(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002054
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20231228BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B41J2/17
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101018
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】北村 紗也加
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB03
2C056EB15
2C056EB30
2C056EC03
2C056EC15
2C056EC29
2C056EC45
2C056FA04
2C056HA58
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】ヒータを通過するインクの流量が変動する場合でも、インクを適切に温調することができる技術を提供する。
【解決手段】制御波形取得部921は、相当量の時間変化に応じて生成される制御波形CW1を取得する。温度波形取得部922は、制御波形CW1に基づいてヒータ351を制御した場合に、ヒータ351を通過したインクの温度の時間変化を示す温度波形TpWを取得する。温度波形修正箇所特定部923は、温度波形TpWにおいて、温度が目標温度Ttgと異なる温度波形修正箇所C1を特定する。制御波形修正部926は、温度波形修正箇所C1の温度が目標温度Ttgとなるように、制御波形CW1を修正する。FF制御部911は、修正された制御波形CW1(修正制御波形CW2)と、入口温度Te1と目標温度Ttgの差分値とに基づいて、ヒータ351をフィードフォワード制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方法であって、
a) 長尺帯状の基材を所定の搬送経路に沿って搬送しながら、前記基材の表面に吐出ヘッドからインクを吐出する工程と、
b) 前記吐出ヘッドから吐出される前記インクの量に応じた相当量の前記インクを、前記インクを貯留可能なインクタンクから前記吐出ヘッドに供給する工程と、
c) 前記工程b)によって前記吐出ヘッドへ供給されるインクを加熱するヒータを、前記相当量に基づいて生成される制御波形に基づいて制御する工程と、
を含み、
前記工程c)は、
c1) 前記制御波形を取得する工程と、
c2) 前記制御波形に基づいて前記ヒータを制御した場合に、前記ヒータを通過した前記インクの温度の時間変化を示す温度波形を取得する工程と、
c3) 前記温度波形において、温度が所定の目標温度と異なる温度波形修正箇所を特定する工程と、
c4) 前記温度波形修正箇所の温度が前記目標温度となるように前記制御波形を修正する工程と、
c5) 前記ヒータを通過する前の前記インクの第1温度を測定する工程と、
c6) 前記工程c4)によって修正された前記制御波形と、前記第1温度と前記目標温度の差分値とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御する工程と、
を含む、印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記工程c4)は、
c41) 前記温度波形修正箇所の時点における前記相当量に基づいて、無駄時間を算出する工程と、
c42) 前記無駄時間に基づいて、前記制御波形における修正するべき制御波形修正箇所を特定する制御波形修正箇所特定部と、
c43) 前記制御波形修正箇所と、前記温度波形とに基づいて、前記制御波形を修正する工程と、
を含む、印刷方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷方法であって、
前記工程c1)は、前記基材に印刷するべき印刷パターンを示す印刷パターンデータに基づいて、前記制御波形を生成する工程を含む、印刷方法。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷方法であって、
前記工程b2)は、前記印刷パターンデータおよび前記制御波形に基づいて、前記温度波形を予測する工程を含む、印刷方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の印刷方法であって、
d) 前記ヒータを通過したインクの温度に基づいて、フィードバック制御を行う工程、
をさらに備える、印刷方法。
【請求項6】
インクを吐出する吐出ヘッドと、
前記インクを貯蔵可能なインクタンクと、
前記吐出ヘッドから吐出される前記インクの量に応じた相当量の前記インクを、前記インクタンクから前記吐出ヘッドへ前記インクを供給するインク供給部と、
前記インクタンクから前記吐出ヘッドへ供給される前記インクを加熱するヒータと、
前記ヒータを通過する前の前記インクの第1温度を検出する第1温度センサと、
前記ヒータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記相当量の時間変化に応じて生成される制御波形を取得する制御波形取得部と、
