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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020461
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】体内測定システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20240206BHJP
【FI】
A61B5/0537
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196296
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2023002261の分割
【原出願日】2019-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 美幸
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】谷田 千里
(57)【要約】
【課題】 個人に合わせた高精度な体内測定システムを提供する。
【解決手段】 体内測定システムとしての簡易BIA体組成計100は、第1の精度の測定で得られた体内情報を基準値として記憶する記憶部110と、第1の精度より低い第2の精度な測定で得られた測定値を所定のアルゴリズムに入力することで低精度体内情報を取得する低精度測定部104と、記憶部110に記憶された基準値と当該基準値を重視する度合いとに基づいて、アルゴリズム又は低精度体内情報を補正する補正部112と、補正部112にて補正されたアルゴリズムを用いて低精度測定部104にて取得された低精度体内情報、又は低精度測定部104にて取得され補正部112にて補正された低精度体内情報を、補正体内情報として出力する出力部106とを備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の精度の測定で得られた体内情報を基準値として記憶する記憶部と、
前記第1の精度より低い第2の精度の測定で得られた測定値を所定のアルゴリズムに入力することで低精度体内情報を取得する低精度測定部と、
前記記憶部に記憶された前記基準値と当該基準値を重視する度合いとに基づいて、前記アルゴリズム又は前記低精度体内情報を補正する補正部と、
前記補正部にて補正された前記アルゴリズムを用いて前記低精度測定部にて取得された前記低精度体内情報、又は前記低精度測定部にて取得され前記補正部にて補正された前記低精度体内情報を、補正体内情報として出力する出力部と、
を備えた体内測定システム。
【請求項2】
前記度合いは、前記低精度測定部にて取得された前記低精度体内情報に対する、前記記憶部に記憶された前記基準値の寄与度に応じて決定される、請求項1に記載の体内測定システム。
【請求項3】
前記度合いは、前記第1の精度の測定を行ったときの体重と、前記アルゴリズム又は前記低精度体内情報を補正したときの体重との差に基づいて決定される、請求項1又は2に記載の体内測定システム。
【請求項4】
前記度合いは、前記第1の精度の測定を行ってから前記アルゴリズム又は前記低精度体内情報を補正するまでの期間に基づいて決定される、請求項1から3のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項5】
前記度合いは、前記基準値と、前記アルゴリズム又は前記低精度体内情報を補正するときに前記低精度測定部にて取得された前記低精度体内情報との差にも基づいて決定される、請求項3又は4に記載の体内測定システム。
【請求項6】
前記度合いは、利用者の選択に基づいて決定される、請求項1から5のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項7】
前記記憶部は、補正された前記アルゴリズム又は前記低精度体内情報を補正する補正関数と前記補正体内情報とを記憶する、請求項1から6のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項8】
前記第1の精度の測定で得られた体内情報を受信することで前記基準値として入力する入力部をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記補正体内情報と、前記低精度測定部にて前記測定値を前記所定のアルゴリズムに入力することで取得された前記低精度体内情報とを区別可能なように外観を変えて表示する、請求項1から8のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項10】
前記出力部は、前記度合いに基づいて前記補正体内情報の精度に係る情報を表示する、請求項1から9のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項11】
前記出力部は、前記高精度な測定を行ってから前記低精度体内情報を取得するまでの期間に基づいてアラートを表示する、請求項1から10のいずれかに記載の体内測定システム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から11のいずれかに記載の体内測定システムを構成する前記記憶部、前記低精度測定部、前記補正部、前記出力部及び前記入力部として機能させるための体内測定プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内測定システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体電気インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis:BIA)に基づいて体水分量、体脂肪量、筋肉量などの体内情報を測定することができるBIA体組成計が知られている。BIA体組成計は、統計的な計算式により多くの人にあてはまる体内情報を算出しているため、個人の体内情報の相対変化を追うことに優れている。
【0003】
特許文献1及び2では、体内脂肪量を測定する方法として、身体の末端間のインピーダンスを測定し、その値と検体の身長、体重及び性別などの身体に関する数値から、体内脂肪量を算定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4895163号明細書
【特許文献2】特開平2-60626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のBIA体組成計で得られる各体内情報は、DXA(Dual Energy X-Ray Absorptiometry)、MRI(MagneticResonance Imaging)、CT(Computed Tomography)、重水希釈法、4Cモデル(4コンパートメントモデル)などの高精度測定法により得られる各体内情報と比較すると、その絶対値に多少の差が生じる場合がある。
【0006】
また、BIA体組成計の中でも、簡易BIA体組成計(例えば、シングル周波数4電極BIA体組成計、全身方式BIA体組成計)で得られる体内情報と、簡易BIA体組成計に比較して体内情報の測定精度が高い高精度BIA体組成計(例えば、マルチ周波数多電極BIA体組成計、部位別BIA体組成計)により得られる体内情報とを比較すると、絶対値に差が生じる場合がある。
【0007】
本発明は、高精度な体内情報を取得するための体内測定システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は体内測定システムであって、第1の精度の測定で得られた体内情報を基準値として記憶する記憶部と、第1の精度より低い第2の精度な測定で得られた測定値を所定のアルゴリズムに入力することで低精度体内情報を取得する低精度測定部と、記憶部に記憶された基準値と当該基準値を重視する度合いとに基づいて、アルゴリズム又は記低精度体内情報を補正する補正部と、補正部にて補正されたアルゴリズムを用いて低精度測定部にて取得された低精度体内情報、又は低精度測定部にて取得され補正部にて補正された低精度体内情報を、補正体内情報として出力する出力部とを備える。
【0009】
