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特開2024-20344選択した血管又はその一部の修復、及び傷ついた体腔内壁の迅速な治癒のための機器及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020344
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】選択した血管又はその一部の修復、及び傷ついた体腔内壁の迅速な治癒のための機器及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191865
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2020514141の分割
【原出願日】2018-05-16
(31)【優先権主張番号】62/508,690
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/976,199
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519412109
【氏名又は名称】プロメテウス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リーバー,バルーク
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,ジョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】血管及び他の身体管腔又は体腔での治療的介入のためのシステム、装置、及び方法を提供する。
【解決手段】装置が、カテーテル本体120と、カテーテル本体の遠位端に配置された発光素子130と、流体源に接続可能な流体導管とを有するカテーテルを含む。流体導管は、流体源から導管を経由してカテーテル本体の遠位端から出るように流体を放出するように構成されている。間隔保持部材150が、カテーテル本体の遠位端に配置され、及び潰された形状と拡張された形状との間で動かされることができる。拡張された形状では、間隔保持部材は発光素子の周囲に配置される。間隔保持部材は、発光素子から発せられた光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させる。装置は、身体管腔に少なくとも部分的に挿入され、流体を身体管腔に放出し、及び発光素子から光を発して身体管腔の内壁を照射するように構成されている。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と近位端とを備えるカテーテル本体を有するカテーテルと、
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置され、光を発するように構成された発光素子と、
前記カテーテル本体内に配置され、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端まで延びる流体導管であって、前記カテーテル本体の前記近位端に、流体源に接続可能な入口を有し、前記遠位端に出口を有し、前記流体源からの流体を、前記流体導管を経由して前記遠位端から放出するように構成された、流体導管と、
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置され、潰された形状から拡張された形状へ再構成可能である間隔保持部材であって、前記拡張された形状では、前記間隔保持部材は、前記発光素子の周囲に配置され、前記発光素子を前記間隔保持部材内で前記間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保ち、前記間隔保持部材は、前記発光素子から発せられた前記光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させる、間隔保持部材と、
を含む、装置であって、
前記カテーテル本体の前記遠位端が、内壁を有する身体管腔内に少なくとも部分的に挿入され、前記間隔保持部材が前記拡張された形状で前記身体管腔内に配置され、前記流体が前記身体管腔内へと放出され、前記光が前記発光素子から発せられて前記身体管腔の前記内壁に照射されるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記カテーテル本体を通って前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端まで延びる光導管をさらに含み、前記光導管は、光源に光学的に結合可能な近位端と、前記発光素子に光学的に結合可能な遠位端とを有し、前記光源から前記発光素子まで光を透過させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光導管の前記近位端に結合可能であり、スペクトルの可視部分にある波長の光を生成するように構成された光源をさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光源は、1mWから500mWの間のパワーを有する光を生成するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記光導管の前記近位端に結合可能であり、400nmから1,000nmの間の波長の光を生成するように構成された光源をさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記間隔保持部材は、前記流体導管から前記流体を放出可能な多孔質である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記間隔保持部材はワイヤーメッシュを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記間隔保持部材はバルーンを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記カテーテルの前記遠位端に配置され、前記カテーテルの前記遠位端が配置される身体管腔の一部を撮像するように構成された撮像装置をさらに含み、前記撮像装置は、前記身体管腔の画像が表示され得るディスプレイに結合可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記発光素子は、前記発光素子からの光を前記間隔保持部材にわたってより均一に散乱させるように構成された光散乱体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
対象者の血管内に、前記血管の壁の治療される領域の隣りに、カテーテルの遠位端を配置することであって、前記遠位端には、
光を発するように構成された発光素子と、
流体の流体源に接続された流体導管の出口と、
潰された形状から拡張された形状へと再構成可能な間隔保持部材であって、前記拡張された形状では、前記間隔保持部材は、前記発光素子の周囲に配置され、前記発光素子を、前記間隔保持部材内で前記間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保ち、前記間隔保持部材は、前記発光素子から発せられた前記光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させ、前記出口から前記流体を放出する多孔質である、間隔保持部材と、
が設けられる、配置することと、
前記間隔保持部材を前記拡張された形状へ再構成することと、
前記間隔保持部材を前記血管の管腔内でほぼ中心に配置することと、
前記流体導管の前記出口から前記血管内へ前記流体を放出して、前記血管内で前記流体によって血液を希釈することと、
前記発光素子から、前記管腔内の前記希釈された血液を通して、前記血管の前記壁の治療される前記領域に光を発することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記光を発することは、スペクトルの可視部分にある波長の光を発することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光を発することは、細胞を動員し、前記血管の前記壁の前記領域を内皮化させるのに十分な光エネルギーの量の光を、前記血管の前記壁の前記領域に送達するのに十分なパワー及び持続時間で発することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光を発することは、幹細胞を局所的に及び/又は遠隔で動員し、多能性幹細胞、造血幹細胞、及び/又は間葉系幹細胞、血管幹細胞、内皮前駆又は始原細胞、及び/又は分化細胞、例えば線維芽細胞及び膠原質を含む細胞の分化、活性化及び増殖を開始するのに十分な光エネルギー量の光を、前記血管の前記壁の前記領域に送達するのに十分なパワー及び持続時間で発して、前記血管の前記壁の前記領域に光血栓効果を生じさせるように光を発することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記光を発することは、前記希釈された血液内で内皮始原細胞又は他の造血細胞の少なくとも一方を漸増させるのに十分な光エネルギーの量の光を、前記血管内の前記希釈された血液に送達するのに十分なパワー及び持続時間で発することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記光を発することは、400nmから1,000nmの間の波長の光を発することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記流体を放出することは、血液と流体の比が2:1から1:2の間の比となるように前記血管内で前記血液を希釈することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記流体は食塩水である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記発光素子から光を発するのを中止することと、
前記光を発することを中止した後、前記流体導管の前記出口からの前記流体の放出を中止することと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記間隔保持部材を前記再構成する前に、前記対象者に光化学物質を投与すること、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記投与することは、前記光化学物質を前記対象者に全身的に投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記投与することは、前記光化学物質を、前記カテーテルの前記遠位端の近傍で前記血管の前記管腔に投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2017年5月19日出願の米国仮特許出願第62/508,690号(「Devices and Methods for Repair of a Selected Blood Vessel or Part Thereof and Rapid Healing of Injured Internal Body Cavity Walls」)の優先権及び利益を主張し、及び2018年5月10日出願の米国特許出願第15/976,199号(「Devices and Methods for Repair of a Selected Blood Vessel or Part Thereof and Rapid Healing of Injured Internal Body Cavity Walls」)の継続出願であり、これは、2017年5月19日出願の米国仮特許出願第62/508,690号(「Devices and Methods for Repair of a Selected Blood Vessel or Part Thereof and Rapid Healing of Injured Internal Body Cavity Walls」)の優先権を主張しており、これらの各開示全体を本願明細書に援用する。
