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特開2024-20397触覚アクチュエータ及びそれらの使用の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020397
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】触覚アクチュエータ及びそれらの使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20240206BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20240206BHJP
   G16H 10/65 20180101ALI20240206BHJP
【FI】
A61F7/00 300
A61B10/00 X
A61H23/02 330
G16H10/65
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023194070
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2020520229の分割
【原出願日】2018-09-12
(31)【優先権主張番号】62/571,311
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516106209
【氏名又は名称】エンブル・ラブス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Embr Labs Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・コーエン-タヌギ
(72)【発明者】
【氏名】クリステン・ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・バルク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】触覚アクチュエータを操作して物理的及び/又は熱的感覚をユーザに適用して、主観的な症状の緩和を提供する。
【解決手段】或る実施形態では、一つ以上の検出されたユーザの状態が一つ以上の所定の活性化パラメータと比較されて、ユーザがユーザの疾患に関連する症状の発現を体験していると判別すると、触覚アクチュエータが自動的に活性化され得る。別の実施形態では、触覚アクチュエータが使用の間にユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかった場合、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新し得る。更に別の実施形態では、触覚アクチュエータは、触覚アクチュエータがユーザの疾患に対して症状の緩和を提供するのに用いられるとき、活性化の出来事に基づいて出来事のログを作成し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚アクチュエータを操作する方法であって、
前記方法は
ユーザの一つ以上の状態を検出するステップと、
前記ユーザの前記一つ以上の状態を一つ以上の所定の活性化パラメータと比較して、前記ユーザが、前記ユーザの疾患に関連する症状の緩和を必要とする症状の発現を体験しているかどうかを判別するステップと、及び、
触覚アクチュエータを活性化して前記ユーザに熱的及び/又は物理的感覚を提供し、症状の発現の間に、ユーザが知覚する主観的な症状の緩和を提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザからのインプットに応答して、症状の緩和の間に前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新して望ましい主観的な量の症状の緩和を提供するステップを、更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記症状の発現が前記ユーザの疾患に関連していたことを前記ユーザに確認するステップと、及び、
前記ユーザの前記一つ以上の状態と、前記症状の発現が前記ユーザの疾患に関連していたかどうかとに、少なくとも部分的に基づいて、前記一つ以上の所定の活性化パラメータを更新するステップと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記一つ以上の所定の活性化パラメータは、強化学習プロトコルを用いて更新される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザの疾患を識別するステップを、更に含む、請求項1~4のいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上の所定の活性化パラメータが、前記ユーザの識別された疾患に基づいて初期設定に設定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザの疾患がホットフラッシュである、請求項1~6のいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
出来事のログを作成するための前記触覚アクチュエータの活性化に関する情報を記録するステップを、更に含み、
前記情報は、タイムスタンプ、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、前記ユーザの一つ以上の状態、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、
請求項1~7のいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザの疾患に関連する出来事のログを含む前記情報を遠隔配置のデータベースに送信するステップを、更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
触覚アクチュエータを操作する方法であって、
触覚アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供するステップと、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の軽減を提供したかどうかを判別するステップと、及び、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったならば、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記ユーザの疾患を識別するステップを、更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記一つ以上の操作パラメータを、前記ユーザの識別された疾患に基づいて初期設定に設定するするステップを、更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったと判別される場合、前記ユーザの疾患に基づいて前記一つ以上の操作パラメータに対する一つ以上の推奨される更新を提示するステップを、更に含む、請求項10~12のいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
前記一つ以上の操作パラメータを更新するステップは、前記触覚アクチュエータが望ましい量の主観的な症状の緩和を前記ユーザに提供しなかったと判別された場合、手動で行われる、請求項10~13のいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザの疾患がホットフラッシュである、請求項10~14のいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
触覚アクチュエータを操作する方法であって、
触覚アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供し、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供するステップと、及び、
前記触覚アクチュエータの活性化に関連する情報を記録して、前記疾患に関連する出来事のログを作成するステップであって、前記情報は、タイムスタンプ、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、前記ユーザの一つ以上の状態、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記ユーザからのインプットに応答して、症状の緩和の間に前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新して望ましい主観的な量の症状の緩和を提供するステップを、更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記情報は、前記触覚アクチュエータの前記更新された一つ以上の操作パラメータを含む、請求項16又は17の方法。
【請求項19】
前記情報は、更新される前の前記触覚アクチュエータの前記一つ以上の操作パラメータを含む、請求項16~18のいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
前記情報は、前記タイムスタンプを含む、請求項16~19のいずれか一に記載の方法。
【請求項21】
前記情報は、前記触覚アクチュエータの前記一つ以上の操作パラメータを含む、請求項16~20のいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
前記情報は、前記ユーザの前記一つ以上の状態を含む、請求項16~21のいずれか一に記載の方法。
【請求項23】
前記ユーザの疾患に関連する前記出来事のログを含む遠隔配置のデータベースへ前記情報を送信するステップを、
更に含む、請求項16~22のいずれか一に記載の方法。
【請求項24】
前記情報を記録することは、前記触覚アクチュエータのローカルメモリに前記情報を記録することを含む、請求項16~23のいずれか一に記載の方法。
【請求項25】
前記ユーザの疾患が、ホットフラッシュである、請求項16~24のいずれか一に記載の方法。
【請求項26】
前記触覚アクチュエータの活性化が前記疾患に関連したことを確認するステップを、更に含み、
前記触覚アクチュエータの活性化が前記疾患に関連しなかった場合、前記情報は記録されない、
請求項16~25のいずれか一に記載の方法。
【請求項27】
触覚アクチュエータであって、
ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、
前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
ユーザの一つ以上の状態を検出し、
前記ユーザの前記一つ以上の状態を一つ以上の所定の活性化パラメータと比較して、前記ユーザが、前記ユーザの疾患に関連する症状の緩和を必要とする症状の発現を体験しているかどうかを判別し、及び、
前記一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータを活性化して前記ユーザに熱的及び/又は物理的感覚を提供し、症状の発現の間に、ユーザが知覚する主観的な症状の緩和を提供する
ように構成されている、触覚アクチュエータ。
【請求項28】
前記コントローラは、
前記ユーザからのインプットに応答して、症状の緩和の間に前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新して望ましい主観的な量の症状の緩和を提供する
ように構成されている、請求項27に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項29】
前記症状の発現が前記ユーザの疾患に関連していたことを前記ユーザに確認し、及び、
前記ユーザの前記一つ以上の状態と、前記症状の発現が前記ユーザの疾患に関連していたかどうかとに、少なくとも部分的に基づいて、前記一つ以上の所定の活性化パラメータを更新する
ように構成されている、請求項27又は28に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項30】
前記コントローラは、
前記一つ以上の所定の活性化パラメータを、強化学習プロトコルを用いて更新する
ように構成されている、請求項29に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項31】
前記コントローラは、
前記ユーザの疾患を識別する
ように構成されている、請求項27~30のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項32】
前記一つ以上の所定の活性化パラメータが、前記ユーザの識別された疾患に基づいて初期設定に設定される、請求項31に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項33】
前記ユーザの疾患がホットフラッシュである、請求項27~32のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項34】
前記コントローラは、
出来事のログを作成するための前記触覚アクチュエータの活性化に関する情報を記録するように構成されており、
前記情報は、タイムスタンプ、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、前記ユーザの一つ以上の状態、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、
請求項27~33のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項35】
前記コントローラは、
前記ユーザの疾患に関連する出来事のログを含む前記情報を遠隔配置のデータベースに送信する
ように構成されている、請求項34に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項36】
触覚アクチュエータであって、
ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、
前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
前記熱的及び/又は物理的アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供し、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の軽減を提供したかどうかを判別し、及び、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったならば、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新する
ように構成されている、触覚アクチュエータ。
【請求項37】
前記コントローラは、
前記ユーザの疾患を識別する
ように構成されている、請求項36に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項38】
前記一つ以上の操作パラメータは、前記ユーザの識別された疾患に基づいて、最初、初期設定に設定される、請求項37に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項39】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったと判別される場合、前記ユーザの疾患に基づいて前記一つ以上の操作パラメータに対する一つ以上の推奨される更新を提示する
ように構成されている、請求項36~38のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項40】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータが望ましい量の主観的な症状の緩和を前記ユーザに提供しなかったと判別された場合、前記一つ以上の操作パラメータを手動で更新する
ように構成されている、請求項36~39のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項41】
前記ユーザの疾患がホットフラッシュである、請求項36~40のいずれか一に記載の方法。
【請求項42】
触覚アクチュエータであって、
ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、
前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
前記一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供し、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供し、及び、
前記触覚アクチュエータの活性化に関連する情報を記録して、前記疾患に関連する出来事のログを作成する
ように構成されており、
前記情報は、タイムスタンプ、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、前記ユーザの一つ以上の状態、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、
触覚アクチュエータ。
【請求項43】
前記コントローラは、
前記ユーザからのインプットに応答して、症状の緩和の間に前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新して、望ましい主観的な量の症状の緩和を提供する
ように構成されている、請求項42に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項44】
前記情報は、前記触覚アクチュエータの前記更新された一つ以上の操作パラメータを含む、請求項42又は43の触覚アクチュエータ。
【請求項45】
前記情報は、更新される前の前記触覚アクチュエータの前記一つ以上の操作パラメータを含む、請求項42~44のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項46】
前記情報は、前記タイムスタンプを含む、請求項42~45のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項47】
前記情報は、前記触覚アクチュエータの前記一つ以上の操作パラメータを含む、請求項42~45のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項48】
前記情報は、前記ユーザの前記一つ以上の状態を含む、請求項42~47のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項49】
前記コントローラは、
前記ユーザの疾患に関連する前記出来事のログを含む遠隔配置のデータベースへ前記情報を送信する、
ように構成されている、請求項42~48のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項50】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータのローカルメモリに前記情報を記録する
ように構成されている、請求項42~48のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項51】
前記ユーザの疾患が、ホットフラッシュである、請求項42~50のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項52】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータの活性化が前記疾患に関連したことを確認する
ように構成されており、
前記触覚アクチュエータの活性化が前記疾患に関連しなかった場合、前記コントローラは、前記情報を記録しない、
請求項42~51のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年10月12日出願の米国特許仮出願第62/571311号についての、米国特許法第119条(e)項の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容は全体として参照の上で本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される実施形態は、触覚アクチュエータ及びそれらの使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
触覚アクチュエータは、様々な熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提示して、ユーザが有し得る様々なタイプの疾患に対して症状緩和を提供するのに、用いられ得る。例えば、ホットフラッシュを経験する女性、脳卒中や他のタイプの外傷性脳損傷を伴う個人、及び、或るガンの処置を受ける個人により、熱的異常調節が体験され得る。熱的異常調節と関連する症状を緩和することを助けるべく、触覚アクチュエータが用いられてユーザに冷却間隔を提供し得る。同様に、不安やパニック発作を起こしやすい人物には、個人を落ち着かせる物理的感覚が提供され得る。或るタイプの疾患に対しては、医師は、患者が体験する疾患に関連する、症状の発現のログ、及び/又は、症状の重症度を保持するように指示することがある。疾患の症状をモニタすることは、経験される症状を上手く管理する助けとなるからである。例えば、ホットフラッシュ、パニック発作、若しくは、疾患に関連する他のタイプの症状の発現を、経験したと、患者が認識すると、患者は、評価目的のために事後に医師に提供する、出来事と重症度を日誌にメモをし得る。一方で、特定の疾患が個別の症状の発現を生じない場合には、患者は、1日を通して症状の重症度に関する日誌を保つにすぎないことになる。いずれの場合も、この記録は、特定の疾患の重症度、及び、経時的なその進行についての、より良い理解を医療専門家に提示する助けとなり得る。この情報は、疾患を処置する方法に関する、情報に基づく医学的判断を医師が行う助けとなるだけでなく、体験する症状の重症度を減じる助けにもなり得る、より多くの情報に基づくライフスタイル判断を患者が行う助けにもなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2015054615A1
【特許文献2】WO2016149117A1
【発明の概要】
【0005】
一つの実施形態では、触覚アクチュエータを操作する方法は、ユーザの一つ以上の状態を検出するステップと、前記ユーザの前記一つ以上の状態を一つ以上の所定の活性化パラメータと比較して、前記ユーザが、前記ユーザの疾患に関連する症状の緩和を必要とする症状の発現を体験しているかどうかを判別するステップと、及び、触覚アクチュエータを活性化して前記ユーザに熱的及び/又は物理的感覚を提供し、症状の発現の間に、ユーザが知覚する主観的な症状の緩和を提供するステップとを含む。
【0006】
別の実施形態では、触覚アクチュエータを操作する方法は、触覚アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供するステップと、前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の軽減を提供したかどうかを判別するステップと、及び、前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったならば、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新するステップとを含む。
【0007】
更に別の実施形態では、触覚アクチュエータを操作する方法は、触覚アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供し、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供するステップと、及び、前記触覚アクチュエータの活性化に関連する情報を記録して、前記疾患に関連する出来事のログを作成するステップであって、前記情報は、タイムスタンプ、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、前記ユーザの一つ以上の状態、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、ステップとを含む。
【0008】
更に別の実施形態では、触覚アクチュエータは、ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラとを含む。前記コントローラは、ユーザの一つ以上の状態を検出し、前記ユーザの前記一つ以上の状態を一つ以上の所定の活性化パラメータと比較して、前記ユーザが、前記ユーザの疾患に関連する症状の緩和を必要とする症状の発現を体験しているかどうかを判別し、及び、前記一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータを活性化して前記ユーザに熱的及び/又は物理的感覚を提供し、症状の発現の間に、ユーザが知覚する主観的な症状の緩和を提供する、ように構成されている。
【0009】
別の実施形態では、触覚アクチュエータは、ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラとを含む。前記コントローラは、前記熱的及び/又は物理的アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供し、前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の軽減を提供したかどうかを判別し、及び、前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったならば、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新する、ように構成されている。
【0010】
更に別の実施形態では、触覚アクチュエータは、ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラとを含む。前記コントローラは、前記一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供し、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供し、及び、前記触覚アクチュエータの活性化に関連する情報を記録して、前記疾患に関連する出来事のログを作成する、ように構成されており、前記情報は、タイムスタンプ、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、前記ユーザの一つ以上の状態、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む。
【0011】
前述の概念、及び以下で説明する追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成されてもよい、というのは、本開示はこの点に限定されないからである、ということを理解されたい。更に、本開示の他の利点および新規の特徴は、添付の図と併せて考慮すると、様々な非限定的な実施形態についての、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
本明細書および参照により組み込まれる文献が、矛盾する及び/又は一貫性のない開示を含む場合、本明細書が支配するものとする。参照により組み込まれる二つ以上の文献に、互いに矛盾する及び/又は一貫性のない開示が含まれる場合、発効日が遅い文献が優先される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面は、原寸に比例して書き表すことを意図していない。図面では、種々の図にて示す、個々の同一の若しくは略同一のコンポーネントは、同様の数字にて表され得る。明確さのために、あらゆる図面にてあらゆるコンポーネントがラベル付けされ得るわけではない。
