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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002040
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】モジュール、及び時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/06 20060101AFI20231228BHJP
   G04B 19/12 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G04B19/06 S
G04B19/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100990
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】下野 勉
(72)【発明者】
【氏名】長澤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】高梨 知幸
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 通
(57)【要約】
【課題】文字板を構成する文字板部材と装飾部材が干渉することを防止できる、モジュール及び時計を提供する。
【解決手段】一形態にかかるモジュールは、ベース板31と、ベース板31の第1領域の一方側の面に接合される中間板33と、ベース板31の第1領域とは異なる第2領域の一方側に接着層34を介して貼付けられ、中間板33の一方側の面との間に隙間Gを形成して、ベース板31及び中間板33の一方側に配置される、カバー板32と、を有する、文字板27を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板と、
前記ベース板の第1領域の一方側の面に接合される中間板と、
前記ベース板の前記第1領域とは異なる第2領域の一方側に接着層を介して貼付けられ、前記中間板の前記一方側の面との間に隙間を形成して、前記ベース板及び前記中間板の一方側に配置される、カバー板と、
を有する、文字板を備える、モジュール。
【請求項2】
前記カバー板は、前記中間板と積層される領域において、可視光を透過可能に構成された透過窓を複数有する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記ベース板及び前記カバー板の対向面の少なくともいずれかに、前記中間板が配される凹部が形成される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記中間板は脆性部材であり、
前記脆性部材は、貝、ガラス、サファイア、炭化珪素、水晶、石、ソーラーパネルのいずれかを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記文字板の中心に軸孔が形成され、
前記軸孔に配置される指針軸と、前記指針軸に支持され、前記文字板の一方側に配置される指針と、を備える指針部を備え、
前記ベース板の、前記中間板が対向配置されない領域の少なくとも3箇所に、前記接着層が設けられる、請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記ベース板の前記第2領域の一方側に設けられた前記接着層は、平面視して、前記ベース板の周方向において所定の間隔を隔てて少なくとも3箇所に設けられる、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記中間板は第1中間板と第2中間板とを含み、
前記3箇所に設けられた前記接着層は、平面視して、前記第1中間板と前記第2中間板との間、及びサブ表示部とサブ表示部との間に設けられる、請求項5に記載のモジュール。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のモジュールと、
前記モジュールを収容する収容部を有する時計ケースと、
を備える、時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール、及び時計に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計等の表示部において、文字板に、貝や石等で構成された割れやすい部材を配する構成が知られている。また、複数の文字板部材を積層して文字板を構成し、複数の文字板部材の間に、割れやすい部材を配置する構成も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-107940号公報
【発明の概要】
【0004】
