(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002044
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】制御回路およびスイッチング電源
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100996
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 宏志
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730BB23
5H730BB57
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FF19
5H730FG02
5H730FG05
5H730VV03
5H730XX04
5H730XX15
5H730XX24
5H730XX35
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子の制御回路を小型化する。
【解決手段】スイッチング電源のトランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路であって、前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を備える制御回路を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源のトランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路であって、
前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を備える制御回路。
【請求項2】
前記無効期間と前記最小期間の開始タイミングは共通であり、
前記共通タイマ部は、前記無効期間を経時した後に、前記最小期間の残りを経時する
請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記共通タイマ部は、
共通コンデンサと、
前記開始タイミングにおいて前記共通コンデンサの充電を開始し、且つ、前記共通コンデンサの充放電を制御する充放電制御部と、
前記開始タイミングの後に前記共通コンデンサの電圧が第1設定電圧となった場合に、前記無効期間の終了タイミングを示す前記第1タイマ信号を出力するとともに、前記共通コンデンサを放電させ、前記共通コンデンサを再充電させる無効期間出力部と、
前記共通コンデンサを放電させた後に、前記共通コンデンサが第2設定電圧となった場合に、前記最小期間の終了タイミングを示す前記第2タイマ信号を出力する最小期間出力部と
を有する請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記充放電制御部は、前記無効期間の終了前と終了後で、前記共通コンデンサを充電する充電電流の値を変化させる
請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記充放電制御部は、前記無効期間の終了後は、前記無効期間の終了前よりも前記充電電流を小さくする
請求項4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記第1設定電圧および前記第2設定電圧は同一電圧である
請求項3から5のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項7】
前記無効期間出力部は、前記開始タイミングに応じて第1セット信号が入力され、前記共通コンデンサの電圧が前記第1設定電圧となった場合に第1リセット信号が入力され、前記第1タイマ信号を出力するフリップフロップであり、
前記最小期間出力部は、前記開始タイミングに応じて第2セット信号が入力され、前記共通コンデンサの電圧が前記第2設定電圧となった場合に第2リセット信号が入力され、前記第2タイマ信号を出力するフリップフロップであり、
前記制御回路は、前記開始タイミングから、前記無効期間出力部の出力が前記第1リセット信号に応じて遷移するまで、前記最小期間出力部への前記第2リセット信号の入力をマスクするリセット制御部を備える
請求項3から5のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項8】
前記スイッチングサイクルは連続で繰り替えされることで複数存在し、
前記制御回路は、
前記スイッチング電源の出力電圧の大きさに基づいて、軽負荷動作を行うか、通常動作を行うかの判別を行う判別回路を有し、
前記軽負荷動作を行う場合は、前記無効期間および前記最小期間を用いることで、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記無効期間が経過した後に前記過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を前記最小期間以上に制御し、
前記通常動作を行う場合は、前記最小期間を用いず、前記無効期間を用いることで、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記無効期間が経過した後に前記過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせる制御を行う
請求項1に記載の制御回路。
【請求項9】
前記オン期間、前記無効期間、および前記最小期間の前記開始タイミングは共通である請求項2に記載の制御回路。
【請求項10】
前記スイッチングサイクル内に前記軽負荷動作が実施されていた場合、前記無効期間が経過した後であって前記最小期間よりも前に、前記過電流が検出された場合は、前記スイッチング素子をオフさせる請求項8に記載の制御回路。
【請求項11】
トランスと、
前記トランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を有する
スイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路およびスイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子をオン状態およびオフ状態に繰り返し遷移させて、所定の電圧または電流を出力するスイッチング電源が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2003-070247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スイッチング電源の制御回路の回路規模を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、スイッチング電源のトランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路を提供する。制御回路は、前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を備えてよい。
【0005】
上記制御回路において前記無効期間と前記最小期間の開始タイミングは共通であってよい。上記何れかの制御回路において、前記共通タイマ部は、前記無効期間を経時した後に、前記最小期間の残りを経時してよい。
【0006】
上記何れかの制御回路において、前記共通タイマ部は、共通コンデンサを有してよい。上記何れかの制御回路において、前記共通タイマ部は、前記開始タイミングにおいて前記共通コンデンサの充電を開始し、且つ、前記共通コンデンサの充放電を制御する充放電制御部を有してよい。上記何れかの制御回路において前記共通タイマ部は、前記開始タイミングの後に前記共通コンデンサの電圧が第1設定電圧となった場合に、前記無効期間の終了タイミングを示す前記第1タイマ信号を出力するとともに、前記共通コンデンサを放電させ、前記共通コンデンサを再充電させる無効期間出力部を有してよい。上記何れかの制御回路において前記共通タイマ部は、前記共通コンデンサを放電させた後に、前記共通コンデンサが第2設定電圧となった場合に、前記最小期間の終了タイミングを示す前記第2タイマ信号を出力する最小期間出力部を有してよい。
【0007】
上記何れかの制御回路において前記充放電制御部は、前記無効期間の終了前と終了後で、前記共通コンデンサを充電する充電電流の値を変化させてよい。
【0008】
上記何れかの制御回路において前記充放電制御部は、前記無効期間の終了後は、前記無効期間の終了前よりも前記充電電流を小さくしてよい。
【0009】
上記何れかの制御回路において前記第1設定電圧および前記第2設定電圧は同一電圧であってよい。
【0010】
上記何れかの制御回路において前記無効期間出力部は、前記開始タイミングに応じて第1セット信号が入力され、前記共通コンデンサの電圧が前記第1設定電圧となった場合に第1リセット信号が入力され、前記第1タイマ信号を出力するフリップフロップであってよい。上記何れかの制御回路において前記最小期間出力部は、前記開始タイミングに応じて第2セット信号が入力され、前記共通コンデンサの電圧が前記第2設定電圧となった場合に第2リセット信号が入力され、前記第2タイマ信号を出力するフリップフロップであってよい。上記何れかの制御回路において前記制御回路は、前記開始タイミングから、前記無効期間出力部の出力が前記第1リセット信号に応じて遷移するまで、前記最小期間出力部への前記第2リセット信号の入力をマスクするリセット制御部を備えてよい。
【0011】
上記何れかの制御回路において前記スイッチングサイクルは連続で繰り替えされることで複数存在してよい。上記何れかの制御回路は、前記スイッチング電源の出力電圧の大きさに基づいて、軽負荷動作を行うか、通常動作を行うかの判別を行う判別回路を有してよい。上記何れかの制御回路において、前記軽負荷動作を行う場合は、前記無効期間および前記最小期間を用いることで、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記無効期間が経過した後に前記過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を前記最小期間以上に制御してよい。上記何れかの制御回路において前記通常動作を行う場合は、前記最小期間を用いず、前記無効期間を用いることで、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記無効期間が経過した後に前記過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせる制御を行ってよい。
【0012】
上記何れかの制御回路において前記オン期間、前記無効期間、および前記最小期間の前記開始タイミングは共通であってよい。
【0013】
上記何れかの制御回路において前記スイッチングサイクル内に前記軽負荷動作が実施されていた場合、前記無効期間が経過した後であって前記最小期間よりも前に、前記過電流が検出された場合は、前記スイッチング素子をオフさせてよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、スイッチング電源を提供する。スイッチング電源は、トランスを有してよい。スイッチング電源は、前記トランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子を有してよい。上記いずれかのスイッチング電源は、前記スイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路を備えてよい。前記制御回路は、前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係るスイッチング電源200の一例を示す図である。
