IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エイビットの特許一覧

<>
  • 特開-車両監視システム 図1
  • 特開-車両監視システム 図2
  • 特開-車両監視システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002046
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】車両監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/017 20060101AFI20231228BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20231228BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G08G1/017
G08B25/00 510M
G08B25/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101002
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】593202025
【氏名又は名称】株式会社エイビット
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】檜山 竹生
(72)【発明者】
【氏名】小林 充生
【テーマコード(参考)】
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C087BB18
5C087DD05
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG10
5C087GG70
5H181AA01
5H181BB05
5H181CC04
5H181DD09
5H181DD10
5H181FF03
5H181FF10
5H181MB07
5H181MB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】捜索対象の車両の形状や色などの特徴情報にもとづき、道路を走行中の車両から捜査対象車両を発見する車両監視システムに関する。
【解決手段】街中の道路に監視装置を設置し、捜索依頼者から提供された該当車両についての特徴の記憶情報にもとづき、監視装置と管理サーバとで車両の特徴を検出し、車両を発見する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置される監視装置と管理サーバが無線通信網で接続され、捜索依頼者からの捜索車両についての特徴の記憶情報をもとに、前記監視装置は、前記記憶情報の特徴項目ごとに走行中の車両のカメラ画像から車両の特徴を検知し、検知結果を、前記監視装置に付与される特有のID符号と車両画像とともに検知情報として前記管理サーバに送信し、該管理サーバでは、前記監視装置から送信される前記検知情報と、捜索依頼者からの前記記憶情報を比較し、一致が確認されたとき、そのことを、前記管理サーバは前記捜索依頼者に連絡することを特徴とする車両監視システム。
【請求項2】
道路に設置されるカメラを具備する監視装置と管理サーバが無線通信網で接続され、前記監視装置には固有のID符号が付与され、前記カメラで道路を走行する車両の画像を撮影し、撮影画像を前記管理サーバに送信し、該管理サーバにおいては、捜索依頼者から捜索車両についての特徴の記憶情報を受信するとともに、前記記憶情報の特徴項目ごとに前記撮影画像から車両の特徴を検知し、検知結果と前記捜索依頼者からの捜索車両についての特徴の記憶情報を比較し、一致が確認されたとき、そのことを、前記管理サーバは前記捜索依頼者に連絡することを特徴とする車両監視システム。
【請求項3】
請求項1において、車両の画像より車両の特徴が未検知とされた前記特徴項目に対し、前記管理サーバでは、前記監視装置が具備する検知能力より高度な検知能力を有す検知手段を具備し、前記監視装置より送信される車両の画像を解析できるようにしたことを特徴とする車両監視システム。
【請求項4】
請求項1または2において、前記特徴項目として自動車メーカから提供される車種リスト情報を活用することを特徴とする車両監視システム。
【請求項5】
