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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002049
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20231228BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65H5/38
B41J11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101008
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】荒川 悠太
【テーマコード(参考)】
2C058
3F101
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AB12
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE09
2C058AF04
2C058AF08
2C058AF17
2C058AF25
2C058AF31
2C058AF47
2C058AF55
2C058AF63
3F101FB14
3F101FC07
3F101FC11
3F101FC16
3F101FE02
3F101FE04
3F101FE08
3F101FE20
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】筐体の前面の開口を通じて紙詰まりを解消できる画像記録装置を提供する。
【解決手段】複合機10は、開口13を有する筐体14と、筐体14内において記録用紙12が搬送される第1搬送路65と、第1搬送路65の上方に位置する記録ヘッド38と、記録ヘッド38に対向しており、記録位置とリリース位置とに移動可能なプラテン42と、プラテン42の下方に位置するリリースユニット104と、開口13を通じて筐体14から抜差可能な排出トレイ21と、を備える。排出トレイ21は、筐体14に装着された装着位置と、筐体14から取り外された位置とに移動可能である。リリースユニット104は、記録位置のプラテン42と接触する支持位置と、筐体14から取り外された位置とに移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有する筐体と、
上記筐体内においてシートが搬送される第1搬送路と、
上記第1搬送路の上方に位置しており、液体を吐出するヘッドと、
上記第1搬送路の下方に位置して上記ヘッドに対向しており、第1位置と上記第1位置より上記ヘッドから遠ざかる第2位置とに移動可能なプラテンと、
上記プラテンの下方に位置する干渉部材と、
上記開口を通じて上記筐体から抜差可能な排出トレイと、を備え、
上記排出トレイは、上記筐体に装着された第3位置と、上記第3位置よりも上記筐体から引き出された第4位置とに移動可能であり、
上記干渉部材は、上記第1位置から上記第2位置へ移動する上記プラテンと接触する第5位置と、上記第2位置の上記プラテンと接触しない第6位置とに移動可能であり、上記第3位置の上記排出トレイと当接することにより上記第6位置への移動が規制され、
上記第4位置の上記排出トレイは、上記第6位置の上記干渉部材と接触しない画像記録装置。
【請求項2】
上記干渉部材は、上記第3位置の上記排出トレイにより上記第5位置に保持されており、上記排出トレイが上記第4位置にある状態において、上記第5位置から上記第6位置に移動可能である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記干渉部材は、上記第6位置から上記第5位置へ後方へ向かって移動するものであって、後方端部に第1ガイド部を有しており、
上記第1ガイド部は、上記第6位置から上記第5位置へ移動することにより、上記第2位置の上記プラテンを上記第1位置へ移動させる請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記干渉部材を前後方向に案内する第2ガイド部と、
上記干渉部材を上記第5位置に保持するロック機構と、を更に備えた請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第2ガイド部は、シートの搬送方向に交差する幅方向に間隔を空けて配置されており、上記干渉部材が載置される一対の載置部と、上記一対の載置部を上記幅方向に連結しており、上記第5位置の上記干渉部材の後方端が当接する当接部と、を有しており、
上記干渉部材の上面および上記当接部の上面は、片面に画像が記録されたシートが搬送される第2搬送路を形成するものであり、
