(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020607
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】コア生検針
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
A61B10/02 110Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203886
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2020519782の分割
【原出願日】2018-10-05
(31)【優先権主張番号】17195070.2
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518375937
【氏名又は名称】ウニベルシテート バーゼル
(71)【出願人】
【識別番号】520115691
【氏名又は名称】アルティディス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】プロディネック マリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ツヴァイフェル ルドヴィト パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】エルトル フィリップ マキシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥンプ アルミン
(72)【発明者】
【氏名】ロパリック マルコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組織サンプルを得るためのコア生検針に関する。
【解決手段】組織サンプルを得るためのコア生検針1であって、長手方向軸Lに沿って延びる中空の外針10と、長手方向軸Lに沿って前記外針10内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針20と、を含み、内針20は少なくとも1つの組織保持表面21を含み、組織保持表面21は、コア生検針1が組織内に挿入されると、組織が少なくとも1つの組織保持表面21に付着するように適合される、コア生検針1に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織サンプルを得るためのコア生検針(1)であって、
-長手方向軸(L)に沿って延びる中空の外針(10)と、
-前記長手方向軸(L)に沿って前記外針(10)内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針(20)と、
を含み、
前記内針(20)は少なくとも1つの組織保持表面(21)を含み、前記組織保持表面(21)は、前記コア生検針(1)が組織(3)内に挿入されると、組織(3)が少なくとも1つの組織保持表面(21)に付着するように適合されることを特徴とする、コア生検針(1)。
【請求項2】
前記外針(10)は、前記長手方向軸(L)に対して横方向に、1.2mm未満、特に1mm未満の最大寸法(emax)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコア生検針(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの組織保持表面(21)は、各々、前記長手方向軸(L)に沿って延びる長さ(y)、前記長手方向軸(L)に関して円周方向に延びる幅(x)、および前記長手方向軸(L)に関して半径方向に延びる高さ(z)を有する複数の突起(40)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のコア生検針(1)。
【請求項4】
前記突起(40)の前記幅(x)と前記長さ(y)との間の比率、または前記突起(40)の前記長さ(y)と前記幅(x)との間の比率は、少なくとも2対1であることを特徴とする、請求項3に記載のコア生検針(1)。
【請求項5】
前記突起(40)の前記高さ(z)と前記幅(x)との間の比率および/または前記高さ(z)と前記長さ(y)との間の比率は、少なくとも1対1であることを特徴とする、請求項3または4に記載のコア生検針(1)。
【請求項6】
前記高さ(z)は、1μm~100μm、特に10μm~80μm、より具体的には24μm~40μmであることを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項7】
前記幅(x)は、1μm~100μm、特に10μm~80μm、および/または前記長さ(y)は、1μm~100μm、特に10μm~80μmであることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項8】
前記突起(40)は、前記それぞれの突起(40)の最大高さ(z)に位置するそれぞれのピーク(41)を含むことを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項9】
前記突起(40)の表面は湾曲(42)を含み、特に前記表面は凹状であることを特徴とする、請求項3~8のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項10】
前記突起(40)は、
