(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020456
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】一体型かつ連続した組換えタンパク質の製造
(51)【国際特許分類】
C12M 1/12 20060101AFI20240206BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20240206BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C12M1/12
C12M3/00 A
C12M3/06
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196145
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2021558634の分割
【原出願日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】62/827,504
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/899,829
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】コフマン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフリー,スコット・エー
(72)【発明者】
【氏名】オロスコ,ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ファーナー,ロバート・リー
(72)【発明者】
【氏名】フィアディロ,マルクス・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】コットメイヤー,ロバート・イー
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン,ジョセフ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】サルム,ジェフリー・リチャード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】哺乳動物細胞において組換えタンパク質を製造するための一体型システム及び方法を提供する。
【解決手段】システム及び方法は単回使用バイオリアクタ(SUB)、タンジェンシャルフローろ過システム、カラムクロマトグラフィースキッド、タンクレスホールド、ウイルス不活性化プラグフローリアクタ及びポンプを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えタンパク質製品を製造するための一体型システムであって、前記システムが、単回使用バイオリアクタ(SUB)、タンジェンシャルフローろ過システム、カラムクロマトグラフィースキッド、タンクレスホールド、ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、及びポンプを含む、一体型システム。
【請求項2】
システムが自動化され、連続使用及び/又は単回使用である、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項3】
前記SUB、前記タンジェンシャルフローろ過システム、前記カラムクロマトグラフィースキッド、前記タンクレスホールド、前記ウイルス不活性化プラグフローリアクタ及び前記ポンプのそれぞれが単回使用である、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項4】
前記SUBが、約2L~約2250Lの容積を有する灌流バイオリアクタを含む、請求項1の一体型システム。
【請求項5】
前記SUBが、約2L~約4500Lの容積を有する流加バイオリアクタを備え、請求項1の一体型システム。
【請求項6】
前記SUBがタンクなしで管材により、ろ過生成物を生成する前記タンジェンシャルフローろ過システムへと流体的に接続される、請求項5に記載の一体型システム。
【請求項7】
前記ろ過生成物が、タンクなしで約1/4インチ~約3/8インチの単回使用管材により、直接前記カラムクロマトグラフィースキッドへと運ばれる、請求項6に記載の一体型システム。
【請求項8】
前記ろ過生成物が熱交換器を用いて室温に冷却される、請求項7に記載の一体型システム。
【請求項9】
前記カラムクロマトグラフィースキッドがデュアルカラム捕捉クロマトグラフィーを備え、それぞれが流出液を生成する、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項10】
第1カラム又は捕捉カラムがタンパク質Aカラムである、請求項9に記載の一体型システム。
【請求項11】
第2カラムがアニオン交換カラムである、請求項9に記載の一体型システム。
【請求項12】
前記カラムクロマトグラフィースキッドがタンクなしで管材により前記タンクレスホールドに流体的に接続される、請求項9に記載の一体型システム。
【請求項13】
前記流出液が、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、前記タンクレスホールドへと運ばれる、請求項9に記載の一体型システム。
【請求項14】
前記タンクレスホールドが、前記ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項15】
前記ポンプが、前記SUB、前記タンジェンシャルフローろ過システム、前記カラムクロマトグラフィースキッド、前記タンクレスホールド、及び/又は前記ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項16】
前記ポンプが、第1セットのポンプ及び第2セットのポンプを備える、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項17】
前記第1セットのポンプが、約60mL/分~約5L/分又は約60mL/分~約600mL/分の範囲で動作する、請求項16に記載の一体型システム。
【請求項18】
前記第2セットのポンプが、約125mL/分~約2.5L/分の範囲で動作する、請求項16に記載の一体型システム。
