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特開2024-2055対面縦抱き子守帯および対面縦抱き子守帯用のネックサポート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002055
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】対面縦抱き子守帯および対面縦抱き子守帯用のネックサポート
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A47D13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101019
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】310019730
【氏名又は名称】グラコ・チルドレンズ・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和己
(72)【発明者】
【氏名】河崎 桂子
(57)【要約】
【課題】乳幼児を安定した姿勢で保持することが可能な対面縦抱き子守帯および対面縦抱き子守帯用のネックサポートを提供すること。
【解決手段】対面縦抱き子守帯は、使用者と乳幼児の顔が対面した状態で、乳幼児の体を立てて抱っこするための対面縦抱き子守帯において、乳幼児を保持するためのシート部と、シート部に接続され、使用者の肩に掛けられる肩ベルトと、シート部に取り付けられ、乳幼児の後頭部と首を背後から包み込むように保持するネックサポート(7)とを備える。ネックサポート(7)は、乳幼児の後頭部を背後から受け入れる基部(71)と、基部の下方に位置し、基部から隆起して設けられ、乳幼児の首の後ろを支持する隆起部(72)とを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者と乳幼児の顔が対面した状態で、乳幼児の体を立てて抱っこするための対面縦抱き子守帯において、
乳幼児を保持するためのシート部と、
前記シート部に接続され、使用者の肩に掛けられる肩ベルトと、
前記シート部に取り付けられ、乳幼児の後頭部と首を背後から包み込むように保持するネックサポートとを備え、
前記ネックサポートは、
乳幼児の後頭部を背後から受け入れる基部と、
前記基部の下方に位置し、前記基部から隆起して設けられ、乳幼児の首を支持する隆起部とを含む、対面縦抱き子守帯。
【請求項2】
前記隆起部は、乳幼児の首の形状に沿って、乳幼児の首の後ろから両側部にかけて湾曲して延びている、請求項1に記載の対面縦抱き子守帯。
【請求項3】
前記隆起部は、乳幼児の首の後ろを支持する第1領域と、幼児の首の両側部を支持する第2領域とを含み、
前記第1領域の乳幼児側に隆起する厚み寸法は、前記第2領域のその寸法よりも小さい、請求項1または2に記載の対面縦抱き子守帯。
【請求項4】
前記第2領域は、前記ネックサポートの両端縁に沿って上方に延びる両端部を含み、
前記両端部は、上方に向かうにつれ乳幼児側に隆起する厚み寸法が小さくなる、請求項3に記載の対面縦抱き子守帯。
【請求項5】
前記シート部は、
前記肩ベルトに連結され、乳幼児と使用者との間に配置される親側装着部と、
前記親側装着部と対向して設けられ、その一端が前記親側装着部に連結されて、乳幼児を支持する乳幼児側保持部とを含み、
前記乳幼児側保持部は、その上方において、乳幼児の頭部を支持するヘッドサポートを有し、
前記ネックサポートは、連結部材で前記ヘッドサポートに対して着脱可能に設けられる、請求項1または2に記載の対面縦抱き子守帯。
【請求項6】
前記連結部材は、前記ネックサポートに設けられる係合部と、前記係合部に係合し、前記ヘッドサポートに設けられる被係合部とを含む、請求項5に記載の対面縦抱き子守帯。
【請求項7】
使用者と乳幼児の顔が対面した状態で、乳幼児の体を立てて抱っこするための対面縦抱き子守帯用のネックサポートにおいて、
乳幼児の後頭部と首を背後から包み込むように保持するものであり、
乳幼児の後頭部を背後から受け入れる基部と、
