(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020410
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】薬物送達システム用針シールドプラー
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20240206BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
A61M5/32 502
A61M5/32 500
A61M5/20 510
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023194339
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2022146728の分割
【原出願日】2018-10-05
(31)【優先権主張番号】62/571,484
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ラフィーバー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・トーマス・スノウ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬物送達システムから針シールドを取り外すための装置を提供する。
【解決手段】本装置は、側壁54、遠位底壁58、および近位開口部60を備えたカップ形状の本体50を含む。保護シールドは、その近位の開口部からカップ形状の本体に挿入可能である。フィンガ74は、側壁の開口部に互いに対向して配置される。フィンガは、フィンガの近位端部で側壁と柔軟に結合され、保護シールドに係合するように内側に弾性的に付勢することができる。各フィンガは、保護シールドに係合するための少なくとも1つの突起を含む。フィンガはまた、保護シールドのリップに係合するための遠位係合面を含んでもよい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を囲む側壁および遠位底壁と、前記内部空間と連通している近位開口部とを有する、長手軸の周りに画定されるカップ形状の本体を備える、保護シールドを取り外すための装置であって、前記近位開口部が、前記内部空間内に配置されるように、前記保護シールドを受容するように構成され、前記側壁が、その中に形成された複数の側壁開口部を含み、複数のフィンガがそれぞれ、前記側壁と柔軟に結合された複数の近位端部を有し、対応する側壁開口部内を遠位に延在し、前記フィンガのそれぞれが、周方向に延在し、かつ前記内部空間に向かって突出している少なくとも1つの突起をさらに含み、前記各フィンガ上の少なくとも1つの突起が、前記保護シールドが前記内部空間内に配置されたときに、前記保護シールドと係合可能である、装置。
【請求項2】
前記各フィンガ上の少なくとも1つの突起が、各フィンガ上で周方向に延在する複数の平行な突起を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フィンガのそれぞれが遠位先端部を含み、前記側壁開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの周方向幅と少なくとも同程度の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記遠位端部を越えて遠位に延在している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記フィンガのそれぞれが、前記側壁と一体に形成され、前記フィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合され、前記側壁開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記近位端部と前記遠位端部との間の距離の少なくとも50%と同程度の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記遠位端部を越えて遠位に延在している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記フィンガのそれぞれが、前記フィンガの外向き面上に形成された凹部の周方向両側に配置されている一対の軸方向隆起部を画定する前記外向き面を有し、前記フィンガが半径方向外側を向いている凹部壁を含み、前記凹部壁が、前記軸方向隆起部に隣接する前記側壁の外面に対して半径方向内側に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記側壁の前記外面が第1の直径を画定し、前記軸方向隆起部の外向き面が第2の直径を画定し、前記凹部壁が第3の直径を画定し、前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きく、前記第1の直径が前記第3の直径よりも大きい、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記各フィンガ上の少なくとも1つの突起が近位に面する表面および遠位に面する表面を含み、前記近位および遠位に面する表面が、前記少なくとも1つの突起の第1の半径方向内側限界および第1の半径方向外側限界を画定し、前記フィンガのそれぞれが、前記フィンガの前記遠位端部に配置された遠位に面する係合面をさらに含み、前記遠位に面する係合面が、第2の半径方向内側限界および第2の半径方向外側限界を画定し、前記第2の半径方向外側限界が前記第1の半径方向外側限界よりも半径方向に遠くに配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
保護シールドを取り外すための装置であって、前記装置が、
軸を画定し、内部空間を囲む側壁と、遠位底壁と、前記内部空間と連通している近位開口部とを有するカップ形状の本体であって、前記保護シールドが、前記近位開口部を通って前記内部空間に挿入可能である、カップ形状の本体と、
前記側壁の開口部に配置され、前記内部空間に対して互いに対向して位置する一対のフィンガであって、前記フィンガのそれぞれが、前記フィンガの近位端部で前記側壁と柔軟に結合され、各フィンガが前記内部空間に弾性的に付勢可能である、一対のフィンガと、を備え、
各フィンガが、周方向に延在し、前記内部空間に向かって突出している複数の平行な突起をさらに含み、それにより、前記保護シールドが前記内部空間内に配置され、前記一対のフィンガが内側に付勢されているときに、各フィンガ上の前記複数の突起が前記保護シールドと把持係合可能であり、それにより前記保護シールドの取り外しを容易にし、
各フィンガ上の前記複数の突起のそれぞれが、近位に面する表面および遠位に面する表面を含み、前記近位および遠位に面する表面が、各それぞれのフィンガの前記複数の突起の第1の半径方向内側限界および第1の半径方向外側限界を画定し、前記一対のフィンガのそれぞれが、各それぞれのフィンガの遠位端部の近くに配置された遠位に面する係合面をさらに含み、前記遠位に面する係合面が、各それぞれのフィンガの第2の半径方向内側限界および第2の半径方向外側限界を画定し、各フィンガに関して、前記第1および第2の半径方向内側限界が同等であり、前記第2の半径方向外側限界が、前記第1の半径方向外側限界の半径方向外側に配置されている、装置。
