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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020332
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】単一針を有する血液採取管ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61B5/154 200
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191275
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2020549662の分割
【原出願日】2018-12-14
(31)【優先権主張番号】62/644,211
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/219,094
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513066638
【氏名又は名称】リトラクタブル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Retractable Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】511 Lobo Lane Little Elm, TX 75068, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】508328486
【氏名又は名称】ショー,トーマス ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】SHAW,Thomas J.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショー,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スモール,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ニ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者や医療従事者を保護する血液採取管ホルダーに関する。
【解決手段】引き込み可能な単一針を具える血液採取管ホルダー10であって、該血液採取管ホルダーの本体12は、略平行であって部分壁によって横方向に間隔をあけて配備されたバレルキャビティと針引込みキャビティとを含む(引き込み可能な単一針が、バレルキャビティから、針引込みキャビティと一直線上に揃う位置に移動して、針の引込みを開始することができるようにする)。バレルと該バレルに取り付けられた前部アタッチメントは、バレルと針とが協働して作用し、前記針の長手方向軸線に対して横向きの軸線に沿って相対的にスライド移動して、針の引込みを開始することができるよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈穿刺端部及び流体注出端部を有し、前記静脈穿刺端部と前記流体注出端部とが対向している引き込み可能な単一針と、本体と、を具える血液採取管ホルダーであって、
前記本体は、略平行であって部分壁によって横方向に間隔をあけて配備されたバレルキャビティと針引込みキャビティとを含み、前記部分壁は、前記単一針が、前記バレルキャビティから、前記針引込みキャビティと一直線上に揃う位置へ横方向に移動して、針の引込みを開始することができるよう構成されている、血液採取管ホルダー。
【請求項2】
バレルと該バレルに取り付けられた前部アタッチメントとが協働して作用することにより、バレルと針とが、前記針の長手方向軸線に対して横向きの軸線に沿って相対的にスライド移動して、針の引込みを開始することができるよう構成されている、請求項1に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項3】
バレルと針引込みキャビティとを有する略円筒形の本体と、
前部アタッチメントと、
静脈穿刺端部及び流体注出端部を有し、前記静脈穿刺端部と前記流体注出端部とが対向している引き込み可能な単一針と、を具える血液採取管ホルダーであって、
前記本体と前記前部アタッチメントが協働して作用することにより、針が引き込まれる前に、前記本体が、前記引き込み可能な単一針に対して横方向へスライド移動することができるよう構成されている、血液採取管ホルダー。
【請求項4】
本体は、略円筒形のバレルキャビティと、一体的に形成された針引込みキャビティとをさらに有し、前記バレルキャビティと前記針引込みキャビティは、略平行で、部分壁によって隔てられている、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項5】
