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特開2024-20359電気抵抗スポット溶接性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
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  • 特開-電気抵抗スポット溶接性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020359
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】電気抵抗スポット溶接性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240206BHJP
   C23C 2/06 20060101ALI20240206BHJP
   C23C 2/28 20060101ALI20240206BHJP
   C23C 2/02 20060101ALI20240206BHJP
   C22C 38/60 20060101ALI20240206BHJP
   C21D 9/46 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C22C38/00 301T
C23C2/06
C23C2/28
C23C2/02
C22C38/60
C21D9/46 J
C22C38/00 302A
C21D9/46 P
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192741
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2021534943の分割
【原出願日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164821
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カン、 キ-チョル
(72)【発明者】
【氏名】ウム、 サン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】チ、 チャン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 ヨン-チェ
(72)【発明者】
【氏名】ミン、 クワン-チ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スポット溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一側面による亜鉛めっき鋼板は、素地鋼板と、上記素地鋼板の上部に形成された亜鉛系めっき層と、を含む亜鉛めっき鋼板であって、下記式1で表される素地鋼板の表層部の脱炭率が30%以上であることができる。
[式1]
表層部の脱炭率(%)=(1-表層部の平均炭素濃度/バルク炭素濃度)*100
但し、表層部とは、素地鋼板の表面から35μmの深さまでの領域を意味する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鋼板と、前記素地鋼板の上部に形成された亜鉛系めっき層と、を含む亜鉛めっき鋼
板であって、
下記式1で表される素地鋼板の表層部の脱炭率が30%以上である、高強度亜鉛めっき
鋼板。
[式1]
表層部の脱炭率(%)=(1-表層部の平均炭素濃度/バルク炭素濃度)*100
(但し、表層部とは、素地鋼板の表面から35μmの深さまでの領域を意味する。)
【請求項2】
前記表層部の脱炭率が40%以上である、請求項1に記載の高強度亜鉛めっき鋼板。
【請求項3】
前記鋼板の引張強度が490Mpa以上である、請求項1に記載の高強度亜鉛めっき鋼
板。
【請求項4】
前記亜鉛系めっき層のめっき付着量が30~70g/mである、請求項1に記載の高
強度亜鉛めっき鋼板。
【請求項5】
前記亜鉛系めっき層が、合金化度が8~13重量%である合金化溶融亜鉛めっき(GA
)層である、請求項1に記載の高強度亜鉛めっき鋼板。
【請求項6】
前記鋼板が、C:0.05~1.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.0~30%、
S-Al(酸可溶性アルミニウム):3%以下、Cr:2.5%以下、Mo:1%以下、
B:0.005%以下、Nb:0.2%以下、Ti:0.2%以下、V:0.2%以下、
Sb+Sn+Bi:0.1%以下、N:0.01%以下を含む組成を有する、請求項1か
ら5の何れか一項に記載の高強度亜鉛めっき鋼板。
【請求項7】
鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板を得る段階と、