【0014】
図1】単独のコンピューティングデバイス及び/又は遠隔配置のデータベースと通信する、ユーザの手首に配置される触覚アクチュエータの一つの実施形態を示す。
図2】無線コミュニケータ及び一つ以上のセンサを含む、触覚アクチュエータの一つの実施形態を示す。
図3】触覚アクチュエータによりユーザに加えられ得る、一連の熱的パルスの一つの実施形態のグラフを示す。
図4】触覚アクチュエータによりユーザに加えられ得る、一連の圧力パルスの一つの実施形態のグラフを示す。
図5】個人向けの症状の緩和及び自動活性を与え、更にユーザの疾患に関連する出来事の発生のログを記録するための、触覚アクチュエータを操作する方法の、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
患者の一つ以上の疾患に関連する症状の正確なログを保持することには、様々な利点がある。例えば、症状の正確なログは、医療専門家が、適切なタイプの処置及び治療に関する情報に基づいた判断を行うことを可能にする、及び/又は、症状のログに示される有効性に基づいてそれらの処置及び治療に調整を加えることを可能にする、助けとなり得る。症状の正確なログは、患者が、自分のライフスタイルの判断が自分の経験する症状の程度及び重症度と如何に相関性があり得るかを、より良く理解する助けにもなり、よって、患者が、自分の症状を効果的に管理するためにより多くの情報に基づいた行動の判断を行い得る助けになり得る。しかしながら、症状のログでの自己報告に依存することは、様々な不備に悩まされることになる。特に、これらのログは個人に依存した上で、症状の発現の発生を正確に認識すること、及び/又は、経時的に個人の症状の重症度を客観的に評価することの、両方を行う。患者は更に、症状のログ内のそれら出来事を忘れずに記録することもしなければならない。これにより、自己報告の症状ログの正確性と完全性の両方において、損失を生じる。
【0016】
上記のことを考慮した上で、様々な疾患に苦しむ患者に対して、改善された症状の緩和を提供することと、患者及び/又は患者に係わる医療専門家が評価するための症状のログの質及び正確性を向上することとの、両方を行うことが、望ましいことを発明者は認識した。特に、触覚アクチュエータを用いて、ユーザに熱的感覚及び/又は物理的感覚のうちの少なくとも一つを加え、様々な異なるタイプの疾患に対して症状の緩和のためにユーザに所望の主観的感覚を提供し得ることを、発明者は理解する。しかしながら、物理的感覚及び熱的感覚は個別のユーザにとって非常に主観的であることから、患者は自分が体験する物理的感覚及び/又は熱的感覚を自分向けにして、即ち、個々のユーザのための個別のセッティングを作成して、その個別のユーザに対して症状の緩和のために所望の主観的感覚を提供することを、望み得ることを、発明者は認識した。従って、患者に対して個別化された症状の緩和を提供するように、触覚アクチュエータが操作され得ることを、発明者は理解した。更に、個別のユーザのためのこれらの触覚アクチュエータの活性化及び個別化を用いて、疾患の症状の発現の発生と、及び/又は特定の疾患に対してユーザが症状の緩和を要求する回数と、相関性を有し得る、触覚アクチュエータが稼働する際の正確なログ、並びに、更に後で記述するようにユーザが要求するタイプの症状の緩和と関連する、従前には利用できない情報の、両方を提供することができる。この情報は経時的に記録されて、更に後で記述するようにユーザにより経時的に体験される症状の頻度及び/又は重症度についての、より客観的且つ正確なログを作成することができる。
【0017】
一つの実施形態では、触覚アクチュエータは、手動若しくは自動の、いずれかで作動され、ユーザに熱的感覚及び/又は物理的感覚のうちの、少なくとも一つを提供して、該ユーザが苦しむ疾患からの症状の緩和のために、該ユーザに所望の主観的感覚を提供することができる。手動であっても自動であっても、触覚アクチュエータの活性化は、疾患と関連する出来事であると、考えられ得る。従って、触覚アクチュエータの活性化に関連する情報を記録して、触覚アクチュエータの活性化の出来事のログを作成することができる。記録される情報は、任意の適切なタイプの情報と対応し得るが、一つの実施形態では、情報は、アクチュエータが稼働したときのタイムスタンプ、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、及び、ユーザについての一つ以上の感知されたステータス、並びに、それらの組み合わせのうちの、少なくとも一つを含む。
【0018】
上述のように或る実施形態では、ユーザが、疾患から認識される重症度を伴う、特定の症状の発現及び/又は症状を体験しており、該ユーザは症状の緩和を望んでいる、と判断する、触覚アクチュエータのコントローラに応じて、該コントローラは触覚アクチュエータを自動的に稼働し得る。しかしながら、人と人との間の多様性の大きさにより、コントローラは、ユーザが症状の緩和を望む状況を誤認することもある。従って、或る実施形態では、触覚アクチュエータの自動的稼働の後、触覚アクチュエータのコントローラは、ユーザが緩和を欲する症状の発現及び/又は症状をユーザが体験していると、ユーザが確認することを要求し得る。触覚アクチュエータの稼働を所望しなかったと、ユーザが示せば、コントローラは出来事のログ内に該出来事を記録し無くてもよい。この確認は、触覚アクチュエータの操作の前、操作の間、又は操作の後の、いずれかに生じればよく、これにより出来事のログの正確性を増大する助けとなり得る。もちろん、本開示は限定的なものでは無く、特定の出来事の正確性が記録の前に確認されない実施形態も、想定される。
【0019】
上述のように触覚アクチュエータが稼働する際のユーザの疾患に関連する出来事のログを形成するために取得される情報は、医療専門家及び/又はユーザに関連する任意の適切なタイプの情報と、対応し得る。例えば、特定される出来事に関連するタイムスタンプ(例えば、日付及び時間)を単に採ることに加えて、所望の主観的程度の症状の緩和を提供するために触覚アクチュエータを制御すること及び/又は個別化することと関連する、種々のユーザ相互作用は、ユーザが体験する症状の程度及び重症度を定量化するのに用いられ得る、有益なデータも提供し得る。従って、記録され得る一つのタイプの情報は、症状の発現及び/又は症状が体験される時刻、及び/又は、発生する頻度に、洞察を与え得る、作動時間を含む。記録され得る別のタイプの情報は、作動の期間及び/又は作動の程度などの、触覚アクチュエータについての人以上の操作パラメータを含む。例えば、利用の頻度における変動、及び/又は、触覚アクチュエータの作動のための一つ以上の操作パラメータにおける変動は、ユーザが体験する症状の重症度の程度における変動に関連し得る。例えば、増加する利用の頻度、期間、及び/又は、作動の強度は、より重大な症状に関連し得、一方で、減少する利用の頻度、期間、及び/又は、作動の強度は、それ程ひどくない症状に関連し得る。更に後で記述するように、或る実施形態では、触覚アクチュエータは、ユーザの一つ以上のステータス、及び/又は、周囲環境に関連する情報を検知する一つ以上のセンサを含む。これらの検知される、ユーザのステータス及び環境は、触覚アクチュエータが稼働してユーザのための症状の緩和を提供する際に生成される、出来事のログにも含まれ得る。
【0020】
触覚アクチュエータの作動の出来事と関連するログを形成するのに用いるために、本明細書では様々なタイプの情報を示しているが、当然のことながら、本開示は、本明細書に記載の情報のタイプのみに限定されるものでは無い。そうではなく、ユーザ及び/又は医療専門家の関心事である特定の疾患に関連する任意の適切な情報は、触覚アクチュエータの操作の間に記録され、触覚アクチュエータを用いる特定の個人が体験する出来事のログを形成し得る。
【0021】
更に後で記述するように、ユーザが体験する出来事のために記録される情報は、触覚アクチュエータ及び/又は関連するコンピューティングデバイスの、ローカルデバイスに記録されるか、並びに/又は、該情報は、患者及び/若しくは医療専門家に利用しやすい遠隔配置のデータベースに転送されて格納されるか、のいずれかである。例えば、種々の出来事に関連する情報は、触覚アクチュエータのローカルメモリに格納され、続いてスマートホン、タブレット、若しくはコンピュータ等の関連するコンピューティングデバイスに個別に転送され得る。コンピューティングデバイスに格納される情報は、遠隔配置のデータベースに転送され得る。一方で、情報は、初期の検知及び記録プロセスの間に、データベースに直接送信されるに過ぎないものであってもよい。いずれの場合も、触覚アクチュエータに関連する出来事の発生に関連する正確な且つ客観的なログはユーザに症状の緩和を提供するべく稼働し、正確かつ容易に取得され得る。
【0022】
上述の出来事のログは、ユーザ、及び/又は、ユーザに関連する医療専門家に提示され、経時的に症状の重症度及び頻度をモニタする助けとなり得る。出来事の情報についてのこの定量的な記録を用いて、内在する疾患の重症度と相関性を有し得る症状の重症度及び/又は頻度における変動を追跡し得る。よって、ユーザ若しくは医療専門家は、内在する疾患の発生をチャート化し、ユーザに施される処置及び/若しくは治療の有効性をモニタし、並びに/又は、ユーザの毎日の生活で表れるトリガと、体験する出来事を相関させる、更なる情報として、このログを使用し得る。従って、本開示のシステム及び方法を用いて、特定の疾患を伴うユーザが体験する出来事に関連するより正確な且つ客観的な出来事のログを提供し得るのであり、該ログによりユーザ及び該ユーザに関連する医療専門家は、ユーザの疾患を経時的により良くモニタして処置することができる。
【0023】
別の実施形態では、ユーザがユーザの疾患からの症状を体験している際に、ユーザに対して症状の緩和を提供する熱的感覚及び/又は物理的感覚のうちの少なくとも一つを加えるように自動的に作動する触覚アクチュエータを提供することが望ましいことがある。例えば、触覚アクチュエータのコントローラは、ユーザの一つ以上のステータスを感知する一つ以上のセンサに操作可能に結合され得る。感知される一つ以上のステータスは、触覚アクチュエータが少なくとも部分的に緩和するように使用され得る症状を伴う症状の発現をユーザが体験していることを示す、一つ以上の所定の活性化パラメータと、対比され得る。一つ以上のステータスが一つ以上の所定の活性化パラメータと一致し、ユーザが症状を伴う症状の発現を体験している可能性が高いことを示す場合、触覚アクチュエータのコントローラは、触覚アクチュエータを自動的に活性化して、熱的感覚及び/又は物理的感覚のうちの少なくとも一つをユーザに提供し、出来事に対して症状の緩和を提供することができる。
【0024】
特定の疾患は、様々な重症度にて存在する症状を示す。即ち、症状は、個別の機会の間に体験されるに過ぎないというものではない。そうではなく、症状は、主観的に体験され、時間の経過とともに重症度が変化する。これは、ホットフラッシュの間に熱的異常調節を体験する等、個別の機会の間に体験されるに過ぎない症状とは、対照的である。従って、本明細書にて用いるように、ユーザが症状の緩和を望む可能性がある疾患の症状の発現は、その症状の発現の機会の間にのみ存在する症状に関連する、個別の症状の発現と、他の機会にも症状が存在する場合でもその機会に主観的に認識される症状の重症度に基づいてユーザが症状の緩和を望む、要因の組み合わせに対応する症状の発現との、両方に言及し得るものである。例えば、症状の発現は、慢性疼痛、鬱病、不安、高血圧、不眠症、及び/又はスペクトル全体に亘って症状を示す他の疾患の、認識される重症度からの、症状の緩和をユーザが望む場合に、対応し得る。従って、症状の発現は、個別の機会の間に症状を示す疾患のみに限定されないことを、理解されたい。
【0025】
症状を伴う症状の発現を体験したときに様々な被験者が示すユーザのステータスには大きな変動性があるため、その症状の発現に関連する記録を自動的に作成したり、及び/又は、触覚アクチュエータを自動的に作動して症状を緩和したり、するために、ユーザが症状の発現を体験しているときを、正確に識別することは難しいことがある。従って、或る実施形態では、症状の緩和を必要とする症状の発現が発生しているときを、正確に識別するために、特定のユーザに関連する一つ以上の活性化パラメータを個別化することが、望ましい場合がある。そのような一つの実施形態では、ユーザは、ユーザの感知するステータスと、触覚アクチュエータのローカルメモリ内に格納される所定の活性化パラメータとの対比に基づいて、触覚アクチュエータが自動的に作動した後に、症状の緩和を望む症状の発現が生じたか否かを、確認することができる。触覚アクチュエータのコントローラはまた、触覚アクチュエータがユーザによって手動で作動されて自己識別された症状の発現の間に症状を緩和する際に、ユーザの一つ以上の感知されるステータスを少なくとも一時的に、記録することができる。症状の発現の確認の形式の及び/又は手動の作動の形式の、ユーザの入力を、含めることにより、ユーザの一つ以上の感知されるステータスは、その特定のユーザのために症状の緩和を必要とする若しくは必要としない、症状の発現に対応するものとして、特定され得る。症状の発現若しくは非発現などの、分類を含むこれらの一つ以上の検知される状態を使用して、一つ以上の所定の活性化パラメータを更新し、そのユーザのための触覚アクチュエータのコントローラによる症状の発現の識別の精度を向上させることができる。
【0026】
特定のユーザに関連する一つ以上の所定の活性化パラメータの更新は、任意の適切なやり方で行うことができる。例えば、一つの実施形態では、ユーザの感知するステータスが、ユーザが症状の緩和を望む症状の発現の不正確な特定をもたらした場合、ユーザの感知するステータスは、その感知されるステータスの組み合わせに応じて、触覚アクチュエータの作動を逆方向に強化するように、用いられ得る。これに対応して、ユーザが、触覚アクチュエータのコントローラが症状の緩和を望む症状の発現を正確に特定したことを確認する場合、及び/又は、ユーザが、触覚アクチュエータを手動で作動して自己識別の症状の発現の間に緩和を受けるような場合、これらの確認される出来事の間の、ユーザについての、対応する一つ以上の感知されるステータスを用いて、その感知されるステータスの組み合わせに応答して、触覚アクチュエータの作動を正方向に強化することができる。よって、特定のユーザのための症状の緩和を必要とする症状の発現を特定する触覚アクチュエータの正確性は、ユーザがアクチュエータを能動的に使用して、望ましい症状の緩和を提供し、及び/又は、症状の緩和を必要とする自動特定される症状の発現の正確性を確認することによって、改善され得る。