部分壁は、引き込み可能な単一針の流体注出端部を、第1の位置から第2の位置へ横方向にスライド移動させることできるよう構成されており、前記第1の位置は、前記引き込み可能な単一針がバレルキャビティの内部の略中央で該バレルキャビティと同軸線上に揃う位置であり、前記第2の位置は、前記引き込み可能な単一針が針引込みキャビティと略一直線上に揃う位置である、請求項4に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項6】
引き込み可能な単一針の静脈穿刺端部は、前部アタッチメントから前方に突出する、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項7】
引き込み可能な単一針の静脈穿刺端部は、使用前に、選択的に着脱可能な針キャップによって被覆されている、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項8】
前部アタッチメントは、スライド部材と管ホルダーコネクタとをさらに具えている、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項9】
管ホルダーコネクタが、バレルの開口した前端部に係合し、該前端部を部分的に被覆する、請求項8に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項10】
スライド部材が、引き込み可能な単一針の長手方向軸線に対して略横向きの軸線に沿って、管ホルダーコネクタとスライド可能に係合する、請求項9に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項11】
後方に付勢された針ホルダーが、引き込み可能な単一針に固定された関係で取り付けられており、スライド部材が、前記針ホルダーに着座し支持するよう構成されている、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項12】
管ホルダーコネクタは、横方向スロットをさらに有しており、本体及びスライド部材に対して反対方向の圧力が手操作で加えられたとき、引き込み可能な単一針は、前記横方向スロットにより、前記第1の位置と前記第2の位置との間を相対的に横方向の移動が可能になる、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項13】
選択的に着脱可能な針キャップは、ロッキングアームをさらに含み、該ロッキングアームは、スライド部材と針引込みキャビティが時期尚早に略同一線上に揃うことを防止し、それによって血液採取管ホルダーを血液採取に使用する前に、針の引込みが開始するのを防止する、請求項7に記載の血液採取管ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間又は動物から血液を採取するのに有用な医療デバイスに関する。本デバイスは、「血液採取管ホルダー(blood collection tube holder)」又は「血液管ホルダー(blood tube holder)」と称されることが多いが、その理由は、従来から商業的に入手可能な「血液採取管」又は「血液管」が異なる様々な会社によって製造販売されており、それらの管と組み合わせて使用するように構成されているためである。本発明は、使用後にデバイス内の限られた空間に引き込み可能な単一針を有する単一用途の血液採取管ホルダーに関し、針が患者や医療従事者に偶発的に刺さることがないように患者や医療従事者を保護すると共に、針が偶発的に刺さることに起因する病原性汚染の可能性を低減するものである。本発明の一態様は、血液採取管ホルダーに関するもので、該血液採取管ホルダーの本体は、互いに略平行であって部分壁によって横方向に間隔をあけて配備されたバレルキャビティと針引込みキャビティとを含み、引き込み可能な単一針が、前記バレルキャビティから、前記針引込みキャビティと一直線上に揃う位置へ移動して、針の引込みを開始することができるよう構成されている。本発明の他の態様は、バレルと該バレルに取り付けられた前部アタッチメントとを有する血液採取管ホルダーに関するもので、前記バレルと前記前部アタッチメントとが協働して作用することにより、それらの間で、針の長手方向軸に対して横方向に相対的なスライド移動ができるよう構成されている。
【背景技術】
【0002】
<関連技術の説明>
従来の血液採取管ホルダーは、例えば、米国特許第5,810,775号;再発行特許RE39,107号;第8,496,600号;第9,247,899号、米国特許出願公開第20160310057号;第20180008180号及び第2018/0008181号に開示されている。
