IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝キヤリア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気調和機の室内ユニット 図1
  • 特開-空気調和機の室内ユニット 図2
  • 特開-空気調和機の室内ユニット 図3
  • 特開-空気調和機の室内ユニット 図4
  • 特開-空気調和機の室内ユニット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020573
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】空気調和機の室内ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0011 20190101AFI20240206BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20240206BHJP
   F24F 1/0029 20190101ALI20240206BHJP
【FI】
F24F1/0011
F24F1/0007 401C
F24F1/0029
F24F1/0007 401E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201347
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022576616の分割
【原出願日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2021009768
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 尚宣
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 明
(72)【発明者】
【氏名】小澤 哲朗
(57)【要約】
【課題】吹出風の風量低下を抑制するとともに、吹出風を所望の方向へ吹き出すことが可能な室内ユニットを提供する。
【解決手段】空気調和機の室内ユニットは、筐体、ファン、吹出口ユニットを備える。筐体は、熱交換器と、熱交換器で熱交換される空気が吸い込まれる吸込口と、熱交換器で熱交換された空気を吹き出す開口とを有する。ファンは、熱交換器で熱交換された空気の気流を発生させる。吹出口ユニットは、ファンによって発生した気流が流入する第1の流入口と、気流を室内空間に吹き出す第1の吹出口と、第1の流入口から第1の吹出口まで気流が通過する第1の風路とを有する。互いに直交するX方向、Y方向、およびZ方向において、熱交換器は、吸込口および開口と対向して、X方向とZ方向で規定されるX-Z平面に沿って配置され、ファンの回転軸は、X-Z平面に対して傾斜するとともに、X方向とY方向で規定されるX-Y平面に対して傾斜する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、前記熱交換器で熱交換される空気が吸い込まれる吸込口と、前記熱交換器で熱交換された空気を吹き出す開口とを有する筐体と、
前記熱交換器で熱交換された空気の気流を発生させるファンと、
前記ファンによって発生した前記気流が流入する第1の流入口と、前記気流を室内空間に吹き出す第1の吹出口と、前記第1の流入口から前記第1の吹出口まで前記気流が通過する第1の風路とを有する吹出口ユニットと、を備え、
互いに直交するX方向、Y方向、およびZ方向において、
前記熱交換器は、前記吸込口および前記開口と対向して、前記X方向と前記Z方向で規定されるX-Z平面に沿って配置され、
前記ファンの回転軸は、前記X-Z平面に対して傾斜するとともに、前記X方向と前記Y方向で規定されるX-Y平面に対して傾斜する
空気調和機の室内ユニット。
【請求項2】
前記ファンは、前記吹出口ユニットに内蔵されている
請求項1に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項3】
前記吹出口ユニットは、前記ファンの回転軸と同軸の第1の筒部材と、前記第1の筒部材に対して前記ファンの回転軸と同心に回動する第2の筒部材を有し、
前記ファンは、前記第1の筒部材の内部に配置される
請求項2に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項4】
前記ファンの回転軸の前記X-Y平面に対する傾斜角は、10°から50°の範囲内である
請求項3に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項5】
前記筐体と前記吹出口ユニットとの間に介在するアタッチメントをさらに備え、
前記筐体と前記アタッチメントは、前記X方向の長さが略同一である
請求項1から4のいずれか一項に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項6】
前記アタッチメントは、前記開口と連通する第2の流入口と、前記第1の流入口と連通する第2の吹出口と、前記第2の流入口から流入した前記気流の向きを変えて前記第2の吹出口まで導く第2の風路と、を有する
請求項5に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項7】
前記アタッチメントは、
前記第2の流入口と、前記第2の吹出口と、前記第2の風路を含む本体部と、
前記第2の風路と隔てて配置されてリード線が配線される配線空間を形成するとともに、前記配線空間を覆うカバー部と、を有する
請求項6に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項8】
