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特開2024-20605独立流体経路を備える一体型カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020605
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】独立流体経路を備える一体型カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61M25/06 580
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203829
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2022056641の分割
【原出願日】2016-10-06
(31)【優先権主張番号】62/247,596
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/247,599
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/247,617
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/247,607
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/247,621
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/247,624
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/247,626
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/296,383
(32)【優先日】2016-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/296,385
(32)【優先日】2016-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/286,162
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ビン
(72)【発明者】
【氏名】バート ディー.ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ エル.ソンデレッガー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】誘導針が十分に挿入されて、血管に入ったことを確実に確認できるカテーテル装置を提供する。
【解決手段】チャンバ、カテーテルハブ、カテーテルハブ、チャンバと流体連通するカテーテルアダプタと、カテーテル内でスライド可能に嵌合するように構成された針は、外側表面は、針の遠位末端から外側表面に沿って延びる軸チャネルを備え、カテーテルハブのチャンバ中に延びて、血液フラッシュバックの流路を提供し、針に固定された針ハブとを含み、挿入構成において、カテーテルハブは、ハブの遠位開口部内に取り外し可能に結合されており、カテーテルの配置の後、針ハブは、カテーテルから針をスライド可能に取り外すため、およびカテーテルアダプタから針ハブを分離するために、カテーテルアダプタから後退させられるカテーテルシステムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアダプタであって、
遠位端および近位端を含み、および前記遠位端と前記近位端との間に延びるチャンバを画定する、カテーテルハブ、
前記カテーテルハブの前記遠位端から延び、および前記チャンバと流体連通する、カテーテル、
固定プラットフォーム、
を含むカテーテルアダプタと、
針ハブであって、
前記カテーテル内でスライド可能に嵌合するように構成された針であって、
前記針の外側表面は、針の遠位末端から外側表面に沿って延びる軸チャネルを備え、挿入配置において、軸チャネルはカテーテルハブのチャンバ中に延びて、血液フラッシュバックの流路を提供する針、
前記針の近位端に固定された針ハブ本体、
を含む針ハブと、
を含むカテーテルシステムであって、
挿入構成において、前記カテーテルハブの前記近位端は、前記針ハブの遠位開口部内に取り外し可能に結合されており、および
前記カテーテルの配置の後、前記針ハブは、前記カテーテルから前記針をスライド可能に取り外すため、および前記カテーテルアダプタから前記針ハブを分離するために、前記カテーテルアダプタから後退させられることを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項2】
前記針は、環状壁と針から遠位に延びる開放孔を備え、環状壁は、開放孔と軸チャネルを分離して、軸チャネルが針の開放孔に入らない、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記針は、前記針ハブのチャンバと流体連通する開放孔を含み、血液は、前記開放孔を通って針ハブのチャンバに流れて、前記針が患者の脈管構造に入ったことを示す二次的血液フラッシュバックを提供することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記固定プラットフォームは、患者の肌に対して前記カテーテルアダプタを安定に維持するための概して平面形状を含む翼部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記固定プラットフォームは、前記カテーテルアダプタを操作し、そして、前記カテーテルアダプタを前進させるための把持表面を提供するように構成されたソフトプッシュタブをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記カテーテルハブは、前記カテーテルハブの前記チャンバと流体連通するYポートをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記針ハブは、前記針ハブの遠位端から延びて、そして、前記針ハブを操作するためのグリップ表面を提供するように構成されたパドルグリップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記固定プラットフォームは、平面形状を有する翼部を含み、前記パドルグリップは、翼部の平面形状と同一平面上にある別の平面形状を含み、前記パドルグリップは、翼部の後縁を受容するように構成された蓋を備える、請求項7に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記カテーテルハブは、前記針がセプタム内のスリットを通って、取り外し可能で、且つ、スライド可能に通過することができるように構成されたセプタムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記カテーテルハブは、前記カテーテルハブ内に前記セプタムを固定するように構成されたセプタムキャニスタをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記針が前記カテーテルアダプタから後退させられる際に前記針の遠位突端を係合することによって針突き刺しから保護するように構成された針安全装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記カテーテルハブの近位末端は、近位延長タブを有する近位延長部を備え、針ハブ本体は、遠位開口溝を有する遠位開口部を備え、挿入配置において、カテーテルハブの近位延長部は、針ハブ本体と遠位開口部と取り外し可能で、且つ、スライド可能に連結されており、そして、カテーテルアダプタに対する針ハブの回転移動が制限されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、静脈内カテーテル(例えば、脈管アクセスデバイス)に関する。より具体的には、本出願は、独立流体経路(independent fluid paths)を備える一体型カテーテル組立品を使用する様々な方法および独立流体経路を備える一体型カテーテル組立品のシステムを開示する。概して、脈管アクセスデバイスは、診断または治療の理由のために、末梢血管または中枢血管(central vessel)を経由して、静脈内に挿入される。脈管アクセスデバイスを、患者に流体(例えば、生理食塩水、血液、薬剤、および/または完全非経口栄養)を注入する、患者から流体(例えば、血液)を抜き取る、および/または患者の脈管系の様々なパラメータを監視するために使用することができる。加えて、本開示において、慣習に倣って、用語「近位」は、医師(medical practitioner)に最も近いデバイスの部分に言及するために使用され、および用語「遠位」は、患者に向かうまたは医師から離れるデバイスの部分に言及するために使用される。
【背景技術】
【0002】
静脈内(IV)カテーテル組立品は、様々なタイプの脈管アクセスデバイスのうちの1つである。留置針(over-the-needle)末梢IVカテーテルは、一般的なIVカテーテル構成である。その名前が示すように、留置針IVカテーテルは、鋭い遠位先端を有する誘導針(誘導針)を覆って据え付けられる。誘導針は、概して、針をガイドするのに役立ちおよびそのカテーテルとの協働を容易にする、針組立品に結合される静脈穿刺針である。カテーテルの遠位部分の少なくとも内表面は、針の外表面にきつく係合してカテーテルの「引き離し(peel-back)」を防止し、およびそれによって、血管内へのカテーテルの挿入を容易にする。カテーテルおよび誘導針は、大抵、誘導針の鋭い遠位先端がカテーテルの遠位先端を越えて延びるように組み立てられる。さらに、カテーテルおよび針は、大抵、挿入の間、針のべベルが患者の肌から離れて上を向くように、組み立てられる。カテーテルおよび誘導針は、概して、浅い角度で患者の肌を通して血管内に挿入される。
