(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020383
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】トルク制限デバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193492
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2020572982の分割
【原出願日】2019-08-19
(31)【優先権主張番号】62/719,874
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509316394
【氏名又は名称】プロ-デツクス・インコーポレイテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・エム・フォテナウアー
(72)【発明者】
【氏名】マヌチェフル・ゴウハルライー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】様々なトルク制限外科用ドライバデバイス、システム、および方法が開示されている。
【解決手段】外科用ドライバは、本体と、外科用ドライバと係合したドリルビットを回転させるように構成されたモータと、外科用ドライバの動作を制御するように構成されたプロセッサとを含むことができる。外科用ドライバは、ドリルビットに加えられるトルクの量を監視し、特定のトルク制限基準が満たされたときにドリルビットの回転を低減または停止することなどによって、トルク制限機能を有することができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク制限外科用ドライバであって、
ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と、
本体内に位置決めされたモータと、
モータによって回転させられ、ドリルビットを受け入れるように構成された駆動ヘッドと、
モータに電力を提供するように構成された電源と、
本体内に位置決めされたプロセッサとを備え、
プロセッサの制御の下、トルク制限外科用ドライバは、
骨の中に穴開けするためにドリルビットにトルクを加え、
モータに供給される電流または電圧を監視し、
モータに供給される電流または電力から、ドリルビットが骨を通して穴開けするときにドリルビットに加えられるトルク値を決定し、
トルク制限条件が満たされたことを判定し、
トルク制限条件が満たされたと判定したことに応答して、ドリルビットへのトルクの印加を停止するように構成され、
トルク制限条件が満たされたことを判定することは、
ドリルビットが、骨の第1の皮層に、または骨の第1の皮層を通して穴開けしたと判定することと、
ドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けしたと判定することと
を含む、トルク制限外科用ドライバ。
【請求項2】
トルク制限外科用ドライバは、連続するトルク値の第1のペア間の差を第1の閾値と比較することによって、ドリルビットが骨の第1の皮質部分に、または骨の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項3】
トルク制限外科用ドライバは、連続するトルク値の第2のペア間の差を第1の閾値とさらに比較することによって、ドリルビットが骨の第1の皮質部分に、または骨の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されている、請求項2に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項4】
連続するトルク値の第1のペア間の差が第1の閾値未満である場合、トルク制限外科用ドライバは、非連続のトルク値の第1のペア間の差を第2の閾値と比較するようにさらに構成されており、第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい、請求項2または3に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項5】
非連続のトルク値の第1のペア間の差が第2の閾値未満である場合、トルク制限外科用ドライバは、非連続のトルク値の第2のペアを第2の閾値と比較するようにさらに構成されている、請求項4に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項6】
トルク制限外科用ドライバは、
ドリルビットが骨の第2の皮質部分の入口点を通して穴開けしたかどうか、および
ドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているかどうか
のうちの少なくとも1つを判定するようにさらに構成されている、請求項2から5のいずれか一項に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項7】
トルク制限外科用ドライバは、連続するトルク値の第2のペア間の差を第2の閾値と比較することによって、ドリルビットが骨の第2の皮質部分の入口点を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されており、連続するトルク値の第2のペアは、連続するトルク値の第1のペアの後に取得される、請求項6に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項8】
第2の閾値は、すべての決定されたトルク値のサブセットの平均のパーセンテージに等しい、請求項7に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項9】
決定されたトルク値のすべてのサブセットは、第3の閾値以上である決定されたトルク値のすべてに等しく、第3の閾値は、空気以外の材料を通る穴開けを示している、請求項8に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項10】
トルク制限外科用ドライバは、現在のトルク値と最大の測定トルク値との差を第2の閾値と比較することによって、ドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているかどうかを判定するように構成されている、請求項6から9のいずれか一項に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項11】
ドリルビットが骨の第2の皮質部分の入口点を通して穴開けしたとの判定、またはドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているという判定に応答して、トルク制限外科用ドライバは、平均トルク値を決定するようにさらに構成されており、平均トルク値は、ドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているときに測定されるトルク値を表している、請求項6から10のいずれか一項に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項12】
トルク制限外科用ドライバは、第1のトルク値と平均トルク値との差を決定するようにさらに構成されており、第1のトルク値は、トルク制限外科用ドライバによって測定される現在のトルク値である、請求項11に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項13】
外科用ドライバは、第1のトルク値が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ドリルビットに加えられるトルクの量を制限するように構成されている、請求項12に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項14】
トルク制限外科用ドライバは、
第1のトルク値の前に測定された第2のトルク値と平均トルク値との差を決定し、
第1のトルク値および第2のトルク値の両方が平均トルク値よりも小さいという判定に応じて、ドリルビットに加えられるトルクの量を制限するようにさらに構成されている、請求項12に記載のトルク制限外科用ドライバ。
【請求項15】
骨を突き破った後にドリルビットに加えられるトルクの量を制限するようにトルク制限ドライバを制御する方法であって、トルク制限ドライバは、ハンドルを備えた本体と、本体内に位置決めされたモータと、ドリルビットを受け入れ、ドリルビットが骨の中に穴開けすることを可能にするようにモータによって回転されるように構成された駆動ヘッドと、プロセッサとを備え、プロセッサの制御下で、方法は、
ドリルビットを骨の中に駆動することであって、骨は、第1の皮層、第2の皮層、および第1と第2の皮層との間の海綿骨層とを含む、ことと、
ドリルビットが骨の中に穴開けしているときにトルク値を検出することと、
ドリルビットが骨の第1の皮層に穴開けしたかどうかを判定することと、
ドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けし、骨の第2の皮層を出たかどうかを判定することと、
ドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けし、骨の第2の皮層を出て行ったと判定したことに応答して、ドリルビットの駆動を停止することと
を含む、方法。
【請求項16】
ドリルビットが骨の第1の皮層に穴開けしたかどうかを判定するステップは、連続するトルク値の第1のペア間の差を第1の閾値と比較することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたかどうか、および
ドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているかどうか
のうちの少なくとも1つを判定することをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
方法は、ドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたという判定、またはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているという判定に応答して、平均トルク値を決定することをさらに含み、平均トルク値は、ドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているときに測定されるトルク値を表す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1のトルク値と平均トルク値との差を決定することをさらに含み、第1のトルク値は、トルク制限外科用ドライバによって測定される現在のトルク値である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1のトルク値が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ドリルビットに加えられるトルクの量を制限することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年8月20日に出願された「トルク制限ドリル」と題された米国仮出願第62/719,874号の利益を主張しており、その特許の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、整形外科手術で使用するためのトルク制限外科用ドライバなどの、トルク制限外科用ドライバデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の外科処置では、医療専門家(例えば外科医)が手動の器具を使用して患者の骨に穴開けする。電動外科用器具がより一般的になるにつれて、医療専門家は、患者の骨に穴開けしてその中に駆動するときの手動の外科用穴開け器具および方法から離れていった。電動外科用器具は、手で作動させる手動の外科用器具よりもハイスピードで動作する。しかしながら、そのような電動器具は多くの利点を提供するが、医療専門家が、ドリルビットが骨の異なる層を通って移行したときを、および/またはドリルビットが骨断面全体を貫通したときを決定することは困難である。
【0004】
外科用ドリルが現在骨の特定の層を通して穴開けしているとき、骨の異なる層の間を移行しているとき、および/または骨の断面の全体を貫通したときを検出することは有益であり得る。このような検出により、組織や近くの臓器など、患者の骨に近接する組織への潜在的な損傷を回避または軽減することができる。例えば、骨内のドリルビットの現在の位置に関して継続的なフィードバックを提供するために、骨の様々な密度を区別することは外科用ドリルにとって有益であり得る。このような「組織の区別」または「密度の区別」は、骨に近接または隣接する組織に損傷を引き起こす可能性のある、骨を貫通して、および/または骨の外側にドリルビットが「突入する」のを回避するのに役立つ場合がある。これは、ドリルビットに加えられるトルクを監視し、特定のトルク基準が満たされたときにドリルビットの回転を停止または低減する外科用ドライバで達成されることができる。例えば、基準は、加えられているトルクの量、トルクが時間の経過とともにどのように変化するか(例えば、トルクが一貫しているか、または一貫性なく、増加または減少しているかどうか)、現在のトルク値が以前に測定されたトルク値および/または閾値にどのように匹敵するかを含むことができる。測定されたトルク値の特定の比較または閾値は、感知されている現在または最近のトルク値が、ドリルビットが骨のより硬い部分に配置されている、(または骨のより硬い部分を通して穴開けしている)ことを示すかどうかを判定するのに役立つ場合があり、このことは、次には、ドリルビットが骨断面をまさに出て行こうとしていることを示す場合がある。追加的または代替的に、測定されたトルク値の特定の比較または閾値は、感知されている現在または最近のトルク値がドリルビットが骨を突き破ったことを示しているかどうかを判定するのに役立つ場合がある。以下でさらに考察されるように、外科用ドライバは、ドリルビットが骨のより柔らかい(海綿骨)部分の周りにある骨のより硬い(皮質)部分を通して穴開けしているかどうか、または骨のより硬い(皮質)部分を通して穴開けしたかどうか、および/またはドリルビットがより硬い(皮質)部分の入口部分と出口部分の一方またはその両方を通して穴開けしたかどうかを検出することができる。いくつかの実施形態は、ドリルビットがより柔らかい組織を通過したことを検出し、そして次に、より硬い組織に遭遇する、および/またはより硬い組織の中に穴開けし始めたとき、またはその直後に、停止するように構成されている。例えば、ドリルビットが椎間板を通過して椎骨にあることを検出する。特定の実施形態は、本明細書に説明されるようなアルゴリズムで動作するが、骨の第1の皮層を検出することに関する、および/またはそれに依存するそのようなステップは伴わない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記で考察した懸念のうちの1つ以上、またはその他の懸念に対処する様々な外科用ドライバおよび関連するシステムおよび方法が開示されている。外科用ドライバ、システム、および方法の実施形態は、とりわけ、再建、鎖骨、頭蓋顎顔面、胸部、脊椎、骨折修復、および四肢外科的アプローチなどの多くの異なる処置に使用されることができる。さらに、再建プロセスにおいて、実施形態は、関節置換術(関節炎に苦しむ患者のためなどの)に使用されることができ、再建整形外科医は、それらを置換することによって関節の機能を回復することができる。これは、膝、股関節、および肩の手術を含むが、他の手術も同様に使用されることができる。骨折修復は、大腿骨のような大きな骨など、外傷を経験している骨に関して使用されることができる。さらに、足首、手首、手、指、足、およびつま先などの関節を含み得る四肢は、再建可能であり得る。判定されるトルク値の各々は、上記で考察したものなど、特定の用途に応じて変わる可能性がある。実施形態は、整形外科領域内および整形外科領域外で使用されることができる。
【0006】
いくつかの実施形態は、トルクの特性の違いを識別するように構成されている。いくつかの実施形態では、外科用ドライバは、異なる身体組織(例えば、異なる骨組織)を区別することができるので、ユーザは、それらがどこで動作しているか(例えば、ドリルビットの先端がどこに位置するか)が分かるようになる。特定の実施形態では、外科用ドライバは、例えばドリルビットによって骨(例えば、鎖骨)を突き破るのを低減または回避するように構成されている。
【0007】