【0003】
このようなデバイスの中には、前方向を向いた静脈穿刺針(veinpuncture needle)と、後方向を向いた注出針(discharge needle)とを含む2つの別個の針を有するものがある。注出針は、血液採取管がバレルの開放された後端部に挿入されるとき、血液採取管の前部に配置されたストッパーに貫入する。流体試料を採取した後、血液採取管が血液管ホルダーのバレルから取り外され、ポリマー製シースが拡張して後方に面する針の先端を覆い、体液がバレルの開放された後部から漏出するのを防止する。このようなデバイスの一つには、ヒンジ付きのキャップがバレルの後部に設けられ、血液採取管を取り外した後にキャップを閉じることにより、注出針及び静脈穿刺針の両方がバレルの中へ後方に引き込まれるようにしたものがあり、これにより、デバイスは「安全」であり、再使用できない。
【0004】
より最近になって開示された血液収集管ホルダーには、後方に付勢された長い単一針を含み、前方及び後方の双方に向けて尖った端部を有するものがある。流体試料を採取し、血液採取管を取り外した後、内部に針引込みキャビティを有するアクチュエータを押し下げることにより、アクチュエータは、針と十分に整列される位置に移動され、針の両端がデバイスの針引込みキャビティの中へ後方に向けて付勢されることで、針の引込みが開始するので、デバイスは「安全」であり、再使用できない。
【0005】
さらに最近になって開示された血液収集管ホルダーには、別個の静脈穿刺針と注出針とを含み、静脈穿刺針の引込みキャビティが、バレルと一体的に作られた別個のチャンバーとして、又はバレルの前部アタッチメントの一部として、バレルの近傍に該バレルと平行に配備されたものがある。静脈穿刺針は後方に付勢され、静脈穿刺針の引込みは、バレルの前部アタッチメントの少なくとも一部分が横方向にスライド移動することによって開始される。その移動の際、前方に突出した静脈穿刺針が、横方向に移動して、後方向を向いた注出針との整列から外れて、針引込みキャビティと略同軸線上に整列する。静脈穿刺針が針引込みキャビティと略同一線上に揃うと、後方への付勢力によって、静脈穿刺針はデバイス内の「安全な」位置に引き込まれる。このとき、注出針はバレル内の元の位置のままである。針の引込みが行われる前又は後に、血液採取管はバレルから取り外されることができ、エラストマー製シースが、注出針の後方チップの上に拡張して、体液がバレルの開放された後端から漏出するのを防止する。
【0006】
先に開示したデバイスの使用によって改良及び利点が達成されるにもかかわらず、使用後、前部アタッチメントがバレルに対して横方向にスライド移動することによって引き込まれることができる単一針を含み、針の全体を、バレルと一体的に作られた十分な長さの針引込みキャビティと略同軸線上に再配置することができる血液採取管ホルダーが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
<発明の要旨>
開示する血液収集管ホルダーは、略円筒形の本体と、前部アタッチメントと、引き込み可能な単一針(retractable single needle)とを含み、前記単一針は、静脈穿刺端部又はチップと、流体注出端部又はチップとを対向する方向に有する。本体と前部アタッチメントは、針が引き込まれる前に、本体が単一針に対して横方向へスライド移動するように協働作用するよう構成される。本発明の満足し得る実施形態の一つでは、本体は、略円筒形のバレルキャビティと、一体的に形成された針引込みキャビティとをさらに含み、これらは略平行であり、部分壁(partial wall)によって離間している。部分壁は、単一針の流体注出端部を、単一針がバレルキャビティの内部の略中央で該バレルキャビティと同軸線上に揃う第1の位置から、単一針が引込みキャビティと略一直線上に揃う第2の位置へ、横方向にスライド移動させることできるよう構成されることが好ましい。バレルキャビティは、単一針の流体注出端部と動作可能に係合する従来の血液採取管を収容し支持するように構成される。
【0008】
単一針の静脈穿刺端部は、前部アタッチメントから前方に突出し、使用前は選択的に着脱可能な針キャップによって覆われているのが好ましい。前部アタッチメントは、バレルの開放された前端部を摩擦係合によって部分的に覆う管ホルダーコネクタと、単一針を通る長手方向軸線に対して略横向きの軸線に沿って管ホルダーコネクタにスライド可能に係合するスライド部材と、をさらに具える。単一針には、後方に付勢された針ホルダーが固定された関係(in fixed relation)で取り付けられており、スライド部材は、前記針ホルダーに着座(seat)し支持するよう構成される。管ホルダーコネクタは、横方向スロットをさらに有しており、針ホルダーと針引込みキャビティとを略同一線上に揃えることで単一針を針引込みキャビティの中へ引込みを開始させることを目的として、本体及びスライド部材に対して反対方向の圧力が手操作で加えられたとき、単一針は、前記横方向スロットにより、前記第1の位置と前記第2の位置との間で横方向の相対的移動が可能になる。本発明の好ましい一実施形態において、選択的に着脱可能な針キャップは、ロッキングアームをさらに含み、該ロッキングアームは、スライド部材と針引込みキャビティが時期尚早に略同一線上に揃うことを防止し、それによって血液採取管ホルダーを血液採取に使用する前に、単一針の引込みが開始するのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のデバイスについて、以下の図面に関連してさらに記載し、説明する。