【0003】
カテーテル挿入サイトにおける血管内へのカテーテルおよび誘導針の挿入に続いて、誘導針は、血管内にカテーテルを残して取り外される。カテーテルは、次いで、患者の脈管構造(vasculature)内に流体を注入するために使用される。取り外された誘導針は、「血液で汚染された先の尖ったもの(blood-contaminated sharp)」とみなされ、およびその結果、適切に扱われおよび廃棄されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,496,623号明細書
【特許文献2】米国特許第9,399,120号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第62/314,262明細書
【特許文献4】米国特許第6,117,108号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第14/295,953号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
慣用の留置針カテーテルは、様々な利益を提供する可能性があるが、それらは、それらの短所が無いというわけではない。例えば、誘導針が取り外された後、それは医師および/または患者に針突き刺しの危険を及ぼし得る。また、カテーテルの設置において、医師は、誘導針(およびカテーテル)が十分に挿入されて、静脈を貫通することなく血管に入ったことを確実にするように注意しなければならない。
【0006】
従って、様々な留置針カテーテルが現在存在するが、上記に掲載されたものを含む課題は依然として存在する。その結果、現行のシステムおよび技術を増強し、またはさらに他のシステムおよび技術と置き換えることは、当技術分野における改善となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、概して、独立流体経路を備えるカテーテルシステムに関する。より具体的には、本開示は、カテーテルシステムの針が患者の血管に入ったことを示すための一次的および二次的血液フラッシュバックを提供するカテーテルシステムを論じる。これらのカテーテルシステムを使用する方法もまた論じられる。
【0008】
いくつかの例示的なカテーテルシステムは、遠位端および近位端を含みおよび遠位端と近位端との間に延びるチャンバを画定するカテーテルハブ、カテーテルハブの遠位端から延びおよびチャンバと流体連通するカテーテル、固定プラットフォーム(stabilization platform)、を含むカテーテルアダプタと、カテーテル内にスライド可能に嵌合するように構成された針、針の近位端に固定された針ハブ本体、を含む針ハブと、を含むことができ、挿入構成において、カテーテルハブの近位端は、針ハブの遠位開口部内に取り外し可能に結合されており、およびカテーテルの配置の後、針ハブは、カテーテルから針をスライド可能に取り外すため、およびカテーテルアダプタから針ハブを分離するために、カテーテルアダプタから後退させられる(retracted)。いくつかの実施形態において、針は、カテーテルハブのチャンバ内において一次的血液フラッシュバックを提供して針が患者の脈管構造に入ったことを示すように構成された軸チャネルを含む。他の実施形態において、針は、針ハブのチャンバと流体連通する開放孔(open bore)を含み、および血液は、開放孔を通って針ハブのチャンバに流れて、針が患者の脈管構造に入ったことを示す二次的血液フラッシュバックを提供する。
【0009】
いくつかの場合において、固定プラットフォームは、患者の肌に対してカテーテルアダプタを安定に維持するための概して平面形状を含む第1の翼部をさらに含むことができる。他の場合において、固定プラットフォームは、カテーテルアダプタを操作しおよび前進させるための把持表面(grasping surface)を提供するように構成されたソフトプッシュタブをさらに含むことができる。さらに別の場合において、カテーテルハブは、カテーテルハブのチャンバと流体連通するYポートをさらに含むことができる。いくつかの例において、針ハブは、針ハブの遠位端から延びおよび針ハブを操作するためのグリップ表面を提供するように構成されたパドルグリップをさらに含むことができる。他の例において、カテーテルハブは、針がセプタム内のスリットを取り外し可能およびスライド可能に通過することができるように構成されたセプタムをさらに含むことができる。さらに他の例において、カテーテルハブは、カテーテルハブ内にセプタムを固定するように構成されたセプタムキャニスタをさらに含むことができる。別の例において、カテーテルシステムは、針がカテーテルアダプタから後退させられる際に針の遠位突端を係合することによって針突き刺しから保護するように構成された針安全装置(needle safety)をさらに含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、遠位端と近位端との間に延びるチャンバを画定するカテーテルハブ、カテーテルハブの遠位端から延びおよびチャンバと流体連通するカテーテル、および固定プラットフォーム、を含むカテーテルアダプタと、カテーテル内にスライド可能に嵌合するように構成された針および針の近位端に固定された針ハブ本体を含む針ハブと、を含むカテーテルシステムを提供する工程、針およびカテーテルをカテーテル挿入サイトにおいて挿入する工程、針およびカテーテルを、カテーテル挿入サイトにおいて、一次的血液フラッシュバックが針上の軸チャネルを介してカテーテルハブのチャンバ内に提供されるまで前進させる工程、カテーテルをカテーテル挿入サイトにおいて固定する工程、ならびにカテーテルアダプタから針ハブを後退させて、カテーテルから針をスライド可能に取り外し、およびカテーテルアダプタから針ハブを分離する工程、を含むカテーテル挿入(catheterization)の方法を含むことができる。他の実施形態において、方法は、針およびカテーテルを、カテーテル挿入サイトにおいて、針ハブのチャンバ内に二次的血液フラッシュバックが提供されるまで前進させる工程をさらに含む。さらに別の実施形態において、カテーテルを固定する工程は、カテーテル挿入サイトに近接する肌に対して固定プラットフォームを固定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、針がカテーテルアダプタから後退させられる際に針の遠位突端に針安全装置を係合させる工程をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステムは、カテーテルハブの遠位端と近位端との間に延びるチャンバを画定するカテーテルハブと、カテーテルハブの遠位端から延びおよびチャンバと流体連通するカテーテルと、第1の翼部およびソフトプッシュタブを含む固定プラットフォームと、を含むカテーテルアダプタ、ならびにカテーテル内にスライド可能に嵌合するように構成された針および針の近位端に固定された針ハブ本体を含む針ハブ、を含み、挿入構成において、カテーテルハブの近位延長部は、針ハブの遠位開口部内に取り外し可能に結合されており、およびカテーテルの配置の後、針ハブは、カテーテルから針をスライド可能に取り外すため、およびカテーテルアダプタから針ハブを分離するために、カテーテルアダプタから後退させられる。他の実施形態において、針は、針が血液静脈(blood vein)に入ったことを示すための一次的血液フラッシュバックを提供するように構成された軸チャネルを含む。さらに別の実施形態において、血液は、針の開放孔を通って針ハブのチャンバへ流れて、針が患者の脈管構造に入ったことを示す二次的血液フラッシュバックを提供する。
【0012】
いくつかの場合において、カテーテルハブは、スリットを備えるセプタムをさらに含むことができ、スリットは、針がスライド可能にそれを通過することを可能にするように構成されており、およびスリットは、軸チャネルがスリットをスライド可能に通過して軸チャネル内の任意の流体を追い出す間、軸チャネルに適合するように構成されている。他の場合において、カテーテルハブは、カテーテルハブ内にセプタムを固定するように構成されたセプタムキャニスタをさらに含むことができ、およびセプタムキャニスタは、セプタムキャニスタをカテーテルハブに固定するように構成された保持稜線(retaining ridge)を含む。さらに別の場合において、システムは、カテーテルハブの近位延長部内に取り外し可能に配置されおよび針がカテーテルアダプタから後退させられる際に針の遠位突端を係合することによって針突き刺しから保護するように構成された針安全装置をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の上に列挙されたおよび他の特徴ならびに利点が得られる方法が容易に理解されるために、簡単に上述された本発明のより詳細な説明が、添付図面に示されるその具体的な実施形態を参照することによって、与えられることとなる。これらの図面は、本発明の単に典型的な実施形態を描き、および従って、本発明の範囲を制限するようにみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの実施形態によるカテーテルシステムの斜視図である。
図2A】いくつかの実施形態によるカテーテルシステムの上面破断図である。
図2B】いくつかの実施形態によるカテーテルシステムの上面破断図である。
図3A】いくつかの実施形態による針の斜視図である。
図3B】いくつかの実施形態による図3Aの針の横断面図である。
図3C】いくつかの実施形態による針およびセプタムの破断図である。
