(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020370
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】低圧縮永久歪みシリコーンゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20240206BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240206BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240206BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240206BHJP
C08K 5/3477 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/36
C08K3/22
C08K5/3477
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193187
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2020548798の分割
【原出願日】2019-03-11
(31)【優先権主張番号】18161236.7
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18161242.5
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512135078
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
【住所又は居所原語表記】Chemiepark Leverkusen,Gebaeude V7,51368 Leverkusen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】サファロウスキー,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】エルドマン,オラフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低圧縮永久歪みを有するシリコーンゴム組成物に硬化することができる硬化性シリコーンゴム組成物およびそのような硬化性シリコーンゴム組成物の使用を提供する。
【解決手段】A)100重量部の、少なくとも1つのアルケニル基R1を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、B)0.01から100重量部の、少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、C)少なくとも1つの遷移金属触媒、D)成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて0.01から100重量部の、少なくとも50m2/gのBET表面積を有する少なくとも1つの補強充填剤、ならびにG)任意にて100重量部までの1つ以上の補助添加剤、を含む硬化性シリコーンゴム組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性シリコーンゴム組成物であって、175℃で144時間の試験の後、30パーセント以下、好ましくは25パーセント以下、より好ましくは20パーセント以下、および175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の、圧縮永久歪みの群から選択される少なくとも1つの圧縮永久歪み値を有する硬化組成物に加硫して硬化することができ、
A)100重量部の、少なくとも1つのアルケニル基R
1を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
B)0.01から100重量部の、少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
ここで、成分B)は、一般式(2)の1つ以上のポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択される、少なくとも2つのSiH基を有する1つ以上のオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、
[M
aD
bT
cQ
dZ
e]
m (2)
ここで
M=R
3SiO
1/2、および/またはM
*
D=R
2SiO
2/2、および/またはD
*
T=RSiO
3/2、および/またはT
*
Q=SiO
4/2、
ここでM
*=HR
2SiO
1/2、D
*=HRSiO
2/2、T
*=HSiO
3/2、
Zは、2つのシロキシ基の間に最大14個の炭素原子を持つ、2価の任意にて置換されたヒドロカルビル架橋基であり、該シロキシ基は上記の定義どおりであり、そして
Rは、独立して飽和または芳香族有機基から選択され、
a=0.01-10、好ましくは=2-5、最も好ましくは=2
b=0-1000、好ましくは=10-500
c=0-50、好ましくは=0
d=0-5、好ましくは=0
e=0-3、好ましくは=0
m=1-1000、好ましくは=1-500、最も好ましくは=1、
但しM
*、D
*およびT
*から選択される少なくとも2つの基があるという条件であり、
C)少なくとも1つの遷移金属触媒、
D)成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて0.01から100重量部の、少なくとも50m
2/gのBET表面積を有する少なくとも1つの補強充填剤、ならびに
G)任意にて100重量部までの1つ以上の補助添加剤、を含み、
ここで成分A)は、少なくとも1つの成分A1)、および少なくとも1つの成分A2)を含み、これらは以下のように定義され、
A1)式(Ia)の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
【化1】
ここで各Rは、独立して飽和または芳香族有機基から選択され、各R
1は、独立してアルケニル基から選択され、そしてxは≧0であり、
A2)式(Ib)の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
【化2】
ここでx、RおよびR
1は上記で定義したとおりであり;R
2はRまたはR
1から選択され、そしてyは≧1であり、そしてここで好ましくは、成分A2)中のアルケニル基R
1の成分A1)中のアルケニル基R
1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲であり、
そしてここで該組成物は、以下の要件a)からc)の1つ、好ましくは2つ以上を満たし、
a)該組成物中のすべてのSiH基のすべての基SiR
1(R
1は上記で定義されたとおり)に対するモル比(または略して、基SiR
1に対するSiH基のモル比)は≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0から1.8であり;そして
b)以下に定義される重要なインパクトファクターKpSiH(mmol/g)は、2.5から17.5mmol/g、好ましくは2.5から15mmol/gであり;
【数1】
ここで
- 「parts B
i」は、該組成物の総重量に基づくi番目の成分B)の重量パーセントであり、
- 「SiH of B
i」は、i番目の成分B)のSiH含有量(mmol/グラム)であり、
- 「SiH(B
i)」は、分子あたりのi番目の成分B)のSiH基の数であり、
- 「SiH/SiR
1」は、上記の項目a)で定義したとおりであり、
【数2】
ここで
Dは成分B)中のR
2SiO
2/2であり、
Mは成分B)中のR
3SiO
1/2であり、
D
*は成分B)中のHRSiO
2/2であり、
M
*は成分B)中のHR
2SiO
1/2であり、ここでRは上記定義どおりであり、そして
必要な単位を有するそれぞれのi番目の成分B)のP
i(D
*D
*)は、好ましくは0から1、より好ましくは0から0.9、最も好ましくは0から0.85であり、
c)成分A2)中のアルケニル基R
1の成分A1)中のアルケニル基R
1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である、
硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの補強充填剤D)が、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、および50から500m2/gのBETを有する表面処理された充填剤の群から選択される、請求項1に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
シリカを除く、好ましくは着色または無色の金属酸化物などの金属塩から選択される、少なくとも1つの金属化合物から選択される成分F)を含み、そして好ましくは少なくとも1つの金属化合物F)は、無色の金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるもの、着色された金属酸化物、好ましくは遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば、酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えば、CoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択されるもの、ならびに前記無色の金属酸化物および前記着色された金属酸化物の混合物からなる群から選択され、そしてここで前記成分F)の量は、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは0から10重量部の成分F)であり、さらに成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは>0から10重量部、より好ましくは0.01から10重量部、さらにより好ましくは0.1から5重量部の成分F)である、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項4】
メラミンシアヌレートである成分E)を、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは5重量部未満、好ましくは2重量部未満の量で含み、さらに成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは>0かつ5重量部未満、より好ましくは2重量部未満、さらにより好ましくは0.01から2重量部の量の成分E)を含む、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
請求項3で定義された少なくとも1つの金属化合物F)およびE)メラミンシアヌレートを含む、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
水酸化カルシウムを含まない、好ましくはアルカリおよび土類アルカリ金属水酸化物を含まない、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項7】
オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、B1)>2の末端SiH基を有する樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサン、およびB2)2以上のSiH基を有しB1)とは異なるオルガノハイドロジェンシロキサンの群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項8】
遷移金属触媒C)は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウム、好ましくは白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含むヒドロシリル化触媒から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項9】
上記で定義された他の成分(A1)からF))のいずれとも異なり、そして好ましくは低圧縮永久歪み添加剤、表面処理剤、潤滑剤、オイルブリード剤、ヒドロシリル化抑制剤からなる群から選択される、少なくとも1つの補助添加剤G)を含む、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項10】
- 合計で100重量部の成分A1)およびA2)、
- 0.01から100重量部、好ましくは0.01から50重量部の成分B)、
- 遷移金属の重量に基づいて、および成分A)およびB)の総重量に基づいて、0.5から1000、好ましくは1から100ppmの成分C)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から100重量部、好ましくは10から100重量部の成分D)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0から5重量部、好ましくは5重量部未満、より好ましくは2重量部未満の量の成分E)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは>0かつ5重量部未満、より好ましくは2重量部未満、さらにより好ましくは0.01から2重量部の成分E)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0から10重量部の成分F)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは>0から10、より好ましくは0.01から10、さらにより好ましくは0.1から5重量部の成分F)、および
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0から100重量部の成分G)、
ここで成分A)からG)はそれぞれ上記で定義されたとおりである、
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項11】
上記で定義した成分A)およびB)の総量100部に基づいて、上記で定義した成分D)、E)およびF)を総量40部未満で含む、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項12】
E)メラミンシアヌレート:
F)シリカを除く、好ましくは着色または無色の金属酸化物などの金属塩から選択される、少なくとも1つの金属化合物、
G)任意にて1つ以上の補助添加剤を含み、そして
ここで基SiR1に対するSiH基のモル比は、≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0から1.8である、請求項1に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項13】
成分A2)中のアルケニル基R1の成分A1)中のアルケニル基R1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である、請求項12に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項14】
成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、5重量部未満、好ましくは2重量部未満の量のメラミンシアヌレートE)を含む、請求項12または13に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項15】
オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、B1)>2の末端SiH基を有する樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサン、およびB2)2以上のSiH基を有しB1)とは異なるオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群から選択される、請求項12から14のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項16】
遷移金属触媒C)は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウム、好ましくは白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含むヒドロシリル化触媒から選択される、請求項12から15のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの金属化合物F)は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される無色の金属酸化物、遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えばCoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択される着色された金属酸化物、ならびに無色の金属酸化物および着色された金属酸化物の混合物からなる群から選択される、請求項12から16のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項18】
無色の金属酸化物は、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの群から選択され、そして着色された金属酸化物は、酸化鉄顔料から選択される、請求項17に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項19】
成分A1)からF)とは異なる低圧縮永久歪み添加剤、表面処理剤、潤滑油、オイルブリード剤、ヒドロシリル化抑制剤からなる群から選択される少なくとも1つの補助添加剤G)を含む、請求項12から18のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項20】
R’’が有機基である式H-C≡C-R’’-OHを有するアセチレンアルコール、例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(「ECH」)、9-エチニル-9-フルオレノールから選択される低圧縮永久歪み添加剤、およびトリアゾール化合物から選択される硬化遅延剤または難燃剤からなる群から選択される少なくとも1つの補助添加剤を含む、請求項12から19のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項21】
- 合計で100重量部の成分A1)およびA2)、
- 0.01から100重量部、好ましくは0.01から50重量部の成分B)、
- 遷移金属の重量に基づいて、および成分A)およびB)の総重量に基づいて、0.5から1000、好ましくは1から100ppmの成分C)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から100重量部の成分D)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から2重量部の成分E)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは>0かつ5重量部未満、より好ましくは2重量部未満、さらにより好ましくは0.01から2重量部の成分E)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から10重量部の成分F)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、好ましくは>0から10、より好ましくは0.01から10、さらにより好ましくは0.1から5重量部の成分F)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0から100重量部の成分G)を含む、請求項12から20のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンゴム組成物。
【請求項22】
先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させることにより得られる硬化シリコーンゴム組成物。
【請求項23】
175℃で144時間の試験の後、30パーセント以下、好ましくは25パーセント以下、より好ましくは20パーセント以下、または175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下、好ましくは175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の圧縮永久歪みを有する、請求項22に記載の硬化シリコーンゴム組成物。
【請求項24】
コネクタシールなどの自動車部品;電気および電子部品;包装部品;シーラントなどの建設部品;家庭用部品; およびガスケットシーラントの製造のための、最も好ましくは特に自動車用途向けのシールドコネクタアセンブリの製造のための、先行する請求項のいずれかに記載の硬化性シリコーンゴム組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧縮永久歪みを有するシリコーンゴム組成物に硬化できる硬化性シリコーンゴム組成物、およびコネクタシールなどの自動車部品、電気および電子部品、包装部品、シーラントなどの建設部品、家庭用部品などの製造のための、そのような硬化性シリコーンゴム組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車およびトラックは、電気および電子システムに依存して、技術規制に従って機能し、最新のテクノロジーを可能にし、消費者の要望を実現している。電気的故障は、良い場合でもラジオ、ライト、換気などのような自動車装置の誤動作につながり、また最悪の場合だと、車両の故障または排気のような法的基準の違反につながる。自動車メーカーによっては、3kmを超える電線の車のモデル及び車の設備が車内にある場合があり、いわゆるワイヤーハーネスは、電気コネクタを利用して最大200を超える電子および電気(E&E)機器を接続することになる。電気コネクタの多くは、接続不良を引き起こす可能性がある湿気や環境の攻撃から保護する必要がある。これらのコネクタのほとんどでは、自己潤滑性シリコーンエラストマーは、コネクタハウジングを互いに密閉し、そしてケーブル/コンタクトアセンブリをハウジングに対して密閉するために使用される。
【0003】
これらの自己潤滑性シリコーンエラストマーの潤滑は、硬化したシールから時間の経過とともに滲み出るフェニルシリコーン流体によって実現される。潤滑により、ケーブルとコネクタの組み立てが容易になる。ケーブルおよびインターフェース(周辺)シールの一般的な硬度は、30から50ショアAの間の範囲となる。より柔らかい材料は、複数の接触点を持つマットシールによく使用される。メーカーやシステム設計にもよるが、より硬い材料は主に周辺シールに使用される。
【0004】
カプセル化の向上、エンジン効率の向上、小型化、利用できる小さなスペースと組み合わせたターボチャージャーの実装によって引き起こされるボンネットの下の温度上昇により、いくつかの電気接続ポイントは時下の高温に耐えなければならない。
【0005】
現在の密閉コネクタアセンブリは、-40℃から125℃の温度範囲で、SAE USカースペック[US CAR]などの関連する自動車仕様のT3温度クラスを満たしている。高温クラスT4(-40℃から150℃)およびT5(-40℃から175℃)の基準を満たすため、1008時間の試験期間にわたって必要な熱安定性と低い長期圧縮永久歪みを提供するには、シリコーンエラストマーシーリング材料に対する新しい技術的アプローチが必要である。
【0006】
ISO 815に準拠した圧縮永久歪みは、特定の時間および温度条件下での圧縮および保管後の永久的な硬化/変形を表す。荷重またはアセンブリを取り外した後、シールは完全に回復することになるように、ゼロの圧縮永久歪みが望ましい。
【0007】
実際には、圧縮永久歪みは、シール力がまだ利用できる場合(材料の永久的セットがない場合)を間接的に表す。長期間の信頼性の高いシーリング性能ために、非常に低い長期間(たとえば、1000時間)の圧縮永久歪みが望まれる。
【0008】
WO2009/003819は、シリコーンベース100部(重量)あたり2から40部(重量)の量のメラミンシアヌレートを充填剤として含む、改善された耐トラッキング性および耐エロージョン性を有する高温加硫シリコーンゴムに関する。メラミンシアヌレートの導入により、機械的特性を損なうことなく耐トラッキング性と難燃性の向上を導くことが言及されている。WO2009/003819は、低い圧縮永久歪みを提供する硬化性シリコーンゴム組成物については何も述べていない。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、特に、高温で長期間の低圧縮永久歪みの必要性を満たす硬化性シリコーンゴム組成物を探索した。その結果、本発明者らは、上記の必要性に応える特にオルガノハイドロジェンシロキサン成分に関して、特定の要件を満たす特定の硬化性シリコーンゴム組成物を見出した。
【0010】
本発明によれば、硬化性シリコーンゴム組成物が提供され、それは、175℃で144時間の試験の後、30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、および175℃で1000時間の試験の後、50%以下、好ましくは40%以下の圧縮永久歪みの群から選択される、少なくとも1つの圧縮永久歪み値を有する硬化した組成物に加硫して硬化可能であり、
A)100重量部の、少なくとも1つのアルケニル基R
1を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
B)0.01から100重量部の、少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
ここで成分B)は、一般式(2)の1つ以上のポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択される、少なくとも2つのSiH基を有する1つ以上のオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、
[M
aD
bT
cQ
dZ
e]
m (2)
ここで
M=R
3SiO
1/2、および/またはM
*
D=R
2SiO
2/2、および/またはD
*
T=RSiO
3/2、および/またはT
*
Q=SiO
4/2、
ここでM
*=HR
2SiO
1/2、D
*=HRSiO
2/2、T
*=HSiO
3/2、
Zは、2つのシロキシ基の間に最大14個の炭素原子を有する二価の任意にて置換されたヒドロカルビル架橋基であり、それらのシロキシ基は上記に定義されたとおりであり、
Rは、独立して、飽和または芳香族有機基から選択され、
a=0.01-10、好ましくは=2-5、最も好ましくは=2
b=0-1000、好ましくは=10-500
c=0-50、好ましくは=0
d=0-5、好ましくは=0
e=0-3、好ましくは=0
m=1-1000、好ましくは=1-500、最も好ましくは=1
但し、M
*、D
*およびT
*から選択される少なくとも2つの基があるという条件であり、
C)少なくとも1つの遷移金属触媒、
D)0.01から100重量部の、BET表面積が少なくとも50m
2/gである少なくとも1つの補強充填剤、および
G)任意にて100重量部までの1つ以上の補助添加剤、を含み、
ここで成分A)は、以下で定義される、少なくとも1つの成分A1)および少なくとも1つの成分A2)を含み:
A1)少なくとも1つの式(Ia)のポリオルガノシロキサン、
【化1】
ここで各Rは、独立して、飽和または芳香族有機基から選択され、各R
1は、独立して、アルケニル基から選択され、そしてXは≧0であり、
A2)少なくとも1つの式(Ib)のポリオルガノシロキサン
【化2】
ここでx、RおよびR
1は上記で定義したとおりであり;R
2はRまたはR
1から選択され、そしてyは≧1であり、そしてここで好ましくは、成分A2)中のアルケニル基R
1の成分A1)中のアルケニル基R
1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲であり、
そしてここで組成物は、以下の要件a)からc)の1つ、好ましくは2つ以上を満たし、
a)組成物中の全てのSiH基の全ての基SiR
1(ここでR
1は上記で定義されたとおり)に対するモル比(または略して、基SiR
1に対するSiH基のモル比)は≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0および1.8の間である;そして
b)以下に定義されている重要インパクトファクターKpSiH(mmol/g)は、2.5から17.5mmol/g、好ましくは2.5から15mmol/gである;
【数1】
ここで
- 「parts B
i」は、組成物の総重量に基づくi番目の成分B)の重量パーセントであり、
- 「SiH ofB
i」は、i番目の成分B)のSiH含有量(mmol/グラム)であり、
- 「SiH(B
i)」は、分子あたりのi番目の成分B)のSiH基の数であり、
- 「SiH/SiR
1」は、上記の項目a)で定義したとおりである、
【数2】
ここで
Dは成分B)のR
2SiO
2/2であり、
Mは成分B)のR
3SiO
1/2であり、
D
*は成分B)のHRSiO
2/2であり、
M
*=成分B)のHR
2SiO
1/2、ここでRは上記定義どおりであり、そして
必要な単位を有するそれぞれの各i番目の成分B)のP
i(D
*D
*)は、好ましくは0から1、より好ましくは0から0.9、最も好ましくは0から0.85であり、
c)成分A2)中のアルケニル基R
1の成分A1)中のアルケニル基R
1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である。
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0012】
成分A)少なくとも1つのアルケニル基R
1を有するポリオルガノシロキサン
本発明において、成分A)は、以下のように定義される、少なくとも1つの成分A1)、および少なくとも1つの成分A2)を含む:
A1)少なくとも1つの式(Ia)のポリオルガノシロキサン、
【化3】
ここで各Rは、独立して、飽和または芳香族有機基から選択され、各R
1は独立してアルケニル基から選択され、そしてxは0以上であり、
A2)少なくとも1つの式(Ib)のポリオルガノシロキサン、
【化4】
ここでx、RおよびR
1は上記で定義したとおりであり;R
2はRまたはR
1から選択され、そしてyは≧1である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物において、成分A2)中のアルケニル基R1の成分A1)中のアルケニル基に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である。
【0014】
成分A1)
本発明の組成物は、少なくとも1つの式(Ia)のポリオルガノシロキサンA1)を含み:
【化5】
ここで各Rは、独立して、飽和または芳香族有機基から選択され、そしてR
