(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020597
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】廃熱回収システムおよびそのためのタービン膨張機
(51)【国際特許分類】
F01K 25/10 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
F01K25/10 W
F01K25/10 V
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203246
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2019031418の分割
【原出願日】2019-02-25
(31)【優先権主張番号】62/635,858
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・マイケル・ハッシャー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システム用タービン膨張機を提供する。
【解決手段】タービン膨張機22は、タービンブレード、タービンブレードに結合され、それによって回転可能なシャフトと、ノズルアセンブリを含む。ノズルアセンブリは、シャフトの周りに配置され、タービンブレードに隣接しているノズルブロックと、ノズルブロックに結合された第1のノズル構成要素と、ノズルブロックに結合された第2のノズル構成要素とを含む。第1のノズル構成要素は、第1の幾何学的構成を有する第1のノズルを画定する。第2のノズル構成要素は、第1の幾何学的構成とは異なる第2の幾何学的構成を有する第2のノズルを画定する。廃熱回収システム20はまた、タービン膨張機22と流体連通する流量制御装置24を含む。廃熱回収システム20は、流量制御装置24と通信するコントローラ26をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体に基づいて動力を出力するための廃熱回収システム用のタービン膨張機であって:
前記作動流体によって回転可能なタービンブレード;
前記タービンブレードに結合され、それによって回転可能であり、長手方向軸に沿って延びるシャフト;及び
前記タービンブレードを回転させるために前記作動流体を前記タービンブレードに導くためのノズルアセンブリ;を含み、前記ノズルアセンブリは、
前記シャフトの周りに配置され、前記タービンブレードに隣接しているノズルブロック、
前記作動流体を加速するために前記ノズルブロックに結合され、第1の幾何学的構成を有する第1のノズルを画定する第1のノズル構成要素、及び
前記作動流体を加速するために前記ノズルブロックに結合され、前記第1の幾何学的構成とは異なる第2の幾何学的構成を有する第2のノズルを画定する第2のノズル構成要素を含む、タービン膨張機。
【請求項2】
前記第1のノズルの前記第1の幾何学的構成は、第1のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第2のノズルの前記第2の幾何学的構成は、前記第1のスロート断面積とは異なる第2のスロート断面積を有するデラバル構成である、請求項1に記載のタービン膨張機。
【請求項3】
前記ノズルアセンブリは、前記作動流体を加速するために前記ノズルブロックに結合された第3のノズル構成要素をさらに含み、前記第3のノズル構成要素は、前記第1及び第2の幾何学的構成のうちの少なくとも1つとは異なる第3の幾何学的構成を有する第3のノズルを画定する、請求項1または2に記載のタービン膨張機。
【請求項4】
前記ノズルアセンブリは、前記作動流体を加速するために前記ノズルブロックに結合された第4のノズル構成要素をさらに含み、前記第4のノズル構成要素は、前記第1、第2の幾何学的構成、及び第3の幾何学的構成のうちの少なくとも1つとは異なる第4の幾何学的構成を有する第4のノズルを画定する、請求項3に記載のタービン膨張機。
【請求項5】
前記第1のノズルの前記第1の幾何学的構成は、第1のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第2のノズルの前記第2の幾何学的構成は、第2のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第3のノズルの前記第3の幾何学的構成は、第3のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第4の幾何学的構成は、第4のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第1、第2、第3、及び第4のスロート断面積のそれぞれは異なる、請求項4に記載のタービン膨張機。
【請求項6】
前記第1及び第2のノズル構成要素は、前記長手方向軸の周りに円周方向に離隔される、請求項1~5のいずれか一項に記載のタービン膨張機。
【請求項7】
前記第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素は、前記長手方向軸の周りに円周方向に離隔される、請求項5または6に記載のタービン膨張機。
【請求項8】
前記第1及び第2のノズル構成要素は、前記ノズルブロックと一体型である、請求項1~7のいずれか一項に記載のタービン膨張機。
【請求項9】
前記ノズルブロックはさらに第1のボア及び第2のボアを画定し、前記第1のノズル構成要素は、前記第1のノズル構成要素が前記第1のボア内に選択的に配置されるように前記ノズルブロックに取り外し可能に結合され、前記第2のノズル構成要素は、前記第2のノズル構成要素が前記第2のボア内に選択的に配置されるように前記ノズルブロックに取り外し可能に結合される、請求項1~8のいずれか一項に記載のタービン膨張機。
【請求項10】
内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムであって:
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記タービン膨張機;
前記作動流体を前記第1及び第2のノズルのうちの少なくとも1つに導くために、または前記タービン膨張機をバイパスするために、前記タービン膨張機と流体連通する流量制御装置;及び
前記流量制御装置と通信し、前記作動流体を前記第1及び第2のノズルのうちの少なくとも1つに導くように、または前記タービン膨張機をバイパスするように前記流量制御装置を制御するのに適しているコントローラ;を含む、廃熱回収システム。
【請求項11】
前記タービン膨張機の上流の前記作動流体の作動流体温度及び作動流体圧力のうちの少なくとも1つを検出するのに適した少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項10に記載の廃熱回収システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサによって検出された前記作動流体温度及び前記作動流体圧力のうちの少なくとも1つに基づいて、前記作動流体を前記第1及び第2のノズルのうちの少なくとも1つに導くように、または前記タービン膨張機をバイパスするように前記流量制御装置を制御する、請求項11に記載の廃熱回収システム。
【請求項13】
作動流体に基づいて動力を出力するための廃熱回収システム用のタービン膨張機であって:
前記作動流体によって回転可能なタービンブレード;
前記タービンブレードに結合され、それによって回転可能なシャフト;及び
前記タービンブレードを回転させるために前記作動流体を前記タービンブレードに導くためのノズルアセンブリ;を含み、前記ノズルアセンブリは、
前記シャフトの周りに配置され、前記タービンブレードに隣接しており、第1のボアを画定するノズルブロック、及び
前記作動流体を加速するために前記ボア内に選択的に配置されるように前記ノズルブロックに取り外し可能に結合され、ノズルを画定するノズル構成要素を含み;
前記ノズルブロックの少なくとも一部は、前記ノズルと前記タービンブレードとの間に配置される、タービン膨張機。
【請求項14】
内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムであって:
作動流体に基づいて動力を出力するためのタービン膨張機であって、前記タービン膨張機は、
前記作動流体によって回転可能なタービンブレード、
前記タービンブレードに結合され、前記タービンブレードによって回転可能であり、長手方向軸に沿って延びるシャフト、及び
前記タービンブレードを回転させるために前記作動流体を前記タービンブレードに導くためのノズルアセンブリを含み、前記ノズルアセンブリは、
前記シャフトの周りに配置され、前記タービンブレードに隣接しており、ボアを画定するノズルブロック、及び
前記作動流体を加速するために前記ボア内に選択的に配置されるように前記ノズルブロックに取り外し可能に結合され、ノズルを画定するノズル構成要素を含む、前記タービン膨張機;
前記作動流体を前記ノズルに導くために、または前記タービン膨張機をバイパスするように前記タービン膨張機と流体連通する流量制御装置;及び