図1図1は、本発明の血液採取管ホルダーの一実施形態の正面斜視図である。
図2図2は、図1の血液採取管ホルダーの正面斜視図において針キャップが除去された図である。
図3図3は、図1の血液採取管ホルダーの後部斜視図である。
図4図4は、実質的に図1及び図3に示された血液採取管ホルダーの平面図である。
図5図5は、図1の血液採取管ホルダーをその長手方向軸線を中心に時計回りに90度回転させた正面図である。
図6図6は、図5の血液採取管ホルダーの背面図である。
図7図7は、図4の血液採取管ホルダーの平面図において、針キャップが除去された図である。
図8図8は、図1及び図3の血液採取管ホルダーの右側面図である。
図9図9は、図1の血液採取管ホルダーをその長手方向軸線を中心に時計回りに180度回転させた左側面図である。
図10図10は、図5のA-A線に沿う断面図である。
図11図11は、図1の血液採取管ホルダーの分解斜視図である。
図12図12は、図7の血液採取管ホルダーについて、静脈穿刺針が引き込まれた図である。
図13図13は、図5の血液採取管ホルダーについて、針カバーが除去され、静脈穿刺針が引き込まれた図である。
図14図14は、図13のC-C線に沿う断面図である。
図15図15は、図2の血液採取管ホルダーについて、針が引き込まれた図である。
図16図16は、図11の針支持部材を拡大して示す詳細図である。
図17図17は、図16の針支持部材の背面斜視図であり、本発明の血液採取管ホルダーを通る長手方向軸線を中心に時計回りに180度回転させた図である。
図18図18は、図11の管ホルダーコネクタを拡大して示す詳細図である。
図19図19は、図18の管ホルダーコネクタの背面斜視図であり、本発明の血液採取管ホルダーを通る長手方向軸線を中心に時計回りに180度回転させた図である。
図20図20は、図4のB-B線に沿う拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図11を参照すると、血液採取管ホルダー10は、本体12と、管ホルダーコネクタ24及びスライド部材38を具える前部アタッチメントと、針キャップ40(図1及び図3)と、引き込み可能な単一針30(図2)とを含む。本体12は、バレル16と、バレルキャビティ14と、針引込みチャンバー20と、バレル16の後部開口部の周囲に配置された後部フランジ22とを含む。図2及び図7を参照すると、引き込み可能な単一針30は、前部アタッチメントのスライド部材38の針支持部材46から前方に突出する。
【0011】
図4図6及び図8図10を参照すると、血液採取管ホルダー10は使用前の位置が示されており、選択的に取外し可能な針キャップ40が、引き込み可能な単一針30を覆って配置され、該針キャップ40は、針支持部材46(図7参照)の周囲にて軸方向に延在し周方向に間隔をあけて形成されたリブと、摩擦的に係合している。引き込み可能な単一針30を使用して患者から血液を採取する前に、本体12とスライド部材38とが相対的にスライド移動しないように、ロック用支持アーム42(図10図11を参照)が配備される。スライド部材38は前面44をさらに含んでおり、針支持部材46は、図7に最もよく示されるように、引き込み可能な単一針30の一部の周囲にて、前面44から前方に向けて突出している。
【0012】
図10図11を参照すると、引き込み可能な単一針30は、前方向を向いた静脈穿刺端部32と後方向を向いた流体注出端部34とをさらに含む。患者から血液を採取するために、血液採取管(図示せず)をバレルキャビティ14の中に挿入して、血液採取管ホルダー10を使用する前は、上述したように、選択的に着脱可能な針キャップ40が所定の位置に配置され、エラストマー製のコラプシブルシース(collapsible elastomeric sheath)26が、引き込み可能な単一針30の流体注出端部34を被覆し保護しているので、流
