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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020429
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】湿度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/10 20060101AFI20240206BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20240206BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G01N19/10 Z
G01N27/22 A
G01N1/00 101R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194850
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2022073321の分割
【原出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2021103308
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】倉田 敏徳
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より良好な湿度測定装置を提供する。
【解決手段】湿度測定装置は、温度を測定する感温素子、及び、湿度を測定する感湿素子を有する温度・湿度測定部26と、温度・湿度測定部が収容される収容部112を有する筐体102と、表示器を有し、筐体に固定された表示部14と、気体が流通する管の途中に接続され、管と管との間において気体を流通可能にする継手配管122と、を備え、継手配管はオリフィス130を有し、継手配管にはフィルタ128が取り付けられ、筐体102は、継手配管と収容部とを繋いで、継手配管と収容部との間において気体を流通可能にする第1配管118及び第2配管120を有する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の湿度を測定する湿度測定装置であって、
温度を測定する感温素子、及び、湿度を測定する感湿素子を有する測定部と、
前記測定部が収容される収容部を有する筐体と、
表示器を有し、前記筐体に固定された表示部と、
前記気体が流通する管の途中に接続され、前記管と前記管との間において前記気体を流通可能にする継手配管と、
を備え、
前記継手配管はオリフィスを有し、
前記継手配管にはフィルタが取り付けられ、
前記筐体は、前記継手配管と前記収容部とを繋いで、前記継手配管と前記収容部との間において前記気体を流通可能にする第1配管及び第2配管を有する、湿度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の湿度測定装置において、
前記第1配管の断面積と、前記第2配管の断面積とが異なる、湿度測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の湿度測定装置において、
前記気体の流量を測定するフローセンサを有し、
前記フローセンサは、前記収容部に収容される、湿度測定装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の湿度測定装置において、
前記表示部は、前記表示器を制御して、前記感温素子が測定した前記気体の温度と前記感湿素子が測定した前記気体の湿度とに基づいて算出された前記気体の露点温度、及び、前記感湿素子が測定した前記気体の湿度の少なくとも一方を、前記表示器に表示させる表示制御部を有する、湿度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の湿度を測定する湿度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、湿度測定装置が開示されている。湿度測定装置は、主空気通路を流れる吸入空気の湿度を計測する。主空気通路の主空気通路壁には、挿入孔が設けられる。湿度測定装置は、挿入孔に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6386589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時では、より良好な湿度測定装置が待望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、気体の湿度を測定する湿度測定装置であって、当該湿度測定装置は、温度を測定する感温素子、及び、湿度を測定する感湿素子を有する測定部と、前記測定部が収容される収容部を有する筐体と、表示器を有し、前記筐体に固定された表示部と、前記気体が流通する管の途中に接続され、前記管と前記管との間において前記気体を流通可能にする継手配管と、を備え、前記継手配管はオリフィスを有し、前記継手配管にはフィルタが取り付けられ、前記筐体は、前記継手配管と前記収容部とを繋いで、前記継手配管と前記収容部との間において前記気体を流通可能にする第1配管及び第2配管を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、より良好な湿度測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は湿度測定装置を示す図である。
図2図2は筐体の斜視図である。
図3図3は湿度測定装置の設置例を示す図である。
図4図4は湿度測定装置の設置例を示す図である。
図5図5は湿度測定装置の制御ブロック図である。
図6図6は表示器の表示例を示す図である。
図7図7A及び図7Bは表示器の表示例を示す図である。
図8図8A及び図8Bは表示器の表示例を示す図である。
図9図9A及び図9Bはシミュレーション結果を示す図である。
図10図10A及び図10Bは本発明者等が実験を行った実験環境を示す図である。
図11図11A及び図11Bはシミュレーション結果を示す図である。
図12図12A及び図12Bはシミュレーション結果を示す図である。
図13図13A及び図13Bは実験結果を示すグラフである。
図14図14は湿度測定装置を示す図である。
図15図15は湿度測定装置の制御ブロック図である。
図16図16は湿度測定装置を示す図である。
図17図17は湿度測定装置の制御ブロック図である。
図18図18は湿度測定装置の制御ブロック図である。
図19図19は湿度測定装置の制御ブロック図である。
図20図20は湿度測定装置の制御ブロック図である。
図21図21は補正処理の流れを示すフローチャートである。
図22図22は湿度測定装置を示す図である。
図23図23は湿度測定装置を示す図である。
図24図24は湿度測定装置に管が接続された状態を示す図である。
図25図25はシミュレーション結果を示す。
図26図26はシミュレーション結果を示す。
図27図27はシミュレーション結果を示す。
図28図28は湿度測定装置を示す図である。
図29図29は湿度測定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1実施形態〕
図1は、湿度測定装置10を示す。湿度測定装置10は、筐体12と表示部14とを有する。図1は、筐体12を断面図で示す。図1は、表示部14を模式図で示す。湿度測定装置10は、気体の相対湿度と、気体の温度とを測定する。以下では、相対湿度を湿度と記載する。
【0009】
筐体12は、本体部16と接続部18とを有する。本体部16は、本体部16の内部に収容部20を有する。この収容部20は、本体部16内に形成された空間である。本体部16は、本体部16の内部に供給配管22を有する。本体部16は、本体部16の内部に排気配管24を有する。供給配管22は収容部20に接続される。排気配管24は収容部20に接続される。図1が示すように、収容部20における排気配管24の開口部は、収容部20における供給配管22の開口部に対して、供給配管22の開口部の径方向にオフセットした位置に配置される。供給配管22から収容部20に気体が供給される。収容部20に供給された気体は、排気配管24から大気中に排出される。
【0010】
湿度測定装置10は、電子基板25を有する。電子基板25は、本体部16と表示部14との間に配置される。電子基板25には、温度・湿度測定部26が取り付けられる。温度・湿度測定部26は、収容部20に収容される。温度・湿度測定部26は、感温素子と感湿素子とが1つの集積回路上に搭載された電子部品である。感温素子は、収容部20内の気体の温度を測定する。感湿素子は、収容部20内の気体の湿度を測定する。温度・湿度測定部26は、本発明の測定部に相当する。温度・湿度測定部26は、測定した気体の温度及び湿度を表示部14に出力する。
【0011】