前記流量制御装置と通信し、前記作動流体を前記ノズルに導くように、または前記タービン膨張機をバイパスするように前記流量制御装置を制御するのに適しているコントローラ;を含む、廃熱回収システム。
【請求項15】
前記ノズルブロックの少なくとも一部は、前記ノズルと前記タービンブレードとの間に配置される、請求項14に記載の廃熱回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(ICE)は作動中に推力及び/または動力を生成し、副産物として熱を放出する。自動車産業において、廃熱回収システムは、典型的に、このような廃棄された熱を利用して自動車の電子部品に電力を供給するためにも使用され得る電気を生産する。
【0003】
従来の廃熱回収システムは、タービン膨張機、流量制御装置、及びコントローラを含む。タービン膨張機は、作動流体に基づいて動力を出力する。具体的には、従来の廃熱回収システムにおいて、タービン膨張機は、作動流体によって回転可能なタービンブレードと、タービンブレードに結合されかつそれによって回転可能で長手方向軸に沿って延びるシャフトと、タービンブレードを回転させるために作動流体をタービンブレードに導くためのノズルアセンブリと、を含む。
【0004】
従来のノズルアセンブリは、ノズルブロックと、第1のノズル構成要素と、第2のノズル構成要素と、を有する。ノズルブロックは、シャフトの周りに配置され、タービン膨張機に隣接している。第1のノズル構成要素は、作動流体を加速するためにノズルブロックと一体型であり、第1のノズルを画定し、第2のノズル構成要素は、作動流体を加速するためにノズルブロックと一体型であり、第2のノズルを画定する。従来のノズル構成要素において、第1及び第2のノズルは、同じ幾何学的構成を有する。
【0005】
従来の廃熱回収システムは、有機ランキンサイクル(organic Rankine cycle:ORC)を利用する。ORCは、水-スチーム相変化よりも低い温度で生じる液体-蒸気相変化を有する有機高分子量作動流体の使用のために命名される。作動流体は、エタノール、メタノール、ケロシン(kerosene)、ガソリン、ディーゼル、プロパノール、ブタノール、水、ベンゼン、トルエン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、アセトン、または液体水素のうちの少なくとも1つを含み得る。ICEによって廃棄された熱は、作動流体を加熱して、作動流体が液体状態から蒸気状態へ液体-蒸気相変化をするようになる。蒸気状態では、作動流体はタービンブレードを回転させるのにより適している。
【0006】
近年、廃熱回収システムの効率及び全体的な性能を向上させることが求められている。廃熱回収システムの効率及び全体的な性能を向上させることに助けるために、作動範囲を拡張し、制御性を改善しようとする要求があった。従来の廃熱回収システムの場合、作動流体はタービンブレードを回転させるために適切な圧力及び質量流量で流れなければならない。
【0007】
しかしながら、第1及び第2のノズルが同じ幾何学的構成を有する従来の廃熱回収システムでは、廃熱回収システムが作動可能な狭いウィンドウ範囲の作動流体圧力及び質量流量しか存在しない。具体的には、ICEによって生成された熱は、ICEの速度及び負荷に基づいて異なる。このように、ICEの特定の作動状態(例えば、始動)において、ICEによって生成された熱は、作動流体圧力及び質量流量が、廃熱回収システムが作動可能な狭いウィンドウ範囲を外れるようにすることもできる。作動流体が狭いウィンドウ範囲の圧力及び質量流量を外れると、作動流体はタービン膨張機をバイパスしなければならないか、またはタービン膨張機はタービンブレードに対する作動流体の凝縮損傷を防ぐために遮断されなければならない。
【0008】
また、従来のノズルアセンブリは製造が困難である。具体的には、ノズルブロックと一体型であるノズル構成要素内にノズルを画定することは、ノズルブロックのサイズにより、広範囲かつ精密な機械加工を必要とするため、製造時間及びコストを増加させる。
【0009】
このように、改善された廃熱回収システムを提供する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0010】
内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムは、作動流体に基づいて動力を出力するためのタービン膨張機を含む。タービン膨張機は、作動流体によって回転可能なタービンブレードと、タービンブレードに結合されかつそれによって回転可能で長手方向軸に沿って延びるシャフトと、タービンブレードを回転させるために作動流体をタービンブレードに導くためのノズルアセンブリと、を含む。ノズルアセンブリは、シャフトの周りに配置され、タービンブレードに隣接しているノズルブロックと、作動流体を加速するためにノズルブロックに結合された第1のノズル構成要素と、作動流体を加速するためにノズルブロックに結合された第2のノズル構成要素と、を含む。第1のノズル構成要素は、第1の幾何学的構成を有する第1のノズルを画定する。第2のノズル構成要素は、第1の幾何学的構成とは異なる第2の幾何学的構成を有する第2のノズルを画定する。廃熱回収システムはまた、作動流体を第1及び第2のノズルのうちの少なくとも1つに導くために、またはタービン膨張機をバイパスするためにタービン膨張機と流体連通する流量制御装置を含む。廃熱回収システムは、流量制御装置と通信し、作動流体を第1及び第2のノズルのうちの少なくとも1つに導くように、またはタービン膨張機をバイパスするように流量制御装置を制御するのに適しているコントローラをさらに含む。
【0011】
内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムは、作動流体に基づいて動力を出力するためのタービン膨張機を含む。タービン膨張機は、作動流体によって回転可能なタービンブレードと、タービンブレードに結合されかつそれによって回転可能で長手方向軸に沿って延びるシャフトと、タービンブレードを回転させるために作動流体をタービンブレードに導くためのノズルアセンブリと、を含む。ノズルアセンブリは、シャフトの周りに配置され、タービンブレードに隣接しているノズルブロックを含み、ノズルブロックはボア(bore)を画定する。ノズルアセンブリはまた、ノズルブロックに取り外し可能に結合されたノズル構成要素を含み、したがって、ノズル構成要素は、作動流体を加速するためにボア内に選択的に配置される。ノズル構成要素は、ノズルを画定する。廃熱回収システムはまた、作動流体をノズルに導くために、またはタービン膨張機をバイパスするためにタービン膨張機と流体連通する流量制御装置を含む。廃熱回収システムは、流量制御装置と通信し、作動流体をノズルに導くように、またはタービン膨張機をバイパスするように流量制御装置を制御するのに適しているコントローラをさらに含む。上述のようなタービン膨張機において、ノズルブロックの少なくとも一部は、ノズルとタービンブレードとの間に配置され得る。
【0012】
したがって、異なる幾何学的構成を有する第1及び第2のノズルを有する廃熱回収システムは、作動流体が異なる作動流体圧力及び質量流量で第1及び第2のノズルの各々を通過することができるようにして、廃熱回収システムの作動範囲を拡大させることができる。また、第1及び第2のノズルは、廃熱回収システムのより大きな制御性を可能にする作動流体圧力及び質量流量のための一連の増分ステップを提供する。さらに、ノズルブロックに取り外し可能に結合されたノズル構成要素を有する廃熱回収システムは、廃熱回収システムの製造上の複雑さを減少させる。具体的には、ノズル構成要素のノズルは、ノズルブロックとは独立して機械加工され得るので、製造時間及び製造コストを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の他の利点は、添付の図面と関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるようになるので、容易に推察されるであろう。
【
図1】
図1は、タービン膨張機、流量制御装置、コントローラ、蒸発器、凝縮器、センサ、及びポンプを含む廃熱回収システムの概路図である。
【
図3】
図3は、タービン膨張機が作動流体によって回転可能なタービンブレードと、タービンブレードに結合されかつそれによって回転可能なシャフトと、タービンブレードを回転させるために作動流体をタービンブレードに導くためのノズルアセンブリと、を含む
図2のタービン膨張機の斜視図である。
【
図4】
図4は、タービンハウジングが取り外され、タービンブレード及びシャフトが仮想線で示されている
図2のタービン膨張機の平面図である。
【
図5】
図5は、ノズルアセンブリがノズルブロックと、ノズルブロックに結合されて仮想線で示された第1のノズルを画定する第1のノズル構成要素と、ノズルブロックに結合されて仮想線で示された第2のノズルを画定する第2のノズル構成要素と、ノズルブロックに結合されて仮想線で示された第3のノズルを画定する第3のノズル構成要素と、ノズルブロックに結合されて仮想線で示された第4のノズルを画定する第4のノズル構成要素と、を含む
図2~