-特に正方形の基部(44)を含む、ピラミッド(43)として形作られるか、または、
-特に円形の基部を含む、円錐、円錐台または円筒として形作られ、
-幅(x)に垂直な三角形の断面形状、および長さ(y)に垂直な長方形または正方形の断面形状を含むか、または、
-長さ(y)に垂直な三角形の断面形状、および幅(x)に垂直な長方形または正方形の断面形状を含むか、または、
-幅(x)または長さ(y)に垂直な断面形状を含み、前記断面形状は、少なくとも3つの縁部によって境界が定められ、少なくとも1つの縁部は湾曲していることを特徴とする、請求項3~9のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項11】
前記組織保持表面(21)は、化学吸着および/または物理吸着によって前記組織に付着するように適合された少なくとも1つの組織付着性合成物を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの組織付着性合成物は、付着剤、特にシリコン複合物またはシアノアクリレートであることを特徴とする、請求項11に記載のコア生検針(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの組織付着性合成物は、生体適合性であることを特徴とする、請求項11または12に記載のコア生検針(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの組織付着性合成物は、ポリマーまたはバイオポリマー、特にペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であり、より具体的にはアルギニン-グリシン-アスパラギン酸トリペプチド、ポリ-L-リジン、アルブミン、I型コラーゲン、フィブリン、およびゼラチンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの組織付着性合成物は、化学的架橋剤であり、特に前記化学的架橋剤はアルデヒド、より具体的にはホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドであることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載のコア生検針(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物組織から完全な組織サンプルを入手するためのコア生検針に関する。
【背景技術】
【0002】
生検取得は、特にその後の癌診断のための疑わしい腫瘍組織において、さらなる分析のために生体(ヒトまたは動物)から組織または細胞のサンプルを採取することを可能にする重要な方法である。
【0003】
医学の分野ではいくつかのタイプの生検方法が知られている。例えば、微細針吸引生検では、外径が1mm未満の細い針が組織に挿入され、組織の液体が対象の組織の細胞とともに針を通して吸引される。対照的に、先行技術によるコア生検は、1mmより大きい外径(20ゲージ未満)の太い針を使用し、切断機構を適用する。これにより、完全な組織シリンダが対象の組織から切り取られて除去される。
【0004】
例えば、一般的なタイプのコア生検針は、外針と、外針内に配置される内針とを含む。針を組織に挿入した後、内針は、例えばばね加圧機構によって組織内に延ばされ、組織の一部が内針の切欠き(notch)に押し込まれる。続いて、内針が標的組織内に留まっている間に、外針は、例えばさらなるばね加圧機構によって前方に動かされ、そして切欠き内の組織の一部が外針の刃先(cutting edge)によって切断される結果、完全な組織サンプルが内針の切欠き内に残り、その後、コア生検針が組織から引き抜かれる。
【0005】
一部のタイプのコア生検針では、コア生検針で取得された組織サンプルを捕捉するために、切断機構に加えて真空が使用される。
【0006】
後続の組織学的分析および他の診断方法にとって重要である完全な組織サンプルを得るために、先行技術のコア生検針は、1mmを超える、理想的には14ゲージ(2.11mm)の外径を必要とする。従来技術のより小さな針を使用すると、生存可能な組織および細胞が十分に含まれない傾向があるより小さな組織片が得られ、そしてそれは、組織および/または癌診断の信頼できる組織学的評価に特に必要なその後のサンプル調製を損なう。
【0007】
不利なことに、針の外径が大きいことに起因して、先行技術のコア生検針は、胸部のあざまたは血腫、胸部の腫れ、注射部位の苦痛または痛み、乳房の外観の変化、を含むがこれらに限定されないいくつかの可能な副作用を引き起こす傾向がある。さらに、手順の時間を延長して副作用に寄与する可能性がある先行技術のコア生検針を使用するときに、少なくともいくつかの場合には、例えば針の挿入前の局所麻酔および/または外科的切開の適用を含む比較的複雑な生検手順が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、病理組織学的評価を成功させるための前提条件である完全な組織サンプルを得ることができる、針の外径が減少したコア生検針を提供することである。