体注出端部34が不注意により汚染されることはない。血液採取管が本体12のバレル16のバレルキャビティ14の中に挿入されると、シース26は、引き込み可能な単一針30の周りで後方へつぶれるので、流体注出端部34が、血液採取管のエラストマーストッパーを貫通して、引き込み可能な単一針30の静脈穿刺端部32と、採取された血液が注出される血液採取管の内部との間で流体の連通が可能になる。引き込み可能な単一針30が図10に示される使用前位置にあるとき、針30は、バレルキャビティ14内の略中央に位置し、本体12の針引込みチャンバー20内の針引込みキャビティ76から横方向に離間した位置にある。
【0013】
再び図10図11を参照すると、引き込み可能な単一針30は、好ましくは、固定された軸関係で針ホルダー28、92に取り付けられており、当該針ホルダーは、エラストマー製コラプシブルシース26の前方に延びる端部と摩擦係合できるように、後方に延びる環状突起94をさらに含む。なお、前記エラストマー製シース26は、好ましくはゴムスリーブである。付勢部材は、例えば圧縮可能なコイルばね36であり、好ましくは、針支持部材46のボア60(図16)の内部で、針30の中央部分及び針ホルダー26の前方向を向いたシャフト部分の周囲に着座される。そして、付勢部材は、血液採取管ホルダー10の組み立て中に圧縮されると、針ホルダー28のヘッド92の前側と接触して係合する。引き込み可能な単一針30がその前方に突出した位置にある限り、針ホルダー28のヘッド92は、血液採取管ホルダー10の前部アタッチメント及び本体12に関して後方に付勢されている。
【0014】
図11図16図17及び図20を参照すると、本体12(図7)の前部アタッチメントのスライド部材38には、さらに、位置決めブロック54、56が対向して配備される。これらの位置決めブロックは、針ホルダー28(図11)のヘッド92と係合可能であり、後述するように、針ホルダー28を横方向に移動させることができる。横向きに延びるトップレール50及びボトムレール52は、それぞれ、管ホルダーコネクタ24の横向きに延びるトップレール68及びボトムレール70と係合してスライド可能である。図17及び図18を参照すると、好ましくは、スライド部材38に突起96、98(図17)が設けられている。これらの突起は、管ホルダーコネクタ24の凹部100(ボトムの
凹部は見えない)と係合し、その協働作用により、血液採取管ホルダー10の組立て中及び使用中に、引き込み可能な単一針30を、管ホルダーコネクタ24のスロット72内の適当な位置に位置決めする。図11図18図19を参照すると、管ホルダーコネクタ24の周方向に延びる円弧状リング64と管ホルダーコネクタ24の環状壁62が設けられており、これらは協働作用して、管ホルダーコネクタ24と本体12のバレル16の前方向を向いた縁部との間で摩擦係合が形成される。後述するように反対方向の圧力がテクスチャ状タッチ面74、48に加えられたとき、管ホルダーコネクタ24がバレル16の前端部に取り付けられた状態が維持されるように、摩擦係合は十分なものであることが好ましい。
【0015】
図5図6及び図13は、フランジ22について、対向する円弧状縁部88、90と対向する平らな縁部84、86とを示している。図5図6は、針30が引き込まれていない位置にあるときのスライド部材38と管ホルダーコネクタ24の相対的位置を示し、図13は、針30が引き込まれた位置にあるときのスライド部材38と管ホルダーコネクタ24の相対的位置を示している。
【0016】
図5及び図7図11を参照すると、本体12の前部アタッチメントについて、スライド部材38には、テクスチャ状タッチパッド48が配備され、管ホルダーコネクタ24にはテクスチャ状タッチパッド74が配備される。各タッチパッドに対して、手操作で反対方向に圧力を加えることにより、本体12は、スライド部材34、針ホルダー28、圧縮ばね36及び引き込み可能な単一針30に対して横方向にスライド移動することができる。この移動は横方向移動であることが好ましく、引き込み可能な単一針30の注出端部34が、部分壁82(図10)の低壁部(reduced height portion)80を通過して、針30と針引込みキャビティ76とが略同一線上に揃う位置に達すると、圧縮コイルばね36が図14に示される位置まで展開するので、針ホルダー28と注出端部34は、針引込みキャビティ76内を後方に向けて移動することが可能になる。引き込み可能な単一針30の長さは、図14に示される位置にあるとき、針30の静脈穿刺端部32がスライド部材38の針支持部材46内に完全に収容されるような長さであることが好ましい。図12図15は、本発明の血液採取管ホルダー10が、引き込み可能な単一針30が完全に引き込まれた位置にある状態を示している。
【0017】
当該分野の専門家であれば、本明細書を添付の図面と共に読むことにより、本発明の他の変更及び修正を成し得るであろう。それゆえ、本明細書に開示された発明の範囲は、発明者及び/又は出願人が法的に権利を有する添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液採取管ホルダーであって、