外科用ドライバは、本体およびモータを含むことができる。モータは、モータが駆動ヘッドを回転させることができるように、外科用ドライバの遠位端で駆動ヘッドに動作可能に接続されることができる。駆動ヘッドはドリルビットを受け入れることができる。ドリルビットは、基質(例えば、骨)上の所望のドリル位置に位置決めされることができ、モータは操作されて、ドリルビットを基質の中へと駆動することができる。外科用ドライバの様々な実施形態は、ドリルビットに加えられるトルクを制限および/または制御することができる。特定の実施形態は、穴開けプロセス中にドリルビットのスピードを低下させる。様々な実施形態は、上記の利点のうちの1つ以上、または他の利点を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、電動デバイス(外科用ドライバなど)は、トルクを判定することができ(例えば、電流および/または電圧を読み取ることによって)、コントローラ(デバイスの内側またはデバイスの外側のいずれか)は、トルク制限機能を実施するように構成することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、電流、電圧、および/またはトルク値を使用して、ドリルビットが穴開けしている基質を識別し、それに応じて駆動速度を管理するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、電流、電圧、および/またはトルク値を使用して、程度の差はあれど密度の高い材料(例えば、骨のより硬い部分、またはより柔らかい部分)を通るドリルビット経路の変化を識別するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、離散的な電流、電圧、および/またはトルク値を使用して、皮質と海綿骨を識別することができ、その値を使用してドリルビットの現在の基質を解明し、それに応じて電動デバイスを制御することができる。例えば、いくつかの実施形態は、骨の皮質部分など、より高密度の組織タイプが検出された場合にデバイスを停止するように構成されている。
【0009】
本明細書に開示されるのは、トルク制限外科用ドライバであって:ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と;本体の中に位置決めされたモータと;モータによって回転させられ、ドリルビットを受け入れるように構成された駆動ヘッドと;モータに電力を供給するように構成された電源と;本体内に位置決めされたプロセッサとを備えるトルク制限外科用ドライバの実施形態である。いくつかの実施形態では、プロセッサの制御下で、トルク制限外科用ドライバは:ドリルビットにトルクを加えて骨の中に穴開けし;モータに供給される電流または電圧を監視し;、モータに供給される電流または電圧から、ドリルビットが骨を通して穴開けするときにドリルビットに加えられるトルク値を決定し;トルク制限条件が満たされていると判定するように構成されている。いくつかの実施形態では、トルク制限条件が満たされていると判定することは、ドリルビットが骨の第1の皮層に、または骨の第1の皮層を通して穴開けしたと判定することと;ドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けしたと判定することとを含み;トルク制限条件が満たされていると判定したことに応答してドリルビットへのトルクの印加を停止する。
【0010】
いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは、連続するトルク値の第1のペア間の差を第1の閾値と比較することによって、ドリルビットが骨の第1の皮質部分に、または骨の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されている。いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは、連続するトルク値の第2のペア間の差を第1の閾値とさらに比較することによって、ドリルビットが骨の第1の皮質部分に、または骨の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されている。いくつかの実施形態では、連続するトルク値の第1のペア間の差が第1の閾値未満である場合、トルク制限外科用ドライバは、非連続のトルク値の第1のペア間の差を第2の閾値と比較するようにさらに構成されており、第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい。いくつかの実施形態では、非連続のトルク値の第1のペア間の差が第2の閾値未満である場合、トルク制限外科用ドライバは、非連続のトルク値の第2のペアを第2の閾値と比較するようにさらに構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは、ドリルビットが骨の第2の皮質部分の入口点を通して穴開けしたかどうか;およびドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているかどうかのうちの少なくとも1つを判定するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは、連続するトルク値の第2のペア間の差を第2の閾値と比較することによって、ドリルビットが骨の第2の皮質部分の入口点を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されており、連続するトルク値の第2のペアは、連続するトルク値の第1のペアの後に取得される。いくつかの実施形態では、第2の閾値は、すべての決定されたトルク値のサブセットの平均のパーセンテージに等しい。いくつかの実施形態では、すべての決定されたトルク値のサブセットは、第3の閾値以上である決定されたトルク値のすべてに等しく、第3の閾値は、空気以外の材料を通る穴開けを示している。いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは、現在のトルク値と最大測定トルク値との差を第2の閾値と比較することによって、ドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているかどうかを判定するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、ドリルビットが骨の第2の皮質部分の入口点を通して穴開けしたという判定、またはドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているという判定に応答して、トルク制限外科用ドライバは、平均トルク値を決定するようにさらに構成されており、この平均トルク値は、ドリルビットが骨の第2の皮質部分に穴開けしているときに測定されるトルク値を表している。いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは、第1のトルク値と平均トルク値との差を決定するようにさらに構成されており、第1のトルク値は、トルク制限外科用ドライバによって測定される現在のトルク値である。
【0013】
いくつかの実施形態では、外科用ドライバは、第1のトルク値が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ドリルビットに加えられるトルクの量を制限するように構成されている。いくつかの実施形態では、トルク制限外科用ドライバは:第1のトルク値より前に測定された第2のトルク値と平均トルク値との差を決定し;第1のトルク値と第2のトルク値の両方が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ドリルビットに加えられるトルクの量を制限するようにさらに構成されている。
【0014】
本明細書に開示されるのは、骨を突き破った後にドリルビットに加えられるトルクの量を制限するためにトルク制限ドライバを制御する方法である。いくつかの実施形態では、トルク制限ドライバは、ハンドルを備えた本体と、本体内に位置決めされたモータと、ドリルビットを受け入れ、ドリルビットが骨の中に穴開けできるようにモータによって回転されるように構成された駆動ヘッドと、プロセッサとを備える。いくつかの実施形態では、プロセッサの制御下で、この方法は:ドリルビットを骨の中へと駆動することであって、骨は、第1の皮層、第2の皮層、および第1と第2の皮層との間の海綿骨層とを含む、ことと;ドリルビットが骨の中へと穴開けしているときにトルク値を検出することと;ドリルビットが骨の第1の皮層に穴開けしたかどうかを判定することと;ドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けし、骨の第2の皮層を出たかどうかを判定することと;ドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けし、骨の第2の皮層を出て行ったと判定したことに応答して、ドリルビットの駆動を停止することとを含む。いくつかの実施形態では、ドリルビットが骨の第1の皮層に穴開けしたかどうかを判定するステップは、連続するトルク値の第1のペア間の差を第1の閾値と比較することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、ドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたかどうか、およびドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているかどうかのうちの少なくとも1つを判定することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたという判定、またはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているという判定に応答して、方法はさらに、平均トルク値を決定することを含み、この平均トルク値は、ドリルビットが骨の第2の皮層内に穴開けしているときに測定されるトルク値を表している。いくつかの実施形態では、この方法は、第1のトルク値と平均トルク値との間の差を決定することをさらに含み、第1のトルク値は、トルク制限外科用ドライバによって測定された現在のトルク値である。いくつかの実施形態では、この方法は、第1のトルク値が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ドリルビットに加えられるトルクの量を制限することをさらに含む。
【0016】
上記で開示された、または本明細書の他の場所に開示された構造、材料、ステップ、または他の機能のいずれも、本開示の実施形態のいずれかで使用されることができる。任意の実施形態の任意の構造、材料、ステップ、または他の機能を、任意の他の実施形態の任意の構造、材料、ステップ、または他の機能と組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができ、この実施形態は本開示の一部である。
【0017】
上記の要約は、本開示の範囲内の特定の機能の高レベルの要約であることが意味されている。要約、以下の詳細な説明、および関連する図面は、保護の範囲を制限または定義するものではない。保護の範囲は特許請求の範囲によって定義される。いずれの機能も重要ではなく、必須でもない。
【0018】
本開示の特定の機能が、図面を参照して以下に説明される。図示の実施形態は、実施形態を説明することが意図されているが、限定することは意図されていない。異なる開示された実施形態の様々な機能を組み合わせて、本開示の一部であるさらなる実施形態を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】外科用ドライバの例示的な実施形態の概略図である。
【
図2B】
図1の外科用ドライバで使用されることができるアタッチメントを示す図である。
【
図3】外科用ドライバの実施形態のためのハンドルの形状の例示的な端面図である。
【
図4】バッテリなどの電源を含むハンドルを備えた本体を備える外科用ドライバの例を示す図である。
【
図5】バッテリなどの電源を含むハンドルを備えた本体を備える外科用ドライバの例を示す図である。
【
図6】バッテリなどの電源を含むハンドルを備えた本体を備える外科用ドライバの例を示す図である。
【
図7】バッテリなどの電源を含むハンドルを備えた本体を備える外科用ドライバの例を示す図である。
【
図8】本開示の態様によるドリルビットおよび骨の断面の概略図である。
【
図9】本開示の態様によるトルク制限穴開けのための例示的な方法を示す図である。
【
図10】
図9の方法で使用され得るドリルビットの位置分析を行う方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
開示された技術の様々な機能および利点は、図に示されるいくつかの特定の実施形態の以下の説明からより十分に明らかになるであろう。これらの実施形態は、本開示の原理を説明することが意図されている。しかしながら、本開示は、例示された実施形態のみに限定されるべきではない。例示された実施形態の特徴は、本明細書に開示された原理を考慮した上で当業者に明らかであるように、修正、結合、除去、および/または置換されることができる。
【0021】
外科用ドライバの概要
トルク制限デバイス、システム、および方法の様々な実施形態が開示されている。提示の目的で、デバイスは「外科用ドライバ」と呼ばれる。外科用ドライバは、ドリルビットで、例えば患者の骨の中に穴開けすることが可能な任意の電動デバイスであり得る。いくつかの実施形態は、ドリルビットを骨の中へと駆動するように構成されている。しかしながら、本明細書に説明される外科用ドライバの機能、特性、および/または操作は、他のコンテキストにも適用可能であり得る。例えば、本明細書に説明される外科用ドライバの機能、特性、および/または操作は、ねじを骨の中へと駆動するために適用可能であり得る。さらに、「外科的ドライバ」という句が本明細書で使用されているが、そのような句は、本開示を「外科的」コンテキストのみに限定するものではない。むしろ、本明細書で論じられるデバイス、方法、システム、機能、特性、および/または操作は、他のコンテキストにも適用可能であり得る。
【0022】
以下でより十分に説明されるように、デバイス、システム、および方法は、骨を貫通するように「突入し」、場合によっては近くの組織に損傷を与えることを回避するために、ドリルビットが骨の様々なタイプおよび/または層の中に駆動されるのを停止するときを判定することができる。「突入する」という用語は、ドリルビットが骨を通して穴開けしている状態から、骨を突き破り、骨から離れて、骨に近接する近くの組織に、および/またはそのような組織を通って前進する状態に移行することを指す。
【0023】
開示された外科用ドライバの特定の実施形態は、例えば、平面形状因子(on-plane form factor)の電動外科用デバイス、鎖骨用途のための平面形状因子の電動外科用デバイス、脊椎用途の平面形状因子の電動外科用デバイス、四肢の平面形状因子の電動外科用デバイス、および/または大きな骨用の平面形状因子の電動外科用デバイスとして使用されることができる。外科用ドライバは他の処置にも使用されることもでき、特定の処置は限定的ではない。いくつかの実施形態では、外科用ドライバは、例えば、ロボット工学を使用することによって遠隔操作される場合もある。
【0024】
図1に示されるように、トルク制限外科用ドライバ100は、モータ12を支持する本体102(「ハウジング」、「ハンドル」、または「ケーシング」とも呼ばれる)を含むことができる。伝送(transfer)アセンブリ14(例えば、1つ以上のシャフト、ギアなど)は、モータ12が駆動ヘッド104を回転させることができるように、外科用ドライバ100の遠位端でモータ12を駆動ヘッド104に動作可能に接続する。駆動ヘッド104は、患者の骨の一部分を通して穴開けすることができるドリルビット200(本明細書では「ビット」とも呼ばれる)を受け入れることができる。したがって、ドリルビット200は、基質(例えば、骨)上の所望の位置に位置決めされることができ、モータ12を操作して、ドリルビット200を基質内へと駆動することができる。いくつかの用途では、モータ12が操作されて、駆動ヘッド104を回転させて、ドリルビット200を鎖骨などの骨の一部分の中へ、および/または骨の一部分を通るように駆動する場合がある。いくつかの実施形態では、ヘッド104は、他の締め具の外科用ねじと係合し、このねじを駆動するビットを受け入れる場合がある。
【0025】
いくつかの変形形態では、モータ12は、ACまたはDC電源などの電源によって電力が供給される。いくつかの実施形態では、モータ12は、バッテリ、コンデンサ、またはその他のようなオンボードの電源28によって電力を供給される。いくつかの実施形態では、モータ12は、コンソール、壁コンセント、または他の外部電源などの外部電源から電力を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、モータ12は、ブラシレスDCモータである。いくつかの実施形態では、モータ12は三相電気モータである。モータ12は、1つ以上のホールセンサを含むことができ、これらのセンサは、コントローラ20に信号を送信して、コントローラ20がモータ12の回転数を判定できるようにすることができる。特定の変形形態では、コントローラ20は、モータ12の回転数からビット200の回転数を判定する。
【0026】