前記熱延鋼板を590~750℃の温度で巻き取って熱延鋼板を得る段階と、
酸素を0.5~2%含む窒素雰囲気で、前記巻き取られた熱延鋼板のエッジ部を600
~800℃で5~24時間加熱する段階と、
前記熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を得る段階と、
前記冷延鋼板を40~130mpmの通板速度で通板させながら、650~900℃で
-10~30℃の露点の雰囲気で焼鈍する段階と、
前記焼鈍された冷延鋼板を溶融亜鉛めっきする段階と、
を含む、スポット溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項8】
溶融亜鉛めっきされた冷延鋼板を合金化熱処理する段階をさらに含む、請求項7に記載
のスポット溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記合金化熱処理は480~560℃の温度で行われる、請求項8に記載のスポット溶
接性に優れた亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記鋼スラブが、C:0.05~1.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.0~30
%、S-Al(酸可溶性アルミニウム):3%以下、Cr:2.5%以下、Mo:1%以
下、B:0.005%以下、Nb:0.2%以下、Ti:0.2%以下、V:0.2%以
下、Sb+Sn+Bi:0.1%以下、N:0.01%以下を含む組成を有する、請求項
7から9の何れか一項に記載のスポット溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気抵抗スポット溶接性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染などの問題により、自動車の排出ガスと燃費に対する規制が益々強化されてい
る。これにより、自動車の鋼板の軽量化による燃料消費量の減少に対する要求が強くなっ
てきており、それに応えるべく、単位厚さ当たりの強度が高い種々の高強度鋼板が開発さ
れて市販されている。
【0003】
高強度鋼とは、通常、490MPa以上の強度を有する鋼を意味するが、必ずしもこれ
に限定されるものではなく、変態誘起塑性(Transformation Induc
ed Plasticity;TRIP)鋼、双晶誘起塑性(Twin Induced
Plasticity;TWIP)鋼、二相組織(Dual Phase;DP)鋼、
複合組織(Complex Phase;CP)鋼などがこれに該当することができる。
【0004】
一方、自動車の鋼材は、耐食性を確保するために、表面にめっきを施しためっき鋼板の
形態で供給されるが、中でも、亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)または合金化亜鉛めっき鋼板
(GA)は、亜鉛の犠牲防食特性を用いて高い耐食性を有するため、自動車用素材として
多く用いられている。
【0005】
ところが、高強度鋼板の表面を亜鉛でめっきする場合、スポット溶接性が低下するとい
う問題がある。すなわち、高強度鋼は、引張強度とともに降伏強度が高いため、溶接中に
生じる引張応力を焼成変形により解消することが困難であって、表面に微小クラックが発
生する可能性が高い。高強度亜鉛めっき鋼板に対して溶接を行うと、融点の低い亜鉛が鋼
板の微小クラックに浸透するようになり、その結果、液体金属脆化(Liquid Me
tal Embrittlement;LME)という現象が起こり、鋼板が破壊に至る
という問題が発生する恐れがある。これは、鋼板の高強度化において大きい障害として作
用している。
【0006】
また、高強度鋼板は、鋼板に含まれているMn、Al、Siなどの合金成分が雰囲気と
反応して鋼板の表面に酸化物を形成するが、この場合、めっき密着性が大きく減少するな
ど、めっき鋼板の表面品質に問題が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一側面によると、スポット溶接性に優れた亜鉛めっき鋼板及びその製造方法が
提供される。
【0008】
本発明の課題は上述の内容に限定されない。本発明が属する技術分野において通常の知
識を有する者であれば、本発明の明細書全体にわたって記載された内容から本発明の付加
的な課題を理解するのに何ら困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面による亜鉛めっき鋼板は、素地鋼板と、上記素地鋼板の上部に形成され
た亜鉛系めっき層と、を含む亜鉛めっき鋼板であって、下記式1で表される素地鋼板の表