【0009】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。従属請求項2~15は、本発明の実施形態に関する。以下、本発明について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、組織サンプルを得るためのコア生検針であって、長手方向軸に沿って延び、特に中空円筒形状中空の外針と、長手方向軸に沿って外針内に少なくとも部分的に配置されるかまたは配置可能な内針と、を含み、内軸は少なくとも1つの組織保持表面を含み、組織保持表面は、コア生検針が組織内に挿入されると、特に化学吸着および/または物理吸着および/または摩擦によって、組織が少なくとも1つの組織保持表面に付着(adhere)するように適合される、コア生検針に関する。
【0011】
コア生検針は、コア生検針の組織保持表面が、コア生検針が挿入されている対象組織に接触して付着できるように適合される。特に、コア生検針の切断機構が作動すると、切断機構により対象組織から切断された組織サンプル(例えば、組織コア)は、組織保持表面に付着する。
【0012】
特に、少なくとも1つの組織保持表面は粗くてもよく、すなわち、少なくとも1つの組織保持表面は、規則的または不規則な突起および/または溝を含んでもよい。例えば、組織保持表面は、表面微細構造を含み得る。
【0013】
突起および/または溝が組織保持表面上に存在する場合、組織保持表面は、摩擦によって組織と相互作用し得る。より具体的には、突起および/または溝は、組織の表面上、例えば組織に含まれる細胞または細胞外基質の表面上の突起および/または溝に対応し得る結果、組織保持表面の突起は、組織表面上の対応する溝内に挿入されおよび/または組織表面上の突起は、組織保持表面上の対応する溝内に挿入される。これは、組織表面が組織保持表面に対して静止している場合には静的摩擦を、または組織表面が組織保持表面に対して移動している場合には動的摩擦を、生成し得る。
【0014】
代わりに、または加えて、少なくとも1つの組織保持表面は、吸着によって組織表面と相互作用するように適合され得る。すなわち、組織保持表面の材料は、組織表面の原子または分子、例えば、組織に含まれる細胞の細胞表面にある原子または分子、との非共有結合(吸着は物理吸着)または共有結合(吸着は化学吸着)を確立するように適合された原子または分子を含み得る。例えば、これは、組織の付着(adhesion)を強化するための組織保持表面の化学修飾によって達成され得る。
【0015】
有利には、組織サンプルは、組織保持表面によって内針上の所定の位置に保持されることができる。さらに、組織サンプルは、組織保持表面によって機械的に安定化、固定、および/または保護(たとえば、断片化を防ぐ)できるため、完全な、断片化されていない組織サンプルを対象組織から除去することができる。特に、本発明によるコア生検針を用いて、より小さな組織サンプル(例えば、コア生検針の長手方向軸に対してより小さな外径を有する組織サンプル)を取得することができ、組織保持表面に起因して従来技術のコア生検針と比較して完全な形(バラバラにならない)で対象組織から除去することができる。したがって、特に、本発明によるコア生検針の外径は、従来技術と比較して減らすことが、より具体的には1mm未満(20ゲージを超える)まで減らすことができ、これはこれまで実現不可能であった。次に、これにより、生検手順中の患者の痛みを含む副作用が少なくなり、例えば麻酔薬や事前の外科的切開を使用せずに、時間効率が高く、より簡単なコア生検法が可能になる。
【0016】
特定の実施形態では、コア生検針は、組織に挿入されるように適合される。
【0017】
特定の実施形態では、組織保持表面は、少なくとも1つの組織保持表面で提供される組織との付着によって相互作用するように適合される。
【0018】
特定の実施形態では、組織保持表面は、吸着、特に化学吸着または物理吸着によって、少なくとも1つの組織保持表面で提供される組織と相互作用するように適合される。
【0019】
特定の実施形態では、組織保持表面は、少なくとも1つの組織保持表面で提供される組織との摩擦によって相互作用するように適合される。
【0020】
特定の実施形態では、コア生検針は、コア生検針が挿入されている組織から組織サンプルを除去するための切断機構を含む。
【0021】
本明細書の範囲において、「コア生検針」という用語は、医学分野で既知のその意味で使用される。特に、「コア生検針」という用語は、内針と外針とを含む生検針として理解されるべきであり、生検針は、コア生検針が組織に挿入されたときに、組織から完全な組織サンプル(「組織シリンダ」または「組織コア」とも呼ばれる)を抽出するように適合される。
【0022】
本明細書の範囲において、「組織」という用語は、生物学および医学の分野で既知のその意味で使用され、特に、細胞の一部である生物組織、より具体的には細胞外基質によって接続されるものを指す。
【0023】
本明細書の範囲において、「組織保持」という用語は、特に化学吸着、物理吸着、および/または摩擦によって、生物組織の表面に付着する表面の能力を表す。
【0024】
そこで、「付着」という用語は、粒子または表面、特に異なる粒子または表面が互いにくっつく傾向として理解されるべきである。
【0025】
「吸着」という用語は、表面への粒子の付着を示し、化学吸着および物理吸着(物理的吸着とも呼ばれる)を含む。
【0026】
そこで、「化学吸着」という用語は、粒子と表面との間に共有化学結合が形成される吸着を表し、「物理吸着」という用語は、共有結合相互作用、例えば、ファンデルワールス相互作用、イオン相互作用、または水素結合によって、粒子と表面との間の相互作用が起こる吸着を表す。
【0027】