前記基部の下方に位置し、前記基部から隆起して設けられ、乳幼児の首の後ろから両側部にかけて湾曲して延びる隆起部とを含む、対面縦抱き子守帯用のネックサポート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対面縦抱き子守帯および対面縦抱き子守帯用のネックサポートに関し、特に使用者と乳幼児の顔が対面した状態で、乳幼児の体を立てて抱っこするための対面縦抱き子守帯および対面縦抱き子守帯用のネックサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、子守帯の分野において、乳幼児の頭部を保護するための技術が知られている。
【0003】
たとえば、特開2001-95654号公報(特許文献1)には、本体部の上端部に、乳幼児の頭部を保護するための保護パッドを着脱可能に設けることが開示されている。この保護パッドにより、頭部と保護カバーとの間に生じる隙間を埋めて、乳幼児がずることを防止することができる。この子守帯は、縦抱きおよび横抱きで使用可能であることが開示されている。
【0004】
また、特開2005-185426号公報(特許文献2)には、首がすわる前の乳幼児の頭部を保護するための側頭パッドを、ベビーキャリアの上部に着脱可能に設けることが開示されている。この子守帯は、縦抱きで使用可能であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-095654号公報
【特許文献2】特開2005-185426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に開示されている子守帯では、縦抱きで使用した場合に、乳幼児の頭および首を適正に保持することができず、乳幼児を安定した姿勢で保持することができていなかった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、乳幼児を安定した姿勢で保持することが可能な対面縦抱き子守帯および対面縦抱き子守帯用のネックサポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため本発明の一態様に係る対面縦抱き子守帯は、使用者と乳幼児の顔が対面した状態で、乳幼児の体を立てて抱っこするための対面縦抱き子守帯において、乳幼児を保持するためのシート部と、シート部に接続され、使用者の肩に掛けられる肩ベルトと、シート部に取り付けられ、乳幼児の後頭部と首を背後から包み込むように保持するネックサポートとを備え、ネックサポートは、乳幼児の後頭部を背後から受け入れる基部と、基部の下方に位置し、基部から隆起して設けられ、乳幼児の首の後ろを支持する隆起部とを含む。
【0009】
好ましくは、隆起部は、乳幼児の首の形状に沿って、乳幼児の首の後ろから両側部にかけて湾曲して延びている。
【0010】
好ましくは、隆起部は、乳幼児の首の後ろを支持する第1領域と、幼児の首の両側部を支持する第2領域とを含み、第1領域の乳幼児側に隆起する厚み寸法は、第2領域のその寸法よりも小さい。
【0011】
好ましくは、第2領域は、ネックサポートの両端縁に沿って上方に延びる両端部を含み、両端部は、上方に向かうにつれ乳幼児側に隆起する厚み寸法が小さくなる。
【0012】
好ましくは、シート部は、肩ベルトに連結され、乳幼児と使用者との間に配置される親側装着部と、親側装着部と対向して設けられ、その一端が親側装着部に連結されて、乳幼児を支持する乳幼児側保持部とを含み、乳幼児側保持部は、その上方において、乳幼児の頭部を支持するヘッドサポートを有し、ネックサポートは、連結部材でヘッドサポートに対して着脱可能に設けられる。
【0013】
好ましくは、連結部材は、ネックサポートに設けられる係合部と、係合部に係合し、ヘッドサポートに設けられる被係合部とを含む。
【0014】
この目的のため本発明の一態様に係る対面縦抱き子守帯用のネックサポートは、使用者と乳幼児の顔が対面した状態で、乳幼児の体を立てて抱っこするための対面縦抱き子守帯用のネックサポートにおいて、乳幼児の後頭部と首を背後から包み込むように保持するものであり、乳幼児の後頭部を背後から受け入れる基部と、基部の下方に位置し、基部から隆起して設けられ、乳幼児の首の後ろから両側部にかけて湾曲して延びる隆起部とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、乳幼児を安定した姿勢で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る子守帯を前面側から見た外観図である。