【請求項19】
前記システムが、1日あたり10g~5,000gの組換えタンパク質を処理可能である、請求項1に記載の一体型システム。
【請求項20】
自動化された一体型単回使用連続細胞培養システムであって、
a.10L~2250Lの単回使用バイオリアクタ(SUB)、
b.ろ過生成物を生成する単回使用タンジェンシャルフローろ過システム、
c.流出液を生成する単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッド、
d.タンクレスホールド及び
e.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、並びに
f.約60mL/分~約5L/分、又は約60mL/分~約600mL/分の範囲で動作する第1セットのポンプ及び約125mL/分~約2.5L/分の範囲で動作する第2セットのポンプを含み、
前記単回使用SUBが、タンクなしで管材により、前記単回使用タンジェンシャルフローろ過システムへと流体的に取り付けられ、前記ろ過生成物が、タンクなしで、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、前記単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッドへと運ばれ、前記流出液が、タンクなしで、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、前記タンクレスホールドへと運ばれ、前記タンクレスホールドが前記単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続され、前記第1セットのポンプ及び前記第2セットのポンプが、構成要素a~eのうち1つ以上に流体的に接続される、自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項21】
前記システムが、1日あたり10g~5,000gの組換えタンパク質を処理可能である、請求項20に記載の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項22】
前記SUBが、灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタである、請求項20に記載の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項23】
実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システムであって、
a.10L~2250Lの単回使用バイオリアクタ(SUB)、
b.ろ過生成物を生成する単回使用タンジェンシャルフローろ過システム、
c.流出液を生成する単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッド、
d.タンクレスホールド及び
e.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、並びに
f.約0.060mL/分~約5mL/分、又は約0.060mL/分~約0.6600mL/分の範囲で動作する第1セットのポンプ及び約0.125mL/分~約2.5mL/分の範囲で動作する第2セットのポンプを含む、実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項24】
前記単回使用SUBが、タンクなしで管材により前記単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに流体的に取り付けられ、前記ろ過生成物が、タンクなしで約0.012~約0.036インチの単回使用管材により、前記単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッドに運ばれる、請求項23に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項25】
前記流出液が、タンクなしで、0.012~0.036インチの単回使用管材により、前記タンクレスホールドに運ばれ、前記タンクレスホールドが前記単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、請求項24に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項26】
前記第1セットのポンプ及び前記第2セットのポンプは、構成要素a~eの1つ以上に流体的に接続される、請求項25に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項27】
前記SUBが灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタである、請求項23に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項28】
実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システムであって、
a.2L~2250Lの単回使用バイオリアクタ(SUB)、
b.ろ過生成物を生成する単回使用タンジェンシャルフローろ過システム、
c.流出液を生成する単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッド、
d.タンクレスホールド及び
e.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、
f.並びに約0.060mL/分~約5mL/分、又は約0.060mL/分~約0.6600mL/分の範囲で動作する第1セットのポンプ及び約0.125mL/分~約2.5mL/分の範囲で動作する第2セットのポンプを含み、