【
図3】共通タイマ部300の構成例を示す図である。
【
図4】軽負荷状態(VstbL=L)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図5】通常負荷状態(VstbL=H)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】発振周波数制御部24および発振器26の構成例を示す図である。
【
図7】発振器26の発振周波数と、Vfb電圧との関係を示す図である。
【
図8】RT端子における電圧と、Vfb電圧との関係を示す図である。
【
図9】コンデンサC0の充電電圧の波形を示す図である。
【
図10】制御信号OUTのオン幅(パルス幅)と、Vfb電圧と関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、又、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、1つの図面において、同一の機能、構成を有する要素については、代表して符合を付し、その他については符合を省略する場合がある。本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0017】
図1は、本発明の一つの実施形態に係るスイッチング電源200の一例を示す図である。スイッチング電源200は、スイッチング素子Q1をオン状態およびオフ状態に繰り返し制御することで、所定の電圧または電流を出力する。本例のスイッチング電源200は、一次側回路210、二次側回路220およびトランスT1を備える。
図1に示すスイッチング電源200は、いわゆるフォワード方式の回路であるがこれに限定されない。
【0018】
一次側回路210には、電源回路205が含まれてよい。電源回路205は、一次側回路210に電源電力を供給する。本例の電源回路205は、商用電源等の外部の交流電源(電圧VIN)が接続されてよい。電源回路205は、交流電源からの電圧および電流を整流して平滑化するダイオードブリッジDS1およびコンデンサC1を有してよい。
【0019】
一次側回路210は、制御回路100、トランスT1の一次側巻線n1、トランスT1のリセット巻線n3、ダイオードD1およびスイッチング素子Q1を有する。本例の一次側巻線n1には、電源回路205から電源電力が供給される。
【0020】
二次側回路220は、トランスT1の二次側巻線n2、ダイオードD2、ダイオードD3、二次側コイルLdおよび1つ以上のコンデンサ(
図1ではコンデンサC2およびコンデンサC3)を有する。二次側巻線n2は、一次側巻線n1と磁気的に結合されている。
【0021】
スイッチング素子Q1は、一次側巻線n1と直列に接続されており、一次側巻線n1に主電流を流すか否かをスイッチング制御する。スイッチング素子Q1は、例えばパワーMOSFETである。制御回路100は、スイッチング素子Q1のオンおよびオフの状態を制御する。制御回路100は、スイッチング素子Q1のゲート端子に入力する制御信号を出力してよい。制御回路100は、例えば集積回路チップである。
【0022】
スイッチング素子Q1がオン状態となり一次側巻線n1に励磁電流が流れると、二次側巻線n2には巻数比に応じた負荷電流が流れる。二次側巻線n2に流れた負荷電流は、ダイオードD2により整流される。本例では、二次側巻線n2の高圧側の端子と二次側コイルLdとの間にダイオードD2が配置される。二次側コイルLdを通過した負荷電流によりコンデンサC2およびC3が充電される。コンデンサC2およびC3に蓄積された電荷量に応じて、負荷に出力電圧Voutが印加される。
【0023】
スイッチング素子Q1がオフ状態となると、一次側巻線n1に流れる電流が遮断され、リセット巻線n3に励磁電流が流れる。当該励磁電流は、ダイオードD1からリセット巻線n3に流れ、電源回路205の高圧側に回生する。スイッチング素子Q1がオフ状態を継続すると、当該励磁電流は徐々に減少する。また、二次側巻線n2に流れていた負荷電流は、ダイオードD3を介して環流する。本例では、二次側巻線n2の低圧側の端子と二次側コイルLdとの間にダイオードD3が配置される。
【0024】
リセット巻線n3に流れる励磁電流が0になった後、スイッチング素子Q1の寄生容量を電源として、励磁電流が一次側巻線n1の低圧側から高圧側に向かって流れる。寄生容量が放電すると、二次側回路220のダイオードD2が順バイアスされて導通し、励磁電流が二次側巻線n2に流れる。その後、スイッチング素子Q1がオン状態となる。上述した動作が、スイッチング素子Q1のスイッチングサイクル毎に繰り返される。スイッチングサイクルは連続で繰り替えされることで複数存在する。このようにスイッチング素子Q1をスイッチング動作させることで、負荷に所定の電圧および電流を供給する。
【0025】
一次側回路210は、制御回路100の電源端子VCCに電源電力を供給する電源回路230を有してよい。電源回路230は、スイッチング素子Q1がスイッチング動作することで発生した電流に基づいて、電源電力を生成してよい。本例の電源回路230は、補助巻線n4、ダイオードD5、抵抗R10、1つ以上のコンデンサ(
図1の例では、コンデンサC8およびコンデンサC9)。を有する。
【0026】
補助巻線n4は、電源回路205の高圧側端子と、GND線との間に配置されている。補助巻線n4と電源回路205との間には、抵抗R1が配置されてよい。補助巻線n4は、二次側巻線n2と磁気的に結合している。つまり補助巻線n4には、二次側巻線n2の電流に応じた電流が流れる。ダイオードD5は、補助巻線n4の高圧側端子と、制御回路100の電源端子VCCの間に配置され、補助巻線n4に流れる電流を整流する。抵抗R10は、ダイオードD5と電源端子VCCの間に配置される。ダイオードD5を通過した電流により、コンデンサC8、C9が充電される。コンデンサC8、C9に蓄積された電力が、制御回路100の電源電力として供給される。
【0027】
スイッチング素子Q1のスイッチング動作が開始していない起動時には、抵抗R1を介してコンデンサC8、C9が充電される。コンデンサC8、C9の電圧が所定の起動電圧まで上昇すると、制御回路100が起動してスイッチング素子Q1のスイッチング動作を開始させる。スイッチング素子Q1がスイッチング動作開始した後は、補助巻線n4からの電流によりコンデンサC8、C9が充電されるが、保護動作等によりスイッチング素子Q1のスイッチング動作が停止した場合には、抵抗R1を介してコンデンサC8、C9が充電される。これにより制御回路100の動作を継続させることができる。
【0028】
制御回路100は、スイッチング素子Q1を制御する制御信号OUTを出力するOUT端子を有する。本例のOUT端子は、抵抗R3を介してスイッチング素子Q1のゲート端子に接続されている。抵抗R3により、スイッチング素子Q1のゲート抵抗を調整できる。また、スイッチング素子Q1のゲート端子は、抵抗R5を介してGND線に接続されてよい。基準電位線GNDは、制御回路100のGND端子に接続されている。
【0029】
一次側回路210は、一端がスイッチング素子Q1のソース端子に接続され、他端が電源回路205の低圧側端子(つまり一次側回路210のコモンライン)に接続される抵抗R6を有してよい。抵抗R6の当該他端は、抵抗R9およびコンデンサC7を介して基準電位線GNDにも接続されている。一次側巻線n1およびスイッチング素子Q1に流れた電流は、抵抗R6を介して電源回路205の低圧側に流れる。
【0030】
制御回路100は、スイッチング素子Q1に流れる主電流(本例では、ドレイン電流Ids)の大きさを検知するCS端子を有する。CS端子は、抵抗R6の端部(上述した他端)の電位を取り込む。CS端子に当該電位を取り込む接続部分は、本例の一次側回路210のように、CS端子と抵抗R6とを接続する抵抗R9と、コンデンサC7で構成されるフィルタを有してもよい。抵抗R6のもう一方の端部(上述した、スイッチング素子Q1に接続される一端)の電位は、基準電位線GNDを介して制御回路100のGND端子に入力される。つまり、スイッチング素子Q1のソース端子の電位と、制御回路100のGND端子の電位とは共通である。抵抗R6の両端部の間にはドレイン電流Idsの大きさに応じた電位差が生じている。従って、GND端子とCS端子の電位差が、ドレイン電流Idsの大きさを示している。なお本例の制御回路100のCS端子の電位は、ドレイン電流Idsの大きさに応じて、GND端子の電位に対してマイナス側に振れる。
【0031】
制御回路100は、二次側回路220の出力電圧Voutの大きさを示す信号が入力されるFB端子を有してよい。本例の二次側回路220には、出力電圧Voutの大きさを検出する電圧検出部240が設けられている。電圧検出部240は、抵抗R12、発光ダイオードPC1A、抵抗R13およびシャントレギュレータSR1を有する。シャントレギュレータSR1の制御入力には、出力電圧Voutを抵抗R13および抵抗R14で分圧した電圧が印加されてよい。シャントレギュレータSR1は、制御入力に印加される電圧が、所定の基準電圧より高ければ電流を引き込み、低ければ電流を引き込まない。つまりシャントレギュレータSR1は、出力電圧Voutが下式で示される値となるように動作する。
Vout=基準電圧/(R14×(R13+R14))
【0032】
抵抗R12、発光ダイオードPC1AおよびシャントレギュレータSR1は、出力電圧Voutを出力する出力端子と、基準電位との間に直列に設けられている。抵抗R13は、発光ダイオードPC1Aと並列に配置されている。発光ダイオードPC1Aには、出力電圧Voutに応じた電流が流れ、当該電流の大きさに応じた強度の光を出力する。
【0033】
一次側回路210は、発光ダイオードPC1Aが出力した光を受光するフォトトランジスタPC1B等の受光素子を有する。フォトトランジスタPC1Bは、受光した光の強度に応じた電流を生成する。フォトトランジスタPC1Bは、制御回路100のFB端子とGND線との間に配置されてよい。これにより、FB端子には、出力電圧Voutに応じた電流が流れる。一次側回路210は、フォトトランジスタPC1Bと並列に設けられたコンデンサC6を有してよい。これにより、FB端子に流れる電流の高周波成分を除去できる。
【0034】
FB端子の電圧は、出力電圧Voutに応じて変化する。本例のFB端子の電圧は、出力電圧Voutが高いほど低くなる。制御回路100は、FB端子の電圧に応じて、スイッチング素子Q1をオンする期間およびオフする期間を制御する。一例として制御回路100は、出力電圧Voutが高いほど、それぞれのスイッチングサイクルにおいてスイッチング素子Q1をオンする期間を短くする。
【0035】
制御回路100は、コンデンサC4が接続されるSS端子を有してよい。コンデンサC4は、SS端子とGND線との間に接続され、SS端子から印加される電圧により充電される。コンデンサC4は、スイッチング電源200の起動時に充電され、スイッチング電源200のソフトスタートに用いられる。ソフトスタートの動作は後述する。
【0036】
制御回路100は、RT端子を有してよい。RT端子は、抵抗R8を介してGND線に接続されてよい。RT端子は一定電圧になるように制御され、抵抗R8を流れる電流によって後述する発振信号の周波数を制御する。
【0037】
