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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002058
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】浴室殺菌洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20231228BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20231228BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
A47K4/00
A61L2/18 100
A61L101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101024
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】中川 靖
【テーマコード(参考)】
2D132
4C058
【Fターム(参考)】
2D132GA00
4C058AA07
4C058BB07
4C058CC07
4C058DD03
4C058DD11
4C058DD14
4C058DD16
4C058JJ07
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】全体の構成を簡易にして全体の製造コストを低減しつつ、人が不用意にオゾン水を浴びてしまう虞を適切に解消することが可能な浴室殺菌洗浄システムを提供する。
【解決手段】浴室1の殺菌洗浄処理を行なうべく浴室1へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置4を備えている、浴室殺菌洗浄システムSYであって、浴室1に設置されている照明装置9の点灯駆動制御が可能な照明制御手段7を、さらに備えており、照明制御手段7は、オゾン水噴霧動作の実行期間中は、照明装置9を消灯状態に設定する制御を実行するように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の殺菌洗浄処理を行なうべく前記浴室へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置を備えている、浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室に設置されている照明装置の点灯駆動制御が可能な照明制御手段を、さらに備えており、
前記照明制御手段は、前記オゾン水噴霧動作の実行期間中は、前記照明装置を消灯状態に設定する制御を実行するように構成されていることを特徴とする、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室の出入り口付近に設置され、かつ前記照明装置をオン・オフするための通常操作用の操作スイッチを備えており、
前記照明制御手段は、前記操作スイッチがオン操作された場合であっても、前記オゾン水噴霧動作の実行期間中においては、前記照明装置を点灯状態には設定しないように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項3】
請求項1に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記照明制御手段は、前記オゾン水噴霧動作が開始されようとするときに、前記照明装置が点灯状態にある場合には、前記オゾン水噴霧動作の開始に先立って前記照明装置を消灯状態に切替えるように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項4】
請求項3に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記オゾン水噴霧動作の開始に先立って前記照明装置が消灯状態に切替えられる場合には、前記オゾン水噴霧動作が開始される旨、または前記オゾン水噴霧動作が開始されることに起因して前記照明装置が消灯状態とされる旨を報知する報知手段を、さらに備えている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項5】
請求項4に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記報知がなされてから所定の待機時間が経過した後に、前記オゾン水噴霧動作が開始されるように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室を乾燥するための浴室乾燥運転が可能な浴室乾燥装置を備えており、
この浴室乾燥装置に、前記オゾン水噴霧装置および前記照明制御手段が具備されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項7】