【0027】
上記の実施形態は、特定の出来事に関連するユーザのステータスの組み合わせを識別するための強化学習の使用を説明しているが、本開示はそのように限定されず、他の適切なタイプの学習アルゴリズムを用いることができる。別途の実施形態は、線形回帰、単純ベイズ、K-最近傍(KNN)、ディシジョンツリー、サポートベクターマシン(SVM)、K平均クラスタリング(K-平均 )、相関ルール、Q学習、TD学習、ディープアドバサリネットワーク、及び/又は、本明細書に記載するように、検知されるユーザのステータスを用いて触覚アクチュエータを制御するための、活性化パラメータを適切に更新し得る他の任意の適切なアルゴリズムを、利用することができる。
【0028】
特定の実施形態に応じて、触覚アクチュエータは、症状の緩和を必要とする症状の発現の発生を特定するのに用いられる一つ以上の所定の活性化パラメータのための、及び/又は、症状の緩和のために、ユーザに所望の感覚を提供するのに用いられる操作パラメータのための、初期設定を有し得る。例えば、ホットフラッシュを体験する個人の大部分に対応する胸骨皮膚コンダクタンスは、ホットフラッシュを体験する人々に対する、一つ以上の所定の活性化パラメータのための初期設定として役立ち得る。続いて、一つ以上の所定の活性化パラメータのこれらの初期設定は、上述のような、個別のユーザに対する、症状の発現データの実際に基づいて、正方向に若しくは逆方向に強化され得る。一方で、別の実施形態では、触覚アクチュエータのコントローラは、自己識別される症状の発現に対応すると想定され得る、任意の適切な数の初期の手動による作動の活性化の出来事の間に、ユーザの一つ以上の感知されるステータスを、初期的に記録し得る。続いて、これらの自己識別される症状の発現と、及び、それらの症状の発現の間の触覚アクチュエータについての手動により制御される操作パラメータは、症状の緩和を望むそのユーザの疾患に関連する症状の発現を、そのユーザが特定するため関連付けられる、一つ以上の所定の活性化パラメータ及び/又は操作パラメータを識別するために、並びに、そのユーザに主観的な症状の緩和の望ましいレベルを提供する操作パラメータを決定ために、用いられる初期データセットの基礎を形成し得る。コントローラ、若しくは結合されるコンピューティングデバイスが、所定の操作パラメータを決定するのに用い得る、データ分析の適切な形式には、線形回帰、単純ベイズ、K-最近傍(KNN)、ディシジョンツリー、サポートベクターマシン(SVM)、K平均クラスタリング(K平均)、相関ルール、Q学習、TD学習、ディープアドバサリネットワーク、又は、他の任意の適切なタイプの分析アルゴリズムが含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、症状の緩和を必要とする出来事の発生を特定するのに用いられる触覚アクチュエータの初期設定を設定する他の方法は、他の任意の適切な方法で決定されてもよいことを理解されたい。
【0029】
ユーザの一つ以上の感知されるステータスを、対応する一つ以上の所定の活性化パラメータと比較して、任意の適切な方法でユーザの疾患に関連する症状の発現の発生を特定することができる。例えば、或る実施形態では、一つ以上のステータス及び所定の活性化パラメータは、検出閾値、感知されるステータスに関する信号強度の相対的な増加若しくは減少、感知されるステータスの期間、感知されるステータスの経時的な発生、これらのものの組み合わせ、及び/又は、これらの対象とされる症状の発現の特定を可能にするその他の任意の適切な方法を用いて、比較され得る。例えば、ユーザに対するホットフラッシュの発生は、閾値時間よりも長い間、下限閾値皮膚コンダクタンスよりも大きい胸骨皮膚コンダクタンスを検出することによって、決定され得る。
【0030】
ユーザが有する特定の疾患に応じて、症状の緩和を必要とするユーザの症状の発現を特定するために用いられる、検知されるステータスのタイプ、及び所定の活性化パラメータ、並びにこれらのステータス及びパラメータの値が、変化することを理解されたい。さらに、ユーザの感知されるステータスは、ユーザの生理学的状態及び/又はユーザの感情的状態(例えば、心理的/感情的状態)に対応し得る。例えば、モニタされ得るユーザの状態の非限定的な例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
皮膚温度、皮膚コンダクタンス/皮膚電気活動;心拍数;心拍数変動性/不規則性;血圧;脳/神経活動;呼吸数;全身身体活動レベル;睡眠行動とパターン;酸素飽和度;さまざまな筋肉の電気的活動;音声パターン、顔の表情、ボディランゲージや姿勢などのユーザの観察可能な行動(例:話し声のトーンや抑揚、顔の表情、ボディランゲージ/姿勢は、特定の感情や疼痛を体験するユーザに関連し得る。);ユーザがさらされている環境条件(例:温度および湿度)、ユーザについての自己報告される生理学的及び/又は感情的なステータス(例えば、適切なインタフェースを用いて触覚アクチュエータのコントローラに入力され得る、ユーザの体験する症状の重症度及び/又はユーザの感情的なステータスを示す、ユーザ)、前述のものの組み合わせ、及び/又は、特定の疾患と相関性があり得るユーザのその他の任意の適切なステータス。
上記のものを含む、ユーザのステータスを感知するのに用いられ得る適切なセンサには、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
皮膚温度及び/又は環境温度を測定するための温度センサ(例えば、サーモカップルやサーミスタ);さまざまなストレスレベルを示し得る皮膚電気伝導度を測定するための電気皮膚反応センサ(例えば、皮膚に配置される電極);呼吸数、身体活動レベル、睡眠行動及びパターンなどを測定するための加速度計;いくつかの実施形態では光学分光法を用いることができる光学生理学的センサを用いて、温度、心拍心臓異常、及び血中酸素飽和度などのステータスを感知できる;ホルターモニタ;心電図(ECG)、心拍数や呼吸数を測定するための胸部ストラップセンサ;筋肉の電気的活動を感知する筋電図検査(EMG);一人以上の話者を含み得る音声認識モジュール(例:音声認識分析は、うつ病を含む個人の特定の感情ステータス、及び、個人が苦痛かどうかを、評価できると認識されている。);カメラまたは他の光学検出器を含み得る顔認識及び体位認識モジュール(顔の表情及び体位/言語は、特定の感情ステータスを体験しているユーザと、並びに、個人が痛みを感じているかどうかと、相関性があり得る);前述のものの組み合わせ、及び/又は、ユーザの所望のステータスを検出することができる他の任意の適切なセンサ。
【0031】
発明者らは、触覚アクチュエータが特定の人に対して症状を緩和する能力は、加える刺激がその個人によってどのように知覚されるかに、完全に依存することを認識した。さらに、特に温度感覚に関連するが、人々が触覚をどのように感知するかは、人によって大きく異なる。苦しみをもたらす、人のステータス及び/又は疾患は、その特定の個人が経時的に感覚をどのように知覚するか、を変更し得る体性感覚システムに影響を与える可能性もあります。従って、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータをカスタマイズして、特定の疾患について体験する主観的な緩和を個人化する能力をユーザに与えると、強化された症状の緩和と、経時的に定量的にモニタされ得る、ユーザが体験する症状に対する新しい形式の洞察との、両方が提供される。
【0032】
前述のことから、発明者は、ユーザの疾患に対して、特定の症状の発現に関連する症状の緩和を提供するように触覚アクチュエータが使用されている間、その前、及び/又は、その後の、いずれかにて、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータをユーザが更新できるようにすることに関連する利点を、認識した。例えば、触覚アクチュエータは、任意の適切な入力に応答して、手動で若しくは自動で作動し、ユーザに熱的及び/又は物理的感覚の、少なくとも一つを提供して、ユーザの疾患に対して症状を緩和することができる。続いて、触覚アクチュエータのコントローラは、その個々のユーザの主観的知覚に基づいて、触覚アクチュエータがユーザに望ましい量の症状の緩和を提供したかどうかを判定することができる。これは、触覚アクチュエータ自体、又は、グラフィカルユーザインタフェース若しくは他の適切なタイプのインタフェースを実装するスマートホンやタブレットなどの関連するコンピューティングデバイスによって、ユーザに提供される、例えば、口頭の、音声の、テキストの、グラフィックの、若しくは他の適切なプロンプトを含む、さまざまなやり方で実行され得る。続いて、ユーザは、触覚アクチュエータのコントローラに対して、タッチスクリーン、キーボード、ボタン、慣性測定ユニット(IMU)などのモーション認識センサ、音声認識システム、ジェスチャ若しくは顔の表情を認識するためのイメージングシステム、及び/又は、他の適切なタイプの入力デバイスを含むが、これらに限定されない、任意の適切なタイプの入力デバイスを用いて、望ましい量の症状の緩和が提供されたかどうかを、示すことができる。触覚アクチュエータが望ましい量の症状の緩和を提供しなかったことをユーザが示す場合、ユーザは、以下に説明するような、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新することを許され得る。
【0033】
上述の実施形態は、提供される感覚の主観的知覚が望ましい感覚を提供しなかった、というユーザからの入力を受け取った後に、触覚アクチュエータの操作パラメータが更新される場合に関するものであるが、本開示は、このタイプの入力を受け取った後に、パラメータを更新することのみに、限定されない。例えば、別の実施形態では、ユーザは、触覚アクチュエータの作動および操作の前、最中、及び/又は後を含む、使用中の任意の時点で触覚アクチュエータの操作パラメータを更新して、プロンプトを受け取ることなく症状を緩和することができる。
【0034】
触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新することが望まれる場合、これらのパラメータは、本開示では限定されるものではないので、任意の適切な方法を用いて更新され得る。例えば、一つの実施形態では、ユーザは、任意の適切な入力デバイスを使用して、特定の触覚アクチュエータの操作パラメータの一つ以上を単に手動で調整することができる。一方で、触覚アクチュエータの、コントローラ、若しくは関連するコンピューティングデバイスは、ユーザが、より積極的な若しくはより積極的ではない症状の緩和を望むかどうかを、示すように単にユーザを促すことができる。続いて、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータは、特定のタイプの疾患に対する、様々な量の症状の緩和に関連する操作パラメータの所定のセットを用いて、更新されてもよい。例えば、より積極的な症状の緩和に対する要求は、ユーザに物理的及び/又は熱的刺激の増加を提供することに対応し得、より積極的でない症状の緩和に対する要求は、ユーザへの物理的及び/又は熱的刺激のレベルを低下させることに対応し得る。一つの特定の例では、ホットフラッシュ若しくは他の形式の熱的異常調節に苦しんでいるユーザが、より積極的な冷却感覚を望んでいることを示した後に、冷却についての、より積極的な波形及び/又は程度の増加が提供され得る。或る実施形態では、これらの所定の操作パラメータのセットは、触覚アクチュエータ及び/又は関連するコンピューティングデバイスの、ローカルストレージにプレロードされ得る。一方で、別の実施形態では、特定の疾患に関連する所定の動作パラメータのセットは、更新された操作パラメータの要求時に、遠隔配置されたコンピューティングデバイス若しくはデータベースから、触覚アクチュエータ及び/又は関連するコンピューティングデバイスに、プッシュされ得る。
【0035】
前述のように、触覚アクチュエータの操作パラメータをユーザが更新するのを許可することに加えて、或る例では、症状の緩和の間にユーザに適用される触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを記録することが望ましいことがある。この情報は、触覚アクチュエータのコントローラに関連するメモリ、関連するコンピューティングデバイス、及び/又は、遠隔配置されたデータベースのいずれかに、ローカルに記録され得る。経時的に、これは、ユーザ、及び/又は、ユーザの治療を監視する医療従事者に、ユーザが症状の緩和を所望したユーザの疾患の症状の発現と相関性を持ち得る触覚アクチュエータの活性化に関連する出来事の客観的なログを提供し得る。 この出来事のログに含まれる情報には、ユーザが体験した症状の発生及び/又はや重症度に関連する情報が含まれることがある。例えば、ユーザが体験する症状の重症度についての特定のインジケータは、ユーザが苦しんでいる特定の疾患に応じて変化する可能性があるが、一般的に、より低い大きさの温度及び/又は圧力、適用される温度及び/又は圧力におけるより低い大きさの振動、より短い期間、頻度の低い作動(一回の、毎時の、毎日の、毎週の、又は、毎月のタイムスケール)、及び/又は、あまり積極的でない波形は、重症度の低い症状を示し得る。従って、より大きい温度及び/又は圧力、温度及び/又は圧力におけるより大きい変化、より長い期間、(1時間ごと、毎日、毎週、若しくは、毎月のタイムスケールで)より頻度が高い作動、及び、よりアグレッシブな波形は、より深刻な症状を示し得る。いずれの場合も、要求される操作パラメータの経時的な変化は、ユーザが被り得る様々な刺激と相関性があり得るだけでなく、体験される症状の変化を客観的に評価して、ユーザに与えられる様々な処置及び/又は治療の効果を評価するのに役立ち得る。 例えば、触覚アクチュエータからの、要求される症状の緩和が、頻度及び/又は強度で減少する場合、それは、基礎疾患の改善、及び/又は、特定の処置若しくは治療が基礎疾患の制御に有効であることを、示し得る。