図4のノズルアセンブリの平面図である。
【
図6A】
図6Aは、
図5の6A-6A線に沿って取られた第1のノズル構成要素の断面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図5の6B-6B線に沿って取られた第2のノズル構成要素の断面図である。
【
図6C】
図6Cは、
図5の6C-6C線に沿って取られた第3のノズル構成要素の断面図である。
【
図6D】
図6Dは、
図5の6D-6D線に沿って取られた第4のノズル構成要素の断面図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6Aの7A-7A線に沿って取られた第1のノズルの第1のスロート部(throat section)の断面図である。
【
図7B】
図7Bは、
図6Bの7B-7B線に沿って取られた第2のノズルの第2のスロート部の断面図である。
【
図7C】
図7Cは、
図6Cの7C-7C線に沿って取られた第3のノズルの第3のスロート部の断面図である。
【
図7D】
図7Dは、
図6Dの7D-7D線に沿って取られた第4のノズルの第4のスロート部の断面図である。
【
図8】
図8は、ノズルブロックが第1、第2、第3、及び第4のボアを画定し、第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素がノズルブロックに取り外し可能に結合され、第1、第2、第3、及び第4のノズルが仮想線で示されており、第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素がそれぞれ第1、第2、第3、及び第4のボア内に配置されている
図2~
図5のノズルアセンブリの代替実施形態の斜視図である。
【
図9】
図9は、第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素がそれぞれ第1、第2、第3、及び第4のボアから取り外されている
図8のノズルアセンブリの斜視図である。
【
図10】
図10は、第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素に結合された複数の流体カプラをさらに含む
図2のタービン膨張機の斜視図である。
【
図11】
図11は、複数の流体結合カプラが第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素から取り外されている
図10のタービン膨張機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照すると、いくつかの図面を通して同じ番号は同じ部品を示し、内燃機関(ICE)の廃熱を回収するための廃熱回収システム20が
図1に概略的に示されている。廃熱回収システム20は、作動流体に基づいて動力を出力するためのタービン膨張機22と、タービン膨張機22と流体連通する流量制御装置24と、流量制御装置24と通信するコントローラ26と、を含む。
【0015】
図3を参照すると、タービン膨張機22は、作動流体によって回転可能なタービンブレード28を含む。
図2に最もよく示されたように、タービン膨張機22はまた。タービンブレード28に結合されかつそれによって回転可能なシャフト30を含む。シャフト30は、長手方向軸Aに沿って延びる。作動流体は、シャフト30の長手方向軸Aの周りにタービンブレード28を回転させる。
【0016】
図2を引き続き参照すると、タービン膨張機22は、タービンブレード28を回転させるために作動流体をタービンブレード28に導くためのノズルアセンブリ32をさらにと含む。ノズルアセンブリ32は、シャフト30の周りに配置され、タービンブレード28に隣接しているノズルブロック34を含む。典型的に、ノズルブロック34は、環状形態を有する。しかしながら、ノズルブロック34は、作動流体をタービンブレード28に導くのに適した任意の形態を有することもできる。ノズルブロック34は、
図4に最もよく示されたように、タービンブレード28に向ける第1の面36、及び
図2に最もよく示されたように、第1の面36と対向する第2の面38を有することができる。
【0017】
図2を引き続き参照すると、ノズルアセンブリ32はまた、作動流体を加速するためにノズルブロック34に結合されたノズル構成要素40を含む。
図5及び
図6Aに示されたように、ノズル構成要素40は、ノズル42を画定する。一実施形態において、ノズル構成要素40は、
図2に示されたように、ノズルブロック34と一体型(すなわち、ワンピース)である。別の実施形態において、以下にさらに詳細に説明するように、ノズル構成要素40は、ノズルブロック34とは別個であり得る(すなわち、一体型ではないことがあり得る)。
【0018】
ノズル42は、幾何学的構成を有する。幾何学的構成は、収束型(converging-type)構成、発散型(diverging-type)構成、またはデラバル(de Laval)収束-発散型)構成であり得る。典型的に、幾何学的構成は、
図5及び
図6Aに示されたようにデラバル構成である。
【0019】
図6Aに最もよく示されたように、ノズル42の幾何学的構成がデラバル構成であるとき、ノズル42は、作動流体入口44と、収束部46と、発散部48と、発散部48から収束部46を分離するスロート部50と、作動流体出口52と、を含み得る。存在する場合、収束部46は、作動流体入口44からスロート部50まで延びる。収束部46が存在する場合、ノズル42の断面積は、作動流体入口44からスロート部50に向かって徐々に減少する。存在する場合、発散部48は、スロート部50から作動流体出口52まで延びる。発散部48が存在する場合、ノズル42の断面積は、スロート部50から作動流体出口52に向かって徐々に増加する。存在する場合、スロート部50は、ノズル42の断面積が最小になる所である。本開示の文脈では、ノズル42の最小断面積は、
図7Aに最もよく示されたように、スロート断面積54と呼ばれる。
【0020】
作動流体は、ノズル42の収束部46を通ってスロート部50に至る。作動流体が適切な圧力及び質量流量を有する場合、作動流体速度は、スロート部50でチョーク(choke)される。作動流体がスロート部50でチョークされる作動流体速度に対して適切な圧力及び質量流量であるか否かは、スロート断面積54に基づく。その後、作動流体は、発散部48内で膨脹して作動流体速度が超音速まで増加する。このようにして、ノズル42は、作動流体を超音速に加速する。
【0021】
上述のように、ノズル構成要素40は、ノズルブロック34と一体型であり得る。他の実施形態において、ノズル構成要素40は、例えば、熔接によってノズルブロック34に固定され得る。
図8及び
図9に示されたように、ノズル構成要素40は、ノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。ノズル構成要素40がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、ノズルブロック34は、ノズル構成要素40を選択的に受容するためのボア56を画定することができる。このようにして、ノズル構成要素40は、ボア56内に選択的に配置され得る。有利には、ノズル構成要素40がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、廃熱回収システム20の製造上の複雑さが減少される。具体的には、ノズル構成要素40のノズル42は、ノズルブロック34とは独立して機械加工及び/または鋳造され得るので、製造時間及び製造コストを減少させることができる。取り外し可能に結合されたノズル構成要素40はまた、ノズル構成要素40の互換性によって廃熱回収システム20のカスタマイズ可能性(customizability)をより大きくすることができる。
【0022】
ノズル構成要素40がノズルブロック34に取り外し可能に結合される場合、ノズル構成要素はねじ山を含み得る。ノズルブロック34はまた、ノズル構成要素がノズルブロック34に取り外し可能に結合され得るように、ねじ山を含み得る。他の実施形態において、ノズル構成要素40は、中間ばめ(transition fit)または締まりばめ(interference fit)によってノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、ノズル構成要素40がノズルブロック34に取り外し可能に結合される場合、ノズルブロック34の少なくとも一部は、
図8及び
図9に示されたようにノズル42とタービンブレード28との間に配置される。他の実施形態において、ノズルブロック34は、全体的にノズル42とタービンブレード28との間に配置される。いくつかの実施形態において、ノズルブロック34のどの部分もノズル42とタービンブレード28との間に配置されていない。
【0024】
ノズル構成要素40は、第1のノズル構成要素40としてさらに画定され得るし、ノズル42は、第1のノズル42としてさらに画定され得る。さらに、上述のノズル42の各部分は、第1の部分(例えば、第1のスロート部50、第1のスロート断面積54など)としてさらに画定され得る。
【0025】
図2を参照すると、ノズルアセンブリ32はまた、作動流体を加速するためにノズルブロック34に結合された第2のノズル構成要素58を含み得る。