請求項6に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記オゾン水噴霧動作が終了した後には、前記浴室乾燥装置による浴室乾燥運転が開始され、かつこの浴室乾燥運転が終了する迄、前記照明装置の消灯状態は維持されるように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を利用する浴室殺菌洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室殺菌洗浄システムの具体例として、たとえば特許文献1に記載されているように、オゾン水を浴室に噴霧可能なオゾン水噴霧装置を備えたものがある。
ここで、オゾン水は、殺菌作用を有する。したがって、前記構成によれば、オゾン水の噴霧により、浴室の壁面などの各部に殺菌処理を施し、カビや雑菌類などの繁殖を抑制することが可能である。オゾン水の噴霧による汚れの除去も可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術によれば、次のように未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、浴室へのオゾン水噴霧動作が実行されている期間中に、人がうっかりして浴室に進入し、オゾン水を浴びてしまう虞がある。オゾン水は殺菌作用を発揮する他、漂白作用なども発揮するため、前記したようなことは適切に回避されることが望まれる。
これに対し、特許文献1においては、オゾン水の噴霧動作と、一般の水(非オゾン水)の噴霧動作を交互に実行しており、オゾン水を人が浴びたとしても、このオゾン水が一般の水で洗い流され、オゾン水による影響を抑えるようにしている。ところが、このような手段によれば、一般の水の噴霧動作が相当な無駄となる。また、人がオゾン水を浴びることを防止し得る手段ではない。
【0005】
なお、オゾン水を人が浴びてしまうことを防止するための手段としては、たとえば浴室に人感センサを設置しておき、オゾン水噴霧動作の期間中に人が浴室に進入したことが人感センサを利用して検出された場合には、オゾン水噴霧動作を停止させることが考えられる。ところが、このような手段によれば、人感センサが必要とされるため、システム全体が高コストなものとなる。
また、たとえば特許文献2,3に記載されたシステムのように、浴室の照明装置が点灯状態にあり、浴室に人が存在すると考えられるときには、殺菌水の噴霧動作が禁止される構成とすることも考えられる。ところが、このような手段によれば、浴室の照明装置が消し忘れられて点灯状態のままである場合に、殺菌水の噴霧動作が実行されなくなり、不便を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-48858号公報
【特許文献2】特開2009-189454号公報
【特許文献3】特許第6129138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、全体の構成を簡易にして全体の製造コストを低減しつつ、人が不用意にオゾン水を浴びてしまう虞を適切に解消することが可能な浴室殺菌洗浄システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される浴室殺菌洗浄システムは、浴室の殺菌洗浄処理を行なうべく前記浴室へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置を備えている、浴室殺菌洗浄システムであって、前記浴室に設置されている照明装置の点灯駆動制御が可能な照明制御手段を、さらに備えており、前記照明制御手段は、前記オゾン水噴霧動作の実行期間中は、前記照明装置を消灯状態に設定する制御を実行するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴室へのオゾン水噴霧動作の実行期間中に、浴室の照明装置は消灯状態に設定されるため、浴室の照明装置が消灯状態にあること自体が、オゾン水噴霧動作が実行されている可能性を示唆することとなる。したがって、オゾン水噴霧動作が実行され、照明装置が消灯状態にあるときに、人が浴室に不用意に進入することは適切に抑制され、人がオゾン水を浴びる虞をなくし、または少なくすることが可能である。