この構成により、第1の精度(以下、「高精度」ともいう。)の測定で得られた基準値(以下、「高精度基準値」ともいう。)を用いて補正されたアルゴリズムに、第1の精度より低い第2の精度(以下、「低精度」ともいう。)の測定で得られた測定値を入力することで補正体内情報が得られる。あるいは、低精度測定部で取得された利用者の低精度な体内情報(以下、「低精度体内情報」ともいう。)を、高精度基準値を用いて補正することで補正体内情報が得られる。このとき、補正体内情報を得るための高精度基準値として、高精度な測定で得られた体内情報をそのまま用いるのではなく、高精度基準値を重視する度合い(以下、「調整パラメータ」ともいう。)を用いて高精度基準値を調整した上で用いる。そのため、より適切な高精度基準値を用いて補正を行うことができ、補正体内情報として高精度な体内情報を得ることができる。なお、調整パラメータの決定は、例えば、高精度測定時と高精度基準値を調整して補正方法を決定するための低精度体内情報(以下、「低精度基準値」ともいう。)の測定時(以下、「補正方法決定時」ともいう。)とで体組成が相違する可能性ないし程度に応じて必要な程度に行うものであってよく、高精度基準値の調整を行わないことがあってもよい。
【0010】
度合いは、低精度測定部にて取得された低精度体内情報に対する、記憶部に記憶された基準値の寄与度に応じて決定されてもよい。
【0011】
この構成により、基準値に対する低精度体内情報の寄与度を考慮して、度合いを決定できる。
【0012】
度合いは、第1の精度の測定を行ったときの体重と、アルゴリズム又は低精度体内情報を補正したときの体重との差に基づいて決定されてもよい。
【0013】
この構成により、高精度測定時と補正方法決定時とで体組成が相違する可能性ないし程度を、体重の差によって判断できる。
【0014】
度合いは、第1の精度の測定を行ってからアルゴリズム又は低精度体内情報を補正するまでの期間に基づいて決定されてもよい。
【0015】
この構成により、高精度測定時と補正方法決定時とで体組成が相違する可能性ないし程度を、高精度測定時から補正方法決定時までの期間によって判断できる。
【0016】
度合いは、基準値と、アルゴリズム又は低精度体内情報を補正するときに低精度測定部にて取得された低精度体内情報との差にも基づいて決定されてもよい。
【0017】
この構成により、高精度測定時と補正方法決定時とで体組成が相違する可能性ないし程度を、基準値と低精度基準値としての低精度体内情報との差によって判断できる。
【0018】
度合いは、利用者の選択に基づいて決定されてもよい。
【0019】
この構成により、利用者の選択に基づいて、度合いを決定できる。
【0020】
記憶部は、補正されたアルゴリズム又は低精度体内情報を補正する補正関数と補正体内情報とを記憶してもよい。
【0021】
この構成により、補正されたアルゴリズム又は補正関数と補正体内情報とを記憶するので、それらを後に参照することができる。
【0022】
第1の精度の測定で得られた体内情報を受信することで基準値として入力する入力部をさらに備えてもよい。
【0023】
この構成により、簡易に基準値を入力することができる。
【0024】
出力部は、補正体内情報と、低精度測定部にて測定値を所定のアルゴリズムに入力することで取得された低精度体内情報とを区別可能なように外観を変えて表示してもよい。
【0025】
この構成により、利用者は体内情報が高精度化されたか否かを知ることができる。
【0026】
出力部は、度合いに基づいて補正体内情報の精度に係る情報を表示してもよい。
【0027】
この構成により、利用者は測定結果がどの程度高精度化されているかを知ることができる。
【0028】
出力部は、高精度な測定を行ってから低精度体内情報を取得するまでの期間に基づいてアラートを表示してもよい。
【0029】
この構成により、利用者に新たな高精度の測定を促し、体内測定システムの高精度化を動機づけることができる。
【0030】
上記目的を達成するために、本発明は、体内測定プログラムであって、コンピュータを、上述した体内測定システムを構成する記憶部、低精度測定部、補正部、出力部及び入力部として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る簡易BIA体組成計の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る簡易BIA体組成計の機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計の動作を示す第1のフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計の動作を示す第2のフローチャートである。
図5】(a)本発明の第1実施形態に係る簡易BIA体組成計の第1の結果表示画面を示す図であり、(b)本発明の第1実施形態に係る簡易BIA体組成計の第2の結果表示画面を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計の動作を示す第1のフローチャートである。
図7】本発明の第3実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計の動作を示す第2のフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係るカードタイプの簡易BIA体組成計の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0033】
[体組成計の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る簡易BIA体組成計100の斜視図である。簡易BIA体組成計100は、入力部102、低精度測定部104、出力部106を有する。
【0034】
入力部102は、簡易BIA体組成計100への情報入力手段である。入力部102による情報の入力方法は、手動による方法、記録媒体を介する方法、有線通信による方法、無線通信による方法、その他の方法であってよい。
【0035】
手動による入力方法は、例えば、ボタン式、ダイヤル式、タッチセンサ式であってよい。記録媒体を介する方法は、例えば、フラッシュメモリによる方法、CD-ROMによる方法、DVD-ROMによる方法であってよい。無線通信による方法は、例えば、インターネットによる方法、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANによる方法、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信による方法であってよい。本実施の形態では、入力部102は、手動による入力方法であり、ボタン式である。
【0036】
入力部102には、体組成に係る情報が入力される。具体的には、入力部102には、例えば、年齢、身長、性別などの簡易BIA体組成計100では測定できない情報が入力される。
【0037】
また、入力部102には、さらに、体脂肪率、体脂肪量、筋肉量、腹筋/背筋比、体水分量、骨量、内臓脂肪面積、基礎代謝などの体内情報のうち、簡易BIA体組成計に比較して体内情報の測定精度が高い体組成測定(推定)方法(例えば、DXA、MRI、CT、重水希釈法、4Cモデル)及び高精度BIA体組成計(マルチ周波数多電極BIA体組成計、部位別BIA体組成計)により測定された高精度体内情報(高精度基準値)が入力される。
【0038】
さらに、入力部102には、高精度体内情報が測定されたときの体重及び測定日時なども入力される。
【0039】
入力された情報は、後述する記憶部110に記憶される。
【0040】
低精度測定部104は、測定値を所定のアルゴリズムに入力することで、利用者の低精度な体内情報(低精度体内情報)を測定する測定手段である。測定値は、例えば、体重、インピーダンスなどである。所定のアルゴリズムは、例えば、測定値から低精度体内情報を算出する回帰式であってよく、あるいは、測定値を入力として低精度体内情報を出力する機械学習モデルであってもよい。本実施の形態では、低精度測定部104は、利用者の体重を測定する体重測定手段、BIAにより利用者の生体インピーダンスを測定する生体インピーダンス測定手段、測定日時を特定する日時特定手段、少なくとも生体インピーダンスを測定値としてアルゴリズムに入力することで低精度体内情報を演算する演算手段を有する。
【0041】
測定方法が低精度か高精度かは、相対的に判別される。一般に、BIA体組成計の測定部は、印加電流の周波数の種類が多く、電極の数が多いほど、また、全身のみ測定可能な場合よりも部位毎に測定可能な方が、高精度に体内情報を測定することができる。例えば、シングル周波数4電極BIA体組成計の測定部よりもマルチ周波数多電極BIA体組成計の測定部の方が体内情報の測定精度は高く、全身方式BIA体組成計の測定部よりも部位別BIA体組成計の測定部の方が体内情報の測定精度が高い。本実施の形態では、低精度測定部104は、シングル周波数4電極式の低精度体内情報を測定する測定部である。