1はアルケニル基から選択され、そしてxは0以上であり、好ましくはxは10以上であり、より好ましくはxは100以上であり、そして好ましくはxは2000未満であり、より好ましくは1500未満であり、さらにより好ましくは1000未満である。
【0015】
好ましくは、25℃での成分A1)の粘度は100000mPa.s未満であり、好ましくは粘度は5000mPa.sを超える(25℃でD=10s-1の剪断速度で測定)。
【0016】
このようなポリマーの粘度は、好ましくは10から100,000mPa.s、より好ましくは40から70,000mPa.sの範囲である(25℃でD=10s-1の剪断速度で測定)。
【0017】
成分A1)の粘度は、単一の成分A1)または成分(A)の混合物の粘度を指す。後者の混合物の場合は、25℃で100000mPa.sを超える粘度を有し得る個々の成分A1)の存在を含む。
【0018】
基Rは、好ましくは、最大30個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル基、および最大30個の炭素原子を有する任意に置換されたアリール基から選択される。より好ましくは、基Rは、n-、iso、または3級アルキル、アルコキシアルキル、C
5-C
30-環状アルキル、またはC
6-C
30-アリール、アルキルアリールから選択され、これらの基は、任意にて1つ以上の-O-、-NH-、-S-、および
【化6】
を含むことができ、そしてこれらの基は、任意にて、1つ以上のハロゲン(塩素またはフッ素など)および1つ以上のヒドロキシ基で置換され得る。
【0019】
適切な一価の炭化水素ラジカルの例には、アルキルラジカル、好ましくは例えば、CH3-、CH3CH2-、(CH3)2CH-、C8H17-およびC10H21-、および脂環式ラジカル、例えば、シクロヘキシルエチル、アリールラジカル、例えば、フェニル、トリル、キシリル、アラルキルラジカル、例えば、ベンジルおよび2-フェニルエチルが含まれる。好ましい一価のハロ炭化水素ラジカルは式CnF2n+1CH2CH2-を有し、ここでnは1から10の値を有し、例えば、CF3CH2CH2-、C4F9CH2CH2-、C6F13CH2CH2-、C2F5-O(CF2-CF2-O)1-10CF2-、F[CF(CF3)-CF2-O]1-5-(CF2)0-2-、C3F7-OCF(CF3)-、およびC3F7-OCF(CF3)-CF2-OCF(CF3)-である。
【0020】
Rの最も好ましい基には、メチル、フェニル、および3,3,3-トリフルオロプロピルが含まれ、特に好ましいRはメチルである。
【0021】
R1は、好ましくは、C=C-基含有基(=アルケニル基)を含む脂肪族不飽和基から選択され、例えば、30個までの炭素原子を有するn-、iso-、3級、または環状のアルケニル基、C6-C30-シクロアルケニル、C8-C30-アルケニルアリール、シクロアルケニルアルキル、例えば、ビニル、アリル、メタリル、3-ブテニル、5-ヘキセニル、7-オクテニル、エチリデン-ノルボルニル、スチリル、ビニルフェニルエチル、ノルボルネニルエチル、リモネニルであって、任意にて1以上の-O-原子またはF-原子を含むもの、から選択される。
【0022】
R1の好ましい基は、ビニル、5-ヘキセニル、シクロヘキセニル、リモニル、スチリル、ビニルフェニルエチルである。最も好ましい基R1はビニルである。
【0023】
基Rおよび/またはR1は、等しくても異なっていてもよい。
【0024】
xは、式(Ia)のポリジオルガノシロキサンの数平均分子量Mnから計算された平均値であり、これは、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。
【0025】
xは、好ましくは10-2000、より好ましくは100-1000である。
【0026】
数平均分子量Mn(ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される)は、好ましくは最大200000g/モルの範囲であり、より好ましい範囲は最大100000g/モルである。
【0027】
ポリジオルガノシロキサンA1)の好ましい構造には、以下が含まれる:
ViMe2SiO(Me2SiO)10-2000SiMe2Vi (1a)、
ViPhMeSiO(Me2SiO)10-2000SiMePhVi (1b)、
ここでViはビニル基であり、Meはメチル基であり、そしてPhはフェニル基である。式(1a)のポリジオルガノシロキサンが特に好ましい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、鎖長が異なる少なくとも2つのポリジオルガノシロキサンA1)の混合物が使用される。好ましくは、以下の2つのポリジオルガノシロキサンA1-1)およびA1-2)の混合物が使用される:
A1-1):
R1R2SiO(R2SiO)x1SiR2R1
ここでx1は10から700であり、RおよびR1は上記で定義したとおりであり、好ましくはRはメチルであり、そしてR1はビニルであり、
A1-2):
R1R2SiO(R2SiO)x2SiR2R1
ここでx2は>700、好ましくは>800であり、RおよびR1は上記で定義した通りであり、好ましくはRはメチルであり、そしてR1はビニルである。
【0029】
A1-1)とA1-2)との重量比は、好ましくは99:1から1:99、好ましくは49:51から10:90である。
【0030】
これらのポリマーは、トリオルガノシロキサン末端ポリジオルガノシロキサンを調製するための従来の方法のいずれかによって調製することができる。例えば、適切な比率の適切な加水分解性シラン、例えば、ビニルジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシランおよびジメチルジクロロシラン、またはその対応するアルコキシシランは、共加水分解および縮合されることができる。他の反応ルートは、1,3-ジビニルテトラオルガノジシロキサン、例えば、対称ジビニルジメチルジフェニルシロキサンまたはジビニルテトラメチルシロキサン、これはポリジオルガノシロキサンの末端基を供え、これは、酸性または塩基性触媒の存在下で、適切なポリジオルガノシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンと平衡化することができる、の平衡化反応を交互に実行しうる。
【0031】
好ましくは、成分A1)のアルケニル含有量は、ケイ素原子に結合した全有機基に基づいて、0.001から20モル%、特に0.01から10モル%の範囲である。
【0032】
成分(A)のアルケニル含有量は、1HNMRによりここで決定することができる-A.L. Smith (編): The Analytical Chemistry of Silicones, J. Wiley & Sons1991 Vol. 112 pp. 356 及び以下の項目、Chemical Analysis、J.D. Winefordner編を参照。
【0033】
成分A2)
本発明の組成物は、少なくとも1つの式(Ib)のポリオルガノシロキサンA2)を含む:
【化7】
ここでx、RおよびR
1は上記で定義したとおりであり;そしてR
2は、上記で定義したRまたはR
1から選択され、そしてyは1以上である。
【0034】
基Rおよび/またはR1を有するシロキサン単位は、各ケイ素原子について等しくても異なっていてもよい。好ましい実施形態では、構造は
R1
pR3-pSiO[R2SiO]x[R1RSiO]ySiR1
pR3-p (1c)
ここでRおよびR1は上記で定義したとおりであり、
p=0-3、好ましくは1、
x=10-2000、好ましくは100-1000、
y=1-500、好ましくは1-200、より好ましくは1-100、さらにより好ましくは1-50である。
【0035】
成分A2)、いわゆるアルケニルに富む、適切にはビニルに富むポリマーの目的は、機械的特性および架橋密度を改変することである。
【0036】
好ましいポリジオルガノシロキサンA2)は、次式により表され、
Me3SiO(Me2SiO)x(MeR1SiO)ySiMe3 (1d)、
R1Me2SiO(Me2SiO)x(MeR1SiO)ySiMe2R1 (1e)、
ここで
x=>0-2000、好ましくは10から800、より好ましくは50から700、
y=>0-500、好ましくは5から200、より好ましくは7から100、
x+y=>10、好ましくは>15、より好ましくは>50、より好ましくは>57、より好ましくは>70、より好ましくは>75、
R1、Rは上記で定義したとおりである。
【0037】
より好ましいポリジオルガノシロキサンA2)は、式(1e)により表される。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、鎖長が異なる少なくとも2つのポリジオルガノシロキサンA2)の混合物が使用される。好ましくは、以下の2つのポリジオルガノシロキサンA2-1)およびA2-2)の混合物が使用される:
A2-1):
R1Me2SiO(Me2SiO)x1(MeR1SiO)y1SiMe2R1 (1f)、
x1=>100-2000、好ましくは200から800、より好ましくは300から700、
y1=>10-500、好ましくは15から200、より好ましくは30から100、
x1+y1=>110、好ましくは>215、より好ましくは>300、より好ましくは>330、より好ましくは>500、
R1、Rは上記で定義したとおりであり、
A2-2):
R1Me2SiO(Me2SiO)x2(MeR1SiO)y2SiMe2R1 (1f)、
x2=>10-100、好ましくは20から100、より好ましくは30から90、
y2=>1-100、好ましくは5から70、より好ましくは7から<30、
x2+y2=>11、好ましくは>30、より好ましくは>50、
R1、Rは上記で定義したとおりである。
【0039】
A2-1)とA2-2)との重量比は、好ましくは99:1から1:99、好ましくは51:49から90:10である。
【0040】
RおよびR1の好ましい実施形態に関しては、上記のポリジオルガノシロキサンA1)の定義が参照される。
R1=好ましくはビニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、リモニル、スチリル、ビニルフェニルエチル。最も好ましいR1はビニルである。
【0041】
Rの好ましい基は、メチル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピルであり、最も好ましいのはメチルである。
【0042】
y(またはy1またはy2)の好ましい値は、0.5*x(またはx1またはx2)未満、好ましくは0.0001*x(またはx1またはx2)から0.25*x(またはx1またはx2)、より好ましくは0.0015*x(またはx1またはx2)から0.2*x(またはx1またはx2)である。
【0043】
ポリジオルガノシロキサンA2)のさらに好ましい構造は、
VipMe3-pSiO(Me2SiO)10-2000(MeViSiO)1-1000SiMe3-pVip (1f)、
Me3SiO(Me2SiO)10-2000(MeViSiO)1-1000SiMe3 (1g)、
PhMeViSiO(Me2SiO)10-2000(MeViSiO)1-1000SiPhMeVi (1h)、
ここでMe=メチル、Vi=ビニル、Ph=フェニル、p=0から3、好ましくはp=1である。
【0044】
数平均分子量Mnは、好ましくは100000g/モルまでの範囲、より好ましくは50000g/モルまでの範囲であり、これは、好ましくはポリスチレン標準にてGPCを用いて決定する。
【0045】
好ましい実施形態では、ポリジオルガノシロキサンA1)とポリジオルガノシロキサンA2)との重量比は、100:1から1:1、好ましくは20:1から2:1である。
【0046】
本発明において、成分A)が少なくとも1つの成分A1)のみまたは少なくとも1つの成分A2)のみを含むこと、すなわち、成分A1)およびA2)は一緒に使用されず、単独で使用されることも可能である。
【0047】
成分B):少なくとも2つのSiH基を有するオルガノハイドロジェンシロキサン
硬化性シリコーンゴム組成物は成分B)、すなわち少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサンを含み、ここで成分B)は、1つ以上の一般式(2)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択される:
[MaDbTcQdZe]m (2)
ここで
M=R3SiO1/2、および/またはM*
D=R2SiO2/2、および/またはD*
T=RSiO3/2、および/またはT*
Q=SiO4/2、
ここでM*=HR2SiO1/2、D*=HRSiO2/2、T*=HSiO3/2、
Zは、2つのシロキシ基の間に最大14個の炭素原子を有する二価の任意にて置換されたヒドロカルビル架橋基であり、これらのシロキシ基は上記で定義されたとおりであり、そして
Rは上記で定義したとおりであり、
a=0.01-10、好ましくは=2-5、最も好ましくは=2
b=0-1000、好ましくは=10-500
c=0-50、好ましくは=0
d=0-5、好ましくは=0
e=0-3、好ましくは=0
m=1-1000、好ましくは=1-500、最も好ましくは=1、
ただし、M*、D*、およびT*から選択される少なくとも2つの基があるという条件である。
【0048】
好ましくは、成分B)は、有機残基としてメチルまたはフェニル基のみ、さらにより好ましくはメチル基のみを有するポリシロキサンから選択される。
【0049】
好ましくは、オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも25、そして最も好ましくは少なくとも30のケイ素原子を有する。
【0050】
シロキシ単位は、ポリマー鎖内にブロックごとまたはランダムに分布されることができる。
【0051】
前述の指標は、数平均分子量Mnに基づく平均重合度Pnを表すことになる。
【0052】
分子内に存在するM-、D-、T-、Q-単位の範囲は、流体、流動性ポリマー、液体および固体樹脂を表すほぼすべての値をカバーできる。液体の直鎖、環状または分岐のシロキサンを使用することが好ましい。任意にて、これらのシロキサンは、合成から残存しているさらなる痕跡量のC1-C6-アルコキシまたはSi-ヒドロキシ基を含むことができる。
【0053】
本発明の組成物における成分B)の好ましい構造は、式(2a)から(2e)のシロキサンである。
Ha1(R)3-a1Si[RHSiO]p[R2SiO]q[RR1SiO]zSi(R)3-a1Ha1 (2a)
より具体的には、
HR2SiO(R2SiO)q(RR1SiO)z(RHSiO)pSiR2H (2b)
HMe2SiO(Me2SiO)q(RR1SiO)z(MeHSiO)pSiMe2H (2c)
Me3SiO(MeHSiO)pSiMe3 (2d)
Me3SiO(Me2SiO)q(RR1SiO)z(MeHSiO)pSiMe3 (2e)
ここでRおよびR1は上記で定義したとおりであり、Rは好ましくはメチルおよび/またはフェニルであり、R1は好ましくはビニルであり、添え字「a1」は0または1であり、
p=0-1000、好ましくは=0-500、
q=0-650、好ましくは=0-100、
z=0-65、好ましくは=0、
2≦p+q+z<1000、好ましくは10≦p+q+z<650である。
【0054】
最も好ましくは、
HR2SiO(R2SiO)q(RR1SiO)z(RHSiO)pSiR2H (2b)
であり、ここでp、q、zは上記で定義したとおりであり、ここでzは好ましくは0であり、pは好ましくは0であり、qは好ましくは5から50、より好ましくは10から30である。
【0055】
上記の式(2a)から(2e)において、SiH基のすべてのSi原子に対するモル比は、好ましくは0.01より大きく、そして好ましくは0.7までであり、そしてSi原子の総数は、好ましくは少なくとも7、より好ましくは少なくとも15、さらにより好ましくは少なくとも20である。