【請求項9】
各それぞれのフィンガに関して、前記複数の突起の前記近位に面する表面がすべて平行であり、前記複数の突起の前記遠位に面する表面がすべて平行であり、各フィンガの最も遠位の突起が、前記それぞれのフィンガの前記遠位に面する係合面を画定する、近位に面する表面を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記側壁の前記開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの周方向幅と、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記近位端部と前記遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記遠位端部を越えて遠位に延在し、前記一対のフィンガのそれぞれが、前記側壁と一体的に形成され、それにより、前記一対のフィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記一対のフィンガのそれぞれが、前記フィンガの外向き面上に形成された凹部の周方向両側に配置されている、半径方向外向きに突出し、かつ軸方向に延在している一対の隆起部を画定する前記外向き面を有し、前記凹部が、前記側壁の外面の半径方向内側に配置されている、半径方向外側を向いている底壁を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記側壁の前記外面が第1の直径を画定し、前記一対のフィンガによって画定される前記隆起部上の外向き面が第2の直径を画定し、前記一対のフィンガの前記凹部の前記底壁が第3の直径を画定し、前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きく、前記第1の直径が前記第3の直径よりも大きく、前記一対のフィンガの前記凹部がそれぞれ、各それぞれのフィンガの前記近位端部から遠位に離間する近位限界を画定する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記側壁の前記開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの周方向幅と、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記近位端部と前記遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記遠位端部を越えて遠位に延在し、前記一対のフィンガのそれぞれが、前記側壁と一体的に形成され、それにより、前記一対のフィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されており、
各フィンガに関して、前記複数の突起の前記近位に面する表面がすべて平行であり、前記複数の突起の前記遠位に面する表面がすべて平行であり、各フィンガに関して、前記フィンガ上の最も遠位の突起が、前記フィンガの前記遠位に面する係合面を画定する、近位に面する表面を有し、
各フィンガに関して、前記遠位に面する係合面によって画定される前記第2の半径方向外側限界が、前記フィンガ上に配置された前記凹部の前記底壁の半径方向外側に配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
薬物送達システムであって、
薬剤容器、前記薬剤容器と連通している注射針、前記薬剤容器から前記注射針を通じて薬剤を分配するための駆動アセンブリを含む、薬物送達機構と、
前記注射針の周囲に配置された保護シールドと、
前記保護シールドを取り外すように構成されたプラー装置と、を備え、前記プラー装置が、
長手軸の周りの内部空間を囲む側壁、前記側壁に相互接続された遠位底壁、および前記内部空間と連通している近位端開口部を有するプラー本体であって、前記保護シールドが前記近位端開口部を通って前記内部空間に挿入可能である、プラー本体と、
前記側壁内に画定され、前記内部空間に対して互いに対向して位置する開口部に配置された複数の弾性フィンガであって、前記フィンガのそれぞれが、前記側壁と柔軟に結合され、前記遠位底壁に向かって遠位にフィンガ遠位端部まで延在するフィンガ近位端部を有する、複数の弾性フィンガと、を備え、
各フィンガがさらに、前記内部空間に向かって延在し、かつ前記プラー装置の取り外し中に前記保護シールドの取り外しを容易にする様式で前記保護シールドに係合する、少なくとも1つの突起を含む、薬物送達システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの突起が、前記フィンガに沿って配置された複数の突起を備え、前記突起のそれぞれが、近位面および遠位面を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記フィンガのそれぞれの前記複数の突起の最遠位突起の遠位面が、遠位係合面を画定し、前記遠位係合面が、他の突起のうちの少なくとも1つの遠位面よりも半径方向外側に遠くに延在する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記側壁の前記開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの周方向幅と、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記フィンガ近位端部と前記遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記フィンガ遠位端部を越えて遠位に延在し、前記フィンガのそれぞれが、前記側壁と一体的に形成され、各フィンガの前記フィンガ近位端部が、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記一対のフィンガのそれぞれが、前記フィンガの外向き面内に画定される凹部の周方向両側に配置されている、一対の軸方向隆起部を画定する前記外向き面を有し、前記凹部が、前記側壁の外面の半径方向内側に配置されている、半径方向外側を向いている底壁を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
両端部の前記側壁の前記外面が第1の直径を画定し、前記軸方向隆起部上の前記外向き面が第2の直径を画定し、前記フィンガ上の前記凹部の前記底壁が第3の直径を画定し、前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きく、前記第1の直径が前記第3の直径よりも大きく、前記フィンガ内に画定される前記凹部のそれぞれが、各それぞれのフィンガの前記近位端部から遠位に離間した近位限界を画定する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記側壁の前記開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの周方向幅と、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記フィンガ近位端部と前記遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記フィンガの前記遠位端部を越えて遠位に延在し、前記フィンガのそれぞれが、前記側壁と一体的に形成され、それによって、前記フィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されており、