【0002】
技術分野
[0002]本開示は、概して、血管及び他の身体管腔又は体腔での治療的介入のためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003]本明細書で説明する実施形態は、概して、選択した血管又はその一部への血流を調整する(例えば流量を減少させるか又は流れを完全に止める)ことに関する。
【0004】
[0004]動脈内での永久的な凝固を誘発するための手法として、光血栓性閉塞(Photothrombotic occlusion)が提案されている。この手法は、動脈の内皮管腔表面に吸収される、フルオレセインナトリウム、エリスロシンB、又はローズベンガル染料などの光感作物質の静脈内への又は局所的な導入を含む。光化学反応は、光感作物質の分子を励起させるのに十分な波長の光(例えば510nm~580nm、又はそれよりも高い、例えば830nm)によって開始される。これは、タイプ2光化学反応を開始して、励起エネルギーが、分子状の酸素つまり準安定性で高反応性の種に移されると考えられていた。続いて、一重項酸素が、管腔表面内の不飽和脂肪酸及びタンパク質の直接的な過酸化を開始して、構造的な損傷を生じ、これが次に血小板の付着を刺激し、それに、血小板凝集及び血管の閉塞が続くと考えられていた。
【0005】
[0005]観察された光血栓形成プロセスの代替的なより最近の機械論的な説明は、多能性幹細胞及び造血幹細胞などの血液成分、並びに間葉系幹細胞、血管幹細胞、及び内皮前駆細胞(precursor cells)又は始原細胞(progenitor cells)などの血管壁成分、並びに線維芽細胞及び膠原質などの分化細胞が、低レベルのレーザ光の影響に曝され、これにより、細胞を局所的に及び/又は遠隔で動員させ(recruit)、細胞の分化、活性化及び増殖を開始して、光血栓効果を生じる。
【0006】
[0006]動脈瘤を治療するために使用される技術は、動脈瘤の頸部にわたって生体適合材料の浸透性のメッシュ様チューブを展開して、動脈瘤への血流を減少させ、機器を通って動脈瘤内へと通過する血小板を活性化し、それにより、動脈瘤内の血液の凝固を促すことである。
【0007】
[0007]動脈瘤及び血管の他の奇形の治療に提案された1つの手法は、光血栓手法とメッシュ様チューブ手法を組み合わせる。この手法では、光ファイバー先端を血管内で動脈瘤内へと展開し、それに先立って又はそれに続いて、メッシュ様チューブを動脈瘤の頸部にわたって導入する。先端は、動脈瘤の内部へ光エネルギーを加え、動脈瘤内での血液の凝固を開始するか又は加速させる。動脈瘤の内部には、光ファイバーを光エネルギーを加えるために使用する前に、光エネルギー吸収剤及び/又は透過剤も導入され得る。
【0008】
[0008]提案された技術の1つの欠点は、治療される領域の血管の壁への光のエネルギー密度(すなわち、血管壁の単位面積当たりのエネルギー)が、比較的均一になるように、すなわち治療効果があるのに十分な高さであり且つ血管壁を損傷させないように十分な低さのエネルギー密度値の範囲内に維持されるように、うまく制御できないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]それゆえ、動脈瘤、又は血管内の動静脈や硬膜の奇形などの他の奇形をより効果的に治療できる機器であって、対象となる領域に安定的な血栓を生じさせることによって、腫瘍を血流遮断し、静脈瘤及びクモ状静脈を閉塞し、並びに他の領域及び適応症を治療するための機器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
[0010]いくつかの実施形態では、装置が、遠位端と近位端とを備えるカテーテル本体を有するカテーテルを含む。発光素子が、カテーテル本体の遠位端に配置され、光を発するように構成されている。流体導管が、カテーテル本体内に配置され、カテーテル本体の近位端から遠位端まで延び、カテーテル本体の近位端に、流体源に接続可能な入口を有し、遠位端に出口を有し、流体源からの流体を、導管を経由して遠位端から放出するように構成されている。間隔保持部材が、カテーテル本体の遠位端に配置され、潰された形状から拡張された形状へ再構成可能である。拡張された形状では、間隔保持部材は、発光素子の周囲に配置され、発光素子を間隔保持部材内で間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保つ。間隔保持部材は、発光素子から発せられた光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過(transflective)させる。装置は、カテーテル本体の遠位端が、内壁を有する身体管腔内に少なくとも部分的に挿入され、間隔保持部材が拡張された形状で身体管腔内に配置され、流体が身体管腔内に放出され、光が発光素子から発せられて身体管腔の内壁を照射するように、構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】[0011]実施形態によるシステムの概略的なブロック図である。
図2A】[0012]図1のシステムの光散乱体の概略図である。
図2B】[0012]図1のシステムの光散乱体の概略図である。
図2C】[0012]図1のシステムの光散乱体の概略図である。
図3A】[0013]図1のシステムの流体導管及び光導管用の内側本体の概略図である。
図3B】[0013]図1のシステムの流体導管及び光導管用の内側本体の概略図である。
図3C】[0013]図1のシステムの流体導管及び光導管用の内側本体の概略図である。
図3D】[0013]図1のシステムの流体導管及び光導管用の内側本体の概略図である。
図4A】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図4B】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図4C】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図4D】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図4E】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図4F】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図4G】[0014]図1のシステムの間隔保持部材の概略図である。
図5A】[0015]図1のシステムの撮像装置の概略図である。
図5B】[0015]図1のシステムの撮像装置の概略図である。
図6】[0016]図1のシステムと共に使用可能なメッシュチューブの概略図である。
図7A】[0017]図1のシステムと共に使用可能な閉塞器具の概略図である。
図7B】[0017]図1のシステムと共に使用可能な閉塞器具の概略図である。
図8】[0018]図1のシステムと共に使用可能なイントロデューサの概略図である。
図9】[0019]実施形態による方法を示すフローチャートである。
図10】[0020]実施形態による方法で使用するためのシステムの要素を含むキットの概略図である。
図11A】[0021]実施形態による、血管内の動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図11B】[0021]実施形態による、血管内の動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図11C】[0021]実施形態による、血管内の動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図11D】[0021]実施形態による、血管内の動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図11E】[0021]実施形態による、血管内の動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図12A】[0022]実施形態による、血管の分岐にある動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図12B】[0022]実施形態による、血管の分岐にある動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図12C】[0022]実施形態による、血管の分岐にある動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図12D】[0022]実施形態による、血管の分岐にある動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図12E】[0022]実施形態による、血管の分岐にある動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図13】[0023]実施形態による、血管内の紡錘形の動脈瘤を治療するための機器及び方法の概略図である。
図14】[0024]実施形態による、血管を閉塞するための機器及び方法の概略図である。
図15】[0025]実施形態による、血管内の奇形に塞栓術を行うための機器及び方法の概略図である。
図16】[0026]実施形態による、海綿状奇形を治療するための機器及び方法の概略図である。
図17A】[0027]関節、例えば、膝関節包を治療するための機器及び方法の概略図である。
図17B】[0028]図17Aの機器の拡大側面図である。
図17C】[0028]図17Bの機器の端面図である。
図17D】[0029]図17Aに示すような関節を治療するための方法に使用するのに好適な機器の代替的な実施形態の側面図である。
図17E】[0029]図17Aに示すような関節を治療するための方法に使用するのに好適な機器の代替的な実施形態の端面図である。
図17F】[0030]図17Aに示すような関節を治療するための方法に使用するのに好適な機器のさらに別の代替的な実施形態の側面図である。
図17G】[0030]図17Aに示すような関節を治療するための方法に使用するのに好適な機器のさらに別の代替的な実施形態の端面図である。
図17H】[0031]図17Aに示すような関節を治療するための方法に使用するのに好適な機器の代替的な実施形態の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