外科用ドライバ100は、穴開けプロセス中に外科用ドライバ100がドリルビット200に加えているトルクを監視および/または制限することができる。例えば、以下でより詳細に説明されるように、外科用ドライバ100は、モータ12に供給される電流を感知するセンサ18を含むことができる。センサ18は、そのようなデータをコントローラ20に送信することができ、コントローラ20は、他の電子部品とともに、メモリ24と結合されたプロセッサ22を含むことができる。いくつかの実施形態では、モータ12に供給される電流は、ドリルビット200に加えられているトルクに比例し得るため、コントローラ20は、ドリルビット200に加えられるトルクの量を動的に判定することができる。特定の変形形態では、コントローラ20は、以下のデータの特徴:モータ12に供給される電流、ドリルビット200および/またはモータ12の回転数、モータ12のスピード、あるいはそれ以外の場合のうちの1つ以上を決定する、またはそれらを示す信号を受信するように構成される。
【0027】
以下でより詳細に説明されるように、外科用ドライバ100の様々な実施形態は、ドリルビット200に加えられるトルクを制限および/または制御するように適合された1つ以上のアルゴリズムを含むことができる。アルゴリズムは、コンピュータ可読非一時的媒体に実装されるプログラムコード26としてメモリ24に含まれ得る。プロセッサ22は、プログラムコード26を実行して、トルクの制限を決定する、モータ12に動作を停止するように命令する、電源28にモータ12への電力を供給することを低減および/または停止するように命令する、あるいは他の動作などの様々な動作を実施することができる。プロセッサ22および/またはプログラムコード26は、トルク制限機能のいずれかなど、本開示に説明されている機能のいずれかを制御および/または実装することができる。いくつかの実施形態は、モータ12への電力を(例えば、実質的にまたは完全に)遮断することによってドリルビット200の回転を停止するように構成される。特定の実施形態は、モータ12または構成要素を能動的に減速するためのブレーキを含む。例えば、一部の実施形態には摩擦ブレーキまたは電磁ブレーキが含まれる。
【0028】
様々な実施形態では、外科用ドライバ100は、1つ以上の非一時的コンピュータ記憶デバイス(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートメモリデバイスなど)に記憶されたプログラムモジュールの制御下で、本明細書に説明される様々な機能を実施する1つ以上のコンピュータまたはコンピューティングデバイスを含むことができる。このような各コンピュータまたはコンピューティングデバイスには、通常、ハードウェアプロセッサとメモリを含む。外科用ドライバ100が多数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同じ所に配置されてよいが、そうである必要はない。場合によっては、外科用ドライバ100は、動的に割り振られることができるクラウドベースまたは共有のコンピューティングリソースによって制御されてもよい。本明細書に説明されるプロセスおよびアルゴリズムは、特定用途向け集積回路およびプログラマブルゲートアレイデバイスなどの特定用途向け回路に部分的または全体的に実装されてよい。開示されたプロセスおよびプロセスステップの結果は、永続的にまたは他の方法で、例えば、揮発性または不揮発性ストレージなどの任意のタイプの非一時的コンピュータストレージに記憶されてよい。
【0029】
図2Aは、外科用ドライバ100の例をさらに示している。示されるように、外科用ドライバ100の本体102は、ボタン、スイッチ、またはその他などの入力デバイス106を含むことができる。入力デバイス106を通して、ユーザは、コントローラ20などの外科用ドライバ100の動作の態様を制御することができる。例えば、ユーザは、回転方向(例えば、前進または後退)、スピード、および/またはその他に関して外科用ドライバ100に命令することができる。入力デバイス106は、外科用ドライバ100の電源をオンまたはオフにしてよい、あるいは外科用ドライバ100をスタンバイモードに維持してもよい。いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、可変スピードのオプションならびに前進および後退機能を有してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、異なるアタッチメントが、外科用ドライバ100のコレットなどのところで、外科用ドライバ100に取り外し可能に取り付けられることができる。アタッチメント110の例が
図2Bに示される。アタッチメント110は、例えば、示されるように、ユーザがより到達しにくいエリアにアクセスすることを可能にすることができ、アタッチメントは、約:40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、またはその他の値のオフセットを含むことができる。アタッチメント110は、外科用ドライバ100の回転面を変更することができる。さらに、アタッチメント110は、もっと先のポジションに到達するための延長部であり得る。アタッチメント110は、外科用ドライバ100のコレットに接続される、またはそこから切り離されるなどによって、外科用ドライバ100に選択的に接続される、および/または外科用ドライバ100から除去されることができる。図示されるように、アタッチメント110は、薄型および/または細長い構成を備えることができ、活動の範囲を拡張することができる。これは、前肋骨にアクセスするための後方アプローチを伴う特定の胸部手術など、特定のタイプの処置で有益な場合があり得る。いくつかの実施形態では、アタッチメント110は、第1の端部111および第2の端部112を備えた延長アダプタを備える。第1の端部111は、外科用ドライバ100の駆動ヘッド104と嵌合するように構成することができる。第2の端部112は、ドリルビットを含むことができ、および/またはドリルビットと嵌合するように構成される場合もあり、および/またはねじと嵌合するように構成されることができる。アタッチメント110は、外科用ドライバ100の駆動ヘッド104をアタッチメント110の第2の端部112に動作可能に接続する動力伝達アセンブリ(例えば、駆動シャフト)を含むことができる。例えば、動力伝達アセンブリは、駆動ヘッド104からアタッチメント110の第2の端部112に回転運動を伝達することができる。様々な実施形態では、アタッチメント110は、外科用ドライバ100の本体102からかなりの距離(例えば、少なくとも約:10mm、25mm、50mm、75mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mm、前述の距離の間の距離、またはその他の距離)離れた標的部位(例えば、骨)への穴開けを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、アタッチメント110は、反射性表面および/または鏡のような表面を有し、これをアタッチメント110に追加、取り付け、または統合して、標的部位の視認性を高めることができる。アタッチメント110は、外科用ドライバ100の本体102に対して関節式に結合される、または固定されることができる。アタッチメント110は、トルク制限機能を含むことができる外科用ドライバ100と共に使用するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、アタッチメント110は、トルク制限機能を含まないドライバデバイスと共に使用するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、ユーザが、以下で論じる電動モードおよび手動モードなどのモードを切り替えることを可能にすることができるモードスイッチ(または同様の機構)を含むことができる。いくつかの実施形態では、モードスイッチは、特定のタイプのドリルビットに基づいて外科用ドライバ100のパラメータを変更することができる。いくつかの実施形態では、モードスイッチは、外科用ドライバ100が異なるアダプタまたはアタッチメントの存在を認識できるようにすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、本体102は、電力状態、モード、スピードまたはそれ以外などの、外科用ドライバ100の特定のパラメータに関する視覚的出力をユーザに提供してよい。いくつかの実施形態は、MIMS(医療情報管理システム)、MEMS(微小電気機械システム)、ジャイロスコープ、または外科用ドライバの方向についてユーザに合図することができる他の技術の使用などを通じて、軌道方向を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、水平または垂直ポジションからの角度偏差など、「ゼロにされた」方向からの偏差を(例えば、ユーザに)示すように構成される。いくつかの実施形態では、本体102は、情報をユーザに提供するためのLEDまたはLCDディスプレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、無線ネットワークなどを通して、モニタなどの外部ディスプレイに接続して、外部ディスプレイに視覚出力を提供することができる。いくつかの実施形態では、触覚合図(例えば、小さな振動)が、ユーザに情報を提供する場合がある。いくつかの実施形態では、電磁場(EMF)またはホール効果センサが、外科用ドライバ100の実施形態に組み込まれる場合がある。
【0033】
外科用ドライバ100の様々な形状が企図されている。例えば、いくつかの実施形態は平面上にあり、それは感触を高めることができる。本開示では、「平面上」という用語は、概ね線形の配置構成を有するデバイスを記述する。これは、ピストルグリップなどの一般的にL字型の配置構成を有する「平面外の」デバイスとは対照的である。いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、先端とハンドルが概ね同一直線にあるなど、先端がユーザの手と概ね一直線上にある平面構成を有する。いくつかの変形形態では、外科用ドライバ100は、ピストルグリップを有するなど、平面外の構成を有する。
【0034】
平面構成には、いくつかの利点がある。例えば、平面構成は、ユーザが、例えば、湾曲部または肘を通してではなく、直線軸に沿って外科用ドライバを通してねじに力を加えることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、平面設計は、ピストルグリップデバイスのハンドルに加えられ、その後ピストルのバレルを通して伝達される力によるなど、特定のピストルグリップ設計と関連し得る力のモーメントを低減または取り除く。モーメントを低減または取り除くことで、ねじの制御を増加させたり、ユーザの疲労を軽減したりすることができる(例えば、モーメントに対抗するために必要な労力を減少させることによって)。平面構成を有するいくつかの実施形態は、基質に対するドリルビット200の滑りを回避または低減することができ、あるいは少なくとも、そのような滑りが概ね所望の方向に発生する可能性を増加させることができる。例えば、平面配置構成では、ピストルグリップの設計よりもドリルビットにより近づけて指をおくことができ、これは、ユーザが、滑りが発生しているとき、または発生しそうなときをより良好に検出し、それに応答してアクションを取ることを可能にすることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、平面構成は、ユーザが、ピストルグリップデバイス(例えば、手首の筋肉または他のより小さな筋肉の使用を必要とし得る)と比較して、より大きな筋肉(例えば、上腕の筋肉)を使用することを可能とする。より大きな筋肉の関与は、より大きな強度および/または制御を提供することができる。いくつかの実施形態では、カンチレバーまたはピストルグリップがない場合がある。
【0036】
平面配置構成は、ハンドルから、カンチレバーからの重量を除去するなどによって、改善された重量配分を提供することができる。いくつかの構成では、平面構成は、ユーザがドリルビットおよび/または基質の特性の違いを判別できる感度を高めることができる。例えば、大きな筋肉が最初の駆動を制御することができ、最終的な操縦には、平面外配置構成の場合よりも先端により近い位置にある指が使用されることができる。したがって、ユーザは指を使って微調整することができ、これにより、外科用ドライバを扱う際により器用さが増す可能性がある。さらに、平面配置構成は、外科用ドライバがより大きな腕の筋肉によって保持されているときに振動を減衰させることができる。さらに、大きな腕の筋肉で安定させ、手首/指を使用して操縦することによって、より大きなモーメントアームを使用するため発作的な動き/運動の影響をより受けやすい平面外配置構成と比較して、不要な衝撃によって特に引き起こされる外科用ドライバの移動を少なくすることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、デバイスの滑らかな形状因子は、パッケージサイズを縮小することができ、その結果、コストを節約することができる。特定の実施形態は、手動の外科用ドライバから電動外科用ドライバへの移行を容易にすることができ、先端、および推進作用が生じている組織の視認性を増加させることができ、および/またはユーザの疲労を軽減することができる外科用ドライバの重量を減らすことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、部分的または完全にカニューレが挿入されることができ、および/またはカニューレが挿入されるように構成することができる。これは、ガイドワイヤおよび/またはkワイヤ(またはそのタイプが限定されない他のワイヤ)を外科用ドライバ100に通すことを可能にする。さらに、カニューレ挿入は、外科用ドライバ100と組み合わせて吸引が使用されることを可能とし得る。カニューレは、外科用ドライバ100全体を通して(例えば、後ろから前に)延びることができ、または外科用ドライバ100の先端(または先端の近く)につながることができる、本体102の側面に開き口を含む場合がある。カニューレは、一般に、外科用ドライバ100の長手方向軸に沿って(または平行に)延びることができる。
【0039】
さらに、いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100内のモータ12自体にも同様にカニューレが挿入されることができる。したがって、カニューレは、外科用ドライバ100のモータの少なくとも一部を通って延びることができる。モータ12は、部分的または完全にカニューレが挿入されることができ、および/またはカニューレが挿入されるように構成されることができる。カニューレは、モータ12全体を通して(例えば、後ろから前に)延びることができ、または外科用ドライバ100の先端(または先端の近く)につながることができる、本体102の側面に開き口を含む場合がある。いくつかの実施形態では、カニューレは、一般に、外科用ドライバ100のモータの長手方向軸に沿って(または平行に)延びることができる。カニューレが挿入されたモータは、例えば、電動外科用デバイスでカニューレが挿入されたモータを使用する、平面電動外科用デバイスでカニューレが挿入されたモータを使用する、鎖骨用途の平面電動手術用デバイスでカニューレが挿入されたモータを使用する、脊椎用途の平面電動外科用デバイスでカニューレが挿入されたモータを使用する、四肢用の平面電動外科用デバイスでカニューレが挿入されたモータを使用する、および/または大きな骨の用途の平面電動外科用デバイスでカニューレが挿入されたモータを使用することを含め、いくつかの異なる用途のために使用されるとができる。しかしながら、カニューレが挿入されたモータは他の処置にも使用されてよく、特定の処置は限定的ではない。
【0040】
いくつかの実施形態では、本体102は、異なる形状のハンドル(またはグリップ)を含むことができる。異なるハンドルが使用されて本体102の一部を置き換えることができ、したがって、いくつかの実施形態では、本体102と一体的に形成される場合がある。いくつかの実施形態では、異なるハンドルは、本体102の近位端から取り外し可能であってよく、したがって、ユーザが、どの特定のハンドルが特定の使用(例えば、外科手術)のニーズに適するかを選ぶことを可能にする。いくつかの実施形態では、ハンドルは、外科医による手術中に切り替えられることができる。例えば、ハンドルは、オス/メスのねじ切り、スナップ、締め具、または他の非限定的な取り外し可能な取り付けデバイスを通すなどして、本体102への取り付け機構を有することができる。
【0041】
ハンドルは、金属、プラスチック、ゴムなど、様々な材料で作成されることができ、様々な形状を採ることができる。ハンドルは、ユーザがハンドルを簡単に制御できるようにする隆起部やくぼみなどのグリップ機能をさらに含むことができる。
図3は、本明細書に開示されるように、外科用ドライバと共に使用されることができるハンドル30の例示的な断面形状を示す。示されるように、これらのハンドル30は、一般に「T」字型(
図3左)、または一般に円形または球形(