【0056】
さらに、以下の式の樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの使用が好ましい:
{[T][R29O1/2]n}m (2f)
{[Q][R29O1/2]n[M]0,01-10[T]0-50,好ましくは0[D]0-1000,好ましくは0}m (2g)
ここで
Q、T、M、Dは上記で定義したとおりであり、
n=0から3、好ましくはn=0、
mは上記で定義したとおりであり、
R29は、水素、C1-C25-アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-、iso-、およびtert.-ブチル、アルカノイル、例えば、アシル、アリール、-N=CHR、例えば、ブタノンオキシム、アルケニル、例えば、プロペニルであり、
ただしM*、D*、およびT*から選択された少なくとも2つの基があるという条件である。最も好ましい樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、QおよびM*単位からなる式のものであり、
例えば、{[Q][M*]0,01-10,好ましくは1-10}m (2h)
ここでQ、M*、およびmは上記で定義したとおりであり、そしてmは、好ましくは1から20である。
【0057】
化合物(2g)の1つの好ましい実施形態は、例として、式[(Me2HSiO0.5)kSiO4/2]1-1000にて記載することができるモノマーからポリマー化合物によって提供され、ここで添え字kは0.3から4である。そのような液体または樹脂状分子は、ケイ素原子に関して最大10mol%のかなりの濃度のSiOH-および/または(C1-C6)-アルコキシ-Si基を含むことができる。
【0058】
特に好ましい樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンB)は、例えば、
M*
2D10-30、
Q(M*)4、
M2D10-30D*
10-30、および
[M*
1-4Q]1-40を含む。
【0059】
樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンB)の好ましい粘度は、D=10s-1の剪断速度にて25℃で1から100mPa・sである。
【0060】
本発明の組成物中の成分B)のための好ましい適切な化合物の特定の例には、
Me3SiO-(MeHSiO)2-50-SiMe3、
Me3SiO-(MeHSiO)2-50(Me2SiO)1-100SiMe3、
(MeHSiO)3-7、
HMe2SiO-(MeHSiO)0-60(Me2SiO)1-250SiMe2H
HMe2SiO(Me2SiO)0-30(MePhSiO)0-30(MeHSiO)2-50SiMe2H、
Me3SiO(Me2SiO)0-30(MePhSiO)0-30(MeHSiO)2-50SiMe3、
Me3SiO(Me2SiO)0-30(Ph2SiO)0-30(MeHSiO)2-50SiMe3、が含まれ、
ここで各式において、SiH基のすべてのSi原子に対するモル比は、好ましくは0.01より大きく、そしてSi原子の総数は、好ましくは少なくとも7であり、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、最も好ましくは少なくとも20の原子を有する。
【0061】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンB)のSiH含有量は、好ましくは少なくとも0.1ミリモル/g、より好ましくは少なくとも0.2ミリモル/g、そして好ましくは最大で17ミリモル/g、より好ましくは最大で15ミリモル/g、より好ましくは0.1から17ミリモル/g、最も好ましくは0.2から13ミリモル/gである。1より多くの成分B)を使用する場合、これらのSi含有量は、使用する特定の各成分B)に適用される。
【0062】
最も好ましくは、式HMe2SiO-(MeHSiO)0-60(Me2SiO)1-250SiMe2Hの化合物であり、さらにより好ましくは少なくとも1つの樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンB)、好ましくは式[M*
1-4Q]1-40との混合物にあり、好ましくは
HMe2SiO-(MeHSiO)0-60(Me2SiO)1-250SiMe2H/[M*
1-4Q]1-40
の重量比が、49:51から1:99の範囲であるものである。
【0063】
成分B)は、1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサンの単一成分として、または好ましくはそれらの少なくとも2つの混合物として使用することができる。最も好ましくは、Dおよび/またはD*およびMおよび/またはM*単位からなる直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、QおよびMおよび/またはM*単位からなる樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとの混合物であって、好ましくは49:51から1:99の重量比であるものである。
【0064】
硬化速度を上げることが必要な場合、硬化速度をより短い時間に調整するために、HMe2SiO0,5-単位を有するいくつかのオルガノポリシロキサンB)またはホモMeHSiO-ポリマーを使用することが好ましい。
【0065】
硬化速度をさらに上げる必要がある場合は、これは、例として、SiHのSi-アルケニルに対するモル比の増加、または触媒C)の量の増加によって達成することができる。
【0066】
成分B)は、好ましくは25℃で2から2000mPa.s、好ましくは1から1000mPa.s、さらにより好ましくは2から100mPa.sの粘度(好ましくはD=10s-1の剪断速度で測定)を有する。
【0067】
好ましくは、架橋剤B)は、分子当たり少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、ある場合にはまた15より多く、そして20より多いSiH基を有するべきである。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物は、T、T*およびQ、好ましくはQから選択される少なくとも1つの単位を含む少なくとも1つの樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサンを含む。
【0069】
本発明の特に好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物、少なくとも2つの異なるオルガノハイドロジェンシロキサンB)が使用される。さらに、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物において、好ましくは、オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、B1)>2の末端SiH基を有する、好ましくはT、T*およびQ、好ましくはQから選択される少なくとも1つの単位を含む、樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサン、およびB2)2つ以上のSiH基を有し、B1)とは異なるオルガノハイドロジェンシロキサンの群から選択される。
【0070】
遷移金属触媒C)
本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、少なくとも1つの遷移金属触媒C)を含む。
【0071】
成分C)は、好ましくは、ヒドロシリル化を触媒する能力を有する有機金属化合物、塩または金属の群から選択され、ここで金属は、US3,159,601;US3,159,662;US3,419,593;US3,715,334;US3,775,452およびUS3,814,730にて教示されるように、金属はNi、Ir、Rh、Ru、Os、PdおよびPt化合物の群から選択される。白金化合物が最も好ましい。
【0072】
好ましくは、遷移金属触媒C)は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含むヒドロシリル化触媒から選択される。
【0073】
本発明の組成物のヒドロシリル化反応のための触媒成分C)は、成分(B)のケイ素結合水素原子の成分(A)のケイ素結合オレフィン炭化水素置換基との反応を促進する化合物である。金属または有機金属化合物は、一般に、白金族金属に基づく。理論に拘束されることを望むものではないが、触媒(C)には、シグマ結合とパイ結合の炭素配位子と、S、N、またはP原子を含む配位子、金属コロイドまたは塩であって前述の金属をともなう錯体が含まれていると考えられる。触媒は、金属、またはその金属の化合物もしくは錯体を担持するシリカゲルまたは粉末炭などの担体上に存在することができる。好ましくは、成分(C)の金属は、任意の白金錯体化合物である。
【0074】
本発明のポリオルガノシロキサン組成物における典型的な白金含有触媒成分は、錯体を形成することができる任意の形態の白金(0)、(II)または(IV)化合物である。好ましい錯体は、ポリオルガノシロキサン組成物中でのその容易な分散性のため、Pt-(0)-アルケニル錯体、例えば、アルケニル、シクロアルケニル、アルケニルシロキサン、例えば、ビニルシロキサンである。
【0075】
白金錯体の特に有用な形態は、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン(ビニル-M2またはKarstedt触媒
【化8】
などの脂肪族不飽和オルガノシリコン化合物とのPt(0)-錯体であり、
例えば参照により組み込まれるUS3,419,593に開示されているものが特に好ましく、シクロヘキセン-Pt、シクロオクタジエン-Ptおよびテトラビニルテトラメチル-テトラシクロシロキサン(ビニル-D4)-Pt、例えばAshby触媒、実験式Pt[(C
3H
6SiO)
4]
xのテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン中のPt(0)錯体である。
【0076】
最も好ましい触媒成分C)は、約1から3重量%のPt、好ましくは2重量%のPtを含むテトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサンとのPt0錯体、特にAshby触媒である。
【0077】
また、好ましくは、塩化白金酸六水和物およびオクチルアルコールから得られる、白金(II)錯体化合物である、いわゆるLamoreaux触媒である(例えば、US3,197,432またはUS3,220,972に記載)。好ましくは、Pt(0)またはPt(II)触媒であり、AshbyおよびLamoreaux白金触媒が好ましい。
【0078】
本発明の組成物で使用される白金含有触媒成分の量は、本発明の組成物の他のすべての成分の存在下で、必要な時間(B)に所望の温度で(A)と(B)の間のヒドロシリル化を促進するのに十分な量がある限り、狭く限定されない。前記触媒成分の正確な必要量は、特定の触媒、他の阻害化合物の量、およびSiH対オレフィンの比に依存することになり、容易には予測できない。しかしながら、白金触媒の場合、コストの理由により、上記の量は可能な限り低くすることができる。好ましくは、他の未定義の抑制痕跡量の存在下での硬化を確実にするために、オルガノシリコン成分(A)および(B)の100万重量部ごとに1重量部を超える白金を添加するものである。本発明の組成物について、適用される白金含有触媒成分の量は、好ましくは、ポリオルガノシロキサン成分(A)プラス(B)の重量あたり1から200ppm、好ましくは2から100ppm、特に好ましくは4から60ppmの白金を提供するのに十分となるものである。好ましくは、前記量は、(A)および(B)の合計あたり少なくとも4重量ppmの白金である。
【0079】
ヒドロシリル化触媒は、光活性化することができる触媒の群から選択することもできる。これらの光活性化可能な触媒は、好ましくは、Pt、Pd、Rh、Co、Ni、IrまたはRuからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。光活性化することができる触媒は、好ましくは白金化合物を含む。光活性化可能であり得る触媒は、好ましくは、有機金属化合物の中から選択される、すなわち、炭素含有配位子またはその塩を含む。好ましい実施形態では、光活性触媒(C)は、シグマ結合およびパイ結合を含む金属炭素結合を有する。好ましくは、光活性化可能な触媒(C)は、少なくとも1つの金属炭素シグマ結合を有する有機金属錯体化合物、さらにより好ましくは、好ましくは1つ以上のシグマ結合アルキルおよび/またはアリール基、好ましくはアルキル基を有する白金錯体化合物である。シグマ結合配位子には、特に、シグマ結合有機基、好ましくはシグマ結合C1-C6-アルキル、より好ましくはシグマ結合メチル基、フェニルのようなシグマ結合アリール基、SiおよびO置換シグマ結合アルキルまたはアリール基、例えば、トリオルガノシリルアルキル基、トリアルキルシリル基のようなシグマ結合シリル基が含まれる。最も好ましい光活性化可能な触媒は、シグマ結合配位子、好ましくはシグマ結合アルキル配位子を有するη5-(任意に置換された)-シクロペンタジエニル白金錯体化合物を含む。
【0080】
光活性化することができるさらなる触媒には、(η-ジオレフィン)-(シグマ-アリール)-白金錯体(例えば、US4,530,879を参照)が含まれる。
【0081】
光活性化され得る触媒は、それ自体で使用され得るか、または担体上に担持され得る。
【0082】
光活性化可能な触媒の例としては、η-ジオレフィン-σ-アリール-白金錯体、例えば、US4,530,879、EP122008、EP146307(US4,510,094に対応し本明細書にて先行技術文献として引用)またはUS2003/0199603に記載されているもの、およびまたその反応性を例えばUS4,640,939に記載されているようにアゾジカルボン酸エステルまたはジケトネートを用いて制御できる白金化合物が含まれる。
【0083】
さらに、使用できる光活性化可能な白金化合物は、ジケトン、例えば、ベンゾイルアセトンまたはアセチレンジカルボン酸エステル、および光分解性有機樹脂に埋め込まれた白金触媒から選択される配位子を有する群から選択されるものである。他のPt触媒は、例えば、US 3,715,334またはUS3,419,593、EP1672031A1、およびLewis, Colborn, Grade,Bryant, Sumpter, and Scott in Organometallics, 1995, 14,2202-2213に記載されており、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
光活性化可能な触媒は、Pt(0)-オレフィン錯体を使用し、それに適切な光活性化可能な配位子を加えることにより、成形されるシリコーン組成物中でその場で形成することもできる。
【0085】
ただし、ここで使用できる光活性化可能な触媒は、上記の例に限定されるものではない。
【0086】
本発明の方法で使用される光活性化することができる最も好ましい触媒は、(η5-シクロペンタジエニル)-トリメチル-白金、(η5-シクロペンタジエニル)-トリフェニル-白金錯体、特に(η5-メチルシクロペンタジエニル)-トリメチル-白金である。
【0087】
光活性化できることが可能な触媒の量は、好ましくは1から500ppmであり、好ましくは、上記の熱活性化可能なヒドロシリル化触媒について定義されたのと同じより低い範囲である。
【0088】
本発明による最も好ましい硬化性シリコーンゴム組成物は、白金を含むヒドロシリル化触媒C)を含む。
【0089】
補強充填剤D)
本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、好ましくは少なくとも1つの、好ましくは表面処理されたシリカ充填剤から選択される少なくとも1つの補強充填剤D)を含む。