前記単回使用SUBが、タンクなしで管材により前記単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに流体的に取り付けられ、前記ろ過生成物が、タンクなしで約0.012~約0.036インチの単回使用管材により、前記単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッドに運ばれ、前記流出液がタンクなしで、0.012~0.036インチの単回使用管材により前記タンクレスホールドに運ばれ、前記タンクレスホールドが、前記単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続され、前記第1セットのポンプ及び前記第2セットのポンプが構成要素a~eのうち1つ以上に流体的に接続される、実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【請求項29】
前記システムが車輪に取り付けられる、請求項1~28のうちいずれか一項に記載の一体型システム。
【請求項30】
前記システムが、約10~20日間で約5~約60kgの組換えタンパク質を作製する、請求項1~29のうちいずれか一項に記載の一体型システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題の技術は、連続細胞培養システム及び方法を用いる培養動物細胞のタンパク質の製造、好ましくは哺乳動物細胞におけるタンパク質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の連続細胞培養システム及び方法(灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタを含む)は、スケーラビリティの欠如及び生産収率の低さを含む、多くの不都合に見舞われている。したがって、こうした制限を克服する、代替的な連続細胞培養システム又は方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
本主題の技術の目標は、連続細胞培養システム及び方法の現在の限界を克服することである。
【0004】
本発明の1つ以上の態様は、簡便さのために以下、番号付き条項(例えば、1、2、3など)として説明される。こうした条項は例として提供され、本主題の技術の限定するものとしては提供されない。以下の任意の従属条項が(任意の組合せにより)含まれ、個々の独立条項へと位置づけられてもよい。例えば、条項2が従属する条項1といったものである。他の条項は同様の方式にて表され得る。
【0005】
1.組換えタンパク質製品を製造するための一体型システムであって、当該システムは単回使用バイオリアクタ(SUB)、タンジェンシャルフローろ過システム、カラムクロマトグラフィースキッド、タンクレスホールド、ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、及びポンプを含む、組換えタンパク質製品を製造するための一体型システム。
【0006】
2.システムは自動化され、連続使用及び/又は単回使用である、条項1の一体型システム。
【0007】
3.SUB、タンジェンシャルフローろ過システム、カラムクロマトグラフィースキッド、タンクレスホールド、ウイルス不活性化プラグフローリアクタ及びポンプのそれぞれは、単回使用である、条項1に記載の一体型システム。
【0008】
4.SUBは、約10L~約2250Lの容積を有する灌流バイオリアクタを含む、条項1の一体型システム。
【0009】
5.SUBは、約2L~約4500Lの容積を有する流加バイオリアクタを含む、条項1の一体型システム。
【0010】
6.SUBはタンクなしで管材により、ろ過生成物を生成するタンジェンシャルフローろ過システムへと流体的に接続される、条項5に記載の一体型システム。
【0011】
7.ろ過生成物は、約1/4インチ~約3/8インチ(又は約6mm~約10mm)の単回使用管材により、タンクなしで直接カラムクロマトグラフィースキッドへと運ばれる、条項6に記載の一体型システム。
【0012】
8.ろ過生成物は熱交換器を用いて室温に冷却される、条項7に記載の一体型システム。
【0013】
9.カラムクロマトグラフィースキッドはデュアルカラム捕捉クロマトグラフィーを含み、それぞれが流出液を生成する、条項1に記載の一体型システム。
【0014】
10.第1カラム又は捕捉カラムはタンパク質Aカラムである、条項9に記載の一体型システム。
【0015】
11.第2カラムはアニオン交換カラムである、条項9に記載の一体型システム。
【0016】
12.カラムクロマトグラフィースキッドはタンクなしで管材によりタンクレスホールドに流体的に接続される、条項9に記載の一体型システム。
【0017】
13.流出液は約1/4インチ~約3/8インチ(又は約6mm~約10mm)の単回使用管材により、タンクレスホールドへと運ばれる、条項9に記載の一体型システム。
【0018】
14.タンクレスホールドは、ウイルス不活性化プラグフローリアクタ(例えば、蛇行したデザイン又は結び目のデザインは、2018年10月8日に出願され、そのそれぞれの全体の内容が参照として本明細書に組み入れられる同時係属中の特許出願である62/742,530号及び/又は62/742,534号に説明されるように形成する)に流体的に接続される、条項1に記載の一体型システム。
【0019】
15.ポンプがSUB、タンジェンシャルフローろ過システム、カラムクロマトグラフィースキッド、タンクレスホールド、及び/又はウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、条項1に記載の一体型システム。
【0020】
16.ポンプは第1セットのポンプ及び第2セットのポンプを含む、条項1に記載の一体型システム。
【0021】
17.第1セットのポンプは、約60mL/分~約5L/分又は約60mL/分~約600mL/分の範囲で動作する、条項16に記載の一体型システム。
【0022】
18.第2セットのポンプは、約125mL/分~約2.5L/分の範囲で動作する、条項16に記載の一体型システム。
【0023】
19.システムは、1日あたり10g~5,000gの組換えタンパク質を処理可能である、条項1に記載の一体型システム。
【0024】
20.自動化された一体型単回使用連続細胞培養システムであって、
a.10L~2250Lの単回使用バイオリアクタ(SUB)、
b.ろ過生成物を生成する単回使用タンジェンシャルフローろ過システム、
c.流出液を生成する単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッド、
d.タンクレスホールド及び
e.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、並びに