上記干渉部材の上記上面は、上記第2搬送路において上記当接部の上記上面よりも上流側に位置しており、上記当接部の上記上面よりも高い位置に位置する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記第2搬送路に位置してシートを搬送する搬送ローラをさらに備えた請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
シートを支持する給送トレイを更に備えており、
上記干渉部材は、上記給送トレイに支持されたシートを上記第1搬送路に搬送する給送ローラを含む請求項5又は6に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を記録する画像記録装置としては、例えば、特許文献1に記載された記録装置が知られている。特許文献1の記録装置では、排出トレイが筐体から前方へ引き出されると、プラテンは、記録部が用紙へ画像記録するときの印刷位置から、プラテンの前端部が印刷位置よりも下方に位置する開放位置へ回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-041585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1記載の画像記録装置では、プラテンが回動するためのスペースを確保する必要があり、そのスペースには例えば、給送トレイに支持された用紙を搬送路へ給送する給紙ローラなどの部品が配置できない。その結果、筐体が大型化するという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、装置の小型化を図りつつ、筐体の前面の開口を通じて紙詰まりを解消できる画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、前面に開口を有する筐体と、上記筐体内においてシートが搬送される第1搬送路と、上記第1搬送路の上方に位置しており、液体を吐出するヘッドと、上記第1搬送路の下方に位置して上記ヘッドに対向しており、第1位置と上記第1位置より上記ヘッドから遠ざかる第2位置とに移動可能なプラテンと、上記プラテンの下方に位置する干渉部材と、上記開口を通じて上記筐体から抜差可能な排出トレイと、を備える。上記排出トレイは、上記筐体に装着された第3位置と、上記第3位置よりも上記筐体から引き出された第4位置とに移動可能である。上記干渉部材は、上記第1位置から上記第2位置へ移動する上記プラテンと接触する第5位置と、上記第2位置の上記プラテンと接触しない第6位置とに移動可能であり、上記第3位置の上記排出トレイと当接することにより上記第6位置への移動が規制される。上記第4位置の上記排出トレイは、上記第6位置の上記干渉部材と接触しない。
【0007】
排出トレイを筐体から引き出された第4位置に移動させることにより、第2位置のプラテンと接触しない第6位置への干渉部材の移動規制が解除される。このため、第1位置から第2位置へ移動するプラテンと接触する第5位置に干渉部材が配置されても、干渉部材を第6位置に移動させることにより、プラテンをヘッドから遠ざかる第2位置へ移動させることができる。このため、画像記録装置の小型化を図りつつ、筐体の前面の開口を通して容易にジャムを解消することができる。
【0008】
(2) 上記干渉部材は、上記第3位置の上記排出トレイにより上記第5位置に保持されており、上記排出トレイが上記第4位置にある状態において、上記第5位置から上記第6位置に移動可能であってもよい。
【0009】
排出トレイを第3位置から第4位置へ移動させるだけで、プラテンを第1位置から第2位置へ移動させることができるので、ジャム処理が容易になる。
【0010】
(3) 上記干渉部材は、上記第6位置から上記第5位置へ後方へ向かって移動するものであって、後方端部に第1ガイド部を有しており、上記第1ガイド部は、上記第6位置から上記第5位置へ移動することにより、上記第2位置の上記プラテンを上記第1位置へ移動させてもよい。
【0011】
干渉部材を第6位置から第5位置へ移動させるときに、干渉部材が第2位置のプラテンと接触しても、第1ガイド部がプラテンを第2位置から第1位置へ移動させるので、干渉部材を容易に第5位置に移動させることができる。
【0012】
(4) 上記画像記録装置は、上記干渉部材を前後方向に案内する第2ガイド部と、上記干渉部材を上記第5位置に保持するロック機構と、を更に備えてもよい。
【0013】
干渉部材を第5位置と第6位置との間で移動させやすくなるとともに、シートの搬送時において干渉部材が第5位置からずれにくくなる。
【0014】
(5) 上記第2ガイド部は、シートの搬送方向に交差する幅方向に間隔を空けて配置されており、上記干渉部材が載置される一対の載置部と、上記一対の載置部を上記幅方向に連結しており、上記第5位置の上記干渉部材の後方端が当接する当接部と、を有しており、上記干渉部材の上面および上記当接部の上面は、片面に画像が記録されたシートが搬送される第2搬送路を形成するものであり、上記干渉部材の上記上面は、上記第2搬送路において上記当接部の上記上面よりも上流側に位置しており、上記当接部の上記上面よりも高い位置に位置してもよい。
