(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020322
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】光反射体
(51)【国際特許分類】
G02B 7/182 20210101AFI20240206BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240206BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240206BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240206BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G02B7/182
G02B5/08 Z
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190856
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019186047の分割
【原出願日】2019-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 三朗
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安定した回動範囲を有する光反射体を提供する。
【解決手段】支持体と、回動軸の周りに回動するように支持体に支持され、光反射性を有する領域を含む第1の面26A及び第1の面とは反対側の第2の面26Bを有する回動体26と、各々が回動体の第1の面及び第2の面の少なくとも一方に設けられ、回動軸を挟んで互いに離隔してかつ対向して配置された第1の突起部31及び第2の突起部32と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
回動軸の周りに回動するように前記支持体に支持され、光反射性を有する領域を含む第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有する回動体と、
各々が前記回動体の前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方に設けられ、前記回動軸を挟んで互いに離隔してかつ対向して配置された第1及び第2の突起部と、を有し、
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方における外縁の形に沿って連続的に形成された突起を含むことを特徴とする光反射体。
【請求項2】
支持体と、
回動軸の周りに回動するように前記支持体に支持され、光反射性を有する領域を含む第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有する回動体と、
各々が前記回動体の前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方に設けられ、前記回動軸を挟んで互いに離隔してかつ対向して配置された第1及び第2の突起部と、
各々が前記回動体の前記第2の面に設けられ、前記回動軸を挟んで互いに離隔してかつ対向して配置され且つ前記第1及び第2の突起に対向する位置に設けられた第3及び第4の突起部と、を有し、
前記第1及び第2の突起部の各々の高さは、前記第3及び第4の突起部の高さよりも小さいことを特徴とする光反射体。
【請求項3】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1の面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光反射体。
【請求項4】
支持体と、
回動軸の周りに回動するように前記支持体に支持され、光反射性を有する領域を含む第1の面を有する回動体と、
各々が前記回動体の前記第1の面に設けられ、前記回動軸を挟んで互いに離隔してかつ対向して配置された第1及び第2の突起部と、を有することを特徴とする光反射体。
【請求項5】
前記第1、第2、第3及び第4の突起部の各々は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項6】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方における外縁に沿って連続的に形成された突起を含むことを特徴とする請求項4に記
載の光反射体。
【請求項7】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方の中心を通りかつ前記回動軸に垂直な直線上に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項8】
前記第1及び第2の突起部は、前記回動軸に関して対称的な位置に配置されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項9】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方の中心を通りかつ前記回動軸に垂直な直線に関して対称的な形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項10】
