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  • 特開-皮膚障壁強化用組成物 図1
  • 特開-皮膚障壁強化用組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020368
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】皮膚障壁強化用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20240206BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240206BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240206BHJP
【FI】
A61K8/365
A61Q19/00
A61K31/202
A61P17/16
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023193060
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2021520333の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122682
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ウン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ, テ リョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ヒョン ジョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】損傷された皮膚障壁、特に紫外線によって損傷された皮膚障壁を強化させて、皮膚保湿力を向上させることができる組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式で表される化合物を有効成分として含む、皮膚障壁強化用組成物を提供する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む、皮膚障壁強化用組成物:
【化1】
上記化学式1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であるが、前記R~Rのうちの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rのうちの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【請求項2】
前記RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基であり、
前記Rは、カルボキシル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、0.01μM~100μMの濃度範囲で含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記皮膚障壁強化は、皮膚の水分損失を減少させて皮膚保湿力を向上させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記皮膚障壁強化は、紫外線によって損傷された皮膚障壁を強化させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、化粧料組成物である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、皮膚障壁強化用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は人体が生存するのにおいて必須の多様な機能を遂行している。環境変化に対応して人体内部の恒常性を維持するための障壁機能、外部変化を認知するための感覚機能、体温調節機能などが最も代表的な皮膚の機能に属する。前記多様な皮膚の機能のうち、特に皮膚の障壁機能は、主に皮膚の最も外殻に位置する角質層によって現れることになる。角質層は、単純な障壁機能だけでなく内部の生きている細胞層、即ち、表皮層や真皮層の機能および役割、構造などにも影響を与えると報告されたことがあって、その重要性が持続的に増加している。このような角質層は、死んだ角質細胞と細胞間脂質から構成されており、外部刺激から皮膚を保護し内部で水分が蒸発することを防止する皮膚保護膜として核心的な機能を担当する。また、角質層の角質形成細胞は、分化および角質化過程を通じて皮膚障壁を作る。
【0003】
人の皮膚に老化を起こす要因は多様であるが、特に紫外線によって皮膚のシワ生成、弾力低下、色素沈着および皮膚障壁損傷による皮膚水分量減少が現れるようになる。紫外線による皮膚損傷で皮膚表面水分量が減少するようになれば、皮膚表面角質層の柔軟性が喪失するようになりながら皮膚が乾燥するようになり、これは結果的には、皮膚が障壁としての機能を十分に果たさないようにする。したがって、皮膚障壁を強化するためには皮膚の保湿力を維持することが非常に重要である。
【0004】
表皮に存在するwater homeostasisと関連する二種類のporesがある。即ち、アクアポリン(Aquaporins、AQP)とタイトジャンクション(Tight Junction、TJ)である。そして、フィラグリン(filagrin)は、皮膚保湿を担当する天然保湿因子(NMF)の前駆タンパク質であって、フィラグリン生産促進能が保湿作用において重要な役割を果たすことが知られている(J.Invest.Dermatol.54、24-31、1970)。
【0005】
一方、多様な炎症性皮膚炎はIgE関連免疫機序によって発生し、この場合、T細胞異常による遅延性免疫反応が関与するという報告が多い。特に、アトピー皮膚炎が発生した部位には大食細胞、Thリンパ球、肥満細胞など免疫関連細胞の浸潤が大きく増加する。アトピー皮膚炎の皮膚は、アトピー皮膚炎患者の場合、血中IgEの濃度が高く、これはTh2細胞の数が増加し、この細胞が分泌したIL-4、13などTh2サイトカインのBリンパ球刺激を通じてIgE分泌を促進するためである。特に、初期アトピー皮膚炎の場合、IL-4、IL-13が重要に作用する(非特許文献1)。
【0006】