【0015】
第2搬送路において干渉部材と当接部とが当接する位置においてジャムが生じることが抑制される。
【0016】
(6) 上記画像記録装置は、上記第2搬送路に位置してシートを搬送する搬送ローラをさらに備えてもよい。
【0017】
第2搬送路と一体に搬送ローラを第5位置と第6位置との間で移動させることができるので、干渉部材の移動作業が容易になる。
【0018】
(7) 上記画像記録装置は、シートを支持する給送トレイを更に備えており、上記干渉部材は、上記給送トレイに支持されたシートを上記第1搬送路に搬送する給送ローラを含んでもよい。
【0019】
第2搬送路と一体に給送ローラを第5位置と第6位置との間で移動させることができるので、干渉部材の移動作業が容易になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置の小型化を図りつつ、筐体の前面の開口を通じて紙詰まりを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、給送トレイ20及び排出トレイ21が筐体14から取り外された状態の複合機10の正面図である。
図4図4は、リリースユニット104が取り外された状態のプリンタ部11の縦断面図である。
図5図5は、リリースユニット104が挿入される過程のプリンタ部11の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9(幅方向の一例)が定義される。
【0023】
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、プリント機能、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙12(シートの一例、図2参照)の両面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、インクジェット方式以外の方式、例えば電子写真方式で記録用紙12に画像を記録するものであってもよい。
【0024】
図1に示されるように、プリンタ部11は、前面75に開口13が形成された筐体14を有している。筐体14は、その内部に、後述する第1搬送路65及び第2搬送路71(図2参照)を有している。筐体14は、例えば、プリンタ部11の各構成要素を、その内部空間に収容する外装カバーである。
【0025】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、給送トレイ20が、開口13を通じて筐体14に挿入可能であり且つ筐体14から脱抜可能である。図2に示されるように、給送トレイ20には、記録用紙12が支持される。給送トレイ20の上側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21の上面には、後述する記録部24によって画像が記録された記録用紙12が支持される。排出トレイ21は、給送トレイ20と共に、開口13を通じて筐体14に挿入可能であり且つ筐体14から脱抜可能である。図1に示されるように、排出トレイ21が、筐体14に装着された装着位置が第3位置の一例である。排出トレイ21が装着位置よりも筐体14から前方へ引き出されて筐体14から完全に取り外された位置が第4位置の一例である。なお、給送トレイ20および排出トレイ21は、筐体14から完全に取り外されず、装着位置よりも前方へ引き出される態様であってもよい。
【0026】
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、筐体14に挿入された状態の給送トレイ20の上方に位置する。給送部16は、リリースユニット104(干渉部材の一例)に支持されている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、駆動伝達機構27、及び支軸28を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動可能である。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20に支持された記録用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
【0027】
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、搬送モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20に支持された記録用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙12が、第1搬送路65へ給送される。なお、給送ローラ25は、搬送モータとは別に設けられたモータから駆動力を付与されて回転してもよい。