【0036】
以下で詳述するように、触覚アクチュエータは、任意の適切なタイプの操作パラメータを用いて制御されて、物理的刺激及び/又は熱的刺激を用いて所望のタイプの症状を緩和することができる。例えば、適切なタイプの操作パラメータには、波形形状、変化率、パルス強度(即ち、最大印加刺激と最小印加刺激との間の差分)、電力プロファイル、操作の期間、物理的パルス間の休止期間、周波数、ユーザに適用される物理的動きのタイプ、前述の組み合わせ、並びに/又は、適用される物理的及び/又は熱的感覚を調整してユーザに望ましい主観的感覚を提供するための他の適切なタイプの操作パラメータ、を含み得るが、これらに限定されない。
【0037】
一般に、暖かい感覚とゆっくりとしたリズムは、個人によるソーシャルタッチの知覚との関連により、個人をリラックスさせることがわかっている。同様に、冷たい感覚は、感情状態が高まった個人に鎮静効果をもたらすことがわかっている。また、より速いペースのリズムは、それらを体験する人に活力を与える効果を提供し得る。例えば、活力を与える若しくはリラックスを与える暖かさと関連し得る温度の範囲は、35~45℃の間であり得る。冷却の、活力を与える若しくはリラックスを与える感覚に関連し得る温度範囲は、15~30℃の間である。これとは別に、人の生理学的状態に関するリズムの感覚の効果は、参照される生理学的プロセスのペースに対するリズムのペースに依存し、それは、例えば、或る実施形態では、心拍数または呼吸数であり得る。従って、リラックスしたり活力を与えたりするものとして認識されるものは、個々のユーザの安静時心拍数又は呼吸数に依存することがある。呼吸数の場合、成人の平均範囲は毎分12~18呼吸(0.2~0.3Hz)になることがあり、リラクゼーションための、呼吸類似のリズムの例は、毎分10~15呼吸(0.17~0.25Hz)になり得る。心拍数の場合、成人の平均範囲は毎分50~100ビート(0.8~1.7Hz)であり、リラクゼーションのための、心拍類似のリズムの例は、40~80bpm(0.7~1.3Hz)であり得る。逆に、活力を与えるリズムは、0.25~0.33Hz(活力を与える呼吸数)又は1.2~1.8Hz(活力を与える心拍数)となり得る。特定の温度及び周波数が、上記に示されているが、本開示はこのやり方に限定されないので、上記のものよりも、高い及び低い、異なる温度及び/又は周波数の、両方が使用される実施形態も企図されることを、理解されたい。
【0038】
特定のユーザの疾患に関連する症状の制御のための、特定のタイプの刺激の適用の例を、以下に示す。
【0039】
一つの実施形態では、触覚アクチュエータは、冷たい感覚を提供して、熱的不快感を体験することに関連する疾患を伴うユーザに症状の緩和を提供することができる。このような疾患には、閉経;脳卒中若しくは他の外傷性脳損傷;多発性硬化症;様々ながん処置(例えば、前立腺がんおよび乳がんの処置は、熱的調節以上を引き起こす可能性がある);又は、人が熱的調節以上を体験する原因となり得るその他の疾患による、ホットフラッシュに関連する熱的不快感が含まれ得る。触覚アクチュエータが自動的に活性化される実施形態では、これらのユーザのホットフラッシュは、皮膚コンダクタンスを含むパラメータの組み合わせを用いて判定され得る。いくつかの実施形態では、パラメータは、所定の皮膚コンダクタンス閾値より大きい、ユーザの胸骨皮膚コンダクタンスである。
【0040】
別の実施形態では、加熱または冷却感覚を提供する触覚アクチュエータを用いて、強い熱的関連を有する感情の体験に関連する症状を管理するための、感情的緩和を提供することができる。例えば、うつ病、不安、不眠症、怒り、孤独感、及び悲しみは、体験する熱的感覚と強い相関性を有する。振動触覚アクチュエータなどの物理的感覚を適用する触覚アクチュエータは、覚醒状態の上昇に関連する症状を感情的に緩和するのに用いることもでき、この場合、遅いリズムを用いて、副交感神経の反応を促進し個人を落ち着かせることができる。以下の実施形態で詳述するように、高揚した感情状態からの症状の緩和を提供するために熱的感覚と物理的感覚の両方を提供する触覚アクチュエータも、企図される。
【0041】
一つの実施形態では、触覚アクチュエータは、パニック発作を体験するユーザを落ち着かせるために、冷却感覚及び/又はゆっくりとしたリズムの物理的刺激を提供することができる。触覚アクチュエータの自動起動のための、パニック発作の発生は、心拍数のスパイクを使用して判定することができるが、パニック発作の特定を助けるために、他の適切なユーザの状態を代わりに、又は組み合わせて用いることができる。例えば、所与の期間の閾値心拍数の増加よりも高い心拍数の増加は、パニック発作を示している可能性がある。
【0042】
更に別の実施形態では、触覚アクチュエータを用いて、ユーザのうつ病、不安、高血圧症、及び/又は不眠症の、症状を緩和することができる。そのような実施形態では、触覚アクチュエータは、温熱感覚、冷熱感覚、及び/又は、ゆっくりとしたリズムの物理的感覚を提供して、ユーザをリラックスさせることができる。慣性測定ユニット(IMU)を用いて、睡眠中の活動レベルを監視し、不眠症の症状を監視できる。うつ病の症状の増大を監視するために、活動レベル、音声イントネーション、又は皮膚温度の、測定値が用いられ得る。 不安又は高血圧に関する症状は、心拍数、心拍数の変動、血圧、皮膚コンダクタンスなどの、生理学的覚醒の指標に関連し得る。勿論、上記のユーザの状態を組み合わせて用いて、ユーザの対象となる症状についての、信頼できる監視を改善するのを助けることができると理解されたい。
【0043】
更に別の実施形態では、触覚アクチュエータは、例えば、慢性疼痛の最も一般的な形態である慢性首痛を含む、慢性疼痛に関連する症状の緩和を提供することができる。そのような実施形態では、触覚アクチュエータは、温熱感覚及び/又は振動を痛みの部位に加えて、症状を緩和することができる。ユーザの物理的状態、及び慢性疼痛に関する症状の検出には、以下の使用が含まれ得る。局所的な筋収縮の増加を検出するための筋電図検査(EMG); 痛みに関連する体の位置や姿勢を監視するための一つ以上のIMU; 慢性的な痛みがいつ経験されているかを特定するための顔若しくは音声認識;及び/又は、その他の適切なユーザの状態。自律性覚醒の一般的な測定はまた、慢性疼痛の体験に関する生理学的情報(例えば、心拍数、心拍数の変動、皮膚コンダクタンス)を提供し得る。
【0044】
ユーザの疾患、及び関連するユーザの状態の、特定の組み合わせが上記で説明されているが、本開示は、本明細書で説明される疾患及びユーザの状態の、それら組み合わせのみに限定されない。よって、上記のユーザの状態は、本明細書で開示される一つ以上の他のユーザの状態と組み合わせて、又はそれらと置き換えて、症状の緩和が望まれ得る症状の発現のより正確な特定を提供し得る。例えば、上記のユーザの状態の一つ以上を、ユーザの感情状態の判別、ユーザが晒されている温度や湿度などの環境条件、及び/又は、他の適切なユーザの状態と組み合わせることが、ユーザが特定の疾患の症状を主観的にどのように体験するか、についてのより完全な理解を提供する助けとなり得る。更に、ファクタのこの組み合わせにより、特定の個人がその状態の組み合わせに晒されたときに症状の緩和を望むかどうかのより正確な判定が可能になり得る。
【0045】
いくつかの例では、触覚アクチュエータは、任意の数の異なるタイプのユーザの疾患に使用し得る。そのような環境では、触覚アクチュエータは、様々なタイプのユーザの状態を判定するための、複数の標準センサ及び/又はインプットを含み得る。そのような実施形態では、触覚アクチュエータのコントローラは、利用可能なユーザの状態を全て検出し、検出されたユーザの状態と、症状の緩和を望み得る症状の発現との間の適切な相関関係が、ユーザが症状の緩和のために触覚アクチュエータの使用を継続するに当たり経時的に本明細書で説明する適切なアルゴリズムを用いて、判定され得る。例えば、特定のユーザの状態のインプットと特定の疾患の症状の発現との相関が殆ど無い、とコントローラが判定するならば、触覚アクチュエータの所定の活性化パラメータは、これらのユーザの状態を殆ど、若しくは全く強調しないように、逆方向に強化され得る。逆に、特定のユーザの状態が、ユーザが症状の緩和を望む症状の発現との強い相関を示すとコントローラが判定するならば、コントローラは、触覚アクチュエータの所定の活性化パラメータ内部での、それらのユーザの状態の使用を正方向に強化し得る。よって、特定の疾患に関連するユーザの状態に応じて、触覚アクチュエータを認識し活性化するのに用いられるにつれて、複数の異なる疾患に対する症状の緩和を提供するのに用いられ得る汎用触覚アクチュエータのコントローラを、再構成することができる。
【0046】
上記の実施形態では、コントローラ又は結合されたコンピューティングデバイスが、これらの所定の操作パラメータを判定するのに用いられ得る、適切な形式のデータ分析には、線形回帰、ナイーブベイズ、K-最近傍(KNN)、ディシジョンツリー、サポートベクターマシン(SVM)、K-平均クラスタリング(K-平均)、相関ルール、Q-ラーニング、時間差、ディープアドバサリネットワーク、若しくは、その他の適切なタイプの分析アルゴリズムが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で用いるように、触覚アクチュエータは、ユーザの疾患の症状を緩和する目的で、ユーザが知覚できる熱的及び/又は物理的感覚を生成するように構成されたデバイスを指し得る。熱的感覚及び物理的感覚は、ユーザの皮膚に加えられる圧力及び/又は温度の感知に適用されるので、接触覚を通じてユーザが知覚する感覚に対応し得る。触覚アクチュエータの適切なタイプには、以下が含まれるが、これらに限定されない。熱電材料や抵抗発熱素子など様々な熱技術を使用した熱的アクチュエータ;振動触覚アクチュエータ;圧力カフ(例えば、電気活性ポリマー及び/若しくは膨張可能な空気袋を含むバンド);可変剛性及び可変インピーダンスアクチュエータなどの機械的ストローク及び/若しくは愛撫アクチュエータ;並びに/又は、ユーザに所望の物理的及び/若しくは熱的刺激を加えることができる任意の他の適切なタイプのデバイス。
【0048】
触覚アクチュエータによって提供される感覚は、ユーザの身体の静的な場所にて適用されてもよく、及び/又は、触覚アクチュエータは、触覚アクチュエータが配置されるユーザの一部に対して移動する感覚を適用してもよい。例えば、触覚アクチュエータからの感覚は、直線往復運動で、回転運動で、及び/又は、ユーザの身体の一部に対する他の任意の適切なタイプの運動で、移動し得るコンポーネントを使用して、ユーザに適用され得る。 この望ましいタイプの運動を提供するのに用いられ得る、特定の例のコンポーネントには、偏心回転質量モータ、線形共振アクチュエータ、圧電ドライバ、ソレノイドドライバ、及び/又は、触覚トランスデューサーが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
ユーザに熱的刺激を提供するのに用いられ得る触覚アクチュエータの一つの特定の例、並びに、その操作方法は、2014年10月10日出願の国際特許出願PCT/US2014/060100、2016年3月11日出願の国際特許出願PCT/US2016/022105に記載されており、これらの各々の開示は、その全体が参照の上で本明細書に組み込まれる。
【0050】
上述のように、触覚アクチュエータは、ユーザが主観的に知覚する熱的及び物理的感覚に対する身体の自然な応答を活用することにより、様々な異なるユーザの疾患に対して、精神生理学的な緩和を提供し得る。熱的及び/又は物理的刺激を用いて所望の程度の症状の緩和を提供する触覚アクチュエータの制御に関連付けられ得る様々な操作パラメータは、加熱及び/若しくは冷却の大きさ(即ち、温度の変化の大きさ)、加えられる圧力の大きさ、温度変化及び/若しくは圧力変化の頻度(遅いリズムの圧力対高周波振動)、温度及び/若しくは圧力の変化率、適用されるプロファイルの個別サイクルの間の温度及び/若しくは圧力の変化 、適用される波形の形状、並びに/又は、本開示のように限定されない任意の他の適切な操作パラメータを、含み得るが、それらに限定されない。
【0051】
いくつかの特定のタイプの触覚アクチュエータを上記で説明しているが、特定のタイプの疾患に対して症状を緩和するように構成された触覚アクチュエータは、物理的刺激及び/又は熱的刺激の任意の所望の組み合わせをユーザに提供し得ることを理解されたい。従って、触覚アクチュエータは、熱的刺激のみ、物理的刺激のみ、及び/又は、本開示のように限定されない熱的及び物理的刺激の組み合わせを、ユーザに提供し得る。
【0052】
上記に加えて、触覚アクチュエータが症状を緩和するように意図する特定の疾患に応じて、触覚アクチュエータは、ユーザの身体の様々な部位に近接して配置され得る任意の数の様々なウェアラブルコンポーネントに組み込まれ得る。例えば、触覚アクチュエータは、衣料品(例えば、スカーフ、ネックレス、シャツ、ドレス、パンツ、ショートパンツ、手袋、靴下など)、身体の一部に着用し得るバンドまたはスリーブ(例えば、アームバンド、リストバンド、ブレスレット、足首のブレスレット、レギンス、コンプレッションスリーブなど)、及び、ユーザの身体の所望の部位に近接する触覚アクチュエータを保持できる他の任意の衣服又は他の構成に、組み込むことができる。これに対して、触覚アクチュエータは、ユーザの腕、手首、胸部、首、胴体、腰、脚、足首、及び/又は、本開示のように限定されない、ユーザの身体の他の任意の適宜の部位を含む、ユーザの身体の任意の数の様々な部位に近接して、配置および維持され得る。
【0053】
前述のように、クエリ及び/又は他のアウトプットをユーザに表示するための、並びに、ユーザからのインプットを受信するための、ユーザインタフェースは、様々な数の方法で提供され得る。例えば、ディスプレイ及び/又はユーザインプットデバイスを含むユーザインタフェースは、触覚アクチュエータと統合されてもよく、並びに/又は、触覚アクチュエータが有線若しくは無線通信のいずれかである、独立のコンピューティングデバイスに含まれてもよい。よって、ユーザインタフェースは、コンピュータ、スマートホン、タブレット、タッチパッド、キーボード、ディスプレイ、スピーカ、マイクロホン、慣性測定ユニット(IMU)、上記の組み合わせ、又は、他の適切な構成を含み得る。一つの或る実施形態では、IMUを用いて、デバイスに加えられるタップ及び/又はユーザのジェスチャをモニタして、開始作動、終了作動、所望のパラメータの増減、クエリに応答して「はい」若しくは「いいえ」を示すこと、及び/又は、他の任意の適切なタイプの入力などの、触覚アクチュエータへの入力を、提供することができる。例えば、触覚アクチュエータを1回タップすると、触覚アクチュエータからのクエリに「はい」と表示され、触覚アクチュエータを2回タップすると、クエリに「いいえ」と表示されてもよいが、他のジェスチャも様々なタイプのインプットに用いられ得る。