【0090】
好ましくは、補強充填剤D)は、好ましくは窒素を用いてDIN-ISO 9277に従って測定された50から500m2/gのBETを有する、ヒュームドシリカおよび沈降シリカの群から選択されるシリカ充填剤である。最も好ましくは、補強充填剤D)は、表面処理された充填剤から選択されるシリカ充填剤である。
【0091】
好ましくは、シリカ充填剤の表面処理は、ジシラザン、シリルアミン、シラノール、式[RaRbRcSi(OSi(Me)2)t]2NH(Raはメチル、エチル、またはフェニルであり;Rbはメチルまたはエチルであり、Rcはビニルまたはアリルであり;そしてtは2から12までの整数である)のビス(ポリオルガノシロキサニル)アミン、トリメチルシラノール、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、トリオルガノシリルオキシアシレート、例えば、ビニルジメチルアセトキシシラン、トリオルガノシリルアミン、例えば、トリメチルシリルイソプロピルアミン、トリメチルシリルエチルアミン、ジメチルフェニルシリルプロピルアミン、およびビニルジメチルシリルブチルアミン、トリオルガノシリルアミノオキシ化合物、例えば、ジエチルアミノオキシトリメチルシランおよびジエチルアミノオキシジメチルフェニルシラン、さらにヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザンの群から選択される疎水性物質との反応により行うことができる。
【0092】
オルガノシリコン化合物の他の例は、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、および/またはジメチルポリシロキサンであって、分子あたり2から12のシロキサン単位を有し、末端単位の各々においてSiに結合したヒドロキシ基を含むものである。
【0093】
最も好ましくは、補強充填剤D)は、少なくとも1つのシラザン、好ましくはオルガノシラザン、例えば式R’3Si-[NH-SiR’2]n-NH-SiR’3(ここでnは0以上)のものであって、そしてR’が有機基、好ましくはメチルおよび/またはビニルから選択されるもので表面処理された少なくとも1つのシリカ充填剤である。最も好ましいのは、ジビニルテトラメチルジシラザンおよびヘキサメチルジシラザンならびにそれらの混合物である。
【0094】
特定の好ましい実施形態では、シリカ充填剤は、1つ以上のオルガノシラザンによる延長表面処理に供され、これは、少なくとも2時間または3時間などの長期間にわたる単一ステップ処理、または複数ステップの表面処理を含み得る。
【0095】
特定の好ましい実施形態では、表面処理されたシリカ充填剤は、前記シリカと少なくとも2チャージのシラザンとの後続反応を含む2段階プロセスでのシリカの表面処理によって調製される。好ましくは、少なくとも1つのシリカ充填剤は、表面処理されたシリカ充填剤であり、これは以下のステップにより得られる:
a) 成分A)、B)および少なくとも1つのシリカ充填剤D)を含む混合物を提供すること、
b) 少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのシラザンおよびアルケニル基を有さない少なくとも1つのシラザンを前記混合物に添加すること、
c) 少なくとも1時間、少なくとも100℃に加熱すること、
d) 揮発性物質の除去、および
e) さらに、好ましくはアルケニル基を持たない少なくとも1つのシラザンを添加すること、
f) 少なくとも1時間、少なくとも100℃に加熱すること、および
g) 揮発性物質の除去。
【0096】
好ましいシリカ充填剤は、好ましくは、補強シリカとして知られているものであり、これにより、照射に対して十分な透明性を有するエラストマーの製造も可能になる。補強シリカ、特に強度を高めるものが好ましい。例としては、好ましくは窒素を用いたDIN-ISO 9277に従って測定されたBET表面積が50から400m2/g、好ましくは80から350m2/gであるシリカ、特に、ヒュームドまたは沈降シリカである。好ましくは、これらの充填剤は表面疎水化されている。補強充填剤D)の量は、成分(A)および(B)の総量の100重量部に基づき、好ましくは1から100重量部、より好ましくは5から90重量部、さらにより好ましくは10から80重量部、さらにより好ましくは15から70重量部である。
【0097】
BET表面積が50m2/gを超える充填剤は、特性が向上したシリコーンエラストマーの製造を可能にする。強度と透明性の観点から、ヒュームドシリカが好ましく、さらにより好ましいシリカは、例えば、Aerosil(登録商標)200、300、HDK(登録商標)N20またはT30、Cab-O-Sil(登録商標)MS7またはHS5であって、200m2/gを超えるBET表面積を有するものである。BET表面積が増加すると、これらの材料が存在するシリコーン混合物の透明度も増加する。沈降シリカまたは湿式シリカとして知られている材料の商品名の例は、Evonik(旧Degussa)製のVulkasil(登録商標)VN3またはFK 160、またはNippon Silica K.K.製のNipsil(登録商標)LPおよびその他である。
【0098】
50m2/g以上のBET表面積を有する、好ましくは少なくとも150m2/gのBET表面積を有するシリカ充填剤を使用することが好ましい。このような組成物はまた、十分な透明性のために、必要に応じて光活性化することができる。
【0099】
補強充填剤D)は、適切な疎水化剤による疎水化処理に属する適切な表面処理剤による適切な従来の表面処理、適切な分散剤による分散処理に供されることがあり得、それらは、シリコーンポリマーとの充填剤の相互作用に影響を与える、例えば厚くする作用に影響を与える。充填剤の表面処理は、好ましくはシランまたはシロキサンによる疎水化である。例として、ヘキサメチルジシラザンおよび/または1,3-ジビニルテトラメチルジシラザンなどのシラザンを、水を添加してその場(in situ)で行うことができ、そして「in-situ」疎水化が好ましい。また、架橋反応のための反応部位を提供する目的で、鎖長が2から50で不飽和有機ラジカルを有するポリオルガノシロキサンジオールにて他の一般的な充填剤処理剤で行うこともできる。
【0100】
さまざまなシランであらかじめ疎水化された市販のシリカの例は、Aerosil(登録商標)R972、R974、R976、またはR812、または、たとえばHDK 2000またはH30である。疎水化沈降シリカまたは湿式シリカとして知られている材料の商品名の例は、例えば、Evonik(旧Degussa)製のSipernatD10またはD15である。
【0101】
非硬化シリコーンゴム混合物のレオロジー特性、すなわち技術的加工特性は、充填剤の種類、その量、および疎水化の性質の選択によって影響を受け得る。
【0102】
補助添加剤G)
本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、任意にて100重量部までの1つ以上の補助添加剤G)を含む。補助添加剤G)は、本明細書で定義されている他の成分(A1)、A2)、B)、C)、D)、E)、およびF))のいずれとも異なり、そして好ましくは、低圧縮永久歪み添加剤、表面処理剤、潤滑油、オイルブリード剤、ヒドロシリル化抑制剤などからなる群から選択される。
【0103】
補助添加剤G)は、特に以下を含み得る:
- 低圧縮永久歪み添加剤、例えば以下式を有するアセチレンアルコール:H-C≡C-R’’-OH、ここでR’’は、二価の有機基であり、好ましくは、環状飽和または不飽和ヒドロカルビル基、例えば、シクロヘキサン-ジイル、フルオレン-ジイル、例えば1-エチニル-1-シクロヘキサノール(「ECH」)、9-エチニル-フルオレノールなど、好ましくはECHおよび9-エチニル-9-フルオレノール、最も好ましくはECH(これらの化合物はヒドロシリル化阻害剤としても作用する)、
- 硬化遅延剤または難燃剤、例えばトリアゾール化合物、例えば1,2,3-トリアゾール、1,2,4,-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-メチル-1,2,3-トリアゾール、1-フェニル-1,2,3-トリアゾール、4-メチル-2-フェニル-1,2,3-トリアゾール、1-ベンジル-1,2,3-トリアゾール、4-ヒドロキシ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-ベンズアミド-4-メチル-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-4,5-ジフェニル-1,2,3,-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール-4-アルデヒド、4-シアノ-1,2,3-トリアゾール、1-メチル-1,2,4-トリアゾール、1,3-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール、5-アミノ-3-メチル-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-5-オン、1-フェニルウラゾール、1-メチルベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、2-フェニルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、およびメチル1-ベンゾトリアゾールカルボキシレートからなる群から選択されるもの、金属塩、カーボンブラック、フタロシアニン化合物または前記化合物の金属誘導体、ここで前記金属は、銅、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、亜鉛、白金、パラジウム、バナジウムからなる群から選択され、
- 表面処理剤、
- 潤滑油、
- オイルブリード剤、
- ヒドロシリル化阻害剤、
- 着色剤または顔料、例えば無機顔料、および有機染料、
- 接着促進剤、
- 熱安定剤などの安定剤、
- 補強充填剤や非補強充填剤などの充填剤、例えば石英粉末と珪藻土、炭酸カルシウム、
- 分散剤、
- 流動性向上剤、
- 可塑剤、
- スリップ剤、
- 強化剤、
- カーボンブラックやグラファイトなどの導電性安定向上剤、そして
- 泡形成添加剤、例えばアルコール、
- 抗酸化剤、
- チキソトロープ剤、
- 泡安定剤、
- 紫外線安定剤、および
- 硬化性シリコーンゴム組成物の調製に使用できる水。
【0104】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物は石英を含まない。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物は、少なくとも1つのヒドロシリル化阻害剤、好ましくは1-エチニル-1-シクロヘキサノール(「ECH」)を含む。
【0106】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物は、少なくとも1つの着色剤または顔料を含む。そのような着色剤または顔料は、例えば、成分F)に含まれる好ましい無色の金属酸化物のように無色ではなく、そして無機顔料および有機染料を含み得る。この点において、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、特に、無色の硬化性シリコーンゴム組成物として、すなわち、着色剤または顔料を含まない(もちろん、無色の金属酸化物F)を含まない)ものとして提供されることができる。本発明によるそのような無色の硬化性シリコーンゴム組成物から、着色硬化性シリコーンゴム組成物は、本発明による無色硬化性シリコーンゴム組成物を、少なくとも1つの着色剤または顔料または上記で定義された着色された金属酸化物F)、例えば赤酸化鉄などと混合することにより容易に得ることができる。すなわち、本発明の無色の硬化性シリコーンゴム組成物は、本発明による様々な種類の着色硬化性シリコーンゴム組成物を得るための基本的な組成物として役立ち得る。
【0107】
メラミンシアヌレートE)
本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、任意にてメラミンシアヌレートE)を含む。メラミンシアヌル酸付加物またはメラミンシアヌル酸複合体としても知られているメラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸の1:1混合物から形成される結晶複合体である。
【化9】
【0108】
硬化性シリコーンゴム組成物がメラミンシアヌレートE)を含む場合、この量は、好ましくは、成分A)およびB)の総量の100重量部に基づいて5重量部未満、より好ましくは2重量部未満である。
【0109】
メラミンシアヌレートはプラスチック業界でよく知られた難燃剤であり、ポリアミドまたはポリ塩化ビニル組成物において広く使用されている。本発明は、焼却の速い酸化プロセスから大気条件下での熱エージングの遅い酸化プロセスに材料の使用を移すことであった。その結果は、メラミンシアヌレート構造内のO2ラジカルの結合に明らかに成功し、シリコーンポリマー骨格への攻撃を回避し、それによって本発明の硬化シリコーンゴム組成物の圧縮永久歪みを驚くべきことに低下させた。
【0110】
成分F):少なくとも1つの金属成分
本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、任意にて少なくとも1つの金属化合物F)を含み、これは好ましくは、シリカを除く、着色または無色の金属酸化物などの金属塩から選択される。
【0111】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの金属化合物F)は、金属塩、特に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される無色の金属酸化物、
遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば、酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えば、CoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択される着色された金属酸化物、ならびに無色の金属酸化物と着色された金属酸化物の混合物からなる群から選択される。
【0112】
本発明の成分F)の定義内の好ましい無色の金属酸化物は、酸化物が染色または着色効果を有さないことを意味することを意図するものとする。本発明の範囲内では、TiO2などの白色金属酸化物も無色の金属酸化物である。通常、無色の金属酸化物は、白色、不透明、半透明、または透明の金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物を含む。好ましくは、無色の金属酸化物F)は、酸化チタンおよび酸化マグネシウムおよびそれらの混合物の群から選択される。
【0113】
着色された金属酸化物は、好ましくは、遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば、酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えば、CoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択される。好ましい実施形態では、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、無色の金属酸化物および着色された金属酸化物の混合物、好ましくは酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛の少なくとも1つ、ならびに少なくとも1つの酸化鉄顔料の混合物を含む。