図2】乳幼児側保持部を下に下ろした状態で前面側から見た外観図である。
図3図2に示す状態からネックサポートを取り外した状態の外観図である。
図4】ネックサポートの外観図である。
図5】ネックサポートとヘッドサポートの取付状態を示す外観図である。
図6】ネックサポートの本体部だけを取り出して示す斜視図である。
図7】ネックサポートの本体部だけを取り出して示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は図7(A)のB-B線から見た断面図であり、(C)は図7(B)のC-C線から見た断面図であり、(D)は図7(B)のD-D線から見た断面図である。
図8】乳幼児とネックサポートとの関係を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
図9】ネックサポートの変形例を示す平面図である。
図10】ネックサポートの他の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
(子守帯の概要について)
図1は、本発明の実施の形態に係る対面縦抱き子守帯を前面側から見た外観図である。図2は、乳幼児側保持部を下に下ろした状態で前面側から見た外観図である。図3は、図2に示す状態からネックサポートを取り外した状態の外観図である。図1図3を参照して、本発明の実施の形態に係る対面縦抱き子守帯1について詳細に説明する。
【0019】
明細書において、「対面」とは、使用者の顔と乳幼児の顔が対面する状態である。「縦抱き」とは、乳幼児の身体を略垂直に立たせた状態を意味し、乳幼児の頭を上にして乳幼児の足を下にして保持する状態である。使用者は、子守帯の着用者であり、たとえば親である。また、左右方向および上下方向は、それぞれ、図1図3の紙面上の左右方向および上下方向を基準とする。前面は、子守帯の装着時に外方に位置する面を意味し、後面は、子守帯の装着時に前面側とは反対側に位置する面であり、親側に位置する面を意味する。以下の説明において、対面縦抱き子守帯のことを単に子守帯という。
【0020】
子守帯1は、概略として、親の肩に掛けられる一対のループ状の右肩ベルト2および左肩ベルト3と、一対のループ状の右肩ベルト2および左肩ベルト3に連結され、乳幼児と親との間に配置される親側装着部4と、親側装着部4と対向して設けられ、その一端が親側装着部4に連結される乳幼児側保持部5とを備える。
【0021】
まず、右肩ベルト2および左肩ベルト3について説明する。右肩ベルト2は、上方に位置し、親の肩に掛けられる第1ベルト21と、第1ベルト21の下端部に長さ調整可能に連結されている第2ベルト22とから構成されている。第1ベルト21の上端は、親側装着部4の右上端に縫い付けられている。第2ベルト22の下端は、親側装着部4の右側端に縫い付けられている。これにより、右肩ベルト2は、ループ状に設けられる。なお、第2ベルト22は、親側装着部4に縫い付けられずに腰ベルト6などの他の箇所に縫い付けられてループ状に設けられてもよい。
【0022】
第1ベルト21は、親の左肩に掛け渡されるため適度な弾性を有する材料によって構成されている。また、第2ベルト22の長さを調整することによって、右肩ベルト2の長さを親の体型に適合させることができる。
【0023】
図2に示すように、右肩ベルト2の上方部分には、第1オスバックル23が取り付けられている。第1オスバックル23は、乳幼児側保持部5の下方に取り付けられた第1メスバックル51と着脱可能に連結する。第1オスバックル23の表面には、前方に突出する突起が設けられ、第1オスバックル23の表面と第1メスバックル51の裏面とを重ね合わせることにより連結する。第1メスバックル51については、後述する。
【0024】