接続部18は、本体部16に取り付けられる。接続部18は、接続部18の内部に接続配管28を有する。接続配管28と本体部16の供給配管22との間で、気体が流通できる。
【0012】
接続配管28は、オリフィス30を有する。接続配管28には、フィルタ32が取り付けられる。フィルタ32は、金属製である。オリフィス30は、接続配管28において、フィルタ32が取り付けられる位置よりも本体部16に近い位置に配置される。すなわち、オリフィス30は、フィルタ32が取り付けられる位置よりも収容部20に近い位置に配置される。オリフィス30は、オリフィス30の孔の最小径部分の断面積が排気配管24の断面積よりも小さい。そのため、収容部20に気体を供給する経路(以下、供給経路)の流路抵抗よりも、収容部20から気体を排出する経路(以下、排出経路)の流路抵抗が小さい。これにより、収容部20内の気体の圧力は大気圧となる。収容部20に収容される温度・湿度測定部26は、気体の大気圧下の温度を測定する。収容部20に収容される温度・湿度測定部26は、気体の大気圧下の湿度を測定する。
【0013】
図2は、筐体12の斜視図である。接続部18は、接続ピン34により本体部16に固定される。ユーザは、接続ピン34を抜くことが可能である。接続ピン34が本体部16及び接続部18から抜かれた状態で、ユーザは本体部16から接続部18を取り外すことが可能である。フィルタ32が接続部18に取り付けられた状態で、接続部18は本体部16から取り外される。これにより、ユーザは湿度測定装置10のフィルタ32の交換を容易に行える。
【0014】
図3は、湿度測定装置10の設置例を示す。湿度測定装置10は配管36に設置される。配管36の内部には、圧縮気体が流通する。圧縮気体とは、気体の圧力が大気圧よりも大きな気体である。以下、圧縮気体であっても単に気体と記載することがある。
【0015】
気体の温度、湿度及び露点温度は、気体の圧力によって変化する。気体の圧力が大気圧よりも大きい圧縮気体の温度、湿度及び露点温度について、気体の圧力下の温度、気体の圧力下の湿度、及び、気体の圧力下露点温度と記載することがある。気体の圧力が大気圧である気体の温度、湿度及び露点温度について、気体の大気圧下の温度、気体の大気圧下の湿度、及び、気体の大気圧下露点温度と記載することがある。
【0016】
湿度測定装置10は、配管36の内部を流通する気体の湿度及び温度を測定する。配管36に設けられた不図示の挿入孔に、湿度測定装置10の接続部18が挿入される。これにより、配管36の内部を流通する気体の一部が、接続部18の接続配管28と、本体部16の供給配管22とを通過して、収容部20に供給される。配管36の内部を流通する気体は、次に述べる除湿器38により除湿された気体である。
【0017】
図4は、湿度測定装置10の設置例を示す。湿度測定装置10は、除湿器38に設置されてもよい。除湿器38は、除湿器38内を通過する気体中の水分を除去する。湿度測定装置10は、除湿器38から排出される圧縮気体の湿度及び温度を測定する。
【0018】
図1が示すように、表示部14は筐体12の本体部16に固定される。図5は、湿度測定装置10の制御ブロック図である。図5の制御ブロック図を用いて、表示部14の構成を説明する。
【0019】
表示部14は、露点温度算出部40と、設定値記憶部42と、第1出力部44と、第2出力部48と、表示制御部52と、表示器54とを有する。
【0020】
露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の湿度とに基づいて、気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、算出した露点温度を第1出力部44、第2出力部48、及び、表示制御部52に出力する。
【0021】
以下、「温度・湿度測定部26が測定した気体の温度」を「測定温度」と記載することがある。「温度・湿度測定部26が測定した気体の湿度」を「測定湿度」と記載することがある。「露点温度算出部40が算出した気体の露点温度」を「算出露点温度」と記載することがある。
【0022】
設定値記憶部42は、設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とを記憶する。設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とは、後述する第1出力部44に入力される。設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とは、湿度測定装置10のユーザにより設定された値であってもよい。設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とは、湿度測定装置10の出荷時に、湿度測定装置10の製造者により設定された値であってもよい。
【0023】
第1出力部44は、設定温度と測定温度とを比較する。第1出力部44は、その比較結果(以下、温度比較結果と記載することがある)を外部機器46に出力する。温度比較結果とは、設定温度と測定温度との差を数値で示す情報であってもよい。温度比較結果とは、設定温度に対する測定温度の高低を示す情報であってもよい。
【0024】
第1出力部44は、設定湿度と測定湿度とを比較する。第1出力部44は、その比較結果(以下、湿度比較結果と記載することがある)を外部機器46に出力する。湿度比較結果とは、設定湿度と測定湿度との差を数値で示す情報であってもよい。湿度比較結果とは、設定湿度に対する測定湿度の高低を示す情報であってもよい。
【0025】
第1出力部44は、設定露点温度と算出露点温度とを比較する。第1出力部44は、その比較結果(以下、露点温度比較結果と記載することがある)を外部機器46に出力する。露点温度比較結果とは、設定露点温度と算出露点温度との差を数値で示す情報であってもよい。露点温度比較結果とは、設定露点温度に対する算出露点温度の高低を示す情報であってもよい。
【0026】
第2出力部48は、測定温度を外部機器50に出力する。第2出力部48は、測定湿度を外部機器50に出力する。第2出力部48は、算出露点温度を外部機器50に出力する。外部機器50は、外部機器46と同一の機器であってもよい。外部機器50は、外部機器46とは別の機器であってもよい。
【0027】
表示制御部52は、表示器54を制御して、測定温度に関する情報を表示器54に表示させる。表示制御部52は、表示器54を制御して、測定湿度に関する情報を表示器54に表示させる。表示制御部52は、表示器54を制御して、算出露点温度に関する情報を表示器54に表示させる。表示制御部52は、表示器54を制御して、測定温度に関する情報、測定湿度に関する情報、及び、算出露点温度に関する情報とのうち少なくとも1つの情報を表示器54に表示させてもよい。なお、測定温度、算出露点温度、設定温度、及び、設定露点温度の単位は、いずれも「°C」である。
【0028】
図6は、表示器54の表示例を示す。表示器54は、湿度表示領域56を有する。湿度表示領域56は、測定湿度を数字で表示する。表示器54は、露点温度表示領域58を有する。露点温度表示領域58は、算出露点温度を数字で表示する。表示器54は、温度表示領域60を有する。温度表示領域60は、測定温度を数字で表示する。
【0029】
図7A及び図7Bは、表示器54の表示例を示す。図7A及び図7Bの表示器54の表示例は、図6の表示器54の表示例とは別の表示例である。表示器54は、湿度表示領域62を有する。湿度表示領域62は、測定湿度を数字で表示する。表示器54は、露点温度表示領域64を有する。図7A及び図7Bの露点温度表示領域64の中央部付近に示される2本のスラッシュ「//」は算出露点温度が0°Cである位置を示す。算出露点温度がマイナスである場合には、図7Aが示すように、スラッシュ「//」の右側にのみバー(gセグメント)「-」が表示される。算出露点温度がプラスである場合には、図7Bが示すように、スラッシュ「//」の左側までバー(gセグメント)「-」が延びて表示される。露点温度表示領域64において、バー(gセグメント)「-」が左側に延びるほど、表示器54は算出露点温度が高いことを示す。
【0030】
図8A及び図8Bは、表示器54の表示例を示す。図8A及び図8Bの表示器54の表示例は、図6図7A及び図7Bの表示器54の表示例とは別の表示例を示す。表示器54は、湿度表示領域66を有する。湿度表示領域66は、測定湿度を数字で表示する。表示器54は、温度表示領域68を有する。温度表示領域68は、測定温度を数字で表示する。表示器54は、算出露点温度を、湿度表示領域66の数字の色で示す。算出露点温度がマイナスである場合には、表示器54は、湿度表示領域66の数字の色を青色で表示する。算出露点温度がプラスである場合には、表示器54は、湿度表示領域66の数字の色を赤色で表示する。上記の湿度表示領域66の数字の色は一例であり、算出露点温度の情報が、別の色で示されていてもよい。
【0031】