「摩擦」という用語は、外力が加えられたときに、互いに対する表面の界面に沿って移動する2つの面の間の抵抗を示す。摩擦は、2つの表面が互いに対して移動していない場合には静的摩擦として表わされ、2つの表面が互いに対して移動している場合には動的摩擦として表わされる。
【0028】
特定の実施形態では、内針は、特に並進運動または回転運動によって、外針に対して移動可能である。特に、並進運動の場合、内針は、(外針に対して)組織内に延在し、組織の一部が組織保持表面と接触するようにもたらされる。
【0029】
特定の実施形態では、内針は、特に内針の先端に配置された少なくとも1つの針先(stitching edge)を含み、内針は、針先によって組織内に押し込まれるように適合される。
【0030】
特定の実施形態では、外針は、特に外針の先端またはその近くに配置された少なくとも1つの刃先を含み、刃先は、組織に切れ目(cut)を導入するように適合される。
【0031】
例えば、内針が標的組織に留まっている間に外針が前方に移動し、内針の組織保持表面に付着している組織の一部が刃先によって切断される結果、完全な組織サンプルが組織保持表面上に残る。
【0032】
特定の実施形態では、内針は、少なくとも1つの切欠きを含み、少なくとも1つの切欠きは、少なくとも1つの組織付着表面を含む。例えば、内針が挿入されている組織の一部が切欠きに押し込まれ、外針の刃先が組織の一部を切断してもよい。切欠き上の少なくとも1つの組織保持表面に起因して、組織サンプルは、完全な形で切欠き内に残る。
【0033】
特に、内針は、中空またはコンパクトであり得る(すなわち、内針は、内部空洞を含んでも含まなくてもよい)。
【0034】
特定の実施形態では、外針は、長手方向軸に対して横方向(すなわち垂直)に、1.2mm未満、特に1mm未満の最大寸法(maximum extension)を含む。特に、外針が円形(例えば円筒形)の断面を有する場合、最大寸法は、外針の最大外径となる。
【0035】
これにより、微細吸引針で知られているサイズ範囲のコア生検針を提供することができる。 これは、生検手順中に患者が経験する可能性のある副作用および痛みを有利に低減し、生検方法を簡略化する。
【0036】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織保持表面は、各々、長手方向軸に沿って延びる長さ、長手方向軸に対して円周方向に延びる幅、および長手方向軸に対して半径方向に延びる高さ、を有する複数の突起を含む。
【0037】
対応する組織表面との摩擦を生成するために組織保持表面に突起が設けられると、完全な形での組織保持表面からの組織サンプルの除去が容易になる。
【0038】
特定の実施形態では、突起の幅と突起の長さとの間の比率は、少なくとも2対1である。
【0039】
特定の実施形態では、突起の長さと突起の幅との間の比率は、少なくとも2対1である。
【0040】
特定の実施形態では、突起の高さと突起の幅との間の比率は、少なくとも1対1である。
【0041】
特定の実施形態では、突起の高さと突起の長さとの間の比率は、少なくとも1対1である。
【0042】
特定の実施形態では、突起の高さと突起の幅との間の比率は、少なくとも1対1であり、突起の高さと突起の長さとの間の比率は、少なくとも1対1である。
【0043】
特定の実施形態では、突起の高さは、1μm~100μm、特に10μm~80μm、より具体的には24μm~40μmである。
【0044】
特定の実施形態では、突起の幅は、1μm~100μm、特に10μm~80μmである。
【0045】
特定の実施形態では、突起の長さは、1μm~100μm、特に10μm~80μmである。
【0046】
特定の実施形態では、突起の幅は、1μm~100μm、特に10μm~80μmであり、突起の長さは、1μm~100μm、特に10μm~80μmである。
【0047】
有利には、上記の寸法を有する突起を含む組織保持表面は、対象組織、特に乳房組織、より具体的には乳房腫瘍組織に付着する。特に、突起の寸法は、乳房組織サンプルの測定された粗さと多孔性に対応し、組織保持表面と組織表面との間の付着が強化される。
【0048】
特定の実施形態では、突起は、それぞれの突起の最大高さに位置するピークを含む。 特に、各突起は、それぞれのピークを含む。そこで、ピークという用語は、尖った構造を表すことを意味する。
【0049】
特定の実施形態では、突起の表面は湾曲を含み、特に表面は凹状である。
【0050】
特定の実施形態では、突起は、波状パターンで配置される。換言すれば、突起の高さは、幅および/または長さに沿って周期的に変化する。
【0051】
そのような構造、特に「フカヒレ」形状の突起は、組織表面との特に有利な付着特性を示し、完全な組織サンプルをもたらす。
【0052】
特定の実施形態では、突起は、周期的に配置される。言い換えれば、突起は同じ形状を含み、長さおよび/または幅に沿って互いに等しい距離で配置される。
【0053】
特定の実施形態では、突起は、非周期的に配置される。言い換えれば、突起は、異なる形状を含みおよび/または、長さおよび/または幅に沿って互いに異なる距離で配置される。
【0054】
特定の実施形態では、突起は、特に正方形の基部を含むピラミッドとして形作られる。ピラミッド形状の突起は、組織表面との特に有利な付着特性を示し、完全な組織サンプルをもたらす。
【0055】
特定の実施形態では、突起は、特に円形の基部を含む、円錐、円錐台または円筒として形作られる。特に、円錐、円錐台または円筒は、それらの高さと長さとの間のアスペクト比が少なくとも1対1であり、および/またはそれらの高さと幅との間のアスペクト比が少なくとも1対1である。