f.約60mL/分~約5L/分、又は約60mL/分~約600mL/分の範囲で動作する第1セットのポンプ及び約125mL/分~約2.5L/分の範囲で動作する第2セットのポンプを含み、
単回使用SUBは、タンクなしで管材により、単回使用タンジェンシャルフローろ過システムへと流体的に取り付けられ、ろ過生成物は、タンクなしで、約1/4インチ~約3/8インチ(又は約6mm~約10mm)の単回使用管材により、単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッドへと運ばれ、流出液は、タンクなしで、約1/4インチ~約3/8インチ(又は約6mm~約10mm)の単回使用管材により、タンクレスホールドへと運ばれ、タンクレスホールドは単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続され、第1セットのポンプ及び第2セットのポンプは、構成要素a~eのうち1つ以上に流体的に接続される、自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0025】
21.システムは、1日あたり10g~5,000gの組換えタンパク質の間で処理可能である、条項20に記載の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0026】
22.SUBは灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタである、条項20に記載の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0027】
23.実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システムであって、
a.10L~2250Lの単回使用バイオリアクタ(SUB)、
b.ろ過生成物を生成する単回使用タンジェンシャルフローろ過システム、
c.流出液を生成する単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッド、
d.タンクレスホールド及び
e.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、並びに
f.約0.060mL/分~約5mL/分、又は約0.060mL/分~約0.6600mL/分の範囲で動作する第1セットのポンプ及び約0.125mL/分~約2.5mL/分の範囲で動作する第2セットのポンプを含む、実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0028】
24.単回使用SUBは、タンクなしで管材により単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに流体的に取り付けられ、ろ過生成物は、タンクなしで約0.012~約0.036インチ(又は約0.3~約1mm)の単回使用管材により、単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッドに運ばれる、条項23に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0029】
25.流出液は、タンクなしで、0.012~0.036インチ(又は約0.3~約1mm)の単回使用管材により、タンクレスホールドに運ばれ、タンクレスホールドが単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、条項24に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0030】
26.第1セットのポンプ及び第2セットのポンプは、構成要素a~eの1つ以上に流体的に接続される、条項25に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0031】
27.SUBは灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタである、条項23に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0032】
28.実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システムであって、
a.10L~2250Lの単回使用バイオリアクタ(SUB)、
b.ろ過生成物を生成する単回使用タンジェンシャルフローろ過システム、
c.流出液を生成する単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッド、
d.タンクレスホールド及び
e.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、並びに
f.約0.060mL/分~約5mL/分、又は約0.060mL/分~約0.6600mL/分の範囲で動作する第1セットのポンプ及び約0.125mL/分~約2.5mL/分の範囲で動作する第2セットのポンプを含み、
単回使用SUBは、タンクなしで管材により単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに流体的に取り付けられ、ろ過生成物はタンクなしで約0.012~約0.036インチ(又は約0.3~約1mm)の単回使用管材により、単回使用デュアルカラム捕捉カラムクロマトグラフィースキッドに運ばれ、流出液はタンクなしで、0.012~0.036インチ(又は約0.3~約1mm)のタンクレスホールドに運ばれ、タンクレスホールドは、単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続され、第1セットのポンプ及び第2セットのポンプは構成要素a~eのうち1つ以上に流体的に接続される、実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0033】
29.SUBは灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタである、条項28に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