前記第1及び第2の突起部は、前記回動体の前記第1の面に設けられ、
前記回動体の前記第2の面には、前記回動体を挟んで前記第1及び第2の突起に対向する位置に設けられた第3及び第4の突起部が設けられ、
前記第1及び第2の突起部の各々の高さは、前記第3及び第4の突起部の高さよりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項11】
前記回動体の前記第1の面に設けられた光反射膜と、
前記回動体の前記第2の面における前記回動体を挟んで前記光反射膜に対向する領域に設けられ、前記回動軸に関して対称的な形状を有する第5の突起部と、を有することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項12】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記光反射膜上に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の光反射体。
【請求項13】
前記第3、第4及び第5の突起部は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の光反射体。
【請求項14】
前記回動体は、前記回動軸の周りに共振しつつ回動するように構成されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項15】
前記回動体は、円板形状を有することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項16】
前記支持体は、枠状の形状を有し、
前記回動体は、前記回動軸に沿って延びるトーションバーによって前記支持体の内側において前記支持体によって支持され、
前記支持体、前記トーションバー及び前記回動体は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の光反射体。
【請求項17】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方における外縁に沿って連続的に形成された突起を含むことを特徴とする請求項2に記載の光反射体。
【請求項18】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方の中心を通りかつ前記回動軸に垂直な直線上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光反射体。
【請求項19】
前記第1及び第2の突起部の各々は、前記回動体の前記第1又は第2の面の少なくとも一方の中心を通りかつ前記回動軸に垂直な直線に関して対称的な形状を有することを特徴とする請求項2に記載の光反射体。
【請求項20】
前記回動体と前記回動体を支持する前記支持体を内周に設ける可動枠と、
前記可動枠に配置された回動軸周りに回動する回動力を得るコイル部と、を有し、
前記第1及び第2の突起部は前記コイル部の材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2又は4のいずれか1つに記載の光反射体。
【請求項21】
前記第1及び第2の突起部は前記コイル部は、同一の工程で形成されることを特徴とする請求項20に記載の光反射体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を反射させる光反射体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物の光走査を行い、当該対象物までの距離や形状などに関する情報を得る走査装置が知られている。当該走査装置は、例えば、走査用の光を方向可変に偏向しつつ対象物に向けて出射する可動式のミラーを有する。例えば、特許文献1には、板状の可動部及び当該可動部上に形成された反射膜を含む光学デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走査装置は、当該可動ミラーの可動範囲に対応する走査領域を有する。例えば、回動式のミラーを光偏向素子として用いる場合、走査領域は、そのミラーの最大回動角に対応する領域となる。しかし、当該ミラーは、当該最大回動角又はその近傍の角度位置で回動している期間中には、回動の安定性が低下する場合がある。当該回動の安定性が低下する場合の例としては、例えば、ミラーの最大回動角が回動周期毎に変動する場合などが挙げられる。
【0005】
この場合、ミラーの最大回動角に対応する光の出射方向が設計上の方向とは異なる場合があり、これによって、走査領域内の設計上の位置又は座標上に光が出射されない場合がある。この場合、走査領域が不安定に縮小又は拡大したり、その外縁形状が不安定に変形する場合がある。
【0006】