図3D】いくつかの実施形態による針およびセプタムの破断図である。
図4】いくつかの実施形態によるカテーテルハブ本体の破断図である。
図5A】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの側面図である。
図5B】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの破断図である。
図5C】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの側面図である。
図5D】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの破断図である。
図5E】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの側面図である。
図5F】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの破断図である。
図5G】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの側面図である。
図5H】いくつかの実施形態によるセプタムおよびセプタムキャニスタの破断図である。
図6】いくつかの実施形態による針ハブおよび針安全装置の側面図である。
図7A】いくつかの実施形態による、針が後退している際の(as the needle is retracting)、針および針安全装置の破断図である。
図7B】いくつかの実施形態による、針が後退させられた(with the needle retracted)、針および針安全装置の破断図である。
図8A】いくつかの実施形態による、針が後退している際の、針および針安全装置の破断図である。
図8B】いくつかの実施形態による、針が後退させられた、針および針安全装置の破断図である。
図9A】いくつかの実施形態による、針が後退している際の、針および針安全装置の破断図である。
図9B】いくつかの実施形態による、針が後退させられた、針および針安全装置の破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の現在好ましい実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解されることとなり、同様の参照番号は、同一のまたは機能的に同様の要素を示す。本明細書において概して記載されおよび図中に示されたような本発明の構成要素は、多種多様な異なる構成に配置および設計され得ることは、たやすく理解されよう。従って、図で表現されるような、以下のより詳細な記載は、特許請求の範囲に記載される際の本発明の範囲を制限するように意図されるものではなく、単に、本発明の現在好ましい実施形態の代表である。
【0016】
概して、本開示は、カテーテルシステム、およびそのようなカテーテルシステムを用いるカテーテル挿入の方法に関する。いくつかの例において、カテーテルシステムは、カテーテルアダプタ、および長手方向軸に沿って配置された針ハブを含むことができる。カテーテルハブは、患者のカテーテル挿入のために構成された留置針-カテーテルを含むことができる。針ハブは、針ハブ本体に固定された針を含むことができる。針を、挿入構成において、カテーテル内にスライド可能に嵌合することができる。針ハブを、カテーテルから針をスライド可能に取り外すために、カテーテルアダプタから分離することができる。カテーテルアダプタ上のグリッピング表面および針ハブを使用して、医師は、留置針カテーテルを、カテーテル挿入サイトにおいて、患者の脈管構造内に挿入することができる。針が血管に入るとき、針上の軸チャネルは、医師に針が血管に入ったことを知らせるための一次的血液フラッシュを提供する。医師は、次いで、カテーテルを所定の場所に固定することができ、および針ハブをカテーテルアダプタから後退させおよび分離して、針をカテーテルからスライド可能に取り外すことができる。針の開放孔を通って針ハブのチャンバへ流れる血液は、医師に針が血管に入ったことを同様に知らせるための二次的血液フラッシュを提供することができる。針がカテーテルからスライド可能に取り外される際に、針安全装置は、不注意な針突き刺しを防止するように、針の遠位突端に係合することができる。
【0017】
ここで図1を参照して、カテーテルシステム100が示される。カテーテルシステム100を、静脈内流体および/または薬剤と接続され、および静脈内流体および/または薬剤を患者の脈管構造内に注入するように構成することができる。カテーテルシステム100は、任意の適当な構成要素および/または適当な構造を含むことができるが、少なくともいくつかの実施形態において、それは、カテーテルアダプタ102、針ハブ104、および延長チュービング106を含む。カテーテルアダプタ102を、針ハブ104の助けを借りて、カテーテル挿入サイトにおいて患者の脈管構造に挿入することができる。いくつかの場合において、延長チュービング106を、カテーテルアダプタ102と流体的に結合することができ、および挿入されたカテーテルアダプタ102を介して静脈内流体を静脈内流体の供給部から患者の脈管構造内に運ぶように構成することができる。他の場合において、延長チュービングは、カテーテルアダプタ102への静脈内流体の流れを手動で阻害するまたは可能にするように構成されたクランプ108を含むことができる。延長チュービング106は、また、延長チュービング106を静脈内流体の供給部(例えば、IV溶液袋)とたやすく接続するように構成されたルアーフィッティング110を含むことができる。さらに別の場合において、延長チュービング106は、医師に延長チュービング106を通した患者の脈管構造へのアクセスを提供するように構成されたサンプリングポート112を含むことができる。例えば、医師は、サンプリングポート112を用いて患者から血液サンプルを採取することができ、および/または直接的にサンプリングポート112を通して患者の脈管構造内に薬剤を注入することができる。図1は、カテーテルシステム100を、カテーテルアダプタ102から部分的に後退させられた針ハブ104と共に示す。
【0018】
いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ102は、カテーテル115に流体的に結合されたカテーテルハブ114を含む。カテーテル115は、患者の脈管構造に入るように構成された遠位端116を含むことができる。カテーテル115は、また、カテーテルハブ114と流体的に接続された近位端117を含むことができる。カテーテルアダプタ102は、また、固定プラットフォーム118およびカテーテルハブ本体120を含むことができる。いくつかの場合において、カテーテルハブ120は、概して管状および/または中空の構成を含み、および遠位端122および近位端124を有することができる。他の場合において、カテーテルハブ本体120は、カテーテルハブ120の全長にわたるチャンバ126を画定することができる。カテーテルハブ120は、また、カテーテルハブ120を延長チュービング106と流体的に結合するYポート128を含むことができる。さらに別の場合において、カテーテルハブ本体120は、近位延長部130を近位延長部タブ132と共に含むことができる。近位延長部130を、針ハブ104とスライド可能に結合するように構成することができる。近位延長部タブ132は、近位延長部130が針ハブ104とスライド可能に結合されるとき、カテーテルアダプタ102に関する針ハブ104の回転運動を防止および/または制限することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、固定プラットフォーム118は、カテーテル挿入サイトに近接する患者の肌に対して平らに載せるのに適した概して平面の構成を含む。固定プラットフォーム118は、固定プラットフォーム118および/またはカテーテルハブ114が患者の肌に対して固定されるのを許容可能であり、カテーテルアダプタ102が、注入の間、所定の位置に安定に維持されるのを可能にする。固定プラットフォーム118は、遠位端134および近位端136を含むことができ、および少なくとも部分的にカテーテルハブ本体120の下に配置され得る。固定プラットフォーム118は、カテーテル115の近位端117をカテーテルハブ本体120のチャンバ126に結合するように構成された歪軽減カップリング(strain relief coupling)138を含むことができる。いくつかの場合において、歪軽減カップリング138を、カテーテル115がカテーテルハブ本体120に関して曲がるのを可能にする軟質のコンプライアント材料として構成することができる。他の場合において、歪軽減カップリング138を、カテーテル115がカテーテルハブ本体120に関して曲がるのを制限する硬いコンプライアント材料として構成することができる。さらに別の場合において、固定プラットフォーム118は、歪軽減カップリング138の少なくとも一部を固定プラットフォーム118の遠位端134に結合するように構成された歪除去接続タブ140を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、固定プラットフォーム118は、カテーテルシステム100を操作しおよび前進させる間に医師が把持するための把持表面を提供するように構成されたソフトプッシュタブ142を含む。いくつかの場合において、医師は、彼または彼女がカテーテルハブ114を把持しおよびカテーテル115を挿入する際に、ソフトプッシュタブ142に彼または彼女の親指を置くことができる。他の場合において、固定プラットフォーム118は、カテーテルハブ本体120の上面に配置されることができ、およびソフトプッシュタブ142を固定プラットフォーム118の近位端136に結合させるように構成されたソフトプッシュタブコネクタ144を含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、固定プラットフォーム118は、概して平面形状を持つ第1の翼部146を含む。