図5及び
図6Bに示されたように、存在する場合、第2のノズル構成要素58は、第2のノズル60を画定する。一実施形態において、
図2に最もよく示されたように、第2のノズル構成要素58は、ノズルブロック34と一体型(すなわち、ワンピース)である。別の実施形態において、以下にさらに詳細に説明するように、第2のノズル構成要素58は、ノズルブロック34と別個であり得る(すなわち、一体型ではないことがあり得る)。
【0026】
第2のノズル60は、第2の幾何学的構成を有する。第2の幾何学的構成は、収束型構成、発散型構成、またはデラバル(収束-発散型)構成であり得る。典型的には、第2の幾何学的構成は、
図5及び
図6Bに示されたようにデラバル構成である。第2の幾何学的構成がデラバル構成であるとき、第2のノズル60は、第2の作動流体入口62と、第2の収束部64と、第2の発散部66と、第2の発散部66から第2の収束部64を分離する第2のスロート部68と、第2の作動流体出口70と、を有することができる。
図7Bに最もよく示されたように、第2のノズル60の最小断面積は、第2のスロート断面積72と呼ばれる。第1の作動流体入口44、第1の収束部46、第1の発散部48、第1のスロート部50、及び第1の作動流体出口52の説明は、第2の作動流体入口62、第2の収束部64、第2の発散部66、第2のスロート部68、及び第2の作動流体出口70にも適用されることが推察されるべきである。
【0027】
一実施形態において、第2のノズル60の第2の幾何学的構成は、存在する場合、第1のノズル42の第1の幾何学的構成と異なる。いくつかの実施形態において、第1及び第2の幾何学的構成は、異なるタイプの構成であり得る。例えば、第1の幾何学的構成は、収束型構成であり得、第2の幾何学的構成はデラバル構成であり得る。他の実施形態において、
図5に示されたように、第1及び第2の幾何学的構成は、同じタイプの構成であり得るが、互いに異なる対応する部分を有することができる。例えば、第1及び第2の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第1のノズル42の第1の作動流体入口44、第1の収束部46、第1のスロート部50、第1の発散部48、及び第1の作動流体出口52のうちの少なくとも1つは、第2のノズル60の対応する第2の作動流体入口62、第2の収束部64、第2のスロート部68、第2の発散部66、及び第2の作動流体出口70とは異なる。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第2のスロート断面積72は、
図7A及び
図7Bに示されたように、第1のスロート断面積54とは異なる。上述のように、作動流体の速度が第1及び第2のスロート部50、68でチョークされるかどうかは、第1及び第2のスロート断面積54、72及び作動流体圧力及び質量流量によって決定される。第1及び第2のスロート断面積54、72が異なるので、作動流体圧力及び質量流量は、第1及び第2のノズル42、60のうちの1つが作動流体を超音速に加速するために適している可能性があり、第1及び第2のノズル42、60のうちの他の1つは適していない可能性がある。さらに、ICEの作動中、廃熱回収システム20によって回収された熱は、第1及び第2のノズル42、60の両方が作動流体を超音速に加速することができるように作動流体圧力及び質量流量を変化させることができる。このようにして、第1及び第2のノズル42、60は、廃熱回収システム20の作動範囲を拡大させる。具体的には、第1及び第2のノズル42、60は、特定の作動流体圧力に対して廃熱回収システム20が作動し得る作動流体質量流量の範囲を拡大させる。これは有利に、以下でさらに詳細に説明するるように、廃熱回収システム20が、より広い範囲のICE作動状態に対して最大サイクル効率及び動力出力を維持することを可能にする。
【0029】
図2に示して上述したように、第2のノズル構成要素58は、ノズルブロック34と一体型であり得る。他の実施形態において、第2のノズル構成要素58は、例えば、熔接によってノズルブロック34に固定され得る。
図8及び
図9に示されたように、さらに他の実施形態において、第2のノズル構成要素58は、ノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。第2のノズル構成要素58がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、ノズルブロックは、第2のノズル構成要素58を選択的に受容するための第2のボア74を画定することができる。このようにして、第2のノズル構成要素58は、第2のボア74内に選択的に配置され得る。
【0030】
第2のノズル構成要素58がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、第2のノズル構成要素はねじ山を含み得る。ノズルブロック34はまた、第2のノズル構成要素58がノズルブロック34に取り外し可能に結合され得るようにねじ山を含み得る。他の実施形態において、第2のノズル構成要素58は、中間ばめまたは締まりばめによってノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、第2のノズル構成要素58がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、ノズルブロック34の少なくとも一部は、
図8及び
図9に示されたように第2のノズル60とタービンブレード28との間に配置される。他の実施形態において、ノズルブロック34は、全体的に第2のノズル60とタービンブレード28との間に配置される。いくつかの実施形態において、ノズルブロック34のいかなる部分も、第2のノズル60とタービンブレード28との間に配置されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のノズル構成要素42、60は、長手方向軸Aの周りに円周方向に離隔され得る。他の実施形態において、第1及び第2のノズル構成要素42、60は、長手方向軸Aの周りに等間隔で円周方向に離隔され得る。
【0033】
再び
図2を参照すると、ノズルアセンブリ32はまた、作動流体を加速するためにノズルブロック34に結合された第3のノズル構成要素76を含み得る。存在する場合、第3のノズル構成要素76は、第3のノズル78を画定する。一実施形態において、
図2に最もよく示されたように、第3のノズル構成要素76は、ノズルブロック34と一体型(すなわち、ワンピース)である。別の実施形態において、以下にさらに詳細に説明するように、第3のノズル構成要素76は、ノズルブロック34と別個であり得る(すなわち、一体型ではないことがあり得る)。
【0034】
第3のノズル78は、第3の幾何学的構成を有する。第3の幾何学的構成は、収束型構成、発散型構成、またはデラバル収束-発散型構成であり得る。典型的には、第3の幾何学的構成は、
図5及び
図6Cに示されたようにデラバル構成である。第3の幾何学的構成がデラバル構成であるとき、第3のノズル78は、第3の作動流体入口80と、第3の収束部82と、第3の発散部84と、第3の発散部84から第3の収束部82を分離する第3のスロート部86と、第3の作動流体出口88と、を有することができる。
図7Cに示されたように、第3のノズル78の最小断面積は、第3のスロート断面積90と呼ばれる。第1の作動流体入口44、第1の収束部46、第1の発散部48、第1のスロート部50、及び第1の作動流体出口52の説明は、第3の作動流体入口80、第3の収束部82、第3の発散部84、第3のスロート部86、及び第3の作動流体出口88にも適用されることが推察されるべきである。
【0035】
第3のノズル78の第3の幾何学的構成は、存在する場合、第1及び第2のノズル42、60の第1及び第2の幾何学的構成のうちの少なくとも1つと異なる。いくつかの実施形態において、第3の幾何学的構成は、第1及び第2の幾何学的構成のうちの少なくとも1つとは異なるタイプの構成であり得る。例えば、第1の幾何学的構成は、収束型構成であり得、第2の幾何学的構成はデラバル構成であり得、第3の幾何学的構成はデラバル構成であり得る。他の実施形態において、
図5に示されたように、第1、第2、及び第3の幾何学的構成は、同じタイプの構成であり得るが、互いに異なる対応する部分を有することができる。例えば、第1、第2、及び第3の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第3のノズル78の第3の作動流体入口80、第3の収束部82、第3の発散部84、第3のスロート部86、第3の発散部84及び第3の作動流体出口88のうちの少なくとも1つは、第1のノズル42の対応する第1の作動流体入口44、第1の収束部46、第1の発散部48、第1のスロート部50、及び第1の作動流体出口52及び/または第2のノズル60の第2の作動流体入口62、第2の収束部64、第2の発散部66、第2のスロート部68、及び第2の作動流体出口70とは異なる。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1、第2、及び第3の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第3のスロート断面積90は、第1及び第2のスロート断面積54、72のうちの少なくとも1つとは異なる。他の実施形態において、第1、第2、及び第3の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第1、第2、及び第3のスロート断面積54、72、90は、