前記制御波形に基づいて前記ヒータを制御した場合に、前記ヒータを通過した前記インクの温度の時間変化を示す温度波形を取得する温度波形取得部と、
前記温度波形において、温度が所定の目標温度と異なる温度波形修正箇所を特定する温度波形修正箇所特定部と、
前記温度波形修正箇所の温度が目標温度となるように、前記制御波形を修正する制御波形修正部と、
を有し、
前記制御部は、前記制御波形修正部によって修正された前記制御波形と、前記第1温度と前記目標温度の差分値とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御する、印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記温度波形修正箇所の時点における前記相当量に基づいて、無駄時間を算出する無駄時間算出部と、
前記無駄時間に基づいて、前記制御波形の修正するべき制御波形修正箇所を特定する制御波形修正箇所定部と、
をさらに有し、
前記制御波形修正部は、前記制御波形修正箇所と、前記温度波形とに基づいて、前記制御波形を修正する、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺帯状である連帳の基材をロールtoロール方式で搬送しつつ、吐出ヘッドから基材の表面にインクを吐出することによって、基材に画像を形成する印刷装置が知られている。この種の印刷装置では、一般的に、インクの粘度管理が重要となっている。
【0003】
例えば、インクの温度が低下した場合、粘度が増大することによって、吐出ムラが発生することで、インクの着弾位置のずれ、または、スジの発生などの不具合が発生する。このため、インク温度を一定にする目的で、インクを加熱する機構が設けられる場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、吐出ヘッドに接続された循環経路内でインクが循環されるとともに、当該循環経路を流れるインクが温水ユニットで加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、吐出ヘッド内のインクの温度は、未使用のインクを貯蔵するインクタンクから吐出ヘッドへ流入するインクの量に応じて、不規則に変動し得る。このため、吐出ヘッド内のインクを一様に加熱するだけでは、インクの温度変動が大きくなるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、ヒータを通過するインクの流量が変動する場合でも、インクを適切に温調することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1態様は、印刷方法であって、a)長尺帯状の基材を所定の搬送経路に沿って搬送しながら、前記基材の表面に吐出ヘッドからインクを吐出する工程と、b)前記吐出ヘッドから吐出される前記インクの量に応じた相当量の前記インクを、前記インクを貯留可能なインクタンクから前記吐出ヘッドに供給する工程と、c)前記工程b)によって前記吐出ヘッドへ供給されるインクを加熱するヒータを、前記相当量の時間変化に応じて生成される制御波形に基づいて制御する工程と、を含み、前記工程c)は、c1)前記制御波形を取得する工程と、c2)前記制御波形に基づいて前記ヒータを制御した場合に、前記ヒータを通過した前記インクの温度の時間変化を示す温度波形を取得する工程と、c3)前記温度波形において、温度が所定の目標温度と異なる温度波形修正箇所を特定する工程と、c4)前記温度波形修正箇所の温度が前記目標温度となるように前記制御波形を修正する工程と、c5)前記ヒータを通過する前の前記インクの第1温度を測定する工程と、c6)前記工程c4)によって修正された前記制御波形と、前記第1温度と前記目標温度の差分値とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御する工程とを含む。
【0009】
第2態様は、第1態様の印刷方法であって、前記工程c4)は、c41)前記温度波形修正箇所の時点における前記相当量に基づいて、無駄時間を算出する工程と、c42)前記無駄時間に基づいて、前記制御波形における修正するべき制御波形修正箇所を特定する制御波形修正箇所特定部と、c43)前記制御波形修正箇所と、前記温度波形とに基づいて、前記制御波形を修正する工程とを含む。
【0010】
第3態様は、第1態様または第2態様の印刷方法であって、前記工程c1)は、前記基材に印刷するべき印刷パターンを示す印刷パターンデータに基づいて、前記制御波形を生成する工程を含む。
【0011】
第4態様は、第3態様の印刷方法であって、前記工程b2)は、前記印刷パターンデータおよび前記制御波形に基づいて、前記温度波形を予測する工程を含む。
【0012】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つの印刷方法であって、(d)前記ヒータを通過したインクの温度に基づいて、フィードバック制御を行う工程をさらに備える。
【0013】