また、人感センサを用いる必要はないため、システム全体の構成を簡素にし、低コスト化を図ることも可能である。さらに、照明装置の消し忘れに起因してオゾン水噴霧動作が実行されなくなるといった不具合もなく、便利である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記浴室の出入り口付近に設置され、かつ前記照明装置をオン・オフするための通常操作用の操作スイッチを備えており、前記照明制御手段は、前記操作スイッチがオン操作された場合であっても、前記オゾン水噴霧動作の実行期間中においては、前記照明装置を点灯状態には設定しないように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、浴室のオゾン水噴霧動作の実行期間中においては、浴室の出入り口付近に設置されている通常操作用の操作スイッチがオン操作されても、浴室の照明装置は点灯状態にはならないため、前記操作スイッチをオン操作した人は、そのことに基づき、現時点においてオゾン水噴霧動作がなされている旨を明確に察知することとなる。したがって、オゾン水噴霧動作の実行期間中に、人が不用意に浴室に進入することをより徹底して防止することが可能となる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記照明制御手段は、前記オゾン水噴霧動作が開始されようとするときに、前記照明装置が点灯状態にある場合には、前記オゾン水噴霧動作の開始に先立って前記照明装置を消灯状態に切替えるように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、オゾン水噴霧動作の実行期間中に、照明装置が消灯状態に設定されることが、照明制御手段の制御によって一層確実に実行される。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記オゾン水噴霧動作の開始に先立って前記照明装置が消灯状態に切替えられる場合には、前記オゾン水噴霧動作が開始される旨、または前記オゾン水噴霧動作が開始されることに起因して前記照明装置が消灯状態とされる旨を報知する報知手段を、さらに備えている。
【0016】
このような構成によれば、前記報知手段の前記報知に基づき、オゾン水噴霧動作がその後に開始される旨や、照明装置が消灯状態に切替えられる旨やその理由などを的確に察知することができる。理由が判らないまま照明装置が消灯状態とされて、これを照明装置の故障であると過誤判断されるといった虞を回避する上で好ましい。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記報知がなされてから所定の待機時間が経過した後に、前記オゾン水噴霧動作が開始されるように構成されている。
【0018】
このような構成によれば、前記報知がなされた時点で人が浴室にいる場合、この人は所
定の待機時間が経過する迄に浴室から退出すればよいこととなり、人がオゾン水を浴びてしまう虞をより徹底して防止することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記浴室を乾燥するための浴室乾燥運転が可能な浴室乾燥装置を備えており、この浴室乾燥装置に、前記オゾン水噴霧装置および前記照明制御手段が具備されている。
【0020】
このような構成によれば、浴室乾燥装置を利用し、システム全体の構成の合理化、簡素化を図ることができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記オゾン水噴霧動作が終了した後には、前記浴室乾燥装置による浴室乾燥運転が開始され、かつこの浴室乾燥運転が終了する迄、前記照明装置の消灯状態は維持されるように構成されている。
【0022】
このような構成によれば、オゾン水噴霧動作が終了したとしても、その後の浴室乾燥運転が終了する迄は、浴室の照明装置の消灯状態は維持されるため、浴室乾燥運転が終了せず、浴室が乾燥していない状況下で人が浴室に進入することも適切に防止または抑制される。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの一例を示す概略説明図である。
図2図1に示す浴室殺菌洗浄システムの構成要素である浴室乾燥装置の要部概略断面図である。
図3】照明制御手段の説明図である。
図4図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムにおいて実行される動作手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムSYは、浴室乾燥装置Aを備えて構成されている。浴室乾燥装置Aは、浴室1の天井部10に設置された本体部A0と、これとは別体のリモコン2とが組み合わされた構成であり、本体部A0に後述するオゾン水噴霧装置4が組み込まれている。
浴室乾燥装置Aは、給湯装置8から温水供給を受けるように設けられている。給湯装置8は、配管部80を介して浴槽11に湯水供給が可能である他、台所などへの一般給湯機能などを有し、浴室リモコン81Aや台所リモコン81Bを備えている。
【0027】
浴室乾燥装置Aの本体部A0は、送風用ファン30(循環ファンとも称される)、空気加熱用の熱交換器31、換気用ファン32、ミスト噴出ノズル33、オゾン水噴霧装置4、主制御部5、照明制御部7(本発明でいう照明制御手段の一例に相当)、およびこれら各部の全体を覆う筐体34を具備している。
【0028】