図3右)を有することができる。これらの2つの特定のハンドル30が示されているが、一般に「J」字型、ピストルグリップ、または閉じたリングハンドルなどの他のハンドルも使用されることができる。
図3の特定のハンドルの形状および寸法は限定的ではない。
【0042】
図4から
図7は、外科用ドライバ100の別の例を示している。外科用ドライバ100は、ユーザに握られることができるハンドルを備えた本体102を有する。図示の実施形態では、ハンドルはピストルグリップ構成を有する。いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は約7インチの長さである。外科用ドライバ100は、バッテリ28などの電源を有することができる。電源28は、ハンドルなどの本体102に適合させることができる。
【0043】
図5は、本体102の下部開口部を示している。本体102は、バッテリ28を保持するように設計された第1の空洞42と、回路基板などの電子機器を保持するように設計された第2の空洞44などの多数の空洞とを有することができる。回路基板が設置された後、湿気の侵入から第2の空洞44を密封するためにカバープレートが付加されることができる。基板とバッテリの両方をハンドルに挿入させることは、外科用ドライバ100の長さおよび外形が縮小されることを可能にする。
【0044】
図6は、外科用ドライバ100の本体102のハンドル内に置かれたバッテリ28を示している。いくつかの実施形態では、バッテリ28は本体102に完全に封入されている。完全に封入されたバッテリ28は、動作中にバッテリ28が生体物質にさらされないことを確実にすることができる。いくつかの実施形態では、バッテリ28は、ドアで封じ込められる、および/またはドアで密封されている。
図7は、ハンドル内部のバッテリ28を示している。外科用ドライバの設計は、バッテリ28を下から覆い、それをハンドルに押し上げる機構を含むことができる。この機能は、使用中に、バッテリ28が外科用ドライバ100との電力接点と係合することを確実にする。いくつかの実施形態では、この機構は、トラップドアのように機能するように片側にヒンジで留めされてよい。他の実施形態では、この機構は、バッテリ28が挿入されることを可能にするために、空洞上を、または空洞から離れるように回転するように1つの角にピン留め(pinned)されてもよい。
【0045】
外科用ドライバ100の様々な実施形態は、様々な動作特性を有する。例えば、いくつかの実施形態は、少なくとも約:3,000rpm、4,000rpm、5、000rpm、6、000rpm、10,000rpm、前述の値の間の値、または他の値の最大回転スピード(無負荷時)を提供する。いくつかの実施形態は、減速点に達した後、ドリルビット200の回転を遅くすることができる。特定のそのような実施形態は、約:500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1,000rpm、1,100rpm、1,200rpm、前述の値の間の値、または他の値以下の、減速されたスピード(無負荷時)を有する。外科用ドライバ100の特定の実施形態は、ドリルビット200に少なくとも約:25インチオンス、30インチオンス、35インチオンス、40インチオンス、45インチオンス、前述の値の間の値、または他の値のトルクを提供することができる。外科用ドライバ100のいくつかの実施形態は、ドリルビット200に少なくとも:25N-cm、30N-cm、35N-cm、40N-cm、45N-cm、前述の値の間の値、またはその他の値のトルクを提供することができる。
【0046】
外科用ドライバ100の様々な実施形態は、ドリルビット200を骨の中に穴開けする方向など、ユーザが、ドリルビット200を順方向に回転させるように外科用ドライバ100に命令するように関与することができる順方向入力を含む。例えば、順方向入力は、スイッチ、ボタン、ダイヤル、トリガ、スライダ、タッチパッドなどであり得る。特定の実施形態は、高速順方向スイッチ(例えば、モータは無負荷で約4100RPMでスピンする)および低速順方向スイッチ(例えば、モータは無負荷で500RPMでスピンする)などの多数の入力部材を有する。いくつかの実施形態は、逆方向入力を有し、これは、外科用ドライバ100に、ドリルビット200を骨から除去する方向など、ドリルビット200を逆方向に回転させるように命令することができる。逆方向入力は、上記のオプションなど、順方向入力と同様であり得る。いくつかの実施形態では、逆方向入力を作動させることは、モータを無負荷で約500RPMでスピンさせることになる。特定の実施形態では、ドリルビット200の最終回転スピードは約500RPMである。いくつかの実施形態では、順方向入力およびオーバーライド入力は同一の構成要素である。いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、ボタン、スイッチまたはそれ以外などの入力デバイス106を含むことができ、これは、ユーザが、動作モードを選択することを可能にさせ得る。例えば、ユーザは、突破が発生する前に(例えば、ドリルビットが骨の反対側から出る前に)ドライバが穴開けを停止するモードと、突破が発生した後にドライバが穴開けを停止するモードの中から選ぶことができる。
【0047】
様々な実施形態では、外科用ドライバ100は、トルクデータをフィルタリングすること、センサ18(例えば、モータ電流センサ)からの信号のノイズを減少させること、その他などによって、トルクデータを調整するように構成された構成要素を含む。例えば、外科用ドライバ100は、1つ以上のローパスフィルタを含むことができる。フィルタは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタは抵抗容量回路を含む。特定の実施形態は、特定の周波数および/またはトルクデータのレベルをフィルタリングするように構成されたソフトウェアフィルタを含む。様々な実施形態では、フィルタリング構成要素は、より滑らかなトルク曲線を容易にすることができる。いくつかの変形形態では、フィルタリング構成要素は、そうでなければノイズおよび/または外れ値測定によって引き起こされる可能性があるトルク制限機能のエラーを低減することができる。いくつかの実施形態では、電流、電圧、電力などのトルク値(nm、インチオンスなど)への変換は、ルックアップテーブルまたは数式を使用して実施されることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、外科用ドライバは、すでに据え付けられているねじの始動トルクを、例えば、より高い初期トルク値を通じてなどして、まさに始動したばかりのねじの始動トルクから識別および/または区別することができる追加機能を組み込むことができ、これにより、デバイスが駆動し続け、場合によってはすでに据え付けられているねじをはがすのを抑制または防止することができる。トルク制限外科用デバイスに関するさらなる開示(例えば、ねじがはがれたり、患者の骨を損傷させたりするのを抑制または防止するために、ねじでプレートを骨に対して固定しようとするときのトルクを動的に判定および/または制限することに関する)は、2017年6月6日に出願された米国特許第10,383,674号明細書に見いだすことができ、この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。’674特許に説明されている機能のいずれも、本明細書に開示されているシステム、デバイス、および方法に組み込まれることができる。
【0049】
基質の識別および/または区別の概要
いくつかの実施形態では、データ入力(例えば、ドリルビット穴開け手順の一部において、またはその全体を通して実施される測定)が外科用ドライバ100によって使用されて、特定の判定を行うことができる。例えば、外科用ドライバ100は、データ入力を使用して、ドリルが中に駆動されている異なるタイプの組織を区別および/または識別するように構成されることができる。これは「組織の区別」と呼ばれることができる。
【0050】
データ入力は、例えば、モータ電流および/またはモータスピードによってもたらされることができるが、トルク測定の他の方法も同様に使用されることができる。いくつかの実施形態では、データ入力は、測定されたトルクを含み、これは、外科用ドライバ100によって供給されているトルクから導出されるか、またはそれを示すデータであり得る。いくつかの実施形態では、データ入力は、電流測定および/または電圧測定を含み、1つ以上のアルゴリズムまたはデータテーブルが使用されて入力をトルク値に変換することができる。
【0051】
以下でより詳細に論じられるように、いくつかの実施形態では、外科用ドライバ100は、データ入力および/またはデータ入力の変化を使用して、外科用ドライバ100がドリルビット200を駆動している特定の組織タイプを判定することができる。例えば、外科用ドライバ100は、データ入力および/またはデータ入力の変化に基づいて、ドリルビット200が軟組織または骨のどちらに駆動されているかを判別するように構成されることができる。さらに、外科用ドライバ100は、データ入力および/またはデータ入力の変化に基づいて、異なる軟組織または異なる骨タイプまたは骨の部分(例えば、皮質および海綿骨)を判別するように構成されることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、データ入力および/またはこの判定が使用されて、外科用ドライバ100の動作を調整することができる。例えば、アルゴリズム(例えば、離散トルク分析アルゴリズム)は、データ入力を使用して、外科用ドライバ100のドリルビット速度を管理することができる。アルゴリズムは、電圧、電流、ドリルビットの回転スピード、および/またはモータに供給される電力など、外科用ドライバ100の他の特性/機能を調整するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、測定されたトルクおよび/または測定トルクの変化が使用されて、モータの動作の停止、ドリルビット200の駆動速度の変更、または他の変更などのドリルビット200の駆動を制御することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、トルクの変化がユーザに提示される(例えば、示される、または表示される)ことができる。例えば、外科用ドライバ100の実施形態は、ドリルビット200が特定のトルク範囲で駆動されていること、および/またはドリルビット200が特定の組織層または組織タイプで駆動されていることを示す、光または音などの1つ以上のインディケータを含むことができる。例えば、第1のインディケータは、ドリルビット200が第1の組織タイプおよび/または第1の層へと駆動されているときにアクティブ化でき、第2のインディケータは、ドリルビット200が第2の組織タイプおよび/または第2の層へと駆動されているときにアクティブ化できる。外科用ドライバ100は、ドリルビットに加えられているトルク、ドリルビットが駆動されている組織のタイプなどの特定の情報を表示するディスプレイ(例えば、電子スクリーン)を含むことができる。ディスプレイは、外科用ドライバ100上に直接配置されることができ、または外科用ドライバ100が、例えば無線または有線で接続されているテレビ画面またはモニタなどの別の接続された視覚デバイスを通してのものである場合がある。
【0054】
以下で詳細に論じられるように、トルクおよび/またはトルクの変化は、いくつかの異なる方法で測定されることができる。例えば、トルク測定は、ドリルビットの穴開け手順の一部またはそのすべて(および一貫して、または一貫せずに)の間に行われることができる。いくつかの実施形態では、連続する測定間の変動がユーザに提供されることができる。いくつかの実施形態では、測定されたトルクが特定の範囲外であるか、または閾値を超えているときに、アラートがユーザに提供される。この閾値は、例えば、ユーザが特定の手順のために特定のトルクプロファイルを外科用ドライバ100に入力することによって作成されることができる。例えば、トルクプロファイルは、鎖骨内へとドリルビット200の穴開けをするためのものである場合があり、その特定の処置のために事前にプログラムされた閾値を含み得る。さらに、トルクの変化、またはトルク測定値の一次または二次導関数などのトルクの他の態様がユーザに提供されてもよい。
【0055】
外科用ドライバ100は、様々な用途および環境において組織の区別を使用することができる。例えば、外科用ドライバ100は、鎖骨整形外科手術中に異なる組織タイプを区別および/または識別するように構成されることができる。ただし、他のタイプの手術や処置も可能である。
【0056】
トルク制限外科用ドライバについての特定の機能に関するさらなる開示は、2014年7月16日に出願された米国特許第9,265,551号明細書および2017年6月6日に出願された米国特許第10,383,674号明細書に見出すことができ、これらの特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。’551特許および/または’674特許に開示されている機能(例えば、特定のトルク制限機能)のいずれかは、本明細書に開示されている外科用ドライバと組み合わせて使用されることができる。
【0057】
所与の骨を通してドリルビットに穴開けするのに使用されるトルクは、著しく変わる可能性がある。骨にドリルビットに穴開けするのに必要なトルクの量に影響を与える1つの要因は、骨の密度であり、これは、患者の年齢、性別、病気、およびその他の要因に基づいて変化する可能性がある。通常、骨の密度が高いほど、ドリルビットに穴開けするのに必要な力は大きくなる。さらに、密度は体内の骨の位置によって変化する可能性がある。
【0058】
いくつかのトルク制限方法、アルゴリズム、および構成要素が以下に説明される。本明細書のいずれかに開示されている任意の方法、アルゴリズム、または構成要素は、本明細書のいずれかに開示されている他の任意の方法、アルゴリズム、または構成要素と組み合わせて使用されることができる、または別々に使用されることもできる。
【0059】
「突入防止」トルク制限用途
上で論じたように、特定の外科的処置において、医療専門家(例えば、外科医)は、患者の骨に穴開けするために手動の器具を利用する。しかしながら、骨の入口側(例えば、骨の最初の皮質部分)を通して穴開けした後、ドリルビットが骨の出口側に近接する組織を「突き破る」のを抑制または防止するために、モータを停止するときを判定するのは難しい場合があり、これは、組織に著しい損傷を与える可能性がある。本明細書に説明される外科用ドライバの実施形態は、ドリルビットが骨を突き破った、または骨を突き破る寸前であることを外科用ドライバが検出したときに、モータの動作および/またはドリルビットの回転を制限または停止するように構成されることができる。例えば、本明細書に説明される外科用ドライバの実施形態は:(1)外科用ドリルが、ドリルビットが、骨の出口点または出口領域に近い位置で、またはその位置を通して穴開けしていることを検出したとき;および/または(2)外科用ドリルが、ドリルビットが骨を突き破る(骨から出る)、または骨を突き破ったことを検出したとき、モータの動作および/またはドリルビットの回転を制限または停止することができる。「(1)」(本明細書では「突破前」段階とも呼ばれる)に関して、本明細書に説明される外科用ドライバのいくつかの実施形態は:(a)外科用ドリルが、ドリルビットが骨のより柔らかい部分(例えば、海綿状部分)から骨のより硬い部分(例えば、皮質)に移行したことを検出したとき;および/または(b)外科用ドリルが、ドリルビットが現在、骨のより硬い部分(例えば、皮質)の第2の層内に位置しており(および/または第2の層の中で穴開けしており)、したがって骨の出口側に近いことを検出したとき、モータの動作および/またはドリルビットの回転を制限または停止することができる。「(2)」(本明細書では「突破後」段階とも呼ばれる)に関して、本明細書に説明される外科用ドライバのいくつかの実施形態は、外科用ドリルが、ドリルビットが骨を突き破る(骨から出る)、または突き破ったことを検出したとき、モータの動作および/またはドリルビットの回転を制限または停止することができる。
【0060】
図8は、患者の骨202の簡略化された断面を示している。例えば、骨202は、とりわけ鎖骨であり得る。骨202に係合および/または骨の中を通して穴開けすることができる任意のタイプのドリルビットであり得るドリルビット200は、近接して示されているが、骨202から離間されている。ドリルビット200は、外科用ドライバ100に関して上記で論じたように、駆動ヘッド104によって受け入れられることができ、および/またはモータ12によって駆動されることができる。いくつかの外科的シナリオでは、医療専門家は、骨202またはその一部を修復するために利用されるねじおよび/またはプレートの材料を取り除くために、骨202に穴開けして取り出す、および/または骨202に穴開けすることを望む場合がある。上で論じたように、典型的なアプローチは、ドリルビット200で骨202の第1の側を通して穴開けし(例えば、骨202の点Aで)、ドリルビット200が、骨202の第2の反対側(例えば、点Dで)を突き破ったとき直ちに停止するように外科用ドライバ100を操作することである。しかしながら、医療専門家が、ドリルビット200が骨内のどこにあるか、および/または外科用ドライバのモータを停止するときを知ることは困難である。上で論じたように、ドリルビット200が骨202を突き破ったとき、または突き破る寸前であるときを検出する能力は、骨202に近接する近くの組織への損傷を抑制または防止するために重要である。