前記カバー部は、前記本体部から分離して前記配線空間を外部へ開放可能に、前記本体部に組み付けられている
請求項7に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項9】
前記筐体は、前記配線空間に配線された前記リード線を前記筐体に配置された制御部に接続するための配線口を有し、
前記カバー部は、前記配線空間とともに前記配線口を覆う
請求項7に記載の空気調和機の室内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気調和機の室内ユニットは、空気の吸込口および吹出口と、熱交換器と、吸込口から熱交換器を経て吹出口に至る気流を発生させるファンとを備えている。
【0003】
空調対象の室内空間は、温調されて吹出口から吹き出される気流(以下、吹出風という)によって最適な温度に調整される。室内空間を快適に空調するためには、吹出風を所望の方向により強く吹かせることが好ましい。例えば、吹出風の吹出方向を変えるために可動式のルーバーを吹出口に設けた構造も知られているが、ルーバーの傾き角度が大きくなるほど吹出口の開口面積が狭められ、吹出風の風量が低下しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/078067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、吹出風の風量低下を抑制するとともに、吹出風を所望の方向へ吹き出すことが可能な室内ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、空気調和機の室内ユニットは、筐体と、ファンと、吹出口ユニットとを備える。前記筐体は、熱交換器と、前記熱交換器で熱交換される空気が吸い込まれる吸込口と、前記熱交換器で熱交換された空気を吹き出す開口とを有する。前記ファンは、前記熱交換器で熱交換された空気の気流を発生させる。前記吹出口ユニットは、前記ファンによって発生した前記気流が流入する第1の流入口と、前記気流を室内空間に吹き出す第1の吹出口と、前記第1の流入口から前記第1の吹出口まで前記気流が通過する第1の風路とを有する。互いに直交するX方向、Y方向、およびZ方向において、前記熱交換器は、前記吸込口および前記開口と対向して、前記X方向と前記Z方向で規定されるX-Z平面に沿って配置され、前記ファンの回転軸は、前記X-Z平面に対して傾斜するとともに、前記X方向と前記Y方向で規定されるX-Y平面に対して傾斜する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る室内ユニットの概略的な斜視図である。
図2】一実施形態に係る室内ユニットを前方からみた概略的な正面図である。
図3】一実施形態に係る室内ユニットを右方からみた概略的な側面図である。
図4】一実施形態に係る室内ユニットを主要な構成要素ごとに分解させた状態を概略的に示す斜視図である。
図5図1および図2におけるA5-A5線に沿う室内ユニットの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る室内ユニット1の概略的な斜視図である。この室内ユニット1は、冷媒を圧縮する圧縮機および室外熱交換器などを含む室外ユニットと冷媒配管にて接続される。室内ユニット1、室外ユニットおよび冷媒配管などにより、冷凍サイクルを備えた空気調和機が構成される。空気調和機は、例えば冷房運転と暖房運転を切り替えることが可能である。ただし、空気調和機は、冷房運転または暖房運転のみ実行可能であってもよい。
【0009】
本実施形態においては、図1に示すようにX方向、Y方向およびZ方向を定義する。これらX方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。以下の説明においては一例として、X方向を右、その反対方向を左、Y方向を前、その反対方向を後ろ、Z方向を上、その反対方向を下としてそれぞれ規定する。これによれば、図2は、室内ユニット1を前方からみた概略的な正面図である。図3は、室内ユニット1を右方からみた概略的な側面図である。図4は、室内ユニット1を主要な構成要素ごとに分解させた状態を概略的に示す斜視図である。図5は、図1および図2におけるA5-A5線に沿う室内ユニット1の概略的な断面図である。
【0010】
図1から図5に示すように、室内ユニット1は、筐体2と、アタッチメント3と、吹出口ユニット4とを備えている。アタッチメント3は、筐体2と吹出口ユニット4との間に着脱可能に介在している。
【0011】
筐体2は、前面板20と、前面板20の上方に配置された前面カバー21と、前面板20および前面カバー21に対向する背面板22と、互いに対向する一対の側面板23,24と、底面板25と、底面板25に対向する上面板26とを備えている。室内ユニット1は、一台のみで設置されてもよいし、例えば建物の柱や壁面に沿って配置されたフレームに背面板22を連結することで、Z方向に複数段に積み重なった状態で設置されてもよい。また、複数の室内ユニット1がX方向に並べられてもよいし、Z方向やX方向へ互いに離れた位置に設置されてもよい。
【0012】
前面板20、前面カバー21および背面板22は、X方向およびZ方向によって規定されるX-Z平面と平行である。側面板23,24は、Y方向およびZ方向によって規定されるY-Z平面と平行である。底面板25および上面板26は、X方向およびY方向によって規定されるX-Y平面と平行である。図1に示す例において、筐体2は、X方向およびZ方向における幅よりもY方向における幅が十分に小さい扁平な直方体状である。ただし、筐体2の形状はこの例に限られない。
【0013】