送風用ファン30は、浴室1内の空気を筐体34の下面部に設けられた給気口35aから吸い込み、かつ空気吹き出し口に設けられたルーバ36を介して浴室1内への送風を可能とするものである。熱交換器31は、給気口35aから送風用ファン30に吸い込まれる空気を加熱するためのものであり、この加熱を行なうための媒体として、熱交換器31
には給湯装置8から加熱湯水が供給可能とされている。送風用ファン30の駆動時において、給湯装置8から熱交換器31への加熱湯水の供給がなされると、給気口35aから吸い込まれた空気は加熱され、ルーバ36から浴室1には温風送風がなされる。浴室乾燥装置Aの浴室乾燥運転時には、前記した温風送風と、換気用ファン32による換気とが並行して実行される。
熱交換器31への加熱湯水の供給が停止されている場合には、ルーバ36から浴室1には非温風(非加熱空気)の送風がなされる。ルーバ36の向きは、不図示のモータにより変更可能であり、浴室1への送風時における空気吹き出し角度は適宜変更可能である。
【0029】
換気用ファン32は、浴室1の空気を屋外に排気させるためのファンである。この換気用ファン32を作動させると、浴室1内の空気が吸い込み口35bから筐体34内に吸い込まれて換気用ファン32の設置領域に進入し、排気口37から屋外に排気される。
【0030】
ミスト噴出ノズル33は、入浴者がミストシャワーを浴びたい場合に、湯水のミストを浴室1に噴出させるためのノズルである。このミスト噴出ノズル33に湯水を供給するための給水用配管部60には、電磁弁などの開閉弁Va、および熱交換器61が設けられており、開閉弁Vaが開状態とされることにより、ミスト噴出ノズル33からは湯水のミストが噴出する。熱交換器61には、給湯装置8から加熱湯水を供給し、ミスト噴出ノズル33に供給される湯水を加熱することが可能である。ミスト噴出ノズル33は、ルーバ36と同様に、不図示のモータによりその向きを変更可能とされている。
【0031】
オゾン水噴霧装置4は、給水用配管部60に分岐接続された配管部40、この配管部40に設けられた電磁弁などの開閉弁Vb、オゾン水生成器42、およびオゾン水噴霧用のノズル43を備えている。オゾン水生成器42としては、従来既知の構成のものを用いることが可能であり、たとえば電極を利用した水の電解により生成する方式のもの、あるいは空気からオゾンガスを生成し、かつこれを水に溶解させる方式のものなどがあるが、いずれの方式であってもよい。開閉弁Vbが開状態に設定されると、オゾン水生成器42を通過して生成されたオゾン水は、ノズル43から浴室1に向けて噴霧される。ノズル43からのオゾン水の噴霧は、たとえば浴室1の各側壁面12や床面13に向けてなされる。
【0032】
主制御部5は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、浴室乾燥装置Aの各部の動作制御を実行し、浴室1の乾燥運転などを実行させる他、後述するように、浴室1の殺菌洗浄処理を実行させる。この主制御部5は、通信部50を介してリモコン2との相互間で、ワイヤレスでのデータ通信が可能である。
リモコン2は、たとえば携帯式であり、通信部50を介して主制御部5とワイヤレス通信するための通信回路(不図示)、種々の動作指令を行なうための複数の操作スイッチ20、表示部21、音声メッセージなどの音を出力可能なスピーカ22などを備えている。
【0033】
照明制御部7は、浴室1に設置されている照明装置9の点灯駆動制御を実行可能であり、オゾン水噴霧動作の実行期間中は、照明装置9を消灯状態に設定する制御を実行するが、その詳細については後述する。
本実施形態における照明制御部7は、図3に示すように、電源部70およびスイッチ71を備えており、電源部70は照明装置9を点灯駆動させるための電源部である。
より具体的に説明すると、図1に示すように、浴室1の扉17によって開閉可能な出入り口18の付近には、照明装置9をオン・オフするための通常操作用の操作スイッチ90が設けられた筐体部91が設置されている。図3に示すように、操作スイッチ90、照明制御部7の電源部70、スイッチ71、および照明装置9は、配線La~Lcを介して電気的に接続されている。
【0034】
スイッチ71は、たとえば3ポジションリレースイッチであって、通常時においては、
ポジションP1に設定されている。この場合、電源部70と照明装置9とは、配線La,Lcおよび操作スイッチ90を介して接続された状態にある。このため、操作スイッチ90のオン・オフ操作により、照明装置9の点灯・消灯を切り替え可能である。
スイッチ71がポジションP0に設定された場合、電源部70と照明装置9とは遮断状態となる。この場合、操作スイッチ90の操作には関係なく、照明装置9は消灯状態に維持される。
スイッチ71がポジションP2に設定された場合、電源部70と照明装置9とは配線Lb,Lcを介して接続された状態となる。この場合、操作スイッチ90の操作には関係なく、照明装置9は点灯状態に維持される。
【0035】
次に、前記した浴室殺菌洗浄システムSYにおいて実行される動作処理手順の一例について、図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。併せて、その作用も説明する。