前記アトピー皮膚炎のような炎症は、炎症解消因子が能動的に関与するようにすることが、治療および予防において非常に重要である。前記炎症解消因子は、炎症の解消段階(inflammation resolution)に能動的に関与する因子であって、炎症反応後期に組織内免疫細胞(neutrophil、macrophage)から自然的に生成および分泌される。前記炎症解消因子は脂質、タンパク質、気体分子など多様な形態があるが、その中でも特に炎症解消脂質因子(specialized pro-resolving lipid mediator、SPMs)に対する研究が最近になって活発に行われている。前記炎症解消脂質因子は、omega-3 polyunsaturated fatty acid(PUFA)であるeicosapentaenoic acid(EPA)またはdocosahexaenoic acid(DH
A)が細胞内で代謝されながら生成されるmetaboliteである。現在まで前記炎症解消脂質因子による炎症反応緩和は多数報告されたが、前記炎症解消脂質因子の皮膚障壁強化および皮膚保湿力向上のための用途は知られていない。よって、本発明者らは、人体に安全な天然皮膚障壁強化剤を開発しているところ、前記炎症解消脂質因子がこのような効果があるのを発見して本発明を見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公開公報第10-2018-0096158号
【特許文献2】韓国特許公開公報第10-2007-0090928号
【特許文献3】米国特許出願公開第2011-019389号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015-0126602号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Donald Y.M.Leung et al., J Clin Invest. 2004, 113, 651-657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態は、損傷された皮膚障壁、特に紫外線によって損傷された皮膚障壁を強化させて、皮膚保湿力を向上させることができる(化粧料)組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む、皮膚障壁強化用組成物を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
上記化学式1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であるが、前記R~Rのうちの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rのうちの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0013】
前記RおよびRはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基であり、前記Rはカルボキシル基であってもよい。
【0014】
前記化学式1で表される化合物は、0.01μM~100μMの濃度範囲で含まれてもよい。
【0015】
前記皮膚障壁強化は、皮膚の水分損失を減少させて皮膚保湿力を向上させることを特徴とし得る。
【0016】
前記皮膚障壁強化は、紫外線によって損傷された皮膚障壁を強化させることを特徴とし得る。
【0017】
前記組成物は、化粧料組成物であり得る。
【発明の効果】
【0018】
一実施形態によれば、皮膚の水分損失を減少させ、紫外線照射によって損傷された皮膚障壁を改善させることによって、皮膚障壁を強化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】keratinocyte分化マーカー遺伝子(Keratin 1)発現に与える影響を測定したグラフである。
図2】keratinocyte分化マーカー遺伝子(Keratin 10)発現に与える影響を測定したグラフである。
図3】細胞間結合体(desmosome)構成因子であるDSC1(Desmocollin-1)遺伝子発現に与える影響を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0021】
本明細書で皮膚障壁機能改善とは、皮膚の外殻に位置する角質層の障壁を強化することを意味する。皮膚の1次防御膜である角質層は、外部環境によって損傷されやすいだけでなく、皮膚が乾燥した人の場合、角質層の皮膚障壁の機能が十分に果たされないか損傷されている。乾燥した皮膚に保湿力を付与するために、一般に保湿剤を塗る処方を通じて一時的な問題を解決することはできるが、根本的な問題まで解決しにくい。さらに紫外線によって損傷された皮膚障壁は、単純に保湿剤を塗る処方を通じて改善されない。よって、本発明者らは、本発明の特定化学式で表される化合物が根本的な問題を解決して皮膚障壁を強化させることができるのを確認して本発明を完成するようになった。
【0022】
本明細書で層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという時は、中間に他の部分がないことを意味する。
【0023】
本明細書で別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは混合または共重合を意味する。また、「共重合」とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、「共重合体」とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0024】
以下、一実施形態による皮膚障壁強化用組成物について説明する。
【0025】
一実施形態による皮膚障壁強化用組成物は、下記化学式1で表される化合物を有効成分として含む。
【0026】
【化2】
【0027】
上記化学式1中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基またはカルボキシル基であるが、前記R~Rのうちの少なくとも一つはヒドロキシ基であり、前記R~Rのうちの少なくとも一つはカルボキシル基である。
【0028】
例えば、前記化学式1中、RおよびRはそれぞれ独立してヒドロキシ基であり、Rはカルボキシル基であってもよい。
【0029】