表示部14のうち表示器54を除く各構成は、不図示のマイクロコントローラにより実現される。マイクロコントローラに搭載された不図示の演算処理装置が、マイクロコントローラに搭載された不図示のメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、露点温度算出部40と、第1出力部44と、第2出力部48と、表示制御部52との機能を実現する。また、設定値記憶部42は、メモリの一部に各設定値を格納する格納領域が確保されることにより実現される。
【0032】
なお、表示部14のうち表示器54を除く各構成は、不図示のFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(application specific integrated circuit)等の集積回路により構成されていてもよい。
【0033】
[供給配管と収容部との接続、及び、排気配管と収容部との接続について]
本実施形態では、図1が示すように、収容部20における排気配管24の開口部は、収容部20における供給配管22の開口部に対してオフセットした位置に配置される。これにより、供給配管22から収容部20に流入した気体は、収容部20内で拡散された後に、排気配管24から排出される。
【0034】
本発明者等は、収容部20の内部の気体の湿度の分布について、コンピュータを用いてシミュレーションを行った。図9A及び図9Bは、シミュレーション結果を示す。図9Aは、比較例1におけるシミュレーション結果を示す。比較例1では、供給配管22から収容部20に気体が流入する方向と、収容部20から排気配管24に気体が流出する方向とが、互いに一直線上に位置する。図9Bは、比較例2におけるシミュレーション結果を示す。比較例2では、収容部20における排気配管24の開口部は、収容部20における供給配管22の開口部に対して、供給配管22の開口部の径方向にオフセットした位置に配置される。これにより、比較例2では、供給配管22から収容部20に気体が流入する方向と、収容部20から排気配管24に気体が流出する方向とが、互いに異なる直線上に位置する。
【0035】
比較例1及び比較例2のシミュレーションでは、オリフィス30の孔の径が0.2mmに設定された。比較例1及び比較例2のシミュレーションでは、収容部20に流入する気体の湿度が50%に設定された。比較例1及び比較例2のシミュレーションでは、収容部20に流入する気体の流量が1L/minに設定された。
【0036】
比較例1では、供給配管22から収容部20に流入した気体は、収容部20内で拡散されることなく、排気配管24に排出される。そのため、比較例1におけるシミュレーションでは、図9Aが示すように、収容部20における気体の湿度の分布が一様でない。一方、比較例2では、供給配管22から収容部20に流入した気体は、収容部20の側面に衝突し、収容部20内で拡散された後に、排気配管24から排出される。そのため、比較例2におけるシミュレーションでは、図9Bが示すように、収容部20における気体の湿度の分布は略一様となる。
【0037】
これらのシミュレーション結果により、比較例1に比べて比較例2の方が、収容部20に流入した気体がより広範囲に拡散されることが示された。
【0038】
本発明者等は、温度・湿度測定部26の気体の湿度の測定精度について実験を行った。図10A及び図10Bは、本発明者等が実験を行った実験環境を示す。図10Aは、比較例3における実験環境を示す。比較例3では、供給配管22から収容部20に気体が流入する方向と、収容部20から排気配管24に気体が流出する方向とが、互いに一直線上に位置する。図10Bは、比較例4における実験環境を示す。比較例4では、収容部20における排気配管24の開口部は、収容部20における供給配管22の開口部に対して、供給配管22の開口部の径方向にオフセットした位置に配置される。これにより、比較例4では、供給配管22から収容部20に気体が流入する方向と、収容部20から排気配管24に気体が流出する方向とが、互いに異なる直線上に位置する。これらの実験では、常湿状態(湿度25.0%)である収容部20内に、乾燥気体(湿度8.0%)を流入させた。
【0039】
図10Aが示す比較例3における実験環境では、温度・湿度測定部26が測定した湿度は10.3%であった。収容部20に流入させた気体の湿度(8.0%)に対する温度・湿度測定部26が測定した湿度(10.3%)の誤差は+2.3%であった。図10Bが示す比較例4における実験環境では、温度・湿度測定部26において測定された湿度は8.3%であった。収容部20に流入させた気体の湿度(8.0%)に対する温度・湿度測定部26が測定した湿度(8.3%)の誤差は+0.3%であった。
【0040】
これらの実験結果により、温度・湿度測定部26による気体の湿度の測定精度は、比較例3に比べて比較例4の方が向上することが示された。
【0041】
[オリフィスについて]
本実施形態の湿度測定装置10では、接続配管28がオリフィス30を有するため、収容部20の気体の供給経路の流路抵抗よりも、収容部20の気体の排出経路の流路抵抗は小さい。これにより、収容部20内の気体の圧力は大気圧となる。オリフィス30に代えて、接続配管28が減圧弁を有する構造が考えられる。減圧弁は、接続配管28を通過する気体の一部を大気中に放出することで、収容部20に供給される気体の圧力を大気圧に調整可能である。減圧弁の構造に比べて、オリフィス30の構造は簡素である。本実施形態の湿度測定装置10では、接続配管28が減圧弁ではなくオリフィス30を有するため、湿度測定装置10の構造を簡素にできる。
【0042】
接続配管28に取り付けられたフィルタ32は、フィルタ32を通過する気体に対して抵抗となる。そのため、フィルタ32により供給経路の流路抵抗を増大させることが考えられる。通常、フィルタ32を通過する気体中の異物をフィルタ32が除去しつつ、フィルタ32を通過する気体に対して抵抗ができるだけ小さくなるように、フィルタ32は設計される。オリフィス30による流路抵抗と同等の流路抵抗をフィルタ32に発生させるためには、オリフィス30の孔の軸方向の長さに比べて、かなり長いフィルタ32が接続配管28に取り付けられる必要がある。本実施形態の湿度測定装置10では、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させるため、湿度測定装置10を小型にできる。
【0043】
フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、収容部20に流入する気体の流速が高くなる。収容部20に流入する気体の流速が高くなるほど、気体が収容部20の側面に衝突したときに、より広範囲に拡散される。収容部20に流入する気体の流速が高くなるほど、気体が収容部20に流入した後に収容部20の側面と衝突するまでの時間が短くなり、気体がより速く拡散される。
【0044】
そのため、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、収容部20に流入した気体は収容部20内でより広範囲に、且つ、より速く拡散される。その結果、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、測定対象の気体の温度、湿度等の変化に対する、温度・湿度測定部26の測定対象の気体の測定結果の応答速度が向上する。
【0045】
本発明者等は、収容部20に流入する気体の流速について、コンピュータを用いてシミュレーションを行った。図11A及び図11Bは、シミュレーション結果を示す。図11Aは、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合のシミュレーション結果である。図11Bは、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合のシミュレーション結果である。
【0046】
これらのシミュレーションでは、供給配管22の内径が3mmに設定された。これらのシミュレーションでは、フィルタ32が設けられる部分の配管の内径が1mmに設定され、フィルタ32の外径も1mmに設定された。これらのシミュレーションでは、フィルタ32の長さが4mmに設定された。これらのシミュレーションでは、オリフィス30の孔の内径が0.2mmに設定された。これらのシミュレーションでは、オリフィス30の孔の軸方向の長さが0.2mmに設定された。これらのシミュレーションでは、収容部20に流入する気体の湿度が50%に設定された。これらのシミュレーションでは、収容部20に流入する気体の流量が1L/minに設定された。
【0047】
フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合、図11Aが示すように、フィルタ32を通過中の気体の流速は高いものの、フィルタ32を通過後の気体の流速は低下する。このように、フィルタ32を通過中の気体の流速は高いにも関わらず、フィルタ32を通過後の気体の流速が低下する理由は、以下の通りである。
【0048】