層部の脱炭率が30%以上であることができる。
【0010】
[式1]
表層部の脱炭率(%)=(1-表層部の平均炭素濃度/バルク炭素濃度)*100
【0011】
但し、表層部とは、素地鋼板の表面から35μmの深さまでの領域を意味する。
【0012】
本発明の他の一側面による亜鉛めっき鋼板の製造方法は、鋼スラブを熱間圧延して熱延
鋼板を得る段階と、上記熱延鋼板を590~750℃の温度で巻き取って熱延鋼板を得る
段階と、酸素を0.5~2%含む窒素雰囲気で、上記巻き取られた熱延鋼板のエッジ部を
600~800℃で5~24時間加熱する段階と、上記熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板
を得る段階と、上記冷延鋼板を40~130mpmの通板速度で通板させながら、650
~900℃で-10~30℃の露点の雰囲気で焼鈍する段階と、上記焼鈍された冷延鋼板
を溶融亜鉛めっきする段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
上述のように、本発明は、めっき層直下の素地鉄の表層部に脱炭層を形成することで、
表面品質に優れるとともに、抵抗スポット溶接時におけるLME抵抗性に優れた亜鉛めっ
き鋼板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】脱炭度を測定するために、炭素濃度のプロファイルに対して積分を行う区間を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明において、亜鉛めっき鋼板とは、亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)だけでなく、合金
化亜鉛めっき鋼板(GA)はもちろん、亜鉛が主に含まれているめっき鋼板を何れも含む
概念であることに留意する必要がある。亜鉛が主に含まれているということは、めっき層
に含まれている元素のうち亜鉛の割合が最も高いことを意味する。但し、合金化亜鉛めっ
き鋼板では、鉄の割合が亜鉛よりも高いことができ、鉄を除いた残りの成分のうち亜鉛の
割合が最も高いことを含むことができる。
【0017】
本発明の発明者らは、溶接時に発生する液体金属脆化(LME)の原因が、鋼板の表面
から発生する微小クラックにあるということに着目し、表面の微小クラックを抑えるため
の手段に関して研究した結果、そのためには、鋼板の表面を軟質化することが必要である
ことを見出し、本発明を成すに至った。
【0018】
通常、高強度鋼は、鋼の硬化能やオーステナイト安定性などを確保するために、C、M
n、Si、Cr、Mo、Vなどの元素を多量含むことがあるが、かかる元素は、鋼のクラ
ックに対する感受性を高くする役割をする。したがって、かかる元素が多量に含まれた鋼
は微小クラックが発生しやすく、結果として、溶接時に液体金属脆化の原因になる。本発
明者らの研究結果によると、このような微小クラックの発生挙動は炭素濃度と密接な関係
があり、クラックは表面から発生して内部に伝播されるため、表面の炭素濃度が高い場合
には微小クラックの発生可能性が高くなる。
【0019】
したがって、本発明の一実施形態では、鋼の全体的な組成は高強度のために高い炭素濃
度を有するようにし、かつ、クラックが発生する地点である表層部の炭素濃度は、クラッ
クに対する抵抗性を有するように低い炭素濃度、すなわち、高い脱炭率を有するようにす
る。
【0020】
本発明において、表層部とは、鋼板の表面から深さ方向に35μm以内の地点を意味し
、表層部の脱炭率は下記式[1]で表すことができる。
【0021】
[式1]
表層部の脱炭率(%)=(1-表層部の平均炭素濃度/バルク炭素濃度)*100
【0022】
上記式1において、表層部の炭素濃度は、表層部の炭素濃度の平均値を意味し、図1
示したような炭素のGDS(GDOESなど、類似の機器を何れも含む概念である)プロ
ファイルにおいて、素地鋼板の表層部から深さ35μmまで積分した値を深さ(35μm
)で除した値とすることができる。また、バルク炭素濃度は、GDSプロファイル上で、
深さ方向に移動しても炭素濃度にそれ以上の変化がない時の炭素濃度を意味し、通常、鋼
板の厚さの1/4深さの炭素濃度を意味する。この際、鋼板の厚さの1/4深さの炭素濃
度は、鋼板の一部を深さ方向に除去した後、GDS分析を行うことで得ることができる。
【0023】
本発明の一実施形態では、上記表層部の脱炭率は、幅方向の中心部で測定した値を基準
とすることができる。しかし、通常、鋼板の幅方向の中心部に比べて幅方向のエッジ部が
、より高い脱炭率値を有する場合が多いため、エッジ部での脱炭率が本発明で規定する値
を満たす場合に、スポット溶接性をより改善することができる。ここで、幅方向のエッジ