【0042】
出力部106は、利用者の測定結果を出力する出力手段である。出力部106は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic LightEmitting Diode)などがある。出力部106は、簡易BIA体組成計100と一体でもよいし、スマートフォンやタブレットなどのように簡易BIA体組成計100と一体でなくてもよい。本実施の形態では、出力部106は、簡易BIA体組成計100と一体のLCDである。
【0043】
出力部106は、利用者の測定結果を出力する。出力は、例えば、利用者の測定結果を反映した数値、文字、体型の図などの表示であってよく、あるいは音声その他の形式での出力であってもよい。本実施の形態では、出力部106は、低精度測定部104により測定された体重、低精度体内情報、後述する補正体内情報、測定精度に係る情報、高精度基準値の測定を促すアラートを表示する。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る簡易BIA体組成計100の機能構成を示すブロック図である。簡易BIA体組成計100は、図1で示したように入力部102、低精度測定部104、出力部106に加えて、制御部108、記憶部110、補正部112を有する。
【0045】
制御部108は、入力部102、低精度測定部104、出力部106、記憶部110、補正部112を制御する制御装置である。制御部108は、CPU(Central Processing Unit)を有する。制御部108は、電気通信的に各部と接続されている。制御部108が、記憶部110に記憶されたプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0046】
記憶部110は、データを記憶することができるメモリである。メモリは、例えば、揮発性メモリ(例えば、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)であってよい。記憶部110は、図2に示すように、簡易BIA体組成計100に内蔵されていてもよく、あるいは、外付けハードディスクドライブ、外部サーバなどのように簡易BIA体組成計100の外部に備えられていてもよい。本実施の形態では、記憶部110は、簡易BIA体組成計100に内蔵されている。
【0047】
記憶部110は、制御部108が実行するプログラム、後述する補正関数、補正体内情報などを記憶する。
【0048】
また、記憶部110は、入力部102に入力された情報を記憶する。具体的には、記憶部110は、入力部102に入力された年齢、身長、性別、高精度基準値、高精度体内情報を測定したときの体重及び測定日時などの情報がある。
【0049】
また、記憶部110は、低精度測定部104が用いる情報を記憶する。具体的には、記憶部110は、低精度測定部104が用いる情報として、例えば、利用者一般の体重、年齢、身長、性別、体内情報に係る統計情報、低精度な測定で得られた測定値から低精度体内情報を取得する所定のアルゴリズム(例えば、回帰式など)などの情報を記憶する。
【0050】
さらに、記憶部110は、低精度測定部104で取得される情報を記憶する。具体的には、記憶部110は、低精度測定部104で取得される情報として、例えば、体重、インピーダンス、低精度体内情報、測定日時、後述する補正体内情報などの情報を記憶する。
【0051】
補正部112は、記憶部110に記憶された高精度基準値と当該基準値を重視する度合い(調整パラメータ)とに基づいて、アルゴリズム又は低精度体内情報を補正する補正手段である。調整パラメータは、例えば、高精度基準値に乗算、可算することにより、高精度基準値を調整するパラメータである。補正部112は、図2に示すように、簡易BIA体組成計100に内蔵されていてもよく、あるいは、外部サーバなどのように簡易BIA体組成計100の外部に備えられていてもよい。本実施の形態では、補正部112は、簡易BIA体組成計100に内蔵されている。
【0052】
上述のように、低精度測定部104における測定は比較的低精度であるので、高精度な測定を行って高精度基準値を取得した時点の体組成と同じ体組成を測定しても、低精度測定部104により測定される低精度体内情報と高精度基準値との間に差分が生じることがある。そこで、本実施の形態の補正部112は、この差を減少させるように低精度体内情報を補正するための補正関数を決定する。
【0053】
ただし、高精度基準値と補正関数を決定するための低精度体内情報の測定時、即ち、補正方法決定時の低精度体内情報(低精度基準値)との差を低精度測定部104の測定精度に起因するものであると考えるためには、高精度基準値の測定時の体組成と補正方法決定時の体組成とが同一ないし極めて近いことが前提となる。両時点の体組成(即ち、真値)が異なっている場合には、高精度基準値と低精度基準値との差における、体組成の変化に起因する要素と、低精度測定部104の測定精度に起因する要素との割合が不明となるからである。
【0054】
そこで、補正部112は、高精度基準値の取得時の体組成と補正方法決定時の体組成とが相違する可能性ないし程度に応じて、調整パラメータの決定に用いる低精度基準値に対する高精度基準値の寄与度(以下、「高精度基準値の寄与度」という。)を求め、この寄与度に応じて調整パラメータを決定する。高精度基準値の寄与度は、上記の事情に鑑みて、以下に例示する所定の条件に基づいて決定される。
【0055】
所定の条件としては、例えば、高精度基準値の取得時の体重と補正方法決定時の体重との差の絶対値(以下、「体重差」という。)を指標とするものがある。
【0056】
具体的には、体重差がαより小さい(体重差<α)ときは、体重乖離が小さいので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化は小さいとみなし、高精度基準値の寄与度が大きいと判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0を決定し、Y0を高精度基準値に乗算する1次調整「Y0×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。Y0の具体的な値としては、体重が増加した場合と体重が減少した場合とで異なる値を採用し、また、高精度基準値とされる体内情報の種類(例えば、体脂肪量、筋肉量、体水分量など)に応じて異なる値を採用する。
【0057】
高精度基準値の取得時の体重と比較して補正方法決定時の体重が増加したときは、高精度基準値である体脂肪(量/率)の調整に用いるY0は1か1よりやや小さい値とし、筋肉量の調整に用いるY0は1か1よりやや大きい値とし、体水分量の調整に用いるY0は1か1よりやや大きい値とする。なお、Y0を1とするということは、1次調整を行わないことと同義である。
【0058】
一方、高精度基準値の取得時の体重と比較して補正方法決定時の体重が減少したときは、高精度基準値である体脂肪(量/率)の調整に用いるY0は1か1よりやや大きい値とし、筋肉量の調整に用いるY0は1か1よりやや小さい値とし、体水分量の調整に用いるY0は1か1よりやや小さい値とする。
【0059】
体重差がα以上ではあるもののβより小さい(体重差<β)ときは、「体重差<α」の
ときより体重乖離がある程度見られるので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化があるとみなし、体重差が大きくなるほど低精度基準値に対する高精度基準値の寄与度は低くなると判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY1~Y5(以下、「Y1~5」という。)を決定し、Y1~5を高精度基準値に乗算する1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。Y1~5の具体的な値としては、Y0と同様に、体重が増加した場合と体重が減少した場合とで異なる値を採用し、また、高精度基準値とされる体内情報の種類(例えば、体脂肪量、筋肉量、体水分量など)に応じて異なる値を採用する。
【0060】
高精度基準値の取得時の体重と比較して補正方法決定時の体重が増加したときは、高精度基準値である体脂肪(量/率)の調整に用いるY1~5は1より小さい値とし、筋肉量の調整に用いるY1~5は1より大きい値とし、体水分量の調整に用いるY1~5は1より大きい値とする。
【0061】