請求項1または2において、前記監視装置のID符号は、管理サーバ番号、郵便番号、道路番号、道路区間番号で構成され、監視装置の設置時に監視装置に書き込まれることを特徴とする車両監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行中の車両を監視し、捜索対象の車両を発見する車両監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あおり運転や、ひき逃げ、当て逃げの車が多くなり、被害者から見れば逃走中の車を早期に発見してほしいという要望が多くなっている。また、被害ではないが、車を運転している人の行動を観察するため、この車の走行軌跡を調査してほしいという要望も、家族関係が複雑化している現今、調査会社に寄せられ、走行中の車両を発見する社会的需要は高まっている。
【0003】
車両の番号を認識し、番号と一致する車両を検出する技術は、こんにち、駐車場で実用化されているが、被害を受けた人が加害車両の車両番号を記憶できるとは限らず、多くのケースでは、加害車両は、「赤のトヨタ車であった」とか「眼鏡をかけた男性が運転していたとか」とか、記憶はあいまいなことも多い。多発するあおり運転の加害者発掘のため車両にドライブレコーダを搭載することで、加害車両の車両番号を特定できるが、その車両を発見するには警察が警官を動員しての発見作業が主であり、発見に時間を要す、あるいは、発見できないままの状態も多い。
【0004】
カメラ技術の進歩により、ドライブレコーダに見るようにカメラは小型化、低価格化されてきていて、また、監視カメラのように街中に多数設置することが容易になっている。
【0005】
先行技術文献には車両の幅や高さを認識する技術が開示されているが、上記したあいまいな情報をもとに車両を検出技術は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-233525
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
捜索依頼者が記憶している捜索対象の車両の形状や色などの特徴情報にもとづき、道路を走行中の車両から捜査対象車両を発見する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
街中の道路に監視カメラを設置し、カメラ画像を解析することで捜索対象の車両の形状や色などの特徴情報を検知し、捜索依頼情報を管理している管理サーバで、特徴が一致する車両を発見し、捜索依頼者に、発見された車両の画像を見てもらいながら車両の特徴情報を、車両番号が特定できるレベルまで、深ぼりしていく。
【発明の効果】
【0009】
捜索対象車両について、車両番号の判明している車両はもちろん、車両の特徴について、あいまいな記憶でも、車両を発見できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明による車両監視システムの監視装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の全体構成図である。
図3図3は、本発明による管理サーバの動作機能を、ブロック図として表わした 図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態として、ひき逃げ、当て逃げ等、あおり運転など主として警察が捜索対象となる車両を検出する例について説明する。
【0012】
本発明による監視装置は、街中の道路沿いに設置されている電柱や街路灯や街路樹や交通信号ポールなどに、通行する各車両の車両番号が見渡せるような位置に車線ごとに設置されている。片側2車線の道路においては、片方向に2台、反対方向に2台の計4台が、道路の一区間(ある交差点から次の交差点までの間)ごとに設置される。
【0013】
図2は、本発明の全体構成を示す。
【0014】
図2では本発明の監視装置34が多数、無線通信網30に接続されている。無線通信網30は4G、5Gと呼ばれる公衆無線通信網が望ましいが、自営の無線通信網であってもよい。無線通信網30には管理サーバ31が接続され、車両の捜索依頼者32が、捜索対象の車両の特徴を管理サーバ31に伝える。管理サーバ31には自動車メーカ33が、市場に販売している車種の写真や型番や色や大きさなどの情報を連絡する。車両のメーカが外国の時は、輸入販売業者が自動車メーカ33として、これらの情報を提供する。これらの情報は、メーカ別車種リストとして、管理サーバ31から無線通信網30を介して監視装置34に送られるが、捜索依頼者32が、捜索車両の特徴を管理サーバ31に伝えるとき、捜索依頼者32の記憶が「レクサスのようだったとか」のようなときに、必要に応じて、メーカ別車種リストにある車両の写真を閲覧(閲覧方法は後記する)しながら、車両の特定を行う事ができる。この作業で車種が特定できれば、捜索は、より容易にできることになる。