この場合、例えば、不安定な走査領域の部分から得た走査情報は、有効な走査情報として扱えない情報となる場合がある。また、ミラーから出射される光の範囲の全体に対応する領域よりも小さな領域を有効な走査領域として設定することを余儀なくされる場合がある。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、安定した回動範囲を有する光反射体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、支持体と、回動軸の周りに回動するように支持体に支持され、光反射性を有する領域を含む第1の面及び第1の面とは反対側の第2の面を有する回動体と、各々が回動体の第1の面及び第2の面の少なくとも一方に設けられ、回動軸を挟んで互いに離隔してかつ対向して配置された第1及び第2の突起部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1に係る走査装置の全体構成を示す図である。
【
図6】実施例1に係る回動素子から出射される光の範囲を測定するシステムの模式図である。
【
図7】実施例1に係る回動素子の周囲温度に応じた回動角の変化を示す図である。
【
図8】実施例1の変形例1に係る回動素子の平面図である。
【
図9】実施例1の変形例2に係る回動素子の平面図である。
【
図10】実施例1の変形例3に係る回動素子の断面図である。
【
図11】実施例1の変形例4に係る回動素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例0011】
図1は、実施例1に係る走査装置10の模式的な配置図である。本実施例においては、走査装置10は、所定の領域(以下、走査領域と称する)R0の光走査を行い、走査領域R0内に存在する対象物OBまでの距離を測定する走査型の測距装置である。
図1を用いて、走査装置10の構成について説明する。なお、
図1には、走査領域R0及び対象物OBを模式的に示している。
【0012】
走査装置10は、1次光L1として例えばパルス光を生成及び出射する光源11を有する。本実施例においては、光源11は、1次光L1として赤外領域にピーク波長を有するレーザ光を生成し、これを断続的に出射する。
【0013】
走査装置10は、互いに直交する回動軸(第2及び第1の回動軸)AX及びAYの周りに回動し、光源11から出射された1次光L1を走査領域R0に向けて反射させる回動素子12を有する。本実施例においては、回動素子12は、出射光L1を方向可変に偏向する偏向素子として機能する。回動素子12は、反射された出射光L1を2次光L2として出射する。2次光L2は、走査領域R0を走査するための走査光となる。
【0014】
本実施例においては、回動素子12は、回動軸AX及びAYの周りに回動する1つの光反射面12Sを有する回動ミラーである。また、回動素子12の光反射面12Sは、少なくとも1次光L1に対して反射性を有する。
【0015】
また、回動素子12は、周期的に光反射面12Sが回動するように構成されている。従って、回動素子12から出射される2次光L2は、その出射方向が周期的に変化する。この2次光L2の出射方向の変化周期内に2次光L2が照射される領域は、走査領域R0となる。
【0016】
例えば、走査領域R0は、2次光L2が出射される仮想の3次元空間である。
図1においては、走査領域R0の外縁を破線で模式的に示した。例えば、走査領域R0は、回動軸AYの軸方向に対応する高さ方向D1に沿った高さ方向範囲、回動軸AXの軸方向に対応する幅方向D2に沿った幅方向範囲、及び非回動時の光反射面12Sによって反射された走査光L2の光軸の軸方向に対応する奥行方向に沿った奥行方向範囲を有する錐状の空間として定義されることができる。
【0017】
例えば、回動素子12の光反射面12Sの法線ベクトルは、回動素子12の回動に応じて周期的に変化する。また、本実施例においては、光源11は、1次光L1が回動中の回動素子12の光反射面12Sに入射するように、1次光L1を回動素子12に向けて出射する。
【0018】
従って、例えば、走査領域R0の高さ方向範囲は、1次光L1の光軸の軸方向及び1次光L1の入射時における回動素子12の光反射面12Sの法線ベクトルによって定まる2次光L2の光軸の軸方向における、回動軸AYの軸方向の成分の変化範囲に対応する。また、走査領域R0の幅方向範囲は、当該2次光L2の軸方向における回動軸AXの軸方向の成分の変化範囲に対応する。また、走査領域R0の奥行方向範囲は、2次光L2が所定の強度(走査装置10が検出可能な強度)を維持できる距離の範囲に対応する。
【0019】
また、走査領域R0内における回動素子12から所定の距離だけ離れた仮想の平面を走査面R1としたとき、走査面R1は、高さ方向D1及び幅方向D2に沿って広がる2次元的な領域として定義されることができる。2次光L2は、この走査面R1を走査するように、走査領域R0に向けて出射される。
【0020】
また、
図1に示すように、走査領域R0に対象物OB(すなわち2次光L2に対して反射性又は散乱性を有する物体又は物質)が存在する場合、2次光L2は、対象物OBによって反射又は散乱される。対象物OBによって反射された2次光L2は、その一部が、3次光L3として、2次光L2とほぼ同一の光路を2次光L2とは反対の方向に向かって進み、回動素子12に戻って来る。
【0021】
走査装置10は、1次光L1の光路上に設けられて1次光L1及び3次光L3を分離する分離素子13と、分離された3次光L3を受光する受光素子14と、を有する。分離素子13は、例えば、1次光L1を反射させ、3次光L3を透過させるビームスプリッタである。