右肩ベルト2と同様に、左肩ベルト3は、上方に位置し親の肩に掛けられる第1ベルト31と、第1ベルト31の下端部に長さ調整可能に連結されている第2ベルト32とから構成されている。左肩ベルト3の上端は、親側装着部4の左上端に縫い付けられている。第2ベルト32の下端は、親側装着部4の左側端に縫い付けられている。これにより、左肩ベルト3は、ループ状に設けられる。なお、第2ベルト32は、親側装着部4に縫い付けられずに腰ベルト6などの他の箇所に縫い付けられてループ状に設けられてもよい。
【0025】
第1ベルト31は、親の左肩に掛け渡されるため適度な弾性を有する材料によって構成されている。また、第2ベルト32の長さを調整することによって、左肩ベルト3の長さを親の体型に適合させることができる。
【0026】
図2に示すように、左肩ベルト3の上方部分には、第1オスバックル33が取り付けられている。第1オスバックル33は、乳幼児側保持部5の下方に取り付けられた第1メスバックル52と着脱可能に連結する。第1オスバックル33の表面には、前方に突出する突起が設けられ、第1オスバックル33の表面と第1メスバックル52の裏面とを重ね合わせることにより連結する。第1メスバックル52については、後述する。
【0027】
次に、親側装着部4について説明する。親側装着部4は、装着時において、親と乳幼児との間に配置される部材であり、乳幼児の前面側に位置する部材である。親側装着部4は、たとえば正面視略矩形形状であり、通気性を有する素材、たとえばメッシュ布地などで形成されている。
【0028】
親側装着部4の右端には、第2帯体41が縫い付けられ、第2帯体41の先端部には第2メスバックル42が位置変更可能に設けられる。これにより、第2帯体41は、長さ調節可能に設けられる。第2メスバックル42は、乳幼児側保持部5に取り付けられた第2オスバックル53と着脱可能に連結する。第2メスバックル42の裏面には、凹部が設けられ、第2メスバックル42の裏面と第2オスバックル53の表面とを重ね合わせることにより連結する。第2オスバックル53については、後述する。第2帯体41が取り付けられる箇所は、右肩ベルト2の第2ベルト22の取付箇所とは異なっており、第2ベルト22の取付箇所よりも上方であることが好ましい。
【0029】
第2帯体41および第2メスバックル42と同様に、親側装着部4の左端には、第2帯体43が縫い付けられ、第2帯体43の先端部には第2メスバックル44が位置変更可能に設けられる。これにより、第2帯体43は、長さ調節可能に設けられる。第2メスバックル44は、乳幼児側保持部5の上方に取り付けられた第2オスバックル54に着脱可能に連結する。第2メスバックル44の裏面には、凹部が設けられ、第2メスバックル44の裏面と第2オスバックル54の表面と重ね合わせることにより連結する。第2オスバックル54については、後述する。第2帯体43が取り付けられる箇所は、第2帯体41の高さ位置と同じであり、左肩ベルト3の第2ベルト32の取付箇所とは異なっており、第2ベルト32の取付箇所よりも上方であることが好ましい。
【0030】
親側装着部4は、その下端部に親の腰に装着される腰ベルト6を含む。腰ベルト6は、乳幼児側保持部5の本体部50の下端部に縫い付けられて連結されている。腰ベルト6は、左右方向に延在し、親の腰に巻かれる腰当て部61と、腰当て部61の両端にそれぞれ設けられた第3メスバックル62および第3オスバックル63とを有する。腰ベルト6を親の腰に巻き付けることで、乳幼児を安定して保持することができる。
【0031】
次に、乳幼児側保持部5について説明する。乳幼児側保持部5の説明は、図2,3の紙面上の上下方向を基準に説明する。乳幼児側保持部5は、装着時において、乳幼児を下から持ち上げるように覆う部材である。つまり、乳幼児側保持部5は、乳幼児の背中側を保持する部材である。乳幼児側保持部5は、本体部50と、本体部50の下方(図1においては上方)に取り付けられるヘッドサポート55とを含む。
【0032】
本体部50の外形寸法は、親側装着部4の外形寸法よりも大きいことが好ましい。本体部50は、たとえば正面視略矩形形状であり、通気性を有する素材、たとえばメッシュ布地などで形成される。図1に示すように、本体部50は、中央部50aと、中央部50aの両端部から上方に突出する一対の側方部50bとを含む。この一対の側方部50bの後面側には、ヘッドサポート55が掛け渡されるように設けられる。