各フィンガに関して、前記複数の突起の前記近位面がすべて平行であり、前記複数の突起の前記遠位面がすべて平行であり、各フィンガに関して、前記フィンガ上の最も遠位の突起の前記遠位面が、前記フィンガの前記遠位に面する係合面を画定し、
各フィンガに関して、前記遠位に面する係合面によって画定される前記第2の半径方向外側限界が、前記フィンガ上に配置された前記凹部の前記底壁の半径方向外側に配置されている、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、薬物送達システムに関し、特に、薬物送達システムから針シールドを取り外すための装置に関する。
【0002】
多くの自己投与注射装置は、針シールドをカートリッジに取り外し可能に固定した針を有する薬剤カートリッジと共に使用される。針シールドは、偶発的な針刺しから保護するだけでなく、汚染および偶発的な損傷から針を保護する。
【0003】
手先の器用さが制限されている、または損なわれている人など、一部の個人にとっては、このような針シールドを手で取り外すことは困難であるか、リスクをもたらすか、または単に不快な作業である。針シールドプラーの形式の専用装置を使用して、針シールドの取り外しを容易にすることができる。
【0004】
多くの針シールドプラーは、1つの特定の針シールド設計でのみ、または限られた数の針シールド設計でのみ動作するように設計されている。結果として、様々な異なる針シールドを使用する注射装置を提供する製造業者は、異なる針シールドで動作するように、様々な異なる針シールドプラーを提供する必要がある。このような部品と在庫の増加は望ましくない。同様に、注射装置を使用して薬剤を自己投与する患者は、異なる針シールド設計に遭遇する可能性があり、異なる針シールド設計に関して異なる針シールドプラーを必要とする場合がある。先行技術の針シールドプラー40が
図4~6に示されている。針シールドプラー40は、針シールド24’に嵌合するカップ形状の本体を有する。カップ形状の本体の基部に最も近い遠位端部44に、一対の近位に延在する部材42が柔軟に取り付けられている。針シールド24’を取り外すには、針シールドプラー40をシールド24’上に配置し、ベースキャップ(図示せず)をプラー40上に嵌合して、フィンガ42を半径方向内側に押してシールド24’を把持する。フィンガ42が内側に押されている間、ユーザは、ベースキャップ、針シールドプラー40、および、その中で薬剤容器から離れて把持された針シールド24’をユニットとして遠位に引っ張り、それにより、容器および針から針シールド24’を取り外す。針シールドプラー40は、いくつかの針シールドで効果的であるが、限られた数の針シールド設計でのみ使用可能である。
【発明の概要】
【0005】
一形態において、保護シールドを取り外すための装置が提供される。本装置は、長手方向軸の周りに画定されるカップ形状の本体を含む。本体は、内部空間を囲む側壁および遠位底壁、ならびに内部空間と連通している近位開口部を含む。近位開口部は、内部空間内に配置される保護シールドを受容するように構成されている。側壁は、その中に形成された複数の側壁開口部を含む。複数のフィンガが提供され、各フィンガは、側壁と柔軟に結合された近位端部を有する。各フィンガは、対応する側壁開口部内で遠位に延在している。フィンガのそれぞれは、周方向に延在し、内部空間に向かって突出する少なくとも1つの突起をさらに含む。少なくとも1つの突起は、保護シールドが内部空間内に配置されたときに保護シールドと係合可能である。
【0006】
別の形態では、薬物送達システムが開示されている。本システムは、薬剤容器と、薬剤容器と連通している注射針と、注射針を通じて薬剤容器から薬剤を分配する駆動アセンブリと、を含む薬物送達機構を含む。注射針の周りに保護シールドが配置されている。前述のような引っ張り装置は、保護シールドを取り外すように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上述およびその他の特徴、およびそれらを達成する様式は、本発明の実施形態の以下の説明を添付の図面と併せて参照することによってより明らかになり、また、本発明自体もよりよく理解されるであろう。
【0008】
【
図1】針および針シールドを有する注射装置の断面図である。
【
図2】
図1の装置と使用可能である、針シールドの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図1の装置と使用可能である、針シールドの別の例を示す斜視図である。
【
図4】
図1の針シールドに係合されている、先行技術の針シールドプラーの斜視図である。
【
図5】先行技術の針シールドプラーおよび
図4の針シールドの断面図である。
【
図6】針および針シールドが省略されている、
図4の先行技術の針シールドプラーの断面斜視図である。
【
図7】針シールドに係合されている、本開示の例示的な針シールドプラーの斜視図である。
【
図8】
図7の針シールドプラーおよび針シールドの断面斜視図である。
【
図9】針シールドが省略されている、
図7の針シールドプラーの断面斜視図である。
【0009】
複数の図全体を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される例証は、本発明の実施形態を例示しているが、下記に開示される実施形態は、網羅的であること、または本発明の範囲を開示された厳密な形態に限定するように解釈されることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
針カニューレから複数の異なる針シールド設計を便利に取り外すために使用されてもよい針シールドプラー装置および/またはこのような針シールドプラー装置を備えた薬物送達システムの例が開示されている。本開示のプラー装置の利点の1つは、製造および在庫コストを削減できるように、異なる構成の剛性針シールドに適合したプラー装置設計を提供することである。
図1は、注射装置の形態の例示的な薬物送達システム20の断面図を提供する。
【0011】
図示されたシステム20は、自動注射装置(または自動注射器)として示されており、ユーザによってトリガーされると、シリンジを自動的にユーザに挿入し、針を通じて薬剤を自動的に注射する。しかしながら、本装置は、ユーザが手作業で取り扱い、選択的に用量を設定し、次いでその設定された用量を注入する、使い捨て可能な、または再利用可能なペン型薬剤注入装置であってもよい。このタイプの注射装置はよく知られており、プラー装置30は、別様に構築されたペン型薬剤注射装置、別の形状とされた注射装置、ならびに輸液ポンプ装置、注入シリンジ、およびボーラス注射器を含む、様々に構成された薬物送達装置に使用するように適合され得るので、装置の記載は単に例示的なものである。
【0012】