[0032]動脈瘤又は他の奇形(例えば動静脈や硬膜の奇形)に関して、脳血管、冠状血管、及び末梢血管を含む血管を効果的に治療するのに、並びに腫瘍を血流遮断し且つ静脈瘤及びクモ状静脈を治療してそれらを循環から除外するために血管閉塞するのに好適なシステム及び方法が開示されている。システム及び方法はまた、胃潰瘍などの体腔内壁(internal body cavity walls)内の潰瘍、実質腫瘍、例えば脳腫瘍、肝臓腫瘍及び体の他の軟組織の非血管性病変、出血している血管構造、動脈又は静脈(血管内アクセスによるものではない)、痔出血、食道静脈瘤、クモ状血管腫、関節の出血、アミロイド発生疾患(amyloid generative diseases)、リンパ管腫、軟骨損傷、関節炎、例えば関節リウマチ、滑膜関節炎、及び外傷性関節損傷、骨修復、腎臓腫瘍、及び炎症障害、例えば線維症、肺の気管支肺系出血、心筋傷害、頸動脈疾患、神経変性障害、及び巨脾腫を治療するために使用され得る。
【0013】
[0033]開示のシステムは、遠位端及び近位端を備えるカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に配置され且つ光を発するように構成された発光素子とを含み得る、カテーテル機器を含む。流体導管がカテーテル本体内に配置され、カテーテル本体の近位端から遠位端まで延びる。流体導管は、カテーテル本体の近位端に、流体源に接続可能である入口を有し、遠位端に出口を有し、流体源からの流体を、導管を経由して遠位端から放出するように構成されている。間隔保持部材が、カテーテル本体の遠位端に配置され、潰された形状から拡張された形状へと再構成可能である。拡張された形状では、間隔保持部材は、発光素子の周囲に配置され、発光素子を間隔保持部材内で間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保つ。間隔保持部材は、発光素子から発せられた光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させる。装置は、カテーテル本体の遠位端が、内壁を有する身体管腔内へと少なくとも部分的に挿入され、間隔保持部材が拡張された形状で身体管腔内に配置され、流体が身体管腔内へと放出され、光が発光素子から発せられて身体管腔の内壁を照射するように、構成されている。
【0014】
[0034]いくつかの実施形態では、方法は、対象者の血管内に、血管の壁の治療される領域の隣りに、カテーテルの遠位端を配置することを含む。カテーテルの遠位端は、治療領域の中心又は近位端に配置される。カテーテルは、カテーテルの遠位端に、光を発するように構成された発光素子、流体の流体源に接続された流体導管の出口、及び潰された形状から拡張された形状へと再構成可能な間隔保持部材が設けられる。間隔保持部材は、発光素子から発せられる光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させ、出口から流体を放出する多孔質とし得る。間隔保持部材は、治療箇所に配置されると、拡張された形状へ動かされることができる。拡張された形状にあるとき、間隔保持部材は、発光素子の周りに、発光素子を間隔保持部材内で間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保つように、配置され得る。方法は、さらに、間隔保持部材を血管管腔内のほぼ中心に配置することを含む。流体導管の出口から流体が血管内へと放出されて、流体によって血管内で血液を希釈する。発光素子から光が、血管管腔内の希釈血液を通して、血管の壁の治療される領域へと、発せられる。
【0015】
[0035]図1に概略的に示されるように、治療システム100は、光源LS、流体源FS、及び画像ディスプレイIDを含む他の機器又はシステムに動作可能に結合され得るカテーテル110を含む。カテーテル110は、メッシュチューブMT、閉塞器具OD、及びイントロデューサ(図1には図示せず)を含む他の機器及び光化学物質PAなどの組成物と併せて使用され得る。
【0016】
[0036]カテーテル110は、血管などの身体管腔又は体腔BL内に、身体管腔又は体腔BLの治療領域TRの隣に挿入するのに好適な、近位端及び遠位端を備える伸長されたカテーテル本体120を有し得る。カテーテル本体120は、内部ワーキングチャンネル124を規定し、カテーテル110の他の構成要素は、内部ワーキングチャンネル124に配置されることができ、且つ内部ワーキングチャンネル124の中を通って移動可能とし得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、カテーテル本体120は、遠位端が治療領域TRに隣り合うように配置されるまで、ガイドワイヤ上で患者の脈管構造中を通って送ることなどによって、患者の体内に挿入され得る。その後、ガイドワイヤは除去され、カテーテル110の他の構成要素が、ワーキングチャンネル124中を通って、他の構成要素の遠位端がカテーテル本体120の遠位端に対して適切な動作関係で治療領域TRに配置されるまで、送られ得る。他の実施形態では、カテーテル110の他の構成要素のいくつか又は全ては、カテーテル110が患者の体内に挿入され且つ遠位端が治療領域TRへと送られる前に、カテーテル本体120内に配置され得る及び/又はそれに結合され得る。
【0017】
[0037]カテーテル110は、カテーテル110が使用のために構成されているとき、カテーテル本体120の遠位端に配置される発光素子130を含む。発光素子130は、カテーテル本体120内、例えばワーキングチャンネル124内に配置され得且つカテーテル本体120の近位端から遠位端まで延びる光導管132によって光源LSに光学的に結合され得る。
【0018】
[0038]カテーテル110はまた、カテーテル本体120内に配置され且つカテーテル本体120の近位端にある入口144からカテーテル本体120の遠位端にある出口142まで延びる流体導管140を含む。流体導管140は、入口144で流体源FSに接続され得る。
【0019】
[0039]カテーテル110はまた、カテーテル本体120の遠位端に配置された間隔保持部材150を含み得る。間隔保持部材150の実装例に依存して、間隔保持部材150は、カテーテル本体120の遠位端に取り付けられ、且つ流体導管140を通る流体によって動作させられ得る。いくつかの実施形態では、間隔保持部材150は、カテーテル110の別の構成要素に結合されるか又は別の構成要素と一体的に形成される。例えば、間隔保持部材150は、ここではカテーテル本体120内に配置される間隔保持部材アクチュエータ152として機能する内側本体148と一体的に形成され得るか又はそれに結合され得る(例えば、図3Dを参照して説明するように)。間隔保持部材アクチュエータ152は、カテーテル本体120の近位端から遠位端まで延び、間隔保持部材150を潰された形状と拡張された形状との間で動かすために使用され得る。
【0020】
[0040]カテーテル110はまた、カテーテル本体120の遠位端に結合された撮像装置(imager)160を含み得る。撮像装置160は、カテーテル本体120内に配置され且つカテーテル本体120の近位端から遠位端まで延びる撮像導管162によって画像ディスプレイIDに光学的に結合され得る。
【0021】
[0041]治療システム100の各構成要素は、様々な方法で実装され得る。カテーテル110が身体管腔BLの治療領域TRに血管内でアクセスするように使用される適用例では、カテーテル110は、その構造及び材料、遠位端を操縦する若しくは操縦しない又は向きを変える能力、ガイドワイヤ上で送ることができるか否かを含めて、従来の血管内カテーテルとして実装され得、近位端でのユーザの制御及び取り付けを含む。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ(図示せず)は、カテーテル本体120のワーキングチャンネル124内に配置され得る。例えば、カテーテル本体120が比較的大きいとし得る他の実施形態では、カテーテル本体120は、ワーキングチャンネル124とは別の専用のガイドワイヤルーメンを含み得る。カテーテル本体120の近位部分は遠位部分よりも堅く、ユーザがカテーテル本体120をガイドワイヤ上及び管腔、例えば脈管構造中を通るように押すのに十分な剛性をもたらす。より軟質の遠位部分は、例えば、曲がりくねった脈管構造中を通ってカテーテル本体120をナビゲーションするのを容易にし得る。カテーテル本体120は、血管管腔へアクセスするための血管切開(cut down)又は他の経皮的技術を介して、血管などの身体管腔BL内に導入され得る。いくつかの適用例では、カテーテル110は、対象者の脈管構造を通してではなく、治療領域TRに直接アクセスするために使用され得、及びそれに従って実装され得る。例えば、カテーテル110が、軟組織を通して治療領域TRに直接アクセスするために使用される場合、トロカールを通して挿入される比較的硬質の針として実装され得る。
【0022】
[0042]発光素子130は、カテーテル110の遠位端から身体管腔BLの治療領域TRまで、所望の波長及び強度の光を発するために、任意の知られた好適な構造で実装され得る。いくつかの実施形態では、発光素子130は、単に光ファイバーの端部としてもよく、及び光ファイバーは、カテーテル110の近位端に結合可能な光源LSから光を伝搬する光導管132として機能し得る。光源LSは、所望の波長及び強度の任意の好適な光源としてもよく、レーザ(パルス波又は連続波)などのコヒーレント光源としても、又はインコヒーレント光源(キセノン若しくはハロゲン光及び好適な帯域通過フィルタなど)としてもよい。他の実施形態では、発光素子130は、カテーテル110の遠位端に配置された、比較的コンパクトな光源、例えば、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードとし得、カテーテル110の遠位端には、カテーテル110の近位端からカテーテル本体120を通って光源まで延びる導体によって電力がもたらされる。代替的な実施形態では、LED又はレーザダイオードは、カテーテル110の近位端に配置され得る。
【0023】
[0043]治療領域TRに光の所望の分布、すなわち、光源LSによって生じるものとは異なる分布を生じさせるために、いくつかの実施形態では、光散乱体136(例えば、図2A参照)を光源LSと動作可能に関連付けて、光源LSからの光を治療領域TR全域に散乱させる。いくつかの実施形態では、例えば、図2Aに概略的に示すように、光散乱体136は、光導管132、例えば光ファイバーの遠位チップすなわち遠位先端に凸状エンドキャップとして実装され得る。エンドキャップは、図2Aに円形領域138として示すような光散乱粒子を含み得る。そのような粒子は、例えば、二酸化チタンとし得る。他の光散乱材料(約2.5の高屈折率)、又は、例えば回析格子などの屈折構造体が使用され得る。
【0024】
[0044]図2Bに概略的に示すように、発光素子130は、カテーテル本体120の遠位端から伸び出され、エンドキャップ及び光散乱粒子は、光ファイバー132の遠位先端から発せられた光を、先端及びエンドキャップの側面の周囲に拡散させて分布させ、治療領域TR、この例では動脈瘤の表面に光を当てる。光の分布パターンは、治療領域TRの表面に比較的均一なエネルギー密度を生じさせて、エネルギー密度が過度に高い領域、すなわち「ホットスポット」を回避する目的で、治療領域TRの形状に合うように調整され得る。例えば、図2Bに示す実施形態では、分布はほぼ球形であり、治療領域TRである血管動脈瘤のほぼ球形の形状と関連を持たせている。図2Cに示すものなどの他の実施形態では、凸状エンドキャップではなく、光散乱体136が、軸方向ではなく放射状にのみ光を散乱するシリンダー状先端として実装され得、それゆえ血管などの身体管腔の壁などのシリンダー状の治療領域TRにより良好に関連付けられた光分布を生じる。