複数の板状部材で割れやすい部材を挟む構成において、例えば表側の文字板部材が衝撃などにより変形あるいは変位すると、割れやすい部材に負荷がかかり、割れやすい部材が損傷する虞がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、文字板を構成する板部材と割れやすい部材が干渉することを防止できる、モジュール及び時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態にかかるモジュールは、ベース板と、前記ベース板の第1領域の一方側の面に接合される中間板と、前記ベース板の前記第1領域とは異なる第2領域の一方側に接着層を介して貼付けられ、前記中間板の前記一方側の面との間に隙間を形成して、前記ベース板及び前記中間板の一方側に配置される、カバー板と、を有する、文字板を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、文字板を構成する文字板部材と装飾部材が干渉することを防止できる、モジュール及び時計を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る時計の構成を示す平面図。
図2】同時計の一部の構成を示す断面図。
図3】同時計のモジュールの一部の構成を示す斜視図。
図4】同文字板の構成を示す断面図。
図5】第1実施形態に係るモジュールの製造方法を示す説明図。
図6】同モジュールの製造方法を示す説明図。
図7】第2実施形態に係る文字板の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる時計1の構成について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、各図において、適宜構成を拡大、縮小、省略して概略的に示す。
【0010】
図1は時計1の構成を示す平面図、図2は時計1の一部の構成を示す断面図である。図3は時計1の時計モジュール20(モジュール)の一部である文字板27の構成を示す斜視図、図4は文字板27の断面図である。図5及び図6はモジュールの製造方法を示す説明図である。
【0011】
例えば時計1は、一方向の一方側であってカバー40の外面が向く方を表側とし、一方向の他方側であって裏蓋12の表面が向く方を裏側として、説明する。例えば時計1は裏側の外面が、装着対象である腕に対向する姿勢となる。
【0012】
図1及び図2に示すように、時計1は、例えば腕時計であり、外郭を構成する時計ケース10と、時計ケース10内に設けられる時計モジュール20と、時計モジュール20の表側を覆うカバー40と、を備える。また、時計1は、時計ケース10の外周部の2箇所に接続される時計バンド50や、時計ケース10の外周に配された複数のスイッチ60を備える。
【0013】
時計ケース10は、円形状に構成され時計モジュール20の外周部に配されるケース体11と、時計モジュール20の裏側に配置される裏蓋12と、外装ケース13と、を有する。
【0014】
ケース体11は外周部において互いに対向する2箇所、例えば6時と12時の位置に、それぞれ時計バンド50が取付けられるバンド取付部を備える。
【0015】
ケース体11は円環状に構成され、内部に時計モジュール20等を収容する収容部を形成する。ケース体11の内周縁には、補強部材や見切部材が配置される。また、ケース体11の裏面側の縁部には溝が形成され、この溝に裏蓋12との間を気密にする防水リングが装着されている。
【0016】
外装ケース13は円形の枠状に構成され、ケース体11の外周の表側に設けられている。外装ケース13は、ビス等の接続部材によってケース体11に固定されている。
【0017】
時計ケース10は、ケース体11及び裏蓋12によって、時計モジュール20が配置される収容部を構成する。ケース体11の表側の開口は、カバー40によって覆われる。
【0018】
図2に示すように、時計モジュール20は、文字板27や複数の指針部28a~28eを有し時刻等の各種情報を表示する表示部21と、表示部21を動作させるムーブメント24と、ムーブメント24に接続されるICやアンテナ等の電子部品を搭載した回路基板25と、電池26と、を備える。時計モジュール20は他にソーラー基板やその他の時計機能に必要な各種部品を備えていてもよい。
【0019】
例えば表示部21は、アナログ方式の表示部であり、文字板27と、複数の指針部28a~28eと、を備える。表示部21は、デジタル表示機能を備える液晶表示パネル等を有するデジタル方式の表示部であってもよい。
【0020】
例えば本実施形態において、表示部21は、時刻を表示するメイン表示部21aと、曜日や24時間表示等のサブ情報を表示する複数のサブ表示部21b~21eと、日付を表示する日付表示部21fと、を有し、例えば1つの文字板27に、メイン表示部21a及び複数のサブ表示部21b~21eを構成する指針部28a~28eが配置される軸孔32a、31dや、日付表示開口32fが配置される。
【0021】
図3及び図4に示すように、文字板27は、下文字板であるベース板31と、上文字板であるカバー板32と、中間板33と、備える多層構造である。例えば文字板27は、ベース板31とカバー板32との間に、中間板33が挟まれる積層構造を有する。
【0022】
ベース板31は、金属材料または樹脂材料により、円板状に構成される。ベース板31の中心部には、メインの指針部28aの指針軸38aが通る貫通孔である軸孔31aが形成される。