固定プラットフォーム118は、また、第1の翼部146と概して共平面であることのできる概して平面形状を有する第2の翼部148を含むことができる。第2の翼部148を、第1の翼部146とはカテーテルハブ114の反対側に配置することができる。いくつかの場合において、第1の翼部146および第2の翼部148は、カテーテルハブ114の反対側から延びることができる。第1の翼部146および第2の翼部148は、任意の適当な形状を含むことができるが、少なくともいくつかの場合において、カテーテルハブ114を上から見たとき、第1の翼部146および第2の翼部148はそれぞれ、概して三角形状を含む。他の場合において、第1の翼部146および第2の翼部148は、三角形状、丸みを帯びた三角形状、長方形状、および丸みを帯びた長方形状を含むことができる。さらに別の場合において、第1の翼部146および第2の翼部148は、円形状、半円形状、卵形形状、楕円(oblong)形状、および他の適当な形状を含むことができる。第1の翼部146および第2の翼部148は、固定プラットフォーム118の遠位端134に向かって配向された前縁(leading edges)150を含むことができる。第1の翼部146および第2の翼部148は、固定プラットフォーム118の近位端136に向かって配向された後縁152を含むことができる。1つまたは複数の第1の翼部146および第2の翼部148は、グリッピング機構(gripping features)154を含むことができる。グリップ機構(grip features)154を、医師がカテーテルシステム100を操作するための把持表面を提供するように構成することができる。他の実施形態において、固定プラットフォーム118は、固定プラットフォーム118が意図されたとおりに機能することを可能にするのに適当な硬度を含む。例えば、いくつかの場合において、固定プラットフォーム118は、ショアA(Shore A)約30からショアD(Shore D)約90の材料デュロメータ範囲を含む。他の場合において、固定プラットフォーム118は、ショアA約50からショアA約90の材料デュロメータ範囲を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、針ハブ104は、針ハブ本体156を含む。針ハブ本体156は、遠位端158および近位端160を備える概して管状形状を含むことができる。針ハブ本体156は、また、医師にカテーテルシステム100を操作するおよび/または針ハブ104をカテーテルアダプタ102から後退させるための把持表面を提供するように構成されたグリップ表面162を含むことができる。いくつかの例において、針ハブ本体156は、カテーテルハブ本体120の近位延長部130をスライド可能に受け入れるように構成された遠位開口部164を含むことができる。さらに他の例において、針ハブ本体156は、遠位開口部164から近位開口部170に延びるチャンバ168を画定する。針ハブ104は、また、針ハブ104の遠位端158から延びるパドルグリップ186を含むことができる。パドルグリップ186は、概して平面形状を含むことができ、および第1の翼部146および/または第2の翼部148と概して共平面であることができる。パドルグリップ186は、また、医師にカテーテルシステム100および/または針ハブ104を操作するおよび/または針ハブ104をカテーテルアダプタ102から後退させるためのグリッピング表面を提供するように構成されたグリップ表面188を含むことができる。パドルグリップ186は、第1の翼部146の後縁152および/または第2の翼部148を受け入れるように構成されたリップ190を含むことができる。いくつかの例において、第1の翼部146および/または第2の翼部148の下部(bottom portion)を、パドルグリップ186の上部(top portion)によって受け入れることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、針ハブ104は、針172を含む。針172は、針ハブ本体156内に据え付けられてもよく、および遠位開口部164を通って延びることができる。針172を、カテーテルハブ本体120のチャンバ126内のセプタム200(不図示)を取り外し可能およびスライド可能に通過し、チャンバ126を横切り、およびカテーテル115を取り外し可能およびスライド可能に通過するように構成することができる。
【0024】
ここで図2Aおよび図2Bを参照して、カテーテルシステム100の破断図が示される。図2Aは、挿入構成におけるカテーテルシステム100を示し、カテーテルシステム100は、患者の脈管構造内にカテーテル115を位置付けるためにすぐに使用され得る。図2Aに示されるような挿入構成では、カテーテルハブ本体120の近位延長部130は、針ハブ本体156の遠位開口部164内にスライド可能に受け入れられる。図2Aに見られるように、遠位開口部164は、また、近位延長部130の近位延長部タブ132をスライド可能に受け入れるように構成された遠位開口部溝166を含むことができる。遠位開口部溝166は、近位延長部タブ132が遠位開口部溝166と係合するとき、針ハブ104に関するカテーテルアダプタ102の回転運動(rotational movement)が防止されまたは制限されるように構成され得る。他の例において、近位延長部タブ132が遠位開口部溝166と係合するとき、針ハブ104に関するカテーテルアダプタ102の回転運動は、特定範囲の回転の動き(rotational motion)に制限される。
【0025】
図2Aに見られるように、カテーテルシステム100が挿入構成内にあるとき、パドルグリップ186は、第1の翼部146をスライド可能に受け入れる。挿入構成において、第1の翼部146の後縁152を、パドルグリップ186のリップ190およびパドルグリップ186のグリップ表面188に近接して配置することができる。いくつかの場合において、第1の翼部146の後縁152は、パドルグリップ186のリップ190と接触することができる。
【0026】
引き続き図2Aを参照して、挿入構成において、針172は、取り外し可能およびスライド可能にカテーテル115を通過し、およびカテーテル115を通ってカテーテル115の遠位端116を越えて延びる。針172は、近位端174および遠位突端176を含むことができる。遠位突端176は、カテーテル挿入サイトにおいて患者の肌を刺し通すように構成された斜角開口部(beveled opening)178を含むことができる。針172は、それを通る開放孔180を含むことができる。針172は、また、遠位突端176から始まりおよび針172の長さの少なくとも一部に沿って続く軸チャネル182を含むことができる。針172は、セプタム200、セプタムキャニスタ300、および針安全装置400を取り外し可能におよびスライド可能に通過することができる。セプタムキャニスタは、カテーテルハブ本体120のチャンバ126内に配置されるように構成される。同様に、セプタムキャニスタ300は、カテーテルハブ本体120のチャンバ126内に配置されおよびセプタム200を所定の場所に固定するように構成される。針安全装置400を、カテーテルハブ本体120の近位延長部130内に少なくとも部分的に配置することができる。針172は、針ハブ本体156の遠位開口部164内にさらに延びることができる。針172を、針ハブ本体156内の針マウント184によって針ハブ104に固定することができる。針172の近位端174を、チャンバ168内に開く開放孔180を用いて、チャンバ168内に配置することができる。したがって、針172の開放孔180は、斜角開口部178に入る流体がチャンバ168および近位チャンバ開口部170と流体的連通をすることを可能にする。
【0027】
いくつかの実施形態において、医師は、カテーテルシステム100が挿入構成内にあるとき、カテーテルシステム100を患者の脈管構造内に挿入する。医師は、1つまたは複数のグリッピング表面(例えば、ソフトプッシュタブ142、グリップ機構154、グリップ表面162、およびグリップ表面188)によってカテーテルシステム100を把持し、およびカテーテル挿入サイトに近接する位置内へカテーテルシステム100を操作することができる。医師は、次いで、針172の斜角開口部178を用いて患者の肌を刺し通すことができ、および針172およびカテーテル115によって患者の脈管構造(例えば、静脈)が到達されるまで、患者の組織を通して針172を前進させることができる。いったん患者の脈管構造が到達されると、医師は、カテーテル115から針172をスライド可能に取り外すことによって、カテーテル115が脈管構造内に挿入されたままで、針172を後退させることができる。針172を後退させる間、医師は、1つまたは複数のソフトプッシュタブ142およびグリップ機構154を介してカテーテルアダプタ102を所定の位置に保持することによって、カテーテル115を所定の位置に維持することができる。医師は、針ハブ本体156のグリップ表面162を把持しおよび医師に向かって近位方向に針172をスライド可能に取り外すことによって、針を後退させることができる。いくつかの場合において、針172が患者の脈管構造内に前進した後、医師は、針172を所定の位置に維持しおよび遠位端116を患者の脈管構造内にスライド可能に前進させることによって、カテーテル115の遠位端116を患者の脈管構造内に前進させることができる。いったんカテーテル115が患者の脈管構造内に挿入されると、針172を、上述のように後退させることができる。
【0028】