上述したように制御回路100は、スイッチング素子Q1のそれぞれのスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御する。また制御回路100は、スイッチング電源200の負荷状態に応じてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数(つまりスイッチングサイクルの長さ)を変更してよい。スイッチング電源200の負荷が軽いほど、FB端子の電圧は低下する。FB端子の電圧が低くなると、各スイッチングサイクルにおいてスイッチング素子Q1をオンする期間は短くなる。スイッチング素子Q1のオン期間が短くなると、スイッチング素子Q1におけるオン損失は小さくなる。一方で、スイッチング周波数が一定の場合、一定の期間毎にスイッチング素子Q1がスイッチングするので、スイッチング損失はほぼ変わらない。本例の制御回路100は、スイッチング電源200の負荷状態が軽いほど(つまり出力電圧Voutが高いほど)、スイッチング周波数を低く(つまりスイッチングサイクルを長く)することで、スイッチング素子Q1のスイッチング頻度を低下させ、軽負荷状態におけるスイッチング損失を低減する。
【0038】
スイッチング素子Q1のオン期間が短くなると、スイッチング素子Q1をスイッチング動作させても、2次側にほとんどエネルギーを伝達できなくなる。結果的にFB端子の電圧が低下せず、スイッチング周波数が低下しにくくなる。本例の制御回路100は、各スイッチングサイクルにおけるスイッチング素子Q1のオン期間が、所定の最小期間以上となるように制御する。これにより、スイッチング電源200が軽負荷状態となった場合にスイッチング周波数を安定して低下させ、スイッチング損失を低減できる。制御回路100は、タイマ回路により当該最小期間を経時する。
【0039】
制御回路100は、CS端子の電圧に応じて、スイッチング素子Q1に過電流が流れたか否かを判定する。制御回路100は、スイッチング素子Q1に過電流が流れている場合に、スイッチング素子Q1をオフ状態に制御する。これによりスイッチング素子Q1を保護できる。一方で、スイッチング素子Q1がターンオンした直後は、ターンオン時のノイズにより、過電流が流れたと誤って判定してしまう場合がある。このため制御回路100は、スイッチング素子Q1のターンオンから所定の無効期間は、過電流が検出されても当該検出を無効とする。つまり制御回路100は、それぞれのスイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合にスイッチング素子Q1をオフさせる。これにより、過電流の誤検出により、スイッチング素子Q1がオフされることを抑制できる。制御回路100は、タイマ回路により当該無効期間を経時する。
【0040】
上述した最小期間と無効期間は同一とは限らないので、最小期間を経時するタイマ回路と、無効期間を経時するタイマ回路とを制御回路100に設けることが考えられる。しかし、2つのタイマ回路を設けると回路規模が増大してしまう。特に、コンデンサを定電流で充電し、コンデンサの充電電圧と所定の閾値とを比較することで期間を計測するタイマ回路では、コンデンサを充電するアナログ回路を有する。このため、最小期間用と無効期間用とで、それぞれタイマ回路を設けると回路規模が増大してしまう。本例の制御回路100は、上述した最小期間と無効期間とを、1つの共通タイマ部で経時する。これによりタイマ回路の回路規模を小さくできる。
【0041】
図2は、制御回路100の構成例を示す図である。本例の制御回路100は、VCC端子から供給される電力に基づいて内部電圧を生成する内部電源11を有する。内部電源11は電源電圧Vddを生成する。一例として電源電圧Vddは5Vである。制御回路100に含まれる各回路は、電源電圧VCCまたは電源電圧Vddを受けとる。
【0042】
本例の制御回路100は、保護ダイオード14、ヒステリシス回路10および保護回路13を有する。保護ダイオード14は、VCC端子の電圧が所定の電圧以上とならないように、VCC電圧をクランプする。
【0043】
ヒステリシス回路10は、VCC端子の電圧が、所定値以下の低電圧となったか否かを監視する。ヒステリシス回路10は、VCC電圧が低電圧状態となった場合にLレベルとなり、VCC電圧が所定の高電圧となった場合にHレベルとなる保護信号UVLOを出力する。保護信号UVLOがLレベルの場合、スイッチング素子Q1のゲート端子の電圧はLレベルに固定される。これにより、VCC電圧が低電圧のときにスイッチング素子Q1をスイッチング動作させることを防げる。一例としてヒステリシス回路10は、VCC電圧が9V以下となった場合に、保護信号UVLOをLレベルとしてよい。また、ヒステリシス回路10は、VCC電圧が18V以上となった場合に、保護信号UVLOをLレベルからHレベルに遷移させてよい。例えばヒステリシス回路10は、スイッチング電源200が起動または再起動した場合に、徐々に上昇するVCC電圧が18V以上になると、保護信号UVLOをHレベルとする。
【0044】
保護回路13は、内部電源11が生成する内部電圧を監視する。保護回路13は、いずれかの内部電圧が予め設定された許容範囲外となった場合に、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を停止させる。
【0045】
制御回路100は、PWM回路22、発振周波数制御部24、発振器26、共通タイマ部300、制御パルス生成部32、論理積回路31、インバータ33、論理積回路34および制御信号出力部20を備える。制御信号出力部20は、入力される制御パルスに応じて、スイッチング素子Q1を制御する制御信号OUTを出力する。制御信号出力部20は、制御パルスを0VからVCC電圧までの信号にレベルシフトして出力する。つまり制御信号出力部20は、制御パルスがLレベルを示す場合に0Vを出力し、Hレベルを示す場合にVCC電圧を出力する。制御信号が0Vの場合にスイッチング素子Q1はオフ状態となり、制御信号OUTがVCC電圧の場合にスイッチング素子Q1はオン状態となる。
【0046】
なお制御信号出力部20は、イネーブル端子ENにLレベルの信号が入力されている間は、制御パルスによらず0Vを出力する。上述したヒステリシス回路10および保護回路13は、制御信号出力部20のイネーブル端子ENにLレベルの信号を入力することで、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を停止させる。
【0047】
PWM回路22、共通タイマ部300、発振器26および制御パルス生成部32は、制御パルスを生成する。発振器26は、制御パルスのサイクルを規定する発振信号を生成する。発振周波数制御部24は、発振信号の周波数を制御する。発振器26は、発振信号として、三角波信号Voscと、矩形波信号Dmaxとを生成してよい。発振信号の周期は、RT端子に接続される抵抗R8の抵抗値により設定されてよい。三角波信号Voscおよび矩形波信号Dmaxは同期している。本例では、矩形波信号DmaxがHレベルの期間で三角波信号Voscの信号レベルが増加し、矩形波信号DmaxがLレベルの期間で三角波信号Voscの信号レベルが減少する。
【0048】
PWM回路22は、FB端子におけるVfb電圧と、三角波信号Voscの信号レベルとを比較する。本例のPWM回路22は、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧を超えている期間にHレベルを出力し、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧以下の期間にLレベルを出力する。
【0049】
FB端子と高電位線(Vdd)との間には、抵抗68が設けられている。上述したように、FB端子には出力電圧Voutに応じた電流が流れる。当該電流は抵抗68を流れるので、FB端子の電圧Vfb電圧は、抵抗68の抵抗値Rfbと当該電流の値により定まる。本例では、出力電圧Voutが大きくなるとVfb電圧は小さくなり、出力電圧Voutが小さくなるとVfb電圧は大きくなる。
【0050】
制御パルス生成部32は、発振器26が生成する発振信号の各サイクルでパルスを生成する。発振信号の各サイクルは、スイッチング素子Q1のスイッチングサイクルを規定している。本例の制御パルス生成部32は、セットリセットフリップフロップである。制御パルス生成部32のセット端子には、共通タイマ部300が出力するオントリガ信号ONtrgが入力される。制御パルス生成部32の出力は、オントリガ信号ONtrgの立ち上がりに応じてHレベルに遷移する。共通タイマ部300は、矩形波信号Dmaxの立ち上がりエッジに応じて、矩形波信号Dmaxよりもパルス幅の短いオントリガ信号ONtrgを出力する。
【0051】
制御パルス生成部32のリセット端子には、論理積回路31の出力端子が接続される。論理積回路31は、PWM回路22の出力と、インバータ33の出力との論理積を出力する。インバータ33は、共通タイマ部300が出力する第2タイマ信号Tonminを反転して出力する。第2タイマ信号Tonminは、スイッチング素子のそれぞれのスイッチングサイクルの開始時に、スイッチング素子Q1をオン状態に維持すべき最小期間を規定する信号である。本例の第2タイマ信号Tonminは、それぞれのスイッチングサイクルの開始タイミングから当該最小期間が経過するまではHレベルを示し、当該最小期間が経過した後から次のスイッチングサイクルの開始タイミングまでLレベルを示す信号である。つまり第2タイマ信号Tonminは、スイッチング素子Q1をオン状態に維持すべき期間はHレベルとなり、スイッチング素子Q1をオフ状態にしてもよい期間はLレベルとなる信号である。共通タイマ部300は、矩形波信号Dmaxの立ち上がりタイミングから、当該最小期間だけHレベルとなる第2タイマ信号Tonminを出力する。共通タイマ部300は、スイッチング電源200の負荷に応じて、当該最小期間を変更してよい。
【0052】
インバータ33が第2タイマ信号Tonminを反転して論理積回路31に入力するので、第2タイマ信号TonminがHレベルを示す間は、制御パルス生成部32のリセット端子にHレベルの信号が入力されない。これにより、制御パルス生成部32の出力は、それぞれのスイッチングサイクルの開始タイミングから、所定の最小期間が経過するまではHレベルが維持される。所定の期間が経過した後は、制御パルス生成部32の出力は、PWM回路が出力する信号がHレベルになった場合にLレベルに遷移する。つまり制御パルス生成部32は、所定の最小期間が経過し、且つ、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧を超えるタイミングまで、Hレベルを出力する。これにより制御パルス生成部32は、それぞれのスイッチングサイクルにおいて、Vfb電圧のレベルに応じてパルス幅が調整された制御パルスを出力する。
【0053】
本例の制御パルスは、Vfb電圧が高い(すなわち出力電圧Voutが低い)ほどパルス幅が大きくなり、Vfb電圧が低い(すなわち出力電圧Voutが高い)ほどパルス幅が小さくなる。これにより、出力電圧Voutの変動を抑制する。
【0054】
論理積回路34は、制御パルス生成部32の出力と、矩形波信号Dmaxとの論理積を、制御信号出力部20に入力してよい。これにより、制御パルスの各パルスのパルス幅の上限を、矩形波信号Dmaxのパルス幅で規定できる。論理積回路34は、制御パルス生成部32の出力と、発振信号(矩形波信号)と、セットリセット回路30の反転出力との論理積を、制御信号出力部20に入力してもよい。セットリセット回路30は、スイッチング素子Q1の過電流が検出された場合に、論理積回路34の出力をLレベルに固定させる。
【0055】