【0036】
本実施形態の浴室殺菌洗浄システムSYにおいては、たとえばリモコン2が用いられて、浴室1の殺菌洗浄処理を開始する旨の操作がなされた場合、オゾン水噴霧動作がいきなり実行されることはなく、オゾン水噴霧動作がまもなく開始される旨の報知動作、あるいはオゾン水噴霧動作の開始に起因して浴室1の照明装置9が消灯状態とされる旨を報知する報知動作行なわれる(S1:YES,S2)。この報知動作は、たとえばリモコン2のスピーカ22から前記した旨を報知するための音声メッセージが出力される態様で行なわれる。この場合、スピーカ22は、本発明でいう報知手段の一例に相当するが、報知手段は、これに限定されない。たとえば、リモコン2の表示部21を報知手段とし、この表示部21に報知内容を文字表示させるようにしてもよい。さらには、浴室乾燥装置Aと給湯装置8との相互間でデータ通信を実行させ、給湯装置8の浴室リモコン81Aや台所リモコン81Bを利用して音声メッセージ出力や画面表示などの報知動作を行なわせてもよい。
【0037】
前記した報知動作に伴い、照明制御部7は、浴室1の照明装置9と電源部70とを遮断した状態(図3のスイッチ71をポジションP0)に設定する(S3)。このことにより、照明装置9は、点灯状態であったとしても消灯状態に切替わる。また、この状態においては、通常用の操作スイッチ90をオン操作しても、照明装置9は点灯状態にはならず、照明装置9は消灯状態に維持される。
【0038】
次いで、所定の待機時間が経過すると、オゾン水噴霧装置4が作動し、ノズル43から浴室1の側壁面12や床面13に向けてオゾン水が噴霧されるオゾン水噴霧動作が開始される(S4:YES,S5)。前記待機時間は、たとえば数秒~十数秒程度、あるいはそれ以上に長い時間とされる。前記待機時間のカウント開始時期(始期)は、殺菌洗浄処理の操作時、前記報知動作時、あるいは照明装置9と電源部70との遮断時のいずれであってもよい。人が浴室1内でリモコン2を操作し、浴室1の殺菌洗浄処理を選択した場合、この人は前記待機時間内に浴室1から退出することによりオゾン水を浴びないようにすることが可能である。前記待機時間は、好ましくは、ユーザの要望などに応じて、その長さを適宜変更できるようにされる。
【0039】
前記したオゾン水噴霧動作の実行期間中は、浴室1の照明装置9が消灯状態にあり、操作スイッチ90をオン操作しても点灯状態にはならないため、このことにより人は浴室1内においてオゾン水噴霧動作が実行されている旨を容易かつ的確に察知し得ることとなる。したがって、人が浴室1に不用意に進入してオゾン水を浴びることが適切に防止される。また、浴室1に噴霧されたオゾン水からはオゾンガスが遊離し、浴室1のオゾンガス濃度が比較的高くなる場合がある。浴室1に人が進入した場合、あるいは進入しようとして扉17を開けた場合などには、前記したオゾンガスの特有の臭いにより不快な思いをする虞があるが、そのような虞も適切に防止される。
【0040】
前記したオゾン水噴霧動作が終了していない段階で、リモコン2が利用され、照明装置9を点灯状態とする旨の操作がなされた場合、この操作は無効とされ、照明装置9の消灯状態は維持される(S6:NO,S12:YES,S13)。なお、何らかの事情により、照明装置9を点灯状態にどうしても切り替えたい場合には、リモコン2を操作してオゾン水噴霧動作を強制的に停止させ、その後に照明装置9を点灯状態とする旨の操作を行なえばよいこととなる。勿論、これとは異なり、リモコン2を利用して照明装置9を点灯状態とする旨の操作がなされた場合には、照明装置9が点灯状態に切り替わる構成とすることもできる。
【0041】
前記したオゾン水噴霧動作がたとえば所定時間実行され、終了すると、その後は浴室乾燥運転が開始される(S6:YES,S7)。この浴室乾燥運転においては、浴室1への温風送風と、換気用ファン32による浴室1の換気とが並行して実行され、浴室1をオゾン水やオゾンガスが存在しない雰囲気に素早く設定することが可能である。
【0042】
前記浴室乾燥運転が終了していない段階でリモコン2が利用され、照明装置9を点灯状態とする旨の操作された場合、この操作は無効とされ、照明装置9の消灯状態は維持される(S8:NO,S14:YES,S15)。浴室乾燥運転が終了していない段階では、浴室1にオゾン水が残存し、またオゾンガス濃度が比較的高い場合もあるため、照明装置9の消灯状態が維持されれば、そのような状況にある浴室1に人が進入して不快な思いをしないようにすることが可能である。
【0043】
浴室乾燥運転は、たとえば浴室乾燥装置Aに付属して設けられた湿度センサ(不図示)を利用して検出される浴室1内の湿度が所定値以下まで低下した時点、あるいは予めタイマ設定された時間が経過した時点などに終了する。浴室乾燥運転が終了すると、殺菌洗浄処理が終了した旨を報知する報知動作がなされる(S8:YES,S9)。この報知動作は、先に述べたステップS2の場合と同様に、たとえばスピーカ22を利用した音声メッセージの出力の態様でなされる。