【0028】
[第1搬送路65]
図2に示されるように、筐体14内部において、給送トレイ20の後端部から第1搬送路65が延出されている。第1搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、給送トレイ20の後端部から上方へ向かって湾曲しつつ延びており、後述する搬送ローラ対59よりも後方において直線部34と接続されている。直線部34は、湾曲部33との接続位置から後述する反転ローラ対45まで前後方向8に延びている。
【0029】
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって画定されている。直線部34は、記録部24の配置位置において、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって画定されている。また、直線部34は、記録部24より後方において、互いに対向する搬送ローラ60とピンチローラ61によって画定されている。また、直線部34は、記録部24より前方において、所定間隔を隔てて互いに対向する第1上側ガイド部材35とプラテン42、互いに対向する排出ローラ62と拍車ローラ63、互いに対向する第1上側ガイド部材35とフラップ49、及び互いに対向する反転ローラ67と拍車ローラ68によって画定されている。
【0030】
給送トレイ20に支持された記録用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33へ給送され、湾曲部33から直線部34に亘って図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
【0031】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線部34の上側に設けられている。直線部34の下側且つ記録部24及び第1上側ガイド部材35と対向する位置には、第1搬送路65上の記録用紙12を支持するプラテン42が位置する。
【0032】
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56,57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。ガイドレール56,57は、左右両端部を一対のサイドフレーム53によって支持されている。一対のサイドフレーム53は、直線部34よりも右方及び直線部34よりも左方に配置されている。
【0033】
記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインク(液体の一例)が供給される。記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、直線部34を搬送向き15に搬送されてプラテン42に支持された記録用紙12に画像が記録される。
【0034】
プラテン42は、後側において左右方向9に沿って延びる回動軸43を有する。回動軸43は、筐体14内に位置するフレームなどに支持されている。プラテン42は、回動軸43周りに回動可能である。図2に示されるように、プラテン42は、リリースユニット104に下方から支持されることにより記録位置(第1位置の一例)に保持される。図4に示されるように、リリースユニット104が筐体14から引き出されると、プラテン42は、自重によって回動して前側が下方へ移動してリリース位置(第2位置の一例)となる。リリース位置のプラテン42の上面は、記録位置よりも記録ヘッド38から下方へ遠ざかっている。
【0035】
[搬送ローラ対59、排出ローラ対44、及び反転ローラ対45]
図2に示されるように、直線部34における記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34における記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。直線部34における排出ローラ対44よりも搬送向き15の下流側には、反転ローラ対45が配置されている。
【0036】
搬送ローラ対59は、直線部34の上側に配置された搬送ローラ60と、直線部34の下側に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。排出ローラ対44は、直線部34の下側に配置された排出ローラ62と、直線部34の上側に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。反転ローラ対45は、直線部34の下側に配置された反転ローラ67と、直線部34の上側に反転ローラ67と対向して配置された拍車ローラ68とを備えている。
【0037】