【0023】
ベース板31は表側に配される中間板33に対向する領域において表面の一部が段差を介して裏側に変位する複数の凹部31bを有する。凹部31bはベース板31の表面よりも裏側に退避した底面を有する座繰りである。凹部31bは、中間板33の積層方向の一部分を収容する。一例として本実施形態において、中間板33は、文字板27のうち、12時と6時を結ぶ線を基準として、時計1の3時側となる半分の飾り領域に、設けられる。凹部31bは、飾り領域に形成される。例えば凹部31bは、後述する接着層34を避けた位置に配置され、一例として中心から3時の位置を結ぶラインを挟んで2箇所にそれぞれ形成される。例えば一方の凹部31bのうち、他方の凹部31bに対向する周縁部は、後述する第2接着部34bと重なる位置を避けるように、他方の凹部31bから退避する退避部を有する。
【0024】
また、ベース板31の所定箇所には、複数のサブ表示部21b~21eを構成する複数のサブ表示板31cが形成される。一例として本実施形態において、時計1の12時、6時、9時、8時の位置に、ベース板31よりも小径の円形の面を有するサブ表示板31cがそれぞれ設けられる。複数のサブ表示板31cは一部が連続して配置されていてもよい。各サブ表示板31cは後述するカバー板32の表示用開口32dに配置される。各サブ表示板31cの中心には、指針部28b~28eの指針軸38b~38eが通る貫通孔である軸孔31dがそれぞれ形成される。
【0025】
ベース板31において、所定箇所に、日付表示部21fが配置される日付用開口31fが形成される。例えば日付用開口31fは時計1の3時の位置に設けられる。
【0026】
ベース板31の表面には、複数の接着部34a~34dを有する接着層34が設けられる。接着層34は、一例として、ベース板31の、凹部31b以外であって、かつ、中間板33が対向配置されない領域の少なくとも3箇所に設けられる。例えば接着層34は、ベース板31の中心部に加えて、中心部よりも外周側における3箇所に、それぞれ設けられる。
接着層34は凹部31b以外の表面であって、透過窓32cや中間板33が配置される飾り領域とは、異なる位置に、設定される。一例として、接着層34は、本実施形態においては2箇所2分割された飾り領域の間の位置と、指針軸の位置と、飾り領域とは反対側の半分の領域の2箇所、合計4箇所の、第1接着部34a、第2接着部34b、第3接着部34c及び第4接着部34dを有する。複数の接着層34である、第1接着部34a、第2接着部34b、第3接着部34c及び第4接着部34dは、中間板33がカバー板32の印刷層322と接触しないようにするリブの役目をしている。
【0027】
第1接着部34aはベース板31の中心部において、軸孔31aの周囲に設けられる。第2接着部34bは、第1接着部34aと時計1の3時の位置の日付用開口31fとを結ぶラインの中間位置に、設けられる。例えば第2接着部34bは、飾り領域に配置された2つの中間板33である第1中間板33aと第2中間板33bとの間、即ち、2分割された飾り領域の間の領域に設けられる。第3接着部34cは、時計1の6時と9時の間であってサブ表示部21cとサブ表示部21eとの間に設けられる。第4接着部34dは、時計1の9時と12時との間であって、サブ表示部21dとサブ表示部21bとの間の領域に設けられる。
【0028】
各接着部34a~34dは、一方の主面がベース板31に接着され、他方の主面がカバー板32に接着される両面接着テープである。例えば接着部34a~34dは、ベース板31とカバー板32との間の寸法を規定する所定の高さを有する。
【0029】
例えば接着層34の厚さは、中間板33を張り付ける中間接着層35と中間板33の厚さの合計から、凹部31bの深さを差し引いた厚さよりも、大きく構成される。すなわち、凹部31bに配置された中間板33が、カバー板32に干渉せず、カバー板32が撓み変形などにより変位する寸法よりも大きい隙間が形成される厚さ寸法に設定する。
また、各接着テープは例えば矩形状、あるいは周辺の部材との位置関係によって形状を適宜設定できる。
【0030】
カバー板32は、金属材料または樹脂材料により、円形の板状に構成される。カバー板32は、ベース板31の一方側に接着層34を介して貼付けられる。カバー板32は中間板33との間に隙間Gを形成して、ベース板31及び中間板33の一方側に配置される。カバー板32は、例えば、樹脂等で構成され、可視光を透過する透明層321と、透明層321の裏面に形成された例えば有色の印刷層322と、を備える。なお、カバー板32の構成はこれに限られるものではなく、透明層321の表面側から見て、透明層321の裏面に形成された有色の印刷層322が見える構成であれば、透明層321は1枚の有色の板状部材で構成されていてもよい。
【0031】
カバー板32の中心部には、メインの指針部28aの指針軸38aが通る軸孔32aが形成される。カバー板32の外周部には時刻の指標となる複数の見切り部材32bが設けられる。
【0032】
カバー板32は、中間板33に対向する領域において、可視光を透過可能に構成された複数の透過窓32cを有する。透過窓32cは、中間板33と積層される領域に形成され、可視光を透過可能に構成される。