図7A~
図7Cに示されたように互いに異なる。
【0037】
ノズルの幾何学的構成が互いに異なる場合、タービンブレード28を回転させる前に作動流体が通過することができるノズルの組み合わせの数は2n-1であり、ここでnはノズルアセンブリ32内に含まれたノズルの数である。
【0038】
第1、第2、及び第3の幾何学的構成が互いに異なる場合、作動流体は、作動流体圧力及び質量流量に基づいてタービンブレード28を回転させる前に、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78の7つの異なる組み合わせを通過することができる。具体的には、作動流体は第1のノズル42のみ、第2のノズル60のみ、第3のノズル78のみ、第1及び第2のノズル42、60のみ、第1及び第3のノズル42、78のみ、第2及び第3のノズル60、78のみ、及び第1、第2、及び第3のノズル42、60、78を通過することができる。
【0039】
第1、第2、及び第3の幾何学的構成がデラバル構成であり、第1、第2、及び第3のスロート断面積54、72、90が互いに異なる場合、作動流体の速度が第1、第2、及び第3のスロート部50、68、86でチョークされるかどうかは、上述のように、第1、第2、及び第3のスロート断面積54、72、90及び作動流体圧力及び質量流量によって決定される。第1、第2、及び第3のスロート断面積54、72、90は異なるので、作動流体圧力及び質量流量は、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78のうちの1つが作動流体を超音速に加速するのに適している可能性があり、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78のうちの他の1つは適していない可能性がある。さらに、ICEの作動中、廃熱回収システム20によって回収された熱は、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78の異なる組み合わせが作動流体を超音速に加速することができるように作動流体圧力及び質量流量を変化させることができる。このようにして、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78は、廃熱回収システム20の作動範囲を拡大させる。具体的には、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78は、特定の作動流体圧力に対して廃熱回収システム20が作動し得る作動流体質量流量の範囲を拡大させる。これは有利に、以下でさらに詳細に説明するるように、廃熱回収システム20は、より広い範囲のICE作動状態に対して最大サイクル効率及び動力出力を維持することを可能にする。
【0040】
図2に示して上述したように、第3のノズル構成要素76は、ノズルブロック34と一体型であり得る。他の実施形態において、第3のノズル構成要素76は、例えば、熔接によってノズルブロック34に固定され得る。
図8及び
図9に示されたように、さらに他の実施形態において、第3のノズル構成要素76は、ノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。第3のノズル構成要素76がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、ノズルブロックは、第3のノズル構成要素76を選択的に受容するための第3のボア92を画定することができる。このようにして、第3のノズル構成要素76は、第3のボア92内に選択的に配置され得る。
【0041】
第3のノズル構成要素76がノズルブロック34に取り外し可能に結合される場合、第3のノズル構成要素76は、ねじ山を含み得る。ノズルブロック34はまた、第3のノズル構成要素76がノズルブロック34に取り外し可能に結合され得るようにねじ山を含み得る。他の実施形態において、第3のノズル構成要素76は、中間ばめまたは締まりばめによってノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、第3のノズル構成要素76がノズルブロック34に取り外し可能に結合される場合、ノズルブロック34の少なくとも一部は、
図8及び
図9に示されたように第3のノズル78とタービンブレード28との間に配置される。他の実施形態において、ノズルブロック34は、全体的に第3のノズル78とタービンブレード28との間に配置される。いくつかの実施形態において、ノズルブロック34のいかなる部分も第3のノズル78とタービンブレード28との間に配置されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1、第2、及び第3のノズル構成要素40、58、76は、長手方向軸Aの周りに円周方向に離隔され得る。他の実施形態において、第1、第2、及び第3のノズル構成要素40、58、76は、長手方向軸Aの周りに等間隔で円周方向に離隔され得る。
【0044】
再び
図2を参照すると、ノズルアセンブリ32はまた、作動流体を加速するためにノズルブロック34に結合された第4のノズル構成要素94を含み得る。存在する場合、第4のノズル構成要素94は、第4のノズル96を画定する。一実施形態において、
図2に最もよく示されたように、第4のノズル構成要素94は、ノズルブロック34と一体型(すなわち、ワンピース)である。別の実施形態において、以下にさらに詳細に説明するように、第4のノズル構成要素94は、ノズルブロック34と別個であり得る(すなわち、一体型ではないことがあり得る)。
【0045】
第4のノズル96は、第4の幾何学的構成を有する。第4の幾何学的構成は、収束型構成、発散型構成、またはデラバル(収束-発散型)構成であり得る。典型的には、第4の幾何学的構成は、
図5及び
図6Dに示されたようにデラバル構成である。第4の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第4のノズル96は、第4の作動流体入口98と、第4の収束部100と、第4の発散部102と、第4の発散部102から第4の収束部100を分離する第4のスロート部104と、第4の作動流体出口106と、を有することができる。
図7Cに示されたように、第4のノズル96の最小断面積は、第4のスロート断面積108と呼ばれる。第1の作動流体入口44、第1の収束部46、第1の発散部48、第1のスロート部50、及び第1の作動流体出口52の説明は、第4の作動流体入口98、第4の収束部100、第4の発散部102、第4のスロート部104、及び第4の作動流体出口106にも適用されることが推察されるべきである。
【0046】
第4のノズル96の第4の幾何学的構成は、存在する場合、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78の第1、第2、及び第3の幾何学的構成のうちの少なくとも1つと異なる。いくつかの実施形態において、第4の幾何学的構成は、第1、第2、及び第3の幾何学的構成のうちの少なくとも1つと異なるタイプの構成であり得る。例えば、第1の幾何学的構成は収束型構成であり得、第2の幾何学的構成はデラバル構成であり得、第3の幾何学的構成はデラバル構成であり得、第4の幾何学的構成は発散型構成であり得る。他の実施形態において、
図5に示されたように、第1、第2、第3、及び第4の幾何学的構成は、同じタイプの構成であり得るが、互いに異なる対応する部分を有することができる。例えば、第1、第2、第3、及び第4の幾何学的構成がデラバル構成であるとき、第4のノズル96の第4の作動流体入口98、第4の収束部100、第4の発散部102、第4のスロート部104、及び第4の作動流体出口106のうちの少なくとも1つは、第1のノズル42の対応する第1の作動流体入口44、第1の収束部46、第1の発散部48、第1のスロート部50、及び第1の作動流体出口52、第2のノズル60の第2の作動流体入口62、第2の収束部64、第2の発散部66、第2のスロート部68、及び第2の作動流体出口70、及び/または第3のノズル78の第3の作動流体入口80、第3の収束部82、第3の発散部84、第3のスロート部86、及び第3の作動流体出口88とは異なる。
【0047】
いくつかの実施形態において、第1、第2、第3、及び第4の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第4のスロート断面積108は、第1、第2、及び第3のスロート断面積54、72、90のうちの少なくとも1つと異なる。他の実施形態において、第1、第2、第3、及び第4の幾何学的構成がデラバル構成である場合、第1、第2、第3、及び第4のスロート断面積54、72、90、108は、