【0114】
硬化性シリコーンゴム組成物は、少なくとも1つの金属化合物、好ましくは少なくとも1つの無色の金属酸化物を、好ましくは成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から10、好ましくは0.1から5重量部の量で含む。好ましい実施形態では、少なくとも1つの金属化合物の量は、硬化性シリコーンゴム組成物、またはその硬化組成物の全組成物に基づいて、2未満、好ましくは1.9未満、好ましくは1.8未満、好ましくは1.7未満、好ましくは1.6未満、好ましくは1.5重量%未満である。
【0115】
好ましく使用されるTiO2は、大きな比表面積を有する細かく分散された金属酸化物である。これは、材料を触媒プロセスに対して活性にすることを可能にし、エラストマーの熱安定剤として有用になる。加えて、白っぽく見える添加剤は、上記の着色された金属酸化物または上記の成分G)について述べた着色剤または顔料などの他の色で上回って着色することができる。
【0116】
好ましい実施形態では、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は水酸化カルシウムを含まず、好ましくは本発明による硬化性シリコーンゴム組成物はアルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物を含まない。
【0117】
好ましい実施形態では、本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、好ましくは圧縮永久歪みをさらに改善するために、以下の要件a)からc)の1つ以上、好ましくは2つ以上を満たす:
a)組成物中のすべてのSiH基のすべての基SiR
1に対するモル比(または略して、基SiR
1に対するSiH基のモル比)は、≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0から1.8の間であり;そして
b)以下に定義される重要なインパクトファクターKpSiH(mmol/g)は、2.5から17.5mmol/g、好ましくは2.5から15mmol/gの間であり;
【数3】
ここで
- 「parts B
i」は、組成物の総重量に基づくi番目の成分B)の重量パーセントであり、
- 「SiH of B
i」は、i番目の成分B)のSiH含有量(mmol/グラム)であり、
- 「SiH(B
i)」は、分子あたりのi番目の成分B)のSiH基の数であり、
- 「SiH/SiR
1」は、上記の項目a)で定義したとおりであり、
【数4】
ここで
Dは、成分B)中のR
2SiO
2/2であり、
Mは、成分B)中のR
3SiO
1/2であり、
D
*は、成分B)中のHRSiO
2/2であり、
M
*は、成分B)中のHR
2SiO
1/2であり、ここでRは上記定義どおりであり、そして
必要な単位を有するそれぞれのi番目の成分B)のP
i(D
*D
*)は、好ましくは0から1、より好ましくは0から0.9、最も好ましくは0から0.85であり、
c)成分A2)中のアルケニル基R
1の成分A1)のアルケニル基に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である。
【0118】
本発明者らは、パラメータKpSiHが2.5から17.5、好ましくは2.5から15、より好ましくは2.5から13、さらにより好ましくは3.5から12の好ましい範囲にある場合、特に低い圧縮永久歪みが達成されることを見出した。組成物が末端SiH基のみを有するオルガノヒドロジェンシロキサンのみを含む場合、すなわち、分子当たりの成分B)のSiH基の数は2である場合、KpSiHがゼロになり、すなわち、この実施形態は、とりわけ、硬化した組成物の機械的特性が劣る可能性があるため、あまり好ましくないことに留意すべきである。
【0119】
17.5以上などのより高いKpSiHの場合、シリコーンゴムの機械的特性は悪化することになる。KpSiH値が2.5未満の場合、同様にシリコーンゴムの機械的特性は悪化することになる。
【0120】
最も好ましい実施形態では、本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、好ましくは圧縮永久歪みをさらに改善するために、以下の要件a)からf)の1つ、好ましくは2つ以上、またはすべてを満たす:
a)組成物中のすべてのSiH基のすべての基SiR1に対するモル比(または略して、基SiR1に対するSiH基のモル比)は、≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0から1.8の間であり;そして
b)上記で定義された重要なインパクトファクターKpSiH(mmol/g)は、2.5から17.5mmol/g、好ましくは2.5から15mmol/gであり;
c)成分A2)中のアルケニル基R1の成分A1)中のアルケニル基に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲であり;
d)シリカ充填剤は、1つ以上のオルガノシラザンで長期の表面処理に供され、これは、少なくとも2時間または3時間などの長期間の単一ステップ処理、または複数ステップの表面処理、特に、前記シリカと特に前述の少なくとも2チャージのシラザンとの後続反応を含む2段階プロセスを含み得、
e)硬化性シリコーンゴム組成物は、1つまたはそれより多くのトリアゾール化合物を含み、そして
f)硬化性シリコーンゴム組成物は、上記のようなT、T*およびQ、好ましくはQから選択される少なくとも1つの単位を含む少なくとも1つの樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサンを含む。
【0121】
本発明はさらに、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させることにより得られる硬化シリコーンゴム組成物に関する。
【0122】
本発明の硬化シリコーンゴム組成物は、175℃で144時間の試験の後、30パーセント以下、好ましくは25パーセント以下、より好ましくは20パーセント以下、または175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の圧縮永久歪みなどの非常に低い圧縮永久歪みを示す。
【0123】
本発明において、硬化したシリコーンゴム組成物の圧縮永久歪みの測定は、次の設定でINTERNATIONAL STANDARD ISO 815-1初版2008-02-01に従って行われる:
- 4.5 タイミング装置:a)例1
- 5 試験片
・5.1 外形寸法:タイプA:直径29mm±0.5mm、及び厚さ12.5mm±0.5mmの円筒ディスク
・5.2 調製:試験片は、各ディスクを成形して調製される。
・5.3 最低3つの試験片が試験される。
- 6 試験条件:
・6.1 試験期間144時間および1000時間
・6.2 試験温度175℃±2℃
- 7.3 圧縮の適用
- 適用される圧縮は、試験片の元の厚さの(25±2)%である。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、硬化性シリコーンゴム組成物は以下を含む:
- 合計の100重量部の成分A1)およびA2)、
- 0.01から100重量部の成分B)、
- 遷移金属の重量に基づき、および成分A)およびB)の総重量に基づいて、0.5から1000、好ましくは1から100ppmの成分C)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、0.01から100重量部、好ましくは10から100重量部の成分D)
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、0から5重量部、好ましくは5重量部未満、より好ましくは2重量部未満の量の成分E)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、好ましくは>0かつ5重量部未満、より好ましくは2重量部未満、さらにより好ましくは0.01から2重量部の成分E)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、0から10重量部の成分F)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、好ましくは>0から10、より好ましくは0.01から10、さらにより好ましくは0.1から5重量部の成分F)、および
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、0から100重量部の成分G)、
ここで成分A)からG)はそれぞれ上記で定義されたとおりである。
【0125】
好ましい実施形態では、本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、成分A)およびB)の合計100部に基づき、D)、E)およびF)の合計の量を40部未満で含む。好ましくは、本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、成分A)およびB)の合計100部に基づいて、D)、E)およびF)の量の合計を1部より多く、好ましくは2部より多く含む。
【0126】
好ましい実施形態では、本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、D)、E)およびF)を含む。
【0127】
本発明はさらに、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させることにより得られる硬化シリコーンゴム組成物に関する。
【0128】
本発明の硬化シリコーンゴム組成物は、175℃で22時間の試験後に10パーセント以下、または175℃で144時間の試験後に20パーセント以下、または175℃で1000時間の試験後に40パーセント以下などの非常に低い圧縮永久歪みを示す。
【0129】
したがって、本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、特に、コネクタシールなどの自動車部品、電気および電子部品、包装部品、シーラントなどの建設部品、家庭用部品、およびガスケットシーラントの製造に使用することができる。最も好ましい本発明の硬化性シリコーンゴム組成物は、特に、特に自動車用途向けのシールドコネクタアセンブリの製造に使用される。
【0130】
本発明の好ましい実施形態
以下に、本発明の好ましい実施形態をまとめる。
【0131】
実施形態
1.硬化性シリコーンゴム組成物であって、175℃で144時間の試験の後、30パーセント以下、好ましくは25パーセント以下、より好ましくは20パーセント以下、および175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の群から選択される圧縮永久歪み値を有する硬化組成物に加硫して硬化することができ、
A)100重量部の、上記で定義された少なくとも1つのアルケニル基R
1を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
B)0.01から100重量部の、上記で定義された少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、
C)少なくとも1つの遷移金属触媒、
D)0.01から100重量部の、少なくとも50m
2/gのBET表面積を持つ少なくとも1つの補強充填剤、および
G)任意にて100重量部までの1つ以上の補助添加剤、を含み、
そしてここで該組成物が、以下の要件a)からc)の1つ、好ましくは2つ以上を満たし:
a)該組成物中のすべてのSiH基のすべての基SiR
1(R
1は上記で定義されたとおり)に対するモル比(または略して、基SiR
1に対するSiH基のモル比)は、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1.0および1.8の間であり;
b)以下に定義されている重要なインパクトファクターKpSiH(mmol/g)は、2.5から17.5mmol/g、好ましくは2.5から15mmol/gであり;
【数5】
ここで
- 「parts B
i」は、該組成物の総重量に基づくi番目の成分B)の重量パーセントであり、
- 「SiH of B
i」は、i番目の成分B)のSiH含有量(mmol/グラム)であり、
- 「SiH(B
i)」は、分子あたりのi番目の成分B)のSiH基の数であり、
- 「SiH/SiR
1」は、上記の項目a)で定義したとおりであり、
【数6】
ここで
Dは、成分B)中のR
2SiO
2/2であり、
Mは、成分B)中のR
3SiO
1/2であり、
D
*は、成分B)中のHRSiO
2/2であり、
M
*は、成分B)中のHR
2SiO
1/2であり、ここでRは上記定義どおりであり、そして
必要な単位を有するそれぞれのi番目の成分B)のP
i(D
*D
*)は、好ましくは0から1、より好ましくは0から0.9、最も好ましくは0から0.85であり、
c)成分A2)のアルケニル基R
1の成分A1)のアルケニル基R
1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である、
硬化性シリコーンゴム組成物。
【0132】
2.少なくとも1つの補強充填剤D)は、少なくとも1つの、好ましくは表面処理されたシリカ充填剤から選択され、好ましくは少なくとも1つの補強充填剤D)は、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、および50から500m2/gのBETを有する表面処理された充填剤の群から選択される、実施形態1による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0133】
3.成分F)を含み、成分F)は少なくとも1つの金属化合物であり、好ましくはシリカを除く、着色または無色の金属酸化物などの金属塩から選択され、そして好ましくは、少なくとも1つの金属化合物F)は、無色の金属酸化物、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるもの、着色された金属酸化物、好ましくは、遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば、酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えば、CoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択されるもの、ならびに前記無色の金属酸化物と前記着色された金属酸化物との混合物からなる群から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0134】
4.メラミンシアヌレートである成分E)を含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0135】
5.実施形態3で定義した少なくとも1つの金属化合物F)およびE)メラミンシアヌレートを含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0136】
6.水酸化カルシウムを含まない、好ましくは、本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物を含まない、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0137】
7.成分A2)中のアルケニル基R1の成分A1)中のアルケニル基に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0138】