【0056】
本明細書の文脈では、そのような形状は「ブラシ状(brush)形状」とも呼ばれる。
【0057】
そこで、特に、突起は、幅および長さに垂直な三角形の断面形状を有する。
【0058】
三角形の断面形状とは、辺間の角度が任意の三角形、例えば、鋭角の三角形または鈍角の三角形のことである。特に、三角形の断面形状は、二等辺三角形または直角三角形の形状を有する。
【0059】
ブラシ状の突起は、組織表面との特に有利な付着特性を示し、完全な組織サンプルをもたらす。
【0060】
特定の実施形態では、突起は、幅に垂直な三角形の断面形状および、長さに垂直な長方形または正方形の断面形状、または、長さに垂直な三角形の断面形状および、幅に垂直な長方形または正方形の断面形状、を含む。
【0061】
本明細書の文脈では、そのような形状は「鋸歯状(saw tooth)形状」と呼ばれる。
【0062】
そこで、三角形の断面形状は、その辺間に任意の角度を有する三角形、例えば、鋭角三角形または鈍角三角形を指す。特に、三角形の断面形状は、二等辺三角形または直角三角形の形状を有する。鋸歯状の突起は、組織表面との特に有利な付着特性を示し、完全な組織サンプルをもたらす。
【0063】
特定の実施形態では、突起は、幅または長さに垂直な断面形状を含み、前記断面形状は、少なくとも3つの辺によって境界が定められ、辺のうちの少なくとも1つは湾曲している。
【0064】
本明細書の文脈において、そのような形状は「フカヒレ状(shark fin)形状」と呼ばれる。
【0065】
特に、少なくとも1つの湾曲した辺は、凹面形状を含む。
【0066】
特に、辺の1つは湾曲しており、湾曲した辺は、湾曲した辺に隣接する辺間の直角に対して反対側に配置される。
【0067】
フカヒレ形状の突起は、組織表面との特に有利な付着特性を示し、完全な組織サンプルをもたらす。
【0068】
特定の実施形態では、組織保持表面は、非周期的構造を形成し、組織保持表面は、複数の突起を含む。
【0069】
特定の実施形態では、突起は、長手方向軸に対して横方向に、1μm~100μm、特に10μm~80μm、より具体的には24μm~40μmの平均高さを含む。
【0070】
特定の実施形態では、突起は、長手方向軸に沿って、1μm~100μm、特に10μm~80μmの平均長さを含む。
【0071】
特定の実施形態では、突起は、長手方向軸に対して円周方向に沿って、1μm~100μm、特に10μm~80μmの平均幅を含む。
【0072】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織付着表面は、各々、長手方向軸に沿って延びる長さ、長手方向軸に対して円周方向に延びる幅、および長手方向軸に対して半径方向に延びる深さ、を有する複数の溝を含む。
【0073】
特定の実施形態では、溝の幅と溝の長さとの間の比率は、少なくとも2対1である。
【0074】
特定の実施形態では、溝の長さと溝の幅との間の比率は、少なくとも2対1である。
【0075】
特定の実施形態では、溝の深さと溝の幅との間の比率は、少なくとも1対1である。
【0076】
特定の実施形態では、溝の深さと溝の長さとの間の比率は、少なくとも1対1である。
【0077】
特定の実施形態では、溝の深さと溝の幅との間の比率は、少なくとも1対1であり、溝の深さと溝の長さとの間の比率は、少なくとも1対1である。
【0078】
特定の実施形態では、溝の深さは、1μm~100μm、特に10μm~80μm、より具体的には24μm~40μmである。
【0079】
特定の実施形態では、溝の幅は、1μm~100μm、特に10μm~80μmである。
【0080】
特定の実施形態では、溝の長さは、1μm~100μm、特に10μm~80μmである。
【0081】
特定の実施形態では、溝の幅は、1μm~100μm、特に10μm~80μmであり、溝の長さは、1μm~100μm、特に10μm~80μmである。
【0082】
特定の実施形態では、溝は、それぞれの溝の最大深さに配置されたそれぞれのトラフを含む。
【0083】
特定の実施形態では、溝の表面は湾曲を含む。
【0084】
特定の実施形態では、溝は、特に正方形の基部を含む、負のピラミッドとして形作られる。
【0085】
特定の実施形態では、溝は、負の鋸歯状の形状を有する。
【0086】
特定の実施形態では、溝は、負のフカヒレ状の形状を有する。
【0087】
特定の実施形態では、溝は負のブラシ状の形状を有する。
【0088】
特定の実施形態では、組織保持表面は、特にレーザーアブレーションによって、コア生検針の内針上に生成される。
【0089】
特定の実施形態では、組織保持表面は、ブランク(例えば金属板)上に生成され、コア生検針の内針は、そのブランクから製造される。
【0090】
特定の実施形態では、組織保持表面は、化学吸着および/または物理吸着によって組織に付着するように適合された少なくとも1つの組織付着性合成物を含む。
【0091】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織付着性合成物は、付着剤、特にシリコン複合物またはシアノアクリレートベースの付着剤である。
【0092】
特定の実施形態では、組織付着性合成物は、シアノアクリレートを含む。