図7A~
図7Dに示されたように互いに異なる。
【0048】
第1、第2、第3、及び第4の幾何学的構成が互いに異なる場合、作動流体は、作動流体圧力及び質量流量に基づいてタービンブレード28を回転させる前に、第1、第2、第3、及び第4のノズル42、60、78、96の15個の異なる組み合わせを通過することができる。具体的には、作動流体は、第1のノズル42のみ、第2のノズル60のみ、第3のノズル78のみ、第4のノズル96のみ、第1及び第2のノズル42、60のみ、第1及び第3のノズル42、78のみ、第1及び第4のノズル42、96のみ、第2及び第3のノズル60、78のみ、第2及び第4のノズル60、96のみ、第3及び第4のノズル78、96のみ、第1、第2、及び第3のノズル42、60、78のみ、第1、第2、及び第4のノズル42、60、96のみ、第1、第3、及び第4のノズル42、78、96のみ、第2、第3、及び第4のノズル60、78、96のみ、及び第1、第2、第3、及び第4のノズル42、60、78、96を通過することができる。
【0049】
第1、第2、第3、及び第4の幾何学的構成がデラバル構成であり、第1、第2、第3、及び第4のスロート断面積54、72、90、108が互いに異なるとき、作動流体の速度が第1、第2、第3、及び第4のスロート部50、68、86、104でチョークされるかどうかは、上述のように、第1、第2、第3、及び第4のスロート断面積54、72、90、108及び作動流体圧力及び質量流量によって決定される。第1、第2、第3、及び第4のスロート断面積54、72、90、108が異なるので、作動流体圧力及び質量流量は、第1、第2、第3、及び第4のノズル54、72、90、108のうちの1つが作動流体を超音速に加速するために適している可能性があり、第1、第2、第3、及び第4のノズル54、72、90、108のうちの他の1つは適していない可能性がある。さらに、ICEの作動中、廃熱回収システム20によって回収された熱は、第1、第2、第3、及び第4のノズル42、60、78、96の異なる組み合わせが作動流体を超音速に加速することができるように作動流体圧力及び質量流量を変化させることができる。このようにして、第1、第2、第3、及び第4のノズル42、60、78、96は、廃熱回収システム20の作動範囲を拡大させる。具体的には、第1、第2、第3、及び第4のノズル42、60、78、96は、特定の作動流体圧力に対して廃熱回収システム20が作動し得る作動流体質量流量の範囲を拡大させる。これは有利に、以下でさらに詳細に説明するるように、廃熱回収システム20は、より広い範囲のICE作動状態に対して最大サイクル効率及び動力出力を維持することを可能にする。
【0050】
図2に示して上述したように、第4のノズル構成要素94は、ノズルブロック34と一体型であり得る。他の実施形態において、第4のノズル構成要素94は、例えば、熔接によってノズルブロック34に固定され得る。
図8及び
図9に示されたように、さらに他の実施形態において、第3のノズル構成要素76は、ノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。第4のノズル構成要素94がノズルブロック34に取り外し可能に結合される場合、ノズルブロック34は、第3のノズル構成要素76を選択的に受容するための第4のボア110を画定することができる。このようにして、第4のノズル構成要素94は、第4のボア110内に選択的に配置され得る。
【0051】
第4のノズル構成要素94がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、第4のノズル構成要素94は、ねじ山を含み得る。ノズルブロック34はまた、第4のノズル構成要素94がノズルブロック34に取り外し可能に結合され得るようにねじ山を含み得る。他の実施形態において、第4のノズル構成要素94は、中間ばめまたは締まりばめによってノズルブロック34に取り外し可能に結合され得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、第4のノズル構成要素94がノズルブロック34に取り外し可能に結合されるとき、ノズルブロック34の少なくとも一部は、
図8及び
図9に示されたように第4のノズル96とタービンブレード28との間に配置される。他の実施形態において、ノズルブロック34は、第4のノズル96とタービンブレード28との間に全体的に配置される。いくつかの実施形態において、ノズルブロック34のいかなる部分も、第4のノズル96とタービンブレード28との間に配置されない。
【0053】
いくつかの実施形態において、第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素40、58、76、94は、長手方向軸Aの周りに円周方向に離隔され得る。他の実施形態において、
図4に示すように、第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素40、58、76、94は、長手方向軸Aの周りに等間隔で円周方向に離隔され得る。
【0054】
ノズルアセンブリ32は、任意の数の追加のノズル構成要素をさらに含むことができ、第1のノズル構成要素40に関する説明は任意の追加のノズル構成要素に適用可能であることが推察されるべきである。さらに、追加のノズル構成要素によって画定された任意のノズルの任意の幾何学的構成は、ノズルアセンブリ内に含まれたノズルのうちの少なくとも1つと異なることが推察されるべきである。このようにして、廃熱回収システム20の作動範囲は、本明細書で説明された第1、第2、第3、及び/または第4のノズル構成要素40、58、76、94を超過する追加のノズル構成要素を含めることによってさらに拡大され得る。例えば、ノズルアセンブリ32は、5個、6個、7個、または8個のノズル構成要素を含み得る。しかしながら、ノズルアセンブリ32は、8個超過のノズル構成要素を有することができることが推察されるべきである。
【0055】
図2及び
図3に示されたように、タービン膨張機22は、タービンハウジング112を含み得る。タービンハウジング112が存在する場合、タービンブレード28は、タービンハウジング112内に配置され得る。
【0056】
図1を再び参照すると、廃熱回収システム20は、作動流体をタービン膨張機22内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの少なくとも1つに導くために、またはタービン膨張機22をバイパスするようにタービン膨張機22と流体連通する流量制御装置24を含む。流量制御装置24は、バルブ、または任意の他の適している作動流体流量制御装置であり得る。流量制御装置24は、典型的には、タービン膨張機22の上流に配置される。
【0057】
いくつかの実施形態において、流量制御装置24は、タービン膨張機22内に含まれた各ノズルに対応する複数のバルブを含み得る。例えば、タービン膨張機22が2つのノズルを含む場合、流量制御装置24は2つのバルブを含む。各バルブは、作動流体が対応するノズルに流れることができる開位置と、作動流体が対応するノズルに流れるのが制限される閉位置との間で移動可能である。流量制御装置24がタービン膨張機内に含まれた各ノズルに対応する複数のバルブを含む場合、流量制御装置24はまた、作動流体がタービン膨張機22をバイパスさせるバイパスバルブを含み得る。他の実施形態において、流量制御装置は、作動流体をタービン膨張機22内に含まれたノズルのうちの1つ以上のノズルに選択的に導くか、またはタービン膨張機22をバイパスするのに適しているスイッチングバルブを含み得る。流量制御装置24の任意のバルブは、閉位置、開位置、及び作動流体の流れが測定される中間位置の間で移動可能であることが推察されるべきである。
【0058】
図1を引き続き参照すると、廃熱回収システム20は、流量制御装置24と通信し、作動流体をタービン膨張機22内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの少なくとも1つに導くように、またはタービン膨張機22をバイパスするように流量制御装置24を制御するのに適しているコントローラ26を含む。
【0059】
コントローラ26は、流量制御装置24の作動を制御するためにメモリ内に格納された命令を処理するための1つ以上のプロセッサ、またはマイクロプロセッサを含み得る。そのような命令は、コントローラ26によって実行される本明細書で説明された機能、アルゴリズムまたは技術のうちのいずれであり得る。追加または代替的に、コントローラ26は、本明細書で説明された機能を実行することができる1つ以上のマイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、チップ上のシステム、ディスクリート回路、及び/または他の適切なハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアを含み得る。
【0060】