ここで図2Bを参照して、カテーテルシステム100の破断図が、カテーテルアダプタ102から部分的に後退させられた針ハブ104と共に示される。針ハブ104は、カテーテルアダプタ102から針ハブ104を分離しおよびカテーテル115から針172をスライド可能に取り除くために、軸「A」に沿って長手方向に移動され得る。針ハブ104が後退させられる際に、カテーテルハブ本体120の近位延長部130は、針ハブ本体156の遠位開口部164からスライド可能に係合解除する。同様に、第1の翼部146は、パドルグリップ186から分離する。針ハブ104がカテーテルアダプタ102から後退させられる際に、針172は、カテーテル115、セプタム200、およびセプタムキャニスタ300からスライド可能に取り外される。以下により詳細に記載されるように、針172の遠位突端176は、針安全装置400内にスライド可能に入り込み、および針安全装置400によって係合される。係合された安全装置400は、針172の遠位突端176に保持され、および針安全装置400は、カテーテルアダプタ102から取り外し可能に係合解除される(図6参照)。それによって、医師を不注意な針突き刺しから保護する。
【0029】
ここで図3Aを参照して、針172の遠位突端176の斜視図が示される。図3Aは、軸チャネル182が斜角開口部178から針172に沿って長手方向に伸びていることを示す。軸チャネルは、針172に沿って配置され得るが、しかし針172の開放孔180に入らない。図3Bは、針172の横断面図を示す。図3Bは、軸チャネル182が針172の開放孔180に入らないことを示す。図3Bは、軸チャネル182を、丸みを帯びた半円横断面形状を含むように示すが、軸チャネル182は、任意の適当な横断面形状を含むことができる。例えば、軸チャネル182は、正方形、長方形、または他の多角形の横断面形状を含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、軸チャネル182は、針172およびカテーテル115が患者の脈管構造(例えば、静脈)に入ったとき、医師に血流または一次的「血液フラッシュ」の一次的インジケータを提供するように構成される。医師が針172およびカテーテル115を十分に前進させ、ならびに針172およびカテーテル115が静脈の壁を通過したとき、針172とカテーテル115との間の軸チャネル182に沿って、血液が抜き取られる(drawn)。この血液は、次いで、半透明のカテーテル115を通して医師によって見られ得る。軸チャネル182に沿って抜き取られた血液または一次的血液フラッシュを見ると直ちに、医師は、カテーテル115が静脈の壁を通過したこと、およびカテーテル115が静脈内に挿入されたことを知る。医師は、次いで、針172を後退させ、およびカテーテル115を所定の場所に固定することができる。一次的血液フラッシュは、また、医師に、静脈がアクセスされたことおよび針172および/またはカテーテル115はさらに前進させられる必要がないことを示すことができ、それによって、医師が針172を前進させすぎおよび静脈を横切ることを防止する。いくつかの場合において、一次的血液フラッシュは、血液がカテーテル本体120の半透明のチャンバ126に到達したとき、医師によって見られ得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステム100は、カテーテル115が静脈内に適切に位置付けられたままであることを確認するために、チャンバ168内に連続的な血液フラッシュを提供することによって、延長段階(extended phase)の間、医師に二次的血液フラッシュを提供するように構成される。医師が針172を十分に前進させ、および針172が静脈に入ったとき、血液は、針172の開放孔180を通って針ハブ本体156のチャンバ168内に流れることができる。半透明の針ハブ本体156を用いて、チャンバ168は、二次的フラッシュバックチャンバとなることができ、およびこの二次的フラッシュバックチャンバ内の目に見える血液の存在は、医師に針172が静脈に入ったことを示すことができる。医師は、次いで、カテーテル115を所定の位置に前進させると同時に針172を後退させることによって、挿入の延長段階を実行することができる。この挿入の延長段階の間、医師は、二次的フラッシュバックを連続的に観察して、カテーテル115が静脈内に適切に位置付けられたままである(例えば、カテーテル115は静脈を刺し貫いていないおよび/または凝固が起こっていない)と、連続的に安心することができる。いったんカテーテル115が完全に位置付けられると、医師は、針172を完全に取り外し、およびカテーテル115を患者の肌に固定することができる。
【0032】
ここで図3Cおよび図3Dを参照して、セプタム200および針172の破断図が示される。図3Cは、針172が後退させられている際の、セプタム200の破断図を示す。セプタム200は、概して、管状および/または円筒形状を含む。セプタム200は、任意の適当な構成要素または構成を含むことができるが、少なくともいくつかの場合において、セプタム200は、遠位端204および近位端206を備えるセプタム本体202を含む。他の場合において、セプタム200は、それを通るスリット208を伴う遠位壁207を含むことができる。スリット208を、スリット208を通る流体の通過を防止すると同時に針172がそれを通過することを可能にするように構成することができる。セプタム200は、また、肩部212においてセプタム本体202から延びる延長部210を含むことができる。セプタム本体202および/または延長部210は、近位開口部216を備えるルーメン214を画定することができる。図3Cは、また、セプタム200およびスリット208に関する軸チャネル182の配向を示す。いくつかの場合において、針172が後退させられる際、軸チャネル182は、スリット208をスライド可能に通過する。スリット208を、それがスリット208をスライド可能に通過する際の軸チャネル182に適合するように構成することができ、それによって、軸チャネル182内にある可能性のある、いかなる流体(例えば、血液)をも排除する。 したがって、スリット208は、軸チャネル182内にある可能性のある、いかなる流体をも排除し、および流体がセプタム200のルーメン214に入るのを防止する。
【0033】
図3Dは、切り欠き開口部(notched opening)183を採用することの1つの潜在的な成果は、針172が後退させられる際の切り欠き開口部183を通したセプタム200のルーメン214内への漏出であることを示す。針172が後退させられる際に、切り欠き開口部183は、スリット208を横切り、およびセプタム200のルーメン214に入る。切り欠き開口部183がセプタム200のルーメン214内にあるとき、流体(例えば、血液)は、針172の開放孔180を通過し、およびルーメン214内に入ることができる。流体は、次いで、ルーメン214から近位延長部130内に漏出することができ、および次いで、カテーテルシステム100から漏出することができる。
【0034】
切り欠き開口部183を採用することの別の潜在的な成果は、事前プライミング(pre-priming)の間の針ハブ本体156のチャンバ168の浸水(flooding)である。このチャンバ168の浸水は、医師が生理食塩水でカテーテルシステム100を事前プライムするときに起こり得る。カテーテルシステム100の事前プライミングの間、医師は、Yポート128内に生理食塩水を注入する。注入された生理食塩水は、Yポート128を通過し、およびカテーテルハブ本体120のチャンバ126に入り、および次いで、針172の外径とカテーテル115の内径との間の介在性空間(interstitial space)内へ移ることができる。注入された生理食塩水は、この介在性空間を通って流れることができ、および切り欠き開口部183を通って開放孔180内へ流れることができる。いったん開放孔180において、注入された生理食塩水は、針ハブ本体のチャンバ168内に流れ、および針ハブ本体のチャンバ168を浸水させることができる。チャンバ168において浸水した生理食塩水は、チャンバ168における効果的な血液フラッシュバックを差し止めることができる場合が多い。切り欠き開口部183を用いるときのチャンバ168の浸水は、一定条件下で起こり得る可能性がより高い。例えば、いくつかの場合において、カテーテル115の遠位端116が事前プライミングの間、垂直上方に向けられているとき、重力は、注入された生理食塩水を、切り欠き開口部183を通って開放孔180の下方へおよびチャンバ168内へ引くのに役立ち得る。他の場合において、より大きなゲージのカテーテル115および/または針172は、また、チャンバ168の浸水をもたらし得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、針172が、切り欠き開口部183の代わりに軸チャネル182を備えて構成されるとき、独立流体通路(independent fluid pathways)は、針172の開放孔180および針172の軸チャネル182のそれぞれに提供される。例えば、針172が、切り欠き開口部183の代わりに軸チャネル182を備えて構成されるとき、独立流体通路は、遠位突端176から近位端174まで開放孔180に沿って提供され、およびチャンバ168内に開口することができる。同様に、軸チャネル182は、針172の外径に沿ったおよびカテーテルハブ本体120のチャンバ126内への独立流体通路を提供することができる。各場合において、針172の開放孔180内の独立流体通路および軸チャネル182によって形成された独立流体通路を、互いから流体的に隔離することができ、および独立流体通路のそれぞれの間の流体の流れは防止され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、針172が切り欠き開口部183の代わりに軸チャネル182を備えて構成されるとき、軸チャネル182によって提供される独立流体通路は、針172が後退させられる際のセプタム200のルーメン214内への血液の漏出を回避する。