8.成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて5重量部未満、好ましくは2重量部未満の量の成分E)、メラミンシアヌレートを含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0139】
9.オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、B1)>2の末端SiH基を有する樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサン、およびB2)2つ以上のSiH基を有し、B1)とは異なるオルガノハイドロジェンシロキサンの群から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0140】
10.オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、少なくとも2つの異なるオルガノハイドロジェンシロキサンを含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0141】
11.遷移金属触媒C)は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含むヒドロシリル化触媒から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0142】
12.ヒドロシリル化触媒C)は白金を含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0143】
13.補強充填剤D)は、50から500m2/gのBETを有する、ヒュームドシリカおよび沈降シリカの群から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0144】
14.少なくとも1つの補強充填剤D)は、表面処理された充填剤から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0145】
15.少なくとも1つの補強充填剤D)は、少なくとも1つのシラザンで表面処理されたシリカ充填剤である、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0146】
16.少なくとも1つの補強充填剤D)は、表面処理されたシリカ充填剤であり、これは、前記充填剤と少なくとも2チャージのシラザンとの後続反応を含む2段階プロセスで表面処理されている、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0147】
17.少なくとも1つの補強充填剤D)は、表面処理されたシリカ充填剤であり、これは以下の
a)成分A)、B)および少なくとも1つのシリカ充填剤D)を含む混合物を提供すること、
b)少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのシラザンおよびアルケニル基を有しない少なくとも1つのシラザンを前記混合物に添加すること、
c)少なくとも1時間、少なくとも100℃に加熱すること、
d)揮発性物質の除去、および
e)さらに、好ましくはアルケニル基を持たない少なくとも1つのシラザンを添加すること、
f)少なくとも1時間、少なくとも100℃に加熱すること、および
g)揮発性物質の除去、
のステップにより得られる、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0148】
18.少なくとも1つの金属化合物F)は、
無色の金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるもの、
着色された金属酸化物、好ましくは遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば、酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えば、CoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択されるもの、ならびに
前記無色の金属酸化物と前記着色された金属酸化物との混合物からなる群から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0149】
19.少なくとも1つの金属化合物F)は、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの群から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0150】
20.少なくとも1つの補助添加剤G)を含み、これは上記で定義されている他の成分(A1)からF))のいずれとも異なり、そして低圧縮永久歪み添加剤、表面処理剤、潤滑油、オイルブリード剤、ヒドロシリル化抑制剤からなる群から選択される、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0151】
21.式H-C≡C-R’’-OH、ここでR’’が有機基である、を有するアセチレンアルコール、例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(「ECH」)、9-エチニル-9-フルオレノールから選択される低圧縮永久歪み添加剤、およびトリアゾール化合物から選択される硬化遅延剤または難燃剤からなる群から選択される少なくとも1つの補助添加剤G)を含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0152】
22.トリアゾール化合物から選択される少なくとも1つの補助添加剤G)を含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0153】
23.
- 合計100重量部の成分A1)およびA2)、
- 0.01から100重量部の成分B)、好ましくは0.01から50重量部の成分B)、
- 遷移金属の重量に基づき、および成分A)およびB)の総重量に基づいて、0.5から1000、好ましくは1から100ppmの成分C)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、0.01から100重量部、好ましくは10から100重量部の成分D)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、0から5重量部、好ましくは5重量部未満、より好ましくは2重量部未満の量の成分E)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、好ましくは>0かつ5重量部未満、好ましくは2重量部未満、より好ましくは0.01から2重量部の成分E)、
- 成分A)およびB)の総量の100重量部に基づき0から10重量部の成分F)、成分A)およびB)の総量100重量部に基づき、好ましくは>0から10、より好ましくは0.01から10、さらにより好ましくは0.1から5重量部の成分F)、ならびに
- 成分A)およびB)の総量の100重量部に基づき、0から100重量部の成分G)、を含み、
ここで成分A)からG)はそれぞれ上記で定義されたとおりである、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0154】
24.上記で定義した成分A)およびB)の総量の100部に基づいて、上記で定義した成分D)、E)およびF)を総量の合計40部未満で含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0155】
25.組成物中のすべてのSiH基のすべての基SiR1に対するモル比(または略して、基SiR1に対するSiH基のモル比)は、≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0から1.8である、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0156】
以下のように定義される、少なくとも1つの成分A1)および少なくとも1つの成分A2)を含む成分A):
A1)式(Ia)の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
【化10】
ここで各Rは独立して飽和または芳香族有機基から選択され、各R
1は独立してアルケニル基から選択され、そしてXは≧0であり、
A2)式(Ib)の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
【化11】
ここでx、RおよびR
1は上記で定義したとおりであり、R
2はRおよびR
1からなる群から選択され、そしてyは≧1であり、
B)上記で定義された少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン;
C)少なくとも1つの遷移金属触媒;
D)上記で定義した少なくとも1つのシリカ充填剤;
E)メラミンシアヌレート;
F)少なくとも1つの金属化合物、好ましくはシリカを除く、着色または無色の金属酸化物などの金属塩から選択されるもの、
G)任意にて1つ以上の補助添加剤、を含み、
ここで、基SiR
1に対するSiH基のモル比は、≦3、好ましくは≦2、より好ましくは1.0から1.8である、硬化性シリコーンゴム組成物。
【0157】
27.成分A2)中のアルケニル基R1の成分A1)中のアルケニル基R1に対するモル比は、0.3から8、好ましくは0.6から6、より好ましくは1から5の範囲である、実施形態26による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0158】
28.成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、5重量部未満、好ましくは2重量部未満の量のメラミンシアヌレートE)、さらに好ましくは、成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0より大きく5重量部未満、より好ましくは2重量部未満、さらにより好ましくは0.01から2重量部の量の成分E)を含む、実施形態26または27による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0159】
29.オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、B1)>2の末端SiH基を有する樹脂系オルガノハイドロジェンシロキサン、およびB2)2つ以上のSiH基を有し、B1)とは異なるオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群から選択される、前述の実施形態26から28による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0160】
30.オルガノハイドロジェンシロキサンB)は、少なくとも2つの異なるオルガノハイドロジェンシロキサンを含む、前述の実施形態26から29による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0161】
31.遷移金属触媒C)は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含むヒドロシリル化触媒から選択される、前述の実施形態26から30による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0162】
32.ヒドロシリル化触媒C)は白金を含む、前述の実施形態26から31による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0163】
33.シリカ充填剤D)は、50から500m2/gのBETを有する、ヒュームドシリカおよび沈降シリカの群から選択される、前述の実施形態26から32による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0164】
34.シリカ充填剤D)は、表面処理された充填剤から選択される、前述の実施形態26から33による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0165】
35.少なくとも1つのシリカ充填剤は、少なくとも1つのシラザンで表面処理されたシリカ充填剤である、前述の実施形態26から34による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0166】
36.少なくとも1つのシリカ充填剤は、表面処理されたシリカ充填剤であり、これは、前記充填剤と少なくとも2チャージのシラザンとの後続反応を含む2段階プロセスで表面処理される、前述の実施形態26から35による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0167】
37.少なくとも1つのシリカ充填剤は、表面処理されたシリカ充填剤であり、これは以下の
a)成分A)、B)および少なくとも1つのシリカ充填剤D)を含む混合物を提供すること、
b)少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのシラザンおよびアルケニル基を有しない少なくとも1つのシラザンを前記混合物に添加すること、
c)少なくとも1時間、少なくとも100℃に加熱すること、
d)揮発性物質の除去、および
e)さらに、好ましくはアルケニル基を持たない少なくとも1つのシラザンを添加すること、
f)少なくとも1時間、少なくとも100℃に加熱すること、および
g)揮発性物質の除去、
のステップにより得られる、前述の実施形態26から36による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0168】
38.少なくとも1つの金属化合物F)は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛、およびそれらの混合物からなる群から選択される無色の金属酸化物、
遷移金属化合物の酸化物およびそれらの混合物、例えば、酸化鉄顔料(例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄およびそれらの混合物)、混合相金属酸化物顔料、例えば、CoAl2O4およびCo(Al,Cr)2O4、合成および天然のウルトラマリン、および酸化クロムからなる群から選択される着色された金属酸化物、ならびに
無色の金属酸化物および着色された金属酸化物の混合物からなる群から選択される、前述の実施形態26から37の硬化性シリコーンゴム組成物。
【0169】
39.無色の金属酸化物F)は、酸化チタンおよび酸化マグネシウムの群から選択され、そしてここで着色された金属酸化物は、酸化鉄顔料から選択される、前述の実施形態26から38による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0170】
40.成分A1)からF)とは異なる低圧縮永久歪み添加剤、表面処理剤、潤滑油、オイルブリード剤、ヒドロシリル化抑制剤からなる群から選択される、少なくとも1つの補助添加剤G)を含む、前述の実施形態26から39による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0171】
41.式H-C≡C-R’’-OH、ここでR’’は有機基である、を有するアセチレンアルコール、例えば1-エチニル-1-シクロヘキサノール(「ECH」)、9-エチニル-9-フルオレノールから選択される低圧縮永久歪み添加剤、およびトリアゾール化合物から選択される硬化遅延剤または難燃剤からなる群から選択される少なくとも1つの補助添加剤G)を含む、前述の実施形態26から40による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0172】
41.