【0015】
図1は監視装置のブロック図であり、1はカメラ部、1aはカメラアンプ、1bは明るさ検出部、2は前処理部、3は車輛輪郭検出部、4は運転者輪郭検出部、5は車両番号検知部、6は色検知部、7は大きさ検知部、8はメーカ検知部、9は車種検知部、10はメーカ別車種リスト、11は眼鏡検知部、12は服装色検知部、13は男女検知部、14は電源ONスイッチ、15はGPSセンサ、16は電池、17は電池残量検知部、18はID符号部、19は後続検知部、20は画像SW(スイッチ)、21は無線通信回路、22は撮影間隔決定部である。カメラ1内の明るさ検出部1bは、カメラ信号の振幅より明るさを判断し、夜間などで明るさが低下した時、カメラアンプ1aの増幅度を上げるようにするためのものである。
【0016】
監視装置の設置時には、カメラ1の取り付け位置から走行車両を眺めるカメラ1の取り付け角度やズーム比率や検出するカメラ画像範囲の設定を行う。取り付け角度とズーム比率は、カメラ画像としては、撮影対象車線において、撮影対象車両の後ろにある車両が見渡せる範囲に設定する。前処理部2では、画像の中に含まれる、歩道や建物、他の車線の車両など,捜査対象車線にある車両以外の情報が削除される。ズーム比率については、普通乗用車の後ろ6メートル(6メートルの根拠は、普通車の車長が5メートル、車間距離を1メートルと仮定)の範囲が映せる程度にし、撮影画像より、後続検知部19より、「後ろに車両があるかないか」を出力できるようにする。
【0017】
また、画像を拡大することで、車両の車両番号が昼間なら認識できるレベルにまで調整される。ここまでが前処理部2の設置時の初期設定である。なお、設置時の作業としてID符号の書き込みがあるが、その操作は後記する。
【0018】
実際の車両監視時には、撮影画像より、車両の輪郭が車輛輪郭検出部3で検出されると同時に、車両を運転者の輪郭も、運転者輪郭検出部4で検出される。車両1台につき撮影された画像より、捜査依頼者が記憶している車両の特徴項目(色、大きさ、メーカ、車種、など)の検知作業に入る。車両の走行速度を毎時60キロメートル、車両の長さを6メートルとすると、6メートルを走行する時間は、0.1ミリ秒(100マイクロ秒)になり、後続する車両がすぐ後ろにいるとき、撮影間隔は、100マイクロ秒となる。この100マイクロ秒の撮影間隔のうち、20マイクロ秒を撮影時間(一般的には、シャッタ時間と呼ばれている)として使うなら、車両の特徴検知作業は、残りの80マイクロ秒以内に終える必要がある。ただし、前記した、後続検知部19の出力で、後続する車両が認識されていないときは、撮影時間に、もう少し時間をかけることができる。夜間では、暗いので、撮影時間を長くしたいが、一般的に夜間では交通量は減るし、走行車両の車間距離も昼間より長くなる傾向があるので、撮影時間を長くすることは可能であろう。
【0019】
撮影時間の設定は、車両番号が認識できるかどうかがキーファクタであるため、図2の撮影間隔決定部22は、車両番号検知部5の出力を見ながら撮影間隔を決定し、カメラ1に決定された時間を通知する。カメラ1では、決定された撮影間隔時間の中で撮影時間と特徴検出作業時間を決める。夜間では、暗いため車両番号が認識できるよう、撮影時間は長くする必要がある。撮影時間を長くすることが撮影間隔を長くし、後続車が接近していた時、その後続車の撮影ができず、検知ができなくなる可能性もあるが、その後続車は、他の道路区間で認識される機会も多いので、それを、よしとしてもよい。
【0020】
上記した20マイクロ秒の撮影時間は、カメラとしては超短時間であり、カメラには高感度であることが要求される。この撮影時間を少しでも長くするために、監視装置34は、道路区間の制限速度を設置時に管理サーバ31からロードし、撮影間隔決定部22に記憶しておく。このことで、制限速度が、毎時30キロメートルの区間では毎時60キロメートルの区間より撮影時間を倍増できる。さらに、撮影時間の決定を、走行する車両の速度に関係なく、0.01秒とかに固定的に設定し(この場合撮影間隔としては、0.02秒程度、また、暗くなる夜間は、撮影時間を2倍にして0.02秒、撮影間隔は0.04秒にしても良い)、撮影画像から、走行車両の番号をより正確に認識できるようにすることを最優先し、走行車両の全てを検知できなくなるが、それをよしとする考え方も採れる。この場合、夜間であることは、明るさ検出部1bの出力信号で判断する。