【0025】
[0045]図4Eを参照して下記でより詳細に説明する他の実施形態では、光散乱体136は、発光素子130から離間されており、代わりに、別の構造体、例えば間隔保持部材150の一部分に結合されるか又はそれを形成する。
【0026】
[0046]流体導管140は、カテーテル110中を通って食塩水などの流体を運んでカテーテル本体120の遠位端で放出する任意の知られた好適な構造で、実装され得る。流体は、希釈、可視化、及び/又は冷却をもたらし得る。例えば、図3A及び図3Bに概略的に示すように、流体導管140は、カテーテル本体120と内側本体148との間に規定された環状導管とし得る。内側本体148は、ルーメン又は通路を提供し得、その内部で、他の構造体、例えば光導管132がカテーテル本体120中を通過し得る。図3A及び図3Bに示す実施形態では、内側本体148は、光ファイバー132のための編組の補強材又は覆いであり、繊細な光ファイバーを保護し、光ファイバー、及び取り付けられた散乱素子136を、カテーテル本体120を通して遠位に届けることができるように、より堅い、組み合わせられた構造体を提供し得る。内側本体148はまた、内側本体148の遠位端で光散乱体136を支持する。この実施形態では、流体導管140は、カテーテル本体120のワーキングチャンネル124内に残された、内側本体148の周囲の実質的に環状の空間である。他の実施形態では、流体導管140は、光導管132などの他の構造体の周囲に同心状にではなく、並んで配置され得る。図3Aに概略的に示すように、出口142は、単に流体導管140の環状の遠位端の開口部として構成され得る。他の実施形態では、例えば、希釈流体の流れを、カテーテル本体120の軸に対して横方向に方向づける、流れを狭窄させて流量を減らす、流速を加速させるなどのために、他の幾何学的形状又は構造体が用いられ得る。
【0027】
[0047]図3A及び図3Bの内側本体148は、図3Cにより詳細に示されている。内側本体148は、異なる構造の遠位部分148A及び近位部分148Bを有する。近位部分148Bは、中実チューブ状構成、例えば、ハイポチューブとして形成され得、これは、内側本体148の長さのほとんど、例えば、1mを占めるが、遠位部分148Aは、内側本体148の長さの小部分、例えば、約25cmを占める編組又はコイルとして形成され得る。上述の通り、内側本体148は、光導管、例えば光ファイバー132を受け入れ得る中心ルーメンと、光散乱体136が取り付けられ得る遠位先端とを含む。この構造は、比較的堅い構造体を提供し、これにより、内側本体148を、カテーテル本体120のワーキングチャンネル124中を通って遠位に押すことができるようにする一方で、軟質の遠位部分148Aは、曲がりくねった身体管腔BL内へ及び身体管腔BL中を通り簡単にナビゲーションされ得る。この実施形態は、図4D~4Gに示し、下記で説明するように、間隔保持部材150がカテーテル本体110に内部で結合されているカテーテルと共に使用するのに好適である。図3Dに示す代替的な実施形態では、図4Cを参照して下記でより詳細に説明するように、間隔保持部材150は、内側本体148の遠位端148Aと一体的に形成され得るか、又は他の方法で取り付けられ得る。
【0028】
[0048]間隔保持部材150は、所望の機能を持たすために、様々な構造体及び材料で実装され得る。間隔保持部材150の主要機能は、発光素子130と治療領域TRとの間に最小間隔を維持すること、すなわち、発光素子130が治療領域TRに近すぎる位置に配置されるのを防止して、発光素子130の光エネルギー密度が許容可能な上限を上回らないようにすることである。間隔保持部材150が発光素子130と治療領域TRとの間に比較的均一な間隔を維持すること、例えば発光素子130を身体管腔BL内で比較的中心に保つことがさらに望ましいとし得る。これらの関連の機能は、異なる方法で達成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、発光素子130及び間隔保持部材150は、互いに対して固定され得、双方とも、図4Cに示すように、カテーテル本体120のワーキングチャンネル124中を通って所望の作動位置まで動かされることができる。図4D及び図4Eに示すものなどの他の実施形態では、間隔保持部材150は、カテーテル本体120に対して固定され得、及び発光素子130は、双方に対して移動可能である。
【0029】
[0049]図4Aに概略的に示すように、間隔保持部材150が、カテーテル本体120の縦軸LAの周りでほぼ対称的な形状又は幾何学的形状を有し、発光素子130が、縦軸LAのほぼ近くに配置されている状態では、発光素子130は、間隔保持部材150内でほぼ中心に置かれる。カテーテル110が身体管腔BL内に配置され、間隔保持部材150が、間隔保持部材150の直径が身体管腔BLの直径に近い拡張された形状にあるとき、発光素子130は、身体管腔BL内でほぼ中心に置かれる。そのため、発光素子130が発した光が縦軸LAの周囲で角度をつけて比較的均一に分布される場合、治療領域TRでの光エネルギー密度は、円周方向で比較的均一になる;換言すると、治療領域TRでの光エネルギー密度は、所望のエネルギー密度の上限値と下限値との間となる。図4Aでは楕円形の形状で概略的に示すが、間隔保持部材150は、例えば身体管腔及び/又は治療領域の形状に依存して、所望の任意の他の形状になるように構成され得る。図4Bに概略的に示すように、身体管腔が、チューブのような形状、例えば血管ではなく、袋のような形状、例えば動脈瘤である場合、発光素子130を身体管腔BL内で最適な中心に置くためには、楕円形状又は球形状がより適切となり得る。
【0030】
[0050]間隔保持部材150の別の機能は、希釈流体DFが間隔保持部材150の中を通って身体管腔BL内へと通過できるようにすることである。例えば、下記でより詳細に説明するように、間隔保持部材150が希釈流体DFで満たされることが、例えば、血液又は他の体液BFから入れ替わるために、及び/又は間隔保持部材150が潰された形状から拡張された形状への再構成を引き起こす又は支援するために望ましいとし得る。希釈流体が、間隔保持部材150と治療領域TR及び/又は身体管腔BLとの間で血液又は他の体液を希釈する及び/又はそれから入れ替わるようにすることも望ましいとし得る。流体を使用して、治療領域TR及び/又は身体管腔BLの幾何学的形状又は形状を膨張させる又は他の方法で変化させることも望ましいとし得る。それゆえ、間隔保持部材150の側壁は、希釈流体に対して多孔質とし得るか、又は他の方法で浸透性であるとし得る。いくつかの実施形態では、間隔保持部材150の近位端は、図4Bに概略的に示すように、流体導管140の出口142の全て又は一部を取り囲み得、その場合、希釈流体は、間隔保持部材150の内部に入り、流体は、間隔保持部材150から排出され得る(例えば、間隔保持部材150の多孔質又は浸透性壁を通して)。他の実施形態では、流体導管140の出口142は、間隔保持部材150の外部に配置され得、流体が間隔保持部材150に入ることができるようにすることが望ましいとし得る。
【0031】
[0051]間隔保持部材150の別の機能は、治療領域TR及び/又は身体管腔BLの幾何学的形状又は形状を機械的に、すなわち、間隔保持部材150を治療領域TR及び/又は身体管腔BLの表面と連動させることによって、膨張させるか又は他の方法で変化させることとし得る。
【0032】
[0052]図4C~4Eに、間隔保持部材150のいくつかの取り得る構造を概略的に示す。図4Cに示す実施形態では、間隔保持部材150は、複数のワイヤー又はストラット155で形成されるワイヤーケージの形態にでき、複数のワイヤー又はストラットの間に多数のアパーチャ157を形成し、アパーチャ157を、流体出口142にから放出される希釈流体が通過し得る。間隔保持部材150は、編組ワイヤー若しくはレーザ切断チューブで形成されても、又は他の知られた構造で形成されてもよい。間隔保持部材150は、自己拡張型とし得、例えばニチノールなどの形状記憶材料で形成されて、拡張された形状となるように設定される又は負荷を加えられるが、例えばカテーテル本体120の流体導管140(又はワーキングチャンネル124)内に配置されていることによって、潰された形状に保持され得る。或いは、間隔保持部材150は、潰された形状となるように負荷を加えられて、拡張された形状の方へ向かわせるためには、力を加える必要があるとしてもよい。
【0033】
[0053]図4Dに示す実施形態では、間隔保持部材150はエラストマー材料で形成されるため、実質的にはバルーンである。しかしながらバルーンは、シールされたバルーンではなく、穿孔157を含み、希釈流体が通過できるようにし、それゆえ、「漏出性」バルーンと呼ばれる。間隔保持部材150の近位端は流体出口142の辺りに配置されるため、流体出口142から放出された希釈流体は、間隔保持部材150の内部に入り、穿孔157を経由して流出し得る。希釈流体は、バルーンの内部をフラッシングし、発光素子136がカテーテル本体120のワーキングチャンネル124(図示せず)中を通って遠位に間隔保持部材150内の位置へと挿入される前に、空気抜きチャンネル又はチューブ(図示せず)を経由して空気を全て吐き出すために使用され得る。希釈流体はまた、バルーンを膨張させる、すなわち間隔保持部材150を潰された形状構成(図示せず)から図4Dに示す拡張された形状へと向かわせるために使用され得る。バルーンが拡張するとき、穿孔157は拡張し、それゆえ希釈流体がバルーンから流出するための流れ面積をより広くする。それゆえ、バルーンのサイズは、流体出口142から流出する希釈流体の流量及び圧力を制御することによって、制御され得る。治療処置後、希釈流体は弾性バルーンから引き出されて、間隔保持部材150が潰された形状へ動くことができるようにしてもよく、その構成にあるときに、患者の体から引き出され得る。
【0034】
[0054]図4Eに示す実施形態では、間隔保持部材150はまた、エラストマー材料で形成されるため、同様に、実質的にバルーンである。しかしながら、この実施形態では、バルーンはシールされている、すなわち、先の実施形態のようには穿孔を含まない。流体は、カテーテル本体120を通るポート(図示せず)を経由して身体管腔BLに導入され得る。先の実施形態のように、バルーンの内部は、フラッシングされ、空気が除去され得、その後、拡張され得る、すなわち、間隔保持部材150は、流体出口142から希釈流体を導入することによって、潰された形状(図示せず)から図4Eに示す拡張された形状へと向かわせられ得る。それゆえ、バルーンのサイズは、流体出口142を出る希釈流体の量を制御することによって、制御され得る。この実施形態では、間隔保持部材150はまた、光散乱の機能の一部又は全てを提供し、間隔保持部材150の内面又は外面、光散乱材料の層135(図4Eの内面に示す)を含む。図4Eはまた、光導管132の先端の光散乱体136を概略的に示すが、いくつかの実施形態では、間隔保持部材150の物質の層135は唯一の光散乱体とし得る。いくつかの実施形態では、光散乱は、希釈流体に混合又は懸濁された光散乱粒子によってもたらされ得る。いくつかの実施形態では、間隔保持部材150は、発光素子130から発せられた光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させ得る。
【0035】