前記化学式1で表される化合物は炎症解消脂質因子(specialized pro-resolving lipid mediator、SPMs)の一つであって、紫外線による皮膚障壁損傷を改善し、皮膚の水分損失を減少させて皮膚保湿力を向上させることができる。具体的に、紫外線によって損傷された皮膚を見れば、皮膚内keratinocyte分化マーカー遺伝子発現減少および細胞間結合(desmosome)因子遺伝子発現減少が観察されるのを確認することができる。前記化学式1で表される化合物は前記keratinocyte分化マーカー遺伝子発現および細胞間結合(desmosome)因子遺伝子発現を増加させて、紫外線によって損傷された皮膚障壁を改善させるのに優れた効果を有することができる。即ち、一実施形態による組成物は前記化学式1で表される化合物を有効成分として含むことによって、紫外線によって損傷された皮膚障壁を強化させるのに優れた効果を有することができる。
【0030】
また、前記化学式1で表される化合物は、皮膚保湿因子であるアクアポリンおよびフィラグリンの遺伝子発現を増加させて、最終的には皮膚に保湿力を付与することによって皮膚障壁を強化させることができる。即ち、一実施形態による組成物は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含むことによって、皮膚の水分損失を減少させて皮膚保湿力を向上させるのに優れた効果を有することができる。
【0031】
一実施形態は、前記化学式1で表される化合物を有効成分として含む皮膚障壁強化用組成物を提供し、薬学的に有効な量の前記化学式1で表される化合物を単独で含むか一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含むことができる。
【0032】
前記組成物内の前記化学式1で表される化合物は、0.01pM~100μMの濃度範囲で含まれてもよい。前記化学式1で表される化合物を0.01pM未満の濃度で使用する場合には、keratinocyte分化マーカー遺伝子発現程度が微小であって皮膚障壁機能改善効果を有することができず、前記化学式1で表される化合物を100μM超過の濃度で使用する場合には、細胞毒性が現れて人体に害を及ぼすことがあるので好ましくない。
【0033】
前記で「薬学的に有効な量」とは、前記生理活性成分が動物または人に投与されて目的とする生理学的または薬理学的活性を示すのに十分な量をいう。しかし、前記薬学的に有
効な量は、症状の程度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路および治療期間などによって適切に変化できる。
【0034】
また、前記で「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され人間に投与される時、通常胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応またはこれと類似の反応を起こさないことをいう。前記担体、賦形剤および希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトル、キシリトール、エリスリトール、マルチト-ル、デンプン、アラビアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油が挙げられる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤および防腐剤などを追加的に含むことができる。
【0035】
例えば、前記組成物は、化粧料組成物であり得る。
【0036】
本明細書で「化粧料」は、美容機能だけでなく、美容機能以外に追加的に医学的機能を有し得る全ての物質を意味することができる。
【0037】
前記化粧料組成物の剤形は、特に制限されず、目的とするところによって適切に選択することができる。
【0038】
例えば、前記化粧料組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤-含有クリンシング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、およびスプレーなどに剤形化できるが、これに限定されるものではない。より詳しくは、洗浄剤、トニック、整髪剤、栄養化粧水、エッセンス、セロム、トリートメント、コンディショナー、シャンプー、ローション、養毛剤または染毛剤などの化粧料組成物、水中油(O/W)型、油中水(O/W)型などの基礎化粧料に剤形化できる。例えば、前記組成物は、スキンローション、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、軟膏、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション、ボディクレンザー、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチおよび噴霧剤から構成された群より選択された一つの剤形を有することができる。また、前記組成物は、それぞれの剤形において前記必須成分以外に、外用剤の種類または使用目的などによって当業者が困難なく適するように選定して、他の成分を配合することができる。例えば、紫外線遮断剤、ヘアコンディショニング剤、香料などをさらに含むことができる。
【0039】
前記化粧料組成物は、化粧品学的に許容可能な媒質または基剤を含有することができる。これは局所適用に適した全ての剤形として、例えば、溶液、ゲル、固体または練り無水生成物、水相に油相を分散させて得られたエマルション、懸濁液、マイクロエマルション、マイクロカプセル、微細顆粒球またはイオン型(リポソーム)および/または非イオン型の小嚢分散剤の形態に、またはクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレーまたはコンシールスティックの形態に提供できる。これら組成物は、当該分野の通常的方法によって製造できる。
【0040】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレン
グリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0041】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラカントなどが使用できる。
【0042】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使用できる。
【0043】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが使用でき、特にスプレーである場合には追加的にクロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含むことができる。
【0044】