【0021】
図1に示す検知部(色、大きさ、メーカ、車種など特徴項目の検知)の作業は、検知するために予め設定されているリストとの比較作業である。色検知部6には、色パタンとして、黒、赤、白、緑、青、黄、灰などが設定されていて、その中から最も似ている色を選び、検知結果として出力する。大きさ検知部7では、セダン車、ハイルーフ車、トラック、バス、軽自動車、その他の大型車などのパタンで検知される。一般にバスやその他の大型車は、車両の警察の捜索対象になることは、まずないので検知作業を省略してもよい。メーカ検知部8は車両の前部についているメーカのマーク(ロゴ)を検知することで行う。車種検知部9は、例えばベンツではCクラス、Eクラス、トヨタではアクア、カローラなどがパタン化されていて、その中から、最も似ているパタンが検知される。メーカのマーク検知作業は比較的容易であり、メーカ検知部8の出力から、メーカ別車種リスト部10から車種検知部9へ、車種パタンがロードされる。なお、メーカ別車種リスト部10の内容は、自動車メーカ33からの情報提供を受け、管理サーバ31、無線通信網30より、監視装置34に届き、随時更新されている。
【0022】
運転者輪郭検出部4の出力より、眼鏡検知部11で運転者が眼鏡をかけていたかどうか、服装色検知部12で運転者が何色の服を着ていたか、男女検知部13で運転者が男か女かが検出される。運転者輪郭検出は、運転手と助手席にいる人の2名に対して行う。これらの検知部5、6、7、8、9、11、12、13の特徴項目検知作業で100マイクロ秒とかの所定の時間で検知できなかった時は「未検知」を検知結果として出力するが、後続検知部19の出力をみて、後続車がないときは、さらに、時間をかけて検知作業を行い、それでも検知できなかった時は、改めて「未検知」を出力する。検知部5、6、7、8、9、11、12、13の出力と前処理部2の出力画像は、無線通信回路19より無線通信網30を介して管理サーバ31に届く。この出力画像は、検知対象になった画像のみを管理サーバ31に送ればよいので、車両輪郭検出部3で、車両が検出されたときのみ、画像SW20をオンにして、画像を画像番号とともに、送信する。
【0023】
電源ONスイッチ14は、捜索依頼者32より捜索の依頼があり、管理サーバ31で、この地域(具体的には、郵便番号やID符号)を走行する車両を監視すると判断した時、管理サーバ31の指示でオンにされ、捜索の必要がなくなった時オフにされる。捜索の必要がない監視装置34へは電源をオフにして、電池寿命を長くするためである。電池残量検知部17は常時電池残量をチェックしていて、監視装置34から管理サーバ31へ通信の都度、残量値が送信される。
【0024】
ID符号部18は、個々の監視装置34の固有の符号であるが、符号構成としては、監視装置34を管轄する管理サーバのサーバ番号、設置地点の郵便番号と道路の名称(例えば国道246号)に対応した番号と道路区間の番号(例えば国道246号線で交差点Aから交差点Bまでの区間の番号)を含むようにする。これは監視対象地域の設定に郵便番号を用いることや、発見した道路が道路名で報告できるようにするためである。このため、設置時に郵便番号や道路名などをID符号として設定する操作が必要になるが、その方法として図示しないが、設置担当者のスマートフォンに、設定用のアプリソフトを搭載し、そのアプリソフトからの設定操作で、フラッシュメモリで構成されるID符号部18に書き込まれる。
【0025】
監視装置34の設置は、道路区間(この道路を走行中に他の道路に走行はできない区間、つまり交差点Aから交差点Bまでの区間)に1カ所で良い。すべての道路区間に設置することが望ましいが、交通量や設置の容易性を考慮し、そうでなくてもよい。管理サーバ31に届いた検知作業の結果は、表1のようなものである。
【0026】
【表1】

表1のデータは、捜索のために設定したすべての道路区間にあるすべての監視装置34からのデータであり、かなり膨大なものであり、比較判定部313(図3)の作業は高速に行う必要がある。高度検知部316(図3)の作業も然りである。
【0027】