[0055]図4F及び図4Gに示す実施形態は、間隔保持部材150がその遠位端に流体ポート158を含むこと、及び光散乱体136がその遠位先端にバルブエクステンション137を含むことを除いて、図4Eに示す実施形態と同様である。バルブエクステンション137は、流体ポート158とともに、身体管腔BLと間隔保持部材150の内部との間の流体の流れを選択的に形成及び防止し得る。例えば、バルブエクステンションは、閉鎖部材の役目を果たし、間隔保持部材150の流体ポート158は遠位の閉鎖面を提供して、バルブエクステンション137が遠位に動かされると、ポート158の表面とバルブエクステンション137の表面との間が密封されるようにする。それゆえ、図4Fに示すように、バルブエクステンション137が流体ポート158に配置されて弾性の間隔保持部材150の内部を流体に関して隔離すると、流体出口142から放出された流体は、間隔保持部材150を所望の構成へと拡張させ得る。その後、バルブエクステンション137は、近位に引き出されるため、図4Gに示すように、流体ポート158との結合から解除されて、間隔保持部材150の内部と身体管腔BLとの間の流体の流れを形成し得る。そうして、流体出口142から放出された流体は、流体ポート158を経由して身体管腔BLへと放出されることができる。
【0036】
[0056]撮像装置160は、治療領域TR又は身体管腔BLの他の部分の画像を収集するための、任意の知られた好適な構造で実装され得る。光(可視、近赤外、及び/又はスペクトルの他の部分を含む波長)、超音波、及び光コヒーレンス断層撮影法(OCT)を含め、様々な画像化手法が用いられ得る。図5A及び図5Bに概略的に示すように、この例では光学撮像装置である撮像装置160は、撮像導管162、例えば光ファイバーを含み得る。撮像装置160は、発光素子130によってある時間治療領域TRに照射された光エネルギー密度の測定値、及び照射された総エネルギーを提供し得る。他の実施形態では、撮像装置160は、治療領域TRから画像情報を取得できるようにして、例えば治療領域TRに対する治療システム100の遠位端の位置決めを支援し、治療前、治療中、及び治療後の、治療領域TRの状態を評価するなどし得る。
【0037】
[0057]治療領域TRに照射される光、すなわち発光素子130、及び任意選択的に光散乱体136を経由して、照射される光は、400nm~1,000nmの範囲内の1つ又は複数の波長を有し得る。好都合且つ好適な波長は532nmであり、これは、容易に入手可能且つ安価なレーザ及びレーザダイオードによって生じ得る。治療領域TRに照射される光のパワーは、1mW~500mWの範囲内、好ましくは100mW~200mWの範囲内とし得る。治療領域TRに照射される光のパワー密度は、1mW/cm~5W/cmの範囲内、好ましくは50~500mW/cmの範囲内、より好ましくは175~200mW/cmの範囲内とし得る。
【0038】
[0058]メカニズムはよく理解されていないが、上述の波長及び強度の光の適用は、造血を活性化及び/又は加速させ得、それにより、幹細胞が血液及び血管細胞へと分化し、これが次に、新しい血栓の瘢痕組織への急速な変化及び治療領域TRの治癒に関与し得ると考えられている。
【0039】
[0059]メッシュチューブMTは、一部の適応症(indications)及び解剖学的構成の治療においてカテーテル110と併せて使用され得る。メッシュチューブMTは、所望の治療に好適な様々な構造、幾何学的形状、サイズなどとし得る。好適なメッシュチューブの例は、Yodfat et al.の米国特許第7,942,925号(「Implantable Intraluminal Device and Method of Using Same in Treating Aneurysms」)に説明されており、その開示全体を本明細書に援用する。メッシュチューブMTの1つの好適な実施形態は、図6に、メッシュチューブMTが身体管腔BL内に拡張された形状で配置されて、概略的に示されている。メッシュチューブMTは、弾性又は非弾性の生体適合性材料、金属又はプラスチックの複数のフィラメントを含み、これらは、絡み合うようにらせん状に延びて、編組チューブを形成する。それゆえ、第1の群のフィラメントMT1は、一方向にらせん状に延び、及び第2の群のフィラメントMT2は、反対方向にらせん状に延び、2つの群のフィラメントは、フィラメントMT1が、いくつかの箇所でP1に示すようにフィラメントMT2の上になり、他の箇所でP2に示すようにフィラメントMT2の下になるように、織り合わされている。それゆえ、フィラメントMT1及びMT2は、複数の窓Wを有する編組チューブを規定する。各窓Wの内接する直径及び長さは、メッシュチューブMTの挿入条件(例えば、拡張された形状)では、それぞれW及びWで示される。これらの特性は、いくつかある要因の中で特に:フィラメントの数;フィラメントの横断面;及び2つの群のフィラメントMT1、MT2の交差点での挿入角度「α」に依存する。メッシュチューブMTは、血管動脈瘤の頸部にわたって、血管の直線部分に沿って、又は血管の分岐に若しくはその近くに配置され、血管を通る血流の一部分を動脈瘤から離れるようにそらす機能を果たすことができる。メッシュチューブMTはまた、血液凝固が促進される血管の選択した部分への血流を減少させるために使用できる。いくつかの実施形態では、メッシュチューブMTは、カテーテル110から切り離され、血管内で展開される。場合によっては、メッシュチューブMT中を通り動脈瘤内へ移る血液は、動脈瘤での滞留時間が長くなるため、動脈瘤内への通過中に活性化された血小板が血栓形成を開始でき、血小板は、ここで、動脈瘤内に「留められる(jailed)」又はトラップされる。幹細胞の光活性化は、瘢痕組織への血栓の変化及び病状の治癒を著しく加速させる。
【0040】
[0060]図7A及び図7Bは、いくつかの適応症及び解剖学的構成を治療する際にカテーテル110と併せて使用され得る閉塞器具ODの使用を示す。図7Aに概略的に示すように、閉塞器具ODは、血管などの身体管腔BL内に配置され、拡張された形状へ動かされ得、そこで、身体管腔BLの内壁に接して身体管腔BLを閉塞させる、すなわち、身体管腔BLを通る流体、例えば血液の流れを減少させる又は防止する。この実施形態では、カテーテル110を、遠位端部分が閉塞器具ODの上流の動脈瘤A内に配置された状態で示す。そのようなものとして、カテーテル110は、流体を動脈瘤A内へと放出し、身体管腔BLは閉塞器具ODによって閉塞されているため流体が血液と一緒に身体管腔BLを通って運び去られることなく、動脈瘤内にある血液を、所望の希釈比まで希釈させる。図7Aの実施形態では、カテーテル110の遠位先端は操縦可能であるため、発光素子は、間隔保持機器を必要とせずに、動脈瘤A内の所望の箇所に配置され得る。閉塞器具ODは、動脈瘤Aの治療前に身体管腔BL内の所望の箇所へ届けるために、及び治療が終わった後に引き出すために、潰された形状で配置され得、身体管腔BLを閉塞するために、当業者に周知の方法によってバルーンを流体で膨張させることによって、拡張された形状へ拡張され得る。好適なバルーン閉塞器具は、例えば、Medtronic社によって提供されているHyperForm Occlusion Balloonを含む。
【0041】
[0061]図7Bに示す別の実施形態では、閉塞器具ODは伸長されたバルーンとしてもよく、動脈瘤Aの頸部に広がり、且つカテーテル110の遠位先端を「留める」ようにする。すなわち、閉塞器具ODの近位部分は、身体管腔BLの壁に接してカテーテル110の遠位端の一部分をトラップできるため、先の実施形態のように管腔を閉塞することに加えてカテーテル110を動かないようにする。好適な伸長されたバルーン閉塞器具は、例えば、Medtronic社によって提供されているHyperGlide Occlusion Balloonを含む。
【0042】
[0062]図8は、いくつかの適応症及び解剖学的構成を治療する際にカテーテル110と併せて使用され得るイントロデューサINの実施形態を示す。イントロデューサINは全体としてはシリンダー状の本体Bを有し、テーパ付き遠位部分DP、近位端PE、本体Bを通って延びる中心ルーメン、及び中心ルーメンと通じるスロットSLが設けられている。イントロデューサINは、カテーテル110内への内側本体148の導入を容易にし得る。例えば、切開又は血管切開は、カテーテル110が患者の体内に導入される部位で、患者の皮膚に行われ得る。その後、カテーテル110は、標準的なイントロデューサシース中を通って患者の体内に挿入される。その後、カテーテル110の近位チップすなわち近位先端は、標準的な止血弁を取り付けられる。テーパ付き遠位部分DPの先端を止血弁内に挿入することができ、イントロデューサINを止血弁に押し込むことができる。イントロデューサINの遠位端が所望の位置になると、内側本体148の遠位端は、近位端PEにおいてイントロデューサINのルーメン中へと挿入されて、ルーメンを通り且つイントロデューサINの遠位先端から患者の解剖学的構造の所望の部分、例えば、身体管腔BL中へと押し込むことができる。あるいは、内側本体148の遠位端を、イントロデューサINのルーメン内に事前に装填することができる。
【0043】
[0063]図9に、身体管腔の治療領域TR、特に血管の管腔壁の一部分を治療するための方法が概略的に示されている。ステップ202において、任意選択的な光化学物質を、治療される対象者(例えば、患者)に投与できる。例えば、光-エネルギー吸収剤、又は生化学的血栓形成剤(biochemical thrombosing agent)も、奇形の頸部及び全層を含む治療される血管の選択した部分の内部に提供され得る。場合によっては、エリスロシンB又はローズベンガルなどの光化学物質を、照射前に血管の治療領域に注入し、血管壁による光吸収を高め、且つ光化学反応を加速させることができる。作用物質を、静脈内に(IV)(すなわち、全身的に)、又はカテーテル110によって若しくは別個のマイクロカテーテルを介してのいずれかで、治療される血管(すなわち動脈瘤若しくは奇形)に局所的に投与できる。その後、光エネルギーが当てられる前に、半透明又は透明な光学場が形成される。
【0044】
[0064]ステップ204において、カテーテル(例えば、カテーテル110)を対象者の血管に挿入でき、カテーテルの遠位端を、血管壁の治療される領域の隣に又はその近くに配置できる。いくつかの実施形態では、血管にカテーテルを挿入する前に、ガイドワイヤを血管に挿入し、且つ治療領域の近くに位置決めする。その後、カテーテルを、ガイドワイヤを覆って挿入し(例えば、カテーテルのルーメンは、ガイドワイヤを覆って取り付けられ得る)、且つガイドワイヤに沿って治療領域の所望の箇所まで動かすことができる。
【0045】
[0065]ステップ206において、カテーテル110の間隔保持部材(例えば、間隔保持部材150)、及び発光素子130(例えば、光散乱体136を備える発光素子130)を、カテーテル110のルーメンの遠位端から出るように動かすことができ、間隔保持部材を、発光素子の周りで拡張された形状にすることができる。間隔保持部材は、発光素子と血管壁との間の接触を防止し、且つ血管内での発光素子のセンタリングを保証して、周囲の血管壁への光子エネルギー束の均一な分布を達成できるようにする。ステップ208において、間隔保持部材は、治療される血管内でほぼ中心に位置決めできる。
【0046】