本発明の一実施態様で、前記化粧料組成物は、追加的に増粘剤を含有することができる。本発明の化粧料組成物に含まれる増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシグアニン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリクオタニウム、セテアリルアルコール、ステアリン酸、カラギーナンなどを使用することができ、好ましくは、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリクオタニウムのうちの1種以上を使用することができ、最も好ましくは、カルボキシビニルポリマーであり得る。
【0045】
本発明の一実施態様で、前記化粧料組成物は、必要によって適切な各種の基剤と添加剤を含有することができ、これら成分の種類と量は発明者によって容易に選定できる。必要によって許容可能な添加剤を含有することができ、例えば、当業界に通常の防腐剤、色素、添加剤などの成分を追加的に含むことができる。
【0046】
防腐剤は、具体的に、フェノキシエタノール(Phenoxyethanol)または1,2-ヘキサンジオール(1,2-Hexanediol)などであってもよく、香料は人工香料などであってもよい。
【0047】
そして、本願発明の一実施態様で、化粧料組成物は、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質および海藻エキスからなる群より選択された組成物を含むことができる。これら以外に添加してもよい配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機および無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0048】
また、これら以外に添加してもよい配合成分は、上記したものに限定されるのではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的および効果を損傷させない範囲内で配合可能である。
【0049】
さらに、一実施形態による化粧料組成物は、前述のように薬学的組成物として使用できるだけでなく、健康機能食品としても使用することができる。例えば、食品の主原料、副原料、食品添加剤、機能性食品または飲料として容易に活用することができる。
【0050】
前記「食品」とは、栄養素を一つまたはそれ以上含有している天然物または加工品を意味し、好ましくは、ある程度の加工工程を経て直接食べられる状態になったものを意味し、通常の意味として、食品、食品添加剤、機能性食品および飲料を全て含むものをいう。
【0051】
前記食品用組成物を添加することができる食品には、例えば、各種食品類、飲料、ガム、茶、ビタミン複合体、機能性食品などがある。追加的に、特殊栄養食品(例えば、調製乳類、嬰幼児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、ムク類、麺類(例えば、ラーメン類、そば類など)、パン類、健康補助食品、調味食品(例えば、醤油、味噌、コチュジャン、混合醤など)、ソース類、菓子類(例えば、スナック類)、キャンディ類、チョコレート類、ガム類、アイスクリーム類、乳加工品(例えば、醗酵乳、チーズなど)、その他加工食品、キムチ、塩漬け食品(各種キムチ類、ジャンアチなど)、飲料(例えば、果実飲料、野菜類飲料、豆乳類、発酵飲料類など)、天然調味料(例えば、ラーメンスープなど)を含むが、これに限定されない。上記食品、飲料または食品添加剤は、通常の製造方法で製造できる。
【0052】
また、前記「機能性食品」または「健康機能性食品」とは、食品に物理的、生化学的、生物工学的手法などを用いて当該食品の機能を特定目的に作用、発現するように付加価値を付与した食品群や食品組成が有する生体防御リズム調節、疾病防止と回復などに関する体内調節機能を生体に対して十分に発現するように設計して加工した食品を意味し、具体的には健康機能性食品であり得る。前記機能性食品には食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことができ、機能性食品の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含むことができる。
【0053】
前記健康補助食品の種類としては、これに制限されるのではないが、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは飲料形態であり得る。
【0054】
本願発明の利点および特徴、そしてこれらを達成する方法は詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になるはずである。以下、本願発明を実施例によって詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるのではない。
【0055】
(実施例)
試験例:keratinocyte分化マーカー(KRT1、KRT10)およびdesmosome構成因子(DSC1)発現程度確認
人間角質形成細胞(normal human epidermal keratinocyte、NHEK)を6-well平板培養器で培養した。24時間後、phosphote-buffered saline(PBS)に交替してUVB(25mJ/cm)を照射し、NHEK培養培地に下記化学式1-1で表される化合物(Cayman
chemical)10nMを添加して培養した。培養4日目に細胞を収穫してRNAを分離し、RT-PCR(reverse transcriptional polymerase chain reaction)を通じてcDNAを合成した後、前記合成されたcDNAを使用してTaqman real-time PCRを行ってkeratinocyte分化マーカーであるKRT1、KRT10とdesmosome構成因子であるDSC1の遺伝子発現量を測定した。その結果を下記図1図3に示した。図1図3を見れば、紫外線照射後、keratin1(KRT1)、keratin10(KRT10)およびDSC1の遺伝子発現量が減少するが、下記化学式1-1で表される化合物処理後、keratin1(KRT1)、keratin10(KRT10)およびDSC1の遺伝子発現量が再び増加するのを確認することができた。このことから、下記化学式1-1で表される化合物が紫外線によって損傷された皮膚障壁を改善させることが分かる。
【0056】
【化3】
【0057】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
図1
図2
図3
【外国語明細書】