部とは、鋼板を幅方向に切断した断面の両端部地点を意味するが、上記地点に汚染が発生
するなど、試験片の健全性に問題がある場合には、端部地点から幅方向に1mm内側の地
点を意味し得る。
【0024】
上述のように、本発明の一実施形態において、LMEの発生防止による十分なスポット
溶接性を確保するために、上記脱炭率が30%以上であることができる。本発明の他の実
施形態によると、上記脱炭率は40%以上であり、さらに他の実施形態では、上記脱炭率
は50%以上であることができる。
【0025】
上記脱炭率は高いほど有利であるため、脱炭率の上限は特に制限しなくてもよい。但し
、本発明の一実施形態によると、上記脱炭率の上限は90%とすることができ、他の実施
形態では、上記脱炭率の上限は80%とすることができ、さらに他の実施形態では、上記
脱炭率の上限は70%とすることができる。
【0026】
本発明の一実施形態によると、素地鋼板の表層部には内部酸化物が存在することができ
る。上記内部酸化物は、Si、Mn、Al、及びFeのうち少なくとも1種以上を含むこ
とができ、その他に、素地鋼板の組成に由来する追加元素をさらに含んでもよい。
【0027】
本発明で対象とする鋼板は、強度490MPa以上の高強度鋼板であればその種類を制
限しない。但し、必ずしもこれに制限されるものではないが、本発明で対象とする鋼板は
、重量比で、C:0.05~1.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.0~30%、S
-Al(酸可溶性アルミニウム):3%以下、Cr:2.5%以下、Mo:1%以下、B
:0.005%以下、Nb:0.2%以下、Ti:0.2%以下、V:0.2%以下、S
b+Sn+Bi:0.1%以下、N:0.01%以下を含む組成を有することができる。
残りの成分は鉄及びその他の不純物であり、その他にも、上記で挙げられず、かつ鋼中に
含まれ得る元素を合計1.0%以下の範囲でさらに含むことまでは排除しない。本発明に
おいて、各成分元素の含量は特に別に表現しない限り、重量を基準として表示する。上述
の組成は、鋼板のバルク組成、すなわち、鋼板の厚さの1/4地点の組成を意味する(以
下、同一)。
【0028】
但し、本発明のいくつかの実施形態では、上記高強度鋼板としてTRIP鋼などを対象
とすることができる。それぞれの鋼は、次のような組成を有することができる。
【0029】
鋼組成1:C:0.05~0.30%(好ましくは0.10~0.25%)、Si:0
.5~2.5%(好ましくは1.0~1.8%)、Mn:1.5~4.0%(好ましくは
2.0~3.0%)、S-Al:1.0%以下(好ましくは0.05%以下)、Cr:2
.0%以下(好ましくは1.0%以下)、Mo:0.2%以下(好ましくは0.1%以下
)、B:0.005%以下(好ましくは0.004%以下)、Nb:0.1%以下(好ま
しくは0.05%以下)、Ti:0.1%以下(好ましくは0.001~0.05%)、
Sb+Sn+Bi:0.05%以下、N:0.01%以下、残部Fe及び不可避不純物を
含む。場合によって、上記で挙げられず、かつ鋼中に含まれ得る元素を合計1.0%以下
の範囲までさらに含むことができる。
【0030】
鋼組成2:C:0.05~0.30%(好ましくは0.10~0.2%)、Si:0.
5%以下(好ましくは0.3%以下)、Mn:4.0~10.0%(好ましくは5.0~
9.0%)、S-Al:0.05%以下(好ましくは0.001~0.04%)、Cr:
2.0%以下(好ましくは1.0%以下)、Mo:0.5%以下(好ましくは0.1~0
.35%)、B:0.005%以下(好ましくは0.004%以下)、Nb:0.1%以
下(好ましくは0.05%以下)、Ti:0.15%以下(好ましくは0.001~0.
1%)、Sb+Sn+Bi:0.05%以下、N:0.01%以下、残部Fe及び不可避
不純物を含む。場合によって、上記で挙げられず、かつ鋼中に含まれ得る元素を合計1.
0%以下の範囲までさらに含むことができる。
【0031】
また、上述の各成分元素のうち、その含量の下限を限定していない場合は、それらは任
意元素であってもよく、その含量が0%になってもよいことを意味する。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記鋼板の表面には一層以上のめっき層が含まれること
ができ、上記めっき層は、GI(Galvanized)またはGA(Galva-an
nealed)などを含む亜鉛系めっき層であることができる。本発明では、上述のよう
にCeqの割合を適切に制御したため、亜鉛系めっき層が鋼板の表面に形成されても、ス
ポット溶接時に発生する液体金属脆化の問題を抑えることができる。
【0033】
上記亜鉛系めっき層がGA層である場合には、合金化度(めっき層中のFeの含量を意