【0093】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織付着性合成物は、粘着付与剤を含む。そこで、「粘着付与剤」という用語は、特に付着性合成物に添加されたときに、付着剤の表面の粘性または粘着性を増加させるように適合された化学物質を表す。
【0094】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織付着性合成物は、標準ISO10993に従う生体適合性である。
【0095】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織付着性合成物は、ポリマー、またはバイオポリマー、特にペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であり、より具体的には、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸トリペプチド、ポリ-L-リジン、アルブミン、コラーゲンI、フィブリン、およびゼラチン、からなる群から選択される。
【0096】
そこで、「生体高分子」という用語は、生体細胞によって合成されるかまたは合成され得る高分子を指す。生体高分子には、多糖類、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、および核酸が含まれる。
【0097】
特定の実施形態では、少なくとも1つの組織付着性合成物は、化学架橋剤であり、架橋剤は特に、アルデヒド、より具体的にはホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドである。
【0098】
そこで、「化学架橋剤」という用語は、化学反応によって異なる分子間に共有化学結合を生成することができる化合物を指す。
【0099】
本発明のさらなる態様は、本発明によるコア生検針によってコア生検を実施する方法に関する。
【0100】
特定の実施形態では、この方法は、コア生検針を組織に挿入することと、組織から組織サンプルを入手することとを含み、組織保持表面は組織サンプルと接触している。
【0101】
さらなる実施形態および利点は、以下に説明される図および例から導出されてもよく、図および例は、本発明を例示することを意味して、その範囲を限定することを意味しない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】
図1は、本発明によるコア生検針の概略図を示す。
【
図2】
図2は、対象の組織に挿入された第1の構成における本発明によるコア生検針の概略図を示す。
【
図3】
図3は、対象の組織に挿入された第2の構成における本発明によるコア生検針の概略図を示す。
【
図4】
図4は、組織サンプルを含むコア生検針の概略図を示す。
【
図5A】
図5は、ピラミッド形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図5B】
図5は、ピラミッド形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図5C】
図5は、ピラミッド形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図6A】
図6は、第1の配置における鋸歯形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図6B】
図6は、第1の配置における鋸歯形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図6C】
図6は、第1の配置における鋸歯形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図7A】
図7は、第2の配置における鋸歯形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図7B】
図7は、第2の配置における鋸歯形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図7C】
図7は、第2の配置における鋸歯形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図8A】
図8は、フカヒレ形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図8B】
図8は、フカヒレ形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図8C】
図8は、フカヒレ形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図9A】
図9は、ブラシ形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図9B】
図9は、ブラシ形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図9C】
図9は、ブラシ形状の突起を含む、本発明によるコア生検針の組織保持表面の概略図を示す。
【
図10】
図10は、組織病理学のための抽出された組織の質に基づくマイクロ生検針の等級付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1は、長手方向軸Lに沿って延びるコア生検針1を示し、コア生検針1は、長手方向軸Lに対して横方向に最大断面寸法e
maxを有する中空の外針10と、外針10内に部分的に配置されている内針20とを含む。コア生検針1の近位端(