[0066]ステップ210において、カテーテル110の流体導管の出口から流体を血管内へ放出して、血管内で血液を希釈することができる。例えば、食塩水の注入を、血管の治療領域内にクリアな又は半透明の光学場を形成するために開始できる。ステップ212において、光エネルギーを、カテーテルの発光素子から希釈血液を通って血管の壁へと加えることができる。光エネルギーは、治療領域内での血液の凝固を開始及び/又は加速でき、その間、間隔保持部材は、凝固の結果生じる塞栓が、血管中を通って下流方向に動くのを防止できる。場合によっては、間隔保持部材を、送達システムから切り離し、保護のために治療部位に永久的に留めることができる。治療後、カテーテルを血管から取り出すことができる。
【0047】
[0067]図10は、実施形態によるキットの概略図である。上述の通り、治療システム100は、治療領域TRを治療するための様々な機能を果たす1つ以上の構成要素を含むキット(KIT)として提供できる。いくつかの実施形態では、KITは、使い捨ての構成要素の一回使用セットにできる。いくつかの実施形態では、KITは、輸送及び保管中にカテーテル110を汚染から保護するために使用される滅菌パッケージなどのキットパッケージ内に配置されたカテーテル110を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットパッケージは、外装と、KITの構成要素の1つ以上を含み且つ保護するための1つ以上の滅菌内装構成要素とを含むことができる。カテーテル110は、例えば、上述の通り、ワーキングチャンネル124、発光素子130、及び流体導管140を備えるカテーテル本体120を含むことができる。KITはまた、任意選択的に、カテーテル110と併せて使用され得る以下の構成要素のそれぞれの1つ以上を含むことができる:閉塞器具OD、光源LS、流体源FS、光化学物質PA、メッシュチューブMT、イントロデューサIN、間隔保持部材150、撮像装置160、及び/又は使用説明書IFU。いくつかの実施形態では、KITは、例えば、複数種の間隔保持部材(例えば、150)を含むことができ、ユーザ(例えば、医師)が、特定の治療に適切な間隔保持部材150を選択できるようにする。いくつかの実施形態では、KITは、例えば、複数種の発光素子(例えば、130)を含むことができ、ユーザ(例えば、医師)が、特定の治療に適切な発光素子130(例えば、様々なタイプの光散乱体136など)を選択できるようにする。KITの構成要素のそれぞれは、1つ以上の滅菌キットパッケージ内に配置できる。
【0048】
[0068]図11A~11Eは、血管の側壁から横方向に外れた位置にある動脈瘤を治療するために、上述のものなどの治療システムを使用するための様々な手法を示す。図11A~11Eを参照して図示し且つ説明した治療システムの実施形態及び特定の構成要素は、上述のシステム100の対応する構成要素と同じ又は同様に構成され、及びそれらと同じ又は同様の特徴を含むことができる。図示のシステム及び構成要素は、上述の通り、例えば、光エネルギーによって動脈瘤を治療するために使用できる。
【0049】
[0069]図11Aに示す治療法では、治療システムは、血管BVの側壁から横方向に外れた位置にある動脈瘤A内にカテーテル210の遠位端部分が配置された状態にあるカテーテル210を含む。カテーテル210は、上述の特徴のいずれかを含み得、その詳細は、簡潔にするために図11Aでは省略する。例えば、カテーテル本体224の遠位端に配置された間隔保持部材250は、多孔質バルーン、非多孔質バルーン、ワイヤーケージなどを含む上述のオプションのいずれかで実装され得る。間隔保持部材250は、上述の技術のいずれかを使用して、治療部位への送達の間の潰された形状(図示せず)と、治療手順の間の拡張された形状(図11Aに示す)との間で動かされることができる。間隔保持部材250は、発光素子230と、治療される動脈瘤Aの壁との間に最小間隔を維持するために使用できる。発光素子230及び間隔保持部材250が動脈瘤A内に配置された状態で、発光素子230が動作して所望の光エネルギーを発し、動脈瘤を治療できる。任意選択的に、流体(例えば、食塩水)が、上述の通り治療領域に導入され得る。
【0050】
[0070]図11Bに示す手法では、カテーテル210は、メッシュチューブ246と併せて使用されている。メッシュチューブ246は、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できる。メッシュチューブ246は、動脈瘤Aの外側で血管BV内に、動脈瘤Aの開口部を横切って延びる(すなわち、またぐ)ように、配置できる。メッシュチューブ246は、収縮した形状又は潰された形状で展開され、血管BV内で拡張された形状へ動かされることができる。この実施形態では、カテーテル210は、メッシュチューブ246が拡張される前に、血管BVの壁とメッシュチューブ246との間に挿入される。その後、メッシュチューブ246は拡張されて、メッシュチューブ246が、発光素子230を用いた治療の間、カテーテル210を血管BVの壁に接して保持又はトラップするようにする。流体(例えば、食塩水)が治療領域に導入されて、クリアな又は半透明の光学場を形成することができ、その後、光エネルギーが発光素子230を介して加えられ、治療標的の血管壁を照射し、動脈瘤内の血液の凝固を開始するか又は加速させる。メッシュチューブ246は、凝固の結果生じる塞栓が、血管内へと移動するのを防止し得る。メッシュチューブ246はまた、血管BV中を通る血流の一部分を、動脈瘤Aから離れるようにそらす機能を果たすことができる。
【0051】
[0071]図11Cに示す手法は、カテーテル210が、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できるメッシュチューブ246’と併せて使用されていることを除いて、図11Bに示すものと同様である。メッシュチューブ246’は、動脈瘤Aの外側で血管BV内に、動脈瘤Aの開口部を横切って延びる(すなわち、またぐ)ように、配置できる。この手法では、メッシュチューブ246’は治療箇所で拡張され、その後、カテーテル210が、メッシュチューブ246’によって規定されたルーメン中を通って挿入され、且つメッシュチューブ246’の側壁から出て動脈瘤内に入るように挿入される。メッシュチューブ246’は、血管BVを通る血流の一部分を、動脈瘤Aから離れるようにそらす機能を果たすことができる。メッシュチューブ246’はまた、発光素子230を用いた治療の間、動脈瘤Aに対するカテーテル210の位置を維持するのを助けることができる。上述の通り、流体が治療領域に注入され、光エネルギーが発光素子230を介して加えられる。
【0052】
[0072]図11Dに示す手法では、カテーテル210は、閉塞器具254と併せて使用されている。閉塞器具254は、図7A及び図7Bを参照して説明した閉塞器具ODと同じ又は同様に形成及び構成できる。例えば、閉塞器具254は、血管BV内の治療箇所へ送達するための潰された形状と、図11Dに示すような拡張された形状との間で動かされることができる拡張可能バルーンとすることができる。閉塞器具254は、潰された形状で血管BV内に配置され、且つ動脈瘤Aの外側で血管内に、動脈瘤Aの開口部を横切って延びる(すなわち、またぐ)ように、展開できる。カテーテル210は、血管BVの壁と閉塞器具254との間に挿入され、その後、閉塞器具254はその拡張された形状へ動かされて、閉塞器具254が、カテーテル210を血管BVの壁に接して保持又はトラップするようにする。流体(例えば、食塩水)が治療領域に導入されて、クリアな又は半透明の光学場を形成し、その後、発光素子230を介して光エネルギーが加えられ、治療標的の血管壁を照射し、動脈瘤A内の血液の凝固を開始するか又は加速させる。光治療の間、閉塞器具254は、凝固の結果生じる塞栓が血管BVへ移動するのを防止する。閉塞器具254はまた、動脈瘤Aの治療の間、血管内での血液の流れを遮る。
【0053】
[0073]図11Eに示す手法では、カテーテル210’は操縦可能な遠位端部分を有するため、間隔保持部材250を用いずに使用できる。カテーテル210’の遠位端部分は、図11Aで説明したように動脈瘤A内に配置され、発光素子230は、遠位端部分のステアリング制御によって、動脈瘤A内のほぼ中心に置かれている。この図では、カテーテル210’は、閉塞器具254’と併せて使用されている。閉塞器具254’は、図7A及び図7Bを参照して説明した閉塞器具ODと同じ又は同様に形成及び構成できる。例えば、閉塞器具254’は、血管BV内の治療箇所へ送達するための潰された形状と、図11Eに示すような拡張された形状との間で動かされることができる拡張可能バルーンとすることができる。
【0054】
[0074]この手法では、閉塞器具254’を、血管BVを通る血液の流れを遮断するために、潰された形状で血管BV内の動脈瘤Aの下流の位置に展開させ、その後、拡張させ、閉塞器具254を血管内で動脈瘤Aの遠位に固定する。カテーテル210’は、閉塞器具254’の膨張導管と血管BVの壁との間に挿入され、遠位端部分は、発光素子230が動脈瘤A内のほぼ中心に置かれるようにステアリングされる。流体(例えば、食塩水)が治療領域に導入されて、クリアな又は半透明の光学場を形成し、その後、光エネルギーが発光素子230を介して加えられて、治療標的の血管壁を照射し、動脈瘤A内の血液の凝固を開始するか又は加速させる。光治療の間、閉塞器具254はまた、凝固の結果生じる塞栓が下流へ、血管BV内へと動くのを防止する。
【0055】
[0075]図12A~12Eは、血管内の分岐箇所に位置する動脈瘤を治療するために、上述したものなどの治療システムを使用するための様々な手法を示す。図12A~12Eを参照して図示及び説明した治療システムの実施形態及び特定の構成要素は、上述のシステム100の対応する構成要素と同じ又は同様に構成され、且つそれらと同じ又は同様の特徴を含むことができる。図示のシステム及び構成要素は、上述の通り、例えば、光エネルギーを用いて動脈瘤を治療するために使用できる。
【0056】
[0076]図12Aに示す治療法では、治療システムはカテーテル310を含み、カテーテル310の遠位端部分が、血管BVの分岐BFに位置する動脈瘤A内に配置された状態にある。カテーテル310は、上述の特徴のいずれかを含み得、図12Aでは、簡潔にするためにその詳細を省略する。
【0057】
[0077]例えば、カテーテル本体324の遠位端に配置された間隔保持部材350は、多孔質バルーン、非多孔質バルーン、ワイヤーケージなどを含む上述のオプションのいずれかで実装され得る。間隔保持部材350は、治療箇所まで送達するための潰された形状(図示せず)と、上述の技術のいずれかを使用する治療の間の拡張された形状(図12Aに示す)との間で動かされることができる。間隔保持部材350は、発光素子330と、治療される動脈瘤Aの壁との間の最小間隔を維持するために使用できる。
【0058】
[0078]カテーテル310は血管BV内に挿入され、及びカテーテル310の遠位端部分は、間隔保持部材350及び発光素子330を含め、動脈瘤A内に配置される。間隔保持部材350は拡張された形状へ動かされ、流体が注入されて、クリアな又は半透明の光学場を形成する。その後、光エネルギーが発光素子330を介して適用されて、治療領域での血液の凝固を開始する及び/又は加速させる。間隔保持部材350は、凝固の結果生じる塞栓が、下流方向に血管内へ移動するのを防止するのを助けることができる。
【0059】