軸チャネル182が切り欠き開口部183の代わりに採用されるとき、軸チャネル182によって提供される独立流体通路は開放孔180によって提供される独立流体通路から流体的に隔離されるので、針172を、ルーメン214内への血液の漏出を何ら伴うことなく、後退させることができる。針172が後退させられる際に、軸チャネル182は、スリット208が軸チャネル182に適合しおよび軸チャネル182内にある可能性のあるいかなる血液をも排除する状態で、スリット208をスライド可能に通過することができ、それによって、何らかの血液がセプタム200のルーメン214に入るのを防止する。したがって、切り欠き開口部183の代わりに軸チャネル182を含む構成は、ルーメン214内への血液の漏出および近位延長部130内への何らかのさらなる血液の漏出を回避することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、針172が切り欠き開口部183の代わりに軸チャネル182を備えて構成されるとき、針172の軸チャネル182によって提供される独立流体通路は、生理食塩水を用いるプレプリントの間のチャンバ168の浸水を回避する。例えば、針172が切り欠き開口部183の代わりに軸チャネル182を備えて構成されたとき、医師は、Yポート128を通してカテーテルハブ本体120のチャンバ126内に生理食塩水を注入することができる。注入された生理食塩水は、次いで、針172の外径とカテーテル115の内径との間の介在性空間内に流入することができる。いくつかの場合において、注入された生理食塩水は、また、軸チャネル182によって提供される独立流体通路に沿って流れることができる。開放孔180によって提供される独立流体通路は流体的に隔離されているので、事前プライミング由来の注入された生理食塩水は開放孔180によって提供される独立流体通路に入ることができず、およびチャンバ168の浸水を回避することができる。この構成を用いて、カテーテル115の遠位端116が事前プライミングの間に垂直上方に向けられたとき、および、よりゲージの大きいカテーテル115および/または針172が使用されるとき、チャンバ168の浸水を同様に回避することができる。
【0038】
ここで図4を参照して、所定の場所の針172を伴う、挿入構成におけるカテーテルハブ本体120の破断図が示される。図4は、セプタム200がカテーテルハブ本体120と嵌合してカテーテルハブ本体120のチャンバ126を画定することができることを示す。セプタム200の遠位壁207は、流体がセプタム200を越えて流出することを防止するように、チャンバ126を封止することができる。スリット208を、また、針172がスリット208内の所定の場所にあるとき、および針172がスリット208から取り外されているとき、流体がセプタム200を越えて流出するのを防止するように構成することができる。セプタムキャニスタ300を、セプタム200をカテーテルハブ本体120内に固定するように構成することができる。セプタムキャニスタ300を、また、セプタム200を越えて流体が漏出するのを防止するように、セプタム200をカテーテルハブ本体120内に固定するように構成することができる。セプタムキャニスタ300は、遠位端304および近位端306を備える本体302を含むことができる。いくつかの場合において、セプタムキャニスタ300は、壁307を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、また、針172がそれを通過するのを可能にするように構成されたセプタムキャニスタ開口部308を含むことができる。他の場合において、セプタムキャニスタ300は、壁307から遠位に延びる遠位延長部310を含むことができる。遠位延長部310は、第1のルーメン312を画定することができる。さらに別の場合において、セプタム300は、カテーテルハブ本体120の内部にセプタム300を保持するように構成された保持稜線314を含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、針安全装置400は、セプタムキャニスタ300に近接するカテーテルハブ本体120内に配置される。針安全装置400は、遠位端404および近位端406を備える本体402を含むことができる。針安全装置400は、また、中央通路408を含むことができる。以下に記載されるように、針安全装置400は、針172の遠位突端176を係合することによって、医師を不注意な針突き刺しから保護することができる。係合された安全装置400は、針安全装置400がカテーテルアダプタ102から取り外し可能に係合解除される際、針172の遠位突端176に維持される(図6参照)。
【0040】
ここで図5Aから図5Hを参照して、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の様々な構成のいくつかの実施形態が示される。図5Aは、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の側面図を示し、および図5Bは、図5Aの破断図を示す。図5Aおよび図5Bは、セプタム200が、遠位端204および近位端206を含む概して管状および/または円筒状に成形されたセプタム本体202を含むことができることを示す。セプタム本体202は、それを通るスリット208を備える遠位壁207を含むことができる。セプタム本体202は、また、肩部212においてセプタム本体202から延びる延長部210を含むことができる。セプタム本体202および/または延長部210は、近位開口部216を備えるルーメン214を画定することができる。
【0041】
セプタムキャニスタ300は、遠位端304および近位端306を備える概して管状および/または円筒状に成形された本体302を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307および壁307内のセプタムキャニスタ開口部308を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307から遠位に延びおよび第1のルーメン312を画定する遠位延長部310を含むことができる。保持稜線314を、遠位延長部310の遠位端に配置することができる。いくつかの場合において、セプタム本体202の延長部210を、セプタムキャニスタ300の第1のルーメン312内にスライド可能に受け入れられるように構成することができる。他の場合において、セプタムキャニスタ300の保持稜線314は、セプタム200の肩部212に対して適合することができる。
【0042】
ここで図5Cから図5Dを参照して、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の様々な構成のいくつかの実施形態が示される。図5Cは、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の側面図を示し、および図5Dは、図5Cの破断図を示す。図5Cおよび図5Dは、セプタム200が、遠位端204および近位端206を含む概して管状および/または円筒状に成形されたセプタム本体202を含むことができることを示す。セプタム本体202は、それを通るスリット208を備える遠位壁207を含むことができる。セプタム本体202は、また、肩部212においてセプタム本体202から延びる延長部210を含むことができる。セプタム本体202および/または延長部210は、近位開口部216を備えるルーメン214を画定することができる。
【0043】
セプタムキャニスタ300は、遠位端304および近位端306を備える概して管状および/または円筒状に成形された本体302を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307および壁307内のセプタムキャニスタ開口部308を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307から遠位に延びおよび第1のルーメン312を画定する遠位延長部310を含むことができる。保持稜線314を、遠位延長部310の遠位端に配置することができる。セプタム本体202の延長部210を、セプタムキャニスタ300の第1のルーメン312内にスライド可能に受け入れられるように構成することができ、およびセプタムキャニスタ300の保持稜線314は、セプタム200の肩部212に対して適合することができる。
【0044】
いくつかの例において、セプタムキャニスタ300は、壁307から延びる近位延長部316を含むことができる。セプタムキャニスタ300の近位延長部316は、第2のルーメン318を画定することができる。他の例において、セプタムキャニスタ300の近位延長部316を、カテーテルハブ本体120の近位延長部130内に延びるように構成することができる。さらに他の例において、第2のルーメン318を、針安全装置400の少なくとも一部を選択的におよび取り外し可能に受け入れるように構成することができる。
【0045】
ここで図5Eから図5Fを参照して、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の様々な構成のいくつかの実施形態が示される。図5Eは、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の側面図を示し、および図5Fは、図5Eの破断図を示す。図5Eおよび図5Fは、セプタム200が、遠位端204および近位端206を含みおよびルーメン214を画定する概してディスク形状のセプタム本体202を含むことができることを示す。セプタム本体202は、スリット208を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、遠位端304および近位端306を備える概して管状および/または円筒状に成形された本体302を含むことができる。