【0061】
外科用ドライバ100は、様々な方法および/またはアルゴリズムを利用して、骨202内のドリルビット200の位置を検出し、骨202を突き破る前に、および/または骨202の突破点に近接する組織に突入する、またはそのような組織を通って突入する前に、ドリルビット200の回転を停止することができる。外科用ドライバ100は、骨202内のドリルビット200のポジションを監視および/または検出するために、様々な連続した時間においてトルク値を測定することができる。例えば、特定の実施形態では、測定されたトルクの量(またはモータによって引き出される電流、または本明細書で論じられる回転/トルクを判定する他の方法)は、約:2ミリ秒(ms)、5ms、10ms、20ms、30msごと、またはそれらの間の任意の値、あるいはこれらの値の任意の組み合わせによって囲まれた任意の範囲などのサンプリングレートでサンプリングされるが、ただし、これらの範囲外の他の値も可能である。トルクデータおよび時間データは、外科用ドライバ100のメモリ24に記憶されることができる。これにより、時間に対するトルクの変化(例えば、トルクの一次導関数)を監視すること、および/またはサンプリング時間によって定義された離散間隔(例えば、10ミリ秒ごと)でのトルクを監視することを容易にすることができる。上記のように、トルクは、ドリルビット200で穴開けするのに必要なモータ出力に正比例し得る。いくつかの実施形態では、所与の時間におけるトルクは、コントローラ20によって判定され、これは、モータ12によって引き出される電流を示すセンサ18からの信号を受信する。
【0062】
例示的なトルク制限手順の概要
図9は、骨202を貫通するドリルビット200の突入、および結果として生じる近くの組織への損傷を抑制または防止するために、トルクを制限する穴開けの例示的な方法および/またはアルゴリズム201を示している。
図10から
図13は、例示的な方法および/またはアルゴリズム201のさらなる変形形態および/または詳細を示している。
【0063】
方法201は、ドライバ100がオンにされた(例えば、通電された)後に開始することができる。ブロック210で、外科用ドライバ100は、モータ12がオンであるかどうかを判定する。モータ12は、ユーザが入力(例えば、ボタンまたはスイッチ)をアクティブ化し、コントローラ20がモータ12に電力が供給されるように命令することに応答してオンにされることができる。この電力が使用されて、駆動ヘッド104内に受け入れられた、および/または駆動ヘッド104に固定されたドリルビット200の回転を開始することができる。
図9に示されるように、ブロック210がモータ12がオンになっていないと判定した場合、方法201は終了することができる。ブロック212に示されるように、モータ12がオンであると判定された場合、外科用ドライバ100は、上記のように10ミリ秒間隔などのサンプリングレートでトルク値を収集することおよび/または記憶することを開始することができる。外科用ドライバ100は、モータ12によって引き出される電流の量を測定することができるセンサなどのセンサ18を介してトルク値を収集することができる。モータ12によって引き出される電流は、モータが、(例えば、駆動ヘッド104を介して)ドライバ100によって駆動されるドリルビット200に加えているトルクの量に概ね比例するため、この電流引き込みデータが使用されて、トルクの量を判定することができる。測定/収集されたトルク値は、ドライバ100のメモリ24に記憶されることができる。
【0064】
ブロック214に示されるように、外科用ドライバ100は、(例えば、コントローラ20および/またはプロセッサ22によって)収集および/または記憶された各トルク値を第1の閾値TThresh1と比較することができる。これが使用されて、単に空中で回転している(例えば、自由にスピンしている)のとは対照的に、ドリルビット200が骨202に係合および/または骨202を通して穴開けしているかどうかを判定することができる。ドリルビット200が空気中を自由にスピンしているときに検出されるトルク値は、一般に、ドリルビット200が骨202に係合および/または骨202を通して穴開けしているときに検出されるトルク値よりも著しく低い。いくつかの実施形態では、第1の閾値TThresh1は、0.035インチオンス、0.036インチオンス、0.037インチオンス、0.038インチオンス、または0.039インチオンス、あるいはこれらの値の任意の組み合わせによって囲まれた任意の範囲、あるいはこれらの値のいずれかによって囲まれた範囲内の任意の値であり得るが、ただし、他の値も可能である。ブロック216に示されるように、所与のトルク値が第1の閾値TThresh1以上である場合、コントローラ20は、そのような発生のそれぞれを「カウント」として収集/記憶することができ、その利点は以下でさらに説明される。場合によっては、測定されたトルク値が第1の閾値TThresh1以上である発生の回数/時間は、骨202の厚さのインディケーションを提供する場合もある。
【0065】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、特定の要件を満たすトルクデータを追跡する。例えば、
図9に示される実施形態では、ブロック218で、コントローラ20は、第1の閾値T
Thresh1以上であるトルクの合計を決定し記憶することができる。
【0066】
様々な実施形態では、コントローラ20は、トルクデータを使用して、ドリルビット200の位置を推定することができる。例えば、ブロック220において、コントローラ20は、以下でさらに説明されるように、ドリルビットの位置の分析を実行して、骨202に対するドリルビット200の位置を判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、所与のトルク値がブロック214の第1の閾値T
Thresh1以上であるかどうかに関係なく、ドリルビットの位置分析を行うことができる。したがって、ブロック214、216、および/または218は、ブロック220の動作の要件ではない。以下でより詳細に論じられるように、ドリルビットの位置分析がブロック220で行われた後、モータ12の動作特性を変更するかどうかを決定するように外科用ドライバ100が構成されることができる。例えば、外科用ドライバ100は、ブロック220で行われた分析から得られた判定に応答して、(モータ12および/または駆動ヘッド104を介して)ドリルビット200の回転を低減または停止するかどうかを決定し、そしてそのような変更を実施するように構成されることができる。そのようなドリルビットの位置分析は、測定されたトルク値が、ドリルビット200が骨を突き破ったことを示す基準を満たすか、またはドリルビット200が骨を突き破る寸前であることを示す基準を満たすかどうかを判定することを含むことができる。
図9に示されるように、測定されたトルク値(複数可)が、ドリルビット200が骨を突き破ったか、または突き破る寸前であることを示す基準を満たさない場合、方法はブロック210に戻り、追加のトルク値を収集することができる。
【0067】
ドリルビットの位置/トルク基準分析
図10は、ブロック220をより詳細に示す。上で論じたように、トルク値は、様々なサンプリングレートで、例えば10ミリ秒ごとに収集されることができる。所与の期間にわたるトルク値が使用されて骨202内のドリルビット200の位置を判定する前に、一定量の初期値を無視または破棄することが有益である場合がある。例えば、外科用ドライバ100のモータ12が最初にオンにされるとき、モータ12の歯車から生じるかなりの量の「ノイズ」が生じ、これは、ドリルビット200と骨202との係合を表さない可変トルク値を生成する場合がある。したがって、ブロック222で、コントローラ20は、分析をさらに進める前に、トルク値の第1のセットまたは第1のグループを破棄する。コントローラ20が無視または削除する初期トルク値の量は、1つ、2つ、3つ、または4つの初期トルク値に等しい場合があるが、他の値も可能である。
【0068】
ブロック222が完了した後、コントローラ20は、ブロック224および226を実行し、これらのそれぞれについては、以下でより詳細に説明される。高レベルでは、ブロック224および226は、骨202内のドリルビット200の位置を判定することができる。より具体的には、ブロック224は、ドリルビット200が骨202の第1の皮質部分を通して、または骨202の第1の皮質部分の中で、穴開けしているかどうか、または骨202の第1の皮質部分に穴開けしたかどうかを判定することができる。例えば、
図8を参照すると、ブロック224は、ドリルビット200が、骨202の点AとBとの間の骨202の第1の皮質部分を通して、または骨202の第1の皮質部分の中で穴開けしているかどうか、または穴開けしたかどうかを判定することができる。同様に、ブロック226は、骨202の第2の皮質部分(例えば、
図8の点CとDの間の骨202の部分)に関してドリルビット200の位置を判定することができる。
【0069】
以下でより詳細に論じられるように、骨202の第2の皮質部分に対するドリルビット200の位置を判定することは、外科用ドライバ100で、ドリルビット200が「突破前」段階にある(例えば、骨を突き破る寸前)かどうか、またはドリルビット200が「突破後」の段階にある(例えば、骨を突き破った)かどうかを判定することを含み得る。外科用ドライバ100は、ドリルビット200が骨202の出口点または出口領域(
図8の出口点Dなど)に近い位置で、またはそこを通して穴開けしているかどうかを判定することによって、ドリルビット200が突破前段階にあると判定することができる。外科用ドライバ100は、ドリルビット200が骨202の出口点または出口領域(
図8の出口点Dなど)を突き破っている(例えば、出ている)か、または突き破ったかどうかを判定することによって、ドリルビット200が突破後の段階にあると判定することができる。「突破前」に関して、および以下でさらに論じるように、ブロック226において、外科用ドライバ100は、ドリルビット200が最近、骨202の内部の海綿骨部分から骨202の第2の皮質部分に移行したかどうか、および/またはドリルビット200が現在、骨202のこの第2の皮質部分を通して穴開けしているかどうかを判定することができる。以下でより詳細に論じるように、外科用ドライバ100が、ドリルビット200が、特定の実施形態が構成される「突破前」段階または「突破後」の段階にあると判定した後、外科用ドライバ100は、ブロック240でこれに応答してモータ12の動作特性を変更することができる。例えば、外科用ドライバ100は、そのような判定のいずれかに応答して、モータ12を止めるか、またはドリルビット200の回転を減少させることができる。
【0070】
骨の第1の皮質部分に対するドリルビットの位置
図11は、ブロック224をより詳細に示す。上で論じたように、外科用ドライバ100によって収集された(例えば、測定された)トルクサンプルの第1のグループまたは第1のセットは、ブロック220に従ってさらなる分析が実行される前に無視または破棄され得る。この第1のサンプルグループは、例えば、最初の3つまたは4つのトルクサンプル(例えば、トルク値1から3または4)であり得る。示されるように、ブロック224aで、トルクサンプルの第2のグループまたは第2のセットが収集および分析されて、ドリルビット200が骨202の第1の皮質部分を通して、またはその中で、穴開けしているか、または穴開けしたかどうかを判定することができる。そのような第2のグループのトルクサンプルは、5つのトルクサンプルなどの複数のトルクサンプルを含むことができる。例えば、トルクサンプルの第2のグループは、第5、第6、第7、第8、および第9のトルクサンプルであってよく、破棄されたトルクサンプルの第1のグループに続くことができる。コントローラ20は、トルクサンプルの第2のグループ内で経験した最大トルク値を追跡することができ、その利点は、以下のブロック226に関してさらに説明される。
【0071】
ブロック224aで、トルクサンプルの第2のグループまたはその一部(例えば、トルクサンプル5から9)が分析および/または比較されて、この第2のグループ内の連続するトルク値間の差が、第2の閾値T
Thresh2以上であるかどうかを判定することができる。例えば、コントローラ20は、第2のグループ内の第7と第6のトルク値(トルク値の第1のグループに関して連続して番号付けされる)間の差が第2の閾値T
Thresh2以上であるかどうか、および/または第2のグループ内の第6のトルク値と第5のトルク値(トルク値の第1のグループに関して連続して番号付けされる)間の差が、第2の閾値T
Thresh2以上であるかどうかを判定することができる。そのような差の一方または両方が第2の閾値T
Thresh2以上である場合、ブロック224aは肯定的である。肯定的なブロック224aは、ドリルビット200が、
図8に示されるように、点AとBとの間の骨202の第1の皮質部分などの骨202の硬い部分を通して穴開けしていることを示すことができる。ブロック224aが肯定的である場合、外科用ドライバ100は、そのような閾値超過の発生を、ブロック224c(メモリ24内)でのイベントとして記録および/または記憶されることができる。これは、骨202の第1の皮質部分に遭遇したという、方法のインディケータを提供することができる。図示のように、外科用ドライバ100は、例えば、この第2のグループ内のすべてのトルク値がブロック224aから224gに従って分析されるまで、この第2のグループ内の追加のトルク値を分析(例えば、比較)することができる。例えば、
図11に示されるように、ブロック224aまたはブロック224bのいずれかが肯定的であり、ブロック224cにつながる場合、コントローラ20は、ブロック224hに移動し、そして第2のグループ内に分析されるべき追加のトルク値があるかどうかを判定することができる。ブロック224hが肯定的である場合、コントローラ20は、ブロック224aに戻り、ブロック224hが否定的に回答されるまで、ブロック224aから224cに従って残りのトルク値を分析することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、ブロック224aが肯定的である場合、外科用ドライバ100のコントローラ20は、ブロック224hに移動せず、代わりに、ブロック224cからブロック226に移動し(ブロック224gを参照)、ここで、以下でさらに論じるように追加の分析が実行されることができる。ブロック224aが肯定的でない場合、方法/アルゴリズムは、ブロック224bに移動することができ、そこで、以下でさらに説明されるように、追加の分析が実行されてよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、骨202の第1の皮質部分(例えば、
図8の点AとBとの間)が実際に(例えば、
図8の点Bを通して)穴開けされたと判定することができる。例えば、いくつかの変形形態では、コントローラ20は、トルク値の減少を検出することによって、ドリルビット200が皮質骨の第1の部分を通過したことを検出するように構成される。特定の実施形態は:(1)ブロック224cでイベントを記録すること;(2)ブロック224aおよび224bが、その後に収集されたトルク値に対して「いいえ」を返すことを決定すること;および(3)そのような両方の結果を一緒に分析すること(例えば、「(1)」と「(2)」が、第1の皮質部分の出口点を通して穴開けされたことを示し得ることを認識すること)によって、骨202の第1の皮質部分を通して穿孔したと判定するように構成される。
【0073】
第2の閾値TThresh2は、0.00195インチオンス、0.00196 インチオンス、0.00197 インチオンス、0.00198インチオンス、0.00199 インチオンス、0.002インチオンス、0.00201インチオンス、0.00202インチオンス、0.00203インチオンス、0.00204インチオンス、または0.00205インチオンス、またはこれらの値の任意の組み合わせによって囲まれた任意の範囲、またはこれらの値のいずれかによって囲まれた範囲内の任意の値であり得るが、ただし、他の値も可能である。
【0074】
ブロック224bにおいて、トルクサンプルの第2のグループ(例えば、トルクサンプル5から9)またはその一部が分析および/または比較されて、この第2のグループ内の非連続のトルク値間の差が第3の閾値T
Thresh3以上であるかどうかを判定することができる。例えば、1つの中間トルクサンプルによって隔てられた第2のグループ内の1つ以上の非連続のトルクサンプルが比較されて、それらの間の差が第3の閾値T
Thresh3以上であるかどうかを判定することができる。例えば、コントローラ20は、第9のトルク値と第7のトルク値の差が第3の閾値T