制御回路100は、第1保護部110を有する。第1保護部110は、スイッチング素子Q1に流れるドレイン電流Idsが第1閾値を超えた場合に、スイッチング素子Q1をオフしてドレイン電流Idsを止める。本例の第1保護部110は、スイッチング素子Q1に流れるドレイン電流Idsが第1閾値を超えた場合に、発振信号の当該サイクルにおける制御パルス生成部32の出力をLレベルに固定する。これにより、スイッチング素子Q1に過大な電流が流れることを抑制できる。第1保護部110には、ドレイン電流Idsの大きさを示す電流検出信号CSがCS端子から入力される。本例の電流検出信号CSは、ドレイン電流Idsが大きいほど絶対値が大きくなる負電圧の信号である。
【0056】
第1保護部110は、電圧比較部36と、基準電圧生成部38とを有する。基準電圧生成部38は、上述した第1閾値に対応する基準電圧を生成する。
図2の例の基準電圧は-0.17Vである。電圧比較部36は、電流検出信号CSと基準電圧とを比較する。電圧比較部36は、電流検出信号CSが基準電圧を下回っている場合(本例では、電流検出信号CSの絶対値が基準電圧の絶対値より大きい場合)に、Hレベルの電流制限信号LS1を出力し、電流検出信号CSが基準電圧以上の場合(本例では、電流検出信号CSの絶対値が基準電圧の絶対値以下の場合)に、Lレベルの電流制限信号LS1を出力する。
【0057】
電圧比較部36が出力する電流制限信号LS1は、セットリセット回路30のセット端子に入力される。セットリセット回路30のリセット端子には、共通タイマ部300が出力する第1タイマ信号LEBが入力される。第1タイマ信号LEBは、上述した過電流検出の無効期間を規定する信号である。本例の第1タイマ信号LEBは、それぞれのスイッチングサイクルの開始タイミングから無効期間が経過するまではHレベルを示し、無効期間が経過して、次のスイッチングサイクルの開始タイミングまでLレベルを示す信号である。つまり第1タイマ信号LEBは、スイッチング素子Q1の過電流を検出しない期間はHレベルとなり、スイッチング素子Q1の過電流を検出する期間はLレベルとなる信号である。共通タイマ部300は、矩形波信号Dmaxの立ち上がりタイミングから、当該無効期間だけHレベルとなる第1タイマ信号LEBを出力する。
【0058】
セットリセット回路30の反転出力QBは、各スイッチングサイクルの開始タイミングから無効期間が経過するまではHレベルに固定され、無効期間が経過してから次のスイッチングサイクルの開始タイミングまでの間に、スイッチング素子Q1の過電流が検出された場合にLレベルに遷移する。セットリセット回路30の反転出力QBがLレベルになると、論理積回路34により、当該サイクルにおける制御パルスが遮断され、スイッチング素子Q1がオフ状態となる。これにより、無効期間が経過した後に過電流が検出されると、当該サイクルにおけるスイッチング素子Q1がオフに制御されて、ドレイン電流Idsの増大を抑制できる。
【0059】
本例の発振周波数制御部24は、RT端子に接続される抵抗R8の抵抗値に応じて、発振器26が出力する発振信号の発振周波数を制御する。上述したように、発振信号の発振周波数は、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を規定する。また発振周波数制御部24は、FB端子のVfb電圧に更に基づいて、発振器26における発振周波数を制御する。発振周波数制御部24は、Vfb電圧が小さくなるほど(つまり、スイッチング電源200の負荷が軽いほど)、発振器26における発振周波数を大きくしてよい。発振周波数制御部24は、Vfb電圧に基づいてスイッチング電源200が通常負荷状態か軽負荷状態かを判定し、軽負荷状態における発振周波数を、通常負荷状態の発振周波数よりも大きくしてもよい。これにより、軽負荷状態におけるスイッチング素子Q1のスイッチング損失を低減できる。
【0060】
制御回路100は、負荷判定部60を有してよい。負荷判定部60は、Vfb電圧と、所定の参照電圧Vfbstbとを比較することで、スイッチング電源200が軽負荷状態か、通常負荷状態かを判定する。負荷判定部は、判別回路の一例である。負荷判定部60は、Vfb電圧が参照電圧Vfbstb以下の場合(すなわち軽負荷状態の場合)にLレベルを示し、Vfb電圧が参照電圧Vfbstbより大きい場合(すなわち通常負荷状態の場合)にHレベルを示す軽負荷信号VstbLを出力する。共通タイマ部300は、軽負荷信号VstbLに応じて、スイッチング素子Q1の最小オン幅を規定する最小期間を変更してよい。本例の共通タイマ部300は、スイッチング電源200が軽負荷状態の最小期間を、通常負荷状態の最小期間よりも長くする。これによりスイッチング電源200が軽負荷状態になっても、スイッチング素子Q1のオン幅をある程度大きく維持でき、それぞれのスイッチングサイクルで2次側に送るエネルギーを大きくできる。これにより、発振周波数制御部24が負荷状態に応じてスイッチング周波数を小さくしても出力電圧Voutを維持でき、更に軽負荷状態になった場合にスイッチング周波数を更に小さくできる。
【0061】
制御回路100は、停止判定部62を有してよい。停止判定部62は、Vfb電圧と、所定の参照電圧Vfboffとを比較することで、スイッチング電源200の出力電圧Voutが高くなりすぎていないかを判定する。参照電圧Vfboffは、参照電圧Vfbstbよりも低くてよい。例えばスイッチング電源200が無負荷状態の場合にスイッチング素子Q1をスイッチング動作させると、スイッチング電源200の二次側に送る電力が大きくなり、出力電圧Voutが高くなりすぎて過電圧となる。停止判定部62は、Vfb電圧が参照電圧Vfboff以下の場合にLレベルを示し、Vfb電圧が参照電圧Vfboffより大きい場合にHレベルを示す判定信号fboffLを出力する。共通タイマ部300は、判定信号fboffLがLレベルの期間は、トリガ信号ONtrgを出力しない。これにより、出力電圧Voutが過電圧となった場合に、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を停止できる。
【0062】
PWM回路22には、SS端子のVss電圧が入力されてよい。PWM回路22は、Vss電圧およびVfb電圧のうちのいずれか低い方と、三角波信号Voscとを比較してよい。SS端子には、電流源40により電流Issが流れる。スイッチング電源200の起動時には、SS端子に接続されたコンデンサC4が電流Issにより充電され、Vss電圧が徐々に上昇する。Vss電圧がVfb電圧より低い期間では、PWM回路22がVss電圧と三角波信号Voscとを比較するので、制御パルスのパルス幅がVss電圧に従って徐々に大きくなる。これにより、スイッチング電源200の起動時にドレイン電流Idsを徐々に増加させて、ソフトスタートできる。
【0063】
制御回路100は、SS端子とGND電位との間に設けられたトランジスタ46を有してよい。トランジスタ46をオン状態にすることでVss電圧がGND電位になる。制御回路100は、トランジスタ46を制御するインバータ48を有してよい。本例のインバータ48は、論理積回路54が出力するイネーブル信号ENを反転してトランジスタ46に入力する。
【0064】
論理積回路54は、保護信号UVLOと、保護回路13の論理積をイネーブル信号ENとして出力する。イネーブル信号ENは、制御信号出力部20のイネーブル端子ENに入力される。つまり論理積回路54は、保護回路13およびヒステリシス回路10のいずれかで異常が検出された場合に、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を停止させる。
【0065】
図3は、共通タイマ部300の構成例を示す図である。本例の共通タイマ部300は、無効期間を経時した後に、最小期間の残りを経時する。本例において無効期間および最小期間の開始タイミングは共通であり、最小期間は無効期間よりも長い。無効期間および最小期間の開始タイミングは、それぞれのスイッチングサイクルの開始タイミングであってよい。
【0066】
本例の共通タイマ部300は、共通コンデンサ302、充放電制御部310、比較部305、無効期間出力部321、最小期間出力部322、第1ワンショット回路332、第2ワンショット回路338、フリップフロップ350、スイッチ340、スイッチ342、および、各論理回路を有する。論理回路は、インバータ(反転回路)、論理積回路、論理和回路等である。共通タイマ部300は、所定の充電電流で共通コンデンサ302を充電させて、共通コンデンサ302の充電電圧VCTが所定の電圧となるタイミングに基づいて最小期間および無効期間を経時する。
【0067】
充放電制御部310は、共通コンデンサ302の充放電を制御する。充放電制御部310は、最小期間および無効期間の共通の開始タイミングで共通コンデンサ302の充電を開始する。当該共通タイミングは、スイッチング素子Q1のオン期間の開始タイミングとも共通であってよい。また、充放電制御部310は、共通コンデンサ302の充電電圧VCTが所定の第1設定電圧に達した場合に、共通コンデンサ302を放電させる。当該タイミングが、無効期間の終了タイミングである。また、充放電制御部310は、共通コンデンサ302を放電させた後に、共通コンデンサ302を再度充電する。充放電制御部310は、共通コンデンサ302の充電電圧VCTが所定の第2設定電圧に達した場合に、共通コンデンサ302を放電させる。当該タイミングが、最小期間の終了タイミングである。本例の第1設定電圧および第2設定電圧は、同一である。
【0068】
比較部305は、共通コンデンサ302の充電電圧VCTが第1設定電圧または第2設定電圧に達したか否かを示す信号を出力する。本例の比較部305は、インバータ304およびインバータ306を有する。インバータ304には充電電圧VCTが入力される。充電電圧VCTがインバータ304の閾値電圧以上の場合、インバータ304の出力はLレベルとなり、充電電圧VCTが閾値電圧より小さい場合、インバータ304の出力はHレベルとなる。つまり、本例のインバータ304の閾値電圧が、第1設定電圧および第2設定電圧に相当する。インバータ304を用いることで、簡易な構成で、充電電圧VCTが第1設定電圧または第2設定電圧に達したか否かを判定できる。インバータ306は、インバータ304の出力を反転して出力する。
【0069】
充放電制御部310は、共通コンデンサ302の充電を開始してから、充電電圧VCTが第1設定電圧に達するまでの第1期間の充電電流と、共通コンデンサ302が放電してから、共通コンデンサ302が再充電されて充電電圧VCTが第2設定電圧に達するまでの第2期間の充電電流を異ならせてよい。つまり充放電制御部310は、無効期間の終了前と終了後で、共通コンデンサ302を充電する充電電流の値を変化させる。これにより、第1期間と第2期間の長さをそれぞれ制御して、無効期間と最小期間の長さをそれぞれ制御できる。第1期間が無効期間に相当し、第1期間および第2期間の和が最小期間に相当する。なお、充電電流を変化させずに、第1設定電圧および第2設定電圧を異ならせることでも、第1期間と第2期間の長さをそれぞれ制御できる。この場合、比較部305は、充電電圧VCTとそれぞれの設定電圧とを比較する電圧比較器を有する。充電電流を変化させて各期間を調整することにより、比較部305の構成を簡易にできる。
【0070】