【0046】
セプタムキャニスタ300は、壁307および壁307内のセプタムキャニスタ開口部308を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307から近位に延びおよび第2のルーメン318を画定する近位延長部316を含むことができる。セプタムキャニスタ300の近位延長部316を、カテーテルハブ本体120の近位延長部130内に延びるように構成することができる。第2のルーメン318を、また、針安全装置400の少なくとも一部を選択的におよび取り外し可能に受け入れるように構成することができる。いくつかの場合において、保持稜線314は、壁307から外側へ延びることができる。他の場合において、セプタムキャニスタ300の保持稜線314は、セプタム200の肩部212に対して適合することができる。
【0047】
ここで図5Gから図5Hを参照して、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の様々な構成のいくつかの実施形態が示される。図5Gは、セプタム200およびセプタムキャニスタ300の側面図を示し、および図5Hは、図5Gの破断図を示す。図5Gおよび図5Hは、セプタム200が遠位端204および近位端206を含む概して固体の(solid)ディスク形状のセプタム本体202を含むことができることを示す。セプタム本体202は、それを通るスリット208を含むことができる。
【0048】
セプタムキャニスタ300は、遠位端304および近位端306を備える概して管状および/または円筒状に成形された本体302を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307および壁307内のセプタムキャニスタ開口部308を含むことができる。セプタムキャニスタ300は、壁307から近位に延びおよび第2のルーメン318を画定する近位延長部316を含むことができる。セプタムキャニスタ300の近位延長部316カテーテルハブ本体120の近位延長部130内に延びるように構成することができる。第2のルーメン318を、また、針安全装置400の少なくとも一部を選択的におよび取り外し可能に受け入れるように構成することができる。保持稜線314は、壁307から外側へ延びることができる。いくつかの場合において、壁307の遠位側は、セプタム200の近位端206に対して適合することができる。
【0049】
ここで図6を参照して、分離された構成における針ハブ104の側面図が示される。図6は、分離された構成において、針ハブ104を、カテーテルアダプタ102から完全に後退させおよび分離することができることを示す。第1の翼部146は、また、パドルグリップ186から分離される。分離された構成において、針172を、カテーテルアダプタ102から完全に取り外すことができる。同様に、係合された安全装置400は、カテーテルアダプタ102から取り外し可能に係合解除され、および係合された安全装置400は、針172の遠位突端176上に保持されて、医師を不注意な針突き刺しから保護する。分離された針ハブ104を、次いで、適切に処分することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、例えば図1から図6のいずれかに記載されるカテーテルシステム100のようなカテーテルシステム100は、針安全装置400を含んでいてもよい。針安全装置400は、針172がカテーテルシステム100のカテーテル115から引き抜かれるとき、針172の遠位突端176および/または斜角開口部178を固定するように構成された任意の安全機構を含み、偶発的な針突き刺しを防止してもよい。
【0051】
針安全装置400は、任意の数の方法でカテーテルシステム100と結合されていてもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、その中で針安全装置400がカテーテルアダプタ102の内面に結合される内部インターロックを含んでいてもよい。結合は、螺合(threading)、嵌合(fitting)、スナップ留め(snapping)、接続(connecting)、取り付け(attaching)、締結(fastening)、挟持(clipping)、掛止(hooking)、または結合の任意の他の適当な手段を含んでいてもよい。内部インターロックを含む針安全装置400の非制限的な例は、「双方向性カニューレフィーチャ捕捉機構(BI-DIRECTIONAL CANNULA FEATURE CAPTURE MECHANISM)」との発明の名称が付され2009年3月2日に出願された特許文献1、「双方向性カニューレフィーチャ捕捉機構(BI-DIRECTIONAL CANNULA FEATURE CAPTURE MECHANISM)」との発明の名称が付され2013年7月11日に出願された特許文献2、「カニューレ捕捉機構(CANNULA CAPTURE MECHANISM)」との発明の名称が付され2016年3月28日に出願された特許文献3に提供され、これらの各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、カテーテルアダプタ102内に配置されるクリップを含んでいてもよく、その非制限的な例は、その非制限的な例は、「ばねクリップ安全IVカテーテル(SPRING CLIP SAFETY IV CATHETHER)」との発明の名称が付され1998年6月12日出願された特許文献4に提供され、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0052】
いくつかの実施形態において、針安全装置400は、その中で針安全装置400がカテーテルアダプタ102の外面と結合される外部インターロックを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、カテーテルアダプタ102の外面および針ハブ104の内面および/または外面と結合されてもよい。結合は、螺合(threading)、嵌合(fitting)、スナップ留め(snapping)、接続(connecting)、取り付け(attaching)、締結(fastening)、挟持(clipping)、掛止(hooking)、または結合の任意の他の適当な手段を含んでいてもよい。外部インターロックを含む針安全装置400の非制限的な例は、「外部針シールドおよび内部血液制御セプタムを有する、ポートが構成されたIVカテーテル(PORTED IV CATHETER HAVING EXTERNAL NEEDLE SHIELD AND INTERNAL BLOOD CONTROL SEPTUM)」との発明の名称が付され2014年6月4日に出願された特許文献5に提供され、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、Vクリップまたは同様のクリップを含んでいてもよい。Vクリップの非制限的な例は、「外部針シールドおよび内部血液制御セプタムを有する、ポートが構成されたIVカテーテル(PORTED IV CATHETER HAVING EXTERNAL NEEDLE SHIELD AND INTERNAL BLOOD CONTROL SEPTUM)」との発明の名称が付され2014年6月4日に出願された特許文献5に提供され、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。Vクリップは、カテーテルアダプタ102の一部を選択的に保持してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、針安全装置400とカテーテルシステム100の少なくとも1つの他の構成要素との間に、倒すことのできる(defeatable)機械的接続が設けられる。いくつかの例において、機械的接続は、針安全装置400内部における針172の遠位突端176の固定に際して倒される。いくつかの実施形態において、針安全装置400の表面は、以下のうちの1つまたは複数に対して選択的に結合される:カテーテルアダプタ102、針ハブ104、固定プラットフォーム118、近位延長部130、パドルグリップ186、およびセプタムキャニスタ300。
【0054】
いくつかの実施形態において、針安全装置400は、安全バレルを含んでいてもよく、これはばね懸架式であってもよい。例えば、安全バレルは、BD(商標)インサイト(登録商標)オートガード(商標)BC遮蔽保護IVカテーテル(BDTM Insyte(R) AutoguardTM BC shielded protective IV catheter)におけるように、ばね懸架式であってもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置400受動的におよび/または能動的に作動されてもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、針172上のフェルール(ferrule)、ノッチ(notch)、クリンプ(crimp)、またはバンプ(bump)のような針フィーチャと相互作用するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、針安全装置400内部に遠位突端176を捕捉しおよび安全な処理に先立って遠位突端176が表面に出るのを防止するように作動されてもよいアームまたはレバーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置400は、針172の本体に取り付けられてもよく、およびその長さに沿ってスライドすることが可能であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、挿入構成において、カテーテル挿入に先立って、針安全装置400は、カテーテルアダプタ102と針ハブ104との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ102および針ハブ104は、挿入構成において、カテーテル挿入に先立って、針安全装置400の少なくとも一部によって相隔てられていてもよい。