一方、高精度基準値の取得時の体重と比較して補正方法決定時の体重が減少したときは、高精度基準値である体脂肪(量/率)の調整に用いるY1~5は1より大きい値とし、筋肉量の調整に用いるY1~5は1より小さい値とし、体水分量の調整に用いるY1~5は1より小さい値とする。
【0062】
体重差がβ以上(体重差≧β)の場合において、高精度基準値と簡易BIA体組成計1
00による低精度体内情報との差の絶対値(以下、「体内差」という。)がγ以上(体内差≧γ)のときは、体重乖離が見られるので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化があるものの、統計値から推定される平均的な体組成とは大きく乖離した利用者の体組成を反映するために、高精度基準値の寄与度はやや低いと判定する。このとき、「体重差<β」と同様の1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。
【0063】
上述した体重差及び体内差に係る条件が満たされないときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化が大きいとみなし、高精度基準値の寄与度は小さいと判定する。このとき、補正部112は、調整パラメータにより調整された高精度基準値に基づく補正を行わない。
【0064】
また、所定の条件としては、例えば、高精度基準値の取得時から補正方法決定時までの期間(以下、「経過日数」という。)を指標とするものがある。
【0065】
具体的には、経過日数が「z1日以内」のときは、経過日数が比較的短いので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化は小さいとみなし、高精度基準値の寄与度は大きいと判定する。このとき、補正部112は、1次調整のみを行い、経過日数に基づく高精度基準値の調整(2次調整)を行わない。
【0066】
経過日数がz1日を経過しているものの「z2日以内」のときは、経過日数がある程度見られるので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化があるとみなし、高精度基準値の寄与度がやや低いと判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じて、低精度基準値を用いて1次調整済の高精度基準値を調整する。具体的には、補正部112は、2次調整「(a×Y0~5×高精度基準値+b×低精度基
準値)/2」により高精度基準値を調整する。なお、2次調整パラメータa、bは、例えば、0<a<1、b=1-aを満たすものであってよい。補正部112は、経過日数が長いほどaの値を小さくし、bの値を大きくする。
【0067】
また、2次調整を行う場合(即ち、経過日数がz1より大きくz2以内の場合)の1次調整パラメータY0~5として、1次調整のみを行う場合(即ち、経過日数がz1以内の場合)のY0~5の値と異なる値を採用してもよい。これは、経過日数が「z1日以内」である場合、即ち経過日数が比較的短い場合は、体重差の理由が体水分量の変化であると考えられるのに対して、経過日数がz1日を超えている場合、即ち経過日数が比較的長い場合は、体重差の理由を特定することは困難であり、このように、経過日数が短い場合と長い場合とでは、体重差の理由が異なるからである。
【0068】
高精度基準値の取得時の体重と比較して補正方法決定時の体重が増加したときは、高精度基準値である体脂肪(量/率)、筋肉量、体水分量の調整に用いるY0~5はいずれも1以上の値とする。
【0069】
一方、高精度基準値の取得時の体重と比較して補正方法決定時の体重が減少したときは、高精度基準値である体脂肪(量/率)、筋肉量、体水分量の調整に用いるY0~5はいずれも1以下の値である。
【0070】
上述した経過日数に係る条件が満たされない場合、即ち、経過日数がz2以上である場合は、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化が大きいとみなし、高精度基準値の寄与度が低いと判定する。このとき、補正部112は調整パラメータを決定せず、高精度基準値の調整を行わない。
【0071】
ただし、1次調整「Y0~5×高精度基準値」が行われ、経過日数がz2日を経過しているものの、利用者が2次調整を選択(以下、「調整選択」という。)したときは、2次調整に係る調整パラメータを決定し、2次調整「(a×Y0~5×高精度基準値+b×低
精度基準値)/2」により高精度基準値を調整してもよい。
【0072】
なお、経過日数と比較して体重差は、体組成の変化に与える影響が大きい。そのため、高精度基準値の寄与度を反映する1次調整の調整パラメータY0~5は、体重差に応じて大きく影響されるパラメータである。一方、同じく高精度基準値の寄与度を反映する2次調整の調整パラメータa、bは、経過日数に応じてそれほど大きく影響されないパラメータである。即ち、1次調整の調整パラメータY0~5と2次調整の調整パラメータa、bとは、体重差と経過日数とのパラメータへの影響の程度において質的な違いがある。
【0073】
また、所定の条件は、高精度基準値の寄与度を判定するための条件であるから、例えば、高精度基準値の取得時の体重と補正方法決定時の体重との比を指標としてもよい。
【0074】
また、所定の条件は、体重差を指標とするとしても、「体重差<α」、「体重差<β」、「体重差≧β」という3段階に分けるのではなく、より少ない段階又はより多くの段階に分けてもよい。同様に、所定の条件は、経過日数を指標とするとしても、「z1日以内」、「z2日以内」という2段階に分けるのではなく、より少ない段階又はより多くの段階に分けてもよい。
【0075】
また、高精度基準値の調整は、1次調整の後に2次調整を行うだけではなく、例えば、2次調整の後にさらに重みを付けるなどの3次以上の調整をしてもよい。即ち、調整された高精度基準値を算出する式については、いくつかの調整の式を用いて得られてもよい。
【0076】
上述したように、調整パラメータが決定され、高精度基準値が調整されると、補正部112は、この調整パラメータを用いて調整された高精度基準値と低精度基準値とに基づいて補正体内情報と低精度体内情報とを関係づける補正関数を決定する。そして、この補正関数により低精度体内情報を補正することで、補正体内情報を取得する。補正関数決定後の測定において、補正部112は、低精度測定部104で所定のアルゴリズムを用いて算出された低精度体内情報を、この補正関数により補正することで、補正体内情報を取得する。高精度基準値が新たに取得された場合には、補正関数を更新することができる。
【0077】
補正関数は、例えば、
(補正体内情報)=c×(低精度体内情報)+d ・・・(1)
(補正体内情報)=c×(低精度体内情報) ・・・(2)
(補正体内情報)=(低精度体内情報)+d ・・・(3)
のいずれかであってよい。補正関数のパラメータc及びdは、式(1)~(3)についてそれぞれ、
(調整された高精度基準値)=c×(低精度基準値)+d ・・・(1´)
(調整された高精度基準値)=c×(低精度基準値) ・・・(2´)
(調整された高精度基準値)=(低精度基準値)+d ・・・(3´)
を満たすように決定される。
【0078】
[第1実施形態に係る体組成計の動作]
以下では、上述した体組成計の構成により、第1実施形態に係る体組成計の動作を実現するフローを説明する。このフローは、簡易BIA体組成計100に高精度基準値を入力するたびに行うことができるフローである。このフローでは、高精度基準値と低精度基準値とを用いて、補正関数を決定する。補正関数決定後の測定では、この補正関数を用いて低精度体内情報を補正することができる。
【0079】
図3は、本発明の第1実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計100の動作を示す第1のフローチャートである。第1実施形態に係る第1のフローは、体重差を指標として、高精度体内情報を1次調整するフローである。利用者が、簡易BIA体組成計100を操作して補正関数決定の処理を開始すると、第1のフローが開始する。
【0080】
まず、低精度測定部104で利用者の体内情報を測定する(ステップS102)。
【0081】
低精度測定部104が利用者の体内情報を測定すると、記憶部110が低精度基準値を記憶する(ステップS104)。
【0082】
記憶部110が低精度基準値を記憶すると、補正部112が記憶部110に記憶されている高精度基準値の有無(ステップS106)と体重差(ステップS108)とを判定する。
【0083】