第6態様は、インクを吐出する吐出ヘッドと、前記インクを貯蔵可能なインクタンクと、前記吐出ヘッドから吐出される前記インクの量に応じた相当量の前記インクを、前記インクタンクから前記吐出ヘッドへ前記インクを供給するインク供給部と、前記インクタンクから前記吐出ヘッドへ供給される前記インクを加熱するヒータと、前記ヒータを通過する前の前記インクの第1温度を検出する第1温度センサと、前記ヒータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記相当量の時間変化に応じて生成される制御波形を取得する制御波形取得部と、前記制御波形に基づいて前記ヒータを制御した場合に、前記ヒータを通過した前記インクの温度の時間変化を示す温度波形を取得する温度波形取得部と、前記温度波形において、温度が所定の目標温度と異なる温度波形修正箇所を特定する温度波形修正箇所特定部と、前記温度波形修正箇所の温度が目標温度となるように、前記制御波形を修正する制御波形修正部と、を有し、前記制御部は、前記制御波形修正部によって修正された前記制御波形と、前記第1温度と前記目標温度の差分値とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御する。
【0014】
第7態様は、第6態様の印刷装置であって、前記制御部は、記温度波形修正箇所の時点に前記相当量に基づいて、無駄時間を算出する無駄時間算出部と、前記無駄時間に基づいて、前記制御波形の修正するべき制御波形修正箇所を特定する制御波形修正箇所定部と、をさらに有し、前記制御波形修正部は、前記制御波形修正箇所と、前記温度波形とに基づいて、前記制御波形を修正する。
【発明の効果】
【0015】
第1態様から第5態様の印刷方法によれば、予め温度波形が目標温度となるように制御波形が修正され、修正された制御波形に基づいてヒータがフィードフォワード制御される。これにより、実際にヒータを通過するインクの温度が目標温度となるように、インクを適切に温調できる。
【0016】
第2態様の印刷方法によれば、相当量に応じた無駄時間を考慮して制御波形が修正されるため、無駄時間を補償できる。したがって、インクを適切に温調できる。
【0017】
第3態様の印刷方法によれば、印刷パターンデータが示すインクの相当量から、制御波形を生成できる。
【0018】
印刷パターンデータおよび制御波形に基づいて、温度波形を適切に予測することができる。
【0019】
第5態様の印刷方法によれば、フィードバック制御によりインクの温度を目標温度に維持することができる。
【0020】
第6態様の印刷装置によれば、予め温度波形が目標温度となるように制御波形が修正され、修正された制御波形に基づいてヒータがフィードフォワード制御される。これにより、実際にヒータを通過するインクの温度が目標温度となるように、インクを適切に温調できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る印刷装置の構成を示す図である。
【
図2】制御部と印刷装置の各部との接続を示すブロック図である。
【
図3】ヒータを制御するための制御ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0023】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る印刷装置1の構成を示す図である。印刷装置1は、インクジェット方式で印刷を行う装置である。より詳細には、印刷装置1は、複数の搬送ローラ12で長尺帯状の基材Wを搬送しつつ、複数の吐出ヘッド21―24から基材Wへインクを吐出することにより、基材Wの表面に画像を記録する。基材Wは、例えば柔軟性を有する媒体であって、例えば、印刷用紙、樹脂製フィルム、段ボールまたは金属薄膜である。
【0024】
図1に示すように、印刷装置1は、搬送機構10と、印刷部20と、供給部30と、エンコーダ60と、カメラ70と、複数の各種センサ80と、制御部9とを備えている。
【0025】
搬送機構10は、所定の搬送経路に沿って、基材Wの長手方向に沿う搬送方向に、基材Wを搬送する。搬送機構10は、巻出ローラ11、複数の搬送ローラ12および巻取ローラ13を有する。基材Wは、これらのローラに掛け渡される。また、基材Wは、巻出ローラ11から繰り出され、複数の搬送ローラ12に支持されつつ、所定の搬送経路に沿って搬送される。各搬送ローラ12は、搬送方向に対して垂直な方向に延びる軸を中心として回転することにより、基材Wを搬送経路の下流側へ案内する。複数の搬送ローラ12によって搬送された基材Wは、巻取ローラ13に巻き取られる。基材Wには、搬送方向の張力が掛けられている。これにより、搬送中における基材Wの弛みや皺が抑制される。
【0026】
搬送機構10は、一部のローラ(以下、「駆動ローラ」と称する)を回転させるモータ14をさらに有する。搬送機構10は、複数のモータ14を備えていてもよい。モータ14は、制御部9と電気的に接続されている。モータ14の駆動時には、制御部9から、モータ14を回転駆動させるための指令値が各モータ14へ入力される。そうすると、モータ14が、指令値に応じて駆動し、駆動ローラが回転する。この結果、巻出ローラ11から巻取ローラ13へ向けて、基材Wが搬送される。
【0027】