[0079]図12Bに示す手法では、カテーテル310は、メッシュチューブ346及びメッシュチューブ347と併せて使用されて、治療中、塞栓が血管内へ移動しないようにさらに守る。メッシュチューブ346及び347はまた、光子療法後の血管リモデリング(vascular remodeling)のための足場の役割を果たし、並びに塞栓が血管内へと移動するのを防止するためのフィルタの役割を果たすことができる。メッシュチューブ346及び347は、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できる。メッシュチューブ346は、血管BV内で動脈瘤Aの外側に配置できる第1の部分と、血管BVの枝B1内へと延びる第2の部分とを含む。同様に、メッシュチューブ347は、メッシュチューブ346に係合して、血管BV内で動脈瘤Aの外側に配置できる第1の部分と、血管BVの枝B2内へ延びる第2の部分とを含む。メッシュチューブ346及び347は、潰された形状で送達され、治療箇所で拡張された形状へと動かされることができる。この実施形態では、メッシュチューブ346及びメッシュチューブ347は、共同で、血管BV内で互いの間に伸長された空間を形成し、この伸長された空間は、動脈瘤の開口部で終端する。カテーテル310の遠位端部分は、血管壁と、メッシュチューブ346及び347によって形成された伸長された空間との間に挿入され、血管壁とメッシュチューブとの間に効率的に「留められる」ことができる。間隔保持部材350及び発光素子330は動脈瘤Aに挿入され、その後、間隔保持部材350は動脈瘤A内で拡張され、流体が注入されて、クリアな又は半透明の光学場を形成する。その後、光エネルギーが発光素子330を介して適用されて、治療領域での血液の凝固を開始する及び/又は加速させる。メッシュチューブ並びに間隔保持部材350はまた、凝固の結果生じる塞栓が、下流方向に血管内へと移動するのを防止するのを助けることができる。
【0060】
[0080]図12Cに示す手法は、この図では、カテーテル310が、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できるメッシュチューブ346’及びメッシュチューブ347’と併せて使用されていることを除いて、図12Bに示すものと同様である。メッシュチューブ346’は、血管BV内で動脈瘤Aの外側に配置できる第1の部分と、血管BVの枝B1内へと延びることができる第2の部分とを含む。同様に、メッシュチューブ347’は、血管BV内で動脈瘤Aの外側に配置できる第1の部分と、血管BVの枝B2内へと延びることができる第2の部分とを含む。この実施形態では、メッシュチューブ346’及びメッシュチューブ347’は、血管BV内で互いに当接して、共同で、メッシュチューブ346’及び347’が実質的にY字状(「ダブルバレル技術」と呼ばれる)となるようにする。この実施形態では、メッシュチューブ346’及び347’が血管BVに挿入される前に、カテーテル310が挿入され、遠位端部分が動脈瘤A内に位置決めされる。カテーテル310の位置決め後、メッシュチューブ346’及び347’は、血管BV並びに枝B1及びB2内に位置決めされ、拡張されて、メッシュチューブ346’及び347’が、メッシュチューブ346’及び347’と動脈壁との間に形成された空間にカテーテル310を保持又はトラップするようにし得る。メッシュチューブ346’及び347’は、血管BV中を通る血流の一部分を、動脈瘤Aから離れるようにそらす機能を果たすことができる。メッシュチューブ346’及び347’はまた、発光素子330を用いた治療の間に、動脈瘤に対してカテーテル310の位置を維持するのを助けることができる。
【0061】
[0081]図12Dの手法では、カテーテル310は、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できる単一のメッシュチューブ346”と併せて使用されている。この実施形態では、メッシュチューブ346”は、血管BVの枝B1内へと延びる第1の部分と、枝B2内へと延びる第2の部分とを含む。カテーテル310は、動脈瘤に挿入され、その後、メッシュチューブ346”は拡張位置へ開かれて、図12Dに示すように、カテーテル310を、その遠位先端が動脈瘤A内にある状態で、動脈壁とメッシュチューブ346”との間に実質的にトラップする。メッシュチューブ346”はまた、発光素子330を用いた治療の間、動脈瘤Aに対してカテーテル310の位置を維持するのを助けることができる。
【0062】
[0082]図12Eに示す手法では、カテーテル310は、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できる単一のメッシュチューブ346’’’と併せて使用されている。メッシュチューブ346’’’は、実質的にY字状であり、血管BV内で、動脈瘤Aの開口部の外側に配置された中央部分、及び血管BVの枝B1及び枝B2内へと延びる2つの枝部分を含む。この実施形態では、カテーテル310が動脈瘤A内へと挿入されてから、メッシュチューブ346’’’が開放位置へと動かされ、図12Eに示すように、カテーテル310を動脈壁とメッシュチューブ346’’’との間に実質的に「留める」又はトラップする。メッシュチューブ346’’’はまた、発光素子330を用いた治療の間、動脈瘤に対してカテーテル310の位置を維持するのを助けることができる。
【0063】
[0083]図13は、分岐BFの近くの血管BVの壁に位置する紡錘形の動脈瘤FAを治療するための、上述のもののような治療システムの使用の様子を示す。図13を参照して図示及び説明した治療システムの実施形態及び特定の構成要素は、上述のシステム100の対応する構成要素と同じ又は同様に構成され、且つそれらと同じ又は同様の特徴を含むことができる。図示のシステム及び構成要素は、上述の通り、例えば、光エネルギーを用いて紡錘形の動脈瘤FAを治療するために使用できる。
【0064】
[0084]図13に示すように、治療システムはカテーテル410を含み、カテーテル410の遠位端部分が、血管BVの側壁に位置する紡錘形の動脈瘤FA内に配置された状態を示す。カテーテル410は、上述の特徴のいずれかを含み得、図13では、簡潔にするためにその詳細を省略する。
【0065】
[0085]間隔保持部材450は、上述のオプションのいずれかで実装され、多孔質バルーン、非多孔質バルーン、ワイヤーケージなどを含み得る。間隔保持部材450は、上述の技術のいずれかを使用して、潰された形状(図示せず)と拡張された形状(図13に示す)との間で動かされることができる。間隔保持部材450は、発光素子430と、治療される紡錘形の動脈瘤FAの壁との間の最小間隔を維持するために使用できる。発光素子430及び間隔保持部材450が紡錘形の動脈瘤FA内に配置された状態で、発光素子430が動作して所望の光強度を発して、動脈瘤を治療できる。
【0066】
[0086]この実施形態では、カテーテル410は、カテーテル本体420に結合された閉塞器具454を含む。閉塞器具454は、図7A及び図7Bを参照して説明した閉塞器具ODと同じ又は同様に形成及び構成できる。例えば、閉塞器具454は、血管BV内の治療箇所へ送達するための潰された形状と、図13に示すような拡張された形状との間で動かされることができる拡張可能バルーンとすることができる。この実施形態では、閉塞器具454は、血管BV内で、紡錘形の動脈瘤FAの前に配置されて、血管BVを通る血液の流れを妨害又は遮断する。
【0067】
[0087]カテーテル410はまた、例えば図13に示すような、図6を参照して説明したメッシュチューブMTと同じ又は同様に形成及び構成できるメッシュチューブ446と併せて使用できる。この実施形態では、メッシュチューブ446は、伸長された形状であり、血管BV内で、動脈内の「着地帯(landing zones))」が動脈瘤FAの両端部にある状態で、紡錘形の動脈瘤FAを横断して配置されて示されている。カテーテル410は、メッシュチューブ446によって形成されたルーメン中を通って挿入され、及び発光素子430を用いた紡錘形の動脈瘤FAの治療の間、メッシュチューブ446のルーメン内に配置されたままである。
【0068】
[0088]図14は、血管BVの壁を治療するため(例えば、静脈瘤を治療するため)のカテーテル410の使用の様子を示し、例えば、発光素子430を用いた治療の間、血管BV内の血流を閉塞するために閉塞器具454を使用する、血管BV内に配置されたカテーテル410を示す。
【0069】
[0089]図15は、血管BV内の奇形Mを治療するために、血管BV内に配置されたカテーテル410を示す。図15では、奇形Mの出口にある分岐BFは、奇形Mからの考えられる複数の出口を示すものである。この例では、カテーテル本体420に結合された閉塞器具454を含むカテーテル410は、血管BV内に位置決めされ、奇形に直接至る。間隔保持部材450は、開放位置へ動かされ、流路の中を通る流体の流れが開始される。奇形Mへの照射は、発光素子430から発せられた光によって開始されて、血管BV内の奇形に塞栓術を行う。奇形Mの細くて弱い動脈への光浸透が、血栓形成を、それに続いて、血栓の瘢痕組織への変化を開始し、循環から奇形Mを除外し得る。
【0070】
[0090]図16は、対象者の体内の血流量の少ない血管奇形(low flow malformation))、例えば、海綿状奇形を治療するために使用されている、上述したものなどの治療システムの構成要素を示す。図16を参照して図示及び説明された治療システムの実施形態及び特定の構成要素は、上述のシステム100の対応する構成要素と同じ又は同様に構成され、且つそれらと同じ又は同様の特徴を含むことができる。図示のシステム及び構成要素を使用して、上述の通り、例えば、光エネルギーを用いて、奇形に塞栓術を行う。
【0071】
[0091]図16に示すように、治療システムは、カテーテル510の遠位端部分が海綿状領域CV内に配置された状態で示すカテーテル510を含む。カテーテル510は、上述の特徴のいずれかを含み得、図16では、簡潔にするためにその詳細を省略する。いくつかの実施形態では、カテーテル510は、トロカールをわたって病変部まで挿入される鈍針とすることができる。
【0072】
[0092]例えば、間隔保持部材550は、ワーキングチャンネル524中を通ってカテーテル本体520の遠位端に配置される。図16に示す間隔保持部材550は、図4Cを参照して図示及び説明した間隔保持部材150と同じ又は同様に構成される。より具体的には、間隔保持部材550は、間に多数のアパーチャを形成する複数のワイヤー又はストラットを含み、アパーチャを、カテーテル410によって放出される希釈流体が通過し得る。間隔保持部材550は、発光素子530と治療領域の壁との間に最小間隔を維持するために使用され得る。上述の他の形態の間隔保持部材のいずれかが使用できる。
【0073】
[0093]この治療法では、カテーテル510は、動脈内又は静脈内にではなく、患者の皮膚及び介在する組織中を通って直接(例えば、経皮的に)海綿状奇形に挿入される。例えば、カテーテル510は、皮膚及び/又は患者の体の頭蓋骨などの骨構造にある開口部を通って体に挿入された送達用シースを介して、患者の体に導入され得る。この実施形態では、カテーテル本体520のワーキングチャンネル524は、流体源(図示せず)から治療領域、すなわち、海綿状領域CV内へ流体を導入又は注入するために使用できる。別個の吸引機器564が、過剰な流体及び/又は他の物質を治療領域から吸引(例えば、除去)するために使用できる。いくつかの実施形態では、カテーテル510は、カテーテル本体524と一体となった吸引チャンネルを含むことができる。そのような実施形態の例は、図17A~17Hを参照して下記で説明する。
【0074】