記憶部110に記憶されている「高精度基準値あり」で「体重差<α」と判定されると(ステップS106:Yes、ステップS108:Yes)、補正部112が高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0を決定し、1次調整「Y0×高精度基準値」により高精度基準値を調整して(ステップS110)、フローは終了する。
【0084】
即ち、「体重差<α」と判定されるときは、体重乖離が小さいので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化は小さいとみなし、高精度基準値の寄与度が大きいと判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0を決定し、1次調整「Y0×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。
【0085】
一方、記憶部110に記憶されている「高精度基準値あり」で「体重差<α」ではないと判定されると(ステップS106:Yes、ステップS108:No)、補正部112が再び体重差を判定する(ステップS112)。そして、「体重差<β」と判定されると(ステップS112:Yes)、補正部112が高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY1~5を決定し、1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整して(ステップS114)、フローは終了する。
【0086】
即ち、「体重差<β」と判定されるときは、「体重差<α」と判定されるときより体重乖離がある程度見られるので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化があるとみなし、高精度基準値の寄与度はやや低いと判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY1~5を決定し、1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。
【0087】
一方、記憶部110に記憶されている「高精度基準値あり」ではないと判定されるか(ステップS106:No)、「高精度基準値あり」ではあるが「体重差<α」ではなく「体重差<β」でもないと判定されると(ステップS106:Yes、ステップS108:No、ステップS112:No)、補正部112は1次調整された高精度基準値に基づく補正関数により低精度基準値を補正することなく(ステップS116)、記憶部110が高精度基準値を参考値として記憶するにとどめ、フローは終了する。
【0088】
即ち、「高精度基準値あり」ではあるが「体重差<α」ではなく「体重差<β」でもないと判定されるときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化が大きいとみなし、高精度基準値の寄与度は小さいと判定する。このとき、補正部112は補正を行わない。
【0089】
以上のように、第1実施形態に係る第1のフローでは、体重差を指標として高精度基準値の寄与度を評価する。体重乖離が小さいときは(体重差<α)、1次調整「Y0×高精度基準値」により高精度基準値を調整し、体重乖離がある程度見られるときは(体重差<β)、1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整し、体重乖離が大きいときは(体重差≧β)、補正を行わない。
【0090】
このように、第1実施形態に係る第1のフローでは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化がある程度あっても、高精度基準値の寄与度を反映した調整パラメータを決定し、この調整パラメータにより高精度基準値を調整する。特に、本実施の形態では、測定方式の違いによらない体重差に基づいて寄与度を評価して、寄与度を詳細に反映した調整パラメータを決定することができる。
【0091】
換言すると、高精度基準値と低精度基準値との間に差異が生じた場合に、低精度体内情報を補正するとしても、そのような差異が簡易BIA体組成計100の測定精度に起因するのか、利用者の体組成の変化に起因するのかを判定する必要がある。
【0092】
そこで、体重差を指標として、体重差が小さく利用者の体組成の同一性を担保できるときは、高精度基準値と低精度基準値との間の差異は簡易BIA体組成計100の測定精度に起因すると判定し、高精度基準値の寄与度が大きくなるように調整パラメータを決定する。
【0093】
一方で、体重差が大きく利用者の体組成の同一性を担保できないときは、高精度基準値と低精度基準値との間の差異は利用者の体組成の変化に起因すると判定し、高精度基準値の寄与度が小さくなるように調整パラメータを決定する。そのため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0094】
図4は、本発明の第1実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計100の動作を示す第2のフローチャートである。第2のフローは、経過日数を指標として、1次調整された高精度基準値をさらに2次調整するフローである。第1のフローが終了すると、第2のフローが開始する。
【0095】
第2のフローが開始すると、補正部112が1次調整の有無(ステップS202)と経過日数(ステップS204)とを判定する。
【0096】
「1次調整あり」で経過日数が「z1日以内」と判定されると(ステップS202:Yes、ステップS204:Yes)、補正部112が2次調整を行うことなく(ステップS206)、補正部112が1次調整された高精度基準値に基づく補正関数を決定し、この補正関数により低精度基準値を補正し、出力部106が補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示する(ステップS208)。そして、記憶部110が補正関数と補正体内情報とを記憶し(ステップS210)、フローは終了する。
【0097】
即ち、1次調整が行われ、経過日数が「z1日以内」のときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化は小さいとみなし、高精度基準値の寄与度は高いと判定する。このとき、補正部112は2次調整を行わない。
【0098】
一方、「1次調整あり」で経過日数が「z1日以内」ではないと判定されると(ステップS202:Yes、ステップS204:No)、補正部112が再び経過日数を判定する(ステップS212)。
【0099】
経過日数が「z2日以内」と判定されると(ステップS212:Yes)、補正部112が高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0~5、a、bを決定し、2次調整「(a×Y0~5×高精度基準値+b×低精度基準値)/2」により高精度基準値を調整
する(ステップS214)。そして、補正部112が2次調整された高精度基準値に基づく補正関数を決定して、この補正関数により低精度基準値を補正し、出力部106が補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示し(ステップS216)、記憶部110が補正関数と補正体内情報とを記憶して(ステップS210)、フローは終了する。
【0100】
即ち、「1次調整あり」で経過日数が「z2日以内」と判定されるときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化があるとみなし、高精度基準値の寄与度がやや低いと判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0~5、a、bを決定し、2次調整「(a×Y0~5×高精度基準値+b×低精度基準値)/2」により高精度基準値を調整する。
【0101】
一方、「1次調整あり」ではないと判定されるか(ステップS202:No)、「1次調整あり」で経過日数が「z2日以内」ではないと判定されると(ステップS202:Yes、ステップS204:No、ステップS212:No)、補正部112が低精度基準値を補正関数により補正することなく、出力部106が低精度基準値としての低精度体内情報を表示し(ステップS218)、記憶部110が低精度基準値としての低精度体内情報を記憶して(ステップS220)、フローは終了する。
【0102】
即ち、「1次調整あり」と判定されないとき、「1次調整あり」でも経過日数が「z2日以内」と判定されないときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化が大きいとみなし、高精度基準値の寄与度は小さいと判定する。このとき、補正部112は補正を行わない。