図4および図5に主として示すように、筐体2は、開口29を前部に有している。開口29は、Y方向において後述する熱交換器6と対向するように、前面板20と前面カバー21との間に形成されている。開口29は、X-Z平面と平行に開口している。また、前面カバー21は、所定の曲率で湾曲した縁部を持つ切り欠き21aを有している。切り欠き21aは、開口29と連続する開口部(配線口)であり、後述する仕切板71の上方空間(制御部8を収容するための空間S1)の一部を前方へ暴露可能に配置されている。
【0014】
開口29の前部には、後述するアタッチメント3を筐体2に着脱可能に取り付けるための枠体300が取り付けられている。前面カバー21は、ねじ211によって枠体300の第1の枠体310に取り付けられている。その際、第1の枠体310のねじ止め箇所は、前面カバー21の後ろ側(背面側)に重なった状態となる。また、その際、第1の枠体310に設けられた爪部318,319が筐体2の前面板20の係止部20aや仕切板71の係止部(図示省略)に引っ掛けられる。これにより、ねじ211を外すことにより前面カバー21が筐体2の他の部分に対して着脱可能となる(詳細は後述)。
【0015】
図5に示すように、筐体2の内部には熱交換器6が配置されている。熱交換器6は、X方向に延びる複数の伝熱管60と、伝熱管60に連結された複数のフィン61とを備えている。複数のフィン61は、図5に示すようにZ方向に長尺な形状を有し、X方向に間隔を空けて並んでいる。
【0016】
図3および図5に示すように、背面板22には、室外ユニットと接続するための冷媒配管の接続口62,63と、熱交換器6と対向する吸込口27とが設けられている。例えば、接続口62には各伝熱管60で構成される流路の入口が接続され、接続口63には当該流路の出口が接続される。また、熱交換器6には、図示しない膨張弁が接続されており、熱交換器6内の圧力を調整するように機能する。
【0017】
熱交換器6の下方には、熱交換器6で生じる結露水を受けるためのドレンパン64が配置されている。ドレンパン64に溜まった結露水は、排水管65を通じて筐体2の外部に排出される。
【0018】
熱交換器6の上方には、X-Z平面と平行な取付板70が配置されている。取付板70は、前面カバー21および背面板22と対向している。取付板70の下端には、X-Y平面と平行な仕切板71が接続されている。仕切板71と熱交換器6の間には、断熱材66が配置されている。取付板70と仕切板71は、1枚の板材をL字型に曲げることにより一体的に形成されてもよいし、別々の板材であってもよい。取付板70、仕切板71、前面カバー21および上面板26により、制御部8を収容するための空間S1が形成されている。
【0019】
制御部8は、制御基板80や各種の電子部品81を含む。制御基板80は、取付板70に取り付けられている。各電子部品81は、前面カバー21と対向する制御基板80の一面に実装されている。制御部8には、室内ユニット1の外部に設置されたリモートコントローラ、室外ユニット、他の室内ユニットなどと通信するための通信線や電源線、後述するファン9のファンモータ90やルーバー5の駆動モータなどのリード線11a,11bが接続されている。
【0020】
図4および図5に主として示すように、吹出口ユニット4は、室内ユニット1において熱交換器6で熱交換された空気の気流を室内空間に吹き出すための構成要素であり、室内ユニット1の最前部に相当する。吹出口ユニット4は、かかる気流が流入する第1の流入口4aと、第1の流入口4aから流入した気流を室内空間に吹き出す第1の吹出口4bと、第1の流入口4aから第1の吹出口4bまで気流が通過する第1の風路4cとを有している。室内空間は、吹出口ユニット4の第1の吹出口4bから吹き出された空気(気流)によって最適な温度に調整される。
【0021】
吹出口ユニット4は、第1の流入口4a側から第1の吹出口4b側へ向けて先細る円筒状のカバー(以下、吹出口カバーという)40を備えている。吹出口カバー40は、後述する第1の筒部材92および第2の筒部材72の外周面側を覆い、吹出口ユニット4の構成部材(後述する整流板94、第1の筒部材92、および第2の筒部材72など)を保護するとともに、外観のデザイン性を向上させる。図1および図2に示すように、吹出口カバー40は、ねじ41によって後述する第1の筒部材92の板状のパネル部44に取り付けられている。図1に示す例においては、吹出口カバー40の外周面に凹部42が設けられ、この凹部42のパネル部44側の端面が有する貫通孔にねじ41が通されている。
【0022】
吹出口ユニット4は、第1の吹出口4bに設けられたルーバー5をさらに備えている。図1に示す例において、ルーバー5は、回動可能な四つの風向板51,52,53,54によって構成されている。風向板の数は四つに限定されず、ルーバー5は三つ以下または五つ以上の風向板によって構成されてもよい。風向板51,52,53,54は、第1の吹出口4bから吹き出される気流の傾きを調整する。
【0023】
吹出口ユニット4には、ファン9が内蔵されている。図5に示すように、ファン9は、吹出口カバー40の内側に配置されている。ファン9は、熱交換器6で熱交換して温調された空気の気流を発生させる。ファン9は、例えば軸流ファンであり、ファンモータ90と、ファンモータ90によって軸ASを中心に回転する複数の羽根91とを備えている。ただし、ファンは、図示例のような軸流ファンではなく、シロッコファンなどその他各種のファンであってもよい。
【0024】