【0054】
本明細書で用いられるように、エレメント、コンポーネント、層、及び/又は、表面が「近接する」と称される場合、それは直接近接してもよく、または介在するエレメント、コンポーネント、層、及び/又は、表面が存在してもよい。別のエレメント、コンポーネント、層、及び/又は、表面に「直接近接する」層若しくはコンポーネントは、介在するエレメント、コンポーネント、層、及び/又は、表面が存在しないことを意味する。
【0055】
本明細書で説明する複数の実施形態は、触覚アクチュエータと、関連するコンピューティングデバイス及び/又は遠隔配置のデータベースのうちの一つ若しくは複数との間の、通信を提供するのに用いられる無線コミュニケータを指す。無線コミュニケータは、無線周波数(RF)、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi、若しくは、他の任意の適切な無線通信プロトコルを使用して通信するデバイスを含む、触覚アクチュエータが無線で通信することを可能にする、任意の適切なデバイス若しくはコンポーネントに対応し得る、ということを理解されたい。しかしながら、ここで開示する触覚アクチュエータ及び操作の方法は、無線通信を含むデバイスと共に使用されることのみに限定されないことを理解されたい。例えば、触覚アクチュエータは、外部通信無くスタンドアロンで使用するように設計することも、接続されたコンピューティングデバイス若しくはデータベースへの(及び/又は、からの)定期的なダウンロードやアップロードに用い得る一つ以上の通信ポートを含めることも、可能である。
【0056】
続いて図面を参照して、特定の非限定的な実施形態を、更に詳細に説明する。本開示は本明細書に記載の特定の実施形態のみに限定されず、これらの実施形態に関して記載する様々なシステム、コンポーネント、特徴、及び方法は、個別に及び/又は任意の所望の組み合わせで、使用できる、ということを理解されたい。
【0057】
図1は、熱的及び/又は物理的刺激の少なくとも一つをユーザに提供して、ユーザの疾患に対して症状を緩和するのに、用いられ得る触覚アクチュエータ100の一つの実施形態を示す。図示する実施形態では、触覚アクチュエータは、ユーザ102の手首に装着されるブレスレットの形式である。しかしながら、前述のように、触覚アクチュエータは、ユーザの身体の任意の適切な部位に近接して配置され得るのであり、更に、触覚アクチュエータをユーザの身体の望ましい位置に維持し得る任意の適切な衣服若しくはその他のコンポーネントに統合し得る。或る実施形態では、触覚アクチュエータは、ユーザインタフェースとして機能し得る独立のコンピューティングデバイス10と無線通信するものであり、或る例では、触覚アクチュエータのコントローラと無線通信する。例えば、ユーザは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、ボタン、キーパッド、若しくは、コンピューティングデバイスに設けられる他の適切なインタフェースを用いて、触覚アクチュエータを活性化し、更には、ユーザが体験している症状の発現の間に症状を緩和し、触覚アクチュエータの操作に関するプロンプトに応答し、及び/又は、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを調整することができる。
【0058】
上述のように、或る実施形態では、触覚アクチュエータを用いてユーザの疾患に関する出来事に対して症状を緩和する場合には、様々なタイプの情報を記録することが望ましいことがある。そのような実施形態では、触覚アクチュエータ100、及び/又は、触覚アクチュエータが通信しているコンピューティングデバイス10は、遠隔配置のデータベース12へ(若しくは、から)、情報を送信及び/又は受信することができる。例えば、遠隔配置のデータベースは、触覚アクチュエータを使用する特定のユーザの治療と処置を監督する医師によって維持されるデータベースと関連し得る。したがって、触覚アクチュエータの操作に関する情報、例えば、タイムスタンプ、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、ユーザについての一つ以上の状態、それらの組み合わせ、及び/又は、出来事の間の触覚アクチュエータの操作に関する、他の任意の適切なタイプの情報は、触覚アクチュエータ及び/又はコンピューティングデバイスのローカルメモリに記録され、その後、遠隔配置のデータベースへ送信されてもよい。或いは、本開示はそのように限定されず、情報は、独立して記録された出来事のログをローカルメモリ上に維持することなく、遠隔配置のデータベースに単に送信されてもよい。更に、或る実施形態では、情報は、遠隔配置のデータベースに送信されなくてもよく、代わりに、触覚アクチュエータ及び/又はコンピューティングデバイスのローカルメモリに記録されるに過ぎない、というものでもよい。
【0059】
図2は、触覚アクチュエータ100の概略の実施形態を示す。図示する実施形態では、触覚アクチュエータは、筐体102と、触覚アクチュエータをユーザの身体の所望の部位に近接して維持するように構成されるバンド104とを含む。筐体内部では、触覚アクチュエータは、触覚アクチュエータが近接して配置されるユーザの身体の関連する部分に熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成され得る一つ以上の熱的若しくは物理的アクチュエータ106を含み得る。触覚アクチュエータは、一つ以上の熱的若しくは物理的アクチュエータに、操作可能に結合するコントローラ108を含む。触覚アクチュエータは又、コントローラに操作可能に結合する一つ以上のセンサ110を含み得る。センサは、前述のように、ユーザの一つ以上の状態を感知するように構成されている。一つ以上のセンサは、ハウジング100の内部に含まれるものとして示されているが、或る実施形態では、一つ以上のセンサは、ハウジングの外部に配置され得、ユーザの特定の状態を感知するために身体の異なる部位に配置することもできる。触覚アクチュエータは又、コントローラに操作可能に結合する電池112及び無線コミュニケータ114を含み得る。
【0060】
上記の実施形態に示す触覚アクチュエータはバンドを含むが、触覚アクチュエータは、前述のように、任意の他の適切なタイプの着用可能なデバイス、コンポーネント、又は衣服に、組み込まれ得ることを理解されたい。
【0061】
所望のタイプの症状の緩和を提供するために、触覚アクチュエータは、様々なタイプの熱的刺激を提供することができる。ユーザの身体の対応する部位に適用できる熱プロファイルの特定の一実施形態を、図3に示す。図示するグラフでは、触覚アクチュエータの温度は、触覚アクチュエータが配置される表面の、初期温度と比較して示されている。明確にするために、図示する実施形態は、触覚アクチュエータが配置される表面の対応する温度よりも高い温度を示す(すなわち、触覚アクチュエータは、加熱感覚を提供する)。しかしながら、本開示はこの方法に限定されない。例えば、触覚アクチュエータは、表面の対応する初期温度よりも低い温度を適用して、ユーザに冷却感覚を提供するように操作されてもよい。更に、加熱感覚と冷却感覚の両方が、表面の初期温度より高い温度と低い温度の両方で交互に適用される実施形態も考えられる。
【0062】
図に概略的に示すように、熱プロファイルは、ランププロファイル部分及び/又は一つ以上の交互の熱プロファイル部分、すなわち一つ以上の熱パルスを含む、一つ以上の部分を有し得る。例えば、熱プロファイルは、ランププロファイル部分(領域I)を含む第1の部分と、触覚アクチュエータの温度が少なくとも第1のより高い温度と第2のより低い温度との間で周期的に変化する交互の熱プロファイル部分(領域II)を含む第2の部分とを、含み得る。或る実施形態では、交互の熱プロファイル部分は、単位時間当たりに加えられる熱パルスの数に対応する平均周波数f1、平均温度Tavg、及び、振動ウィンドウTowを、有し得る。振動ウィンドウは、所与の交互の熱プロファイルに対する最高温度と最低温度との間の差異である。平均温度Tavgは、温度の時間平均に等しいものであり、よって、第1のより高い温度と第2のより低い温度との間の温度の増加率と減少率が異なるかどうかに依存して、及び/又は、熱パルスに関連する一定の温度部分があるかどうかに依存して、変化し得る。
【0063】
上記の熱プロファイルについての記載と同様に、図4は、ユーザの身体の対応する部位に適用される圧力プロファイルの一つの可能な実施形態を、概略的に示している。圧力プロファイルは、ランププロファイル部分及び/又は一つ以上の交互の圧力プロファイル部分、即ち、一つ以上の圧力パルスを含む、一つ以上の部分を有し得る。例えば、圧力プロファイルは、ランププロファイル部分を含む第1の部分(レジームI)と、触覚アクチュエータの圧力が少なくとも第1のより高いと第2のより低い圧力との間で周期的に変化する交互の圧力プロファイル部分(レジームII)を含む第2の部分を含み得るが、特定の実施形態に拠っては、第2のより低い圧力は、ゼロ圧力(すなわち、休止期間)若しくは第1の圧力よりも低い中間圧力であってもよい。或る実施形態では、交互の圧力プロファイル部分は、単位時間当たりに加えられる圧力パルスの数に対応する平均周波数f、平均圧力Pavg、及び、振動ウィンドウPowを、有し得る。振動ウィンドウは、所与の交互の圧力プロファイルに対する最大圧力と最小圧力との間の差異である。平均圧力Pavgは、圧力の時間平均に等しいものであり、よって、第1のより高い圧力と第2のより低い圧力との間の圧力の増加率と減少率が異なるかどうか、及び/又は、圧力パルスに関連する一定の圧力部分があるかどうかに依存して、変化し得る。
【0064】
上記の図は、鋸歯状の温度と圧力とのプロファイルを示しているが、これらのプロファイルは例示を目的としたものであり、触覚アクチュエータの操作の間に適用される実際のプロファイルは任意の所望のタイプの波形を示し得ることを、理解されたい。例えば、特定の熱及び/又は圧力パルスは、実質的に線形、非線形、指数(例えば、指数増殖、指数減衰)、多項式(二次、三乗など)、不規則(例えば、区分的関数に続くもの)、正弦波、またはその他の適切な変動を示す、プロファイルを、有し得る。熱又は圧力プロファイルはまた、一つ以上のパルスに関連する一つ以上の一定の温度又は圧力部分を含み得る。そのような実施形態では、熱パルス又は圧力パルスは、温度及び/又は圧力が所定の持続時間における値に維持される一つ以上の部分を含み得る。パルスのこの一定のセクションは、パルスの最大、最小、及び/又は、中間の温度若しくは圧力にて、適用されてもよい。そのような実施形態では、圧力プロファイルは、第1のより高い圧力と第2のより低い圧力との間でユーザに加えられる圧力の、周期的な、実質的に段階的な変化を含み得る。更に、周期的に加えられるパルスの間の、温度及び圧力の変化率は、パルスにおける増大部分と減少部分との間で等しいものとして図に示されているが、本開示はこの形式に限定されない。具体的には、加えられる熱パルスおよび圧力パルスは、温度又は圧力の上昇中にて、及び温度又は圧力の低下中にて、変化率に異なる大きさを示し得る。例えば、熱パルスは、所望の最大温度まで急速に増加し、その一方で、熱パルスは、比較的遅い速度でより低い温度に冷却されることがあり、逆もまたあり得る。周期的な熱パルスと圧力パルスについて上記で説明したが、勿論、本開示は周期的な感覚を適用することのみに限定されないので、或る実施形態では、触覚アクチュエータが一つ以上の温度又は圧力を、周期的では無く、所定の期間にて適用および保持するに過ぎない、というものであってもよい。
【0065】
上記に基づいて、触覚アクチュエータによってユーザに適用される熱的感覚及び/又は物理的感覚を制御するのに用いられ得る操作パラメータの例示的な例には、適用される圧力と温度の、波形形状、変化率、大きさ/強度;最大及び最小の適用温度又は圧力(即ち、振動ウィンドウ);周期周波数;作動期間;並びに、前述の組み合わせが、含まれ得るが、これらに限定されない。触覚アクチュエータが、ユーザの身体の部位に対して熱的又は物理的感覚が適用される位置を移動できる場合(例えば、回転し、線形に移動し、及び/又は、その他動作する、移動可能な圧力アクチュエータ及び/又は熱アクチュエータが、ユーザの身体に対して、移動し得る場合)、触覚アクチュエータの操作パラメータは又、熱及び/又は圧力アクチュエータがユーザの身体の関連する部分に対して動き得る、パターン及び/又は周波数を含み得る。
【0066】
図5は、触覚アクチュエータを操作し、触覚アクチュエータの作動に基づいて判定される出来事に関する情報を記録して、ユーザに対して症状を緩和する方法の一つの実施形態を示す。明確にするために、図示する方法は、触覚アクチュエータのコントローラに関連して説明する。しかしながら、触覚アクチュエータが通信する関連コンピューティングデバイスが、以下に記載の一つ以上のステップを実行し得る実施形態も、想定されている。
【0067】
ユーザが最初に触覚アクチュエータを受け取ると、触覚アクチュエータのコントローラは、ユーザが有する疾患を識別し、ユーザが症状の緩和を望み得る症状の発現を識別するのに用いられ得る様々な操作パラメータ及び所定の活性化パラメータを初期化し得る。ステップ200を参照されたい。例えば、ユーザは、どの特定疾患を有するかを、インプットすることが、又は、GUIに示されるリストから選択することが、できる。触覚アクチュエータの操作パラメータ及び/又は所定の活性化パラメータのためのこれらの初期設定は、同じ疾患を有するユーザの母集団に対して、若しくは管理された状況下で評価された患者の標準的グループに対して、適切な程度の症状の緩和と、症状の発現を識別する正確さとを、提供するために判定された設定に、対応する。一方で、或る実施形態では、特定の触覚アクチュエータは、特定の疾患での使用のために構成されており、したがって、最初の操作の前に特定のユーザの疾患を具体的に識別しない場合がある。