【0103】
以上のように、第1実施形態に係る第2のフローでは、経過日数を指標として高精度基準値の寄与度を評価する。1次調整が行われ、日数がほとんど経過していないときは(z1日以内)、1次調整された高精度基準値に基づく補正関数により低精度基準値としての低精度体内情報を補正し、補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示して、補正関数と補正体内情報とを記憶する。
【0104】
また、日数がある程度経過しているとき(z2日以内)は、2次調整された高精度基準値に基づく補正関数により低精度基準値としての低精度体内情報を補正し、補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示して、補正関数と補正体内情報とを記憶する。
【0105】
また、1次調整を行わなかったとき、1次調整を行っていても日数がz2日を経過しているときは、補正関数により補正することなく低精度基準値としての低精度体内情報を表示し、低精度基準値としての低精度体内情報を記憶する。
【0106】
このように、第2のフローでは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化がある程度あっても、高精度基準値の寄与度を反映した調整パラメータを決定し、この調整パラメータにより高精度基準値を調整することで、高精度基準値と低精度基準値とを用いて補正関数を決定できる。特に、本実施の形態では、時間経過に基づいて高精度基準値の寄与度を評価して、高精度基準値の寄与度を詳細に反映した調整パラメータを決定できる。
【0107】
換言すると、高精度基準値と、補正方法決定時の低精度基準値としての低精度体内情報との間に差異が生じた場合に、低精度基準値としての低精度体内情報を補正するとしても、そのような差異が簡易BIA体組成計100の測定精度に起因するのか、利用者の体組成の変化に起因するのかを判定する必要がある。
【0108】
そこで、時間の経過を指標として、時間が経過しておらず利用者の体組成の同一性を担保できるときは、高精度基準値と、補正方法決定時の低精度基準値としての低精度体内情報との間の差異は簡易BIA体組成計100の測定精度に起因すると判定し、高精度基準値の寄与度は大きくなるように調整パラメータを決定する。
【0109】
一方で、時間が経過しており利用者の体組成の同一性を担保できないときは、高精度基準値と、補正方法決定時の低精度基準値としての低精度体内情報との間の差異は利用者の体組成の変化に起因すると判定し、高精度基準値の寄与度は小さくなるように調整パラメータを決定する。そのため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0110】
また、第2のフローでは、補正関数と補正体内情報とを記憶することができるため、補正関数と補正体内情報とを将来の体内測定に反映することにより、簡易BIA体組成計100を使えば使うほど高精度に個人差を反映することができるようになり、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0111】
また、所定のアルゴリズム(例えば、回帰式など)だけで評価するのではなく、個人の高精度基準値に合わせた個人対応の補正関数で評価するので、簡便な測定でありながら個人差対応の高精度な体組成測定結果に合わせることができる。さらに、その値から相対変化は簡易BIA体組成計100で追うことができるので、普段なかなか測定できない体組成測定(推定)方法及び高精度BIA体組成計の測定とは違って、毎日の詳細な変化を逃すことなく知りたいときにタイミングよく捉えることができ、両者の利点を併せ持つことができるため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0112】
また、調整パラメータa、bを介して低精度基準値としての低精度体内情報を反映する第2のフローを、調整パラメータY0~5を介して高精度基準値のみを反映する第1のフローに従属することにより、第1のフローによる過度な補正を防ぐことができるため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0113】
図5(a)は、本発明の第1実施形態に係る簡易BIA体組成計100の第1の結果表示画面を示す図であり、図5(b)は、本発明の第1実施形態に係る簡易BIA体組成計100の第2の結果表示画面を示す図である。
【0114】
図5(a)に示されるように、出力部106は、補正体内情報200Aを表示する。出力部106が補正体内情報200Aとして、例えば、体脂肪率:17%、体脂肪量:10kg、筋肉量:55kg、腹筋/背筋比:1:2、体水分量:48kg、骨量:3.4kg、内蔵脂肪面積:77cm2、基礎代謝:1200kcalと表示する。これにより、利用者は、補正体内情報を知ることができる。
【0115】
また、図5(b)に示されるように、出力部106は、補正体内情報200Bと低精度体内情報とを区別可能なように外観を変えて表示する。外観を変えて表示するとは、☆などのマークをつけて表示すること、字体のフォント、サイズ、色を変えて表示すること、体組成測定(推定)方法及び高精度BIA体組成計を参照した旨を表示することなどをいう。
【0116】
本実施の形態では、出力部106が、☆体脂肪率:17%(DXA参照済!)、☆体脂肪量:10kg(DXA参照済!)、☆筋肉量:55kg(DXA参照済!)、☆腹筋/背筋比:1:2(MRI参照済!)、☆体水分量:48kg(重水希釈法参照!)、☆骨量:3.4kg(DXA参照済!)、☆内蔵脂肪面積:77cm2(CT参照済!)、基礎代謝:1200kcal(BIA回帰式)と表示する。
【0117】
即ち、「基礎代謝:1200kcal(BIA回帰式)」を除いた補正体内情報200Bについては、☆マークをつけ、体組成測定(推定)方法及び高精度BIA体組成計の測定方式と関連付けて表示し、「基礎代謝:1200kcal(BIA回帰式)」については、それらを表示しないことにより、補正体内情報200Bと低精度体内情報とを区別可能なように外観を変えて表示する。
【0118】
また、図5(b)に示されるように、出力部106は、度合いに基づいて、補正体内情報の精度に係る情報202Bを表示する。出力部106は、例えば、高精度基準値の寄与度に基づいて、補正体内情報の精度に係る情報202Bを表示する。
【0119】
補正体内情報の精度に係る情報202Bは、例えば、高精度基準値があるときは「A」と表示され、高精度基準値がなく簡易BIA体組成計100で低精度測定した体内情報のみのときは「B」と表示される。さらに、「A」と表示される場合においても、高精度基準値の精度、体重差、経過日数を指標として、高精度基準値の寄与度に応じて順にA1、A2、A3などとランク付けして表示する。
【0120】
本実施の形態では、高精度基準値があり、高精度基準値の精度が高く、「体重差<α」と判定され、経過日数が「z1日以内」と判定されるときは、A1とランク付けして補正体内情報の精度に係る情報202Bが表示されている。
【0121】
このように、出力部106が補正体内情報200Bと低精度体内情報とを区別可能なように外観を変えて表示することにより、利用者は体内情報が高精度化されたか否かを知ることができる。また、出力部106が、高精度基準値の寄与度に基づいて測定精度に係る情報を表示することにより、利用者は測定結果がどの程度高精度化されているかを知ることができる。
【0122】
換言すると、出力部106には、高精度基準値の入力によって測定結果がどれくらい高精度化されたかを表示し、基準測定の方式や経過日数による高精度基準値の寄与度も簡易的に表現することができ、利用者は精度アップを実感することができる。そのため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0123】
[第2実施形態に係る体組成計の動作]
第2実施形態に係る体組成計の構成は、上述した体組成計の構成と同様であるから、その説明を省略する。第2実施形態に係る体組成計の動作は、第1のフローのみ上述した第1実施形態に係る第1のフローとは相違するので、以下では、この相違点についてのみ説明する。
【0124】
図6は、本発明の第2実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計100の動作を示す第1のフローチャートである。第2実施形態に係る第1のフローでは、第1実施形態に係る第1のフローとは異なり、体重差に加えて体内差を指標として、高精度体内情報を1次調整するフローである。利用者が、簡易BIA体組成計100を操作して補正関数決定の処理を開始すると、第2実施形態に係る第1のフローが開始する。