軸AS、つまりファンモータ90回転中心軸は、X-Y平面(図5に破線で示す基準線AB)に対して所定角度(傾斜角度θ1)で傾斜している。傾斜角度θ1は、軸ASと基準線ABとがなす角度である。図5に示す例において、X-Y平面は水平面と平行な面であり、基準線ABはX-Y平面上の任意の仮想線であり、筐体2の開口29の中心軸の軸方向と平行な仮想線である。傾斜角度θ1は、第1の吹出口4bから吹き出された気流によって室内空間を所望の温度に調整するのに適した角度に設定されればよい。傾斜角度θ1は、10°から50°程度の範囲内であり、図5に示す例では傾斜角度θ1が40°に設定されている。X-Y平面を水平面とすれば、軸AS、端的には吹出口ユニット4は、水平面に対して下向きに40°傾いて配置されている。したがって、吹出口ユニット4において、温調された空気の気流はかかる向きで第1の風路4cを通過する。
【0025】
ファン9は、軸ASと同軸の第1の筒部材92の内部に配置されている。第1の筒部材92は、吹出口カバー40の内側において第1の流入口4aを規定する開口部を有するとともに、第1の風路4cの上流部分を規定する筒部を有する。第1の筒部材92の外周面の少なくとも一部は、断熱材93によって覆われている。
【0026】
第2の筒部材72は、第1の風路4cの下流部分を規定する筒部を有するとともに、第1の吹出口4bを規定する開口部を有しており、吹出口カバー40の内側に軸ASと同軸状に配置されている。第2の筒部材72の外周面72aの少なくとも一部は、断熱材73によって覆われている。図5に示す例において、第1の筒部材92および第2の筒部材72、換言すれば第1の流入口4a、第1の風路4c、および第1の吹出口4bの各中心は、いずれも軸AS上に存在している(各中心軸線は、軸ASと一致している)。
【0027】
第1の筒部材92および第2の筒部材72の間には整流板94が配置されている。整流板94は、第1の筒部材92によって支持され、ファン9によって発生した直後の乱れた気流を軸ASと略平行に整える。整流板94は、例えば六角形の多数の開口が配列されたハニカム構造を有しているが、この例に限られない。第1の筒部材92、第2の筒部材72、および整流板94は、吹出口ユニット4の構成部材に含まれる。
【0028】
図4および図5に主として示すように、ルーバー5は、第2の筒部材72の端部、具体的には第1の吹出口4bに配置されている。ルーバー5の風向板51,52,53,54は、例えば駆動モータを含むルーバー駆動機構(以下、ルーバー駆動機構という)74によって回動される。ただし、風向板51,52,53,54は、手動で回動可能であってもよい。
【0029】
第2の筒部材72の外周面72aには、ルーバー駆動機構74が設けられている。ルーバー駆動機構74は、駆動モータ(図示省略)の駆動力により風向板51,52,53,54の角度を変更するためのギアなどを含み、風向板51,52,53,54を所定の傾きに回動させる。
【0030】
ルーバー5、第2の筒部材72、断熱材73、ルーバー駆動機構74は、回動ユニット7を構成する。回動ユニット7は、吹出口ユニット4において軸ASを中心として第1の筒部材92に対して回動可能な部分であり、第1の筒部材92に保持機構10で保持されている。
【0031】
具体的には、保持機構10は、第2の筒部材72を第1の筒部材92に対して回動可能に、両者を接続している。保持機構10は、例えば第2の筒部材72の第1の流入口4a側に設けられた環状のギアを含み、このギアをモータによって軸ASを中心とした円周方向に送ることで第2の筒部材72を第1の筒部材92に対して回動させる。ただし、第2の筒部材72は、手動で回動可能であってもよい。この場合、例えば軸ASを中心とする円周方向に等間隔で三つの歯車を配置してギアに噛合させることで、第2の筒部材72を第1の筒部材92に対して回動可能に支持すればよい。
【0032】
制御部8は、外部から入力される情報や室内ユニット1が備える温度センサによって検出される外気の吸込温度および気流の吹出温度などに基づいてファン9の回転数を制御する。また、制御部8は、外部から入力される風向きの設定情報に基づいて保持機構10やルーバー5の動作を制御する。保持機構10により回動ユニット7を回動させ、かつルーバー5の風向板51,52,53,54の角度を変更することで、様々な方向への送風が可能となる。
【0033】
このような送風方向の変更に加えて、本実施形態では、筐体2と吹出口ユニット4との間にアタッチメント3を介在させることで、送風方向(気流の向き)が変更可能となっている。以下、アタッチメント3の構造について説明する。
【0034】
図1から図5に示すように、アタッチメント3は、室内ユニット1において筐体2と吹出口ユニット4との間に介在する構成要素であり、室内ユニット1の中間部に相当する。これにより、アタッチメント3は、筐体2内の熱交換器6で熱交換された空気の気流の向きを変更して吹出口ユニット4に導く。
【0035】
アタッチメント3は、筐体2の開口29と連通する第2の流入口3aと、吹出口ユニット4の第1の流入口4aと連通する第2の吹出口3bと、第2の流入口3aから流入した気流の向きを変えて第2の吹出口3bまで導く第2の風路3cとを有している。
【0036】
第2の流入口3aは、開口29と同様にX-Z平面と平行に開口し、開口29と連通している。これに対し、第2の吹出口3bは、第2の流入口3a、端的にはX-Z平面に対して前傾して、換言すればX-Y平面に対して下向きに傾斜して開口している。本実施形態では、図5に示すように、第2の吹出口3bは、X-Z平面に対して所定の傾斜角度θ2で傾斜している。傾斜角度θ2は、軸AS(ファンモータ90回転中心軸)のX-Y平面(図5に破線で示す基準線AB)に対する傾斜角度θ1と一致している。上述したように、傾斜角度θ1は10°から50°程度の範囲内、図5に示す例では40°に設定されており、傾斜角度θ2もこれに応じて設定されている。すなわち、第2の吹出口3bは、第2の風路3cで導かれた気流をX-Y平面(基準線AB)に対して下向きに傾斜角度θ1だけ傾けて吹出口ユニット4の第1の流入口4aに流入させる。