本例の充放電制御部310は、電流源311、電流源312、論理和回路313、スイッチ314、インバータ315、スイッチ316およびスイッチ317を有する。電流源311は電流I0を生成し、電流源312は電流I2を生成する。スイッチ314は、いずれの電流源を用いて充電電流を生成するかを選択する。本例においては、スイッチ314がオン状態の場合には、電流I0と電流I2の和が充電電流となり、スイッチ314がオフ状態の場合には、電流I2が充電電流となる。本例では、電流I2に、電流I0を加算するか否かにより、充電電流を制御している。他の例では、電流I0および電流I2を択一的に選択することで、充電電流を制御してもよい。
【0071】
論理和回路313は、スイッチ314を制御する。論理和回路313は、
図2に示した軽負荷信号VstbLと、インバータ315の出力との論理和を反転して出力する。インバータ315は、第1期間においてHレベルを示し、第2期間においてLレベルを示す信号を出力する。つまり論理和回路313は、第2期間であり、且つ、軽負荷信号VstbLが軽負荷状態を示す場合にHレベルを出力する。また論理和回路313は、第1期間であるか、または、通常負荷状態であるかの少なくとも一方の条件を満たす場合には、Lレベルを出力する。論理和回路313がHレベルを出力すると、スイッチ314がオフとなり充電電流はI2となる。論理和回路313がLレベルを出力すると、スイッチ314がオンとなり充電電流はI0+I2となる。つまり軽負荷状態においては、第1期間の充電電流I0+I2は、第2期間の充電電流I2より大きくなる。このため、本例の第1期間は第2期間より短い。
【0072】
スイッチ316およびスイッチ317は、共通コンデンサ302を充電するか、放電するかを切り替える。本例のスイッチ316およびスイッチ317は、相補的に動作するCMOSトランジスタである。スイッチ316がオン、スイッチ317がオフの場合、共通コンデンサ302は充電され、スイッチ316がオフ、スイッチ317がオンの場合、共通コンデンサ302は放電される。
【0073】
第1ワンショット回路332は、矩形波信号Dmaxの立ち上がりエッジに応じて、矩形波信号Dmaxよりもパルス幅の短い第1ワンショット信号OS1を出力する。第1ワンショット信号OS1は、オントリガ信号ONtrgとしてONtrg端子から出力されてよい。本例では、論理積回路334が、第1ワンショット信号OS1と、判定信号fboffLとの論理積を、オントリガ信号ONtrgとして出力する。つまり論理積回路334は、出力電圧Voutが過電圧でない場合(fboffL=H)に、第1ワンショット信号OS1をオントリガ信号ONtrgとして出力する。つまり、過電圧状態でない場合、第1ワンショット信号OS1と、オントリガ信号ONtrgは、同じ信号を指している。オントリガ信号ONtrgは、それぞれのスイッチングサイクルの開始タイミングを規定する。
【0074】
無効期間出力部321は、オントリガ信号Ontrgに応じて、第1タイマ信号LEBをHレベルに遷移させる。同様に最小期間出力部322は、オントリガ信号ONtrgに応じて、第2タイマ信号TonminをHレベルに遷移させる。本例の無効期間出力部321は、第1セット信号Set1に応じて出力がHレベルに遷移し、第1リセット信号Rst1に応じて出力がLレベルに遷移するフリップフロップである。本例の最小期間出力部322は、第2セット信号Se12に応じて出力がHレベルに遷移し、第2リセット信号Rst2に応じて出力がLレベルに遷移するフリップフロップである。本例の第1セット信号Set1および第2セット信号Set2は、オントリガ信号ONtrgである。また、第1リセット信号Rst1は、インバータ306が出力する信号であり、第2リセット信号は、リセット制御部352が出力する信号である。
【0075】
無効期間出力部321は、オントリガ信号ONtrgで規定される開始タイミングの後に、共通コンデンサ302の充電電圧VCTが第1設定電圧となった場合に、無効期間(または第1期間)の終了タイミングを示す第1タイマ信号LEBを出力する。本例の無効期間出力部321は、無効期間が終了したタイミングで、第1タイマ信号LEBをLレベルに遷移させる。また無効期間出力部321は、無効期間が終了したタイミングで、共通コンデンサ302を放電させ、共通コンデンサ302を再充電させる。
【0076】
無効期間出力部321のリセット端子R1には、インバータ306の出力端子が接続される。つまり、開始タイミングで充電が開始された共通コンデンサ302の充電電圧VCTが第1設定電圧に達し、インバータ306の出力がHレベルに遷移したタイミングで、第1タイマ信号LEBがLレベルに遷移する。第1タイマ信号LEBがHレベルを示す期間が、無効期間(第1期間)に相当する。次のスイッチングサイクルを開始するオントリガ信号ONtrgが無効期間出力部321のセット端子に入力されるまで、無効期間出力部321の出力はLレベルに固定される。無効期間出力部321には、制御回路100の状態を初期化するリセット信号Resetが入力されてもよい。リセット信号Resetが入力されると、無効期間出力部321の出力はLレベルに遷移する。
【0077】
第1タイマ信号LEBは、LEB端子に出力されるとともに、インバータ336、第2ワンショット回路338、論理和回路346およびスイッチ342を介して、スイッチ316およびスイッチ317の制御端子に入力される。インバータ336は、第1タイマ信号LEBを反転して出力する。第2ワンショット回路338は、インバータ336が出力する信号の立ち上がりエッジに応じて、第1タイマ信号LEBよりもパルス幅の短い第2ワンショット信号OS2を出力する。つまり第2ワンショット回路338は、無効期間(第1期間)が終了したタイミングで、短パルスの第2ワンショット信号OS2を出力する。
【0078】
第2ワンショット信号OS2は、論理和回路346を介してスイッチ342に入力される。スイッチ340およびスイッチ342は、インバータ336の出力、または、論理和回路346の出力のいずれを用いて、スイッチ316およびスイッチ317を制御するかを切り替える。スイッチ340は、軽負荷状態(VstbL=L)の場合にオフとなり、通常負荷状態(VstbL=H)の場合にオンとなる。スイッチ342は、軽負荷状態(VstbL=L)の場合にオンとなり、通常負荷状態(VstbL=H)の場合にオフとなる。スイッチ340がオンの場合、インバータ336の出力がスイッチ316およびスイッチ317に入力され、スイッチ340がオフの場合、論理和回路346の出力がスイッチ316およびスイッチ317に入力される。つまり軽負荷状態の場合は、第2ワンショット回路OS2に応じて、共通コンデンサ302の充放電が制御される。軽負荷状態において無効期間が終了すると、短パルスである第2ワンショット信号OS2が、スイッチ316およびスイッチ317の制御端子に入力され、スイッチ317がオンとなり、スイッチ316がオフとなる。これにより、無効期間(第1期間)が終了すると、第2ワンショット信号OS2がHレベルの期間、共通コンデンサ302が放電される。なお第2ショット信号OS2がHレベルになると、フリップフロップ350の出力がHレベルに遷移し、スイッチ314がオフになる。このため、無効期間(第1期間)が終了すると、充電電流はI0+I2からI2に減少する。
【0079】
第2ワンショット信号OS2がLレベルになると、スイッチ316がオン、スイッチ317がオフとなり、共通コンデンサ302の再充電が開始される。再充電された共通コンデンサ302の充電電圧VCTが第2設定電圧(本例では第1設定電圧と同一)に達し、インバータ306の出力がHレベルに再度遷移したタイミングで、最小期間出力部322がリセットされ、第2タイマ信号TonminがLレベルに遷移する。第2タイマ信号TonminがHレベルを示す期間が、最小期間(第1期間+第2期間)に相当する。
【0080】
最小期間出力部322のリセット端子R1には、リセット制御部352が接続される。リセット制御部352は、インバータ306の出力と、フリップフロップ350が出力するマスク信号Mskの論理積を出力する。フリップフロップ350は、第1期間においてLレベルを出力し、他の期間ではHレベルを出力する。これにより、第1期間の終了タイミングでインバータ306の出力がHレベルに遷移しても、最小期間出力部322への第2リセット信号Rst2はLレベルにマスクされ、第2タイマ信号TonminはHレベルを維持する。一方で、第2期間の終了タイミングでインバータ306の出力がHレベルに再度遷移すると、第2リセット信号Rst2はHレベルに遷移し、最小期間出力部322はリセットされ、第2タイマ信号TonminはLレベルに遷移する。最小期間出力部322には、制御回路100の状態を初期化するリセット信号Resetが入力されてもよい。リセット信号Resetが入力されると、最小期間出力部322の出力はLレベルに遷移する。
【0081】
フリップフロップ350のセット端子には、論理和回路348の出力端子が接続される。論理和回路348は、第2ワンショット信号OS2と、軽負荷信号VstbLの論理和を出力する。つまり論理和回路348は、通常負荷状態であるか、または、第2ワンショット信号OS2がHレベルを示すかの、少なくとも一方の条件を満たす場合にフリップフロップ350のセット端子にHレベルの信号を入力する。フリップフロップ350のリセット端子R1には、オントリガ信号ONtrgが入力される。つまりフリップフロップ350は、オントリガ信号ONtrgがHレベルに遷移してから、第1期間が終了するまではLレベルのマスク信号Mskを出力し、第1期間が終了した後、オントリガ信号ONtrgが再度Hレベルに遷移するまで、Hレベルのマスク信号Mskを出力する。フリップフロップ350には、制御回路100の状態を初期化するリセット信号Resetが入力されてもよい。リセット信号Resetが入力されると、フリップフロップ350の出力はLレベルに遷移する。このような構成により、最小期間でHレベルを示し、他の期間ではLレベルを示す第2タイマ信号Tonminを生成できる。
【0082】
インバータ354は、第2タイマ信号Tonminを反転させて論理和回路346に入力する。論理和回路346は、第2ワンショット信号OS2と、インバータ354の出力との論理和を、スイッチ342を介してスイッチ316およびスイッチ317の制御端子に入力する。論理和回路346により、最小期間が終了してから、次のスイッチングサイクルが開始されるまでは、共通コンデンサ302は放電状態に維持される。
【0083】
図4は、軽負荷状態(VstbL=L)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。本例の発振器26は、1Vと3Vの間を遷移する三角波信号Voscを生成する。また発振器26は、三角波信号Voscと同期した矩形波信号Dmaxを出力する。矩形波信号Dmaxは、三角波信号Voscが上昇している期間Hレベルとなり、三角波信号Voscが下降している期間でLレベルとなる。軽負荷状態では、発振周波数制御部24は、発振器26の発振周波数を低くする。このため、三角波信号Voscの周期(スイッチングサイクルに相当)は、比較的に長くなる。
【0084】
図4では、三角波信号Voscと合わせて、Vfb電圧を示している。PWM回路22は、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧を超えている期間にHレベルを出力し、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧以下の期間にLレベルを出力する。
【0085】
第1ワンショット回路332は、各スイッチングサイクルの開始タイミングt0で、短いパルス幅の第1ワンショット信号OS1を出力する。最小期間出力部322が出力する第2タイマ信号Tonmin、および、無効期間出力部321が出力する第1タイマ信号LEBは、第1ワンショット信号OS1に応じてHレベルに遷移する。また、第1ワンショット信号OS1に応じて、共通コンデンサ302の充電が開始され、充電電圧Vctが増加する。充電電圧Vctの傾きは、充電電流I0+I2により定まる。