味する)を8~13重量%、好ましくは10~12重量%に制御することができる。合金
化度が十分ではない場合には、亜鉛系めっき層中の亜鉛が微小クラックに浸透して液体金
属脆化の問題を起こす可能性が残り、逆に合金化度が高すぎる場合には、パウダリングな
どの問題が発生する恐れがある。
【0034】
また、上記亜鉛系めっき層のめっき付着量は30~70g/mであることができる。
めっき付着量が少なすぎる場合には十分な耐食性を得ることが困難であるのに対し、めっ
き付着量が多すぎる場合には製造原価の上昇及び液体金属脆化の問題が発生する恐れがあ
るため、上述の範囲内に制御する。より好ましいめっき付着量の範囲は、40~60g/
であることができる。本めっき付着量は、最終製品に付着しためっき層の量を意味す
るものであり、めっき層がGA層である場合には合金化によりめっき付着量が増加するた
め、合金化前にはその重量が少し減少することがある。合金化度によって変わるため、必
ずしもこれに制限されるものではないが、合金化前の付着量(すなわち、めっき浴から付
着するめっきの量)はそれより約10%程度減少した値であることができる。
【0035】
以下、本発明の鋼板を製造する一実施形態について説明する。但し、本発明の鋼板は必
ずしも下記の実施形態により製造される必要はなく、下記の実施形態は、本発明の鋼板を
製造する1つの好ましい手法であることに留意する必要がある。
【0036】
先ず、上述の組成を有する鋼スラブを熱間圧延した後、巻き取る過程により、熱延鋼板
を製造することができる。スラブの加熱(直送圧延の場合には温度管理)または熱間圧延
などの条件は特に制限されないが、本発明の一実施形態では、巻き取り温度を次のように
制限することができる。
【0037】
巻き取り温度:590~750℃
熱間圧延された鋼板は後でコイルの形態で巻き取られて保管されるが、巻き取られた鋼
板は徐冷過程を経るようになる。このような過程により、鋼板の表層部に含まれた酸化性
元素が除去されるが、スラブの巻き取り温度が低すぎる場合には、これらの元素の酸化除
去に必要な温度より低い温度でコイルが徐冷されるため、十分な効果を奏することが困難
である。逆に、巻き取り温度が高すぎる場合には、幅方向の中心部とエッジ部の温度偏差
が大きくなり、これにより、材質偏差が増加する。この場合、冷間圧延性が劣化するとと
もに、最終製品の強度が低下するだけでなく、成形性も悪くなる恐れがある。また、表面
酸化の点からも、巻き取り温度が高すぎる場合にはスケールの再酸化が発生してFe
が生成される可能性があるが、この場合、表面品質が劣化する恐れがある。したがって
、本発明の一実施形態では、上記巻き取り温度の上限を750℃とすることができる。
【0038】
熱延コイルのエッジ部加熱:600~800℃で5~24時間行う
本発明の一実施形態では、エッジ部の脱炭率を高くするために、熱延コイルのエッジ部
を加熱する。熱延コイルのエッジ部加熱とは、巻き取られたコイルの幅方向の両側端部、
すなわち、エッジ部を加熱することを意味し、エッジ部の加熱により、エッジ部が酸化に
適した温度に先に加熱される。すなわち、巻き取られたコイルは、その内部は高温に維持
されるが、エッジ部は相対的に迅速に冷却され、これにより、内部酸化に適した温度に維
持される時間が、エッジ部でより短くなる。したがって、幅方向の中心部に比べて、エッ
ジ部での酸化性元素の除去が活発ではなくなる。エッジ部の加熱は、エッジ部の酸化性元
素を除去するための方法の1つとして用いられることができる。
【0039】
すなわち、エッジ部の加熱を行う場合、巻き取り後の冷却の場合とは反対にエッジ部が
先に加熱され、これにより、幅方向のエッジ部の温度が内部酸化に適した温度に維持され
るが、その結果、エッジ部の内部酸化層の厚さが増加するようになる。そのためには、上
記エッジ部の加熱温度は600℃以上(鋼板エッジ部の温度を基準とする)である必要が
ある。但し、温度が高すぎる場合には、加熱中にエッジ部にスケールが過多形成されたり
、多孔質の高酸化スケール(hematite)が形成されたりして、酸洗後の表面状態
が悪くなる恐れがあるため、上記エッジ部の温度は800℃以下であることができる。よ
り好ましいエッジ部の加熱温度は600~750℃である。
【0040】
また、巻き取り時に発生した幅方向のエッジ部と中心部の、表層部Ceq値の不均一を
解消するためには、上記エッジ部の加熱時間は5時間以上である必要がある。但し、エッ
ジ部の加熱時間が長すぎる場合には、スケールが過多形成されたり、却ってエッジ部の表
層部の脱炭率値が過度に高くなる恐れがある。したがって、エッジ部の加熱時間は24時
間以下であることができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、上記エッジ部の加熱は、空燃比の調節による燃焼加熱方