【0037】
第1の流入口4aおよび第1の吹出口4bの各中心は、いずれも軸AS上に存在しており、これらの中心軸線は軸ASと一致している。したがって、アタッチメント3は、第1の吹出口4bの軸方向が筐体2の開口29の軸方向(基準線AB)に対して傾くように、筐体2と吹出口ユニット4との間に介在している。
【0038】
また、図1から図5に示すように、アタッチメント3は、本体部31とカバー部32とを有して構成されている。本体部31およびカバー部32は、不燃性の素材、例えば鉄などの金属板を加工して形成されている。ただし、その素材はこれに限定されない。
【0039】
図4および図5に主として示すように、本体部31は、アタッチメント3において気流の向きの変更に寄与する本体部分であり、第2の流入口3a、第2の吹出口3b、第2の風路3cを含んで構成されている。本体部31は、第1から第6の本体壁部31a~31fを有し、これら本体壁部31a~31fにより第2の流入口3a、第2の吹出口3b、および第2の風路3cを形成する。
【0040】
第1の本体壁部31aおよび第2の本体壁部31bは、X-Y平面と平行な部分、つまり筐体2の上面板26および底面板25と平行に広がる面部である。第3の本体壁部31cおよび第4の本体壁部31dは、Y-Z平面と平行な部分、つまり筐体2の側面板23,24と平行に広がる面部である。第1の本体壁部31aおよび第2の本体壁部31bと、第3の本体壁部31cおよび第4の本体壁部31dとは、それぞれほぼ直角に連続しており、Y方向に沿った辺部31g,31hを形成する。
【0041】
第5の本体壁部31eは、第1の本体壁部31a、第3の本体壁部31c、第4の本体壁部31dとそれぞれ連続して広がる面部である。第5の本体壁部31eは、第1の本体壁部31aに対して下向きに傾斜している。本実施形態において、第5の本体壁部31eは、第1の本体壁部31aに対して所定の傾斜角度θ3で傾斜している。傾斜角度θ3は、第2の吹出口3bのX-Z平面(つまり第2の流入口3a)に対する傾斜角度θ2、換言すれば軸ASのX-Y平面に対する傾斜角度θ1と一致している。上述したように、傾斜角度θ1,θ2は、10°から50°程度の範囲内、図5に示す例では40°に設定されており、傾斜角度θ3もこれに応じて設定されている。また、第5の本体壁部31eは、第3の本体壁部31cおよび第4の本体壁部31dとそれぞれほぼ直角に連続しており、第1の本体壁部31aに対して傾斜角度θ3で傾斜する辺部31iを形成する。
【0042】
第6の本体壁部31fは、第2の本体壁部31b、第3の本体壁部31c、第4の本体壁部31dとそれぞれ連続して広がる面部である。第6の本体壁部31fは、X-Z平面に対して前傾している。本実施形態において、第6の本体壁部31fは、X-Z平面、つまり第2の流入口3aに対して所定の傾斜角度θ2で傾斜している。また、第6の本体壁部31fは、第3の本体壁部31cおよび第4の本体壁部31dとそれぞれほぼ直角に連続しており、第2の流入口3aに対して傾斜角度θ2で傾斜する辺部31jを形成する。
【0043】
これにより、第1の本体壁部31a、第2の本体壁部31b、第3の本体壁部31c、および第4の本体壁部31dの各端部で囲われて規定される開口部分は、第2の流入口3aをなす。第3の本体壁部31c、第4の本体壁部31d、第5の本体壁部31e、および第6の本体壁部31fの各端部で囲われて規定される開口部分は、第2の吹出口3bをなす。また、第6の本体壁部31fは、第2の吹出口3bと平行となす。そして、第1から第6の本体壁部31a~31fによって規定される空間部分は、第2の風路3cをなす。したがって、第2の風路3cは、第2の流入口3aに流入した気流を基準線ABに沿って導いた後、軸ASに沿うように向きを変更させて第2の吹出口3bまで導く。
【0044】
本体部31の内部空間、つまり第2の風路3cには、断熱材33が配置されている。図4および図5に示すように、断熱材33は、第1から第6の本体壁部31a~31fの内壁に沿って配置されている。これにより、本体部31の内部空間(第2の風路3c)とその近傍、例えばカバー部32の内部空間(後述する配線空間34)との間の伝熱が抑制されている。第3の本体壁部31c、第4の本体壁部31d、および第5の本体壁部31eの各端部には、第2の吹出口3bに張り出すように、断熱材33の受け部31kが設けられている。
【0045】
カバー部32は、アタッチメント3においてリード線11a,11bを配線するための配線空間34を形成する部分である。カバー部32は、第2の風路3cと隔てて配置され、配線空間34を覆っている。配線空間34には、ファン9のファンモータ90やルーバー5の駆動モータなどと制御部8とを接続するリード線11a,11bが配線される。すなわち、リード線11a,11bは、第2の風路3cを通ることなく、第2の風路3cで導かれる気流(冷気流や暖気流)に晒されずに配線可能とされている。配線されるリード線11a,11bの本数は、特に限定されない。
【0046】
カバー部32は、第1から第6のカバー壁部32a~32fを有し、これらカバー壁部32a~32fにより配線空間34を形成する。
【0047】
第1のカバー壁部32aは、X-Y平面と平行な部分、つまり第1の本体壁部31aおよび筐体2の上面板26と平行に広がる面部である。第2のカバー壁部32bは、X-Z平面と平行な部分、つまり第2の流入口3a、筐体2の前面カバー21と平行に広がる面部である。第3のカバー壁部32cおよび第4のカバー壁部32dは、Y-Z平面と平行な部分、つまり第3の本体壁部31c、第4の本体壁部31d、および筐体2の側面板23,24と平行に広がる面部である。第1のカバー壁部32aと、第3のカバー壁部32cおよび第4のカバー壁部32dとは、それぞれほぼ直角に連続しており、Y方向に沿った辺部32gを形成する。