【0086】
充電電圧Vctが第1設定電圧Th1に達したタイミングt1で、無効期間出力部321が出力する第1タイマ信号LEBはLレベルに遷移する。なお、第1期間(t0~t1)では、マスク信号MskがLレベルなので、タイミングt1では、最小期間出力部322はリセットされず、第2タイマ信号TonminはHレベルを維持する。また、タイミングt1において第2ワンショット回路338は、短いパルス幅の第2ワンショット信号OS2を出力する。これにより共通コンデンサ302が放電される。第2ワンショット信号OS2がLレベルに遷移すると、共通コンデンサ302が再充電される。本例では、再充電時の充電電圧Vctの傾きは、充電電流I2により定まるので、第2期間における充電電圧Vctの傾きは緩やかになる。
【0087】
充電電圧Vctが第2設定電圧Th2に達したタイミングt2で、最小期間出力部322が出力する第2タイマ信号TonminはLレベルに遷移する。また、第2タイマ信号TonminがLレベルに遷移すると、インバータ354等により、共通コンデンサ302は放電される。本例では、タイミングt0からt1が、無効期間および第1期間に相当し、タイミングt1からt2が第2期間に相当し、タイミングt0からt2が最小期間に相当する。本例では、第2期間は、第1期間よりも長い。
【0088】
タイミングt0において第1ワンショット信号OS1が生成されると、スイッチング素子Q1に対する制御信号OUTがHレベルに遷移し、スイッチング素子Q1がターンオンする。上述したように、スイッチング素子Q1のターンオン時に、電流検出信号CSにターンオンノイズが発生して、過電流を誤検出する場合がある。本例では、第1タイマ信号LEBにより、無効期間t0-t1における過電流検出を無効にする。このため、過電流の誤検出を抑制できる。
【0089】
制御パルス生成部32は、ワンショットパルスが入力されてから、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧を超えるタイミングまでのパルス幅を有する制御信号OUTを出力する。本例では、第2期間t1-t2において、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧を超えている。しかし、第2タイマ信号Tonminにより、最小期間t0-t2においては、制御信号OUTはHレベルを維持する。これにより、スイッチング素子Q1のオン期間が短くなりすぎることを抑制でき、スイッチング周波数を適切に低下させることができ、スイッチング損失を抑制できる。
【0090】
図4において説明したように軽負荷動作を行う場合、制御回路100は、無効期間および最小期間を用いることで、それぞれのスイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合にスイッチング素子Q1をオフさせる。また制御回路100、それぞれのスイッチングサイクルにおいてスイッチング素子Q1をオンしておく期間を最小期間以上に制御する。スイッチングサイクル内で軽負荷動作が実施されていた場合において、無効期間が経過した後であって最小期間よりも前に、過電流が検出された場合は、制御回路100は、スイッチング素子Q1をオフさせてよい。制御回路100は、過電流が検出された場合にスイッチング素子Q1をオフさせる動作を、最小期間においてスイッチング素子Q1をオン状態に維持する動作よりも優先させてよい。
【0091】
図5は、通常負荷状態(VstbL=H)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
図3において説明したように、通常負荷状態の場合、論理和回路313の出力はLレベルに固定され、充電電流はI0+I2に固定される。また、スイッチ340がオン、スイッチ342がオフになり、共通コンデンサ302の充放電は、第1タイマ信号LEBにより制御される。つまり。第1タイマ信号LEBがHレベルの場合は共通コンデンサ302は充電され、第1タイマ信号LEBがLレベルの場合は共通コンデンサ302は放電される。また、論理和回路348の出力がHレベルに固定されるので、マスク信号Mskは、第1ワンショット信号OS1がHレベルの間だけLレベルとなり、他の期間はHレベルを示す。
【0092】
三角波信号Voscおよび矩形波信号Dmaxは、
図4の例と同様である。ただし通常負荷状態では、発振周波数制御部24は、発振器26の発振周波数を高くする。このため、三角波信号Voscの周期(スイッチングサイクルに相当)は、比較的に短くなる。PWM回路22は、
図4の例と同様に、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧を超えている期間にHレベルを出力し、三角波信号Voscの電圧がVfb電圧以下の期間にLレベルを出力する。
【0093】
第1ワンショット回路332は、各スイッチングサイクルの開始タイミングで、短いパルス幅の第1ワンショット信号OS1を出力する。最小期間出力部322が出力する第2タイマ信号Tonmin、および、無効期間出力部321が出力する第1タイマ信号LEBは、第1ワンショット信号OS1に応じてHレベルに遷移する。また、第1ワンショット信号OS1に応じて、共通コンデンサ302の充電が開始され、充電電圧Vctが増加する。
【0094】
充電電圧Vctが第1設定電圧Th1に達したタイミングで、無効期間出力部321が出力する第1タイマ信号LEBはLレベルに遷移する。通常負荷状態では、当該タイミングにおけるマスク信号MskがHレベルなので、最小期間出力部322が出力する第2タイマ信号TonminもLレベルに遷移する。つまり、通常負荷状態では、無効期間と最小期間は同一である。
【0095】
また、充電電圧Vctが第1設定電圧Th1に達したタイミングにおいて第2ワンショット回路338は、短いパルス幅の第2ワンショット信号OS2を出力する。本例では、第1タイマ信号LEBにより共通コンデンサ302の充放電が制御される。このため、次のスイッチングサイクルが開始されるまで、共通コンデンサ302は放電状態に維持される。
【0096】
本例においても、第1タイマ信号LEBにより、無効期間における過電流検出を無効にする。このため、過電流の誤検出を抑制できる。また、第2タイマ信号Tonminにより、制御信号OUTのパルス幅は最小期間以上に制限される。
図5の例では、三角波信号VoscがVfb電圧を超えるまでの期間が、最小期間よりも長いので、制御信号OUTは、三角波信号VoscがVfb電圧を超えるまでHレベルを維持する。
図5に示すように、通常動作を行う場合の制御回路100は、最小期間を用いず、無効期間を用いることで、それぞれのスイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合にスイッチング素子をオフさせる制御を行う。
【0097】
図6は、発振周波数制御部24および発振器26の構成例を示す図である。本例の発振周波数制御部24は、増幅器402、増幅器410、トランジスタ416、抵抗Rs、抵抗Rfおよび電源406を有する。
【0098】
増幅器402は、正端子にVfb電圧が入力され、負端子および出力端子が抵抗Rfにより接続されている。また、増幅器402の負端子と接地電位との間には、抵抗Rsと電源406とが直列に設けられている。増幅器402の出力端子に接続される点をA点、負端子に接続される点をB点とする。増幅器402のB点の電圧と、Vfb電圧とは等しくなるので、増幅器402のA点の電圧は、(Vfb-Vstb0)×(Rs+Rf)/Rs+Vstb0となる。なおVstb0は、電源406の電圧である。
【0099】
増幅器410の第1正端子には、増幅器402の出力端子が接続されている。増幅器410の第2正端子には、例えば2.5Vの定電圧が印加される。増幅器410は、第1正端子および第2正端子に印加された電圧のうち、低い方を用いて動作する。増幅器410の負端子は、トランジスタ416のエミッタ端子が接続される。増幅器410は、第1正端子および第2正端子に印加された電圧のうち低い方が、RT端子の電圧と等しくなるように動作する。
【0100】
トランジスタ416の制御端子には、増幅器410の出力端子が接続されているトランジスタ416のエミッタ端子は、RT端子に接続される。トランジスタ416のコレクタ端子は、発振器26に接続される。トランジスタ416に流れるコレクタ電流により、発振器26の発振周波数が制御される。
【0101】
発振器26は、コレクタ電流に応じたミラー電流を生成し、当該ミラー電流でコンデンサC0を充電する。充電電圧が所定の電圧(例えば3V)に達すると、コンデンサC0を放電させる。充電電圧が所定の電圧(例えば1V)まで低下すると、コンデンサC0を再度充電する。このような動作を繰り返すことにより、発振器26は、コレクタ電流に応じた発振周波数を有する発振信号(Vosc、Dmax)を生成する。発振器26の各素子の説明は省略する。
【0102】
図7は、発振器26の発振周波数と、Vfb電圧との関係を示す図である。通常負荷時における発振周波数を、通常発振周波数として示している。通常負荷時は、RT端子に接続された抵抗R8に応じた一定の通常発振周波数で、発振器26が発振する。負荷が軽くなると、スイッチング電源200の出力電圧Voutが上昇し、Vfb電圧が低下する。
【0103】
図8は、RT端子における電圧と、Vfb電圧との関係を示す図である。また、増幅器402のA点の電圧特性を破線で示している。
【0104】
図8に示すように、Vfb電圧が所定のVoscDecまで低下すると、A点電圧が例えば2.5Vまで低下する。
【0105】
増幅器410は、第1正端子および第2正端子に印加された電圧のうち低い方が、RT端子の電圧と等しくなるように動作するので、Vfb電圧がVoscDec以下の領域では、Vfb電圧が小さくなるほどRT端子電圧も低下する。このため、RT端子の抵抗R8に流れる電流もRT端子電圧に比例して低下し、発振器26のコンデンサC0の充放電電流も同じ比率で低下する。これにより、発振周波数が低下し、スイッチング周波数が低減する。
【0106】
図9は、コンデンサC0の充電電圧の波形を示す図である。
図9に示すように、RT端子の電圧RTにより、発振周波数が変化する。
【0107】
図10は、制御信号OUTのオン幅(パルス幅)と、Vfb電圧と関係を示す図である。
図10では、軽負荷時および通常負荷時の第2タイマ信号Tonminの長さを合わせて示している。
図10に示すように、Vfb電圧がVfbstb以上の場合は、通常負荷時の第2タイマ信号Tonminが設定され、Vfb電圧がVfbstbより小さい場合は、軽負荷時の第2タイマ信号Tonminが設定される。
【0108】
軽負荷時において制御信号OUTのオン幅が小さいと、オン損失が小さくなり、スイッチング損失の影響が大きくなる。また、Vfb電圧が低下しにくくなるので、スイッチング損失を低減しにくくなり、軽負荷時の効率が低下する。このため制御回路100は、軽負荷時の再小オン幅(第2タイマ信号Tonminの長さ)を大きめに設定し、1回のスイッチングでの2次側へのエネルギー伝送量を大きめに維持する。これにより、Vfb電圧を低下させやすくし、発振周波数を下げてスイッチング頻度を低下させて、損失を低減できる。
【0109】
負荷が軽くなり、Vfb電圧がVfbstbを下回ると、第2タイマ信号Tonminが長くなる。第2タイマ信号Tonminの切替は、発振周波数制御部24における周波数低減とは異なる負荷判定部60(