【0125】
まず、低精度測定部104で利用者の体内情報を測定する(ステップS302)。
【0126】
低精度測定部104が利用者の体内情報を測定すると、記憶部110が低精度基準値を記憶する(ステップS304)。
【0127】
記憶部110が低精度基準値を記憶すると、補正部112が記憶部110に記憶されている高精度基準値の有無(ステップS306)と体重差(ステップS308)とを判定する。
【0128】
記憶部110に記憶されている「高精度基準値あり」で「体重差<α」と判定されると(ステップS306:Yes、ステップS308:Yes)、補正部112が高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0を決定し、1次調整「Y0×高精度基準値」により高精度基準値を調整して(ステップS310)、フローは終了する。
【0129】
即ち、「体重差<α」と判定されるときは、体重乖離が小さいので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化は小さいとみなし、高精度基準値の寄与度が大きいと判定する。このとき、補正部112は、高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0を決定し、1次調整「Y0×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。
【0130】
一方、記憶部110に記憶されている「高精度基準値あり」で「体重差<α」ではないと判定されると(ステップS306:Yes、ステップS308:No)、補正部112が再び体重差を判定する(ステップS312)。そして、「体重差<β」と判定されるか(ステップS312:Yes)、「体重差<β」ではなくとも「体内差≧γ」と判定され
ると(ステップS312:No、ステップS316:Yes)、補正部112が高精度基準値に応じた調整パラメータY1~5を決定し、1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整して(ステップS314)、フローは終了する。
【0131】
即ち、「体重差<β」ではなくとも「体内差≧γ」と判定されるときは、体重乖離が見
られるので、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化があるものの、統計値から推定される体組成とは大きく乖離した利用者の体組成を反映するために、高精度基準値の寄与度はやや低いと判定する。このとき、「体重差<β」のときと同様の1次調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整する。
【0132】
一方、記憶部110に記憶されている「高精度基準値あり」ではないと判定されるか(ステップS306:No)、「高精度基準値あり」ではあるが「体重差<α」ではなく「体重差<β」でもなく「体内差≧γ」でもないと判定されると(ステップS306:Ye
s、ステップS308:No、ステップS312:No、ステップS316:No)、補正部112は1次調整された高精度基準値に基づく補正関数により低精度基準値を補正することなく(ステップS318)、記憶部110が高精度基準値を参考値として記憶するにとどめ、フローは終了する。
【0133】
即ち、「高精度基準値あり」ではあるが「体重差<α」ではなく「体重差<β」でもなく「体内差≧γ」でもないと判定されるときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化が大きく、統計値から推定される体組成とは大きく乖離した利用者の体組成を反映する必要もない。このとき、補正部112は補正を行わない。
【0134】
以上のように、第2実施形態に係る第1のフローでは、体重差及び体内差を指標として高精度基準値の寄与度を評価する。第1実施形態に係る第1のフローとは異なり、体重乖離が大きい場合においても(体重差≧β)、体内差が大きいときは(体内差≧γ)、1次
調整「Y1~5×高精度基準値」により高精度基準値を調整し、体内差が小さいときは、補正を行わない。
【0135】
このように、第2実施形態に係る第1のフローでは、第1実施形態に係る第1のフローとは異なり、測定方式の違いによらない体重差に加えて、個人の体内情報の差(体内差)に基づいて高精度基準値の寄与度を反映した調整パラメータを決定することができる。そのため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0136】
[第3実施形態に係る体組成計の動作]
第3実施形態に係る体組成計の構成は、上述した体組成計の構成と同様であるから、その説明を省略する。第3実施形態に係る体組成計の動作は、第2のフローのみ上述した第1実施形態に係る第2のフローとは相違するので、以下では、この相違点についてのみ説明を行う。
【0137】
図7は、本発明の第3実施形態に係る補正関数を決定するための簡易BIA体組成計100の動作を示す第2のフローチャートである。第3実施形態に係る第2のフローでは、第1実施形態に係る第2のフローとは異なり、経過日数に加えて利用者の調整選択を指標として、1次調整された高精度基準値をさらに2次調整するフローである。第1のフローが終了すると、第3実施形態に係る第2のフローが開始する。
【0138】
第2のフローが開始すると、補正部112が1次調整の有無(ステップS402)と経過日数(ステップS404)とを判定する。
【0139】
「1次調整あり」で経過日数が「z1日以内」と判定されると(ステップS402:Yes、ステップS404:Yes)、補正部112が2次調整を行うことなく(ステップS406)、補正部112が1次調整された高精度基準値に基づく補正関数を決定し、この補正関数により低精度基準値を補正し、出力部106が補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示する(ステップS408)。そして、補正部112が補正関数と補正体内情報とを記憶し(ステップS410)、フローは終了する。
【0140】
即ち、1次調整が行われ、経過日数が「z1日以内」のときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化は小さいとみなし、高精度基準値の寄与度は高いと判定する。このとき、補正部112は2次調整を行わない。
【0141】
一方、「1次調整あり」で経過日数が「z1日以内」ではないと判定されると(ステップS402:Yes、ステップS404:No)、補正部112が再び経過日数を判定する(ステップS412)。
【0142】
経過日数が「z2日以内」と判定されるか(ステップS412:Yes)、経過日数が「z2日以内」ではなく、利用者に対して高精度基準値の測定を促す旨の「アラートを提示」したものの(ステップS418)、利用者が「調整選択」をしたと判定されると(ステップS420:Yes)、補正部112は寄与度に応じた調整パラメータY0~5、a、bを決定し、2次調整「(a×Y0~5×高精度基準値+b×低精度基準値)/2」に
より高精度基準値を調整する(ステップS414)。そして、補正部112が2次調整された高精度基準値に基づく補正関数により低精度基準値を補正し、出力部106が補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示し(ステップS416)、記憶部110が補正関数と補正体内情報とを記憶して(ステップS410)、フローは終了する。
【0143】
即ち、「1次調整あり」で経過日数が「z2日以内」ではないものの、「アラートを提示」された利用者が「調整選択」をした判定されると、補正部112は高精度基準値の寄与度に応じた調整パラメータY0~5、a、bを決定し、2次調整「(a×Y0~5×高精度基準値+b×低精度基準値)/2」により高精度基準値を調整する。
【0144】
一方、「1次調整あり」ではないと判定されるか(ステップS402:No)、「1次調整あり」で経過日数が「z1日以内」でも「z2日以内」でもなく、利用者に対して高精度基準値の測定を促す旨の「アラートを提示」したものの、利用者が「調整選択」をしなかったと判定されると(ステップS402:Yes、ステップS404:No、ステップS412:No、ステップS418、ステップS420:No)、補正部112が低精度基準値を補正関数により補正することなく、出力部106が低精度基準値としての低精度体内情報を表示し(ステップS422)、記憶部110が低精度基準値としての低精度体内情報を記憶して(ステップS424)、フローは終了する。