印刷部20は、搬送機構10により搬送される基材Wに対して、インクの液滴(以下「インク滴」と称する)を吐出する処理部である。印刷部20は、複数(本例では、4つ)吐出ヘッド21―24を有する。吐出ヘッド21―24は、互いに同じ構造を有する。また、吐出ヘッド21―24は、基材Wの搬送方向に沿って、間隔をあけて配列されている。なお、基材Wは、複数の吐出ヘッド21―24の下方において、複数の吐出ヘッド21―24の配列方向と略平行に移動する。このとき、基材Wの表面(印刷面)は、上方(各吐出ヘッド21―24側)に向いている。
【0028】
また、吐出ヘッド21―24はそれぞれ、インクを貯蔵可能な内部空間と、複数のノズル(不図示)とを有する。複数のノズルは、各吐出ヘッド21―24の下面において、基材Wの幅方向と平行に配列されている。また、複数のノズルはそれぞれ、図示を省略した圧力発生素子としてのピエゾ素子と、各吐出ヘッド21―24の内部空間に連通する吐出口とを有する。インク吐出時には、上記内部空間から吐出口付近へインクが流下する。そして、ピエゾ素子の作用により、吐出口付近のインクが加圧されることにより、吐出口から液滴状のインクが吐出される。なお、インクの吐出方式は、圧力発生素子としてヒータを用いることにより、吐出口付近のインクを加熱して泡を発生させる、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0029】
各吐出ヘッド21―24は、複数のノズルから基材Wの上面へ向けて、多色画像の色成分となるK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインク滴を、それぞれ吐出する。すなわち、吐出ヘッド21は、搬送経路上の処理位置である第1印刷位置P1において、基材Wの上面に、処理物質としてのK色のインク滴を吐出する。吐出ヘッド22は、第1印刷位置P1よりも下流側の処理位置である第2印刷位置P2において、基材Wの上面に、処理物質としてのC色のインク滴を吐出する。吐出ヘッド23は、第2印刷位置P2よりも下流側の処理位置である第3印刷位置P3において、基材Wの上面に、処理物質としてのM色のインク滴を吐出する。吐出ヘッド24は、第3印刷位置P3よりも下流側の処理位置である第4印刷位置P4において、基材Wの上面に、処理物質としてのY色のインク滴を吐出する。
【0030】
本実施形態では、第1印刷位置P1、第2印刷位置P2、第3印刷位置P3、および第4印刷位置P4は、基材Wの搬送方向に沿って、等間隔に配列されている。吐出ヘッド21―24は、インク滴を吐出することによって、基材Wの上面に、それぞれ単色画像を記録する。そして、4つの単色画像の重ね合わせにより、基材Wの上面に、多色画像が形成される。また、各吐出ヘッド21―24は、インク滴を吐出することによって、基材Wの上面に、印字を行うこともできる。
【0031】
供給部30は、インクを吐出ヘッド21―24に供給するユニットである。供給部30は、複数(本例では、4つ)のインク供給系統31を有する。複数のインク供給系統31は、吐出ヘッド21―24にそれぞれ接続されており、対応する色のインクを吐出ヘッド21―24にそれぞれ供給する。以下、吐出ヘッド21にインクを供給するインク供給系統31について説明する。
【0032】
インク供給系統31は、インクタンク311と、配管321と、ポンプ331と、流量計341と、ヒータ351と、入口温度センサ361と、出口温度センサ371と、液面センサ381を有する。
【0033】
インクタンク311は、未使用のインクを貯留可能である。配管321の一端は、吐出ヘッド21の内部空間に接続されている。配管321の他端は、インクタンク311に接続されている。ポンプ331は、配管321に設置されている。ポンプ331は、制御部9から入力される駆動値に基づいて、動作する。これにより、インクタンク311から吐出ヘッド21へと向かうインクの流れを発生させる。ポンプ331は、例えばブラシレスモータが搭載されたポンプである。配管321およびポンプ331は、インクタンク311から吐出ヘッド21へインクを供給する「供給部」の一例である。なお、インクタンク311内を加圧する加圧機構によって、インクタンク311のインクが吐出ヘッド21へ送られてもよい。この場合、加圧機構が「供給部」として機能する。
【0034】
なお、インクタンク311よりも上流側に、インクタンク311に対してインクを供給する一次タンクが設けられていてもよい。インクタンク311における貯蔵インク量の低下等に応じて、一次タンクからインクが供給されるようにしてもよい。
【0035】
流量計341は、配管321に設置されている。流量計341は、配管321内を流れるインクの流量を測定する。流量計341は、測定した流量値FR1を示す信号を、制御部9へ送信する。
【0036】
吐出ヘッド21から基材Wへ向けてインク滴が吐出されると、吐出ヘッド21内のインク量が減少する。制御部9は、吐出ヘッド21内のインク量の減少に応じて、ポンプ331に対して駆動値を入力する。これにより、ポンプ331が駆動値に応じて駆動し、吐出ヘッド21内のインクの減少量(消費量)に応じた相当量のインクが、インクタンク311から吐出ヘッド21へ供給される。他の吐出ヘッド22―24についても、吐出ヘッド21と同様に、対応するインク供給系統31からインクがそれぞれ供給される。
【0037】