そのため、管理サーバ31は都道府県単位や市町村単位に設け、各管理サーバ間で捜索情報を共有しながら、捜索作業を行う方法も採れる。そのため、ID符号の最初の部分に管轄するサーバ番号が付与されている。
【0028】
表1にID符号を示しているが、この例では最初の4桁(0023)が管理サーバ番号、次が7桁(郵便番号で2240065)、次が4桁(道路番号が2361)、次が3桁(その道路での道路区間名31)、次が1桁(道路の方向、北は1、南は2とか)である。このようにID符号は全19桁で構成され、ID符号から設置場所が分かるようになっている。表1の検知結果で「未検知」とあるのは、捜索依頼者32の情報にもとづき検知したが検知できなかったことを示すが、「不能」とあるのは、捜索依頼者32の記憶がなく検知対象ではなかったことを示す。
【0029】
表1のGPS値は、GPSから提供される所定の値、車両の走行方向は、「東」とか「北」、車線は「中央寄り」とか「歩道より」で示す。制限速度は、その区間での車両に許される最大走行速度である。
【0030】
表1では画像番号の例が記入されていないが、画像番号は、「ID符号+撮影日時情報+連番」で構成される。日時情報は、撮影日時が、例えば2022年6月5日13時25分42秒であれば、20220605132542となり、連番は4桁であり、前記したように撮影間隔が100マイクロ秒なら、1秒間に1万枚が撮影されるので、連番としては、1秒間の最初の撮影であれば、0001、最後の撮影であれば、9999である。
【0031】
図3は、管理サーバ31における処理ブロックを示す。
【0032】
検知リスト一覧311は、監視装置34から受信した検知結果情報で表1の情報に相当する。この中には表1の時刻T3にあるように検知結果が「未検知」なものがある。検知結果が「未検知」なものについては、管理サーバ31内の高度検知部316で、高度な検知アルゴリズムと処理速度で、原画像をもとに再度検知を試み、不明でなくなったリストは、その結果を検知リスト一覧311に送る。高度検知部で優先すべきことは、車両番号の検知であり、番号検知のため、原画像の車両番号部分の抜取、電子ズームによる画像の拡大、番号数字の補完などのアルゴリズムを用いて行う。検知作業は、監視装置34のようにリアルタイムである必要はないので、車両番号の検知作業をできるだけ丁寧に行う。高度検知部316は、このような画像解析作業を行うが、最新のアルゴリズム技術が反映されるよう、アルゴリズムは適宜アップデートされている。未検知抽出部312は、検知リスト一覧311の出力より「未検知」とされた特徴項目を抽出するためのもので、その出力が高度検知部316に届く。例えば表1の時刻T3においては「未検知」項目があり、表1に示す画像番号をもとに、高度検知部316で画像解析を行う。このようにして管理サーバ31の高度検知作業をもとに修正された検知リスト一覧311部の出力は、比較判定部313で捜索対象リスト部314のリストと比較し、一致を検出する。一致が確認されたとき、捜索目的がひき逃げの時は、速やかに捜索依頼者32や捜索当事者としての警察に連絡される。なお、捜索当事者である警察などは、図3の捜索依頼者32に含まれる。
【0033】
捜索依頼者32は管理サーバ31に捜索のための情報を提供するが、情報提供の第1段階では捜索依頼者32が車両番号を記憶していなくても、車両番号以外の車両の特徴情報、車両の色とかメーカマークのような特徴項目情報、被害発生地、捜索目的を提供するだけでも良い。
【0034】
表2は捜索依頼者32から届く捜索対象リストの例を示す。
【0035】
【表2】

捜索依頼を受けると、管理サーバ31は、捜索エリアを決定し、接続されている監視装置34の電源をONにする指令を出すが、エリアの決定は、車両の登録地(品川とか横浜など)、依頼者本人の要請をもとに、警察などの捜索当事者が行う。このとき管轄する管理サーバも決定する。
【0036】
例えば、捜索エリアを東京都だけでは不十分と考えるときは隣接する神奈川県も捜索対象エリアに加えたり、大分県で起きた被害であっても車両番号が横浜であれば、捜索エリアを大分県と神奈川県にするなど、捜索対象エリアの判断は捜索当事者が行う。神奈川県も加えたときは表2の捜索対象リストを神奈川県の管理サーバにも届ける。このため、管理サーバには他の管理サーバの番号を管理している管理サーバリスト部317を具備し、東京都の管理サーバは、神奈川県の管理サーバ番号を知り、表2の捜索対象リストを東京都の管理サーバから神奈川県の管理サーバに送ると共に、捜索結果情報も、東京都と神奈川県で共有できるようにする。表2で、捜索番号npqrで車両番号に「千葉xxxx7」とあるが、これは、被害者の車両番号の記憶が「千葉で7という数字があった」ということである。