【0033】
図3に示すように、ヘッドサポート55は、乳幼児の後頭部の周囲に位置する部分である。ヘッドサポート55は、平面視略扇形状であり、ヘッドサポート本体56と、ヘッドサポート本体56の両側から側方に張り出す一対の側方張出部57とを含む。側方張出部57は、上述した本体部50の側方部50bと重なる部分である。側方張出部57と本体部50の側方部50bとは、たとえばホック、面ファスナなどの係止部58により着脱可能に連結されている。ヘッドサポート55には、図2に示すネックサポート7が着脱可能に設けられる。ネックサポート7については後述する。
【0034】
図2を特に参照して、本体部50の右下方には、第1メスバックル51が取り付けられている。第1メスバックル51は、右肩ベルト2の上方に取り付けられた第1オスバックル23と着脱可能に連結する。同様に、本体部50の左下方には、第1メスバックル52が取り付けられている。第1メスバックル52は、左肩ベルト3の上方に取り付けられた第1オスバックル33と着脱可能に連結する。
【0035】
図3を特に参照して、本体部50の右側方に縫い付けられるフラップ部26には、第2オスバックル53が取り付けられている。第2オスバックル53は、親側装着部4の右側端に取り付けられた第2メスバックル42と着脱可能に連結する。また、同様に、本体部50の左側方に縫い付けられるフラップ部36には、第2オスバックル54が取り付けられている。第2オスバックル54は、親側装着部4の左側端に取り付けられた第2メスバックル44と着脱可能に連結する。これらのバックルを連結することで、乳幼児を収容する乳幼児収容部が形成される。
【0036】
(ネックサポートについて)
図4は、ネックサポートの外観図である。図5は、ネックサポートとヘッドサポートの取付状態を示す外観図である。図6は、ネックサポートの本体部だけを取り出して示す斜視図である。図6においては、ネックサポートの立体感が分かるように、複数の曲線を付して示している。図7は、ネックサポートの本体部だけを取り出して示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は図7(A)のB-B線から見た横断面図であり、(C)は図7(B)のC-C線から見た縦断面図であり、(D)は図7(B)のD-D線から見た縦断面図である。図4図7を参照して、ネックサポート7について説明する。
【0037】
ネックサポート7は、ヘッドサポート55に着脱可能に取り付けられ、乳幼児の後頭部と首を背後から包み込むように保持する。特に図4に示すように、ネックサポート7は、本体部70と、本体部70から外方に突出し、ヘッドサポート55に対して着脱可能に設けられる一対の延出部材77を含む。
【0038】
本体部70は、乳幼児の後頭部を背後から受け入れる基部71と、基部71の下方に位置し、基部71から隆起して設けられ、乳幼児の首の後ろを支持する隆起部72とを含む。概略として、基部71は、その三方(下方および両側方)がU字形状の隆起部72により包囲されている形状である。本体部70は、たとえばウレタンフォーム、スポンジなどの弾性素材で形成されている。図7(B)に示すように、本体部70の上面および下面は、乳幼児の頭および首の形状に沿って湾曲して設けられることが好ましい。なお、本体部70の外縁部は、縁取り部70aにより縁取りされている。
【0039】
基部71は、たとえば1~2mm程度であり、略一定の厚みで形成され、湾曲する上面および下面を有する。基部71には、その上下面を貫通する複数の通気孔が設けられていてもよい。これにより、乳幼児の頭部の蒸れを防止することができる。基部71の上面側には、その下方位置において、基部71と一体的に形成される隆起部72が形成される。
【0040】
隆起部72は、乳幼児の首の形状に沿って、乳幼児の首の後ろから両側部にかけて湾曲して延びている。具体的には、隆起部72は、乳幼児の首の後ろを支持する第1領域73と、幼児の首の両側部を支持する第2領域74,74とを含む。第1領域73および第2領域74は、本体部70の下方縁に沿って連続して設けられる。換言すると、乳幼児の首後ろの形状に沿って滑らかに連なっている。
【0041】