【0022】
本実施例においては、受光素子14は、回動素子12を経て投光され、対象物OBによって反射され、かつ回動素子12を経た光である3次光L3を受光する。また、受光素子14は、3次光L3を検出し、3次光L3の検出結果、例えば3次光L3の強度値を示す電気信号を生成する少なくとも1つの検出素子を有する。走査装置10は、受光素子14によって生成された当該電気信号を走査領域R0の走査結果として生成する。
【0023】
なお、図示していないが、走査装置10は、例えば、光源11と回動素子12との間の1次光L1の光路上に設けられて1次光L1を整形する光学系を有していてもよい。また、走査装置10は、分離素子13と受光素子14との間の3次光L3の光路上に設けられて3次光L3を集光する光学系を有していてもよい。これらの光学系は、例えば、少なくとも1つのレンズを含み、フィルタを含んでいてもよい。
【0024】
走査装置10は、光源11、回動素子12及び受光素子14を駆動し、また、その制御を行う制御部15を有する。制御部15は、光源11の駆動及び制御を行う光源制御部15Aと、回動素子12の駆動及び制御を行う回動素子制御部15Bと、受光素子14の駆動及び制御を行う受光素子制御部15Cと、を有する。
【0025】
また、制御部15は、受光素子14による3次光L3の受光結果に基づいて対象物OBまでの距離を測定する測距部15Dを有する。本実施例においては、測距部15Dは、受光素子14によって生成された電気信号から3次光L3を示すパルスを検出する。また、測距部15Dは、2次光L2の出射タイミングと3次光L3の受光タイミングとの間の時間差に基づくタイムオブフライト法によって、対象物OB(又はその一部の表面領域)までの距離を測定する。また、測距部15Dは、測定した距離情報を示すデータ(測距データ)を生成する。
【0026】
また、本実施例においては、測距部15Dは、走査領域R0(走査面R1)を複数の測距点(走査点)に区別し、当該複数の測距点の各々の測距結果(距離値)を画素として示す走査領域R0の画像(測距画像)を生成する。本実施例においては、測距部15Dは、測距点と回動素子12の光反射面12Sの変位とを示す情報とを対応付け、走査領域R0の2次元マップ又は3次元マップを示す画像データを生成する。
【0027】
また、測距部15Dは、例えば、2次光L2の出射方向の変化周期を走査領域R0を走査する周期である走査周期とし、この走査周期毎に1つの測距画像を生成する。なお、測距部15Dは、測距画像を表示する表示部(図示せず)に接続されていてもよく、当該表示部に当該測距画像を送信するように構成されていてもよい。
【0028】
図2は、回動素子12の模式的な斜視図である。本実施例においては、回動素子12は、光反射面12Sが回動軸AX及びAYの周りに回動するように構成されたMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーである。
【0029】
まず、本実施例においては、回動素子12は、ベース21と、ベース21に固定された環状の固定枠22と、を有する。固定枠22は、矩形板状の外形形状を有し、その一方の板面の外周部においてベース21に支持されている。
【0030】
回動素子12は、各々が固定枠22の内周部に設けられかつ第1の方向(以下、x方向と称する)において互いに対向するようにx方向に沿って延びる第1及び第2のトーションバー23A及び23Bからなる第1の支持部23を有する。本実施例においては、第1及び第2のトーションバー23A及び23Bの各々は、弾性を有する。
【0031】
回動素子12は、外周部において第1の支持部23によって支持され、x方向を軸方向とする第1の回動軸(回動軸AXに対応する軸、以下、回動軸AXと称する)の周りに回動する環状の回動枠24を有する。
【0032】
本実施例においては、回動枠24は、第1及び第2のトーションバー23A及び23Bの各々における固定枠22とは反対側の端部に弾性的に支持されている。また、本実施例においては、回動枠24は、全体としては矩形の環状形状を有し、その内周部に枠状の内周枠部24Aを有する。本実施例においては、内周枠部24Aは、回動枠24の外周部をなす部分と重複した部分を有する。
【0033】
回動素子12は、各々が可動枠24の内周部に設けられかつx方向に垂直な第2の方向(以下、y方向と称する)において互いに対向するようにy方向に沿って延びる第3及び第4のトーションバー25A及び25Bからなる第2の支持部25を有する。本実施例においては、第3及び第4のトーションバー25A及び25Bの各々は、弾性を有する。
【0034】
回動素子12は、外周部において第2の支持部25によって支持され、y方向を軸方向とする第2の回動軸(回動軸AYに対応する軸、以下、回動軸AYと称する)の周りに回動する円板状の回動板26を有する。また、回動素子12は、回動板26の一方の板面上において回動板26と同心円状に設けられ、1次光L1に対して光反射性を有する光反射膜27を有する。本実施例においては、光反射膜27は、回動素子12における光反射面12Sを構成する。
【0035】