ピンチローラ61は、第3コイルばね66によって搬送ローラ60側に付勢されており、排出ローラ62は、第2コイルばね94によって拍車ローラ63側へ付勢されており、反転ローラ67は、第1コイルばね92によって拍車ローラ68側へ付勢されている。これにより、各ローラ対59,44,45は、第1搬送路65上の記録用紙12を挟持可能である。
【0038】
各ローラ対44,45において下側に配置された排出ローラ62及び反転ローラ67は、不図示のフレームによって回転可能に支持されている。
【0039】
搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ67は、モータ(不図示)の正転駆動力が伝達されて正回転し、逆転駆動力が伝達されて逆回転する。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。拍車ローラ63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。拍車ローラ68は、反転ローラ67の回転に伴って連れ回る。
【0040】
記録用紙12が各ローラ対59,44,45に挟持された状態において、各ローラ60,62,67が正回転すると、挟持された記録用紙12は搬送向き15に搬送される。一方、各ローラ60,62,67が逆回転すると、挟持された記録用紙12は搬送向き15と逆向きに搬送される。
【0041】
[第2搬送路71]
図2に示されるように、第2搬送路71は、直線部34の下方且つ給送ローラ25の上方を通る経路である。換言すると、第2搬送路71は、排出ローラ62に対して直線部34とは反対側に設けられている。第2搬送路71は、排出ローラ対44よりも搬送向き15の下流且つ反転ローラ対45よりも搬送向き15の上流の分岐位置101において直線部34から分岐した経路である。詳細には、第2搬送路71は、第1上側ガイド部材35及びプラテン42の対向方向である上下方向7におけるプラテン42側において、直線部34から分岐している。また、第2搬送路71は、搬送ローラ対59よりも搬送向き15の上流の合流位置102において湾曲部33と合流する経路である。
【0042】
第2搬送路71は、所定間隔を隔てて互いに対向するフラップ49と、ガイド部材105、プラテン42の下面50、リリースユニット104(干渉部材の一例)の上面120、及び当接部109の上面112によって画定されている。
【0043】
フラップ49及びプラテン42の下面50は、第2搬送路71の上側を画定している。リリースユニット104の上面120及び当接部109の上面112は、第2搬送路71の下側を画定している。フラップ49は、第2上側ガイド部材103より反転搬送向き106の上流に位置する。ここで、反転搬送向き106は、第2搬送路71において分岐位置101から合流位置102へ向かう向きであり、図2に二点鎖線で示されている。リリースユニット104の上面120は、当接部109の上面112より反転搬送向き106の上流且つ上方に位置する。
【0044】
[再搬送ローラ対30]
図2に示されるように、再搬送ローラ対30は、第2搬送路71に位置する。再搬送ローラ対30は、第2搬送路71の下側に配置された再搬送ローラ22(搬送ローラの一例)と、第2搬送路71の上側に再搬送ローラ22と対向して配置された従動ローラ23と、を備えている。再搬送ローラ22は、再搬送アーム100の先端に回動可能に支持されており、モータによって駆動される。再搬送アーム22はリリースユニット104に支持されている。従動ローラ23は、プラテン42に支持されて下面50から露出しており、再搬送ローラ22の回転に伴って連れ回る。再搬送ローラ22は、モータの正回転及び逆回転の何れの駆動力が伝達された場合であっても正回転する。記録用紙12が再搬送ローラ対30に挟持された状態において、再搬送ローラ22が正回転すると、挟持された記録用紙12は反転搬送向き106に搬送される。
【0045】
[フラップ49]
図2に示されるように、フラップ49は、直線部34における排出ローラ対44と反転ローラ対45との間に位置する。より詳細には、フラップ49は、分岐位置101に位置する。また、フラップ49は、上下方向7において第1上側ガイド部材35に対向して第1搬送路65の下側に位置する。
【0046】
フラップ49は、少なくとも第1状態及び第2状態の間を回動可能に構成されている。第1状態(図2に実線で示される状態)は、第1上側ガイド部材35と当接して第1搬送路65を閉塞する状態である。第2状態(図2に破線で示される状態)は、第1上側ガイド部材35から離間して直線部34を搬送向き15に搬送される記録用紙12を通過させる状態である。第2状態のフラップ49の回動先端は、第1状態のフラップ49の回動先端より、下方に位置している。
【0047】