気体がフィルタ32に流入する入口部分では、供給配管22(内径3mm)からフィルタ32(外径1mm)に気体が流入するため、気体の流速は高くなる。フィルタ32の内部では、気体の流速が高いほど、気体に対するフィルタ32の流路抵抗が増加する。そのため、気体は、フィルタ32を通過中に、フィルタ32の内部の流路抵抗が高いところから流路抵抗が低いところへ拡散する(広がる)。これにより、気体がフィルタ32から流出する出口部分では、前述の入口部分の気体の流速に関わらず、気体の流速は略一定となる。気体に対するフィルタ32の流路抵抗により、フィルタ32を通過前の気体の圧力に比べて、フィルタ32を通過後の気体の圧力は低下する。しかし、気体はフィルタ32を通過中にフィルタ32の内部で拡散する(広がる)ため、気体の流速はフィルタ32の外形形状に依存した速さに抑制される。前述の出口部分では、フィルタ32(外径1mm)から供給配管22(内径3mm)に気体が流入するため、気体の流速は更に低下する。
【0049】
一方、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合、図11Bが示すように、オリフィス30を通過後の気体の流速は高い状態を保つ。このように、オリフィス30を通過後の気体の流速が保たれる理由は、以下の通りである。
【0050】
気体がオリフィス30に流入する入口部分では、供給配管22(内径3mm)からオリフィス30の孔(内径0.2mm)に気体が流入するため、気体の流速は高くなる。気体に対するオリフィス30の流路抵抗により、オリフィス30を通過前の気体の圧力に比べて、オリフィス30を通過後の気体の圧力は低下する。オリフィス30の孔の軸方向の長さは0.2mmであり、オリフィス30の孔を通過中に気体の流速は大きく増加する。一方、気体がオリフィス30から流出する出口部分では、オリフィス30の孔(内径0.2mm)から供給配管22(内径3mm)に気体が流入するため、気体の流速は低下する。しかし、気体がオリフィス30を通過中に、気体の流速が十分に増加するため、供給配管22内でも気体の流速は高い状態を維持できる。
【0051】
これらのシミュレーション結果により、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、収容部20に流入する気体の流速が高いことが示された。
【0052】
本発明者等は、収容部20内の気体の湿度の分布について、コンピュータを用いてシミュレーションを行った。図12A及び図12Bは、シミュレーション結果を示す。図12Aは、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合のシミュレーション結果を示す。図12Bは、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合のシミュレーション結果を示す。
【0053】
これらのシミュレーションでは、フィルタ32の外径が1mmに設定された。これらのシミュレーションでは、フィルタ32の長さが4mmに設定された。これらのシミュレーションでは、オリフィス30の孔の径が0.2mmに設定された。これらのシミュレーションでは、オリフィス30の孔の長さが0.2mmに設定された。これらのシミュレーションでは、収容部20に流入する気体の湿度が50%に設定された。これらのシミュレーションでは、収容部20に流入する気体の流量が1L/minに設定された。
【0054】
フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、図12Aが示すように、収容部20における気体の湿度の分布が一様でない。一方、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、図12Bが示すように、収容部20における気体の湿度の分布は略一様となる。
【0055】
図11A及び図11Bのシミュレーション結果が示すように、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、収容部20に流入する気体の流速が高い。収容部20に流入する気体の流速が高いほど、気体が収容部20の側面に衝突したときに、気体はより広範囲に拡散される。
【0056】
図12A及び図12Bが示すシミュレーション結果により、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、収容部20に流入した気体が収容部20内でより拡散することが示された。
【0057】
本発明者等は、測定対象の気体の湿度の変化に対する、温度・湿度測定部26の測定湿度の応答速度について実験を行った。実験では、本発明者等は、温度・湿度測定部26により、オリフィス30を通過後の気体の湿度と、フィルタ32を通過後の気体の湿度とを測定した。実験では、オリフィス30の孔の径が0.25mmに設定された。実験では、フィルタ32の外径が1.0mmに設定された。
【0058】
1つ目の実験(以下、実験1)では、実験開始前に収容部20に湿度5%の気体を充填した。実験開始後5秒間、収容部20に湿度5%の気体の供給をした。実験開始後5秒後に、収容部20に湿度45%の気体の供給を開始した。2つ目の実験(以下、実験2)では、実験開始前に収容部20に湿度45%の気体を充填した。実験開始後5秒間、収容部20に湿度45%の気体の供給をした。実験開始後5秒後に、収容部20に湿度5%の気体の供給を開始した。
【0059】
図13A及び図13Bは実験結果を示す。図13Aは、収容部20に供給される気体の湿度が5%から45%に高くなるように変化させる実験1の実験結果を示す。図13Bは、収容部20に供給される気体の湿度が45%から5%に低くなるように変化させる実験2の実験結果を示す。実験1では、オリフィス30を通過後の気体の測定湿度は、フィルタ32を通過後の気体の測定湿度よりも速く上昇する。実験2では、オリフィス30を通過後の気体の測定湿度は、フィルタ32を通過後の気体の測定湿度よりも速く低下する。
【0060】
これらの実験結果より、フィルタ32が供給経路の流路抵抗を増大させる場合に比べて、オリフィス30が供給経路の流路抵抗を増大させる場合には、測定対象の気体の湿度の変化に対する、温度・湿度測定部26の測定対象の気体の測定湿度の応答速度が向上することが示された。
【0061】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10は、筐体12に表示部14が固定される。表示部14は、表示器54を有する。表示器54は、気体の湿度と、気体の温度と、気体の露点温度とを表示する。これにより、ユーザは、湿度測定装置10が設置された場所において、気体の湿度と、気体の温度と、気体の露点温度とを確認できる。
【0062】
本実施形態の湿度測定装置10では、設定湿度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の湿度(測定湿度)との比較結果を、第1出力部44が外部機器46に出力する。これにより、本実施形態の湿度測定装置10は、設定湿度と測定湿度との比較結果を、外部機器46に出力できる。
【0063】
本実施形態の湿度測定装置10では、設定露点温度と、露点温度算出部40が算出した気体の露点温度(算出露点温度)との比較結果を、第1出力部44が外部機器46に出力する。これにより、本実施形態の湿度測定装置10は、設定露点温度と算出露点温度との比較結果を、外部機器46に出力できる。
【0064】
本実施形態の湿度測定装置10では、温度・湿度測定部26が測定した気体の湿度(測定湿度)を、第2出力部48が外部機器50に出力する。これにより、本実施形態の湿度測定装置10は、測定湿度を外部機器50に出力できる。
【0065】
本実施形態の湿度測定装置10では、露点温度算出部40が算出した気体の露点温度(算出露点温度)を、第2出力部48が外部機器50に出力する。これにより、本実施形態の湿度測定装置10は、算出露点温度を外部機器50に出力できる。
【0066】
本実施形態の湿度測定装置10では、供給配管22から収容部20に気体が流入する方向と、収容部20から排気配管24に気体が流出する方向とが、互いに異なる直線上に位置する。これにより、本実施形態の温度・湿度測定部26は、気体の湿度の測定精度を向上できる。
【0067】
本実施形態の湿度測定装置10では、接続配管28がオリフィス30を有する。オリフィス30の孔の断面積は、排気配管24の断面積よりも小さい。これにより、気体の排出経路の流路抵抗に比べて、気体の供給経路の流路抵抗が大きくなる。そのため、収容部20内の気体の圧力を大気圧とすることが可能となる。露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26により測定された気体の温度と気体の湿度とに基づいて、気体の大気圧下露点温度を算出できる。
【0068】
本実施形態の湿度測定装置10は、接続配管28にフィルタ32が取り付けられる。さらに、オリフィス30は、フィルタ32よりも収容部20側に配置される。これにより、接続配管28のオリフィス30の孔に異物が詰まることが抑制される。
【0069】