システム20は、針22を前進させ、針22を通じて薬剤を注射するように構成されたアセンブリを含む。いくつかの例では、アセンブリは、針22を前進および後退させるように構成されている。本システムのハウジングは、薬剤を含み、注射針22と連通している薬剤容器16を含む注射管腔21を画定する。駆動アセンブリ18は、注射管腔21内の容器16と動作可能に連結されており、容器16内のピストンを前進させることにより、針22を通って容器16から薬剤を分配させる。システム20および駆動アセンブリ18などの自動注入機構の詳細な説明は、参照により本明細書に組み込まれる、Adamsらの米国特許第8,734,394(B2)号に見出すことができる。
【0013】
装置20は、薬剤をさらに備えてもよい。別の実施形態では、システムは、装置20を含む1つ以上の装置および、容器16に保存された薬剤を備えてもよい。「薬剤」という用語は、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、デュラグルチドまたはリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療抗体、これらに限定されないが、IL-23抗体類似体または誘導体、例えばミリキズマブ、IL-17抗体類似体または誘導体、例えばイキセキズマブ、疼痛関連治療に対する治療薬、例えばガルカネズマブ、ラスミディタン、および、上記の装置による送達が可能な任意の治療薬、を含む、1つ以上の治療薬を指すが、それらに限定されない。本装置において使用されるような薬剤は、1つ以上の賦形剤と共に製剤化されてもよい。本装置は、人に薬剤を送達するために、患者、介護者または医療専門家によって、概して上述のような様式で操作される。
【0014】
針22は、薬剤を注入できる中央通路を画定するシリンジである。針22は最初、保護シールド24で覆われ保護されている。図示の実施形態では、シールド24は針を保護し、本明細書では針シールドと呼ばれる。しかしながら、これは、保護シールド24が針の保護に限定されることを意味するものではない。シールドは、医療装置内の他の鋭利なまたは損傷を受け得る要素を保護するように動作可能であるからである。針シールド24は、剛性の外側ハウジング26および/またはハウジング26の内壁内の弾性の柔軟な材料28を含むことができる。材料28は、ゴム、シリコーン、または他の適切な材料であり得、針22を汚染および物理的損傷から保護するのに役立つ。剛性の外側ハウジング26はまた、針22を物理的損傷から保護し、偶発的な針刺しの防止に役立つ。
【0015】
最初の注射を行う前に、針シールド24はシステムの注射端部から、針22から取り外される。針シールド24は、装置を使用せずに手動で取り外すことができるが、ほとんどのユーザは、
図7~9に示すプラー装置30などの適切な装置で針シールド24を取り外す方が簡単で便利である。
【0016】
一般に、針シールド24は、シールド24の最初の取り外し後に再取り付けされない。しかしながら、いくつかの実施形態は、シールド24が針22を覆うように再取り付けされることを可能にしてもよい。シールド24を再取り付けした場合、次に針22を使用する前にシールド24を取り外す必要がある。
図7~9の装置30は再利用可能であり、再取り付けされたシールド24を取り外すために使用され得る。針を覆う保護シールドと共に使用する場合、装置30は針シールドプラーとも呼ばれるが、このラベルは、装置30が針を覆う保護シールドの取り外しに限定されることを意味するものではない。
【0017】
例示的な薬物送達システムが
図1に示されているが、
図7~9の装置30は特定の注射装置に限定されず、自動または手動のいずれかの他の薬物送達機構、シリンジ、または、注射針と共に使用するその他のアイテムと共に使用する針シールドを取り外すために使用されてもよい。同様に、他の同様のアイテムで使用されている保護シールドを取り外すためにも使用できる。例えば、注射針で使用されるものと同様の保護シールドが、患者または他の形態の小さな鋭利な装置から血液を搾り出すためのランセットまたは同様のアイテムで使用される場合、装置30はこのような保護シールドと共に使用できる。
【0018】
針シールド24は、針を(シールドハウジング内で)覆うために薬剤容器16に取り付け可能である。
図2に示すように、針シールド24の第1の例は、ほぼ円筒形の外部形状を有する剛性の外側ハウジング26を有する。剛性の外側ハウジング26はまた、その外面に2つの比較的平面の軸方向に延在するセクション32を含む。セクション32は直径方向に互いに対向して位置しているが、
図2の図では一方のみが見える。平面部32はまた、針22の方向に対して横方向に垂直に延在し、かつ針の長手方向軸に沿って互いに対して長手方向に配置される、複数の平行に突出するリブ34を含む。リブ34を備えたセクション32の使用は、より容易に把持される表面を提供して、容器16および針22から針シールド24の取り外しを容易にすることである。
【0019】
代替的な針シールド36が
図3に示されている。針シールド36は、薬剤容器に取り付けられ、針を(シールド内で)覆うように示されている。
図3に示すように、針シールド36の第2の例は、リブを含んでも含まなくてもよい(滑らかなリブのない表面として示される)、ほぼ円筒形の外部形状を有する剛性の外側ハウジング37を有する。剛性の外側ハウジングはまた、互いに周方向に離間した長手方向セクション39を含む。針シールド36は、その底部遠位縁に沿って突出する半径方向リップ38を含む。突出するリップ38は、セクション39に結合され、針シールド36を容器16および針22から取り外すときに、針シールド36を保持するか、または係合できる表面を提供する。
【0020】
図7~9に示される装置30は、保護シールドプラーとして機能し、針シールド24および針シールド36の両方ならびに多くの他の保護シールドと効果的に動作することができる。装置30は、針の長手方向軸と同軸であり得る長手方向軸52(
図8参照)の周りに画定されるカップ形状の本体50を有する。カップ形状の本体50は、内部空間56および遠位底壁58を概ね囲む側壁54を含む。近位端開口部60は、遠位底壁58の反対側に位置し、内部空間56と連通しており、それにより、開口部60を通って保護シールドを内部空間56に挿入することができる。装置30は、開口部60の周りに延在する半径方向外側に突出する半径方向リップ62を含み、装置30の把持性を高め、それにより、装置30の取り扱いおよび手動操作を支援することができる。装置30は、開口部60のリムから軸方向に延在する切り欠き64を含み、開口部60で装置30により多くの柔軟性を提供することができる。装置30は、遠位底壁58の近くに位置する側壁の外面68に環状凹部66を含むことができる。凹部66は、エンドプレート67(
図1に示される)の受容凹部への確実な取り付けに使用され、それにより、システムの注入端部からのユーザによるエンドプレート67の取り外しが装置30を取り外すように一体ユニットを作ることができる。エンドプレート67は、システム20の注射管腔を覆うベースフランジ68および/または、ベースフランジ68からシステムの注射管腔内に延在する中間管状バレル69を含むことができる。管状バレルの側壁は、装置30およびシールド24を同軸関係で受容し、配置された軸方向の穴71を画定し、装置はシールドの周りに同軸に配置されている。バレル側壁の内面79は、装置30の凹部66内に嵌合するための内側半径方向フランジ75を含むことができる。装置30は、底壁58において軸52の周りで形成された開口部70を含み、内部空間56と底壁58付近の周囲環境との間の空気圧を等しくし、内部空間56内の高いまたは低い空気圧が保護シールドの挿入または取り外しを防止してもよい。