式により行われることができる。すなわち、空燃比の調節により雰囲気中の酸素分率が変
わり得るが、酸素分圧が高いほど、鋼板の表層と接する酸素濃度が増加し、脱炭や内部酸
化が増加することができる。必ずしもこれに限定されるものではないが、本発明の一実施
形態では、空燃比の調節により、酸素を0.5~2体積%含む窒素雰囲気に制御すること
ができる。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、格別な困難
性なしに、空燃比の調節により酸素分率を制御することができるため、これについては別
途説明しない。
【0042】
上述の過程を経た熱延鋼板に対して、必要に応じて酸洗を行った後、冷間圧延を行うこ
とができる。上述の冷間圧延過程の後には、鋼板を焼鈍する過程が後続されることができ
る。鋼板の焼鈍過程でも表層部の脱炭率が大きく変わり得るため、本発明の一実施形態で
は、表層部の脱炭率を適切に制御する条件で焼鈍工程を制御することができ、そのうち、
通板速度と焼鈍炉内の露点を次のような条件に制御することができる。
【0043】
通板速度:40~130mpm
十分な生産性を確保するために、上記冷延鋼板の通板速度は40mpm以上である必要
がある。但し、通板速度が速すぎる場合には材質確保の点から不利であるため、本発明の
一実施形態では、上記通板速度の上限を130mpmとすることができる。さらに、通板
速度は、内部酸化層の厚さに影響を与えるものであり、通板速度が遅いほど、内部酸化物
の厚さが増加し、炭素含量が減少する傾向がある。したがって、速すぎる通板速度は、内
部酸化層の厚さが十分に形成されない要因になる恐れがある。一例によると、130mp
mを超える通板速度では、内部酸化層が3μm以下の厚さで形成される恐れがある。
【0044】
焼鈍条件:650~900℃で-10~30℃の露点の雰囲気で行う
本発明で焼鈍を行う温度は、十分な内部酸化効果が奏される温度である650℃以上で
あることができる。但し、温度が高すぎる場合には、Siなどの表面酸化物が形成され、
酸素が内部に拡散することを妨げるだけでなく、均熱帯での加熱中にオーステナイトが過
多に発生して炭素拡散速度が低下し、これにより脱炭の程度が減少する恐れがあり、また
、焼鈍炉の負荷を発生させて設備寿命を短縮させ、工程コストを増加させるという問題を
引き起こす可能性があるため、上記露点を制御する温度は900℃以下であることができ
る。本発明において、焼鈍を行う温度とは、均熱帯の温度を意味する。
【0045】
この際、十分かつ均一な内部酸化層を形成させるために、焼鈍炉内の雰囲気の露点を制
御することが有利である。露点が低すぎる場合には、内部酸化ではなく表面酸化が発生し
、表面にSiやMnなどの酸化物が生成される恐れがある。したがって、露点は-10℃
以上に制御する必要がある。逆に、露点が高すぎる場合にはFeの酸化が発生する恐れが
あるため、露点は30℃以下に制御する必要がある。
【0046】
この際、露点は、水素を1~10体積%含む湿窒素(N+HO)を焼鈍炉内に投入
することで調節することができる。
【0047】
このような過程により焼鈍された鋼板は、直ちにめっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを
行う。
【0048】
このような過程により焼鈍された鋼板は、めっき浴温度以上(460~500℃)に再
加熱した後、めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを行う。本発明の一実施形態によると、
めっき浴に浸漬される焼鈍された鋼板の厚さは1.0~2.0mmに調節されることがで
きる。本発明の一実施形態によると、上記めっき浴は亜鉛系めっき浴であり、Znを50
重量%以上含むことができる。
【0049】
合金化(GA)温度:480~560℃
480℃未満では、Fe拡散量が少なくて合金化度が十分ではないため、めっき物性が
良好ではない恐れがあり、560℃を超える場合には、過度な合金化によるパウダリング
(powdering)の問題が発生する可能性があり、残留オーステナイトのフェライ
ト変態により材質が劣化することがあるため、合金化温度を上述の範囲とする。
【0050】
本発明の一実施形態において、上記の十分な合金化度を確保するために、上記合金化熱
処理時間は1秒以上であることができる。但し、合金化熱処理時間が長すぎる場合には、
合金化度が本発明で規定する範囲を超える可能性があるため、上記合金化熱処理時間の上
限は5秒とすることができる。
【実施例0051】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、下記の実施例は、本発明
を例示して具体化するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものでは
ないという点に留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載の事項
と、それから合理的に類推される事項によって決定される。
【0052】
(実施例)
下記表1に記載の組成を有する鋼スラブ(表に記載されていない残りの成分はFe及び
不可避に含まれる不純物である。また、表においてBとNはppm単位で表示し、残りの
成分は重量%単位で表示する)を熱間圧延した後、熱延コイルに対して、酸素を含む窒素
雰囲気でエッジ部の加熱を行い、その後、酸洗した後、得られた冷延鋼板を焼鈍炉で焼鈍
してから、鋼板を480℃に再加熱し、Alを0.13重量%含む亜鉛系めっき浴に浸漬
して溶融亜鉛めっきを行った。得られた溶融亜鉛めっき鋼板に対して、必要に応じて合金
化(GA)熱処理を4秒間行うことで、最終的に合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。
【0053】
また、合金化を行わずに単に溶融亜鉛めっき鋼板を得る場合には、上記冷延鋼板を焼鈍
炉で焼鈍して再加熱した後、Alを0.24重量%含む亜鉛系めっき浴に浸漬してめっき
を行い、その後、エアナイフ後に鋼板を冷却して最終的に溶融亜鉛めっき(GI)鋼板を
得た。
【0054】
全ての実施例において、冷間圧延時の圧下率は52%、焼鈍時の均熱帯温度は830℃
、そして焼鈍炉内の湿窒素に含まれる水素の割合は5.0体積%とした。その他の各実施
例毎の条件は、表2に記載したとおりである(表において、BとNはppm単位で表示し
、残りの成分は重量%単位で表示した)。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
上述の過程により製造された合金化溶融亜鉛めっき(GA)鋼板の特性を測定し、スポ
ット溶接時に液体金属脆化(LME)が発生したか否かを観察した結果を表3に示した。
スポット溶接は、鋼板を幅方向に切断し、各切断された縁部位に沿って行った。スポット
溶接電流を2回加えて通電した後、1サイクルの保持時間(hold time)を維持
した。スポット溶接は、2種3重で行った。評価素材-評価素材-GA 980DP 1
.4t材の順に積層し、スポット溶接を行った。スポット溶接時に、新しい電極を軟質材
に15回溶接し、電極を摩耗させた後、スポット溶接の対象素材に散り(expulsi
on)が発生する上限電流を測定した。上限電流の測定後に、上限電流より0.5及び1
.0kA低い電流でスポット溶接を溶接電流毎に8回行い、スポット溶接部の断面を放電
加工により高精度に加工した後、エポキシマウンティングして研磨し、光学顕微鏡でクラ
ックの長さを測定した。光学顕微鏡で観察する際、倍率は100倍に指定し、該当倍率で
クラックが発見されない場合には液体金属脆化が発生しなかったものと判断し、クラック
が発見された場合には画像分析ソフトウェアにより長さを測定した。スポット溶接部の肩
部で発生するB-typeクラックは100μm以下の時、また、C-typeクラック
は観察されない時に良好と判断した。
【0058】
脱炭率は、GDOESにより、成分による深さ毎の濃度値を用いて計算した。表層部の
脱炭率は、上述のように式1により計算した。引張強度は、JIS-5号規格のC方向サ
ンプルを作製し、引張試験により測定した。合金化度とめっき付着量は、塩酸溶液を用い
た湿式溶解法を用いて測定した。シーラー密着性は、自動車構造用接着剤D-typeを
めっき表面に接着した後、鋼板を90度に曲げてめっきが脱落するかを確認した。パウダ
リングは、めっき材を90度に曲げた後、曲げ部位にテープを接着してから引き剥がし、
テープにめっき層脱落物が何mm取れるかを確認した。フレーキング(Flaking)
は、「コ」字状に加工後、加工部にめっき層が脱落するか否かを確認した。
【0059】
【表3】
【0060】
発明例1、2、3、4、5、6、7、8、及び9は、鋼の組成が本発明で提示する範囲
を満たし、製造方法も本発明の範囲を満たして、引張強度、めっき品質、めっき付着量、
及びスポット溶接時のLMEクラックの長さも良好であった。
【0061】
比較例1は、GA合金化過程で合金化温度が本発明で提示する範囲より低く制御された
場合である。その結果、合金化度が基準より低く形成され、表面が過度に明るくて表面品
質が不良であり、フレーキングが発生してめっき表面品質に劣っていた。
【0062】
比較例2は、エッジ部の熱処理時における加熱時間が本発明で規定する範囲を超えた場
合であり、熱処理過程中にエッジ部で過酸化が発生して表面スケールが赤色のヘマタイト
(hematite)系スケールを形成し、スケールの厚さが過度に厚くなった。また、
熱延後の酸洗過程でエッジ部が過度に酸洗されることにより表面粗さが高くなり、めっき