本実施形態の湿度測定装置10は、フィルタ32が金属製である。これにより、フィルタ32による気体からの吸湿が抑制可能である。そのため、本実施形態の湿度測定装置10は、気体の湿度の測定精度を向上できる。
【0070】
本実施形態の湿度測定装置10は、接続部18にフィルタ32が取り付けられた状態で、ユーザは接続部18を本体部16から取り外すことが可能である。ユーザは、湿度測定装置10のフィルタ32の交換を容易に行うことができる。
【0071】
〔第2実施形態〕
図14は、湿度測定装置10を示す。図14は、筐体12を断面図で示す。図14は、表示部14を模式図で示す。
【0072】
第1実施形態の湿度測定装置10では、接続部18の内部に形成された接続配管28がオリフィス30を有する(図1)。これに対し、本実施形態の湿度測定装置10では、接続部18の内部に形成された接続配管28はオリフィスを有しない(図14)。本実施形態の湿度測定装置10では、筐体12の本体部16の内部に形成された排気配管24がオリフィス70を有する。オリフィス70は、オリフィス70の孔の最小径部分の断面積が供給配管22の断面積よりも小さい。オリフィス70は、オリフィス70の孔の最小径部分の断面積が接続配管28の断面積よりも小さい。本実施形態の湿度測定装置10のその他の構成は、第1実施形態の湿度測定装置10の構成と同じである。
【0073】
接続配管28がオリフィスを有さず、排気配管24がオリフィス70を有するため、収容部20内の気体の圧力は、配管36内の圧縮気体の圧力、又は、除湿器38が排出する圧縮気体の圧力と略同じとなる。温度・湿度測定部26は、気体の圧力下の温度を測定する。温度・湿度測定部26は、気体の圧力下の湿度を測定する。表示部14の露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の圧力下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の圧力下の湿度とに基づいて、気体の圧力下露点温度を算出する。
【0074】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10では、排気配管24がオリフィス70を有する。オリフィス70の孔の断面積は、供給配管22の断面積よりも小さい。オリフィス70は、オリフィス70の孔の断面積は、接続配管28の断面積よりも小さい。接続配管28がオリフィスを有さず、排気配管24がオリフィス70を有するため、収容部20内の気体の圧力は、配管36内の圧縮気体の圧力、又は、除湿器38が排出する圧縮気体の圧力と略同じとなる。温度・湿度測定部26は、気体の圧力下の温度を測定可能である。温度・湿度測定部26は、気体の圧力下の湿度を測定可能である。露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の圧力下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の圧力下の湿度とに基づいて、気体の圧力下露点温度を算出できる。
【0075】
〔第3実施形態〕
図15は、湿度測定装置10の制御ブロック図である。図15の制御ブロック図を用いて、表示部14の構成を説明する。
【0076】
本実施形態の湿度測定装置10の表示部14は、露点温度算出部40と、第1出力部44と、表示制御部52と、表示器54と、通信部72とを有する。露点温度算出部40と、表示制御部52と、表示器54とは、第1実施形態の湿度測定装置10の表示部14の露点温度算出部40と、表示制御部52と、表示器54と同じである。
【0077】
通信部72は、外部機器46と通信を行う。通信部72は、設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とを外部機器46から受信する。通信部72は、通信部72が受信した設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とを第1出力部44に出力する。設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とは、外部機器46のユーザにより設定された値であってもよい。設定温度と、設定湿度と、設定露点温度とは、湿度測定装置10の出荷時に、外部機器46の製造者により設定された値であってもよい。
【0078】
第1出力部44は、設定温度と測定温度との比較結果を、通信部72に出力する。第1出力部44は、設定湿度と測定湿度との比較結果を、通信部72に出力する。第1出力部44は、設定露点温度と算出露点温度との比較結果を、通信部72に出力する。
【0079】
通信部72は、設定温度と測定温度との比較結果を、外部機器46に送信する。通信部72は、設定湿度と測定湿度との比較結果を、外部機器46に送信する。通信部72は、設定露点温度と算出露点温度との比較結果を、外部機器46に送信する。
【0080】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10では、表示部14が通信部72を有する。通信部72は、外部機器46と通信を行う。通信部72は、外部機器46側で設定された各設定値を受信可能である。これにより、本実施形態の湿度測定装置10では、第1出力部44が、外部機器46において設定された各設定値と、測定温度、測定湿度及び算出露点温度のそれぞれとを比較できる。本実施形態の湿度測定装置10では、通信部72は、第1出力部44が比較した比較結果を、外部機器46に送信できる。
【0081】
〔第4実施形態〕
図16は、湿度測定装置10を示す。湿度測定装置10は、筐体74と、表示部14とを有する。図16は、筐体74を断面図で示す。図16は、表示部14を模式図で示す。
【0082】
筐体74は、筐体74の内部に収容部78を有する。筐体74は、筐体74の内部に供給配管80を有する。筐体74は、筐体74の内部に排気配管82を有する。供給配管80は収容部78に接続される。排気配管82は収容部78に接続される。湿度測定装置10の測定対象の気体が、供給配管80から収容部78に供給される。収容部78に供給された気体は、排気配管82から大気中に排出される。収容部78における排気配管82の開口部は、収容部78における供給配管80の開口部に対して、供給配管80の開口部の径方向にオフセットした位置に配置される。
【0083】
湿度測定装置10は、電子基板84を有する。電子基板84は、筐体74と表示部14との間に配置される。電子基板84には、温度・湿度測定部26が取り付けられる。温度・湿度測定部26は、収容部78に収容される。
【0084】
供給配管80は、オリフィス86を有する。供給配管80は、フィルタ88が取り付けられる。フィルタ88は、金属製である。オリフィス86は、フィルタ88が取り付けられる位置よりも収容部78に近い位置に配置される。オリフィス86は、オリフィス86の孔の最小径部分の断面積が排気配管82の断面積よりも小さい。そのため、収容部78に気体を供給する経路(以下、供給経路)の流路抵抗よりも、収容部78から気体を排出する経路(以下、排出経路)の流路抵抗が小さい。これにより、収容部78内の気体の圧力は大気圧となる。温度・湿度測定部26は、収容部78内の気体の温度を測定する。温度・湿度測定部26は、収容部78内の気体の湿度を測定する。温度・湿度測定部26は、測定した気体の温度及び湿度を表示部14に出力する。
【0085】
筐体74は、筐体74の内部に分岐配管90を有する。分岐配管90は、供給配管80と接続される。供給配管80における分岐配管90の接続位置は、供給配管80のオリフィス86とフィルタ88との間である。電子基板84には、圧力測定部76が取り付けられる。分岐配管90は、オリフィス86を通過する前の気体を圧力測定部76に供給する。圧力測定部76は、供給された気体の圧力を測定する。湿度測定装置10が配管36に設置される場合には、圧力測定部76に供給される気体の圧力は、配管36を流通する圧縮気体の圧力と略同じとなる。湿度測定装置10が除湿器38に設置される場合には、圧力測定部76に供給される気体の圧力は、除湿器38から排出される圧縮気体の圧力と略同じとなる。これにより、圧力測定部76は、測定箇所の気体の圧力を測定できる。
【0086】
図17は、湿度測定装置10の制御ブロック図である。図17の制御ブロック図を用いて、表示部14の構成を説明する。
【0087】
本実施形態の湿度測定装置10の表示部14は、露点温度算出部40と、表示制御部52と、表示器54とを有する。本実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54とは、第1実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54と同じである。
【0088】