【0021】
側壁54は、直径方向に互いに対向する2つの側壁開口部72を含むように示されている側壁開口部を含むことができる。装置30は、側壁開口部72に位置するフィンガ74を含むことができる。一例では、フィンガ74は各開口部72に位置し、一対のフィンガ74は内部空間56に対して互いに対向して位置する。したがって、エンドプレート67のバレル側壁の内面79が、保護シールドを把持するための係合のために、軸52に向かって半径方向内側にフィンガ74を押すか、または付勢すると、フィンガ74は互いに向かって旋回または移動する。各フィンガ74は、フィンガの近位ヒンジ端部76で側壁54と柔軟に結合されている。各フィンガ74は、内部空間56に弾性的に付勢することができる。
【0022】
図示の実施形態では、カップ形状の本体50は、射出成形プロセスを使用してポリマー材料から形成される。フィンガ74のそれぞれは、側壁54と一体的に形成されている。フィンガ74は、フィンガ74の近位端部76においてリビングヒンジ78によって側壁54と柔軟に結合されている。各フィンガ74の遠位端部80は自由に延在し、開口部72内に配置される。
【0023】
開口部72は、その中に配置されたフィンガ74の遠位端部80を越えて遠位に延在し、ユーザが内部空間56および保護シールドが装置30に挿入された程度を容易に見ることができるオープンギャップを残す。有利には、このギャップは、開口部72がフィンガ74の周方向幅82と少なくとも同じ距離だけフィンガ74の遠位端部80を越えて遠位に延在する(
図7参照)ほど十分に大きい。参照番号84は、開口部72がフィンガ74の遠位端部80を越えて遠位に延在する距離を表す。参照番号73は、開口部72の軸方向の長さを表す。あるいは、距離84は、フィンガ74の近位端部76と遠位端部80との間の距離75の少なくとも50%と同程度だけ大きい。さらに有利には、距離84はこれらの条件の両方を満たし、フィンガ74の周方向幅82とフィンガ端部76、80間の距離の50%のうちの大きい方と少なくとも同程度だけ大きい。
【0024】
各フィンガ74は、周方向に横方向に延在し、突起先端部において内部空間56に向かって半径方向に突出する少なくとも1つの突起86を含むことができる。当業者が認識するように、周方向は、カップ形状の本体50または他の部分の円周に沿って、軸52に垂直な方向に延在する。図示の実施形態では、フィンガ74はそれぞれ、周方向に延在する複数の平行な突起86を含む。
【0025】
突起86は、ほとんどの針シールド設計を把持して、それにより、シールドの取り外しを可能にする可能性があるが、突起86は、突起86によって摩擦的に、または連動して(望ましいように)係合することができる、シールドの両側にリブ34または他の凹凸を含むシールド24などの針シールドと共に使用するのに特に適している。より具体的には、保護シールドが開口部60を通って装置30の内部空間56に挿入されると、ユーザは、突起86が保護シールドに係合するように、付勢フィンガ74を半径方向内側に押すバレル側壁を含む、エンドプレート67を引き出すことができる。突起86が保護シールドを把持することにより、ユーザは、保護シールドが取り付けられた装置から保護シールドを引き抜くことができる。エンドプレート67のないいくつかの実施形態では、システムは、ユーザがフィンガ74に内向きの半径方向の力を加えてシールドを把持するように構成されてもよい。
【0026】
フィンガ74の外向き面は、フィンガ74が内向きに付勢し、かつ旋回する能力を高める特徴部を含む。より具体的には、各フィンガは、凹部90の周方向両側に位置する、一対の半径方向外側に突出し軸方向に延在する隆起部88を含む。これにより、フィンガを強化するための便利な構成が提供される。隆起した隆起部88は、フィンガ74が半径方向内側に押下されたときに役立つ。隆起部88の外面は、バレルの内面79と係合するための係合面も提供する。隆起部88の間に位置する凹部90は、ユーザの指先を受容することができる空間を提供する。装置30が把持される様式に応じて、隆起部88および凹部90のいずれかまたは両方は、装置の取り扱いおよび保護シールドと係合するフィンガ74の押し下げを容易にする。
【0027】
図示の実施形態では、各凹部90は、半径方向外向きの底壁92を含む。凹部90のそれぞれは、凹部が位置するフィンガ94の近位端部76から遠位に離間した近位限界94を画定することができる。これにより、凹部90がリビングヒンジ78の厚さを減少させることが防止される。側壁54は、各軸方向位置で軸52からの距離を画定する外面55を画定する。凹部90の底壁92は、外面55の半径方向内側に、すなわち、軸52からより小さな半径距離で配置され、一方、隆起88上の外向き面89は、外面55の半径方向外側に、すなわち、軸52からより大きな距離で半径方向に離間する。言い換えれば、所定の軸方向位置で、側壁54の外面55は第1の直径100を画定し、隆起部88上の外向き面89は第2の直径98を画定し、凹部90の底壁92は第3の直径96を画定し、第2の直径98は第1の直径100よりも大きく、第1の直径100は第3の直径96よりも大きい。
【0028】
上述のように、突起86は保護シールドと係合するために使用される。図示の実施形態では、各突起86は、近位に面する表面102および遠位に面する表面104を含む。一例では、近位に面する表面102はすべて平行であり、遠位に面する表面104はすべて平行である。
【0029】
さらに、各フィンガ74上の突起86は、第1の半径方向内側限界106、すなわち突起86の表面102、104のうちの1つによって画定される軸52からの最小半径距離、および第1の半径方向外側限界108、すなわち突起86の表面102、104のうちの1つによって画定される軸52からの半径方向最大距離を画定する。最も近位の表面102および最も遠位の表面104は、半径方向内側限界106および半径方向外側限界108を超えて延在するように構成され得る。
【0030】
別の例では、
図9を参照すると、フィンガ74は、(図示のように)フィンガの遠位端部80の近くに配置された遠位に面する係合面110を含むことができる。遠位に面する係合面110は、第2の半径方向内側限界112および第2の半径方向外側限界114を画定する。第1および第2の半径方向内側限界106、112は、示されるように同等または同一の広がりを有し得る。第2の半径方向外側限界114は、第1の半径方向外側限界108の半径方向外側に配置されてもよい。言い換えれば、遠位係合面110は、他の突起86と同じ程度まで半径方向内側に延在しているが、係合面110は、突起86よりも半径方向外側に遠くに延在している。遠位係合面110の本構成により、表面110は、例えば