図2参照)で行っている。制御信号OUTのオン幅は、第2タイマ信号Tonminのパルス幅より狭くならないので、第2タイマ信号Tonminのパルス幅が大きくなると、発振周波数は、より低い状態で安定する。
【0110】
更に負荷が軽くなり、Vfb電圧がVfboffまで低下すると、停止判定部62により、制御信号OUTがLレベルに固定されて、スイッチング素子Q1のスイッチング動作が停止する。ここまで負荷が軽くなると、Vfb電圧はVfboff電圧の近傍でゆっくりと上下する。これによりスイッチング素子Q1は、間欠的にスイッチング動作を行い、更にスイッチング頻度が低下した状態で安定する。
【0111】
通常負荷時では、
図5に示したように、Vfb電圧が高くなり、制御信号OUTのパルス幅は大きくなる。しかし、負荷が急変し、または、他の原因で制御信号OUTのパルス幅が急変しようとする場合がある。この場合でも、軽負荷時と同様に第2タイマ信号Tonminのパルス幅を大きくしていると、制御信号OUTのパルス幅が強制的に大きく維持され、音鳴りが発生し、または、瞬間的な大電流がスイッチング素子Q1に流れてしまう可能性がある。通常負荷時の第2タイマ信号Tonminを小さく設定することで、音鳴りの発生、または、瞬間的な大電流を抑制できる。
【0112】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0113】
10・・・ヒステリシス回路、11・・・内部電源、13・・・保護回路、14・・・保護ダイオード、20・・・制御信号出力部、22・・・PWM回路、24・・・発振周波数制御部、26・・・発振器、30・・・セットリセット回路、31・・・論理積回路、32・・・制御パルス生成部、33・・・インバータ、34・・・論理積回路、36・・・電圧比較部、38・・・基準電圧生成部、40・・・電流源、46・・・トランジスタ、48・・・インバータ、54・・・論理積回路、60・・・負荷判定部、62・・・停止判定部、68・・・抵抗、100・・・制御回路、110・・・第1保護部、200・・・スイッチング電源、205・・・電源回路、210・・・一次側回路、220・・・二次側回路、230・・・電源回路、240・・・電圧検出部、300・・・共通タイマ部、302・・・共通コンデンサ、304・・・インバータ、305・・・比較部、306・・・インバータ、310・・・充放電制御部、311、312・・・電流源、313・・・論理和回路、314・・・スイッチ、315・・・インバータ、316、317・・・スイッチ、321・・・無効期間出力部、322・・・最小期間出力部、332・・・第1ワンショット回路、334・・・論理積回路、336・・・インバータ、338・・・第2ワンショット回路、340、342・・・スイッチ、346、348・・・論理和回路、350・・・フリップフロップ、352・・・リセット制御部、354・・・インバータ、402・・・増幅器、406・・・電源、410・・・増幅器、416・・・トランジスタ
【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源のトランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路であって、
前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を備える制御回路。
【請求項2】
前記無効期間と前記最小期間の開始タイミングは共通であり、
前記共通タイマ部は、前記無効期間を経時した後に、前記最小期間の残りを計時する
請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記共通タイマ部は、
共通コンデンサと、
前記開始タイミングにおいて前記共通コンデンサの充電を開始し、且つ、前記共通コンデンサの充放電を制御する充放電制御部と、
前記開始タイミングの後に前記共通コンデンサの電圧が第1設定電圧となった場合に、前記無効期間の終了タイミングを示す前記第1タイマ信号を出力するとともに、前記共通コンデンサを放電させ、前記共通コンデンサを再充電させる無効期間出力部と、
前記共通コンデンサを放電させた後に、前記共通コンデンサが第2設定電圧となった場合に、前記最小期間の終了タイミングを示す前記第2タイマ信号を出力する最小期間出力部と
を有する請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記充放電制御部は、前記無効期間の終了前と終了後で、前記共通コンデンサを充電する充電電流の値を変化させる
請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記充放電制御部は、前記無効期間の終了後は、前記無効期間の終了前よりも前記充電電流を小さくする
請求項4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記第1設定電圧および前記第2設定電圧は同一電圧である
請求項3から5のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項7】
前記無効期間出力部は、前記開始タイミングに応じて第1セット信号が入力され、前記共通コンデンサの電圧が前記第1設定電圧となった場合に第1リセット信号が入力され、前記第1タイマ信号を出力するフリップフロップであり、
前記最小期間出力部は、前記開始タイミングに応じて第2セット信号が入力され、前記共通コンデンサの電圧が前記第2設定電圧となった場合に第2リセット信号が入力され、前記第2タイマ信号を出力するフリップフロップであり、
前記制御回路は、前記開始タイミングから、前記無効期間出力部の出力が前記第1リセット信号に応じて遷移するまで、前記最小期間出力部への前記第2リセット信号の入力をマスクするリセット制御部を備える
請求項3から5のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項8】
前記スイッチングサイクルは連続で繰り替えされることで複数存在し、
前記制御回路は、
前記スイッチング電源の出力電圧の大きさに基づいて、軽負荷動作を行うか、通常動作を行うかの判別を行う判別回路を有し、
前記軽負荷動作を行う場合は、前記無効期間および前記最小期間を用いることで、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記無効期間が経過した後に前記過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を前記最小期間以上に制御し、
前記通常動作を行う場合は、前記最小期間を用いず、前記無効期間を用いることで、それぞれの前記スイッチングサイクルにおいて前記無効期間が経過した後に前記過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせる制御を行う
請求項1に記載の制御回路。
【請求項9】
前記オン期間、前記無効期間、および前記最小期間の前記開始タイミングは共通である請求項2に記載の制御回路。
【請求項10】
前記スイッチングサイクル内に前記軽負荷動作が実施されていた場合、前記無効期間が経過した後であって前記最小期間よりも前に、前記過電流が検出された場合は、前記スイッチング素子をオフさせる請求項8に記載の制御回路。
【請求項11】
トランスと、
前記トランスに流れる主電流をスイッチング制御するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のスイッチングサイクルにおけるオン期間およびオフ期間を制御し、前記スイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合に前記スイッチング素子をオフさせ、前記スイッチングサイクルにおいて前記スイッチング素子をオンしておく期間を最小期間以上に制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記無効期間を規定する第1タイマ信号と、前記最小期間を規定する第2タイマ信号とを出力する共通タイマ部を有する
スイッチング電源。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係るスイッチング電源200の一例を示す図である。
【
図3】共通タイマ部300の構成例を示す図である。
【
図4】軽負荷状態(VstbL=L)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図5】通常負荷状態(VstbL=H)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】発振周波数制御部24および発振器26の構成例を示す図である。
【
図7】発振器26の発振周波数と、Vfb電圧との関係を示す図である。
【
図8】RT端子における電圧と、Vfb電圧との関係を示す図である。
【
図9】コンデンサC0の充電電圧の波形を示す図である。
【
図10】制御信号OUTのオン幅(パルス幅)と、Vfb電圧と
の関係を示す図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
図1は、本発明の一つの実施形態に係るスイッチング電源200の一例を示す図である。スイッチング電源200は、スイッチング素子
Q1をオン状態およびオフ状態に繰り返し制御することで、所定の電圧または電流を出力する。本例のスイッチング電源200は、一次側回路210、二次側回路220およびトランスT1を備える。
図1に示すスイッチング電源200は、いわゆるフォワード方式の回路であるがこれに限定されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
一次側回路210は、制御回路100の電源端子VCCに電源電力を供給する電源回路230を有してよい。電源回路230は、スイッチング素子Q1がスイッチング動作することで発生した電流に基づいて、電源電力を生成してよい。本例の電源回路230は、補助巻線n4、ダイオードD5、抵抗R10、1つ以上のコンデンサ(
図1の例では、コンデンサC8およびコンデンサC9)
を有する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
スイッチング素子Q1のスイッチング動作が開始していない起動時には、抵抗R1を介してコンデンサC8、C9が充電される。コンデンサC8、C9の電圧が所定の起動電圧まで上昇すると、制御回路100が起動してスイッチング素子Q1のスイッチング動作を開始させる。スイッチング素子Q1がスイッチング動作を開始した後は、補助巻線n4からの電流によりコンデンサC8、C9が充電されるが、保護動作等によりスイッチング素子Q1のスイッチング動作が停止した場合には、抵抗R1を介してコンデンサC8、C9が充電される。これにより制御回路100の動作を継続させることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
スイッチング素子Q1のオン期間が短くなると、スイッチング素子Q1をスイッチング動作させても、2次側にほとんどエネルギーを伝達できなくなる。結果的にFB端子の電圧が低下せず、スイッチング周波数が低下しにくくなる。本例の制御回路100は、各スイッチングサイクルにおけるスイッチング素子Q1のオン期間が、所定の最小期間以上となるように制御する。これにより、スイッチング電源200が軽負荷状態となった場合にスイッチング周波数を安定して低下させ、スイッチング損失を低減できる。制御回路100は、タイマ回路により当該最小期間を計時する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