図7(B)に示すように、第1領域73の乳幼児側に隆起する厚み寸法H1は、第2領域のその寸法H2よりも小さくなるように設計されている。具体的には、厚み寸法H1は、1.5cm以上2.5cm以下であることが好ましく、厚み寸法H2は、2.0cm以上3.0cm以下であることが好ましい。厚み寸法H1と厚み寸法H2との差は、たとえば0.3cm以上0.8cm以下であることが好ましい。これにより、厚みの小さい第1領域73で乳幼児の首の後ろを支持し、厚みの大きい第2領域74で乳幼児の首の両側部(耳の下側あたり)を支持することができるため、乳幼児の首の形状に沿った形状となる。
【0042】
なお、本実施の形態のネックサポート7は、基部71の下面が首の形状に沿って湾曲して設けられているとしたが、少なくとも隆起部72の上面が乳幼児の首の形状に沿って湾曲してればよく、基部71の下面は平坦面であってもよい。
【0043】
第2領域74,74は、第1領域73に隣接する内方部75,75と、ネックサポート7の本体部70の両端縁に沿って上方に延びる両端部76,76を含む。図7(C)に示すように、両端部76,76は、上方に向かうにつれ乳幼児側に隆起する厚み寸法が小さくなる。換言すると、両端部76,76は、上方に向かうにつれ先細りの形状となっており、上方に向かうにつれ基部71と同じ厚みとなることが好ましい。
【0044】
図4に示すように、ネックサポート7の本体部70の上方には、帯状で形成される一対の延出部材77が設けられる。延出部材77には、係合部77aが設けられている。本実施の形態では、係合部77aは延出部材77の長手方向に沿って延びる面ファスナである。図5に示すように、ヘッドサポート55の上端縁(前面55aおよび後面55bの境界部分)には、一対の延出部材77と対応する位置に穴部59が形成されている。
【0045】
この穴部59内には、係合部77aに係合する被係合部59aが設けられる。この被係合部59aも、係合部77aと同様に面ファスナある。ネックサポート7をヘッドサポート55に対して取り付ける場合には、一対の延出部材77をヘッドサポート55の穴部59にそれぞれ挿入して、延出部材77の係合部77aと穴部59内の被係合部59aとを係合する。このようにして、ネックサポート7は、ヘッドサポート55に対して着脱可能に設けられる。
【0046】
さらに、係合部77aと被係合部59aとの係合位置を変えることで、ネックサポート7の高さを調整可能に設けることができる。なお、係合部77aおよび被係合部59aは、面ファスナではなく、たとえば高さ方向に複数設けられるホック、ボタンとボタン穴などであってもよい。
【0047】
(使用例について)
図8(A)および図8(B)を参照して、使用例について説明する。
【0048】
本実施の形態のネックサポート7は、首すわり頃までの期間に、子守帯1のヘッドサポート55に取り付けて使用する。なお、首すわりとは、首が安定した状態になり、自分の意志で頭を安定して動かせるようになることであり、個人差があるが、たとえば生後2ヶ月~4ヶ月頃をいう。
【0049】
図8(A)および図8(B)には、首すわり前の乳幼児を子守帯1に乗せた状態であり、乳幼児とネックサポート7との関係が示されている。なお、図8(A)の矢印Aで示す方向は使用者側である。なお、図8(A)において、使用者の胸部分80を一点鎖線で示している。
【0050】
図8(A)および図8(B)に示すように、首すわり前の乳幼児の頭をネックサポート7上に載せると、隆起部72の第1領域73が乳幼児の首の後ろを支持し、第2領域74の内方部75,75および両端部76,76が乳幼児の首の両側部を支持する。このように、隆起部72が乳幼児の首の周囲に沿うように設けられるため、首すわり前の乳幼児の首がぐらぐらすることを防ぎ、安定して保持することができる。また、基部71に乳幼児の後頭部が当接するため、ネックサポート7の変形を防ぐことができ、その形状を維持することができるため、より安定して乳幼児の頭と首を保持することができる。さらに、図7(B)に示すように、隆起部72の第1領域73の厚みが第2領域74の厚みよりも小さく形成されているため、顎が前傾することを防ぐことができ、気道を確保することができる。
【0051】