【0068】
通常の操作の間、触覚アクチュエータのコントローラは、ステップ202にてユーザが触覚アクチュエータの操作を手動で開始したかどうかを判定し得る。ユーザは、ボタン、キーパッド、タッチパッド、ジェスチャ認識、音声コマンドを含む適切なユーザインタフェースを使用して、更には、スマートホンやタブレットなどの対のコンピューティングデバイス、若しくはその他の適切なインタフェースの使用を介して、触覚アクチュエータの操作を手動で開始し得る。ユーザが手動でアクチュエータの操作を開始した場合、操作はステップ208に進み、そこで触覚アクチュエータは、一つ以上の操作パラメータを用いて、症状を緩和するためにユーザに所望の熱的及び/又は物理的感覚を加える。ユーザが触覚アクチュエータの操作を手動で要求しなかった場合、コントローラは、コントローラに関連する一つ以上のセンサがユーザの一つ以上の状態を判定するステップ204に進み得る。ここでも、ユーザのこれらの状態は、前述のように一つ以上のセンサを用いて判定でき、及び/又は、ユーザは、触覚アクチュエータとの適切なインタフェースを用いて、自己報告の生理学的状態及び/又は感情状態などの、自己報告のユーザの状態に関するインプットを提供し得る。例えば、ユーザは、体験した症状の重症度及び/又はユーザの感情状態を示し得る。一つ以上のユーザの状態が判定されると、コントローラは、前述の比較方法のいずれかを用いて、一つ以上のユーザ状態を一つ以上の所定の活性化パラメータと比較して、症状の緩和が望まれ得る、識別された疾患に関連する症状の発現をユーザが体験しているかどうかを判定し得る。ステップ206を参照されたい。ユーザの感知された状態が、症状の緩和が望まれ得る疾患に関連する症状の発現を体験しているユーザと、一致する場合、ステップ208にて、コントローラは、触覚アクチュエータの操作を自動的に開始して、ユーザに熱的及び/又は物理的感覚を加えて症状を緩和し得る。しかしながら、ユーザの感知された状態が所定の活性化パラメータと一致しない場合、コントローラは触覚アクチュエータの手動の活性化をモニタし続け、更には、ユーザの識別された疾患に関連する症状の発現をユーザが体験しているかどうかを判定し続け得る。
【0069】
或る例では、活性化の際にユーザに適用される熱的及び/又は物理的感覚は、ユーザが感じるような主観的な感覚を提供するものではなく、望ましい強度の症状の緩和を提供する。従って、触覚アクチュエータのコントローラは、ステップ210において、ユーザが、操作の間に触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新して、適用される感覚を変更して、そのユーザによって知覚される所望の量の症状の緩和を提供し得るように構成され得る。勿論、ユーザは、触覚アクチュエータの活性化の出来事の前後の両方で、操作パラメータを変更することができるが、本開示は必ずしもそのようには限定されないことを理解されたい。
【0070】
或る実施形態では、ユーザに症状の緩和を提供する触覚アクチュエータの操作の前、操作の間、若しくは、操作後に、即ち、触覚アクチュエータ起動された出来事の後、出来事に関連するタイムスタンプのうちの一つ若しくは複数、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータ、ユーザの一つ以上の感知された状態、及び/又は、前述の組み合わせを記録して、出来事のログを提供することができる。ステップ212を参照されたい。この場合も、この情報は、 触覚アクチュエータと関連するメモリ、触覚アクチュエータと対になっているコンピューティングデバイス、及び/又は、遠隔配置のデータベースに、記録されてもよい。
【0071】
或る実施形態では、ユーザの特定の疾患に関連する症状の緩和を必要とする症状の発現を識別する際の、触覚アクチュエータのコントローラの精度を改善するために、コントローラは、コントローラによって識別される症状の発現が実際に発生したかどうかを、確認し得る。具体的には、一つの実施形態では、ステップ214にて、触覚アクチュエータのコントローラが、ユーザの一つ以上の検出状態に基づいて触覚アクチュエータの操作を自動的に開始したならば、コントローラは、ステップ216にて、症状の発現が正確に識別されたかどうかを確認し得る。コントローラは、適切な形式の問い合わせとユーザからの対応するインプットを用いて、ユーザにこれを確認し得る。ステップ218にて、コントローラがユーザの疾患に関連する症状の発現を正確に識別したことを、ユーザが肯定的に示す場合、つまり、肯定的な確認を示す場合、又は、症状を緩和するための触覚アクチュエータの操作をユーザが手動で開始した場合、ここでそれは症状の発現の確認としても採られ得るのであるが、その場合、触覚アクチュエータのコントローラは、症状の発現の間でのユーザの一つ以上の判定された状態により、出来事を識別するのに用いられる一つ以上の所定の活性化パラメータを、正方向に強化し得る。ステップ220aを参照されたい。対照的に、ステップ218にて、コントローラが疾患に関連する症状の発現を誤って識別したことを、ユーザが示す場合、つまり、否定的な確認を示す場合、触覚アクチュエータのコントローラは、出来事が誤って識別されたときの一つ以上の判別された状態により、一つ以上の所定の活性化パラメータを逆方向に強化し得る。ステップ220bを参照されたい。一方で、コントローラが症状の緩和を必要とする症状の発現を正しく識別したかどうかを、ユーザが確認しない場合、コントローラは、その操作サイクルの間にて強化を変更すること無く、所定の活性化パラメータの現在のセットを維持し得る。従って、特定のユーザに対して症状を緩和するために、触覚アクチュエータの使用を増やすならば、触覚アクチュエータを起動して症状を緩和することが望ましいような症状の発現を、ユーザが体験しているかどうかを、判定するのに用いられる所定の活性化パラメータのセットを、個人化し更にはより正確なものにすることに、繋がり得る。強化学習プロトコルについて上記で説明したが、手動による開始及びユーザからの症状の発現の確認によって提供される更なる情報を用いて、出来事の識別の正確さを向上させるのに役立ち得る、他の適切なプロトコルを用いることができると、理解されたい。
【0072】
上記のように、触覚アクチュエータを用いて、適切な量の症状の緩和の適用を改善するのを助けるために、或る実施形態では、ユーザが触覚アクチュエータの操作を個人化して所望の程度の症状の緩和を提供できるようにすることが、望ましい場合がある。従って、ステップ222に示すように、或る実施形態では、触覚アクチュエータのコントローラは、触覚アクチュエータの操作が、最新の活性化の出来事の間に、即ち、ユーザが症状の緩和を望んだ対応する症状の発現の間に、所望の量の症状の緩和を提供したかどうかを示すべく、任意の適切なインタフェースを用いてユーザからのインプットを要求し得る。 触覚アクチュエータが所望の量の症状の緩和を提供したことをユーザが示す場合、コントローラは、触覚アクチュエータの現在の操作パラメータを単に維持し、ステップ202に戻り、次の活性化を待つ。
【0073】
上記とは対照的に、ステップ222にて、触覚アクチュエータが所望の量の症状緩和を提供しなかったことをユーザが示す場合、コントローラは、以下で説明する将来の操作サイクルの間にて用いるために、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを調整することができるステップ224に進み得る。触覚アクチュエータの操作パラメータを更新した後、コントローラは、ステップ202に戻って処理を再び開始し得る。
【0074】
症状を緩和するための触覚アクチュエータの操作パラメータの調整は、触覚アクチュエータの操作の間でも操作の後でも行われてよく、更に任意の適切な方法で行われてよい。例えば、一つには、ユーザは、適切なインタフェースを用いて、触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを、単に手動で調整してもよい。別の実施形態では、ユーザは、所定の異なる操作パラメータのセットの中から選択して、様々な強度の熱的及び/又は圧力感覚を適用して、その個別のユーザに対して、所望の主観的な症状の緩和を提供することができる。さらに別の実施形態では、ユーザは、触覚アクチュエータによって提供される症状の緩和の強度が増加または減少することを望むことを単に示すことができる。そのような実施形態では、触覚アクチュエータのコントローラは、多少の積極的な熱的及び/又は圧力プロファイルを単に選択して、所望の主観的な量の症状の軽減を提供することができる。これらの実施形態の両方において、これらの所定の操作パラメータのセットは、触覚アクチュエータのコントローラにローカルに格納されてもよく、及び/又は、操作パラメータを更新して、要求される量の感覚をユーザに提供するように要求する、触覚アクチュエータのコントローラから要求が受信されると、遠隔配置のコンピューティングデバイス及び/又はデータベースからコントローラに押し出されてもよい。従って、ユーザは、触覚アクチュエータの使用を継続するに連れて、触覚アクチュエータの操作を個人化して所望の主観的な量の症状の緩和を提供し得るようになる。
【0075】
本明細書で説明する技術についての上記の実施形態は、多数の方法のいずれかで実装することができる。例えば、前記実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを用いて実装されてもよい。ソフトウェアで実装する場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピューティングデバイスで提供されるか、複数のコンピューティングデバイス間で分散されるかに関係なく、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサのコレクションで実行できる。そのようなプロセッサは、CPUチップ、GPUチップ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、若しくはコプロセッサなどの名前で当該技術分野にて周知である市販の集積回路コンポーネントを含む、集積回路コンポーネントの一つ以上のプロセッサにより、集積回路として実装され得る。一方で、プロセッサは、ASICなどのカスタム回路、若しくはプログラマブルロジックデバイスを構成することから生じるセミカスタム回路で実装されてもよい。更に別の代替として、プロセッサは、市販されているか、セミカスタムかカスタムかに関わらず、より大きな回路または半導体デバイスの一部であってもよい。具体的な例として、市販のマイクロプロセッサには、それらのコアの一つまたはサブセットがプロセッサを構成できるように複数のコアを持っているものもある。但し、プロセッサは、任意の適切なフォーマットの回路を用いて実装されてもよい。
【0076】
更に、コンピューティングデバイスは、ラックマウントコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、若しくはタブレットコンピュータなど、複数の形態のいずれでも実施され得ることを理解されたい。更に、コンピューティングデバイスは、一般にコンピューティングデバイスとは見なされないが、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートホン、タブレット、若しくは他の任意の適切な携帯型または固定型電子デバイスを含む適切な処理能力を備えている、デバイスに組み込まれ得る。
【0077】
また、コンピューティングデバイスは、一つ以上のインプット及びアウトプットデバイスを有し得る。これらのデバイスは、特に、ユーザインタフェースを表示するために用い得る。ユーザインタフェースを提供するのに用い得るアウトプットデバイスの例には、アウトプットを視覚的に表示するための表示画面と、アウトプットを聴覚的に示すためのスピーカ若しくは他のサウンド生成デバイスが含まれる。ユーザインタフェースに使用し得るインプットデバイスの例としては、キーボード、個別のボタン、並びに、マウスや、タッチパッドや、デジタル化タブレットなどのポインティングデバイスがある。別の例として、コンピューティングデバイスは、音声認識を介して、または他の可聴フォーマットで、インプット情報を受け取ることができる。
【0078】
そのようなコンピューティングデバイスは、ローカルエリアネットワーク、又は、エンタープライズネットワークやインターネットなどのワイドエリアネットワークを含む、任意の適切な形態の一つ以上のネットワークによって相互接続され得る。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づくものであり、任意の適切なプロトコルに従って動作することができ、無線ネットワーク、有線ネットワーク、若しくは光ファイバーネットワークを含むことができる。
【0079】
また、本明細書で概説する様々な方法若しくは処理は、様々なオペレーティングシステム若しくはプラットフォームのいずれか一つを採用する一つ以上のプロセッサで実行可能なソフトウェアとしてコード化され得る。更に、そのようなソフトウェアは、複数の適切なプログラミング言語、及び/又は、プログラミング若しくはスクリプトツールの、いずれかを用いて記述でき、更に、フレームワークまたは仮想マシンで実行される実行可能マシン言語コードまたは中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0080】