【0048】
第5のカバー壁部32eは、第1のカバー壁部32a、第3のカバー壁部32c、第4のカバー壁部32dとそれぞれ連続して広がる面部である。第5のカバー壁部32eは、第1のカバー壁部32aに対して下向きに傾斜している。本実施形態において、第5のカバー壁部32eは、第1のカバー壁部32aに対して所定の傾斜角度θ4で傾斜している。傾斜角度θ4は、傾斜角度θ3、つまり傾斜角度θ1,θ2のいずれとも一致している。上述したように、傾斜角度θ1,θ2,θ3は、10°から50°程度の範囲内、図5に示す例では40°に設定されており、傾斜角度θ4もこれに応じて設定されている。すなわち、第5のカバー壁部32eは、第5の本体壁部31eと平行に広がる面部となっている。また、第5のカバー壁部32eは、第3のカバー壁部32cおよび第4のカバー壁部32dとそれぞれほぼ直角に連続しており、第1のカバー壁部31aに対して傾斜角度θ3で傾斜する辺部32hを形成する。
【0049】
第6のカバー壁部32fは、第3のカバー壁部32c、第4のカバー壁部32d、第5のカバー壁部32eとそれぞれ連続して広がる面部である。第6のカバー壁部32fは、第5のカバー壁部32eに対して下向きに傾斜している。本実施形態において、第6のカバー壁部32fは、X-Z平面、つまり第2の流入口3aに対して所定の傾斜角度θ2で傾斜している。すなわち、第6のカバー壁部32fは、第6の本体壁部31fおよび第2の吹出口3bと平行に広がる面部となっている。また、第6のカバー壁部32fは、第3のカバー壁部32c、第4のカバー壁部32d、第5のカバー壁部32eとそれぞれほぼ直角に連続しており、第2の流入口3aに対して傾斜角度θ2で傾斜する辺部32iを形成する。第6のカバー壁部32fは、吹出口カバー40の外周に沿った曲率で湾曲した縁部を持った切り欠き32jを有している。リード線11a,11bは、切り欠き32jから配線空間34に引き出される。
【0050】
カバー部32は、第1のカバー壁部32aを第1の本体壁部31aと、第5のカバー壁部32eを第5の本体壁部31eと、それぞれ所定間隔をあけて対向させるように、本体部31の上部に配置されている。この状態で、第3のカバー壁部32cの下部は、第3の本体壁部31cに、第4のカバー壁部32dの下部は、第4の本体壁部31dにそれぞれ被さった状態とされている。これにより、第1のカバー壁部32a、第3のカバー壁部32c、第4のカバー壁部32d、第5のカバー壁部32e、および第6のカバー壁部32fと、本体部31の第1の本体壁部31aおよび第5のカバー壁部32eとの間に形成される空間部分は、第2の風路3cから隔てられた配線空間34をなす。換言すれば、カバー部32は、下方および後方が全体的に開放され、前方が切り欠き32jによって開放された空間部分を形成する構造体となっている。第1の本体壁部31aおよび第5の本体壁部31eは、第2の風路3cと配線空間34とを隔てる隔壁となっている。切り欠き32jから引き出されたリード線11a,11bは、配線空間34で第1の本体壁部31aおよび第5の本体壁部31eの上を這うように配線される。
【0051】
アタッチメント3には、第2の吹出口3bを第1の流入口4aと連通させるように吹出口ユニット4が取り付けられている。例えば、吹出口ユニット4に設けられた爪部43が本体部31の第5の本体壁部31eおよび受け部31kの係止部31lに引っ掛けられた状態で、カバー部32の第6のカバー壁部32fにねじ45(図1および図2参照)によって固定されている。爪部43は、第1の筒部材92の第1の流入口4aの周囲から張り出すように延びたパネル部44に設けられている。パネル部44および第6のカバー壁部32fは、ねじ45をねじ止めするための孔44a,32kを有している。孔44aは、第6のカバー壁部32fの切り欠き32jの縁部に沿うような曲率で湾曲したパネル部44の縁部に形成されている。
【0052】
本実施形態において、アタッチメント3は、取付用の枠体300を介して筐体2に着脱可能に取り付けられている。枠体300は、第1の枠体310と第2の枠体320を含んで構成されている。図5においては、第1の枠体310と第2の枠体320とは分離しているが、これら枠体310,320は、例えば溶接などにより予め一体化されていてもよい。
【0053】
第1の枠体310は、枠体の300の後部を構成する部材であり、筐体2の開口29を取り囲むように配置される枠部311と、枠部311の縁から前方へ起立する四つの起立部312と、枠部311の最上部に設けられた固定部313とを有している。枠部311は、X-Z平面と平行な部分であり、前面板20および前面カバー21と平行に広がる面部である。起立部312は、X-Y平面やY-Z平面と平行な部分であり、底面板25、上面板26、側面板23,24と平行に広がる面部である。固定部313は、X-Z平面と平行な部分であり、前面カバー21と平行に広がる面部である。固定部313は、前面カバー21の切り欠き21aの縁部に沿うような曲率で湾曲した縁部を有するように枠部311の上部から上方へ突出している。固定部313は、リード線11a,11bを配線するための配線口314を有している。配線口314は、切り欠き21aと連通可能な位置に形成された貫通孔である。配線口314の周囲には、リング部材330が設けられ、配線口314に配線されたリード線11a,11bのバタつきの抑制が図られている。リング部材330は、リード線11a,11bの外径、あるいは複数本の束の外径などに合わせて、配線口314の口径を適宜狭める。なお、配線口314の数は特に限定されず、一つであっても、三つ以上であってもよい。図4に示す例では、二つの配線口314が設けられており、リード線11aとリード線11bがそれぞれ別々の配線口314に分かれて配線可能とされている。