フラップ49は、コイルばね86によって上方へ付勢されている。コイルばね86の一端はフラップ49に接続されている。コイルばね86の他端はプラテン42に接続されている。フラップ49がコイルばね86に付勢されることにより、板状部材46の前端部37は、第1上側ガイド部材35に当接する。フラップ49の下面79は、第2搬送路71の上側の一部を画定している。
【0048】
[ガイド部材105]
図2に示されるように、ガイド部材105は、フラップ49のガイド部77と対向して第2搬送路71の下側の一部を画定している。
【0049】
ガイド部材105は、反転ローラ67の軸69によって回動可能に支持されている。詳細には、ガイド部材105における反転搬送向き106の上流端部が、軸69によって支持されている。ガイド部材105は、矢印72,73の方向に回動可能である。矢印72の向きは、ガイド部材105がフラップ49に近づく向きである。矢印73の向きは、ガイド部材105がフラップ49から離間する向きである。
【0050】
ガイド部材105は、図2に実線で示されるガイド位置と、図2に破線で示される開放位置とに回動可能である。ガイド部材105は、リリースユニット104に下方から支持されることによってガイド位置に保持される。
【0051】
ガイド位置のガイド部材105は、ガイド部77と対向しており、第2搬送路71の下側の一部を画定している。ガイド位置のガイド部材105は、第2搬送路71を搬送される記録用紙12をガイドする。図4に示されるように、ガイド部材105が開放位置のとき、フラップ49が開口13を通じて複合機10の外部に露出する。換言すると、ガイド部材105が開放位置のとき、第2搬送路71が開放されている。
【0052】
[リリースユニット104]
図2に示されるように、上下方向7においてプラテン42と給送トレイ20との間にリリースユニット104が位置する。リリースユニット104は、箱形状であり、ガイドフレーム107(第2ガイド部の一例)に下方から支持されて前後方向8に沿って移動可能である。
【0053】
図4に示されるように、ガイドフレーム107は、筐体14の開口13の後方において左右方向9に間隔を空けて一対が位置する。ガイドフレーム107は、例えば、各ローラを支持するフレームと一体に形成されてもよい。ガイドフレーム107は、前後方向8及び左右方向9に広がる平板形状の一対の載置部108と、一対の載置部108を左右方向9に連結しており、リリースユニット104の後方に位置する当接部109と、を有する。
【0054】
一対の載置部108は、左右方向9において第2搬送路71を記録用紙12が搬送される領域の外側にそれぞれ位置する。一対の載置部材108は、リリースユニット104の下面121の左右方向9の両端部を下方から支持する。一対の載置部108は、前後方向8においてプラテン42の後端付近から反転ローラ対45付近まで延びている。リリースユニット104は、一対の載置部108上を摺動して前後方向8に移動可能である。
【0055】
一対の載置部108の一方、本実施形態では右側に位置する載置部108に貫通孔110が形成されている。貫通孔110には、リリースユニット104の下面121から下方へ突出する係合爪122が進入可能である。貫通孔110に係合爪122が進入することにより、リリースユニット104が支持位置(第5位置の一例)に保持される。係合爪122は、下面121へ没入するように変形可能である。係合爪122が変形して下面121に没入することにより、リリースユニット104が支持位置から前方へ移動可能となる。貫通孔110及び係合爪122がロック機構の一例である。
【0056】
図2に示されるように、当接部109は、一対の載置部108の後端部に位置する。当接部109は、一対の載置部108の上面よりも上方へ突出している。当接部109において前方を向く前面111は、一対の載置部108に支持されたリリースユニット104の後方端と当接することによって、リリースユニット104を支持位置に位置決めする。上面112は、第2搬送路71の後側部分を画定する。
【0057】
リリースユニット104は、給送部16及び再搬送ローラ22を支持している。給送部16及び再搬送ローラ22は、リリースユニット104と共に前後方向8に移動可能である。給送部16は、一対の載置部108の間から下方へ延びている。リリースユニット104は、第2搬送路71における記録用紙12の搬送領域より左右方向9の寸法が若干大きい箱形状である。リリースユニット104の上面120(第1ガイド部の一例)は、後方へ向かうにつれて下方へ向かう傾斜面であり、第2搬送路71の一部を画定する。支持位置のリリースユニット104において、上面120は、当接部109の上面112よりも反転搬送向き106の上流且つ上方に位置する。
【0058】