[0094]図17A~17Cは、例えば、海綿状奇形、又は関節、例えば、膝関節包KC(図17A)を治療するために使用されている治療システムの構成要素を示す。図17A~17Cを参照して図示及び説明した治療システムの実施形態及び特定の構成要素は、上述のシステム100の対応する構成要素と同じ又は同様に構成され、且つそれらと同じ又は同様の特徴を含むことができる。図示のシステム及び構成要素は、上述の通り、例えば、光エネルギーを用いて、膝関節包KC内の治療領域を治療するために使用できる。
【0075】
[0095]図16の先の実施形態のように、図17A~17Cに示すように、治療システムは、直接(例えば、経皮的に)患者の関節(例えば、膝関節包)に導入される。治療システムはカテーテル610(例えば、鈍針)を含み、カテーテル610の遠位端部分が、膝関節包KC内に配置された状態で示される。カテーテル610は、内側本体648が移動可能に配置されるルーメン624を形成するカテーテル本体620を含む。ルーメン624はまた、流体源(図示せず)から治療領域へ流体(例えば、食塩水)を導入するために使用できる。この実施形態では、内側本体648は、発光素子630に結合された光ファイバー(図示せず)を受け入れることができるルーメン633(図17C参照)を形成する。光散乱素子は、発光素子630に組み込まれ、且つ内側本体648に取り付けられることができる。発光素子630(及び光ファイバー)は、光源(図示せず)に結合できる。体の関節内にある流体は透明又は半透明であるため、そのような流体の、食塩水などの透明な流体での希釈は、治療されるべき軟組織に光の照射が到達できるようにするためには、必要ではない。さらに、十分に透過性がある光散乱材料、例えば、ダイヤモンドダストが使用される場合、冷却は必要ではない。
【0076】
[0096]図17D及び図17Eは、流体のフラッシング機能及び吸引機能を提供でき、及び、図17Aに示すように、例えば、関節、例えば膝関節包KCを治療するために使用できるカテーテルの別の実施形態を示す。カテーテル710は、内側本体748が移動可能に配置されるルーメン724を形成するカテーテル本体720を含む。内側本体748は、発光素子730に結合された光ファイバー(図示せず)を受け入れることができるルーメン733(図17E参照)を形成する。図示しないが、光散乱素子はまた、発光素子730に取り付けられるか又はそれと一体にされることができる。発光素子730(及び光ファイバー)は光源(図示せず)に結合できる。
【0077】
[0097]この実施形態では、カテーテル本体720のルーメン724はまた、食塩水などの流体を流体源(図示せず)から治療領域、例えば海綿状奇形又は膝関節包KC内へ導入する又は運ぶために、使用できる。流体は、遠位開口部又は出口742を通ってルーメン724から流出できる。前述の通り、流体は、治療領域内の希釈、可視化、及び/又は冷却を提供し得る。カテーテル本体720はまた、ルーメン724に平行して配置された別個の吸引ルーメン766を形成する。吸引ルーメン766は、例えば、治療中連続的に又は光治療が完了したときのいずれかで、治療領域から過剰な流体を吸引(例えば、除去)するために使用できる。
【0078】
[0098]図17F及び図17Gは、流体フラッシング機能及び吸引機能を提供でき、例えば、関節、例えば膝関節包KC又は海綿状奇形を治療するために、図17A及び図16にそれぞれ示されるように、使用できるカテーテルの別の代替的な実施形態を示す。カテーテル810は、内側本体848が移動可能に配置されるルーメン824を形成するカテーテル本体820を含む。内側本体848は、発光素子830に結合された光ファイバー(図示せず)を受け入れるルーメン833(図17G参照)を形成する。図示しないが、光散乱素子はまた、発光素子830に取り付けられるか又はそれと一体にされることができる。発光素子830(及び光ファイバー)は、光源(図示せず)に結合できる。
【0079】
[0099]この実施形態では、カテーテル本体820のルーメン824はまた、流体を流体源(図示せず)から治療領域、例えば海綿状奇形又は膝関節包KC内へ導入する又は運ぶために、使用できる。流体は、遠位開口部又は出口842を通ってルーメン824から流出できる。カテーテル本体820はまた、治療領域を吸引する(例えば、治療領域から流体及び/又は他の物質を除去する)ために使用できる吸引ルーメン866を形成する。この実施形態では、ルーメン824(流体を導入するために使用される)及び吸引ルーメン866は、同軸である。或いは、ルーメン824は、吸引するために使用でき、及びルーメン866は、治療領域内へ流体を運ぶために使用できる。
【0080】
[0100]図17Hに示す代替的な実施形態では、カテーテル810’は、治療領域内へ流体を運ぶこと及び治療領域を吸引することの双方のために使用できるルーメン824’を形成するカテーテル本体820’を含むことができる。例えば、カテーテル本体824’は流体源に接続されて、治療領域内へ流体を運ぶことができる。その後、ルーメン824’への流体の流れを終了でき、カテーテル本体820’は機器に結合されて、ルーメン824’中を通って吸引を行うことができる。或いは、ルーメン824’は、流体潅注源と吸引源との間で切り替える弁に接続できる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図17G
図17H
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と近位端とを備えるカテーテル本体を有するカテーテルと、
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置され、光を発するように構成された発光素子と、
前記カテーテル本体内に配置され、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端まで延びる流体導管であって、前記カテーテル本体の前記近位端に、流体源に接続可能な入口を有し、前記遠位端に出口を有し、前記流体源からの流体を、前記流体導管を経由して前記遠位端から放出するように構成された、流体導管と、
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置され、潰された形状から拡張された形状へ再構成可能である間隔保持部材であって、前記拡張された形状では、前記間隔保持部材は、前記発光素子の周囲に配置され、前記発光素子を前記間隔保持部材内で前記間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保ち、前記間隔保持部材は、前記発光素子から発せられた前記光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させる、間隔保持部材と、
を含む、装置であって、
前記カテーテル本体の前記遠位端が、内壁を有する身体管腔内に少なくとも部分的に挿入され、前記間隔保持部材が前記拡張された形状で前記身体管腔内に配置され、前記流体が前記身体管腔内へと放出され、前記光が前記発光素子から発せられて前記身体管腔の前記内壁に照射されるように構成されている、装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と近位端とを備え、カテーテル本体を有し、導管を形成するカテーテルと、
前記導管の内部を移動可能に構成された内側本体と、
前記内側本体の遠位チップに配置され、光を発するように構成された発光素子と、
前記内側本体の遠位に配置され、潰された形状から拡張された形状へ遷移可能である間隔保持部材であって、前記拡張された形状では、前記間隔保持部材は、前記発光素子の周囲に配置されるよう構成され、前記発光素子を前記間隔保持部材の少なくとも1つの軸に関してほぼ中心に保つよう構成された、間隔保持部材と、
を含む、装置であって、
前記カテーテル本体の前記遠位端が、内壁を有する身体管腔内又は体腔内に少なくとも部分的に挿入され、前記間隔保持部材が前記身体管腔内又は前記体腔内で前記拡張された形状に遷移させられ、前記光が前記発光素子から発せられて前記身体管腔又は前記体腔の前記内壁に照射されるように構成され、前記拡張された形状における前記間隔保持部材の直径が前記身体管腔又は前記体腔の内径以下である、装置。
【請求項2】
前記導管は、流体源に接続可能な入口と、前記カテーテル本体の前記遠位端に配置され、前記導管を通って前記流体源からの流体を放出する出口とを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カテーテル本体は、流体が前記身体管腔又は前記体腔から除去される吸引のための管腔を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記間隔保持部材は、前記発光素子から発せられた前記光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させ、前記光が前記間隔保持部材の内部を通って周方向に伝達されるよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記間隔保持部材は、前記発光素子から発せられた前記光を少なくとも部分的に透過及び/又は半透過させ、前記光が前記間隔保持部材の内部を通って周方向及び軸方向に伝達されるよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記間隔保持部材は、前記内側本体に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カテーテル本体を通って前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位端まで延びる光導管をさらに含み、前記光導管は、光源に光学的に結合可能な近位端と、前記発光素子に光学的に結合可能な遠位端とを有し、前記発光素子は、光源から前記発光素子まで光を透過させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光導管の前記近位端に結合可能であり、スペクトルの可視部分にある波長の光又は近赤外部分にある波長の光の少なくとも1つを生成するように構成された光源をさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記間隔保持部材は、前記導管から前記流体を放出可能な多孔質である、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記間隔保持部材はワイヤーメッシュを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記カテーテル本体の前記遠位端に配置され、前記カテーテル本体の前記遠位端が配置される前記身体管腔又は前記体腔の一部を撮像するように構成された撮像装置をさらに含み、前記撮像装置は、前記身体管腔又は前記体腔の画像が表示され得るディスプレイに結合可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記発光素子は、前記発光素子からの光を前記間隔保持部材にわたって周方向に向かって散乱させるように構成された光散乱体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記発光素子は、1mWから500mWのパワーで400nmから1,000nmの間の波長の光を発する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記発光素子は、100mWから200mWのパワーで532nmの波長の光を発する、請求項1に記載の装置。
【外国語明細書】