【0054】
第2の枠体320は、枠体300の前部を構成する部材であり、第1の枠体310の四つの起立部312の内側に差し込まれるようにして第1の枠体310と一体化されている。第2の枠体320には、断熱材321およびシール材322が設けられている。断熱材321は、第2の枠体320の内側部に沿って配置されている。シール材322は、第2の本体壁部31bと第6の本体壁部31fとの連続箇所の近傍に配置された断熱材321の前部に配置され、第2の風路3cの気密を図っている。
【0055】
アタッチメント3は、枠体300の第1の枠体310に取り付けられる。具体的には、本体部31が枠部311に取り付けられ、カバー部32が固定部313に取り付けられる。例えば、本体部31は、第1の本体壁部31a、第2の本体壁部31b、第3の本体壁部31c、および第4の本体壁部31dにおける第2の流入口3aの各周縁部を起立部312に被せるように位置付け、ねじ35によって固定されている。第1から第4の本体壁部31a~31d、および起立部312は、ねじ35をねじ止めするための孔36,315を有している。なお、図1図3図4には、一箇所のみねじ止めされた状態を示すが、すその他のすべてもしくは一部の孔36,315もねじ止めされている。また、カバー部32は、第2のカバー壁部32bを固定部313の前側に重ねるように位置付け、ねじ37によって固定されている。第2のカバー壁部32bおよび固定部313は、ねじ37をねじ止めするための孔38,316を有している。これにより、本体部31とカバー部32とが一体に組み付けられるとともに、アタッチメント3(本体部31、カバー部32)と枠体300(第1の枠体310、第2の枠体320)とが一体に組み付けられた状態となる。
【0056】
そして、図4および図5に主として示すように、これらアタッチメント3および枠体300は、筐体2に取り付けられる。例えば、アタッチメント3および枠体300は、筐体2の開口29を覆うように位置付け、ねじ211によって固定されている。その際、固定部313は、切り欠き21aを覆うように、前面カバー21の後ろ側(背面側)に位置付けられる。固定部313および前面カバー21は、ねじ211をねじ止めするための孔317,21bを有している。固定部313の孔317は、前面カバー21の孔21bの後ろ側(背面側)に重ねられる。また、このようにねじ止めされる際、第1の枠体310に設けられた爪部318,319が筐体2の前面板20の係止部20aや仕切板71の係止部(図示省略)に引っ掛けられる。これにより、アタッチメント3および枠体300が筐体2に仮固定され、作業性の向上が図られている。
【0057】
枠体300とともに筐体2に取り付けられると、アタッチメント3は、第2の流入口3aが開口29と連通した状態となるとともに、配線空間34が配線口314を通して制御部8を収容するための空間S1と連通した状態となる。その際、カバー部32は、配線空間34、配線口314、および切り欠き21aを覆った状態で位置付けられる。換言すれば、カバー部32は、本体部31から分離して配線空間34、配線口314、および切り欠き21aを外部へ開放可能に、本体部31に組み付けられている。
【0058】
このように本実施形態の室内ユニット1によれば、筐体2と吹出口ユニット4との間にアタッチメント3を介在させることで、吹出口ユニット4の第1の吹出口4bから吹き出される気流の向きをアタッチメント3により変更することができる。
【0059】
アタッチメント3において、吹出口ユニット4の第1の流入口4aと連通する第2の吹出口3bは、筐体2の開口29と連通する第2の流入口3aに対して前傾して、換言すればX-Y平面(図5に破線で示す基準線AB)に対して下向きに傾斜角度θ1だけ傾斜している。したがって、第2の吹出口3bは、第2の風路3cで導かれた気流を、X-Y平面(基準線AB)に対して下向きに傾斜角度θ1だけ傾けて第1の流入口4aに流入させることができる。
【0060】
本実施形態では、従来と同様にルーバー5の風向板51,52,53,54の角度に応じて第1の吹出口4bから吹き出される気流の向きを変更することができる。しかしながら、風向板51,52,53,54の傾き角度が大きくなるほど第1の吹出口4bの開口面積が狭められ、気流(吹出風)の風量が低下しやすくなる。一方、本実施形態においては、風向板51,52,53,54の傾きにより気流の向きを変更可能とすることに加えて、上述したとおりアタッチメント3によっても気流の向きを変更できる。アタッチメント3の第2の風路3cによれば、第2の流入口3aに流入した気流を基準線ABに沿って導いた後、軸ASに沿って向きを変更させて第2の吹出口3bまで導くことができる。すなわち、第2の吹出口3bに向かう第2の風路3c自体を基準線ABに対して下向きに傾斜角度θ1だけ傾けることができる。このため、向きを傾けた状態の気流を第2の吹出口3bから第1の流入口4aに流入させ、その向きのまま第1の風路4cを通過させて第1の吹出口4bから吹き出させることができる。したがって、風向板51,52,53,54により第1の吹出口4bの開口面積を狭めることなく、気流の向きを変更することが可能となる。これにより、温調されて第1の吹出口4bから吹き出される気流(吹出風)の風量を低下させることなく、吹出風を所望の方向により強く吹かせることができる。その結果、空調対象の室内空間を最適な温度に調整しやすくなる。
【0061】
さらに、本実施形態では、ファン9が吹出口ユニット4に内蔵されているため、アタッチメント3の構造を簡素化できるとともに、ファン9を第1の吹出口4bに近づけて配置できる。このため、吹出風の風量を低下させることなく、吹出風を所望の方向により一層強く吹かせることができる。