典型的には、作動流体は、水-スチーム相変化よりも低い温度で生じる液体-蒸気相変化を有する有機高分子量作動流体である。作動流体は、エタノール、メタノール、ケロシン、ガソリン、ディーゼル、プロパノール、ブタノール、水、ベンゼン、トルエン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、アセトン、または液体水素のうちの少なくとも1つを含み得る。廃熱回収システムの作動中、作動流体は液体状態または蒸気状態のうちの1つにある。蒸気状態では、作動流体はタービンブレードを回転させるのにより適している。
【0061】
図1に示されたように、廃熱回収システム20はまた、流量制御装置24及びタービン膨張機22と流体連通する蒸発器114を含み得る。蒸発器114は、ICEによって廃棄された熱を作動流体に伝達し、作動流体が液体状態から蒸気状態に相変化させる。存在する場合、蒸発器114は、流量制御装置24の上流に配置される。
【0062】
廃熱回収システム20はまた、タービン膨張機22及び流量制御装置24と流体連通する凝縮器116を含み得る。凝縮器116は、作動流体がタービン膨張機22を通過した後に作動流体を蒸気状態から液体状態に凝縮させる。凝縮器116は、タービン膨張機22の下流に配置される。いくつかの実施形態において、廃熱回収システム20が蒸発器114を含む場合、凝縮器116は、タービン膨張機22の下流及び蒸発器114の上流に配置される。
【0063】
廃熱回収システム20は、コントローラ26と通信する少なくとも1つのセンサ118をさらに含み得る。少なくとも1つのセンサ118は、作動流体の特性を検出するのに適している。存在する場合、少なくとも1つのセンサ118は、流量制御装置24及びタービン膨張機22の上流に配置され、作動流体が流量制御装置24を通過する前に少なくとも1つのセンサ118が作動流体の特性を検出することができる。
図1に示されたように、蒸発器114が廃熱回収システム20内に含まれるとき、少なくとも1つのセンサ118は、流量制御装置24の上流及び蒸発器114の下流に配置される。しかしながら、少なくとも1つのセンサ118は、蒸発器114の上流にまたは作動流体の特性を検出するのに適している任意の他の位置に配置され得る。少なくとも1つのセンサ118は、さらに、少なくとも1つのセンサ118によって検出された作動流体の特性を示す信号をコントローラ26に送信するのに適している。少なくとも1つのセンサ118によって検出された作動流体の特性は、作動流体圧力、作動流体質量流量、作動流体温度、作動流体品質、及びそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサ118は、作動流体温度及び作動流体圧力を検出する。
【0064】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサ118は、2つのセンサであり得る。少なくとも1つのセンサ118が2つのセンサであるとき、各センサは上述の作動流体の特性のうちの1つを検出することができる。代替的に、各センサは、上述の作動流体の特性の組み合わせを検出することができる。いくつかの実施形態において、一方のセンサは作動流体温度を検出し、他方のセンサは作動流体圧力を検出する。
【0065】
廃熱回収システム20の最大サイクル効率及び動力出力を確保するために、作動流体がタービンブレード28を回転させる前に通過する第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96の組み合わせは、作動流体圧力及び作動流体質量流量の関数に基づく。上述のように、ICEによって廃棄された熱は、廃熱回収システム20によって回収されて作動流体を加熱し、作動流体が液体-蒸気相変化をすることになる。ICEによって廃棄された熱は、ICEの速度及び負荷(すなわち、作動状態)に基づいて変化する。このように、ICEの特定の作動状態(例えば、始動、加速など)において、ICEによって廃棄され、廃熱回収システム20によって回収された熱は、廃熱回収システム20の最大サイクル効率及び動力出力が維持されるべきである場合には、第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの1つ以上のノズルに適していない作動流体圧力を提供することができる。後述するように、少なくとも1つのセンサ118は、コントローラ26と通信して流体をタービン膨張機22内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの少なくとも1つに導き、ICEの作動状態のより広い範囲にわたって廃熱回収システム20の最大サイクル効率及び動力出力を確保する。
【0066】
少なくとも1つのセンサ118が廃熱回収システム20内に含まれるとき、コントローラ26は、少なくとも1つのセンサ118によって検出された作動流体の特性に基づいて作動流体をタービン膨張機22内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの少なくとも1つに導くように、またはタービン膨張機22をバイパスするように流量制御装置24を制御するように適合され得る。一実施形態において、コントローラ26が少なくとも1つのセンサ118によって検出された作動流体の特性を示す信号を受信するとき、コントローラ26は、作動流体の検出された特性をタービン膨張機内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96の各々の幾何学的構成に対応する閾値と比較することができる。作動流体の検出された特性を閾値(複数)と比較した後、コントローラは、次に、流量制御装置24を制御して作動流体を、作動流体の検出された特性が対応する閾値(複数)を超える第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のそれぞれに導く。コントローラ26が対応する閾値(複数)が作動流体の検出された特性によって超えていないと判定した場合には、コントローラ26は、流量制御装置24を制御して作動流体がタービン膨張機22をバイパスするように導く。このようにして、第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96の異なる幾何学的構成は、有利には、作動流体を作動流体圧力、質量流量、温度などのより広い範囲で超音速に加速することによって廃熱回収システム20の作動範囲を拡大させる。また、作動流体圧力及び/または質量流量がICEの作動中に変化することにより、廃熱回収システム20は有利にはタービンブレード28への作動流体の流れの漸進的な増加を可能にする。
【0067】
例えば、ICEの始動中、作動流体質量流量は、ICEによって廃棄された熱の作動流体への最大伝達を確保するために低くなっていてよい。廃熱回収システム20の最大サイクル効率及び動力出力を確保するために、作動流体圧力は、典型的に、エンジンが定常作動状態などの他の作動状態にあるときよりも高い値を有するであろう。作動流体圧力のより高い値に基づいて、コントローラ26は、流量制御装置24を制御して作動流体を小さなスロート断面積を有する第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96うちの少なくとも1つに導くであろう。
【0068】
別の実施例において、加速中に、ICEによって廃棄された熱は絶えず変化する。廃熱回収システム20の最大サイクル効率及び動力出力を確保するために、コントローラ26は、流量制御装置24を制御して作動流体を第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの1つ、2つ、3つ、及び/または4つのノズルに導き、作動流体圧力が比較的一定に維持される一方、ICEによって廃棄された熱は変化する。言い換えれば、作動流体が導かれるノズルの数は、ICEによって廃棄された熱が変化するにつれて変化し得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサ118は、タービン膨張機22の上流の作動流体の作動流体温度及び作動流体圧力のうちの少なくとも1つを検出するように適合され得る。コントローラ26は、少なくとも1つのセンサ118によって検出された作動流体質量流量及び作動流体圧力のうちの少なくとも1つに基づいて作動流体をタービン膨張機22内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル42、60、78、96のうちの少なくとも1つに導くように、またはタービン膨張機22をバイパスするように、流量制御装置24を制御することができる。
【0070】
再び
図1を参照すると、廃熱回収システム20はまた、作動流体を循環させるための作動流体回路120を含み得る。作動流体回路120は、タービン膨張機22、流量制御装置24、蒸発器114、及び/または凝縮器116を流体結合する。作動流体回路120は、複数の流体導管を含み得る。
【0071】
図10及び
図11に示されたように、作動流体回路120が複数の流体導管を含む場合、タービン膨張機22は、流体導管のうちの1つをタービン膨張機22内に含まれた第1、第2、第3、及び/または第4のノズル構成要素40、58、76、94のそれぞれに取り外し可能に結合するための1つ以上の流体カプラ122を含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、作動流体回路120は、流量制御装置24を凝縮器116に直接流体結合するバイパスループを含むことができるので、タービン膨張機22を通る作動流体の通過を回避することができる。