図3の保護シールド36上のリップ38などのシールドの半径方向リップと係合することができる。突起86の先端部は、装置が遠位に引き出されているときに、シールド36の外側の滑らかな表面37と摺動可能に係合してもよい。フィンガ74の遠位端部80がリップ38に隣接する環状凹部に達すると、フィンガ74は、フィンガのフィンガ遠位端部80が環状凹部によって画定される空隙内に半径方向内側に移動することを可能にする半径方向内側付勢を有し、リップ38に係合するために、フィンガの遠位端部74および係合面110を配置し得る。一例では、フィンガ遠位端部80は、フィンガ遠位端部80の位置が、フィンガの近位端部76よりも半径方向内側に遠い保護シールドの係合特徴部と係合できるようにヒンジで取り付けられた、対向するフィンガ近位端部76よりも半径方向内側に遠く延在するように構成される。装置30の使用は、シールド24などの側面に係合特徴部を有する異なる構成のシールド、および/またはシールド36などの遠位リップを有するシールドと共に行うことができる。
【0031】
装置30の図示された実施形態では、各フィンガ74上で、最も遠位の突起86は、遠位係合面110を形成する遠位に面する表面を有する。また、図示の実施形態では、遠位に面する係合面110によって画定される第2の半径方向外側限界114は、フィンガ74に配置された凹部90の底壁92の半径方向外側に配置されることに留意されたい。別の例では、最遠位突起86の表面110として示される遠位面は、他の突起86のうちの少なくとも1つの遠位面よりも半径方向外側に遠く延在する。別の例では、最遠位突起86の表面110として示される遠位面は、最遠位突起に近位に隣接する突起86の遠位面よりも半径方向外側に遠く延在する。
【0032】
本発明は、図面および前述の説明において詳細に示され、記載されてきたが、これらは例示的なものであり、本質的に限定するものではないとみなすべきである。本明細書に含まれる特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の範囲内にあるすべての変更例、同等物、および修正例は、保護されることが望まれる。
【0033】
以下の態様を含むがこれらに限定されない様々な態様が、この開示に記載されている。
【0034】
1.内部空間を囲む側壁および遠位底壁と、内部空間と連通している近位開口部とを有する、長手軸の周りに画定されるカップ形状の本体を備える、保護シールドを取り外すための装置であって、近位開口部が、内部空間内に配置されるように、保護シールドを受容するように構成され、側壁が、その中に形成された複数の側壁開口部を含み、複数のフィンガがそれぞれ、側壁と柔軟に結合された複数の近位端部を有し、対応する側壁開口部内を遠位に延在し、フィンガのそれぞれが、周方向に延在し、かつ内部空間に向かって突出している少なくとも1つの突起をさらに含み、各フィンガ上の少なくとも1つの突起が、保護シールドが内部空間内に配置されたときに、保護シールドと係合可能である、装置。
【0035】
2.各フィンガ上の少なくとも1つの突起が、各フィンガ上で周方向に延在する複数の平行な突起を含む、態様1に記載の装置。
【0036】
3.フィンガのそれぞれが遠位先端部を含み、側壁開口部が、側壁開口部の中に配置されたフィンガの周方向幅と少なくとも同程度の距離だけ、側壁開口部の中に配置されたフィンガの遠位端部を越えて遠位に延在している、態様1または2のいずれか1つに記載の装置。
【0037】
4.フィンガのそれぞれが、側壁と一体に形成され、フィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって側壁と柔軟に結合され、側壁開口部が、側壁開口部の中に配置されたフィンガの近位端部と遠位端部との間の距離の少なくとも50%と同程度の距離だけ、側壁開口部の中に配置されたフィンガの遠位端部を越えて遠位に延在している、態様3に記載の装置。
【0038】
5.フィンガのそれぞれが、フィンガの外向き面上に形成された凹部の周方向両側に配置されている一対の軸方向隆起部を画定する外向き面を有し、フィンガが半径方向外側を向いている凹部壁を含み、凹部壁が、軸方向隆起部に隣接する側壁の外面に対して半径方向内側に配置されている、態様1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0039】
6.前記側壁の前記外面が第1の直径を画定し、前記軸方向隆起部の外向き面が第2の直径を画定し、前記凹部壁が第3の直径を画定し、前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きく、前記第1の直径が前記第3の直径よりも大きい、態様5に記載の装置。
【0040】
7.各フィンガ上の少なくとも1つの突起が近位に面する表面および遠位に面する表面を含み、近位および遠位に面する表面が、少なくとも1つの突起の第1の半径方向内側限界および第1の半径方向外側限界を画定し、フィンガのそれぞれが、フィンガの遠位端部に配置された遠位に面する係合面をさらに含み、遠位に面する係合面が、第2の半径方向内側限界および第2の半径方向外側限界を画定し、第2の半径方向外側限界が第1の半径方向外側限界よりも半径方向に遠くに配置されている、態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
【0041】
8.保護シールドを取り外すための装置であって、装置が、軸を画定し、内部空間を囲む側壁と、遠位底壁と、内部空間と連通している近位開口部とを有するカップ形状の本体であって、保護シールドが、近位開口部を通って内部空間に挿入可能である、カップ形状の本体と、側壁の開口部に配置され、内部空間に対して互いに対向して位置する一対のフィンガであって、フィンガのそれぞれが、フィンガの近位端部で側壁と柔軟に結合され、各フィンガが内部空間に弾性的に付勢可能である、一対のフィンガと、を備え、各フィンガが、周方向に延在し、内部空間に向かって突出している複数の平行な突起をさらに含み、それにより、保護シールドが内部空間内に配置され、一対のフィンガが内側に付勢されているときに、各フィンガ上の複数の突起が保護シールドと把持係合可能であり、それにより保護シールドの取り外しを容易にし、各フィンガ上の複数の突起のそれぞれが、近位に面する表面および遠位に面する表面を含み、近位および遠位に面する表面が、各それぞれのフィンガの複数の突起の第1の半径方向内側限界および第1の半径方向外側限界を画定し、一対のフィンガのそれぞれが、各それぞれのフィンガの遠位端部の近くに配置された遠位に面する係合面をさらに含み、遠位に面する係合面が、各それぞれのフィンガの第2の半径方向内側限界および第2の半径方向外側限界を画定し、各フィンガに関して、第1および第2の半径方向内側限界が同等であり、第2の半径方向外側限界が、第1の半径方向外側限界の半径方向外側に配置されている、装置。
【0042】
9.各フィンガに関して、複数の突起の近位に面する表面がすべて平行であり、複数の突起の遠位に面する表面がすべて平行であり、各フィンガの最も遠位の突起が、それぞれのフィンガの遠位に面する係合面を画定する、近位に面する表面を有する、態様8に記載の装置。
【0043】
10.側壁の開口部が、側壁開口部の中に配置されたフィンガの周方向幅と、側壁開口部の中に配置されたフィンガの近位端部と遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、側壁開口部の中に配置されたフィンガの遠位端部を越えて遠位に延在し、一対のフィンガのそれぞれが、側壁と一体的に形成され、それにより、一対のフィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって側壁と柔軟に結合されている、態様9に記載の装置。