図1の左端)では、外針10は刃先11を含み、内針20は、針先22で終わるファセットカット23を含む。内針20は、切欠き24と、切欠き24の底部に配置された組織保持表面21とをさらに含む。組織保持表面21は、例えば、組織保持表面21の突起40(それにより、組織保持表面21と組織3との間の摩擦の強化)によって、または組織保持表面21に含まれる組織付着性合成物によって、組織保持表面21に設けられた組織3に化学吸着、物理吸着、および/または摩擦によって付着するように適合されている。例えば、組織保持表面21は、組織付着性合成物からなっていてもよく、または組織付着性合成物でコーティングされていてもよい。
【0104】
図2は、
図3および
図4と併せてコア生検針1の機能原理を示す。ここで、
図2は、内針20の一部が組織3の組織領域(特に腫瘍)30に挿入される第1の構成のコア生検針1を示す。
図1に示される構成と比較して、内針20は、外針10に対して組織3内に前方へ延ばされている。例えば、内針20と外針10との間のこの相対的な動きは、ばね加圧機構、または従来技術から知られている同等の手段によって達成され得る。内針20は、特にその針先22に起因して、前進するときに組織3を貫通するように適合されている。内針20の切欠き24は、組織領域30内の組織3の一部が切欠き24に押し込まれるように、組織領域30内に配置される。したがって、組織3のこの部分の表面の一部は、組織3と組織保持表面21との間の摩擦が強化されるように、または、例えば付着により組織3が組織保持表面21に結合するように、組織保持表面21に付着する。
【0105】
図3は、コア生検針1の第2の構成を示し、コア生検針1は、組織3内に部分的に配置され、外針10は、例えばさらなるばね加圧機構によって、長手方向軸Lに沿って組織領域30内に前方へ移動されている。内針20に対する外針10の前進運動中に、外針10の刃先11は、組織領域30の組織3に切れ目32を生成し、それは周囲の組織3から切欠き24内の組織3を分離し、したがって、外針10によって囲まれた組織サンプル31を形成する。切断手順中およびその後、組織サンプル31は、固定され、組織保持表面21へのその付着によって機械的に安定化され、その結果、組織サンプル31は生検中に完全な状態を保つ。
【0106】
図4は、組織3から抜去された後のコア生検針1を示す。組織サンプル31は、組織保持表面21によって固定され安定化され、そして外針10によって囲まれた切欠き24内に含まれる。さらなるステップにおいて、組織サンプル31が腫瘍細胞を含むかどうかを識別するために、例えば従来技術による組織学技術によって組織サンプル31を分析するために、完全な組織サンプル31を切欠き24から取り除くことができる。
【0107】
図5~
図9は、本発明によるコア生検針1の内針20の組織保持表面21の異なる実施形態の概略図を示し、組織保持表面21は、組織3と組織保持表面21との間の摩擦を高めるために突起40を含む。
【0108】
図5~
図9に示される概略図および線図は、一定の縮尺で描かれていないが、組織保持表面21の突起40の配置および形状の一般的な例を示すことを意図している。特に、
図5C、
図6C、
図7C、
図8Cおよび
図9Cに描かれた突起40のサイズは、それぞれの概略的に描かれた第2の針20の縮尺に対応していない。上述のように、組織保持表面21の好ましい実施形態は、マイクロメートル範囲の突起40を含むが、内針20の外径は、通常、サブミリメートルからミリメートルの範囲である。しかしながら、内針20の概略図は、突起40の幅xおよび長さyの向きを示すために図面に含まれている。
【0109】
幅xは長手方向軸Lに関して円周方向に沿って延び、長さyは長手方向軸Lに沿って延び、高さzは長手方向軸Lに関して半径方向に沿って延びる。組織保持表面21の湾曲と同様に、内針20の湾曲に起因して、
図5~
図9に示される概略図は、突起40のおおよその配置を示す理想化された投影である。
【0110】
図5は、正方形の基部44を有するピラミッド43の形状を有する突起40を含む組織保持表面21の第1の実施形態を示す。
【0111】
図5Aは、幅xおよび高さzによって形成される平面に沿った突起40の断面を示し、
図5Bは、長さyおよび高さzによって形成される平面に沿った突起40の断面を示す。突起40の断面形状を画定する辺46、および2つの縁部46間の角度αも、
図5Aおよび5Bに示される。
【0112】
図5Cは、組織保持表面21(破線の箱で囲まれた領域)上の突起40の配置の上面図を示す。ピラミッド形状の突起40の辺は破線として示され、ピラミッド43のそれぞれのピーク41は、辺(破線)のそれぞれの交点に位置する。ピーク41の位置も
図5Aおよび
図5Bに示される。
【0113】
図6は、鋸歯形状を有する突起40を含む組織保持表面21のさらなる実施形態を示す。
【0114】
図6Aは、幅xおよび高さzによって形成される平面に沿った鋸歯形状の突起40の三角形の断面を示し、
図6Bは、長さyおよび高さzによって形成される平面に沿った突起40の長方形の断面を示す。角度αで配置された三角形の断面形状の2つの辺46も
図6Aに示される。ここで、角度αは、鋭角、鈍角、または直角であってもよい。特に、角度αは0°と90°との間である。角度αに隣接する2つの辺46は、特に等しい長さであり、言い換えれば、それぞれの三角形の形状は、二等辺三角形である。
【0115】