また、回動素子12は、回動枠24及び回動板26を回動させる回動力を生成する駆動源28を有する。本実施例においては、駆動源28は、ベース21上に設けられかつy方向において固定枠22を挟むように配置された第1の永久磁石28Aと、可動枠24の外周部に形成されかつ当該外周部上において回動板26を囲むようにかつ第1の永久磁石28Aの内側に配置されるように配線された第1のコイル28Bと、を有する。第1の永久磁石28A及び第2のコイル28Bは、回動枠24及び回動板26を回動軸AXの周りに回動させる回動力を生成する。
【0036】
また、本実施例においては、駆動源28は、ベース上21上において回動板26とベース21との間に設けられた第2の永久磁石28Cと、回動枠24の内周部24A上において回動板26を取り囲むように配線された第2のコイル28Dと、を有する。第2の永久磁石28C及び第2のコイル28Dは、回動板26を回動軸AYの周りに回動させる回動力を生成する。
【0037】
また、本実施例においては、回動枠24は、x方向において回動板26を挟むように設けられた2つの開口部24Bを有する。また、駆動源28は、ベース21上において各々が回動枠24の開口部24Bに挿入されるようにz方向に延び、かつx方向において第2の永久磁石28C及び第2のコイル28Dを挟むように配置された2つの磁性体28Eを有する。
【0038】
また、制御部15における回動素子制御部15Bは、第1及び第2のコイル28B及び28Dに接続され、駆動信号として、第1及び第2のコイル28B及び28Dに電圧を印加する。
【0039】
第1及び第2のコイル28B及び28Dに電圧が印加されることで、第1及び第2の永久磁石28A及び28Cによって生成された磁界及び第1及び第2のコイル28B及び28Dに流れる電流に基づいた回動枠24及び回動板26の回動力が生成される。例えば、第1のコイル28Bに流れる電流と、第1の永久磁石28A間に生成されるy方向の磁界と、に基づいて、回動枠24に対する回動軸AXの周りの回動力が生成される。
【0040】
また、本実施例においては、第2のコイル28Dに流れる電流と、第2の永久磁石28C及び磁性体28E間に生成される磁界と、によって、回動枠24に対して回動軸AYの周りの回動力が生成され、これに従って回動板26が回動軸AYの周りに回動する。
【0041】
このようにして、回動素子制御部15Bは、駆動源28を駆動することで、回動板26(及び光反射面12S)を回動軸AX及びAYの周りに回動させる駆動回路として機能する。
【0042】
本実施例においては、回動素子制御部15Bは、回動板24が回動軸AXの周りには非共振の態様で回動し、かつ回動軸AYの周りには共振しつつ回動するように、第1及び第2のコイル28B及び28Dに電圧を印加する。
【0043】
具体的には、例えば、回動素子制御部15Bは、第1のコイル28Bに対しては、回動枠24及び回動板26の共振させるための周波数とは異なる周波数で周期的に電圧値が変化する電圧、例えば当該共振周波数よりも低い周波数で電圧値が変化するのこぎり波状の電圧を印加する。一方、回動素子制御部15Bは、第2のコイル28Dに対しては、回動枠24及び回動板26の共振周波数に対応する周波数で周期的に電圧値が変化する電圧、例えば正弦波状の電圧を印加する。
【0044】
なお、以下においては、x方向及びy方向に垂直な方向をz方向と称する場合がある。例えば、z方向は、非回動時の回動板26又は光反射面12Sの法線方向に対応する。1次光L1は、例えばz方向の成分を有する方向に沿って光反射面12Sに入射する。
【0045】
図3及び
図4は、回動素子12における回動板26の近傍の平面図である。
図3は、回動板26における光反射膜27が設けられた板面(以下、第1の面又は表面と称する場合がある)26Aを示す平面図である。
図4は、回動板26における板面26Aとは反対側の板面(以下、第2の面又は裏面と称する場合がある)26Bを示す平面図である。
【0046】
また、
図5は、
図3の5-5線に沿った断面図であり、回動軸AXに沿った回動板26の断面図である。
図3乃至
図5を用いて、回動素子12における回動板26の近傍の構成について説明する。
【0047】
まず、
図3及び
図5に示すように、本実施例においては、回動素子12は、各々が光反射膜27の表面の外縁においてz方向(光反射膜27の表面に垂直な方向)に突出する第1及び第2の表面突起部(第1及び第2の突起部)31及び32からなる表面突起群30を有する。
【0048】
本実施例においては、第1及び第2の表面突起部31及び32の各々は、光反射膜27の外縁に沿って曲線状に連続して形成された1つの突起からなる。また、第1及び第2の表面突起部31及び32は、回動軸AYを挟んで互いに離隔して配置されている。また、第1及び第2の表面突起部31及び32の各々は、回動軸AXに関して対称的な形状を有している。また、第1及び第2の表面突起部31及び32は、回動軸AYに関して対称的な位置に配置されている。
【0049】
また、
図4及び
図5に示すように、本実施例においては、回動素子12は、各々が回動板26の裏面26Bからz方向(回動板26の裏面26Bに垂直な方向)に突出する第1、第2及び第3の裏面突起部(第3、第4及び第5の突起部)41、42及び43からなる裏面突起群40を有する。
【0050】
本実施例においては、第1及び第2の裏面突起部41及び42は、回動板26を挟んで第1及び第2の表面突起部31及び32に対向する位置にそれぞれ設けられている。また、第3の裏面突起部43は、回動板26の裏面26Bにおける光反射膜27に対向する領域26BBに設けられている。