首すわり前の乳幼児を縦抱きにする場合には、乳幼児の脊柱(背筋)が上下方向に対して平行であり、さらに気道が確保できるように顎が前傾しないようにすることが望ましい。また、首すわり前の乳幼児を縦抱きする場合には、ベッドなどの平らな面上に寝かせる場合とは異なり、乳幼児の頭および首を支える面がないため、顎(頭)が後傾しすぎるおそれがある。それに対し、本実施の形態のネックサポート7は、後頭部を受け入れる基部71と、首の後ろを支持する隆起部72とを含むため、乳幼児の脊柱を上下方向に対して平行にすることができ、首を安定して保持することができる。さらに、対面抱きであるため、使用者の胸部分に乳幼児の顔が当接するため、乳幼児の顎が前傾することはない。このように、対面縦抱きの子守帯において、首すわり前の乳幼児を安定した姿勢で保持することができる。
【0052】
(変形例について)
なお、本実施の形態のネックサポート7の基部71は、U字形状の隆起部72によりその三方が包囲されている形状であったが、その構成に限定されない。図9に示すように、ネックサポート7Aの隆起部72Aは、本体部70の下端部に沿って、右端から左端にまで延びる直線状であってもよい。また、図10に示すように、ネックサポート7Bの隆起部72Bは、一対設けられ、本体部70の左端部および右端部にそれぞれ分離して、島状に設けられていてもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、親側装着部4および乳幼児側保持部5が設けられ、親側装着部4の上方にヘッドサポート55が設けられたが、親側装着部4および乳幼児側保持部5は、1枚のシート部により構成されていてもよい。その場合、ネックサポート7は、シート部に対して取り付けられていればよい。つまり、本実施の形態では、ネックサポート7はヘッドサポート55に取り付けられていたが、乳幼児を保持するためのシート部であればいずれの箇所に取り付けられていてもよい。また、本実施の形態のネックサポート7は、ヘッドサポート55に対して着脱可能に設けられていたが、シート部に縫い付け固定されていてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、肩ベルト2,3は、一対設けられ、ループ状の肩ベルトであるとして説明したが、上述したシート部に接続されてさえすればよく、たとえば一本しか設けられていない斜め掛けタイプのものであってもよい。
【0055】
本実施の形態の腰ベルト6は、乳幼児側保持部5の本体部50の下端部に連結されていたが、腰ベルト6は設けられていなくてもよい。たとえば、ベストタイプの子守帯であり、親側装着部4と乳幼児側保持部5だけが設けられていてもよい。
【0056】
本実施の形態のネックサポート7は、子守帯1とともに用いられたが、ネックサポート7単体として個別に提供されるものであってもよい。
【0057】
また、ネックサポート7には、ヘッドサポート55に対して着脱可能にするために、一対の延出部材77が設けられたが、ネックサポート7の本体部70のみで構成されていてもよい。たとえば、ネックサポート7の裏面に面ファスナなどの係合部が設けられており、ヘッドサポート55に面ファスナなどの被係合部が設けられることで、着脱可能に設けられていてもよい。
【0058】
本実施の形態のネックサポート7は、首すわり前の乳幼児の縦抱き抱っこを補助し、首および頭の安定性を高めるためのものであるが、使用時期を定めるものではなく、首がすわった後にでも使用できることは当然である。また、場合によっては、使用者の顔と乳幼児の顔が対面する状態で使用されるだけでなく、使用者の後頭部と乳幼児の顔が対面するおんぶ状態で使用することも可能である。
【0059】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 子守帯、2 右肩ベルト、3 左肩ベルト、4 親側装着部、5 乳幼児側保持部、6 腰ベルト、7 ネックサポート、55 ヘッドサポート、59a 被係合部、71 基部、72 隆起部、73 第1領域、74 第2領域、75 内方部、76 両端部、77 延出部材、77a 係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10