ヒータ351は、ポンプ331によってインクタンク311から吐出ヘッド21に供給されるインクを加熱する。ヒータ351は、配管321に設置されている。ヒータ351は、ポンプ331と流量計341との間に位置する。ヒータ351は、配管321を流れるインクを加熱する。流量計341が測定する流量値FR1は、ヒータ351を通過するインクの流量に相当する。
【0038】
入口温度センサ361は、配管321のうち、インクタンク311とヒータ351との間の配管部分に位置する。入口温度センサ361は、ヒータ351の入口に配置されている。入口温度センサ361は、計測した温度を示す信号を制御部9へ送信する。入口温度センサ361は、インクタンク311からヒータ351へ流れるインク、すなわち、ヒータ351を通過する前のインクの温度(第1温度)を測定する「第1温度センサ」の一例である。
【0039】
出口温度センサ371は、配管321に設置されている。出口温度センサ371は、ヒータ351と吐出ヘッド21との間に位置する。出口温度センサ371は、ヒータ351から配管321を介して吐出ヘッド21に流れるインクの温度を計測する。本例では、出口温度センサ371は、ヒータ351の出口近傍に設けられている。このため、出口温度センサ371は、ヒータ351を通過した直後のインクの温度を計測する。ただし、出口温度センサ371は、ヒータ351よりも吐出ヘッド21の近くに位置していてもよい。出口温度センサ371は、計測した温度を示す信号を制御部9へ送信する。出口温度センサ371は、ヒータ351から吐出ヘッド21,22,23または24へ流れるインク、すなわち、ヒータ351を通過したインクの温度(第2温度)を測定する。
【0040】
液面センサ381は、吐出ヘッド21内のインク量を計測するためのセンサであり、吐出ヘッド21内におけるインクの液面の高さを計測する。液面センサ381は、例えば、超音波を用いて液面の高さを検出する非接触式のセンサである。液面センサ381は、計測した液面の高さを示す信号を、制御部9に送信する。
【0041】
エンコーダ60は、複数の搬送ローラ12のうちの1つ(
図1の例では、搬送ローラ121)の軸芯に取り付けられる。エンコーダ60は、搬送ローラ121の回転を検出し、搬送ローラ121の回転に同期した連続パルス信号を、制御部9へ出力する。連続パルス信号は、搬送ローラ121を含む複数の搬送ローラ12によって搬送される基材Wの搬送速度の経時変化を反映したデータである。
【0042】
カメラ70は、印刷部20を通過した基材Wの印刷面(表面)を撮影する撮像装置である。カメラ70は、4つの吐出ヘッド21―24よりも搬送経路の下流側の撮影位置P5において、基材Wの印刷面に対向して配置される。カメラ70は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が、幅方向に複数配列されたラインセンサを有する。搬送機構10により基材Wが搬送されている間、カメラ70は、基材Wの印刷面を所定周期で撮影することにより、印刷済みの基材Wの画像データを取得する。カメラ70は、得られた画像データを、制御部9へ送信する。
【0043】
複数の各種センサ80は、上記に挙げられたものの他に、基材Wの搬送状態を計測する計測器である。複数の各種センサ80は、基材Wの搬送経路上の複数の計測箇所に設けられている。各種センサ80は、各計測箇所において、それぞれ計測値を取得する。各種センサ80の計測項目には、例えば、基材Wの上下変位(基材Wに対して垂直な方向の変位量)、基材Wに掛かる張力、基材Wのエッジの幅方向の位置、等を含めることができる。なお、同一の項目を計測する各種センサ80が、搬送経路の複数の位置に配置されていてもよい。搬送機構10により基材Wが搬送されている間、複数の各種センサ80は、各計測箇所の状態を、常に計測する。そして、各種センサ80は、得られた計測値を示す信号を、制御部9へ送信する。
【0044】
図2は、制御部9と印刷装置1の各部との接続を示すブロック図である。制御部9は、印刷装置1の動作を制御する。制御部9は、CPUなどで構成されるプロセッサ91と、RAMまたはハードディスクなどで構成される記憶部93と、を有する。記憶部93は、プログラム90Pおよび各種データを記憶する。
【0045】
プログラム90Pは、記録媒体Mによって提供される。プログラム90Pは、記録媒体Mに、コンピュータである制御部9によって読取可能に記録されている。記録媒体Mは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学ディスク、または、磁気ディスクである。
【0046】
制御部9は、搬送機構10のモータ14と、印刷部20の吐出ヘッド21―24と、供給部30のポンプ331、流量計341、ヒータ351、入口温度センサ361、出口温度センサ371および液面センサ381、通信可能に接続されている。また、制御部9は、エンコーダ60と、カメラ70と、各種センサ80と、通信可能に接続されている。
【0047】
制御部9は、吐出ヘッド21―24に供給されるインクの温度が所定の目標温度Ttgとなるように、ヒータ351を制御する。
図2に示される供給制御部910、フィードフォワード(FF)制御部911、フィードバック(FB)制御部912、制御値補正部913、制御波形取得部921、温度波形取得部922、温度波形修正箇所特定部923、無駄時間算出部924、制御波形修正箇所特定部925および制御波形修正部926は、プロセッサ91がプログラム90Pを実行することによって実現される機能である。