- 合計100重量部の成分A1)およびA2)、
- 0.01から100重量部、好ましくは0.01から50重量部の成分B)、
- 遷移金属の重量に基づいて、および成分A)およびB)の総重量に基づいて、0.5から1000、好ましくは1から100ppmの成分C)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から100重量部の成分D)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から2重量部の成分E)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0.01から10重量部の成分F)、
- 成分A)およびB)の総量100重量部に基づいて、0から100重量部の成分G)
を含む、前述の実施形態26から41による硬化性シリコーンゴム組成物。
【0173】
43.成分A)およびB)の合計100部に基づいて、D)、E)およびF)を合計40部未満の量で含む、前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物。
【0174】
44.前述の実施形態のいずれかによる硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させることによって得られる硬化シリコーンゴム組成物。
【0175】
45.175℃で144時間の試験の後、30パーセント以下、好ましくは25パーセント以下、より好ましくは20パーセント以下の、または175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の、圧縮永久歪みを有する前述の実施形態のいずれかによる硬化シリコーンゴム組成物。
【0176】
46.175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の圧縮永久歪み値を有する、前述の実施形態のいずれかによる硬化シリコーンゴム組成物。
【0177】
47.硬化性シリコーンゴム組成物であって、これは、175℃で144時間の試験の後、30パーセント以下、好ましくは25パーセント以下、より好ましくは20パーセント以下、および175℃で1000時間の試験の後、50パーセント以下、好ましくは40パーセント以下の圧縮永久歪みの群から選択される少なくとも1つの圧縮永久歪み値を持つ硬化組成物に加硫して硬化することができ、そして
成分A*):100重量部の、少なくとも1つのアルケニル基を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、ここで成分A*)は、好ましくは上記の成分A)として定義され、
成分B*):0.01から100重量部の、少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのオルガノハイドロジェンシロキサン、ここで成分B*)は、好ましくは上記の成分B)として定義され、
成分C*):少なくとも1つの遷移金属触媒、ここで成分C*)は、好ましくは上記の成分C)として定義され、
成分D*):0.01から100重量部の、BET表面積が少なくとも50m2/gの補強充填剤、ここで成分D*)は、好ましくは上記の成分D)として定義され、および
成分H):任意にて100重量部までの、各々上記で定義された成分E)からG)から選択される1つ以上、ここで好ましくは成分H)は
成分E):上記で定義されたメラミンシアヌレート;
成分F):少なくとも1つの金属化合物、好ましくは、上記で定義したシリカを除く着色または無色の金属酸化物などの金属塩から選択されるもの、および
成分G):任意にて、上記で定義された1つ以上の補助添加剤を含む、又はからなる、
を含む、硬化性シリコーンゴム組成物。
【0178】
48.コネクタシールなどの自動車部品;電気および電子部品;包装部品;シーラントなどの建設部品;家庭用部品;ガスケットシーラントの製造用、最も好ましくは特に自動車用途のシールドコネクタアセンブリの製造用の、先行する実施形態のいずれかの硬化性シリコーンゴム組成物または先行する実施形態のいずれかの硬化シリコーンゴム組成物の使用。
【実施例0179】
特に示されていない限り、すべての部は重量部である。特に示されていない限り、すべてのパーセンテージは重量パーセンテージである。
【0180】
例1
本発明による硬化性シリコーンゴム組成物は、以下のプロセスに従って調製された。
【0181】
パートA)の調製
溶解混合機内で、10Pa・s(U10)の粘度を持つ17.66部のジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(成分A1))および65Pa・s(U65)の粘度を持つ29.88部のジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(成分A1))を、5.09部のヘキサメチルジシラザン(表面処理剤-成分D)の一部)、0.22部のジビニルテトラメチルジシラザン(表面処理剤-成分D)の一部)および1.92部の水(添加剤-成分G))と混合した。次に、この混合物を、Brunauer-Emmett-Teller(BET)比表面積が300m/gの25.12部のヒュームドシリカ(Evonik製のAerosil(登録商標)300)(成分D))と混合し、そして100℃で1時間加熱して、その表面にトリメチルシリル基およびビニルジメチルシリル基の混合を有するシリカ充填剤が形成された。水および表面処理反応から結果として生じた揮発性化合物は、その後、シリコーン混合物から1時間、真空下(<80mbar)にて約150C℃で除去された。
【0182】
第2の処理ステップとして、1.31部のヘキサメチルジシラザン(成分D)の一部)を混合物に再び加え、さらに30分間100℃に加熱した。結果として生じた揮発性物質は、1時間、真空下(<80mbar)にて約150℃でシリコーン混合物から除去された。
【0183】
混合物を後に冷却し、16.77部のSilopren* U10および2.04部のPH300(フェニルシロキサン潤滑油-成分G)で希釈した。
【0184】
続いて、ビニル含有量が0.85mmol/g、粘度が5Pa・sの4部のジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン)(V5000-成分A2))およびビニル含有量が2.08mmol/g、粘度が2Pa・sの2部のジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン)(V200-成分A2))を添加した。最後に、テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサンとの2重量%のPtを含むPt0錯体の溶液0.93部を添加した(Ashby触媒)。
【0185】
最後に、5部のメラミンシアヌレートカラーペーストCP1(40重量%のメラミンシアヌレートおよび60重量%の粘度10Pa・sを有するU10(ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(成分A1)))、および4部のカラーペーストCP2(61.2部のU10(ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(成分A1))に由来)、37.6部の二酸化チタン、および1.1部のシアメラミンシアヌレート)を混合物に加えた。
【0186】
パートB)の調製
溶解混合機内で、17.58部の10Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(U10)(成分A1))および31.62部の65Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(U65)(成分A1))を、4.88部のヘキサメチルジシラザン(成分D)の一部)、0.21部のジビニルテトラメチルジシラザン(成分D)の一部)、0.34部のトリアゾール(25重量%水溶液)(成分G))、および1.85部の水(成分G))と共に混合した。次に、この混合物を、Brunauer-Emmett-Teller(BET)比表面積が300m2/gの24.27部のフュームドシリカ(Evonik製のAerosil(登録商標)300)(成分D))と混合し、100℃で1時間加熱して、その表面にトリメチルシリル基およびビニルジメチルシリル基の混合を有するシリカ充填剤が形成された。続いて、水およびシリル化反応から結果として生じた揮発性化合物を、1時間、真空下(<80mbar)にて約150℃でシリコーン混合物から除去した。
【0187】
第2の処理ステップとして、1.33部のヘキサメチルジシラザン(成分D)の一部)を混合物に再度加え、さらに30分間100℃に加熱した。結果として生じた揮発性物質は、1時間、真空下(<80mbar)にて約150℃でシリコーン混合物から除去された。
【0188】
混合物を後に冷却し、15.86部のSilopren* U10(成分A1))および2.06部のPH300(フェニルシロキサン潤滑油-成分G))で希釈した。
【0189】
続いて、ビニル含有量0.85mmol/g、粘度5Pa・sの5部のジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン)(V5000-成分A2))、およびビニル含有量2.08mmol/g、粘度2Pa・sの粘度の2部のジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン)(V200-成分A2)が加えられた。最後に、SiH含有量が1.43mmol/g、粘度が0.014Pa・sの0.5部のジメチルヒドロシリル末端ポリ(ジメチルシロキサン)(成分B))、SiH含有量が9.15mmol/g、粘度が0.03Pa・sの3部の樹脂架橋剤(-成分B))、および0.11部の1-エチニル-1-シクロヘキサノール(成分G)))が加えられた。
【0190】
本発明による硬化シリコーンゴム組成物は、以下のように調製された。
パートAおよびパートBを1:1の重量比で混合し、175℃で10分間加熱することにより硬化させた。
【0191】
組成物全体(パートAおよびB)におけるSiHのSi-ビニルに対するモル比は1.23であった。
【0192】
硬化シリコーンゴム組成物の圧縮永久歪みの測定は、上記のようにDIN ISO 815-1に従って実施した。
表1に、例1の組成物をまとめた。
【表1A】
【表1B】
【0193】
例2
例1と同様にして、以下の組成物を調製した。
表2に、例2の組成物をまとめた。
【表2A】
【表2B】
【0194】
例3
例1と同様にして、以下の組成物を調製した。
表3に、例3の組成物をまとめた。
【表3A】
【表3B】
【0195】
例4
例1と同様にして、以下の組成物を調製した。
表4に、例4の組成物をまとめた。
【表4A】
【表4B】
【0196】
例5
カラーペーストCP3赤褐色(77部U10、0.4部A150(BET表面150m2/gのAerosil)、及び22.6部Bayferrox 140 M(Fe2O3系Bayer顔料)からなる)を加えたことを除き、例1と同様にして、以下の組成物を調製した。
【0197】
表5に例5の組成物をまとめた。
【表5A】
【表5B】