制御回路100は、CS端子の電圧に応じて、スイッチング素子Q1に過電流が流れたか否かを判定する。制御回路100は、スイッチング素子Q1に過電流が流れている場合に、スイッチング素子Q1をオフ状態に制御する。これによりスイッチング素子Q1を保護できる。一方で、スイッチング素子Q1がターンオンした直後は、ターンオン時のノイズにより、過電流が流れたと誤って判定してしまう場合がある。このため制御回路100は、スイッチング素子Q1のターンオンから所定の無効期間は、過電流が検出されても当該検出を無効とする。つまり制御回路100は、それぞれのスイッチングサイクルにおいて無効期間が経過した後に過電流を検出した場合にスイッチング素子Q1をオフさせる。これにより、過電流の誤検出により、スイッチング素子Q1がオフされることを抑制できる。制御回路100は、タイマ回路により当該無効期間を計時する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
上述した最小期間と無効期間は同一とは限らないので、最小期間を計時するタイマ回路と、無効期間を計時するタイマ回路とを制御回路100に設けることが考えられる。しかし、2つのタイマ回路を設けると回路規模が増大してしまう。特に、コンデンサを定電流で充電し、コンデンサの充電電圧と所定の閾値とを比較することで期間を計測するタイマ回路では、コンデンサを充電するアナログ回路を有する。このため、最小期間用と無効期間用とで、それぞれタイマ回路を設けると回路規模が増大してしまう。本例の制御回路100は、上述した最小期間と無効期間とを、1つの共通タイマ部で計時する。これによりタイマ回路の回路規模を小さくできる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
図2は、制御回路100の構成例を示す図である。本例の制御回路100は、VCC端子から供給される電力に基づいて内部電圧を生成する内部電源11を有する。内部電源11は
内部電源電圧Vddを生成する。一例として
内部電源電圧Vddは5Vである。制御回路100に含まれる各回路は、電源電圧VCCまたは
内部電源電圧Vddを受けとる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
FB端子と高電位線(Vdd)との間には、抵抗68が設けられている。上述したように、FB端子には出力電圧Voutに応じた電流が流れる。当該電流は抵抗68を流れるので、FB端子の電圧Vfbは、抵抗68の抵抗値Rfbと当該電流の値により定まる。本例では、出力電圧Voutが大きくなるとVfb電圧は小さくなり、出力電圧Voutが小さくなるとVfb電圧は大きくなる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
制御パルス生成部32は、発振器26が生成する発振信号の各サイクルでパルスを生成する。発振信号の各サイクルは、スイッチング素子Q1のスイッチングサイクルを規定している。本例の制御パルス生成部32は、セットリセットフリップフロップである。制御パルス生成部32のセット端子には、共通タイマ部300が出力するオントリガ信号ONtrgが入力される。制御パルス生成部32の出力は、オントリガ信号ONtrgの立ち上がりに応じてHレベルに遷移する。共通タイマ部300は、矩形波信号Dmaxの立ち上がりエッジに応じて、矩形波信号Dmaxよりもパルス幅の短いオントリガ信号ONtrgを出力する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
図3は、共通タイマ部300の構成例を示す図である。本例の共通タイマ部300は、無効期間を経時した後に、最小期間の残りを
計時する。本例において無効期間および最小期間の開始タイミングは共通であり、最小期間は無効期間よりも長い。無効期間および最小期間の開始タイミングは、それぞれのスイッチングサイクルの開始タイミングであってよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
本例の共通タイマ部300は、共通コンデンサ302、充放電制御部310、比較部305、無効期間出力部321、最小期間出力部322、第1ワンショット回路332、第2ワンショット回路338、フリップフロップ350、スイッチ340、スイッチ342、および、各論理回路を有する。論理回路は、インバータ(反転回路)、論理積回路、論理和回路等である。共通タイマ部300は、所定の充電電流で共通コンデンサ302を充電させて、共通コンデンサ302の充電電圧VCTが所定の電圧となるタイミングに基づいて最小期間および無効期間を計時する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
無効期間出力部321は、オントリガ信号ONtrgに応じて、第1タイマ信号LEBをHレベルに遷移させる。同様に最小期間出力部322は、オントリガ信号ONtrgに応じて、第2タイマ信号TonminをHレベルに遷移させる。本例の無効期間出力部321は、第1セット信号Set1に応じて出力がHレベルに遷移し、第1リセット信号Rst1に応じて出力がLレベルに遷移するフリップフロップである。本例の最小期間出力部322は、第2セット信号Se12に応じて出力がHレベルに遷移し、第2リセット信号Rst2に応じて出力がLレベルに遷移するフリップフロップである。本例の第1セット信号Set1および第2セット信号Set2は、オントリガ信号ONtrgである。また、第1リセット信号Rst1は、インバータ306が出力する信号であり、第2リセット信号は、リセット制御部352が出力する信号である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
無効期間出力部321のリセット端子R1には、インバータ306の出力端子が接続される。つまり、開始タイミングで充電が開始された共通コンデンサ302の充電電圧VCTが第1設定電圧に達し、インバータ306の出力がHレベルに遷移したタイミングで、第1タイマ信号LEBがLレベルに遷移する。第1タイマ信号LEBがHレベルを示す期間が、無効期間(第1期間)に相当する。次のスイッチングサイクルを開始するオントリガ信号ONtrgが無効期間出力部321のセット端子に入力されるまで、無効期間出力部321の出力はLレベルに固定される。無効期間出力部321には、制御回路100の状態を初期化するリセット信号Resetが入力されてもよい。リセット信号Resetが入力されると、無効期間出力部321の出力はLレベルに遷移する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
第2ワンショット信号OS2は、論理和回路346を介してスイッチ342に入力される。スイッチ340およびスイッチ342は、インバータ336の出力、または、論理和回路346の出力のいずれを用いて、スイッチ316およびスイッチ317を制御するかを切り替える。スイッチ340は、軽負荷状態(VstbL=L)の場合にオフとなり、通常負荷状態(VstbL=H)の場合にオンとなる。スイッチ342は、軽負荷状態(VstbL=L)の場合にオンとなり、通常負荷状態(VstbL=H)の場合にオフとなる。スイッチ340がオンの場合、インバータ336の出力がスイッチ316およびスイッチ317に入力され、スイッチ340がオフの場合、論理和回路346の出力がスイッチ316およびスイッチ317に入力される。つまり軽負荷状態の場合は、第2ワンショット回路OS2に応じて、共通コンデンサ302の充放電が制御される。軽負荷状態において無効期間が終了すると、短パルスである第2ワンショット信号OS2が、スイッチ316およびスイッチ317の制御端子に入力され、スイッチ317がオンとなり、スイッチ316がオフとなる。これにより、無効期間(第1期間)が終了すると、第2ワンショット信号OS2がHレベルの期間、共通コンデンサ302が放電される。なお第2ワンショット信号OS2がHレベルになると、フリップフロップ350の出力がHレベルに遷移し、スイッチ314がオフになる。このため、無効期間(第1期間)が終了すると、充電電流はI0+I2からI2に減少する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
図4は、軽負荷状態(VstbL=L)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。本例の発振器26は、1Vと3Vの間を遷移する三角波信号Voscを生成する。また発振器26は、三角波信号Voscと同期した矩形波信号Dmaxを出力する。矩形波信号Dmaxは、三角波信号Voscが上昇している期間Hレベルとなり、三角波信号Voscが下降している
期間Lレベルとなる。軽負荷状態では、発振周波数制御部24は、発振器26の発振周波数を低くする。このため、三角波信号Voscの周期(スイッチングサイクルに相当)は、比較的に長くなる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
図5は、通常負荷状態(VstbL=H)における制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
図3において説明したように、通常負荷状態の場合、論理和回路313の出力は
Lレベルに固定され、充電電流はI0+I2に固定される。また、スイッチ340がオン、スイッチ342がオフになり、共通コンデンサ302の充放電は、第1タイマ信号LEBにより制御される。つまり
、第1タイマ信号LEBがHレベルの場合は共通コンデンサ302は充電され、第1タイマ信号LEBがLレベルの場合は共通コンデンサ302は放電される。また、論理和回路348の出力がHレベルに固定されるので、マスク信号Mskは、第1ワンショット信号OS1がHレベルの間だけLレベルとなり、他の期間はHレベルを示す。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
トランジスタ416の制御端子には、増幅器410の出力端子が接続されている。トランジスタ416のエミッタ端子は、RT端子に接続される。トランジスタ416のコレクタ端子は、発振器26に接続される。トランジスタ416に流れるコレクタ電流により、発振器26の発振周波数が制御される。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
図10は、制御信号OUTのオン幅(パルス幅)と、Vfb電圧と
の関係を示す図である。
図10では、軽負荷時および通常負荷時の第2タイマ信号Tonminの長さを合わせて示している。
図10に示すように、Vfb電圧がVfbstb以上の場合は、通常負荷時の第2タイマ信号Tonminが設定され、Vfb電圧がVfbstbより小さい場合は、軽負荷時の第2タイマ信号Tonminが設定される。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
軽負荷時において制御信号OUTのオン幅が小さいと、オン損失が小さくなり、スイッチング損失の影響が大きくなる。また、Vfb電圧が低下しにくくなるので、スイッチング損失を低減しにくくなり、軽負荷時の効率が低下する。このため制御回路100は、軽負荷時の最小オン幅(第2タイマ信号Tonminの長さ)を大きめに設定し、1回のスイッチングでの2次側へのエネルギー伝送量を大きめに維持する。これにより、Vfb電圧を低下させやすくし、発振周波数を下げてスイッチング頻度を低下させて、損失を低減できる。