Thresh3以上であるかどうか、および/または第7のトルク値と第5のトルク値の差が第3の閾値T
Thresh3以上であるかどうかを判定することができる。そのような差の一方または両方が第3の閾値T
Thresh3以上である場合、これは、ドリルビット200が、
図8に示すように、点Aおよび点Bでの、または点Aと点Bの間の骨202の第1の皮質部分などの骨202の硬い部分を通して穴開けしていることを示し得る。そのような差の一方または両方が第3の閾値T
Thresh3以上である場合、外科用ドライバ100は、そのような閾値超過の発生を、骨202の第1の皮質部分が穴開けされていることを示すイベントとしてブロック224cで記録および/または記憶する(メモリ24内に)ことができる。そのような差の一方または両方が第3の閾値T
Thresh3以上である場合、ブロック224hで、外科用ドライバ100は、第2のグループ内に分析されるべき追加のトルク値があるかどうかを判定することができる。ブロック224hが肯定的である場合、コントローラ20は、ブロック224aに戻り、ブロック224hが否定的に回答されるまで、ブロック224aから224cに従って残りのトルク値を分析することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、ブロック224bが肯定的であり、イベントが224cで記録される場合、外科用ドライバ100のコントローラ20は、ブロック224hに移動せず、代わりに、ブロック224cからブロック226に移動し(ブロック224gを参照)、以下でさらに説明されるように追加の分析が実行され得る。
【0075】
この第2のグループ内の非連続のトルク値(例えば、1つの中間値で隔てられた2つの値)の差が第3の閾値T
Thresh3未満である場合、これは:(a)ドリルビット200が骨202に係合していない(例えば、自由にスピンしている);または(b)ドリルビット200が骨202の第1の皮質部分を通してすでに穴開けした(例えば、
図8の点Bを通して)ことのいずれかを示す可能性がある。「(a)」または「(b)」のどちらが真であるかを判定するために、コントローラ20は、ブロック224dで、ブロック224cでのイベントが以前に記録されたかどうかをチェックすることができる。コントローラ20が、イベント224cが以前に記録されたと判定した場合、コントローラ20は、ブロック224eで、骨202の第1の皮質部分を通してすでに穴開けされた(例えば、
図8の点Bを通して)と判定する。そのような場合、ドリルビット200は、骨202のより柔らかい海綿骨部分を通して穴開けしている場合がある。あるいは、コントローラ20が、イベント224cが以前に記録されておらず、トルク値の第2のグループのすべてが収集された(例えば、測定された)と判定した場合、コントローラ20は、ブロック224fで、ドリルビット200が「自由にスピンしている」と判定する。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、ドリルビットが自由にスピンしていると判定した場合、ブロック240に移動するように構成されており、これは、ドリルビット200の回転を停止または低減することができる。これは、有利には、電力(例えば、電源から引き出される)を節約し、および/またはそうでなければモータ12をさらに動作させ、トルク値分析を実行するように利用されるであろう処理電力を節約することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、第3の閾値TThresh3は、第2の閾値TThresh2よりも大きくすることができる。第3の閾値TThresh3は、0.00215インチオンス、0.00216インチオンス、0.00217インチオンス、0.00218インチオンス、0.00219インチオンス、0.0022インチオンス、0.00221インチオンス、0.00222インチオンス、0.00223インチオンス、0.00224インチオンス、または0.00225インチオンス、またはこれらの値のいずれかで囲まれた範囲内の任意の値であり得るが、ただし、他の値も可能である。
【0077】
上で論じたように、コントローラ20は、ブロック224aまたは224bからの「はい」の結果を判定した後にブロック226に移動することができる、または第2のグループのすべてのトルク値が、(例えば、ブロック224hでの判定を介して)224bおよびブロック224aに従って分析されるまでブロック226に移動するのを待つ場合がある。上で論じたように、ブロック226で、追加の分析が実行されて、ドリルビット200の先端が骨202の内部(例えば、海綿骨)部分および/または骨202の第2の皮質部分(例えば、
図8の点Cおよび点Dのところ、または点Cと点Dとの間)に対してどこにあるかを判定することができる。いくつかの実施形態では、イベントがブロック224cで記録された場合(例えば、ドリルビット200は、骨202の第1の皮質を通して穴開けしているとして記録された)、および/またはコントローラ20は、ドリルビット200がすでに骨202の第1の皮質部分を通して穴開けしたと判定した場合(ブロック224e)、そのような判定は、以下でより詳細に説明されるように、ドリルビット200が現在骨202の第2の皮質部分(例えば、
図8の点Cおよび点Dのところ、または点Cと点Dとの間)内にあるか、または最近骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしたかを判定しようとするとき、さらなる分析において有利に使用され得る。
【0078】
ブロック224aおよび224bは、骨202の第1の皮質部分を通るドリルビット200の穴開けが検出されることができる2つの方法を提供する。(ブロック224aで行われるように)トルクサンプルの第2のグループ内の1つ以上(あるいは1つ以上のセット)の連続するトルク値間の差を比較することは、より薄い骨断面(および、例えば、そのような骨のより薄い皮質部分)を通して穴開けするときに有利であり得る。(ブロック224bで行われるように)第2のグループ内の中間トルク値によって隔てられた1つ以上の(あるいは1つ以上のセット)の非連続のトルク値を比較することは、より厚い骨を通して穴開けする場合、または外科医が、骨202の表面に対して垂直以外の角度で(例えば、そのような骨表面に垂直な軸から15度以内の角度で)ドリルビット200を傾ける場合に有利であり得る。ブロック224aおよび224bの両方を組み込むことにより、外科用ドライバ100のコントローラ20は薄い骨と厚い骨の両方に使用されることができるようになり、および/またはドリルビット200が骨202の第1の皮質部分(
図8に示すように、骨202の点Aと点Bとの間)を通して、または骨202の第1の皮質部分の中で穴開けしているかどうかを予測することが可能になる。
【0079】
骨の第2の皮質部分に対するドリルビットの位置
上で論じたように、コントローラ20は、ブロック224gまたはブロック224eの後にブロック226に移動することができる。上で論じたように、高レベルでは、ブロック226は、骨202の第2の皮質部分(例えば、
図8の点Cと点Dとの間の骨202の部分)に対してドリルビット200の位置を判定するのを助けることができる。また上で論じたように、骨202の第2の皮質部分に対するドリルビット200の位置を判定することは、外科用ドライバ100を用いて、(1)ドリルビットが骨202の出口点または出口領域(
図8の出口点Dなど)に近い位置で、またはそこを通して穴開けするときを判定する、および/または(2)ドリルビットが骨202の出口点または出口領域(
図8の出口点Dなど)を突き破る(出る)、または突き破ったときを判定することを含むことができる。「(1)」に関して、および以下でさらに論じるように、ブロック226において、外科用ドライバ100は、ドリルビット200が最近、骨202の内部の海綿骨部分から骨202の第2の皮質部分に移行したか(例えば、
図8の入口点Cを通って移行した)どうか、および/またはドリルビット200が現在、骨202のこの第2の皮質部分を通して穴開けしているかどうか(例えば、第2の皮質部分を通して穴開けしており、
図8の点Cと点Dとの間のどこかに位置する)を判定することができる。本明細書に説明される外科用ドライバのいくつかの実施形態は、外科用ドライバが「(1)」(本明細書では「突破前」段階とも呼ばれる)を判定したときに、モータの動作および/またはドリルビットの回転を制限または停止することができる。本明細書に説明される外科用ドライバのいくつかの実施形態は、外科用ドライバが「(2)」(本明細書では「突破後」段階とも呼ばれる)を判定したときに、モータの動作および/またはドリルビットの回転を制限または停止することができる。
【0080】
上で論じたように、外科用ドライバ100のコントローラ20は、サンプリングレートでセンサ18によって測定および/または通信されたトルク値を収集することができる。これもまた論じたように、トルクサンプルの第1のグループは破棄されることができ(
図10およびブロック222を参照)、トルクサンプルの第2のグループが利用されて、ドリルビット200が骨202の第1の皮質部分に穴開けしているか、および/または骨202の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定することができる(
図10から
図11およびブロック224を参照)。さらに、トルクサンプルの第3のグループが利用されて、ブロック226の分析を実行することができる。非限定的な例として、サンプルの第1のグループは4個のサンプル(例えば、番号付けられたサンプル1から4)を含むことができ、サンプルの第2のグループは5個のサンプル(例えば、番号付けられたサンプル5から9)を含むことができ、そしてサンプルの第3のグループは、10個以上のサンプル(例えば、16個のサンプル番号10から25)を含むことができる。
【0081】
ブロック226において、トルクサンプルの第3のグループが収集されることができる。コントローラ20は、トルクサンプルの第3のグループ内の1つ以上のトルク値を分析(例えば、比較)することができる。これは、ドリルビット200が最近骨202の内部の海綿骨部分から骨202の第2の皮質部分に移行したかどうか、および/またはドリルビット200が現在骨202のこの第2の皮質部分を通して穴開けしているかどうかを判定するのに役立つことができる。そのような比較を実行する前に、
図12に示すように、コントローラ20は、所与の時点で(例えば、所与の量のトルク値がサンプリングレートでサンプリングされた後)、十分な数の骨の穴開けトルクサンプルまたは骨係合トルクサンプルがあったかどうか判定することができる。
図9を参照して前述したように、コントローラ20は、いくつの測定トルク値が第1の閾値T
Thresh1以上であり、また所与のトルク値がそのような第1の閾値T
Thresh1以上である場合を追跡することができ、これは、そのトルク値が、ドリルビット200が空気以外の材料(例えば、骨)に穴開けするときに経験する値を表すことを示しており、この値は「骨係合トルクサンプル」を表す。ブロック226aで、骨係合トルクサンプルの数が、測定されたトルク値の総数の閾値パーセンテージP
Thresh1以上である場合、特定の信頼レベルが達成され、コントローラ20は、以下に説明する分析を続行する。そのような閾値パーセンテージP
Thresh1は、例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%であり得る。ブロック226bによって示されるように、骨係合トルクサンプルの数がそのような閾値パーセンテージP
Thresh1より少ない場合、コントローラ20は、さらなる分析を中断し、第1の閾値T
Thresh1以上であるより多くのトルクサンプルが測定されることを要求することができる。例えば、いくつかの変形形態では、ブロック226bの後、方法は、さらなる分析および値収集のためにブロック210に戻る。
【0082】
骨係合トルクサンプルの数がそのような閾値パーセンテージP
Thresh1以上である場合、コントローラ20はブロック226cを実行する。ブロック226cは、ドリルビット200が最近、骨202の内部の海綿骨部分から骨202の第2の皮質部分に移行したかどうか(例えば、
図8の点Cを通って最近移行したかどうか)の判定を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、そのような移行を「捕らえる」または検出するために、ブロック226cで、コントローラ20は、(例えば、トルク値の第3のグループからの)トルク値の連続するペアを比較して、そのようなペア間の差が、本明細書では「ステップデルタ」または「Δ
Step」と呼ばれる第4の閾値以上であるかどうかを判定する。そのような差がΔ
Step以上である場合、これは、骨202の海綿骨部分から皮質部分への移行を示す、連続するトルク値間の大きな変化率を示す場合がある。Δ
Stepは、過去のトルク値(例えば、第1、第2および/または第3グループの1つ以上のトルク値)の統計に基づいて決定され得る。例えば、Δ
Stepは、分析の所与の点で測定されたすべてのトルク値の平均の第2の閾値パーセンテージP
Thresh2に等しくなり得る。平均トルク値「T
Avg」は、骨係合トルクサンプルの数(例えば、最初の閾値T
Thresh1以上のトルクサンプルの数)で割った、以前に測定、記憶、および/または記録されたすべてのトルク値の合計に等しくなり得る。いくつかの実施形態では、T
Avgは、ブロック222からのものなど、破棄されたトルク値は含まない。
【0083】
トルクサンプルの第3のグループからのトルク値の連続するペア間の差がΔ
Step以上である場合、これは、そのような連続するトルク値間でトルク値の著しい変化率があったことを示す可能性があり、これは、ドリルビット200が最近、海綿骨から骨202の第2の皮質部分に移行した(例えば、
図9に示される点Cを通って)ことを示す。これが真である場合、コントローラ20は、ブロック226dに移動し、これについては以下でより詳細に説明される。例えば、以下で論じるように、いくつかの実施形態では、トルクサンプルの第3のグループからのトルク値の連続するペア間の差がΔ
Step以上である場合、コントローラ20は、ドリルビット200の回転を停止または低減するように動作する(例えば、ドリルビット200が骨202を突き破る前にブロック240に移動することが望ましい場合)。トルクサンプルの第3のグループからのトルク値の連続するペア間のそのような差がΔ
Step未満である場合、コントローラ20は、ブロック226eに移動し、これについては以下でさらに説明される。第2の閾値パーセンテージP
Thresh2は、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%、またはこれらのパーセンテージのいずれかで囲まれた範囲内の任意のパーセンテージであり得るが、他の値も可能である。
【0084】
ブロック226eで、コントローラ20は、サンプルの第3のグループ内の1つ以上のトルク値を分析して、ドリルビット200が現在、骨202の第2の皮質部分(例えば、
図8の点CとDとの間)を通して穴開けしているかどうかを判定することができる。ブロック226cが「いいえ」をもたらす(例えば、トルクサンプルの第3のグループからのトルク値の連続するペア間の差がΔ
Step未満である)ブロック226cの後にブロック226eのステップを行うことは、骨202を突き破る前にドリルビット200の回転の停止することが望ましい場合に有利であり得る。例えば、場合によっては、第3のグループの2つの連続するトルク値が、海綿骨から皮質への移行点(例えば、
図8の点C)を「捕らえる」ことが難しい場合があり、これは、このような2つのトルク値が離散的な時間間隔(例えば、10ミリ秒ごと)で測定されるためである。そのような海綿骨から皮質への移行点は、そのような2つの連続したトルク値/測定値の「範囲にはいらない」場合がある。このような場合、ドリルビット200が骨202を突き破る寸前であるか(例えば、
図8の点Cと点Dとの間の第2の皮質部分を通して穴開けしている)どうかを検出するための代替方法を提供することが有利であり得る。
【0085】
ブロック226eで、コントローラ20は、所与の(例えば、現在または最新の)トルク値を、第5の閾値と比較し、これは本明細書では「トルクΔ」または「TΔ」と呼ばれる。そのような現在の(例えば、最新の)トルク値がTΔ以上である場合、これは、ドリルビット200が現在、皮質骨の第2の部分を通して穴開けしていることを示している可能性がある。TΔは、平均トルク値TAvgにΔStepを足したものに等しくなり得る(両方とも前述している)。したがって、TΔは、以前に記録された(例えば、測定された)トルク値と比較して高いトルク値を表す。
【0086】