【0051】
第1及び第2の裏面突起部41及び42は、第1及び第2の表面突起部31及び32の各々と同様に、曲線状に延びるように形成されている。また、第1及び第2の裏面突起部41及び42は、回動軸AYを挟んで互いに離隔して配置されている。また、第1及び第2の裏面突起部41及び42の各々は、回動軸AXに関して対称的な形状を有している。また、第1及び第2の裏面突起部41及び42は、回動軸AYに関して対称的な位置に配置されている。
【0052】
また、本実施例においては、第3の裏面突起部43は、回動軸AX及びAYの各々に関して対称的な形状を有する。また、本実施例においては、第3の裏面突起部43は、回動板26の裏面26Bにおいて、網目状又は格子状に形成されている。
【0053】
また、
図5に示すように、表面突起群30は、裏面突起群40よりも小さくかつ細い。より具体的には、例えば、第1の表面突起部31の幅W1は、第1の裏面突起部41の幅W2よりも狭い。また、第1の表面突起部31の高さH1は、第1の裏面突起部41の高さH2よりも低い。
【0054】
例えば、回動板26は、固定枠22、第1の支持部23、回動枠24、及び第2の支持部25と共に、一体的に形成されている。これらは、例えばシリコン基板などの半導体基板を加工することによって形成されることができる。
【0055】
また、裏面突起群40は、回動板26を形成するための半導体基板とは別の半導体基板を加工し、加工後の基板を回動板26の裏面26Bに接合することによって形成されることができる。すなわち、本実施例においては、第1、第2及び第3の裏面突起部41、42及び43は、一体的に形成されている。
【0056】
一方、表面突起群30は、例えば、駆動源28の第1及び第2のコイル28B及び28Dと同様の材料でかつ同一の工程によって形成されている。例えば、表面突起群30は、銅メッキからなる。
【0057】
従って、例えば、表面突起群30(例えば第1の表面突起部31)の幅W1及び高さH1は、裏面突起群40(例えば第1の裏面突起部41)の幅W2及び高さH2の半分以下である。また、本実施例においては、表面突起群30の幅W1及び高さH1は、回動板26の厚さT1よりも小さい。
【0058】
例えば、第1の表面突起部31の幅W1及び高さH1は、それぞれ約20μmである。一方、第1の裏面突起部41の幅W2及び高さH2は、それぞれ約40μm及び140μmである。また、回動板26の厚さT1は、約40μmである。
【0059】
図6は、2次光L2の出射範囲を測定するためのシステムの模式的な構成を示す図である。本実施例においては、小さな穴を設けたスクリーンSCを準備し、この穴を1次光L1が通過するように光源11を配置し、スクリーンSCの光源11とは反対側に回動素子12を配置した。
【0060】
そして、回動素子12を駆動して回動板26を周期的に回動させた上で、光源11を駆動して1次光L1を出射させた。そして、スクリーンSC上における2次光L2が安定して出射される回動軸AY周りの角度範囲(以下、安定回動角度と称する)SAを測定した。具体的には、回動板26の回動角を徐々に大きくしていき、スクリーンSCに照射される2次光のx方向の照射幅の変動が所定以下となる回動板26の回動角度を安定回動角度SAとした。
【0061】
図7は、その測定結果を示す図である。
図7は、回動素子12を含む本実施例に係る走査装置10と、回動板26に表面突起群30が設けられていない点を除いては回動素子12と同様の構成を有する回動素子101を含む比較例に係る走査装置100と、における、安定回動角度SAを示す図である。また、
図7には、回動素子12及び101の周囲温度を変化させた際の安定回動角度SAの変化の測定結果を示している。
【0062】
まず、
図7に示すように、まず、全ての周囲温度において、回動素子12の安定回動角度SAが回動素子101の安定回動角度SAを上回っていることがわかる。これは、表面突起群30が設けられることで、回動板26が回動する際の回動板26の近傍の雰囲気中の気体の流れが安定することに起因すると考えられる。
【0063】
より具体的には、回動板26は、回動する毎に、その周囲の気体を押しのけることとなる。そして、回動板26の回動速度が速いほど、回動板26によって押しのけられる気体の流れ(気流)が乱れやすい。これは、気流に乱流が発生することに起因すると考えられる。
【0064】
特に、回動板26は、その最大回動角度が大きくなるほど、速く回動することとなる。従って、回動板26の回動角度を大きくするほど、回動板26の近傍の気流が大きく乱れる。従って、本願の発明者は、回動板26の周囲の気体の流れを安定させることで、回動角の安定回動角度SAを大きくできると考えた。
【0065】
例えば、本実施例においては、表面突起群30は、回動軸AXを挟んで対向して配置され、かつ回動軸AXに関して対称的な形状を有する。これによって、回動中の回動板26によって押しのけられた気体は、y方向(回動軸AYに沿った方向)に安定して移動しやすい。また、表面突起群30が回動軸AYに関しても対称的な形状を有することで、この気流の制御効果が高い。
【0066】
本願の発明者は、少なくとも本願の出願時においては、このような原理によって、表面突起群30によって回動板26の安定回動角度SAを大きくすることができたと考えている。