【0048】
供給制御部910は、基材Wに印刷するべき画像を示す印刷パターンデータPD1に基づいて、供給部30のポンプ331を制御する。より詳細には、供給制御部910は、ポンプ331を制御するためのポンプ駆動波形を生成する。ポンプ駆動波形は、具体的にはポンプ331に付与される制御電圧の時間的変化である。例えば、印刷パターンデータPD1上でインク消費量が相対的に大きい部分がある場合、その部分を印刷するときのインク供給量が大きくなるようにポンプ駆動波形が生成される。逆に、印刷パターンデータPD1上でインク消費量が小さくなる部分がある場合、その部分を印刷するときのインク供給量が小さくなるようにポンプ駆動波形が生成される。
【0049】
FF制御部911は、ヒータ351のFF制御を行う。また、FB制御部912は、ヒータ351のFB制御を行う。制御波形取得部921、温度波形取得部922、温度波形修正箇所特定部923、無駄時間算出部924、制御波形修正箇所特定部925、制御波形修正部926は、FF制御部911に入力される制御波形CW1を修正するために設けられた構成である。
【0050】
<ヒータ制御>
図3は、ヒータ351を制御するための制御ブロックを示す図である。以下の説明では、吐出ヘッド21に接続されているインク供給系統31のヒータ351を制御する場合について主に説明する。吐出ヘッド22―24に接続されるインク供給系統31においても、
図3と同様の制御が行われる。
【0051】
FF制御部911は、ヒータ351をFF制御するためのFF制御値CV1を生成する。FF制御値CV1は、例えば、ヒータ351における熱源(例えば、電熱線)に付与される電力値を示す値である。FF制御部911は、温度差ΔT1および修正制御波形CW2を入力変数とし、FF制御値CV1を出力とする。FF制御部911は、FF制御値CV1を、制御値補正部913に入力する。
【0052】
温度差ΔT1は、目標温度Ttgと、入口温度センサ361によって計測される入口温度Te1との差分値である。修正制御波形CW2は、後述する修正処理によって修正された制御波形CW1である。
【0053】
FB制御部912は、出口温度センサ371によって計測されるインクの温度が、予め設定された目標温度Ttgとなるように、ヒータ351をFB制御する。FB制御は、好ましくはPID制御、または、PI制御である。FB制御部912は、FB制御値CV2を生成する。FB制御値CV2は、例えば、ヒータ351における熱源(例えば、電熱線)に付与される電力値を示す値である。FB制御部912は、温度差ΔT2に基づいて、FB制御値CV2を出力する。温度差ΔT2は、目標温度Ttgと、出口温度センサ371によって計測される出口温度Te2との差分値である。
【0054】
制御値補正部913は、FF制御値CV1にゲインG1を乗じることにより、補正されたFF制御値CV1(修正FF制御値CV1a)を算出する。ゲインG1は、例えば、事前に行われる予備実験によって設定される。
【0055】
図3に示されるように、制御部9は、修正FF制御値CV1aとFB制御値CV2とを足し合わせたヒータ指令値CV3をヒータ351に出力する。ヒータ351は、入力されるヒータ指令値CV3に応じてインクの加熱を行う。
【0056】
<制御波形CW1の修正処理>
制御波形取得部921は、印刷パターンデータPD1を入力変数とし、制御波形CW1を出力変数とする。制御波形CW1は、FF制御部911がFF制御値CV1を生成するためにFF制御部911に入力される波形である。ただし、本実施形態では、以下に説明するように、FF制御部911は、制御波形修正部926によって修正された制御波形CW1(修正制御波形CW2)に基づいて、FF制御値CV1を生成する。
【0057】
印刷パターンデータPD1は、インクの使用量を示すデータであって、吐出ヘッド21におけるインクの吐出量に応じた相当量を示す情報である。このため、制御波形CW1は、印刷パターンデータPD1が示す相当量(ヒータ351を通過するインクの流量)に基づいて生成される。相当量が増大する場合(すなわち、ヒータ351におけるインク流量が大きくなる)場合、インクに付与する熱量を増大させるために、制御波形の値が大きく設定される。これに対して、相当量が減少する場合(インク流量が小さくなる場合)は、制御波形の値が小さく設定される。このように、制御波形CW1は、ヒータ351におけるインクの流量に応じて、ヒータ351が付与する熱量が増減するように生成される。
【0058】
制御波形取得部921が印刷パターンデータPD1から制御波形CW1を生成するアルゴリズムとしては、例えば、事前に作成される物理モデルが用いられてもよいし、機械学習が用いられてもよい。また、制御波形取得部921は、印刷パターンデータPD1からインク消費量の波形(時間変化)を生成し、その波形を時間軸について未来へシフトさせたものを、制御波形CW1としてもよい。
【0059】