いくつかの実施形態において、挿入構成において、カテーテル挿入に先立って、カテーテルアダプタ102の近位端は、針安全装置400の遠位端404と、例えばパドルグリップ186のような針ハブ104のグリップの遠位端と、の間に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、挿入構成において、カテーテル挿入に先立って、カテーテルハブ本体120の近位端124は、針安全装置400の遠位端404と、針ハブ104のグリップの近位端124と、の間に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、針安全装置の一部は、針ハブ104のグリップの一部と重なり合っていてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ102およびブリップのうちの少なくとも1つの少なくとも一部は、針安全装置400の少なくともある部分と重なり合う。いくつかの実施形態において、カテーテルハブ本体120またはグリップの一部たりとも、針安全装置400のいずれの部分にも重なり合わない。
【0056】
ここで図7Aから図7Bを参照して、「カニューレ捕捉機構(CANNULA CAPTURE MECHANISM)」との発明の名称が付され2016年3月28日に出願された特許文献2に開示される実施形態に類似している針安全装置400のいくつかの実施形態が示される。図7Aは、針172の遠位突端176が針安全装置400内に後退させられる際の針安全装置400の実施形態を示す。図7Bは、針の遠位突端176が針安全装置400内に係合された針安全装置400の実施形態を示す。いくつかの場合において、針安全装置400は、遠位端404、近位端406、およびそれを通る中央通路408を備える本体402を含む。針安全装置400は、第1の裾広がり(splayed)部材412および第2の裾広がり部材414に取り付けられたベース410を含むことができる。第1の裾広がり部材412は、第1のエンドピース416を含むことができる。第2の裾広がり部材414は、第2のエンドピース418を含むことができる。針安全装置400は、また、第1のエンドピース416および第2のエンドピース418に対して保持環422を付勢するように構成されたばね420を含むことができ、それによって第2のエンドピース418に対して第1のエンドピース416を付勢する。
【0057】
図7Aに示されるように、針172が後退させられる際に、針172は、第1および第2のエンドピース416、418の間をスライド可能に移動することができる。針172は、針172の遠位突端176の近くの膨隆部192のような針フィーチャを含むことができる。膨隆部192が第1および第2のエンドピース416、418を通して引かれる(drawn)際に、第1および第2のエンドピース416、418は付勢されて開き、および膨隆部192は第1および第2のエンドピース416、418の間を通ることができる。図7Bに示されるように、いったん遠位突端176が第1および第2のエンドピース416、418の間を通ると、第1および第2のエンドピース416、418は、一緒に付勢されて、針172の遠位突端176が針安全装置400から出るのを防止する。膨隆部192は、針172が針安全装置400を通過し続けるのを防止し、針安全装置400を遠位突端176に効果的に不可逆的に係合して、不注意な針突き刺しを防止することができる。
【0058】
ここで図8Aから図8Bを参照して、「カニューレ捕捉機構(CANNULA CAPTURE MECHANISM)」との発明の名称が付され2016年3月28日に出願された特許文献2に開示される実施形態に類似している針安全装置400のいくつかの実施形態が示される。図8Aは、針172の遠位突端176が針安全装置400内に後退させられる際の針安全装置400の実施形態を示す。図8Bは、針の遠位突端176が針安全装置400内に係合された針安全装置400の実施形態を示す。いくつかの場合において、針安全装置400は、遠位端404、近位端406、およびそれを通る中央通路408を備える本体402を含む。針安全装置400は、第1の裾広がり(splayed)部材432および第2の裾広がり部材434に取り付けられたベース430を含むことができる。第1の裾広がり部材432は、第1のエンドピース436を含むことができる。第2の裾広がり部材434は、第2のエンドピース438を含むことができる。第1の裾広がり部材432は、第1のカットアウト440を含むことができる。第2の裾広がり部材434は、第2のカットアウト442を含むことができる。第1および第2のカットアウト440、442を、針172の膨隆部192を受け入れるように寸法付けることができる。第1の裾広がり部材432および第2の裾広がり部材434は、第1のエンドピース436および第2のエンドピース438を一緒に付勢する。
【0059】
図8Aに示されるように、針172が後退させられる際、針172は、第1および第2のエンドピース436、438の間をスライド可能に移動することができる。針172は、針172の遠位突端176の近くに膨隆部192を含むことができる。膨隆部192が第1および第2のエンドピース436、438から引かれる際、第1および第2のエンドピース416、418は、膨隆部192によって付勢されて開き、および膨隆部192は、第1および第2のエンドピース436、438の間を通ることができる。図7Bに示されるように、いったん遠位突端176が第1および第2のエンドピース436、438の間を通ると、第1および第2のエンドピース436、438は、一緒に付勢されて、針172の遠位突端176が針安全装置400から出るのを防止する。膨隆部192は、第1および第2のカットアウト440、442によって受け入れられて、膨隆部192を効果的に係合し、および針安全装置400を遠位突端176に効果的に不可逆的に係合して、不注意な針突き刺しを防止することができる。
【0060】
ここで図9Aから図9Bを参照して、Vばねを備える針安全装置400のいくつかの実施形態が示される。図9Aは、針172の遠位突端176が針安全装置400内に後退させられる際の針安全装置400の実施形態を示す。図9Bは、針の遠位突端176が針安全装置400内に係合された針安全装置400の実施形態を示す。いくつかの場合において、針安全装置400は、遠位端404、近位端406、およびそれを通る中央通路408を備える本体402を含む。針安全装置400は、近位開口部452および遠位開口部454を備えるばね枠(spring frame)450を含むことができる。ばね枠450は、シャッター458を備えるVばね456を含むことができる。Vばね456を、針172に対して付勢するように構成することができる。図9Aに示されるように、針172が後退させられる際、針172は、遠位開口部454と近位開口部452との間でスライド可能に移動することができる。針172は、針172の遠位突端176の近くに膨隆部192を含むことができる。遠位開口部454と近位開口部452との間で針172が引かれる際、針172および/または膨隆部192は、ばね枠450に対して付勢された位置にVばね456を維持する
【0061】
図9Bに示されるように、いったん遠位突端176がVばね456を通り抜けると、Vばね456は開き、およびシャッター458は遠位開口部454を塞ぎ、それによって針172の遠位突端176が針安全装置400から再び出るのを妨害する。膨隆部192を効果的に係合しおよび針安全装置400を遠位突端176に効果的に不可逆的に係合する近位開口部452によって、膨隆部192を保持して、不注意な針突き刺しを防止することができる。
【0062】
カテーテルシステム100を任意の適当な材料から製造することができるが、少なくともいくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ102および針ハブ104は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、および他の類似の材料のような熱可塑性高分子樹脂から形成される。カテーテルアダプタ102および針ハブ104を、医師が、それがスライド可能に取り外される際の針172を視覚的に確認し、および一次的および/または二次的血液フラッシュバックを眺めるのを可能にするように、実質的に透明な材料から形成することができる。カテーテル115を、ポリテトラフルオロエチレン(FIFE)、ポリウレタン、および他の類似の材料のような熱可塑性樹脂から形成することができる。いくつかの場合において、カテーテル115を、患者の体内の生理的状態への暴露で軟化する熱可塑性親水性ポリウレタンから形成することができる。針172、ばね420、およびVばね456を、ステンレス鋼合金または他の類似の材料から形成することができる。
【0063】
本発明は、本明細書中に広く記載されおよび下文において請求されるその構造、方法、または他の本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態に具現化されてもよい。記載された実施形態は、あらゆる点で、単に例示的でありおよび制限的では無いとみなされるべきである。本発明の範囲は、従って、先述の記載によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等の意味および範囲内に入る全ての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B