【0034】
30.システムは車輪に取り付けられる、条項1~29のうちいずれか一項に記載の一体型システム。
【0035】
31.システムは、約10~20日間で約5~約60kgの組換えタンパク質を作製する、条項1~30のうちいずれか一項に記載の実験室規模の自動化された一体型システム。
【0036】
本主題の技術の追加的な機能及び利点は以下の説明にて概説され、この目的は説明から明らかである又は本主題の技術の実践により習得される。本主題の技術の利点はここに説明され、実施態様は記載の説明及びこの特許請求の範囲にて特に指摘され、添付の図面に説明されるように、当業者により想定され得る。
【0037】
前述の一般的な説明及び以後の詳細な説明は例示的かつ説明的なものであり、主張されるような本主題の技術の更なる説明を提供しようと意図される。
【0038】
主張された方法、装置及びシステムのこうした及び他の機能、態様、及び利点は、添付の図面に対する参照と共に以下の詳細な説明を理解するときに、より良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】3つのパイロットスケールでのiSkidの運転である1(△)、2(□)及び3(○)といった生細胞密度(実線、一次y軸)及び生育能力(波線、二次y軸)を示す。全ての運転は、14日間以上組換えモノクローナル抗体を発現している哺乳動物の細胞株を動作させながら100Lにて実施した。点線は+/-3標準偏差を表す。
【
図2】タンパク質A工程の代表的な溶出クロマトグラムを例示する。
【
図3】アニオン交換工程の代表的なクロマトグラムを示す。
【
図4】プラグフローリアクタに入っている物質の代表的なpH記録を示す。
【
図6】プラグフローリアクタ(インキュベーションチャンバと呼ばれる)及びタンクレスホールド(溶出流チャンバと呼ばれる)を含む、設計の概略を示す。単回通過タンジェンシャルフローろ過システムは、本出願では論じられない。
【
図7】タンパク質Aのサイクル数の関数としての、BI-5の運転1及び2の宿主細胞タンパク質値を示す。灌流ろ過生成物、タンパク質Aクロマトグラフィー後、及びAEXクロマトグラフィー後といった3種類の異なるユニットオペレーション後の結果を示す。CHOPは、チャイニーズハムスターの卵巣タンパク質又は宿主細胞タンパク質を意味する。
【
図8】サイクル数の関数としてのBI%の低分子量(LMW)及び高分子量(HMW)値を示す。サンプルは単回使用ミキサから取得される。CRは一貫した運転の略である。
【
図9】全運転に対して実証されたアニオン交換工程の収率測定の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本発明は、単回使用ポンプの特定のセットのサイズ、管材のサイズ及びカラムサイズを有する本主題の技術による自動化された組換え製造システム、並びに単回使用リアクタ(「タンクレスホールド」)、単回使用バッファ濃縮物希釈システム及びユニットオペレーション間のサージタンクなしの使用が、500倍のダイナミックレンジを有するという驚くべき発見に部分的に基づいている。現在の灌流システムは10~20のダイナミックレンジしか有さない。
【0041】
一態様では、本主題の技術は、管材によって単回タンジェンシャルフローろ過システムに取り付けられた、10L~2250Lの単回使用灌流バイオリアクタ又は流加バイオリアクタ(SUB)を制御する、自動化された一体型単回使用システムに関し、このろ過生成物は、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、単回使用デュアルカラム捕捉クロマトグラフィースキッドに直接取り付けられ、その製品流出液は、タンクなしで1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、タンクレスホールド及び単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに取り付けられ、その生成物流出液は、1/4インチ~3/8インチ(又は径にして約6mm~約10mm)の管材により、フロースルークロマトグラフィー工程へと取り付けられる。このシステムは、1日あたり10g~5,000gの組換えタンパク質を処理可能である、60mL/分~600mL/分の範囲である単回使用のセットのポンプ及び125mL/分~2.5L/分の範囲である単回使用のセットのポンプを有する単回使用バッファ供給送達システムを使用する。本明細書にて使用される場合、用語「タンク」は、液体を保持及び混合することができ、使用中気液界面を有する容器を指す。
【0042】
一実施態様では、SUB機器は、スキッドの残りに対して他の機器の変更なしに10~2250Lの異なる体積の別のSUBへと変更され得る。SUB機器は、SUB枠組み、O2、CO2及び空気の質量フローコントローラ、再循環ポンプ及びろ過生成物ポンプを含む、耐久性のある構成要素として定義される。クロマトグラフィーカラム、任意の生成物接触物質、フローメータなどの単回使用アセンブリは、処理される物質の質量及び体積に応じてサイズを変更する。例えば、100LのSUBは通常、1Lのデュアル捕捉カラム及び約1.1~3Lのタンクレスホールドを必要とし得るが、2000LのSUBは13Lのデュアル捕捉カラム及び約14L~約39Lのタンクレスホールドを必要とする場合がある。
【0043】
別の実施態様では、タンクレスホールドはアフィニティーカラム体積の1.1~3倍の容積を有する。
【0044】
別の実施態様では、バッファ供給システム及び付属のバルブ及びポンプにより、5倍の処理バッファ濃度のバッファ濃縮物からバッファ溶液の希釈を行うことができ、効果又は物質の損失なしで1日あたり少量(50g)~大量(5kg)を処理することができる。
【0045】
別の実施態様では、単回使用熱交換器は、TFFとデュアル捕捉カラムの間のろ過生成物ラインに配置される。熱交換器は、約37℃から20~25℃にろ過生成物の温度を低下させることができるようにサイズ決めされる。熱交換器のサイズは流量によって変化し、これは当業者には明らかである。
【0046】
別の実施態様では、捕捉工程への溶液の供給は2つのポンプを含み、このうち一方は1つの水/希釈ラインに取り付けられ、他方のポンプは3~8のバッファ濃縮物に取り付けられ、このうちの一方は殺菌液体を含有する。
【0047】