図6Cは、(破線の箱で囲まれた)組織保持表面21上の鋸歯状突起40の配置の上面図を示す。突起40のそれぞれの基部44の形状は実線で示され、隆起部45(最大高さzの線)は破線で表示される。それぞれの断面における隆起部45の位置も、
図6Aおよび
図6Bに示される。
【0116】
図6Cに示される実施形態では、突起40は、長方形の基部を含み、それぞれの長方形の長辺および中央の隆起部45は、長さyに沿って延びる。
【0117】
図7は、鋸歯形状を有する突起40を含む組織保持表面21のさらなる実施形態を示す。
【0118】
図7Aは、幅xおよび高さzによって形成される平面に沿った鋸歯状突起40の長方形断面を示し、
図7Bは、長さyおよび高さzによって形成される平面に沿った突起40の三角形断面を示す。角度αで配置された三角形の断面形状の2つの辺46も
図7Bに示される。ここで、角度αは、鋭角、鈍角、または直角であってもよい。特に、角度αは0°と90°との間である。角度αに隣接する2つの辺46は、特に等しい長さであり、言い換えれば、それぞれの三角形の形状は、二等辺三角形である。
【0119】
図7Cは、(破線のボックスで囲まれた)組織保持表面21上の鋸歯状突起40の配置の上面図を示す。突起40のそれぞれの基部44の形状は実線で示され、隆起部45(最大高さzの線)は破線で示される。それぞれの断面における隆起部45の位置も、
図7Aおよび
図7Bに示される。
【0120】
図7Cに示される実施形態では、突起40は、長方形の基部を含み、それぞれの長方形の長辺および中央の隆起部45は、幅xに沿って延びる。
【0121】
図8は、フカヒレ形状を有する突起40を含む組織保持表面21のさらなる実施形態を示す。
【0122】
図8Aは、幅xおよび高さzによって形成される平面に沿ったフカヒレ形状の突起40の長方形の断面を示し、
図8Bは、長さyおよび高さzによって形成される平面に沿ったフカヒレ形状の突起40の断面を示し、隆起部45(最大高さzの線)と突起40の最低点との間の表面の湾曲42が
図8Bに示される。
【0123】
図8Cは、(破線の箱で囲まれた)組織保持表面21上のフカヒレ形状の突起40の配置の上面図を示す。突起40のそれぞれの長方形の基部44の形状は、実線で示される。隆起部45は、それぞれの長方形の基部44のそれぞれの左長辺と一致する。隆起部45の位置は、
図8Aおよび
図8Bにも示される。
【0124】
図9は、ブラシ状の形状を有する突起40を含む組織保持表面21のさらなる実施形態を示す。
【0125】
図9Aは、幅xおよび高さzによって形成される平面に沿ったブラシ状の突起40の三角形の断面を示し、
図9Bは、長さyおよび高さzによって形成される平面に沿ったブラシ状の突起40の三角形の断面を示す。角度αで配置された三角形の断面形状の2つの辺46も、
図9Aおよび
図9Bに示される。ここで、角度αは、鋭角、鈍角、または直角であってもよい。特に、角度αは0°と90°との間である。角度αに隣接する2つの辺46は、特に等しい長さであり、言い換えれば、それぞれの三角形の形状は、二等辺三角形である。
【0126】
図9Cは、(破線のボックスで囲まれた)組織保持表面21上のブラシ状の突起40の配置の上面図を示す。突起40のそれぞれの円形基部44の形状は実線で示され、ピーク41(最大高さzの点)は点で示される。ピーク41の位置は、
図9Aおよび
図9Bにも示される。
【0127】
本発明のさらなる実施形態および利点は、以下の実施例から導き出すことができる。
【実施例0128】
天然組織表面の波動性および粗さの分析に基づいて、さまざまなサイズ(例えばしかし限定されない:xy寸法20~100μmおよびz寸法10~80μm)および形状(例えばしかし限定されない:ピラミッド、ブラシ、鋸歯、フカヒレ)を有するほぼ20の異なるマイクロパターンが設計された。これらの微細構造は、ステンレス鋼プレートにレーザーアブレーションされ、構造のポリマー成形(PDMSなど)のテンプレートとして使用された。
【0129】
ステンレス鋼テンプレートまたはPDMS金型と牛の乳房組織標本との間の動的および静的摩擦挙動を測定して、最も付着性の高い微細構造(表1に示す構造選択、最も強力な構造は太字)を特定した。ここで、μstat,Strは構造化表面の静摩擦係数、μstat,Unstrは非構造化表面の静摩擦係数、μdyn,Strは構造化表面の動摩擦係数を指す。
【0130】
例としてしかし限定ではなく、PDMSおよびシアノアクリレートベースの付着剤を含むポリマー金型をテストした。付着実験は、化学的に変更されたポリマーの微細構造に対しても行われた。例としてしかし限定ではなく、PDMS表面は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)、ポリ-L-リジン(PLL)、コラーゲンIおよび/またはシアノアクリレートベースの付着剤で機能化された。
【0131】
マイクロ構造化(表1から選択)による牛の乳房コア生検の市販の20ゲージコア生検針の抽出に成功した。パターニングは、直接レーザーアブレーションによるか、または内針の切欠きへのマイクロ構造化ポリマーコーティングによって行われた。
【0132】
抽出された組織標本を標準的な組織病理学(ヘマトキシリンおよびエオシン染色)で検査して、組織の完全性および細胞保存を決定した(
図10)。主な基準は、組織病理学に受け入れられるコンパクトで断片化されていない生検を得ることであった。本発明による微細構造の針とは対照的に、変更されていない標準の20ゲージコア生検針からの生検は断片化されており、組織病理学には使用できなかった。
【0133】