温度波形取得部922は、印刷パターンデータPD1および制御波形CW1を入力変数とし、温度波形TpWを出力変数とする。温度波形TpWは、出口温度Te2の予測値の時間的変化を示すデータである。温度波形取得部922が温度波形TpWを生成するアルゴリズムとしては、例えば、事前に作成される物理モデルが用いられてもよいし、機械学習が用いられてもよい。
【0060】
なお、機械学習モデルを事前学習する場合、学習用データとして、FF制御のゲインG1を決定する予備実験で得られたデータが用いられてもよいし、あるいは、シミュレーションのデータが用いられてもよい。また、機械学習モデルの学習は、印刷中に得られるデータを用いる逐次学習であってもよい。また、一定期間に取得されるデータを用いる一括学習を行うことによって、機械学習モデルが随時入れ替えられてもよい。機械学習を行う際のアルゴリズムとして、ランダムフォレストなどのツリー系アルゴリズムが用いられてもよいし、サポートベクタマシンが用いられてもよい。
【0061】
温度波形修正箇所特定部923は、差分温度波形TsWを入力変数とし、温度波形修正箇所C1を出力変数とする。差分温度波形TsWは、温度波形TpWと目標温度Ttgとの差分である。温度波形修正箇所C1は、温度波形TpWにおいて、出口温度Te2(予測値)が目標温度Ttgと異なる箇所(出口温度Te2が目標温度Ttgに対して所定閾値を越えて外れる箇所)を示す情報である。
【0062】
なお、印刷パターンデータPD1、制御波形CW1、温度波形TpWおよび差分温度波形TsWは、時間軸で区切られた一元的なインデックス値によって管理されていてもよい。この場合、温度波形修正箇所C1および制御波形修正箇所C2は、そのインデックス値を指す値としてもよい。このインデックス値は、特定の時間(期間)に相当する情報である。
【0063】
無駄時間算出部924は、印刷パターンデータPD1および温度波形修正箇所C1を入力変数とし、無駄時間DTを出力変数とする。無駄時間算出部924は、温度波形修正箇所C1の時点におけるインクの流量値FR1(相当量)を、印刷パターンデータPD1から算出し、算出された流量値FR1から無駄時間DTを算出する。
【0064】
無駄時間DTは、制御部9がヒータ351に制御信号(具体的には、修正FF制御値CV1aを含むヒータ指令値CV3)を与えてから、出口温度センサ371において制御信号に基づく制御結果が現れるまでの時間(すなわち、出口温度Te2が変化し始めるまでの時間)である。流量値FR1が増大する場合、流速が増大することによって、ヒータ351から出口温度センサ371までインクが相対的に早く移動する。このため、無駄時間DTは相対的に短くなる。これに対して、流量値FR1が低下する場合、インクの流速が低下することによって、無駄時間DTが相対的に長くなる。このように、無駄時間DTは流量値FR1に依存する。このため、印刷パターンデータPD1から求められる流量値FR1から無駄時間DTを適切に見積もることができる。
【0065】
印刷パターンデータPD1と流量値FR1との関係、および、流量値FR1と無駄時間DTの関係は、例えば、ゲインG1を決定するための事前の予備的な実験により取得される。
【0066】
制御波形修正箇所特定部925は、無駄時間DTおよび温度波形修正箇所C1を入力変数とし、制御波形修正箇所C2を出力する。制御波形修正箇所特定部925は、無駄時間DTおよび温度波形修正箇所C1に基づいて、制御波形修正箇所C2を特定する。具体的には、温度波形修正箇所C1から、無駄時間DTだけ遡った箇所(時間)を、制御波形修正箇所C2とする。
【0067】
制御波形修正部926は、制御波形CW1を修正した修正制御波形CW2を生成する。制御波形修正部926は、印刷パターンデータPD1、差分温度波形TsW、制御波形CW1および制御波形修正箇所C2を入力変数として、修正制御波形CW2を出力変数とする。制御波形修正箇所特定部925が修正制御波形CW2を生成するアルゴリズムとしては、例えば、事前に作成される物理モデルが用いられてもよいし、機械学習が用いられてもよい。
【0068】
機械学習モデルを事前学習する場合、学習用データとして、FF制御のゲインG1を決定する予備実験で得られたデータが用いられてもよいし、あるいは、シミュレーションのデータが用いられてもよい。機械学習を行う際のアルゴリズムとして、ランダムフォレストなどのツリー系アルゴリズムが用いられてもよいし、サポートベクタマシンが用いられてもよい。
【0069】
図4は、制御波形CW1の修正処理の流れを示す図である。まず、制御波形取得部921は、印刷パターンデータPD1に基づいて、制御波形CW1を生成する(
図4:ステップS10)。
【0070】
制御波形CW1が生成された後、温度波形取得部922は、印刷パターンデータPD1および制御波形CW1から、温度波形TpWを生成する(
図4:ステップS11)。
【0071】
温度波形TpWが生成された後、温度波形修正箇所特定部923は、差分温度波形TsWに基づいて、温度を修正するべき温度波形修正箇所C1を特定する(
図4:ステップS12)。
【0072】
温度波形修正箇所C1があった場合(
図4:ステップS12においてYes)、無駄時間算出部924が無駄時間DTを算出する(
図4:ステップS13)。
【0073】
無駄時間DTが算出された後、制御波形修正箇所特定部925は、制御波形CW1における修正するべき箇所を特定する(
図4:ステップS14)。
【0074】