露点温度算出部40には、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度が入力される。露点温度算出部40には、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度が入力される。露点温度算出部40には、圧力測定部76が測定した気体の圧力が入力される。湿度測定装置10が配管36に設置される場合には、圧力測定部76は、配管36内を流通する圧縮気体の圧力を測定する。湿度測定装置10が除湿器38に設置される場合には、圧力測定部76は、除湿器38から排出される圧縮気体の圧力を測定する。露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度とに基づいて、気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、露点温度算出部40が算出した気体の大気圧下露点温度を、圧力測定部76が測定した気体の圧力に応じて補正して、気体の圧力下露点温度を算出する。
【0089】
[作用効果]
気体の絶対湿度(気体に含まれる水分量)が同じであっても、気体の圧力が高いほど露点温度は高くなる。そのため、温度・湿度測定部26に接触する気体の圧力が高いほど、温度・湿度測定部26に水滴が付着し易くなる。温度・湿度測定部26に水滴が付着した場合、温度・湿度測定部26の測定湿度が異常値となるおそれがある。
【0090】
本実施形態の湿度測定装置10は、湿度測定装置10が気体の湿度等を測定する測定位置における気体の圧力を測定する圧力測定部76を有する。露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度とに基づいて算出した気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、露点温度算出部40が算出した気体の大気圧下露点温度を、圧力測定部76が測定した気体の圧力に応じて補正して、気体の圧力下露点温度を算出する。これにより、温度・湿度測定部26は高圧の気体と接触しないため、温度・湿度測定部26への水滴の付着が抑制される。
【0091】
〔第5実施形態〕
図18は、湿度測定装置10の制御ブロック図である。図18の制御ブロック図を用いて、表示部14の構成を説明する。
【0092】
本実施形態の湿度測定装置10の表示部14は、露点温度算出部40と、表示制御部52と、表示器54とを有する。本実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54とは、第1実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54と同じである。
【0093】
露点温度算出部40には、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度が入力される。露点温度算出部40には、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度が入力される。露点温度算出部40には、圧力測定部92が測定した気体の圧力が入力される。
【0094】
圧力測定部92は、湿度測定装置10の外部に設けられる。湿度測定装置10が配管36に設置される場合には、圧力測定部92は、配管36内を流通する圧縮気体の圧力を測定する。湿度測定装置10が除湿器38に設置される場合には、圧力測定部92は、除湿器38から排出される圧縮気体の圧力を測定する。
【0095】
露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度とに基づいて、気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、露点温度算出部40が算出した気体の大気圧下露点温度を、圧力測定部92が測定した気体の圧力に応じて補正して、気体の圧力下露点温度を算出する。
【0096】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10では、露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度とに基づいて算出した気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、露点温度算出部40が算出した気体の大気圧下露点温度を、湿度測定装置10の外部に設けられた圧力測定部92が測定した気体の圧力に応じて補正して、気体の圧力下露点温度を算出する。これにより、温度・湿度測定部26は高圧の気体と接触しないため、温度・湿度測定部26への水滴の付着が抑制される。
【0097】
〔第6実施形態〕
図19は、湿度測定装置10の制御ブロック図である。図19の制御ブロック図を用いて、表示部14の構成を説明する。
【0098】
本実施形態の湿度測定装置10の表示部14は、露点温度算出部40と、表示制御部52と、表示器54と、圧力入力部94とを有する。本実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54とは、第1実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54と同じである。
【0099】
圧力入力部94は、露点温度算出部40に気体の圧力を出力する。圧力入力部94が露点温度算出部40に出力する気体の圧力は、ユーザにより設定された値であってもよい。圧力入力部94が露点温度算出部40に出力する気体の圧力は、湿度測定装置10の出荷時に、湿度測定装置10の製造者により設定された値であってもよい。配管36を流通する圧縮気体の圧力が略一定である場合には、事前に設定された圧力が露点温度算出部40に入力されてもよい。同様に、除湿器38が排出する圧縮気体の圧力が略一定である場合には、事前に設定された圧力が露点温度算出部40に入力されてもよい。
【0100】
露点温度算出部40には、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度が入力される。露点温度算出部40には、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度が入力される。露点温度算出部40には、圧力入力部94から気体の圧力が入力される。
【0101】
露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度とに基づいて、気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、露点温度算出部40が算出した気体の大気圧下露点温度を、圧力入力部94から入力された気体の圧力に応じて補正して、気体の圧力下露点温度を算出する。
【0102】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10では、露点温度算出部40は、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の温度と、温度・湿度測定部26が測定した気体の大気圧下の湿度とに基づいて算出した気体の大気圧下露点温度を算出する。露点温度算出部40は、露点温度算出部40が算出した気体の大気圧下露点温度を、圧力入力部94から入力された気体の圧力に応じて補正して、気体の圧力下露点温度を算出する。これにより、温度・湿度測定部26は高圧の気体と接触しないため、温度・湿度測定部26への水滴の付着が抑制される。
【0103】
〔第7実施形態〕
図20は、湿度測定装置10の制御ブロック図である。図20の制御ブロック図を用いて、表示部14の構成を説明する。
【0104】
本実施形態の湿度測定装置10の表示部14は、表示制御部52と、表示器54と、交換判定部96と、補正部100とを有する。本実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54とは、第1実施形態の湿度測定装置10の表示部14の表示制御部52と表示器54と同じである。
【0105】
交換判定部96には、除湿器38が交換された場合に、交換情報入力部98から除湿器38が交換されたことを示す情報が入力される。交換情報入力部98は、湿度測定装置10の外部に設けられる。交換情報入力部98は、除湿器38が有してもよい。交換情報入力部98から除湿器38が交換されたことを示す情報が交換判定部96に入力された場合には、交換判定部96は除湿器38が交換されたと判定する。交換情報入力部98から除湿器38が交換されたことを示す情報が交換判定部96に入力されていない場合には、交換判定部96は除湿器38が交換されていないと判定する。
【0106】
補正部100には、温度・湿度測定部26が測定した気体の湿度が入力される。補正部100には、交換判定部96が判定した判定結果が入力される。補正部100は、入力された判定結果に応じて、温度・湿度測定部26が測定した湿度を補正する。
【0107】
図21は、交換判定部96及び補正部100において実行される補正処理の流れを示すフローチャートである。補正処理は、所定周期で繰り返し実行される。
【0108】