【0067】
また、周囲温度が小さくなると、気体の粘性が低下するため、気流が乱れやすくなる。従って、周囲温度が低いほど、安定回動角度SAは小さくなる。この場合でも、
図7に示すように、どの周囲温度であっても、表面突起群30による気流の安定化の効果はあることがわかる。また、
図7には示していないが、上記した原理に基づいて、他の周囲温度においても、安定回動角度SAが大きくなることが推定される。
【0068】
また、同様に、気圧が上がる場合についても、周囲温度が下がる場合と同様に、気体が乱れやすくなる。この場合でも、表面突起群30の効果は得られると考えられる。従って、種々の環境下で使用される場合でも、安定回動角度SAが大きくなると考えられる。従って、回動素子12によって、広範囲に亘って2次光L2を安定して出射可能な走査装置10を構成することができる。
【0069】
また、本実施例においては、回動板26は、回動軸AYの周りに共振しつつ回動するように駆動される。この場合、高速で回動板26が回動することになり、気流が大きく乱れる。従って、回動板26を共振させる場合には、表面突起群30による気流の乱れの抑制効果が大きい。
【0070】
また、本実施例においては、回動板26の裏面26Bには裏面突起群40が設けられている。この裏面突起群40のうち、第1及び第2の裏面突起部41及び42は、表面突起群30と同様に、気流の乱れを抑制する作用を有すると考えられる。また、第3の裏面突起部43は、回動中における回動板26の変形(例えば波打つような変形)を抑制する作用を有する。従って、裏面突起群40が設けられることで、より安定回動角度SAが大きくなると共に、光反射膜27の変形が抑制されることで2次光L2の出射方向が安定する。
【0071】
なお、表面突起群30の構成は上記した場合に限定されない。例えば、第1及び第2の表面突起部31及び32の各々は、断続的に形成されていてもよい。
図8は、本実施例の変形例1に係る走査装置10Aにおける回動素子12Aの回動板26の表面26Aを示す平面図である。
【0072】
図8に示すように、走査装置10Aの回動素子12Aは、断続的に形成された第1及び第2の表面突起部31A及び32Aからなる表面突起群30Aを有する点を除いては、回動素子12と同様の構成を有する。
【0073】
本変形例においては、第1の表面突起部31Aは、回動軸AXを挟んで互いに対向してかつ離隔して配置された複数の突起P11及びP12を有する。同様に、第2の表面突起部32Aは、回動軸AXを挟んで互いに対向してかつ離隔して配置された複数の突起P21及びP22を有する。
【0074】
表面突起群30のように、第1及び第2の表面突起部31A及び32Aが複数の突起P11、P12、P21及びP22を有していてもよい。この場合でも、気流を安定させる効果を得ることができる。
【0075】
なお、気流を効果的に安定させることを考慮すると、表面突起群30のように、回動板26における回動時に最も変位量が大きくかつ変位速度が大きい部分、例えば、回動軸AX上の部分、回動軸AYから最も離れた部分、又は回動板26における表面26Aの外縁部分に突起が設けられていることが好ましい。すなわち、例えば、
図3に示すように、第1及び第2の表面突起31及び32は、回動板26における回動軸AX上の領域に形成されていることが好ましい。
【0076】
また、
図8に示す例では、第1及び第2の表面突起部31A及び32Aの各々における突起P11、P12、P21及びP22の各々は、連続して線状に形成されている。しかし、第1及び第2の表面突起部31A及び32Aの各々は、柱状の複数の突起を含んでいてもよい。
【0077】
また、表面突起群30は、回動板26の表面26A上に設けられていればよい。
図9は、本実施例の変形例2に係る走査装置10Bにおける回動素子12Bの回動板26の表面26Aを示す平面図である。
【0078】
図9に示すように、走査装置10Bの回動素子12Bは、光反射膜27の外側に形成された第1及び第2の表面突起部31B及び32Bからなる表面突起群30Bを有する点を除いては、回動素子12と同様の構成を有する。
【0079】
本変形例においては、第1及び第2の表面突起部31B及び32Bの各々は、回動板26の表面26A上において、光反射膜27の外縁に沿って曲線上に形成されている。この場合でも、気流を安定する効果を得ることができる。
【0080】
なお、表面突起群30Bを確実に回動板26上に固定することを考慮すると、表面突起群30Bは、本実施例に示すように、光反射膜27上に形成されていることが好ましい。これは、本実施例のように表面突起群30を金属メッキによって形成する場合、当該金属との親和性が高い光反射膜としての光反射金属上に形成することで、表面突起群30のように微小な突起であっても十分に回動板26に固定することができるからである。
【0081】
また、気流を安定させる作用を得るための突起部は、回動板26の裏面26Bに設けられていてもよい。
図10は、本実施例の変形例3に係る走査装置10Cにおける回動素子12Cの回動板26の断面図である。
【0082】
図10に示すように、走査装置10Cの回動素子12Cは、回動板26の表面26Aには突起が設けられない点、及び、裏面突起群40Aの構成を除いては、回動素子12と同様の構成を有する。