単一の長手方向軸線を有し、静脈穿刺端部及び注出端部を含む、引き込み可能な単一針であって、前記静脈穿刺端部と前記注出端部とは互いに対向し、前記単一の長手方向軸線に沿って同軸線上に揃う位置にある、引き込み可能な単一針と、
血液採取管を収容するよう構成されたバレルキャビティを含むバレルと、
前記バレルと長手方向に平行して配置された針引込みキャビティと、を含み、
前記血液採取管ホルダーは、前記引き込み可能な単一針が、前記注出端部が前記バレルキャビティの中に配置される第1の位置から、前記注出端部が前記針引込みキャビティの中に配置される第2の位置まで、前記単一の長手方向軸線に実質的に直交する方向へ移動して、引込みを開始することができるよう構成されている、血液採取管ホルダー。
【請求項2】
横方向スロットを有する管ホルダーコネクタをさらに含み、前記管ホルダーコネクタは、前記バレルの前端部に摩擦係合するよう構成され、
前記引き込み可能な単一針の前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記横方向スロットを通じて行われる、請求項1に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項3】
前記バレルキャビティと前記針引込みキャビティとの間に形成された長手方向スロットをさらに含み、前記引き込み可能な単一針の前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記長手方向スロットを通じて行われる、請求項2に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項4】
前記バレルキャビティと前記針引込みキャビティとを少なくとも部分的に分離する内壁をさらに含み、前記内壁は、高さが減少した前方部を含み、
前記長手方向スロットは、少なくとも一部分が、前記内壁の前記前方部によって形成されている、請求項3に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項5】
血液採取管ホルダーであって、
単一の長手方向軸線を有し、静脈穿刺端部及び注出端部を含む、引き込み可能な単一針であって、前記静脈穿刺端部と前記注出端部とは互いに対向し、前記単一の長手方向軸線に沿って同軸線上に揃う位置にある、引き込み可能な単一針と、
バレルキャビティ、前端部及び後端部を有し、血液採取管を収容するよう構成されているバレルと、
前記バレルに平行して配置された針引込みキャビティと、
前記バレルキャビティと前記針引込みキャビティとの間に形成され、後方部及び前記後方部よりも高さが減少した前方部を含む内壁と、を含み、
前記内壁の前記前方部は、前記引き込み可能な単一針が、前記注出端部が前記バレルキャビティの中に配置される第1の位置から、前記注出端部が前記針引込みキャビティの中に配置される第2の位置まで、横方向に移動できるよう構成されている、血液採取管ホルダー。
【請求項6】
前記バレルの前記前端部に配備された前部アタッチメントをさらに含み、
前記前部アタッチメントの少なくとも一部は、前記引き込み可能な単一針を前記第1の位置から前記第2の位置への移動を可能にするために、前記引き込み可能な単一針を、前記バレル及び前記針引込みキャビティとスライド可能に係合して保持するように構成され、
前記血液採取管ホルダーは、前記引き込み可能な単一針が、前記第2の位置から、完全に引き込まれた位置に移動できるようさらに構成されている、請求項5に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項7】
前記前部アタッチメントは、
前記バレルの前記前端部と摩擦係合するコネクタと、
針支持体を含むスライド部材と、を含み、
前記針支持体は、前記引き込み可能な単一針が前記第1の位置及び前記第2の位置にある間は前記引き込み可能な単一針を保持し、前記引き込み可能な単一針を解放して、前記引き込み可能な単一針が前記完全に引き込まれた位置に移動できるよう構成されている、請求項6に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項8】
前記引き込み可能な単一針は、前記針引込みキャビティの中に一部分が配置され、前記完全に引き込まれた位置にあるとき、前記針支持体の中に一部分が配置される、請求項7に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項9】
前記引き込み可能な単一針の前記静脈穿刺端部は前記針支持体の中に配置され、前記引き込み可能な単一針の前記注出端部は、前記引き込み可能な単一針が前記完全に引き込まれた位置にあるとき、前記針引込みキャビティの中に配置される、請求項7に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項10】
前記スライド部材は、第1の外向きに面するタッチ面を含み、