後に、表面の形状が不均一であり、表面の色が中央部と異なる色相不均一欠陥が発生した
【0063】
比較例3は、熱延工程中の巻き取り温度が本発明で提示する範囲より高く製造された場
合である。したがって、熱延過程中に発生する脱炭が十分に発生し、焼鈍中の露点を高く
作業して表層部の脱炭率が40%以上に形成され、めっき表面品質及びLME抵抗性に優
れるものの、幅方向において材質偏差が発生し、冷間圧延性及び引張強度に劣っていた。
【0064】
比較例4は熱処理炉の加熱炉温度が本発明で提示する範囲を超えた場合であり、熱処理
過程中にエッジ部で過酸化が発生し、表面に赤色のヘマタイト(hematite)系ス
ケールが形成され、スケールの厚さが過度に厚くなった。また、熱延後の酸洗過程でエッ
ジ部が過度に酸洗されることにより表面粗さが高くなり、めっき後に、表面の形状が不均
一であり、表面の色が中央部と異なる色相不均一欠陥が発生した。
【0065】
比較例5は、熱延工程中の巻き取り温度が本発明で提示する範囲より低く制御された場
合である。したがって、熱延過程中に発生する脱炭が十分に発生せず、LME特性に劣っ
ていた。
【0066】
比較例6及び13は、焼鈍中の炉内露点が本発明で提示する範囲より低かった場合であ
る。熱延及び熱処理炉の加熱工程中に全幅に十分な脱炭層を発生させても、冷間圧延後の
焼鈍過程中の露点が十分に高くないため、炭素の均質化が起こり、十分な脱炭水準が形成
されず、スポット溶接時のLMEクラックの長さが全幅にわたって不良であった。GI材
は、露点が低くて十分な内部酸化を発生させないため、表面酸化物が過度に発生し、めっ
き密着性に劣っていた。
【0067】
比較例7は、焼鈍炉内での鋼板の通板速度が本発明で提示する範囲より低かった場合で
ある。焼鈍炉内の水蒸気と鋼板が反応する脱炭反応に与えられる時間が十分であって、ス
ポット溶接時のLMEクラックの評価時にはその基準を満たすが、製造時間が長くなって
生産性に劣るため、製造条件として好適ではなかった。
【0068】
比較例8、11、及び15は、焼鈍中の炉内露点が本発明で提示する範囲より高く制御
された場合である。熱延中の脱炭とともに、焼鈍中に脱炭が十分に発生し、LME抵抗性
及びめっき表面品質は良好であったが、Mn系酸化物が過度に発生することにより、焼鈍
炉内のハースロール(hearth roll)の表面に酸化物が物理的に付着し、鋼板
に凹み欠陥であるデント(dent)を誘発させて操業性に劣っていた。
【0069】
比較例9は、エッジ部の熱処理時における熱処理炉の加熱温度が本発明の範囲より低か
った場合である。熱延中に十分な脱炭層が形成されず、スポット溶接時のLMEクラック
の評価時に基準を満たさず不良であった。
【0070】
比較例10は、熱処理炉の加熱温度及び時間は本発明で提示する範囲を満たすが、酸素
分率が範囲を超えた場合である。熱処理過程中にエッジ部で過酸化が発生して表面スケー
ルが赤色のヘマタイト(hematite)系スケールを形成し、スケールの厚さが過度
に厚くなった。また、熱延後の酸洗過程でエッジ部が過度に酸洗されることにより表面粗
さが高くなり、めっき後に、表面の形状が不均一であり、表面の色が中央部と異なる色相
不均一欠陥が発生した。
【0071】
比較例12は、焼鈍熱処理時における鋼板の通板速度が本発明で提示する範囲より高く
制御された場合である。焼鈍炉内の水蒸気と鋼板が反応する脱炭反応に与えられる時間が
十分ではないため、焼鈍後に鋼板の表層部の脱炭率が不十分であり、スポット溶接時のL
MEクラックが基準を超えて発生した。
【0072】
比較例14は、熱処理炉の加熱温度及び時間が本発明で提示する範囲を満たすが、酸素
分率が範囲より低かった場合である。熱延脱炭層が十分に形成されず、スポット溶接時の
LMEクラックの評価時に基準を満たさず不良であった。
【0073】
比較例16は、GA合金化過程での合金化温度が本発明で提示する範囲を超えた場合で
ある。Fe合金化度が高くて色相が暗く現れ、表面品質が不良であった。GAパウダリン
グ評価時に、パウダリングが過度に発生した。
【0074】
比較例17は、熱処理炉の加熱温度は本発明の範囲を満たすが、熱処理炉での加熱時間
が本発明で提示する範囲より短かった場合である。十分な熱延脱炭層が形成されず、スポ
ット溶接時のLMEクラックの評価時に基準を満たさず不良であった。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鋼板と、前記素地鋼板の上部に形成された亜鉛系めっき層と、を含む亜鉛めっき鋼
板であって、
下記式1で表される素地鋼板の表層部の脱炭率が30%以上である、高強度亜鉛めっき
鋼板。
[式1]
表層部の脱炭率(%)=(1-表層部の平均炭素濃度/バルク炭素濃度)*100
(但し、表層部とは、素地鋼板の表面から35μmの深さまでの領域を意味する。)