【0033】
透過窓32cは、カバー板32の裏面側において印刷層322が形成されないスリット状の透過領域によって構成される。すなわち透過窓32cは透明に構成された部位であり、表側から透過窓32cを介して中間板33の表面を見ることができるように構成されている。一例として本実施形態において、12時と6時を結ぶ線を基準として、時計1の3時側となる半分の領域に、複数の透過窓32cが設けられる。
【0034】
また、カバー板32の所定箇所には、複数のサブ表示板31cがそれぞれ配置される複数の表示用開口32dが形成される。表示用開口32dはサブ表示板31cの外形に対応する開口であり、一例として本実施形態において、時計1の12時、6時、9時に対応する3箇所に、設けられる。
【0035】
カバー板32において、所定箇所に、日付表示部21fが配置される日付表示開口32fが形成される。例えば日付表示開口32fは時計1の3時の位置に設けられる。
【0036】
カバー板32は、ベース板31に接着層34を介して貼付けられ、中間板33の一方側の面との間に隙間Gを形成して、ベース板31及び中間板33の一方側に対向配置される。
【0037】
中間板33は、装飾部材である。中間板33は、例えば貝、薄い石、ガラス、サファイア、炭化珪素、水晶、ソーラーパネルなどの割れやすい部材、即ち脆性部材であり、所定の厚さを有する板状に構成される飾り板である。本実施形態において、一例として2つの中間板33が設けられる。中間板33は、凹部31bと同形状の外形を有するとともに凹部31bの底板に接着テープなどの中間接着層35を介して接着により接合される。例えば中間板33は、時計の12時と6時を結ぶ線を基準として、時計1の3時側となる半分の領域において、2箇所にそれぞれ設けられる。中間板33は、ベース板31に固定され、カバー板32との間に隙間Gを有して、カバー板32と離間する。例えば隙間Gは、時計1の使用時において想定される所定の衝撃が印加されたときに、カバー板32が変形しても、中間板33に干渉しない寸法に設定される。
【0038】
複数の指針部28a~28eは、文字板27に形成される複数の軸孔31a、31dに配置される回転可能な指針軸38a~38eと、指針軸38a~38eに支持される複数の指針39a~39eと、をそれぞれ備える。
【0039】
一例として本実施形態においてはメインの軸孔32aに配置されるメインの指針部28aの他、サブの指針部28b~28eを備える。指針部28b~28eは、それぞれのサブ表示板31cの軸孔31dに配置される指針軸38b~38eと指針軸38b~38eに支持される1以上の指針39b~39eと、を備える。各指針39a~39eは時針や分針、秒針である。指針部28a~28eはそれぞれ伝達機構を介して文字板の裏側に設けられたムーブメント24に接続され、運針動作可能に構成される。
【0040】
カバー40は、例えばSiO2ガラス等の無機ガラス等で形成された透明な部材である。例えばカバー40は透明な円板形状の時計ガラスであり、時計モジュール20の表側に配され、時計モジュール20を覆う。例えば、カバー40はケース体11の表側の開口の内周縁に支持される。カバー40の外周とケース体11の内周縁の間にはパッキンが介装される。
【0041】
時計バンド50は、時計ケース10の外周の対向する2箇所にそれぞれ接続される、一対のバンド部材やバックル等の連結機構を備える。
【0042】
スイッチ60は、例えばケースの外周部に設けられ、操作者の押し込み操作により、時計モジュール20のモード切替や時刻修正などを行う。
【0043】
以下、モジュールの製造方法について図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6はモジュールの製造方法における文字板27の組付け方法を示す。
【0044】
文字板27の組付け方法としてまず、図5に示すようにベース板31の凹部31bに、両面接着テープ等の中間接着層35を配置し、中間板33を貼り付ける。そしてベース板31上の、中間板33とは異なる位置に両面接着テープ等の接着層34を配置し、表側にカバー板32を貼り付ける。
【0045】
以上により、中間板33は互いに接着されたベース板31とカバー板32との間に挟まれて支持される。このとき、複数の透過窓32cが中間板33上対向して配置されることで、カバー板32の表側から、透過窓32cを透過して、中間板33を視認することができる。
【0046】
以上のように構成された時計モジュール20及び時計1によれば、ベース板31及びカバー板32を、間に中間板33を挟んで接着し、カバー板32と中間板33との間に隙間Gを形成することができる。したがって、中間板33とカバー板32との干渉を回避でき、割れなどの破損を防止できる。また、中間板33が配置される座繰を有する凹部31bを設けることで、中間板33を含む多層の文字板としても、薄型化が可能となる。さらにカバー板32を透明層321と印刷層322とで構成し、裏側の印刷層322の表面と中間板33の表面との段差が、カバー板32の表面と中間板33の表面との段差よりも少ない構成としたため、表側から見た際に、カバー層の表側の位置と中間板33の表面の位置との差による影響を抑え、より螺鈿細工に近い外観を実現できる。