【0073】
再び
図1を参照すると、廃熱回収システム20はまた、1つ以上の速度で廃熱回収システム20を通じて作動流体流量を調整するのに適合されたポンプ124を含み得る。ポンプ124は、ピストンポンプまたはダイアフラムポンプのような任意の適切なポンプであり得る。いくつかの実施形態において、廃熱回収システム20が蒸発器114及び凝縮器116を含むとき、ポンプ124は蒸発器114の上流及び凝縮器116の下流に配置され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサ118が存在する場合、ポンプ124はコントローラ26と通信することができ、コントローラ26はポンプ124を制御して少なくとも1つのセンサ118によって検出された作動流体の特性に基づいて作動流体流量を調整することができる。
【0074】
車両は、本明細書で説明された廃熱回収システム20を含み得る。いくつかの実施形態において、タービン膨張機22のシャフト30は発電機に結合され得る。シャフト30が発電機に結合される場合、ICEによって生成された廃熱は、車両によって貯蔵または使用され得る電力に変換され得る。
【0075】
本発明は、例示的に説明されており、使用された用語は限定するよりも説明する性格を持つものと意図していることを理解すべきであろう。本発明の多くの修正及び変形が上記の教示を照らし合わせて可能であり、本発明は、具体的に説明されたものとは異なった方法により実施することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体に基づいて動力を出力する廃熱回収システムのためのタービン膨張機において、
前記作動流体によって回転可能なタービンブレードと、
前記タービンブレードに結合され、前記タービンブレードによって回転可能なシャフトであって、長手方向軸に沿って延びるシャフトと、
前記作動流体を前記タービンブレードへと導いて、前記タービンブレードを回転させるためのノズルアセンブリであって、
前記シャフトの周りに、前記タービンブレードに隣接して配置されたノズルブロックと、
前記ノズルブロックに結合された、前記作動流体を加速させるための第1のノズル構成要素であって、第1の幾何学的構成を有する第1のノズルを画定するノズル構成要素と、
前記ノズルブロックに結合された、前記作動流体を加速させるための第2のノズル構成要素であって、前記第1の幾何学的構成とは異なる第2の幾何学的構成を有する第2のノズルを画定する第2のノズル構成要素と
を含むノズルアセンブリと、
を含むタービン膨張機。
【請求項2】
前記第1のノズルの前記第1の幾何学的構成は第1のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第2のノズルの前記第2の幾何学的構成は、前記第1のスロート断面積とは異なる第2のスロート断面積を有するデラバル構成である、請求項1に記載のタービン膨張機。
【請求項3】
前記ノズルアセンブリは、前記ノズルブロックに結合された、前記作動流体を加速させるための第3のノズル構成要素であって、前記第1及び第2の幾何学的構成のうちの少なくとも一方とは異なる第3の幾何学的構成を有する第3のノズルを画定する第3のノズル構成要素をさらに含む、請求項1及び2の何れか1項に記載のタービン膨張機。
【請求項4】
前記ノズルアセンブリは、前記ノズルブロックに結合された、前記作動流体を加速させるための第4のノズル構成要素であって、前記第1、第2の幾何学的構成のうちの少なくとも一方及び第3の幾何学的構成とは異なる第4の幾何学的構成を有する第4のノズルを画定する第4のノズル構成要素をさらに含む、請求項3に記載のタービン膨張機。
【請求項5】
前記第1のノズルの前記第1の幾何学的構成は第1のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第2のノズルの前記第2の幾何学的構成は第2のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第3のノズルの前記第3の幾何学的構成は第3のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第4の幾何学的構成は第4のスロート断面積を有するデラバル構成であり、前記第1、第2、第3、及び第4のスロート断面積はそれぞれ異なる、請求項4に記載のタービン膨張機。
【請求項6】
前記第1及び第2のノズル構成要素は前記長手方向軸の周りに円周方向に離隔される、請求項1~5の何れか1項に記載のタービン膨張機。
【請求項7】
前記第1、第2、第3、及び第4のノズル構成要素は前記長手方向軸の周りに円周方向に離隔される、請求項5及び6の何れか1項に記載のタービン膨張機。
【請求項8】
前記第1及び第2のノズル構成要素は前記ノズルブロックと一体である、請求項1~7の何れか1項に記載のタービン膨張機。
【請求項9】
前記ノズルブロックはさらに、第1のボアと第2のボアを画定し、前記第1のノズル構成要素は前記ノズルブロックに取り外し可能に結合されて、前記第1のノズル構成要素は前記第1のボアの中に選択的に配置され、前記第2のノズル構成要素は前記ノズルブロックに取り外し可能に結合されて、前記第2のノズル構成要素は前記第2のボアの中に選択的に配置される、請求項1~8の何れか1項に記載のタービン膨張機。
【請求項10】
内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムにおいて、
請求項1~9の何れか1項に記載の前記タービン膨張機と、
前記タービン膨張機と流体連通する、前記作動流体を前記第1及び第2のノズルのうちの少なくとも一方へと、又は前記タービン膨張機をバイパスするように導くための流量制御装置と、
前記流量制御装置と通信し、前記流量制御装置を制御して、前記作動流体を前記第1及び第2のノズルのうちの少なくとも一方へと、又は前記タービン膨張機をバイパスするように導くようになされるコントローラと、
を含む廃熱回収システム。
【請求項11】
前記タービン膨張機の上流の前記作動流体の作動流体温度及び作動流体圧力のうちの少なくとも一方を検出するようになされた少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項10に記載の廃熱回収システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記流量制御装置を制御して、前記少なくとも1つのセンサにより検出された前記作動流体温度及び前記作動流体圧力のうちの少なくとも一方に基づいて、前記作動流体を前記第1及び第2のノズルのうちの少なくとも一方へと、又は前記タービン膨張機をバイパスするように導く、請求項11に記載の廃熱回収システム。
【請求項13】
作動流体に基づいて動力を出力する廃熱回収システムのためのタービン膨張機において、
前記作動流体によって回転可能なタービンブレードと、
前記タービンブレードに結合され、前記タービンブレードによって回転可能なシャフトと、
前記作動流体を前記タービンブレードへと導いて、前記タービンブレードを回転させるためのノズルアセンブリであって、
前記シャフトの周りに、前記タービンブレードに隣接して配置されたノズルブロックであって、第1のボアを画定するノズルブロックと、
前記ノズルブロックに取り外し可能に結合されて、前記ボアの中に選択的に配置されて前記作動流体を加速させるためのノズル構成要素であって、ノズルを画定するノズル構成要素と、
を含むノズルアセンブリと、
を含み、
前記ノズルブロックの少なくとも一部は前記ノズルと前記タービンブレードとの間に配置されるタービン膨張機。
【請求項14】
内燃機関の廃熱を回収するための廃熱回収システムにおいて、
作動流体に基づいて動力を出力するためのタービン膨張機であって、
前記作動流体によって回転可能なタービンブレードと、
前記タービンブレードに結合され、前記タービンブレードによって回転可能なシャフトであって、長手方向軸に沿って延びるシャフトと、
前記作動流体を前記タービンブレードに導いて、前記タービンブレードを回転させるためのノズルアセンブリであって、
前記シャフトの周りに、前記タービンブレードに隣接して配置されたノズルブロックであって、ボアを画定するノズルブロックと、
前記ノズルブロックに取り外し可能に結合されて、前記ボアの中に選択的に配置されて前記作動流体を加速させるためのノズル構成要素であって、ノズルを画定するノズル構成要素と、
を含むノズルアセンブリと、
を含むタービン膨張機と、
前記タービン膨張機と流体連通する、前記作動流体を前記ノズルへと、又は前記タービン膨張機をバイパスするように導くための流量制御装置と、
前記流量制御装置と通信し、前記流量制御装置を制御するようになされ、前記作動流体を前記ノズルへと、又は前記タービン膨張機をバイパスするように導くコントローラと、
を含む廃熱回収システム。
【請求項15】
前記ノズルブロックの少なくとも一部は前記ノズルと前記タービンブレードとの間に配置される、請求項14に記載の廃熱回収システム。