所与の(例えば、現在の)トルク値がTΔ以上である場合、コントローラ20は、ブロック226fに移動して、所与のトルク値が、これまで記録された(例えば、測定された)最大トルク値、TMaxに近いかどうかに関して追加の試験を行うことができる。より具体的には、ブロック226fで、コントローラ20は、現在の(例えば、最近の)トルク値とTMaxとの差を決定し、さらに、そのような差が第6の閾値TThresh6以上であるかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、現在のトルク値とTMaxとの差の絶対値が、第6の閾値TThresh6以上であるかどうかを判定する。第6の閾値TThresh6は、0.00295インチオンス、0.00296インチオンス、0.00297インチオンス、0.00298インチオンス、0.00299インチオンス、0.003インチオンス、0.00301インチオンス、0.00302インチオンス、0.00303インチオンス、0.00304インチオンス、または0.00305インチオンス、またはこれらの値の任意の組み合わせによって囲まれた任意の範囲、またはこれらの値のいずれかによって囲まれた範囲内の任意の値であり得るが、他の値も可能である。
【0087】
コントローラ20が、現在のトルク値とTMaxとの差(または差の絶対値)が第6の閾値TThresh6以上であると判定した場合、コントローラ20は、ブロック226dに移動し、これについては以下でさらに論じる。あるいは、コントローラ20が、そのような差(または差の絶対値)が第6の閾値TThresh6未満であると判定した場合、コントローラ20は、ブロック226gに移動する。
【0088】
ブロック226gで、コントローラ20は、イベントがブロック224c(ドリルビット200が第1の皮質部分を通して穴開けしたことを示す)に従って記録されたかどうかをチェックすることができ、および/またはブロック224dで行われた判定の結果(ドリルビット200が実際に、骨の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうか)をチェックすることができる。コントローラ20が、ドリルビット200が骨202の第1の皮質部分で、または骨202の第1の皮質部分を通して穴開けしたと、これ以前に判定した場合、コントローラ20は、ブロック226gからブロック226dに移動することができ、これについては以下でさらに説明される。ブロック226gは有利であり得、その理由は、コントローラ20がブロック226fで、現在の(例えば、最近の)トルク値が、TMaxに十分に近くない(例えば、第6の閾値TThresh6の範囲内)と判定したとしても、コントローラ20が第1の皮質部分がすでに穴開けされている、または第1の皮質部分を通して穴開けされていると認識する限り、現在の(例えば、最近の)トルク値は、ドリルビット200が現在、骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしていることを示すように十分に高いためである(ブロック226eによって判定される)。あるいは、コントローラ20がブロック224dの結果を分析し、骨202の第1の皮質部分で、または第1の皮質部分を通して穴開けされなかったと判定した(例えば、ブロック224fが判定された)場合、コントローラ20は、後続のトルク値を収集および分析し続け、その後、ブロック226aから226gのうちの1つ以上を実行することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、ブロック226cおよび/またはブロック226eから226gの判定の結果がブロック226dにつながるときに、それは、ドリルビット200が骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしていることを示し得る。それに応答して、コントローラ22は、モータ12と通信して、ドリルビット200の回転を停止または低減することができる。例えば、ブロック226cで、コントローラ20が、ドリルビット200が最近海綿骨から骨202の第2の皮質部分に移行した(例えば、
図8に示される点Cを通って)と判定したとき、外科用ドライバ100のコントローラ20は、電源28および/またはモータ12と通信して、モータ12をオフにする、および/またはドリルビット200の回転を停止または低減することができる(例えば、コントローラ20は、ブロック240に移動することができる)。別の例として、コントローラ20が、ブロック226eで、ドリルビット200が現在骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしていると判定し、ブロック226fまたはブロック226のいずれかが「はい」という結果をもたらすときに、外科用ドライバ100のコントローラ20は、電源28および/またはモータ12と通信して、モータ12をオフにする、および/またはドリルビット200の回転を停止または低減することができる(例えば、コントローラ20は、ブロック240に移動することができる)。あるいは、いくつかの実施形態では、
図12に示されるように、ブロック226dで、コントローラ20は、さらなる分析を行う、および/または追加のトルク値を測定する場合もある。例えば、骨202を突破した後に(突破する前とは対照的に)、ドリルビット200の回転を停止または低減することが望ましい場合、コントローラ20は、追加のトルク値を測定し、および/またはそのような突破が発生するときを検出するためにさらなる分析を行うことができる。このような分析については、
図13に関して以下で説明される。
【0090】
ドリルビットの突破
図13は、ブロック230をより詳細に示す。高レベルでは、ブロック230は、
図8の点Dによって示されるように、骨202の第2の皮質部分の「突破」(出口)点または「突破」(出口)領域に関してドリルビット200の位置を判定することを容易にすることができる。ドリルビット200がそのような点または領域を突破したかどうかを判定するために、現在/最近の測定トルク値を、ドリルビット200が骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしているときに収集された以前のトルク値と比較することが有益であり得る。例えば、ドリルビット200が第2の皮質部分を通して穴開けしているとき、測定されたトルク値が減少するか、任意の閾値を下回ったように見える場合、これは、ドリルビット200が骨202を貫通して突き破った(例えば、
図8の点Dを通して)ことを示している可能性がある。そのような場合、コントローラ20は、ブロック240に移動し、例えば、ドリルビット200の回転を低減または停止するように構成されることができる。
【0091】
ブロック230aを参照すると、いくつかの実施形態では、ブロック226c、ブロック226eおよびブロック226f、またはブロック226gに対して「はい」をもたらす第3のグループ内の各トルク値について、コントローラ20および/またはプロセッサ22は、そのようなトルク値のローリング平均(rolling average)を決定することができる。例えば、サンプルの第3のグループからの5つのトルクサンプルが、ブロック226c、ブロック226eおよびブロック226f、またはブロック226gに対して「はい」をもたらす場合(骨202の第2の皮質部分を通る穴開けを表す)、コントローラ20および/またはプロセッサ22は、これらのトルク値の平均を決定し、そのような平均を記憶し、これらの5個のサンプルの後続の各サンプルの後にそのような平均を更新することができる。そのような平均は、ドリルビット200が骨202を突き破ったかどうかを判定するための突破閾値TBreachとして有利に使用されることができる。コントローラ20は、第3のグループ内のすべてのトルクサンプルが測定されるまで、トルクサンプルの第3のグループのそれぞれについてブロック226およびブロック230aを実行することができる。第3のグループ内のトルク値の正確な数は変更されることができ、サンプリングレートに依存する可能性がある。例えば、サンプルの第3のグループは、それぞれが10ミリ秒間隔で測定される15個のトルクサンプルを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施形態は、トルクサンプルの第4のグループを収集することを含む。特定の変形形態では、第3のグループのすべてのトルクサンプルがブロック226およびブロック230aに従って分析された後、コントローラ20は、ブロック230bで第4のグループのトルクサンプルについて測定および分析を実行することができる。
図13に示すように、いくつかの実施形態では、ブロック230bで、コントローラ20は、第4のグループで測定されたトルク値のうちの1つ以上を突破閾値T
Breachと比較することができる。例えば、ブロック230bで、コントローラ20は、第4のグループ内の現在測定されたトルク値が突破閾値T
Breach未満であるかどうかを判定することができる。別の例として、ブロック230bで、コントローラ20は、第4のグループ内の2つの連続するトルク値が突破閾値T
Breach未満であるかどうかを判定することができる。ブロック230cに示されるように、
図13のブロック230dに示されるように、第4のグループ内の最近のトルク測定値のうちの1つ以上が突破閾値T
Breach未満である場合、コントローラ20はブロック240に移動でき、ドリルビット200の回転を低減または停止することができる。これもまたブロック230cに示されるように、
図13のブロック230eによって示されるように、第4のグループ内の1つ以上の最近のトルク測定値が突破閾値T
Breach未満でない場合、外科用ドライバ100はドリルビット200の穴開けを継続でき、コントローラ20はブロック230bに従ってトルク値を収集および分析し続けることができる。
【0093】
場合によっては、第3のグループのトルクサンプルのいずれも、ドリルビット200が骨202の第2の皮質部分に穴開けしている/骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしていることを記録しなかった。このような場合、
図12を参照すると、第3のグループのすべてのトルク値がブロック226bにつながることになる。
結果として、コントローラ20が第4のグループ内でトルク値の収集を始めるとき、そのようなトルク値を比較するための突破閾値T
Breachは存在しない(例えば、T
Breach=0)。そのような場合、コントローラ20は、第4のグループからの測定トルク値を利用してローリング平均を決定し、およびこれにより、突破閾値T
Breachを決定し、その後、第4のグループからのその後のトルク測定をそのような突破閾値T
Breachと比較することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、ブロック230aを実行しない。そのような実施形態では、コントローラ20は、トルク値が減少しているかどうかを分析でき、そのような判定を行うとすぐに、ブロック240に移動して、ドリルビット200の回転を低減または停止することができる。例えば、ブロック230bで、コントローラ20は、現在の(例えば、最近の)トルク値を1つ以上の過去のトルク値と比較し、ブロック230cで、現在の(例えば、最近の)トルク値がそのような1つ以上の過去のトルク値よりも小さいかどうかを判定することができる。現在の(例えば、最近の)トルク値がそのような1つ以上の過去のトルク値よりも小さい場合、コントローラ20は、ブロック230cによって示されるように、ブロック240に移動することができる。あるいは、現在の(例えば、最近の)トルク値がそのような1つ以上の過去のトルク値より小さくない場合、外科用ドライバ100はドリルビット200の穴開けを継続でき、コントローラ20はブロック230bに従ってトルク値を収集および分析し続けることができる(ブロック230eを参照)。
【0095】
ブロック230cを参照して、コントローラ20が、トルク値が減少している、またはトルク値が閾値(例えば、TBreach)未満に低下していると判定した場合、これは、ドリルビット200が骨202を突き破ったことを示し得る。前に論じたように、そのような判定、およびブロック240に従って取られるその後のアクションは、骨202に隣接または近接する組織を通る穴開けを有利に抑制または防止することができる。
【0096】
上記の様々なステップおよび方法は、「第1のグループ」、「第2のグループ」、「第3のグループ」、および「第4のグループ」という句を利用するが、そのような句は限定を意図するものではない。そのような句は、上記のブロック、ステップ、あるいはプロセスのうちの1つ以上が1つ以上のトルク値を測定および/または分析して、コントローラ20が、ドリルビット200が骨202の断面に対してどこにあるかを判定するのに有利に役立ち得る様々な判定を行うことを説明するために単に使用されているだけである。例えば、ブロック222に関する「トルクサンプル/値の第1のグループ」という句の使用は、追加のトルク値を測定/分析する前に、特定の量の初期トルク値が破棄されることを伝えることを意味する。ブロック224および
図11に関する「トルクサンプル/値の第2のグループ」という句の使用は、ドリルビット200が、骨202の第1の皮質部分に穴開けしているかどうか、および/または骨202の第1の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定するために、特定の量のトルク値(「第1のグループ」の後に測定される)が測定/分析されることを伝えることを意味する。ブロック226および
図12に関する「トルクサンプル/値の第3のグループ」という句の使用は、ドリルビット200が現在、骨202の第2の皮質部分に穴開けしているかどうかを判定するために、(「第2のグループ」の後に測定される)特定の量のトルク値が測定/分析されることを伝えることを意味する。さらに、ブロック230および
図13に関する「トルクサンプル/値の第4のグループ」という句の使用は、ドリルビット200が、骨の第2の皮質部分に対してどこにあるか、およびより詳細には、ドリルビット200が、骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしたかどうかを判定するために特定の量のトルク値(「第3のグループ」の後に測定される)が測定/分析されることを伝えることを意味する。第1、第2、第3、および/または第4のグループ内のトルク値の正確な量は変わり得るが、コントローラ20は、任意の骨202の断面に対するドリルビット200の正確な位置を判定するために、上記のブロック、ステップ、および/またはプロセスを実行することができる。
【0097】
図9から
図13の方法/アルゴリズムを実行するために利用および/または必要とされるトルクサンプルの数は、以下のサンプリングレート、骨の厚さ、および骨の表面に垂直な軸に対するドリルビット200の角度を含む要因に依存する可能性があるが、これらに限定されない。例えば、骨表面に垂直な軸に対するドリルビット200の角度が15度より大きい場合、ブロック224および/または226が実行され得るために、25を超えるトルクサンプルがサンプリングされる必要があり得る。
【0098】
図8は骨202の断面例を示し、点Aから点Dはドリルビット200が通過する可能性のある点を例示しているが、ドリルビット200が、
図8に示されるような骨202に対して代替の点、領域、または角度を通して穴開けする場合は、上記で論じたデバイス、方法、システム、および/またはアルゴリズムのいずれかが適用されることが可能である。例えば、
図9から
図13に関して上記の方法/アルゴリズムは、ドリルビット200が、骨202に沿った任意の点または表面に対して非垂直の角度で、および/または骨202の中央軸または中心軸と整列していない角度で骨202を通して穴開けする場合に適用可能である。骨202の点または表面に対するドリルビット200の正確な角度に関係なく、モータ12を停止し、骨202の第2の皮質部分の外部に近接する組織への損傷を抑制または防止するために、
図9から
図12に関して上記の方法/アルゴリズムが利用されて、ドリルビット200が骨202の第2の皮質部分を通して穴開けしているかどうかを判定することができる。
【0099】
特定の専門用語
「できる(can)」、「できる(could)」、「してよい(might)」、「してよい(may)」、「例えば(e.g.,)」などの本明細書で使用される条件付き言語は、特に明記しない限り、または使用されるコンテキスト内で他の方法で理解される場合を除き、一般に特定の実施形態が、特定の機能、要素、および/またはステップを含むが、他の実施形態はそれらを含まないことを伝えることが意図されている。したがって、そのような条件付き言語は、特徴、要素、および/またはステップが1つ以上の実施形態に何らかの形で必要であること、あるいは1つ以上の実施形態が、著者の入力または促しの有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるかどうか、または任意の特定の実施形態で実施されるかどうかを決めるための論理を必然的に含むことを意味することは、一般には意図されていない。
【0100】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という句などの結合する語句は、特に明記しない限り、項目、用語などがX、YまたはZのいずれかであり得ることを伝えるために一般的に使用されるようなコンテキストで別の方法で理解される。したがって、そのような結合する語句は、一般に、特定の実施形態が、それぞれが存在するために、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つを必要とすることを意味することは意図されていない。