【0145】
即ち、「1次調整あり」で経過日数が「z1日以内」でも「z2日以内」でもなく、かつ利用者が「調整選択」をしなかったときは、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間で体組成の変化が大きいとみなし、高精度基準値の寄与度が小さいと判定する。このとき、補正部112は補正を行わない。
【0146】
以上のように、第3実施形態に係る第2のフローでは、経過日数及び利用者の調整選択を指標として高精度基準値の寄与度を評価する。第1実施形態に係る第2のフローとは異なり、日数がz2日を経過しているものの「アラートを提示」された利用者が「調整選択」をしたと判定されると、2次調整された高精度基準値に基づく補正関数により低精度基準値を補正し、補正された低精度基準値としての低精度体内情報を補正体内情報として表示して、補正関数と補正体内情報とを記憶する。一方、「アラートを提示」された利用者が「調整選択」をしなかったと判例されると、低精度基準値としての低精度体内情報を補正関数により補正することなく、低精度基準値としての低精度体内情報を表示し、低精度基準値としての低精度体内情報を記憶する。
【0147】
このように、第3実施形態に係る第2のフローでは、第1実施形態に係る第2のフローとは異なり、経過日数に加えて利用者の選択に基づいて2次調整を決定することができるため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0148】
また、第3実施形態に係る第2のフローでは、第1実施形態に係る第2のフローとは異なり、アラートにより利用者に新たな高精度基準値の測定を促し、体内測定システムの高精度化を動機づけることができるため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0149】
なお、第3実施形態に係る第2のフローでは、「アラートを提示」するタイミングとして、高精度基準値の取得時から「z2日以内」か否かを指標としている。この経過日数「z2日以内」は、高精度基準値の測定方法に依存して変更することができる。例えば、DXAなどの体内情報の測定精度が高い体組成測定(推定)方法で高精度基準値を測定するときは、頻繁に測定できる測定方法ではないので、z2は比較的長めの日数を設定してよい。一方、マルチ周波数多電極BIA体組成計などの高精度BIA体組成計で高精度基準値を測定するときは、DXAなどで高精度基準値を測定するときと比較して、頻繁に測定できる測定方法なので、z2は比較的短めの日数を設定してよい。
【0150】
以上のように、本発明の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態のいずれにおいても、簡易BIA体組成計100による簡易な測定でありながら、利用者は高精度な体内情報を知ることができる。ここで簡易BIA体組成計100の形態は、平置きタイプ、スタンドタイプ、図8に示すような入力部102、低精度測定部104、出力部106を有するカードタイプなどいかなる形態でもよく、簡易な測定は、簡易両足測定、簡易両手測定など体組成測定(推定)方法よりも体内情報の測定精度が低い測定であればいかなる測定でもよい。
【0151】
[変形例1]
上記の実施形態のフローは、第1のフローと第2のフローとから構成されているが、第2のフローがなく第1のフローのみでもよい。この場合、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間の体重差にのみ基づいて調整パラメータを決定し、高精度基準値を調整して、補正関数を決定することができる。
【0152】
図3を用いて説明すると、第1のフローは、補正部112が1次調整された高精度基準値と低精度体内情報とに基づいて補正関数を決定し、この補正関数により低精度体内情報を補正する。そして、この補正された低精度体内情報を補正体内情報として表示し、補正関数と補正体内情報とを記憶する。このステップを、ステップS110とステップS114とのそれぞれに続くステップとして設けることができる。
【0153】
なお、補正された低精度基準値としての低精度体内情報は、1次調整された高精度基準値と補正関数により補正された低精度基準値としての低精度体内情報との平均値でもよい。
【0154】
[変形例2]
上記の実施形態のフローは、第1のフローと第2のフローとから構成されているが、第1のフローがなく第2のフローのみでもよい。この場合、高精度基準値の取得時と補正方法決定時との間の経過日数にのみ基づいて調整パラメータを決定し、高精度基準値を調整して、補正関数を決定することができる。
【0155】
図4を用いて説明すると、利用者が、簡易BIA体組成計100を操作して補正関数決定の処理を開始すると、第2のフローが開始する。第2のフローが開始すると、まず、低精度測定部104で利用者の体内情報を測定するステップと、記憶部110が低精度体内情報を記憶するステップとを経る。そして、補正部112が1次調整の有無(ステップS202)を判定するステップに代えて、補正部112が記憶部110に記憶されている高精度基準値の有無を判定する。その後、ステップS204から終了までのステップを判定することができる。
【0156】
[変形例3]
また、上記の実施の形態では、補正部112が、低精度測定部104で得られた低精度体内情報を高精度基準値と低精度基準値に基づく補正関数で補正することで補正体内情報を取得したが、補正体内情報を取得する方法はこれに限られない。
【0157】
補正部112は、高精度基準値と低精度基準値とに基づいて、低精度測定部104にて用いるアルゴリズムを補正してもよい。低精度測定部104は、測定値を補正部112によって補正されたアルゴリズムに入力することで、補正体内情報を取得する。
【0158】
例えば、所定のアルゴリズムが回帰式であるときは、補正部112は、測定値を入力すると低精度体内情報を出力する所定の回帰式を、補正方法決定時の測定値を入力すると調整された高精度基準値を出力する回帰式に補正する。記憶部110は補正された回帰式を記憶し、以後の低精度測定において、低精度測定部104は測定値を補正された回帰式に入力することで、補正体内情報を取得する。高精度基準値が新たに取得された場合には、回帰式を更新することができる。
【0159】
このように、補正部112は、上記の実施の形態のように、低精度測定部104にて所定のアルゴリズムによって算出された低精度体内情報を補正関数によって補正するものであってもよいし、上記の変形例のように、低精度測定部104において測定値から低精度体内情報を算出するアルゴリズム自体を補正するものであってもよい。
【0160】
また、補正部112は、一度補正体内情報を取得した後に、補正体内情報と所定のアルゴリズムによって算出された低精度体内情報とに基づいて、所定のアルゴリズム自体を補正してもよい。一度アルゴリズムが補正されると、その後に測定される低精度測定の結果が、補正体内情報に近づく。そのため、一度アルゴリズムが補正されると、補正体内情報と低精度測定の結果との差が小さくなり、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【0161】
[変形例4]
また、上記の実施形態では、低精度測定部104による一度の測定で補正関数を設定したが、複数回の測定を経てから補正関数を設定してもよい。例えば、1日日、2日目と2回にわたって低精度測定部104による測定をし、1日日と2日目との低精度基準値としての低精度体内情報の平均を用いて、補正関数を設定してもよい。このとき、補正関数は、2日目の低精度測定部104による測定時に設定してもよい。このように、低精度測定部104による複数回の測定を経てから補正関数を設定することにより、ばらつきを考慮した低精度体内情報を用いて補正関数を設定することができる。そのため、個人に合わせた高精度な体内測定システム及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0162】
100・・・簡易BIA体組成計
102・・・入力部
104・・・低精度測定部
106・・・出力部
108・・・制御部
110・・・記憶部
112・・・補正部
200A,200B・・・補正体内情報
202B・・・補正体内情報の精度に係る情報

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8