支持位置のリリースユニット104は、プラテン42を下方から支持して記録位置に保持する。また、支持位置のリリースユニット104は、ガイド部材105を下方から支持して、ガイド部材105を第2搬送路71を画定する位置に保持する。支持位置のリリースユニット104の前方には、装着位置の排出トレイ21が位置する。リリースユニット104と排出トレイ21とは、上下方向7における位置が重複している。支持位置のリリースユニット104が前方に移動すると、装着位置の排出トレイ21と当接する。排出トレイ21との当接により、リリースユニット104が支持位置から前方へ移動することが規制される。排出トレイ21が装着位置から前方へ移動されて筐体14から取り外されると、排出トレイ21はリリースユニット104と接触しないので、リリースユニット104は、支持位置から前方へ移動可能となる。
【0059】
[両面画像記録]
両面画像記録は、記録用紙12の第1面と、第1面の反対の第2面との両面に画像記録が行われる処理である。
【0060】
両面画像記録が支持されると、給送ローラ25が回転されて給送トレイ20から記録用紙12が第1搬送路65へ送り出される。第1搬送路65の湾曲部33を通過した記録用紙12は、搬送ローラ対59に狭持されつつ直線部34を搬送向き15へ搬送される。プラテン42に支持された記録用紙12の第1面(上面)に対して、記録ヘッド38からインクが吐出されることにより記録用紙12の第1面に画像記録が行われる。画像記録が行われつつ搬送向き15へ搬送された記録用紙12は、排出ローラ対44に狭持されて直線部34を搬送向き15に搬送され、フラップ49と当接する。記録用紙12との当接により、フラップ49は、コイルばね86の付勢力に抗って押し下げられる。これにより、フラップ49は、第2状態に回動する。
【0061】
フラップ49を通過した記録用紙12は、反転ローラ67に狭持されて搬送向き15に搬送され、記録用紙12の後端がフラップ49を通過すると、フラップ49は、コイルばね86に付勢されることによって第2状態から第1状態に回動する。
【0062】
その後、反転ローラ67が正回転から逆回転に切り替えられると、反転ローラ対45は、記録用紙12を搬送向き15と逆向きに搬送する。搬送向き15と逆向きに搬送された記録用紙12は、第1状態のフラップ49に案内されて第2搬送路71に進入する。
【0063】
第2搬送路71に進入した記録用紙12は、再搬送ローラ対30によって更に反転搬送向き106に搬送される。第2搬送路71を反転搬送向き106に搬送された記録用紙12は、合流位置102を経て再び湾曲部33を搬送向き15に搬送される。その後、記録用紙12は、搬送ローラ対59に到達する。ここで、各ローラ60,62,67が逆回転から正回転に切り替えられると(再搬送ローラ22は正回転を維持される。)、記録用紙12は、搬送ローラ対59によって搬送向き15に搬送されて、記録部24の下方へ到達する。このとき、記録用紙12の第2面が、記録ヘッド38と対向する。記録ヘッド38は、記録用紙12の第2面にインクを吐出して画像記録を行う。その後、両面に画像記録された記録用紙12は、排出ローラ対44及び反転ローラ対45によって搬送向き15に搬送されて排出トレイ21に排出される。なお、記録用紙12の第1面にのみ画像記録が行われる場合には、反転ローラ67が逆回転に切り替えられずに正回転が継続される。これにより、反転ローラ対45が記録用紙12を搬送向き15に搬送させて排出トレイ21に排出する。
【0064】
[リリースユニット104の取り外し]
複合機10において、第1搬送路65の直線部34のプラテン42上や分岐位置101において記録用紙12が紙詰まり(ジャム)したときなどに、リリースユニット104が取り外される。
【0065】
ユーザの操作により、装着位置の給送トレイ20及び排出トレイ21は、筐体14から前方へ引き出されて筐体14から取り外される。これにより、図3に示されるように、筐体14の開口13を通じて、筐体14の前方へリリースユニット104が露出される。また、排出トレイ21が筐体14から取り外されることにより、支持位置のリリースユニット104が排出トレイ21と当接することなく前方へ移動可能となる。
【0066】
係合爪122がガイドフレーム107の貫通孔110から外れるように変形されつつ、支持位置のリリースユニット104がガイドフレーム107の載置部108に沿って前方へ引き出されて筐体14から取り外される。リリースユニット104と共に給送部16及び再搬送ローラ22も筐体14から取り外される。これにより、図4に示されるように、プラテン42は、自重によって回動軸43周りに前端側が下方へ回動して(図4における時計回り)、記録位置からリリース位置へ移動する。プラテン42がリリース位置へ移動することによって、第1搬送路65の直線部34において記録ヘッド38の下方の空間が開放され、筐体14の開口13を通じて外部からユーザがアクセス可能となる。
【0067】
また、ガイド位置のガイド部材105は、自重によって軸69周りに後端側が下方へ回動して開放位置となる(図4における反時計回り)。これにより、第1搬送路65及び第2搬送路71の分岐位置101付近の空間が開放され、筐体14の開口13を通じて外部からユーザがアクセス可能となる。