前記コネクタは、第2の外向きに面するタッチ面を含み、前記第2の外向きに面するタッチ面は、前記第1の外向きに面するタッチ面とは実質的に反対側に配置され、
前記完全に引き込まれた位置への引込みを開始させるための前記引き込み可能な単一針の前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記第1の外向きに面するタッチ面及び前記第2の外向きに面するタッチ面に対して、前記単一の長手方向軸線の方向に圧力を加えることによって行われる、請求項9に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項11】
一体成形された本体をさらに含み、
前記一体成形された本体は、前記バレルと、前記針引込みキャビティと、前記内壁と、を含み、
前記注出端部は、前記引き込み可能な単一針が前記第1の位置から前記第2の位置へ横方向に移動する間、前記内壁の前記前方部と前記一体成形された本体の外壁との間の空間を通る、請求項5に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項12】
血液採取管ホルダーであって、
単一の長手方向軸線を有し、静脈穿刺端部及び注出端部を含む、引き込み可能な単一針と、
長手方向軸線を有するバレル、前記バレルに対して長手方向に平行な針引込みキャビティ、及び前記バレルと前記針引込みキャビティとの間に形成された長手方向スロット、を含む本体と、
横方向スロットを含み、前記バレルの前端部に摩擦係合するよう構成された管ホルダーコネクタと、
前記引き込み可能な単一針を保持して前記管ホルダーコネクタとスライド可能に係合するよう構成されたスライド部材であって、前記引き込み可能な単一針が、前記横方向スロット及び前記長手方向スロットを通って横方向に移動して、引込みを開始できるようにした、スライド部材と、を含む、血液採取管ホルダー。
【請求項13】
前記本体は、前記バレルと前記針引込みキャビティとを少なくとも部分的に分離する内壁をさらに含み、
前記内壁は、高さが減少した前方部を含み、
前記長手方向スロットは、前記内壁の前記前方部によって形成されている、請求項12に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項14】
血液採取管ホルダーであって、
単一の長手方向軸線を有し、静脈穿刺端部及び注出端部を含む、引き込み可能な単一針であって、前記静脈穿刺端部と前記注出端部とは互いに対向し、前記単一の長手方向軸線に沿って同軸線上に揃う位置にある、引き込み可能な単一針と、
バレルキャビティを有するバレル及び針引込みキャビティを含む本体と、を含み、
前記バレルキャビティ及び前記針引込みキャビティは、部分壁によって横方向に間隔をあけて分離され、前記部分壁の前方に形成された高さが減少した部分を介して連通しており、
前記高さが減少した部分は、前記引き込み可能な単一針が、前記バレルキャビティの第1の位置から、前記針引込みキャビティと揃う第2の位置へ横方向に移動して、引込みを開始することができるよう構成されている、血液採取管ホルダー。
【請求項15】
前部アタッチメントをさらに含み、
前記バレルと前記前部アタッチメントは、前記バレルと前記前部アタッチメントとの間で協働的に作用し、前記単一の長手方向軸線に対して横方向の軸線に沿って、相対的にスライド移動できるよう構成され、前記引き込み可能な単一針が前記針引込みキャビティと揃う位置へ横方向に移動して、前記引き込み可能な単一針の引込みを開始することができる、請求項14に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項16】
前記部分壁は、前記引き込み可能な単一針の流体注出端部が、前記引き込み可能な単一針の全長が前記バレルキャビティと同軸線上に揃う前記第1の位置から、前記引き込み可能な単一針の全長が前記針引込みキャビティと実質的に揃う位置へ、横方向にスライド移動できるよう構成されている、請求項15に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項17】
前記前部アタッチメントは、
前方に突出する針支持体を含むスライド部材と、
前記バレルの前端部と固定された関係で係合し、前記バレルの前端部を部分的に覆うよう構成された管ホルダーコネクタと、を含み、
前記スライド部材は、前記単一の長手方向軸線に対して実質的に横方向である第2の軸線に沿って前記管ホルダーコネクタとスライド可能に係合する、請求項15に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項18】
前記引き込み可能な単一針と固定された関係で取り付けられた針ホルダーと、
前記針ホルダーに係合し前記針ホルダーを後方に付勢するばねと、をさらに含み、