【0037】
表3は捜索結果一覧を示すが、捜索作業で、「捜索できた」と判断されると、表3の捜索結果一覧にその捜索番号が加わっていくが、捜索目的がひき逃げや当て逃げの場合、当該車両の車両番号が記憶されていないなど捜索依頼者32の記憶があいまいであり、特徴が一致した情報が得られても、正確性についても、車両番号が特定されてない限り、あいまいである。したがって、そのような場合、捜索依頼者32に、管理サーバ31で一致したと報告された車両の画像を閲覧してもらい、確認していく。画像の閲覧は、管理サーバ31より捜索依頼者32に画像付き電子メールを送付し、捜索依頼者32のパソコンやタブレットなどで行う。画像閲覧を行う事で捜索依頼者32が記憶していなかった他の特徴項目について特徴を思い出したら、その特徴を記入し、さらなる捜索を続ける。特に、画像閲覧によって、この車だったという確信が深まり、その車両の車両番号が検知されているときは、表2の捜索対象リストに車両番号を追記することで、以後の捜索作業に正確性が増す。一方、場合によっては、捜索依頼者32が捜索を断念することもある。その場合は、表2の捜索対象リストからその捜索を削除する。
【0038】
【表3】

捜索結果に車両番号が検知されているときは、その車両の以後の走行を追跡調査し、追跡調査からその車両番号がなくなったとき、その車両は、なくなった場所(つまり最後の道路区分)の近くの店舗などの駐車場あるいは自宅、友人宅に駐車しているはずであり、警察あるいは保険業者などの捜索当事者が、その場所に出向き、運転者に事情聴取を行う。
【0039】
捜索目的が素行調査の時は捜索すべき車両の情報は車両番号も含め明確である。大事な事は、何時何分にどこを走ったか、誰が助手席にいたかであるが、これらの情報はかなり正確に捜索依頼者32に報告できる。この場合も、撮影画像を捜索依頼者32が閲覧し、捜索を継続するあるいは捜索を終了する判断を、捜索依頼者32が行う。素行調査の例としては配偶者の浮気調査などがある。
【0040】
一般に、ひき逃げなどの犯罪が発生した時は、警察は幹線道路では、警官を動員して通行する車両をチェックするが、警官を動員できない道路には本発明の監視システムを活用することで、いち早く犯人検挙に貢献できるはずであり、本システムで捜索車両の発見の連絡を受けた時は、警官の動員は、発見された道路の方面に移すようにすればよいだろう。
【0041】
上記の実施態様は、監視装置34が車両、運転者の特徴検出作業を行う例で示したが、監視装置34は、カメラ画像のみを管理サーバ31に送り、管理サーバ31が特徴検出作業も行うようにする事も処理能力の高い管理サーバを使用することで可能である。このケースでは監視装置の構成は、図1のカメラ1、GPSセンサ15、電池16、電池残量検知部17、ID符号部18、無線通信回路21よりなる。なお、撮影間隔決定部の動作は管理サーバ31で行われ、管理サーバ31から決定された撮影間隔が監視装置34に送信される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明による車両監視システムは、監視装置が車両が通行できる日本国内の全ての道路に設置される可能性があり、産業上の利用可能性は極めて大である。
【符号の説明】
【0043】
1. カメラ
1a. カメラアンプ
1b. 明るさ検出部
2. 前処理部
3. 車両輪郭検出部
4. 運転者輪郭検出部
5. 車両番号検知部
6. 色検知部
7. 大きさ検知部
8. メーカ検知部
9. 車種検知部
10. メーカ別車種リスト
11. 眼鏡検知部
12. 服装色検知部
13. 男女検知部
14. 電源ONスイッチ
15. GPSセンサ
16. 電池
17. 電池残量検知部
18. ID符号部
19. 後続検知部
20. 画像SW
21. 無線通信回路
22. 撮影間隔決定部
30. 無線通信網
31. 管理サーバ
32. 捜索依頼者
33. 自動車メーカ
34. 監視装置
311.検知リスト一覧部
312.未検知部抽出部
313.比較判定部
314.捜索対象リスト部
315.捜索結果一覧部
316.高度検知部