この点において、本明細書で説明する実施形態は、一つ以上のコンピュータ若しくは他のプロセッサで実行されると、上述の様々な実施形態を実装する方法を実行する一つ以上のプログラムでエンコードされた、コンピュータ可読記憶媒体(又は、複数のコンピュータ可読媒体)(例えば、コンピュータメモリ、一つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、RAM、ROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイスの回路構成、又は、その他の有形のコンピュータ記憶媒体)として、具現化され得る。前述の例から明らかなように、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的な形式でコンピュータ実行可能命令を提供するのに十分な時間、情報を保持し得る。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、その上に格納されたプログラムが一つ以上の様々なコンピューティングデバイス若しくは他のプロセッサにロードされて、前述の本開示の様々な態様を実装できるように、可搬式であってもよい。本明細書で用いられる場合、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、製造物(即ち、製造品)若しくは機械と見なすことができる非一時的なコンピュータ可読媒体のみを包含する。代替的に、若しくは追加的に、本開示は、伝播信号などの、コンピュータ可読記憶媒体以外のコンピュータ可読媒体として具現化されてもよい。
【0081】
「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、本明細書では一般的な意味で用いられ、コンピューティングデバイス若しくは他のプロセッサをプログラムして前述のような本発明の様々な態様を実装するのに採用され得る、任意のタイプのコンピュータコード若しくはコンピュータ実行可能命令のセットを指す。更に、この実施形態の一態様によれば、実行さると本開示の方法を実施する一つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピューティングデバイス若しくはプロセッサ上に常駐する必要はなく、本開示の様々な態様を実装するための複数の様々なコンピュータ若しくはプロセッサの間で、モジュール方式で分散されてもよいことを理解されたい。
【0082】
コンピュータ実行可能命令は、一つ以上のコンピュータ若しくは他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどの、多数の形式であり得る。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりする、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で必要に応じて組み合わせたり分散したりすることができる。
【0083】
本明細書で説明する実施形態は、例が提供されている方法として具現化されてもよい。方法の一部として実行される行為は、任意の適切なように順序付けられ得る。従って、例示の実施形態では順次の行為として示されているが、行為が例示とは異なる順序で実施される実施形態を構築することができ、それらは複数の行為を同時に実施することを含み得る。
【0084】
更に、一部の行為は「ユーザ」が執るものとして説明されている。「ユーザ」は単一の個人である必要はなく、或る実施形態では、「ユーザ」に起因する行為は、個人のチームによって、及び/又は、コンピュータ支援ツール若しくは他のメカニズムと組み合わせた個人によって、実施されてもよいことを理解されたい。
【0085】
例:ホットフラッシュのための、症状の軽減とロギングの提供
【0086】
更年期のホットフラッシュの重症度は、ライフスタイルの要因(ストレス、アルコール、食事)に関連している可能性があるので、ホットフラッシュをロギングすることで、閉経を体験している女性、若しくは熱的調節異常を体験する疾患を伴う他の個人が、知覚されるホットフラッシュの強度の増加に寄与している生活上の要因をよりよく理解できるようになる。更に、ホットフラッシュの発生の正確な記録は、医師が個人に最も適した処置の種類を最もよく決定できるようにするための手段となり得る。現在、胸骨皮膚コンダクタンスは、ホットフラッシュの検証された生理学的尺度であると考えられている。しかしながら、一部の研究では、報告されたホットフラッシュの4分の1までは、皮膚コンダクタンスにおける測定値の増加をもたらさなかった。更に、胸骨皮膚コンダクタンスの変化の大きさは、ホットフラッシュの知覚される強度と、殆ど相関性が無い。従って、医師は、更年期の症状としてホットフラッシュを体験している人に関する主観的なデータを収集するための体系的なアプローチを提供するために、患者がホットフラッシュの日記を手動で入力し続けることを、推奨する。しかしながら、これらの手動での日記は、自己申告を複雑にする様々な要因により、過多または過少の報告になりがちである。
【0087】
上記とは対照的に、触覚アクチュエータを用いると、ユーザが体験するホットフラッシュに対して冷却の緩和を提供できる。冷却感覚はホットフラッシュに対して症状の緩和を提供する一般的に推奨される方法であるため、そのようなデバイスは現在推奨されている治療法に適合する。しかしながら、従来の治療法とは異なり、触覚アクチュエータを用いると、症状の緩和に加えて、ホットフラッシュの発生と重症度をモニタすることもできる。例えば、触覚アクチュエータは、各冷却セッションのタイムスタンプ、各冷却セッションの継続時間、各冷却セッションの選択された強度、及び、一日の冷却セッションの数を、記録することができる。この情報は、特定のユーザが体験したホットフラッシュの包括的なログを提供するために、触覚アクチュエータのオンボードメモリ、関連するコンピューティングデバイス、及び/又は、遠隔配置のデータベースに記録さ得る。この記録に含まれる情報は、触覚アクチュエータ自体、若しくは関連するコンピューティングデバイスのいずれかによって処理され、及び/又は、リモートで処理され、着用者の血管運動の症状の行動記録として機能する定量的情報を提供する。次に、この情報は、症状の特徴付けと管理のためのツールとして、ユーザ、及び/又は、関連する医師に提示され得る。
【0088】
本開示は、様々な実施形態および例に関連して説明されているが、本開示がそのような実施形態や例に限定されることは意図されていない。それどころか、当業者には理解されるように、本開示は、様々な代替、修正、および均等物を包含する。従って、前述の説明及び図面は、例示に過ぎない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚アクチュエータであって、
ユーザに熱的及び/又は物理的刺激を加えるように構成された一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータと、及び、
前記一つ以上の熱的及び又は物理的アクチュエータに操作上結合するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
前記熱的及び/又は物理的アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供し、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供したかどうかを判別し、及び、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供することの判別に基づいて、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新する
ように構成されている、触覚アクチュエータ。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったならば、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新する
ように構成されている、
請求項1に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記ユーザの疾患を識別する
ように構成されている、請求項1に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項4】
前記一つ以上の操作パラメータは、前記ユーザの識別された疾患に基づいて、最初、初期設定に設定される、請求項3に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったと判別される場合、前記ユーザの疾患に基づいて前記一つ以上の操作パラメータに対する一つ以上の推奨される更新を提示する
ように構成されている、請求項2に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記触覚アクチュエータが望ましい量の主観的な症状の緩和を前記ユーザに提供しなかったと判別される場合、前記一つ以上の操作パラメータを手動で調整する
ように構成されている、請求項2に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項7】
前記一つ以上の熱的及び/又は物理的アクチュエータが、前記ユーザの身体に装着されるように構成された熱電材料を含み、
前記熱的及び/又は物理的感覚が、前記熱電材料によって適用される少なくとも一つの熱的パルスを含む、
請求項1~6のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項8】
前記望ましい量の主観的な症状の緩和が前記ユーザに提供されたかの判別は、治療セッション終了後に前記ユーザから受信されるインプットに基づくものである、
請求項7に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項9】
前記一つ以上の操作パラメータが、少なくとも一つの前記熱的パルスの最大若しくは最小の適用温度、少なくとも一つの前記熱的パルスの温度変化の周波数、少なくとも一つの前記熱的パルスの大きさ、及び、少なくとも一つの前記熱的パルスの温度変化率、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、
請求項7~8のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項10】
前記ユーザの疾患がホットフラッシュである、請求項1~9のいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザの疾患が不安である、請求項1~9のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項12】
前記ユーザの疾患がストレスである、請求項1~9のいずれか一に記載の触覚アクチュエータ。
【請求項13】
触覚アクチュエータを操作する方法であって、
触覚アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供するステップと、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の軽減を提供したかどうかを判別するステップと、及び、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供することの判別に基づいて、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
触覚アクチュエータを操作する方法であって、
触覚アクチュエータを作動させて熱的及び/又は物理的感覚をユーザに提供して、ユーザの疾患に対して、ユーザによって知覚される主観的な症状の緩和を提供するステップと、
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の軽減を提供したかどうかを判別するステップと、及び、
前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新するステップが、前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったならば、前記触覚アクチュエータの一つ以上の操作パラメータを更新することを
含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザの疾患を識別するステップを、更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記一つ以上の操作パラメータを、前記ユーザの識別された疾患に基づいて初期設定に設定するするステップを、更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記触覚アクチュエータが前記ユーザに望ましい量の主観的な症状の緩和を提供しなかったと判別される場合、前記ユーザの疾患に基づいて前記一つ以上の操作パラメータに対する一つ以上の推奨される更新を提示するステップを、更に含む、請求項13~16のいずれか一に記載の方法。
【請求項18】
前記一つ以上の操作パラメータを更新するステップは、前記触覚アクチュエータが望ましい量の主観的な症状の緩和を前記ユーザに提供しなかったと判別される場合、手動で行われる、請求項13~17のいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
前記触覚アクチュエータが、前記ユーザの身体に装着されるように構成された熱電材料を含み、
前記熱的及び/又は物理的感覚が、前記熱電材料によって適用される少なくとも一つの熱的パルスを含む、
請求項13~18のいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
前記熱的及び/又は物理的感覚が、前記望ましい量の主観的な症状の緩和を前記ユーザに提供したかどうかの判別は、治療セッション終了後に前記ユーザから受信されるインプットに基づくものである、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記一つ以上の操作パラメータが、少なくとも一つの前記熱的パルスの最大若しくは最小の適用温度、少なくとも一つの前記熱的パルスの温度変化の周波数、少なくとも一つの前記熱的パルスの大きさ、及び、少なくとも一つの前記熱的パルスの温度変化率、から成るグループから選択される少なくとも一つを含む、
請求項19~20のいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
前記ユーザの疾患がホットフラッシュである、請求項13~21のいずれか一に記載の方法。
【請求項23】
前記ユーザの疾患が不安である、請求項13~21のいずれか一に記載の方法。
【請求項24】
前記ユーザの疾患がストレスである、請求項13~21のいずれか一に記載の方法。
【外国語明細書】