【0068】
紙詰まりなどが解消されると、前述と逆の操作によりリリースユニット104、給送トレイ20及び排出トレイ21が筐体14に装着される。図5に示されるように、リリースユニット104がガイドフレーム107の載置部108に沿って後方へ挿入されると、リリースユニット104の上面120がガイド部材105に下方から当接する。リリースユニット104が後方へ移動するに連れて、ガイド部材105の後端側が上方へ移動するように回動する(図5における時計回り)。すなわち、開放位置のガイド部材105がガイド位置へ向けて移動する。
【0069】
また、リリースユニット104が後方へ挿入されると、リリースユニット104の上面120がプラテン42に下方から当接する。リリースユニット104が後方へ移動するに連れて、プラテン42の前端側が上方へ移動するように回動する(図5における時計回り)。すなわち、リリース位置のプラテン42が記録位置へ向けて移動する。
【0070】
ガイドフレーム107の載置部108に沿って後方へ移動されるリリースユニット104は、当接部109と当接して支持位置に到達する。支持位置において、リリースユニット104の係合爪122は、ガイドフレーム107の貫通孔110に進入する。支持位置のリリースユニット104は、プラテン42を記録位置に保持する。また、支持位置のリリースユニット104は、ガイド部材105をガイド位置に保持する。
【0071】
リリースユニット104が筐体14に装着された後、給送トレイ20及び排出トレイ21が筐体14の開口13から後方へ挿入される。図2に示されるように、給送トレイ20及び排出トレイ21が装着位置に到達すると、リリースユニット104の前方に排出トレイ21が位置する。
【0072】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、排出トレイ21を筐体14から引き出さすことにより、支持位置のリリースユニット104の前方への移動規制が解除される。支持位置のリリースユニット104が前方へ移動されて筐体14から取り外されると、記録位置のプラテン42がリリース位置へ移動して記録ヘッド38から遠ざかる。このため、複合機10の小型化を図りつつ、筐体14の開口13を通して容易にジャムを解消することができる。
【0073】
また、リリースユニット104が筐体14に挿入されるときにリリース位置のプラテン42と当接して記録位置へ移動させることができる。
【0074】
また、ガイドフレーム107の貫通孔110と係合爪122とで構成されるロック機構により、リリースユニット104前後方向8へ移動させやすくするとともに、画像記録時においてリリースユニット104が支持位置からずれにくくなる。
【0075】
また、リリースユニット104の上面120は、第2搬送路71において当接部109の上面112よりも反転搬送向き106の上流かつ上方に位置するので、第2搬送路71においてリリースユニット104と当接部109とが当接する位置においてジャムが生じることが抑制される。
【0076】
また、リリースユニット104と一体に再搬送ローラ22が移動するので、リリースユニット104の移動作業が容易になる。
【0077】
また、リリースユニット104と一体に給送部16が移動するので、リリースユニット104の移動作業が容易になる。
【0078】
[変形例]
前述された実施形態では、排出トレイ21とリリースユニット104とは、それぞれ独立して筐体14から取り外されたが、排出トレイ21とリリースユニット104とが連結されており、一体に筐体14から取り外されてもよい。つまり、リリースユニット104は、装着位置の排出トレイ21により支持位置に保持されており、排出トレイ21が装着位置から前方へ移動されて筐体14から取り外されることにより、支持位置のリリースユニット104も連動して前方へ移動して筐体14から取り外されてもよい。これにより、、ジャム処理のための作業が一層容易になる。
【0079】
また、前述された実施形態では、リリースユニット104が給送部16及び再搬送ローラ22を支持しているが、リリースユニット104は、給送部16及び再搬送ローラ22を支持せず、給送部16及び再搬送ローラ22と独立して筐体14から取り外し可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10・・・複合機(画像記録装置)
13・・・開口
14・・・筐体
20・・・給送トレイ
21・・・排出トレイ
22・・・再搬送ローラ(搬送ローラ)
25・・・給送ローラ
38・・・記録ヘッド
42・・・プラテン
65・・・第1搬送路
71・・・第2搬送路
104・・・リリースユニット(干渉部材)
107・・・ガイドフレーム(第2ガイド部)
108・・・載置部
109・・・当接部
110・・・貫通孔(ロック機構)
120・・・上面(第1ガイド部)
122・・・係合爪(ロック機構)
図1
図2
図3
図4
図5