【0083】
本変形例においては、裏面突起群40Aは、表面突起群30における第1及び第2の表面突起部31及び32と同様の構成を有する第1及び第2の裏面突起部41A及び42Aを有する。すなわち、第1及び第2の裏面突起部41A及び42Aの各々は、回動板26の裏面26Bに設けられ、回動軸AYを挟んで互いに対向し、また互いに離隔して配置されている。また、第1及び第2の裏面突起部41A及び42Aの各々は、例えば表面突起群30と同様の材料、例えば銅メッキからなる。
【0084】
本変形例のように、回動板26の裏面26Bに裏面突起群40Aを設けることによっても、回動中の気流の乱れを抑制することができる。すなわち、回動素子12は、例えば、表面突起群30(第1及び第2の表面突起部31及び32)か、又は裏面突起群40A(第1及び第2の裏面突起部41A及び42A)が設けられていればよい。
【0085】
また、回動板26は、その一部又は全部1次光L1を反射させる特性を有している場合、光反射膜27が設けられる必要はない。
図11は、本実施例の変形例4に係る走査装置10Dにおける回動素子12Dの回動板26の断面図である。
【0086】
図11に示すように、走査装置10Dの回動素子12Dは、光反射膜27が設けられず、表面26A(板面)が光反射面12Sとして機能する回動板26を有する点を除いては、回動素子12と同様の構成を有する。
【0087】
この場合、光源11及び回動素子12Dは、回動板26の表面26Aに1次光L1が入射するように構成及び配置されていればよい。また、表面突起群30は、回動板26の表面26A上に設けられていればよい。すなわち、回動板26は、少なくとも、光反射性を有する領域を含む表面26A、及び表面26Aとは反対側の裏面26Bと、を有していればよい。
【0088】
また、本実施例においては、回動板26が回動軸AX及びAYの周りに回動するように構成されている場合について説明した。しかし、回動板26の構成はこれに限定されない。回動板26は、少なくとも回動軸AYの周りに回動するように構成されていればよい。この場合、例えば、回動枠24は、ベース21又は固定枠22に固定されていればよく、回動板26を回動可能に支持する支持体として機能すればよい。
【0089】
また、回動板26は、円板形状を有する場合に限定されない。回動板26は、例えば、矩形板又は多角形板の形状を有していてもよい。また、回動板26は、板状の形状を有していなくてもよい。回動板26は、少なくとも光反射面12Sを有していればよく、種々の形状を有し得る。
【0090】
従って、例えば、回動素子12は、回動軸AYのみの周りに回動するように構成される場合、少なくとも、支持体としての回動枠24と、当該支持体によって支持されて回動軸AYの周りに回動する回動体としての回動板26を有する光反射体として構成されていればよい。そして、回動体としての回動板26の表面26A及び裏面26Bの少なくとも一方には、突起が設けられていればよい。また、この場合、回動体としての回動板26が回動軸AYの周りに共振しつつ回動するように構成されている場合、突起を設ける効果が大きい。
【0091】
また、回動板26を回動軸AYのみの周りに回動させる場合、例えば、第1及び第2の表面突起部31及び32の各々は、回動板26の表面26A及び裏面26Bの少なくとも一方の中心を通りかつ回動軸AYに垂直な直線上に形成されていればよい。また、例えば、第1及び第2の表面突起部31及び32の各々は、回動板26の表面26A及び裏面26Bの少なくとも一方の中心を通りかつ回動軸AYに垂直な直線に関して対称的な形状を有していればよい。
【0092】
また、本実施例においては、表面突起群30が曲線上に形成されている場合について説明した。しかし、表面突起群30は、曲線上に形成される場合に限定されない。例えば、表面突起群30は、回動板26によって押しのけられる気体の流れを制御するフィンのように機能するような態様で形成されていればよい。好ましい配置例としては、例えば、第1及び第2の表面突起31及び32の各々は、回動板26の表面26A及び裏面26Bの少なくとも一方の外縁にそって連続的に形成された少なくとも1つの突起を有していればよい。
【0093】
また、本実施例においては、回動素子12が走査装置10内において1次光L1を方向可変に偏向しつつ2次光L2として走査領域R0に向けて出射する偏向素子として搭載される場合について説明した。しかし、回動素子12は、走査装置10以外の装置に搭載されることができる。すなわち、回動素子12は、走査以外の用途で光を方向可変に偏向する光反射体として機能することができる。
【0094】
このように、本実施例においては、光反射体は、支持体(例えば回動枠24)と、回動軸AYの周りに回動するように当該支持体に支持され、光反射性を有する領域を含む第1の面(例えば表面26A)及び当該第1の面とは反対側の第2の面(例えば裏面26B)を有する回動体(例えば回動板26)と、各々が当該回動体の当該第1の面及び第2の面の少なくとも一方に設けられ、回動軸AYを挟んで互いに離隔してかつ対向して配置された第1及び第2の突起部(例えば、第1及び第2の表面突起部31及び32、又は第1及び第2の裏面突起部41A及び42A)と、を有する。従って、安定した回動範囲を有する光反射体を提供することができる。