ステップS1において、交換判定部96は、前回の周期においてステップS1の処理が実行されてから今回の周期においてステップS1の処理が実行されるまでの間に、除湿器38が交換されたか否かを判定する。交換判定部96は、交換情報入力部98から除湿器38が交換されたことを示す情報が入力されたときに、除湿器38が交換されたと判定する。交換判定部96が除湿器38が交換されたと判定した場合(ステップS1:YES)には、補正処理はステップS2へ移行する。交換判定部96が除湿器38が交換されていないと判定した場合(ステップS1:NO)には、補正処理はステップS6へ移行する。
【0109】
ステップS2において、補正部100は、温度・湿度測定部26が測定した気体の湿度(測定湿度)が、第1閾値Th1以上であるか否かを判定する。測定湿度が第1閾値Th1以上である場合(ステップS2:YES)には、補正処理はステップS7へ移行する。測定湿度が第1閾値Th1未満である場合(ステップS2:NO)には、補正処理はステップS3へ移行する。
【0110】
ステップS3において、補正部100は、測定湿度が、第2閾値Th2以上であるか否かを判定する。測定湿度が第2閾値Th2以上である場合(ステップS3:YES)には、補正処理はステップS4へ移行する。測定湿度が第2閾値Th2未満である場合(ステップS3:NO)には、補正処理はステップS6へ移行する。第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも小さい値である。
【0111】
ステップS4において、補正部100は、測定湿度を補正して新たな測定湿度を求める。その後、補正処理はステップS5へ移行する。以下では、補正部100において求められた新たな測定湿度を、補正湿度と記載することがある。
【0112】
ステップS5において、交換判定部96は、交換情報入力部98から入力された除湿器38が交換されたことを示す情報(除湿器交換情報)をクリアする。その後、補正処理はステップS6へ移行する。
【0113】
ステップS6において、補正部100は、測定湿度を表示制御部52に出力する。その後、補正処理は終了する。
【0114】
ステップS2で測定湿度が第1閾値Th1以上であると判定された(ステップS2:YES)後のステップS7において、補正部100は、エラー信号を表示制御部52に出力する。その後、補正処理は終了する。表示制御部52にエラー信号が入力された場合には、表示制御部52は、表示器54を制御して、ユーザに温度・湿度測定部26の交換を促す表示を表示器54に表示させる。
【0115】
[作用効果]
温度・湿度測定部26の感湿素子は、感湿膜を有する。感湿膜は、感湿膜に含まれる水分量に応じて、静電容量が変化する。感湿素子は、感湿膜の静電容量に基づいて気体の湿度を測定する。
【0116】
感湿膜の劣化に伴い、気体の湿度に対応する感湿膜の静電容量が変化する。この原因は、感湿膜内への水分の浸透、感湿膜の汚れ等である。そのため、感湿膜の劣化に伴い、温度・湿度測定部26の測定湿度の精度が低下する。
【0117】
除湿器38が交換された直後において、除湿器38により除湿された後の気体の湿度は、除湿器38の除湿性能に応じた所定の湿度に調整されていると考えられる。温度・湿度測定部26の測定湿度が、当該所定の湿度よりも高い場合には、感湿膜が劣化していると考えられる。
【0118】
本実施形態の湿度測定装置10では、除湿器38が交換されたと交換判定部96が判定した場合であって、測定湿度が第2閾値以上第1閾値未満である場合には、補正部100は、測定湿度を補正して補正湿度を求める。これにより、感湿膜が劣化している場合であっても、湿度測定装置10は気体の湿度の精度を保つことができる。
【0119】
本実施形態の湿度測定装置10では、除湿器38が交換されたと交換判定部96が判定した場合であって、温度・湿度測定部26の測定湿度が第1閾値以上である場合には、表示制御部52は、表示器54を制御して、ユーザに温度・湿度測定部26の交換を促す表示を表示器54に表示させる。これにより、感湿膜の劣化が激しい場合には、湿度測定装置10は、ユーザに温度・湿度測定部26の交換を促すことができる。
【0120】
〔第8実施形態〕
図22及び図23は、湿度測定装置10を示す。湿度測定装置10は、筐体102と、表示部14と、継手部106とを有する。図22及び図23は、筐体102及び継手部106を断面図で示す。図22及び図23は、表示部14を模式図で示す。
【0121】
筐体102は、本体部108と接続部110とを有する。本体部108は、本体部108の内部に収容部112を有する。この収容部112は、本体部108内に形成された空間である。
【0122】
湿度測定装置10は、電子基板25を有する。電子基板25は、本体部108と表示部14との間に配置される。電子基板25には、温度・湿度測定部26が取り付けられる。温度・湿度測定部26は、収容部112に収容される。温度・湿度測定部26は、感温素子と感湿素子とが1つの集積回路上に搭載された電子部品である。感温素子は、収容部112内の気体の温度を測定する。感湿素子は、収容部112内の気体の湿度を測定する。温度・湿度測定部26は、測定した気体の温度及び湿度を表示部14に出力する。
【0123】
接続部110は、第1接続配管118及び第2接続配管120を有する。第1接続配管118及び第2接続配管120は、収容部112に接続される。また、第1接続配管118及び第2接続配管120は、後述する継手部106の継手配管122に接続される。収容部112と継手配管122との間において、第1接続配管118及び第2接続配管120を介して、気体が流通する。第1接続配管118の断面積と第2接続配管120の断面積とは異なる。図22に示すように、第2接続配管120の最小径部分の断面積は、第1接続配管118の最小径部分の断面積よりも小さい。図23に示すように、第1接続配管118の最小径部分の断面積が、第2接続配管120の最小径部分の断面積よりも小さくてもよい。
【0124】
継手部106は、継手部106の内部に継手配管122及び管取付部124を有する。継手配管122は、一方向に延びて形成される。継手配管122の両端のそれぞれには、管取付部124が接続される。管取付部124のぞれぞれは、継手部106の外部に開口する。継手部106は、気体が流通する管126(図24)の途中に接続される。それぞれの管取付部124には、管126が接続される。継手配管122は、管126と管126との間を繋ぐ。これにより、管126と管126との間を、継手配管122を介して、気体が流通可能となる。
【0125】
継手配管122には、フィルタ128が取り付けられる。フィルタ128は、継手配管122における気体の流れに対して、上流に位置する管取付部124と継手配管122との接続部分に配置される。継手配管122は、オリフィス130を有する。オリフィス130は、オリフィス130の孔の最小径部分の断面積が、継手配管122の他の箇所の断面積よりも小さい。オリフィス130は、継手配管122における気体の流れに対して、フィルタ128よりも下流に配置される。以下では、継手配管122のうち、オリフィス130よりも上流における部分を第1継手室132と記載することがある。また、継手配管122のうち、オリフィス130よりも下流における部分を第2継手室134と記載することがある。
【0126】
フィルタ128は、継手配管122の上流側の端部に取り付けられる。フィルタ128により、継手配管122に流入する気体に混入した異物を除去することが可能となる。これにより、継手配管122内に異物が侵入することを抑制できる。
【0127】
第1継手室132において、前述の第1接続配管118は継手配管122と接続される。換言すると、継手配管122における気体の流れに対して、オリフィス130よりも上流であって、フィルタ128とオリフィス130との間において、第1接続配管118は継手配管122に接続される。第2継手室134において、前述の第2接続配管120は継手配管122と接続される。換言すると、継手配管122における気体の流れに対して、オリフィス130よりも下流において、第2接続配管120は継手配管122に接続される。
【0128】
図24は、湿度測定装置10に管126が接続された状態を示す図である。図24の矢印は、気体の流れを示す。
【0129】
オリフィス130により、第1継手室132の圧力は、第2継手室134の圧力よりも高くなる。これにより、第1接続配管118から収容部112内に、継手配管122の気体を流入させることが可能となる。第1接続配管118の径の断面積に比べて、第2接続配管120の径の断面積は小さい。そのため、収容部112の圧力を、第1継手室132の圧力と略同じにすることが可能となる。
【0130】
収容部112には、フィルタ128を通過後の気体が流入する。そのため、収容部112内に異物が侵入することを抑制できる。
【0131】
表示部14の構成は、第1実施形態、第3実施形態、第5実施形態、第6実施形態又は第7実施形態の表示部14の構成と同様である。
【0132】
[湿度の測定精度について]