別の実施態様では、精製工程への溶液の供給は2つのポンプを含み、このうち一方は1つの水/希釈ラインに取り付けられ、他方のポンプは3~9のバッファ濃縮物に取り付けられ、このうち一方は1つの水/希釈ラインに取り付けられ、他方のポンプは3~8のバッファ濃縮物に取り付けられ、このうちの一方は殺菌液体を含有する。
【0048】
別の実施態様では、ウイルス不活性化工程への溶液の供給は2つのバッファラインを含有し、少なくとも1つのラインは殺菌用ラインである。
【0049】
別の実施態様では、SPTFFへの溶液の供給は1つのポンプ、及び1~2個のバッファ濃縮物、及び殺菌用の1つのラインを有する。
【0050】
別の実施態様では、ポンプ特性は100mL/分~10L/分の流量を可能にする単回使用ポンプを含む。単一のポンプは通常、約20倍、5%の最大ポンプ容量~95%の最大ポンプ容量の範囲にわたり、正確に動作することができる。このようにして、0LPM~10LPMの容量を有するポンプは、約0.5LPM~約9.5LPMで正確に動作することができる。ポンプは10%~90%の最大ポンプ容量、約10倍の範囲で更により正確に動作することができる。バッファ濃縮物の使用は、最も正確なポンプがバッファ濃縮物ポンプでなければならず、10~90%の最大ポンプ容量以内で維持されるべきであることを意味する。5倍のバッファ濃縮物の流量における5%の差異は、意図されるよりも20%異なるバッファをもたらし、これは通常、大半のバイオプロセスにとって多すぎる。
【0051】
別の実施態様では、ポンプの各ペアは、60mL/分~600mL/分の範囲(バッファ濃縮物と同等)であるバッファ濃縮物ポンプ及び125mL/分~2.5L/分の範囲である別のセットのポンプを有し、主に希釈のためのものである。
【0052】
別の実施態様では、より小さなスケールでは、バッファは1倍にて作製され得る。より小さなスケールでは、1倍の溶液が使用され、バッファポンプのみが使用される。当業者はこれらのポンプのサイズを好ましいものとして認識している。バッファ濃縮物及び希釈物用のポンプは同様の容量を有し得るが、容量の全ダイナミックレンジにおける影響はわずかである。
【0053】
以下の表1は、表2に列挙されたパラメータに基づき、説明の能力の範囲を示す。実行可能な最小日別質量は、管材と比較すると、カラム体積を考慮することで最小日別質量よりも高くなる。この場合、カラム体積は管材体積のわずか約6倍の体積である(一例として1mの管材)。この余分なカラム体積は、iskidにおいて生成物の大幅な希釈を引き起こし、収率損失を引き起こすこともある。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
本発明の1つ以上の態様に関する様々な他の例又は実施態様は、簡便さのために以下、番号付き条項(1、2、3など)として説明される。こうした条項は例として提供され、本主題の技術を限定するものではない。既に言及したように、従属条項のいずれかは任意の組合せで組み合わされてよく、例えば、条項1といった個々の独立条項へと位置づけられる。他の条項は同様の方式にて表され得る。
【0058】
1.管材により単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに取り付けられた、10L~2250Lの単回使用灌流バイオリアクタ(SUB)を制御する自動化された一体型単回使用システムであって、このろ過生成物はタンクなしで、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、単回使用デュアルカラム捕捉クロマトグラフィースキッドに取り付けられ、この生成物の流出液は、タンクなしで1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により、タンクレスホールド及び60mL/分~5L/分又は好ましくは60mL/分~600mL/分の範囲である単回使用のセットのポンプ及び125mL/分~2.5L/分の範囲であるセットのポンプを有する、単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに取り付けられる、自動化された一体型単回使用システム。
【0059】
2.この生成物の流出液は、1/4インチ~3/8インチの管材によりクロマトグラフィー工程に取り付けられる、条項1に記載の一体型システム。
【0060】
3.システムは、60mL/分~600mL/分の範囲の単回使用のセットのポンプ及び1日あたり、10g~5,000gの組換えタンパク質を処理可能である125mL/分~2.5L/分の範囲のセットのポンプを有する、単回使用バッファ供給送達システムである、条項1又は2に記載の一体型システム。
【0061】
4.捕捉カラムはタンパク質Aカラムである、一体型システム。
【0062】
5.第2カラムはアニオン交換カラムである、一体型システム。
【0063】
6.細胞除去デバイスに取り付けられた2L~4500Lの単回使用流加バイオリアクタ(SUB)を制御する、自動化された一体型単回使用システムであって、この流出液は、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材により単回使用デュアルカラム捕捉クロマトグラフィースキッドに取り付けられ、この生成物の流出液は、タンクなしで、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材によりタンクレスホールド及び単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに取り付けられ、この生成物の流出液は、1/4インチ~3/8インチの単回使用管材によりクロマトグラフィー工程に取り付けられる、自動化された一体型単回使用システム。このシステムは、60mL/分~600mL/分の範囲である単回使用のセットのポンプ及び1日あたり10g~5,000gの組換えタンパク質を処理可能である125mL/分~2.5L/分の範囲のセットのポンプを有する、単回使用バッファ供給送達システムを使用する。
【0064】