前記スライド部材は、前記針ホルダーに着座して前記針ホルダーを支持するよう構成され、前記針ホルダー及び前記引き込み可能な単一針が、前記第2の軸線に沿って、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動できるようにしており、
前記ばねは、前記第2の位置に達すると、前記針ホルダーを前記針引込みキャビティの中へ後方に付勢して、前記引き込み可能な単一針が完全に引き込まれた位置に移動できるよう構成され、
前記引き込み可能な単一針が完全に引き込まれた位置にあるとき、前記静脈穿刺端部は前記前方に突出する針支持体の中に配置され、前記注出端部は前記針引込みキャビティの中に配置される、請求項17に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項19】
前記管ホルダーコネクタは、横方向スロットをさらに含み、前記横方向スロットは、(1)前記本体又は前記管ホルダーコネクタ及び(2)前記スライド部材に対して反対方向の圧力が手操作で加えられたとき、前記引き込み可能な単一針が、前記第1の位置と前記第2の位置との間で、前記第2の軸線に沿って、相対的に横方向移動できるようにした、請求項18に記載の血液採取管ホルダー。
【請求項20】
血液採取管ホルダーであって、
血液採取管を収容することができるよう構成された後端部を含むバレルと、
前記バレルと平行な針引込みキャビティと、
前記バレルと前記針引込みキャビティとを少なくとも部分的に分離する壁であって、高さの減少した部分を含み、前記高さの減少した部分が前記バレルと前記針引込みキャビティとを連通させることができる長手方向スロットを形成する、壁と、
針ホルダーと、
前記針ホルダーから前方に突出し、前記針ホルダーに固定された静脈穿刺端部と、
前記針ホルダーから後方に突出し、前記針ホルダーに固定された注出端部と、
横方向スロットを含む管ホルダーコネクタであって、前記バレルの前端部に対して固定された関係で摩擦係合するよう構成された、管ホルダーコネクタと、
針支持体を含むスライド部材であって、前記針ホルダーを保持し、前記管ホルダーコネクタとスライド可能に係合して、前記針ホルダーが前記横方向スロットを通じて横方向に移動できるよう構成されており、前記静脈穿刺端部及び前記注出端部が、前記バレルと揃う第1の位置から、前記針引込みキャビティと揃う第2の位置へ移動して、前記針ホルダーの引込みを開始できるようにした、スライド部材と、を含み、
前記注出端部は、前記第1の位置にあるときは前記バレルの中に配置され、前記第2の位置にあるときは前記針引込みキャビティの中に配置され、
前記静脈穿刺端部は、前記第1の位置にあるときは前記針支持体の前方に配置され、前記第2の位置にあるときは前記針支持体の中に配置される、血液採取管ホルダー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明のデバイスについて、以下の図面に関連してさらに記載し、説明する。
図1図1は、本発明の血液採取管ホルダーの一実施形態の正面斜視図である。
図2図2は、図1の血液採取管ホルダーの正面斜視図において針キャップが除去された図である。
図3図3は、図1の血液採取管ホルダーの後部斜視図である。
図4図4は、実質的に図1及び図3に示された血液採取管ホルダーの平面図である。
図5図5は、図1の血液採取管ホルダーをその長手方向軸線を中心に時計回りに90度回転させた正面図である。
図6図6は、図5の血液採取管ホルダーの背面図である。
図7図7は、図4の血液採取管ホルダーの平面図において、針キャップが除去された図である。
図8図8は、図1及び図3の血液採取管ホルダーの右側面図である。
図9図9は、図1の血液採取管ホルダーをその長手方向軸線を中心に時計回りに180度回転させた左側面図である。
図10図10は、図510-10線に沿う断面図である。
図11図11は、図1の血液採取管ホルダーの分解斜視図である。
図12図12は、図7の血液採取管ホルダーについて、静脈穿刺針が引き込まれた図である。
図13図13は、図5の血液採取管ホルダーについて、針カバーが除去され、静脈穿刺針が引き込まれた図である。
図14図14は、図1314-14線に沿う断面図である。
図15図15は、図2の血液採取管ホルダーについて、針が引き込まれた図である。
図16図16は、図11の針支持部材を拡大して示す詳細図である。
図17図17は、図16の針支持部材の背面斜視図であり、本発明の血液採取管ホルダーを通る長手方向軸線を中心に時計回りに180度回転させた図である。
図18図18は、図11の管ホルダーコネクタを拡大して示す詳細図である。
図19図19は、図18の管ホルダーコネクタの背面斜視図であり、本発明の血液採取管ホルダーを通る長手方向軸線を中心に時計回りに180度回転させた図である。
図20図20は、図420-20線に沿う拡大断面図である。
【外国語明細書】