317.管理サーバリスト部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを含んだ監視装置が道路に設置され、該監視装置と管理サーバが無線通信網で接続され、車両の捜索を依頼する捜索依頼者から提供される車両についての特徴情報をもとに、前記監視装置は、前記特徴情報の特徴項目ごとに走行中の車両のカメラ画像から車両の特徴を検知し、検知結果を、前記監視装置に付与される特有のID符号と車両画像とともに検知情報として前記管理サーバに送信し、該管理サーバでは、前記監視装置から送信される前記検知情報と、捜索依頼者からの前記特徴情報を比較し、一致が確認されたとき、そのことを、前記管理サーバは前記捜索依頼者に連絡することを特徴とする車両監視システム。
【請求項2】
カメラとID符号部とGPSセンサと無線通信回路を含んだカメラ装置が道路に設置され、該カメラ装置と管理サーバが無線通信網で接続され、前記カメラ装置で道路を走行する車両の画像を撮影し、撮影画像を前記管理サーバに送信し、該管理サーバにおいては、車両の捜索を依頼する捜索依頼者から提供される車両の特徴情報をもとに、前記特徴情報の特徴項目ごとに前記撮影画像から車両の特徴を検知し、検知結果と前記捜索依頼者からの捜索車両についての前記特徴情報を比較し、一致が確認されたとき、そのことを、前記管理サーバは前記捜索依頼者に連絡することを特徴とする車両監視システム。
【請求項3】
請求項1において、車両の画像より車両の特徴が未検知とされた前記特徴項目に対し、前記管理サーバでは、前記監視装置が具備する検知能力より高度な検知能力を有す高度検知手段を具備し、前記監視装置より送信される車両の画像を解析できるようにしたことを特徴とする車両監視システム。
【請求項4】
請求項1または2において、前記特徴項目として自動車メーカから提供される車種リスト情報を活用することを特徴とする車両監視システム。
【請求項5】
請求項1または2において、前記監視装置のID符号は、管理サーバ番号、郵便番号、道路番号、道路区間番号で構成され、監視装置の設置時に監視装置に書き込まれることを特徴とする車両監視システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
車両の番号を認識し、番号と一致する車両を検出する技術は、こんにち、駐車場で実用化されているが、当て逃げやあおり運転などで被害を受けた人が加害車両の車両番号を記憶できるとは限らず、多くのケースでは、加害車両は、「赤のトヨタ車であった」とか「眼鏡をかけた男性が運転していたとか」とか、記憶はあいまいなことも多い。多発するあおり運転の加害者発掘のため車両にドライブレコーダを搭載することで、加害車両の車両番号を特定できるが、その車両を発見するには警察が警官を動員しての発見作業が主であり、発見に時間を要す、あるいは、発見できないままの状態も多い。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
図1は監視装置のブロック図であり、1はカメラ、1aはカメラアンプ、1bは明るさ検出部、2は前処理部、3は車輛輪郭検出部、4は運転者輪郭検出部、5は車両番号検知部、6は色検知部、7は大きさ検知部、8はメーカ検知部、9は車種検知部、10はメーカ別車種リスト、11は眼鏡検知部、12は服装色検知部、13は男女検知部、14は電源ONスイッチ、15はGPSセンサ、16は電池、17は電池残量検知部、18はID符号部、19は後続検知部、20は画像SW(スイッチ)、21は無線通信回路、22は撮影間隔決定部である。カメラ1内の明るさ検出部1bは、カメラ信号の振幅より明るさを判断し、夜間などで明るさが低下した時、カメラアンプ1aの増幅度を上げるようにするためのものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
撮影時間の設定は、車両番号が認識できるかどうかがキーファクタであるため、図2の撮影間隔決定部22は、明るさ検出部1b出力とともに車両番号検知部5の出力を見ながら撮影間隔を決定し、カメラ1に決定された時間を通知する。夜間では、暗いため車両番号が認識できるよう、撮影時間は長くする必要がある。撮影時間を長くすることが撮影間隔を長くし、後続車が接近していた時、その後続車の撮影ができず、検知ができなくなる可能性もあるが、その後続車は、他の道路区間で認識される機会も多いので、それを、良しとしてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図1に示す検知部(色、大きさ、メーカ、車種など特徴項目の検知)の作業は、検知するために予め設定されているリストとの比較作業である。