7.単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに取り付けられた10mL~2250mLの単回使用灌流バイオリアクタ(SUB)を制御する、実験室規模の自動化された一体型単回使用システムであって、このろ過生成物は、タンクなしで、0.012~0.036インチの単回使用管材により、単回使用デュアルカラム捕捉クロマトグラフィースキッドに取り付けられ、この生成物の流出液は、タンクなしで、0.012~0.036インチの単回使用管材により、0.060mL/分~5mL/分、又は好ましくは0.060mL/分~0.6600mL/分の範囲である単回使用ポンプ及び0.125mL/分~2.5mL/分の範囲であるセットのポンプを有するタンクレスホールドに取り付けられる、実験室規模の自動化された一体型単回使用システム。
【0065】
8.単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタを有する、条項7に記載の実験室規模の一体型システム。
【0066】
9.この生成物の流出液である、0.012~0.036インチの管材によりクロマトグラフィー工程に取り付けられる、条項7に記載の一体型システム。
【0067】
10.このシステムが、0.06mL/分~0.600mL/分の範囲である単回使用のセットのポンプ及び1日あたり10mg~5,000mgの組換えタンパク質を処理可能である0.125mL/分~2.5mL/分の範囲であるセットのポンプを有する単回使用バッファ供給送達システムである、条項7又は条項8又は条項9に記載の一体型システム。
【0068】
11.車輪上に取り付けられる、請求項1~6に記載の一体型システム。
【0069】
12.方法であって、請求項1~7からの一体型スキッドシステムは、10日間、14日間、20日間で、5kg、10kg、15kg、20kg、30kg、40~60kgの抗体化合物を作製する、方法。
【0070】
13.10日間、14日間、20日間で、5kg、10kg、15kg、20kg、30kg、40~60kgの組換えタンパク質を作製するための、上のスキッドデバイス/システムの使用。
【0071】
14.単回使用容器での5倍のバッファ濃縮物の使用。
【0072】
15.単回使用容器での10倍のバッファ濃縮物の使用。
【0073】
16.システムへと接続可能である種々の容積を有するポータブルバイオリアクタ(例えば、100L、500L、1000L、又は2000Lの単回使用バイオリアクタ)の使用。
【0074】
17.捕捉工程、プラグフローリアクタ内及び精製工程において、1日あたり2回の殺菌溶液(15分間、0.5MのNaOHなど)の使用。
【実施例0075】
実施例1
自動化された単回使用システム
自動化された単回使用システムは、3/4インチの管材により、再循環ポンプ(Levitronics Pump and Spectrum製の0.2μmのTFFフィルタ)及びろ過生成物ポンプ(Quatroflo 150)を有する単回使用タンジェンシャルフローろ過システムに取り付けられた、100Lの単回使用灌流バイオリアクタ(SUB)を制御した。
【0076】
1/4インチの単回使用管材により、クロマトグラフィースキッド又は捕捉工程にて、ろ過生成物を単回使用の1LデュアルカラムであるMabSelect Sure LX タンパク質A(GE Healthcare)カラムへと取り付けた。各カラムオペレーションは、充填段階、3回の洗浄段階、溶出段階、ストリップ段階、殺菌段階、平衡化段階及び(場合により)保持段階を含む、タンパク質A工程の標準段階からなり、これは当業者には公知である。使用されるバッファ及び体積を表2に示す。溶液をバッファ濃縮物から水で希釈した。以下の表2は、タンパク質Aバッファ、体積及び動作パラメータを列挙する。希釈後のバッファの濃度を示す。2倍高かった洗浄2溶液を除き、希釈前のバッファの濃度は5倍高かった。
【0077】
【0078】
デュアルカラム捕捉工程の各カラムを、一方のカラムは充填状態、もう一方のカラムは他の段階を通過した状態で並行して動作させた。
【0079】
溶出段階の流出液を、バルブ及び1/4インチの管材を用いて3Lのタンクレスホールドへと方向付けた。プラグフローリアクタの動作準備が整うまで、タンクレスホールドに生成物の流出液を保持する。pH3.3~3.5の50mmグリシンで、プラグフローリアクタを最初にプライミングした。プラグフローリアクタの準備が整うと、生成物をタンクレスホールドからプラグフローリアクタへと50mL/分でポンプにより送り出しつつ、同時に7.5mL/分にて流れるpH3.3の2Mのグリシンを生成物と混合させた。生じた生成物流はpH3.3~3.5であった。プラグフローリアクタ中に含有された生成物流がタンクレスホールドから完全に除去されると、タンクレスホールドの流出液をバルブによって切り替え、排出した。次いでタンクレスホールドをフラッシュし、0.5MのNaOH溶液で30分間殺菌した。同時に一連のバルブを切り替えて別のポンプを起動し、pH3.3の50mmグリシンをプラグフローリアクタへとポンプで送り出すことで、プラグフローリアクタ内の流れを50mL/分で維持し、これによってプラグフローリアクタを通る生成物の経路をもたらした。プラグフローリアクタの流出液のUVシグナルが100mAU超に上がったときには、予定していた汚水管から流出液を方向転換し、1/4インチの管材によりアニオン交換カラムへと方向付けつつ、315mmのトリス塩基からなる中和溶液をPFR生成物流出液に58mL/分の速度で加えた。生成物流は、500mLのアニオン交換カラム上を通過する前にスタティックミキサを通過した。
【0080】
生成物流をプラグフローリアクタへと完全に排出した後、プラグフローリアクタからの流出液を廃棄するように方向付けた。次の製造サイクル前に、0.5MのNaOHの殺菌溶液で少なくとも30分間システムをフラッシュした。
【0081】
充填工程及びその後の洗浄工程中にカラムを生成物がほとんど通過するように、当業者が熟知している弱分配クロマトグラフィーモードにてアニオン交換カラムを動作させた。アニオン交換カラムの条件を表3に示す。表3はアニオン交換バッファ、体積及び動作パラメータを列挙する。希釈後のバッファの濃度を示す。2倍高かった殺菌溶液を除き、希釈前のバッファの濃度は5倍高かった。
【0082】
【0083】