【0101】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は同義であり、制限のない方法で包含的に使用され、追加の要素、機能、行為、操作などを除外するものではない。また、「または(or)」という用語は、その包含的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されるため、例えば、要素のリストを結合するために使用される場合、「または」という用語は、リスト内の要素の1つ、いくつか、またはすべてを意味する。「および/または(and/or)」という用語は、「および」がいくつかの実施形態に適用され、「または」がいくつかの実施形態に適用されることを意味する。したがって、A、B、および/またはCは、ある文で書かれたA、B、およびCと、別の文で書かれたA、B、またはCと同等である。「および/または」という用語は、不要な冗長性を回避するために使用される。
【0102】
本明細書で使用される「おおよそ(approximately)」、「約(about)」、および「実質的に(substantially)」という用語は、依然として所望の機能を実施するか、または所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、コンテキストが指示する場合があるように、「おおよそ」、「約」、および「実質的に」という用語は、記載された量の10%以下の量を指す場合がある。本明細書で使用される「概ね(generally)」という用語は、主として含む特定の値、量、または特性を表すか、またはその傾向がある特定の値、量、または特性を表す。一例として、特定の実施形態では、コンテキストが指示する場合があるように、「概ね平行」という用語は、正確に平行から20度以下だけ逸脱するものを指すことができる。
【0103】
直径や半径など、本明細書で使用される円形に関する用語は、完全な円形構造を必要としないと理解されるべきであり、むしろ、左右に測定できる断面領域を有する任意の適切な構造に適用されるべきである。「円形」、「円筒形」、「半円形」または「半円筒形」などの形状に関する用語、または任意の関する用語や同様の用語は、円、円柱、またはその他の構造の数学的定義に厳密に準拠する必要はないが、かなり近い近似である構造を包含することができる。同様に、「概ね」という言葉によって修飾された形状(例えば、「概ね円筒形」)は、述べられた形状のかなり近い近似を含むことができる。本明細書で使用される場合、骨に対するドリルビットの位置などの「ドリルビット」のいずれの説明も、ドリルビットの先端(例えば、ドリルビットの最遠位端)を指すことができる。
【0104】
いくつかの実施形態が、添付の図面に関連して説明されてきた。図は一定の縮尺で描かれているが、示されているもの以外の寸法および比率が企図されており、本開示の範囲内であるため、そのような縮尺は限定として解釈されるべきではない。距離、角度などは単なる例示であり、図示されたデバイスの実際の寸法および配置構成と必ずしも正確な関係性を持つ必要はない。構成要素は、追加、除去、および/または再配置されることができる。さらに、様々な実施形態と関連しての任意の特定の特徴、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などの本明細書の開示は、本明細書に記載の他のすべての実施形態で使用されることができる。さらに、本明細書に説明される任意の方法は、列挙されたステップを実施するのに適した任意のデバイスを使用して実践され得ることが認識されるであろう。
【0105】
概要
様々な外科用ドライバデバイス、システム、および方法が、特定の実施形態、例、および変形形態の態様のコンテキストで開示されてきた。本開示は、具体的に開示された実施形態、例、および変形形態を超えて、本発明の他の代替の実施形態および/または使用、ならびにそれらの明白な修正形態および均等にまで及ぶ。さらに、外科用ドライバのいくつかの変形形態が示され、詳細に説明されてきたが、本開示の範囲内である他の修正形態は、本開示に基づく当業者には容易に明らかになるであろう。さらに、特定の例が外科用ドライバのコンテキストで説明されてきたが、本明細書に開示される様々な発明は、外科用ドライバでの使用に限定されるものではない。実際、本明細書に開示される様々な発明は、様々な他のタイプのデバイスおよび他の環境を使用するために企図されている。
【0106】
個別の実施形態のコンテキストで説明されてきた特定の機能は、単一の実施形態において組み合わせて実施されることもできる。逆に、単一の実施形態のコンテキストで説明されている様々な機能は、複数の実施形態において個別に、または任意の適切な副次的組み合わせで実施されることもできる。さらに、機能は特定の組み合わせで作用するものとして上記に記載され得るが、主張される組み合わせからの1つ以上の機能は、場合によっては、その組み合わせから切り出されることもでき、そしてその組み合わせは、任意の副次的組み合わせ、または任意の副次的組み合わせの変形として主張されてよい。
【0107】
本開示における一実施形態、フローチャート、または例で開示または図示されたステップ、プロセス、構造、および/またはデバイスのいずれかの任意の部分は、異なる実施形態、フローチャート、または例で開示または図示されたステップ、プロセス、構造、および/またはデバイスのいずれかの任意の他の部分と組み合わされる、またはそれと共に(もしくはその代わりに)使用される場合がある。本明細書に説明される実施形態および例は、別個であり、互いから分離することは意図されていない。開示された機能の組み合わせ、変形形態、および他の実施形態は、本開示の範囲内にある。
【0108】
ステップおよびブロックのいずれも、調整または変更されることができる。他のまたは追加のステップが使用されることができる。本明細書に説明されるステップまたはブロックはいずれも必須でも、不可欠でもない。さらに、操作は、特定の順序で図面または明細書に説明され得るが、そのような操作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序または連続した順序で実施される必要はなく、またそのすべての操作が実施される必要はない。描かれていない、または説明されていない他の操作が例示的な方法およびプロセスに組み込まれることができる。例えば、1つ以上の追加の操作が、説明された操作のいずれかの前、後、同時に、またはそれらの間で実施され得る。さらに、操作は、他の実施形態では再配置される、または並べ替えられる場合がある。また、上記の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、また記載された構成要素およびシステムは、一般に、単一の製品に一緒に統合されるか、または複数の製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0109】
上記の様々な機能およびプロセスは、互いに独立して使用されてよい、または様々な方法で組み合わされてもよい。すべての可能な組み合わせおよび副次的組み合わせは、本開示の範囲内に入ることが意図されている。さらに、特定の方法、イベント、状態、またはプロセスブロックは、一部の実施形態では省略される場合がある。本明細書に記載の方法およびプロセスもまた、特定の順序に限定されず、それに関するブロックまたは状態は、適切な他の順序で実施されることができる。例えば、説明されたタスクまたはイベントは、具体的に開示された順序以外の順序で実施されてもよい。複数のステップが1つのブロックまたは状態に組み合わされてもよい。例示的なタスクまたはイベントは、連続して、並列して、またはその他の方法で実施されてよい。タスクまたはイベントは、開示された例示的な実施形態に追加または削除されてもよい。本明細書で説明される例示的なシステムおよび構成要素は、説明されるものとは異なるように構成される場合がある。例えば、要素は、開示された例示的な実施形態と比較して、追加、削除、または再配置されてもよい。
【0110】
要約すると、トルク制限外科用ドライバシステムおよび方法の様々な実施形態および例が開示されてきた。本開示は、これらの実施形態および例のコンテキストにあるが、本開示は、具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替の実施形態および/または実施形態の他の使用、ならびにその特定の修正形態および均等にまで及ぶ。さらに、本開示は、開示された実施形態の様々な機能および態様が互いに組み合わされることができる、または互いに置き換えられることができることを明確に企図している。したがって、本開示の範囲は、上記の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク制限外科用デバイスであって、
ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と、
本体内に位置決めされたモータと、
モータによって回転させられ、ねじまたはドリルビットを駆動するように構成された駆動ヘッドと、
本体内に位置決めされたプロセッサとを備え、
プロセッサの制御の下、トルク制限外科用デバイスは、
骨の中に穴開けするためにねじまたはドリルビットにトルクを加え、
モータに供給される電流または電圧を監視し、
モータに供給される電流または電力から、ねじまたはドリルビットが骨を通して穴開けするときにねじまたはドリルビットに加えられるトルク値を決定し、
トルク制限条件が満たされたことを判定し、
トルク制限条件が満たされたと判定したことに応答して、ねじまたはドリルビットへのトルクの印加を停止するように構成され、
トルク制限条件が満たされたことを判定することは、
ねじまたはドリルビットが、骨の第1の皮層に、または骨の第1の皮層を通して穴開けしたと判定することと、
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けしたと判定することと
を含む、トルク制限外科用デバイス。
【請求項2】
トルク制限外科用デバイスは、連続するトルク値の第1のペア間の差を第1の閾値と比較することによって、ねじまたはドリルビットが骨の第1の皮層に、または骨の第1の皮層を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項3】
トルク制限外科用デバイスは、
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたかどうか、および
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているかどうか
のうちの少なくとも1つを判定するようにさらに構成されている、請求項2に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項4】
トルク制限外科用デバイスは、連続するトルク値の第2のペア間の差を第2の閾値と比較することによって、ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたかどうかを判定するように構成されており、連続するトルク値の第2のペアは、連続するトルク値の第1のペアの後に取得される、請求項3に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項5】
第2の閾値は、すべての決定されたトルク値のサブセットの平均のパーセンテージに等しい、請求項4に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項6】
決定されたトルク値のすべてのサブセットは、第3の閾値以上である決定されたトルク値のすべてに等しく、第3の閾値は、空気以外の材料を通る穴開けを示している、請求項5に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項7】
トルク制限外科用デバイスは、現在のトルク値と最大の測定トルク値との差を第2の閾値と比較することによって、ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているかどうかを判定するように構成されている、請求項3に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項8】
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたとの判定、またはねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているという判定に応答して、トルク制限外科用デバイスは、平均トルク値を決定するようにさらに構成されており、平均トルク値は、ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているときに測定されるトルク値を表している、請求項3に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項9】
トルク制限外科用デバイスは、第1のトルク値と平均トルク値との差を決定するようにさらに構成されており、第1のトルク値は、トルク制限外科用デバイスによって測定される現在のトルク値である、請求項8に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項10】
トルク制限外科用デバイスは、第1のトルク値が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ねじまたはドリルビットに加えられるトルクの量を制限するように構成されている、請求項9に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項11】
トルク制限外科用デバイスは、
第1のトルク値の前に測定された第2のトルク値と平均トルク値との差を決定し、
第1のトルク値および第2のトルク値の両方が平均トルク値よりも小さいという判定に応じて、ねじまたはドリルビットに加えられるトルクの量を制限するようにさらに構成されている、請求項9に記載のトルク制限外科用デバイス。
【請求項12】
骨を突き破った後にねじまたはドリルビットに加えられるトルクの量を制限するようにトルク制限デバイスを制御する方法であって、トルク制限デバイスは、ハンドルを備えた本体と、本体内に位置決めされたモータと、ねじまたはドリルビットを駆動し、ねじまたはドリルビットが骨の中に穴開けすることを可能にするようにモータによって回転されるように構成された駆動ヘッドと、プロセッサとを備え、プロセッサの制御下で、方法は、
ねじまたはドリルビットを骨の中に駆動することであって、骨は、第1の皮層、第2の皮層、および第1と第2の皮層との間の海綿骨層とを含む、ことと、
ねじまたはドリルビットが骨の中に穴開けしているときにトルク値を検出することと、
ねじまたはドリルビットが骨の第1の皮層に穴開けしたかどうかを判定することと、
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けし、骨の第2の皮層を出たかどうかを判定することと、
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層を通して穴開けし、骨の第2の皮層を出て行ったと判定したことに応答して、ねじまたはドリルビットの駆動を停止することと
を含む、方法。
【請求項13】
ねじまたはドリルビットが骨の第1の皮層に穴開けしたかどうかを判定するステップは、連続するトルク値の第1のペア間の差を第1の閾値と比較することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたかどうか、および
ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているかどうか
のうちの少なくとも1つを判定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法は、ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層の入口点を通して穴開けしたという判定、またはねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているという判定に応答して、平均トルク値を決定することをさらに含み、平均トルク値は、ねじまたはドリルビットが骨の第2の皮層に穴開けしているときに測定されるトルク値を表す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1のトルク値と平均トルク値との差を決定することをさらに含み、第1のトルク値は、トルク制限外科用デバイスによって測定される現在のトルク値である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1のトルク値が平均トルク値よりも小さいという判定に応答して、ねじまたはドリルビットに加えられるトルクの量を制限することをさらに含む、請求項16に記載の方法。