【0044】
11.一対のフィンガのそれぞれが、フィンガの外向き面上に形成された凹部の周方向両側に配置されている、半径方向外向きに突出し、かつ軸方向に延在している一対の隆起部を画定する外向き面を有し、凹部が、側壁の外面の半径方向内側に配置されている、半径方向外側を向いている底壁を有する、態様8~10のいずれか1つに記載の装置。
【0045】
12.側壁の外面が第1の直径を画定し、一対のフィンガによって画定される隆起部上の外向き面が第2の直径を画定し、一対のフィンガの凹部の底壁が第3の直径を画定し、第2の直径が第1の直径よりも大きく、第1の直径が第3の直径よりも大きく、一対のフィンガの凹部がそれぞれ、各それぞれのフィンガの近位端部から遠位に離間する近位限界を画定する、態様11に記載の装置。
【0046】
13.側壁の開口部が、側壁開口部の中に配置されたフィンガの周方向幅と、側壁開口部の中に配置されたフィンガの近位端部と遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、側壁開口部の中に配置されたフィンガの遠位端部を越えて遠位に延在し、一対のフィンガのそれぞれが、側壁と一体的に形成され、それにより、一対のフィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって側壁と柔軟に結合されており、各フィンガに関して、複数の突起の近位に面する表面がすべて平行であり、複数の突起の遠位に面する表面がすべて平行であり、各フィンガに関して、フィンガの最も遠位の突起が、フィンガの遠位に面する係合面を画定する、近位に面する表面を有し、各フィンガに関して、遠位に面する係合面によって画定される第2の半径方向外側限界が、フィンガ上に配置された凹部の底壁の半径方向外側に配置されている、態様12に記載の装置。
【0047】
14.薬物送達システムであって、薬剤容器、薬剤容器と連通している注射針、薬剤容器から注射針を通じて薬剤を分配するための駆動アセンブリを含む、薬物送達機構と、注射針の周囲に配置された保護シールドと、保護シールドを取り外すように構成されたプラー装置であって、プラー装置が、長手軸の周りの内部空間を囲む側壁、側壁に相互接続された遠位底壁、および内部空間と連通している近位端開口部を有するプラー本体であって、保護シールドが近位端開口部を通って内部空間に挿入可能である、プラー本体と、側壁内に画定され、内部空間に対して互いに対向して位置する開口部に配置された複数の弾性フィンガであって、フィンガのそれぞれが、側壁と柔軟に結合され、遠位底壁に向かって遠位にフィンガ遠位端部まで延在するフィンガ近位端部を有する、複数の弾性フィンガと、を備え、各フィンガがさらに、内部空間に向かって延在し、かつプラー装置の取り外し中に保護シールドの取り外しを容易にする様式で保護シールドに係合する、少なくとも1つの突起をさらに含む、薬物送達システム。
【0048】
15.少なくとも1つの突起が、フィンガに沿って配置された複数の突起を備え、突起のそれぞれが、近位面および遠位面を含む、態様14に記載のシステム。
【0049】
16.フィンガのそれぞれの複数の突起の最遠位突起の遠位面が、遠位係合面を画定し、遠位係合面が、他の突起のうちの少なくとも1つの遠位面よりも半径方向外側に遠くに延在する、態様15に記載のシステム。
【0050】
17.側壁の開口部が、側壁開口部の中に配置されたフィンガの周方向幅と、側壁開口部の中に配置されたフィンガのフィンガ近位端部と遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、側壁開口部の中に配置されたフィンガのフィンガ遠位端部を越えて遠位に延在し、フィンガのそれぞれが、側壁と一体的に形成され、各フィンガのフィンガ近位端部が、リビングヒンジによって側壁と柔軟に結合されている、態様14~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0051】
18.一対のフィンガのそれぞれが、フィンガの外向き面内に画定される凹部の周方向両側に配置されている、一対の軸方向隆起部を画定する外向き面を有し、凹部が、側壁の外面の半径方向内側に配置されている、半径方向外側を向いている底壁を有する、態様14~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0052】
19.両端部の側壁の外面が第1の直径を画定し、軸方向隆起部上の外向き面が第2の直径を画定し、フィンガ上の凹部の底壁が第3の直径を画定し、第2の直径が第1の直径よりも大きく、第1の直径が第3の直径よりも大きく、フィンガ上の凹部のそれぞれが、各それぞれのフィンガの近位端部から遠位に離間した近位限界を画定する、態様18に記載のシステム。
【0053】
20.側壁の開口部が、側壁開口部の中に配置されたフィンガの周方向幅と、側壁開口部の中に配置されたフィンガのフィンガ近位端部と遠位端部との間の距離の50%のうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、側壁開口部の中に配置されたフィンガのフィンガ遠位端部を越えて遠位に延在し、フィンガのそれぞれが、側壁と一体的に形成され、それによって、フィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって側壁と柔軟に結合されており、各フィンガに関して、複数の突起の近位面がすべて平行であり、複数の突起の遠位面がすべて平行であり、各フィンガに関して、フィンガ上の最も遠位の突起の遠位面が、フィンガの遠位に面する係合面を画定し、各フィンガに関して、遠位に面する係合面によって画定される第2の半径方向外側限界が、フィンガ上に配置された凹部の底壁の半径方向外側に配置されている、態様19に記載のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器、前記薬剤容器と連通している注射針、前記注射針の周囲に配置された保護シールドを含む薬物送達システムから前記保護シールドを取り外すための装置であって、
前記装置は、
長手軸の周りの内部空間を囲む側壁、前記側壁に相互接続された遠位底壁、および前記内部空間と連通している近位端開口部を有するプラー本体であって、前記保護シールドが前記近位端開口部を通って前記内部空間に挿入可能であり、前記側壁は側壁開口部を画定する、前記プラー本体と、
複数の弾性フィンガであって、前記複数の弾性フィンガは、それぞれ、前記側壁に画定される前記側壁開口部の内の対応する側壁開口部に配置されており、前記複数の弾性フィンガは、それぞれ、前記側壁と柔軟に結合され、前記遠位底壁に向かって遠位にフィンガ遠位端部まで延在するフィンガ近位端部を有しており、前記複数の弾性フィンガは、前記内部空間に半径方向内側に付勢される構成を有する、前記複数の弾性フィンガと、を備え、