【0044】
その後、リモコン2が利用され、照明装置9を点灯する旨の操作がなされた場合には、照明制御部7は、照明装置9と電源部70との遮断状態を解除する(S10:YES,S11)。これは、たとえば図3に示した照明制御部7のスイッチ71を、ポジションP1,P2のいずれかに切り替えることにより行なわれ、いずれであってもよい。スイッチ71をポジションP2に切り替えた場合には、照明装置9を確実に点灯状態とすることが可能である。これに対し、ポジションP1に切り替えた場合には、通常時の状態となるため、その後に操作スイッチ90を操作することにより照明装置9の点灯・消灯を任意に選択できることとなる。フローチャートには不記載であるが、スイッチ71は、最終的には、通常状態であるポジションP1に復帰するように制御される。
【0045】
前記した一連の動作手順によれば、浴室1へのオゾン水噴霧動作の実行期間中に、浴室1の照明装置9は消灯状態に維持される。このため、照明装置9が消灯状態にあること自体が、オゾン水噴霧動作が実行されている可能性を示唆することとなる。したがって、オゾン水噴霧動作が実行され、照明装置9が消灯状態にあるときに、人が浴室1に不用意に進入することは抑制され、人がオゾン水を浴びてしまう虞を適切に解消することが可能である。
本実施形態の浴室殺菌洗浄システムSYにおいては、人感センサなどの高価な部品が用いられていないため、システム全体の構成を簡素にし、低コスト化を図ることが可能である。浴室殺菌洗浄システムSYは、浴室乾燥装置Aを用いて合理的に構成されており、低コスト化を一層促進することもできる。
さらに、照明装置9の電源部70を浴室乾燥装置Aに具備させているため、照明装置9
の設置に伴う電気配線作業の簡素化も図ることができる。
【0046】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0047】
上述の実施形態においては、浴室乾燥運転が終了するまでは浴室の照明装置を消灯状態に維持させているが、本発明はこれに限定されない。浴室乾燥運転時においては、オゾン水は噴霧されておらず、人がオゾン水を浴びる虞はないため、照明装置を点灯可能な状態としてもよい。また、オゾン水噴霧動作の終了の後には、浴室乾燥運転が自動的に実行される構成が好ましいものの、浴室乾燥運転が実行されない構成とすることもできる。
【0048】
オゾン水噴霧装置は、オゾン水を浴室に噴霧可能な構成であればよく、オゾン水の具体的な生成手法や、生成されるオゾン水のオゾン濃度なども限定されない。オゾン水噴霧用のノズルは、単数に限らず、複数用いられてもよく、その具体的な個数は問わない。また、オゾン水の噴霧は、浴室の側壁面や床面の全域になされることに代えて、たとえば側壁面のみ、あるいは床面のみに対して集中的にオゾン水が噴霧されるように構成することもできる。さらに、オゾン水噴霧動作は、オゾン水が連続して噴霧されるだけではなく、所定の短い周期で間欠的に噴霧される態様で行なわれてもよい。
浴室の殺菌洗浄処理(オゾン水噴霧動作)は、リモコン2を利用して所定の操作がなされることにより開始されることに代えて、または加えて、たとえばタイマ設定によって開始されるように構成することも可能である。
【0049】
上述の実施形態においては、送風用ファン、換気用ファン、湯水加熱用の熱交換器などを具備する浴室乾燥装置に、オゾン水噴霧装置、および照明制御部をさらに具備させることにより、浴室殺菌洗浄システムを構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、オゾン水噴霧装置を、浴室乾燥装置とは異なる箇所に設けた構成とすることも可能である。また、余り現実的ではないが、本発明に係る浴室殺菌洗浄システムを、浴室乾燥装置を利用することなく構成することも可能である。浴室乾燥装置を用いる場合、浴室乾燥運転に利用される温風を生成するための空気加熱手段として、たとえば電熱ヒータを用いることも可能である。
【0050】
上述の実施形態における照明制御手段(照明制御部7)は、照明装置9用の電源部70を備えた構成とされているが、照明装置9用の電源部としては、家屋内に設置されている商用電源を用いた構成とすることができる。したがって、上述の実施形態を前提に説明すると、照明制御手段(照明制御部7)としては、通常操作用の操作スイッチ90と照明装置9とに配線接続されたスイッチを備えたものとし、このスイッチが主制御部5の制御により切替えられて、照明装置9の点灯制御が行なわれる構成とすることも可能である。本発明における照明制御手段は、要は、浴室に設置されている照明装置の点灯駆動制御が可能であって、オゾン水噴霧動作の実行期間中は、照明装置を消灯状態に設定する制御を実行するものであればよい。
【符号の説明】
【0051】
SY 浴室殺菌洗浄システム
A 浴室乾燥装置
1 浴室
18 出入り口
4 オゾン水噴霧装置
7 照明制御部(照明制御手段)
9 照明装置
90 操作スイッチ
図1
図2
図3
図4