色検知部6には、色パタンとして、黒、赤、白、緑、青、黄、灰などが設定されていて、その中から最も似ている色を選び、検知結果として出力する。大きさ検知部7では、セダン車、ハイルーフ車、トラック、バス、軽自動車、その他の大型車などのパタンで検知される。一般にバスやその他の大型車は、車両の警察の捜索対象になることは、まずないので検知作業を省略してもよい。メーカ検知部8は車両の前部についているメーカのマーク(ロゴ)を検知することで行う。車種検知部9は、例えばベンツではCクラス、Eクラス、トヨタではアクア、カローラなどがパタン化されていて、その中から、最も似ているパタンが検知される。メーカのマーク検知作業は比較的容易であり、メーカ検知部8の出力から、メーカ別車種リスト10から車種検知部9へ、車種パタンがロードされる。なお、メーカ別車種リスト10の内容は、自動車メーカ33からの情報提供を受け、管理サーバ31、無線通信網30より、監視装置34に届き、随時更新されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
表1のGPS値は、監視装置34のGPSセンサ15から提供される所定の値、車両の走行方向は、「東」とか「北」、車線は「中央寄り」とか「歩道より」で示す。制限速度は、その区間での車両に許される最大走行速度である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
表1では画像番号の記入が省略されているが、画像番号は、「ID符号+撮影日時情報+連番」で構成される。日時情報は、撮影日時が、例えば2022年6月5日13時25分42秒であれば、20220605132542となり、連番は4桁であり、前記したように撮影間隔が100マイクロ秒なら、1秒間に1万枚が撮影されるので、連番としては、1秒間の最初の撮影であれば、0001,最後の撮影であれば、9999である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
検知リスト一覧部311は、監視装置34から受信した検知結果情報で表1の情報に相当する。この中には表1の時刻T3にあるように検知結果が「未検知」なものがある。検知結果が「未検知」なものについては、管理サーバ31内の高度検知部316で、高度な検知アルゴリズムと処理速度で、原画像をもとに再度検知を試み、不明でなくなった未検知項目(車両番号や車種、運転者の眼鏡など)は、その結果を検知リスト一覧部311に送る。高度検知部で優先すべきことは、車両番号の検知であり、番号検知のため、原画像の車両番号部分の抜取、電子ズームによる画像の拡大、番号数字の補完などのアルゴリズムを用いて行う。検知作業は、監視装置34のようにリアルタイムである必要はないので、車両番号の検知作業をできるだけ丁寧に行う。高度検知部316は、このような画像解析作業を行うが、最新のアルゴリズム技術が反映されるよう、アルゴリズムは適宜アップデートされている。未検知抽出部312は、検知リスト一覧部311の出力より「未検知」とされた特徴項目を抽出するためのもので、その出力が高度検知部316に届く。例えば表1の時刻T3においては「未検知」項目があり、表1に示す画像番号をもとに、高度検知部316で画像解析を行う。このようにして管理サーバ31の高度検知作業をもとに修正された検知リスト一覧部311の出力は、比較判定部313で捜索対象リスト部314のリストと比較し、一致を検出する。一致が確認されたとき、捜索目的がひき逃げの時は、速やかに捜索依頼者32や捜索当事者としての警察に連絡される。なお、捜索当事者である警察などは、図3の捜索依頼者32に含まれる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
上記の実施態様は、監視装置34が車両、運転者の特徴検出作業を行う例で示したが、監視装置34は、カメラ画像のみを管理サーバ31に送り、管理サーバ31が特徴検出作業も行うようにする事も処理能力の高い管理サーバを使用することで可能である。このケースでは監視装置34の構成は図1のカメラ1、GPSセンサ15、ID符号部18を含んだカメラ装置に簡易化される。なお、撮影間隔決定部の動作は管理サーバ31で行われ、管理サーバ31から決定された撮影間隔がカメラ装置に送信される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1