【0047】
また、複数の窓部に渡る大きさの中間板33を設ける構成としたため、例えば多数の小さい飾り部材をちりばめて個々に設置するよりも、工程数が少なく、製造が容易となるのに加え、剥がれを防止する効果も得られる。
【0048】
また、接着層34の一部である第2接着部34bを、中間板33が設けられる飾り領域内の内側に設けたことで、接着部34bから中間板33の外周縁までの距離を短くして、カバー板32の撓み量を減少させることができるため、中間板33とカバー板32の干渉防止効果を向上できる。
【0049】
なお、上述した実施形態は例示であり、発明の範囲を限定するものではない。
【0050】
例えば表示部21はメインの表示部21aの他に複数のサブ表示部21b~21eや日付表示部21fを有する例を示したが、これに限られるものではない。例えばサブ表示部21b~21eや日付表示部21fの一部または全部を省略してもよい。またアナログの表示部を例示したが、これに限られるものではなく、デジタルの表示部であってもよい。
【0051】
上記実施形態においては時計の3時側となる半分の領域に飾り用の中間板33及び透過窓32cを配置した例を示したがこれに限られるものではない。例えば飾り用の中間板33及び透過窓32cが配置される飾り領域を9時側の領域に設けてもよいし、全面に設けてもよく、あるいは他の領域に設けてもよい。
【0052】
例えば上記実施形態においてはベース板31に凹部31bを設けた例を示したが、これに限られるものではない。例えば第2実施形態として図7に示す文字板27Aのように、カバー板32の対向面に、凹部32gを設けてもよい。この場合にあっても凹部がない場合と比べて、文字板27を薄型に構成できる。
【0053】
また、ベース板31とカバー板32の配置を変えてもよく、例えば表面側にベース板31を配置し裏側にカバー板32を配置してもよい。この場合、中間板33が表側のベース板31に接着され、裏側のカバー板32との間に隙間Gを空けて配置されることで、中間板33とカバー板32との干渉を防止できる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記]
[1]
ベース板と、
前記ベース板の第1領域の一方側の面に接合される中間板と、
前記ベース板の前記第1領域とは異なる第2領域の一方側に接着層を介して貼付けられ、前記中間板の前記一方側の面との間に隙間を形成して、前記ベース板及び前記中間板の一方側に配置される、カバー板と、
を有する、文字板を備える、モジュール。
[2]
前記カバー板は、前記中間板と積層される領域において、可視光を透過可能に構成された透過窓を複数有する、[1]に記載のモジュール。
[3]
前記ベース板及び前記カバー板の対向面の少なくともいずれかに、前記中間板が配される凹部が形成される、[1]に記載のモジュール。
[4]
前記中間板は脆性部材であり、
前記脆性部材は、貝、ガラス、サファイア、炭化珪素、水晶、石、ソーラーパネルのいずれかを含む、[1]に記載のモジュール。
[5]
前記文字板の中心に軸孔が形成され、
前記軸孔に配置される指針軸と、前記指針軸に支持され、前記文字板の一方側に配置される指針と、を備える指針部を備え、
前記ベース板の、前記中間板が対向配置されない領域の少なくとも3箇所に、前記接着層が設けられる、[1]に記載のモジュール。
[6]
前記ベース板の前記第2領域の一方側に設けられた前記接着層は、平面視して、前記ベース板の周方向において所定の間隔を隔てて少なくとも3箇所に設けられる、[5]に記載のモジュール。
[7]
前記中間板は第1中間板と第2中間板とを含み、
前記3箇所に設けられた前記接着層は、平面視して、前記第1中間板と前記第2中間板との間、及びサブ表示部とサブ表示部との間に設けられる、[5]に記載のモジュール。
[8]
[1]乃至[7]のいずれかに記載のモジュールと、
前記モジュールを収容する収容部を有する時計ケースと、
を備える、時計。
【符号の説明】
【0055】
1…時計
10…時計ケース
11…ケース体
12…裏蓋
13…外装ケース
20…モジュール
21…表示部
21a…メイン表示部
21b~21e…サブ表示部
21f…日付表示部
24…ムーブメント
25…回路基板
26…電池
27、27A…文字板
28a~28e…指針部
28a…指針部
28b~28e…指針部
31…ベース板
31a…軸孔
31b…凹部
31c…サブ表示板
31d…軸孔
31f…日付用開口
32…カバー板
32a…軸孔
32b…見切り部材
32c…透過窓
32d…表示用開口
32f…日付表示開口
32g…凹部
33…中間板
34…接着層
34a~34d…接着部
34a…接着部
34b…接着部
34c…接着部
34d…接着部
35…中間接着層
38a~38e…指針軸
38a…指針軸
38b~38e…指針軸
39a~39e…指針
39b~39e…指針
40…カバー
50…時計バンド
60…スイッチ
321…透明層
322…印刷層

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7