【0062】
例えば、不特定多数の旅客が行き交う駅構内など、多数の利用者が存在する室内空間を空調する際、不測の操作の防止などを図るべく、これら利用者の手に触れられない高所に室内ユニット1が設置される場合がある。本実施形態によれば、このように室内ユニット1を高所に設置した場合であっても、風量を低下させることなく、吹出風を旅客などの利用者に向けてより強く吹かせる(吹き下ろす)ことが可能である。したがって、駅構内などの空間を効率よく快適な状態に温度調整できる。
【0063】
また、アタッチメント3は、気流の向きの変更に寄与する本体部31と、リード線11a,11bを配線するための配線空間34を形成するカバー部32とを有して構成されている。カバー部32は、第2の風路3cと隔てて配置され、配線空間34を覆っている。したがって、リード線11a,11bを第2の風路3cを通ることなく、カバー部32で覆われた配線空間34に配線することができる。このため、リード線11a,11bを第2の風路3cで導かれる気流(冷気流や暖気流)に晒すことなく、配線できる。これにより、例えばリード線11a,11bの雰囲気の状態を適切に保ちやすく、リード線11a,11bに生じる損傷などを抑制できる。
【0064】
加えて、リード線11a,11bが配線される各領域、具体的には、配線空間34、配線口314、および切り欠き21aは、いずれもカバー部32によって覆われ、外部からは視認不能な状態とされている。したがって、通常時にリード線11a,11bが外部にむき出しにされることがなく、リード線11a,11bを保護するとともに、室内ユニット1の外観のデザイン性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第5の本体壁部31eの傾斜角度θ3と第5のカバー部32eの傾斜角度θ4とが同一の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、外観のデザイン性、配線空間34の容積、断熱材33の厚さや形状、気流の形成状態などを考慮し、傾斜角度θ3とθ4の角度を適宜異ならせてもよい。また、折り曲げによる傾斜角度を設ける代わりに、曲げによる円弧状に形成してもよい。
【0065】
カバー部32は、ねじ45,37を外すことで、本体部31に対して取り外すことができる。すなわち、カバー部32のみを室内ユニット1から取り外すことが可能である。また、カバー部32を取り外すことで、筐体2の前面カバー21を室内ユニット1から取り外すことができる。したがって、カバー部32および前面カバー21を取り外すことで、制御部8を収容するための空間S1を外部、本実施形態では前方に開放できる。このため、例えば室内ユニット1の据付や保守などの作業時に空間S1に前方から容易にアクセスでき、制御基板80や各種の電子部品81などの設定、修理、交換などの作業性向上を図ることができる。また、据付後や保守後には、取り外し時と逆の手順でねじ止めすることで、前面カバー21およびカバー部32容易に取り付けることができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、かかる実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。このような新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
本実施形態では、温調された気流(吹出風)が第1の吹出口4b、端的には第2の吹出口3bから下向きに吹き出されるようにアタッチメント3が構成されるとともに、配置されている。吹出風を吹き出させる向き、つまり第2の風路3cが気流を導く方向は、下向きに限らず、上向き、横(左右)向きなど、任意の向き(方向)とすることが可能である。
【0068】
また、本実施形態では、ファン9および整流板94が吹出口ユニット4に配置されているが、これらは、例えばアタッチメント3の本体部31の第2の風路3c、あるいは筐体2に配置されていてもよい。
【0069】
さらに、本実施形態では、アタッチメント3の本体部31が吹出口ユニット4と別部品(別ユニット)として構成されているが、これらは同一部品(同一ユニット)とし、一体型の構造とされていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…室内ユニット、2…筐体、3…アタッチメント、3a…第2の流入口、3b…第2の吹出口、3c…第2の風路、4…吹出口ユニット、4a…第1の流入口、4b…第1の吹出口、4c…第1の風路、5…ルーバー、6…熱交換器、7…回動ユニット、72…第2の筒部材、74…ルーバー駆動機構、8…制御部、9…ファン、10…保持機構、11a,11b…リード線、21…前面カバー、21a…切り欠き、29…開口、211…ねじ、31…本体部、31a…第1の本体壁部、31b…第2の本体壁部、31c…第3の本体壁部、31d…第4の本体壁部、31e…第5の本体壁部、31f…第6の本体壁部、31g,31h,31i,31j…辺部、31k…受け部、31l…係止部、32…カバー部、32a…第1のカバー壁部、32b…第2のカバー壁部、32c…第3のカバー壁部、32d…第4のカバー壁部、32e…第5のカバー壁部、32f…第6のカバー壁部、32g,32h,32i…辺部、32j…切り欠き、32k…孔、34…配線空間、40…吹出口カバー、71…仕切板、80…制御基板、81…電子部品、90…ファンモータ、300…枠体、310…第1の枠体、311…枠部、312…起立部、313…固定部、314…配線口、320…第2の枠体、330…リング部材、AS…軸、AB…基準線、S1…空間(制御部の収容空間)、θ1,θ2,θ3,θ4…傾斜角度。
図1
図2
図3
図4
図5