およびコントローラ210を有する。
【0057】
フレーム110は、箱状を呈し、その内部に、照明部120、結像素子130、感光ドラム140、帯電部150、現像部160、クリーナ170、収納部180の一部、搬送部190、定着部200、およびコントローラ210を収納する。
フレーム110の上面には、ガラスなどの透光性材料を用いた窓111を設けることができる。窓111の上には、複写される原稿500が載置される。また、原稿500の位置を移動させる移動部を設けることができる。
【0058】
照明部120は、窓111の近傍に設けられる。照明部120は、例えば、ランプなどの光源121、および反射鏡122を有する。
結像素子130は、窓111の近傍に設けられる。
感光ドラム140は、照明部120および結像素子130の下方に設けられる。感光ドラム140は、回転可能に設けられる。感光ドラム140の表面には、例えば、酸化亜鉛感光層または有機半導体感光層が設けられる。
帯電部150、放電部151、現像部160、およびクリーナ170は、感光ドラム140の周辺に設けられる。
【0059】
収納部180は、例えば、カセット181、およびトレイ182を有する。カセット181は、フレーム110の一方の側部に着脱可能に取り付けられる。トレイ182は、フレーム110の、カセット181が取り付けられる側とは反対側の側部に設けられる。カセット181には、複写が行われる前の紙510(例えば、白紙)が収納される。トレイ182には、複写像511aが定着した紙511が収納される。
【0060】
搬送部190は、感光ドラム140の下方に設けられる。搬送部190は、カセット181とトレイ182との間で紙510を搬送する。搬送部190は、例えば、搬送される紙510を支持するガイド191、および紙510を搬送する搬送ローラ192~194を有する。また、搬送部190には、搬送ローラ192~194を回転させるモータを設けることができる。
【0061】
定着部200は、感光ドラム140の下流側(トレイ182側)に設けられる。
図9に示すように、定着部200は、例えば、ヒータ1、ステー201、フィルムベルト202、および加圧ローラ203を有する。
ステー201の、紙510の搬送ライン側にはヒータ1が取り付けられる。ヒータ1は、ステー201に埋め込むことができる。この場合、ヒータ1の、保護部40が設けられた側がステー201から露出する。
【0062】
フィルムベルト202は、ヒータ1が設けられたステー201を覆っている。フィルムベルト202は、例えば、ポリイミドなどの耐熱性を有する樹脂を含むことができる。
【0063】
加圧ローラ203は、ステー201と対向するように設けられる。加圧ローラ203は、例えば、芯金203a、駆動軸203b、および弾性部203cを有する。駆動軸203bは、芯金203aの端部から突出し、モータなどの駆動装置に接続される。弾性部203cは、芯金203aの外面に設けられる。弾性部203cは、耐熱性を有する弾性材料から形成される。弾性部203cは、例えば、シリコーン樹脂などを含むことができる。
【0064】
コントローラ210は、フレーム110の内部に設けられている。コントローラ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部、および制御プログラムが格納された記憶部を有する。演算部は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、画像形成装置100に設けられた各要素の動作を制御する。また、コントローラ210は、使用者が複写条件などを入力する操作部、動作状態や異常表示などを表示する表示部などを備えることもできる。
なお、画像形成装置100に設けられた各要素の制御には、既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0065】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0066】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0067】
(付記1)
金属を含み、一方に延びる形状を有する基板と;
前記基板の第1の面に設けられた絶縁層と;
前記絶縁層の上に設けられ、前記基板の長手方向に延びる発熱体と;
前記発熱体を覆う保護部と;
前記基板の、前記第1の面に対向する第2の面の周縁に沿って設けられた少なくとも1つの凸部と;
を具備したヒータ。
【0068】
(付記2)
前記凸部は、前記基板の長手方向に延びている付記1記載のヒータ。
【0069】
(付記3)
前記凸部と、前記第2の面と、の間の傾斜角度をθとした場合、以下の式を満足する付記1または2に記載のヒータ。
90°<θ≦160°、または、20°≦θ<90°
【0070】
(付記4)
前記凸部は、前記基板と一体に形成されている付記1~3のいずれか1つに記載のヒータ。
【0071】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載のヒータを具備した画像形成装置。
【符号の説明】
【0072】
1 ヒータ、10 基板、10a 面、10b 面、10c 凸部、10c1 凸部、10d 凸部、10e 基板、11 絶縁層、20 発熱部、21 発熱体、22 発熱体、30 配線部、40 保護部、100 画像形成装置、200 定着部、θ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9