本発明者等は、第1継手室132、第2継手室134及び収容部112の湿度について、コンピュータを用いてシミュレーションを行った。図25図26及び図27は、シミュレーション結果を示す。図25は、第1接続配管118の最小径部分の断面積と、第2接続配管120の最小径部分の断面積とが等しい場合におけるシミュレーション結果を示す。図26は、第2接続配管120の最小径部分の断面積が、第1接続配管118の最小径部分の断面積よりも小さい場合におけるシミュレーション結果を示す。図27は、第1接続配管118の最小径部分の断面積が、第2接続配管120の最小径部分の断面積よりも小さい場合におけるシミュレーション結果を示す。シミュレーションでは、第1継手室132に湿度88%の気体を流入させた。
【0133】
第1接続配管118の最小径部分の断面積と、第2接続配管120の最小径部分の断面積とが等しい場合、図25に示すように、収容部112の湿度は、第1継手室132の湿度よりも低い。一方、収容部112の湿度は、第2継手室134の湿度よりも高い。すなわち、収容部112の湿度は、第1継手室132の湿度、及び、第2継手室134の湿度の両方と異なる。そのため、収容部112に設けられた温度・湿度測定部26は、管126の内部を流通する気体の湿度を測定できるものの、その精度は低い。なお、この場合、収容部112の圧力は、第1継手室132の圧力よりも低い。一方、収容部112の圧力は、第2継手室134の圧力よりも高い。
【0134】
第2接続配管120の最小径部分の断面積が、第1接続配管118の最小径部分の断面積よりも小さい場合、図26に示すように、収容部112の湿度は、第1継手室132の湿度と略等しい。一方、収容部112の湿度は、第2継手室134の湿度よりも高い。そのため、収容部112に設けられた温度・湿度測定部26は、オリフィス130よりも上流において管126の内部を流通する気体の湿度を高精度に計測できる。なお、この場合、収容部112の圧力は、第1継手室132の圧力と略等しい。一方、収容部112の圧力は、第2継手室134の圧力よりも高い。
【0135】
第1接続配管118の最小径部分の断面積が、第2接続配管120の最小径部分の断面積よりも小さい場合、図27に示すように、収容部112の湿度は、第2継手室134の湿度と略等しい。一方、収容部112の湿度は、第1継手室132の湿度よりも低い。そのため、収容部112に設けられた温度・湿度測定部26は、オリフィス130よりも下流において管126の内部を流通する気体の湿度を高精度に計測できる。なお、この場合、収容部112の圧力は、第2継手室134の圧力と略等しい。一方、収容部112の圧力は、第1継手室132の圧力よりも低い。
【0136】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10は、管126の途中に接続される継手部106を有する。継手部106の継手配管122と筐体102の収容部112とは、第1接続配管118及び第2接続配管120により接続される。第1接続配管118は、オリフィス130の上流において継手配管122に接続される。第2接続配管120は、オリフィス130の下流において継手配管122に接続される。
【0137】
これにより、継手配管122を流通する気体が分流して、第1接続配管118から収容部112に送られる。そのため、温度・湿度測定部26は、管126と同じ圧力下において、収容部112の気体の湿度を測定できる。その結果、湿度測定装置10は、管126を流通する気体の湿度を測定できる。また、管126を流通する気体に混入した水滴等が、収容部112に侵入することを抑制できる。その結果、温度・湿度測定部26が汚染されることを抑制できる。
【0138】
また、本実施形態の湿度測定装置10では、管126を流通する気体が、継手配管122から第1接続配管118を通って収容部112に流入する。収容部112に流入した気体は、第2接続配管120を通って継手配管122に戻る。そのため、管126を流通する気体が外部に排出されない。その結果、気体の減少を抑制できる。
【0139】
本実施形態の湿度測定装置10は、第1接続配管118の断面積と、第2接続配管120の断面積とが異なる。第2接続配管120の最小径部分の断面積を、第1接続配管118の最小径部分の断面積よりも小さくした場合、温度・湿度測定部26は、オリフィス130よりも上流において管126の内部を流通する気体の湿度を高精度に計測できる。第1接続配管118の最小径部分の断面積を、第2接続配管120の最小径部分の断面積よりも小さくした場合、温度・湿度測定部26は、オリフィス130よりも下流において管126の内部を流通する気体の湿度を高精度に計測できる。
【0140】
〔第9実施形態〕
図28は、湿度測定装置10を示す。湿度測定装置10は、筐体102と、表示部14と、継手部106とを有する。図28は、筐体102及び継手部106を断面図で示す。図28は、表示部14を模式図で示す。
【0141】
電子基板25には、フローセンサ136が取り付けられる。フローセンサ136は、筐体102の収容部112に収容される。フローセンサ136は、収容部112を流通する気体の流量を検出する。収容部112を流れる気体の流量から管126を流通する気体の流量を求めることができる。フローセンサ136は、センサ、サーミスタ、白金等から構成される。センサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成される。本実施形態の湿度測定装置10のその他の構成については、第8実施形態の湿度測定装置10と同じである。
【0142】
[作用効果]
本実施形態の湿度測定装置10では、筐体102の収容部112に、フローセンサ136が収容される。これにより、管126を流通する気体の流量を求めることができる。
【0143】
〔第10実施形態〕
図29は、湿度測定装置10を示す。湿度測定装置10は、筐体102と、表示部14と、継手部106とを有する。図29は、筐体102及び継手部106を断面図で示す。図29は、表示部14を模式図で示す。
【0144】
継手配管122には、フィルタ128及びフィルタ138が取り付けられる。フィルタ138は、オリフィス130を挟んで、フィルタ128と反対側に配置される。フィルタ128は、継手配管122と管取付部124との接続部分に取り付けられる。フィルタ138は、継手配管122と管取付部124との接続部分に取り付けられる。
【0145】
フィルタ128は継手配管122の一端部に取り付けられ、フィルタ138は継手配管122の他端部に取り付けられる。これにより、気体が流通する方向が切り換わる場合であっても、フィルタ128又はフィルタ138により、継手配管122に流入する気体に混入した異物を除去することが可能となる。これにより、継手配管122内に異物が侵入することを抑制できる。
【0146】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0147】
〔実施形態から得られる技術的思想〕
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0148】
気体の湿度を測定する湿度測定装置(10)であって、当該湿度測定装置は、温度を測定する感温素子、及び、湿度を測定する感湿素子を有する測定部(26)と、前記測定部が収容される収容部(112)を有する筐体(102)と、表示器(54)を有し、前記筐体に固定された表示部(14)と、前記気体が流通する管(126)の途中に接続され、前記管と前記管との間において前記気体を流通可能にする継手配管(122)と、を備え、前記継手配管はオリフィス(130)を有し、前記継手配管にはフィルタ(128)が取り付けられ、前記筐体は、前記継手配管と前記収容部とを繋いで、前記継手配管と前記収容部との間において前記気体を流通可能にする第1配管(118)及び第2配管(120)を有する。これにより、湿度測定装置は、管を流通する気体の湿度を測定できる。
【0149】
上記の湿度測定装置において、前記第1配管の断面積と、前記第2配管の断面積とが異なってもよい。これにより、湿度測定装置は、管を流通する気体の湿度を測定できる。
【0150】
上記の湿度測定装置において、前記気体の流量を測定するフローセンサ(136)を有し、前記フローセンサは、前記収容部に収容されてもよい。これにより、湿度測定装置は、管を流通する気体の流量を求めることができる。
【0151】
上記の湿度測定装置において、前記表示部は、前記表示器を制御して、前記感温素子が測定した前記気体の温度と前記感湿素子が測定した前記気体の湿度とに基づいて算出された前記気体の露点温度、及び、前記感湿素子が測定した前記気体の湿度の少なくとも一方を、前記表示器に表示させる表示制御部(52)を有してもよい。これにより、ユーザは、湿度測定装置が設置された場所において、気体の湿度と、気体の露点温度とを確認できる。
【符号の説明】
【0152】
10…湿度測定装置 14…表示部
26…温度・湿度測定部(測定部) 52…表示制御部
54…表示器 102…筐体
112…収容部 118…第1接続配管(第1配管)
120…第2接続配管(第2配管) 128…フィルタ
130…オリフィス 136…フローセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図29