制御波形修正箇所C2が特定された後、制御波形修正部926は、制御波形CW1を修正する(
図4:ステップS15)。制御波形修正部926は、印刷パターンデータPD1、制御波形CW1、差分温度波形TsW、および制御波形修正箇所C2を用いて、修正制御波形CW2を生成する。
【0075】
制御波形CW1が修正された後、制御部9は、印刷処理が終了したか判定する(
図4:ステップS16)。印刷処理が終了した場合、制御部9は制御フローを終了する。印刷処理が終了していない場合、制御部9はステップS11を再び実行する。また、ステップS12において、温度波形TpWの温度波形修正箇所C1がない場合(
図4:ステップS12においてNo)、制御部9は、ステップS12~ステップS15をスキップして、ステップS16を実行する。
【0076】
<効果>
以上のように、印刷装置1では、あらかじめ出口温度Te2の温度波形が目標温度Ttgとなるように制御波形CW1が修正され、修正された制御波形CW1(修正制御波形CW2)に基づいてFF制御が行われる。これにより、実際にヒータ351を通過するインクの温度(出口温度Te2)が目標温度Ttgとなるようにヒータ351が制御されるため、インクを適切に温調できる。
【0077】
また、無駄時間DTを考慮して制御波形CW1が修正されるため、単にインクの流量変化だけでなく、無駄時間DTの変動も考慮してヒータ351を制御できる。仮に、未修正の制御波形CW1を用いて制御を行った場合、無駄時間DTが考慮されていないため、無駄時間DTに応じて制御に遅延が生じ得る。これに対して、無駄時間DTを考慮して制御波形CW1を修正することによって、無駄時間DTを補償するヒータ制御を実現できるため、インクの温調を適切に行うことができる。
【0078】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0079】
例えば、上記実施形態では、
図4に示されるように、印刷中に制御波形CW1の修正処理が行われている。しかしながら、制御波形CW1の修正処理は、印刷前に1度だけ行われるようにしてもよい。印刷パターンデータPD1が同じ印刷パターンが繰り返される、周期的な印刷パターンである場合には、その周期に応じて周期的に制御波形CW1を修正するようにしてもよい。
【0080】
印刷パターンデータPD1が、周期的な印刷パターンである場合、制御波形取得部921は実データの制御波形を取得し、かつ、温度波形取得部922が実データの温度波形TpWを取得するようにしてもよい。
【0081】
上記実施形態では、無駄時間算出部924、制御波形修正箇所特定部925、および、制御波形修正部926によって、修正制御波形CW2が生成されている。しかしながら、制御波形修正部926は、これら3つをまとめた機能をもつ機械学習のモデルを用いて、修正制御波形CW2を生成するように構成されていてもよい。
【0082】
制御波形取得部921、温度波形取得部922、温度波形修正箇所特定部923、無駄時間算出部924の入力変数として、印刷パターンデータPD1の代わりにポンプ331の駆動値波形が使用されてもよい。
【0083】
上記実施形態では、制御部9は、修正FF制御値CV1aとFB制御値CV2とを足しこんだヒータ指令値CV3をもって、1つのヒータ351を制御している。しかしながら、修正FF制御値CV1aとFB制御値CV2とを分離して、それぞれを以て2つのヒータを制御してもよい。
【0084】
上記実施形態では、FF制御部911の入力として、ヒータ351入口近傍の入口温度Te1が使用されている。しかしながら、入口温度Te1の代わりに、例えば、インクタンク311内のインク温度が使用されてもよい。また、インクタンク311内のインクの温度を測定する温度センサが設けられてもよい。この場合、インクタンク311内に貯留されているインクの温度をFF制御に反映できる。
【0085】
上記実施形態では、FB制御部912の入力として、ヒータ351出口付近の出口温度Te2が使用されている。しかしながら、出口温度Te2の代わりに、吐出ヘッド21―24内のインク温度、もしくは、吐出ヘッド21―24に設けられたリザーバ(不図示)内のインク温度が使用されてもよい。この場合、インク吐出位置におけるインクの温度を、FB制御に反映できる。
【0086】
上記実施形態では、供給部30から各吐出ヘッド21―24へ、インクが一方向に供給されている。しかしながら、供給部30と各吐出ヘッド21―24との間でインクを循環させる循環経路が設けられていてもよい。また、吐出ヘッド21―24内においてインクを循環させる循環経路が設けられていてもよい。また、循環経路上にインクを加熱するヒータが設けられ、FF制御部911およびFB制御部912が当該ヒータを制御してもよい。
【0087】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 印刷装置
9 制御部
21 吐出ヘッド
311 インクタンク
331 ポンプ(インク供給部)
351 ヒータ
361 入口温度センサ(第1温度センサ)
911 フィードフォワード制御部
912 フィードバック制御部
921 制御波形取得部
922 温度波形取得部
923 温度波形修正箇所特定部
924 無駄時間算出部
925 制御波形修正箇所特定部
926 制御波形修正部