前記複数の弾性フィンガは、それぞれ、前記内部空間に向かって延在し、かつ前記プラー装置の取り外し中に前記保護シールドの取り外しを容易にする様式で前記保護シールドに係合する、少なくとも1つの突起をさらに含み、前記保護シールドが前記内部空間に挿入されることに応じて、それぞれの弾性フィンガは前記付勢される構成から離れて半径方向外側に旋回する、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突起が、前記複数の弾性フィンガのそれぞれに沿って配置された複数の突起を備え、前記複数の突起のそれぞれが、近位面および遠位面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記複数の突起の内の最遠位突起の前記遠位面が、遠位係合面を画定し、前記遠位係合面が、前記複数の突起の他の突起のうちの少なくとも1つの前記遠位面よりも半径方向外側に遠くに延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記側壁開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの周方向幅と、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ近位端部と前記フィンガ遠位端部との間の距離の50%とのうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ遠位端部を越えて遠位に延在し、前記複数の弾性フィンガのそれぞれが、前記側壁と一体的に形成され、前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ近位端部が、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の弾性フィンガのそれぞれが、前記複数の弾性フィンガのそれぞれの外向き面内に画定される凹部の周方向両側に配置されている、一対の軸方向隆起部を画定する前記外向き面を有し、前記凹部が、前記側壁の外面の半径方向内側に配置されている、半径方向外側を向いている底壁を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
両端部の前記側壁の前記外面が第1の直径を画定し、それぞれの前記軸方向隆起部が第2の直径を画定する前記外向き面を備え、前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記凹部の前記半径方向外側を向いている底壁が第3の直径を画定し、前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きく、前記第1の直径が前記第3の直径よりも大きく、前記複数の弾性フィンガのそれぞれに画定される前記凹部のそれぞれが、各それぞれの弾性フィンガの前記近位端部から遠位に離間した近位限界を画定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記側壁開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの周方向幅と、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ近位端部と前記フィンガ遠位端部との間の距離の50%とのうちの、少なくとも大きい方の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ遠位端部を越えて遠位に延在し、前記複数の弾性フィンガのそれぞれが、前記側壁と一体的に形成され、それによって、前記複数の弾性フィンガのそれぞれが、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されており、
前記複数の弾性フィンガのそれぞれに関して、前記複数の突起の前記近位面がすべて平行であり、前記複数の突起の前記遠位面がすべて平行であり、前記複数の弾性フィンガのそれぞれに関して、前記弾性フィンガの前記複数の突起の内の最も遠位の突起の前記遠位面が、前記弾性フィンガの遠位に面する係合面を画定し、
前記複数の弾性フィンガのそれぞれに関して、前記遠位に面する係合面によって画定される半径方向外側限界が、前記弾性フィンガに配置された前記凹部の前記半径方向外側を向いている底壁の半径方向外側に配置されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プラー本体は、前記側壁と前記遠位底壁によって画定されるカップ形状の本体を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの突起が、前記複数の弾性フィンガのそれぞれに沿って配置された複数の平行な突起を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の平行な突起のそれぞれは、近位面および遠位面を備え、前記複数の平行な突起のそれぞれの前記近位面および前記遠位面は、第1の半径方向内側限界と第1の半径方向外側限界との間で延在しており、前記複数の弾性フィンガのそれぞれは、前記弾性フィンガの前記フィンガ遠位端部に配置された遠位に面する係合面を含んでおり、前記遠位に面する係合面は、第2の半径方向内側限界と第2の半径方向外側限界との間で延在しており、前記第2の半径方向外側限界は前記第1の半径方向外側限界よりも半径方向に遠くに配置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記側壁開口部が、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの周方向幅と少なくとも同程度の距離だけ、前記側壁開口部の中に配置された前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ遠位端部を越えて遠位に延在している、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の弾性フィンガのそれぞれが、前記側壁と一体に形成され、前記複数の弾性フィンガのそれぞれの前記フィンガ近位端部が、リビングヒンジによって前記側壁と柔軟に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
薬物送達システムであって、
薬剤容器、前記薬剤容器と連通している注射針、前記薬剤容器から前記注射針を通じて薬剤を分配するための駆動アセンブリを含む、薬物送達機構と、
前記注射針の周囲に配置された保護シールドと、
請求項1~12のいずれか一項に記載の前記装置と、を備える、薬物送達システム。
【請求項14】
前記保護シールドは、複数のリブを含み、それぞれの前記弾性フィンガの前記少なくとも1つの突起と前記保護シールドの前記複数のリブとの間の係合により、前記プラー装置の取り外し中に前記保護シールドの取り外しを容易にする、請求項13に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
前記保護シールドは、突出するリップを含み、それぞれの前記弾性フィンガの前記少なくとも1つの突起と前記保護シールドの前記突出するリップとの間の係合により、前記プラー装置の取り外し中に前記保護シールドの取り外しを容易にする、請求項13に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
それぞれの前記弾性フィンガの前記少なくとも1つの突起は、前記保護シールドの前記突出するリップと係合するため、遠位に面する係合面を含む、請求項15に記載の薬物送達システム。
【外国語明細書】