アニオン交換からの生成物の流出液を、1/4インチの管材を介し、単回通過タンジェンシャルフロー(SPTFF)工程に方向付ける。SPTFF工程は、当業者が熟知している限外ろ過工程を用いて生成物を濃縮する。SPTFFからのろ過生成物流量は約58mL/分であり、バルブによって濃縮された生成物を方向付け、10体積%であり、pH6.0である1MのMES溶液と混合させた。次いで1/4インチの管材を介し、混合物をバルブにより100Lの単回使用ミキサ又は単回使用タンクへと方向付けた。生成物流がSPTFFを通過した後、SPTFFの流出液を変更して廃棄し、0.5MのNaOH殺菌溶液で30分間にわたりシステムをフラッシュした。
【0084】
システムを14日間動作させ、
図1に示すようにmLあたり約1億5千万個の細胞の細胞密度を得た。
図2ではタンパク質A工程及び
図3ではアニオン交換工程の代表的なクロマトグラムを示す。
図4では、プラグフローリアクタを出入りする物質の代表的なpH記録を示す。
【0085】
実施例2
手法の概要
図5に示される図は、100Lの単回使用灌流バイオリアクタシステムを利用する、1000g超の製剤化された原薬材料を製造する手法を説明する。この技術の現状は、特異的細胞株の要件に従うシードトレイン拡大手法が既存の流加手順に依存している必要がある。
【0086】
実施例3
精製手法の概要
ここに説明される手法は、mAbの下流処理のためのものである。下流手法は、1日あたり、3個のバイオリアクタの体積の最大流量で0.4~3.3g/L/d又は0.8~6.6g/L/dの範囲での連続回収流の生産性を目的として設計されている。下流処理は8~13日間行う。
図6を参照されたい。
【0087】
本実施例にて、連続して加えられる炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムの混合物を用いて、L-乳酸ナトリウムが灌流培養液中にある場合に灌流培養液からの乳酸の消費をもたらしたであろうpHにおける上昇圧力を提供したが、恐らくは、連続方式又は半連続方式で培養液へと加えられた任意の適切な非毒性の塩基性物質は、同様の効果を提供することであろう。そのような塩基の例としては、とりわけ、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが挙げられ得る。
【0088】
本主題の技術はその特定の実施態様を参照して詳細に説明されるが、その精神及び範囲から逸脱することなく、主張される発明に種々の変更及び修飾を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、例えば当業者は、日常的な実験のみを使用し、特定の物質及び本明細書において説明される手順に対する多数の等価物を認識又は確認することができるであろう。こうした等価物は、本主題の技術の範囲内にあり、かつ特許請求の範囲によって含まれると考えられる。
【0089】
実施例4
異なるmAb間の製品品質の概要
発明者らはiSKIDと呼んでいる組換えタンパク質製品を製造するための本発明の一体型システムの大規模な開発及び試験は、この技術が堅牢でありかつ信頼性があると実証している。100Lのバイオリアクタを有するパイロットスケールのプロトタイプシステムの動作は、一貫した動作性能を実証している。このシステムは、いくつかの細胞株及び複数の製造運転を用いて試験される。
【0090】
発明者らの発見は、従来の流加手法を用いて製造された原薬と比較した場合、iSKID(商標)を用いて製造された原薬が製品品質においては差異がないことを示している。高品質の物質を提供するiSKID(商標)能力の実証として、プロトタイプシステムから得られたデータは、4種類のモノクローナル抗体であるSTL-B、AND-T、BI-5及びBI-10を製造する細胞株を示している。全ての分子は、特定のいかなる製品も開発することなく、iSKIDシステムを用いて製造された。全ての物質又は原薬を、情報収集のみを目的として非GMP環境にて生成した。原薬材料における製品品質データの概要を表4に示す。このデータは、生成物間の製品品質は臨床用途に適していることを示す。運転間(又はバッチ間)の一貫性は、一貫した条件下でのiSKID(商標)1回を超えて運転させた製品に関して実証された。
【0091】
【0092】
BI-5分子について選択された特質に関する周期的段階の異なる段階における製品品質のプロファイルもまた、稼働間での一貫性を例示する(
図7、
図8)
【0093】
実施例5
収率を測定するためのiSKID(商標)能力
iSKID(商標)にて1つの中央自動化システムを使用することにより、リアルタイムでのデータの生成が可能となり、これによりリアルタイムでの収率計算が可能となる。この計算は、監査機関への正式な提出に通常は必要とされる。通常、この計算をリアルタイムで行うことは困難である。iSKID(商標)を使用することにより、本発明者らは、周期的段階におけるユニットオペレーションごとに容易に利用可能である収率を実証した。アニオン交換工程のための収率測定の一例を、フル運転で実証する(
図9)。
本明細書に開示される装置及び方法は、灌流バイオマニュファクチャリングに有用であり、したがって、治療用の組換えタンパク質を製造する産業的方法を向上させるのに有用である。
組換えタンパク質製品を製造するための一体型システムであって、前記システムが、単回使用バイオリアクタ(SUB)、タンジェンシャルフローろ過システム、カラムクロマトグラフィースキッド、タンクレスホールド、ウイルス不活性化プラグフローリアクタ、及びポンプを含む、一体型システム。
前記SUB、前記タンジェンシャルフローろ過システム、前記カラムクロマトグラフィースキッド、前記タンクレスホールド、前記ウイルス不活性化プラグフローリアクタ及び前記ポンプのそれぞれが単回使用である、請求項1に記載の一体型システム。
前記ポンプが、前記SUB、前記タンジェンシャルフローろ過システム、前記カラムクロマトグラフィースキッド、前記タンクレスホールド、及び/又は前記ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、請求項1に記載の一体型システム。
前記流出液が、タンクなしで、0.012~0.036インチの単回使用管材により、前記タンクレスホールドに運ばれ、前記タンクレスホールドが前記単回使用ウイルス不活性化プラグフローリアクタに流体的に接続される、請求項24に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。
前記第1セットのポンプ及び前記第2セットのポンプは、構成要素a~eの1つ以上に流体的に接続される、請求項25に記載の実験室規模の自動化された一体型単回使用連続細胞培養システム。